JP2008544619A - 高い直線性を有する直交発振器 - Google Patents

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Abstract

本発明は、同相信号と直交信号の発振周波数を制御する発振回路及び方法に関するものである。第1差動発振回路及び第1差動結合回路を有する第1発振器手段(2)を設けて直交信号を発生する。さらに、第2差動発振回路及び第2差動結合回路を有する第2発振器手段(4)を設けて同相信号を発生する。周波数制御手段を設けて、第1及び第2発振器手段のコモンモード電流及びテール電流を制御することによって、同相信号及び直交信号の発振周波数を変化させる。これにより、高い直線性を有する高周波IQ発振器が得られる。

Description

本発明は、同相信号及び直交信号を発生する発振回路、及びこれらの同相信号及び直交信号を制御する方法に関するものである。
高周波電圧制御型発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)は集積回路内に広範に用いられ、高データレート光通信におけるクロックリカバリ(クロック復元)から無線通信における周波数シンセサイザまでに及ぶ。これらのVCOの周波数調整はバラクタダイオードで達成することができる。
IQ(同相/直交)発振器は無線周波数(RF)トランシーバにとって重要なビルディングブロック(構成単位、基礎単位)である。例えばIQダウンコンバータにおいて、及びデータ・クロックリカバリ(DCR:Data and Clock Recovery)ユニットの送信機部において直交信号が必要な際には、2、3の解決法が適用される。従来の技術は2倍周波数の信号の発生に基づき、その後に周波数を2で分周する。しかし、この技術は、2倍周波数の発振器、分周器、及びバッファを得ることの技術的障害及び困難さの問題がある。高周波数において遭遇する他の問題は、バラクタのQ値、及びこれに関連する寄生容量であり、これらは有効な調整範囲を減少させる。この周波数に耐えることを保証することは困難な作業である。バラクタに基づくあらゆる解決法は、これらの障害が弱点である。
他の可能性は、多相フィルタ、あるいは減算及び加算を用いるウィーバ(Weaver)技術を有する1相発振器から直交信号を発生することである。しかし、これらの解決法も高周波数には適用されない。高周波数の加算器、減算器、リミッタ(制限器)及び移相器(位相シフタ、フェーズシフタ)は実現が困難である。良好なπ/2移相器は、これらの周波数では実現が困難であり、広帯域の加算器及び減算器はリミッタと共に、実現の困難さのため論外である。多相フィルタがLC部分として実現される場合には、多相フィルタにも同じことが当てはまる。
米国特許第6,188,292号明細書
可能な解決法は例えば、米国特許第6,188,292号明細書に記載され、ここでは結合に基づくIQ発振器が示唆されている。第1及び第2の固定周波数LC発振器がリング(環状)トポロジの形に結合されて、可変周波数の出力を発生する。周波数変化は、これら2つの発振器間の結合を変化させることによって達成される。この結合は、可変電流源または電圧源を用いることによって変化させることができる。既知のIQ発振器は、低周波数では良好に動作するが、数GHzの高周波数ではLCタンクに見られる寄生容量のため使い物にならない動作特性となる。実際に、インダクタは2つのゲート−ソース容量を並列に持ち、これらの容量は高周波数での適切な動作を制限する。
従って本発明の目的は、バラクタを必要とせず、高周波数でも高い直線性(リニアリティ)を有する改善されたIQ発振回路を提供することにある。
この目的は、請求項1に記載の発振回路、及び請求項12に記載の方法によって達成される。
従って、本発明が提案する解決法は、差動発振器部及び差動結合部を有するほぼ同一の2つの発振器手段または部分に基づくものである。発振周波数の変化は、これらの発振器部及び結合部のコモンモード電流及び/またはテール電流を制御することによって達成することができる。特に、テール電流は結合部と発振器部とで異なるように制御し、または変化させることができる。両方の場合に、線形の調整特性を得ることができる。従って発振器はバラクタ及び/またはスイッチトキャパシタを必要とせず、このため非常に高い周波数において全体の統合性を達成することができる。
上記第1及び第2の差動発振回路の各々は、差動コルピッツ型発振器で構成することができる。これらの第1及び第2差動コルピッツ型発振器の各々は、第2差動トランジスタ段のテール電流を組み合わせるための第1差動トランジスタ段を具えることができる。従って、LCタンク内にノイズを注入するノイズ源は、差動コルピッツ発振器の両方の分岐(ブランチ)内に電流発生器を有する従来の回路における2つの無相関なノイズ源の代わりに、1つ得られるだけである。
上記差動結合回路は、上記第1差動トランジスタ段に並列に接続された第3差動トランジスタ段を具えることができる。そして、上記第2差動トランジスタ段のそれぞれのトランジスタの制御端子はバイアス点に接続することができ、このバイアス点は、上記第1及び第2差動発振回路のタンク回路のコイルのコモンモード点を形成する。このバイアス点は、コモンモード抵抗器を介して電源電圧に接続することができる。この方策は、上記バイアス点が電源から幾分絶縁され、発振器は、コモンモード抵抗器及びコイルの存在により電源から絶縁されるという利点を有する。
上記周波数制御手段は、上記第1及び第2差動結合回路のテール電流に互いに異なる変化をさせるように構成することができる。特に、上記制御手段は、調整電圧を調整抵抗器経由で、上記第1及び第2差動結合回路のそれぞれのトランジスタのエミッタ端子に供給するように構成することができる。こうした差動調整は、特に位相同期(ロック)ループ(PLL)ではいくつかの利点を有する。例えば、コモンモード信号及び電源変動に対する1次感度を大幅に低減することができる。
さらに、上記第1及び第2差動結合回路は、上記第1及び第2発振器手段に接続するためのそれぞれのバッファ回路に接続することができる。これらのバッファ回路は、上記第1及び第2発振器手段のテール電流の値の1.5倍の電流を発生することのできるそれぞれの電流源によって駆動することができる。
これに加えて、上記第1及び第2発振器手段のそれぞれの出力端子を接続して位相整合(フェーズマッチング)を提供するための位相調整回路を設けることができる。その結果、直交関係の劣化を防ぐことができる。
本発明の他の有利な変形は従属請求項に規定する。
以下、本発明の好適な実施例について図面を参照しながら説明する。
以下で説明する好適な実施例は差動コルピッツ型のIQ発振器に基づき、これは例えば以下で説明するトランシーバ回路に用いることができる。
図1に、WLAN(Wireless Local Area Network:無線ローカルエリア・ネットワーク)またはWPAN(Wireless Personal Area Network:無線パーソナルエリア・ネットワーク)のような無線用途向けのトランシーバ回路を示す。このトランシーバは、受信機側及び送信機側共にゼロ中間周波数(IF)の(中間周波数なしの)ホモダイントランシーバである。
アンテナアレイ90を介して受信した信号またはデータストリームは、整合(マッチング)フィルタ68経由で低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)82に供給される。低雑音増幅器82の増幅出力信号は第1及び第2分岐に分割され、各分岐は分数調波ミクサ72、74を具え、受信信号は分数調波ミクサ72、74においてIQ VCO10のI及びQ発振信号と混合される。I及びQ発振信号は、IQ位相回路52において位相調整されている。それぞれの分数調波ミクサ72、74のダウンコンバートされた出力信号は、それぞれのローパス(低域通過)フィルタ62、64及びそれぞれの自動利得調整(AGC:Automatic Gain Controller)回路42、44経由でアナログ−ディジタル(A/D)変換器32に供給され、A/D変換器32は入力信号を8ビットのデータワードに変換してディジタル信号プロセッサ(DSP)20に供給し、DSP20では受信信号をそれぞれの用途、例えばデータ用途、レーダー用途等に応じて処理する。
送信機側では、DSP20において生成された8ビット送信データを並列にディジタル−アナログ(D/A)変換器34に供給し、D/A変換器34は受信した並列(パラレル)データを2つの分岐のI及びQ信号に変換して分数調波ミクサ76、78に供給し、I及びQ信号は分数調波ミクサ76、78において、IQ VCO10から位相回路54経由で供給されるI及びQ発振信号との混合操作によってアップコンバートされる。分数調波ミクサ76、78のRF出力信号は加算されてバンドパス(帯域通過)フィルタ66経由で電力増幅器84に供給される。電力増幅器84から出力される増幅された送信信号は整合フィルタ68経由でアンテナアレイ90に供給されて無線送信される。
このトランシーバの原理は、分数調波ミクサ72、74、76、78に基づき、これらのミクサにI及びQ発振信号がIQ VCO10からRF周波数の半分の周波数で供給される。RF周波数の半分での動作はIQ整合に対する要求の緩和をもたらし、発振器の実現を簡略化する。ゼロ(無)IFまたはホモダイン受信機の他の重要な特徴は、局部発振器からRF経路(パス)への漏洩の低減、及び局部発振器、即ちIQ VCO10の自己混合の低減である。
送信機側では、分数調波ミクサ76、78及び半RF VCO10を用いることの利点は、電力増幅器84及び/または電力増幅器の動作周波数の高調波による局部発振器の引きずり(プリング)が有り得ないことである。IQ VCO10を電力増幅器の周波数の半分で動作させることは、電力増幅器の強力な信号によってVCOの周波数を引きずることを不可能にする。特にFMレーダー技術の応用にとっては、1.5%のオーダーの一般的な線形性を達成するために、IQ VCO10の線形の調整特性が要求される。
図2に、本発明の好適な実施例による結合型IQ発振器の概略ブロック図を示す。このIQ発振器の原理は2つの発振器部分の結合に基づく。第1発振器2と第2発振器4との間の結合は直結合であるのに対し、第2発振器4と第1発振器2との間の結合は交差結合である。バルクハウゼン(Barkhausen)基準によれば、ループ内の全位相シフトは2π(即ち360°)に等しくなければならない。交差結合はπ(即ち180°)の位相シフトを導入し、このため、2つの発振器2、4によって導入される位相シフトはπ(即ち180°)に等しくなければならない。従って、2つの発振器2及び4が同一であれば、これらは直角位相で発振すべきである。その発振周波数は電流ITによって、及び/または差動電圧VTによって差動様式で制御することができる。コモンモードまたはバイアス電流ITの制御は粗調整に用いることができ、そして差動電圧VTによる制御は微調整に用いることができる。直角位相の条件は、両方の発振器2、4の伝達特性が同一である際に生じる。発振回路2、4の周波数応答がその最大値の周りに対称である場合には、この発振条件は発振周波数にとって同等に有望な、あるいは混在する2つの解決法を提供する。
図3に、従来のコルピッツ型3点発振器の概略回路図を示し、この発振器は本発明の好適な実施例の出発点を形成する。この種の発振器は卓越したRF特性を有する。まず最初に、この発振器は電流パルスでC級動作する。このことは、低いバイアス電圧VBがトランジスタQ1のゲートに供給され、その間に、LCタンクの両端の電圧がその最大値である瞬時にLCタンク内への電流注入が発生することを意味する。LCタンクは、インダクタLと、キャパシタC1及びC2の直列回路から成る分岐との並列回路で構成される。この回路がノイズに対して不感応である際に、即ち、当該瞬時に出力電圧の傾斜が0である際に、電流源I0のノイズはLCタンク内に注入される。この発振器構成の他の特徴は、インダクタLのコイルに並列な寄生容量の低さである。バイポーラトランジスタQ1の最大容量はベース−エミッタ間の容量であり、この容量はLCタンクからは直接「見え」ない。コルピッツ発振器は適正に設計されている際に、プロセス変動に対してより不感応である。起動条件及び発振周波数はそれぞれ、次式に基づいて得ることができる:
Figure 2008544619
Figure 2008544619
ここに、gmはコレクタ電流とベース−エミッタ電圧との比率を表し、GPはコレクタ−エミッタ電圧とコレクタ電流との比率を表す。
この発振器構成のさらなる利点は、その起動条件にある。キャパシタC2/C1の容量比が2より大きい際には、この発振器は、安全な起動用の平衡発振器カウンタ部よりも必要とする電流が小さく、この容量比の達成は容易である。実際に、約10のC2/C1の容量比が特別な不利益なしに達成される。
図4に、コルピッツ発振器の差動版を示す。ここでは、2つのコルピッツ発振器段が、差動トランジスタQ1及びQ2のベース端子を互いに接続した差動回路構成の形に接続され、バイアス電圧VBがこの共通制御点に供給される。
図5に、図2のπ/2発振器部2、4の実現としての、コルピッツ発振器及び結合部を有する発振回路を示す。トランジスタQ1及びQ2から成るコルピッツ発振器部は、下部段としてのトランジスタQ3及びQ4から成る追加的な差動段を有して、LCタンク内にノイズを注入するノイズ源を1つしか提供せず、図4の各分岐内の2つの電流源I0で示す2つの無相関なノイズ源を必要としない。結合部はトランジスタQ5及びQ6の追加的な差動対として形成されて、図2の2つの発振器段2、4間の結合を定める結合係数kを有する段が得られる。図5の抵抗器RPはLCタンクの損失を表す。さらに、図5に示すように、差動コルピッツ発振器の第1キャパシタC1は、第2キャパシタC2よりすっと大きな容量を有するように選択する。
図5に示す回路のLCタンクの結果的な並列容量は、C1/(C2・gm)の容量値を有する。差動入力信号は端子IN+とIN−との間に供給され、差動出力信号は、コルピッツ発振器の差動トランジスタQ1及びQ2のコレクタにおいて得ることができる。
図6に、本発明の好適な実施例による差動結合部を有するコルピッツ発振器の実現を示す。
バイアス電圧VBが印加されるバイアス点は、インダクタLのコイルのコモンモード点から生成される。従って、バイアス点は電源から幾分絶縁され、発振器は、コモンモード抵抗器RS及びインダクタLのコイルの存在により電源から絶縁される。
これに加えて出力バッファ回路を設け、この出力バッファは、例えば約35〜40Ω所定の直列抵抗(図示せず)と共にエミッタフォロワ回路の形に接続されたトランジスタQ7及びQ8で構成されて、例えば50Ωの一般的な出力インピーダンスを生成する。このバッファ回路は電流源によって駆動され、この電流源は例えば3I0/2の電流を発生する。
コルピッツ周波数ωCは、上記(1)式に基づいて決まる。しかし、LCタンクまたは応答回路が損失性である際には、結合係数k=0に対する現実の発振周波数ω0はコルピッツ周波数ωCと次式のように異なる:
Figure 2008544619
従って、2つの等距離の周波数ω1,2が次式によって決まる:
Figure 2008544619
これに加えて、図5には示していないデカップリング(減結合)キャパシタCSを、共通制御点またはコモンモード・ノードと接地との間に接続して、電源電圧VCCのあらゆるノイズ成分をフィルタで除去する。
図7に、損失性のタンクの位相Φ及び複素伝達特性H(jω)の周波数線図を示し、ここで発振条件は高周波数モードにおいて、即ちω2の発振周波数において得られる。
上方の周波数ω2においてループ上の信号振幅がより大きいことにより、上方の周波数ω2はより発生し易い。即ち、複素伝達特性H(jω)の絶対値は、低い方の周波数ω1における値(H(jω1))よりも高い方の周波数ω2における値(H(jω2))の方が大きい。このモードを高周波モードと称する。従って、調整に使用可能な領域はω0とω2との間である。図5及び6の差動結合部によって規定される結合係数kを変化させることによって、発振回路の発振周波数を調整することができる。電流源I0によって制御されるバイアス条件を変化させることによって、差動発振器は低周波モードと称する異なる動作モードにジャンプすることができる。
図8に、損失性タンクの図を示し、ここでは発振条件は低周波モード、即ちω1の発振周波数において得られる。ここで、差動発振器の発振周波数はωLO∈(ω1, ω0)として調整することができる。従って、図6に示す本発明の差動発振器は、バイアス電流I0によって可能にされる2つの異なるモードで動作することができる。
図9に、差動IQ発振器全体の実現の回路図を示し、この発振器は、図6に示す差動結合回路を有する2つの差動発振器、及びいくつかの調整抵抗器RTで構成される調整回路から成る。トランジスタQ7、Q7’、Q8及びQ8’を有するエミッタフォロワ回路は、必要なDCレベルシフトを与え、LCタンクの電圧のバッファとなる。これらのテール電流の有用な制御方法を図9の回路に示す。VT+とVT−(図9参照)との間の正の電圧差は、対Q3,Q4及び対Q3’,Q4’のテール電流の減少を実現し、そして対Q5,Q6及び対Q5’,Q6’のテール電流を増加させる。
Tの調整電圧を差動的に変化させることによって、差動結合部及び差動コルピッツ発振器のテール電流を差動的に変化させることができる。この制御方式は微調整メカニズムとして用いることができる。
こうした差動調整メカニズムを有するVCOはPLL構成において次の特別な利点を有する。第1に、コモンモード信号及び電源変動に対する1次感度が大幅に低減される。第2に、ノイズ注入が低減され、位相−ノイズ特性が改善される。ノイズに寄与する主要なものはテール電流源I0であり、これらの電流源は少なくともある程度は無相関である。
バッファ回路の出力、及び差動結合部及びコルピッツ発振器部のトランジスタのベース端子である入力における符号「+」及び「−」は、それぞれの出力信号I及びQの極性を表す。これらの極性は図2の回路条件を反映し、従って発振器ループ内でバルクハウゼンの位相シフト基準を満足する。
図10に、図9中の信号A、B、C及びDの位相を示す。図10からわかるように、信号Aの位相は信号Q−の位相に相当する、というのは、トランジスタQ7のベース及びエミッタの信号は同相だからである。同様に、信号BはトランジスタQ8の信号Q+に相当する。さらに、信号CはトランジスタQ7’の信号I−に相当し、そして信号DはトランジスタQ8’の信号I+に相当する。従って、図2に示すように、π/2(90°)の位相シフトが、図9の左側の第1差動発振回路の差動出力A、B間、及び図9の右側の第2差動発振回路の差動出力C、D間に提供される。従って、図9の左側の発振器はIQ発振器の直交信号Qを発生し、右側の発振器は同相信号Iを発生する。
上記結合部は、他の部分(信号Cの波形)のゼロ遷移期間中にLCタンク(信号Aの波形)内にノイズ注入をもたらす。しかし、この特定瞬時には、LCタンク上の電圧は、波形(例えば信号Cの波形)の時間的傾斜が0であることによる外部的要因に対してより不感応である。コルピッツ発振器部についても、この状況は似ている。電流パルスはタンク電圧の最大値において発生する。この分析に基づき、本発明の差動IQ発振器は、電流源I0から生じるノイズ注入に対してより不感応であると結論付けることができる。
さらに、同調性(調整可能性)と位相−ノイズとは互いに妥協すべき2つのパラメータである。同調性と位相−ノイズとのトレードオフはすべての発振器に共通である。大きな調整範囲必要である際には、位相−ノイズ特性を劣化させる。本発明の発振回路は、式(1)及び(2)で設定される条件下でコルピッツモードで動作することができる。
図11に、この状況についての複素伝達特性の絶対値及び位相の周波数線図を示す。このモードでは、損失の全補償が達成され、本発明が提案するVCOの位相特性は、コルピッツ周波数ωCの付近で非常に急峻である。結果として、2つの可能な周波数ω1及びω2が混在し、発振器は非常に良好な位相−ノイズ特性を示す。
しかし、ダウンコンバージョンシステムにとっては、I/Q振幅及び位相の整合が重要である。本発明が提案する図9に示すIQ VCOの出力バッファ回路は強制的に等振幅にするが、位相直交関係はなおも劣化していることがある。I/Q整合を改善するために、位相直交関係を保証するための回路としてIQコンディショナ(調整器)を加えることができる。
図12に、こうしたIQコンディショナの概略機能図を示す。IQ発振器130から得られる2つのほぼ直交する出力I、Qを加算器110において加算し、減算器120において減算して2つの新たな出力I0及びQ0を発生する。
IQ VCO130の直交出力間の位相差をφとすれば、信号I及びQは次式のように表現することができる:
I(t)=Acos(ω0t)
Q(t)=Acos(ω0t+φ) (5)
この場合には、図12の加算器110及び減算器120における加算及び減算は、次式で表現される信号I0及びQ0をもたらす:
Figure 2008544619
これらの等式は三角関数の加算の公式によって得られる。(6)式からわかるように、小さい位相誤差に対しては、2つの出力I0及びQ0の振幅は共に√2・Aに等しい。新たな出力I0とQ0との位相差はπ/2であり、そして加算器110及び減算器120が振幅と位相誤差とを加算しない限り位相誤差は0である。
30GHz以上の範囲の周波数用のIQコンディショナの実現は、加算及び減算用に受動部品を使用しなければ困難である。
図13に、図14のIQコンディショナの回路レベルの実現の概略回路図を示す。この回路原理は、直列抵抗器R0を有するエミッタフォロワ回路に基づく。図13からわかるように、Q0の正の出力は、正の出力Q+と負の出力I−とを加算することによって得られ、Q0の負の出力は、負の出力Q−と正の出力I+とを加算することによって得られる。同様に、I0の正の出力は、正の出力Q+と正の出力I+とを加算することによって得られ、I0の負の出力は、負の出力Q−と負の出力I−とを加算することによって得られる。従って、新たな出力I0は差動信号IとQとを加算することによって得られ、新たな出力Q0は差動信号Qから差動信号Iを減算することによって得られる。
本発明が提案するIQ VCOは、QUBIC4(登録商標)のようなBiCMOSプロセスで実現することができ、インダクタ用の最上部金属(トップメタル)層を有する。これにより、線形の電流調整特性を得ることができ、ここで発振周波数はバイアス電流I0への線形依存性を示す。例として、バイアス電流I0を1mAから2.25mAまで変化させれば、周波数を23GHzから24.4GHzまで変化させることができる。
これに加えて、調整電圧VTの値に依存する差動調整特性が得られる。この電圧調整特性の傾斜は、調整抵抗器RTの抵抗値を変化させることによって制御することができる。従って、調整抵抗器RTは、固定のオンチップ抵抗器または可変のオンチップまたは外部抵抗器とすることができる。電圧調整特性の直線性は、調整抵抗器RTの適切な選択によって改善することができる。
結論として、高い直線性及び差動調整メカニズムを有するバラクタレス(バラクタなしの)IQ発振器が提供される。この発振器は、差動コルピッツ部及び差動結合部を具えた2つのほぼ同一の発振器部に基づく。発振周波数の変化は、コモンモード電流を調整することによって、及び/または結合部及びコルピッツ部のテール電流を変化させることによって達成することができる。この変化は差動変化とすることができる。その結果は両方の場合において線形の調整特性である。このIQ発振器は、レーダー用、移動体用、免許不要の周波数帯用、等のあらゆるトランシーバ回路内で実現することができる。
しかし、上記第1及び第2発振器手段はあらゆる種類の差動発振器回路とすることができる。さらに、あらゆる適切な周波数制御手段を用いて、発振器回路及び結合回路のコモンモード電流I0及びテール電流の少なくとも一方を制御することによって、出力信号I及びQの発振周波数を変化させることができる。従って本発明の好適な実施例は請求項の範囲内で変化させることができる。
なお、最後に、本明細書で用いる「具える」、「具えている」等は、記載した特徴、手段、ステップ及び構成要素の存在を指定するものであり、1つ以上の他の特徴、手段、ステップ、構成要素またはそのグループの存在を排除するものではない。明細書に記載の各要素は複数存在し得る。
本発明の好適な実施例による発振回路を実現することのできるトランシーバ回路の概略ブロック図である。 結合型発振回路の概略ブロック図である。 コルピッツ型発振器の概略回路図である。 差動コルピッツ型発振器の概略回路図である。 結合部を有する差動コルピッツ型発振器の概略回路図である。 コルピッツ発振器及び結合部の実現の概略回路図である。 高周波モードにおいて損失性タンクを有する発振器の位相及び振幅伝達特性の概略図である。 低周波モードにおいて損失性タンクを有する発振器の位相及び振幅伝達特性の概略図である。 本発明の好適な実施例によるIQ発振回路の実現の概略回路図である。 図9の回路内に発生する最重要信号の時間変化を示す図である。 コルピッツモード動作の概略の周波数線図である。 IQコンディショナの概略機能図である。 本発明の好適な実施例によるIQ調整期の回路実現の概略図である。

Claims (12)

  1. 同相信号及び直交信号を発生する発振回路において、
    a)第1差動発振回路及び第1差動結合回路を有し、前記直交信号を発生する第1発振器手段と;
    b)第2差動発振回路及び第2差動結合回路を有し、前記同相信号を発生する第2発振器手段と;
    c)前記第1発振器手段及び前記第2発振器手段の、コモンモード電流及びテール電流の少なくとも一方を制御することによって、前記同相信号及び前記直交信号の発振周波数を変化させる周波数制御手段と
    を具えていることを特徴とする発振回路。
  2. 前記第1差動発振回路及び前記第2差動発振回路の各々が、コルピッツ型発振器で構成されることを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
  3. 前記第1差動発振回路及び前記第2差動発振回路の各々が、第2差動トランジスタ段のテール電流を組み合わせるための下部段として第1差動トランジスタ段を具えていることを特徴とする請求項2に記載の発振回路。
  4. 前記第1差動結合回路及び前記第2差動結合回路が、前記第1差動トランジスタ段に並列に接続された第3差動トランジスタ段を具えていることを特徴とする請求項2または3に記載の発振回路。
  5. 前記第2差動トランジスタ段のそれぞれの制御端子がバイアス点に接続され、前記バイアス点は、前記第1差動発振回路及び前記第2差動発振回路のタンク回路のコイルのコモンモード点を形成することを特徴とする請求項3または4に記載の発振回路。
  6. 前記バイアス点が、コモンモード抵抗器経由で電源電圧に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の発振回路。
  7. 前記周波数制御手段が、前記第1差動結合回路及び前記第2差動結合回路のテール電流を差動的に変化させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発振回路。
  8. 前記周波数制御手段が、前記第1差動結合回路及び前記第2差動結合回路のそれぞれのトランジスタのエミッタ端子に調整電圧を調整抵抗器経由で供給するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の発振回路。
  9. 前記第1差動結合回路及び前記第2差動結合回路がそれぞれ、前記第1発振器手段及び前記第2発振器手段を接続するためのそれぞれのバッファ回路に接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の発振回路。
  10. 前記バッファ回路が、前記第1発振器手段及び前記第2発振器手段のそれぞれのテール電流の1.5倍の電流を発生するそれぞれの電流源によって駆動されることを特徴とする請求項9に記載の発振回路。
  11. さらに、前記第1発振器手段及び前記第2発振器手段のそれぞれの出力端子を接続して位相整合を行うための位相調整回路を具えていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の発振回路。
  12. 同相信号及び直交信号の発振周波数を制御する方法において、
    a)第1差動発振回路によって前記直交信号を発生するステップと;
    b)第2差動発振回路によって前記同相信号を発生するステップと;
    c)前記第1差動発振回路と前記第2差動発振回路とを、それぞれ第1差動結合回路及び第2差動結合回路を介して接続するステップと;
    d)前記第1差動発振回路及び前記第2差動発振回路、及び前記第1差動結合回路及び前記第2差動結合回路の、コモンモード電流及びテール電流の少なくとも一方を制御して、前記発振周波数を変化させるステップと
    を具えていることを特徴とする発振周波数の制御方法。
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