JP2008536920A - 酸化還元反応によるタンパク質の結合特異性の改変方法 - Google Patents

酸化還元反応によるタンパク質の結合特異性の改変方法 Download PDF

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Abstract

液体培地中に懸濁または溶解された少なくとも1つのタンパク質の結合特異性は、酸化剤または電位に暴露することにより可逆的に改変される。自己抗体のようなマスクされたタンパク質は、生体液を酸化剤または電流にかけ、そこに含まれるマスクされたタンパク質の結合特異性を変化させることにより、生体液より検出、単離および回収され得る。

Description

本発明は、酸化還元反応によって改変され得る結合特異性を有するタンパク質の結合特異性を改変する方法に関する。さらに、本発明は、抗体、特に正常な被験者の血液、血漿、血清またはその他の体液に天然に存在するマスクされた自己抗体の結合特異性を可逆的に改変する方法に関する。
「自己免疫疾患(autoimmune disease)」という語句は、免疫システムが誤って自分自身の体の細胞、組織および器官を攻撃する疾患の一群を指す。一般的に、自己免疫疾患は、一般的なタンパク質および脂質のような、体自身の成分に結合する抗体が関与する。自己化合物(またはより一般的には、あまりに共通しているので全ての生物でみられる化合物)に対して結合する抗体が、自己抗体と呼ばれる。例として、リン脂質および/またはリン脂質結合性血漿タンパク質に結合する自己抗体が、全身性エリテマトーデス(SLE)、深部静脈血栓症および反回動脈血栓症、肺塞栓、再発性流産、血小板減少症、舞踏病、てんかん、青色皮斑、特発性肺高血圧、リウマチ状態および多くの膠原病のような疾患に関連する。自己抗体に関連した他の疾患には、多発性硬化症、クローン病、円板状エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、乾癬、糖尿病およびリウマチ関節が含まれる。約80の異なる自己免疫疾患があり、集団的に、これらの疾患は、数百万人が罹患している。
自己免疫疾患の病因に関する従来の理論は、これらの疾患は、疾患個体(individual)中の自己抗体の過剰産出によって引き起こされ、恐らく、自己抗体等をコードしている遺伝子の過剰発現による、というものである。この理論によると、罹患している個体の血液は、疾患を引き起こす特定の自己抗体が高いレベルを有し、一方で、正常の個体からの血液には、自己抗体が全く含まれないか、または非常に少ない量である。この理論は、自己免疫疾患を罹患している被験者からの血液または血液産物中に多量の自己抗体が見かけ上、検出可能であり、一方、自己免疫疾患を持たない被験者からの血液または血液産物中では、まったく検出されない、または最小の量の自己抗体しか検出されないという従来のアッセイによって支持される。
本発明は、正常の個体からの血液には、事実、広い範囲の種類と特異性において著しい数の自己抗体が含まれるという、本明細書で報告された、驚くべき発見に基づいている。血液または血液産物を酸化によって、本明細書に記述した方法に従い、例えば、酸化剤または電流により処理すれば、正常の個体の血液または血液産物から、これらの自己抗体を検出し、単離することが可能である。正常な血液中の著しい量の自己抗体の発見は、いままでに報告されておらず、本発明者の知る限りでは、そのような自己抗体が、正常な血液中に著しい量で存在することは、本発明以前には、完全に未知であった。
正常個体中での、著しい量の自己抗体の発見によって、自己抗体が、(典型的には、その対応する抗原に対する抗体の結合に基づく)標準のアッセイでなぜ検出されないのか、およびなぜ自己抗体が、正常個体における疾患症状を引き起こさないのか、という疑問がわいてくる。
本明細書記載の実験では、本発明の方法によって、酸化剤またはDC電流に生体液を曝露することにより、正常な被験者に由来する血液などの生体液から自己抗体が得られること、およびこの過程が可逆的であることが示されている。さらに、市販のIvIg製品を処理することによって自己抗体が得られることが発見された。これらの実験に基づくと、正常な血液がどのようにして、通常のスクリーニング手法によっては検出されることなく、また病気を引き起こすことなくして自己抗体を含み得るのかということに関する理論は、自己抗体は他の抗体と一緒に自由に循環しているが、正常な個体では自己抗体の抗原結合部位が何らかの形でマスクされているか、不活性化されているというものである。本発明に従って発見されているマスクされた抗体は大量かつ多様であるため、このようなマスクされた抗体が健常な個体において一定の役割を果たしているにちがいないことは明らかである。このようなマスクされた抗体における有益な役割は、ヒトの母乳中にマスクされた抗体が見られることで裏付けられている。さらに、酸化還元状態に変化があると自己抗体の結合部位が脱マスクされ得るという理論の下では、自己抗体の抗原結合部位を脱マスクさせる酸化によって自己免疫疾患が開始または悪化すると理論付けることも可能である。さらに、脳脊髄液内でマスクされた抗体が発見されたことは、自己抗体が、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患に関与しており、自己抗体を脱マスクすることによってこれらの疾患を発生または悪化させ得ることを示唆している。CNSにおけるタンパク質のニトロシル化が、アルツハイマー病の発病を示す初期の指標の一つであることが知られている。これが脳で進行している場合には、酸化還元反応性自己抗体の制御も解いてaPLとなすのかもしれない。これらのaPL抗体は、次に脳内のリン脂質と相互作用を開始して、アルツハイマー病患者の脳をMRI検査したときに見られる脳の病斑および萎縮の多くをもたらすのかもしれない。さらに、この理論は、一定の血漿タンパク質の結合特異性を変えることができるという、より一般的な機序を示唆するものである。
本発明の基礎を形成している発見の即時的な実用は、新しく発見された得られる自己抗体をほとんど制限なく供給することができ、自己抗体が、自己免疫および他のaPL関連疾患の実験室診断用の診断キットにおける標品として使用可能である。以前は、自己抗体は、自己免疫疾患の個体または標準的なアッセイで自己抗体が陽性である個体から得られると考えられていたために、商業的利用の大量の自己抗体を集めることは、困難であった。個々の患者の静脈切開術から得ることができる、または自己抗体に関して試験陽性と判明している、患者の群からの血液をプールすることによって得ることができる、そのような血液の量は限られている。米国特許第5,885,793号で記述したような、ファージライブラリーをスクリーニングするといった自己抗体を得る他の方法も、難しく、多大な時間がかかり得る。
マスクされた抗体の存在または存在しないことに関して、血液試料を試験することは、特定の個体における酸化ストレスに続いて、どんな抗体が現れるかを予兆または予期し得るので、重要な診断的価値がある。
本発明の目的は、酸化還元状態を変化させることによって可逆的に変えることができる結合特異性を有するタンパク質の結合特異性を可逆的に改変する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、血液、血清、血漿、生乳、リンパ液、またはCNS液などの生体液、特に正常な個体から採取した生体液から自己抗体を得る方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、被験者における自己抗体を不活性化するのに充分な抗酸化剤を、該被験者に投与することによって、自己免疫疾患の被験者を治療する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、自己免疫疾患の被験者を、該被験者の自己抗体を体外で不活性化することによって、治療する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、酸化還元状態を変化させることによって可逆的に変えることができる結合特異性を有する抗原結合部位を有する単離免疫グロブリンならびに結合特異性を改変するのに充分な酸化剤またはDC電流を暴露した、少なくとも1つのタンパク質が含まれる生体液、または生体液のタンパク質含有抽出物を含む製品を提供することである。
本発明のさらなる目的は、ルーチン臨床アッセイにおいて、自己抗体の存在に関してテスト陰性である1人またはそれ以上の個人由来の生体液が、自己抗体の存在を示すように処理された該生体液試料を提供することである。
これらのおよび他の目的は、生体液または生体液のタンパク質含有抽出物中の少なくとも1つのタンパク質の結合特異性を改変させる方法であって、該タンパク質が、生体液または抽出物中のタンパク質に、循環タンパク質の結合特異性の可逆的な改変をもたらす酸化剤や直流電流(DC)を暴露させて、タンパク質の酸化還元状態の変化おこすことで可逆的に改変することができる結合特異性を示す結合部位を有するものである方法により達成される。
目的はさらに、液体培地中に懸濁または溶解した、少なくとも1つのタンパク質を含む組成物を提供する工程、方法であって、タンパク質の結合特異性に改変を起こし得るのに充分な、酸化剤またはDC電流に暴露することで、酸化還元状態の変化し、改変され得る結合特異性を有するタンパク質からなる方法により達成される。
他の実施形態において、本発明は、生体液または生体液の抽出物由来の自己抗体または他のマスクされたタンパク質を検出または取得する方法であって、該自己抗体または他のマスクされた循環タンパク質が抗原またはリガンドに結合可能になるように、該自己抗体または他のマスクされた循環タンパク質の結合特異性を改変するのに充分な酸化剤またはDC電流に、該自己抗体または他のマスクされた循環タンパク質暴露すること、それによって、生体液または抽出物から検出可能および回収可能になること、および該自己抗体または他のマスクされた循環タンパク質を、生体液から回収することを含む方法に関する。
他の実施態様において、本発明は、酸化還元状態を変化させることによって可逆的に変えることができる結合特異性を有する結合部位を有する単離免疫グロブリンに関する。
他の実施形態において、本発明は、自己免疫疾患の被験者に、被験者中の自己抗体の結合部位の酸化的活性化を阻害または反転させるのに充分な量の抗酸化剤を投与することによって、自己免疫疾患を治療する方法に関する。自己免疫疾患を患っている人の治療には、非マスク化タンパク質を減少させ、マスクされたタンパク質として置換するための血液の体外処理が含まれ得る。
他の実施形態において、本発明は、正常者の生体液または抽出物に、どの自己抗体がマスクされているかのスクリーニング方法に関し、つまり酸化および起電力により、暴露される、または非マスク化された場合、個体の自己免疫疾患を引き起こす自己抗体の、可能性のある抗体プロファイルを構築することに関する。
特定の非限定例として、免疫グロブリン混合物のような生体液または抽出物は、自己抗体が、血液、血漿または血清、または抽出物中において検出可能となり、血液、血漿または血清、または抽出物から回収可能となるように、生体液または抽出物中に含まれる少なくとも1つの自己抗体の結合特異性の改変をもたらす酸化剤またはDC電流に暴露され得る。
本発明は、生体液または生体液の抽出物における少なくとも一つのタンパク質の結合特異性を改変する方法に関する。
一般的には、本発明の対象であるタンパク質は、動物の循環系、リンパ系、脳脊髄液、または母乳で天然に見られるタンパク質である。このようなタンパク質の例には、抗体およびその他の血漿タンパク質が含まれる。非限定的な例として、このタンパク質は、IgG、IgAまたはIgMのアイソタイプの抗体または自己抗体であってもよい。特に、本発明は、本明細書において、タンパク質の酸化還元状態を変化させることによって可逆的に変えることができる結合特異性を有するという特性をもつタンパク質の仲間を目的としている。この性質をもつ、自己抗体などの循環タンパク質が存在するという本発明者らの発見が、本発明の基礎を形成している。抗体以外の一定のタンパク質も、酸化還元状態を変化させることによって変えることができる結合特異性を有することが発見されているため、本発明は、抗体または自己抗体に限定されるものではない。これらの非抗体タンパク質には、キニノゲン、プロトロンビンおよび/またはβ2グリコプロテインが含まれる。
本明細書において使用される「マスクされたタンパク質」という用語は、正常な個体の血液またはその他の体液中に存在するが、正常な個体または正常な個体から採取した試料の中では、その結合部位がマスクされ、遮断され、または抗原に結合できないため、レセプター−リガンド結合を利用する通常の結合アッセイ法によっては検出することができない循環タンパク質であるが、そのマスクされたタンパク質を含む試料を、例えば、本発明の方法に係る酸化剤または電流に曝露するなどして、その酸化還元状態を変化させる処理を行うと抗原に結合できるようになり、試料中で検出可能になる循環タンパク質などのタンパク質に付された名前であり、それを記述するものである。マスクされたタンパク質の一例は、本発明に係る自己抗体であり、下記の表2に記載されたものを含むが、それらに限定されない。本発明者らが発見したように、マスクされた自己抗体は、相当な量が正常な血液中を循環しているが、抗体−抗原結合を利用する通常のアッセイ法では検出することができない。本明細書で考察するとおり、マスクされた自己抗体は、その結合特異性を変えるのに十分な酸化還元状態に置かれると検出可能で回収可能になる。
本発明の基礎をなす発見の後に、血液、血清、母乳、脳脊髄液、およびIvIg抽出物などの試料をさまざまな自己抗原およびその他の抗原でスクリーニングして、酸化によって脱マスクすることができるマスクされた自己抗体を同定することが可能になった。酸化によって脱マスクすることができたマスクされた自己抗体には、以下の表2に記載されたものが含まれる。
Figure 2008536920
*栄養芽細胞基底膜の反応性は、胎盤溶出液を用いたFaulkらで報告されている反応性ときわめて似ている[27]。
表2で使用されている略語は以下のとおりである:
aCL、抗カルジオリピン
aPC、抗ホスファチジルコリン
aPE、抗ホスファチジルエタノールアミン
aPS、抗ホスファチジルセリン
APPT、活性化部分トロンボプラスチン時間
dRVVT、希釈ラッセル蛇毒時間
ELISA、酵素結合免疫吸着測定法
RIA、放射免疫測定法
従って、本発明は、上記免疫グロブリンのいずれかの結合特異性を、それらの特定の抗原について非結合状態から結合状態に変える方法を含む。さらに、本発明の方法によって脱マスクされる上記免疫グロブリンは、これまで発見されていない自己抗体の仲間を代表するものであると考えられる。従って、本発明は、さらに、酸化還元状態を変化させることによって可逆的に変えることができる結合特異性を有する結合部位をもつ単離免疫グロブリンを含む。「単離免疫グロブリン」という用語は、その自然な状態から取り出された免疫グロブリンを意味する。例えば、本発明の免疫グロブリンは、典型的には、その抗原結合部位が本来の環境では非結合状態のままであるため、生体試料中ではこれまで検出できなかった免疫グロブリンである。しかし、酸化剤またはDC電流で処理するなど、試料を処理して酸化還元状態を変化させると、この免疫グロブリンは、それぞれ特定の抗原に特異的に結合できるようになる。この免疫グロブリンが特定の抗原に特異的に結合できるようになったことを利用して、それを試料から検出、単離および/または回収することができる。
さらに、最初、HCV(C型肝炎ウイルス)について陰性の検査結果であった血液、血清またはIvIgの試料が、本発明に係る処理の後HCVについて陽性の検査結果になることが分かっているが、このことは、正常な個体が、循環血の中にマスクされた抗HCV抗体を持っていることを示唆している。
タンパク質の「結合特異性を変える」という用語は、酸化または還元によるなどして、タンパク質が変更または改変されて、それまでは特異的に結合することができなかった抗原またはリガンドに特異的に結合できるようになる処理を意味する。また、この用語は、酸化または還元によるなどして、タンパク質が変更または改変されて、それまでは特異的に結合することができた抗原またはリガンドに特異的に結合できなくなるようにする処理にも適用することができるが、ここで、この用語は、可逆的な変化を意味するものであって、タンパク質の変性のような永久的で不可逆的な変化を意味しないことは当然である。「脱マスク」という用語は、酸化還元状態の変化によって、マスクされたタンパク質の結合特異性が変わり、そのため、この変化した結合特異性を利用した結合アッセイ法によってこのタンパク質を検出できるようになる処理を意味する。特に、ある抗原またはリガンドについて、マスクされたタンパク質の結合特異性を非結合状態から結合状態に変えることができ、それによって、タンパク質は脱マスクされると考えられる。
「自己抗体」という用語は、動物の免疫系によって産生され、自己抗原、すなわちその動物自体が産生する化合物または抗原に結合する任意の元々存在する抗体を意味する。
「体液(bodily fluid)」または「生体液(biological fluid)」という用語は、血漿、血清および全血、唾液、尿、乳汁、脳脊髄液などの中枢神経(CNS)液、ならびに循環タンパク質などのタンパク質であってもよい、その他の液体および分泌液など任意の体液を含む。体液は、抗体を産生する任意の脊椎動物に由来するものであればよいが、具体的には哺乳動物および鳥、もっとも具体的にはヒトである。「生体液のタンパク質含有抽出物」という用語は、免疫グロブリン画分のように生体液から回収または分離された調製物を意味する。本発明で使用することができる、血液、血清または血漿などの生体液は、被験者から新しく採取したばかりのものでもよいし、血液バンクまたはその他の血液収集施設から入手した、プールされた血液または血漿の調製物などの由来源から得ることができる。本発明の目的にとって、血液、血清または血漿は、期限切れまたはその他の理由で血液バンクや血液収集施設の基準を満たさないことが分かっている回収物から得ることもできる。この説明は、ヒトの血液、血漿および血清、ならびにその他の生体液に焦点を置いているが、動物から得た生体液に本発明と同一の方法を適用することができ、獣医薬に関係する目的で同様の動物抗体が得られるはずである。例えば、ウマおよびニワトリの試料で類似自己抗体が検出されている(データは示さず)。好ましくは、本発明の方法で使用される生体液を希釈して、そこに含まれているかもしれない抗酸化剤の作用を低下されることができる。
さらに、本発明の方法は、IvIg調製物などの抽出物、またはその他の免疫グロブリンの単離抽出物または濃縮液に対して実施することができる。下記の実施例で詳述するように、このような調製物は、未処理の場合、最低レベルの自己抗体しか示さない。本発明の方法に従って酸化剤またはDC電流で処理すると、このような調製物から、マスクされた自己抗体などのマスクされたタンパク質を検出および回収することが可能になる。
本発明の方法において、生体液中の少なくとも1つの循環タンパク質または血漿タンパク質の結合特異性は、前記タンパク質を酸化剤または電流に暴露することによって改変される。例えば、タンパク質が非マスク化されるために、つまり本方法が実施される前に、タンパク質が結合不能であった抗原に、結合可能になるために、マスク化した循環タンパク質の結合特異性が変わり得る。その結合特異性が改変されたタンパク質は、ついで、特異的結合に基づいた任意の分離方法によって単離、および回収し得る。
酸化剤を使用して本発明を実施する場合、酸化剤は、生物学的分子の酸化還元状態を変化可能である任意の化合物であり得る。より特異的には、酸化剤は、電子供与体として働く他の分子に対して、電子受容体として働くことによって還元される能力のある分子である。適切な酸化剤としては、配位金属、特に鉄などの酸化金属を含有する環状化合物が挙げられる。酸化剤の例には、限定はしないが、ヘミン(hemin)およびクロロフィルが挙げられる。過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)または過マンガン酸カルシウム(KMnO4)などの他の酸化剤も挙げられる。典型的には、酸化剤を使用する際、生体液または抽出物と酸化剤との混合物を、一定時間、典型的には、約1日〜一晩インキュベートしなければならない。酸化剤は、改変可能な結合特異性を持つタンパク質の結合特異性を改変するのに充分な濃度で、しかし、タンパク質を破壊または変性しない濃度で使用すべきである。自己抗体の場合、異なる種類の自己抗体が、異なる抗酸化剤と、異なって相互作用し得る。例えば、aPC自己抗体の非マスク化に関しては、KMnO4で、ヘミン程ではないが、非常に良い結果である。
DC電流を使用して、本発明を実施する場合、本方法は、処置すべき試料を含む導電性溶液中に、陽極および陰極電極を浸すような、任意の電流を伝達する方法によって実施し得る。典型的には、生体液を含む溶液を、改変可能な結合特異性を持つタンパク質の結合特異性を改変するのに、充分な大きさ(magnitude)、および充分な期間の電位に暴露し得る。陽性の結果が、溶液を、数秒間〜数分間、6〜24ボルトの電位に暴露することによってえられ得ることがわかった。実施例で議論するように、電流への長期の暴露で、結合特異性の改変は可逆的となる。
特別な理論にとらわれなければ、自己抗体の場合には、自己抗体のFab部位にある抗原結合部位を酸化するのに十分な量および時間、酸化剤または電流に自己抗体を曝露することが好ましい。抗ニトロチロシン抗体による検出法を用いたさらなる実験によって、ヘミンによる酸化に曝露されたIgGが、無処理IgGよりも高度のニトロシル化を示すことが分かった。従って、タンパク質の抗原結合部位の変化、特に自己抗体の抗原結合部位の変化は、抗体の超可変領域の中や周辺でチロシン残基の可逆的なニトロシル化をもたらし、抗原結合部位における立体構造の変化を生じさせる可能性がある。
目的とする特定のタンパク質が、その酸化還元状態を変えることによって改変することのできる結合特異性を有するタンパク質であるか否か、および目的とする特定のタンパク質の結合特異性を変えるための一連の条件の有効性は、例えば、タンパク質または生体液を酸化剤に曝露するなどして、タンパク質またはタンパク質を含む生体液に酸化還元状態の変化を与え、次に、ELISAまたはその他のリガンド−レセプターアッセイ法を用いて、タンパク質の結合特異性が変化したか否かを判定することによって簡単に決定することができる。換言すると、被験者から採取した試料または一組の試料の測定を、酸化還元状態の変化を与える前と後に行ない、その処理によってタンパク質の結合特異性が変化したか否かを見ることができる。例えば、簡単な実験によって、特異的自己抗体を回収するのに最も適した酸化剤を直ちに判定することができる。
本発明のさらなる態様は、自己免疫疾患がいかにして生じ得るかについての新しい理解に基づいて、この疾患をもつ被験者を治療できる可能性である。例えば、健常な個体ではマスクされた形態で存在する自己抗体を脱マスクすることによって自己免疫疾患が生じることが分かっているならば、例えば、被験者を酸化剤または還元剤で処理して、自己抗体をマスクされた状態に戻すなど、マスクされた自己抗体を阻害または逆転させることに焦点を置いて治療および予防を行うことができる。自己抗体の脱マスク反応を阻害することが分かっている薬剤には、アスコルビン酸、ヘモペキシン、およびアポトランスフェリンなどの抗酸化剤が含まれる。同様に、治療法は、被験者から血液試料を採取すること、この血液試料を、該血液試料中で自己抗体を不活性化させるのに十分な抗酸化剤、還元剤または電流に曝露すること、および血液試料を被験者に戻すことを含む。
本発明のさらなる態様は、個体の生体液や抽出物をスクリーニングして、どの自己抗体がマスクされているかを判定し、それによって、酸化や動電力に曝露されるかそれによって脱マスクされるならばその個体で自己免疫疾患を引き起こす可能性のある自己抗体の潜在的抗体プロファイルを構築する方法である。例えば、一般論として、被験者からの生体試料をアッセイして、その試料中で検出可能な自己抗体の量および/または種類を決定することができる。その後、被験者からの生体試料を酸化剤またはDC電流に曝露して処理し、被験者からの生体試料をアッセイして、処理した試料中で検出可能な自己抗体の量および/または種類を決定することができる。その後、処理工程前の試料中で検出可能であった自己抗体の量および/または種類を、処理工程後の試料中で検出可能であった自己抗体の量および/または種類と比較することができる。これら同一の方法工程を行って、具体的な試料中のタンパク質の結合部位の改変を行うための具体的な化合物、組成物または条件を決定することができる。
未処理の血液、血漿、血清またはIvIg試料、および本発明の方法に従って処理した血液、血漿または血清またはIvIg試料を凍結乾燥および輸送または保存が可能であることがわかった。試料を再構成するときに、各個の活性を保持する。
本発明を記述するにあたって、以下の実施例が、本発明を実施するために現在知られている最良の態様を含む、本発明の特定の利用を例示するために与えられる。実施例は、ほぼ年代順で示しており、本発明の効果を達成するために必要な成分および手順の理解の進展を示している。これらの特定の実施例は、本明細書に記述した本発明の範囲を限定するものではない。
他に言及しない限り、本明細書で記述した実施例1〜17のそれぞれに関して、以下の手順が一般的に使用された。正常aPL陰性被験者由来の、10mlの全血試料、または5mlの血清または血漿、および4〜5mlのパック(packed)された哺乳類赤血球細胞を、30mlのビオメリュー(Biomerieux)ブランドの細菌培養増殖培地(少なくとも以下の成分を含む:蒸留水、ダイズ−カセイン消化ブロス、酵母抽出物、デキストロース、スクロース、ヘミン、メナジオン(ビタミンK3)、ピリドキサールHCl(ビタミンB6)、およびポリアンエトレスルホネートナトリウム(SPS)および活性炭(charcoal))を含むバイアルに加えた。ついで、この混合物を、37℃、18〜22時間で振とう(rocking)ないし振動(shaking)しながらインキュベートした。インキュベーションおよび遠心分離(centrifugation)に続き、インキュベートした血液または血清/RBCを、24の別個のaPL試験結果を与える包括的イン−ハウスELISA(Comprehensive in-house ELISA)aPLフォーマットを用いて、抗リン脂質抗体(aPL)の存在を試験した。試験手順は、以下の文献に、より詳しく記述され、その文献は本明細書に、組み込まれている。Wagenknecht DR他、「抗リン脂質抗体アッセイの進化、評価および解釈(Evolution, Evaluation and Interpretation of Antiphospholipid Antibody Assays)」Clinical Immunology Newsletter, Vol.15, No.2/3(1995)pp.28-38、およびMcIntyre JA他、「ボランティア血液ドナー中の抗リン脂質抗体(aPL)の頻度および特異性(Frequency and Specificities of Antiphospholipid Antibodies(aPL)in Volunteer Blood Donors)」、Immunobiology 207(1):59-63,2003。
図1は、包括的イン−ハウスELISA(Comprehensive in-house ELISA)aPLフォーマットを用いて試験した24の別個のaPL特異性を示している。4つの特異性 1)aPS=抗ホスファチジルセリン、2)aCL=抗カルジオリピン、3)aPE=抗ホスファチジルエタノールアミン、および4)aPC=抗ホスファチジルコリン、が評価された。これらのaPL特性のそれぞれに関し、3つの免疫グロブリンアイソタイプ、IgG、IgAおよびIgMを探索した。各特異性および各アイソタイプを、それぞれ緩衝液に希釈したサプリメント(supplement)、10%成体ウシ血漿(ABP)(リン脂質結合血漿タンパク質を含む)、または1%ウシ血清アルブミン(BSA、リン脂質結合血漿タンパク質を欠く)の存在下(依存性)および非存在下(非依存性)で評価した。被験者の血液試料の最終希釈は、1/50〜1/100の間であった。
本明細書で記述された種々の実験より得た24種のaPL特異性の結果を以下の図で与えた。陽性/陰性の発見を、上記McIntyre JA、Immunobiologyにて記述されたように、775人の正常血液の供給者由来の試験血漿試料に基づいた多重平均(MoM)で表している。+++の存在は、強力な抗体活性を示している。+および++の表示は、それぞれ低いおよび中程度の抗体活性を示している。図はまた、各aPL特異性およびアイソタイプ組み合わせにおける、正常範囲値を与えている。
PL結合タンパク質「依存的」と示された縦列中の陽性結果は、抗リン脂質抗体(aPL)が、示した特定のリン脂質に初期に結合した血漿タンパク質に、実際、結合していることを示している。一般的に、PSおよびCLによって結合可能である血漿タンパク質には以下のものがを内包される:ベータ2−糖タンパク質I、プロトロンビン、プロテインC、プロテインS、アネキシンV、および補体成分因子HおよびC4(例えば、McIntyre, J.A.、Wagenknecht,D.R. およびFaulk,W.P.「抗リン脂質抗体:発見、定義、検出および疾患(Antiphospholipid antibodies: Discovery, definition, detection and disease)」Prog. Lipid Res.42(3):176-237、182ページを参照のこと)。血漿タンパク質結合の生理学的特性は、すべてのリン脂質に関して、以前は知られてはいないが、このような結合は、血漿タンパク質構造の立体構造変化を誘導すると考えられ、それによって、個体の自己抗体によって標的とされる新規なまたはあいまいな(cryptic)エピトープを曝すと考えられる。一般的に、リン脂質PEによって結合可能である血漿タンパク質には、以下のものが含まれる:高分子量および低分子量キニノゲン、第XI因子、プレカリクレインが含まれる。後者2つのタンパク質は、高分子量キニノゲンへの結合の際に、それらの忠実性(Fidelity)に基づき検出可能である。PCに結合する血漿タンパク質はいまだに決定されていない。ある実験において、血漿−タンパク質非依存的なaPLが観察されている(図3を参照のこと)。この活性の可能な解釈は、元来血液試料中に存在する、残余のリン脂質結合血漿タンパク質の存在を表しているということである。
実施例1
正常の被験者由来の血液試料を、上記の手順に従い、インキュベートし、試験した。aPL ELISAの結果を、図2に示している。図2で示すように、インキュベートした血液試料は、正常者範囲の縦列中で示した正常、未処理血液と比較して、自己抗体の活性の著しい存在を示した。とりわけ、強力な自己抗体活性は、aPS(IgG)、aCL(全てのアイソタイプ)、およびaPE(IgG)のタンパク質依存の部類で示されている。低いIgG aPC自己抗体の活性、または活性が無いことは、ヘミンを酸化剤として使用した初期の実施例および手順において、特徴的な発見であった。この結果は、PCに対する自己抗体、特にIgGアイソタイプである自己抗体は、異なっており、恐らく他に行うのと同様の方法では活性化しないことを示している。後半の実験で、aPCの著しいレベルが、KMnO4で処置した試料中で検出可能であることがわかった(データは示していない)。
実施例2
7人の健康な被験者から得た血液試料を、上記の手順に従ってインキュベートおよび試験をした。とりわけ、全ての7人の患者の血液を、20分間以内に得て、同一条件下で20時間インキュベートした。図3は、これらの7つの試料のaPLセロコンバージョン(aPL seroconversion)の範囲を示している複合表である。これらの結果は、異なる個体間に、検出されたaPLレベルならびに存在するアイソタイプにおいて、ばらつきがあることを示している。それにもかかわらず、本発明によって示されたように、各個体が、インキュベーション後に検出できるaPL抗体を持つ。
実施例3
最初の実験において、正常被験者由来の血清試料を、上記の基本的な手順に従い、インキュベートおよび試験した。インキュベーション混合物では、ウマ赤血球細胞(RBC)を、ヒトRBCの代わりに使用した。aPL ELISAの結果を図4に示している。図4で示したように、著しいaPL活性が、特にaPS(IgGおよびIgM)およびaCL(IgAおよびIgM)に関して得られた。
第二の実験において、ヒト血清の代わりに、ウマ血清を、ヒトRBCと共にインキュベートし、上記の基本的な手順に従って試験した。aPL ELISAの結果を、図5に示している。図5で示したように、aPL活性は得られなかった。(本実験で使用したELISAアッセイは、aPLを検出するために、ヒト抗体特異的アルカリホスファターゼ標識の抗体プローブを使用したので、インキュベートした試料がウマaPLを含んだかどうかは未知である)。
図4および5で要約して示した結果は、すべてのaPLが、第一の実験ではウマRBCを用いているので、ヒトRBCから放出されたのではなく、ヒト血漿由来の本発明のセロコンバージョン過程中に得られ、ヒトRBCのかわりに、ヒト抗体を欠くウマRBCを使用し、陽性の結果を示していること、一方、第二の実験は、ヒトRBCの存在下でウマ血清を使用して、陰性の結果を示していることを明白に示している。
実施例4
正常被験者由来の血液試料を、インキュベーションを高い温度でのかわりに室温(22℃)で実施したことを除き、上記の基本的な手順に従ってインキュベートおよび試験した。図6は、試料が、室温でインキュベートした際には、セロコンバージョンを受けなかったことを示している。これらの結果は、セロコンバージョンの工程が、温度感受性であり得ることを示唆している。
実施例5
正常被験者由来の血液試料を、活性炭(charcoal)の代わりにインキュベーション混合物中の粒子固体として、0.7mm デガラン(Degalan)(プラスチック)ビーズを使用することを特徴とし、上記の基本的な手順に従ってインキュベートおよび試験した。セロコンバージョンを示している初期実験で活性炭を使用したので、活性炭がセロコンバージョン中に特定の役割を果たすかどうかを決めるために、この実験を実施した。図7は、活性炭の代わりにプラスチックビーズを使用した場合にさえ、試料がセロコンバージョンを示したことを示している。これらの結果は、活性炭の役割が、実際は化学的にではなく機械的であり、プラスチック、樹脂またはガラスビーズのような、任意の粒子固体を使用可能であることを示している。任意の特定の説に限定することなしに、粒子成分が、RBC膜上で研磨剤として働き、おそらくこれが、RBC AE1/Band3タンパク質との、またはSNOヘモグロビン遷移分子との、または両方との相互作用によって、RBCからのNOイオンの放出を引き起こすと理論を立てることができる。機械的な研磨の可能性は、実施例6での観察によって支持され、そこでは、ネガティブアッセイ(negative assay)の結果は、振とう(rocking)ないし振動(shaking)されていないインキュベーション混合物でも示されている。粒子固体は自己抗体放出を支援する物理的機能もはたし得る。
実施例6
正常被験者由来の血液試料を、インキュベーション混合物を振とうないし振動せずに、静止させたことを除いて、上記の基本的な手順に従ってインキュベートし、試験した。図8は、試料を静止させたままである時、セロコンバージョンを受けなかったことを示している。これらの結果は、この運動が固体粒子とRBC間の相互作用を促進し得ることを示唆している。試料のインキュベーターへの移動によって産出されるようなわずかな量の運動が、少量のaPL放出を産出し得るが、静止インキュベーション(stationary incubation)条件は、aPL放出を促進しなかった。
実施例7
正常被験者由来の血液試料を、遠心によるRBCおよび活性炭のインキュベーションおよび除去の後に、インキュベーション混合物を56℃にて30分間加熱したという追加した特徴で、上記の基本的な手順に従ってインキュベートおよび試験した。図9は、検出したaPLの量が、本手順により著しく増加したことを示している。
実施例8
Biomerieuxからの細菌培養増殖培地の代わりに、異なる供給業者(ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson)、スパークス(Sparks)、MD)からの細菌培養増殖培地を使用した特徴で、正常被験者由来の血液試料を、上記の基本的な手順に従ってインキュベートおよび試験した。図10は、試料が、ベクトンディッキンソン培地中でセロコンバージョンを表したことを示しており、そして、これは本発明の方法が、特定の供給源からの細菌培養増殖培地に依存しないことを示唆している。
実施例9
正常被験者由来の血液試料を、インキュベーションを好気性条件下(酸素およびCO2の存在下)のかわりに、嫌気性条件下(窒素下)で実施したという特徴で、上記の基本的な手順に従ってインキュベートおよび試験した。図11は、試料が、嫌気性条件下でもセロコンバージョンを示したこと、および本発明の方法が、嫌気性環境に依存しないことを示している。
実施例10
正常被験者由来の血液試料を、K562細胞(ヒト造血腫瘍細胞株)を、赤血球細胞の代わりに使用した特徴で、上記の基本的な手順に従ってインキュベートおよび試験した。さらに、本発明の方法において典型的に使用したパック(pack)RBCの3〜4mlと比較して、1130万個のK562細胞だけが、培養培地中に存在した。図12は、試料が、セロコンバージョンを示したことを示している。
他の実験によって、他の単離された細胞種、リンパ球、単球および好中球とインキュベートした試料が、aPLセロコンバージョンを典型的に示していないことが示された。特に、リンパおよび脊髄系の白血球は、aPL放出を促進せず、L14と命名されたブタBリンパ球の細胞株も促進しなかった(データは示していない)。これらの結果は、K562細胞およびRBCがヘモグロビンを含み、リンパ球、単球および好中球はヘモグロビンを含まないので、ヘモグロビンがインキュベーション混合物中で、鍵となる成分であり得ることを示唆している。
実施例11
正常被験者由来の血液試料を、細菌培養増殖培地をヒト細胞を増殖させるために使用される細胞培養培地:RPMIと置換したことを除いて、上記の基本的な手順に従ってインキュベートおよび試験した。図13は、セロコンバージョンがおこらなかったことを示している。この実験は、本発明の目的のためには、細菌培養培地中のいくつかの成分の重要性を示している。RPMIが、ヒト細胞のために設計された培養培地である一方で、バイアルブロス(viral broth)に置換したときにaPL放出を促進しない。2つの異なる微生物学バイアルブロスのリストと、RPMIとの成分の比較が、RPMIが、ヘミンおよびビタミンK3と呼ばれるメナジオン(人工プロビタミンK)を欠くことを示す。ヘミンが、RBC由来のイオンのポルフィリンキレーター(Fe+++)であり、メナジオンは、脂溶性ビタミンである。このことは、酸化還元反応が、自己抗体の放出において、役割を果たし得ることを示唆している。
実施例12
臍帯血試料を、上記の手順に従ってインキュベートおよび試験した。臍帯血液を新生児の誕生後に取り、また、誕生前に胎盤を子宮壁から分離した。母親血液または新生児臍帯血いずれもが、従来の実験室アッセイにおいて、aPLの存在を示さなかった。本明細書で記述した本発明に従って処理した場合、強力なaPL抗体が、図14で示したように、臍帯血試料中での存在を示した。抗体は、IgGのみであり、母由来の抗体と適合可能である知見である。誕生の前に、母親がIgGを胎児へ伝達するので、この実験は、胎児血液中で胎児によってマスクされたままであるトロホブラスト(trophoblast)上の特殊化したFcγレセプター(FcγRn)によって、マスクされた母由来の自己抗体が、胎児に輸送されることを示したようにみられる。本発明の方法によるセロコンバージョンの前に、母親の血液および臍帯血は、aPL陰性であることを示し、そして検出されたIgMまたはIgA免疫グロブリンがなかったので、これらの発見は、セロコンバージョンの後で、臍帯血にて観察されるIgG aPLは、起源は母であるという論点を支持している。FcγRnを発現するトロホブラストは、HLA抗原を発現しないことも興味深い。
実施例13
正常被験者由来の血漿試料を、上記の基本的な手順に従って、インキュベーション混合物中のRBCに代わってニトロプルシドナトリウム(SNP、200マイクロモーラー)を用いたという特徴で、インキュベートおよび試験した。図15は、試料がセロコンバージョンを提示したことを示している。
SNPは、強力な酸化窒素(NO)ドナー(donor)であるので、これらの結果はNOラジカルが、自己抗体の放出に関与するという支持証拠が提供され、RBCからNO-供与体を与える役割を、RBCおよび固体粒子が果たすという説をさらに支持する。ニトロプルシドナトリウムは別として、他のフリーラジカル介在反応も自己抗体の放出を引き起こし得る。
実施例14
正常被験者由来の血液試料を、上記の基本的な手順に従ってインキュベートし、ループス性抗凝固因子活性に関して試験した。ループス性抗凝固因子または阻害剤は、aPLの他の型であり、典型的に、機能的な実験室アッセイ(functional laboratory assay)によってのみ検出可能である。図16中の結果は、ループス阻害剤陰性個体から採取し、本発明の方法により処理したセロコンバートされた血液中に、強力なループス性抗凝固因子(LA)を示している。dRVVTアッセイ中のセロコンバートしたブロスに、正常な血漿を添加することで、最初に補正(initially corrected)した一方で、結果として1〜2時間のインキュベーションにより、阻害剤が再現された。この時間枠は、混合の研究によって導入された、LAまたは非マスク化抗体が関与するリン脂質結合血漿タンパク質に結合するのにかかる時間として提示される。1:1混合が、因子を欠いた試料中で、凝固時間を補正する充分なレベルの凝固因子を与えるので、凝固因子不足の可能性も除外する。希釈プロトロンビン時間(dPT)は、正常血漿の存在下では補正しなかった。そして凝固時間の延長の増加は、正常血漿とのインキュベーションの後に観察され、これは強力なループス阻害剤を示す。
実施例15
五人の正常被験者由来の血液試料を、上記の基本的な手順に従ってインキュベートし、他の型の自己抗体の存在を蛍光顕微鏡によって試験した。これらの五人の個体からの血清および血漿試料は、本発明の指導に従った処理以前において、陰性であった。図17は、Hep−2細胞株を用いて同定された、追加の自己抗体の特異性を列挙している。抗核小体(強皮症関連)、抗ラミン(核孔で非常に明るい)、抗ミトコンドリア(細胞質性)、および抗中心小体が同定された。この結果は、本発明の方法によって放出された自己抗体は、ELISAに基づく試験以外の、異なる検出法である蛍光顕微鏡によっても検出可能であることを示している。この結果により、aPL以外の多くの型の自己抗体が、その血清および血漿が、ルーチンな実験室解析(routine laboratory analysis)において、これらの抗体に関して陰性であると試験された個体の血液中で、マスクされていることが確認される。
これらの結果から、より多くの自己抗体特異性が、本発明により処理された血液を試験することにより、発見されることが期待される。
実施例16
正常被験者由来の血液試料を、上記の基本的な手順に従ってインキュベートし、フローサイトメトリーおよび蛍光共役型抗ヒトIgG抗体を用いて、単球との反応性に関して試験した。比較試験を、未処理プール正常ヒト血清(NHS)、本発明で使用した同一の正常被験者由来の血清、および陽性対照ヒト血清で実施した。(処理した血液は、リンパ球および好中球との自己反応性は示さなかった。データは示していない。)図18は、フローサイトメトリーによって定義したように、細胞の正常被験者の単球ポピュレーション(population)の、前方散乱(大きさ)および側方散乱(粒度)プロファイルを描写している。この細胞の単球ポピュレーションは、CD14モノクローナル抗体との反応性を示すことによって確認した。図19Aは、NHSとの抗単球応答性を示している。示された中央値応答性(median reactivity)は、直線スケール上で、743.50である。図19Bは、正常被験者由来の血清の自己抗単球活性を示しており、この被験者は、自己単球に対する抗体活性を持たない。示された反応性の中央値は、737.00である。図19Cは、本発明に従って処理した後、図19Bで示した被験者由来の血液試料の自己抗単球活性を示している。示された中央値は、864.00であり、強力な自己抗単球活性を示している。本発明の教示に従って処理した血漿が、1/8の希釈で使用されたという事実にもかかわらず、原液の陽性対照血清でよりも、単球に対してより大きい反応性を示した。従って、本実施例は、本発明の方法に従って処理した血液または血清試料が、単球を特異的に標的とする自己抗体を放出することを示している。同様の結果が、本発明の教示に従って処理した場合に、他の個体からの4つのさらなる試料に関して、文献となっている。
実施例17
RELISA(登録商標)スクリーニングアッセイを用いた、抗核抗体(ANA)の存在に関する比較試験を、未処理臍帯血;振とうせずに、本発明の方法に従ってインキュベートした臍帯血;振とうした本発明に従い、処理した臍帯血;ANA陰性の健康的なドナー(ACSとして同定された)由来の未処理血清、および本発明の方法に従ってインキュベートした、同一のANA陰性、および本発明の方法によって処理された健康的なドナー由来血清について実行した。図20で示したように、顕著な量のANAが、本発明の方法によって処理した臍帯血および血清中で同定された。図16および17での結果から、より多くの自己抗体特異性が、本発明によって処理された血液を試験することによって、発見されるのが待たれる。
実施例18
自己抗体の放出の現象における赤血球細胞の役割を理解するために、赤血球細胞を、赤血球細胞の活性を模倣し得るより単純な成分で、置き換えた実験を設計した。本実験において、赤血球細胞と活性炭を、ニトロプルシドナトリウム(SNP)と塩化第二鉄で置き換えた。ニトロプルシドナトリウムが、強力な酸化窒素産出物(nitric oxide powder)であり、RBCがNO-のキャリヤーであると知られているので、この置換を実施した。塩化第二鉄(FeCl3ストック溶液、25μM)を、ヘモグロビン中の鉄との置換物として加えた。
細菌培養増殖培地と、5mlのヒト血漿または血清、種々の濃度のニトロプルシドナトリウム(SNP、200μm)、および外因性(exogenous)の塩化第二鉄(4.1μm最終濃度)を含む培養ボトルを、赤血球細胞および活性炭の代わりに使用し、37℃にてインキュベートし、ついで56℃にて30分間加熱した。試料は、aPLのセロコンバージョンを示したが、IgGしか示さなかった(データは示していない)。
この結果によって、NO-が、抗体非マスク化に関与していることが示唆され、また、培養ボトル中の固相物質(solid phase material )の機械的な作用が、赤血球細胞を分解させ、NO-を放出することが示唆された。あるいは、NOの放出または修飾によって、ヘモグロビン分子を、酸化還元反応に参加できるようにし得る。
実施例19
非マスク化した自己抗体の効果が、血清または血液中の、自己抗体含む巨大分子構造の分解によるのかどうか、あるいは抗体自身の結合特異性の直接的な変化によるのかどうかを決定する目的で、市販されている静脈内免疫グロブリン(IvIg)を、ヒト血漿または血清と置き換えた一連の実験で実施した。市販されているIvIgは、多数のドナー、一般的には1,000〜10,000ドナーからの、プールした血漿のアルコール沈殿フラクションである。一般的には、IvIgは、主にIgGを含み、IgA、IgMおよび他の血漿タンパク質は含まない。未処理IvIgを、ELISA試験によって、自己抗体の存在について試験したときに、試験の結果は陰性である。その調製の方式のために、IvIgはまたリポタンパク質ミセル、小胞または他の巨大分子構造を含まない。従って、IvIgが、インキュベーション処置の後に、自己抗体の存在に関して陽性であった場合に、自己抗体がIvIg調製物中に、すでに存在するIgG抗体の改変によって得られたものであり、自己抗体を遮蔽する構造または小胞の破壊によるのではないと考えるべきである。
以下の実施例において、使用したIvIgの市販されている調製物は、凍結乾燥IvIg(イムノグロブリンイントラベノウス(ヒト)ガンマ−PI.V.、(Immune Globulin Introvenous (Human) Gammar-PI.V.)、アベンティスベーリング(Aventis Behring)、Kankakee、Illinois)であった。
5グラムの凍結乾燥IvIgの市販されている調製物を、無菌リン酸緩衝食塩水(PBS、100mg/ml)中に再構築した。1.7mlの再構築したIvIg溶液を細菌培養増殖培地を含む培養ボトル(赤血球細胞または活性炭なし)に加え、37℃にて20時間インキュベートした。インキュベートした混合物は、セロコンバージョンと、aPL IgGの存在を示した(データは示していない)。(予想したように、IgGのみが検出され、IgAまたはIgMは検出されなかった。)
同様の実験で、自己抗体が、室温、振動バイアル中でインキュベートした混合物中で検出されたが、37℃ほど良い結果ではなかった(結果は示していない)。
約37℃でのIvIg細菌増殖培地混合物の加熱によって、さらなる自己抗体の増加はなかった。
対照として、ボトルからだしたそのままのIvIgを、aPLおよび他の自己抗体に関して試験したが、結果は陰性であった。
実施例20
実施例19において、自己抗体が、細菌増殖培地中の市販されているIvIg調製物をインキュベートすることによって得られることが示された。次の段階は、細菌培養増殖培地中のどの成分が、検出可能な自己抗体を産出する役割を果たしているかを決定することを試みることである。
まず、2%トリプシン処理大豆ブロス(TSB)(それぞれ大豆のカゼインの膵臓消化対パパイヤ消化の比、17:3で、ペプトン類を含む)(残余物は水である(the remainder being water))中のIvIgを、振とうしながら、37℃にて20時間インキュベートした。インキュベートした混合物を、aPLの存在について試験し、結果は陰性であった。
次に、IvIgを、大豆ブロス、ニトロプルシドナトリウム(SNP)およびヘミン(鉄(第二鉄)含有プロトポルフィリン)中の試験管内で、37℃にて20時間、振とうしながらインキュベートした。使用した量は、合計1mlの大豆ブロス中、60マイクロリットルのIvIg、5マイクロリットルのSNP、および5マイクロリットルのヘミンであった。インキュベートした混合物は、aPL、特にaPS(15MoM)およびaPE(41MoM)の存在に関して陽性であると試験された(データは示していない)。
実施例21
一連の実験を実施して、ヘミンのみとのインキュベーションが、IvIg中、血漿または血清中での自己抗体の出現を引き起こすのに充分であり得るかを決定した。
再構築した凍結乾燥IvIg(100mg/mlの濃度)を、ヘミンを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液中に加え、37℃にて20時間インキュベートした。使用した量は、総量1ml中300μlのIvIg溶液と5μlのヘミン溶液(75μg)であった。
図21で示したように、インキュベートした混合物は、著しい量のaPSおよびaPE IgGを示しており、それほどにはないにせよ、aCL IgGを示した。
血清または血漿を、同様の条件下でヘミンとインキュベートした場合、自己抗体は検出されなかった。
実施例22
IvIgをヘミンとともにインキュベートしたとき、自己抗体の存在のために、陽性の結果が得られたが、血清または血漿はヘミンとインキュベートした場合に得られた陰性の結果は、血清または血漿は自己抗体の処理を阻害または干渉する物質を含み得るということを示唆している。
一連の実験において、ヒト血清を漸増していった量(本発明者のもの)を、インキュベーションの前にバッチ(batch)に加えたという追加特徴で、実施例21の工程と同様に、IvIgをヘミンとともにTris緩衝液中で、37℃にて20時間、インキュベートした。各分離バッチ(separate batch)を、aPS、aCL、aPEおよびaPC自己抗体の存在について試験し、結果を図22に示している。図22で示した結果は、血清の漸増していった量が、自己リン脂質抗体の放出において、阻害効果を持ったことを示している。同様の結果が、血清を血漿に置換した場合にも見られた(データは示していない)。これらの結果に対する可能な解釈は、第二鉄状態の鉄分子を含み活性酸化剤として知られているヘミンが、結合部位の改変が自己抗原への結合をできるように、特定の免疫グロブリン分子の結合部位を酸化させるために働き得るということである。この工程は、血液中の基質(substance)、おそらく抗酸化剤によって阻害され得る。
実施例23
ヒト血清(本発明者のもの)を、Tris緩衝液中1/10に希釈した。一連の実験において、1mlバッチ中のこの希釈した血清を、特に、0μl、10μl、25μlおよび50μlとともにヘミンの量を増加させ、インキュベートした。(以前に、IvIgからのそのような放出を引き起こすのに充分であったけれども、ヘミンそれ自身は、血液または血清から、自己抗体の放出を引き起こすのに充分ではなかったことがわかった。従って、血清を希釈する目的は、抗酸化物質のような血液中にみられ、干渉する任意の基質の効果を希釈するためである。)バッチをaPS、aCL、aPEおよびaPC自己抗体の存在について試験し、結果を図23に示す。図23に示した結果は、0または10μlのヘミンを加えた場合には、希釈血清中で自己抗体の量が検出されず、25μlのヘミンで著しい量が検出されたことを示している。理由はわからないが、検出された自己抗体の量は、50μlのヘミンでは、少なかった。
実施例24
次の一連の実験を、血液中に存在するビタミンCのような抗酸化剤が、自己抗体の放出を阻害し得るかどうかを決定するために設計した。一連の実験において、アスコルビン酸(ビタミンC)の増加量を、ヘミン含有緩衝液に加え、IvIgを添加する前および、インキュベーション前に、30分間混合した追加特徴で、IvIgをヘミンを含むTris緩衝液中でインキュベートした。図24に示したように、1mgのビタミンCで、ヘミン誘導によるaPE放出の約78%阻害があり、この量はビタミンCの生理的な濃度を表している。aPS放出での二相性曲線が存在し、低濃度でのビタミンCは酸化剤として働きえるが、高濃度では抗酸化剤(還元剤)となるという可能性が提起される。
実施例25
次の一連の実験は、得られた結果において、ヘミンを溶解したビヒクルが得られた結果に影響を及ぼすかどうか、およびヘミン中の鉄原子が必要かどうかを決定するために設計された。一連の実験で、IvIgを、ヘミン、または他の添加物とともに、Tris緩衝液中でインキュベートした。特に、1例として、ヘミンをNaOHで可溶化した。もう1つの例としては、DMSOにて可溶化した。他の例では、ヘミンと同様の分子であるが、鉄(Fe+++)を含まないヘマトポルフィンIX(hpIX)を、ヘミンの代わりに使用し、NaOHまたはDMSOで可溶化した。他の例において、NaOHおよびDMSOを、対照として(ヘミンまたはhpIXなしで)試験した。図25において示したように、NaOH可溶化ヘミンの使用によって、自己抗体の存在について陽性の結果が得られ、一方でヘミン+DMSO、hpIX+NaOH、hpIX+DMSO、NaOHのみ、およびDMSOのみでは、陽性の結果が得られなかった。
実施例26
ヘミンが、抗体の酸化を引き起こしていることをさらに確立するために、当モル量のヘモペキシン(Hpx)を、IvIg PBSヘミン混合物に加えた。Hpxは、ヘム鉄に対して、並はずれて高い結合親和性を持つ抗酸化剤分子である。SciPac(Kent、England)から購入した凍結乾燥Hpxを、10mg/mlで、PBS中に再構築した。図26で示したものは、IvIgGに対するヘミンの増加の濃度と、IvIgGに対し、ヘミンおよびヘミンと当モル濃度のHpxの増加の濃度によって計数した結果である、aPS酸化還元データである。ヘミンとHpx間の1:1結合相互作用が存在するので、Hpxが、ヘミン中に存在する第二鉄イオンの酸化還元能力を打ち消すことができた。
実施例27
IvIgの酸化処理によって得ることができる自己抗体の広い範囲および活性を例示するために、一連のウエスタンブロットを、ヘミン処理IvIgまたは未処理IvIgを一次抗体として使用し、抗ヒトHRPタグ化共役物を対照として使用して、3つの異なる細胞株からの細胞溶解物を用いて設定した(HRP=ホースラディッシュペルオキシダーゼ)。ブロットを図27に示す。「B」溶解物は、リンパ腫の患者からのRajaと呼ばれるリンパ球細胞株である。「T」溶解物は、白血病患者からの、Jurkatと呼ばれる、Tリンパ球由来細胞株である。U87MG溶解物は、膠芽細胞腫細胞株(脳腫瘍)である。還元溶解物を、50mg/mlの濃度で、ゲル内に供した。ヘミン処理IvIg調製物を得るために、75μgのヘミンを、6mgのIvIgGを含む1mlのPBSと混和した。インキュベーションを、20時間37℃で実施した。図27において、ヘミン処置IvIgを一次抗体として用いたブロットを、「試験IgG(Test IgG)」と標識し、未処理IvIgを、一次抗体として用いたブロットを、「対照(Control)」と標識し、一次抗体なしで、抗ヒトHRPタグ化共役物を適用したブロットを、「二次(Secondary)」と標識した。ヘミン処理および未処理IgG調製物を、それぞれ、1/1000で希釈した。抗ヒトHRPタグ化共役物を、1/5000の希釈で使用した。
これらのデータは、ヘミン処理IvIgが、活性を持たない未処理IvIgGおよび共役物対照と比較して、ヒト細胞成分に対して、充分な活性をもつことを明らかに示している。
実施例28
次の実験を、ヘミン以外の酸化剤、特に、鉄を含まない酸化剤が非マスク自己抗体に対して効果的であり得るかどうかを決定するために実施した。総容量1mlのリン酸緩衝食塩水中の、100μMの濃度の25μgの過マンガン酸カリウム(KMnO4)と2mgのIvIgの混合物を、37℃にて一晩インキュベートした。インキュベート混合物中、aPCおよびaPSが検出可能であった。aCLが通常では検出されたが、aPEはされなかった(データは示していない)。後に、aPEが検出されなかった理由が、KMnO4が、ELISA試験で使用したPEリン脂質抗原を変更させるからであることがわかった。
実施例29
自己抗体が、酸化反応によって非マスク化可能であることが示された後、次の疑問は、電源からの電動力のような電気化学的方法が同様の効果を達成可能であるかどうかであった。
IvIgを、リン酸緩衝食塩水溶液中に溶解し、別個の実験で、亜鉛メッキ鋼、銅またはステンレス鋼電極を、9ボルト電池の陽極および陰極に接続し、1〜2分間溶液中に浸した。この期間、泡立ちが溶液中で確認され、PBS溶液の色が変化した(銅ワイヤを使用した場合青色、ステンレス鋼ワイヤを使用した場合褐色、亜鉛メッキ鋼ワイヤを使用した場合緑色)。図28Aおよび図28Bで示したように、処理した溶液が、aPL依存試験にてaPS、aCL、aPEおよびaPC自己抗体の存在下で陽性であるとわかり、また、aPL非依存試験でaPS、aPEおよびaPC自己抗体の存在に関して陽性であった。
実施例30
溶液との金属の相互作用をさけ、それによって、電流の効果のみを決定するために、黒鉛電極を、金属電極の代わりに使用した。黒鉛は不活性であるが、反応に参加することなしに、導電性溶液中に、電子を通過させることができる。
IvIgを、リン酸緩衝食塩水溶液中に溶解し、6ボルト電池の陽極および陰極に接続した黒鉛電極を、60秒間この溶液中に浸した。図29で示したように、処理した溶液が、aPS、aPEおよびaPC自己抗体の存在に関して陽性であるとわかった。
実施例31
リン酸緩衝食塩水中のIvIgの溶液に、電流を流すことを含む実験において、pHの著しい増加が観察され、これはおそらくNaOHの形成によるものである。反応を生理学的pHレベルに維持するために、細胞培養培地、RMPIを、リン酸緩衝食塩水と置換した。
次の一連の実験を、自己抗体の非マスク化における、電流への暴露の時間の効果を決定するために使用した。IvIgをRMPI中に溶解し、細胞培養培地、および6ボルト電池の陽極および陰極に接続した黒鉛電極を、時間間隔を変えて溶液中に浸した。図30で示したように、依存aPLの最大放出を、電流への暴露の60秒後に得た。不思議なことに、2分間と4分間の間で、aPLの量が減少したか、あるいは無くなった。
実施例32
先の実験によって、aPL抗体を電流への暴露の後に、IvIgから得ることができるが、aPL抗体がさらなる電流への暴露の後に消えたことが示されたので、次なる疑問は、自己抗体の非マスク化が、電流によって逆転可能であったかどうかである。すなわち、陽性対照の血清を、自己抗体がもはや検出可能ではないように処理可能であるか、どうかである。
別の実験において、1:400の希釈でのaCL陽性対照血清、1:75の希釈でのaPE陽性対照血清、および1:400の希釈でのaPSを、6ボルト電池の陽極および陰極に接続した黒鉛電極を240秒間まで浸すことによって電流に暴露した。図31A〜図31Cで示したように、それぞれの対照の血清は、そのそれぞれの特異性に対し陰性となった。
実施例33
実施例32での結果に基づいて、次の求められる疑問は、自己免疫疾患を患う患者の自己抗体が、患者血清を電流に暴露したときに、再マスク化されるかどうかである。aPSおよびaCLのレベルが増加した患者からの血清を、リン酸緩衝食塩水で1/400に希釈し(PBS中での希釈は、10〜15分で、1,000のOD値を達成する量である)、6ボルト電池の陽極および陰極に接続した黒煙電極を、時間間隔を変えてこの溶液中に沈めた。図32で示したように、自己免疫患者の血清中で検出可能なaCLおよびaPSの量は、30秒後に著しくに減少し、2分後にはもはや観察されなかった。これらの実験を、他の患者の抗体で繰り返し、同様の結果が得られた(データは示していない)。
実施例34
初期の実験で、非常に特異的で高いタイターのIgA aPEを持つ患者からの血液試料を、日常的に用いられる微生物学培養ボトル中で、ヘミンに暴露した。ヘミンへの暴露の後、そのIgA aPEが消えたことが観察され、IgG aPS、aCL、およびもっとも飛躍的にIgG aPEの出現が、aPL ELISAで検出された。この時点で、この現象に対する説明は明らかではなかった。
電流を用いるより速い非マスク化工程の開発に伴って、高いaPEを持つ他の患者の、より早く結果を確認することが可能になった。この実験において、高いaPEを持つ患者からの血清を1/75までPBS中で希釈し、6ボルト電池の陽極および陰極に接続した黒鉛電極を、時間間隔を変えてこの溶液に浸した。図33で示したように、aPEは、6ボルトDC電流適用で30秒以内に検出されなくなり(マスク化され)、同時にaPSおよびaCL IgGの非マスク化と検出された。新規に非マスク化されたaPLは、30秒付近でピークとなり、暴露の2〜4分後に再びマスク化となった。
以上の実験によって取り組んだ重要な技術的観点は、aPE患者を、アッセイで使用した血漿タンパク質希釈液から離して処理したことであり、この場合は、10%成体ウシ血漿(ABP)であった。示してはいない他の実験にて、希釈した患者の血清を、ELISA希釈液にて使用した血漿タンパク質を加える前に、6ボルトEMF状態に暴露した。これらの実験の重要な観点は、EMF効果が、患者の抗体に適用されており、希釈液中で使用した血漿タンパク質中のEMF変化には適用していないことを示すことである。
これらの実験データは、酸化還元反応が、異なる抗体特異性の出現および消失を決定しているという所見を支持する。これらの実験からまた学んだことは、酸化還元効果が、抗体結合部位(群)、抗体分子のFab部位に限定されるように見えることである。このことは、ELISAで使用した異種抗ヒト抗体標識共役物(heterologoous antihuman antibody-labeled conjugates)が、抗体分子の異なる抗体重鎖標的(Fc部位)を認識し続けている共役物として影響されなかったからである。従って、ヒト抗体が、酸化還元によって消費されず、破壊されないので、最も説得力のある説明としては、抗体分子のFab部位中の抗体結合部位が、酸化/還元過程において参加可能な接近可能な電子(accessible electrons that can participate in the oxidation/reduction process)を含む、というものである。
実施例35
次の実験は、自己抗体以外の血漿タンパク質が、酸化−還元によって改変した結合特異性を有し得るかどうかを調べるために実施した。これらの実験において、10%成体ウシ血漿(ABP)溶液、タンパク質依存性のaPL結合を決定するために使用したリン脂質結合タンパク質を含む同様の溶液を、時間間隔を変えて、6ボルト電池からの電流に暴露した。ELISAに用いた処理したABP試料を、ついで、ABPの処置がELISAの結果に影響を与えるかを調べるために、aPS、aCLおよびaPE陽性患者の血清で、アッセイした。図34で示したように、時間ゼロ(未処理ABP)で、陽性患者の血清は、いつもABP中でaPL応答性を示す。10%ABPを、長期間、酸化−還元に暴露(EMF)した場合、検出されたaPLの量は減少し、2分後では、aPE陽性血清はもはや陽性ではない。これらの結果は、患者のaPL応答性に反応する血漿タンパク質が、電流への暴露によって改変されることを示唆している。例えば、キニノゲンは、aPE依存的な反応で陽性ELISAシグナルを与えるのに関与している血漿タンパク質であるが(キニノゲンはPEに結合し、ついで抗体がキニノゲンに結合する。しかしながら、aPEは、PEまたはキニノゲンに、非依存的には結合しない)、このことは、ABP試料中のキニノゲンが、酸化還元暴露によって変更されていることを示している。aCLはまた、240秒間暴露にて陰性であり、この患者の血清が、aPL ELISAにて陽性シグナルを産出するために、プロトロンビンおよび/またはベータ2糖タンパク質(または両方が関与し得る)いずれかを要求するので、これらの2つのタンパク質は、酸化還元反応によって変更されたに違いない。同様の2つの血漿タンパク質が、aPS試料中に含まれる。
実施例35
ヒトの母乳が自己抗体を含んでいるか否かを調べるために実験を行った。本実験においては、5ヶ月齢の赤ん坊の母親から採取した母乳中のaPS、aCL、aPEおよびaPCのレベルを、ヘミンで処理した前後に測定した。図36に示すように、ODによって測定すると、各自己抗体の検出量は、ヘミンで処理した試料において劇的に増加した。従って、ヒトの母乳はマスクされた自己抗体を含んでいると結論することができる。このため、本発明は、さらに、ウシやヤギのミルクなど、ヒト以外の乳汁にマスクされた自己抗体を添加したものを含む製品を提供する。
実施例36
ヒトの脳脊髄液が自己抗体を含んでいるか否かを調べるために実験を行った。本実験においては、正常な個体から脊椎穿刺によって脊髄液を採取し、ヘミンで処理した前後にaPS、aCL、aPEおよびaPCの量について、BSA希釈用バッファーまたはABP希釈用バッファーに入れた試料のアッセイを行った。図36Aおよび図36Bに示すように、試料は、処理前は抗リン脂質抗体をまったく示さなかったか、最低のレベルしか示さなかったが、処理後は実質的に量が増加し、aPEおよびaPCはBSAバッファーにおいて最高レベルを示し、aPSおよびaCLはABPバッファーにおいて最高レベルを示した。
実施例37
ヘミン処理したIgGおよび対照IgGに対して抗ニトロチロシンアッセイ法を行って、ヘミン処理したIgGと対照IgGの間でニトロチロシンの量に違いがあるか否かを判定した。ELISA用プレートのウェルをヘミン処理したIgGまたは対照IgGでコートし、一晩乾燥させて、1%BSAでブロックし、洗浄してからマウス抗ニトロチロシン(1/3000、Upstate, USA、クローン1A6)と反応させた。洗浄後、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウスIgG(Sigma, St. Louis, Missouri)を加えた。さらに洗浄した後、37℃で2時間基質を発色させて、定量的測定を行った。図37に示すように、処理後IgGでは、かなり大きくニトロ化が増加したことが分かる。この発見は、本発明による抗体の結合特異性の改変が、抗原結合部位またはその近傍にあるチロシン残基のニトロシル化によって、結合部位の結合特異性に影響する立体構造の変化が誘導されるためにもたらされるとの理論を裏付けている。
実施例38
IvIgをヘミンとともにインキュベートして、フローサイトメトリーと蛍光結合抗ヒトIgG抗体を用いて、好中球との反応性について試験した。未処理のIvIgで比較試験を行った。図38Aは、IvIg NHSが存在しない場合の抗好中球反応性を示している。図38Bは、未処理IvIgの抗好中球反応性を示している。図38Cは、1mgのヘミン処理IvIgの自己抗好中球反応性を示し、図38Dは、3mgのヘミン処理IvIgの自己抗好中球反応性を示しており、強い自己抗好中球反応性を示している。従って、本発明の方法によって処理されたIvIgは、膜結合ペルオキシダーゼ、特にNADPHペルオキシダーゼを含む好中球を特異的に標的とする抗体を放出することが分かった。これらの結果は、脱マスクした抗体が、「呼吸バースト」を含む反応とスーパーオキシドイオンの形成に関与することを示唆している
実施例39
別の動物で自己抗体を検出することができるか否かを調べるために実験を行った。この実験では、aPS、aCL、aPEおよびaPCのウマ血漿におけるレベルを、ヘミンで処理した前後に測定した。図39Aおよび図39Bに示すように、ODによって測定すると、各自己抗体の検出量は、ヘミンで処理した試料において劇的に増加した。従って、ウマ血漿はマスクされた自己抗体を含んでいると結論することができる。同様の実験において、IgYアイソタイプの自己抗体がニワトリで検出された(データは示さず)。
明らかに、本発明の多くの改変および変化は、上記教示に関して可能である。従って、付随する請求項の範囲内で、本発明は、特に記述された以外にも実施し得ることが理解されるべきである。
下記記述の多くの実施例にて使用した、イン−ハウス(in-house)酵素免疫測定アッセイ(ELISA)によって評価した、特定の抗リン脂質抗体(aPL)を列記している表である。 実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした、正常なaPL陰性被験者由来の血液試料に関するaPLアッセイ結果を要約している表である。 実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした、7人の正常aPL陰性個体由来の血液試料のaPLアッセイ結果を要約している構成表である。 実施例の最初の項目で記述した方法に従い、その手順においてヒトRBCの代わりにウマ赤血球細胞(RBC)を用いたことを特徴とする、インキュベートした正常aPL陰性被験者からの血清試料についての、aPLアッセイ結果を要約している表である。 ウマ血清をヒト血清の代わりに使用したことをのぞいて、実施例の最初の項目で記述した方法に従って、実施した血清試料のインキュベーションのaPLアッセイ結果を要約している表である。 インキュベーションを、室温(22℃)にて実施したことをのぞいて、実施例の最初の項目で記述した方法に従って、インキュベートした正常aPL陰性被験者由来の血液試料についてのaPLアッセイ結果を要約している表である。 0.7mm デガラン(Degalan)(プラスチック)ビーズを、インキュベーション混合物中、粒子個体として使用したことを特徴とし、実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした、正常aPL陰性被験者からの血液試料に関する、aPLアッセイ結果を要約している表である。 インキュベーション混合物を、振とうまたは振動するかわりに、静止させたままにした以外は、実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした正常aPL陰性被験者由来の血液試料についてのaPLアッセイ結果を要約している表である。 インキュベーション混合物を、56℃まで30分間加熱したことを特徴とし、実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした、正常aPL陰性被験者由来の血液試料についてのaPLアッセイ結果を要約している表である。 異なる供給業者(ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson)、Sparks、Md)からの細菌培養増殖培地を、Biomerieuxからの細菌培養増殖培地の代わりに使用したことを特徴とし、実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした、正常aPL陰性被験者由来の血液試料についてのaPLアッセイ結果を要約している表である。 インキュベーションを、嫌気性条件下で実施したことを特徴とし、実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした、正常aPL陰性被験者由来の血液試料について、aPLアッセイ結果を要約している表である。 K562細胞(ヒト腫瘍細胞株)をRBCの代わりに用いたことを特徴とし、実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした正常aPL陰性被験者由来の血清試料についてaPLアッセイ結果を要約している表である。 細菌培養増殖培地からヒト細胞を増殖するために用いた細胞培養培地で置き換えたことを除いて、正常aPL陰性被験者由来の血液試料についてのaPLアッセイ結果を要約している表である。 正常のaPL陰性母親および乳児からの臍帯血試料についてのaPLアッセイを要約している表である。 ニトロプルシドナトリウム(SNP)を、インキュベーション混合物中でRBCの代わりに用いたことを特徴とし、実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした正常aPL陰性被験者由来の血液試料についてのaPLアッセイ結果を要約している表である。 実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートした、血液試料に関する、ループス抗凝固活性の結果を要約している表である。血液試料は、その血液が、本発明の工程によるセロコンバージョンの前に、ループス抗凝固は陰性である対象から得た。 実施例の最初の項目で記述した方法に従ってインキュベートする、血液試料中で同定された、他の型の自己抗体を列記している表である。列記した抗体は、免疫蛍光顕微鏡によって同定した。 フローサイトメトリーによって、密度勾配分離したヒト白血球細胞に関して定義した、細胞の単球集団の、前方散乱(大きさ)および側方散乱(粒度)プロファイルを示しているグラフである。 プールした正常ヒト血清(NHS)の単球応答性を示しているフローサイトメトリーヒストグラムである。ヒストグラム中に、存在するならば、抗体活性を、水平軸にそって中央チャネル値(ログスケール)でのシフトによって測定した。 単一な正常被験者由来の血清の単球応答性を示しているフローサイトメトリーヒストグラムである。ヒストグラム中に、存在するならば、抗体活性を、水平軸にそって中央チャネル値(ログスケール)でのシフトによって測定した。 実施例の最初の項目で記述した方法に従って処理した図19Bで示した被験者由来の血液試料の、単球応答性を示しているフローサイトメトリーヒストグラムである。ヒストグラム中に、存在するならば、抗体活性を、水平軸にそって中央チャネル値(ログスケール)でのシフトによって測定した。 陽性対照血清の単球活性を示しているフローサイトメトリーヒストグラムである。ヒストグラム中に、存在するならば、抗体活性を、水平軸にそって中央チャネル値(ログスケール)でのシフトによって測定した。 RELISA(登録商標)スクリーニングアッセイを用いて、種々の試料の、抗核抗体(ANA)試験の結果を要約している表である。 トリス緩衝液中で、ヘミンとともにインキュベートした、IvIgの試料に関する、aPLアッセイ結果を要約している表である。 調製物に加えた、ヒト血清(μl)の量に応じて、ヘミンとともにインキュベートした、連続IvIg調製物中で検出された、(光学密度、ODによって測定されたような)aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。 ヘミン(μl)の量に応じて、ヘミンとともにインキュベートした調製物に加えた一連のヒト血清調製物中で検出された(光学密度、ODによって測定されたような)aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。 調製物に加えたビタミンC(μl)の量に応じて、ヘミンとビタミンCとともにインキュベートした、連続IvIg調製物中で検出された、(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。 NaOH可溶化ヘミン、DMSO可溶化ヘマトポルフィリンIX(hpIX)、NaOH可溶性hpIX、NaOHのみ、DMSOのみ、およびDMSO可溶性ヘミンとともにインキュベートした、連続IvIg調製物中で検出された、(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。 増加ヘミン量、および増加ヘミンおよびヘモペキシン(hpx)とともにインキュベートした一連のIvIg調製物中で検出された、(光学密度、ODによって測定されたような)aPSの量を示しているグラフである。 抗ヒトHRPタグ化共役物を対照として使用したブロットとともに、一次抗体として使用したヘミン処理IvIgおよび未処理IvIgで、3つの細胞溶解物を得たウエスタンブロットを示している。 図28Aおよび28Bは、9ボルト電池に接続した電極を、IvIgを含むリン酸緩衝食塩水溶液中に2分間浸した、一連のIvIg調製物中で検出した(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPL非依存性およびaPL依存性aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。 6ボルト電池に接続した電極をIvIgを含むリン酸緩衝食塩水溶液中に60秒間浸した、一連のIvIg調製物中で検出した、(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。 浸す時間に応じて、6ボルト電池に接続した電極を、IvIgを含むリン酸緩衝食塩水溶液中に浸した、一連のIvIg調製物中で検出した(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。 6ボルト電池に接続した電極へ、240秒間の暴露前後で、対照溶液中で検出された、それぞれ(多重平均、MoMsによって測定されたような)aCLの量を示しているグラフである。 6ボルト電池に接続した電極へ、240秒間の暴露前後で、対照溶液中で検出された、それぞれ(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPSの量を示しているグラフである。 6ボルト電池に接続した電極へ、240秒間の暴露前後で、対照溶液中で検出された、それぞれ(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPEの量を示しているグラフである。 aPSおよびaCL陽性患者のPBS希釈血清中で検出した、(多重平均、MoMsによって測定されたような)それぞれ、aPSおよびaCLの量を示しているグラフである。この実験で、6ボルトの電池に接続した黒鉛電極を、様々な時間量で希釈血清中に浸した。 aPE陽性患者のPBS希釈血清中で検出された、それぞれ、(多重平均、MoMsによって測定されたような)aPS、aCL、aPEおよびaPCの量を示しているグラフである。この実験で、6ボルトの電池に接続した黒鉛電極を、様々な時間量で希釈血清中に浸した。 aPE陽性患者のPBS希釈血清中で検出された、それぞれ、(光学密度、ODによって測定されたような)aPS、aCL、およびaPEの量を示しているグラフである。この実験で、タンパク質依存aPL結合の決定において使用した10%成体ウシ血漿(ABP)を、様々な時間量で、ABP中に、6ボルト電池に接続した黒鉛電極を浸すことによって処置した。 ヒト母乳のインキュベートしていない試料中で検出されたaPS、aCL、aPE、およびaPCの量(光学密度ODで測定したもの)を、ヘミンとインキュベートしたヒト母乳試料中で検出されたそれらの量と比較したグラフである。 インキュベートしていない試料と、ヘミンとインキュベートした試料の両方について、それぞれ正常な被験者のCSF液中で検出されたaPS、aCLおよびaPEの量(光学密度ODで測定したもの)を示すグラフである。PBSで希釈した試料とABPで希釈した試料について結果を示す。 インキュベートしていない試料と、ヘミンとインキュベートした試料の両方について、それぞれ正常な被験者のCSF液中で検出されたaPS、aCLおよびaPEの量(光学密度ODで測定したもの)を示すグラフである。PBSで希釈した試料とABPで希釈した試料について結果を示す。 ヘミンで処理されたIgG試料、およびヘミンで処理されていないIgG試料においてモノクローナル抗ニトロチロシン抗体で検出可能なIgGの量を比較したグラフである。 種々のIvIg調製物の好中球活性を示すフローサイトメトリーのヒストグラムである。 種々のIvIg調製物の好中球活性を示すフローサイトメトリーのヒストグラムである。 種々のIvIg調製物の好中球活性を示すフローサイトメトリーのヒストグラムである。 種々のIvIg調製物の好中球活性を示すフローサイトメトリーのヒストグラムである。 ウマ血清のインキュベートしていない試料中で検出されたaPS、aCL、aPE、およびaPCの量(光学密度ODで測定したもの)を、ヘミンとインキュベートしたウマ血清の試料中で検出されたそれらの量と比較したグラフである。 ウマ血清のインキュベートしていない試料中で検出されたaPS、aCL、aPE、およびaPCの量(光学密度ODで測定したもの)を、ヘミンとインキュベートしたウマ血清の試料中で検出されたそれらの量と比較したグラフである。

Claims (56)

  1. 液体培地中に懸濁または溶解された少なくとも1つのタンパク質を含む組成物を提供する工程であって、該タンパク質がその酸化還元状態の変化によって、可逆的に改変可能である結合特異性を有する工程、および
    該タンパク質の結合特異性の変化を可逆的にもたらすのに充分な酸化剤、または電位に、該組成物を暴露する工程
    を含む方法。
  2. 前記液体培地が、該タンパク質を天然に含む体液を含む請求項1記載の方法。
  3. 前記体液が脊椎動物に由来する請求項2記載の方法。
  4. 前記体液が哺乳類または鳥類に由来する請求項2記載の方法。
  5. 前記体液がヒトに由来する請求項2記載の方法。
  6. 前記体液が、希釈または未希釈の全血、血清、血漿、生乳、リンパ液またはCNS液を含む請求項2記載の方法。
  7. 前記組成物が静脈注射用免疫グロブリン(IvIg)を含む請求項1記載の方法。
  8. 前記タンパク質が、IgG、IgAまたはIgMアイソタイプの抗体である請求項1記載の方法。
  9. 前記タンパク質が、IgG、IgAまたはIgMアイソタイプの自己抗体である請求項1記載の方法。
  10. 前記タンパク質が、抗体以外のタンパク質である請求項1記載の方法。
  11. 前記酸化剤が、配位金属原子を含む環状化合物である請求項1記載の方法。
  12. 前記酸化剤が、配位鉄原子を含む環状化合物である請求項1記載の方法。
  13. 前記酸化剤がヘミンである請求項1記載の方法。
  14. 前記酸化剤がKMnO4またはNaIO4である請求項1記載の方法。
  15. 前記酸化剤がクロロフィルである請求項1記載の方法。
  16. 前記酸化剤が、電子供与体として作用する他の分子に対する電子受容体として作用することによって還元される能力を有する分子である請求項1記載の方法。
  17. 前記タンパク質が、該タンパク質の抗原結合部位またはリガンド結合部位に少なくとも1つのチロシン残基を含み、酸化剤または電位が、抗原またはリガンドの結合部位にある少なくとも1つのチロシン残基の可逆的チロシンニトロシル化を促進することによって該タンパク質の結合特異性を変える請求項1記載の方法。
  18. タンパク質の結合特異性が、特異的な抗原またはリガンドについて結合能力を有さない状態から、該タンパク質が、その特異的な抗原またはリガンドについて結合能力を有する状態に変わる請求項1記載の方法。
  19. 生体液または生体液の抽出物を含む組成物を提供する工程であって、該生体液または生体液の抽出物が、酸化還元状態における変化によって変えることができる結合特異性を有する結合部位を有する少なくともマスクされたタンパク質を含む工程、
    該マスクされたタンパク質の結合特異性に変化をもたらすのに充分な酸化剤または電位に組成物を曝露して、それにより該タンパク質を脱マスクする工程、および
    組成物の中の脱マスクされたタンパク質を検出する、および/または組成物から脱マスクされたタンパク質を回収する工程
    を含む方法。
  20. 前記生体液が、希釈または未希釈の全血、血清、血漿、胎盤臍帯血、乳汁、リンパ液またはCNS液である請求項19記載の方法。
  21. 前記生体液が、複数の対象から集められた全血、血清または血漿である請求項19記載の方法。
  22. 前記マスクされたタンパク質が抗体である請求項19記載の方法。
  23. 前記マスクされたタンパク質がIgA自己抗体であり、生体液が哺乳動物の乳汁である請求項19記載の方法。
  24. 前記マスクされたタンパク質がIgG自己抗体であり、生体液がCNS液である請求項19記載の方法。
  25. 前記マスクされたタンパク質が、
    グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に特異的な抗体;
    チロシン脱リン酸化酵素(IA−2)に特異的な抗体;
    抗ループス抗凝固因子抗体;
    抗リン脂質抗体;
    抗核抗体(ANA);
    抗ラミン抗体;
    抗核小体抗体;
    抗核膜抗体;
    抗ミトコンドリア抗体;
    抗ゴルジ体抗体;
    抗顆粒球抗体;
    抗好中球抗体;
    抗単球抗体;
    抗Bリンパ球抗体;
    抗ミエロペルオキシダーゼ抗体;
    抗腫瘍細胞抗体;
    抗栄養芽細胞抗体;
    抗HLA抗体;
    抗第VIII因子抗体;
    血小板因子4/ヘパリン複合体抗体;および
    抗β2−グリコプロテインI抗体
    からなる群から選択される請求項19記載の方法。
  26. 前記マスクされたタンパク質が、抗カルジオリピン、抗ホスファチジルコリン、抗ホスファチジルエタノールアミンおよび抗ホスファチジルセリンからなる群から選択される請求項19記載の方法。
  27. 前記マスクされたタンパク質が、該タンパク質の抗原またはリガンド結合部位に少なくとも1つのチロシン残基を含み、酸化剤または電位が、抗原またはリガンドの結合部位にある少なくとも1つのチロシン残基の可逆的チロシンニトロシル化を促進することによってタンパク質の結合特異性を変える請求項19記載の方法。
  28. 抗体含有生体液から、または生体液の抗体含有抽出物から自己抗体を検出および/または取得および単離する方法であって、該生体液または抽出物が、本方法を行う前は自己抗原に結合することができず、そのために、自己抗原のレセプター−リガンド結合を利用したアッセイ法では検出することができない自己抗体を含み、
    該生体液または抽出物を、自己抗体の結合特異性を変えるのに充分な酸化剤またはDC電流に曝露して、該自己抗体を抗原に結合できるようにし、それによって、レセプター−リガンド結合分離法によって生体液または抽出物からの検出および回収が可能になるようにする工程、および
    生体液中で自己抗体を検出し、および/または生体液から自己抗体を単離および回収する工程
    を含む方法。
  29. 前記生体液が脊椎動物に由来する請求項28記載の方法。
  30. 前記生体液が哺乳動物または鳥類に由来する請求項28記載の方法。
  31. 前記生体液がヒトに由来する請求項28記載の方法。
  32. 前記生体液が、希釈または未希釈の全血、血清、血漿、生乳、リンパ液またはCNS液を含む請求項28記載の方法。
  33. 前記生体液が、複数の対象から集めた、希釈または未希釈の全血、血清、血漿、生乳、リンパ液またはCNS液を含む請求項28記載の方法。
  34. 前記組成物が静脈注射用免疫グロブリン(IvIg)を含む請求項28記載の方法。
  35. 自己抗体が、IgG、IgAまたはIgMアイソタイプの自己抗体である請求項28記載の方法。
  36. 前記生体液が哺乳動物の乳汁であり、自己抗体がIgA自己抗体である請求項28記載の方法。
  37. 前記生体液がCNS液であり、自己抗体がIgG自己抗体である請求項28記載の方法。
  38. 前記酸化剤が配位金属を含む環状化合物である請求項28記載の方法。
  39. 前記酸化剤が配位鉄を含む環状化合物である請求項28記載の方法。
  40. 前記酸化剤がヘミンである請求項28記載の方法。
  41. 前記酸化剤がKMnO4またはNaIO4である請求項28記載の方法。
  42. 前記酸化剤がクロロフィルである請求項28記載の方法。
  43. 前記酸化剤が、電子供与体として作用する他の分子に対する電子受容体として作用することによって還元される能力を有する分子である請求項28記載の方法。
  44. 自己抗体が、
    グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に特異的な抗体;
    チロシン脱リン酸化酵素(IA−2)に特異的な抗体;
    抗ループス抗凝固因子抗体;
    抗リン脂質抗体;
    抗核抗体(ANA);
    抗ラミン抗体;
    抗核小体抗体;
    抗核膜抗体;
    抗ミトコンドリア抗体;
    抗ゴルジ体抗体;
    抗顆粒球抗体;
    抗好中球抗体;
    抗単球抗体;
    抗Bリンパ球抗体;
    抗ミエロペルオキシダーゼ抗体;
    抗腫瘍細胞株抗体;
    抗島細胞抗体;
    抗栄養芽細胞抗体;
    抗HLA抗体;
    抗第VIII因子抗体;
    血小板因子4/ヘパリン複合体抗体;および
    抗β2−グリコプロテインI抗体
    からなる群から選択される請求項28記載の方法。
  45. 前記マスクされたタンパク質が、抗カルジオリピン、抗ホスファチジルコリン、抗ホスファチジルエタノールアミンおよび抗ホスファチジルセリンからなる群から選択される請求項28記載の方法。
  46. 酸化還元状態を変化させることによって可逆的に変えることができる結合特異性を有する抗原結合部位を有する単離免疫グロブリン。
  47. 前記免疫グロブリンを酸化剤に曝露させた後、該免疫グロブリン分子が自己抗原に特異的に結合できるようになる請求項45記載の単離免疫グロブリン。
  48. 前記免疫グロブリンが、抗原結合部位に少なくとも1つのチロシン残基を有し、酸化還元状態の変化が、少なくとも1つのチロシン残基からの硝酸基の付加または除去をもたらすことによって免疫グロブリンの結合特異性を変える請求項45記載の単離免疫グロブリン。
  49. 前記免疫グロブリンの少なくとも1つのチロシン残基からの硝酸基の付加または除去が、免疫グロブリンの抗原結合部位における立体構造の変化を誘発する請求項47記載の単離免疫グロブリン。
  50. 前記免疫グロブリンが、
    グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に特異的な抗体;
    チロシン脱リン酸化酵素(IA−2)に特異的な抗体;
    抗ループス抗凝固因子抗体;
    抗リン脂質抗体;
    抗核抗体(ANA);
    抗ラミン抗体;
    抗核小体抗体;
    抗核膜抗体;
    抗ミトコンドリア抗体;
    抗ゴルジ体抗体;
    抗顆粒球抗体;
    抗好中球抗体;
    抗単球抗体;
    抗Bリンパ球抗体;
    抗ミエロペルオキシダーゼ抗体;
    抗腫瘍細胞株抗体;
    抗島細胞抗体;
    抗栄養芽細胞抗体;
    抗HLA抗体;
    抗第VIII因子抗体;
    血小板因子4/ヘパリン複合体抗体;および
    抗β2−グリコプロテインI抗体
    からなる群から選択される請求項45記載の単離免疫グロブリン。
  51. 自己免疫疾患である対象に、該対象における自己抗体の結合部位の酸化的活性化を阻害または逆転させるのに充分な量の抗酸化剤を投与する工程を含む、自己免疫疾患を治療する方法。
  52. 自己免疫疾患を治療する方法であって、
    自己免疫疾患を有する対象から血液試料を採取する工程、
    該血液試料における自己抗体の結合部位の酸化的活性化を逆転させるのに充分な酸化剤またはDC電流に血液試料を曝露する工程、および
    血液試料を対象に戻す工程
    を含む方法。
  53. 対象由来の生体液の第一の試料をアッセイして、試料中で検出可能な自己抗体の量および/または種類を測定する工程、
    該対象由来の同一種類の生体液の第二の試料を酸化剤またはDC電流に曝露して処理し、第二の試料をアッセイして第二の試料中で検出可能な自己抗体の量および/または種類を測定する工程、および
    第一の試料で検出可能な自己抗体の量および/または種類を、第二の試料で検出可能な自己抗体の量および/または種類と比較する工程
    を含む方法。
  54. 化合物または酸化還元状態の変化が、対象の生体液中の抗体の量および/または種類に与える影響を測定する方法であって、
    対象由来の生体液の第一の試料をアッセイして、試料中で検出可能な自己抗体の量および/または種類を測定する工程、
    該対象由来の同一種類の生体液の第二の試料を化合物または試料の酸化還元状態の変化に曝露して処理し、第二の試料をアッセイして第二の試料中で検出可能な自己抗体の量および/または種類を判定する工程、および
    第一の試料で検出可能な自己抗体の量および/または種類を、第二の試料で検出可能な自己抗体の量および/または種類と比較する工程
    を含む方法。
  55. 生体液または生体液のタンパク質含有抽出物を含む製品であって、生体液中に含まれている少なくとも1つのタンパク質の結合特異性を可逆的に変えるのに充分な酸化剤またはDC電流に曝露されている製品。
  56. ヒト母乳に由来するマスクされた抗体が添加されているヒト以外に由来する乳汁を含む製品。
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