JP2008525607A - フィッシャー・トロプシュ合成生成物から基油を製造する方法 - Google Patents

フィッシャー・トロプシュ合成生成物から基油を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】全フィッシャー・トロプシュ生成物から更に多くの基油を製造する方法を提供する。
【解決手段】フィッシャー・トロプシュ合成生成物を、沸点が中間蒸留物範囲以下のフラクション(i)、重質最終フラクション(iii)、沸点が(i)と(iii)との間の中間基油前駆体フラクション(ii)に分離し、フラクション(ii)に対し、バインダー、ゼオライトβ及びVIII族金属を含む触媒の存在下で接触水素化異性化工程と、バインダー、中間細孔サイズゼオライト及びVIII族水素化成分を含む触媒の存在下で接触脱蝋工程とを施して1種以上の基油グレードを取得し、フラクション(iii)に転化工程を施して(iii)より低沸点のフラクション(iv)を取得し、次に(iv)の高沸点フラクション(v)に接触水素化異性化兼接触脱蝋工程を施して1種以上の基油グレードを得る、フィッシャー・トロプシュ合成生成物からの基油の製造法。
【選択図】図2

Description

本発明は、フィッシャー・トロプシュ合成生成物から基油又は中間蝋状ラフィネート生成物を高収率で製造する方法に向けたものである。
このような方法は、WO−A−9941332、US−A−6080301、EP−A−0668342、US−A−6179994、US−A−2004/0065581又はWO−A−02070629で公知である。これらの方法は、いずれもフィッシャー・トロプシュ合成生成物の或る種の水素化異性化工程、及び次いで、この水素化異性化で得られた高沸点フラクションの脱蝋工程を含む。
例えばWO−A−02070629には、フィッシャー・トロプシュ合成生成物のC5以上のフラクションに対し、まず、非晶質シリカ−アルミナ担体上の白金よりなる触媒の存在下に水素化分解/水素化異性化工程を施す方法が記載されている。この転化工程の流出流は、中間蒸留物生成物と、基油前駆体フラクションと、高沸点フラクションとに分離される。基油前駆体フラクションは白金−ZSM−5基触媒の存在下で接触脱蝋され、また重質フラクションは水素化分解/水素化異性化工程に再循環される。
この方法では、高品質の基油が得られるが、なお改良の余地がある。特にフィッシャー・トロプシュ合成生成物に対する基油の収量は改良可能である。特に動粘度が100℃で2〜8cStの基油については、収率の向上が歓迎される。
EP−A−776959は、沸点範囲の狭いフィッシャー・トロプシュ蝋から、まず非晶質触媒系の存在下で水素化異性化工程を行ない、次に白金/ZSM−23触媒を用いた接触脱蝋工程を行なって、高収率で基油を製造する方法を開示している。
US−A−2004/0065581も、狭い留分のParaflint C80蝋(融点約80℃のほぼノーマルパラフィン蝋)から、白金/ゼオライトβと白金/ZSM−48との積層触媒と接触させて高収率で基油を製造する方法を開示している。
これら2つの方法では、狭い留分の原料に対して高収率で基油が得られると述べている。これら文献に開示された原料の沸点範囲よりも遥かに高い沸点を有する可能性がある全フィッシャー・トロプシュ蝋に対して計算すると、収率は著しく低下する。
WO−A−9941332 US−A−6080301 EP−A−0668342 US−A−6179994 US−A−2004/0065581 WO−A−02070629 EP−A−776959 US−A−4943672 US−A−5059299 WO−A−9934917 WO−A−9920720 US−A−3354078 US−A−4859311 US−A−5157191 WO−A−2000029511 EP−B−832171 US−A−6703530 US−A−4684759 WO−A−9410264 EP−A−0582347 EP−A−885275 EP−B−668342 Ryland,Lloyd B.,Tamale,M.W.及びWilson,J.N.,Cracking Catalysts,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,New York、1960、pp.5−9
本発明は、基油の沸点範囲以上の沸点を有する全フィッシャー・トロプシュ生成物に対して更に多くの基油が製造される方法を提供することを目的とする。
以下の方法は、この目的を達成する。
(a)フィッシャー・トロプシュ合成生成物を、沸点が中間蒸留物範囲以下のフラクション(i)と、重質最終フラクション(iii)と、沸点がフラクション(i)とフラクション(iii)との間にある中間基油前駆体フラクション(ii)とに分離する工程、
(b)基油前駆体フラクション(ii)に対し、バインダー、ゼオライトβ及び第VIII族金属を含む触媒の存在下で接触水素化異性化工程及びバインダー、中間細孔サイズのゼオライト及び第VIII族水素化成分を含む触媒の存在下で接触脱蝋工程を施して、1種以上の基油グレードを得る工程、
(c)重質最終フラクション(iii)に対し、転化工程を施して、該重質最終フラクション(iii)より低沸点のフラクション(iv)を得る工程、及び
(d)フラクション(iv)の高沸点フラクション(v)に対し、接触水素化異性化及び接触脱蝋工程を施して、1種以上の基油グレードを得る工程、
により、フィッシャー・トロプシュ合成生成物から基油を製造する方法。
出願人は、フィッシャー・トロプシュ合成生成物の中間フラクション(ii)及び工程(c)で得られた高沸点フラクション(v)のフラクションに、直接、選択的異性化及び脱蝋工程を施すことにより、フィッシャー・トロプシュ合成生成物に対して基油が高収率で得られることを見出した。
以下の理論により束縛されることを意図するものではないが、基油が高収率で得られるのは、本発明方法が基油の沸点範囲の沸点を有するフラクション、即ち、フラクション(ii)及び(v)を工程(b)、(d)の接触異性化工程及び接触脱蝋工程の好適な原料として多量に生成することによるものと考えられる。WO−A−02070629の従来法では、フィッシャー・トロプシュ合成生成物の相当するフラクションは、まず、触媒と接触させて、大部分を中間蒸留物生成物及び低沸点生成物に転化させる。このような異なる構成を用いることにより、フィッシャー・トロプシュ合成生成物中の潜在的基油分子の中間蒸留物分子への転化は最小となる。更にWO−A−02070629では、水素化分解/水素化異性化工程で得られた重質フラクションは、前記工程に再循環される。その結果、潜在的基油分子は、中間蒸留物分子に一層転化される。
フィッシャー・トロプシュ合成生成物は、周知の方法、例えばいわゆるSasol法、Shell Middle Distillate合成法又はExxonMobil“AGC−21”法により得られる。これらの方法及びその他の方法は、例えばEP−A−776959、EP−A−668342、US−A−4943672、US−A−5059299、WO−A−9934917及びWO−A−9920720に更に詳細に記載されている。通常、これらフィッシャー・トロプシュ合成生成物は、炭素原子数1〜100及び更には100を超える炭化水素を含有する。この炭化水素生成物は、iso−パラフィン、n−パラフィン、酸素化生成物及び不飽和生成物を含有する。工程(a)の原料又は工程(a)で得られたいずれのフラクションも、酸素化物又は飽和生成物を除去するため、水素化してよい。本発明方法は、フィッシャー・トロプシュ合成生成物の実質的一部、好ましくは10重量%を超え、更に好ましくは30重量%を超え、なお更に好ましくは50重量%を超える部分が550℃より高い沸点を有すると、特に有利である。このような重質フィッシャー・トロプシュ合成生成物を製造できる好適な方法の一例は、WO−A−9934917に記載されている。
工程(a)では、フィッシャー・トロプシュ合成生成物は、沸点が中間蒸留物範囲以下のフラクション(i)と、好ましくは初期沸点が500〜600℃の、重質最終フラクション(iii)と、沸点がフラクション(i)とフラクション(iii)との間にある中間基油前駆体フラクション(ii)とに分離される。好ましい基油前駆体フラクション(ii)は、沸点範囲が370〜600℃の化合物を90重量%より多く含有するものである。好適にはフィッシャー・トロプシュ合成生成物は、まず大気圧以上の圧力で分別して、沸点が中間蒸留物範囲以下のフラクション(i)を得る。分別は、フラッシング又は蒸留により行ってよい。この中間蒸留物範囲は、時には、大部分、即ち、90重量%を超える部分が200〜350℃の沸点を有するフラクションとして定義する。中間蒸留物は、ガス油フラクション及びケロシンフラクションを含有し、これらはフィッシャー・トロプシュ合成生成物から単離できる。大気分別の残留物又は塔底生成物は、更にほぼ真空圧で、初期沸点500〜600℃の重質最終フラクション(iii)と中間基油前駆体フラクション(ii)とに分離される。更に好ましくは、重質最終フラクション(iii)のT10重量%回収点は500〜600℃の範囲である。
工程(b)では、基油前駆体フラクション(ii)は、バインダー、ゼオライトβ及び第VIII族金属を含む触媒上を通過する。次いで、得られた中間生成物には更に接触脱蝋段階を施す。これら第一及び第二段階は、統合プロセス工程、例えばカスケード式である。ゼオライトβ触媒は、ホウ素を持つか又は持たない12リング酸性シリカ/アルミナゼオライトで、ホウ素は幾つかのアルミニウム原子と置換する。生成物中に若干の残留硫黄が許容でき、かつ基油前駆体フラクションが若干、硫黄を含有する場合は、予備硫化ゼオライトβが好ましい。基油前駆体フラクション(ii)の一部が硫化触媒を用いて工程(c)で製造される場合、図3に示すように工程(b)と工程(d)とを組合わせた本発明による好ましい実施態様の一つでは、硫黄含有基油前駆体フラクションは、工程(b)の原料として好適に製造できる。
第一段階の触媒に使用されるゼオライトβは、少なくとも金属装填前でのα値が好ましくは15未満、更に好ましくは10未満である。α値は酸性度の尺度で、基準触媒と比較した触媒の接触分解活性の概略指標となる。α値は相対速度定数(単位時間当たり触媒の容積当たりノーマルヘキサンの転化速度)である。α値は、US−A−3354078に記載されるように、α=1とみなした高活性シリカ−アルミナ分解触媒の活性を基準とし、Journal of Catalysts、第4巻、527頁(1965);同第6巻、278頁(1966);及び同第61巻、395頁(1980)に記載の方法で測定される。フィッシャー・トロプシュ誘導基油前駆体フラクションを使用すると、原料中の無機窒素含有量のため、ゼオライトβ触媒のα値は低いことが必要である。α値は蒸煮により低下できる。好適な第一段階触媒の例は、前述のUS−A−2004/0065581に記載されている。
工程(b)の第二段階の触媒は、中間細孔サイズのモレキュラシーブを含有する。好ましくは中間細孔サイズのモレキュラシーブは、細孔径が0.35〜0.8nmのゼオライトである。好適な中間細孔サイズのゼオライトは、モルデナイト、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、SSZ−32、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48又はこれらゼオライトの組合わせである。最も好ましくはZSM−48、SSZ−32、ZSM−23、ZSM−12及びZSM−22であり、中でもZSM−48は極めて好適である。他の好ましいモレキュラシーブ群は、シリカ−アルミナホスフェート(SAPO)材料であり、中でも例えばUS−A−4859311に記載されるように、SAPO−11が最も好ましい。
工程(b)の第一及び第二段階での触媒は、少なくとも1種の第VIII族金属(即ち、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Ni)を0.01〜5重量%含有する。白金及びパラジウムが最も好ましい。白金又はパラジウムを互いに又は他の第VIII族金属とブレンドしたものは、次に好ましい。ニッケルも第VIII族貴金属とブレンドしてよく、第VIII族金属のブレンド、合金又は混合物も本発明の範囲に含まれる。両触媒に装填する金属量は好ましくは0.1〜1重量%、最も好ましくは約0.6重量%である。
工程(b)の第一及び第二段階での触媒のバインダーは、合成または天然産の(無機)物質、例えば粘土、シリカ及び/又は金属酸化物であってよい。天然産の粘土としては、例えばモンモリロナイトおよびカオリン属がある。バインダーは多孔質バインダー材料、例えば耐火性酸化物、例えばアルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア(酸化トリウム)、シリカ−ベリリア(酸化ベリリウム)、シリカ−チタニアや三元組成物、例えばシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニアがある。好適なバインダーはアルミナである。アルミナを使用した場合、触媒中の該バインダーの含有量は、好ましくは10〜65重量%である。本質的にアルミナを含まない低酸性度の耐火性酸化物バインダー材料を使用することが更に好ましい。これらバインダー材料の例としては、シリカ、ジルコニア、二酸化チタン、二酸化ゲルマニウム、ボリアおよび前述のようなこれら2種以上の混合物がある。最も好ましいバインダーはシリカである。低酸性度バインダーを使用した場合、該バインダーの含有量は、好ましくは60〜95重量%、更に好ましくは65〜90重量%である。
前述のような低酸性度バインダーを含む触媒には、脱アルミ化処理を施すことが好ましい。このような処理では、アルミノシリケートゼオライト微結晶の表面は、該アルミノシリケートゼオライト微結晶に対し表面脱アルミ化処理を施すことにより変性される。好ましい脱アルミ化処理は、例えばUS−A−5157191又はWO−A−2000029511に記載されるように、バインダー及びゼオライトの押出物をフルオロシリケート塩の水溶液と接触させることによる。前述のような好適な脱蝋触媒の例は、例えばWO−A−0029511及びEP−B−832171に記載されるようなシリカ結合脱アルミ化Pt/ZSM−5、シリカ結合脱アルミ化Pt/ZSM−23、シリカ結合脱アルミ化Pt/ZSM−12、シリカ結合脱アルミ化Pt/ZSM−22である。
中間細孔サイズゼオライト及び/又はゼオライトβの微結晶サイズは100μのように大きくてもよい。最適触媒活性を得るには、小さい微結晶を使用することが好ましい。好ましくは10μよりも小さい、更に好ましくは1μよりも小さい微結晶が使用される。実用的な下限は好適には0.1μである。小サイズの微結晶を表面脱アルミ化処理、特に前述のようなAHS処理と組合わせると、脱アルミ化しない他は同じ触媒に比べて触媒活性が向上することが見出された。好ましい触媒は、微結晶サイズが0.05〜0.2μmで、脱アルミ化処理を施したものである。微結晶のサイズ、好ましくは細孔方向の長さは、臨界的次元である。微結晶の長さは、X線回折を用いて線広がり測定により測定できる。
第一、第二の両段階でのプロセス条件については、水素圧は10〜200バール、好ましくは40〜70バールの範囲であり、重量の1時間当り空間速度(WHSV)は1時間当たり触媒1リットル当たり油0.1〜10kg(kg/l/hr)、好適には0.2〜5kg/l/hr、更に好適には0.5〜3kg/l/hrの範囲であり,水素と油との比は、油1リットル当たり水素100〜2,000リットルの範囲である。
工程(b)でのゼオライトβを含む第一段反応工程は、好ましくは200〜370℃、更に好ましくは260〜340℃、最も好ましくは270〜300℃の温度で行なわれる。
工程(b)の第二段反応工程は、好ましくは260〜430℃、更に好ましくは320〜370℃、最も好ましくは330〜350℃の温度で行なわれる。工程(b)でこれら2つの段階を行なう温度は、独立に制御することが好ましい。両段階の圧力は互いに同程度であることが好ましい。本発明の好ましい実施態様では、第一床Pt/ゼオライトβ触媒と、後続する白金及び前述の中間細孔サイズゼオライトの1つを含む触媒の第二床とからなるカスケード式2床触媒系により、最小量のガス形成で基油前駆体フラクション(ii)から基油を製造する方法が高選択率で行なえる。カスケード法では、中間生成物は、介入段階の分離なしで、第一床から第二床に直接、通すことが好ましい。軽質副生物(例えばメタン、エタン)は第一段階と第二段階との間で任意に除去できる。
工程(b)での基油前駆体フラクションは、合成したフィッシャー・トロプシュ蝋のフラクションであってよい。このようなフラクションは、通常、ノーマルパラフィンを95重量%より多く含有する。工程(b)の原料も、工程(c)で得られるようなフラクション(v)を含有することが好ましい。このフラクション(v)は、大部分がイソパラフィンである。イソパラフィンが存在すると、イソパラフィン分子は、所望流動点の基油を得る場合、ノーマルパラフィンに比べて異性化の程度が少なくて済むので有利である。このように組合わせた基油前駆体フラクションの低凝固点は、イソパラフィンの存在を示す指標となる。したがって、凝固点は好ましくは80℃未満、更に好ましくは60℃未満、なお更に好ましくは50℃未満である。下限は、通常、0℃を超える。
脱蝋工程(b)を行った後、所望の基油は、基油回収工程(e)において脱蝋流出流から単離することが好ましい。この工程(e)では、接触脱蝋中に形成された低沸点化合物は、好ましくは蒸留により、任意に初期フラッシング工程と組合せて、除去される。工程(b)の原料として、好適な狭い蒸留留分を選択することにより、工程(b)の流出流からいずれの高沸点化合物も除去する必要なく、接触脱蝋工程(b)後、直接、所望の基油を得ることが可能である。狭い留分の原料は、90重量%沸点と10重量%沸点と差(T90−T10)が好ましくは40〜150℃、更に好ましくは50〜130℃の範囲である。極めて好適なグレードの例は、100℃での動粘度が3.5〜6cStの範囲の基油である。
本発明方法により、2種以上の粘度グレードの基油を製造することが可能であることも見い出された。工程(a)において、更に広範な沸点範囲の基油前駆体フラクション(ii)を得ることにより、工程(e)では多くの基油グレードが同時に得られる。沸点曲線において、T10重量%回収点と90重量%回収点との差は、好ましくは100℃を超え、更に好ましくは150℃を超える。この方式では、工程(b)の流出流は、2種以上の基油グレードを含む各種蒸留物フラクションに分離される。各種基油グレードについての所望の粘度グレード及び揮発減量要件に適合させるため、所望の基油グレードの間、これらグレードよりも高い、及び/又は低い沸点を有する好ましくは規格外フラクションも、別個のフラクションとして得られる。これらのフラクション及び沸点がガス油範囲以下のいずれのフラクションも工程(a)に再循環すると有利であるかも知れない。或いは沸点がガス油範囲以下で得られたフラクションは、ガス油燃料組成物製造用の別個のブレンド成分として好適に使用できる。
工程(e)で各種フラクションの分離は、フラクション分離用の側部ストリッパーを備えた真空蒸留塔で好適に行うことができる。この方式では、単一の基油前駆体フラクション(ii)から、例えば2〜3cStの生成物、4〜6cStの生成物及び7〜10cStの生成物が同時に得られることが判った。これらの粘度値は100℃での動粘度である。
工程(c)では、重質最終フラクション(iii)に対し、転化工程を施して、沸点が重質最終フラクション(iii)未満のフラクション(iv)を得る。工程(c)は、重質フィッシャー・トロプシュ蝋をこれより低沸点の炭化水素化合物に転化できるいかなる転化法で行ってもよい。工程(c)の転化生成物がオレフィン系化合物を多量に含むならば、添加水素の不存在下に操作する転化法を利用するのが好ましい。添加水素の不存在下に操作する好適な転化法の例は、例えばUS−A−6703530に記載されるような周知の熱分解法及び例えばUS−A−4684759に記載されるような接触分解法である。これに対し、工程(c)の転化生成物がオレフィン系化合物を殆ど含まないものならば、添加水素の存在下に操作する方法を利用するのが好ましい。好適な方法の一例は、周知の水素化異性化/水素化分解法である。最終基油生成物のオレフィン含有量を最小にするため、本発明では後者のタイプの転化方法が好ましい。
工程(c)の水素化分解/水素化異性化反応は、水素及び触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒は、この反応に好適であるとして当業者に公知のものから選択できる。幾つかの触媒については以下に詳細に説明する。このような触媒は、原則として、当該技術分野でパラフィン分子の異性化に好適であるとして当該技術分野で公知のいずれの触媒であってもよい。一般に好適な水素化転化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ、アルミナ、弗化(fluorided)アルミナ、モレキュラーシーブ(ゼオライト)又はこれら2種以上の混合物のような耐火性酸化物担体上に水素化成分を担持してなる触媒である。本発明に従って水素化転化/水素化異性化工程に適用される好ましい第一の種類の触媒は、水素化成分として白金及び/又はパラジウムを含む水素化転化/水素化異性化触媒である。極めて好ましい水素化転化/水素化異性化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ(ASA)担体上に白金及びパラジウムを担持して構成される。白金及び/又はパラジウムは、担体の全重量に対し元素として計算して、好適には0.1〜5.0重量%、更に好適には0.2〜2.0重量%存在する。両方存在する場合、白金対パラジウムの重量比(元素として計算して)は、広範な限界内で変化してよいが、好適には0.05〜10、更に好適には0.1〜5の範囲である。ASA触媒上の好適な貴金属の例は、例えばWO−A−9410264及びEP−A−0582347に開示されている。弗化アルミナ担体上の白金のような他の好適な貴金属基触媒は、例えばUS−A−5059299及びWO−A−9220759に開示されている。
好適な第二の種類の水素化転化触媒は、少なくとも1種の第VIB族金属、好ましくはタングステン及び/又はモリブデンと、少なくとも1種の第VIII族非貴金属、好ましくはニッケル及び/又はコバルトとを水素化成分として含む触媒である。通常、両金属は酸化物、硫化物又はそれらの組合わせで存在する。第VIB族金属は、触媒の全重量に対し元素として計算して、好適には1〜35重量%、更に好適には5〜30重量%の量で存在する。第VIII族非貴金属は、担体の全重量に対し元素として計算して、好適には1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の量で存在する。特に好適であることが判っている、この種の水素化転化触媒は、弗化アルミニウム上にニッケル及びタングステンを担持してなる触媒である。
前記非貴金属ベースの触媒は、硫化物形態で使用することが好ましい。使用中、触媒の硫化物形態を維持するには、原料中に若干の硫黄が存在する必要がある。原料中に硫黄は、好ましくは50〜150ppm存在する。硫黄の可能な供給源は、例えば原油供給源の真空蒸留又は常圧蒸留の残留物である。好ましい供給源は、ガス田凝縮物である。これらの供給源は、所望の硫黄レベルを得るため、工程(c)に一緒に供給してよい。
非硫化物形態で使用できる好ましい触媒は、第VIII族非貴金属、例えば鉄、ニッケルを、第IB族金属、例えば銅と共同で酸性支持体上に担持して構成される。パラフィンのメタンへの加水分解を抑えるため、銅が存在することが好ましい。この触媒の細孔容積は水吸収法で測定して、好ましくは0.35〜0.80ml/gmの範囲であり、表面積はBET窒素吸着法で測定して、好ましくは200〜500m/gであり、また嵩密度は0.4〜1.0g/mlである。好ましくは触媒支持体は、アルミナが5〜96重量%、好ましくは20〜85重量%の量で存在する非晶質シリカ−アルミナ製である。シリカ含有量は、SiOとして好ましくは15〜80重量%である。またこの支持体は、バインダー、例えばアルミナ、シリカ、第IVA族金属酸化物、及び各種粘土、マグネシア等、好ましくはアルミナ又はシリカを少量、例えば20〜30重量%含有してもよい。
非晶質シリカ−アルミナ微小球体の製造については、Ryland,Lloyd B.,Tamale,M.W.及びWilson,J.N.,Cracking Catalysts,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,New York、1960、pp.5−9に記載されている。
この触媒は、溶液からこれら金属を支持体上に同時に含浸し、100〜150℃で乾燥し、次いで空気中、200〜550℃で焼成して製造される。第VIII族金属は約15重量%以下、好ましくは1〜12重量%の量で存在し、一方、第IB族金属は、通常、これより少量、第VIII族金属に対して、例えば1:2〜約1:20の重量比の量で存在する。
通常の触媒を以下に示す。
Ni、重量% 2.5〜3.5
Cu、重量% 0.25〜0.35
Al−SiO重量% 65〜75
Al(バインダー)重量% 25〜30
表面積 290〜325m/g
細孔容積(Hg) 0.35〜0.45ml/g
嵩密度
水素化転化/水素化異性化条件は、触媒の存在下、高温高圧で水素と接触させる原料を含む。この温度は通常、175〜380℃、好ましくは200℃より高く、更に好ましくは300〜370℃の範囲である。圧力は、通常、10〜250バール、好ましくは20〜80バールの範囲である。水素は、ガスの1時間当り空間速度100〜10000Nl/l/hr、好ましくは500〜5000Nl/l/hrで供給してよい。炭化水素原料は、重量の1時間当り空間速度0.1〜5kg/l/hr、好ましくは0.5kg/l/hrより高く、更に好ましくは2kg/l/hrより低く供給してよい。水素と炭化水素原料との比は、100〜5000Nl/kgの範囲でよく、好ましくは250〜2500Nl/kgである。
1パス当り370℃よりも高い沸点を有する原料が、370℃より低い沸点を有するフラクションまで反応する重量パーセントとして定義する、工程(c)での転化率は、好ましくは少なくとも20重量%、更に好ましくは少なくとも25重量%であるが、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下、なお更に好ましくは65重量%以下である。
前記工程(c)と(d)とを組合わせた流出流は、前記同じの基油仕立て部(工程(e))に供給することが好ましい。これにより、次に重質グレードを含む全ての基油グレードの単離が同じ蒸留塔で行なえるので有利である。
工程(d)では、フラクション(iv)の中の高沸点フラクション(v)に対し、接触水素化異性化及び接触脱蝋工程を施して、1種以上の基油等級を得る。工程(c)の流出流中の高沸点フラクション(v)は、初期沸点が好ましくは340〜400℃の範囲のものである。更に好ましくは10重量%回収点は、340〜400℃の範囲である。フラクション(v)の最終沸点は、好ましくは500〜600℃の範囲である。更に好ましくは、90重量%回収点は500〜600℃の範囲である。工程(d)の接触脱蝋は、工程(b)で説明した第一又は第二段階脱蝋法を用いて行なってよい。これらの方法は、工程(b)で説明したように、単独でも或いは好ましくは組合わせて使用してよい。分離は蒸留で行うのが好ましい。基油は、前述と同じ基油仕立て部(工程(e))において工程(d)の流出流から単離される。
フラクション(v)より高沸点である工程(c)の流出流のフラクション、即ち、工程(c)の原料のいわゆる未転化部分は、好適には工程(c)に再循環してよい。このフラクションの蝋含有量は、工程(c)の原料の蝋フラクションよりも少ないので、前記フラクションから高粘稠の基油を製造できることが見出された。高粘性基油の製造は、接触脱蝋法、溶剤脱蝋法又はこれら方法の組合わせにより行なうことができる。好適な組合わせ法は、蝋含有量を、接触脱蝋により5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%に低下させる第一低下工程、続いて、得られた生成物を溶剤脱蝋して曇りのない基油を得る溶剤脱蝋工程を含む。接触脱蝋は、周知の脱蝋技術又は工程(b)で説明した第一及び第二段階脱蝋法により行なうことができる。出願人は、白金/ZSM−12触媒が一層粘稠な基油に対し高収率を維持しながら、蝋含有量を低下させることを見出した。これら曇りのない基油の100℃での動粘度は、好ましくは10cStを超え、更に好ましくは14cStを超えるが、30cSt以上の範囲であってよい。
工程(b)と工程(d)とを組合わせることが好ましい。このような実施態様では、工程(c)の流出流を工程(a)に供給することが好ましい。こうすると、蒸留塔の数が減少するので有利である。工程(a)では、新しいフィッシャー・トロプシュ合成生成物と工程(c)の流出流との混合物は、再び同時に、沸点が中間蒸留物範囲以下のフラクション(i)と、重質最終フラクション(iii)と、沸点がフラクション(i)とフラクション(iii)との間にある中間基油前駆体フラクション(ii)とに分離される。この実施態様では、工程(b)及び(d)は、同じ反応器中で行われる。この実施態様も、明らかに有利である。
フィッシャー・トロプシュ合成生成物は、オレフィン及び酸素化物を含有してもよいが、酸素化物は工程(b)、(c)及び(d)で使用される水素化転化触媒に有害である可能性がある。これらの化合物は、工程(a)を行う前、又は分離工程(b)、(c)及び/又は(d)の原料を水素化する前にフィッシャー・トロプシュ合成生成物の水素化により除去してよい。後者は、フィッシャー・トロプシュ合成生成物中に存在する酸素化物の若干が最終的に中間蒸留物フラクション(i)に入り、得られるガス油フラクション又はケロシンフラクション中で潤滑向上剤として役立つので、有利である。このような化合物の存在による利点は、例えばEP−A−885275に記載されている。
可能な水素化法は、例えばEP−B−668342に記載されている。水素化処理工程のマイルド性は、この工程での転化程度が好ましくは20重量%未満、更に好ましくは10重量%未満として表わされる。ここで転化率は、370℃よりも高い沸点を有する原料が、370℃より低い沸点を有するフラクションまで反応する該原料の重量パーセントとして定義する。可能な水素化法の例には、ニッケル含有触媒、例えばアルミナ上のニッケル、シリカ−アルミナ上のニッケル、珪藻土上のニッケル、アルミナ上の銅ニッケル、シリカ−アルミナ上のコバルト、又はアルミナ上の白金ニッケルを使用することが含まれる。水素化条件は、当業者に周知のこの種の方法での通常の条件である。
本発明を図1〜3を利用して更に説明する。
図1はWO−A−02070629の従来法を示す。
図2は本発明方法を示す。
図3は本発明方法を示す。
図1は、フィッシャー・トロプシュ生成物2を製造するフィッシャー・トロプシュ合成法工程1を例示するWO−A−02070629の従来法を説明する。この生成物2は、水素化分解/水素化異性化工程3に供給される。次いで、生成物4は、常圧蒸留塔5においてナフサ生成物6、ケロシン生成物7、ガス油生成物8及び塔底生成物に分離される。この塔底生成物は、引き続き真空蒸留塔9において基油前駆体フラクション10及び高沸点フラクション17に分離される。次いで、フラクション10は接触脱蝋11され、得られた脱蝋油12は塔13において各種基油生成物14、15、16に分別される。高沸点フラクション17は、水素化分解/水素化異性化工程3に再循環される。
図2は本発明の一実施態様を示す。フィッシャー・トロプシュ合成法工程20では、フィッシャー・トロプシュ生成物21が製造される。この生成物21は、蒸留22により1種以上の中間蒸留物フラクション31、38、基油前駆体フラクション36及び高沸点フラクション23に分離される。中間蒸留物フラクションは、ナフサ、ケロシン及びガス油であってよい。蒸留22は、図1と同様、常圧蒸留及び真空蒸留体系であってよい。基油前駆体フラクションは、工程(b)を行なうため、接触水素化異性化と接触脱蝋との組合わせ工程30に供給され、得られた脱蝋油34は、塔32において1種以上の基油生成物35、36、37に分別される。高沸点フラクション23は、水素化分解/水素化異性化工程24に供給され、ここで分解生成物25が得られる。この生成物25からは、塔26において、ガス油の沸点範囲以下のフラクション38、基油前駆体フラクション27及び高沸点フラクション33が分離される。基油前駆体フラクション27は、接触脱蝋28され、得られた脱蝋油は、前述のように32において分離される脱蝋油34と一緒になる。ここで基油37は、図1の基油16よりも更に粘稠である。
図3は、図2の方法において、水素化分解/水素化異性化工程44で得られた生成物を第一分離ユニット42に再循環する場合を示す。図2と図3とを比べて判るように、単位操作がかなり減少する。フィッシャー・トロプシュ合成法工程40ではフィッシャー・トロプシュ生成物が製造される。この生成物41は、蒸留42により、ナフサ、ケロシン及びガス油であってよい1種以上の中間蒸留物フラクション46、47、基油前駆体フラクション48及びこれより高沸点のフラクション43に分離される。蒸留42は、図1と同様、常圧蒸留及び真空蒸留体制であってよい。高沸点フラクション43は、水素化分解/水素化異性化工程44に供給され、ここで分解生成物45が得られ、蒸留42に再循環される。
基油前駆体フラクション48は、接触水素化異性化と接触脱蝋との組合わせ工程49に供給され、得られた脱蝋油50は、塔51において1種以上の基油生成物53、54に分別される。基油54は、図1の基油16と同等に粘度を有する。
脱蝋油から分離されたガス油生成物52は、有望な低温特性を有するブレンド生成物が得られるよう、好ましくはガス油フラクション47とブレンドされる。ガス油生成物52は、低い曇り点及び常温油こし詰まり点(CFFP)を有する。有望な低温特性を有するガス油生成物52の容積は、基油前駆体フラクション48の初期沸点を調節することにより制御できる。このような制御により、操作者は、小容積のガス油52、したがって、得られるガス油生成物52、47のブレンドの、曇り点やCFFPのような低温特性を目標とすることができる。
本発明を以下の非限定的例により説明する。
例1
第1表に示すような特性を有するフィッシャー・トロプシュ誘導生成物を蒸留して、沸点がほぼ540℃より高温のフラクション(蒸留原料に対し72重量%回収された)及び沸点がほぼ350〜540℃の範囲にあるフラクション(蒸留原料に対し25重量%回収された)を得た。更に、この原料から、沸点がほぼ350℃未満のフラクション3重量%が分離された。原料及び主な蒸留物フラクションの沸点曲線データを第1表に示す。
第1表の540℃+フラクションに対し、原料が非晶質シリカ−アルミナ担体上の白金0.8重量%と接触する水素化分解工程を施した。水素化分解工程の条件は、新しい原料の重量の1時間当り空間速度(WHSV)0.9kg/l.h、再循環なし、水素ガス速度=1100Nl/原料kg、全圧=32バールである。反応器温度は、第2表に示すように変化させた。水素化分解器の流出流を分析し、各種沸点のフラクションについての収率を第2表に示す。
こうして蒸留工程では、ほぼn−パラフィンからなる沸点範囲350〜540℃のフラクション(I)が蒸留工程の原料に対して25重量%得られ、また水素化分解工程では、沸点範囲370〜540℃の蝋状ラフィネートフラクション(II)が14重量%得られた。これら2種のフラクション(I)及び(II)は組合わせてもよく、この組合わせフラクションから脱蝋により基油を製造してもよい。
これら2種のフラクション(i)及び(ii)に対する可能な基油の収率を計算するため、US−A−2004/0065581の図1に報告された収率を基準とした。−20℃の流動点を有する基油の収率は、ほぼノーマルパラフィンのC24〜C60蝋を白金/ゼオライトβと白金/ZSM−48との積層触媒系上で脱蝋した方法では60重量%である。これらの収率は、ほぼノーマルパラフィンの供給原料によるものであるが、本発明では一部異性化した供給原料を脱蝋したものである。したがって、このような原料に対する60重量%は、例1にとっては控えめな全収率となる。
こうして、フラクション(I)と(II)との組合わせの60重量%は、基油を生成する。したがって、原料に対し計算した基油の全収率は、0.6×(25重量%+14重量%)=23.4重量%である。
比較実験A
フィッシャー・トロプシュ誘導生成物(原料)を直接、水素化分解工程に供給した他は、例1を繰り返した。先行蒸留は行わなかった。原料に対する370〜540℃フラクションの収率は24重量%であった。このフラクションは、部分的に水素化異性化もされているので、例1と同じ評価の基油収率をこのフラクションに適用できる。この場合、基油収率は原料に対し(0.6×24重量%=)14.4重量%となる。
例1と比較実験Aとを比較して判るように、フィッシャー・トロプシュ誘導生成物(原料)に対する基油の収率は、従来法の構成を用いた場合(14.4重量%)に比べて本発明方法の方がかなり高い(23.4重量%)。
WO−A−02070629に記載の従来法を示す。 本発明方法を示す。 本発明方法を示す。
符号の説明
1 フィッシャー・トロプシュ合成法工程
2 フィッシャー・トロプシュ生成物
3 水素化分解/水素化異性化工程
4 生成物
5 常圧蒸留塔
6 ナフサ生成物
7 ケロシン生成物
8 ガス油生成物
9 真空蒸留塔
10 基油前駆体フラクション
11 接触脱蝋
12 脱蝋油
13 塔
14 基油生成物
15 基油生成物
16 基油生成物
17 高沸点フラクション
20 フィッシャー・トロプシュ合成法工程
21 フィッシャー・トロプシュ生成物
22 蒸留
23 高沸点フラクション
24 水素化分解/水素化異性化工程
25 分解生成物
27 基油前駆体フラクション
28 接触脱蝋
30 水素化異性化と接触脱蝋との組合わせ工程
31 中間蒸留物フラクション
32 塔
33 高沸点フラクション
34 脱蝋油
35 基油生成物
36 基油前駆体フラクション又は基油生成物
37 基油生成物
38 中間蒸留物フラクション又はガス油沸点範囲以下のフラクション
40 フィッシャー・トロプシュ合成法工程
41 フィッシャー・トロプシュ生成物
42 第一分離ユニット又は蒸留
43 高沸点フラクション
44 水素化分解/水素化異性化工程
45 分解生成物
46 中間蒸留物フラクション
47 中間蒸留物フラクション、ガス油フラクション又はガス油生成物
48 基油前駆体フラクション
49 水素化異性化と接触脱蝋との組合わせ工程
50 脱蝋油
51 塔
52 ガス油生成物
53 基油生成物
54 基油生成物

Claims (9)

  1. (a)フィッシャー・トロプシュ合成生成物を、沸点が中間蒸留物範囲以下のフラクション(i)と、重質最終フラクション(iii)と、沸点がフラクション(i)とフラクション(iii)との間にある中間基油前駆体フラクション(ii)とに分離する工程、
    (b)基油前駆体フラクション(ii)に対し、バインダー、ゼオライトβ及び第VIII族金属を含む触媒の存在下で接触水素化異性化工程及びバインダー、中間細孔サイズのゼオライト及び第VIII族水素化成分を含む触媒の存在下で接触脱蝋工程を施して、1種以上の基油グレードを得る工程、
    (c)重質最終フラクション(iii)に対し、転化工程を施して、該重質最終フラクション(iii)より低沸点のフラクション(iv)を得る工程、及び
    (d)フラクション(iv)の高沸点フラクション(v)に対し、接触水素化異性化及び接触脱蝋工程を施して、1種以上の基油グレードを得る工程、
    により、フィッシャー・トロプシュ合成生成物から基油を製造する方法。
  2. 前記重質最終フラクション(iii)の初期沸点が、500〜600℃の範囲である請求項1に記載の方法。
  3. 工程(b)における中間細孔サイズのゼオライトが、モルデナイト、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、SSZ−32、ZSM−35、ZSM−48又はこれらゼオライトの組合わせである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(b)における中間細孔サイズのゼオライトがZSM−48である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(b)において、水素化異性化工程がバインダー、ゼオライトβ及び白金を含む触媒の存在下で行なわれ、接触脱蝋工程がバインダー、中間細孔サイズのゼオライト及び白金を含む触媒の存在下で行なわれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(c)が、酸性官能価及び水素化/脱水素化官能価を含む非晶質触媒を利用する水素化分解/水素化異性化工程として行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(c)の流出流が、工程(a)に供給され、これにより工程(c)及び(d)が事実上、同時に行なわれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. (a)フィッシャー・トロプシュ合成生成物を、沸点が中間蒸留物範囲以下のフラクション(i)と、重質最終フラクション(iii)と、沸点がフラクション(i)とフラクション(iii)との間にある中間基油前駆体フラクション(ii)とに分離する工程、
    (b)基油前駆体フラクション(ii)に対し、バインダー、ゼオライトβ及び第VIII族金属を含む触媒の存在下で接触水素化異性化工程及びバインダー、中間細孔サイズのゼオライト及び第VIII族水素化成分を含む触媒の存在下で接触脱蝋工程を施して、1種以上の基油グレードを得る工程、
    (c)重質最終フラクション(iii)に対し、転化工程を施して、該重質最終フラクション(iii)より低沸点のフラクション(iv)を得ると共に、基油の沸点範囲の沸点を有するフラクション(iv)の高沸点フラクション(v)を工程(b)に再循環する工程、
    により、フィッシャー・トロプシュ合成生成物から基油を製造する方法。
  9. フラクション(iv)の高沸点フラクション(v)が工程(c)に再循環される請求項8に記載の方法。

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