JP2008542784A - 組織切片のmaldi質量分析法による分析のためのイオンマトリックスの使用 - Google Patents

組織切片のmaldi質量分析法による分析のためのイオンマトリックスの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、イオンMALDIマトリックスを用いる組織切片におけるペプチド/タンパク質発現を調べるための改良法、または、組織切片における少なくとも1種類の化合物、特にタンパク質の発現マップを決定するための改良法に関する。

Description

発明の背景
本発明は、イオン性MALDIマトリックスを用いて組織切片におけるペプチド/タンパク質発現を調べる方法、または、組織切片における少なくとも1種類の化合物、特にペプチド/タンパク質、の発現マップを決定する方法に関する。
最近、トランスクリプトームとプロテオームの研究により、幾つかの種類の癌のような多種多様な疾患に関係している多数のタンパク質が同定された。
しかしながら、これらの結果のほとんどは抽出されて精製された核酸またはタンパク質試料について得られたものであり、この種の情報が生理学的過程の理解に極めて重要であるにも拘わらず、原因であるとされたタンパク質の組織における局在化については情報は得られていない。
質量分析法では、生体分子の複雑な混合物のそれらの分子量による同時マルチプレックス分析の準備がなされている。特に、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析法は生物学的研究の分野で強力な手段となってきており、複雑な混合物から核酸、ペプチドおよびタンパク質の検出、同定および特性決定に用いられている。
更に、幾つかの公表文献では、MALDI−MSが組織切片におけるペプチドおよびタンパク質の直接分析の有効な手段となり得ることが示されている(Caprioli, R.M.; Farmer, T.B.; Gile, J. Anal. Chem. 1997, 69, 4751-4760; Stoeckli, M.; Farmer, T.B.; Caprioli, R.M. Nat. Med. 2001, 7, 493-496; Chaurand, P.; Schwartz,. S.A.; Caprioli, R.M. Anal. Chem. 2004, 87A-93A)。
しかしながら、多くの困難が、このような技術を組織切片におけるペプチドおよびタンパク質の包括的分析のための日常的使用を妨げ続けている。実際に、直接組織分析では、組織、例えば組織の厚み、冷凍日、性質によりスペクトル的品質がある程度まで低下する(Caprioli, R.M.; Farmer, T.B.; Gile, J. Anal. Chem. 1997, 69, 4751-4760; Stoeckli, M.; Farmer, T.B.; Caprioli, R.M. Nat. Med. 2001, 7, 493-496; Chaurand, P.; Schwartz,. S.A.; Caprioli, R.M. Anal. Chem. 2004, 87A-93A)。この技術が特に分解能、感度、分析継続時間の増加、および幾つかの異なる様式の分析、特に構造に関する情報が得られるポストソース分解(Post Source Decay (PSD))またはMS/MS分析様式を用いる可能性に関して真に強力な手段となるためには現在の技術をかなり改善することが必要とされている。
この道筋に沿って、様々な研究チームが、100kDaを上回るタンパク質の場合にはMALDIについて低温検出器を用いて(Chaurand, P.; Hayn, G.; Matter, U.; Caprioli, R.M.; 第52回ASMS会議、ナッシュビル、米国、2004年に提示したポスター)またはMALDI Tof−Tofを用いてシグナル強度、検出および/または分解能を高める可能性を見つけようとしている。
もう一つの代替法は、MALDIについて新たなマトリックスを開発することによって選択することができる。実際に、マトリックスは、MALDIにおける脱着/イオン化に対して本質的な役割を果たしている。従って、スペクトル品質、すなわちピーク分解能、感度、強度およびシグナル/ノイズ比は、マトリックスの選択によって変化する。α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)およびシナピン酸のようなペプチド/タンパク質分析の目的で現在一般に用いられるマトリックスは、組織切片の直接分析におけるスペクトル品質の低下を防止することができない。従って、組織切片での直接ペプチド/タンパク質分析には新たなマトリックスを開発することが必要である。
一般に用いられているCHCA、SAおよび2,5DHBマトリックスと比較してMALDIイメージング用の新規な優れているマトリックスの特性は、
1)分解能、感度、強度、シグナル/ノイズ比、検出される化合物の数、夾雑物の許容度に関する優れたスペクトル品質、
2)組織上での優れた結晶化、すなわち被覆容量、結晶化の均一性、結晶サイズの均一性、および結晶化の時間、
3)真空安定性に関する優れた分析継続時間、および
4)脱離工程中に排出される材料の容積を小さくする
ことである。
最近、酸である通常のMALDIマトリックスと有機塩基との間の酸−塩基反応によって調製されるイオンマトリックスが得られている(Armstrong, D.W.; Zhang, L.K.; He, L.;Gross, MX. Anal.Chem. 2001, 73, 3679-3686; Carda- Broch, S.; Berthold, A.; Armstrong, D.W. Rapid Commun. Mass Spectrom. 2003, 17, 553-560)。標準物で試験すると、真空条件下で高い安定性を示し、従来のマトリックスと比較してシグナル強度と再現性がよくなった(Armstrong, D.W.; Zhang, L.K.; He, L.;Gross, M.L. Anal.Chem. 2001, 73, 3679-3686; Carda-Broch, S.; Berthold, A.; Armstrong, D.W. Rapid Commun. Mass Spectrom. 2003, 17, 553-560; Mank, M.; Stahl, B.; Boehm, G. Anal.Chem. 2004, 63, 3679-3686; Moghaddam, M.Z.; Heinzle, E.; Tholey, A. Rapid Commun. Mass Spectrom. 2004, 18, 141-148)。
発明の概要
通常のマトリックスの性能は直接組織切片分析ではかなり減少するので、本発明者らは、意外なことには、イオンマトリックスが直接組織切片分析でその改良された性能を保持し、分解能、感度、強度、シグナル/ノイズ比、検出される化合物の数および夾雑物の許容度のいずれに関してもスペクトル品質が著しく改良されることを見出した。更に、イオンマトリックスは、真空安定性に関する分析継続時間を一層よくし、正および負のいずれの様式でも用いることができ、切片に対してポストソースデータ(Post Source Data (PSD))またはMS/MS分析を行って構造上の情報を得ることができる。最後に、試験したイオンマトリックスの少なくとも幾つかは被覆容量、結晶化の均一性、結晶サイズの均一性および結晶化の時間に関して組織上の結晶化が一層良くなった。
従って、本発明者らは、質量分析法、特にMALDI質量分析法を用いて、組織切片における化合物、特にタンパク質の検出の再現性、感度および精度を改良する手段を開発した。
従って、本発明は、
1)イオン性MALDIマトリックスを組織切片に適用し、
2)組織切片をMALDI質量分析計を用いて走査して、生成データを取っておき、
3)それぞれの分析した点において、得られたスペクトルを、データベースのタンパク質の分子量およびスペクトルと比較することによって、タンパク質組成を決定する
ことを含んでなる、組織切片におけるタンパク質発現を調べる方法に関する。
発明の具体的説明
幾つかの有用なタンパク質データベースがインターネット上で入手可能であり(下表1参照)、配列、構造、転写後修飾などのタンパク質、またはm/z値およびその消化断片のm/z値に基づいてタンパク質の同定に関する様々な情報が提供されている。
Figure 2008542784
本発明は、組織切片における少なくとも1種類の化合物の発現マップを決定する方法であって、
1)イオン性MALDIマトリックスを組織切片に適用し、
2)組織切片をMALDI質量分析計を用いて走査して、生成データを取っておき、
3)それぞれ別個の化合物の1または複数の分子質量ウインドウにおいて得られたデータを解析して、調べた別個の化合物の数だけ組織切片における化合物発現のマップを作製する
ことを含んでなる、方法にも関する。
質量分析法は、広汎なm/z比の化合物の分析を行おうとするものであり、従って、上記方法を用いて広汎な化合物の組織切片における発現マップを決定することができる。特に、上記方法を行うことができる化合物としては、ペプチド、核酸、糖類、ポリマー、脂質、および有機化合物が挙げられる。有機化合物としては、投与後の組織中の正確な局在化が所望なことがある薬剤のような合成有機化合物を挙げることができる。
好ましい態様では、発現マップが所望な化合物は、ペプチド、核酸、糖類、ポリマー、脂質、および有機化合物から選択される。
更に一層好ましい態様では、発現マップが所望な化合物はペプチドまたはタンパク質であり、従って、本発明は、組織切片における少なくとも1種類のタンパク質の発現マップを決定する方法であって、
1)組織切片にイオン性MALDIマトリックスを適用し、
2)組織切片をMALDI質量分析計で走査して、生成データを取っておき、
3)それぞれ別個のタンパク質の1または複数の分子質量ウインドウにおいて得られたデータを解析して、調べた別個のタンパク質の数だけ組織切片におけるタンパク質発現のマップを作製する
ことを含んでなる、方法に関する。
特定の態様では、脂質を組織切片上で分析するときには、組織切片における少なくとも1種類の脂質、特にリン脂質の発現マップを決定する上記方法は、
1)イオン性MALDIマトリックスをMALDI試料キャリヤーに予備スポットし、
2)上記組織切片を、予備スポットしたイオンマトリックスに加え、
3)組織切片をMALDI質量分析計を用いて走査して、生成データを取っておき、
4)それぞれ別個のタンパク質の1または複数の分子質量ウインドウにおいて得られたデータを解析して、調べた別個のタンパク質の数だけ組織切片におけるタンパク質発現のマップを作製する
ことを含んでなるように変更することができる。
MALDI試料キャリヤーに沈着させた組織切片にスポットするよりは上記イオンマトリックスをMALDI試料キャリヤーに予備スポットさせる上記変更法は、組織切片の脂質、特にリン脂質の分析に有利である。実際に、脂質、特にリン脂質は、MALDIマトリックスを組織切片試料にスポットするときにかなりの非局在化の危険性を示す。対照的に、イオン性MALDIマトリックスを試料キャリヤーに予備スポットすると、組織切片試料をマトリックス表面上に加えるときにはマトリックスは既に結晶化しているので、非局在化の危険性は著しく減少する。従って、このような変更法では、組織切片における脂質、特にリン脂質の分析に極めて正確な結果を得ることができる(実施例2および図14参照)。
本発明によれば、「組織切片」は好ましくは架橋の特性を有し、すなわち、凍結またはパラフィン包埋することができ、その厚みは好ましくは哺乳類細胞の直径のオーダーであり、従って5〜20μmである。クリオスタットを用いて凍結組織から得た凍結切片の場合には、OCT(オプティマル・カッティング・テンペラチャー・ポリマー(optimal cutting temperature polymer))は組織を固定するためにだけ好ましく用いられるが、凍結組織はOCTに包埋されないので組織切片はOCTと接触しない。次に、組織切片を、金属、無機または有機材料、例えば金、鋼、ガラス繊維、ガラス、ナイロン6/6、シリコン、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンなど更なるMALDI分析に適当な任意の材料から構成されるMALDIプレート、あるいは、ニッケルまたはITOのような透明性を保持している伝導性金属をコーティングした任意の厚みのガラススライスに移すことができる。
「マトリックス」とは、分析質と混合すると、結晶状のマトリックスに包埋された分析質分子であって、レーザー照射によって良好に脱着しかつ固相結晶からガスまたは気相にイオン化し、分子イオンとして加速されるものを生じる任意の材料を意味する。一般に用いられるMALDI−MSマトリックスは、ニコチン酸、桂皮酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(シナピン酸またはSA)、3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(フェルラ酸)、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(カフェイン酸)、2−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(HABA)、3−ヒドロキシピコリン酸(HPA)、2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン(THAP)、および2−アミノ−4−メチル−5−ニトロピリジンなどのレーザー波長で吸収する小さな酸性化合物である。これらのマトリックスを調製するためのプロトコルは当該技術分野で周知であり、これらのマトリックスのほとんどは市販されている。ペプチド/タンパク質分析に現在一般に用いられているマトリックスとしては、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)およびシナピン酸(SA)が挙げられる。DNPHは2,4−ジニトロフェニルヒドラジンであり、アルデヒドおよびケトンの検出に用いられる。
「イオンマトリックス」は、荷電マトリックスと対イオンとから構成される錯体である。MALDIマトリックスは通常は酸性であるので、これらのイオンマトリックスは通常は酸である通常のMALDIマトリックスと有機塩基との酸−塩基反応によって調製され、これらの2種類の化合物の間でプロトン交換が行われ、[マトリックス塩基]錯体を生じる。マトリックスは通常は酸性であるにも拘わらず、2−アミノ−4−メチル−5−ニトロピリジン(2A4M5NP)マトリックスのような幾つかの塩基性マトリックスも存在する。従って、イオンマトリックスは、酸性および塩基性の通常のマトリックスとの間の酸−塩基反応によって調製し、プロトン交換の後に[酸性マトリックス/塩基性マトリックス]錯体を生じることもできる。図式的には、イオンマトリックスの合成は、例えばメタノールのような有機溶媒中で2種類の酸性および塩基性化合物の等モル量を混合することによって行うことができる。室温で1時間攪拌した後、溶媒を蒸発させ、生成するイオンマトリックスをアセトニトリル/水溶液に溶解した後MALDI分析に使用する。特定のマトリックスの合成の正確な例は、実施例2で更に説明する。任意のイオンマトリックスは、本発明の範囲に包含される。特に、任意の通常の酸性マトリックスは、ニコチン酸、桂皮酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(シナピン酸またはSA)、3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(フェルラ酸)、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(カフェイン酸)、2−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(HABA)、3−ヒドロキシピコリン酸(HPA)、2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン(THAP)および2−アミノ−4−メチル−5−ニトロピリジンなどのイオンマトリックスの調製のための酸性化合物として用いることができる。任意の有機塩基または通常の塩基性マトリックスも、同様にアニリン(ANI)、N,N−ジメチルアニリン(DANI)、N,N−ジエチルアニリン(DIENI)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、トリエチルアミン(ET3NH)、ピペリジン(PIP)、3−アミノキノリン(3AQ)、パラニトロアニリン、および2−アミノ−4−メチル−5−ニトロピリジン(2A4M5NP)マトリックスなどのイオンマトリックスの調製のための塩基化合物として用いることができる。イオンマトリックスの調製のための他の適当な塩基としては、3−アセチルピリジン(3Apy)およびフェニレンジアミン(PDA)が挙げられる。
従って、本発明による特定のイオンマトリックスとしては、[CHCAANI]、[CHCADANI]、[CHCADIENI]、[CHCADBU]、[CHCAEtNH]、[CHCAPIP]、[CHCA3AQ]、[CHCA2A4M5NP]、[SAANI]、[SADANI]、[SADIENI]、[SADBU]、[SAEtNH]、[SAPIP]、[SA3AQ]、[SA2A4M5NP]、[CHCA3Apy]および[CHCAPDA]が挙げられる。本発明の手段に特に有利なイオンマトリックスは、[CHCAANI]、[CHCADANI]および[CHCA2A4M5NP]を含んでなる。本発明の手段に特に有利な他のイオンマトリックスは、[CHCA3Apy]および[CHCATDA]を含んでなる。
組織切片における化合物またはタンパク質発現「マップ」とは、上記組織切片における上記化合物またはタンパク質の発現を二次元的に表したものを意味する。この二次元的表現は、組織切片表面をMALDI分析装置を用いて定義されたスポット密度で走査し、それぞれの連続スポットについてMALDI分析を行い、得られたデータと各スポットの座標を保管することによって得られる。スポット密度が高くなれば、すなわちスポット面積が小さくなれば、生成するマップの精度は高くなる。MALDIレーザーの直径は、一般的には系の集光度によって50〜200μmであり、2個の隣接照射スポットは好ましくはレーザービームの直径(すなわち、50〜200μm)だけ離れている。正確なターゲット分子のマップを得ようとするには、隣接スポットが好ましくは多くとも300μm、多くとも200μm、更に好ましくは多くとも100μm、多くとも80μm、多くとも60μm、多くとも50μm、多くとも40μm、最も好ましくはMALDIレーザーの直径だけ離れている。
次に、それぞれのスポットデータを化合物またはタンパク質の分子ウインドウで分析し、この化合物またはタンパク質のシグナル強度をスポット座標に記録する。このようなイメージの再構成は、当該技術分野で知られているまたは市販されている任意の適当なイメージ再構成ソフトウェアを用いて自動的に行うことができる。適当なソフトウェアの例はIDL(インタラクティブ・データ・ラングウェジ(Interactive Data Language))ソフトウェアであり、RSI(RSI コーポレート・ヘッドクウォーターズ、4990 パール・イースト・サークル、ボールダー、コロラド80301)、flexlmaging(ブルーカー・ダルトニックス、ブレーメン、デラウェア)、MIT(エム・ステックリ、ノバルティス、ベーレ、スイス)である。
組織切片における少なくとも1種類の化合物、特にタンパク質の発現マップを決定する方法の好ましい態様では、上記のイオン性MALDIマトリックスは[CHCAANI]、[CHCADANI]、[CHCATDIENI]、[CHCADBU]、[CHCA−−EtNH]、[CHCAPIP]、[CHCA3AQ]、[CHCA2A4M5NP]、[SAANI]、[SADANI]、[SADIENI]、[SADBU]、[SAEt3NH]、[SAPIP]、[SA3AQ]、および[SA2A4M5NP]からなる群から選択され、更に好ましくは[CHCAANI]、[CHCADANI]および[CHCA2A4M5NP]からなる群から選択される。あるいは、上記イオン性MALDIマトリックスは、[CHCA3Apy]および[CHCATD A]から選択される。
本発明を一般的に説明してきたが、単に例示の目的で本明細書に提供され、特に断らない限り制限するものとは思われないある具体例および図を参照することによって、本発明の特徴および利点を更に理解することができる。
例1
組織切片の改良MALDI−MSペプチド/タンパク質分析のためのイオンマトリックスの使用
幾つかのイオンマトリックスを、組織切片において直接ペプチド/タンパク質分析を改良する能力について試験した。
1.1 材料および方法
1.1.1 材料
α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリエチルアミン、2−アミノ−4−メチル−5−ニトロピリジン(2A4M5NP)、3−アミノキノリン(3AQ)、ピリジン、l,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、ピペリジン(PIP)、アンギオテンシン2、Des−Arg−ブラジキニン、サブスタンスP、ACTH 18−39、ACTH 7−38、およびウシインスリンはSigma−Aldrichから入手し、更に精製することなく使用した。トリフルオロ酢酸(TFA)は、Applied Biosystemsから購入した。アセトニトリルp.a.およびメタノールp.a.は、J.T.Bakerから購入した。
1.1.2 イオンマトリックス(IM)の調製
この研究に用いたどちらのイオンマトリックス、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸/アニリン(CHCA/ANI)およびα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸/ピリジン(CHCA/PY)も、同じプロトコルに従って下記の方法で分析直前に調製した。塩基1当量((CHCA/ANIについては4.8μlおよびCHCA/PYについては4.29μl)を、CHCA 10mg/ml(1ml)をアセトニトリル/水(2:1,v/v,0.1% TFA)に溶解したものに加えた。次いで、混合物を10分間渦流攪拌し超音波処理した後、組織に適用した。
1.1.3 組織調製
体重が250−350gの成熟した雄Wistarラット(フランス国農相による動物使用認可)を研究に使用し、標準的保護下に保持した。動物を断頭により屠殺し、直ちに切開して脳を取り出した。15μmまたは20μmの凍結切片はクリオスタットで作製し、MALDIプレートに移した。
卵巣メド・シスト(ovarian med cyst)生験試料は、直接分析試験の目的でリールのジャンヌ・ドゥ・フランドル病院から入手した。
1.1.4 試料溶液
較正混合物
外部較正は、ブラジキニン1.6μM、サブスタンスP 1.6μM、ACTH 18−39 1.6μM、ACTH 7−38 3.2μM、ウシインスリン4.8μMおよびウシユビキチン4.8μMを0.1% TFA/HOに含む標準的神経ペプチドの溶液を用いて行った。
感度試験
2.5μMサブスタンスP/0.1% TFA/HOを水で9倍に希釈し、1pM/μl−125aM/μlの範囲の濃度を得た。
強度試験
正のモード分析については、サブスタンスPを0.8μMで用いた。ACTH 18−39を、3.2μMで負のモードに用いた。
1.1.5 MALDI/MS分析用の試料調製
直接分析のためのマトリックス溶液の調製
イオンマトリックス(CHCA/ANI)は、これをアセトニトリル/水中で転換した後、組織に直ちに適用することができる(上記参照)。他のイオン性マトリックスは、化合物10mgをアセトニトリル/水 1ml(2:1,v/v,0.1% TFA)に溶解することによって調製した。
古典的CHCAについては、マトリックス 10mgをアセトニトリル/水 1ml(2:1,v/v,0.1% TFA/HO)に溶解した。SAについては、マトリックス20mgを同じ溶媒に溶解した。
総ての場合に、ある容積のマトリックス溶液をマイクロピペットを用いて凍結切片に加えた。次いで、溶液を室温で乾燥させた。
古典的分析のための調製
古典的およびイオンマトリックス溶液は、直接分析についてと同じプロトコルに準じて調製した。総ての場合に、試料lμlとマトリックス溶液lμlを、乾燥小滴調製の手順に従ってMALDIプレート上で混合した(Karas, M.; Hillenkamp, F.; Anal.Chem. 1998, 60, 2299-2301)。
1.1.6 MALDI−MS分析
MALDI−TOF質量スペクトルは、遅延引き出し(DE)を有しかつ337nmのパルスド窒素レーザー(3Hz)で操作するVoyager−DE STR質量分析計(Applied Biosystems,フラミンガム,マサチューセッツ,米国)で行った。
リニアモードでの古典的分析
分析パラメータ(acquisition parameters)は、加速電圧:20kV;最初のグリッド電圧:94%;ガイドワイヤー電圧:0.05%;引出遅延時間(extraction delay time):200nsに設定した。
リニアモードでの直接分析
分析パラメータは、加速電圧:25kV,最初のグリッド電圧:94%,ガイドワイヤー電圧:0.05%,引出遅延時間:200nsであった。
リフレクターモードでの直接分析
加速電圧:25kV,最初のグリッド電圧:75%,ガイドワイヤー電圧:0.05%,引出遅延時間:200ns。それぞれの記録した質量スペクトルは、目的とする範囲の400回のレーザーショットの平均から得られる。スライスは、カラーCCDカメラ(SONY)で質量分析計で可視化した。
PSDモード
加速電圧:25kV,最初のグリッド電圧:72%,引出遅延時間:200ns。イオン前駆体は、装置のタイムド・イオン・ゲート(12mm)を用いて選択した。生成物イオンの分析(acquisition)は、一般的には1.0、0.98、0.85、0.75、0.60、0.41、0.27、0.19、0.12、0.067および0.05のミラー比で行い、生成する個々のスペクトル(それぞれ200ショットの平均)をとじ合わせて、複合生成物であるイオンスペクトルを得た。イン・シテュー(in situ)直接分析の場合には、最初の3個のウインドウだけを用いた。
1.1.7. 50Hzレーザーを備えたMALDI−TOF−TOF分析装置を用いるラット脳切片の直接分析
イメージング質量スペクトルは、正および負の極性でのリフレクターモードでnm(50Hz)で放射する窒素レーザーと共に操作するMALDI TOF−TOF UltraFlex II(BRUKER DALTONICS,ブレーメン,ドイツ国)上でflexImagingソフトウェアを用いて測定した。
1.2 結果
CHCA/2A4M5NP、CHCA/ANIおよびCHCA/DANIイオンマトリックスを最初に標準的化合物でチェックした後、直接組織分析に用いた。
1.2.1 標準物を用いる検討
正および負モードでのスペクトル品質の評価
CHCA/DANIは、CHCAと塩基N,N−ジメチルアニリンとの反応によって得た。一方、CHCA/2A4M5NPは、2つの古典的マトリックスCHCAと塩基性マトリックス2A4M5NPの酸/塩基反応によって合成した。いずれのマトリックスも、サブスタンスP(500fmol/μl)またはACTH 18−39(1pM/μl)とイオンマトリックスの混合物の全スポットにわたってゆっくり移動する400のレーザーショットを記録することによって正および負モードでのMSイオンシグナルの生成について評価した。
正モード(Positive mode)
第一段階は、サブスタンスPおよびACTH 18−39のイオン生成についてのエネルギー閾値をそれぞれCHCA/2A4M5NP、CHCA/DANIおよびCHCA/ANIマトリックスと比較することであった。いずれの場合にも、フルエンスの変動は常にCHCAとこれらの固体のイオンマトリックスの間では常に3%を下回った。更に、いずれの強度の検討でも、レーザーエネルギーは、古典的マトリックスを用いて良好なシグナルを生じ、必要ならばイオンマトリックスでシグナルを大幅に増加させることができるペプチドイオンについてのエネルギー閾値を20%上回った。
正モードでは、CHCA/2A4M5NPイオンマトリックスを用いて有意なシグナル増加が見られた(下表2参照)。サブスタンスPの場合には、このイオンマトリックスでは、シグナルは3.5倍となった。アポミオグロビンについても、シグナルはイオンマトリックスではCHCAについてより85%高く(表2)、ペプチドおよびタンパク質のいずれについてもこのマトリックスを用いることができることを示した。
Figure 2008542784
負モード(Negative mode)
負モードは、特に正モードで多数の付加物シグナルを示すリン酸化ペプチド、脂質またはリン脂質のようなある特殊なクラスの化合物を検索する組織の直接分析に極めて興味深いことがある。これは、PSDを用いて補足的構造情報を得るのに用いることもできる。塩シグナルが減少すると、分解能が増加してデータの解釈が容易になる。
一般に、古典的マトリックスによるイオン生成収率では負イオンの割合が低いので、負モードはMALDIでは余り用いられない。ここでは、本発明者らは、このモードで従来のマトリックスより良好なイオン収率を提示することができるかどうかを知るため、イオンマトリックスを試験した。イオンマトリックスは低質量化合物(アミノ酸、Moghaddam, M.Z.; Heinzle, E.; Tholey, A. Rapid Commun. Mass Spectrom. 2004, 18, 141-148参照)については以前に試験されているが、ペプチド/タンパク質に関しては未だ検討がなされていない。
そのモードにおいて、イオンマトリックスCHCA/ANIおよびCHCA/DANIの両方を用いて最良のシグナルが記録され(表2,図IA)、同じ方法で、マトリックスとしてCHCA/2A4M5NPを用いてACTH 18−39について良好な応答を得た(表2,図IB)。CHCAと比較してイオンマトリックスでは、2倍の最小シグナル増加が見られた(図1C)。従って、例えばイオンマトリックスの2A4M5NP基は負モードで役割を果たすことができた。この基が塩基性であることによって、イオン化段階において分析質からマトリックスへのプロトン移動の増加が促進される。これに関して、分析質の脱プロトン化は、マトリックスだけが酸性を示しているので、一層困難である。イオンマトリックスは、有機化合物でも見られるように、酸性基と塩基性基の両方の特徴を示すことができる塩化合物である。
総合すれば、CHCA/DANIおよび特にCHCA/ANIは、正または負モードのいずれにおいてもシグナル強度に関して最良のマトリックスであることが示されている。
感度試験
組織において化合物を検出するには、マトリックスは、15μmのスライスに含まれる材料の量が少ないため、および特に直接分析を用いてバイオマーカーを検索するときには、感受性が極めて高いものでなければならない。
CHCA/2A4M5NPおよびCHCA/DANIの感度を、正および負モードで様々な濃度のサブスタンスPおよびACTH 18−39ペプチドを用いて試験した(下表3参照)。
Figure 2008542784
最良の結果は、CHCA/DANIを用いて得られた。検出限界は、正モードでは250amolであり、負モードでは100fmolであった。これらの値を、最小検出可能量がそれぞれ1fmolおよび250fmolのCHCAと比較しなければならない。
CHCA/2A4M5NPは負モードではCHCA(150fmol)より優れており、正モードでは類似の結果を示す。
1.2.2 イオンマトリックスを用いる正モードでの直接分析
組織での結晶化の検討
組織スライスでの3種類のイオンマトリックス(CHCA/2A4M5NP、CHCA/ANIおよびCHCA/DANI)結晶化を評価した(下表4および図2参照)。結晶化パターンを比較するため、マトリックスを、噴霧器または結晶化を改良する任意の他の手段を用いることなくマイクロピペットを用いて全組織表面に単に適用した。
Figure 2008542784
2種類のマトリックス CHCHA/ANI(図2A)およびCHCA/2A4M5NP(図2B)は、組織全体を被覆する極めて薄い結晶層を生じることを示していた。極めて小さな均質に分布した結晶が、CHCA/2A4M5NPの場合に見られる(図2B)。古典的マトリックスについては、スポッティングは一般に組織の50%のみを被覆する不規則な結晶を生じる。イオンマトリックスは高真空安定性を示し、実験は古典的MALDIより長くかかるので直接組織分析またはMALDIイメージングに極めて適当になることにも留意しなければならない。
CHCA/DANIについては、結晶化によって大きな赤色/橙色結晶が形成され、組織のほとんどの部分を被覆する。結晶のサイズは古典的CHCAと比較して被覆範囲の均一性を減少させるが、被覆はマトリックスの濃度を増加することによって改良することができる(500μlアセトニトリル/0.1%TFA水溶液 2:1,v/v)。
リニアおよびリフレクターモード(正モード)での直接分析
強度を比較するため、イオンマトリックス1スポットとCHCA 1スポットとを同一切片上に互いに極めて接近して適用した。この実験を数個のスライス上で6回以上繰り返し、再現性を確かめた(下表5参照)。
リニアモードでは、イオン生成の閾値を上回る同一レーザーエネルギーでイオンマトリックス CHCA/ANIを用いて最良のシグナルを得た(表5および図3)。このマトリックスについて、39個のペプチドがラット脳切片で検出され、その80%はイオンマトリックスを用いてCHCAより良好なシグナル強度を示した(表5)。この増加は、特にm/z 2505.66およびm/z 5072.78のペプチドについて見られる。検出されたペプチドの数をこれらのマトリックスと比較すると、若干数のみがイオンマトリックスで検出することができ(表5)、極めて僅かだけがCHCAで検出することができる。これは、組織切片の直接プロテオーム分析のためのイオンマトリックスの特異性と再現性を示している。
Figure 2008542784
CHCA/DANIについても、良好なシグナルが記録され、m/z〜1800の最大質量を有するペプチドについては、CHCA/DANIがCHCAより優れていた。より大きな質量については、シグナルはCHCAで見られたものに類似していた(データは示さず)。
CHCA/2A4M5NPについては、このマトリックスは感度に欠けているためCHCAより少ない数の化合物が検出されたが、シグナル強度は極めて良好である。
従来のCHCAマトリックス(図4C)と比較してCHCA/ANI(図4A)およびCHCA/DANI(図4B)を用いたシグナルの増加は、リフレクターモードで確認された。様々なマトリックスについての強度の変動は、容易に見ることができる。
更に、上記モードでは、恐らくはスライスに含まれる化合物の量によって、この増加は一層強くすることができ、m/z 5500までの質量範囲について観察された(図5)。従って、マトリックス CHCA/ANI(図5B)を用いてm/z 8600附近まで組織上で直接リフレクターモードで化合物を検出することが可能であったが、古典的CHCAを用いた場合には検出されなかった(図5A)。実験を数回繰り返して、強度の変動性およびスライスにおける分子の配分による結果を確認した。いずれの場合にも、強度の有意な増加をイオンマトリックスCHCA/ANIを用いて記録した。同じ結果が、アニリン誘導体よりも効率は低かったがCHCA/DANIを用いた場合にも観察された(図4)。
従って、サブスタンスPを用いる古典的MALDI分析で観察されたシグナルの増加を、リニアおよびリフレクターモードの両方でCHCA/ANIおよびCHCA/DANIについてラット脳切片での直接分析で確認した。更に、これら2種類のイオンマトリックスを用いるリフレクターモードでのシグナル改良は、PSDモードを用いる組織上で直接断片化を開発するための第一段階であった。
CHCA/ANIを用いるイン・シテュー直接PSD
このシグナル増加を用いて、組織切片上で直接イオンマトリックスCHCA/ANIを用いてPSDモードで断片を生成する能力を調査し、イオンマトリックスでは断片化が少ないという特徴が知られてはいるが、古典的CHCAで得られた結果と比較した(Li, Y.L.; Gross, M.L. J Am Soc Mass Spectrom. 2004, 15, 1833-1837)。
PSDモードで記録された最良の断片化収率は、CHCA/ANIを用いて得られた。このマトリックスについて、部分PSD(図6B)が、前駆体イオン1785について組織スライスから直接得られた(図6A参照)。このイン・シテューPSDを、同一脳、異なる脳からの様々なスライス上、および様々なペプチドイオン前駆体について数回繰り返した。反復可能な断片を、同じ分析パラメータを用いて観察した。様々なパラメータ、例えば、引出遅延時間、加速電圧またはレーザー強度を、断片の数を増加させる目的で検討したが、総PSDは得られなかった。しかしながら、部分PSD分析は、m/z 2000(例えば、m/z=1785)までの質量について行うことができる。
従って、イオンマトリックスは、断片化が少ないという特徴が知られているにも拘わらず、意外なことには従来のマトリックスとは逆に、少なくともm/z 2000までの質量について組織切片の部分PSD分析を考慮している。
1.2.3 負モードでの直接分析
負モードでの直接分析も試験を行い、標準物で得た明確な結果を直接組織切片分析に置き換えることができるかどうかを確認した。実際に、負モードを用いることによって付加物の使用を止めることができ、得られるスペクトルを一層容易に解析することができるようになる。
負モードでは、イオンマトリックス CHCA2/A4M5NP(図7A)およびCHCA/ANI(図7B)では、興味深いイオンプロフィールが得られ、この分析モードをmay be used forイオンマトリックスを用いる組織切片の直接分析に用いることができることを示している。CHCA(図7C)と比較してこれらのマトリックスを用いるとシグナル強度の大幅な増加が見られ、標準物で得られた結果が確認された。上記で示したように、CHCA/DANIおよび特にCHCA/ANI(図7B)も、強度を一層増加させかつ最良の感度を与えるマトリックスであった。
本発明者らは、負および正モードでの直接分析も比較した。このため、CHCA/DANIを1スポット行い、正(図8A)および負モード(図8B)のスペクトルをこの同じものに高電圧を切り替えるだけによって記録した。負モードでは感度が低いため、このモードではシグナルが少なかった。しかしながら、幾つかの化合物は、より高強度で検出することができる(例えば、m/z 959またはm/z 995(図8B))。更に、付加物を抑制することによって、質量スペクトルの判読が一層容易になる。m/z〜1200以下の質量範囲について、正モードで検出される脂質の付加物によると思われるm/z=787または811のシグナル(図8Aおよび8B)について見られるように、分解能は大幅に向上する。
従って、CHCA/DANI、CHCA2/A4M5NPおよびCHCA/ANIのようなイオンマトリックスは、シグナル強度の大幅に増加するため、リニア負モード分析の使用を考慮し、従って得られたスペクトルが一層判読可能とすることができる。
1.2.4 卵巣の正常および癌組織の生験への適用
可能性のあるバイオマーカーの検討は、通常は健康な患者に比較した特定の病理学を示す患者の示差的ディスプレー分析に基づいている。癌の場合には、特に精液を除く生物学的流体に応用される表面増強レーザー脱離イオン化(Surface Enhanced Laser Desorption Ionization (SELDI))を用いる質量分析法による示差的分析が多くの公表文献に記載されている。古典的には、多くのプロテオーム研究は質量分析法による潜在的に興味深いスポットの同定前の2D電気泳動マップの比較を包含している。
代替法は、MALDIによる直接組織分析を用い、健康な組織から記録されたタンパク質プロフィールを癌のプロフィールと比較することである。癌マーカーは、体液中で見出すことが極めて困難である。一方、癌組織の直接分析は、確実に潜在的に興味深いマーカーの選択を見込んでいる。このようにして、イオンマトリックスを用いる健康なおよび癌の卵巣組織切片の直接分析の可能性が検討された。健康な患者と卵巣癌の患者の生験から得られた2種類の組織切片の分析は、極めて豊富なイオンプロフィールを生じた(図9A)。マトリックスとしてのCHCA/ANIについては、特に高強度シグナルが観察された。
これらの極めて豊富なイオンプロフィールを最初に比較することにより、質量スペクトルの慎重な較正にも拘わらず質量が接近しているが同重核でないイオンにより幾分か不明瞭となる可能性があった。例えば、健康な卵巣ではm/z 1252.75(図9A)におよび癌組織で1252.4にピークを示すペプチドが観察された。
これらの2種類のペプチドが、組織の厚みが異なり脱較正(decalibration)を生じるため同一となるかどうかを検討するため、これらのピークにPSD分析を行った。上記のように、部分PSDのみが可能であった。しかしそれにも拘わらず、同一のフラグメントイオンがPSDスペクトル上に存在し、このm/zでは健康な患者組織(図9B)と卵巣癌組織(図9C)のいずれにも同一分子が存在することが確認された。これらの結果は、イオンマトリックスは、断片化が少ないという特徴が知られているにも拘わらず、従来のマトリックスとは逆に、部分イン・シテューPSD分析に頼ることができるので、MALDI−MSによる組織切片の直接分析についてイオンマトリックスを用いることの意外かつ有意な利益を明らかに示しており、従って組織切片の直接分析によって生成した極めて豊富なイオンプロフィールで生じる可能性がある不明確さを除去することができる。
卵巣生験では、シナピン酸(SA)を用いて記録した質量スペクトルとCHCA/ANIイオンマトリックスで得たものも比較した。シナピン酸をここで用いたが、このマトリックスは直接組織分析に最も多く用いられているものであることが示されているからであった(Schwartz, S.A.; Reyzer, MX.; Caprioli, R.M. J Mass Spectrom. 2003, 38, 699-708)。予想したように、m/z 5000を下回る質量範囲についてこのイオンマトリックスを用いて極めて良好なシグナルが検出され(図10Aおよび10B)、類似の感度を有する結果がm/z 10000まで観察されたが(図10Cおよび10D)、m/z 10000を上回る範囲では、従来のシナピン酸の方が良好な結果を生じた(図10Cおよび10D)。とにかく、これらの結果は、10000を下回るm/zについては、通常用いられているシナピン酸(SA)マトリックスと比較して、CHCA/ANIイオンマトリックスは組織切片におけるペプチド/タンパク質の遙かに感受性が高くかつ正確な直接分析を準備していることを明らかに示している。
1.2.5 50Hzレーザーを備えたMALDI−TOF−TQF分析装置を用いるラット脳組織切片の直接分析
通常、組織切片でのペプチド/タンパク質の直接分析には、2または3Hzの MALDIレーザーが用いられる。実際に、SAまたはCHCAのような従来型のMALDIマトリックスは、脱離工程中に多量の材料が放出されるので、高周波レーザーによる分析には適さない。
それに反して、イオンマトリックスでは、より少ない容積の材料が放出され、ラット脳組織切片の直接分析は、同一切片を用いる負および正モードで50Hzレーザーを備えたMALDI−TOF−TOF分析装置を用いてCHCA/ANIで良好に行われた。
結果は、図11に正および負モードで示され、このイオンマトリックスは従来型のマトリックスとは逆に、重大な結果であるMALDI−TOF−TOFと同様に高周波レーザーを使用できることが示されている。
実際に、このような強力なMALDI−TOF−TOF分析装置では、組織切片で直接にペプチドおよびタンパク質の遙かに迅速かつ遙かに詳細な構造解析の準備ができている。
特に、強力なMALDI−TOF−TOF分析装置を使用することができることにより、PSD分析を用いて可能なものより高分子量の直接イン・シテューでのペプチドシークエンシング(MS/MS)が可能となる。
更に、画像は、正または負モードでイオンマトリックスをCHCA/ANIまたは従来型マトリックスCHCAによりMALDI LIFT/TOF (50Hzレーザー反復速度)を用いて幾つかの異なるm/z比についてリフレクターモードでラット脳切片を位置当たり平均100ショットで、10,000個の位置で走査することによって得た。更に正確には、最初の走査を正モードで行い、この切片を同じ位置で負モードで再走査した。最後に、最後の走査を再度正モードで行った。
結果は、CHCA/ANIイオンマトリックスを用いると、一回目と三回目の走査の間にはシグナル強度の大きな減少は見られなかったことを示している(図12参照)。CHCAについては、m/z 1224について図12に示したように強度の減少が明らかに観察された。3回の走査の後、切片はイオンマトリックスで完全に被覆されたままであったが、古典的CHCAではそうはならなかった。幾つかのピークは対応する質量スペクトルでは最早見られなかったので(例えば、m/z 2062およびm/z 1224)、これは必然的に画像分解能の低下を生じる。
幾つかのm/z比について正および負のデータから再構成した幾つかの画像を、図13 Aおよび図13Bに示す。これらの画像は、マイクロピペットを用いる古典的沈着を考慮しているCHCAの従来型マトリックスについてよりCHCA/ANIイオンマトリックスについての脱局在化が少ないことを示している。この現象は、m/z 2015のペプチドについて再構成した分子画像によって十分に示されている(図13A)。これは、組織でのこのマトリックスの結晶化が極めて速やかかつ均質であることによるものであった。CHCAの従来型マトリックスとCHCA/ANIイオンマトリックスを用いる画像の比較は、CHCA/ANIについての分解能が優れており、シグナル強度および検出が高いことを示している。ラット脳領域は、MALDIイオンマトリックスイメージングをラット脳マップ(図13C)と比較することによって容易に認識することができる。例えば、正モードでは、m/z 2015のペプチドは脳梁の小鉗子(fmi)と前交連(aca)にあることが見出されているが、m/z 4741のペプチドは脳の残りの部分にある。負モードでのm/z 2028および正モードでのm/z 2030ついても、脳梁よりも他の領域について負モードでの検出は悪くなるが同様な局在化が観察された。
CHCA/ANIイオンマトリックスを用いる優れた感受性は、m/z 4741(正モード)またはm/z 2092(負モード)についてのような幾つかのイオンについて確認した。従って、MALDIイメージングを用いるこれらのペプチドの正確な局在化は、CHCA/ANIイオンマトリックスを用いて行うことができるときにCHCAの従来型マトリックスを用いては不可能である。
1.3 結論
本明細書に記載の結果は、CHCAまたはSAのような従来型マトリックスと比較してMALDI−MSによる組織切片の直接分析のためにイオンマトリックスを用いることの利点を際立たせている。実際に、MALDIイメージング適用についてみられるようにあらゆるMALDI−MS分析モード(リニア、リフレクター正および負)では、包括的な感度の増強が極めて増加したシグナルと共に見られた。
更に、シグナルのこの増加は負モードの使用を見込んでおり、新たな化合物が検出され、得られたスペクトルが判読可能であるため、新たな型のMALDIイメージングを生じ、の組織切片のようなこの種の試料は、精製した抽出試料と比較して特に豊富なイオンプロフィールを生じるので、組織切片の直接分析にとって特に興味深いものである。
更に、イオンマトリックスの使用は、意外なことには部分PSD分析データの生成を考慮しており、従って構造データを得ることができ、これによって更にスペクトルの不明瞭さを除去することができる。このような不明瞭さは、通常は組織切片の厚みのような可変パラメータを有する組織切片を直接分析することの困難さと関連しており、脱較正を生じることがある。
最後に重要なことには、従来型マトリックスとは異なり、イオンマトリックスは高周波レーザー(少なくとも50Hz)を備えたMALDI−TOF−TOF分析装置の使用を考慮しており、これにより、遙かに詳細な構造情報を生じることができ、更に高分子量成分について、PSDまたはMS/MS分析を行うことができる。同一組織切片をシグナルの減少なしに少なくとも3回連続分析することもでき、これは従来型のマトリックスでは不可能である。
従って、イオンマトリックスを用いることにより、従来型マトリックスと比較して、遙かに迅速で感度が高く正確なデータを組織切片の直接ペプチド/タンパク質分析で得ることができる。
例2
組織切片の改良MALDI−MSリン脂質分析のための予備スポットしたイオンマトリックスの使用
2.1 方法
イオンマトリックス(IM)の調製
CHCA/DAPまたはCHCA/3apyのような総てのイオンマトリックスは、イオン性液体の合成に用いられる古典的プロトコルを用いて製造することができる。CHCAまたは他のMALDIマトリックス50mgを、メタノール20mlに溶解させる。等モル量の塩基を加えた。溶液を1時間混合し、溶媒を真空蒸発装置で45分間蒸発させた(T=50℃,P=40ミリバール)。生成する化合物を乾燥機に30分間入れ、残留溶媒を除去し、−20℃で保管した。使用直前に、化合物10mgをアセトニトリル/水(2:1,v/v,0.1%TFA)に溶解させることによってイオンマトリックスを調製した。
この検討で用いたイオンマトリックスは、塩基1当量(CHCA/3Apyについては5.8μl)をCHCA 10mg/ml(1ml)をアセトニトリル/水(2:1,v/v,0.01%TFA)に溶解したものに加える一層速やかなプロトコルに従って、使用直前に調製することもできる。次に、この混合物を、使用前に10分間渦流攪拌し、超音波処理を行った。
予備スポットしたイオンマトリックスについては、イオンマトリックスをMALDIプレートまたは伝導性支持体にスポットした後、室温で乾燥させた。イオンマトリックスの結晶化の後、組織を乾燥マトリックスに適用した後、質量分析計に入れ、分析を行った。
2.2 結果
図12に示すように、予備スポットした[CHCA3Apy]イオンマトリックスは、ラット脳組織切片におけるリン脂質の感受性が高くかつ良好な品質の分析を行うことができ、これらの分子の脱局在化の危険性はかなり限定される。
A.CHCA/DANI、B.CHCA/2A4M5NPまたはC.古典的CHCAをマトリックスとして用いるリニア型負イオンモードでのACTH 18−39(1pM)の典型的スペクトル。それぞれの場合に、マトリックスの写真は考察したスペクトルの近くに表した。 マイクロピペットを用いてマトリックス20μlをスポットして室温で乾燥した後のラット脳のスライスにおけるマトリックス A.CHCA/ANI、B.CHCA/2A4M5NPまたはC.古典的CHCAの結晶化。 リニアモード(正の極性)でのA.CHCA/2A4M5NPおよびB.CHCAを用いる直接分析で得た典型的スペクトル。 マトリックス同士のスポットが極めて接近しているときマトリックスA.CHCA/ANI、B.CHCA/DANIおよびC.古典的CHCAについてのリフレクターモードでの直接分析の際に記録されたシグナルの最小限の増加。 マトリックス同士のスポットが極めて接近しているとき1000−9000の範囲の質量についてマトリックスとしてA.CHCAまたはB.CHCA/ANIを用いるリフレクターモードでのラット脳の直接分析で得られたスペクトル。 イオンマトリックス CHCA/ANI(衝突ガス:キセノン)を用いて前駆体イオンm/z 1785について得たA.リフレクターモードでの直接分析およびB.イン・シテューPSD。 ラット脳の場合におけるm/z 900−9000の質量範囲についてA.イオンマトリックス CHCA/2A4M5NP、または1609−3595の質量範囲m/zについてB.イオンマトリックス CHCA/ANIまたはC.古典的CHCAを用いるリニア負モードでの直接分析。 ラット脳の場合におけるCHCA/DANIを用いる同時位置測定でのA.リニア正モードおよびB.リニア負モードでの典型的直接分析(質量範囲:700−1170)。 A.質量範囲m/z 1173−1493について正のリフレクターモードでのマトリックスCHCA/ANIを用いる健康な卵巣組織の直接分析、およびB.健康な卵巣の親m/z 1252.36についておよびC.卵巣癌の親イオンm/z 1252.24についての場合における2種類の異なるスライス上で3個の一回目の走査ウインドウを有するイオンマトリックスCHCA/ANIを用いて行ったイン・シテューPSD(ミラー比1.0、0.98および0.85)。 質量範囲m/z 1580−5270(A.およびB.)についておよびm/z 5546−16484(C.およびD.)についてリニア正モードでSA(A.およびC.)およびイオンマトリックスCHCA/ANI(B.およびD.)を用いる健康な卵巣組織の直接分析。レーザーフルエンス(Laser fluence)を最適化し、考察した質量範囲について検出された化合物の数を最大とする。 ラット脳の組織切片におけるペプチド/タンパク質の直接分析。個々では、リフレクターモードでの50Hz MALDI−TOF−TOF分析装置を用いる正または負の極性において別個のm/z比を有する幾つかの化合物の発現マップの再構成イメージが示されている。 同じラット脳のスライスに対する一回目および三回目の走査について正モードでのイオンマトリックスCHCA/ANIおよびCHCAを用いるリフレクターモード(50Hzレーザー反復速度、10,000個の位置を走査)でMALDI LIFT/TOFを用いるMALDI−IMS。イメージはFlexImagingソフトウェアを用いて再構成し、組織スライスにおけるm/zの配分を表す。同じイメージングパラメータを、総ての走査に用いた。 正(A)および負のモード(B)におけるイオンマトリックス CHCA/ANIおよびCHCAを用いる50Hz反復速度でリフレクターモードでMALDI LIFT/TOFを用いるMALDI−IMS。MALDIイメージングを、ラット脳の解剖したもの(C)と比較することができる。CHCA/ANIおよびCHCAについて、いずれの極性での走査も同一ラット脳の切片で行った。イオンマトリックスおよびCHCAについてFlexlmagingソフトウェアを用いて、同一パラメータでイメージが再構成されており、組織スライスにおけるm/zの配分を表している。2色のイメージは、2つのm/zイメージの重なりに対応している(脳梁の小鉗子;前交連;運動皮質)。 予備スポットした[CHCA3Apy]イオンマトリックスを用いるラット脳の組織切片でのリン脂質の直接分析。

Claims (6)

  1. 組織切片におけるタンパク質発現を調べる方法であって、
    1)イオン性MALDIマトリックスを組織切片に適用し、
    2)組織切片をMALDI質量分析計を用いて走査して、生成データを取っておき、
    3)それぞれの分析した点において、得られたスペクトルを、データベースのタンパク質分子量およびスペクトルと比較することによって、タンパク質組成を決定する
    ことを含んでなる、方法。
  2. 組織切片における少なくとも1種類の化合物の発現マップを決定する方法であって、
    1)イオン性MALDIマトリックスを組織切片に適用し、
    2)組織切片をMALDI質量分析計を用いて走査して生成データを取っておき、
    3)それぞれ別個の化合物の1または複数の分子質量ウインドウにおいて得られたデータを解析して、調べた別個の化合物の数だけ組織切片における化合物発現のマップを作製する
    ことを含んでなる、方法。
  3. 少なくとも1種類の化合物が、ペプチド、核酸、糖類、ポリマー、脂質、および有機化合物から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 少なくとも1種類の化合物がタンパク質である、請求項3に記載の方法。
  5. イオン性MALDIマトリックスが、[CHCAANI]、[CHCADANI]および[CHCA2A4M5NP]からなる群において選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. イオン性MALDIマトリックスが、[CHCA3Apy]および[CHCATDA]から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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