JP2008522538A - 多重作用振動子を備えた圧電振動子 - Google Patents

多重作用振動子を備えた圧電振動子 Download PDF

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Abstract

本発明は、全体音域に対して高い音圧を有すると同時に、ステレオ音響を具現する圧電振動子、及びこれを用いた簡単な構造の圧電型パネルスピーカーに関するものである。本発明に係る圧電振動子は、弾性体と、上記弾性体の一面に付着され、両面に電極が付着される複数の圧電体とからなり、電気的信号を機械的振動に変換する多重作用振動子と、上記多重作用振動子の弾性体に付着され、機械的振動を外部に伝達する振動伝達用弾性体と、を含み、上記多重作用振動子を構成する複数の圧電体には、互いに異なる周波数帯域の電気的信号が独立的に印加されることを特徴とする。
また、上記複数の圧電体は、単層または複層構造で形成され、複層構造をなす場合、同一の断面積及び形態を有する各層を積層するか、互いに異なる断面積または形態を有する各層を積層することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電型スピーカーなどに用いられる圧電振動子に関するもので、特に、互いに異なる周波数帯域の電気的信号が独立的に印加される複数の圧電体と、この圧電体に付着される弾性体の特別な幾何学的形状を通して全体音域に対して高い音圧を有すると同時に、ステレオ音響を具現する圧電振動子と、この圧電振動子を用いた簡単な構造の圧電型パネルスピーカーに関するものである。
従来の圧電型スピーカーにおいては、振動励振器から発生した振動が、低い音圧及び3kHz以上の高い共振周波数範囲で形成されるので、高い周波数範囲で低い音圧が発生するという問題があった。これを解決するために、複数の圧電振動子を用いる方法が試みられたが、この方法は、高い音圧を得ることに成功しておらず、現在広く使用されていない。
音圧を高めるための構造として、特許文献1には、バイモルフタイプの長方形アクチュエーター形態の振動子を用いる方法が考案されており、これと類似した特許文献2によれば、応力を受けた弾性体に強誘電ウェハーを付着してアクチュエーターを製作する方法が考案された。また、多数個の振動子を配置するか、振動形態を変形させるために圧電体の後方に質量体を装着する構造なども提案されたが、圧電スピーカーの音圧を高めるには大きな実効を上げていない。
また、圧電スピーカーとは別個に、1970年代にbending transducerにおいて振動幅の大きさを増大させるための構造に対する概念が考案され、液状物質を原子化したり噴霧する装置に応用されたこともある(非特許文献1を参照)。
米国特許第4593160号明細書 米国特許第5632841号明細書 N,setter(2002).Piezoelectric Materials in Devices p.54
本発明の目的は、全体音域に対して均一に高い音圧を有すると同時に、ステレオ音響を具現する新しい構造の圧電振動子を提供することにある。
本発明の他の目的は、1つの圧電振動子が1つのパネルに装着された簡単な構造を有しながら、ステレオ音響を具現する圧電型パネルスピーカーを提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の要旨は、次の通りである。
(1)弾性体と、上記弾性体の一面に付着されて両面に電極が付着される複数の圧電体と、からなり、電気的信号を機械的振動に変換する多重作用振動子と;
上記多重作用振動子の弾性体に付着され、機械的振動を外部に伝達する振動伝達用弾性体と;
を含み、
上記多重作用振動子を構成する複数の圧電体には、互いに異なる周波数帯域の電気的信号が独立的に印加されることを特徴とする、圧電振動子。
(2)上記圧電振動子全体の軸方向断面形状は、非対照のI字状を有することを特徴とする、上記(1)に記載の圧電振動子。
(3)上記多重作用振動子は、上記圧電体の他面に付着され、圧電体の振動様相を調節するための振動調節用弾性体をさらに含むことを特徴とする、上記(1)に記載の圧電振動子。
(4)上記多重作用振動子は、上記弾性体の他側面に付着され、上記複数の圧電体に対応する他の複数の圧電体をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
(5)上記圧電振動子の弾性体は、金属であることを特徴とする、上記(1)に記載の圧電振動子。
(6)上記圧電振動子の弾性体は、10GPa以上のヤング率を有する有機または無機高分子物質であることを特徴とする、上記(1)に記載の圧電振動子。
(7)上記圧電体は、エポキシによって上記振動伝達用弾性体及び上記振動調節用弾性体に付着されることを特徴とする、上記(1)に記載の圧電振動子。
(8)上記圧電体は、圧電性物質としてPZT(鉛ジルコニウムチタネート系物質)多結晶セラミック物質からなるか、PMN−PT(鉛マグネシウムニオベート―鉛チタネート系物質)、PZN−PT(鉛亜鉛ニオベート―鉛チタネート系物質)、PZT(鉛ジルコニウムチタネート系物質)、PYN−PT(鉛イッテルビウムニオベート―鉛チタネート系物質)及びPIN−PT(鉛インジウムニオベート―鉛チタネート系物質)からなる群より選択されるいずれか1つであり、下記の化学式1及び化学式2のうち、いずれか1つを満たす組成を有する強誘電性単結晶セラミック物質であることを特徴とする、上記(1)に記載の圧電振動子。
[化学式1]
s[L]−x[P]y[M]z[N]p[T]
[P]は、酸化鉛(PbO、PbO、Pb)で、
[M]は、酸化マグネシウム(MgO)または酸化亜鉛(ZnO)で、
[N]は、ニオビウムオキサイド(Nb)で、
[T]は、酸化チタン(TiO)で、
[L]は、リチウムタンタレート(LiTaO)、リチウムニオベート(LiNbO)、リチウム(Li)、リチウム酸化物(LiO)またはリチウムカーボネート(LiCO)であるか、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ストロンチウム(Sr)、スカンジウム(Sc)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、イットリウム(Y)及びイッテルビウム(Yb)からなる群より選択された1つの金属またはその酸化物で、
xは、0.55と同じかそれより大きく、0.65と同じかそれより小さく、
yは、0.09と同じかそれより大きく、0.20と同じかそれより小さく、
zは、0.09と同じかそれより大きく、0.20と同じかそれより小さく、
pは、0.01と同じかそれより大きく、0.1と同じかそれより小さく、
sは、0.01と同じかそれより大きく、0.1と同じかそれより小さい。
[化学式2]
[1−x]Pb(Zn1/3、Nb2/3)−[x]PbTiO
[1−y]Pb(Mg1/3、Nb2/3)−[y]PbTiO
[1−z]PbZrO−[z]PbTiO
[1−l]Pb(Yb1/2、Nb1/2)O−lPbTiO、及び、
[1−m]Pb(In1/2、Nb1/2)O−mPbTiO
xは、0であるか、0.01より大きく0.2より小さく、
yは、0.1より大きく0.4より小さく、
zは、0.4より大きく0.6より小さく、
lは、0.2より大きく0.8より小さく、
mは、0.2より大きく0.8より小さい。
(9)上記圧電性物質は、圧電性物質の単層または複層構造からなることを特徴とする、上記(8)に記載の圧電振動子。
(10)上記複層構造の圧電体は、同一の断面積及び形態を有する各層の積層構造であるか、互いに異なる断面積または形態を有する各層の積層構造であることを特徴とする、上記(9)に記載の圧電振動子。
(11)上記圧電性物質は、多結晶または単結晶物質がバルクまたは薄膜形態からなることを特徴とする、上記(8)に記載の圧電振動子。
(12)上記(1)〜上記(11)のいずれかに記載の圧電振動子を備えた圧電型パネルスピーカー。
本発明に係る圧電振動子は、圧電体が振動伝達用弾性体に直ちに連結されないので、外部衝撃や長時間使用によって発生する疲労により圧電体が破損することを抑制することができ、印加される互いに異なる電気的信号によって独立的に動作する複数の圧電体を用いることで、1つの圧電振動子のみでも低音と高音の全体音域にかけて均一に高い音圧を発生させることができ、かつ、ステレオ音響効果を充分に発揮することができる。
また、本発明に係る圧電振動子は、簡単な構造を有するので、製造工程が著しく単純化され、消費電力に比べたエネルギー効率を大いに向上させることができ、消費電力の減少、製品の小型化及びノイズによる信号歪曲の減少などを実現することができる。
また、本発明の圧電振動子を用いたスピーカーは、振動板の制限が少ないので、水中や多湿環境でも使用可能な形態に製作することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本出願人の先行出願である大韓民国特許出願第2004―70101号に開示された、全体的に非対照のI字状を有する圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。
上記の特許出願による圧電振動子の場合、圧電振動子10全体の軸方向断面形状(圧電振動子全体の縦断面形状)を非対照のI字状にすることで、振動が発生する圧電アクチュエーター11から振動伝達用弾性体の第1部分12a側へと断面積が減少する。従って、振動の幅を増加できるという効果がある。
ただし、上記のような圧電振動子は、従来の振動子より高い音圧を期待できるが、パネルスピーカーに適用する場合、ステレオ音響効果を得るためにスピーカーパネルに複数の圧電振動子を付着すべきであるので、構成が多少複雑になるか、投入材料の量が増加することで、製品の費用が上昇するという問題がある。
図2は、本発明の実施形態に係る圧電振動子100を示す縦断面図及び底面図である。本発明に係る圧電振動子は、電気的信号を機械的振動に変換するための多重作用振動子110と、この多重作用振動子110に付着され、多重作用振動子110から発生する機械的振動を外部に伝達するための振動伝達用弾性体120と、を含む単純な構造からなる。
上記の先行出願と同様に、本発明の場合も、図2に示した圧電振動子100全体の軸方向の断面形状、すなわち、振動伝達用弾性体120と多重作用振動子110の軸方向の断面形状が、非対照のI字状を有すると、高い音圧の形成において有利である。これによって、振動伝達用弾性体の第1部分120a側へと断面積が減少するので、振動の幅を増加できるという効果がある。
上記多重作用振動子110は、圧電体110a,110a’及びこの圧電体に付着された弾性体110bからなり、圧電体110a,110a’には、外部から電気的信号を受信するための電極が付着されるが、この電極は、本発明に係る圧電振動子の構造特徴を明確にするために、以下の図面と同様に別途に示していない。電極に対する構成は、本発明の属する分野で公知の技術によって具現される。
本発明に係る圧電振動子は、複数の圧電体110a,110a’が互いに分離形成されており、各圧電体に対して互いに異なる周波数帯域の電気的信号が独立的に印加されることを特徴とする。これによって、互いに異なる音域の音響を同時に発生させることができるので、1つの振動子を用いてステレオ音響を発生させることができる。また、何れか1つの圧電体110aに高い周波数信号を印加し、他の圧電体110a’に低い周波数信号を独立的に印加することで、全体音域で高い音圧を得ることができる。
図3は、上記の先行出願である特許出願第2004―70101号に開示された圧電振動子が示す音圧と、本発明に係る圧電振動子が示す音圧とを比較したグラフである。図3によると、本発明に係る多重作用振動子110を備えた圧電振動子は、先行出願による圧電振動子に比べて、全体音域にかけて約15dB以上向上した音圧を示している。
また、バイモルフタイプのアクチュエーターを使用せずに、上記弾性体110b上に2個の圧電体110a,110a’が互いに分離形成される新しい形態の多重作用振動子110を使用することで、外部の衝撃や長時間の使用によって発生する圧電体の破損問題を解決した。
図4は、図2に示した圧電振動子が装着された状態の圧電型パネルスピーカーを示す背面図及び側断面図である。振動パネル200の所定の縁部には、圧電振動子100が装着される。多重作用振動子110から発生した振動は、上述したように、振動伝達用弾性体120の各部分120a,120bを経て振動パネル200に伝達された後、音響として外部に放出される。本発明に係る圧電振動子100は、幾何学的構造の特徴によって従来の圧電振動子より遥かに高い音圧を提供しながらも、上記の先行出願である特許出願第2004―70101号とは異なり、1つの圧電振動子のみを1つのパネルに装着した簡単な構造でもステレオ音響を具現することができる。
図5は、本発明の他の実施形態に係る振動調節用弾性体が付加された圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。図5に示すように、上記圧電振動子100において、上記圧電体の他面には、上記振動伝達用弾性体120とは別個に振動調節用弾性体130がさらに含まれる。振動調節用弾性体130は、多重作用振動子を基準にして振動伝達用弾性体120の反対側に付着されることで、多重作用振動子110から発生する振動の大きさ及び最大音圧が発生する波長を調節する役割をする。
図6は、本発明の更に他の実施形態に係る多重作用振動子が弾性体に対して対称的に形成された圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。本実施形態に係る圧電振動子は、図2または図4に示した弾性体の一側面のみに圧電体が装着される形態の圧電振動子100に比べて、弾性体110bを基準にして互いに対応する多数の圧電体110a”をさらに備えているため、より高い機械的振動信号または音圧を発生させることができる。これと同様に、上記追加された圧電体110a”には、振動調節用弾性体130’がさらに備わる。
図7(a)〜(e)は、本発明の更に他の実施形態に係る圧電体の数、形態及び断面積の変化した圧電振動子を示す平面図で、図2に示した実施形態では、独立的な圧電体の数を2つにし、その多重作用振動子及び圧電体の形状を四角形状に仮定したが、圧電振動子が装着される振動パネルの形態及び所望の周波数帯域によって、圧電体の数及び形態は適切に調節される。
また、本発明に係る圧電振動子において、多重作用振動子110及び弾性体120,130の厚さ、多面形状及び大きさ、重心の形態は、適用される装置によって適切に調節される。
図8は、本発明の更に他の実施形態に係る互いに異なる面積を有する複数の圧電体が複層構造で積層された形態の圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。圧電体が複層構造を有する場合、同一の断面積及び形態を有する各層を積層するか、または、互いに異なる断面積及び形態を有する各層を積層することで、発生する音響の特徴及び周波数特性を変化させることができる。
上記のような本発明に係る圧電振動子において、上記弾性体は、鋼、アルミニウム合金などの金属であることが好ましい。また、好ましくは10Gpa以上の大きなヤング率を有する高分子物質を用いることができ、高分子物質は、有機または無機高分子またはその混合物質を含むが、その種類は特別に制限されない。
上記多重作用振動子110と弾性体120または130との連結手段は、硬化後に高い硬度値を有するエポキシなどの接着剤であることが好ましく、これによって信号減衰現象を最小限に抑えられる。
本発明の他の特徴によると、上記圧電体110aの圧電性物質は、既存に広く用いられたPZT(鉛ジルコニウムチタネート系物質)の多結晶セラミックからなるか、優れた圧電特性を有する圧電性単結晶セラミック物質からなることが好ましい。
本発明で用いられる強誘電性単結晶物質としては、PMN―PT(鉛マグネシウムニオベート―鉛チタネート系物質)、PZN―PT(鉛亜鉛ニオベート―鉛チタネート系物質)、PZT(鉛ジルコニウムチタネート系物質)、PYN―PT(鉛イッテルビウムニオベート―鉛チタネート系物質)、PIN―PT(鉛インジウムニオベート―鉛チタネート系物質)が用いられる。
本発明に係る強誘電性単結晶物質は、下記の化学式1及び化学式2のうち何れか一つの組成を満足することが好ましい。
[化学式1]
s[L]−x[P]y[M]z[N]p[T]
[P]は、酸化鉛(PbO、PbO、Pb)で、
[M]は、酸化マグネシウム(MgO)または酸化亜鉛(ZnO)で、
[N]は、ニオビウムオキサイド(Nb)で、
[T]は、酸化チタン(TiO)で、
[L]は、リチウムタンタレート(LiTaO)、リチウムニオベート(LiNbO)、リチウム(Li)、リチウム酸化物(LiO)またはリチウムカーボネート(LiCO)であるか、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ストロンチウム(Sr)、スカンジウム(Sc)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、イットリウム(Y)及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択された一つの金属またはその酸化物で、
xは、0.55と同じかそれより大きく、0.65と同じかそれより小さく、
yは、0.09と同じかそれより大きく、0.20と同じかそれより小さく、
zは、0.09と同じかそれより大きく、0.20と同じかそれより小さく、
pは、0.01と同じかそれより大きく、0.1と同じかそれより小さく、
sは、0.01と同じかそれより大きく、0.1と同じかそれより小さい。
[化学式2]
[1−x]Pb(Zn1/3、Nb2/3)−[x]PbTiO
[1−y]Pb(Mg1/3、Nb2/3)−[y]PbTiO
[1−z]PbZrO−[z]PbTiO
[1−l]Pb(Yb1/2、Nb1/2)O−lPbTiO、及び、
[1−m]Pb(In1/2、Nb1/2)O−mPbTiO
xは、0であるか、0.01より大きく0.2より小さく、
yは、0.1より大きく0.4より小さく、
zは、0.4より大きく0.6より小さく、
lは、0.2より大きく0.8より小さく、
mは、0.2より大きく0.8より小さい。
上記のような組成の単結晶物質は、本発明の出願人による先行出願である大韓民国特許出願第2003―47458号に開示された方法で製造される。特許出願第2003―47458号に開示された内容は、本明細書に統合されて一部を構成する。
上記のような化学式1及び化学式2の組成を有する単結晶材料は、従来のPZTセラミックや多結晶薄膜より大きい圧電変形係数を有するので、同一の印加電圧に対する変形程度が一層大きい。これが圧電振動子に適用される場合、電気的信号を音響信号に変換するときに高い音圧を発生させるので好ましい。また、大きい圧電電圧係数を有するので、音響信号などの外部応力が加えられるときに高い出力電圧を発生させることができ、高い電気機械結合係数を有するので、消費電力対比エネルギー変換効率が高くなって有利である。また、単結晶である場合、原子及び分子が一定の空間で規則的に密集して配列されるので、微細加工が可能になる。
本発明に係る単結晶物質のうちPMN−PT単結晶と従来のPZTセラミック及びPVDFとの圧電特性を、下記の表1で比較した。
Figure 2008522538
表1は、実測値を表示したもので、IEEEスタンダードによって共振法を用いて測定した。また、電圧による変形値を直接的に測定するために、光干渉計及びLVDTを用いて直接的にd33を測定する方法も用いた。ここで、d33は、厚さモードでの圧電変形係数を示し、k33は、厚さモードでの電気機械結合係数を示し、g33は、厚さモードでの圧電電圧係数を示す。
以下、上記のような物性が圧電振動子の性能に及ぼす影響を説明する。
一般的に、圧電特性を有する材料に電界を印加するときに発生する変形量は、下記の式(1)で表示される。
Figure 2008522538
ここで、
S=変形率
=変形前の長さ[m]
ΔL=変形量[m]
E=電界強度[V/m]
ij=圧電変形係数[pV/m]をそれぞれ示す。
上記の式(1)によって、圧電材料の変位が圧電変形係数(dij)に比例することを知ることができる。
上記の表1を参照すると、PMN−PT単結晶の圧電変形係数(d33)は、PVDFの約70倍以上、PZTセラミックの約4倍以上の大きい値を有する。したがって、本発明に係るPMN−PT単結晶を用いた圧電振動子は、従来のPVDFまたはPZTセラミックを用いた同一規格の圧電振動子と比較したとき、同一の入力電圧に対して4〜70倍以上の音圧増加を得られる。すなわち、本発明に係る圧電振動子は、従来の圧電振動子より1/70〜1/4倍以下の低い電圧で同一大きさの音圧を得られるので、小型化及び低電力化が要求されるモバイル機器に有利に適用される。
また、本発明に係る圧電振動子に用いられたPMN−PT単結晶は、表1に示すように高い電気機械結合係数を有するので、従来のPVDFポリマー及びPZTセラミックに比べて消費電力対比エネルギー効率が向上することで、圧電振動子の低電力化及び小型化が可能になり、ノイズによる信号歪曲を減少させることができる。
本発明の更に他の特徴によると、上記圧電体110aの単結晶物質は、バルクまたは膜形態の構造であるか、単層または積層構造である。圧電性単結晶物質を膜形態で構成する場合、バルク形態の圧電性単結晶物質を薄膜形態に研磨した後、電極に付着することもでき、バルク形態の圧電性単結晶物質を電極に付着した後、薄膜形態に研磨することもできる。薄膜形態で圧電単結晶物質を構成する場合、圧電体110の全体厚さが減少する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
従来の圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。 本発明の実施形態に係る圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。 図1に示した従来技術に係る圧電振動子と図2に示した本発明に係る圧電振動子の音圧を比較したグラフである。 図2に示した圧電振動子が装着された状態の圧電型パネルスピーカーを示す背面図及び側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る振動調節用弾性体が付加された圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る多重作用振動子が弾性体に対して対称的に形成された圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。 (a)〜(e)は、本発明の更に他の実施形態に係る圧電体の数、形態及び断面積の変更した圧電振動子を示す平面図である。 、本発明の更に他の実施形態に係る互いに異なる面積を有する複数の圧電体が複層構造で積層された形態の圧電振動子を示す縦断面図及び底面図である。

Claims (12)

  1. 弾性体と、前記弾性体の一面に付着されて両面に電極が付着される複数の圧電体と、からなり、電気的信号を機械的振動に変換する多重作用振動子と;
    前記多重作用振動子の弾性体に付着され、機械的振動を外部に伝達する振動伝達用弾性体と;
    を含み、
    前記多重作用振動子を構成する複数の圧電体には、互いに異なる周波数帯域の電気的信号が独立的に印加されることを特徴とする、圧電振動子。
  2. 前記圧電振動子全体の軸方向断面形状は、非対照のI字状を有することを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
  3. 前記多重作用振動子は、前記圧電体の他面に付着され、圧電体の振動様相を調節するための振動調節用弾性体をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
  4. 前記多重作用振動子は、前記弾性体の他側面に付着され、前記複数の圧電体に対応する他の複数の圧電体をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
  5. 前記圧電振動子の弾性体は、金属であることを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
  6. 前記圧電振動子の弾性体は、10GPa以上のヤング率を有する有機または無機高分子物質であることを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
  7. 前記圧電体は、エポキシによって前記振動伝達用弾性体及び前記振動調節用弾性体に付着されることを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
  8. 前記圧電体は、圧電性物質としてPZT(鉛ジルコニウムチタネート系物質)多結晶セラミック物質からなるか、PMN−PT(鉛マグネシウムニオベート―鉛チタネート系物質)、PZN−PT(鉛亜鉛ニオベート―鉛チタネート系物質)、PZT(鉛ジルコニウムチタネート系物質)、PYN−PT(鉛イッテルビウムニオベート―鉛チタネート系物質)及びPIN−PT(鉛インジウムニオベート―鉛チタネート系物質)からなる群より選択されるいずれか1つであり、下記の化学式1及び化学式2のうち、いずれか1つを満たす組成を有する強誘電性単結晶セラミック物質であることを特徴とする、請求項1に記載の圧電振動子。
    [化学式1]
    s[L]−x[P]y[M]z[N]p[T]
    [P]は、酸化鉛(PbO、PbO、Pb)で、
    [M]は、酸化マグネシウム(MgO)または酸化亜鉛(ZnO)で、
    [N]は、ニオビウムオキサイド(Nb)で、
    [T]は、酸化チタン(TiO)で、
    [L]は、リチウムタンタレート(LiTaO)、リチウムニオベート(LiNbO)、リチウム(Li)、リチウム酸化物(LiO)またはリチウムカーボネート(LiCO)であるか、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ストロンチウム(Sr)、スカンジウム(Sc)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、イットリウム(Y)及びイッテルビウム(Yb)からなる群より選択された1つの金属またはその酸化物で、
    xは、0.55と同じかそれより大きく、0.65と同じかそれより小さく、
    yは、0.09と同じかそれより大きく、0.20と同じかそれより小さく、
    zは、0.09と同じかそれより大きく、0.20と同じかそれより小さく、
    pは、0.01と同じかそれより大きく、0.1と同じかそれより小さく、
    sは、0.01と同じかそれより大きく、0.1と同じかそれより小さい。
    [化学式2]
    [1−x]Pb(Zn1/3、Nb2/3)−[x]PbTiO
    [1−y]Pb(Mg1/3、Nb2/3)−[y]PbTiO
    [1−z]PbZrO−[z]PbTiO
    [1−l]Pb(Yb1/2、Nb1/2)O−lPbTiO、及び、
    [1−m]Pb(In1/2、Nb1/2)O−mPbTiO
    xは、0であるか、0.01より大きく0.2より小さく、
    yは、0.1より大きく0.4より小さく、
    zは、0.4より大きく0.6より小さく、
    lは、0.2より大きく0.8より小さく、
    mは、0.2より大きく0.8より小さい。
  9. 前記圧電性物質は、圧電性物質の単層または複層構造からなることを特徴とする、請求項8に記載の圧電振動子。
  10. 前記複層構造の圧電体は、同一の断面積及び形態を有する各層の積層構造であるか、互いに異なる断面積または形態を有する各層の積層構造であることを特徴とする、請求項9に記載の圧電振動子。
  11. 前記圧電性物質は、多結晶または単結晶物質がバルクまたは薄膜形態からなることを特徴とする、請求項8に記載の圧電振動子。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の圧電振動子を備えた圧電型パネルスピーカー。
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