JP2008520335A - 心臓イメージング法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 本発明は過分極13C−ピルビン酸塩をMR造影剤として用いる心臓イメージング法であって、心筋内の細胞のバイアビリティを決定できる方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は過分極13C−ピルビン酸塩をMR造影剤として用いる心臓イメージング法であって、心筋内の細胞のバイアビリティを決定できる方法に関する。
磁気共鳴(MR)イメージング(MRI)は、X線のような潜在的に有害な放射線に患者及び医療従事者を被曝させることなく非侵襲的に患者の身体又はその一部の画像を得ることができるため、医師にとって特に魅力的なイメージング技術である。高画質の画像が得られるため、MRIは心臓のような軟組織及び器官の好適なイメージング技術である。
心臓での虚血に関連した損傷及び疾患は西洋諸国での死因の過半を占める。心筋虚血は重篤な疾患であって、早期に心筋虚血であることを確認しその位置を特定しない限り、不可逆的な心筋損傷から患者を救うことができない。
心臓組織は他の代謝活性組織と同様に虚血障害に弱い。急性心筋梗塞の初期段階は一般に正常収縮機能の喪失であって、局所的運動障害として現れる。これは冠動脈灌流圧の急激な低下(急性冬眠状態を誘起する)による場合と、正常な膜イオン輸送の急激な停止による場合とがある。不可逆的損傷が始まる前に虚血心筋に再灌流すると、正常な心臓代謝及び機能への急速な回復又は遅効性の回復(スタンニング)へと導くことができる。
磁気共鳴イメージングは有用な心臓イメージング技術として確立している。スピンエコーイメージングを用いたMR技術は心臓の解剖を示すことができるが、心筋虚血及び梗塞の検出には造影剤の使用が必要とされる。造影剤の1つの部類は常磁性造影剤であり、常磁性金属イオンを塩又はキレート/錯形成基との錯体の形態で含んでいる。
常磁性造影剤GdDTPA(Magnevist(商標))は心筋イメージングでの使用に関して臨床試験の対象であった。この金属錯体は動物又はヒトのMR画像での急性心筋梗塞の特定に改善がみられたが、短時間で分泌されて細胞外液腔に分布するため、心筋イメージングでの臨床的用途は限られる。
常磁性金属イオンのMn2+が心筋MRイメージング用造影剤として用いられている。Mn2+はスローCa2+チャネルを通しての収縮心筋への流入に関してCa2+と競合するため、緩和時間Tが大幅に短縮し、正常心筋組織での信号強度が増す。心拍数と収縮力が増すと、単位時間当たりのMn2+全流入は上昇する。しかし、虚血心筋では血流の低下と収縮力の低下のため、Mn2+の流入量が減る。したがって、常磁性Mn2+を造影剤として用いたMRイメージングによって虚血心筋を検出し、正常心筋組織と識別することができる。
しかし、Mn2+の使用には幾つかの短所が存在する。MnClなどのマンガン塩の使用は、それらの心毒性による安全性に関するリスクを伴う(例えばHu et al. Magn. Res. in Medicine 46, (2001), 884−890参照)。マンガン塩の毒性はカルシウム塩の添加又はマンガン塩のゆっくりとした投与(slow infusion)によってマンガン塩の毒性を下げる試みがなされてきた。造影剤処方にカルシウムを用いたときの欠点は、カルシウムがカルシウムチャネルを通して筋細胞に流入する際にマンガンと競合することである。そのため有効性の低下を招き、この効果を補償するために造影剤の投与量を増やす必要が生じる。
国際公開第99/01162号には、マンガン錯体を高速画像生成と組合せて用いる心筋虚血の検出法が記載されている。このイメージング法は注入後3〜6時間の期間に実施するのが都合がよいと記載されている。この方法は毒性の問題には関連していないと思われるが、イメージング法の結果が得られるのは、造影剤の投与からイメージング手順を開始するまで比較的長期間を要するので遅くなる。そのため必要な処置が遅れる。
国際公開第2004/054623号には、ある種のマンガン錯体を用いて心筋虚血の罹患領域を特定する方法が記載されている。物理的及び/又は薬理学的負荷法がこの方法の一部をなすが、それによって正常心筋と虚血心筋とのコントラスト差が増して造影剤の用量を減らすことができるからである。ただし、負荷法は患者の心理的緊張を増す。
そこで、虚血心筋組織と正常心筋組織を識別できて、組織のバイアビリティを細胞レベルで評価できるMRイメージング法に使用できる試薬に対するニーズが存在する。この試薬は好適な安全性プロフィールを有しているべきであって、つまり臨床用量でいかなる毒性副作用も示さない。さらに、患者にストレスを加えず、治療法の開始を遅れさせることなく心筋組織のバイアビリティを迅速かつ簡単に評価できるMRイメージング法に対するニーズも存在する。
国際公開第99/35508号には、高T試薬の過分極溶液をMR造影剤として用いる患者のMR検査法が開示されている。「過分極」という用語は、高T試薬に存在するNMR活性核種、つまり核スピンがゼロでない核種、好ましくは13C−又は15N−核種の核分極の増強を意味する。NMR活性核種の核分極を増強すると、核スピンが励起状態にある核と基底状態にある核の分布差が大幅に増大してMR信号強度が100倍以上増幅される。過分極13C−及び/又は15N濃縮高T造影剤を用いると、13C及び/又は15Nの天然存在度が無視できほど低いのでそれらのバックグラウンド信号による干渉がなくなり、画像コントラストが高まるという利点がある。過分極及びMR造影剤としての使用に適している可能性のある様々な高T試薬が開示されており、特に限定されないが、酢酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩又はグルコン酸塩、グルコース又はフルクトースのような糖類、尿素、アミド、グルタミン酸、グリシン、システインもしくはアスパラギン酸のようなアミノ酸、ヌクレオチド、アスコルビン酸のようなビタミン、ペニシリン誘導体及びスルホンアミドなどの非内在性及び内在性化合物が挙げられている。さらに、クエン酸回路のような通常の代謝回路の中間体であるフマル酸及びピルビン酸などは代謝活性のイメージングに好ましい造影剤であるとも記載されている。
ここで強調しておくが、過分極造影剤の信号は、緩和並びに患者への投与時の希釈によって減衰する。そのため、生体液(例えば血液)中での造影剤のT値は、造影剤が高度に過分極した状態で患者体内の標的部位に分布できるように、十分に高くなければならない。
国際公開第99/01162号パンフレット 国際公開第2004/054623号パンフレット 国際公開第99/35508号パンフレット Hu et al. Magn. Res. in Medicine 46, (2001), 884−890
今回、出願人は過分極13C−ピルビン酸塩が心筋組織のバイアビリティの評価のための造影剤として使用できるという予想外の知見を得た。様々なピルビン酸代謝物で得られるMR信号の振幅は心筋組織の代謝状態に応じて変化する。そのため、これらの代謝物で形成される特有の代謝ピークパターンを被検心臓組織の代謝状態のフィンガープリントとして使用でき、生存及び非生存心筋組織を識別することができる。こうして過分極13C−ピルビン酸塩は心筋組織のバイアビリティの評価(例えば心筋虚血又は心臓発作後の「危険にさらされている組織」の特定)のためのインビボMRイメージング用の優れた物質となる。こうした灌流評価又は壊死心筋組織の特定を凌ぐ情報は、医師にとって心筋のそれ以上の損傷を予防するため患者に適切な治療を開始するために重要である。
そこで、第一の態様では、本発明は過分極13C−ピルビン酸塩を造影剤として用いて心筋組織のバイアビリティを評価するためのMRイメージング法を提供する。
13C−ピルビン酸塩は優れた安全性プロフィールを有していて、内在性化合物であるために人体で十分な耐容性を示す。本発明の方法で過分極13C−ピルビン酸塩を用いると、投与からMRイメージング操作まで間隔を遅らせる必要がないので、すぐに結果を得ることができる。これは患者を可及的速やかに治療することができ、生存及び回復の可能性が高まることを意味する。本発明の方法では負荷法は必要なく、これは患者にとって追加の利点である。
NMR活性13C−核種の過分極は様々な方法(例えば国際公開第99/35508号に記載の方法など)で達成することができるが、好ましい方法は希ガスからの分極移動、「ブルートフォース(brute force)」、スピン凍結、パラ水素化法及びDNPである。過分極13C−ピルビン酸を得るには、13C−ピルビン酸塩を直接分極するか、或いは13C−ピルビン酸を分極し、例えば塩基での中和によって分極13C−ピルビン酸を13C−ピルビン酸塩に変換するのが好ましい。
過分極13C−ピルビン酸塩を得る好ましい方法の一つは、過分極希ガスからの分極移動である。ゼロ以外の核スピンをもつ希ガスは過分極させることができ、例えば円偏光の使用によってその分極を平衡分極を超えるように高めることができる。過分極希ガス、好ましくはHe又は129Xe或いはかかるガスの混合物を用いて13C−核種の過分極を行うことができる。過分極は、同位体濃縮過分極希ガス、好ましくはHe又は129Xeを用いることによっても達成し得る。過分極ガスは気相として存在してもよいし、液体/溶媒に溶解してもよいし、或いは過分極ガス自体が溶媒として作用するものでもよい。別法として、ガスを冷却固体表面で凝縮させ、その形態で使用してもよいし、或いは昇華させてもよい。過分極ガスと分極すべき化合物とを均質に混合するのが好ましい。そこで、室温で液体である13C−ピルビン酸を分極させる場合、過分極ガスは好ましくは液体/溶媒中に溶解するか或いは溶媒として作用させる。13Cピルビン酸塩を分極させる場合、好ましくはピルビン酸も溶解する液体/溶媒中に過分極ガスを溶解する。
過分極13C−ピルビン酸塩を得るための別の好ましい方法は、極低温及び高磁場での熱力学的平衡によってNMR活性核種を分極させることである。過分極は、NMR分光計の作動磁場及び温度に比べて極高磁場及び極低温(ブルートフォース)の使用によって達成される。用いる磁場強度はできるだけ高くすべきであり、好適には1T超、好ましくは5T超、さらに好ましくは15T以上とし、特に好ましくは20T以上とする。温度は極めて低くすべきであり、例えば、4.2K以下、好ましくは1.5K以下、さらに好ましくは1.0K以下、特に好ましくは100mK以下とする。
過分極13C−ピルビン酸塩を得るための別の好ましい方法は、スピン凍結法である。この方法には、スピン凍結分極による固体化合物又は系のスピン分極がある。この系は、3次以上の対称軸をもつ結晶形のNi2+、ランタニド又はアクチニドイオンのような適当な常磁性剤でドープ又は均質混合される。機器は、共鳴励起磁場を印加しないので、均一磁場の必要がなく、DNPに要する機器よりも簡単である。このプロセスは、磁場の方向と垂直な軸の周りに試料を物理的に回転させることによって実施される。この方法の前提条件は、常磁性種が高い異方性g因子をもつことである。試料の回転の結果、電子常磁性共鳴が核スピンと接触し、核スピン温度が低下する。試料の回転は核スピン分極が新たな平衡に達するまで行われる。
さらに好ましい実施形態では、過分極13C−ピルビン酸塩を得るのにDNP(動的核分極)法を用いる。分極は、常磁性剤又はDNP剤と呼ばれる常磁性化合物によって実施される。DNPプロセスでは、エネルギーを通常はマイクロ波放射線の形態で与え、これによって最初に常磁性剤を励起させる。基底状態に減衰する際に、常磁性剤の不対電子から試料のNMR活性核種への分極の移動が起こる。一般に、DNPプロセスでは極低温で中程度又は高い磁場が用いられ、例えば液体ヘリウム中約1T以上の磁場でDNPプロセスを実施できる。別法として、十分な分極の増強が達成される温度及び中程度の磁場を使用してもよい。DNP技術は例えば国際公開第98/58272号及び同第01/96895号に記載されており、それらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。DNP法で過分極13C−ピルビン酸塩を得るに当たり、分極すべき化合物として13C−ピルビン酸塩及び/又は13C−ピルビン酸のいずれを用いてもよい。
13C−ピルビン酸及び/又は13C−ピルビン酸塩を用いるか否かは、主にDNPプロセスで用いる常磁性剤に依存する。常磁性剤が13C−ピルビン酸中に可溶性であれば、好ましくは13C−ピルビン酸を使用して、常磁性剤と13C−ピルビン酸によって液体混合物、好ましくは液体溶液を形成する。常磁性剤が13C−ピルビン酸中に不溶性であれば、13C−ピルビン酸塩及び/又は13C−ピルビン酸と1種以上の共溶媒を用いて液体混合物、好ましくは液体溶液を形成する。DNPの成否及び分極レベルが、分極すべき化合物と常磁性剤とを互いに緊密に接触できるかによって左右されることが判明している。そこで、共溶媒は好ましくは13C−ピルビン酸及び/又は13C−ピルビン酸塩と常磁性剤との双方を溶解する共溶媒又は共溶媒混合物である。13C−ピルビン酸塩には、好ましくは水が共溶媒として用いられる。
さらに、冷却/凍結したときに試料混合物が結晶化試料ではなくガラスを形成すると、DNP法によって達成される分極レベルが高まることが判明した。また、ガラスの形成は、分極すべき化合物と常磁性剤とをさらに緊密に接触させることができる。13C−ピルビン酸は良好なガラス形成体であるので、常磁性剤が13C−ピルビン酸中に可溶性であれば常に、DNPプロセスに用いるのが好ましい。13C−ピルビン酸塩は塩であって13C−ピルビン酸塩と常磁性剤との水溶液の液体混合物であり、凍結すると結晶化試料を生じる。これを防ぐため、グリセロール、プロパンジオール又はグリコールのような良好なガラス形成体である追加の共溶媒を添加するのが好ましい。
そこで一実施形態では、13C−ピルビン酸塩を水に溶解して水溶液を得て、常磁性剤、グリセロール及び適宜追加の共溶媒を添加して液体混合物を形成する。好ましい実施形態では、13C−ピルビン酸と常磁性剤と共溶媒を混合して液体混合物を形成する。最も好ましい実施形態では、13C−ピルビン酸と常磁性剤を混合して液体混合物を形成する。化合物の均質混合は、攪拌、ボルテックス又は音波処理等のような当技術分野で公知の幾つかの手段で達成できる。
次に液体混合物を凍結してからDNPプロセスを実施する。液体混合物の冷却/凍結は、例えば液体混合物を液体窒素中で凍結させるか、或いは単に分極装置に入れて液体ヘリウムで試料を凍結させるなど、当技術分野で公知の方法で実施し得る。
上述の通り、動的核分極(DNP)は分極すべき化合物の分極をDNP剤、つまり常磁性剤/化合物で行う分極法である。
公知の数多くの常磁性化合物、例えばクロム(V)イオンのような遷移金属、ニトロキシドラジカル、トリチルラジカルのような有機フリーラジカル又は磁性微粒子がDNP剤として使用できる。かかるDNP剤は例えば国際公開第99/35508号、同第88/10419号、同第90/00904号、同第91/12024号、同第93/02711号又は同第96/39367号に記載されている。
好ましい実施形態では、DNP法で13C−ピルビン酸塩を得るのに、式(I)のトリチルラジカルを常磁性剤として用いる。
式中、Mは水素又は1当量のカチオンであり、R1は同一又は異なるもので、直鎖又は枝分れC−Cアルキル基(適宜ヒドロキシル化されていてもよい。)又は?(CH−X−R2基である(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC−Cアルキル基(適宜ヒドロキシル化されていてもよい。)である)。
好ましい実施形態では、Mは水素又は1当量の生理学的に許容されるカチオンである。「生理学的に許容されるカチオン」という用語はヒト又はヒト以外の動物の生体で耐容性を示すカチオンを意味する。好ましくは、Mは水素又はアルカリカチオン、アンモニウムイオン或いはメグルミンのような有機アミンイオンである。最も好ましくは、Mは水素又はナトリウムである。
別の好ましい実施形態では、R1は同一又は異なるもの、好ましくは同一のものであり、直鎖又は枝分れC−Cアルキル基(適宜ヒドロキシル化されていてもよい。)であり、最も好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチルである。
別の好ましい実施形態では、R1は同一又は異なるもの、好ましくは同一のものであり、−CH−O−(C−Cアルキル)、−(CH−O−CH、−(C−Cアルキル)−O−CH、−CH−S−(C−Cアルキル)、−(CH−S−CH、−(C−Cアルキル)−S−CH、−CH−O−CH、−CH−O−C、−CH−O−COH、−CH−CH−O−CH、−CH−S−CH、−CH−S−C、−CH−S−COH又は−CH−CH−S−CHであり、最も好ましくは−CH−CH−O−CHである。
さらに好ましい実施形態では、Mは水素又はナトリウムであり、R1は同一であって−CH−CH−O−CHである。
式(I)のトリチルラジカルは国際公開第91/12024号、同第96/39367号、同第97/09633号及び同第98/39277号に詳細に記載されている通り合成できる。簡潔に述べると、このラジカルを合成するには1モル当量の金属化単量体アリール化合物を1モル当量の適当な保護カルボン酸誘導体と反応させて三量体中間体を生成させればよい。この中間体を金属化した後、例えば二酸化炭素と反応させてトリカルボキシルトリチルカルビノールを生成させ、これを追加の工程で強酸で処理してトリアリールメチルカチオンを生成させる。このカチオンを還元すれば安定なトリチルラジカルが形成される。
13C−ピルビン酸塩及び/又は13C−ピルビン酸と適宜溶媒を含む液体混合物は式(I)のトリチルラジカルを、好ましくは5〜100mM、さらに好ましくは10〜20mM、特に好ましくは12〜18mM、最も好ましくは13〜17mM含有する。DNPプロセスにおける分極の増強時間はラジカル量を増すと短縮するが、達成可能な分極レベルが低下することが判明している。そこで、これら2つの効果を互いに調和しなければならない。
DNP技術は例えば国際公開第98/58272号及び同第01/96895号に記載されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。一般に、DNPプロセスでは極低温で中程度又は高い磁場を利用でき、例えば液体ヘリウム中約1T以上の磁場でDNPプロセスを実施できる。別法として、中程度の磁場及び十分な分極の増強が達成される温度を用いてもよい。本発明の方法の好ましい実施形態では、DNPプロセスは液体ヘリウムと約1T以上の磁場中で実施される。好適な分極装置は例えば国際公開第02/37132号に記載されている。好ましい実施形態では、分極装置はクライオスタットと分極手段(例えば、超伝導磁石のような磁場発生手段で囲繞された中央ボア内のマイクロ波源と導波管で接続したマイクロ波チャンバー)を備える。ボアは垂直方向下方に少なくとも超伝導磁石近傍の、磁場強度が13C核の分極を起こすのに十分に高い(例えば1〜25T)P領域まで延在している。試料ボアは好ましくは密閉可能で、例えば1mbar以下のオーダーの低圧まで脱気できる。試料(つまり常磁性剤と13C−ピルビン酸塩及び/又は13C−ピルビン酸とを含む混合物)の導入手段、例えば着脱可能な試料輸送管はボア内に収容でき、この管をボアの上からマイクロ波チャンバー内のP領域の位置まで挿入すればよい。P領域は液体ヘリウムで分極を起こすのに十分な低温、好ましくは0.1〜100K、さらに好ましくは0.5〜10K、最も好ましくは1〜5Kの温度に冷却する。試料導入手段は、ボア内で部分真空を維持できるように好ましくはその上端で適切に密閉できる。試料導入手段内部の下端に試料保持カップのような試料保持容器を着脱可能に設けてもよい。試料保持容器は好ましくは比熱容量が低く極低温特性に優れるKelF(ポリクロロトリフルオロエチレン)又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような軽量材料からなる。試料容器は分極すべき1以上の試料を保持してもよい。
試料を試料保持容器に入れて液体ヘリウムに浸漬し、マイクロ波、好ましくは周波数約94GHzのものを200mWで照射する。マイクロ波照射の間に、試料の固相13C−NMR信号を得ることによって分極レベルをモニターしてもよく、例えばステップb)で固相13C−NMRスペクトルを得るため分極ユニット収容手段を用いるのが好ましい。一般に、13C−NMR信号と時間との関係を示すグラフで飽和曲線が得られる。そこで、何時至適分極レベルに達したかを求めることができる。
DNP法のように試料が固相であることが必要とされる方法で過分極を実施する場合、固体試料を本発明の方法で使用する液体状態へと移行しなければならない。固体分極混合物を、例えば国際公開第02/37132号に記載のように溶解するか、或いは国際公開第02/36005号に記載のように溶融する。液体組成物を得るには、固体過分極試料の溶解が好ましく、さらに好ましくは緩衝液、好ましくは生理学的に許容される緩衝液に溶解する。本願明細書において「緩衝液」という用語には、1種以上の緩衝液、つまり複数の緩衝液の混合物も包含される。
好適な緩衝剤は生理学的に許容される緩衝剤であり、さらに好ましくは約pH7〜8に緩衝域を有する緩衝剤、例えばリン酸緩衝剤(KHPO/NaHPO)、ACES、PIPES、イミダゾール/HCl、BES、MOPS、HEPES、TES、TRIS、HEPPS又はTRICINである。さらに好適な緩衝剤はリン酸緩衝剤及びTRISであり、TRISが最も好ましい。別の実施形態では、上述の好ましい緩衝剤の2種以上、つまり緩衝剤混合物を用いる。
13C−ピルビン酸を分極すべき化合物として用いる場合、溶解は13C−ピルビン酸の13C−ピルビン酸塩への変換も含む。これを達成するため、13C−ピルビン酸を塩基と反応させる。一実施形態では、13C−ピルビン酸を塩基と反応させて13C−ピルビン酸塩に変換した後で緩衝剤を添加する。別の好ましい実施形態では、緩衝剤と塩基を溶液中で混合し、この溶液を13C−ピルビン酸に添加し、溶解すると同時に13C−ピルビン酸塩に変換する。好ましい実施形態では、塩基はNaOH、NaCO又はNaHCOの水溶液であり、最も好ましい塩基はNaOHである。特に好ましい実施形態では、NaOHを含有するTRIS緩衝液を用いて13C−ピルビン酸を溶解し、13C−ピルビン酸のナトリウム塩に変換する。
別の好ましい実施形態では、緩衝液又は(適宜)緩衝剤/塩基混合溶液は、例えばDTPAやEDTAなどのキレート剤のように、遊離常磁性イオンと結合又は錯形成し得る1種以上の化合物をさらに含む。遊離常磁性イオンが過分極化合物のTを短縮しかねないことが判明しているが、これは避けるのが好ましい。
溶解は好ましくは国際公開第02/37132号に記載の方法及び/又は装置を用いて実施し得る。過分極をDNP法で実施する場合、使用し得る溶解装置は分極装置とは物理的に分離したものでも、分極装置と溶解装置とを備えた装置の一部であってもよい。好ましい実施形態では、溶解は、緩和を改善するとともに最大過分極を維持するため高い磁場で実施する。磁場のノードは避けるべきであり、低磁場では上述の方法でも緩和を促進しかねない。
DNP法で過分極を実施する場合、常磁性剤及び/又はその反応生成物は好ましくは13C−ピルビン酸塩含有溶液から除去する。常磁性剤及び/又は反応生成物は部分的、実質的又は理想的には完全に除去すればよいが、完全に除去するのが好ましい。例えば式(I)のトリチルラジカルの反応生成物としては、ピルビン酸とヒドロキシル基を有する式(I)との反応で形成し得るエステルがある。常磁性剤及び/又はその反応生成物を除去するのに有用な方法は当技術分野で公知である。一般に、応用可能な方法は常磁性剤及び/又はその反応生成物の性状に応じて決まる。分極後に固体試料を溶解すると、ラジカルが沈殿して液体組成物から濾過で簡単に分離できることがある。磁性微粒子を常磁性剤として用いる場合、こうした粒子も濾過で簡単に除去できる。沈殿が起こらない場合、常磁性剤はクロマトグラフィー分離法(例えば逆相又はイオン交換クロマトグラフィーのような液相クロマトグラフィー)又は抽出によって除去し得る。
式(I)のトリチルラジカルは特徴的なUV/可視光吸収スペクトルを有しているので、除去後の液体組成物中でのその存在を確認する方法としてUV/可視吸収測定を用いることができる。定量的結果(つまり溶解過分極試料中に存在するラジカルの濃度)を得るため、分光計は試料の特定波長での吸収から試料中の対応ラジカル濃度が得られるように較正してもよい。
本発明の方法で用いられる13C−ピルビン酸塩及び/又はDNP法で過分極13C−ピルビン酸を得るのに好ましく用いられる13C−ピルビン酸の同位体濃縮は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であり、90%を超える同位体濃縮が最も好ましい。理想的には濃縮は100%である。13C−ピルビン酸及び/又は13C−ピルビン酸塩はC1位(以下、13−ピルビン酸及び13−ピルビン酸塩と表す。)、C2位(以下、13−ピルビン酸及び13−ピルビン酸塩と表す。)、C3位(以下、13−ピルビン酸及び13−ピルビン酸塩と表す。)、C1位とC2位(以下、131,2−ピルビン酸及び131,2−ピルビン酸塩と表す。)、C1位とC3位(以下、131,3−ピルビン酸及び131,3−ピルビン酸塩と表す。)、C2位とC3位(以下、132,3−ピルビン酸及び132,3−ピルビン酸塩と表す。)又はC1位とC2位とC3位(以下、131,2,3−ピルビン酸及び131,2,3−ピルビン酸塩と表す。)で同位体濃縮し得るが、C1位が好ましい同位体濃縮部位である。
13−ピルビン酸及び13−ピルビン酸塩の合成方法は当技術分野で幾つか公知である。簡潔に述べると、Seebachet al., Journal of Organic Chemistry 40(2), 1975, 231−237には、S,S−アセタール(例えば1,3−ジチアン又は2−メチル−1,3−ジチアン)のようなカルボニル含有出発物質の保護及び活性化に依拠した合成経路が記載されている。ジチアンを金属化して、メチル含有化合物及び/又は13COと反応させる。この文献に概説されている通り適当な同位体濃縮13C成分を用いることによって、13−ピルビン酸塩、13−ピルビン酸塩又は13−ピルビン酸塩を得ることができる。カルボニル官能基を次いで上記文献に記載された従来法で遊離させる。別の合成経路は酢酸を出発物質とするもので、酢酸をまず臭化アセチルに変換してからCu13CNと反応させる。得られたニトリルをアミドを介してピルビン酸へと変換する(例えばS.H. Anker et al., J.Biol.Chem.176 (1948), 1333又はJ.E.Thirkettle, Chem Commun.(1997), 1025参照)。13C−ピルビン酸は、さらに、市販の13C−ピルビン酸ナトリウム塩を例えば米国特許第6232497号に記載の方法でプロトン化することによって得ることもできる。
本発明の方法で使用するため、過分極13C−ピルビン酸塩はヒト又はヒト以外の動物の生体への投与に適した組成物として用意される。組成物は好ましくは上述の緩衝剤又は衝剤混合物を含む。組成物は慣用の薬学的に許容される担体、賦形剤及び製剤化補助剤をさらに含んでいてもよい。そこで、組成物は例えば安定剤、浸透圧調整剤、可溶化剤などを含んでいてもよい。
ピルビン酸塩は高濃度でも人体で十分な耐容性を示す内在性化合物である。クエン酸回路の前駆体として、ピルビン酸塩は人体で代謝上重要な役割を果たす。ピルビン酸塩は様々な化合物に変換され、そのアミノ基転移によってアラニンを生じ、酸化的脱炭酸によってピルビン酸塩はアセチル−CoAと重炭酸塩と変換され、ピルビン酸の還元によって乳酸塩を生じ、そのカルボキシル化によってオキサロ酢酸を生じる。
今回、過分極13C−ピルビン酸塩からの過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩(13−ピルビン酸、131,2−ピルビン酸又は131,2,3−ピルビン酸のみ)及び過分極13C−アラニンへの変換を用いて、インビボMRイメージングによる生存心筋組織と壊死心筋組織とを識別できることが判明した。これは、過分極化合物のTが緩和及び希釈によって減衰することに鑑みれば、予想外の知見である。13C−ピルビン酸塩は37℃のヒト全血中で約42秒でのT緩和を有するが、過分極13C−ピルビン酸塩からの過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンへの変換は十分に速く、13C−ピルビン酸親化合物とその代謝物からの信号を検出できることが判明した。アラニン、重炭酸塩及び乳酸塩の量は、被検心筋組織の代謝状態によって左右される。過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンのMR信号強度はこれらの化合物の量及び検出時の残留分極度に関係するので、過分極13C−ピルビン酸塩からの過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンへの変換をモニターすることによって、非侵襲的MRイメージングを用いたヒト又はヒト以外の動物の心臓組織における代謝プロセスをインビボで調べることができる。
以下、「過分極13C−ピルビン酸塩」と「13C−ピルビン酸塩」と「ピルビン酸塩」という用語は互換的に用いる。「過分極13C−乳酸塩」と「13C−乳酸塩」と「乳酸塩」、「過分極13C−アラニン」と「13C−アラニン」と「アラニン」、「過分極13C−重炭酸塩」と「13C−重炭酸塩」と「重炭酸塩」並びに「過分極13C−代謝物」と「13C−代謝物」と「代謝物」という用語についても同様である。
様々なピルビン酸代謝物のMR信号振幅が心筋組織の代謝状態に応じて変化することが判明した。そこで、アラニン、乳酸塩、重炭酸塩及びピルビン酸塩で形成される特有の代謝ピークパターンを被検心臓組織の代謝状態のフィンガープリントとして使用でき、生存、壊死及び危険な心筋組織を識別することができる。こうして過分極13C−ピルビン酸塩含有組成物は心筋組織のバイアビリティの評価のためのインビボMRイメージング用の優れた物質となる。心筋組織のバイアビリティの決定が心筋虚血又は心臓発作後に重要であることはいうまでもないが、心筋組織の損傷を生じかねない糖尿病及びメタボリック症候群などの患者においても重要である。
冠動脈疾患(CAD)は安定狭心症から突然死に至る様々な臨床症状を呈するので、細胞のバイアビリティ状態を知ることのできる診断法があればすぐにでも有用となる。正常生存細胞と壊死細胞という2つの最も「極端」な状態の中間に、細胞レベルで多種多様な状態が虚血心筋組織に存在しており、上述の様々な臨床症状として現れる。「危険にさらされた心筋組織」ともいう虚血心筋組織、つまり虚血を処置せずに放置しておくと壊死してしまう組織においてこうした様々な状態を特定することは、壊死を防ぐための適切な治療を行うために重要である。
虚血心臓の二つの異なるがいずれも重篤な状態は冬眠とスタニング(気絶心筋)である。冬眠は心筋血流が低下し、心機能も同様に低下する慢性虚血状態である。心筋細胞は通常ほとんどは脂肪酸を酸化する。冬眠細胞ではグルコース吸収の増加が起こり(FDG−PET研究から公知)、これはピルビン酸塩がこれらの細胞の好ましい基質であることを示唆している。一方、気絶心筋は血流は正常であるが機能の低下した急性虚血(例えば大きな冠動脈閉塞)である。これは、比較的低い代謝活性のため乳酸塩の低下をもたらすはずである。本発明の方法を用いることによって、低い13C−重炭酸塩及び/又は高い13C−乳酸塩信号に基づいて危険な心筋組織を特定できることが判明した。
虚血は程度の種々異なる心筋機能障害を生じるが、重篤で長引くと細胞の壊死をもたらす。後者の場合、細胞が死んで代謝は全く起こらなくなり、例えば過分極13C−ピルビン酸塩を投与しても、その信号だけが得られて、13C−スペクトル及び/又は画像には代謝物からの信号は存在しないと予測される。
一般に、患者又は動物のような検査すべき被検体をMR磁石内に置く。専用13C−MR RFコイルを目的領域をカバーできるように配置される。
13C−ピルビン酸塩と1種以上の従来の医薬容担体、賦形剤及び/又は添加剤とを含む造影媒体を非経口的、好ましくは静脈内又は動脈内に投与する。例えば冠動脈内に挿入したカテーテルを介して造影媒体を注入することによって、心臓に直接投与することも可能である。造影媒体の用量及び濃度は毒性及び投与経路のような様々な因子に応じて決まる。一般に、造影媒体は体重1kg当たりピルビン酸塩1mmol以下、好ましくは0.01〜0.5mmol/kg、さらに好ましくは0.1〜0.3mmol/kgの濃度で投与される。投与速度は好ましくは10ml/秒未満、さらに好ましくは6ml/分未満、最も好ましくは5ml/秒〜0.1ml/秒である。投与後400秒未満、好ましくは120秒未満、さらに好ましくは投与後60秒未満、特に好ましくは投与後20〜50秒、最も好ましくは投与後30〜40秒に、関心ボリュームをエンコードするMRイメージングシーケンスを周波数及び空間選択的な方法で適用する。これによって、13C−乳酸塩、13C−アラニン及び13C−ピルビン酸塩の代謝画像、さらに好ましくは13C−乳酸塩、13C−アラニン、13C−重炭酸塩及び13C−ピルビン酸塩の代謝画像が得られる。
関心ボリュームのエンコード法は例えばT. R. Brown et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79, 3523−3526 (1982); A.A. Maudsley, et al., J. Magn. Res 51, 147−152 (1983)に記載のいわゆる分光イメージングシーケンスによって達成できる。分光画像データは多数のボリューム要素を含んでおり、各要素は完全な13C−MRスペクトルを含んでいる。13C−ピルビン酸塩とその13C−代謝物はすべて13C−MRスペクトルでそれらに固有の位置を有しており、それらの共鳴周波数を用いて各々を特定することができる。共鳴周波数でのピークの積分値は13C−ピルビン酸塩とその13C−代謝物の各々の量に直接関係する。13C−ピルビン酸塩と各13C−代謝物の量を例えばL. Vanhamme et al., J Magn Reson 129, 35−43 (1997)に記載の通り時間領域フィッティング法を用いて推定する場合、13C−ピルビン酸塩と各13C−代謝物について画像を生成でき、カラー又はグレイコードで13C−ピルビン酸と各13C−代謝物の測定量が表される。
分光イメージング法はH、31P、23Naなどのあらゆる種類のMR核種を用いて代謝画像を生成できるという点で貴重であるが、分光画像を完全にエンコードするのに要する反復量のため、この方法は過分極13Cにはあまり適さない。全MRデータが取得されるまでの間、過分極13C信号が確実に入手できるよう注意を払わなければならない。これは、信号対雑音比の低下を代償として、すべての位相エンコードステップで適用するRF−パルス角を低下させることによって達成することができる。マトリックスサイズを高めるには、位相エンコードステップを追加し、スキャン時間を延ばす必要がある。
データ取得時のリードアウト勾配の適用について示唆したP.C. Lauterbur (Nature, 242, 190−191, (1973) and P. Mansfield (J.Phys.C.6, L422−L426 (1973))の先駆的研究に基づくイメージング法では、信号対雑音比の高い画像或いはSN比は同等で空間分解能の高い画像を得ることができる。しかし、これらのイメージング法はその基本形では、13C−ピルビン酸塩とその13C−代謝物の画像を別々に生成することはできず、13C−ピルビン酸とその全13C−代謝物の信号を含む画像が得られるにすぎない。換言すれば、特定の代謝物の識別は不可能である。
好ましい実施形態では、周波数情報をコードするためにマルチエコーを用いたイメージングシーケンスを用いる。水と脂肪の別個のH−画像を生成できるシーケンスは、例えばG.Glover, J Magn Reson Imaging 1991;1:521?530及びS.B.Reeder et al., MRM 51 35−45 (2004)に記載されている。検出すべき代謝物及びそれらのMR周波数自体が知られているので、これらの文献に記載の方法を用いれば13C−ピルビン酸塩と13C−アラニンと13C−乳酸塩、好ましくは13C−ピルビン酸塩と13C−アラニンと13C−乳酸塩と13C−重炭酸塩の画像を直接取得することができる。この方法では、過分極13C−MR信号を効率的に利用でき、分光イメージングよりも良質な信号が得られ、空間分解能が高く取得時間が速い。
上述の通り、生存心臓組織は代謝活性が高いことを特徴とする。虚血、つまり組織への血流が低下したときは、細胞への酸素供給が不充分となり、細胞レベルでの代謝プロセスが低下する。驚くべきことに、過分極13C−ピルビン酸塩を用いるとこうした代謝の変化を短いMRイメージング時間で可視化することができる。心筋組織において各細胞の代謝状態に応じて左右される13C−乳酸塩及び13C−重炭酸塩信号の特に顕著な変化によって、心筋細胞のバイアビリティの評価が可能となる。
そこで、好ましい実施形態では、本発明に係る方法は
(a)過分極13C−ピルビン酸を含む造影媒体を予め投与しておいた被検体から13C−ピルビン酸塩とその13C含有代謝物であるアラニン、乳酸塩及び適宜重炭酸塩の直接13C−MR画像を取得し、
(b)適宜、ある代謝物の13C信号を検出した他の代謝物の13C信号と相関させて2種、好ましくは3種、最も好ましくは4種の13C代謝物の信号強度の差に基づいてコントラストを得る
ことを含んでなり、13C画像中の危険な心筋組織は最低の13C−重炭酸塩信号及び/又は最高の13C−乳酸塩信号によって示唆される。
そこで、別の好ましい実施形態では、本発明に係る方法は
(a)過分極13C−ピルビン酸を含む造影媒体を予め投与しておいた被検体から13C−ピルビン酸塩とその13C含有代謝物であるアラニン、乳酸塩及び適宜重炭酸塩の直接13C−MR画像を取得し、
(b)2種、好ましくは3種、最も好ましくは4種の13C代謝物の信号強度差に基づいてコントラストを得るために、代謝物の13C信号を他の検出された任意の代謝物の13C信号と適宜相関させ、
(c)最低の13C−重炭酸塩信号及び/又は最高の13C−乳酸塩信号を特定することによって、画像中の危険な心筋組織を特定する
ことを含む。
ピルビン酸塩信号を補正するため、代謝物(乳酸塩、アラニン及び重炭酸塩)画像及びピルビン酸画像を各画像中の最大値に正規化する。次に、正規化した乳酸塩画像に、反転ピルビン酸塩画像、例えば各ピクセルについて画像中の最大ピルビン酸信号からピルビン酸レベルを差し引いたものを乗じる。最後のステップとして、上記操作で得た中間結果を元の乳酸塩画像に乗じる。
例えば、重炭酸塩信号を補正するため、乳酸塩及び重炭酸塩の画像の双方を各画像中で最大となるように正規化する。次に、正規化乳酸塩画像に、反転重炭酸塩画像、例えば各ピクセルについて画像中の最大重炭酸塩信号から重炭酸塩レベルを差し引いたものを乗じる。最後のステップとして、上記操作で得た中間結果を元の乳酸塩画像に乗じる。同様に、アラニン信号も分析に含めることができ、低い重炭酸塩信号と併せてアラニン信号に変化がないという所見を心筋組織が危険であることの指標として使用できる。
代謝の変化した領域を強調するため、増加した代謝物信号と減少した代謝物信号との組合せを同様の操作に用いれば、重み付け代謝物画像が得られる。驚くべきことに、この補正によっても、心筋組織のバイアビリティの評価、つまり生存、損傷及び壊死心筋組織の識別性が改善される。
解剖学的及び/又は灌流情報を本発明の方法に係る心筋組織バイアビリティの評価に含めてもよい。解剖学的情報は例えば好適な造影剤を使用し又は使用せずにプロトン又は13C−MR画像を取得することによって得ることができる。心筋における相対的灌流は例えばOmniscan(商標)のようなMR造影剤を用いることによって決定できる。同様に、造影剤を投与せずに灌流を測定するMRイメージング技術も当技術分野で公知である。好ましい実施形態では、非代謝過分極13C−造影剤を用いて灌流量を求める。適当な技術及び造影剤は例えば国際公開第02/23209号に記載されている。さらに好ましい実施形態では、過分極13C−ピルビン酸塩を灌流量の定量に用いる。
別の好ましい実施形態では、動的研究が行えるように、過分極13C−ピルビン酸塩を含む造影媒体を繰返し投与する。これは、用量が高く心毒性を呈するマンガン系試薬を用いる他のMR心臓イメージング法に比べ、本発明の方法の追加の利点である。ピルビン酸塩の低毒性とその好適な安全性プロフィールのため、この化合物の反復投与は患者で十分な耐容性を示す。
本発明の方法で得られる結果から、医師は検査中の患者に適した治療を選択できる。別の好ましい実施形態では、本発明の方法は治療の成否を調べるために用いられる。
ピルビン酸塩が変力作用をもつことも報告されている。かかる化合物は、酸素フリーラジカルが関与すると考えられている気絶心筋の場合に診断剤としてだけでなく同時に治療剤としても用いることができる。
別の態様では、本発明は、細胞のバイアビリティを評価するためのMRイメージング法に用いられる造影媒体の製造における、過分極13C−ピルビン酸塩の使用を提供する。
造影剤として過分極13C含有する造影媒体の製造については、本願原文明細書の第11頁〜第14頁に詳細に記載されている。
別の態様では、本発明はMRイメージング法で用いられる造影剤用の過分極13C−ピルビン酸の製造における、13C−ピルビン酸又は13C−ピルビン酸塩の使用を提供する。
13C−ピルビン酸又は13C−ピルビン酸塩からの過分極13C−ピルビン酸の製造とその好ましい実施形態は本願原文明細書の第5頁〜第11頁に詳細に記載されている。
好ましい実施形態では、本発明はMRイメージング方法で用いられる造影媒体の製造における過分極13C−ピルビン酸塩の使用であって、当該方法が、
(a)過分極13C−ピルビン酸を含む造影媒体を予め投与しておいた被検体から13C−ピルビン酸塩とその13C含有代謝物であるアラニン、乳酸塩及び適宜重炭酸塩の直接13C−MR画像を取得し、
(b)適宜、ある代謝物の13C信号を検出した他の代謝物の13C信号と相関させて2種、好ましくは3種、最も好ましくは4種の13C代謝物の信号強度の差に基づいてコントラストを得る
ことを含む、使用を提供する。
別の好ましい実施形態では、本発明はMRイメージング方法で用いられる造影剤用の過分極13C−ピルビン酸の製造における13C−ピルビン酸又は13C−ピルビン酸塩の使用であって、当該方法が、
(a)過分極13C−ピルビン酸を含む造影媒体を予め投与しておいた被検体から13C−ピルビン酸塩とその13C含有代謝物であるアラニン、乳酸塩及び適宜重炭酸塩の直接13C−MR画像を取得し、
(b)適宜、ある代謝物の13C信号を検出した他の代謝物の13C信号と相関させて2種、好ましくは3種、最も好ましくは4種の13C代謝物の信号強度の差に基づいてコントラストを得る
ことを含む、使用を提供する。
上述の方法及びその好ましい実施形態については本願原文明細書の第17頁〜第20頁に詳細に記載されている。
実施例1: トリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−(テトラ(メトキシエチル)ベンゾ−[1,2−4,5′]ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩の合成
国際公開第98/39277号の実施例7に記載の方法で合成した10g(70mmol)トリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−(テトラ(ヒドロキシエチル)ベンゾ−[1,2−4,5′]−ビス−(1,3)−ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩をアルゴン雰囲気中280mlのジメチルアセトアミドに懸濁した。水素化ナトリウム(2.75g)、次いでヨウ化メチル(5.2ml)を添加し、幾分発熱性の反応を34°Cの水浴内で1時間進行させた。水素化ナトリウムとヨウ化メチルの添加を各化合物について同量で2回繰り返した後、混合物を室温で68時間撹拌してから、500mlの水中に注いだ。40mlの1M NaOH(aq)でpH>13にpHを調節し、混合物を室温で15時間撹拌することによって、生成したメチルエステルを加水分解した。次いで2M HCl(水溶液)50mlで混合物をpH約2に酸性化し、酢酸エチル(500ml及び2×200ml)で3回抽出した。有機相を一つにまとめてNaSO上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物(24g)をアセトニトリル/水を溶媒として用いた分取用HPLCで精製した。回収した画分を蒸発させてアセトニトリルを除去した。残った水相を酢酸エチルで抽出し、有機相をNaSO上で乾燥させ、蒸発乾固した。残渣に水(200ml)を添加し、0.1M NaOH(aq)でpHを慎重に7に調節したが、その過程で残渣がゆっくりと溶解した。中和後、水溶液を凍結乾燥した。
実施例2: 13 C−ピルビン酸と実施例1のトリチルラジカルを用いたDNP法での過分極 13 C−ピルビン酸塩含有組成物の製造
実施例1のラジカル5.0mgを13−ピルビン酸(164μl)に溶解して20mM溶液を調製した。試料を均質に混合し、溶液のアリコート(41mg)を試料カップに入れてDNP分極装置に挿入した。
マイクロ波(93.950GHz)照射下、3.35Tの磁場、1.2KのDNP条件下で試料を分極した。2時間後に分極を中止し、試料を国際公開第02/37132号記載の溶解装置を用いて水酸化ナトリウムとトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(TRIS)の溶液中に溶解し、過分極13−ピルビン酸ナトリウムの中和溶液を得た。溶解試料を13C−NMRで迅速に分析して分極の程度を求めたところ、19.0%の13C分極という結果を得た。
実施例3: 13 C−ピルビン酸と実施例1のトリチルラジカルを用いたDNP法での過分極 13 C−ピルビン酸塩含有組成物の製造
実施例1のラジカル(209.1mg)を13−ピルビン酸(553mg)と非標識ピルビン酸(10.505g)の混合物に溶解して15mM溶液を調製した。試料を均質に混合し、溶液のアリコート(2.015g)を試料カップに入れてDNP分極装置に挿入した。
マイクロ波(93.950GHz)照射下、3.35Tの磁場、1.2KのDNP条件下で試料を分極した。4時間後に分極を中止し、試料を国際公開第02/37132号記載の溶解装置を用いて水酸化ナトリウムとトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(TRIS)の溶液中に溶解し、100mM TRIS緩衝液中全ピルビン酸濃度0.5Mの過分極13−ピルビン酸ナトリウムの中和溶液を得た。溶解装置と直列にクロマトグラフィーカラムを接続した。カラムはVarian社製の疎水性充填材(Bondesil−C18、 40UM Part #:12213012)含有カートリッジ(D=38mm、h=10mm)からなるものであった。溶解試料をカラムに流してラジカルを選択的に吸着させた。濾液を13C−NMRで迅速に分析して分極の程度を求めたところ、16.5%の13C分極という結果を得た。波長469nmのUV分光光度計で残留ラジカル濃度を分析したところ、0.1μMの検出限界を下回っていた。
実施例4: 13 C−ピルビン酸とトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシ−エトキシ)メチル−ベンゾ[1,2−d:4,5−d′]ビス(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を用いたDNP法での過分極 13 C−ピルビン酸塩の製造
トリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチル−ベンゾ[1,2−d:4,5−d′]−ビス−(1,3)−ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を国際公開第97/09633号の実施例29に記載の通り合成した。
トリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチル−ベンゾ[1,2−d:4,5−d′]−ビス−(1,3)−ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を13−ピルビン酸(83.1mg)に溶解して20mM溶液を調製した。試料を均質に混合し、試料カップに入れてDNP分極装置に挿入した。マイクロ波(93.950GHz)照射下で、3.35Tの磁場、1.2KのDNP条件下で試料を分極した。Varian Inova−200 NMR分光計を用いて、試料からの13C−NMR信号を取得した。熱平衡13C−NMR信号と増強NMR信号の測定値からDNP増強を算出した。16%の13C分極という結果が得られた。
実施例5: 本発明による心臓イメージング
5.1 ブタの準備
等張NaCl(26体積%)とKetalar(50mg/ml)(Pfizer AB)(42体積%)とNorcuron(10mg+5ml滅菌水)(Organon社)(21体積%)とMidazolam(5mg/ml)(Pharma Hameln社)(11体積%)の混液を0.6ml/分の速度の輸液ポンプを用いて投与することによって、ブタ(25kg)を麻酔した。
1回目の13−ピルビン酸塩注入後、ブタをMRスキャナーから移動した。X線の案内の下、バルーンカテーテルを左冠状動脈内に挿入し、回旋枝を15分間遮断した。全術中、ECG及び血圧を測定した。虚血期間終了90分後に、再びブタを撮像し、対照測定を実施した位置と(略)同じ位置から13C−画像を取得した。
5.2 プロトンMRイメージング
ブタMRコイル(Rapid Biomedical社(ドイツ)製)内にブタを配置し、標準臨床心臓プロトンMRイメージングシーケンスライブラリを用いて撮像し、解剖学的情報及び心筋の短軸像を得た(短軸像の例については図面のプロトン参照画像を参照されたい)。
5.3 13 C−MRイメージング
MR装置で検出したプロトン周波数に基づいて、13−アラニンのMR周波数を次式にしたがって算出した。
周波数13−アラニン=0.25144×[(システム周波数プロトン×1.00021)−0.000397708]
算出した周波数は、13−アラニンのMR信号が左側の共鳴13−乳酸塩と、13−アラニンの右側の共鳴13−ピルビン酸塩及び13−重炭酸塩に位置する。13C−MRコイルとシステムのMR周波数が正確にセットアップされているのを確認するため非局在MR分光シーケンスを行った。13C−画像位置が心筋(短軸像)(スライス厚20mm、平面ピクセルサイズ7.5×7.5mm)をカバーするように位置づけた。再構成段階では、画像データをゼロ充填補間して3.75×3.75×20mmの解像度を得た。16mlの13−ピルビン酸塩(327mM)を12秒間(1.3ml/秒)の点滴で前肢に注入し(0.22mmol/kg)、注入開始30秒後(つまり、注入を終了してから18秒後)に化学シフト13C−MRシーケンスを開始した。
5.4 MR画像データの分析
MR画像では16×16画素を含むマトリックスが得られ、各画素又はボクセル/ピクセルが13C−MRスペクトルを含んでいた。再構成段階では、マトリックスを、空間分解能の向上に資する数学操作であるゼロ充填補間して32×32とした。データセットの解析は、製造業者の提供するソフトウェアを用いてMRIスキャナーで行った。こうして13C−ピルビン酸塩、13C−アラニン、13C−乳酸塩及び13C−重炭酸塩の代謝画像を得た。
5.5 結果
回旋枝閉塞の前後での試験結果をまとめて図面に示す。
図1は虚血期間前のブタで得た画像及びスペクトルを示し、図1aは13C−ピルビン酸塩画像、図1bは13C−乳酸塩画像、図1cは13C−アラニン画像、図1dはプロトン参照解剖画像、図1eは13C−重炭酸塩画像、図1fは図1eに示す画像の所定のピクセルの13C−NMRスペクトルを示す。
図2は虚血期間後のブタで得た画像及びスペクトルを示し、図2aは13C−ピルビン酸塩画像、図2bは13C−乳酸塩画像、図2cは13C−アラニン画像、図2dはプロトン参照解剖画像、図2eは13C−重炭酸塩画像、図2fは図2eに示す画像の所定のピクセルの13C−NMRスペクトルを示す。
これらの図面は、虚血期間前後のプロトン参照画像に差がないことを示している。さらに、強く低下した重炭酸塩信号(対照との対比)及び乳酸塩信号のコントラスト増強が危険な心筋組織の指標となる。虚血期間前後のアラニン及びピルビン酸塩画像には差がみられなかった。
5.6 結論
MRイメージング試験で過分極13C−ピルビン酸塩を造影剤として用いることによって、危険な心筋組織を特定することができる。
虚血期間前のブタで得た画像及びスペクトルを示し、図1aは13C−ピルビン酸塩画像、図1bは13C−乳酸塩画像、図1cは13C−アラニン画像、図1dはプロトン参照解剖画像、図1eは13C−重炭酸塩画像、図1fは図1eに示す画像の所定のピクセルの13C−NMRスペクトルを示す。 虚血期間後のブタで得た画像及びスペクトルを示し、図2aは13C−ピルビン酸塩画像、図2bは13C−乳酸塩画像、図2cは13C−アラニン画像、図2dはプロトン参照解剖画像、図2eは13C−重炭酸塩画像、図2fは図2eに示す画像の所定のピクセルの13C−NMRスペクトルを示す。

Claims (15)

  1. 心筋組織のバイアビリティを評価するためのMRイメージング方法であって、過分極13C−ピルビン酸塩を造影剤として用いる方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、
    (a)過分極13C−ピルビン酸を含む組成物を予め投与しておいた被検体から13C−ピルビン酸塩とその13C含有代謝物であるアラニン、乳酸塩及び適宜重炭酸塩の直接13C−MR画像を取得し、
    (b)適宜、ある代謝物の13C信号を検出した他の代謝物の13C信号と相関させて2種、好ましくは3種、最も好ましくは4種の13C代謝物の信号強度の差に基づいてコントラストを得る
    ことを含んでなる方法。
  3. 当該方法が、
    (c)最低の13C−重炭酸塩信号及び/又は最高の13C−乳酸塩信号を特定することによって、画像中の危険な心筋組織を特定する
    ことをさらに含む、請求項2記載の方法。
  4. 過分極13C−ピルビン酸塩が、13C−ピルビン酸及び/又は13C−ピルビン酸をDNP法で過分極することによって得られる、請求項1又は請求項3記載の方法。
  5. 13C−ピルビン酸塩を含む組成物が、(KHPO/NaHPO)、ACES、PIPES、イミダゾール/HCl、BES、MOPS、HEPES、TES、TRIS、HEPPS及びTRICINからなる群から選択される1種以上の緩衝剤をさらに含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
  6. 周波数情報をコードするためにマルチエコーを利用したイメージングシーケンスをステップa)での直接13C−画像の取得に用いる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  7. 13C−ピルビン酸塩を含む組成物の投与後400秒未満にステップa)での13C−画像を取得する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
  8. プロトンMRI造影剤を用いて又は用いずに1以上のプロトン画像をさらに取得するか或いは過分極13CMR造影剤を用いて1以上の13C画像をさらに取得することによって、解剖学的及び/又は灌流情報を得る、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. プロトンMRI造影剤を用いて又は用いずにプロトン画像を取得することによって心筋での相対的灌流を求める、請求項8記載の方法。
  10. 非代謝過分極13C−MR造影剤を用いて13C−画像をさらに取得することによって心筋での灌流量を求める、請求項8記載の方法。
  11. 過分極13C−MR造影剤を用いて13C−画像をさらに取得することによって心筋での灌流量を求める、請求項8記載の方法。
  12. ステップb)が、乳酸塩信号を重炭酸塩量について補正し、重炭酸塩で重み付けした乳酸塩画像を得ることをさらに含む、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の方法。
  13. (c)最低の13C−重炭酸塩信号及び/又は最高の13C−乳酸塩信号を特定することによって、危険な心筋組織を特定することをさらに含む、請求項12記載の方法。
  14. ステップb)が必須である、請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法。
  15. 13C−ピルビン酸塩が13−ピルビン酸塩である、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の方法。
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