JP2008519032A - Fgf−20の調合物、生成方法および使用 - Google Patents

Fgf−20の調合物、生成方法および使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、FGF−20、その断片、誘導体、改変体、相同体、類似体、またはそれらの組合せを含む改良された調合物、改良された生成方法、および発明の組成物の使用法を提供する。本発明は、線維芽細胞成長因子、好ましくはFGF−20、もしくはその断片、誘導体、改変体、相同体、類似体、またはそれらの組合せを含む、改良された調合物を提供する。本発明はまた、1つまたは複数のCG53135タンパク質を単離する、改良された生成方法も提供する。本発明は更に、CG53135タンパク質、および1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む改良された調合物の使用方法も提供する。

Description

1.発明の分野
本発明は、FGF−20、その断片、誘導体、改変体、相同体、類似体、またはそれらの組合せを含む改良された調合物、改良されたその生成方法、およびその使用方法に関する。
2.発明の背景
線維芽細胞成長因子(「FGF」)は、それぞれが保存されたアミノ酸コアを含む20を超えるメンバーから成るファミリーである(例えばPowers et al.,Endocr.Relat.Cancer,7(3):65〜197(2000)を参照)。FGFは成長、生存、アポトーシス、運動、および分化といった様々な細胞機能を制御している(例えばSzebenyi et al.,Int Rev.Cytol.,185:45〜106(1999)を参照)。FGFファミリーのメンバーはまた、形態形成、脚発生、組織修復、炎症、血管形成、ならびに腫瘍の増殖および浸潤を含む、胚発生および成体期間中の様々な生理学的および病理学的なプロセスにも関係している(例えばPowers et al.,Endocr.Relat.Cancer,7(3):165〜197(2000);およびSzebenyi et al.,Int Rev.Cytol.,185:45〜106(1999)を参照)。
相同性に基づいたゲノムを模擬したプロセスを通して、新規ヒトFGFのFGF−20が発見された。それぞれの参照の開示は、参照によって本明細書に組み入れられた2000年1月13日に提出された米国特許出願第09/494,585号、および2000年、7月3日に提出された第09/609,543号を参照。FGF−20のアミノ酸配列は、ヒトFGF−9(同一率70%)およびFGF16(同一率64%)に近い相同率を示す。
全長組換えFGF−20は、間葉細胞および上皮細胞に増殖反応を誘発するが、ヒトの平滑筋、赤血球、もしくは内皮細胞には誘発しないことが分かっている(例えば、非特許文献1を参照)。FGF−20およびその改変体もしくは誘導体は、口腔粘膜炎(2003年5月9日に提出された特許文献1を参照)、炎症性腸疾患(「IBD」)(2001年11月6日に提出された特許文献2を参照)のような特定疾患、およびパーキンソン病のような中枢神経系に関係する特定の疾患、および脳卒中のような心臓血管に関係する特定の疾患(2004年5月10日に提出された特許文献3を参照)の予防および/または治療に有効であることも分かっている。FGF−20およびその改変体または誘導体については、放射線曝露に伴う症状の予防および/または治療に効果があることも分かっている(2004年5月10日に提出された特許文献4を参照)。各参照の開示は、参照によってそっくりそのまま本明細書に組み入れられている。
国際公開第2003/099201号パンフレット 国際公開第2002/058716号パンフレット 国際公開第2004/100892号パンフレット 国際公開第2005/025489号パンフレット Jeffers et al.,Cancer Res.61(7):3131〜3138(2001)
かくして、臨床使用に好適である、FGF−20および/またはその改変体もしくは誘導体を含み、安定かつ商業規模で製造できる薬学的調合物が強く求められている。
本明細書内の参照の引用または論考は、かかる引用が本発明の先行技術であることを是認するものと解釈してはならない。
3.発明の概要
本発明は、線維芽細胞成長因子、好ましくはFGF−20、もしくはその断片、誘導体、改変体、相同体、類似体、またはそれらの組合せを含む、改良された調合物を提供する。本発明はまた、1つまたは複数のCG53135タンパク質を単離する、改良された生成方法も提供する。本発明は更に、CG53135タンパク質、および1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む改良された調合物の使用方法も提供する。
1つの態様では、本発明は、約0.1〜1Mの塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウムもしくはショ糖、約0.01〜0.1Mリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4・H2O)、約0.01〜0.1重量/体積(「W/V」)%ポリソルベート80もしくはポリソルベート20、ならびに単離された線維芽細胞成長因子(「FGF」)を含む調合物を提供する。特定の態様では、発明の調合物中のFGFタンパク質濃度は、約0.005mg/ml〜約50mg/mlである。FGFタンパク質は、好ましくはCG53135タンパク質である。特定の態様では、本発明の調合物は、(a)配列番号2、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38または配列番号40のアミノ酸配列を含むタンパク質;(b)(a)のタンパク質に対し1つまたは複数のアミノ酸置換があるタンパク質であって、前記置換が配列番号2、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38または配列番号40のアミノ酸配列の15%を超えず、かつ前記の1つまたは複数のアミノ酸置換があるタンパク質が細胞増殖刺激活性を保持しているタンパク質;ならびに(c)(a)または(b)のタンパク質の断片であって、細胞増殖刺激活性を保持する断片、から成る群より選択される1つまたは複数の単離されたタンパク質を含む。いくつかの態様では、発明の調合物は、1つまたは複数の単離されたタンパク質を含み、このときタンパク質濃度は0.5〜30mg/mlである。特定の態様では、タンパク質濃度は10mg/mlである。幾つかの態様では、発明の調合物は凍結乾燥または噴霧乾燥される。
特定の態様では、発明の調合物は塩形態のアルギニンを含み、前記アルギニンはアルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンから成る群より選択される。1つの態様では、発明の調合物中の塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン、またはショ糖は、0.01〜0.7M、好ましくは0.5Mの濃度である。
別の態様では、発明の調合物中のリン酸二水素ナトリウムは0.05Mの濃度である。別の態様では、発明の調合物のポリソルベート80またはポリソルベート20は0.01%(w/v)である。1つの態様では、発明の調合物はポリソルベート80を含む。別の態様では、発明の調合物はポリソルベート20を含む。
特定の態様では、発明の調合物は、配列番号24のアミノ酸配列を含む約10mg/mlの単離されたタンパク質、0.5M硫酸アルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、および0.01%(w/v)のポリソルベート80を含む。別の特定態様では、発明の調合物は、配列番号2のアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質約10mg/ml、0.5M硫酸アルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、および0.01%(w/v)ポリソルベート80を含む。別の態様では、発明の調合物は0.5M硫酸アルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、0.01%(w/v)ポリソルベート80、および単離されたタンパク質の混合物約10mg/mlを含み、このとき前記タンパク質は配列番号24のアミノ酸を含む第一タンパク質、および配列番号2のアミノ酸配列を含む第二タンパク質を含む。特定の態様では、発明の調合物は更に1つまたは複数の単離されたタンパク質を含み、このとき前記タンパク質は配列番号26、配列番号28、配列番号30、および配列番号32から成る群より選択されるアミノ酸を含む。幾つかの態様では、発明の調合物は1つまたは複数の、単離されたカルバミル化されたタンパク質を含む。
別の態様では、本発明は、水溶液中の線維芽細胞成長因子(「FGF」)の溶解性を、前記溶液に塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウムもしくはショ糖、またはこれらの組合せを水溶液に最終濃度0.01〜1Mで加えることによって上げる方法を提供する。幾つかの態様では、線維芽細胞成長因子は単離されたCG53135タンパク質である。特定の態様では、線維芽細胞成長因子は、配列番号2、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質である。
幾つかの態様では、塩形態のアルギニンは、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンから成る群より選択される。1つの態様では、塩形態のアルギニンの最終濃度は0.01〜0.7M、好ましくは0.5Mである。幾つかの態様では、発明の方法は、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはこれらの組合せを溶液に加えてタンパク質の溶解性を高めることを更に含む。好ましくは、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはこれらの組合せの溶液最終濃度は0.01〜0.2Mである。
別の態様では、本発明は:(1)配列番号8を含むベクターを含有する大腸菌細胞を発酵させる工程;(2)発酵培養物を10〜15℃に冷やす工程;(3)冷やされた培養物を、50〜100mMリン酸ナトリウム、60mMのエチレンジアミン四酢酸、7.5mMのDTT、および3.5〜5M尿素を含む溶解緩衝液で希釈する工程;(4)細胞を希釈した培養物の中で溶解する工程;(5)生じた細胞溶解物を事前に平衡化したカチオン交換カラムに掛け、カラムを50〜100mMリン酸ナトリウム、40mMのEDTA、10mM硫酸ナトリウム、および3〜5M尿素を含む緩衝液でフラッシュする工程;(6)フラッシュしたカラムを50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、10〜25mM硫酸ナトリウム、および2.22mMのデキストロースを含む緩衝液で洗浄する工程;(7)50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、150〜250mM硫酸ナトリウム、および0.5〜1MのL−アルギニンを含む溶出緩衝液で再度カラムを洗浄する工程;(8)得られた溶出物を、50〜100mMリン酸ナトリウム、150〜250mM硫酸ナトリウム、5mMのEDTA、および1Mのアルギニンで事前に平衡化した疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムにかける工程;(9)得られたカラムを100〜250mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、および0.8〜1Mのアルギニンを含む溶液で洗浄する工程;ならびに(10)カラムを、50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、および0.1〜0.3Mのアルギニンを含む溶液で再度洗浄してタンパク質を溶出する工程を含む、単離されたタンパク質を製造する方法を提供する。特定の態様では、方法は更に:(11)得られた溶出物を濃縮する工程;(12)得られた残留物をまとめて50mMリン酸ナトリウム、0.5Mのアルギニンを含む溶液で濾過する工程;(13)濾過残留物を濃縮する工程;ならびに(14)濃縮残留物を濾過する工程を含む。
幾つかの態様では、細胞は:(a)配列番号8を含むベクターを含む大腸菌細胞を、化学的に規定された種培地の中で2.5〜4.5のOD600単位を示す対数増殖期まで培養する工程;(b)工程(a)の細胞を種培地に接種して、細胞を3.0〜5.0のOD600単位の対数増殖期まで培養する工程;(c)工程(b)の細胞を化学的に規定されたバッチ培地に移す工程;(d)工程(c)の細胞を25〜30のOD600単位まで培養し、供給割合0.7g/kgブロス/分で化学的に規定した培地を追加する工程;(e)工程(d)の細胞を135〜165のOD600単位まで培養する工程;ならびに(f)工程(e)の細胞を約4時間培養する工程を含む方法によって発酵される。
本発明はまた、発明の方法によって作られた、単離されたタンパク質も提供する。
発明の組成物および調合物の疾患、例えば消化器粘膜炎、関節炎のような疾患、放射線照射に伴う障害または症状、中枢神経系または心臓血管系の障害を予防および/または治療するための使用も提供される。
3.1 用語
ある数値または範囲と結びついている用語「約」は、本明細書で使用される場合、その数値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、および更に好ましくは5%以内の数値または範囲を指す。
本明細書で使用する場合、用語「CG53135」は、ある部類に属するタンパク質(ペプチドもしくはポリペプチドを含む)またはそのようなタンパク質をコードする核酸もしくはそれらの相補鎖を指し、このときタンパク質は配列番号2のアミノ酸配列(211アミノ酸)またはその断片、誘導体、改変体、相同体もしくは類似体を含む。好ましい態様では、CG53135タンパク質は、少なくともFGF−20の生物活性の幾つかを保持している。本明細書で使用する場合、用語「生物活性」は、CG53135タンパク質がFGF−20と同一の特性(必ずしも同程度である必要はない)の幾つかを有するが、必ずしも全てを有していないことを意味する。
CG53135ファミリーのメンバー(例えばタンパク質および/またはそのタンパク質をコードする核酸)には、識別名称を更に与えることもできる。例えばCG53135−01(配列番号1および2)は、最初に同定されたFGF−20(米国特許出願第09/494,585号を参照)を表している;CG53135−05(配列番号8および2)はコドンを最適化した、全長のFGF−20(即ちFGF−20をコードする核酸配列はコドン最適化されているが、そのアミノ酸配列は最初に同定されたFGF−20の配列と変わらない)を表す;CG53135−12(配列番号21および22)は、CG53135−12中の一アミノ酸が配列番号2と異なっている、FGF−20の一塩基多形(「SNP」)(位置206のアスパラギン酸がアスパラギンに変更されている、「206D→N」)を表している。CG53135ファミリーの幾つかのメンバーは、それらの核酸配列は異なっているが、同一のCG53135タンパク質をコードしており、例えばCG53135−01、CG53135−03、およびCG53135−05は全て同じCG53135タンパク質をコードしている。識別名はまたインフレームクローン(「IFC」)番号の場合もあり、例えばIFC250059629(配列番号33および34)は完全長FGF−20(ベクターのフレーム内にクローニングされた)のアミノ酸63〜196を表している。表1Aは、CG53135ファミリーメンバーの幾つかの概要を示している。1つの態様では、発明はFGF−20タンパク質の改変体を含むが、この改変体では幾つかのアミノ酸残基、例えばFGF−20(配列番号2)のアミノ酸配列の1%、2%、3%、5%、10%、または15%を超えないアミノ酸残基が変更されている。別の態様では、発明はストリンジェントななハイブリダイゼーション条件においてFGF−20とハイブリダイゼーションできる核酸分子を含む。
表1A.CG53135ファミリーメンバーの幾つかの概要
Figure 2008519032
本明細書で使用する場合、用語「有効量」とは、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)の重症度および/または期間、あるいはそれらの1つまたは複数の症状を軽減および/または改善する、疾患の進行を予防する、疾患を後退させる、疾患に関係する1つまたは複数の症状の再発、進展、または発症を予防する、あるいは他の治療薬の予防効果または治療効果を増強または改良するのに十分である治療薬(例えばCG53135タンパク質を含む調合物)の量を指す。
本明細書で使用する用語「FGF−20」は、配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、またはそのようなタンパク質をコードする核酸配列、もしくはその相補鎖を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーション」とは、相互の同一率が少なくとも30%(好ましくは35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%)であるヌクレオチド配列が互いにハイブリダイゼーションし続けるハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を表す。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,N.Y.(1989)、6.3.1〜6.3.6に見出すことができる。1つの、非限定例では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約0.1M〜約1.0Mのナトリウムイオンの塩濃度、約7.0〜約8.3のpH、少なくとも約60℃の温度、少なくとも0.2X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.01%ウシ血清アルブミン(BSA)での少なくとも一回の洗浄を含む。別の非限定例では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6X SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、続く0.1X SSC、0.2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約68℃での一回以上の洗浄である。更に別の非限定例では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約45℃、6X SSC中でのハイブリダイゼーションと、続く0.2X SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、50〜65℃での一回以上の洗浄である(即ち50℃、55℃、60℃、または65℃での一回以上の洗浄)。発明の核酸は、これらの条件でAまたはTだけから成るヌクレオチド配列とのみハイブリダイゼーションする核酸分子は含まないものとする。
本明細書で使用する、タンパク質作用物質と関係する場合の用語「単離された」は、細胞物質、またはそれが由来する細胞もしくは組織供給源からの汚染タンパク質を実質的に含んでいないか、あるいは化学的に合成される場合には、前駆化学物質またはその他の化学物質を実質的に含まないタンパク質作用物質を指す。「細胞物質を実質的に含まない」という表現は、タンパク質作用物質が、それが単離されたかもしくは組換え体として作られた細胞に由来する細胞成分から分離しているタンパク質作用物質の調製物を含む。かくして実質的に細胞物質を含まないタンパク質作用物質は、少なくとも約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量の)より少ない宿主細胞タンパク質を有する調製物である。タンパク質作用物質を組換え技術により作製する場合は、好ましくは細胞培地も実質的に含まず、即ち細胞培地はタンパク質作用物質調製物の体積の約20%、10%、または5%より少ない。タンパク質作用物質を化学合成により作製する場合は、それは実質的に前駆化学物質もしくはその他化学物質を含まないことが好ましく、即ちそれらはタンパク質作用物質の合成に関係した前駆化学物質またはその他化学物質と分離されている。従って、タンパク質作用物質のこのような調製物は、関心対象のタンパク質作用物質以外の前駆化学物質または化合物の含有量は約30%、20%、10%、5%(乾燥重量で)未満である。特定の態様では、本明細書で開示されているタンパク質作用物質は単離されている。
本明細書で使用する、核酸分子に関係する用語「単離された」は、核酸分子の供給源に存在している他の核酸分子から分離された核酸分子を指す。更には、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、組換え技術によって作製される場合には他の細胞物質もしくは細胞培地を実質的に含まないか、または化学的に合成された場合には前駆化学物質もしくは他の化学物質を実質的に含んでいなくともよい。特定の態様では、核酸分子は単離されている。
本明細書で使用する場合、用語「予防する」、「予防すること」、「予防」は、治療薬(例えばCG53135タンパク質を含む組成物)の投与、または治療薬の組合せの投薬の結果として起こる、被験体の疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)またはそれらの1つ以上の症状の再発、発症、または進行の阻止を指す。
本明細書で使用する用語「予防的有効量」とは、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)またはその1つ以上の症状の進行、再発、または発症の阻止、あるいは他の治療薬の予防効果の増強または改良をもたらすのに十分である治療薬(例えばCG53135タンパク質を含む組成物)の量を指す。
ここで使用する場合、タンパク質調合物と関連する用語「安定性」は、特定のタンパク質調合物が、タンパク質が長時間、熱−機械的ストレスに曝された時に、そのタンパク質の未変性の活性構造を維持できる能力を指す。幾つかの態様では、タンパク質調合物の安定性とは、タンパク質調合物が、タンパク質が熱−機械的ストレスに曝された結果として生物学的に不活性および/または不溶性のタンパク質凝集物を形成しやすいこと、ならびに疎水性表面および界面の様な不安定な界面および表面との相互作用の結果として、生物学的に不活性および/または不溶性であるタンパク質凝集物を形成する傾向にあることを指す。タンパク質調合物の「安定性」に関係するパラメータとしては、高分子量集合体、および部分変性型のタンパク質を含む変性型タンパク質での可溶性であり、それは、一般的には対応する非凝集型の低分子量集合体および未変性型のタンパク質よりも溶解性は低い。タンパク質調合物の「安定性」に関連する別のパラメータは、物理的に安定な調合物が、タンパク質の濃度を増減した時に、物理的に安定でなくなるタンパク質の濃度である。
本明細書で使用する場合、用語「被験体」は動物、好ましくは非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコまたはイヌを含む)、霊長類(例えばサル、チンパンジー、またはヒト)を指し、より好ましくはヒトを指す。用語「被験体」は、本発明の中では「患者」と互換的に用いられる。
本明細書で使用する場合、用語「治療する」、「治療」、および「治療すること」は、疾患の(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)の進行、重篤度、および/もしくは期間の短縮、またはそれらの症状の1つ以上の改善を指し、この場合かかる短縮および/または改善は、1つまたは複数の治療薬(例えばCG53135タンパク質を含む組成物)の投与から生ずる。
本明細書で使用する場合、「治療的有効量」とは、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)の重篤度または期間を短縮する、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)の進行を阻止する、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)を退行させる、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)に関係する1つ以上の症状を改善する、または他の治療薬の治療効果を増強もしくは改良するのに十分である治療薬(例えばCG53135タンパク質を含む組成物)の量を指す。
5.発明の詳細な説明
本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む、より安定かつ好適であり、市販の装置で容易に凍結乾燥できる改良調合物を提供する。改良調合物は、約0.01〜1Mの、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウムもしくはショ糖、約0.01〜0.1Mリン酸二水素ナトリウム(NaHPO・HO)、約0.01%〜0.1%重量/体積(「W/V」)ポリソルベート80もしくはポリソルベート20、ならびに1つもしくは複数の単離されたCG53135タンパク質を含む。特定の態様では、発明の改良調合物中のCG53135タンパク質の濃度は50mg/ml未満、30mg/ml未満、10mg/ml未満、5mg/ml未満、または1mg/ml未満である。別の態様では、発明の改良調合物中のCG53135タンパク質濃度は、0.005〜50mg/mlの間である。好ましい態様では、調合物は凍結乾燥される。
本発明はまた、溶液中(例えば水溶液)でのFGFタンパク質の安定性を高めるための方法も提供する。1つの態様では、本発明は溶液に、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン、またはショ糖を加えることによって溶液中のFGFタンパク質の溶解性を高めるための方法を提供する。別の態様では、本発明は、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、またはこれらの組合せのような緩衝化塩を溶液に加えることによって、溶液中でのFGFの溶解性または安定性を高めるための方法を提供する。さらに別の態様では、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、またはこれらの組合せのような緩衝塩を、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン、またはショ糖と一緒にして溶液に加えられ、FGFタンパク質の安定性を高める。塩形態のアルギニンは、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンでよいが、これらに限定されない。好ましい態様では、硫酸アルギニンが用いられる。幾つかの態様では、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン、またはショ糖の最終濃度は、0.01M〜1Mの間である。1つの態様では、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン、またはショ糖の最終濃度は0.5Mである。幾つかの態様では、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン、またはショ糖の最終濃度は0.05Mである。好ましい態様では、FGFタンパク質はFGF−20タンパク質、FGF−20の断片、誘導体、改変体、相同体、もしくは類似体、またはそれらの組合せである。
本発明は更に、CG53135タンパク質および/または1つもしくは複数のCG53135タンパク質を含む調合物に関する、改良された製造法を提供する。改良製造法は、CG53135タンパク質および/または1つもしくは複数のCG53135タンパク質を含む調合物の商業規模の製造を可能にする。改良製造法は、CG53135タンパク質を高純度に精製することも可能にする。幾つかの態様では、改良製造法によって精製されたCG53135の純度は、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である。好ましい態様では、改良製造法によって精製されたCG53135の純度は99%から最大100%(100%を含む)である。
本発明は、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)または1つもしくは複数のそれらの症状を予防または治療するための、発明の改良調合物および組成物の使用方法、ならびに投与計画も提供する。
開示を明瞭にし、かつ限定的にしないために、発明の詳細な説明を次の小区分に分ける:
(i)CG53135
(ii)CG53135の調製方法
(iii)CG53135の特徴付け
(iv)予防的および治療的な使用
(v)投与レジメン
(vi)薬学的組成物および調合物。
5.1 CG53135
本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む改良調合物および改良製造法を提供する。本明細書で用いる用語「CG53135」は、タンパク質が配列番号2のアミノ酸配列(211アミノ酸、「FGF−20」)またはその断片、誘導体、改変体、相同体、もしくは類似体を含むタンパク質(ペプチドおよびポリペプチドを含む)、あるいはそのようなタンパク質をコードする核酸またはそれらに相補的な鎖の部類を指す。
1つの態様では、CG53135タンパク質はFGF−20の改変体である。当業者は、FGF−20タンパク質のアミノ酸配列を変化させるDNA配列の多形が集団(例えばヒト集団)内に存在できることを了解しているだろう。このようなFGF−20遺伝子中の遺伝的な多形は、自然の対立遺伝子変異によって集団中の個体間に存在する場合もある。このような自然の対立遺伝子変異は、典型的にはFGF−20遺伝子のヌクレオチド配列に1〜5%の変動をもたらすだろう。任意かつ全てのこのような変動、およびその結果FGF−20タンパク質に生じたFGF−20タンパク質の自然な対立遺伝子変異の結果であるアミノ酸の多形は、発明の範囲内に含まれるものとする。1つの態様では、CG53135は、CG53135−12(配列番号21および22)であり、これはFGF−20の単一ヌクレオチド多形(「SNP」)である(即ち206D→N)。(CG53135−12の更に詳しい説明については、例えば2003年、11月4日に提出され、その開示は参照によってそっくりそのままここに組み入れられている米国特許出願第10/702,126号を参照。)FGF−20の別のSNPsの例は、米国特許出願第10/435,087号に開示されており、その内容は参照によってここに組み入れられている。
別の態様では、CG53135は、別の種に由来するFGF−20タンパク質をコードする核酸分子またはそれにコードされたタンパク質を指し、それゆえにFGF−20のヒト配列とは異なるヌクレオチドもしくはアミノ酸配列を有する。発明のFGF−20 cDNAの自然対立遺伝子改変体および相同体に対応する核酸分子は、本明細書に開示されているヒトFGF−20核酸に対するそれらの相同性に基づいて、ヒトcDNAまたはその一部分を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標準的なハイブリダイゼーション技術に従ったハイブリダイゼーションプローブとして用いることによって単離できる。
別の態様では、CG53135は、改変体FGF−20タンパク質、成熟FGF−20タンパク質、および成熟FGF−20タンパク質の改変体の断片、ならびにFGF−20核酸の対立改変体および単一ヌクレオチド多形がコードするFGF−20タンパク質を含む、FGF−20タンパク質の断片を指す。FGF−20タンパク質断片の例としては、FGF−20(配列番号2)の残基2〜211、3〜211、9〜211、12〜211、15〜211、24〜211、54〜211または55〜211が挙げられるが、これらに限定されない。1つの態様では、CG53135は、配列番号2の残基2〜211、3〜211、9〜211,12〜211、15〜211、24〜211、54〜211、または55〜211を含むタンパク質断片をコードしている核酸を指す。
発明はまた、FGF−20の誘導体および類似体を包含する。FGF−20に関係する誘導体および類似体の製造および使用は、本発明の範囲内である。
特定の態様では、誘導体または類似体は機能的に活性であり、即ち完全長の野生型FGF−20に関係する機能活性を1つまたは複数示すことができる。FGF−20の誘導体または類似体は、それに相応しい細胞株、動物モデル、および臨床試験を用いることを含むが、これらに限定されない当技術分野公知の手順によって所望の活性について試験することができる。
具体的には、置換、挿入または欠失によってFGF−20配列を変更することによって、機能的に透過な物質を提供するFGF−20誘導体を作ることができる。1つの態様では、FGF−20のこのような変更は、FGFタンパク質ファミリーに保存されていない領域内に加えられる。ヌクレオチドコード配列の縮重性から、本発明の実施に、FGF−20と実質的に同じアミノ酸配列をコードする別のDNA配列を用いることもできる。このような配列としては、機能的には同じであるアミノ酸配列をコードする別のコドンの置換、即ちサイレントな変化をもたらす変更を配列内に加えるFGF−20の全て、または一部を含む核酸配列を挙げることができるが、これに限定されない。好ましい態様では、野生型のFGF−20核酸配列は配列番号8(CG53135−05)の核酸配列に対し最適化されたコドンである。同様に発明のFGF−20誘導体としては、配列内の残基について機能的に等しいアミノ酸残基の置換が行われ、サイレントな変更配列を一次アミノ酸配列として含むFGF−20のアミノ酸配列の全て、または一部分を含む誘導体が挙げられるが、これに限定されない。例えば、配列内の1つまたは複数のアミノ酸残基を、機能的等価物として動作する同様の極性を有する別のアミノ酸によって置換し、サイレントな変更を起こすことができる。配列内のアミノ酸の置換基は、前記アミノ酸が属する部類の他のメンバーから選択できる。例えば非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが挙げられる。極性天然アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられる。正に帯電した(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ロイシン、およびヒスチジンが挙げられる。負に帯電した(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。発明のFGF−20誘導体は、アミノ酸残基が同様の化学的性質を有する残基に置換された、変更された配列を含むFGF−20のアミノ酸配列の全てまたは一部を一次アミノ酸配列として含有する誘導体も含むが、これに限定されない。特定の態様では、1、2、3、4、または5つのアミノ酸が置換される。
FGF−20の誘導体または類似体としては、FGF−20またはその断片に実質的に相同であるか、またはその核酸がFGF−20核酸配列にハイブリダイゼーションできるタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
発明のFGF−20誘導体および類似体は、当技術分野で公知の様々な方法によって製造できる。それらを製造するための操作は、遺伝子またはタンパク質レベルで実施できる。例えば、クローニングされたFGF−20遺伝子配列は、当技術分野で公知である多数の方策のいずれかにより変更できる(例えば、Maniatis,T.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.)。配列は制限エンドヌクレアーゼ、必要ならば続いて更なる酵素的変更によってインビトロで適切な部位で開裂し、単離し、連結することができる。FGF−20の誘導体または類似体をコードする遺伝子の製造においては、変更された遺伝子がFGF−20と同じ翻訳読み取りフレーム内に残ること、コードする遺伝子領域内の翻訳停止シグナルによって所望するFGF−20活性が妨害されないことを保証するように注意しなければならない。
これに加えて、FGF−20をコードする核酸配列は、インビトロでの変更をさらに容易にするために、インビトロまたはインビボで突然変異させて翻訳、開始、および/または終止配列を創作および/または破壊する、あるいはコーディング領域内に多様性を創り出す、および/または新規の制限エンドヌクレアーゼ部位を形成する、あるいは既存の同部位を破壊することができる。インビトロ部位指定突然変異誘導法(Hutchinson,C.et al.,1978,J.Biol.Chem 253:6551)、TAB.RTM.リンカー(Pharmacia)の使用等、当技術分野に公知である突然変異誘導技術を用いることができるが、これらに限定されない。
FGF−20配列は、タンパク質レベルでも操作できる。本発明の範囲には、FGF−20断片、あるいは、例えばグリコシレーション、アセチレーション、リン酸化、アミド化、既知の保護/封鎖基、タンパク質開裂、抗体分子もしくはその他細胞リガンドへの結合等による誘導化によって、翻訳中もしくは翻訳後に様々な変更が加えられたその他誘導体または類似体が含まれる。数多くある化学的変更は、遊離NH2−基、遊離COOH−基、OH−基、Trp−、Tyr−、Phe−、His−、Arg−もしくはLys−の側基の保護または変更に有効である試薬;臭化シアン、ヒドロキシルアミン、BNPS−Skatole、酸、もしくはアルカリ加水分解による特異的な化学的開裂;トリプシン、肝トリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による酵素的開裂;アセチル化、フォルミル化、酸化、還元;ツニカマイシン存在下での代謝的合成等を含むがこれらに限定されない既知の技術によって実施できる。
これに加えて、FGF−20の類似体および誘導体は、化学的にも合成できる。例えば、所望のドメインを含むか、またはインビトロにおいて所望の集合活性、もしくはレセプターへの結合を仲介するFGF−20の部分に対応するタンパク質は、ペプチド合成装置を用いて合成できる。さらには、望ましい場合には、非古典的アミノ酸もしくは化学的アミノ酸類似体を、置換基または付加物としてFGF−20配列内に導入することができる。非古典的アミノ酸としては、通常のアミノ酸のD−イソマー、α−アミノイソ絡酸、4−アミノ絡酸、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、β−メチルアミノ酸のようなデザイナーアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、およびNα−メチルアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の態様では、FGF−20誘導体は、そのアミノ末端および/またはカルボキシル末端でFGF−20以外のアミノ酸配列にペプチド結合を介して融合しているFGF−20またはその断片を含むキメラもしくは融合タンパク質である。別の態様では、このようなキメラタンパク質は、前記タンパク質(FGF−20以外のコーディング配列とインフレームに結合しているFGF−20コーディング配列を含む)をコードしている核酸の組換え発現によって製造される。この様なキメラ産物は、様々な企業(Retrogen、Operon等)によるオーダーメードが可能であるか、または所望のアミノ酸配列をコードしている適切な核酸配列を当技術分野公知の方法によって、適切なコーディングフレームの中で互いに連結させて、当技術分野周知の方法によってキメラ産物を発現させることによって作ることができる。あるいは、このようなキメラ産物はタンパク質合成技術、例えばペプチド合成装置を用いることによって作ることもできる。特定の態様では、FGF−20を異種のシグナル配列と共にコードしているキメラ核酸は、キメラタンパク質が細胞によって成熟FGF−20タンパク質に発現および加工されるように発現される。FGF−20および非FGF−20遺伝子の一次配列はまた、コンピュータシミュレーションを用いた分子の立体構造予想にも用いられる(Hopp and Woods,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:3824〜3828);キメラ組換え遺伝子は、立体構造および生物学的機能の相関関係に注目して設計することもできる。同様に、異種(非FGF−20)タンパク質をコードしている配列と融合してFGF−20分子の必須部位を含んでいるキメラ遺伝子を組み立てることもできる。特定の態様では、このようなキメラ構築物を用いて、FGF−20の安定性、溶解性、またはプロテアーゼ耐性を含むが、これらに限定されないFGF−20の所望特性の1つまたは複数を増強できる。別の態様では、キメラ構築物は、FGF−20が特定の部位を標的とするのに用いることができる。さらに別の態様では、His−タグ、FLAGタグ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク質(MalE)、細胞結合タンパク質(CenA)、またはマンノースタンパク質等のようなキメラ構築物は、発明のFGF−20の同定または精製に用いることができる。1つの態様では、CG53135タンパク質はカルバミル化されている。
幾つかの態様では、CG53135タンパク質は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて、改良された溶解性および/または延長されたインビボ半減期を有するように変更することができる。例えば、ヒトIgGのFc断片、または高分子ポリエチレングリコール(PEG)のような不活性ポリマー分子は、タンパク質のN−もしくはC−末端へのPEGの部位特異的共役結合、またはリジン残基に存在するイプシロン−アミノ基を介した多機能的リンカーを用いて、あるいは用いないで、CG53135タンパク質に結合することができる。生物活性の損失が最小となる直線または枝分かれポリマー誘導化が用いられる。共役度は、SDS−PAGEおよび質量分析法によってストリンジェントなにモニタリングでき、PEG分子のCG53135タンパク質への適切な共役を保証することができる。未反応のPEGは、サイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーによって、CG53135−PEG共役体から分離できる。PEG誘導化共役体は、当業者に公知の方法を用いてインビボ効率について試験できる。
CG53135タンパク質はまたタンパク質をインビトロでより安定にするため、またはインビボでの半減期をより長くするためにアルブミンに結合させることもできる。この技術は当技術分野で周知であり、例えばその全てが参照によりここに組み入れられている国際特許出願第WO93/15199号、第WO93/15200号、およびWO01/77137号;ならびに欧州特許第EP413,622号を参照。
幾つかの態様では、CG53135は、CG53135−01(配列番号1および2)、CG53135−02(配列番号3および4)、CG53135−03(配列番号5および2)、CG53135−04(配列番号6および7)、CG53135−05(配列番号8および2)、CG53135−06(配列番号9および10)、CG53135−07(配列番号11および12)、CG53135−08(配列番号13および14)、CG53135−09(配列番号15および16)、CG53135−10(配列番号17および18)、CG53135−11(配列番号19および20)、CG53135−12(配列番号21および22)、CG53135−13(配列番号23および24)、CG53135−14(配列番号25および26)、CG53135−15(配列番号27および28)、CG53135−16(配列番号29および30)、CG53135−17(配列番号31および32)、IFC250059629(配列番号33および34)、IFC20059669(配列番号35および36)、IFC317459553(配列番号37および38)、IFC317459571(配列番号39および40)、IFC250059596(配列番号41および10)、IFC316351224(配列番号41および10)、またはそれらの組合せを指す。特定の態様では、CG53135は、カルバミル化されており、例えばカルバミル化CG53135−13タンパク質またはカルバミル化CG53135−05タンパク質である。
CG53135の予防的および治療的使用の例は、出願済みの特許出願(米国特許出願第09/992,840、第10/011,364号、第10/321,962号、第10/435,087号、第10/842,206号、第10/842,179号、および米国特許第6,797,695号を参照)に記載されておいる。各参照の開示は、参照によってそっくりそのまま組み入れられる。
5.2 CG53135の調製方法
本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む調合物、および改良された生成方法を提供する。本明細書に記載されている方法によれば、発明の調合物に用いられるか、または発明の生成方法によって作られるCG53135タンパク質は、80〜100パーセントの範囲の純度を、または少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも98%の純度を持つことができる。1つの態様では、発明の調合物に用いられているか、発明の生成方法によって作られる1つまたは複数のCG53135タンパク質は、少なくとも99%の純度を有する。別の態様では、CG53135は、例えばドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動によってアッセイした時に、はっきりと均質になるまで精製される。CG53135タンパク質の精製には、沈殿による分離、吸着による分離(例えばカラムクロマトグラフィー、メンブレン吸着、渦巻きカラム、バッチ吸着、高性能液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、無機吸着剤、疎水性吸着剤、不動化金属アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー)、溶液中の分離(例えば、ゲル濾過、電気泳動、液相分配、界面活性剤分配、有機溶媒抽出、および限外濾過)を含むが、これらに限定されない当技術分野で公知である任意の技術を用いることができる。例えば、Scopes、PROTEIN PURIFICATION,PRINCIPLES AND PRACTICE,3rd ed.,Springer(1994)を参照。精製中、CG53135の生物活性は、上記の第5.3節に記載されている、1つまたは複数のインビトロまたはインビボアッセイによってモニタリングできる。CG53135の純度は、ゲル電気泳動のような、しかしこれに限定されない当技術分野で公知な任意の方法によってアッセイできる。上記Scopesを参照。
当技術分野で公知の方法を利用して、CG53135タンパク質を組換え体として作ることができる。CG53135タンパク質をコードする核酸配列は、宿主細胞で継代および発現させるために発現ベクター内に挿入することができる。
本明細書で使用する場合、発現構築物とは、適切な宿主細胞内でCG53135タンパク質の発現を可能にする、1つまたは複数の制御領域と作動可能に連結したCG53135タンパク質をコードする核酸配列を指す。「作動可能に連結した」とは、制御領域と発現対象のCG53135配列が、転写および最終的には翻訳可能な様に結合および配置されている連結を指す。
CG53135の転写に必要な制御領域は、発現ベクターから提供できる。それ本来の開始コドンを欠いているCG53135遺伝子配列を発現させる場合には、翻訳開始コドン(ATG)も提供できる。適合した宿主−構築物系では、宿主生物において、RNAポリメラーゼのような細胞由来の転写因子が発現構築物の制御領域に結合し、変更されたCG53135配列の転写を行う。遺伝子発現に必要な制御領域のストリンジェントなな性質は宿主細胞によって異なることがある。一般的には、RNAポリメラーゼを結合でき、作動可能に連結している核酸配列の転写を促進できるプロモータが必要である。このような制御領域としては、転写開始および翻訳に関与する、TATAボックス、キャッピングは入れ宇、CAAT配列のような5’非コーディング配列が挙げられる。コーディング配列の3’側にある非コーディング領域は、終止部位およびポリアデニル化部位のような転写終止制御配列を含んでよい。
CG53135遺伝子配列にプロモータのような制御機能を有するDNA配列を取り付けるか、またはCG53135遺伝子配列をベクターのクローニング部位内に挿入するために、当技術分野で周知の技術を用いて、目的に合った、適合制限部位を提供するリンカーまたはアダプターをcDNAの末端に結合してよい(例えばWu et al.,1987、Methods in Enzymol,152:343〜349を参照)。制限酵素による開裂に続いて、結合する前に単鎖DNA末端部を消化または充填して平滑末端に変更することができる。または、望まれる制限酵素部位を含むプライマーを用いたPCRによってDNAを増幅することで、望まれる制限酵素部位をDNAの断片内に入れることができる。
制御領域と作動可能に連結したCG53135配列を含む発現構築物は、その後クローニングすることなくCG53135タンパク質を発現および製造するために、それに適した宿主細胞に直接導入できる。例えば米国特許第5、580、859号を参照。発現構築物は、CD53135配列の宿主細胞ゲノム内への統合、例えば相同的組換えによる統合を容易にするDNA配列を含むこともできる。この場合は、宿主細胞でCG53135を継代および発現させるために、それに適合した宿主細胞に好適な複製起点を含んだ発現ベクターを用いる必要はない。
プラスミド、コスミド、ファージ、ファージミド、または修飾ウイルスを含むが、これらに限定されない多様な発現ベクターを用いることができる。このような宿主−発現系は、CG53135遺伝子のコーディング配列を産生および続いて精製できるビヒクルであるが、適切なヌクレオチドコーディング配列で形質転換またはトランスフェクションした時に、in situでCG53135を発現できる細胞でもよい。このようなものとしては、CG53135コーディング配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えばE.coliおよびB.subtilis);CG53135コーディング配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えばSaccharomyces、Pichia);CG53135コーディング配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;CG53135コーディング配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた、または組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノムに由来する(例えばメタロチオネインプロモータ)、もしくは哺乳動物ウイルスに由来する(例えばアデノウイルス後期プロモータ;ワクシニアウイルス7.5Kプロモータ)プロモータを含む組換え発現構築物を内部に持つ哺乳動物細胞系(例えばCOS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、組換えCG53135分子の発現には大腸菌のような細菌細胞、および真核細胞が用いられる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)は、CG53135配列を効率的に発現させるために、サイトメガロウイルスの主要中間初期遺伝子に由来するプロモータエレメントを担持するベクターと共に用いることができる(Foecking et al.,1986,Gene 45:101;およびCockett et al.,1990,Bio/Technology 8:2)。
細菌系では、発現対象となるCG53135分子の使用目的に応じて、多くの発現ベクターを都合よく選択することができる。例えば、CG53135分子の薬学的組成物を生成するために、大量のCG53135を製造する場合は、簡便に生成される融合タンパク質産物を高レベルに発現するベクターが望まれるだろう。このようなベクターとしては、大腸菌発現ベクターpCR2.1 TOPO(Invitrogen);pINベクター(Inouye & Inouye,1985,Nucleic Acids Res.13:3101〜3109;Van Heeks & Schuster,1989,J.Biol.Chem.24:5503〜5509)等が挙げられるが、これらに限定されない。pFLAG(Sigma)、pMAL(NEB)、およびpET(Nobagen)のような一連のベクターも、PLAGペプチド、malE−、またはCBD−タンパク質との融合タンパク質として外来タンパク質を発現させるのに用いることができる。これら組換えタンパク質は、正しく折りたたみ、かつペリプラズマ空間に向かわせ成熟させることができる。融合部分は、発現タンパク質のアフィニティー精製に用いることができる。エンテロキナーゼのような特定プロテアーゼの開裂部位の存在によりCG53135タンパク質を開裂させることができる。pGEXベクターも、グルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来タンパク質を発現させるのに用いることができる。一般的に、このような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズに吸着および結合させ、続いて遊離グルタチオン存在下に溶出することによって、溶解細胞から容易に精製できる。pGEXベクターは、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ開裂部位を含み、クローニングされた標的遺伝子産物がGST成分から放出できるようにデザインされている。
昆虫系では、外来遺伝子を発現する多くのベクター、例えばAutographa californica核多角体ウイルス(AcNPV)が外来遺伝子を発現させるベクターとして用いることができる。前記ウイルスはSpondoptera frugiperda細胞のような細胞で増殖する。CG53135コーディング配列は、個別にウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン領域)にクローニングし、かつAcNPVプロモータ(例えばポリヘドリンプロモータ)のコントロール下に置くことができる。
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスをベースにした発現系が利用できる。アデノウイルスを発現ベクターに用いる場合は、関心対象のCG53135コーディング配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモータおよび3リーダー配列とに結合できる。そうするとこのキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボ組換えによってアデノウイルスに挿入できる。ウイルスゲノム(例えば領域E1またはE3)の非必須領域内への挿入によって、感染した宿主の中で生存し、CG53135を発現できる組換えウイルスができる(例えばLogan & Shenk,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355〜359を参照)。挿入されたCG53135コーディング配列を効率的に翻訳するには、特異的開始シグナルも必要であろう。これらシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接する配列が挙げられる。さらには、開始コドンは所望のコーディング配列のリーディングフレームと同調して、全挿入体の翻訳を保証しなければならない。これら外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成両方の、様々な起源のものでよい。発現効率は、適切な転写増強エレメント、転写ターミネータを含めることで高められる(例えばBittner et al.,1987,Methods in Enzymol.153:51〜544を参照)。
これに加えて、挿入された配列の発現を変更するか、遺伝子産物を望む特定の様式に修飾および加工する宿主細胞株を選ぶこともできる。タンパク質産物のこのような修飾(例えばグリコシル化)および加工(例えば開裂)は、タンパク質の機能にとって重要なこともある。様々な宿主細胞がタンパク質および遺伝子産物の翻訳後の加工および修飾に関する特徴および特異的メカニズムを有している。相応しい細胞株または宿主系を選び、発現した外来タンパク質を、確実に適正に修飾および加工することができる。そのためには、遺伝子産物の一次転写物を適切に処理し、翻訳後修飾、例えば遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化を行う細胞性の機構を有する真核生物宿主細胞を用いることができる。このような哺乳動物宿主細胞としては、PC12、CHO、VERY、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、およびT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因性に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7030,ならびにHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。細菌または酵母系での発現は、翻訳後修飾がCG53135の所望活性にとって本質的でない変更であれば用いることができる。好ましい態様では、CG53135配列の発現には大腸菌が用いられる。
細胞内において、適切に加工されたCG53135が長期間、高収率で、安定に発現することが好ましい。CG53135を安定的に発現する細胞株は、選択マーカーを含むベクターを用いて作ることができる。これに限定されるものではないが一例を挙げると、発現構築物を導入した後、導入細胞を1〜2日間、強化培地で増殖させ、次に選択培地に変える。発現構築物中の選択マーカーは選択に対する耐性を付与し、細胞はその染色体に発現構築物を最適かつ安定的に組み込み、培養によって増殖して、細胞株として樹立される。このような細胞は、長期間培養することができ、同時にCG53135を継続して発現する。
抗生物質耐性(ジェネティシンに対する耐性を付与するNeoのようなマーカー、またはG−418(Wu and Wu,1991,Biotherapy 3:87〜95;Tolstoshev,1993,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573〜596;Mulligan,1993,Science 260:926〜932;およびMorgan and Anderson,1993,Ann.Rev.Biochem.62:191〜217;May,1993,TIB TECH 11(5):155〜215);ゼオシンに対する耐性を付与するZeo;ブラスチシジンに対する耐性を付与するBsdなど);抗代謝剤耐性(メトトレキセートに対する耐性を付与するDhfr、Wigler et al.,1980,Natl.Acad.Sci.USA 77:357;O’Hare et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527);マイコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072);ならびに非グロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre et al.,1984,Gene 30:147)を含むが、これらに限定されない多数の選択系を用いることができる。これに加えて、tk−、hgprt−、またはaprt−細胞を含むが、これらに限定されない突然変異細胞株を、チミジンキナーゼ、ヒポキサンチン、グアニン−またはアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼに対応する遺伝子と一緒に用いることができる。組換えDNA技術の分野に周知である方法を普通に用いて、所望する組換えクローンを選択することができ、このような方法は、例えばAusubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);およびDracopoli et al.(eds),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994)の第12および13章;Colberre−Grapin et al.,1981,J.Mol.Biol.150:1に記載されている。
組換え細胞は、温度、インキュベーション時間、最適密度、および培地組成について標準的な条件の下で培養できる。しかしながら、組換え細胞の増殖条件は、CG53135の発現の条件とは異なることがある。変更した培養条件および培地を用いて、CG53135の産生を高めることもできる。当技術分野で公知である任意の技術を応用し、CG53135産生にとって最適な条件を確立することができる。
組換え技術によるCG53135またはその断片の生成方法の代替法は、ペプチド合成である。例えば、CG53135全体またはCG53135の一部分に対応するタンパク質は、ペプチド合成装置を用いて合成することができる。通常のペプチド合成または当技術分野で周知である他の合成プロトコールを用いることができる。
CG53135のアミノ酸配列またはその一部分を有するタンパク質は、Merrifield,1963、J.Am.Chem.Soc.,85:2149に記載されている手順に類似した手順を用いた固相ペプチド合成によって合成できる。合成の間、そのC末端によって連結され伸長していくポリペプチド、および不溶性のポリマー支持体、即ちポリスチレンビーズに、保護された側鎖を有するN−α−保護アミノ酸を段階的に付加していく。タンパク質は、N−α−脱保護アミノ酸のアミノ基を、ジシクロヘキシルカルボジイミドのような試薬と反応させることによって活性化したN−α−保護されているアミノ酸のα−カルボキシル基に連結して合成される。活性化されたカルボキシルへの遊離アミノ基の結合によってペプチド結合が形成される。最も一般的に用いられるN−α−保護基としては、酸不安定なBocおよび塩基不安定なFmocが挙げられる。相応しい化学、樹脂、保護基、保護型アミノ酸、および試薬は当技術分野で周知であり、ここでは詳しく説明しない(Atherton et al.,1989,Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press,and Bodanszky,1993、Peptide Chemistry,A Practical Textbook,2nd Ed.,Springer−Verlagを参照)。
得られたCG53135の精製は、ゲル濾過、分配、および/またはイオン交換クロマトグラフィーを用いた調製HPLCのような通常の手順を用いて行える。適切なマトリックスおよび緩衝液の選択は当技術分野で周知であることから、ここでは詳しく述べない。
5.2.1 改良型生成法
本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を製造するための改良された製造プロセスを提供する。改良された製造プロセスは、より好適かつより純粋な製剤といった便益を提供すると同時に1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物の商業規模の製造にも好適である。
本発明はタンパク質を単離する方法を提供するが、前記方法は次の工程を含む:(1)ベクターを含む大腸菌のような宿主細胞を発酵する工程を含む工程であって、前記ベクターがCG53135タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む工程。好ましい態様では、ベクターはコドンに最適な、完全長のCG53135−05(配列番号8)を含む;(2)培養した細胞を溶解する工程。細胞は、当技術分野公知の方法により溶解できる。1つの態様では、細胞はホモジェナイゼーションによって溶解される。別の態様では、発酵培養細胞は凍結され、50〜100mMリン酸ナトリウム、60mMのEDTA、7.5mMのDTT、3.5〜5M尿素、pH7.2を含む細胞溶解緩衝液で希釈され、次に、例えばホモジェナイゼーションによって溶解される。好ましい態様では、ホモジェナイゼーション前に発酵ブロスにポリエチレンイミン(「PEI」)が加えられる;(3)カチオン交換カラムによる精製工程。好ましい態様では、事前に平衡化し膨潤させた、STREAMLINE EP(登録商標)のようなベッドカチオン交換体を用いる。1つの態様では、単離するタンパク質をカチオン交換カラムにかけた後、50〜100mMリン酸ナトリウム、40mMのEDTA、10mM硫酸ナトリウム、3〜5M尿素、pH7.0を含む追加の平衡化緩衝液でカラムをフラッシングする。カラムは、50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、10〜25mM硫酸ナトリム、2.22Mのデキストロース、pH7.0を含む緩衝液で更に洗浄してもよい。カチオン交換カラムからタンパク質を溶出させる溶出緩衝液は、例えば50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、150〜250mM硫酸ナトリウム、0.5〜1MのL−アルギニン、pH7.0を含む;および(4)疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム(例えばPPG650M)を用いた更なる精製の工程。1つの態様では、親水性相互作用クロマトグラフィーカラム、例えばPPG 650Mを50〜100mM硫酸ナトリウム、5mMのEDTA、1Mアルギニン、pH7.0で平衡化および洗浄される。別の態様では、カラムは更に100〜250mMリン酸ナトリム、5mMのEDTA,0.8〜1Mアルギニン、pH7.0で洗浄される。別の態様では、タンパク質は50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、および0.1〜0.3Mアルギニン、pH7.0で溶出される。
好ましい態様では、上記の工程(4)で溶出されたタンパク質は次の工程のいずれか1つ、または両方によって更に精製できる:(5)溶出されたタンパク質を濾過することによって更に精製する工程。好ましい態様では、荷電エンドトキシン結合フィルター(例えばCUNO(登録商標)30ZAデプスフィルター)が用いられる。1つの態様では、フィルターはまず注射用の水でフラッシュされ、次に50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、0.1〜0.3Mアルギニン、pH7.0でフラッシュされる;ならびに(6)疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム(例えばフェニルセファロースHPクロマトグラフィー)を用いて更に精製する工程。1つの態様では、カラムは50〜100mMリン酸ナトリウム、10〜100mM硫酸アンモニウム、800〜1000mMの塩化ナトリウム、0.5〜1Mのアルギニン、pH7.0で平衡化されて洗われる。別の態様では、タンパク質は50〜100mMリン酸ナトリウム、および0.5〜1Mアルギニン、pH7.0で溶出される。
本発明の方法により単離されたタンパク質をさらに濃縮および濾過して薬剤を製造してもよい。薬学的担体を加え、本発明により提供される調合物のような所望の調合物を製造することもできる。
5.3 CG53135の特徴付け
本発明の生成方法により精製されたタンパク質または本発明の生成方法の中間産物の特徴(例えば純度、CG53135の生物活性を含む様々な特徴)は、当技術分野公知の方法によって決定できる。治療で使用するための組成物は、ヒトで試験する前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギを含むがこれらに限定されない、好適な動物モデル系で試験することができる(このような試験の例は、米国特許出願第09/992,840号、第10/011,364号、第10/321,962号、10/435,087号、10/842,206号、および10/842,179号に見いだすことができ、それぞれの開示は参照によって本明細書に組み入れられている)。
例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(「SDS−PAGE」)、逆相高性能液体クロマトグラフィー(「RP−HPLC」)、サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー(「SEC−HPLC」)、ウエスタンブロット(例えば宿主細胞タンパク質のウエスタンブロット)を含むが、これらに限定されない当技術分野で公知の方法を用いて、本発明の製造プロセス産物の純度を分析することができる。好ましい態様では、本発明の製造プロセスの産物のデンシトメトリーによる純度は、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。別の好ましい態様では、本発明の製造プロセスの産物の、デンシトメトリーによる純度は97%より高く、98%より高く、または99%よりも高い。
ウエスタンブロット、シーケンシング(例えばN−末端エドマン配列決定法)、液体クロマトグラフィー(例えばHPLC、UVおよびエレクトロスプレー質量分析検出装置の両方を具えたRP−HPLC)、質量分析法、全アミノ酸分析、ペプチドマッピング、SDS−PAGEのような、しかしこれらに限定されない当技術分野で公知な方法を用いて、本発明の製造プロセスの産物の識別点を決定できる。本発明の製造プロセス産物の二次、三次および/または四次構造は当技術分野で公知である任意の方法によって分析でき、例えば遠紫外円偏光二色性分光法を用いて二次構造を分析でき、近赤外円偏光二色性分光法および二次導関数UV吸光分光法を用いて三次構造を分析でき、光散乱SEC−HPLCを用いて四次構造を分析できる。
本発明の製造プロセス産物の有効性は、当技術分野で公知である方法、またはCG53135タンパク質の1つまたは複数の生物活性を測定する任意のバイオアッセイによって測定できる。1つの態様では、本発明の製造プロセス産物の有効性は、NIH 3T3細胞の細胞増殖を刺激する産物の能力によって測定される(例えばこのようなアッセイについては、6.5節を参照)。
安全性(例えば残留DNA、エンドトキシン、汚染微生物数)、pH、浸透性、スルフヒドリル含有量のような本発明の製造プロセス産物の別の特徴も、当技術分野で公知である任意の方法(このような方法の例については、6節を参照)によって分析できる。このような方法は当技術分野において周知であるため、ここでは詳しく説明しない。
1つの態様では、改良された製造プロセスからのバルク製剤原料の標本であるCG53135タンパク質参照標準物が調製され、特徴が調べられる。好ましくは、この参照標準物は、その純度、識別点(例えば分子量、アミノ酸配列)、有効性、構造(例えば二次、三次、および四次構造)、安全性(例えばエンドトキシン、汚染微生物数)および、pH、浸透性およびスルフヒドリル含有量のような、しかしこれらに限定されないその他の特徴について特徴付けされる。目視検査では、CG53245タンパク質参照標準物は透明で無色でなければならない。CG53135タンパク質参照物が確立されたならば、それを、例えば製造プロセスの品質管理、およびCG53135に関係する他のアッセイの陽性コントロールとして用いることができる。
5.4 予防的および治療的な使用
本発明は、それを必要とする被験体に、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を有効量投与することを含む、疾患(例えば消化器粘膜炎、IBD、過敏性腸症候群、関節炎、発作、放射線関連疾患)またはそれらの1つもしくは複数の症状を予防および/または治療する方法を提供する。
5.4.1 消化器粘膜炎
1つの態様では、本発明は消化器粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。発明の方法により阻止および/または治療が可能な消化器粘膜炎としては、口腔粘膜炎、食道炎、口内炎、腸炎、および直腸炎が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、発明の方法は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む有効量の組成物を、消化管内の一カ所以上の領域に粘膜炎がある被験体(例えば口腔粘膜炎と腸炎の両方に罹っている被験体)に投与することを含む。幾つかの態様では、発明の方法は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む有効量の組成物を、消化管内の一カ所の領域だけに粘膜炎がある被験体(例えば口腔粘膜炎だけに罹っている被験体または腸炎だけに罹っている被験体)に投与することを含む。好ましい態様では、発明の方法により予防および/または治療できる消化管粘膜炎(alimentary mucositis)は口腔粘膜炎である。いくつかの態様では、発明の方法により予防および/または治療できる消化管粘膜炎は口腔粘膜炎ではない。消化管粘膜炎は、例えば化学的傷害、放射線的傷害、生物学的傷害(例えば細菌)、またはそれらの組合せによって誘導されてもよい。
幾つかの態様では、本発明は、消化管片膜炎に罹った患者集団および消化管粘膜炎を発症するリスクを持った集団における消化管粘膜炎の予防および/または治療の方法を提供する。1つの態様では、本発明は放射線治療および/または化学療法による治療を受けている被験体の消化管粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。別の態様では、本発明は、放射線治療および/または化学療法による治療を受ける予定の被験体に、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を投与することによって、消化管粘膜炎を予防する方法を提供する。特定の態様では、本発明は、自己または同種造血幹細胞移植のための状態調整骨髄機能廃絶放射線治療および/または化学療法による治療を受けている被験体の消化管粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。別の特定の態様では、本発明は粘膜炎誘発剤による粘膜毒性化学療法を受けた、または受けている被験体(例えばシタラビン治療を受けている白血病患者)の消化管粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、補助的化学療法と共に、または無しに放射線治療による治療を受けている頭部および/または頸部癌に罹った被験体の消化管粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、消化管粘膜炎を誘発する可能性のある傷害(例えば化学的傷害、放射線傷害、生物学的傷害、またはそれらの組合せ)が被験体に生ずる前に、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を投与することを含む消化管粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。別の態様では、本発明は、消化管粘膜炎を誘発する可能性のある傷害(例えば化学的傷害、放射線傷害、生物学的傷害、またはそれらの組合せ)が被験体に生じた後であるが、しかし被験体に消化管粘膜炎が発生する前に1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を投与することを含む消化管粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、被験体に消化管粘膜炎が発生した後に、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を投与することを含む消化管粘膜炎を治療する方法を提供する。
幾つかの態様では、本発明は1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を周期的に投与することを含む、消化管粘膜炎を予防および/または治療する方法を提供する。1つの態様では、周期的治療は、ある期間第一治療薬を投与し、続いてある期間第二治療薬を投与し、この連続する投与、即ち周期を繰り返して、例えば治療薬の一方が有する副作用を回避または軽減し、かつ/あるいは治療薬の効力を高めることを包含する。別の態様では、周期的治療は、ある期間治療薬を投与すること、ある期間治療薬を停止すること、および治療薬の投与を繰り返すことを包含する。本発明によれば、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、放射線治療および/または化学療法が周期的治療である場合には、放射線治療および/または化学療法が投与される前、最中、または後に被験体に投与できる。
本発明によれば、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物は、消化管粘膜炎を予防および/または治療する他の治療薬と一緒に用いることができる。1つの態様では、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物は、消化管粘膜炎に対し予防効果および/または治療効果を有し、かつ/あるいは消化管粘膜炎に関連する1つまたは複数の症状に対し改善効果を有する他の薬剤の1つ、または複数と一緒に被験者に投与され、消化管粘膜炎を予防および/または治療する。このような薬剤の非限定例としては:粘膜保護剤(例えばスクラフフェート、コロイド状ビスマス)、抗生物質、抗真菌剤(例えばフルコナゾール、アンホテルシンB)、抗ウイルス剤(例えばアシクロビル)、制吐剤(例えばフェノチアジン、ブチロフェノン、ベンゾジアゼピン、コルチコステロイド、カンナビノイド、5−HT3セロトニンレセプターブロッカー)、下痢止め剤(例えばジフェノキシレート、ロペラミド、カオリン、ペクチン、メチルアセルロース、活性化アタパルガイド、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs))、形質転換成長因子(TGF)、インターロイキン−11(IL−11)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、L−グルタミン、アミホステン、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)がある。別の態様では、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物は、消化管粘膜炎軽減効果を有する、1つまたは複数の他治療薬と共に投与される。このような治療の非限定例は:リドカインのような局所性鎮痛薬の塗布、および/または麻酔薬および抗菌剤の全身投与、リン酸カルシウムの有無に関係ないフッ化物の局所適用、機械的なプラークの除去、歯科用スポンジ、口腔を冷やす氷片の吸引、各種感染薬を使った口腔洗浄、局所麻酔を使った口腔洗浄がある。
5.4.2.放射線保護および幹細胞への刺激効果
1つの態様では、本発明は放射線曝露、化学療法、化学/生物兵器、および/または体内の急速に増殖する組織に影響を及ぼすその他傷害に関係した(例えば原因とする)1つまたは複数の疾患、あるいはそれらの1つまたは複数の症状を、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を、被験体に予防的または治療的に有効な量投与することによって予防および/または治療する方法を提供する。
幾つかの態様では、本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、上皮細胞および/または間葉細胞の病変を予防および/または治療する方法を提供する。別の態様では、本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、上皮細胞および/または間葉細胞の増殖、分化、または移動を刺激する方法を提供する。
上皮膜は、細胞間結合と呼ばれる密な接触に特殊化した特徴的な部位を有する、連続する細胞の境界を有する連続する細胞シートである。このような膜は、1つまたは複数細胞の厚みであり、毛細血管を含んでいない。上皮はその下にある結合組織と、基底膜として知られる構成要素によって結合しており、基底膜は上皮と結合組織間に薄層として分布している複雑な組成を有する細胞内物質の層である。
層状構造を有するケラチン化していない扁平上皮は一般的に、吸収機能を必要としない、大きな摩耗および断裂を受ける湿潤した表皮上に存在している。このような表面を湿った状態に保つのに必要な分泌物は、適切に配置された腺から供給される。このタイプの上皮に裏打ちされている部位としては、食道および口腔の床部および側部が挙げられる。
単層円柱上皮は、集合して六角形パターンを形成する背の高い細胞の単層から形作られている。単層分泌円柱上皮では、円柱細胞は全て保護的な役割に加えて、粘膜を分泌するように特殊化している。このタイプの上皮の部位は、胃の内層に在る。
吸収細胞および分泌細胞から出来ている単層円柱上皮は、腸を裏打ちしている。吸収を促進するために、この膜は一細胞の厚みしかない。吸収に特殊化した細胞は散在し、保護粘液を分泌する杯細胞が多く存在している。
間葉細胞は、例えば骨芽細胞、軟骨細胞、筋細胞、および脂肪細胞に分化できる幹細胞である。間葉細胞−上皮の相互作用は、上皮組織の生理および病理に重要な役割を果たしている。間葉細胞には上皮基底膜(例えば周皮細胞および血管周囲単球由来細胞(MDC))が付属するか、または上皮内に存在することもある(MDCおよびT細胞)。間葉細胞と組織特異的細胞との間の相互作用の性質は、組織のタイプ(例えば脳血管上皮)、または特定の上皮内に存在する間葉細胞による、細胞の自殺状態(アポトーシス)への分化の予防または容認/促進に依存するだろう。周皮細胞、MDC、およびTリンパ細胞のような特殊化した間葉細胞は、上皮細胞の分化および老化に大きな影響を及ぼすだろう。
骨洞の間質コンパートメントは、相互に連絡した間葉細胞の網状構造から出来ている。間質細胞は骨皮質、骨梁、および造血細胞と密接に結びついている。骨髄−基質の微小環境は、細胞、細胞外マトリックス(ECM)と成長因子およびサイトカインの複合体であり、個体の生涯を通して局所的な骨形成および造血を制御している。骨の生理および造血に関する微小環境の創造では、骨髄基質の役割は特殊な間質細胞の小集団が果たしている。これらの細胞は共通の幹細胞から、それぞれが異なる役割を有する特殊な株に分化する。これら細胞の機能が集合して3−D−構造が調和的に統合され、骨の中に活動的な骨髄が維持される。
成体では、血液細胞は、体部骨を満たす海綿状物質である骨髄によって産生されている。骨髄は2つの血液細胞群、即ち骨髄性血液細胞とリンパ系血液細胞を作る。骨髄性細胞株としては、例えば次のものが挙げられる:(1)後に赤血球(red blood cell)に発生するエリスロサイト(Erysthrocyte)と呼ばれる未成熟細胞;(2)血液凝固細胞(血小板);(3)マクロファージ(異物粒子のスカベンジャーとして機能する)、好酸球(アレルギーの引き金となり、また寄生虫に対する防御を行う)、および好中球(細菌感染に対する主な防御因子)を含む幾種類かの白血球を含む。リンパ株、例えばリンパ細胞は、体部の第一の抗感染細胞である。その他の生命機能として、ある種のリンパ細胞は、特定の異物(抗原)を標的として攻撃する因子である抗体の産生を担当している。リンパ細胞は胸腺または骨髄の中で発生し、それ故にB−細胞(骨髄由来細胞)またはT−細胞(胸腺由来細胞)のいずれかに分類される。
本発明によれば、CG53135は上皮細胞および/または間葉細胞の増殖、分化、および/または移動を制御し、それにより上皮細胞および/または間葉細胞の病理に関係する疾患に予防的および/または治療的な効果を有している。
幾つかの態様では、発明の方法により用いられる組成物は、FGF−20、FGF−20の断片、誘導体、改変体、相同体、または類似体、あるいはそれらの組合せを含む。幾つかの態様では、発明の方法に従って用いられる組成物は、CG53135−01(配列番号2)、CG53135−02(配列番号4)、CG53135−03(配列番号2)、CG53135−04(配列番号7)、CG53135−05(配列番号2)、CG53135−06(配列番号10)、CG53135−07(配列番号12)、CG53135−08(配列番号14)、CG53135−09(配列番号16)、CG53135−10(配列番号18)、CG53135−11(配列番号20)、CG53135−12(配列番号22)、CG53135−13(配列番号24)、CG53135−14(配列番号26)、CG53135−15(配列番号28)、CG53135−16(配列番号30)、CG53135−17(配列番号32)、IFC250059629(配列番号34)、IFC20059669(配列番号36)、IFC317459553(配列番号38)、IFC317459571(配列番号40)、IFC250059596(配列番号10)、またはIFC316351224(配列番号10)、あるいは任意の二またはそれ以上のCG53135タンパク質の組合せを含む。1つの態様では、本発明の方法に従って用いられる組成物は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。別の態様では、本発明の方法に従って用いられる組成物は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号26のアミノ酸配列を含むタンパク質、(4)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、(5)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(6)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。別の態様では、本発明の方法に従って用いられる組成物は、(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、(4)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(5)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。別の態様では、本発明の方法に従って用いられる組成物は(1)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(4)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。さらに別の態様では、本発明の方法に従って用いられる組成物は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、(4)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、(5)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質、(6)配列番号24のアミノ酸配列を含むカルバミル化されたタンパク質、および(7)配列番号2のアミノ酸配列を含むカルバミル化されたタンパク質を含む。
幾つかの態様では、急速に増殖している組織に影響する傷害は、放射線曝露である。特定の態様では、傷害源はイオン化放射線である。別の態様では、傷害源は1つまたは複数の化学療法、あるいは1つまたは複数の化学/生物兵器(例えば発泡剤または細菌)、あるいはそれらの組合せでよい。化学療法および化学/生物兵器の非限定例は、アルキル化剤、発泡剤(例えばマスタード剤)および微生物である。幾つかの態様では、急速に増殖する組織に影響する傷害源は、1つまたは複数の放射線曝露、1つまたは複数の化学療法、1つまたは複数の化学/生物兵器、あるいはそれらの組合せである。
イオン化放射線のような傷害の作用に最も敏感な臓器および体部システムとしては、皮膚、造血およびリンパ系、生殖腺、肺、神経組織、およびGI管が挙げられるが、これらに限定されない。1つの態様では、傷害は特に被験体の造血組織および/または胃腸管組織を損傷する。特定の態様では、予防または治療対象となる障害は、貧血、白血球減少症(例えば好中球減少症)、血小板減少症、汎血球減少症、および凝固障害を含むがこれらに限定されない造血障害である。別の態様では、予防または治療対象となる障害は口腔粘膜炎、食道炎、口内炎、腸炎、および直腸炎を含むがこれに限定されない消化管粘膜炎である。別の態様では、予防または治療対象となる障害は脳血管シンドロームである。幾つかの態様では、急速増殖組織に影響する傷害(放射線、化学療法、および化学/生物兵器のような)に関連する症状としては、下痢、皮膚火傷、触痛、疲労、脱水、炎症、脱毛、口腔粘膜の潰瘍、口腔乾燥、および出血(例えば鼻、口、または直腸から)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、被験体の酸素消去経路をアップレギュレーションする方法を提供し、前記方法は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を被験体に投与することを含む。1つの態様では、酸素消去経路は、細胞内CuZnSODおよびMnSOD、ならびに細胞外−SOD(「EC−SOD」)を含むがこれらに限定されない、スーパーオキサイドジスムターゼ(「SOD」)を1つまたは複数含む。別の態様では、酸素消去経路はERK、AKT、スーパーオキサイドジスムターゼ、シクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)およびNrf−2から成る群より選択される遺伝子を含む。放射線に曝露した細胞は、HOのイオン化によって細胞内で生成される最も反応性の高い種であるイオン化ラジカル(反応性酸素種またはROS)の障害効果に曝される。被験体への1つまたは複数のCG53135タンパク質の投与は、ROSを排除し、それを過酸化水素のような低反応性中間体に変換するスーパーオキシダーゼのような酵素の転写を増加させる。被験体への1つまたは複数のCG53135の投与は、放射線のような傷害源により誘発された反応性酸素種の付加も下げる。
本発明は、被験体の細胞に由来する1つまたは複数の内因性サイトカインおよび/または内因性ケモカインの分泌を刺激する、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を被験体に投与することを含む方法を更に提供する。分泌される内因性サイトカインは、インターロイキン(「IL」)−1b、IL−6、IL−7、IL−8、IL−11、および顆粒球コロニー形成因子(「G−CSF」)でよいが、これらに限定されない。分泌される内因性ケモカインは、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(「CXCL1」)および単球化学誘因物質(「MCP−1」)でよいが、これらに限定されない。これら内因性サイトカインおよびケモカインの幾つかは、内因性の放射線保護反応に関係していることが示されている。
本発明は、被験体の造血幹細胞および/または胃腸管幹細胞の増殖を促進する方法であって、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を被験体に投与する方法を提供する。1つの態様では、被験体への1つまたは複数のCG53135タンパク質の投与は、骨髄基質内の線維芽細胞を刺激して、造血幹細胞の健康および増殖能力を増強する因子を分泌させる。別の態様では、被験体への1つまたは複数のCG53135タンパク質の投与は、胃腸管幹細胞の急速な爆発的増殖をもたらし、これに続いて24時間後にこの増殖に対向する制御的な阻害がかかる。これにより組織レベルの細胞周期は同調化し、これはより放射線耐性である。
本発明はまた、被験体の造血幹細胞の移植を最適化する方法であって、被験体に1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を投与することを含む方法も提供する。1つの態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質の投与は、放射線によって骨髄を無力化した後の骨髄移植に続くT細胞の移植または集団再形成の成功率を高める。別の態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質の投与は、骨髄移植後の胸腺内でのT細胞再形成の速度を速める。
本発明の方法の使用対象患者集団としては、急速に増殖している組織に影響する傷害源(例えば放射線、化学療法、および化学/生物兵器)に曝されたことのある被験体、急速に増殖している組織に影響する傷害源(例えば放射線、化学療法、および化学/生物兵器)に曝されたことが疑われる被験体、急速に増殖している組織に影響する傷害源(例えば放射線、化学療法、および化学/生物兵器)に曝される可能性がある被験体、および急速に増殖している組織に影響する傷害源(例えば放射線、化学療法、および化学/生物兵器)に曝されるリスクのある被験体が挙げられるが、これらに限定されない。
1つの態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、体内の急速に増殖している組織を傷害する傷害源に被験体が曝される前に、被験体に投与される。別の態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、体内の急速に増殖している組織を傷害する傷害源に被験体が曝された後であるが、被験体にそれに関係する傷害または症状が発生する前に被験体に投与される。別の態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、体内の急速に増殖している組織を傷害する傷害源に被験体が曝された後に被験体に投与される。更に別の態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、急速に増殖している組織に影響する傷害に曝されたリスクを持つ被験者に投与される。
1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、急速に増殖している組織に影響する傷害源(放射線、化学療法、および化学/生物兵器のような)に関連した1つまたは複数の障害または症状を予防、治療、または軽減する、1つまたは複数のその他治療法と組み合わせて投与することもできる。好ましい態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、急速に増殖している組織に影響する傷害源(放射線、化学療法、および化学/生物兵器のような)に関連した1つまたは複数の障害または症状の予防、治療、または軽減への使用が公知である1つまたは複数のその他の治療法と組み合わせて投与される。かかるその他治療の例としては、メスナ(2−メルカプトエテンスルホネートナトリウム)およびその他の遊離チオール成分を有する類似体、ジメスナ(2’−ジチオビスエタンスルホネート2ナトリウム)およびその他のジスルフィド、ならびに、例えば米国特許出願第20030092681号に記載されているような化合物、およびKGF(例えば米国特許第6,743,422号を参照)。CG53135を含む組成物と組み合わせて用いることができる、その他作用物質の例を表1Bに示す。
Figure 2008519032
1つの態様では、併用治療中、CG53135タンパク質および/または他の治療薬は準最適量で、例えば当技術分野で公知である方法で決定した時に、単独投与された時には検出可能な治療的便益は証明されない量で投与される。このような方法では、CG53135タンパク質およびその他治療薬の同時投与が、治療効果を全般的に高める。
1つの態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質、および1つまたは複数のその他治療薬を含む組成物は、同一患者来院時に投与される。別の態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、1つまたは複数のその他治療薬が投与される前に投与される。更に別の態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、1つまたは複数のその他治療薬に続いて投与される。特定の態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質、および1つまたは複数のその他治療薬を含む組成物は、被験体に周期的に投与される。周期的治療は、ある期間第一治療薬を投与し、続いてある期間第二治療薬を投与し、この連続する投与、即ち周期を繰り返して、例えば治療薬の一方が有する副作用を回避または軽減し、かつ/あるいは治療薬の効力を高めることを包含する。周期的治療は、1つまたは複数の治療薬に対する耐性の発生を減らし、治療薬の1つの副作用を回避または軽減し、ならびに/あるいは治療の効果を改善できる。
5.4.3.炎症性腸疾患および過敏性腸症候群
1つの態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を、それを必要とする被験体に有効量投与することを含む、炎症性腸疾患または過敏性腸症候群を予防および/または治療する方法を提供する。発明の方法により予防および/または治療できる炎症性腸疾患としては、潰瘍性大腸炎およびクローン病が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、炎症性腸疾患に罹った患者集団の炎症性腸疾患を発症するリスクのある集団の炎症性腸疾患を予防および/または治療する方法を提供する。本発明はまた、過敏性腸症候群にかかった患者集団および過敏性腸症候群を発症するリスクのある集団での過敏性腸症候群を予防および/または治療する方法も提供する。
1つの態様では、本発明は、(a)配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、もしくは40のアミノ酸配列を含むタンパク質;(b)(a)のタンパク質に対し1つまたは複数の置換があるタンパク質であって、前記置換が配列番号2、4,7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、もしくは40のアミノ酸配列の15%を越えず、かつ前記1つまたは複数のアミノ酸置換があるタンパク質が細胞増殖刺激活性を保持しているタンパク質;ならびに(c)(a)または(b)のタンパク質の断片であって、細胞増殖刺激活性を保持している断片から成る群より選択された、単離されたタンパク質を、これを必要とする被験体に有効量投与することを含む、炎症性腸疾患または過敏性腸疾患を予防または治療する方法を提供する。
幾つかの態様では、本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を周期的に投与することを含む、炎症性腸疾患または過敏性腸疾患を予防および/または治療する方法を提供する。1つの態様では、周期的治療は、第一治療薬をある期間投与し、続いて第二治療薬をある期間投与し、この連続する投与、即ち周期を繰り返して、例えば治療薬の一方が有する副作用を回避または軽減し、かつ/あるいは治療薬の効力を高めることを包含する。別の態様では、周期的治療は、治療薬をある期間投与すること、治療薬をある期間停止すること、および治療薬の投与を繰り返すことを包含する。
本発明によれば、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物は、他の治療薬と組み合わせて使用され、炎症性腸疾患および/または過敏性腸疾患を予防および/または治療できる。1つの態様では、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物は、炎症性腸疾患に対し予防および/または治療効果を持ち、かつ/あるいは炎症性腸疾患に関係する、1つまたは複数の症状に対し改善効果を有する、1つまたは複数のその他治療薬と組み合わせて被験体に投与され、炎症性腸疾患を予防および/または治療する。このような治療薬の非限定例は:5−アミノサリチル酸、抗生物質、コルチコステロイド、免疫調整剤(例えば6−メルカプトプチン、アザチオプリン、メトトレキセート、シクロスポリン)、および生物反応変更因子(例えばインフリキシマブ)である。別の態様では、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物は、過敏性腸症候群に対し予防および/または治療効果を有する、ならびに/あるいは過敏性腸症候群に対し予防および/または治療効果を有する、1つまたは複数のその他治療薬と組み合わせて被験者に投与され、炎症性腸疾患を予防および/または治療する。このような治療薬の非限定例は:ラキサチブ;下痢止め剤(例えばジフェノキシレート(例えばロモチル、ロモコット);ロペラミド(例えばイモジウム、ペプトジアリア(Pepto Diarrhea))、コレスチラミン(例えばクエストラン、コリバール(Cholybar));鎮痙薬(例えばジシクロミン、ヒオスシアミン、およびクリジニウム(塩酸クロルジアゼポキシドと組み合わせて));ペパーミントオイル;直接平滑筋弛緩剤;抗鬱剤;5−HT3アンタゴニスト(例えばアロセトロン(ロトロネクス)、シランセトロン);5−HTアゴニスト(例えばテガセロド(ゼルノーム(Zelonorm)/ゼルマック)およびプルカロプリド);M3レセプターアンタゴニスト(例えばザミフェナチンおよびダリフェナチン)である。
5.4.4.関節炎およびCNS系または心臓血管系に関係する疾患
1つの態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、疾患(例えば関節病、虚血性発作、出血性ショック、外傷、脊髄損傷、重金属中毒、または神経変性疾患)を予防および/または治療する方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む関節炎(例えば骨関節炎またはリウマチ関節炎)を予防および/または治療する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む軟骨変性を軽減する方法を提供する。別の態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、軟骨修復を促進する方法を提供する。特定の態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を被験体に投与することを含む、手術後の被験体の軟骨治癒を促進する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を被験体に投与することを含む、発作(例えば虚血性発作、出血性発作)のような心血管疾患を予防および/または治療する方法を提供する。特定の態様では、本発明は、配列番号4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、もしくは40のアミノ酸配列、またはそれらの組み合わせを含む単離されたタンパク質を含む組成物を被験体に投与することを含む、発作のような心血管疾患を予防および/または治療する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、萎縮性側索硬化症、ハンチントン病)を予防および/または治療する方法を提供する。特定の態様では、本発明は、配列番号4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、もしくは40のアミノ酸配列、またはそれらの組み合わせを含む単離されたタンパク質を含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、神経変性疾患を予防および/または治療する方法を提供する。
いくつかの態様では、本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を周期的に投与することを含む、疾患(例えば関節病、虚血性発作、出血性ショック、外傷、脊髄損傷、重金属中毒、または神経変性疾患)を予防および/または治療する方法を提供する。1つの態様では、周期的治療は、ある期間第一治療薬を投与し、続いてある期間第二治療薬を投与し、この連続する投与、即ち周期を繰り返して、例えば治療薬の一方が有する副作用を回避または軽減し、かつ/あるいは治療薬の効力を高めることを包含する。別の態様では、周期的治療は、ある期間治療薬を投与すること、ある期間治療薬を停止すること、および治療薬の投与を繰り返すことを包含する。本発明によれば、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、放射線治療および/または化学療法が周期的治療である場合に、放射線治療および/または化学療法が投与される前、最中、または後に被験体に投与できる。
本発明によれば、単離されたCG53135タンパク質を1つまたは複数含む組成物は他の治療薬と組み合わせて用い、疾患(例えば関節病、虚血性発作、出血性ショック、外傷、脊髄損傷、重金属中毒、または神経変性疾患)を予防および/または治療することもできる。1つの態様では、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物は、疾患(例えば関節病、虚血性発作、出血性ショック、外傷、脊髄損傷、重金属中毒、または神経変性疾患)に対し予防および/または治療効果を有する、ならびに/あるいは疾患に関係する1つまたは複数の症状の改善効果を有する1つまたは複数のその他薬剤と組み合わせて被験者に投与され、疾患を予防および/または治療する。関節病、虚血性発作、出血性ショック、外傷、脊髄損傷、重金属中毒、または神経変性疾患のような疾患を予防および/または治療することができる当技術分野で公知である任意のその他薬剤または治療薬が、本発明の方法による1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物と組み合わせて用いることができる。特定の態様では、本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物を被験体に投与することを含む、手術後の被験体の軟骨治癒を促進する方法を提供する。
5.5 投与レジメン
本発明の予防および/または治療プロトコールの毒性および有効性は、例えばLD50(集団の50%を致死させる投与量)およびED50(集団の50%に治療効果がある投与量)の決定については、細胞培養または実験動物を用いた標準的な薬学的手順によって決定できる。毒性と治療効果の用量比が治療指数であり、この指数はLD50/ED50で表される。高い治療指数を持つ予防薬および/または治療薬が好ましい。有毒な副作用を持つ予防薬および/または治療薬は用いることはできるが、このような薬物が患部組織部位を標的とするようにして、非感染細胞への潜在的損傷を最小限にとどめ、これにより副作用を低減させるようにデリバリーシステムを設計するように心がけなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトで使用するための予防薬および/または治療薬の投与量範囲の作成に用いることができる。このような薬物の投与量は、毒性がほとんど無いか、全くないED50を含む血中濃度の範囲内であることが好ましい。投与量は、用いる投与形態および利用する投与経路に応じてこの範囲内の中で変えることができる。発明の方法で用いる薬剤について、治療有効投与量は、まずは細胞培養アッセイによって推測できる。投与量は、細胞培養で決定されたIC50(即ち症状の半最大阻止を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度を動物モデルにおいて得ることができるように定めることができる。このような情報を用いて、ヒトで有用な投与量をより正確に決定できる。血漿中のレベルは、例えば高性能液体クロマトグラフィーによって測定できる。
特定の障害または状態の治療に有効である発明の組成物の量は、障害または状態の性質に依存し、それは標準的な臨床技術によって決定できる。調合物に用いられる正確な用量もまた投与経路、および疾患または障害の重篤度に依存し、これらは医師の判断および各患者の環境に合わせて決定されなければならない。
1つの態様では、発明が提供する、ヒト患者に投与する、1つまたは複数のG53135タンパク質を含む組成物の投与量は少なくとも0.001mg/kg、少なくとも0.005mg/kg、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.03mg/kg、少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.6mg/kg、少なくとも0.7mg/kg、少なくとも0.8mg/kg、少なくとも0.9mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも9mg/kg、または少なくとも10mg/kg(UVアッセイにより測定した場合)である。別の態様では、本発明が提供する、ヒト患者へ投与するための、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物の投与量は、0.001〜10mg/kgの間、0.005〜5mg/kgの間、0.005〜1mg/kgの間、0.005〜0.9mg/kgの間、0.005〜0.8mg/kgの間、0.005〜0.7mg/kgの間、0.005〜0.6mg/kgの間、0.005〜0.5mg/kgの間、0.005〜0.3mg/kgの間、0.01〜1mg/kgの間、0.01〜0.9mg/kgの間、0.01〜0.8mg/kgの間、0.01〜0.7mg/kgの間、0.01〜0.6mg/kgの間、0.01〜0.5mg/kgの間、または0.01〜0.3mg/kgの間である(UVアッセイで測定した場合)。
タンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイまたはUVアッセイのような当技術分野で公知である方法によって測定でき、濃度はどのアッセイを用いたかによって変わることがある。非限定例では、本発明の薬学的組成物のタンパク質濃度は、280nmの波長でのUV吸収の直接測定を用いるUVアッセイ、および良く特徴付けされたCG53135タンパク質の参照標準物(IgGの代わりに)を用いて測定される。このUV法を用いて得た試験結果(CG53135参照標準物)は、ブラッドフォード法を用いて同サンプルを試験した場合(キャリブレータとしてIgGを用いる)の試験結果よりも三倍低い。例えば、本発明が提供する、ヒト患者へ投与するための、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物の投与量は、UVアッセイで測定した時に0.001〜10mg/kgであり、従ってブラッドフォードアッセイで測定した時に0.003〜30mg/kgである。
1つの態様では、全投与量を初めて投与する前に、発明の組成物を少量(例えば記載投与量の1/100〜1/10)皮下注射して急性不寛容を検出することが好ましい。注射部位を試験後1および2時間後に検査する。反応が見つからない場合には、全投与量を投与する。
5.6 薬学的組成物および調合物
本発明は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物(調合物を含む)を包含する。薬学的組成物を予防的有効量または治療的有効量を被験体に投与して、炎症性腸疾患(「IBD」)、過敏性腸症候群、消化管粘膜炎(口腔粘膜炎を含む)、関節炎、中枢神経系もしくは心臓血管系に関係する疾患のような、1つまたは複数の疾患、および放射線曝露に関係する症状を予防および/または治療することができる。様々なデリバリーシステムが公知であり、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物の投与に用いることができる。このようなデリバリーシステムとしては、リポソームへの封入化、微粒子、マイクロカプセル、組換え細胞による発現、レセプター仲介エンドサイトーシス、レトロウイルスまたはその他ベクターの一部としての発明の核酸の構築等が挙げられるが、これらに限定されない。導入方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、くも膜下、脳室内、硬膜外、静脈内、皮下、鼻内、腫瘍内、経皮、直腸、および口腔経路が挙げられるが、これらに限定されない。発明の組成物は、任意の通常の経路、例えば注入または大量注射、上皮もしくは粘膜下層(例えば口腔粘膜、膣粘膜、直腸および腸粘膜等)を通した吸収による経路から投与でき、かつ他の生物活性作用物質と一緒に投与することもできる。投与は全身性にも局所性にもできる。特定の態様では、本発明は、好ましくは針安全装置を鋭利な針を具えた、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物が前もって充填されている単一またはデュアルチャンバーシリンジを含む。1つの態様では、二重チャンバーシリンジ(例えば、Vetter Pharmar−Fertigung社製Vetter Lyo−Jectデュアルチャンバーシリンジ)が用いられる。このようなシステムは、凍結乾燥された調合物にとって望ましく、緊急時に特に有用である。
幾つかの態様では、発明の薬学的組成物は治療を必要とする領域に局所的に投与することが望ましいだろう。これは、例えば局所的な塗布により、注射により、注入ポンプにより、坐剤を手段として、または移植を手段として達成できる(移植物は、シアル性メンブレンのようなメンブレン、またはファイバーを含む多孔性、非多孔性、またはゼラチン性材料のリザーバーである)。
幾つかの態様では、CG53135核酸は、核酸を適切な核酸発現ベクターとして構築すること、およびその核酸を、例えばレトロウイルスベクターを用いることによって、または筋肉内もしくは皮内に直接注射することによって、または微粒子ボンバートメント(例えば遺伝子銃)を用いて、または脂質もしくは細胞表面レセプターもしくはトランスフェクション剤でコーティングすることによって細胞内に入るようにして投与することによって、あるいはその核酸を核内に進入することが知られているホメオボックス様ペプチドと結合した状態で投与することによって、インビボに投与して、それらがコードしているタンパク質の発現を促進することができる。または、CG53135核酸は、発現のために、細胞内に導入して相同的組み換えによって宿主DNA内に組み入れることもできる。
本発明は、単位投与形態の調製に用いることができる薬学的組成物の製造に有用なバルク薬剤組成物を包含する。好ましい態様では、発明の組成物は薬学的組成物である。このような組成物は、予防的有効量または治療的有効量のCG53135、および薬学的許容される担体を含む。好ましくは、薬学的組成物は、被験体への投与経路に好適な形に調合される。
1つの態様では、用語「薬学的に許容される」とは、ヒトへの使用について連邦政府または州政府の監督官庁により承認されているか、または米国薬局方掲載されているか、または一般的に安全であると認識されているその他物質であることを意味する。用語「担体」は、CG53135と一緒に投与される希釈剤、補助剤、増量剤(例えば塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、またはショ糖)、賦形剤、あるいはビヒクルを指す。このような薬学的担体は、水または油(ピーナッツオイル、大豆油、鉱油、ゴマ油等のような石油、動物、植物または合成起源の油)のような無菌の液体、あるいは希釈材、香味剤、安定化剤、潤滑剤、懸濁化剤、または封入化材料としても働くこともできる1つまたは複数の物質のような固体担体でよい。薬学的組成物が静脈内に投与される場合には、好ましい担体は水である。生理的食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液も液体担体として、特には注射液のための液体担体として用いることができる。好ましい薬学的賦形剤としては、デンプンもしくはヒドロキシエチルデンプンのような合成的に修飾されたその誘導体、ステアリン酸塩、グリセロール、グルコース、ラクトース、ショ糖、トレハロース、ゼラチン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。組成物は、望まれる場合には、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝化剤も含むことができる。
CG53135を含む組成物は、液体、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、ソフトゲル、ピル、粉末、浣腸剤、持続放出製剤等のような、しかしこれに限定されない多くの可能ないずれの投与形態にも調合できる。CG53135を含む組成物はまた、水性、非水性、または混合型の媒体の懸濁液として調合することもできる。水性懸濁液は、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含む懸濁液の粘性を上げる物質を更に含有してもよい。懸濁液は、安定化剤を含有してもよい。組成物は、トリグリセリドのような伝統的な結合剤および担体を用いて、坐剤として調合することもできる。経口調合物は、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプンもしくはヒドロキシエチルデンプンのような合成的に修飾されたその誘導体、ステアリン酸塩、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムのような標準的な担体を含むことができる。
CG53135を含む薬学的組成物は、意図する投与経路に適合するように調合される。特定の態様では、組成物は、通常の手順に従って、ヒトへの静脈、皮下、筋肉内、経口、鼻内、腫瘍内または局所投与に適合した薬学的組成物として調合される。典型的には、静脈投与用の組成物は、無菌の等張または高張水性緩衝液の溶液である。必要時には、組成物は安定化剤および、注射部位の疼痛を和らげるためにベンジルアルコールもしくはリドカインの様な局所麻酔剤を含むことができる。
CG53135を含む組成物が局所投与される場合は、組成物は経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、坐剤、スプレー、液体、および粉末の形態に調合できる。通常の薬学的担体、水溶液、粉末、または油性基材、増粘剤等が必要または望まれることもある。コーティングを施したコンドーム、手袋等も有用であろう。好ましい局所調合物としては、発明の組成物が、脂質、リポソーム、ミセル、乳剤、スフィンゴミエリン、脂質−タンパク質もしくは脂質ペプチド複合体、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤、および界面活性剤のような、しかしこれらに限定されない局所送達剤と混合されている調合物である。CG53135を含む組成物は、リポソームに封入するか、またはリポソームと、特にカチオン性リポソームと複合体を形成させることができる。または、CG53135を含む組成物は、脂質、特にカチオン性脂質と複合体を形成させることができる。非噴霧型の局所投与形態の場合、局所適用に適合した担体または1つもしくは複数の賦形剤を含み、好ましくは水よりも大きな動態粘度を有する半固体または固体形態が一般的には用いられる。他の好適な局所投与形態としては、活性成分が、好ましくは固体または液体の不活性担体と組み合わせた形で加圧された揮発成分(例えばフレオンまたはハイドロフルオロカーボンのような気体推進剤)と混合した状態、またはスクィーズボトルに包装されているスプレー式のエアロゾル調合物が挙げられる。望ましい場合には、加湿剤または湿潤化剤もまた薬学的組成物および投与形態に加えることができる。このような追加成分の例は技術分野において周知である。
CG53135を含む組成物は、鼻内投与が好ましい場合には、エアロゾル形態、スプレー、霧、または滴もしくは粉末の形に調合できる。特に、CG53135を含む組成物は、好適な推進剤(例えばジクロロジフルオメタン、トリクロロフロロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、その他のヒドロフルオロカーボン、二酸化炭素、またはその他の好適な気体)を用いて、加圧包装もしくは噴霧器から発射されるエアロゾルスプレーの形で都合よく送達できる。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、一定量を送り出すバルブを具えることによって定めることができる。吸入器または注入器に使用するマイクロカプセル(例えば重合表面から構成される)は、化合物と二糖類またはデンプンのような好適な粉末基材の粉末混合物を含むように調合できる。
1つまたは複数のCG53135タンパク質は、1つまたは複数のポリマー(例えばヒドロキシエチルデンプン)と共にマイクロカプセルに調合し、マイクロカプセルの表面を形成させることもできる。
CG53135を含む組成物は、経口投与が好ましい場合には、粉末、顆粒、微粒子、ナノ粒子、水または非水性媒体の懸濁液または溶液、カプセル、ゲルカプセル、サッシェ、錠剤、またはミニタブレットの形態に調合できる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤、または結合剤が望まれることもある。錠剤またはカプセルは、結合剤(例えばα化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、微結晶セルロース、またはリン酸水酸カルシウム);潤滑材(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(例えばバレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);あるいは湿潤化剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容される賦形剤を用いて、通常の手段によって調製できる。錠剤は、当技術分野で周知な方法によってコーティングしてもよい。経口投与向けの液体調製物は、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または硬化食用油);乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えばアーモンドオイル、油性エステル、エチルアルコール、または画分植物油);および保存剤(例えばメチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、またはソルビン酸)のような薬学的に許容される添加物を用いて、通常の手段によって調製できる。調製物は、適当であれば緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤を含むこともできる。経口投与向け調製物は、予防または治療薬の緩速放出、制御放出、または持続放出に合わせて調合できる。
1つの態様では、発明の組成物は、1つまたは複数の浸透増強剤、例えばアルコール、界面活性剤、およびキレート化剤と一緒に経口投与できる。好ましい界面活性剤としては、脂肪酸およびそのエステルまたは塩、胆汁酸、およびその塩が挙げられるが、これに限定されない。幾つかの態様では、浸透増強剤の組み合わせ、例えばアルコール、脂肪酸/塩と胆汁酸/塩の組み合わせを用いる。ある態様では、ラウリル酸のナトリウム塩、カプリン酸は、UDCAと組み合わせて用いられる。その他の浸透増強剤としては、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。発明の組成物は、吹付乾燥粒子を含むがこれに限定されない粒子形態にて、または複合体化させて微粒子もしくはナノ粒子を形成して経口的に送達してもよい。発明の組成物との複合体化に用いることができる複合体化剤としては、ポリアミノ酸、ポリイミン、ポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリオキシエタン、ポリアルキルシアノアクリレート、カチオン化ゼラチン、アルブミン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)、DEAE誘導化ポリイミン、プルラン、セルロース、およびデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい複合体化剤としては、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リジン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノ−メチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えばp−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリラート)、ポリ(イソブチルシアノアクリラート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリラート)、DEAE−メタクリラート、DEAE−ヘキシルアクリラート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミンおよびDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリラート、ポリヘキシルアクリラート、ポリ(D、L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸(lactic−co−glycolic acid)(PLGA)、アルギネート、ならびにポリエチレングリコール(PEG)が挙げられるが、これらに限定されない。
CG53135を含む組成物は、例えば吸入器または噴霧器を用いて、エアロゾル化剤と共に調合された組成物を肺投与することによって被験体に送達できる。
好ましい態様では、CG53135を含む組成物は、注入による非腸管投与(例えば、大量注入または持続輸液)に合わせて調合される。注入向け調合物は、追加の保存剤と共に単位投与形態(例えばアンプルまたは複数回投与向け容器)にすることができる。組成物は、油性または水性ビヒクルの懸濁液、溶液、または乳剤のような形態を取ることができ、懸濁化、安定化、および/または分散化剤のような調合剤を含有できる。または、活性成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば無菌の発熱物質を含まない水)を使って液体にするための粉末形態にすることもできる。
好ましい態様では、組成物はヒトへの静脈投与に適合した薬学的組成物として、通常の手順に従って調合される。典型的には、静脈投与向け組成物は、無菌の等張水性緩衝液の溶液である。組成物は必要に応じて、可溶化剤および注射部位の疼痛を和らげるためのベンジルアルコールもしくはリドカインのような局部麻酔剤を含むこともできる。一般的に成分は、例えば凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、別々または混合して単一投与形態にまとめて、バイアル、アンプル、またはサッシュのような密封容器に入れられて、活性成分の量を表示して供給される。組成物が輸液によって投与される場合は、組成物は医薬品等級の水もしくは食塩水の入った輸液容器と共に投薬できる。組成物が注入によって投与される場合は、成分を投与前に混合できるように注入用の無菌水または食塩水のアンプルまたはバイアルを提供することができる。
CG53135を含む組成物は、中性または塩の形態に調合できる。薬学的に許容される塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来する塩のような、遊離アミノ基を持つように形成された塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミノ、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等に由来する塩のような、遊離カルボキシル基を持つように形成された塩が挙げられるが、これらに限定されない。
前記の調合物に加えて、CG53135を含む組成物は、デポー調合物として調合することもできる。このような長期作用調合物は、埋め込み(例えば皮下もしくは筋肉内)、または筋肉内注射によって投与できる。それ故に、組成物は好適な重合性もしくは疎水性物質(例えば許容される油中の乳液として)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは例えば緩溶解性の塩のような、緩溶解性の誘導体を用いて調合できる。リポソームおよび乳剤は、親水性薬剤向けの送達ビヒクルまたは担体の周知例である。
本発明の予防および/または治療プロトコールの毒性および有効性は、例えばLD50(集団の50%を致死させる用量)およびED50(集団の50%に治療効果がある投与量)を決定についての細胞培養または実験動物での標準的な薬学的手順によって決定できる。毒性と治療効果の用量比が治療指数であり、その指数はLD50/ED50で表される。大きな治療指数を示す予防および/または治療薬が好ましい。有毒な副作用を示す予防および/または治療薬は用いることはできるが、非感染細胞への潜在的損傷を最小限にとどめ、それによって副作用を減らすために、このような薬剤を病変組織部位だけを標的とするようなデリバリーシステムをデザインするように注意しなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得たデータは、ヒトで使用するための予防および/または治療薬の投与量範囲の設定に利用できる。このような薬剤の投与量は、毒性がほとんど無いか、全くないED50を含む血中濃度の範囲内であることが好ましい。投与量は、用いる投与形態および利用する投与経路に応じてこの範囲内の中で変えることができる。発明の方法で用いる薬剤について、治療有効投与量は、まずは細胞培養アッセイによって推測できる。投与量は、細胞培養で決定されたIC50(即ち症状の半最大阻止を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度を動物モデルにおいて得ることができるように定めることができる。このような情報を用いて、ヒトで有用な投与量をより正確に決定できる。血漿中のレベルは、例えば高性能液体クロマトグラフィーによって測定できる。
特定の障害または状態の治療に有効である発明の組成物の量は、障害または状態の性質に依存し、それは標準的な臨床技術によって決定できる。調合物に用いられる正確な用量もまた投与経路、および疾患または障害の重篤度に依存し、これらは医師の判断および各患者の環境に合わせて決定されなければならない。
1つの態様では、発明が提供するヒト患者に投与するための、1つまたは複数のG53135タンパク質を含む組成物の投与量は少なくとも0.001mg/kg、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg、少なくとも25mg/kg、少なくとも30mg/kg、少なくとも35mg/kg、少なくとも40mg/kg、少なくとも45mg/kg、少なくとも50mg/kg、少なくとも60mg/kg、少なくとも70mg/kg、少なくとも80mg/kg、少なくとも90mg/kg、少なくとも100mg/kg、少なくとも150mg/kg、または少なくとも200mg/kgである(UVアッセイにより測定した場合)。別の態様では、本発明が提供する、ヒト患者へ投与するための、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物の投与量は、0.001〜3000mg/kgの間、0.01〜300mg/kgの間、0.1〜300mg/kgの間、0.5〜250mg/kgの間、1〜200mg/kgの間、1〜150mg/kgの間、1〜125mg/kgの間、1〜100mg/kgの間、1〜90mg/kgの間、1〜80mg/kgの間、1〜70mg/kgの間、1〜60mg/kgの間、1〜50mg/kgの間、1〜40mg/kgの間、1〜35mg/kgの間、1〜30mg/kgの間、1〜25mg/kgの間、1〜20mg/kgの間、1〜15mg/kgの間、1〜10mg/kgの間、または1〜5mg/kgの間である(UVアッセイで測定した場合)。
タンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイまたはUVアッセイのような当技術分野で公知である方法によって測定でき、濃度はどのアッセイを用いたかによって変わることがある。非限定例では、本発明の薬学的組成物のタンパク質濃度は、280nmの波長でのUV吸収の直接測定を用いるUVアッセイ、および良く特徴付けされたCG53135タンパク質の参照標準物(IgGの代わりに)を用いて測定される。このUV法を用いて得た試験結果(CG53135参照標準物)は、ブラッドフォード法を用いて同サンプルを試験した場合(較正物質としてIgGを用いる)の試験結果よりも三倍低い。例えば、本発明が提供する、ヒト患者へ投与するための、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物の投与量は、ブラッドフォードアッセイで測定した時に0.1〜300mg/kgであり、従ってUVアッセイで測定した時に0.033〜100mg/kgである。
1つの態様では、全投与量を初めて投与する前に、発明の組成物を少量(例えば記載投与量の1/100〜1/10)注射して急性不寛容を検出することが好ましい。注射部位を試験後1および2時間後に検査する。反応が見つからない場合には、全投与量を投与する。
発明はまた、発明の治療レジメンを実施するためのキットも提供する。このようなキットは、1つまたは複数の容器の中に、薬学的に許容される形態をした発明の組成物を、予防的有効量または治療的有効量含んでいる。発明のキットのバイアル中の組成物は、薬学的に許容される溶液の形態でよく、例えば無菌食塩水、デキストロース溶液、もしくは緩衝化溶液、またはその他の薬学的に許容される無菌液体と組み合わせることができる。あるいは、組成物は凍結乾燥または脱水してもよい;この場合、キットは、容器の中に、組成物を注射目的の溶液に戻すための、薬学的に許容される、好ましくは無菌の溶液(例えば食塩水、デキストロース溶液等)を、随意選択的に含んでよい。
別の態様では、発明のキットは、好ましくは無菌の形態に包装された、調合物を注射するための針またはシリンジ(単室または二室型)、および包装されたアルコール綿を更に含む。特定の態様では、発明のキットは、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む組成物が事前に充填された、充填済みの針またはシリンジ(単室または二室型)を含む。医師または患者が発明の調合物を注射するための指示書が、随意選択的に加えられる。
幾つかの態様では、本発明は、それぞれに単回投与に十分な用量の発明の組成物を含む薬学的調合物または組成物が入っている複数の容器を含むキットを提供する。
5.6.1 改良型調合物およびFGFタンパク質の溶解性を上げる方法
本発明は、1つまたは複数のFGF、好ましくは1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む改良型調合物、およびFGFタンパク質の溶解性を上げるための方法を提供する。改良型調合物はより安定であり、商業規模の製造により適している。
特定の理論に限定されるものではないが、改良型調合物は、高濃度の塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、ショ糖、酢酸塩、コハク酸塩、または酒石酸塩、あるいはそれらの組み合わせがFGFタンパク質を含む成長因子の溶解性を上げるという発見に一部基づいている。それ故に1つの態様では、本発明は溶液中(例えば水溶液)のFGFタンパク質の溶解性を、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、またはショ糖を溶液に加えることによって高める方法を提供する。別の態様では、本発明は、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはそれらの組み合わせを溶液に加えることによって溶液中のFGFタンパク質の溶解性を高める方法を提供する。さらに別の態様では、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはそれらの組み合わせは、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、またはショ糖と一緒に溶液に加えられて、FGFタンパク質の溶解性を高める。塩形態のアルギニンは、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンでよいが、これらに限定されない。好ましい態様では、硫酸アルギニンが用いられる。幾つかの態様では、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、またはショ糖の最終濃度は、0.01M〜1Mである。1つの態様では、塩形態のアルギニンの最終濃度は、0.5Mである。幾つかの態様では、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはそれらの組み合わせの最終濃度は、0.01〜0.2Mである。
好ましい態様では、調合物中のFGFタンパク質はFGF−20タンパク質、FGF−20タンパク質の断片、誘導体、改変体、相同体、または類似体、あるいはそれらの組み合わせである。幾つかの態様では、調合物中のFGFタンパク質は、CG53135−01(配列番号2)、CG53135−02(配列番号4)、CG53135−03(配列番号2)、CG53135−04(配列番号7)、CG53135−05(配列番号2)、CG53135−06(配列番号10)、CG53135−07(配列番号12)、CG53135−08(配列番号14)、CG53135−09(配列番号16)、CG53135−10(配列番号18)、CG53135−11(配列番号20)、CG53135−12(配列番号22)、CG53135−13(配列番号24)、CG53135−14(配列番号26)、CG53135−15(配列番号28)、CG53135−16(配列番号30)、CG53135−17(配列番号32)、IFC250059629(配列番号34)、IFC20059669(配列番号36)、IFC317459553(配列番号38)、IFC317459571(配列番号40)、IFC250059596(配列番号10)、またはIFC316351224(配列番号10)、あるいは任意の二またはそれ以上のCG53135タンパク質の組合せである。1つの態様では、調合物中のFGFタンパク質は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。別の態様では、調合物中のタンパク質は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号26のアミノ酸配列を含むタンパク質、(4)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、(5)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(6)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。別の態様では、調合物中のFGFタンパク質は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、(4)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(5)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。別の態様では、調合物中のFGFタンパク質は(1)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(4)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。さらに別の態様では、調合物中のFGFタンパク質は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、(4)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、(5)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質、(6)配列番号24のアミノ酸配列を含むカルバミル化されたタンパク質、および(7)配列番号2のアミノ酸配列を含むカルバミル化されたタンパク質を含む。
本発明は、塩形態のアルギニン、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO・HO)、界面活性剤、および1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む、改良調合物を提供する。1つの態様では、本発明は0.1〜1Mの塩形態のアルギニン、0.01〜0.1Mリン酸二水素ナトリウム(NaHPO・HO)、0.01〜0.1%重量/容積(「w/v」)のポリソルベート80もしくはポリソルベート20、および0.005〜50mg/mlの、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む改良調合物を提供する。塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、またはそのショ糖は、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンでよいが、これらに限定されない。好ましい態様では、硫酸アルギニンが用いられる。幾つかの態様では、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、またはそのショ糖の最終濃度は、0.01〜0.7Mである。1つの態様では、塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、またはそのショ糖の最終濃度は0.5Mである。いくつかの態様では、調合物中のリン酸二水素ナトリウムの濃度は、0.02〜0.09M、0.03〜0.08M、または0.04〜0.06Mである。特定の態様では、リン酸二水素ナトリウムは0.05Mである。1つの態様では、改良調合物は界面活性剤を含み、これは、例えば透析濾過および/または限外濾過工程の間に加えることができ、凝集塊の形成を最小限に抑える。界面活性剤は、ポリソルベート80およびポリソルベート20でよいが、これらに限定されない。特定の態様では、ポリソルベート80またはポリソルベート20の濃度は0.01%(重量/容積)である。
本発明の改良調合物は、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む。1つの態様では、発明の改良調合物は、配列番号2、4,7、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質を1つまたは複数含む。別の態様では、発明の改良調合物は、配列番号2、4,7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質を、1つまたは複数含む。特定の態様では、発明の改良調合物は、配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。別の特定の態様では、発明の改良調合物は、配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。さらに別の特定の態様では、発明の改良調合物は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。特定の態様では、発明の改良調合物は(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、(2)配列番号24のアミノ酸配列を含むタンパク質、(3)配列番号26のアミノ酸配列を含むタンパク質、(4)配列番号28のアミノ酸配列を含むタンパク質、(5)配列番号30のアミノ酸配列を含むタンパク質、および(6)配列番号32のアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。1つの態様では、発明の改良調合物は、上記5.2節に記載のプロセスのいずれかによって作られたタンパク質を1つまたは複数含む。いくつかの態様では、本発明の改良調合物中の1つまたは複数のCG53135タンパク質の濃度は少なくとも2mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/ml、少なくとも20mg/ml、少なくとも25mg/ml、少なくとも30mg/ml、少なくとも35mg/ml、少なくとも40mg/ml、少なくとも45mg/ml、または少なくとも50mg/mlである。幾つかの態様では、本発明の改良調合物中の1つまたは複数のCG53135タンパク質の濃度は、僅か50mg/ml、僅か30mg/ml、僅か10mg/ml、僅か5mg/ml、僅か1mg/ml、または僅か0.5mg/mlに過ぎない。幾つかの態様では、本発明の改良調合物中の1つまたは複数のCG53135タンパク質の濃度は、0.0005〜60mg/ml、0.005〜50mg/ml、0.05〜50mg/ml、0.5〜50mg/ml、1〜60mg/ml、1〜50mg/ml、5〜40mg/ml、5〜30mg/ml、または5〜20mg/mlである。特定の態様では、本発明の改良調合物中の1つまたは複数のCG53135タンパク質の濃度は、10mg/mlである。
発明の改良調合物は凍結乾燥または噴霧乾燥でき、その結果貯蔵期間のより長い、取り扱いおよび輸送が容易な、より安定な製品ができる。凍結乾燥のプロセスは、当技術分野では周知であることから、ここでは詳しく説明しない。簡単に説明すると、凍結乾燥は、真空下において凍結し、続いて昇華することによって生成物の水分含有量を減らすプロセスである。凍結乾燥プロセスは主に三工程から構成されている。第一工程は、生成物を凍結し、乾燥に好適な凍結したマトリックスを作り出すことを含んでいる。この工程は、次の二つの工程の乾燥特性に影響を及ぼす。第二工程は一次乾燥である。一次乾燥は、生成物の環境を減圧することによって(典型的にはおおよそ50〜500μmHgまで)昇華させ、氷を取り除きながら生成物の温度を、低い、望ましいレベルに維持することを含む。プロセスの第三工程は第二乾燥と呼ばれる工程で、ここで結合水は、残留水分含有量が目標レベル以下に達するまで除去される。任意の当技術分野で公知の凍結乾燥プロセスを用いて、発明の調合物を凍結乾燥できる。
凍結乾燥プロセスの目的は、許容可能な外観、生物学的効能、再生し易さ、および長期保存安定性を持つ凍結乾燥タンパク質のケークを得ることである。慎重に計画された凍結乾燥サイクルとは、間違いのない、時間とエネルギーの消費が少なく、かつ製品の品質が保たれているサイクルである。調合物に関係する要素とサイクルに関係する要素の両方が、この目標の達成に影響を及ぼす。
ここに記載のプロセスでは、凍結乾燥賦形剤の添加が必要なこともある。1つまたは複数の添加剤を加えることができる。本プロセスに用いられることが予想される凍結乾燥賦形剤としては、ショ糖、ラクトース、マンニトール、デキストラン、ショ糖、ヘパリン、グリシン、グルコース、グルタミン酸、ゼラチン、ソルビトール、ヒスチジン、デキストロース、トレハロース、メトセル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリンナトリウム、およびポリビニルアルコール、またはそれらの様々な組み合わせ、ならびに当業者によって用いられるその他緩衝剤、タンパク質安定化剤、凍結保護剤、および凍結保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
発明の改良調合物の活性成分はFGFタンパク質、好ましくは1つまたは複数のCG53135タンパク質であることから、それゆえに発明の改良調合物は、FGFタンパク質、好ましくはCG53135タンパク質が有効であることが知られている任意の状況で用いることができる。例えば、発明の改良調合物は、消化器粘膜炎、炎症性腸疾患、骨関節炎、中枢神経系または心臓血管系の障害、および放射線曝露に関係する障害のような障害、あるいはそれらの症状の予防および/または治療に用いることができる。
6.実施例
発明の特定の態様を、次の非限定的実施例により例示する。
6.1 実施例1:CG53135の発現
複数種類の発現構築物を作製し、CG53135タンパク質を発現させた(表2)
表2.CG53135を発現するために作製した構築物
Figure 2008519032
1つの構築物では、CG53135−01(完全長CG53135遺伝子)は、哺乳動物発現ベクター、pcDNA3.1V5His(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)のBam H1−Xho1部位内にBgl II−Xho1断片としてクローニングされた。得られた構築物、pFGF−20(構築物1a)はCG53135−01のカルボキシ末端にインフレームに融合した9アミノ酸のV5タグおよび6アミノ酸のヒスチジンタグ(His)を有している。これらのタグは、CG53135−01タンパク質の精製および検出に役立つ。pFGF−20をマウスNIH 3T3細胞にトランスフェクションした後、CG53135−01タンパク質を、抗V5抗体(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて条件培地の中で検出した。
完全長CG53135−01遺伝子はまた、哺乳動物発現ベクターpCEP4/Sec(CuraGen Corporation)のBam H1−Xho1部位内にBgI II−Xho1断片としてもクローニングされた。得られた構築物、pIgK−FGF−20(構築物1b)は、CG53135−01の分泌を補助できる異種性の免疫グロブリンカッパ(IgK)シグナル配列を有している。pIgK−FGF−20をヒト293EBNA細胞(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA;カタログ番号R620−07)内にトランスフェクションした後、CG53135−01は抗V5抗体を用いて条件培地の中で検出した。
CG53135タンパク質の収量を上げるために、完全長CG53135−01遺伝子をコードしているBgI II−Xho1断片を、大腸菌発現ベクター、pETMY(CuraGen Corporation)のBamH1−Xho1部位部位にクローニングした。得られた構築物、pETMY−FGF−20(構築物2)は、6アミノ酸のヒスチジンタグおよびCG53135のアミノ末端にインフレームに融合しているT7タグを有している。pETMY−FGF−20でBL21大腸菌(Novagen、Madison、WI)を形質転換した後、T7 RNAポリメラーゼ誘導を行い、CG53135−01タンパク質は細胞可溶性画分に検出された。
タグの付いていないFGF−20を発現させるために、CG53135−05(コドン最適化された、完全長のFGF−20遺伝子)およびCG53135−02(FGF−20のコドン最適化された欠失構築物で、N末端のアミノ酸2〜54が除去されている)を合成した。完全長構築物(CG53135−05)については、開始コドンを含むNde 1制限部位(CATATG)をコーディング配列の5’末端に配置した。3’末端には、コーディング配列には2つの構成的な停止コドン(TAA)およびXho制限部位(CTCGAG)が続いた。合成された遺伝子をpCRScript(Stratagene、La Jolla、CA)にクローニングして、pCRScript−CG53135−05を作成した。コドン最適化されたCG53135−05遺伝子を含むNde 1−Xho1断片を、pCRscript−CG53135−05から単離し、Nde 1−Xho1消化pET24aにサブクローニングしてpET24a−CG53135−05(構築物3)を作成した。完全長の、コドン最適化したバージョンのFGF−20は、CG53135−05と呼ぶ。
CG53135のコドン最低化された欠失構築物を作るために、オリゴヌクレオチドプライマーをデザインし、平滑端を持つFGF−20遺伝子をpCRScript−CG52135−05から増幅した。フォワードプライマーは、Nde 1部位(CATATG)を含み、これに続いてアミノ酸55から始まるコーディング配列を含んでいる。約480塩基対の単一のPCR産物を得て、pCR2.1ベクター(Invitrogen)にクローニングしてpCR2.1−CG53135delが作成された。pCR2.1−53135delからNde1−Hind III断片が単離され、Ndel−Hind III消化pET24aにサブクローニングされ、pET24a−CG53135−02(構築物4)を作成した。
プラスミドpET24a−CG53135−05(構築物3)およびpET24a−CG53135−02(構築物4)はタグを有していない。各ベクターを用いて大腸菌BLR(DE3)を形質転換し、イソプロピルチオガラクトピラノシドで誘導した。完全長およびN−末端を平滑端化したCG53135タンパク質は細胞の可溶性画分の中に検出された。
6.2 実施例2:CG53135−05および薬学的調合物の製造
臨床開発に好適であろう構築物を目指して、無ファージの宿主細菌でタグを持たない分子を作成した。コドン最適化した、完全長の、タグを持たない分子(CG53135−05)が最も好ましい薬理学的特性を有しており、これを用いて安全性試験および臨床試験向けの生成物を調製した。
6.2.1 製造プロセスおよび薬学的調合物(プロセス1)
CG53135−05をコドン最低化された構築物を用いて大腸菌BLR(DE3)で発現させ、精製して均一化し、標準的なタンパク質化学技術によって特徴付けした。単離されたCG53135−05タンパク質は、標準的なSDS−PAGE技術を用いたとき単一バンド(23キロダルトン)として移動し、クマシーブルーで染色した。CG53135−05タンパク質を電気泳動的にポリビニリデンフルオライド膜に移し、染色された23kDのバンドを膜から切り出し、自動エドマン配列分析装置(Procise、Applied Biosystems、Foster City、CA)で分析した;先頭10アミノ酸のN−末端アミノ酸配列は、予想通りのタンパク質配列と同一であることが確認された。
発酵および一次回収組換え体
CG53135−05は、大腸菌BLR(DE3)細胞(Novogen)を用いて発現した。これらの細胞を、pET24aベクター(Novagen)を用い、完全長の、コドン最適化されたCG53135−05で形質転換した。これらの細胞について製造マスター細胞バンク(Manufacturing Master Cell Bank)(MMCB)を作成して、適格性を調べた。発酵および一次回収のプロセスは、100L(即ち可動容積)のスケールで、再生可能な形で実施した。
1〜6バイアルのMMCBを溶解およびプールし、それぞれ750Mlの接種培地の入った4〜7つの振盪フラスコに接種して種の調製を開始した。この時点で、3〜6Lの接種物を、60〜80Lの開始培地が入った製造用発酵器に移した。製造用発酵器は37℃の温度、および7.1のpHで運転した。溶存酸素を、攪拌速度、通気速度、および空気中の酸素量を操作して飽和濃度30%以上に管理した。細胞密度が30〜40U(600nm)になった時点で増殖培地の追加を開始し、発酵終了まで続けた。1mMイソプロピル−ベータ−D−チオガラクトシド(IPTG)を用いて、細胞を40〜50AU(600nm)の細胞密度に誘導し、誘導後4時間CG53135−05タンパク質を産生させた。発酵は10〜14時間で終了させ、約100〜110Lの細胞ブロスを連続遠心分離によって濃縮した。得られた細胞ペーストは−70℃で凍結保存した。
凍結した細胞ペーストを溶解緩衝液(最終濃度3M尿素を含む)に懸濁し、高圧ホモジェナイザーを使って破壊した。細胞溶解物を、連続フロー遠心分離器を用いて清澄化した。得られた清澄溶解物は、SP平衡化緩衝液(3M尿素、100mMリン酸ナトリウム、20mM塩化ナトリウム、5mM EDTA、pH7.4)で平衡化したSP−セファロースファーストフローカラムに直接かけた。CG53135−05タンパク質は、SP溶出緩衝液(100mMクエン酸ナトリウム、1Mアルギニン、5mM EDTA、pH6.0)を用いてカラムから溶出した。次に収集した物質を、等容積のSP溶出緩衝液で希釈した。よく混合した後、SPセファロースFFプールを0.2μmのPESフィルターに通して濾過し、−80℃で凍結した。
製剤原料の精製
SP−セファロースファーストフローのプールは、硫安を使って沈殿させた。4℃で一晩インキュベーションした後、沈殿物をボトル遠心分離によって集め、続いてフェニルローディング緩衝液(100mMクエン酸ナトリウム、500mMのL−アルギニン、750mMのNaCl、5mMのEDTA、pH6.0)の中で溶解した。得られた溶液を0.45uM PESフィルターを通して濾過し、フェニル−セファロースHPカラムにかけた。カラムを洗浄した後、タンパク質をフェニル溶出緩衝液(100mMクエン酸ナトリウム、500mMのL−アルギニン、5mM EDTA、pH6.0)の直線勾配で溶出した。フェニル−セファロースHPプールを0.2μm PESフィルターを通して濾過し、1.8Lずつ−80℃で凍結した。
調合および充填/仕上げ
4バッチの精製製剤原料を24〜48時間、2〜8℃で溶解し、接線流限外濾過(TFF)装置の収集タンクにプールした。プールされた製剤原料をTFFで〜5倍濃縮し、続いて調合物緩衝液(40mM酢酸ナトリウム、0.2MのL−アルギニン、3%グリセロール)を用いて約5倍に透析濾過した。この緩衝液−交換製剤原料をさらに目標濃度の>10mg/mLまで濃縮した。収集タンクに移した後、調合物緩衝液を用いて濃度を〜10mg/mLに調節した。調合が終わった製剤を無菌タンク内に無菌濾過し、無菌的に充填して(20mLバイアル当たり10.5mL)密封した。充填密封したバイアルについて充填が正確か、目に見える欠陥はないか検査した。一定数のバイアルを取り出し、リリースアッセイ、安定性試験、安全性試験、および保存サンプル向けラベルを貼った。残りのバイアルには、臨床試験用のラベルを貼り、完成した製剤は−80±15℃に保管した。
完成した製剤は、注射向けの単回使用無菌バイアルに入った無菌の透明無色の溶液である。CG53135−05大腸菌精製物は、最終濃度8.2mg/mLで調合された(表3)
表3.製剤の組成
Figure 2008519032
最適に調合されたCG53135−05大腸菌精製物の薬物動態を、静脈内、皮下、および腹腔内投与したラットについて調べ、動物モデルでの活性用量曝露を比較し、ヒトにおける曝露を予測した。CG53135−05大腸菌精製物の静脈内投与は、高い血漿レベル(最大血漿レベル=19,680〜47,252ng/mL)をもたらしたが、これは2時間以内に30〜70ng/mLまで急速に低下した;第3日目の投与後に曝露の低下が観察された(最大血漿レベル=5373〜7453ng/mL)。CG53135−05大腸菌精製物の皮下投与は、ゆっくりとした吸収をもたらし(10時間目に最大血漿レベル)、投与後48時間までの血漿レベルは40〜80ng/mLであった;第三日目の投与後に、血漿へのいくらかの蓄積が見られた。CG53135−05大腸菌精製物の腹腔内投与は、ゆっくりとした吸収をもたらし(2〜4時間目に最大血漿レベル)、投与後10時間までの血漿レベルは40〜70ng/mLであった;第3日目の投与後に曝露の低下が見られた。投与経路による有意な性差は観察されなかった。
CG53135−05大腸菌精製物の静脈内投与(0.05、5、または50mg/kg/日(ブラッドフォード)、14連続日)の安全性を、ラットの主要毒性試験の中で調べた。0.05mg/mL(ブラッドフォード)のCG53135−05大腸菌生成物を14日間投与したラットには、治療に関係する所見は認められなかった。5mg/kg(ブラッドフォード)のCG53135を14日間投与したラットでは、食物摂取量が低下し、体重が減少した;この投与群の臓器重量、尿分析、眼科、または組織病理パラメータに治療に関係する変化は無かったが、この治療群には、血液学および臨床化学パラメータには治療に関係する変化が存在した。50mg/kg(ブラッドフォード)のCG53135大腸菌精製物を12日間投与したラット(推定最大血漿レベルは活性投与量の20〜30倍)では、食物摂取量が低下し、体重は顕著に減少した;眼科に関しては治療に関係する変化は認められなかったが、この治療群には臓器重量、尿分析、血液学、臨床化学、および組織病理パラメータに治療に関係する顕著な変化が存在した。
CG53135−05大腸菌精製物(0または10mg/kg/日(ブラッドフォード)、7連続日)の静脈内投与の安全性を、アカゲザルを用いた安全薬理学試験の中で更に調べた。1mg/kg(ブラッドフォード)のCG53135−05大腸菌精製物を7日間投与した動物には、治療に関係する臨床的観察は行われなかった。10mg/kg(ブラッドフォード)のCG53135−05大腸菌精製物を7日間投与した動物では、体重に対する僅かな影響が記録され、これは定性的な食物摂取量減少の観察結果と関連した。いずれの投与量群についても、血液学、臨床化学、眼科、または電気生理学に関して、治療に関係する明瞭な影響は存在しなかった。
CG53135−05製剤原料の安定性
cGMP製造中に作られたCG53135−05大腸菌精製物について、安定性試験を実施した。精製された製剤原料の安定性を示すアッセイとして用いた分析方法を表4にリストアップする。
表4.製剤原料の安定性アッセイ
Figure 2008519032
PI200=バックグランドの2倍のBrdU取り込みを起こすCG531350−05の濃度。
SDS−PAGE、RP−HPLC、およびブラッドフォードアッセイは、タンパク質分解または大きな凝集の指標である。SEC−HPLCアッセイは、タンパク質の凝集またはオリゴマー形成の変化を検出し、バイオアッセイはタンパク質の生物活性の消失を検出する。精製製剤原料の安定性試験は、3、6、9、12、および24ヶ月目に試験したサンプルを用いて、−80〜15℃で行われた。
1つの実験では、完成製剤の安定性試験は、1、3、6、9、12、および24ヶ月目に試験したサンプルを用いて、−80±15℃および−20±5℃で、Cambrexによって実施された。1ヶ月後に集められた安定性試験のデータは、完成製剤が、−80±15℃および−20±5℃に保存された場合には、少なくとも1ヶ月間安定であることを示している(表5)。
表5.1ヶ月目の製剤原料の安定性データ
Figure 2008519032
ロット番号02502001は、Cambrexにおいて−80±15℃または−20±5℃で保存され、1ヶ月後に試験された;PI200=バックグランドの2倍のBrdUの取り込みを起こすCG53135−05の濃度;合格=結果が安定性判定基準を満たしている;NT=試験せず
別の実験では、完成した製剤のサンプルは、−80±15℃に保存されるか、または5±3℃、25±2℃、もしくは37±2℃でストレスを加えてから、1ヶ月間、様々な間隔で試験を受けた。安定性データは、完成製剤が−80±15℃または5±3℃で1ヶ月間保存した後に有意な不安定性を示さないことを示している。25±℃でストレスを加えた場合、完成製剤は少なくとも48時間は安定であった;この温度では、1週間後に分解が明瞭となった。37±2℃でストレスを加えた場合は、完成製剤の分解は4時間以内に明瞭となった。
6.2.2.CG53135−05改良された薬学的調合物および製造プロセス(プロセス2)
臨床使用を目的とする、1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む製剤を製造するための改良型製造プロセスを開発した。図1は、CG53135の改良型製造プロセスに含まれる工程を示す。コドン最適化された、完全長の、タグを持たないCG53135−05分子(実施例1の構築物3)を用いた。改良型製造プロセスのプロセス工程を以下記載する。
細胞バンク:初期のプロセスには、動物成分を含まない複合培地を利用した製造マスター細胞バンク(Manufacturing Master Cell Bank)(MMCB)を用いた。最初のMMCBから、動物成分を含まない、化学合成培地を用いた第二製造マスター細胞バンク(MMCB)を誘導し、さらにこの二番目のMMCBから製造作業細胞バンク(MWCB)を作成した。このMWCBを、図1に記載の製造プロセスに用いた。
接種物の調製:最初の細胞拡大は振盪フラスコ内で行った。種の調製は、2〜3バイアルのMWCBを既知組成培地中で融解し、プール、それぞれ500mLの既知組成種培地の入った3〜4振盪フラスコ3〜4個に接種して行った。
接種および最終発酵:対数増殖期(2.5〜4.5OD600単位)の細胞が入った振盪フラスコを用いて、接種培地が入った、単一の25L(即ち作業容積)の種発酵器に接種を行った。25Lの種発酵器内で対数増殖期(3.0〜5.0OD600単位)に達した細胞を、780〜820Lの既知組成バッチ培地の入った1500Lの製造用発酵器に移した。発酵中、温度を37±2℃、pHを7.1±0.1に管理し、150〜250rpmで攪拌しながら、空気または富酸素空気を0.5〜1.5(vvm)で通気して溶存酸素を25%以上に制御した。必要に応じて消泡剤(Fermaxアジュバント27)を用いて発酵器内の泡を抑えた。培養物のOD(600nmでの)が25〜35単位に達したら、追加の既知組成培地を当初0.7g/kgブロス/分の割合で加え、次に必要に応じて追加速度を調整した。CG53135−05タンパク質発現の誘導は、600nmのODが135〜165単位に達した時点で開始した。誘導4時間後、発酵を完了した。最終的な発酵ブロスの容積は約1500Lだった。それから培養物を10〜15℃まで冷ました。
ホモジェナイゼーション:冷却した培養物を発酵ブロス1部に対し細胞溶解緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、60mM EDTA、7.5mM DTT、4.5M尿素、pH7.2、ポリエチレンイミン(PEI))2部の比率で細胞溶解緩衝液を用いて希釈し、希釈した発酵ブロスに凝集剤を加え、最終PEI濃度を0.033%(W/V)にした。細胞を10〜15度で、750〜850バールの高圧ホモジェナイザーに3回かけて溶解した。
捕獲および回収:冷却した細胞溶解物を、事前に平衡化しておいたストリームライン(Streamline)SP膨張床カチオン交換カラムに直接、上向流方向に装填した。装填中、床膨張係数を充填層カラム容積の2.5〜3.0倍に維持した。装填後、カラムを、追加のストリームラインSP平衡化緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、40mM EDTA、10mM硫酸ナトリウム、3M尿素、pH7.0)を用いて、上向流方向にフラッシュした。それからカラムをSPストリームライン洗浄緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA、25mM硫酸ナトリウム、2.22Mデキストロース、pH7.0)を用いて下向流方向に更に洗浄した。タンパク質は、ストリームラインSP溶出緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA、200mM硫酸ナトリウム、1M L−アルギニン、pH7.0)を用いて、上向流方向にカラムから溶出した。
PPG 650Mクロマトグラフィー:SPストリームライン溶出液を、事前に平衡化しておいたPPG 650 M、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに装填した。カラムを100mMリン酸ナトリウム、200mM硫酸ナトリウム、5mM EDTA、1MアルギニンpH7.0で平衡化して洗浄した。カラムを100mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA、0.9Mアルギニン、pH7.0で更に洗浄した。生成物を100mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA、0.2Mアルギニン、pH7.0で溶出した。
CUNO濾過:PPG溶出物をエンドトキシン結合CUNO 30ZAデプスフィルターを通過させた。フィルターをまず注射用の水(WFI)でフラッシュし、次に100mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA、0.2Mアルギニン、pH7.0(PPG溶出緩衝液)でフラッシュした。フラッシュ後、PPG溶出液をフィルターに通す。残った液体は、空気圧を用いてフィルターを通過させ容器に押し出す。
フェニルセファロースクロマトグラフィー:CUNO濾過液を次に事前に平衡化したフェニルセファロース疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに装填した。カラムを100mMリン酸ナトリウム、50mM硫安、800mM塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン、pH7.0で平衡化し、洗浄した。生成物を50mMリン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン、pH7.0で溶出した。
濃縮および透析濾過:1%ポリソルベート80をフェニルセファロース溶出物に加え、製剤原料の最終濃度を0.01%(w/v)にした。次に溶出液を限外濾過にかけて約2〜3g/Lまで濃縮した。次に残留物を、7倍の透析濾過容積の50mMリン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン、pH7.0(フェニルセファロース溶出緩衝液)を用いて透析濾過した。透析濾過後、残留物は12〜15g/Lに濃縮した。残留物を0.22μmのフィルターで濾過し、続いて10g/Lまで希釈した。
バルクボトリング:濃縮および透析濾過工程からの残留物を0.22μmの孔サイズを持つフィルターにかけて濾過し、2Lの単回使用テフロン(登録商標)ボトルに入れた。ボトルを−70℃に凍結した。
製剤/バイアル:凍結した製剤原料を、製剤の製造に用いた。凍結した製剤原料のボトルを室温で融解した。製剤原料が完全に融解したら、それを無菌容器にプールして、濾過し、バイアルに充填し、部分的に栓をして凍結乾燥にかけた。凍結乾燥プロセス終了後、バイアルに栓をしてキャップをした。凍結乾燥製剤は、2〜8℃に保存した。
6.3 実施例3:製剤の参照標準物の特徴付け
タンパク質の参照標準物を、6.2.2節に記載のバルク製剤原料製造プロセス(実施例2)を典型とする140Lスケールの製造プロセスを用いて調製した。参照標準物は2mLの凍結用バイアルに1mLずつ小分けして−80℃±15℃で保存した。参照標準物に提案されている仕様を表6にリストアップする。
表6.CG53135−05参照標準物の提案仕様
Figure 2008519032
FIO:参考としてのみ。
6.4 実施例4:製剤の純度分析
6.2節に記載の製造プロセス(実施例2)で作られた製剤の純度を、本節に記載する実験によって分析した。
6.4.1 SDS−PAGE分析による純度
6.2.2節に記載した改良製造プロセス(実施例2)を用いた精製タンパク質および6.2.1節に記載した製造プロセス(実施例1)を用いた精製タンパク質を、4〜12%勾配Bis−Tris NuPAGEゲルにタンパク質量を増やしながらかけ、ゲルコードブルー染色液で染色して微量の不純物を検出することで分析した(図2A)。精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2それぞれから得たものは共に)は、還元条件下で単一バンド(〜23kDa)として移動した。LOD(<28ng)を超える不純物は検出されなかった。
プロセス1およびプロセス2の精製タンパク質はまた、4〜12%の勾配Bis−Tris NuPAGEゲルにタンパク質の量を増やしながらかけ、銀染色を用いて微量の不純物を検出することによっても分析した(図2B)。精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2それぞれから得たものは共に)は、全て装填量について、還元条件下で単一バンド(〜23kDa)として移動した。
6.4.2 RP−HPLCによる純度
精製した製剤は、逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって分析した。プロセス1およびプロセス2の精製タンパク質を、水、アセトニトリル、およびトリフルオロ酢酸を移動相とする、標準的なHPLCシステムを用いたタンパク質C4カラム(Vydac、5μm、150mm×4.6mm)にかけた。プロセス1の精製タンパク質は、主要ピークが24.0分に、追加のピークが24.3および24.7分に溶出した。これらは、CG53135−05のイソフォームを表している。プロセス2を用いて得たCG53135−05は、保持時間24.0分の主要ピークとして溶出した(図3)。これらピークの特徴について以下6.7節で更に論ずる(実施例7)。
6.4.3 サイズ排除−HPLCによる純度
精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2の両方から得たそれぞれのもの)を、280nmのUV検出を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)により分析した。分析は、タンパク質を100mMリン酸ナトリウム、1Mアルギニン−HCl、pH7.0を含む移動相とする標準的なHPLCシステムを用いたサイズ排除HPLCカラム(Bio−Sil SEC−250、0.78cm×30cm、Bio−Rad)に注入して行った。精製タンパク質は、プロセス1およびプロセス2について、保持時間20.5分の単一の分散ピークとして同一のものとして溶出された(図4)。この保持時間は、約45キロダルトンの見かけ上の分子量に相当し(同一条件で流した較正標準物のセットと比較した時)、FGF−20が非共有結合性のダイマーとして存在していることを示唆した。
6.4.4 ウエスタンブロットを用いた宿主細胞タンパク質の決定
精製製剤中の宿主細胞由来不純物のレベルを、ウエスタンブロット分析を用いて定性的に調べた。精製CG53135タンパク質をSDS−PAGEを用いて分離し、ニトロセルロース膜に電気泳動的に移した。膜を一次抗体(ウサギ抗大腸菌、Dako System)と、続いて二次抗体(ヤギ抗ウサギアルカリホスファターゼ標識、Bio−Rad)とインキュベーションし、標準的な技術を用いて発色させた。プロセス1については、宿主細胞タンパク質由来の不純物は認められず、プロセス2のものについては1本のバンド(〜70kDa)だけが認められた(図5)。
6.4.5 ウエスタンブロットを用いたCG53135の同定
精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2の両方から得たそれぞれのもの)を、ウサギポリクローナル抗CG53135血清を用いたウエスタンブロットにより同定した(図6)。精製CG53135−05は、タンパク質10μgを4〜12%勾配Bis−Tris NuPAGEゲルにかけて分離し、ニトロセルロース膜に電気泳動的に移した。膜を一次抗体(ポリクローナル抗CG53135血清)と、続いて二次抗体(ヤギ抗ウサギアルカリホスファターゼ標識、Bio−Rad)とインキュベーションし、標準的な技術を用いて発色させた。精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2の両方から得たものそれぞれ)は、還元および非還元条件において、予想通りの分子量(FGF−20の分子量)の単一バンドとして移動し、CG53135特異的抗血清に対し免疫反応性であった。
6.5 実施例5:CG53135生成物の効力
プロセス1およびプロセス2で得た精製タンパク質に反応したNIH 3T3細胞の細胞増殖により効力を測定した。細胞増殖は、リサズリン(CellTiter Blue試薬)からレソルフィンへの変換による蛍光を利用して、間接的に測定した。DEV−10(プロセス1)を参照標準物として用いたところ、プロセス2の暫定参照標準物が同等の101%の効力を持つことが見出された。プロセス2で製造した複数のロットを分析した。これらの結果を表7に示す。
表7.DEV−10(プロセス1)を参照標準物として用いた、プロセス2のロットの効力
Figure 2008519032
試験した全ロットの平均効力は106.4±10.3であった。このことは、プロセス2から得たロットの効力がプロセス1で作成したロットDEV−10と同等であることを示している。製剤原料中に残留するDNA、エンドトキシン、および汚染微生物数も定性アッセイを用いて試験できる。
LCおよびMSで同定された4つのピークから集められたCG53135−05に関係する種の生物活性は、血清欠乏培養したNIH 3T3マウス胚線維芽細胞を各種用量の単離CG53135−05関連種で処理し、DNA合成時のブロモデオキシウリジン(BrdU)の取り込みを測定することによって測定した。このアッセイでは、細胞は10%のウシ胎児血清を加えたダルベッコ改良イーグル培地で培養した。細胞は96ウエルプレートを用いて、10%CO/空気中、37℃にて集密状態まで培養されてから、ダルベッコ改良イーグル培地の中で24〜72時間、飢餓状態に置かれた。CG53135−05関連種を加え、10%CO/空気中、37℃にて18時間インキュベーションした。BrdU(10mM最終濃度)を加え、細胞と10%CO/空気の中で、37℃にて2時間インキュベーションした。BrdUの取り込みは、酵素結合免疫吸収アッセイによって、メーカー(Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)の仕様書に従って測定された。
ピーク4については、物質が十分集まらなかったことから(ピーク4は、CG53135−05の全ピーク面積の3%未満であった)このアッセイに含めなかった。CG53135−05および残り3つ全ての画分(即ちピーク1、2、および3)から集めた物質は、用量依存的な様式でNIH 3T3マウス線維芽細胞にDNA合成を誘導した(表4)。PI200は、バックグランドの2倍のBrdUの取り込みをもたらすタンパク質濃度として定義した。CG53135−05および測定可能な3つのピーク全てから回収されたCG53135−05関連種は、0.7〜11ng/mLのPI200と、よく似た生物活性を示した(表8)。
表8.CG53135−05大腸菌精製物(DEV10)の生物活性:DNA合成の誘導
Figure 2008519032
6.6 実施例6:生化学適合性に関する特性試験
下記表9に記載するような一次、二次、三次および四次構造を比較するための特性試験も実施した。プロセス1からの参照標準物(DEV10を指定)とプロセス2を用いて得た参照標準物との比較の結果を用いて、精製CG53135タンパク質の生化学的性質をさらに明らかにした。
表9.CG53135−05参照物質の生化学的特徴付け
Figure 2008519032
6.7 精製タンパク質の一次構造の特徴付け
6.7.1 RP−HPLCアッセイ:ピーク同定
精製製剤原料(プロセス1およびプロセス2の両方から得たそれぞれのもの)を、UVおよびエレクトロスプレー質量分光検出の両方を具えた逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって更に分析した。プロセス1またはプロセス2いずれかからの精製タンパク質を、水、アセトニトリル、およびトリフルオロ酢酸を移動相とする標準的なHPLCシステムを用いたタンパク質C4カラム(Vydac、5μm、150mm×4.6mm)にかけた。この方法の溶出勾配は、4つのクロマトグラフィーピークが、それぞれ26.6、27.3、28.5、および30.0分に分離するように変更された(図7)。これらのピークを、エレクトロスプレー質量分析により特徴付けした。クロマトグラムから分かるように、プロセス1および2からの精製最終産物には4つの効力の等しいピークが存在した。しかしながら、これらのピークの割合(1、3、および4)は、プロセス2により精製された最終産物では遙かに低く、主なものはピーク2であった。
RP−HPLC分離で同定された各ピークを表10に示す。
表10.分子量の精密測定に基づくCG53135−05のRP−HPLC分離によるピーク同定
Figure 2008519032
最終精製産物中の全ての改変体/断片は、増殖アッセイにおいて高い活性を有した。かくして、これら改変体/断片は、FGF−20と同一の有用性を持つと予想される。都合上、これらについて用語「CG53135−05大腸菌精製物」を用いて、CG53135−05構築物を発現している大腸菌からの精製タンパク質産物を表す。例えば、CG53135−05大腸菌精製物は、完全長のCG53135−05タンパク質(配列番号2)、CG53135−13(配列番号24)、CG53135−15(配列番号28)、CG53135−16(配列番号30)、およびCG53135−17(配列番号32)の混合物を、主要含有物がCG53135−13(配列番号24)であるように含むことができる。
6.7.2 エドマン配列決定および全アミノ酸分析
プロセス1の参照標準物、DEV10、およびプロセス2の暫定参照標準物の実験的N末端アミノ酸配列を定性的に決定した。参照標準物をSDS−PAGEで分離し、電気泳動的にポリビニリデンフルオライド膜に移した;各参照標準物に対応する、クマシー染色された〜23kDaの主要バンドを膜から切り出し、自動エドマン配列決定装置(Procise、Applied Biosystems、Foster City、CA)により分析した。2つの主要な配列の比較を下表11に示す。各参照標準物の主要配列は同一であり、CD53135−05の理論的なN末端配列の残基3〜20に一致した。
表11.プロセス1および2のCG53135−05の先頭20アミノ酸に関するエドマン配列決定データ
Figure 2008519032
DEV10参照標準物およびPX3536G001−H参照標準物の実験的アミノ酸組成も同時に決定した。各参照標準物の四重サンプルを2nmolのノルロイシンを内部標準物として含む、100μLの6N HCl、0.2%フェノールの中で、16時間、115℃で加水分解した。サンプルはSpeed Vac Concentratorで乾燥し、2nmolのホモセリンを内部標準物として含む100μLのサンプル緩衝液に溶解した。各サンプル中のアミノ酸を、Beckman Model 7300アミノ酸分析装置で分離した。下表8に見られるように、両参照標準物のアミノ酸組成に有意な差は認められなかった。Cysおよびtrpはタンパク質の酸加水分解中に破壊されることに注意すること。Asnおよびglnは、酸加水分解中にそれぞれaspおよびgluに変換し、従ってそれらの合計はasxおよびglxとして報告される。Metおよびhisは、共にこの方法では分析されない。
表12.プロセス1およびプロセス2の最終精製タンパク質の定量的アミノ酸分析
Figure 2008519032
6.7.3 RP−HPLCによるトリプシンマッピング
プロセス1および2の精製製剤原料を、酢酸ヨードを用いて還元およびアルキル化し、次に配列分析等級のトリプシンで消化した。トリプシンペプチドをUVおよびエレクトロスプレー質量分光検出器を両方備えた逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)により分離した。プロセス1またはプロセス2いずれかのトリプシン消化物を、水、アセトニトリル、およびトリフルオロ酢酸を含む移動相を利用した、標準的なHPLCシステムを用いたODS−1無孔性シリカカラム(Micra、1.5μm;53×4.6mm)にかけた。溶出されたペプチドは、214nmのUV(図8)および陽イオンエレクトロスプレー質量分光器によって検出された。プロセス1とプロセス2の2つのクロマトグラム間の主たる違いは、プロセス1トレースでは、明瞭なピークのピーク面積が減少していることである(8.2分のピーク;図8)。このピークはT1ペプチド、残基1〜40に相当している。この観察結果は、このペプチドの源が、未変性のCG53135−05に由来する場合、プロセス1の材料により多く存在している(ピーク3、図7)ことから予測通りである。
6.8 実施例8:二次構造の特徴付け:精製タンパク質の円偏光二色性分光測定
精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2両方からのものについて、それぞれ)の遠UV円偏光二色性スペクトルは、226〜227nmに最大幅を持ち、約206nmに鋭い最小幅を持つことを特徴とした。両特徴は他の線維芽細胞成長因子に共通しており、βシートおよびβターンに富む二次構造を示唆している。DEV10参照標準物およびPX3536G001−H参照標準物の遠UV円偏光二色スペクトルは共にこれらの特徴を示し、かつほとんど同一であった(図9)。スペクトルの僅かな違いは、実験誤差によるものである。
6.9 実施例9:三次構造の特徴付け
6.9.1 精製タンパク質の近UV円偏光二色分光測定
タンパク質の近UV円偏光二色性(CD)スペクトルは、タンパク質の芳香族アミノ酸の数および方向を反映している。同一数の芳香族アミノ酸を有するタンパク質については、それらの近UV CDスペクトルの差は芳香族アミノ酸の位置および方向の差を表す。芳香族アミノ酸の位置および方向は、タンパク質の三次構造の尺度である。従って、タンパク質の近UV CDスペクトルの差は三次構造の差を表している。
DEV10参照標準物およびPX3536G001−H参照標準物の近UV CDスペクトルを図10に示す。これら2つのスペクトルの間に有意な差はなく、両参照標準物がそれらの三次構造に有意な差を有していないことを示唆する。
6.9.2 精製タンパク質の二次微分UV吸収分光測定
芳香族アミノ酸のUV吸収は、アミノ酸の微小環境の影響を受ける。タンパク質の中に埋没している芳香族アミノ酸は、表面に露出している残基に比べ極性の低い微小環境に在る。この極性の差は、芳香族アミノ酸のUV吸収に大きな影響を及ぼす。微小環境の違いは、極端な例では、芳香族アミノ酸のスペクトルを4〜6nmシフトさせる。個々のタンパク質について、タンパク質UVスペクトルの二次微分を計算して、これらの変化をモニタリングした。タンパク質の二次微分UV吸収スペクトルは、個別の芳香族アミノ酸に対応する極小値を含んでいる。これら極小値の波長は、アミノ酸の微小環境を反映している。それゆえに、これら極小値の変化は、タンパク質の立体構造(三次)の変化を表す。
精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2の両方から得たそれぞれのもの)の二次微分UV吸収スペクトルを、250〜300nmの間の7つの極小値によって特徴付けした。下表13に、かつ図11に定性的に示すように、DEV10参照標準物およびPX3536G001−H参照標準物の両方について、7つ全ての極小値の波長に有意な違いは無かった。これらのデータは、両標準参照物中の、個々の芳香族アミノ酸を取り巻く微小環境は極めて類似していることを証明しており、これら2つの参照標準物の間に有意な三次構造の違いが存在しないことを示唆している。
表13.プロセス1および2の二次微分UV吸収スペクトルデータ
Figure 2008519032
結果は、各参照標準物について、5重測定の平均を表している。
6.10 実施例10:四次構造の特徴付け
6.10.1 精製タンパク質の示差走査熱量測定
示差走査熱量分析は、温度に伴うサンプルの熱量(エンタルピー)または比熱の変化の検出に基づいている。熱エネルギーがサンプルに供給されると、そのエンタルピーおよびその温度は、サンプルの比熱によって、加わったそのエネルギーに応じて決まる量だけ上昇する。タンパク質の比熱は、特別な物理状態では温度と共にゆっくりと変化するが、状態変化時、例えばタンパク質の融解または変性時に不連続的に変化する。
図12に見ることができるように、精製タンパク質の融解曲線は似ており、平均Tm(融解温度)はプロセス1では62.25℃であり、プロセス2では62.02℃である。これらの違いは、装置の実験誤差の範囲内である。
6.11 実施例11:精製タンパク質のスルフヒドリル含有量の測定
プロセス1およびプロセス2のスルフヒドリル含有量を測定した(表14)。精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2からのものそれぞれ)を、5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)を用いた、一般的にエルマン試薬と呼ばれるものを用いて、分光光学的に総スルフヒドリル含有量について分析した。結果は、最終産物中の測定可能なスルフヒドリルの総量は、プロセス1およびプロセス2について同じであり、精製タンパク質中の理論的スルフヒドリルの全てをまかなうのに十分な量であった。
表14.精製タンパク質(プロセス1およびプロセス2、それぞれ)について行ったその他特徴付けアッセイの結果
Figure 2008519032
6.12 実施例12:CG53135を含む改良調合物
市販製品に求められる3つの要求事項:(1)配送を容易にするために、最低保存温度が2〜8℃であること;(2)商業流通システムに合わせて、製品は上記保存温度において少なくとも18ヶ月間安定であること;および(3)製品は商業規模の装置を用いて製造され、かつプロセスを様々な商業的な契約製造者に移転できること、を満たす新規調合物を開発した。
新規調合物は、0.5Mの塩形態のアルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、および0.01%(w/v)のポリソルベート80に加えられた6.2節記載のプロセスで作られたタンパク質産物(「プロセス2タンパク質」)10mg/mlから成る。凍結乾燥産物は、加速安定性データに基づき、2〜8℃で少なくとも18ヶ月間安定であると予想された。新規調合物に対し、米国出願第10/435,087号の従来の調合物は、以下の理由から凍結乾燥できない:第一に、酢酸緩衝液の酸成分が酢酸であり、これが凍結乾燥中に昇華するため。この酢酸の凍結乾燥による損失によりpHは>7.5に上昇し、目標のpH5.3から離れることになる。第二の理由は、グリセロールの虚脱温度が<−45℃であり、このことがこの調合物を商業的に凍結乾燥できなくさせている。殆どの市販の凍結乾燥機は、棚温度が−45〜−50℃であり、温度変動±3℃である。
次の4つの予想外のCG53135の特性が見つかり、これらを用いて新規調合物を開発した:(1)>0.4Mの、高濃度のアルギニン濃度が、溶解度を>30mg/mLまで高めた;(2)アルギニンの硫酸塩の使用が溶解度を、少なくとも2〜6倍高めた;(3)緩衝化塩としてのリン酸ナトリウムの最適濃度が50mMであり、これに伴って25、75、および100mMの濃度に比べ溶解度が少なくとも1〜2倍上昇する;および(4)透析濾過/限外濾過工程中に界面活性剤を加えることが凝集塊の形成を最小限に抑える。凍結乾燥調合物の開発では、新規調合物の各成分の溶解度を個別に評価した。CG53135−05を沈殿緩衝液(50mM NaPi、5mM EDTA、1M L−アルギニンHCl、2.5M(NH4)2SO4)を用いて沈殿させた。沈殿物は、pH6.5の25mMリン酸ナトリウム緩衝液で洗浄して、残留するアルギニンおよび硫安を除去した。洗浄した沈殿物を、次の表にリストアップした以下の各緩衝液に再溶解した。以下はデータの例である。
表15.>0.4Mの高濃度アルギニンは、溶解度を>30mg/mLまで高める
Figure 2008519032
:実験では、十分な量の溶解対象タンパク量がなかったために、溶解度が低かった。
表16.緩衝化塩が50mMの時の、リン酸ナトリウムの最適濃度
Figure 2008519032
全ての調合物は0.2Mのアルギニンを含有している。
緩衝化塩としてのリン酸ナトリウムの最適濃度を観察した(表16)。リン酸ナトリウムの最適濃度は50mMで、25、75、および100mMの濃度と比較して少なくとも1〜2倍の溶解度を示した。
表17.アルギニンの硫酸塩の使用は、溶解度を少なくとも1〜3倍高める
Figure 2008519032
表18は、凝集塊の形成を最小限に抑えるためには、透析濾過/限外濾過工程を追加する必要性を示している。実験は、0.25mg/mLのCG53135−05を0.2Mアルギニンおよび0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0で限外濾過/透析濾過して行った。7倍容積の最終緩衝液(0.5Mアルギニンおよび0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)と交換した後、透析濾過物を〜20mg/mLに濃縮した。次に透析濾過物を最終緩衝液で〜12.5mg/mLに希釈して凍結乾燥した。ポリソルベート80は、透析濾過前または後に、最終濃度が0.01%になるように加えられた。
表18.透析濾過/限外濾過工程での界面活性剤の添加は、凝集塊の形成を最小限に抑える
Figure 2008519032
全ての調合物は0.5Mアルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、および0.01%のポリソルベート80を含有している。
新規調合物は次の利点を有している:(1)凍結乾燥産物は2〜8℃の保存温度を有すること;(2)2〜8℃で保存した時、少なくとも18ヶ月の推定有効期間を持つ凍結乾燥産物は、>30mg/mLの溶解度を達成すること;および(3)凍結乾燥産物が、市販の装置で容易に凍結乾燥できる−30℃の虚脱温度を有していること。アルギニン、硫酸塩、および表面活性化剤とCG53135の間の相互作用は予想外であった。
6.13 実施例13:FGF−20核酸配列中の一塩基多形の同定
この実施例は、幾つかのFGF−20の一塩基多形(SNP)をどのように同定したかを明らかにする。SNPは、幾つかの例では、「cSNP」とも称され、SNPを含むヌクレオチド配列がcDNAに起源があることを表すこともある。遺伝子内にSNPが発生すると、遺伝子がコードするアミノ酸を、SNPの位置で変えることがある。遺伝子内SNPはサイレントであることもあり、この場合SNPを含むコドンは遺伝子コードの縮重性の結果、同一のアミノ酸をコードする。遺伝子領域外、または遺伝子内のイントロンの中にSNPが発生した場合は、タンパク質のアミノ酸配列に変化を起こすことはないが、発現パターンの制御が変わることがある。非限定例としては、一過性の発現、生理的反応の制御、細胞タイプ発現制御、発現の強さ、および転写されたメッセージの安定性が挙げられる。
エクソンの連結プロセスにより作られたSeqCalling(登録商標)アッセンブリーを、以下の基準から選択し、伸長した:初期または伸長後の配列の全てまたは一部と98%の同一性を有する領域を持つゲノムクローンを、関連配列を用いてBLASTN検索にかけ、ヒトゲノムデータベースに問い合わせを行った。上記同一性は、これらのクローンがこれらSeqCalling(登録商標)アッセンブリーのゲノム遺伝子座を含んでいることを示していることから、さらに分析を進めるために得られたゲノムクローンの選択を行った。これら配列を、推定コーディング領域および既知DNAおよびタンパク質配列との類似性について分析した。これらの分析に用いたプログラムとしては、Grail、Genscan、BLAST、HMMER、FASTA、Hybrid、およびその他関連プログラムが挙げられる。
選択したSeqCalling(登録商標)アッセンブリーがこれらの領域をマップしたことから、いくつかのゲノム領域が追加して同定された。このようなSeqCalling(登録商標)配列は、相同性およびエクソン予測によって同定された領域と重複している。それらはまた、断片の位置が類似性、または元々の予測配列に含まれるエクソン予測から同定されたゲノム領域に近いことから含められることもある。こうして同定された配列は、ヒトの手で組み立てられ、次にCuraGen Corporation‘s human SeqCalling(登録商標)データベースから得た1つもしくは複数の追加配列を用いて伸長した。含めるのに相応しいSeqCalling(登録商標)断片は、CuraTools(登録商標)プログラムSeqExtendによって、または分析したゲノムクローンの適切な領域にマッピングされるSeqCalling断片を見つけることによって同定した。
上記の手順によって規定された領域を次にヒトの手で統合し、例えば元の断片中の塩基の誤読によって、または予測されたエクソン結合、ESTの一および類似配列領域の間の矛盾から生じる、見かけ上の矛盾点を補正し、本明細書に開示されている最終的な配列を得た。必要に応じて、SeqCalling(登録商標)アッセンブリーおよびゲノムクローンを同定および分析するプロセスを再調整し、全長配列を得た(Alderborn et al.,Genome Research 10(8)1249〜1265(2000))。
表19には改変体を個別に示したが、全てまたは選択した改変体の任意の組み合わせも本発明の範囲内である。
表19.CG53135−01(配列番号1および2)のSNP
Figure 2008519032
6.14 実施例14:平滑端型FGF−20に反応したNIH 3T3細胞内へのブロモデオキシウリジン取り込みの刺激
FGF−20の残基24〜211を発現しているベクター((d1−23)FGF−20、表1および配列番号32(CG53135−17)を参照)を調製した。平滑端型を組み入れたベクターを用いて得たコンディショニングベクターで処理したNIH 3T3細胞へのBrdUの取り込みを、完全長のFGF−20をコードするベクターを用いたコンディショニング培地での処理に対する反応と比較した。この実験は次のようにして行った:
293−EBNA細胞(Invitrogen)を、リポフェクタミン2000を用いて、メーカー(Life Technologies,Gaithersburg,MD)のプロトコール通りにトランスフェクションした。トランスフェクション5時間前に、細胞に10%のウシ胎児血清(FBS;Life Technologies)を補充した。BrdUおよび増殖アッセイのためのタンパク質を調製するために、トランスフェクション18時間後に細胞を洗浄し、ダルベッコ改良イーグル培地(DMEM;Life Technologies)を与えた。48時間後、培地を捨て、細胞単層を100μMのスラミン(Sigma,St.Louis,MO)の入った0.5mlのDMEMと30分間、4℃でインキュベーションした。次にスラミン抽出コンディショニング培地を取り除き、遠心分離(5分間;2000Xg)で清明化し、カルボキシル末端のポリヒスチジンタグを利用したTALON金属親和性クロマトグラフィーに、メーカー(Clontech,Palo Alto,CA)の取扱説明書に従ってかけた。保持された融合タンパク質は、イミダゾールでカラムを洗浄することによって放出した。
FGF−20タンパク質の濃度は、既知濃度のV5−タグ付きタンパク質を用いて作成した標準曲線を利用して、ウエスタン分析から推定した。ウエスタン分析では、コンディショニング培地をトランスフェクション48時間後に集め、次に細胞単層を、100μMスラミンを含有する0.5mlのDMEMと30分間、4℃でインキュベーションした。その後スラミン含有コンディショニング培地を集めた。
組換え体FGF−20および(d1−23)FGF−20を、ブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込みアッセイを用いて、それらのDNA合成誘導能について試験した。NIH 3T3細胞(ATCC番号CRL−1658、American Type Culture Collection,Manassas,VA)、CCD−1070Sk細胞(ATCC番号CRL−2091)またはMG−63細胞(ATCC番号CRL−1427)を96ウエルプレートで〜100%集密度まで培養し、DMEMで洗浄してから24時間(NIH 3T3)または48時間(CCD−1070SkおよびMG−63)DMEMの中で血清飢餓状態に置いた。次に、組換えFGF−20または(d1−23)FGF−20を細胞に18時間加えた。BrdUアッセイを、メーカー仕様書(Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)に従い、5時間のBrdU取り込み時間で行った。
結果を図13に示す。(d1−23)FGF−20が試験した10ng/mLという低濃度においても高い活性を維持していることが示された。この濃度では、完全長のFGF−20の活性は大きく低下し、コントロールのレベルに近くなる。(d1−23)FGF−20は、完全長FGF−20よりも少なくとも5倍活性であると推測された。
6.15.実施例15:CG53135による細胞増殖反応(研究L−117.01およびL−117.02)
実験は、CG53135、例えば全長タグ付き改変体(CG53135−01)、欠失改変体(CG53135−02)、および全長コドン最適化タグ無し改変体(CG53135−05)に対する、代表的なタイプの細胞の増殖反応を評価するために行われた。
材料および方法:
異種タンパク質発現:これらの実験にはCG53135−01(バッチ4Aおよび6)を用いた。タンパク質はpETMY−hFGF20X/BL21発現ベクターの完全長CG53135−01を用いて形質転換した大腸菌(E.coli)、BL21(Novagen、Madison,WI)を用いて発現させた。細胞を集めて破壊し、次に可溶性タンパク質画分を濾過して清明化し、金属キレート化カラムに通した。最終タンパク質画分を1MのLアルギニンを加えたリン酸緩衝化食塩水(PBS)に対し透析した。タンパク質サンプルは、−70℃で保管した。
これらの実験には、CG53135−02(バッチ1および13)も用いた。タンパク質は、pET24aベクター(Novagen)内に挿入された欠失改変体CG53135−02を用いて形質転換した大腸菌、BLR(DE3)(Novagen)に発現させた。研究細胞バンク(RCB)を作製し、RCBを起源とする細胞を発酵してCG53135−02を含有する細胞ペーストを調製した。細胞膜を高圧ホモジェナイザーを用いて破壊し、溶解物を遠心分離して清明にした。CG53135−02は、イオン交換クロマトグラフィを用いて精製した。最終タンパク質画分を、調合緩衝液(100mMクエン酸、1mMエチレンジアミン三酢酸(EDTA)、および1MのLアルギニン)に対し透析した。
これらの実験ではCG53135−05、DEV10も使用したが、これらはCambrex Biosciences(Hopkinton,MA)によって下記6.18.1節に記載したプロセス1通りに調製された。
BrdU取り込み:増殖活性は、血清飢餓培養した細胞を一定量の作用物質で処理し、DNA合成中のBrdUの取り込みを計測することによって測定した。細胞は、10%のウシ胎児血清または10%のウシ血清をメーカーが推奨する通りに補充した、各メーカーが推奨する基本培地で培養した。細胞は10%CO/空気(脱分化した軟骨細胞およびNHOstについては5%で準集密状態にした)中、37℃で、96ウエルプレートの中で集密状態まで増殖させた。次に細胞を各基本増殖培地で24〜72時間飢餓状態に置いた。大腸菌またはpCEP4/SecもしくはpCEP4/Sec−FGF20Xを多く含むコンディショニング培地から精製したCG53135タンパク質を18時間加えた(10μL/100μL培養物)。BrdUの取り込みは、メーカー(Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)の仕様書通りにアッセイした。
増殖アッセイ:増殖活性は、培養した細胞を所定の作用物質で、一定期間処理した後に細胞数を測定して得た。一般的には、6ウエル皿で〜20%集密度まで増殖させた細胞をCG53135またはコントロールを補充した基本培地で処理し、数日間インキュベーションし、トリプシン処理した後Culter Z1パーティクルカウンターを用いて細胞数測定した。
結果:
間葉細胞の増殖:組換えCG53135が線維芽細胞のDNA合成を刺激できるか決定するために、CG53135−01処理したNIH 3T3マウス胚性肺線維芽細胞を用いてBrdU取り込みアッセイを行った。組換えCG53135−01は、用量依存的な様式でNIH 3T3マウス線維芽細胞にDNA合成を誘導した(図14(A))。DNA合成は、一般的には、〜10ng/mLの半最大濃度で誘導された。これに対し、細胞から精製されたビヒクルコントロールで処理した場合には、DNA合成は誘導されなかった。
CG53135−01はCCD−1070Sk細胞正常ヒト包皮線維芽細胞、MG−63骨肉腫細胞株、およびウサギ滑膜細胞株、HIG−82を含む間葉起源のその他細胞にもDNA合成を誘導した。これに対し、CG53135−01は一次ヒト骨芽細胞(NHOst)、ヒト肺動脈平滑筋細胞、ヒト冠動脈平滑筋細胞、ヒト大動脈平滑筋細胞(HSMC)、またはマウス骨格筋細胞には有意なDNA合成増加をもたらさなかった。
組換えCG53135−01が細胞増殖を指示できるか決定するために、NIH 3T3細胞を1μgのCG53135−01またはコントロールと共に48時間培養し、その後細胞数を計測した(図14(B))。このアッセイでは、CG53135はコントロールに比べ、細胞数を約2倍増加させた。これらの結果は、CG53135が成長因子として機能することを示している。
上皮細胞の増殖:組換えCG53135が上皮細胞のDNA合成を刺激し、細胞増殖を決定するために、CG53135で処理した代表的な上皮細胞株でBrdU取り込みアッセイを実施した。幾つかの細胞株については、タンパク質処理の細胞数も測定した。
CG53135が786−Oヒト腎癌細胞株に、用量依存的な様式でDNA合成を誘導することが見出された(図14(C))。これに加えてCG53135−01は、CCD 1106 KERTrヒトケラチノサイト、Balb MKマウスケラチノサイト、および乳房上皮細胞株B5589を含む上皮起源のその他細胞にDNA合成を誘導した。
造血幹細胞の増殖:赤芽球細胞株であるTF−1をCG53135−01で処理した場合、DNA合成に対する刺激効果は観察されなかった。これらのデータは、CG53135−01が赤血球起源の細胞には増殖を誘導しないことを示唆している。これに加えて、急性Tリンパ芽球白血病細胞株であるJurkatは、CG53135−01で処理した時には全く反応を示さなかったが、血清で処理した時にはBrdU取り込みの力強い刺激が観察された。
内皮細胞に対するCG53135の作用:タンパク質治療薬は、血管新生、即ち内皮細胞が毛細血管に分化するプロセスを阻害または促進できる。CG53135は線維芽細胞成長因子ファミリーに属し、その内の幾つかのメンバーが血管新生特性を有することから、内皮細胞株に対するCG53135の抗血管新生または汎血管新生作用について評価した。それらが癌での血管新生の解明に用いられている細胞タイプであることから次の細胞株を選んだ:HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)、BAEC(ウシ動脈内皮細胞)、HMVEC−d(ヒト内皮細胞、皮膚毛細血管)。これらの内皮細胞タイプは形態形成分化をとげ、大血管(HUVEC、BAEC)および毛細血管内皮細胞(HMVEC−d)を代表する。
CG53135−01処理は、ヒト臍帯静脈内皮細胞、ヒト皮膚微小血管内皮細胞、またはウシ大動脈内皮細胞について細胞の生存を変えることはなく、BrdU取り込みに対する刺激効果も有していない。更に、CG53135−01処理は、HUVECSにおいて、新規血管の形成の重要事象である管形成を阻害しなかった。この結果は、CG53135が抗血管新生特性を有していないことを示唆している。最後に、CG53135−01は、VEGFが誘発するHUVECの細胞移動に影響を及ぼさず、それが転移に関わっていないことを示唆している。
上記の実験は、CG53135−02およびCG53135−05タンパク質産物を用いても行われ、その結果は下記結論の節にまとめる。
結論
組換えCG53135−01(CG53135−05と同一タンパク質をコードしている)は、インビトロにおいて、間葉細胞および上皮細胞(即ちNIH 3T3マウス線維芽細胞、CCD−1070正常ヒト皮膚線維芽細胞、CCD−1106ヒトケラチノサイト、786−Oヒト腎癌細胞、MG−63ヒト骨肉腫細胞、およびヒト乳房上皮細胞)に増殖反応を誘導したが、ヒト平滑筋、赤芽球、または内皮細胞には誘導しなかった。CG53135−01およびCG53135−05と同様に、CG53135−02も間葉細胞および上皮細胞の増殖を誘導した。これに加えて、CG53135−02は、内皮細胞の増殖も誘導した。
6.16 実施例16:化学療法誘発口腔粘膜炎のハムスターモデルにおけるCG53135の活性(N−212研究)
CG53135を、雄のゴールデンシリアンハムスターでの化学療法誘発口腔粘膜炎の治療について評価した(本実施例のタンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイで測定された)。
材料および方法
本研究に用いたCG53135−05(バッチ29−NB849:76)を、最終タンパク質画分を30mMのクエン酸ナトリウム、2mM EDTA、200mMソルビトール、50mM KCl、20%グリセロール(pH6.1)を含む調合緩衝液に対し透析したことを除いて6.5節に記載の通りに発現させ、精製した。
この研究では、研究開始時に5〜6週齢の、同様の体重の雄のゴールデンシリアンハムスター(Charles River Laboratories)を用いた。60匹の雄のハムスターを、放射線照射前にそれぞれ10匹ずつの6群に無作為に割り付けた。処理群の概要を表20に示す。
表20.処理群
Figure 2008519032
粘膜炎は、第−4日および−2日目に5−フルオロウラシルを単回大量投与(60mg/kg、IP)して誘発した。半粘膜毒性線量(40Gy/線量)の放射線を、単回、全ての動物に第0日目に局所照射した。動物は、毎日1回、0.1mLのビヒクルまたは12mg/kgのCG53135−05IPで処理し、その後表11に示すスケジュールに従って傷害を加えた。粘膜炎は、第6日目から1日おきに、第30日に実験が終了するまで第2日目(即ち第8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、および30日目)に、6.5節(表9)に記載したように目で判断してスコア付けした。各ハムスターは試験期間中、毎日(即ち第0〜30日まで)体重を測定した。体重および生存を、粘膜炎重篤度または処理から生じた可能性のある毒性の指標としてモニタリングした。
コントロール群と比べた粘膜炎に対する各処置の影響を、表21にリストアップしたパラメータに従って評価した。処置群間の統計差は、スチューデントのt検定、Mann−WhitneyのU検定、およびカイ二乗分析を用いて、0.05を棄却限界値として決定した。
表21.活性の評価に関するパラメータ
Figure 2008519032
結果
ビヒクルコントロール群(群1)およびCG53135−05大腸菌精製物処理群(群2〜6)の間に、経時的な体重または生存率の統計学的に有意な差は無かった。
化学療法で一次誘導されるこの粘膜炎のモデルでは、口腔粘膜炎の治療にとって投与スケジュールが重要であった。第6日〜第14日、または第1日〜第9日までのCG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg/日)の投与は、粘膜炎の経過または重篤度の顕著な改善をもたらさなかった(図15)。第1日〜第18日、または第1日から第6日までのCG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg/日)の投与は、重篤な粘膜炎の期間を有意に改善した(カイ二乗分析)。しかしながら、これらの処置は毎日の粘膜炎スコアに有意な改善はもたらさなかった(ランク合計分析)。12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製物による処置(第1日〜第2日)は、本研究では、粘膜炎の経過および重篤度の両方に有意な影響を示した(図15)。これらの結果は、化学療法薬と放射線の併用治療直後の、CG53135−05大腸菌精製物を用いた短期の処置により、この粘膜炎のモデルでの疾患の転帰を改善されることを示唆している。
別の実験では、放射線照射後に開始した12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製物を用いたハムスターの処置(第1日〜第18日)は、潰瘍発生を有意に低下し(p<0.001)、ランク合計分析にて判定した時、これに併せて粘膜炎スコアも7日間有意に低下した(N−198試験)。このことは、CG53135−05大腸菌精製物の投与が、粘膜毒性傷害後に投与したとき極めて有益な、放射線誘発口腔粘膜炎処置であることを示唆している。
さらに別の実験では、12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製物(40mM酢酸ナトリウム、0.2MのL−アルギニン、および3%グリセロールに調合)を第1〜2日に投与したところ、粘膜炎の重篤度が有意に低下した(N−237試験)。これらの結果は、上記の所見を確認している。
結論
CG53135の活性を、第−4および−2日に60mg/kgの5−フルオロウラシルで処理し、その後半粘膜毒性線量の放射線(〜30Gy)を第0日目に照射したハムスターに誘導した粘膜炎のモデルで評価した。臨床上問題となる口腔粘膜炎(粘膜炎スコア≧3のもの)が〜第15日に発生した。2、6、または18日間CG53135を腹腔内投与したところ、粘膜炎の重篤度は顕著に低下した。
6.17.実施例17:インビボのハムスター上皮細胞増殖に及ぼすCG53135−05投与の作用(N−225研究)
ここに記載する実験は、CG53135−05大腸菌精製物単回投与後(本実施例のタンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイによって測定した)の胃腸管上皮および骨髄へのBrdUのインビボ取り込みを評価した。
材料および方法
雄の、5〜6週齢の、試験開始時の平均体重82gのゴールデンシリアンハムスター(Charles River LaboratoriesまたはHarlan Sprague Dawley)を用いた。25匹の雄のハムスターを、表22に概要を示す、各5匹の群に無作為に割り付けた。
表22.処置群
Figure 2008519032
12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物の単回用量をIP投与し、投与後2、4、8、および24時間目にハムスターを犠牲にした。
BrdU投与および免疫組織学:犠牲2時間前に全ての動物にBrdU50mg/kgをIP投与し、試薬を増殖組織内に取り込ませた。安楽死時に次の組織を集めた;ほお袋粘膜、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸、および胸骨。全ての組織サンプルは、10%中性緩衝化ホルマリンで24時間固定してから70%エタノールに移された。サンプルをトリミングし、パラフィンに包埋し、切片を作製してマウントした。上皮組織はOncogene Researchの製品であるBrdU免疫組織学キット、カタログ番号HCS24を、メーカー指示書通りに用いて、免疫組織化学によりBrdUの取り込みについて染色した。
結果
CG53135−05大腸菌精製物の全組織内へのBrdU取り込みに及ぼす作用は、実質的には同じであった:CG53135−05大腸菌精製投与2時間後に、BrdU標識核の数の比較的小さな増加が観察された。これに続いてCG53135−05大腸菌精製物投与4時間後には、標識された核の数は減少した。全ての組織が投与後8時間にBrdU標識の劇的増加を示した。24時間の時点では、直腸を除く全ての組織が、未処理コントロールに比べ標識された核の数の減少を示したが、直腸組織はコントロールに比べ僅かな上昇を示した。未処理の動物の直腸組織については、標識された細胞は観察されなかったことから、24時間の時点で観察された2つの標識細胞は観察誤差として、または前記組織での細胞増殖レベルが低いはずであることから、データのバラツキであると考えられた。
結論
CG53135のインビボの機械的活性を、インビボでのブロモデオキシウリジン標識を用いて評価し、粘膜組織に及ぼすCG53135−05大腸菌精製物の単回大量投与(12mg/kg)の作用について24時間にわたって調べた。CG53135−05大腸菌精製物は、ほお袋、空腸、直腸、ならびに骨髄の造血幹細胞の上皮細胞の分裂を刺激した。これら組織へのBrdUの取り込み上昇のピークは、CG53135−05投与後8時間目に見られた。全ての組織が、CG53135−05大腸菌精製物投与に対し同じ時間に反応を示した。
6.18.実施例18:マウスへのCG53135−05投与による腸陰窩細胞増殖およびアポトーシスの調節(N−342)
本研究は、幹細胞と嬢細胞への作用とを識別すること、および胃腸管幹細胞損傷(例えば粘膜炎)を伴う症候群におけるCG53135の作用モードに関し洞察することを目的として、小腸陰窩細胞の回転に及ぼすCG53135の作用を評価した。更には、幹細胞の放射線感受性に及ぼすCG53135の作用についても評価した。本実施例のタンパク質濃度はブラッドフォードアッセイで測定した。
「陰窩」とは陰窩の基部に向かう幹細胞の階層構造である。細胞は成熟するにつれて陰窩底部から陰窩最上部に向かって前進的に移動する。それゆえに、幹細胞とそれらの移動しながら増幅している嬢細胞とに対比的に影響する変化は、それぞれの細胞集団での事象の発生頻度の変化を見ることによって検知できる。細胞の位置は図16に印した。このようにして陰窩の微小構造に及ぼすCG53135の作用を、陰窩の細胞充実性の観点で分析した。
実験計画
動物は、CG53135−05大腸菌精製物を12mg/kg単回投与(IP)した後、様々な時間で犠牲にした。犠牲直前に、マウスにブロモデオキシウリジンを単回注射して標識し、S期の細胞を標識して陰窩細胞の増殖/アポトーシスに及ぼす薬剤の作用を判定した。マウスの体重を測定してから、CG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg、単回注射、ip)を投与した。動物6匹の群を、CG53135−05大腸菌精製物注射後0、3、6、9、12、24、48時間目に犠牲にした。全ての動物が、犠牲40分前にブロモデオキシウリジンの単回注射を受けた。
追加の、6匹のマウスの2群を用いて幹細胞の放射線感受性に及ぼすCG53135−05大腸菌精製物の作用を評価した(群8および9、表23を参照)。1つの群は、CG53135−05大腸菌精製物で処理され(12mg/kg、単回注射、ip)、もう一方の群はプラセボコントロールが注射された。注射から24時間後に動物に1GyのX線(幹細胞にアポトーシスを特異的に誘導する)を照射し、続いて通常のインビボのBrdU標識を行った。4.5時間後(最大アポトーシス時)に動物を犠牲にした。
表23.研究計画
Figure 2008519032
腸陰窩細胞の増殖およびアポトーシスの調節:手順
S期の分裂細胞は全て注射されたブロモデオキシウリジン(BrdU)を取り込むことから、細胞周期を回転している細胞のマーカーとなる。放射線照射された動物を、無麻酔でパースペクスジグに入れ、0.7Gy/分の線量率で1GyのX線を全身照射した。低レベルの放射線照射は、小腸幹細胞集団にアポトーシスを誘導したが、より成熟した細胞には誘導しなかった。
小腸を取り出し、カルノワ固定液で固定し、組織分析向けに処理した(パラフィン包埋した)。1セットの3mmの切片をBrdUについて免疫標識し、1セットの切片をH&Eで染色した。小腸陰窩の縦断片を、BrdUまたはアポトーシス/有糸分裂核いずれかの存在について分析した。動物一匹あたり50の半陰窩をスコア化した。
群1〜7(結果の群A)を試験し、48時間にわたりCG53135−05大腸菌精製物の作用を決定した。群8〜9(結果の群B)を試験して、CG53135−05大腸菌精製物が低線量の放射線照射後に発生するアポトーシス細胞の数を変えるか、即ちCG53135−05大腸菌精製物が放射線感受性幹細胞集団に影響するかについて決定した。
得られた結果は、統計差について更に分析を加える各動物群における陰窩の頻度分布を示している。組織サンプルを、CG53135−05大腸菌精製物処理後3、6、9、12、24、および48時間目に集めた。本試験のエンドポイントはアポトーシス、有糸分裂指数、および増殖であった。
結果:
群A
群1〜7では(表23)、CG53135−05大腸菌精製物は、自然発生アポトーシスに対して有意な作用を有していなかった。有糸分裂指数についても同様の結果が得られた(表24)。しかしながら表24に示すように、BrdU取り込みの結果は、次のようなことを示した:
a)3時間目に増殖領域(位置12〜22)の拡大/増加が見られた。
b)9時間までは、多くの位置で大きな増殖作用が記録された。
c)12時間までは、位置4〜8だけが取り込み増加を示した(幹細胞)
d)24時間までは、増殖に顕著な阻害があった。
e)48時間までは、取り込みはコントロールのレベルと同等であった。
表24.アポトーシス、有糸分裂、および増殖評価後の、陰窩における有意な細胞位置のまとめ
Figure 2008519032
表24に示した比較は、処理群と未処理群との間のものである。示された細胞位置は、未処理群について示されたものと有意に異なっていた(p<0.05)。
群B:
群8および9では(表23)、幹細胞の放射線感受性を評価した。表23に示すように、CG53135−05大腸菌精製物またはPBSを、1Gyの放射線を照射する1日前に投与した。放射線照射4.5時間後に組織を集めた。放射線誘導アポトーシスおよび有糸分裂指数の両方について、有意な作用は存在しなかった。しかしながらCG53135−05大腸菌精製物で事前処理してから放射線照射されたマウスでは、群Aの結果と同じで、12時間まで、位置4〜8について取り込みの増加および増殖の有意な阻害が見られた(表24)。
6.19 実施例19:放射線照射傷害後のマウス腸陰窩生存率に対するCG53135−05の予防的投与の作用(N−343)
本研究の目的は、Clonoquant(登録商標)アッセイを用いた、インビボでの、放射線による陰窩細胞死滅率に対するCG53135の効力を評価することである。本実施例のタンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイによって測定した。
マウスの体重を測定してから、CG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg)またはプラセボを投与した。放射線照射24時間前に、腹腔内(ip)に単回注射投与した。動物6匹の各群に、下表のように放射線を照射した。放射線量毎に薬物処理群およびプラセボ処理群の反応を比較した。
小腸を取り出し、カルノワ固定液で固定し、組織分析向けに処理した(パラフィン包埋した)。通常のプロトコールに従ってH&E切片を調製した。各動物について、10カ所の小腸周縁部を分析し、周縁部当たりの生存陰窩の数をスコア化し、群毎に平均を決定した。強くH&E染色された細胞(パネート細胞を除く)を10個以上含んでいる陰窩および無傷で、パイエル板を含まない周縁部だけをスコア化した。
陰窩のサイズの差によるスコア化の誤差を補正するために、平均の陰窩幅(その最も広い点を測定した)も測定した。補正は次のようにして行った:
補正後の周縁部当たりの陰窩数=処理群X中の周縁部当たりの生存陰窩の平均数(未処理コントロールの平均陰窩幅/処理動物の平均陰窩幅)。
表25.研究計画
Figure 2008519032
結果:
CG53135−05大腸菌精製物の予防的投与後の陰窩生存率は、照射線量と逆相関を示し、照射線量が低いほど陰窩生存率は高かった(図17(A)および(B))。CG53135−05大腸菌精製物の予防的投与は、陰窩数を有意に増加した(P<0.001)。表26は、タンパク質(CG53135−05大腸菌精製物)を予防的投与した後の放射線照射について得られた保護係数を示している。保護係数(表26)は、処理細胞と未処理細胞の比を表している。平均では、動物にCG53135−05大腸菌生成物を放射線傷害前に投与すると、12Gyの線量において1.55倍多い細胞が生存した。
Figure 2008519032
6.20.実施例20:口腔粘膜炎の化学療法−放射線照射モデルに対するCG53135投与の作用(N−346研究)
材料および方法
大腸菌BLR(DE3)細胞(Novagen、Madison、WI)を、pET24aベクター(Novagen)を用いて完全長のコドン最適化したCG53135−05で形質転換し、これら細胞の製造マスター細胞バンク(MMCB)を作製した。MMCBに由来する細胞を発酵させて作製したCG53135−05を含有する細胞ペーストを、高圧ホモジェナイザーを用いて溶解緩衝液中で溶解し、遠心分離にかけて清明化した。CG53135−05を、清明化した細胞溶解物から、イオン交換クロマトグラフィーおよび硫安沈殿のサイクル2回により精製した。最終タンパク質画分を調合緩衝液(30mMクエン酸、pH6.0、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、200mMソルビトール、50mM KCl、20%グリセロール)に対し透析した。ビヒクルは30mMのクエン酸ナトリウム、pH6.1、2mMのEDTA、200mMのソルビトール、50mMのKCl、20%グリセロールを含む。本実施例のタンパク質濃度はブラッドフォードアッセイによって測定した。
この研究では、研究開始時5〜6週齢、平均体重84gのゴールデンシリアンハムスター(Charles River LaboratoriesまたはHarlan)を用いた。動物には耳パンチを用いて個別に番号を付け、ケージ当たり最高7匹までの小さな群で収納した。動物は、研究開始前に順応させた。この期間中、状態の悪い動物を排除するために、動物を毎日観察した。
60匹のハムスターは、放射線照射前に10匹ずつ、6群に無作為に分けた。各群は、表27に掲載した様々な処置に割り付けられた。動物には、第−4および−2日に60mg/kgの5−FUが投与され、0日目に、左頬粘膜に放射線を急性照射した。動物には、CG53135−05大腸菌精製物を、急性照射後第1日目についてのみ6、12、24、または48mg/kg/日が、あるいは第1日および第2日に12mg/kg/日がIP投与された。粘膜炎は、第6日を開始日として隔日で評価し、第28日の実験終了まで続けた(即ち第8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、および28日)。
表27.処理群
Figure 2008519032
粘膜炎は、第6日を開始日として隔日に、第28日の実験終了日まで2日毎に評価した(即ち第8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、および28日)。
口腔粘膜炎の化学療法/放射線モデル:ハムスターの口腔粘膜炎の5−FU/急性放射線照射モデルは、粘膜炎の急性放射線照射モデルで行われた臨床観察(Oral Surg Oral Med Oral Pathol 69(4):437(1990))を拡大するためにデザインされた実験モデルである。前者の急性放射線照射モデルは、成長因子およびサイトカインを含む抗粘膜炎化合物を予備評価できる、正確で効率的な、経済的な技術であることが証明されている(例えばOral Oncol 36(4):373〜381(2000)、Cytokine 9(8):605〜612(1997);Oral Oncol 33(1):47〜54(1997)を参照)。
粘膜炎は、5−ウルオロウラシルを用いて、第−4および第−2日に腹腔内(IP)用量(60mg/kg)を投与して誘導した。全ての動物に、第0日目に放射線の単回照射(30Gy/照射)を行った。放射線は、160キロボルト電位(18.75−ma)の線源を用いて、焦点距離21cm、3.0mmのAlフィルターシステムで強化して発生させた。放射線照射は左頬袋粘膜を、1.32Gy/分の比率で狙った。照射前、動物をケタミン(160mg/kg)およびキシラジン(8mg/kg)をIP注射して麻酔した。左頬袋を裏返し、固定して、鉛のシールドで隔離した。この結果、第14日付近をピークとする潰瘍性の口腔粘膜炎が発生した。
粘膜炎の評価:粘膜炎を評価する際は、動物を吸入麻酔薬で麻酔してから左頬袋を裏返した。粘膜炎は、妥当性が確認されている写真を用いたスケールと比べ、目視によって正常の0から重篤な潰瘍の5の範囲でスコア化した。スケールの内容を表28に示す。
表28.粘膜炎スコア値の説明
Figure 2008519032
スコア1〜2は軽度の疾患を表すと考えられるが、スコア3〜5は中度から重篤な粘膜炎を示すと考えられる。臨床的なスコア化に続いて、各動物の粘膜の写真を標準的な技術を用いて撮影した。実験終了時に全てのフィルムを現像し、ブラインドでスコア化するために無作為に番号をふった。二名の訓練を受けた評価者が、上記スケールを用いて、ブラインド様式で写真の等級付けを行った。それぞれの写真の最終のブラインドスコアは、二名の評価者が割り当てたスコアの平均である。ブラインド写真評価で得たスコアを統計学的に分析した。
体重および生存率:各ハムスターは、試験期間中(即ち第−4日〜第28日)、毎日体重測定を受けた。粘膜炎の重篤度および/または処理によって生ずる可能性のある毒性の指標として、処理群間に生じる可能性がある差を評価するために、体重および生存率をモニタリングおよび記録した。適切であれば、生存率をカプランマイヤー(Kaplan Meier)対数順位分析を用いて分析した。体重増加の差は、個々の動物の体重増加率の曲線下面積(AUC)について一元配置分散分析を、棄却限界値0.05で行い評価した。
活性の評価:コントロール群と比較した、粘膜炎に及ぼす各処理の作用を、3以上のスコアを持つ動物日数のカイ二乗(χ2)分析を用いて評価し、Mann−Whitney(Mann−Whitney)順位合計検定を用いて、各群の、それぞれの日のブラインド粘膜炎スコアを比較し評価を行った。いずれの例でも処理群をコントロール群を、棄却限界値を0.05として比較した。Mann−Whitney順位合計検定では、2日間、統計学的に有意な改善を示した場合を、一般的に陽性の結果に必要な最低の改善と見なした。
結果
粘膜炎:毎日の平均粘膜炎スコアを各群について計算し、表18に示す。コントロール群の粘膜炎のピークは第14日であり、このとき、この群の平均スコアは3.2であった。CG53135−05大腸菌精製物で処理した群は全て、第16日にピークのスコアを有しており、その範囲は第1日に24mg/kgまたは48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理した群の3.0を最高に、第1日に12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理した群の2.63までであった。粘膜炎スコアを評価するために、3以上のスコアを示した日数を、カイ二乗検定を用いて分析した。この分析の結果を表29および図18に示す。更に図19は、カイ二乗分析によって計算した、粘膜炎スコア>3の動物の重篤粘膜炎の長さを表している。12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理された両群は、3以上のスコアの日数が有意に減少し、1日目だけ処理を受けた群は、第1および2日目に処理を受けた群に比べ僅かではあるがより有意であった(P=0.003)。第1日目に6mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理された群は、若干の改善を示したが有意ではなかった(P=0.092)。24mg/kgおよび48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理された群は、本実施例では、実質的にコントロールと同じであった。
表29.3以上のスコアの粘膜炎を起こした動物の日数のカイ二乗分析
Figure 2008519032
開放潰瘍を示すことで定義された臨床的に重大な粘膜炎のレベル(スコア>3)を調べるために、ある動物が高スコアを示した総日数を合計し、それぞれの群についてスコア付けした日数の合計に対するパーセンテージとして表した。観察された差の統計有意差は、カイ二乗分析を用いて計算した。
粘膜炎スコアの差の有意性は、Mann−Whitney順位合計検定を用いて各評価日についてコントロール群と試験群とを比較して、更に分析した。この分析の結果を表30に示すが、結果は、第1日に6mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理された群は、第14日(P=0.010)および26日(P=0.031)についてのみ、コントロールに対し有意な改善を示したことを表している。第1日に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製物で処理された群は、第14日(P=0.011)、第16日(P=0.031)、第18日(P=0.005)、および第20日(P=0.0037)のみ有意な改善を示した。24mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理された群は、コントロールに対し有意な改善を示さなかった。48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理された群は、第12日に有意な改善を示したが(P=0.035)、第26日(P=0.036)および第28日(P=0.006)では有意な悪化も示した。第1日及び第2日に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製物で処理された群は、第14日(P=0.010)および第18日(P=0.045)に、コントロールに対し有意な改善を示した。本試験において意味ある改善の基準は、粘膜スコアがコントロールに対し2日間、統計学的有意に改善することであることから、第1日に6mg/kgまたは12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物で処理された群、ならびに第1および第2日に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製物で処理された群が、意味のある改善を示した。
表30.Mann−Whitney順位合計検定を用いて実施した場合の粘膜炎スコア
Figure 2008519032
有意な群間差は、毎日の粘膜スコア(順位合計検定)に観察された。このノンパラメトリック統計学は、目視による粘膜炎のスコア化のスケールに適当である。各計算のp値を示す。有意な改善は強調して示した。
生存率:研究期間中、5匹の動物が死亡した。死亡例は、24mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物投与群の第4日、6mg/kg群の第7日、第1日のみの12mg/kg群の第9および11日、48mg/kg群では第11日に起きた。コントロール群ならびに第1日および第2日に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製物を投与した群には死亡例は観察されなかった。生存率は、化学療法/放射線照射モデルに通常観察される死亡率と同じであった。
体重変化:各群の平均日体重変化パーセントを図20に示す。未処理コントロール群の動物では、本研究中の体重の全体増加率は47.5%であったが、これに対し第1日、6mg/kgCG53135−05処理群では45.9%、第1日、12mg/kgCG53135−05大腸菌精製物処理群では53.8%、第1日、24mg/kgCG53135−05大腸菌精製物処理群では41.2%、第1日、48mg・kgCG53135−05大腸菌精製物処理群では49.7%、ならびに第1日および第2日、12mg/kgCG53135−05大腸菌精製物処理群では46.9%であった。群の体重増加分析は、各動物の曲線下面積(AUC)を計算して行った。全研究群間の、体重に関する群AUC値の一元配置分散分析からは、研究群の間に有意差が存在しないことが示された(P=0.687)。本研究の各群のAUC値の平均比較を図21に示す。この結果は、CG53135−05大腸菌精製物で処理した群の動物が、未処理コントロール群の動物と同様の様式で体重を増やしたことを示している。
6.21.実施例21:ハムスター化学療法/放射線照射モデルにおける、確立した口腔粘膜炎の治療に及ぼすCG53135の作用(N−318)
動物、タイプ、齢数、および化学療法/放射線照射モデルは、6.20節に記載したものと同じである。本実施例のタンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイで測定した。
60匹のハムスターを、放射線照射前に、各10匹の動物から成る6群に無作為に割り付けた。各群には、表31に掲載した各種処理を割り当て、12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物をIP処理した。本研究では、動物には60mg/kgの5−FUを第−4日および第−2日に投与し、続いて第0日に約30Gyの放射線を急性照射し、第15日前後に重篤な粘膜炎を発生させた。本研究期間は35日間であった。処理スケジュールおよび投与は、動物がスコア2の口腔粘膜炎を発症した後に開始した。本研究では粘膜炎のスコア化に加えて、実験群の各動物について下痢、体重減少、および死亡発生についても評価した。
表31.処理群
Figure 2008519032
粘膜炎は、第6日を開始日として隔日で評価し、第28日の実験終了まで続けた(即ち第8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、および28日)。
粘膜炎がハムスターに誘発された。エンドポイント、粘膜炎、体重、および生存率について評価した。用いた統計方法はカイ二乗分析およびMann−Whitney順位合計検定であった。3つのパラメータは全て、6.20節の中で説明する。
結果
粘膜炎:未処理コントロール群では、粘膜炎のピークは第14日であり、平均スコアは3であった。ビヒクルコントロール群では、粘膜炎のピークは第16日であり、平均スコアは3.4であった。スコアが2に達した後、第1日および第2日に12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物のIP投与を受けた群は、コントロール群と同様の粘膜炎スコアのパターンを示した(図22(A))。スコアが2に達した後、第3日および第4日に12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製物をIP投与された群は、コントロール群に比べ粘膜炎のスコアは低下したが、これは主に粘膜炎ピーク後によった(図22(B))。
群間の粘膜炎スコアの差を、カイ二乗検定を用いて、3以上のスコアを示した日数を比較して評価した。未処理コントロール群では、評価した動物日数の32.3%が3以上のスコアを示したのに対し、ビヒクルコントロール群では動物日数の41.1%が3以上のスコアを示した。2つのコントロール群間に差が生じた結果として、2つの治療群(スコアが2に達した後の第2日および第2日にCG53135−05大腸菌精製物の投与を受けた群)はビヒクルコントロールとの比較では有意な改善を示したが、未処理コントロールと比較した場合には有意な改善を示さなかった。2日間CG53135−05大腸菌精製物で処理された群については、未処理コントロールと比較した時のP値は0.347であったが、ビヒクルコントロールと比較した時の値は0.007であり、3日間CG53135−05大腸菌精製物で処理された群では、未処理コントロールと比較した時にP値は0.580であり、ビヒクルコントロールと比較した時の値は0.020であった。スコアが2に達した後4日間CG53135−05大腸菌精製物で処理した群は、未処理(P=0.003)およびビヒクル(P<0.001)コントロール両方との比較について有意な改善を示した。スコアが2に達した後1日のみCG53135−05大腸菌精製物で処理した群は、いずれのコントロール群との比較でも有意性を示さなかった。
コントロール群と処理群との間に見られる差の有意性を、Mann−Whitney順位合計検定を用いて更に調べ、スコアを得たそれぞれの日について、各群の粘膜炎スコアを評価した。この分析では、各種処理群を未処理コントロール群またはビヒクルコントロール群のいずれかと比較した。この未処理コントロール群との比較の結果は、2日間処理群と未処理コントロール群の間には、第10日のみ統計有意な差が存在していることを示している(P=0.011)。3日間処理群と未処理コントロール群の間では、第14日(P=0.036)および第22日(P=0.013)について統計有意な差が存在した。4日間処理群と未処理コントロール群との間では、第10日(P=0.009)、第12日(P=0.029)、第14日(P=0.002)、第22日(P=0.021)、および第24日(P=0.032)に統計有意な差が存在した。CG53135、1日処理群と未処理コントロール群との間に統計有意な差は見られなかった。
ビヒクルコントロール群間の順位合計比較の結果は、3日間処理群とビヒクルコントロール群の間については、第14日(P=0.020)および第22日(P=0.020)で統計有意な差が存在した。4日間処理群とビヒクルコントロールとの間に統計有意差は、第10日(P=0.036)、第14日(P<0.001)、第18日(P=0.024)、第22日(P=0.048)、第24日(P=0.021)、第26日(P=0.048)、および第28(P=0.004)に見られた。CG53135の1日間または2日間処理群とビヒクルコントロール群の間には、統計有意な差は見られなかった。
体重変化:未処理コントロール群の動物は、研究終了までに、開始時体重の平均50.5%の増加を示した。ビヒクルコントロール群は、研究期間中の平均体重増加が最も低く、平均で41.1%であった。CG53135−05大腸菌精製物の投与を1日4回受けた群の研究期間中の体重増加が最も大きく、53.4%であったのに対し、1日1回、2回、および3回の投与を受けた群の体重増加は、平均でそれぞれ48.1%、46.8%、および44.4%であった。これらの差は、各動物の1日体重増加率の曲線下面積を計算し、次に一元配置分散分析検定を用いてAUCを査定することによって評価した。群間に統計有意な差は見られなかった(P=0.266)。AUCの平均データを図23に示す。
6.22.実施例22:CG53135は、ヒト患者の粘膜炎向けの、単回投与治療法として用いることができる(研究C−214およびC−325)
進行(ステージ4)癌に罹ったヒト患者に静脈投与されたCG53135−05大腸菌精製物(本実施例では「CG53135−05」製剤原料と呼ばれる、6.2.1節に記載の調合物についての)の安全性、寛容性、および薬物動態の評価を行った(一回用量増加寛容評価)。この用量増加寛容研究の最終目標は、0.03、0.1、0.33、および1mg/kg(UV)の4患者コホートについて、CG53135−05製剤原料の安全性、寛容性、および薬物動態を評価することである。用量増加は、15分間かけて0.33mg/kgを投与した時の寛容性情報(第1相研究C−325)に基づいて停止し、プロトコールを修正して0.2mg/kg用量を追加した。
試験中、口腔粘膜は経験を積んだ研究スタッフによって調べられ、世界保健機構(WHO)OMスコアリングシステムおよび口腔粘膜炎評価スケール(Oral Mucositis Assessment Scale(OMAS)の両方に従って粘膜炎をスコア化した。WHO Handbook 1979 WHO.WHO Handbook for Reporting Results for Cancer Treatment.In:WHO Offset Publication No.48.Geneva,Switzerland:World Health Organization;1979を参照。OMASは、より定量的な傷害評価法を提供している。退院後、患者には毎日WHOスコアを1回記録するための日記が与えられた。研究スタッフは、患者にどのように口腔粘膜炎の自己評価を行ってスコアを付けるか指導した。
表32.WHOスコアリングシステム
Figure 2008519032
OMASシステムは、浮腫および潰瘍/偽膜スコアを合計して得る。
表33.OMASスコアリングシステム
Figure 2008519032
11例の患者が、CT終了後、0.03mg/kg(n=4)、0.1mg/kg(n=6)、および0.2mg/kg(UV)(n=1)のCG53135−05製剤原料を、単回の100ml静脈輸液として3日間投与を受けた。寛容性に関する情報は11例全ての患者から得られた。完全な臨床データは、9例の患者から得られた。
予備的な薬物動態データは、血漿曝露の平均Cmaxが0.03mg/kg(UV)用量レベル(n=3:幅175.6〜1192.6ng/ml)については564.3ng/ml、および0.1mg/kg(UV)用量レベル(n=3;幅420.9〜797.5ng/ml)については564.7ng/mlであることを明らかにした。輸液後、CG53135−05製剤原料は、1時間以内(輸液終了後15〜35分)に最大血漿濃度に達した。平均の最終数半減期は49分(範囲16.2〜87分、n=5)であった。有害経験から試験を中止した患者はいなかった。試験薬に関係すると思われる有害事象(患者数)としては以下のものが挙げられる:悪心(2);寒気(2);発熱(2);嘔吐(1);目眩(1);光幻覚(1)(視覚−第15日に「光フラッシュ」)、および乱視(1)(第28日に軽度の乱視);神経疾患(1)(第15日に足裏に);頻脈(1);頭痛(1);ならびに無症候性、ECG上に記録された単独の心房早期波形)。報告された全ての事象は軽度から中度であった。試験薬に関連する、等級3または4の検査毒性は記録されなかった。2004年9月3日から薬剤投与を受けた11例の患者のうち、3例の患者について、試験薬と無関係と判定された6つの重篤な有害事象が記録された。これらの事象は、癌の進行(n=2)、カテーテル感染症、小腸閉塞、食道炎/粘膜炎、および好中球減少症性発熱であった。
研究を終了した11例の患者のうち6例の患者には口腔粘膜炎は発症しなかった。4例の患者が等級1(n=1)または等級2(n=3)の口腔粘膜炎を発症した。等級3の口腔粘膜炎を発症した1例の患者が観察された。完全非腸管栄養を必要とした患者はいなかった。CPT−11の投与を受けた患者は、一般的に下痢の頻度が高かった。この試験では、7例の患者がCTの一部としてCPT−11が投与され、2例の患者(共に0.03mg/kg(UV)のCG53135−05製剤原料の投薬を受けている)だけが軽度から中度の下痢を経験し、CG53135−05製剤原料治療を受けた直後に下痢を発症したのは1例のみであった。我々は、CG53135−05製剤原料は、0.03、0.1、および0.2mg/kg(UV)の単回用量投与について良く受け入れられたと結論した。
自己幹細胞移植患者を対象とした単回用量増加、第1相試験(研究C−325)が同時に進行中であり、27例の患者がCG53135−05製剤原料で治療を受けている。PBSCTによるHDCTを受けた22例の患者(pts)(年齢25〜75歳)が、次のような(患者数)を含むCG53135−05製剤原料の用量を増加する研究を終了している:0.03mg/kg(2)、0.1mg/kg(10)、0.2mg/kg(8)、および0.33mg/kg(2)。患者の治療対象は次の通りであり:多発性骨髄腫(n=11)、非ホジンキンリンパ腫(n=9)、急性骨髄性白血病(n=1)、および線維形成円形細胞癌(n=1)、メルファラン(Mel 200)、シクロホスファミド、カルムスチン、およびエトポシド(CBV)を、カルボプラチンおよびチオテパ(CT)、ならびにブスルファン/シクロホスファミド(標的化BuCy)を含むコンディショニングレジメンによる治療を受けていた。試験の主目的は、CG53135−05製剤原料の安全性、寛容性、および薬物動態を評価することである。患者は、WHOおよびOMAS両方の等級付けスケールを用いてOMの存在についても毎日スコア付けされた(上表32および33)。試験を終了した22例の患者のうち8例の患者はOMを経験しなかった(4Mel 200 ptsを含む);10例の患者がWHO等級1(n=7)または等級2(n=3)のOMのみ経験したのに対し、4例の患者は等級3(n=3)または等級4(n=1)の重篤なOMを経験した。等級4のOMを経験した1例の患者は4日間TPNを必要とした。患者は試験薬をよく受け入れ、0.33mg/kgの用量まで重大な副作用はなかった。この用量において2例の患者が発熱、悪心、および軽度の高血圧から成る輸液反応を経験した。13例の患者から得た予備的な薬物動態結果から、用量レベル0.1、0.2、および0.33mg/kgについて、それぞれ平均Cmax135.5ng/ml、343.3ng/ml、および658.3ng/mlの用量依存的な血漿曝露が確認された。好中球定着(ANC>500/uLにより判定)の中央日は、幹細胞輸液後13日目に起こった。予備的データからは、CG53135−05製剤原料がPBSCT患者に、0.33mg/kgの用量までよく受け入れられ、OMを軽減または予防について明瞭な臨床作用を持つことが示唆された。その結果、22例中18例の患者がHDCT後の粘膜炎(WHO等級3〜4)を回避した。より大規模な第II相臨床試験が開始され、HDCT誘発OM予防におけるCG53135−05製剤原料の効力を評価する予定である。
結論として、CG53135−05製剤原料は、今日までの二つの第I相試験で投与が行われた38例の患者には、一般的によく受け入れられた。試験した用量は0.03、0.1、0.2、および0.33mg/kg(UV)であった。0.33mg/kgの薬物を15分間かけて投与した時、より低い用量でも観察された明瞭な活性と共に輸液反応が現れたため、この用量レベルを中止することとした。その他一貫性のある薬物関連または明瞭な用量関連性の有害事象または検査異常は観察されなかった。試験薬に関係する有害事象は観察されなかった。寛容性および予備活性に関する十分な情報は、第II相試験において0.03、0.1、および0.2mg/kg(UV)用量を利用することを提示していると考えられる。
6.23.実施例23:CG53135は放射線が誘発する下痢の頻度、長さ、および重篤度を軽減する(N−438)
本研究は、下痢の発生および胃の形態学から測定した、放射線全身照射が誘発する胃腸管障害に対するCG53135の活性を評価するために行われた。本実施例のタンパク質濃度はUV吸収によって測定した。
材料および方法:
投与:マウスの体重を測定してから、CG53135−05大腸菌精製物(4または16mg/kg)を投与するか、または未処理とした。投与は表34および35に記載した通りに行った。各群20匹の動物に、下表に従って放射線を投与した。第0日のCG53135−05大腸菌精製物の投薬は全て放射線照射直後に行った。麻酔薬は投与しなかった。
腸陰窩細胞への損傷誘発:マウスに、0.7Gy/分の照射率で14または14.5Gyの線量の放射線を全身照射した。試験期間を通して、動物の下痢の頻度を調べた。6日後、動物を犠牲にして、組織分析のためにマウスの腸管を集めた。
体重:研究期間中毎日、イオン化放射線曝露に対する反応の指標として、処理群間に動物の体重差が現れるか評価するために、各動物の体重を測定し、その生存を記録した。
死亡または瀕死で見つかった動物:下痢の発生/進行を正確に評価し、死亡前の瀕死の動物を見つけ出すために、第3日からは2x/日で動物を評価した。このような瀕死の動物は脊椎脱臼によって犠牲にした。回腸および中央結腸を取り出し、保存および必要な場合の今後の分析/IHCのためにホルマリンで固定し、パラフィンに包埋(ブロック当たり1動物、ブロック当たり2組織)した。死亡して見つかった動物からは組織は取り出さなかった。
表34.研究計画
Figure 2008519032
表35.試験品要件
Figure 2008519032
結果:
エクセルスプレッドシートには、14または14.5Gyの放射線が照射された動物の下痢スコアおよび体重が貼り付けられている。各放射線照射のデータは非常に類似しているため、14Gyの放射線照射を受けた動物の分析だけを示す。
体重:質量比成長速度は次式から計算した:
Figure 2008519032
有意性は、一元配置分散分析およびDunnettの多重比較検定を用いて計算した。研究期間中の体重の変化については、群間に有意差は見られなかった(図24(A)および24(B))。
下痢スコア:マウスの下痢の重篤度を、放射線照射後第4日から3日間、1日2回、0〜3のスケールを用いてスコア化した。3日間の平均下痢スコア、ならびに3日間の下痢スコアの合計を測定してグラフにした。一元配置分散分析およびチューキーの多重比較検定により有意差を得た(図25(A)および25(B))。
それぞれの日の観察結果も分析し、下痢がピークとなった日の違いを決定した。有意性は上記のようにして決定した(*−P<0.05、**−P<0.01、***−P<0.001)。(図26)。
結論:
16mg/kgのCG53135を放射線照射に対し第−1、0、および+1日に動物に投与すると、放射線が誘発する下痢の頻度、長さ、および重篤度が極めて顕著に低下した。1日4回、6時間毎、4mg/kgのCG53135の動物への投与も、下痢の発生頻度を大きく下げた。下痢のピーク日は放射線照射から5日後であり、この時点では16mg/kgのCG53135のみが下痢を有意に低下させた。研究期間中、体重減少について処理群間に有意な差はなかった。
6.24.実施例24:CG53135は、ラットにCPT−11が誘発する下痢を軽減する(研究N−392)
イリノテカン(CPT−11)は固形癌に対し一般的に用いられる化学療法薬であり、重篤な下痢を特徴とする胃腸粘管(GI)粘膜炎を引き起こす。本研究の第一の目的は、CG53135がインビボ動物モデルにCPT−11が誘発したGI粘膜炎を軽減するか調べることである。第二の目的は、CG53135の各種投与スケジュールを検証することである。
方法論:
腫瘍を持ったラットに、単回腹腔内用量のCPT−11(200mg/kg)を用いて下痢を誘発した。動物を、化学療法開始前、最中、または終了後のいずれかに、6.18.2節に記載のプロセス2(硫酸によってpHをpH7.0に調整した、0.5Mアルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、0.01%ポリソルベート80のビヒクルを用いて)に従って得たCG53135−05大腸菌精製物16mg/kg、腹腔内処理した。ラットを、下痢の発生頻度および重篤度、ならびに死亡率について詳しく調べた。動物を、下痢誘発後168時間目に安楽死させた。安楽死時、胃腸管の組織病理評価のために組織を採取した。
結果:
CPT−11で処理されたラットのおおよそ40%に重篤または中度の下痢が起こった。この場合の、化学療法後第4日目の死亡率は50%であった。CPT−11処理前、または前とその最中にCG53135を投与されたラットは重篤または中度の下痢を発症したが、その頻度はより低く、死亡率とは関係しなかった。他の投与レジメンは有効ではなかった。
結論:
CG53135で前処理された動物(16mg/kg)は、下痢の発生頻度の低下により測定したとき、胃腸管粘膜炎に改善を示した。この群では死亡率全体の低下も示された。このことはヒトでのGI粘膜炎へのCG53135の使用にとって重要であり、更に研究しなければならない。
6.25.実施例25:急性イオン化放射線への曝露後のマウスに対するCG53135−05大腸菌精製物の予防作用(研究N−308)
本研究は、後に全身に各種線量のイオン化放射線に曝露するマウスに予防的に投与されたCG53135−05大腸菌精製物の作用について研究するために実施された。雄の、研究開始時の平均体重が22.1グラムのC3H/Heマウスを各処理に用いた。動物には標準的な市販のマウスの餌を与えた。餌と水は自由にとらせた。
タンパク質濃度はブラッドフォードアッセイで測定した。マウスを、第0日に、麻酔せずに484〜641cGyの線量範囲のイオン化放射線に曝露した。動物には、放射線照射前第−1日、または第−2日および−1日の両日にPBS(コントロール)またはCG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg、ブラッドフォード、毎日IP)を投与した。スケジュールは表36に示した。研究のエンドポイントは生存率および体重の変化であった。生存率は、放射線照射後30日間調べた。
表36.研究設計
Figure 2008519032
結果:
全ての治療群で、放射線量の増加に伴って生存率が低下した。PBSを投与された動物では、最低線量(484cGy)での放射線照射は第30日の生存率は93.75%であったが、534cGyでは50.0%まで、570cGyでは31.25%まで、606cGyでは12.5%まで、641cGyでは6.25%まで低下した(図27)。CG53135を、第1日だけに12mg/kgがIP投与された動物では、最低線量(484cGy)での放射線照射での第30日の生存率は87.5%であったが、これに対し534cGyでは87.5%、570cGyでは81.25%、606cGyでは43.75%、641cGyでは31.25%であった(図28)。第−2日および−1日にCG53135をIP投与された動物では、最低線量の放射線照射(484cGy)時の第30日の生存率は87.5%であったのに対し、534cGyでは75.0%、570cGyでは37.5%、606cGyでは31.25%、および641cGyではゼロであった(図29)。
多重比較検定は、第−1日に処理を受けた動物の生存率のオッズが、コントロール動物に対し4.8倍高くなることを示した(p=0.00016)。LD50/30値は、ブーツトラッピングによって計算された95%信頼幅の生存率のプロビットプロットを用いて計算した。しかしながら、コントロール動物に対する第−2日および第−1日に処理を受けた動物の生存率のオッズは有意ではなかった(p=0.4162)。結果は、放射線保護に、CG53135−05の予防的投与が治療的に有効であることを示している。更には、放射線照射前1日(第−1日)の処理もまた、最高放射線レベル(641cGy)を除く全ての体重減少から動物を保護した。この特別なシステムでは、単回投与(第−1日)は2回投与レジメン(第−2日および−1日、それぞれ)よりも、特により高い放射線レベルで有意に効果的であった。
上記の結果に加えて、発明は、放射線曝露前および/または後でのCG53135−05E大腸菌精製物の予防的および/または治療的投与のような、CG53135−05大腸菌精製物の追加の投与レジメンに拡張することもでき、これらは本明細書に記載したものと同じ手順に従って、同一の動物モデルで検証し、この化合物の治療効力の範囲を規定することができる。治療処理の投与レジメンとしては、放射線曝露後+1、+1、および+2日が挙げられるが、これに限定されない。例えば別の実験では、マウスに、指示線量の放射線全身照射を行う24時間前に、4mg/kg(UV)のCG53135−05E大腸菌精製物をIP処理した。その後マウスの生存率を30日間追跡調査した。図28Bは、570cGyおよび606cGyでの生存率に関するカプラン−マイヤーのプロットを示しており、CG53135−05大腸菌精製物で処理した群とコントロール群との間に統計有意な差、即ちそれぞれp=0.008およびp=0.015の差があった。図28は、投与範囲での生存率のプロビット分析を示している。コントロールおよびCG53135−05大腸菌精製物で処理された動物のLD50/30は、線量修飾係数(DMF)1.10で、それぞれ552.4cGyおよび607.4cGyであった。
6.26.実施例26:放射線照射を受けた腸陰窩細胞に対するCG53135の予防的投与スケジュールの作用(N−375)
本研究の目的は、放射線照射4日間、1日1回投与した時の、インビボでの放射線照射誘発腸陰窩細胞死に対するCG53135の保護能力を評価することであった。CG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg)またはPBSをBDF1マウスに、第0日に10〜14Gyの致死的放射線量に曝露する前、1日1回、4連続日腹腔内(IP)投与した。生き残り再生している陰窩巣の数を、放射線照射から4日間測定した。タンパク質濃度はブラッドフォードアッセイによって測定した。
動物に1日1回、4日間CG53135を投与すると、PBS処理、放射線照射動物と比較して、陰窩細胞生存率の全体的な増加が示された(表37)。
表37.放射線照射前のCG53135−05大腸菌精製物複数回用量投与による腸陰窩保護係数
Figure 2008519032
保護係数値は、PBSと比較したCG53135−05処理動物の、一定区域内の生存陰窩数を割合で表したものである。一元配置分散分析の結果、対応するPBS処理コントロール動物の数値に対しP≦0.05である例。#=陰窩数。
最高レベルの保護効果は、13Gyの放射線照射時に見られ、そのときの保護係数は2.09であった(例えば生存陰窩細胞数が2倍に増加した)。陰窩生存曲線は、CG53135−05処理により放射線に対する感受性が有意に低下したことを示している(図30)。かくしてCG53135による4連続日の前処理は、全体の陰窩細胞生存率を上げた。本研究は、放射線保護特性を利用したスケジュールとしてCG53135−05の複数日、予防的投与が利用できることを示している。
6.27.実施例27:放射線保護ウインドウの評価(N−382)
単日投与または1日1回複数日投与後の、CG53135の陰窩細胞放射線保護作用が確立されたことから、本研究では放射線照射前、24時間を超える間隔で投与した時のCG53135の活性について評価した。13Gyの単回大量放射線照射曝露6、12、24、36、または48時間前に、それぞれCG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg)またはPBSをBDF1マウスIP注射して投与した。生存し、再生中の陰窩巣の数を、放射線照射から4日間測定した。本実施例のタンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイによって測定した。
放射線照射24または36時間前にCG53135−05大腸菌精製物を単回用量投与すると、最高レベルの腸陰窩細胞の保護がもたらされた。これらのスケジュールは、陰窩生存率をそれぞれ80%および31%高めた(表38)。放射線照射6、12、または48時間前の投与は、線量修飾係数をそれぞれ0.78、0.40、または0.84にした。
表38.放射線照射6〜48時間前のCG53135−05投与時の腸陰窩保護係数
Figure 2008519032
保護係数値は、PBSと比較したCG53135−05処理動物の、一定区域内の生存陰窩数を割合で表したものである。一元配置分散分析の結果、対応するPBS処理コントロール動物の数値に対しP<0.001である例。#=陰窩数。
これらの結果は、単回用量のCG53135−05大腸菌精製物投与に関する最適ウインドウが放射線照射前24〜36時間であることを示唆している。
6.28.実施例28:放射線照射腸陰窩細胞の生存率に及ぼすCG53135投与スケジュールの影響(N−416)
本研究の目的は、CG53135−05投与の最適な投与スケジュールを確立して、放射線が誘発する陰窩細胞死に対する保護レベルを確立することである。本実施例のタンパク質濃度はUV吸収によって測定した。CG53135−05大腸菌精製物(4mg/kg)またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)を雄のBDF1マウスに、放射線(13Gy)照射前、または照射後1、2、3、4、または5連続日(第−1、0、1、2、および/または3日)、1日1回腹腔内(IP)投与した。生存し再生中の陰窩巣の数を、放射線照射後4日間測定し、線量修飾係数(DMF)を計算した。
第−1日でのCG53135−05の単回用量投与はDMFを2.3にした(図31)。第−1、0、および1のCG53135−05投与は、第0日のTBIと比較したDMFを3.0にした(例えば生存陰窩細胞の数が3倍になる)。これらのデータは、CG53135が予防および介入(治療)特性を備えたGI細胞放射線保護剤であることを示唆している。
6.29.実施例29:CG53135の放射線保護のメカニズム
イオン化放射線の攻撃を受けて細胞内に起こる多くの変化の中で、反応性酸素種の増加はHOのイオン化によって起こる。このプロセスは細胞の中で最も反応性の分子を生ずるため、細胞への損傷を軽減するために、核はこれらラジカルをより反応性の低い中間体にする酵素の転写を高める。CG53135は放射線保護剤であることが示されているため、CG53135による細胞の処理が、細胞に酸素ラジカルスカベンジング経路を「事前付加」する、関心対象の放射線保護に関与すると考えられるいずれかの遺伝子をアップレギュレーションするか決定することは有意義である。ROSスカベンジャーおよび転写因子を含む複雑な経路へのCG53135の作用の評価からは、この作用物質について観察されたインビボの放射線保護作用を機械的に描いている。そのために、発現研究および生存研究を細胞レベルで実施した。
発現研究:
CG53135による放射線保護のメカニズムを描き出すために、分子状酸素ラジカルスカベンジャーおよび転写因子の発現特性を、線維芽細胞および内皮細胞で研究した。NIH 3T3(マウス線維芽細胞)、CCD−1070sk(ヒト包皮線維芽細胞)、CCD−18Co(ヒト結腸線維芽細胞)、およびHUVEC(ヒト臍帯寿尾脈血管内皮細胞)細胞を0.1%FBSおよび指示濃度のCG53135−05大腸菌精製物を含む基本培地に移した。18時間インキュベーションした後、RNEasy(Qiagen、Valencia、CA)を用いてトータルRNAを得るために細胞を集めた。RNAはSuperScript First Synthesis System for RT−PCR(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて逆転写し、プライマーおよび以下のサイクルを用いて関心遺伝子を増幅した。
表39.RT−PCRのプライマー(ヒト)
Figure 2008519032
結果
発現の結果を表40にまとめ、かつ図32(A)〜(F)に示す。
Figure 2008519032
放射線保護性のスーパーオキサイドジスムターゼ、MnSODのうちもっとも放射線保護性であるものは、全ての細胞株においてCG53135−05大腸菌精製物によって誘導されたことが分かった(表40、図32(A)〜(F))。
Nrf2転写因子は「酸化予防反応要素」(AREとも呼ばれる)と考えられている複数の酸化予防剤の制御に関与しており、研究した全ての細胞株でCG53135によって誘導された(表40、図32(A)〜(F))。ERKおよびAktキナーゼもまたCG53135によって活性化された。CCD18Coヒト結腸線維芽細胞を18時間、0.1%BSAを含む培地の中で飢餓状態に置くか、または完全血清(「Comp」)中に放置した後100ng/mlのFGF−20で刺激し、指示した時点で収集した。溶解物をヒトERKまたはAkt、あるいは表示の、それらのリン酸化物について免疫ブロッティングした。ERKおよびAktキナーゼは共にCG53135−05大腸菌精製物で2分間処理することによって活性化された(図32(D)および(E))。これらのキナーゼ、特にAKtの活性化は、放射線保護事象と関連していた。
イオン化放射線から細胞を保護するメカニズムの1つが、酸素ラジカルスカベンジング経路の誘導を介していることは明瞭に確立している。本明細書に詳述する遺伝子発現研究は、これが放射線保護を調節しているCG53135の経路の1つである可能性を示している。更に、放射線全身照射(TBI)の主要な標的臓器の1つは胃腸管である。ここに開示したデータは、(1)研究した全細胞株の中で最も反応性であるものが胃腸管線維芽細胞(CCD−18co)であること;および(2)良く特徴付けされた腸放射線保護材であるTff3がCG53135によって強くアップレギュレーションされたことを示している。当技術分野公知の他の放射線保護剤が骨髄生存率に影響するが、他のコンパートメントには影響しないことを考えると、CG53135が造血幹細胞と同様に影響を受けるが、動物の生存にとってそれほど重要でない組織でも活性であることに言及することは重要である。
生存率研究:
ある線量の放射線を受けた細胞は、イオン化ラジカルの攻撃に対抗し、ラジカルが加えて損傷を修復し、または修復不可能な傷害に直面した場合にはアポトーシスの発生を遅らせるか、またはこれらのメカニズムの全てを組み合わせて実行しなければならない。それゆえに、これらの経路はそれぞれ、細胞の最終的な生存およびその増殖能力にとって重要である。細胞の生存は、放射線照射後に生存している細胞はコロニーをインビトロで形成できる発色発生によって評価した。
発色アッセイは、CCD−18co細胞、FaDuヒト扁平上皮細胞癌細胞、IEC6、およびIEC18ラット結腸陰窩細胞、ならびにNIH 3T3マウス線維芽細胞を用いて行われ、放射線保護に及ぼすCG53135の作用を評価した。細胞培養条件は次の通りである:NIH 3T3細胞は、DMEM+10%ウシ血清+50μg/mlペニシリン/ストレプトマイシンで増殖させた;IEC6およびIEC18細胞は、DMEM+10%FBS+0.1U/mlインスリン+50μg/mlペニシリン/ストレプトマイシンで増殖させた;FaDu細胞は、MEM+10%FBS+1mMピル酸ナトリウム+50μg/mlペニシリン/ストレプトマイシン+非必須アミノ酸で増殖させた。細胞は10cmの皿あたり5×10の密度(NIH 3T3)で、または6ウエル皿の各ウエル当たり5×10の密度(IEC18、IEC6、FaDu)で接種され、付着させた。次に細胞を、0.1%血清(IEC18、IEC6、FaDu)または1%血清(NIH 3T3)を含む基本培地の中で、10または100ng/ml(IEC18、IEC6、FaDu)、または50および200ng/ml(NIH 3T3)の用量のCG53135−05大腸菌精製物で処理し、16時間(IEC18、IEC6、FaDu)または1時間(NIH 3T3)インキュベーションした。次に細胞に、130kVpにて、2.5、5、7.5、10、12.5、および15Gyの放射線をFaxitron X−ray照射装置(Wheeling,IL)を用いて、放射線率50cGy/分で照射した。照射直後に細胞をトリプシン処理し、NIH 3T3を60mm皿当たり250、500,1000、2000、5000、および10,000細胞;FaDu、IEC18、およびIEC6を:6ウエル皿のウエル当たり500、2500細胞/6ウエルの密度で二重接種した。細胞を完全増殖培地で1〜2週間、コロニーの平均直径が2mmになるまで増殖させ、その後コロニーをクリスタルバイオレットで染色して、数を測定した。
結果:
生存している未処理またはCG53135−05処理した細胞の数を放射線量の関数としてプロットし、生存曲線を描いた。生存曲線の傾きの異なる部分は、放射線の細胞殺滅特性の違いを表しており、以下に記載する:
D0は後ろ2点間の曲線の傾きであり、放射線量が高い時の細胞殺滅速度を示す。数値は、生存細胞画分を、グラフ上の前値の37%まで減らすのに必要な放射線量を示すと解釈される。数字が小さいほど細胞殺滅速度が速い。
D1は先頭2点間の曲線の傾きであり、放射線量が低い時の細胞殺滅速度を示す。数値は、生存細胞画分を、グラフ上の前値の37%まで減らすのに必要な放射線量を示すと解釈される。数字が小さいほど細胞殺滅速度が速い。
Dqは、生存細胞の対数的な減少が見られる前の、曲線の肩の幅である。これは、本質的に、細胞殺滅の発生が見られるまでに必要な放射線の閾値量である。Dq値が大きいことは、放射線が低線量の時に細胞が完全に保護されることを意味する。
放射線照射を受けたIEC18細胞の生存に及ぼすCG53135処理の作用を図33(A)に示す。D0およびD1値は、明瞭な処理関連傾向を示さなかったが、CG53135で処理されたDq値はIEC18が未処理の細胞に比べて、低線量の放射線照射からより強く保護されていることを示している(10ng/mlおよび100ng/mlのCG53135で処理された細胞の生存曲線の肩が広い)。かくしてCG53135−05大腸菌精製物による細胞の処理は、細胞の殺滅を未処理細胞に比べより高線量にし、CG53135がこれらの細胞において放射線保護剤としての機能を果たすことを示している。
放射線照射を受けたNIH 3T3細胞の生存に及ぼすCG53135処理の作用を図33(B)に示す。50ng/mlまたは200ng/mlのCG53135で処理されたNIH 3T3細胞のD0値は、未処理細胞のD0値よりも大きいと思われ、その差は50ng/ml用量については有意に達している。これらの結果は、CG53135が放射線保護剤としての役割を果たし、高線量の放射線が照射された時のNIH 3T3の生存を促進することを示唆している。さらには、100ng/mLのCG53135で処理した細胞のD1値は、未処理細胞に比べ小さく、低線量の放射線照射時の細胞死亡速度が遅くなることを示している。主に、未処理細胞の生存率が変動したために、生存曲線のDq値には一定の傾向は認められなかった。
放射線照射を受けたHUVEC細胞の生存に及ぼすCG53135処理の作用を図34に示す。100ng/mlのCG53135で処理された細胞のD0値は、未処理のHUVEC細胞または10ng/mlのCG53135で処理された細胞より大きく、高線量の放射線が照射された時の細胞死の速度が遅くなることを示している。これに加えて、100ng/mLのCG53135で処理された細胞のDq値は、低線量の放射線を照射された時の細胞死の速度が、未処理のHUVEC細胞または10ng/mlのCG53135で処理された細胞に比べ遅いことも示唆している。D1値に対するCG53135処理の明瞭な影響は観察されなかった。かくして100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物によるHUVEC細胞の処理は、高線量放射線照射時の細胞殺滅速度の有意な低下をもたらす。100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物で処理されたHUVEC細胞はまた、未処理細胞に比べ、低線量放射線照射時の殺滅からもより強く保護されると思われる。
これに対し、放射線照射を受けたFaDuおよびIEC6細胞は、CG53135投与の結果として、D0、Dq、またはD1値になんらの明瞭な傾向も示さなかった。
別の研究(L−411およびL−432)では、腸粘膜の各層の様々なタイプの細胞を代表する7つの細胞株:上皮(IEC6およびIEC18、ラット腸上皮)、間葉細胞(NIH 3T3、マウス線維芽細胞;CCD−18Co、ヒト結腸線維芽細胞)、ならびに造血幹細胞(32D、マウス造血幹細胞株)について、発色アッセイ(上記)を用いて放射線照射後の細胞生存が調べられた。細胞に放射線を照射し、100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物を含む、または含まない完全増殖培地に接種し、10〜14日間コロニー形成させた。データをプロットして、高線量(D0)および低線量(D1、Dq)の放射線を照射した時の細胞殺滅の速度について分析した(図35、表41)。
表41.細胞の生存反応パラメータ
Figure 2008519032
およびDqパラメータは、低線量の放射線照射時の細胞殺滅速度の指標であり、一方Dパラメータは、高線量の放射線照射時の殺滅速度を反映している。これらパラメータが未処理細胞に比べCG53135−05処理細胞で上昇したことは、保護作用を示す。
32D、NIH 3T3、IEC18、IEC6、およびU2OS細胞株で有意な保護が観察されたが、CCD18CoおよびSaos株ではより控えめな保護が観察された(図35、表41)。放射線照射後のFGF−20によるU2OSおよびNIH 3T3細胞の処理は、事前処理よりも効果的であった。
まとめると、これらの結果は、CG53135−05大腸菌精製物が、インビトロ放射線照射に対する保護作用を有していることを示している。
6.30 実施例30:サイトカイン放出に及ぼすCG53135の作用
サイトカインは、広範囲の生理学的反応を仲介する重要なシグナル伝達タンパク質である。イオン化放射線は、遺伝子発現およびサイトカイン特性に一連の変化を引き起こすことができる。本研究の目的は、細胞培養中のCG53135処理によるサイトカイン特性を経時的に評価することである。
BioPiexサイトカインアッセイは組織培養上清から複数のサイトカインを定量化するように設計されたマルチプレックスビーズを基礎とするアッセイであり、これをサイトカイン検出に用いた。アッセイの原理は捕捉サンドイッチ免疫アッセイに類似している。NIH 3T3細胞を96ウエルプレートに接種した。細胞をDMEM+0.1%ウシ血清(SFM)で洗浄した。CG53135−05大腸菌精製物を、10ng/mlまたは100ng/mlで細胞に加えた。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、および24時間後に細胞上清を集めた。陽性コントロールには50ngのTNFを用いた。Bioplex 18−Plex Cytokine Assay(BioRad Laboratories Inc,CA)を、製造元の手順書に従って行った。
結果:
図36にMo KC放出に及ぼすCG53135−05大腸菌精製物の作用を示す。Mo KCは、ケモカインCXCL1としても知られている(これはGro1、メラノーマ成長刺激活性(MSGA)または好中球活性化タンパク質−3(NAP3)とも示される)。これは、CXCR1レセプターを介しシグナル伝達する好中球の化学誘因物質としても機能する。これはまた、放射線全身照射に対する反応にも関係し、それ自体が放射線保護特性を持つ可能性が提議されている(Radiat.Res.160:637〜46,2003)。図36は、測定した反応について用量に矛盾がないこと(p=0.0085)および時間依存的に増加すること(p=4.6×10−6)を示している。これに加えて、両濃度のCG53135−05大腸菌精製物は、コントロール(CG53135なし)に比べて有意に高い反応を示した。
CG53135処理に反応したIL−6およびIL−11の発現についても調べた。IL−6およびIL−11は最近、放射線全身照射に対する反応とも関連付けられている。これに加えてIL−11は化学療法または放射線療法後の血小板減少症の治療薬としても用いられている。CCD18Co細胞を、0.1%BSAを含む基礎培地の中で、100ng/mlのCG53135と指示時間インキュベーションした。コンディショニング培地を取り出し、LuminexまたはELISAをそれぞれ用いてIL−6およびIL−11濃度を分析した。図36Bは、IL−6およびIL−11サイトカインが、インビトロでのCG53135−05大腸菌精製物への曝露によって誘導されることを示している。
追加の実験を行い、CG53135−05とCXCL1との組合せが、インビトロおよびインビボの両方で相乗的に放射線保護に機能するか決定できる。さらには、他のサイトカイン(例えばIL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−10、MCP−1、GM−CSF、RANTES)の誘導についても、当業者が認識するように、様々な細胞株(例えばHUVEC、CCD−18、NIH 3T3)について、CG53135−05存在化で試験できる。
6.31 実施例10:放射線曝露後の反応性酸素中間体スカベンジャーの測定
CM−HDCFDA法
細胞は、第一工程として、反応性酸素種の増加に伴ってスーパーオキシドジスムターゼ−Cu、Zn−SOD、Mn−SOD、および細胞外−SODをアップレギュレーションして、スーパーオキシドラジカルを過酸化水素にして除く。これら酵素の活性は、それらのH副産物を、アセトキシメチルエステルを用いて間接的に測定することができる。この分類の誘導体である、CM−HDCFDAとしても知られる5−(および6−)−クロロメチル−2’,7’−ジクロロジヒドロフルオロセインジアセタートは、Hによって酸化されると細胞内に効率的に保持されて緑色の蛍光を発する。
Figure 2008519032
IEC18(ラット腸上皮)およびCCD−18Co(ヒト結腸線維芽細胞)細胞を60mmの皿に1×10細胞/皿で接種した。付着後、細胞を0.1%血清および指示用量のCG53135を含む培地に移した。18時間インキュベーションした後、細胞に2または4GyのX線を、Faxitron X−照射装置(Wheeling、IL)を用いて照射し、続いて5mM CM−HDCFDA(Molecular Probes、Eugene、OR)と15分間インキュベーションした。次に細胞を洗浄し、トリプシン処理してBecton Dickinson FACSCalibur(San Jose、CA)のFL1チャンネルで分析した。
結果は、IEC18およびCCD18Co細胞が、CG53135−05大腸菌精製物で処理された後、用量反応的な様式で細胞内のHを増加させたことを示している(図37(A)〜(C))。これは、CG53135−05大腸菌精製物によって誘導されたスーパーオキサイドジスムターゼ、主にMnSODの発現増加によるものと考えられる。
IEC18細胞内でのCG53135−05大腸菌精製物による細胞内H産生は、イオン化放射線の線量の増加に伴って増加した(図37(B))。この結果は、放射線の照射によってスーパーオキサイドおよびヒドロキシルのような高反応性の酸素種の産生が増加し、結果としてCG53135−05大腸菌精製物によって誘導されるスーパーオキサイドジスムターゼの基質が増加したことを反映したものである。
RedCC−1法
イオン化放射線に曝露すると、放射線がHOをヒドロキシルラジカル(OH)、スーパーオキサイド(O)、または過酸化水素(H)にイオン化する結果として、細胞は反応性酸素種を蓄積する。これらの多量のイオンは細胞に有害な作用を及ぼすため、これら分子をより安定な変異種にして除く経路がアップレギュレーションされる。CG53135は細胞質の酸化還元能力を低下させる経路をアップレギュレーションすることによって、放射線障害から細胞を保護していると仮説が立てられている。Redox Sensor1(Red CC−1)と呼ばれる色素は、酸化によってFACSのFL2チャンネルで測定可能な赤色の蛍光剤に変化することによって、細胞質の酸化還元レベルをモニタリングできる。
細胞質反応性酸素種+Red CC−1 → 酸化Red CC−1
IEC18(ラット腸上皮)およびCCD−18Co(ヒト結腸線維芽細胞)細胞を60mmの皿に1×10細胞/皿で接種した。付着後、細胞を0.1%血清および指示用量のCG53135大腸菌精製物を含む培地に移した。18時間インキュベーションした後、細胞に2または4GyのX線を、Faxitron X−irradiatorを用いて照射し、続いて5mM Red CC−1(Molecular Probes、Eugene、OR)と15分間インキュベーションした。次に細胞を洗浄し、トリプシン処理してBecton Dickinson FACSCaliburのFL2チャンネルで分析した。
結果:IEC18およびCCD18Co細胞が、CG53135−05処理後に、図38(A)〜(C)に示すように用量反応的な様式で低下する細胞質酸化還元能を有することが見出された。ここに示したデータは、CG53135−05大腸菌精製物によってスーパーオキサイドジスムターゼの発現増加が誘導され、これがより高い反応種であるスーパーオキサイドおよびヒドロキシルラジカルを排除した結果と考えられる。また、CG53135−05大腸菌精製物は、重要な酸化予防−制御転写因子のNrf2の発現を増加させることも示されたが、これが別の経路でこの細胞質反応性の低下に寄与した可能性もある。
6.32.実施例32:骨髄腫細胞株32Dのインビトロ放射線保護
骨髄細胞でのCG53135の放射線保護作用についても、骨髄細胞株32Dを用いたインビトロ実験で研究した。32D細胞に0、1、2、3、4、または5Gyで放射線を照射してから、10ng/mlのIL−3を、100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物と共に、または無しでメチルセルロース含有増殖培地に接種した。細胞を10日間コロニー形成させ、次にスコアを付けた。図39は、CG53135−05大腸菌精製物への曝露によって32D細胞の生存率が上昇することを示している。細胞生存率を生存画分の自然対数でプロットし、線形象眼式を用いて曲線を得た。曲線の資質、即ちD1、Dq、およびD0は、放射線保護が観察されるポイントを示しており、Hall et al.,Radiat.Res.114(3):415〜424(1988)に記載の方法によって導いたが、その記述は、参照することによって、そっくりそのままここに組み入れられる。Dq値の上昇は、細胞死が対数的に増加し始めるのに必要な放射線量(または低放射線量時の曲線の「肩」の幅)を示しており、2.10Gy〜2.79Gyに観察された。
6.33.実施例33:骨髄除去および続く骨髄移植後の胸腺の再生に及ぼすCG53135の作用
免疫系再生時の、特に胸腺微小環境におけるCG53135の長期作用についても調べた。本実施例のタンパク質濃度は、UV吸収によって測定した。CG53135大腸菌精製物を、骨髄除去および移植モデルを用いて試験し、胸腺細胞による胸腺再生について調べた。マウスに9Gyの放射線を照射して骨髄を除去し、続いて骨髄移植を行った。これを行う前に、一群のマウスに16mg/kg(UV)のCG53135(IP)を、1日1回、骨髄除去日を基準とする第−3、−2、−1、0、および+1日に投与した。骨髄移植後30日目に、未処理および処理マウス両方から胸腺を採取し、胸腺細胞を集めた。細胞数を測定(A)すると同時に(B)T細胞特異マーカーのCD4およびCD8について染色した。
図40は、胸腺内の全胸腺細胞集団および成熟CD4/CD8陽性T細胞が、CG53135−05大腸菌精製物で処理された動物で有意に増加していることを示している(p=0.00003)。
6.34.実施例34:放射線誘発性の下痢に及ぼすCG53135の作用(研究N439)
本研究は、致死線量の放射線に曝露したマウスの下痢のレベルおよび重篤度を下げるCG53135の能力について調べた。前述の研究(N438)は、16mg/kgのCG53135を第−1、0、および+1日の3回投与スケジュールで投与すると、14GyのX線照射に曝露したマウスの下痢重篤度が有意に低下することを示した。これに対し、第0日、放射線照射後0、6、12、18時間目の4mg/kg投与は、下痢の重篤度を上げた。今回の研究は、これらの観察を更に検証し、他の治療的CG53135処理スケジュールが、薬物が放射線曝露後だけに投与された場合に、下痢の重篤度を下げることができるか評価した。
材料および方法:
試験材料:本研究に用いた試験材料はCG53135−05大腸菌精製物、バッチ番号PT0504Aであった。これは9.9mg/mlの凍結保存品として供給され、各バイアルを−80℃から融解し、必要に応じて層流フード内で、アミノシン(Aminosyn)を用いて1.6または0.4mg/mlに希釈し、またアミノシンは希釈前に無菌濾過した。次に動物に0.1ml/10g体重の割合でip注射した。CG53135は用時に調製した。
試験動物および飼育:研究開始時10〜12週齢の140匹の雄BDF1マウス(Harlan、UK)に、耳パンチを使って個別に番号をふった。各処理群は20匹のマウスから構成され、4つのケージに5匹ずつ収納した。動物は、1時間当たり27回空気交換を行う、個別換気式ケージに入れられた。動物は試験開始まで14日間順応させた。部屋は自動タイマーによって、薄明のない12時間の明暗サイクルに置かれた。全てのケージに研究を特定するのに必要な適切な情報、用量、動物数、および処理群が表示された。動物には標準的な齧歯類用の維持食が与えられた。餌と水は自由に摂らせた。
実験手順:
マウスは群当たり20匹の動物から成る7処理群に分けられ、区別するために耳に穴が開けられた。次に表xxのスケジュールに従って、動物にIP注射によって薬物(CG53135)を投与するか、または未処理のまま維持した。0.7Gy/分の割合で放射線を送り出すPantak PMC 1000、モデルHF320装置を用いて、マウスに14GyのX線を、全身に単回照射した。全ての放射線照射は、13:00〜17:00の間に実施した。動物は、放射線照射中は拘束されたが、麻酔はかけなかった。
表42.研究計画
Figure 2008519032
体重および下痢:動物の体重を毎日測定して、治療群間の動物の体重変化の可能性について調べた。20%を超える体重減少を示し、かつ困窮兆候を示した動物は瀕死と判断し、犠牲にした。動物は第3日より、下痢の発生と重篤度について1日2回観察した。各処理群について、発生の確認に加えて下痢の重篤度を次のスケール0〜3で記録した:
0=下痢の兆候なし
1=軟便/軽度の下痢
2=下痢、肛門周辺の汚れ/毛皮のつやが無くなる
3=広範囲の汚れ/柔毛のつやが無くなる、重篤な水様便
個々の動物の下痢のスコアを記録した。
組織病理:犠牲時に、回腸および中腸を取り出し、パラフィン包埋する前にホルマリン食塩水に入れ固定した。これら包埋サンプルを次に3μmの切片にし、H&Eで染色して、腸の損傷レベルを目視で評価した。各マウスの切片を評価し、以下1〜5のスコアを付けた:
1:正常組織
2:再生上皮、殆ど修復
3:潰瘍
4:重篤な潰瘍、陰窩が殆ど残っていない
5:完全剥離。
結果:
群当たりの体重の相対減少を図41に示す。下痢重篤度スコアの生データを図42(A)および(B)にまとめた。
全ての動物が体重減少を示したが、CG53135処理動物は、コントロール群に比べ初期の体重減少率が大きかった。この減少差は、中間点(第2および3日)で最も大きく、投与スケジュールに直接関係していた(最も高用量が投与された動物の体重減少が最も大きかった)。しかしながら、研究後半までに、群間の体重減少レベルの差は無くなった。前回同様、マウスはその体重が20%を超えて減少し、かつ困窮の兆候を示した場合には瀕死状態と考え間引いた。マウスが20%を超える体重減少を示したが活動的であった場合には、それらはそのまま残して次回に再評価した。間引いたマウスが死亡した場合には、組織は採取しなかったため組織学のスコアは存在しない。
第4日まで下痢は観察されなかったが、下痢の発生は第3日から1日2回測定した。16mg/kgのCG53135−05が下痢の重篤度を下げることは直ちに明らかになった。放射線照射を起点とした第−1、0、+1日について前回有効であった投与プロトコールは、今回も最も有効なプロトコールであり、放射線照射後0、6、12、および18時間後の投与は最も効果が低かった。放射線曝露直後の単回治療的投与、または放射線曝露直後および24時間後の投与も非常に効果的であった。前者は、初期の時点の有効性は低いと考えられたが、下痢の重篤度は第5日の夕方までに低下した。この中期間については、投与頻度と重篤度の間に相関関係が見られ、1日の投与回数が多い動物ほど重篤な下痢を経験した。
群毎の総下痢スコアを調べたところ、第−1、0、および+1日の投与の作用は、下痢の重篤度を未処理レベルの60%に下げた(瀕死の動物を重篤度スコア3に割り付けた場合には49%)。放射線照射直後にCG53135を投与された場合は、この値は68%まで増加する(瀕死の動物を重篤度スコア3に割り付けた場合には70%)。それ以外で投与された動物の重篤度は、コントロール(瀕死動物を含めた場合には、60、56、および63%)の69(投与日0、1日)、80(投与日0、1、2)、および77%(投与日0、1、2、3日)であった。
小腸の組織学スコアは、下痢のデータを確認した。瀕死のマウスをスコア4とした総スコアおよび平均スコアの検査からは、第0日のみ投与を受けたマウス、および第−1、0、および+1日に投与を受けたマウスの反応が最も良かった。この場合も、0、6、12、および18時間後のCG53135投与の効果は低かった。
本研究中に観察されたその他の報告事項としては、16mg/kgのCG53135を投与された殆どのマウスが、投与後直ぐに射精したという事実がある。これは新しい観察であるが、我々がこれまでの殆どの仕事を4mg/kgを用いて行っており、この現象は薬物の用量が高いことに関係するだろう。
最後に、16mg/kgのCG53135−05は、14GyのX線照射に曝露したマウスの下痢重篤度を安定して下げた。各種パラメータにより調べたところ、第0日のみ、または第−1、0、+1日の投与が最も良い保護をもたらした。それ以外の投与(第0、1日;第0、+1、+2;および第0、+1、+2、+3日)は優れた便益をもたらさなかった。放射線照射後0、6、12、および18時間目の投与もまた、総下痢重篤度を下げなかった。
6.35.実施例35:創傷修復試験
インビトロ細胞培養:ヒト結腸癌細胞株Caco2、HT29、およびTHP−1細胞はAmerican Type Culture Collection(Rockville、MD)から得、HT−29MTXはDr.Lesuffler、INSERM、Dillejuis、Franceから提供された。これらの細胞株(Caco2、HT−29、およびHT−29MTX)は前記の通りに増殖させた。THP−1細胞株は、10%ウシ胎児血清、100単位/mlの抗生物質/抗菌剤(Life Technologies、Gaithersburg、MD)を含むRMPI−1640培地(Life Technologies、Gaithersburg、MD)で増殖させた。
インビトロ治癒アッセイは、改良法を用いて行った。簡単に説明すると、参照ラインを24ウエルプレートの底の外側に、横切るように水平に引いた。HT−29およびCaco−2細胞を接種し、集密状態まで増殖させてから、0.1%FBSを含む培地で24時間インキュベーションした。
無菌のプラスチックピペットチップを、ウエルの底に引いたラインに垂直に立てて直線上の傷を付けた。それから単離したCG53135−05大腸菌精製物(100ng/ml)を加えた。創傷のサイズを、3カ所の所定位置で、創傷後の様々な時間(0、6、20、および24時間)に測定した。創傷の閉鎖を、倍率20倍の顕微鏡を用いて経時的に測定し、平均創傷閉鎖パーセンテージをベースライン値(0時間)に対し計算した。細胞の回復に対するFGF−20の作用がTGF−βおよびITF経路に関係しているか調べるために、抗TGFβ抗体(R&Dsystem、Minneapolis、MN)およびポリクローナル抗ITF抗体(D K Podolsky、Harvard Medical School、Boston、MAより贈られた)を用いた。
図43は、様々なヒト細胞株での創傷閉鎖におけるFGF−20の作用を示している。試験した全ての細胞株において、創傷閉鎖に対するFGF−20の効果は用量依存的に上昇し、創傷修復におけるFGF−20の役割を証明した。
6.36.実施例36:リバーストランスクリプターゼ−ポリメラーゼチェインリアクション(RT−PCR)
細胞株および結腸組織のトータルRNAを、TRizol試薬(Invitrogen)をメーカーの指示書に従って用いて調製した。RNAを、2μgのトータルRNA、15UのRNA阻害剤、1xの第一鎖緩衝液(Life Technologies、Long Island、NY)、5mM dNTP(Pharmacia、Uppsal、Sweden)、125pmolランダムヘキサマープライマー(Pharmacia)、および125Uのモロニーマウス白血病ウイルスRT(Life Technologies)を最終容積25ulで用いて逆転写した。反応は39℃で1時間行い、続いて93℃で7分、さらに24℃で1分行い、その後、20分間かけてゆっくりと4℃まで冷やした。PCRは、50μlの容積中に5μlのRT混合物、1XのThermos aquaticus(Taq)緩衝液、各プライマー5pmol、2.5mM dNTP、および1UのTaqポリメラーゼを含む形で実施した。
用いたプライマーの配列は次の通りである:
ヒトCOX−2センス:5’−AGATCATCTCTGCCTGAGTATCTT−3’(配列番号62)、
ヒトCOX−2アンチセンス:5’−TTCAAATGAGATTGTGGGAAAATTGCT−3’(配列番号63)、
ヒト腸トレフォイル因子(ITF)センス:5’−GTGCCAGCCAAGGACAG−3’(配列番号64)、
ヒトITFアンチセンス:5’−CGTTAAGACATCAGCCTCCAG−3’(配列番号65)、
ヒトPPAR−γセンス:5’−TCTCTCCGTAATGGAAGACC−3’(配列番号66)、
ヒトPPAR−γアンチセンス:5’−GCATTATGAGACATCCCCAC−3’(配列番号67)、
ヒトβ−アクチンセンス:5’−CCAACCGCAAGAAGATGA−3’(配列番号68)、
ヒトβ−アクチンアンチセンス:5’−GATCTTCATGAGGTAGTCAGT−3’(配列番号69)、
マウスCOX−2センス:5’−GCAAATCCTTGCTGTTCCAATC−3’(配列番号70)、
マウスCOX−2アンチセンス:5’−GGAGAAGGCTTCCCAGCTTTTG−3’(配列番号71)、
マウスITFセンス:5’−GAAGTTTGCGTGCTGCCATGGAG−3’(配列番号72)、
マウスITFアンチセンス:5’−CCGCAATTAGAACAGCCTTGTG−3’(配列番号73)、
マウスIL−10センス:5’−CTCTTACTGACTGGCATGAGGATC−3’(配列番号74)、
マウスIL−10アンチセンス:5’−CTATGCAGTTGATGAAGATGTCAAATT−3’(配列番号75)、
マウスG3PDHセンス:5’−CGGTGCTGAGTATGTCGTGGAGTCT−3’(配列番号76)、
マウスG3PDHアンチセンス:5’−GTTATTATGGGGGTCTGGGATGGAA−3’(配列番号77)。
PCRは、増幅直線性を得るように20〜40サイクルに設定されたPerkin−Elmer 9600 cyclerを用いて行った。PCR産物は、ゲル開始蛍光色素(FMC Corporation、Philadelphia、PA)を含む2%トリス−アセテートおよびEDTAアガロースゲルで電気泳動した。ゲルからネガをAlphaimager2000(Alpha Innotech Corporation、CA)を用いて取り、β−アクチンおよびG3PDH転写物の密度に対して正規化して、Adobeフォトショップ3.0.4ソフトウエアを用いRT−PCR転写物の相対量を評価した。
細胞株または標準的な手順でマウス(C57BL6)から分離された細胞でのmRNA発現によって、幾つかの保護遺伝子の発現も検出された。
CG53135存在下での、HT29細胞株におけるCOX−2遺伝子の発現は用量依存的であり、100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物で誘導した時最高の発現を示した(図44)。この濃度では、遺伝子の発現は、1時間および3時間のインキュベーション時間の時より高く、その後6時間および24時間では減少した。
Caco2細胞株におけるCOX−2遺伝子の発現は、図45に見られるように、100ng/mlのCG53135−05で刺激したときに高かった。100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物とインキュベーションした1、3、および6時間後にCOX2の発現増加が見つかった。
IEC−6細胞株におけるCOX−2の発現は、CG53135存在下で用量依存的増加を示した(図46)。COX−2の発現上昇は、100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物とインキュベーションした1時間後に見つかった。
HT−29およびCaco2細胞株における腸トレフォイル因子(ITF)の、CG53135存在時の発現を図47に示す。結果は、HT−29およびCaco2細胞の両方において、FGF−20刺激時にはITFの発現が用量および時間依存的に増加することを示している。図48は、COX−2がHT−29細胞で発現していることを繰り返し示している。図48には、これに加えTGF−β、ITF、PPAR−γの発現も示してある。
示した結果は、CG53135が、COX−2およびITF遺伝子を誘導することによって粘膜の修復に重要な役割を果たしている可能性を示唆している。FGF−20がTGF−βの発現を誘導するというデータに基づいて、Caco−2細胞における創傷の修復を実施例35に記載したようにして、抗TGF−β抗体(20μg/ml)を存在させて試験した。図49は、XG53135による上皮回復が、一部TGF−β経路によって仲介されていることを示している(p<0.05対CG53135大腸菌精製物+抗TGF−β)。
6.37.実施例37:転写経路アッセイ
シグナル伝達は、CG53135で刺激した時の、上皮細胞へのCOX−2発現誘導に関わる可能性があるメカニズムである。様々なキナーゼについて、100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物が存在する状態で、Caco2細胞におけるそれらの発現を試験した。結果は、リン酸化されたMAPK(p−p38MAPK)はCG53135存在下で誘導されたが、その他の試験したキナーゼは、有意な誘導を示さなかった(図50(A))。また、IkBαの発現は、CG53135が存在すると、中程度の分解を示した。これに加えて、図50(B)はErkおよびMAPKの阻害剤がCaco2細胞において、FGF−20存在下にCOX−2の発現を低下することを明らかにした。さらには、キナーゼの発現を、100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物が存在する状態で、THP−1マクロファージ細胞株について分析した(図50(C))。結果は、リン酸化されたSTAT3、p−p38MAPK、およびSOCS−3遺伝子の発現の増加を明らかにした。また図50(D)〜(E)は、CG53135が存在する状態で、Caco−2においてリン酸化されたEIk−1、ATF−2の発現が増加すること、およびリン酸化されたプロテインキナーゼCのごく僅かに誘導されることを示している。HT−29細胞では、CG53135と一緒に培養すると、C−FosおよびC−Junが誘導された(図50(D)〜(E))。
6.38.実施例38:硫酸デキストラン誘発大腸炎のメスSwiss WebsterマウスにおけるCG53135の用量反応作用
本実施例で報告する実験は、炎症性大腸炎の動物モデルにおける用量滴定実験の結果を報告する。
誘導法および一般的方法
大腸炎研究計画:体重約20gの6〜8週齢の正常なメスのSwiss−Websterマウス(Harlan Labs)を4日間(第−4日から第−1日)順応させてから5%硫酸デキストランナトリウム(DSS)を含む水またはコントロールの水を、7日間(第0日〜第6日)自由に経口摂取させた。DSS(Spectrum Chemicals、Gardena CA)は、5%の水道水の溶液として作られた;DSSは一日おきに作り、4℃で保管した。マウスは、0.3、1、3、および10mg/kgのQD投与、ならびに投与当たり5mg/kgのBID投与レジメンを含む8つの処理群に分けられた(表43)。第0日に、ビヒクル(1MのL−アルギニンのリン酸緩衝化食塩溶液)またはCG53135タンパク質のビヒクル溶液を用いた毎日行う腹腔内(ip)処理を開始し、第6日まで続けた。第7日に、COを使ってマウスを犠牲にした。
表43.処理群
Figure 2008519032
タンパク質産生:CG53135タンパク質は、次のようにして大腸菌に産生させた:CG53135−01のcDNAを同定し、pRSETベクター(Invitrogen)にクローニングしてベクターpETMY−CG53135−01を得た。この構築物の遺伝子産物は、(His)−(エンテロキナーゼ開裂部位)−(マルチクローニング部位)をポリペプチドのN末端に組み込んだポリペプチドを提供する。これに加えて、この構築物では、CG53135配列は位置2FGF−20(配列番号2)のAlaから始まる。このベクターを使って大腸菌を形質転換した。大腸菌細胞を10Lスケールまで増やし、CE6ファージを感染させて組換えCG53135を作った。組換えタンパク質は、大腸菌細胞(1MのL−アルギニン溶液に浮遊させた)をマイクロフルイダイザーにかけ、次に複数の金属アフィニティークロマトグラフィー工程を通して精製した。最終精製タンパク質を1MのL−アルギニンを含むリン酸緩衝化食塩水に透析した。
剖検時に、次の判定基準に従って結腸内容物をスコア化した:
0=正常から半固体の便、血液観察されず
1=正常から半固体の便、うっすらと血液が観察される
2=明瞭な血液を示す半固体から液状便
3=血液の混じった液体。
病理的方法:結腸の先端1/3(このモデルで最も重篤な影響を受ける領域)から先を等間隔に3つの区画に分け、パラフィン包埋して、切片を作製して、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色して病理評価にかけた。
各区画について、粘膜筋板から外筋層の内側境界線までの距離を測り、粘膜下浮腫を定量化した。炎症(泡沫マクロファージ、リンパ細胞、およびPMN浸潤)重篤度は、次の基準に従ってスコア化した:正常=0;極微=1;軽度=2;中程度=3;顕著=4;および重篤=5。脾臓リンパ球萎縮についても、上記の判定基準に従ってスコア化した。上皮細胞の損失/損傷を表すパラメータは、次のような関係する面積の%に応じてスコア化する方法を用い個別にスコア化した:なし=0;該当する粘膜が0.1〜10%=1;該当する粘膜が11〜25%=2;該当する粘膜が26〜50%=3;該当する粘膜が51〜75%=4;および該当する粘膜が76〜100%=5。
該当するものの%を用いてスコア化されたパラメータとしては:(1)結腸腺上皮損失−これには陰窩上皮の消失だけでなく残りの腺上皮の消失も含まれ、陰窩損傷スコアに等しいと思われる;および(2)結腸びらん−これは表面上皮の損失を表し、一般的には粘膜出血と関係している(臨床および剖検時に見られる出血を反映している)が挙げられる。各動物について、3カ所の基部(重篤な傷害が少ない)および3カ所の先端部(最も重篤な傷害)領域についてスコアを取り、各領域について平均スコアを決定した。疾患コントロールについても群平均および%阻害を決定した。このようにすることで(様々な区画からのスコアを合計するのではなく)、個々のパラメータの平均値±SE(3区画を代表する)を知ることができ、それで重篤度の概略を表すことができる。例えば、腺上皮損失の平均が4であれば、粘膜の51〜75%で上皮が無いことが分かる。
最終的に、三つの重要なスコア化パラメータ(炎症、腺上皮消失、びらん)を合計して、全体的な障害および創傷が最高15のスコアを持つ合計組織病理スコアとした。
最終的に基端部+先端部合計スコアを合計して、全体の結腸重篤度スコアとした。
統計学:各処理群の平均および標準誤差(SE)をスコア化した各パラメータについて決定した;データを、p≦0.05を有意とする両側スチューデントt検定を用いて、疾患コントロール(群2)と比較した。
生存期、剖検、および臓器重量の結果
研究期間中に4匹の動物が死亡した(第7日目にビヒクルコントロール群2の#10、第6日目に群6、0.3mg/kgの#3、第7日目に群8、ビヒクルコントロールBIDの#5、および第6日目に群7、5mg/kgのBIDの#6)。
DSS処理に関係した体重変化は、全てのDSS処理マウスにおいて第5日までに顕在化し、最終的には、ビヒクルで処理した動物で最も重篤であった(図51(A))。研究終了時、DSS+ビヒクルコントロールは、体重が28%減少した。DSS誘導体重減少に対する顕著な便益作用は、AB020858(CG53135)QD投与されたマウスに、全用量について見られた(図51(B))。
全てのDSS+ビヒクル動物について、出血性下痢の臨床兆候が明らかであった。剖検時、全DSSコントロールが結腸内に出血、または出血をうかがわせる液体を示した。これに対し10mg/kgのAB020858(CG53135)でQD処理されたマウスは、半固体の便を示し、出血はより少なかった(動物#5を除く)。3または1mg/kgの用量をQD投与されたマウスでも臨床便益は認められたがより低い印象であり、また0.3mg/kgで処理されたマウスには臨床便益は認められなかった(図51(C))。5mg/kgでBID処理したマウスが最も印象的な臨床便益を示し(68%阻害)、これらのマウスは最も優れた、総合的な改善を示した。
結腸の絶対長は、ビヒクル処理マウスでは41%短くなった。10mg/kgのAB020858(CG53135)QD処理により、DSSが誘発した結腸長の変化は有意に阻害(21%)された。5mg/kgのAB020858(CG53135)BID処理は、結腸の長さの短縮を36%まで低下させた。
結腸の絶対重量は、DSSのビヒクル溶液を処理したマウスで約26%低下した。AB020858(CG53135)10mg/kgのQD処理、または5mg/kgのBID処理は、DSSが誘発した結腸重量の変化を有意に縮小した。
脾臓の絶対重量は、DSS+ビヒクルで処理したマウスでは約40%低下した(過度の髄外造血による)。脾臓重量は、正常動物に比べ、全DSS処理動物で有意に重かった。
組織病理学所見
AB020858(CG53135)QD(10mg/kg)およびBID(5mg/kg)で処理したマウスの結腸炎症、腺消失、びらんおよび総合組織病理学のスコアは、ほぼ同程度であった(図52(A)〜(D))。
脾臓リンパ球萎縮(ストレスの指標)は、これら同一動物でそれぞれ47%および46%阻害された(図53)。脾臓髄外造血誘導の阻害は、QD処理マウスに比べBID処理マウスで大きく、全処理群に見られた(図54)。
考察および結論
本実施例報告の実験からは、AB020258(CG53135)投与に関する用量−反応情報が得られた。結果は、AB020258(CG53135)の同時投与が、特に用いた最高用量において、DSS誘発炎症性大腸炎のマーカー出現の阻害に効果的であることを示している。
マウスをさらにCG53135で皮下処理する追加の実験も実施した。これらの研究は、5または10mg/kgのip用量、および5または1mg/kgのsc用量のCG53135の予防的投与が、硫酸デキストランナトリウムが大腸炎マウスモデルに誘発する粘膜損傷の範囲および重篤度を有意に下げることを明らかにした。
6.39.実施例39:インドメタシン処理ラットへのCG53135投与の作用
ラットをインドメタシンで処理すると、クローン病に見られるような肉眼的な組織病理的な腸の変化が起こる。本実施例に示す実験は、インドメタシン誘発腸傷害のラットモデルの治療における、CG53135の有効性について報告する。別の腸傷害モデルにおいても、このタンパク質が有効であったことから、炎症性大腸炎の治療に関するCG53135の潜在的治療能力が更に支持された。
材料および方法
タンパク質産生:CG53135タンパク質は、実施例38の記載と同じに調製した。
研究計画:体重175〜200gの雌のLewisラット(Harlan、Indianapolis、IN)を8日間順応させた(第−8日〜第−1日)。ラットを次の8つの処理群に分けた:CG53135が投与(3群はiv、1群がsc)された4つの群、正常および疾患モデルにコントロールをiv投与した2つの群、ならびに正常および疾患モデルにコントロールをsc投与した2つの群。第−1日に、CG53135またはビヒクルによる処理を開始し、第4日まで続けた。CG53135は5、1、または0.2mg/kgの用量でivに注射(尾静脈)、または1mg/kgのscに注射され;ビヒクルコントロールはBSAと一緒に注射された(5mg/mlのPBS+1M L−アルギニン溶液)。第0日および1日目に、ラットをインドメタシン(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO;用量7.5mg/kg)で処理し、腸にクローン病時に起こるものに類似した肉眼的な組織病理的な変化を誘導した。インドメタシンは5%重炭酸ナトリウム液として調製された。第5日目に、剖検1時間前に、50mg/kgの5−ブロモ−2’デオキシウリジン(BrdU、Calbiochem、LaJolla、CA)の単回ip用量を注射し、腸および脾臓における増殖中の細胞をパルスラベルした。終了後、傷害リスク領域の10cmの空腸区画の重さを測定し、肉眼的病理スコアを付けてから、組織病理評価ならびに壊死および炎症のスコア化のためにホルマリンの中に集めた。CBC分析のために血液を集めた。
病理学マーカの観察および分析
肉眼観察:体重は、第0日から毎日測定した。剖検時、肝臓および脾臓の重量を測定し、リスク域の10cmの空腸区画の重さを量り、肉眼的に病変をスコア化し、組織学的評価ならびに壊死および炎症のスコア化のためにホルマリンに集めた。剖検時に、インドメタシン誘導傷害リスクが高い領域について、以下の基準に従ってスコアを付けた:0=正常;1=腸の腸間膜/腸間膜境界線のごく僅かな肥厚;2=腸の腸間膜/腸間膜境界線の軽度〜中程度の肥厚、しかし壊死はなし;3=容易に分離される1つまたは複数の規定された癒着を伴う中程度の肥厚;4=1〜多数の分離が難しい癒着を伴う顕著な肥厚;ならびに5=死に至る重篤な腸傷害。
組織病理:インドメタシン誘導傷害リスクが高い、重量を測定した、10cmの小腸区画より得た5つの断片(ほぼ等間隔)を10%の中性、緩衝化ホルマリンで固定し、パラフィン包埋して、5μmの切片にして、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色して組織病理評価を行った。壊死は、実施例38に上皮細胞損失のスコア化について記載したものと同じ方法で、疾患部位の面積のパーセントに基づいてスコア化した。
炎症は次の判定基準に従ってスコア化した;0=なし;1=腸間膜および筋肉、または病変にごく僅かな炎症;2=腸間膜および筋肉または病変に軽度の炎症;3=腸間膜および筋肉、または病変に中程度の炎症;4=病変に顕著な炎症;ならびに5=病変に重篤な炎症。
各動物について、炎症および壊死の平均値を決定し、次に各群の平均値を計算した。
統計学。各処理群の平均および標準誤差(SE)をスコア化した各パラメータについて決定した;データを、p≦0.05を有意とする両側スチューデントt検定を用いて、疾患コントロールと比較した。
結果
インドメタシン処理された全ての動物で体重減少が観察された。CG53135(0.2mg/kg iv)処理を受けた動物は、疾患コントロール(iv)に比べ、僅かではあるが有意な体重減少の低下が観察された。他のCG53135用量(ivおよびsc投与経路の両方について)は、インドメタシンによる体重減少を緩和したが、有意ではなかった。
剖検時、各動物から得たリスク領域の空腸の10cmの区画の重量を測定した。インドメタシン処理は、この腸損傷モデルに伴う浮腫および炎症に一致して、正常ivおよびscコントロールに比べて小腸の重量を増加させた。CG53135(1mg/kgまたは0.2mg/kg iv)処理は、疾患コントロールと比較して、小腸の重量を有意に下げた(図55(A))。小腸の臨床スコアの僅かな低下が観察され、最も大きな便益は1.0mg/kg iv投与(38%)および0.2mg/kg iv投与(25%)で観察された;しかしながらこれらの便益は、統計学的には有意でなかった。脾臓および肝臓の相対重量は、インドメタシン処理された動物で増加した。CG53135の投与は、これらの重量をさらに僅かに増加した。
血液学:ラットへの2用量のインドメタシン投与は、好中球およびリンパ細胞の増加の結果として全白血球数を増加させた。赤血球数、ヘマトクリット、およびヘモグロビン濃度の減少も観察された。CG53135(5mg/kgおよび0.2mg/kg iv)処理は、疾患コントロールに対し好中球の絶対数を有意に低下させた(図55(B))。ヘモグロビン濃度は、正常コントロールに比べインドメタシンコントロールで低下し、CG53135処理ラットで僅かではあるが更に低下した。
組織病理:各動物について、5つの小腸区画を評価し、スコア化した。小腸に対する保護作用に関する組織学的な証拠は、CG53135(0.2mg/kg iv)処理動物にだけ観察された。疾患コントロールivに比べ0.2mg/kg ivCG53135用量では空腸壊死は53%低下し、炎症スコアは38%低下した(図56)。患部小腸の顕微鏡写真を、正常および疾患コントロールについて、ならびに0.2mg/kgCG53135処理ラットについては図57に示した。パネルAは、ビヒクル(BSA)をiv処理した正常コントロール動物の小腸である。パネルBは、ビヒクル(BSA)ivと共にインドメタシンで処理したラットの小腸の顕微鏡写真である。腸間膜の癒着を伴う殆どの領域を横切って伸びる病巣性の粘膜壊死が見られる(例えば、右上小腸壁および右下小腸壁のアスタリスクを参照)。腸間膜には顕著な炎症性細胞浸潤が存在する(矢印)。パネルCは、インドメタシン処理に加え、さらにCG53135、0.2mg/kgをiv処理したラットの小腸の像である。通常の絨毛状構造と腸間膜(矢印)が見られる。パネルBの疾患コントロールとは異なり明瞭な壊死は見られない。絨毛が衰弱している病巣域および筋層への細胞の浸潤が見られる(例えば腸壁右上、右、および右下にある三つのアスタリスクを参照)。腸間膜には、炎症性細胞が浸潤している(矢印)。図57の顕微鏡写真は、0.2mg/kg ivのCG53135の保護作用を更に裏付けている。
BrdUラベリングは、剖検1時間前に、50mg/kgを注射することで行った。正常コントロール動物の小腸では、正常パターンの陰窩ラベリングが100Xで見られた(図58、パネルA)。疾患モデルへのBrdUの取り込みは、壊死を起こした粘膜域の上皮細胞では低下するか、または無かったが、近接する炎症組織では増加し、その中では線維芽細胞のラベリングが最も顕著であった(図58、パネルB、50倍で表示)。病巣部の粘膜壊死(矢印)は、BrdU免疫染色が無いこと、ならびに炎症性細胞の浸潤が激しいこと、および線維芽細胞の増殖を特徴とする。インドメタシン+CG53135、0.2mg/kg iv処理されたラットの小腸では陰窩ラベリングは無いが、粘膜は比較的無傷であった(図58、パネルCの矢印、50倍で表示)。隣接する平滑筋および腸間膜は、疾患コントロールに比べると、軽度の炎症性細胞浸潤だけが見られた(パネルB)。CG53135で処理された特定の動物では粘膜の健全性は保存され、陰窩ラベリングの上昇も観察された;これは正常コントロールに見られた傾向である。
本実施例の実験結果をまとめると次のようになる:インドメタシンでラットを処理すると、肉眼的および組織病理学的な腸の変化が起こり、これはクローン病に生ずる変化に類似していた。インドメタシン処理ラットへのCG53135(0.2mg/kg iv)投与は、体重減少、小腸重量、好中球絶対数、および空腸壊死および炎症スコアを有意に下げた。より高用量のCG53135(5、1mg/kg ivおおび1mg/kg sc)の有効性は小さかった。剖検1時間前にBrdUを注射した動物から集めた組織の形態学的外観からは、小腸損傷のこのモデルにおいてCG53135の便益作用は、標的細胞への増殖作用よりは粘膜保護の結果であることが示唆された。
6.40.実施例40:CG53135の治療的投与は、マウスDSSモデルの生存率を高める
上記の実験では、DSS曝露およびCG53135投与は、第0日に同時に開始した。本実施例では、DSS処理開始後に投与されたCG53135の作用について調べた。CG53135は実施例38に記載した通りに調製した。Balb/cマウスDSSに7日間(第0日〜第6日)曝露した。マウスに、各種濃度のCG53135(5、1、および0.2mg/kg)、またはビヒクルだけをDSS曝露5日目(即ち第4日)からDSS曝露終了後3日目(即ち第9日)まで毎日皮下注射した。動物の生存を毎日記録し、第10日に実験を終了した。
図59に示すように、5mg/kgのCG53135の治療的投与は、疾患コントロール群に比べ生存率を高めた。即ち、疾患コントロールで試験終了まで生存した動物はわずか44%(4/9)であったのに対し、5mg/kgのCG53135で処理された動物は89%(8/9)が生存した。
6.41.実施例41:IL−10欠損マウス(IL−10ノックアウトマウス)での炎症性大腸炎免疫仲介モデルにおけるCG53135の作用
研究の目的は、IL−10欠損マウスを無菌状態から特殊な無病原菌環境に移した時生ずる炎症を治療的に阻害するCG53135の能力を評価することである。炎症性大腸炎には免疫系が関わると考えられていることから、本研究では、重大疾患時に治療投与した場合の、このIBDの免疫介在モデルにおけるCG53135の有効性および安全性を評価した。
表44.材料および方法
Figure 2008519032
試験品:CG53135−05(FGF−20)タンパク質(純度>97%)、20%グリセロール緩衝液中
試験品の保存条件:全てのチューブは使用準備まで−70℃で保存。
ビヒクル:グリセロール緩衝液:20%グリセロール、200mMソルビトール、1mM EDTA、100mMクエン酸、50mM KCl。
ビヒクルの保存条件:全てのチューブは使用準備まで−70℃で保存。
表45.試験品の投与
Figure 2008519032
表46.実験研究計画
Figure 2008519032
正常コントロール:試験期間中マウスを未処理のまま無菌状態に維持した。
疾患コントロール:治療投与レジメンに従って、1日1回、ビヒクルをip投与した。
表47.研究スケジュール
Figure 2008519032
マウスにHelicobacterを含まないことが証明されているドナーSPFの糞便内容物をPBSに溶解したスラリーを経口投与した。
CG53135−05またはビヒクルを、スケジュール終了前日まで毎日投与した。
実験手順
マウスを細菌コロニーを移植する前2日間順応させ、この時期オートクレーブにかけた餌と水道水を自由にとらせた。マウスを、移動日から2日間CG53135大腸菌精製物または緩衝液で処理し、それから口腔および直腸を可溶化した便材料で拭って特定の病原菌を含まない細菌を移植した。動物は、研究を開始する前に調べて、健康かつ適正であるか確認した。疾患または問題点が見出された動物は研究に割り付けなかった。
本研究は、動物の入手、ならびに剖検時にT細胞刺激および結腸片培養のために細胞および組織を集めることに手間がかかることから、2回、それぞれ約20匹の動物に分けて実施された。2回の研究では、マウスを全ての投与群に等しく割り付けた(例えば処理群当たり、雄雌各2匹)。開始時に入手できた動物の数が、雄雌同数に分けられない場合は、可能な限り雄雌のバランスがとれるように動物を割り付けた。
臨床観察/兆候
マウスは、投与約60分後に、毒性の重大な臨床兆候、瀕死、および死亡について毎日調べた。
体重:全てのマウスの体重を、試験前(無作為化のため)および第10日まで毎日個別に測定した。終了時に計画されている動物の剖検日の体重を用いて、体重に対する臓器の割合を決定した。以下が測定対象となった臓器/組織である。
表48.重量測定対象臓器/組織
Figure 2008519032
組織病理学:予定終了日(第10日)まで生き残った動物は全て、COを用いて殺し、肉眼観察を行い、対象の臓器の重量を測定し、組織病理評価のために10%中性緩衝化ホルマリンに集めた。
特殊結腸評価:リスク領域(盲腸先端、横行結腸、および直腸)から、約1cm離して3区画を集め、ホルマリンに保存し、染色して炎症(ヘマトキシリン&エオシン)、ムチン(過ヨウ素酸シッフ)、およびコラーゲン(トリクロム染色)について定量化した。3区画は全て疾患領域を代表するものでなければならない。
結腸から得た組織を集め、パラフィン包埋向けに処理して、切片を作製し、上記のように染色した。組織病理学は、盲腸、横行結腸、および直腸の組織サンプルについてブラインド形式で行われ、次のような0〜4の炎症スコアを付けた:0=炎症なし;1=単球浸潤増加を伴う軽度の炎症、軽度の陰窩過形成;2=浸潤単球の増加を伴うより活発な炎症、軽度の杯細胞の減少、および軽度の陰窩過形成;3=陰窩過形成、杯細胞減少、および顕著な単球浸潤を伴う活発な炎症;ならびに4=広範囲の好中球浸潤、潰瘍、陰窩膿瘍、および顕著な粘膜過形成を特徴とする極めて活動的な炎症。
肉眼検査および組織病理の対象となった臓器/組織は次の通りである。
表49.組織病理学評価対象臓器/組織
Figure 2008519032
眼を除く全ての組織は10%の中性緩衝化ホルマリンに固定し、眼は6%グルタールアルデヒドに固定した。
細胞および細胞培養の準備:基部、中央部、および遠位結腸の断片からプールした、残りの結腸断片から結腸片培養物を樹立した。結腸片にリン酸緩衝化食塩水(PBS)をフラッシュして糞便を除去し、縦方向に切開して、0.5〜1.0cmの小片に切り分け、PBSの中で激しく攪拌した。次に約50〜100mgの組織を、24ウエル組織培養プレートのウエルに二重に分配し、抗生物質および抗菌剤を含む完全培地1mLの中で培養した(Veltkamp et al、2001、Gastroenterology、Vol 120(4):900−913)。37℃で18〜24時間インキュベーションした後、培養上清を小分けして集め、サイトカインおよび、おそらくは免疫グロブリン測定に備えて−70℃で凍結した。上清中のIgG2aおよびIL−12を、ELISAで測定した。
腸管膜リンパ節(MLN)を機械的に分散させ、洗浄、数を測定して盲腸細菌溶解物に用い−Veltkampら、2001、Gastroenterology、Vol 120(4):900〜913が記載したようにインターフェロンガンマ測定を刺激した。簡単に説明すると、CD4+Tリンパ細胞を、ネガティブMACS選択にかけて単離し、抗原パルス処理した野生型マウス脾臓由来の抗原提示細胞と、T細胞除去後にインキュベーションした。あるいは、未画分のMLN細胞を抗原とインキュベーションした。
サイトカインアッセイ:IL−12(Pharmingen、San Diego、CA)、IFN−αおよびTFN−γ(R&D systems、Minneapolis、MN)を、ELISAを用いてMNL細胞および脾臓培養上清について測定した。さらには、IL−12およびPGE2(Assay Design、Ann Arbor、MI)を、標準的なELISAプロトコールを用いて、結腸培養物の上清について測定した。これらサイトカインおよびPGE2の濃度は、組換えサイトカインを用いて作製した標準曲線と比較して、二重の培養上清について測定した。
結果
体重および組織病理−予防:予防群の体重変化を調べた。図60(A)は、IL−10ノックアウト(KO)にFGF−20を作用させた時の重量変化を示している。図60(A)はまた、マウスに各種濃度のFGF−20(0.2、1.5mg/kg)を作用させた時の結腸の組織病理も示している。結果は、FGF−20の投与がビヒクルコントロールに比べて保護作用を有していることを示している。図60(B)はさらに、FGF−20の投与について、総盲腸組織学スコアが、ビヒクルと比べて用量依存的に低下していることを明らかにしている(12.2±2.3対2.5±0.6;p<0.001)。
サイトカイン産生−予防:サイトカイン産生はELISAを用いてアッセイした。図61(A)(IL−12)、61(B)(IFNγ)および61(C)(PGE2)は、FGF−20が、上記のIL−10 KOマウスから調製したMLN、結腸片培養物、脾臓細胞培養物でのサイトカイン産生を変更することを示している。図62も、総MLN数(32±3.4対23±2.5;p<0.05)、CD4+およびCD8+およびCD4+CD69+細胞(3.2±0.3対1.67±0.1;p<0.05)のFACS分析も示す。
体重および組織病理−治療:治療群の研究プロトコールは、第1日にSPF細菌を移植され完全無菌IL−10−/−マウスに生じた盲腸炎を治療することで構成されている。治療は、第10日にビヒクルまたはFGF−20(5mg/kg)を腹腔内に投与することで開始し、第17日に剖検を行った。
図63は、治療研究での重量変化を示しており、ここではFGF−20(5mg/kg)がIL−10 KOマウスに投与された。FGF−20の保護作用を証明している、盲腸および直腸の組織学を図64および685にそれぞれ示す。盲腸の組織学スコアは、FGF−20がビヒクルコントロールに比べて低いことが分かる(13.1±1.8対5.9±1.4;p<0.006、図66)。
ELISAでアッセイした場合の治療群におけるサイトカイン産生は、FGF−20投与は、IL−10 KOマウスのGut培養物および未分離脾臓細胞でのサイトカイン産生を変えないことを明らかにした。図67はMLN数、CD4+およびCD8+およびCD69+細胞のFACS分析を示すが、これら全てがFGF−20処理群において、ビヒクル処理に比べ低下していた。
正常マウスでの結果:COX−2、IL−10、ITF、TGF−βの発現を、FGF−20(5mg/kg)注射後7日間について正常な野生型(WT)C57BL6マウスで分析した。RT−PCRを結腸組織および未分離MLNについて実施し(実施例36に記載のように)、上記遺伝子の発現について調べた。COX−2、IL−10、ITF、およびTGF−βは、FGF−20投与によって、WTマウスの結腸組織ではアップレギュレーションされた。未分離のMLNでは、IL−10の発現が、ビヒクルに比べアップレギュレーションされることが見出された。
6.42.実施例42:DSS誘導潰瘍性大腸炎の慢性2週マウスモデルにおけるCG53135の作用(N−404)
7日間硫酸デキストランナトリウム(DSS)に曝された雌のSwiss Websterマウスは結腸に炎症および腺消失を発症した。この処理によって生じた肉眼的および組織病理的変化は、炎症性大腸疾患(IBD)の1つであるヒトの潰瘍性大腸炎(UC)に起こる変化に似ていた(「Inflammatory Bowel Disease」編集MacDermott RPおよびStenson WF、Elsevier、New York(1992)の中のAnimal Models of Intestinal Erosion;Okayasu et al.、Gastroenterology 98:694〜702(1990);ならびにCooper et al,、Lab Invest.69:238〜249(1993)を参照)。ヒトIBDの治療に有効である化合物はこのモデルで活性を有しており、潜在的な新薬の研究に用いられている(Axelsson et al.、Aliment Pharmacol Ther.12:925〜934(1998);Egger et al.、Digestive Dis Sci.44:436〜444(1999);Miceli et al.、J Pharmacol Exp Ther.290:464〜471(1999);およびJeffers et al.、Gastroenterology 123(4):1151〜62(2002)を参照)。しかしながら、DSSへの曝露が持続する7日バージョンのモデルは、粘膜炎症および損傷の急性期に対する薬物の作用を評価する場合にのみ有用である。致死性の潜在性が低い、より慢性の潰瘍性大腸炎のモデルを開発して、CG53135−05について、粘膜修復能を試験した。本研究の目的は、3%(DSS)を5日間、および1%DSSを9日間投与して誘発した潰瘍性大腸炎の2週マウス慢性モデルにおけるCG53135−05の潜在的治療活性を評価することである。
材料および方法:
大腸炎は、第1〜5研究日に飲料水中の3%DSSに曝露させて雌のSwiss Websterマウスに誘発し、第6〜15研究日に飲料水中の1%DSSに曝露し続けてこれを維持した(表50)。マウスは第1〜5試験日の間飲料水中の3%DSSに、第6〜15試験日の間1%DSSに曝露させ、また疾患成立後第6〜14日にビヒクルまたは0.33、1.67、および3.33mg/kg(UV)のCG53135−05を同時に腹腔内(IP)処理した。マウスの重量を毎日測定した。第15日に動物を頸椎脱臼により殺し、結腸の長さを測定して、結腸の内容物を記録した。組織は10%中性緩衝化ホルマリンの中に集め、組織病理学向けに通常に処理した。
表50.研究計画
Figure 2008519032
無作為化前最低1週間動物を順応してから処理を開始する。
臨床パラメータおよび肉眼的病理学:研究期間を通し生存した動物だけを、体重変化、最終結腸長、および結腸内容物のスコアの分析に加えた。剖検時、結腸の長さを測定し、便の健全性の変化を示す証拠について評価した。剖検時に、次の判定基準に従って結腸の内容物をスコア化した:0=正常(堅く、しっかりした形の糞便);1=半固体の糞便;2=半固体〜液状の糞便;および3=血液の明瞭な証拠を示す半固体の糞便、血便、または内容物なし。
組織病理学:剖検時に結腸を集め、ほぼ等しい断片に2分割し、基部から先端方向に、このモデルに誘導された局所変化を評価した。先端部は方向を維持するためにマーク付けされた。これらの結腸断片を集め、10%中性緩衝化ホルマリンの中に保存し、組織病理用に通常に処理した。組織学向けに処理している間、基部および先端部の結腸断片をそれぞれトリミングし、4つの等間隔の断片を得、それぞれからヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色スライドを調製した。基部および先端部の組織両方について検査したが、それはこのモデルでは、それらの組織の疾患重篤度が多様であるためである(遠位結腸の方が重篤度が高く、かつ症状の変動が小さい場合が多い)。
各結腸区画について、粘膜筋板から外筋層の内側境界線までの距離(mm)を測り、粘膜下浮腫を定量化した。炎症(泡沫マクロファージ、リンパ細胞、およびPMN浸潤)重篤度は、次の順位に従ってスコア化した:正常=0;極微=1;軽度=2;中程度=3;顕著=4;および重篤=5。
上皮消失/損傷を反映するパラメータを、問題となる部分の面積のパーセントでスコア化する方法を用い個別にスコア化した。上記パーセントスケールを用いてスコア化されたパラメータとしては、結腸腺消失および結腸びらんが挙げられる。
0=なし
1=患部粘膜の1〜10%
2=患部粘膜の11〜25%
3=患部粘膜の26〜50%
4=患部粘膜の51〜75%
5=患部粘膜の76〜100%。
粘膜上皮の過形成(好塩基球、有糸分裂像、基底膜上の多層化、杯細胞欠如)について、次の判定基準に基づいて0〜5にスコア化した
0=正常
1=微小−一般的に炎症変化に隣接した小さな病巣
2=軽度−患部粘膜の11〜25%
3=中度−患部粘膜の26〜50%
4=顕著−患部粘膜の51〜100%
5=重篤−患部粘膜の51〜100%であることに加え、腺腔内に乳頭増殖。
腺の基部、および最も粘膜が厚い代表的な区画の非接触域に接眼マイクロメータを置いて、部分粘膜の厚さ(増殖性変化または浮腫性の炎症による粘膜肥厚の指標)を測定した。
基部組織および先端結腸のスコアを平均して、評価対象の各パラメータについて結腸全体のスコアを決定した。3つのスコア化されたパラメータ(即ち、炎症、腺消失、および上皮表面のびらん)をまとめて、結腸の基部または先端部区画の全体的な組織病理スコアの合計を得て、次に基部および先端部の全スコアを平均して結腸全体を対象とした全組織病理スコアを得た。これらの合計は、結腸の先端部、基部、または全体の全体的な損傷を示し、最大の重篤度スコアは15となる。
それ以外の組織(ほお、舌、食道、中結腸、および直腸)を集め、2つの等しい区画に分けた。1つの区画は液体窒素の中で急速凍結し、もう1つは、パラフィン包埋およびKi67抗体を用いた免疫組織染色のために10%の中性緩衝化ホルマリンに入れた。ホルマリン保存した組織を約0.5cmの区画(1区画/組織)にトリミングし、一連の濃度勾配のアルコールおよび清掃剤を通して処理し、浸透後にパラフィンに包埋して切片を作製した。次にスライドを脱水し、1:70に希釈されたマウスKi67抗体(Dako)、続いてDABペルオキシダーゼをインジケータとするストレプトアビジン/HRP検出システムで染色し、ギルのヘマトキシリンで二重染色した。スライドをジアミノベンザジン(DAB)に4分間曝して、バックグランドの非特異的染色が最小の、最適の特異的染色を得た。
統計学:処理群間の体重変化の差は、球面度に関するGreenhouse−Geisser補正を使った反復測定ANOVAにより分析し、続いてペアワイズ反復測定分析を行い、変動の源を特定した。これらペアワイズ測定は、各日および正常コントロールの間で行われた。病理学(結腸の長さ、浮腫)の定量項目は一元配置分散分析(ANOVA)を用い、その後線形対比して分析した。病理学(組織学スコア)の定性項目は次のようにして分析した:病理学的評価を、結腸基部から先端部に沿った複数の点について実施した。これら反復評価から平均病理学スコアおよび各個体の最高病理学スコアを得て、疑似反復を補正した。平均および最高スコアはKruskal−Wallis検定にかけ、続いて各日および正常コントロール動物間のDunnの多重比較検定を行って分析した。全てのその他の場合では、多重比較検定は、Bonferonni補正を用いて、比較対象数について調整を行った。病理学スコアの場合、平均および最大値を分析することによって、比較を効率的に倍加した。
結果:
60匹のマウスの内59匹が研究期間生存し、体重減少、最終的な結腸の長さ、および結腸内容物の分析に加えられた。体重増加の低下は全ての群に見られ、最も重篤な作用は第9日に起こり、第10日にDSSが誘発した体重減少の用量依存的阻害傾向が観察され、0.33、1.67、または3.33mg/kg(UV)のCG53135−05のIP注射を受けた群ではそれぞれ、19、35、および67%低下した。肉眼による病理学評価からは、結腸長の短縮および結腸内容物スコアの増加がビヒクル処理疾患コントロール群で最大であったことが示された。結腸長の用量反応性の増加が全てのCG53135−05IP処理群に見られ、最高の効果(29%阻害、統計有意)は3.33mg/kg(UV)のCG53135−05が投与されたマウスに生じた。結腸スコアもまた、1.67または3.33mg/kg(UV)CG53135−05で処理されたマウスにおいて有意に改善した(21〜29%)。
疾患ビヒクル−処理コントロールマウスは全て、微小〜重篤までの炎症および腺消失を伴う大腸炎病変を有した。びらんおよび腺過形成は、15匹のマウスのうちの14匹で顕著であり、これらの変化は遠位結腸で最高であった。浮腫は散在性に見られたが、主に遠位結腸に見られた。遠位結腸の粘膜の厚みは、正常コントロールと比較した場合に、炎症および過形成の結果として疾患コントロールで約130%増加した。これに対し、基部、先端部、および全体の結腸炎症、ならびに腺消失、さらには合計した全結腸組織病理学スコアについても用量反応的な阻害が見られた。より更には、3.33mg/kg(UV)のCG53135−05が投与されたマウスは、炎症(35%)および全炎症(34%)、先端部(38%)および全体(37%)の腺消失、ならびに先端部(38%)および全体(37%)の合計組織病理学スコアについて有意な改善を示した。中および高用量群では、基部、先端部および全体の結腸びらんについても、CG53135−05の保護作用(46〜62%阻害、有意ではない)が見られた。粘膜厚の変化および過形成スコアの阻害についても有益作用(用量反応性、有意ではない)が見られ、3.33mg/kg(UV)処理マウスでは全粘膜厚は39%阻害され、過形成スコアは31%改善した。
結論:
まとめると、CG53135−05IP、1日1回、1.67または3.33mg/kg(UV)処理は、処理を疾患確立後に開始した場合に、DSS誘発大腸炎の15日慢性モデルにおいて、肉眼的および組織病理学パラメータに対し軽度から中程度の、用量反応性の阻害作用をもたらした。結腸の長さ、平均の全腺消失、遠位結腸の平均組織学合計スコア、最大先端部および全体炎症、ならびに最大先端部および全体の腺消失は、有意な直線的用量反応を示し、ビヒクル処理コントロール群および3.33mg/kg(UV)CG53135−05で処理された群の動物の間には有意差が存在した。
別の実験では、第6、8、10、12、および14日の1日おき(q2d)の3.33mg/kg(UV)のCG53135−05IP投与は、雌Swiss Websterマウスにおける慢性DSS誘発潰瘍性大腸炎の重篤度を有意に低下させた(N−405研究)。これらの結果は、上記の所見を確認する。
6.43.実施例43:卒中治療
30匹の雄のSprague Dawleyラットを、下表51の研究計画に示すように処理群に割り振った。
表51.実験計画
Figure 2008519032
投与された用量および容積は、平均体重330gを基にしている。
実験手順
中脳動脈(MCA)手術および槽内注射:動物は、手術前7日間順応させた。セファゾリンナトリウム(40mg/kg、ip)を手術前日および手術直後に投与した。手術時、ラットは2%ハロタンのN2O:O2の2:1混合ガスを用いて麻酔した。体温は37±0.50℃に維持した。基部右側のMCAを嗅覚路のちょうど基部から下大脳静脈まで電気凝固してから離断した。槽内注射のために、動物を再度、上記のようにして麻酔し、定位フレームに入れた。ラットにはCG53135−05大腸菌精製物またはビヒクル(40mMアセテート、200mMマンニトール(pH5.3))を大槽内に、MCA後1日目(約24時間)に1回、および3日目(約72時間)に1回、経皮注射して投与した。動物には、研究計画に従って試験品(2投与群)またはビヒクル処理が行われた。
臨床観察/兆候
動物は、注射後直ちに1時間にわたって発作(振戦およびケージを回る激しい運動によって示される)、疼痛(大きな声で鳴くことによって示される)、ならびに嗜眠の兆候について観察した。動物は死亡および瀕死についても毎日調べた。
体重:動物は第1、3、7、14、および21日に体重を測定した。
四肢置き直し試験:四肢置き直し試験を、全ての動物について、第−1日(手術前)、第1日(注射直後)、第3日、その後7日毎(第7、14、21日)に行った。
前肢置き直し(placing)試験評価スコア:前肢置き直し試験は、動物が前肢を机上面に置いた状態で視覚、触覚、および固有感覚刺激に反応した時の、各前肢の感覚運動機能を測定する。前肢置き直し試験は、次の評価およびスコア化から構成されており、前肢置き直し試験の全スコアをまとめたものは、0(機能障害なし)から10(最大機能障害)までの数値をとる:
視覚置き直し(前進、側方):0〜4
触覚置き直し(背側、側方):0〜4
固有感覚置き直し:0〜2
全前肢試験の総スコア:0〜10
後肢置き直し(placing)試験評価スコア:後肢置き直し試験は、動物が後肢を机上面に置いた状態で触覚、および固有感覚刺激に反応した時の、各後肢の感覚運動機能を測定する。後肢置き直し試験は、次の評価およびスコア化から構成されており、後肢置き直し試験の全スコアをまとめたものは、0(機能障害なし)から6(最大機能障害)までの数値をとる:
触覚置き直し(背側、側方):0〜4
固有感覚置き直し:0〜2
全前肢試験の総スコア:0〜6
ボディスイング試験:ボディスイング試験を、全ての動物について、第−1日(手術前)、第1日(注射直後)、第3日、その後7日毎(第7、14、21日)に実施した。
ボディスイング試験は、動物を机表面の上約1インチに固定し、右または左側方に振ったとき、どちらか一方を好む傾向があるか調べる。30回の振りについて調べ、右に振れたパーセンテージを基にスコアを計算する。(スコア範囲=〜50%右揺れ(機能障害なし)〜0%右振れ(最大機能障害))。
シリンダ試験:シリンダ試験を、全ての動物について、第−1日(手術前)、第1日(注射直後)、第3日、その後7日毎(第7、14、21日)に実施した。シリンダ試験は、前肢の自発的な運動活性を測定する。動物を狭いガラス製のシリンダ(16.5cm×25cm)に入れて、卒中手術前日およびその後毎週5分間ビデオ撮影する。次に経験を積んだ観察者一名が、ビデオテープを独立的にスコア化し、自発運動を50回まで数える(〜5分/ラット/日)。自発運動としては、まず各前肢を上げて起立し、それからシリンダ壁に着けるかまたは側方に動かす運動、または起立後に床に着ける運動が挙げられる。
肉眼的および組織形態学:予定終了日(第3日)に動物を抱水クロラール(500mg/Kg)を腹腔内注射して麻酔した。脳を肉眼で調べ取り出し、ホルマリンで後固定し、脱水してパラフィンに包埋した。冠状断片(5mm)をスライドガラス上に載せたミクロトムに切り出し、ヘマトキシリン/エオシン(H&E)で染色した。7枚のスライスそれぞれの脳梗塞の面積を(ブレグマに対し+4.7、+2.7、+0.7、−1.3、−3.3、−5.3、および−7.3mmの位置)、処理中の脳の萎縮留を補正する間接的方法(無傷の反対半球の面積−梗塞を起こした側の半球の面積)を用いたコンピュータインターフェイス画像システムを利用して決定した。次に梗塞容積を無傷の反対側半球の容積のパーセンテージとして表した。皮質および線条の梗塞容積についても、同じ方法を用いて別々に決定した。H&E染色した切片を、出血、膿瘍、または腫瘍形成のような組織学的変化について調べた。
統計分析:全ての槽内注射、行動試験、およびその後の組織学的分析は、各動物に割り当てられた処理について知らされていない研究者が実施した。次にデータを平均値+/−SEMで表し、一元または二元配置分散分析(ANOVA)によって分析し、続いて適切なペアワイズの事後検定を行い多重比較向けに補正を行った。
結果
前肢置き直し試験:MCA閉鎖を基点とする第−1、1、3、7、14、および21日に、四肢置き直し試験を用いて動物を調べ、視覚、触覚、および固有感覚刺激に対する反応での、前肢の感覚運動機能を評価した(Kawamata,T.,Dietrich,W.D.,Schallert,T.,Gotts,E.,Cocke,R.R.,Benowitz,L.I.& Finklestein,S.P.(1997) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94、8179〜8184;De Ryck,M.,Van Reempts,J.,Duytschaever,H.,Van Deuren,B.& Clincke,G.(1992)Brain Res.573、44〜60)。視覚的置き直し(スコア0〜4)、触覚置き直し(0〜4)、および固有感覚置き直し(スコア0〜2)を合計して、最高障害が12となる0〜12の潜在的総スコア範囲を生成した(図68(A))。
後肢置き直し試験:MCA閉鎖を基点とする第−1、1、3、7、14、および21日に、四肢置き直し試験を用いて動物を調べ、触覚および固有感覚刺激に対する反応での、後肢の感覚運動機能を評価した(Kawamata,T.,Dietrich,W.D.,Schallert,T.,Gotts,E.,Cocke,R.R.,Benowitz,L.I.& Finklestein,S.P.(1997) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94、8179〜8184;De Ryck,M.,Van Reempts,J.,Duytschaever,H.,Van Deuren,B.& Clincke,G.(1992)Brain Res.573、44〜60)。触覚置き直し(0〜4)および固有感覚置き直し(スコア0〜2)を合計して、最高障害が6となる0〜6の潜在的総スコア範囲を生成した(図68(B))。
ボディスイング試験:MCA閉鎖を基点とする第−1、1、3、7、14、および21日に、ボディスイング試験を用いて動物を調べ、動物を机表面の上約1インチに固定し、右または左側方に振ったとき、どちらか一方を好むか調べた。(Kawamata,T.,Dietrich,W.D.,Schallert,T.,Gotts,E.,Cocke,R.R.,Benowitz,L.I.& Finklestein,S.P.(1997) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94、8179〜8184;De Ryck,M.,Van Reempts,J.,Duytschaever,H.,Van Deuren,B.& Clincke,G.(1992)Brain Res.573、44〜60) 30回振って測定し、右に振られたパーセンテージを基にスコアを計算した(図68(C)。
シリンダ試験:MCA閉鎖を基点とする第−1、1、3、7、14、および21日に、シリンダ試験で動物を調べ、前肢の自発的運動活性を評価した。(Kawamata,T.,Dietrich,W.D.,Schallert,T.,Gotts,E.,Cocke,R.R.,Benowitz,L.I.& Finklestein,S.P.(1997) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94、8179〜8184;De Ryck,M.,Van Reempts,J.,Duytschaever,H.,Van Deuren,B.& Clincke,G.(1992)Brain Res.573、44〜60)簡単に説明すると、動物を狭いガラス製のシリンダ(16.5cm×25cm)に入れて、卒中手術前日およびその後毎週5分間ビデオ撮影する。次に経験を積んだ観察者一名が、ビデオテープを独立的にスコア化し、自発運動を50回まで数える(〜5分/ラット/日)。自発運動としては、まず各前肢を上げて起立し、それからシリンダ壁に着けるかまたは側方に動かす運動、または起立後に床に着ける運動が挙げられる(図68(D))。
体重:動物の体重を、MCA閉鎖を基点とする第−1、1、3、7、14、および21日に測定し、結果はビヒクルとCG53135−05処理の間に有意差は存在しないことを示した(図68(E))。
結論
MCA閉塞後のCG53135投与は、低容量および高用量共に、反対側性の(疾患)肢に関する前肢(図68(A))および後肢の置き直し試験(図68(B))の回復を有意に増進し、かつボディスイング試験を改善すること(図68(C)))を示唆した。このモデルにおいて、その他治療法がこの活性パターンを示すことは、一般的には、それぞれ脳皮質および皮質下(線条)機能の改善を反映していることが示されている(Dijkhuizen RM,Ren J,Mandeville JB、Wu O,Ozdag FM、Moskowitz MA,Rosen BR,Finklestein SP.2001,Proc Natl Acad Sci USA 98(22):12766−71)。自発的な四肢の使用についてのシリンダ試験(図68(D))または動物の体重(図68(E))に明瞭な差は見られなかった。
それ故に、CG53135投与は、虚血性発作、出血性発作、外傷、脊椎損傷、重金属または毒物中毒、および神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病のような)を含む病的状態の治療に有用であろう。
6.44.実施例44:マトリックスメタロプロテイナーゼ産生アッセイ
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)は骨および軟骨中の細胞外マトリックスを分解に関係する酵素のファミリーである。これらの酵素は、組織の分化およびリモデリング時の正常発生中に機能する。骨関節炎(OA)およびリウマチ関節炎(RA)のような関節疾患では、これらの酵素の発現上昇が不可逆的なマトリックスの分解に関与している。それ故に、MMP産生に対するCG53135の作用についてアッセイした。
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)産生に対するCG53135の活性は、SW1353軟骨肉腫細胞株(ATCC HTB−94)を用いてアッセイした。この細胞株はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)産生について良く確立されている軟骨細胞モデルである。SW1353細胞を24ウエルプレート、DMEM培地−10%FBSに1×105細胞/ml(1ml)で接種した。一晩インキュベーションした後、培地をDMEM+0.2%ラクタブルミン(Lactabulmin)血清に交換した。IL−1ベータ(0.1〜1ng/ml、R&D systems Minneapolis、MN)、TNF−アルファ(10ng/ml、R&D systems)またはビヒクルコントロールが存在または存在しない状態で、ウエルにCG53135−05大腸菌精製物を、最終容積0.5mlで10〜5000ng/mlを加えた。IL−1ベータおよびTNF−アルファは共に強力なMMP活性刺激物質である。24時間後、上清を集め、ELISA(R&D systems)を用いてPro−MMP−1および−13ならびにMMP活性の天然阻害剤であるTIMP−1(マトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤)を測定した。測定値はMTSアッセイで得たる細胞数について標準化した。
結果
CG53135は、図69(A)および図69(B)にそれぞれ明示されているように、IL−1ベータまたはTNF−アルファのいずれかが存在する状態で、MMP−13の産生を有意に低下させた。IL−1ベータおよびTNF−アルファは共にMMP活性の強力な刺激物質であった。OAで分解される主要なコラーゲンであるII型コラーゲンに対するMMP−13の親和性は、MMP−1のそれに比べ10倍高かった。OAおよびRAではMMP−13の発現が上昇することから、CG53135の添加に伴って観察されたMMP−13の低下は、このタンパク質がOAおよびRA治療薬として用いることができることを示している。更には、CG53135はMMP活性の天然の阻害剤であるTIMP−1の産生をアップレギュレーションした(図69(C))。CG53135によるTIMP−1産生のこの増強は、OAおよびRAに観察されるMMP−1および−13によるマトリックス分解を減らすのに有益である。これに加えて、CG53135はMMP−3産生に構成的またはIL−1誘導後に影響することはない。同様にCG53135−05大腸菌精製物は、SW1353細胞のMMP−1の基礎発現上昇も示した。
6.45.実施例45:正常ラットへのCG53145の作用:半月板断裂に対する概念検証
正常ラットに対するCG53135の作用を概念検証として研究し、疾患モデル(例えばラットの骨関節炎の半月板断裂モデル)を用いて更に研究を行った。CG53135の滑膜および軟骨に対する作用を、タンパク質を正常の雄のLewisラットに注射して評価した。
CG53135−05大腸菌精製物の正常ラットへの関節内注射の作用
ラットに、ビヒクル溶液(8mMアセテート、40mMアルギニン、および0.6%グリセロール(pH5.3)の約1%のヒアルロン酸溶液)、10μgのCG53135−05大腸菌精製物、または100μgのCG53135−05大腸菌精製物を、2週間、週3回、関節内に注射した。
研究設計:第0日に体重が293〜325グラムの雄LewisラットはHarlan Sprague Dawley(Indianapolis,Indiana)より得て、8日間順応させた。ラットを各群3匹の動物からなる3処理群に分けた:2つの群にはCG53135を投与し、1つの群にはビヒクルコントロールだけを投与した。ラットをイソフランで麻酔し、膝蓋腱を通して両膝の十字付着域に注射した。CG53135は、0.1mg/ml(0.01mg/関節)または1.0mg/ml(0.1mg/関節)の用量で注射された。コントロールには、上記のビヒクル溶液が注射された。注射は、2週間、月曜日、水曜日、および金曜日に行われた。第15日に、動物に増殖中の細胞をパルスラベリングするために動物にBRDU(100mg/kg)注射して、殺した。
病理マーカーの観察および分析
肉眼観察:ラットを異常な腫脹、または歩行の変化について毎日観察し、体重を毎週測定した。
組織病理学:保存し脱灰した(5%ギ酸)膝を、ほぼ等しい縦方向(踝)または正面(膝)の2つの半体にトリミングし、アルコールの濃度勾配および清浄剤に通し、浸透してパラフィンに包埋し、切片を作製してトルイジンブルー(膝)で染色した。右膝の複数の区画(3レベル)について、下記の関心対象パラメータに注目しながら顕微鏡で分析した。各パラメータに、正常、微小、軽度、中程度、顕著または重篤の等級を付けた。軟骨の評価は、タンパク質の反復注射によって生じる変化のタイプから、骨関節炎モデルで一般的に用いられているスコア化の基準ではなく、記述的パラメータを用いて行った。動物を殺す前に、動物にはBRDUを注射したが、増殖の変化はトルイジンブルー染色切片に容易に観察された。
結果
表52:顕微鏡でモニタリングしたパラメータ
Figure 2008519032
生存期のパラメータである体重は、研究期間を通してビヒクル注射動物とタンパク質注射動物とで同様であった(表52)。タンパク質を100μg膝注射した場合について、3回目の注射から、注射プロセスの間、臨床的な線維形成の証拠が見られた。
形態学的病理:ビヒクルを注射したラットは、微小から軽度の滑膜過形成、炎症、および線維増殖を示したが、線維増殖滑膜内へのマトリックスの蓄積は全くないか微小であった。関節軟骨にプロテオグリカン消失または線維性萎縮は見られなかった。十字靱帯が付着し、かつ関節内注射を行う関節の中央域については、線維形成および軟骨/骨損傷は認められないか、または微々たるものであった。境界域の軟骨形成は存在しなかった。
CG53135−05大腸菌精製物を10μg注射した膝では、軽度から中程度の滑膜過形成、炎症、および線維増殖が起こり、線維増殖滑膜には軽度から中程度のマトリックスが見られた。関節軟骨のプロテオグリカン消失または線維性萎縮は認められなかった。十字靱帯が付着し、かつ関節内注射を行う関節の中央域については、線維形成および軟骨/骨損傷は認められないか、または微々たるものであった。膝の1つが、境界域の微小な軟骨形成を示した。
CG53135−05大腸菌精製物、100μgを注射された膝は、線維増殖滑膜への中程度蓄積を伴う中度から顕著な滑膜過形成、炎症、および軟骨形成を示した。関節軟骨のプロテオグリカンの消失または線維性萎縮は無いか、または微小であった。全ての膝に、軽度から中程度の境界域の軟骨形成が見られた。一匹の動物が、関節軟骨に関係する領域に軟骨形成を示した。
結論
これらの結果は、CG53135の関節内の反復注射が滑膜の線維増殖および軟骨形成を誘導することを明示している。ビヒクル注射は軽度の炎症および線維増殖をもたらしたことから、このビヒクルがいくらかの刺激性を有していることが示唆された。タンパク質を注射された動物では、滑膜増殖反応ならびに境界域の軟骨形成について濃度反応性の上昇が起こった。注射を行った十文字付着領域は骨吸収および線維増殖の領域であり、タンパク質の濃度増加に伴って、滑膜炎症時と同様にこれらの重篤度も上がった。観察された滑膜の線維増殖および骨吸収という潜在的な有害作用は、FGF−20活性またはタンパク質調合時に用いた非臨床等級のヒアウロン酸内のエンドトキシンレベルのいずれかに拠るものであろう。これに加えて、関節の炎症も骨吸収および境界域の軟骨形成を誘導することから、これらの結果を解釈する際には、注射されたタンパク質に対する炎症反応が増殖反応の一因である可能性に考慮する必要がある。増殖性の変化および軟骨形成の形態学的外観は、このタンパク質(CG53135)の生物活性が反応生成にとって重要であることを明瞭に示している。
ここに報告した実験の結果は、CG53135の関節内への反復注射が滑膜線維増殖および軟骨形成を誘導することを示している。
6.46.実施例46:ラット骨関節炎の半月板断裂モデルでのCG53135−05の関節内注射:予防的および治療的投与
実施例45は、正常ラット関節内へのCG53135投与を利用して、組織形態学的分析により、関係細胞集団への作用を特定している。100μg/関節の用量では、CG53135はTGF−ベータの様なその他成長因子で見られたものに似て境界領域に有意な軟骨形成を誘導し、境界領域内の多能性幹細胞への作用が示唆された。関節の成熟軟骨領域では反応が無いことから明らかなように、成熟軟骨細胞への明瞭な作用は存在しなかった。観察された滑膜線維増殖および骨吸収の潜在的な有害作用は、FGF−20活性またはタンパク質調合時に用いた非臨床等級のヒアウロン酸内のエンドトキシンレベルのいずれかに拠るものであろう。
以下の点を明らかにするために、骨関節炎の動物を用いて更に研究を行った:(1)抗炎症薬(骨関節炎患者に対する標準的な措置)との相乗性;(2)CG53135が関節軟骨層の機能的修復または保護を誘導できるか;および(3)滑膜線維増殖および骨吸収がCG53135に誘導されたものか、または調合中のエンドトキシンの混入によるものか。
それ故に、本研究の1つの局面は、ラット骨関節炎の半月板断裂モデルを用いて、骨関節炎の関節損傷に対するCG53135関節内注射の保護および治療作用を評価することである。この比較的新しいOAモデルは軟骨変性および骨棘形成という形態学的な変化を示したが、これらは他の種における自然発生の疾患および手術によって誘発した疾患でも類似の変化が起こっている(Bendele,A.M.,Animal Models of Osteoarthritis.J.Musculoskel.Neuron Interact.2001;1:363〜376、Bendele,A.M and Hulman,J.F.Spontaneous cartilage degeneration in guinea pig.Arthritis Rheum.1988;31:561〜565)。このモデルを用いて、抗変性および再生治療の潜在的有益作用を評価することができる。
実験計画
2匹/ケージの割合で飼育した動物(10/群)をイソフルランで麻酔し、手術に備え右膝を調整した。膝中央部の皮膚を切開し、鈍的切除によって中央両側の腱を露出してから離断した。次に小型のハサミを使って半月板中央部を折り曲げ、全幅にわたって切断し完全断裂をシミュレーションした。皮膚は縫合した。
予防的投与:右膝関節への関節内投与(CG53135−05大腸菌精製物)を手術日に開始して2週間継続し、木曜日、土曜日、および月曜日(第0、2、4、7、9、および11日)にラットをイソフルラン麻酔にかけて関節内注射した。非ステロイド抗炎症剤であるインドメタシンを、手術後0日から経口経路から毎日投与し(1mg/kg/日)、注射による潜在的炎症を抑えた。体重を第0、7、および14日に記録した。手術後第14日に動物を殺した後、組織病理評価のために両膝を集めた。研究計画を表53に示す。
表53.予防的投与の研究計画
Figure 2008519032
2週間、週3回投与(100μg/関節、関節内)
2週間、毎日投与(0.5mg/kg、PO)。
治療的投与:膝関節への関節内投与(CG53135大腸菌精製物)を手術後第21日に開始して2週間継続し、金曜日、日曜日、および水曜日(第22、25、27、29、32、および34日)にラットをイソフルラン麻酔にかけて関節内注射した。非ステロイド抗炎症剤であるインドメタシンを、手術後0日から経口経路から毎日投与した。体重を第0、7、14、21、28、および35日に記録した。第35日に組織病理評価のために両膝を集めた。研究計画を表54に示す。
表54.予防的投与の研究計画
Figure 2008519032
2週間、週3回投与(100μg/関節、関節内)
2週間、毎日投与(0.5mg/kg、PO)。
予防的投与研究の結果:実施した観察では、このモデルの標準も加えられた。右膝の複数(3レベル)の区画を顕微鏡で分析し、次の方法に従ってスコア化した。3区画のスコア化では、軟骨変性および骨棘形成について3枚のスライドがそれぞれ3レベルを示した2つの半体が最悪の例であった。次に各スライドについて、各パラメータについてこの値を平均化して、頸骨および大腿骨については、全体的な、主観的な軟骨変性スコアを、および頸骨については骨棘のスコアを決定した。
軟骨変性は、以下の基準を用いて、深度および面積(表面積を三分割する)について、なし〜重篤(数値としては0〜5)のいずれかにスコア化した:
0=無変化
1=極僅かな変性、表面域を含む線維性萎縮を伴う、または伴わない軟骨細胞およびプロテオグリカンの消失
2=軽度の変性、上部1/3を含む線維性萎縮を伴う、または伴わない軟骨細胞およびプロテオグリカンの消失
3=中程度の変性、中域まで伸びる線維性萎縮を伴い、一般的には全軟骨厚の1/2が冒されている軟骨細胞およびプロテオグリカンの消失
4=顕著な変性、中域まで伸びているが、マトリックスが完全には失われていない(石灰化線まで)軟骨細胞およびプロテオグリカンの消失
5=重篤な変性、マトリックスの石灰化線までの消失。
このスコア化の方法では、領域(外側、中央、内側の1/3)厳守について特に注意が払われ、合計スコアは頸骨変性の重篤度を包括する総計値となる。
この軟骨変性の全体的な主観的分析に加えて、同様の判定基準を用いた追加の主観的評価を行い変性の重篤度を評価したが、特に頸骨プラトーを横切る特異的な領域差について注意を払った。このOAモデルでは、一般的には頸骨外側1/3が最も半月板断裂損傷の影響を受けやすく、傷害は手術後3週目までに石灰化線に達することも多い。中央1/3は、通常移行域であり、重篤または顕著な変化は中程度または軽度となり、内側1/3では、軽度または微小を超える変化はほとんどない。外側1/3の重篤な傷害と、中央1/3および内側1/3の軽度の傷害に対する処理の潜在的な差を比較し決定するために、これらの領域を別々にスコア化した。領域値の合計を計算して、3領域の合計として表した。
上記主観的なスコア化に加えて、マイクロメータを用いた重篤な変性(全頸骨軟骨変性幅μm)に冒された頸骨プラトー範囲の測定を、骨棘、または軟骨変性近傍に骨棘が存在しない場合には境界域を起点として(外側1/3)、表面を横断し、組織学的には正常と思われた接線層および基礎をなす軟骨まで拡大した。
さらなる測定(有意な軟骨変性の幅μm)は、軟骨細胞およびマトリックスの消失が軟骨厚の50%を超えて伸びている頸骨軟骨変性の領域を表している。
最後に、石灰化線までの深度に対する変化を示した領域の深度の比として表された、あるタイプの損傷(細胞/プロテオグリカン消失、メタクロマジーの変化、しかしコラーゲン性マトリックスは良く保持し、線維性萎縮はみられない損傷)のマイクロメータ深度も加え、頸骨表面上に等間隔に置いた4つの点について深度を得た。これらの測定値は、骨棘近傍のマトリックス(第一)、頸骨プラトーの1/4横断距離(第二)、骨棘プラトーの1/2横断距離(第三)、骨棘プラトーの3/4横断距離(第四)で取った。この測定は、存在する在るタイプの顕微鏡レベルの変化の最も重要な分析であった。石灰化線までの深度の測定値(分母)は頸骨プラトーを横切る軟骨の厚さの指標でもあり、従ってこれを用いて群間を比較し、肥大または過形成が発生しているか決定できる。
各区画について、区画の非接平面内の全体幅を最もよく表すと考えられる領域で頸骨成長プレートの測定を一回行った。
骨棘のスコア化および小、中、大への分類は、接眼マイクロメータを使って行った。
なし=0 境界域に測定可能な増殖性の反応がない
小骨棘=1(299μmまで)
中骨棘=2(300〜399μm)
大骨棘=3(>400μm)。
スコア(0〜3)は、全体関節スコア内に加えられた。これに加えて実際の骨棘測定値の平均±SE(3区画の平均)も決定した。
一般的に、手術中に、結果として半月板が基部方向に大腿骨に向かって曲がるような場所で両側の靱帯の離断を試みた。次に、メスの先端を頸骨ではなく大腿骨に向かって差し込み切断した。こうすれば大腿顆状軟骨が機械的に損傷されることはあっても、頸骨が損傷を受けることはほとんどなく、その結果、頸骨が軟骨保護を評価するための最適な部位となる。
大腿軟骨へ加わった物理的外傷の結果と考えられる病巣性の、小さなプロテオグリカンおよび細胞の損失域について記載はしたが、頸骨について記載した方法に従った主観的スコア化の対象となる、より大型で、より拡散した領域と一緒にスコアに加えることはしなかった。これらのより大きな領域は、非外傷性の変性とより一致した。大腿骨に医原性傷害が加わった可能性があることから、全体関節スコアは、大腿軟骨の変性スコアと一緒にした場合と除いた場合の両方で表した。
石灰化した軟骨層および軟骨下骨への損傷は、以下の基準を用いてスコア化した:
0=無変化
1=石灰化線の好塩基球増加:石灰化線または骨髄の変化は無い
2=石灰化線の好塩基球増加:石灰化線の石灰化軟骨の微小〜軽度の断片化、骨髄の間葉性変化が全域の1/4で見られるが、一般的には傷害下の軟骨下領域に限定される。
3=石灰化線の好塩基球増加:石灰化軟骨の中度〜顕著な断片化、骨髄の間葉性変化が全域の3/4までに見られ、骨髄の軟骨形成域が明瞭であるが、骨端骨内への関節軟骨の虚脱はない
4=石灰化線の好塩基球増加:石灰化軟骨の顕著な断片化、骨髄の間葉性変化が全域の3/4までに見られ、かつ関節軟骨が石灰化線から250μm以下の深さまで骨端骨内へ虚脱している
5=石灰化線の好塩基球増加:石灰化軟骨の顕著な断片化、骨髄の間葉性変化が全域の3/4までに見られ、かつ関節軟骨が石灰化線から250μmを超える深さまで骨端骨内へ虚脱している。
滑膜炎症、滑膜線維形成、境界域の軟骨形成、骨吸収、軟骨形成/既存軟骨への組み入れを伴う、または伴わない線維の過剰発達の程度についてのコメントを記述した。
統計分析:組織病理学パラメータの統計分析は、有意レベルをp≦0.05とするスチューデントの両側t検定を用いて、群平均を比較して行った。データの性質上、スコア化されたパラメータはノンパラメトリックANOVA(Kruskal−Wallis検定)を用いて分析し、測定値はパラメトリックANOVAを用いて分析した。パラメトリックデータに用いた、適切な事後検定はDunnettの多重比較検定であり、ノンパラメトリックデータにはDunnの検定を用いた。有意レベルは全てのパラメータについてp≦0.05に設定した。
結果:100μgのCG53135−05大腸菌精製物を、インドメタシンの同時投与有り無しで関節内注射すると、中央1/3(領域1の40〜43%)の頸骨軟骨変性を有意に阻害(39%)し、また3つの領域を合わせた場合の阻害は41%であったが、有意ではなかった(図70(A))。全体軟骨変形幅は35〜37%と有意に減少し(図70(B))かつ有意な変性は70〜89%低下したが、この阻害はタンパク質とインドメタシンで処理した群でのみ有意であった(図70(C))。
予防的投与研究の結果:記載したデータは、中央半月板断裂を起こしたラット膝関節への100μgのCG53135−05大腸菌精製物の関節内注射は、軟骨変性の阻害と軟骨修復刺激の両方をもたらすことを示している。幾つかの関節では、既存の、正常と思われるか、または損傷を受けた軟骨の上に増殖した新規の軟骨が見られた。この観察は、これが表面再生の可能性を証明していることから特に刺激的である。
これらの有益作用は常に拡散性の滑膜線維増殖、骨吸収、および滑膜炎症の激化を伴っていた。インドメタシンの同時処理(1mg/kg/日)は、Synviscのみ膝注射した場合の疾患プロセス、またはタンパク質を含むSynviscを膝に注射した場合の疾患プロセスおよびタンパク質に対し何ら作用がなければ、最小と考えられる。この既述に対する唯一の例外は、全ての群がタンパク質およびビヒクルのpo処理を受けた群を除いて同様の測定値を示した骨棘測定に関するデータである。この群の測定値はより大きく、従ってより強い境界域の刺激を示唆しているが、炎症を起こした関節では珍しいことではない。
100μgのこのタンパク質の注射によって誘導された形態学的な変化は、CG53135が軟骨修復プロセスに有効である可能性を明らかにした。それは軟骨への分化を伴う線維組織の増殖を誘導する能力を有しており、重要なことは新たに増殖した組織が統合されることである。増殖プロセスは幾分無秩序であり、境界域および軟骨下骨のような領域では逆効果的である。しかしながら、齧歯類は炎症メディエイターを含む様々な刺激を受けて境界域、骨膜および骨髄が増殖する傾向が遙かに強いため、ラットに見られる過剰な逆効果的な反応はイヌや霊長類では起こらないだろう。また、抗体反応の誘導も起こる場合があることから膝に強い炎症を招くことがあるが、これは抗体反応が起こらないヒトまたはその他動物には起こらないだろう。
骨関節炎へのCG53135の潜在的効力の概要を描く上で有用な更なる研究としては次のものが挙げられる:(1)動物モデル、例えばOAのウサギまたはイヌのモデルの評価−この研究は、ヒトへの類似性がより高い軟骨および骨構造を持つ大型の関節、ならびに齧歯類で起こるような高い増殖反応を示す傾向が小さい種の評価も可能にする;ならびに(2)3〜4週間のia注射の評価、おそらくそれと同時に、より積極的な全身性の炎症治療およびそれに続く新規組織リモデリングがどれほど有益なものか知ることができる回復期の評価。それ以上の増殖性の刺激を伴わない関節のリモデリングが可能であることは、より満足できる形態学的なエンドポイントを提供できるだろう。あるいは、免疫反応が消失する時点がエンドポイントとなることもあるだろう。リモデリング期のある治療サイクルが、最も満足できる修復を達成できる方法だろう。このような研究はまた、修復組織が長期間維持されるかという疑問にも答えるだろう。一般的には、線維軟骨は、このような傾向が低い。
結果:100μgのCG53135−05大腸菌精製物の、インドメタシンの同時経口投与を伴う、または伴わない関節内注射は、頸骨の軟骨変性スコアを有意に抑制することはなかった(図71(A))。全体または有意な軟骨変性の幅は縮小しなかった(図71(B)および(C))。
予防的投与研究の結果:記載したデータは、関節内投与されたCG53135の潜在的な軟骨増殖活性を明らかにした。しかしながら、タンパク質を注射した関節は、炎症、線維増殖、および結合組織吸収のプロセスが顕著に亢進した。
予防的投与研究と治療的投与研究との間の最も重要な違いは、投与開始時のOA傷害の性質である。治療投与研究のラットは、軟骨の中央1/3の外側に重篤なマトリックス消失域を有しており、石灰化した軟骨/軟骨下骨がタンパク質に曝されていることが示唆される。それゆえに、効果的な修復には、境界域または露出した骨髄の多能性幹細胞から新規に増殖した組織でこの欠損を満たす必要がある。予防的投与研究では、有益な修復にはマトリックス変性の抑制、および境界域に由来する修復組織による変性骨格の修復促進のみが必要となる。欠損の充填は損傷骨格の修復に比べ遙かに困難であることから、有益な効果を得るには、より長い治療期間が治療モデルに必要となる可能性がある。
インドメタシン処理は、炎症性の変化の抑制には有効ではなく、骨内で起こっている吸収プロセスの抑制に対し有効作用を有していなかった。炎症および組織破壊がない、効率的な増殖および軟骨への分化を達成するために、治療的投与研究に次のような改良を加えることができるだろう:投与間隔を週1回または2回に増やし、かつ/または研究期間を延長して、この疾患プロセスがもたらした大きな軟骨の欠損を増殖組織が充填できる時間を与える。別の可能性は、イヌのような大型の種でのCG53135の作用を研究することであるが、これはイヌが様々な組織に反応して結合組織を増殖させること、および骨を吸収する性向が齧歯類より小さいからである。
ここに詳述した結果(予防的および治療的投与研究の両方)は、CG53135が、最終的に関節交換が必要となる重篤な骨関節炎に特に有用であることを示している。このようなタイプの薬物は、正常軟骨が殆ど、または全く残っておらず、表面再生が必要な関節の中に注射されるだろう。この場合、修復は境界領域または骨髄内の多能性幹細胞から生ずるだろう。このような場所からの修復は、硝子軟骨ではなく線維案骨の産生をもたらすと思われる。しかしながら大量の軟骨は軟骨にとって好ましくない場合があり、長期間処置を繰り返して修復を支えるものであっても、軟骨表面を維持する注射モデルは許容されるだろう。同化注射剤を用いた治療では、持続的な能動的荷重負荷運動ではなく、むしろ連続的な受動的運動と組み合わせた、ある種の周期的なプロセスが必要になるだろう。
6.47.実施例47:CG53135は血清飢餓誘導細胞死から神経性PC12細胞を救済する
CG53135の栄養(神経保護)特性を評価し、神経成長因子(NGF)および上皮成長因子(EGF)と比較するために、次の実験を実施した。
材料および方法:
材料:PC12細胞、組織培養プレート、および培地(DMEM+/−10%FBS)、NGF、EGF、CG53135−05大腸菌精製物(プロセス1による)。
方法:DMEM+10%FBSの入ったポリリジンをコーティングした組織培養プレートの上に、PC12細胞を低密度で接種した。24時間培養した。NGFまたはCG53135を投与範囲で含むか、または成長因子を添加しない無血清培地を加えた。72時間目に写真撮影を行い、生存し増殖している細胞を視覚化した。
結果:
CG53135は用量依存的な様式で細胞死を予防した。最大栄養活性は50ng/mlで得られた。CG531345の効力はNGFの効力の約20%であったが、両成長因子の栄養作用の最大範囲は等しかった。EGFも栄養活性を示した。細胞死(アポトーシス)はLDHアッセイおよび目視によって測定した。(図72)
結論:
CG53135は神経栄養物質のNGFおよび成長因子のEGFと同様に機能し、CG53135はこれと同程度にPC12細胞を血清飢餓誘導細胞死から救済できた。このようにCG53135は栄養活性を有している。栄養活性は、数多く在る中枢神経系障害の治療に価値があることが認められている。特に、神経細胞を保護する能力は、アルツハイマー病、パーキンソン病のような神経変性が関与する病気、および卒中や外傷性の脳損傷といった壊滅的な細胞死を伴う疾患にとって重要である。
6.48.実施例48:CG53135は神経性PC12細胞の血清除去誘導カスパーゼ活性化を阻害する
この実験は、前アポトーシスカスパーゼ酵素の活性化阻害能を評価し、神経成長因子(NGF)の作用を比較するために行われた。
材料および方法:
材料:PC12細胞、組織培養プレート、および培地(DMEM+/−10%FBS)、NGF、CG53135−05大腸菌精製物(プロセス1による)。
方法:DMEM+10%FBSの入ったポリリジンをコーティングした組織培養プレートの上に、PC12細胞を低密度で接種した。24時間培養した。NGF(100ng/ml)またはCG53135(1000ng/ml)を含む、または成長因子を添加しない無血清培地を加えた。様々な時点(0、3、6、および20時間目)で細胞溶解物を集めた。カスパーゼ2、3、8、9の活性化はELISAを用いて評価した。
結果:
血清除去は誘導カスパーゼ活性を時間依存的に誘導した。CG53135およびNGFは共にカスパーゼ誘導を遮断した(図73)。
結論:
CG53135は神経栄養物質のNGF同様に機能し、両タンパク質とも同程度にアポトーシス刺激によるアポトーシス促進カスパーゼ酵素の活性化を予防できた。カスパーゼは、アルツハイマー病、パーキンソン病、卒中、および外傷性の脳損傷を含む、神経死が関係する数多くのCNS疾患に関係している。従ってCG53135は、これらの疾患の治療にとって有用である。
6.49.実施例49:CG53135は神経性PC12細胞による神経突起成長を誘導する
本実験は、CG53135−05の神経形成特性を評価し、神経成長因子(NGF)の作用と比較するために実施された。
材料および方法:
材料:PC12細胞、組織培養プレート、および培地(DMEM+/−10%FBS)、NGF、CG53135−05大腸菌精製物(プロセス1による)。
方法:DMEM+10%FBSの入ったポリリジンをコーティングした組織培養プレートの上に、PC12細胞を低密度で接種した。24時間培養した。100ng/mlのNGFまたはCG53135を含むか、または成長因子を添加していない無血清培地を加えた。72時間目に写真撮影を行い神経突起の生育を視覚化した。
結果:
CG53135は用量依存的様式で神経突起の生育を誘導した。最大の神経生育は、1000ng/mlで達成された。両成長因子が誘導した最大神経生育は、同程度であった。EGFは神経突起の生育を誘導しなかった(図74)。
結論:
CG53135は、神経栄養物質のNGFと同様に機能し、CG53135は同程度に神経突起の生育を誘導できた。NGFの神経突起誘導能力は、このような神経栄養活性を持たないEGFのような他の因子とNGFとを区別する、この神経成長因子の重要な特徴である。従ってCG53135は神経栄養活性を有している。神経栄養活性は、中枢神経系の様々な障害の治療に有用であることが認められている。特に神経突起の生育を誘導する能力は、神経変性が関係するアルツハイマー病、パーキンソン病といった疾患、および卒中や外傷性の脳損傷といった病理的な構造変化または神経構造を伴う疾患にとって重要である。
6.50.実施例50:CG53135は神経PC12細胞のMAPキナーゼを活性化する
本実験は、CG53135のMAPK活性化作用を評価し、神経成長因子(NGF)、上皮成長因子(EGF)、および塩基性FGF(bFGF)と比較するために行った。
材料および方法:
材料:PC12細胞、組織培養プレート、および培地(DMEM+/−10%FBS)、NGF、EGF、bFGF、CG53135−05大腸菌精製物(プロセス1による)、EGF、MAPKK阻害剤PD98059
方法:DMEM+10%FBSの入ったポリリジンをコーティングした組織培養プレートの上に、PC12細胞を低密度で接種した。24時間培養した。NGF(100ng/ml)、EGF(100ng/ml)、またはCG53135を含むか、または成長因子を添加していない無血清培地を加えた。これとは別に、CG53135またはNGFで処理する前に、PD98059で前処理して培養した。処理後10分に細胞を溶解し、抗リンMAPK抗体を用いたウエスタンブロットを行いMAPKの活性化を評価した。また、ヒト皮質神経細胞株HCN1Aでの、CG53135およびbFGFによるMAPK活性化の経時変化を0、10分、1時間、および3時間について評価した。
結果:
CG53135はMAPKK依存的な様式で力強いMAPKの活性化を誘導した。CG53135は、漸次的かつ持続的なMAPK活性化の経時変化を示した。(図75)
結論:
CG53135は、細胞の生存および神経分化に関係する重要細胞内シグナル伝達分子であるMAPKの誘導に関して、神経栄養物質であるNGFと同様に作用した。この栄養経路の活性化は、学習および記憶の基礎となるプロセスにも関係しており、数多くある中枢神経系障害の治療に有用であることが認められている。特に、神経細胞を保護する能力は、神経変性が関係しているアルツハイマー病、パーキンソン病といった疾患、および卒中や外傷性の脳損傷といった壊滅的な細胞死を伴う疾患にとって重要である。学習および記憶に関係する細胞内経路を刺激する能力は、アルツハイマー病および年齢に関係する記憶力の低下といった記憶機能不全が関係する障害とも関係すると思われる。
7.均等物
当業者は、本明細書に記載されている発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識するか、または過度の実験を行うことなしに確かめることができる。
1つまたは複数のCG53135タンパク質を含む薬剤の生成方法の例を示す図。 (A)プロセス1およびプロセス2で作られたCG53135のSDS−PAGE分析(ゲルコードブルー)をそれぞれ示す図。レーン1:分子量マーカー(kDa);レーン2〜4:還元状態での精製CG53135(10μg)。レーン5〜8:還元されたプロセス1参照標準体DEV10(720、380、45、および28ng)。(B)CG53135のSDS−PAGE分析(銀染色)を示す図。レーン1:左側に分子量マーカー(kDa)を示してある;レーン3:プロセス2による精製CG53135(5μg);レーン5:精製CG53135参照標準プロセス1(5μg);レーン7:精製CG53135プロセス2(10μg);レーン9:精製CG53135参照標準プロセス1(10μg)。 プロセス1およびプロセス2によってそれぞれ精製されたCG53135のRP−HPLC分析を示す図(プロセス1は実線で表されている)。 プロセス1およびプロセス2によってそれぞれ精製されたCG53135のSEC−HPLC分析を示す図。 CG53135大腸菌精製物の宿主タンパク質分析を示す図(それぞれプロセス1およびプロセス2による)。 プロセス1および2によってそれぞれ精製されたCG53135のウエスタンブロット分析を示す図。ウエスタンブロットは、抗CG53135−05抗体によってプロービングされた。レーン1:分子量マーカー(kDa);レーン2:プロセス2によって精製されたCG53135(10μg);レーン5:プロセス1によって精製されたCG53135(10μg)。 プロセス1および2によってそれぞれ精製されたCG53135のRP−HPLC同定分析を示す図。プロセス2は、破線で示した。 プロセス1および2によってそれぞれ精製されたCG53135の典型的な地図を示す図。 プロセス1および2によってそれぞれ精製されたCG53135の円偏光二色性分光法分析を示す図。下方(グレー)のトレースはプロセス1を表し、上方(黒)のトレースはプロセス2を表す。 プロセス1および2によってそれぞれ精製されたCG53135の近UV円偏光二色性分光法分析を示す図。下方(グレー)のトレースはプロセス1の近UV CDスペクトルであり、上方(黒)のトレースはプロセス2の近UV CDスペクトルである。 プロセス1(グレーのトレース)とプロセス2(黒のトレース)の第二誘導体吸収スペクトルを示す図。 示差走査熱量測定法による、プロセス1およびプロセス2それぞれの溶解温度曲線を示す図。 断端型の組換えFGF−20(CG53135−17、図中では(d1−23)FGF20と示されている)の生物活性を、DNA合成に及ぼす影響として、完全長FGF−20(図の中ではFGF20と示されている)と比較して表した図。NIH 3T3マウス線維芽細胞を、血清飢餓状態で、示した因子と共に18時間インキュベーションしてから、BrdU取り込みアッセイにより分析した。 (A)NIH 3T3線維芽細胞におけるCG53135誘発性DNA合成の用量反応を示した図。血清飢餓状態のNIH 3T3細胞を精製CG53135−01(図ではCG53135)、10%血清、またはビヒクルのみ(コントロール)で処理した。DNA合成は、各サンプルについて、BrdU取り込みアッセイを用いて三重測定し、バーは標準誤差(SE)を表している。(B)CG53135はNIH 3T3線維芽細胞の増殖を刺激する。血清飢餓状態のNIH 3T3細胞の入ったウエルを二つずつ精製CG53135−01(1μg)またはビヒクルコントロールで1日間処理した。各ウエルの細胞数を二重測定した。Y軸は細胞数を表しており、数値は4回の細胞数測定の平均である細胞数(二重処理×二重測定)と標準誤差(SE)である。(C)CG53135は786−O腎臓上皮細胞にDNA合成を誘導する。血清飢餓状態の786−O細胞を未処理または部分精製したCG53135−01(5ng/μLの保存液より得た)で処理するか、あるいはビヒクルコントロール(mock)で処理した。DNA合成はBrdU取り込みアッセイを用いて、各サンプルについて3回行った。データポイントは、平均のBrdU取り込みを表し、バーは標準偏差(SE)を表す。 (A)NIH 3T3線維芽細胞におけるCG53135誘発性DNA合成の用量反応を示した図。血清飢餓状態のNIH 3T3細胞を精製CG53135−01(図ではCG53135)、10%血清、またはビヒクルのみ(コントロール)で処理した。DNA合成は、各サンプルについて、BrdU取り込みアッセイを用いて三重測定し、バーは標準誤差(SE)を表している。(B)CG53135はNIH 3T3線維芽細胞の増殖を刺激する。血清飢餓状態のNIH 3T3細胞の入ったウエルを二つずつ精製CG53135−01(1μg)またはビヒクルコントロールで1日間処理した。各ウエルの細胞数を二重測定した。Y軸は細胞数を表しており、数値は4回の細胞数測定の平均である細胞数(二重処理×二重測定)と標準誤差(SE)である。(C)CG53135は786−O腎臓上皮細胞にDNA合成を誘導する。血清飢餓状態の786−O細胞を未処理または部分精製したCG53135−01(5ng/μLの保存液より得た)で処理するか、あるいはビヒクルコントロール(mock)で処理した。DNA合成はBrdU取り込みアッセイを用いて、各サンプルについて3回行った。データポイントは、平均のBrdU取り込みを表し、バーは標準偏差(SE)を表す。 化学療法が誘発した粘膜炎の期間に対する粘膜炎の効果を示す図。粘膜炎スコア>3であった日数を評価した。開放潰瘍(スコア>3)を示すことで定義される臨床的に有意である粘膜炎のレベルを調べるために、動物がスコアの上昇を示した総日数を合計し、群ごとにスコア化した総日数のパーセンテージとして表した。観察された差の統計学的有意性は、カイ二乗分析を用いて計算した。ビヒクルコントロール=疾患コントロール。 陰窩内の細胞の位置を示す図。 (A)CG53135−05大腸菌精製物処理の予防的投与とPBSコントロール群とを比較した、各種放射線照射後の陰窩生存曲線を示した図。(B)CG53135−05大腸菌精製物の予防投与の、放射線傷害後のマウス小腸陰窩生存に及ぼす効果を示す図。 (A)および(B)CG53135−05大腸菌精製物による治療後の、毎日の平均粘膜炎スコアを示した図。群別の平均粘膜炎スコアを得た。誤差バーは、平均値の標準誤差(SEM)を表している。未治療のコントロール群および第1および2日にCG53135−05を12mg/kg投与された群と、第1日にのみCG53135−05が投与された群とを比較した。(A)は、CG53135−05を6mg/kgまたは12mg/kg投与された群を示している;(B)はCG53135−05を24mg/kgまたは48mg/kg投与された群を示している。 CG53135−05大腸菌精製物による治療後の、毎日の平均粘膜炎スコアを示した図である。群別の平均粘膜炎スコアを得た。誤差バーは、平均値の標準誤差(SEM)を表している。未治療およびビヒクルのコントロール群と、CG53135−05大腸菌精製物12mg/kgが投与された群との比較を行った。(A)CG53135−05大腸菌生成物を1日または2日間投与された群;(B)CG53135−05大腸菌生成物を3または4日間投与された群。 CG53135−05精製産物による粘膜炎治療を受けた動物の体重増加パーセントを示す図。動物の体重を毎日測定し、第−4日からの体重変化のパーセントを計算し、毎日群の平均値と平均値の標準偏差(SEM)を計算した。未治療コントロール群、およびCG53135−05大腸菌精製物12mg/kgを第1および2日目IP投与した群と、第−1日にだけCG53135−05大腸菌精製物を投与した群とを比較している。(A)CG53135−05大腸菌生成物を6mg/kgまたは12mg/kg間投与された群;(B)CG53135−05大腸菌生成物を24mg/kgまたは48mg/kg投与された群。 CG53135−05大腸菌精製物による粘膜炎治療を受けた動物の体重変化を、曲線下面積(AUC)増加として表した図。曲線下面積(AUC)は、試験中に各動物が示した体重変化パーセントについて計算した。この計算は台形法則変換を用いて行った。各群について群平均値を計算し、SEMを表す誤差バーを付けて示した。一元配置分散分析(One Way ANOVA)を実施して、群の比較を行った。 CG53135−05大腸菌精製物による治療を1、2、3、または4回受けた後の毎日の平均粘膜炎スコアを示す図。群の平均粘膜炎スコアを得た。誤差バーは、平均値の標準誤差(SEM)を表している。未治療およびビヒクルのコントロール群と、CG53135−05大腸菌精製物を12mg/kgIP投与された群とを比較した。(A)CG53135−05大腸菌精製物を1または2日間投与された群;(B)CG53135−05精製産物を3または4日間投与された群。 CG53135−05大腸菌精製物の単回投与による治療を1、2、3、または4日間受けた動物の体重変化を、曲線下面積(AUC)増加として表した図。曲線下面積(AUC)は、試験中に各動物が示した体重変化パーセントについて計算した。この計算は台形法則変換を用いて行った。各群について群平均値を計算し、SEMを表す誤差バーを付けて示した。一元配置分散分析を実施して群比較を行った。 (A)および(B)それぞれ一元配置分散分析およびDunnettの多重比較検定によって解析した、放射線全身照射により胃腸管障害を誘発した動物の体重に及ぼすCG53135の効果を示す図。 (A)および(B)それぞれ一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定によって解析した、放射線全身照射により胃腸管障害を誘発したマウスの下痢スコアに及ぼすCG53135の効果を示す図。 各観察日の下痢スコアの分析を示す図。 484cGy、534cGy、570cGy、606cGy、または641cGyの放射線量に曝露した後のマウス生存率に及ぼすリン酸緩衝化食塩水(PBS)の効果を示す図。 (A)484cGy、534cGy、570cGy、606cGy、または641cGyの放射線量に曝露した後のマウス生存率に及ぼすCG53135(−1日目)の予防的投与の効果を示す図。(B)570cGyおよび606cGyの生存率に関するカプラン−マイヤープロットを示す図で、CG53135−治療動物とPBS−処理コントロール動物との間に統計学的に有意な差が見られる。(C)放射線量域全体の生存率に関するプロビット解析。 484cGy、534cGy、570cGy、606cGy、または641cGyの放射線量に曝露した後のマウス生存率に及ぼすCG53135(−2日目および−1日目)の予防的投与の効果を示す図。 放射線照射前のCG53135複数回投与の、陰窩生存曲線に及ぼす効果を示す図。動物(n=6/群)に、0日目に10、11、12、13、または14Gy線量のX線を単回全身照射する前に、腹腔内(IP)注射によって、1日1回、PBSまたはCG53135−05大腸菌精製物(12mg/kg)を4連続日投与した。プロットは放射線量−陰窩生存に関する反応を表している。データポイントは、多重標的(Puck)解析モデル、DRFITを用いて分析した、個々の動物の陰窩生存率を表している。 陰窩生存曲線に及ぼすCG53135複数回投与の効果を示す図。動物(n=6/群)に、0日目のX線の単回全身照射(13Gy)を行う前、または照射後に1、2、3、4、もしくは5連続日、腹腔内(IP)注射によって、1日1回、PBSまたはCG53135−05大腸菌(4mg/kg)を投与した。プロットは治療計画に反応した陰窩細胞の保護レベルを表している。保護係数値は、比率で表したPBSと比較したCG53135−05処理動物における円周当たりの生存陰窩数である。 (A)および(B)CG53135誘発が誘導した、NIH 3T3細胞におけるスカベンジャー、シクロオキシゲナーゼ、トレフォイルファクター(trefoil factor)および転写因子の発現を示す図。 (A)および(B)CG53135誘発が誘導した、NIH 3T3細胞におけるスカベンジャー、シクロオキシゲナーゼ、トレフォイルファクター(trefoil factor)および転写因子の発現を示す図。 (C)CG53135が誘導したCCD1070sk細胞におけるスカベンジャー、シクロオキシゲナーゼ、トレフォイルファクター、および転写因子の発現を示す図。 (D)CG53135が誘導したCCD18Co細胞におけるスカベンジャー、シクロオキシゲナーゼ、トレフォイルファクター、および転写因子の発現を示す図。 (E)CG53135によるERKおよびAKTキナーゼの活性化を示す図。 (F)CG53135が誘導したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるスカベンジャー、シクロオキシゲナーゼ、トレフォイルファクター、および転写因子の発現を示す図。 (A)各種線量のX線を照射されたIEC18細胞の生存に及ぼすCG53135の効果を示す図。(B)各種線量のX線を照射されたNIH 3T3細胞の生存に及ぼすCG53135の効果を示す図。 各種線量のX線を照射されたHUVEC細胞の生存に及ぼすCG53135の効果を示す。 放射線照射を受けた細胞の生存曲線の図。様々なタイプの細胞(造血細胞−32D;間葉細胞−CCD18−CoおよびNIH 3T3細胞;上皮細胞−IEC18、IEC6、ならびに骨細胞−U2OSおよびSaos−2)に表示線量の放射線を照射し、完全増殖培地に100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物と共に、または無しに(未処理)接種してコロニーを形成させ、10〜14日間、コロニーを平均直径が2mmになるまで増殖させた。コロニーをクリスタルバイオレットで染色して、数を計測した。Y軸には生存画分の自然対数(Ln)をとり、バーは標準誤差を示している。 放射線照射を受けた細胞の生存曲線の図。様々なタイプの細胞(造血細胞−32D;間葉細胞−CCD18−CoおよびNIH 3T3細胞;上皮細胞−IEC18、IEC6、ならびに骨細胞−U2OSおよびSaos−2)に表示線量の放射線を照射し、完全増殖培地に100ng/mlのCG53135−05大腸菌精製物と共に、または無しに(未処理)接種してコロニーを形成させ、10〜14日間、コロニーを平均直径が2mmになるまで増殖させた。コロニーをクリスタルバイオレットで染色して、数を計測した。Y軸には生存画分の自然対数(Ln)をとり、バーは標準誤差を示している。 (A)NIH 3T3細胞におけるサイトカイン放出に及ぼすCG53135の効果を示す図。(B)CG53135に反応したIL−6およびIL−11を示す図。 (A)4Gyの放射線照射を受けた後にCG53135処理を受けたIEC18細胞からのCM−HDCFDA蛍光の用量反応を示す図。(B)2Gyおよび4Gyの放射線照射を受けた後にCG53135処理を受けたIEC18細胞からのCM−HDCFDA蛍光の反応を示す図。(C)4Gyの放射線照射を受けた後にCG53135処理を受けたCCD−18Co細胞からのCM−HDCFDA蛍光の反応を示す図。 (A)4Gyの放射線照射を受けた後にCG53135処理を受けたIEC18細胞からのRed CC−1蛍光の用量反応を示す図。(B)4Gyおよび6Gyの放射線照射を受けた後にCG53135処理を受けたIEC18細胞からのRed CC−1蛍光の反応を示す図。(C)10Gyの放射線照射を受ける前および後にCG53135処理を受けたCCD−18Co細胞からのRed CC−1蛍光の反応を示す図。 CG53135による骨髄細胞株のインビトロ放射線保護を示す図。 骨髄除去および引き続く骨髄移植後の胸腺再構築に及ぼすCG53135の効果。 試験439の各群の相対体重減少を示す図。 (A)3日間にわたる平均下痢スコアを示す図。(B)平均の下痢重篤度を示す図。 CaCo2、HT−29、IEC−6ヒト細胞株におけるインビトロ創傷修復におけるCG53135の効果を示す図。 HT−29細胞におけるCOX−2遺伝子発現に及ぼすCG53135の効果を示す図。RT−PCR分析を行い、各種濃度(0.1、1.0、10、100ng/ml)のCG53135存在下でのHT−29細胞におけるCOX−2遺伝子の発現を検出した。COX−2発現は、100ng/mlのCG53135添加後の様々な時点(1、3、6、24時間後)についても分析した。 Caco2細胞におけるCOX−2遺伝子発現に及ぼすCG53135の効果を示す図。RT−PCR分析を行い、各種濃度(0.1、1.0、10、100ng/ml)のCG53135存在下でのCaco2細胞におけるCOX−2遺伝子の発現を検出した。COX−2発現は、100ng/mlのCG53135添加後の様々な時点(1、3、6、24時間後)についても分析した。 IEC−6細胞におけるCOX−2遺伝子発現に及ぼすCG53135の効果を示す図。RT−PCR分析を行い、各種濃度(0.1、1.0、10、100ng/ml)のCG53135存在下でのIEC−6細胞におけるCOX−2遺伝子の発現を検出した。COX−2発現は、100ng/mlのCG53135添加後の様々な時点(1、3、6、24時間後)についても分析した。 HT−29細胞およびCaco2細胞におけるITF遺伝子発現に及ぼすCG53135の効果を示す図。ITFの発現は、各種濃度(0.1、1.0、10、100ng/ml)のCG53135存在下でのHT−29およびCaco2細胞におけるmRNA発現によって検出した。ITF遺伝子の発現は、100ng/mlのCG53135添加後の様々な時点(1、3、6、24時間後)についても分析した。 100ng/mlのCG53135の48時間誘導によって哺乳動物細胞がCOX−2、TGF−β、ITF、PPAR−γ遺伝子を発現していることを示した、HT−29m RNA発現分析において、CG53135がCOX−2、TGF−β、ITF、PPAR−γ誘導に及ぼす効果を示す図。 CG53135による上皮回復のメカニズムを示す図。TGF−βがFGF−20による上皮回復を仲介するか調べるために、創傷修復試験を行った。Caco2細胞をCG53135−01大腸菌精製物(100ng/ml)および抗TGF−β(20μg/ml)とインキュベーションし、閉鎖パーセントを測定した。 (A)Caco2細胞でのキナーゼ刺激に及ぼすCG53135の効果を示す図。シグナル伝達キナーゼの発現を、Caco2細胞をCG53135大腸菌精製物(100ng/ml)とインキュベーションした後、様々な時点(10、30、60分後)について分析した。(B)Caco2細胞におけるCOX−2遺伝子発現に及ぼすキナーゼ阻害剤の効果。Caco2細胞を、40μMのPD098059および20μMのSB203580が存在する状態でCG53135−01大腸菌精製物(100ng/ml)とインキュベーションし、COX−2の発現を分析した。(C)THP−1細胞でのキナーゼ刺激に対するCG53135の効果。THP−1をCG53135−01大腸菌精製物(100ng/ml)と共に様々な期間培養した。シグナル伝達キナーゼの発現を、様々な時点(10、30、60分)に分析した。(D)小腸上皮細胞におけるキナーゼの発現に及ぼすCG53135の効果。Caco2細胞をFGF−20(100ng/ml)と10、30、60分間インキュベーションし、p−Elk−1、p−ATF−2およびp−PKCの発現を分析した。同様にHT−29細胞をFGF−20(100ng/ml)と10、30、60分間インキュベーションし、C−FosおよびC−Junの発現を分析した。(E)HT−29細胞におけるITF転写活性化でのCG53135の効果。HT−29細胞のITFプロモータ活性は、100ng/ml濃度のFGF−20存在下で、レポーターアッセイによって測定した。図17はまた、CG53135−01大腸菌精製物存在時のHT−29のITF発現も示している。 (A)Caco2細胞でのキナーゼ刺激に及ぼすCG53135の効果を示す図。シグナル伝達キナーゼの発現を、Caco2細胞をCG53135大腸菌精製物(100ng/ml)とインキュベーションした後、様々な時点(10、30、60分後)について分析した。(B)Caco2細胞におけるCOX−2遺伝子発現に及ぼすキナーゼ阻害剤の効果。Caco2細胞を、40μMのPD098059および20μMのSB203580が存在する状態でCG53135−01大腸菌精製物(100ng/ml)とインキュベーションし、COX−2の発現を分析した。(C)THP−1細胞でのキナーゼ刺激に対するCG53135の効果。THP−1をCG53135−01大腸菌精製物(100ng/ml)と共に様々な期間培養した。シグナル伝達キナーゼの発現を、様々な時点(10、30、60分)に分析した。(D)小腸上皮細胞におけるキナーゼの発現に及ぼすCG53135の効果。Caco2細胞をFGF−20(100ng/ml)と10、30、60分間インキュベーションし、p−Elk−1、p−ATF−2およびp−PKCの発現を分析した。同様にHT−29細胞をFGF−20(100ng/ml)と10、30、60分間インキュベーションし、C−FosおよびC−Junの発現を分析した。(E)HT−29細胞におけるITF転写活性化でのCG53135の効果。HT−29細胞のITFプロモータ活性は、100ng/ml濃度のFGF−20存在下で、レポーターアッセイによって測定した。図17はまた、CG53135−01大腸菌精製物存在時のHT−29のITF発現も示している。 (A)Caco2細胞でのキナーゼ刺激に及ぼすCG53135の効果を示す図。シグナル伝達キナーゼの発現を、Caco2細胞をCG53135大腸菌精製物(100ng/ml)とインキュベーションした後、様々な時点(10、30、60分後)について分析した。(B)Caco2細胞におけるCOX−2遺伝子発現に及ぼすキナーゼ阻害剤の効果。Caco2細胞を、40μMのPD098059および20μMのSB203580が存在する状態でCG53135−01大腸菌精製物(100ng/ml)とインキュベーションし、COX−2の発現を分析した。(C)THP−1細胞でのキナーゼ刺激に対するCG53135の効果。THP−1をCG53135−01大腸菌精製物(100ng/ml)と共に様々な期間培養した。シグナル伝達キナーゼの発現を、様々な時点(10、30、60分)に分析した。(D)小腸上皮細胞におけるキナーゼの発現に及ぼすCG53135の効果。Caco2細胞をFGF−20(100ng/ml)と10、30、60分間インキュベーションし、p−Elk−1、p−ATF−2およびp−PKCの発現を分析した。同様にHT−29細胞をFGF−20(100ng/ml)と10、30、60分間インキュベーションし、C−FosおよびC−Junの発現を分析した。(E)HT−29細胞におけるITF転写活性化でのCG53135の効果。HT−29細胞のITFプロモータ活性は、100ng/ml濃度のFGF−20存在下で、レポーターアッセイによって測定した。図17はまた、CG53135−01大腸菌精製物存在時のHT−29のITF発現も示している。 (A)マウスを各種用量のAB020258(CG53135)で処理した0日目からの平均体重の変化を示す図。 (B)マウスを各種用量のAB020258で処理した0日目からの平均体重のパーセント変化を示す図。 (C)マウスを各種用量のAB020258で処理した場合の平均結腸血液含有スコアを示す図。 (A)マウスを各種用量のAB020258で処理した時の平均遠位結腸炎症スコアを示す図。 (B)マウスを各種用量のAB020258で処理した平均遠位結腸腺消失スコアを示す図。 (C)マウスを各種用量のAB020258で処理した時の平均遠位結腸潰瘍スコアを示す図。 (D)マウスを各種用量のAB020258で処理した時の、組織病理スコアの合計の平均値を示す図。 マウスを各種用量のAB020258で処理した時の、脾リンパ萎縮スコアの平均値を示す図。 マウスを各種用量のAB020258で処理した時の、脾髄外造血スコアの平均値を示す図。 (A)インドメタシン処理したラットの小腸重量に及ぼすCG53135処理の効果を示す図。 (B)インドメタシン処理したラットにおける、好中球およびリンパ球の絶対数に及ぼすCG53135処理の効果。血液は、5日目の剖検時に採取し、細胞数を測定した。 インドメタシン処理したラットの組織病理スコアに及ぼすCG53135処理の効果を示す図。病変小腸について5枚の切片を調べ、方法に記載のようにして壊死および炎症をスコア化した。 小腸の構造に及ぼすCG53135の保護効果を示す図。パネルA:ビヒクル(BSA)をiv処理した正常コントロール動物の小腸。パネルB:インドメタシン処理し、さらにビヒクル(BSA)をiv処理したラットの小腸:パネルC:インドメタシン処理し、更にCG53135、0.2mg/kgをiv処理したラットの小腸。切片はH&Eで染色した後、倍率25倍で観察した)。図60は、インドメタシン処理ラットの小腸構造に及ぼすCG53135の保護効果を示す。パネルA、正常コントロール;パネルB、疾患コントロール(インドメタシン処理);パネルC、CG53135を0.2mg/kg、iv処理した疾患モデル動物。顕微鏡写真は、ヘマトキシリンとエオシンで染色した切片を倍率25倍で撮影した。 小腸におけるBrdUラベリングに及ぼすCG53135処理の効果を示す図。BrdUの取り込みは、免疫ペルオキシダーゼ染色によって検知した。パネルA:正常コントロール動物の小腸(100X)。パネルB:インドメタシン+ビヒクル(BSA)処理動物の小腸(50X)。パネルC:インドメタシン+0.2mg/kgのCG53135をiv処理したラットの小腸(50X)。 大腸炎のDSSモデルの生存に及ぼす、治療投与されたCG53135の効果を示す図。メスBalb/cマウスに4%DSSを含む飲料水を7日間与え(第0〜6日)、その後4日間、正常な飲料水に切り替えた(第7〜10日)。CG53135は、図64ではFGF−20と示されている。疾患コントロール動物(n=9)は、第4〜9日についてビヒクル溶液のSC注射を毎日受けた。CG53135群(n=9)は、第4〜9日について、表示濃度のCG53135のSC注射を毎日受けた。正常コントロール動物(n=3)はDSSに曝露しなかったが、第4〜9日目にビヒクル溶液のSC注射を毎日受けた。動物の生存を毎日記録し、第10日目に実験を行った。疾患コントロールと0.2mg/kgCG53135群が重なることに注意。 (A)予防群(IL−10 KOマウス)の体重変化および組織病理を示す図。IL−10 KOマウスを各種濃度のCG53135大腸菌精製物(0.2、1、5mg/kg)で処理し、体重の変化および組織病理を調べた。 (B)予防群(IL−10 KOマウス)の総盲腸組織学スコアを示す図。IL−10 KOマウスを各種濃度のCG53135大腸菌精製物(0.2、1、5mg/kg)で処理し、総盲腸組織学スコアを実施例に記載したようにしてスコア化した。 (A)予防群のIL−12産生を示す図。IL−12産生は、実施例40に記載のELISAを用いてMLNおよび確立した結腸片培養物についてアッセイした。 (B)予防群のIFN−γ産生を示す図。IFN−γ産生を、調製したMLNについてELISAを用いてアッセイした。 (C)は予防群でのPGE2産生を示す。PGE2産生を、調製したMLNについてELISAを用いてアッセイした。 FACS分析(予防群)を示す図。FACS分析を行い、総MLN数ならびにCD4+、CD8+、およびCD4+CD69+細胞の数を調べた。 処理群の体重変化を示す図。処理群の体重変化を評価した。 盲腸の組織学(処理群)をビヒクルコントロールおよびCG53135処理動物について分析した図。 結腸の組織学(処理群)をビヒクルコントロールおよびCG53135処理動物について分析した図。 処理群(IL−10 KOマウス)の総盲腸組織学スコアを示す図。IL−10 KOマウスをCG53135大腸菌精製物(5mg/kg)で処理し、総盲腸組織学スコアをスコア化した。 処理群のPGE2およびTNF−α産生を示す図。PGE2およびTNF−α産生は、ELISAを用いて、CG53135処理IL−10 KOマウスの良好な培養物および未分離の脾臓細胞についてアッセイした。 (A)前肢置き直し試験の結果を示す図。ビヒクル(菱形)、CG53135−05、1.0μg/注射(四角)、およびCG53135−05、2.5μg/注射(三角)を投与された群のスコアの平均値および標準誤差を経時的に示した。アスタリスクは、一元配置分散分析で評価した時に、ビヒクルコントロールと有意差があることを示す。 (B)後肢置き直し試験の結果を示す図。ビヒクル(菱形)、CG53135、1.0μg/注射(四角)、およびCG53135、2.5μg/注射(三角)を投与された群のスコアの平均値および標準誤差を経時的に示した。アスタリスクは、一元配置分散分析で評価した時に、ビヒクルコントロールと有意差があることを示す。 (C)ボディスイング試験の結果を示す図。ビヒクル(菱形)、CG53135、1.0μg/注射(四角)、およびCG53135、2.5μg/注射(三角)を投与された群のスコアの平均値および標準誤差を経時的に示した。右方向〜50%の揺りのスコア範囲は障害が無いことを表し、右への揺りが0%である動揺は傷害が最大であることを表す。アスタリスクは、一元配置分散分析で評価した時に、ビヒクルコントロールと有意差があることを示す。 (D)シリンダ試験の結果を示す図。ビヒクル(菱形)、CG53135、1.0μg/注射(四角)、およびCG53135、2.5μg/注射(三角)を投与された群のスコアの平均値および標準誤差を経時的に示した。 (E)体重の結果を示す図。ビヒクル(菱形)、CG53135、1.0μg/注射(四角)、およびCG53135、2.5μg/注射(三角)を投与された群のスコアの平均値および標準誤差を経時的に示した。 (A)IL−1ベータ存在時のSW1353細胞でのPro−MMP産生に及ぼすCG53135の効果を示す図。 (B)TNF−アルファ存在時のSW1353細胞でのPro−MMP産生に及ぼすCG53135の効果を示す図。 (C)SW1353細胞でのTIMP産生に及ぼすCG53135の効果を示す図。 (A)ラット骨関節炎の半月板断裂モデルにおけるCG53135関節内注射の効果を示す図(予防的投与):平均脛骨軟骨変性。 (B)ラット骨関節炎の半月板断裂モデルにおけるCG53135関節内注射の効果を示す図(予防的投与):全軟骨変性幅。 (C)ラット骨関節炎の半月板断裂モデルにおけるCG53135関節内注射の効果を示す図(予防的投与):有意な脛骨軟骨変性幅。 (A)ラット骨関節炎の半月板断裂モデルにおけるCG53135関節内注射の効果を示す図(治療的投与):平均脛骨軟骨変性。 (B)ラット骨関節炎の半月板断裂モデルにおけるCG53135関節内注射の効果を示す図(治療的投与):全軟骨変性幅。 (C)ラット骨関節炎の半月板断裂モデルにおけるCG53135関節内注射の効果を示す図(治療的投与):有意な脛骨軟骨変性幅。 (A)EGF、NGF、およびCG53135の栄養活性を示す図。 (B)血清除去誘発アポトーシスに対するCG53135による阻害の経時変化を示した図。 CG53135が、血清除去により誘発されるカスパーゼの活性化を阻害することを示す図。 NGFと比較したCG53135の神経突起伸長活性を示す図。 NGFおよびCG53135によるMAPKの活性化、ならびにMAPKK阻害剤であるPD98059による活性阻害を示す図。

Claims (73)

  1. 約0.1〜1Mの塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータシクロデキストリンナトリウムもしくはショ糖、約0.01〜0.1Mリン酸二水素ナトリウム(NaHPO・HO)、約0.01〜0.1%重量/容積(「w/v」)のポリソルベート80もしくはポリソルベート20、および単離された線維芽細胞成長因子を含む、調合物。
  2. 約0.01〜1Mの塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータシクロデキストリンナトリウムもしくはショ糖、約0.01〜0.1Mリン酸二水素ナトリウム(NaHPO・HO)、約0.01〜0.1%重量/容積(「w/v」)のポリソルベート80もしくはポリソルベート20、ならびに
    (a)配列番号2、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38または配列番号40のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (b)(a)のタンパク質に対し1つまたは複数のアミノ酸置換があるタンパク質であって、該置換が配列番号2、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38または配列番号40のアミノ酸配列の15%を超えず、かつ該1つまたは複数のアミノ酸置換があるタンパク質が細胞増殖刺激活性を保持している、タンパク質;および
    (c)(a)または(b)のタンパク質の断片であって、細胞増殖刺激活性を保持する断片
    から成る群より選択される1つまたは複数の単離されたタンパク質を含む、調合物。
  3. 前記塩形態のアルギニンが、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンから成る群より選択される、請求項1または2に記載の調合物。
  4. 前記塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータシクロデキストリンナトリウムもしくはショ糖が0.01〜0.7Mである、請求項1または2に記載の調合物。
  5. 0.5Mの濃度で塩形態のアルギニンを含む、請求項1または2に記載の調合物。
  6. 前記リン酸二水素ナトリウムが0.05Mである、請求項1または2に記載の調合物。
  7. 前記ポリソルベート80またはポリソルベート20が0.01%(w/v)である、請求項1または2に記載の調合物。
  8. ポリソルベート80を含む、請求項1または2に記載の調合物。
  9. ポリソルベート20を含む、請求項1または2に記載の調合物。
  10. 前記タンパク質が0.5〜30mg/mlの濃度である、請求項1または2に記載の調合物。
  11. 前記タンパク質が10mg/mlの濃度である、請求項1または2に記載の調合物。
  12. 前記タンパク質が配列番号24のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の調合物。
  13. 前記タンパク質が配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の調合物。
  14. 2以上のタンパク質を含む、請求項1または2に記載の調合物。
  15. 前記タンパク質が配列番号24のアミノ酸配列を含む第一タンパク質、および配列番号2のアミノ酸配列を含む第二タンパク質を含む、請求項14に記載の調合物。
  16. 凍結乾燥または噴霧乾燥されている、請求項1または2の調合物。
  17. 前記単離されたタンパク質が約0.005mg/ml〜約50mg/mlである、請求項2の調合物。
  18. 配列番号24のアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質を約10mg/ml、0.5M硫酸アルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、および0.01%(w/v)ポリソルベート80を含む、調合物。
  19. 配列番号2のアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質を約10mg/ml、0.5M硫酸アルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、および0.01%(w/v)ポリソルベート80を含む、調合物。
  20. 0.5M硫酸アルギニン、0.05Mリン酸二水素ナトリウム、0.01%(w/v)ポリソルベート80、および約10mg/mlの単離タンパク質混合物を含む調合物であって、該タンパク質が配列番号24のアミノ酸配列を含む第一タンパク質および配列番号2のアミノ酸配列を含む第二タンパク質を含む、調合物。
  21. 単離されたタンパク質を更に含む請求項20に記載の調合物であって、該タンパク質が配列番号26、配列番号28、配列番号30、および配列番号32から成る群より単離されるアミノ酸配列を含む、調合物。
  22. 単離されたタンパク質の1つまたは複数がカルバミル化されている、請求項21に記載の調合物。
  23. 配列番号28のアミノ酸配列を含む第三タンパク質、配列番号30のアミノ酸配列を含む第四タンパク質、および配列番号32のアミノ酸配列を含む第五タンパク質を更に含む、請求項20に記載の調合物。
  24. 前記単離されたタンパク質が少なくとも純度98%である、請求項2、18〜23のいずれか一項に記載の調合物。
  25. 塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータシクロデキストリンナトリウム、もしくはショ糖、またはそれらの組み合わせを、水溶液中に0.01〜1Mの最終濃度で加えることを含む、水溶液における線維芽細胞成長因子(「FGF」)の溶解度を上げる方法。
  26. 前記線維芽細胞成長因子が、配列番号2、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記塩形態のアルギニンが、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンから成る群より選択される、請求項25または26に記載の方法。
  28. 前記の塩形態のアルギニンの最終濃度が0.01〜0.7Mである、請求項25または26に記載の方法。
  29. 前記の塩形態のアルギニンの最終濃度が0.5Mである、請求項25または26に記載の方法。
  30. 酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはこれらの組合せを前記溶液に加えることを更に含む、請求項25に記載の方法。
  31. 溶液に酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはこれらの組合せを加えることを含む、溶液中のFGF溶解性を高める方法。
  32. 前記酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはこれらの組合せの前記溶液中の最終濃度が0.01〜0.2Mである、請求項31に記載の方法。
  33. (1)配列番号8を含むベクターを含有する大腸菌細胞を発酵させる工程;
    (2)発酵培養物を10〜15℃に冷やす工程;
    (3)冷やされた培養物を、50〜100mMリン酸ナトリウム、60mMエチレンジアミン四酢酸、7.5mMのDTT、および3.5〜5M尿素を含む溶解緩衝液で希釈する工程;
    (4)希釈培養物の中で細胞を溶解する工程;
    (5)生じた細胞溶解物を事前に平衡化したカチオン交換カラムにかけて、該カラムを50〜100mMリン酸ナトリウム、40mMのEDTA、10mM硫酸ナトリウム、および3〜5M尿素を含む緩衝液でフラッシュする工程;
    (6)フラッシュしたカラムを50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、10〜25mM硫酸ナトリウム、および2.22mMデキストロースを含む緩衝液で洗浄する工程;
    (7)50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、150〜250mM硫酸ナトリウム、および0.5〜1MのL−アルギニンを含む溶出緩衝液で再度カラムを洗浄する工程;
    (8)得られた溶出物を、50〜100mMリン酸ナトリウム、150〜250mM硫酸ナトリウム、5mMのEDTA、および1Mのアルギニンで事前に平衡化した疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムにかける工程;
    (9)得られたカラムを100〜250mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、および0.8〜1Mのアルギニンを含む溶液で洗浄する工程;ならびに
    (10)該カラムを、50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、および0.1〜0.3Mのアルギニンを含む溶液で再度洗浄してタンパク質を溶出する工程、
    を含む、単離されたタンパク質を生成する方法。
  34. (11)得られた溶出物を濃縮する工程;
    (12)得られた残留物をまとめて50mMリン酸ナトリウム、0.5Mのアルギニンを含む溶液で濾過する工程;
    (13)濾過残留物を濃縮する工程;ならびに
    (14)濃縮残留物を濾過する工程、
    を更に含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記工程(1)の発酵が:
    (a)配列番号8を含むベクターを含有する大腸菌細胞を、化学的に規定された種培地の中で2.5〜4.5のOD600単位を示す対数増殖期まで培養する工程;
    (b)工程(a)の細胞を種培地に接種して、細胞を3.0〜5.0のOD600単位の対数増殖期まで培養する工程;
    (c)工程(b)の細胞を化学的に規定されたバッチ培地に移す工程;
    (d)工程(c)の細胞を25〜30のOD600単位まで培養し、供給割合0.7g/kgブロス/分で化学的に規定した培地を追加する工程;
    (e)工程(d)の細胞を135〜165のOD600単位まで培養する工程;ならびに
    (f)工程(e)の細胞を約4時間培養する工程
    を含む、請求項33に記載の方法。
  36. 前記工程(3)が希釈した細胞培養物にポリエチレンイミンを加えることを更に含む、請求項33に記載の方法。
  37. 前記工程(10)が:
    (a)溶出液を、荷電エンドトキシン結合フィルターを通過させる工程;および
    (b)工程(a)のフィルターを水でフラッシングし、次に50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、0.1〜0.3Mアルギニンを含む緩衝液でフラッシングして、タンパク質を溶出する工程、を更に含む、請求項33に記載の方法。
  38. 前記工程(4)における溶解が、高圧ホモジェナイザーを通過させることを含む、請求項33に記載の方法。
  39. 前記工程(10)が、
    (a)溶出液を、事前に平衡化した疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムにかける工程であって、該カラムが50〜100mMリン酸ナトリウム、10〜100mM硫酸ナトリウム、800〜1000mMの塩化ナトリウム、および0.5〜1Mアルギニンで平衡化されている、工程;ならびに
    (b)工程(a)のカラムを50〜100mMリン酸ナトリウム、0.5〜1Mアルギニンで洗浄して溶出物を生成する工程を更に含む、請求項33に記載の方法。
  40. 前記工程(10)が、工程(10)の溶出物に1%ポリソルベート20またはポリソルベート80を最終濃度0.01%(w/v)で加える工程を更に含む、請求項33に記載の方法。
  41. 前記工程(10)が:
    (a)溶出液を、荷電エンドトキシン結合フィルターを通過させる工程;
    (b)工程(a)のフィルターを最初に水でフラッシングし、次に50〜100mMリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、0.1〜0.3Mアルギニンを含む緩衝液でフラッシングし、濾過物を生成する工程;
    (c)工程(b)の濾過物を事前に平衡化した疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに掛ける工程であって、前記カラムが50〜100mMリン酸ナトリウム、10〜100mM硫安、800〜1000mM塩化ナトリウム、0.5〜1Mアルギニンで平衡化されている、工程;
    (d)工程(c)のカラムを50〜100mMリン酸ナトリウム、0.5〜1Mアルギニンで洗浄し溶出物を生成する工程;および
    (e)工程(d)の溶出物に1%ポリソルベート80またはポリソルベート20を加えて最終濃度を0.01%にする工程、
    を更に含む、請求項33に記載の方法。
  42. 工程(14)の濾過溶液を凍結乾燥または噴霧乾燥する工程を更に含む、請求項34に記載の方法。
  43. 請求項32〜42のいずれか一項に記載の方法で生成した、1つまたは複数の単離されたタンパク質。
  44. 少なくとも純度98%である、請求項43に記載の単離されたタンパク質。
  45. 請求項43に記載の単離されたタンパク質、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  46. 請求項44に記載の単離されたタンパク質、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  47. 約0.01〜1Mの塩形態のアルギニン、スルホブチルエーテルベータシクロデキストリンナトリウム、もしくはショ糖、またはそれらの組み合わせ、約0.01〜1Mリン酸二水素ナトリウム(NaHPO・HO)、約0.01%〜0.1%重量/容積(「w/v」)ポリソルベート80またはポリソルベート20、および請求項42に記載の単離されたタンパク質を含む、調合物。
  48. 消化管粘膜炎の予防または治療のための、請求項2または47に記載の調合物。
  49. 炎症性大腸炎(「IBD」)の予防または治療のための、請求項2または47に記載の調合物。
  50. 変形性関節症の予防または治療のための、請求項2または47に記載の調合物。
  51. 放射線曝露に関係する障害またはその症状の予防または治療のための、請求項2または47に記載の調合物。
  52. 中枢神経系の障害の予防または治療のための、請求項2または47に記載の調合物。
  53. 心血管疾患の予防または治療のための、請求項2または47に記載の調合物。
  54. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物の予防的有効量または治療的有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む、消化管粘膜炎を治療または予防する方法。
  55. 前記有効量が0.001〜3mg/kgの間である、請求項54に記載の方法。
  56. 投与が、0.001〜1mg/kg、0.01〜0.5mg/kg、0.01〜0.2mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kgの用量で投与される単回投与である、請求項54に記載の方法。
  57. 前記投与が、0.001〜1mg/kg、0.01〜0.5mg/kg、0.01〜0.2mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kgの各単位用量で投与される複数回投与である、請求項54に記載の方法。
  58. 前記消化管粘膜炎が、口腔粘膜炎、腸炎、食道炎、口内炎、または直腸炎である、請求項54に記載の方法。
  59. 前記消化管粘膜炎が、化学的傷害、生物学的傷害、放射線、またはそれらの組み合わせから生ずる、請求項54に記載の方法。
  60. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、炎症性大腸炎を治療または予防する方法。
  61. 前記炎症性大腸炎がクローン病または潰瘍性大腸炎である、請求項60に記載の方法。
  62. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、過敏性腸症候群を治療または予防する方法。
  63. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、上皮細胞または間葉細胞の増殖、分化、または移動を刺激する方法。
  64. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、関節炎または軟骨変性を治療または予防する方法。
  65. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、軟骨再生または修復を刺激する方法。
  66. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、卒中または神経変性疾患を治療または予防する方法。
  67. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、心血管疾患を治療または予防する方法。
  68. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、急速に増殖する組織に影響する傷害によって起こる障害、またはその1つもしくは複数の症状を治療または予防する方法。
  69. 前記傷害が放射線曝露、化学物質もしくは微生物への曝露、またはそれらの組み合わせである、請求項68に記載の方法。
  70. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、酸素消去経路をアップレギュレーションする方法。
  71. 被験体の細胞からの内因性サイトカインまたは内因性ケモカインの分泌を刺激する方法であって、予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法。
  72. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、造血幹細胞の増殖を刺激する方法。
  73. 予防的有効量または治療的有効量の、請求項1〜24のいずれか一項に記載の調合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、造血幹細胞移植を最適化する方法。
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