JP2008519662A - エアフォイルベアリングを備える歯科用ハンドピース - Google Patents

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Abstract

タービンを支持するベアリングを有するタイプの歯科用ハンドピース。ベアリングの少なくとも1つは、エアフォイルタイプである。

Description

本発明は、歯科用ハンドピースを対象とし、高速空気駆動タービンハンドピースに特に適用される。本発明は、特に、エアフォイルベアリング(air−foil bearing)を用いるこのようなハンドピースを対象とする。
[関連出願]
本願は、2004年11月12日に出願された米国仮出願第60/627200号の利益を主張する。
[発明の背景]
エアベアリングは、例えば環境制御システム業界において、高速エアサイクルマシンとともに用いられることが知られている。フォイルエアベアリングを備えるマシンは、回転組立体を支持するのに必要な部品が、転動体ベアリングを備えるマシンよりも少なく、潤滑の必要がないため、転動体ベアリングを備えるマシンよりも信頼性が高い。動作の際には、ベアリングと軸との間の空気/ガス皮膜がベアリングフォイルを磨耗から保護する。軸受面は、マシンの起動時及び停止時にのみ軸と接触し、フォイルのコーティングがこうしたときの磨耗を抑える。
エアベアリングの原理は、ジャーナルタイプであろうとスラストタイプであろうと単純である。2つの面がくさびを形成し、一方の面が他方の面に対して移動すると、負荷のかかった流体の動圧作用によって両面間に圧力が発生する。ジャーナルベアリングでは、軸が振れて、軸中心とベアリング中心との間の偏心によってくさびが形成される。
エアベアリングの原理が単純だとはいえ、応用は複雑である。例えば、ジャーナルベアリングでは、軸とベアリングとの間のラジアルすきまは、通常、50.8mm(2インチ)直径軸で36000rpmの場合、0.0127mm(0.0005インチ)未満である。しかしながら、温度及び遠心力によって引き起こされる軸膨張(shaft growth)は、0.05080mm(0.0020インチ)となり得る。さらに、振れ回りによるあらゆる不安定性を抑えるために減衰が必要であり、種々の回転部品と固定部品との間に位置ずれが生じる可能性がある。
これらの問題は、フォイルベアリングによって解決される。軸が静止している間は、軸とベアリングとの間に少量の予圧がある。軸が回転すると、動圧(hydrodynamic pressure:流体力学的な圧力)が発生し、フォイルを軸から押し離して軸を完全に空中に浮上させる。この現象は、非常に低速での起動時に即座に生じる。軸が浮上しているとき、軸の回転による摩擦損失は非常に小さい。軸が膨張すると、フォイルはさらに押し離されて、皮膜すきま(film clearance)を比較的一定に保つ。さらに、フォイルは、互いの相対摺動によりクーロン減衰をもたらす。この減衰は、マシンの安定性に重要である。
歯科用ハンドピース、特に高速ハンドピースは、多くの場合、空気駆動タービンを用いて軸及び取り付けられた歯科用ツール(このようなツールは、多くの場合はバーである)を回転させる。タービンは、ベアリングによって支持される。例えば、米国特許第5571013号は、このようなベアリング支持ハンドピースを開示している。当該特許の開示は、参照により本明細書に援用される。
歯科用ハンドピースのベアリングは、潤滑式でなければならない場合が多く、これは、このようなハンドピースを使用の度に滅菌しなければならない場合に問題である。潤滑を必要としない歯科用ハンドピースは、歯科医にとって非常に有益なものとなるであろう。
歯科用ハンドピースのタービン組立体の効率及び堅牢性を高めることが望まれているが、2つの制限要因は、500krpmに及ぶ速度で動作しなければならないローラベアリング、及び滅菌の一方で潤滑性を維持しなければならないベアリング転動体が必要とする潤滑剤である。エアフォイルベアリングは、潤滑を必要とせず、速度制限もない。
[発明の概要]
したがって、本発明によれば、タービンを支持するベアリングを有するタイプの歯科用ハンドピースが提供される。ベアリングの少なくとも1つは、エアフォイルタイプである。
[発明を実施するための好適な実施形態]
本発明は、種々の形態の実施形態が可能であり得るが、本開示は本発明の原理の例示とみなすべきであり、本発明を本明細書に図示及び記載されるものに限定するためのものではないという認識の下で、特定の実施形態を図面に示し本明細書で詳細に説明する。
図面の図1を参照すると、ヘッド20が示されている。ヘッド20は、例えば、「Dental Handpiece with Spring Grip Chuck and Lever Release Mechanism」と題する米国特許第5040980号におけるような歯科用ハンドピース(図示せず)に接続されるタイプのものである。米国特許第5040980号の開示は、参照により本明細書に援用される。
ヘッド20は、ブレード22を有するタービン21を含む。従来のように、圧縮空気が通路23等を通してヘッド20に入れられて、タービン21を回転させる。タービン21には、バー24等の歯科用ツールが動作可能に取り付けられる。
タービン21を支持しているのは、少なくとも1つの及び好ましくは複数のエアフォイルベアリング30a及び30bである。好ましくは、ベアリング30aはスラストエアフォイルベアリングであり、ベアリング30bはジャーナルフォイルベアリングである。エアフォイルベアリングは、自己発生的(self-generating)でコンプライアント(compliant:柔軟)な動圧ベアリングである。コンプライアントなフォイルは、組み合わされる回転軸の形状に一致するようにされる。動作時に、軸が自己発生するエアクッションの薄膜上で支持される結果として、大きな負荷容量特性及び安定特性が得られる。例示的なエアフォイルベアリング40を図2に示す。これは、波形フォイル42上に支持されるトップフォイル41の薄層を含む。軸43とベアリング40との間には少量の予圧がある。リフトオフ及びタッチダウン時の摩擦を小さくするために、フォイルは固体皮膜潤滑剤でコーティングされる。リフトオフ時には、軸43とベアリング40との間に空気が引き込まれて、局所的に圧縮される。動圧作用により、軸43は持ち上がってエアクッション上で浮上する。トップフォイル41に対する自己発生圧力が、軸に支持を与える一方で、波形フォイル42が、ベアリング40のコンプライアントな特徴を与える。波形部分のばね定数は、軸の膨張、軸の変位、及びハウジングの位置ずれに対応する。波形フォイルは、少量の冷却空気の流路も提供する。波形バンプフォイル42は、振れ回りの抑制を行いながら上側の平滑なフォイル41の支持も行う。
フォイルベアリングの起動・回転・停止サイクルの一例を以下に示す。
Figure 2008519662
エアフォイルベアリングは、回転組立体を十分に拘束する任意の向き及び組み合わせで歯科用ハンドピースに適用することができる。組立体は、ハンドピース(すなわち、ヘッド又はシース)内の任意の場所に配置することができる。エアクッションを提供するフォイルには、ハンドピースの動作速度範囲内で組立体を支持するのに十分なクッションを作り出す多くの構造又はパターンがあり得る。
歯科用ハンドピースにおけるフォイルベアリングの使用には、多くの利点がある。
高い信頼性−フォイルベアリングは、回転組立体を支持するのに必要な部品が少なく、システムに潤滑剤を供給する必要がないため、信頼性が高い。マシンの動作中は、ベアリングと軸との間の空気/ガス皮膜がベアリングフォイルを磨耗から保護する。軸受面は、マシンの起動時及び停止時にのみ軸と接触する。この間はフォイル上のコーティングが磨耗を抑える。
計画的保守不要−フォイルベアリングでは油潤滑が行われず、潤滑剤の交換は全く必要ない。これにより、運転費用が削減される。
軽微な故障−フォイルベアリングの設計及び組み立てに固有の小さなすきま及び公差により、ベアリングに故障が生じた場合、ベアリングフォイルは軸組立体を動きすぎないように抑制する。その結果、ほとんどの場合、損傷はベアリング及び軸表面にとどめられる。
環境耐久性−フォイルベアリングは、砂及び塵埃の吸い込み等の厳しい環境条件に対処することができる。大きな粒子は、冷却流入口が逆ピトー設計(reversed pitot design)であるためベアリング流路に入らず、小さな粒子は、冷却流によってベアリングから継続的に追い出される。
高速動作−エアフォイルベアリングでは、高速用途での従来のベアリングに典型的な「マイレージ磨耗(mileage wearing:使用量に伴う磨耗)」がない。実際には、動圧作用により、エアフォイルベアリングは速度が増すほど大きな負荷容量を有する。
滅菌−油潤滑性は、吸水によって大きく低下する。フォイルベアリングは油潤滑を必要としない。
低温性能及び高温性能−多くの油滑剤は、極高温での動作では必ず劣化する。しかしながら、フォイルベアリングは、極高温でも効率的に動作する。
静かな動作−転動体の騒音を発生させる衝撃事象及び転動体組立体の励振がなくなる。
大きな振動及び衝撃負荷容量−システム速度を急変させても、従来のローラベアリングのような二次的内部衝撃が生じない。
サスペンション−システムサスペンションが簡略化され、フォイルのばね定数によって提供される。
改良型の歯科用ハンドピースが、本明細書に記載した本発明によって達成されることが理解されるであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されるものとする。
歯科用ハンドピースのタービンヘッドの部分概略図を示す。 エアフォイルベアリングの頂面図を示す。

Claims (11)

  1. 歯科用ハンドピースであって、ブレードを有し該歯科用ハンドピースに装着される空気駆動タービンと、前記ブレードに圧縮空気を送って前記空気駆動タービンを回転させるための通路とを有するタイプの歯科用ハンドピースであって、前記空気駆動タービンは、少なくとも1つのベアリングによって該歯科用ハンドピースに装着されるとともに歯科用ツールに動作可能に取り付けられ、前記少なくとも1つのベアリングは、エアフォイルベアリングであることを改良点とする、歯科用ハンドピース。
  2. 前記エアフォイルベアリングは、波形フォイルによって支持されるトップフォイルを備える、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
  3. 前記波形フォイルは、冷却空気流路を形成する波形部を有する、請求項2に記載の歯科用ハンドピース。
  4. 前記エアフォイルベアリングは、潤滑剤でコーティングされる、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
  5. 前記潤滑剤は固体皮膜である、請求項4に記載の歯科用ハンドピース。
  6. 前記エアフォイルベアリングはスラストベアリングである、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
  7. 前記エアフォイルベアリングはジャーナルベアリングである、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
  8. 歯科用ハンドピースに空気駆動タービンを装着する方法であって、
    前記空気駆動タービンは、軸に装着されるブレードを有し、前記歯科用ハンドピースには、前記ブレードに圧縮空気を送って前記空気駆動タービンを回転させるための通路が設けられ、
    少なくとも1つのエアフォイルベアリングを用いて前記歯科用ハンドピースに前記空気駆動タービンを装着するステップを含む、歯科用ハンドピースに空気駆動タービンを装着する方法。
  9. 前記エアフォイルベアリングは、前記軸と該エアフォイルベアリングとの間に一定量の予圧があるように装着される、請求項8に記載の歯科用ハンドピースに空気駆動タービンを装着する方法。
  10. 前記軸と前記エアフォイルベアリングとの間に空気が引き込まれて、局所的に圧縮されることで、該局所的な圧縮が前記エアフォイルベアリングに対する圧力を生じさせることにより、エアクッション上に前記軸を持ち上げて支持する、請求項9に記載の歯科用ハンドピースに空気駆動タービンを装着する方法。
  11. 歯科用ハンドピースに冷却空気を供給する方法であって、
    波形部を有する少なくとも1つの波形層を有するエアフォイルベアリングを設けるステップと、該エアフォイルベアリングにブレードを有するタービンを装着するステップと、前記ブレードに、及び前記軸と前記エアフォイルベアリングとの間に圧縮空気流を送るステップであって、それによって、冷却空気が前記波形部を通って流されて前記歯科用ハンドピースに冷却作用を与えるようにする、送るステップとを含む、歯科用ハンドピースに冷却空気を供給する方法。
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