一以上の電子源を利用して、磁石の磁極片間に輸送されるイオンビームに電子を入射する。幾らかの実施形態においては、電子源は前記磁石のうちの一方あるいは両方の空胴に位置している。他の実施形態においては、ラジオ周波数(RF)あるいはマイクロ波プラズマフラッドガンは、前記磁極片の少なくとも一つの空胴あるいは前記磁極片間に位置している。汚染が殆どあるいは全くないよう、かつ圧力増加が制限され長寿命であるようビーム輸送が改良される。
本発明の第一局面によると、イオンビーム操作のための磁石アセンブリが提供される。この磁石アセンブリは、間隔が空いた第一および第二の磁極片を含む磁石と、前記第一および第二の磁極片の間にイオンビームを輸送するフライトチューブと、前記第一および第二の磁極片の少なくとも一方の空胴に位置して、電子を前記フライトチューブに入射する電子源とを含む。
本発明の第二局面によると、イオン注入機は、イオンビームを生成するイオン源と、間隔が空いた第一および第二の磁極片を含む磁石と、前記第一および第二の磁極片の間に前記イオンビームを輸送するフライトチューブと、前記第一および第二の磁極片の少なくとも一方の空胴に位置して、電子を前記フライトチューブに入射する電子源と、イオン注入の対象を支持する前記磁石の下流の対象サイトとを含み、前記イオンビームが前記フライトチューブから前記対象サイトへ輸送される。
本発明の第三局面によると、磁石を通してイオンビームを輸送する方法が提供される。この方法は、磁石の第一および第二の磁極片の間にイオンビームを輸送する工程と、前記第一および第二の磁極片の間に輸送される前記イオンビームに、前記第一および第二の磁極片の少なくとも一方の空胴に位置する電子源から電子を入射する工程とを含む。
本発明の第四局面によると、イオンビーム操作のための磁石アセンブリが提供される。この磁石アセンブリは、間隔が空いた第一および第二の磁極片を含む磁石と、前記磁石の前記磁極片間にイオンビームを輸送するフライトチューブと、前記第一および第二の磁極片の間に、あるいは前記第一および第二の磁極片の少なくとも一方の空胴に位置して、電子を前記フライトチューブへ入射するラジオ周波数あるいはマイクロ波プラズマフラッドガンとを含む。
本発明の第五局面によると、イオン注入機は、イオンビームを生成するイオン源と、間隔が空いた第一および第二の磁極片を含む磁石と、前記第一および第二の磁極片の間に前記イオンビームを輸送するフライトチューブと、前記第一および第二の磁極片の間に、あるいは前記第一および第二の磁極片の少なくとも一方の空胴に位置して、電子を前記フライトチューブへ入射するラジオ周波数あるいはマイクロ波プラズマフラッドガンと、イオン注入の対象を支持する前記磁石下流の対象サイトとを含み、前記イオンビームが前記フライトチューブから前記対象サイトへ輸送される。
本発明の第六局面によると、磁石を通してイオンビームを輸送する方法が提供される。この方法は、磁石の第一および第二の磁極片の間にイオンビームを輸送する工程と、前記第一および第二の磁極片の間に輸送される前記イオンビームに、前記第一および第二の磁極片の間あるいは前記第一および第二の磁極片の少なくとも一方の空胴に位置するラジオ周波数あるいはマイクロ波プラズマフラッドガンから電子を入射する工程とを含む。
図1は、イオン注入機の一実施形態のブロック図を示す。イオン源10はイオンを生成し、イオンビーム12を供給する。イオン源10はイオンチャンバおよびイオン化するガスを含むガスボックスを含んでもよい。ガスはイオンチャンバへ供給され、ここでイオン化される。このように形成されるイオンは、イオンビーム12形成のためにイオンチャンバから抽出される。イオンビーム12は分解磁石32の磁極間に方向付けられる。第一電源14はイオン源10の引き出し電極へ接続され、正の第一電圧V0を提供する。第一電圧V0は例えば約0.2〜80kVまで調節できる。故に、イオン源10からのイオンは第一電圧V0により約0.2〜80keVのエネルギーまで加速される。
イオンビーム12は抑制電極20およびグランド電極22を通り大量分析器30へ到達する。大量分析器30は分解磁石32および分解孔36を持つマスク電極34を含む。分解磁石32はイオンビーム12内のイオンを偏向して、望ましいイオン種のイオンが分解孔36を通り、望ましくないイオン種はマスク電極34で遮られて分解孔36を通らないようにする。一実施形態においては、分解磁石32は望ましい種のイオンを90度偏向する。
望ましいイオン種のイオンは、分解孔36を通り、大量分析器30の下流に位置する第一減速ステージ50へ向かう。減速ステージ50は上流電極52、抑制電極54、および下流電極56を含んでもよい。イオンビーム内のイオンは減速ステージ50により減速されて、その後、角度補正磁石60を通る。角度補正磁石60は望ましいイオン種のイオンを偏向し、分岐イオンビームから略並行なイオン軌道を持つリボンイオンビーム62へとイオンビームを変換する。一実施形態においては、角度補正磁石60は望ましいイオン種のイオンを70度偏向する。
端部ステーション70は、ウェハ72などの一以上の半導体ウェハをリボンイオンビーム62の経路内に支持して、望ましい種のイオンが該半導体ウェハに注入されるようにしている。端部ステーション70は、リボンイオンビーム62の断面の長さに垂直にウェハ72を移動するための冷却静電プラテンおよびスキャナ(不図示)を含んで、イオンをウェハ72の表面に分配してもよい。リボンイオンビームは少なくともウェハ72の幅でもよい。
イオン注入機は、角度補正磁石60の下流に位置する第二減速ステージ80を含んでもよい。減速ステージ80は上流電極82、抑制電極84、及び下流電極86を含んでもよい。
イオン注入機は、この分野の当業者には知られている追加部材を含んでもよい。例えば、端部ステーション70は、イオン注入機へウェハを導入し、イオン注入後にウェハを取り除くための自動ウェハ取り扱い機材を典型的に含む。端部ステーション70はドーズ計測システム、電子フラッドガン、および他の知られた部材をさらに含むこともできる。イオンビームが横断した全経路はイオン注入中に真空にされる。
図1のイオン注入機は幾らかの方式のうちの一つにより動作してもよい。ドリフト方式として知られている、第一の動作方式においては、減速ステージ50、80がグランドに接続され、イオンビーム12が、イオン源10から抽出後に設定される最終ビームエネルギーのビームラインで輸送される。高度ドリフト方式として知られている、第二の動作方式においては、イオンビーム12は、大量分析器30を通る前に電極22で直近エネルギーまで加速されて、その後第一の減速ステージ50により最終ビームエネルギーにまで減速される。二重減速方式として知られている、第三の動作方式においては、イオンビームは、大量分析器30を通る前に電極22で第一の直近エネルギーにまで加速されて、その後角度補正機60を通過中に第一の減速ステージ50により第二の直近エネルギーにまで減速されて、その後第二の減速ステージ80により最終ビームエネルギーにまで減速される。第四の動作方式は、中間エネルギーのビームを第二の減速ステージ80へと輸送して、第一の減速ステージ50の間隙を短い回路シャントで操作する。イオンビームをより高いエネルギーのビームラインの一部で輸送することで、所与の最終ビームエネルギーのドリフト方式と比較して空間電荷拡張を減らすことができる。
図1に示し上述したイオン注入機アーキテクチャはあくまで例示目的であり、本発明の範囲には他のイオン注入機アーキテクチャも含まれることは理解されよう。
上述したように、低エネルギーイオンビームの空間電荷拡張は磁石において問題を呈す、というのも磁石の磁極片間の間隙が典型的に小さく、磁石のビーム経路は典型的に長いからである。故に、図1のイオン注入機においては、イオンビーム12は分解磁石32および角度補正磁石60を輸送される間に空間電荷拡張を受けることがある。空間電荷拡張により、イオンビームはビームライン成分と衝突し、その結果ウェハに供給されるビーム電流が減る。
発明の一実施形態による磁石アセンブリ100の概略ブロック図を図2に示す。磁石アセンブリは、以下に記載するように、相隔たれられた磁極片と、該磁極片間に電子を入射する一以上の電子源とを持つ磁石を含む。プラズマフラッドガンが電子源の一種であることが理解されよう。磁石アセンブリはイオン注入機に、分解磁石、角度補正磁石、ビームフィルタ、多極焦点合わせ要素あるいは磁石を要する任意の他の部材として組み込むことができる。イオン注入機は、一以上の磁石アセンブリを含んでもよく、一以上の磁石アセンブリがここに記載するように少なくとも一つの電子源を含んでもよい。
磁石アセンブリ100は、磁石110、フライトチューブ112、および少なくとも一つの電子源を含んでもよい。図2の実施形態においては、磁石アセンブリ100は、フライトチューブ112を通して輸送されるイオンビーム122へ電子を注入するよう配置される、少なくとも一つのラジオ周波数(RF)あるいはマイクロ波(MW)プラズマフラッドガン120を含む。他の実施形態においては、磁石アセンブリ100は少なくとも一つのフィラメント駆動のプラズマフラッドガンを含んでもよい。図2においては、磁石110をイオンビーム122の輸送方向に見ている。
磁石110は磁極片130、132、磁極片130、132の周りにそれぞれ配置された磁石コイル140、142、および磁場にリターンパスを与える磁石要素144を含む。磁石コイル140、142が磁石電源(不図示)により電圧を加えられると、フライトチューブ112内に磁場146が生成される。磁場146は一般的にイオンビーム輸送方向に垂直であり、この分野で知られているようにイオンビーム122を偏向する。
RFあるいはマイクロ波プラズマフラッドガン120は、プラズマフラッドガンチャンバ160を含み、これは以下に記載するように磁極片130、132の間、あるいは磁極片130、132のうちの一方あるいは両方の空胴に配置されてよい。チャンバ160はスリット162、あるいはチャンバ160内部からフライトチューブ112へ電子を入射する経路を提供する一以上の穴あるいはその他の孔を含む。チャンバ160はさらに、電力接続164およびガス接続166を含む。RFあるいはマイクロ波生成器170は、整合部またはチューナ172および送信線またはマイクロ波導波管174を通してプラズマフラッドガンチャンバ160へ電力接続164を通じて接続されている。以下に記載するように、本発明の範囲には、様々な異なるRFあるいはマイクロ波生成器、コネクタおよび他の部材を利用することができる。ガス源180はガス接続166を通じてプラズマフラッドガンチャンバ160へ接続される。例えば、キセノン、アルゴン、およびその他の貴ガスなどのガスを利用することができる。しかしガスは貴ガスに限らない。
RFエネルギーがチャンバ160へ生成器170により供給され、ガスがチャンバ160へガス源180により供給されると、プラズマフラッドガンチャンバ160にプラズマ182が形成される。プラズマ182からの電子はスリット162を通してフライトチューブ112へ入射され、磁場146のスパイラル経路184を通る。電子はイオンビーム122の空間電荷中和を生成し、イオンビーム122の磁石110への輸送を促進する。
RFあるいはマイクロ波プラズマフラッドガン120の位置を示すフライトチューブの上面図を図3に示す。示されているように、プラズマフラッドガン120はフライトチューブ112の幅を横切って延び、電子がフライトチューブをその幅を横切り大よそ均一に注入されるようになっている。図3の実施形態においては、プラズマフラッドガン120はフライトチューブ112のイオンビーム輸送方向に略直交に配向されている。磁石アセンブリは追加的なプラズマフラッドガンを、例えば位置124あるいは126、あるいはその両方に、および示されていない追加的な位置に含んでもよい。プラズマフラッドガンの位置は、イオンビームの許容できる中和を提供するように選択される。他の実施形態においては、一以上のプラズマフラッドガンがフライトチューブ112を通るイオンビーム輸送方向に続く正確な形状を呈すこともある。一般的には、任意の数、形状、および位置のプラズマフラッドガンを利用してよい。図4はフライトチューブ112上に配置され、磁極片130に搭載されたプラズマフラッドガン120を示す磁石アセンブリ100の側面図である。
RFあるいはマイクロ波プラズマフラッドガンは本発明の範囲において様々な構成をとることができる。プラズマフラッドガンは、分析器磁石、角度補正磁石、およびフィルタ磁石などの磁石に搭載することができる。単一のあるいは多数のプラズマフラッドガンを利用してよい。プラズマフラッドガンは磁極片に埋め込まれてもよく、磁極片の端部あるいは表面に配置されてもよい。周波数は数メガヘルツからギガヘルツ周波数の範囲があってよい。例示目的のみからは、RFプラズマフラッドガンは2―13メガヘルツの範囲で動作してよく、マイクロ波プラズマフラッドガンは約2ギガヘルツの周波数で動作してよい。プラズマフラッドガンは共振方式あるいは非共振(ECRあるいは非ECR)方式で動作してよい。プラズマフラッドガンは単一の周波数で、あるいは多数の周波数で動作してもよく、基本周波数あるいは調和周波数で動作してもよい。動作周波数および配置によって、プラズマフラッドガンはアンテナを利用してもよく、および同軸あるいは導波管部材を持ってもよい。誘導結合あるいは容量結合を利用することもできる。一実施形態においては、ヘリコン配置を利用してもよい。単一のあるいは多数の旋回を持つアンテナを利用してもよい。アンテナはプラズマチャンバ内に配置されてもよく、プラズマチャンバから隔離されてもよいが、これを以下に記載する。プラズマフラッドガンは主な磁石が生成する磁場を変更する永久磁石あるいは電磁石を含むこともできる。イオンビームへの連結は、単一のあるいは多数のスロット、多数の孔穴、あるいは任意のほかの孔構成により行うことができる。プラズマフラッドガンは偏向あるいは非偏向方式で動作してもよい。偏向方式においては、電子はプラズマフラッドガンからフライトチューブへ加速あるいは減速されて入ることもできる。
様々なプラズマフラッドガン配置が図5に示されている。配置200においては、プラズマフラッドガンは、フライトチューブ112に面す磁極片130の表面の窪みに搭載される。窪みの長さはイオンビーム122に平行である。配置202においては、プラズマフラッドガンは、フライトチューブ112に面す磁極片130の表面の窪みに搭載され、窪みの長さはイオンビーム122に垂直である。配置204においては、プラズマフラッドガンは磁極片130の空胴に埋め込まれ、スロット206あるいは他の孔を通してフライトチューブ112に連結される。配置210においては、プラズマフラッドガンは磁極片130とフライトチューブ112との間の間隙に搭載される。本発明の範囲においては一以上のプラズマフラッドガンを利用できることが理解されよう。プラズマフラッドガンは上面の磁極片130、底面の磁極片132、あるいはその両方に搭載することができる。様々な異なるプラズマフラッドガン配置を利用してもよい。
様々なRFプラズマフラッドガン配置を図6に示す。いずれの場合においても、アンテナ300およびプラズマ302が示されている。配置310、312、314、316においては、アンテナ300はプラズマ310に曝される。配置320、322、324、326、328においては、アンテナ300はプラズマ302から、絶縁筐体330により隔離され、これは例えばセラミック材料であってもよい。上述のように、配置のいずれも、磁極片130、磁極片132、あるいはその両方で利用することができる。RFプラズマフラッドガンは単一のあるいは多数の旋回のアンテナで利用されてよい。
RFプラズマフラッドガンの一例を図7に示す。RFプラズマフラッドガン400は、プラズマフラッドガンチャンバ412を定義して、一側面が開いた筐体410を含む。アンテナ420はチャンバ412内に搭載され、RF電源接続のためにターミナル422、424に連結される。ガスは孔430からチャンバ412へ供給される。
フライトチューブ112上のプラズマフラッドガン400の位置を図8に示す。孔板440は知られた幅と長さのスロット442を定義する。図6に示すプラズマフラッドガン400はひっくり返され、孔板440の上のフライトチューブ112に搭載される。
マイクロ波プラズマフラッドガン500の一例を図9および図10A−10Dに示す。マイクロ波導波管510は、マイクロ波電源に連結するためのコネクタ512を含む。マイクロ波導波管510はプラズマ520支持のためのチャンバ514を定義する。導波管510はガス導入のための孔(不図示)、電子をフライトチューブ112へ入射するためのスロットあるいは他の孔(不図示)を含んでもよい。プラズマフラッドガン500はさらに、導波管510内の磁場を制御するための磁石530を含んでもよい。磁石530の異なる例が図10A−図10Dに示されている。磁石530は垂直磁場、水平磁場、あるいはカスプ磁場を利用してチャンバ514に共振を提供してもよい。ガス入射は導波管510の両側面あるいは端部にあってもよく、一点にあっても分配されてもよい。電子のフライトチューブ112への入射には任意の構成のスリットあるいは穴を利用してよい。マイクロ波エネルギーのチャンバ514への連結は、マイクロ波導波管、同軸線、あるいはループアンテナを利用して行ってよい。
発明のさらなる実施形態による磁石アセンブリを図11、12に図示する。図11は磁石アセンブリの側面図であり、図12は磁石アセンブリの上面図である。磁石アセンブリは、磁石610、フライトチューブ612、および一以上の電子源620、622、624、626を含む。磁石610は磁極片640、642、磁極片640、642の周りにそれぞれ配置された磁石コイル644、および磁石コイル644に連結された磁石電源(不図示)を含む。
イオンビーム650は、磁極片640、642の間にフライトチューブ612を通して輸送される。磁石電源に電圧が加えられると、フライトチューブ612内に磁場652が発生する。磁場652は概ねイオンビーム輸送方向に垂直であり、この分野で知られているようにイオンビーム650を偏向する。
電子源620、622、624、626は、磁極片640、642のうちの一方あるいは両方の空胴に配置される。各電子源はチャンバ660と、チャンバ660に配置される電子射出フィラメント662とを含む。フライトチューブ612は、各チャンバ660とフライトチューブ612の内部とをガス連通する孔664を含む。幾らかの実施形態によると、電子源は、磁極片640、642のうちの一方あるいは両方の内部に埋め込まれてもよい。図11において、電子源626は磁極片640に埋め込まれている。他の実施形態においては、電子源は磁極片640、642の一方あるいは両方の、フライトチューブ612に面すほうの表面の窪みに配置されてもよい。図11においては、電子源620、622、624は磁極片640の表面の窪みに配置されている。電子源は全てが一つの磁極片に埋め込まれていてもよいし、一つの磁極片の複数の窪みに全て配置されていてもよいし、埋め込み・表面搭載配置の混合を含んでいてもよい。
電子源の各々のフィラメント662は、フィラメント電源670あるいは個々のフィラメント電源に連結されている。ガス源680は、電子源620、622、624、626各々のチャンバ660に接続されている。例えば、キセノン、アルゴン、およびその他の貴ガスなどのガスを利用することができる。しかしガスは貴ガスに限らない。
動作においては、フィラメント662はフィラメント電源670からの電流により加熱され、ガスがガス源680により各チャンバ660に供給される。加熱されたフィラメント662は電子を射出し、プラズマ682が各チャンバ660に形成される。各チャンバ660内のプラズマ682からの電子が孔664からフライトチューブ612へ入射され、磁場652のスパイラル経路684を通る。電子はイオンビーム650の空間電荷中和を生成し、イオンビーム650の磁石610への輸送を促進する。
上で示したように、磁石アセンブリは一以上の電子源を含んでもよい。電子源は一以上の列に配置されてもよい。各列はイオンビームに対して大よそ直交配置されてもよい。図12に示す実施形態においては、磁石アセンブリが電子源の列700、702、704、706を含む。各列はイオンビーム輸送方向に対して横方向に配向される。他の実施形態においては、電子源はフライトチューブ612を通るイオンビーム輸送方向沿いに配置されてもよい。一般的に、電子源は、規則的、不規則的いずれであってもよい、任意の配置をされて構わない。電子源の位置は、イオンビーム650がフライトチューブ612を通して輸送される際にビーム中和を提供するよう選択される。
上述の実施形態において、磁石の磁極片はフライトチューブの外に配置されており、フライトチューブはイオンビーム輸送を効果的にすべく真空排出される。さらなる実施形態においては、磁石の磁極片はフライトチューブ内まで延長されてもよい。さらなる実施形態による磁石アセンブリの断面を図13に示す。フライトチューブ750は、磁石770の磁極片760、762を部分的に包括している。磁極片760、762のフライトチューブ750内の箇所は、グラファイトでもよい磁極片ライナ772を含んでもよい。磁極片ライナ772はイオンビーム774の磁極片760、762への接触を妨げる。電子源780は磁極片760の空胴に配置される。電子源780は上述のうちのどの構成であってもよい。
本発明の少なくとも一つの実施形態の幾らかの局面を記載したが、この分野の当業者にとってはさまざまな変更、修正、及び改良が容易に起こりうることは理解されよう。このような変更、修正、および改良はこの開示の一部を構成することが意図されており、本発明の精神および範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の開示および図面は例示にすぎない。