JP2008531060A - 相補性決定残基の合理的改変を介して免疫グロブリン可変領域をヒト化する方法 - Google Patents

相補性決定残基の合理的改変を介して免疫グロブリン可変領域をヒト化する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、非ヒトドナー抗体CDR残基の戦略的な改変を行うことによって、抗体をヒト化することができるという発見に少なくとも部分的に基づく。このような改変は、ドナー抗体CDRとCDR移植抗体の可変ドメインを含むヒトアクセプター抗体フレームワーク領域との間の3次元構造の適合を調節する。ヒト化の従来技術の方法は、フレームワーク置換を行う(選択されたヒトフレームワーク残基が非ヒトドナー抗体に存在する対応するアミノ酸残基に逆変異する)ことに依存してきたが、本発明は、ドナー抗体とアクセプター抗体との間のFRアミノ酸配列の差異を調節するために、選択されたCDR残基および必要に応じて隣接するFR残基を変化させるという、抗体をヒト化する方法に少なくとも部分的に基づく。

Description

(関連情報)
本出願は、米国仮特許出願第60/658,987号(2005年3月4日出願)の優先権を主張し、その内容は本明細書によってその全体が参考として援用される。
本明細書を通して引用された任意の特許、特許出願および参考文献の内容は、本明細書により、その全体が参考として援用される。
(発明の背景)
抗体は、病原体から身体を保護する際に重大な役割を果たす天然に存在する生物学的物質である。抗体は、一般に、免疫グロブリンとも呼ばれ、4つのポリペプチド:互いに同一である2つの長いポリペプチド(「重鎖」)および互いに同一である2つの短いポリペプチド(「軽鎖」)を含む。重鎖は、ジスルフィド結合によって軽鎖と対を成し、2本の重鎖は、同様に互いに結合して、4量体の構造を形成する。さらに、重鎖および軽鎖は、各々、可変ドメインおよび1個以上の定常領域を含む:重鎖は、1個の可変ドメイン(V)に続いて、3個の定常領域(C1、C2およびC3)を含み、軽鎖は、1個の可変ドメイン(V)に続いて単一の定常領域(C)を含む。
各対の軽鎖および重鎖の可変ドメインは、抗原と接触するようになる部位を形成する。VとVの両方は、それらの配列が比較的保存されており、3つの超可変領域または相補性決定領域(CDR)に連結している4つのフレームワーク領域(FR)を含む同じ一般構造を有する(非特許文献1を参照のこと;非特許文献2もまた参照のこと)。その4つのフレームワーク領域は、主にβシート構造をとり、CDRは、ループ連結を形成し、いくつかの場合においては、CDRの一部がβシート構造をとる。VおよびVのCDRは、FRと近接しており、また、CDR内のアミノ酸残基は、抗原に結合する。可変ドメインの構造についての詳細な説明は、非特許文献3、非特許文献4および非特許文献5に記載されている。
研究者らは、機能を研究するためまたは治療薬としての有用性を改善するために種々の方法で抗体を改変してきた。最新の改変のいくつかにおいて、研究者らは、定常領域の配列のいずれでもなく、VドメインまたはVドメインを発現する二本鎖DNA配列を使用した(例えば、EP−A−0088994;Schering Corporationを参照のこと)。他のフラグメントおよびキメラ抗体もまた作製した。キメラの1つの特定のタイプ(一般に、CDR移植抗体とも呼ばれる)は、起源の種が異なる2つの抗体由来の配列を含む(例えば、マウスのCDRを、別のヒト抗体において天然に存在するCDRの代わりに使用する;例えば、特許文献1を参照のこと)。このような抗体が、完全なヒト抗体と同じくヒトの身体にとって外来のものではないことを研究者らは、望んでいたが、このような抗体の有用性は、限定されたものであり、少なくともいくつかの場合において、抗原に対する抗体の親和性が低下する。親和性を改善するための試みとして、CDR移植抗体のFR内のアミノ酸のいくつかを、アクセプター分子(例えば、ヒト抗体)のFR内のアミノ酸から、CDRを提供した抗体のFR内のアミノ酸(例えば、マウス抗体のFR内のアミノ酸;例えば、特許文献2;特許文献3;特許文献4;および特許文献5を参照のこと)に変化させた。しかしながら、このような改変は、分子の免疫原性を増大させることが多かった。強い免疫応答を誘発しないが、抗原と強固に結合する抗体および他の結合分子ならびにこのような結合分子を作製する方法が必要とされている。
米国特許第5,225,539号明細書 米国特許第5,585,089号明細書 米国特許第5,693,761号明細書 米国特許第5,693,762号明細書 米国特許第6,180,370号明細書 Kabatら,「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,U.S.Department of Health and Human Services,1983年 Chothiaら,J.Mol Biol.,1987年,第196巻,p.901−917 Poljakら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,第70巻,1973年,p.3305−3310 Segalら,Proc.Natl.Acad.Sci USA,1974年,第71巻,p.4298−4302 Marquartら,J.Mol.Biol,1980年,第141巻,p.369−391
(発明の要旨)
本発明は、非ヒトドナー抗体アミノ酸(例えば、CDR残基および/または隣接するFR残基)の戦略的な改変を行うことによって、抗体をヒト化することができるという発見に少なくとも部分的に基づく。このような改変は、ドナー抗体CDRとCDR移植抗体の可変ドメインを含むヒトアクセプター抗体フレームワーク領域との間の3次元構造の適合を調節する。ヒト化の従来技術の方法は、フレームワーク置換を行うこと(選択されたヒトフレームワーク残基が非ヒトドナー抗体に存在する対応するアミノ酸残基に逆変異すること)に依存してきたが、本発明は、ドナー抗体とアクセプター抗体との間のFRアミノ酸配列の差異を調節するために、選択された可変領域残基(例えば、CDR残基および必要に応じて隣接するFR残基)を変化させるという抗体をヒト化する新規の方法に少なくとも部分的に基づく。FR領域ではなく、免疫グロブリン可変領域のCDR領域を変化させることに注目することによって、そのような可変領域を含むポリペプチドに対する被験体による免疫応答が、最小限になり得る。1つの実施形態において、このような改変によって、完全にヒトFR領域を含むヒト化抗体が生じ、これは、改変していないCDRと比較して免疫原性が低い。
1つの局面において、本発明は、a)アクセプター可変領域CDRおよびFRアミノ酸残基を有するアクセプターIg可変領域由来の可変領域フレームワーク(FR)アミノ酸残基ならびにb)ドナー可変領域CDRアミノ酸残基およびFRアミノ酸残基を有する非ヒトドナーIg可変領域由来の相補性決定領域(CDR)を含む免疫グロブリン(Ig)可変領域をヒト化する方法に関し、この方法は、i)少なくとも1つのCDRの高次構造の予測を可能にするデータを提供する工程;ii)FRアミノ酸残基が少なくとも1つのCDRの3次元高次構造に影響を及ぼすと予測されると同定する工程;iii)選ばれたアミノ酸残基で置換するための少なくとも1つの候補ドナーCDRアミノ酸残基を同定する工程、ここで、選ばれたアミノ酸残基は、CDR高次構造に影響を及ぼさずに、FRにおけるドナーおよびアクセプターの間のアミノ酸残基の差異を高次構造的に調節し;およびiv)少なくとも1つの候補ドナーCDRアミノ酸残基と選ばれたアミノ酸残基を置換することにより、ヒト化Ig可変領域を形成する工程を含む。
1つの実施形態において、工程(iii)は、第2の選ばれたアミノ酸残基と置換するための少なくとも1つの候補アクセプターFRアミノ酸残基を同定する工程をさらに含み、ここで、第2の選ばれたアミノ酸残基は、CDR高次構造に影響を及ぼさずに、ドナーIg可変領域とアクセプターIg可変領域との間のFRアミノ酸残基の差異を高次構造的に調節する。別の実施形態において、工程(iv)は、少なくとも1つの候補アクセプターFR残基を第2の選ばれたアミノ酸残基と置換する工程をさらに含む。
1つの実施形態において、工程(i)は、非ヒトドナーIg可変領域の3次元(3D)構造を評価する工程を含む。
別の実施形態において、工程(i)は、非ヒトドナーIg可変領域のX線回折データを評価する工程を含む。
別の実施形態において、工程(i)は、非ヒトドナーIg可変領域のコンピュータで生成されたモデルを評価する工程を含む。
特定の実施形態において、アクセプターIg可変領域は、ヒト抗体由来である。1つの実施形態において、アクセプターIg可変領域は、ヒトコンセンサス配列由来である。別の実施形態において、アクセプターIg可変領域は、ヒト生殖細胞系配列由来である。
別の局面において、本発明は、a)アクセプターIg可変領域由来の可変フレームワーク領域(FR)およびb)非ヒトドナーIg可変領域由来の相補性決定領域(CDR)を含むヒト化Ig可変領域を設計する方法に関し、この方法は、
(a)アクセプターIg可変領域とドナーIg可変領域との間で異なるフレームワーク領域(FR)アミノ酸を同定する工程;
(b)工程(a)で同定されたFRアミノ酸に隣接するアミノ酸を同定する工程;
(c)工程(a)で同定されたFRアミノ酸を高次構造的に調節する、選ばれたアミノ酸残基で置換するために工程(b)で同定されたアミノ酸から少なくとも1つの候補アミノ酸を同定する工程
を含む。
特定の実施形態において、その方法は、候補アミノ酸の位置で、選ばれたアミノ酸残基を置換する工程をさらに含む。
1つの実施形態において、工程(a)で同定されたFRアミノ酸は、正準的なFR残基である。別の実施形態において、工程(b)で同定されたアミノ酸は、工程(a)で同定されたFRアミノ酸に直接隣接している。別の実施形態において、工程(b)で同定されたアミノ酸は、工程(a)で同定されたFRアミノ酸から3次元空間の約4Å内である。
1つの実施形態において、選ばれたアミノ酸残基は、側鎖再パッキング(repacking)によって同定される。別の実施形態において、選ばれたアミノ酸残基は、すべての可能性のあるアミノ酸の、すべての可能なロータマーから選択される。別の実施形態において、選ばれたアミノ酸残基は、すべての可能性のあるアミノ酸の、すべての可能性のあるロータマーの一部から選択される。
別の実施形態において、選ばれたアミノ酸残基は、工程(a)で同定されたFRアミノ酸と同じFRアミノ酸を有する相同な抗体可変領域配列のセット内の候補アミノ酸の位置に最もよく存在するアミノ酸として同定される。
別の実施形態において、選ばれたアミノ酸残基は、すべての可能性のあるアミノ酸の、すべての可能性のあるロータマーの一部から選択され、ここで、その一部は、工程(a)で同定されたFRアミノ酸と同じFRアミノ酸を有する相同な抗体可変領域配列のセット内の候補アミノ酸の位置に通常存在するアミノ酸のすべての可能性のあるロータマーを含む。
別の局面において、本発明は、ヒト化Ig可変領域を設計する方法に関し、この方法は、a)ドナー可変領域CDRアミノ酸残基およびFRアミノ酸残基を含む非ヒトドナーIg可変領域を選択する工程;b)アクセプター可変領域CDRおよびFRアミノ酸残基を含むアクセプターIg可変領域を選択する工程;c)選ばれたアミノ酸残基で置換するためのドナーIg可変領域の少なくとも1つのCDRにおける少なくとも1つの候補アミノ酸残基を同定する工程を含み、ここで、(i)候補アミノ酸は、アクセプターFR領域のアミノ酸に直接隣接しているか;または(ii)候補アミノ酸が、そのファンデルワールス表面が、3D免疫グロブリンモデルにおけるアクセプター可変領域FRアミノ酸残基の約4Å内である側鎖原子を有すると予測され、そしてヒト化Ig鎖の少なくとも1つの可変領域FRアミノ酸残基と相互作用すると予測される。
1つの実施形態において、その方法は、第2の選ばれたアミノ酸残基で置換するためのアクセプターIg可変領域における少なくとも1つの候補FRアミノ酸残基を同定する工程をさらに含み、ここで:
(i)候補FRアミノ酸残基は、ドナーIg可変領域のCDRアミノ酸残基に直接隣接しているか;または
(ii)候補FRアミノ酸残基は、そのファンデルワールス表面が、3D免疫グロブリンモデルにおけるドナーIg可変領域のCDRアミノ酸残基の約4Å内である側鎖原子を有すると予測され、そしてヒト化Ig鎖の少なくとも1つの可変領域CDRアミノ酸残基と相互作用すると予測される。
1つの実施形態において、その方法は、候補アミノ酸残基の位置で、選ばれたアミノ酸残基を置換する工程をさらに含む。別の実施形態において、その方法は、候補FRアミノ酸残基の位置で、第2の選ばれたアミノ酸残基を置換する工程をさらに含む。
別の実施形態において、Ig可変領域は、無処置の抗体分子内に存在する。別の実施形態において、Ig可変領域は、抗体分子のフラグメント内に存在する。
1つの実施形態において、Ig可変領域は、抗体、抗体軽鎖(VL)、抗体重鎖(VH)、一本鎖抗体(scFv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fdフラグメントおよび単一ドメインフラグメントからなる群から選択される分子内に存在する。
別の実施形態において、Ig可変領域は、軽鎖可変領域である。別の実施形態において、Ig鎖は、重鎖可変領域である。
なおも別の実施形態において、ヒト化Ig鎖は、少なくとも1つの可変領域FRアミノ酸置換を含む。
1つの実施形態において、選ばれたアミノ酸は、特徴的な側鎖化学を有するアミノ酸の一部に由来し、前記アミノ酸の一部は、無電荷極性アミノ酸残基、非極性アミノ酸残基、正に帯電したアミノ酸残基および負に帯電したアミノ酸残基からなる群から選択される。
1つの実施形態において、方法は、少なくとも1回繰り返される。別の実施形態において、この方法は、インシリコで実施される。
1つの実施形態において、方法は、ヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドを発現する工程をさらに含む。
1つの実施形態において、そのポリペプチドは、無細胞性抽出物発現系、ファージディスプレイ発現系、原核細胞発現系および真核細胞発現系からなる群から選択される発現系で発現される。
1つの実施形態において、非ヒトドナー抗体は、マウス抗体である。別の実施形態において、非ヒトドナー抗体は、霊長類抗体である。
1つの実施形態において、本発明は、本発明の方法によって作製されるヒト化可変領域を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。
別の実施形態において、本発明は、本発明の核酸分子を含む宿主細胞に関する。
なおも別の実施形態において、本発明は、本発明の方法によって作製されるヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドに関する。
1つの実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物に関する。
別の実施形態において、本発明はまた、ヒトの疾患または障害の治療または予防が達成されるような治療有効量の本発明の薬学的組成物を投与する工程を含む、ヒトの障害または疾患を処置または予防するための方法に関する。
なおも別の実施形態において、本発明は、抗体またはその結合フラグメントが発現される条件下で本発明の宿主細胞を培養することによって産生される、抗体またはその結合フラグメントに関する。
1つの実施形態において、少なくとも1つのドナー抗体CDRは、抗Cripto抗体、抗CD40L抗体、抗VLA4抗体および抗MCP抗体からなる群から選択される抗体のCDRである。
別の局面において、本発明は、配列番号6〜13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒト化Ig軽鎖可変領域に関する。
なおも別の局面において、本発明は、配列番号8、9および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒト化Ig軽鎖可変領域に関する。
なおも別の局面において、本発明は、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒト化Ig重鎖可変領域に関する。
1つの実施形態において、本発明は、本発明のヒト化Ig配列を含む、抗体またはそのフラグメントに関する。
別の実施形態において、本発明は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むヒト化Ig軽鎖可変領域に関する。
なおも別の局面において、本発明は、アミノ酸配列の配列番号17を含むヒト化Ig重鎖に関する。
別の局面において、本発明は、アミノ酸配列の配列番号18を含むヒト化Ig重鎖に関する。
なおも別の局面において、本発明は、配列番号19として示されるIg重鎖可変領域を含むマウス抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
1つの実施形態において、本発明は、ヒトの疾患または障害の治療または予防が達成されるような治療有効量の本発明の薬学的組成物を投与する工程を含む、ヒトの障害または疾患を処置または予防するための方法に関する。1つの実施形態において、障害または疾患は、新生物である。別の実施形態において、疾患または障害は、炎症性の疾患または障害である。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に示される。本発明の他の特徴、目的および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書中で引用された任意の特許、特許出願および他の参考文献の内容は、それらの全体が、本明細書中で参考として援用される。
(発明の詳細な説明)
本発明は、免疫グロブリン可変領域のヒト化のための新規の方法の発見に基づく。本明細書中で説明されるように、ドナー抗体可変領域アミノ酸残基(例えば、CDRアミノ酸残基および/またはフレームワークアミノ酸残基)の戦略的な改変は、ドナー抗体CDRとCDR移植抗体の可変ドメインを含むアクセプター抗体フレームワークドメインとの間の3D構造の適合を調節するために使用され得る。このような改変の効果は、免疫原性が低いヒト化抗体を得ることである。本発明はまた、これらの新規の方法を使用して作製された抗原結合分子およびそれらの使用の方法に関する。
本発明の種々の局面は、以下の小節にさらに詳細に説明される:
(I.定義)
本明細書中で使用されるとき、用語「免疫グロブリン」または「Ig」とは、免疫グロブリン遺伝子によってコードされるか、または実質的にコードされる1個以上のポリペプチドからなるタンパク質のことをいう。認められている免疫グロブリン遺伝子としては、カッパー、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定常領域遺伝子ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。免疫グロブリンは、抗体に加えて、種々の形態で存在し得る;それらとしては、例えば、Fv、Fabおよび(Fab’)ならびに二機能性のハイブリッド抗体(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17,105(1987))および一本鎖の形態(例えば、Huston,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci U.S.A.,85,5879−5883(1988)およびBird,et al.,Science,242,423−426(1988)(本明細書中で参考として援用される))が挙げられる。(一般に、Hood,et al.,“Immunology”,Benjamin,N.Y.,2nded.(1984)およびHunkapiller and Hood,Nature,323,15−16(1986)(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。本明細書中で使用されるとき、用語「免疫グロブリン(Ig)鎖」は、FRおよびCDRを含み、そして少なくとも分子へ抗原結合するIg鎖のアミノ末端部分である「Ig可変領域」を含み、必要に応じて、その鎖またはその鎖を含む抗体のエフェクター機能を制御する1個以上の「定常領域」を含む。1つの実施形態において、軽鎖は、VドメインおよびCドメインを含み、Ig重鎖は、Vドメイン、C1ドメイン、C2ドメインおよびC3ドメインを含む。
非ヒト(例えば、マウスの)免疫グロブリン可変領域の「ヒト化」型は、より「ヒト様」になるように(アミノ酸配列を変化させることによって)改変された非ヒト抗体のアミノ酸配列を含む可変領域である。好ましくは、このような抗体は、非ヒト免疫グロブリンから得られる最小の配列を含む。非ヒトドナーの軽鎖および重鎖の定常領域は、通常、アクセプター抗体由来の定常領域によって置換される。本明細書中に記載される方法を使用して、アクセプター抗体の超可変領域由来の残基は、所望の特異性および/または親和性を有する非ヒトドナー抗体の超可変領域由来の(例えば、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターまたは非ヒト霊長類)から得られる)残基によって置換される。そして適切なCDRアミノ酸残基は、抗原への結合を最適化するために本明細書中に記載されるような合理的な設計を使用して改変され得る。いくつかの場合において、本発明の結合分子は、ヒトフレームワーク領域を完全に含む。他の実施形態において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基はまた、対応する非ヒト残基によって置換され得るか、または好ましい実施形態において、FR残基は、本明細書中に記載される合理的な設計方法を使用して改変され得る。好ましくは、置換された(例えば、非ヒトドナー残基に逆変異された)任意のこのようなフレームワーク残基は、CDRに近接しておらず、そして/またはCDR高次構造に影響を及ぼさない。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含み得る。抗体の能力または発現をさらに高めるためにこれらの改変がなされうる。
本明細書中で使用されるとき、用語「可変領域CDRアミノ酸残基」は、配列または構造に基づく方法を使用して同定されるようなCDRまたは相補性決定領域におけるアミノ酸を含む。本明細書中で使用されるとき、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見られる不連続な抗原結合部位を意味すると意図される。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252,6609−6616(1977)およびKabat et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991)およびChothia et al.,J.Mol.Biol.196:901−917(1987)およびMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732−745(1996)に記載されている。ここで、これらの定義は、互いに対して比較するとき、アミノ酸残基の重複またはその一部を含む。上記の引用文献のおのおのによって定義されているようなCDRを包含するアミノ酸残基を、比較として以下の表1に示す。好ましくは、用語「CDR」は、配列比較に基づいてKabatによって定義されたようなCDRである。
(表1)
Figure 2008531060
残基番号は、Kabat et al.,前出の命名法に従う
残基番号は、Chothia et al.,前出の命名法に従う
残基番号は、MacCallum et al.,前出の命名法に従う
本明細書中で使用されるとき、用語「可変領域フレームワーク(FR)アミノ酸残基」または「フレームワーク残基」とは、Ig鎖のフレームワーク領域におけるそれらのアミノ酸のことをいう。用語「フレームワーク領域」または「FR領域」は、本明細書中で使用されるとき、可変領域の一部であるが、CDRの一部でない(例えば、CDRのKabat定義を使用して)アミノ酸残基を含む。従って、可変領域フレームワークは、約100〜120アミノ酸長であるが、CDRを除いたアミノ酸だけのことをいうと意図される。重鎖可変領域の特定の例について、そしてKabat et alによって定義されるようなCDRについて、フレームワーク領域1は、アミノ酸1〜30を包含する可変領域のドメインに対応し;領域2は、アミノ酸36〜49を包含する可変領域のドメインに対応し;領域3は、アミノ酸66〜94を包含する可変領域のドメインに対応し、そして領域4は、アミノ酸103から可変領域の最後までの可変領域のドメインに対応する。軽鎖についてのフレームワーク領域は、軽鎖可変領域CDRの各々によって同様に分離される。同様に、Chothia et al.またはMcCallum et al.によるCDRの定義を使用して、フレームワーク領域の境界は、上記のようなそれぞれのCDR末端で分離される。
本明細書中で使用されるとき、用語「ドナー可変領域FRアミノ酸残基とアクセプター可変領域FRアミノ酸残基とのアミノ酸配列の差異の同定を可能にするデータ」とは、例えば、Ig構造または配列比較の検討に基づいて生成されるデータを含み、ドナー抗体におけるアミノ酸残基が、アクセプター抗体において対応するアミノ酸残基と異なることを当業者に通知するものである。
本明細書中で使用されるとき、用語「CDRの3次元高次構造に影響を及ぼすと予測されるアミノ酸残基」は、Ig鎖骨格の構造に影響を及ぼすことによってCDRの3D構造に影響を及ぼす可能性があるFRにおけるアミノ酸残基および/または抗原結合に必要な1個以上のCDRアミノ酸側鎖の位置に影響を及ぼすアミノ酸を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「高次構造的に調節する」とは、例えば、保存された抗原結合またはCDR高次構造の実際の観察もしくはモデリングによって決定されるようなCDRの3D高次構造が保存されるように、他のアミノ酸(例えば、立体配置的に相補的であるか、静電気的に相補的であるか、ドナー−アクセプターの水素結合で相補的であるか、または別で相補的であるアミノ酸)の適合を可能にするアミノ酸を含む。本明細書中で使用されるとき、用語「CDR高次構造」とは、CDRの3D構造、例えば、CDRループの抗原と接触する残基の位置をいう。
本明細書中で使用されるとき、用語「ドナー」または「ドナーIg可変領域配列」は、ヒト化Ig可変領域のCDRが由来するIg可変領域アミノ酸配列を意味すると意図される。一般に、ドナーIg可変領域配列は、抗体分子から得られる。ドナーCDRは、アクセプター分子にドナー分子の結合特異性を与える。ドナーIg領域は、アクセプター抗体と異なる種由来でなくてもよいことが理解されるべきである。その代わり、ドナーは、別個かつ異なる分子であることが十分である。好ましい実施形態において、ドナー抗体は、非ヒト抗体である。
本明細書中で使用されるとき、用語「アクセプター」または「アクセプターIg可変領域配列」とは、ドナーCDRが位置されるべきIg可変領域アミノ酸配列を意味すると意図される。1つの実施形態において、アクセプター抗体は、ヒト抗体である。しかしながら、アクセプターIg可変領域配列は、天然に存在する抗体配列に由来しなくてもよい。別の実施形態において、アクセプターIg可変領域配列は、ヒト生殖細胞系配列由来である。別の実施形態において、アクセプターIg可変領域配列は、複数のヒト配列をアラインメントするとき、任意の位置で最も一般に存在するアミノ酸残基に基づくコンセンサス配列であり得る。なおも別の実施形態において、アクセプターIg可変領域配列は、ヒト抗体(または生殖細胞系配列またはコンセンサス配列)由来であり得るが、抗体の能力および/または発現を最適化する1個以上のFRアミノ酸改変を含み得る。好ましくは、このようなFRアミノ酸改変は、CDRに近接しておらず、そして/またはCDR高次構造に影響を及ぼさないアミノ酸に行う。
本明細書中で使用されるとき、用語「アクセプターFR領域のアミノ酸に隣接した」は、可変領域ポリペプチドの構造(例えば、1次、2次、3次構造)の評価によって決定されるようなアクセプターFR領域のアミノ酸に近い(例えば、25オングストローム以下、好ましくは15オングストローム以下の範囲内の)可変領域アミノ酸(例えば、CDRアミノ酸および/またはFRアミノ酸)を含む。特定の実施形態において、アミノ酸が、可変領域配列におけるアクセプターFRアミノ酸の5以下のアミノ酸位置内(例えば、4、3、2または1アミノ酸位置内)であるアミノ酸の位置に存在する場合、そのアミノ酸は、アクセプターFR領域のアミノ酸に隣接している。他の実施形態において、アミノ酸が、可変領域の3次元構造の評価によって決定されるように、アクセプターFR領域のアミノ酸の原子から3D空間の25オングストローム以内(例えば、3D空間の20オングストローム、好ましくは15オングストローム、より好ましくは10オングストロームまたは特に好ましくは5オングストローム以内、特に3D空間の4オングストローム以内)である原子を有する場合、そのアミノ酸は、アクセプターFR領域のアミノ酸に隣接している。
本明細書中で使用されるとき、用語「アクセプターFR領域のアミノ酸に直接隣接している」は、可変領域配列中のアミノ酸の鎖においてFRアミノ酸と直接隣り合う(すなわち、共有結合を形成する)可変領域アミノ酸(例えば、CDRアミノ酸および必要に応じて、FRアミノ酸)を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「そのファンデルワールス表面が、アクセプター可変領域FRアミノ酸残基の約4Å以内である側鎖原子」は、それらのファンデルワールス表面が予測されるとき、アクセプター可変領域FRアミノ酸残基の約4Å以内になるアミノ酸を含む。所与の原子についてのファンデルワールス力またはファンデルワールス表面は、当該分野で公知の技術を使用して予測され得るか、または測定され得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒト化Ig鎖の少なくとも1つの可変領域FRアミノ酸残基と相互作用すると予測される」は、当業者に公知の技術に基づいて、(例えば、静電気的な相互作用、ファンデルワールス力または疎水性相互作用を介して)ヒト化Ig鎖の少なくとも1つの可変領域FRアミノ酸残基と相互作用すると予測され得るアミノ酸を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「3D構造」とは、例えば、Ig可変領域の原子またはアミノ酸によって占有される、3次元空間における既知の位置、予測される位置および/またはモデル化される位置のことをいう。分子/原子レベルで3D構造を同定するか、または予測するための多くの方法が、当該分野で公知であり、それらとしては、X線結晶構造解析、NMR、構造モデリングおよび構造の予測/決定のための主にインシリコによる種々のアプローチが挙げられる。このようなアプローチは、例えば、目的の(高)分子またはそれらの一部の相同性の程度などの因子と、他の(高)分子の既知の3D構造および/または予測される3D構造、目的の(高)分子に存在する1次構造および/または2次構造の特徴の知見、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用などのモデリングとを合わせることにより、目的の(高)分子またはそれらの部分に対する少なくとも1つの3D構造モデルを生成する。さらに、関連配列の抗体におけるCDR高次構造に対して一般に重要な抗体フレームワークドメインアミノ酸残基の位置の知見は、本発明の目的に対する3D構造の情報を構成する。
本明細書中で使用されるとき、用語「インシリコ」は、コンピュータメモリー、すなわち、ケイ素またはチップ様の他のものの上で生成される、分子(例えば、ヒト化可変領域またはこのようなヒト化可変領域を含むポリペプチド)に関する情報を含む。別の方法で述べられるとき、インシリコは、「仮想的」を意味する。
本明細書中で使用されるとき、用語「新生物」は、良性または悪性のいずれかの腫瘍を含む、制御されない細胞増殖を含む。本明細書中で使用されるとき、用語「悪性腫瘍」とは、良性でない腫瘍または癌のことをいう。
本明細書中で使用されるとき、用語「癌」は、調節解除されたか、または制御されない細胞増殖、例えば癌腫、肉腫、白血病およびリンパ腫を特徴とする悪性腫瘍を含む。用語「癌」は、原発性悪性腫瘍(例えば、その細胞がもとの腫瘍の部位以外の被験体の身体の部位に転移しない腫瘍)および2次悪性腫瘍(例えば、転移、すなわち、もとの腫瘍の部位とは異なる二次的な部位への腫瘍細胞の転移を生じる腫瘍)を含む。「癌」を有する被験体は、例えば、腫瘍または白血病などの白血球増殖を有し得る。特定の実施形態において、癌を有する被験体は、固形腫瘍などの腫瘍を有する被験体である。固形腫瘍を含む癌としては、非小細胞肺癌(NSCLC)、精巣癌、肺癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、膵癌、直腸結腸癌(CRC)、乳癌ならびに前立腺癌、胃(gastric)癌、皮膚癌、胃(stomach)癌、食道癌および膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「結合親和性」は、本明細書中で使用されるとき、結合相互作用の強度を含み、それゆえ実際の結合親和性ならびに見かけの結合親和性の両方を含む。実際の結合親和性は、解離速度に対する会合速度の比である。従って、結合親和性を与えることまたは最適化することは、結合親和性の所望のレベルを達成するようにこれらの要素のいずれかまたは両方を変化させることを含む。見かけの親和性は、例えば、相互作用の結合活性を含み得る。例えば、2価の変更された可変領域結合フラグメントは、その結合価によって変更されたかまたは最適化された結合親和性を示し得る。結合親和性はまた、本発明の方法において残基変更の選択に寄与するこのようなモデリングを用いてモデル化され得る。
用語「抗体」は、本明細書中で使用されるとき、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語抗体分子の「フラグメント」は、抗体の抗原結合フラグメント、例えば、抗体軽鎖(V)、抗体重鎖(V)、一本鎖抗体(scFv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメントおよび単一ドメイン抗体フラグメント(DAb)を含む。
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書中で使用されるとき、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、微量で存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いては同一である集団を含む個別の抗体のことをいう。モノクローナル抗体は、単一の抗原性部位に対して作られており、高度に特異的である。さらに、代表的には、異なる決定基(エピトープ)に対して作られている様々な抗体を含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して作られている。修飾語「モノクローナル」とは、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の特徴のことを指し、そして、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 256:495(1975)によって初めて報告されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clack−son et al.,Nature 352:624−628(1991)およびMarks et al.,J.Mol Biol.222:581−597(1991)に記載されている技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
用語「キメラ免疫グロブリン」またはキメラ抗体は、異なる種に由来するアミノ酸配列を含む免疫グロブリンまたは抗体のことをいう。キメラ免疫グロブリンまたはキメラ抗体は、例えば、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから遺伝子操作によって作製され得る。
句「候補アミノ酸残基位置」は、本明細書中で使用されるとき、本発明の抗体のCDRドメインまたはFRドメイン内に同定されるアミノ酸位置を含み、ここで、候補アミノ酸の置換は、モデル化されるか、予測されるか、または変更、欠失、挿入もしくは別のアミノ酸による置換に基づいて抗体のCDRドメインとFRドメインとの間の構造上の適合に影響を与えると知られる。
用語「選ばれたアミノ酸」は、本明細書中で使用されるとき、抗体内の候補アミノ酸残基位置に置換するための本発明の方法によって選択されたアミノ酸残基のことをいう。選ばれたアミノ酸残基との候補アミノ酸残基位置の置換は、Ig可変領域のドナーCDRドメインとアクセプターFRドメインとの間の構造上の適合を促進する。
用語「アミノ酸変更」または「前記アミノ酸に対する変更」は、本明細書中で使用されるとき、所定のアミノ酸配列のアミノ酸配列における変更を含む。例示的な変更としては、挿入、置換および欠失が挙げられる。用語「アミノ酸置換」は、本明細書中で使用されるとき、別の異なるアミノ酸残基(例えば、異なる側鎖化学を有する)との、所定のアミノ酸配列に存在するアミノ酸残基側鎖化学の置換を含む。
用語「天然に存在するアミノ酸残基」は、本明細書中で使用されるとき、一般に、アラニン(Ala);アルギニン(Arg);アスパラギン(Asn);アスパラギン酸(Asp);システイン(Cys);グルタミン(Gln);グルタミン酸(Glu);グリシン(Gly);ヒスチジン(His);イソロイシン(Ile):ロイシン(Leu);リシン(Lys);メチオニン(Met);フェニルアラニン(Phe);プロリン(Pro);セリン(Ser);トレオニン(Thr);トリプトファン(Trp);チロシン(Tyr);およびバリン(Val)からなる群から選択される遺伝暗号によってコードされるものを含む。
用語「天然に存在しないアミノ酸残基」は、本明細書中で使用されるとき、上で列挙された天然に存在するアミノ酸残基以外のアミノ酸残基を含み、ポリペプチド鎖において、隣接するアミノ酸残基と共有結合することができる。天然に存在しないアミノ酸残基の例としては、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリンおよびEllman et al,Meth.Enzym.202:301−336(1991)に記載されているような他のアミノ酸残基アナログが挙げられる。このような天然に存在しないアミノ酸残基を作製するために、Noren et al.Science 244:182(1989)およびEllman et al,前出の手順が使用され得る。簡潔には、これらの手順は、天然に存在しないアミノ酸残基を有するサプレッサーtRNAを化学的に活性化した後、インビトロにおける転写およびRNAの翻訳を含む。
用語「処置」とは、治療的な処置と予防的または防止的な措置の両方のことをいう。処置を必要とする者は、すでに障害を有する者だけでなく、障害を予防されるべき者も含む。
用語「障害または疾患」は、抗体改変体での処置から利益を得る任意の状態である。これは、哺乳動物を問題の障害にさせる病的状態を含む慢性および急性の障害または疾患を含む。
用語「細胞」、「細胞株」、「細胞培養物」または「宿主細胞」は、本明細書中で使用されるとき、「形質転換体」、「形質転換された細胞」または「トランスフェクトされた細胞」およびそれらの子孫を含む。本発明の範囲内の宿主細胞としては、E.coliなどの原核細胞、酵母細胞などの下等真核細胞、昆虫細胞および脊椎動物細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞およびNS0ミエローマ細胞)などの高等真核細胞が挙げられる。
「単離された」抗体は、自然環境の成分から同定ならびに分離および/または回収されている抗体である。自然環境の混入成分は、抗体に対して診断的または治療的な使用を干渉し得る物質であり、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質を含み得る。特定の実施形態において、抗体は、(1)Lowry法によって測定されるとき、抗体の95重量%以上およびもっとも好ましくは99重量%以上に(2)スピニングカップ(spinning cup)配列決定装置の使用によってアミノ酸配列のN末端または内部の少なくとも15残基を得るのに十分な程度にまたは(3)還元状態または非還元状態下で、クマシーブルー染色または好ましくは、銀染色を使用してSDS−PAGEによって均一に精製され得る。少なくとも1つの抗体の自然環境の成分が存在しないので、単離された抗体は、組換え細胞内のインサイチュの抗体を含む。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製され得る。
「単離された」核酸分子は、同定されていて、かつ、通常、抗体核酸の天然の起源に関連する少なくとも1つの混入核酸分子から分離されている核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見られる形態または環境以外である。それゆえ、単離された核酸分子は、天然の細胞内に存在する核酸分子と区別される。しかしながら、例えば、核酸分子が、天然の細胞内に見られる核酸分子と異なる染色体位置に存在する場合、単離された核酸分子は、通常核酸分子を発現する細胞内に含まれる核酸分子を含み得る。
(II.ヒト化のための免疫グロブリン可変領域)
本発明の方法は、単離された形態に存在するか、またはIg鎖、抗体、抗体の改変型またはそれらの抗原結合フラグメントに存在するか否かに関係なく、免疫グロブリン可変領域において実施され得る。ヒト化のための本免疫グロブリン可変領域は、ドナー抗体から得られるCDR配列およびアクセプター抗体から得られるFR配列を含むキメラである。ヒト化のためのキメラ分子は、本発明の方法を実施するために合成される必要はないことが理解されるだろう。例えば、1つの実施形態において、ドナーIg可変領域およびアクセプターIg可変領域が、同定され得、改変のための候補ドナーCDR残基が、例えば、3Dモデリングまたはデータベース選択に基づいて選択され得、そしてその分子のヒト化型が、ドナー、アクセプターまたは出発キメラ抗体を作製せずに、必要に応じて合成され得る。
ドナーIg可変領域配列およびアクセプターIg可変領域配列を作製/選択するための方法は、以下にさらに詳細に説明される。
(A.ドナーIg可変領域配列)
ドナーIg可変領域配列は、当該分野で公知の抗体または当該分野で認められたプロトコールの多くの技術のいずれかを使用して作製され得る抗体に由来し得る。例えば、ドナー抗体は、関連抗原(例えば、精製された腫瘍関連抗原またはそのような抗原を含む細胞もしくは細胞抽出物)およびアジュバントの複数回の皮下または腹腔内注入によって、哺乳動物(例えば、非ヒト哺乳動物)において惹起され得る。この免疫は、代表的には、活性化された脾細胞またはリンパ球からの抗原反応性抗体の産生を含む免疫応答を誘発する。
ドナー抗体は、抗原またはそれらのフラグメントで動物を免疫することによって、非ヒト哺乳動物、例えば、マウス、モルモット、霊長類、ハムスター、ウサギまたはラットにおいて産生され得る。すべての目的で、参考として援用される、Harlow&Lane,前出を参照のこと。得られた抗体が、動物の血清から回収されることにより、ポリクローナル調製物が提供され得るが、脾臓、リンパ節または末梢血から個々のリンパ球を単離することが望ましいことが多く、それにより、モノクローナル抗体(MAb)の均一な調製物が提供される。ドナー抗体は、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMクラスであり得る。
ウサギまたはモルモットが、代表的にポリクローナル抗体を作製するために使用される一方で、マウスが、代表的にモノクローナル抗体を作製するために使用される。モノクローナル抗体は、マウスに抗原フラグメントを注入し、「ハイブリドーマ」を調製し、そして抗原に特異的に結合する抗体についてハイブリドーマをスクリーニングすることによってそのフラグメントに対して調製され得る。この周知のプロセス(Kohler et al,(1975),Nature,256:495)において、抗原を注入されたマウス由来の、比較的短命か、または致死のリンパ球は、不死の腫瘍細胞株(例えば、ミエローマ細胞株)と融合され、その結果、不死かつ遺伝的にコードされるB細胞の抗体を産生することができるハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」が作製される。得られたハイブリッドは、選択、希釈および再増殖によって単一の遺伝的な系統に分離され、その各系統は、単一抗体を形成するための特定の遺伝子を含む。ハイブリドーマは、所望の抗原に対する均一な抗体を産生し、それらの純粋な遺伝的起源に関して、「モノクローナル」と呼ばれる。本明細書中で使用されるとき、用語モノクローナルとは、それらが作製された方法に関わらず、所望の抗原に対する均一な抗体のことをいう。
モノクローナル抗体を作製するための方法は、しばらくの間、ミエローマ細胞に免疫グロブリンをコードするDNAを安定的に導入するための技術として(例えば、Oi et ah,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:6351−6355,1983を参照のこと)公知であった(例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495−497,1975を参照のこと)。インビトロにおける突然変異生成およびDNAトランスフェクションを含むこれらの技術は、組換え免疫グロブリンの作製を可能にし、本発明の方法において使用されるポリペプチドまたはそれらから生じるもの(例えば、治療的および診断的な抗体)を作製するために使用され得る。作製方法、ベクターおよび宿主は、以下にさらに記載される。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を播種し、好ましくは、融合していない、親ミエローマ細胞の増殖または生存を阻害する1個以上の物質を含む適当な培地中で生育する。ハイブリドーマの形成、選択および生育のための試薬、細胞株および培地が、多くの供給業者から市販されており、標準化されたプロトコールが十分に確立されていることを当業者は理解する。一般に、ハイブリドーマ細胞を生育している培地は、所望の抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロアッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA))によって測定される。所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、そのクローンが、限界希釈手順によりサブクローニングされ、そして標準的な方法によって生育され得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp59−103(Academic Press,1986))。サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、従来の精製手順(例えば、プロテイン−A、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティークロマトグラフィ)によって培地、腹水または血清から分離され得ることがさらに理解されるだろう。
必要に応じて、抗体は、他の重複しない抗原のフラグメントに結合せず、抗原の特定の領域または所望のフラグメントへ結合することについてスクリーニングされ得る。後者のスクリーニングは、抗原の欠失変異体の収集物への抗体の結合を測定することおよびどの欠失変異体が抗体に結合するかを決定することによって達成され得る。例えば、ウエスタンブロットまたはELISAによって結合が評価され得る。抗体に特異的に結合すると示される最小のフラグメントは、抗体のエピトープを定義する。あるいは、エピトープ特異性は、試験抗体および参照抗体が抗原への結合を争う競合アッセイによって測定され得る。試験抗体および参照抗体が競合する場合、それらは、同じエピトープまたは一方の抗体の結合が他方の結合を干渉するのに十分近位なエピトープに結合する。
別の実施形態において、所望のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列決定され得る。単離され、サブクローニングされたハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい起源として役立つ。一旦、単離されると、そのDNAは、発現ベクターに導入され、そしてそれは、別の方法で免疫グロブリンを産生しない、原核生物または真核生物の宿主細胞(例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはミエローマ細胞)にトランスフェクトされ得る。より詳細には、単離されたDNA(本明細書中で記載されるように合成され得る)は、1995年1月25日に出願されたNewman et al,米国特許第5,658,570号(本明細書中で参考として援用される)に記載されているような製造抗体に対する定常領域配列および可変領域配列をクローニングするために使用され得る。本質的には、これは、選択される細胞からのRNAの抽出、cDNAへの変換およびIg特異的プライマーを使用したPCRによる増幅を必要とする。この目的に適したプライマーもまた、米国特許第5,658,570号に記載されている。以下に、より詳細に記述されるように、所望の抗体を発現する、形質転換された細胞は、比較的大量に生育されることにより、その免疫グロブリンの臨床的および商業的な供給を提供し得る。
抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合部位)をコードするDNAがまた、例えば、pdファージまたはFdファージミド技術を使用して抗体ファージライブラリーから得られる場合があることもまた、当業者は理解する。代表的な方法は、例えば、EP368684B1;米国特許第5,969,108号,Hoogenboom,H.R.and Chames.2000.Immunol.Today 21:371;Nagy et al.2002.Nat.Med.8:801;Huie et al.2001.Proc.Natl.Acad.Sci USA 98:2682;Lui et al.2002.J.Mol.Biol.315:1063(これらの各々が本明細書中に参考として援用される)に説明されている。いくつかの出版物(例えば、Marks et al.Bio/Technology 10:779−783(1992))は、巨大ファージライブラリーを構築するためのストラテジーとして、チェインシャフリング(chain shuffling)ならびにコンビナトリアル感染およびインビボ組換えによる高親和性ヒト抗体の作製について記載している。別の実施形態において、リボソームディスプレイは、ディスプレイプラットフォームとしてバクテリオファージに置き換えるために使用され得る(例えば、Hanes et al.2000.Nat.Biotechnol 18:1287;Wilson et al.2001.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750;またはIrving et al.2001 J.Immunol.Methods 248:31を参照のこと)。なおも別の実施形態において、細胞表面ライブラリーは、抗体についてスクーニングすることができる(Boder et al.2000.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10701;Daugherty et al.2000 J.Immunol.Methods 243:211)。このような手順は、単離およびそれに続くモノクローナル抗体のクローニングのための従来のハイブリドーマ技術の代替法を提供する。
組換え抗体を作製するためのなおも別の高度に効率的な手段は、Newman,Biotechnology,10:1455−1460(1992)によって開示されている。詳細には、この技術によって、サル可変ドメインおよびヒト定常領域配列を含む霊長類化抗体が作製される。この参考文献は、その全体が本明細書中で参考として援用される。さらに、この技術は、同一の譲受人に譲渡された米国特許第5,658,570号、同第5,693,780号および同第5,756,096号に記載されており、これらの各々は、本明細書中で参考として援用される。
別の実施形態において、リンパ球は、顕微操作および単離された可変遺伝子によって選択され得る。例えば、末梢血単核球は、免疫された哺乳動物から単離され得、そして約7日間、インビトロで培養され得る。この培養物は、スクリーニング基準を満たす特定のIgGについてスクリーニングされ得る。陽性のウェルの細胞が単離され得る。個々のIg産生B細胞は、FACSによってか、または補体媒介性溶血プラークアッセイにおいてそれらを同定することによって単離され得る。Ig産生B細胞は、試験管に顕微操作され得、そしてVH遺伝子およびVL遺伝子は、例えば、RT−PCRを使用して増幅され得る。VH遺伝子およびVL遺伝子は、抗体発現ベクターにクローニングされ得、そして発現させるために細胞(例えば、真核細胞または原核細胞)にトランスフェクトされ得る。
さらに、本発明のポリペプチドを産生するために有用な遺伝子配列は、多くの様々な起源から得られる場合がある。例えば、上で広く記述されたように、種々のヒト抗体遺伝子は、公的に利用できる寄託物の形態で入手可能である。抗体および抗体をコードする遺伝子の多くの配列は、公開されており、適当な抗体遺伝子は、当該分野で認められている技術を使用してこれらの配列から化学的に合成することができる。本発明のこの局面に適合するオリゴヌクレオチド合成技術は、当業者に周知であり、いくつかの市販の自動合成装置のいずれかを使用して実施され得る。さらに、本明細書中で説明される重鎖および軽鎖のいくつかのタイプをコードするDNA配列は、DNA合成業者のサービスを介して入手することができる。次いで、前述の方法のいずれかを使用して得られた遺伝物質は、本発明のポリペプチドを提供するために変更され得る。
可変ドメインおよび定常ドメインは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応および目的のドメインを増幅するために選択されるプライマーを使用して、別々にクローニングすることができる。さらに、多くの抗体の可変ドメインおよび定常ドメインの配列は公知であり、このようなドメインは、当該分野で周知の方法を使用して合成することができる。例えば、特定のエフェクター機能を有する(または特定のエフェクター機能を有しない)か、または免疫原性を低減するために特定の改変がなされた定常領域ドメインが、選択され得る。あるいは、可変ドメインは、選択される動物由来の可変遺伝子配列のライブラリーから入手することができる。ドメイン、例えば、VドメインおよびVドメインの無作為な組み合わせを発現するライブラリーは、所望の抗原でスクリーニングして、所望の結合特性を有するエレメントが同定され得る。このようなスクリーニング方法は、当該分野で周知である。例えば、抗体遺伝子レパートリーは、λバクテリオファージ発現ベクターにクローニングすることができる(Huse,WD et al.(1989).Science,2476:1275)。さらに、細胞(Francisco et al.(1994),PNAS,90:10444;Georgiou et al.(1997),Nat.Biotech.,15:29;Boder and Wittrup(1997)Nat.Biotechnol.15:553;Boder et al.(2000),PNAS,97:10701;Daugtherty,P.et al.(2000)J.Immunol.Methods.243:211)または自身の表面上で抗体を発現するウイルス(例えば、Hoogenboom,HR.(1998),Immunotechnology 4:1;Winter et al.(1994).Annu.Rev.Immunol.12:433;Griffiths,AD.(1998).Curr.Opin.Biotechnol.9:102)をスクリーニングすることができる。抗体ドメインをコードするDNAがまた、抗体ファージライブラリーから、例えば、pdファージまたはFdファージミド技術を使用して、入手され得ることを当業者はまた、理解するだろう。例示的な方法は、例えば、EP368684B1;米国特許第5,969,108号;Hoogenboom et al,(2000)Immunol.Today 21:371;Nagy et al(2002)Nat.Med.8:801;Huie et al.(2001),PNAS,98:2682;Lui et al.(2002),J Mol.Biol.315:1063(これらの各々が本明細書中に参考として援用される)に説明されている。いくつかの出版物(例えば、Marks et al.(1992),Bio/Technology 10:779−783)は、巨大ファージライブラリーを構築するためのストラテジーとして、チェインシャフリングならびにコンビナトリアル感染およびインビボ組換えによる高親和性抗体の産生を説明している。別の実施形態において、リボソームディスプレイは、ディスプレイプラットフォームとしてバクテリオファージを置き換えるために使用され得る(例えば、Hanes,et al.(1998),PNAS 95:14130;Hanes and Pluckthun.(1999),Curr.Top.Microbiol.Immunol.243:107;He and Taussig.(1997),Nuc.Acids Res.,25:5132;Hanes et al.(2000),Nat.Biotechnol.18:1287;Wilson et al.(2001),PNAS,98:3750;またはIrving et al.(2001)J.Immunol.Methods 248:31を参照のこと)。
あるいは、抗体産生細胞株が、選択され、当業者に周知の技術を使用して培養され得る。このような技術は、種々の研究室マニュアルおよび主要な出版物に記載されている。この局面において、以下に記載されるような本発明における使用に適した技術は、Current Protocols in Immunology,Coligan et al.,Eds.,Green Publishing Associates and Wiley−Interscience,John Wiley and Sons,New York(1991)(補遺を含むこの文献は、その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
周知であるように、RNAは、標準的な技術(例えば、グアニジニウムイソチオシアネート抽出および沈降に続く遠心分離またはクロマトグラフィ)によって、もとのハイブリドーマ細胞または他の形質転換された細胞から単離され得る。所望される場合、mRNAが、標準的な技術(例えば、オリゴdTセルロースによるクロマトグラフィ)によって全RNAから単離され得る。適当な技術は、当該分野で公知である。
1つの実施形態において、抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAは、周知の方法に従って、逆転写酵素およびDNAポリメラーゼを使用して、同時または別々に作製され得る。PCRは、コンセンサス定常領域プライマーまたは公開された重鎖および軽鎖のDNA配列およびアミノ酸配列に基づいた、より特異的なプライマーによって開始され得る。上で記述されたように、PCRはまた、抗体の軽鎖および重鎖をコードするDNAクローンを単離するために使用され得る。この場合において、ライブラリーは、コンセンサスプライマーまたはより大きな相同なプローブ(例えば、マウス定常領域プローブ)によってスクリーニングされ得る。
DNA、代表的にはプラスミドDNAは、当該分野で公知の技術を使用して細胞から単離され得、例えば、組換えDNA技術に関する前述の参考文献に詳細に説明されている、標準的な周知の技術に従って、制限酵素地図にマッピングされ得、そして配列決定され得る。当然ながら、そのDNAは、単離プロセスまたはそれに続く解析の間のいずれの時点でも、本発明に従って合成され得る。多くの場合において、目的の抗原に対する免疫反応性抗体は、文献に報告されている。
(B.例示的なドナー抗体標的分子)
代表的には、ドナーIg可変領域配列は、その配列を含む抗体が結合する標的抗原に基づいて選択される。1つの実施形態において、ドナーIg可変領域配列は、例えば、組織または循環から低減または除去するために標的化された抗原に対する特異性に基づいて選択される。1つの実施形態において、ドナーIg可変領域配列は、標的分子の存在を検出するために使用され得る抗原に対する特異性に基づいて選択される(例えば、混入を検出するためまたは状態もしくは障害を診断するため)。なおも別の実施形態において、ドナーIg可変領域配列は、被験体における特定の細胞タイプ(例えば、腫瘍細胞または血餅)に対する特異性に基づいて選択される。
1つの実施形態において、本発明のドナー抗体は、1個以上の腫瘍関連の抗原と免疫反応性であり得る。例えば、癌または新生物を処置するために、ポリペプチドの抗原結合ドメインは、好ましくは、選択される腫瘍関連抗原に結合する。新生物に関連すると報告されている抗原の数および関連する抗体の数が与えられるとき、本発明のポリペプチドが、多くの抗体全体のいずれか1つから得られる場合があることを当業者は理解するだろう。より一般には、本発明において有用な出発抗体が、選択される条件に関連する抗原またはマーカーと反応する任意の抗体(文献で以前に報告されているものを含む)から得られ得るか、または誘導され得る。さらに、開示される結合分子を作製するために使用されるドナー抗体またはそのフラグメントは、マウス、ヒト、キメラ、ヒト化、非ヒト霊長類または霊長類化であり得る。本発明において使用されるドナー抗体に結合される例示的な腫瘍関連抗原としては、例えば、パンB抗原(例えば、悪性B細胞とホジキンリンパ腫でないものなどの非悪性B細胞の両方の表面上に見られるCD20)およびパンT細胞抗原(例えば、CD2、CD3、CD5、CD6、CD7)が挙げられる。他の例示的な腫瘍関連抗原としては、MAGE−1、MAGE−3、MUC−1、HPV16、HPV E6およびE7、TAG−72、CEA、α−Lewis、L6−抗原、CD19、CD22、CD25、CD30、CD33、CD37、CD44、CD52、CD56、メゾテリン、PSMA、HLA−DR、EGFレセプター、VEGFレセプターおよびHER2レセプターが挙げられるが、これらに限定されない。
腫瘍関連抗原と反応すると以前に報告されている抗体は、ドナー抗体として使用され得る。腫瘍関連抗原と反応することができる例示的な抗体としては、2B8、Lym1、Lym2、LL2、Her2、B1、BR96、MB1、BH3、B4、B72.3、5E8、B3F6、5E10、α−CD33、α−CanAg、α−CD56、α−CD44v6、α−Lewisおよびα−CD30が挙げられる。
より詳細には、例示的な抗体としては、2B8およびC2B8(Zevalin(登録商標)およびRituxan(登録商標)、IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego)、Lym1およびLym2(Techniclone)、LL2(Immunomedics Corp.,New Jersey)、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標),Genentech Inc.,South San Francisco)、トシツモマブ(Bexxar(登録商標),Coulter Pharm.,San Francisco)、アレムツズマブ(Alemtzumab)(Campath(登録商標),Millennium Pharmaceuticals,Cambridge)、ゲムツズマブオゾガミシン(Mylotarg(登録商標),Wyeth−Ayerst,Philadelphia)、セツキシマブ(Erbitux(登録商標),Imclone Systems,New York)、ベバシズマブ(Avastin(登録商標),Genentech Inc.,South San Francisco)、BR96、BL22、LMB9、LMB2、MB1、BH3、B4、B72.3(Cytogen Corp.),SS1(NeoPharm)、CC49(National Cancer Institute)、カンツズマブメルタンシン(Cantuzumab mertansine)(ImmunoGen,Cambridge)、MNL2704(Milleneum Pharmaceuticals,Cambridge)、ビバツズマブメルタンシン(Bivatuzumab mertansine)(Boehringer Ingelheim,Germany)、トラスツズマブ−DM1(Genentech,South San Francisco)、My9−6−DM1(ImmunoGen,Cambridge)、SGN−10、SGN−15、SGN−25およびSGN−35(Seattle Genetics,Seattle)ならびに5E10(University of Iowa)が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明の出発抗体は、すぐ上に列挙した抗体と同じ腫瘍関連抗原に結合する。特に好ましい実施形態において、ポリペプチドは、Y2B8、C2B8、CC49およびC5E10と同じ抗原から得られるか、またはそれに結合する。
第1の好ましい実施形態において、ドナー抗体は、Rituxan(登録商標)と同じ腫瘍関連抗原に結合する。Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、IDEC−C2B8およびC2B8としても知られる)は、ヒトB細胞リンパ腫の処置用の初めてFDAが承認したモノクローナル抗体であった(米国特許第5,843,439号;同第5,776,456号および同第5,736,137号(これらの各々が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。Y2B8(90Y標識2B8;Zevalin(登録商標);イブリツモマブチウキセタン)は、C2B8のマウスの出発抗体である。Rituxan(登録商標)は、キメラ抗体であり、増殖抑制性であり、そして報告によれば、インビトロで化学療法剤によってアポトーシスに対して特定のリンパ腫細胞株を感作する抗CD20モノクローナル抗体である。この抗体は、ヒト補体に効率的に結合し、強いFcR結合性を有し、そして補体依存性(CDC)機構および抗体依存性(ADCC)機構の両方を介してインビトロにおいてヒトリンパ球を効率的に殺滅し得る(Reff et al,Blood 83:435−445(1994))。CD20+悪性腫瘍を有する患者を処置する際に、なおもより効果的な改変抗体を提供するために、本開示に従って合成されたC2B8または2B8の2量体の改変体(ホモダイマーまたはヘテロダイマー)が、本発明の方法に従ってエフェクター部分と結合体化され得ることを当業者は理解する。
本発明の他の好ましい実施形態において、ドナー抗体は、CC49と同じ腫瘍関連抗原に結合する。CC49は、ヒト起源の特定の腫瘍細胞、特に、LS174T腫瘍細胞株の表面に関するヒト腫瘍関連抗原TAG−72と結合する。LS174T[American Type Culture Collection(本明細書中ではATCC)番号CL188]は、LS180(ATCC番号CL187)結腸腺癌株の変種である。
TAG−72に対する結合特異性を有する数多くのマウスモノクローナル抗体が、開発されてきたことがさらに認められる。これらのモノクローナル抗体の1つは、B72.3と命名され、ハイブリドーマB72.3(ATCC番号HB−8108)によって産生されるマウスのIgG1である。B72.3は、ヒト乳癌抽出物を免疫原として使用して開発された第1世代モノクローナル抗体である(Colcher et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),78:3199−3203(1981);および米国特許第4,522,918号および同第4,612,282号(これらの各々が、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。TAG−72に対して作られた他のモノクローナル抗体は、「CC」と命名されている(結腸癌にちなんで)。Schlom et al.(本明細書中に参考として援用される米国特許第5,512,443号)に記載されているように、CCモノクローナル抗体は、B72.3で精製されたTAG−72を使用して調製された第2世代マウスモノクローナル抗体のファミリーである。TAG−72に対して比較的良好な結合親和性を有するので、以下のCC抗体は、ATCCに寄託され、その利用については、制限を求めることを請求した:CC49(ATCC番号HB9459);CC83(ATCC番号HB9453);CC46(ATCC番号HB9458);CC92(ATCC番号HB9454);CC30(ATCC番号HB9457);CC11(ATCC番号9455);およびCC15(ATCC番号HB9460)。米国特許第5,512,443号は、開示される抗体が、例えば、当該分野で公知の組換えDNA技術によって、マウス定常領域をヒト定常領域(Fc)ドメインに置換することによって、それらのキメラ型に変更され得ることをさらに教示する。マウスおよびキメラの抗TAG−72抗体を開示することに加えて、Schlom et al.はまた、PCT/US99/25552において開示されているようなヒト化CC49抗体の改変体および米国特許第5,892,019号に開示されているような一本鎖構築物を作製した。これらの各々は、本明細書中で参考として援用される。前述の抗体、構築物または組換え体およびそれらの改変体の各々は、合成であり得、そして本発明に記載のポリペプチドを提供するために使用され得ることを当業者は理解するだろう。
上で記述された抗TAG−72抗体に加えて、種々の群がまた、ドメイン欠失CC49およびB72.3抗体の作製および部分的な特徴づけを報告した(例えば、Calvo et al.Cancer Biotherapy,8(1):95−109(1993),Slavin−Chiorini et al.Int.J.Cancer 53:97−103(1993)およびSlavin−Chiorini et al.Cancer.Res.55:5957−5967(1995)。
1つの実施形態において、本発明のドナー抗体は、CD23に結合する(米国特許第6,011,138号)。好ましい実施形態において、本発明のドナー抗体は、5E8抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態において、本発明のドナー抗体は、抗CD23抗体、例えば、5E8抗体由来の少なくとも1つのCDRを含む。
別の実施形態において、本発明のドナー抗体は、CRIPTO−I抗原に結合する(WO02/088170A2またはWO03/083041A2)。特定の実施形態において、本発明の抗体は、Criptoに特異的に結合する。Criptoは、MAPキナーゼ経路(DeSantis et al.,1997,Cell Growth Differ.8:1257−66;Kannan et al.,1997,J.Biol.Chem.272:3330−35);TGF−β経路(Gritsman et al.,1999,Development 127:921−32;Schier et al.,2000,Nature 403:385−89);Wnt経路との可能性のある相互作用(Salomon et al.,2000,Endocr.Relat.Cancer.7:199−226);およびEGF経路とのクロストーク(Bianco et al.,1999,J.Biol.Chem.274:8624−29)を含むいくつかの異なる経路を活性化することができる細胞表面シグナル伝達タンパク質である。
本明細書中で使用されるとき、Criptoは、CR−1Criptoタンパク質、CR−3Criptoタンパク質およびそれらのフラグメントを含む。このようなフラグメントは、細胞外または細胞内のドメイン、EGF様ドメイン、cysリッチドメイン、レセプター結合ドメインなどの完全なドメインであり得る。このようなフラグメントはまた、Criptoタンパク質の任意のドメインにおける連続的および非連続的なエピトープを含み得る。
CR−1についての188アミノ酸配列は、以下(配列番号1)のとおりである:
MDCRKMARFSYSVIWIMAISKVFELGLVAGLGHQEFARPSRGYLAFRDDSIWPQEEPAIRPRSSQRVPPMGIQHSKELNRTCCLNGGTCMLGSFCACPPSFYGRNCEHDVRKENCGSVPHDTWLPKKCSLCKCWHGQLRCFPQAFLPGCDGLVMDEHLVASRTPELPPSARTTTFMLVGICLSIQSYY
CR−3についての188アミノ酸配列は、以下(配列番号2)のとおりである:
MDCRKMVRFSYSVIWIMAISKAFELGLVAGLGHQEFARPSRGDLAFRDDSIWPQEEPAIRPRSSQRVLPMGIQHSKELNRTCCLNGGTCMLESFCACPPSFYGRNCEHDVRKENCGSVPHDTWLPKKCSLCKCWHGQLRCFPQAFLPGCDGLVMDEHLVASRTPELPPSARTTTFMLAGICLSIQSYY
特定の実施形態において、本発明の方法によって最適化された抗Cripto抗体CDRは、B3F6.17抗Cripto抗体(ATCCアクセッション番号PTA−3319)のCDRである。抗Cripto抗体の発現および精製は、PCT/US2002/011950、5,792616、5,256,643およびUS20040146940に詳細に記載されている。これらの全体の内容が、本明細書中に参考として援用される。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、B3F6抗体と同じエピトープに結合する。なおも他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、抗CRIPTO−I抗体、例えば、B3F6抗体由来の少なくとも1つのCDRを含む。
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるドナー抗体は、細胞表面接着分子に結合する。特定の実施形態において、本発明の抗体は、インテグリンに特異的に結合する。インテグリンは、アルファ−ベータへテロダイマー構造を示す、細胞−細胞外マトリックスおよび細胞−細胞接着レセプターの一群であり、広範に細胞分布し、進化の過程で高度に保存されている。特定の実施形態において、ドナー抗体が結合するインテグリンは、フィブロネクチン、コラーゲンおよび/またはラミニンと特異的に相互作用する少なくとも6個のレセプターを含むβ1インテグリンまたはVLAファミリーのメンバーである。
特に好ましい実施形態において、抗体は、VLA−4インテグリン(α4β1インテグリン)に結合する。VLA−4は、ほとんどがリンパ系および骨髄性細胞に限定されるので、代表例ではなく(Hemler et al.,1987,J.Biol.Chem.2:11478−11485)、間接的な証拠により、VLA−4が免疫系内の様々な細胞−細胞相互作用に関与し得るということが示唆されている(Holtzmann et al.,1989,Cell 56:37−46)。さらに、VLA−4は、ヒト血漿フィブロネクチン(FN)のヘパリンII結合フラグメントへのTおよびBリンパ球の付着を媒介することが示されている(Wayner et al.,1989,J.Cell Biol.109:1321−1330)。
VLA−4は、VCAM−1に結合することが証明されている。ICAM−1様であるVCAM−1は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバーであり(Osborn et al.,1989,Cell 59:1203−1211)、サイトカインおよび他の炎症性メディエーターに応答して血管内皮上に発現することによって、感染および炎症の部位へのリンパ球の動員を促進する。VCAM−1およびVLA−4は、Elices et al.,1990 Cell 60:577−584によって、活性化された内皮へのリンパ球の付着を可能にするリガンド−レセプター対であることが証明された。従って、VLA−4は、定義されたリガンドVCAM−1およびFNを用いて、細胞−細胞接着機能と細胞−細胞外マトリックス接着機能の両方に関与するβ1インテグリンレセプターの唯一の例である。VLA−4は、通常、造血系に限定されるが、メラノーマ細胞株上に見られるので、VCAM1は、このような腫瘍の転移に関与し得ると示唆されている(Rice et al.,1989,Science,246:1303−1306)。
感染症、炎症およびおそらくアテローム性動脈硬化症におけるVCAM1/VLA−4接着経路の明らかな関与により、分子レベルでの細胞−細胞接着のメカニズムを理解するために集中的な研究が続けられており、研究者らは、疾患、特に炎症のための処置としてこの接着経路における介入を提唱している(Osborn et al.,1989 前出)。抗VLA−4抗体を使用したVLA−4のVCAM−1に結合する能力の介入は、種々の炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患および喘息)を処置するための有効な方法であることが示されている(例えば、米国特許第5,932,214号および同第5,871,734号を参照のこと)。
VLA−4に対する例示的なモノクローナル抗体は、現在のところ、エピトープマッピング研究に基づいていくつかのカテゴリーに分類されると報告されている(Pulido et al.,1991,J.Biol.Chem.,266(16):10241−10245)。重要なことに、エピトープ「B」に対する抗体の1つの特定の群は、すべてのVLA−4依存性接着機能の有効な遮断物である(Pulido et al.,前出)。VLA4のエピトープBに対するこのようなモノクローナル抗体(例えば、HP1/2MAbを含む)の調製は、Sanchez−Madrid et al.,1986,Eur.J.Immunol.,16:1343−1349によって報告されている。
特定の実施形態において、本発明の方法によって最適化された抗VLA−4抗体は、米国特許第6,602,503号に記載されているマウスHP1/2抗VLA−4抗体である。別の特定の実施形態において、この抗VLA−4抗体は、配列番号19の配列を含む重鎖および配列番号26の配列を含む軽鎖を有するマウスHP1/2抗体である。本発明の方法におけるドナー抗体として有用な他の抗VLA−4抗体としては、VLA−4のα鎖を認識することができる、HP−2/1、HP−1/3、HP2/4、L25、4B9およびP4C2が挙げられる。好ましい実施形態において、この抗体は、VLA−4α4鎖のエピトープBを認識する(Pulido et al.J.Biol.Chem.,266(16);10241−10245(1991)を参照のこと)。
同様の特異性およびHP1/2の結合親和性に匹敵するVLA−4に対する高い結合親和性を有する抗体は、アッセイ試薬、診断薬および治療薬として有用なヒト化組換え抗VLA−4抗体の調製のための特に有望な候補であり得る。
1つの実施形態において、本発明のポリペプチドは、抗VLA4抗体、例えば、HP1/2抗体由来の少なくとも1つのCDRを含む。
本発明のなおも他の実施形態は、C5E10と同じ腫瘍関連抗原から得られるか、またはそれに結合する改変抗体を含む。同時係属中の出願09/104,717に説明されているように、C5E10は、前立腺腫瘍細胞株(例えば、DU145、PC3またはND1)に特異的であるとみられる約115kDaの糖タンパク質決定基を認識する抗体である。従って、本発明とあわせて、C5E10抗体によって認識される同じ腫瘍関連抗原に特異的に結合するポリペプチドは、本発明の方法によって単独か、またはエフェクター部分とともに使用され得ることによって、腫瘍性障害の改善された処置に有用である改変ポリペプチドが提供される。特に好ましい実施形態において、ドナー抗体は、ATCCアクセッション番号PTA−865を有するハイブリドーマ細胞株から分泌されるようなC5E10抗体の抗原結合領域の全部または一部を含む。そして、得られたポリペプチドは、以下に記載されるような治療的なエフェクター部分と結合体化され得、そして本明細書中の方法に従って前立腺癌に罹患している患者に投与され得る。
別の実施形態において、本発明のドナー抗体は、CD40Lに結合する。抗CD154(抗CD40L)抗体の作製は、US60/591337に記載されている。この内容全体が、本明細書中で参考として援用される。5c8抗CD154抗体についての結晶構造データは、CD40L/5c8複合体の結晶化および解析を介して得られた。ヒト化中和抗体5c8(PDBコード:1I9R)のFabフラグメントと複合体化されたこのCD40リガンドの結晶構造を、水素を付加するための標準的な手順を使用してプログラムCHARMM(Accelrys,Inc.,San Diego,CA)を用いて調製した。N−アセトアミドパッチおよびN−メチルアミドパッチをそれぞれN末端およびC末端に適用した。結晶構造を、pH6.50における3.1Åで解析した。CD40Lは、天然にはトリマーであるので、複合体内に3つの5c8Fab分子および5つのCD40L分子が存在する。これらは、複合体内に3つの独立したCD40L/5c8界面を形成する。亜鉛(ZN)原子を5c8Fabの各々に結合し、それを計算に含めた。計算を3つの界面について独立して実施した。
別の実施形態において、本発明のドナー抗体は、MCPに結合する。抗MCP抗体11K2の作製は、PCT/US2003/037834に記載されている。この内容全体が本明細書中で参考として援用される。11K2は、pan−MCP抗体であり、MCP−1、MCP−2およびMCP−3に特異的である。11K2抗体についての結晶構造データの代わりに、3D構造モデルを、重鎖および軽鎖について解析された最も近いマウスの抗体構造に基づいて作製した。この目的のために、184.1と命名された抗体(Protein Data Bank(PDB)ID:184.1)を11K2軽鎖をモデル化するための鋳型として選択し、E8と命名された抗体(PDB ID:lOPG)を重鎖をモデル化するための鋳型として選択した。このモデルを、好ましくない原子の接触を軽減し、そして静電気的な相互作用およびファンデルワールス相互作用を最適化するために一連のエネルギー最小化工程によってさらに洗練させた。
抗体、例えば、11K2の構造のコンピュータモデルは、ヒトフレームワーク構造に置換される、11K2相補性決定領域を含む抗体の3次元構造を予測するための出発点として後に役立ち得る。さらなるアミノ酸置換が導入されるとき、構造を表示するさらなるモデルが、構築され得る。
いくつかの抗体についての3次元構造の情報は、公的に、例えば、Research Collaboratory for Structural Bioinformatics’ Protein Data Bank(PDB)から入手可能である。PDBは、ワールドワイドウェブインターネットを介して自由に利用可能であり、Berman et al.(2000)Nucleic Acids Research,28:235に報告されている。コンピュータモデリングによって、CDRと相互作用する残基の同定が可能になる。
(C.アクセプターIg可変領域配列)
上で説明したように、アクセプターIg可変領域配列は、天然に存在する抗体から得る必要はない。ヒト抗体Ig可変領域配列が選択され得るが、他の配列、例えば、コンセンサス配列、生殖細胞系列配列およびアミノ酸改変を含むヒト配列が選択されてもよい。
1つの実施形態において、ヒト可変ドメインのタンパク質配列データベースは、ドナー可変ドメイン配列を用いて検索され得る。
1つの実施形態において、最も適当なアクセプター配列は、すべての配列類似性、特にアミノ酸側鎖がCDRの任意の残基と立体的に相互作用する位置における配列類似性を考えることによって選択される。これらの残基は、例えば、ドナー可変ドメインのx線構造または3D相同性モデルの構造解析によって同定され得る。
あるいは、抗体の構造が十分に保存されているので、構造モデルを有する必要がない場合に、通常CDRと相互作用する残基位置の一覧が、使用され得る。例えば、多くのFR残基が、特定のCDR高次構造について「正準的」として同定されており(Chothia C,Lesk Am.J.Mol Biol.196:901−17;Al−Lazikani B,et al.J.Mol Biol.273:927−48)、アクセプター配列内のこれらの位置におけるアミノ酸は、理想的にはドナー配列内のアミノ酸と同一であるべきである。6個の抗体CDRのうち1つを除くすべて(L1、L2、L3、H1、H2)は、正準的な残基の残基タイプおよび個々のCDRの長さに依存して、限られた数の「正準的な」高次構造の状態に対応すると見られる。
適切なアクセプター可変領域配列の選択のためのほかの基準としては、物理化学的な特性(例えば、安定性、溶解性、凝集)および生物学的特性(例えば、細胞における発現レベル)が挙げられる。
(III.置換のための可変領域アミノ酸残基の合理的な選択)
本明細書中に記載される新規のヒト化アプローチにおいて、以下の基本工程が、ヒト化抗体可変ドメインを構築するためにとられる:
1.上で説明されたように、ドナー抗体可変ドメインの公知の配列に基づいて、アクセプター可変ドメインを選択する工程。
2.ドナー抗体可変ドメインのX線構造または構造モデルに基づいて、有望な移植抗体におけるCDRの高次構造に影響を及ぼす可能性のあるフレームワークにおける残基の差異を同定する工程。
3.鋳型としてドナーCDRを使用して、CDR高次構造に影響を及ぼさずに、フレームワークにおける残基の差異を調節する新規CDR配列を設計する工程。
最終的な配列設計は、フレームワークに「適合する」ように設計されたCDRを含む、大きくまたは完全に変化しないアクセプター可変ドメインフレームワークからなる。
(工程2:重要な残基の差異の同定)
すべての重要な残基がドナーフレームワークと同一であるアクセプターフレームワークが、同定され得ない場合、その差異の一覧が作成される。重要な残基において最も少ない差異を有する配列が必ずしも最良のアクセプター候補ではないので、複数のアクセプターフレームワークを考えることが重要である。例えば、最も類似する配列が、1つの差異を有する場合(例えば、ドナーにおいてはALA残基が、アクセプターにおいては、電荷の差異に関与するARG残基である場合)、その配列は、2つの差異を有するアクセプター配列よりもより適当でない候補であり得る(例えば、それぞれ、LEUおよびSERに対してILEおよびALA)。
CDR高次構造に影響を及ぼし得るフレームワークにおける配列の差異が決定され、「柔軟な領域(flexible zone)」として指名される。これらの同定された残基に隣接するすべての残基(それらのほとんどはCDR内であるが、いくつかは、FR内であってもよい)は、「変異領域(mutation zone)」として選択される。ドナー抗体もしくはアクセプター抗体または抗体可変領域の3D構造が公知である場合、このような構造は、この解析において使用され得る。3D構造が解析される抗体は、CDRの高次構造に基づいて限られた数の構造クラスまたは「正準的な」クラスに分類される。6個のCDRのうち(H3を除く)5個は、これらの正準的なクラスの2から6のうちの1つに分類されることが多い(Chothia and Lesk,1987;Chothia et al.,1989)。正準的なクラスのメンバーは、(例えば、水素結合、静電気的な相互作用および疎水性相互作用によって)CDR高次構造を維持する保存された正準的な残基(FRおよびCDR内の)の存在に基づいて、類似の骨格高次構造を有する。
従って、アクセプターの正準的なFR残基が、CDR高次構造を維持するために重要であるので、これらの残基位置におけるドナーとアクセプターとの間の残基の差異は、重要である。例示的な正準的な残基としては、軽鎖の残基、25、27B、28、29、30、33、48、51、52、64、71、90、94および95ならびに重鎖の残基24、26、27、29、34、35、35A、52、54、55、71および94(FR残基を下線で示した)が挙げられる。さらなる残基(例えば、CDR構造決定残基)は、Martin and Thornton(1996)J.Mol.Biol.263:800の方法に従って同定され得る。FR界面パッキング残基および結合部位に近接するマウスの特異な残基またはCDRが占めるプラットフォームを形成する「アーニヤ領域(Vernier Zone)」(Foote et al.,J.Mol.Biol.224,p.487(1992))内の残基、ペプチド抗原に近接する残基およびCDRH3に近接する残基が、重要な残基であると考えられるべきである。
対応するドナーアミノ酸と異なる重要なアクセプターFRアミノ酸の各々の周辺の可変領域3D環境が、決定されることにより、ドナーとアクセプターとの間のFRの差異を調節するためにCDRの設計が促進される。
(工程3:CDRの設計)
重要なフレームワーク残基の差異(本明細書中で「柔軟な領域」残基とも呼ばれる)の一覧を使用して、1つの実施形態において、すべてではないが、ほとんどのアクセプターフレームワーク残基を維持しながら、CDRがドナー抗体において有するもとの高次構造を保存する新規の配列が、設計される。
新規の配列を設計するために、置換のための候補アミノ酸残基を、まず同定する。置換のための候補残基は、上記工程2に従って、重要であると指摘されたフレームワーク残基(または柔軟な領域残基)に隣接するアミノ酸である(本明細書中で「変異領域残基」とも呼ばれる)。候補残基(または変異領域残基)は、必ず少なくとも1つのCDRミノ酸を含むが、特定の実施形態において、候補残基は、柔軟な領域残基に隣接する他のフレームワーク残基も含み得る。前記候補残基は、抗体鎖の配列または1次構造において柔軟な領域残基に直接隣接している残基ならびに抗体鎖の3次構造または3D構造において柔軟な領域残基に隣接している残基を含む。このような候補残基は、例えば、構造(例えば、x線またはコンピュータモデリングによって決定された構造)に基づいて同定され得るか、または例えば、データベースを使用して構造なしに同定され得る。いくつかの例示的な方法は、以下にさらに詳細に記載される。
タンパク質は、3次元構造に折りたたまれていることが知られており、その構造は、そのタンパク質のアミノ酸の配列および所与のタンパク質(またはタンパク質含有複合体)が提供される溶媒によって指図される。タンパク質の3次元構造は、その生物学的活性および安定性に影響を与え、その構造は、多くの方法において決定または予測され得る。X線結晶構造解析は、タンパク質構造決定のおそらく最もよく知られた方法である。1つの実施形態において、候補アミノ酸は、同定され得(例えば、CDR残基および必要に応じて、FR残基)、そして候補アミノ酸への変更の可能性が、抗体または抗体フラグメント、例えば、Fabフラグメントの存在する結晶構造に基づいて評価され得る。多くの抗体の結晶構造が存在し、例えば、Brookhaven Protein Databankまたは他の非公式または公的なデータベースを使用して見出され得る。所与のアクセプター抗体もしくはドナー抗体または可変領域についての結晶構造が存在しない場合、当該分野で公知の方法が、抗体、抗体可変領域または抗体フラグメント(例えば、一本鎖抗体、Fabフラグメントなどからなるフラグメントを含む)の構造を入手するために使用され得る。抗原−抗体複合体の構造もまた、使用され得る。抗体、抗体フラグメントまたはscFv−抗原複合体の結晶を形成するための方法は、例えば、van den Elsen et al.(Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:13679−13684,1999(本明細書中に参考として明示的に援用される))によって報告されている。
構造の推定はまた、円偏光二色性、光散乱を使用してか、または放射エネルギーの吸収および放出を測定することによってなされうる。他の有用な技術としては、中性子回折および核磁気共鳴(NMR)が挙げられる。これらの方法のすべてが当業者に公知であり、標準的な教科書(例えば、Physical Chemistry,4th Ed.,W.J.Moore,Prentiss−Hall,N.J.,1972,またはPhysical Biochemistry,K.E.Van Holde,Prentiss−Hall,N.J.,1971)を参照のこと)および多くの出版物に十分説明されている。このような技術は、近似のデータだけが得られるが、本発明の方法の1つ以上の工程に情報を与えるために使用され得る。
あるいは、3次元構造は、公知の3次元構造を有する1個以上の相同なタンパク質(またはタンパク質複合体)の3次元構造のモデル構築を使用して予測され得る。これは、例えば、タンパク質データバンク内のほとんどの類似の重鎖および軽鎖が、抗体のモデルを構築するために鋳型として使用される、構造ホモロジーモデリングを使用して達成され得る。
あるいは、CDRの最初からのモデリングには、構造データベースは必ずしも必要ではなく、特定のアルゴリズムに基づいて、構造が形成される。1つの例は、Broccoleri and Karplus(1987.Biopolymers 26:137−168)によって報告されているCONGEN高次構造検索法である。
置換用の候補アミノ酸を選択するとき、次の工程は、候補アミノ酸を置換するアミノ酸を選ぶことによって可変領域配列を再設計することである。上で記載したように、選ばれたアミノ酸は、CDRがドナー抗体において有する柔軟な領域残基を高次構造的に調節することによってもとの高次構造を保存する残基である。特定の実施形態において、候補アミノ酸が、すべてのCDR残基であるとき、候補アミノ酸残基を選ばれたアミノ酸での置換は、アクセプター可変領域からヒトフレームワーク残基のすべてを保存する。他の実施形態において、候補アミノ酸が、フレームワーク残基を含むとき、変異領域を除くフレームワーク領域内のすべての残基は、ヒトとして保存される。
可変領域配列(例えば、CDR配列および必要に応じてFR配列)を再設計する例示的なアプローチは、構造に基づいた、コンピュータによる設計方法を使用することによるものである。柔軟な領域内の残基の同一性は、アクセプター残基に固定されるが、それらの3D位置は、計算の間、変化し得る。変異領域内の残基は、それらのアミノ酸同一性と高次構造の両方を変化し得る。変異領域を除くCDR内のすべての残基が、ドナーであり、変異領域を除くFR内のすべての残基が、アクセプターである。この方法において、フレームワーク内の重要な残基の差異の1つ以上(工程2で同定されるような)に幾何的に近接している(例えば、そのような領域の約4〜25Å以内、特に5オングストローム未満の距離の)側鎖を有する候補残基(例えば、CDR残基および必要に応じてFR残基)は、20個の天然に存在するアミノ酸のうちのいずれかのすべての可能な3D高次構造(ロータマー)に同時に、計算的に変異し、得られた変異体は、計算的に評価される。このような1つの方法は、側鎖再パッキング法(sidechain repacking method)として知られている。側鎖再パッキング計算において、候補アミノ酸残基は、計算的に改変され得、得られたポリペプチド変異体の安定性が計算的に評価される。側鎖再パッキング計算により、安定性が変化した(すなわち、分子内エネルギーが変化した)改変体の順位付けされた一覧が生成される。自由エネルギーが低く、3−Dモデルの視覚的な観察によって高次構造的に調節すると確かめられる変異体は、実験的な表示について選択され得る。計算的に生成された変異体の一覧は、実験的に表示される改変体の一覧を生成するために変異体の計算された安定性によって分類され得る。計算において、タンパク質骨格は、ほとんどか、または全く柔軟性が許されず、このことにより、設計された変異体が所与のCDR高次構造で安定すると予測されることが確かめられる。従って、コンピュータによる解析により、可変領域内の所与のFRドメインと構造的に適合する配列、特にCDR配列を予測することが可能になる。
すべての可変アミノ酸位置が、20個の標準的なアミノ酸すべてまたは20個のアミノ酸(例えば、極性または非極性のアミノ酸、小さいかまたは大きい側鎖のアミノ酸、立体的に妨げられているかまたは柔軟なアミノ酸)の一部に変異され得るので、計算的に評価されるタンパク質変異体の数は、膨大な数であり得る。コンピュータによる解析の結果を順位付けするエネルギー評価を実施するために使用される例示的なコンピュータによるアルゴリズムとしては、DEE(dead−end elimination)アルゴリズムおよび木探索アルゴリズム(例えば、Lasters et al.(Protein Eng.8:815−822,1995)、Looger and Hellinga(J.Mol.Biol.307:429−445,2001)およびDahiyat and Mayo(Protein Sci 5:895−903,1996))、モンテカルロ検索および焼きなまし法(Kuhlman B et al,Science,2003,302(5649):1364−8;Ambroggio XI,et al.,J.Am.Chem.Soc,2006,128(4):1154−61)、自由エネルギー計算(Almolf M,et al,Biophys.J,2006,90(2):433−42)および網羅的配座探索(Green DF,et al,ICE(Integrated Continuum Electrostatics)software package,MIT,2003)が挙げられる。
なおも別の実施形態において、CDRの特定の正準的な状態に対応する公知の抗体配列を含むデータベース(例えば、表の形態で)が作成され得る。例えば、ドナー抗体は、正準的な状態1のL3CDRループを有し、アクセプター配列は、ループL3と立体的に相互作用するフレームワーク残基の差異(位置xにおいて)を有すると考える。この場合、表は、残基xがアクセプター配列と同一か、または類似である、正準的な状態1でL3ループを含む他の抗体について検索される。この文脈で使用されるとき、用語「類似の」とは、物理化学的特性に類似であることを意味する。
例えば、そのような抗体が見出されると仮定する(抗体z)。残基xと接触する(または相互作用する)抗体zのL3ループ内の残基の配列が、ドナーL3ループ内の対応する残基と異なる場合、L3ループは、これらの配列変化を組み込むことによって再設計され得る。本質的には、CDR−フレームワーク界面における様々な残基を含む性質が、所与の正準的なループ高次構造を作成する手段を見つけ出す場合、その情報は、ヒト化抗体における正準的なループ高次構造を保存するために使用され得る。「類似の」アミノ酸残基の例としては、グリシンとアラニン;バリンとロイシンとイソロイシン;フェニルアラニンとチロシン;セリンとトレオニン;アスパラギン酸とグルタミン酸;アスパラギンとグルタミンが挙げられる。
なおも別の実施形態において、上記のコンピュータによる構造に基づく方法とデータベースに基づく方法の両方が、繰り返してまたは組み合わせて使用され得る。例示的な実施形態において、少なくとも1つの候補アミノ酸残基(例えば、CDR残基および必要に応じてFR残基)の変更は、1つの方法(例えば、前出のコンピュータに基づく方法)を使用して行われ、その後、少なくとも1つの第2の候補アミノ酸残基(例えば、別の方法(例えば、前出のデータベースによる方法)を使用した、ドナーCDR残基および/またはFRアミノ酸残基)が変更される。
1つの実施形態において、本発明の方法は、ユーザーに対して情報を表示する出力デバイス(例えば、CRTディスプレイ、LCD、プリンター、通信機器(例えば、モデム、音声出力など)を含み得る。さらに、この方法を実施するための指示は、部分的または全体的に、その指示を実施するための電子デバイスにおける使用に適した媒体に与えられ得る。従って、本発明の方法は、ソフトウェア(例えば、コンピュータ可読指示)およびハードウェア(例えば、コンピュータ、ロボットおよびチップ)を含むハイスループットアプローチに修正可能である。コンピュータが実行するプロセスは、特定のコンピュータプラットフォーム、特定のプロセッサまたは特定の高度なプログラミング言語に限定されない。
1つの実施形態において、プロセスは、反復性であり得る。例えば、最初の候補アミノ酸残基(例えば、1つのドナーCDRおよび/またはFRアミノ酸残基)が変更され、親和性検定、構造決定などが続き、同じかまたは異なるアミノ酸残基の変更の回が続く。本発明を実施するために、このような変更は、モデル化され得(例えば、インシリコでなされ得)、そして/またはいくつかの実施形態において、ポリペプチドとして実施および表示され得る。
(IV.所望の配列のヒト化Ig可変領域の作製方法)
ドナーCDR内に入る所望の変異に達すると、当業者は、変異を含むヒト化抗体を作製する種々の利用可能な方法のいずれかを使用することができる。
このようなポリペプチドは、例えば、当該分野で公知の技術を使用して合成され得る。あるいは、所望の可変領域をコードする核酸分子が、合成され、そして組換え方法によってポリペプチドが作製され得る。
例えば、一旦、ヒト化可変領域の配列が決定されると、その可変領域またはそれを含むポリペプチドは、分子生物学の分野で周知の技術によって作製され得る。より詳細には、組換えDNA技術を使用して、核酸配列(例えば、所望の可変領域(例えば、改変された重鎖または軽鎖;それらの可変ドメインまたはそれらの他の抗原結合フラグメント)をコードするDNA配列)で宿主細胞を形質転換することによって、多岐にわたるポリペプチドが作製され得る。
1つの実施形態において、ドナー抗体のCDRは、アクセプターフレームワークにそれらを組み込む前に変更され得る。
別の実施形態において、CDR移植の当該分野で認められているプロセスは、ドナーCDRをアクセプターFRに移すために使用され得る。ほとんどの場合において、重鎖の3つすべてのCDRが、ドナー抗体から単一のアクセプターフレームワークに移植され、軽鎖の3つすべてのCDRが、異なるアクセプターフレームワークに移植される。いくつかのCDRが、抗原への結合に関連しないかもしれないので、必ずしもすべてのCDRを移植する必要がないはずであると考えられ、また、様々な配列(かつ同じ長さ)を有するCDRが同じ折り畳みを有し得る(それゆえ、様々な配列であるにもかかわらず、抗原から主鎖への接触が保持される)。実際に、単一ドメイン(Ward et al,1989,Nature 341,pp.544−546)またはさらに単一CDR(R.Taub et al,1989,J.Biol Chem 264,pp.259−265)が、単独で抗原結合活性を有し得る。しかしながら、CDRのすべてまたはいくつかだけが、移植されるとしても、CDR移植の意図は、動物抗体からヒト抗体に同じものまたは同じ抗原結合部位を移植することである(例えば、米国特許第5,225,539号(Winter)を参照のこと)。
1つの実施形態において、当業者は、少なくともVまたはVをコードするDNA配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む発現ベクターを調製し得る。必要または所望であれば、当業者は、相補的な可変ドメインをコードするDNA配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む第2の発現ベクターを調製し得る(すなわち、親発現ベクターが、Vをコードする場合、第2の発現ベクターは、Vを発現し、またその逆であってもよい)。細胞株(例えば、不死化された哺乳動物細胞株)は、1つまたは両方の発現ベクターで形質転換され、そしてキメラ可変ドメインまたはキメラ抗体の発現を可能にする条件下で培養され得る(例えば、Neuberger et.alの国際特許出願番号PCT/GB85/00392を参照のこと)。
1つの実施形態において、ドナーCDRおよびアクセプターFRアミノ酸配列を含む可変領域が作製され得、次いで、CDRアミノ酸置換に影響を及ぼす核酸分子に変更が導入され得る。
ポリペプチドのアミノ酸配列改変体をコードする核酸分子を作製するための例示的な当該分野で認められている方法としては、ポリペプチドをコードする、予め調製されたDNAの、部位特異的(またはオリゴヌクレオチド媒介性)突然変異生成、PCR突然変異生成およびカセット突然変異生成による調製が挙げられるが、これらに限定されない。
部位特異的突然変異生成は、置換改変体を調製するための好ましい方法である。この技術は、当該分野で周知である(例えば、Carter et al.Nucleic Acids Res.13:4431−4443(1985)およびKunkel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488(1987)を参照のこと)。簡潔には、DNAの部位特異的突然変異生成を実施する際、親DNAは、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドとそのような親DNAの一本鎖との第1のハイブリダイゼーションを行うことによって変更される。ハイブリダイゼーション後、DNAポリメラーゼを使用することにより、プライマーとしてハイブリダイゼーションされたオリゴヌクレオチドおよび鋳型として親DNAの一本鎖を使用して、第2の鎖すべてを合成する。このようにして、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドが、得られた二本鎖DNAに組み込まれる。
PCR突然変異生成もまた、ポリペプチドのアミノ酸配列改変体の作製に適している。Higuchi,in PCR Protocols,pp.177−183(Academic Press,1990);およびVallette et al.,Nuc.Acids Res.17:723−733(1989)を参照のこと。簡潔には、少量の鋳型DNAが、PCRにおける出発物質として使用されるとき、配列が鋳型DNA内の対応する領域とわずかに異なるプライマーを使用することにより、そのプライマーが、鋳型と異なる場合、その位置だけが鋳型配列と異なる比較的大量の特定のDNAフラグメントを生成することができる。
改変体を調製するための別の方法である、カセット突然変異生成は、Wells et al.,Gene 34:315−323(1985)によって報告されている技術に基づく。その出発物質は、突然変異されるべきDNAを含むプラスミド(または他のベクター)である。突然変異されるべき親DNAにおけるコドンが同定される。同定された変異部位の各端に独特の制限エンドヌクレアーゼ部位が存在しなければならない。このような制限酵素認識部位が存在しない場合、ポリペプチドをコードするDNA内の適切な位置でそのような制限酵素認識部位を導入するために上記のオリゴヌクレオチド媒介性突然変異生成方法を使用して生成され得る。そのプラスミドDNAが、直線化するためにこれらの部位で切断される。制限酵素認識部位間であるが、所望の変異を含むDNAの配列をコードする二本鎖オリゴヌクレオチドは、標準的な手順を使用して合成される。ここで、オリゴヌクレオチドの2本の鎖は、別々に合成され、そして標準的な技術を使用して、その2本がハイブリダイゼーションされる。この二本鎖オリゴヌクレオチドが、カセットとよばれる。このカセットは、プラスミドに直接連結することができる、直線化されたプラスミドの末端に適合する5’末端および3’末端を有するように設計される。このプラスミドは、その時点で、突然変異されたDNA配列を含んでいる。
本発明の方法によって作製された可変領域は、再度モデル化され得、そしてさらに抗原結合性をさらに高めるように変更される。従って、上記の工程は、例えば、親和性の成熟を含むさらなる工程が先行するか、または後に続く。さらに、経験的な結合データが、さらなる最適化に情報を与えるために使用され得る。
アミノ酸配列が変更しているが、所望の活性は変更しないように、本発明のポリペプチドがさらに改変され得ることは、当業者によって理解される。例えば、「非必須な」アミノ酸残基におけるアミノ酸置換を導くさらなるヌクレオチド置換は、タンパク質になされ得る。例えば、免疫グロブリンポリペプチドにおける非必須なアミノ酸残基が、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基で置換され得る。別の実施形態において、ひと続きのアミノ酸は、順序の異なる構造的に類似のひと続きのアミノ酸および/または側鎖ファミリーメンバーの組成物で置換され得る。すなわち、あるアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されている保存された置換がなされ得る。
類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当該分野において定義されており、それらとしては、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。
アミノ酸置換に加えて、本発明は、変更されたエフェクター機能を有するFc領域改変体を作製するために、例えば、Fc領域アミノ酸配列に対する他の改変を企図する。当業者は、FcRへの結合を低下または増強するために、例えば、Fc領域の1個以上のアミノ酸残基を欠失し得る。1つの実施形態において、Fc領域残基の1個以上は、そのようなFc領域改変体を作製するために改変され得る。一般に、1個未満〜約10個のFc領域残基が、本発明のこの実施形態に従って欠失される。1個以上のアミノ酸欠失を含む本明細書中におけるFc領域は、出発Fc領域または天然の配列ヒトFc領域の、好ましくは少なくとも約80%、および好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%を保持する。
当業者は、変更されたエフェクター機能を有するアミノ酸挿入Fc領域改変体を作製し得る。例えば、当業者は、FcR結合に影響すると本明細書中で同定されるFc領域位置の1個以上に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基(例えば、1〜2個のアミノ酸残基および一般には10個未満の残基)を導入し得る。「隣接する」とは、本明細書中で同定されるFc領域残基の1〜2個のアミノ酸残基以内を意味する。このようなFc領域改変体は、高いか、または低いFcRn結合を示し得る。
このようなFc領域改変体は、Fc領域において一般に少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。1つの実施形態において、アミノ酸改変が組み合わされ得る。例えば、改変体Fc領域が、その中に、例えば、本明細書中で同定された特定のFc領域位置の2、3、4,5個などの置換を含み得る。別の実施形態において、ポリペプチドは、FcRnおよび別のFcレセプターへの結合が変更され得る。
(V.ヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドの発現)
1つの実施形態において、本発明のポリペプチド、例えば、ヒト化Ig可変領域および/またはヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドは、組換え方法によって作製され得る。例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、組換え発現に適した発現ベクターに挿入され得る。ポリペプチドが、抗体である場合、必要に応じて定常領域に連結されているさらなる軽鎖可変領域および重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、同じかまたは異なる発現ベクターに挿入され得る。親和性タグ配列(例えば、His(6)タグ)は、必要に応じてポリペプチド配列内に連結されているか、または含まれていてもよく、それによって後の精製が促進される。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドを確実に発現するために、発現ベクター内の調節配列に作動可能に連結される。発現調節配列としては、プロモーター(例えば、天然に関連するか、または異種性のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメントおよび転写終結配列が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、発現調節配列は、真核生物の宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができるベクター内の真核生物のプロモーター系である。一旦、ベクターが適切な宿主に取り込まれると、その宿主は、ヌクレオチド配列の高レベルな発現ならびにポリペプチドの回収および精製に適した条件下で維持される。
これらの発現ベクターは、代表的には、エピソームとしてか、または宿主染色体DNAの不可欠な部分として宿主生物体内で複製可能である。通常、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換されたそれらの細胞の検出を可能にする選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性またはネオマイシン耐性)を含む(例えば、米国特許第4,704,362号を参照のこと)。
E.coliは、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA配列)をクローニングするために特に有用な1つの原核生物宿主である。使用に適した他の微生物宿主としては、Bacillus subtilusなどの桿菌および他の腸内細菌科(例えば、Salmonella、Serratia)および様々なPseudomonas種が挙げられる。
酵母などの他の微生物もまた、発現に有用である。SaccharomycesおよびPichiaは、例示的な酵母宿主であり、所望であれば、適当なベクターは、発現調節配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終結配列などを有する。代表的なプロモーターとしては、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖酵素が挙げられる。誘導性酵母プロモーターとしては、特に、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムCおよびメタノール、マルトースおよびガラクトースの利用に関与する酵素由来のプロモーターが挙げられる。
微生物に加えて、哺乳動物の組織培養物もまた、本発明のポリペプチド(例えば、免疫グロブリンまたはそれらのフラグメントをコードするポリヌクレオチド)を発現し、産生するために使用され得る。Winnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)を参照のこと。異種性のタンパク質(例えば、無処置の免疫グロブリン)を分泌することができる多くの適当な宿主細胞株が、当該分野で開発されているので、真核細胞は、実際に好ましい。それらの細胞株としては、CHO細胞株、種々のCos細胞株、HeLa細胞、293細胞、ミエローマ細胞株、形質転換されたB細胞およびハイブリドーマが挙げられる。これらの細胞のための発現ベクターは、発現調節配列(例えば、複製起点、プロモーターおよびエンハンサー)(Queen et al.,Immunol.Rev.89:49(1986))、そしてプロセシングに必要な情報部位(例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列)を含み得る。好ましい発現調節配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルスなどに由来するプロモーターである。Co et al.,J.Immunol.148:1149(1992)を参照のこと。
目的のポリヌクレオチド配列を含むベクター(例えば、重鎖および軽鎖をコードする配列および発現調節配列)は、細胞の宿主のタイプに依存して変化する周知の方法によって宿主細胞に導入され得る。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは、通常、原核細胞に対して使用される一方で、リン酸カルシウム処理、エレクトロポレーション、リポフェクション、遺伝子銃またはウイルスベースのトランスフェクションは、他の細胞宿主に使用され得る(一般に、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press,2nd ed.,1989を参照のこと)。哺乳動物細胞を形質転換するために使用される他の方法としては、ポリブレンの使用、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションが挙げられる(一般に、Sambrook et al,前出を参照のこと)。トランスジェニック動物の作製に向けて、導入遺伝子は、受精した卵母細胞に顕微注入され得るか、または胚性幹細胞のゲノムに組み込まれ得、そしてこのような細胞の核は、除核された卵母細胞に導入され得る。
本ポリペプチドはまた、トランスジェニック動物のゲノムへの導入のための導入遺伝子に組み込まれ得、そしてそれに続いて、例えば、トランスジェニック動物の乳中に発現され得る(例えば、Deboer et al.5,741,957;Rosen 5,304,489;およびMeade 5,849,992を参照のこと)。適当な導入遺伝子は、乳腺特異的遺伝子(例えば、カゼインまたはベータラクトグロブリン)由来のプロモーターおよびエンハンサーと作動可能に結合している軽鎖および/または重鎖についてのコード配列を含む。
ポリペプチド(例えば、ポリペプチド)は、単一のベクターまたは2個のベクターを使用して発現され得る。例えば、抗体の重鎖および軽鎖は、別々の発現ベクター上にクローニングされ得、そして細胞に同時トランスフェクションされ得る。
1つの実施形態において、シグナル配列は、本発明のポリペプチドの発現を促進するために使用され得る。
一旦発現されると、ポリペプチドは、当該分野の標準的な手順に従って精製され得る。その手順としては、硫安塩析、アフィニティーカラム(例えば、プロテインAまたはプロテインG)、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動などが挙げられる(一般に、Scopes,Protein Purification(Springer−Verlag,N.Y.,(1982)を参照のこと)。
ヒト化Ig可変領域またはヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドのいずれかは、宿主細胞または培養細胞株によって発現され得る。それらはまた、インビボにおいて細胞内で発現され得る。変更された抗体を産生するように形質転換(例えば、トランスフェクト)された細胞株は、リンパ系起源の細胞株などの不死化された哺乳動物細胞株(例えば、ミエローマ、ハイブリドーマ、トリオーマまたはクアドローマ細胞株)であり得る。その細胞株はまた、ウイルス(例えば、エプスタイン・バーウイルス)による形質転換によって不死化されているB細胞などの正常なリンパ系細胞を含み得る。
ポリペプチドを産生するために使用される細胞株は、代表的には、哺乳動物細胞株であるが、他の起源(例えば、細菌および酵母)に由来する細胞株もまた使用することができる。特に、E.coliに由来する細菌株は、特に、例えば、ファージディスプレイに使用され得る。
その正常な状態におけるミエローマ細胞株などのいくつかの不死化されたリンパ系細胞株は、単離されたIg軽鎖または重鎖を分泌する。このような細胞株が、本発明のプロセスの間に調製された、変更された抗体を発現するベクターで形質転換される場合、ただし、正常に分泌される鎖が、その前に調製されたベクターによってコードされるIg鎖の可変ドメインに相補的であるならば、プロセスの残りの工程を実施する必要がない。
不死化された細胞株が、分泌しないか、または相補的な鎖を分泌しない場合、適切な相補的な鎖またはそのフラグメントをコードするベクターを細胞に導入する必要がある。
不死化された細胞株が、相補的な軽鎖または重鎖を分泌する場合、形質転換された細胞株は、例えば、ベクターで適当な細菌細胞を形質転換し、そして不死化された細胞株で細菌細胞と融合されること(例えば、スフェロプラスト融合)によって作製され得る。あるいは、DNAは、エレクトロポレーションによって不死化された細胞株に直接導入され得る。
1つの実施形態において、本発明のヒト化Ig可変領域は、任意の抗体の抗原結合フラグメントに存在し得る。そのフラグメントは、組換えで作製および操作され得るか、合成され得るか、またはタンパク質分解性酵素で抗体を消化することによって作製され得る。例えば、そのフラグメントは、Fabフラグメントであり得る;パパインによる消化によって2本の重鎖を結合している鎖間(すなわち、V−V)のジスルフィド結合の前の、抗体のその領域で切断する。これによって、軽鎖および重鎖のVドメインおよびC1ドメインを含む2つの同一のフラグメントが形成される。あるいは、そのフラグメントは、F(ab’)2フラグメントであり得る。これらのフラグメントは、鎖間のジスルフィド結合の後ろで重鎖を切断するペプシンで抗体を消化することによって作製され得、そしてその結果、両方の抗原結合部位を含むフラグメントが得られる。なおも別の選択肢は、「一本鎖」抗体を使用することである。一本鎖Fv(scFv)フラグメントは、種々の方法によって構築され得る。例えば、VのC末端を、VのN末端に連結し得る。代表的には、リンカー(例えば、(GGGGS))を、VとVの間に位置させる。しかしながら、その鎖が連結され得る順序は、逆向きであり得、検出または精製を促進するタグ(例えば、Myc−タグ、His−タグまたはFLAG−タグ)を、含み得る(これらのようなタグが本発明の任意の抗体または抗体フラグメントに付加され得る;それらの使用は、scFvに制限されない)。従って、また、下で述べるように、タグ化された抗体は、本発明の範囲内である。別の実施形態において、本明細書中に記載される方法において使用されるか、またはそれらの方法によって作製される抗体は、重鎖ダイマーまたは軽鎖ダイマーであり得る。なおもさらに、抗体の軽鎖もしくは重鎖またはそれらの一部、例えば、単一ドメイン抗体(DAb)が、使用され得る。
別の実施形態において、本発明のヒト化Ig可変領域は、一本鎖抗体(ScFv)またはミニボディ(minibody)に存在する(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO94/09817A1を参照のこと)。ミニボディは、2つのポリペプチド鎖からなる二量体分子であり、その各々は、ScFv分子(1個以上の抗原結合部位を含む単一ポリペプチド、例えば、連結ペプチドを介してCHドメインに融合されたVドメインに柔軟なリンカーによって連結されたVドメイン)を含む。ScFv分子は、V−リンカー−V配向またはV−リンカー−V配向で構築され得る。抗原結合部位を構成するVドメインおよびVドメインを連結する柔軟なヒンジは、好ましくは、約10〜約50アミノ酸残基を含む。この目的のための例示的な連結ペプチドは、(Gly4Ser)3である(Huston et al.(1988).PNAS,85:5879)。他の連結ペプチドは、当該分野で公知である。
一本鎖抗体を作製する方法は、当該分野で周知であり、例えば、Ho et al.(1989),Gene,77:51;Bird et al(1988),Science 242:423;Pantoliano et al(1991),Biochemistry 30:10117;Milenic et al.(1991),Cancer Research,51:6363;Takkinen et al.(1991),Protein Engineering 4:837。ミニボディは、当該分野で報告されている方法を使用してScFv成分を構築して、ペプチド−CH成分を連結することによって作製され得る(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO94/09817A1を参照のこと)。これらの成分は、制限フラグメントとして別々のプラスミドから単離され得、そして適切なベクターに連結および再クローニングされ得る。適切な構築は、制限消化およびDNA配列解析によって検証され得る。1つの実施形態において、本発明のミニボディは、連結ペプチドを含む。1つの実施形態において、連結ペプチドは、Gly/Serリンカー、例えば、GGGSSGGGSGGを含む。
別の実施形態において、4価のミニボディが構築され得る。4価のミニボディは、2つのScFv分子が、例えば、アミノ酸配列(G4S)G3ASを有する柔軟なリンカーを使用して連結されるという点以外は、ミニボディと同じ様式で構築され得る。
別の実施形態において、本発明のヒト化可変領域は、ダイアボディ(diabody)に存在し得る。ダイアボディは、scFv分子に類似しているが、通常、両方の可変ドメインに連結している短い(10個未満および好ましくは1〜5個の)アミノ酸残基リンカーを有し、同じポリペプチド鎖上のVドメインおよびVドメインが相互作用し得ない。その代わりとして、1本のポリペプチド鎖のVドメインおよびVドメインは、第2のポリペプチド鎖上でVドメインおよびVドメインと(それぞれ)相互作用する(WO02/02781)。
別の実施形態において、本発明のヒト化可変領域は、FcR結合部分に作動可能に連結された、免疫反応性フラグメントまたは抗体の一部(例えば、scFv分子、ミニボディ、4価のミニボディまたはダイアボディ)に存在し得る。例示的な実施形態において、FcR結合部分は、完全なFc領域である。
(VI.親和性の解析)
好ましくは、本明細書中に記載されるヒト化方法により、ドナー抗体と比較して、抗原に対する親和性が実質的に変化しないIg可変領域が得られる。
1つの実施形態において、本発明の可変ドメインを含むポリペプチドは、約10、10、10、10、10または1010−1よりも高い(または等しい)結合親和性(これらの値の中間の親和性を含む)で抗原に結合する。
親和性、結合活性および/または特異性は、種々の方法で測定され得る。一般に、そして親和性が定義されるか、または測定される正確な様式にかかわらず、本発明の方法が、その臨床的な適用の任意の局面において、作製された抗体(単数または複数)よりも優れている抗体を作製するとき、本発明の方法は、抗体親和性を改善する(例えば、本発明の方法は、改変抗体が、作製された抗体(単数または複数)よりも低用量もしくは低頻度で、またはより都合のよい投与の経路によって投与され得るとき、有効であるか、好結果であると考えられる)。
より詳細には、抗体と抗体が結合する抗原との間の親和性は、様々なアッセイによって測定され得る。それらのアッセイとしては、例えば、ELISAアッセイ、BiaCoreアッセイまたはKinExATM3000アッセイ(Sapidyne Instruments(Boise,ID)から入手可能)が挙げられる。ELISAアッセイを、抗VLA−4抗体の親和性を測定するために使用した(以下の実施例3を参照のこと)。簡潔には、セファロースビーズを、共有結合によって抗原でコートする(本発明の方法において使用される抗原は、目的の任意の抗原であり得る(例えば、癌抗原;細胞表面タンパク質または分泌タンパク質;病原体の抗原(例えば、細菌またはウイルスの抗原(例えば、HIV抗原、インフルエンザ抗原または肝炎抗原))またはアレルゲン)。試験されるべき抗体の希釈物を調製し、各調製物を、プレート内の指定のウェルに加える。検出抗体(例えば、ヤギ抗ヒトIgG−HRP結合体)を、各ウェルに加え、続いて、色素産生性(chromagenic)基質(例えば、HRP)を加える。次いで、そのプレートを450nMのELISAプレートリーダーで読み出し、EC50値を算出する。(しかしながら、本明細書中で記載される方法が、一般に適用可能であることが理解される;その方法は、任意の特定の抗原または抗原のクラスに結合する抗体の産生に限定されない)
親和性の測定が、必ずしも1桁の数で見られるほど単純でないことを当業者は認識しているだろう。抗体は、2本の腕を有するので、抗体の見かけの親和性は、通常、可変領域と抗原との間の内因性の親和性よりも高い(このことは、結合活性に起因すると考えられている)。内因性親和性は、scFvフラグメントまたはFabフラグメントを使用して測定され得る。
(VII.ヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドの機能付与)
ヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドは、所望の効果を機能付与され得る。例えば、特定の実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチドの付加部分、例えば、機能的部分(例えば、ペグ化部分、ブロッキング部分、検出可能部分、診断的部分および/または治療的部分、これらは、所望の機能を改善するために作用する(例えば、治療的な有効性))に結合体化(すなわち、物理的に連結)することによって(例えば、化学的または遺伝的手段によって)改変され得る。化学的な結合体化は、ポリペプチド内の特定の残基の無作為または部位特異的な改変によって実施され得る。例示的な機能的部分が、まず以下に記載され、続いて、このような機能的部分をポリペプチドの異なるアミノ酸側鎖化学に連結するために有用な化学が記載される。
a)機能的部分
有用な機能的部分の例としては、ペグ化部分、ブロッキング部分、検出可能部分、診断的部分および治療的部分が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的なペグ化部分としては、ポリアルキレングリコール部分、例えば、PEG部分および好ましくはPEG−マレイミド部分の部分が挙げられる。好ましいペグ化部分(または関連ポリマー)は、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリオキシエチル化グリセロール(「POG」)および他のポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール(「PVA」)および他のポリアルキレンオキシド、ポリオキシエチル化ソルビトールまたはポリオキシエチル化グルコースであり得る。このポリマーは、上で列挙されたモノマーに基づいた、ホモポリマー、ランダム共重合体またはブロック共重合体、ターポリマーであり得、少なくとも1つの活性なスルホン部分を有する限り、直鎖または分枝鎖、置換または非置換であってもよい。重合体部分は、任意の長さまたは分子量であり得るが、これらの特性は、生物学的特性に影響を及ぼし得る。薬学的適用におけるクリアランス速度の低下に特に有用なポリマー平均分子量は、2,000〜35,000ダルトンである。さらに、2つの基が、各末端の一方のポリマーに結合している場合、ポリマーの長さは、2つの基の間の有効な距離および他の空間的な関係に影響を与え得る。従って、当業者は、所望の生物学的活性を最適化するためか、または提供するためにポリマーの長さは変化させ得る。PEGは、いくつかの理由で生物学的適用に有用である。PEGは、代表的に、清澄、無色、無臭、水溶性、熱に安定、多くの化学物質に不活性であり、加水分解せず、かつ無毒である。
好ましくはペグ化部分は、寿命が長くなった本発明の変更されたFc含有ポリペプチドに結合される。ペグ化部分は、分子の見かけの分子量を増加することによって、ポリペプチドの半減期をさらに延長するように機能し得る。見かけの分子量が増加すると、皮下投与または全身投与後の身体からのクリアランスの速度が低下する。多くの場合において、ペグ化はまた、抗原性および免疫原性を低下するように機能する。さらに、ペグ化は、ポリペプチドの溶解度を増加させ得る。
例示的なプロッキング部分としては、システイン付加物、シスチン、混合ジスルフィド付加物または十分な立体容積および/もしくは電荷の他の化合物が挙げられ、例えば、Fcレセプターまたは補体タンパク質に結合するFc領域の能力を阻害することによって、抗原依存性エフェクター機能が低下する。好ましくは、前記ブロッキング部分は、エフェクター機能が低下した本発明のポリペプチドに結合体化され、その結果、エフェクター機能は、さらに低下する。
本発明のポリペプチドとの結合体化に有用であり得る例示的な検出可能部分としては、蛍光部分、放射性同位体部分、放射線不透過性部分など、例えば、検出可能標識(例えば、ビオチン、フルオロフォア、発色団、スピン共鳴プローブまたは放射標識)が挙げられる。例示的なフルオロフォアとしては、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、ローダミンなど)および他の発光分子(例えば、ルミナール)が挙げられる。フルオロフォアは、基質に結合する際に構造上の変化を起こす改変タンパク質(例えば、ダンシルプローブ)における1個以上の残基に近接して位置する場合、その蛍光が変化するような環境に敏感であり得る。例示的な放射標識としては、1個以上の低感度核(13C、15N、H、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Ga、111Inなど)を含む原子を含む小分子が挙げられる。他の有用な部分は、当該分野で公知である。
本発明のポリペプチドへの結合体化に有用であり得る診断的部分の例としては、疾患または障害の存在を明らかにするのに適した検出可能部分が挙げられる。代表的には、診断的部分は、分子、例えば、疾患または障害に関連する、標的ペプチド、タンパク質(単数または複数)の存在の有無またはレベルを決定することができる。このような診断薬はまた、疾患または障害およびその進行の予後を判定することおよび/またはそれらを診断することに適する。
本発明のポリペプチドへの結合体に有用であり得る治療的部分の例としては、例えば、抗炎症剤、抗癌剤、抗神経変性剤および抗感染症剤が挙げられる。機能的部分はまた、上述の機能の1個以上を有し得る。
例示的な治療法としては、核DNAにおいて複数の鎖を切断することができる高エネルギー電離放射線を有する放射性核種が挙げられ、それゆえ、細胞死(例えば、癌の死)を誘導するのに適している。例示的な高エネルギー放射性核種としては、90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Reおよび188Reが挙げられる。これらの同位体は、代表的には、透過距離が短い高エネルギーα−粒子またはβ−粒子を発する。このような放射性核種は、近位にある細胞、例えば、結合体が結合しているか、または含んでいる腫瘍性細胞を殺滅する。放射性核種は、非局在性細胞にはほとんどか、または全く影響がなく、本質的に非免疫原性である。
例示的な治療法としては、また、細胞傷害性物質、例えば、細胞増殖抑制剤(例えば、アルキル化剤、DNA合成インヒビター、DNAインターカレーターもしくはクロスリンカーまたはDNA−RNA転写制御因子)、酵素インヒビター、遺伝子制御因子、細胞傷害性ヌクレオシド、チューブリン結合物質、ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト、抗血管新生剤などが挙げられる。
例示的な治療法としては、また、薬物のアントラサイクリンファミリーなどのアルキル化剤(例えば、アドリアマイシン、カルミノマイシン(carminomycin)、シクロスポリン−A、クロロキン、メトプテリン、ミトラマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、ストレプトニグリン、ポルフィロマイシン、アントラセンジオンおよびアジリジン)が挙げられる。別の実施形態において、化学療法的部分は、DNA合成インヒビターなどの細胞増殖抑制剤である。DNA合成インヒビターの例としては、メトトレキサートおよびジクロロメトトレキサート、3−アミノ−1,2,4−ベンゾトリアジン1,4−ジオキシド、アミノプテリン、シトシンβ−D−アラビノフラノシド、5−フルオロ−5’−デオキシウリジン、5−フルオロウラシル、ガンシクロビル、ヒドロキシ尿素、アクチノマイシン−DおよびマイトマイシンCが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なDNAインターカレーターまたはクロスリンカーとしては、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シス−ジアンミン白金(II)ジクロリド(シスプラチン)、メルファラン、ミトキサントロン,およびオキサリプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な治療法としては、また、転写制御因子(例えば、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ホモハリングトニンおよびイダルビシン)が挙げられる。本発明に適合可能な他の例示的な細胞増殖抑制剤としては、アンサマイシンベンゾキノン、キノン誘導体(例えば、キノロン、ゲニステイン、バクタサイクリン(bactacyclin))、ブスルファン、イホスファミド、メクロレタミン、トリアジクォン(triaziquone)、ジアジコン、カルバジルキノン(carbazilquinone)、インドロキノンEO9、ジアジリジニル−ベンゾキノンメチルDZQ、トリエチレンホスホルアミドおよびニトロソ尿素化合物(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン)が挙げられる。
例示的な治療法としては、また、細胞傷害性ヌクレオシド(例えば、アデノシンアラビノシド、シタラビン、シトシンアラビノシド、5−フルオロウラシル、フルダラビン、フロクスウリジン、フトラフールおよび6−メルカプトプリン;チューブリン結合剤(例えば、タキソイド(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン)、ノコダゾール、リゾキシン、ドラスタチン(例えば、ドラスタチン−10、ドラスタチン−11またはドラスタチン−15)、コルヒチンおよびコルヒチノイド(colchicinoid)(例えば、ZD6126)、コンブレタスタチン(combretastatin)(例えば、コンブレタスタチンA−4、AVE−6032)およびビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビン(ナベルビン));抗血管新生化合物(例えば、アンジオスタチンK1−3、DL−α−ジフルオロメチル−オルニチン、エンドスタチン、フマギリン、ゲニステイン、ミノサイクリン、スタウロスポリンおよび(±)−サリドマイドが挙げられる。
例示的な治療法としては、また、ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト(例えば、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンまたはメドロプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、テストステロン)、アロマターゼインヒビター(例えば、アミノグルテトイミド(aminogluthetimide))、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−アミノ−1,8−ナフタルイミド、アピゲニン、ブレフェルジンA、シメチジン、ジクロロメチレン−ジホスホン酸、ロイプロリド(リュープロレリン)、黄体形成ホルモン放出ホルモン、ピフィスリン−α、ラパマイシン、性ホルモン結合グロブリンおよびサプシガルジン)が挙げられる。
例示的な治療法としては、また、酵素インヒビター(例えば、S(+)−カンプトテシン、クルクミン、(−)−デグエリン、5,6−ジクロロベンゾ−イミダゾール1−β−D−リボフラノシド、エトポシド、フォルメスタン、ホストリエシン、ヒスピジン(hispidin)、2−イミノ−1−イミダゾリジン酢酸(imidazolidineacetic acid)(シクロクレアチン(cyclocreatine))、メビノリン、トリコスタチンA、チロホスチンAG34およびチロホスチンAG879)が挙げられる。
例示的な治療法としては、また、遺伝子制御因子(例えば、5−アザ−2’−デオキシシチジン、5−アザシチジン、コレカルシフェロール(ビタミンD)、4−ヒドロキシタモキシフェン、メラトニン、ミフェプリストン、ラロキシフェン、トランス−レチナール(ビタミンAアルデヒド)、レチノイン酸、ビタミンA酸、9−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、レチノール(ビタミンA)、タモキシフェンおよびトログリタゾン)が挙げられる。
例示的な治療法としては、また、細胞傷害性物質(例えば、薬物のプテリジンファミリー、ジイネン(diynene)およびポドフィロトキシン)が挙げられる。それらのクラスの特に有用なメンバーとしては、例えば、メトプテリン、ポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体(例えば、エトポシドまたはエトポシドホスフェート、ロイロシジン(leurosidine)、ビンデシン、ロイロシン(leurosine))などが挙げられる。
本明細書中の教示に適合可能であるなおも他の細胞毒としては、アウリスタチン(auristatin)(例えば、アウリスタチンEおよびモノメチルアウリスタン(monomethylauristan)E)、カリケアマイシン、グラミシジンD、メイタンサノイド(maytansanoid)(例えば、メイタンシン)、ネオカルチノスタチン、トポテカン、タキサン、サイトカラシンB、エチジウムブロマイド、エメチン、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシンおよびそれらのアナログまたはホモログが挙げられる。
機能的部分の他のタイプは、当該分野で公知であり、本明細書中に含まれる教示に基づいて本発明の方法および組成物において容易に使用され得る。
b)アミノ酸側鎖に機能的部分を結合するための化学
特定のアミノ酸側鎖に前述の機能的部分(小分子、核酸、ポリマー、ペプチド、タンパク質、化学療法剤または分子の他のタイプを含む)を結合するための化学は、当該分野で公知である(特定のリンカーの詳細な概説については、例えば、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press(1996)を参照のこと)。
スルフヒドリル部分に対する例示的な当該分野で認められている結合基(例えば、システインまたはチオール側鎖化学)としては、活性化アシル基(例えば、アルファ−ハロアセテート、クロロ酢酸またはクロロアセトアミド)、活性化アルキル基、マレイミドまたはアクリル基などのマイケルアクセプター、酸化還元反応を介してスルフヒドリル部分と反応する基および活性化ジスルフィド基が挙げられるが、これらに限定されない。スルフヒドリル部分はまた、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−ベータ−(5−イミダゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル−2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって結合され得る。
好ましい実施形態において、システインまたはチオール側鎖化学を有する他のアミノ酸は、Fc含有ポリペプチドの生成の間か、またはその前に結合される。例えば、細胞培養を使用して改変Fc含有ポリペプチドを生成するとき、溶液中の遊離システインが、Fc含有ポリペプチドのチオール側鎖とシステイン付加物を形成し得るような条件を与える。そのようにして形成された付加物は、グリコシル化および/またはエフェクター機能を阻害するために使用され得るか、または、続いて、付加物を除去する還元条件に供され得ることによって、上述のスルフヒドリル化学の1つを使用することができる。
ヒドロキシル部分(例えば、セリン、トレオニンまたはチロシン側鎖化学)の対する例示的な当該分野で認められている基としては、活性化アシル基、活性化アルキル基およびマイケルアクセプターを含むスルフヒドリル部分について上で説明したものが挙げられる。
アミン部分(例えば、アスパラギンまたはアルギニン側鎖化学)に対する例示的な当該分野で認められている連結基としては、N−スクシンイミジル、N−スルホスクシンイミジル、N−フタルイミジル、N−スルホフタルイミジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、3−スルホニル−4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、イミドエステル(例えば、メチルピコリンイミデート)、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロホウ水素化物、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素(methyliosurea)および2,4−ペンタンジオンが挙げられるが、これらに限定されない。
酸性部分(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸側鎖化学)に対する例示的な当該分野で認められている連結基としては、活性化エステルおよび活性化カルボニルが挙げられる。酸性部分はまた、カルボジイミド(R’N−C−N−R’)(例えば、1−シクロヘキシル−3−[2−モルホリニル−(4−エチル)]カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミド)との反応によって選択的に改変され得る。
所望の機能的部分が、ペグ化部分である場合、当該分野で周知のペグ化反応が使用され得る。例えば、1つの方法において、ペグ化は、反応性ポリエチレングリコール分子(または類似の反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施される。本発明の抗体および抗体フラグメントのペグ化のための水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)である。別の実施形態において、ペグ化のためのポリマーは、ポリエチレングリコール−マレイミド(すなわち、PEG−マレイミド)である。
ペグ化された、本発明の抗体および抗体フラグメントを調製するための方法は、a)抗体または抗体フラグメントが、1個以上のPEG基に結合するようになる条件下で、その抗体または抗体フラグメントと、ポリエチレングリコール(例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)とを反応させる工程およびb)反応産物を得る工程を一般に含む。公知のパラメータおよび所望の結果に基づいて最適な反応条件またはアシル化反応を選択することは、当業者に明らかであろう。1つの実施形態において、特定のアミノ酸残基(reside)、例えば、変更された第1のアミノ酸残基は、好ましくは、第1のアミノ酸が、システインであるか、またはチオール化学を有する場合、第2のアミノ酸残基のグリコシル化を阻害するために、標的化され得る。
(VIII.予防的、診断的および治療的な方法)
本発明は、ヒト化可変ドメインまたはそのようなドメインを含むポリペプチド(例えば、抗体または融合タンパク質)が、抗原に結合するとき、その結合が、所望の反応を誘発する場合、一般的な有用性を有する。エフェクター媒介性応答の1つの例は、障害の根本的な原因の低減(例えば、免疫または炎症性応答に関与する腫瘍細胞または抗原を有する細胞の除去)である。別の実施形態において、障害の1つ以上の症状は、低減され得る。別の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、診断試薬におけるエフェクター媒介性応答を変化させるために使用され得る(例えば、腫瘍の像を得るために使用される抗体)。本明細書中に記載される方法は、障害を発症する危険性のある被験体または現在、障害の症状を呈している被験体を処置するために使用され得る
(A.抗腫瘍治療)
従って、特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、癌の予防または処置に有用である。1つの実施形態において、ポリペプチドは、オートクラインまたはパラクリン増大を阻害する(例えば、シグナルを伝達せずにレセプターに結合することまたは成長因子に結合することによって)。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、腫瘍関連抗原に結合することができる。
1つの実施形態において、ポリペプチドは、腫瘍の大きさを減少させ得、腫瘍の増殖を阻害し得、そして/または腫瘍を有する動物の生存時間を延長させ得る。一般に、開示される本発明は、改変抗体によって癌性細胞を標的化することができる抗原マーカーを含む任意の新生物を予防的または治療的に処置するために使用され得る。予防または処置され得る例示的な癌または新生物としては、膀胱癌、乳癌、頭頸部癌、前立腺癌、直腸結腸癌、メラノーマまたは皮膚癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、腎臓癌、肺癌(例えば、小細胞癌および非扁平上皮(non−squamos cell)癌)、膵癌および多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、本発明の改変抗体は、カポジ肉腫、CNS新生物(毛細管血管芽腫、髄膜腫および大脳転移)、メラノーマ、消化管および腎臓の肉腫、横紋筋肉腫、神経膠芽腫(好ましくは、多形神経膠芽腫)、平滑筋肉腫、網膜芽細胞腫、卵巣の乳頭状嚢胞腺癌、ウィルムス腫瘍または小細胞肺癌を処置するために使用され得る。本開示または当該分野で公知の他の技術を使用して、適切な抗体が、過度の実験なしに前述の新生物の各々に関連する腫瘍関連抗原を得られる場合があることが理解される。
開示される本発明での処置に受け入れられる例示的な血液悪性腫瘍としては、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫ならびにALL−L3(バーキット型白血病)、慢性リンパ性白血病(CLL)および単球細胞白血病を含む白血病が挙げられる。本発明のポリペプチドおよび方法が、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中間悪性度/濾胞性NHL、中間悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度の小型の非開裂(small non−cleaved)細胞NHL、巨大病変(bulky disease)NHLおよびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む、種々のB細胞リンパ腫を処置する際に特に有用であることが理解される。これらのリンパ腫が、分類の系が変化することにより、様々な名称を有することが多いことおよび様々な名称で分類されたリンパ腫を有する患者が、本発明の治療的なレジメンと組み合わせることによって利益を享受し得ることは、当業者には明らかであるはずである。上述の腫瘍性障害に加えて、開示された本発明が、適合可能な腫瘍関連抗原を有するさらなる悪性腫瘍を有利に処置するために使用され得ることが理解される。
(B.免疫障害治療)
腫瘍性障害に加えて、本発明のポリペプチドは、自己免疫障害または異常な免疫応答の処置に特に有効である。この点に関して、本発明のポリペプチドが、外部の抗原と自己抗原の両方に対する望まれない免疫応答を制御、抑制、調節または除去するために使用され得ることが理解される。例えば、1つの実施形態において、抗原は、自己抗原である。別の実施形態において、抗原は、アレルゲン(allergan)である。なおも他の実施形態において、抗原は、同種抗原または異種抗原である。同種抗原および異種抗原に対する免疫応答を低下させるための開示される改変ポリペプチドの使用は、移植において、例えば、ドナー移植片、例えば、組織または器官移植片または骨髄移植の、移植レシピエントによる拒絶を阻害するために特に使用される。さらに、骨髄移植片中のドナーT細胞の抑制または除去は、移植片対宿主病を阻止するために有用である。
なおも他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、免疫障害を処置するために使用され得、免疫障害としては、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症;アレルギー性鼻炎、自己免疫性の溶血性貧血;黒色表皮腫;アレルギー性接触皮膚炎;アジソン病;アトピー性皮膚炎;円形脱毛症;全身性脱毛症;アミロイドーシス;アナフィラクトイド紫斑病;アナフィラキシー様反応;再生不良性貧血;血管性浮腫、遺伝性;血管性浮腫、特発性;強直性脊椎炎;動脈炎、頭側;動脈炎、巨細胞;動脈炎、高安;動脈炎、側頭部;喘息;毛細血管拡張性運動失調;自己免疫性卵巣炎;自己免疫性睾丸炎;自己免疫性多内分泌腺不全;ベーチェット病;ベルガー病;バージャー病;気管支炎;水疱性類天疱瘡;カンジダ症、慢性粘膜皮膚;カプラン症候群;心筋梗塞後症候群;心膜切開後症候群;心筋炎;セリアックスプルー;シャーガス病;チェディアック・東症候群;チャーグ・ストラウス病;肝硬変;コーガン症候群;寒冷凝集素病;CREST症候群;クローン病;クリオグロブリン血症;特発性線維化肺胞炎;疱疹状皮膚炎(dermatitis herpetifomis);皮膚筋炎;真性糖尿病;ダイアモンドブラックファン症候群;ディジョージ症候群;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;上強膜炎;持久性隆起性紅斑(Drythema elevatum diutinum);有縁性紅斑;多形性紅斑;結節性紅斑;家族性地中海熱;フェルティ症候群;肺線維症(fibrosis pulmonary);糸球体腎炎、アナフィラキシー様;糸球体腎炎、自己免疫性;糸球体腎炎、レンサ球菌感染後;糸球体腎炎、移植後;糸球体症、膜性;グッドパスチャー症候群;顆粒球減少症、免疫媒介性;環状肉芽腫;肉芽腫症、アレルギー性;肉芽腫性筋炎 ;グレーヴズ病;橋本病;新生児溶血性疾患;ヘモクロマトーシス、特発性;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;肝炎、慢性で活性および慢性で進行性;ヒスチオサイトーシスX;好酸球増多症候群;特発性血小板減少性紫斑病;ヨブ症候群;若年性皮膚筋炎;若年性関節リウマチ(若年性慢性関節炎);川崎病;角膜炎;乾性角結膜炎;ランドリー・ギラン・バレー・ストロール(Landry−Guillain−Barre−Strohl)症候群;ハンセン病、らい腫性;レフラー症候群;狼瘡;ループス腎炎;ライエル症候群;ライム病;リンパ腫様肉芽腫症;肥満細胞症、全身性;混合結合組織病;多発単神経炎;マックル・ウェルズ症候群;皮膚粘膜リンパ節症候群;皮膚粘膜リンパ節症候群;多中心性細網組織球症;多発性硬化症;重症筋無力症;菌状息肉腫;壊死性血管炎、全身性;ネフローゼ症候群;重複症候群;皮下脂肪組織炎;発作性寒冷血色素尿症;発作性夜間血色素尿症;類天疱瘡;天疱瘡;天疱瘡エリテマトーデス;落葉状天疱瘡;尋常性天疱瘡;鳩飼病;肺炎、過敏性;結節性多発性動脈炎;リウマチ性多発筋痛症;多発性筋炎;多発性神経炎、特発性;ポルトガルの家族性多発性神経炎;子癇前症/子癇;原発性胆汁性肝硬変;進行性全身性硬化症(強皮症);乾癬;乾癬性関節炎;肺胞タンパク症;肺線維症、レイノー現象/症候群;リーデル甲状腺腫;ライター症候群、再発性多発性軟骨炎;リウマチ熱;関節リウマチ;サルコイドーシス;強膜炎;硬化性胆管炎;強皮症、血清病;セザリー症候群;シェーグレン症候群;スティーブンス・ジョンソン症候群;スティル病;亜急性硬化性全脳炎;交感性眼炎;全身性エリテマトーデス;移植片拒絶;潰瘍性大腸炎;未分化結合組織疾患;じんま疹、慢性;じんま疹、寒冷性;ブドウ膜炎;白斑;ウェーバー・クリスチャン病;ウェゲナー肉芽腫症およびウィスコット・オールドリッチ症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
(C.抗炎症性治療)
なおも他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、炎症、例えば、血流の増加、浮腫、免疫細胞の活性化(例えば、増殖、サイトカイン産生または食作用の増大)によって、少なくとも部分的に引き起こされるか、または悪化する炎症性障害を処置するために使用され得る。例示的な炎症性障害としては、炎症または炎症性因子(例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、一酸化窒素(NO)、TNF、インターロイキン、血漿タンパク質、細胞の防御系、サイトカイン、脂質代謝産物、プロテアーゼ、有毒なラジカル、ミトコンドリア、アポトーシス、接着分子など)が、所与の範囲または組織に関与するか、または異常な量、例えば、変化するのに有利であり得る量、例えば、被験体に有益であり得る量で存在する障害が挙げられる。炎症性プロセスは、損傷に対する生組織の応答である。炎症の原因は、物理的な損傷、化学物質、微生物、組織ネクローシス、癌または他の物質に起因し得る。急性炎症は、短期間型であり、数日継続するだけである。しかしながら、炎症が長期間継続する場合は、慢性炎症と呼ばれることがある。
炎症性障害としては、急性炎症性障害、慢性炎症性障害および再発性炎症性障害が挙げられる。急性炎症性障害においては、一般に持続時間は比較的短く、およそ数分からおよそ1〜2日間継続するが、数週間継続する場合もある。急性炎症性障害の主な特徴としては、血流の増加、体液および血漿タンパク質(浮腫)の滲出ならびに好中球などの白血球の遊出が挙げられる。慢性炎症性障害については、一般に、持続時間が長く、例えば、数週間から数ヶ月、数年またはそれ以上であり、リンパ球およびマクロファージの存在ならびに血管および結合組織の増殖と組織学的に関連する。再発性炎症性障害としては、ある期間後に再発する障害または定期的に発症する障害が挙げられる。再発性炎症性障害の例としては、喘息および多発性硬化症が挙げられる。いくつかの障害は、1つ以上のカテゴリーに分類され得る。
炎症性障害は、一般に、熱、赤み、腫脹、疼痛および機能喪失を特徴とする。炎症性障害の原因の例としては、微生物感染(例えば、細菌、ウイルスおよび真菌の感染)、物理的変化を生じさせるもの(例えば、熱傷、放射線照射および外傷)、化学物質(例えば、トキシンおよび腐食性物質)、組織ネクローシスおよび様々なタイプの免疫学的応答が挙げられるが、これらに限定されない。炎症性障害の例としては、アルツハイマー病;重篤な喘息、アテローム性動脈硬化症、悪液質、CHF−虚血および冠動脈再狭窄;変形性関節症、関節リウマチ、線維症/放射線誘発性または若年性の関節炎;急性および慢性の感染症(細菌性、ウイルス性および真菌性);急性および慢性の気管支炎、静脈洞炎および感冒を含む他の呼吸器感染症;急性および慢性の胃腸炎および大腸炎およびクローン病(Crohn’s diseas);急性および慢性の膀胱炎および尿道炎;急性呼吸窮迫症候群;嚢胞性線維症;急性および慢性の皮膚炎;乾癬;急性および慢性の結膜炎;急性および慢性の漿膜炎(心膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎および腱炎);尿毒症性心膜炎;急性および慢性の胆嚢炎;急性および慢性の膣炎;脳卒中、外傷による脳または中枢神経系の炎症および潰瘍性大腸炎;急性および慢性のブドウ膜炎;薬物反応;糖尿病性腎症および熱傷(熱、化学および電気による)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗体または抗原結合フラグメントで予防または処置され得る他の炎症性障害または状態としては、角膜移植による炎症、慢性閉塞性肺疾患、C型肝炎、リンパ腫、多発性骨髄腫および変形性関節症が挙げられる。
別の実施形態において、本発明のポリペプチドは、神経変性障害を予防または処置するために使用され得、神経変性障害としては、アルツハイマー病、脳卒中および外傷性の脳または中枢神経系の損傷が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる神経変性障害としては、ALS/運動ニューロン疾患、糖尿病性末梢性ニューロパシー、糖尿病性網膜症、ハンチントン病、黄斑変性症およびパーキンソン病が挙げられる。
予防的適用において、本発明のポリペプチドまたは薬物を含む薬学的組成物は、Fc領域を有するポリペプチドで処置可能な障害(例えば、免疫系障害)の危険性のある被験体(またはその症状を有する被験体およびその症状をまだ呈していない被験体)に、その危険性を排除または低減するか、その重症度を低下させるか、または障害の発症を遅延させるのに十分な量で投与される。その障害は、障害の発症の間に示す、生化学的、組織学的および/または行動上の、障害の症状、その合併症および中間の病理学的な表現型を含む。
治療的適用において、組成物または薬物は、そのような障害にすでに罹患している被験体に、障害の発症の時点における合併症および中間の病理学的表現型を含む、障害の症状(化学的、組織学的および/または行動上の)を治療または少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で投与される。本発明のポリペプチドは、処置または予防される疾患が、抗原の異常に高いか、または低い生物学的活性によって少なくとも部分的に引き起こされる場合、血液中に存在する細胞表面抗原の生物学的活性を調節するのに特に有用である。
いくつかの方法において、薬剤の投与は、免疫障害、例えば、炎症を低減または排除する。治療的または予防的な処置を達成するのに適切な量は、治療的または予防的に有効な用量として定義される。予防的なレジメンと治療的なレジメンの両方において、薬剤は、通常、十分な免疫応答が達成されるまで、いくつかの用量で投与される。
本発明の改変ポリペプチドが、ポリペプチドが結合する標的分子の選択に基づいて本明細書中で明示的に記述されていない多くの障害を処置するために使用され得ることが理解されるだろう。任意の当該分野で認められている抗体または融合タンパク質が、本発明の方法に従って改変され得、そして指摘された障害を処置するために使用され得ることが、さらに認識される。
(D.投与の方法)
本発明のポリペプチドは、予防的および/または治療的な処置のために、非経口(startingeral)、局所的、静脈内、経口、動脈内、頭蓋内、腹腔内または鼻腔内への手段によって投与され得る。用語非経口としては、本明細書中で使用されるとき、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣への投与が挙げられる。タンパク質薬物の投与の最も代表的な経路は、静脈内、皮下または筋肉内であるが、他の経路も有効であり得る。いくつかの方法において、薬剤は、沈着物が蓄積される特定の組織に直接注入、例えば、頭蓋内注入される。いくつかの方法において、抗体は、徐放組成物としてか、またはMedipad(商標)デバイスなどのデバイスとして投与される。タンパク質薬物はまた、例えば、乾燥粉末吸入デバイスを使用して、気道を介して投与され得る。
上述の状態を処置するための本発明の組成物の有効な用量は、多くの様々な因子に依存して変化する。それらの因子としては、投与の手段、標的部位、被験体の生理学的状態、被験体がヒトであるか、または動物であるかということ、投与される他の薬剤および処置が予防的であるのか、または治療的であるのかということが挙げられる。通常、被験体は、ヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物もまた処置され得る。
抗体による受動免疫のための用量は、宿主体重に対して約0.0001〜100mg/kg、より通常には、0.01〜20mg/kgの範囲である。例えば、用量は、1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重または1〜10mg/kgの範囲内、好ましくは少なくとも1mg/kgであり得る。被験体は、そのような用量を、毎日、1日おき、毎週または経験的な分析によって決定される任意の他のスケジュールに従って投与され得る。例示的な処置は、長期、例えば、少なくとも6ヶ月に亘って、複数回投与での投与を必要とする。さらなる例示的な処置レジメンは、2週間に1回または1ヶ月に1回または3〜6ヶ月に1回の投与を必要とする。例示的な投薬スケジュールとしては、連続した日程での1〜10mg/kgまたは15mg/kg、1日おきの30mg/kgまたは1週間に1回の60mg/kgが挙げられる。いくつかの方法において、投与される各ポリペプチドの用量が指摘された範囲内に入る場合、異なる結合特異性を有する2種類のポリペプチドが、同時に投与される。
ポリペプチドは、通常、複数回で投与される。単回投与の間隔は、毎週、毎月または毎年であり得る。いくつかの方法において、投薬は、血漿抗体濃度が1〜1000μg/mlを達成するように調節され、いくつかの方法においては、25〜300μg/mlを達成するように調節される。あるいは、ポリペプチドは、徐放処方物として投与され得、この場合は、より低い頻度での投与ですむ。用量および頻度は、被験体の体内におけるポリペプチドの半減期に依存して変化する。一般に、ヒト抗体が、最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体および非ヒト抗体がヒト抗体に続く。本明細書中で記述されるように、半減期はまた、ポリペプチドに存在する特定の変異に依存する。
用量および投与の頻度は、その処置が、予防的であるのか、または治療的であるのかということに依存して変化し得る。予防的適用において、本抗体またはそれらの混合物を含む組成物は、被験体の抵抗性を高めるために、まだ疾患状態ではない被験体に投与される。このような量は、「予防的有効用量」であると定義される。この使用において、正確な量は、また、被験体の健康状態および全身免疫に依存するが、一般に、0.1〜25mg/用量、特に0.5〜2.5mg/用量の範囲である。比較的低用量が、長期間に亘って、比較的まれな間隔で投与される。いくつかの被験体は、余命の間、処置を受け続ける。
治療的適用において、比較的短い間隔における比較的高用量(例えば、約1〜200mg抗体/用量、5〜25mgの用量が最もよく使用される)が、疾患の進行を遅くするか、または終わらせるまで、好ましくは、被験体が部分的または完全に疾患の症状の回復を示すまで、必要とされる。本明細書の以後、本特許は、予防的レジメンで投与され得る。
抗体をコードする核酸の用量は、約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mgまたは30〜300μgDNA/被験体の範囲である。感染性ウイルスベクターの用量は、10〜100またはそれ以上のビリオン/用量の範囲である。
当業者は、障害を処置する目的のポリペプチドの有効で非毒性の量を、慣例の実験によって決定することができる。例えば、治療的に活性な量の改変ポリペプチドは、因子(例えば、疾患のステージ(例えば、ステージI腫瘍 対 ステージIV腫瘍)、年齢、性別、内科的な合併症(例えば、免疫抑制性の状態または疾患)および被験体の体重ならびに改変ポリペプチドの、被験体における所望の応答を誘発する能力)に従って変化し得る。投与レジメンは、最適な治療的応答を提供するように調節され得る。例えば、いくつかの分割投与で、毎日投与され得るか、または用量を、治療的な状況の緊急性によって示されるように比例的に減少し得る。
(E.処置のモニタリング)
疾患または障害に罹患している被験体の処置は、標準的な方法を使用してモニタリングされ得る。いくつかの方法は、薬剤を投与する前に、被験体におけるベースライン値、例えば、抗体レベルのベースライン値またはプロファイルを測定する工程、およびそれらと処置後のプロファイルまたはレベルの値とを比較する工程を含む。レベルまたはプロファイルの値の有意な増加(すなわち、そのような測定値の平均値から標準偏差1で表される、同じサンプルの測定の繰り返しにおける実験誤差の代表的な限度を超える増加)は、処置の結果が陽性であることを示す(すなわち、その薬剤の投与が所望の応答を達成した)。免疫応答についての値が、有意に変化しないか、または有意に減少する場合、処置の結果が陰性であることを示す。
他の方法において、レベルまたはプロファイルのコントロールの値(すなわち、平均値および標準偏差)を、コントロールの集団について測定する。代表的には、コントロールの集団内の個体は、前処置を受けていない。治療薬の投与後の被験体において測定されたレベルまたはプロファイルの値を、コントロールの値と比較する。コントロールの値に対して有意な増加(例えば、平均値から標準偏差が1以上大きい)は、処置の結果が陽性であるか、または十分であることを示す。有意な増加または減少が見られないことは、処置の結果が陰性または不十分であることを示す。薬剤の投与は、一般に、そのレベルがコントロールの値に対して増加している間、続けられる。前述同様に、コントロールの値に対してプラトーへ到達することは、処置の投与が中断され得るか、または用量および/または頻度を減少し得ることの指標である。
他の方法において、レベルのコントロールの値またはプロファイル(例えば、平均値および標準偏差)は、治療薬による処置を経験し、レベルまたはプロファイルが処置に応答してプラトーに達した、コントロールの集団の個体から決定される。被験体における測定されたレベルまたはプロファイルは、コントロールの値と比較される。被験体における測定されたレベルが、コントロールの値と有意に異ならない(例えば、1標準偏差より大きい)場合、処置は、中断され得る。被験体におけるレベルが、コントロールの値より有意に低い場合、薬剤の投与の継続が正当化される。被験体におけるレベルが、コントロールの値より低いレベルで持続する場合、処置の変更が示唆され得る。
他の方法において、現在処置を受けていないが、以前に処置を受けたがことがある被験体は、処置の再開が必要か否かを決定するためにポリペプチドレベルまたはプロファイルについてモニタリングされる。被験体における測定されたレベルまたはプロファイルは、以前の処置の後に被験体において以前達成された値と比較され得る。以前の測定値に対して有意な減少(すなわち、同じサンプルの測定の繰り返しにおける誤差の代表的な限界よりも大きい値)は、処置が再開され得ることの指標である。あるいは、被験体において測定された値は、処置を受けた後の被験体の集団において測定されたコントロールの値(平均値+標準偏差)と比較され得る。あるいは、被験体において測定された値は、疾患の症状がない予防的に処置された被験体の集団または疾患特性の回復を示している治療的に処置された被験体の集団におけるコントロールの値と比較され得る。これらの場合のすべてにおいて、コントロールのレベルに対して有意な減少(すなわち、標準偏差以上)は、処置が被験体において再開されるべきであることの指標である。
投与後のポリペプチドプロファイルは、代表的には、抗体濃度が即座にピークに達し、その後、指数関数的な崩壊が起きることである。さらなる投薬なしに、その崩壊は、投与された抗体の半減期に依存して、数日から数ヶ月の間に処置前レベルに近づく。例えば、いくつかのヒト抗体の半減期は、20日程度である。
いくつかの方法において、被験体における所与の抗原に対するポリペプチドのベースライン測定値は、投与前のものであり、第2の測定値は、ポリペプチドレベルがピークであると判定された直後のものであり、そして1回以上のさらなる測定値は、ポリペプチドレベルの崩壊がモニタリングされる間隔におけるものである。ポリペプチドのレベルが、ベースラインまたはベースラインより低いピークの所定のパーセンテージ(例えば、50%、25%または10%)まで低下するとき、ポリペプチドのさらなる用量が投与される。いくつかの方法において、ピークまたはその後に測定されるバックグラウンドよりも低いレベルは、他の被験体において、有益な予防的または治療的な処置レジメンを構成するために以前に測定された参照レベルと比較される。測定されたポリペプチドレベルが、有意に参照レベルより小さい(例えば、処置から利益を得る被験体の集団における平均値から参照値の標準偏差1を引いた値より小さい)場合、ポリペプチドのさらなる投薬が示唆される。
さらなる方法としては、処置の経過にわたって、慣習的に研究者または医師による障害の診断またはモニタリングによって左右される、任意の当該分野で認められている生理学的な症状(例えば、身体的または精神的な症状)をモニタリングすることが挙げられる。
(F.併用療法)
本発明のポリペプチドは、必要に応じて、(例えば、予防的または治療的な)処置を必要とする障害または状態を処置する際に有効であると知られているか、または判定された他の薬剤(前出のVIII節の任意の薬剤を含む)と併用して投与されてもよい。さらに、本発明のポリペプチドは、ポリペプチド(polyeptide)、例えば、(例えば、PEG、タグ、薬物または標識)に官能性を付加する部分と結合体化され得る。
本発明のポリペプチドが、インビボにおいて腫瘍性細胞の増殖を排除するか、低減するか、阻害するか、または制御する任意の化学療法剤または薬剤(例えば、併用される治療的レジメンを提供する)と同時か、または併用して使用され得ることがさらに理解される。本発明と適合可能である例示的な化学療法剤としては、アルキル化剤、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、プロカルバジン、メトトレキサートおよびプレドニゾンが挙げられる。4種類の薬物の併用であるMOPP(メクレタミン(mechlethamine)(ナイトロジェンマスタード)、ビンクリスチン(Oncovin)、プロカルバジンおよびプレドニゾン)は、様々なタイプのリンパ腫を処置する際に非常に有効であり、また、本発明の好ましい実施形態を含む。MOPP耐性患者においては、ABVD(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン)、Ch1VPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)、CABS(ロムスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシンおよびストレプトゾトシン)、MOPP+ABVD、MOPP+ABV(ドキソルビシン、ブレオマイシンおよびビンブラスチン)またはBCVPP(カルムスチン、シクロホスファミド、ビンブラスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)併用が使用され得る。Arnold S.Freedman and Lee M.Nadler,Malignant Lymphomas,in HARRISON’S PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE 1774−1788(Kurt J.Isselbacher et al,eds.,13thed.1994)およびV.T.DeVita et al,(1997)ならびに標準的な投薬およびスケジュール計画についての本明細書中に引用される参考文献。これらの治療法は、変更せずに使用され得るか、または必要に応じて変更され得、特定の患者に対して、本明細書中に記載されるような本発明の1個以上の改変ポリペプチドと併用される。
本発明に関連して有用であるさらなるレジメンとしては、単一のアルキル化剤(例えば、シクロホスファミドもしくはクロラムブシル)または併用(例えば、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、CHOP(CVPおよびドキソルビシン)、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン)、CAP−BOP(CHOP+プロカルバジンおよびブレオマイシン)、m−BACOD(CHOP+メトトレキサート、ブレオマイシンおよびロイコボリン)、ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシドおよびロイコボリン+標準的なMOPP)、ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、メトトレキサートおよびロイコボリン)およびMACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、一定用量のプレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン))の使用が挙げられる。当業者は、これらのレジメンの各々についての標準的な用量およびスケジュール計画を容易に決定することができる。CHOPはまた、ブレオマイシン、メトトレキサート、プロカルバジン、ナイトロジェンマスタード、シトシンアラビノシドおよびエトポシドと併用される。他の適合可能な化学療法剤としては、2−クロロデオキシアデノシン(2−CDA)、2’−デオキシコホルマイシンおよびフルダラビンが挙げられるが、これらに限定されない。
緩解または再発が達成されない、中間の悪性度および高悪性度のNHLに罹患している患者に対して、救済療法が使用される。救済療法は、単独または併用で薬物(例えば、シトシンアラビノシド、カルボプラチン、シスプラチン、エトポシドおよびイホスファミド)を使用する。特定の腫瘍性の障害の再発型または高悪性度の型において、以下のプロトコールを使用することが多い:各々、周知の投薬速度および投薬スケジュールによる、IMVP−16(イホスファミド、メトトレキサートおよびエトポシド)、MIME(メチル−gag、イホスファミド、メトトレキサートおよびエトポシド)、DHAP(デキサメタゾン、高用量シタラビンおよびシスプラチン)、ESHAP(エトポシド、メチルプレドニゾロン(methylpredisolone)、HDシタラビン、シスプラチン)、CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾンおよびブレオマイシン)およびCAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニゾン)。
本発明の改変ポリペプチドとの併用で使用される化学療法剤の量は、被験体によって変化し得るか、または当該分野で公知のことに従って、投与され得る。例えば、Bruce A Chabner et al.,Antineoplastic Agents,in GOODMAN & GlLMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS 1233−1287((Joel G.Hardman et al.,eds.,9thed.1996)を参照のこと。
改変ポリペプチドは、本明細書中に記載されるように投与され得るが、他の実施形態において、改変ポリペプチドが一次治療として別の健常患者に投与され得ることが強調されなければならない。このような実施形態において、改変ポリペプチドが、正常か、または平均の赤色骨髄予備能を有する患者および/または経験したことがなく、その時点でも経験していない患者に投与され得る。本明細書中で使用されるとき、補助的治療と同時か、または併用される改変ポリペプチドの投与は、連続して、同時に、同一の広がりを有して、一致して、併用して、または同時期に、治療および開示される抗体を投与または適用されることを意味する。処置のすべての有効性を高めるために、併用される治療的レジメンの様々な成分の投与または適用の時機を合わせられることがあることを当業者は理解する。例えば、化学療法剤は、処置の標準的な周知の経過で投与され得、それに続いて、数週間、本発明の放射性免疫結合体が投与され得る。逆に、細胞毒に関連する改変ポリペプチドが、静脈内投与された後、腫瘍に局在した外照射療法が実施され得る。なおも他の実施形態において、改変ポリペプチドは、1回の外来診療で、1つ以上の選択される化学療法剤と同時に投与され得る。当業者(例えば、経験豊かな腫瘍学者)は、選択される補助的治療および本明細書の教示に基づいて、過度の実験なしで有効な治療的レジメンの併用を容易に識別することができるだろう。
この点に関して、改変ポリペプチドと化学療法剤との併用が、患者に治療的な利点を提供する任意の順序および期間内で投与され得ることが理解される。すなわち、化学療法剤および改変ポリペプチドは、任意の順序か、または同時に投与され得る。選択される実施形態において、本発明の改変ポリペプチドは、化学療法を以前に経験している患者に投与され得る。なおも他の実施形態において、改変ポリペプチドおよび化学療法的な処置は、実質的に同時または一致して投与され得る。例えば、患者は、改変抗体を投与され得る一方で、化学療法を受ける。好ましい実施形態において、改変抗体は、任意の化学療法剤または処置の1年以内投与され得る。他の好ましい実施形態において、改変ポリペプチドは、任意の化学療法剤または処置の10、8、6、4または2ヶ月以内に投与され得る。なおも他の好ましい実施形態において、改変ポリペプチドは、任意の化学療法剤または処置の4、3、2または1週間以内に投与され得る。なおも他の実施形態において、改変ポリペプチドは、選択される化学療法剤または処置の5、4、3、2または1日以内に投与され得る。2種類の薬剤または処置が、およそ数時間または数分以内に(すなわち実質的に同時に)患者に投与され得ることがさらに理解される。
(IX.薬学的組成物)
本発明の治療的な組成物は、本明細書中に記載されている方法によって作製されたポリペプチドの少なくとも1つを薬学的に許容可能なキャリア中に含む。「薬学的に許容可能なキャリア」とは、活性成分の投与に通常使用される薬学的調製物の少なくとも1つの成分のことをいう。同様に、キャリアは、当該分野で使用される任意の薬学的賦形剤および投与用のビヒクルの任意の形態を含み得る。組成物は、例えば、注射可能な溶液、水性懸濁液または溶液、水性でない懸濁液または溶液、固体および液体の経口処方物、軟膏(salve)、ゲル、軟膏(ointment)、皮内パッチ、クリーム、ローション、錠剤、カプセル、徐放性処方物などであり得る。さらなる賦形剤としては、例えば、着色料、味覚マスキング剤、溶解促進剤、懸濁剤、圧迫剤、腸溶コーティング、徐放促進剤などが挙げられ得る。
本発明の薬剤は、活性な治療薬、すなわち、および種々の他の薬学的に許容可能な成分を含む薬学的組成物として投与されることが多い。Remington’s Pharmaceutical Science(15th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(1980))を参照のこと。好ましい形態は、投与および治療的な適用の意図される様式に依存する。組成物はまた、所望の処方物に依存して、薬学的に許容可能な、無毒性のキャリアまたは希釈剤が挙げられ得、それらは、動物またはヒトへの投与のための薬学的組成物を処方するために通常使用されるビヒクルとして定義されている。希釈剤は、その組み合わせ物の生物学的活性に影響を与えないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理学的リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液およびハンクス溶液である。さらに、薬学的組成物または薬学的処方物はまた、他のキャリア、アジュバントまたは無毒性、非治療的、非免疫原性の安定剤などが挙げられ得る。
ポリペプチドは、蓄積注射または植込調製物の形態で投与され得、活性成分の徐放を可能にするような様式で処方され得る。例示的な組成物は、50mMのL−ヒスチジン、150mMのNaCl(HClでpH6.0に調整した)からなる水性緩衝液中に処方されたポリペプチドを5mg/mLで含む。例示的な一般的な処方緩衝液は、20mMのクエン酸ナトリウム,pH 6.0、10%スクロース、0.1%Tween 80である。
代表的には、組成物は、注射可能な物質、液体の溶液または懸濁液のいずれか;溶液または懸濁液中に適した固体の形態として調製され、液体ビヒクルはまた、注射前に調製され得る。調製物はまた、乳化され得るか、またはリポソームもしくは微粒子(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコリドまたはアジュバントの効果を高めるための、上で記述したような共重合体)内にカプセル化され得る(Langer,Science 249:1527,1990およびHanes,Advanced Drug Delivery Reviews 28:97,1997を参照のこと)。
一般に、本発明の実施にあたっては、他に示されない限り、化学、分子生物学、組換えDNA技術、免疫学(特に、例えば、抗体技術)および電気泳動の標準的な技術の従来技術を使用する。例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis,Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Antibody Engineering Protocols(Methods in Molecular Biology),510,Paul,S.,Humana Pr(1996);Antibody Engineering:A Practical Approach(Practical Approach Series,169),McCafferty,Ed.,Irl Pr(1996);Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow et al,C.S.H.L.Press,Pub.(1999);およびCurrent Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wiley & Sons(1992)を参照のこと。
本発明は、限定すると解釈されるべきでない、以下の実施例によってさらに説明される。本出願を通して引用されたすべての参考文献、特許および公開されている特許出願ならびに列挙する図および配列の内容は、本明細書によって参考として援用される。
(実施例1.B3F6抗体のヒト化)
B3F6のVL鎖をヒト化するために、フレームワーク配列gi−21669417(BAC01733)をアクセプターとして選択した。
FR残基2が、ドナーとアクセプターとの間で異なる(ドナーではF、アクセプターではV)ことが配列解析により明らかになった。その残基は、ペプチド抗原の結合に関連するH93(CDR−L3に存在)と相互作用するので、その残基が重要であると同定した。
2位のF周辺の軽鎖環境を、ドナー抗体において調べた。1つの実施形態において、ドナーDRL1における29位のIを、Fに変化させた。別の実施形態において、93位のHをHのままにするか、またはIもしくはYに変化させた。別の実施形態において、93位のHをWに変化させた。別の実施形態において、93位のHをIまたはYに変化させた。
ドナーマウスのB3F6、アクセプターおよび種々のヒト化設計物の軽鎖のアラインメントを図1に示した。FRにおいて異なるアミノ酸残基およびヒト化型で変化させた位置を太字とした。Kabat番号を、アラインメントの上部に示した。
B3F6のVH鎖をヒト化するために、フレームワーク配列gi−14289106(AAK57792)をアクセプターとして選択した。FR残基48、67、71、73、93および112が、ドナーとアクセプターとの間で異なることが配列解析により明らかになった。48位に関して、この残基は、CDR−H2に近接していることが見出され、ペプチド抗原には近接しない。残基67は、CDR−H2に近接していることが見出され、ペプチド抗原には近接しない。残基71は、正準的であると知られるがゆえに、重要であると分類された(ドナーではV、アクセプターではR)。残基73は、CDR−H2に近接していることが見出され、ペプチド抗原には近接しない。残基93に関して、この残基は、界面残基であることが見出されたが、明らかな側鎖接触は見られなかった。残基112は、通常見られないヒト残基であることが見出された。
V71の周辺の重鎖環境をドナー抗体において調べた。1つの実施形態において、51位のNをLに変化させた。また、51位のNをIに変化させた。
ドナーマウスB3F6、アクセプターおよび種々のヒト化設計物の重鎖のアラインメントを図2に示した。FRにおいて異なるアミノ酸残基およびヒト化型で変化させた位置を太字とした。Kabat番号をアラインメントの上部に示す。
(実施例2:HP1/2抗体のヒト化)
マウスHP1/2のVHドメイン(配列番号19)をヒト化するために、ヒト生殖細胞系フレームワークIGHV−1f(配列番号20)を、アクセプターとして選択した。マウスHP1/2のFabフラグメントのX線構造のコンピュータによる解析から判断されるとき、マウスHP1/2抗体は、CDR−H1の残基F27、T32およびCDR−H1のM34、CDR−H3のM96ならびにFR1のA24と相互作用する特異な正準的な残基D94(Kabat番号)を有する。
ヒトアクセプターフレームワークIGHV−1fが、94位において、マウスのアスパラギン酸残基の代わりにトレオニンを有することが配列アラインメント解析(図4を参照のこと)から示唆された。VH CDR移植(配列番号21)は、マウスHP1/2のCDR−H1およびCDR−H3と比較すると、異なるCDR−H1高次構造およびCDR−H3高次構造を有すると予測された。CDRの27位、32位、34位および96位ならびにフレームワークの24位における可能性のある置換のコンピュータによる解析により、94位のトレオニンを可能にさせるCDR−H1およびCDR−H3の高次構造を維持した溶液構造が明らかになった。
1つの実施形態において、24位のVを、Aに変化させ、32位のTをVに変化させる一方で、27位のF、34位のMおよび96位のMを保持した(V24A_T32V;配列番号22)。この実施形態の3Dモデルにおいて、27位のFの側鎖は、24位のAの側鎖と相互作用し、T94側鎖の非極性部分は、32位のVおよび34位のMと相互作用する。この相互作用ネットワークを、ドナーマウスのCDR−H1の高次構造と類似の、新規に設計されたCDR−H1の高次構造に反映する。ドナーHP1/2抗体およびV24A_T32Vヒト化設計物の3次元(Tree−dimensional)表示を図6に示す。
別の実施形態において、24位のVをFに変化させ、32位のTをVに変化させる一方で、27位のF、34位のMおよび96位のMを保持した(V24F_T32V;配列番号23)。この実施形態の3Dモデルにおいて、27位のFの側鎖は、24位のFの側鎖と相互作用し、そしてT94側鎖の非極性の部分は、32位のVおよび34位のMと相互作用する。この相互作用ネットワークを、ドナーマウスのCDR−H1の高次構造と類似の、新規に設計されたCDR−H1の高次構造に反映する。
別の実施形態において、24位のVをSに変化させ、27位のFをYに変化させ、そして32位のTをVに変化させる一方で、34位のMおよび96位のMを保持する(V24S_F27Y_T32V;配列番号24)。この実施形態の3Dモデルにおいて、27位のYの側鎖、24位のSの側鎖および94位のTの側鎖と水素結合を形成する一方で、T94側鎖の非極性の部分は、32位のVと相互作用する。この相互作用ネットワークを、ドナーマウスのCDR−H1の高次構造と類似の、新規に設計されたCDR−H1の高次構造に反映する。
別の実施形態において、27位のFをKに変化させ、32位のTをVに変化させ、そして96位のMをLに変化させる一方で、24位のVおよび34位のMを保持する(F27K_T32V_M96L;配列番号25)。この実施形態の3Dモデルにおいて、27位のKの側鎖が、94位のTの側鎖と水素結合を形成するだけでなく、非極性が24位のV、32位のVおよび100位のLと接触する一方で、T94側鎖の非極性部分は、34位のMと相互作用する。この相互作用ネットワークは、ドナーマウスのCDR−H1に類似の高次構造の新たに設計されたCDR−H1を置く。
マウスHP1/2およびVL配列のX線構造のコンピュータによる解析(図5)により、マウスHP1/2のVLドメイン(配列番号26)のCDRが、ヒト生殖細胞系アクセプターフレームワークB3(配列番号27)に適合することが明らかになった。それゆえ、VL CDR移植(配列番号10)を構築した(配列番号28)。VLに対するこのアプローチの正当性は、HP1/2抗体についての異なるヒト化の試みにおいて証明された。
(実施例3:α4β1/mAb HP1/2Fab ELISA結合アッセイ)
VL CDR移植と対を成した実施例2の様々なVHヒト化改変体のHP1/2Fabフラグメントを発現し、そして精製されたα4/β1VLA4インテグリンに対するそれらの結合親和性をマウスのVHおよびVLドメインを有するキメラFabとのELISA結合アッセイにおいて比較した。
このアッセイにおいて、1μg/mlの精製VLA4(10μg/mlのBSAを含む50mMのNaHCO3緩衝液(pH9.2)中)を96ウェル(100μl/ウェル)Corning Easy−washプレートにコートし、そして4℃で一晩インキュベートした。インキュベート後、そのプレートを、150μl/ウェルのブロッキング緩衝液(50mMのTris−HCl pH7.5、150mMのNaClおよび2%粉乳)で60分間、室温にてブロッキングした。次いでそのプレートをTBS洗浄緩衝液(50mMのTris−HCl pH 7.5、150mMのNaCl、0.05%Tween−20)で4回洗浄した。試験されるべき各HP1/2Fabの希釈物を結合緩衝液(2%粉乳を含むTBS緩衝液)中に調製し、各希釈物の100μlを指定されたウェルに加えた(100μlのTBSアッセイ緩衝液をブランクコントロールとして使用した)。次いで、そのプレートを60分間、室温にてインキュベートし、そしてTBS洗浄緩衝液で4回洗浄した。検出抗体(ヤギ抗ヒトIgG−HRP結合体化抗体)を100μl/ウェルで加え、そしてそのプレートを再度、室温で60分間インキュベートし、TBS洗浄緩衝液で洗浄した後、100μl/ウェルのHRP基質緩衝液を加え、そしてさらに30〜60分間インキュベートした。反応を停止するために、100μlの1NのH2SO4を各ウェルに加えた。そのプレートをMolecular Devices ELISAプレートリーダーで450nMにて読み取り、そのデータをSoftmaxソフトウェアで解析し、EC50値をGraphPad Prism4で算出した。VHドメインおよびVLドメインを有する試験Fabフラグメントについて観察されたEC50値を表2にまとめた。すべてのヒト化改変体が、VLA−4に対して高い親和性で結合する能力を維持していた一方で、直鎖CDR移植は、有意に低い能力だった。
(表2:キメラおよびヒト化HP1/2FAbのVLA−4結合親和性)
Figure 2008531060
(等価物)
当業者にとっては、単なる慣習的な実験法を使用することにより、本明細書中に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物が得られる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されると意図される。
Figure 2008531060
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図1は、ドナーマウスのB3F6、アクセプターおよび作製された種々のヒト化型の軽鎖のアラインメントを示す。マウスB3F6の可変軽鎖を配列番号3に示し、BAC01733の可変軽鎖を配列番号4に示し、そしてヒトアクセプターに移植したマウスB3F6CDRの可変軽鎖を配列番号5に示した。本発明の方法に従ってヒト化されたヒト化B3F6の種類を、配列番号6〜13に示す。ドナー配列にのみ見られるFRアミノ酸残基を太字かつ斜体とし、CDRと相互作用する正準的な残基を太字で示す。変異のために選択されたCDR残基の位置を星印で示す。Kabat番号をアラインメントの上部に示す。 図2は、ドナーマウスのB3F6、アクセプターおよび作製された種々のヒト化型の重鎖のアラインメントを示す。マウスのB3F6の可変重鎖を配列番号14に示し、AAK57792の可変重鎖を配列番号15に示し、そしてヒトアクセプターに移植されたマウスのB3F6のCDRの可変重鎖を配列番号16に示す。本発明の方法に従ってヒト化されたヒト化B3F6の種類を、配列番号17および18に示す。注釈は、図1と同じである。 図3のパネルAは、従来のヒト化を行った後のB3F6抗体分子の軽鎖および重鎖の3次元表示を示す。従来のヒト化の方法は、マウスのCDR残基I29およびH98の高次構造を支持するために、ヒトフレームワークのVLのアミノ酸2位のヒト残基Vのマウス残基Fへの逆変異を必要とする。パネルBは、本明細書中で記載される方法を使用して別のヒト化を行った後の同じ軽鎖および重鎖を示す。これらの方法により、ヒトフレームワークのVLの2位のヒトアミノ酸Vの保持が可能になる一方で、29位(IからF)および98位(HからY)の変異が、CDRに導入されることにより、CDR高次構造が保存される。 図4は、ドナーマウスのHP1/2、生殖細胞系アクセプター(huIGHV1−f)および作製された種々のヒト化型の重鎖可変領域(VH)のアラインメントを示す。マウスHP/2の可変重鎖を配列番号19に示し、huIGHV1−fの可変重鎖を配列番号20に示し、そしてヒトアクセプターに移植されたマウスのHP1/2CDRの可変重鎖を配列番号21に示す。本発明の方法に従ってヒト化されたHP1/2重鎖の種類を、配列番号22〜25に示す。ドナー配列およびアクセプター配列内に見られる正準的なアミノ酸残基を下線で示し、かつ斜体にした。CDRの位置を網掛け部分によって示し、変異のために選択された残基の位置を下線で示し、かつ太字にした。Kabat番号を、アラインメントの上部に示す。 図5は、ドナーマウスHP1/2、生殖細胞系アクセプター(B3)の軽鎖可変領域(VL)のアラインメントを示し、CDR移植を図2に示す。マウスのHP1/2の可変軽鎖を配列番号26に示し、B3の可変軽鎖を配列番号27に示し、ヒトアクセプターに移植されたマウスHP1/2のCDRの可変軽鎖を配列番号28に示す。注釈は、図4と同じである。 図6のパネルAは、HP1/2抗体分子の軽鎖および重鎖の3次元表示を示す。VHフレームワークは、白色リボンで示され、VLフレームワークもまた白色リボンで示されているが、左下角にのみ見られる。VHのCDR−H1領域およびCDR−H3領域は、黒色細い棒の側鎖を伴う黒色のリボンで示されており、CDR−H1残基27および32は、太い黒色の棒で示されており、重要な24および94のVHフレームワーク残基は、太い白色の棒で示されている。パネルBは、V24A_T32V設計物を示す。

Claims (49)

  1. a)アクセプターIg可変領域由来の可変領域フレームワーク(FR)アミノ酸残基およびb)非ヒトドナーIg可変領域由来の相補性決定領域(CDR)を含む免疫グロブリン(Ig)可変領域をヒト化する方法であって、該方法は、
    i)少なくとも1つのCDRの3次元高次構造の予測を可能にするデータを提供する工程;
    ii)FRアミノ酸残基が、該少なくとも1つのCDRの3次元高次構造に影響を及ぼすと予測されると同定する工程;
    iii)選ばれたアミノ酸残基で置換するための少なくとも1つの候補ドナーCDRアミノ酸残基を同定する工程であって、ここで、該選ばれたアミノ酸残基は、該CDR高次構造に影響を及ぼさずに、ドナーIg可変領域とアクセプターIg可変領域との間のFRアミノ酸残基の差異を高次構造的に調節する工程;および
    iv)該選ばれたアミノ酸残基で該少なくとも1つの候補ドナーCDRアミノ酸残基を置換することにより、ヒト化Ig可変領域を形成する工程
    を含む、方法。
  2. 工程(iii)が、第2の選ばれたアミノ酸残基で置換するための少なくとも1つの候補アクセプターFR残基を同定する工程をさらに含み、ここで、該第2の選ばれたアミノ酸残基は、CDR高次構造に影響を及ぼさずに、前記ドナーIg可変領域と前記アクセプターIg可変領域との間のFRアミノ酸残基の差異を高次構造的に調節する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(iv)が、前記第2の選ばれたアミノ酸残基で前記少なくとも1つの候補アクセプターFR残基を置換する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(i)が、非ヒトドナーIg可変領域の3次元(3D)構造を評価する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(i)が、前記非ヒトドナーIg可変領域のX線回折データを評価する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 工程(i)が、前記非ヒトドナーIg可変領域のコンピュータで生成されたモデルを評価する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  7. a)アクセプターIg可変領域由来の可変フレームワーク領域(FR)およびb)非ヒトドナーIg可変領域由来の相補性決定領域(CDR)を含むヒト化Ig可変領域を設計する方法であって、該方法は、
    (a)前記アクセプターIg可変領域と前記ドナーIg可変領域との間で異なるフレームワーク領域(FR)アミノ酸を同定する工程;
    (b)工程(a)で同定された該FRアミノ酸に隣接するアミノ酸を同定する工程;
    (c)工程(a)で同定されたFRアミノ酸を高次構造的に調節する選ばれたアミノ酸残基で置換するために、工程(b)で同定されたアミノ酸由来の少なくとも1つの候補アミノ酸を同定する工程
    を含む、方法。
  8. 工程(a)で同定されたFRアミノ酸が、正準的なFR残基である、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(b)で同定されたアミノ酸が、工程(a)で同定されたFRアミノ酸に直接隣接している、請求項7に記載の方法。
  10. 工程(b)で同定されたアミノ酸が、工程(a)で同定されたFRアミノ酸から3D空間で約4Å内である、請求項7に記載の方法。
  11. 前記選ばれたアミノ酸残基が、側鎖再パッキングによって同定される、請求項7に記載の方法。
  12. 前記選ばれたアミノ酸残基が、可能性のあるすべてのアミノ酸の、可能性のあるすべてのロータマーから選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記選ばれたアミノ酸残基が、可能性のあるすべてのアミノ酸の、可能性のあるすべてのロータマーの一部から選択される、請求項11に記載の方法。
  14. 前記選ばれたアミノ酸残基が、工程(a)で同定されたFRアミノ酸と同じFRアミノ酸を有する相同な抗体可変領域配列のセット内の候補アミノ酸の位置で最もよく存在するアミノ酸として同定される、請求項7に記載の方法。
  15. 前記一部が、工程(a)で同定されたFRアミノ酸と同じFRアミノ酸を有する相同な抗体可変領域配列のセット内の候補アミノ酸の位置で通常存在するアミノ酸の可能性のあるすべてのロータマーを含む、請求項11に記載の方法。
  16. 前記候補アミノ酸の位置で前記選ばれたアミノ酸残基を置換する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  17. ヒト化Ig可変領域を設計する方法であって、該方法は、
    a)非ヒトドナーIg可変領域を選択する工程;
    b)アクセプターIg可変領域を選択する工程;
    c)選ばれたアミノ酸残基で置換するための該ドナーIg可変領域における少なくとも1つの候補CDRアミノ酸残基を同定する工程
    を含み、ここで:
    (i)該候補CDRアミノ酸残基は、該アクセプターIg可変領域のFRアミノ酸残基に直接隣接しているか;または
    (ii)該候補CDRアミノ酸残基は、そのファンデルワールス表面が、3D免疫グロブリンモデルにおける該アクセプターIg可変領域のFRアミノ酸残基の約4Å内である側鎖原子を有すると予測され、そして該ヒト化Ig鎖の少なくとも1つの可変領域FRアミノ酸残基と相互作用すると予測される、
    方法。
  18. 工程c)が、第2の選ばれたアミノ酸残基で置換するために前記アクセプターIg可変領域内の少なくとも1つの候補FRアミノ酸残基を同定する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法であって、ここで:
    (i)該候補FRアミノ酸残基は、該ドナーIg可変領域のCDRアミノ酸残基に直接隣接しているか;または
    (ii)該候補FRアミノ酸残基は、そのファンデルワールス表面が、3D免疫グロブリンモデルにおける該ドナーIg可変領域のCDRアミノ酸残基の約4Å内である側鎖原子を有すると予測され、そして該ヒト化Ig鎖の少なくとも1つの可変領域CDRアミノ酸残基と相互作用すると予測される、
    方法。
  19. 前記候補CDRアミノ酸残基の位置において前記選ばれたアミノ酸残基を置換する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  20. 前記候補FRアミノ酸残基の位置において前記第2の選ばれたアミノ酸残基を置換する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記ヒト化Ig可変領域が、無処置の抗体分子内に存在する、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  22. 前記ヒト化Ig可変領域が、抗体分子のフラグメント内に存在する、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  23. 前記ヒト化Ig可変領域が、抗体、抗体軽鎖(VL)、抗体重鎖(VH)、一本鎖抗体(scFv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fdフラグメントおよび単一ドメインフラグメントからなる群から選択される分子内に存在する、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  24. 前記ヒト化Ig可変領域が、軽鎖可変領域である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  25. 前記ヒト化Ig可変領域が、重鎖可変領域である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  26. 前記ヒト化Ig可変領域が、少なくとも1つの可変領域FRアミノ酸置換を含む、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  27. 前記アクセプターIg可変領域が、ヒト抗体由来である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  28. 前記アクセプターIg可変領域が、ヒトコンセンサス配列由来である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  29. 前記アクセプターIg可変領域が、ヒト生殖細胞系配列由来である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  30. 前記方法が、少なくとも1回繰り返される、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  31. 前記方法が、インシリコで実施される、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  32. 前記ヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドを発現する工程をさらに含む、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  33. 前記ポリペプチドが、無細胞性抽出物発現系、ファージディスプレイ発現系、原核細胞発現系および真核細胞発現系からなる群から選択される発現系で発現される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記非ヒトドナーIg可変領域が、マウス抗体由来である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  35. 前記非ヒトドナーIg可変領域が、霊長類抗体由来である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  36. 請求項1、7または17のいずれかに記載の方法によって作製される前記ヒト化可変領域を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
  37. 請求項36に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
  38. 請求項1、7または17のいずれかに記載の方法によって作製される前記ヒト化Ig可変領域を含むポリペプチド。
  39. 請求項38に記載のポリペプチドを含む薬学的組成物。
  40. ヒトの疾患または障害の治療または予防が達成されるような治療有効量の請求項38に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、該ヒトの障害または疾患を処置または予防するための方法。
  41. 抗体またはその結合フラグメントが発現される条件下で、請求項40に記載の宿主細胞を培養することによって産生される、抗体またはその結合フラグメント。
  42. 少なくとも1つのドナーIg可変領域が、抗VLA−4抗体、抗Cripto抗体、抗CD40L抗体および抗MCP抗体からなる群から選択される抗体由来である、請求項1、7または17のいずれかに記載の方法。
  43. 配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ヒト化Ig重鎖可変領域。
  44. 請求項43に記載のヒト化Ig重鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  45. 配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域をさらに含む、請求項44に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  46. 請求項44または45に記載の抗体を含む薬学的組成物。
  47. ヒトの疾患または障害の治療または予防が達成されるような治療有効量の請求項46に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、該ヒトの障害または疾患を処置または予防するための方法。
  48. 前記ヒトの障害または疾患が、炎症性の疾患または障害である、請求項47に記載の方法。
  49. 配列番号19として示されるIg重鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
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