JP2008528059A - 分化細胞を治療用に再プログラム化するための核の材料の使用 - Google Patents

分化細胞を治療用に再プログラム化するための核の材料の使用 Download PDF

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サイア,ションシー・ビー
シルヴァ,フランシスコ・ジェイ
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プライムジェン バイオテック エルエルシー
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Abstract

分化細胞における多能性のエピジェネティックな状態を産生するため、多能性幹細胞由来の核抽出物を用いて分化細胞を治療用に再プログラム化するための方法を提供する。加えて、患者において治療で使用するための、治療用にプログラムされた細胞を提供する。治療用にプログラムされた細胞は、刺激因子との接触後、より分化した状態、またはより分化していない状態のいずれかを表示するように成熟させた幹細胞である。

Description

関連する出願
[0001]本出願は、米国特許法 35 U.S.C. §119 (e)の下に2005年2月2日に提出された米国仮特許出願第60/649,847号に対する優先権を主張し、そして米国特許法 35 U.S.C. §119 (e)の下に2004年7月15日に提出された米国仮特許出願第60/588,146号に対する優先権を主張する、2005年2月2日に提出された米国特許出願第11/060,131号の一部継続出願であり、これらの全内容を本明細書にてそれら全体において参照として援用する。
発明の技術分野
[0002]本発明は治療用に再プログラム化された細胞の技術分野に関する。具体的には加齢プロセスにより損なわれていない、免疫学的に適合する、そして適当な出生後の細胞環境において機能して移植後の機能的な細胞を得られる、治療用に再プログラムされた細胞を提供する。より具体的には本発明は、遺伝的材料を含有しない核抽出物を用いての治療用再プログラム化細胞に関する。
発明の背景
[0003]幹細胞は、他のタイプの細胞を生み出す原始的な細胞である。“前駆細胞”とも呼ばれ、いくつかの種類の幹細胞がある。全能性細胞は、体の細胞に加えて、ヒトの胚に栄養を与える胎盤の細胞をすべて創るために必要なすべての遺伝的情報を含有するため、体の“マスター”細胞と考えられている。ヒトの細胞は、受精卵の最初の数回の分割の間しかこの全能性の能力を有してはいない。全能性細胞の3から4回の分割後、細胞がますます特定化されるようになる一連のステージが続いてある。分割の次のステージは多能性(pluripotent)細胞に至るが、この細胞は高度に万能であり、胎盤またはその他の子宮の支持組織の細胞を除くあらゆる細胞タイプを生み出すことができる。次のステージで細胞は、それら細胞はいくつかの他の細胞タイプを生み出すことはできるが、それらのタイプの数は限定されることを意味する、多分化能(multipotent)となる。多分化能細胞の一例は、造血細胞−すなわちいくつかのタイプの血液細胞に発達することはできるが、脳細胞に発達することはできない血液細胞である。胚を作り上げる細胞分割の長い連鎖の最後に、“高分化”細胞−すなわち永久的に特定の機能にコミットされたと考えられる細胞がある。
[0004]科学者は、分化細胞が自然にコミットされた方向以外のいかなる方向で振舞うようにそれらを変化させることも、またはそのように振る舞うことを引き起こすこともできないという見解を長く抱いてきた。しかしながら最近の幹細胞の実験において、科学者らは血液幹細胞にニューロンのように振舞うよう説得することができた。それ故研究はまた、多分化能細胞を多能性細胞にする方向に焦点が当てられるようになった。
[0005]幹細胞は、器官の維持および機能に必要な膨大な範囲の細胞組織タイプを生み出すことができる稀な細胞の集団である。これらの細胞は、2つの基本的特徴を有する未分化細胞として定義される;すなわち(i)それらは自己再生の能力を有する、(ii)それらはまた、成熟した表現型を有する1つまたはそれより多くの特定化された細胞に分化する能力を有する。幹細胞には3つの主要な群がある;すなわち(i)成体または体性(出生後の)幹細胞、これはすべての出生後の生物体中に存在する、(ii)胚性幹細胞、これは前胚または胚の発達のステージに由来することができる、そして(iii)胎児性(出生前の)幹細胞、これは発達中の胎児から単離することができる。幹細胞の各群は、細胞再生療法に関して、具体的には、適当なまたは標的の細胞環境において新たに生着し機能するそれらの分化の潜在性および能力において、各群自体の利点および不利な点を有する。
[0006]出生後の動物において、系譜にコミットされた前駆幹細胞、および系譜にコミットされていない多能性幹細胞である細胞があり、これらは出生後の生物体に、器官または器官系の継続的な維持および修復のために必要な細胞を提供する結合組織中に存在する。これらの細胞は体性幹細胞または成体幹細胞と呼ばれ、静止状態であることもまたは非静止状態であることもできる。典型的には成体幹細胞は2つの特徴を共有する:すなわち(i)それらは長期間の間それら自身と同一のコピーを作ることができる(長期間の自己再生);および(ii)それらは特徴的な形態および特定化された機能を有する成熟した細胞タイプを生み出すことができる。
[0007]幹細胞の生物学の理解の多くは、造血幹細胞および骨髄移植後のそれらの振舞いに由来してきた。骨髄ニッチ内にいくつかのタイプの成体幹細胞が存在し、各々がそれらの細胞環境に関連して、独特の特性および多様な分化能力を有する。ヒト骨髄から単離され、免疫前ヒツジ胎仔のin utero(子宮内)に移植された体性幹細胞は、多数の組織内に異種移植できる能力を有する。骨髄ニッチ内にはまた、間葉系幹細胞があり、これは骨、軟骨、脂肪、腱、肺、筋肉、骨髄間質、および脳の組織を含む、広範囲の非造血細胞への分化能力を有する。加えて神経幹細胞、膵幹細胞、筋幹細胞、脂肪幹細胞、卵巣幹細胞、および精原幹細胞も見出された。体性幹細胞または出生後幹細胞の治療上の有用性は、骨髄移植での使用を通して実証され、理解されてきた。しかしながら成体体性幹細胞は、加齢および細胞分割により変化してしまったゲノムを有する。加齢は、遊離ラジカルの侵襲または酸化的損傷の蓄積を結果的にもたらし、そのことが細胞が新生物を形成する素因となり、細胞の分化能力を低減し、またはアポトーシスを誘発する可能性がある。繰り返された細胞分割は、細胞の機能的ライフスパンを決定する究極の細胞時計であるテロメアの短小化に直接関係する。結果的に成体体性幹細胞は、胚性幹細胞および出生前幹細胞に見出される生理学的初期状態から十分に分岐してしまったゲノムを有する。
[0008]残念ながら、幹細胞を含む成体動物体内のすべての体細胞は実質的に、時間および繰り返された細胞分割により破綻したゲノムを保有する。したがって今日まで、損傷を受けていないまたは生理学的初期状態のゲノムを有する幹細胞を入手する唯一の手段は、中絶胚またはin vitroの受精技術を用いて形成された胚から幹細胞を回収することしかなかった。しかしながら科学的および倫理的考察から、胚性幹細胞を用いての幹細胞の研究の進行は鈍化していた。胚性幹細胞株の産生は、研究および治療の双方のための胚性幹細胞の再生可能な原料を提供すると考えられてきたが、最近の報告は、現存する細胞株は免疫原性の動物の分子により汚染されていたことを示している。
[0009]成体幹細胞を用いることに関連するもう1つの問題は、これらの細胞が免疫学的に特権を与えられていないこと、または移植後にそれらの免疫学的特権を喪失する可能性があることである。(“免疫学的に特権を与えられた”という用語は、レシピエントの免疫系がその細胞を外来種と認識しない状態を表すために使用する)。したがって成体幹細胞を使用するほとんどのケースにおいて、自家移植しか可能ではない。したがって、幹細胞療法の現在構想されるほとんどの形は、本質的にカスタムメイドの医学的方法であり、それ故そのような方法に関連する経済的因子が、それらの広範な潜在性を限定する。今日利用可能な使用への付加的な障壁
[0010]さらに幹細胞は、治療として有用であることが所望される器官または細胞のタイプに成熟するように誘導されなければならない。in vivoにおいて幹細胞の成熟に影響を与える因子は、不十分にしか理解されておらず、ex vivoにおいてさえ十分に理解されてはいない。したがって現在の成熟技術は、運良く発見されたもの、そして投与する科学者またはレシピエントのコントロールを大きく超えた生物学的プロセスを頼りとしている。
[0011]今日の研究は、細胞再生療法において使用するための、全能性または多能性の免疫学的に特権を与えられた細胞の原料として、胚性幹細胞を開発することに焦点が当てられている。しかしながら胚性幹細胞は移植後に奇形腫を形成するため、胚性幹細胞そのものは直接移植するには適当ではないと思われることから、それらは、移植用に適当であるカスタムメイドの多能性細胞、多分化能細胞、またはコミットされた細胞に分化させることのできる、“万能のドナー”細胞として提案されている。加えてヒト胚からの胚性幹細胞の単離に関連する道徳的および倫理的問題がある。
[0012]それ故、ほぼ生理学的に初期状態のゲノムを有する、生物学的に有用な多能性幹細胞の原料が必要とされている。さらに、治療上有用であるための十分な時間の間、レシピエント内でそれらの免疫学的特権を維持する、ほぼ生理学的に初期状態のゲノムを有する、生物学的に有用な多能性幹細胞の原料が必要とされている。加えて、移植された幹細胞が意図した組織に成熟する潜在性を最大にするため、in vivo またはex vivoのいずれかにおいて幹細胞移植片を調製することが必要とされている。
発明の概要
[0013]本発明は、最小の酸化的損傷を有し、そして損傷を受けていない、出生前の、または胚性の幹細胞のテロメアの長さに比べて勝るとも劣らないテロメアの長さを有する、生物学的に有用な多能性の、治療用に再プログラム化された細胞を提供する(すなわち本発明の治療用に再プログラム化された細胞は、ほぼ初期の生理学的状態のゲノムを保有する)。さらに本発明の治療用に再プログラム化された細胞は、免疫学的に特権を与えられており、それ故治療への適用に適する。
[0014]本発明の1つの態様において、分化細胞を単離すること、多能性幹細胞から核抽出物を調製すること;そして分化細胞を核抽出物と共にインキュベートして再プログラム化された多能性細胞を形成すること、を包含する、分化細胞を治療用に再プログラム化する、多能性細胞を得るための方法を提供する。
[0015]本発明の方法のもう1つの態様において、分化細胞は、前胚、胚、胎児、および出生後の多細胞生物体、または始原性細胞(primordial sex cell)から成る群より選択される細胞に由来する、あらゆる二倍体(2N)細胞である。なおもう1つの態様において、多能性幹細胞は、前胚性幹細胞、胚性幹細胞、胎児幹細胞、および出生後幹細胞から成る群より選択される。
[0016]本発明の方法のもう1つの態様において、核抽出物は、遺伝的材料を含有しない、染色体もしくはクロマチンを含有しない、またはDNAを含有しない。
[0017]本発明の方法の態様において、多能性幹細胞から核抽出物を調製する工程は、多能性幹細胞を入手すること、多能性幹細胞から核体を単離すること、核体から遺伝的材料を除去すること、そして遺伝的材料を欠損する核体から抽出物を調整することを包含する。
[0018]本発明の方法のもう1つの態様において、当該方法は、再プログラム化された多能性細胞を凍結保存する工程をさらに包含する。もう1つの態様において当該方法は、再プログラム化された多能性細胞をそれを必要とする患者に移植する工程をさらに包含する。なおもう1つの態様において、再プログラム化された多様性細胞は患者の自家由来である。もう1つの態様において分化細胞はG期にある。
[0019]本発明の態様において、核抽出物への暴露により治療用に再プログラム化された分化細胞を包含する、それを必要とする患者における再生療法に有用な多能性細胞を提供する。
[0020]本発明の多能性細胞のもう1つの態様において、核抽出物は遺伝的材料を含有しない、染色体もしくはクロマチンを含有しない、またはDNAを含有しない。
[0021]本発明の多能性細胞のもう1つの態様において、分化細胞は、前胚、胚、胎児、および出生後の多細胞生物体、または始原性細胞から成る群より選択される細胞に由来する、あらゆる二倍体(2N)細胞である。なおもう1つの態様において、多能性幹細胞は、前胚性幹細胞、胚性幹細胞、胎児幹細胞、および出生後幹細胞から成る群より選択される。
[0022]本発明の多能性細胞のもう1つの態様において、核抽出物は多能性幹細胞から調製される。
[0023]本発明の多能性細胞のもう1つの態様において、多能性細胞を凍結乾燥する。なおもう1つの態様において、再プログラム化された多能性細胞は、患者の自家由来である。
用語の定義
[0024]化学的修飾:本明細書において使用する場合“化学的修飾”は、化学的または生物学的修飾を使用して、ドナー細胞またはその核におけるゲノムの変化を誘導し、そのことでドナー細胞またはその核が成熟の間に応答性であり、そしてホスト細胞の細胞質に対して受容的であることを可能とするプロセスをいう。
[0025]コミットされた(Committed):本明細書において使用する場合“コミットされた”は、永久的に特定の機能にコミットされた(委任された)と考察される細胞をいう。コミットされた細胞はまた、“高分化細胞(terminally differentiated cells)”としてもいう。
[0026]細胞質体抽出物の修飾:本明細書において使用する場合“細胞質体抽出物の修飾”は、細胞の細胞質のコンテンツから成る細胞の抽出物を使用して、ドナー細胞、またはその核にゲノムの変化を誘導し、そのことでドナー細胞またはその核が成熟の間に応答性であり、そしてホスト細胞の細胞質に対して受容的であることを可能とするプロセスをいう。
[0027]脱分化:本明細書において使用する場合“脱分化”は、形または機能における特定化の喪失をいう。細胞において、脱分化は、よりコミットされていない細胞を導く。
[0028]分化:本明細書において使用する場合“分化”は、特定の形または機能に関する細胞の適応をいう。細胞において分化はよりコミットされた細胞を導く。
[0029]ドナー細胞:本明細書において使用する場合“ドナー細胞”は、その核の遺伝的材料をハイブリッド幹細胞に与える、前胚、胚、胎児、もしくは出生後の多細胞生物体、または始原性細胞に由来する、あらゆる二倍体(2N)細胞をいう。ドナー細胞は、高分化している細胞、または分化の過程にある細胞に限定されない。この発明の目的に関して、ドナー細胞は全細胞または核単独の双方をいう。
[0030]胚:本明細書において使用する場合“胚”は、着床および原腸陥入を特徴とする成長および分化の早期ステージの動物をいい、そこで3つの胚葉が定義され、そして個々の器官および器官系への胚葉の分化により確立される。3つの胚葉は、内胚葉、外胚葉、中胚葉である。
[0031]胚性幹細胞:本明細書において使用する場合“胚性幹細胞”は、全能性であり、そして子宮壁に付着した発達ステージに達している発達中の胚に由来する、あらゆる細胞をいう。この文中において、胚性幹細胞および前胚性幹細胞は均等な用語である。胚性幹細胞様(ESC様)細胞は、胚から直接単離されていない全能性細胞である。ESC様細胞は、本発明の技術に従って脱分化された始原性細胞に由来することができる。
[0032]胎児幹細胞:本明細書において使用する場合“胎児幹細胞”は、多分化能であり、そしてもはや早期または中期ステージの器官形成にはない、発達中の多細胞の胎児に由来する。
[0033]生殖細胞:本明細書において使用する場合“生殖細胞”は、生殖性の細胞、例えば精母細胞もしくは卵母細胞、または生殖細胞に発達する細胞をいう。
[0034]ホスト細胞:本明細書において使用する場合“ホスト細胞”は、細胞質をハイブリッド幹細胞に与える、前胚、胚、胎児、または出生後の多細胞生物体に由来するあらゆる多分化能幹細胞をいう。
[0035]ハイブリッド幹細胞:本明細書において使用する場合“ハイブリッド幹細胞”は、多分化能であり、そして脱核されたホスト細胞、および多細胞生物体のドナー細胞またはその核に由来するあらゆる細胞をいう。ハイブリッド幹細胞はさらに、共同出願の米国特許出願第10/864,788号に開示されている。
[0036]核体抽出物の修飾:本明細書において使用する場合“核体抽出物の修飾”は、DNAを欠く、細胞の核のコンテンツから成る細胞の抽出物を使用して、ドナー細胞、またはその核におけるゲノムの変化を誘導し、そのことでドナー細胞またはその核が成熟の間に応答性であり、またはホスト細胞の細胞質に対して受容的であることを可能とするプロセスをいう。
[0037]成熟:本明細書において使用する場合“成熟”は、分化の経路において前進または後退のいずれかに調整された工程のプロセスをいい、分化または脱分化の双方をいうことができる。本明細書において使用する場合、成熟は、本明細書に記載したプロセスに適用すると、発達するまたは発達という用語と同義である。
[0038]多分化能:本明細書において使用する場合“多分化能”は、いくつかの他の細胞タイプを生み出すことのできる細胞をいうが、それらの細胞タイプの数は限定される。多分化能細胞の一例は、造血細胞−すなわちいくつかのタイプの血液細胞に発達することはできるが、脳細胞に発達することはできない血液細胞である。
[0039]多分化能成体前駆細胞:本明細書において使用する場合“多分化能成体前駆細胞”は、間葉系、内皮、および内胚葉の系譜の細胞に分化する潜在性を有する、骨髄から単離された多分化能細胞をいう。
[0040]前胚:本明細書において使用する場合“前胚”は、細胞分割前の発達の早期ステージの受精卵をいう。前胚ステージの間に、卵割の最初のステージが起こる。
[0041]前胚性幹細胞:上の胚性幹細胞を参照のこと。
[0042]出生後幹細胞:本明細書において使用する場合“出生後幹細胞”は、多分化能であり、出生後の多細胞生物体に由来するあらゆる細胞をいう。
[0043]多能性:本明細書において使用する場合“多能性”は、胎盤の細胞または子宮のその他の支持(組織)細胞を除くあらゆる細胞を生み出すことができる細胞をいう。
[0044]始原性細胞:本明細書において使用する場合“始原性細胞”は、雄性または雌性の成熟したまたは発達中の性腺に由来し、種を繁殖する細胞を産生することができ、そして二倍体のゲノム状態を含有する、あらゆる二倍体細胞をいう。始原性細胞は、静止状態であることも、または活発に分裂していることもできる。これらの細胞は、雄性前精原細胞(male gonocyte)、雌性前卵原細胞(female gonocyte)、精原幹細胞、卵巣幹細胞、卵原細胞、A型精原細胞、B型精原細胞を含む。生殖系幹細胞としても知られている。
[0045]始原生殖細胞:本明細書において使用する場合“始原生殖細胞”は、生殖細胞になることを運命づけられている早期胚形成において存在する細胞をいう。
[0046]再プログラム化:本明細書において使用する場合“再プログラム化”は、細胞が多能性を示し、そして完全に発達した生物体を作成するための潜在性を有するように、細胞の遺伝的プログラムをリセットすることをいう。
[0047]応答性:本明細書において使用する場合“応答性”は、細胞または細胞の群が、細胞環境に対して感受性があり、そしてしたがって細胞環境内で機能することができる状況をいう。応答性の細胞は、特定の細胞環境、組織、器官、および/または器官系に対して応答し、それらにおいて機能する能力がある。
[0048]体細胞:本明細書において使用する場合“体細胞”は、生殖体およびそれらの前駆体以外の体のあらゆる細胞をいう。
[0049]体性幹細胞:本明細書において使用する場合“体性幹細胞”は、二倍体の多分化能または多能性の幹細胞をいう。体性幹細胞は、全能性幹細胞ではない。
[0050]治療用クローニング:本明細書において使用する場合“治療用クローニング”は、卵細胞の核を別の細胞および内部細胞塊由来の幹細胞の核で置きかえることを含む、核移植法を用いての細胞のクローニングをいう。
[0051]治療用再プログラム化:本明細書において使用する場合“治療用再プログラム化”は、幹細胞を本発明の教示に従って刺激因子に暴露させて、多能性、多分化能、または組織を特定してコミットされた細胞のいずれかを得る、成熟のプロセスをいう。治療用に再プログラム化された細胞は、疾患の、損傷を受けた、欠損のある、または遺伝的に障害された組織を置き換えるまたは修復するために、ホスト内に移植するために有用である。本発明の治療用に再プログラム化された細胞は、ヒト以外のシアル酸残基を保有しない。
[0052]全能性:本明細書において使用する場合“全能性”は、体に加えて胎盤のすべての細胞を創るために必要なすべての遺伝情報を含有する細胞をいう。ヒトの細胞は、受精卵の最初の数回の分割の間しか、全能性であるという能力を有していない。
[0053]全細胞抽出物の修飾:本明細書において“全細胞抽出物の修飾”は、細胞の細胞質および核のコンテンツから成る細胞の抽出物を使用して、ドナー細胞、またはその核におけるゲノムの変化を誘導し、そのことでドナー細胞またはその核が成熟の間に応答性であり、そしてホスト細胞の細胞質に対して受容的であることを可能とするプロセスをいう。
発明の詳細な説明
[0054]本発明は、最小の酸化的損傷を有し、そして損傷を受けていない、出生前または胚性の幹細胞のテロメアの長さに比べて勝るとも劣らないテロメアの長さを有する、生物学的に有用な多能性の、治療用に再プログラム化された細胞を提供する(すなわち本発明の治療用に再プログラム化された細胞は、ほぼ初期の生理学的状態のゲノムを保有する)。さらに本発明の治療用に再プログラム化された細胞は、免疫学的に特権を与えられており、それ故治療への適用に適する。
[0055]幹細胞は、他のタイプの細胞を生み出す原始的な細胞である。“前駆細胞”とも呼ばれ、いくつかの種類の幹細胞がある。全能性細胞は、体の細胞に加えて、ヒトの胎児に栄養を与える胎盤の細胞をすべて創るために必要なすべての遺伝的情報を含有するため、体の“マスター”細胞と考えられている。ヒトの細胞は、受精卵の最初の数回の分割の間しかこの全能性の能力を有してはいない。全能性細胞の3から4回の分割後、細胞がますます特定化されるようになる一連のステージが続いてある。分割の次のステージで多能性細胞に至るが、この細胞は高度に万能であり、胎盤またはその他の子宮の支持組織の細胞を除くあらゆる細胞タイプを生み出すことができる。次のステージで細胞は、それら細胞はいくつかの他の細胞タイプを生み出すことはできるが、それらのタイプの数は限定されることを意味する、多分化能となる。多分化能細胞の一例は、造血細胞−すなわちいくつかのタイプの血液細胞に発達することはできるが、脳細胞に発達することはできない血液細胞である。胚を作り上げる細胞分割の長い連鎖の最後に、“高分化”細胞−すなわち永久的に特定の機能にコミットされたと考えられる細胞がある。
[0056]科学者は、分化細胞が自然にコミットされた方向以外のいかなる方向で振舞うようにそれらを変化させることも、またはそのように振る舞うことを引き起こすこともできないという見解を長く抱いてきた。しかしながら最近の幹細胞の実験において、科学者らは血液幹細胞にニューロンのように振舞うよう説得することができた。それ故研究はまた、多分化能細胞を多能性細胞にする方向に焦点が当てられるようになった。
[0057] 哺乳類の発達の個体発生は幹細胞に中心的役割を与えている。胚形成の早期に、生殖細胞(始原生殖細胞)になるように運命づけられた近位部エピブラスト由来の細胞は、生殖隆起に沿って移動する。これらの細胞は高レベルのアルカリホスファターゼを発現し、同様に転写因子Oct4を発現する。移動および生殖隆起のコロニー化時に、始原生殖細胞は、雄性または雌性の生殖細胞前駆体(始原性細胞)への分化を経る。本発明の開示の目的のため、雄性始原性細胞(PSC)のみについて考察するが、雄性および雌性の始原性細胞の質および特性は均等であり、限定を意味してはいない。雄性始原性細胞の発達の間に始原幹細胞は、精管(seminiferous cords)の形成の開始を導く前駆体セルトリ細胞に密接に関連するようになる。始原生殖細胞が精管内に封入されると、それらは有糸分裂的に静止状態にある前精原細胞に分化する。これらの前精原細胞は数日間分割し、続いて細胞周期のG/G期に留まる。マウスおよびラットにおいてこれらの前精原細胞は、出生後数日以内に分割を再開して、精原幹細胞を産生し、ようやく精子形成に関する分化および減数分裂を経る。
[0058]始原性細胞は、受精、そしていつかは新しい生物体を創造するための新しいラウンドの胚形成に必要な細胞を産生する直接的責任がある。始原性細胞は、死をプログラムされておらず、胚の状態のそれに匹敵する質を有する。
[0059]胚性幹細胞は、着床前の胚盤胞ステージの胚の内部細胞塊に由来する細胞であり、最大の分化潜在性を有し、胚固有の3つのすべての胚葉に見出される細胞を生み出す能力がある。実際的な立場から言えば、胚性幹細胞は細胞培養の人為的産物である、というのはそれらの自然のエピブラスト環境において、それらは胚形成の間に一時的に存在するに過ぎないからである。in vitro における胚性幹細胞の操作により、心筋細胞、造血細胞、内皮細胞、神経、骨格筋、軟骨細胞、脂肪細胞、肝臓、および膵島を含む広範囲の細胞タイプの産生および分化を導いてきた。胚性幹細胞を成熟細胞との共培養で成長させることで、特定の系譜への胚性幹細胞の分化に影響を与え、分化を開始させることができる。
[0060]この考察の目的のため、胚および胎児を、器官形成に関連する発達ステージに基づいて区別する。前胚ステージは、前胚が卵割の最初のステージを経る期間をいう。早期胚形成は、着床および原腸陥入により特徴付けられ、ここで3つの胚葉が定義され確立される。後期胚形成は、胚葉派生物の各々の器官および器官系の形成への分化により定義される。胚から胎児への移行は、ほとんどの主要な器官および器官系の発達により定義され、急速な胎児の成長がそれに続く。
[0061]胚形成は、精子により受精された卵母細胞が分割を開始し、卵割および胞胚形成が起こる第一ラウンドの胚形成を経る発達プロセスである。第二ラウンドの間に、着床、原腸陥入および早期の器官形成が起こる。第三ラウンドは器官形成を特徴とし、そして胚がもはや胚ではなく胎児と呼ばれる、胚形成の最終ラウンドは、胎児の成長および発達が起こるときである。
[0062]胚形成の間、卵割およびコンパクション後の桑実胚から発生する最初の2つの組織系譜は、栄養外胚葉および原始内胚葉であり、これらは主に胎盤および胚外卵黄嚢に寄与する。手短にはコンパクション後そして着床前に、エピブラストまたは原始外胚葉が発達し始める。
[0063]エピブラストは、胚本体(embryo proper)を生み出す細胞を提供する。胞胚形成は、そこに多能性細胞が居場所を与えられ、発達の間に多様な発達の仕事を行うよう方向付けられるエピブラスト幹細胞のニッチの発達において完了し、その時点で胚は透明帯から出て、子宮壁に着床する。
[0064]着床に続いて、原腸陥入および早期器官形成がある。第一ラウンドの器官形成の終了までに、3つの胚葉はすべて形成されていることになる;外胚葉、中胚葉、および胚体内胚葉(definitive endoderm)、ならびに基本的なボディープランおよび器官の原基が確立される。早期器官形成に続いて、胚形成は広範な器官の発達により特徴付けられ、この時点での完了は、胎児の成長と最終ラウンドの器官の発達により特徴付けられる、胚の発達から胎児の発達への変換を特徴とする。一度胚形成が完了すると妊娠期間は誕生により終了し、その時点で生物体は、正常に機能し、出生後に生き残るためのすべての必要な器官、組織および細胞のニッチを有している。
[0065]胚形成のプロセスを使用して、胚の発達が起こる時のその全体的なプロセスを記載しているが、細胞レベルにおいて胚形成は、細胞の成熟により記載および/または実証することができる。
[0066]胎児幹細胞は、胎児の骨髄(造血幹細胞)、胎児の脳(神経幹細胞)、および羊水(多能性羊水幹細胞)から単離されている。加えて、幹細胞は成体の雄性および雌性の双方の組織において記載されてきた。雌性幹細胞は、器官形成および胎児の発達のプロセスの間、多数の役割を供給しており、最終的に体性幹細胞の予備の一部となる。
[0067]成熟は、分化経路において前進または後退のいずれかに調整された工程のプロセスであり、分化および/または脱分化の双方をいうことができる。成熟プロセスの一例において、細胞または細胞群は、胚形成および器官形成の間にその細胞環境と相互作用する。成熟が進行すると細胞はニッチを形成し始め、そしてこれらニッチまたは微小環境が、器官形成を方向付け、制御する幹細胞の居場所となる。誕生時に成熟は、生物体が出生後に機能し生き残るために、細胞および適当な細胞のニッチが存在しているように進行している。発達のプロセスは、異なる種間で高度に保存されており、そのことが成熟または分化のシステムを、実験室において1つの哺乳類の種から他の哺乳類の種に拡大することを可能にしている。
[0068]生物体の一生の間に、器官および器官系の細胞の組成物は、細胞またはゲノムの損傷を誘発する広範囲の内因性および外因性の因子に暴露される。紫外線は正常な皮膚細胞だけでなく、皮膚の幹細胞集団にもまた影響を及ぼす。癌を治療するために使用される化学療法薬は、造血幹細胞への破壊的効果を有する。細胞の代謝の副産生物である反応性酸素種は、細胞のゲノムの完全性を損なう内因性因子である。すべての器官または器官系において、細胞は幹細胞集団により継続的に置き換えられている。しかしながら生物体が加齢するにつれて、細胞の損傷はこれらの幹細胞集団内に蓄積される。損傷が遺伝性、例えばゲノムの変異である場合、その時にはすべての子孫が影響を受け、したがって損なわれることになる。1つの幹細胞のクローンは1年より長い間、系譜、例えばリンパ球および骨髄細胞の産生に寄与することができ、それ故その幹細胞が損傷を受けている場合には変異が伝播する潜在性を有する。体は損なわれた幹細胞に対して、アポトーシスを誘導し、それによりそのプールから損なわれた細胞を除外し、潜在的な機能不全または腫瘍原性という特性を予防することにより応答する。アポトーシスは損なわれた細胞を集団から除外するが、それはまた、将来のために利用できる幹細胞の数を減少させもする。それ故、生物体が加齢するにつれて、幹細胞の数は減少する。幹細胞のプールの喪失に加えて、加齢は幹細胞のホーミングのメカニズムの有効性を低下させるというエビでンスがある。テロメアは、高度に保存され直列的に繰り返されるDNA配列を含有する染色体の物理的末端である。テロメアは、直鎖DNA分子の複製および安定性に関与し、細胞におけるカウントのメカニズムとして役立っている:細胞分割の各ラウンドに伴いテロメアの長さは短小化し、あらかじめ決定された閾値で、シグナルが活性化されて細胞の老化が開始する。幹細胞および体細胞は、テロメアの短小化を阻害するテロメラーゼを産生するが、それらのテロメアはなお、加齢および細胞のストレスの間に進行的に短小化する。
[0069]様々な疾患の治療に関する細胞療法の歴史があるが、使用の大半は、悪性腫瘍を含む造血障害のための骨髄移植においてであった。骨髄移植において、ある個体の免疫系は、別の固体からの移植された骨髄により再建される。この再建が、骨髄中の造血幹細胞の作用に長く起因する。
[0070]幹細胞はin vitroにおいて特定の細胞タイプに分化することができ、そして多様な組織内に生着し、胚葉を越えて移行することより多分化能であるという潜在性を有することが示された、増加するエビデンスがあり、そのようなことから細胞療法に関する多くの研究の対象となってきた。従来のタイプの移植による場合、免疫拒絶が細胞療法の限定因子である。レシピエントの個体の表現型およびドナーの表現型が、細胞または臓器の移植が免疫系により許容されるか拒絶されるかを決定することになる。
[0071]それ故本発明は、細胞の再生/修復療法に関する、機能的な免疫学的に適合する幹細胞を提供するための、方法および組成物を提供する。
[0072]本発明の態様において、治療用に再プログラム化された細胞を提供する。治療用再プログラム化は、幹細胞を本発明の教示に従って刺激因子に暴露させて、多能性、多分化能、または組織を特定してコミットされた細胞を得る成熟プロセスをいう。治療用再プログラム化のプロセスは、治療用にクローン化された細胞、ハイブリッド幹細胞、胚性幹細胞、胎児幹細胞、多分化能成体前駆細胞、脂肪由来幹細胞(ADSC)、および始原性細胞を含むがこれに限定されない様々な幹細胞を用いて行うことができる。
[0073]治療用再プログラム化は、ある種の幹細胞、例えば精原幹細胞および脂肪由来幹細胞は、相対的に入手しやすいという事実を利用し、これらの細胞を刺激因子に暴露させることによりエピジェネティックに再プログラム化する。これらの治療用に再プログラム化された細胞は、それらの成熟状態を、よりコミットされた細胞系譜、またはよりコミットされていない細胞系譜のいずれかに変化させている。それ故治療用に再プログラム化された細胞は、疾患の、損傷を受けた、欠損のある、または遺伝的に障害された組織を修復または再生する能力がある。
[0074]治療用再プログラム化は、化学物質、生化学物質、および細胞抽出物を非限定的に含む刺激因子を使用して、細胞のエピジェネティックなプログラム化を変化させる。これらの刺激因子は、結果の中でも特にドナーDNAにおけるゲノムのメチル化という変化を誘導する。静止状態の精原幹細胞(SSC)は、本発明の核の因子を用いての治療用再プログラム化に特に適する。静止状態のSSCは、高度にデメチル化されており、それ故それらをあらゆる細胞タイプへのプログラム化(パターン化)または分化に利用できる。
[0075]本発明の態様は、全細胞、細胞質体、核および核体からの細胞抽出物を調製するための方法を含む、しかしながら他のタイプの細胞抽出物も、本発明の範囲内であるものとして意図する。非限定的例において本発明の細胞抽出物は、幹細胞、具体的には胚性幹細胞から調製する。ドナー細胞は、化学物質、生化学物質、または細胞抽出物と共に、定義された時間の間、非限定的例において約1時間から約2時間インキュベートし、そして培養時間後に、胚性幹細胞マーカー、例えばOct4を発現するそれらの再プログラム化された細胞を、次に移植、凍結保存、またはさらなる成熟のために用意できる。
[0076]本発明の1つの特定の態様において、始原性細胞(PSC)を治療用に再プログラム化する。精巣の精細管の内張り、および卵巣の内張りとして存在する始原性細胞(各々精原細胞および卵原細胞)は、加齢および細胞分割の影響により著しく損傷を受けてない二倍体(2N)ゲノムを保有することが決定されている。したがってPSCはほぼ生理学的初期状態のゲノムを保有する。本発明の態様において特に有用なPSCの非限定的例は、精原幹細胞である。本明細書における教示に従って、治療用に再プログラム化されたPSC細胞を、胚形成および器官形成の間に発達中の胚および胎児内に存在する幹細胞の経験するものと類似のやり方を用いて、成熟プロセスのために調製する。
[0077]本発明の教示に従って作製された治療用に再プログラム化された細胞は、そのままで治療目的に使用できる、それらは将来の使用のために凍結保存することができる、またはそれらはよりコミットされた細胞系譜にさらに成熟化することができる。
[0078]本発明の態様は、治療用に再プログラム化された細胞、幹細胞、および始原性細胞を、出生後の環境におけるよりコミットされた細胞系譜にさらに成熟または分化させて、細胞の再生/修復療法において使用するためのよりコミットされた細胞を提供するための方法を提供する。加えて成熟および分化のプロセスは、出生前および出生後の器官内の損傷を受けた細胞を治療するまたは置き換えるために使用することのできる、治療用細胞を提供する。
[0079]本発明の教示に従って作製された治療用に再プログラム化された細胞は、細胞の再生/修復療法のための広範囲な治療への適用において有用である。例えば限定するものとして意図はしてはないが、本発明の治療用に再プログラム化された細胞を使用して、加齢または切除療法、例えば癌の放射線療法および化学療法により、自然の幹細胞が涸渇してしまった動物において幹細胞を再び満たすことができる。もう1つの非限定的例において、治療用に再プログラム化された本発明の細胞は、器官の再生および組織の修復において有用である。本発明の1つの態様において、治療用に再プログラム化された細胞を使用して、ジストロフィーの筋肉、および虚血性イベント 例えば心筋梗塞により損傷を受けた筋肉を含む損傷を受けた筋肉組織を再び活気づけることができる。本発明のもう1つの態様において、本明細書において開示した治療用に再プログラム化された細胞を使用して、ヒトを含む動物における外傷性の傷害または外科手術後の瘢痕を寛解させることができる。この態様において、本発明の治療用に再プログラム化された細胞は、全身に 例えば静脈内に投与すると、損傷された細胞により分泌される循環血中サイトカインによりリクルートされて、新たな外傷部位に移動する。本発明のもう1つの態様において、治療用に再プログラム化された細胞は、修復または再生を必要とする治療部位に局所的に投与することができる。
[0080]幹細胞は、本発明の成熟プロセスに対して例外なく感受性が高いわけではない。それ故本発明者らは、幹細胞が成熟因子に対して感受性が高い状態に幹細胞を誘導する、治療用再プログラムプロセスを開発した。この治療再プログラムプロセスは、ドナー細胞を成熟に対して高い感受性にするための十分な時間の間、刺激因子と共に適切な条件下でインキュベーションすることにより、達成することができる。
[0081]本発明の教示に従って、分化細胞を多能性細胞由来の核の因子と共にインキュベーションすることにより再プログラム化する。これらの核の因子の原料は、前胚、胚、胎児、または出生後の多細胞生物体から単離された多分化能幹細胞を含むがこれに限定されない、あらゆる多分化能幹細胞であることができる。再プログラム化のための核の因子は、多分化能幹細胞の核体から単離される。本発明の態様において、核抽出物は遺伝的材料を除去した核のコンテンツを含有する。本発明のなおうもう1つの態様において、核抽出物は、無処置のまたは機能的な染色体を欠損する。本発明の範囲には、DNAおよび/またはクロマチンを除去した多分化能幹細胞の核抽出物を含む。本発明の核抽出物を調製するための方法は、実施例3および4に開示する。細胞または核体から遺伝的材料を除去するための付加的な方法として、遠心、酵素処理、沈澱、クロマトグラフィー、および当業者に公知のその他の方法を含むが、これに限定されない。本発明の教示に従って作製された核抽出物は、調製後凍結保存することができる。
[0082]分化細胞を、当業者に公知の方法により本発明の核抽出物を用いて処理する。分化細胞を核抽出物を用いて処理するための方法の非限定的例として、分化細胞を核抽出物と共に共培養すること、および核抽出物を分化細胞の核内に微量注入することを含む。
[0083]抽出物で処理した細胞の多能性は、幹細胞マーカー遺伝子Oct4の発現を測定することにより決定する。Oct4は、発達の多能性のコントロールにおいて必要不可欠な役割を有しており、多様な遺伝子の発現を活性化または抑制することができる。Oct4がどのように多能性のエピジェノタイプをコントロールするのかは知られていないが、Oct4発現を喪失した細胞は多能性ではない。
[0084]Oct4を発現する核抽出物で処理した細胞は、多能性エピジェノタイプで再プログラム化されたと考えられ、in vitro またはin vivoにおいて適当な分化因子を提示することで、多くの細胞タイプに分化する能力がある。
[0085]以下の実施例は、当該発明の1つまたはそれより多くの態様を説明することを意味しており、以下に記載したことに本発明を限定することを意味しているのではいない。
実施例1
精巣からの始原性細胞の単離
[0086]精巣を切除し、被包を除去した。精巣組織を微細なハサミで細分化し、1mg/mL I型コラゲナーゼ(Sigma)および0.5mg/mL DNase(Sigma)を含有する培地(DMEM/F12)中に移した。110サイクル/分で作動させた震盪水浴中で、37℃で10分間、消化を行った。間質細胞は、単位重力で10分間の沈降により分離し、DMEM/F12中で洗浄する。
[0087]精巣組織の基底薄膜成分の最終的な消化を、I型コラゲナーゼ(1mg/mL)、DNase(0.5mg/mL)、およびヒアルロニダーゼ(Sigma;0.5mg/mL)の混合物中で、最初の消化工程と同じ条件下で行った。得られた1つずつの細胞(single-cell)の懸濁液を、培地、および1mM EDTA(Sigma)および0.5%ウシ胎児血清を含有するPBSを用いて連続して洗浄した。白膜の未消化の残留物を、50μmナイロンメッシュを通して細胞懸濁液を濾過することにより排除した。すべての細胞は、この方法を通して5℃に維持した。解離した精巣細胞を0.5%FBSを含有するPBS(PBS/FBS)中に懸濁(5×10細胞/mL)した。その後細胞を一次抗体と共に20分間氷上でインキュベートし、過剰のPBS/FBSで2回洗浄し、FACS分析用に使用した。一次抗体は、R−フィコエリトリン(PE)を複合させた抗α6インテグリン、アロフィコシアニン(APC)を複合させた抗cキット、およびビオチン化した抗αvインテグリンを含む。二次試薬を使用する実験のため、細胞をさらに20分間、APCを複合させたストレプトアビジンと共にインキュベートし、ビオチン化された抗体を検出した。すべての抗体または二次試薬は、5μg/mLで使用した。コントロール細胞は、抗体で処理しなかった。最後の洗浄後細胞を、1μg/mL ヨウ化プロピジウム(Sigma)を含有するPBS/FBS 2mL中に再懸濁(10細胞/mL)し、35μmポアサイズナイロンスクリーンを通して試験管中に濾過し、分析まで暗所、氷上に維持した。細胞は抗体の染色、およびそれらの相対的粒度または内部の複雑度(サイトスキャッター、SSC)に基づいて選別した。細胞の選別は、488nmアルゴン(200mW)レーザーおよび633nmヘリウムネオン(35mW)レーザーを装備した二重レーザー FACSter Plus (Becton Dickinson)により行った。アルゴンレーザーを使用してPEおよびヨウ化プロピジウムを励起し、発光をPEについては575 DF 26フィルターで、そしてヨウ化プロピジウムについては610 DF 20フィルターで集めた。ネオンレーザーを使用してAPCを励起し、発光を675 DF 20フィルターで検出した。死亡細胞は、データ集積時にヨウ化プロピジウム−ポジティブなイベントを排除することにより除外した。細胞は、10%FBSを補充した氷冷DMEM(DMEM/FBS)2mLを含有する5mLポリスチレンチューブ中に選び取った。α6−インテグリンhi/SSClo/c-キット(−)集団を、ドナー細胞として使用した。
実施例2
卵巣からの始原性細胞の単離
[0088]動物を麻酔し、卵巣を摘出する。あるいは始原性細胞(PSC)を卵巣のパンチ生検から単離することができる。その後PSCを顕微鏡下で単離する。始原性細胞は、幹細胞の形態(すなわち大きく、丸く、そして滑らか)を有するため、卵巣から機械的に回収できる。
実施例3
核体抽出物を用いての治療用再プログラム化
[0089]この実施例は、胚性幹細胞由来の核(核体)抽出物を用いてゲノムの修飾を誘導することにより、PSCが機能的であり、そして成熟の間に適当に応答するような、PSCの治療用再プログラム化について記載する。
[0090]始原性細胞は実施例1および2に記載したように単離した。α6−インテグリンhi/SSClo/c-キット(−)集団を再プログラム化可能な細胞として使用する。これらの細胞は核抽出物に暴露するまで、氷上に保存した。
[0091]胚性幹細胞の核(核体)抽出物の調製のため、胚性幹細胞(ESC)をコンフルエントまでに培養する。ESC核体は、10μg/mLのサイトカラシンBを含有するFicoll-400の断続的密度勾配(30%、25%、22%、18%、および15%)を用いて調製する。12.5% Ficoll-400中の1000万のESCを、勾配の一番上に注意深く層状にのせ、40,000rpm、36℃で30分間遠心する。核体を30%レベルから集める。次に核体を、氷冷PBSで3回洗浄し、続いて細胞溶解バッファー中で1回洗浄する。次に核体を350×gで遠心し、プロテアーゼ阻害薬を含有する1.5倍量の細胞溶解バッファー中に再懸濁し、氷上で45分間インキュベートする。次に核体をパルス超音波処理により均質化した後、核体を16,000×gで20分間、4℃で遠心する。その後上清を集め、タンパク質濃度は約6mg/mLであると決定する。
[0092]先に単離したPSCを氷冷PBSで3回洗浄し、続いてHBSS中で2回洗浄する。次に細胞を350×gで、5分間、4℃で遠心し、14μLの氷冷HBSS当たり10,000細胞で再懸濁する。次に細胞を37℃で2分間インキュベートし、続いてストレプトリシンO(SLO;Sigma)を、細胞数に依存して115ng/mLから230ng/mLの最終濃度で加え、細胞が沈降しないように維持するため、一定速度で震盪しながら50分間37℃でインキュベートする。次に細胞を500×gで5分間4℃で遠心し、上清を除去する。次にPSCを、ATP再生系、および各々1mMの4種類のヌクレオシド三リン酸(NTP)を含有する、先に調製した胚性幹細胞抽出物 50μLと共に、37℃で1−2時間インキュベートする。次に細胞を、調製培地(DMEM/20%FBS中の、1%非必須アミノ酸、1%L−グルタミン、100ユニット/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、0.1mM βメルカプトエタノール、3,000ユニット/mL 白血病阻害因子(LIF))中の2mM CaClの溶液中に再懸濁し、0.1%ゼラチンで予め処理した、マイトマイシンC不活性化一次胚性線維芽細胞(PEF)層を含有する48ウェルディッシュの1ウェル内に入れる。加えて、0.1%ゼラチンで予め処理した、マイトマイシンC不活性化PEF層を含有する48ウェルディッシュ内で、抽出物で処理したPSC、および50%コンフルエントのESCを共培養することもまた可能である。24時間後、フィーダー層に付着しなかった細胞を取り出し、付着しなかった細胞で抽出物の暴露の方法の2回目を繰り返した。再プログラム化された細胞(付着した細胞)を培養し、胚性幹細胞特異的マーカー(すなわちREX1、OCT4)についてアッセイする。加えて抽出物で処理した(再プログラム化した)細胞を、成熟プロセスに暴露する前に、in vitroにおける分化の潜在性について検査することができる。
実施例4
核抽出物の調製
[0093]幹細胞の核抽出物の調製のため、抽出物の調製前2日に幹細胞をプレーティングし、10ng/mLフィブロネクチンで予め処理した25×75mm組織培養スライド上の調製培地中で、37℃で1時間放置して、最大の単層の成長を達成させる。抽出物調製の当日、2μg/mLのサイトカラシンD(最終濃度)を培地に加え、スライドを120分間37℃でインキュベートする。120分のインキュベーション工程の後、スライドを2μg/mLのサイトカラシンDを含有する調製培地中で、水平ローター遠心機にて10,000×gで1時間遠心する。遠心前に、ローターおよび遠心機は予め37℃に温めておく。遠心後、核を含有するペレットを、氷冷PBSで3回洗浄し、続いて細胞溶解バッファー中で1回洗浄する。次に細胞を350×gで遠心し、プロテアーゼ阻害薬を含有する1.5倍量の細胞溶解バッファー中に再懸濁し、氷上で15−45分間インキュベートする。核をパルス超音波処理により均質化する。次に溶解液を16,000×gで20分間、4℃で遠心する。その後上清を集め、タンパク質濃度を決定する。
実施例5
核抽出物と共に細胞のインキュベーション
[0094]先に単離した幹細胞または体細胞を氷冷PBSで3回洗浄し、続いてHBSS中で2回洗浄する。次に細胞を350×gで、5分間、4℃で遠心し、14μLの氷冷HBSS当たり10,000細胞で再懸濁する。次に細胞を37℃で2分間インキュベーションし、続いてストレプトリシンOを、細胞数に依存して115ng/mLから230ng/mLの最終濃度で加え、細胞が沈降しないように維持するため、一定速度で震盪しながら50分間37℃でインキュベートする。次に細胞を500×gで5分間、4℃で遠心し、上清を除去する。次に幹細胞または体細胞を、ATP再生系、および1mMの4種類の各NTPを含有する、先に調製した幹細胞核抽出物 50μLと共に、37℃で1−2時間インキュベートする。次に細胞を、調製培地(DMEM/20%FBS中の、1%非必須アミノ酸、1%L−グルタミン、100ユニット/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、0.1mM βメルカプトエタノール、3,000ユニット/mL LIF)中の2mM CaClの溶液中に再懸濁し、マイトマイシンC不活性化一次胚性線維芽細胞層を含有する0.1%ゼラチンで予め処理した48ウェルディッシュの1ウェル内に入れる。24時間後、フィーダー層に付着しなかった細胞を取り出し、付着しなかった細胞に抽出物の暴露の方法の2回目を繰り返し行った。再プログラム化された細胞(付着した細胞)を培養した後、レシピエントへの直接の移植、将来の使用のための凍結保存、成熟プロセスの施行、またはハイブリッド幹細胞を産生するため適当なホスト細胞との融合に利用することができる。
[0095]別に指摘していなければ、当該明細書および請求項において使用した成分、特性の量を表すすべての数、例えば分子量、反応条件、などは、すべての場合において“約”という用語により修飾されていると理解されるものとする。したがって反論を示していなければ、下記の明細書および添付の請求項に説明した数値パラメータは、本発明により得られる、求められた所望の特性に依存して変化してよい近似値である。少なくとも、当該請求項の範囲に均等の学説の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された特定の数字の数を考慮に入れて、そして通常の概数化技術に当てはめることにより、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を説明した数値の範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例において説明した数値の値は、可能な限り正確に報告している。しかしながらいかなる数値の値も、それらの個々の検査測定に見出される標準偏差に必然的に起因するある種のエラーを本質的に含有する。
[0096]本発明を記載する文脈において(特に下記の請求項に文脈において)使用する”a”および”an”および”the”という用語および類似の指示対象は、本明細書において別に指摘していなければ、または文脈により明確に反論していなければ、単数および複数の双方をカバーすると解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の詳細な表示は、その範囲内に該当する別々の各値を個々に言及することを省略して示す方法として提供することを単に意図するものである。本明細書において別に指摘していなければ、個々の各値は、それが個々に本明細書に列挙されたかのように、当該明細書内に組み込まれる。本明細書に記載したすべての方法は、本明細書において別に指摘していなければ、または文脈により別に明確に反論していなければ、あらゆる適切な順序で行うことができる。本明細書において提供した例、または例示的言語(例えば“例えば”)のいずれかおよびすべての使用は、本発明をより良く説明することを単に意図しており、別に主張していなければ、本発明の範囲に限定を設けるものではない。当該明細書における言語は、何も主張していない本発明の実践に必須の要素は示していないと解釈すべきである。
[0097]本明細書において開示した本発明の代替えの要素または態様の分類は、限定として解釈されないものとする。各群のメンバーは、個々に、またはその群の他のメンバーもしくは本明細書に見出される他の要素とのあらゆる組み合わせで、言及および主張してよい。ある群の1つまたはそれより多くのメンバーは、好都合および/または特許資格という理由から、ある群に含まれてもよいし、または削除されてもよいことは予想される。何らかのそのような包含または削除が起こる場合、当該明細書は、添付の請求項に使用したすべてのマカーシュ群の書き記された記載を満たすように修飾されたものとしてその群を含有する、と本明細書においてみなされる。
[0098]この発明の好ましい態様は、本発明を遂行するために本発明者の知る最善の方式を含んで、本明細書に記載している。もちろんそれらの好ましい態様のバリエーションは、前述の記載を読むことで当業者には明らかになるだろう。本発明者は、当業者がそのようなバリエーションを適当なものとして使用することを期待し、また本発明者らは本発明に対して、本明細書に特定して記載した以外にも実践されることを意図する。したがってこの発明は、本明細書に添付した当該請求項において列挙した主題事項のすべての修飾内容および均等物を、適用可能な法律により認可されたものとして含む。さらに、本明細書において別に指摘していなければ、または文脈により別に明確に反論していなければ、上に記載した要素のすべての可能なバリエーションにおける同要素のあらゆる組み合わせを、本発明により包括的に含む。
[0099]さらにまた、この明細書を通して特許および印刷された公開文献を多数参照した。上に引用した参考文献および印刷された公開文献の各々を、本明細書において個別にそれらの全内容において参照として援用する。
[0100]まとめとして、本明細書に開示した本発明の態様は、本発明の原理を説明するものであると理解されるものとする。使用してよいその他の修飾は、本発明の範囲内である。このように限定ではなく例というやり方で、本発明の代替えの形を本明細書における教示に従って利用してよい。したがって本発明は、示しそして記載した通りに正確であることに限定するものではない。

Claims (20)

  1. 分化細胞を治療用に再プログラム化して、多能性細胞を得る方法であって、以下の工程を包含する方法:
    分化細胞を単離すること;
    多能性幹細胞から核抽出物を調製すること;そして
    前記核抽出物と共に前記分化細胞をインキュベートして、再プログラム化された多能性細胞を形成すること。
  2. 前記分化細胞が、前胚、胚、胎児、および出生後の多細胞生物体、または始原性細胞から成る群より選択される細胞に由来する、任意の二倍体(2N)細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多能性幹細胞が、前胚性幹細胞、胚性幹細胞、胎児幹細胞、および出生後幹細胞から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記多能性幹細胞が胚性幹細胞を包含する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記核抽出物が遺伝的材料を含有しない、請求項1に記載の多能性細胞。
  6. 前記核抽出物が染色体またはクロマチンを含有しない、請求項1に記載の多能性細胞。
  7. 前記核抽出物がDNAを含有しない、請求項1に記載の多能性細胞。
  8. 前記調製工程が、以下の工程:
    多能性幹細胞を入手すること;
    前記多能性幹細胞から核体を単離すること;
    前記核体から遺伝的材料を除去すること;そして
    前記遺伝的材料を欠損する核体から抽出物を調製すること
    を包含する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記の再プログラム化された多能性細胞を凍結保存する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記の再プログラム化された多能性細胞を、それを必要とする患者に移植する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  11. 前記の再プログラム化された多能性細胞が前記患者の自家由来である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記分化細胞がG期にある請求項1に記載の方法。
  13. 核抽出物への暴露により治療用に再プログラム化された分化細胞
    を包含する、それを必要とする患者における再生療法に有用な多能性細胞。
  14. 前記核抽出物が遺伝的材料を含有しない、請求項13に記載の多能性細胞。
  15. 前記核抽出物が染色体またはクロマチンを含有しない、請求項13に記載の多能性細胞。
  16. 前記核抽出物がDNAを含有しない、請求項13に記載の多能性細胞。
  17. 前記分化細胞が、前胚、胚、胎児、および出生後の多細胞生物体、または始原性細胞から成る群より選択される細胞に由来する、任意の二倍体(2N)細胞である、請求項13に記載の多能性細胞。
  18. 前記核抽出物が多能性幹細胞から調製される、請求項13に記載の多能性細胞。
  19. 前記多能性細胞が凍結保存される、請求項13に記載の多能性細胞。
  20. 前記分化細胞が前記患者の自家由来である、請求項13に記載の多能性細胞。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021070874A1 (ja) * 2019-10-09 2021-04-15 国立大学法人大阪大学 血管内皮幹細胞の製造方法

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