JP2008535857A - 癌の診断、検出および処置におけるcacna1e - Google Patents
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Abstract
本発明は癌関連遺伝子の分野にある。特に、本発明はCACNA1E遺伝子またはこの遺伝子によりコードされるタンパク質の存在または非存在に基づいて癌または癌を発症する可能性を検出するための方法に関する。また、本発明は、CACNA1E遺伝子を上方調節または下方調節する方法および分子を提供する。一部の実施態様において、癌は、リンパ腫、乳癌、肝臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移である。
Description
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年4月17日に出願された、米国連続番号60/669,859(この全体が、本明細書に参考として援用される)の優先権を主張する。
本願は、2005年4月17日に出願された、米国連続番号60/669,859(この全体が、本明細書に参考として援用される)の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、癌関連遺伝子の分野にある。特に、本発明はCACNA1EまたはCACNA1E遺伝子産物の差次的発現の存在に基づいて癌を検出するか、または癌を発症する可能性の検出する方法に関する。さらに、本発明は、CACNA1EまたはCACNA1E遺伝子産物の調節により癌を検出、診断および治療するための方法と分子を提供する。
本発明は、癌関連遺伝子の分野にある。特に、本発明はCACNA1EまたはCACNA1E遺伝子産物の差次的発現の存在に基づいて癌を検出するか、または癌を発症する可能性の検出する方法に関する。さらに、本発明は、CACNA1EまたはCACNA1E遺伝子産物の調節により癌を検出、診断および治療するための方法と分子を提供する。
(発明の背景)
癌遺伝子は癌を引き起こすことのできる遺伝子である。発癌は、癌遺伝子を含むウイルスによる細胞の感染、ホストゲノムにおけるプロトオンコジーン(癌遺伝子となる可能性を有する正常遺伝子)の活性化、およびプロトオンコジーンと癌抑制遺伝子の変異等の多様な機構により起こりうる。発癌は基本的には体細胞進化(すなわち、増殖制御の進行性消失による変種の変異と自然淘汰)により推進される。これらの体細胞変異のための標的として働く遺伝子は、それらの突然変異表現型が優性または劣性であるかに依存して、それぞれプロトオンコジーンまたは癌抑制遺伝子の何れかに分類される。
癌遺伝子は癌を引き起こすことのできる遺伝子である。発癌は、癌遺伝子を含むウイルスによる細胞の感染、ホストゲノムにおけるプロトオンコジーン(癌遺伝子となる可能性を有する正常遺伝子)の活性化、およびプロトオンコジーンと癌抑制遺伝子の変異等の多様な機構により起こりうる。発癌は基本的には体細胞進化(すなわち、増殖制御の進行性消失による変種の変異と自然淘汰)により推進される。これらの体細胞変異のための標的として働く遺伝子は、それらの突然変異表現型が優性または劣性であるかに依存して、それぞれプロトオンコジーンまたは癌抑制遺伝子の何れかに分類される。
ヒトならびに動物の癌に関与することが知られる多くのウイルスが存在する。ここで特に興味があるのはそれ自体が癌遺伝子を含まないウイルスである;これらは緩徐型形質転換レトロウイルスである。そのようなウイルスはホストゲノムへの組込みおよび隣接するプロトオンコジーンにさまざまな形で影響を及ぼすことにより腫瘍を誘発する。プロウイルス挿入変異はレトロウイルスの生活環の正常な結果である。感染細胞において、レトロウイルスゲノムのDNAコピー(プロウイルスと呼ばれる)はホストゲノムに組込まれる。新しく組込まれたプロウイルスは2つのメカニズムの1つにより組込み箇所またはその近くでシスの遺伝子発現に影響することができる。I型挿入変異は、プロウイルスの末端反復配列(LTR)内の制御配列(エンハンサーおよび/またはプロモーター)の結果として近接遺伝子の転写を上方制御する。遺伝子のイントロンまたはエキソン内に位置するII型挿入変異は、プロウイルスの末端反復配列(LTR)内の制御配列(エンハンサーおよび/またはプロモーター)の結果として該遺伝子の転写を上方制御することができる。さらに、II型挿入変異は、オープンリーディングフレーム内の直接の組込みか、またはコード配列に両側が接するイントロン内の組込みのためにコード領域の切断を引き起こしえ、切断型または不安定な転写物/タンパク質産物を導きうるだろう。挿入部位における配列またはその近くの配列の分析は多くの新しいプロトオンコジーンの同定を導いてきた。
リンパ腫と白血病に関して、AKVマウス白血病ウイルス(MLV)またはSL3−3MLV等のレトロウイルスは、感受性のある新生マウスに接種される場合または生殖系列に保有される場合に、腫瘍の強力な誘導因子である。多くの配列が、挿入部位を分析することによりリンパ腫と白血病の誘導に関連するものと同定されてきた(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6(これらすべての文献は参照することによりここに組み込まれる)を参照)。癌、特に乳癌、前立腺癌および上皮性起源の癌に関して、哺乳類のレトロウイルスであるマウス乳癌ウイルス(MMTV)は、感受性のある新生マウスに接種される場合または生殖系列に保有される場合に腫瘍の強力な誘導因子である(Mammary Tumours in the Mouse,J.HilgersおよびM.Sluyser編集;Elsevier/North−Holland Biomedical Press;New York,N.Y.)。
特定の生細胞での遺伝子発現のパターンはその現在の状態の特徴を示している。細胞の状態または型のほぼ全ての違いは1つ以上の遺伝子のRNA量の違いに反映されている。未同定遺伝子の発現パターンの比較はそれらの機能の手がかりを提供するだろう。数百または数千の遺伝子の発現の高スループット解析は、(a)複雑な遺伝性疾患の同定、(b)組織と病状との経時的な差次的遺伝子発現の分析、および(c)創薬と毒性研究に有用となりうる。一定の遺伝子の発現レベルの増減は癌生物学と関連がある。例えば、癌遺伝子は腫瘍形成の正の調節因子である一方で、癌抑制遺伝子は腫瘍形成の負の調節因子である。(非特許文献7、非特許文献8)。
免疫療法、または治療目的用の抗体の使用は、近年、癌を治療するために用いられている。受動免疫療法は癌治療でのモノクローナル抗体の使用を伴う。例えば、非特許文献9を参照されたい。これらの抗体の本来の治療生物活性として、腫瘍細胞増殖または生存の直接的な阻害、および体の免疫系の自然の殺細胞活性を補充する能力が挙げられる。これらの物質は、単独、または放射線または化学療法剤に併用して投与される。リンパ腫と乳癌の治療にそれぞれ承認されたRituxan(登録商標)およびHerceptin(登録商標)はそのような治療剤の2つの例である。もしくは、抗体を毒性物質に連結させ、特異的に腫瘍に結合することで該物質を腫瘍に向けさせる抗体複合体を作るために抗体が用いられる。Mylotarg(登録商標)は白血病の治療に用いられる承認された抗体複合体の例である。しかし、これらの抗体は原因よりも腫瘍自体を標的とする。
抗癌治療のさらなるアプローチは、癌を引き起こしうるプロトオンコジーンを標的とするものである。癌を引き起こすものとして同定された遺伝子は、癌発病を検出するためにモニターすることができ、次に癌を治療するための標的とすることができる。
CACNA1Eは、電位依存性カルシウムチャネルのアルファ1Eサブユニットとして同定された(非特許文献10)。2,251個のアミノ酸のタンパク質と2,270個のアミノ酸のタンパク質とをコードするCACNA1Eの2つの公知の変種が存在する。アルファ−1A、B、C、D、E、FおよびS等の10種類の公知アルファ−1サブユニットが存在する(非特許文献11)。CACNA1Eノックアウトマウスは生存可能であり、野生型マウスとの観察可能な表現型の生理学的差異は持たない(非特許文献12)。癌生物学におけるCACNA1Eの役割はほとんど調べられていない。
Sorensen et al,J.Virology(2000)74:2161 Hansen et al,Genome Res.(2000)10(2):237−43 Sorensen et al,J.Virology(1996)70:4063 Sorensen et al,J.Virology(1993)67:7118 Joosten et al,Virology(2000)268:308 Li et al,Nature Genetics(1999)23:348 Marshall,Cell,(1991)64:313−326 Weinberg,Science(1991)254:1138−1146 Cancer:Principles and Practice of Oncology、第6版(2001)、20章、495〜508ページ Soong et al.,(1993) Science,260,1133−6 Jurkat−Rott K and Lehmann−Horn F.(2004) J Physiol,554:609−19 Lee SC,et al.,PNAS (2002);99(5):3276−81
Sorensen et al,J.Virology(2000)74:2161 Hansen et al,Genome Res.(2000)10(2):237−43 Sorensen et al,J.Virology(1996)70:4063 Sorensen et al,J.Virology(1993)67:7118 Joosten et al,Virology(2000)268:308 Li et al,Nature Genetics(1999)23:348 Marshall,Cell,(1991)64:313−326 Weinberg,Science(1991)254:1138−1146 Cancer:Principles and Practice of Oncology、第6版(2001)、20章、495〜508ページ Soong et al.,(1993) Science,260,1133−6 Jurkat−Rott K and Lehmann−Horn F.(2004) J Physiol,554:609−19 Lee SC,et al.,PNAS (2002);99(5):3276−81
(発明の要旨)
一部の態様において、本発明は、CACNA1Eの発現産物のレベルを調節する工程を包含する患者の癌を治療する方法を提供する。一部の実施態様において、癌は、リンパ腫、乳癌、肝臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移である。
一部の態様において、本発明は、CACNA1Eの発現産物のレベルを調節する工程を包含する患者の癌を治療する方法を提供する。一部の実施態様において、癌は、リンパ腫、乳癌、肝臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移である。
一部の態様において、本発明は、コントロールに比較したCACNA1Eの過剰発現を特徴とする患者の癌を治療する方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は患者においてCACNA1E遺伝子発現を調節する工程を包含する。
一部の態様において、本発明は、CACNA1Eの患者試料での差次的発現の証拠を検出する工程を包含する癌の診断方法を提供する。一部の実施態様において、CACNA1Eの差次的発現の証拠は癌の診断指標となる。
一部の態様において、本発明は、CACNA1Eの発現産物の証拠を検出する工程を包含する患者試料中の癌性細胞を検出する方法を提供する。一部の実施態様において、試料中のCACNA1Eの発現の証拠は、試料中の細胞が癌性であることを示す。
一部の態様において、本発明は、生物試料の第1時点でCACNA1Eの発現産物のレベルを第2時点での同一の発現産物のレベルに比較する工程を包含する、患者の癌の進行を評価する方法を提供する。一部の実施態様において、第1時点に対する第2時点での発現産物のレベルの変化は癌の進行を示す。
一部態様において、本発明は、
(a)第1個体の第1組織型を含む第1試料中のCACNA1EのmRNAレベルを測定し、
(b)(a)におけるmRNAレベルを、
(1)前記第1個体の正常な組織型を含む第2試料中のmRNAレベル、または
(2)罹患していない個体の正常な組織型を含む第3試料中のmRNAレベルに比較する工程を包含する、癌の診断方法を提供する。一部の実施態様において、(a)におけるmRNAレベルと、第2試料または第3試料におけるmRNAレベルとの間の少なくとも2倍の違いが、第1個体が癌を有するか、または癌になりやすいことを示す。
(a)第1個体の第1組織型を含む第1試料中のCACNA1EのmRNAレベルを測定し、
(b)(a)におけるmRNAレベルを、
(1)前記第1個体の正常な組織型を含む第2試料中のmRNAレベル、または
(2)罹患していない個体の正常な組織型を含む第3試料中のmRNAレベルに比較する工程を包含する、癌の診断方法を提供する。一部の実施態様において、(a)におけるmRNAレベルと、第2試料または第3試料におけるmRNAレベルとの間の少なくとも2倍の違いが、第1個体が癌を有するか、または癌になりやすいことを示す。
一部態様において、本発明は、
(a)CACNA1Eを発現する細胞を候補抗癌剤に接触させ、
(b)候補抗癌剤の存在下と非存在下との間において細胞中のCACNA1E発現レベルの少なくとも2倍の差を検出する工程を包含する、抗癌活性のスクリーニングを提供する。一部の実施態様において、候補抗癌剤の存在下と非存在下との間において細胞中のCACNA1E発現レベルの少なくとも2倍の差は、候補抗癌剤が抗癌活性を有することを示す。
(a)CACNA1Eを発現する細胞を候補抗癌剤に接触させ、
(b)候補抗癌剤の存在下と非存在下との間において細胞中のCACNA1E発現レベルの少なくとも2倍の差を検出する工程を包含する、抗癌活性のスクリーニングを提供する。一部の実施態様において、候補抗癌剤の存在下と非存在下との間において細胞中のCACNA1E発現レベルの少なくとも2倍の差は、候補抗癌剤が抗癌活性を有することを示す。
一部態様において、本発明は、患者を、CACNA1Eの発現産物に結合する抗体による治療に対して感受性があると同定する方法において、該患者由来の生物試料中の該遺伝子の発現産物のレベルを測定する工程を包含する方法を提供する。
一部態様において、本発明は、哺乳動物における癌の診断または検出用キットを提供する。一部の実施態様において、該キットは、前記実施態様の何れかによる抗体またはその断片、または免疫複合体またはその断片を含む。一部実施態様において、抗体または断片はCACNA1E腫瘍細胞抗原に結合する;該抗体と該CACNA1E腫瘍細胞抗原との間の結合反応を検出する1つ以上の試薬を含む。一部の実施態様において、キットは該キットを使用するための説明書を含む。
一部態様において、本発明は、ストリンジェント条件でCACNA1E遺伝子にハイブリダイズする核酸プローブ;CACNA1E遺伝子の増幅用プライマーを含む、癌の診断用キットを提供する。一部の実施態様において、キットは、該キットを使用するための説明書を含む。
一部態様において、本発明は、CACNA1Eの発現産物に特異的な1つ以上の抗体またはオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。
本発明のこれらの態様や他の態様は下記の本発明の詳細な説明で説明する。
(詳細な説明)
本発明は、癌の治療、診断および画像化、特にCACNA1E関連癌の治療、診断および画像化用の方法および組成物を提供する。
本発明は、癌の治療、診断および画像化、特にCACNA1E関連癌の治療、診断および画像化用の方法および組成物を提供する。
プロトオンコジーンは、挿入変異機構により働く緩徐型形質転換レトロウイルスがマウス模型を用いてプロトオンコジーンを単離するために用いられる「プロウイルス標識法」として知られる方法を用いてヒトにおいて同定された。一部の模型で、非感染動物は低い癌率を有し、感染動物は高い癌率を有する。関与するレトロウイルスの多くは形質導入ホストプロトオンコジーンまたは病原性トランス作動性ウイルス遺伝子を保有しないことが知られているので、癌の発生率はホストプロトオンコジーンへのプロウイルス組込み効果の直接の結果であるに違いない。プロウイルス組込みはランダムであるので、稀な遺伝子組込み体は、選択的な増殖優位性を提供するホストプロトオンコジーンを「活性化」し、これらの稀な事象は、新しいプロウイルスを腫瘍のクローン化学量論にて生み出す。化学物質、放射線または自発性エラーにより引き起こされる変異とは対照的に、プロトオンコジーン挿入変異は、公知の配列(プロウイルス)の都合のよい大きさの遺伝子マーカーが変異の部位に存在するということのために、容易にその位置を定めることができる。クローン的に組込まれたプロウイルスの両側に位置するホスト配列は多様な方法を用いてクローニングすることができる。これらの配列がいったん手に入ったら、タグ付きプロトオンコジーンを次に同定することができる。2つ以上の独立した腫瘍中の同じ部位でのプロウイルスの存在は、プロトオンコジーンがプロウイルス部位またはその非常に近くに存在するという一応の証拠である(Kim et al,Journal of Virology,2003,77:2056−2062;Mikkers,H and Berns,A,Advances in Cancer Research,2003,88:53−99;Keoko et al.Nucleic Acids Research,2004,32:D523−D527)。これは、ゲノムが大きすぎて、ランダム組込みは、観察可能なクラスター形成をもたらせないためである。検出されるクラスター形成は生物学的選択の明解な証拠(すなわち、腫瘍表現型)である。さらに、プロウイルス組込み体のパターン(配向を含む)は、各クラスターでの標的遺伝子の局在性を比較的単純にする強制的な位置情報を提供する。挿入変異機構により癌を引き起こすことが知られている3種類の哺乳類レトロウイルスはFeLV(ネコの白血病/リンパ腫)、MLV(マウスとラットの白血病/リンパ腫)およびMMTV(マウスの乳癌)である。マウス模型でプロトオンコジーンがいったん同定されたら、ヒト相同分子種をプロトオンコジーンとして注記し、さらなる研究を実施することができる。
よって、ホスト生物のゲノムに挿入されると癌をもたらす配列を有するオンコジーンレトロウイルスの使用は癌に関与するホスト遺伝子の同定を可能とする。次に、これらの配列は、診断、予後、(アゴニストとアンタゴニストの両方を含む)モジュレーターのスクリーニング、(免疫治療と画像化のための)抗体産生等のさまざまな異なる方法に使用することができる。しかし、当業者により理解されるように、本発明で同定されたオンコジーン等、1種類の癌において同定されるオンコジーンは他の種類の癌にも関与する高い可能性がある。
したがって、本発明は、CACNA1E遺伝子の配列または発現レベルを調べることからなる、生体試料中の癌性細胞の検出方法を提供する。
この遺伝子は、ここで説明する方法を用いてプロトオンコジーンとして同定、確認している。CACNA1E遺伝子は、乳癌(浸潤乳管癌)、肝臓癌(肝癌、肝細胞性)、肺癌(腺癌)、リンパ性癌(非ホジキンス;大型B細胞、びまん性)、卵巣癌(腺癌)、膵臓癌(腺癌)、前立腺癌(腺癌)、皮膚癌(悪性黒色腫)、子宮癌(子宮内膜腺癌)の治療と診断のために細胞膜結合性標的として同定された。細胞型は、QPCR分析により過剰発現を示した患者腫瘍試料に対応する。このことは、この遺伝子が乳癌、結腸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌および子宮癌ならびにリンパ腫および結腸転移等の転移に関連しているので、これらの癌や他の癌の診断や治療の標的であることを意味する。
ここで用いられる「癌関連遺伝子」とはCACNA1E遺伝子をいう。「CACNA1E」とは、NCBI公開データベースで遺伝子座ID777と称される遺伝子「電位依存性カルシウムチャネルアルファIEサブユニット」を意味し、受入番号NM_000721(配列番号1)のmRNAを有し、受入番号NP_000712(配列番号2)のポリペプチドをコードする。関連配列として、AAF37687(配列番号3)、AAF37688(配列番号4)、AJ276502(配列番号5)、CAB81554(配列番号6)、CAIl7081(配列番号7)、CAI17082(配列番号8)、CAI17083(配列番号9)、CAH72675(配列番号10)、CAH72676(配列番号11)、CAH72677(配列番号12)、CAI14653(配列番号13)、CAI14654(配列番号14)、CAI14655(配列番号15)、CAI22327(配列番号16)、CAI22328(配列番号17)、CAI22329(配列番号18)、AB209499(配列番号19=塩基配列;配列番号20=アミノ酸配列)、BAD92736(配列番号21)、AK096563(配列番号22)、AAA72125(配列番号23)、AAA59204(配列番号24)、L29385(配列番号25=塩基配列;配列番号26=アミノ酸配列)、AAA59205(配列番号27)およびQ15878(配列番号28)が挙げられる。CACNA1Eは膜結合タンパク質である。
この遺伝子はここで説明する方法を用いて、プロトオンコジーンとして同定、確認されている。
一部の実施態様において、本方法は、癌関連遺伝子の1つ以上(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の発現産物の発現レベルを測定することを含み、ここで、コントロールレベルと異なる発現レベルが病気を示す。
一部の実施態様において、発現産物はタンパク質であるが、別法では、mRNA発現産物を検出してもよい。タンパク質が用いられる場合、タンパク質は、該タンパク質に好ましくは特異的に結合する抗体により検出されることが好ましい。「特異的に結合する」との用語は、抗体が、それらの標的ポリペプチドに対して、他の関連するポリペプチドに対するそれらの親和性よりも実質的に高い親和性を有することを意味する。ここで用いられる「抗体」との用語は、インタクトな分子ならびにそれらの断片、例えば、問題の抗原決定基に結合することのできるFab、F(ab’)2およびFvをいう。「実質的に高い親和性」とは、他の関連するポリペプチドに対する親和性に比較して本発明の標的ポリペプチドに対する親和性の測定可能な増加が存在することを意味する。一部の実施態様において、親和性は、標的ポリペプチドに対して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、103倍、104倍、105倍、106倍またはそれ以上である。
一部実施態様において、抗体は、10−4M以下、10−7M以下、10−9M以下の解離定数;またはナノモル以下の親和性(0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1nMまたはさらにそれ以下)で、高親和性を持って結合する。一部実施態様において、抗CACNA1E抗体はCACNA1Eに対して特異的であり、CACNA1ファミリーの他のメンバーとは交差反応しない。
mRNA発現産物が用いられる場合、一部の実施態様において、組織試料をプローブに、mRNAとプローブとのハイブリッド複合体の形成を可能とする条件下に接触させ、複合体の形成を検出することによりmRNA発現産物が検出される。一部の実施態様において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が用いられる。
癌関連遺伝子自体は、CACNA1Eをコードする核酸発現産物とプローブとのハイブリッド複合体の形成を可能とする条件下で生体試料をプローブに接触させ、プローブと、生体試料からの核酸との複合体の形成を検出することにより検出してよい。一部の実施態様において、複合体の形成がないことは癌関連遺伝子の配列の変異を示す。
方法は、形成された複合体の量を、コントロール組織が用いられた場合に形成された複合体の量に比較することからなり、ここで、コントロールと試料との間で形成された複合体の量の違いが癌の存在を示す。一部の実施形態において、試験組織により形成された複合体の量と、正常組織により形成された複合体の量との違いは増加であるか、減少である。一部の実施態様において、形成される複合体の量の2倍の増加または減少が病気を示す。一部の実施態様において、形成される複合体の量の3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍もの増加または減少が病気を示す。
一部の実施態様において、本発明の方法に用いられる生体試料は組織試料である。いかなる組織試料も用いてよい。しかし、一部の実施態様において、組織は、乳房組織、肝臓組織、大腸組織、直腸組織、肺組織、リンパ組織、卵巣組織、膵臓組織、前立腺組織、子宮組織または皮膚組織ならびに結腸転移等の転移からの組織から選択される。
さらに、本発明は、生物試料の第1時点でCACNA1Eの発現を第2時点での同一の発現産物の発現に比較する工程を包含する、患者の癌の進行を評価する方法において、第1時点に対する第2時点での発現の増減または発現の増減速度が癌の進行を示す方法を提供する。
さらに、本発明は、CACNA1Eのポリペプチド発現産物に結合する抗体;および該抗体と該ポリペプチドとの結合反応の検出に有用な試薬を含む癌の診断に有用なキットを提供する。一部の実施態様において、抗体はCACNA1Eのポリペプチド産物に特異的に結合する。
さらに、本発明は、癌関連遺伝子に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸プローブ;癌関連遺伝子の増幅に有用なプライマー;および任意に、病気の診断を容易にするためにプローブとプライマーを用いるための説明書を含む、癌診断用キットを提供する。
さらに、本発明は、癌を治療するために用いられるCACNA1Eの発現産物の発現を調節する使用に適する抗体、核酸またはタンパク質を提供する。
したがって、本発明は、CACNA1Eの1つ以上(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の発現産物のレベルを調節する工程を包含する、患者の癌を治療する方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、該発現産物のレベルを調節する抗体、核酸またはポリペプチドの治療効果量を患者に投与する工程を包含する。
従って、本発明は、癌の治療、検出または診断用医薬の製造における、CACNA1Eの発現産物のレベルを調節する抗体、核酸またはポリペプチドの使用をさらに提供する。一部の実施態様において、発現レベルは、遺伝子、mRNAまたはコードされたタンパク質に対する作用により調節される。一部の実施態様において、発現は上方調節または下方調節される。例えば、調節の変化は、2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍以上であってもよい。
癌関連タンパク質は癌性細胞上または癌性細胞内に発現するので、本発明に従う使用に適する抗体は癌関連タンパク質に対して特異的であるだろう。例えば、癌性細胞上に発現する癌関連タンパク質のグリコシル化パターンは、これらの同じタンパク質が非癌性細胞上に発現するグリコシル化のパターン化とは異なるだろう。一部の実施態様において、本発明による抗体は、癌性細胞のみに発現する癌関連タンパク質に対して特異的である。これは、治療抗体には特別の価値がある。抗標的抗体は、標的のスプライスバリアント、欠失、付加および/または置換変異体にも結合するだろう。
本発明による治療使用に適する抗体は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘発する。ADCCとは、Fcレセプターを発現する非特異的な細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合抗体を認識し、次に標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介反応をいう(Raghavan et al.,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181−220;Ghetie et al.,2000,Annu Rev Immunol 18:739−766;Ravetch et al.,2001,Annu Rev Immunol 19:275−290)。本発明にしたがう治療使用に適する抗体は、抗体依存性細胞仲介食作用(ADCP)を誘発するだろう。ADCPとは、Fcレセプターを発現する非特異的な細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合抗体を認識し、次に食作用を引き起こす細胞媒介反応である。これらのプロセスは、IgG抗体のFc部分に対するレセプターを表面に有するナチュラルキラー(NK)細胞により仲介される。IgGが、癌細胞等の「外来の」膜結合細胞上のエピトープに対して作られる場合、抗体のFab部分は癌性細胞と反応する。次に、NK細胞は抗体のFc部分に結合する。
本発明の抗体を、エフェクター機能に関して、例えば、抗体の抗体依存性細胞仲介食作用(ADCP)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するように改変することが望ましい実施態様において、1つ以上のアミノ酸置換を抗体のFc領域に導入することができる。もしくは、またはさらに、システイン残基をFc領域に導入することで、この領域における鎖間ジスルヒド結合の形成を可能とするだろう(総説については、Weiner and Carter (2005) Nature Biotechnology 23(5):556−557)。このようにして作られたホモ二量体抗体は、内部移行能力を向上させ、および/または補体仲介性細胞死滅および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を高めているだろう。Caron et al.,J.Exp Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992)を参照されたい。増強抗腫瘍活性を有するホモ二量体抗体は、Wolff et al.Cancer Research 53:2560−2565(1993)に記載されたようにヘテロ二機能性架橋剤を用いて調製してもよい。もしくは、二重Fc領域を有し、それにより補体溶解とADCC能力を増強している可能性のある抗体を設計することができる。Stevenson et al.Anti−Cancer Drug Design 3:219−230(1989)を参照されたい。Fc領域内に修飾グリコシル化を有する抗体を作ることができる。例えば、炭水化物鎖のフコース含量の低下は抗体の固有ADCC活性を向上させるだろう(例えば、WO0061739に記載されたBioWa’s Potillegent(登録商標) ADCC Enhancing Technologyを参照)。もしくは、二等分された非フルコシル化オリゴ糖鎖を付加する細胞系で抗体を産生させることができる(米国6,602,684を参照)。これらの両技術は、イフェクター細胞上のFcガンマIIIaレセプターに対する高められた親和性を有し、高められたADCC効率をもたらす抗体を産生する。Fc領域は、本発明の抗体の血清半減期を変えるように設計することもできる。Abdegsは、FcRnサルベージレセプターに対して高められた親和性を有する設計IgGであるので、通常のIgGよりも短い半減期を有する(Vaccaro et al,(2005) Nature Biotechnology 23(10):1283−1288を参照)。血清半減期を延ばすために、FcRnによる親和性を低下すると思われるFc領域に特定の変異を導入することができる(Hinton et al,(2004) J Biol Chem 297(8):6213−6216を参照)。本発明の抗体は、血清アルブミン結合領域(dAb)等、血清半減期を変える他のメカニズムを使用するように改変することもできる(例えば、WO05035572を参照)。設計されたFc領域(例えば、XmAB(登録商標)、WO05077981を参照)を本発明の抗体に組み入れて、向上したADCC活性、変えられた血清半減期または高められた抗体タンパク質安定性を導いてもよい。
一部の実施態様において、本発明による治療用抗体はADCCを誘発するために有効であり、標的に結合し、ADCC活性を有することにより癌性細胞の生存を調節する。抗体はADCC活性を高めるために設計することができる(例えば、Xencor社のUS20050054832A1およびそこに挙げられた文献を参照)。
一部の実施態様において、そのような方法で使用される核酸の種類は、アンチセンス構築物、リボザイムまたはRNAi(例えば、siRNA)である。
癌は腫瘍増殖の阻害または腫瘍容積の減少により、もしくは、癌細胞の侵襲性を減少させることにより治療してよい。一部の実施態様において、上記の治療方法は、手術、ホルモンアブレーション治療、放射線療法または化学療法の1つ以上に併用される。例えば、患者が既に化学療法を受けつつある場合、発現産物のレベルを調節する上記のような本発明の化合物を投与してもよい。本発明による化学療法剤、ホルモン剤および/または放射線治療薬および化合物を同時、別々または連続的に投与してよい。
一部の実施態様において、上記方法の1つによりしたがって検出または治療される癌は、乳癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌および子宮癌ならびにリンパ腫および結腸転移等の転移から選択される。
本発明は、CACNA1Eの患者試料中の差次的発現の証拠を検出する工程を包含する癌の治療方法を提供する。遺伝子の差次的発現の証拠は癌の診断指標となる。一部の実施態様において、癌は、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、皮膚癌および子宮癌ならびにリンパ腫および結腸転移等の転移である。一部実施態様において、遺伝子の差次的発現の証拠は遺伝子の発現産物のレベルを測定することにより検出される。一部の実施態様において、発現産物はタンパク質またはmRNAである。一部の実施態様において、タンパク質の発現レベルは、タンパク質に特異的に結合する抗体を用いて測定される。一部の実施態様において、抗体はイメージング物質に連結される。一部の実施態様において、患者試料中の遺伝子の発現産物のレベルはコントロールと比較する。一部の実施態様において、コントロールは患者試料と同じ組織型の既知の正常組織である。一部の実施態様において、試料中の発現産物のレベルはコントロールに比較して増加している。
さらに、本発明は、CACNA1Eの発現産物の証拠を検出する工程を包含する、患者試料中の癌性細胞を検出する方法を提供する。試料中の遺伝子の発現の証拠は、試料中の細胞が癌性であることを示す。一部の実施態様において、細胞は、乳房の細胞、肝臓細胞、肺細胞、リンパ細胞、卵巣細胞、結腸の細胞、直腸の細胞、膵臓細胞、前立腺細胞、子宮細胞または皮膚細胞である。一部の実施態様において、発現産物の証拠はイメージング物質に連結させた抗体を用いて検出される。
本発明は、生物試料の第1時点でのCACNA1Eの発現産物のレベルを第2時点での同一発現産物のレベルに比較する工程を包含する、患者の癌の進行を評価する方法を提供する。第1時点に対する第2時点での発現産物のレベルの変化は癌の進行を示す。一部の実施態様において、癌は、乳癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌おおび子宮癌またはリンパ腫である。
また、本発明は、CACNA1E活性を調節する工程を包含する、患者の癌を治療する方法を提供する。一部の実施態様において、CACNA1E活性は、細胞増殖、細胞成長、細胞運動性、転移、細胞移動、細胞生存または腫瘍形成である。一部の実施態様において、本方法は、患者に、CACNA1E活性を阻害する抗体、核酸またはポリペプチドを投与する工程を包含する。一部の実施態様において、抗体は中和抗体である。一部の実施態様において、抗体はモノクローナル抗体である。一部の実施態様において、モノクローナル抗体はCACNA1Eポリペプチドに対して少なくとも1×108Kaの親和性で結合する。一部の実施態様において、モノクローナル抗体は、癌細胞成長、腫瘍形成、細胞生存および癌細胞増殖の1つ以上を阻害する。一部の実施態様において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、多特異的抗体またはFab断片である。
また、本発明は、コントロールに比較してCACNA1Eの過剰発現により特徴付けられる患者の癌を治療する方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、患者のCACNA1E活性を調節する工程を包含する。一部の実施態様において、CACNA1E活性は、細胞増殖、細胞成長、細胞運動性、転移、細胞移動、細胞生存、遺伝子発現または腫瘍形成からなる群から選択される。一部の実施態様において、本方法は、患者に、CACNA1E活性を阻害する抗体、核酸またはポリペプチドを投与する工程を包含する。
さらに、本発明は、(a)第1患者の第1組織型を含む第1試料中のCACNA1EのmRNAレベルを測定し;(b)(a)におけるmRNAレベルをコントロールに比較する工程を包含する、癌の診断方法を提供する。(a)におけるmRNAレベルと、第2試料または第3試料におけるmRNAレベルとの間の少なくとも2倍の違いの検出は、第1個体が癌を有するか、または癌になりやすいことを示す。一部の実施態様において、コントロール試料は、第1個体の正常な組織型を含む。一部の実施態様において、コントロール試料は、非罹個体からの正常な組織型を含む。一部の実施態様において、第1試料中のmRNAレベルとコントロールとの少なくとも3倍の違いは、第1個体が癌を有するか、または癌になりやすいことを示す。
さらに、本発明は、(a)CACNA1Eを発現する細胞を候補抗癌剤に接触させ;(b)候補抗癌剤の存在下と非存在下とにおける細胞中の遺伝子発現レベルの少なくとも2倍の差を検出する工程を包含する、抗癌活性のスクリーニング方法を提供する。候補抗癌剤の非存在下での細胞中の遺伝子発現レベルと比較して、その存在下での細胞中の遺伝子発現レベルの少なくとも2倍の差は、候補抗癌剤が抗癌活性を有することを示す。一部の実施態様において、候補抗癌剤の存在下と非存在下とにおける細胞中の遺伝子発現レベルの少なくとも3倍の差は、候補抗癌剤が抗癌活性を有することを示す。一部の実施態様において、候補抗癌剤は抗体、小さい有機化合物、小さい無機化合物またはポリヌクレオチドである。一部の実施態様において、候補抗癌剤はモノクローナル抗体である。一部の実施態様において、候補抗癌剤はヒト抗体またはヒト化抗体である。一部の実施態様において、ポリヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
さらに、本発明は、哺乳動物の癌の診断または検出用キットを提供する。一部の実施態様において、キットは、抗体またはその断片、または免疫複合体またはその断片を含む。一部の実施態様において、抗体または断片はCACNA1E腫瘍細胞抗原に特異的に結合することができる。さらに、キットは抗体と腫瘍細胞抗原との結合反応を検出する1つ以上の試薬を含む。一部の実施態様において、キットは該キットを使用するための説明書を含む。
本発明は癌の診断用キットも提供する。一部の実施態様において、キットは、ストリンジェントな条件下でCACNA1Eとハイブリダイズする核酸プローブを含む。キットは癌関連遺伝子を増幅するプライマーも含む。一部の実施態様において、キットは該キットを使用するための使用書を含む。
本発明は患者において癌を治療する方法を提供する。一部の実施態様において、本方法はCACNA1Eの発現産物のレベルを調節する工程を包含する。一部の実施態様において、本方法は、患者に、発現産物のレベルを調節する抗体、核酸またはポリペプチドを投与する工程を包含する。一部の実施態様において、発現産物のレベルは、少なくとも2倍の変化まで上方調節または下方調節される。一部の実施態様において、癌は腫瘍増殖の阻害または腫瘍容積の減少により治療される。一部の実施態様において、癌は癌細胞の侵襲性を低減することにより治療される。一部の実施態様において、発現産物はタンパク質またはmRNAである。一部の実施態様において、第1時点での発現産物の発現レベルは第2時点での同一発現産物の発現レベルに比較され、ここで、第1時点に比較して第2時点での発現レベルの増加または減少は癌の進行を示す。
さらに、本発明は、CACNA1Eの発現産物に結合する抗体による治療に対して患者を感受性があると同定する方法において、該患者由来の生物試料中の該遺伝子の発現産物のレベルを測定する工程を包含する方法を提供する。
さらに、本発明は、癌の治療、診断または検出する組成物を提供する。一部の実施態様において、組成物は、CACNA1Eの発現産物に対して特異的な抗体またはオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施態様において、組成物はさらに従来の癌医薬を含む。一部の実施態様において、組成物は医薬組成物である。一部の実施態様において、組成物は無菌注射剤である。
本発明は、a)候補物質の存在下においてCACNA1Eの1つ以上(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の発現産物の発現レベルを検出し;b)この発現レベルを候補物質の非存在下における発現レベルに比較する工程を包含する、癌性細胞の成長を調節する候補物質を同定するアッセイにおいて、発現の違いは、候補物質が癌関連遺伝子の発現産物の発現レベルを調節することを示すアッセイを提供する。
さらに、本発明は、a)本発明の上記実施態様の何れかに示されたCACNA1Eを発現する細胞を候補物質に接触させ;b)候補物質の該細胞に対する効果を測定する工程を包含する、CACNA1Eの発現レベルを調節する物質を同定する方法において、発現レベルの変化は、候補物質が発現を調節することをできることを示す方法を提供する。
一部の実施態様において、候補物質は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または小有機分子である。
さらに、本発明は、ここに記載するように、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、直腸前立腺癌、皮膚癌および子宮癌ならびにリンパ腫および結腸転移等の転移に関連するCACNA1Eの配列または発現レベルを決定する工程を包含する、生物学的試料中の癌を検出する方法を提供する。
定義
本発明では、CACNA1Eが癌の発生率に結びつくことを確認している。この遺伝子はしたがって「CACNA1E遺伝子」と称する。よって、この遺伝子にコードされるCACNA1Eポリペプチドは「癌関連ポリペプチド」または「癌関連タンパク質」と称する。これらの癌関連ポリペプチドをコードする核酸配列は「癌関連ポリヌクレオチド」と称する。CACNA1E遺伝子をコードおよび/または発現する細胞は、「癌関連細胞」と称する。CACNA1E遺伝子をコードする細胞は、「癌関連遺伝型」を有するという。癌関連タンパク質を発現する細胞は、「癌関連表現型」を有するという。「癌関連配列」は、CACNA1E遺伝子に由来するポリペプチド配列とポリヌクレオチド配列の両方をいう。「癌関連核酸」として、CACNA1E遺伝子を構成するDNA、ならびに該遺伝子に由来するmRNAおよびcDNAが挙げられる。
本発明では、CACNA1Eが癌の発生率に結びつくことを確認している。この遺伝子はしたがって「CACNA1E遺伝子」と称する。よって、この遺伝子にコードされるCACNA1Eポリペプチドは「癌関連ポリペプチド」または「癌関連タンパク質」と称する。これらの癌関連ポリペプチドをコードする核酸配列は「癌関連ポリヌクレオチド」と称する。CACNA1E遺伝子をコードおよび/または発現する細胞は、「癌関連細胞」と称する。CACNA1E遺伝子をコードする細胞は、「癌関連遺伝型」を有するという。癌関連タンパク質を発現する細胞は、「癌関連表現型」を有するという。「癌関連配列」は、CACNA1E遺伝子に由来するポリペプチド配列とポリヌクレオチド配列の両方をいう。「癌関連核酸」として、CACNA1E遺伝子を構成するDNA、ならびに該遺伝子に由来するmRNAおよびcDNAが挙げられる。
この文脈において「関連」とは、CACNA1Eヌクレオチドまたはタンパク質の配列が、正常組織に比較して癌では示差的に発現、活性化、不活性化または変化していることを意味する。以下で概略するように、癌関連配列は、癌において、上方調節(すなわち、より高い量で発現)される配列、ならびに下方調節(すなわち、より低い量で発現)される配列を含む。さらに、癌関連配列は、変化を受けた配列(すなわち、切断配列、または点変異を含む置換、欠失または挿入を有する配列)を含み、同じ発現プロフィールか、変化したプロフィールを示す。一般的に、癌関連配列はヒト由来である;しかし、当業者により理解されるように、他の生物由来の癌関連配列は病気や医薬の評価の動物模型に有用であろう;よって、げっ歯類(ラット、マウス、ハムスター、モルモット等)、霊長類および家畜(ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ等)等の哺乳動物等の脊椎動物に由来する他の癌関連配列を同定してよい。一部の実施態様において、原核生物の癌関連配列が有用であろう。他の生物に由来する癌関連配列を以下に概略する技術を用いて得てよい。
癌関連配列は組換え核酸を含む。ここでいう「組換え核酸」との用語は、一般的に、天然には通常見られない形で、ポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼによる核酸の操作によりインビトロで独創的に形成された核酸を意味する。例えば、組換え核酸は直鎖形の単離核酸であるか、または通常連結されていないDNA分子を連結することによりインビトロで形成されたベクターにクローニングされ、両者ともに本発明の目的のために組換え型であると見なされる。いったん組換え核酸が作られ、ホスト細胞または生物に再導入されると、それは、ビンビトロ操作というよりもホスト細胞のインビボ細胞機構を用いて複製するだろう;しかし、そのような核酸は、いったん組換え産生されると、引き続いてインビボで複製されるが、本発明の目的のためになおも組換え型または単離されているとみなされる。ここで用いられる「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれであろうと、任意の長さの多量体型ヌクレオチドである。この用語は、分子の一次構造のみを言及する。よって、この用語は、二本鎖と一本鎖のDNAとRNAを含む。さらに、この用語は、公知の種類の修飾物、例えば、当分野で公知の標識、メチル化、「キャップ」、類似物による1つ以上の天然のヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間修飾物、例えば、無電荷結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)を有する修飾物、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジン等)を有する修飾物、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレン等)を有する修飾物、キレーター(例えば、金属、放射性活性金属等)を含む修飾物、アルキル化剤を含む修飾物、修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸等)を含む修飾物、ならびに修飾されていない形のポリヌクレオチドも含む。
ここで用いられる指定された配列「に由来する」ポリヌクレオチドは、指定された塩基配列の一部の領域に対応するおおよそ少なくとも約6ヌクレオチド、少なくとも約8ヌクレオチド、少なくとも約10〜12ヌクレオチドおよび少なくとも約15〜20ヌクレオチドの配列からなるポリヌクレオチド配列をいう。「対応する」とは指定された配列と相同であるか、相補的であることを意味する。一部の実施態様において、ポリヌクレオチドが由来する部分の配列は、癌関連遺伝子に独自な配列に対して相同であるか、または相補的である。
「組換えタンパク質」とは組換え技術を用いて、すなわち、上記のように組換え核酸の発現により作られるタンパク質である。組換えタンパク質は、天然のタンパク質から少なくとも1つ以上の特徴によって区別される。例えば、該タンパク質は、野生型のホストにおいてはそれが通常結合するタンパク質や化合物の一部または全てから離れて単離または精製されるだろうから、実質的に純粋であろう。例えば、単離されたタンパク質は、その天然状態では該タンパク質が通常結合して、所与の試料中で全タンパク質の少なくとも約0.5重量%または少なくとも約5重量%を構成する物質の少なくとも一部を伴わない。実質的に純粋なタンパク質は、全タンパク質の約50〜75重量%、少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%を構成する。この定義は、一生物からの癌関連タンパク質を異なる生物またはホスト細胞において産生することを含む。もしくは、タンパク質は、該タンパク質が高められた濃度レベルで作られるように誘導プロモーターまたは高発現プロモーターの利用により通常見られるよりも顕著に高い濃度で作られるだろう。もしくは、タンパク質は、下記のようにエピトープタグの付加またはアミノ酸置換、挿入および欠失のような天然では通常見られない形にあってもよい。
ここで使用される「タグ」、「配列タグ」または「プライマータグ配列」との用語は、そのようなタグを内部に有する一群のポリペプチドを同定するために役立つ特定の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドをいう。同じ生物源に由来するポリヌクレオチドは、引き続く分析でポリヌクレオチドがその起源にしたがって同定可能なように特定の配列タグに共有結合させる。配列タグは核酸増幅反応のプライマーとしても役立つ。
「マイクロアレイ」とは、好ましくは不連続部位の直線配列または二次元配列であり、各部位が固体支持体の表面に形成された限定領域を有する。マイクロアレイ上の不連続部位の密度は単一の固相支持体の表面上で検出される標的ポリヌクレオチドの総数により決定され、好ましくは少なくとも50/cm2、より好ましくは少なくとも約100/cm2、さらに好ましくは少なくとも約500/cm2、さらに好ましくは少なくとも約1,000/cm2である。ここで用いられるDNAマイクロアレイは、標的ポリヌクレオチドを増幅またはクローニングするために用いられるチップまたは他の表面に置かれたオリゴヌクレオチドプライマーのアレイである。アレイ内のプライマーのそれぞれの特定のグループの位置は知られているので、標的ポリヌクレオチドの同一性はマイクロアレイの特定の位置へのそれらの結合に基づいて決定することができる。
「リンカー」は、制限酵素認識部位を含む合成オリゴデオキシリボヌクレオチドである。リンカーはDNA断片の末端に平滑末端連結して制限酵素認識部位を作り、次に断片をベクター分子にクローニングするためにこれらの制限酵素認識部位を使用することができる。
「標識」との用語は、アッセイ試料中の標的ポリヌクレオチドの存在を示す検出可能なシグナルを作ることのできる組成物をいう。適当な標識として、放射性同位元素、ヌクレオチド発色団、酵素、基質、蛍光分子、化学発光部分、磁性粒子、生物発光部分等が挙げられる。標識は、それ自体は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的手段またはそれ以外の適当な手段により検出できる構成物である。「標識」との用語は、基質の検出可能な産物への変換を触媒する酵素等、検出可能な物理的性質を有する化学基または部分、または化学基または部分に検出可能な物理的性質を示させることのできる化合物をいうために用いられる。「標識」との用語は、特定の物理的性質の発現を阻害する化合物も含む。標識は結合対の1メンバーであってよく、この場合、結合対の他のメンバーは検出可能な物理的性質を有する。
「支持体」との用語は、ビーズ、粒子、ディップスティック、ファイバー、フィルター、膜およびシランまたはシリケート支持体、例えばスライドガラス等の慣用の支持体をいう。
「増幅する」との用語は広い意味で用いられ、例えば、さらなる標的分子または標的様分子または標的分子に相補的な分子であって、試料中の標的分子の存在により作られる分子等の増幅産物を作ることを意味する。標的が核酸である場合、増幅産物はDNAまたはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素により酵素的に作ることができる。
ここで用いられる「生体試料」とは、例えば、血液、血漿、血清、骨髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器、腸管、尿生殖路、涙、唾液、乳、細胞(血球が挙げられるがこれに限定されない)、腫瘍、器官およびインビトロ細胞培養構成物の試料が挙げられるが、これらに限定されない、個体から単離された組織または液体の試料をいう。
ここで用いられる「生物源」との用語は、標的のポリヌクレオチドが由来する原料をいう。原料は、細胞、組織または液体等の、しかし、これらに限定されない上記の「試料」のいずれの形を有してよい。「異なる生物源」は、同じ個体の異なる細胞/組織/器官、または同じ種の異なる個体に由来する細胞/組織/器官、または異なる種に由来する細胞/組織/器官をいう。
癌関連遺伝子
「CACNA1E」とは、NCBI公開データベースで遺伝子座ID777と称される遺伝子「電位依存性カルシウムチャネルアルファIEサブユニット」を意味し、受入番号NM_000721(配列番号1)のmRNAを有し、受入番号NP_000712(配列番号2)のポリペプチドをコードする。関連配列として、AAF37687(配列番号3)、AAF37688(配列番号4)、AJ276502(配列番号5)、CAB81554(配列番号6)、CAIl7081(配列番号7)、CAI17082(配列番号8)、CAI17083(配列番号9)、CAH72675(配列番号10)、CAH72676(配列番号11)、CAH72677(配列番号12)、CAI14653(配列番号13)、CAI14654(配列番号14)、CAI14655(配列番号15)、CAI22327(配列番号16)、CAI22328(配列番号17)、CAI22329(配列番号18)、AB209499(配列番号19=塩基配列;配列番号20=アミノ酸配列)、BAD92736(配列番号21)、AK096563(配列番号22)、AAA72125(配列番号23)、AAA59204(配列番号24)、L29385(配列番号25=塩基配列;配列番号26=アミノ酸配列)、AAA59205(配列番号27)およびQ15878(配列番号28)が挙げられる。CACNA1Eは膜結合タンパク質である。この遺伝子は、MMTVとMLVのプロウイルスのII型組込みを受けており、組込みが3ケースで見られた。この結果は、この分野で一般に是認されている2つの当てはまる規則に適合するので興味深い(Kim et al,Journal of Virology,2003,77:2056−2062;Mikkers,H and Berns,A,Advances in Cancer Research,2003,88:53−99;Keoko et al.Nucleic Acids Research,2004,32:D523−D527)。
「CACNA1E」とは、NCBI公開データベースで遺伝子座ID777と称される遺伝子「電位依存性カルシウムチャネルアルファIEサブユニット」を意味し、受入番号NM_000721(配列番号1)のmRNAを有し、受入番号NP_000712(配列番号2)のポリペプチドをコードする。関連配列として、AAF37687(配列番号3)、AAF37688(配列番号4)、AJ276502(配列番号5)、CAB81554(配列番号6)、CAIl7081(配列番号7)、CAI17082(配列番号8)、CAI17083(配列番号9)、CAH72675(配列番号10)、CAH72676(配列番号11)、CAH72677(配列番号12)、CAI14653(配列番号13)、CAI14654(配列番号14)、CAI14655(配列番号15)、CAI22327(配列番号16)、CAI22328(配列番号17)、CAI22329(配列番号18)、AB209499(配列番号19=塩基配列;配列番号20=アミノ酸配列)、BAD92736(配列番号21)、AK096563(配列番号22)、AAA72125(配列番号23)、AAA59204(配列番号24)、L29385(配列番号25=塩基配列;配列番号26=アミノ酸配列)、AAA59205(配列番号27)およびQ15878(配列番号28)が挙げられる。CACNA1Eは膜結合タンパク質である。この遺伝子は、MMTVとMLVのプロウイルスのII型組込みを受けており、組込みが3ケースで見られた。この結果は、この分野で一般に是認されている2つの当てはまる規則に適合するので興味深い(Kim et al,Journal of Virology,2003,77:2056−2062;Mikkers,H and Berns,A,Advances in Cancer Research,2003,88:53−99;Keoko et al.Nucleic Acids Research,2004,32:D523−D527)。
この遺伝子は、患者の組織試料を用いたmRNA量で、サンプリングされた乳癌組織の60%、サンプリングされた肝臓癌組織の33%、サンプリングされた肺癌組織の53%、サンプリングされた卵巣癌組織の61%、サンプリングされた前立腺癌組織の39%、サンプリングされたリンパ系癌組織の40%、サンプリングされた皮膚癌組織の40%およびサンプリングされた子宮癌組織の32%で過剰発現することもわかった。この遺伝子はサンプリングされた膵臓腫瘍で過剰発現することもT検定を用いて分かった。このことは、この遺伝子が、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌および子宮癌に関連しており、よってこの遺伝子がこれらの癌や他の癌の診断や治療の標的であることを意味する。
この遺伝子のみの発現は癌を引き起こすのに十分であろう。もしくは、この遺伝子の発現の増加は癌を引き起こすのに十分であろう。さらなる別法において、この遺伝子の発現が閾値に達するか、超える場合に癌が誘導されるだろう。閾値は、「正常な」コントロールの発現レベルに比較した場合に遺伝子の発現の増加または減少の割合として表されるだろう。いずれにしても、CACNA1Eの発現レベルの変化は癌に関連する。
また、本発明は、上記の癌関連遺伝子の相同体、断片および機能的等価物の使用を可能とする。相同性は上記の全遺伝子配列に基づくものとすることができ、一般的に、相同性プログラムとハイブリダイゼーション条件を用いて、下記のように決定される。癌関連遺伝子の相同体は、癌関連遺伝子に対して、好ましくは約75%を超える(すなわち、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上の)相同性を有する。そのような相同体として、スプライスバリアント、欠失、付加および/置換変異体を含んでよく、一般的に機能的類似性を有する。
この文脈での相同性は配列類似性または同一性を意味する。相同性目的のための1つの比較は、配列決定の誤りを含む配列を正しい配列に比較することにある。この相同性は、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所性相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch,J.MoI.Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズム、Pearson & Lipman,PNAS USA 85:2444(1988)の類似法の検索、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(ウィスコンシンジェネティクスソフトウエアパッケージ中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、ジェネティクスコンピュータグループ、575 Science Drive,Madison,WI)、初期設定を用いる一部の実施態様におけるDevereux et al.,Nucl.Acid Res.12:387−395(1984)に記載のベストフィット配列プログラム、または検査等の、しかし、これらに限定されない当分野に公知の標準的な技術を用いて決定されるだろう。
有用なアルゴリズムの1つの例はPILEUPである。PILEUPは、進歩的な対配列を用いる一群の関連配列から多配列のアライメントを作る。それは、アライメントを作るために用いられるクラスタリング関係を示すツリーをプロットすることもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.MoI.Evol.35:351−360(1987)の進歩的なアライメント法の単純化を使用する;この方法は、Higgins & Sharp CABIOS 5:151−153(1989)に記載された方法と類似する。有用なPILEUPパラメータとして、3.00のデフォルトギャップウエイト、0.10のデフォルトギャップ長、および加重エンドギャップが挙げられる。
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410,(1990)およびKarlin et al.,PNAS USA 90:5873−5787(1993)に記載のBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)アルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul等(Methods in Enzymology,266:460−480(1996);http://blast.wustl.edu/])から得られたWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2は、幾つかの検索パラメータを使用し、それらの多くは初期値に設定されている。調整可能なパラメータは、オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11を用いて設定する。HSP SパラメータとHSP S2パラメータは動的値であり、特定の配列の構成物、および興味のある配列が検索される特定のデータベースの構成物に依存するプログラム自体により確立される;しかし、それらの値は感受性を高めるために調節してよい。アミノ酸配列同一性の割合は、整列された領域の「さらに長い」配列の残基の総数によって割った適合同一残基の数により決定される。「さらに長い」配列は、整列された領域の最も実際の残基を有する配列である(アライメントスコアを最大化するためにWU−Blast−2により導入されるギャップは無視される)。
アライメントは、整列させる配列間のギャップの導入を含んでよい。さらに、癌関連遺伝子のヌクレオチドよりも多いか、少ないヌクレオチドを含む配列に関して、相同性の割合は、ヌクレオシドの総数に関して相同ヌクレオシドの数に基づいて決定されることが分かっている。よって、ここで同定される配列よりも短い配列の相同性は短い配列のヌクレオシドの数を用いて決定されるだろう。
本発明の一部の実施態様において、ここに提供されるポリヌクレオチド配列、またはその断片、またはその相補的配列に、中〜高ストリンジェント条件下にハイブリダイズすることのできるポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は分子生物学の技術でよく知られている。説明のために、他のポリヌクレオチドに対する本発明のポリヌクレオチドの適当なハイブリダイゼーションを調べるための適する適度のストリンジェント条件は、5×SSCの溶液(「食塩水クエン酸ナトリウム」;9mM NaCl、0.9mMクエン酸ナトリウム)、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)中での前洗浄;50〜60℃、5×SSC、一晩のハイブリダイズ;その後の0.1%SDSを含む2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれによる65℃で20分間の2回の洗浄を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液の塩含量および/またはハイブリダイゼーションが実施される温度を変えること等により容易に操作することができる。例えば、一部の実施態様において、適当に高いストリンジェントハイブリダイゼーション条件として、ハイブリダイゼーションの温度が、例えば、60〜65℃または65〜70℃まで上げる以外は上記と同じ条件が挙げられる。ストリンジェント条件はホルムアルデヒド等の不安定化剤の添加により達成してもよい。
よって、本出願および配列表にわたって同定された核酸に高ストリンジェンシー条件でハイブリダイズする核酸またはそれらの相補体が癌関連配列とみなされる。高ストリンジェンシー条件は当分野で知られている(例えば、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,1989およびShort Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel,et al.(これら両文献ともに参照によりここに組み入れる)を参照されたい)。ストリンジェント条件は配列依存性であり、異なる状況で異なるだろう。長い配列は、高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの詳細な指針は、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に見られる。一般的に、ストリンジェント条件は、定義されたイオン強度pHで特定の配列に対して熱融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるように選択される。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が、標的配列に平衡状態でハイブリダイズする(定義されたイオン強度、pHおよび核酸濃度での)温度である(標的配列は過剰に存在しているので、Tmでは、プローブの50%が平衡状態で占められる)。ストリンジェント条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が1.0Mナトリウムイオン未満であり、通常、約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度は、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドを超える)では少なくとも約60℃となっている条件である。別の実施態様において、低いストリンジェントハイブリダイゼーション条件が使用される;例えば、当分野で知られるように、中または低ストリンジェント条件を用いてよい;上記のManiatisおよびAusubelおよび上記のTijssenを参照されたい。
癌関連遺伝子発現の検出
癌関連遺伝子をクローニングし、必要であれば、その構成要素を組み換えて全体の癌関連核酸を形成する。いったんその天然源から単離されると、例えば、プラスミドまたは他のベクターに含まれるか、またはそれから直鎖核酸セグメントとして切除されると、組換え癌関連核酸はさらにプローブとして使用され、他の癌関連核酸、例えばさらなるコード領域を同定または単離することができる。それは、修飾または変種の癌関連核酸およびタンパク質を作るために「前駆体」核酸として用いることもできる。癌関連遺伝子の塩基配列は癌関連遺伝子に特異的なプローブを設計するために用いることもできる。
癌関連遺伝子をクローニングし、必要であれば、その構成要素を組み換えて全体の癌関連核酸を形成する。いったんその天然源から単離されると、例えば、プラスミドまたは他のベクターに含まれるか、またはそれから直鎖核酸セグメントとして切除されると、組換え癌関連核酸はさらにプローブとして使用され、他の癌関連核酸、例えばさらなるコード領域を同定または単離することができる。それは、修飾または変種の癌関連核酸およびタンパク質を作るために「前駆体」核酸として用いることもできる。癌関連遺伝子の塩基配列は癌関連遺伝子に特異的なプローブを設計するために用いることもできる。
癌関連核酸はさまざまな方法で用いてよい。癌関連核酸にハイブリダイズできる核酸プローブを作って、スクリーニング方法や診断方法、または遺伝子治療および/またはアンチセンス利用に使用されるバイオチップに付着させることができる。もしくは、癌関連タンパク質のコード領域を含む癌関連核酸は、再び、スクリーニングの目的か、または患者への投与のために癌関連タンパク質発現用の発現ベクターに入れることができる。
遺伝子発現を定量する1つのそのようなシステムは動力学的ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)である。動力学的PCRは特定の核酸配列の同時の増幅と定量を可能にする。特異性は、標的部位を囲む一本鎖核酸配列に優先的に付着するように設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーに由来する。このオリゴヌクレオチドプライマーの対は、標的配列の各鎖上で特定の非共有結合の複合体を形成する。これらの複合体は、反対の配向での二本鎖DNAのインビトロ転写を容易にする。反応混合物の温度サイクルは、プライマー結合、転写、および核酸の個々の鎖への再融解の連続的なサイクルを作る。その結果は、標的二本鎖DNA産物の指数的な増加である。この産物は、挿入色素または配列に特異的なプローブの利用によりリアルタイムで定量することができる。SYBR(登録商標)Greene Iは、二本鎖DNAに優先的に結合して蛍光シグナルの付随増加をもたらす挿入色素の一例である。TaqMan(登録商標)技術とともに用いられるような配列に特異的なプローブは、オリゴヌクレオチドの反対末端に共有結合させた蛍光色素または消光分子からなる。プローブは、2つのプライマー間にある標的DNA配列に選択的に結合するように設計される。DNA鎖がPCR反応中に合成される場合、蛍光色素は、シグナル脱消光をもたらすポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によりプローブから切断される。プローブシグナル法は挿入色素法よりも特異的であるが、いずれの場合も、シグナル強度は産生される二本鎖DNA産物に比例する。各種類の定量方法は、マルチウエル液相アレイ中で用いることができ、各ウエルは興味のある核酸配列に特異的なプライマーおよび/またはプローブを表す。組織または細胞系のメッセンジャーRNA調製物とともに用いられる場合、プローブ/プライマー反応のアレイは興味のある多様な遺伝子産物の発現を同時に定量することができる。Germer,S.,et al.,Genome Res.10:258−266(2000);Heid,C.A.,et al.,Genome Res.6,986−994(1996)を参照されたい。
DNAマイクロアレイ技術の最近の発展は、単一の固相支持体上の多数の標的癌関連核酸分子の大規模アッセイの実施を可能とする。米国特許第5,837,832号(Chee et al.)および関連特許出願は、試料中の特定の核酸配列のハイブリダイゼーションと検出用のオリゴヌクレオチドプローブのアレイの固定化を記載する。興味のある組織から単離された興味のある標的ポリヌクレオチドはDNAチップにハイブリダイズさせ、特定の配列を、別々のプローブ位置で標的ポリヌクレオチドの優先性とハイブリダイゼーションの程度に基づいて検出する。アレイの1つの重要な使用は示差的遺伝子発現の分析にあり、この分析において、異なる細胞、しばしば興味のある細胞およびコントロール細胞において、遺伝子の発現のプロフィールを比較し、各細胞間の遺伝子発現の違いを同定する。そのような情報は、特定の細胞型または組織型で発現する遺伝子のタイプの同定および発現プロフィールに基づく癌の状態の診断に有用である。
通常、興味のある試料のRNAを逆転写に供して、標識cDNAを得る。米国特許第6,410,229号(Lockhart et al.)を参照されたい。次に、cDNAを、チップまたは他の表面に知られた順序で整列させた公知の配列のオリゴヌクレオチドまたはcDNAにハイブリダイズさせる。標識されたcDNAがハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの位置はcDNAに関する配列情報を提供する一方で、ハイブリダイズした標識RNAまたはcDNAの量は興味のあるRNAまたはcDNAの相対的な再現の推定を提供する。Schena,et al.Science 270:467−470(1995)を参照されたい。例えば、cDNAマイクロアレイを使用してヒト癌における遺伝子発現パターンを分析することは、DeRisi等(Nature Genetics 14:457−460(1996))によって記載されている。
癌関連核酸に対応する核酸プローブを作ってよい。通常、これらのプローブは開示された癌関連遺伝子に基づいて合成される。バイオチップに付着させた核酸プローブは、癌関連核酸、すなわち、標的配列(例えばサンドイッチアッセイにおける試料の標的配列または他のプローブ配列)に実質的に相補的であるように設計して、標的配列と本発明のプローブとの特異的なハイブリダイゼーションが起こるようにする。以下に概略するように、この相補性は、標的配列と本発明の一本鎖核酸とのハイブリダイゼーションに干渉するかなり多数の塩基対ミスマッチが存在してよい点で完全である必要はない。ヌクレオチドレベルでの遺伝子の全体的なホモロジーはヌクレオチドレベルで約40%以上、約60%以上または約80%以上であると予想され;さらに、約8〜12ヌクレオチドまたはそれ以上の対応する連続した配列が存在することが予想される。しかし、ハイブリダイゼーション条件の最小ストリンジェントでさえハイブリダイゼーションが起こりえない程度に変異の数が多い場合、配列は相補的な標的配列ではない。よって、ここでの「実質的に相補的」とは、ここで概略するように、プローブは、正常な反応条件、特に高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするために標的配列に対して十分に相補的であることを意味する。ある配列が本発明による癌関連遺伝子に独特であるのかどうかは当業者に知られた技術により決定することができる。例えば、配列をデータバンク、例えばジェンバンクの配列と比較して、それが非感染ホストまたは他の生物に存在するのかどうかを決定することができる。配列は、他のウイルス性因子(癌を誘導することが知られているウイルス性因子を含む)の公知の配列と比較することもできる。
Q−PCRを用いるCACNA1Eの検出用の適当なプライマーおよびプローブとして、a)CTACTTGGCCCTGCACGAA(配列番号1);b)CTTCGAAAGTGAGCGTCTCCTC(配列番号2);およびc)ACTCCCACGCCTCAGACTGTGGTGA(配列番号3)が挙げられる。
核酸プローブは一般的に一本鎖であるが、部分的に一本鎖で部分的に二本鎖であってよい。プローブのストランド性は、標的配列の構造、組成および性質により決定付けられる。一般的に、オリゴヌクレオチドプローブは、約6、8、10、12、15、20、30から約100塩基長、約10塩基から約80塩基または約30から約50塩基までの範囲にある。一部の実施態様において、全遺伝子がプローブとして用いられる。一部の実施態様において、さらに数百の塩基までの長い核酸を使用することができる。プローブは当業者に知られる条件下で相補鋳型配列にハイブリダイズするように十分に特異的である。プローブ配列と、ハイブリダイゼーション中にそれらがハイブリダイズするそれらの相補鋳型(標的)配列とのミスマッチの数は、FASTA(初期設定)により測定して一般的に15%、10%または5%を超えることはない。
オリゴヌクレオチドプローブは、核酸に通常見られる天然の複素環塩基(ウラシル、シトシン、チミン、アデニンおよびグアニン)ならびに修飾塩基と塩基類似体を含むことができる。標的配列に対するプローブのハイブリダイゼーションに適合する修飾塩基または塩基類似体は本発明の実施に有用である。プローブの糖成分またはグリコシド成分は、デオキシリボース、リボースおよび/またはこれらの糖の修飾形、例えば、2’−O−アルキルリボースを含むことができる。一部の実施態様において、糖成分は2’−デオキシリボースである;しかし、プローブが標的配列にハイブリダイズする能力に適合するいかなる糖成分も用いることができる。
プローブのヌクレオシド単位を、当分野でよく知られているように、ホスホロジエステル骨格によって連結してよい。一部の実施態様において、ヌクレオチド間の結合は、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、スルファメート(米国特許第5,470,967号)およびポリアミド(すなわち、ペプチド核酸)等の、しかし、これらに限定されないプローブの特異的なハイブリダイゼーションに適合する当業者に公知の結合を含むことができる。ペプチド核酸はNielsen et al.(1991) Science 254:1497−1500、米国特許第5,714,331号およびNielsen(1999) Curr.Opin.Biotechnol.10:71−75に記載されている。
プローブはキメラ分子であってよく、すなわち、2種類以上の塩基または糖サブユニットを含むことができ、および/または結合は同じプライマー内に2種類以上を有することができる。プローブは、当業者に知られているように、その標的配列に対するハイブリダイゼーションを容易にする部分、例えば、インターカレーターおよび/または副溝バインダーを含むことができる。塩基、糖およびヌクレオシド間骨格の変異ならびにプローブ上のペンダント基の存在は、プローブが配列特異的にその標的配列に結合する能力に適合するだろう。公知であり、かつ開発すべき多数の構造修飾物はこれらの領域内で可能である。有利には、本発明によるプローブはシグナル増殖を可能とするように構造的特性を有してよく、そのような構造的特性は、例えば、Urdea等(Nucleic Acids Symp.Ser.,24:197−200(1991))または欧州特許第EP−0225,807号に記載のような分岐DNAプローブである。さらに、プローブを形成する多様な複素環塩基、糖、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの調製用合成方法、および特定の所定配列のオリゴヌクレオチドの調製用合成方法は当分野で十分に開発されており、知られている。オリゴヌクレオチド合成の方法は米国特許第5,419,966号の教示を取り入れる。
標的核酸における多形性および/または二次構造、データの重複性等を説明するために、複数のプローブを特定の標的核酸のために設計してよい。1配列につき2つ以上のプローブが使用される一部の実施態様において、重複プローブ、または単一の標的癌関連遺伝子の異なる部位に対するプローブが使用される。すなわち、特定の標的の重複性を組み入れるために、2つ、3つ、4つ以上のプローブ(3つが好ましい)を用いる。プローブは重複しうるか(すなわち、共通する一部の配列を有しうる)、またはCACNA1Eの固有の配列に対して特異的でありうる。複数の標的ポリヌクレオチドを本発明にしたがって検出しようとする場合、特定の標的ポリヌクレオチドに対応する各プローブまたはプローブ群をマイクロアレイの別々の領域に位置させる。
プローブは、ウエル中またはマイクロアレイの表面上等の溶液中にあってもよいし、固体支持体に結合させてもよい。使用することのできる固体支持体の材料の例として、プラスチック、セラミック、金属、樹脂、ゲルおよびメンブランが挙げられる。有用な種類の固体支持体として、プレート、ビーズ、磁性材料、マイクロビーズ、ハイブリダイゼーションチップ、メンブラン、結晶、セラミックスおよび自己集合性単層が挙げられる。一部の実施態様は、複数のプローブ結合部位を有するゲルまたはハイブリダイゼーションチップ等の二次元または三次元のマトリックスを含む(Pevzner et al.,J.Biomol.Struc.& Dyn.9:399−410,1991;Maskos and Southern,Nuc.Acids Res.20:1679−84,1992)。ハイブリダイゼーションチップは非常に大きいプローブアレイを作るために用いることができ、これらのプローブアレイは引き続いて標的核酸にハイブリダイズさせる。チップのハイブリダイゼーションパターンの分析は標的ヌクレオチド配列の同定に役立てることができる。パターンは手作業またはコンピュータで解析できるが、ハイブリダイゼーションによる位置配列決定はコンピュータ解析と自動化に役立つことは明らかである。配列再構築のために開発されたアルゴリズムとソフトウエアはここに記載の方法に適用することができる(R.Drmanac et al.,J.Biomol.Struc.& Dyn.5:1085−1102,1991;P.A.Pevzner,J.Biomol.Struc.& Dyn.7:63−73,1989)。
当業者により理解されるように、核酸は多様な方法で固体支持体に結合または固定化することができる。ここで「固定化される」とは、以下に概略するように結合、洗浄、分析および除去の条件下で核酸プローブと固体支持体との会合または結合が安定であるのに十分であることを意味する。この結合は共有でも非共有でもよい。ここでの「非共有結合」および文法的等価物は、静電気的、親水性および疎水性のいずれかの相互作用の1つ以上を意味する。支持体に対するストレプトアビジン等の分子の共有結合やストレプトアビジンに対するビオチニル化プローブの非共有結合は非共有結合に含まれる。ここでの「共有結合」および文法的等価物は、2つの部分である固体支持体とプローブが、シグマ結合、π結合および配位結合等の少なくとも1種類の結合により結合していることを意味する。共有結合はプローブと固体支持体との間に直接形成してもよいし、または架橋剤によるか、または固体支持体またはプローブの何れかまたは両分子上に特定の反応基を包含させることにより形成してもよい。固定化は共有結合性相互作用と非共有結合性相互作用の組合せを伴ってもよい。
核酸プローブは、カップリング剤による結合による等の共有結合によるか、または静電相互作用、水素結合または抗体−抗原結合等の共有または非共有結合によるか、またはそれらの組合せにより固体支持体に結合させてよい。典型的なカップリング剤として、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、黄色ブドウ球菌タンパク質A/IgG抗体Fc断片、およびストレプトアビジン/プロテインAキメラ(T.Sano and C.R.Cantor,Bio/Technology 9:1378−81(1991))またはこれら物質の誘導体または組合せが挙げられる。核酸は、光切断性結合、静電結合、ジスルヒド結合、ペプチド結合、ジエステル結合またはこれらの種類の結合の組合せにより固体支持体に結合させてよい。アレイは、4,4’−ジメトキシトリチルまたはその誘導体等の選択的に解離されうる結合により固体支持体に結合させてもよい。有用であることがわかった誘導体として、3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−ヒドロキシメチル安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−クロロメチル−安息香酸およびこれらの酸の塩が挙げられる。
当業者により理解されるように、プローブは多様な方法でバイオチップに結合させてよい。ここで説明するように、核酸を最初に合成し、次にバイオチップに結合させるか、またはバイオチップ上に直接合成することができる。
バイオチップは適当な固体基板を含む。ここでの「基板」または「固体支持体」または他の文法的等価物は、核酸プローブの結合または会合のために適当な別々の個々の部位を含むように修飾することができる材料であって、少なくとも1つの検出方法に受け入れられる任意の材料を意味する。本発明の固相支持体は、ヌクレオチドハイブリダイゼーションおよび合成を補助するのに適当な固体材料と構造を有することができる。好ましくは、固相支持体は少なくとも1つの実質的に堅い表面を含み、該表面上にてプライマーが固定化され、逆転写酵素反応が実施される。ポリヌクレオチドマイクロアレイ要素が安定して結びつけられる基板は、プラスチック、セラミックス、金属、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリアンヒドライド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカンおよびポリアミノ酸等の多様な材料から作ることができる。基板は、ゲル、メンブラン、薄いフィルム、ガラス、プレート、シリンダー、ビーズ、磁性ビーズ、光ファイバー、織った繊維等の二次元または三次元の形にあってよい。アレイの1つの形は三次元アレイである。1つのタイプの三次元アレイは一群の標識ビーズである。各標識ビーズは、異なるプライマーを結合させている。標識は色(Luminex,Illumina)および電磁場(Pharmaseq)により検出可能であり、標識ビーズ上のシグナルは、(例えば、光ファイバーを用いて)遠隔でさえ検出できる。固体支持体のサイズは、DNAマイクロアレイ技術のために有用な標準的なマイクロアレイサイズのいずれでもよく、そのサイズは本発明の反応を実施するために用いられる特定の機械に適合するように合わせてよい。一般的に、基板は光学的検出を可能とし、感知できるほどに蛍光を発しない。
バイオチップとプローブを結合するためにそれらの表面を化学官能基により誘導体化してよい。よって、例えば、バイオチップは、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基およびチオール基(このうちアミノ基が特に好ましい)等の、しかし、これらに限定されない化学官能基により誘導体化させる。これらの官能基を用いて、プローブを、プローブ上の官能基を用いて結合させることができる。例えば、アミノ基を含む核酸を、アミノ基を含む表面に、例えば、当分野で知られているリンカーを用いて結合させることができる;例えば、ホモまたはヘテロ二官能性リンカーがよく知られている(参照によりここに組み込まれるPierce Chemical社カタログ(1994年)、クロスリンカーに関する技術セクション、155〜200ページを参照されたい)。さらに、場合によっては、アルキル基(置換およびヘテロアルキル基を含む)等のさらなるリンカーを用いてもよい。
オリゴヌクレオチドを当分野で知られるように合成し、次に固体支持体の表面に結合させてよい。当業者により理解されるように、5’末端または3’末端の何れかを固体支持体に結合してよく、または結合は内部のヌクレオシドによるものであってよい。さらなる実施態様において、固体支持体への固定化は非常に強力であるかもしれないが、非共有性である。例えば、結合をもたらすストレプトアビジンが共有結合により被覆された表面に結合するビオチニル化オリゴヌクレオチドを作ってよい。
アレイは、ポリヌクレオチドマイクロアレイエレメントを予備形成し、次にそれらに表面を結合させる等の便利な方法にしたがって作ってよい。もしくは、オリゴヌクレオチドを、当分野で知られているように、表面上に合成してよい。多くの異なるアレイ配置とそれらの生産の方法は、当業者に公知であり、WO95/25116とWO95/35505(フォトリソグラフィー技術)、米国特許第5,445,934号(フォトリソグラフィーによるその場での合成)、米国特許第5,384,261号(機械的に指令された流れ経路によるその場での合成)および米国特許第5,700,637号(スポッティング、プリンティングまたはカップリングによる合成)(これらの開示は参照によりそれら全文がここに組み込まれる)に開示されている。DNAをビーズに結合させる別の方法は、ビーズに結合したリガンド結合分子に連結させるためにDNAの末端に結合した特定のリガンドを使用する。可能なリガンド結合パートナー対として、ビオチン−アビジン/ストレプトアビジン、またはジゴキシゲニン−抗ジゴキシゲニン抗体等の多様な抗体/抗原対が挙げられる(Smith et al,“Direct Mechanical Measurements of the Elasticity of Single DNA Molecules by Using Magnetic Beads,” Science 258:1122−1126(1992))。支持体へのDNAの共有化学結合は、DNAの5’−ホスフェートを、ホスホロアミデート結合により被覆微粒子に結合させる標準的なカップリング剤を用いて達成することができる。ソリッドステート基板に対するオリゴヌクレオチドの固定化の方法はよく確立している。Pease et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(ll):5022−5026(1994)を参照されたい。オリゴヌクレオチドをソリッドステート基板に結合させる1つの方法は、Guo等(Nucleic Acids Res.22:5456−5465(1994))により記載されている。固定化はその場でのDNA合成(Maskos and Southern,Nucleic Acids Research,20:1679−1684(1992))、またはロボットアレイ作成技術に組み合わせた化学合成オリゴヌクレオチドの共有結合(上記のGuo et al.)により達成することができる。
発現産物
ここで用いられる「発現産物」との用語は、核酸(例えば、mRNA)と、CACNA1E遺伝子の転写および/または翻訳により作られるポリペプチド産物とをいうために用いる。
ここで用いられる「発現産物」との用語は、核酸(例えば、mRNA)と、CACNA1E遺伝子の転写および/または翻訳により作られるポリペプチド産物とをいうために用いる。
ポリペプチドは成熟タンパク質の形にあってもよいし、活性のある成熟ポリペプチドを作るプレ、プロまたはプレプロ部分の切断により活性化されうるプレ、プロまたはプレプロタンパク質であってもよい。そのようなポリペプチドにおいて、プレ、プロまたはプレプロ配列はリーダー配列または分泌配列であってもよく、または成熟ポリペプチド配列の精製に使用される配列であってもよい。そのようなポリペプチドは「癌関連ポリペプチド」と称する。
さらに、「癌関連ポリペプチド」との用語は、断片、相同体、融合物および変異体等の変種を含む。相同ポリペプチドは、ギャップオープンペナルティー12とギャップイクステンションペナルティー2、BLOSUMマトリクス62を用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定された上述の癌関連ポリペプチドに対して少なくとも80%以上(すなわち、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)の配列同一性を有する。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.(1981)2:482−489に教示されている。変異体ポリペプチドは自然または非自然にグリコシル化されえる;すなわち、該ポリペプチドは、対応する自然のタンパク質で見られるグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する。
変異体として、アミノ酸の置換、付加または欠失を挙げることができる。アミノ酸置換は、保存アミノ酸置換、またはグリコシル化、リン酸化部位またはアセチル化部位を変更するか、または機能上必要とされない1つ以上のシステイン残基の置換または欠失により誤った折り畳みを最小化する等、非必須アミノ酸を除去する置換であってよい。保存アミノ酸置換は、置換されるアミノ酸の通常の電荷、疎水性/親水性、および/または立体的容積を保存する置換である。これらの産物の変異体は、タンパク質の特定の領域(例えば、機能的ドメインおよび/または、ポリペプチドがタンパク質ファミリーのメンバーである場合、コンセンサス配列に結合した領域)の増強生物学的活性を保持または持つように設計することができる。次に、そのような変異体を検出または治療の方法に用いてよい。変異体の生産のためにアミノ酸変更の選択は、アミノ酸の接触性(内部対外部)(例えば、Go et al,Int.J.Peptide Protein Res.(1980)15:211を参照)、変異ポリペプチドの熱安定性(例えば、Querol et al.,Prot.Eng.(1996)9:265を参照)、所望のグリコシル化部位(例えば、Olsen and Thomsen,J.Gen.Microbiol.(1991)137:579を参照)、所望のジスルフィド架橋(例えば、Clarke et al.,Biochemistry(1993)32:4322およびWakarchuk et al.,Protein Eng.(1994)7:1379を参照)、所望の金属結合部位(例えば、Toma et al.,Biochemistry(1991)30:97およびHaezerbrouck et al.,Protein Eng.(1993)6:643を参照)およびプロリンループ内の所望の置換(例えば、Masul et al.,Appl.Env.Microbiol.(1994)60:3579を参照)に基づくことができる。システインを除去した変異タンパク質はUSPN4,959,314に開示されたように作ることができる。
さらに、変異体はここに開示されたポリペプチドの断片、特に、生物学的に活性のある断片および/または機能的ドメインに対応する断片を含む。興味のある断片は、長さが少なくとも約8アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸、30アミノ酸、35アミノ酸、40アミノ酸から少なくとも約45アミノ酸まで、通常、長さが少なくとも約50アミノ酸、少なくとも約75アミノ酸、少なくとも約100アミノ酸、少なくとも約125アミノ酸、長さが少なくとも約150アミノ酸、少なくとも約200アミノ酸、少なくとも約300アミノ酸、少なくとも約400アミノ酸であり、約500アミノ酸以上もの長さでもよいが、通常は長さが約1000アミノ酸を超えることはなく、該断片はここで提供されるポリヌクレオチド配列の何れか1つの配列を有するポリヌクレオチドまたはその相同体によりコードされるポリペプチドと同じ一続きのアミノ酸を有するだろう。ここに記載されるタンパク質変異体は、本発明の範囲内にあるポリヌクレオチドによりコードされる。遺伝子コードは、対応する変異体を構築する適当なコドンを選択するために用いることができる。
CACNA1E遺伝子の発現の変更された量は、遺伝子およびその産物が癌に影響を及ぼすことを示すだろう。一部の実施態様において、形成される複合体の量の2倍の増加また減少は病気を示す。一部の実施態様において、形成される複合体の量の3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍またはさらに100倍の増加または減少は病気を示す。
癌関連ポリペプチドは野生型アミノ酸配列よりも短くても長くてもよく、同等のコードmRNAは野生型mRNAに照らして同様に修飾してよい。よって、ここでの野生型配列の部分または断片は癌関連ポリペプチドの定義に含まれる。さらに、上記のように、癌関連遺伝子は、当分野で知られている技術を用いて、さらなるコード領域、よってさらなるタンパク質配列を得るために用いてよい。
一部の実施態様において、癌関連ポリペプチドは野生型配列と比較して誘導体または変異体の癌関連ポリペプチドである。すなわち、以下により十分に記載するように、誘導体癌関連ポリペプチドは少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失または挿入を含むだろう。アミノ酸置換、挿入または欠損は癌関連ポリペプチド内のいずれの残基で起こってもよい。
さらに、癌関連ポリペプチドのアミノ酸配列変異体も含まれる。これらの変異体は、3種類(置換変異体、挿入変異体または欠失変異体)の1つ以上に分類される。これらの変異体は、通常、カセットまたはPCR変異誘発または当分野でよく知られている他の技術を用いて、癌関連タンパク質をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的変異により、変異体をコードするDNAを作り、その後に上記のように組換え細胞培養中にDNAを発現させることにより調製される。しかし、最大約100〜150残基を有する変異体癌関連ポリペプチド断片は、確立された技術を用いるインビトロ合成により調製してよい。アミノ酸配列変異体は、癌関連ポリペプチドアミノ酸配列の天然の対立遺伝子変異または種間変異からそれらを区別する変異の所定の性質により特徴付けられる。通常、変異体は天然の類似体と同じ定性的生物活性を示すが、改良された特性を有する変異体を以下にさらに十分に説明するように選択することもできる。
アミノ酸配列変異を導入する部位または領域があらかじめ定められている一方で、変異それ自体はあらかじめ定められる必要はない。例えば、所与の部位での変異の遂行を最適化するために、ランダム変異導入法が標的コドンまたは領域で実施され、発現した癌関連ポリペプチド変異体を所望の活性の最適な組合せのためにスクリーニングしてよい。公知の配列を有するDNAの所定の部位で置換変異を作る技術、例えば、M13プライマー変異誘発およびLAR変異誘発がよく知られている。変異体のスクリーニングは癌関連タンパク質活性のアッセイを用いて行なわれる。
アミノ酸置換は通常は単一残基の置換であるが、勿論、複数残基の置換であってもよい;通常、挿入はおよそ約1〜20アミノ酸であるが、かなり高い挿入が許容される。欠失は約1〜約20残基の範囲にあるが、場合によっては、欠失はそれよりもかなり高くてもよい。
置換、欠失、挿入またはそれらの何れかの組合せを用いて最終誘導体に到達することができる。一般的に、これらの変化は、分子の変化を最小化するために2〜3個のアミノ酸に対して行なわれる。しかし、ある特定の状況では、大きな変化が許容されるだろう。癌関連ポリペプチドの特性の小さい変化が望ましい場合、一般的に、置換は下記の表にしたがって実施される。
通常、変異体は同じ定性的生物活性を示し、天然の類似体と同じ免疫応答を誘発するが、変異体はさらに改良された特性を持つだろう。
癌関連ポリペプチドはそれ自体で発現し、検出と治療の方法に用いてよい。それらは、そのような方法で使用しやすくするためにさらに修飾してよい。
癌関連ポリペプチドの共有結合修飾を、例えば、スクリーニングに利用してよい。1つのタイプの共有結合修飾は、癌関連ポリペプチドの標的アミノ酸残基を、癌関連ポリペプチドの選択された側鎖またはNまたはC末端残基と反応することのできる有機誘導体化剤に反応させることを含む。二官能性物質による誘導体化は、以下にさらに十分説明するように、例えば、抗癌関連抗体の精製法やスクリーニングアッセイに使用される水不溶性支持体マトリクスまたは表面に対して癌関連ポリペプチドを架橋するために有用である。一般的に使用される架橋剤として、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル、ホモ二官能性イミドエステル、例えば3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステル、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタン等の二官能性マレイミドおよびメチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデート等の薬剤が挙げられる。
他の修飾として、グルタミニルおよびアスパラギニル残基の、それぞれ対応するグルタミルとアルパルチル残基への脱アミノ化、プロリンとリジンのヒドロキシル化、セリル、スレオニルまたはチロシル残基の水酸基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のアミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))、N末端アミンのアセチル化および任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
本発明の範囲に含まれるCACNA1Eポリペプチドの別の種類の共有結合修飾はポリペプチドの天然のグリコシル化パターンの変更を含む。「天然のグリコシル化パターンの変更」とは、ここでの目的のために、天然配列の癌関連ポリペプチドに見られる1つ以上の炭水化物成分の欠失、および/または天然配列の癌関連ポリペプチドに存在しない1つ以上のグリコシル化部位の付加を意味する。
癌関連ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加はそのアミノ酸配列の変更により達成してもよい。この変更は、例えば、(O結合グリコシル化部位に関して)天然配列の癌関連ポリペプチドに対する1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加またはそれらの残基による置換により行なってよい。癌関連アミノ酸配列は、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが作られるように、癌関連ポリペプチドをコードするDNAを事前に選択された塩基において変異させることによるDNAレベルでの変化により任意に変更してよい。
癌関連ポリペプチド上の炭水化物成分の数を増やす別の手段はポリペプチドに対するグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる。そのような方法は当分野、例えば、1987年9月11日公開のWO87/05330およびAplin and Wriston,LA Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306(1981)に記載されている。
癌関連ポリペプチド上の存在する炭水化物成分の除去は化学的または酵素的によるか、またはグリコシル化の標的として役立つアミノ酸残基をコードするコドンの変異置換により達成してよい。化学的脱グリコシル化技術は当分野で知られており、例えば、Hakimuddin等(Arch.Biochem.Biophys.,259:52(1987))およびEdge等(Anal.Biochem.,118:131(1981))に記載されている。ポリペプチド上の炭水化物成分の酵素的切断は、Thotakura等(Meth.Enzymol.,138:350(1987))により記載されたように、多様なエンドおよびエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。
癌関連ポリペプチドの別の種類の共有結合修飾は、癌関連ポリペプチドを、多様な非タンパク質性ポリマーの1つ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンに、米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号または米国特許第4,179,337号に記載されたように連結する工程を包含する。
癌関連ポリペプチドは、癌関連ポリペプチドを別の異種性ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合させたキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。一部の実施態様において、そのようなキメラ分子は、抗標識抗体が選択的に結合することのできるエピトープを提供する標識ポリペプチドと癌関連ポリペプチドとの融合物からなる。一般的に、エピトープ標識は癌関連ポリペプチドのアミノ末端かカルボキシ末端に置かれるが、内部融合物も場合によっては許容される。そのようなエピトープ標識形の癌関連ポリペプチドの存在は、標識ポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。さらに、エピトープ標識の提供により、抗標識抗体、またはエピトープ標識に結合する別の種類の親和性マトリクスを用いる親和性精製により癌関連ポリペプチドを容易に精製することが可能となる。別の実施態様において、キメラ分子は、癌関連ポリペプチドと免疫グロブリンか免疫グロブリンの特定の領域との融合物からなってもよい。二価形のキメラ分子のために、IgG分子のFc領域への融合物であってよい。
多様な標識ポリペプチドとそれらの各抗体は当分野でよく知られている。例えば、ポリ−ヒスチジン(poly−his)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(poly−his−gly)標識;インフルエンザHA標識ポリペプチドおよびその抗体12CA5(Field et al.,Mol.Cell.Biol.,8:2159−2165(1988));c−myc標識およびそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体(Evan et al.,Molecular and Cellular Biology,5:3610−3616(1985));および単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)標識およびその抗体(Paborsky et al.,Protein Engineering,3(6):547−553(1990))が挙げられる。他の標識ポリペプチドとして、Flagペプチド(Hopp et al.,BioTechnology,6:1204−1210(1988));KT3エピトープペプチド(Martin et al.,Science,255:192−194(1992));チュブリンエピトープペプチド(Skinner et al.,J.Biol.Chem.,266:15163−15166(1991));およびT7遺伝子10タンパク質ペプチド標識(Lutz−Freyermuth et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393−6397(1990))が挙げられる。
もしくは、癌関連タンパク質ファミリーの他の癌関連タンパク質、および他の生物に由来する癌関連タンパク質を下記のようにクローニングし、発現させてよい。例えば、プローブ配列または縮重したポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)プライマー配列を用いて、ヒトまたは他の生物から他の関連する癌関連タンパク質を見出してもよい。当業者により理解されるように、特に有用なプローブおよび/またはPCRプライマー配列は癌関連核酸配列の独自の領域を含む。当分野でよく知られているように、PCRプライマーは、長さが約15から約35または約20から約30ヌクレオチドであってよく、必要に応じてイノシンを含んでよい。PCR反応の条件は当分野においてよく知られている。
さらに、ここで概略するように、CACNA1E遺伝子によりコードされるタンパク質よりも長い癌関連タンパク質を、さらなる配列の解明、エピトープまたは精製標識の付加、他の融合タンパク質の付加等により作ることができる。
癌関連タンパク質は、癌関連核酸によりコードされるものとして同定してもよい。よって、ここで概略するように、癌関連タンパク質は上記のCACNA1E遺伝子またはそれらの相補体とハイブリダイズする核酸によりコードされる。
癌関連ポリペプチドの発現
上記のように、CACNA1Eに由来する核酸を用いて、多様な発現ベクターを作って、癌関連タンパク質を発現し、次にこれら癌関連タンパク質をスクリーニングアッセイに用いることができる。発現ベクターは、自己複製する染色体外ベクター、またはホストゲノムと統合するベクターであってよい。一般的に、これらの発現ベクターは、癌関連タンパク質をコードする核酸に操作可能に連結された転写および翻訳調節核酸を含む。「制御配列」との用語は、特定のホスト生物において操作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列をいう。原核生物に適する制御配列として、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。
上記のように、CACNA1Eに由来する核酸を用いて、多様な発現ベクターを作って、癌関連タンパク質を発現し、次にこれら癌関連タンパク質をスクリーニングアッセイに用いることができる。発現ベクターは、自己複製する染色体外ベクター、またはホストゲノムと統合するベクターであってよい。一般的に、これらの発現ベクターは、癌関連タンパク質をコードする核酸に操作可能に連結された転写および翻訳調節核酸を含む。「制御配列」との用語は、特定のホスト生物において操作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列をいう。原核生物に適する制御配列として、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。
核酸が別の核酸配列と機能的な関連性があるように置かれている場合、その核酸は「操作可能に連結」されている。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAが、あるポリペプチドの分泌に関与する前タンパク質として発現する場合、そのDNAは該ポリペプチドのDNAに操作可能に連結されている;プロモーターまたはエンハンサーが、あるコード配列の転写に影響する場合、それらは該コード配列に操作可能に連結されている;またはリボソーム結合部位が翻訳を促進するように置かれている場合、それはコード配列に操作可能に連結されている。一般的に、「操作可能に連結される」とは、連結されるDNA配列同士が隣接しており、分泌リーダーの場合、隣接しており、読み取られる状態にある。しかし、エンハンサーは隣接する必要はない。連結は都合のよい制限酵素認識部位での連結により達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが慣用の実施にしたがって使用される。癌関連タンパク質を発現するために用いられるホスト細胞に対する転写および翻訳調節核酸が一般に適する;例えば、バシラス由来の転写および翻訳調節核酸配列が癌関連タンパク質をバシラスで発現させるために好ましく用いられる。多様なホスト細胞のために多くの種類の適当な発現ベクターおよび適当な調節配列が当分野において知られている。
一般的に、転写および翻訳調節配列として、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始/終始配列、翻訳開始/終始配列およびエンハンサー配列またはアクチベーター配列が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様において、調節配列として、プロモーター配列と転写開始/終始配列とを含む。
プロモーター配列は、構成的プロモーターか誘導プロモーターのいずれかをコードする。プロモーターは天然のプロモーターでもハイブリッドプロモーターでもよい。ハイブリッドプロモーターは、2つ以上のプロモーターのエレメントを組合わせるもので、これも当分野において知られており、本発明に有用である。
さらに、発現ベクターはさらなるエレメントを含んでよい。例えば、発現ベクターは2つの複製システムを持つことで、該ベクターを2種類の生物、例えば、発現用に哺乳動物細胞または昆虫細胞に、クローニングと増幅用に原核生物ホストに維持させてよい。さらに、発現ベクターを統合するために、発現ベクターはホスト細胞ゲノムと相同な少なくとも1つの配列を含み、好ましくは発現構築物に隣接する2つの相同配列とを含む。統合ベクターは、ベクターへの包含のために適当な相同配列を選択することによりホスト細胞中の特定の部位に向けられてよい。ベクターを統合する構築物は当分野においてよく知られている。
一部の実施態様において、発現ベクターは、形質転換ホスト細胞の選択を可能とする選択可能なマーカー遺伝子を含む。抗生物質抵抗性遺伝子等の選択遺伝子は当分野でよく知られており、使用されるホスト細胞により変えられるだろう。
CACNA1Eタンパク質は、癌関連タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターで形質転換されたホスト細胞を、癌関連タンパク質の発現を誘発するか、引き起こす適当な条件下で培養することにより産生させてよい。癌関連タンパク質発現に適当な条件は発現ベクターとホスト細胞の選択により変えられ、日常の実験を通して当業者により容易に確かめられるだろう。例えば、発現ベクターでの構成的プロモーターの使用はホスト細胞の成長と増殖の最適化を必要とする一方で、誘導プロモーターの使用は誘導のために適当な増殖条件を必要とする。さらに、一部の実施態様において、回収の時期が重要である。例えば、昆虫細胞発現に用いられるバキュロウイルスシステムは溶解性ウイルスであるために、回収時期の選択は産物収量にとって重要となりうる。
適当なホスト細胞として、酵母、細菌、古細菌、真菌および昆虫、植物および動物の細胞(哺乳動物の細胞等)が挙げられる。特に興味があるのはキイロショウジョウバエ細胞、サッカロマイセスセレヴィシエおよび他の酵母、大腸菌、枯草菌、Sf9細胞、C129細胞、293細胞、ニューロスポラ、BHK、CHO、COS、ヒーラ細胞、THPl細胞系(マクロファージ細胞系)およびヒト細胞とヒト細胞系である。
一部の実施態様において、CACNA1Eタンパク質は哺乳動物の細胞で発現する。哺乳類の発現系も当分野で知られており、レトロウイルス系を含む。好ましい発現系は、WO97/27212(PCT/US97/01019)とWO97/27213(PCT/US97/01048)(両文献とも参照によりここに編入する)に一般的に記載されるようにレトロウイルスベクター系である。哺乳類のウイルス遺伝子はしばしば高発現し、多様なホスト範囲を有するので、それらのウイルス遺伝子に由来するプロモーターが哺乳動物のプロモーターとして特に有用である。例えば、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーターおよびCMVプロモーターが挙げられる。通常、哺乳動物細胞により認識される転写終止配列とポリアデニル化配列は翻訳終止コドンに対して3’に置かれる調節領域であるので、これら配列はプロモーター要素とともにコード配列に隣接する。転写ターミネーターおよびポリアデニル化シグナルの例としてSV40に由来するものが挙げられる。
外来性核酸を哺乳類ホストならびに他のホストに導入する方法は当分野でよく知られており、使用されるホスト細胞により変えられるだろう。そうした技術として、デキストラン仲介形質移入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介形質移入、原形質融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、ポリヌクレオチドのリポソームへのカプセル化およびDNAの核への直接のマイクロインジェクションが挙げられる。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質を細菌系で発現させる。細菌発現系は当分野でよく知られている。バクテリオファージに由来するプロモーターが用いられてもよく、当分野で知られている。さらに、合成プロモーターやハイブリッドプロモーターも有用である;例えば、tacプロモーターはtrpとlacのプロモーター配列のハイブリッドである。さらに、細菌プロモーターとして、細菌RNAポリメラーゼに結合し、転写を開始させることのできる非細菌起源の天然のプロモーターを挙げることができる。機能するプロモーター配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が望ましい。さらに、発現ベクターは、細菌中の癌関連タンパク質の分泌を提供するシグナルペプチド配列を含んでもよい。タンパク質は成長培地に分泌されるか(グラム陽性菌)、または細胞の内膜と外膜との間に位置する細胞膜周辺腔に分泌される(グラム陰性菌)。さらに、細菌発現ベクターは、形質転換された菌種の選択を可能とする選択可能なマーカーを含んでもよい。適当な選択遺伝子として、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリン等の薬剤に対して細菌を耐性のあるものとする遺伝子が挙げられる。選択可能なマーカーとして、さらに、生合成遺伝子、例えばヒスチジン、トリプトファンおよびロイシンの生合成経路における遺伝子が挙げられる。これらのコンポーネントを集合して発現ベクターを構築する。細菌の発現ベクターは当分野でよく知られており、中でも枯草菌、大腸菌、ストレプトコッカスクレモリスおよびストレプトコッカスリビダンス用のベクターが挙げられる。塩化カルシウム処理、エレクトロポレーション等の当技術でよく知られた技術を用いて、細菌ホスト細胞を細菌発現ベクターによって形質転換する。
癌関連タンパク質を昆虫細胞に産生させてよい。昆虫細胞の形質転換用の発現ベクター、特に、バキュロウイルス系発現ベクターが当分野でよく知られている。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質を酵母細胞で産生させてよい。酵母発現系は当分野でよく知られており、サッカロマイセスセレヴィシエ、カンジダアルビカンスおよびC.マルトーサ、ハンゼヌラポリモルファ、クルイベロマイセスフラギリスおよびK.ラクティス、ピキアギルレリモンジーおよびP.パストリス、シゾサッカロミセスポンベおよびヤーロウイアリポリチカ用の発現ベクターが挙げられる。
CACNA1Eタンパク質は、当分野でよく知られている技術を用いて融合タンパク質として作ってもよい。よって、例えば、モノクローナル抗体のために[原文通り]。所望のエピトープが小さい場合、癌関連タンパク質を担体タンパク質に融合させて免疫原を形成してよい。もしくは、発現を高めるか、または他の理由のために癌関連タンパク質を融合タンパク質として作ってもよい。例えば、癌関連タンパク質が癌関連ペプチドである場合、ペプチドをコードする核酸を発現目的のために他の核酸に連結させてよい。
癌
一部の実施態様において、本発明の方法により検出、診断または治療される癌は、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌および子宮癌ならびにリンパ腫および転移(結腸転移等)から選択される。
一部の実施態様において、本発明の方法により検出、診断または治療される癌は、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌および子宮癌ならびにリンパ腫および転移(結腸転移等)から選択される。
抗体
一部の実施態様において、本発明は、CACNA1Eポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用する。「特異的に結合する」との用語は、抗体が、CACNA1Eポリペプチドに対して、他の関連するポリペプチドに対するそれらの親和性よりも実質的に高い親和性を有することを意味する。ここで用いられる「抗体」との用語は、インタクトな分子ならびにそれらの断片、例えば、問題の抗原決定基に結合することのできるFab、F(ab’)2およびFvをいう。「実質的に高い親和性」とは、他の関連するポリペプチドに対する親和性に比較して本発明の標的癌関連ポリペプチドに対する親和性に測定可能な増加が存在することを意味する。一部の実施態様において、親和性は、標的癌関連ポリペプチドに対して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、103倍、104倍、105倍、106倍またはそれ以上である。
一部の実施態様において、本発明は、CACNA1Eポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用する。「特異的に結合する」との用語は、抗体が、CACNA1Eポリペプチドに対して、他の関連するポリペプチドに対するそれらの親和性よりも実質的に高い親和性を有することを意味する。ここで用いられる「抗体」との用語は、インタクトな分子ならびにそれらの断片、例えば、問題の抗原決定基に結合することのできるFab、F(ab’)2およびFvをいう。「実質的に高い親和性」とは、他の関連するポリペプチドに対する親和性に比較して本発明の標的癌関連ポリペプチドに対する親和性に測定可能な増加が存在することを意味する。一部の実施態様において、親和性は、標的癌関連ポリペプチドに対して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、103倍、104倍、105倍、106倍またはそれ以上である。
一部実施態様において、抗体は、10−4M以下、10−7M以下、10−9M以下の解離定数;またはナノモル以下の親和性(0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1nMまたはさらにそれ以下)で、高親和性に結合する。
CACNA1Eポリペプチドを、例えば免疫治療のために抗体産生に用いようとする場合、一部の実施態様において、癌関連ポリペプチドは少なくとも1つのエピトープまたは決定基を全長タンパク質と共有するにちがいない。ここでの「エピトープ」または「決定基」とは、MHCの文脈において抗体またはT細胞レセプターを産生するか、および/またはそれに結合するタンパク質の一部を意味する。よって、場合によっては、小さい癌関連ポリペプチドに対して作られた抗体は全長タンパク質に結合することができるだろう。一部の実施態様において、エピトープは独特である;すなわち、独特なエピトープに対して作られた抗体は有るか無しかの交差反応を示す。
CACNA1Eによりコードされるポリペプチド配列を分析して、ポリペプチドの一定の好ましい領域を決定してよい。高い抗原性の領域は、抗原認識が免疫応答の開始のプロセスで起こりうる環境で、ポリペプチドの表面にさらされる可能性が高いポリペプチドの領域を表す値を選択することによるDNASTAR分析によるデータから決定される。例えば、癌関連遺伝子の配列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、DNASTARコンピュータアルゴリズム(DNASTAR社、マジソン、ウィスコンシン州;dnastar.comのワールドワイドウエブサイトを参照)の規定パラメーターを用いて分析してよい。
一部の実施態様において、本発明の抗体は、CACNA1Eポリペプチドの相同分子種、相同体、パラログまたは変異体またはそれらの組合せおよび二次的組合せに対して結合する。一部の実施態様において、本発明の抗体はCACNA1Eポリペプチドの相同分子種に結合する。一部の実施態様において、本発明の抗体はCACNA1Eポリペプチドの相同体に結合する。一部の実施態様において、本発明の抗体はCACNA1Eポリペプチドのパラログに結合する。一部の実施態様において、本発明の抗体はCACNA1Eポリペプチドの変異体に結合する。一部の実施態様において、本発明の抗体はCACNA1Eポリペプチドの相同分子種、相同体、パラログまたは変異体またはそれらの組合せおよび二次的組合せに対して結合しない。
DNASTARコンピュータアルゴリズムを用いて日常的に得ることのできるポリペプチドの特徴として、Garnier−Robsonアルファ領域、ベータ領域、ターン領域およびコイル領域(Gamier et al.J.Mol.Biol.,120:97(1978));Chou−Fasmanアルファ領域、ベータ領域およびターン領域(Adv.in Enzymol.,47:45−148(1978));Kyte−Doolittle親水性領域と疎水性領域(J.Mol.Biol.,157:105−132(1982));Eisenbergアルファおよびベータ両親媒性領域;Karplus−Schulz可動性領域;Emini表面形成領域(J.Virol.,55(3):836−839(1985));および高抗原性インデックスのJameson−Wolf領域(CABIOS,4(1):181−186(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。Kyte−Doolittle親水性領域と疎水性領域、Emini表面形成領域、および高抗原性インデックスのJameson−Wolf領域(すなわち、Jameson−Wolfプログラムの規定パラメーターを用いて同定された1.5以上の抗原インデックスを有する4個以上の連続するアミノ酸を有する領域)が、抗原性の高い可能性を示すポリペプチド領域を決定するために日常的に使用することができる。タンパク質に対する抗体の調製の1つのアプローチは、タンパク質のすべてまたは一部のアミノ酸配列の選択と調製、配列の化学合成およびそれを適当な動物、通常、ウサギ、ハムスターまたはマウスに注射することによる。オリゴペプチドは、親水領域に位置する(よって成熟タンパク質ではさらされる可能性の高い)オリゴペプチドに基づく癌関連タンパク質に対する抗体の産生をするための候補として選択することができる。さらなるオリゴペプチドは、例えば、参照によりここに組み入れられる抗原性インデックス(Welling,G.W.et al.,FEBS Lett.188:215−218(1985))を用いて決定することができる。
ここで用いられる「抗体」との用語は、当分野で公知の抗体断片、例えば、全抗体の修飾によるか、または組換えDNA技術を用いて新規に合成されたFab、Fab2、一本鎖抗体(例えば、Fv断片)、キメラ抗体等を含む。
さらに、本発明は、標的タンパク質に特異的なSMIPまたは結合領域免疫グロブリン融合タンパク質である抗体を提供する。これらの構築物は、抗体イフェクター機能を実施するために必要な免疫グロブリンドメインに融合された抗原結合ドメインを含む単鎖ポリペプチドである。例えば、WO03/041600、米国特許公報20030133939および米国特許公報20030118592を参照されたい。
ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。ポリクローナル抗体は、例えば、免疫剤および所望であればアジュバントの1回以上の注射によって哺乳動物に産生させることができる。通常、免疫剤および/またはアジュバントを、複数の皮下または腹腔内注射により哺乳動物に注射する。免疫剤として、図示の核酸によりコードするタンパク質またはその断片またはその融合タンパク質が挙げられるだろう。免疫される哺乳動物に免疫原性のあることが知られているタンパク質に免疫剤を結合させることは有用であろう。そのような免疫原性タンパク質の例は、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンおよび大豆トリプシンインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。使用してよいアジュバントの例として、フロイント完全アジュバントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピッドA、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。免疫化プロトコールは過度の実験なしに当業者により選択されるだろう。
一部の実施態様において、抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、例えば、KohlerおよびMilstein(Nature,256:495(1975))に記載された方法により調製してよい。ハイブリドーマ法において、マウス、ハムスターまたは他の適当なホスト動物を、通常、免疫剤で免疫して免疫剤に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することのできるリンパ球を誘発する。もしくは、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。免疫剤は、通常、癌関連ポリペプチド、またはその断片またはその融合タンパク質を含むだろう。ヒト起源の細胞が望ましい場合、一般的に末梢血リンパ球(「PBL」)が用いられ、非ヒト哺乳類起源が望ましい場合、脾臓細胞またはリンパ節細胞が用いられる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いて、不死化細胞系に融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,(1986) pp.59−103)。不死化細胞系は、通常、形質転換哺乳類細胞、特に、げっ歯類、ウシおよびヒト起源のミエローマ細胞である。通常、ラットまたはマウスのミエローマ細胞系が用いられる。ハイブリドーマ細胞は、未融合の不死化細胞の増殖または生存を阻害する1種類以上の物質を好ましくは含む適当な培養培地で培養してよい。例えば、親細胞がヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマの培養培地は、通常、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を阻害する)(「HAT培地」)を含むだろう。
モノクローナル抗体技術は、研究、診断および治療の実施に用いられる。モノクローナル抗体は、インビトロ診断のためにラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫測定法、免疫細胞病理およびフローサイトメトリーに用いられ、ヒト疾患の診断や免疫治療のためにインビボで用いられる(Waldmann,T.A.(1991) Science 252:1657−1662)。特に、モノクローナル抗体は、正常な組織を避けながら悪性病変を標的とすることが望まれる場合に、癌の診断と治療に広く適用されている。例えば、Frankel等の米国特許第4,753,894号、Ring等の米国特許第4,938,948号およびBjorn等の米国特許第4,956,453号を参照されたい。
抗体は二重特異性抗体であってよい。一部の実施態様において、結合特異性の1つは癌関連ポリペプチドまたはその断片に対するもので、別の1つは他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質またはレセプターかレセプターサブユニットに対するもので、好ましくは癌特異性であるものである。
一部の実施態様において、癌関連ポリペプチドに対する抗体は、以下に説明するように、癌関連ポリペプチドの生物学的機能を低減または消去することができる。すなわち、抗癌関連ポリペプチド抗体(ポリクローナルまたは、好ましくはモノクローナル)を癌関連ポリペプチド(または癌関連ポリペプチドを含む細胞)に添加することは癌関連ポリペプチド活性を低減または消去するだろう。一部の実施態様において、本発明の抗体は、少なくとも25%、少なくとも約50%、または少なくとも約95〜100%の活性低下を引き起こす。
一部の実施態様において、CACNA1Eポリペプチドに対する抗体はヒト化抗体である。「ヒト化」抗体とは、非ヒト種の免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位と、ヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく分子の残りの免疫グロブリン構造とを有する分子をいう。抗原結合部位は、完全可変領域を定常領域に融合させたか、または相補性決定領域(CDR)のみを可変領域内の適当な骨格領域にグラフトさせたものであってよい。抗原結合部位は野生型であっても、1つ以上のアミノ酸置換により修飾(例えば、ヒト免疫グロブリンにさらに近く似るように修飾)してもよい。もしくは、ヒト化抗体は、親の非ヒト抗体の抗原結合性を保持または実質的に保持するが、ヒトに投与された場合に親抗体に比較して減少した免疫原性を示すキメラ抗体から得てもよい。ここで用いる「キメラ抗体」との語句は、通常、異なる種を起源とする二つの異なる抗体に由来する配列を含む抗体をいう(例えば、米国特許第4,816,567を参照)。通常、これらのキメラ抗体において、軽鎖と重鎖の両方の可変領域は哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域に似ている一方で、定常領域は別の種に由来する抗体の配列と類似する。最も普通には、キメラ抗体はヒトとマウスの抗体断片、通常はヒトの定常領域とマウスの可変領域とを含む。ヒト化抗体は、ヒト抗体(アクセプター抗体)の相補性決定領域(CDR)を、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギ等の非ヒト抗体(ドナー抗体)からの相補性決定領域に置き換えることにより作られる。場合によっては、ヒト「アクセプター」抗体のFvフレームワーク残基を「ドナー」抗体の対応する非ヒト残基に置き換える。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入CDRやフレームワーク配列にも見られない残基を含んでもよい。一般的に、ヒト化抗体は実質的に全ての可変領域または少なくとも1つ(通常は2つ)の可変領域を含み、このヒト化抗体において全てまたは実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、かつ全てまたは実質的に全てのフレームワーク領域(FR)領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体は、最適には、さらに免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含み、通常はヒト免疫グロブリンのものを含むだろう(Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol,2:593−596(1992))。そのようなキメラ形の1つの明らかな利点は、例えば、ヒト細胞調製物に由来する定常領域に組み合された非ヒトホスト生物に由来する容易に利用できるハイブリドーマまたはB細胞を用いた現在知られている原料から、可変領域を都合よく得ることができることである。可変領域は調製しやすいという利点を有し、特異性はその原料により影響されることはなく、定常領域(ヒトのものである)は、抗体が注射された際に非ヒト原料の定常領域ほどにヒト対象の免疫応答を引き出す可能性が高くない。しかし、この定義はこの特定の例に限定されるものではない。
ヒト化抗体は、ヒトにおいて、親マウスモノクローナル抗体よりも免疫原性が低いので、アナフィラキシーのかなり低いリスクでヒト治療に使用することができる。よって、これらの抗体は、例えば、腫瘍性疾患治療の放射線増感剤としての使用や、癌治療の副作用を低減する方法での使用等、ヒトへのインビボ投与を伴う治療上の利用に好ましいであろう。非ヒト抗体をヒト化する方法は当分野においてよく知られている。一般的に、ヒト化抗体は非ヒトである原料から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、移入可変領域から通常取られる移入残基と称される。ヒト化は、基本的には、Winterと共同研究者の方法(Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534−1536(1988))に従って、げっ歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに使うことにより実施することができる。したがって、そのようなヒト化抗体は、実質的に少なくもインタクトなヒト可変領域が非ヒト種に由来する対応する配列によって置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際のところ、ヒト化抗体は、通常、一部のCDR残基およびおそらく一部のFR残基がげっ歯類抗体の類似の部位からの残基により置換されているヒト抗体である。
げっ歯類のV領域およびそれらの関連CDRをヒト定常領域に融合させたキメラ抗体(Winter et al.(1991) Nature 349:293−299;Lobuglio et al.(1989) Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224;Shaw et al.(1987) J Immunol.138:4534−4538;およびBrown et al.(1987) Cancer Res.47:3577−3583)、適当なヒト抗体定常領域への融合前にヒト支持FRにグラフト化されたげっ歯類CDR(Riechmann et al.(1988) Nature 332:323−327;Verhoeyen et al.(1988) Science 239:1534−1536;およびJones et al.(1986) Nature 321:522−525)および組換えによりベニヤ化(表面修飾された)げっ歯類のFRにより支持されたげっ歯類のCDR(1992年12月23日公開の欧州特許公告第519,596号)等、非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含む多くの「ヒト化」抗体分子が記載されている。
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー等、当分野で公知の多様な技術を用いて作ることもできる[Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)]。Cole等とBoerner等の技術もヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)およびBoerner et al.,J.Immunol.,147(l):86−95(1991))。ヒト化抗体は、例えば、(1)非ヒト相補性決定領域(CDR)をヒトフレームワークおよび定常領域にグラフトする(当分野で「ヒト化」と称されるプロセス)、もしくは、(2)全体の非ヒト化変領域を移植するが、それら領域を、表面残基の置換によってヒト様表面で覆う(当分野で「ベニヤ化」(“veneering”)と称するプロセス)等の多様な方法により得られるだろう。本発明において、ヒト化抗体は、「ヒト化」抗体と「ベニヤ化」抗体の両方を含む。同様に、ヒト抗体はヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されたマウス)に導入することにより作ることができる。誘発の際に、ヒト抗体産生が観察され、これは、遺伝子再編成、組立および抗体レパートリー等のすべての点においてヒトで見られるものと非常に似ている。この研究方法は、例えば、米国特許第5,545,807号、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,661,016号および以下の科学文献:Marks et al.,Bio/Technology 10,779−783(1992);Lonberg et al.,Nature 368 856−859(1994);Morrison,Nature 368,812−13(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnology 14,845−51(1996);Neuberger,Nature Biotechnology 14,826(1996);Lonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13 65−93(1995);Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci,US.A.,81:6851−6855(1984);Morrison and Oi,Adv.Immunol.,44:65−92(1988);Verhoeyer et al.,Science 239:1534−1536(1988);Padlan,Molec.Immun.28:489−498(1991);Padlan,Molec.Immunol.31(3):169−217(1994);and Kettleborough,CA.et al.,Protein Eng.4(7):773−83(1991)(上記の各参考文献は参照によりここに編入される)に記載されている。本発明の抗体は、参照によりここに編入される米国特許第5,766,886号に開示されたヒトエンジニアリング技法を用いて作ることもできる。
「相補性決定領域」との語句は、共同して、天然の免疫グロブリン結合部位の自然のFv領域の結合親和性と特異性を定めるアミノ酸配列をいう。例えば、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901−917 (1987);Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services NIH Publication No.91−3242(1991)を参照されたい。「定常領域」との語句はイフェクター機能を付与する抗体分子部分をいう。本発明において、マウスの定常領域はヒト定常領域により置換される。対象のヒト化抗体の定常領域はヒト免疫グロブリンに由来する。重鎖定常領域は、5種類のイソタイプ(アルファ、デルタ、エプシロン、ガンマまたはミュー)の何れかから選択することができる。抗体をヒト化する1つの方法は、非ヒト重軽鎖配列をヒト重軽鎖配列に対して配列比較し、その配列比較に基づいて非ヒトフレームワークを選択し、それをヒトフレームワークに置換し、ヒト化配列の高次構造を予想する分子モデリングを行い、それを親抗体の高次構造に比較する工程を包含する。このプロセスに引き続いて、ヒト化配列モデルの予想される高次構造が親非ヒト抗体の非ヒトCDRの高次構造にほぼ近似するまで、CDRの構造を乱すCDR領域の残基の繰返しの逆突然変異を行なう。そのようなヒト化抗体は、さらに誘導体化して、例えば、Ashwellレセプターによる取り込みと排除を促進してよい。例えば、参照することによりここに組み込まれる米国特許第5,530,101号と米国特許第5,585,089号を参照されたい。
癌関連ポリペプチドに対するヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように設計したトランスジェニック動物を用いて作ることもできる。例えば、WO98/24893は、ヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニック動物において、内因性重軽鎖遺伝子座の不活性化のために機能的な内因性免疫グロブリンを産生しないトランスジェニック動物を開示する。さらに、WO91/10741は、免疫原に対する免疫応答を開始することのできるトランスジェニック非霊長類哺乳類ホストにおいて、抗体が霊長類の定常および/または可変領域を有し、内因性免疫グロブリンをコードする遺伝子座が置換または不活性化されているトランスジェニック非霊長類哺乳類ホストを開示する。WO96/30498は、修飾抗体分子を形成するように定常または可変領域の全てまたは一部を置き換える等、哺乳動物の免疫グロブリン遺伝子座を修飾するCre/Loxシステムの使用を開示する。WO94/02602は、不活性化された内在性Ig遺伝子座および機能的なヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳類ホストを開示する。米国特許第5,939,598号は、内在性重鎖を欠き、1つ以上の異種定常領域を含む外因性免疫グロブリン遺伝子座を発現するトランスジェニックマウスを作る方法を開示する。
上記のトランスジェニック動物を用いて、選択された抗原分子に対して免疫応答を作ることができ、抗体産生細胞を動物から取り出し、これを用いてヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作ることができる。免疫方法、アジュバント等は当分野で知られており、例えば、WO96/33735に記載されたトランスジェニック動物の免疫化に用いる。モノクローナル抗体は、対応するタンパク質の生物活性または生理学的効果の阻害能または中和能について調べることができる。
一部の実施態様において、上記のCACNA1Eポリペプチドおよびそれらの変異体は、上記のようにトランスジェニック動物を免疫化するために用いてよい。モノクローナル抗体は当分野において公知の方法を用いて作り、抗体の選択性は単離された癌関連ポリペプチドを用いて調べる。ヒトまたは霊長類の癌関連ポリペプチドまたはそのエピトープの調製方法として、化学合成、組換えDNA技術または生物試料からの単離が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチドの化学合成は、例えば、固相ペプチド合成の古典的なMerrifeld法(Merrifeld,J.Am.Chem.Soc.85:2149,1963(参照によりここに組み入れる))または迅速自動化複数ペプチド合成システムに関するFMOC計画(E.I.du Pont de Nemours Company,Wilmington,DE)(Caprino and Han,J.Org.Chem.37:3404,1972(参照によりここに組み入れる))により実施することができる。
ポリクローナル抗体は、抗原を注射し、その後に適当な間隔で追加免疫することによるウサギまたは他の動物の免疫化により調製することができる。別の動物としては、マウス、ラット、ニワトリ、モルモット、ヒツジ、ウマ、サル、ラクダおよびサメが挙げられる。動物から血液を採取し、精製された癌関連タンパク質に対して、通常、ELISAによるか、または癌関連タンパク質の作用をブロックする能力に基づくバイオアッセイによって血清を調べる。トリ種、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ等を使用する場合、抗体は卵黄から単離することができる。モノクローナル抗体は、免疫されたマウスの脾細胞を、ミエローマまたはリンパ腫細胞等の連続的に複製する腫瘍細胞に融合させることによるMilsteinとKohlerの方法の後に調製することができる(Milstein and Kohler,Nature 256:495−497,1975;Gulfre and Milstein,Methods in Enzymology:Immunochemical Techniques 73:1−46,Langone and Banatis eds.,Academic Press,1981(これら参考文献は参照によりここに組み入れる))。このように形成されたハイブリドーマ細胞は次に限界希釈法によりクローニングし、抗体産生についてELISA、RIAまたはバイオアッセイにより上清を分析する。
標的タンパク質を認識し、それに特異的に結合する抗体の独自の能力は該タンパク質の過剰発現を扱う研究方法を提供する。よって、一部の実施態様において、本発明は、癌関連タンパク質に対する特異抗体により患者を処置することにより、癌関連ペプチドの過剰発現を伴う病気を予防または治療する方法を提供する。
癌関連タンパク質に対する特異抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであろうと、上記のように当分野で公知の適当な方法により作ることができる。例えば、マウスまたはヒトのモノクローナル抗体はハイブリドーマ技術により作ることができ、もしくは癌関連タンパク質またはその免疫学的に活性のある断片、または抗イディオタイプ抗体またはその断片を動物に投与して癌関連タンパク質を認識し、結合することのできる抗体の産生を引き出すことができる。そのような抗体は、IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgE、またはトリ種の場合、IgY等の、しかし、これらに限定されない任意のクラスの抗体および任意のサブクラスの抗体から得られる。
一部の実施態様において、本発明の抗体は中和抗体である。一部の実施態様において、抗体は標的化抗体である。一部の実施態様において、抗体は標的に結合すると内部移行する。一部の実施態様において、抗体は、結合の際に内部移行することはなく、その代わりに表面にとどまる。
本発明の抗体は、問題の腫瘍細胞抗原に結合すると迅速に内部移行する能力、または結合後に細胞表面にとどまる能力に関してスクリーニングすることができる。一部の実施態様において、例えば、一部の種類の免疫複合体の構築において、内部移行する抗体の能力は、内部移行が毒素部分を放出するために必要である場合に望ましいであろう。もしくは、抗体がADCCまたはCDCを促進するために用いられている場合、抗体は細胞表面にとどまることがさらに望ましいだろう。スクリーニング方法を用いて、これらのタイプの挙動を区別することができる。例えば、腫瘍細胞抗原を保有する細胞は、約1μg/mLの濃度のヒトIgG1(コントロール抗体)または本発明の抗体の1つとともに、細胞を氷上で(内部移行をブロックするために0.1%アジ化ナトリウムを含む)または37℃で(アジ化ナトリウムなし)で3時間インキュベートする場合に用いてよい。次に、細胞を冷染色緩衝液(PBS+1%BSA+0.1%アジ化ナトリウム)で洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG−FITCにより30分間氷上で染色する。幾何平均蛍光強度(MFI)をFACS Caliburにより記録する。アジ化ナトリウムの存在下、氷上の本発明の抗体とともにインキュベートした細胞と、アジ化ナトリウムの非存在下、37℃で観察された細胞とでMFIの違いが観察されない場合、抗体は内部移行したというよりも細胞表面に結合したままの抗体であると考えられるだろう。しかし、細胞がアジ化ナトリウムの非存在下、37℃でインキュベートするときに表面染色性抗体の減少が見られる場合、抗体は内部移行できるものと考えられるだろう。
抗体複合体
一部の実施態様において、本発明の抗体を複合化する。一部の実施態様において、複合化抗体は癌治療、癌診断または癌性細胞の画像化に有用である。
一部の実施態様において、本発明の抗体を複合化する。一部の実施態様において、複合化抗体は癌治療、癌診断または癌性細胞の画像化に有用である。
診断利用のために、通常、抗体は検出可能な成分で標識される。一般的に下記のカテゴリーに分類できる多数の標識が利用可能である。
(a)以下に記載する放射性核種。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology,Volumes 1 and 2,Coligen et al.,Ed.Wiley−Interscience,New York,N.Y.,Pubs.(1991)に記載の技術を用いて、放射性同位元素で標識することができ、放射能はシンチレーション計数を用いて測定することができる。
(b)希土類キレート(ユーロピウムキレート)またはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、Lissamine、フィコエリトリンおよびテキサスレッド等の蛍光標識が利用可能である。蛍光標識は、例えば、上記のCurrent Protocols in Immunologyに開示された技術を用いて抗体に結合させることができる。蛍光は蛍光光度計を用いて定量できる。
(c)多様な酵素−基質標識が利用可能であり、米国特許4,275,149号はこれらの一部の概説を提供する。一般的に、酵素は、多様な技術を用いて測定できる発色性基質の化学変換を触媒する。例えば、酵素は、分光光度法で測定できる基質の色の変化を触媒するだろう。もしくは、酵素は基質の蛍光または化学発光を変えるだろう。蛍光の変化を定量する技術は上記の通りである。化学発光基質は化学反応により電子的に励起され、次に、(例えば化学発光計を用いて)測定可能な光を生じるか、またはエネルギーを蛍光アクセプターに供与する。酵素標識の例として、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸脱水素酵素、ウレアーゼ、西洋ワサビペルキシダーゼ(HRPO)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、ヘテロサイクリックオキシダーゼ(例えば、ウリカーゼやキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等が挙げられる。酵素を抗体に結合させる技術は、O’Sullivan et al.,Methods for the Preparation of Enzyme− Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay,in Methods in Enzym.(ed J.Langone & H.Van Vunakis),Academic press,New York,73:147−166(1981)に記載されている。
(a)以下に記載する放射性核種。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology,Volumes 1 and 2,Coligen et al.,Ed.Wiley−Interscience,New York,N.Y.,Pubs.(1991)に記載の技術を用いて、放射性同位元素で標識することができ、放射能はシンチレーション計数を用いて測定することができる。
(b)希土類キレート(ユーロピウムキレート)またはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、Lissamine、フィコエリトリンおよびテキサスレッド等の蛍光標識が利用可能である。蛍光標識は、例えば、上記のCurrent Protocols in Immunologyに開示された技術を用いて抗体に結合させることができる。蛍光は蛍光光度計を用いて定量できる。
(c)多様な酵素−基質標識が利用可能であり、米国特許4,275,149号はこれらの一部の概説を提供する。一般的に、酵素は、多様な技術を用いて測定できる発色性基質の化学変換を触媒する。例えば、酵素は、分光光度法で測定できる基質の色の変化を触媒するだろう。もしくは、酵素は基質の蛍光または化学発光を変えるだろう。蛍光の変化を定量する技術は上記の通りである。化学発光基質は化学反応により電子的に励起され、次に、(例えば化学発光計を用いて)測定可能な光を生じるか、またはエネルギーを蛍光アクセプターに供与する。酵素標識の例として、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸脱水素酵素、ウレアーゼ、西洋ワサビペルキシダーゼ(HRPO)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、ヘテロサイクリックオキシダーゼ(例えば、ウリカーゼやキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等が挙げられる。酵素を抗体に結合させる技術は、O’Sullivan et al.,Methods for the Preparation of Enzyme− Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay,in Methods in Enzym.(ed J.Langone & H.Van Vunakis),Academic press,New York,73:147−166(1981)に記載されている。
抗体はインビボ診断アッセイに用いてもよい。一部の実施態様において、イムノシンチオグラフィーを用いて腫瘍が局在化できるように抗体は放射性核種で標識される。便宜上、本発明の抗体をキット内に、すなわち、一定量の試薬と診断アッセイを実施するための説明書とをパッケージ化した組合せに提供することができる。抗体が酵素で標識されている場合、キットは酵素が必要とする基質と補助因子(例えば、検出可能なクロモフォアまたはフルオロフォアを提供する基質前駆体)を含んでよい。さらに、安定剤、緩衝剤(例えば、ブロック用緩衝剤または溶解用緩衝剤)等の他の添加剤を含んでよい。多様な試薬の相対的な量は、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液濃度を提供するように広く変えてもよい。特に、試薬は、通常凍結乾燥されて、溶解の際に適当な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む乾燥粉末として提供してよい。
一部の実施態様において、抗体は1種類以上のメイタンシン分子に結合させる(例えば、1抗体分子あたり約1〜約10メイタンシン分子)。メイタンシンは、例えば、May−SS−Meに変換してよく、これはMay−SH3に還元され、修飾抗体と反応して(Chari et al.Cancer Research 52:127−131(1992))、メイタンシノイド−抗体免疫複合体を生じるだろう。一部の実施態様において、複合体は、約10〜11MのIC50を有する(総説について、Payne(2003) Cancer Cell 3:207−212)を参照)を有する極めて強力なメイタンシン誘導体DM1(N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−l−オキソプロピル)−メイタンシン)(例えば、2002年12月12日公開のWO02/098883を参照)またはDM4(N2’−デアセチル−N2’(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン)(例えば、2004年12月2日公開のWO2004/103272を参照)であってよい。
一部の実施態様において、抗体複合体は、抗腫瘍細胞抗原抗体を1つ以上のカリケアマイシン分子に結合させてなる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは二本鎖DNA切断をピコモル以下の濃度で作ることができる。使用してよいカリケアマイシンの構造的類似体として、ガンマ1I、アルファ2I、アルファ3I、N−アセチル−ガンマ1I、PSAGおよびシータI1等(Hinman et al.Cancer Research 53:3336−3342(1993)およびLode et al.Cancer Research 58:2925−2928(1998))が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、例えば、参照によりここに組み入れられる米国特許第5,714,586号、米国特許第5,712,374号、米国特許第5,264,586号および米国特許第5,773,001号を参照されたい。
一部の実施態様において、抗体は、多くの癌において過剰産生された酵素によりその活性形で放出可能なプロドラッグに結合させる。例えば、活性成分が複合体からプラスミンにより遊離されるプロドラッグ形のドキソルビシンとの抗体複合体を作ることができる。プラスミンは多くの癌性組織で過剰に産生することが知られている(Decy et al,(2004) FASEB Journal 18(3):565−567を参照)。
一部の実施態様において、抗体は酵素活性のある毒素およびその断片に結合させる。一部の実施態様において、毒素として、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、シュードモナスエンドトキシン、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、リボヌクレアーゼ(Rnase)、デオキシリボヌクレアーゼ(Dnase)、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ニガウリインヒビター、クルシン、クロチン、シャボンソウインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、ネオマイシン、およびトリコテセン類が挙げられるが、これらに限定されない。1993年10月28日公開のWO93/21232を参照されたい。一部の実施態様において、毒素は、低い内因性免疫原性と、癌性細胞が毒素に対して耐性となる機会を低減する作用機構(例えば、細胞分裂停止機構に対する細胞毒性機構)とを有する。
一部の実施態様において、本発明の抗体と免疫調節物質との複合体が作られる。例えば、一部の実施態様において、免疫活性化オリゴヌクレオチドを用いることができる。これらの分子は、抗原特異的抗体応答を引き出すことのできる強力な免疫原である(Datta et al,(2003) Ann N.Y.Acad.Sci 1002:105−111を参照)。さらなる免疫調節化合物として、「S1因子」等の幹細胞成長因子、腫瘍壊死因子(TNF)等のリンホトキシン、インターロイキン等の造血因子、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ刺激因子(GM−CSF)等のコロニー刺激因子(CSF)、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマ、エリスロポエチンおよびトロンボポエチン等のインターフェロン(IFN)が挙げられる。
一部の実施態様において、放射性複合抗体が提供される。一部の実施態様において、そのような抗体は、P−32、P−33、Sc−47、Fe−59、Cu−64、Cu−67、Se−75、As−77、Sr−89、Y−90、Mo−99、Rh−105、Pd−109、Ag−Il1、I−125、I−131、Pr−142、Pr−143、Pm−149、Sm−153、Th−161、Ho−166、Er−169、Lu−177、Re−186、Re−188、Re−189、Ir−194、Au−198、Au−199、Pb−211、Pb−212およびBi−213、Co−58、Ga−67、Br−80m、Tc−99m、Rh−103m、Pt−109、In−ill、Sb−119,1−125、Ho−161、Os−189m、Ir−192、Dy−152、At−211、Bi−212、Ra−223、Rn−219、Po−215、Bi−211、Ac−225、Fr−221、At−217、Bi−213、Fm−255およびそれらの組合せと二次的組合せを用いて作られる。一部の実施態様において、ホウ素原子、ガドリニウム原子またはウラン原子を抗体に結合させる。一部の実施態様において、ホウ素原子はB−10であり、ガドリニウム原子はGd−157であり、ウラン原子はU−235である。
一部の実施態様において、放射性核種複合体は、20〜10,000keVのエネルギーを有する放射性核種を有する。放射性核種は、1000keV未満のエネルギーを有するオージェエミッター、20〜5000keVのエネルギーを有するPエミッター、または2000〜10,000keVのエネルギーを有するアルファまたは“a”エミッターであってよい。
一部の実施態様において、ガンマ、ベータまたはポジトロン放出性同位元素である放射性核種を含む診断用放射性複合体が提供される。一部の実施態様において、放射性核種は、20〜10,000keVのエネルギーを有する。一部の実施態様において、放射性核種は、18F、51Mn、52mMn、52Fe、55Co、62Cu、64Cu、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、86y、89Zr、94mTc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67CU、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、114mIn、1231、125I、13Liおよび197Hgからなる群から選択される。
一部の実施態様において、本発明の抗体は、光活性物質または造影剤である診断用薬に結合させる。光活性化合物は色素原または色素等の化合物を含むことができる。造影剤は、例えば、常磁性イオンであってよく、該イオンは、クロム(III)、マグネシウム(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)およびエルビウム(III)からなる群から選択される金属を含む。さらに、造影剤は、X線技術またはコンピュータ断層撮影に使用される放射線を通さない化合物、例えば、ヨウ素化合物、イリジウム化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物およびタリウム化合物であってよい。放射線を通さない化合物は、バリウム、ジアトリゾエート、エチオダイズ化オイル、クエン酸ガリウム、イオカーミン酸、イオセタミン酸、イオダミド、イオジパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファミン酸、イオセリン酸、イオスラミドメグルミン、イオセメチン酸、イオタスル、イオテトリン酸、イオタラム酸、イオトロキシン酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドンおよび塩化第一タリウムから選択できる。一部実施態様において、診断用免疫複合体は、本発明の抗体に結合させた気体充填リポソーム等の超音波増強剤を含んでよい。腫瘍または癌診断や検出の手術中の内視鏡的または血管内方法等の、しかし、これらに限定されない多様な方法のために用いてよい。
一部の実施態様において、抗体複合体は、多様な二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン2,6−ジイソシアネート)およびビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を用いて作られる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.Science 238:1098(1987)に記載されているように調製することができる。炭素14で標識された1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種を抗体に結合させる例示的キレート剤である。WO94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞中で細胞毒性薬の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってよい。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼに感受性のあるリンカー、ジメチルリンカーまたはジスルヒドを含むリンカー(Chari et al.Cancer Research 52:127−131(1992))を用いてよい。さらに、薬剤を本発明の抗体に炭水化物部分を介して結合させてよい。
一部の実施態様において、本発明の抗体と細胞毒性薬とを含む融合タンパク質を、例えば、組換え技術やペプチド合成により作ってよい。一部の実施態様において、抗腫瘍抗原抗体を細胞毒性薬に結合させた免疫複合体が患者に投与される。一部の実施態様において、免疫複合体および/またはそれが結合した腫瘍細胞抗原タンパク質は細胞で内部移行して、それが結合する癌細胞を死滅させる免疫複合体の高められた治療有効性をもたらす。一部の実施態様において、細胞毒性薬は癌細胞の核酸を標的とするか、またはそれに干渉する。そのような細胞毒性薬の例として、メイタンシノイド、カリケアマイシン、リボヌクレアーゼおよびDNAエンドヌクレアーゼが挙げられる。
一部の実施態様において、抗体は、腫瘍プレターゲティングに利用するために「レセプター」(例えば、ストレプトアビジン)に結合させる;このプレターゲティングにおいて、抗体−レセプター複合体を患者に投与し、続いて未結合の複合体を、除去剤を用いて血液の循環から除去し、次に細胞毒性薬(例えば、放射性核種)に結合させた「リガンド」(例えば、アビジン)を投与する。
一部の実施態様において、抗体は、標的細胞リソソーム内で放出される細胞毒性分子に結合させる。例えば、医薬モノメチルアウリスタチンE(MMAE)をバリン−シトルリン結合により結合することができ、該結合は、抗体複合体が内部移行した後にタンパク質分解リソソーム酵素カテプシンBにより切断される(例えば、2003年4月3日公開のWO03/026577を参照)。一部の実施態様において、MMAEは、ヒドラゾン官能基を切断部分として含む、酸に不安定なリンカーを用いて抗体に結合させることができる(例えば、2002年11月11公開のWO02/088172を参照)。
抗体依存酵素仲介プロドラッグ療法(ADEPT)
一部の実施態様において、本発明の抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤;WO81/01145を参照)を活性のある抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に抗体を結合させることによってADEPTに用いてもよい。例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278を参照されたい。
一部の実施態様において、本発明の抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤;WO81/01145を参照)を活性のある抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に抗体を結合させることによってADEPTに用いてもよい。例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278を参照されたい。
一部の実施態様において、ADEPTに有用な免疫複合体の酵素成分として、プロドラッグをさらに活性のある細胞毒性形に変換するようにプロドラッグに作用することのできる酵素が挙げられる。
ADEPTに有用な酵素として、ホスフェートを含有するプロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;サルフェートを含有するプロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;無毒性の5−フルオロシトシンを抗癌剤の5−フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチドを含有するプロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用なセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えば、カテプシンBやカテプシンL)等のプロテアーゼ;D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグ変換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用なベータ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ等の炭水化物分解酵素;ベータラクタムにより誘導体化された医薬を遊離型薬物に変換するのに有用なベータ−ラクタマーゼ;およびアミン窒素の部分でフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基により誘導体化された医薬をそれぞれ遊離型薬物に変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼ等のペニシリンアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様において、酵素活性のある抗体は、当分野で「抗体酵素」としても知られており、本発明のプロドラッグを遊離型医薬に変換するために用いることができる(例えば、Massey,Nature 328:457−458(1987)を参照)。抗体−抗体酵素複合体は抗体酵素を腫瘍細胞集団に送達するためにここで記載されるように調製することができる。
一部の実施態様において、ADEPT酵素は、上記のヘテロ二官能性架橋試薬の使用等、当分野でよく知られた技術により抗体に共有結合させることができる。一部の実施態様において、本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を酵素の少なくとも機能的活性のある部分に結合させた本発明の融合タンパク質は当分野においてよく知られた組換えDNA技術を用いて構築することができる(例えば、Neuberger et al.,Nature,312:604−608(1984)を参照)。
一部の実施態様において、細胞毒性様式よりも細胞分裂停止様式で作用する抗体の同定は、処置された標的細胞培養物の生存率を非処置コントロール培養物に比較して測定することにより達成することができる。生存率は、CellTiter−Blue(登録商標)細胞生存率測定法またはCellTiter−Glo(登録商標)発光細胞生存率測定法(Promega;それぞれカタログ番号G8080およびG5750)等の当分野で知られた方法を用いて検出することができる。一部の実施態様において、処置が、コントロール培養物と比較して、上記の手段により測定された細胞死の証拠なしに細胞数の減少を引き起こす場合、抗体は潜在的に細胞分裂停止性があるとみなされる。
一部の実施態様において、インビトロスクリーニングアッセイを実施して、当分野で公知のアッセイを用いてADCCを促進する抗体を同定することができる。一つの例示的なアッセイはインビトロADCCアッセイである。クロム51で標識された標的細胞を調製するために、腫瘍細胞系を組織培養プレートで生育させ、PBS中の無菌10mM EDTAを用いて回収する。脱離した細胞を細胞培養培地で2回洗浄する。細胞(5×106)を、ときどき攪拌しながら、200μCiのクロム51(New England Nuclear/DuPont)により37℃、1時間標識する。標識された細胞を3回細胞培養培地で洗浄し、次に1×105細胞/mLの濃度まで再懸濁する。細胞をオプソニン化なしに用いるか、またはアッセイ前にPBMCアッセイで100ng/mLおよび1.25ng/mLまたはNKアッセイでの20ng/mLおよび1ng/mLの試験抗体とともにインキュベーションすることによりオプソニン化する。末梢血液単核細胞を、正常な健常人ドナーからヘパリンにより血液を集め、等量のリン酸緩衝食塩水(PBS)で希釈する。次に、血液をLYMPHOCYTE SEPARATION MEDIUM(登録商標)(LSM:Organon Teknika)上に層状に乗せ、製造者の指示通りに遠心する。単核細胞をLSM血漿界面から集め、PBSで3回洗浄する。エフェクター細胞を細胞培養培地に最終濃度1×107細胞/mLまで懸濁する。LSMによる精製後、ナチュラルキラー(NK)細胞をPBMCから、NK細胞単離キットとマグネチックカラム(Miltenyi Biotech)を製造者の指示通りに用いる負の選択により単離する。単離されたNK細胞を集め、洗浄し、細胞培養培地に2×106細胞/mLの濃度まで再懸濁する。NK細胞の同一性をフローサイトメトリー分析により確認する。多様なイフェクター:標的比を、マイクロタイタープレートの列に沿ってイフェクター(PBMCまたはNK)細胞を細胞培養培地中で連続的に2倍希釈(100μLの最終体積)することにより準備する。エフェクター細胞の濃度は、PBMCに関しては1.0×107/mL〜2.0×104/mLの範囲であり、NKに関しては2.0×106/mL〜3.9×103/mLの範囲にある。エフェクター細胞の滴定後、100μlのクロム51で標識された1×105細胞/mLの標的細胞(オプソニン化または非オプソニン化)をプレートの各ウエルに加える。これは、PBMCに関しては100:1およびNK細胞に関しては20:1のエフェクター:標的比をもたらす。すべてのアッセイは二つ組で実施し、各プレートは自発性の溶解(イフェクター細胞なし)と全溶解(標的細胞+100μLの1%ドデシル硫酸ナトリウム、1N水酸化ナトリウム)との両方のコントロールを含む。プレートを37℃で18時間インキュベートした後、細胞培養上清を上清採取システム(Skatron Instrument社)を用いて採取し、Minaxiオート−ガンマ5000シリーズガンマカウンター(Packard)にて1分間カウントする。次に、次式:細胞毒性(%)=(試料cpm−自発性溶解)(全溶解−自発性溶解)×100を用いて、結果を細胞毒性のパーセントとして表す。
CDCを促進する抗体を同定するために、当業者は当分野で公知のアッセイを実施してよい。1つの例示的アッセイはインビトロCDCアッセイである。CDC活性は、腫瘍細胞抗原を発現する細胞をヒト(または代替原料)の補体含有血清とともに、異なる濃度の試験抗体の非存在または存在下でインキュベートすることによりインビトロで測定することができる。次に、細胞毒性は、ALAMAR BLUE(登録商標)(Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202 163−171(1997))を用いて生細胞を定量することにより測定する。コントロールアッセイは、抗体なし、および抗体ありで実施するが、ただし、熱不活化した血清を用いるか、および/または問題の腫瘍細胞抗原を発現しない細胞を用いて実施する。もしくは、赤血球を、腫瘍抗原または腫瘍抗原に由来するペプチドで被覆することができ、次にCDCを、赤血球溶解を観察することにより検定してよい(例えば、Karjalainen and Mantyjarvi,Acta Pathol Microbiol Scand [C].1981 Oct;89(5):315−9を参照)。
細胞死を誘導する抗体を選択するために、例えば、PI、トリパンブルーまたは7AAD取り込みにより示される膜完全性の損失をコントロールに対して評価してよい。1つの例示的なアッセイは、腫瘍抗原を発現する細胞を用いるPI取り込みアッセイである。このアッセイにしたがうと、腫瘍細胞抗原を発現する細胞を、10%熱失活FBS(Hyclone)および2mMのL−グルタミンを補ったダルベッコ変法イーグル培地(D−MEM):Ham’s F−12(50:50)にて培養する。(よって、アッセイは補体および免疫イフェクター細胞の非存在下で実施する)。腫瘍細胞を100×20mmのディッシュで1ディッシュあたり3×106の密度で播き、一晩付着させる。次に、培地を除去し、新しい培地のみと交換するか、または10μg/mLの適当なモノクローナル抗体を含む培地と交換する。細胞を3日間インキュベートする。各処理後、単層をPBSで洗浄し、トリプシン化により脱離する。次に、細胞を1200rpmで5分間、4℃で遠心し、そのペレットを3mLの氷冷Ca2+結合緩衝液(10 mM Hepes,pH 7.4,140 mM NaCl,2.5 mM CaCl2)に再懸濁し、細胞集塊を除去するために35mmのストレーナーの付いた12×75チューブ(1チューブあたり1mL、1処理グループあたり3チューブ)に分注する。次に、チューブにPI(10μg/mL)を入れる。試料はFACSCAN(登録商標)フローサイトメーターとFACSCONVERT(登録商標)CellQuestソフトウエア(Becton Dickinson)を用いて分析してよい。PI取込みにより決定された細胞死の統計的に有意なレベルを誘導する抗体を細胞死誘導抗体として選択してよい。
抗体は、18FアネキシンをPET造影剤として用いるアポトーシス活性についてインビボでスクリーニングすることもできる。この操作において、アネキシンVは18Fで放射標識し、調べられる抗体を投与した後の試験動物に与える。最も早い事象の1つが、ホスファチジルセリンの細胞膜の内側から細胞の外側への外転のアポトーシスプロセスで起こり、この際に該抗体はアネキシンに到達することができる。次に、動物をPET画像化に供する(Yagle et al,J Nucl Med.2005 Apr;46(4):658−66を参照)。動物を屠殺し、個々の器官または腫瘍を取り出し、標準的な方法を用いてアポトーシスマーカーについて分析することができる。
一部の実施態様において、癌は遺伝子発現産物の過剰発現により特徴付けられる一方で、本出願は、腫瘍抗原を過剰発現する癌であるとみなされない癌を治療する方法をさらに提供する。癌において腫瘍抗原の発現を測定するために、多様な診断/予後アッセイが利用可能である。一部の実施態様において、遺伝子発現産物の過剰発現をIHCにより分析することができる。腫瘍生検からのパラフィン包埋組織切片をIHCアッセイに供し、腫瘍抗原タンパク質の染色度を下記のように評価した:
スコア0:染色は観察されないか、または膜の染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+:微弱/僅かに認知される膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて検出される。細胞はそれらの膜の一部でのみ染色される。
スコア2+:弱〜中程度の完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
スコア3+:中程度〜強い完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
スコア0:染色は観察されないか、または膜の染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+:微弱/僅かに認知される膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて検出される。細胞はそれらの膜の一部でのみ染色される。
スコア2+:弱〜中程度の完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
スコア3+:中程度〜強い完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
腫瘍抗原の過剰発現の評価に関して0または1+を有する腫瘍は腫瘍抗原を過剰発現しないものとして特徴付けてよい一方で、2+または3+スコアを有する腫瘍は腫瘍抗原を過剰発現するものとして特徴付けてよい。
もしくは、またはさらに、INFORM(登録商標)(販売者:Ventana,Ariz.)またはPATHVISION(登録商標)(Vysis,Ill.)等のFISHアッセイは、ホルマリン固定のパラフィン包埋腫瘍組織に対して実施して、腫瘍中の腫瘍抗原の過剰発現の程度(もしあれば)を決定してよい。
さらに、抗体を、例えばそれらの循環半減期を延ばすためにポリマーに共有結合させることで化学修飾することができる。各抗体分子は1つ以上(すなわち、1、2、3、4、5またはそれ以上)のポリマー分子に結合させてよい。ポリマー分子は抗体に対して好ましくはリンカー分子によって結合させる。ポリマーは一般的に合成または天然のポリマー、例えば、任意に置換された直鎖または分鎖のポリアルケン、ポリアルケニレンまたはポリオキシアルキレンポリマーであるか、または分鎖または未分岐の多糖、例えば、ホモまたはヘテロ多糖であってよい。一部の実施態様において、ポリマーはポリオキシエチレンポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは室温で水溶性であり、一般式:R(O−−CH2−−CH2)nO−−R(式中、Rは水素であるか、またはアルキルまたはアルカノール基等の保護基であってよい)を有する。一部の実施態様において、保護基は1〜8個の炭素原子を有する。一部の実施態様において、保護基はメチルである。記号のnは、1〜1,000または2および500の正の整数である。一部の実施態様において、PEGは1000〜4,000、2000〜20,000または3,000〜12,000の平均分子量を有する。一部の実施態様において、PEGは少なくとも1つのヒドロキシ基を有する。一部の実施態様において、ヒドロキシは末端ヒドロキシ基である。一部の実施態様において、阻害剤上の遊離アミノ基と反応するために活性化されるのはこのヒドロキシ基である。しかし、反応基の種類と量は、本発明の共有結合PEG/抗体を得るために変更してよい。ポリマーおよびそれらをペプチドに結合させる方法は、米国特許第4,766,106号、米国特許第4,179,337号、米国特許第4,495,285号および米国特許第4,609,546号(参照によりそれら全文がここに編入される)に示されている。
標識化と検出
一部の実施態様において、本発明の癌関連核酸、タンパク質および抗体は標識される。上記の複合体の例の多くは非抗体にも関連があることに注意されたい。そのような例が関連する程度まで、それらはここに編入される。
一部の実施態様において、本発明の癌関連核酸、タンパク質および抗体は標識される。上記の複合体の例の多くは非抗体にも関連があることに注意されたい。そのような例が関連する程度まで、それらはここに編入される。
ここで「標識化」とは、ある化合物が、その化合物の検出を可能とするために少なくとも1つのエレメント、同位元素または化学化合物を結合させていることを意味する。一般的に、標識は、次の3種類:a)放射性同位元素または重同位体であってよい同位体標識;b)抗体または抗原であってよい免疫標識;およびc)有色色素または蛍光色素に分類される。標識は、癌関連核酸、タンパク質および抗体に任意の位置で取り込まれるだろう。例えば、標識は検出可能なシグナルを直接的または間接的に作ることができるにちがいない。検出可能な部分は、3H、14C、32P、35Sまたは125I等の放射性同位元素、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミンまたはルシフェリン等の蛍光または化学発光化合物、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素であってよい。当分野で抗体を標識に結合させるために知られている方法、例えば、Hunter et al.,Nature,144:945(1962);David et al.,Biochemistry,13:1014(1974);Pain et al.,J.Immunol.Meth.,40:219(1981);およびNygren,J.Histochem.and Cytochem.,30:407(1982)に記載の方法を用いてよい。
興味のある発現産物の検出は当業者に公知の検出方法を用いて達成することができる。「発現を検出する」または「の標識を検出する」とは、生物試料中の生物マーカータンパク質または遺伝子の量または存在を決定することを意味する。よって、「発現を検出する」とは、生物マーカーが発現していない、検出可能に発現していない、低いレベルで発現している、正常のレベルで発現している、または過剰発現していると決定される場合を含む。一部の実施態様において、抗腫瘍細胞抗原治療剤の効果を判定するために、腫瘍細胞抗原を発現する腫瘍細胞を含む試験生物試料を抗腫瘍細胞抗原治療剤に、治療剤が細胞応答を発揮するために十分な時間接触させ、次に、当該生物試料中の興味のある1つ以上の生物マーカーの発現レベルを、抗腫瘍細胞抗原治療剤がない場合のコントロール生物試料の発現レベルと比較する。一部の実施態様において、腫瘍細胞のコントロール生物試料を中立の物質または負の対照と接触させる。例えば、一部の実施態様において、腫瘍細胞抗原に結合しない非特異的な免疫グロブリン(例えばIgG1)が負の対照として役立つ。発現産物の経時的変化のモニタリングを可能とする時間経過にわたって検出が起こりうる。興味のある所与の生物マーカーの「用量反応」曲線を作る異なる濃度の抗腫瘍細胞抗原治療剤への曝露によっても検出は起こりうる。
癌表現型の検出
癌関連タンパク質および核酸は、いったん発現され、必要であれば精製されると、多くの利用に有用である。一部の実施態様において、遺伝子の発現レベルを癌表現型の異なる細胞状態に関して測定する;すなわち、正常な組織と癌組織における(さらに、場合によっては、下記のように予後に関連するリンパ腫の多様な重症度に関する)遺伝子の発現レベルを評価して、発現プロフィールを提供する。特定の細胞状態または発達点の発現プロフィールは基本的にその状態の「指紋」である;2つの状態は同じように発現した特定の遺伝子を有するかもしれないが、多数の遺伝子の評価は細胞の状態に独特な遺伝子発現プロフィールの創出を同時に可能とする。異なる状態の細胞の発現プロフィールを比較することにより、どの遺伝子がこれらの状態のそれぞれにおいて重要であるかに関する情報(遺伝子の上方および下方調節等)が得られる。次に、特定の患者の組織が正常組織または癌組織の遺伝子発現プロフィールを有するのかについての診断を実施または確認してよい。
癌関連タンパク質および核酸は、いったん発現され、必要であれば精製されると、多くの利用に有用である。一部の実施態様において、遺伝子の発現レベルを癌表現型の異なる細胞状態に関して測定する;すなわち、正常な組織と癌組織における(さらに、場合によっては、下記のように予後に関連するリンパ腫の多様な重症度に関する)遺伝子の発現レベルを評価して、発現プロフィールを提供する。特定の細胞状態または発達点の発現プロフィールは基本的にその状態の「指紋」である;2つの状態は同じように発現した特定の遺伝子を有するかもしれないが、多数の遺伝子の評価は細胞の状態に独特な遺伝子発現プロフィールの創出を同時に可能とする。異なる状態の細胞の発現プロフィールを比較することにより、どの遺伝子がこれらの状態のそれぞれにおいて重要であるかに関する情報(遺伝子の上方および下方調節等)が得られる。次に、特定の患者の組織が正常組織または癌組織の遺伝子発現プロフィールを有するのかについての診断を実施または確認してよい。
「差次的発現」またはここで用いられる等価物は、細胞内および細胞間の遺伝子の一時的および/または細胞発現パターンの定性的な違いと定量的違いの両方をいう。例えば、差次的に発現した遺伝子は、例えば正常な組織と癌組織では、活性化や不活性化等、その発現を定性的に変えさせることができる。すなわち、遺伝子は特定の状態では、別の状態に比べて、オンにされるか、オフにされるだろう。当業者には明らかなように、2つ以上の状態のいかなる比較を行なってもよい。そのような定性的に調節される遺伝子は、標準的な技術により1つのそのような状態または細胞型で検出可能であるが、両方では検出不可能な状態または細胞型内の発現パターンを示すだろう。もしくは、その測定は、発現が増加または減少する点で定量的である;すなわち、遺伝子の発現は上方調節されて増加した量の転写物をもたらすか、または下方調節されて減少した量の転写物をもたらすかのいずれかである。発現が異なる程度は、下記のように、Affymetrix GeneChip(登録商標)発現アレイ(Lockhart,Nature Biotechnology,14:1675−1680(1996)(当文献は援用によりここに取り入れる))等を用いて、標準的な特性決定技術により定量するのに十分に高いことだけを必要とする。他の技術として、定量的逆転写PCR、ノーザン分析およびRNase保護等が挙げられるが、これらに限定されない。上記のように、発現の変化(すなわち、上方調節または下方調節)は、少なくとも約2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍以上でもある。
当業者により理解されるように、これは、遺伝子転写物またはタンパク質レベルのいずれかでの評価により行なってよい;すなわち、遺伝子発現レベルは、遺伝子転写物のDNAまたはRNA等価物に対する核酸プローブを用いてモニターしてよく、遺伝子発現レベルの定量、もしくは最終的な遺伝子産物それ自体(タンパク質)は、例えば、癌関連タンパク質に対する抗体および標準的な免疫測定法(ELISA等)または他の技術、例えば、質量分析測定法、二次元ゲル電気泳動分析等を使用することによりモニターすることができる。例えば、癌関連遺伝子に対応するタンパク質、すなわち、特定の癌表現型(すなわち、リンパ腫)に重要であると同定されたタンパク質を当該癌に特異的な診断試験で評価することができる。
一部の実施態様において、遺伝子発現のモニタリングを実施し、多数の遺伝子を同時にモニターする。しかし、複数のタンパク質発現モニタリングも同じく実施して発現プロフィールを作成することができる。もしくは、これらのアッセイは個別基準で行なってもよい。
一部実施態様において、癌関連核酸プローブは、特定の細胞における癌関連配列の検出と定量のために、ここで記載されるバイオチップに結合させてよい。アッセイは当分野で知られているように実施される。当業者により理解されるように、異なる癌関連配列のいずれもプローブとして用いてよく、単一配列アッセイが場合により使用され、ここに記載の複数の配列が他の実施態様で使用される。さらに、固体相アッセイが記載されているが、いずれの溶液系アッセイを同じく用いてもよい。
一部の実施態様において、固体系アッセイと溶液系アッセイを用いて、正常な組織に比較して、癌において上方調節または下方調節される癌関連配列を検出してよい。癌関連配列は変更されているが、同じ発現プロフィールまたは変更発現プロフィールを示す場合、タンパク質はここで記載されるように検出されるだろう。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質をコードする核酸が検出される。癌関連タンパク質をコードするDNAまたはRNAを検出してよいが、特に興味があるのは、癌関連タンパク質をコードするmRNAが検出される方法である。試料中のmRNAの存在は、癌関連遺伝子が転写されてmRNAを形成していることを示し、タンパク質が発現していることを示唆する。mRNAを検出するプローブは、mRNAに相補的であり、塩基対を形成するヌクレオチド/デオキシヌクレオチドプローブであってよく、そのようなプローブとして、オリゴヌクレオチド、cDNAまたはRNAが挙げられるが、これらに限定されない。プローブは、さらに、ここに記載のように検出可能な標識を含まなければならない。一方法において、mRNAは、ナイロンメンブラン等の固体支持体上で調べられる核酸を固定化し、プローブを試料にハイブリダイズさせた後に検出される。非特異的に結合したプローブを除去するために洗浄した後、標識を検出する。別の方法において、mRNAの検出をその場で実施する。この方法において、透過性細胞または組織試料を、検出可能に標識された核酸プローブに、プローブが標的mRNAにハイブリダイズするために十分な時間接触させる。非特異的に結合するプローブを除去するために洗浄した後、標識を検出する。例えば、癌関連タンパク質をコードするmRNAに相補的なジゴキシゲニン標識リボプローブ(RNAプローブ)はジゴキシゲニンを抗ジゴキシゲニン第二抗体に結合させることにより検出され、ニトロブルーテトラゾリウムと5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェートで展開する。
ここで説明する3種類のタンパク質(分泌タンパク質、膜貫通タンパク質または細胞内タンパク質)のいずれも診断アッセイに用いてよい。癌関連タンパク質、抗体、核酸、修飾タンパク質、および癌関連配列を含む細胞が診断アッセイに用いられる。これは、個々の遺伝子、または対応するポリペプチドレベルで実施してもよいし、一連のアッセイとして実施してもよい。
ここで説明し、定義されるように、癌関連タンパク質は、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、皮膚癌および子宮癌、ならびにホジキンリンパ腫や非ホジキンリンパ腫等の、しかしこれらに限定されないリンパ腫および結腸転移等の転移を含む癌のマーカーとしての利用が見つけられている。推定上癌組織または患者におけるこれらのタンパク質の検出は癌の種類の決定または診断を可能とする。当業者に知られている多数の方法に癌検出の利用が見つけられている。
抗体は癌関連タンパク質を検出するために使用してよい。1つの方法は、タンパク質を、試料または患者からゲル(通常、変性還元タンパク質ゲルであるが、等電点電気泳動ゲル等の他の種類のゲルであってもよい)による電気泳動で分離する。タンパク質の分離後、癌関連タンパク質を、癌関連タンパク質に対して作られた抗体による免疫ブロットにより検出する。免疫ブロットの方法は当業者によく知られている。そのような方法に用いられる抗体は上記のように標識してよい。
一部の方法において、CACNA1Eタンパク質に対する抗体には、その場での画像化技術での利用が見つけられている。この方法において、細胞を、癌関連タンパク質に対する1抗体〜多くの抗体に接触させる。非特異的な抗体の結合を排除するために洗浄した後、抗体または複数の抗体の存在を検出する。一部の実施態様において、抗体は、検出可能な標識を含む第二抗体と共にインキュベートすることにより検出する。別の方法において、癌関連タンパク質に対する一次抗体は検出可能な標識を含む。別の方法において、複数の一次抗体のそれぞれ1つが別個の検出可能な標識を含む。この方法には、複数の癌関連タンパク質の同時のスクリーニングに特別な利用が見いだされている。当業者により理解されるように、多数の他の組織学的画像化技術が本発明に有用である。
標識は、異なる波長の発光を検出し、区別することのできる蛍光光度計で検出してよい。さらに、蛍光標示式細胞分取器(FACS)を本方法に用いることができる。
抗体は、血液試料の癌の診断に使用してよい。上記のように、一定の癌関連タンパク質は、分泌され/循環血液中にある分子である。したがって、血液試料は分泌性の癌関連タンパク質の存在に対して検索されるか、調べられる試料として有用である。抗体は、当業者により理解されるように、ELISA、免疫ブロット(ウエスタンブロット)、免疫沈降、BIACORE技術等の上記免疫アッセイ技術のいずれかにより癌関連タンパク質を検出するために使用することができる。
組織アレイに対する標識化癌関連核酸プローブのin situハイブリダイゼーションを実施してよい。例えば、癌関連組織および/または正常組織等の組織試料のアレイを作ってよい。次に、当分野で知られているように、in situハイブリダイゼーションを実施することができる。
個体と標準との発現フィンガープリントを比較する場合、当業者は診断ならびに予後を行なうことができることがわかる。さらに、診断を示す遺伝子は予後を示す遺伝子とは異なるだろうことがわかる。
上記のように、癌関連タンパク質、抗体、核酸、修飾タンパク質、および癌関連配列を含む細胞は予後アッセイに用いることができる。上記のように、長期的な予後の観点で癌重症度に関連する遺伝子発現プロフィールを作ることができる。再度、これをタンパク質レベルまたは遺伝子レベルで行なってよい。上記のように、癌関連プローブは、組織または患者における癌関連配列の検出または定量用のバイオチップに結合してよい。アッセイは診断について概略したように進められる。
スクリーニングアッセイ
ここで説明する癌関連遺伝子配列のいずれかを医薬のスクリーニングアッセイに用いてよい。癌関連タンパク質、抗体、核酸、修飾タンパク質、および癌関連遺伝子配列を含む細胞は、医薬のスクリーニングアッセイに用いられ、また「遺伝子発現プロフィール」に対する医薬候補物の効果またはポリペプチドの発現プロフィールにより用いられる。一方法において、発現プロフィールは、好ましくは、候補物質による治療後に発現プロフィール遺伝子のモニタリングを可能とする高処理スクリーニング技術に組合せて使用される(Zlokarnik,et al,Science 279,84−8(1998),Heid,et al.,Genome Res.,6:986−994(1996))。
ここで説明する癌関連遺伝子配列のいずれかを医薬のスクリーニングアッセイに用いてよい。癌関連タンパク質、抗体、核酸、修飾タンパク質、および癌関連遺伝子配列を含む細胞は、医薬のスクリーニングアッセイに用いられ、また「遺伝子発現プロフィール」に対する医薬候補物の効果またはポリペプチドの発現プロフィールにより用いられる。一方法において、発現プロフィールは、好ましくは、候補物質による治療後に発現プロフィール遺伝子のモニタリングを可能とする高処理スクリーニング技術に組合せて使用される(Zlokarnik,et al,Science 279,84−8(1998),Heid,et al.,Genome Res.,6:986−994(1996))。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質、抗体、核酸、修飾タンパク質、および天然または修飾癌関連タンパク質を含む細胞はスクリーニングアッセイに用いられる。すなわち、本発明は、癌表現型を調節する組成物の新規なスクリーニング方法を提供する。上記のように、これは、遺伝子発現のモジュレーターまたはタンパク質活性のモジュレーターのスクリーニングにより実施することができる。同様に、これは、個々の遺伝子またはタンパク質レベルについて行なってもよいし、「遺伝子発現プロフィール」に対する医薬候補物の効果を評価することにより行なってもよい。一部の実施態様において、発現プロフィールは、時々、候補物質による治療後に発現プロフィール遺伝子のモニタリングを可能とする高処理スクリーニング技術に組合せて使用される(上記のZlokarnikを参照)。
遺伝子発現に対する物質の効果を評価する多様なアッセイを実施してよい。一部の実施態様において、アッセイを個々の遺伝子またはタンパク質レベルで行なってよい。すなわち、候補生物活性物質をスクリーニングして遺伝子の制御を調節してよい。よって、「調節」は遺伝子発現または活性の増加と減少の両方を含む。調節の量は腫瘍組織に対する正常組織の遺伝子発現の本来の変化に依存し、ここで変化は少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも100〜300%、および少なくとも300〜1000%またはそれ以上である。よって、遺伝子が正常組織に比較して腫瘍組織で4倍の増加を示す場合、約4倍の減少が望ましいだろう;正常組織に比較して腫瘍組織での10倍の減少は、候補物質により発現の10倍の増加が望ましい。もしくは、癌関連配列は変更されているが、同じ発現プロフィールまたは変更された発現プロフィールを示す場合、タンパク質はここに記載のように検出されるだろう。
当業者により理解されるように、これは、遺伝子レベルまたはタンパク質レベルでの評価により実施してよい;すなわち、遺伝子発現レベルは核酸プローブを用いてモニターしてよく、遺伝子発現レベルの定量、もしくは、遺伝子産物そのもののレベルは、例えば、癌関連タンパク質に対する抗体および標準的な免疫アッセイを用いることでモニターすることができる。もしくは、タンパク質を用いる結合および生物活性アッセイを下記のように実施してもよい。
一部の実施態様において、多くの遺伝子が同時にモニターされる;すなわち、発現プロフィールが作成されるが、複数のタンパク質の発現モニタリングは同じように実施することができる。
一部の実施態様において、癌関連核酸プローブを、特定の細胞における癌関連配列の検出と定量のためにここで概略されるバイオチップに結合させる。アッセイを以下にさらに説明する。
一部の実施態様において、候補生理活性物質を分析前の細胞に加える。さらに、特定の癌を調節し、癌関連タンパク質を調節し、癌関連タンパク質に結合し、または癌関連タンパク質と抗体との結合に干渉する候補生理活性物質を同定するスクリーニングが提供される。
ここで用いられる「候補生理活性物質」または「医薬候補」との用語または文法的な等価物は、癌表現型を直接または間接に変更でき、癌関連タンパク質の生理活性または癌関連配列(核酸配列とタンパク質配列とを含む)の発現生物に結合し、および/または調節することのできる活性物質に関して調べられる任意の分子、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、小有機または無機分子、多糖、ポリヌクレオチド等をいう。一部の実施態様において、候補物質は、癌関連表現型を、例えば正常な組織指紋に抑制する。同様に、候補物質は、好ましくは、厳格な癌関連表現型を抑制する。一般的に、複数のアッセイ混合物は多様な濃度に対する差次的応答を得るために異なる物質濃度と平行して処理される。通常、これらの濃度の1つが負の対照(すなわち、ゼロ濃度または検出レベル未満)となる。
一部の実施態様において、候補物質はCACNA1Eタンパク質の効果を中和するだろう。「中和する」とは、タンパク質の活性が、細胞に対して実質的に効果をもたず、よって癌の重症度を低減するか、癌の発生を妨げるように阻害または中和されることを意味する。
候補物質は多数の化学的分類を包含するが、通常、それらは有機または無機の分子であり、好ましくは、100ダルトン(Da)を超え、約2,500ダルトン未満の分子量を有する小さい有機化合物である。一部の実施態様において、小分子は2000Da未満、1500Da未満、1000Da未満または500Da未満である。候補物質は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含み、通常、少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基、好ましくは該官能化学基の少なくとも2つを含有する。候補物質は、しばしば、1つ以上の上記官能基により置換された環状炭素または複素環構造および/または芳香族または多環芳香族構造を含む。候補物質は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン類、ピリミジン類、それらの誘導体、構造的類似体または組合せ等の生体分子の中にも見つけられる。
候補物質は、合成化合物または天然化合物のライブラリー等の多様な原料から得られる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドの発現等、多様な有機化合物と生体分子のランダム合成と指定合成に多数の手段を利用することができる。一部の実施態様において、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形の天然化合物のライブラリーが利用可能であるか、容易に作られる。さらに、天然または合成で作られたライブラリーおよび化合物は、慣用の化学的、物理的および生化学的手段により容易に修飾される。公知の薬理作用のある物質はアシル化、アルキル化、エステル化またはアミド化等の指定またはランダムの化学修飾に供して、構造的類似体を作ってよい。
本発明の方法において好適なタランチュラ毒性タンパク質SNX−482等の他のCACNA1Eアンタゴニストは当業者には明らかであろう。しかし、本発明の方法での抗体の使用は、単一のCACNA1ファミリーメンバーに対する抗体の増強特異性のために、小分子の使用よりも好ましい。別の考慮すべき事柄は、CACNA1Eは細胞の表面に発現するので、このようなやり方の標的化の有望な候補であるということである。
一部の実施態様において、候補生理活性物質はタンパク質である。ここで「タンパク質」とは、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチド等、共有結合した少なくとも2つのアミノ酸を意味する。タンパク質は、天然アミノ酸とペプチド結合から、または合成ペプチド模倣構造から成り立ってよい。よって、ここで用いられる「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然アミノ酸と合成アミノ酸の両方を意味する。例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリンおよびノルロイシンは、本発明の目的のためのアミノ酸とみなされる。「アミノ酸」とは、プロリンとヒドロキシプロリン等のイミノ酸残基も含む。側鎖は(R)配置または(S)配置のいずれかであろう。一部の実施態様において、アミノ酸は(S)配置またはL配置にある。非天然の側鎖を使用する場合、非アミノ酸置換基を用いて、例えばインビボ分解を阻止または遅延してよい。
一部の実施態様において、候補生理活性物質は天然タンパク質または天然タンパク質の断片である。よって、例えば、タンパク質を含む細胞抽出物、またはタンパク質性細胞抽出物のランダム消化物か指定消化物を使用してよい。このようにして、原核生物および真核生物のタンパク質を本発明のスクリーニング用に作ってよい。一部の実施態様において、ライブラリーは、細菌、真菌、ウイルスおよび哺乳類のタンパク質ライブラリーである。一部の実施態様において、ライブラリーはヒトタンパク質ライブラリーである。
一部の実施態様において、候補生理活性物質は、約5〜約30アミノ酸、約5〜約20アミノ酸または約7〜約15アミノ酸のペプチドである。ペプチドは、上記のように天然タンパク質の消化物、ランダムペプチドまたは「偏った」ランダムペプチドであってよい。「ランダム化」またはここでの文法的等価物は、各核酸およびペプチドがそれぞれ基本的にランダムヌクレオチドおよびアミノ酸からなることを意味する。一般的に、これらのランダムペプチド(または下記の核酸)は化学合成されるので、それらはヌクレオチドまたはアミノ酸をいずれかの位置に組み入れるだろう。合成プロセスはランダム化タンパク質または核酸を作るように設計することで配列の全体にわたる全てまたは殆どの可能な組合せの形成を可能とするので、ランダム化候補生理活性タンパク質性物質のライブラリーを形成することができる。
一部の実施態様において、ライブラリーは、配列基準や定数を何れの位置にも持たずに完全にランダム化される。一部の実施態様において、ライブラリーは偏らされる。すなわち、配列内の一部の位置は一定に保たれるか、または限定された数の可能性から選択される。例えば、一部の実施態様において、核酸結合領域の創造、システインの創造、SH−3領域のためのプロリン、リン酸化部位のためのセリン、スレオニン、チロシンまたはヒスチジン等のプリンへの架橋等に対して、例えば、限定された種類の疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的に偏った(小さいまたは大きい)残基内でヌクレオチドまたはアミノ酸残基がランダム化される。
一部の実施態様において、候補生理活性物質は核酸である。タンパク質について一般的に説明したように、核酸候補生理活性物質は天然核酸、ランダム核酸または「偏った」ランダム核酸であってよい。別の実施態様において、候補生理活性物質は化学有機質部分であり、それらの多様な物質が文献で利用可能である。
CACNA1E遺伝子の発現プロフィールの変化を調べるアッセイにおいて、候補物質を加えて、細胞をある時間インキュベートした後に、分析される標的配列を含む核酸試料が調製される。標的配列は公知の技術を用いて調製され(例えば、上記のようにRNAから標識cDNAに変換され)、適当なマイクロアレイに加えられる。例えば、ヌクレオシドに共有結合させた標識を用いるインビトロ逆転写を実施する。一部の実施態様において、核酸は、ここに定める標識、特にビオチン−FITCまたはPE、Cy3およびCy5により標識される。
当業者により理解されるように、これらのアッセイは直接ハイブリッド形成アッセイであってよく、または米国特許第5,681,702号、米国特許第5,597,909号、米国特許第5,545,730号、米国特許第5,594,117号、米国特許第5,591,584号、米国特許第5,571,670号、米国特許第5,580,731号、米国特許第5,571,670号、米国特許第5,591,584号、米国特許第5,624,802号、米国特許第5,635,352号、米国特許第5,594,118号、米国特許第5,359,100号、米国特許第5,124,246号および米国特許第5,681,697号(これら全てが参照によりここに取り込まれる)に一般的に記載されるように複数のプローブの利用を伴う「サンドイッチアッセイ」を含むことができる。一部の実施態様において、標的核酸は上記のように調製され、次に、ハイブリッド形成複合体の形成を可能とする条件下で、複数の核酸プローブを含むバイオチップに加えられる。
上記のような高、中、低のストリンジェンシー条件等の多様なハイブリダイゼーション条件を本発明に用いてよい。アッセイは一般的に標的の存在下に標識プローブハイブリッド形成複合体の形成を可能とするストリンジェンシー条件下で実施する。ストリンジェンシーは、温度、ホルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピック塩濃度、pH、有機溶媒濃度等の、しかし、これらに限定されない熱力学変数である工程パラメーターを変えることにより調節することができる。これらのパラメーターは、米国特許第5,681,697号に一般的に記載されるように、非特異的結合を調節するために用いられるだろう。よって、一部の実施態様において、一定の工程が非特異的結合を低減させる高いストリンジェンシー条件で実施される。
ここで概略される反応は当業者により理解されるように多様な方法で達成してよい。反応の成分は、下記の示唆される実施態様により、同時にまたは連続的に任意の順序で添加してよい。さらに、反応は、アッセイの多様な他の試薬を含んでよい。これらは、最適ハイブリダイゼーションと検出を容易にし、および/または非特異的またはバックグランド相互作用を低減するために用いることができる塩、緩衝剤、中性タンパク質、例えば、アルブミン、洗浄剤等の試薬を含む。さもなければ、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤等、アッセイの効率を向上させる試薬を試料調製方法および標的の純度に応じて用いてもよい。さらに、固相または溶液系(すなわち、動力学的PCR)アッセイを使用してよい。
アッセイをいったん実施したら、データを分析して、発現レベルおよび個々の遺伝子の状態間の発現レベルの変化を決定し、遺伝子発現プロフィールを作る。
診断および予後利用に関して、CACNA1Eを差次的に発現する遺伝子として同定した一部の実施態様において、CACNA1Eの発現の変化を個々に調べるスクリーニングを実施できる。すなわち、単一遺伝子の発現の制御調節のためのスクリーニングを実施することができる。よって、例えば、2つの条件間で存在または非存在が独自である標的遺伝子の場合、標的遺伝子発現のモジュレーターに対するスクリーニングが実施される。
さらに、候補物質に応答して誘導される新規な遺伝子に対するスクリーニングを実施することができる。正常な発現パターンを導く癌関連発現パターンを抑制する能力か、または正常な組織からの遺伝子の発現を模倣するように単一の癌関連遺伝子発現プロフィールを調節する能力に基づいて候補物質を同定した後、上記のスクリーニングを実施して、該物質に応答して特異的に調節される遺伝子を同定することができる。正常な組織と候補物質処置の癌関連組織との発現プロフィールを比較することにより、正常な組織または癌関連組織では発現しないが、候補物質処置の組織では発現する遺伝子を明らかにする。これらの候補物質特異的配列は、癌関連遺伝子またはタンパク質に関してここで記載される方法のいずれかにより同定され、用いることができる。一部の実施態様において、これらの配列、およびそれらがコードするタンパク質には、候補物質処置細胞の特徴付けまたは同定での利用が見出されている。さらに、抗体を候補物質誘導タンパク質に対して作り、これら抗体を、処置された癌関連組織試料を新規な治療剤の標的とするために用いる。
よって、一部の実施態様において、候補物質を、癌関連発現プロフィールを有する癌関連細胞の集団に投与する。ここでの「投与」または「接触」とは、取り込みまたは細胞内作用によるか、または細胞表面での作用によるかにかかわりなく、候補物質が細胞に作用するように該物質を細胞に加えることを意味する。一部の実施態様において、タンパク質性候補物質(すなわち、ペプチド)をコードする核酸を、レトロウイルス構築物等のウイルス構築物に入れて、ペプチド物質の発現が達成されるように細胞に加えてよい;参照によりここに編入されるPCT US97/01019を参照されたい。
いったん候補物質を細胞に投与したら、細胞を必要に応じて洗浄することができ、好ましくは、生理的条件下、幾分かの時間インキュベートする。次に、細胞を回収し、新しい遺伝子発現プロフィールをここに記載のように作る。
よって、例えば、癌関連組織を、癌関連表現型を低減または抑制する物質に関してスクリーニングしてよい。発現プロフィールの少なくとも1つの遺伝子の変化は、該物質が癌関連活性に対して効果を有することを示す。癌関連表現型に関するそのようなサインを定めることにより、表現型を変える新しい医薬に対するスクリーニングを考案することができる。この研究方法を用いれば、医薬標的は知られている必要はなく、本来の発現スクリーニングプラットフォームで表す必要もなく、さらに標的タンパク質の転写物の量が変わる必要もない。
上記の一部の実施態様において、個々の遺伝子と遺伝子発現産物に対するスクリーニングを実施してよい。すなわち、特定の差次的に発現する遺伝子を特定の状態に重要であると同定したら、遺伝子の発現または遺伝子産物それ自体の発現のモジュレーターのスクリーニングを実施することができる。癌関連タンパク質は断片、もしくは、上記の癌関連遺伝子によりコードされる全長タンパク質ないし断片であってよい。一部の実施態様において、配列は上記でさらに説明したように配列変異体である。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質は、長さが約14〜24アミノ酸である断片である。一部の実施態様において、断片は可溶性断片である。一部の実施態様において、断片は非膜貫通領域を含む。一部の実施態様において、断片は、溶解性に役立つN末端Cysを有する。一部の実施態様において、断片のC末端は遊離酸として保持され、N末端は例えばシステインへの結合に役立つ遊離アミンである。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質はここに説明するように免疫原に結合させ、複合体化させる。一部の実施態様において、癌関連タンパク質をBSAに結合させ、複合体化させる。
一部の実施態様において、CACNA1Eの発現産物の生物的機能を変えるためにスクリーニングがなされる。再び、特定の状態の遺伝子の重要性を同定したら、遺伝子産物に結合し、および/または遺伝子産物の生物活性を調節する物質のスクリーニングを以下にさらに詳しく説明するように実施することができる。
一部の実施態様において、スクリーニングを設計して、癌関連タンパク質に結合することのできる候補物質を最初に見つけ、次にこれらの物質を、癌関連タンパク質活性と癌の表現型を調節する候補物質の能力を評価するアッセイに用いてよい。よって、当業者により理解されるように、実施してよい多くの異なるアッセイ(結合アッセイや活性アッセイ)が存在する。
一部の実施態様において、結合アッセイを実施する。一般的に、精製または単離された遺伝子産物が使用される;すなわち、1つ以上の癌関連核酸の遺伝子産物が作られる。一般的に、これは、当分野で知られているようになされる。例えば、タンパク質遺伝子産物に対して抗体を作り、標準的なイムノアッセイを実施して、存在するタンパク質の量を決定する。一部の実施態様において、癌関連タンパク質を含む細胞をアッセイに使用することができる。
よって、一部の実施態様において、本方法は、癌関連タンパク質と候補生理活性物質を一緒にし、候補物質の癌関連タンパク質への結合を測定する工程を包含する。一部の実施態様はヒトまたはマウスの癌関連タンパク質を利用するが、他の哺乳類のタンパク質を、例えば、ヒト病気の動物模型の開発のために用いることもできる。一部の実施態様において、ここで概略するように、変異体または誘導体癌関連タンパク質が用いられるだろう。
ここでの方法の一部の実施態様において、癌関連タンパク質または候補物質は、単離試料を受容する領域を有する不溶性の支持体(例えば、マイクロタイタープレート、アレイ等)に非拡散的に結合させる。この不溶性支持体は組成物が結合できる成分、可溶性材料から容易に分離される成分、さもなければスクリーニングの全体的な方法に適合性のある成分から作られてよい。そのような支持体の表面は固体または多孔性で、任意の都合のよい形を有してよい。適当な不溶性支持体の例として、マイクロタイタープレート、アレイ、メンブランおよびビーズが挙げられる。通常、これらは、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、テフロン(登録商標)等から作られる。マイクロタイタープレートとアレイは、多くのアッセイが少量の試薬と試料を用いて同時に実施することができるので特に便利である。
組成物の結合の特定の方法は、それが本発明の試薬と全体的な方法に適合性があり、組成物の活性を維持し、かつ非拡散性である限り重要ではない。結合の一部の方法は、(タンパク質が支持体に結合する場合にリガンド結合部位または活性化配列を立体的にブロックしない)抗体の使用、「粘着性」またはイオン性支持体への直接の結合、化学架橋、表面でのタンパク質または物質の合成等を含む。タンパク質または物質の結合後、過剰な未結合物質を洗浄により除去する。次に、試料受容領域は、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは他の非侵害性タンパク質または他の成分とのインキュベーションによりブロックしてよい。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質を支持体に結合し、候補生理活性物質をアッセイに加える。一部の実施態様において、候補物質を支持体に結合し、癌関連タンパク質を加える。新規な結合物質として、特異抗体、化学ライブラリーのスクリーニングで同定される非天然結合剤、またはペプチド類似体が挙げられる。ヒト細胞に対して低い毒性を有する物質に対するスクリーニングアッセイに特に興味がある。標識インビトロタンパク質−タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフト解析、タンパク質結合の免疫アッセイ、機能アッセイ(リン酸化アッセイ等)等の多様なアッセイがこの目的のために用いられるだろう。
候補生理活性物質に対する癌関連タンパク質の結合の測定は多くの方法で実施してよい。一部の実施態様において、候補生理活性物質が標識され、結合を直接決定する。例えば、これは、癌関連タンパク質の全てまたは一部を固体支持体に結合し、標識候補物質(例えば、蛍光標識)を加え、過剰な試薬を洗い流し、標識が固体支持体に存在するかどうかを決定することによりなされる。多様なブロッキング工程と洗浄工程を当分野で知られるように利用してよい。
一部の実施態様において、成分の1つのみを標識する。例えば、タンパク質(またはタンパク質候補物質)を、125Iを用いてチロシンの位置で標識するか、またはフルオロフォアにより標識してよい。もしくは、2つ以上の成分を異なる標識により標識し、タンパク質については例えば125Iで、候補物質についてはフルオロフォアを用いて標識してよい。
一部の実施態様において、候補生理活性物質の結合は、結合タンパク競合測定法を用いて測定する。一部の実施態様において、競合物質は、抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンド等の標的分子(すなわち、癌関連タンパク質)に結合することが知られている結合成分である。一定の環境下で、生理活性物質と結合成分との結合等の競合的結合が存在して、結合成分が生理活性物質を置換することがあるだろう。
一部の実施態様において、候補生理活性物質は標識される。候補生理活性物質または競合物質または両者を、最初にタンパク質に、存在するのであれば結合するのに十分な時間加える。インキュベーションは、最適活性を促進する温度、通常、4〜40℃で実施されるだろう。インキュベーション時間は最適活性のために選択されるが、高処理スクリーニング系を促進するように最適化してもよい。通常、0.1〜1時間が十分である。通常、過剰な試薬は除去されるか、洗い流される。次に第2成分を加えて、結合を示すために、標識成分の有無が追跡される。
一部の実施態様において、競合物質を最初に加え、次に候補生理活性物質を加える。競合物質の置換は、候補生理活性物質が癌関連タンパク質に結合し、よって、該物質が癌関連結合タンパク質に結合し、その活性を潜在的に調節することができることの指標となる。一部の実施態様において、いずれかの成分を標識することができる。よって、例えば、競合物質が標識されている場合、洗浄液中の標識の存在は候補物質による置換を示す。一部の実施態様において、候補生理活性物質が標識される場合、支持体上の標識の存在が置換を示す。
一部の実施態様において、候補生理活性物質を最初に加え、インキュベーションと洗浄を行なった後に、競合物質を加える。競合物質による結合が無いことは、生理活性物質が癌関連タンパク質に対して高親和性で結合することを示すだろう。よって、候補生理活性物質が標識されている場合、競合物質結合の欠如に加えて支持体上の標識の存在は、候補物質が癌関連タンパク質に結合することができることを示すだろう。
一部実施態様において、本方法は、癌関連タンパク質の活性を調節することのできる生理活性物質を同定するディファレンシャル(差次的)スクリーニングを含む。この実施態様において、本方法は、癌関連タンパク質と競合物質を第1試料中で一緒にする。第2試料は、候補生理活性物質、癌関連タンパク質および競合物質を含む。競合物質の結合は両試料から決定し、二つの試料間の結合の変化または違いは、癌関連タンパク質に結合して、その活性を潜在的に調節することのできる物質の存在を示す。すなわち、競合物質の結合が第2試料中では第1試料と異なる場合、該物質は癌関連タンパク質に結合することができる。
一部の実施態様では、天然の癌関連タンパク質に結合するが、修飾された癌関連タンパク質には結合しない医薬候補物を同定するディファレンシャルスクリーニングを利用する。癌関連タンパク質の構造をモデル化し、合理的な医薬設計に用いて、その部位と相互作用する物質を合成する。癌関連生理活性に影響する医薬候補物は、タンパク質の活性を増強または低減する能力に関して医薬をスクリーニングすることによっても同定される。
正の対照と負の対照をアッセイに用いてよい。一部の実施態様において、全ての対照試料と試験試料を少なくともトリプリケートで実施して統計的に有意な結果を得る。全ての試料はタンパク質に対する物質の結合に十分な時間インキュベートする。インキュベーション後、全ての試料を、非特異的に結合した材料がないように洗浄し、結合して一般的に標識された物質の量を決定する。例えば、放射標識を用いる場合、試料をシンチレーションカウンターで計測して、結合した化合物の量を決定する。
多様な他の試薬をスクリーニングアッセイに含めてよい。これらは、最適タンパク質−タンパク質結合を容易にし、および/または非特異的またはバックグランド相互作用を低減するために用いることができる塩、中性タンパク質、(例えばアルブミン)、洗浄剤等の試薬を含む。さもなければ、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤等、アッセイの効率を向上させる試薬を用いてもよい。成分の混合物を、必要な結合を提供する任意の順序で添加してよい。
癌関連タンパク質の活性を調節する物質のスクリーニングを行なってもよい。一部の実施態様において、癌関連タンパク質の活性を調節することのできる生理活性物質のスクリーニング方法は、候補生理活性物質を上記のように癌関連タンパク質の試料に加え、癌関連タンパク質の生物活性の変化を決定する工程を包含する。「癌関連タンパク質の活性を調節する」とは、活性の増加、活性の減少、または存在する活性のタイプまたは種類の変化を含む。よって、一部の実施態様において、候補物質は癌関連タンパク質に結合し(これは必要でないかもしれないが)、かつここで定義されたその生物学的または生化学的活性を変えるにちがいない。本方法は、一般的に既述したように、インビトロスクリーニング方法と、癌関連タンパク質の存在、分布、活性または量の変化に関する細胞のインビボスクリーニングとを含む。
よって、一部の実施態様において、本方法は癌関連試料および候補生理活性物質を一緒にし、癌関連活性に対する効果を評価する工程を包含する。ここでの「癌関連活性」または文法的な等価物とは、細胞分裂、細胞増殖、腫瘍成長、癌細胞生存および細胞の形質転換等、腫瘍形成におけるその役割等の、しかし、これらに限定されない癌関連タンパク質の生物活性の1つを意味する。一部実施態様において、癌関連活性は、上記の癌関連遺伝子に由来する核酸によりコードされるタンパク質の活性化または該タンパク質による活性化を含む。癌関連活性の阻害剤は癌関連活性のいずれかの1つ以上の阻害剤である。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質の活性が増加する;一部の実施態様において、癌関連タンパク質の活性が減少する。よって、生理活性物質は一部の実施態様においてはアンタゴニストであり、一部実施態様においては生理活性物質はアゴニストである。
一部の実施態様において、本発明は、癌関連タンパク質の活性を調節することができる生理活性物質のスクリーニング方法を提供する。本方法は、上記の候補生理活性物質を、癌関連タンパク質を含む細胞に加えることを含む。好ましい細胞型はほとんどどのような細胞も含む。細胞は、癌関連タンパク質をコードする組換え核酸を含む。一部の実施態様において、候補物質のライブラリーは複数の細胞について調べられる。
一部の実施態様において、生理学的信号、例えば、ホルモン、抗体、ペプチド、抗原、サイトカイン、成長因子、活動電位、化学療法剤等の薬理作用のある物質、放射線、発癌性物質または他の細胞(すなわち、細胞−細胞接触)の存在下または非存在下において、またはそれらに対する先立つかその後の曝露においてアッセイを評価する。一部の実施態様において、測定値は細胞周期プロセスの異なる段階で決定される。
このようにして、生理活性が同定される。薬理学的活性を有する化合物は、癌関連タンパク質の活性を増強もしくは干渉することができる。
癌の診断と治療
癌の細胞分裂を阻害する方法が本発明により提供される。一部の実施態様において、腫瘍成長を阻害する方法が提供される。一部の実施態様において、癌を有する細胞または個体を治療する方法が提供される。
癌の細胞分裂を阻害する方法が本発明により提供される。一部の実施態様において、腫瘍成長を阻害する方法が提供される。一部の実施態様において、癌を有する細胞または個体を治療する方法が提供される。
本方法は癌阻害剤の投与を含んでよい。一部の実施態様において、癌阻害剤はアンチセンス分子、医薬組成物、治療剤または小分子またはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体である。一部の実施態様において、治療剤を抗体に結合させる。一部の実施態様において、治療剤をモノクローナル抗体に結合させる。
さらに、個体における癌細胞の検出または診断の方法が提供される。一部の実施態様において、診断剤/検出剤は、本発明による癌関連タンパク質に優先的に結合する小分子である。一部の実施態様において、診断剤/検出剤は抗体である。
本発明の一部の実施態様において、癌、特にリンパ腫、白血病、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌または皮膚癌、結腸転移等の転移の動物模型の作成に有用性がわかっている動物模型およびトランスジェニック動物が提供される。
(a)アンチセンス分子
使用される癌阻害剤はアンチセンス分子であってよい。ここで使用されるアンチセンス分子として、癌分子の標的mRNA(センス)配列またはDNA(アンチセンス)配列に結合することのできる一本鎖核酸配列(RNAまたはDNAのいずれか)を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセンスオリゴヌクレオチドは、一般的に約14〜約30ヌクレオチドの断片を含む。所与のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいてアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを操作する技術は、例えば、Stein and Cohen,Cancer Res.48:2659,(1988)およびvan der Krol et al.,BioTechniques 6:958,(1988)に記載されている。
使用される癌阻害剤はアンチセンス分子であってよい。ここで使用されるアンチセンス分子として、癌分子の標的mRNA(センス)配列またはDNA(アンチセンス)配列に結合することのできる一本鎖核酸配列(RNAまたはDNAのいずれか)を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセンスオリゴヌクレオチドは、一般的に約14〜約30ヌクレオチドの断片を含む。所与のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいてアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを操作する技術は、例えば、Stein and Cohen,Cancer Res.48:2659,(1988)およびvan der Krol et al.,BioTechniques 6:958,(1988)に記載されている。
アンチセンス分子は、修飾または非修飾RNA、DNAまたは混合ポリマーオリゴヌクレオチドであってよい。これらの分子は、RNase H酵素を立体的にブロックまたは活性化することによりペプチド合成の阻害をもたらすマッチング配列に特異的に結合することにより機能する(Wu−Pong,Nov 1994,BioPharm,20−33)。アンチセンス分子は、RNAプロセシング、または核からの細胞質への輸送に干渉することによりタンパク質合成を変えることもできる(Mukhopadhyay & Roth,1996,Crit.Rev.in Oncogenesis 7,151−190)。さらに、一本鎖DNAのRNAへの結合は、ヘテロ二本鎖のヌクレアーゼ仲介分解をもたらしうる(上記のWu−Pong)。RNase Hの基質として働くことがこれまでに示された骨格修飾DNA化学物質は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ボロントリフルオリデートおよび2’−アラビノおよび2’−フルオロアラビノを含有するオリゴヌクレオチドである。
アンチセンス分子は、WO91/04753に記載されているように、リガンド結合分子との複合体の形成によって、標的塩基配列を含有する細胞に導入してよい。適当なリガンド結合分子として、細胞表面レセプター、成長因子、他のサイトカイン、または細胞表面レセプターに結合する他のリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、リガンド結合分子の複合体化は、リガンド結合分子がその対応する分子またはレセプターに結合する能力、またはセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその複合体の細胞への移行をブロックする能力に対して実質的に干渉しない。一部の実施態様において、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO90/10448で記載されたように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により、標的核酸配列を含む細胞に導入してよい。アンチセンス分子またはノックアウト模型およびノックイン模型の使用は、治療方法に加えて、上記のスクリーニングアッセイに用いてもよいことがわかる。
(b)RNA干渉
RNA干渉は、短い干渉性RNAs(siRNAs)により仲介される動物中の配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスをいう(Fire et al.,Nature,391,806(1998))。植物における対応するプロセスは、転写後遺伝子サイレンシングまたはRNAサイレンシングと称され、真菌においては抑制とも称される。細胞内のdsRNAの存在は、いまだに完全に特性付けられていないメカニズムによりRNAi応答を引き起こす。このメカニズムは、リボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的切断をもたらすプロテインキナーゼPKRおよび2’,5’−オリゴアデニル酸シンセターゼのdsRNA仲介活性化に起因するインターフェロン応答とは異なるように思える(Sharp,P.A.,RNA interference−2001,Genes & Development 15:485−490(2001)に概説)。
RNA干渉は、短い干渉性RNAs(siRNAs)により仲介される動物中の配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスをいう(Fire et al.,Nature,391,806(1998))。植物における対応するプロセスは、転写後遺伝子サイレンシングまたはRNAサイレンシングと称され、真菌においては抑制とも称される。細胞内のdsRNAの存在は、いまだに完全に特性付けられていないメカニズムによりRNAi応答を引き起こす。このメカニズムは、リボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的切断をもたらすプロテインキナーゼPKRおよび2’,5’−オリゴアデニル酸シンセターゼのdsRNA仲介活性化に起因するインターフェロン応答とは異なるように思える(Sharp,P.A.,RNA interference−2001,Genes & Development 15:485−490(2001)に概説)。
小さい干渉性のRNAs(siRNAs)は、RNA干渉(RNAi)として知られるプロセスにより培養哺乳動物細胞の遺伝子の発現を抑制するように設計された強力な配列特異的物質である。Elbashir,S.M.et al.Nature 411:494−498(2001);Caplen,NJ.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:9742−9747(2001);Harborth,J.et al.J.Cell Sci.114:4557−4565(2001)。「短い干渉性RNA」または「siRNA」との用語は、「RNAi」をRNA干渉することのできる二本鎖核酸分子をいう(Kreutzer et al.,WO00/44895;Zernicka−Goetz et al.WO01/36646;Fire,WO99/32619;Mello and Fire,WO01/29058を参照)。ここで用いられるsiRNA分子はRNA分子に限定されるが、さらに、化学修飾ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドを包含する。siRNA遺伝子標的化実験は、(リポソーム仲介形質移入、エレクトロポレーションまたはマイクロインジェクション等の古典的な方法により達成される)細胞への一過性のsiRNA導入により実施されている。
siRNAの分子は、通常、RNAiを開始する長い二本鎖RNA(dsRNAs)のRNase IIIプロセシング産物に似る特徴的な2〜3ヌクレオチド3’突出末端を有する15〜30ヌクレオチド、18〜25ヌクレオチドまたは21〜23ヌクレオチドRNAである。これらは細胞に導入されると、エンドヌクレアーゼ複合体(RNA誘導サイレンシング複合体)のまだ確認されていないタンパク質と集合して、mRNA切断を導く。標的とするmRNAの分解の結果、対応するタンパク産物の抑制を特徴とする特定の表現型を有する細胞が得られる。伝統的なアンチセンス分子に比較してsiRNAの小さなサイズは、哺乳動物細胞に存在するdsRNA誘導性インターフェロン系の活性化を妨げる。これは、体細胞における30塩基対よりも大きいdsRNAにより通常作られる非特異的な表現型を回避する。
小さなRNA分子の細胞内転写は、通常、小さい核内RNA(snRNA)U6またはヒトRNase P PNA H1をコードするRNAポリメラーゼIII(Pol III)転写単位にsiRNA鋳型をクローニングすることにより達成される。siRNAを発現するために2つのアプローチが開発された:第1のアプローチでは、siRNA二本鎖を構成するセンス鎖とアンチセンス鎖はそれぞれのプロモーターにより転写される(Lee,N.S.et al.Nat.Biotechnol.20,500−505(2002);Miyagishi,M.& Taira,K.Nat.Biotechnol.20,497−500(2002));第2のアプローチでは、siRNAは、細胞内プロセシングの後にsiRNAを生じる折り畳みステムループ構造として発現する(Paul,CP.et al.Nat.Biotechnol.20:505−508(2002))。導入されたDNA鋳型からのsiRNAの内在的発現は、内在性siRNA送達の幾つかの制限、特に表現型の一過性の損失を克服すると考えられる。U6とH1 RNAプロモーターはPol IIIプロモーターのタイプIIIクラスのメンバーである(Paule,M.R.& White,R.J.Nucleic Acids Res.28,1283−1298(2000))。
センスsiRNAとアンチセンスsiRNAの共発現は標的遺伝子のサイレンシングを仲介する一方で、センスsiRNAまたはアンチセンスsiRNAの単独の発現は標的遺伝子発現に大きく影響することはない。RNase汚染の危険性と化学合成siRNAまたはsiRNA転写キットの費用を考慮すると、合成siRNAよりもプラスミドDNAの形質移入が有利なように思われる。siRNAの安定的発現は、持続性のウイルス感染の治療等、新しい遺伝子治療利用を可能とする。siRNAの高い特異性を考えると、本アプローチは、RASまたはTP53癌遺伝子転写物等、点変異を有する病気由来の転写物を、残りの野生型対立遺伝子を変えることなく標的指向化することもできる。最後に、多様なゲノムの高処理の配列分析によれば、DNAに基づく方法は、特に小型化アレイ系表現型スクリーニングに組み合わされた場合に自動化ゲノムレベル機能喪失型表現型分析の代わりとなる費用効果の高い方法でもあるだろう(Ziauddin,J.& Sabatini,D.M.Nature 411:107−110(2001))。
長いdsRNAの細胞内存在は、ダイサーと称されるリボヌクレアーゼIII酵素の活性を促進する。ダイサーは、短い干渉性RNA(siRNA)として知られるdsRNAの短い一部分中へのdsRNAのプロセシングに関与する(Berstein et al.,2001,Nature,409:363(2001))。ダイサー活性から得られる短い干渉性RNAは、通常、長さが約21〜23ヌクレオチドであり、約19塩基対の二本鎖を含む。ダイサーは、翻訳制御に関係する保存構造のRNA前駆体に由来する21ヌクレオチドと22ヌクレオチドの小さい時間的RNA(stRNA)の切除にも関係している(Hutvagner et al.,Science,293,834(2001))。このRNAi応答が、siRNAに相同的な配列を有する一本鎖RNAの切断を仲介するRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)として一般的に称されるsiRNAを含むエンドヌクレアーゼ複合体の特徴でもある。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のガイド配列に相補的な領域の中央で起こる(Elbashir et al.,Genes Dev.,15,188(2001))。
本発明は、癌関連配列に特異的にハイブリダイズすることのできる配列を含む単離された核酸分子を含む発現系を提供する。一部の実施態様において、核酸分子は癌関連タンパク質の発現を阻害することができる。癌関連mRNA配列同一性を有し、かつ該細胞内の遺伝子関連遺伝子の転写後遺伝子スプライシングまたはRNA干渉(RNAi)を引き起こすことのできる二本鎖RNAを作る短いRNAがそれ自体で折りたたまれている短いRNAのベクター指令発現による細胞内癌関連遺伝子の発現を阻害する方法[訳者注:原文通り]。一部の実施態様において、癌関連mRNA配列同一性を有する短い二本鎖RNAは細胞内に輸送されて、癌関連遺伝子の転写後遺伝子スプライシングまたはRNAiを引き起こす。多様な実施態様において、核酸分子は少なくとも7量体、少なくとも10量体または少なくとも20量体である。一部の実施態様において、配列はユニークである。
(c)医薬組成物
本発明に含まれる医薬組成物は、有効成分として、ここに開示された本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または抗体を治療有効量で含む。「有効量」とは、臨床的結果等の有益または望ましい結果を達成するのに十分な量である。有効量は一回以上の投与で投与することができる。本発明の目的のために、アデノウイルスベクターの有効量は、病状の進行を軽減、緩和、安定化、逆行、遅延または延期するために十分な量である。
本発明に含まれる医薬組成物は、有効成分として、ここに開示された本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または抗体を治療有効量で含む。「有効量」とは、臨床的結果等の有益または望ましい結果を達成するのに十分な量である。有効量は一回以上の投与で投与することができる。本発明の目的のために、アデノウイルスベクターの有効量は、病状の進行を軽減、緩和、安定化、逆行、遅延または延期するために十分な量である。
組成物は、癌ならびに原発癌の転移の治療に用いることができる。さらに、医薬組成物は、例えば、腫瘍を放射線に対して感作させる癌治療の慣用の方法または慣用の化学療法に組合せて使用することができる。「治療」、「治療している」、「治療する」等の用語は、一般的に、望ましい薬理的および/または生理的効果を得ることをいうためにここでは用いられる。その効果は、病気またはその徴候を完全または部分的に予防するとの観点からは一般的に予防的であろうし、および/または病気および/または病気に帰する副作用の部分的または完全な安定化または治癒の観点からは治療的であろう。ここで用いられる「治療」とは、哺乳動物、特にヒトの病気の治療を包含し、治療としては、(a)病気または徴候にかかりやすいだろうが、それを有するとはまだ診断されていない対象において該病気または徴候が起こることを予防し、(b)病徴を抑制する、すなわち、その進行を抑止する、または(c)病徴を軽減する、すなわち、病気または徴候の後退をもたらすことが挙げられる。
医薬組成物が、差次的に発現したポリヌクレオチドによりコードされる遺伝子産物に特異的に結合する場合、その抗体は治療部位への送達のための医薬に結合させるか、または前立腺癌細胞等の癌細胞を含む部位の画像診断を容易にする検出可能な標識に結合させることができる。抗体を医薬や検出可能な標識に結合させる方法は、検出可能な標識を用いて画像診断する方法等、当分野でよく知られている。
一部の実施態様において、本発明による抗体および薬学的に適当な担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物が提供される。一部の実施態様において、医薬組成物はさらに第2の治療剤を含む。さらに別の実施態様において、第2の治療剤は癌化学療法剤である。
本発明の目的の「患者」は、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物および生物を含む。よって、本方法は、ヒト治療と獣医学的利用の両方に適用することができる。一部の実施態様において、患者は哺乳動物であり、好ましくは、患者はヒトである。1つの標的患者集団は、癌、特にここに記載の特定の癌の種類の治療を現在受けているすべての患者を含む。これら患者集団の一部は、以前に治療されたこの種の癌の再発を先の6ヶ月間に経験した患者および過去6ヶ月間に病状が悪化した患者を含む。
ここで用いられる「治療効果量」との用語は、目的とする病気または状態を治療、緩和または予防するか、または検出可能な治療効果または予防効果を示す治療剤の量をいう。この効果は、例えば、化学マーカーまたは抗原量により検出することができる。治療効果は、低下した体温等の身体症状の低減も含む。対象に対する正確な効果量は、対象の大きさと健康、病気の性質と程度、および投与に選択された治療剤または治療剤の組合せに依存する。所与の状態に対する効果量は日常的な実験作業により決定され、臨床医の判断の範囲内にある。本発明の目的のために、効果用量は、一般的に、本発明の組成物が投与される個体において、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約0.01mg/kg〜約50mg/kgまたは約0.05mg/kg〜約10mg/kgの組成物の範囲にある。
さらに、医薬組成物は薬学的に許容される担体を含むことができる。「薬学的に許容される担体」との用語は、抗体またはポリペプチド、遺伝子等の治療剤および他の治療剤を投与するための担体をいう。この用語は、組成物を受ける個体に有害な抗体の産生をそれ自体で誘導しない医薬担体であって、過度の毒性なしに投与することのできる担体をいう。適当な担体は、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸共重合体および不活性ウイルス粒子等の大きく、ゆっくりと代謝される巨大分子であってよい。そのような担体は当業者によく知られている。治療組成物中の薬学的に許容される担体として、水、食塩水、グリセロールおよびエタノール等の液体を挙げることができる。湿潤剤や乳化剤、pH緩衝剤等の補助剤がそのような媒体中に存在してもよい。一部の実施態様において、治療組成物は、液体溶液または懸濁液としての注射剤として調製されるか、または注射前の液体媒体中の溶液または懸濁液に適する固体形を調製することもできる。リポソームは、薬学的に許容される担体の定義に含まれる。薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩等の有機酸の塩も医薬組成物中に存在してよい。薬学的に許容される賦形剤の完全な論議は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(1995) Alfonso Gennaro,Lippincott,Williams,& Wilkinsで利用できる。
医薬組成物は、顆粒、錠剤、丸剤、座薬、カプセル、懸濁剤、軟膏、ローション剤等の多様な形で調製することができる。経口または局所の使用に適する医薬品グレードの有機または無機の担体および/または希釈剤を用いて、治療活性化合物を含む組成物を作ることができる。当分野で公知の希釈剤として、水性媒体、植物油や動物油および脂肪が挙げられる。安定剤、湿潤剤や乳化剤、浸透圧を変える塩または適当なpH値を確保する緩衝剤および皮膚浸透増強剤を補助剤として用いることができる。
本発明の医薬組成物は、患者への投与に適する形で癌関連タンパク質を含有する。一部の実施態様において、医薬組成物は水溶性の形で存在し、これらは酸付加塩と塩基付加塩の両方を含むことが意図される薬学的に許容される塩として存在する。「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性を維持し、かつ生物学的またはその他の点で望ましくはないことのない塩であって、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸により形成される塩を言う。「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩等の無機塩基に由来するものをいう。アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムの塩が特に好ましい。薬学的に許容される有機非毒性塩基に由来する塩として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミン等、一級アミン、二級アミンおよび三級アミン、天然の置換アミン等の置換アミン、環状アミン等の塩および塩基イオン交換樹脂が挙げられる。
医薬組成物として、血清アルブミン等の担体タンパク質、緩衝剤、微結晶セルロース、ラクトース、コーンスターチおよび他のスターチ等の増量剤、結合剤、甘味剤および他の着香料、着色剤およびポリエチレングリコール等の1種類以上を含んでもよい。添加剤は当分野でよく知られており、多様な製剤に使用される。
望ましい薬理学的活性を有する化合物は、上述のように、薬学的に許容される担体中にて投与してよい。医薬組成物は、静脈内、筋内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮的または経皮的投与(例えば、WO98/20734を参照)、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、膣内または直腸手段等の、しかし、これらに限定されない多様な経路で投与してよい。導入方法に応じて、化合物は多様に処方してよい。製剤中の治療有効化合物の濃度は、約0.1から100%wgt/volまで変えてもよい。本発明の意図する組成物がいったん処方されたら、それを(1)対象に(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、小分子アゴニストまたはアンタゴニスト等として)直接投与してよく、または(2)対象に由来する細胞に(例えば、生体外遺伝子治療として)生体外で送達してよい。一般的に、組成物の直接の送達は、例えば、皮下、腹腔内、静脈内または筋内、腫瘍内または組織の間質腔への非経口注射により達成されるだろう。別の投与方法は、経口および肺への投与、座薬および経皮投与、注射針および遺伝子銃(powderject.comのワールドワイドウエブサイトを参照)または皮下噴射器を含む。投薬治療は、単回投与計画または複数回投与計画であってよい。
生体外送達および形質転換細胞の対象への再移植の方法は当分野で公知であり、例えばWO93/14778に記載されている。生体外適用に有用な細胞の例として、例えば、幹細胞、特に、造血細胞、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞または腫瘍細胞が挙げられる。一般的に、生体外利用と試験管内利用の両方での核酸の送達は、例えば、当分野でよく知られているデキストラン仲介形質移入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介形質移入、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ポリヌクレオチドのリポソームへのカプセル化、およびDNAの核内への直接のマイクロインジェクションにより達成されるだろう。
CACNA1Eの差次的発現が、異常増殖、異形成および過形成等の増殖性疾患に関連があるといったんわかったら、その疾患は、提供されるポリヌクレオチド、対応するポリペプチドまたは他の対応する分子(例えば、アンチセンス、リボザイム等)に基づく治療剤の投与による治療に適しうる。別の実施態様において、疾患は、例えば、正常細胞に比較して癌性細胞で発現を増加した遺伝子のコード遺伝子産物の機能の阻害剤(アンタゴニスト)として働くか、または癌性細胞において発現が減少した遺伝子産物に対してアゴニストとして働く(例えば、腫瘍抑制因子として作用する遺伝子産物の活性を促進する)小分子医薬の投与による治療に適しうる。
発明の医薬組成物の用量およびその投与手段は、治療組成物の具体的な品質、患者の状態、年齢および体重、病気の進行、および他の関連する要素に基づいて決定される。例えば、ポリヌクレオチド治療組成物剤の投与として、注射、経口投与、粒子銃またはカテーテルによる投与および局所的な投与等、局所または全身投与が挙げられる。好ましくは、治療ポリヌクレオチド組成物は、プロモーターを、ここに開示されるポリヌクレオチドの少なくとも12、22、25、30または35個の連続するヌクレオチドのポリヌクレオチドに操作可能に連結してなる発現構築物を含む。多様な方法を用いて、治療組成物を体の特定の部位に直接投与することができる。例えば、小さい転移病巣の位置を特定し、治療組成物を腫瘍本体内の幾つかの異なる位置に数回注射する。もしくは、腫瘍のために働く動脈を同定し、治療組成物を腫瘍に直接送達するために、組成物をそのような動脈に注射する。壊死中心を有する腫瘍を吸引することで腫瘍のたった今空となった中心に組成物を直接注射する。アンチセンス組成物は、例えば、組成物の局所適用によって腫瘍の表面に直接投与する。X線画像診断を用いて上記の送達方法の一部に役立てる。
アンチセンスポリヌクレオチド、サブゲノムポリヌクレオチド、または特定の組織に対する抗体を含む治療組成物の標的化遺伝子導入を用いることもできる。レセプター仲介DNA導入技術は、例えば、Findeis et al.,Trends Biotechnol.(1993)11:202;Chiou et al.,Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff,ed.)(1994);Wu et al.,J.Biol.Chem.(1988)263:621;Wu et al.,J.Biol.Chem.(1994)269:542;Zenke et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1990)87:3655;Wu et al.,J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含む医薬組成物は、遺伝子治療プロトコールでの局所投与のために約100ng〜約200mgのDNA範囲で投与される。約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgのDNA濃度の範囲は、遺伝子治療プロトコールに用いることもできる。作用の方法(例えば、コードされる遺伝子産物のレベルの増強または阻害)および形質転換および発現の効率等の因子は、アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドの最終的な効能に必要とされる投与量に影響を与える考慮事項である。さらに高い発現が組織の広い領域にわたって望ましい場合、アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドのさらに高い量または連続する投与プロトコールで再投与される同じ量、または例えば腫瘍部位の異なる隣接する組織部分またはそれに近い組織部分に対する数回の投与が、肯定的な治療結果を得るために必要とされるだろう。すべての場合で、臨床試験の日常的な実験作業が、特定の範囲を最適な治療効果のために決定するだろう。
本発明の治療ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは遺伝子導入媒体を用いて導入することができる。遺伝子導入媒体はウイルス起源または非ウイルス起源であってよい(一般的には、例えば、Jolly,Cancer Gene Therapy(1994)1:51;Kimura,Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly,Human Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt,Nature Genetics(1994)6:148を参照)。そのようなコード配列の発現は、内在性の哺乳類プロモーターか異種プロモーターを用いて誘導することができる。コード配列の発現は構造的であるか、調節的でありうる。
所望のポリヌクレオチドの送達と所望の細胞における発現のためのウイルス系ベクターは当分野でよく知られている。例示的なウイルス系媒体として、組換えレトロウイルス(例えば、WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;USPN5,219,740;WO93/11230;WO93/10218;USPN4,777,127;英国特許第2,200,651号;EP0345242;およびWO91/02805を参照)、アルファウイルス系ベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林熱ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR 1249;ATCC VR−532))およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984およびWO95/00655)が挙げられるが、これらに限定されない。Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147に記載されたように死滅アデノウイルスに連結させたDNAの投与を用いることもできる。
死滅アデノウイルスのみに連結または連結していないポリカチオン性縮合DNA(例えば、Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147を参照);リガンド連結DNA(例えば、Wu,J.Biol.Chem.(1989)264:16985を参照);真核生物細胞導入媒体細胞(例えば、US5,814,482;WO95/07994;WO96/17072;WO95/30763;およびWO97/42338を参照)および核酸中和または細胞膜との融合等の、しかし、これらに限定されない非ウイルス導入媒体と方法も用いることができる。裸のDNAも使用することができる。例示的な裸のDNA導入方法は、WO90/11092とUS5,580,859に記載されている。遺伝子導入媒体として作用することができるリポソームは、US5,422,120;WO95/13796;WO94/23697;WO91/14445;およびEP0524968に記載されている。さらなるアプローチは、Philip,Mol.Cell Biol.(1994)14:2411およびWoffendin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581に記載されている。
使用に適するさらなる非ウイルス導入は、Woffendin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91(24):11581に記載のアプローチ等の機械的な送達系が挙げられる。さらに、コード配列およびそのような配列の発現の産物は、光重合ハイドロゲル材料の沈着または電離放射線の使用により導入することができる(例えば、US5,206,152およびWO92/11033を参照)。コード配列の導入に用いることのできる遺伝子導入の他の慣用的な方法として、例えば、手持ち式の遺伝子移入粒子銃の使用(例えば、US5,149,655を参照);移入遺伝子の活性化のために電離放射線の利用(例えば、USPN5,206,152およびWO92/11033を参照)が挙げられる。
一部の実施態様において、癌関連タンパク質およびモジュレーターは治療剤として投与され、上記のように処方することができる。同様に、癌関連遺伝子(癌関連コード領域の全長配列、部分配列または制御配列等)は当分野で知られているように、遺伝子治療の利用で投与することができる。これらの癌関連遺伝子は、当業者に理解されるように、遺伝子治療として(すなわち、ゲノムに対する取り込み)またはアンチセンス組成物としてのアンチセンス利用を含むことができる。
よって、一部の実施態様において、細胞または生物中の癌関連CACNA1E活性を調節する方法が提供される。一部の実施態様において、本方法は、内在性癌関連タンパク質の生物活性を減少または消去する抗癌関連抗体を細胞に投与することを含む。一部の実施態様において、本方法は、細胞または生物に、癌関連タンパク質をコードする組換え核酸を投与することを含む。当業者により理解されるように、これは多くの方法により達成されるだろう。一部の実施態様において、例えば、癌関連配列が癌において下方調節されている場合、例えば、内在性癌関連遺伝子を過剰発現するか、または癌関連配列をコードする遺伝子を公知の遺伝子治療技術を用いて投与することによって細胞中の癌関連発現レベルを増加することで癌関連発現産物の活性が高められる。一部の実施態様において、遺伝子治療技術は、例えば、参照により全文がここに組み込まれるPCT/US93/03868に記載のように、増強相同組換え(EHR)を用いて外来遺伝子を組み入れることを含む。一部の実施態様において、例えば、癌関連配列が癌において上方調節されている場合、内在性癌関連遺伝子の活性は、例えば、癌関連アンチセンス核酸の投与により減少する。
(d)ワクチン
一部の実施態様において、癌関連遺伝子は、単一の遺伝子か癌関連遺伝子の組み合わせのいずれかで、DNAワクチンとして投与する。裸のDNAワクチンは当分野で一般的に知られている(Brower,Nature Biotechnology,16:1304−1305(1998))。
一部の実施態様において、癌関連遺伝子は、単一の遺伝子か癌関連遺伝子の組み合わせのいずれかで、DNAワクチンとして投与する。裸のDNAワクチンは当分野で一般的に知られている(Brower,Nature Biotechnology,16:1304−1305(1998))。
一部の実施態様において、本発明の癌関連遺伝子はDNAワクチンとして用いられる。遺伝子をDNAワクチンとして使用する方法は当業者によく知られており、癌関連遺伝子または癌関連遺伝子の一部を、癌を有する患者の発現のためにプロモーターの制御下に置くことを含む。DNAワクチンに用いられる癌関連遺伝子は全長癌関連タンパク質をコードすることができるが、より好ましくは、癌関連タンパク質に由来するペプチド等の癌関連タンパク質の一部分をコードする。一部の実施態様において、患者は、癌関連遺伝子に由来する複数の塩基配列を含むDNAワクチンで免疫する。同様に、患者を複数の癌関連遺伝子またはその一部で免疫することができる。理論に縛られるわけではないが、DNAワクチンによりコードされるポリペプチドの発現、癌関連タンパク質を発現する細胞を認識し、破壊するか除去する細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞および抗体が誘導される。
一部の実施態様において、DNAワクチンは、アジュバント分子をコードする遺伝子をDNAワクチンとともに含む。そのようなアジュバント分子として、DNAワクチンによりコードされる癌関連ポリペプチドに対する免疫原性応答を高めるサイトカインが挙げられる。さらなるアジュバントまたは代わりのアジュバントは当業者に知られており、本発明での使用に有用であることが分かっている。
(e)抗体
上記の癌関連抗体は多くの利用に有用であることが分かっている。例えば、癌関連抗体は標準的なアフィニティークロマトグラフィーカラムに結合させて、癌関連タンパク質の精製に用いてよい。抗体は癌関連タンパク質に特異的に結合するので、上記のようにポリペプチドをブロックするものとして治療に用いてよい。
上記の癌関連抗体は多くの利用に有用であることが分かっている。例えば、癌関連抗体は標準的なアフィニティークロマトグラフィーカラムに結合させて、癌関連タンパク質の精製に用いてよい。抗体は癌関連タンパク質に特異的に結合するので、上記のようにポリペプチドをブロックするものとして治療に用いてよい。
さらに、本発明は、生体試料中のポリペプチドの存在を検出し、および/またはその量を測定する方法において、癌関連ポリペプチドが、癌細胞で差次的に発現する癌関連ポリヌクレオチドによりコードされ、コードされるポリペプチドに対して特異的な抗体を用いる方法を提供する。本方法は、一般的に、a)前立腺癌細胞で差次的に発現する癌関連ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに特異的な抗体を試料に接触させ、b)抗体と試料分子との結合を検出する工程を包含する。
適当なコントロールと比較して、コードされるCACNA1Eポリペプチドに特異的な抗体の特異的な結合の検出は、コードされるポリペプチドが試料に存在することを示す。適当なコントロールとして、コードされる癌関連ポリペプチドを含まないことが知られているか、あるいは、より高いレベルのポリペプチドを含まないことが知られている試料、例えば、正常な組織、およびコードされるポリペプチドに特異的ではない抗体、例えば、抗イディオタイプ抗体に接触させた試料が挙げられる。特異的な抗体−抗原相互作用を検出する多様な方法が当分野で知られており、標準的な免疫組織学的方法、免疫沈降、エンザイムイムノアッセイおよびラジオイムノアッセイ等の、しかし、これらに限定されない方法に用いることができる。一般的に、特異抗体は、直接または間接に検出可能に標識されるだろう。直接標識として、放射性同位元素;産物が検出可能な酵素(例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ等);蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン等);EDTA等の金属キレート基により抗体に結合させた蛍光発光金属、例えば、152Eu、またはランタニド系列の他の金属;化学発光化合物、例えば、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウム塩等;生物発光化合物、例えば、ルシフェリン、エクオリン(緑色蛍光タンパク質)等が挙げられる。抗体は、ポリスチレンプレートまたはビーズ等の不溶性支持体に付着(結合)させてよい。間接標識として、コードされたポリペプチドに特異的な抗体(「第一特異抗体」)に特異的な第二抗体(この第二抗体は上記のように標識されている)、および特異的結合対のメンバー、例えば、ビオチン−アビジン等が挙げられる。生体試料は、細胞、細胞粒子または可溶性タンパク質を固定化することのできるニトロセルロース等の固体支持体または担体に接触、固定化してよい。次に、支持体を適当な緩衝液で洗浄した後、検出可能に標識した第一特異抗体に接触させてよい。検出方法は当分野で知られており、検出可能な標識により発するシグナルに適するように選択されるだろう。一般的に、検出は、適当なコントロールおよび適当なスタンダードに比較して行なわれる。
一部の実施態様において、本方法は、例えば、癌細胞が存在する部位を突き止めるか同定するインビボでの使用に適合する。これらの実施態様において、癌関連ポリペプチドに特異的で、検出可能に標識された成分、例えば、抗体を個体に(例えば、注射により)投与し、標識された細胞の位置を、磁気共鳴画像法、コンピューター断層撮影法等の、しかし、これらに限定されない標準的な画像診断技術を用いて定める。このようにして癌細胞を差次的に標識する。
(f)癌の検出と診断の他の方法
理論により縛られるものではないが、ここで開示されるCACNA1E配列は癌において重要であると思われる。したがって、変異体または変種の癌関連遺伝子に基づく疾患が決定されるだろう。一部の実施態様において、本発明は、細胞中の少なくとも1つの内在性癌関連遺伝子の配列の全てまたは一部を決定することを含む、変種癌関連遺伝子を含む細胞を同定する方法を提供する。当業者により理解されるように、これは、いろいろな配列決定法を用いて行なわれるだろう。一部の実施態様において、本発明は、個体の少なくとも1つの癌関連遺伝子の配列の全てまたは一部を決定することを含む、個体の癌関連表現型を同定する方法を提供する。これは、一般的に、個体の少なくとも1つの組織に対して行なわれ、多くの組織または同一の組織の異なる試料の評価を含んでよい。この方法は、公知の癌関連遺伝子、すなわち、野生型遺伝子に対して、配列決定された癌関連遺伝子の配列を比較することを含んでよい。当業者により理解されるように、一部の癌関連遺伝子の配列の変更は、病気の存在、または病気を進行させる傾向の指標、または予後の判定となりうる。
理論により縛られるものではないが、ここで開示されるCACNA1E配列は癌において重要であると思われる。したがって、変異体または変種の癌関連遺伝子に基づく疾患が決定されるだろう。一部の実施態様において、本発明は、細胞中の少なくとも1つの内在性癌関連遺伝子の配列の全てまたは一部を決定することを含む、変種癌関連遺伝子を含む細胞を同定する方法を提供する。当業者により理解されるように、これは、いろいろな配列決定法を用いて行なわれるだろう。一部の実施態様において、本発明は、個体の少なくとも1つの癌関連遺伝子の配列の全てまたは一部を決定することを含む、個体の癌関連表現型を同定する方法を提供する。これは、一般的に、個体の少なくとも1つの組織に対して行なわれ、多くの組織または同一の組織の異なる試料の評価を含んでよい。この方法は、公知の癌関連遺伝子、すなわち、野生型遺伝子に対して、配列決定された癌関連遺伝子の配列を比較することを含んでよい。当業者により理解されるように、一部の癌関連遺伝子の配列の変更は、病気の存在、または病気を進行させる傾向の指標、または予後の判定となりうる。
次に、CACNA1E遺伝子の全てまたは一部の配列を公知のCACNA1E遺伝子の配列に比較して違いが存在するかどうかを判定する。これは、Bestfit等のいろいろな公知の相同性プログラムを用いて実施することができる。一部の実施態様において、患者の癌関連遺伝子と公知の癌関連遺伝子との配列の違いの存在が、ここに記載するように病状または病状の傾向を示す。
一部の実施態様において、CACNA1E遺伝子をプローブとして用いて、ゲノム中の癌関連遺伝子のコピー数を決定する。例えば、一部の癌は染色体欠失または挿入を示し、遺伝子のコピー数の変化をもたらす。
一部の実施態様において、CACNA1E遺伝子をプローブとして用いて、癌関連遺伝子の染色体位置を決定する。染色体位置等の情報には、特にトランスロケーション等の染色体異常が癌関連遺伝子座に同定される場合に診断または予後の提供での有用性が見いだされている。
本発明は、癌細胞を検出し、対象中の癌および癌の重篤度(例えば、腫瘍の異型度、全身腫瘍組織量等)の診断を容易にし、対象の予後の決定を容易にし、治療に対する対象の応答性を(例えば、化学療法レジメン中またはその後の全身腫瘍組織量を評価することによる、例えば、治療効果の尺度を提供することにより)評価するために、ここに記載のポリヌクレオチドを使用する方法を提供する。検出は、癌細胞に差次的に発現するポリヌクレオチドの検出、および/または癌細胞において差次的に発現するポリヌクレオチドによりコードされるポリヌクレオチドの検出に基づくことができる。本発明の検出方法は、インビトロまたはインビボで、または単離細胞について、または全組織または体液(例えば、血液、血漿、血清、尿等)において実施することができる。
一部の実施態様において、癌細胞で差次的に発現する転写物の細胞中での発現を検出することにより癌細胞を検出する方法が提供される。前立腺癌細胞で差次的に発現するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによるハイブリダイゼーションによる転写物の検出;特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応法による転写物の検出;前立腺癌細胞で差次的に発現する遺伝子にハイブリダイズするポリヌクレオチドをプローブとして用いる細胞のin situハイブリダイゼーション法等の、しかし、これらに限定されない検出のために多様な公知の方法を用いることができる。本方法は、癌細胞で差次的に発現する遺伝子のmRNAレベルを検出および/または測定するために用いることができる。一部の実施態様において、本方法は、a)ハイブリダイゼーションを可能とする条件下で、差次的に発現するここに記載の遺伝子に対応するポリヌクレオチドに試料を接触させ、b)ハイブリダイゼーションがもしあれば検出する工程を包含する。
適当なコントロールに比較した場合の差次的ハイブリダイゼーションの検出は、癌細胞で差次的に発現するポリヌクレオチドの試料中での存在の指標である。適当なコントロールとして、例えば、癌細胞で差次的に発現するポリヌクレオチドを含まないことが知られている試料が挙げられ、癌細胞で差次的に発現するポリヌクレオチドと同じ「センス」の標識ポリヌクレオチドを使用する。ハイブリダイゼーションを可能とする条件は当分野で公知であり、さらに詳しく既述した。さらに、検出は、in situハイブリダイゼーション、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)、RT−PCR(逆転写PCR)、TMA、bDNA、およびNasbauおよび「ノーザン」またはRNAブロット、またはそれらの技術の組合せ等の、しかし、これらに限定されない公知の方法により、適当に標識されたポリヌクレオチドを使用して達成することができる。多様な標識およびポリヌクレオチドの標識方法は当分野で知られており、本発明のアッセイ方法に用いることができる。ハイブリダイゼーションの特異性は適当なコントロールとの比較により決定することができる。
ここに提供されるポリヌクレオチドの一般的に少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも12ヌクレオチドまたは少なくとも15の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが、前立腺癌細胞で差次的に発現するポリヌクレオチドの転写レベルを検出し、および/または測定するためのプローブ等の多様な目的のために用いられる。容易に当業者により理解されるように、プローブは検出可能に標識され、例えば、試験試料から得られた固定化ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含むアレイに接触させることができる。もしくは、プローブはアレイに固定化し、試験試料を検出可能に標識することができる。本発明方法のこれらや他のバリエーションは当業者の十分な範囲内にあり、本発明の範囲内にある。
ヌクレオチドプローブは、提供されたポリヌクレオチドの対応する遺伝子の発現を検出するために使用される。ノーザンブロットにおいて、mRNAは電気泳動により分離され、プローブに接触させる。プローブは特定のサイズのmRNA種にハイブリダイズするものとして検出される。ハイブリダイゼーションの量を定量して、例えば、特定の条件下での発現の相対的な量を決定することができる。プローブは、発現を検出するために細胞へのin situハイブリダイゼーションに用いられる。プローブは、ハイブリダイズする配列の診断的検出のためにインビボで用いることもできる。通常、プローブは放射性同位元素で標識される。クロモフォア、フルオロフォアおよび酵素等の他の種類の検出可能な標識も用いることができる。ヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイの他の例は、WO92/02526およびUSPN5,124,246に記載されている。
PCRは、少量の標的核酸を検出する他の手段である(例えば、Mullis et al.,Meth.Enzymol.(1987)155:335;USPN4,683,195;およびUSPN4,683,202を参照)。標的核酸にハイブリダイズする二つのプライマーオリゴヌクレオチドを用いて反応を開始させる。プライマーは、ここに開示の癌関連ポリヌクレオチド内の配列か、3’および5’配列から構成することができる。もしくは、プライマーがこれらのポリヌクレオチドの3’および5’である場合、それらは、それらまたは相補体にハイブリダイズする必要はない。熱安定ポリメラーゼによる標的の増幅後、増幅標的核酸は、当分野で公知の方法、例えば、サザーンブロットにより検出することができる。さらに、mRNAまたはcDNAは、Sambrook et al.,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”(New York,Cold Spring Harbor Laboratory,1989)に記載されている伝統的なブロッティング技術(例えば、サザーンブロット、ノーザンブロット等)により(例えばPCR増幅なしに)検出することができる。一般的に、mRNAまたはポリメラーゼ酵素を用いてmRNAから作られたcDNAはゲル電気泳動を用いて精製、分離することができ、ニトロセルロース等の固体支持体に移される。固体支持体は標識プローブに曝し、洗浄してハイブリダイズしなかったプローブを除去し、標識プローブを含む二本鎖を検出する。
PCR増幅を用いる方法は単一細胞からのDNAを用いて実施することができるが、少なくとも約105細胞を使用するのが便利である。ポリメラーゼ連鎖反応法の利用は、Saiki等(Science 239:487(1985))に記載され、現在の技術の概説は、Sambrook等(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,CSH Press 1989,pp.14.2−14.33)に見られるだろう。検出可能な標識は増幅反応に含めてよい。適当な検出可能な標識として、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA))、放射性標識(例えば、32P、35S、3H等)等が挙げられる。標識は二段階システムであってよく、ここでポリヌクレオチドは、高親和性結合パートナー、例えば、アビジン、特異抗体等を有するビオチン、ハプテンに結合させ、該結合パートナーは検出可能な標識に結合させる。標識は、プライマーの1つまたは両プライマーに結合させてもよい。もしくは、増幅に使用されるヌクレオチドのプールを、標識が増幅産物に取り込まれるように標識する。
検出方法に用いられる試薬は、キットの一部として提供することができる。よって、本発明は、(例えば、差次的に発現する興味のある遺伝子によりコードされるmRNAを検出することにより)癌細胞で差次的に発現するポリヌクレオチドの存在および/または量、および/またはそれによりコードされる生体試料中のポリペプチドの存在および/または量を検出するキットをさらに提供する。これらのキットを使用する操作は、臨床検査室、実験室、医師または民間の個体により実施されうる。癌細胞において差次的に発現するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを検出する本発明のキットは、ポリペプチドまたはその断片に結合する抗体であってよい、ポリペプチドに特異的に結合する成分を含んでよい。前立腺癌細胞において差次的に発現するポリヌクレオチドを検出するために用いられる本発明のキットは、そのようなポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする成分を含んでよい。キットは、任意に、緩衝剤、展開試薬、標識、反応表面、検出手段、コントロール試料、スタンダード、説明書、および解釈するための情報等の、しかし、これらに限定されない操作に有用なさらなる構成要素を提供してよい。
さらに、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)における腫瘍状態または腫瘍発生前の状態の検出/診断方法に関する。ここで用いられる「診断」は、一般的に、病気または疾患への患者の罹りやすさの決定、対象が病気または疾患により現在冒されているかについての決定、病気または疾患により冒された対象の予後(例えば、前転移性または転移性癌の段階、癌の病期、または治療に対する癌の応答性の同定)および治療指標(例えば、治療の効果または効能に関する情報を提供するための患者の状態のモニタリング)を含む。
「効果量」とは、臨床結果を含む有益または望ましい結果を達成するのに十分な量である。効果量は一回以上の投与で投与することができる。
「細胞試料」とは、個体から得られた多様な試料タイプを含み、診断アッセイやモニタリングアッセイに用いることができる。この定義は、血液や生物起源の他の液体試料、生検試料または組織培養物またはそれから得られた細胞等の固体組織試料、およびそれらの子孫を含む。この定義は、調達後に、試薬による処理、安定化、またはタンパク質かポリヌクレオチド等の一定の成分の濃縮等、形はどうであれ処置された試料も含む。「細胞試料」との用語は、臨床試料を含み、さらに培養物、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生体液、および組織試料中の細胞を含む。
ここで用いられる「新生細胞」、「新生組織形成」、「腫瘍」、「腫瘍細胞」、「癌」および「癌細胞」との用語(これらは交換可能に用いられる)は、比較的に自律的な増殖を示し、細胞増殖の制御の顕著な損失(すなわち、調節が解除された細胞分裂)により特徴付けられる異常な成長表現型を示す細胞をいう。新生細胞は悪性または良性のいずれかでありうる。
「個体」、「対象」、「ホスト」および「患者」との用語はここでは交換可能に用いられ、診断、処置または治療を必要とする哺乳類対象、特にヒトをいう。他の対象として、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ等が挙げられる。これらの方法にしたがって検出/診断することのできる病気の例として癌が挙げられる。適当な発現パターンを示す遺伝子に対応するポリヌクレオチドは、対象中の癌を検出するために用いることができる。癌のマーカーの概説に関しては、例えば、Hanahan et al.Cell 100:57−70(2000)を参照されたい。
一部の実施態様において、検出/診断方法は、(a)哺乳動物(例えば、ヒト)から生体試料を得て、(b)試料中の癌関連タンパク質の存在を検出し、(c)存在する産物の量をコントロール試料中の該当する量に比較する工程を包含する。一部の実施態様において、試料中の上昇量の癌関連遺伝子産物の存在は、対象が腫瘍または前腫瘍状態を有することを示す。
本方法での使用に適する生体試料として、血清、血漿、胸水、尿および脳脊髄液等の生体液が挙げられ、生検から得られた試料等、CSF、組織試料(例えば、乳腺腫瘍切片や前立腺組織切片)も本発明の方法に使用することができる。例えば、組織生検から得られた細胞培養物や細胞抽出物も使用することができる。
一部の実施態様において、化合物は結合タンパク質、例えば、ポリクローナルまたはモノクローナルの抗体またはその抗原結合断片であり、これらは検出可能なマーカー(例えば、フルオロフォア、クロモフォアまたは同位体等)で標識することができる。適当であれば、化合物は、ビーズ、プレート、フィルター、樹脂等の固体支持体に付着させることができる。複合体の形成の決定は、複合体を、第一化合物(または複合体)に特異的に結合するさらなる化合物(例えば、抗体)に接触させることにより達成することができる。第一化合物のように、さらなる化合物は、固体支持体に付着させることができ、および/または検出可能なマーカーで標識することができる。
本発明による上昇量の癌関連タンパク質の同定は、補助療法から有益性が得られそうな対象(患者)の同定を可能とする。例えば、一次療法後の対象(例えば、手術を受けた対象)からの生体試料を、流血中癌関連タンパク質の存在に関してスクリーニングを行ない、正常な正規母集団の研究から決定された上昇量のタンパク質の存在が残留する腫瘍組織を示すものとなる。同様に、手術で除去された腫瘍の切断部位の組織を(例えば免疫蛍光法により)調べ、ここでは、(周囲の組織に比較して)上昇量の産物の存在が腫瘍の不完全な除去を示す。そのような対象を同定する能力は、治療を特定の対象の必要にあわせることを可能とする。非手術治療、例えば化学療法または放射線治療を受ける対象もモニターすることができ、ここでは、そのような対象からの試料中の上昇量の癌関連タンパク質の存在が継続治療の必要性を示す。さらに、(例えば、治療計画の最適化の目的のための)病期診断は、例えば、癌関連タンパク質に特異的な抗体を用いた例えば生検によって実施できる。
(g)動物模型とトランスジェニック動物
癌関連遺伝子には、癌、特に、リンパ腫、白血病、乳癌、結腸癌、直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌または皮膚癌、および結腸転移等の転移の動物模型の作成にも有用性を見つけている。当業者に理解されるように、同定された癌関連遺伝子が癌関連組織で抑制または減少する場合、アンチセンスRNAが癌関連遺伝子に向けられた遺伝子治療技術も、遺伝子の発現を減少または抑制するだろう。そのようなものとして作られた動物は、生理活性医薬候補物のスクリーニングに有用性を見いだす癌関連の動物模型として役立つ。同様に、例えば、適当な遺伝子標的化ベクターとの相同組換えの結果としての遺伝子ノックアウト技術は癌関連タンパク質の欠如をもたらすだろう。望ましい場合、癌関連タンパク質の組織特異的発現またはノックアウトが必要であろう。
癌関連遺伝子には、癌、特に、リンパ腫、白血病、乳癌、結腸癌、直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌または皮膚癌、および結腸転移等の転移の動物模型の作成にも有用性を見つけている。当業者に理解されるように、同定された癌関連遺伝子が癌関連組織で抑制または減少する場合、アンチセンスRNAが癌関連遺伝子に向けられた遺伝子治療技術も、遺伝子の発現を減少または抑制するだろう。そのようなものとして作られた動物は、生理活性医薬候補物のスクリーニングに有用性を見いだす癌関連の動物模型として役立つ。同様に、例えば、適当な遺伝子標的化ベクターとの相同組換えの結果としての遺伝子ノックアウト技術は癌関連タンパク質の欠如をもたらすだろう。望ましい場合、癌関連タンパク質の組織特異的発現またはノックアウトが必要であろう。
癌関連タンパク質を癌で過剰発現させることも可能である。そのようなものとして、癌関連タンパク質を過剰発現するトランスジェニック動物を作ることができる。所望の発現レベルに応じて、多様な強さのプロモーターを用いてトランスジーンを発現することができる。さらに、組み込まれたトランスジーンのコピー数が決定され、トランスジーンの発現レベルの決定値と比較される。そのような方法により作られた動物は、癌関連の動物模型として有用であることが分かり、癌を治療する生理活性分子に対するスクリーニングにさらに有用であろう。
併用療法
一部の実施態様において、本発明は、癌に対してさらに向上した効能を提供する2種類以上のCACNA1Eの抗体を含む組成物を提供する。2種類以上のCACNA1E抗体を含む組成物は、癌にかかるか、または癌にかかりやすいヒトまたは哺乳動物に投与してよい。1種類以上のCACNA1E抗体は、細胞毒性薬または癌化学療法剤等の別の治療剤とともに投与してもよい。2種類以上の治療剤の併用投与は、治療剤がそれらの治療効果をおよぼす期間に重複が存在するかぎり、それらの治療剤を同時または同じ経路により投与する必要はない。同時または逐次的な投与(異なる日または週での投与)が意図される。
一部の実施態様において、本発明は、癌に対してさらに向上した効能を提供する2種類以上のCACNA1Eの抗体を含む組成物を提供する。2種類以上のCACNA1E抗体を含む組成物は、癌にかかるか、または癌にかかりやすいヒトまたは哺乳動物に投与してよい。1種類以上のCACNA1E抗体は、細胞毒性薬または癌化学療法剤等の別の治療剤とともに投与してもよい。2種類以上の治療剤の併用投与は、治療剤がそれらの治療効果をおよぼす期間に重複が存在するかぎり、それらの治療剤を同時または同じ経路により投与する必要はない。同時または逐次的な投与(異なる日または週での投与)が意図される。
一部の実施態様において、本発明の方法は、異なる抗体の組合せまたは「カクテル」(混合物)の投与を意図する。そのような抗体カクテルは、異なるイフェクターメカニズムを利用する抗体を含むか、または細胞傷害抗体を、免疫イフェクター機能性に頼る抗体に直接組み合わせるかぎり、一定の利点を有するだろう。そのような組み合わせられた抗体は相乗的治療効果を示すだろう。
細胞毒性薬とは、細胞の機能を抑制または妨げ、および/または細胞の破壊を引き起こす物質をいう。この用語は、放射活性同位元素(例えば、I131、I125、Y90およびRe186)、化学療法剤、および細菌、真菌、植物または動物起源または合成毒素等、酵素活性型毒素またはそれらの断片を含むことを意図する。非細胞毒性薬とは、細胞の機能を抑制することも妨げることもなく、および/または細胞の破壊も引き起こすことのない物質をいう。非細胞毒性薬として、活性化されて細胞毒性となりうる物質も挙げられるだろう。非細胞毒性薬として、ビーズ、リポソーム、マトリクスまたは粒子が挙げられる(例えば、米国特許公報2003/0028071および米国特許公報2003/0032995を参照。これらは参照によりここに組み込まれる)。そのような物質は、本発明の抗体と複合体化、結合、連結または会合させてよい。
一部の実施態様において、従来の癌医薬を本発明の組成物とともに投与する。従来の癌医薬として下記のものが挙げられる:
a)癌の化学療法剤、
b)さらなる物質、
c)プロドラッグ。
a)癌の化学療法剤、
b)さらなる物質、
c)プロドラッグ。
癌の化学療法剤として、カルボプラチンやシスプラチン等のアルキル化剤;ナイトロジェンマスタードアルキル化剤;カルムスチン(BCNU)等のニトロソウレアアルキル化剤;メトトレキサート等の代謝拮抗剤;フォリン酸;メルカプトプリン等のプリン類似体代謝拮抗剤;フルオロウラシル(5−FU)やゲムシタビン(Gemzar(登録商標))等のピリミジン類似体代謝拮抗剤;ゴセレリン、ロイプロリドおよびタモキシフェン等のホルモン抗悪性腫瘍薬;アルデスロイキン、インターロイキン−2、ドセタキセル、エトポシド(VP−16)、インターフェロンアルファ、パクリタキセル(タキソール(登録商標))およびトレチノイン(ATRA)等の天然抗悪性腫瘍剤;ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダウノマイシンおよびマイトマイシン(マイトマイシンCを含む)等の抗生物質の天然抗悪性腫瘍剤;およびビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン等のビンカアルカロイドの天然抗悪性腫瘍剤;ヒドロキシウレア;アセグラトン、アドリアマイシン、イホスファミド、エノシタビン、エピチオスタノール、アクラルビシン、アンシタビン、ニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、カルボコン、カルボプラチン、カルモフール、クロモマイシンA3、抗腫瘍性多糖類、抗腫瘍血小板因子、シクロホスファミド(Cytoxin(登録商標))、Schizophyllan、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ダカルバジン、チオイノシン、チオテパ、テガフール、ドラスタチン、ドラスタチン類似体、例えば、オウリスタチン、CTP−11(イリノテカン)、ミトザントロン、ビノレルビン、テニポシド、アミノプテリン、カルミノマイシン、エスペルアミシン(例えば、米国特許第4,675,187号を参照)、ネオカルチノスタチン、OK−432、ブレオマイシン、フールツロン、ブロクスウリジン、ブスルファン、ホンバン、ペプロマイシン、ベスタチン(Ubenimex(登録商標))、インターフェロン−β、メピチオスタン、ミトブロニトール、メルファラン、ラミニンペプチド、レンチナン、カワラタケ虹色抽出物、テガフール/ウラシル、エストラムスチン(エストロゲン/メクロレタミン)が挙げられるが、これらに限定されない。
癌患者の治療剤として用いてよいさらなる物質として、EPO、G−CSF、ガンシクロビル;抗生物質、ロイプロリド;メペリジン;ジドブジン(AZT);インターロイキン1〜18(変異体と類似体を含む);インターフェロンまたはサイトカイン、インターフェロンα、βおよびγホルモン、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)および類似体および生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH);成長因子、例えば、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、線維芽細胞成長因子(FGF)、神経成長因子(NGF)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、上皮細胞成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子相同因子(FGFHF)、肝細胞増殖因子(HGF)およびインシュリン成長因子(IGF);腫瘍壊死因子−αおよびβ(TNF−αおよびβ);侵襲阻害因子−2(IIF−2);骨形成タンパク質1−7(BMP1−7);ソマトスタチン;サイモシン−α−1;γ−グロブリン;スーパーオキシドジスムターゼ(SOD);補体因子;抗血管新生因子;抗原性物質;およびプロドラッグが挙げられる。
プロドラッグは、親医薬に比べて腫瘍細胞に対して細胞毒性が低いか、非細胞毒性であり、かつ活性形または親医薬よりも活性のある形に酵素的に活性化または変換されうる前駆体または誘導体形の薬学活性物質をいう。例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions,14,pp.375−382,615th Meeting Belfast(1986)およびStella et al,“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(ed.),pp.247−267,Humana Press(1985)を参照されたい。プロドラッグとして、さらに活性のある細胞毒性遊離薬物に変換することのできるリン酸塩を含有するプロドラッグ、チオリン酸塩を含有するプロドラッグ、硫酸塩を含有するプロドラッグ、ペプチドを含有するプロドラッグ、Dアミノ酸で修飾されたプロドラッグ、グリコシレート化プロドラッグ、b−ラクタムを含有するプロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセタミドを含有するプロドラッグまたは任意に置換されたフェニルアセタミドを含有するプロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。ここで使用されるプロドラッグ形に誘導体化することのできる細胞毒性薬の例として、上記の化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。
細胞毒性薬または診断薬の細胞への送達方法
さらに、本発明は、癌関連遺伝子を発現する1つ以上の細胞に細胞毒性薬または診断薬を送達する方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、細胞毒性薬または診断薬に複合体化させた本発明の抗体、ポリペプチドまたはヌクレオチドを細胞に接触させることからなる。そのような複合体は上記した通りである。
さらに、本発明は、癌関連遺伝子を発現する1つ以上の細胞に細胞毒性薬または診断薬を送達する方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、細胞毒性薬または診断薬に複合体化させた本発明の抗体、ポリペプチドまたはヌクレオチドを細胞に接触させることからなる。そのような複合体は上記した通りである。
親和性精製
一部の実施態様において、本発明は、親和性精製のための方法および組成物を提供する。一部の実施態様において、本発明の抗体を、セファデックス樹脂またはろ紙等の固相に、当分野でよく知られた方法を用いて固定化する。固定化抗体を、精製しようとする腫瘍細胞抗原タンパク質(またはその断片)を含む試料に接触させ、その後に、固定化抗体に結合する腫瘍細胞抗原タンパク質以外の試料中の実質的にすべての物質を除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、抗体からの腫瘍細胞抗原タンパク質を遊離させるグリシン緩衝液(pH5.0)等の別の適当な溶媒によって支持体を洗浄する。
一部の実施態様において、本発明は、親和性精製のための方法および組成物を提供する。一部の実施態様において、本発明の抗体を、セファデックス樹脂またはろ紙等の固相に、当分野でよく知られた方法を用いて固定化する。固定化抗体を、精製しようとする腫瘍細胞抗原タンパク質(またはその断片)を含む試料に接触させ、その後に、固定化抗体に結合する腫瘍細胞抗原タンパク質以外の試料中の実質的にすべての物質を除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、抗体からの腫瘍細胞抗原タンパク質を遊離させるグリシン緩衝液(pH5.0)等の別の適当な溶媒によって支持体を洗浄する。
下記の実施例は、本発明を如何に作り、使用するかについての完全な開示と説明を当業者に提供するように説明されるものであり、発明者が発明とみなすものの範囲を制限するものではないし、以下の実験が実施された全てで唯一の実験であることを示すものでもない。使用される数字(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するために努力が払われているが、一部の実験誤差や逸脱について考慮する必要がある。他に特に示されていなければ、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセ氏温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
実施例1:マウスにおける腫瘍誘導後の挿入部位分析
マウス乳癌ウイルス(MMTV)またはマウス白血病ウイルス(MLV)を用いて腫瘍をマウスに誘導した。MMTVは乳腺腺癌を引き起こし、MLVは多様な異なる造血器悪性腫瘍(主にT細胞またはB細胞のリンパ腫)を引き起こす。
マウス乳癌ウイルス(MMTV)またはマウス白血病ウイルス(MLV)を用いて腫瘍をマウスに誘導した。MMTVは乳腺腺癌を引き起こし、MLVは多様な異なる造血器悪性腫瘍(主にT細胞またはB細胞のリンパ腫)を引き起こす。
下記の3感染経路を用いた:(1)精製ウイルス調製物の新生仔への注射、(2)乳での育成中の乳汁媒介ウイルスによる感染、および(3)生殖系列を経た病原性プロウイルスの遺伝子的伝染(Akvrlおよび/またはMtv2)。侵された各マウスに存在する悪性腫瘍のタイプは、ホルマリンで固定し、パラフィン包埋した生検試料のH&E染色の薄切片の組織学的分析により決定した。各腫瘍中のすべてのクローン的に統合されたプロウイルスに隣接するホストDNA配列は、制限酵素で消化された腫瘍DNAに連結された40bpの二本鎖DNAアンカーに特異的な2種類のプライマーと2種類のウイルス特異的プライマーとを用いて、ネステッドアンカーPCRにより回収した。ホスト/ウイルス結合部位断片を表す増幅バンドをクローニングし、それらの配列決定を行なった。次に、ホスト配列(「タグ」と呼ばれる)を用いて、マウスゲノム配列のBLAST分析を行なった。
次に、抽出されたマウスゲノムタグ配列を、www.ensembl.orgからダウンロードされたドラフトマウスゲノムアセンブリ(NCBIm33リリース)に対して位置付けた。下記のパラメーター設定:−t=10−X=Ie−10−v=20−b=20−RによるTimelogicの加速ブラストアルゴリズム、テトラブラストを用いて、ゲノムに45bp以上のタグ配列を位置付けた。下記のパラメーター設定:−e1000−FF−W9−v20−b20によるNCBIブラストオールアルゴリズムにより、ゲノムに対して短いタグ配列(<45bp)を位置付けた。次に、タグ配列長の少なくとも30%にわたる最小95%の同一性を通常必要とする各タグ配列の最良のマッチのために、組み合わせたブラスト結果を選別した。独自の染色体配置を有するタグを遺伝子コールプロセスに移した。
それぞれの個々のタグのために、次の3パラメーター:(1)マウス染色体割り当て、(2)組み込みが起こった塩基対座標および(3)プロウイルス配向を記録した。この情報を用いて、全ての分析された腫瘍からの全ての利用可能なタグをマウスゲノムに対して位置付けた。プロウイルス挿入変異のプロトオンコジーン標的を同定するために、組込み体の各クラスターでのプロウイルス組み込みパターンをトランスクリプトームでの全ての公知の遺伝子の位置に比較して分析した。2つ以上の独立した腫瘍での同じ遺伝子座でのプロウイルスの存在は、プロトオンコジーンが、プロウイルス組み込み部位に存在するか、またはその部位の非常に近くに存在するとの一応の証拠となる。これは、ゲノムが大きすぎて、ランダム組み込みが、観察できるクラスター形成をもたらすことができないためである。検出されたいずれのクラスター形成も、腫瘍形成中の生物学的選択の明瞭な証拠を提供する。プロウイルス挿入変異のプロトオンコジーン標的のヒト相同分子種を同定するために、マウスゲノムとヒトゲノムのシンテニー領域の比較分析を実施した。
アンサンブルマウス遺伝子模型とUCSC参照配列および公知遺伝子のセットを用いてマウストランスクリプトームを表した。上記のように、タグ染色体位置および隣接遺伝子に対するプロウイルス挿入配向に基づいて、各タグをその最近接遺伝子に割り当てた。遺伝子に関係のあるプロウイルス挿入は、I型挿入とII型挿入の2つのカテゴリーに分類した。挿入が、イントロンやエキソンにかかわらず遺伝子座内に存在した場合、それをII型挿入と表した。そうでない場合、次の付加的な基準:1)挿入が遺伝子座の外側にあるが、遺伝子の開始または終止位置から100キロベース以内にあり、2)上流挿入に関しては、プロウイルス配向は遺伝子の配向とは反対であり、3)下流挿入に関しては、プロウイルス配向は遺伝子の配向と同じであるとの基準を満たすのであれば、挿入はI型挿入と表した。このプロセスで発見された遺伝子または転写物にはNCBI Locus Linkアノテーションの遺伝子座IDが与えられた。少なくとも2つのウイルス挿入物を有する独自のマウス遺伝子座IDが現在のオンコゲノムTMを構成する。
ヒト相同分子種をオンコゲノムTMのマウス遺伝子に割り当てるために、MGIのマウス/ヒト相同分子種アノテーションとNCBIのホモロジーンアノテーションを用いた。相同分子種アノテーションに矛盾または欠如が存在する場合、マウスゲノムとヒトゲノムのシンテニー領域の比較分析を、UCSCまたはアンサンブルゲノムブラウザーを用いて実施した。オーソロガスヒト遺伝子にはNCBI Locus Linkからの遺伝子座IDが与えられ、これらのヒト遺伝子を、ここに記載のように癌治療薬の潜在的な標的としてさらに評価した。
実施例2:定量RT−PCRの分析:比較CT法
RT−PCR分析を次の4つの主要な工程に分けた:1)一次の正常組織と腫瘍組織からのRNA精製;2)リアルタイム定量PCRのために精製組織RNAからの第一鎖cDNAの生成;3)384ウエル反応に合わせたABI PRISM 7900HT配列検出システム4を用いた遺伝子発現用RT−PCRの設定;4)癌で差次的に発現した(上方調節された)遺伝子を同定するために統計的方法によるRT−PCRデータの分析。これらの工程は以下に詳しく説明する。
RT−PCR分析を次の4つの主要な工程に分けた:1)一次の正常組織と腫瘍組織からのRNA精製;2)リアルタイム定量PCRのために精製組織RNAからの第一鎖cDNAの生成;3)384ウエル反応に合わせたABI PRISM 7900HT配列検出システム4を用いた遺伝子発現用RT−PCRの設定;4)癌で差次的に発現した(上方調節された)遺伝子を同定するために統計的方法によるRT−PCRデータの分析。これらの工程は以下に詳しく説明する。
A)一次の正常組織と腫瘍組織からのRNA精製
これは、Qiagen RNeasyミニキットカタログ#74106を用いて実施した。組織チャックは通常約30μgのRNAを生じ、150μlの溶出緩衝液が用いられる場合、約200ng/μlの最終濃度をもたらした。
これは、Qiagen RNeasyミニキットカタログ#74106を用いて実施した。組織チャックは通常約30μgのRNAを生じ、150μlの溶出緩衝液が用いられる場合、約200ng/μlの最終濃度をもたらした。
RNAをQiagenのプロトコールを用いて抽出した後、Molecular ProbesのRibogreen定量試薬を、製造者のプロトコールにしたがって用いてRNAの収量と濃度を決定した。
抽出したRNAの完全性を、EtBr染色アガロースゲルを用いて評価して、28Sと18Sのバンドが等しい強度を有するかどうかを決定した。さらに、試料バンドは明白で目に確認できるに違いない。バンドが目に見えないか、またはゲル全体が汚れている場合、その試料は捨てた。
抽出RNAの完全性は、Agilent 2100を製造者のプロトコールにしたがって用いることでも評価した。Agilentバイオアナライザー/“Lab−On−A−Chip”は、RNA試料の電気泳動図を作るマイクロ流体システムである。18Sと28Sバンドの比率およびベースラインの滑らかさを観察することにより、RNA分解のレベルの決定を行なった。1未満の28S:18S比を有する試料は捨てた。
さらに、RNA試料をRT−PCRにより調べて、抽出中のゲノムDNA汚染レベルを決定した。一般的に、逆転写酵素の存在下または非存在下に、興味のある遺伝子の有効なTaqmanプライマーとプローブを用いて、RNA試料を直接分析した。一反応あたり、12.5ngのRNAを、1ウエルあたり5μlの容積で384ウエルのフォーマットで四つ組にて使用した。(2μlのRNA+3μlのRT+またはRT−マスターミックス)。下記の熱サイクルパラメーターを用いた(2工程PCR):
a)Ctの違いは合格のためには7Ct以上でなければならない。それよりも低いものは全て「不合格」であり、再精製しなければならない。
b)平均試料Ctは、合格するためには、平均(全試料)から2 STDEV(全試料)以内になければならない。
c)試料グループの異常値を見つけるために条件付きのフォーマットを用いる。*RNAパネルでの異常値は含めない。
d)RT増幅または(Ct)は>34サイクルでなければならなく、さもなければ「不合格」である。
e)ヒトゲノムDNAは23〜27.6Ctでなければならない。
試料がすべての品質管理工程を合格した場合に限り、RNAを集合してパネルを構築した(Gel実行、AgilentおよびゲノムDNA用RT−PCR)。RNAをcDNA合成のために整列させた。一般的に、最低10標準と20腫瘍を各腫瘍型に関して必要とされた(すなわち、組織型が扁平上皮癌および腺癌を有しうる場合、各腫瘍型の20試料を使用しなければならない(同じ10標準が各腫瘍型のために用いられるだろう))。一般的に、1パネルあたり11μgのRNAが必要とされた。少なくとも2μgのファクターが許容されなければならない;すなわち、データベース中の試料は13μgを有さなければならなく、さもなければ、それらはcDNAアレイ中で落とされるだろう。試料番号は、ウエルA1で始まり、96ウエルフォーマットでカラム下方に働く昇順で配置される。(hFB、hrRNA、hgDNAおよび水(この順番での))4コントロール試料をパネルの最後に置く。さらなるNTCコントロール(水)はウエルA2に置いた。コントロールの全てのロットナンバーを記録した。RNA試料は、ヌクレアーゼを含まない水で100ng/μlに規準化した。11μgのRNAが用いられ、全体積は110μlであった。注意:必要とされるRNAの濃度は、使用される特定のcDNA合成キットに応じて変えることができる。100ng/μl未満であるRNA試料を添加した。規準化が完了した後、ブロックを、剥離しやすいホイルを有するヒートシーラーを用いて175℃で2秒間シールした。ブロックを目視により、ホイルが完全にシールされていることを確認した。次に、マニュアルシーラーをホイル上に流した。ブロックを−80℃フリーザーに保存し、いつでもcDNA合成に使える状態とした。
B)リアルタイム定量PCRの精製組織RNAからの第一鎖cDNAの生成:
下記の反応混合物を前もって準備した:
下記の反応混合物を前もって準備した:
384ウエル反応に合わしたABI PRISM 7900HT配列検出システムを用いる遺伝子発現のRT−PCR:
カクテル(混合液)を作る
カクテルを以下のように作った:
1.このプロトコールは96試料を有するパネル用カクテルを作るために設計された;これは、全パネルに対して470rxnsである。
2.FRT(フォワードプライマーとリバースプライマーおよび標的プローブ)ミックスを−20℃から移して、4℃の冷蔵解凍に置く。
3.行なわれる最初の10FRTを取り出し、冷金属ラックまたは氷上のラックに置いた。
4.新しい1.5mlのカクテルチューブキャップに標的番号を表示し、側面に合成日(FRTチューブに見られるもの;合成日がない場合、本日の日付を表示する)および科学者のイニシャルを表示し、各FRTに対して1チューブを作る。
5.FRTチューブとカクテルチューブを順番に、かつ経過が容易に追われるようにラック中に整理する。
6.ピペット操作時、p200をスピード6で用いた。液体の表面の吸引を実施し、チューブの内部の上端近くに分注した。各吸引/分注工程後、チップを変えた。
6.1 全てのカクテルチューブを開けて、94μlのAmbion水(毎日新しく注ぐ)を加え、次にチューブを閉じた。
6.2 FRTをパルスで15分間ボルテックス攪拌し、次に10秒間遠心した。1つずつ141μlのFRTを対応するカクテルチューブに加えた。
6.3 最初の10カクテルが終了したら、FRTをすぐに−20℃に戻した(体積が10μl未満の場合、それらは捨てた)。
6.4 カクテルは実施の用意ができるまで4℃(1日を超えて待つ場合、−20℃)で保存した。
6.5 カクテルの操作をする準備ができたらマスターミックスをカクテルに加えた(工程2.7を参照)。
7.工程1.3〜工程1.6.5を次の10カクテルに対して、全てのカクテルが作られるまで繰返した。
カクテル(混合液)を作る
カクテルを以下のように作った:
1.このプロトコールは96試料を有するパネル用カクテルを作るために設計された;これは、全パネルに対して470rxnsである。
2.FRT(フォワードプライマーとリバースプライマーおよび標的プローブ)ミックスを−20℃から移して、4℃の冷蔵解凍に置く。
3.行なわれる最初の10FRTを取り出し、冷金属ラックまたは氷上のラックに置いた。
4.新しい1.5mlのカクテルチューブキャップに標的番号を表示し、側面に合成日(FRTチューブに見られるもの;合成日がない場合、本日の日付を表示する)および科学者のイニシャルを表示し、各FRTに対して1チューブを作る。
5.FRTチューブとカクテルチューブを順番に、かつ経過が容易に追われるようにラック中に整理する。
6.ピペット操作時、p200をスピード6で用いた。液体の表面の吸引を実施し、チューブの内部の上端近くに分注した。各吸引/分注工程後、チップを変えた。
6.1 全てのカクテルチューブを開けて、94μlのAmbion水(毎日新しく注ぐ)を加え、次にチューブを閉じた。
6.2 FRTをパルスで15分間ボルテックス攪拌し、次に10秒間遠心した。1つずつ141μlのFRTを対応するカクテルチューブに加えた。
6.3 最初の10カクテルが終了したら、FRTをすぐに−20℃に戻した(体積が10μl未満の場合、それらは捨てた)。
6.4 カクテルは実施の用意ができるまで4℃(1日を超えて待つ場合、−20℃)で保存した。
6.5 カクテルの操作をする準備ができたらマスターミックスをカクテルに加えた(工程2.7を参照)。
7.工程1.3〜工程1.6.5を次の10カクテルに対して、全てのカクテルが作られるまで繰返した。
各遺伝子のQPCRに使用されるプライマーとプローブを表2に示す。
正常試料と腫瘍試料の両方の標的遺伝子の発現レベルを、ABI PRISM 7900HT配列検出系(Applied Biosystems,California)を用いる定量RT−PCRを用いて決定した。この方法は、標的鋳型の最初のコピー数を参照(ノーマライザー)ハウスキーピング遺伝子に比較して定量することに基づく(Pre−Developed TaqMan(登録商標) Assay Reagents Gene Expression Quantification Protocol,Applied Biosystems,2001)。各PCRサイクルによるDNA産物の蓄積は、単位複製配列効率と最初の鋳型濃度に関連する。したがって、標的とノーマライザーの増幅効率は類似するに違いない。出発鋳型コピー数とDNA増幅効率に依存する閾値サイクル(CT)は、PCR産物成長が指数関数的であるPCRサイクルである。各アッセイは四つ組で実施されたので、4つのCT値が所与の試料中の標的遺伝子に関して得られた。同時に、ハウスキーピング遺伝子の集団の発現レベルも同じようにして測定した。4つの四つ組内の異常値が検出され、もし、残りの3つの三つ組の標準偏差が元の4つの四つ組の標準偏差に比較して30%以下である場合、その異常値は除かれる。残りのCT値(CtまたはCnと称される)の平均を計算し、下記の計算に用いられる。
データ正規化
正規化のために、分析に利用できるハウスキーパーのセット(5〜8遺伝子)に基づく「ユニバーサルノーマライザー」が開発された。簡潔に説明すると、組織試料の全パネルにわたる発現レベルの変化に応じてハウスキーパー遺伝子を加重した。同じ組織型のn個の試料に関して、k番目のハウスキーパー遺伝子に関する重量(w)を下記の式により計算した:
正規化のために、分析に利用できるハウスキーパーのセット(5〜8遺伝子)に基づく「ユニバーサルノーマライザー」が開発された。簡潔に説明すると、組織試料の全パネルにわたる発現レベルの変化に応じてハウスキーパー遺伝子を加重した。同じ組織型のn個の試料に関して、k番目のハウスキーパー遺伝子に関する重量(w)を下記の式により計算した:
上記方法の利用により正常セットと試料セットとの3仮定分布をモデル化することができた。
シナリオIにおいて、2試料集団(コントロールと病気)との間に基本的に完全な分離が存在した。ROCとT検定の両方が、このシナリオには高い有意性があると評価した。シナリオIIにおいて、試料は重複する分布を示し、病気試料のわずかに一部がコントロール(正常)集団と異なる。わずかにROC方法がこのシナリオには有意性があると評価した。シナリオIIIにおいて、病気試料集団はコントロール集団と完全に重複する。シナリオIとシナリオIIと対照的に、わずかにT検定がこのシナリオには有意性があると評価した。要約すると、両統計的方法の組み合わせにより、試料集団内の標的遺伝子の発現パターンの発現を正確に特徴付けることが可能となる。
この試験の結果を以下の表3に示す。CACNA1E過剰発現は、乳癌組織、肝臓癌組織、肺癌組織、リンパ系癌組織、卵巣癌組織、前立腺癌組織、膵臓癌組織、皮膚癌組織および子宮癌組織で見られた。
(表3)
ROC発生率(%)は計算された場合に示されている。発生率が有意ではない場合、“t”値が示されている。ns=有意ではない(但し、t値は示していない)。挿入の数および挿入のタイプも、使用されたウイルスのタイプとともに示す。
個体の癌性組織と非癌性組織における遺伝子非調節の結果を図1に示す。正常な組織の発現プロファイリングを図2に示す。
実施例3:ヒト癌細胞と組織の癌関連配列の検出
前立腺癌組織と乳癌組織および他のヒト癌組織、ヒト大腸、正常ヒト組織(非癌性前立腺等)のDNAおよび他のヒト細胞系のDNAをDelli Bovi等(1986,Cancer Res.46:6333−6338)の操作にしたがって抽出する。そのDNAを、0.05Mのトリス塩酸緩衝液(pH7.8)と0.1mMのEDTAを含む溶液に再懸濁し、回収されたDNAの量を、ヘキスト33258染料を用いる微量蛍光定量法により決定する(Cesarone,C.et al.,Anal Biochem 100:188−197(1979))。
前立腺癌組織と乳癌組織および他のヒト癌組織、ヒト大腸、正常ヒト組織(非癌性前立腺等)のDNAおよび他のヒト細胞系のDNAをDelli Bovi等(1986,Cancer Res.46:6333−6338)の操作にしたがって抽出する。そのDNAを、0.05Mのトリス塩酸緩衝液(pH7.8)と0.1mMのEDTAを含む溶液に再懸濁し、回収されたDNAの量を、ヘキスト33258染料を用いる微量蛍光定量法により決定する(Cesarone,C.et al.,Anal Biochem 100:188−197(1979))。
Taqポリメラーゼを、緩衝液、Mg2+およびヌクレオチド濃度に関して製造者(Perkin Elmer Cetus)により推薦される条件にしたがって用いることでポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行なう。熱サイクリングは、DNAサイクラーで、94℃で3分間の変性後、94℃で1.5分間、50℃で2分間および72℃で3分間の35サイクルまたは50サイクルにより実施する。癌関連遺伝子の選択された領域を増幅するPCRの能力は、クローニングされたポリヌクレオチドを正の鋳型として用いることで調べる。最適Mg2+、プライマー濃度および異なるサイクリング温度での必要条件はこれらの鋳型を用いて決定する。製造者により推薦されるマスターミックスを用いる。マスターミックス成分のありうる汚染を検出するために、鋳型のない反応を日常的に調べた。
サザンブロットとハイブリダイゼーションをSouthern,E.M.(J.MoI.Biol.98:503−517,1975)に記載されたように、ランダムプライマー操作(Feinberg,A.P.,et al.,1983,Anal.Biochem.132:6−13)により標識されたクローニング配列を用いて実施する。プレハイブリダイゼーションとハイブリダイゼーションは、6×SSPE、5%デンハルト液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、100μg/ml変性サケ精巣DNAを含む溶液で実施し、18時間、42℃でインキュベートし、2×SSCおよび0.5%SDSによる室温と37℃での洗浄を行い、最後に0.1×SSC中で0.5%SDSによる68℃で30分間の洗浄を行なった(Sambrook et al.,1989,in “Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Lab.Press)。パラフィン包埋組織切片に関しては、250bp配列を検出するために設計されたプライマーを用いて、WrightおよびManos(1990,in “PCR Protocols”,Innis et al.,eds.,Academic Press,pp.153−158)に記載された条件に従った。
実施例4:ホスト細胞におけるクローニングされたポリヌクレオチドの発現
癌関連遺伝子のタンパク質産物を研究するために、癌関連DNAからの制限酵素断片を発現ベクターpMT2にクローニングし(Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press pp 16.17−16.22(1989))、10%FCSを補充したDMEMで成長させたCOS細胞に形質移入した。形質移入は、リン酸カルシウム技術用いて実施し(上記のSambrook,et al(1989)pp.16.32−16.40)、形質導入後48時間、細胞溶解物を形質導入COS細胞と非形質導入COS細胞の両方から調製する。溶解物は、抗ペプチド抗体を用いる免疫ブロットによる分析に供する。
癌関連遺伝子のタンパク質産物を研究するために、癌関連DNAからの制限酵素断片を発現ベクターpMT2にクローニングし(Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press pp 16.17−16.22(1989))、10%FCSを補充したDMEMで成長させたCOS細胞に形質移入した。形質移入は、リン酸カルシウム技術用いて実施し(上記のSambrook,et al(1989)pp.16.32−16.40)、形質導入後48時間、細胞溶解物を形質導入COS細胞と非形質導入COS細胞の両方から調製する。溶解物は、抗ペプチド抗体を用いる免疫ブロットによる分析に供する。
免疫ブロット実験において、細胞溶解物の調製と電気泳動は標準的な操作にしたがって実施する。タンパク質濃度はバイオラッドタンパク質アッセイ溶液を用いて決定する。ニトロセルロースへのセミドライ電気泳動転写後、メンブランを500mM NaCl、20mMトリス(pH7.5)、0.05%Tween−20(TTBS)中で5%ドライミルクによりブロックする。TTBSによる洗浄と第二抗体(Amersham)とのインキュベーション後に、増強化学発光(ECL)プロトコール(Amersham)を、検出を容易にするために製造者が記載したように実施する。
実施例5:ポリペプチドに対する抗体の作成
癌関連遺伝子に独自なポリペプチドは合成するか、または細菌または他の(例えば、酵母、バキュロウイルス)発現系から単離し、これらポリペプチドをウサギ血清アルブミン(RSA)にm−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)(Pierce,Rockford,Ill.)により結合させて、複合体化させる。これらのペプチドによる免疫化方法は標準的な方法に従って実施する。最初に、ウサギの前放血を免疫化前に実施する。最初の免疫化はフロイント完全アジュバントおよび500μgの複合体化ペプチドまたは100μgの精製ペプチドを用いる。以前の注射の4週間後に実施されるすべてのその後の免疫化は同量のタンパク質を含むフロイント不完全アジュバントを用いる。放血は免疫化の7〜10日後に実施する。
癌関連遺伝子に独自なポリペプチドは合成するか、または細菌または他の(例えば、酵母、バキュロウイルス)発現系から単離し、これらポリペプチドをウサギ血清アルブミン(RSA)にm−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)(Pierce,Rockford,Ill.)により結合させて、複合体化させる。これらのペプチドによる免疫化方法は標準的な方法に従って実施する。最初に、ウサギの前放血を免疫化前に実施する。最初の免疫化はフロイント完全アジュバントおよび500μgの複合体化ペプチドまたは100μgの精製ペプチドを用いる。以前の注射の4週間後に実施されるすべてのその後の免疫化は同量のタンパク質を含むフロイント不完全アジュバントを用いる。放血は免疫化の7〜10日後に実施する。
抗体の親和性精製のために、対応する癌関連ポリペプチドをRSAにMBSにより結合、複合体化させ、CNBr活性化セファロースに結合させる(Pharmacia,Uppsala,Sweden)。抗血清を10mMトリス塩酸(pH7.5)で10倍に希釈し、親和性マトリクスと一晩インキュベートする。洗浄後、結合抗体を100mMグリシン(pH2.5)により樹脂から溶出する。
実施例6:癌関連ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の産生
非変性アジュバント(Ribi,R730,Corixa,Hamilton MT)を、リン酸緩衝食塩水中で4mlまで再水和する。次に、100μlのこの再水和アジュバントを400μlのハンクス液で希釈し、次にこれを免疫化に用いられる細胞ペレットに穏やかに混合する。およそ500μgの複合体化ペプチドまたは100μgの精製ペプチドとフロイント完全アジュバントをBalb/cマウスの足蹠に1週間に1回注射する。週1回の注射の6週間後、血液の液滴を各免疫動物の尾から抜いて、FACS分析を用いる癌関連ポリペプチドに対する抗体の力価を調べる。力価が少なくとも1:2000に達する時にマウスをCO2チャンバー内で屠殺した後に頸椎脱臼する。リンパ節をハイブリドーマ調製のために採取する。最大力価を示すマウスからのリンパ球を、35%ポリエチレングリコール4000を用いてマウスミエローマ系X63−Ag8.653に融合させる。融合の10日後、ハイブリドーマ上清を、蛍光標識細胞分取(FACS)により、CAP特異性モノクローナル抗体の存在に関してスクリーニングする。各ハイブリドーマからの馴化培地を、PC3、Colo−205、LnCapまたはPanc−1細胞の一緒にしたアリコートとともに30分間インキュベートする。インキュベーション後、細胞試料を洗浄し、0.1mlの希釈剤に再懸濁し、1μg/mlのヤギ抗マウスIgGのFITC複合化F(ab’)2断片とともに30分間、4℃でインキュベートする。細胞を洗浄し、0.5mlのFACS希釈剤に再懸濁し、FACScan細胞アナライザー(Becton Dickinson;San Jose,CA)を用いて分析する。ハイブリドーマクローンを、さらなる増殖、クローニング、およびFACSにより評価される癌関連ポリペプチドを発現する1つ以上の細胞系の表面へのそれらの結合に基づく特性付けのために選択する。Ag−CA.xと命名された抗原およびAg−CA.x.1と命名された抗原上のエピトープに結合するmAb癌関連と命名されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
非変性アジュバント(Ribi,R730,Corixa,Hamilton MT)を、リン酸緩衝食塩水中で4mlまで再水和する。次に、100μlのこの再水和アジュバントを400μlのハンクス液で希釈し、次にこれを免疫化に用いられる細胞ペレットに穏やかに混合する。およそ500μgの複合体化ペプチドまたは100μgの精製ペプチドとフロイント完全アジュバントをBalb/cマウスの足蹠に1週間に1回注射する。週1回の注射の6週間後、血液の液滴を各免疫動物の尾から抜いて、FACS分析を用いる癌関連ポリペプチドに対する抗体の力価を調べる。力価が少なくとも1:2000に達する時にマウスをCO2チャンバー内で屠殺した後に頸椎脱臼する。リンパ節をハイブリドーマ調製のために採取する。最大力価を示すマウスからのリンパ球を、35%ポリエチレングリコール4000を用いてマウスミエローマ系X63−Ag8.653に融合させる。融合の10日後、ハイブリドーマ上清を、蛍光標識細胞分取(FACS)により、CAP特異性モノクローナル抗体の存在に関してスクリーニングする。各ハイブリドーマからの馴化培地を、PC3、Colo−205、LnCapまたはPanc−1細胞の一緒にしたアリコートとともに30分間インキュベートする。インキュベーション後、細胞試料を洗浄し、0.1mlの希釈剤に再懸濁し、1μg/mlのヤギ抗マウスIgGのFITC複合化F(ab’)2断片とともに30分間、4℃でインキュベートする。細胞を洗浄し、0.5mlのFACS希釈剤に再懸濁し、FACScan細胞アナライザー(Becton Dickinson;San Jose,CA)を用いて分析する。ハイブリドーマクローンを、さらなる増殖、クローニング、およびFACSにより評価される癌関連ポリペプチドを発現する1つ以上の細胞系の表面へのそれらの結合に基づく特性付けのために選択する。Ag−CA.xと命名された抗原およびAg−CA.x.1と命名された抗原上のエピトープに結合するmAb癌関連と命名されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
実施例7:癌関連抗原に関連する抗原の検出用ELISAアッセイ
組換え産生される癌関連抗原に特異的に結合する抗体に関して血液試料を調べるために、下記の操作を用いる。組換え癌関連タンパク質を精製した後、組換えタンパク質をPBSで5μg/ml(500ng/100μl)の濃度に希釈する。100μlの希釈抗原溶液を、96ウエルImmulon 1プレート(Dynatech Laboratories,Chantilly,Va.)の各ウエルに加え、次にプレートを室温で1時間、または4℃で一晩インキュベートし、PBS中の0.05%のTween 20で3回洗浄する。抗体の非特異的な結合を減少するブロッキングは、PBS/Tween 20中の200μlの1%ウシ血清アルブミン溶液を各ウエルに加え、1時間インキュベーションすることにより達成する。ブロッキング溶液の吸引後、ブロッキング溶液で1/16〜1/2048の範囲で希釈した100μlの一次抗体溶液(抗凝固処理全血、血漿または血清)を加え、室温で1時間または4℃で一晩インキュベートする。次に、ウエルを3回洗浄し、PBS/Tween 20で1/500または1/1000に希釈した100μlの西洋ワサビペルオキシダーゼに複合体化したヤギ抗ヒトIgG抗体(Organon Teknika,Durham,N.C.)、100μlのo−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD,Sigma)溶液を各ウエルに加え、5〜15分間インキュベートする。OPD溶液は、H2O中の50mlの1%メタノールに5mgのOPD錠剤を溶解し、使用直前に50μlの30%H2O2を加えることにより調製される。反応は25μlの4M H2SO4を加えることで停止する。マイクロプレートリーダー(Bio−Rad)で490nmの吸光度を読む。
組換え産生される癌関連抗原に特異的に結合する抗体に関して血液試料を調べるために、下記の操作を用いる。組換え癌関連タンパク質を精製した後、組換えタンパク質をPBSで5μg/ml(500ng/100μl)の濃度に希釈する。100μlの希釈抗原溶液を、96ウエルImmulon 1プレート(Dynatech Laboratories,Chantilly,Va.)の各ウエルに加え、次にプレートを室温で1時間、または4℃で一晩インキュベートし、PBS中の0.05%のTween 20で3回洗浄する。抗体の非特異的な結合を減少するブロッキングは、PBS/Tween 20中の200μlの1%ウシ血清アルブミン溶液を各ウエルに加え、1時間インキュベーションすることにより達成する。ブロッキング溶液の吸引後、ブロッキング溶液で1/16〜1/2048の範囲で希釈した100μlの一次抗体溶液(抗凝固処理全血、血漿または血清)を加え、室温で1時間または4℃で一晩インキュベートする。次に、ウエルを3回洗浄し、PBS/Tween 20で1/500または1/1000に希釈した100μlの西洋ワサビペルオキシダーゼに複合体化したヤギ抗ヒトIgG抗体(Organon Teknika,Durham,N.C.)、100μlのo−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD,Sigma)溶液を各ウエルに加え、5〜15分間インキュベートする。OPD溶液は、H2O中の50mlの1%メタノールに5mgのOPD錠剤を溶解し、使用直前に50μlの30%H2O2を加えることにより調製される。反応は25μlの4M H2SO4を加えることで停止する。マイクロプレートリーダー(Bio−Rad)で490nmの吸光度を読む。
実施例8:癌細胞表面の癌関連抗原の同定と特性付け
およそ25μlの血中血球容積の癌細胞調製物の細胞ペレットを、最初に細胞を水中で0.5mlに希釈し、続いて凍結と解凍を3回行なうことにより溶解する。溶液を14,000rpmで遠心する。細胞膜断片を含む得られたペレットを50μlのSDS試料緩衝液(Invitrogen,Carlsbad,CA)に再懸濁する。試料を80℃で5分間加熱し、次に2分間、14,000rpmで遠心して不溶性物質を除去する。
およそ25μlの血中血球容積の癌細胞調製物の細胞ペレットを、最初に細胞を水中で0.5mlに希釈し、続いて凍結と解凍を3回行なうことにより溶解する。溶液を14,000rpmで遠心する。細胞膜断片を含む得られたペレットを50μlのSDS試料緩衝液(Invitrogen,Carlsbad,CA)に再懸濁する。試料を80℃で5分間加熱し、次に2分間、14,000rpmで遠心して不溶性物質を除去する。
試料は、トリス−グリシンSDSでの4〜20%ポリアクリルアミド勾配ゲル(Invitrogen;Carlsbad CA)を製造者の指示にしたがって用いるウエスタンブロットにより分析する。10μlの膜試料をポリアクリルアミドゲルの1レーンにアプライする。分離した10μlの試料は、最初に、80℃で2分間加熱しながら2μlのジチオスレイトール(100mM)を加えることで還元し、次に別のレーンにロードする。着色分子量マーカーSeeBlue Plus2(Invitrogen;Carlsbad,CA)を用いてゲル上の分子量を評価する。14.4g/lグリシン、3g/lのトリス塩基、10%メタノールおよび0.05%SDSからなるトランスファー緩衝液を用いてゲルタンパク質をニトロセルロースメンブランに移す。メンブランはブロックし、CAPに特異的なモノクローナル抗体(0.5μg/mlの濃度)で調べ、Invitrogen WesternBreeze Chromogenic Kit−AntiMouseを製造者の指示にしたがって用いることでメンブランを展開する。腫瘍細胞膜タンパク質の還元試料において、対応する癌関連タンパク質の予想される分子量の約10%以内の分子量で移動する顕著なバンドが観察される。
実施例9:ワクチンの調製
さらに、本発明は、悪性細胞によって産生されるか、または悪性細胞に関連がある抗原として作用する本発明の癌関連ポリペプチドを用いる、患者中で癌関連ポリペプチドを発現する細胞に対して免疫応答を促進する方法に関する。本発明のこの態様は、癌細胞、または癌関連ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを発現する細胞に対して免疫応答をヒトにおいて促進する方法を提供する。本方法は、(a)ヒトの癌関連タンパク質のアミノ酸配列を含むか、または(b)ヒトの内在性レトロウイルス癌関連タンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドの変異タンパク質または変異体を含む、免疫原性のある量のポリペプチドをヒトに投与する工程を含む。
さらに、本発明は、悪性細胞によって産生されるか、または悪性細胞に関連がある抗原として作用する本発明の癌関連ポリペプチドを用いる、患者中で癌関連ポリペプチドを発現する細胞に対して免疫応答を促進する方法に関する。本発明のこの態様は、癌細胞、または癌関連ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを発現する細胞に対して免疫応答をヒトにおいて促進する方法を提供する。本方法は、(a)ヒトの癌関連タンパク質のアミノ酸配列を含むか、または(b)ヒトの内在性レトロウイルス癌関連タンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドの変異タンパク質または変異体を含む、免疫原性のある量のポリペプチドをヒトに投与する工程を含む。
実施例10:治療剤を試験する手段としてのポリペプチド発現トランスジェニック動物の作成
癌関連核酸は、前立腺腫瘍関連遺伝子の機能または調節の研究のために、細胞系において、遺伝子改変非ヒト動物またはその部位特異的遺伝子改変を作るために用いられるか、または前立腺癌等の病気の動物模型を作るために用いられる。「トランスジェニック」との用語は、遺伝子の配列が変えられて修飾タンパク質を作るホスト細胞で安定的に伝達される外因性癌関連遺伝子を有するか、またはレポーター遺伝子に操作可能に連結された外因性癌関連LTRプロモーターを有する遺伝子改変動物を含むことが意図される。トランスジェニック動物は、ゲノムにランダムに組み込まれた核酸構築物により作ってよい。組み込みに適するベクターとして、プラスミド、レトロウイルスおよび他の動物ウイルス、YAC等が挙げられる。トランスジェニック哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマおよび特にげっ歯動物、例えば、ラット、マウス等に興味がある。
癌関連核酸は、前立腺腫瘍関連遺伝子の機能または調節の研究のために、細胞系において、遺伝子改変非ヒト動物またはその部位特異的遺伝子改変を作るために用いられるか、または前立腺癌等の病気の動物模型を作るために用いられる。「トランスジェニック」との用語は、遺伝子の配列が変えられて修飾タンパク質を作るホスト細胞で安定的に伝達される外因性癌関連遺伝子を有するか、またはレポーター遺伝子に操作可能に連結された外因性癌関連LTRプロモーターを有する遺伝子改変動物を含むことが意図される。トランスジェニック動物は、ゲノムにランダムに組み込まれた核酸構築物により作ってよい。組み込みに適するベクターとして、プラスミド、レトロウイルスおよび他の動物ウイルス、YAC等が挙げられる。トランスジェニック哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマおよび特にげっ歯動物、例えば、ラット、マウス等に興味がある。
改変細胞または動物は、癌関連遺伝子の機能と調節の研究に有用である。例えば、癌関連遺伝子中の一連の小さい欠損および/または置換を、異なる遺伝子の腫瘍形成における役割を決定するために作ってよい。興味のある特定の構築物は、癌関連遺伝子発現、優性阻害の癌関連遺伝子変異の発現および癌関連遺伝子の過剰発現をブロックするアンチセンス構築物が挙げられるが、これに限定されない。癌関連遺伝子が通常は発現しない細胞または組織におけるか、または発達の異常な時期における該遺伝子またはその変異体の発現が提供される。さらに、通常、癌関連タンパク質が作られない細胞において該タンパク質の発現を提供することにより、細胞挙動の変化が誘導できる。
ランダム組み込み用のDNA構築物は、組換えを仲介する相同性の部分を含む必要はない。ポジティブ選択用やネガティブ選択用のマーカーを含めるのが便利である。哺乳類細胞の形質移入の多様な技術に関して、Keown et al.,Methods in Enzymology 185:527−537(1990)を参照されたい。
胚幹(ES)細胞のためにES細胞系を用いるか、または胚細胞をホスト、例えば、マウス、ラット、モルモット等から新しく得る。そのような細胞は適当な線維芽細胞支持細胞層上で増殖するか、または白血病抑制因子(LIF)等の適当な成長因子の存在下に増殖する。ES細胞を形質転換する場合、それらはトランスジェニック動物を作るために用いられる。形質転換後、適当な培地中で細胞を支持細胞層上に蒔く。構築物を含有する細胞は、選択培地を用いることにより検出してよい。コロニーが増殖するのに十分な時間の後に、それらを採取し、構築物の組み込みの発生について分析する。陽性であるコロニーを次に胚操作と胚盤胞の注射に用いてよい。胚盤胞は4〜6週齢の過排卵したメスから得られる。ES細胞をトリプシン処理し、改変細胞を胚盤胞の胞胚腔に注射する。注射後、胚盤胞を偽妊娠のメスの各子宮角に戻す。次に、メスを出産予定日まで進ませて、得られたキメラ動物を、構築物を保有する細胞に関してスクリーニングする。胚盤胞およびES細胞の異なる表現型を提供することにより、キメラ子孫が容易に検出できる。
キメラ動物を、改変遺伝子の存在についてスクリーニングし、改変を有するオスとメスを交配してホモ接合体子孫を作る。遺伝子の変化が発達の一部の点で致死性を引き起こす場合、組織または器官を同種または類遺伝子性の移植片または移植物として保持するか、インビトロ培養で維持する。トランスジェニック動物は、実験動物、家畜動物などのいかなる非ヒト哺乳類であってもよい。トランスジェニック動物は、例えば、前立腺癌に対する候補医薬の効果を決定することや、潜在的な治療剤または治療方法を調べるため等、機能研究、医薬のスクリーニング等に用いられる。
実施例11:CAに特異的な抗体を使用する画像診断
本発明は、最初の診断時、または癌の転移拡散の初期検出のために、癌患者の段階を正確に決定するために癌関連ポリペプチドに対する抗体の使用を包含する。癌関連ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を用いるラジオイムノシンチグラフィーはさらなる癌特異的診断試験を提供することができる。本発明のモノクローナル抗体は、癌腫の病理組織学的診断のために用いられる。
本発明は、最初の診断時、または癌の転移拡散の初期検出のために、癌患者の段階を正確に決定するために癌関連ポリペプチドに対する抗体の使用を包含する。癌関連ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を用いるラジオイムノシンチグラフィーはさらなる癌特異的診断試験を提供することができる。本発明のモノクローナル抗体は、癌腫の病理組織学的診断のために用いられる。
ヌードマウスにおける癌細胞の皮下ヒト異種移植片は、本発明のテクネチウム−99m(99mTc)標識モノクローナル抗体が、Marks,et al,Brit.J.Urol.75:225(1995)で精上皮腫細胞に関して記載されるように外部ガンマシンチグラフィーにより、異種移植された癌をうまく画像診断できるかどうかを調べるために使用される。癌関連ポリペプチドに特異的な各モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ腫瘍を保有するBALB/cマウスの腹水から、プロテインAセファロースによるアフィニティークロマトグラフィーにより精製する。アビジンに特異的なモノクローナル抗体(Skea,et al,J.Immunol.151:3557(1993))等のコントロールモノクローナル抗体を含む精製抗体は、Mather,et al,J.Nucl.Med.31:692(1990)およびZhang et al,Nucl.Med.Biol.19:607(1992)の方法を用いて、還元後に99mTcで標識される。ヒト癌細胞を保有するヌードマウスに200〜500μCiの99mTc標識抗体を腹腔内注射する。注射の24時間後に、マウスの画像を、動物から約8cmに設定された6mmのピンホールコリメーターを備えたシーメンスZLC3700ガンマカメラを用いて得る。画像診断後、モノクローナル抗体生体分布を決定するために、正常な器官と腫瘍を取り出し、重量を計り、組織の放射能と注入液の試料とを測定する。さらに、抗腫瘍化合物に複合化させた癌関連抗原特異的抗体を癌特異的化学療法のために用いる。
実施例12:免疫組織化学的方法
癌患者からの凍結組織試料を最適切断温度(OCT)化合物に包埋し、ドライアイスによりイソペンタン中で急速凍結する。凍結切片をライカ3050CMミクロトームにより5μmの厚みで切断し、ベクタ結合被覆スライド上に解凍して乗せる。切片を−20℃でエタノールにより固定し、室温で空乾する。固定された切片を使用するまで−80℃で保存する。免疫組織化学のために、組織切片を回収し、ブロッキング緩衝液(PBS、5%正常ヤギ血清、0.1%Tween20)中、30分間室温で最初にインキュベートし、次にブロッキング緩衝液(1μg/ml)で希釈した癌関連タンパク質特異的モノクローナル抗体とコントロールモノクローナル抗体とともに120分間インキュベートする。次に切片をブロッキング緩衝液で3回洗浄する。結合モノクローナル抗体を、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.05)と0.003%過酸化水素(SigmaカタログNo.H1009)中でヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)2−ペルオキシダーゼ複合体とペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml、SigmaカタログNo.D5637)により検出する。染色したスライドをヘマトキシリンで対比染色し、ニコン顕微鏡で調べる。
癌患者からの凍結組織試料を最適切断温度(OCT)化合物に包埋し、ドライアイスによりイソペンタン中で急速凍結する。凍結切片をライカ3050CMミクロトームにより5μmの厚みで切断し、ベクタ結合被覆スライド上に解凍して乗せる。切片を−20℃でエタノールにより固定し、室温で空乾する。固定された切片を使用するまで−80℃で保存する。免疫組織化学のために、組織切片を回収し、ブロッキング緩衝液(PBS、5%正常ヤギ血清、0.1%Tween20)中、30分間室温で最初にインキュベートし、次にブロッキング緩衝液(1μg/ml)で希釈した癌関連タンパク質特異的モノクローナル抗体とコントロールモノクローナル抗体とともに120分間インキュベートする。次に切片をブロッキング緩衝液で3回洗浄する。結合モノクローナル抗体を、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.05)と0.003%過酸化水素(SigmaカタログNo.H1009)中でヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)2−ペルオキシダーゼ複合体とペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml、SigmaカタログNo.D5637)により検出する。染色したスライドをヘマトキシリンで対比染色し、ニコン顕微鏡で調べる。
癌関連タンパク質(抗原)に対するモノクローナル抗体は、異なる組織型に由来する多様な細胞系との反応性を調べるために使用する。異なる樹立細胞株の細胞を、プロテアーゼを使用することなく成長表面から取り出し、OCT化合物に充填、包埋する。細胞を凍結し、それより切片を作成し、標準的なIHCプロトコールを用いて染色する。CellArray(登録商標)技術はWO01/43869に記載されている。外科的切除により得られた正常組織(ヒト)を凍結し、マウントする。凍結切片をライカ3050CMミクロトームで5μmの厚みに切断し、ベクタ結合した被覆スライド上で解凍し、マウントする。切片を−20℃でエタノールにより固定し、室温で一晩、空乾する。PolyMICA(登録商標)検出キットを用いて、癌関連抗原特異的モノクローナル抗体の正常組織への結合を測定する。一次モノクローナル抗体を1μg/mlの最終濃度で用いる。
実施例13:siRNA形質移入
CACNA1EのsiRNAはCACNA1E遺伝子に相補的であるように設計する。siRNA形質移入は形質移入試薬ベンダー(Invitrogen)の推薦にしたがって実施する。特に他に示さないかぎり、細胞を形質移入するために用いられる最終的なsiRNA濃度は100nMである。一般的に、細胞を、形質移入の日に30〜50%密集度(例えば、48ウエルプレートで1ウエルあたり5000〜20000細胞)まで増殖させる。
CACNA1EのsiRNAはCACNA1E遺伝子に相補的であるように設計する。siRNA形質移入は形質移入試薬ベンダー(Invitrogen)の推薦にしたがって実施する。特に他に示さないかぎり、細胞を形質移入するために用いられる最終的なsiRNA濃度は100nMである。一般的に、細胞を、形質移入の日に30〜50%密集度(例えば、48ウエルプレートで1ウエルあたり5000〜20000細胞)まで増殖させる。
Opti−MEM I(Invitrogen)、siRNAオリゴ、およびPlus Reagent(Invitrogen)の混合物をInvitrogenにより推薦されたように調製し、室温で15〜20分間インキュベートする。次に、この混合物を、適当な体積のオリゴフェクタミン(Invitrogen)試薬とOpti−MEM/siRNA/Plus Reagent混合物中で一緒にし、15分間、室温でインキュベートする。細胞培養培地を細胞含有ウエルから除去し、適当な体積のOpti−MEM Iに置き換える。適当な量のsiRNA/オリゴフェクタミン混合物を細胞に加える。次に、細胞を37℃で、5%CO2、4時間インキュベートした後、成長培地を加える。0日目のプレートをすぐに分析する。その後の時点に関しては、形質移入試薬/培地混合物を新しい細胞培養培地に置き換え、細胞を37℃で、5%CO2下でインキュベートする。形質導入混合物の体積は、組織培養プレート、すなわち、6、48,96ウエルプレートに応じてスケールアップまたはスケールダウンする。
実施例14:siRNA形質移入細胞のQPCR分析のためのRNA抽出
QPCR分析を実施するために、RNAを、RNAesy96キット(Qiagen)を用いて形質移入細胞から抽出し、製造者の推薦にしたがって実施する。一般的に、48ウエルプレートの1ウエルからの細胞を集め、溶解し、RNAを96ウエルRNAesyプレートの1ウエルに集める。
QPCR分析を実施するために、RNAを、RNAesy96キット(Qiagen)を用いて形質移入細胞から抽出し、製造者の推薦にしたがって実施する。一般的に、48ウエルプレートの1ウエルからの細胞を集め、溶解し、RNAを96ウエルRNAesyプレートの1ウエルに集める。
実施例15:siRNA形質移入細胞の細胞増殖アッセイ
増殖アッセイをCell Titer Glo(Promega)またはWST−1(Roche Applied Science)等の一般的なアッセイを用いて実施し、製造者の推薦にしたがって実施する。一般的に、アッセイはトリプリケートで実施する。増殖の阻害パーセントはスクランブルされたsiRNAコントロールオリゴにより形質移入を行なった細胞に比較して計算する。
増殖アッセイをCell Titer Glo(Promega)またはWST−1(Roche Applied Science)等の一般的なアッセイを用いて実施し、製造者の推薦にしたがって実施する。一般的に、アッセイはトリプリケートで実施する。増殖の阻害パーセントはスクランブルされたsiRNAコントロールオリゴにより形質移入を行なった細胞に比較して計算する。
実施例16:細胞移動アッセイのsiRNA阻害
細胞移動をQCM(登録商標)フィブロネクチン被覆細胞移動アッセイ(Chemicon International INC.)を製造者の指示に従って用いることで測定する。
細胞移動をQCM(登録商標)フィブロネクチン被覆細胞移動アッセイ(Chemicon International INC.)を製造者の指示に従って用いることで測定する。
実施例17:Rat−1安定細胞系の作成
細胞をトリプシン処理し、PBSで1回洗浄し、細胞培養培地[DMEM(グルタミンを含む)+10%FBS(ウシ胎児血清)]に再懸濁し、1ウエルあたり2×106細胞を6ウエル培養プレートに合計容積2mlで蒔く。プラスミドDNA(2μl)を100μlの無血清培地と混合し、次に10μlのSuperfect形質移入試薬(Qiagen)を加え、10秒間ボルテックスで撹拌し、室温で10分間インキュベートする。複合体が形成している間、細胞をPBSで2回洗浄する。次に、600μlのDMEM+10%FBSを複合物に加え、混合し、細胞を含有するウエルに移し、4時間37℃でインキュベートする。次に、2mlのDMEM+10%FBSを加えた後に、48時間、37℃で5%CO2下にインキュベートする。
細胞をトリプシン処理し、PBSで1回洗浄し、細胞培養培地[DMEM(グルタミンを含む)+10%FBS(ウシ胎児血清)]に再懸濁し、1ウエルあたり2×106細胞を6ウエル培養プレートに合計容積2mlで蒔く。プラスミドDNA(2μl)を100μlの無血清培地と混合し、次に10μlのSuperfect形質移入試薬(Qiagen)を加え、10秒間ボルテックスで撹拌し、室温で10分間インキュベートする。複合体が形成している間、細胞をPBSで2回洗浄する。次に、600μlのDMEM+10%FBSを複合物に加え、混合し、細胞を含有するウエルに移し、4時間37℃でインキュベートする。次に、2mlのDMEM+10%FBSを加えた後に、48時間、37℃で5%CO2下にインキュベートする。
次に、細胞をトリプシン処理し、1mMのDMEM+10%FBS+800μg/mlのG418に再懸濁し、10cm皿中で異なる密度(1:10、1:20〜1:100)で蒔く。G418耐性コロニーが形成するまで皿を37℃、5%CO2下でインキュベートし、その後に、個々のクローンを採取し、1mlのDMEM+10%FBS+800μg/mlのG418を含む24ウエル皿に移す。
クローニングした細胞をさらに増殖させ、プラスミド発現遺伝子産物の存在に関して、一般的にウエスタンブロット分析によりスクリーニングする。
実施例18:軟寒天形質転換アッセイ
滅菌水中の0.7%と1%の低融点アガロース(DNAグレード、J.T.Baker)溶液を調製し、沸騰するまで加熱し、ウオーターバスで40℃まで冷却する。2×DMEM溶液は、10×粉末DMEM(Invitrogen)を水中で混合し、混合した後、1リットル体積あたり3.7gのNaHCO3を加えた後、FBSを20%まで加えることにより調製する。0.75mlの培養培地(40℃に予熱したもの)を0.75mlの1%アガロース溶液と混合し、1ウエルあたり最終的に1.5mlの0.5%アガロース溶液を6ウエル皿に加える。Rat1安定細胞をトリプシン処理し、PBSで2回洗浄し、1×DMEM+10%FBSの1mlあたり50000細胞に希釈する。0.1mlのこの細胞懸濁液を1mlの2×DMEM+20%FBSと1mlの0.7%アガロース溶液に穏やかに混合し、最終的に1.5ml懸濁液を、固化した0.5%の寒天を含む6ウエル皿に加える。これらの寒天プレートを加湿インキュベータ中の37℃、5%CO2下に10〜14日置き、細胞に3〜4日毎に新しい1×DMEM+10%FBSを再供給する。
滅菌水中の0.7%と1%の低融点アガロース(DNAグレード、J.T.Baker)溶液を調製し、沸騰するまで加熱し、ウオーターバスで40℃まで冷却する。2×DMEM溶液は、10×粉末DMEM(Invitrogen)を水中で混合し、混合した後、1リットル体積あたり3.7gのNaHCO3を加えた後、FBSを20%まで加えることにより調製する。0.75mlの培養培地(40℃に予熱したもの)を0.75mlの1%アガロース溶液と混合し、1ウエルあたり最終的に1.5mlの0.5%アガロース溶液を6ウエル皿に加える。Rat1安定細胞をトリプシン処理し、PBSで2回洗浄し、1×DMEM+10%FBSの1mlあたり50000細胞に希釈する。0.1mlのこの細胞懸濁液を1mlの2×DMEM+20%FBSと1mlの0.7%アガロース溶液に穏やかに混合し、最終的に1.5ml懸濁液を、固化した0.5%の寒天を含む6ウエル皿に加える。これらの寒天プレートを加湿インキュベータ中の37℃、5%CO2下に10〜14日置き、細胞に3〜4日毎に新しい1×DMEM+10%FBSを再供給する。
実施例19:マウス腫瘍形成アッセイ
Rat1安定細胞系を2つのT150フラスコで70〜80%の密集度まで増殖させる。細胞をトリプシン処理し、PBSで2回洗浄し、107、106および105細胞/mlにPBSで再懸濁する。細胞懸濁液を、マウスに注射するまで氷上に保つ。3〜5週齢のメスNOD.CB17−Prkdc<scid>/JマウスをJAX West’s M−3施設(UC Davis)から得て、JAX West’sウエストサクラメント施設のアイソレーターユニットで1ケージあたり4匹を収容する。25標準規格注射針を用いて、マウスの胸部に0.1mlの細胞懸濁液を皮下注射する(1マウスあたり2部位)。いったん腫瘍が形成し始めたら、腫瘍増殖を、カリパスを用いて週に2回測定する。腫瘍は2方向(吻側尾側と内外方向)で測定する。測定値を幅×長さとして記録し、腫瘍容積を、変換式(長さ×幅2)/2を用いて計算する。
Rat1安定細胞系を2つのT150フラスコで70〜80%の密集度まで増殖させる。細胞をトリプシン処理し、PBSで2回洗浄し、107、106および105細胞/mlにPBSで再懸濁する。細胞懸濁液を、マウスに注射するまで氷上に保つ。3〜5週齢のメスNOD.CB17−Prkdc<scid>/JマウスをJAX West’s M−3施設(UC Davis)から得て、JAX West’sウエストサクラメント施設のアイソレーターユニットで1ケージあたり4匹を収容する。25標準規格注射針を用いて、マウスの胸部に0.1mlの細胞懸濁液を皮下注射する(1マウスあたり2部位)。いったん腫瘍が形成し始めたら、腫瘍増殖を、カリパスを用いて週に2回測定する。腫瘍は2方向(吻側尾側と内外方向)で測定する。測定値を幅×長さとして記録し、腫瘍容積を、変換式(長さ×幅2)/2を用いて計算する。
実施例20:発現データ
表6は、一連の腫瘍組織でのCACNA1Eの発現レベルを示す。3形態の発現アッセイの結果を表に示す。表示U133A&B(Array Typeの欄を参照)で示される結果はAffymetrixオリゴヌクレオチド系発現アレイ(ワールドワイドウエブサイト:affymetrix.com/support/technical/byproduct.affx?product=hg−ul33−plus)が使用されたことを示し、表示Chiron cDNAアレイによる結果はChiron組織内点状cDNAアレイを用いて作った。残りの結果は、Affymetrix Ul33プラス2オリゴアレイ(ワールドワイドウエブサイト:affymetrix.com/support/technical/byproduct.affx?product=hg−ul33−plus)を用いて作った。
表6は、一連の腫瘍組織でのCACNA1Eの発現レベルを示す。3形態の発現アッセイの結果を表に示す。表示U133A&B(Array Typeの欄を参照)で示される結果はAffymetrixオリゴヌクレオチド系発現アレイ(ワールドワイドウエブサイト:affymetrix.com/support/technical/byproduct.affx?product=hg−ul33−plus)が使用されたことを示し、表示Chiron cDNAアレイによる結果はChiron組織内点状cDNAアレイを用いて作った。残りの結果は、Affymetrix Ul33プラス2オリゴアレイ(ワールドワイドウエブサイト:affymetrix.com/support/technical/byproduct.affx?product=hg−ul33−plus)を用いて作った。
最初の2つのアレイフォーマットの組織試料はレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCD)(以下の定義を参照)を用いて集めた。第3の形のアレイ(U133プラス2)の組織試料は標準的な手による切開操作を用いて集めた。
差次的発現のレベルは、各アレイタイプについて別々の方法により評価した。U133A&BアレイとEVDアレイの結果は、定められた閾値を超えるか、またはそれ未満の発現レベルを有した試料の数として表されている。表示「2×一致」または「0.5×一致」は、多くの試料(発現の異なるレベルを示す試料の%欄に示される)がコントロール値よりも2×高い発現レベルであるか、またはコントロール平均の半分よりも低い発現レベルを示す。よって、遺伝子の(“t”<=0.001の有意水準での)過剰発現または過小発現のいずれかを示す。
U133+2アレイの発現レベルは、80〜50または80〜80パーセンタイル比として表される。示されたすべての結果は、0.001%レベルでの有意差のt検定を合格した。80〜50パーセンタイル比結果において、腫瘍試料の20%は、コントロール試料の50%に比較した場合に、2倍レベルの過剰発現よりも高い。80〜80パーセンタイル比結果において、腫瘍試料の20%は、コントロール試料の80%に比較して、3倍レベルの過剰発現よりも高い。
ターゲティングのための腫瘍関連抗原の選択
腫瘍状細胞および隣接する正常細胞のレーザー切開と切開細胞からのRNAの産生
正常および癌性組織を、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)を用いて患者から集め、RNAをこれらの組織から、当分野でよく知られる技術(例えば、Ohyama et al.(2000) Biotech’iques 29:530−6;Curran et al.(2000) Mol.Pathol.53:64−8;Suarez−Quian et al.(1999)Biotech’iques 26:328−35;Simone et al.(1998) Trends Gerzet 14:272−6;Conia et al.(1997)J.Clin.Lab.Anal.11:28−38;Emmert−Buck et al.(1996) Science 274:998−1001を参照)を用いて調製した。LCMは、実質的に均一な細胞試料を与える特定の細胞型の単離を提供するので、これは同じく純粋なRNA試料を与えた。
腫瘍状細胞および隣接する正常細胞のレーザー切開と切開細胞からのRNAの産生
正常および癌性組織を、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)を用いて患者から集め、RNAをこれらの組織から、当分野でよく知られる技術(例えば、Ohyama et al.(2000) Biotech’iques 29:530−6;Curran et al.(2000) Mol.Pathol.53:64−8;Suarez−Quian et al.(1999)Biotech’iques 26:328−35;Simone et al.(1998) Trends Gerzet 14:272−6;Conia et al.(1997)J.Clin.Lab.Anal.11:28−38;Emmert−Buck et al.(1996) Science 274:998−1001を参照)を用いて調製した。LCMは、実質的に均一な細胞試料を与える特定の細胞型の単離を提供するので、これは同じく純粋なRNA試料を与えた。
マイクロアレイ分析
cDNAの産生:次に、切開細胞から産生する全RNAを用いて、Affymetrix2サイクルcDNA合成キット(cat#900432)を用いてcDNAを作った。8μLの全RNAは、70℃で12分間加熱された11μLの反応物中の1μLのT7−(dT)24プライマー(50pmol/μL)とともに用いた。次に、混合物を室温に5分間冷却した。9μLのマスターミックス(4μLの5×第1鎖cDNA緩衝液、2μLの0.1mMのDTT、1μLの10mMのdNTP混合物、2μLのSuperscriptII(600U/μL))を加え、混合物を2.5時間、42℃でインキュベートした(混合物の全体積は20μLであった)。氷上での冷却後、第2鎖合成は下記のように達成した:上記からの20μLの混合物を130μLの第2鎖マスターミックス(91μL水、30μLの5×第2鎖反応緩衝液、3μLの10mMのdNTP混合物、1μLの10U/μL大腸菌DNAリガーゼ、4μLの10U/μL大腸菌DNAポリメラーゼI、1μLの2U/μL大腸菌Rnase H)に混合し、2時間インキュベートし、16℃で10分間インキュベートした。氷上での冷却後、dsDNAを反応混合物から精製した。簡単に説明すれば、QiaQuick PCT精製キットを使用し(Qiagen,cat#28104)、5体積分の緩衝液PBを、1体積分のcDNA混合物に加えた。次に、cDNAを、QIAquickスピンカラムを製造者の指示にしたがって精製して、60μLの最終体積を得た。
cDNAの産生:次に、切開細胞から産生する全RNAを用いて、Affymetrix2サイクルcDNA合成キット(cat#900432)を用いてcDNAを作った。8μLの全RNAは、70℃で12分間加熱された11μLの反応物中の1μLのT7−(dT)24プライマー(50pmol/μL)とともに用いた。次に、混合物を室温に5分間冷却した。9μLのマスターミックス(4μLの5×第1鎖cDNA緩衝液、2μLの0.1mMのDTT、1μLの10mMのdNTP混合物、2μLのSuperscriptII(600U/μL))を加え、混合物を2.5時間、42℃でインキュベートした(混合物の全体積は20μLであった)。氷上での冷却後、第2鎖合成は下記のように達成した:上記からの20μLの混合物を130μLの第2鎖マスターミックス(91μL水、30μLの5×第2鎖反応緩衝液、3μLの10mMのdNTP混合物、1μLの10U/μL大腸菌DNAリガーゼ、4μLの10U/μL大腸菌DNAポリメラーゼI、1μLの2U/μL大腸菌Rnase H)に混合し、2時間インキュベートし、16℃で10分間インキュベートした。氷上での冷却後、dsDNAを反応混合物から精製した。簡単に説明すれば、QiaQuick PCT精製キットを使用し(Qiagen,cat#28104)、5体積分の緩衝液PBを、1体積分のcDNA混合物に加えた。次に、cDNAを、QIAquickスピンカラムを製造者の指示にしたがって精製して、60μLの最終体積を得た。
ビオチン標識cRNAの製造。上記で作り精製したcDNAを次に用いて、ビオチン標識RNAを以下のように作った:QIAQuickカラムから回収した60μLのcDNAを中加熱スピード真空下に22μLの体積まで減らした。次に、これを、ENZO BioArray High Yield RNA Transcription Kit(cat#4265520)とともに用いた。簡単に説明すると、4μLの10×HY反応緩衝液、4μLの10×ビオチン標識リボヌクレオチド、4μLのDTT、4μLのRnaseインヒビター混合物および2μLのT7RNAポリメラーゼを含むマスターミックスを22μLの精製cDNAに加え、放置して、37℃で4〜6時間インキュベートした。次に、反応物をQiagen RNeasyキット(cat#74104)を製造者の指示にしたがって精製した。
cRNAの断片化。上記からの15〜20μgのcRNAを8μLの5×フラグメンテーション緩衝液(200mMトリス酢酸、pH8.1、500mM酢酸カリウム、150mM酢酸マグネシウム)および水と混合して最終体積を40μLとした。混合物を94℃で、35分間インキュベートした。通常、このフラグメンテーションプロトコールにより、大きさが35〜200塩基の範囲のRNA断片の分布を得る。断片化はTAEアガロース電気泳動を用いて確認した。
アレイハイブリダイゼーション。上記からの断片化されたcRNAを次にハイブリダイゼーションカクテルを作るために用いた。簡単に説明すると、上記からの40μLを1mg/mLのヒトCot DNAと適当なコントロールオリゴヌクレオチドと混合した。さらに、3mgのニシン精子DNA(10mg/mL)を、150μLの2×ハイブリダイゼーション緩衝液(100mMのMES、1MのNaCl、20mMのEDTA、0.01%Tween−20)および水とともに加えて、最終体積300μLとした。次に、200μLのこの溶液をUl33アレイ(Affymetrix cat#900370)にロードし、45℃で、45rpmの一定の速度で一晩インキュベートした。次に、ハイブリダイゼーション緩衝液を除去し、アレイを洗浄し、200μLの非ストリジェント洗浄緩衝液(6×SSPE、0.01%Tween−20)により、GeneChip流体ステーション450(Affymetrix、cat#00−0079)を製造者の指示にしたがって使用して染色した。
スキャニングアレイ。次に上記からのアレイをGeneChipスキャナー3000(Affymetrix cat#00−0217)を製造者の指示にしたがって使用してスキャンした。
スキャニングアレイ。次に上記からのアレイをGeneChipスキャナー3000(Affymetrix cat#00−0217)を製造者の指示にしたがって使用してスキャンした。
潜在的な腫瘍細胞抗原標的の選択。ターゲティングのために、腫瘍細胞(原発腫瘍または転移のいずれか)中の抗原の発現レベルを、周囲の健康な組織に対して、または集められた正常組織に対して比較することにより腫瘍抗原を選択した。選択された腫瘍抗原は、周囲の正常な組織に比較して少なくとも3倍(300%)の増加発現を示したが、この3倍の増加は、多くのプールされた市販の正常な組織試料(リファレンススタンダードミックスまたはRSM、プールは各組織型に対して作られる)との比較により見られるものである。以下の表は、それぞれの遺伝子のアレイ分析からの増加(倍)データを表し、数値は正常組織と比較して2倍、3倍または5倍の増加の発現を示した分析患者試料の比率を示す。
本発明は、ほんの一例として説明してきたが、本発明の範囲と精神内において改良をなしてよいことが理解されるだろう。
Claims (38)
- 患者の癌を治療するための方法であって、CACNA1Eの発現産物のレベルを調節する工程を含み、該癌が、乳癌、結腸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、皮膚癌および子宮癌および結腸転移からなる群から選択される、方法。
- 前記患者に、CACNA1E発現産物のレベルを調節する抗体、核酸またはポリペプチドを投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記発現産物の発現レベルが、少なくとも2倍の変化だけ上方調節または下方調節される、請求項1または2に記載の方法。
- 前記癌が、腫瘍増殖の阻害または腫瘍容積の減少により治療される、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
- 前記癌が、癌細胞の侵襲性を減少させることにより治療される、請求項1〜4の何れかに記載の方法。
- 前記発現産物がタンパク質またはmRNAである、請求項1に記載の方法。
- 第1時点での発現産物のレベルが第2時点での同一の発現産物のレベルと比較され、該第1時点に対する該第2時点での発現産物のレベルの増加が癌の進行を示す、請求項6に記載の方法。
- 前記ヌクレオチドがsiRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項2に記載の方法。
- 前記抗体が中和抗体である、請求項2に記載の方法。
- 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項2に記載の方法。
- 前記抗体が、CACNA1Eポリペプチドに対して少なくとも1×108Kaの親和性で結合するモノクローナル抗体である、請求項2に記載の方法。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、多特異的抗体またはFab断片である、請求項2に記載の方法。
- コントロールと比較してCACNA1Eの過剰発現により特徴付けられる患者の癌を治療するための方法であって、該患者のCACNA1E遺伝子発現を調節する工程を包含する、方法。
- 前記患者に、CACNA1E活性を阻害する抗体、核酸またはポリペプチドを投与する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
- 癌を診断するための方法であって、CACNA1Eの患者試料中の差次的発現の証拠を検出する工程を包含し、CACNA1Eの差次的発現の証拠が癌の診断指標となり、該癌が、乳癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌および子宮癌および結腸転移からなる群から選択される、方法。
- 差次的発現の証拠がCACNA1Eの発現産物のレベルを測定することにより検出される、請求項15に記載の方法。
- 前記発現産物がタンパク質またはmRNAである、請求項16に記載の方法。
- タンパク質の発現レベルが、CACNA1Eポリペプチドに特異的に結合する抗体を用いて測定される、請求項17に記載の方法。
- 前記抗体がイメージング物質に連結される、請求項18に記載の方法。
- 前記患者試料中のCACNA1E遺伝子の発現産物のレベルがコントロールと比較される、請求項16に記載の方法。
- 前記コントロールが、前記患者試料と同じ組織型の既知の正常組織である、請求項24に記載の方法。
- 前記試料中の発現産物のレベルが前記コントロールと比較して増加している、請求項20に記載の方法。
- 患者試料中の癌性細胞を検出する方法であって、CACNA1Eの発現産物の証拠を検出する工程を包含し、該試料中のCACNA1Eの発現の証拠が、該試料中の細胞が癌性であることを示す、方法。
- 前記細胞が、乳房の細胞、結腸の細胞、腎細胞、肝細胞、肺細胞、リンパ細胞、卵巣細胞、膵臓細胞、結腸の細胞、直腸の細胞、前立腺細胞、子宮細胞、頸部細胞、膀胱細胞、胃細胞、皮膚細胞または結腸転移の細胞である、請求項23に記載の方法。
- 発現産物の証拠がイメージング物質に連結させた抗体を用いて検出される、請求項23に記載の方法。
- 患者の癌の進行を評価するための方法であって、生物試料の第1時点でのCACNA1Eの発現産物のレベルを第2時点での同一の発現産物のレベルと比較する工程を包含し、該第1時点に対する該第2時点での発現産物のレベルの変化が該癌の進行を示し、該癌が、乳癌、肝臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移からなる群から選択される、方法。
- 乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移からなる群から選択される癌を診断するための方法であって、該方法は、
(a)第1個体の第1組織型を含む第1試料中のCACNA1EのmRNAレベルを測定する工程、
(b)(a)におけるmRNAレベルを、
(1)該第1個体の正常な組織型を含む第2試料中のmRNAレベル、または
(2)罹患していない個体由来の正常な組織型を含む第3試料中のmRNAレベルと比較する工程を包含し、
(a)におけるmRNAレベルと、該第2試料または該第3試料におけるmRNAレベルとの間の少なくとも2倍の違いの検出が、該第1個体が癌を有するか、または癌になりやすいことを示す方法。 - (a)中のmRNAレベルと前記第2試料または前記第3試料におけるmRNAレベルとの間の少なくとも3倍の違いは、前記第1個体が癌を有するか、または癌になりやすいことを示す、請求項27に記載の方法。
- 抗癌活性をスクリーニングするための方法であって、
(a)CACNA1Eを発現する細胞と候補抗癌剤とを接触させる工程;
(b)該候補抗癌剤の存在下と非存在下との間において、該細胞中のCACNA1E発現レベルの少なくとも2倍の差を検出する工程を包含し、
該候補抗癌剤の存在下と非存在下との間において該細胞中のCACNA1E発現レベルの少なくとも2倍の差は、該候補抗癌剤が抗癌活性を有することを示し、該癌が、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移からなる群から選択される、方法。 - 前記候補抗癌剤の存在下と非存在下との間において前記細胞中のCACNA1E発現レベルの少なくとも3倍の差が、該候補抗癌剤が抗癌活性を有することを示す、請求項29に記載の方法。
- 前記候補抗癌剤が、抗体、小さい有機化合物、小さい無機化合物またはポリヌクレオチドである、請求項29に記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項31に記載の方法。
- 患者を、CACNA1Eの発現産物に結合する抗体による治療に対して感受性があると同定するための方法であって、該患者由来の生物試料中の該遺伝子の発現産物のレベルを測定する工程を包含する、方法。
- 哺乳動物の癌を診断または検出するためのキットであって、該キットは、
前記実施態様の何れかによる抗体またはその断片、または免疫複合体またはその断片であって、該抗体または断片はCACNA1E腫瘍細胞抗原に特異的に結合する、抗体またはその断片、または免疫複合体またはその断片;
該抗体と該CACNA1E腫瘍細胞抗原との間の結合反応を検出する1つ以上の試薬;および
任意に該キットを使用するための説明書、
を含み、該癌が、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移からなる群から選択される、キット。 - 癌を診断するためのキットであって、該キットは、
ストリンジェントな条件下でCACNA1E遺伝子とハイブリダイズする核酸プローブ;
該CACNA1E遺伝子を増幅するプライマー;および
任意に該キットを使用するための説明書、
を含み、該癌が、乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、皮膚癌、子宮癌および結腸転移からなる群から選択される、キット。 - CACNA1Eの発現産物に対して特異的な1つ以上の抗体またはオリゴヌクレオチドを含む組成物。
- さらに、従来の癌医薬を含む請求項36に記載の組成物。
- さらに、薬学的に許容される賦形剤を含む請求項36に記載の組成物。
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