JP2008525456A - 精製rhIGF−I/rhIGFBP−3複合体およびその製造法 - Google Patents

精製rhIGF−I/rhIGFBP−3複合体およびその製造法 Download PDF

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Abstract

新規の純度レベルのIGF-IおよびIGFBP-3の複合体を提供する。IGFBP-3の質量および電荷変異体のような不純物を除去するクロマトグラフィー法を開発した。新たな技術によってIGF-I/IGFBP-3複合体を含む高品質の医薬組成物の製造が可能となる。

Description

本発明はインスリン様成長因子Iおよびインスリン様成長因子結合タンパク質-3の超精製複合体を含有する組成物およびその生成法に関する。
IGF-I/IGFBP-3はインスリン様成長因子I(“IGF-I”)とインスリン様成長因子結合タンパク質-3(“IGFBP-3”)とのタンパク質複合体である。IGF-Iは強固な構造およびプロインスリンとの機能的相同性を有する小型ポリペプチドである。そのため多くのインスリンの生理学的作用を誘引する。
IGF-I/IGFBP-3複合体は多様な障害の治療に使用することができる(例えば米国特許第5,681,818号、5,723,441号、5,948,757号、6,015,786号、6,017,885号、6,025,332号、6,025,368号、6,514,937号、および 6,518,238号参照)。健常個体ではIGF-Iは他のタンパク質と結合して血流中に見られる。例えばIGF-Iは高い頻度で、最も豊富なIGF-I結合タンパク質であるIGFBP-3に結合している。IGF-I/IGFBP-3複合体は酸不安定性のサブユニットタンパク質と会合して150kDの複合体を形成する。Adamsら, Prog. Growth Factor Res. 6(2-4):347-56 (1995)参照。IGF-I/IGFBP-3複合体は半減期が長く、遊離のIGF/Iに比較して安定性が高いため、この大型の三量体はIGF-Iの循環レザバーとして作用する。Adamsら(上記)、およびBlumら(1991), Plasma IGFBP-3 Levels as Clinical Indicators,(Modern Concepts of Insulin-like Growth Factors, pp. 381-93, E.M. Spencer,(編), Elsevier, New York)参照。
IGF-I 、IGFBP-3 、およびIGF-I/IGFBP-3複合体は自然源から得るか、または組換え技術によって得ることができる。組換え技術を使用し、真核生物または原核生物においてIGF-I 、IGFBP-3 、およびIGF-I/IGFBP-3複合体を生成することができる(例えば米国特許第5,200,509号、5,670,341号、5,789,547号、および 6,417,330号参照)。組換えIGF-I、IGFBP-3、およびIGF-I/IGFBP-3複合体はバッチまたは連続的なフォーマットで培養し、細胞培養液上清または組換え細胞そのものから回収することができる。
IGF-I、IGFBP-3、およびIGF-I/IGFBP-3複合体は、組換え系で発現させた後、一般的に、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーなどの技術を用いて精製を行う。しかしながら、それらの技術では全ての不純物を除去することはできない。例えば一般にIGF-I/IGFBP-3複合体は、タンパク質凝集体を含有する部分的に精製された標品中に含まれる。更に、新たな不純物、例えばIGFBP-3の質量および電荷変異体は従来技術では除去されないことが発見されている。図1に、IGF-I/IGFBP-3複合体およびタンパク質凝集体を含むサンプルの直線グラジエントカルボキシメチルイオン交換(“CM-IEX”)クロマトグラフィーから得たカチオン交換分析図を示す。図2に直線グラジエントCM-IEXを用いて精製したIGF-I/IGFBP-3複合体のLC/MS分析を示すが、これは新たに発見された質量および電荷変異体を示している。
薬学界で十分認識されるように、薬剤の純度が高いことが強く所望され、ごくわずかな薬剤純度の向上も重要な進歩である。これは不純物が薬剤の安定性、安全性、または有効性に予期せぬ影響を与えうるという事実による。従って、改善されたIGF-I/IGFBP-3複合体の精製法は本質的に有用であり、必要とされている。
発明の概要
ある態様では、インスリン様成長因子I(“IGF-I”)とインスリン様成長因子結合タンパク質3(“IGFBP-3”)との複合体を含む単離されたタンパク質を生成する。単離されたタンパク質は少なくとも約96%の純度、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、または少なくとも約99%の純度であることができる。
ある態様では、複合体はIGF-IおよびIGFBP-3を約0.8:1から約1.2:1のモル比で含有する。別の態様では、モル比は約1:1である。
また、IGF-IとIGFBP-3との複合体を含有する単離されたタンパク質および医薬的に許容しうるキャリアーを含有する薬剤組成物が提供され、本明細書に記載するアイソクラティックカチオン交換法で測定したタンパク質の純度は、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。
IGF-IとIGFBP-3との複合体の精製法が提供され、これは以下を含む:IGF-IおよびIGFBP-3の複合体を得ること、IGF-I/IGFBP-3複合体を部分的に精製すること、複合体を固定相に吸着させること、複数の移動相を用いて複合体を脱着させること(移動相は一連の連続的に増加させたイオン強度を有する)、そして精製されたIGF-IとIGFBP-3との複合体を回収すること。ある態様では、固定相はカチオン交換樹脂である。別の態様では、カチオン交換樹脂はカルボキシメチル官能基を含む。rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体は電荷を持つタンパク質複合体であるが、タンパク質複合体がわずかに修飾され、複合体の電荷が1から5ポジティブユニット低下することが起こりうる。これは1つ以上の正電荷が中和されるか、または1つ以上の負電荷が導入されることによって起こりうる。全体の電荷をポジティブな側に変化させる修飾の例には、それらに限定されるわけではないがN-末端アミンコンジュゲーション、リジンコンジュゲーション、アルギニンコンジュゲーション、および脱アミドがある。2つのアイソクラティックバッファー条件を構築することにより、天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を、正電荷が低下したrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体から分離することができる。第1のアイソクラティックバッファーは、正電荷が低下したrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を脱着させるのに十分なイオン強度を有するが、天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体は保持する。第2のアイソクラティックバッファーは天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を脱着するのに十分なイオン強度を有するが、他の不純物(例えば凝集したrhIGF-1/rhIGFBP-3およびミスフォールドされた型のrhIGFBP-3)は保持する。 図6に2つの分離を示す(上段は分離用樹脂、下段は分析用樹脂を使用)。成分の同一性をUV分析図のピークの上部に示す。あるいはまた、この方法は、正電荷が低下したrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体および天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体の両方を脱着する単一のバッファーを用いて実施し、単一のアイソクラティックバッファーで分離を行ってもよい。この方法は分離を行うために大量のバッファーが必要とされるため、一般に解析的分析に使用され、分離分析には通常は用いられない。別の方法は、第1のアイソクラティックバッファーで正電荷が低下したrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を脱着させ、次いでイオン強度を漸増させるグラジエントで天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体および他の不純物を溶出させて実施してもよい。
複数の移動相が第1の移動相および第2の移動相を含む方法が提供される。第1の移動相は、NaCl濃度が第2の移動相より少なくとも約20mM、第2の移動相より少なくとも約30mM、第2の移動相より少なくとも約40mM、第2の移動相より少なくとも約50mM、または第2の移動相より少なくとも約60mM低い。別の態様では、第1の移動相は約160mMから約185mMのNaClを含有し、第2の移動相は約200mMから約250mMのNaClを含有する。第2の移動相は約225mMのNaClを含有してもよい。移動相の選択は、所望の純度を得るために除去が必要とされる正電荷低下型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体の量、およびカチオン交換樹脂の相対的保持に大きく依存する。
更に、部分的に精製されたIGF-IとIGFBP-3との複合体の精製法が提供され、この方法はIGF-I/IGFBP-3複合体をカチオン交換樹脂に吸着させ、一連のステップワイズの移動相を用いて複合体を脱着させることを含む。ある態様では、移動相は第1の移動相(約160mMから約185mMのNaClを含有するpH 約5.4-5.6の酢酸ナトリウムバッファー系を含有する)および第2の移動相(約200mMから約250mMのNaClを含有するpH 約5.4-5.6の酢酸ナトリウムバッファー系を含有する)を含む。別の態様では、第2の移動相は約225mMのNaClを含む。
本発明の方法では、ステップワイズのアイソクラティック溶出段階は1段階あたり5-15カラム容量の移動相を用いて行う。ある態様では、第1のアイソクラティック段階は5-10カラム容量の移動相を使用する。
本発明の他の目的、特徴、および利点は以下の詳細な説明から明白となるであろう。詳細な説明および特定の実施例は単に例証として記載するものであり、本発明の意図および範囲に含まれる種々の変更および修飾はこの詳細な説明から当業者に明白となるであろう。更に実施例は本発明の原理を説明するものであり、従来技術の精通者に明らかに有用である全ての例への本発明の適用を明確に例証することを期待できるものではない。
図面の簡単な説明
図1上段は、ToyoPearl CM-650樹脂を用いたNaClの直線グラジエントによる部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。下段は、直線グラジエント精製から得たプールした画分(40-47)の分析用CM-HPLC分析を示す。この分析によれば、天然型rhIGFの、他の電荷が異なる型のrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体に対する純度は73.1%である。
図2上段は、 ToyoPearl CM-650樹脂を用いたNaClのステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。下段は、アイソクラティック精製から得たプールした画分(68-90)の分析用CM-HPLC分析を示す。この分析によれば、天然型rhIGFの、他の電荷が異なる型のrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体に対しする純度は99%である。
図3は、ToyoPearl CM-650樹脂(バッチ#1)を用いた175mMおよび225mM NaClのステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。
図4は、ToyoPearl CM-650樹脂(バッチ#2)を用いた185mMおよび225mM NaClのステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。吹き出しは、プールした画分で観察されたIGFBP-3のイオン群の質量分析である。図8も参照されたい。
図5は、ToyoPearl CM-650樹脂(バッチ#3)を用いた165mMおよび225mM NaClのステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。
図6は、分離用CM樹脂(ToyoPearl CM-650)を用いて観察された溶出プロフィールと分析用CM樹脂(Tosho BioSep TSK Gel CM-5PW)を用いたものとの比較を示す。
図7は、質量変異体#2プール(上段)および質量変異体#1プール(下段)のRP-HPLCクロマトグラムを示す。
図8は、質量変異体#2プール(上段)、質量変異体#1プール(中段)、および天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3(下段)のIGFBP-3ピークの積算したスペクトルを示す。IGFBP-3の+18電荷状態に相当するイオン群を示す。
図9は、質量変異体#2プールのIGFBP-3ピークのMaxEntを示す。質量変異型IGFBP-3は28,988の質量を示している。
図10は、質量変異体#1プールのIGFBP-3ピークのMaxEntを示す。質量変異型IGFBP-3は28,909の質量を示している。
図11は、rhIGF-I/rhIGFBP-3標準品に比較した質量変異体#1プールのIGFBP-3のN末端ペプチドのスペクトルを示す。質量変異体#1プールは2つのIGFBP-3 N末端ペプチド質量を示している。質量変異型IGFBP-3の質量実測値は1608.7576であり、未修飾のペプチドは1502.6997amuである。
発明の詳細な説明
新たなレベルの純度を有するIGF-IおよびIGFBP-3の複合体を提供する。混入物(例えばIGFBP-3の質量および電荷変異体)を除去するクロマトグラフィー法が開発された。新規の技術により、IGF-I/IGFBP-3複合体を含む高品質の医薬組成物の製造が可能となる。
これまでの製造法で生産された部分的に精製されたIGF-I/IGFBP-3複合体の組成物はIGFBP-3の質量および電荷変異体を含有するという、驚くべき発見がなされた。図1(上段)はNaClの直線グラジエントを用いてタンパク質複合体を脱着する、rhIGF-I /rhIGFBP-3複合体の従来技術による精製法を示す。図1(下段)は図1(上段)に示す直線グラジエントからプールした画分の分析を示す。図1(下段)に見られるように、イソクラティック溶出プロフィールを用いていくつかの電荷変異型複合体を検出できるが、その方法を本明細書に記載する。天然型rhIGF-I /rhIGFBP-3を他の電荷変異型と比較すると、この物質の全体の純度はわずか73%である。従って、直線グラジエントでの精製法は、わずかな電荷変異体またはrhIGF-I/rhIGFBP-3を分離するには十分でない。これらの変異体および凝集体を除去するためのクロマトグラフィー法が開発された。新規の方法は、例えば部分的に精製されたIGF-I/IGFBP-3複合体をカチオン交換樹脂に吸着させ、2段階溶出法を用いて複合体を脱着させることを含む。図2(上段)に示すように、部分的に精製されたIGF-I/IGFBP-3複合体の分離用イソクラティックは、分析的方法を用いて観察される結果と非常に類似した溶出プロフィールとなる。第2のイソクラティック段階で溶出されたピークからプールした画分(天然型複合体と表示する)は、分析用CM分析で99%の純度であった(図2(下段)に示す)。
定義
本明細書で特に詳述して制限しない限り、以下の用語は以下の意味を有する:
“IGF-I”はインスリン様成長因子Iをいい、その非制限的な例として天然に存在する(すなわち“天然型”)IGF-I、その類似体または変異体、およびIGF-Iと他のアミノ酸配列との融合体がある。
“IGFBP-3”はヒトインスリン様成長因子結合タンパク質3をいう。本明細書ではIGFBP-3はIGFBP-3類似体、天然に存在する対立変異体、およびIGFBP-3と他のアミノ酸配列との融合体も指す。
“複合体”は2つ以上の結合したタンパク質の一群をいう。複合体中のタンパク質は多様な非共有相互作用のうちのいずれかを介して結合し、それらには非制限的な例としてイオン結合、水素結合、ファンデルワールス力、および疎水性相互作用がある。IGF-IおよびIGFBP-3は種々のモル比で複合体中に存在する。複合体はIGF-IおよびIGFBP-3を約0.8:1から約1.2:1のモル比で含んでもよい。更に、複合体はIGF-IおよびIGFBP-3を約1:1のモル比で含んでもよい。
“部分的に精製された”とは、細胞または発酵混入物がある程度まで除去され、そして/または濃縮された、そして/または脱塩された、IGF-IとIGFBP-3との複合体をいう。また、“部分的に精製された”とは、事前に1つ以上の精製段階(非制限的な例としてサイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、またはイオン交換精製などの技術がある)を行ったIGF-IとIGFBP-3との複合体も指す。“部分的に精製する”とは、IGF-IとIGFBP-3との複合体を1つ以上の精製段階に施与することをいう。また“部分的に精製された”とは、実質的に精製されているが凝集型のrhIGF-I/rhIGFBP-3、ミスフォールドされたIGFBP-3、または質量/電荷変異型のrhIGF-I/rhIGFBP-3 複合体を除去するために“更なる精製(polishing)”をする必要があるIGFBP-1/IGFBP-3複合体も指す。
“分離用クロマトグラフィー”とは、技術的スケールでの精製または部分的に精製された生成物の調製をいう。
“グラジエント溶出または直線濃度勾配(linear)溶出”とは、クロマトグラフィー分析の全過程にわたって移動相の組成を継続的に変化させることをいう。
“イソクラティック溶出”および“イソクラティックで”とは、一定時間にわたって移動相の組成を保持することをいう。
“移動相”とは、特定の緩衝能およびイオン強度を有する水溶液をいう。医薬的に許容しうる緩衝塩をrhIGF-I/rhIGFBP-3の製造に使用する。医薬的に許容しうるカチオン、例えばナトリウムを使用してイオン強度に影響を与える。移動相に水混和性溶媒を導入してもよい。
“固定相”とは、選択された移動相条件下で分析物を結合(すなわち吸着)し、他の選択された移動相条件下で分析物を遊離するのに有効な有機ポリマークロマトグラフィー物質をいう。
“有機ポリマークロマトグラフィー物質”にはカチオン交換樹脂がある。これらの物質には弱カチオン交換樹脂およびカルボキシル基を有する樹脂がある。“カルボキシル基”の例として、例えばカルボキシルおよびカルボキシメチル化合物がある。
“段階溶出”および“ステップワイズ溶出”とは、あるイソクラティック移動相から第2のイソクラティック移動相に、一般的には各段階間でイオン強度を増加させて、移動相条件を変化させることをいう。目的のタンパク質の溶出(または脱着)は、イソクラティック段階でタンパク質を選択的に脱着するイソクラティック移動相を選択することによって行う。
考察
IGFBP-3の質量および電荷変異体およびIGF-I/IGFBP-3複合体の凝集体の両方を除去するように設計されたクロマトグラフィー法を用いて、IGF-IとIGFBP-3との複合体を新規の純度レベルまで単離する。これらのクロマトグラフィー法は分析、分取、および分離クロマトグラフィーに好適である。
IGF-IとIGFBP-3との複合体の精製法は、IGF-IとIGFBP-3との複合体を得、複合体を部分的に精製し、複合体を固定相に吸着させ、複数の移動相を用いて複合体を脱着させ(移動相は一連の連続的に増加させたイオン強度を有する)、そして精製された複合体を回収することを含む。
更に、部分的に精製されたIGF-IとIGFBP-3との複合体の精製法は、IGF-IとIGFBP-3との複合体を固定相に吸着させ、一連のステップワイズの移動相を用いて複合体を脱着させ、それによって精製された複合体を得ることを含む。
別の態様では、カルボキシメチル樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィーによる部分的に精製されたIGF-IとIGFBP-3との複合体の精製法は、約160mMから約185mMのNaClを含有する第1の移動相を適用し、次いで約200mMから約250mMのNaClを含有する第2の移動相を適用することによってカルボキシメチル樹脂から該複合体を脱着し、それによって第2の移動相中に精製されたIGF-IとIGFBP-3との複合体を回収することを含む。
それらの方法には種々の固定相が用いられる。有用な固定相には有機ポリマーのクロマトグラフィー物質、例えばカチオン交換樹脂がある。また、有用な固定相にはカルボキシル基(例えばカルボキシメチル基)を有する弱カチオン交換樹脂もある。
これらの方法には種々の移動相も用いられる。これらのクロマトグラフィー法は少なくとも2つの移動相を使用するが、目的の精製された分析物または複数の精製された分析物を得るのに必要な数だけの移動相を使用してもよい。移動相は種々のイオン強度からなり、それぞれ(グラジエントではなく)ステップワイズで固定相に適用するが、これは当業者には“段階溶出”としても知られる。同様に、精製された分析物(単数または複数)を得た後はステップワイズ適用は不要であり、例えば高塩濃度までのグラジエントを用いて固定相を洗浄、清浄化、または再生してもよい。あるいはまた、精製された分析物を得た後、1つの高塩濃度の移動相(例えば1M NaCl)を適用し、固定相を洗浄、浄化、または再生することもできる。
移動相の密度は水溶液の塩濃度の調整によって変化しうる。有用な移動相は、NaCl濃度がその直後に使用する第2の移動相より少なくとも約60mM少ない。また、移動相はNaCl濃度がその直後に使用する第2の移動相より少なくとも約50mM少ないか、またはその直後に使用する第2の移動相より少なくとも約40mM少ないか、またはその直後に使用する第2の移動相より少なくとも約30mM少ないか、またはその直後に使用する第2の移動相より少なくとも約20mM少ないか、またはその直後に使用する第2の移動相より少なくとも約10mM少ない。分離用カチオン樹脂では、第1の移動相は約160mMから約185mMのNaClを含有する。第2の移動相は第1の移動相の直後に固定相に適用してもよい。分離用カチオン樹脂では、第2の移動相は約200mMから約250mMのNaClを含有してもよい。第2の移動相は約225mMのNaClを含有してもよい。
これらの方法によりIGF-IとIGFBP-3との複合体を含有する純粋なタンパク質が生成される。IGF-IとIGFBP-3との複合体は少なくとも約96%の純度であることができる。複合体は少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、または少なくとも約99%の純度であってもよい。単離されたタンパク質はIGF-IとIGFBP-3との複合体を約0.8:1から約1.2:1のモル比で含有することができる。更に、単離されたタンパク質はIGF-IとIGFBP-3との複合体を約1:1のモル比で含有する。
これらの単離されたタンパク質は、例えば以下に開示される障害の治療に有用である:米国特許第5,681,818号、5,723,441号、5,948,757号、6,015,786号、6,017,885号、6,025,332号、6,025,368号、6,514,937号、および6,518,238号。医薬組成物は、IGF-IとIGFBP-3の複合体を含有する単離されたタンパク質および医薬的に許容しうるキャリアーを含むことができ、ここでタンパク質は少なくとも約96%の純度である。他の態様では、医薬組成物は少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の純度のタンパク質を含有してもよい。医薬組成物は、IGF-IとIGFBP-3との複合体の単離されたタンパク質を約0.8:1から約1.2:1のモル比で含有することができる。更に、医薬組成物は約1:1のモル比のIGF-IとIGFBP-3との複合体の単離されたタンパク質を含有してもよい。
以下の実施例は本発明の例証であり、本発明を制限することを意図するものではない。
実施例1 精製法
分離用CM精製
3つの製造ロットのToyopearlTM CM-650M樹脂(Tosoh Bioscience LLC, Montgomeryville, PA, カタログ番号14696)を用いて実験を行った。クロマトグラフィーの一般的な手順を以下に記載する。第1のイソクラティック溶出バッファーのイオン強度を所望の分離プロフィールが得られるように調整した。分離用クロマトグラフィーを図3、4、および5に示す。
ローディングバッファー:50mM 酢酸ナトリウム、50mM NaCl、pH 5.5
洗浄バッファー:50mM 酢酸ナトリウム、125mM NaCl、pH 5.5
第1イソクラティックバッファー:50mM 酢酸ナトリウム、165-185mM NaCl、pH 5.5
第2イソクラティックバッファー:50mM 酢酸ナトリウム、225mM NaCl、pH 5.5
グラジエント:50mM 酢酸ナトリウム、225mM NaCl、pH 5.5 混合液から1M NaClへ
第1イソクラティック段階は、実施ごとによって、6-9.5 CVで適用した。第2イソクラティック段階は、天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3のピークがベースライン吸光度の5%以内になるまで適用した。225mM NaClから1M NaClのグラジエントを実施して樹脂を再生させた。
樹脂ロット#1は、質量/電荷変異型またはrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を溶出するのに175mM NaClを必要とした。樹脂ロット#2は、質量/電荷変異型またはrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を溶出するのに185mM NaClを必要とした。樹脂ロット#3は質量/電荷変異型またはrhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を溶出するのに165mM NaClを必要とした。
全てのロットにおいて、225mM NaClで天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体が所望の最少容量で効率的に脱着された。更に、塩濃度グラジエントの際に溶出された不純物は、3つの樹脂バッチのいずれでも、225mM NaCl段階では溶出されなかった。
分析用CM-HPLC
試薬
カラム:Tosoh Biosep TSKゲル CM-5PW, 10μ, 100A, 7.5 mm x 7.5 cm, (パーツ番号13068)
溶媒A=50mM 酢酸ナトリウム/50mM 塩化ナトリウム pH5.5
27.2g 酢酸ナトリウム + 11.69g 塩化ナトリウム + 4L 水、pH5.5
溶媒B=50mM 酢酸ナトリウム/550mM 塩化ナトリウム pH5.5
27.2g 酢酸ナトリウム + 128.6g 塩化ナトリウム + 4L 水、pH5.5
溶媒C=50mM 酢酸ナトリウム/1000mM 塩化ナトリウム pH5.5
27.2g 酢酸ナトリウム + 233.76g 塩化ナトリウム + 4L 水、pH5.5
バッファーの調製は、まず既定の量の塩を水に添加し、溶解するまで混合して行う。次いで酢酸を用いてpHを5.5-5.6に調整する。pHが安定した後、水で溶液を所定の容量とし、pHを確認する。全ての溶液は0.22μまたは0.45μフィルターで濾過してから使用する。
LC条件
検出器
波長=276nm
AUFS=2
時定数=1
ポンプ
流速=1ml/分
溶媒A=50mM 酢酸ナトリウム、50mM NaCl、pH5.5
溶媒B=50mM 酢酸ナトリウム、550mM NaCl、pH5.5
溶媒C=50mM 酢酸ナトリウム、1000mM NaCl、pH5.5
溶媒D=水
注:ステップ3と4の際のバッファーAとバッファーBの比率はカラムロットの保持特性に基づいて調整し、天然型IGF-I/IGFBP-3の保持時間が30.0から41.0分の間になるようにする。質量変異体のピークがサンプル中に存在する場合、それらはイソクラティック段階でrhIGF-I/rhIGFBP-3のピークの前に溶出する。
分析用CM分離および分離用CM分離の比較
図6(下段)に分析用CM-HPLCのクロマトグラムを、その成分であると同定されたピークと共に示す。分離用CMによる分離(上段)と分析用CM(下段)の比較で明らかなように、同じ成分が同じ順序の保持時間で溶出され、この基準で同定を行うことができる。
図1(下段)および図2(下段)に質量/電荷変異型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体を含有するサンプル(図1)、および質量/電荷変異型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体をわずかしか含有しないサンプル(図2)の分析用CM-HPLCの結果を示す。
実施例2 質量/電荷変異型rhIGF-I/rhIGFBP-3のキャラクタリゼーション
C18逆相HPLC(Vydac法)+/-MS検出
LC条件
カラム:Vydac 218 TP54逆相C18 4.6 x 250mm id
溶出液A:50% アセトニトリル、0.1% TFA
溶出液B:0.1% TFA
溶出液C:100% アセトニトリル、0.1% TFA
流速:0.9ml/分
注入量:- 100μ
カラム温度:室温
検出波長:210nm
分析時間:95分間
MicroMass LCT(TOF)質量分析計およびWaters 2996フォトダイオードアレイ(PDA)検出器に接続したWaters Alliance 2695 HPLCシステムを用いてLCMS分析を行った。Vydac 218TP(250 x 4.6mm、300A)C18逆相カラムを用い、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA) を含有するH20-アセトニトリルグラジエントで溶出してクロマトグラフ分離を行った。逆相カラムからの溶出物の液流を分割し(4:1)、多い方の液流をPDA検出器に、残りをエレクトロスプレー源に接続した。
AspNペプチドマップのLCMS
質量/電荷変異体#1プールのサンプルをペプチド消化の後RP-LC/MSで分析した。
Cadenza(カタログ#CD026)1μm(2 x 250mm)C18 RP-HPLCカラムを用い、流速0.2ml/分で2%アセトニトリルから98%アセトニトリルの範囲でタンパク分解フラグメントを分離した。溶出物液流のフォトダイオードアレイ検出器からの吸光度(210nm)を用いてピークを検出し、次いでこれをMicroMass LCT質量分析計に流入させ、陽イオンエレクトロスプレーイオン化モードで操作した。ペプチドのピークパターン(すなわちペプチドマップ)を標準品と比較し、同定を行った。次いで各ピーク下の総イオン電流を積算し、モノアイソトピック、M2+、またはM3+イオンを測定してピークを同定した。
サンプルおよび注入パラメーター
製造工程中にインプロセスサンプルを採取した。サンプルを凍結し、分析まで-20℃で保存した。
イソクラティック洗浄段階の不純物
図4に示す分析で、天然型複合体の溶出前のイソクラティック洗浄段階でサンプルを採取した。この段階中に溶出した2つのブロードなピークを示すサンプルをプールした。同容量の各画分を合一してプールを得、10kDの限外ろ過膜(Centricon YM-10;Amiconカタログ#4206)を用いてプールを濃縮した。
比較の基準として、225mMイソクラティック溶出段階で、天然型rhIGF-I /rhIGFBP-3 複合体の溶出の際のピークの先端からも画分を採取した。225mMアイソクラティック段階のピークのショルダー(この段階で一時的に伝導度が不安定になることによる)からもサンプルを採取した。
これらのサンプルを用いてLCMS分析を行い、1つのサンプルをペプチドマッピングで分析した。
イソクラティック洗浄段階の不純物サンプルの結果
MSキャラクタリゼーションを伴うRP-HPLC
図7にVydac RP-HPLCで測定した質量変異体#2プールおよび質量変異体#1プールのクロマトグラムを示す。図1において、天然型IGF-Iは41.8-42分のピークとして溶出し、酸化型IGF-Iは天然型IGF-Iのピークのすぐ前に溶出する。IGFBP-3は48-48.7分のピークとして溶出する。これらのサンプルには他の有意な不純物は観察されない。
これらの各サンプルのIGFBP-3のピーク、並びに225mM NaClイソクラティック段階の頂点を示すサンプルのスペクトルを積算した。図8はIGFBP-3のピーク全域にわたって積算した質量スペクトル、およびm/z 1597付近の天然型rhIGF-I /rhIGFBP-3を示す(IGFBP-3イオン群の電荷状態 +18に相当)。これは、質量変異体#2プールおよび質量変異体#2プールサンプルではIGFBP-3が有意に修飾されているが、225mM塩溶出ピーク中のIGFBP-3は相対的にわずかしか修飾されていないことを示している。留意すべきことに、図4にバルーン表示したのと同じスペクトルがある。質量変異体#2プールサンプルでは多くの修飾が観察されるが、顕著なイオンは1611.3 amuに見られる。図9にこのサンプルのMaxEntスペクトルを示すが、これは分子量28988.5313のタンパク質を示しており、rhIGFBP-3の質量の理論値(28731.5)に比較して+257.03である。質量変異体#1プールサンプルでは多くの修飾が観察されるが、顕著なイオンは1606.9 amuに見られる。図10にこのサンプルのMaxEntスペクトルを示すが、これは分子量28909.5547のタンパク質を示し、rhIGFBP-3の質量の理論値に比較して+178.05である。
質量変異体#1プールのペプチドマッピング
質量変異体#1プールのAspNペプチドのUVクロマトグラムをrhIGF-I /rhIGFBP-3標準物質と比較したところ、顕著なピークが明らかに出現または消失することはなかった。従って、観察した質量変異体は、いずれのピークに関しても明らかに異なる移動は示さなかった。
rhIGFBP-3のN末端ペプチドの保持時間に相当する46.1-46.5分のピーク付近のクロマトグラム領域にわたってスペクトルを積算した。図11にIGFBP-3のN末端ペプチド(上段)およびrhIGF-I/rhIGFBP-3標準物質(下段)に相当するモノアイソトピックイオン群を示す。質量変異体#1プールサンプルは1502.6997(天然型IGFBP-3のN末端ペプチドに相当)のイオン群および1680.7576(親ペプチドに比較して+178.0579)のイオン群を示している。この観察された質量付加はMaxEntで総タンパク質に関して算出される質量付加と一致する(+178.05)。従ってこの単一の質量付加はIGFBP-3の修飾によるものである。上段のイオン群トレースと下段のイオン群トレースを比較して観察されるように、ペプチドマッピング法の感度が不十分であるため1680.7576のペプチドは標準物質には存在しない。
IGFBP-3質量変異体の同一性
IGFBP-3の+18電荷状態付近の広範なスペクトルでは、サンプルで観察される最も顕著なイオンは1611.3(質量変異体#2プール)および1606.9(質量変異体#1プール)であり、これはそれぞれ約258および178 amuの質量付加に相当する。
このペプチドのペプチド配列は*GASSAGLGPVVRCEPCであり、最初のグリシン残基はIGFBP-3のN末端を示す。このペプチドのモノアイソトピック質量の理論値は1502.7090である。
178および258 amuの質量付加の原因となりうる、可能性のある修飾について考察した。最も考えられる可能性はN末端のグルコニル化(gluconylation)(178 amu)およびN末端のアルファ-N-6- ホスホグルコニル化(phosphogluconylation)(258 amu)である。Geogheganらは、GSS[His]6のN末端配列を有するE. coliで発現させたタンパク質の修飾(N末端グリシン残基が修飾される)について報告している(Geogheganら(1999) Anal. Biochem 267(1) 169-84)。
N末端グルコニル化によって、ペプチド上のアミン基にC6H10O6(178.0477 amu)部分がコンジュゲートされる。観察された修飾の質量は1680.7576-1502.6997=178.0579 amuである。従って観察された質量付加はこの修飾と一致し(178.0477-178.0579 = -0.0102 amu)、これは実験誤差およびこの質量分析計の限界以内である。修飾可能な部位が2つあり、グリシン残基上のN末端アミン基およびアルギニン上のグアニジル基である。
実施例3 従来のrhIGFBP-3/rhIGFBP-3の生産ロットの分析用CM-HPLC
上記の試験法に従い、TSK-GEL CM-5PWイオン交換カラム(7.5cm x 7.5mm ID, 10 um)で、塩化ナトリウムのイソクラティックグラジエントを用いて質量/電荷変異型rhIGF-I/rhIGFBP-3複合体の分離を行い、rhIGFBP-3の電荷変異体を検出する。
これらの不純物は、それらの生産当時に使用できた方法では製剤ロット中に検出されたことはなかった。可能な場合は保存物からサンプルを採取し、過去のサンプル中のこれらの様々な不純物を確立した。表1に示す結果は天然型rhIGF-I /rhIGFBP-3の純度として、2つの質量/電荷変異体を示す2つのピークに関係する差異と共に報告するものである。この方法で観察された最も高い純度は95.4%であった。
上記の代表的な態様に関連して、本発明について広範に開示及び例証した。当業者に認識されるように、本発明の意図および範囲から逸脱することなく種々の修飾を行うことができる。
図1は、ToyoPearl CM-650樹脂を用いたNaClの直線グラジエントによる部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製および画分(40-47)の分析用CM-HPLC分析を示す。 図2上段は、 ToyoPearl CM-650樹脂を用いたNaClのステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製および画分(68-90)の分析用CM-HPLC分析を示す。 図3は、ToyoPearl CM-650樹脂を用いたステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。 図4は、ToyoPearl CM-650樹脂を用いたステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。 図5は、ToyoPearl CM-650樹脂を用いたステップワイズアイソクラティック溶出による部分的に精製されたrhIGF-I/rhIGFBP-3の精製を示す。 図6は、分離用CM樹脂(ToyoPearl CM-650)を用いて観察された溶出プロフィールと分析用CM樹脂(Tosho BioSep TSK Gel CM-5PW)を用いたものとの比較を示す。 図7は、質量変異体#2プールおよび質量変異体#1プールのRP-HPLCクロマトグラムを示す。 図8は、質量変異体#2プール、質量変異体#1プール、および天然型rhIGF-I/rhIGFBP-3のIGFBP-3ピークの積算したスペクトルを示す。 図9は、質量変異体#2プールのIGFBP-3ピークのMaxEntを示す。 図10は、質量変異体#1プールのIGFBP-3ピークのMaxEntを示す。 図11は、rhIGF-I/rhIGFBP-3標準品に比較した質量変異体#1プールのIGFBP-3のN末端ペプチドのスペクトルを示す。

Claims (20)

  1. インスリン様成長因子(IGF-I)とインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)との複合体を含有する単離されたタンパク質であって、該タンパク質が分析用CM-HPLCで少なくとも約96%の純度である上記タンパク質。
  2. 該タンパク質が少なくとも約97%の純度である、請求項1記載のタンパク質。
  3. 該タンパク質が少なくとも約98%の純度である、請求項1記載のタンパク質。
  4. 該タンパク質が少なくとも約99%の純度である、請求項1記載のタンパク質。
  5. 該複合体がIGF-IおよびIGFBP-3を約0.8:1から約1.2:1のモル比で含有する、請求項1記載のタンパク質。
  6. 該複合体がIGF-IおよびIGFBP-3を約1:1のモル比で含有する、請求項1記載のタンパク質。
  7. IGF-1とIGFBP-3との複合体を含有する単離されたタンパク質および医薬的に許容されるキャリアーを含有する医薬組成物であって、該タンパク質が分析用CM-HPLCで少なくとも約96%の純度である上記組成物。
  8. IGF-IとIGFBP-3との複合体の精製法であって、
    IGF-IとIGFBP-3との複合体を取得し;
    該複合体を部分的に精製し;
    該複合体をカチオン固定相に吸着させ;
    複数の移動相を用いて該複合体を脱着させ、ここで該移動相は一連の連続的に増加させたイオン強度を有し;そして
    該精製した複合体を回収する
    ことを含む上記方法。
  9. 該固定相がカチオン交換樹脂である、請求項8記載の方法。
  10. 該カチオン交換樹脂がカルボキシメチル官能基を有する、請求項9記載の方法。
  11. 該複数の移動相が第1の移動相および第2の移動相を含む、請求項8記載の方法。
  12. 該第1の移動相のNaCl濃度が該第2の移動相より少なくとも約10mM低い、請求項11記載の方法。
  13. 該第1の移動相のNaCl濃度が該第2の移動相より少なくとも約20mM低い、請求項11記載の方法。
  14. 該第1の移動相のNaCl濃度が該第2の移動相より少なくとも約40mM低い、請求項11記載の方法。
  15. 該第1の移動相が約160mMから約185mMのNaClを含有し、第2の移動相が約200mMから約250mM のNaClを含有する、請求項11記載の方法。
  16. 該第2の移動相が約225mMのNaClを含む、請求項11記載の方法。
  17. 部分的に精製されたIGF-IとIGFBP-3との複合体を精製する方法であって、該複合体をカチオン交換樹脂に吸着させ、一連のステップワイズの移動相を用いて該複合体を脱着させることを含む上記方法。
  18. 該移動相が約160mMから約185mMのNaClを含有する第1の移動相および約200mMから約250mMのNaClを含有する第2の移動相を含む、請求項17記載の方法。
  19. 部分的に精製されたIGF-IとIGFBP-3との複合体をカルボキシメチル樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィーによって精製する方法であって、約160mMから約185mMのNaClを含有する第1の移動相を適用し、次いで約200mMから約250mMのNaClを含有する第2の移動相を適用することによって該複合体を該カルボキシメチル樹脂から脱着し、それによって該精製産物を回収することを特徴とする上記方法。
  20. 該第2の移動相が約225mMのNaClを含有する、請求項19記載の方法。

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