JP2008534442A - 化合物の用途 - Google Patents

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本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物の薬学的用途に関する。
【選択図】化1
Figure 2008534442

Description

本発明は特定の化合物の用途に関する。
ラパマイシン(rapamycin、シロリムス)(図1)は、ピペコリン酸ラクトン(Paivaら、1991年)に連結された1,2,3−トリカルボニル部分を有する、ストレプトマイセス・ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)NRRL5491により産生される親油性マクロライド(Sehgalら、1975;Vezinaら、1975;米国特許第3,929,992号;米国特許第3,993,749号)。本発明の目的のため、ラパマイシンは、Findlayら(1980年)または化情報索(第11版インデックス蓄積本、1982〜1986年、p60719CS)の番号付け慣例よりは、McAlpineら(1991年)の番号付け慣例により記述される。
ラパマイシンは、その広範囲な生物学的活性スペクトルにより、顕著な薬理的価値を持つ(Huangら、2003年)。この化合物は、哺乳類におけるラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の効果的な阻害剤であり、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)/Akt(タンパク質キナーゼB)セリン/スレオニンキナーゼの下流で細胞生存および増殖をメディエートする経路を信号伝達するセリン/スレオニンキナーゼである。この阻害活性は、ラパマイシンがイムノフィリンFK506結合タンパク質12(FKBP12)と結合した後に増幅される(Dumon,F.J.およびZ.X.Su、1995年)。T細胞ではラパマイシンがIL−2受容体からの信号伝逹を阻害し、それに続くT細胞の自己増殖を阻害し、免疫抑制をもたらす。ラパマイシンは、臓器移植患者のための治療において皮膚拒絶反応を防止するための免疫抑制剤として報告されている(Huangら、2003年)。免疫抑制剤に加えて、ラパマイシンは、ガン、レステロシスなどの心臓血管疾患、多発性硬化症などの自己免疫疾患、関節リウマチ、真菌感染症、アルツハイマー病・パーキンソン病・ハンチントン病などの神経変性疾患、その他多くの疾患の治療において潜在的な治療用途を有する。
多様な疾患状態において有用性を有する反面、ラパマイシンには多くの大きな欠点があった。第1に、それは、化合物を細胞外に輸送してラパマイシン欠乏による細胞膜の透過を許容する細胞膜排出ポンプP糖タンパク質(P−gp、LaPlanteら、2002年、Croweら、1999年)の基質である。これは投与後の化合物の吸収を減退させる。加えて、ガン細胞の多剤耐性の主要なメカニズムは細胞膜排出ポンプを介して行われるものであるため、ラパマイシンは多剤耐性(MDR)ガン細胞に対して効果的ではない。第2に、ラパマイシンはシトクロムP450酵素によって広範囲に代謝される(Lampenら、1998年)。その肝初回通過における損失は大きく、その低い経口投与バイオアベイラビィリティをより一層低下させてしまう。ラパマイシンの低いバイオアベイラビィリティにおけるCYP3A4およびP−gpの役割は、CYP3A4および/またはP−gp抑制剤の投与がCYP3A4感染Caco−2細胞からのラパマイシン排出を低下させることを実証した研究(Cumminsら、2004年)、およびCYP3A4抑制剤の投与がラパマイシンの腸内代謝を減少させることを実証した研究(Lampenら、1998年)において確認されている。ラパマイシンの低い経口バイオアベイラビィリティは顕著な個人間格差を生じさせ、矛盾した治療結果および臨床マネジメントにおける困難をもたらす(Kuhnら、2001年、Croweら、1999年)。
したがって、P−gpの基質ではなく、代謝的により安定的でしたがって改善されたバイオアベイラビィリティを有するような、新規のラパマイシン近似化合物の開発が切望されている。このような化合物は、抗ガン剤として使用されたとき、MDRガン細胞、特にP−gp発現ガン細胞に対してより良い効果を発揮し得る。
分子の化学的に利用可能な部位を用いて合成された一群のラパマイシン相同物が報告された。下記化合物に対する記述には、図1に記述されたラパマイシン分子の付番方式を適用させた。相同化または置換のための分子上の化学的に利用可能な部位には、C40およびC28ヒドロキシル基(例えば、米国特許第5,665,772号、米国特許第5,362,718号)、C39およびC16メトキシ基(例えば、WO96/41807号、米国特許第5,728,710号)、C32、C26およびC9ケト基(例えば、米国特許第5,378,836号、米国特許第5,138,051号、米国特許第5,665,772号)が含まれる。トリエンを標的にしたC17、C19および/またはC21での水添は、抗真菌活性は維持するが、免疫抑制特性の相対的損失をもたらした(例えば、米国特許第5,391,730号、米国特許第5,023,262号)。分子の安全性に対する相当な改善(例えば、C32、C40および/またはC28でのオキシムの形成、米国特許第5,563,145号、米国特許第5,446,048号)、代謝作用攻撃に対する耐性(例えば、米国特許第5,912,253号)、生体利用可能性(例えば、米国特許第5,221,670号、米国特許第5,955,457号、WO98/04279号)および前駆薬物の製造(例えば、米国特許第6,015,815号、米国特許第5,432,183号)が、相同化を通じて達成された。
臨床開発においてもっとも先進的なラパマイシン誘導体の二つを挙げれば、免疫抑制薬理効果を示すラパマイシンの半合成相同物である40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(RAD001、サーティカンCertican、エベロリムスEverolimus)、(Sedrani,Rら、1998年)、および40−O−[(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニルオキシ]ラパマイシン、生体外において細胞成長を抑制し生体内において腫瘍成長を抑制する(Yuら、2001年)ラパマイシンのエステルであるCCI−779(Wyeth−Ayerst社)である。CCI−779は現在数多くの臨床実験において有望な抗ガン剤として使用されている。再発性グリオーマ患者におけるCCI−779フェースII研究に関する最近の刊行物(Changら、2005年)には、当該患者においてこの薬剤が低い効果しか発揮しないのは、その血液脳関門の透過性が低いことに起因している可能性があると報じられている。RAD001のファーマコキネティクス(pharmacokinetics)の調査研究は、ラパマイシンと同様に、それがP−gpの基質であることを示した(Croweら、1999年、LaPlanteら、2002年)。
その構造がラパマイシンに近似しているにもかかわらず、本発明化合物は驚くべきほどに異なった薬理的プロファイルを示す。特に、ラパマイシンと比べて顕著に増大した細胞膜透過性と減少されたエフラックス(排出)を示し、P−gpの基質ではない。加えて、39−デスメトキシラパマイシン(39-desmethoxyrapamycin)は多剤耐性およびP−gp発現ガン細胞腺に対してラパマイシンよりも強力な活性を示す。ラパマイシンと比べると、39−デスメトキシラパマイシンはNCI60細胞腺パネルに対して顕著に異なる抑制プロファイルを示す。さらに、39−デスメトキシラパマイシン相同物は、ラパマイシンおよび臨床試験における先導的誘導体に比べて顕著に異なるファーマコキネティクスプロファイルを示す。予期しないことに、39−デスメトキシラパマイシン相同物は血液脳関門を通過する能力が増大しており、したがって脳内での有用性が向上する。
したがって、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物の医学的用途を提供する。該ラパマイシン相同物はラパマインと比較して顕著に異なるファーマコキネティクスを持ち、改善された血液脳関門通過性を有し、改善された代謝安定性を有し、改善された細胞膜透過性を有し、減少された排出速度を持ち、異なる腫瘍細胞抑制プロファイルを有する。この化合物は医学的に有用であり、特にガンおよび/またはB細胞系悪性腫瘍の治療、免疫抑制の誘導または維持、神経再生の刺激、または真菌感染症、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶病、自己免疫疾患、炎症性疾患または繊維症の治療に効果がある。本発明は特に39−デスメトキシラパマイシンのガンおよび/またはB細胞系悪性腫瘍の治療用途を提供する。
ラパマイシンは自食作用を刺激することが知られている(Raughtら、2001年)。アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病およびプリオン病(クロイツフェルト−ヤコブ病を含む)を含む数多くの疾患で、損なわれた自食作用または自食作用の統制不全が報告されており、この伝達経路の操作がこれらの病気において有益であり得ることを示唆している。最近の生体内研究によれば、ラパマイシンの投与がアグリゲートの出現を低下させ、感染COS−7細胞におけるポリQおよびポリA発現に関連する細胞死滅を低下させることができたと報告されている(Ravikumarら、2002年)。したがって、ラパマイシンが血液脳関門を通過することができれば、これらの結果は、ハンチントン病や他の関連する疾患の治療のための好適な候補となり得ることを示している。このことは、血液脳関門を通過することができるラパマイシン相同物の開発に対する要望が存在することを示唆している。
微小管関連タンパク質タウおよびその結果的アグリゲーションが不溶性の対螺旋状繊維に過リン酸化(hyperphosphorylation)して細胞内変化を生じさせることはアルツハイマー病の特徴的なホールマークの一つであり、この神経原繊維病理の蓄積および関連する神経細胞死が認知機能低下に密接に関連している。Anら(2003年)による最近の研究は、活性化されたp70S6キナーゼがアルツハイマー脳において神経原繊維病理と共に分散しており、特に、活性化されたp70S6キナーゼがタングル(変化)発生前にニュートロン中で明らかに増大されていることが報告された(Anら、2003年)。硫酸亜鉛の投与がp70S6キナーゼを活性化させると共に全正常過リン酸化タウのレベルを上昇させる生体外試験において、ラパマイシンで細胞を予備処理するとp70S6キナーゼの活性化が3倍に低減させたと共に全正常過リン酸化タウのレベルを顕著に低減させた。したがって、これらの結果は、当該化合物が活性領域に到達することを前提として、ラパマイシンまたはラパマイシン相同物の投与がアルツハイマー病の神経原繊維病理を軽減させるのに有効であることを示している。
さらに、ラパマイシンは、幾つかの生体内および生体外モデル(AvramutおよびAchim、2002年)において神経突起伸長および神経細胞生存を増大させると報告されており、このことは、ラパマイシンおよびその相同物が、神経細胞再生が顕著な治療効果となり得るような疾患の治療に有用であり得ることを示している。しかしながら、この有用性はそれが活性領域に到達し得ることに依存しており、したがって向上された血液脳関門通過能力を有するラパマイシン相同物が特に好適である。
本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物を医学的に使用することについての新規且つ驚くべき用途を提供するものであり、特に、39−デスメトキシラパマイシンをガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療、免疫抑制の誘導または維持、神経再生の刺激、または真菌感染症、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶病、自己免疫疾患、神経変性症状、炎症性血管疾患または繊維症の治療に使用することである。特に本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物をガンおよびB細胞系悪性腫瘍の治療に用いることの用途を提供する。一つの好適な実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物を神経疾患または神経変性疾患の治療に用いることの用途を提供する。別の好適な実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物を脳腫瘍、特に多型性グリオブラストーマの治療に用いることの用途を提供する。本発明の特定の一態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。
本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物、とりわけ39−デスメトキシラパマイシンを、特にガンおよび/またはB細胞系悪性腫瘍の治療、免疫抑制の誘導または維持、神経再生の刺激、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶病、自己免疫疾患、神経変性症状、炎症疾患、血管疾患および繊維症の治療、神経再生の刺激または感染症の治療に使用することについての用途に関する。特に本発明はガンおよびB細胞系悪性腫瘍の治療のための39−デスメトキシラパマイシン相同物の用途に関する。一つの特定の態様において本発明はガンおよびB細胞系悪性腫瘍の治療における39−デスメトキシラパマイシンの用途に関する。本発明はまた特に脳腫瘍または神経変性症の治療における39−デスメトキシラパマイシン相同物の用途に関する。一つの特定の実施形態において、本発明は脳腫瘍または神経変性症の治療における39−デスメトキシラパマイシンの用途を提供する。本発明はまた特に神経変性症の治療における39−デスメトキシラパマイシン相同物の用途を提供する。特に、本発明は神経変性症の治療における39−デスメトキシラパマイシンの用途を提供する。
定義
冠詞“a”または“an”はここでは一または一以上(すなわち少なくとも一)の文法上の対象物を指すために用いられる。一例として、“an analogue”は一つの相同物または一以上の相同物を意味する。
ここで用いる「自己免疫疾患」の語は、限定的ではないが、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、重症筋無力症および多発性硬化症を含む。
ここで用いる「炎症疾患」の語は、限定的ではないが、乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏、炎症性腸疾患(限定的ではないが潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)、肺炎(限定できではないが喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、急性呼吸窮迫症候群および気管支炎を含む)、リウマチ性関節炎および眼ブドウ膜炎を含む。
ここで用いる「ガン」の語は、限定的ではないが、皮膚や限定的ではないがたとえば胸腺、前立腺、肺、腎臓、膵臓、脳、胃または腸などの体器官中の悪性または良性の細胞成長を意味する。ガンは隣接組織に侵入して、離れた器官、たとえば非限定的例示として骨や肝臓、肺または脳などに拡がっていく(転移)傾向がある。ここで用いる「ガン」の語は、非限定的な例示としてメラノーマ、リンフォーマ、白血病、繊維肉腫、横紋筋肉腫および悪性肥満細胞腫などの転移性腫瘍細胞タイプと、非限定的な例示として結腸大腸ガン、前立腺ガン、小細胞肺ガンおよび非小細胞肺ガン、乳ガン、膵臓ガン、膀胱ガン、腎臓ガン、胃ガン、グリオバストーマ、肝ガン、卵巣ガンなどの細胞ガンタイプの両方を含む。この語はさらに下記に詳述する脳腫瘍を含む。
ここで用いる「脳腫瘍」の語は、悪性または良性の脳内細胞成長を意味し、原発性および二次性(転移)の腫瘍を含む。原発性の脳腫瘍は、限定的ではないが、グリオーマ(多型性神経膠芽腫、星状膠細胞腫、脳幹グリオーマ、上衣腫および乏突起膠細胞腫を含む)、髄芽腫、髄膜腫、神経鞘腫(または聴神経鞘腫)、頭蓋咽頭腫、胚細胞性脳腫瘍(ジャーミノーマなど)または松果体腫瘍を含む。「脳腫瘍」の語はまた上記一群の疾患を包括的に記述するためにも用いられ、これらの語が互換的に用いられている。
ここで用いる「B細胞系悪性腫瘍」の語は、慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)などの疾患群を含む。これは血液または造血器官の新生物疾患である。これは骨髄および免疫システムの機能不全を生じさせ、宿主を感染や出血しやすいものにする。
ここで用いる「血液疾患」の語は、限定的ではないが、超増殖性血管障害(レステノシスおよび血管閉塞など)、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、脳血管障害および末梢性血液疾患(冠状動脈疾患、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、非アテローム性動脈硬化症または血管壁損傷など)を含む。それはまた、眼球内血液細胞、特に脈絡膜新生血管の新生または増殖に関連する疾病、を意味するためにも使用される。
ここで用いる「神経再生」の語は神経細胞成長刺激を意味し、神経突起伸長および神経細胞の機能的回復を含む。神経再生がその治療に顕著に有効であろうとされる疾患および疾病は、限定的ではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏(病)、筋萎縮性側索硬化症、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、筋ジストロフィー、脳卒中、進行性筋萎縮症、進行性球脊髄性筋萎縮症、変形性頸椎症、ギラン・バレー症候群、痴呆症、末梢性神経障害および末梢神経損傷を含む、これらは身体的損傷(脊髄損傷またはトラウマ、座骨神経や顔面神経の外傷や損傷など)によって生ずるか、あるいは病状(糖尿病など)によって生ずるかを問わない。
ここで用いる「神経障害または神経病に起因する医学的症状」の語は、限定的ではないが、神経変性症、脳腫瘍、脳感染症または脳炎、および神経ないし膠の細胞または組織の死滅ないし機能不全につながる可能性のある他の症状を含む。
ここで用いる「神経変性症」の語は、限定的ではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、(眼咽頭型)筋ジストロフィー(眼咽頭型筋ジストロフィーを含む)、多発性硬化症、プリオン病(クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)を含む)、ピック病、レビー小体病、および/または運動ニューロン病を含む。
ここで用いる「中枢神経に作用する医学的症状であって薬剤を血液脳関門に通過させることが必要とされるもの」の語は、限定的ではないが、神経損傷または神経症に由来する医学的症状、および効果的な治療のために薬剤を神経細胞にアクセスさせることが要求されるような他のあらゆる症状を含む。
ここで用いる「繊維症」の語は、細胞外マトリックスの過剰産生に関連する疾患を意味し、(限定的ではないが)サルコイドーシス、ケロイド、糸球体腎炎、末期腎臓疾患、肝繊維化症(非限定的例示として肝硬変、アルコール性肝障害および脂肪肝を含む)、慢性腎障害、手術創癒着、動脈硬化症、心臓繊維化症、肺繊維症(非限定的例示として突発性肺繊維症および突発性繊維性肺胞炎を含む)、黄斑変性症、新生児および糖尿病網膜症、化学療法または放射線誘発繊維症を含む。
ここで用いる「移植片対宿主拒絶病」の語は、同種幹細胞/骨髄移植後に見られる合併症を意味する。それは、ドナーから与えられた感染と闘う細胞が患者の体を異なるまたは異質であると認識したときに発症する。これらの感染攻撃細胞は、感染を攻撃するかの如く、患者の体内組織を攻撃する。GvHDは、それが移植後最初の100日以内に発症すれば急性とされ、移植後100日経過後に発症すれば慢性とされる。これに関連する主な組織は肝臓、消化管および皮膚である。慢性移植片対宿主拒絶病は幹細胞/骨髄移植患者の約10〜40%に発生する。
ここで用いる「バイオアベイラビィリティ」の語は、投与後の薬剤または他の物質が生物学的活性領域で吸収されまたは有効に働く程度ないし割合を意味する。この性質は、化合物の可溶性、消化管への吸収率、タンパク質結合および代謝の程度などの数多くの要因に依存する。ここに当業界において当業者に良く知られている様々なバイオアベイラビィリティ試験を記述する(さらにTrepanierら、1998年、Gallant−Haidnerら、2000年も参照されたい)。
ここで用いる「存在する一以上の抗ガン剤に対するガンまたはB細胞系悪性腫瘍の抵抗性」の語は、少なくとも一つの主要な治療法がガンまたはB細胞系悪性腫瘍に対して有効でないことを意味する。このようなガンは、正常細胞カウンターパート(すなわち同一器官の成長調節細胞)が細胞毒、細胞死または細胞静止(すなわち分裂しない)のいずれかの兆候を示す場合に、少なくとも一つの新生物剤の投与後も生存し得る特性を有している。この種のガンは特にMDRガンまたはB細胞系悪性腫瘍を含み、特に例示すれば高レベルのP−gpを発現させるガンおよびB細胞系悪性腫瘍である。このような抵抗性ガンまたはB細胞系悪性腫瘍の同定は物理学者または他の同種当業者の能力および通常の活動の範囲内である。
ここで用いる「39−デスメトキシラパマイシン相同物」の語は下記化学式で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を意味する。
Figure 2008534442
ここで、Rは(H,H)または=Oを表し、RおよびRは各々独立してH、OHまたはOCHを表す。この化合物はまた「本発明化合物」として参照され、これらの語が本出願において互換的に用いられる。
本発明において「39−デスメトキシラパマイシン相同物」の語は39−デスメトキシラパマイシンそのものを含む。
ここで用いる「39−デスメトキシラパマイシン」の語は、上記化学式においてRは=Oを表し、RおよびRは各々独立してH、OHまたはOCHを表すものとして示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を意味する。
39−デスメトキシラパマイシン相同物の薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な無機または有機の酸または基から形成される慣習的な塩を含み、さらに第四アンモニウム酸添加塩をも含む。好適な酸塩についてより詳しく例示すれば、塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、蟻酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パルモイン酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタリン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシナフタリン酸、よう化水素酸、リンゴ酸、ステロイン酸、タンニン酸などである。シュウ酸などの他の酸はそれ自身は薬学的に許容可能なものではないが、塩として調製することにより本発明化合物およびその薬学的許容可能塩を得るための中間生成物として有用である。より詳しく好適な基酸を例示すれば、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N−N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミンおよびプロカインの塩である。以降において本発明による化合物を参照するときは39−デスメトキシラパマイシンおよびその薬学的許容可能塩の両方を含む。
発明の記述
本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物の医学的用途に関し、特にガン、B細胞系悪性腫瘍の治療、免疫抑制の誘導または維持、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶病、自己免疫疾患、神経変性症状、血管炎症疾患および繊維症の治療、神経再生の刺激、神経病または神経変性症状の治療または感染症の治療に使用することについての用途に関する。したがって、本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を、神経の損傷または疾患に起因する医学的症状の治療に用いることについての用途を提供する。一つの特定の実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩を、神経の損傷または疾患に起因する医学的症状の治療に用いることについての用途を提供する。別の実施形態において、本発明は、9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を神経の損傷または疾患に起因する医学的症状の治療に用いることについての用途を提供する。
本発明はまた、39−デスメトキシラパマイシン相同物、すなわち血液脳関門透過性が改善されたラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を、中枢神経に作用する医学的症状であって薬剤を血液脳関門に通過させることが必要とされるもの、すなわち血液脳関門が化合物の輸送を妨げるような医学的症状の治療に用いることについての用途を提供する。一つの特定の実施形態において、本発明は、血液脳関門が化合物の輸送を妨げる場合に、39−デスメトキシラパマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩を、中枢神経システムに作用する医学的症状を治療することについての用途を提供する。別の実施形態において、本発明は、血液脳関門が化合物の輸送を妨げる場合に、9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を、中枢神経システムに作用する医学的症状を治療することについての用途を提供する。
特定の一実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物をガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療に用いる用途に関する。別の実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシンをガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療に用いる用途に関する。別の実施形態において、本発明は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物をガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療に用いる用途に関する。また、本発明は特に39−デスメトキシラパマイシン相同物を脳腫瘍の治療に用いる用途を提供する。本発明はさらに39−デスメトキシラパマイシンを脳腫瘍の治療に用いる用途を提供する。別の実施形態において本発明は、9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を脳腫瘍の治療に用いる用途を提供する。特に、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物を多型性神経膠芽腫の治療に用いる用途を提供する。別の実施形態において本発明は、9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を多型性神経膠芽腫の治療に用いる用途を提供する。
本発明はさらに39−デスメトキシラパマイシン相同物を神経変性症の治療に用いる用途を提供する。別の実施形態において本発明は39−デスメトキシラパマイシンを神経変性症の治療に用いる用途を提供する。別の実施形態において本発明は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を神経変性症の治療に用いる用途を提供する。特に、神経変性症はアルツハイマー病、多発性硬化症およびハンチントン病からなる群より選ばれ得る。したがって、一つの実施形態において、本発明はアルツハイマー病の治療に39−デスメトキシラパマイシン相同物を用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明はアルツハイマー病の治療に39−デスメトキシラパマイシンを用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物をアルツハイマー病の治療に用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明は多発性硬化症の治療に39−デスメトキシラパマイシン相同物を用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明は多発性硬化症の治療に39−デスメトキシラパマイシンを用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を多発性硬化症の治療に用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明はハンチントン病の治療に39−デスメトキシラパマイシン相同物を用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明はハンチントン病の治療に39−デスメトキシラパマイシンを用いる用途を提供する。別の実施形態において、本発明は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物をハンチントン病の治療に用いる用途を提供する。
別の実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物、特に39−デスメトキシラパマイシンまたは9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物の有効量を患者に投与することからなる、ガンまたはB細胞系悪性腫瘍を治療し、免疫抑制を誘導または維持し、神経再生を刺激し、真菌感染症、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶病、自己免疫疾患、神経変性症状、炎症疾患、血管疾患または繊維症の治療法を提供する。特に本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を投与することからなる、神経の損傷または疾患に起因する医学的症状の治療法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシンを投与することからなる、神経の損傷または疾患に起因する医学的症状の治療法を提供する。別の実施形態において、本発明は、9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を投与することからなる、神経の損傷または疾患に起因する医学的症状の治療法を提供する。本発明はまた、39−デスメトキシラパマイシン相同物、すなわち血液脳関門透過性が向上されたラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を投与することからなる、中枢神経に作用して血液脳関門が化合物の輸送を阻害するような医学的症状の治療法を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。
好適には、本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物の有効量を患者に投与することからなるガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療法を提供する。別の好適な実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物の有効量を患者に投与することからなる脳腫瘍の治療法を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。特定の実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物の有効量を患者に投与することからなる多型性神経膠芽腫の治療法を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。
別の好適な実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物の有効量を患者に投与することからなる神経変性症の治療法を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。特に、神経変性症はアルツハイマー病、多発性硬化症およびハンチントン病からなる群より選ばれ得る。したがって、一つの実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物の有効量を患者に投与することからなるアルツハイマー病の治療法を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。別の実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシンの有効量を投与することからなる多発性硬化症の治療法を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。別の実施形態において、本発明は、39−デスメトキシラパマイシンの有効量を投与することからなるハンチントン病の治療法を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。
本発明はまた、ガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療、免疫抑制の誘導または維持、神経再生の刺激、感染症、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶病、自己免疫疾患、神経変性症状、血管炎症疾患または繊維症の治療のための薬剤の製造に39−デスメトキシラパマイシン相同物を用いる用途を提供する。特に、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を神経の損傷または疾患に起因する医学的症状の治療のための薬剤調製に使用する用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。
本発明はまた、39−デスメトキシラパマイシン相同物、すなわち血液脳関門透過性が改善されたラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を、血液脳関門が化合物の輸送を妨げる場合に、中枢神経システムに作用する医学的症状を治療するための薬剤調製に用いる用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。
本発明はまた、具体的に、39−デスメトキシラパマイシン相同物を脳腫瘍の治療薬の調製に使用する用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。特定の実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物を多型性神経膠芽腫の治療薬の調製に使用する用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。
本発明はまた、具体的に、39−デスメトキシラパマイシン相同物を神経変性症の治療薬の調製に使用する用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。特に、神経変性症はアルツハイマー病、多発性硬化症およびハンチントン病からなる群より選ばれ得る。したがって、一つの実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物をアルツハイマー病の治療薬の調製に使用する用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。別の実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物を多発性硬化症の治療薬の調製に使用する用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。別の実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物をハンチントン病の治療薬の調製に使用する用途を提供する。特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。
39−デスメトキシラパマイシン相同物はWO04/007709に記載された方法を用いて製造されるラパマイシンの類似構造的相同物である。しかしながら、それは、39−デスメトキシラパマイシンおよび関連する相同物についてのNCI60細胞ラインパネルの比較分析(下記表1参照)によって示されるように、ラパマイシンとは異なる活性スペクトルを示す。この比較分析ではピアソン分析を用いてNCI60細胞ラインパネル上の2つの化合物の活性を比較し、これら2つの化合物がどのように近似しているかを示す相関係数を生成する。これはそれらの活性メカニズムの相関性をも示し得る。ラパマイシンと39−デスメトキシラパマイシンについてのピアソン係数は0.614であり、これはラパマイシンとCCI−779(ラパマイシンの40−ヒドロキシエステル誘導体)との間のピアソン係数0.86(Dancey、2002年)と比較されるべきである。したがって、39−デスメトキシラパマイシン相同物はラパマイシンと比べて異なる活性スペクトルを有することが分かる。
Figure 2008534442
多剤耐性(MDR)はガンおよびB細胞系悪性腫瘍の治療において重要な問題である。それは多くのガンにおいて薬剤耐性の開発を遅れさせる主要な原因となっている(Persidis A,1999年)。薬剤は当初有効に働いても一定期間を経過すると完全に有効性を失う。MDRはアデノシン三リン酸結合カセットトランスポーター(ABCトランスポーター)の増大レベル、特にP糖タンパク質(P−gp)のためにエンコードするMDR1遺伝子またはMRP1をエンコードするMRP1遺伝子の発現の増加に関連する。MDR1遺伝子発現レベルは異なるガン由来細胞ラインに亘って大きく変化し、幾つかの細胞ラインでは検出不能であるが、他の細胞ラインでは標準的対照と比較すると最大10ないし100倍の発現増加を示すことがある。
ラパマイシンと39−デスメトキシラパマイシンとの間に示される活性スペクトルの相違の幾つかは、39−デスメトキシラパマイシン相同物がP−gpのための基質ではないことによるものと説明することができる。39−デスメトキシラパマイシン相同物はラパマイシンに比べてCaco−2細胞からのエフラックスが減少しており、39−デスメトキシラパマイシンは生体外P−gp基質アッセイにおいてP−gpのための基質であるとは示されなかった(実施例参照)。
したがって、本発明のさらなる態様は、39−デスメトキシラパマイシン相同物を、一以上の現存する抗ガン剤に対して抵抗性を示すガンまたはB細胞系悪性腫瘍、すなわちMDRガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療に用いる用途を提供する。一つの特定の態様において、本発明は39−デスメトキシラパマイシンをP−gp発現ガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療に用いる用途を提供する。さらにより好適な実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシンを高P−gp発現ガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療に用いる用途を提供する。特に、高P−gp発現ガンまたはB細胞系悪性腫瘍は比較対照に比べて2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍または100倍増大した発現を有する。上記用途の一つの特定の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。上記用途の他の態様において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。適当な対照はP−gpを発現しないか、P−gp発現レベルが低いか、あるいはMDR機能が低い細胞であり、当業者はそのような細胞ラインを知っているかあるいは認知することができる。適当な細胞ラインを非限定的に例示すれば、MDA435/LCC6、SBC−3/CDDP、MCF7、NCI−H23、NCI−H522、A549/ATCC、EKVX、NCI−H226、NCI−H322M、NCI−H460、HOP−18、HOP−92、LXFL529、DMS114、DMS273、HT29、HCC−2998、HCT−116、COLO205、KM12、KM20L2、MDA−MB−231/ATCC、MDA−MB−435、MDA−N、BT−549、T−47D、OVCAR−3、OVCAR−4、OVCAR−5、OVCAR−8、IGROV1、SK−OV−3、K−562、MOLT−4、HL−60(TB)、RPMI−8226、SR、SN12C、RXF−631、786−0、TK−10、LOX IMVI、MALME−3M、SK−MEL−2、SK−MEL−5、SK−MEL−28、M14、UACC−62、UACC−257、PC−3、DU−145、SNB−19、SNB−75、SNB−78、U251、SF−268、SF−539、XF498。
別の観点において本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物をMDRガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療用薬剤の調製に用いる用途を提供する。特定の態様において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物をP−gp発現ガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療用薬剤の調製に用いる用途を提供する。さらにより好適な実施形態において、本発明は39−デスメトキシラパマイシン相同物を高P−gp発現ガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療用薬剤の調製に用いる用途を提供する。特に、高P−gp発現ガンまたはB細胞系悪性腫瘍は比較対照に比べて2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍または100倍増大した発現を有する。一つの特定の態様において39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。適当な対照は上記のものである。
サンプル中のP−gp発現レベルを決定する方法は後述する。
したがって、別の観点において本発明は、39−デスメトキシラパマイシン相同物の治療的有効量を投与することからなるP−gp発現ガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療法を提供する。一つの特定の態様において39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンである。別の態様において39−デスメトキシラパマイシン相同物は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物である。特定のガンタイプにおけるP糖タンパク質(P−gp)発現レベルは、限定的ではないがたとえばリアルタイムRT−PCT(Szakacsら、2004年;Steinら2002年;Langmannら、2003年)を含む技術を用いて、免疫組織化学によって(Steinら、2002年)、またはマイクロアレイを用いて(Leeら、2003年)、当業者により決定することができる。これらの方法は単に例示として挙げたにすぎず、他の適当な方法も当業者に与えられるであろう。
39−デスメトキシラパマイシンは実施例に示すように、ラパマイシンと比べるとより増大した代謝安定性を示す。既に多くの論文において、ラパマイシンの39−メトキシ群はラパマイシンを39−O−デスメチルラパマイシンに返還させる代謝性発作の主要な部位であると認識されている(Trepanierら、1998年)。ラパマイシンの主な代謝物質は親化合物に比べて顕著に低下した活性を有する(Gallant−Haidnerら、2000年、Trepanierら、1996年)。対して、39−デスメトキシラパマイシンはもはや代謝性発作の最も顕著な部位を持たず、このことが該化合物の安定性向上につながっている(実施例参照)。ラパマイシン親化合物と同等またはそれ以上の効能を39−デスメトキシラパマイシンが持っていることが、本発明化合物により長い半減期を与えている。これはラパマイシンを上回るさらに驚くべき39−デスメトキシラパマイシンの優位性である。
上記39−デスメトキシラパマイシンの特性(P−gpのための基質ではなく、増大した代謝安定性を持ち、P−gpを介しての細胞エフラックスが減少している)は、39−デスメトキシラパマイシンがその親化合物ラパマイシンに比べてより高いバイオアベイラビリティを有することを示している。したがって、本発明は代謝安定性が向上し、細胞膜透過性が向上し、独特のガン細胞抑制プロファイルを有するラパマイシン相同物であるところの39−デスメトキシラパマイシンを医療用途、特にガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療に用いる用途を提供する。
本発明はまた、39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容可能なキャリアと共に用いてなる薬剤化合物を提供する。一つの特定の態様において本発明は39−デスメトキシラパマイシンを含む薬剤化合物を提供する。他の態様において本発明は9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違する39−デスメトキシラパマイシン相同物を含む薬剤化合物を提供する。一つの特定の実施形態において、本発明は特に静脈投与用に処方された上記薬剤化合物を提供する。
ラパマイシンおよび臨床試験において存在しあるいは存在することが見出されたCCI−779やRAD001などの関連化合物は、薬理学的プロファイルが不十分であり、たとえば代謝安定性が低く、透過性が低く、P−gpからのエフラックスが高レベルであり、バイオアベイラビリティが低い。本発明は、ラパマイシンと比べて薬剤性能が向上されている39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩の用途を提供する。
本発明のさらなる驚くべき観点は、現存するラパマイシン相同物に比べて39−デスメトキシラパマイシン相同物が顕著に異なる薬物動態プロファイルを示すことである。特に39−デスメトキシラパマイシン相同物は血液脳関門透過性が向上しており、したがってこれら化合物は所定の血液レベルに対して関連相同物と比べてより高い脳内露出が見られる。
薬物動態プロファイルにおけるこの相違は全く予期せざるものであり、いかなる従来技術にも示唆されていない。神経変性症および脳腫瘍を含む疾患に現在用いられている治療に伴う公知の短所は、薬剤を活性領域に運び入れることへのチャレンジである(Pardridge、2005年を参照)。これはまた、現存ラパマイシン相同物を治療に用いたときの問題としても報告されており、特に多型性グリオブラストーマの治療におけるCCI−779の効能を調査した研究は、全身濃度は適正であったけれど血液脳関門が腫瘍への薬剤輸送に対するバリアとして作用したと結論付けた(Chang、2005年)。本発明は、したがって、改善された血液脳関門透過性を有し、したがって脳腫瘍および神経変性症の治療について顕著な有用性を有するラパマイシン相同物を初めて開示するものである。
上記した形態のいずれにおいても本発明の用途のための好適な39−デスメトキシラパマイシン相同物は、9、16または27位置の一以上でラパマイシンとさらに相違するものを含み、すなわち、39−デスメトキシラパマイシン相同物は39−デスメトキシラパマイシンそのものではない。さらに好適な39−デスメトキシラパマイシン相同物は下記のものを含む。
・39−デスメトキシラパマイシン相同物は位置27に水酸基を有する、すなわちRはOHを示し、
・39−デスメトキシラパマイシン相同物は位置27に水素基を有する、すなわちRはOHを示し、または、
・39−デスメトキシラパマイシン相同物は位置16に水酸基を有する、すなわちRはOHを示す。
当業者であれば、本発明化合物の薬物動態プロファイルおよびバイオアベイラビリティを、当業者に知られている生体内および生体外の方法、たとえば非限定的な例示として、後述の方法やGallant−Haidnerら、2000年およびTrepanierら、1998年に記述されたものをここで参照して、これらに記述された方法などを用いて決定することができるであろう。化合物のバイオアベイラビリティは多くの要因(水溶性、細胞膜透過性、タンパク質結合および代謝および安定性の程度など)によって決定され、これらは後述の実施例に記載したような生体外試験によって決定することができる。当業者には理解されていることであるが、これら要因の一以上の向上は化合物のバイオアベイラビリティを向上させることに繋がる。あるいは、39−デスメトキシラパマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティは、下記に詳述しあるいは後述実施例に記述したような生体内方法を用いて測定することも可能である。
生体内アッセイ
生体内アッセイは39−デスメトキシラパマイシンなどの化合物のバイオアベイラビリティを測定するためにも使用することができる。一般的に言えば、該化合物を腹腔内(ip)または静脈(iv)および経口(po)の両方で試験動物に投与し、血液サンプルを所定インターバルで取り出して薬剤のプラズマ濃度の経時的変化を調べる。プラズマ濃度の経時的変化は、標準モデルを用いたパーセンテージとして該化合物の絶対的バイオアベイラビリティを算定するために用いることができる。主なプロトコルの例を下記に挙げる。
39−デスメトキシラパマイシンをivで3mg/kgまたはpoで10mg/kgマウスに投薬する。血液サンプルを5分、15分、1時間、4時間および24時間のインターバルで取り出し、サンプル中の39−デスメトキシラパマイシン濃度をHPLCで同定する。次いで、プラズマまたは全体血中濃度の経時的変化を用いて、プラズマまたは血中濃度−時間曲線下面積(AUC、全身循環に到達する不変薬剤の全量に正比例する)、最大(ピーク)プラズマまたは血中薬物濃度、最大(ピーク)プラズマまたは血中薬物濃度が発生する時間(ピーク時間)などの主要なパラメータを得るために用いることができる。バイオアベイラビリティの正確な決定に用いられるその他の要因には、該化合物の消失半減期、全身クリアランス、定常状態分布容積およびF%が含まれる。次いでこれらのパラメータを非境界要素法または境界要素法を用いて分析して、算定されたパーセンテージのバイオアベイラビリティを得る。この種の方法の一例がGallant−Haidnerら、2000年およびTrepanierら、1998年に記載されており、それらをここで参照する。
39−デスメトキシラパマイシンの効能は、ここに記述され、また当業者に公知である神経変性症のための生体内モデルで試験することができる。このようなモデルは、限定的ではないが、アルツハイマー病のための、ヒト家族性アルツハイマー病(FAD)pアミロイド前駆体(APP)の発現動物、ヒト野生型APPの過剰発現動物、pアミロイド1−42(pA)の過剰発現動物、FADプリセニリン1(PS1)(たとえばGermanおよびEisch、2004年)の発現動物などである。多発性硬化症については実験的自己免疫症脳炎(EAE)モデルがある(Bradi、2003年および実施例7参照)。パーキンソン病については1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)モデルまたは6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)モデルがある(たとえばEmborg、2004年;Schober A、2004年参照)。ハンチントン病については、高度に肥大したCAGリピートを持つヒトのハンチントン病(HD)遺伝子の1エクソンをマウスの生殖細胞に導入することにより産生されるR6ラインモデル(Sathasivamら、1999年)やその他(HerschおよびFerrante、2004年)を含む幾つかのモデルがある。
上述の本発明化合物またはその処方は従来のいかなる方法によっても投与可能であり、限定的ではないがたとえば、非経口、経口、局所(口内、舌下、経皮を含む)的に投与することができ、ステントなどの医療器具を用いて投与することができ、吸入法や注射(皮下または筋肉)によっても投与可能である。治療は一度の投薬または一定期間に亘る複数回の投薬で行うことができる。
39−デスメトキシラパマイシン相同物を単独で投与することも可能であるが、薬剤処方として一以上の許容されるキャリアと共に存在させることが好ましい。キャリアは本発明化合物とコンパチブルであり且つそのレシピエントに対して有害でないという意味において「許容される」ものでなければならない。好適なキャリアの数例を下記に詳述する。
39−デスメトキシラパマイシン相同物は単独または他の治療薬と組み合わせて投与することができ、2つ(またはそれ以上)の薬剤の併用投与は各々を単独で投与する場合に比べて格段に少ない投薬量で済み、したがってそれらの副作用を軽減させる。39−デスメトキシラパマイシンの代謝安定性が向上されていることは、P450酵素を基質とする薬剤と併用したときに、ラパマイシンと併用した場合に比べて薬物相互作用を起こしにくいという特別の優位性を与えている(Lampenら、1998年)。
したがって、一つの実施形態において、免疫抑制の誘導または維持、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶病、自己免疫疾患、神経変性症状、血管炎症疾患の治療のために、39−デスメトキシラパマイシン相同物を他の治療薬と併用投与する。好適な治療薬の非限定的例示として、アザチオプリン、コルチコステロイド、シクロフォスファミド、シクロスポリンA、FK506、ミコフェノール酸モフェチル、OKT−3およびATGなどの免疫調節剤を含む。
別の実施形態において、39−デスメトキシラパマイシン相同物はガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療のために他の治療薬と併用投与される。好適な治療薬の非限定的例示として、メトトレキセート、リューコボリン、アドリアマイシン、プレニゾン、ブレオマイシン、シクロフォスファミド、5−フルオロウラシル、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドキソルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、酢酸メゲストロール、アナストロゾール、ゴセレリン、抗HER2単クローン抗体(Herceptin(商標名)など)、カペシタビン、塩酸ラロキシフェン、EGFR抑制剤(Iressa(登録商標)、Tarceva(商標名)、Erbitux(商標名)など)、VEGF抑制剤(Avastin(商標名)など)、プロテアソーム抑制剤(Velcade(商標名)など)、Glivec(登録商標)、hsp90抑制剤(17−AAGなど)を含む。加えて、39−デスメトキシラパマイシンは非限定的例示として放射線療法や手術を含む他の療法と組み合わせて投与しても良い。
一実施形態において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は血管系疾患の治療のために他の治療薬と併用投与される。好適な治療薬の非限定的例示として、ACE抑制剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、フィブリン酸誘導体、HMG−CoAリダクターゼ抑制剤、βアドレナリン遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、抗酸化剤、抗凝集剤、血小板抑制剤(Plavix(商標名)など)を含む。
一実施形態において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は神経再生の刺激のための他の治療薬と併用投与される。好適な治療薬の非限定的例示として、神経成長因子、グリア細胞由来成長因子、脳由来成長因子、毛様体神経栄養因子、ニューロトロフィン−3などの神経栄養因子を含む。
一実施形態において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は感染症の治療のための他の治療薬と併用投与される。好適な治療薬の非限定的例示として、アンフォテリシンB、フルサイトシン、エキノカンジン(カスポファンギン、アニデュラファンギンまたはミカファンギンなど)、グリセオフルビン、イミダゾール系またはトリアゾール系抗真菌剤(クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール、テルコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾオール、ボリコナゾールなど)を含む。
一実施形態において、39−デスメトキシラパマイシン相同物はアルツハイマー病の治療のための他の治療薬と併用投与される。好適な治療薬の非限定的例示として、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなどのコリンステラーゼ抑制剤、メマンチンなどのN−メチル−D−アルパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬を含む。
一実施形態において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は多発性硬化症の治療のための他の治療薬と併用投与される。好適な治療薬の非限定的例示として、インターフェロンβ−1b、インターフェロンβ−1a、グラチラマー、ミトキサントロン、シクロフォスファミド、コルチコステロイド(メチルプレドニゾン、プレドニゾン、デキサメタゾンなど)を含む。
当業者には明らかなことであろうが、併用投与には、同一の治療レジメの一部として2またはそれ以上の治療薬を患者に輸送するいかなる手段をも含む。2またはそれ以上の薬剤を単一の処方において同時に投与することも可能であるが、これは必須ではない。これらの薬剤は異なる処方で異なる時期にも投与可能である。
処方は従来のように単位投薬形態として存在しても要旨、調剤分野で公知のいかなる方法によって調製しても良い。このような方法は、活性成分(本発明化合物)を一以上のアクセサリ成分を構成するキャリアに関連付けるステップを含む。一般的に言えば、活性成分を液体キャリアまたは微細に分割した固体キャリアまたはその両方に均一且つ周到に関連付けた後、必要であれば製品に仕上げることによって処方を調製する。
39−デスメトキシラパマイシン相同物は通常の場合、活性成分からなる薬剤処方の形態で、任意的に非毒性の有機または無機、酸または基、添加塩、薬学的に許容し得る投薬形態で、静脈内、経口または何らかの非経口ルートによって投与される。治療すべき疾患や患者および投薬ルートに応じて異なる投薬量で化合物を投与することができる。
注射可能な用途に好適な本発明の薬剤化合物は、無菌の水溶液または分散液を含む。さらに、該化合物は、そのような無菌の注入可能溶液または分散液の即時調整用の無菌粉体の形態であっても良い。あらゆる場合において最終的な注射可能形態は無菌でなければならず、注射を容易にするために有効な液体でなければならない。
この薬剤化合物は製造および保存の状態において安定的でなければならず、すなわち、細菌や菌腫のような微生物の汚染作用を廃して保存しうることが好ましい。キャリアはたとえば水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、野菜油およびこれらの適当な混合物を含む溶媒ないし分散媒体であって良い。
一例として、39−デスメトキシラパマイシン相同物は、即時的または時間を置いたあるいはリリースコントロールされた投与のために、香料剤や着色剤を含み得る錠剤、カプセル、胚珠、エリキシル、溶液または懸濁液の形態にして、経口、口内または舌下に投与することができる。
経口投与に適した39−デスメトキシラパマイシン相同物の溶液または懸濁液はまた、N,N−ジメチルアセトアミドなどの賦形剤、ポリソルベート80などの分散剤、表面活性剤、Phosal50PG(フォスファチジルコリン、大豆脂肪酸、エタノール、モノ/ジグリセリド、プロピレングリコールおよびアスコルビン酸パルミチン酸エステルからなる)などの溶解剤を含むことができる。
錠剤には、微結晶セルロース、ラクトース(ラクトース一水和物、ラクトース無水物など)、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、ジブチルヒドロキシトルエン(E321)、クロスポビドン、ヒプロメローズ、デンプン(好ましくはコーン、ポテトまたはタピオカのデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤、ある種の錯体ケイ酸塩、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、マクロゴル8000、サクロース、ゼラチン、アカシアなどの顆粒結合剤を含むことができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、タルクなどの潤滑剤を含有しても良い。
類似タイプの固形化合物はゼラチンカプセル内の充填物としても使用可能である。この態様における好適な賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子ポリエチレングリコールなどである。液体懸濁物および/またはエリキシルの場合、本発明化合物は様々な甘味剤または香料剤、着色剤または顔料、乳化剤および/または懸濁剤、水やエタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの混合物と組み合わせて用いることができる。
錠剤は任意の一以上の副成分と共に圧縮または成型によって調製することができる。圧縮法による錠剤は、粉体または粒体のような自由流動形態にある有効成分を適当な機械の中で圧縮することによって調製することができる。該有効成分は、結合剤(ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(グリコールデンプンナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、表面活性剤または分散剤と任意に混合して用いることができる。成型法による錠剤は、不活性希釈剤で湿潤された粉状の化合物を適当な機械の中で成型することによって調製することができる。錠剤には任意にコーティングまたはスコアリングが施され、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な配合で用いて所望のリリースプロファイルを与えることにより、その中の有効成分のリリースを遅らせ、あるいは制御するように処方することができる。
経口投与に適した本発明の処方は、各々が所定量の有効成分を含むカプセル剤、カシュ剤、錠剤などの個別ユニットとして、粉状物または粒状物として、水性液または非水性液中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして、提供することができる。有効成分はボーラス(急速静注)投与、練り薬またはペーストとして提供することもできる。
口内局所投与に適した処方は、香り付けされた通常はサクロースまたはアカシアまたはトラガントなどの基質内の活性成分からなるロゼンジ、ゼラチン、グリセリン、サクロース、アカシアなどの不活性基質内の活性成分からなる芳香製剤、適当な液体キャリア内の活性成分からなるマウスウォッシュを含む。
上述の成分に加えて、本発明の処方は、問題となる処方のタイプを考慮して、当業界に公知である他の薬剤を含み得ることを理解しなければならない。たとえば、経口投与に適したものは香料剤を含むことができる。
局所投与に適合した薬剤化合物は、軟膏、クリーム、ローション、パウダー、溶液、ペースト、ジェル、含浸包帯、スプレー、エアロゾル、オイル、経皮デバイス、ダスティングパウダーなどとして設計することができる。これらの化合物は活性剤を含む従来法で調剤可能である。これらは従来公知の親水性キャリアおよび添加剤、たとえば防腐剤、薬剤の浸透をアシストする溶媒、クリームまたは軟膏内のエモリエント、ローションのためのエタノールまたはオレイルアルコールを含むことができる。このようなキャリアは化合物の約1%〜約98%存在することができる。より一般的にはこれらは化合物の約80%を上限として存在する。例示的に述べるにすぎないが、クリームまたは軟膏は、十分な量の親水性材料と化合物の約5〜10重量%を含む水とを混合して所望のコンシステンシーを有するクリームまたは軟膏として製造することができる。
経皮投与に適合した薬剤化合物は、レシピエントの表皮と長時間密接し続けるように意図された不連続パッチとして提供することができる。たとえば、活性剤をパッチからイオントフォレーシスして供給することができる。
口や皮膚などの外部組織への投与のために、化合物は好ましくは局所用の軟膏またはクリームとして提供される。軟膏として設計される場合は、活性剤をパラフィン系または水溶性の軟膏ベースと共に用いることができる。
あるいは、活性剤を水中油クリームベースまたは油中水ベースと共にクリームに処方しても良い。
静脈投与の場合、流体ユニットの単位投薬量フォームは、活性剤と、非限定的例示として水やアルコール、ポリオール、グリセリン、植物性油など、特に水が好ましいが、これらの無菌ベヒクルを用いて調製される。活性成分は、使用されるベヒクルと濃度に応じて、ベヒクルに懸濁または溶解され得る。溶液を調製する場合、活性成分は注射のために水に溶解し、適当なバイアルまたはアンプルに注入する前にフィルタ殺菌してシールする。
好ましくは、局所麻酔薬、防腐剤、緩衝剤などの添加剤がベヒクルに溶解される。安定性を高めるために、バイアルに注入する前に化合物を凍結して真空下で水を除去することができる。凍結乾燥したパウダーは次いでバイアル内でシールされ、使用前に注射用の水バイアルが供給されて液体を再構成する。
非経口投与懸濁液は、活性成分が溶解される代わりにベヒクル内に懸濁され、また、ろ過を伴わずに殺菌されることを除いて、溶液の場合とほぼ同様に調製される。活性成分は無菌ベヒクルに懸濁される前にエチレン酸化物に晒されることによって殺菌される。好ましくは、活性成分の均一な分散を促進させるために、界面活性剤または湿潤剤が化合物に含まれる。
39−デスメトキシラパマイシン相同物は、また、当業界において公知の医療機器を用いて投与することができる。たとえば、一実施例によれば、本発明の薬剤化合物は無針(needleless)皮下注射器を用いて投与することができる。このような注射器は、米国特許第5399163号、米国特許第5383851号、米国特許第5312335号、米国特許第5064413号、米国特許第4941880号、米国特許第4790824号または米国特許第4596556号に開示されている。本発明に有用な公知のインプラントおよびモジュールの例を挙げれば、制御された速度で投薬するためのインプラント可能なマイクロインフュージョンポンプ(micro-infusion pump)を開示する米国特許第4487603号、外皮を通して投薬する医療器具を開示する米国特許第4486194号、厳密な注入速度で薬剤をデリバーするための薬剤インフュージョンポンプを開示する米国特許第4447233号、連続薬剤デリバリーのための可変速度インプラント可能インフュージョン装置を開示する米国特許第4447224号、マルチチャンバーのコンパートメントを有する浸透性薬剤デリバリーシステムを開示する米国特許第4439196号、および、浸透性薬剤デリバリーシステムを開示する米国特許第4475196号である。一つの特定の実施形態において、39−デスメトキシラパマイシン相同物は、WO01/87263に記述されるものや関連する刊行物あるいはPerin(Perin、EC、2005年)によって記述されるものに対応するような薬剤溶出ステントを用いて投与することができる。その他多くのインプラント、デリバリーシステムおよびモジュールが当業者に知られている。
本発明化合物の1回投薬量は特定の化合物、関係する疾患、サブジェクト、疾患の性質および深刻度、サブジェクトの物質的な条件、および選択された投薬経路によって変わる。適切な1回投薬量は当業者であれば容易に決定することができる。
薬剤化合物には、投薬方法に依存して、本発明化合物が0.1重量%以上、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30%含まれる。
当業者には認識し得るように、本発明化合物の1回投薬量の適量と投薬間隔は、治療する症状の性質および程度、投与の形態、経路および部位、治療患者の年齢および状態などによって決定され、最終的には医師が適切な投薬量を決定する。この投薬量は適切である限り頻繁に繰り返され得る。副作用が発症した場合は、通常の臨床プラクティスに基づいて投薬の量および/または頻度を変更または減少させる。
材料および方法
材料
特記しない限り、下記実施例で用いたすべての試薬は市販品から入手したものである。
培養
S.ヒグロスコピカス MG2−10[IJMNOQLhis](WO04/007709;Gregoryら、2004年)を培地1の寒天プレート(下記)上で28℃に維持した。芽胞株を培地1で培養した後に調製した。それは、20%w/vグリセリンと10%w/vラクトースを含む蒸留水に保存して−80℃で保管した。凍結株0.1mlを250mlフラスコ中の50ml培地2(下記)に接種することによって植物培養菌を調製した。この培養菌を36〜48時間、28℃、300rpmでインキュベートした。
製造法
植物培養菌を2.5〜5%v/vで培地3に接種した。6〜7日間にわたり26℃、300rpmで培養した。
培養法
シクロヘキサンカルボン酸の供給/添加を接種24〜48時間後に行い、他に述べられていない限り1〜2mMの最終濃度で供給した。
培地1:
成分 ソース カタログ# L当たり
コーンスターチパウダー Sigma C−8160 2.5g
酵母エキス Difco 0127−17 3g
炭酸カルシウム Sigma C5929 3g
硫酸鉄 Sigma F8633 0.3g
BACTO寒天 20g
小麦デンプン Sigma S2760 10g
水 1L
その後培地を121℃で20分間オートクレーブ殺菌
培地2:RapV7菌種培地
成分 L当たり
トーストしたニュートリソイ(ADM Ingredients Ltd) 5g
Avedex W80 デキストリン(Deymer Ingredients Ltd) 35g
コーンスチープ固形物(Sigma) 4g
グルコース 10g
(NHSO 2g
ラクチン酸(80%) 1.6mL
CaCO(Caltec) 7g
1MのNaOHでpHを7.5に調整
その後培地を121℃で20分間オートクレーブ殺菌
殺菌後0.16mLの40%グルコースを各7mLの培地に添加
培地3:MD6培地(発酵培地)
成分 L当たり
トーストしたニュートリソイ(ADM Ingredients Ltd) 30g
コーンスターチ(Sigma) 30g
Avedex W80 デキストリン(Deymer Ingredients Ltd) 19g
酵母(Allinson) 3g
コーンスチープ固形物(Sigma) 1g
KHPO 2.5g
HPO 2.5g
(NHSO 10g
NaCl 5g
CaCO(Caltec) 10g
MnCl・4HO 10mg
MgSO・7HO 2.5mg
FeSO・7HO 120mg
ZnSO・7HO 50mg
MES(2−モルホリノエタンスルホン酸一水和物) 21.2g
1MのNaOHでpHを6.0に調整
殺菌前に0.4mLのSigmaα−アミラーゼ(BAN250)を1L培地に添加
培地を121℃で20分間オートクレーブ殺菌
殺菌後0.35mLの滅菌40%フルクトースと0.10mLのL−リシン(水中に140mg/mL、フィルター殺菌済)を各7mLに添加
培地4:RapV7a菌種培地
成分 L当たり
トーストしたニュートリソイ(ADM Ingredients Ltd) 5g
Avedex W80 デキストリン(Deymer Ingredients Ltd) 35g
コーンスチープ固形物(Sigma) 4g
(NHSO 2g
ラクチン酸(80%) 1.6mL
CaCO(Caltec) 7g
1MのNaOHでpHを7.5に調整
その後培地を121℃で20分間オートクレーブ殺菌
培地5:MD6/5−1培地(発酵培地)
成分 L当たり
トーストしたニュートリソイ(ADM Ingredients Ltd) 15g
Avedex W80 デキストリン(Deymer Ingredients Ltd) 50g
酵母(Allinson) 3g
コーンスチープ固形物(Sigma) 1g
KHPO 2.5g
HPO 2.5g
(NHSO 10g
NaCl 13g
CaCO(Caltec) 10g
MnCl・4HO 3.5mg
MgSO・7HO 15mg
FeSO・7HO 150mg
ZnSO・7HO 60mg
SAG471 0.1mL
培地を121℃で30分間オートクレーブ殺菌
殺菌後L当たり15gフルクトースを添加
48時間後0.5g/LのL−リシンを添加
分析法
方法A
注入容量:0.005〜0.1mL(感受性に応じた要求に従う)。HPLCをアジレント「Spherisorb」「Rapid Resolution」カートリッジSB C8上に、3ミクロン、30mm×2.1mmで、下記移動相で作動させた。
移動相A:純水中に0.01%蟻酸
移動相B:アセトニトリル中に0.01%蟻酸
流速:1mL/分
0分時の5%Bから2.5分時の95%Bまでリニアグラジエントを用い、4分間95%Bに維持し、次のサイクルまでに5%Bに戻した。検出は、254nmでのUV吸収および/またはMicromasss Quattro−Micro装置を用いたエレクトロスプレーイオン化質量分析(ポジティブまたはネガティブ)によって行った。
方法B
注入容量:0.02mL。HPLCを3ミクロンBDS C18 Hypersil(ThermoHypersil−Keystone Ltd)カラム上に、150mm×4.6mmで、50℃に維持し、下記移動相で作動させた。
移動相A:アセトニトリル(100mL)、トリフルオラセト酸(1mL)、1M酢酸アンモニウム(10mL)、脱イオン水と共に1Lまで調製
移動相B:脱イオン水(100mL)、トリフルオラセト酸(1mL)、1M酢酸アンモニウム(10mL)、アセトニトリルと共に1Lまで調製
流速:1mL/分
10分間で55%Bから95%Bまでリニアグラジエントを用った後、95%Bで2分間、55%Bで0.5分間、55%Bでさらに2.5分間維持した。化合物の検出は280nmでのUV吸収によって行った。
方法C
HPLCシステムとしてAgilentHP1100を用い、3ミクロンBDS C18 Hypersil(ThermoHypersil−Keystone Ltd)カラム上に、150mm×4.6mmで、40℃に維持し、下記移動相で作動させた。
移動相A:脱イオン水
移動相B:アセトニトリル
流速:1mL/分
このシステムをBruker Daltonics Esquire3000エレクトロスプレイ質量分析装置に接続した。500〜1000Daltonの走査領域に亘ってポジティブ/ネガティブ切替を用いた。10分間で55%Bから95%Bまでリニアグラジエントを用った後、95%Bで2分間、55%Bで0.5分間、55%Bでさらに2.5分間維持した。
抗ガン活性のための生体外バイオアッセイ
化合物の抗ガン活性を、単分子層増殖アッセイ中の12個のヒト腫瘍細胞ラインのパネルにおいて、FreiburgのExperimental OncologymOncotest GmbHの研究機関であるOncostest試験場で生体外評価を行った。選択された12個の細胞ラインの特性を次の表に要約して示す。
Figure 2008534442
Rothら、1999年に記述されるように、ヒト腫瘍異種移植片からOncotest細胞ラインが確立された。ドナー異種移植片の起源はFiebigら、1992年に記述された。他の細胞ラインが、NCl(H460、SF−268、OVCAR−3、DU145、MDA−MB−231、MDA−MB−468)から得られ、またはドイツ国BraunshweigのDSMZから購入することができる(LNCAP)。
他に特記しない限り、すべての細胞サインは、RPMI1640培地と、10%ウシ胎児血清と0.1mg/mLゲンタミシン(PAA、ドイツ国コルベ)を含む「すぐに混合できる」培地にて、加湿雰囲気(95%空気、5%二酸化炭素)中で37℃で培養した。
単分子層アッセイ−プロトコル1:
変性ヨウ化プロピジウムアッセイを用いて、12個のヒト腫瘍細胞ラインの成長に対する試験化合物の影響を評価した(Denglerら、1995年)。
要約すれば、トリプシン化によって指数関数的位相培養(exponential phase cultures)から細胞を取り出し、細胞ラインに応じた細胞密度(5〜10,000の範囲で変動する細胞数/ウェル)にて96ウェル底面平滑マイクロタイタープレートに接種してカウントした。24時間後に回収して指数関数的な増殖を再開させた後、培地0.01ml(プレート当たり6個の対照ウェル)または39−デスメトキシラパマイシン含有培地をウェルに添加した。各濃度を3つ培養した。39−デスメトキシラパマイシンを2つの濃度(0.001mMおよび0.01mM)で適用した。4日間の連続的インキュベーションの後、39−デスメトキシラパマイシンを用いまたは用いずに細胞培地を0.2mlの水性死細胞染色用蛍光色素PI溶液(7mg/l)で置換した。生存細胞の割合を測定するため、プレート凍結によって細胞を透過させた。プレートを解凍した後、Cytofluor4000マイクロプレートリーダー(励起530nm、放出620nm)を用いて蛍光発光を測定して、生存可能な細胞の総数との直接関係を得た。
増殖抑制が(被処理/対照)×100(%T/C)として表された。活性化合物についてIC50およびIC70の値を細胞生存性に対する化合物濃度をプロットすることによって評価した。
単分子層アッセイ−プロトコル2:
National Cancer Institute(NCI)の癌スクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞ラインを5%ウシ胎児血清と2mMのL−グルタミンを含むRPMI1640培地で培養した(BoydおよびPaul、1995年)。96個のウェルマイクロタイタープレートに、個々の細胞ラインの倍増時間に応じて5,000〜40,000細胞/ウェルの範囲のプレーティング密度で、0.1mLの細胞を接種した。細胞接種後、試験薬の添加に先立って、マイクロタイタープレートを37℃、5%COおよび95%空気、100%相対湿度で24時間インキュベートした。
24時間後、各細胞ラインの2つのプレートをトリクロロ酢酸で生体内の本来の場所に(in situ)固定して、薬剤添加時の各細胞ラインについて細胞集団の測定を示した(Tz)。試験薬は所望の最終最大試験濃度の400倍でジメチルスルホキシドに溶解させ、使用前に凍結保存した。薬剤添加時、凍結濃縮液から取った一定分量を解凍し、0.05mg/mLゲンタミシン含有の完全培地で所望の最終最大試験濃度の2倍になるように希釈した。さらに4個の10倍または1/2ログシリアル希釈液を作成し、全部で5個の薬剤濃度および対照を用意した。これらの異なる薬剤希釈液の0.1mL部を培地0.1mLを既に含有する適当なマイクロタイターウェルに添加し、要求される最終薬剤濃度を得た。
薬物添加に続いて、プレートをさらに48時間、37℃で、5%COおよび95%空気、100%相対湿度でインキュベートした。接着細胞のため、冷たいTCAの添加によりアッセイを終了させた。0.05mLの冷たい50%(w/v)TCA(最終濃度、10%TCA)の静かな添加により細胞を生体内の本来の場所に固定し、4℃で60分間インキュベートした。上清を捨て、プレートを生水で5回洗浄し、空気乾燥した。1%酢酸中のスルフォローダミンB(SRB)溶液(0.1mL)を各ウェルに添加し、プレートを室温で10分間インキュベートした。標本染色した後、1%酢酸で5回洗浄して未結合の染料を除去し、プレートを空気乾燥した。付着ステインを10mMトリス塩基で可溶化し、吸光度を515nmの波長にて自動プレートリーダーで測定した。懸濁細胞については、80%TCA(最終濃度、16%TCA)を0.05mL静に添加することにより細胞をウェルの底部に固定してアッセイを終了させた他は同様の方法を採用した。7つの吸光度測定値[時間ゼロ(Tz)、対照成長(C)、および5個の濃度レベルで薬剤が存在する下での試験成長]を用いて、各薬剤濃度レベルにおける成長率を算出した。成長抑制率を次式で算出した。
TiTzのとき、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100
Ti<Tzのとき、[(Ti−Tz)/Tz)]×100
3つの投薬反応パラメータを各試験薬について算出した。50%成長抑制(GI50)は[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100=50から算出した。これは、薬剤培養の間の対照細胞の正味タンパク質増大(SRB標本染色で測定)における50%減少をもたらす薬剤濃度である。全成長抑制(TGI)をもたる薬剤濃度はTi=Tzから算出した。治療後の正味細胞損失を示すLC50(薬剤治療の最初と比較して最後に測定されるタンパク質の50%減少をもたらす薬剤濃度)は[(Ti−Tz)/Tz]×100=−50から算出した。
60個の細胞ラインパネル中の多剤抵抗性細胞ラインを、NCIにより、ローダミンBエフラックスによる同定(Leeら、1994年)およびmdr−1のmRNAのPCR検出による同定(Alvarezら、1995年)による高P−gp含有細胞ラインとして同定した。
薬物動態学的分析−プロトコル1
0.15MのNaCl中に4%エタノール、5%Tween−20、5%ポリエチレングリコール400を含有してなるベヒクル中で試験化合物を調製した。一回の10mg/kgのpo投与または3mg/kgのiv投与をメスCD1マウス群(タイムポイント毎に各化合物に3つのマウス)に対して行った。0分、4分、15分、1時間、4時間および24時間でグループを犠牲にして、さらなる分析のために各マウスから血液および脳を採取した。
脳サンプルを液体窒素中で急速凍結し、−20℃で保存した。各動物からの全体血液の0.2mL最小投薬量を、抗凝固薬として、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)を含有するチューブに採取し、良く混合し、−20℃で保存した。
薬物動態学的分析−プロトコル2
服用液の調製のため、5mgの試験化合物を100μLのエタノールに溶解させて50mg/mLの化合物溶液を得た。この溶液に約2.4mLの0.15M NaCl(0.9%w/vサリン)、5%v/vTween20および5%v/vPEG400を加えて2mg/mLに希釈した(最終エタノール濃度4%v/v)。
10mg/kgのpoまたは2mg/kgのivによる試験化合物の一回投与をメスのBalb/Cマウス群に対して行った。5分、15分、60分、4時間、8時間および24時間でグループを犠牲にし、約0.2mLの全血サンプルをDETAで採取して0.5mMの最終濃度を得、さらに脳を除去した。全血および脳の両方を液体窒素中で急速凍結させ、分析のために固体二酸化炭素で出荷するまで−20℃で保存した。
薬物動態学的研究サンプルの分析
ASI社(セントジョージ病院メディカルスクール、ロンドン)により分析を行った。血液および脳のサンプル内の試験化合物の濃度はHPCLによりMS検出で行った。試験化合物を含まない対照の血液サンプルはHarian Sera−Lab社(英国ラフバラ)から入手した。タイムゼロの脳サンプルを試験化合物を含まない対照の脳サンプルとして供給した。
脳サンプルの調製
各脳の半球一つを5mLの水でホモジナイズした。
サンプルの抽出
マウスの脳または血液(0.05mL)の対照または試験サンプル、内部標準溶液(0.1mL)、5%硫酸亜鉛溶液(0.5mL)およびアセトン(0.5mL)を2mLポリプロピレンチューブ(Sarstedt社、Beaumont Leys、Leicester、英国)にピペットし、内容物を最小で5分間混合した(IKA−Vibrax−VXRミキサー、Merch(BDH)社、Poole Dorset、英国)。次いでチューブを遠心機で最小で2分間遠心処理した。溶媒層を、水酸化ナトリウム(0.1M、0.1mL)およびメチル−t−ブチルエーテル(MTBE、2mL)を含有する4.5mLポリプロピレンチューブにデキャンタした。次いで、チューブを最小5分間混合し(IKA−Vibrax−VXRミキサー)、3500rpmで5分間遠心処理した。溶媒層を4.5mL螺旋形ポリプロピレンチューブに移し、SpeedVac(登録商標)に入れて揮発乾燥させた。
乾燥した抽出物を0.15mL80%メタノールで復元させ、最小5分間混合し(IKA−Vibrax−VXRミキサー)、3500rpmで5分間遠心処理した。抽出部を次いでオートサンプラーチューブ(NLG Analytical、Adelphi MIII、Bollington、Cheshire、英国)に写し、外気温にセットしたオートサンプラートレイに置いた。各抽出物から0.03mLの一定分量を分析カラムに注入するよう、オートサンプラーをプログラムした。
実施例1:試験化合物の発酵と単離
1.1 39−デスメトキシラパマイシンの発酵と単離
後述のようにS.ヒグロスコピカス MG2−10[IJMNOQLhis]の培養菌を成長させ、シクロヘキサンカルボン酸(CHCA)で培養することにより39−デスメトキシラパマイシンを産生した。
S.ヒグロスコピカス MG2−10[IJMNOQLhis]は、WO2004/007709に記述されるMG2−10株に、遺伝子rapI、rapJ、rapM、rapN、rapO、rapQおよびrapLを含有するプラスミド導入することにより産生した。遺伝子カセットは5’インフレームヒスチジンタグ含有rapL遺伝子で構成された。WO04/007709に記述されているように、プラスミドはさらに、エクスコンジュガント(exconjugant)のコンジュゲーションおよび選択によるMG2−10の形質転換のための輸送源(origin of transfer)およびアプラマイシン抵抗性マーカー、および染色体(chromosome)への部位特異的遺伝子導入のためのphiBT1アタッチメントを含むものであった。これらの各遺伝子の単離およびpost−PKS遺伝子の組合せを含有する遺伝子カセットの構築のために用いた方法は、WO04/007709に記述されるところによって行った。
液体培養
S.ヒグロスコピカス MG2−10[IJMNOQLhis]の栄養体培養菌を「Materials & Methods」に記述されるようにして培養した。産生培養を栄養体培養菌により0.5mLで50mLチューブ内の7mL培地3に接種した。7日間に亘り26℃、300rpmで培養した。1:1アセトニトリルで30分間シェイクして1mLのサンプルを抽出し、13,000回転で10分間延伸処理し、分析法Bに基づいて分析および定量化を行った(「Materials & Methods」参照)。産生物の確認は分析法C(「Materials & Methods」参照)を用いて質量分析により決定した。
下記特性に記述した分析データを基に、観察されたラパマイシン相同物が所望の39−デスメトキシラパマイシンであると認められた。
発酵
S.ヒグロスコピカス MG2−10[IJMNOQLhis]の培地4内の一次的栄養体培養菌を実質的に「Materials & Methods」に記載されるところにより培養した。培地4内の二次的栄養体培養菌を10%v/v、28℃、250rpmで24時間接種した。栄養体培養菌を5%v/vで20L発酵槽中の培地5(「Materials & Methods」参照)に接種した。6日間、26℃で培養し、インペラー先端速度を最小速度1.18ms−1から最大速度2.75ms−1の範囲で変化させることにより0.5vvm.30%溶解酸素を維持した。シクロヘキサンカルボン酸の供給を接種の24時間後および48時間後に行って、最終濃度2mMを得た。
抽出と精製
発酵汁(30L)を等量メタノールで2時間撹拌した後、遠心処理(10分間、3500rpm)して細胞をペレット状にした。上清をDiaion(登録商標)HP20樹脂(43g/L)で1.5時間撹拌した後にろ過した。アセトン(合計量7.5L)で樹脂をバッチ洗浄してラパマイシン相同物を剥ぎ取り、溶剤を減圧下で除去した。得られた水性抽出物を水で2Lに希釈し、EtOAc(3×2L)で溶離した。溶剤を減圧下で除去して褐色油を得た(20.5g)。
この抽出物をアセトンに溶解し、シリカに乾燥させ、シリカカラム(6×6.5cm径)に適用し、徐々に比率を変えたアセトン/ヘキサン(20%−40%)で抽出した。ラパマイシン相同物含有フラクションをプールし、溶剤を減圧下で除去した。残余物(2.6g)をSephadex LH20でクロマトグラフィ処理し(3回バッチ)、10:10:1クロロホルム/ヘプタン/エタノールで抽出した。半精製されたラパマイシン相同物(1.7g)をGilson HPLCを用いて逆位相(C18)プレパラティブHPLCにより精製し、21mL/分の65%アセトニトリル/水でPhenomenex21.2×250mm Luna5μmC18BDSカラムを溶離した。最も純粋なフラクション(HPLC分析、方法Bにより同定)を結合し、溶媒を減圧下で除去して、39−デスメトキシラパマイシン(563mg)を得た。
特性
39−デスメトキシラパマイシンのH NMRスペクトルは標準(P.Lowden、物理学博士、学位論文、ケンブリッジ大学、1997年)のそれと同等であった。
培養抽出物のLCMSおよびLCMS分析は、ラパマイシン相同物のm/z比がラパマイシンのそれよりも30質量単位だけ小さく、メトキシ基の欠乏と一致することを示した。観測されたイオンは、[M−H]882.3、[M+NH901.4、[M+Na]906.2、[M+K]922.2。ナトリウム付加化合物のフラグメンテーションは、規定の解離経路(図2)(J.A.Reather、理学博士、学位論文、ケンブリッジ大学、2000年)に従い、39−デスメトキシラパマイシンとして予期されたイオンを与えた。この質量分析解離データは、シクロヘキシル成分を含むC28−C42フラグメントにメトキシ欠損が生じているラパマイシン相同物の領域を限定している。
これらの質量分析解離データは39−デスメトキシラパマイシンの構造に完全に合致している。
1.2 27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシン(27-O-desmethyl-39-desmethoxyrapamycin)の発酵と単離
後述のようにS.ヒグロスコピカス MG2−10[JMNOLhis]の培養菌を成長させ、シクロヘキサンカルボン酸(CHCA)で培養することにより27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンを産生した。
S.ヒグロスコピカス MG2−10[JMNOLhis]は、WO2004/007709に記述されるMG2−10株に、遺伝子rapJ、rapM、rapN、rapOおよびrapLを含有するプラスミド導入することにより産生した。遺伝子カセットは5’インフレームヒスチジンタグ含有rapL遺伝子で構成された。WO04/007709に記述されているように、プラスミドはさらに、エクスコンジュガント(exconjugant)のコンジュゲーションおよび選択によるMG2−10の形質転換のための輸送源(origin of transfer)およびアプラマイシン抵抗性マーカー、および染色体(chromosome)への部位特異的遺伝子導入のためのphiBT1アタッチメントを含むものであった。これらの各遺伝子の単離およびpost−PKS遺伝子の組合せを含有する遺伝子カセットの構築のために用いた方法は、WO04/007709に記述されるところによって行った。
液体培養
S.ヒグロスコピカス MG2−10[JMNOLhis]の栄養体培養菌を「Materials & Methods」に記述されるようにして培養した。産生培養を栄養体培養菌により0.5mLで50mLチューブ内の7mL培地3に接種した。7日間に亘り26℃、300rpmで培養した。1:1アセトニトリルで30分間シェイクして1mLのサンプルを抽出し、13,000回転で10分間延伸処理し、分析法Bに基づいて分析および定量化を行った(「Materials & Methods」参照)。産生物の確認は分析法C(「Materials & Methods」参照)を用いて質量分析により決定した。
下記特性に記述した分析データを基に、観察されたラパマイシン相同物が所望の27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンであると認められた。
発酵
S.ヒグロスコピカス MG2−10[JMNOLhis]の培地2内の一次的栄養体培養菌を実質的に「Materials & Methods」に記載されるところにより培養した。培地2内の二次的栄養体培養菌を10%v/v、28℃、250rpmで24時間接種した。栄養体培養菌を5%v/vで20L発酵槽中の培地5(「Materials & Methods」参照)に接種した。6日間、26℃で培養し、インペラー先端速度を最小速度1.18ms−1から最大速度2.75ms−1の範囲で変化させることにより0.75vvm.30%溶解酸素を維持した。シクロヘキサンカルボン酸の供給を接種の24時間後および48時間後に行って、最終濃度2mMを得た。
抽出と精製
発酵汁(15L)を等量メタノールで2時間撹拌した後、遠心処理(10分間、3500rpm)して細胞をペレット状にした。上清をDiaion(登録商標)HP20樹脂(43g/L)で1.5時間撹拌した後にろ過した。アセトン(合計量7.5L)で樹脂をバッチ洗浄してラパマイシン相同物を剥ぎ取り、溶剤を減圧下で除去した。得られた水性抽出物を水で2Lに希釈し、EtOAc(3×2L)で溶離した。溶剤を減圧下で除去して褐色油を得た(12g)。
この抽出物をアセトンに溶解し、シリカに乾燥させ、シリカカラム(4×6.5cm径)に適用し、徐々に比率を変えたアセトン/ヘキサン(20%−40%)で抽出した。ラパマイシン相同物含有フラクションをプールし、溶剤を減圧下で除去した。残余物(0.203g)をSephadex LH20でクロマトグラフィ処理し(3回バッチ)、10:10:1クロロホルム/ヘプタン/エタノールで希釈した。半精製されたラパマイシン相同物(1.7g)をGilson HPLCを用いて逆位相(C18)プレパラティブHPLCにより濃縮し、Phenomenex21.2×250mm Luna5μmC18BDSカラムを21mL/分の60%アセトニトリル/水で溶離した。最も純粋なフラクション(HPLC分析、方法Bにより同定)を結合し、溶媒を減圧下で除去して、27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシン(19.9mg)を得た。
特性
Hおよび13C NMRスペクトルは27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンの構造に合致しており、その割り当てを下記に示す。
Figure 2008534442
培養抽出物のLCMSおよびLCMS分析は、ラパマイシン相同物のm/z比がラパマイシンのそれよりも44質量ユニット小さく、メチル基およびメトキシ基の欠損と一致することを示した。観測されたイオンは、[M−H]868.7、[M+NH887.8、[M+Na]892.8。ナトリウム付加化合物のフラグメンテーションは、規定の解離経路(図2)(J.A.Reather、理学博士、学位論文、ケンブリッジ大学、2000年)に従い、27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンとして予期されたイオンを与えた。この質量分析解離データは、シクロヘキシル成分を含むC28−C42フラグメントにメトキシ欠損が生じているラパマイシン相同物の領域を限定していると共に、C15−C27フラグメントにO−メチル欠損が生じているラパマイシン相同物の領域を限定している。
これらの質量分析解離データは27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンの構造に完全に合致している。
1.3 16−O−デスメチル−27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンの発酵と単離
後述のようにS.ヒグロスコピカス MG2−10[IJNOLhis]の培養菌を成長させ、シクロヘキサンカルボン酸(CHCA)で培養することにより16−O−デスメチル−27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンを産生した。
S.ヒグロスコピカス MG2−10[IJNOLhis]は、WO2004/007709に記述されるMG2−10株に、遺伝子rapI、rapJ、rapN、rapOおよびrapLを含有するプラスミド導入することにより産生した。遺伝子カセットは5’インフレームヒスチジンタグ含有rapL遺伝子で構成された。WO04/007709に記述されているように、プラスミドはさらに、エクスコンジュガント(exconjugant)のコンジュゲーションおよび選択によるMG2−10の形質転換のための輸送源(origin of transfer)およびアプラマイシン抵抗性マーカー、および染色体(chromosome)への部位特異的遺伝子導入のためのphiBT1アタッチメントを含むものであった。これらの各遺伝子の単離およびpost−PKS遺伝子の組合せを含有する遺伝子カセットの構築のために用いた方法は、WO04/007709に記述されるところによって行った。
液体培養
S.ヒグロスコピカス MG2−10[IJNOLhis]の栄養体培養菌を「Materials & Methods」に記述されるようにして培養した。産生培養を栄養体培養菌により0.5mLで50mLチューブ内の7mL培地3に接種した。7日間に亘り26℃、300rpmで培養した。1:1アセトニトリルで30分間シェイクして1mLのサンプルを抽出し、13,000回転で10分間延伸処理し、分析法Bに基づいて分析および定量化を行った(「Materials & Methods」参照)。産生物の確認は分析法C(「Materials & Methods」参照)を用いて質量分析により決定した。
下記特性に記述した分析データを基に、観察されたラパマイシン相同物が所望の16−O−デスメチル−27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンであると認められた。
発酵
S.ヒグロスコピカス MG2−10[IJNOLhis]の培地2内の一次的栄養体培養菌を実質的に「Materials & Methods」に記載されるところにより3日間培養した。培地2内の二次的栄養体培養菌を10%v/v、28℃、250rpmで48時間接種し、三次的栄養体培養菌を10%v/v、28℃、250rpmで24時間接種した。栄養体培養菌を5%v/vで3×7L発酵槽中の培地5(「Materials & Methods」参照)に接種した。6日間、26℃で培養し、インペラー先端速度を最小速度0.94ms−1から最大速度1.88ms−1の範囲で変化させることにより0.75vvm.30%溶解酸素を維持した。シクロヘキサンカルボン酸の供給を接種の24時間後に行って、最終濃度1mMを得た。Lリシンをt=0で供給した。
抽出と精製
発酵汁(12L)を等量メタノールで2時間撹拌した後、遠心処理(10分間、3500rpm)して細胞をペレット状にした。上清をDiaion(登録商標)HP20樹脂(43g/L)で1.5時間撹拌した後にろ過した。アセトン(合計量7.5L)で樹脂をバッチ洗浄してラパマイシン相同物を剥ぎ取り、溶剤を減圧下で除去した。得られた水性抽出物を水で2Lに希釈し、EtOAc(3×2L)で溶離した。溶剤を減圧下で除去して褐色油を得た(8.75g)。
この抽出物をアセトンに溶解し、シリカに乾燥させ、シリカカラム(4×6.5cm径)に適用し、徐々に比率を変えたアセトン/ヘキサン(20%−40%)で抽出した。ラパマイシン相同物含有フラクションをプールし、溶剤を減圧下で除去した。残余物(0.488g)をSephadex LH20でクロマトグラフィ処理し(3回バッチ)、10:10:1クロロホルム/ヘプタン/エタノールで抽出した。ラパマイシン相同物含有フラクションをプールし、溶剤を減圧下で除去した。半精製されたラパマイシン相同物(162mg)をGilson HPLCを用いて逆位相(C18)プレパラティブHPLCにより精製し、Phenomenex21.2×250mm Luna5μmC18BDSカラムを21mL/分の65%アセトニトリル/水で溶離した。最も純粋なフラクション(HPLC分析、方法Bにより同定)を結合し、溶媒を減圧下で除去して、16−O−デスメチル−27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシン(44.7mg)を得た。
特性
培養抽出物のLCMSおよびLCMS分析は、他のすべての39−デスメトキシラパマイシン相同物よりはるかに早く溶離する新規なラパマイシン相同物の存在を示した。ラパマイシン相同物の様々なイオンについてのm/z比はラパマイシンのそれよりも58質量ユニット小さく、2つのO−メチル欠損と一致するものであった。観測されたイオンは、[M−H]854.7、[M+NH877.8、[M+Na]892.7、[M+K]908.8。ナトリウム付加化合物のフラグメンテーションは、規定の解離経路(図2)(J.A.Reather、理学博士、学位論文、ケンブリッジ大学、2000年)に従い、16−O−デスメチル−27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンとして予期されたイオンを与えた。この質量分析解離データは、シクロヘキシル成分を含むC28−C42フラグメントにメトキシ欠損が生じているラパマイシン相同物の領域を限定していると共に、C15−C27フラグメントにO−メチル欠損が生じているラパマイシン相同物の領域を限定している。これらNMRおよび質量分析解離データは16−O−デスメチル−27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンの構造に完全に合致している。
実施例2:抗ガン活性についての生体外バイオアッセイ
39−デスメトキシラパマイシンの抗ガン活性の生体外評価
単分子層増殖アッセイ内の12個のヒト腫瘍細胞ラインのパネルにおける39−デスメトキシラパマイシンの抗ガン活性を、変性ヨウ化プロピジウムアッセイを用いて、上記一般法のプロトコル1で述べたようにして評価した。
結果は下の表4に示す通りであり、各結果は2回の実験の平均値を示す。表5は化合物およびラパマイシンの試験細胞ラインに対するIC50およびIC70を示す。
Figure 2008534442
Figure 2008534442
39−デスメトキシラパマイシンの多剤抵抗性(MDR)選択的抗ガン活性の生体外評価
単分子層増殖アッセイ内のヒト腫瘍細胞ラインのNCI60細胞ラインパネルにおける39−デスメトキシラパマイシンの選択的MDR抗ガン活性を、SRB系アッセイを用いて、上記一般法のプロトコル2「Materials & Methods」で述べたようにして評価した。結果は下の表6に示す通りである。
Figure 2008534442
1つの細胞ラインを除き、39−デスメトキシラパマイシンはラパマイシンと比べて高MDR発現細胞ラインに対して同等またはより高い効能を有することが分かる。
実施例3:生体外ADMEアッセイ
Caco−2浸透アッセイ
24ウェルCorning Costar Transwellフォーマット中の合流型Caco−2細胞(Li、A.P.、1992年;G.M.ら、1992年;Volpe、D.A.ら、2001年)がIn Vivo Technologies Inc.(IVT Inc.、バルチモア、メリーランド、米国)から提供された。尖室(apical chamber)は0.15mLのハンクス平衡緩衝液(Hanks’balanced buffer solution、HBSS)pH7.4、1%DMSO、0.1mMルシファー・イエローを含んでいた。底室(basal chamber)は0.6mLのHBSS pH7.4、1%DMSOを含んでいた。対照および試験体を湿潤インキュベータ内で37℃でインキュベートし、1時間130rpmでシェイクした。ルシファー・イエローは細胞間隙(密着結合間)経路を介してのみ透過し、ルシファー・イエローについての高い見かけ透過係数(Papp)はアッセイ中の細胞損傷を示し、全てのそのようなウェルは拒絶された。プロプラノロール(トランスポーター効果は知られていないが良好な受動的透過性を持つ)およびアセブタロール(P糖タンパク質による活性的エフラックスにより減衰されて受動的透過性が低い)を対照化合物として用いた。化合物を尖室または基底室に適用する(0.01mMで)ことにより一方向および二方向フォーマットで試験した。尖室または基底室中の化合物をHPLC−MS(方法A、「Materials & Methods」参照)で分析した。結果を見かけ透過係数Papp(nm/s)およびフラックス率(「A対B」対「B対A」)として示した。
Papp(nm/s)=[ボリュームアクセプター/(面積×ドナー)]×(△アクセプター/△時間)
ボリュームアクセプター:0.6mL(A>B)および0.15mL(B>A)
単分子層の面積:0.33cm
△時間:60分
フラックス率についての正の値は細胞の尖端面からの活性的エフラックスを示す。
ヒト肝ミクロソーム(HLM)安定性アッセイ
肝ホモジェネートが、CYP450s(たとえばCYP2C8、CYP2D6、CYP1A、CYP3A4、CYP2E1)エステラーゼ、アミダーゼおよびモノオキシゼナーゼを含む対フェースI(酸化的)酵素群固有脆弱性化合物の測定を与える。
試験化合物をヒト肝ホモジェネートに露出し、LC−MSでその消失を観測することにより半減期(T1/2)を決定した。0.001mMで化合物を40分間、37℃で、0.1MTris−HCl、pH7.4でインキュベートした。0.25mg/mLタンパク質、NADPHの飽和レベルのヒト肝ミクロソーム細胞下分画を補因子として用いた。時間インターバルで試験サンプルにアセトニトリルを添加してタンパク質を沈殿させ、代謝を終了させた。サンプルを遠心処理し、分析法A(「Materials & Methods」参照)を用いて親化合物を分析した。
Figure 2008534442
実施例4:生体外結合アッセイ
FKBP12
FKBP12は化学的変性剤である塩酸グアニジン(GdnHCl)中で可逆的にアンフォールドし、このアンフォールドをタンパク質の内在蛍光における変化によって観測した(Mainら、1998年)。FKBP12の天然状態を特異的に結合し安定させるリガンドは、タンパク質がより高い化学的変性剤濃度でアンフォールドするように変性曲線をシフトする(Mainら、1999年)。安定性の相違から、下記式を用いてリガンド結合定数を求めることができる。
Figure 2008534442
ここで△Gappは遊離およびリガンド結合形態の間のアンフォールドの自由エネルギーにおける見掛け上の相違、△GH2O D−Nは遊離タンパク質水中アンフォールド自由エネルギー、[L]はリガンド濃度、Kはタンパク質−リガンド複合体の解離定数である(Meieringら、1992年)。アンフォールドの自由エネルギーは下記式を用いてアンフォールド変位中間点に関連付けることができる。
Figure 2008534442
ここでmD−Nは与えられたタンパク質と与えられた変性剤についての定数であって残余物のアンフォールドへの露出度変化に比例する(Tanford1968年およびTanford1970年)。[D]50%はアンフォールド中間点に対応する変性剤濃度である。我々は△G D−NをFKBP12の安定性におけるラパマイシンと未知リガンド(同一リガンド濃度)の相違として下記のように定義する。
Figure 2008534442
ここで<mD−N>はアンフォールド変位の平均m値であり、△[D]50%はラパマイシン−FKBP12アンフォールド変位と未知リガンド−FKBP12複合体アンフォールド変位の中間点の相違である。[L]>Kの条件では△△GD−Nを下記式から2つの化合物の相対的Ksに関連付けることができる。
Figure 2008534442
ここでKrap はラパマイシンの解離定数、K は未知リガンドXの解離定数である。したがって下記式が得られる。
Figure 2008534442
39−デスメトキシラパマイシンのKの決定のために、変性曲線を固定してmD−Nおよび[D]50%のための値を生成し、これらの値を用いてm平均値<mD−N>および△[D]50%、したがってK を算出した。
Figure 2008534442
mTOR
mTORの抑制は、mTOR経路およびp70S6キナーゼおよびS6の代用マーカーのリン酸化レベルの測定によって間接的に確立することができる(Brunnら、1997年;Mothe−Satneyら、2000年;TeeおよびProud、2002年;HuangおよびHoughton、2002年)。
HEK293細胞をFLAGがタグされたmTORおよびmycがタグされた受容体と共感染させ、24時間培養後、一晩血清飢餓させた。細胞を100nMインシュリンで刺激した後、収穫し、3回の凍結/融解サイクルで溶解した。溶解物をプールし、当量をmTOR/受容体複合物のためのFLAG抗体と免疫沈降させた。免疫沈降体を次のように処理した:化合物(0.00001〜0.003mM)で処理したサンプルを30分間30℃でFKBP12/ラパマイシン、FKBP12/39−デスメトキシラパマイシンまたはベヒクル(DMSO)でプレインキュベートし、非処理サンプルをキナーゼ緩衝液中でインキュベートした。免疫沈降体を次いで3mMのATP、10mMのMn2+およびGST−4E−BP1の基質存在下でキナーゼアッセイに生体外適用した。4倍サンプルバッファで反応を停止させ、15%SDS−PAGE処理し、PVDF膜に移して、Phospho−4E−BP1(T37/46)のためにプルーブした。
代替的に、HEK293細胞を6つのウェルプレートに接種して24時間プレインキュベートし、一晩中血清飢餓させた。次いで細胞をベヒクルまたは化合物で30分間30℃で予備処理し、100nMインシュリンで30分間30℃で刺激し、3回の凍結/融解サイクルで溶解し、タンパク質濃度を分析した。等量タンパク質を供給してSDS−PAGEジェル上で分離した。タンパク質を次いでPVDF膜に移し、Phospho−S6(S235/36)またはPhospho−p70 S6K(T389)のためにプルーブした。
これらの実験の結果が図3に要約して示されている。
実施例5:生体外P−gp基質アレイ
細胞ライン
この研究に用いた細胞ライン(MACL MCF7およびMACL MCF7 ADR)はいずれも米国National Cancer Instituteにより提供されたものである。
細胞を一週間に一回または二回ルーチン的にpassageした。これらを20passageを越えないだけ培養中に維持した。全ての細胞を、5%ウシ胎児血清(PAA、ドイツ国コルベ)と0.1%ゲンタミシン(PAA、ドイツ国コルベ)を補足したRMI1640培地(PAA、ドイツ国コルベ)内で37℃、湿潤雰囲気(95%空気、5%CO)で増殖した。
アッセイプロトコル
上記プロトコル1に基づく変性ヨウ化プロビジウムを用いて39−デスメトキシラパマイシンの効能を評定した(Denglerら、1995年)。概して言えば、指数的成長相培養からトリプシン化(trypsination)により収穫し、カウントし、96個の底が平坦なウェルプレートに1ウェル当たり5,000個の細胞密度で培養した。24時間後の回収で細胞の指数的成長を再開させ、0.18mg/mL濃度で0.01mLベラパミルまたは0.01mL培地を細胞に添加して0.01mg/mLのウェルにおける最終ベラパミル濃度に調整した。この濃度は既述実施例において細胞に対して非毒性であるものとして見出された。39−デスメトキシラパマイシン、タキソールまたは培地のみ(対照ウェルとして)を含む培地をウェル当たり0.01mLで添加した。3つの同じ化合物を8つの濃度で、0.03mMから10nMまで低下する範囲のハーフログステップ(half log step)に適用した。3日間の連続的薬剤露出の後、培地または化合物含有培地を0.2mLの水性ヨウ化プロビジウム(PI)溶液(7mg/L)で置換した。PIのみがリーク的(leaky)ないしライスした(lysed)膜を通過するので、死滅細胞のDNAは染色されて測定されるが、生存細胞は染色されない。生存細胞割合を測定するため、プレートを凍結して全細胞を死滅させることによって細胞を浸透化処理した。プレートを融解した後、Cytofluor4000マイクロプレートリーダー(励起530nm、放出620nm)を用いて蛍光発光を測定し、全セル数に対する直接的関係を得た。成長抑制を(試験/対照)×100%(%T/C)として表現した。ポジティブ対照(タキソール)がベラパミルの存在または不存在下において腫瘍成長抑制変化を誘発したときに、およびベヒクル処理した対照細胞が500を越える蛍光強度を有するときに、アッセイを評価可能であると考慮した。
39−デスメトキシラパマイシン試験溶液の調製
39−デスメトキシラパマイシン3.3mMのストック溶液をDMSOに調製し、−20℃で保存した。ストック溶液を使用日に融解して投与の間室温保存した。RPMI1640培地を用いて希釈ステップを行い、最終濃度の18倍の溶液を得た。
結果
図4は正常(AおよびB)および高P−gp発現(CおよびD)細胞ラインにおけるパクリタキセル(AおよびC)および39−デスメトキシラパマイシン(BおよびD)についての全試験濃度における%T/C値を示す4つのグラフである。中黒菱形はパクリタキセルまたは39−デスメトキシラパマイシン単独の投与後の値を示し、白抜き正方形は0.01mg/mLベラパミル(P−gp抑制剤)の存在下でのパクリタキセルまたは39−デスメトキシラパマイシン投与後の値を示す。
公知のP−gp基質であるパクリタキセルは、P−gp発現ガン細胞ラインMCK7 ADRの抑制効果が軽減していることを示し、この軽減した効果がP−gp抑制剤であるベラパミルの投与によって回復した(図4Aおよび図4C)。
39−デスメトキシラパマイシンは、ベラパミルがあってもなくても、P−gp発現ガン細胞ラインMCK7 ADRの成長増殖曲線において顕著なシフトを示さなかった(図4Bおよび図4D)、このことは39−デスメトキシラパマイシンがP−gpの基質でないことを実証している。
実施例6:薬物動態学的分析
6.1 ラパマイシンおよび39−デスメトキシラパマイシンのPK分析
前記した標準的方法を用いた薬物動態学的分析をラパマイシンおよび39−デスメトキシラパマイシンについて行った。各化合物について用いたプロトコルは表9に示されている。
各化合物の血液または脳組織のAUCをKinetica4.4(InnaPhase Corporation)を用い、非コンパートメントモデルおよびAUC算出のための台形モデルを用いて算出した。
各化合物のpoおよびiv投与後の分配係数(R)を式:R=AUCBRAIN/AUCBLOODから求めた。
この分析の結果を下記表9および図5に要約して示す。
Figure 2008534442
6.2 ラパマイシン、27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンおよび39−デスメトキシラパマイシンのPK分析
前記した標準的方法を用いた薬物動態学的分析をラパマイシン、27−O−デスメチル−39−デスメトキシラパマイシンおよび39−デスメトキシラパマイシンについて行った。前記プロトコル1を用いた。
各化合物の血液または脳組織のAUCをKinetica4.4(InnaPhase Corporation)を用い、非コンパートメントモデルおよびAUC算出のための台形モデルを用いて算出した。
各化合物のiv投与後の分配係数(R)を式:R=AUCBRAIN/AUCBLOODから求めた。
Figure 2008534442
実施例7:多発性硬化症の実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)モデルにおける活性
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は中枢神経システム(CNS)の自己免疫性炎症および脱髄性疾患であり、多発性硬化症(MS)のための最適な動物相当物であると考えられている。全脊髄または完全フロイントアジュバント(CFA)内のミエリン塩基性タンパク質(MBP)の注入によって概して感染しやすい動物に病気を誘発させることができる。CNCダメージに含まれる抗原特異的エフェクター細胞はクラスII主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex、MHO)制限CD4Tリンパ球である。炎症反応におけるインターリューキン−1(IL−1)、腫瘍壊死因子(TNF)またはインターフェロン(IFN)などのサイトカインの役割が最近多くの注目を集めるようになってきている。抗原による活性に基づいて、T細胞が、EAEにおいて直接または間接にCNSダメージに反応的である幾つかのリンフォカインを産生する。EAEの病原に含まれるであろう該リンフォカインはIL−2、IFN−γおよびTNF−βである。IL−2はT細胞活性および増殖に重要な役割を果たし、一方IFN−γはマクロファージ活性の有力なメディエータである。さらにIFN−γはIL−1と同様に炎症性サイトカインの産生を誘発する。TNFおよび他の中でクラスIIMHC分子が、CNS血管の内皮細胞、および脳炎誘発性T細胞に対する抗原提示に重要な役割を果たすと考えられているアストロサイト上に発現した。
7.1 動物および免疫化方法
8〜10週齢のメスのルイスラットを餌および水を自由に与えて標準実験状態(非特異的病原体フリー)に維持した。尾の根元に50mLフロイント不完全アジュバント(Difco、ミシガン州デトロイト)に25mgモルモット脊髄と1mgマイコバクテリウム・ツベルクロシス(ヒト型結核菌)株H37RA(Difco)を含有する50mLサリンを加えたものを一回注射してEAEを誘発させた。
7.2 臨床的および組織学的評定
免疫化処理後30日間にわたり毎日体重とEAEの臨床的兆候を測定することにより検査した。これらの臨床的評定は、治療を知らない観測者により、0=病状なし、1=尾に弛緩症状、2=わずかな麻痺症状、3=重い麻痺症状、4=瀕死、5=死亡と等級付けた。0〜5日間連続してラットに0〜5の等級付けを行い、臨床的症候が完全になくなって免疫化処理前の運動性に戻ったときに疾病終了と定義した。
7.3 実験的治療
予防的および治療的レジメの下で試験化合物を異なる投薬量で与えた(5または15mg/Kg bd wt)。研究の予防的パートについては免疫化の1日前に治療を開始し、研究の治療的パートについては免疫化処理後7日目に治療を開始した(pi)。予防的および治療的のいずれにおいても、ベヒクル処理したラットを同一実験条件で治療し、対照についても同様とした。治療は30日piまで一週間に6日po投与することにより行った。シクロフォスファミドをポジティブ対照として用いた。
この実験の結果は図6および下の表11に示されている。図6Aは5および15mg/kgにおける39−デスメトキシラパマイシンの予防的レジメの結果を示し、図6Bは5および15mg/kgにおける39−デスメトキシラパマイシンの治療的レジメの効果を示す。各レジメについて40mg/kgシクロフォスファミドの効果がポジティブ対照として示されている。両方のグラフにおいて各群の中間スコアが示されている。39−デスメトキシラパマイシンは個のもdるにおいてシクロフォスファミドと同等の効能を有し、症状の深刻さを低減させるだけでなく症状発現期間をも低減させることが見て取れる。注目すべきは、研究中に7匹のベヒクル処理ラットのうちの5匹が死亡したため、この群の中間値は5に止まっているが、生存した残りの2匹のラットはいずれも最終的に28日でベースラインの値に戻ったことである。
Figure 2008534442
実施例8:ヌードマウスに同所的に異種移植されたグリオーマのモデルにおける39−デスメトキシラパマイシンの抗腫瘍活性の研究
8.1 研究のための準備
8.1.1 サンプルの調製
試験化合物をエタノール(0.027mL/mg化合物)に溶解し、溶液が透明になるまで20分間渦巻(vortex)処理した。エタノール溶液を適当に等分して−20℃で保存した。このエタノール溶液をベヒクル(0.15MのNaCl中に4%エタノール、5%Tween−20、5%ポリエチレングリコール400、可能な場合は無菌エンドトキシンフリー化合物で調製)で適正濃度に調整した。
8.1.2 投与手段
この試験物質および対照ベヒクルを試験マウスの尾部静脈に注射することにより静脈投与(IV、bolus)した。マウスの直近体重に基づいて注入量を10mL/kgとした。
8.1.3 ガン細胞ライン
この研究では、44歳のカフカス人女性の第II級グリオブラストーマからJ.Pontenが新規に見出したグリオブラストーマ細胞ラインであるU87−MGを用いた(Potenら、1968年)。
8.1.4 細胞ラインの確立のための細胞培養条件
腫瘍細胞を単分子層として37℃、湿潤雰囲気(5%CO、98%空気)で増殖した。培地は、10%ウシ胎児血清(DE14−801E、Cambrex参照)を補充した2mMのLグルタミンを含有するRPMI1641(BE12−702F、Cambrex参照)とした。細胞はプラスチックフラスコに付着した。実験に用いるため、カルシウムまたはマグネシウム無しのハンクス培地(BE10−543、Cambrex参照)においてトリプシン/ベルセン(BE17−161E、Cambrex参照)で5分間処理することにより、腫瘍細胞を培養フラスコから除去した。ヘモサイトメーターで細胞をカウントし、0.25%トリパンブルー排除法によりそれらのバイアビリティ(生存能力)を評定した。
8.2 ヌードマウス脳への定位注入によるグリオーマ誘発
マウスをガンマ源から全身放射線被曝(2.5Gy、Co60、INRA BRETENIERE、Dijon)させた後24〜48時間後、U87−MG細胞をD0で定位的に注入した。腫瘍細胞の定位注入のため、0.9%NaCl溶液中のケタミン100mg/kg(Ketamine500(登録商標)、043KET204、Centravet、フランス国、参照)およびキシラジン5mg8kg(Rompun(登録商標)、002ROM001、Centravet、フランス国、参照)を1回注射当たり10mL/kgを定位注射してマウスに麻酔をかけた。3つの別個独立した定位装置(Kopf Instrument、ドイツ国およびStoelting Company、米国)を用いて細胞を定位注入した。0.002mLのRPMI−1640培地に再懸濁させた1×10のU87−MG腫瘍細胞を右前頭葉に、0.002mLの細胞懸濁液として500nL/分で注入した。
8.3 治療スケジュール
D7においてマウスを計量し、それらの各々の体重に応じて3つのマウス群に無作為化した。MRI画像処理のため、各治療群に4匹のマウスを追加した。各群の平均体重が他群と統計的に異なることのないように(変動分析)各群を選択した。試験物質の投与を次のようにして行った。
8.3.1 第1群のマウスには3日間連続して(D7〜D9、D14〜D16、D21〜D23、D28〜D30およびD35〜D37:(Q1D×3)×5W)試験物質ベヒクルを毎日4回投与を5サイクル行った(D7〜D9、D14〜D16、D21〜D23、D28〜D30およびD35〜D37:(Q1D×3)×5W)。各サイクルは4日間の治療中止を隔てて行った。
8.3.2 第2群のマウスには3日間連続して39−デスメトキシラパマイシンを一回注入当たりにして3mg/kg、毎日4回投与を5サイクル行った(D7〜D9、D14〜D16、D21〜D23、D28〜D30およびD35〜D37:(Q1D×3)×5W)。各サイクルは4日間の治療中止を隔てて行った。
8.3.3 第3群のマウスには治療を施さなかった。
治療スケジュールを下の表12に要約して示す。
Figure 2008534442
8.4 MRI分析
脳のMRI分析をD23およびD37で行った。すべてのMRI分析はPharmascan magnet(Bruker、Wissembourg)にて4.7Tで行った。マウスをイソフルランによる連続麻酔の下で専用のマウスクレードル内の38mm径の円筒形コイルに入れた。
トリパイロット(tripilot)アクイジション後、turboRare T2強調シーケンスを実行した。アクイジションは腫瘍を含む脳全体をカバーしていた。各片における腫瘍の回りの関心領域(ROI)を手でドローイングし、全表面を合計することにより腫瘍容積を決定した。
8.5 結果
図7は各治療群についての43日までの生存グラフである。
追記すれば、結果はT/C%で示されており、ここにTは39−デスメトキシラパマイシンで治療した動物の平均生存時間を示し、Cはベヒクルで治療した動物の平均生存時間を示す。T/C%は次式:T/C%=[T/C]×100で計算される。
さらに、MRI分析を用いて治療群ごとの平均算出腫瘍容積を算定し、その結果を要約して下の表13に示す。ベヒクル治療した動物は全てが37日までに死亡したので、この時期の腫瘍サイズを比較することはできなかった。
Figure 2008534442
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ラパマイシンの構造を示す。 39−デスメトキシラパマイシンの分裂経路を示す。 39−デスメトキシラパマイシンとラパマイシンのmTOR抑制活性を要約したウエスタンブロットを示す。 正常(AおよびB)および高P−gp発現(CおよびD)細胞ラインにおけるパクリタキセル(AおよびC)と39−デスメトキシラパマイシン(BおよびD)についてのすべての試験濃度における%T/C値。 Aはラパマイシンおよび39−デスメトキシラパマイシンをivおよびpoで一回投与した後の脳組織または血液サンプルについてのすべての0〜24時間の曲線下面積(AUC)を示す。Bは一回のiv投与後の脳組織内における39−デスメトキシラパマイシンとラパマイシンの検出レベルを経時的に示す。 Aは予防的レジメの下でのEAEモデルにおける疾患進行を示す。与えられた値はベヒクルまたは治療グループからの中間値である。Bは治療レジメの下でのEAEモデルにおける疾患進行を示す。与えられた値はベヒクルまたは治療グループからの中間値である。 このグラフはU87−MG細胞の定位注入によりグリオーマを投与したマウスの相対的生存率を示す。黒塗りの菱形は未治療グループを示し、黒塗りの四角はベヒクル処理されたグループを示し、白抜きの丸は39−デスメトキシラパマイシンで処理されたグループを示す。

Claims (23)

  1. 次式(Rは(H,H)または=Oを表し、RおよびRは各々独立してH、OHまたはOCHを表す)で示される39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を神経損傷または疾患に起因する医学的症状の治療薬の調製に用いることの用途。
    Figure 2008534442
  2. 次式(Rは(H,H)または=Oを表し、RおよびRは各々独立してH、OHまたはOCHを表す)で示される39−デスメトキシラパマイシン相同物を中枢神経システムに作用し、薬剤に血液脳関門を通過させることが要求される医学的症状の治療薬の調製に用いることの用途。
    Figure 2008534442
  3. 医学的症状が脳腫瘍および神経変性症からなる群より選ばれる請求項1または2の用途。
  4. 脳腫瘍の治療薬である請求項3の用途。
  5. 脳腫瘍が多型性神経膠芽腫である請求項4の用途。
  6. 神経変性症の治療薬である請求項3の用途。
  7. 神経変性症がアルツハイマー病である請求項6の用途。
  8. 神経変性症が多発性硬化症である請求項6の用途。
  9. 次式(Rは(H,H)または=Oを表し、RおよびRは各々独立してH、OHまたはOCHを表す)で示される39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を、一以上の既存抗癌剤に抵抗性を有するガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療薬の調製に用いることの用途。
  10. ガンまたはB細胞系悪性腫瘍がP糖タンパク質を発現している請求項9の用途。
  11. ガンまたはB細胞系悪性腫瘍がP糖タンパク質の高い発現レベルを有している請求項10の用途。
  12. 薬剤が39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を投与するためのものである請求項1〜11のいずれか一の用途。
  13. 薬剤がさらに一以上の治療的に有効な薬剤を含む請求項1〜11のいずれか一の用途。
  14. 薬剤がガンまたはB細胞系悪性腫瘍の治療薬であり、メトトレキセート、リューコボリン、アドリアマイシン、プレニゾン、ブレオマイシン、シクロフォスファミド、5−フルオロウラシル、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドキソルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、酢酸メゲストロール、アナストロゾール、ゴセレリン、抗HER2単クローン抗体(Herceptin(商標名)など)、カペシタビン、塩酸ラロキシフェン、EGFR抑制剤)、VEGF抑制剤、プロテアソーム抑制剤およびhsp90抑制剤からなる群から選ばれる一以上の薬剤をさらに含む、請求項3〜5または9〜13のいずれか一の用途。
  15. 39−デスメトキシラパマイシン相同物が39−デスメトキシラパマイシンである請求項1〜14のいずれか一の用途。
  16. 39−デスメトキシラパマイシン相同物が位置9,16または27の一以上でラパマイシンとさらに相違している請求項1〜14のいずれかの一の用途。
  17. 39−デスメトキシラパマイシン相同物が位置16または27の一以上でラパマイシンと相違している請求項16の用途。
  18. 39−デスメトキシラパマイシン相同物が位置16および27でラパマイシンと相違している請求項16の用途。
  19. 39−デスメトキシラパマイシン相同物が位置27で水酸基を有し、すなわちRがOHを示す請求項16〜18のいずれか一の用途。
  20. 39−デスメトキシラパマイシン相同物が位置27で水素を有し、すなわちRがOHを示す請求項16〜18のいずれか一の用途。
  21. 39−デスメトキシラパマイシン相同物が位置16で水酸基を有し、すなわちRがOHを示す請求項16〜18のいずれか一の用途。
  22. 次式(Rは(H,H)または=Oを表し、RおよびRは各々独立してH、OHまたはOCHを表す)で示される39−デスメトキシラパマイシン相同物またはその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容可能なキャリアと共に用いることを特徴とする薬剤化合物。
  23. 静脈内投与のために特異的に処方される請求項23の薬剤化合物。
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