JP2008524241A - 従来の治療の効果がなかった患者の自己免疫性疾患の血管新生阻害治療 - Google Patents
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Abstract
本出願は、抗VEGF抗体などの血管新生アンタゴニストを用いた治療法を詳述する。特に、本出願は、DMARD又はTNFα-インヒビターによる治療などの従来の治療の効果がなかった患者の自己免疫性疾患を治療するためのそのようなアンタゴニストの使用を詳述する。
Description
(関連出願)
この出願は、米国特許法規則1.53(b)(1)に基づき出願した非仮出願であり、米国特許法119(e)に基づき、2004年12月17日に出願の仮出願第60/637,169号の優先権を主張し、出典により本明細書中にその内容全体が組み込まれるものである。
この出願は、米国特許法規則1.53(b)(1)に基づき出願した非仮出願であり、米国特許法119(e)に基づき、2004年12月17日に出願の仮出願第60/637,169号の優先権を主張し、出典により本明細書中にその内容全体が組み込まれるものである。
(発明の分野)
本発明は、抗VEGF抗体などの血管新生アンタゴニストを用いた治療法に関する。特に、本発明は、特に従来の治療の効果がなかった患者の自己免疫疾患を治療するための該アンタゴニストの使用に関する。
本発明は、抗VEGF抗体などの血管新生アンタゴニストを用いた治療法に関する。特に、本発明は、特に従来の治療の効果がなかった患者の自己免疫疾患を治療するための該アンタゴニストの使用に関する。
(発明の背景)
自己免疫性疾患、とりわけ、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、血管炎および狼瘡は、依然としてヒトの臨床的に重要な疾患である。合計で、自己免疫性疾患は北欧米人のおよそ5%に生じ、その2/3は女性である。その名の通り、自己免疫性疾患は、身体自体の免疫系を介した破壊をもたらす。通常微生物界の外的脅威を破る際に有効な免疫系は、時に身体の自己成分に対する強力な兵器を導き、自己免疫状態を引き起こす。病理学的メカニズムが個々のタイプの自己免疫性疾患間で異なる反面、特定の抗体(本明細書において、自己反応性抗体又は自己抗体と称する)の結合を伴う一の普遍的メカニズムが存在する。疾患は異なる解剖学的な領域に関与することが多い。例えば、免疫系は、関節リウマチ(RA)では関節の滑液ライニング、甲状腺炎では甲状腺、1型真正糖尿病(T1DM)では膵臓のインスリン分泌β細胞、及び多発性硬化症(MS)では脳及び脊髄の髄鞘を攻撃する。全身性エリテマトーデス(SLE)では、皮膚、腎臓、関節及び脳に関与する多様性の徴候がある。
自己免疫性疾患、とりわけ、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、血管炎および狼瘡は、依然としてヒトの臨床的に重要な疾患である。合計で、自己免疫性疾患は北欧米人のおよそ5%に生じ、その2/3は女性である。その名の通り、自己免疫性疾患は、身体自体の免疫系を介した破壊をもたらす。通常微生物界の外的脅威を破る際に有効な免疫系は、時に身体の自己成分に対する強力な兵器を導き、自己免疫状態を引き起こす。病理学的メカニズムが個々のタイプの自己免疫性疾患間で異なる反面、特定の抗体(本明細書において、自己反応性抗体又は自己抗体と称する)の結合を伴う一の普遍的メカニズムが存在する。疾患は異なる解剖学的な領域に関与することが多い。例えば、免疫系は、関節リウマチ(RA)では関節の滑液ライニング、甲状腺炎では甲状腺、1型真正糖尿病(T1DM)では膵臓のインスリン分泌β細胞、及び多発性硬化症(MS)では脳及び脊髄の髄鞘を攻撃する。全身性エリテマトーデス(SLE)では、皮膚、腎臓、関節及び脳に関与する多様性の徴候がある。
関節リウマチ(RA)は病因が未知である慢性自己免疫性疾患であり、一般的に手及び足の小さい関節の対称性の痛み及び腫脹に特徴がある。実質的に、肩、膝及び腰部などの大きな関節、顎及び頸椎を含む、身体の他のいかなる関節も炎症によって、影響を受けうる。持続性の関節炎により、しばしば関節軟骨および骨破壊並びに永続的な奇形が生じる。疾患の自然経過は数年単位で説明されるが、関節損傷は発症後3〜6か月という早い時期に生じうる。RAは主に関節に作用するが、全身性疾患であるため、疲労、微熱が生じ、眼、肺及び血管を含む他の臓器系に関与しうる。例えば、RAによって、強膜炎(炎症性眼病)、胸膜炎、間隙肺線維形成および血管炎が生じうる。RAにより患者の生活の質に相当な犠牲が生じ、疼痛および機能的な障害が生じるため、家庭、家族およびレクリエーション活動に制限が伴う。仕事の許容量の限界、場合によって、失業は、個人および社会の両方に実質的な経済的余波をもたらすといえる。
RAは臨床症状および選択された検査結果に基づいて診断がなされる。およそ75%の患者は、リウマチ因子(免疫グロブリンG[IgG]のFc部分と反応する自己抗体)の陽性反応を示すが、この所見は疾患の最初の年には存在しないこともある。さらに、リウマチ因子は、関節リウマチに特異的なものではなく、5%の健康な個体にもみられる。赤血球沈降速度はほとんどのRA患者において、増加しており、他の急性期の反応物であるC反応性タンパク質は一般的に活動中の疾患患者において、上昇している。手及び足、あるいは他の関節のX線は、関節周囲骨の鉱物質消失、関節腔狭小化及び骨の浸食を示し、場合によっては、有用といえる。
現在のところ、RAは治癒しない。疾患の原因が知られていないので、現在の治療法は炎症反応の抑制を目的とするものである。ほとんどの慢性関節炎と同様に、治療の目的は、関節機能の維持と疾患進行の抑制である。活動性RA患者の薬物は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、低用量プレドニゾン、及び一又は複数の疾患変更性抗リウマチ剤(DMARD)を含みうる。"Guidelines for the management of rheumatoid arthritis" Arthritis & Rheumatism 46(2): 328-346 (February, 2002)を参照。新しくRAと診断された大多数の患者は、診断から3か月以内は疾患変更性抗リウマチ剤(DMARD)治療により治療が開始される。RAに共通して用いられるDMARDは、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、メトトレキセート(MTX)、レフルノミド、アザチオプリン、D-ペニシラミン、ゴールド(経口)、ゴールド(筋肉内)、ミノサイクリン、シクロスポリン及びブドウ球菌プロテインA免疫吸着である。最近の研究により、活動中のRA患者が疾患の最初の数年の間に有意に関節損傷を起こすことが示された。この発見により、DMARDを組み合わせたより積極的な治療方法に至った。しかしながら、組合せDMARD治療により、疾患活動性は完全に排除されず、重度の薬剤関連合併症を生じるかもしれない。さらに、ほとんどの患者は、強力な治療にもかかわらずなおも関節浸食を発症する。
サイトカイン腫瘍壊死因子(TNF)の過剰活性は、滑膜細胞増殖、新生-血管新生、炎症細胞の漸増、及び分解性酵素の産生に関するものであった。これらの所見により抗サイトカイン療法の開発が促された。更なる研究により、TNF及びIL-1などの特定の炎症誘発性サイトカインが、モノクローナル抗体、天然に生じるサイトカインアンタゴニスト又はサイトカインレセプター遮断薬(ブロッカー)によって、効力が中和されると、RAの兆候及び症状を抑制できることが示された。
エタネルセプト(ENBREL(登録商標))は、活動性のRAの治療のための米国で承認されている注射可能な薬剤である。エタネルセプトはTNFαと結合して、関節及び血液から大部分のTNFαを取り除くように働き、それによって、TNFαが慢性関節リウマチの他の症状及び炎症を促進するのを防止する。エタネルセプトは、ヒトIgG1のFc部分に連結しているヒトの75kD(p75)腫瘍壊死因子レセプタ(TNFR)の細胞外リガンド結合部分からなる「イムノアドヘシン」融合タンパク質である。薬剤は、重症感染症及び敗血症、神経系疾患、例えば多発性硬化症(MS)を含むネガティブ副作用と関連していた。
インフリキシマブ(商品名REMICADE(登録商標)として販売)は、RA及びクローン病を治療するために処方される免疫抑制剤である。インフリキシマブは、TNFαと結合するキメラモノクローナル抗体であって、炎症をもたらすTNFαを標的として結合することによって身体の炎症を軽減する。インフリキシマブは、心不全及び結核などの感染症並びにMSに至る髄鞘脱落の致命的反応との関連があった。
インフリキシマブ(商品名REMICADE(登録商標)として販売)は、RA及びクローン病を治療するために処方される免疫抑制剤である。インフリキシマブは、TNFαと結合するキメラモノクローナル抗体であって、炎症をもたらすTNFαを標的として結合することによって身体の炎症を軽減する。インフリキシマブは、心不全及び結核などの感染症並びにMSに至る髄鞘脱落の致命的反応との関連があった。
2002年12月に、Abbott Laboratoriesは、既にD2E7として知られている市場のアダリムマブ(adalimumab)(HUMIRATM)にFDAの認可を得た。アダリムマブは、TNFαと結合するヒトモノクローナル抗体であり、一以上の典型的な疾患変更性DMARDに十分に反応を示さない中程度〜重度の活動性のRA成人患者の兆候及び症状を軽減し、構造的障害の進行を抑制することで認可されている。
血管新生は、血管内皮細胞が増殖して、切り取り、再編成して、既存の血管ネットワークから新しい血管を形成する重要な細胞性の現象である。血管供給の発達は正常で病理学的な増殖過程に必須であるという動かぬ証拠がある(Folkman及びKlagsbrun (1987) Science 235:442-447)。酸素と栄養分の運搬、並びに分解産物の除去は、律速段階を多細胞生物に起こる大多数の成長過程の律速の工程の代表である。したがって、通常、胚発生の間の器官発達および分化だけでなく、成人の創傷治癒および生殖機能に、血管コンパートメントが必要であるにもかかわらず十分でないと推測される。
また、血管新生は、限定するものではないが、増殖性網膜症、年齢関連性黄斑変性、腫瘍、慢性関節リウマチ(RA)などの自己免疫性疾患および乾癬を含む様々な疾患の病理発生に関係する。血管新生は、1)プロテアーゼ放出後の局所の発生部位の細胞間マトリックスの低下、2)毛細管内皮細胞の増殖、及び3)血管新生刺激に対する毛細血管の移動からなる過程のカスケードである。Ferraraら. (1992) Endocrine Rev. 13: 18-32。
また、血管新生は、限定するものではないが、増殖性網膜症、年齢関連性黄斑変性、腫瘍、慢性関節リウマチ(RA)などの自己免疫性疾患および乾癬を含む様々な疾患の病理発生に関係する。血管新生は、1)プロテアーゼ放出後の局所の発生部位の細胞間マトリックスの低下、2)毛細管内皮細胞の増殖、及び3)血管新生刺激に対する毛細血管の移動からなる過程のカスケードである。Ferraraら. (1992) Endocrine Rev. 13: 18-32。
血管新生の注目すべき生理的及び病理学的重要性を考慮して、この過程を調節することができる因子の解明のために多くの研究がなされてきた。血管新生過程がプロ血管新生分子及び抗血管新生分子間のバランスによって調節され、様々な疾患、特に癌において血管新生過程が狂わされていることが示唆される。Carmeliet及びJain (2000) Nature 407:249-257。
血管内皮細胞の強力なマイトジェンである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は正常及び異常な血管新生の中枢的調節因子として報告されている。Ferrara及びDavis-Smyth (1997)Endocrine Rev. 18:4-25; Ferrara (1999) J. Mol. Med. 77:527-543。血管形成プロセスに寄与する他の成長因子と比較して、VEGFは血管系内の内皮細胞に対するその高い特異性が特徴的である。最近の証拠は、VEGFが胚性脈管形成及び血管新生に必須であることを裏付けている。Carmeliet等(1996) Nature 380:435-439; Ferrara等(1996) Nature 380:439-442。更に、VEGFは女性生殖路における周期的血管増殖及び骨成長及び成長板軟骨形成に必要とされる。Ferrara等(1998) Nature Med. 4:336-340; Gerber等(1999) Nature Med. 5:623-628。
血管内皮細胞の強力なマイトジェンである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は正常及び異常な血管新生の中枢的調節因子として報告されている。Ferrara及びDavis-Smyth (1997)Endocrine Rev. 18:4-25; Ferrara (1999) J. Mol. Med. 77:527-543。血管形成プロセスに寄与する他の成長因子と比較して、VEGFは血管系内の内皮細胞に対するその高い特異性が特徴的である。最近の証拠は、VEGFが胚性脈管形成及び血管新生に必須であることを裏付けている。Carmeliet等(1996) Nature 380:435-439; Ferrara等(1996) Nature 380:439-442。更に、VEGFは女性生殖路における周期的血管増殖及び骨成長及び成長板軟骨形成に必要とされる。Ferrara等(1998) Nature Med. 4:336-340; Gerber等(1999) Nature Med. 5:623-628。
血管新生及び脈管形成における血管形成因子であることに加えて、VEGFは多面発現性成長因子として、内皮細胞生存、血管透過性及び血管拡張、単球化学走性及びカルシウム流入のような他の生理学的プロセスにおいて複数の生物学的効果を示す。上掲のFerrara及びDavis-Smyth (1997)。更に、最近の研究では、数種の非内皮細胞型、例えば網膜色素上皮細胞、膵管細胞及びシュワン細胞に対するVEGFの分裂促進効果が報告されている。Guerrin等(1995) J. Cell Physiol. 164:385-394; Oberg-Welsh等(1997) Mol. Cell. Endocrinol. 126:125-132; Sondell等(1999) J. Neurosci. 19:5731-5740。
かなりの証拠が病理的血管新生を含む症状又は疾病の進行におけるVEGFの重要な役割をまた示している。VEGFのmRNAは検査したヒト腫瘍の大部分で過剰発現している(Berkman等 J Clin Invest 91:153-159 (1993); Brown等 Human Pathol.. 26:86-91 (1995); Brown等 Cancer Res. 53:4727-4735 (1993); Mattern等 Brit. J. Cancer. 73:931-934 (1996);及びDvorak等 Am J. Pathol. 146:1029-1039 (1995))。また、眼液中のVEGFの濃度は糖尿病及び他の虚血関連網膜症の患者において活発な血管の増殖の存在に強く相関している(Aiello等 N. Engl. J. Med. 331:1480-1487 (1994))。更に、最近の研究では、AMDに罹っている患者の脈絡叢新生血管膜中でのVEGFの局在化が実証されている (Lopez等 Invest. Ophtalmo. Vis. Sci. 37:855-868 (1996))。
かなりの証拠が病理的血管新生を含む症状又は疾病の進行におけるVEGFの重要な役割をまた示している。VEGFのmRNAは検査したヒト腫瘍の大部分で過剰発現している(Berkman等 J Clin Invest 91:153-159 (1993); Brown等 Human Pathol.. 26:86-91 (1995); Brown等 Cancer Res. 53:4727-4735 (1993); Mattern等 Brit. J. Cancer. 73:931-934 (1996);及びDvorak等 Am J. Pathol. 146:1029-1039 (1995))。また、眼液中のVEGFの濃度は糖尿病及び他の虚血関連網膜症の患者において活発な血管の増殖の存在に強く相関している(Aiello等 N. Engl. J. Med. 331:1480-1487 (1994))。更に、最近の研究では、AMDに罹っている患者の脈絡叢新生血管膜中でのVEGFの局在化が実証されている (Lopez等 Invest. Ophtalmo. Vis. Sci. 37:855-868 (1996))。
病的状態の血管新生の一次調節因子としてのVEGFを理解することによって、VEGF活性をブロックするための多くの試みが行われている。抑制性抗VEGFレセプター抗体、可溶性レセプターコンストラクト、アンチセンスストラテジー、VEGFに対するRNAアプタマーおよび低分子量のVEGFリセプターチロシンキナーゼ(RTK)インヒビターはすべて、VEGFシグナル伝達を阻害するために用いることが提唱されている(Siemeisterら. Cancer Metastasis Rev. 17: 241-248 (1998)。実際、抗VEGF中和抗体はヌードマウス中において様々なヒト腫瘍細胞の成長を抑制し(Kim等 Nature 362:841-844 (1993); Warren等 J. Clin. Invest. 95:1789-1797 (1995); Borgstroem等 Cancer Res. 56:4032-4039 (1996);及びMelnyk等 Cancer Res. 56:921-924 (1996))、虚血性網膜疾患モデルにおいて眼内血管新生も阻害する(Adamis等 Arch. Ophthalmol. 114:66-71 (1996))。従って、抗VEGFモノクローナル抗体又はVEGF作用の他のインヒビターは固形腫瘍及び様々な眼内血管新生疾患の治療に対する有望な候補である。VEGF分子は腫瘍細胞内で上方制御され、そのレセプターは血管内皮細胞が浸潤した腫瘍内で上方制御されるが、VEGFとそのレセプターの発現は血管新生に関与しない正常細胞では低く保たれる。したがって、このような正常細胞は、腫瘍血管新生及びそれによる腫瘍成長及び癌転移を阻害するためのVEGFとそのレセプターとの相互作用をブロックすることによる影響を受けないであろう。
現在一般的に、組み換えDNA技術を用いてモノクローナル抗体を製造することができる。モノクローナル抗体、特に齧歯類由来のものは広く使用されているが、ヒトの治療用途では抗原性であることがよくある。ヒト以外の抗原結合ドメインをヒト定常ドメインに結合した「キメラ」抗体を構築することによってこの問題を解消することが試みられている(Cabilly等, 米国特許第4816567号)。ヒト定常ドメインのアイソタイプを選択して抗体依存性細胞性障害(ADCC)及び補体依存性細胞性障害に関与するキメラ抗体をあつらえることができる。抗体の抗原結合機能を分析するため及び、ヒト抗体中での異種性配列の使用を最小限にするために、実質的により少ない完全なヒト可変ドメインを、齧歯類の(CDR)残基をヒト抗体の一致するセグメントと置換して生成した非ヒト種由来の一致する配列によって置換したヒト化抗体が様々な抗原に対して生成されている。実際には、典型的にヒト化抗体はいくつかの相補性決定領域(CDR)の残基と可能であればいくつかのフレームワーク領域(FR)を齧歯類の抗体の類似部位由来の残基に置き換えるヒト抗体である。Jonesら., Nature 321:522-525 (1986);Riechmannら., Nature 332:323-327 (1988);Verhoeyenら., Science 239:1534-1536 (1988)。
様々なヒト化抗ヒトVEGF(hVEGF)抗体が成功裏に生成されており、インビトロ及びインビボの両方で著しいhuVEGF阻害活性を示した。Prestaら. (1997) Cancer Research 57:4593-4599;Chenら. (1999) J. Mol. Biol. 293:865-881。ある特異的ヒト化抗VEGF抗体であるベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標), Genentech, Inc.)が、転移性結腸直腸癌(CRC)を治療するための化学療法剤との併用について米国で承認されている。現在、この薬剤は多種の癌の治療のために様々な臨床の場で用いられている。ヒト化抗VEGF抗体の他の高親和性変異体が、現在、加齢性黄斑変性(AMD)の治療のための臨床試験にある。
VEGFがRAなどの炎症性関節疾患の病因と関係していることを示唆する所見が増えている。VEGFは、RA患者の炎症を起こした関節の滑液組織、例えば滑液ライニング細胞、滑液ライニングマクロファージ、血管周囲線維芽細胞および血管平滑筋細胞において同定されている。Nagashima 等 (1995) J. Rheumatol. 22:1624-1630。滑液及び血清のVEGFレベルは、成人及び若年のRAにおいて有意に上昇していること、疾患活動性と相関していることが明らかにされた。Koch 等 (1994) J. Immunol. 152:4149-4156。近年では、VEGFの中和反応がコラーゲン誘導性関節炎を予防することと、マウスの構築されたRAを寛解しうることが示された。Sone 等 (2001) Bioch. Bioph. Res. Comm. 281:562-568。
これらの成果にもかかわらず、自己免疫性疾患の有効な治療法、特に血管新生アンタゴニストを用いた治療法が依然として必要とされている。
これらの成果にもかかわらず、自己免疫性疾患の有効な治療法、特に血管新生アンタゴニストを用いた治療法が依然として必要とされている。
(発明の概要)
第一の態様では、本発明は、治療的有効な量の血管新生アンタゴニストを哺乳動物に投与することを含む、従来の治療の効果がなかった哺乳動物の自己免疫性疾患の治療方法を提供する。
例えば、本発明は、MTXやTNFα-インヒビターなどのDMARD療法の効果がない、又はそれらに対する反応が不十分な哺乳動物の関節リウマチの治療方法であって、VEGFに結合してVEGFをブロックする抗体の治療的有効量を該哺乳動物に投与することを含む治療方法を提供する。
また、本発明は、治療的有効量の血管新生アンタゴニストを自己免疫性疾患の哺乳動物に投与することを含む、感染症、心不全及び脱髄からなる群から選択されるネガティブな副作用のリスクを軽減する方法に関する。
また、従来の治療で効果が得られなかった患者のRAなどの自己免疫性疾患の治療のための医薬の調製における、抗VEGF抗体などの血管新生アンタゴニストの使用に関する。
第一の態様では、本発明は、治療的有効な量の血管新生アンタゴニストを哺乳動物に投与することを含む、従来の治療の効果がなかった哺乳動物の自己免疫性疾患の治療方法を提供する。
例えば、本発明は、MTXやTNFα-インヒビターなどのDMARD療法の効果がない、又はそれらに対する反応が不十分な哺乳動物の関節リウマチの治療方法であって、VEGFに結合してVEGFをブロックする抗体の治療的有効量を該哺乳動物に投与することを含む治療方法を提供する。
また、本発明は、治療的有効量の血管新生アンタゴニストを自己免疫性疾患の哺乳動物に投与することを含む、感染症、心不全及び脱髄からなる群から選択されるネガティブな副作用のリスクを軽減する方法に関する。
また、従来の治療で効果が得られなかった患者のRAなどの自己免疫性疾患の治療のための医薬の調製における、抗VEGF抗体などの血管新生アンタゴニストの使用に関する。
(好ましい実施態様の詳細な説明)
I.定義
本明細書中で用いる、「血管新生アンタゴニスト」は、疾患ないし疾病に関する病理学的な血管新生をブロック(阻止)、阻害、抑止、妨害又は軽減することができる組成物である。多くの血管新生アンタゴニストが同定されており、当分野で公知である。例えばCarmeliet and Jain (2000)に列挙されるものがある。一般的に、血管新生アンタゴニストは特定の血管新生因子又は血管新生経路を標的とする組成物である。ある態様では、血管新生アンタゴニストは、血管新生因子を標的とした抗体などのタンパク質組成物である。最も認識されている血管新生因子の一つにはVEGFがあり、最も強力な血管新生アンタゴニストは中和抗VEGF抗体である。
I.定義
本明細書中で用いる、「血管新生アンタゴニスト」は、疾患ないし疾病に関する病理学的な血管新生をブロック(阻止)、阻害、抑止、妨害又は軽減することができる組成物である。多くの血管新生アンタゴニストが同定されており、当分野で公知である。例えばCarmeliet and Jain (2000)に列挙されるものがある。一般的に、血管新生アンタゴニストは特定の血管新生因子又は血管新生経路を標的とする組成物である。ある態様では、血管新生アンタゴニストは、血管新生因子を標的とした抗体などのタンパク質組成物である。最も認識されている血管新生因子の一つにはVEGFがあり、最も強力な血管新生アンタゴニストは中和抗VEGF抗体である。
「VEGF」及び「VEGF-A」なる用語は、Leung等 Science, 246:1306 (1989)、及びHouck等 Mol. Endocrin., 5:1806 (1991)によって記載されているように、165アミノ酸の血管内皮細胞成長因子と、関連した121-、189-、及び206-アミノ酸の血管内皮細胞成長因子、並びにそれらの天然に生じる対立遺伝子型及びプロセシング型を意味するために交換可能に用いる。また、「VEGF」なる用語は、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞成長因子のアミノ酸8〜109、又は1〜109を含む切断型ポリペプチドを意味する。そのようなVEGF型を指すときは、本明細書では、例えば、「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」又は「VEGF165」と表す。「切断した(切断型の)」天然のVEGFのアミノ酸位置は、天然のVEGF配列に示される数で示す。例えば、切断型の天然VEGFのアミノ酸位置17(メチオニン)は、天然のVEGF中の位置17(メチオニン)でもある。切断型の天然VEGFは天然のVEGFに匹敵するKDR及びFlt-1レセプターに対して結合親和性を有する。
「抗VEGF抗体」は、十分な親和性と特異性を有してVEGFと結合する抗体である。好ましくは、本発明の抗VEGF抗体が、VEGF活性を伴う疾患又は症状を標的として妨げる際の治療薬として用いることができる。抗VEGF抗体は、通常、VEGF-B又はVEGF-Cなどの他のVEGFホモログにも、PlGF、PDGF又はbFGFなどの他の成長因子にも結合しない。好適な抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709により生産されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープと結合するモノクローナル抗体である。より好適な抗VEGF抗体は、Presta et al. (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であり、限定するものではないがベバシズマブ(bevacizumab)(BV;アバスチン(登録商標))として知られる抗体が含まれる。
「rhuMAb VEGF」又は「アバスチン(登録商標)」としても知られる抗VEGF抗体「ベバシズマブ(BV)」は、Presta 等 (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、ヒトVEGFのそのレセプターへの結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域と変異したヒトIgG1フレームワーク領域を含有する。ほとんどのフレームワーク領域を含む、ベバシズマブのおよそ93%のアミノ酸配列はヒトIgG1由来のものであり、配列のおよそ7%はマウス抗体A4.6.1由来である。ベバシズマブは、およそ149,000ダルトンの分子質量であり、グリコシル化される。
「VEGFアンタゴニスト」は、一又は複数のVEGFレセプターに対するその結合を含含むVEGF活性を中和、ブロッキング、阻害、抑止、低減又は妨害することが可能な分子を指す。VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体及びその抗原結合性断片、VEGFに特異的に結合して一又は複数のレセプターに対する結合を隔離するレセプター分子及びその誘導体、抗VEGFレセプター抗体及びVEGFRチロシンキナーゼの小分子インヒビターなどのVEGFレセプターアンタゴニストを含む。
「VEGFアンタゴニスト」は、一又は複数のVEGFレセプターに対するその結合を含含むVEGF活性を中和、ブロッキング、阻害、抑止、低減又は妨害することが可能な分子を指す。VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体及びその抗原結合性断片、VEGFに特異的に結合して一又は複数のレセプターに対する結合を隔離するレセプター分子及びその誘導体、抗VEGFレセプター抗体及びVEGFRチロシンキナーゼの小分子インヒビターなどのVEGFレセプターアンタゴニストを含む。
本願明細書において「自己免疫性疾患」とは、個体の自己組織ないしは同時に分離したものに対する疾患ないし疾病及びこれらから生じる疾患ないし疾病、又はその徴候又はこれらから起こった症状である。自己免疫性疾患ないし疾病の例には、限定するものではないが関節炎(関節リウマチ、若年発症関節リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎及び強直性脊椎炎)、乾癬、アトピー性皮膚炎皮膚炎を含む皮膚炎、慢性突発性蕁麻疹、例えば慢性自己免疫性蕁麻疹、多発性筋炎/皮膚筋炎、中毒性上皮性表皮壊死症、強皮症(全身強皮症を含む)、硬化症、例えば進行性全身性硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、(例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性炎症性腸疾患)、膿皮症壊疽、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、上強膜炎)、呼吸窮迫症候群、例えば成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、IgE媒介性疾患、例えばアナフィラキシー及びアレルギー性及びアトピー性鼻炎、脳炎、例えばラスマッセン脳炎、ブドウ膜炎又は自己免疫性ブドウ膜炎、大腸炎、例えば顕微鏡的大腸炎及び膠原性大腸炎、糸球体腎炎(GN)、例えば膜性GN(膜性ネフロパシ)、突発性膜性GN、膜性増殖性GN(MPGN)(タイプI及びタイプIIを含む)及び急速進行性GN、アレルギー性症状、アレルギー性反応、湿疹、喘息、T細胞及び慢性炎症反応の浸潤を伴う症状、アテローム性動脈硬化、自己免疫性心筋炎、白血球粘着力欠損、全身性エリテマトーデス(SLE)、例えば皮膚SLE、亜急性の皮膚紅班性狼瘡、狼瘡(腎炎、脳炎、小児、非腎性、円板状、脱毛性を含む)、若年性発症型(I型)真正糖尿病、例えば小児インシュリン依存性真正糖尿病(IDDM)、成人発症型真正糖尿病(II型糖尿病)、多発性硬化症(MS)、例えばspino-optical MS、サイトカイン及びTリンパ球によって媒介される急性及び遅発性過敏症と関係する免疫応答、結核、サルコイドーシス、肉芽腫症、例としてリンパ腫肉芽腫症、ヴェゲナーの肉芽腫症、無顆粒球症、脈管炎(例えば大脈管脈管炎(リウマチ性多発性筋痛及び巨細胞(高安)動脈炎を含む)、中脈管脈管炎(川崎病及び結節性多発動脈炎を含む)、CNS脈管炎、全身壊死性脈管炎及びANCA関連の脈管炎、例として、チャーグ-ストラウス脈管炎又は症候群(CSS)、側頭動脈炎、無形成性貧血、クームズ陽性貧血症、ダイアモンドブラックファン貧血症、溶血性貧血又は免疫溶血性貧血、例として自己免疫溶血性貧血(AIHA)、悪性貧血、純粋な赤血球形成不全(PRCA)、第VIII因子欠損症、血友病A、自己免疫好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球血管外遊出を伴う疾患、CNS炎症性疾患、多器官損傷症候群、抗原-抗体複合体関連疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット又はベーチェット病、カールスマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンスジョンソン症候群、類天疱瘡、例えば水疱性類天疱瘡、天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡及びペンフィグス粘液膜類天疱瘡を含む)、自己免疫多腺性内分泌障害、ライター病、免疫複合体腎炎、慢性神経障害、例えばIgM多発性神経炎又はIgM媒介性神経障害、血小板減少(例えば心筋梗塞患者によるもの)、例えば血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、及び自己免疫性又は免疫媒介性血小板減少、例えば慢性及び急性のITPを含む特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、自己免疫性精巣炎及び卵巣炎を含む精巣及び卵巣の自己免疫性疾患、一次甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫内分泌性疾患、例えば甲状腺炎、例えば自己免疫性甲状腺炎、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)又は亜急性の甲状腺炎、自己免疫甲状腺性疾患、特発性甲状腺機能低下症、アジソン病、グレーブ病、自己免疫多腺性症候群などの多腺性症候群(又は、多腺性内分泌障害症候群)、腫瘍随伴症候群、例として神経系新生物関連症候群、例えばランバート-イートン筋無力症症候群又はイートン-ランバート症候群、スティッフマン又はスティッフマン症候群、脳脊髄炎、例として、アレルギー性脳脊髄炎、重症筋無力症、小脳性退化、辺縁及び/又は脳幹脳炎、神経ミオトニ、眼球クローヌス又は眼球クローヌス筋硬直症候群(OMS)及び感覚系神経障害、シーハン症候群、自己免疫肝炎、慢性肝炎、類狼瘡肝炎、慢性活動性肝炎又は自己免疫慢性活動性肝炎、リンパ系間隙間質性肺炎、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、ギラン‐バレー症候群、ベルガー病(IgAネフロパシ)、原発性胆管萎縮症、脂肪便症(グルテン腸疾患)、抵抗性スプルー、疱疹状皮膚炎、クリオグロブリン血症、アミロトロフィック側索硬化症(ALS;筋萎縮性側索硬化症(Lou Gehrig's disease))、冠状動脈疾患、自己免疫内耳疾患(AIED)又は自己免疫聴力障害、眼球クローヌス筋硬直症候群(OMS)、多発性軟骨炎、例として、抵抗性多発性軟骨炎、肺胞状蛋白症、アミロイドーシス、巨細胞肝炎、強膜炎、非癌性リンパ球増多症、一次リンパ球増多症、これにはモノクローナルB細胞リンパ球増多症(例えば良性モノクローナル免疫グロブリン症及び未同定の有意なモノクローナルガーモパチィ(monoclonal garnmopathy of undetermined significance)、MGUS)が含まれる、末梢性神経障害、腫瘍随伴症候群、チャネル病、例として、癲癇、片頭痛、不整脈、筋疾患、難聴、盲目、周期性麻痺及びCNSのチャネル病、自閉症、炎症性ミオパシ、局所性分節性糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼障害、ブドウ膜網膜炎、自己免疫性肝臓病、線維症、多内分泌性不全、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮、初老期痴呆、脱髄性疾患、ドレスラー症候群、円形脱毛症、CREST症候群(石灰沈着、レイノー現象、食道運動障害、強指症及び毛細管拡張症)、雌雄自己免疫性不妊症、硬直性脊椎炎、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、再発性中絶、農夫肺、多形性紅斑、心切開術後症候群、クッシング症候群、愛鳥家肺、アルポート症候群、肺胞炎、例えばアレルギー性肺胞炎及び繊維化肺胞炎、間隙肺疾患、輸血反応、ハンセン病、マラリア、リーシュマニア症、キパノソミアシス(kypanosomiasis)、住血吸虫症、蛔虫症、アスペルギルス症、サンプター症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維形成、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸性筋膜炎(eosinophilic faciitis)、シャルマン症候群、フェルティー症候群、フィラリア(flariasis)、毛様体炎、例えば慢性毛様体炎、ヘテロ慢性毛様体炎又はFuchの毛様体炎、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、エコーウィルス感染、心筋症、アルツハイマー病、パルボウィルス感染、風疹ウィルス感染、種痘後症候群、先天性風疹感染、エプスタインバーウイルス感染、耳下腺炎、エヴァンの症候群、自己免疫性腺機能不全、シドナム舞踏病、連鎖球菌感染後腎炎、閉塞性血栓性血管炎(thromboangitis ubiterans)、甲状腺中毒症、脊髄癆、巨細胞多発性筋痛、などがある。
「腫瘍壊死因子(TNFα)」は、Pennica等., Nature, 312:721 (1984)又はAggarwal等., JBC, 260:2345 (1985)に記載のアミノ酸配列を含むヒトTNFα分子を指す。
本明細書中の「TNFαインヒビター」は、一般的にTNFαに結合してその活性を中和するによって、TNFαの生物学的機能を阻害、ブロック、抑止又は防御する作用剤である。ここで特に組み込まれるTNFインヒビターの例は、エタネルセプト(Etanercept)(ENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(Infliximab)(REMICADE(登録商標))及びアダリムマブ(Adalimumab)(HUMIRATM)である。
「TNFαインヒビターに対して不十分な反応」なる用語は、毒性及び/又は不十分な効果のために、TNFαインヒビターを用いた従来の又は現行の治療に十分な反応を示さないことを指す。不十分な反応は疑われる疾患を治療する際に臨床医の技術によって評価することができる。
本明細書中の「TNFαインヒビター」は、一般的にTNFαに結合してその活性を中和するによって、TNFαの生物学的機能を阻害、ブロック、抑止又は防御する作用剤である。ここで特に組み込まれるTNFインヒビターの例は、エタネルセプト(Etanercept)(ENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(Infliximab)(REMICADE(登録商標))及びアダリムマブ(Adalimumab)(HUMIRATM)である。
「TNFαインヒビターに対して不十分な反応」なる用語は、毒性及び/又は不十分な効果のために、TNFαインヒビターを用いた従来の又は現行の治療に十分な反応を示さないことを指す。不十分な反応は疑われる疾患を治療する際に臨床医の技術によって評価することができる。
TNFαインヒビターによる従来の又は現行の治療から「毒性」を経験する哺乳動物は、それによる一以上のネガティブな副作用、例えば、感染(特に重症感染症)、鬱血性心不全、髄鞘脱落(多発性硬化症に至る)、過敏症、神経病上の現象、自己免疫、非ホジキン性リンパ腫、結核(TB)、自己抗体などを経験する。
「従来の治療の効果がない」又は「不十分な効果」を経験する哺乳動物は、DMARDやTNFαインヒビターなどの薬剤を用いた従来の又は現行の治療後に活動性の疾患が続く。例えば、患者はDMARD(MTXなど)又はTNFαインヒビターによる治療の1か月又は3か月後に活動性の疾患を持つかもしれない。
「従来の治療の効果がない」又は「不十分な効果」を経験する哺乳動物は、DMARDやTNFαインヒビターなどの薬剤を用いた従来の又は現行の治療後に活動性の疾患が続く。例えば、患者はDMARD(MTXなど)又はTNFαインヒビターによる治療の1か月又は3か月後に活動性の疾患を持つかもしれない。
ここで「B細胞表面上マーカー」とは、B細胞の表面上に発現する抗原であり、結合するべきアンタゴニストの標的となることができる。例示的B細胞表面上マーカーには、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD40、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85及びCD86白血球表面上マーカーが含まれる。特に対象とするB細胞表面上マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比較してB細胞上に優先的に発現しており、B細胞前駆細胞及び成熟B細胞両方の細胞上に発現していてもよい。一実施態様では、マーカーは、幹細胞段階からプラズマ細胞になる終末分化直前の時期までの系統分化の間ずっとB細胞上にみられるCD20又はCD19のようなものである。ここで好ましいB細胞表面上マーカーはCD20である。
「CD20」抗原は、末梢血又はリンパ系器官の90%以上のB細胞の表面にみられる35kDa以下の非グルコシル化リンタンパク質である。CD20は初期のプレB細胞発育中に発現し、プラズマ細胞分化まで残る。CD20は正常B細胞だけでなく悪性のB細胞上に存在する。CD20を指す文献中での他の名前には、「Bリンパ球限定抗原(B-lymphocyte-restricted antigen)」及び「Bp35」が含まれる。CD20抗原は、例としてClark等. PNAS (USA) 82:1766 (1985)に記載されている。
「CD20」抗原は、末梢血又はリンパ系器官の90%以上のB細胞の表面にみられる35kDa以下の非グルコシル化リンタンパク質である。CD20は初期のプレB細胞発育中に発現し、プラズマ細胞分化まで残る。CD20は正常B細胞だけでなく悪性のB細胞上に存在する。CD20を指す文献中での他の名前には、「Bリンパ球限定抗原(B-lymphocyte-restricted antigen)」及び「Bp35」が含まれる。CD20抗原は、例としてClark等. PNAS (USA) 82:1766 (1985)に記載されている。
「成長阻害」」アンタゴニストは、アンタゴニストが結合する抗原を発現している細胞の増殖を阻害又は低減するものである。例えば、アンタゴニストはインビトロ及び/又はインビボでのB細胞の増殖を阻害又は低減しうる。
ここで「抗体」なる用語は、広い意味で用いられ、特に無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷の抗体から形成した多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性を有する限りにおける抗体断片の範囲にわたる。
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくはその抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。
「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の中で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖間ジスルフィド結合を有している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(VH)を一端に有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。
ここで「抗体」なる用語は、広い意味で用いられ、特に無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷の抗体から形成した多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性を有する限りにおける抗体断片の範囲にわたる。
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくはその抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。
「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の中で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖間ジスルフィド結合を有している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(VH)を一端に有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の高頻度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つの高頻度可変領域により連結されたβシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖の高頻度可変領域は、FRによって近接して結合され、他の鎖の高頻度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequence of Proteins ofImmunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, BEthesda, MD. (1991))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞障害活性(ADCC)への抗体の関与を示す。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')2断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')2断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この配置において、各可変ドメインの3つの高頻度可変領域は相互に作用してVH-VL二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つの高頻度可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの高頻度可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。また、抗体断片の他の化学結合も知られている。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。また、抗体断片の他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つが割り当てられる。
抗体の重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、抗体は異なるクラスが割り当てられる。無傷の抗体には5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、更にそれらは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2等のサブクラス(イソ型)に分かれる。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られている。
抗体の重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、抗体は異なるクラスが割り当てられる。無傷の抗体には5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、更にそれらは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2等のサブクラス(イソ型)に分かれる。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られている。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、FvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を指し、その断片は同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成が可能であるリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディーは、例えば、EP404,097;WO93/11161;及びHollingerら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を指し、その断片は同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成が可能であるリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディーは、例えば、EP404,097;WO93/11161;及びHollingerら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味する。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる自然に生じる可能性がある突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。更に、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体はハイブリドーマ培養により合成され、他のイムノグロブリンの混入がないという利点がある。「モノクローナル」との修飾語句は、実質的に均一な抗体の集団から得たものとしての抗体の性質を表すものであり、抗体が何か特定の方法による生成を必要として構築したものであることを意味するものではない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler等, Nature, 256:495 (1975)に記載されたハイブリドーマ法によって作ることができ、あるいは組換えDNA法によって作ることができる(例えば米国特許第4,816,567号を参照のこと)。また「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)およびMarks等, J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
ここで言うモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含み、それは特定の種由来または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体が持つ配列に一致するまたは類似する重鎖および/または軽鎖の一部を含むものであり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、抗体断片のように他の種由来または他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体が持つ配列に一致するまたは類似するものである(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。ここで対象とするキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル又はカニクイザルなどの旧世界サル)由来の可変ドメイン抗原結合配列とヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒトイムノグロブリン(免疫グロブリン)に由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例として、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、ヒト免疫グロブリン配列の高頻度可変ループがFRのすべて又は実質的にすべてである少なくとも一又は一般的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、一般的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。更なる詳細については、Jones等, Nature 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。
ここで使用されるところの「高頻度可変領域」なる用語は、抗原結合に寄与する抗体のアミノ酸残基を意味する。高頻度可変領域は一般には「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)、及び重鎖可変ドメインの31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest,5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991))及び/又は「高頻度可変ループ」からの残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及び重鎖可変ドメインの残基26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia及びLesk J.Mol.Biol. 196:901-917 (1987))を含む。「フレームワーク」又は「FR」残基はここで定義するように高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
目的の抗原、例えば、VEGFに「結合する」アンタゴニストとは、アンタゴニストが抗原発現細胞又は抗原を標的とした治療剤として有用となるように十分な親和性及び/又は結合活性を有して抗原に結合することができるものである。
目的の抗原、例えば、VEGFに「結合する」アンタゴニストとは、アンタゴニストが抗原発現細胞又は抗原を標的とした治療剤として有用となるように十分な親和性及び/又は結合活性を有して抗原に結合することができるものである。
「単離された」アンタゴニストは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものを意味する。その自然環境の汚染成分は、アンタゴニストの診断又は治療への使用を妨害しうる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様においては、アンタゴニストは、(1)ローリー(Lowry)法により定量して、アンタゴニストが95重量%より多くなるほど、最も好ましくは99重量%より多くなるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、N末端あるいは内部アミノ酸配列の少なくとも15の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは、(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が得られるように充分な程度まで精製される。アンタゴニストの自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、単離されたアンタゴニストには、組換え細胞内のインサイツのアンタゴニストが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたアンタゴニストは少なくとも1つの精製工程により調製される。
治療の目的とされる「哺乳動物」とは、ヒト、家庭又は農場用動物、及び動物園、スポーツ又は愛玩用動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を含む、哺乳動物に分類されるあらゆる動物を意味する。好ましくは哺乳動物はヒトである。
「治療」とは、治療的処置及び予防又は防止手段の両方を意味する。治療の必要があるものには、既に羅患しているもの、並びに疾患又は疾病が予防されるべきものが含まれる。従って、哺乳動物は、疾患又は疾病を有すると診断されてもよく、又は疾患に罹りやすい又は敏感であると診断されていてもよい。
「治療的有効量」という用語は、疑われる自己免疫疾患を予防、寛解又は治療するのに効果的なアンタゴニストの量を意味する。
「治療」とは、治療的処置及び予防又は防止手段の両方を意味する。治療の必要があるものには、既に羅患しているもの、並びに疾患又は疾病が予防されるべきものが含まれる。従って、哺乳動物は、疾患又は疾病を有すると診断されてもよく、又は疾患に罹りやすい又は敏感であると診断されていてもよい。
「治療的有効量」という用語は、疑われる自己免疫疾患を予防、寛解又は治療するのに効果的なアンタゴニストの量を意味する。
ここで治療補助剤として用いる「免疫抑制剤」という用語は、ここで治療される哺乳動物の免疫系を抑制または遮断するように働く物質を表す。これは、サイトカイン産生を抑制する、自己抗原の発現を下方制御または抑制する、MHC抗原を遮断する物質を含む。そのような薬剤の例として、2-アミノ-6-アリル-5-代替ピリミジン(米国特許第4,665,077号参照、開示されていることは出典明記によりここに組み込まれる);非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);アザチオプリン;シクロホスファミド;ブロモクリプチン;ダナゾール;ダプソン;グルタルアルデヒド (米国特許第4,120,649号に記載のように、MHC抗原を遮断する);MHC抗原およびMHCフラグメントに対する抗イデオタイプ抗体;シクロスポリンA;副腎皮質ステロイドなどのステロイド、例として、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン;メトトレキサート(経口又は皮下);ヒドロキシクロロキン;スルファサラジン;レフルノミド;サイトカイン、又は抗インターフェロン-γ、-β、又は-α抗体、抗腫瘍壊死因子α抗体(インフリキシマブ又はアダリムマブ)、抗TNFαイムノアドヘシン(エタネルセプト)、抗腫瘍壊死因子β抗体、抗インターロイキン2抗体、及び抗IL-2レセプター抗体を含むサイトカインレセプターアンタゴニスト;抗CD11a及び抗CD18抗体を含む抗LFA-1抗体;抗-L3T4抗体;異種性抗リンパ球グロブリン;pan-T 抗体、好ましくは、抗-CD3または抗CD4/CD4a抗体;LFA-3結合ドメインを含む可溶性ペプチド(1990年7月26日公開のWO90/08187)、ストレプトキナーゼ;TGF-β;ストレプトドルナーゼ(streptodornase);宿主由来のRNAまたはDNA;FK506;RS-61443;デオキシスペルグアニン(deoxyspergualin);ラパマイシン;T細胞レセプター (Cohen等, 米国特許第5,114,721号);T細胞レセプターフラグメント(Offner ら, Science 251:430-432 (1991);WO90/11294;Ianeway, Nature, 341: 482 (1989);及びWO 91/01133);及びT10B9等のT細胞レセプター抗体 (EP340,109)を含む。
ここで使用する「細胞障害性剤」なる用語は、細胞の機能阻害又は阻止、及び/又は細胞破壊をもたらす物質を表す。この用語は、放射性同位体(例として、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射性同位体)、化学療法剤、及び細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素活性毒素又は小分子毒素などの毒素、またはそれらの断片を含むことを意図する。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXANTM)のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カリケアマイシン(calicheamicin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)などの抗生物質;メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似物;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)、5−FU;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;オキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine):ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン(razoxane);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカーバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、及びドキセタキセル(タキソテア(TAXOTERE)(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲンシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン、カルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド;ダウノマイシン;カルミノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CTP-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン(capecitabine);並びに製薬的に許容可能な塩類、酸類、又は上記何れかの誘導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)、4(5)-イミダゾール類を阻害するアロマターゼ、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(Fareston);及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リュープリン(leuprolide)、及びゴセレリン;及び製薬的に許容可能な塩類、酸類又は上記何れかの誘導体が含まれる。
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。このようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンを挙げることができる。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;肝臓成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミュラー阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-β等の神経成長因子;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-βのようなトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロンα、β、γのようなインターフェロン;マクロファージCSF(M-CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM-CSF);及び顆粒球CSF(G-CSF);IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、 IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、 IL-8、IL-9、IL-11、IL-12、IL-15等のインターロイキン(IL);腫瘍壊死因子、例えばTNF-α又はTNF-β;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。ここで使用される場合、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
この出願で用いられる用語「プロドラッグ」は、親薬剤に比較して腫瘍細胞に対する細胞障害性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に変換される製薬的活性物質の前駆体又は誘導体形態を意味する。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」, Biochemical Society Transactions, 14, :375-382, 615th Meeting, Belfast (1986)、及びStella 等, 「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery, Borchardt等(編), 247-267項, Humana Press (1985)参照。本発明のプロドラッグは、限定するものではないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。限定はしないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞障害性剤の例には、前記の化学療法剤が含まれる。
「リポソーム」とは、薬剤(例として、ここで開示したアンタゴニスト及び場合によっては化学療法剤)の哺乳動物への運搬に有用な多種の脂質、リン脂質及び/又は界面活性物質から構成される小胞体である。一般にリポソームの構成成分は、脂質の生物学的膜の配列に類似して、二層を形成している。
「リポソーム」とは、薬剤(例として、ここで開示したアンタゴニスト及び場合によっては化学療法剤)の哺乳動物への運搬に有用な多種の脂質、リン脂質及び/又は界面活性物質から構成される小胞体である。一般にリポソームの構成成分は、脂質の生物学的膜の配列に類似して、二層を形成している。
「静脈内注入」なる用語は、およそ5分以上、好ましくはおよそ30〜90分の時間をかけて動物又はヒト患者の静脈への薬剤の導入を意味するものであり、本発明では静脈内注入があるいは10時間未満かけて投与されることもある。
「静脈内ボーラス」又は「静脈内圧力(intravenous push)」なる用語は、動物又はヒトに静脈に薬剤を投与して、およそ15分未満、好ましくは5分未満で身体が薬剤を受け取ることを意味する。
「皮下投与」なる用語は、動物又はヒト患者の皮下、好ましくは皮膚と皮下組織の間の嚢内に、薬剤貯蔵物から相対的にゆっくりと、持続的に運搬されることによる薬剤の導入を意味する。
「静脈内ボーラス」又は「静脈内圧力(intravenous push)」なる用語は、動物又はヒトに静脈に薬剤を投与して、およそ15分未満、好ましくは5分未満で身体が薬剤を受け取ることを意味する。
「皮下投与」なる用語は、動物又はヒト患者の皮下、好ましくは皮膚と皮下組織の間の嚢内に、薬剤貯蔵物から相対的にゆっくりと、持続的に運搬されることによる薬剤の導入を意味する。
「皮下注入」なる用語は、動物又はヒト患者の皮下、好ましくは皮膚と皮下組織の間の嚢内に、限定するものではないが30分以下ないし90分以下の時間をかけて、薬剤貯蔵物から相対的にゆっくりと、持続的に運搬されることによる薬剤の導入を意味する。場合によって、動物又はヒト患者の皮下にインプラントされる薬剤運搬ポンプを刺し入れることによって注入されてもよい。この場合のポンプは決まった量の薬剤を30分、90分又は治療期間などの決まった期間の間運搬するものである。
「皮下ボーラス」なる用語は、動物又はヒト患者の皮下への薬剤の投与であって、ボーラス薬剤運搬(ドラッグデリバリー)は好ましくはおよそ15分未満、より好ましくは5分未満、最も好ましくは60秒未満である。好ましくは、投与は皮膚と皮下組織の間の嚢内であり、その嚢は例えば皮膚をつまんだり引き上げたりして皮下組織を除去することによって作ったものである。
「皮下ボーラス」なる用語は、動物又はヒト患者の皮下への薬剤の投与であって、ボーラス薬剤運搬(ドラッグデリバリー)は好ましくはおよそ15分未満、より好ましくは5分未満、最も好ましくは60秒未満である。好ましくは、投与は皮膚と皮下組織の間の嚢内であり、その嚢は例えば皮膚をつまんだり引き上げたりして皮下組織を除去することによって作ったものである。
II.アンタゴニストの製造
本発明の方法及び製造品は、血管新生アンタゴニストを使用又は取り込む。したがって、該アンタゴニストの製造方法をここに記載する。
血管新生アンタゴニストは血管新生因子のタンパク質アンタゴニストでありうる。好ましくは、アンタゴニストはVEGFアンタゴニストである。本発明のために好適なVEGFアンタゴニストである抗VEGF抗体に加えて、他のVEGFアンタゴニストには、VEGF変異体、可溶性VEGFレセプター断片、VEGFないしVEGFRをブロックすることができるアプタマー、中和抗VEGFR抗体、及びVEGFRチロシンキナーゼの低分子量インヒビターが含まれる。
以下は、本発明に従って用いた抗体アンタゴニストの製造の例示的技術として記載する。
本発明の方法及び製造品は、血管新生アンタゴニストを使用又は取り込む。したがって、該アンタゴニストの製造方法をここに記載する。
血管新生アンタゴニストは血管新生因子のタンパク質アンタゴニストでありうる。好ましくは、アンタゴニストはVEGFアンタゴニストである。本発明のために好適なVEGFアンタゴニストである抗VEGF抗体に加えて、他のVEGFアンタゴニストには、VEGF変異体、可溶性VEGFレセプター断片、VEGFないしVEGFRをブロックすることができるアプタマー、中和抗VEGFR抗体、及びVEGFRチロシンキナーゼの低分子量インヒビターが含まれる。
以下は、本発明に従って用いた抗体アンタゴニストの製造の例示的技術として記載する。
(i) ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することにより動物に産生される。免疫化される種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターに関連抗原を、二官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基による抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、又はRとR1が異なったアルキル基であるR1N=C=NRにより抱合させることが有用である。
動物を、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と併せ、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して免疫化する。1ヶ月後、該動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1/10のペプチド又はコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加免疫する。7ないし14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。好ましくは、動物は、同じ抗原のコンジュゲートであるが、異なったタンパク質にコンジュゲートさせた、及び/又は異なった架橋剤によってコンジュゲートさせたコンジュゲートで追加免疫する。コンジュゲートはまたタンパク融合として組換え細胞培養中で調製することもできる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために好適に使用される。
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することにより動物に産生される。免疫化される種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターに関連抗原を、二官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基による抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、又はRとR1が異なったアルキル基であるR1N=C=NRにより抱合させることが有用である。
動物を、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と併せ、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して免疫化する。1ヶ月後、該動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1/10のペプチド又はコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加免疫する。7ないし14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。好ましくは、動物は、同じ抗原のコンジュゲートであるが、異なったタンパク質にコンジュゲートさせた、及び/又は異なった架橋剤によってコンジュゲートさせたコンジュゲートで追加免疫する。コンジュゲートはまたタンパク融合として組換え細胞培養中で調製することもできる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために好適に使用される。
(ii) モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を意味する、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、わずかながら存在する起こりうる天然に生じる突然変異体を除いて同一である。よって、「モノクローナル」との修飾詞は、別個の抗体の混合物ではなく、抗体の特性を示すものである。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記したようにして免疫し、免疫化に用いられるタンパク質と特異的に結合する抗体を生産するか又は生産することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,59-103頁(Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
モノクローナル抗体は実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を意味する、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、わずかながら存在する起こりうる天然に生じる突然変異体を除いて同一である。よって、「モノクローナル」との修飾詞は、別個の抗体の混合物ではなく、抗体の特性を示すものである。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記したようにして免疫し、免疫化に用いられるタンパク質と特異的に結合する抗体を生産するか又は生産することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,59-103頁(Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの生産を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である細胞である。これらの中でも、好ましい骨髄腫株化細胞は、マウス骨髄腫系、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センター、サンディエゴ、カリフォルニア、USAから入手し得るMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、及びアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックヴィル、メリーランド、USAから入手し得るSP-2又はX63-Ag8-653細胞から誘導されたものである。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫株化細胞もまたヒトモノクローナル抗体の産生のために開示されている(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson等, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析法によって測定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定された後、該クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が包含される。加えて、該ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson等, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析法によって測定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定された後、該クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が包含される。加えて、該ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような常套的な免疫グロブリン精製法により、培地、腹水、又は血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードしているDNAは、常法を用いて(例えば、マウスの重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)即座に単離され配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、そうしないと免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中にトランスフェクトし、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を達成することができる。抗体をコードするDNAの細菌中での組換え発現に関する概説論文には、Skerra等, Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262(1993)及びPlueckthum, Immunol. Revs., 130:151-188(1992)がある。
モノクローナル抗体をコードしているDNAは、常法を用いて(例えば、マウスの重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)即座に単離され配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、そうしないと免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中にトランスフェクトし、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を達成することができる。抗体をコードするDNAの細菌中での組換え発現に関する概説論文には、Skerra等, Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262(1993)及びPlueckthum, Immunol. Revs., 130:151-188(1992)がある。
更なる実施態様では、抗体又は抗体断片は、McCafferty等, Nature, 348:552-554 (1990)に記載された技術を使用して産生される抗体ファージライブラリから単離することができる。Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)及び Marksら, J.Mol.Biol., 222:581-597 (1991)は、ファージライブラリを使用したマウス及びヒト抗体の単離を記述している。続く刊行物は、鎖混合による高親和性(nM範囲)のヒト抗体の生産(Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992))、並びに非常に大きなファージライブラリを構築するための方策としてコンビナトリアル感染とインビボ組換え(Waterhouse等, Nuc.Acids.Res., 21:2265-2266(1993))を記述している。従って、これらの技術はモノクローナル抗体の分離に対する伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法に対する実行可能な別法である。
DNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を、相同的マウス配列に代えて置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrisonら, Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,81:6851(1984))、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部又は一部を共有結合させることで修飾できる。
典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインに置換され、又は抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置換されて、抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合部位と異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作り出す。
DNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を、相同的マウス配列に代えて置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrisonら, Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,81:6851(1984))、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部又は一部を共有結合させることで修飾できる。
典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインに置換され、又は抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置換されて、抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合部位と異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作り出す。
(iii) ヒト化抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は従来からよく知られている。好ましくは、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と呼ばれる。ヒト化は、本質的にはヒト抗体の該当する高頻度可変領域配列を置換することによりウィンターと共同研究者の方法(Jones等, Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988)、Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536(1988))を使用して実施することができる。よって、このような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の該当する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的にはいくらかの高頻度可変領域残基及び場合によってはいくらかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
抗原性を低減するには、ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方の可変ドメインの選択が非常に重要である。「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク領域(FR)として受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623(1993))。
非ヒト抗体をヒト化する方法は従来からよく知られている。好ましくは、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と呼ばれる。ヒト化は、本質的にはヒト抗体の該当する高頻度可変領域配列を置換することによりウィンターと共同研究者の方法(Jones等, Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988)、Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536(1988))を使用して実施することができる。よって、このような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の該当する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的にはいくらかの高頻度可変領域残基及び場合によってはいくらかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
抗原性を低減するには、ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方の可変ドメインの選択が非常に重要である。「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク領域(FR)として受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623(1993))。
更に、抗体を、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グログリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接的かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
(iv) ヒト抗体
ヒト化のための別法により、ヒト抗体を生産することができる。例えば、内因性の免疫グロブリン産生がなくともヒト抗体の全レパートリーを免疫化することで産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが今は可能である。例えば、キメラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらす。Jakobovits等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993);Bruggerman等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5,591,669号、同5,589,369号及び同5,545,807号を参照されたい。
ヒト化のための別法により、ヒト抗体を生産することができる。例えば、内因性の免疫グロブリン産生がなくともヒト抗体の全レパートリーを免疫化することで産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが今は可能である。例えば、キメラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらす。Jakobovits等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993);Bruggerman等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5,591,669号、同5,589,369号及び同5,545,807号を参照されたい。
別に、ファージディスプレイ技術(McCafferty等, Nature 348:552-553(1990))を、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させるために使用することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、例えばM13の大きい又は小さいコートタンパク質遺伝子のいずれかにおいてイン-フレームをクローンする。繊維状粒子がファージゲノムの一本鎖のDNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択がなされる。よって、ファージはB細胞の特性のいくつかを模倣している。ファージディスプレイは多様な形式で行うことができる;例えばJohnson, Kevin S. 及びChiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照のこと。V-遺伝子セグメントのいくつかの供給源がファージディスプレイのために使用可能である。Clackson等, Nature, 352:624-628(1991)は、免疫化されたマウス脾臓から得られたV遺伝子の小ランダム組合せライブラリーからの抗オキサゾロン抗体の異なった配列を単離した。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構成可能で、抗原(自己抗原を含む)とは異なる配列の抗体を、Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)、又はGriffithら, EMBO J. 12:725-734(1993)に記載の技術に本質的に従って単離することができる。また、米国特許第5,565,332号及び同5,573,905号を参照のこと。
またヒト抗体は、活性化B細胞によりインビトロで生産してもよい(例えば米国特許第5,567,610号及び同5,229,275号を参照)。
またヒト抗体は、活性化B細胞によりインビトロで生産してもよい(例えば米国特許第5,567,610号及び同5,229,275号を参照)。
(v) 抗体断片
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、完全な抗体のタンパク分解性消化を介して誘導されていた(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、抗体断片は上述において検討した抗体ファージライブラリーから分離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。抗体断片の生産のための他の方法は当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択抗体は単鎖Fv断片(scFV)である。国際公開第93/16185号;米国特許第5,571,894号;及び米国特許第5,587,458号を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5,641,870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。このような直鎖状抗体断片は単一特異性ないしは二重特異性でもよい。
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、完全な抗体のタンパク分解性消化を介して誘導されていた(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、抗体断片は上述において検討した抗体ファージライブラリーから分離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。抗体断片の生産のための他の方法は当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択抗体は単鎖Fv断片(scFV)である。国際公開第93/16185号;米国特許第5,571,894号;及び米国特許第5,587,458号を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5,641,870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。このような直鎖状抗体断片は単一特異性ないしは二重特異性でもよい。
(vi) 二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において既知である。全長二重特異性抗体の伝統的な産生は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの鎖は異なる特異性を持っている(Millstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開公報93/8829及びTrauneckerら、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
異なったアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原−抗体結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。該融合は好ましくは、少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を、融合の少なくとも一つに存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、望まれるならば免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。これにより、コンストラクトに使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプチド断片の相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が特に重要性を持たないときは、2または3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入することが可能である。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において既知である。全長二重特異性抗体の伝統的な産生は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの鎖は異なる特異性を持っている(Millstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開公報93/8829及びTrauneckerら、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
異なったアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原−抗体結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。該融合は好ましくは、少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を、融合の少なくとも一つに存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、望まれるならば免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。これにより、コンストラクトに使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプチド断片の相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が特に重要性を持たないときは、2または3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入することが可能である。
このアプローチ法の好適な実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公開公報94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。米国特許第5,731,168号に記載された他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすることができる。好適な界面は抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
二特異性抗体とは架橋抗体や「ヘテロ抱合抗体」を含む。例えば、ヘテロ抱合体の一方の抗体がアビジンと結合し、他方はビオチンと結合していても良い。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせること(米国特許第4,676,980号)及びHIV感染の治療(国際公開公報91/00360、国際公開公報92/200373及びEP03089)等の用途が提案されてる。ヘテロ抱合抗体は適当な架橋方法によって生成できる。当技術分野においては、適切な架橋剤は周知であり、それらは複数の架橋法と共に米国特許第4,676,980号に記されている。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は完全な抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルヒド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は完全な抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルヒド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
最近の進歩により、大腸菌からFab'-SH断片の直接の回収が容易になり、これは科学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby等,J.Exp.Med., 175:217-225 (1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')2分子の製造を記述している。各Fab'断片は大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学共役させて二重特異性抗体を形成する。従って、形成された二重特異性抗体は、ヒト乳腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の溶解活性を誘発すると同時に、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞及び正常ヒトT細胞へ結合することが可能であった。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な方法もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産された。Kostelny等, J.Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させられた。抗体ホモダイマーはヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、ついで再酸化させて抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするのに十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を結合してなる。従って、一つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用する他の二重特異性抗体断片製造方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等 J.Immunol. 147:60(1991)。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な方法もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産された。Kostelny等, J.Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させられた。抗体ホモダイマーはヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、ついで再酸化させて抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするのに十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を結合してなる。従って、一つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用する他の二重特異性抗体断片製造方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等 J.Immunol. 147:60(1991)。
III.アンタゴニストのコンジュゲート(結合)と他の修飾
ここでの方法に用いる又は製造品に内包されるアンタゴニストは場合によって細胞障害性剤と結合させる。
そのようなアンタゴニスト-細胞障害性剤コンジュゲートの生成に有用な化学療法剤は前述している。
また、アンタゴニストと一つ以上の小分子毒素のコンジュゲート、例えばカリケアミシン(calicheamicin)、マイタンシン(maytansine)(米国特許第5,208,020号)、トリコテン(trichothene)及びCC1065もここにおいて考慮される。本発明の一実施態様では、アンタゴニストは、一つ以上のマイタンシン(maytansine)分子(例えば、抗体分子当たり約1から約10のマイタンシン分子)と共役している。マイタンシンは、例えばMay−SH3へ還元されるMay−SS−Meへ変換され、修飾アンタゴニスト(Chari等,Cancer Research 52:127-131(1992))と反応してマイタンシノイド(maytansinoids)−アンタゴニストコンジュゲートを生じる。
ここでの方法に用いる又は製造品に内包されるアンタゴニストは場合によって細胞障害性剤と結合させる。
そのようなアンタゴニスト-細胞障害性剤コンジュゲートの生成に有用な化学療法剤は前述している。
また、アンタゴニストと一つ以上の小分子毒素のコンジュゲート、例えばカリケアミシン(calicheamicin)、マイタンシン(maytansine)(米国特許第5,208,020号)、トリコテン(trichothene)及びCC1065もここにおいて考慮される。本発明の一実施態様では、アンタゴニストは、一つ以上のマイタンシン(maytansine)分子(例えば、抗体分子当たり約1から約10のマイタンシン分子)と共役している。マイタンシンは、例えばMay−SH3へ還元されるMay−SS−Meへ変換され、修飾アンタゴニスト(Chari等,Cancer Research 52:127-131(1992))と反応してマイタンシノイド(maytansinoids)−アンタゴニストコンジュゲートを生じる。
あるいは、アンタゴニストは、一つ以上のカリケアマイシン(calicheamicin)分子を包含する。抗体のカリケアマイシンファミリーは、サブピコモル濃度で、二重鎖DNAの割れ目を作ることができる。使用されるであろうカリケアマイシンの構造類似体は、限定されるものではないが、γ1 I、α2 I、α3 I、N−アセチルγ1 I、PSAG及びθI 1(Hinman等, Cancer Research 53:3336-3342(1993)及びLode等,Cancer Research 58:2925-2928(1998))を含む。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日に公開の国際公開第93/21232を参照のこと。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日に公開の国際公開第93/21232を参照のこと。
本発明は、更に、抗体と核酸分解性活性(例えば、リボムクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNA分解酵素)を有する化合物との間に形成される免疫コンジュゲートについて考慮する。
種々の放射性核種が放射性コンジュゲートアンタゴニストの生成に利用できる。具体例にはAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射線各種が含まれる。
アンタゴニストと細胞障害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、スクシインミジル1-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内で細胞毒性薬剤を放出を容易にする「切断可能なリンカー」でもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari 等 Cancer Research 52: 127-131 (1992))を用いてもよい。あるいは、アンタゴニスト及び細胞障害性剤を含んでなる融合タンパク質を、例えば組み換え技術又はペプチド合成によって製造してもよい。
種々の放射性核種が放射性コンジュゲートアンタゴニストの生成に利用できる。具体例にはAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射線各種が含まれる。
アンタゴニストと細胞障害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、スクシインミジル1-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内で細胞毒性薬剤を放出を容易にする「切断可能なリンカー」でもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari 等 Cancer Research 52: 127-131 (1992))を用いてもよい。あるいは、アンタゴニスト及び細胞障害性剤を含んでなる融合タンパク質を、例えば組み換え技術又はペプチド合成によって製造してもよい。
また、本発明のアンタゴニストを、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開公報81/01145を参照)を活性な抗癌剤に転化させるプロドラッグ活性化酵素にコンジュゲートさせてもよい。例えば国際公開公報88/07378及び米国特許第4,975,278号を参照されたい。
そのようなコンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態に転化するように、プロドラッグに作用し得る任意の酵素が含まれる。限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに転化するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの転化に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラクトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化させるのに有用なβラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。あるいは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本発明のプロドラッグを転化させるために使用することもできる(例えば、Massey, Nature 328:457-458(1987)を参照)。
そのようなコンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態に転化するように、プロドラッグに作用し得る任意の酵素が含まれる。限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに転化するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの転化に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラクトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化させるのに有用なβラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。あるいは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本発明のプロドラッグを転化させるために使用することもできる(例えば、Massey, Nature 328:457-458(1987)を参照)。
この発明の酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上で検討したヘテロ二官能性架橋試薬を使用することにより、アンタゴニストに共有的に結合させることができる。あるいは、本発明のアンタゴニストの少なくとも結合領域を本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該技術においてよく知られている組換えDNA技術を使用して作成することができる(例えばNeubergerら, Nature 312:604-608(1984)参照。
アンタゴニストの他の修飾がここで検討される。例えば、アンタゴニストは、様々な非タンパク質性(nonproteinaceous)のポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン類、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーの1つに結合させてもよい。
また、ここで開示するアンタゴニストはリポソームとして製剤化してもよい。アンタゴニストを含むリポソームは、Epstein等., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:3688 (1985);Hwang等., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77:4030 (1980);米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号;及び1997年10月23日に公開の国際公開公報97/38731等に記載されているような当分野において公知の方法によって調製する。循環時間が長いリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
アンタゴニストの他の修飾がここで検討される。例えば、アンタゴニストは、様々な非タンパク質性(nonproteinaceous)のポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン類、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーの1つに結合させてもよい。
また、ここで開示するアンタゴニストはリポソームとして製剤化してもよい。アンタゴニストを含むリポソームは、Epstein等., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:3688 (1985);Hwang等., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77:4030 (1980);米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号;及び1997年10月23日に公開の国際公開公報97/38731等に記載されているような当分野において公知の方法によって調製する。循環時間が長いリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、フォスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導体ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法によって生成することができる。所望の直径を有するリポソームを回収するために、リポソームを規定のサイズの孔のフィルターに通す。本発明の抗体のFab’断片を、ジスルフィド相互反応を介してMartin等. J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載のようにリポソームと抱合させることができる。場合によっては、化学療法剤をリポソーム内に内包させる。Gabizon等. J. National Cancer Inst.81(19)1484 (1989)を参照。
ここで記載のタンパク質又はペプチドアンタゴニストのアミノ酸配列の修飾を考察する。例えば、アンタゴニストの結合親和性及び/又は他の生物学的特性が改善されることが望ましい。アンタゴニストのアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化をアンタゴニスト核酸に導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は、例えば、アンタゴニストのアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構造物に達するまでなされるが、その最終構造物は所望の特徴を有する。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数又は位置の変化など、アンタゴニストの翻訳後過程を変更しうる。
ここで記載のタンパク質又はペプチドアンタゴニストのアミノ酸配列の修飾を考察する。例えば、アンタゴニストの結合親和性及び/又は他の生物学的特性が改善されることが望ましい。アンタゴニストのアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化をアンタゴニスト核酸に導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は、例えば、アンタゴニストのアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構造物に達するまでなされるが、その最終構造物は所望の特徴を有する。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数又は位置の変化など、アンタゴニストの翻訳後過程を変更しうる。
突然変異のための好ましい位置にあるアンタゴニストの残基又は領域の同定のために有用な方法は、Cunningham及びWells , Science 244: 1081-1085 (1989)に記載されているように「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的残基の残基又は基が同定され(例えば、arg, asp, his, lys,及びglu等の荷電残基)、中性又は負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリペプチドアニリン)に置換され、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼす。次いで置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、置換部位において又はそれに対して更に又は他の置換を導入することにより精密にされる。即ち、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における性能を分析するために、alaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実施し、発現されたアンタゴニスト変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ-及び/又はカルボキシル末端融合物、並びに一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含む。末端挿入物の例は、N-末端メチオニル残基を持つアンタゴニスト又は細胞障害ポリペプチドに融合したアンタゴニストを含む。アンタゴニスト分子の他の挿入変異体は、アンタゴニストの血清半減期を向上させる酵素(ADEPT)又はポリペプチドのアンタゴニストのN-又はC-末端への融合物を含む。
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、アンタゴニスト分子において少なくとも一つのアミノ酸残基に異なる残基が挿入されている。抗体アンタゴニストの置換突然変異について最も関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR交互変化も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表1に示す。これらの置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表1に「例示的置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニングしてよい。
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、アンタゴニスト分子において少なくとも一つのアミノ酸残基に異なる残基が挿入されている。抗体アンタゴニストの置換突然変異について最も関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR交互変化も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表1に示す。これらの置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表1に「例示的置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニングしてよい。
抗体の生物学的性質における実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持するそれらの効果において実質的に異なる置換を選択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいて群に分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性の親水性:cys、ser、thr、
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro; 及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
アンタゴニストの適切な配置の維持に関与しない任意のシステイン残基は、一般にセリンで置換し、分子の酸化的安定性を向上させて異常な架橋を防止する。逆に、アンタゴニストにシステイン結合を付加して、その安定性を向上させてもよい(特にここでのアンタゴニストは抗体断片、例としてFv断片である)。
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性の親水性:cys、ser、thr、
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro; 及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
アンタゴニストの適切な配置の維持に関与しない任意のシステイン残基は、一般にセリンで置換し、分子の酸化的安定性を向上させて異常な架橋を防止する。逆に、アンタゴニストにシステイン結合を付加して、その安定性を向上させてもよい(特にここでのアンタゴニストは抗体断片、例としてFv断片である)。
特に好ましい型の置換変異体は、親抗体の一又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的に、さらなる発展のために選択され、得られた変異体は、それらが作製された親抗体と比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を作製する簡便な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性突然変異である。簡潔に言えば、幾つかの高頻度可変領域部位(例えば6−7部位)を突然変異させて各部位における全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このように生成された多価抗体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物としてディスプレイされる。ファージディスプレイ変異体は、ついで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。別法として、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体と抗原の接点を特定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。そのような変異体が生成されると、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択する。
アンタゴニストのアミノ酸変異の他の型は、アンタゴニストの元のグリコシル化パターンを変更する。変更とは、アンタゴニストに見い出される一又は複数の糖鎖部分の欠失、及び/又はアンタゴニストに存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。
アンタゴニストのアミノ酸変異の他の型は、アンタゴニストの元のグリコシル化パターンを変更する。変更とは、アンタゴニストに見い出される一又は複数の糖鎖部分の欠失、及び/又はアンタゴニストに存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合又はO結合の何れかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸)のトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列の何れかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに、糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの一つが結合することを意味するが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンもまた用いられる。
アンタゴニストへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、それが一又は複数の上述したトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位のもの)を含むように変化させることによって簡便に達成される。該変化は、元のアンタゴニストの配列への一又は複数のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれによる置換によってもなされる(O-結合グリコシル化部位の場合)。
アンタゴニストへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、それが一又は複数の上述したトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位のもの)を含むように変化させることによって簡便に達成される。該変化は、元のアンタゴニストの配列への一又は複数のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれによる置換によってもなされる(O-結合グリコシル化部位の場合)。
アンタゴニストのアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、この分野で知られた種々の方法によって調製される。これらの方法は、限定するものではないが、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)又は初期に調製されたアンタゴニストの変異体又は非変異体のオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発による調製を含む。
エフェクター機能、例えばアンタゴニストの抗原依存性細胞媒介性細胞障害性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞障害性(CDC)を向上させるために、本発明のアンタゴニストを修飾することが望ましい。このことは、抗体アンタゴニストのFc領域に一又は複数のアミノ酸修飾を導入することで達成される。代わりにまたは加えて、Fc領域にシステイン残基を導入することによってこの領域での鎖間のジスルフィド結合形成が起こりうる。故に、生成されたホモ二量体抗体は内部移行能を向上および/または補体媒介性細胞障害および抗体依存性細胞障害(ADCC)を増強する。Caron等, J. Exp Med. 176:1191-1195 (1992) およびShopes, B. J. Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照。抗腫瘍活性が亢進されたホモ二量体抗体もまた、Wolff 等 Cancer Research 53:2560-2565 (1993)に記載されているような異種性二機能性交差結合を用いて調製されうる。または、抗体を二重のFc領域を持つように操作して、それによって補体媒介性溶解およびADCC能を亢進した。Stevenson等 Anti-Cancer Drug Design 3:219-230 (1989)を参照。
アンタゴニストの血清半減期を延長するために、例として米国特許第5,739,277号に記載されているようにアンタゴニスト(特に抗体断片)内にサルベージレセプター結合エピトープを組み込む方法がある。ここで用いる、「サルベージレセプター結合エピトープ」は、IgG分子のインビボ血清半減期延長に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープを表す。
エフェクター機能、例えばアンタゴニストの抗原依存性細胞媒介性細胞障害性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞障害性(CDC)を向上させるために、本発明のアンタゴニストを修飾することが望ましい。このことは、抗体アンタゴニストのFc領域に一又は複数のアミノ酸修飾を導入することで達成される。代わりにまたは加えて、Fc領域にシステイン残基を導入することによってこの領域での鎖間のジスルフィド結合形成が起こりうる。故に、生成されたホモ二量体抗体は内部移行能を向上および/または補体媒介性細胞障害および抗体依存性細胞障害(ADCC)を増強する。Caron等, J. Exp Med. 176:1191-1195 (1992) およびShopes, B. J. Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照。抗腫瘍活性が亢進されたホモ二量体抗体もまた、Wolff 等 Cancer Research 53:2560-2565 (1993)に記載されているような異種性二機能性交差結合を用いて調製されうる。または、抗体を二重のFc領域を持つように操作して、それによって補体媒介性溶解およびADCC能を亢進した。Stevenson等 Anti-Cancer Drug Design 3:219-230 (1989)を参照。
アンタゴニストの血清半減期を延長するために、例として米国特許第5,739,277号に記載されているようにアンタゴニスト(特に抗体断片)内にサルベージレセプター結合エピトープを組み込む方法がある。ここで用いる、「サルベージレセプター結合エピトープ」は、IgG分子のインビボ血清半減期延長に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープを表す。
IV.治療的剤形
本発明に関連して使用されるアンタゴニストの治療的剤形は、所望の純度を有するアンタゴニストを選択的に薬剤的許容可能な担体、賦形剤、安定剤と混合して凍結乾燥の剤形または液状溶液の形態の貯蔵に適するものである(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))。許容可能な担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンズアルコニウムクロライド;ベンズエトニウムクロライド;フェノール;ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)又はトゥイーン(TWEEN)TM、プルロニクス(PLURONICS)TM、及びポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
本発明に関連して使用されるアンタゴニストの治療的剤形は、所望の純度を有するアンタゴニストを選択的に薬剤的許容可能な担体、賦形剤、安定剤と混合して凍結乾燥の剤形または液状溶液の形態の貯蔵に適するものである(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))。許容可能な担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンズアルコニウムクロライド;ベンズエトニウムクロライド;フェノール;ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)又はトゥイーン(TWEEN)TM、プルロニクス(PLURONICS)TM、及びポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
凍結乾燥剤形は国際公開公報97/04801に記載されるように、皮下的投与に適する。そのような凍結乾燥剤形は適当な希釈剤で高いタンパク質濃度に再編成されるかもしれない、また再編成された剤形はここで治療される哺乳動物に皮下注射されうる。
また、ここでの剤形は治療を特異的に示すために必要な一以上の活性化合物、好ましくはお互い負に作用しない相補的活性を持つものを含みうる。例として、さらに細胞障害性剤、化学療法剤、サイトカインまたは免疫抑制剤(例として、シクロスポリンまたはT細胞結合抗体、例としてLFA-1に結合するもの等のT細胞作用性のもの)を提供することが望まれる。そのような他剤の有効量は剤形に存在するアンタゴニスト量、疾患または疾病または治療の型、および上述した他の因子に依存する。これらは一般に同じ用量およびここに示した投与経路またはここで用いられる用量の1〜99%量で用いられる。
また、活性成分は、例としてコアセルべーション技術または界面重合化により調製したマイクロカプセル、例として、個々のコロイド状のドラッグデリバリーシステム(例として、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョン中の、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタサイクリン)マイクロカプセル中に包まれているかもしれない。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
また、ここでの剤形は治療を特異的に示すために必要な一以上の活性化合物、好ましくはお互い負に作用しない相補的活性を持つものを含みうる。例として、さらに細胞障害性剤、化学療法剤、サイトカインまたは免疫抑制剤(例として、シクロスポリンまたはT細胞結合抗体、例としてLFA-1に結合するもの等のT細胞作用性のもの)を提供することが望まれる。そのような他剤の有効量は剤形に存在するアンタゴニスト量、疾患または疾病または治療の型、および上述した他の因子に依存する。これらは一般に同じ用量およびここに示した投与経路またはここで用いられる用量の1〜99%量で用いられる。
また、活性成分は、例としてコアセルべーション技術または界面重合化により調製したマイクロカプセル、例として、個々のコロイド状のドラッグデリバリーシステム(例として、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョン中の、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタサイクリン)マイクロカプセル中に包まれているかもしれない。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
持続性徐放剤が調製される。持続性徐放剤の好適な例は、アンタゴニストを含む固形疎水性ポリマーの準透過性基質を含むものであり、基質は、造形品、例としてフィルム、またはマイクロカプセルの形である。持続性徐放基質の例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号), L-グルタミン酸およびγエチルLグルタミン酸の共重合体、非分解性のエチレンビニール酢酸塩、分解性の乳酸グリコール酸共重合体、例としてLUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸共重合体およびロイプロリド酢酸塩で構成された注入可能ミクロスフェア)、およびポリD-(-)-3ヒドロキシブチリン酸を含む。
インビボ投与に用いる剤形は無菌でなければならない。これは滅菌濾過膜を通す濾過によって容易く達成できる。
インビボ投与に用いる剤形は無菌でなければならない。これは滅菌濾過膜を通す濾過によって容易く達成できる。
V.アンタゴニストを用いた治療
本発明は、これまでの治療又は現行の治療の効果がないか又は十分に反応しない、自己免疫性疾患を有するか又は自己免疫性疾患にかかりやすい哺乳動物のサブ集団、特にヒトの治療に関する。一般に、本明細書中で治療される哺乳動物は、一又は複数のDMARDないし一又は複数のTNFα-インヒビターによる一又は複数の処置による治療の後に、毒性及び/又は不十分な効果のためにこれまでの又は現行の治療に十分な反応を示さないことが経験されるとして同定される。しかしながら、本発明は、このような処置を用いた従来の治療手段に限るものではない;例えば、患者はDMARD又はTNFαインヒビターを用いた治療を始める前にその毒性、例えば心臓毒性を経験する傾向があると考えられうる、または、患者は、このような治療に応じそうにないと決定されうる。
ここで治療される多様な自己免疫疾患は、上の定義部分に記載する。ここで好適な適応症は、関節リウマチ、ループス、乾癬性関節炎、多発性硬化症又はクローン病である。
本発明は、これまでの治療又は現行の治療の効果がないか又は十分に反応しない、自己免疫性疾患を有するか又は自己免疫性疾患にかかりやすい哺乳動物のサブ集団、特にヒトの治療に関する。一般に、本明細書中で治療される哺乳動物は、一又は複数のDMARDないし一又は複数のTNFα-インヒビターによる一又は複数の処置による治療の後に、毒性及び/又は不十分な効果のためにこれまでの又は現行の治療に十分な反応を示さないことが経験されるとして同定される。しかしながら、本発明は、このような処置を用いた従来の治療手段に限るものではない;例えば、患者はDMARD又はTNFαインヒビターを用いた治療を始める前にその毒性、例えば心臓毒性を経験する傾向があると考えられうる、または、患者は、このような治療に応じそうにないと決定されうる。
ここで治療される多様な自己免疫疾患は、上の定義部分に記載する。ここで好適な適応症は、関節リウマチ、ループス、乾癬性関節炎、多発性硬化症又はクローン病である。
疾患の予防又は治療のために、アンタゴニストの好適な用量は、治療する疾患のタイプ、上記に定義するように、疾患の重症度及び経過、アンタゴニストを予防目的で投与するか治療目的で投与するか、従来の治療法、患者の病歴及びアンタゴニストへの応答性、及び担当医師の判断に依存するであろう。アンタゴニストは一時的又は一連の治療にわたって好適に患者に投与される。併用療法投与計画では、本発明の組成物は、治療的有効量又は相乗的な量で投与される。本明細書で用いられる、治療的有効量とは、アンタゴニストと一又は複数の他の治療薬の同時投与、又は本発明の組成物の投与によって、標的とする疾患ないし症状が軽減ないし阻害される量である。治療的に相乗的な量とは、特定の疾患に関する症状ないし徴候が相乗的に又は有意に軽減するか又は寛解するために必要な一又は複数の他の治療薬とアンタゴニストの量である。
疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1mg/kg〜20mg/kg)のアンタゴニストが、例えば一以上の分割投与又は連続注入による患者投与の初期候補用量である。ある典型的な1日量は、上記の要因に応じて、約1μg/kg〜約100mg/kg以上の範囲であろう。症状に応じて、数日間以上にわたる繰り返し投与は、所望の疾患症状の抑制が得られるまで持続する。しかしながら、他の用量投薬計画も有用であろう。好適な態様では、アンタゴニストは、約1.5mg/kg〜約15mg/kgの用量範囲で、2〜3週ごとに投与される。より好ましくは、このような投薬計画は自己免疫性疾患のための他の治療薬と組み合わせて用いられる。本発明の治療の進行は、従来技術及びアッセイにより容易にモニターすることができる。
しかしながら、上記したようなアンタゴニストの提案した量は、多くの治療的選択に従う。上記のように、適切な用量及び日程計画を選択する際の鍵となる要素は、得られた結果である。例えば、相対的により高い用量は、まず最初に進行中の及び急性疾患の治療に必要とされるかもしれない。最も効果的な結果を得るために、疾病又は疾患に応じて、できるだけ疾病ないし疾患の最初の徴候、診断、出現または発症に近づくように、又は疾病ないし疾患の緩解期となるようにアンタゴニストを投与する。
アンタゴニストは、非経口的、皮下、腹膜内、肺内、鼻腔内、必要であれば局所の免疫抑制性治療のため、病巣内投与を含む好適な方法で投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、皮下投与を含む。加えて、アンタゴニストは、例えばアンタゴニストの用量を減少させたパルス注入によって、好適に投与してもよい。好ましくは、投薬は、短期間の投与か長期間の投与かによって、注入、最も好ましくは静脈内又は皮下注入により行われる。
アンタゴニストは、非経口的、皮下、腹膜内、肺内、鼻腔内、必要であれば局所の免疫抑制性治療のため、病巣内投与を含む好適な方法で投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、皮下投与を含む。加えて、アンタゴニストは、例えばアンタゴニストの用量を減少させたパルス注入によって、好適に投与してもよい。好ましくは、投薬は、短期間の投与か長期間の投与かによって、注入、最も好ましくは静脈内又は皮下注入により行われる。
他の化合物、例えばここで言うアンタゴニストを有する細胞障害性剤、化学療法剤、免疫抑制剤及び/又はサイトカインを投与してもよい。併用(組合せ)投与は、別々の製剤又は単一の製薬製剤を使用した、同時投与、及び、何れかの順序での連続的な投与を含み、好ましくは、両方の(または全ての)活性剤が同時に生物学的活性を示す期間があるものである。RA及び他の自己免疫疾病では、アンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)は任意の一以上の疾患変更性抗リウマチ剤(DMARD)、例えばヒドロキシクロロキン (hydroxycloroquine)、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、アザチオプリン、D-ペニシラミン、ゴールド(Gold)(経口)、ゴールド(Gold)(筋肉内)、ミノサイクリン、シクロスポリン、ブドウ球菌プロテインA免疫吸着;静脈免疫グロブリン(IVIG);非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);糖質コルチコイド(例えば関節注入を介する);副腎皮質ホルモン(例えばメチルプレドニゾロン及び/又はプレドニゾン);葉酸などを併用する。最も好適なDMARDはMTXである。毎週投与される低用量MTX療法は、抗増殖作用となるDNA及びRNA合成を阻害して、抗炎症性活性を有するメディエータであるアデノシンの放出を刺激する。MTXの副作用には、嘔気、下痢、疲労、口潰瘍及び血液学的な抑圧現象が含まれる。まれに、患者は肺炎様反応又は肝硬変を起こすかもしれない。メトトレキセートは、通常1週当たり7.5〜10mgの用量で開始する。次の数か月間は耐性に応じて、1週当たり最高20〜25mgにまで増やす。しかしながら、低MTX用量は年配の患者及び中程度の腎機能症がある患者に処方するものであり;MTXは、2.5mg/dLより高いレベルの血清クレアチニンを有する患者に投与してはならない。ACRはMTXを服用している患者をモニターするための確立されたガイドラインであり、4〜8週間隔で血液細胞数及び肝酵素を評価することが推奨される。
他の実施態様では、血管新生アンタゴニストは、自己免疫性疾患を治療する際に有効な他のアンタゴニスト生物製剤と組み合わせて用いられる。例えば、血管新生アンタゴニストは、TNFα-インヒビター、B細胞アンタゴニスト又はその両方と組み合わせて用いることができる。TNFα-インヒビターは、TNFαの生物学的な機能を低減、阻害、阻止(ブロッキング)、抑止又は妨害する任意の薬剤でありうる。好ましくは、TNFα-インヒビターはTNFαに結合してその活性を中和する。本明細書中に具体的に包含されるTNFインヒビターの例は、エタネルセプト(Etanercept)(ENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標)) 及びアダリムマブ(HUMIRATM)である。B細胞アンタゴニストは、CD20、CD22、CD19及びCD40などのB細胞表面マーカに結合するアンタゴニスト抗体でありうる。CD20抗原に結合する抗体の例には以下のものが含まれる:現在では「リツキシマブ」(「リツキサン(登録商標)」)と呼称される「C2B8」(米国特許第5,736,137号、出典明記により特別にここに組み込まれる);「Y2B8」と命名されるイットリウム-[90]-標識2B8マウス抗体(米国特許第5,736,137号、出典明記により特別にここに組み込まれる);場合によっては「131I-B1」抗体(BEXXARTM)を生成するために131Iで標識したマウスIgG2a「B1」(米国特許第5,595,721号、出典明記により特別にここに組み込まれる);マウスモノクローナル抗体「1F5」(Press等. Blood 69(2):584-591 (1987));「キメラ2H7抗体」(米国特許第5,677,180号、出典明記により特別にここに組み込まれる);「ヒト化2H7 v16」(以下を参照);huMax-CD20(Genmab, Denmark);AME-133(Applied Molecular Evolution);及びInternational Leukocyte Typing Workshopより入手のモノクローナル抗体L27、G28-2、93-1B3、B-C1又はNU-B2(Valentine等., Leukocyte Typing III (McMichael, 編集, 440頁, O xford University Press (1987))。CD19抗原に結合する抗体の例には、抗-CD19抗体(Hekman等. Cancer Immunol. Immunother. 32:364-372 (1991) 及び Vlasveld等. Cancer Immunol. Immunother. 40:37-47 (1995));及びB4抗体(Kiesel等. Leukemia Research II, 12: 1119 (1987))が含まれる。
タンパク質アンタゴニストの患者への投与を除いて、本出願は、遺伝子治療によるアンタゴニストの投与を熟慮する。アンタゴニストをコード化する核酸のこのような投与は、「アンタゴニストの治療上有効量を投与する」という発現によって包含される。細胞内抗体を生成することを目的とした遺伝子治療の使用に関する1996年3月14日公開の国際公開公報96/07321を参照。
核酸(場合によって、ベクターに含まれる)を患者の細胞に入れるには主に2つのアプローチがある;インビボ及びエクスビボである。インビボ運搬のために、通常アンタゴニストが必要である部位に、直接核酸を注入する。エクスビボ治療のために、患者の細胞を取り出し、核酸を単離した細胞に導入し、変更された細胞を直接患者に投与する、又は例えば、患者の体内に埋め込まれる多孔性の膜に被包する(例として米国特許第4,892,538号及び同第5,283,187号を参照)。核酸を生きた細胞に導入するための有用な多種の技術がある。技術は、核酸がインビトロ培養された細胞に移入するか、又は意図した宿主のインビボ細胞に移入するかどうかによって、異なる。インビトロの哺乳動物細胞への核酸の移入に適切な技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿方法などの使用を含む。遺伝子のエクスビボ運搬のための一般的に用いられるベクターは、レトロウイルスである。
核酸(場合によって、ベクターに含まれる)を患者の細胞に入れるには主に2つのアプローチがある;インビボ及びエクスビボである。インビボ運搬のために、通常アンタゴニストが必要である部位に、直接核酸を注入する。エクスビボ治療のために、患者の細胞を取り出し、核酸を単離した細胞に導入し、変更された細胞を直接患者に投与する、又は例えば、患者の体内に埋め込まれる多孔性の膜に被包する(例として米国特許第4,892,538号及び同第5,283,187号を参照)。核酸を生きた細胞に導入するための有用な多種の技術がある。技術は、核酸がインビトロ培養された細胞に移入するか、又は意図した宿主のインビボ細胞に移入するかどうかによって、異なる。インビトロの哺乳動物細胞への核酸の移入に適切な技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿方法などの使用を含む。遺伝子のエクスビボ運搬のための一般的に用いられるベクターは、レトロウイルスである。
現在好適なインビボでの核酸移入技術は、ウイルスベクター(例として、アデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ随伴ウイルス)及び脂質ベースのシステム(遺伝子の脂質介在移入のために有用な脂質は、例えばDOTMA,DOPE及びDC-Cholである)による形質移入を含む。ある状況では、核酸供給源に標的細胞を標的とする作用物質、例えば細胞表面膜タンパク質又は標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上のレセプターに対するリガンドなどを与えることが望ましい。リポソームを用いる場合、エンドサイトーシスと関連している細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質、例えば、特定の細胞型向性のキャプシドタンパク質又はその断片、循環内で内部移行を行うタンパク質に対する抗体、細胞内局在を標的として細胞内半減期を延長するタンパク質をターゲティング及び/又は取り込み促進のために用いてもよい。例として、Wu等., J. Biol. Chem. 262:4429-4432 (1987);及びWagner等., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3410-3414 (1990)に、レセプター媒介性エンドサイトーシスの技術が記載されている。現在知られている遺伝子作製及び遺伝子治療のプロトコールの考察には、Anderson等., Science 256:808-813 (1992)を参照。また、国際公開公報93/25673及びここに挙げた文献も参照のこと。
更に、以下の限定的でない実施例により本発明を詳述する。本明細書中のすべての引例に開示されていることは出典明記によりここに組み込まれる。
更に、以下の限定的でない実施例により本発明を詳述する。本明細書中のすべての引例に開示されていることは出典明記によりここに組み込まれる。
実施例1
従来の治療の効果がなく、現在のところMTXに十分な反応を示さない活動性の関節リウマチ患者を、アバスチン(登録商標)などの抗hVEGFモノクローナル抗体によって治療した。
この実施例の治療の候補には、改訂1987ACR基準に従って、少なくとも6か月間RAと診断された患者を含む。患者は、MTXを経口又は非経口により10〜25mg/週の用量で少なくとも12週間、及び一定用量でスクリーニング直前の4週間、服用していた。また、患者は5つのみのDMARDないし生物製剤(MTXを含む)による治療の効果を示さなかった(有効性又は耐性の欠如)。
スクリーニング及び無作為化(ランダム化)のために、患者は、腫脹関節計数(SJC)6以上(関節数66)及び圧痛のある関節計数(TJC)6以上(関節数68);何れもCRPが1.2mg/dl(12mg/L)以上又はESR28mm/h以上であった。患者は18〜64(包括して)歳で、RAと診断されてから5年未満であることが好ましい。好ましくは、生殖能を有する男性は確実な産児制限の手段(例えば物的障壁)を用い、好ましくは、女性は閉経後又は外科的に不妊にした。主な除外基準は、一般的な安全性の懸念、例えば限定するものではないが心血管疾患、神経系、肺、腎臓、肝臓、内分泌系又は胃腸系の疾患を含め、有意にコントロールされていない付随性疾患の出現に基づく。また、PE、DVT又はCVAを含む血栓塞栓性疾患の病歴、真正糖尿病の病歴、コントロールされていない高血圧の病歴又はタンパク尿症の病歴をもつ患者は、治療から除外した。
従来の治療の効果がなく、現在のところMTXに十分な反応を示さない活動性の関節リウマチ患者を、アバスチン(登録商標)などの抗hVEGFモノクローナル抗体によって治療した。
この実施例の治療の候補には、改訂1987ACR基準に従って、少なくとも6か月間RAと診断された患者を含む。患者は、MTXを経口又は非経口により10〜25mg/週の用量で少なくとも12週間、及び一定用量でスクリーニング直前の4週間、服用していた。また、患者は5つのみのDMARDないし生物製剤(MTXを含む)による治療の効果を示さなかった(有効性又は耐性の欠如)。
スクリーニング及び無作為化(ランダム化)のために、患者は、腫脹関節計数(SJC)6以上(関節数66)及び圧痛のある関節計数(TJC)6以上(関節数68);何れもCRPが1.2mg/dl(12mg/L)以上又はESR28mm/h以上であった。患者は18〜64(包括して)歳で、RAと診断されてから5年未満であることが好ましい。好ましくは、生殖能を有する男性は確実な産児制限の手段(例えば物的障壁)を用い、好ましくは、女性は閉経後又は外科的に不妊にした。主な除外基準は、一般的な安全性の懸念、例えば限定するものではないが心血管疾患、神経系、肺、腎臓、肝臓、内分泌系又は胃腸系の疾患を含め、有意にコントロールされていない付随性疾患の出現に基づく。また、PE、DVT又はCVAを含む血栓塞栓性疾患の病歴、真正糖尿病の病歴、コントロールされていない高血圧の病歴又はタンパク尿症の病歴をもつ患者は、治療から除外した。
治療に用いる抗VEGF抗体はベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech, Inc.から市販)又はその結合能、阻害性有効性又は薬物動態学的性質を向上させた変異体であることが好ましい。
患者は、治療的有効量の抗体、例えば単回用量1〜2.5mg/kg、静注、2週間ごと(1.0mg/kg/週)によって治療した。また、患者は、抗VEGF抗体の注入の30分前にメチルプレドニゾロン100mgを静注し、プレドニゾンを第2〜7日目に60mg経口、第8〜14日目に30mg経口、第16日目までに基本の用量に戻すことからなる副腎皮質ステロイド投薬計画とともに、併用MTX(経口(p.o.)又は非経口当たり10〜25mg/週)を服用することもできた。また、患者は、単回又は1日量を分けて葉酸塩(5mg/週)を服用してもよい。場合によって、治療期間を通して、患者に任意のバックグラウンド量の副腎皮質ステロイド(10mg/d プレドニゾン又は同等物)を服用させ続ける。
一次エンドポイントは、グループ差を比較するための、リウマチ因子及び領域について調製したCochran-Mantel-Haenszel(CMH)検査を用いた第24週目にACR20反応をもつ患者の割合とした。
患者は、治療的有効量の抗体、例えば単回用量1〜2.5mg/kg、静注、2週間ごと(1.0mg/kg/週)によって治療した。また、患者は、抗VEGF抗体の注入の30分前にメチルプレドニゾロン100mgを静注し、プレドニゾンを第2〜7日目に60mg経口、第8〜14日目に30mg経口、第16日目までに基本の用量に戻すことからなる副腎皮質ステロイド投薬計画とともに、併用MTX(経口(p.o.)又は非経口当たり10〜25mg/週)を服用することもできた。また、患者は、単回又は1日量を分けて葉酸塩(5mg/週)を服用してもよい。場合によって、治療期間を通して、患者に任意のバックグラウンド量の副腎皮質ステロイド(10mg/d プレドニゾン又は同等物)を服用させ続ける。
一次エンドポイントは、グループ差を比較するための、リウマチ因子及び領域について調製したCochran-Mantel-Haenszel(CMH)検査を用いた第24週目にACR20反応をもつ患者の割合とした。
更なる二次エンドポイントは以下を含む:
1.第24週にACR50及び70反応を有する患者の割合。一次エンドポイントのために特定されるように、分析してもよい。
2.第24週目までのスクリーニングからの疾患活動性スコア(DAS)の変化。これらは、基本のDAS、リウマチ因子及び治療をモデルの条件として有するANOVAモデルを用いて評価してもよい。
3.第24週での分類別のDAS応答者(EULAR反応)。リウマチ因子について調整したCMH試験を用いて評価してもよい。
4.ACRコアセット(SJC、TJC、患者及び医師のグローバル評価、HAQ、疼痛、CRP及びESR)のスクリーニングからの変化。これらのパラメータについて記述的統計学を報告してもよい。
5.SF-36のスクリーニングからの変化。8つの領域スコア及び精神的及び物理的な成分スコアについて記述的統計学を報告してもよい。加えて、精神的及び物理的な成分スコアを、更に分類及び分析してもよい。
6.変更された鋭いX線撮影総スコア(Sharp radiographic total score)、浸食スコア(erosion score)及び関節空間限定スコア(joint space narrowing score)の変化。これらは連続的又は分類別の方法論を用いて適当に分析してもよい。
1.第24週にACR50及び70反応を有する患者の割合。一次エンドポイントのために特定されるように、分析してもよい。
2.第24週目までのスクリーニングからの疾患活動性スコア(DAS)の変化。これらは、基本のDAS、リウマチ因子及び治療をモデルの条件として有するANOVAモデルを用いて評価してもよい。
3.第24週での分類別のDAS応答者(EULAR反応)。リウマチ因子について調整したCMH試験を用いて評価してもよい。
4.ACRコアセット(SJC、TJC、患者及び医師のグローバル評価、HAQ、疼痛、CRP及びESR)のスクリーニングからの変化。これらのパラメータについて記述的統計学を報告してもよい。
5.SF-36のスクリーニングからの変化。8つの領域スコア及び精神的及び物理的な成分スコアについて記述的統計学を報告してもよい。加えて、精神的及び物理的な成分スコアを、更に分類及び分析してもよい。
6.変更された鋭いX線撮影総スコア(Sharp radiographic total score)、浸食スコア(erosion score)及び関節空間限定スコア(joint space narrowing score)の変化。これらは連続的又は分類別の方法論を用いて適当に分析してもよい。
試験的エンドポイント及び分析は以下を含む:
第8、12、16、20、24週及びそれ以降にわたるDAS反応の変化及びACR(20/50/70及びACR n)を、二元又は連続した繰り返し計測モデルを用いて適当に評価するであろう。第24週及びそれ以降に侵食性の進行がない患者の割合を含む試験的なX線撮影分析を評価してもよい。
更なる試験的エンドポイント(例えば、明らかな臨床反応、疾患のない期間)を、延長した観察期間の一部として記述的に分析するであろう。FACIT-F作業(FACIT-F fatigue)のスクリーニングからの変化を記述的統計学によって分析するであろう。上述のようなDMARDないしTNFαインヒビターに十分な反応を示さない患者の抗VEGF抗体を用いたRA治療は、上記した一又は複数のエンドポイントに従った有益な臨床反応をもたらすであろう。
第8、12、16、20、24週及びそれ以降にわたるDAS反応の変化及びACR(20/50/70及びACR n)を、二元又は連続した繰り返し計測モデルを用いて適当に評価するであろう。第24週及びそれ以降に侵食性の進行がない患者の割合を含む試験的なX線撮影分析を評価してもよい。
更なる試験的エンドポイント(例えば、明らかな臨床反応、疾患のない期間)を、延長した観察期間の一部として記述的に分析するであろう。FACIT-F作業(FACIT-F fatigue)のスクリーニングからの変化を記述的統計学によって分析するであろう。上述のようなDMARDないしTNFαインヒビターに十分な反応を示さない患者の抗VEGF抗体を用いたRA治療は、上記した一又は複数のエンドポイントに従った有益な臨床反応をもたらすであろう。
Claims (20)
- 従来の治療の効果がなかった哺乳動物の自己免疫性疾患の治療のための医薬の調製における血管新生アンタゴニストの使用。
- 前記血管新生アンタゴニストがVEGFアンタゴニストである、請求項1に記載の使用。
- 前記アンタゴニストが抗体を含んでなる、請求項1に記載の使用。
- 前記抗体が抗VEGF抗体である、請求項3に記載の使用。
- 前記抗VEGF抗体がベバシズマブである、請求項4に記載の使用。
- 前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の使用。
- 前記自己免疫性疾患が、関節リウマチ、若年発症関節リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎及び強直性脊椎炎からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の使用。
- 前記の従来の治療が少なくとも一のDMARD薬剤の投与を含むものである、請求項1に記載の使用。
- 前記の従来の治療がMTXの投与を含むものである、請求項8に記載の使用。
- 前記の従来の治療が少なくとも一のTNFα-インヒビターの投与を含むものである、請求項1に記載の使用。
- 前記血管新生アンタゴニストがDMARD薬剤と組み合わされて、又は連続して投与されるものである、請求項1に記載の使用。
- 前記DMARD薬剤がMTXである、請求項11に記載の使用。
- 前記血管新生アンタゴニストがTNFα-インヒビターと組み合わされて、又は連続して投与されるものである、請求項1に記載の使用。
- 前記TNFα-インヒビターが、エタネルセプト、インフリキシマブ及びアダリムマブからなる群から選択されるものである、請求項13に記載の使用。
- 前記血管新生アンタゴニストが、B細胞表面抗原に結合するB細胞アンタゴニストと組み合わされて、又は連続して投与されるものである、請求項1に記載の使用。
- B細胞表面抗原が、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD40、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85及びCD86からなる群から選択したものである、請求項15に記載の使用。
- 前記B細胞アンタゴニストがCD20に対する抗体を含んでなる、請求項15に記載の使用。
- 前記CD20に対する抗体がリツキシマブである、請求項17に記載の使用。
- 前記CD20に対する抗体がヒト化2H7 v16である、請求項17に記載の使用。
- 前のDMARD治療又はTNFα-インヒビター治療の効果がなく、現在MTXへの応答が不十分である患者の関節リウマチの治療のための医薬の調製における抗VEGF抗体の使用。
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