JP2008521911A - 癌の処置において髄腔内にテモゾロミド処方物を使用する方法 - Google Patents
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Abstract
そのような処置を必要とする患者において、癌を処置するための方法が開示され、その方法は、治療的有効量の薬学的処方物中のテモゾロミドを髄腔内投与する工程を包含する。ここでテモゾロミドは、テモゾロミドに加え、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する薬学的処方物として投与され、ここでこの溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである。
Description
(発明の分野)
本発明は、癌の処置におけるテモゾロミドを含有する薬学的処方を髄腔内に使用する方法に関する。本出願は、特にテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する薬学的組成物を使用する髄腔内的方法を開示し、ここでこの溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである。
本発明は、癌の処置におけるテモゾロミドを含有する薬学的処方を髄腔内に使用する方法に関する。本出願は、特にテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する薬学的組成物を使用する髄腔内的方法を開示し、ここでこの溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである。
(発明の背景)
抗悪性腫瘍薬は多様な癌および他の疾患に対する癌治療に有用である。テモゾロミド(特許文献1に記載される)は、そのような抗悪性腫瘍薬の1つである。
抗悪性腫瘍薬は多様な癌および他の疾患に対する癌治療に有用である。テモゾロミド(特許文献1に記載される)は、そのような抗悪性腫瘍薬の1つである。
テモゾロミドは、その抗腫瘍効果に関して公知である。例えば、ある研究は進行した黒色腫を有する患者の17%において臨床応答が得られたことを示した(非特許文献1)。別の研究において、進行した黒色腫を有する患者の21%において臨床応答が得られた(非特許文献2)。成人においてテモゾロミドを用いる神経膠腫の処置もまた、公知である(非特許文献3および非特許文献4)。成人においてテモゾロミドを用いる以下の癌:転移性黒色腫;悪性黒色腫、高悪性度神経膠腫、神経膠芽細胞腫および他の脳の癌;肺癌;乳癌;精巣癌;結腸癌および直腸癌;癌腫;肉腫;リンパ腫;白血病;未分化星状膠細胞腫;および菌状息肉腫の処置もまた開示された。
テモゾロミドは水に不溶性の化合物である。テモゾロミドは特許文献2に開示されるように、患者において微粉末化した懸濁液として髄腔内に投与される。しかしながら、懸濁処方物は、そのような投与において必ずしも望ましいというわけではないかもしれない。
2003年9月4日に公開された特許文献3は、テモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する薬学的処方物を開示し、ここでこの溶解増強剤は、癌を処置する静脈内方法に有用であるような尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである。静脈内方法に加え、癌を処置する髄腔内方法を提供することもまた非常に望ましい。
米国特許第5,260,291号明細書
米国特許第6,251,886号明細書
国際公開第03/072082号パンフレット
Newlandsら、Br J Cancer、1992年、65(2):287〜291
Bleehanら、Journal of Clinical Oncology、1995年、13(4):910〜913
O’Reillyら、Eur J Cancer、1993年、29A(7):940〜942
O’Reillyら、Eur J Cancer、1993年、29A(10):1500
(発明の要旨)
テモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤(ここでこの溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである)を含有する薬学的処方物が、癌を処置する髄腔内方法に有用であり得ることがここで見出される。特に、本発明は、そのような処置を必要とする患者において癌を処置するための方法を提供し、この方法は、テモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を髄腔内に治療的有効量で投与する工程を包含し、ここでテモゾロミドは、テモゾロミドに加え、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する薬学的処方物として投与され、ここでこの溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである。
テモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤(ここでこの溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである)を含有する薬学的処方物が、癌を処置する髄腔内方法に有用であり得ることがここで見出される。特に、本発明は、そのような処置を必要とする患者において癌を処置するための方法を提供し、この方法は、テモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を髄腔内に治療的有効量で投与する工程を包含し、ここでテモゾロミドは、テモゾロミドに加え、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する薬学的処方物として投与され、ここでこの溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである。
好ましい実施形態において、上に記載したテモゾロミドを含有する薬学的処方物は、クモ膜下腔に髄腔内投与され得、この髄腔内投与は、腰椎内または脳室内であり得る(例えば、オマヤレザバーを介して)。
従って、本発明は、癌を処置するために患者にテモゾロミドを含有する薬学的処方物を髄腔内に投与する独自の方法を提供する。
本発明はまた、ATaseインヒビターと組み合わせてテモゾロミド処方物を髄腔内投与する方法を提供する。好ましくは、Ataseインヒビターは、O6−ベンジルグアニン、8−オキソ−O6−ベンジルグアニン、4−ブロモテニルグアニンまたはこれら物質のいずれかの薬学的に受容可能な塩である。1つの実施形態において、ATaseインヒビターは、経口的に投与される。別の実施形態において、ATaseインヒビターは、髄腔内に投与される。さらに別の実施形態において、ATaseインヒビターは、静脈内に投与される。
本発明はまた、ニトロソ尿素腫瘍崩壊薬と組み合わせてテモゾロミド処方物を髄腔内投与する方法を提供する。好ましくは、ニトロソ尿素腫瘍崩壊薬は、GLIADEL(登録商標)Waferである。
本発明はまた、ATaseインヒビターと組み合わせて経口的または静脈内にテモゾロミド処方物を投与する方法を提供し、ここでATaseインヒビターは髄腔内に投与される。好ましくは、Ataseインヒビターは、O6−ベンジルグアニン、8−オキソ−O6−ベンジルグアニン、4−ブロモテニルグアニンまたはこれら物質のいずれかの薬学的に受容可能な塩である。
本発明はまた、ATaseインヒビターと組み合わせて経口的にまたは静脈内にダカルバジンを投与する方法を提供し、ここでATaseインヒビターは髄腔内に投与される。好ましくは、このAtaseインヒビターはO6−ベンジルグアニン、8−オキソ−O6−ベンジルグアニン、4−ブロモテニルグアニンまたはこれら物質のいずれかの薬学的に受容可能な塩である。
(発明の説明)
米国特許第6,251,886号は、種々の癌を処置するためにテモゾロミドの微結晶性処方物を、それらを必要とする患者に投与することにより使用する方法を記載する。この投与は、髄腔内投与を含むその明細書に記載される方法により行われ得る。
米国特許第6,251,886号は、種々の癌を処置するためにテモゾロミドの微結晶性処方物を、それらを必要とする患者に投与することにより使用する方法を記載する。この投与は、髄腔内投与を含むその明細書に記載される方法により行われ得る。
2003年、9月4日に公開された国際公開第03/072082号は、テモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する薬学的処方物を開示し、ここでこの溶解増強剤は、癌を処置する静脈内方法に有用であるような尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである。
用語「テモゾロミド」は、式I:
当の髄腔内投与に有用なテモゾロミド含有組成物は、上記に引用した2003年、9月4日に公開された国際公開第03/072082号(これは本明細書中に参考として援用される)に記載される組成物と同じものである。国際公開第03/072082号は、凍結乾燥した薬学的処方物(および希釈した処方物または再構成した処方物)を開示し、これはテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびこのテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤(ここでこの溶解増強剤は、癌を処置する静脈内方法に有用であるような尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである)を含有する。好ましい溶解増強剤はL−ヒスチジンである。本出願において用語「テモゾロミド処方物」とは、国際公開第03/072082号に開示される処方物をいう。
尿素が溶解増強剤として上記薬学的処方物に使用される場合、この薬学的処方物中のその重量%(wt%)は、約4wt%〜約60wt%、好ましくは約8wt%〜約30wt%、より好ましくは約12wt%〜約22wt%の範囲であり得る。L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせが、溶解増強剤として薬学的処方物に使用される場合、薬学的処方物中のそのwt%は、約2wt%〜約60wt%、好ましくは約4wt%〜約40wt%、より好ましくは約8wt%〜約20wt%の範囲であり得る。
テモゾロミドおよび溶解増強剤に加えて、上記薬学的処方物は、さらに少なくとも1つの賦形剤を含有し得る。適した賦形剤の非限定的な例としては、ポリソルベート、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ポリソルベートまたは上記の2つ以上の組み合わせが挙げられる。賦形剤がこの薬学的処方物に使用される場合、薬学的処方物中のそのwt%は、約1wt%〜約50wt%、好ましくは約2wt%〜約30wt%、より好ましくは約4wt%〜約16wt%の範囲であり得る。好ましい賦形剤は、ポリソルベートまたはPEGである。
上記薬学的処方物は、さらに少なくとも1つの充填剤を含有し得る。この薬学的処方物に含まれ得る、適した充填剤の非限定的な例としては、マンニトール、乳糖、ショ糖、塩化ナトリウム、トレハロース、デキストロース、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン(ヘタスターチ)、セルロース、シクロデキストリン、グリシンまたは上記の2つ以上の組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態において、この薬学的処方物中の充填剤は、マンニトールである。充填剤がこの薬学的処方物に使用される場合、薬学的処方物中のそのwt%は、約20wt%〜約80wt%、好ましくは約35wt%〜約65wt%、より好ましくは約40wt%〜約56wt%の範囲であり得る。
別の実施形態において、上記薬学的処方物は、さらに少なくとも1つの緩衝剤を含有し得る。この薬学的処方物に含まれ得る、適した緩衝剤の非限定的な例としては、クエン酸緩衝剤、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、マレイン酸リチウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム、マレイン酸カルシウム、酒石酸(tartarate)リチウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウム、コハク酸リチウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムまたは上記の2つ以上の組み合わせが挙げられる。好ましくは、薬学的処方物に使用される緩衝剤は、例えばクエン酸リチウム一水和物、クエン酸ナトリウム一水和物、クエン酸カリウム一水和物、クエン酸カルシウム一水和物、クエン酸リチウム二水和物、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸カリウム二水和物、クエン酸カルシウム二水和物などのような少なくとも1つのクエン酸緩衝剤である。ある緩衝剤がこの薬学的処方物に使用される場合、薬学的処方物中のそのwt%は、約5wt%〜約60wt%、好ましくは約10wt%〜約40wt%、より好ましくは約15wt%〜約28wt%の範囲であり得る。
別の実施形態において、上記薬学的処方物はさらにpH調整剤を含有し得る。この薬学的処方物に含まれ得る、適したpH調整剤の非限定的な例としては、塩酸、水酸化ナトリウム、クエン酸、リン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸または上記の2つ以上の組み合わせである。この薬学的処方物について好ましいpH調整剤は、塩酸である。pH調整剤がこの薬学的処方物に使用される場合、薬学的処方物中のそのwt%は、約1wt%〜約20wt%、好ましくは約2wt%〜約12wt%、より好ましくは約4wt%〜約8wt%の範囲であり得る。
別の実施形態において、本発明に有用な薬学的処方物は、(i)約1wt%〜約50wt%の範囲の量のテモゾロミド、(ii)約1wt%〜約20wt%の範囲の量の塩酸、(iii)約5wt%〜約60wt%の範囲の量のクエン酸、(iv)約1wt%〜約50wt%の範囲の量のポリソルベート、(v)約2wt%〜約60wt%の範囲の量のL−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせ、および(vi)約15wt%〜約85wt%の範囲の量のマンニトールを含有する。
髄腔内投与に有用な薬学的処方物のpHは、好ましくは約2.5〜約6.0、より好ましくは約3.0〜約4.5、そして最も好ましくは約3.8〜約4.2の範囲である。
凍結乾燥した薬学的処方物は、望まれるならば、さらにある一定容量の少なくとも1つの希釈剤中に再構成(再溶解)され得る。この薬学的処方物の凍結乾燥した処方物は、最終濃度を得るために適した水溶性希釈剤を用いる投与の前に、希釈されるかまたは再構成され得る。
用語「水溶性希釈剤」とは、患者への注射に適した水性流体を意味する。水溶性希釈剤の非限定的な例としては、水、標準的な生理食塩水、5%デキストロース溶液および患者への髄腔内投与に適した他の液体が挙げられる。
用語「薬学的に受容可能な塩」とは、適した酸付加塩および第4級塩の陰イオンを提供する塩をいい、塩酸、臭素酸、リン酸、硫酸、マレイン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルタミン酸、パモ酸などのような酸およびJ Pharm Sci、66:2(1977)に列挙される薬学的に受容可能な塩に関連した他の酸から調製される塩が挙げられる。
用語「有効量」または「治療的有効量」とは、研究者または臨床医により探索される組織、器官系または動物の生物学的応答、臨床的応答または医学的応答を誘導する活性成分の量を意味する。
用語「患者」とは、動物、哺乳動物、ヒト、サル、齧歯類、家畜(domestic animal)および農場飼育動物(farm animal)を意味することを意図する。用語「治療的有効量」は、管理者(例えば、研究者、医師または獣医師)により探索される組織、器官系、動物または哺乳動物における抗腫瘍効果(処置される状態または疾患の症状の軽減および腫瘍性の状態の進行の予防、遅延または休止を含む)を有する組成物の治療薬(例えば、テモゾロミドまたは上に記載される他の抗腫瘍薬)の量を意味することを意図する。
本発明のために、用語「重量パーセント」(「wt%」)とは、薬学的処方物の総重量をもとに計算される。
本発明の別の局面は、患者において疾患を処置するかまたは予防するためのプロセスに関し、そのプロセスは、上に記載した薬学的処方物の治療的有効量を、それを必要とする患者に、髄腔内投与として投与する工程を包含する。処置され得るかまたは予防され得る疾患の非限定的例としては、癌腫、肉腫、黒色腫、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、脳の癌、肺癌、甲状腺濾胞癌、膵臓癌、乳癌、未分化星状膠細胞腫、膀胱癌、脊髄形成異常、前立腺癌、精巣癌、結腸癌および直腸癌、リンパ腫、白血病または菌状息肉腫が挙げられる。
本発明の薬学的処方物を利用する投薬レジメンは、患者の種、年齢、体重、性および医学的状態;処置される特定の疾患、処置される状態の重篤度;投与経路;患者の腎機能および肝機能;および使用される特定の活性成分またはその塩を含む種々の因子の考慮を基に選択される。
特定の投薬レジメンは、投与経路に依存して変化し得る。例えば、記載している非限定的方法において、ここに記載された処方物から髄腔内投与により投与される好ましいテモゾロミドの用量は、約0.1mg〜約400mgであるが、用量は、より好ましくは単回髄腔内投与あたり約1〜約100、さらに好ましくは単回髄腔内投与あたり約5mg〜約25mgである。好ましくは、100μM〜25mMの最終テモゾロミド濃度、より好ましくは250μM〜5mMの最終濃度が脳脊髄液(CSF)において得られる。髄腔内投与に関する好ましい投薬スケジュールは、1日1回であるが、回数の少ない投薬が含まれ得る。例えば、1日目に5mg〜10mgの用量が最初の用量として投与され得、24時間後別の用量が投与され得る。次いで、例えば処置は、1週間に2回、連続して2週間行われ、次いで1週間に1回、2週間連続して行われ、続いて2種の処置について隔週で1週間に1回行われ、次いでその後1ヶ月あたり1回の処置が行われ得る。あるいは、1日1回より少ない回数の投薬もまた利用され得る。従って、例えば、腰椎内投与または1つの脳室内投与が1週間に1回、4週間なされ、続いて2〜4週間ごとに1回なされ得る。
また、ATaseインヒビター(例えば、O6−ベンジルグアニン(O6BG)、8−オキソ−O6−ベンジルグアニン(8−オキソ−O6BG)、4−ブロモテニルグアニン(4−BTG、PaTrin−2、PatrinTM、Lomeguatrib;KuDOS Pharmaceuticals Ltd.,Cambridge、England)またはこれら物質のいずれかの薬学的に受容可能な塩と組み合わせて本明細書中に教示される方法に従って髄腔内にテモゾロミドを投与する方法が、本発明の範囲内に包含される。
好ましい実施形態において、このATaseインヒビターは治療的有効量(例えば、約1〜2000mg/kg ATaseインヒビター、好ましくは約10〜800mg/kg)で投与される。このATaseインヒビターは、p.o.、I.V.または髄腔内に投与され得る。特に、Bergら(Bergら、Clin Cancer Res、4(11):2891〜2894(1998))は、非ヒト霊長類モデルにおいて、O6BGの髄腔内投与後の脳脊髄液(CSF)中および血漿中のO6BGおよびその活性代謝物の8−オキソ−O6BGの薬物動態を記載する。
4−BTGの好ましい投与量は10mg/m2であり、p.o.、I.V.または髄腔内に投与される。4−BTGの代表的な投薬レジメンは、Middletonら、Proceedings of the 11th NCl・EORTC・AACR Symposium、No.538(2000))に記載される。簡単にいえば、代表的に示される投薬レジメンは、以下のとおりである:1日あたり10mg/m2 4−BTGで5日間、続いて2週間中断し、4週ごとに5日間1日あたり10mg/m2 4−BTGの連続投与。
また、ニトロソ尿素腫瘍崩壊薬と組み合わせて明細書中に教示される方法に従ってテモゾロミドを投与する方法が本発明の範囲内に包含される。好ましい実施形態において、ニトロソ尿素腫瘍崩壊薬はGLIADEL(登録商標)Wafer(カルムスチンインプラントを含むpolifeprosan 20;Guilford Pharmaceuticals Inc.,Baltimore、MD、USA)である。GLIADEL(登録商標)Waferの好ましい投与量は8ウェハーであり、ここで各ウェハーは7.7mgのカルムスチンを含有し、8ウェハーが移植された場合、61.6mgの用量となる。
別の実施形態において、TMZは以下:ATaseインヒビター(例えば、O6BG、8−オキソ−O6BG、4−BTG)またはニトロソ尿素腫瘍崩壊薬(例えば、GLIADEL(登録商標)Wafer)の1つ以上の髄腔内投与と組み合わせて、p.o.またはI.V.(例えば、米国特許第5,731,304号に記載されるように)で投与され得る。
さらに別の実施形態において、DTIC−Dome(登録商標)((デカルバジン)、Bayer Pharmaceuticals Corp.,West Haven、CT、USA)は以下:ATaseインヒビター(例えば、O6BG、8−オキソ−O6BG、4−BTG)またはニトロソ尿素腫瘍崩壊薬(例えば、GLIADEL(登録商標)Wafer)の1つ以上の髄腔内投与と組み合わせて、I.V.で投与され得る。悪性黒色腫およびホジキン病の処置においてDTICの推奨される投与量は、以下に記載される。悪性黒色腫において、DTIC−Domeの推奨される投与量は、2〜4.5mg/kg/日で10日間であり;ここで処置は、4週間隔で繰り返され得る。悪性黒色腫において代替の推奨される投与量は、250mg/m2体表面積/日 I.V.で5日間であり;ここで処置は、3週ごとに繰り返され得る。ホジキン病において、DTIC−Domeの推奨される投与量は、他の効果的な薬物と組み合わせて5日間で150mg/m2体表面積/日であり;ここで処置は4週ごとに繰り返され得る。ホジキン病において代替の推奨される投与量は、他の効果的薬物と組み合わせて1日目で375mg/m2体表面積であり、15日ごとに繰り返される。
(ヒトの処置レジメンに関する実施例)
以下に述べることは、腰椎内経路または脳室内経路を介して投与される髄腔内テモゾロミド処方物のための特定の処置レジメンである。これらの特定の処置レジメンは、説明のためのみであり、いずれの方法においても本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。これらのレジメンにおいて、各用量が1週間に2回(すなわち、3〜4日ごとに)4つのすべての用量について繰り返される。一般的に、同じ投与経路が各特定の処置レジメンの全体にわたって使用される。以下の投与の説明中の用語「薬物」は、国際公開第03/072082号に記載される薬学的処方物中のテモゾロミドに言及する。
以下に述べることは、腰椎内経路または脳室内経路を介して投与される髄腔内テモゾロミド処方物のための特定の処置レジメンである。これらの特定の処置レジメンは、説明のためのみであり、いずれの方法においても本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。これらのレジメンにおいて、各用量が1週間に2回(すなわち、3〜4日ごとに)4つのすべての用量について繰り返される。一般的に、同じ投与経路が各特定の処置レジメンの全体にわたって使用される。以下の投与の説明中の用語「薬物」は、国際公開第03/072082号に記載される薬学的処方物中のテモゾロミドに言及する。
(投与)
(腰椎内投与:LP)
腰椎内経路を介して薬物を与える患者に対して、薬物を好ましくはUSPの注射のための適切な希釈剤中の10mlの最終総容量で投与するべきである。薬物の投与は好ましくは等容性である(すなわち、投与される量と同等のCFSの量を、薬物の注射の前に除かれなければならない)。腰椎内注射に続き、患者はおおよそ30分間、水平あるいはトレンデレンブルク体位のいずれかであお向けになるべきである。
(腰椎内投与:LP)
腰椎内経路を介して薬物を与える患者に対して、薬物を好ましくはUSPの注射のための適切な希釈剤中の10mlの最終総容量で投与するべきである。薬物の投与は好ましくは等容性である(すなわち、投与される量と同等のCFSの量を、薬物の注射の前に除かれなければならない)。腰椎内注射に続き、患者はおおよそ30分間、水平あるいはトレンデレンブルク体位のいずれかであお向けになるべきである。
(脳室内投与:オマヤレザバー:)
レザバー部位の適切な滅菌準備後、薬物を好ましくはUSPの注射のための適切な希釈剤中の10mlの最終容量で23ゲージ(またはより小さい)のスカルプ(scalp)静脈針を介してオマヤレザバーに投与すべきである。薬物投与は、好ましくは等容性である(すなわち、投与される量と同等のCFSの量を、薬物の注射の前に除かれなければならない)。この薬物を、2ml/分を超えない速度でゆっくり注射すべきである。薬物の投与に続き、このレザバーをおおよそ2ccのCSF(薬物注射の前に除かれた)または0.9%生理食塩水のいずれかを用いて、1〜2分間ゆっくりフラッシングすべきである。フラッシュ(flush)注射後、このレザバーを4〜6回ポンピングすべきである。
レザバー部位の適切な滅菌準備後、薬物を好ましくはUSPの注射のための適切な希釈剤中の10mlの最終容量で23ゲージ(またはより小さい)のスカルプ(scalp)静脈針を介してオマヤレザバーに投与すべきである。薬物投与は、好ましくは等容性である(すなわち、投与される量と同等のCFSの量を、薬物の注射の前に除かれなければならない)。この薬物を、2ml/分を超えない速度でゆっくり注射すべきである。薬物の投与に続き、このレザバーをおおよそ2ccのCSF(薬物注射の前に除かれた)または0.9%生理食塩水のいずれかを用いて、1〜2分間ゆっくりフラッシングすべきである。フラッシュ(flush)注射後、このレザバーを4〜6回ポンピングすべきである。
外科的または臨床的な禁忌がなければ、患者を脳室内投与(オマヤレザバー)を介して処置する。
開始用量:成人(年齢18歳を超える)において、この特定のレジメンのもと薬物の開始用量は、好ましくは約1mg/用量〜約400mg/用量、より好ましくは単回髄腔内注射で約5mg〜約100mgである。この用量は、患者の状態および医師により決定される必要性に依存してより高いかまたはより低くあり得る。この投与は、直接髄腔内注射によるか、または適切な装置(例えば、オマヤレザバーまたは注入ポンプのような)を使用するゆっくりとした注入であり得る。
開始用量:成人(年齢18歳を超える)において、この特定のレジメンのもと薬物の開始用量は、好ましくは約1mg/用量〜約400mg/用量、より好ましくは単回髄腔内注射で約5mg〜約100mgである。この用量は、患者の状態および医師により決定される必要性に依存してより高いかまたはより低くあり得る。この投与は、直接髄腔内注射によるか、または適切な装置(例えば、オマヤレザバーまたは注入ポンプのような)を使用するゆっくりとした注入であり得る。
(その後の処置のための基準)
ANCが1500/mm3以上であり、血小板数が100,000/mm3以上(レベルを増強するための成長因子を使用しないで)である場合、次いで繰り返し用量が投与され得、そうでなければ付加的なテモゾロミドを遅らせる。その後の投与を、投薬を予定した日に投与しない場合、ANCが1500/mm3より多く、血小板数が100,000/mm3より多くなるまで3週間まで毎週CBCが繰り返され得る。これらの血液学的基準が適合した場合、この薬物が投与され得る。
ANCが1500/mm3以上であり、血小板数が100,000/mm3以上(レベルを増強するための成長因子を使用しないで)である場合、次いで繰り返し用量が投与され得、そうでなければ付加的なテモゾロミドを遅らせる。その後の投与を、投薬を予定した日に投与しない場合、ANCが1500/mm3より多く、血小板数が100,000/mm3より多くなるまで3週間まで毎週CBCが繰り返され得る。これらの血液学的基準が適合した場合、この薬物が投与され得る。
本発明の改変およびバリエーションは、当業者において明らかである。本明細書に記載される上記の特定の実施形態は、例のみとして提供され、本発明はそれにより限定されるように解釈されるべきではない。
Claims (15)
- そのような処置を必要とする患者において、テモゾロミドの細胞毒性効果に感受性の癌を処置する方法であって、テモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩、少なくとも1つの水溶性希釈剤およびテモゾロミドまたはその薬学的に受容可能な塩を実質的に溶解するのに十分な少なくとも1つの溶解増強剤を含有する有効量の薬学的処方物を患者に髄腔内投与する工程を包含し、ここで該溶解増強剤は、尿素、L−ヒスチジン、L−スレオニン、L−アスパラギン、L−セリン、L−グルタミンまたは上記の2つ以上の組み合わせである、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記薬学的処方物はさらにポリソルベート、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールまたは上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される賦形剤を含有する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記薬学的処方物はさらにマンニトール、乳糖、ショ糖、塩化ナトリウム、トレハロース、デキストロース、デンプン、ヘタスターチ、セルロース、シクロデキストリン、グリシンまたは上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を含有する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記薬学的処方物はさらにクエン酸リチウム一水和物、クエン酸ナトリウム一水和物、クエン酸カリウム一水和物、クエン酸カルシウム一水和物、クエン酸リチウム二水和物、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸カリウム二水和物、クエン酸カルシウム二水和物、クエン酸リチウム三水和物、クエン酸ナトリウム三水和物、クエン酸カリウム三水和物、クエン酸カルシウム三水和物、クエン酸リチウム四水和物、クエン酸ナトリウム四水和物、クエン酸カリウム四水和物、クエン酸カルシウム四水和物、クエン酸リチウム五水和物、クエン酸ナトリウム五水和物、クエン酸カリウム五水和物、クエン酸カルシウム五水和物、クエン酸リチウム六水和物、クエン酸ナトリウム六水和物、クエン酸カリウム六水和物、クエン酸カルシウム六水和物、クエン酸リチウム七水和物、クエン酸ナトリウム七水和物、クエン酸カリウム七水和物、クエン酸カルシウム七水和物、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、マレイン酸リチウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム、マレイン酸カルシウム、酒石酸リチウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウム、コハク酸リチウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムまたは上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの緩衝剤を含有する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記薬学的処方物はさらに塩酸、水酸化ナトリウム、クエン酸、リン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸または上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるpH調整剤を含有する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記薬学的処方物のpHが約2.5〜約6.0の範囲である、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記薬学的処方物が前記患者のクモ膜下腔またはクモ膜下腔内部に髄腔内投与される、方法。
- 請求項7に記載の方法であって、ここで約0.1mg〜約400mgのテモゾロミドが単回髄腔内注射により前記患者に投与される、方法。
- 請求項8に記載の方法であって、ここで約1mg〜約100mgのテモゾロミドが単回髄腔内注射により前記患者に投与される、方法。
- 請求項9に記載の方法であって、ここで約5mg〜約25mgのテモゾロミドが単回髄腔内注射により前記患者に投与される、方法。
- 請求項7に記載の方法であって、ここで前記投与が腰椎内である、方法。
- 請求項7に記載の方法であって、ここで前記投与が脳室内である、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで前記癌が癌腫、肉腫、黒色腫、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、脳の癌、肺癌、甲状腺濾胞癌、膵臓癌、乳癌、未分化星状膠細胞腫、膀胱癌、脊髄形成異常、前立腺癌、精巣癌、結腸癌および直腸癌、リンパ腫、白血病または菌状息肉腫である、方法。
- 請求項13に記載の方法であって、ここで前記癌が原発性脳腫瘍またはリンパ腫である、方法。
- 請求項14に記載の方法であって、ここで前記原発性脳腫瘍が髄芽細胞腫、神経膠腫または神経膠芽細胞腫である、方法。
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