JP2008536820A - 癌のdr5アゴニストに対するmyc依存性感受性の増強 - Google Patents

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Abstract

本発明は、DR5アゴニストとGSK3βアンタゴニストまたはhCDC4アンタゴニストのいずれかを組み合わせることによる、癌細胞におけるアポトーシスを誘発するための方法および組成物を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下、米国仮出願番号60/665,646(2005年3月24日出願)および60/717,644(2005年9月15日出願)に対する優先権の利益を主張する。これらの優先権出願の開示は、引用により、その全体として、かつすべての目的に関して、本明細書に包含される。
MYC癌原遺伝子は、転写因子のベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックスロイシンジッパーファミリーのメンバーである(Luscher, B., (2001). Gene 277, 1-14)にレビューされている。ヒトゲノム中の遺伝子の15%もの数において、プロモーターを結合すると考えられることから(Patel, J.H., Loboda, A.P., Showe, M.K., Showe, L.C. and McMahon, S.B., (2004). Nat Rev Cancer 4, 562-568)、MYCは、血管形成、ゲノム不安定性、分化の阻害、増殖、不死化および代謝を含む癌発達の種々のアレイにおいて役割を有する(レビューのために(Oster, S.K., Ho, C.S., Soucie, E.L. and Penn, L.Z., (2002). Adv Cancer Res 84, 81-154)参照)。逆説的に、ある状況下で、MYCはまた、通常腫瘍促進よりも抑制に関連するアポトーシス細胞死に対して細胞を感作できる(Pelengaris, S., Khan, M. and Evan, G., (2002). Nat Rev Cancer 2, 764-776.)。
MYCは、ヒト腫瘍の70%までで増幅され、転座され、変異され、または他の方法で脱制御されていると概算され(Nilsson, J.A. and Cleveland, J.L., (2003). Oncogene 22, 9007-9021)、MYC活性化が大部分のヒト癌における必須段階であり得ることを示唆する。トランスジェニックマウス腫瘍形成試験はMYCの重要な役割の証拠となっており腫瘍開始、進行および維持におけるMYCの機能を証明する(Jonkers, J. and Berns, A., (2004)Cancer Cell 6, 535-538)。癌との明確な関係にもかかわらず、その活性の薬理学的阻害の成功は、まだ達成されていない。
DR5は、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのアポトーシス誘発サイトカインである、TRAIL(腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド、apo2L、TNFSF10としても既知)の受容体である(LeBlanc, H.N. and Ashkenazi, A., (2003)Cell Death Differ 10, 66-75.; Ozoren, N. and El-Deiry, W.S., (2002)Neoplasia 4, 551-557にレビュー)。組み換えヒトTRAILおよび、その2個の死誘発受容体に対するアゴニスト抗体、DR4およびDR5は、現在、癌治療剤として広範な前臨床および臨床試験中である。
発明の要約
一つの局面において、本発明は癌細胞におけるアポトーシスを誘発する方法を提供する。本方法は、MYC発現およびDR5発現癌細胞と(i)DR5アゴニスト;および(ii)表1に挙げるMYC相互作用遺伝子(例えば、GSK3β)のアンタゴニストまたはhCDC4アンタゴニストの接触を含む。ある態様において、本癌細胞は動物体内にあり、接触段階は、表1に挙げるMYC相互作用遺伝子(例えば、GSK3β)のアゴニストまたはhCDC4アンタゴニストの動物への投与を含む。ある態様において、本動物はヒトである。ある態様において、本動物はヒトではない。ある態様において、本接触段階は、細胞と、表1に挙げるMYC相互作用遺伝子(例えば、GSK3β)のアゴニストの接触を含む。ある態様において、本接触段階は、細胞とhCDC4アンタゴニストの接触を含む。ある態様において、本DR5アゴニストは抗体である。ある態様において、本DR5アゴニストはTRAILである。
本発明はまた癌細胞におけるアポトーシスを誘発する方法を提供する。ある態様において、本方法は、MYC発現およびDR5発現癌細胞と、DR5アゴニストを接触させ;そして細胞内に、表1に挙げるMYC相互作用遺伝子(例えば、GSK3β)またはhCDC4の発現を阻害するアンチセンスまたはsiRNAを挿入することを含む。本発明はまた治療的有効量の(i)DR5アゴニスト;および(ii)表1に挙げるMYC相互作用遺伝子のアゴニスト(例えば、GSK3β)またはhCDC4アンタゴニストを含む、組成物も提供する。ある態様において、本DR5アゴニストは抗体である。ある態様において、本DR5アゴニストはTRAILである。
本発明はまた癌細胞におけるアポトーシスを誘発する薬剤を同定する方法も提供する。ある態様において、本方法は(i)hCDC4ポリペプチドのホスホデグロン(phosphodegron)結合性フラグメントを含むポリペプチドに1種以上の薬剤を接触させ(ここで、ホスホデグロンはLPTPP(配列番号2)を含み、配列番号2中のスレオニンはリン酸化されている);そして(ii)ホスホデグロンのポリペプチド結合を阻害する1種以上の薬剤を選択し、それにより、癌細胞におけるアポトーシスを誘発する薬剤を同定することを含む。ある態様において、本ホスホデグロンはKKFELLPTPPLSPSRR(配列番号1)を含む。ある態様において、本方法はさらに選択した1種以上の薬剤を、MYCを発現する癌細胞とDR5アゴニスト存在下で接触させ;そして(iv)癌細胞において、該細胞を該薬剤の非存在下でDR5アゴニストと接触させたときよりもさらにアポトーシスを誘発する薬剤を選択することを含む。
これらの方法のいくつかにおいて、本ポリペプチドは固体支持体に結合している。ある態様において、本ポリペプチドが第一蛍光標識と会合しており、そして本ホスホデグロンが第二蛍光標識と会合しており、該ポリペプチドが該ホスホデグロンと結合したときに、該第一および第二標識が相互作用して蛍光シグナルを発し、ここで、薬剤の存在下での蛍光シグナルの減少が、該薬剤が該ポリペプチドの該ホスホデグロンへの結合を阻害することを示す。ある態様において、本第一蛍光標識はユウロピウムであり、そして本第一蛍光標識が、該ポリペプチドに結合する抗体に結合しており;そして本第二蛍光標識がアロフィコシアニン(APC)およびC−フィコシアニン(CPC)から成る群から選択される。
本発明はまた、個体における癌細胞のアポトーシスを誘発する方法を提供する。ある態様において、本方法は、DR5アゴニストを個体に投与することを含み、ここで、該個体中の癌細胞は、hCDC4またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β(GSK3β)をコードするポリヌクレオチド中に、野生型hCDC4またはGSK3βポリペプチドと比較してhCDC4またはGSK3βの活性の低下をもたらす変異を有することが予め決定されている。ある態様において、本方法は、投与段階前に、個体における癌細胞のhCDC4またはGSK3β遺伝子型の決定を含む。ある態様において、本方法は、癌細胞のhCDC4遺伝子型の決定を含む。ある態様において、本方法は、癌細胞のGSK3β遺伝子型の決定を含む。ある態様において、DR5アゴニストは、DR5およびTRAILに結合する抗体から成る群から選択される。
本発明はまた個体における癌細胞のアポトーシスを誘発する方法を提供する。ある態様において、本方法はDR5アゴニストを個体に投与することを含み、ここで、該個体中の癌細胞はT58位に変異を有することが予め決定されている。ある態様において、本変異はT58IまたはT58Aである。ある態様において、本方法は投与段階前に、個体における癌細胞のMYC遺伝子型の決定を含む。
図面の簡単な説明
図1は抗DR5アゴニスト抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を記載する。相補性決定領域(CDR)は囲っている。残りのアミノ酸はフレームワーク領域(FR)の一部である。
図2は図1に示す抗DR5アゴニスト抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を記載する。相補性決定領域(CDR)は囲っている。残りのアミノ酸はフレームワーク領域(FR)の一部である。
図3は図1および2に示す可変領域のDNAコーディング配列である。
定義
“GSK3βアンタゴニスト”または“hCDC4アンタゴニスト”は、各々GSK3βまたはhCDC4を部分的に(例えば、少なくとも5、10、20、50%以上)または完全に刺激を遮断し、減少し、防止し、活性化遅延し、不活性化し、または脱感作する化合物である。アンタゴニストは、例えば、抗体、有機小分子(例えば、1500ダルトン未満)などを含み得る。
“DR5アゴニスト”はDR5の活性化を刺激し、増加させ、活性化し、活性化を増強し、感作し、または上方制御する化合物である。アゴニストは、例えば、抗体、有機小分子(例えば、1500ダルトン未満)などを含み得る。アゴニストはDR5への結合について既知のDR5リガンド(例えば、TRAIL)と競合し、MYCおよびDR5を発現する癌細胞におけるアポトーシスを誘発し得るが、必ずしもではない。ある態様において、DR5アゴニストにより誘発されるアポトーシスの量は、TRAILにより誘発されるアポトーシスと比較して、少なくとも5、10、20、50、100、150%、200%またはそれより多い。
ここで使用する用語“癌”は、患者体内の細胞が以上な、制御されない増殖を受けている状態を意味するために使用する。この異常な細胞は増殖して固形腫瘍を形成し得るか、または多数の細胞を形成し得る(例えば、白血病)。
本発明の目的で、用語“癌細胞”は、膵臓、結腸、乳房、前立腺、腎臓、肺、卵巣、胃、食道、肝細胞、または頭頚部癌細胞、黒色腫細胞、白血病細胞、および多発性骨髄腫細胞を含むが、これらに限定されない、異常に増殖する全ての細胞を意味する。ある態様において、本癌細胞は初代培養および不死化細胞株を含む細胞培養で増殖する。いくつかの他の態様において、本癌細胞は動物、好ましくは哺乳動物中にある。ここで使用する用語“哺乳動物”は、ラット、マウス、イヌ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒトを含むが、これらに限定されない。
ここで使用する“ホスホデグロン”は、リン酸化されたポリペプチドを意味する。
“核酸”または“ポリヌクレオチド”は、一本鎖または二本鎖形いずれかのデオキシリボヌクレオチド(例えば、DNA)またはリボヌクレオチド(例えば、RNA)およびそれらのポリマーを意味する。本用語は、合成され、天然に存在し、および天然に存在しない、参照核酸と類似の結合特性を有し、そして参照ヌクレオチドと類似の方法で代謝される既知のヌクレオチド類似体または修飾された骨格残基もしくは結合を含む核酸も含む。このような類似体の例は、ホスホロチオエート、ホスホロアミデイト、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)を含む。
特記しない限り、特定の核酸配列はまたその保存的に修飾された変異体(例えば、縮重コドン置換)および相補配列、ならびに明示する配列も含むことも含意する。特に、縮重コドン置換は、1箇所以上の選択した(または全ての)コドンの3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列の産生により達成し得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081(1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608(1985); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98(1994))。
用語“ポリペプチド”、“ペプチド”および“タンパク質”はアミノ酸残基のポリマーに言及するために本明細書で交換可能に使用する。これらの用語は、1個以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学摸倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。
用語“アミノ酸”は、天然に存在するおよび合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と類似の方法で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸摸倣物を意味する。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによりコードされるもの、ならびに後に修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合したアルファ炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを意味する。このような類似体は修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を維持する。アミノ酸摸倣物は、アミノ酸の一般的化学構造と異なるが、天然に存在するアミノ酸と類似の方法で機能する化学化合物を意味する。
“配列同一性の割合”は、比較ウィンドにわたり2個の最適に配置した配列の比較により決定し、ここで比較ウィンド中のポリヌクレオチド配列は、2個の配列の最適配置のために、付加または欠失を含まない配列参照配列(例えば、本発明のポリペプチド)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を有してよい。割合は、マッチ位置の数を得るために、両配列に存在する同一核酸塩基またはアミノ酸残基の数を決定し、マッチ位置の数を比較ウィンドにおける全位置の数で割り、その結果を100倍して、配列同一性の割合を得ることにより計算する。
2個またはそれ以上の核酸またはポリペプチド配列に関する用語“同一”または“同一性”割合は、は、同じ配列である2個以上の配列または部分配列を意味する。2個の配列は、比較ウィンド、または下記配列比較アルゴリズムの1個を使用して測定した指定領域にわたり比較し、最大対応のために配置したときまたは手動アラインメントおよび目視により、2個の配列が、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドを明記する割合で有するならば(すなわち、特定領域、または特記しないとき、全配列にわたり60%同一性、所望により65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一性)、“実質的に同一”である。本発明は、図1および図2に例示するポリペプチドと実質的に同一の配列を含むポリペプチドを提供する。所望により、本同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド長である領域にわたり、またはより好ましくは100から500または1000またはそれ以上のヌクレオチド長の領域にわたり、存在する。
配列比較のために、典型的に1個の配列は参照配列として働き、それに対して、試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験および参照配列をコンピュータに入力し、必要であれば部分配列配位を指定し、そして配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用でき、あるいはパラメータを指定できる。次いで、本配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づき、参照配列に対する試験配列の配列同一性を計算する。
ここで使用する“比較ウィンド”は、2個の配列を最適に配置した後、配列を同じ連続位置の数の参照配列と比較し得る20から600、通常約50から約200、さらに普通には約100から約150から成る群から選択される連続位置の数のいずれか一個のセグメントに対する参照を含む。比較のための配列の配置の方法は当分野で既知である。比較のための配列の最適配置は、例えば、SmithおよびWaterman(1970)Adv. Appl. Math. 2:482cの局所相同性アルゴリズムにより、NeedlemanおよびWunsch(1970)J. Mol. Biol. 48:443の相同性配置アルゴリズムにより、PearsonおよびLipman(1988)Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444の方法類似法の検索により、これらのアルゴリズムのコンピュータを利用した実行により(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または自動配置および目視により(例えば, Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology(1995 supplement)参照)行うことができる。
配列同一性割合および配列類似性の決定に適するアルゴリズムの2個の例はBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは各々Altschul et al. (1977)Nuc. 酸 Res. 25:3389-3402、およびAltschul et al. (1990)J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウェアはNational Center for Biotechnology Informationを通して公的に利用可能である。このアルゴリズムは、最初に、クエリ配列における長さWの短いワードを同定することにより高得点配列対(HSP)を同定し、これはデータベース配列中の同じ長さのワードと配置したときに、マッチであるか、またはある正の値閾値スコアTを満たす。Tは隣接ワードスコア閾値と呼ぶ(Altschul et al., supra)。これらの最初の隣接ワードヒットが、それらを含むより長いHSPを発見するための検索を開始するための種として働く。本ワードヒットは、累積配列配置が増加し得る限り、各配列に沿って両方向に伸長できる。累積スコアは、ヌクレオチド配列についてはパラメータM(マッチング残基のペアの報償スコア;常に>0)およびN(ミスマッチング残基のペナルティスコア;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアを計算する。各方向へのワードヒットの伸長は:累積配置スコアが、その最大に達成された値から量Xまで低下したとき;累積スコアが、1個以上の負のスコアリング残基配置の累積により0またはそれ未満になったとき;またはいずれかの配列の末端に到達したときに中止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、配置に感受性および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4および両鎖の比較物を使用する。アミノ酸配列のために、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長、および10の期待値(E)、および50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照)配置(B)、10の期待値(E)of、M=5、N=−4、および両鎖の比較物を使用する。
BLASTアルゴリズムはまた2個の配列の間の類似性の統計学的解析も行う(例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1個の指標は、最小合計確率(P(N))であり、これはm、2個のヌクレオチドまたはアミノ酸配列のマッチが偶然起こるかもしれない確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸の参照核酸に対する比較での最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満であるとき、参照配列に類似であると見なす。
発明の詳細な記載
細胞におけるアポトーシスの誘発
本発明は、一部、GSK3βのような多くのMYC相互作用遺伝子(表1に列記)またはhCDC4によりコードされるタンパク質の阻害が、癌細胞をDR5アゴニスト誘発アポトーシスの誘発に対して感作するという驚くべき発見に基づく。従って、本発明のある態様は、これらのMYC相互作用遺伝子(例えば、GSK3β)またはhCDC4を、DR5受容体の誘発と組み合わせて、阻害するために提供する。
アポトーシスが誘発される細胞は、典型的にMYC発現癌細胞またはDR5アゴニストに感受性の他の細胞である。アポトーシスが誘発される細胞は、インビボまたはインビトロにあり得る。ある態様において、本発明の方法は、エキソビボで行い、すなわち、細胞サンプルを個体から採取し、アポトーシスをサンプル由来の癌細胞で誘発し、そして処置細胞を個体に戻す。
DR5アゴニスト
全てのDR5アゴニストを、本発明に従い使用できる。DR5アゴニストの例は、例えば、抗DR5アゴニスト抗体およびTRAILを含む。例えば、Griffith TS, et al., Curr Opin Immunol. 10(5):559-63(1998)参照。
全ての抗DR5抗体アゴニストを、本発明の方法の方法に従い使用できる。DR5(細胞死受容体5とも言う)は、リガンドTRAILの受容体である。例えば、Pan et al., Science 277:815-8(1997);Sheridan, et al., Science 277:818-21 3(1997);Walczak et al, EMBO J. 16:5386-97 4(1997)参照。抗DR5抗体は以前に、例えば、PCT WO01/83560(抗体TRA−8;ATCC PTA−1428)およびPCT WO02/079377に記載されている。
加えて、抗DR5アゴニスト抗体アゴニストをここに記載する。例示した抗DR5抗体アゴニストの重および軽鎖の可変領域は図1および図2に示す。またPCT特許公開WO2004/050895も参照。ある態様において、本発明で使用する抗DR5アゴニスト抗体は、DR5への結合について図1および図2に記載の可変領域を有する抗体と競合する。ある態様において、本発明で使用するDR5抗体アゴニストは、図1および図2に例示するCDRと実質的に同じCDRを有する。抗DR5抗体の例は、図1および図2に示す軽および/または重鎖可変領域配列を含む抗体の特性を有するものを含む。
全てのタイプの抗体アゴニストを本発明の方法に従い使用できる。一般に、使用する抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は当分野で既知の任意の方法により産生できる(例えば、ハイブリドーマ、組み換え発現および/またはファージ・ディスプレイを使用)。
本発明の抗体は架橋していなくてよく、または投与前に他に処置しなくてよい。しかしながら、ある態様において、本発明の抗体は架橋している。架橋(例えば、ヘテロまたはホモ2官能性化学架橋剤を使用)は当分野で既知である。あるいは、安定な多価Fabs(例えば、三量体または四量体など)を投与できる。例えば、PCT WO99/27964参照。
多くの態様において、本発明の抗DR5抗体は他のポリペプチドに結合しない。ある態様において、本抗DR5抗体は、TNF受容体ファミリーの他の受容体(例えば、TNFR2、TNFR3、OX40、CD40、FAS、DcR3、CD27、CD30、CD137、DR4、DcR1、DcR2、RANK、OPG、DR3、TR2、NGFR、TNFR1、およびTAC1)に結合しない。ある態様において、本抗DR5抗体はDR4、DTR1、DTR2またはOPGに結合しない。
本発明の抗DR5アゴニスト抗体は非常に強力であり得る。例えば、ある態様において、標準皮下腫瘍アブレーションアッセイにおいて、本発明の抗体は腫瘍サイズを体重1kgあたり1mg未満(そして、ある態様において、0.50mg/kg、0.05mg/kg、または0.01mg/kgまたはそれ未満)の濃度で動物に2週間1日3回投与したとき、50%まで減少でき、そしてその10倍量を使用したとき腫瘍を完全に消失できる。
ある場合、本発明の抗DR5抗体は、抗体依存性細胞毒性(ADCC)がないか、減少しているように設計できる。例えば、ある態様において、本発明の抗体はIgG−1、IgG−2、IgG−2A、IgG−3またはIgG−4 Fc領域を含む。
ヒト化抗体
ある態様において、本発明に従い使用する抗体は、非ヒト抗DR5抗体アゴニスト由来の領域とヒト抗体の領域から成るキメラ(例えば、マウス/ヒト)抗体である。例えば、キメラH鎖は、ヒト重鎖定常領域の少なくとも一部に結合した非ヒト抗体の重鎖可変領域の抗原結合領域(例えば、図1および図2に示す配列)を含み得る。このヒト化またはキメラ重鎖は、ヒト軽鎖定常領域の少なくとも一部に結合した非ヒト抗体の軽鎖可変領域の抗原結合領域(例えば、図1および図2に示す配列)を含むキメラL鎖と組み合わせてよい。ある態様において、本重鎖定常領域はIgMまたはIgA抗体であり得る。
本発明のキメラ抗体は一価、二価、または多価免疫グロブリンであり得る。例えば、一価キメラ抗体は、上記のとおり、キメラL鎖とジスルフィド結合を介して結合しているキメラH鎖から形成された二量体(HL)である。二価キメラ抗体は、少なくとも1個のジスルフィド架橋を介して結合した2個のHL二量体から形成された四量体(H)である。多価キメラ抗体は鎖の凝集に基づく。
例示する抗DR5抗体アゴニストの可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は図3に示す。本発明の抗体のDNA配列は、当分野で既知の方法により、同定され、クローン化され、発現のために原核または真核細胞に転移される。このような方法は、一般にSambrook et al., supra、ならびにCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(Ausubel et al., eds., 1989)に記載されている。特に組み換え抗体およびヒト化抗体の発現に適する発現ベクターおよび宿主細胞は、当分野で既知である。下記文献は、本発明の実施において使用できる組み換え免疫グロブリンの発現に適した方法およびベクターの代表である:Weidle et al., Gene, 51:21-29(1987);Dorai et al., J. Immunol., 13(12):4232-4241(1987);De Waele et al., Eur. J. Biochem., 176:287-295(1988);Colcher et al., Cancer Res., 49:1738-1745(1989);Wood et al., J. Immunol., 145(a):3011-3016(1990);Bulens et al., Eur. J. Biochem., 195:235-242(1991);Beggington et al., Biol. Technology, 10:169(1992);King et al., Biochem. J., 281:317-323(1992);Page et al., Biol. Technology, 2:64(1991);King et al., Biochem. J., 290:723-729(1993);Chaudary et al., Nature, 339:394-397(1989);Jones et al., Nature, 321:522-525(1986);MorrisonおよびOi, Adv. Immunol., 44:65-92(1988);Benhar et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:12051-12055(1994);Singer et al., J. Immunol., 150:2844-2857(1993);Cooto et al., Hybridoma, 13(3):215-219(1994);Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10029-10033(1989);Caron et al., Cancer Res., 32:6761-6767(1992);Cotoma et al., J. Immunol. Meth., 152:89-109(1992)。さらに、組み換え抗体の発現に適したベクターは市販されている。
機能的免疫グロブリンを発現できる宿主細胞は、例えば、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳動物細胞;COS細胞;NSOおよびSP2/O細胞のような骨髄腫細胞;大腸菌のような細菌細胞;出芽酵母のような酵母細胞;および他の宿主細胞を含む。
一本鎖抗体
ある態様において、本発明の抗体は一本鎖抗体である(例えば、図1および図2の配列の1個以上を含む)。一本鎖Fvsおよび抗体の製造に使用できる技術の例は、米国特許4,946,778および5,258,498;Huston et al., Methods in Enzymology 203:46-88(1991);Shu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7995-7999(1993);およびSkerra et al., Science 240:1038-1040(1988)に記載されているものを含む。
ヒト抗体
ある態様において、ヒト抗体を本発明に従い、使用する。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを使用したファージ・ディスプレイ法の使用を含む種々の方法により製造できる。例えば、Lonberg and Huszar, Int. Rev. Immunol. 13:65-93(1995)、米国特許4,444,887および4,716,111;およびPCT公報WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741参照。
ある態様において、本発明の方法はファージ・ディスプレイを使用して製造する。例えば、機能的抗体ドメインを、それをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面上に提示させる。このようなファージは、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から発現される抗原結合ドメインの提示に使用できる。DR5と結合する抗原結合ドメインを発現するファージをDR5で、例えば、標識DR5を使用して、選択または同定できる。これらの方法に使用するファージは、典型的に、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組み換えにより融合したFab、Fvまたはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを有するファージから発現される、fdおよびM13結合ドメインを含む繊維状ファージである。本発明の抗体の製造に使用できるファージ・ディスプレイ法の例は、Brinkman et al., J. Immunol. Methods 182:41-50(1995);Ames et al., J. Immunol. Methods 184:177-186(1995);Kettleborough et al., Eur. J. Immunol. 24:952-958(1994);Persic et al., Gene 187:9-18(1997);Burton et al., Advances in Immunology 57:191-280(1994);PCT出願番号PCT/GB91/01134;PCT公報WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;および米国特許5,698,426;5,223,409;5,403,484;5,580,717;5,427,908;5,750,753;5,821,047;5,571,698;5,427,908;5,516,637;5,780,225;5,658,727;5,733,743および5,969,108に開示のものを含む。
アゴニスト抗体の製造
アゴニスト抗体は、抗DR5抗体を製造し、次いで各抗体をDR5仲介事象、例えば、癌細胞におけるアポトーシス誘発の引き金を引く能力について試験することにより同定できる。当分野で既知の種々のアッセイをアポトーシスの誘発の検出に使用できる。
一つのアッセイにおいて、DOHH−2またはJurkat細胞を候補抗体アゴニストと接触させ、次いで、抗体濃度の関数として生存能をモニターする。抗体濃度の増加に連れて減少する細胞生存能(例えば、増加したアポトーシスによる)は、本抗体がアゴニストであることを示す。細胞生存能は、生存細胞では蛍光を発するが、死亡細胞では発しないアルマール・ブルーの添加によりアッセイできる。PCT特許公開番号WO2004/050895に記載の通り、アゴニスト抗体を、DR5に対して惹起させたハイブリドーマをスクリーニングし、次いで、該ハイブリドーマ上清を、DOHH−2またはJurkat細胞においてアポトーシスを誘発する能力についてスクリーニングすることにより同定できる。適当なポジティブまたはネガティブコントロールを、結果を確認するために使用できる。例えば、DR5仲介TRAIL誘発アポトーシスを完了しない細胞株は、候補抗DR5アゴニストに応答してアポトーシスを完了しないはずである。
MYC相互作用遺伝子のアンタゴニスト
表1に示すMYC相互作用遺伝子(例えば、GSK3β)によりコードされるポリペプチドの活性または発現を阻害する全ての分子を、ここに記載の通りアポトーシスを誘発するためにDR5アゴニストと組み合わせて使用できる。例としてGSKβを使用して、アンタゴニストは、例えば、GSK3βに結合し、その活性を阻害する抗体、ならびに小分子阻害剤を含む。広範なGSK3βアンタゴニストが、一部糖尿病におけるGSK3の役割のために既知である。ある態様において、GSK3βアンタゴニストは、GSK3αのような他のキナーゼを含む他のキナーゼを著しく阻害しない。GSK3βアンタゴニストの一例はLiClである。ある態様において、本GSK3βアンタゴニストはLiClではない。GSK3βアンタゴニストの例は、例えば、WO00/38675および米国特許公報2005/0026946、2005/0004201、2005/0004202、2004/0266815、2004/0209878、2004/0192718、2004/0192698、2004/0186119、2004/0186113、2004/0162234、2004/0138273、2004/0106574、2004/0092535、2004/0082581、2004/0077699、2004/0077642、2004/0059113、2004/0054180、2004/0006095、2004/0006094、2003/0225085、2003/0212079、2003/0194750、2003/0105075、2003/0078280、2003/0060629、2003/0055097、2002/0198219、2002/0160478、2002/0151574、2002/0147146、2001/0052137および米国特許番号6,608,063に記載されている。
GSK3β阻害剤の例は、式1および2で表されるものを含む。例えば、これらの分子の詳細およびそれらの製造法についてWO04/043467およびWO01/072745を参照。
Figure 2008536820
GSK3βを阻害するさらなる薬剤が、当分野で既知の任意の方法により同定できる。例えば、化合物は、標準結合酵素アッセイ(例えば、Fox et al., Protein Sci 7:2249(1998))またはキナーゼ活性の決定に使用する他のアッセイを使用して、GSK3βを阻害するそれらの能力について、下記の方法においてスクリーニングできる。
hCDC4アンタゴニスト
任意のhCDC4アンタゴニストを本発明に従い使用できる。アンタゴニストは、例えば、抗体アンタゴニストまたは他の有機小分子阻害剤を含む。
hCDC4は、E3リガーゼとして働くskp-cullin-Fbox(SCF)複合体は、ユビキチンの細胞基質への結合を促進し、該細胞基質は26Sプロテアソームによる分解のためにそれらを標的とできる。例えば、Cardozo and Pagano, Mol. Cell. Biol. 5:739-751(2004)参照。SCF複合体内のhCDC4の機能は基質認識である。hCDC4は、Skp1に結合するそのN末端領域内にFboxモチーフを含み、それによりhCDC4をSCF複合体に固定する。hCDC4中のFboxとWD40反復の間の柔軟なリンカーは、WD40反復により形成された環状β−プロペラモチーフが、適当な基質を認識することを可能にし、それによりこれらの基質をユビキチン化のためにSCFに集める。本hCDC4環状β−プロペラモチーフは、MYCの場合スレオニン(T)がGSK3βによりリン酸化されているKKFELLPTPPLSPSRR(配列番号1)である、標的基質内のホスホデグロンモチーフを認識する。最小ホスホデグロン配列はL*TPXXコンセンサスであり、それはMYCの場合LPTPPである。故に、GSK3βはMYCをリン酸化し、Fbw7による認識を可能にし、それによりMYCをSCF複合体に集め、その場所でそれがユビキチン化され、その後26Sプロテアソームにより分解される。
hCDC4の作用機序から、多くのスクリーニングアッセイを行うことができる。ある態様において、本活性リガーゼ複合体を候補アンタゴニストと接触させ、その後、リガーゼ活性の減少について試験できる。リガーゼ活性は直接的または間接的に、例えば、標的タンパク質のユビキチン化の、またはタンパク質標的のユビキチン仲介分解の変化の測定により、測定できる。
あるいは、候補アンタゴニストの存在下でのhCDC4またはそのホスホデグロン結合性フラグメントのホスホデグロン(すなわち、MYCからのLPTPP配列を含むリン酸化ポリペプチド)への結合の妨害を測定するアッセイを、hCDC4アンタゴニストの同定に使用できる。一般に、hCDC4のWD40反復はホスホデグロン結合に含まれる。例えば、Nash et al., Nature 414(6863):498-9(2001)参照。従って、hCDC4のホスホデグロン結合性フラグメントは、一般に、hCDC4のWD40反復の少なくともいずれか1個(例えば、FBW7αのアミノ酸533−572、FBW7βのアミノ酸482−521およびFBW7γのアミノ酸377−416に位置するWD40反復#3)を含む。ある態様において、本ホスホデグロン結合性フラグメントは、hCDC4の全てのWD40反復を含む(例えば、FBW7αのアミノ酸467−735、FBW7βのアミノ酸416−684およびFBW7γのアミノ酸311−579)。本ホスホデグロン結合性フラグメントは発現でき、異種アミノ酸配列との融合タンパク質として本発明のアッセイに使用できる。hCDC4−ホスホデグロン結合を、タンパク質−タンパク質結合を測定するための当分野で既知の任意の方法により行うことができる。ある態様において、本方法は、hCDC4ポリペプチド、またはその活性フラグメントを第一で標識し、ホスホデグロンを第二標識で標識し、ここで、2個の標識の近接が(例えば、hCDC4がホスホデグロンに結合しているとき)、2個の標識が近接ではないときには発生しない検出可能なシグナルをもたらす。近接のときにシグナルを発生する標識の例は、ユウロピウムとアロフィコシアニン(APC)またはC−フィコシアニン(CPC)の対合である。標識はhCDC4ポリペプチドおよびホスホデグロンに直接、または間接的に結合し得る。間接的結合は、例えば、標識の、hCDC4ポリペプチドおよびホスホデグロンのいずれかに結合する抗体への標識、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)のような一般的融合パートナーとのそれらの1個の融合物を含む。あるいは、ビオチン/ストレプトアビジンのような種々の結合対を標識の結合に使用できる。例えば、ある態様において、結合メンバーの1個がビオチニル化されており、ビオチニル化メンバーを、標識に結合したストレプトアビジンと接触させることにより標識する。標識によるシグナルは、例えば、標準蛍光検出器を使用して検出できる。候補阻害剤存在下での結合の阻害は、近接標識からのシグナルの減少により検出できる。
hCDC4またはMYC相互作用遺伝子の発現のsiRNA阻害
本発明のある態様において、DR5アゴニストの投与と組み合わせて、hCDC4または表1に示すMYC相互作用遺伝子(例えば、GSK3β)を阻害するために、発現を妨害する小ポリヌクレオチドを使用できる。ある態様において、本ポリヌクレオチドは所望の標的mRNAの少なくともフラグメントのセンス、アンチセンス、または両方の配向を含む。
アンチセンス技術は既知である。一般に、mRNA標的(例えば、hCDC4またはGSK3βをコードするmRNA)の少なくとも一部(例えば、少なくとも5、10、20、またはそれ以上の連続ヌクレオチド)に少なくとも実質的に相補的な核酸配列を、発現の阻害が望まれる細胞内で産生するか、細胞に投与する。GSK3βアンチセンス分子の例は、例えば、米国特許番号6,323,029に記載されている。
GSK3βまたはhCDC4の発現を阻害するsiRNAは、またDR5アゴニストと組み合わせて投与できる。“siRNA”は、細胞、例えば、哺乳動物細胞(ヒト細胞を含む)および体内、例えば、哺乳動物体内(ヒトを含む)における特異的遺伝子の干渉の原因となり、そして転写後サイレンシングをもたらし得る低分子干渉RNAを意味する。RNA干渉の減少は、Bass, Nature 411:428-29(2001);Elbahir et al., Nature 411:494-98(2001);およびFire et al., Nature 391:806-11(1998);およびWO01/75164に記載および検討され、干渉RNAの製造法も記載されている。siRNAは自己相補配列または二本鎖配列を含むヘアピンループを含み得る。本siRNAは、典型的に100個より少ない塩基対および、例えば、約30bpsまたはそれより少なくてよい塩基対を有し、そして相補DNA鎖または合成アプローチの使用を含む当分野で既知のアプローチにより製造できる、ここに記載の遺伝子産物をコードする配列および核酸に基づく。本siRNAは、細胞、例えば、哺乳動物細胞(ヒト細胞を含む)および体内、例えば、哺乳動物体内(ヒトを含むかまたは所望により除く)における特異的遺伝子の干渉の原因となり、そして転写後サイレンシングをもたらし得る。本発明に従うsiRNAの例は、29bps、25bps、22bps、21bps、20bps、15bps、10bps、5bpsまたはほぼそれに近いまたはその間の任意の整数の塩基対を有し得る。最適阻害性siRNAを設計するためのツールは、DNAengine Inc. (Seattle, WA)およびAmbion, Inc. (Austin, TX)から利用可能なものを含む。
1個のRNAi技術は遺伝子構築物を用い、その中にセンスおよびアンチセンス配列を、ドナーおよびアクセプタースプライシング部位と共に適切なスプライシング配向でイントロン配列にフランキングな領域に配置する。あるいは、種々の長さのスペーサー配列を用いて、構築物中の配列の自己相補領域を分け得る。本遺伝子構築物転写産物の加工中、イントロン配列は出され、センスおよびアンチセンス配列ならびにスプライスジャンクション配列が二本鎖RNA形成のために結合することを可能にする。次いで選択したリボヌクレアーゼが二本鎖RNAに結合して開裂し、それにより特異的mRNA遺伝子配列の分解に至る事象のカスケードが開始し、そして特異的遺伝子が沈黙する。
発現を阻害するポリヌクレオチドが天然に存在するヌクレオチドを含み得るが、本発明は、以下に記載のもののようなオリゴヌクレオチド摸倣体を含むが、これに限定されない他のオリゴマー核酸化合物を含み得る。本発明の阻害性ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、センスまたはそれらの組み合わせ)は、例えば、約8から約30またはそれ以上の核酸塩基(すなわち約8から約30またはそれ以上結合したヌクレオシド)を含み得る。例えば阻害性オリゴヌクレオチドは、約12から約25核酸塩基を含み得る。本発明において有用な阻害性ポリヌクレオチドの具体例は、修飾格または天然ではないヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを含む。
本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、ヒトを含む動物への投与により、(直接的または間接的に)ポリヌクレオチドを提供できる、任意の薬学的に許容される塩、エステル、またはこのようなエステルの塩、または任意の他の化合物と組み合わせ得る。
アンチセンスまたはsiRNAはまた、発現カセットの一部として細胞に送達できる。ある態様において、本発現カセットは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスまたはレンチウイルスベクターを使用して送達する。
アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング
DR5アゴニスト、GSK3βアンタゴニストおよび/またはhCDC4アンタゴニストは、多くの当分野で認識される方法により同定できる。
標的に結合するある分子がその標的を活性化または阻害し得るため、ある態様において、結合アッセイを予備スクリーニングとして行う。結合アッセイは、通常標的タンパク質またはその活性もしくは不活性フラグメントと、1個以上の試験薬を接触させ、タンパク質と試験薬が結合複合体を形成するのに十分な時間放置する。形成された何らかの結合複合体は、多くの確立された分析技術のいずれかを使用して検出できる。タンパク質−タンパク質結合アッセイは、非変性SDS−ポリアクリルアミドゲル上の共沈または共遊走、およびウェスタン・ブロット上の共遊走を測定する方法を含むが、これらに限定されない(例えば、Bennet, J.P. and Yamamura, H.I. (1985) “Neurotransmitter, Hormone or Drug Receptor Binding Methods,” in Neurotransmitter Receptor Binding (Yamamura, H. I., et al., eds.), pp. 61-89参照)。他の結合アッセイは、本発明のポリペプチドに結合する分子の同定のための質量分析またはNMR技術または標識基質の置換の使用を含む。このようなアッセイに使用する本発明のポリペプチドは、天然に発現させ、クローン化し、または合成され得る。加えて、哺乳動物または酵母2ハイブリッドアプローチ(例えば、Bartel, P.L. et. al. Methods Enzymol, 254:241(1995)参照)も、宿主細胞中で一緒に発現させたときに相互作用するかまたは結合するポリペプチドまたは他の分子の同定に、または、このような結合(例えば、hCDC4のホスホデグロンへの結合)を妨害する分子の同定のために使用できる。
加えて、哺乳動物または酵母2ハイブリッドアプローチ(例えば、Bartel, P.L. et. al. Methods Enzymol, 254:241(1995)参照)を使用して、宿主細胞中で一緒に発現させたときに相互作用するかまたは結合するポリペプチドまたは他の分子の同定できる。
薬剤はまた特定の標的タンパク質の活性を活性化する(すなわち、DR5の場合アゴニストとして働く)またはアンタゴナイズする(GSK3βおよびhCDC4の場合)それらの能力について直接選択できる。DR5、GSK3βおよびhCDC4の活性アッセイの例をここに記載する。しかしながら、ここに記載の特定の活性アッセイは単に例であり、直接的または間接的に標的の活性を測定するために設計された任意のアッセイを、本発明で使用できる。
ここに記載の通り、本発明者らはGSK3βまたはhCDC4いずれかの阻害、一方DR5は活性化が、DR5活性化単独よりもある種の細胞(例えば、癌細胞、および特にMYC発現細胞)におけるアポトーシスのより大きな誘発をもたらすことを決定している。故に、ある態様において、既知のDR5アゴニストを、1種以上の候補GSK3βまたはhCDC4アンタゴニストの存在下で細胞(例えば、MYC発現細胞)と接触させ、該細胞のアポトーシスの増加を、DR5アゴニスト処置単独と比較して検出する。同様に、アポトーシスアッセイを使用して、細胞(例えば、MYC発現細胞)と候補DR5アゴニストを接触させ、アポトーシスの増加を検出することにより、DR5アゴニストを同定できる。さらなる実験を行い、DR5受容体がアポトーシスを仲介するか否かを決定し得る。
細胞生存能またはアポトーシスを決定するための種々のアッセイは当分野で既知である。このような方法は、縮合したまたは円い形態、細胞質の縮小およびブレブ形成、ミドコンドリアを含む細胞オルガネラの構造の保護、およびクロマチンの縮合および縁取りのようなアポトーシスの1個以上の形態学的特徴の存在を決定するための光顕微鏡を含む。アポトーシスはまた、末端デオキシトランスフェラーゼ仲介(TdT)dUTPビオチンニック末端標識(TUNEL)(Gavriel et al., J. Cell Biol. 119:493(1992);Gorczyca et al., Int. J Oncol. 1:639(1992))を使用して測定できる。APOPTAG(ONCOR, Inc.;Gaithersburg Md.)、PhiPhiLux(登録商標)(OncoImmunin, Inc.)および“同種カスパーゼアッセイ”(Roche Molecular Biochemicals)は、アポトーシス細胞の同定のために市販されているキットである。加えて、アポトーシスは、アガロースゲル電気泳動を使用したヌクレオソームDNAフラグメントの検出によりアッセイできる(Gong et al., Anal. Biochem. 218:314(1994))。アポトーシスまたは抗アポトーシス活性はまた、Tepper et al., Anal. Biochem. 203:127(1992)およびTepperおよびStudzinski, J. Cell Biochem. 52:352(1993)に記載の通り、ミドコンドリアDNA対核DNA比の変化の決定により検出および定量できる。当業者は、アポトーシスまたは抗アポトーシス活性についてのこれら、または他のアッセイを慣用の方法を使用して行い得ることを理解する。生存能スクリーニングは、例えば、アルマール・ブルーを使用したハイスループット形式で行い得る。あるいは、カスパーゼ活性測定を測定する市販のキットを使用して、アポトーシス検出を目的とした類似のスクリーニングを行い得る。
本発明の方法で試験される薬剤は、全ての小分子化合物、またはタンパク質、糖、核酸、脂質のような生物学的物質、またはそれらの組み合わせであり得る。あるいは、試験薬は小有機分子またはペプチドであり得る。本質的に、本発明のアッセイにおいて全ての化合物を可能性のあるモジュレーターまたはリガンドとして使用できるが、水性または有機(とりわけDMSOベースの)溶液に溶解できる化合物を最もしばしば使用する。本アッセイは、アッセイ段階を自動化しアッセイの通常の源からの化合物を提供することにより、大きな化学ライブラリーのスクリーニングのために設計され、これは典型的に並行で行う(例えば、自動装置アッセイにおけるマイクロタイタープレート上のマイクロタイター形式)。Sigma(St. Louis, MO)、Aldrich(St. Louis, MO)、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO)、Fluka Chemika-Biochemica Analytika(Buchs, Switzerland)などを含む化学化合物の多くの供給社が存在することは認識されよう。一般に、試験すべき化合物は、1pMから100mMの範囲で存在する。
ある態様において、ハイスループットスクリーニング法は、多数の潜在的治療化合物(恐らくモジュレーター化合物)を含む、コンビナトリアル化学またはペプチドライブラリーの提供を含む。このような“コンビナトリアル化学ライブラリー”または“リガンドライブラリー”を、ここに記載の1個以上のアッセイに付し、所望の特徴的活性を示すこれらのライブラリーメンバー(特定の化学種またはサブクラス)を同定する。このようにして同定した化合物は、慣用の“リード化合物”として働き得、またはそれ自体可能性のあるまたは実際の治療剤として使用できる。
コンビナトリアル化学ライブラリーは、試薬のような多数の化学“構成要素”の組み合わせにより、化学合成または生物学的合成のいずれかにより作成した多様な化学化合物のコレクションである。例えば、ポリペプチドライブラリーのようなリニアー・コンビナトリアル化学ライブラリーを、ある化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸数)を得るために、全ての可能な方法で化学構成要素(アミノ酸)を組み合わせることにより形成する。何百万もの化学化合物を、化学構成要素のこのようなコンビナトリアルミキシングにより合成できる。
コンビナトリアル化学ライブラリーの製造およびスクリーニングは当業者に既知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーは、ペプチドライブラリーを含むが、これに限定されない(例えば、米国特許5,010,175、Furka, Int. J. Pept. Prot. Res. 37:487-493(1991)およびHoughton et al., Nature 354:84-88(1991))。化学的に別種のライブラリーを製造するための他の化学も使用できる。このような化学は:ペプトイド(例えば、PCT公開番号WO91/19735)、コード化されたペプチド(例えば、PCT公開WO93/20242)、無作為バイオオリゴマー(例えば、PCT公開番号WO92/00091)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許5,288,514)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドのようなダイバーソマー(diversomer)(Hobbs et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90:6909-6913(1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagihara et al., J. Amer. Chem. Soc. 114:6568(1992))、グルコース折り畳みを有する非ペプチド性ペプチド摸倣体(Hirschmann et al., J. Amer. Chem. Soc. 114:9217-9218(1992))、小化合物ライブラリーの類似有機合成物(Chen et al., J. Amer. Chem. Soc. 116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Cho et al., Science 261:1303(1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbell et al., J. Org. Chem. 59:658(1994))、核酸ライブラリー(Ausubel, BergerおよびSambrook, all supra参照)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば, 米国特許5,539,083参照), 抗体ライブラリー(例えば, Vaughn et al., Nature Biotechnology, 14(3):309-314(1996)およびPCT/US96/10287参照)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liang et al., Science, 274:1520-1522(1996)および米国特許5,593,853参照)、小有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C&EN, Jan 18, page 33(1993);イソプレノイド、米国特許5,569,588;チアゾリジノンおよびメタチアザノン、米国特許5,549,974;ピロリジン、米国特許5,525,735および5,519,134;モルホリノ化合物、米国特許5,506,337;ベンゾジアゼピン、5,288,514など参照)を含むが、これらに限定されない。
コンビナトリアルライブラリーを製造するための装置は市販されている(、例えば、357 MPS, 390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050 Plus, Millipore, Bedford, MA参照)。加えて、多くのコンビナトリアルライブラリーがそれ自体市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Tripos, Inc., St. Louis, MO, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MDなど参照)。
最初に上記のスクリーニング法のいずれかにより同定した薬剤を、明白な活性の確認のためにさらに試験できる。さらなる試験のために選択したモジュレーターを、癌、腫瘍形成、腫瘍阻害、転移または他の癌関連表現型に対する効果について試験できる。
例えば、化合物の効果を動物で評価できる。標準マウス腫瘍モデルは、癌細胞をインプラントし、腫瘍を形成するSCIDマウスの使用を含む。ある態様において、候補アゴニストまたはアンタゴニストを、組み合わせてまたは単独で、動物に投与し、腫瘍に対する効果を決定できる。
本発明のハイスループットアッセイにおいて、数千またはそれ以上の異なる潜在的モジュレーターを1日にスクリーニングすることができる。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルを、潜在的モジュレーターに対するアッセイに使用でき、または、濃度もしくはインキュベーション時間の影響を観察するならば、各5−10ウェルで1個のモジュレーターを試験できる。故に、1個の標準マイクロタイタープレートは、約100個(例えば、96個)のモジュレーターをアッセイできる。1536ウェルプレートを使用するならば、1個のプレートは約100から約1500種の異なる化合物を容易にアッセイできる。1日あたり数個の異なるプレートをアッセイすることが可能であり;約6,000−20,000個、100,000個またはそれ以上の異なる化合物のスクリーニングのためのアッセイが、本発明の統合されたシステムを使用して可能である。加えて、試薬操作のための微流体アプローチを使用できる。
医薬組成物
本発明の抗体および薬剤は、哺乳動物対象に、例えば、癌腫、神経膠腫、中皮腫、黒色腫、リンパ腫、白血病、腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、膠芽細胞腫、白血病、リンパ腫、前立腺癌、およびバーキットリンパ腫、頭頚部癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞性肺癌、小細胞肺癌、食道の癌、胃癌、膵臓癌、肝胆道癌、胆嚢の癌、小腸の癌、直腸癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、尿道癌、精巣癌、子宮頸癌、膣癌、子宮癌、卵巣癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、膵臓内分泌癌、カルチノイド癌、骨癌、皮膚癌、網膜芽腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、および非ホジキンリンパ腫を含むが、これらに限定されない癌を含む過増殖性障害の処置のために直接投与できる(さらなる癌についてはCANCER:PRINCIPLESおよびPRACTICE(DeVita, V.T. et al. eds 1997)を参照)。
本発明の組成物の投与は、処置すべき組織と最終的に接触させるために化学療法化合物wp挿入するために通常使用される経路のいずれかにより行い得る。抗体および薬剤は適当な方法で、所望により薬学的に許容される担体と共に投与する。このような抗体および薬剤の適当な投与法は利用可能であり、当業者に既知であり、1個以上の経路を特定の組成物の投与に使用できるが、特定の経路が、他の経路よりしばしばより速くより有効な応答を提供し得る。
薬学的に許容される担体は、一部、投与する特定の組成物、ならびに組成物を投与するために使用する特定の方法により決定する。それにより、本発明の医薬組成物のための広範な適当な製剤が存在する(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. 1985参照)。
本抗体および薬剤は、単独でまたは他の適当な組成物と共に、吸入を介して投与するエアロゾル製剤にされ得る(すなわち、それらは“噴霧可能である”)。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような許容される加圧噴射剤に入れてよい。
投与に適当な製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を等張にする溶質を含み得る水性および非水性溶液、等張滅菌溶液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、濃化剤、安定化剤、および防腐剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液を含む。本発明の実施に際し、組成物は、例えば、経口的に、局所的に、静脈内に、腹腔内に、膀胱内にまたは髄腔内に投与できる。所望により、本組成物は鼻腔内に投与する。本化合物の製剤は、アンプルおよびバイアルのような容器に密閉された単位投与量または多投与量で提示できる。溶液および懸濁液は先に記載の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から製剤できる。本モジュレーターはまた調製された食事または薬剤の一部としても投与できる。本発明の化合物はまた、所望の治療または効果に依存して、1種以上のさらなる活性剤(例えば、化学療法剤)と組み合わせて有効に使用できる。
本発明の内容の範囲内で、患者に投与すべき用量は、長期間対象に有益な応答を起こすのに十分であるべきである。本投与量は、用いる特定のモジュレーターの効力および対象の状態、ならびに体重、または処置すべき領域の表面面積により決定する。投与量はまた特定の対象への特定の化合物またはベクターの投与に附随する何らかの有害な副作用の存在、性質および程度により決定する。
本DR5アゴニストおよびGSK3βアンタゴニストまたはhCDC4アンタゴニストは一緒に混合して投与してよく、または各々個々に投与してよい。本DR5アゴニストおよびGSK3βアンタゴニストまたはhCDC4アンタゴニストは一緒に投与してよいが、その必要はない。
DR5アゴニストのGSK3β−またはhCDC4−個体への使用
DR5アゴニストでのGSK3βまたはhCDC4のいずれかの相乗作用の観察およびアポトーシスの誘発の観点から、本発明のある態様は、個体からの癌細胞におけるGSK3βまたはhCDC4の遺伝子型を検出し、次いで該個体が機能的GSK3βまたはhCDC4対立遺伝子を欠く癌細胞を有するならば、該個体にDR5アゴニストを投与することを含む。
GSK3βまたはhCDC4の活性を低下させる全ての変異が、DR5アゴニストでの処置のために選択され得る個体を示す。故に、GSK3βまたはhCDC4のコーディング配列の変化をもたらす(すなわち、特定位置への異なるアミノの挿入、コーディング配列中への停止コドンの挿入、欠失または逆位などをもたらす)ヌクレオチド変異は、これらのタンパク質の活性に影響する。本発明を特定の癌のタイプでの使用に制限することを意図しないが、hCDC4の変異は乳房および卵巣癌で以前に観察されている。例えば、Cardozo & Pagano, Mol. Cell. Biol. 5:739-751(2004)参照。
多くの診断試験が、個体からの癌細胞中のGSK3βまたはhCDC4の遺伝子型を決定するために使用できる。典型的に、生検は、個体内の癌細胞を得ることを含む。次いで、本GSK3βまたはhCDC4遺伝子配列を分析し、それらが活性を阻害する何らかの変異を含むか否かを決定し得る。ある態様において、癌細胞の染色体は、遺伝子(複数もある)を有効に除外する、長い欠失または転座を有する。あるいは、点変異または小欠失が、得られるコードされたタンパク質の機能的変化を示し得る。天然に存在する活性GSK3βまたはhCDC4タンパク質に存在することが知られている以外の異なるアミノ酸へのコーディングをもたらす何らかのヌクレオチド変化が、その逆の証拠がない限り、GSK3βまたはhCDC4各々の活性を阻害する変異と見なされる。
GSK3βまたはhCDC4中の変異を検出する方法は、ヌクレオチド配列決定および/またはポリヌクレオチド増幅(例えば、PCR)および、例えば、標的遺伝子がヌクレオチドミスマッチを含むならば明白なハイブリダイゼーションをさせないハイブリダイゼーション条件を使用した、プローブ標的中の配列変化の検出を可能にするプローブハイブリダイゼーション技術を含むがこれらに限定されない。
他の態様において、個体は野生型T58位に変異を含むMYCの対立遺伝子の存在についてスクリーニングする。これらの態様において、T58位に隣接するMYC対立遺伝子の少なくとも一部を単離し、配列決定するか、または他の方法で検出する。アミノ酸配置により示して、その位置でコードされているスレオニン以外のアミノ酸、またはその位置でのアミノ酸の欠失が、本癌細胞がDR5アゴニストでの処置に特に感受性であることを示す。MYC中のT58以外の何らかの変化がDR5アゴニストに対する増加した感受性を誘発し得、ある態様において、該変異はT58AまたはT58Iから選択される。MYC中のT58で変異を含む癌は以前に記載されており、バーキットリンパ腫を含む。例えば、Chang et al., Mol. Cell. Biol. 20(12):4309-4319(2000)参照。当業者は、しかしながら、T58変異を含む全ての癌が、DR5アゴニストが誘発するアポトーシスの誘発により感受性であることを認識する。故に、本発明の方法は、MYCのT58位での変異を有する個体の同定、およびそのような変異を有する個体へのDR5アゴニストの投与のために提供される。
ここに記載の実施例は、本発明を、限定ではなく、説明することを意図する。
MYC癌原遺伝子はヒト癌においてしばしば脱制御されている。我々は、MYCと総合的致死相互作用を示す遺伝子を発見するために低分子干渉RNA(siRNA)のキナーゼ特異的(kinase-directed)ライブラリーをスクリーニングした。我々は、特にMYC過発現細胞におけるアポトーシスのポテンシエーターとして、多くの遺伝子を同定し、それらを表1に示す。スクリーニングしたヒットの中で、我々は、DR5細胞死受容体アゴニストに対するMYC依存性感受性の制御におけるGSKβの役割をさらに試験した。我々は、関係するGSK3αではなくGSK3βのsiRNA仲介サイレンシングが、スレオニン残基58上のMYCのリン酸化を防止し、それによりMYCのE3ユビキチンリガーゼ構成要素hCDC4(本実施例では“hFBW7”と呼ぶ)による認識を阻害することを発見した。GSK3β−FBW7軸の減弱はMYCを安定化し、TRAIL受容体DR5の表面レベルの上方制御、インビトロでのDR5誘発アポトーシスの増強、およびインビボ腫瘍異種移植片モデルにおけるDR5アゴニスト処置効果のCDC4(本実施例ではFbw7と呼ぶ)による増強をもたらす。これらの結果は、GSK3βおよびFBW7、ならびに表1に記載する他のMYC相互作用遺伝子を、癌治療標的として同定する。本データはまたGSK3β生存シグナル伝達経路において有用な基質としてのMYCを示し、そして、逆説的に、MYC過発現腫瘍が、MYC癌遺伝子機能を増加させる薬剤により処置可能であることを証明する。
Figure 2008536820
低分子干渉RNA(siRNA)による遺伝子サイレンシングに基づいたハイスループット細胞表現型スクリーニング法は、哺乳動物細胞における新規な総合的致死相互作用を同定する方法を提供する可能性がある(Deveraux, Q.L., Aza-Blanc, P., Wagner, K.W., Bauerschlag, D., Cooke, M.P. and Hampton, G.M., (2003) Semin Cancer Biol 13, 293-300; Paddison, P.J. and Hannon, G.J., (2002) Cancer Cell 2, 17-23; Willingham, A.T., Deveraux, Q.L., Hampton, G.M. and P., A.-B., (2004) Oncogene 23, 8392-8400にレビュー)。ここで我々はヒトキナーゼのスーパーファミリーに対するsiRNAの焦点を絞ったライブラリーを用い、その不活性化がMYC過剰発現と総合的に致死である遺伝子を同定した。同定された遺伝子の中には、細胞死受容体誘発アポトーシスの抑制において重要ではあるが、まだほとんど特徴付けられていない役割を有する遺伝子であるグリコーゲンシンターゼキナーゼ3ベータ(GSK3β)があった(Hoeflich, K.P., Luo, J., Rubie, E.A., Tsao, M.S., Jin, O. and Woodgett, J.R., (2000)Nature 406, 86-90.;Jope, R.S. and Johnson, G.V., (2004). Trends Biochem Sci 29, 95-102.;Liao, X., Zhang, L., Thrasher, J.B., Du, J. and Li, B., (2003). Mol Cancer Ther 2, 1215-1222)。我々は、GSK3βがMYCをリン酸化し、E3ユビキチンリガーゼ構成要素FBW7(FBXW7、hCDC4、AGO、およびSEL10としても既知)の認識のために標的とする能力が、そのMYCとの総合的致死相互作用の根底にあることを示す。これらの結果は、GSK3βおよびFBW7を癌治療標的として同定し、そして、癌治療のための新規な、経験に反した:癌遺伝子機能の抑制ではなくむしろ増加であるというアプローチを証明する。
結果
キナーゼ特異的siRNAライブラリーのスクリーニングは、多くの遺伝子のノックダウンとMYC過発現の間の総合的致死相互作用を同定する
そのノックダウンがMYC過発現と総合的に致死である遺伝子を同定するために、我々は、624個のsiRNAの配列されたライブラリー(Aza-Blanc, P., Cooper, C.L., Wagner, K., Batalov, S., Deveraux, Q.L. and Cooke, M.P., (2003)Mol Cell 12(3):627-37)を、MYC発現レベルのみが異なる細胞株の同系ペアにおけるDR5仲介アポトーシスを異なって増強する能力についてスクリーニングした。384ウェル細胞培養プレートに配列されたsiRNAライブラリーを、低内因性MYCレベルを発現する不死化したが形質転換していない腎臓上皮性細胞HA1Eに、または組み込まれたレトロウイルス性プロウイルスからMYCを異所性に発現するその形質転換派生物HA1E−MYCのいずれかに逆トランスフェクトした(Wang, Y., Engels, I.H., Knee, D.A., Nasoff, M., Deveraux, Q.L. and Quon, K.C., (2004)Cancer Cell 5:501-512.)。アポトーシスに対する感受性を高めるために、本siRNAトランスフェクトした細胞を、DR5に特異的なアゴニスト性モノクローナル抗体(DR5−A)(Ren, Y.G., Wagner, K.W., Knee, D.A., Aza-Blanc, P., Nasoff, M. and Deveraux, Q.L., (2004)Mol Biol Cell 15, 5064-5074.;Wang, Y., Engels, I.H., Knee, D.A., Nasoff, M., Deveraux, Q.L. and Quon, K.C., (2004)Cencer Cell 5, 501-512)で24時間処理し、その後細胞生存能をアッセイした。試験した624個のsiRNAのうち、14個がMYC発現細胞を、その非MYC発現カウンターパートよりも2倍を超えて感作した。表1に示す通り、これらのsiRNAにより標的となる遺伝子およびそれらのコードするタンパク質産物を、ここでは、MYC相互作用遺伝子およびMYC相互作用ポリペプチドと各々呼ぶ。これらのsiRNAの1個、GSK3βにより標的とされる遺伝子を、さらなる試験に選択した。
GSK3βのsiRNA仲介ノックダウンが、MYC発現細胞におけるアポトーシスを特異的に増強することを確認するために、我々は、細胞生存能アッセイを、GSK3βならびに関連アイソフォームGSK3βに対する複数の非重複siRNAを使用して、DR5−A濃度の範囲で繰り返した。試験した全てのDR5−A濃度で、GSK3βを標的とする各siRNA(2個のsiRNA、および4個のsiRNAの“smartpool”プール)が、MYC過発現HA1E−MYC細胞をDR5−Aの作用に対して感作したが、同系親細胞株にはほとんどまたは全く影響がなかった。GSK3βアイソフォームに対するsiRNAは、GSK3β siRNAと同程度まで標的タンパク質発現を減少させたにもかかわらず、HA1EまたはHA1E−MYC細胞のいずれも感作しなかった。
同様に、一般的に用いられるGSK3阻害剤である塩化リチウム(LiCl)はHA1E−MYCを、濃度依存的方法でDR5−Aに対して感作するが、HA1E細胞はしない。浸透圧の変化のコントロールとしてLiClを塩化カリウム(KCl)に変えても、いずれの細胞株でもDR5−A感受性は顕著に影響しなかった。2個のさらなる市販の小分子GSK3阻害剤(6−ブロモインジルビン−3−オキシム(Meijer, L., Skaltsounis, A.L., Magiatis, P., Polychronopoulos, P., Knockaert, M., Leost, M., Ryan, X.P., Vonica, C.A., Brivanlou, A., Dajani, R., Crovace, C., Tarricone, C., Musacchio, A., Roe, S.M., Pearl, L. and Greengard, P., (2003). Chem Biol 10, 1255-1266)およびAR−A014418(Bhat, R., Xue, Y., Berg, S., Hellberg, S., Ormo, M., Nilsson, Y., Radesater, A.C., Jerning, E., Markgren, P.O., Borgegard, T., Nylof, M., Gimenez-Cassina, A., Hernandez, F., Lucas, J.J., Diaz-Nido, J. and Avila, J., (2003)J Biol Chem 278, 45937-45945)は、LiClと同様の結果となった。これらの化学阻害剤はいずれもαおよびβ GSK3アイソフォームを区別しないが、これらのデータは、上記のsiRNA結果と合わせたとき、GSK3βアイソフォームの減少または阻害が、特にMYC過発現細胞におけるDR5仲介アポトーシスを促進するとの強い証拠を提供する。
MYCのGSK3βおよびFBW7依存性リン酸化および分解がMYC発現細胞のDR5−A仲介アポトーシスに対する感受性を決定する
GSK3βとMYCの間の総合的致死関係は、細胞生存およびアポトーシスに作用するためにGSK3βがMYCを介して作用しているはずであることを示唆する。最近、GSK3はMYCをスレオニン残基58(T58)でリン酸化することにより、MYCタンパク質安定性を制御することが示された(Gregory, M.A., Qi, Y. and Hann, S.R., (2003)J Biol Chem 278, 51606-51612)。この部位でのリン酸化はCdc4ホスホデグロンまたはCPDと名付けられた認識部位を作り、MYCがSCF(Skp-Cullin-F-box)ユビキチンリガーゼ複合体のF−box含有構成要素であるFBW7による分解のために認識および標的とされることを可能にする(Welcker, M., Orian, A., Jin, J., Grim, J.A., Harper, J.W., Eisenman, R.N. and Clurman, B.E., (2004)Proc Natl Acad Sci U S 101, 9085-9090.;Yada, M., Hatakeyama, S., Kamura, T., Nishiyama, M., Tsunematsu, R., Imaki, H., Ishida, N., Okumura, F., Nakayama, K. and Nakayama, K.I., (2004)EMBO J 23, 2116-2125)。MYCのT58でのリン酸化および続くFBW7依存性分解がGSK3βによる細胞生存の制御に役割を有するかどうかを決定するために、我々は、FBW7機能の抑制がGSK3βの涸渇を摸倣するか否かを試験した。FBW7およびGSK3βに対するsiRNAは、HA1E細胞ではなくHA1E−MYC細胞においてMYCタンパク質レベルを増加させ、DR5−Aに対する感受性を高め、GSK3βおよびFBW7がMYC依存性アポトーシスの制御に共通経路で作用することを示唆する。顕著なことに、GSK3βおよびFBW7タンパク質発現のsiRNA仲介サイレンシングはHA1E−MYCおよびHA1E細胞で同等であり、HA1E細胞における感受性の欠損がGSK3βまたはFBW7の下方制御の失敗が原因ではなかったことを示唆する。GSK3βおよびFBW7両方のsiRNAがHA1E−MYC細胞におけるMYCタンパク質レベルを増加させるが、GSK3βに対するsiRNAのみがMYC T58リン酸化を防止し、FBW7機能がGSK3β依存性MYC T58リン酸化の下流であることを示し − 先の観察と一致する(Welcker, M., Orian, A., Jin, J., Grim, J.A., Harper, J.W., Eisenman, R.N. and Clurman, B.E., (2004)Proc Natl Acad Sci U S 101, 9085-9090;Yada, M., Hatakeyama, S., Kamura, T., Nishiyama, M., Tsunematsu, R., Imaki, H., Ishida, N., Okumura, F., Nakayama, K. and Nakayama, K.I., (2004)EMBO J 23, 2116-2125)。
レトロウイルスによって挿入したMYCがT58でアラニンに変異している(MYCT58A)HA1E細胞において、それはもはやGSK3βによりリン酸化されず、故に、FBW7により認識されず(Welcker, M., Orian, A., Jin, J., Grim, J.A., Harper, J.W., Eisenman, R.N. and Clurman, B.E., (2004)Proc Natl Acad Sci U S 101, 9085-9090;Yada, M., Hatakeyama, S., Kamura, T., Nishiyama, M., Tsunematsu, R., Imaki, H., Ishida, N., Okumura, F., Nakayama, K. and Nakayama, K.I., (2004). EMBO J 23, 2116-2125)、GSK3βまたはFBW7 siRNAいずれも細胞をDR5−Aに対して感作できず、野生型(wt)MYCで行った類似の実験と著しい対照をなした。これらの結果は、MYCが、アポトーシスにさらに感作するために、GSK3βまたはFBW7のいずれかに対するsiRNAのためにT58でリン酸化されていることを示す。顕著なことに、本MYCT58A対立遺伝子は、HA1E細胞をDR5−A誘発アポトーシスに対して感作するのにwt MYCよりも有効であり、wt MYCと、GSK3βまたはFBW7に対するsiRNAの組み合わせと同程度感作した。一緒にして、これらのデータは、GSK3βの不活性化が、MYCのT58でのリン酸化を防止し、それによりFBW7依存性MYC認識および分解を防止することによりDR5アゴニストに対する感受性を増強するモデルを強く立証する。
GSK3β−FBW7 CPD認識モジュールの不活性化によるMYCの安定化はDR5受容体レベルを増加させ、カスパーゼ−8プロセシングを刺激する
以前に、我々はMYCの異所性発現が、細胞表面上のDR5受容体の上方制御、およびDR5アゴニストにより誘発されるアポトーシスへのその後の感作をもたらすことを示した(Wang, Y., Engels, I.H., Knee, D.A., Nasoff, M., Deveraux, Q.L. and Quon, K.C., (2004)Cancer Cell 5, 501-512)。故に、我々は発現されたMYCの、FBW7またはGSK3β涸渇による、さらなる安定化が、表面DR5受容体レベルにさらに影響するか否かを試験した。種々のsiRNAでトランスフェクトしたHA1E−MYC細胞のフローサイトメトリー分析は、GSK3βおよびFBW7涸渇細胞の両方が、コントロールsiRNAでトランスフェクトした細胞に対してDR5受容体を増加させることを示した。対照的に、DR5を標的とするsiRNAは細胞表面DR5発現を減少させ、これらのアッセイにおいて用いる試薬の特異性を確認する。顕著なことに、GSK3βまたはFBW7涸渇細胞における増加したDR5受容体レベルは、カスパーゼ−8の増加した活性化およびタンパク質分解プロセシングと関連し、故に、増加した受容体レベルを増加した機能的アポトーシスシグナリングと相関させる。GSK3βおよびFBW7 siRNAは、HA1E細胞におけるDR5受容体に検出可能な影響を有さず、低MYC発現、例えば非形質転換細胞での細胞におけるGSK3β/FBW7依存性MYC分解プロセスの妨害はDR5細胞表面発現および続くDR5アゴニストへの感作に十分ではないことを示唆する。
ヒト腫瘍由来細胞においてMYC安定性を制御するGSK3β−FBW7モジュールの妨害は、DR5表面受容体レベルを上方制御し、そしてDR5−A誘発アポトーシスを増加する
我々の結果が、高内因性MYCレベルのヒト腫瘍由来材料で再現できるかどうかを決定するために、我々はヒト結腸癌腫細胞株、HCT116を用いた。以前に、我々は、MYCを過剰発現するが(Wang, Y., Engels, I.H., Knee, D.A., Nasoff, M., Deveraux, Q.L. and Quon, K.C., (2004)Cancer Cell 5, 501-512)、FBW7に関しては野生型(wt)である(Rajagopalan, H., Jallepalli, P.V., Rago, C., Velculescu, V.E., Kinzler, K.W., Vogelstein, B. and Lengauer, C., (2004)Nature 428, 77-81)この細胞株が、DR5−Aで処理したときにアポトーシスに付されること、およびこの感受性は内因性MYC機能を必要とすることを示した(Wang, Y., Engels, I.H., Knee, D.A., Nasoff, M., Deveraux, Q.L. and Quon, K.C., (2004)Cancer Cell 5, 501-512)。HA1E−MYC細胞と同様、HCT116は、GSK3βではなく、GSK3βおよびFBW7に対するsiRNAによりDR5−Aに感作できた。重要なことに、これらのsiRNAは、DR4 TRAIL受容体に対するアゴニスト性抗体に対して感作せず、GSK3βおよびFBW7仲介感作におけるDR5の役割を強調した。さらに、FBW7の1個または両方のコピーが相同的組み換え(各々FBW7+/−およびFBW7−/−、(Rajagopalan, H., Jallepalli, P.V., Rago, C., Velculescu, V.E., Kinzler, K.W., Vogelstein, B. and Lengauer, C., (2004)Nature 428, 77-81))により破壊されているHCT116の派生物は、siGSK3βおよびsiFBW7親HCT116株と比較したとき、同様にDR5−Aに過敏性であった。興味深いことに、FBW7のヘテロ接合性およびホモ接合性破壊はDR5−Aによるアポトーシスを強く増強し、FBW7がハプロ不全腫瘍サプレッサー遺伝子として作用できるという観察と一致するが(Mao, J.H., Perez-Losada, J., Wu, D., Delrosario, R., Tsunematsu, R., Nakayama, K.I., Brown, K., Bryson, S. and Balmain, A., (2004)Nature 432, 775-779)、効果はホモ接合体でより劇的であった。siRNAのまたは遺伝子欠失によるFBW7遺伝子サイレンシングは、ウェスタン・ブロットまたはPCR分析により確認した。
同様に、FBW7に天然に存在するヘテロ接合性変異を担持する結腸癌腫細胞株HT115はDR5−Aに非常に感受性であった。顕著なことに、DR5−Aに対する感受性は、HT115細胞におけるwt FBW7 cDNAの安定な過剰発現により救済できた。HT115に存在する変異であるC1153Tは、結腸癌において見られる最も頻繁に起こるFBW7変異の一つであり(Rajagopalan, H., Jallepalli, P.V., Rago, C., Velculescu, V.E., Kinzler, K.W., Vogelstein, B. and Lengauer, C., (2004)Nature 428, 77-81.;Rajagopalan, H. and Lengauer, C., (2004)Cell Cycle 3, 693-694)、そしてその基質認識ドメインチュの第三のWD40反復における重要なアルギニン残基を変異させ、それによりその基質と結合する能力が妨害される(Orlicky, S., Tang, X., Willems, A., Tyers, M. and Sicheri, F., (2003)Cell 112, 243-256.;Rajagopalan, H., Jallepalli, P.V., Rago, C., Velculescu, V.E., Kinzler, K.W., Vogelstein, B. and Lengauer, C., (2004)Nature 428, 77-81.)。
HA1E−MYC細胞におけるように、HCT116親細胞におけるGSK3βまたはFBW7を標的としたsiRNAsのトランスフェクションは、増加した細胞表面DR5受容体レベルをもたらした。FBW7をヘテロ接合性またはホモ接合性いずれかで相同的組み換えにより妨害したときに、DR5受容体レベルの同様な増加が観察され、この増加はホモ接合性細胞でわずかに大きかった。HCT116 FBW7+/−細胞において、DR5細胞表面発現はsiGSK3βまたはsiFBW7のトランスフェクションによりさらに増加した。しかしながら、機能的FBW7を欠くHCT116 FBW7−/−細胞へのGSK3βまたはFBW7 siRNAの挿入後に、DR5受容体レベルのさらなる増加は観察されなかった。これらの結果は、GSK3βがDR5受容体レベルを機能的FBW7の存在下でのみ制御し、故に、DR5受容体レベルを制御するためにGSK3βがFBW7の上流で作用するとの説得力のある証拠を提供する。興味深いことに、DR5 siRNAはFBW7+/−およびFBW7−/−細胞においてMYCレベルを増加させ、これはDR5の欠損が、MYC過発現細胞にとって生存利点を提供することを示し得る。
FBW7の多くの基質がMYCに加えて同定されており、最も著明なものはサイクリンEである(Koepp, D.M., Schaefer, L.K., Ye, X., Keyomarsi, K., Chu, C., Harper, J.W. and Elledge, S.J., (2001)Science 294, 173-177)。MYCと同様、サイクリンEは、残基、T380上のリン酸化後にFBW7により認識され、GSK3により作用され(Welcker, M., Singer, J., Loeb, K.R., Grim, J., Bloecher, A., Gurien-West, M., Clurman, B.E. and Roberts, J.M., (2003)Mol Cell 12, 381-392)、GSK3β−FBW7 CPD認識モジュールがまたDR5−A誘発アポトーシスを制御するためにサイクリンEを介して作用するかもしれない可能性を惹起する。DR5仲介細胞死のGSK3β/FBW7コントロールにおけるそれらの相対的役割に取り組むために、我々は、MYCおよびサイクリンEに対するsiRNAがFBW7 wt、ヘテロ接合性およびホモ接合性変異体HCT116細胞を、DR5−A誘発アポトーシスから救済する能力について試験した。サイクリンEを標的とするsiRNAは効率的にサイクリンE発現を沈黙させるが、細胞生存能に顕著な影響を有さず、MYC siRNAは全3個の遺伝子型、ならびに天然に存在するヘテロ接合性変異体HT115において生存能を高めた。HCT116シリーズの細胞株における量的に類似なレスキューが、MYC機能をドミナントネガティブMYC対立遺伝子、MADMYCの安定なレトロウイルス発現により減少させたならば得られ(Berns, K., Hijmans, E.M. and Bernards, R., (1997)Oncogene 15, 1347-1356)、そして細胞表面からのDR5の下方制御を伴った。これらの結果は、FBW7の妨害によるDR5アゴニストへの感作がMYC活性を仲介し、そしてサイクリンE機能に無関係であることを示す。
興味深いことに、サイクリンEのsiRNA仲介ノックダウンはDR5誘発アポトーシスに影響を有しないが、以前に記載の通り(Rajagopalan, H., Jallepalli, P.V., Rago, C., Velculescu, V.E., Kinzler, K.W., Vogelstein, B. and Lengauer, C., (2004)Nature 428, 77-81;Rajagopalan, H. and Lengauer, C., (2004)Cell Cycle 3, 693-694)、FBW7妨害により誘発される小核− 染色体不安定性の代理 − の形成に対して強い抑制効果を有した。対照的に、MYC siRNAはFBW7涸渇細胞における小核形成に影響を有しなかった。これらのデータは、故に、2個の重要なFBW7標的の機能を線引きし、FBW7涸渇細胞において、DR5感受性の得られる増加はMYC安定化に依存し、一方、染色体安定性の増加はサイクリンE安定化に依存することを示す。
可能性のある治療標的としてのGSK3β−FBW7モジュール
MYC過発現と、GSK3β−FBW7モジュールの構成要素の間の総合的致死関係は、標的GSK3またはFBW7が、DR5アゴニストと組み合わせて使用したとき、有効な治療戦略であることを示す。これをインビボで証明するために、我々は、免疫不全マウスにおける皮下異種移植腫瘍としてHCT116 FBW7+/+およびFBW7+/−細胞を増殖させた。HCT116 FBW7−/−細胞はインビボでほとんど増殖せず、故に試験から除外した。腫瘍が約80mmの平均容積に到達したとき、腫瘍担持マウスを100μg DR5−Aで1日おきに合計7回の処置まで処置し、またはコントロールとして緩衝液のみで処置した。処置レジメン終了時に、FBW7+/−腫瘍はDR5−Aに対して有意に大きい応答を示し、88.05の平均腫瘍容積に対し、HCT116 FBW7+/+腫瘍で223.27であり(p=0.00866)、GSK3またはFBW7のターゲティングは、DR5アゴニストとの組み合わせ治療として有効であることを示す。
結論
ここで、我々は、その不活性化が特にMYC過発現細胞におけるアポトーシスを促進する多数の遺伝子の同定を報告する。これらの遺伝子の中で、GSK3βおよびFBW7は、ユビキチン仲介タンパク質分解に含まれるタンパク質の対である。可能性のある癌治療剤標的としてのこれらの遺伝子の同定とは別に、我々の結果は、GSK3βおよびFBW7仲介細胞生存シグナリングの重要な機構を解明し、そして、逆説的に、MYC過発現腫瘍がMYC癌遺伝子機能を増加させる薬剤により処置可能であるはずであることを示唆する。
GSK3β−FBW7軸の抑制によりもたらされるDR5仲介アポトーシスに対する感作は、DR5アゴニストが臨床においてどのように用いることができるかの重要な暗示を有する。MYC上のT58 GSK3βリン酸化部位での変異がバーキットリンパ腫においてしばしば観察され(Bhatia, K., Huppi, K., Spangler, G., Siwarski, D., Iyer, R. and Magrath, I., (1993)Nat Genet 5, 56-61.)、そしてプロテアソームによるその分解により阻害されることが示されており(Gregory, M.A. and Hann, S.R., (2000)Mol Cell Biol 20, 2423-2435)、一方、不活性化FBW7変異は、乳房、卵巣、子宮内膜、膵臓、および結腸直腸癌腫を含む、種々の固形腫瘍型で報告されている(Calhoun, E.S., Jones, J.B., Ashfaq, R., Adsay, V., Baker, S.J., Valentine, V., Hempen, P.M., Hilgers, W., Yeo, C.J., Hruban, R.H. and Kern, S.E., (2003). Am J Pathol 163, 1255-1260;Rajagopalan, H., Jallepalli, P.V., Rago, C., Velculescu, V.E., Kinzler, K.W., Vogelstein, B. and Lengauer, C., (2004)Nature 428, 77-81.;Spruck, C.H., Strohmaier, H., Sangfelt, O., Muller, H.M., Hubalek, M., Muller-Holzner, E., Marth, C., Widschwendter, M. and Reed, S.I., (2002)Cancer Res 62, 4535-4539)。
小分子GSK3阻害剤は、糖尿病、神経変性疾患、および双極性障害を含む、いくつかの適応症のために現在開発中である(Cohen, P. and Goedert, M., (2004)Nat Rev Drug Discov 3, 479-487.)。このような阻害剤での長期処置が、β−カテニンなどのようなGSK3β発癌性標的の安定化を介して腫瘍発生率を増加させるかもしれないとの懸念は、動物モデルにおいて実証されておらず(Gould, T.D., Gray, N.A. and Manji, H.K., (2003)Pharmacol Res 48, 49-53.)、リチウムで処置した双極性患者も増加した発癌率を示さない(Cohen, Y., Chetrit, A., Cohen, Y., Sirota, P. and Modan, B., (1998)Med Oncol 15, 32-36)。故に、MYC分解の間接的遮断により、このような阻害剤は、特にDR5アゴニストまたはヒストンデアセチラーゼ阻害剤、インターフェロン、レチノイド、および三酸化砒素のような少なくとも一部TRAILシグナル伝達経路を利用する他の治療剤と組み合わせたとき、MYC過発現癌に対して有効であり得る(Akay, C. and Gazitt, Y., (2003)Cell Cycle 2, 358-368.;Altucci, L., Rossin, A., Raffelsberger, W., Reitmair, A., Chomienne, C. and Gronemeyer, H., (2001)Nat. Med. 7, 680-686.;Clarke, N., Jimenez-Lara, A.M., Voltz, E. and Gronemeyer, H., (2004)EMBO J 23, 3051-3060;Insinga, A., Monestiroli, S., Ronzoni, S., Gelmetti, V., Marchesi, F., Viale, A., Altucci, L., Nervi, C., Minucci, S. and Pelicci, P.G., (2005)Nat Med 11, 71-76;Nebbioso, A., Clarke, N., Voltz, E., Germain, E., Ambrosino, C., Bontempo, P., Alvarez, R., Schiavone, E.M., Ferrara, F., Bresciani, F., Weisz, A., de Lera, A.R., Gronemeyer, H. and Altucci, L., (2005)Nat Med 11, 77-84)。
材料および方法
細胞株
遺伝子学的に定義された不死化HA1E細胞をRobert Weinberg(Whitehead Institute, Cambridge, MA)から得て、グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、および10%FCSを補ったイーグルの最少必須培地で増殖させた。結腸癌細胞株HCT116およびそのFBW7+/−およびFBW7−/−派生物をBert Vogelstein(Johns Hopkins University, Baltimore, MD)から得て、上記の通り補ったMcCoyの5A培地で増殖させた。結腸癌細胞株HT115はEuropean Collection of Cell Culturesから得て、上記の通り補ったDMEMで増殖させた。
レトロウイルス
レトロウイルスをPhoenix-A前駆細胞へのリポフェクタミン2000(Invitrogen)仲介トランスフェクションにより製造した(Garry Nolan, Stanford University, Stanford, CA)。レトロウイルス感染は、標的細胞を2700rpmで90分、25℃で20mM HEPESおよび8μg/mlポリブレンを含む50%レトロウイルス上清と共に遠心分離することにより行った。典型的に2ラウンドの感染を行った。使用したレトロウイルスベクターはMYCについてはLZRS−IRES−EGFP、MADMYCについてはpBABEpuro、およびMYCまたはMYC−T58AについてはpWZLblastであった。1μg/mlピューロマイシンまたはブラストサイジンを選択のために使用した。
siRNAライブラリースクリーニング
先に記載のようにsiRNAコレクションを調製し、播種した(Aza-Blanc, P., Cooper, C.L., Wagner, K., Batalov, S., Deveraux, Q.L. and Cooke, M.P., (2003)Mol Cell 12(3):627-37)。siRNAコレクションは、380個の既知のおよび予測されるキナーゼ、100個の未知機能の遺伝子、およびアポトーシス経路において役割を有することが既知の遺伝子を含む144個の目的の既知の遺伝子の各々を特異的に沈黙させるように設計した624個のsiRNAを含む。siRNAは、384ウェルマイクロタイタープレート中、デュプリケートで8ng/ウェルで配置した。siRNAライブラリーをHA1EおよびHA1E−MYC細胞にトランスフェクトするために、我々は逆トランスフェクションを使用した。簡単に言うと、10μlのOpti−Mem/リポフェクタミン2000(125:1)混合物を各ウェルに分配し、40μlの細胞の分配後siRNAとインキュベートさせた。48時間後、10μlの架橋DR5−Aを一組のプレートに添加し、1μg/mlの最終濃度に到達させた。さらに24時間後、各ウェルの細胞生存能をCell Titer-Glo(Promega, Madison, WI)で測定した。各384ウェルプレートについて、シグナルを、ルシフェラーゼに対するsiRNA(siGL3)を含む同じプレート上の24ウェルの平均で各ウェルを割ることにより標準化し、100倍して標準化された生存能を得た(“%生存能”)。
抗体
免疫ブロット法のための抗体は、示す供給社から得た:MYC−9E10(Santa Cruz)、T58−ホスホMYC(#9401、Cell Signaling)、カスパーゼ−8(12F5、Biosource)、FLIP(NF−6、Axxora)、FBW7(MoBiTec)、GSK3(Stressgen)、サイクリンE(HE12、Pharmingen)およびDR5A(GNFで製造)。インビトロアポトーシスアッセイのために、DR5−AをF(Ab’)フラグメントヤギ抗マウス抗Fc(Jackson ImmunoResearch)と1時間、室温で1:3重量比でインキュベートすることにより架橋させた。ウェスタン・ブロット分析を先に記載の通り行った。
siRNA
全siRNA smartpool(GSK3α、GSK3β、サイクリンE、MYCを標的)をDharmaconから購入した。使用した個々のsiRNAはQiagenから購入した:siGSK3α(GTG ATT GGC AAT GGC TCA T)、siGSK3β−1(GTA TTG CAG GAC AAG AGA T)、siGSK3β−S(GC AAA TCA GAG AAA TGA AC)、siFBW7−2(GGG CAA CAA CGA CGC CGA A)、siFBW7−3(AAG GCA CTC TAT GTG CTT TCA)、siMYC(CAC GTC TCC ACA CAT CAG CAC AA);コントロールsiRNA siGL3(ベクターpGL3からのルシフェラーゼ遺伝子に対する)AAC TTA CGC TGA GTA CTT CGA TT。
細胞を96ウェルプレート中20ng/ウェルで、または6ウェルプレート中600ng/ウェルで、製造者の指示に従いリポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用してトランスフェクトし、DR5Aで処理するかまたはトランスフェクション48時間後のFACS分析、免疫ブロット法または半定量的RT−PCRのために調製した。
半定量的RT−PCR
全RNAをRNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して抽出した。1μg RNAをThermalScript System(Invitrogen)を使用して逆転写した。次いで、1μl cDNAを、下記プライマーを使用したPCR増幅に使用した:FBW7_前向き(AAG TTG GAC CAT GGT TCT GAG)、FBW7_後向き(A CAC AGC GGA CTG CTG CAA C)、DR5R_前向き(ATG GAA CAA CGG GGA CAG AAC)、およびDR5R_後向き(TTA GGA CAT GGC AGA GTC TGC)。
FACS
細胞を上記の通りsiRNAトランスフェクトし、トランスフェクション48時間後、Accutaseで回収し、ペレット化し、10μg/ml DR5A(マウス抗体)とハンクス緩衝液(0.1%0.5M EDTA、0.1%1M Hepes、1%PBSおよび0.1%ナトリウムアジドを添加)中で90分、4℃でインキュベートし、2回洗浄し、1:1000希釈APC(アロフィコシアニン架橋ヤギ抗マウス二次抗体(Molecular Probs))と30分インキュベートし、再び洗浄し、FACSで分析した。
細胞死アッセイ
ウェルあたり8000〜10000個の細胞を、96ウェルプレート中の適当な細胞培養培地に播種し、LiCl/KClと8時間インキュベートするか、またはsiRNAでトランスフェクトし、トランスフェクション48時間後DR5Aでさらに20時間処置した。細胞生存能をトリプリケートでCell TiterGlo(Promega)により製造社の指示に従い測定した。
救済実験
HT115細胞を、完全長FBW7γをコードするpCMV6−FBW7で、Fugene 6トランスフェクション試薬(Roche)を使用してトンラスフェクトした。pBABEpuroを、1:4重量比で共トランスフェクトし、2μg/mlピューロマイシンでの選択を可能にした。安定な細胞を、96ウェルプレートに播種して一晩接着させ、DR5−Aで20時間処理し、細胞生存能アッセイをその後行った。
動物実験
3×10 HCT116 FBW7+/+またはFBW7+/−細胞を、雌、8週齢Balb/cヌードマウスに、27g針を使用した皮下注射によりインプラントした。各群について、8匹中8匹の動物で腫瘍が形成され、3方向をカリパスを使用して測定し、容積を式(L×W×H)/2を使用して計算した。腫瘍が80mmの平均容積に到達したとき、マウスを最小および最大腫瘍を除外して腫瘍容積により順位付けし、100μg DR5−Aまたは媒体コントロール(50mM クエン酸ナトリウム、pH 7.0;140mM NaCl)のIP注射のために偶数順位と奇数順位に分けた。マウスを1日おきに合計7回処置した。全ての動物は管理され、実験はIACUC committee of the Genomics Institute of the Novartis Research Foundationにより承認されたプロトコールで行った。
本発明は、理解を明瞭にする目的で、説明および実施例の方法で幾分詳細に記載しているが、本発明の教示に鑑みて、添付の特許請求の範囲の範囲または精神から逸脱することなくそれにある種の変化および修飾を成し得ることは、当業者には容易に明らかである。
本明細書中で引用する全ての刊行物、データベース、Genbank配列、特許、および特許出願は、各々が、具体的にそして個々に引用により包含させることが示されたのと同程度、引用により本明細書に包含させる。
抗DR5アゴニスト抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を記載する。相補性決定領域(CDR)は囲っている。残りのアミノ酸はフレームワーク領域(FR)の一部である。 図1に示す抗DR5アゴニスト抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を記載する。相補性決定領域(CDR)は囲っている。残りのアミノ酸はフレームワーク領域(FR)の一部である。 図1および2に示す可変領域のDNAコーディング配列である。

Claims (19)

  1. 癌細胞においてアポトーシスを誘発する方法であって:
    MYC発現およびDR5発現癌細胞と:
    (i)DR5アゴニスト;および
    (ii)グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β(GSK3β)アンタゴニストまたはhCDC4アンタゴニスト
    を接触させる方法。
  2. 癌細胞が動物内にあり、そして接触段階が、アゴニスト(i)およびアンタゴニスト(ii)を該動物に投与することを含む、請求項1記載の方法。
  3. 動物がヒトである、請求項2記載の方法。
  4. 動物がヒトではない、請求項2記載の方法。
  5. 接触段階が細胞とGSK3βアンタゴニストの接触を含む、請求項1記載の方法。
  6. 接触段階が細胞とhCDC4アンタゴニストの接触を含む、請求項1記載の方法。
  7. DR5アゴニストが抗体である、請求項1記載の方法。
  8. DR5アゴニストがTRAILである、請求項1記載の方法。
  9. 治療的有効量の:
    (i)DR5アゴニスト;および
    (ii)グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β(GSK3β)アンタゴニストまたはhCDC4アンタゴニスト
    を含む、組成物。
  10. GSK3βアンタゴニストを含む、請求項9記載の組成物。
  11. hCDC4アンタゴニストを含む、請求項9記載の組成物。
  12. DR5アゴニストが抗体である、請求項9記載の組成物。
  13. DR5アゴニストがTRAILである、請求項9記載の組成物。
  14. 癌細胞におけるアポトーシスを誘発する薬剤を同定するための方法であって:
    (i)hCDC4ポリペプチドのホスホデグロン(phosphodegron)結合性フラグメントを含むポリペプチドに1種以上の薬剤を接触させ(ここで、ホスホデグロンはLPTPP(配列番号2)を含み、配列番号2中のスレオニンはリン酸化されている);
    (ii)ホスホデグロンのポリペプチド結合を阻害する1種以上の薬剤を選択し、それにより、癌細胞におけるアポトーシスを誘発する薬剤を同定する
    ことを含む、方法。
  15. ホスホデグロンがKKFELLPTPPLSPSRR(配列番号1)を含む、請求項14記載の方法。
  16. (iii)選択した1種以上の薬剤を、MYCを発現する癌細胞とDR5アゴニスト存在下で接触させ;そして
    (iv)癌細胞において、該細胞を該薬剤の非存在下でDR5アゴニストと接触させたときよりもさらにアポトーシスを誘発する薬剤を選択する
    ことをさらに含む、請求項14記載の方法。
  17. ポリペプチドが固体支持体支持体に結合している、請求項14記載の方法。
  18. ポリペプチドが第一蛍光標識と会合(associated with)しており、そしてホスホデグロンが第二蛍光標識と会合(associated with)しており、該ポリペプチドが該ホスホデグロンと結合したときに、該第一および第二標識が相互作用して蛍光シグナルを発し、ここで、薬剤の存在下での蛍光シグナルの減少が、該薬剤が該ポリペプチドの該ホスホデグロンへの結合を阻害することを示す、請求項14記載の方法。
  19. 第一蛍光標識がユウロピウムであり、そして第一蛍光標識が、該ポリペプチドに結合する抗体に結合しており;そして
    第二蛍光標識がアロフィコシアニン(APC)およびC−フィコシアニン(CPC)から成る群から選択される、
    請求項14記載の方法。
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