JP2007536381A - 消化管粘膜炎を予防または処置する方法 - Google Patents

消化管粘膜炎を予防または処置する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、消化管粘膜炎を予防および処置するための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明により、FGF−20、その断片、誘導体、改変体、ホモログ、またはアナログを含む組成物を使用することによる、消化管粘膜炎を予防および/または処置するための方法が提供される。本発明は、消化管粘膜炎を予防または処置する方法であって、その必要がある被験体に、配列番号24、26、28、または30のアミノ酸配列を有している単離されたタンパク質を含有する組成物の予防有効量または治療有効量を投与する工程を包含する、方法を提供する。

Description

(1.発明の分野)
本発明は、消化管粘膜炎を予防および処置するための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、FGF−20、その断片、誘導体、改変体、ホモログ、またはアナログを含有する組成物、および消化管粘膜炎の予防および処置におけるそれらの使用に関する。
(2.発明の背景)
(2.1 消化管粘膜炎)
消化管粘膜炎は、消化管への粘膜関門の損傷の形成を意味する。消化管粘膜炎は、例えば、食道、胃、小腸、結腸、および直腸を経る口から肛門までの消化管の一部または複数の部分に生じ得る。消化管粘膜炎の限定ではない例は、口腔粘膜炎、食道炎、胃炎、腸炎、および直腸炎である。例えば、非特許文献1;および非特許文献2を参照のこと。
消化管粘膜炎は、通常は、1つ以上の原因によって引き起こされ、最も一般的には、化学物質(単数または複数)または放射線、あるいはそれらの組み合わせによる。放射線は、例えば、放射線治療、不慮の放射線被曝、およびテロリストの攻撃による放射線被爆の結果であり得る。例えば、非特許文献3を参照のこと。化学的原因は、一般的には化学療法によるものである。
口腔粘膜炎は、一般的には、化学療法および放射線治療(特に、癌患者において)の痛みを伴う用量規定毒性として生じる。この障害は、例えば、潰瘍性の病変の形成を生じる口腔粘膜の破壊を特徴とする。骨髄抑制された患者においては、粘膜炎を伴う潰瘍が多くの場合に固有の口腔細菌の侵入口となり、これによって多くの場合、敗血症または菌血症に至る。口腔粘膜炎は、抗腫瘍薬による治療を受けている患者の3分の1超においてある程度生じる。頻度および重篤度は、白血病についての導入療法で処置された患者、または骨髄移植のための多くの馴化レジメンで処置された患者の間で明らかに高い。これらの個体の間では、中度から重症の口腔粘膜炎は患者の4分の3以上にとっては珍しいことではない。頭頸部の腫瘍についての放射線治療を受けた実質的に全ての患者に生じる中度から重症の粘膜炎は、15Gyの累積暴露で代表的に始まり、60Gyまたはそれ以上の総線量に達するとさらに悪化する(例えば、非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7を参照のこと)。
口腔粘膜炎に対して現在利用可能な医療は、大部分は、症状を軽減させるものであり、これには、リドカインのような局所鎮痛剤の塗布、ならびに/または麻酔薬および抗生物質の全身投与が挙げられる(例えば、非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7を参照のこと)。いくつかの薬剤は、口腔粘膜炎の予防または処置における安全性および効力について評価されている(例えば、非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;および非特許文献11を参照のこと)。これらとしては、粘膜保護剤、抗生物質、トランスホーミング増殖因子(TGF)、インターロイキン−11(IL−11)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、およびケラチノサイト成長因子(KGF)が挙げられる。最近、天然に存在しているヒトKGFの修飾された種類のもの(Palifermin,Amgen)が、米国において、造血幹細胞によるサポートが必要な骨髄毒性療法を受けた悪性血液疾患の患者の重症の口腔粘膜炎の発症および持続期間を減少させることについて認可された。
食道炎(食道の炎症)の主な臨床症状は、嚥下困難(飲み込むことが難しいこと)、嚥下痛(飲み込む際に痛みが伴うこと)、胸骨下胸痛(放射線により誘導された食道炎におけるもの)および/または胸骨後面胸痛(化学療法により誘導された食道炎におけるもの)である。例えば、非特許文献2を参照のこと。食道炎は、一般的には、局所麻酔剤、鎮痙薬、鎮痛剤の局所的な使用、および胃酸の逆流の処置によって処置される。ラニチジンまたはオメプラゾールが、特定の化学療法の後の上腹部痛および胸焼けの予防的減少のために推奨されている。一部の症例においては、食道炎の重篤度には、処置の一時的な中断、または処置プランの変更が必要である。例えば、非特許文献2を参照のこと。
胃炎(胃の炎症)は、放射線によって誘導される場合があり、例えば、消化不良および症候性胃炎(これは通常は一時的である)を特徴とする。一部の症例においては、胃潰瘍が起こる場合もある。化学療法により誘導される胃炎については、それほど多くの報告が公開されているわけではない。現在は、ヒスタミン−2レセプターアンタゴニストまたはプロトンポンプインヒビターが、胃炎を伴う症状を処置するために一般的に使用されている。例えば、非特許文献2;非特許文献12を参照のこと。
腸炎(腸、特に、小腸の炎症)は、腹部または骨盤の放射線治療、細胞毒性薬、またはそれらの組み合わせが投与された患者において一般的である。主な症状は、吐き気、腹部の痛み、腹部膨満感、および下痢である。放射線により誘導された下痢は、代表的に、放射線治療の開始後の最初の2週間の間に起こる。放射線により誘導された下痢の機構には、消化管の上皮陰窩細胞に対する急性の物理的な損傷が含まれる。このような損傷によって、細胞死(壊死)、炎症、および腸粘膜の潰瘍が生じ、これはその後、刺激性の胆汁酸塩にさらされて、日和見感染しやすくなる。例えば、非特許文献13を参照のこと。一般的に下痢を伴う化学療法薬としては、フルオロピリミジン(例えば、5−フルオロウラシル)、トポイソメラーゼ(topisomerase)Iインヒビター(例えば、イリノテカン、トポテカン)、および他の薬剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、シタラビン)が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、非特許文献14を参照のこと。慢性的な腸毒性もまた、放射線治療の後で、通常は、治療後6ヶ月から3年で起こり得る。患者は頻繁に断続的な便秘および下痢に見舞われ、これによって、栄養失調や電解質のバランスの異常が起こる場合もある。重症の症例においては、急性の腸閉塞、瘻孔、または腸の穿孔が生じる場合もある。例えば、非特許文献2を参照のこと。
最近の研究によって、2つの転写因子p53およびp21が、化学療法によって誘導された腸炎において重要な役割を担い得ることが示唆された。非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;および非特許文献18を参照のこと。Bcl−2ファミリーのタンパク質はまた、ほとんどの化学療法薬に対する小腸の感受性にも関与し得る。例えば、非特許文献2を参照のこと。
結腸の粘膜炎は、例えば、下痢および痙攣性の腹痛を特徴とする。結腸の慢性的な損傷は、繊維化した狭窄および偽性の閉塞によって引き起こされる断続的な下痢および便秘の症状を有する。イリノテカン(CPT−11)は、深刻な下痢を引き起こすことが報告されている。例えば、非特許文献19を参照のこと。
現在、腸炎は主に、例えば、従来の下痢止め薬、制吐薬、鎮痙薬、および消泡剤を患者に投与することによって、症状が処置されている。ソマトスタチンアナログ(例えば、オクトレオチド)、5−HTアンタゴニスト、またはNK1アンタゴニストもまた使用される場合がある。例えば、非特許文献2を参照のこと。
直腸炎(直腸の炎症)は、骨盤腫瘍のための放射線治療を受けた患者に一般的である。直腸炎は急性の放射線直腸炎である場合も、また、慢性の放射線直腸炎である場合もある。急性の放射線直腸炎の主な症状は、下痢、テネスムス(痙攣様の直腸の痛みを伴う急な便)および血便(血の混じった便)である。多くの患者にはまた、小腸が照射野に入っていない場合にもなお、上腹部から症状がでる。慢性の放射線直腸炎の主な症状は、頻繁に起こるかまたはまとまった排便、肛門の排出(anal discharge)、直腸の痛み、尿意促迫、テネスムス、失禁、および血便である。例えば、非特許文献2を参照のこと。局所麻酔薬調製物ロペラミド(ステロイドを含む坐剤)は、いくつかの症状を緩和することの助けとなり得る。ステロイドである5−アミノサリチル酸、スクラルファート浣腸剤、局所ホルマリンでの局所(内視鏡による)介入、電気焼灼器、レーザー治療、アルゴンプラズマビーム凝固、および外科手術を、出血を伴う放射線直腸炎を処置するために使用することができる。高圧酸素処置は、直腸壁の線維症または直腸の潰瘍によって引き起こされる難治性の痛みの重症の症状を有している患者において検討され得る。例えば、非特許文献2を参照のこと。
まとめると、消化管粘膜炎を効率よく予防または処置することができる方法または薬剤についての臨床的な必要性は高い。このような方法または薬剤は、放射線治療、化学療法、またはそれらの併用療法を受けているか、受ける予定がある癌患者、および放射線に被曝したかまたは被爆する予定がある人に特に有効である。
(2.2 線維芽細胞増殖因子)
線維芽細胞増殖因子(「FGF」)ファミリーには20を超えるメンバーが含まれ、それぞれが、保存されたアミノ酸コアを有している(例えば、非特許文献20を参照のこと)。FGFは、増殖、生存、アポトーシス、運動性、および分化のような種々の細胞機能を調節する(例えば、非特許文献21を参照のこと)。FGFファミリーのメンバーには、胚発生および一生の間の種々の生理学的および病理学的プロセス(形態形成、四肢発生、組織修復、炎症、新脈管形成、ならびに腫瘍の増殖および浸潤を含む)に関与している(例えば、非特許文献20;および非特許文献21を参照のこと)。
FGFは、細胞表面チロシンキナーゼFGFレセプター(FGFR)との高い親和性相互作用によってシグナルを伝達する。これらのFGFレセプターは、組織培養物中のほとんどのタイプの細胞上で発現される。例えば、FGFレセプター−1(FGFR−1)(これは、4種の既知のFGFレセプターのうちで最も幅広い発現パターンを示す)には、少なくとも7個のチロシンリン酸化部位が含まれる。多数のシグナル伝達分子は、これらのリン酸化部位に対して異なる親和力で結合することによって作用する。
FGFはまた、ほとんどの細胞表面マトリックスおよび細胞外マトリックス(ECM)上に存在するヘパリン硫酸プロテオグリカン(HSPG)にも、低い親和力ではあるが、結合する。FGFとHSPGとの間での相互作用は、FGF/FGFR相互作用を安定化させ、そしてFGFを隔離して、それらを分解から保護するように作用し得る(非特許文献22)。
別のFGFファミリーのメンバーである神経膠活性化因子(「GAF」)は、ヒトの神経膠腫細胞株の培養上清から精製されたヘパリン結合増殖因子である。非特許文献23を参照のこと。GAFは、他の既知の増殖因子の活性のスペクトルとはわずかに異なる活性のスペクトルを示し、FGF−9と命名されている。ヒトFGF−9 cDNAは、208個のアミノ酸のポリペプチドをコードする。FGFファミリーの他のメンバーに対する配列類似性はおよそ30%と概算された。他のファミリーのメンバーに見られる2つのシステイン残基および他のコンセンサス配列は、FGF−9配列においても十分に保存されていた。FGF−9には、酸性FGFおよび塩基性FGFのものと同様の代表的なシグナル配列は、そのN末端に含まれていないことが明らかになった。
酸性FGFおよび塩基性FGFは、従来の様式では細胞からは分泌されないことが知られている。しかし、FGF−9は、それが代表的なシグナル配列を欠いているにもかかわらず、cDNAでトランスフェクトされたCOS細胞から効率よく分泌されることが明らかにされている。これは、細胞の培養培地中でのみ検出することができた。分泌されたタンパク質は、cDNA配列によって予想されるものに関して、開始メチオニンを除くN末端のアミノ酸残基を欠失していなかった。ラットのFGF−9 cDNAもまたクローニングされており、構造分析によって、FGF−9遺伝子が高度に保存されていることが示されている。
相同性に基づくゲノム検索プロセスにより、新規のヒトFGFであるFGF−20が発見された。2000年1月13日に出願された特許文献1および2000年7月3日に提出された特許文献2を参照のこと。これらの参考文献の開示は参考として本明細書中に援用される。FGF−20のアミノ酸配列は、ヒトFGF−9(70%の同一性)およびFGF−16(64%の同一性)と近い相同性を示す。
米国特許出願公開第09/494,585号明細書 米国特許出願公開第09/609,543号明細書 Blijlevensら、「Bone Marrow Transplant」、2000年、第25巻、p.1269−1278 Keefeら、「Seminars in Oncology」、2004年、第20巻、p.38−47 Moulder、「Int.J.Radiat.Biol.」、2004年、第80巻、p.3−10 Peterson、「Curr Opin Oncol」、1999年、第11巻、第4号、p.261−266 Plevova、「Oral Oncol.」、1999年、第35巻、第5号、p.453−470 Knoxら、「Drugs Aging」、2000年、第17巻、第4号、p.257−267 Sonisら、「J.Clin Oncol」、2001年、第19巻、第8号、p.2201−2205 Rosenthalら、「Antibiot.Chemother.」、2000年、第50巻、p.115−132 Crawfordら、「Cytokines Cell Mol.Ther.」、1999年、第5巻、第4号、p.187−193 Bezら、「Oral Surg.Oral Med.Oral Pathol.Oral Radiol.Endod.」、1999年、第88巻、第3号、p.311−315 Danilenko、「Toxicol Pathol」、1999年、第27巻、第1号、p.64−71 Sartori、「J.Clin.Oncol.」、2000年、第18巻、p.463−467 Gwede、「Seminars in Oncology Nursing」、2003年、第19巻、p.6−10 Viele、「Seminars in Oncology Nursing」、2003年、第19巻、p.2−5 Pritchardら、「Clin.Cancer Res.」、2000年、第6巻、p.4389−4395 Pritchardら、「Cancer Res.」、1998年、第58巻、p.5453−5465 Bilimら、「J.Exp.Clin.Cancer Res.」、2000年、第19巻、p.483−488 Pottenら、「Stem Cells」、1997年、第15巻、p.82−93 Gibsonら、「J.Gastroenterol Hepatol.」、2003年、第18巻、p.1095−1100 Powersら、「Endocr.Relat.Cancer」、2000年、第7巻、第3号、p.165−197 Szebenyiら、「Int.Rev.Cytol.」、1999年、第185巻、p.45−106 SzebenyiおよびFallon、「Int.Rev.Cytol.」、1999年、第185巻、p.45−106 Miyamotoら、「Mol.Cell Biol.」、1993年、第13巻、第7号、p.4251−4259
(3.発明の要旨)
本発明により、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物を、その組成物を必要とする被験体に投与する工程を包含する、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。
1つの実施形態においては、本発明により、以下からなる群より選択される単離されたタンパク質の予防有効量および/または治療有効量を、それを必要とする被験体に投与する工程を包含する、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される:(a)配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40のアミノ酸配列を含むタンパク質;(b)(a)のタンパク質に対して1つ以上のアミノ酸置換を有しているタンパク質であって、ここで、上記置換は、配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40のアミノ酸配列の15%以下であり、1つ以上のアミノ酸置換を有している上記タンパク質は、細胞増殖刺激活性を保持しているタンパク質;および(c)(a)または(b)のタンパク質の断片であって、この断片は細胞増殖刺激活性を保持している、断片。
別の実施形態においては、本発明によって、以下からなる群より選択される単離された核酸分子を含む培養された宿主細胞から単離されたタンパク質の予防有効量または治療有効量を、それを必要とする被験体に投与する工程を包含する、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される:(a)配列番号1、3、5、6、8、9、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、および41からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子;(b)配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子;ならびに、(c)配列番号1、3、5、6、8、9、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、または41のヌクレオチド配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子あるいは上記核酸分子の相補体。特異的な実施形態においては、ストリンジェントな条件には、約0.1Mから約1.0Mまでのナトリウムイオンの塩濃度、約7.0から約8.3までのpH、少なくとも約60℃である温度と、0.2×SSC、0.01%のBSAの中での少なくとも1回の洗浄が含まれる。いくつかの特異的な実施形態においては、1つ以上のCG53135タンパク質が培養された真核生物細胞から単離される。いくつかの他の特異的な実施形態においては、1つ以上のCG53135タンパク質が培養された原核生物細胞から単離される。好ましい実施形態においては、1つ以上のCG53135タンパク質が大腸菌(E.coli)から単離される。特異的な実施形態においては、培養された宿主細胞から単離された1つ以上のCG53135タンパク質は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の純度を有する。
別の実施形態においては、本発明によって、薬学的に受容可能なキャリアおよび以下からなる群より選択される単離されたタンパク質を含有する組成物の予防有効量または治療有効量を、それを必要とする被験体に投与する工程を包含する、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される:(a)配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40のアミノ酸配列を含むタンパク質;(b)(a)のタンパク質に対して1つ以上のアミノ酸置換を有しているタンパク質であって、ここで、上記置換は、配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40のアミノ酸配列の15%以下であり、1つ以上のアミノ酸置換を有している上記タンパク質は、細胞増殖刺激活性を保持している、タンパク質;および(c)(a)または(b)のタンパク質の断片であって、細胞増殖刺激活性を保持している、断片。
特異的な実施形態においては、本発明にしたがって使用される薬学的に受容可能なキャリアには、0.04Mの酢酸ナトリウム、3%のグリセロール(容積/容積)、および0.2Mのアルギニン−HCl(pH5.3)が含まれる。
別の特異的な実施形態においては、本発明にしたがって使用される薬学的に受容可能なキャリアには、0.1〜1Mのアルギニンまたはその塩、0.01〜0.1Mの塩基性リン酸ナトリウム(NaHPO・HO)、および0.01〜0.1重量/容積(「w/v」)%のポリソルベート80またはポリソルベート20が含まれる。1つの実施形態においては、本発明の薬学的に受容可能なキャリアにおいて使用されるアルギニンまたはその塩は、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンからなる群より選択される。好ましい実施形態においては、薬学的に受容可能なキャリア中のアルギニンまたはその塩は、0.5Mである。別の実施形態においては、本発明の薬学的に受容可能なキャリアの中で使用される塩基性リン酸ナトリウムは、0.05Mである。別の実施形態においては、本発明にしたがって使用される薬学的に受容可能なキャリアの中のポリソルベート80またはポリソルベート20は、0.01%(w/v)である。
いくつかの実施形態においては、本発明の組成物には、薬学的に受容可能なキャリアと、0.005〜50mg/ml、0.5〜30mg/ml、1〜30mg/ml、または1〜10mg/mlの濃度の1つ以上のCG53135タンパク質が含まれる。特異的な実施形態においては、本発明の組成物には、配列番号24のアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質が含まれる。別の特異的な実施形態においては、本発明の組成物には、配列番号2のアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質が含まれる。いくつかの実施形態においては、本発明の組成物には、2つ以上のCG53135タンパク質が含まれる。1つの実施形態においては、本発明の組成物には、配列番号24のアミノ酸配列を含む第1のタンパク質、および配列番号2のアミノ酸配列を含む第2のタンパク質が含まれる。別の実施形態においては、本発明の組成物には、配列番号24のアミノ酸配列を含む第1のタンパク質、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2のタンパク質、および配列番号26、28、30、および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の単離されたタンパク質が含まれる。なお別の実施形態においては、本発明の組成物には、配列番号24のアミノ酸配列を含む第1のタンパク質、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2のタンパク質、配列番号28のアミノ酸配列を含む第3のタンパク質、配列番号30のアミノ酸配列を含む第4のタンパク質、および配列番号32のアミノ酸配列を含む第5のタンパク質が含まれる。1つの実施形態においては、本発明の組成物は凍結乾燥される。
本発明にしたがうと、予防または処置することができる消化管粘膜炎としては、口腔粘膜炎、腸炎、食道炎、胃炎、および直腸炎が挙げられるが、これらに限定されない。このような消化管粘膜炎は、化学物質による原因、生物学的原因、放射線、またはそれらの組み合わせによって引き起こされ得る。
1つの実施形態においては、消化管粘膜炎を予防および/または処置するための有効量は、0.001〜3mg/kgの間、0.01〜1mg/kgの間、または0.01〜0.5mg/kgの間(タンパク質濃度はUVアッセイによって測定される)である。別の実施形態においては、消化管粘膜炎を予防および/または処置するための有効量は、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、または約3mg/kg(タンパク質濃度はUVアッセイによって測定される)である。いくつかの実施形態においては、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物が、0.001〜1mg/kg、0.01〜0.5mg/kg、0.01〜0.2mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kg(タンパク質濃度はUVアッセイによって測定される)の投与量の単回投与として、それを必要とする被験体に投与される。いくつかの実施形態においては、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物が、0.001〜0.5mg/kg、0.01〜0.2mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kgの単位投与量をそれぞれが含む複数回投与として、それを必要とする被験体に投与される。いくつかの実施形態においては、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物が、それを必要とする被験体に非経口投与される(例えば、静脈内投与または皮下投与)。いくつかの実施形態においては、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物が、それを必要とする被験体に、直腸投与、経皮投与、または経粘膜的投与(例えば、鼻腔投与)によって投与される。
(3.1 専門用語)
本明細書中で使用される場合は、用語「CG53135」は、タンパク質の1つのクラス(ペプチドおよびポリペプチドを含む)、あるいは、そのようなタンパク質をコードする核酸またはそれらの相補鎖を意味する。ここで、タンパク質には、配列番号2のアミノ酸配列(211個のアミノ酸)、またはその断片、誘導体、改変体、ホモログ、もしくはアナログが含まれる。好ましい実施形態においては、CG53135タンパク質は、FGF−20(配列番号2)の少なくともいくらかの生物学的活性を保持している。本明細書中で使用される場合は、用語「生物学的活性」は、CG53135タンパク質が、FGF−20の同じ特性を、必ずしも全てではないがいくらか有している(そして、FGF−20と同じ程度である必要はない)ことを意味する。
CG53135ファミリーのメンバー(例えば、タンパク質および/またはタンパク質をコードする核酸)には、さらに、識別名が与えられている場合がある。例えば、CG53135−01(配列番号1および2)は、最初に同定されたFGF−20を示す(米国特許出願番号第09/494,585号を参照のこと);CG53135−05(配列番号8および2)は、コドンが最適化された全長のFGF−20を示す(すなわち、FGF−20をコードする核酸配列はコドン最適化されているが、アミノ酸配列は最初に同定されたFGF−20から変化していない);CG53135−12(配列番号21および22)は、CD53135−12の中の1つのアミノ酸が配列番号2とは異なる(206位のアスパラギン酸がアスパラギンに変化している、「206D→N」)FGF−20の一塩基多型(「SNP」)を示す。CG53135ファミリーのいくつかのメンバーは、それらの核酸配列が異なる場合があるが、同じCG53135タンパク質をコードする。例えば、CG53135−01、CG53135−03、およびCD53135−05は全て同じCG53135タンパク質をコードする。識別名はまた、インフレームクローン(in−frame clone;「IFC」)の数である場合もあり、例えば、IFC250059629(配列番号33および34)は、全長のFGF−20のアミノ酸63〜196を示す(ベクターにインフレームでクローニングされた)。表1は、CG53135ファミリーのメンバーのいくつかのまとめを示す。1つの実施形態においては、本発明には、その中のいくつかのアミノ酸残基(例えば、FGF−20(配列番号2)のアミノ酸配列の1%以下、2%以下、3%以下、5%以下、10%以下、または15%以下)が変化しているFGF−20タンパク質の改変体が含まれる。別の実施形態においては、本発明には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でFGF−20にハイブリダイズすることができる核酸分子が含まれる。
(表1 CG53135ファミリーのメンバーのいくつかのまとめ)
Figure 2007536381
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本明細書中で使用される場合は、用語「有効量」は、消化管粘膜炎またはその1つ以上の症状の重篤度および/もしくは期間を低下させるおよび/または緩和するため、消化管粘膜炎の進行を防ぐため、消化管粘膜炎の退縮を生じるため、消化管粘膜炎に伴う1つ以上の症状の再発、進行、または発症を防ぐため、あるいは、別の治療の予防効果または治療効果(単数または複数)を高めるかまたは改善するために十分な、治療薬(例えば、CG53135タンパク質を含む組成物)の量を意味する。
本明細書中で使用される場合は、用語「FGF−20」は、配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質、あるいは、そのようなタンパク質をコードする核酸配列またはその相補鎖を意味する。
本明細書中で使用される場合は、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、互いに少なくとも30%(好ましくは、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%)同一であるヌクレオチド配列が代表的には互いにハイブリダイズしたままでいられるハイブリダイゼーションおよび洗浄についての条件を記載する。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に見出され得る。1つの限定ではない例においては、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、約0.1Mから約1.0Mまでのナトリウムイオンの塩濃度、約7.0から約8.3までのpH、少なくとも約60℃である温度と、0.2×SSC、0.01%のBSAの中での少なくとも1回の洗浄が含まれる。別の限定ではない例においては、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で約45℃でのハイブリダイゼーション、その後の、0.1×SSC、0.2%のSDS中で約68℃での1回以上の洗浄である。なお別の限定ではない例においては、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSCで約45℃でのハイブリダイゼーション、その後の、0.2×SSC、0.1%のSDS中で約50〜65℃での1回以上の洗浄(すなわち、50℃、55℃、60℃、または65℃での1回以上の洗浄)である。本発明の核酸には、これらの条件下ではAまたはTヌクレオチドのみから構成されるヌクレオチド配列にしかハイブリダイズしない核酸分子は含まれないことが理解される。
本明細書中で使用される場合は、用語「単離された」は、タンパク質物質の文脈においては、それが導かれる細胞または組織供給源に由来する細胞性の物質または混入している複数のタンパク質を実質的に含まないか、あるいは、化学合成される場合には、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まないタンパク質物質を意味する。語句「細胞性の物質を実質的に含まない」には、タンパク質物質が、それが単離されるかまたは組み換えによって生成される細胞の細胞成分と分離されているタンパク質物質の調製物が含まれる。したがって、細胞性の物質を実質的に含まないタンパク質物質には、宿主の細胞タンパク質(「混入しているタンパク質」とも呼ばれる)を約30%未満、20%未満、10%未満、または5%未満(乾燥重量で)含むタンパク質物質の調製物が含まれる。タンパク質物質が組み換えによって生成される場合には、これには、培養培地が実質的には含まれないことが好ましい。すなわち、培養培地は、タンパク質物質調製物の容積の約20%未満、10%未満、または5%未満を占める。タンパク質物質が化学合成によって生成される場合には、これには、化学的前駆体または他の化学物質が実質的には含まれないことが好ましい。すなわち、これは、タンパク質物質の合成に関与している化学的前駆体または他の化学物質から分離されている。したがって、このようなタンパク質物質の調製物は、目的のタンパク質物質以外の化学的前駆体または化合物を約30%未満、20%未満、10%未満、5%未満(乾燥重量で)含む。特異的な実施形態においては、本明細書中で開示されるタンパク質物質は単離されている。
本明細書中で使用される場合は、用語「単離された」は、核酸分子の文脈においては、核酸分子の自然界での供給源の中に存在している他の核酸分子とは分離されている核酸分子を意味する。さらに、「単離された」核酸分子(例えば、cDNA分子)は、組み換え技術によって生成される場合には、他の細胞性の物質または培養培地を実質的に含まないようにすることができ、また、化学的に合成される場合には、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まないようにすることもできる。特異的な実施形態においては、核酸分子は単離されている。
本明細書中で使用される場合は、用語「防ぐ(prevent)」、「防ぐこと(preventing)」、および「予防(prevention)」は、治療薬(例えば、CG53135タンパク質を含む組成物)の投与または治療薬の組み合わせの投与によって生じる、被験体の消化管粘膜炎の再発、発症、もしくは進行、または、その1つ以上の症状の予防を意味する。
本明細書中で使用される場合は、用語「予防有効量」は、消化管粘膜炎の進行、再発、もしくは発症、またはその1つ以上の症状の予防を生じるか、あるいは、別の治療の予防効果(単数または複数)を高めるかまたは改善するために十分である、治療薬(例えば、CG53135タンパク質を含む組成物)の量を意味する。
本明細書中で使用される場合は、用語「被験体」(単数または複数)は動物を意味し、好ましくは、哺乳動物(霊長類以外の哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、またはイヌ)、霊長類(例えば、サル、チンパンジー、またはヒト)を含む)であり、より好ましくは、ヒトである。特定の実施形態においては、被験体は哺乳動物であり、好ましくは、消化管粘膜炎を誘導し得る原因(例えば、放射線、化学療法、化学兵器、または生物学的原因)に曝されているか、またはそれに曝されるヒトである。別の実施形態においては、被験体は、同様の原因に曝されているかまたはそれに曝される家畜(例えば、ウマ、ブタ、またはウシ)あるいはペット(例えば、イヌまたはネコ)である。用語「被験体」は、本発明においては、「患者」と相互変換可能に使用される。
本明細書中で使用される場合は、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、および「処置する(treating)」は、消化管粘膜炎の進行、重篤度、および/または期間の減少、あるいは、その1つ以上の症状の緩和を意味する。ここでは、そのような減少および/または緩和は、1つ以上の治療薬(例えば、CG53135タンパク質を含む組成物)の投与によって生じる。
本明細書中で使用される場合は、用語「治療有効量」は、消化管粘膜炎の重篤度を低下させるため、消化管粘膜炎の期間を短くするため、消化管粘膜炎の進行を防ぐため、消化管粘膜炎の退縮を生じるため、消化管粘膜炎を伴う1つ以上の症状を緩和するため、あるいは、別の治療薬の治療効果(単数または複数)を高めるかまたは改善するために十分である、治療薬(例えば、CG53135タンパク質を含む組成物)の量を意味する。
(5.発明の詳細な説明)
本発明によって、消化管粘膜炎の予防および/または処置のための方法が提供される。具体的には、本発明によって、消化管粘膜炎の処置および/または予防に使用することができる、線維芽細胞増殖因子(FGF)20、その改変体、誘導体、ホモログ、およびアナログ(まとめて「CG53135」と呼ばれる)が提供される。いずれの理論にも束縛されないが、本発明は、CG53135が上皮細胞および間葉細胞の増殖に対する刺激作用、ならびに、幹細胞(例えば、腸幹細胞および造血幹細胞であるがこれらに限定されない)に対する刺激作用を有しており、したがって、消化管粘膜炎の予防および/または処置に有効であるという、出願人らの発見に一部基づく。
開示を明確にするためであって、限定ではないが、本発明の詳細な説明を以下のサブセクションに分ける:
(i)CG53135
(ii)CG53135の調製方法
(iii)CG53135活性の特徴づけおよび実証、ならびに処置の間の効果のモニタリング
(iv)予防的使用および治療的使用
(v)投薬レジメン
(vi)薬学的組成物。
(5.1 CG53135)
本発明により、消化管粘膜炎の予防および/または処置のためのCG53135を含む組成物が提供される。本明細書中で使用される場合は、用語「CG53135」は、タンパク質の1つのクラス(ペプチドおよびポリペプチドを含む)、あるいは、そのようなタンパク質をコードする核酸またはそれらの相補鎖を意味する。ここで、タンパク質には、配列番号2のアミノ酸配列(211個のアミノ酸)、またはその断片、誘導体、改変体、ホモログ、もしくはアナログが含まれる。
1つの実施形態においては、CG53135タンパク質はFGF−20の改変体である。FGF−20タンパク質のアミノ酸配列に変化を生じるDNA配列多形が集団(例えば、ヒトの集団)の中に存在する場合があることは、当業者に明らかであろう。このようなFGF−20遺伝子の遺伝的多形は、天然の対立遺伝子のバリエーションが原因で、集団の中の個体間に存在する場合がある。このような天然の対立遺伝子のバリエーションは、代表的に、FGF−20遺伝子のヌクレオチド配列の1〜5%の相違を生じ得る。FGF−20タンパク質の天然の対立遺伝子のバリエーションの結果である、任意のおよび全てのこのようなFGF−20タンパク質中のヌクレオチドのバリエーションおよび生じるアミノ酸多形は、本発明の範囲内であると意図される。1つの実施形態においては、CG53135はCG53135−12(配列番号21および22)であり、これは、FGF−20の一塩基多形(「SNP」)(すなわち、206D→N)である(CG53135−12のさらに詳細な記載については、例えば、2003年11月4日に出願された米国特許出願公開第10/702,126号(その開示はその全体が参考として本明細書中に援用される)を参照のこと)。FGF−20のSNPの他の例はまた、米国特許出願公開第10/435,087号(その内容は参考として本明細書中に援用される)にも記載されている。
別の実施形態においては、CG53135は、他の種に由来するFGF−20タンパク質をコードする核酸分子、またはそれによってコードされるタンパク質を意味し、したがって、FGF−20のヒト配列とは異なるヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を有している。本発明のFGF−20 cDNAの天然の対立遺伝子改変体およびホモログに対応する核酸分子は、ヒトcDNAまたはその一部を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下での標準的なハイブリダイゼーション技術にしたがってハイブリダイゼーションプローブとして使用して、本明細書中に開示されるヒトFGF−20核酸に対するそれらの相同性に基づいて単離することができる。
別の実施形態においては、本発明により、CG53135タンパク質の断片が提供される。その断片としては、改変体FGF−20タンパク質の断片、成熟FGF−20タンパク質、および成熟FGF−20タンパク質の改変体、さらには、FGF−20核酸の対立遺伝子改変体および一塩基多形によってコードされるFGF−20タンパク質が挙げられる。CG53135タンパク質断片の例としては、FGF−20(配列番号2)の残基2〜211、3〜211、9〜211、12〜211、15〜211、24〜211、52〜211、54〜211、55〜211、63〜196、63〜211、または63〜194が挙げられるが、これらに限定はされない。1つの実施形態においては、核酸は、配列番号2の残基2〜211、3〜211、9〜211、12〜211、15〜211、24〜211、52〜211、54〜211、55〜211、63〜196、63〜211、または63〜194を含むタンパク質断片をコードする。
本発明にはまた、FGF−20の誘導体およびアナログも含まれる。FGF−20に関連する誘導体およびアナログの生成および使用は、本発明の範囲内である。
特異的な実施形態においては、誘導体またはアナログは機能的に活性であり、すなわち、全長の野生型FGF−20に関係している1つ以上の機能的活性を示すことができる。FGF−20の誘導体またはアナログは、当該分野で公知の手順によって所望される活性について試験することができ、これには、適切な細胞株、動物モデル、および臨床試験を使用することが含まれるが、これらに限定はされない。
特に、FGF−20誘導体は、機能的に等価な分子を提供する置換、挿入、または欠失によってFGF−20配列を変化させることにより作成することができる。1つの実施形態においては、このようなFGF−20配列の変更は、FGFタンパク質ファミリーにおいて保存されていない領域の中に行われる。ヌクレオチドコード配列の縮重によって、FGF−20と実質的に同じアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を、本発明の実施において使用することができる。これらには、配列の中での機能的に同等のアミノ酸残基をコードし、したがってサイレントな変化を生じる異なるコドンの置換によって変更される、FGF−20全体または一部を含む核酸配列が含まれるが、これに限定はされない。好ましい実施形態においては、野生型FGF−20核酸配列は、配列番号8(CG53135−05)の核酸配列にコドン最適化される。同様に、本発明のFGF−20誘導体には、一次アミノ酸配列として、配列内の残基が機能的に同等のアミノ酸残基で置換され、それによってサイレントな変化を生じる、変更された配列を含むFGF−20のアミノ酸配列全体またはその一部を含むものが含まれるが、これに限定はされない。例えば、配列内の1つ以上のアミノ酸残基は、機能的に同等に作用する類似する極性の別のアミノ酸で置換することができ、これによって、サイレントな変化が生じる。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれる。極性の中性のアミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。正電荷を帯びている(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれる。負電荷を帯びている(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。本発明のFGF−20誘導体にはまた、一次アミノ酸配列として、アミノ酸残基が類似する化学的性質を有している残基で置換されている変更された配列を含むFGF−20のアミノ酸配列全体またはその一部を含むものが含まれるが、これに限定はされない。特異的な実施形態においては、1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸が置換される。
FGF−20の誘導体またはアナログとしては、FGF−20またはその断片と実質的に相同であるか、あるいは、それをコードする核酸がFGF−20核酸配列にハイブリダイズすることができるタンパク質が挙げられるが、これらに限定はされない。
FGF−20の誘導体またはアナログはまた、例えば、PCT公開番号WO2004/018499 A2、ならびに、米国特許公開番号US2004/0087505 A1および同US2004/0038348 A1(それぞれの内容はその全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されている方法にしたがって作成することもできる。
本発明のFGF−20誘導体およびアナログは、当該分野で公知の種々の方法によって生成することができる。それらの生成を生じる操作は、遺伝子またはタンパク質レベルで行うことができる。例えば、クローン化されたFGF−20遺伝子配列は、当該分野で公知の任意の多数の方法のいずれかによって修飾することができる(例えば、Maniatis,T.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.)。配列は、インビトロで、制限エンドヌクレアーゼ(単数または複数)を用いて適切な部位で切断することができ、その後、所望される場合には、さらに酵素で修飾し、単離し、そして連結させることができる。FGF−20の誘導体またはアナログをコードする遺伝子の産生においては、所望されるFGF−20活性がコードされる遺伝子領域の中に翻訳終結シグナルにより中断されることなく、FGF−20と同じ翻訳リーディングフレーム内に修飾された遺伝子が残ることを確実にするように注意しなければならない。
さらに、FGF−20をコードする核酸配列は、配列の翻訳、開始、および/または終結を実行および/または破壊するため、あるいは、コード領域にバリエーションを作成するため、および/または新しい制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するため、あるいは既存の制限エンドヌクレオチドクレアーゼ部位を破壊するため、さらなるインビトロでの修飾を容易にするために、インビトロまたはインビボで変異させることができる。当該分野で公知の突然変異誘発のための任意の技術を使用することができ、これには、インビトロでの部位特異的突然変異誘発(Hutchinson,C.ら、1978、J.Biol.Chem 253:6551)、TAB.RTM.リンカー(Pharmacia)の使用などが含まれるが、これらに限定はされない。
FGF−20配列の操作は、タンパク質レベルで行うこともできる。翻訳の間または翻訳後に異なる方法で(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/封鎖基による誘導体化、タンパク質分解的切断、抗体分子または他の細胞性リガンドへの連結などによる)修飾されるFGF−20断片または他の誘導体もしくはアナログが、本発明の範囲に包含される。多数の化学修飾の任意のものを、公知の技術によって行うことができ、これには、遊離のNH−基、遊離のCOOH−基、OH−基、Trp−、Tyr−、Phe−、His−、Arg−、もしくはLys−の側鎖の保護または修飾;臭化シアン、ヒドロキシルアミン、BNPS−スカトール、酸もしくはアルカリ加水分解による特異的な化学的切断;トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による酵素的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシンの存在下での代謝合成;などに有用な試薬が挙げられるが、これらに限定はされない。
加えて、FGF−20のアナログおよび誘導体は化学合成することができる。例えば、所望されるドメインを含むか、またはインビトロでの所望される凝集活性もしくはレセプターへの結合を媒介する、FGF−20の一部に対応するタンパク質は、ペプチド合成装置の使用によって合成することができる。さらに、所望される場合には、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸アナログを、FGF−20配列への置換または付加として導入することができる。非古典的アミノ酸としては、一般的なアミノ酸のD型異性体、α−アミノ酸イソ酪酸、4−アミノ酪酸、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、デザイナーアミノ酸(例えば、β−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、およびNα−メチルアミノ酸)が挙げられるが、これらに限定はされない。
特異的な実施形態においては、FGF−20誘導体は、FGF−20アミノ酸以外の配列に対してそのアミノ末端および/またはカルボキシ末端でペプチド結合によって融合されたFGF−20またはその断片を含む、キメラタンパク質あるいは融合タンパク質である。1つの実施形態においては、FGF−20アミノ酸以外の配列は、FGF−20またはその断片のアミノ末端に融合される。別の実施形態においては、このようなキメラタンパク質は、(FGF−20をコードする配列以外の配列に対してインフレームで連結されたFGF−20をコードする配列を含む)タンパク質をコードする核酸の組み換え発現によって生成される。このようなキメラ生成物は、様々な会社(例えば、Retrogen,Operonなど)によってオーダーメードすることができ、また、当該分野で公知の方法によって所望されるアミノ酸配列をコードする適切な核酸配列を適切なコードフレーム内で互いに連結させ、そして当該分野で一般的に知られている方法によってキメラ産物を発現させることによって作成することもできる。あるいは、このようなキメラ生成物は、タンパク質合成技術によって(例えば、ペプチド合成装置の使用によって)作成される場合もある。特異的な実施形態においては、異種シグナル配列を有しているFGF−20をコードするキメラ核酸が発現させられる。この場合は、キメラタンパク質は細胞によって発現されて、成熟FGF−20タンパク質となるようにプロセシングされる。FGF−20とFGF−20遺伝子以外の遺伝子の一次配列はまた、コンピューターによるシミュレーション(HoppおよびWoods,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:3824−3828)を使用して分子の三次構造を予想するために使用することもできる;キメラ組み換え遺伝子は、三次構造と生物学的機能との間での相関関係を考慮して設計することができる。同様に、異種(FGF−20以外)のタンパク質をコードする配列に融合させられたFGF−20分子の必須の部分を含むキメラ遺伝子を構築することができる。特異的な実施形態においては、このようなキメラの構築は、FGF−20の安定性、可溶性、またはプロテアーゼに対する耐性を含むがこれらに限定はされない、FGF−20の1つ以上の所望される特性を増強させるために使用することができる。別の実施形態においては、キメラの構築は、特異的な部位に対してFGF−20を標的化させるために使用することができる。なお別の実施形態においては、キメラの構築は、本発明のFGF−20を同定または精製するために使用することができ、例えば、Hisタグ、FLAGタグ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク質(MalE)、セルロース結合タンパク質(CenA)、またはマンノースタンパク質などである。1つの実施形態においては、CG53135タンパク質はカルバミル化される。
いくつかの実施形態においては、CG53135タンパク質はそれが改善された可溶性および/またはインビボでの長い半減期を有するように、当該分野で公知の任意の方法を使用して修飾することができる。例えば、ヒトIgGのFc断片、または高分子量ポリエチレングリコール(PEG)のような不活性なポリマー分子を、タンパク質のN末端またはC末端に対するPEGの部位特異的結合により多機能リンカーを用いて、または、それを用いることなく、あるいは、リジン残基上に存在しているε−アミノ基を介して、CG53135タンパク質に結合させることができる。生物学的活性の損失を最小限にとどめることができる、直鎖状または分岐したポリマー誘導体が使用される。結合の程度は、SDS−PAGEおよび質量分析によって詳しくモニタリングすることができ、CG53135タンパク質へのPEG分子の適切な結合を確実にすることができる。未反応のPEGは、サイズ排除クロマトグラフィーによって、またはイオン交換クロマトグラフィーによって、CG53135−PEG結合体から分離することができる。PEGから誘導された結合体は、当業者に公知の方法を使用して、インビボでの効力について試験することができる。
CG53135タンパク質はまた、タンパク質をインビボでより安定なものにするため、またはインビボでより長い半減期を有するものにするために、アルブミンに結合させることもできる。この技術は当該分野で周知である。例えば、国際公開番号WO93/15199,同WO93/15200、および同WO01/77137;ならびに欧州特許第EP413,622号(これらの全てが参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。
いくつかの実施形態においては、CG53135は、CG53135−01(配列番号1および2)、CG53135−02(配列番号3および4)、CG53135−03(配列番号5および2)、CG53135−04(配列番号6および7)、CG53135−05(配列番号8および2)、CG53135−06(配列番号9および10)、CG53135−07(配列番号11および12)、CG53135−08(配列番号13および14)、CG53135−09(配列番号15および16)、CG53135−10(配列番号17および18)、CG53135−11(配列番号19および20)、CG53135−12(配列番号21および22)、CG53135−13(配列番号23および24)、CG53135−14(配列番号25および26)、CG53135−15(配列番号27および28)、CG53135−16(配列番号29および30)、CG53135−17(配列番号31および32)、IFC 250059629(配列番号33および34)、IFC 20059669(配列番号35および36)、IFC 317459553(配列番号37および38)、IFC 317459571(配列番号39および40)、IFC 250059596(配列番号41および10)、IFC 316351224(配列番号41および10)、またはそれらの組み合わせを意味する。特異的な実施形態においては、CG53135はカルバミル化され、例えば、カルバミル化されたCG53135−13タンパク質またはカルバミル化されたCG53135−05タンパク質である。
(5.2 CG53135を調製する方法)
CG53135タンパク質を単離する方法は、以前の出願、例えば、2000年7月3日に提出された米国特許出願番号09/609,543(その内容は本明細書中に参考として援用される)に記載されている。当該分野で公知の任意の技術をCG53135タンパク質の精製に使用することができ、これには、沈殿による分離、吸着による分離(例えば、カラムクロマトグラフィー、膜吸着、渦巻カラム、バッチ吸着、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、無機吸着剤、疎水性吸着剤、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー)、または溶液中での分離(例えば、ゲル濾過、電気泳動、液相分配、洗浄剤による分配、有機溶媒での抽出、および限外濾過)が含まれるが、これらに限定はされない。例えば、Scopes,PROTEIN PURIFICATION,PRINCIPLES AND PRACTICE,第3版,Springer(1994)を参照のこと。精製の間に、CG53135の生物学的活性を、1つ以上のインビトロまたはインビボでのアッセイによってモニタリングすることができる。CG53135の純度は、当該分野で公知の任意の方法によってアッセイすることができ、その方法は、例えば、ゲル電気泳動であるが、これに限定はされない。Scopes(前出)を参照のこと。いくつかの実施形態においては、本発明の組成物に使用されるCG53135タンパク質は、80から100%の純度の範囲内、または少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の純度であり得る。1つの実施形態においては、本発明の組成物に使用される1つ以上のCG53135タンパク質は、少なくとも99%の純度を有する。別の実施形態においては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動によってアッセイした場合には、CG53135は見かけ上均質になるように精製される。
当該分野で公知の方法を、CG53135タンパク質を組み換えによって生成するために利用することができる。CG53135タンパク質をコードする核酸配列は、宿主細胞の中での増殖および発現のための発現ベクターに挿入することができる。
発現構築物は、本明細書中で使用される場合は、適切な宿主細胞の中でCG53135タンパク質を発現することができる1つ以上の調節領域に作動可能に結合した、CG53135タンパク質をコードする核酸配列を意味する。「作動可能に結合した」は、調節領域と発現するCG53135配列とが連結され、そして転写、および最終的には翻訳が可能である形で配置されている結合を意味する。
CG53135の転写に不可欠な調節領域は、発現ベクターによって提供することができる。翻訳開始コドン(ATG)もまた、その同起源の開始コドンが欠失しているCG53135遺伝子配列が発現される場合には、提供することができる。適合する宿主−構築物システムにおいては、細胞性の転写因子(例えば、RNAポリメラーゼ)が発現構築物の調節領域に結合して、宿主生物中で修飾されたCG53135配列の転写を行う。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は、個々の宿主細胞によって異なり得る。一般的には、RNAポリメラーゼを結合させて、作動可能に結合された核酸配列の転写を促進することができるプロモーターが必要である。このような調節領域には、転写および翻訳の開始に関与する5’非コード配列(例えば、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列など)が含まれ得る。コード配列の3’にある非コード領域には、転写終結調節配列(例えば、ターミネーターおよびポリアデニル化部位)が含まれ得る。
調節機能(例えば、プロモーター)を有しているDNA配列をCG53135遺伝子配列に結合させるため、または、ベクターのクローニング部位にCG53135遺伝子配列を挿入するために、適切な適合する制限部位を提供するリンカーまたはアダプターが、当該分野で周知の技術によって、cDNAの末端に連結させられる場合がある(例えば、Wuら、1987、Methods in Enzymol,152:343−349を参照のこと)。制限酵素での切断の後には、連結の前に消化部分を削り取ること、または一本鎖DNA末端を埋めてしまうことによって、平滑末端を作成するための修飾を行うことができる。あるいは、所望される制限酵素部位を、所望される制限酵素部位を含むプライマーを用いるPCRを使用して、DNAの増幅によってDNAの断片に導入することもできる。
調節領域と作動可能に結合されたCG53135配列を含む発現構築物を、さらなるクローニングを行うことなく、CG53135タンパク質を発現および生成させるために、適切な宿主細胞に直接導入することができる。例えば、米国特許第5,580,859号を参照のこと。発現構築物にはまた、例えば、相同組み換えによる、宿主細胞のゲノムへのCG53135配列の組み込みを容易にするDNA配列を含めることもできる。この場合には、宿主細胞中でのCG53135の増殖および発現のために、適切な宿主細胞に適している複製起点を含む発現ベクターを使用することは不要である。
種々の発現ベクターを使用することができ、これには、プラスミド、コスミド、ファージ、ファージミド、または修飾されたウイルスが含まれ得るが、これらに限定はされない。このような宿主発現システムは、CG53135遺伝子のコード配列が生成され得、その後、精製され得るビヒクルであるが、また、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされると、CG53135をインサイチュで発現することができる細胞である場合もある。これらには、CG53135をコードする配列を含む組み換え体バクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌のような微生物(例えば、大腸菌(E.coli)、および枯草菌(B.subtilis));CG53135をコードする配列を含む組み換え体酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia));CG53135をコードする配列を含む組換え体ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させられた昆虫細胞システム;CG53135をコードする配列を含む組換え体ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させられたか、またはCG53135をコードする配列を含む組換え体プラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞システム;あるいは、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物のウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組み換え発現構築物を有している哺乳動物細胞システム(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が含まれるが、これらに限定はされない。好ましくは、細菌細胞(例えば、大腸菌(Escherichia coli)および真核生物細胞が、組み換え体CG53135分子の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のような哺乳動物細胞を、CG53135配列の効率的な発現のためのサイトメガロウイルスの主要中初期遺伝子に由来するプロモーターエレメントを有しているベクターと共に使用することができる(Foeckingら、1986,Gene 45:101;およびCockettら、1990,Bio/Technology 8:2)。
細菌システムにおいては、発現させられるCG53135分子について意図される用途に応じて、多数の発現ベクターを有利であるように選択することができる。例えば、多量のCG53135が産生される場合には、CG53135分子の薬学的組成物の作成のためには、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指示するベクターが所望される場合がある。このようなベクターとしては、大腸菌(E.coli)発現ベクターpCR2.1 TOPO(Invitrogen);pINベクター(InouyeおよびInouye,1985,Nucleic Acids Res.13:3101−3109;Van HeekeおよびSchuster,1989,J.Biol.Chem.24:5503−5509)などが挙げられるが、これらに限定はされない。pFLAG(Sigma)、pMAL(NEB)、およびpET(Novagen)のようなベクターのシリーズもまた、FLAGペプチド、malEタンパク質、またはCBDタンパク質を有している融合タンパク質として外来タンパク質を発現させるために使用することができる。これらの組み換え体タンパク質は、正確な折り畳みおよび成熟のために、ペリプラズム空間に向けられる場合がある。融合された部分は、発現されたタンパク質の親和性による精製のために使用することができる。エンテロキナーゼのような特異的プロテアーゼの切断部位が存在することにより、CG53135タンパク質を切断することができる。pGEXベクターは、グルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)を有している融合タンパク質として、外来タンパク質を発現させるためにもまた使用される場合がある。一般的には、このような融合タンパク質は可溶性であり、そして、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合、その後の遊離のグルタチオンの存在下での溶出によって、溶解させた細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子の産物をGST部分から切り離すことができるように、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
昆虫システムにおいては、多くのベクターを、外来遺伝子を発現させるために使用することができる。例えば、オートグラファ核多角体ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)を、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用することができる。このウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)の細胞のような細胞中で増殖する。CG53135をコードする配列は、このウイルスの必須ではない領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングすることができ、そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置することができる。
哺乳動物細胞システムにおいては、多数のウイルスをベースとする発現システムを利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合には、目的のCG53135をコードする配列を、アデノウイルスの転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プロモーターおよび3成分から構成されるリーダー配列)に連結することができる。このキメラ遺伝子は、その後、インビトロまたはインビボでの組み換えによってアデノウイルスのゲノムに挿入することができる。ウイルスのゲノムの必須ではない領域(例えば、領域EIまたはE3)への挿入によって、感染された宿主の中で生存することができ、その中でCG53135を発現することができる組み換え体ウイルスが得られる(例えば、LoganおよびShenk,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:355−359を参照のこと)。挿入されたCG53135をコードする配列の効率的な翻訳のために、特異的な開始シグナルが必要である場合もある。これらのシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするためには、所望されるコード配列のリーディングフレームと一致していなければならない。これらの外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、様々な起源のものであってよく、自然界に存在しているものであっても、また合成のものであってもいずれでもよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって高めることができる(例えば、Bittnerら、1987,Methods in Enzymol.153:51−544を参照のこと)。
加えて、挿入される配列の発現を調節するか、所望される特異的様式で遺伝子産物を修飾し、そしてプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に重要である場合がある。種々の宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾について、特徴的であり特異的である機構を有する。適切な細胞株または宿主システムは、発現される外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。この目的のためには、遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセシングおよび遺伝子産物の翻訳後修飾(例えば、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化)のための細胞性機構を有している真核生物宿主細胞を使用することができる。このような哺乳動物宿主細胞としては、PC12、CHO、VERY、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HBT2、BT2O、およびT47D、NS0(いずれの免疫グロブリン鎖をも内性的には生成しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、およびHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定はされない。翻訳後修飾がCG53135の所望される活性に必須ではないことが明らかになっている場合は、細菌システムまたは酵母システムでの発現を使用することができる。好ましい実施形態においては、大腸菌(E.coli)がCG53135配列を発現させるために使用される。
適切にプロセシングされたCG53135の長期間の多量の生成のためには、細胞中での安定な発現が好ましい。CG53135を安定に発現する細胞株は、選択マーカーを含むベクターを使用することによって操作することができる。限定ではないが例として、発現構築物の導入の後、操作された細胞は富化培地の中で1〜2日間増殖され、その後、選択培地に移され得る。発現構築物中の選択マーカーによって、選択のための耐性が付与され、そして最適に、細胞にはそれらの染色体に発現構築物を安定に組み込ませ、細胞が培養物中で増殖させられ、細胞株へと成長させることが可能になる。このような細胞は、CG53135を持続的に発現させながら、長期間培養することができる。
多数の選択システムを使用することができ、これには、抗生物質耐性(Neo(ゲネチシンに対する耐性を付与する)またはG−418(WuおよびWu,1991、Biotherapy 3:87−95;Tolstoshev,1993,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596;Mulligan,1993,Science 260:926−932;ならびにMorganおよびAnderson,1993,Ann.Rev.Biochem.62:191−217;1993年5月,TIB TECH 11(5):155−215);Zeo(ゼオシンに対する耐性のため);Bsd(ブラスチシジンに対する耐性のため)などのようなマーカー);代謝拮抗剤耐性(Dhfr(メトトレキセートに対する耐性を付与する),Wiglerら、1980,Natl.Acad.Sci.USA 77:357;O’Hareら、1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:1527のようなマーカー);gpt(ミコフェノール酸に対する耐性を付与する)(MulliganおよびBerg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:2072);およびhygro(ハイグロマイシンに対する耐性を付与する)(Santerreら、1984,Gene 30:147)が含まれるが、これらに限定はされない。加えて、変異体細胞株(tk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞を含むがこれらに限定されない)を、チミジンキナーゼ、ヒポキサンチン、グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼまたはアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼについての対応する遺伝子を有しているベクターと組み合わせて使用することができる。組み換えDNA技術についての当該分野で一般的に知られている方法を、所望される組み換え体クローンを選択するために日常的に行われているように適用することができ、そのような方法は、例えば、Ausubelら(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);およびDracopoliら(編)Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994)の第12章および第13章;Colberre−Garapinら、1981,J.Mol.Biol.,150:1に記載されている。
組み換え体細胞は、温度、インキュベーション時間、光学密度、および培地組成について標準的な条件下で培養することができる。しかし、組み換え体細胞の増殖のための条件は、CG53135の発現のためのそれらの条件とは異なる場合がある。修飾された培養条件および培地が、CG53135の生成を増強させるために使用される場合もある。当該分野で公知の任意の技術が、CG53135を産生するための最適条件を確立させるために適用される場合もある。
組み換え技術によってCG53135またはその断片を産生することに代替する方法は、ペプチド合成である。例えば、CG53135全体、またはCG53135の一部に対応するタンパク質を、ペプチド合成装置の使用によって合成することができる。当該分野で周知である従来のペプチド合成または他の合成プロトコールを使用することができる。
CG53135またはその一部のアミノ酸配列を有しているタンパク質は、Merrifield,1963,J.Am.Chem.Soc.,85:2149によって記載されている手順と同様の手順を使用して、固相ペプチド合成によって合成することができる。合成の間に、保護された側鎖を有しているN−α−保護アミノ酸を、そのC末端に連結させられた成長するポリペプチド鎖に対して、および不溶性の高分子支持体(すなわちポリスチレンビーズ)に対して一滴ずつ添加される。タンパク質は、それをジシクロヘキシルカルボジイミドのような試薬と反応させることによって活性化させられている、N−α−保護アミノ酸のα−カルボキシル基に対してN−α−脱保護アミノ酸のアミノ基を連結させることによって合成される。活性化させられたカルボキシルへの遊離のアミノ基の結合によって、ペプチド結合の形成が生じる。ほとんどの一般的に使用されているN−α−保護基としては、Boc(これは酸に不安定である)およびFmoc(これは塩基に不安定である)が挙げられる。適切な化学的性質、樹脂、保護基、保護されたアミノ酸、および試薬についての詳細は当該分野で周知であり、したがって、本明細書においては詳細には議論されない(Athertonら、1989,Solid Phase Peptide Syntyesis:A Practical Approach,IRL Press,およびBodanszky,1993,Peptide Chemistry,A Practical Textbook,第2版,Springer−Verlagを参照のこと)。
得られるCG53135タンパク質の精製は、従来の手順(例えば、ゲル浸透を使用する分配HPLC、分配および/またはイオン交換クロマトグラフィー)を使用して行うことができる。適切なマトリックスおよび緩衝液の選択は当該分野で周知であり、したがって、本明細書中では詳細には議論されない。
CG53135タンパク質を調製するための方法についての限定ではない例は、以下のセクション6に見ることができる。
(5.3 CG53135の活性の特性決定と実証、および処置の間の効果のモニタリング)
当該分野で公知である任意の方法を、本発明にしたがって使用される組成物中の精製されたCG53135タンパク質の実体を決定するために使用することができる。このような方法としては、ウェスタンブロット、配列決定(例えば、エドマン配列決定)、液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC、UVとエレクトロスプレー質量分析法の両方を用いるRP−HPLC)、質量分析法、全アミノ酸の分析、ペプチドマッピング、およびSDS−PAGEが挙げられるが、これらに限定はされない。CG53135タンパク質の二次構造、三次構造、および/または四次構造は、当該分野で公知の任意の方法によって分析することができる。例えば、遠紫外線円偏光二色性分光法を使用して、二次構造を分析することができ、近紫外線円偏光二色性分光法と二次導関数UV吸光度測定を使用して三次構造を分析することができ、そして光散乱SEC−HPLCを使用して四次構造を分析することができる。
本発明にしたがって使用される組成物中のCG53135タンパク質の純度は、当該分野で公知の任意の方法によって分析することができ、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(「SDS−PAGE」)、逆相高速液体クロマトグラフィー(「RP−HPLC」)、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(「SEC−HPLC」)、およびウェスタンブロット(例えば、宿主細胞のタンパク質のウェスタンブロット)であるが、これらに限定はされない。好ましい実施形態においては、本発明にしたがって使用される組成物中のCG53135タンパク質は、密度測定によると、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の純度である。別の好ましい実施形態においては、本発明にしたがって使用される組成物中のCG53135タンパク質は、密度測定によると、97%を超えるか、98%を超えるか、または99%を超える純度である。
本発明にしたがって使用されるCG53135の生物学的活性および/または効力は、当該分野で公知の任意の方法によって決定することができる。例えば、本発明の方法に従う治療において使用される組成物は、FGF−20が保有している1つ以上の活性(例えば、細胞増殖刺激活性)について適切な細胞株の中で試験することができる。このようなアッセイの限定ではない例は、以下のセクション6.4に記載される。
本発明の方法に従う治療に使用される組成物はまた、ヒトでの試験の前に適切な動物モデルシステムにおいて試験することもできる。このような動物モデルシステムとしては、ラット、マウス、ハムスター、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどの粘膜炎モデルが挙げられるが、これらに限定はされない。当該分野で公知の粘膜炎についての主要な動物モデルとしては、マウスの口腔粘膜炎モデル(Xuら,Radiother Oncol 1:369−374(1984));ハムスターの口腔粘膜炎モデル,Sonis,:Teicher B(編)Tumor models in cancer research,Humana Press,Totowa,New Jersey(2002);ラットの胃腸粘膜炎モデル、Gibsonら,J Gastroenterol Hepato 18:1095−1100(2003);マウスの腸幹細胞、Pottenら,Gut 36(6):864−873(1995)が挙げられるが、これらに限定はされない。
粘膜炎モデルでの実験における薬剤の活性の推定を確立するためには、動物の観察的試験、さらにはそれらの生存状態を組み合わせた指数を開発することができる。限定的ではない例は、以下のセクション6.5に記載される。当該分野で公知のヒト患者についてのステージ決定/スコアリングシステムもまた使用することができ、例えば、World Health Organization(WHO)口腔粘膜炎(OM)スコアリングシステムおよび/またはOral Mucositis Assessment Scale(OMAS)を、口腔粘膜炎を予防および/または処置することにおける本発明の組成物の有効性を評価するために使用することができる。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを、消化管粘膜炎の予防および/または処置のための本明細書中に開示される併用療法の予防的有用性および/または治療的有用性を評価するために使用することができる。
消化管粘膜炎を予防および/または処置することに対するCG53135の有効性は、当業者に公知の任意の方法によってモニタリングすることができ、これには、臨床的評価、および生体試料中のCG53135生体マーカーのレベルの測定が含まれるが、これらに限定はされない。CG53135生体マーカーとしては、CXCL1、IL−6、およびIL−8が挙げられるが、これらに限定はされない。
単独でのCG53135の使用、または別の治療法(例えば、別の治療薬または予防薬)と組み合わせたCG53135の使用の間の全ての有害な作用もまたモニタリングされることが好ましい。癌の処置の間の化学療法についての有害な作用の例としては、胃腸毒性(例えば、初期および後期に生じる下痢および膨満であるが、これらに限定はされない);吐き気;嘔吐;拒食症;白血球減少症;貧血;好中球減少症;無力症;腹部痙攣;発熱;疼痛;体重の減少;脱水;脱毛症;呼吸困難;不眠症;眩暈;粘膜炎;口内乾燥、および腎不全、ならびに便秘、神経および筋肉の作用、腎臓および膀胱に対する一時的または永久的な損傷、インフルエンザに似た症状、体液貯留ならびに一時的な不妊または永久的な不妊が挙げられるが、これらに限定はされない。放射線治療による有害な作用としては、疲労、口の乾燥、および食欲不振が挙げられるが、これらに限定はされない。他の有害な作用としては、胃腸毒性(例えば、初期および後期に生じる下痢および膨満であるが、これらに限定はされない);吐き気;嘔吐;拒食症;白血球減少症;貧血;好中球減少症;無力症;腹部痙攣;発熱;疼痛;体重の減少;脱水;脱毛症;呼吸困難;不眠症;眩暈;粘膜炎;口内乾燥、および腎不全が挙げられるが、これらに限定はされない。生物療法/免疫療法による有害な作用としては、投与部位の発疹または腫れ、インフルエンザに似た症状(例えば、発熱、悪寒、および疲労)、消化管の不調およびアレルギー反応が挙げられるが、これらに限定はされない。ホルモン療法による有害な作用としては、吐き気、不妊の問題、鬱病、食欲不振、眼疾患、頭痛、および体重の変化が挙げられるが、これらに限定はされない。患者が一般的に見舞われるさらなる望ましくない作用は多数あり、当該分野で公知である。多くは、Physicians’ Desk Reference(第58版、2004年)に記載されている。
(5.4 予防的および治療的使用)
本発明により、1つ以上の単離されたCG53135タンパク質を含む組成物の有効量を、それが必要な被験体に投与する工程を含む、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。
本発明の方法によって予防または処置することができる消化管粘膜炎としては、口腔粘膜炎、食道炎、胃炎、腸炎、および直腸炎が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態においては、本発明の方法には、1つ以上の単離されたCG53135タンパク質を含む組成物の有効量を、消化管の1つ以上の領域に粘膜炎を有している被験体(例えば、口腔粘膜炎と腸炎の両方を有している被験体)に投与する工程が含まれる。いくつかの実施形態においては、本発明の方法には、1つ以上の単離されたCG53135タンパク質を含む組成物の有効量を、消化管の1つの領域だけに粘膜炎を有している被験体(例えば、口腔粘膜炎だけを有している被験体、または腸炎だけを有している被験体)に投与する工程が含まれる。好ましい実施形態においては、本発明の方法によって予防および/または処置することができる消化管粘膜炎は口腔粘膜炎である。いくつかの実施形態においては、本発明の方法によって予防または処置することができる消化管粘膜炎は、口腔粘膜炎ではない。消化管粘膜炎は、例えば、化学物質による原因、放射線である原因、生物学的原因(例えば、細菌)、またはそれらの組み合わせによって誘導され得る。
本発明によって、消化管粘膜炎を有している患者の集団、および消化管粘膜炎を発症するリスクがある集団において、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。1つの実施形態においては、本発明によって、放射線治療および/または化学療法で処置された被験体において、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。別の実施形態においては、本発明によって、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物を、放射線治療および/または化学療法で処置される予定の被験体に投与することによって、消化管粘膜炎を予防する方法が提供される。特定の実施形態においては、本発明によって、自己造血幹細胞移植または同種造血幹細胞移植の準備において、馴化骨髄機能破壊的放射線治療および/または化学療法で処置された被験体の消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。別の特定の実施形態においては、本発明によって、粘膜炎を誘導する物質での粘膜毒性化学療法を受けた被験体または受けている被験体(例えば、シタラビンで処置された白血病患者)において、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。なお別の特定の実施形態においては、本発明によって、アジュバント化学治療を用いるかまたは用いずに、放射線治療で処置された頭部および/または頸部の癌の被験体の消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。
1つの実施形態においては、本発明によって、被験体に消化管粘膜炎の発症を誘導し得る原因(例えば、化学物質である原因、放射線である原因、生物学的原因、またはそれらの組み合わせ)が生じる前に、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物を投与する工程を含む、消化管粘膜炎を予防する方法が提供される。別の実施形態においては、本発明によって、被験体に消化管粘膜炎の発症を誘導し得る原因(例えば、化学物質である原因、放射線である原因、生物学的原因、またはそれらの組み合わせ)が生じた後に、しかし、被験体において消化管粘膜炎が発症する前に、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物を投与する工程を含む、消化管粘膜炎を予防する方法が提供される。なお別の実施形態においては、本発明によって、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物を、被験体において消化管粘膜炎が発症した後に投与する工程を含む、消化管粘膜炎を処置する方法が提供される。
いくつかの実施形態においては、本発明によって、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物をサイクル投与する工程を含む、消化管粘膜炎を予防および/または処置する方法が提供される。1つの実施形態においては、サイクリング療法には、治療薬の1つの副作用を回避もしくは低減させるため、および/または治療薬の効力を改善するための、しばらくの間の第1の治療薬の投与、その後の、しばらくの間の第2の治療薬の投与、ならびに、この連続投与を繰り返すこと、すなわち、サイクルが含まれる。別の実施形態においては、サイクリング療法には、しばらく間の1つの治療薬の投与、しばらくの間の治療の停止、および治療薬の投与を繰り返すことが含まれる。本発明にしたがうと、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物は、放射線治療および/または化学療法の投与の前、その間、またはその後に被験体に投与することができる。この場合、そのような放射線治療および/または化学療法は、サイクリング療法である。
本発明にしたがうと、1つ以上の単離されたCG53135タンパク質を含む組成物はまた、消化管粘膜炎を予防および/または処置するために他の治療薬と組み合わせて使用することもできる。1つの実施形態においては、1つ以上の単離されたCG53135タンパク質を含む組成物は、消化管粘膜炎を予防および/または処置するために、被験体に対して、消化管粘膜炎に対して予防および/または治療効果(単数または複数)を有している、ならびに/あるいは、消化管粘膜炎に伴う1つ以上の症状に対して緩和効果(単数または複数)を有している1つ以上の他の薬剤と組み合わせて投与される。このような薬剤の限定ではない例は、粘膜保護剤(例えば、スクラルファート、コロイド状ビスマス)、抗生物質、抗真菌剤(例えば、フルコナゾール、アンホテリシンB)、抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル)、制吐剤(例えば、フェノチアジン、ブチルフェノン、ベンゾチアゼピン、コルチコステロイド、カンナビノイド、5−HT3セロトニンレセプター遮断薬)、下痢止剤(例えば、ジフェノキシレート、ロペラミド、カオリン、ペクチン、メチルアセルロース、活性化アタパルジャイト、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID))、トランスホーミング増殖因子(TGF)、インターロイキン−11(IL−11)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、L−グルタミン、アミフォステン、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)である。別の実施形態においては、1つ以上の単離されたCG53135タンパク質を含む組成物が、消化管粘膜炎に対して緩和効果を有している1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与される。このような治療薬の限定ではない例は:リドカインのような局所鎮痛剤の塗布、ならびに/または麻酔薬および抗生物質の全身投与、リン酸カルシウムを伴うかまたは伴わない局所フッ化物塗布、機械的プラークの除去、tooth sponges、氷の小片を口に含んで口腔の冷却を生じること、種々の感染防止剤での口腔洗浄、局所麻酔剤を含む口腔洗浄剤である。
(5.5 投薬レジメン)
本発明の予防および/または治療プロトコールの毒性および効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性作用と治療効果との間での用量比が治療指数であり、これは、LD50/ED50比として表すことができる。大きい治療指数を示す予防薬および/または治療薬が好ましい。毒性の副作用を示す予防薬および/または治療薬が使用され得る場合には、感染していない細胞を損傷させてしまう可能性を最小にし、それによって副作用を減少させるために、罹患した組織部位に対してそのような薬剤を標的化する送達システムを設計するように注意を払わなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物実験によって得られたデータは、ヒトで使用するための予防薬および/または治療薬の投与量の範囲を策定することに使用することができる。このような薬剤の投与量は、ほとんど毒性がないか、または毒性が全くないED50を含む循環濃度の範囲にあることが好ましい。投与量は、使用される投与形態と利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化させることができる。本発明の方法で使用される任意の薬剤について、治療有効用量は、細胞培養アッセイによって最初に推定することができる。用量は、細胞培養物中で決定されたIC50(すなわち、症状の最大の阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲に達するように、動物モデルにおいて策定される。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中でのレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
特定の障害または症状の処置に有効であり得る本発明の組成物の量は、障害または症状の性質に応じて様々であり、そして標準的な臨床的技術によって決定することができる。処方物中で使用される正確な用量はまた、投与経路、疾患または障害の重傷度に応じて様々であり、そして医師による判断と個々の患者の状況にしたがって決定されるべきである。
1つの実施形態においては、本発明によって提供されるヒト患者への投与のための1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物の投与量は、少なくとも0.001mg/kg、少なくとも0.005mg/kg、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.03mg/kg、少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.6mg/kg、少なくとも0.7mg/kg、少なくとも0.8mg/kg、少なくとも0.9mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも9mg/kg、または少なくとも10mg/kg(UVアッセイによって測定した場合)である。別の実施形態においては、本発明によって提供されるヒト患者への投与のための1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物の投与量は、0.001〜10mg/kgの間、0.005〜5mg/kgの間、0.01〜1mg/kgの間、0.01〜0.9mg/kgの間、0.01〜0.8mg/kgの間、0.01〜0.7mg/kgの間、0.01〜0.6mg/kgの間、0.01〜0.5mg/kgの間、または0.01〜0.3mg/kgの間(UVアッセイによって測定した場合)である。
タンパク質濃度は、当該分野で公知の方法、例えば、BradfordアッセイまたはUVアッセイによって測定することができ、濃度は、どのアッセイが使用されるかによって変化し得る。限定ではない例においては、本発明の薬学的組成物中のタンパク質濃度は、280nmの波長でのUV吸収の直接の測定と、CG53135タンパク質についての十分に特性決定されている参照標準物(IgGの代わりに)での較正を使用するUVアッセイによって測定される。(CG53135参照標準物を使用した)このUV法を用いて得られた試験結果は、Bradford法(較正にIgGを使用した)を用いた同じ試料(単数または複数)についての試験結果の3分の1である。例えば、本発明によって提供されるヒト患者に投与するための1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物の投与量は、UVアッセイによって測定すると0.001〜10mg/kgの間である場合には、Bradfordアッセイによって測定すると、投与量は0.003〜30mg/kgである。
1つの実施形態においては、第1の全用量を投与する前に、個々の患者には、任意の急激な不耐症を検出するために、少量(例えば、所定の用量の1/100から1/10)の本発明の組成物の皮下注射が投与されることが好ましい。注射部位は、試験後1時間および2時間でチェックされる。反応が検出されなければ、全用量が投与される。
(5.6 薬学的組成物)
本発明にしたがって使用される組成物は、消化管粘膜炎を予防および/または処置するための予防有効量または治療有効量で被験体に投与することができる。種々の送達システムが公知であり、本発明の方法にしたがって使用される組成物を投与するために使用することができる。このような送達システムとしては、リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセルへのカプセル化、組み換え体細胞による発現、レセプターによって媒介されるエンドサイトーシス、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての本発明の核酸の構築などが挙げられるが、これらに限定はされない。導入方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、脳室内、硬膜外、静脈内、皮下、鼻腔内、腫瘍内、経皮、経粘膜、直腸、および経口の経路が挙げられるが、これらに限定はされない。本発明の方法にしたがって使用される組成物は、任意の従来的な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮もしくは粘膜内層(例えば、眼粘膜、口腔粘膜、膣粘膜、直腸および小腸粘膜など)を介する吸収によって投与することができ、また、他の生物学的に活性な物質と一緒に投与することもできる。投与は、全身的であっても、また、局所的であってもよい。特定の実施形態においては、本発明には、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物が予め充填されている、1室または2室の注射器(好ましくは、針を安全にするためのデバイスと細い針が取り付けられているもの)を使用することが含まれる。1つの実施形態においては、2室注射器(例えば、Vetter Pharmar−FertigungによるVetter Lyo−Ject二室注射器)が使用される。このようなシステムは、凍結乾燥させられた処方物について所望され、そして緊急時に特に有用である。
いくつかの実施形態においては、本発明の薬学的組成物を、処置が必要な領域に局所的に投与することが所望される場合がある。これは、例えば、外科手術の間の局所注入、または局所塗布(例えば、外科手術後の創傷包帯と組み合わせて)、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、または移植によって(上記移植物は、多孔性、非孔性、またはゼラチン状物質(例えば、シラスティック膜または繊維のような膜を含む)である)行うことができる。1つの実施形態においては、投与は、原因(例えば、放射線、化学療法、または化学兵器/生物兵器)に対して最も敏感な迅速に増殖している組織の部位(またはそれよりも前の部位)への直接の注射によって行うことができる。
本発明の組成物が予防薬または治療薬をコードする核酸であるいくつかの実施形態においては、核酸は、適切な核酸発現ベクターの一部として核酸を構築すること、およびそれが、例えば、レトロウイルスベクターの使用によって細胞内に存在するようにそれを投与することによって、または直接の注射によって、あるいはマイクロ粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃)または脂質もしくは細胞表面レセプターもしくはトランスフェクトする物質でのコーティングの使用によって、あるいは、核に入ることが知られているホメオボックス様ペプチドに連結させてそれを投与することなどによって、それらのコードするタンパク質(例えば、CG53135タンパク質)の発現を促進するように、インビボで投与することができる。あるいは、本発明の核酸は、相同組み換えによって、発現のための宿主細胞内に導入することができ、そして宿主細胞DNAに取り込ませることができる。
本発明には、単位投与量形態の調製に使用することができる薬学的組成物の製造に有用であるバルクの薬剤組成物が含まれる。好ましい実施形態においては、本発明の組成物は薬学的組成物である。このような組成物には、CG53135の予防有効量または治療有効量と、薬学的に受容可能なキャリアが含まれる。好ましくは、薬学的組成物は、被験体への投与経路に適切であるように処方される。
1つの実施形態においては、用語「薬学的に受容可能な」は、連邦政府または州政府の監督機関によって承認されていること、または米国薬局方に列挙されていること、あるいは、他の「人への使用について一般的に安全であると認められた」もの(Generally Regarded as Safe(GRAS))を意味する。用語「キャリア」は、CG53135がともに投与される希釈剤、アジュバント、膨張性薬剤(例えば、種々の塩の形態のアルギニン、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム、またはスクロース)、賦形剤、またはビヒクルを意味する。このような薬学的キャリアは、滅菌の液体(例えば、水および油(例えば、ワセリン、動物性油脂、植物性油脂、または合成起源の油脂、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など))、あるいは固体キャリア(例えば、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、またはカプセル化剤としても作用し得る1つ以上の物質)であり得る。薬学的組成物が静脈内に投与される場合には、水が好ましいキャリアである。生理食塩溶液および水溶性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、液体のキャリアとして、特に注射可能な溶液に使用することができる。適切な薬学的賦形剤としては、デンプンまたはその合成によって改変された誘導体(例えば、ヒドロキシエチルデンプン)、ステアリン酸塩、グリセロール、グルコース、ラクトース、スクロース、トレハロース、ゼラチン、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。組成物には、所望される場合は、主要ではない量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝化剤もまた含めることができる。
CG53135を含む組成物は、任意の多くの可能な投与形態に処方することができ、例えば、液体、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル、軟質ゲル、丸剤、散剤、浣腸剤、徐放処方物などであるが、これらに限定はされない。CG53135を含む組成物はまた、水性媒体、非水性媒体、または混合媒体中の懸濁液として処方される場合もある。水性懸濁液にはさらに、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含む、懸濁液の粘性を増大させる物質が含まれる場合がある。懸濁液にはまた、安定剤も含まれる場合がある。組成物はまた、従来の結合剤とトリグリセリドのようなキャリアを用いて、坐剤として処方することもできる。経口用処方物には、標準的なキャリア(例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプンまたは合成によって改変されたその誘導体(例えば、ヒドロキシエチルデンプン)、ステアリン酸塩、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど)が含まれ得る。
CG53135を含む薬学的組成物は、その意図される投与経路に適合するように処方される。特定の実施形態においては、組成物は、日常的に使用される手順にしたがって、ヒトへの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、腫瘍内、または局所投与に適合させられた薬学的組成物として処方される。通常、静脈内投与のための組成物は、滅菌の等張性または高浸透圧の水性緩衝液中の溶液である。必要である場合には、組成物には、可溶化剤と局所麻酔剤(例えば、ベンジルアルコールまたはヨードカイン)が、注射部位の痛みを和らげるために含まれる場合もある。
CG53135を含む組成物が局所投与される場合には、組成物は、経皮パッチ、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、ドロップ剤、坐剤、噴霧剤、液剤、および散剤の形態に処方することができる。従来の薬学的キャリア、水性基剤、粉末基剤、または油状の基剤、増粘剤などが必要である場合も、また所望される場合もある。コーティングされたコンドーム、手袋などもまた有用である場合がある。好ましい局所処方物としては、本発明の組成物が局所送達用物質(例えば、脂質、リポソーム、ミセル、乳濁液、スフィンゴミエリン、脂質−タンパク質複合体、または脂質−ペプチド複合体、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤、および界面活性剤であるが、これらに限定はされない)と混合されているものが含まれる。CG53135を含む組成物は、リポソームの中にカプセル化することができ、また、それらに対する、具体的には、陽イオン性リポソームに対して錯体形成することもできる。あるいは、CG53135を含む組成物は、脂質、具体的には、陽イオン性脂質に対して錯体形成させられる場合もある。噴霧することができない局所投与形態については、局所投与に適合するキャリアまたは1つ以上の賦形剤を含み、そして好ましくは、水より大きな動的粘性係数を有している、半固体または固体の形態になるような粘性の投与形態が、一般的には使用される。他の適切な局所投与形態としては、噴霧することができるエアゾール調製物が挙げられる。この場合、有効成分は、好ましくは、固体または液体の不活性なキャリアと混合されており、加圧された揮発性物質(例えば、気体推進剤(例えば、Freonまたはヒドロフルオロカーボン))と混合されてパッケージされるか、または小型容器の中にパッケージされる。湿潤剤または加湿剤もまた、所望される場合には、薬学的組成物および投与形態に添加することができる。このような添加される成分の例は当該分野で周知である。
CG53135を含む組成物は、鼻腔内投与が好ましい場合には、エアゾール形態、噴霧、霧、または液滴もしくは粉末の形態に処方することができる。具体的には、CG53135を含む組成物は、従来は、適切な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、他のヒドロフルオロカーボン、二酸化炭素、または他の適切な気体)の使用によって、加圧されたパックまたはネブライザーからのエアゾールスプレーの提示の形態で送達され得る。加圧されたエアゾールの場合には、投与単位は、定量を送達するバルブを提供することによって決定される場合がある。化合物と適切な粉末基剤(例えば、二糖またはデンプン)の粉末混合物を含む、吸入器または吸入装置で使用されるマイクロカプセル(例えば、重合された表面から構成される)が処方される場合もある。
1つ以上のCG53135タンパク質はまた、マイクロカプセルの表面を形成する1つ以上の高分子(例えば、ヒドロキシエチルデンプン)とともにマイクロカプセルに処方することもできる。このような処方物は、例えば、持続処方に有効である。
CG53135を含む組成物は、経口投与が好ましい場合には、粉末、顆粒、マイクロ粒子、ナノ粒子、水または非水性の媒体中の懸濁液または溶液、カプセル、ゲルカプセル、サシェ(sachet)、錠剤、または小さい錠剤の形態に処方することができる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤、結合剤もまた望ましい場合がある。錠剤またはカプセル剤は、結合剤(例えば、予めゼラチン状にされたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、またはグリコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に受容可能な賦形剤を用いて、従来の手段によって調製することができる。錠剤は、当該分野で周知の方法によってコーティングすることができる。経口投与のための液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素化食用油脂);乳化剤(例えば、レシチン、またはアカシア);非水性のビヒクル(例えば、アーモンド油、油状のエステル、エチルアルコール、または分画された植物油);および保存剤(例えば、メチル−p−ヒドロキシ安息香酸もしくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)のような薬学的に受容可能な添加剤を用いて、従来の手段によって調製することができる。調製物にはまた、適切である場合には、緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤も含まれる場合がある。経口投与のための調製物は、予防薬または治療薬(単数または複数)の持続放出、制御放出、または徐放に適するように処方することができる。
1つの実施形態においては、本発明の組成物は、1つ以上の浸透促進剤(例えば、アルコール、界面活性剤、およびキレート化剤)と組み合わせて経口投与される。好ましい界面活性剤としては、脂肪酸およびそのエステルもしくは塩、胆汁酸およびその塩が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態においては、複数の浸透促進剤の組み合わせ(例えば、胆汁酸/塩と組み合わせたアルコール、脂肪酸/塩)が使用される。特定の実施形態においては、ラウリル酸、カプリル酸のナトリウム塩が、UDCAと組み合わせて使用される。さらなる浸透促進剤としては、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルが挙げられるが、これらに限定はされない。本発明の組成物は、噴霧された乾燥粒子、またはマイクロ粒子もしくはナノ粒子を形成するように錯体形成させられたものを含むがこれらに限定されない顆粒の形態で経口投与することができる。本発明の組成物と一緒に錯体形成させるために使用することができる錯化剤としては、ポリ−アミノ酸、ポリイミン、ポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリオキセタン、ポリアルキルシアノアクリレート、陽イオン化ゼラチン、アルブミン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)、DEAE誘導ポリイミン、ポルラン(pollulans)、セルロースおよびデンプンが挙げられるが、これらに限定はされない。特に好ましい錯化剤としては、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リジン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノ−メチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、DEAE−メタクリレート、DEAE−ヘキシルアクリレート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミン、およびDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、アルギン酸、およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられるが、これらに限定はされない。
CG53135を含む組成物は、エアロゾル化剤と共に処方される組成物の肺投与によって(例えば、吸入器またはネブライザーの使用によって)被験体に送達することができる。
好ましい実施形態においては、CG53135を含む組成物は、注射による(例えば、ボーラス注射による、または点滴による)非経口投与のために処方される。注射用の処方物は、保存剤が添加された単位投与形態(例えば、アンプルの中、または多用量の容器の中)で提示され得る。組成物は、油性ビヒクルもしくは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳濁液のような形態とすることができ、また、処方剤(例えば、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤)を含めることもできる。あるいは、有効成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば、滅菌の発熱物質を含まない水)で構成するための粉末形態にすることもできる。
好ましい実施形態においては、組成物は、ヒトへの静脈内投与に適応させられた薬学的組成物として日常的に行われている手順にしたがって処方される。通常、静脈内投与用の組成物は、滅菌の等張性の水性緩衝液中の溶液である。必要な場合には、組成物には、可溶化剤と局所麻酔剤(例えば、ベンジルアルコールまたはヨードカイン)が、注射部位の痛みを和らげるために含まれる場合もある。一般的には、成分は、有効成分の量が示されている単位投与形態(例えば、シールされた容器(例えば、バイアル、アンプル、サシェ)の中の乾燥した凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として)として、別々にか、または一緒に混合されるかのいずれかで供給される。組成物が注入によって投与される場合には、これは、滅菌の薬学的グレードの水または生理食塩水を含む注入容器を用いて投与することができる。組成物が注射によって投与される場合には、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルまたはバイアルを提供することができ、これによって、成分を投与前に混合することができる。
CG53135を含む組成物は、中性の形態または塩の形態として処方することができる。薬学的に受容可能な塩としては、遊離のアミノ基とともに形成されるもの(例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもの)、および遊離のカルボキシル基とともに形成されるもの(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインに由来するもの)などが挙げられるが、これらに限定はされない。
上記の処方物に加えて、CG53135を含む組成物はまた、デポー調製物として処方することもできる。このような長期作用型の処方物は、移植によって(例えば、皮下または筋肉内)あるいは筋肉注射によって投与され得る。したがって、例えば、組成物は、適切な高分子材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳濁物として)、またはイオン交換樹脂とともに処方され得るか、あるいは難溶性の誘導体として(例えば、難溶性の塩)として処方することができる。リポソームおよび乳濁物は、親水性薬剤についての送達ビヒクルまたはキャリアについての周知の例である。
1つの実施形態においては、本発明の方法にしたがって使用される組成物の成分は、そのような組成物のレシピエントと同種起源であるか、または同種反応性である被験体に由来する。
いくつかの実施形態においては、本発明の方法にしたがって使用される処方物には、0.02M〜0.2Mの酢酸塩、0.5〜5%のグリセロール、0.2〜0.5Mのアルギニン−HCl、および1つ以上のCG53135タンパク質(好ましくは、0.5〜5mg/ml(UV))が含まれる。1つの実施形態においては、本発明の方法にしたがって使用される処方物には、0.04Mの酢酸ナトリウム、3%のグリセロール(容積/容積)、0.2Mのアルギニン−HCl(pH5.3)、および1つ以上の単離されたCG53135タンパク質(好ましくは、0.8mg/ml(UV))が含まれる。いくつかの実施態様においては、本発明の方法にしたがって使用される処方物には、0.01〜1Mの安定剤(例えば、種々の塩の形態のアルギニン、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム、またはスクロース)、0.01〜0.1Mのリン酸一ナトリウム(NaHPO・HO)、および0.01%〜0.1%重量/容積(「w/v」)のポリソルベート80またはポリソルベート20と、1つ以上のCG53135タンパク質(好ましくは、0.005〜50ml(UV))が含まれる。1つの実施形態においては、本発明の方法にしたがって使用される処方物には、30mMのクエン酸ナトリウム(pH6.1)、2mMのEDTA,200mMのソルビトール、50mMのKCl、20%のグリセロール、および1つ以上の単離されたCG53135タンパク質が含まれる。
本発明によってはまた、本発明の治療レジメンを実行するためのキットも提供される。このようなキットには、1つ以上の容器の中に、予防有効量または治療有効量の薬学的に受容可能な形態の本発明の組成物(例えば、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物)が含まれる。本発明のキットのバイアルの中の組成物は、薬学的に受容可能な溶液の形態(例えば、滅菌の生理食塩水、デキストロース溶液、または緩衝溶液、あるいは他の薬学的に受容可能な滅菌の流体と組み合わせられた形態)であり得る。あるいは、組成物は、凍結乾燥させられる場合も、また乾燥させられる場合もある;この場合、キットには、状況に応じてさらに、容器の中に、薬学的に受容可能な溶液(例えば、生理食塩水、デキストロース溶液など)(好ましくは、滅菌のもの)が、注射の目的のための溶液を形成するために組成物を再構成するために含まれる。
別の実施形態においては、本発明のキットにはさらに、処方物の注射用の針もしくは注射器(好ましくは滅菌の形態にパッケージされて)、および/またはパッケージされたアルコールパッドが含まれる。状況に応じて、医師または患者による本発明の処方物の投与のための説明書が含まれる。
いくつかの実施形態においては、本発明によって、一回の投与に十分な本発明の組成物(例えば、1つ以上のCG53135タンパク質を含む組成物)の用量を含む薬学的処方物または組成物をそれぞれが含む、複数の容器を含むキットが提供される。
任意の薬学的製品と同様に、パッケージ材料および/または容器は、保存および輸送の際に製品の安定性を保護するように設計される。1つの実施形態においては、本発明の組成物は、生体適合性の界面活性剤(レシチン、タウロコール酸、およびコレステロールが挙げられるがこれらに限定されない);または他のタンパク質(γ−グロブリンおよび血清アルブミンを含むがこれらに限定されない)と一緒に、容器内で保存される。さらに、本発明の製品には、目的の疾患または障害を適切に予防または処置する方法について医師、技術者、または患者に助言する、使用のための説明書または他の資料が含まれる。
(6.実施例)
本発明の特定の実施形態は、以下の限定ではない例によって説明される。
(6.1 実施例1:FGF−20核酸配列における一塩基変異多型の同定)
本実施例では、FGF−20の一塩基変異多型(SNP)のいくつかを同定した方法を説明する。SNPは、いくつかの場合には、SNPを含むヌクレオチド配列がcDNAとして生じることを示すように「cSNP」と呼ぶことができる。遺伝子内に生じるSNPは、SNPの位置にある遺伝子によってコードされるアミノ酸の変化を生じ得る。遺伝子内SNPはまた、SNPを含むコドンが遺伝子コードの縮重の結果として同じアミノ酸をコードする場合には、サイレントである場合もある。遺伝子の領域の外側、または遺伝子内のイントロンの中に存在しているSNPは、タンパク質のいずれのアミノ酸配列にも変化を生じることはないが、発現パターンの調節の変更を生じる場合がある。限定ではない例としては、一時的な発現、生理学的応答の調節、細胞型による発現調節、発現の強度、および転写されるメッセージの安定性の変更が挙げられる。
エキソン連結プロセスによって生産したSeqCalling(登録商標)アセンブリを、以下の基準を使用して選択し、伸張させた:最初の配列または伸張した配列の全てまたは一部に対して98%の同一性を有している領域を含むゲノムクローンを、ヒトゲノムデータベースを検索するために関連配列を使用してBLASTN検索によって同定した。この同一性が、これらのクローンにこれらのSeqCalling(登録商標)アセンブリについてのゲノム遺伝子座が含まれていることを示すので、得られたゲノムクローンを、さらなる分析のために選択した。これらの配列を、推定されるコード領域について、さらに、既知のDNAおよびタンパク質配列に対する類似性について分析した。これらの分析に使用したプログラムには、Grail、Genscan、BLAST、HMMER、FASTA、Hybrid、および他の関連するプログラムが含まれている。
選択したSeqCalling(登録商標)アセンブリがこれらの領域にマップされたので、いくつかのさらなるゲノム領域もまた、同定することができた。このようなSeqCalling(登録商標)配列は、相同性またはエキソンの推定によって定義された領域と重複している可能性があった。これらもまた、類似性、またはもともと推定された配列中に含まれているエキソンの推定によって同定されたゲノム領域の近傍にこの断片の位置があったので、含めることができる。このように同定した配列を、手作業でアセンブリさせ、その後、CuraGen CorporationのヒトSeqCalling(登録商標)データベースから得た1つ以上のさらなる配列を使用して伸張させることができた。含めるのに適しているSeqCalling(登録商標)断片は、CuraTools(登録商標)プログラムSeqExtendによって、または、分析したゲノムクローンの適切な領域へのSeqCalling断片のマッピングを同定することによって、同定した。
上記の手順によって定義した領域を手作業で組み込み、その後、起こり得る明らかな矛盾点(例えば、もともとの断片の中の誤って読まれた塩基によるか、または推定されるエキソン結合部、EST位置、および配列類似性の領域の間での不一致による)を、本明細書中に開示される最終的な配列を導くために補正した。必要であれば、SeqCalling(登録商標)アセンブリおよびゲノムクローンを同定し、そして分析するためのプロセスを、全長の配列を導くために繰り返し行った(Alderbornら,Genome Research 10(8)1249−1265(2000))。
変異体を表2に別個に報告する。しかし、これらの変異体の全てまたは選択したサブセットの任意の組み合わせもまた、本発明に含まれる。
(表2.CG53135−01のSNP(配列番号1および2))
Figure 2007536381
(6.2 実施例2:CG53135の発現)
いくつかの異なる発現構築物を、CG53135タンパク質を発現させるために作製した(表3)。CG53135−05構築物(全長の遺伝子をコードするコドン最適化したファージを含まない構築物(表3の構築物#3))を、大腸菌(E.coli)BLR(DE3)の中で発現させ、そして精製したタンパク質産物を、毒性試験と臨床試験に使用した。
(表3:CG53135を発現させるために作製した構築物)
Figure 2007536381
Figure 2007536381
1つの構築物においては、CG53135−01(全長のCG53135遺伝子)を、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1V5His(Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA)のBamHI−XhoI部位にBglII−XhoI断片としてクローニングした。得られた構築物pFGF−20(構築物1a)は、CG53135−01のカルボキシ末端にインフレームで融合させられた9アミノ酸のV5タグと、6アミノ酸のヒスチジンタグ(His)を有している。これらのタグは、CG53135−01タンパク質の精製と検出を助ける。pFGF−20のマウスNIH 3T3細胞へのトランスフェクションの後、CG53135−01タンパク質を、抗V5抗体(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して馴化培地の中で検出した。
全長のCG53135−01遺伝子をまた、哺乳動物発現ベクターpCEP4/Sec(CuraGen Corporation)のBamHI−XhoI部位にBglII−XhoI断片としてクローニングした。得られた構築物pIgK−FGF−20(構築物1b)は、CG53135−01の分泌を助けることができる異種免疫グロブリンκ(IgK)シグナル配列を有している。pIgK−FGF−20をヒト293 EBNA細胞(Invitrogen,Carlesbad,CA;カタログ番号R620−07)にトランスフェクションした後、CG53135−01を、抗V5抗体を使用して馴化培地の中で検出した。
CG53135タンパク質の収量を増加させるために、全長のCG53135−01遺伝子をコードするBglII−XhoI断片を、大腸菌(E.coli)発現ベクターpETMY(CuraGen Corporation)のBamHI−XhoI部位にクローニングした。得られた構築物pETMY−FGF−20(構築物2)は、CG53135のアミノ末端にインフレームで融合させられた6アミノ酸のヒスチジンタグと、T7タグを有している。BL21大腸菌(E.coli)(Novagen.Madison,WI)へのpETMY−FGF−20の形質転換、その後のT7 RNAポリメラーゼの誘導の後、CG53135−01タンパク質を、細胞の可溶性画分の中で検出した。
タグを含まないCG53135を発現させるために、CG53135−05(コドン最適化した、全長のFGF−20遺伝子)およびCG53135−02(N末端のアミノ酸2〜54が取り除かれている、コドン最適化したFGF−20の欠失構築物)を合成した。全長の構築物(CG53135−05)については、開始コドンを含むNdeI制限部位(CATATG)を、コード配列の5’末端においた。3’末端には、コード配列の後ろに2つの連続する終止コドン(TAA)とXhoI制限部位(CTCGAG)を続けた。合成した遺伝子を、pCRScript(Stratagene,La Jolla,CA)にクローニングして、pCRScript−CG53135を作製した。コドン最適化したCG53135遺伝子を含むNdeI−XhoI断片をpCRscript−CG53135から単離し、NdeI−XhoIで消化したpET24aにサブクローニングして、pET24a−CG53135(構築物3)を作製した。CG53135全長のコドン最適化したバージョンを、CG53135−05と呼ぶ。
CG53135についてのコドン最適化した欠失構築物を作製するために、オリゴヌクレオチドプライマーを、pCRScript−CG53135から欠失させられたCG53135遺伝子を増幅するように設計した。正方向プライマーには、NdeI部位(CATATG)を含め、その後ろに、アミノ酸55から始まるコード配列を含めた。逆方向プライマーには、HindIII制限部位を含めた。およそ480塩基対の1つのPCR産物が得られ、これをpCR2.1ベクター(Invitrogen)にクローニングして、pCR2.1−CG53135delを作製した。NdeI−HindIII断片をpCR2.1−53135delから単離し、NdeI−HindIIIで消化したpET24aにサブクローニングして、pET24a−CG53135−02(構築物4)を作製した。
プラスミドpET24a−CG53135−05(構築物3)とpET24a−CG53135−02(構築物4)は、タグを有していない。それぞれのベクターを、イソプロピルチオガラクトピラノシドで誘導した大腸菌(E.coli)BLR(DE3)に形質転換した。全長のCG53135タンパク質およびN末端短縮型のCG53135タンパク質の両方を、細胞の可溶性画分の中で検出した。
(6.3 実施例3:CG53135−05のタンパク質分解切断産物)
pET24a−CG53135−05(構築物3、実施例2を参照のこと)を大腸菌(E.coli)(DE3)で発現させ、そしてタンパク質を、セクション6.18.1に記載するプロセス1、およびセクション6.18.2に記載するプロセス2にしたがってそれぞれ精製した場合には、それぞれのプロセスによる最終的な精製されたタンパク質産物を、液体クロマトグラフィー、質量スペクトル分析、およびN末端配列決定のような技術を使用して分析した。このような分析は、最終的な精製されたタンパク質産物に、全長のFGF−20に加えて、いくつかの短縮型のFGF−20(例えば、CG53135−13(配列番号24)、CG53135−15(配列番号28)、CG53135−16(配列番号30)、およびCG53135−17(配列番号32))が含まれていること、そして、FGF−20のアミノ酸3〜211からなるタンパク質(CG53135−13、配列番号24)が、最終的な精製されたタンパク質産物の大部分を占めることを示した。
最終的な精製された産物中の改変体/断片の全ては、増殖アッセイにおいて高い活性を有している。したがって、これらの改変体/断片は、FGF−20の有用性と同じ有用性を有していると予想した。便宜目的のために、用語「CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物」は、本明細書中では、CG53135−05構築物を発現する大腸菌(E.coli)から精製されたタンパク質産物を意味するように使用する。例えば、CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物には、全長のCG53135−05タンパク質(配列番号2)、CG53135−13(配列番号24)、CG53135−15(配列番号28)、CG53135−16(配列番号30)、およびCG53135−17(配列番号32)の混合物が含まれ得、その内容物の大部分はCG53135−13(配列番号24)である。
(RP−HPLCアッセイ:ピークの同定)
精製した薬剤(それぞれ、以下のセクション6.18に記載するプロセス1およびプロセス2の両方によって)を、UVおよびエレクトロスプレー質量スペクトル検出の両方を用いる逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によってさらに分析した。プロセス1またはプロセス2のいずれかによって精製したタンパク質を、水、アセトニトリル、およびトリフルオロ酢酸を含む移動相の中の標準的なHPLCシステムを使用して、Protein C4カラム(Vydac,5μm、150mm×4.6mm)にロードした。この方法の溶出勾配は、それぞれ、26.6分、27.3分、28.5分、および30.0分の4つの異なるクロマトグラフィーのピーク溶出を分解するように変更した(図1)。これらのピークを、エレクトロスプレー質量スペクトルによって特性決定した。クロマトグラムから観察できるように、4つの等電位のイソ型が、プロセス1および2によって精製された最終産物に存在していた。しかし、これらのピーク(1、3、および4)の割合は、プロセス2によって精製された最終産物においてかなり少なく、ピーク2が主な形態であった。
RP−HPLC分離によるそれぞれのピークの同定を表4に示した。
(表4:正確な分子量の決定に基づくCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物のRP−HPLC分離によるピークの同定。)
Figure 2007536381
(エドマン配列決定と全アミノ酸の分析)
プロセス1の参照標準物であるDEV10およびプロセス2の中間参照標準物の実験用N末端アミノ酸配列を、定性的に決定した。参照標準物をSDS−PAGEによって分解し、ポリビニリデンフルオライド膜に電気泳動によって移動させた。それぞれの参照標準物に対応するクマシー染色された約23kDaの主要なバンドを膜から切り出し、自動エドマン配列決定装置(Procise,Applied Biosystems,Foster City,CA)によって分析した。2つの主要な配列の比較を以下の表5に示す。それぞれの参照標準物についての主な配列は同じであり、これは、CG53135−05の理論上のN末端配列の残基3〜20に対応していた。
(表5:プロセス1および2のそれぞれのCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物の最初の20アミノ酸についてのエドマン配列決定データ)
Figure 2007536381
DEV10参照標準物およびPX3536G001−H参照標準物の実験アミノ酸組成を同時に決定した。それぞれの参照標準物の4連の試料を、内部標準物としての2nmolのノルロイシンを含む100μLの6NのHCl、0.2%のフェノール中で、115℃で16時間加水分解した。試料をSpeed Vac Concentratorの中で乾燥させ、内部標準物としての2nmolのホモセリンを含む100μLの試料緩衝液中に溶解させた。それぞれの試料中のアミノ酸をBeckman Model 7300アミノ酸分析装置で分離した。両方の参照標準物のアミノ酸組成は、以下の表6に示したように、有意な差は示さなかった。cysとtrpがタンパク質の酸加水分解の間に破壊されたことに留意されたい。asnとglnは、それぞれ、酸加水分解の間にaspとgluに変換される。したがって、これらのそれぞれの合計はasxおよびglxと報告する。metとhisはいずれも、この手順では成分に分解されなかった。
(表6:プロセス1およびプロセス2のそれぞれに由来するCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物についての定量的アミノ酸分析)
Figure 2007536381
(RP−HPLCによるトリプシンマッピング)
プロセス1および2によって精製した薬剤を還元し、そしてヨード酢酸でアルキル化(alklate)し、そして配列決定グレードのトリプシンで消化した。トリプシンペプチドを、UVおよびエレクトロスプレー質量スペクトル検出の両方を用いる逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって分離した。プロセス1またはプロセス2のいずれかによるトリプシン消化物を、水、アセトニトリル、およびトリフルオロ酢酸を含む移動相の中の標準的なHPLCシステムを使用して、ODS−1非孔性シリカカラム(Micra,1.5μm、53mm×4.6mm)にロードした。溶出ペプチドを、214nmでUVによって(図2)、そして陽イオンエレクトロスプレー質量スペクトル分析によって検出した。プロセス1およびプロセス2についての2つのクロマトグラムの間の主要な差は、プロセス1の図において明らであるピークのピーク面積の減少である(8.2分のピーク;図2)。このピークは、T1ペプチド(残基1〜40)に対応する。完全なCG53135に由来する場合には、このペプチドの供給源は、プロセス1の材料の中により多く存在する(ピーク3、図1)との理由から、この観察は予想されていた。
(生体アッセイ)
LCおよびMSによって同定した4つのピークから回収したCG53135−05関連種の生物学的活性を、種々の用量の単離したCG53135−05関連種での血清枯渇培養したNIH 3T3マウスの胚線維芽細胞の処理、ならびにDNA合成の間のブロモデオキシウリジン(BrdU)の取り込みの測定によって測定した。このアッセイのために、細胞を、10%のウシ胎児血清を補充したダルベッコ改変イーグル(Dulbecco’s modified Eagle’s)培地中で培養した。細胞を、96ウェルプレートの中でコンフルエンスになるまで、37℃で、10%のCO/空気中で増殖させ、その後、ダルベッコ改変イーグル(Dulbecco’s modified Eagle’s)培地中で24〜72時間枯渇させた。CG53135−05関連種を添加し、37℃で、10%のCO/空気中で18時間インキュベートした。BrdU(10mMの最終濃度)を添加し、37℃で、10%のCO/空気中で2時間、細胞とともにインキュベートした。BrdUの取り込みを、製造業者(Roche Molecular Biochemicals Indianapolis,IN)の説明書にしたがって酵素結合免疫吸着アッセイによって測定した。
ピーク4は、このアッセイに含めなかった。なぜなら、十分な材料が回収できなかったからである(ピーク4は、CG53135−05についての全ピーク面積の3%未満である)。CG53135−05および3つの残りの画分の全てから回収した物質(すなわち、ピーク1、2、および3)は、用量依存性の様式で、NIH 3T3マウス線維芽細胞の中でDNAの合成を誘導した(表7)。PI200は、バックグラウンドの2倍のBrdUの取り込みを生じるタンパク質濃度と定義した。CG53135−05および3つの測定可能なピークの全てから回収したCG53135−05関連種は、0.7〜11ng/mlのPI200と同様の生物学的活性を示した(表7)。
(表7:CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物(DEV10)の生物学的活性;DNA合成の誘導)
Figure 2007536381
(6.4 実施例4:CG53135を用いた細胞増殖応答(L−117.01試験とL−117.02試験))
CG53135(例えば、全長のタグ化改変体(CG53135−01)、欠失改変体(CG53135−02)、および全長のコドン最適化したタグを含まない改変体(CG53135−05))に対するそれぞれの細胞型の増殖応答を評価するための実験を行った。
(材料および方法)
異種タンパク質の発現:CG53135−01(バッチ4Aおよび6)をこれらの実験で使用した。タンパク質を、pETMY−hFGF20X/BL21発現ベクターの中の全長のCG53135−01で形質転換した大腸菌(Escherichia coli(E.coli))BL21(Novagen,Madison,WI)を使用して発現させた。細胞を回収し、破壊し、その後、可溶性タンパク質画分を、濾過によって明澄化させ、金属キレート化カラムに通過させた。最終的なタンパク質画分を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)+1MのL−アルギニンに対して透析した。タンパク質試料を−70℃で保存した。
CG53135−02(バッチ1および13)もまたこの実験に使用した。タンパク質を、pET24aベクター(Novagen)に挿入された欠失改変体CG53135−02で形質転換した大腸菌(E.coli)BLR(DE3)(Novagen)で発現させた。研究用細胞バンク(RCB)を作製し、CG53135−02を含む細胞ペーストを、RCBを起源とする細胞の発酵によって生産した。細胞膜を高圧ホモジナイゼーションによって破壊させ、溶解物を遠心分離によって明澄化させた。CG53135−02をイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。最終的なタンパク質画分を、処方緩衝液(100mMのクエン酸、1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、および1MのL−アルギニン)に対して透析した。
CG53135−05、DEV10(これもまた、これらの実験に使用した)を、以下のセクション6.18.1に記載するプロセス1にしたがって、Cambrex Biosciences(Hopkinton,MA)によって調製した。
BrdUの取り込み:増殖活性を、血清枯渇培養した細胞の所定の薬剤での処理と、DNA合成の間のBrdUの取り込みの測定によって測定した。細胞を、製造業者に推奨されるように10%のウシ胎児血清または10%のウシ血清を補充した、それぞれの製造業者が推奨する基本増殖培地の中で培養した。細胞を、96ウェルプレートの中でコンフルエンスになるまで、37℃で、10%のCO/空気中で増殖させた(脱分化させた軟骨細胞およびNHOstについては、5%のCOでサブコンフルエントになるまで)。その後、細胞を、それぞれの基本増殖培地中で24〜72時間枯渇させた。CG53135タンパク質を、大腸菌(E.coli)から精製したか、または、pCEP4/SecもしくはpCEP4/Sec−FGF 20×富化馴化培地を18時間かけて添加した(10μL/100μLの培養物)。その後、BrdU(10μMの最終濃度)を添加し、細胞とともに5時間インキュベートした。BrdUの取り込みを、製造業者の説明書(Roche Molecular Biochemicals Indianapolis,IN)にしたがってアッセイした。
増殖アッセイ:増殖活性を、記載した時間の間、所定の薬剤で培養した細胞を処理した後で細胞数を測定することによって得た。一般的には、6ウェル皿で約20%の集密度にまで増殖させた細胞を、CG53135または対照を補充した基本培地で処理し、数日間インキュベートし、トリプシン化し、そしてCoulter Z1 Particle Counterを使用して数えた。
(結果)
間葉細胞中での増殖:組み換え体CG53135が線維芽細胞中でのDNA合成を刺激できるかどうかを決定するために、BrdUの取り込みアッセイを、CG53135−01で処理したNIH 3T3マウス胚性肺線維芽細胞を使用して行った。組み換え体CG53135−01は、用量依存性の様式でNIH 3T3マウス線維芽細胞中でのDNA合成を誘導した(図3)。DNA合成は、一般的には、約10ng/mLの半値最大濃度で誘導された。対照的に、細胞から精製したビヒクル対照での処理によっては、DNA合成は全く誘導されなかった。
CG53135−01はまた、間葉に起源する他の細胞(CCD−1070Sk正常ヒト陰茎包皮線維芽細胞、MG−63骨肉種細胞株、およびウサギ滑膜細胞株HIG−82を含む)においてもDNA合成を誘導した。対照的に、CG53135−01は、初代ヒト骨芽細胞(NHOst)、ヒト肺動脈平滑筋細胞、ヒト冠状動脈平滑筋細胞、ヒト大動脈平滑筋細胞(HSMC)、またはマウスの骨格筋細胞においてはDNA合成の有意な増大を誘導することは全くなかった。
組み換え体CG53135−01が細胞増殖を持続させるかどうかを決定するために、NIH 3T3細胞を、1μgのCG53135−01とともに、または対照とともに、48時間培養し、その後、数えた(図4)。CG53135は、このアッセイの対照と比較して、細胞数の約2倍の増加を誘導した。これらの結果は、CG53135が増殖因子として作用することを示している。
上皮細胞の増殖:組み換え体CG53135がDNA合成を刺激し、上皮細胞中において細胞増殖を持続させることができるかどうかを決定するために、BrdUの取り込みアッセイを、CG53135で処理した代表的な上皮細胞株中で行った。タンパク質処理の後の細胞数もまた、いくつかの細胞株について決定した。
CG53135は、786−Oヒト腎臓癌細胞株中でのDNA合成を用量依存性の様式で誘導することが明らかになった(図5)。加えて、CG53135−01は、CCD 1106 KERTrヒトケラチン生成細胞、Balb MKマウスケラチノサイト、および乳房上皮細胞株B5589を含む上皮起源の他の細胞中でも、DNA合成を誘導した。
造血細胞の増殖:CG53135−01でのTF−1(赤芽球性白血病細胞)の処理によっては、DNA合成に対して刺激作用がないことを観察した。これらのデータは、CG53135−01が赤血球起源の細胞中では増殖を誘導しないことを示唆している。加えて、Jurkat(急性Tリンパ芽球性白血病細胞株)は、CG53135−01で処理した場合には、全く応答を示さなかったが、一方、BrdUの取り込みの強い刺激が、血清での処理によって観察された。
内皮細胞に対するCG53135の作用:タンパク質治療薬は、内皮細胞が毛細血管に分化するプロセスである血管形成を阻害または促進することができる。CG53135は線維芽細胞増殖因子のファミリーに属するので、そのいくつかのメンバーは、血管形成性の特性を有しており、内皮細胞株に対するCG53135の抗血管形成作用またはプロ血管形成作用は高かった。以下の細胞株を、それらが癌における血管形成を理解することに使用される細胞型であるとの理由から選択した:HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)、BAEC(ウシ大動脈内皮細胞)、HMVEC−d(ヒト内皮、皮膚毛細血管)。これらの内皮細胞型は形態学的分化を受け、大きな血管(HUVEC、BAEC)、および、毛細血管内皮細胞(HMVEC−d)の典型的なものである。
CG53135−01での処理は、細胞の生存性を変化させることはなく、ヒトの臍帯静脈内皮細胞、ヒト皮膚微小血管内皮細胞、またはウシ大動脈内皮細胞中へのBrdUの取り込みに対する刺激作用を有さなかった。さらに、CG53135−01での処置によっては、HUVECSにおいては、新しい血管の形成における重要な事象である管の形成は阻害されることはなかった。この結果は、CG53135が抗血管形成性の特性は有していないことを示唆している。最後に、CG53135−01は、HUVECにおいてはVEGFによって誘導される細胞の移動に対しては効果を有しておらず、このことは、これが転移においては役割を担っていないことを示唆している。
上記の実験を、CG53135−02タンパク質産物およびCG53135−05タンパク質産物を使用して行い、結果を、以下の結論のセクションにまとめた。
(結論)
組み換え体CG53135−01(CG53135−05と同じタンパク質をコードする)は、インビトロで、間葉細胞および上皮細胞(すなわち、NIH 3T3マウス線維芽細胞、CCD−1070正常ヒト皮膚線維芽細胞、CCD−1106ヒトケラチノサイト、786−Oヒト腎臓癌細胞、MG−63ヒト骨肉種細胞、およびヒト乳房上皮細胞)中では増殖応答を誘導するが、ヒトの平滑筋細胞、赤血球細胞、または内皮細胞においては誘導しない。CG53135−01およびCG53135−05と同様に、CG53135−02もまた、間葉細胞および上皮細胞の増殖を誘導する。加えて、CG53135−02は内皮細胞の増殖を誘導する。
(6.5 実施例5:急性の放射線による口腔粘膜炎のハムスターモデルにおけるCG53135の活性(N−152試験))
CG53135タンパク質を、放射線による口腔粘膜炎のハムスターモデルにおいて、活性について評価し、その活性を、別のFGF−ファミリーのメンバーであるKGF−2と比較した。KGF−2はFGF−10とも呼ばれ、これは、創傷治癒および炎症性腸疾患のモデルにおいて活性である(Miceliら,J.Pharmacol.Exp.Ther.290:464−471(1999))。この実施例では、タンパク質濃度をBradfordアッセイによって測定した。
ハムスターの急性の放射線照射モデル(Sonisら,Oral Surg Oral Med Pathol 69:437−443(1990))は、成長因子およびサイトカインを含む、抗粘膜炎化合物の事前の評価を提供するための、正確であり、効率的であり、そしてコスト効果の高い技術であることが証明されている(Sonisら,Oral Oncol 36:373−381(2000);Sonisら,Cytokine 9:605−612(1997);Sonisら,Oral Oncol 33:47−54(1997))。急性のモデルは、全身的な毒性がほとんどなく、これによって、動物の死亡がごくわずかしか生じず、最初の活性試験に小さいグループを使用することができる。これはまた、粘膜炎の発病における特異的な機構的要因を研究するためにも使用されている。急性放射線照射モデルにおいて活性を示す分子はさらに、分割放射線照射、化学療法、または併用療法のより複雑なモデルにおいて評価することができる。このモデルにおいては、0日目のおよそ40Gyの急性放射線照射を、重症の粘膜炎を誘導するために投与した。この照射によって、16日〜18日あたりで一般的にはピークを生じる、予測された潰瘍性口腔粘膜炎が生じた。
(材料および方法)
この実験に使用したCG53135−05タンパク質は、Batch Dev 08−02として精製した。組み換え体ヒトDNAタンパク質であるCG53135−05を、大腸菌(Escherichia coli)BLR(DE3)細胞(Novagen,Darmstadt,Germany)を使用して発現させた。これらの細胞を、pET24aベクター(Novagen)を使用して、全長のコドン最適化したCG53135−05で形質転換した。これらの細胞のGMP製造細胞バンク(MCB)を生産した。MCBを起源とする細胞の発酵によって生産したCG53135−05タンパク質を含む細胞のペーストを、溶解緩衝液中での高圧ホモジナイゼーションによって溶解させ、遠心分離によって明澄化させた。CG53135−05を、2サイクルのイオン交換クロマトグラフィーと硫酸アンモニウム沈殿とによって、明澄化させた細胞溶解物から精製した。最終的な沈殿物を精製水で洗浄し、以下のような処方緩衝液中に懸濁させた:30mMのクエン酸(pH6.0)、2mMのEDTA、200mMのソルビトール、50mMのKCl、20%のグリセリン。
実験の開始時に6〜7週齢であり、全てのグループにおいて類似した体重(平均体重77.4g)を有している雄のゴールデンハムスター(Golden Syrian hamster)(Charles River LaboratoriesまたはHarlan)をこの実験に使用した。64匹のハムスターを、放射線照射の前に、それぞれ8匹の動物ずつの8個のグループにランダムに分けた。それぞれのグループに、表8に示した種々の処置を割り当てた。
(表8.処置グループ)
Figure 2007536381
動物に、0日目に左頬の粘膜に単一線量の放射線(40Gy/1回の照射)を急性放射線照射した。動物を、急性放射線照射の後に、1日に1回、ビヒクルまたはCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物で腹腔内で(IP)、あるいは局所で処置した。グループ1から5の動物には、1日に1回、試験物質をIP注射によって投与した。グループ6から8については、試験物質を、1日あたり3回、頬袋に局所塗布した。以下の投与スケジュールを使用した:3日目から15日目(グループ2、3、および7)、および−5日目(すなわち、放射線照射の5日前)から−2日目(すなわち、放射線照射の2日前)、その後、3日目から15日目(グループ1,4、5、6、および8)。CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物の用量は、300μg/日(グループ2、4、7、および8)および600μg/日(グループ3)とした。KGF−2の用量は300μg/日(グループ5)とした。粘膜炎を、6日目に開始して一日おきに評価し、28日目に実験が終了するまで継続した(すなわち、6日目、8日目、10日目、12日目、14日目、16日目、18日目、20日目、22日目、24日目、26日目、および28日目)。臨床的に関連する口腔粘膜炎(例えば、粘膜炎スコア≧3)は、放射線照射後約14日で発症した。
粘膜炎の重篤度または処置によって生じる可能性がある毒性についての指標としての処置グループの間での動物の体重について起こりうる差を評価するために、個々のハムスターについて、実験期間の間中(すなわち、−5日目から28日目)、毎日体重を測定し、その生存性を記録した。粘膜炎を、0(正常)から5(重症の潰瘍)までの範囲の有効な写真によるスケールに対する比較によって、視覚的にスコアした。臨床的なスケールを表9に記載する。
(表9.粘膜炎スコアの定義)
Figure 2007536381
1〜2のスコアは、疾患の軽症段階を呈すると考えられるが、3〜5のスコアは、中度から重症の粘膜炎を示すと考えられる。臨床的スコアリングの後、標準的な技術を使用して個々の動物の粘膜の写真を撮影した。実験の終了時に、全てのフィルムを現像し、そして写真を、盲検スコアリングのためにランダムに番号をつけた。その後、2人の無関係な訓練された観察者によって、上記のスケールを使用して盲検様式で写真を等級付けした。それぞれの写真について、実際の盲検スコアは、2人の盲検による独立した評価者によって割り当てられたスコアの平均に基づいた。盲検による写真の評価によるスコアだけを統計学的に分析し、結果に報告する。
ビヒクル対照グループと比較した粘膜炎に対する個々の処置の効果を、表10に列挙したパラメーターにしたがって評価した。
(表10.活性の評価のためのパラメーター)
Figure 2007536381
(結果)
2つのビヒクル対照グループとそれらのそれぞれの試験グループの間では、経時的な生存性または体重の変化に統計学的に有意な差はなかった。
放射線照射の前および後(−5日目から−2日目、その後、3日目から15日目)にIPで投与した300μg/動物/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物またはKGF−2のいずれかでの予防的処置によっては、中度から重症の粘膜炎の発生率を下げることにおいて有意な活性を誘発することができなかった(図6)。3日目から15日目までにIPで投与した300μg/動物/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物での処置によってもまた、中度から重症の粘膜炎の発生率を下げることにおいて有意な活性を誘発することはできなかった(図6)。
3日目から15日目までにIPで投与した600μg/動物/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物での処置によっては、ランク和分析によって、わずか1日だけ、有意な活性が示された(p<0.001)(図6)。この分析についての処置の成功の基準は、2日以上の有意な活性と定義されているが、この観察は、この処置が粘膜炎に対して好ましい作用を有していることを示唆している。このグループはまた、カイ二乗検定によれば、対応する対照での処置よりも統計学的に有意に低いスコアを有していた(p<0.001)。したがって、用量、スケジュール、および投与経路のこの組み合わせが、このモデルの粘膜炎の処置に有効である。
3日目から15日目までに局所投与した300μg/動物/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物での処置は、カイ二乗検定によって、中度から重症の粘膜炎の発生率を下げることにおいて有意な活性を示した(p<0.001)。処置はまた、粘膜炎が12日あるスコア日のうちの5日について有意に軽減されていた場合に、ランク和分析によって成功であると考えられた。したがって、CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物の用量、スケジュール、および投与経路のこの組み合わせが、このモデルの粘膜炎の処置に有効である。300μg/動物/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物を、放射線照射の前および後(すなわち、−5日目から−2日目、および、3日目から15日目)に局所投与した場合には、カイ二乗検定による処置の成功の基準は満たされた(p=0.012)。したがって、CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物の用量、スケジュール、および投与経路のこの組み合わせが、中度から重症の粘膜炎の発生率を下げることにおける活性を示した。
さらなる実験において、3日目から15日目の300μg/動物/日のCG53135−01(CG53135のタグ化した全長の形態)でのIP処置もまた、ゴールデンハムスター(Golden Syrian hamster)の粘膜炎の急性放射線照射モデルにおける粘膜炎の経過および重篤度に対して有用な作用を有していた(N−135試験)。
なお別の実験においては、未処置の対照およびビヒクルを注射した対照動物を、3日目から15日目までに、300μg、600μg、または1200μgのCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物(上記の実験で使用したものとはわずかに異なる処方を有しているCG53135のタグ化されていない全長の形態)で腹腔内で処置した動物と比較した(N−197試験)。300μgのCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物で処置した雄の動物においては、有用な作用は観察されなかった。しかし、上記に報告した結果と一致して、600μgのCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物での処置によっては、未処置の対照と比較して、粘膜炎の重篤度の有意な低下が生じ(カイ二乗検定によってp<0.001)、そして、ビヒクル対照グループと比較して、12日あるスコア日のうちの3日について、有意に低い1日の粘膜炎スコアの平均が得られた。加えて、1,200μgのCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物の投与によっては、ビヒクル対照グループと比較して粘膜炎の重篤度が有意に低下し(カイ二乗検定によってp<0.001)、そして5日あるスコア日について1日の粘膜炎スコアの平均の有意な低下が生じた。体重については、対照と比較すると、いずれの処置レジュメについても有意な差は観察されなかった。
(結論)
CG53135の活性を、0日目に1回の放射線(40Gy)のボーラス照射量を照射したハムスターにおいて誘導された口腔粘膜炎のモデルにおいて評価した。臨床的に関連する口腔粘膜炎(例えば、≧3の粘膜炎スコア)は、放射線照射後約14日で発症した。一般的には、放射線照射である原因の後のCG53135での処置によって、臨床的に関連する粘膜炎はわずかに減少した。CG53135での処置(18日間の3mg/kg/日の局所投与、または18日までの6〜12mg/kg/日の腹腔内投与)によっては、粘膜炎の重篤度は下がった。静脈内(IV)投与経路を使用した実験は行わなかった。なぜなら、ハムスターでのIV投与は技術的な手腕を問われるものであり、その結果として、データは非常に変わりやすいからである。
(6.6 実施例6:化学療法による口腔粘膜炎のハムスターモデルにおけるCG53135の活性(N−212試験))
CG53135を、雄のゴールデンハムスター(Golden Syrian hamster)の化学療法による口腔粘膜炎の処置について評価した(この実施例では、タンパク質の濃度はBradfordアッセイによって測定した)。
(材料および方法)
この実験に使用したCG53135−05(バッチ29−NB849:76)は、最終的なタンパク質画分を、30mMのクエン酸ナトリウム、2mMのEDTA,200mMのソルビトール、50mMのKCl、20%のグリセロール(pH6.1)を含む処方緩衝液に対して透析したことを除いて、セクション6.5に記載したように発現させ、精製した。
実験の開始時に5〜6週齢であり、全てのグループにおいて類似した体重を有している雄のゴールデンハムスター(Golden Syrian hamster)(Charles River Laboratories)をこの実験に使用した。60匹の雄のハムスターを、放射線照射の前に、それぞれ10匹の動物ずつの6個のグループにランダムに分けた。処置グループを、表11に説明する。
(表11.処置グループ)
Figure 2007536381
粘膜炎を、−4日目および−2日目に1回のボーラス(60mg/kg、IP)として投与した5−フルオロウラシルを使用して誘導した。1回の粘膜毒性未満の(submucosatoxic)線量の放射線照射(40Gy/照射)を0日目に全ての動物に局所投与した。動物を、表11に示したスケジュールにしたがって、粘膜毒性である原因の後に、1日に1回、0.1mLのビヒクルまたは12mg/kgのCG53135−05のIPで処置した。粘膜炎を、6日目に開始して、そして、30日目に実験が終了するまで1日おきに(すなわち、8日目、10日目、12日目、14日目、16日目、18日目、20日目、22日目、24日目、26日目、28日目、および30日目)、セクション6.5(表9)に記載したように視覚的にスコアした。それぞれのハムスターを、実験期間の間中(すなわち、0日目から30日目)、毎日体重を測定した。粘膜炎の重篤度、または処置によって生じる可能性がある毒性についての指標として、体重と生存性をモニタリングした。
対照グループと比較した粘膜炎に対するそれぞれの処置の効果を、表12に列挙したパラメーターにしたがって評価した。処置グループ間での統計学的な差を、スチューデントt検定(Student’s t−test)、マン・ホイットニー(Mann−Whitney)U検定、およびカイ二乗検定を使用して、0.05の基準値を用いて決定した。
(表12.活性の評価のためのパラメーター)
Figure 2007536381
(結果)
ビヒクル対照グループ(グループ1)と、CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物で処置したグループ(グループ2〜6)との間では、経時的な体重または生存性において統計学的に有意な差はなかった。
主に化学療法によって誘導された粘膜炎のこのモデルにおいては、投与スケジュールが、口腔粘膜炎の処置に重要であった。6日目から14日目、または1日目から9日目までのCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物(12mg/kg/日)の投与は、粘膜炎の経過または重篤度に有意な改善は生じなかった(図7)。1日目から18日目、または1日目から6日目までのCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物(12mg/kg/日)の投与によっては、重症粘膜炎の期間の有意な改善が生じた(カイ二乗検定)。しかし、これらの処置は、毎日の粘膜炎のスコアには有意な改善は生じなかった(ランク和分析)。12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物(1日目から2日目)での処置は、この試験において粘膜炎の経過と重篤度の両方に対して有意な効果を有していた(図7)。これらの結果は、化学療法と放射線照射のレジメンの併用の直後の、CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物での短期間の処置によって、この粘膜炎モデルにおいて疾患の結果に改善が生じたことを示唆している。
別の実験においては、放射線照射後(1日目から18日目)に開始した12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物でのハムスターの処置によって、ランク和分析(N−198試験)によって決定すると、粘膜炎スコアが有意に低下した7日間と組み合わせて、潰瘍の有意な減少(p<0.001)が生じた。このことは、CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物の投与によって、粘膜毒性の原因の後で投与した場合には、放射線による口腔粘膜炎の有意な有益な処置が生じることを示唆している。
なお別の実験においては、1日目から2日目の12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物(40mMの酢酸ナトリウム、0.2MのL−アルギニン、および3%のグリセロール中に処方した)の投与によって、粘膜炎の重篤度が有意に低下した(N−237試験)。これらの結果によって、上記の知見を確認した。
(結論)
CG53135の活性を、−4日目および−2日目に60mg/kgの5−フルオロウラシルで処置し、その後0日目に1回の粘膜毒性用量未満の(sub−mucosatoxic)用量の放射線照射(約30Gy)を照射したハムスターにおいて誘導された粘膜炎のモデルにおいて評価した。臨床的に関連する口腔粘膜炎(≧3の粘膜炎スコア)は、約15日目に発症した。2日間、6日間、または18日間のCG53135の腹腔内投与によって、粘膜炎の重篤度が有意に下がった。
(6.7 実施例7:インビボでのハムスターの上皮の増殖に対するCG53135−05の投与の効果(N−225試験))
本明細書中に記載する実験によって、CG53135−05大腸菌精製産物(この実験では、タンパク質濃度はBradfordアッセイによって測定した)の1回の投与後の、消化管上皮および骨髄へのBrdUのインビボでの取り込みを評価した。
(材料および方法)
実験の開始時に5〜6週齢であり、82gの平均体重を有している、雄のゴールデンハムスター(Golden Syrian hamster)(Charles River LaboratoriesまたはHarlan Sprague Dawley)を使用した。25匹の雄のハムスターを、表13に概要を示すように、それぞれ5匹の動物ずつの5個のグループにランダムに分けた。
(表13.処置グループ)
Figure 2007536381
12mg/kgのIPのCG53135−05大腸菌精製産物の単回用量を投与し、ハムスターを、投与後2時間、4時間、8時間、および24時間で屠殺した。
BrdUの投与と免疫組織化学:全ての動物に、屠殺の2時間前に50mg/kgのBrdUをIPで投与して、増殖しつつある組織に試薬を取り込ませた。安楽死させた時点で、以下の組織を回収した:頬袋の粘膜、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸、および胸骨。全ての組織試料を、10%の中性の緩衝化ホルマリン中で24時間固定し、その後、70%のエタノールに移した。試料を切り、パラフィンに包埋し、切片とし、そしてマウントした。上皮組織を、BrdUの取り込みについて、製造業者の説明書にしたがって、Oncogene Researchの製品であるBrdU Immunohistochemistryキット、カタログ番号HCS24を使用して免疫組織化学によって染色した。
(結果)
全ての組織へのBrdUの取り込みに対するCG53135−05大腸菌精製産物の効果は、本質的には同じであった:BrdUで標識された核の数の比較的小さな増加が、CG53135−05大腸菌精製産物の投与後2時間で観察された。これには、その後、CG53135−05大腸菌精製産物の投与の4時間後に、標識された核の数の減少が続いた。全ての組織が、投与後8時間で、BrdUの標識の劇的な増加を示した。24時間では、直腸を除く全ての組織が、未処置の対照と比較して、標識された核の数の減少を示したが、直腸組織は、対照を上回るわずかな増加を示した。未処置の動物に由来する直腸組織試料の中では標識された細胞は見られなかったので、24時間の時点での2つの標識された細胞の観察は、観察誤差またはデータの散乱であるとみなさなければならない。なぜなら、この組織では細胞複製のレベルは低はずだからである。
(結論)
CG53135のインビボでの機構的活性を、粘膜組織に対する1回のボーラス用量(12mg/kg)のCG53135−05大腸菌精製産物の効果を24時間にわたって評価するために、ブロモデオキシウリジン標識を使用してインビボで評価した。CG53135−05大腸菌精製産物は、頬袋、空腸、および直腸の上皮細胞、ならびに、骨髄の造血細胞の分裂を刺激した。これらの組織へのBrdUの取り込みの増加のピークは、CG53135−05の投与後8時間で見られた。全ての組織が、CG53135−05大腸菌精製産物の投与に対して同じタイミングで応答を示した。
(6.8 実施例8:マウスへのCG53135−05の投与による腸陰窩細胞の増殖およびアポトーシスの調節(N−342))
この実験では、娘細胞の効果に対する幹細胞の効果を区別し、そして胃腸の幹細胞損傷(例えば、粘膜炎)を伴う症候群におけるCG53135の作用の形式に関する見識を図式化するために、小腸陰窩細胞の代謝回転に対するCG53135の効果を評価した。さらに、幹細胞の放射線感受性に対するCG53135の効果もまた、評価した。この実施例では、タンパク質濃度は、Bradfordアッセイによって測定した。
「陰窩」は、陰窩基部に向かう幹細胞を含む階層構造である。細胞がさらに成熟するのに伴って、これらは、陰窩の先端に向かって陰窩の低部から徐々に移動する。したがって、それらの娘細胞の一時的な増幅に対して幹細胞に影響し得る変化は、それぞれの細胞位置での事象の頻度の変化を見ることによって検出することができる。細胞の位置は図8にマークする。したがって、陰窩の微細構造に対するCG53135の効果を、陰窩細胞質との関連において分析した。
(実験の設計)
動物を、12mg/kg(IP)のCG53135大腸菌精製産物の単回投与後の様々なタイミングで屠殺した。屠殺の直前に、マウスを、ブロモデオキシウリジンの1回の注射によって標識して、S期の細胞を標識し、陰窩細胞の増殖/アポトーシスに対する薬剤の効果を決定した。マウスの体重を測定し、その後、CG53135−05大腸菌精製産物(12mg/kg、1回の注射、ip)を投与した。6匹の動物の複数のグループを、CG53135−05大腸菌精製産物の注射後、0時間、3時間、6時間、9時間、12時間、24時間、48時間で屠殺した。全ての動物に、屠殺の40分前にブロモデオキシウリジンの単回投与を行った(表14を参照のこと)。
6匹のマウスの別の2つのグループを使用して、幹細胞の放射線感受性に対するCG53135−05大腸菌精製産物の作用を評価した(グループ8および9、表14を参照のこと)。1つのグループは、CG53135−05大腸菌精製産物(12mg/kg、単回投与、ip)で処置し、別のグループには、プラセボ対照を注射した。注射の24時間後、動物に1GyのX線を照射し(幹細胞のアポトーシスを誘導するために特異的に)、その後、日常的に行われるようにインビボでBrdU標識した。動物を、4.5時間後(アポトーシスがピークであるタイミング)に屠殺した。
(表14.実験の設計)
Figure 2007536381
(腸陰窩細胞の増殖およびアポトーシスの調節:手順)
S期の分裂している細胞の全てが注射されたブロモデオキシウリジン(BrdU)を取り込み、したがって、循環している細胞としてマークされる。放射線照射した動物を、麻酔していない状態で、パースペックスジグ(perspex jig)にいれ、0.7Gy/分の線量率で1GyのX線の全身照射に供した。この低レベルの放射線照射によって、小腸の幹細胞集団においてアポトーシスを誘導したが、より成熟した細胞においては誘導しないようにした。
小腸を取り出し、カルノワ(Carnoy’s)固定剤中に固定し、そして組織学的分析のために処理した(パラフィンに包埋した)。1セットの3mmの切片を、BrdUについて免疫標識し、1セットの切片をH&Eで染色した。小腸陰窩の長手方向の切片を、BruUまたはアポトーシス/有糸分裂核のいずれかの存在について分析した。1匹の動物あたり55個の陰窩をスコアした。
グループ1〜7(結果のグループA)を、CG53135−05大腸菌精製産物の効果を決定するために48時間にわたって試験した。グループ8〜9(結果のグループB)は、CG53135−05大腸菌精製産物が低い線量の放射線での照射後に生じるアポトーシス細胞の数を変化させるかどうか、すなわち、CG53135−05大腸菌精製産物が放射線感受性の幹細胞集団に影響を与えるかどうかを決定するために試験した。
得られた結果は、それぞれのグループの動物の陰窩についての度数分布を示しており、これをさらに、統計学的な差について分析した。組織試料を、CG53135−05大腸菌精製産物での処置の3時間後、6時間後、9時間後、12時間後、24時間後、および48時間後に回収した。アポトーシス、有糸分裂指数、および増殖を、この試験の評価項目とした。
(結果)
(グループA)
グループ1〜7(表14)においては、CG53135−05大腸菌精製産物は自発的なアポトーシスに対しては有意な効果を有さなかった。同様の結果が、有糸分裂指数によっても得られた(表15)。しかし、表15に示したように、BrdUの取り込みの結果は以下のように明らになった:
a)3時間では、増殖領域の拡大/増大があった(位置12〜22)。
b)9時間までは、大きな増殖効果が多くの位置で記録された。
c)12時間までは、4〜8個の位置でのみ、取り込みの増加が示された(幹細胞)。
d)24時間までは、増殖の有意な阻害があった。
e)48時間までは、取り込みは対照レベルと同程度であった。
(表15.アポトーシス、有糸分裂、および増殖の評価後の、陰窩における有意な細胞位置のまとめ)
Figure 2007536381
表15に示した比較を、処置グループ対未処置のグループの間で行った。示した細胞の位置は、未処置の対照とは有意に異なる位置であった(p<0.05)。
(グループB)
グループ8および9(表14)においては、幹細胞の放射線感受性を評価した。表14に示したように、CG53135−05大腸菌精製産物またはPBSを、1Gyの放射線を照射する1日前に投与した。組織を、放射線照射後4.5時間で回収した。放射線によって誘導されるアポトーシスおよび有糸分裂指数のいずれにも有意な効果はなかった。しかし、12時間までには、4〜8個の位置での取り込みの増大と、増殖の有意な阻害が、CG53135−05大腸菌精製産物で予め処置し、そして放射線照射したマウスにおいて見られ、これは、グループAの結果と一致した(表15)。
(6.9 実施例9:放射線傷害後のマウスの腸陰窩の生存性に対するCG53135−05の予防的投与の効果(N−343))
この実験の目的は、インビボでの放射線によって誘導された陰窩細胞の死亡に対するCG53135の効力を、ClonoquantTMアッセイを使用して評価することであった。この実施例では、タンパク質濃度はBradfordアッセイによって測定した。
マウスの体重を測定し、その後、CG53135−05大腸菌精製産物(12mg/kg)またはプラセボを投与した。単回投与を、放射線照射の24時間前に、腹腔内(ip)に投与した。6匹の動物からなるそれぞれのグループに、以下の表にしたがって放射線を照射した。それぞれの放射線量について、薬剤で処置したグループとプラセボで処置したグループの応答を比較した。
小腸を取り出し、カルノワ(Carnoy’s)固定剤中に固定し、そして組織学的分析のために処理した(パラフィンに包埋した)。H&E切片を、以下の従来のプロトコールにしたがって調製した。それぞれの動物について、小腸の周囲10箇所を分析し、1つの周囲箇所あたりの生存している陰窩の数をスコアし、そしてグループあたりの平均を決定した。10またはそれ以上の強くH&E染色された細胞(パネート(Paneth)細胞を除く)を含み、そして完全な周囲だけ(パイエル板は含まない)を含む陰窩のみをスコアした。
陰窩の大きさの差が原因である採点誤差を補正するために、陰窩の幅(その最大点を測定した)の平均もまた測定した。補正を以下のように行った:
補正した1つの周囲箇所辺りの陰窩の数=処置グループにおける周囲箇所あたりの生存している陰窩の数の平均×(未処置の対照の陰窩幅の平均/処置した動物の陰窩幅の平均)。
(表16.実験の設計)
Figure 2007536381
(結果)
予防的なCG53135−05大腸菌精製産物の投与後の陰窩の生存性は、照射した線量と逆相関を示した。照射した線量が少ないほど、陰窩の生存性は高かった(図9および10)。CG53135−05大腸菌精製産物の予防的投与によって、陰窩の数は有意に増加した(P<0.001)。表17は、タンパク質(CG53135−05大腸菌精製産物の予防的投与後の放射線量に対して得られる防護係数を示す。防護係数(表17)は、処置した細胞と未処置の細胞の間での比を示す。放射線による傷害の前にCG53135−05大腸菌精製産物を動物に投与した場合には、平均すると、1.55倍多い細胞が、12Gyの放射線照射を生き残った。
(表17)
Figure 2007536381
(6.10 実施例10:口腔粘膜炎の化学療法/放射線照射モデルに対するCG53135の投与の効果(N−346試験))
(材料および方法)
大腸菌(Escherichia coli)(DE3)細胞(Novagen,Madison,WI)を、pET24aベクター(Novagen)を使用して全長のコドン最適化したCG53135−05で形質転換し、これらの細胞の製造マスター細胞バンク(MMCB)を作成した。MMCBを起源とする細胞の発酵によって生産したCG53135−05を含む細胞ペーストを、溶解緩衝液中での高圧ホモジナイゼーションによって溶解させ、遠心分離によって明澄化させた。CG53135−05を、2サイクルのイオン交換クロマトグラフィーと硫酸アンモニウム沈殿とによって、明澄化させた細胞溶解物から精製した。最終的なタンパク質画分を処方緩衝液(30mMのクエン酸(pH6.0)、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、200mMのソルビトール、50mMのKCl、20%のグリセロール)に対して透析した。ビヒクルには、30mMのクエン酸ナトリウム(pH6.1)、2mMのEDTA、200mMのソルビトール、50mMのKCl、20%のグリセロールが含まれていた。この実施例では、タンパク質濃度はBradfordアッセイによって測定した。
実験の開始時5〜6週齢であり、84gの平均体重を有しているゴールデンハムスター(Golden Syrian hamster)(Charles River LaboratoriesまたはHarlan)をこの実験に使用した。動物を、耳パンチを使用して個々に番号を付け、そして1つのケージあたり7匹までの動物の小さいグループに分けて入れた。動物を、実験の開始前に環境に順応させた。この期間の間に、動物を、動物が劣悪な条件を拒絶するように毎日観察した。
60匹のハムスターを、放射線照射の前に、それぞれ10匹の動物ずつの6個のグループにランダムに分けた。それぞれのグループに、表18に列挙した種々の処置を割り当てた。動物には、−4日目および−2日目に60mg/kgの5−FUを投与し、そして0日目に左の頬粘膜に急性放射線照射を行った。動物を、急性放射線照射後、1日目にだけ、6mg/kg/日、12mg/kg/日、24mg/kg/日、または48mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製産物で1日に1回、あるいは、1日目と2日目に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製産物で1日に1回、IPで処置した。粘膜炎を、6日目に開始して一日おきに評価し、28日目に実験が終了するまで継続した(すなわち、8日目、10日目、12日目、14日目、16日目、18日目、20日目、22日目、24日目、26日目、および28日目)。
(表18.処置グループ)
Figure 2007536381
粘膜炎を、6日目に開始して1日おきに評価し、28日目に実験が終了するまで一日おきに評価した(すなわち、8日目、10日目、12日目、14日目、16日目、18日目、20日目、22日目、24日目、26日目、および28日目)。
口腔粘膜炎の化学療法モデル/放射線照射モデル:ハムスターの口腔粘膜炎についての5−FU/急性放射線照射モデルは、粘膜炎についての急性放射線照射モデルを用いて行われる臨床観察に拡大されるように設計された実験用モデルである(Oral Surg Oral Med Oral Pathol.69(4):437(1990))。より早期の急性放射線照射モデルは、成長因子およびサイトカインを含む抗粘膜炎化合物の事前の評価を提供するための、正確であり、効率的であり、そしてコスト効果の高い技術であることが証明されている(例えば、Oral Oncol 36(4):373−381(2000)、Cytokine 9(8):605−612(1997);Oral Oncol 33(1):47−54(1997)を参照のこと)。
粘膜炎は、−4日目および−2日目に腹腔内(IP)投与(60mg/kg)として投与した5−フルオロウラシルを使用して誘導した。単回線量の放射線照射(30Gy/照射)を0日目に全ての動物に投与した。放射線照射は、3.0mmのAl濾過システムで固められた、21cmの焦点距離を有している160キロボルトの電源(18.75−ma)を用いて行った。放射線照射は、1.32Gy/分の線量率で左頬袋の粘膜を標的とした。放射線照射の前に、動物を、ケタミン(160mg/kg)およびキシラジン(8mg/kg)のIP注射で麻酔した。左の頬袋を裏返し、固定し、そして鉛遮蔽体を使用して隔離した。これによって、およそ14日目がピークとなる潰瘍性口腔粘膜炎が生じた。
粘膜炎の評価:粘膜炎の評価のために、動物を吸入麻酔で麻酔し、左の頬を裏返した。粘膜炎を、有効な写真スケールと比較することによって、正常に対する0から重症の潰瘍に対する5までの範囲で、視覚的にスコアした。スケールを表19に記載する。
(表19.粘膜炎スコア値の説明)
Figure 2007536381
1〜2のスコアは、疾患の軽症段階を呈すると考えられるが、3〜5のスコアは、中度から重症の粘膜炎を示すと考えられる。臨床的スコアリングの後、標準的な技術を使用して個々の動物の粘膜の写真を撮影した。実験の終了時に、全てのフィルムを現像し、そして写真を、盲検スコアリングのためにランダムに番号をつけた。2人の無関係な訓練された観察者によって、上記のスケールを使用して盲検様式で写真を等級付けした。それぞれの写真についての最終的な盲検スコアは、2人の独立した評価者によって割り当てられたスコアの平均とした。盲検による写真の評価によるスコアを統計学的に分析した。
体重および生存性:それぞれのハムスターの体重を、実験期間中(すなわち、−4日目から28日目)、毎日測定した。体重と生存性をモニタリングし、処置によって生じる粘膜炎の重篤度および/または毒性が生じる可能性についての指標として、処置グループ間に生じうる差を評価するために記録した。適切である場合には、生存性を、カプラン・マイヤー(Kaplan−Meier)ログランク(log−rank)検定を使用して分析した。体重増加の差を、個々の動物についての体重の増加の割合についての曲線下面積(AUC)値の一元ANOVA分析を使用して、0.05の基準値を用いて評価した。
活性の評価:対照グループと比較した粘膜炎に対する個々の処置の効果を、3以上のスコアを有している動物の日数のカイ二乗(χ2)分析を使用して、そして評価を行ったそれぞれの日について各グループの盲検粘膜炎スコアを比較するためのマン・ホイットニー順位和試験を使用することによって、評価した。それぞれの場合において、処置グループを、0.05の基準値を用いて対照グループと比較した。マン・ホイットニー順位和試験については統計学的に有意な2日間の改善を、一般的に、ポジティブな結果について必要な最小の改善とみなした。
(結果)
粘膜炎:1日の粘膜炎スコアの平均をそれぞれのグループについて計算し、そして図11に示す。対照グループの粘膜炎のピークは、このグループの平均スコアが3.2に達した14日目であった。CG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの全てが、16日目にそれらのスコアのピークを有しており、これは、最大で、1日目に24mg/kgまたは48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの3.0から、最小で、1日目に12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの2.63であった。粘膜炎スコアを評価するために、3以上のスコアを有している日数の分析を、カイ二乗検定を使用して行った。この分析の結果を、表20と図11に示す。さらに、図12には、カイ二乗検定によって計算した場合に、>3の粘膜炎スコアを有している、動物における重症の粘膜炎の期間を示す。12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置した両方のグループが、3以上のスコアを有している日数に関して有意な減少を示した。1日目にしか処置を行わなかったグループ(P=0.003)は、1日目および2日目に処置したグループ(P=0.018)よりもわずかに有意であった。1日目に6mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、いくらかの改善を示したが、有意性には到達しなかった(P=0.092)。24mg/kgおよび48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、この試験においては対照と本質的には同じであった。
(表20.3以上の粘膜炎スコアを有している動物の日数についてのカイ二乗検定)
Figure 2007536381
開放性の潰瘍の提示によって定義されるような臨床的に有意な粘膜炎のレベル(>3のスコア)を試験するために、動物が高いスコアを示した日数の合計を足し算し、それぞれのグループについてスコアした日数の合計の割合として表した。観察された差異の統計学的有意性を、カイ二乗検定を使用して計算した。有意性の改善は、表において強調する。
粘膜炎スコアの差の有意性についてのさらなる分析を、各評価日について対照グループと試験グループを比較するために、マン・ホイットニー順位和試験を使用することによって行った。この分析の結果を表21に示す。これは、1日目にだけ6mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループが、14日目(P=0.010)および26日目(P=0.031)の対照と比較して有意な改善を示したことを示している。1日目にだけ12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、14日目(P=0.011)、16日目(P=0.031)、18日目(P=0.005)、および20日目(P=0.037)の対照と比較して、有意な改善を示した。24mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、対照と比較しても何ら有意な改善は示さなかった。48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、12日目に有意な改善を示した(P=0.035)が、これはまた、26日目(P=0.036)および28日目(P=0.006)には、有意な悪化を示した。1日目および2日目に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、対照と比較して、14日目(P=0.010)および18日目(P=0.045)に有意な改善を示した。この試験での意味のある改善についての基準は、対照と比較した粘膜炎スコアの2日間の統計学的有意な改善であるので、1日目に6mg/kgまたは12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループ、および1日目および2日目に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、有意な改善を示した。
(表21.マン・ホイットニー順位和試験を使用することによって行った粘膜炎スコア)
Figure 2007536381
グループ間の差の有意性を、毎日の粘膜炎スコア(順位和試験)において観察した。このノンパラメトリック統計分析は、視覚的な粘膜炎スコアリングスケールに適している。それぞれの計算のためのp値を示す。有意な改善を強調する。
生存性:5匹の動物が実験の間に死亡した。死亡は、4日目に24mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループにおいて、7日目に6mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループにおいて、9日目と11日目に12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループにおいて、そして1日目のみ投与したグループおよび11日目に48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループにおいて生じた。対照グループ、または1日目および2日目に12mg/kg/日のCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループのいずれについても、死亡は起こらなかった。生存性は、化学療法モデル/放射線照射モデルにおいて通常観察される死亡率と一致した。
体重の変化:各グループについての毎日の体重の変化の割合の平均を図13に示す。未処置の対照グループの動物についてのこの実験の経過の間の体重の全体的な増加は、47.5%であった。これを、1日目に6mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの45.9%、1日目に12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの53.8%、1日目に24mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの41.2%、1日目に48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの49.7%、そして、1日目および2日目に12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの46.9%と比較した。それぞれの動物についての曲線下面積(AUC)の計算によって、グループの体重の増加の分析を行った。全ての実験グループ間で、体重についてのグループAUC値の一元ANOVA分析は、この実験においてはいずれのグループの間にも有意な差はなかったことを示した(P=0.687)。この実験でのそれぞれのグループのAUC値の平均の比較を図14に示す。この結果は、CG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループの動物が、未処置の対照グループの体重の増加と同じ様式で体重が増加したことを示している。
(6.11 実施例11:ハムスターの化学療法モデル/放射線照射モデルにおける確立された口腔粘膜炎の処置に対するCG53135の効果(N−318))
動物、タイプ、および年齢、ならびに化学療法モデル/放射線照射モデルは、セクション6.10に記載したものと同じである。この実施例では、タンパク質濃度をBradfordアッセイによって測定した。
60匹のハムスターを、放射線照射の前に、それぞれ10匹の動物ずつの6個のグループにランダムに分けた。それぞれのグループに列挙した種々の処置を割り当て、表22に示したように、12mg/kgのCG53135大腸菌精製産物をIPで処置した。この実験では、動物には、−4日目および−2日目に60mg/kgの5−FUを投与し、その後、15日ごろに重症の粘膜炎を生じさせるために、0日目におよそ30Gyの急性放射線照射を行った。この実験期間は35日とした。処置スケジュールおよび投与を、動物の口腔粘膜炎スコアが2に達した後に開始した。粘膜炎のスコアリングに加えて、この実験では、実験グループの個々の動物について、下痢の発生、体重の減少、および死亡を評価した。
(表22.処置グループ)
Figure 2007536381
粘膜炎を、6日目に開始して一日おきに評価し、28日目に実験が終了するまで1日おきに評価した(すなわち、8日目、10日目、12日目、14日目、16日目、18日目、20日目、22日目、24日目、26日目、および28日目)。
粘膜炎をハムスターにおいて誘導した。評価項目、粘膜炎、体重、および生存性を評価した。利用した統計学は、カイ二乗検定およびマン・ホイットニー順位和試験である。全ての3つのパラメーターは、セクション6.10に記載する。
(結果)
粘膜炎:未処置の対照グループにおいては、粘膜炎のピークは14日目に生じ、3の平均スコアを有していた。ビヒクル対照グループにおいては、粘膜炎のピークは16日目に生じ、3.4の平均スコアを有していた。2のスコアに達した後、第1日および第2日に、12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物をIPで投与したグループは、対照グループと同様の粘膜炎スコアのパターンを示した(図12A)。2のスコアに達した後、第3日および第4日に、12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物をIPで投与したグループは、対照グループと比較して、粘膜炎スコアの減少を示し、これは主に粘膜炎のピークよりも後ろで生じた(図12B)。
これらのグループの間での粘膜炎スコアの差を、カイ二乗検定を使用して3以上のスコアを有している日数を比較することによって評価した。ビヒクル対照グループにおける動物の日数の41.1%と比較して、未処置の対照グループにおいては、評価した動物の日数の32.3%が3以上のスコアを有していた。2つの対照グループの間でのこの差の結果として、2つの処置グループ(2のスコアに達した後、2日間および3日間、CG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループ)は、ビヒクル対照と比較した場合には有意な改善を示したが、未処置の対照と比較した場合には有意な改善は示さなかった。2日間CG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループについては、P値は、未処置の対照と比較した場合には0.347であり、ビヒクル対照と比較した場合には0.007であった。そして、3日間CG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループについては、P値は、未処置の対照と比較した場合には0.580であり、ビヒクル対照と比較した場合には0.020であった。2のスコアに達した後、4日間CG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、未処置の対照と比較した場合(P=0.003)およびビヒクル対照と比較した場合(P<0.001)の両方と比較して有意な改善を示した。2のスコアに達した後、1日だけCG53135−05大腸菌精製産物で処置したグループは、いずれの対照グループと比較した場合にも、有意性は示さなかった。
対照と処置グループとの間で見られたこれらの差の有意性についてのさらなる評価を、スコアを得たそれぞれの日について各グループの粘膜炎スコアを評価するために、マン・ホイットニー順位和試験を使用することによって行った。この分析においては、種々の処置グループを、未処置の対照グループまたはビヒクル対照グループのいずれかと比較した。未処置の対照グループとのこの比較の結果は、2日間処置したグループと、未処置の対照グループとの間には、10日目にのみ統計学的に有意な差があった(P=0.011)ことを示した。3日間処置したグループと未処置の対照グループとの間には、14日目(P=0.036)および22日目(P=0.013)に統計学的に有意な差があった。4日間処置したグループと未処置の対照グループとの間には、10日目(P=0.009、)12日目(P=0.029)、14日目(P=0.002)、22日目(P=0.021)、および24日目(P=0.032)に統計学的に有意な差があった。1日だけCG53135で処置したグループと未処置の対照グループとの間には、統計学的に有意な差はなかった。
ビヒクル対照グループとの間での順位和試験の比較の結果は、3日間処置したグループとビヒクル対照グループとの間には、14日目(P=0.020)および22日目(P=0.020)に統計学的に有意な差があったことを示した。4日間処置したグループとビヒクル対照との間での統計学的に有意な差は、10日目(P=0.036)、14日目(P<0.001)、18日目(P=0.024)、22日目(P=0.048)、24日目(P=0.021)、26日目(P=0.048)、および28日目(P=0.004)に見られた。1日だけ、または2日間CG53135で処置したグループとビヒクル対照グループとの間には統計学的に有意な差はなかった。
体重の変化:未処置の対照グループの動物は、この実験の終わりまでに、平均して、それらの開始時の体重の50.5%の増加を示した。ビヒクル対照グループは、平均したこの実験の間の体重の増加が最も少なく、平均して41.1%の増加であった。4日間毎日CG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループは、53.4%のもっとも大きい体重の増加を実験期間の間に生じた。一方、1日、2日、および3日間、毎日投与したグループは、それぞれ、平均して、48.1%、46.8%、および44.4%の増加であった。これらの差を、それぞれの動物についての毎日の体重増加の割合について、曲線下面積(AUC)を計算することによって計算し、一元ANOVA分析を使用してAUC値を評価することによって、評価した。これらのグループの間には有意な差はなかった(P=0.266)。平均のAUCデータを図15に示す。
(6.12 実施例12:CG53135はヒト患者の粘膜炎について単回投与治療として安全に使用することができる(C−214試験およびC−325試験))
進行した(第4期)の癌を有しているヒト患者に静脈内投与したCG53135−05大腸菌精製産物(セクション6.18.1に記載した処方物、本実施例では「CG53135−05薬剤物質」と呼ぶ)の安全性、耐受性、および薬物動態的評価(単一漸増薬剤量耐受性試験(single rising dose tolerance))を行った。この漸増用量耐受性試験の目的は、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.33mg/kg、および1mg/kg(UV)での、4人の患者の集団におけるCG53135−05薬剤物質の安全性、耐受性、および薬物動態を評価することである。漸増用量は、15分間、0.33mg/kgを投与した(第I期試験C−325)際の耐受性の情報を理由として中止し、そしてプロトコールを0.2mg/kgの用量を加えるように補正した。
試験の間に、口腔粘膜を、熟練した研究スタッフによって試験し、そして世界保健機構(WHO)のOMスコアリングシステムと口腔粘膜炎評価スケール(Oral Mucositis Assessment Scale(OMAS))の両方による粘膜炎スコアを割り当てた。WHO Handbook 1979 WHO.WHO Handbook for Reporting Results for Cancer Treatment.:WHO Offset Publication No.48.Geneva,Switzerland:World Health Organization;1979を参照のこと。OMASによっては、損傷についてのより定量的な評価が提供される。退院後、患者に、彼らが毎日1つのWHOスコアを記録する日記を提供した。研究スタッフが、口腔粘膜炎についてのスコアを自己評価し、当てはめるための方法を患者に説明した。
(表23.WHOスコアリングシステム)
Figure 2007536381
OMASシステムの値は、紅斑および潰瘍/偽膜スコアを足し算することによって得た。
(表24.OMASスコアリングシステム)
Figure 2007536381
11人の患者に、CTの終了の3日後に投与した1回の100mlの静脈内注射として、0.03mg/kg(n=4)、0.1mg/kg(n=6)、および0.2mg/kg(UV)(n=1)のCG53135−05薬剤物質を投与した。耐受性情報は11人の患者全てから得ることができた。9人の患者からは完全な臨床データを得ることができた。
事前の薬物動態データは、0.03mg/kg(UV)用量レベルでの564.3ng/ml(n=3;範囲175.6〜1192.6ng/ml)、および0.1mg/kg(UV)用量レベルでの564.7ng/ml(n=3;範囲420.9〜797.5ng/ml)の平均のCmaxを有するプラズマ照射を示した。注入後、CG53135−05薬剤物質は、1時間以内に最大血漿濃度に達した(注入の完了後、15から35分)。平均した最終的な指数的半減期は49分であった(範囲:16.2〜87分、n=5)。有害な事象により試験が継続できなかった患者はなかった。実験薬剤に関係し得る有害な事象(患者の数)としては、以下が挙げられる:吐き気(2);悪寒(2);発熱(2);嘔吐(1);眩暈(1);光視症(1)(15日目の視覚−「点滅」)、および乱視(1)(28日目の軽度の乱視);神経障害(1)(15日目に足の裏に);頻脈(1);頭痛(1);およびECGで記録された無症候性の1つの未成熟の心房波形(1)。全ての報告された症状は、軽度から中度であった。実験薬剤に伴う悪性度3または4の研究室での毒性は記録されなかった。2004年9月3日から薬剤を投与した11人の患者の間で、実験薬剤とは無関係であると決定された6つの重症の悪性事象が、3人の患者から記録された。これらの事象には、癌の進行(n=2)、カテーテルによる感染、小腸の閉塞、食道炎/粘膜炎、および好中球減少性発熱が含まれる。
実験が完了した11人の患者のうち、6人の患者は口腔粘膜炎を発症しなかった。4人の患者が悪性度1(n=1)または悪性度2(n=3)の口腔粘膜炎を発症した。1人の患者については悪性度3の口腔粘膜炎を有していることが観察された。完全な非経口的栄養補給の必要な患者はなかった。CPT−11を投与した患者は、一般的には、下痢について高い発症率を有していた。この実験では、7人の患者にCTの一部としてCPT−11を投与し、そしてわずかに2人の患者(いずれも0.03mg/kg(UV)のCG53135−05薬剤物質を投与した)が軽度から中度の下痢を経験し、そしてわずか1人の患者だけが、CG53135−05薬剤物質での処置を受けた直後に下痢を発症した。本発明者らは、CG53135−05薬剤物質が0.03mg/kg、0.1mg/kg、および0.2mg/kg(UV)の単回用量の投与で十分に寛容化されたと結論付けた。
自己幹細胞移植患者での平行単一漸増用量(concurrent single rising−dose)の第I相試験(C−325試験)が現在進行中であり、27人の患者をCG53135−05薬剤物質で処置している。PBSCTでのHDCTを受けた22人の患者(pts)(年齢25〜75)は、0.03mg/kg(2)、0.1mg/kg(10)、0.2mg/kg(8)、および0.33mg/kg(2)を含む(カッコ内は患者の数)、CG53135−05薬剤物質の増量を用いた実験を完了することができた。患者を、多発性骨髄腫(n=11)、非ホジキンリンパ腫(n=9)、急性骨髄性白血病(n=1)、および線維形成性円形細胞癌(n=1)について処置し、そして、メルファラン(Mel200)、シクロホスファミド、カルムスチンおよびエトポシド(CBV)、カルボプラチンおよびチオテパ(CT)、ならびにブスルファン/シクロホスファミド(標的化されたBuCy)を含む調整レジュメで処置した。この試験の主な目的は、CG53135−05薬剤物質の安全性、耐受性、および薬物動態を評価することであった。患者をまた、WHOおよびOMASの両方の悪性度評価スケールを使用してOMの存在について毎日スコアした(上記の表23および24)。実験を完了することができた22人の患者のうち、8人の患者はOMを経験しなかった(4人のMel 200ptsを含む);10人の患者は、WHOによる悪性度1(n=7)または悪性度2(n=3)程度しかないOMを示し、4人の患者は、悪性度3(n=3)または悪性度4(n=1)の重症のOMを経験した。悪性度4のOMを示した1人の患者には、4日間のTPNが必要であった。患者は、0.33mg/kgの用量まで、有意な副作用を生じることなく実験薬剤を十分に寛容化できた。この用量では、2人の患者が発熱、吐き気、および軽度の低血圧からなる注入投与に対する反応を示した。13人の患者による事前の薬物動態の結果から、用量依存性のプラズマ照射を確認し、0.1mg/kg、0.2mg/kg、および0.33mg/kgの用量レベルで、それぞれ、135.5ng/ml、343.3ng/ml、および658.3ng/mlの平均Cmaxであった。好中球移植の中央日(median day)(ANC>500/μLによって決定した)は、幹細胞の注入後13日目に生じた。事前のデータは、CG53135−05薬剤物質が、OMを緩和または予防することにおいて、明らかな臨床的な効果を伴って、0.33mg/kgまでの用量でPBSCT患者において十分に寛容化されることを示唆している。したがって、22人の患者のうちの18人が、HDCT後の粘膜炎(WHO悪性度3〜4)を回避できた。HDCTによって誘導されるOMを予防することにおけるCG53135−05薬剤物質の効力を評価するためのより大きな規模の第II相臨床試験が、開始される。
結論として、CG53135−05薬剤物質は、一般的には、現在までの2回の第I相試験において投与された38人の患者の間では十分に寛容化された。試験した用量は、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、および0.33mg/kg(UV)であった。注入投与に対する反応は、0.33mg/kgの薬剤を15分間にわたって投与した場合、より低い用量で観察された明らかな活性と組み合わせて、この用量レベルの中断を導くこととなった。他には、一貫した薬剤に関係する有害事象または明らかに用量に関係する有害事象、あるいは実験室での異常は観察されなかった。実験薬剤に関係する深刻な有害事象は観察されなかった。耐受性および予備的な活性についての十分な情報は、第II相試験において0.03mg/kg、0.1mg/kg、および0.2mg/kg(UV)の用量を利用するために提示されることが考えられる。
(6.13 実施例13:粘膜炎の予防または処置のためのCG53135の複数回投与)
有効なハムスターの口腔粘膜炎(「OM」)モデルを使用する前臨床試験によって、活動性OMを有している患者の処置におけるCG53135の効果の研究がサポートされている。研究の結果によって、複数回投与のレジュメが、OMの期間および重篤度を下げることにおいてより有効であることがさらに示された(実施例6.11のN−318試験)。3回目の第I相臨床試験を、AHSCTへの馴化としてTBIを用いてまたはそれを用いることなくCTによる活動性OMを有している患者に、あるいは、化学療法を行った白血病患者に、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kg(UV)で、3回の連続する毎日の用量のCG53135−05薬剤物質の安全性を評価するために行うことができる。加えて、OMスコア、薬物動態、および薬効(PD)が評価される。
提案された0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kg(UV)の単回投与を、単回投与のCG53135−05薬剤物質の安全性および耐受性を評価するために行った2回の第I相臨床試験において癌患者に投与した。CG53135−05薬剤物質は、実験を完了することができた患者の間では、提案された試験用量で十分に寛容化された。3回目の第I相試験には、連続する3日間のCG53135−05薬剤物質の薬理学的用量の毎日の投与を提案する。実験によって導かれた3日間の限定された治療期間と導かれた情報の有効である可能性(ポジティブな安全性のデータは、これらの安全性の問題のさらに詳細な研究の根拠を示すであろう)を前提とすると、リスク便益プロファイルが好ましいと考えられる。
血液試料を、血液学および臨床化学の変化をモニタリングするため、ならびにCG53135−05薬剤物質のレベルおよびCG53135に対する抗体のレベルを測定するために回収する。尿を、尿検査のパラメーターのために回収する。心電図(ECG)、さらには、身体検査および眼の検査もまた、安全性の評価のために行う。血液試料を、薬剤活性の生体マーカーを評価するために採取する。この実験の状況では、生体マーカーは、CG53135−05薬剤物質での処置に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定され、評価される特性として定義される。モニタリングされ得る生体マーカーとしては、サイトカインが挙げられる。
(6.14 実施例14:化学療法によるか、または化学療法と放射線治療の併用によって誘導される口腔粘膜炎の予防)
第II相臨床試験は、放射線治療とともに化学療法を行ったか、または放射線治療を行わずに化学療法を行った癌患者において口腔粘膜炎を予防することにおけるCG53135−05薬剤物質の効力を評価するために行うことができる。これは、静脈内に投与した単回用量の0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kg(UV)のCG53135−05薬剤物質を用いた、二重盲検プラセボ対照試験である。世界保健機構(WHO)のOMスコアリングシステムを、効力を測定するために使用する。
骨髄破壊的化学療法および/または全身照射(TBI)後に自己幹細胞移植を受けた患者を、患者を登録するためにスクリーニングする。患者には、全身照射(TBI)レジュメを伴う化学療法、または全身照射(TBI)レジュメを伴わない化学療法の終了後24時間で、自己幹細胞を投与する。
患者に、幹細胞の注入の終了後、少なくとも24時間で、CG53135−05薬剤物質を投与する。患者を、退院まで、または好中球移植の初日(ANC>500/μl)まで、薬剤の投与後をモニタリングする。患者を、退院後2週間、CG53135−05薬剤物質の注入後30日および90日で、追跡のために戻って来させる。
血液試料を、CG53135、CG53135に対する抗体のレベルを測定するために、ならびに、血液学および臨床化学の変化をモニタリングするために回収する。尿を、尿検査のパラメーターのために回収する。心電図(ECG)、さらには、身体検査もまた、安全性の評価のために行う。血液試料を、薬剤活性についての生体マーカーを評価するために採取する。効力についての第1の評価項目は、口腔粘膜炎の期間と重篤度として示す。第2の評価項目には、発熱している日数、完全非経口栄養法、感染の数、静脈内麻薬性鎮痛薬の使用、移植までの時間、退院までの時間、下痢の発症と期間、さらには、90日目での死亡率/進行していない疾患が含まれる。
(6.15 実施例15:化学療法によって、または化学療法と放射線治療の併用によって誘導される口腔粘膜炎の処置)
第II相臨床試験は、化学療法、放射線治療、または化学療法と放射線治療の併用を受けた癌患者の口腔粘膜炎の処置におけるCG53135−05薬剤物質の効力を評価するために行うことができる。これは、静脈内に投与した単回投与または複数回投与のCG53135−05薬剤物質を用いた、二重盲検プラセボ対照試験である。世界保健機構(WHO)のOMスコアリングシステムを、処置の効力を測定するために使用する。
患者を、口腔粘膜炎の発症について毎日モニタリングする。CG53135−05薬剤物質での処置は、患者が1または2のWHOスコアの口腔粘膜炎を発症した時点で開始する。
CG53135−05薬剤物質を、単回投与または複数回投与として投与する。患者を、退院まで、または骨髄移植患者においては好中球移植の初日(ANC>500/μl)まで、薬剤の投与後をモニタリングする。患者を、退院後2週間、薬剤の注入後30日および90日で、追跡のために戻って来させる。
血液試料を、CG53135、CG53135に対する抗体のレベルを測定するために、ならびに、血液学および臨床化学の変化をモニタリングするために回収する。尿を、尿検査のパラメーターのために回収する。心電図(ECG)、さらには、身体検査もまた、安全性の評価のために行う。血液試料を、薬剤活性についての生体マーカーを評価するために採取する。効力についての第1の評価項目は、重症の口腔粘膜炎(WHO OM悪性度3または4)の発症として、または口腔粘膜炎の期間および重篤度として示す。第2の評価項目には、発熱している日数、完全非経口栄養法、感染の数、静脈内麻薬性鎮痛薬の使用、移植までの時間、退院までの時間、下痢の発症と期間、さらには、90日目での死亡率/進行していない疾患が含まれる。
(6.16 実施例16:CG53135は放射線による下痢の発症、長さ、および重篤度を低下させる)
この実験は、下痢の発症と消化管形態によって測定される、全身照射によって誘導される胃腸障害に対するCG53135の活性を評価するために行った。この実施例では、タンパク質濃度はUV吸光度によって測定した。
(材料および方法)
投薬:マウスの体重を測定し、その後、CG53135−05大腸菌精製産物(4mg/kgまたは16mg/kg)を投与したか、あるいは未処置のままとした。投薬は、表1および2に記載したように行った。それぞれ20匹の動物の各グループに、以下の表に示したように放射線を照射した。0日目のCG53135−05大腸菌精製産物の全ての投薬は、放射線照射の直後に行った。麻酔薬は投与しなかった。
腸陰窩細胞の損傷の誘導:マウスに、0.7Gy/分の線量率で照射した14Gyまたは14.5Gyの線量で全身照射を行った。動物を、実験期間を通じて下痢の発症について追跡した。6日後、動物を屠殺し、マウスの腸管を組織学的分析のために回収した。
体重:電離放射線への暴露に対する応答の指標として、起こりうる処置グループの間で動物の体重の差を評価するために、実験期間の間、毎日、それぞれの動物の体重を測定し、その生存性を記録した。
遺体となって発見された動物または瀕死の状態で発見された動物:下痢の発症/進行を正確に評価し、動物が死亡する前に瀕死の状態を検出するために、動物を、3日目から1日に2回評価した。このような瀕死の状態の動物を、頚椎脱臼によって屠殺した。回腸と結腸の中ほど(mid−colon)を取り出し、保存、および必要に応じたさらなる分析/IHCのためにホルマリン中に固定し、パラフィンに包埋した(1ブロックあたり1匹の動物、1ブロックあたり2つの組織)。遺体となって発見された動物からは組織は取り出さなかった。
(表25.実験の設計)
Figure 2007536381
(表26.被験物質の要件)
Figure 2007536381
(結果)
14Gyまたは14.5Gyで放射線照射した動物についての下痢のスコアと体重を含むエクセル(Excel)(登録商標)集計表を添付した。それぞれの放射線量によるデータが極めて類似しているとの理由から、14Gyを照射した動物の分析だけを提供する。
体重:質量比増殖速度(mass specific growth rate)は以下によって計算した:
Figure 2007536381
有意性は、一元ANOVAおよびDunnettの多重比較試験法を使用して計算した。グループ間には、実験の間の体重の変化に有意な差は見られなかった(図17Aおよび17B)。
下痢のスコア:マウスを、放射線照射後4日目に開始して3日間、1日に2回、0〜3のスケールで下痢の重篤度についてスコアした。3日間にわたる平均の下痢のスコアと、さらに、3日間の下痢のスコアの合計を測定し、グラフに表した。有意性は、一元ANOVAおよびTukeyの多重比較試験法によって得た(図18Aおよび18B)。
下痢のピーク日の差を決定するために、各観察日についての分析もまた行った。有意性を、上記のように決定した(−P<0.05、**−P<0.01、***−P<0.001)(図19)。
(結論)
放射線照射に対して−1日目、0日目、および+1日目に16mg/kgのCG53135をそれぞれ投与した動物は、放射線による下痢の発症、長さ、および重篤度において極めて有意な減少を生じた。4mg/kgのCG53135を1日目に6時間おきに投与した動物もまた、下痢の発症の有意な減少を生じた。下痢のピーク日は、放射線照射の5日後であり、この時点では、16mg/kgの用量のCG53135によってのみ、下痢の有意な減少がもたらされた。実験期間中の体重の減少については、処置グループ間に有意な差はなかった。
(6.17 実施例17:CG53135は、ラットのCPT−11によって誘導される下痢を減少させる(N−392試験))
イリノテカン(CPT−11)は、重症の下痢による消化管(GI)粘膜炎の発症を引き起こす固形腫瘍に対して一般的に使用されている化学療法薬である。この実験の主要目的は、CG53135がインビボの動物モデルにおいてCPT−11によって誘導されるGI粘膜炎を軽減させるかどうかを研究することであった。第2の目的は、種々のCG53135の投与スケジュールを試験することであった。
(方法論)
下痢は、CPT−11(200mg/kg)の単回の腹腔内投与を用いて、腫瘍を有しているラットにおいて誘導した。動物を、以下のセクション6.18.2に記載するプロセス2にしたがって、化学療法による処置の前、処置の前と処置の間、または処置後のいずれかに、16mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物で腹腔内で処置した(0.5Mのアルギニン、0.05Mのリン酸一ナトリウム、0.01%のポリソルベート80のビヒクル中であり、これは、硫酸でpH7.0になるようにpHを調整した)。ラットを、下痢の発症、および重篤度、さらには、死亡率について綿密にモニタリングした。動物を、下痢の誘導の168時間後に安楽死させた。安楽死させる際には、組織を、消化管の組織病理学的評価のために回収した。
(結果)
重症または中度の下痢が、CPT−11のみで処置したラットのおよそ40%に生じた。これには、化学療法後4日目には50%の死亡率が伴った。CPT−11での処置の前、または処置前と処置の間にCG53135を投与したラットは、重症または中度の下痢を発症したが、低い発生率であり、また、これに伴う死亡はなかった。他の投与レジュメは有効ではなかった。
(結論)
CG53135で予め処置した動物(16mg/kg)は、下痢の発症の減少によって測定される消化管粘膜炎の改善を示した。全体的な死亡率の低下もまた、このグループで記録された。このことは、ヒトのGI粘膜炎でのCG53135の使用に重要な意味を持ち、これはさらに研究すべきであった。
(6.18 実施例18:CG53135−05および薬学的処方物の製造)
臨床開発に適している構築物を目的として、タグを付けていない分子を、ファージを含まない細菌宿主の中で作成した。コドン最適化した全長のタグを付けていない分子(CG53135−05)は、最も好ましい薬学的プロフィールを有しており、これを使用して、安全性試験と臨床試験のための生成物を調製した。
(6.18.1 生産プロセスおよび薬学的処方物(プロセス1))
CG53135−05を、コドン最適化構築物を使用して大腸菌(Escherichia coli)BLR(DE3)で発現させ、均質になるように精製し、そして標準的なタンパク質化学技術によって特性決定した。単離したCG53135−05タンパク質は、標準的なSDS−PAGE技術を使用し、クマシーブルーで染色すると、1本のバンド(23キロダルトン)として移動していた。CG53135−05タンパク質を電気泳動によってポリビニリデンフルオライド膜に移し、染色された23kDのバンドを膜から切り出し、自動エドマン(Edman)配列決定装置(Procise,Applied Biosystems,Foster City,CA)によって分析した;最初の10個のアミノ酸のN−末端アミノ酸配列が、予想したタンパク質配列と同一であると確認した。
(発酵および初期回収組み換え体)
CG53135−05を大腸菌(Escherichia coli)BLR(DE3)細胞(Novagen)を使用して発現させた。これらの細胞を、pET24aベクター(Novagen)を使用して全長のコドン最適化したCG53135−05で形質転換した。これらの細胞の製造マスター細胞バンク(MMCB)を作成し、そして認定した。発酵と初回回収プロセスを、100L(すなわち、作業容量)のスケールで再現可能に行った。
播種(seed)の調製を、MMCBの1個から6個のバイアルを融解させ、プールすること、そして750mLの播種培地をそれぞれ含む4〜7個の震盪フラスコに接種することによって開始した。この時点で、3〜6Lの接種物を、60〜80Lの開始培地を含む生産発酵装置に移した。生産発酵装置を、37℃の温度および7.1のpHで操作した。溶存酸素を飽和濃度の30%またはそれ以上に、攪拌速度、空気散布速度、および純酸素での空気の濃縮を操作することによって、制御した。供給培地の添加を、30〜40AU(600nm)の細胞密度で開始し、発酵が終了するまで維持した。細胞を、1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)を使用して40〜50AU(600nm)の細胞密度に誘導し、CG53135−05タンパク質を、誘導後4時間の間生産させた。発酵は10〜14時間で完了し、約100〜110Lの細胞培養液を連続的な遠心分離を使用して濃縮した。得られた細胞ペーストを、−70℃で凍結して保存した。
凍結した細胞ペーストを溶解緩衝液(3Mの尿素(最終濃度)を含む)に懸濁し、高圧ホモジナイゼーションによって破壊した。細胞溶解物を、連続流遠心分離を使用して明澄化させた。得られた明澄化させた溶解物を、SP平衡緩衝液(3Mの尿素、100mMのリン酸ナトリウム、20mMの塩化ナトリウム、5mMのEDTA、pH7.4)で平衡化したSP−セファロース高速流カラムに直接ロードした。CG53135−05タンパク質を、SP溶出緩衝液(100mMのクエン酸ナトリウム、1Mのアルギニン、5mMのEDTA、pH6.0)を使用してカラムから溶出させた。その後、回収した物質を等量のSP溶出緩衝液で稀釈した。十分な混合の後、SPセファロースFFプールを、0.2μmのPESフィルターを通して濾過し、−80℃で凍結させた。
(薬剤物質の精製)
SP−セファロース高速流プールを硫酸アンモニウムで沈殿させた。4℃で一晩のインキュベーションの後、沈殿を、ボトル遠心分離によって回収し、続いて、フェニルローディング緩衝液(100mMのクエン酸ナトリウム、500mMのL−アルギニン、750mMのNaCl、5mMのEDTA、pH6.0)に可溶化させた。得られた溶液を、0.45μMのPESフィルターを通して濾過し、フェニル−セファロースHPカラムにロードした。カラムを洗浄した後、タンパク質を、フェニル溶出緩衝液(100mMのクエン酸ナトリウム、500mMのL−アルギニン、5mMのEDTA、pH6.0)を含む直線的勾配で溶出させた。フェニル−セファロースHPプールを、0.2μmのPESフィルターを通して濾過し、1.8Lのアリコートとして−80℃で凍結させた。
(処方物および充填/仕上げ)
精製した薬剤物質の4個のバッチを、2〜8℃で24〜48時間融解させ、接線流限外濾過(TFF)装置の回収タンクにプールした。プールした薬剤物質を、TFFによって約5倍に濃縮し、その後、処方緩衝液(40mMの酢酸ナトリウム、0.2MのL−アルギニン、3%のグリセロール)で約5倍のダイアフィルトレーションを行った。この緩衝液交換した薬剤物質を、>10mg/mLの標的濃度になるようにさらに濃縮した。回収タンクに移す際に、処方緩衝液を用いて濃度を約10mg/mLに調節した。処方された薬剤産物を滅菌濾過して滅菌タンクに入れ、無菌的に充填し(20mLのバイアル1つにつき10.5mL)、そしてシールした。充填し、シールしたバイアルを、充填の正確さと視覚的な欠陥について検査した。特定の数のバイアルを取り出し、放出アッセイ、安定性の試験、安全性の試験のためにラベルし、そして試料を保持した。残りのバイアルを、臨床試験のためにラベルし、完成した薬剤産物を−80±15℃で保存した。
完成した薬剤産物は、注射用の使い捨ての滅菌バイアル中の滅菌の透明な無色の溶液であった。CG53135−05大腸菌精製産物を、8.2mg/mLの最終濃度に処方した(表27)。
(表27.薬剤産物の比較)
Figure 2007536381
最適に処方したCG53135−05大腸菌精製産物の薬物動態を、動物モデルにおいて有効用量での暴露を比較し、ヒトでの暴露を予想するために、静脈内、皮下、および腹腔内投与後にラットで評価した。CG53135−05大腸菌精製産物の静脈内投与によっては、高い血漿濃度(最大血漿濃度=19,680−47,252ng/mL)が生じた。これは、最初の2時間のうちに30〜70ng/mLにまで急速に低下した;暴露の減少は、第3の日用量の投与後に観察された(最大血漿濃度=5373〜7453ng/mL)。CG53135−05大腸菌精製産物の皮下投与によっては、ゆっくりとした吸収(10時間での最大血漿濃度)と、投与後48時間までの40〜80ng/mLの血漿濃度が生じた;血漿中へのいくらかの蓄積が、第3の日用量の投与後に見られた。CG53135−05大腸菌精製産物の腹腔内投与によっては、ゆっくりとした吸収(2〜4時間での最大血漿濃度)と、投与後10時間までの40〜70ng/mLの血漿濃度が生じた;暴露の減少が、第3の日用量の投与後に見られた。性別による有意な差は、いずれの投与経路によっても観察されなかった。
CG53135−05大腸菌精製産物の静脈内投与(連続する14日間に0.05mg/kg/日、5mg/kg/日、または50mg/kg/日(Bradford))の安全性を、極めて重要なラットでの毒性試験において評価した。0.05mg/mL(Bradford)のCG53135−05大腸菌精製産物を14日間投与したラットにおいては、処置に関係する所見はなかった。5mg/kg(Bradford)CG53135を14日間投与したラットにおいては、飼料の消費量が減少し、体重が減少した;この投与グループにおいては、臓器の重さ、尿検査のパラメーター、眼科学的パラメーター、組織学的パラメーターには処置に関係する変化はなかったが、この処置グループには、血液学的パラメーターおよび臨床化学的パラメーターにおいて処置に関係する変化があった。50mg/kg(Bradford)CG53135−05大腸菌精製産物を12日間投与したラット(有効用量を20〜30倍上回る推測される最大血漿濃度)においては、飼料消費量は減少し、体重は明らかに減少した;眼科的には処置に関係する変化はなかったが、この処置グループにおいては、臓器の重さ、尿検査、血液学、臨床化学、および組織病理学において有意な処置に関係する変化があった。
CG53135−05大腸菌精製産物の静脈内投与(連続する7日間、0または10mg/kg/日(Bradford)で)の安全性を、アカゲザルでの安全性薬理学試験においてさらに評価した。1mg/kg(Bradford)のCG53135−05大腸菌精製産物を7日間投与した動物においては、処置に関係する臨床的な所見はなかった。10mg/kg(Bradford)のCG53135−05大腸菌精製産物を7日間投与した動物においては、体重に対する比較的重要ではない効果が記録され、これには、より少ない飼料消費量の定量的観察が付随していた。いずれの用量グループにおいても、血液学、臨床化学、眼科学、または電気生理学に対しては明らかな処置に関係する効果はなかった。
(CG53135−05薬剤物質の安定性)
cGMPの製造の間に生産されるCG53135−05大腸菌精製産物に対する安定性試験を行った。精製された薬剤物質についての安定性を示すアッセイとして使用した分析方法を表28に列挙する。
(表28.薬剤物質の安定性アッセイ)
Figure 2007536381
PI200=バックグラウンドの2倍のBrdUの取り込みを生じるCG53135−05の濃度
SDS=PAGE、RP−HPLC、およびBradfordアッセイは、タンパク質分解または全体的な凝集の指標である。SEC−HPLCアッセイによってタンパク質の凝集またはオリゴマー形成の変化を検出し、そして生体アッセイによっては、タンパク質の生物学的活性の消失を検出する。精製された薬剤物質についての安定性試験を、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、および24ヶ月の間隔で試験した試料を用いて、−80℃から15℃で行った。
1つの実験においては、完成した薬剤産物の安定性試験を、Cambrexによって、−80±15℃と−20±5℃で、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、および24ヶ月の間隔で試験した試料を用いて行った。1ヵ月後に得た安定性のデータは、完成した薬剤産物が、−80±15℃または−20±5℃で保存した場合には、少なくとも1ヶ月間は安定であったことを示している(表29)。
(表29.1ヶ月の間隔の後の薬剤産物についての安定性のデータ)
Figure 2007536381
Figure 2007536381
ロット番号02502001を、Cambrexによって、−80±15℃、または−20±5℃で保存し、1ヵ月後に試験した;PI200=バックグラウンドの2倍のBrdUの取り込みを生じるCG53135−05の濃度;パス=安定性についての基準を満たす結果;NT=実験しなかった。
別の実験では、完成した薬剤産物の試料を、−80±15℃で保存したか、または5±3℃、25±2℃、もしくは37±2℃でストレスをかけ、様々な間隔で1ヶ月間試験した。安定性についてのデータは、完成した薬剤産物が、−80±15℃、または5±3℃での1ヶ月の保存後には有意な不安定性は示さなかったことを示している。25±2℃でストレスをかけた場合には、完成した薬剤産物は少なくとも48時間安定であった;分解は、この温度では1週間後に見られた。37±2℃でストレスをかけた場合には、完成した薬剤産物の分解は4時間以内に見られた。
(6.18.2 改良された薬学的処方物とCG53135−05の生産プロセス(プロセス2))
市販される製品についての以下の3つの用件を満たすために、新しい処方物を開発した:(1)流通を容易にするためには、最低限の保存温度は2〜8℃でなければならない;(2)製品は、商業的流通システムに対して少なくとも18ヶ月間保存温度で安定でなければならない;そして(3)製品は、商業的スケールの設備によって製造されなければならず、プロセスは種々の商業的製造委託業者に譲渡可能でなければならない。
新しい処方物は、硫酸塩としての0.5Mのアルギニン、0.05Mのリン酸一ナトリウム、および0.01%(w/v)のポリソルベート80中の、10mg/mL(UV)の以下に記載されるプロセスによって生産されたタンパク質産物(「プロセス2タンパク質」)からなる。凍結乾燥させた生成物は、増進された安定性のデータに基づくと2〜8℃で少なくとも18ヶ月間安定であると予想される。新しい処方物とは対照的に、米国特許出願番号10/435,087に記載されている以前の処方物は、以下の理由から凍結乾燥させることはできない:第1に、酢酸緩衝液の酸性成分が酢酸であり、これは凍結乾燥の間に昇華するからである。凍結乾燥後、酢酸の減少は、塩基成分である酢酸ナトリウムが100%のレベルであり、緩衝化剤のみとなる。凍結乾燥によるこの酢酸の消失によって、pHは<7.5にまで上昇し、これは、標的である5.3のpHからは程遠い。2つ目は、グリセロールが<−45℃の崩壊温度を有することであり、これが原因で、この処方物を商業的に凍結乾燥させることができない。市販の凍結乾燥装置のほとんどは、−45℃から−50℃の範囲の棚(shelf)温度を有しており、±3℃の温度の変動がある。
CG53135について以下の4つの意外な特性を見出し、これらを使用して新しい処方物を開発した:(1)高濃度のアルギニン(>0.4M)によって、溶解度が>30mg/mLに上昇する;(2)アルギニンの硫酸塩を使用することによって溶解度が少なくとも2〜6倍増大する;(3)緩衝化塩としてのリン酸ナトリウムの最適濃度は50mMであり、25mM、75mMおよび100mMの濃度と比較した場合には溶解度は少なくとも1〜2倍増大する;そして、(4)ダイアフィルトレーション/限外濾過工程の間に界面活性剤を添加することによって、凝集物の形成が最小となる。凍結乾燥処方物の開発においては、新しい処方物の個々の成分を、別個に溶解度について評価した。CG53135−05を、沈殿緩衝液(50mMのNaPi、5mMのEDTA、1MのL−アルギニンHCl、2.5Mの(NHSO)を使用して沈殿させた。この沈殿を、pH6.5の25mMのリン酸ナトリウム緩衝液で洗浄して、残留アルギニンと硫酸アンモニウムを除去した。その後、洗浄した沈殿を、表に列挙する以下のそれぞれの緩衝液に再度溶解させた。以下はデータの例である。
(表30.高濃度のアルギニン(>0.4M)によって溶解度が>30mg/mLに増大する)
Figure 2007536381
:溶解度は、実験において十分なタンパク質を溶解させることができなかったので低い
(表31.アルギニンの硫酸塩を使用することにより溶解度は少なくとも2〜6倍増大する)
Figure 2007536381
全ての処方物に0.2Mのアルギニンが含まれている。
緩衝化塩としてのリン酸ナトリウムの最適濃度を観察した(表32)。リン酸ナトリウムの最適濃度は50mMであり、25mM、75mMおよび100mMの濃度と比較した場合には溶解度は少なくとも1〜2倍増大した。
(表32.緩衝化塩としてのリン酸ナトリウムの最適濃度は50mMである)
Figure 2007536381
表33は、凝集物の形成を最小限にするためのダイアフィルトレーション/限外濾過の工程の間に界面活性剤を添加することの必要性を示している。実験は、0.2Mのアルギニンおよび0.05Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中の2.5mg/mLのCG53135−05で限外濾過/ダイアフィルトレーションを実施することによって行った。7倍容量の最終緩衝液(0.5Mのアルギニンおよび0.05Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)での交換の後、ダイアフィルトレーション産物(diafiltrate)を約20mg/mLに濃縮する。その後、ダイアフィルトレーション産物を最終緩衝液で約12.5mg/mLに稀釈し、凍結乾燥させる。ポリソルベート80を、0.01%の最終濃度になるようにダイアフィルトレーションの前または後のいずれかに添加する。
(表33.ダイアフィルトレーション/限外濾過工程の間に界面活性剤を添加することにより凝集物の形成を最小限にする)
Figure 2007536381
全ての処方物は、0.5Mのアルギニン、0.05Mのリン酸一ナトリウム、および0.01%のポリソルベート80を含む。
新しい処方物は、以下の利点を有している:(1)2〜8℃の保存温度を有している凍結乾燥産物であること;(2)2〜8℃で保存される場合、少なくとも18ヶ月の貯蔵寿命を有していると予想される凍結乾燥産物は、>30mg/mLの溶解度に達すること;ならびに、(3)凍結乾燥産物は−30℃の崩壊温度を有しており、これは商業的設備によって容易に凍結乾燥され得ること。アルギニン、流酸塩、リン酸塩、および界面活性剤と、CG53135との間での相互作用は予期していなかった。
薬剤物質および製剤の製造のための改良されたプロセスの工程を表34に記載し、それぞれの工程を以下に説明する。
(表34)
Figure 2007536381
Figure 2007536381
細胞バンク:動物性の成分を含まない複合培地中の製造マスター細胞バンク(MMCB)を、先に記載したプロセスに使用した。動物性の成分を含まない化学的に定義された培地中の第2の製造マスター細胞バンク(MMCB)を、最初のMMCBから誘導し、そして製造作業細胞バンク(Manufacturing Working Cell Bank(MWCB))を、第2のMMCBから作成した。このMWCBを、表34に記載した製造プロセスに使用した。
接種物の調製:最初の細胞の増殖は震盪フラスコの中で行う。播種の調製は、化学的に定義された培地の中にMWCBの2〜3個のバイアルを融解させてプールし、そしてそれぞれ500mLの化学的に定義された播種培地を含む3〜4個の震盪フラスコに接種することによって行う。
播種および最終発酵:指数増殖期の細胞を含む震盪フラスコ(2.5〜4.5のOD600単位)を、播種培地を含む1つの25L(すなわち、作業容量)の播種発酵槽に接種するために使用する。25Lの播種醗酵槽の中で指数増殖期(3.0〜5.0のOD600単位)に達した時点で、細胞を、780〜820Lの化学的に定義されたバッチ培地を含む1500Lの生産用発酵槽に移す。発酵の間、温度は37±2℃、pHは7.1±0.1に、攪拌は150〜250rpmに制御し、そして0.5〜1.5(vvm)で空気または酸素富化空気を噴霧して25%以上の溶存酸素となるように制御する。消泡剤(Fermaxアジュバント27)を、発酵槽内での泡立ちを制御するために必要な場合には使用する。培養物のOD(600nm)が25〜35単位に達した時点で、追加の化学的に定義された培地を、最初は0.7g/kg培養液/分で供給し、その後、必要応じて供給速度を調整して供給する。CG53135−05タンパク質の発現の誘導を、600nmでのODが135〜165単位に達した時点で開始する。誘導の4時間後に、発酵を終了させる。最終的な発酵培養液の容積はおよそ1500Lである。その後、培養物を10〜15℃に冷却する。
ホモジナイゼーション:冷却した培養物を、2部の細胞溶解緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、60mMのEDTA,7.5mMのDTT,4.5Mの尿素(pH7.2))に対して1部の発酵培養液の割合で、細胞溶解緩衝液で希釈する。ポリエチレンイミン(PEI)(凝集剤)を、稀釈した発酵培養液に添加して、最終PEI濃度を0.033%(W/V)とする。細胞を、高圧ホモジナイザーによって750〜850barで3回、10〜15℃で溶解させる。
捕捉および回収:冷却した細胞溶解物を、予め平衡化したストリームライン(Streamline)SP膨張層陽イオン交換カラム(expanded bed cation exchange column)に上向流方向で直接ロードする。ローディングの間は、層の膨張係数を、充填した層のカラム容積の2.5〜3.0倍の間に維持する。ローディングの後、カラムを別のストリームラインSP平衡緩衝液(100mMのリン酸ナトリウム、40mMのEDAT、10mMの硫酸ナトリウム、3Mの尿素(pH7.0))を用いて上向流方向でフラッシュする。その後、カラムをさらにSPストリームライン洗浄緩衝液(100mMのリン酸ナトリウム、5mMのEDTA,25mMの硫酸ナトリウム、2.22Mのデキストロース(pH7.0))を用いて下向流方向で洗浄する。タンパク質は、ストリームラインSP溶出緩衝液(100mMのリン酸ナトリウム、5mMのEDTA,200mMの硫酸ナトリウム、1MのL−アルギニン(pH7.0))のカラムを用いて下向流方向で溶出させる。
PPG 650Mクロマトグラフィー:SPストリームライン溶出物を、予め平衡化したPPG 650M、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム上にロードする。カラムを平衡化させ、100mMのリン酸ナトリウム、200mMの硫酸ナトリウム、5mMのEDTA、1Mのアルギニン(pH7.0)で洗浄する。さらに、カラムを100mMのリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、0.9Mのアルギニン(pH7.0)で洗浄する。生成物を、100mMのリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、0.2Mのアルギニン(pH7.0)で溶出させる。
CUNO濾過:PPG溶出物を、内毒素結合CUNO 30ZAデプス型フィルター(depth filter)に通す。このフィルターを、最初に注射用水(WFI)で、その後、100mMのリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、0.2Mのアルギニン(pH7.0)(PPG溶出緩衝液)でフラッシュする。フラッシュした後、PPG溶出物をフィルターに通す。大気圧を使用して、フィルターとその枠を通過して最終的な液体となるように押し出す。
フェニルセファロースクロマトグラフィー:次いで、CUNO濾液を予め平衡化したフェニルセファロース疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム上にロードする。カラムを平衡化させ、100mMのリン酸ナトリウム、50mMの硫酸アンモニウム、800mMの塩化ナトリウム、0.5Mのアルギニン(pH7.0)で洗浄する。生成物を、50mMのリン酸ナトリウム、0.5Mのアルギニン(pH7.0)で溶出させる。
濃縮およびダイアフィルトレーション:薬剤物質の最終濃度が0.01%(w/v)になるように、1%のポリソルベート80をフェニルセファロース溶出物に添加する。その後、溶出物を限外濾過システムにおいて約2〜3g/Lに濃縮する。その後、保持液(retentate)を7倍のダイアフィルトレーション容積の、50mMのリン酸ナトリウム、0.5Mのアルギニン(pH7.0)(フェニルセファロース溶出緩衝液)でダイアフィルトレーションする。ダイアフィルトレーションの後、保持液を12〜15g/Lの間に濃縮する。保持液を0.22μmのフィルターを通して濾過し、その後10g/Lに希釈する。
多量の瓶詰め:濃縮およびダイアフィルトレーション工程からの保持液を、0.22μmの孔サイズのフィルターを通して濾過し、2Lの使い捨てのテフロン(登録商標)瓶に入れる。瓶を−70℃で凍結させる。
製剤/バイアル:凍結させた薬剤物質の瓶を室温で融解させる。薬剤物質が完全に融解した後、これを滅菌の容器に注ぎ、濾過し、バイアルに充填し、軽く(partially)栓をして、凍結乾燥させる。凍結−乾燥のプロセスが完了した後、バイアルに栓をして蓋をしめる。凍結乾燥した製剤を2〜8℃で保存する。
CG53135−05参照標準物を、Diosynth RTP Incで、140Lのスケールの製造プロセス(これは、多量の薬剤物質の製造プロセスの代表的なものである(General Method of Manufactureに記載されているように))を使用して調製した。参照標準物を、2mLのクライオバイアル(cryovial)中で1mLのアリコートとして、−80℃±15℃で保存した。
最終産物の純度を、SDS−PAGE、RP−HPLC、サイズ排除HPLC、およびウェスタンブロットによって分析した。薬剤の効力は、CG53135−05大腸菌精製産物への応答におけるNIH 3T3細胞の増殖によって測定した。全てのデータは、最終産物が臨床用途に適していることを示していた。
(7.等価物)
当業者は、本明細書中に記載した本発明の特異的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または、そのような等価物を日常的に行われている実験以上のものを使用することなく確実に行うことができる。このような等価物は以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
したがって、本発明の好ましい実施形態が説明され、記載されているが、本発明にはバリエーションや変更が可能であり、示される正確な用語に限定されるべきではないことが理解される。本発明者らは、種々の使用方法および条件に対して本発明を適応させるために行われ得るそのような変更および修正自体を利用することを望んでいる。このような修正および変更としては、例えば、哺乳動物に本発明のタンパク質を投与するための異なる薬学的組成物;投与される組成物中のタンパク質の量が異なること;本発明のタンパク質の投与のタイミングおよび手段が異なること;ならびに、例えば、異なるタンパク質の組み合わせ、または本明細書中に具体的に開示されるタンパク質についての所望される有用性と同じ、それと同様の、またはそれとは異なる目的のための他の生物学的に活性な化合物との本発明のタンパク質の組み合わせを含む投与量中に含まれる異なる物質を挙げることができる。このような変更および修正もまた、本明細書中に記載される特異的な所望されるタンパク質のアミノ酸配列の修飾、ならびに同様の修飾を含むことが意図される。そのような変更により、タンパク質の所望される効力を変化させることはないが、投与される薬学的組成物中もしくは体内でのタンパク質の溶解度、体によるタンパク質の吸収、貯蔵寿命の間またはタンパク質の生物学的作用によって所望される効果をもたらすことができるような時点までの体内でのタンパク質の保護を変化させるような様式で配列が変化させられる。したがって、このような変更および修正は、等価物の完全な範囲内であることが適切に意図され、したがって、以下の特許請求の範囲内にある。
したがって、本発明と、それを作成し使用する様式およびプロセスは、本発明が属するか、または最も密接に関係している分野の全ての当業者が、それを作成し、使用することができるように、このように完全に、明確に、簡潔に、そして正確な用語で記載されている。
CG53135−05大腸菌(E.coli)精製産物のRP−HPLC分析(それぞれ、プロセス1および2による、プロセスの記載については、セクション6.18.1および6.18.2を参照のこと)。 CG53135−05大腸菌精製産物のトリプシンマップ(それぞれ、プロセス1および2による)。 NIH 3T3線維芽細胞中でのCG53135によって誘導されたDNA合成の用量応答。血清枯渇NIH 3T3細胞を、精製したCG53135−01(図中のCG53135)、10%の血清、またはビヒクルのみ(コントロール)で処理した。DNA合成を、それぞれの試料について、BrdU取り込みアッセイを使用して三連で測定した。データ点は、平均のBrdUの取り込みを示し、そして棒は標準誤差(SE)を示す。 CG53135は、NIH 3T3線維芽細胞の増殖を刺激する。血清枯渇NIH 3T3細胞の二連のウェルを、精製したCG53135−01(1μg)またはビヒクルコントロールのみで1日処理した。それぞれのウェルについて細胞の数を二連で決定した。Y軸は細胞の数を示す。これは、4つの細胞の数の平均(二連での処理×2回の計数)の平均および標準誤差(SE)である。 CG53135は、786−O腎臓上皮細胞中でDNA合成を誘導する。血清枯渇786−O細胞を処理しないままにしたか、または、部分精製したCG53135−01(5ng/μLのストックから)で、もしくはビヒクルコントロール(擬似)で処理した。DNA合成を、それぞれの試料について、BrdU取り込みアッセイを使用して三連で測定した。データ点は、平均のBrdUの取り込みを示し、そして棒は標準誤差(SE)を示す。 放射線により誘導された粘膜炎の処置におけるCG53135大腸菌精製産物の効果。それぞれのグループの動物が>3の粘膜炎スコアを示した全ての日数を合計し、そしてスコアされた日数の合計の割合として表した。それぞれのビヒクルコントロールとの観察された差の統計学的有意性を、χ二乗検定を使用して計算した。 化学療法により誘導された粘膜炎の期間に対する粘膜炎の効果。>3の粘膜炎スコアを有している日数を評価した。開放性の潰瘍(スコア>3)の提示によって定義される臨床的に有意な粘膜炎のレベルを試験するために、動物が高いスコアを示した日数を全て合計し、それぞれのグループについてスコアされた日数の合計の割合として表した。観察された差についての統計学的有意性を、χ二乗検定を使用して計算した。ビヒクルコントロール=疾患コントロール。 図8は、陰窩の中の細胞の位置を示す。 図9は、種々の放射線用量後にPBSコントロールグループに対してCG53135−05大腸菌精製産物での処置の予防的投与を比較した、陰窩の生存曲線を示す。 図10は、放射線照射後のマウスの腸陰窩の生存に対するCG53135−05大腸菌精製産物の予防的投与の効果を示す。 図11(A)および(B)は、CG53135−05大腸菌精製産物での処置後の毎日の粘膜炎スコアの平均を示す。グループの粘膜炎スコアの平均を得た。エラーバーは、平均の標準誤差(SEM)を示す。未処置のコントロールグループと、1日目と2日目にCG53135−05を12mg/kg、IPで投与したグループの、−1日目のみにCG53135−05を投与したグループとの比較を行った。(A)6mg/kgまたは12mg/kgのCG53135−05を投与したグループ;および(B)24mg/kgまたは48mg/kgのCG53135−05を投与したグループ。 図12は、1回、2回、3回、または4回のCG53135−05大腸菌精製産物での処置後の毎日の粘膜炎スコアの平均を示す。グループの粘膜炎スコアの平均を得た。エラーバーは、平均の標準誤差(SEM)を示す。未処置およびビヒクルコントロールグループの、CG53135−05大腸菌精製産物を12mg/kg、IPで投与したグループとの比較を行った。(A)1〜2日間CG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループ;および(B)3日〜4日間CG53135−05精製産物を投与したグループ。 図13は、CG53135−05精製産物で処置した粘膜炎を有している動物における体重の増加の割合を示す。動物は毎日体重を測定し、−4日目からの体重の変化の割合を計算し、そしてグループの平均と平均の標準誤差(SEM)をそれぞれの日について計算した。未処置のコントロールグループと、1日目と2日目にCG53135−05大腸菌精製産物を12mg/kg、IPで投与したグループの、−1日目のみにCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループとの比較を行った。(A)6mg/kgまたは12mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループ;(B)24mg/kgまたは48mg/kgのCG53135−05大腸菌精製産物を投与したグループ。 図14は、CG53135−05大腸菌精製産物で処置した粘膜炎を有している動物における、曲線下面積(AUC)の増加として表した体重の変化を示す。曲線下面積(AUC)を、研究したそれぞれの動物が示した体重の変化の割合について計算した。この計算は、台形法則変換を使用して行った。グループの平均を計算し、これをそれぞれのグループについてのSEMを示すエラーバーと共に示した。一元ANOVAを、複数のグループを比較するために行った。 図15は、1用量のCG53135−05大腸菌精製産物で処置した動物についての1日、2日、3日、または4日間の曲線下面積(AUC)として表した体重の変化を示す。曲線下面積(AUC)を、研究したそれぞれの動物が示した体重の変化の割合について計算した。この計算は、台形法則変換を使用して行った。グループの平均を計算し、これをそれぞれのグループについてのSEMを示すエラーバーと共に示した。一元ANOVAを、複数のグループを比較するために行った。 図16は、CG53135−05大腸菌精製産物での処置後の重症粘膜炎の期間を示す。3以上の粘膜炎スコアを有している日数。開放性の潰瘍(スコア>3)の提示によって定義される臨床的に有意な粘膜炎のレベルを試験するために、動物が高いスコアを示した日数を全て合計し、それぞれのグループについてスコアされた日数の合計の割合として表した。観察された差についての統計学的有意性を、カイ二乗検定を使用して計算した。アスタリスク()は、コントロールとの有意な差を示す。 図17(A)および(B)は、一元ANOVAおよびDunnettの多重比較検定法によってそれぞれ分析した、全身照射法によって誘導された胃腸の損傷を有している動物の体重に対するCG53135の効果を示す。 図18(A)および(B)は、一元ANOVAおよびTukeyの多重比較検定法によってそれぞれ分析した、全身照射法によって誘導された胃腸の損傷を有しているマウスにおける、下痢スコアに対するCG53135の効果を示す。 図19は、各観察日についての下痢スコアの分析を示す。

Claims (30)

  1. 消化管粘膜炎を予防または処置する方法であって、その必要がある被験体に、配列番号24、26、28、または30のアミノ酸配列を有している単離されたタンパク質を含有する組成物の予防有効量または治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
  2. 消化管粘膜炎を予防または処置する方法であって、ただし、該消化管粘膜炎は口腔粘膜炎ではなく、その必要がある被験体に、以下:
    (a)配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (b)(a)のタンパク質に対して1つ以上のアミノ酸置換を有しているタンパク質であって、ここで、該置換は、配列番号2、4、7、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40のアミノ酸配列の15%以下であり、1つ以上のアミノ酸置換を有している該タンパク質は細胞増殖刺激活性を保持している、タンパク質;および
    (c)(a)または(b)のタンパク質の断片であって、細胞増殖刺激活性を保持している、断片、
    からなる群より選択される単離されたタンパク質を含有する組成物の予防有効量または治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
  3. 前記組成物がさらに薬学的に受容可能なキャリアを含有する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記組成物が、0.04Mの酢酸ナトリウム、3%のグリセロール(容積/容積)、0.2Mのアルギニン−HCl(pH5.3)、および3mg/mlの前記単離されたタンパク質を含有する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記組成物が、0.1〜1Mのアルギニンまたはその塩、0.01〜0.1Mの塩基性リン酸ナトリウム(NaHPO・HO)、0.01〜0.1重量/容積(「w/v」)%のポリソルベート80またはポリソルベート20、および2〜50mg/mlの前記単離されたタンパク質を含有する、請求項3に記載の方法。
  6. 前記アルギニンまたはその塩が、アルギニン、硫酸アルギニン、リン酸アルギニン、および塩酸アルギニンからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アルギニンまたはその塩が0.5Mである、請求項5に記載の方法。
  8. 前記塩基性リン酸ナトリウムが0.05Mである、請求項5に記載の方法。
  9. 前記ポリソルベート80またはポリソルベート20が0.01%(w/v)である、請求項5に記載の方法。
  10. 前記単離されたタンパク質が5〜30mg/mlの濃度である、請求項5に記載の方法。
  11. 前記単離されたタンパク質が10mg/mlの濃度である、請求項5に記載の方法。
  12. 前記単離されたタンパク質が配列番号24のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
  13. 前記単離されたタンパク質が2つ以上のタンパク質を含む、請求項5に記載の方法。
  14. 前記組成物が、配列番号24、28、30、および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む2つ以上のタンパク質を含有する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記組成物が、配列番号2、24、28、30、および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む2つ以上のタンパク質を含有し、1つ以上のタンパク質がカルバミル化されている、請求項13に記載の方法。
  16. 前記組成物が凍結乾燥されている、請求項5に記載の方法。
  17. 前記単離されたタンパク質が少なくとも98%の純度を有する、請求項5に記載の方法。
  18. 前記消化管粘膜炎が口腔粘膜炎である、請求項1に記載の方法。
  19. 前記消化管粘膜炎が腸炎である、請求項1または2に記載の方法。
  20. 前記消化管粘膜炎が、食道炎、胃炎、または直腸炎である、請求項1または2に記載の方法。
  21. 前記消化管粘膜炎が、化学的原因、生物学的原因、放射線、またはそれらの組み合わせによって引き起こされる、請求項1または2に記載の方法。
  22. 前記有効量が0.001〜3mg/kgの間である、請求項1または2に記載の方法。
  23. 前記有効量が0.01〜1mg/kgの間である、請求項1または2に記載の方法。
  24. 前記有効量が0.01〜0.5mg/kgの間である、請求項1または2に記載の方法。
  25. 前記有効量が約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、または約3mg/kgである、請求項1または2に記載の方法。
  26. 前記投与が、0.001〜1mg/kg、0.01〜0.5mg/kg、0.01〜0.2mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kgの投与量で投与される単回投与である、請求項1または2に記載の方法。
  27. 前記投与が、0.001〜0.5mg/kg、0.01〜0.2mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、または0.2mg/kgの各単位投与量で投与される複数回投与である、請求項1または2に記載の方法。
  28. 前記投与が非経口投与である、請求項1または2に記載の方法。
  29. 前記非経口投与が、静脈内投与または皮下投与である、請求項28に記載の方法。
  30. 前記投与が、直腸投与、経皮投与、または経粘膜的投与である、請求項1または2に記載の方法。
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