JP2008519025A - フィトステロールおよびアシルグリセロールに基づく逆ミセルならびにその治療的使用 - Google Patents

フィトステロールおよびアシルグリセロールに基づく逆ミセルならびにその治療的使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般的に、水溶性の治療上活性な薬剤を含む逆ミセル系に関する。本発明に係る逆ミセルは、特に、薬物を送達するのに有用である。本発明は、また、その逆ミセルを含む医薬組成物およびそれを製造する方法に関する。

Description

本発明は、一般的に、水溶性の治療上活性な薬剤を含む逆ミセル系に関する。本発明に係る逆ミセルは、特に、薬物を送達するのに有用である。本発明は、また、その逆ミセルを含む医薬組成物およびそれを製造する方法に関する。
発明の背景
過去数年にわたって、標的部位での薬物の送達を改善するために、種々のアプローチが提案されている。第一に、薬物は、好適で容易な経路、例えば経口または経直腸経路で投与される必要があり、第二に、活性成分は、活性な形態で標的細胞に送達される必要がある。いくつかの薬物、特にタンパク質およびペプチドは、胃腸管(GIT)を通過する間、吸収が悪く、不安定である。特に経口経路を介して、ポリペプチドおよびペプチド、例えばインスリン(糖尿病の処置用)、インターフェロン(肝炎の処置用)、サイトカイン(癌の処置用)などの送達を改善するために、多くの試みがなされている。しかしながら、今日、これらの薬物の投与は、非経口的な注入を介するものである。今日、新薬の40%は、非経口的な注入によってのみ投与することができる。
タンパク質およびペプチドを経口的に投与しようとするときに直面する固有の問題にもかかわらず、種々のアプローチが、経口吸収を改善するために提案されている。有望な方策には、薬物を安定化し、および/またはそれをより脂質溶解性にし、したがって、脂質膜またはGITを通って拡散するその可能性を改善する化学修飾が含まれている。他の研究者らは、ペプチダーゼ阻害剤(例えば、アプロチニン)等の安定化剤を添加して、代謝損失を減少させており、他の者は、非イオン性界面活性剤、胆汁酸塩およびその類縁体、リン脂質、キレート剤またはアシルカルニチンの形態の種々の吸収促進剤を使用している。また、数多くの特許および出版物に、活性成分をナノ粒子またはミクロ粒子に封入する方法が記載されている。しかしながら、これまでのところ、開発された送達システムは、いずれも、全体として、特にインスリンに対して、満足すべきものではない。例えば、これまでに開示された送達システムは、ほんの2〜5%のインスリンを吸収させるにすぎない。
1型または2型糖尿病を患っている対象者は、しばしば、インスリンで処置される。注入機器は改良されており、低侵襲的になっているが(例えば、ペン様の機器)、注入は依然として不都合なものであり、非常に評判の悪いままである。非注入性の製剤は、多大な優位性をもたらしうる。患者に優しいことに加えて、そのような製剤は、コンプライアンスを改善することができ、より良い処置および糖尿病関連合併症の減少をもたらす。
本発明者等は、先に、2種の脂質をある種の金属塩と共に撹拌すると、金属の生物学的利用効率が増大し、結果として、1000〜5000倍低い投与量で同じ治療効果を得ることができ;それで、その金属塩の潜在的な毒性を減少することができることを見出している(例えば、US6,129,924、WO02/36134およびWO2004/075990参照)。
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服することである。より特定的には、本発明の目的は、経口的に投与することができて、良好な薬物の生物学的利用効率を与える、活性成分を含む薬物送達システムを提供することである。
発明の概要
本発明は、当該治療剤の放出用の膜経由の輸送送達システムならびにその組成物およびその送達システムの製造方法に関する。より特定的には、本発明は、当該薬剤を分配するための逆ミセル輸送システムを提供する。より具体的には、本発明に係る逆ミセルは、生物学的に活性な分子が粘膜上皮バリヤーを越えて吸収されることを促進し、その活性成分が標的細胞により吸収されるようにする。本発明の逆ミセルは、より具体的には、少なくとも1種の水溶性の治療上活性な成分、フィトステロール、アシルグリセロールおよび水を含む。
より特定的には、本発明は、100nm以下の水性コアを有する逆ミセルに関する。
逆ミセルは、フィトステロールおよびアシルグリセロールを用いる特定の方法に従って製造することができる。
そのミセルは、より特定的には、以下の方法:
(a)(i)フィトステロール、(ii)アシルグリセロール、好ましくは脂肪酸のジアシルグリセロール、(iii)水、特に精製水、および(iv)少なくとも1種の水溶性の治療上活性な成分を接触させ、
(b)工程(a)で得られた混合物を40℃以下で、逆ミセルが生成するのに十分な時間撹拌し、その撹拌を約1000〜約5000r/分の速度で機械的にまたは超音波処理により行うこと、
により得られる。
本発明は、さらに、本発明の逆ミセルおよび薬学的に許容しうる担体、賦形剤または支持体を含む組成物に関する。
発明の詳細な説明
以下の記述は、本発明を実施するのに必要とされる特徴の組合せに限定することなく、単に例示としての好ましい実施態様である。
逆ミセル
本発明に係る逆ミセル系は、油中における水のミクロな小滴の分散体を含むミクロエマルジョンとして特徴付けられる。その分散体は、水/油界面で、界面活性剤(アシルグリセロール、より好ましくは脂肪酸のジグリセロール)により安定化することができる。逆ミセル相は、水が内相を形成し、脂質の疎水性尾部が連続層を形成する系として定義することができる。油、界面活性剤および水相を含む逆ミセルは、また、油中水型ミクロエマルジョンとして特徴付けられる。
ミセルの大きさは、(水)/(界面活性剤)の重量比W(混合物中に可溶化された水/混合物中の界面活性剤)と直線的に変化するようである。上記のように、混合物中の水の相対的な重量(W)は、好ましくは、2.5以下であり、アシルグリセロール、好ましくは脂肪酸のジグリセリドの量の1以下が好ましい。Wは、より具体的には、0.01〜0.2である。特定の実施態様によれば、比Wは、好ましくは、0.05〜0.18である。
逆ミセル、例えば、そのコアの大きさは、種々の方法:
−X線散乱
−中性子散乱
−透過型電子顕微鏡(TEM)
−動的光散乱(DLS)
により特徴付けることができる。
本発明に係る逆ミセル系における脂質成分(フィトステロールおよびアシルグリセロール)の比は、大きく変わることができ、例えば、重量比フィトステロール/アシルグリセロールは、0.01〜1(を含む)の範囲であることができる。特定の実施態様によれば、フィトステロール(好ましくは、シトステロール)に比して、過剰のアシルグリセロール(好ましくは、脂肪酸のジグリセリド)を使用することができる。より特定的には、重量比フィトステロール/アシルグリセロールが、0.1以上、より好ましくは0.1〜0.2である。
逆ミセル系の化合物は、適切な手段で分析することができる。より具体的には、フィトステロールは、ガスクロマトグラフィーでの分析により、またアシルグリセロールは、特に光散乱検出器を用いる、溶離液、例えば定組成アセトニトリルの存在下のシリカカラム(kromasil C18)での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により同定することができる。ガスクロマトグラフィーを、ジアシルグリセリドを分析するために、使用することもできる。
逆ミセルは、動的な系である。ブラウン運動は絶え間ないミセルの衝突を引き起こし、それにより、ミセルの合体と水性コアの交換が生じる。ミセルの分離と再生が生じ、異なる溶液間での化学反応が生起する。ミセル間での交換速度は、特に、温度、界面活性剤の炭化水素鎖の長さ、およびW比(遊離水はその交換を増加させる)により増大する。本発明の文脈内で、ナノテクノロジーで予期されることに反して、ミセルの水性コアは、ミセルを製造するときに導入される治療上活性な成分の1以上の分子をその中で安定化させる、特定の大きさを有する必要がある。水性コアの大きさは、好ましくは約100nm以下であり、好ましくは5nm以上である。上で定義された比Wは、好ましくは約2.5以下である。
実施例1に記載の生成物のX線分散による分析から、ミクロエマルジョン中の逆ミセルであることが明らかとなった。
従来技術に対する本発明の主な利点は、逆ミセルの製造に対して、フィトステロール、より好ましくはシトステロールを使用することである。したがって、本発明は、粘膜を通して、好ましくは口腔または直腸粘膜を通して、より好ましくは口腔粘膜を通して、送達されるべき化合物の吸収をもたらす。また、本発明の逆ミセルは、低い吸収変動性で、大きな生物学的利用効率をもたらす。本発明の逆ミセルの他の有益な側面は、その中に包含されるべき活性成分に適応するために、逆ミセルを種々の大きさで製造できることである。
逆ミセルの製造方法
特定の実施態様において、本発明は、100nm以下の水性コアが存在し、少なくとも1種の水溶性の治療上活性な成分、フィトステロール、アシルグリセリドおよび水を含む逆ミセルの製造方法であって、以下の工程:
(a)(i)フィトステロール、(ii)アシルグリセロール、好ましくは脂肪酸のジアシルグリセロール、(iii)水、特に精製水、および(iv)少なくとも1種の水溶性の治療上活性な成分を接触させ、ここで比W=[水]/[アシルグリセロール]が、好ましくは約2.5以下である工程、
(b)工程(a)で得られた混合物を40℃以下で、逆ミセルが生成するのに十分な時間撹拌し、その撹拌を約1000〜約5000r/分の速度で機械的にまたは超音波処理により行う工程、
を含む方法に関する。
その結果、得られて回収された逆ミセルは、薬物送達システムとして特に有用である。該方法の工程(b)は、標的部位での薬物送達用の輸送システムとして有用である、逆ミセルを得ることを可能とするので、特に重要である。
工程(a)で使用される化合物を、以下に、より詳細に説明する。
工程(a)で得られる混合物の撹拌は、より特定的には、40℃以下、好ましくは30℃〜38℃、より好ましくは30℃〜35℃の範囲の温度で、逆ミセルを生成するのに十分な時間の間、行われる。十分な時間は、特に、使用した撹拌技術、すなわち、機械的撹拌または超音波処理によって変動しうる。機械的撹拌または超音波処理の時間は、いずれにしても、初期の混合物を、単一相の逆ミセル溶液に変換するのに必要な時間である。
特定の実施態様において、治療上活性な成分は、まず、水(好ましくは、精製水)に溶解され、次いで、他の成分と接触させられる(工程(a))。
当業者は、それらの有益な特性を保持するために、本発明に係る組成物と共に使用される賦形剤または成分をいかにして選択するかを知悉している。特に、グリセロールの存在は、大量に導入された場合、逆ミセルの生成を阻害するか、あるいは逆ミセル系を破壊する。より具体的には、1%未満の、好ましくは0%のグリセロール(グリセロールの重量/組成物の水の全量で表されたパーセント)が、本発明の逆ミセルの製造に使用される。
超音波処理
超音波処理の超音波は、液中での音響的キャビテーション、すなわち、液中での気泡形成をもたらす。超音波は、反応チャンバーのすべての部分内で均一な撹拌を生じさせ、液中でほとんど乱流を生じない。それは、ナノ粒子を製造する上で、最も信頼でき、有用な方法である。得られたミクロエマルジョンの安定性は、特に、界面活性剤として作用するアシルグリセロール(好ましくは脂肪酸のジアシルグリセロール)の故である。
様々なタイプの超音波処理用具を、実験室または工業的スケールで使用することができる。強力超音波プロセスが最適のプロセスである。少量を製造するには、20kHzで超音波が400Wまたは600Wの用具が満足すべき結果を与えるので、好ましい。温度とそのプロセスの発生持続時間を電子的にコントロールすることも、この種の装置では可能である。同じ型の用具が、工業用途に存在する。
物理的パラメーター、特に時間(1回以上の回数で、3〜5分)は、使用した用具、混合物の容積およびその粘度に依存する。当業者は、そのようなパラメーターを容易に定めることができる。より具体的には、混合物の温度は、反応物の分解を避けるために、40℃を超えてはならない。温度は、好ましくは、約38℃未満、さらにより好ましくは約35℃未満である。
機械的撹拌
通常の用具は、プロペラを使用し、その迅速な動きが、乱流および渦巻きを発生させ、粒子の相互侵入および混合物内でのナノ粒子の生成を可能にする。
撹拌速度は、好ましくは1000〜5000r/分である。実際の容積、装置、撹拌速度およびW比は、治療上活性な成分に依存し、またそれに適合させる必要がある。
上記のように、混合物の温度は、反応物の分解を避けるために、40℃を越えてはならない。温度は、好ましくは、約38℃未満、さらにより好ましくは約35℃未満である。
逆ミセル化合物
アシルグリセロール
本発明に係る逆ミセル系の製造に有用なアシルグリセリド、より特定的には、脂肪酸のアシルグリセリドは、動物の大部分、より好ましくは植物から単離することができる。
アシルグリセロールは、モノ−、ジ−もしくはトリ−グリセロールを包含する。特定の実施態様において、本発明で好ましく使用されるモノ−、ジ−もしくはトリ−グリセリドは、以下の式(I):
Figure 2008519025
(式中、
−Rは、14〜24個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分枝状の、飽和もしくは不飽和脂肪酸のアシル残基、水素原子、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ガラクトースもしくはグルコースであり;
−Rは、2〜18個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和脂肪酸のアシル残基であり;
−Rは、14〜24個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分枝状の、飽和もしくは不飽和脂肪酸のアシル残基、または水素原子である)
を表す。
好ましい実施態様によれば、RおよびRの少なくとも一つ、好ましくは一つのみが、オレイン酸(C18:1[シス]−9)のアシル残基を表す。
特定の態様によれば、Rは1個の不飽和結合(例えば、エチレン性結合)を有し、有利には、18個の炭素原子を有し、好ましくは、Rは、オレイン酸残基(オレオイル基)、二重結合(シス−6,7,9,11および13)に関するその位置異性体の一つまたはそのイソ分枝異性体の一つである。
他の特定の態様によれば、Rは、オレオイル基を表す。
他の特定の態様によれば、Rは、アセチル基を表す。
好ましい実施態様によれば、Rは、水素原子を表す。
不飽和植物油が、アシルグリセロールの源として、特に有利に使用され、特には、第一冷プレスからのオリーブ油である。
一般的に、オレイン酸を高濃度で含有する油が、本発明に係るアシルグリセロールの有用な源として選択される。そのような油は、通常、本発明に係る有用なアシルグリセロールを高い割合で含有している。
本発明の特定の態様によれば、好ましい脂肪酸のジグリセリドは、1,2−ジオレインおよび1−オレオイル−2−アセチルグリセロールよりなる群の中で選択される。
ある程度の数のそれら、より特定的には、求められている用途において最も活性であることが見出されているものは、また、市販されている。これは、特に、1−オレオイル−2−アセチルグリセロールおよび1,2−ジオレオイルグリセロールの場合であり、それらは、高純度の含有量で市販品として存在する。特に、約44%のジオレイン酸グリセリドを含有するモノオレイン酸グリセリドは、それの、約14%が1,2−ジオレインである。そのような化合物は、薬学的に許容されている(European Pharmacopeia(第4版), USP 25/NF20,およびJapanese Standard of food Additives)。そのような生成物は、例えば、PECEOL(登録商標)の名前でGattefosse社から市販されている。
フィトステロール
本発明に係る逆ミセル系の製造に有用なステロールは、フィトステロール(植物ステロール)である。シトステロールが、本発明に係る逆ミセル系に有用な、好ましいフィトステロールである。フィトステロールは、コレステロールに比べて多くの利点を有しており、フィトステロールは粘膜、特に口腔および直腸粘膜を通過することができる。結果として、本発明の逆ミセルは、不便であるかあるいは不快な非経口経路を迂回する手段を提供し、同時に、タンパク質を含む多くの物質にとって不都合な環境である胃を通って物質が投与されることを防ぐ手段を提供する。したがって、送達手段として、本発明の逆ミセルは、投与されるべき活性成分の重要で均一な吸収を可能にする点で、非常に有利である。
本発明の逆ミセル系において加えられるシトステロールは、[β]−または[γ]−シトステロール、好ましくは[β]−シトステロールであることができ、あるいはこれら二つの形態のシトステロールの少なくとも一つを含有する植物抽出物の形態で導入することができる。
特に、種々の市販製品を使用することが可能である。より特定的には、大豆から抽出された市販のシトステロールを使用することができる。そのような製品では、シトステロールは、一般に、製品の50〜70重量%で存在し、一般に、各々15%程度の割合のカンペステロールおよびシトスタノールとの混合物中に見出される。トール油と称される、種々の松から抽出された市販のシトステロールも、使用することができる。一般に、シトスタノールとの混合物中のシトステロールを使用することができる。好ましくは、その混合物は、混合物の少なくとも50重量%のシトステロールを含んでいる。
以下のように処理して、95%、さらには99%を越える高い純度を有するβ−シトステロールを得ることもできる:市販の混合物を数回の連続的なアセトンでの再結晶に付し、混合物中に存在するカンペスタノールおよびシトスタノールを除去することによりβ−シトステロールの予備精製を行う。次いで、このようにして予備精製した生成物を、溶離液混合物、例えばメタノール、特にメタノール100%またはメタノールとアセトニトリルの混合物、特に80−20混合物または任意の中間的な混合物を用いて、分離用カラムC18で高速液体クロマトグラフィーによる1〜3段階の精製に付すと、95またはさらには99%を越える高い純度を有するシトステロールを得ることが可能となる。この純度は、ガスクロマトグラフィーで決定される。
シトステロールおよび従ってシトスタノールは、また、文献、例えば、Claude Cerdomによる、<<Modulation de la production de sapogenines steroidiques en reponse a I'inhibition de la synthese de sterols>>と題された、Montpellierに提出された論文の95頁中の技術に従って、植物から抽出することにより製造することができる。
この抽出は、有利には、3−ヒドロキシ−ステロイドおよび3−オキソ−ステロイドをこれらの化合物を含有する混合物から単離する方法を記載している、特にフランス特許FR2316247に記載の方法に従って、金属で錯体化することにより行われる。
この抽出を達成するには、シトステロールが相対的に高い含有量であることが知られている任意の植物または植物由来の生成物を使用することができる。
遊離シトステロール含有量が相対的に高い植物または植物起源の生成物の例として、特に、オリーブ油、大豆油、綿の葉、コーヒーの葉、小麦胚芽を挙げることができ、それらについての遊離フィトステロール含有量および遊離フィトステロール画分中のシトステロールの百分率を下表に示す。
種 含有量/kg フィトステロール画分のうちの%
オリーブ油 1310mg 91%
大豆油 1908mg 53%
綿の葉 3961mg 93%
コーヒーの葉 9914mg 51%
小麦胚芽 17336mg 67%
%は重量で表されている。
シトスタノールの相対的な含有量は、研究されていない。遊離フィトステロール画分は、ある割合の24Rおよび24S異性体を含有しており、それは、植物に応じて変動することも指摘する必要がある。この割合は、仮にあったとしても、ほとんど研究されていないので、十分には知られていない。
この割合および、精製中にシトステロールから分離することができないシトスタノールの相対的な量は、ある植物のフィトステロール画分のより良い相対的な活性および、特に、本発明に記載の逆ミセル系の製造に必要なシトステロールの過剰量を説明することができよう。
上記のように、フィトステロールとアシルグリセロールの比は、大幅に変動することができ、例えば、重量比フィトステロール/アシルグリセロールは、0.01〜1(を含む)の範囲であることができる。特定の実施態様によれば、フィトステロール(好ましくは、シトステロール)に対して、過剰量のアシルグリセロール(好ましくは、脂肪酸のジグリセリド)を使用することができる。より特定的には、重量比フィトステロール/アシルグリセロールは、0.1以上、より好ましくは0.1〜0.2である。
治療上活性な化合物
任意の水溶性の治療剤を、本発明で使用することができる。ポリペプチド、タンパク質、多糖類、核酸[DNAもしくはRNA(より好ましくはRNAi)またはそのフラグメント]および水性医薬組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
特に治療上関心を持たれるタンパク質が、本発明でより好ましく使用される。そのような活性成分は、生物学的な媒体中で不安定であるので、特に、それらはGIT中に存在する内因性の酵素により分解され得るので、それらは通常、注入経路で投与される。
本発明に係る当該薬剤は、任意の治療用のタンパク質または糖タンパク質、例えばインスリン、エリスロポイエチン、レプチン、成長因子、成長ホルモン放出ホルモン、コロニー刺激因子、水溶性ホルモン(副甲状腺ホルモンまたはそのフラクションもしくは類縁体、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)またはその類縁体(例えば、ナファレリン、ブセレリン、ゴセレリン)、多糖類(例えば、ヘパリン)、インターフェロン、ヘパリン様化合物、およびサイトカインである。同じく、DNA、RNAフラグメントまたはプラスミド、RNA干渉、ならびに免疫原および/またはワクチン剤等が挙げられる。
本発明に係る逆ミセル系に加えられるそのような薬剤は、粘膜上皮バリヤーを通過することができ、それによって、標的部位でのその治療効果を示すことができる。
水溶性の活性成分は、より好ましくは、逆ミセルの水性コア中に存在する。
治療剤の安定性および活性は、本質的に、混合物中の水濃度により調節することができる。水相中に溶解した酵素で研究が行われており、酵素活性は、最適化することができ、反応動力学は、水の相対的濃度に依存することが示されている。
逆ミセル系に加えられる活性成分の量は、親水性相(水性コア)中でのそれらの溶解度により決定される。好ましくは、逆ミセル中に含まれる治療剤の量は、活性成分に依存する。
逆ミセル系の使用
本発明の逆ミセルは、その中に含まれる活性成分の生物学的利用効率を改善し、より少ない毒性での標的部位におけるその治療上の使用を可能にする。そのミクロエマルジョンとしての性質により、逆ミセル系は、賦形剤、ビヒクルまたは種々の支持体を含む様々なタイプの製剤をもたらすことを可能とし、それは、経粘膜を含む種々の経路、例えば口腔または直腸投与により、投与することができる。
今日、逆ミセル系を、ナノ反応器として作用する、ナノ材料の製造に使用することができることが知られている。それらは、酵素のようなタンパク質を受け入れることができる。水不溶性の基質との触媒反応が、ミクロエマルジョン内部の大きな内側の水−油界面で生起し得る。生物分子の活性と安定性は、主としてこの媒体中の水の濃度により調節することができる。
治療剤の逆ミセル系への添加は、以下の利点をもたらす:その薬剤はより安定であり、それらは粘膜を介して吸収されることができ、血液媒体中でのミセルの輸送は、変化されず、かつ、標的部位において活性成分の最良の生物学的効果が得られる。
本発明の目的は、上で定義された逆ミセルおよび薬学的に許容しうる担体、賦形剤または支持体を含む医薬組成物に関する。
本発明のさらなる目的は、1以上の水溶性の治療活性剤の送達、より具体的には、経粘膜送達を目的とする医薬組成物を製造するための、上で定義された逆ミセルの使用に関する。医薬組成物は、より特定的には、疾患または異常に伴う1以上の症状を予防または治療することを目的としている。
本発明の他の目的は、1以上の水溶性の治療上活性な薬剤を哺乳動物(特に、人間)に送達する方法であって、上で定義された逆ミセル組成物を投与することを含む方法に関する。特定の実施態様において、本発明は、1以上の水溶性の治療上活性な薬剤の経粘膜送達の方法であって、上で定義された逆ミセル組成物をその哺乳動物(特に、人間)に経粘膜的に投与することを含む方法を提供する。本発明は、人間における疾患または異常に伴う1以上の症状の予防、治療、または改善方法であって、上で定義されかつその疾患または異常に伴う1以上の症状の予防、治療、または改善において有用な1以上の水溶性の治療上活性な薬剤を含む逆ミセル組成物の有効量を、それを必要とするその人間に投与することを含む方法を提供する。特定の実施態様において、本発明は、疾患または異常に伴う1以上の症状の予防、治療、または改善方法であって、上で定義されかつその疾患または異常に伴う1以上の症状の予防、治療、または改善において有用な1以上の水溶性の治療活性剤を含む逆ミセル組成物の有効量を、それを必要とする対象者に経粘膜的に投与することを含む方法を提供する。
特に、水溶性の治療上活性な薬剤は上で定義されたとおりであり、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖タンパク質、多糖類、上で特定された核酸、またはその混合物を包含する。
ポリペプチドおよびペプチドは、例えば、インスリン、インターフェロン、およびサイトカインであり、処置される疾患は、より具体的には、それぞれ、糖尿病、肝炎、および癌である。
免疫原および/またはワクチン剤が使用される場合、それから得られた本発明の逆ミセルは、ワクチンとして使用しうる。
薬学的に許容しうる賦形剤、ビヒクルまたは担体として、当業者に周知の任意の賦形剤、ビヒクルまたは担体を使用しうる。以下のものを、非限定的な形で、例示として挙げることができる:ラクトース、トウモロコシ澱粉、グルコース、スクロース、甘味剤、例えばマリトールシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、カラギーナン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、デキストリン、マルトデキストリン、マンニトール、タルク、天然起源の脂肪、特に、不飽和脂肪酸およびフィトステロールに富む植物起源の油。特に、最終的に必要な場合には、当業者に周知の他の添加剤、例えば、安定剤、乾燥剤、結合剤またはpH緩衝剤を使用してもよい。本発明における好ましい賦形剤は、最終生成物の粘膜への付着を促進する。
本発明の組成物は、様々な方法で、特に、経口経路で、舌下もしくは消化吸収で、またはより一般的には、口の粘膜組織を介して投与することができる。
本明細書で使用される、用語「粘膜」および「粘膜の」は、粘膜組織、例えば消化管における上皮、固有層、および平滑筋の層をいう。本明細書で使用される、「経粘膜送達」、「経粘膜投与」および類似の用語は、粘膜組織に組成物を投与することを指す。「経粘膜送達」、「経粘膜投与」および類似の用語は、気管支、歯肉、舌、鼻、口、膣、直腸、および腸の粘膜組織を通して組成物を送達することを包含するが、これらに限定されない。
本発明の好ましい実施態様において、本発明の逆ミセル組成物は、カプセル剤、カプレット剤、エアゾール剤、スプレー剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤、カシェ剤、錠剤、軟弾性ゼラチンカプセル剤、エアゾール剤、粉末剤または顆粒剤として、経粘膜的に投与される。本発明の組成物は、その内容物を口の中で放出するカプセル剤中に液体の形態で入れることができる。好ましくは、本発明の逆ミセル組成物を、哺乳動物、より好ましくは人間に投与して、疾患または異常を予防または治療する。
以下の実施例は、本発明の操作を例示することを意図するものであるが、その範囲を限定することを意図するものではない。
実施例
実施例1:インスリンを経直腸経路で動物に投与するための、輸送送達系の製造
エタノール2mlに溶解したシトステロール1gに、100UIインスリン(Umuline Zn長時間作用型)を含む精製水1ml、次いでPeceol(登録商標)40ml(Gattefosseにより市販されているモノオレイン酸グリセリド)を加えた。
混合物の超音波処理を、温度を35℃未満にモニターすることにより、2回(3分づつ)行った。
得られた生成物は、インスリンを含有する安定な逆ナノミセルの均質な混合物より成っていた。
その後、経直腸経路により、2ml/kgで、動物に投与することができた(5UIインスリンZn/24h/kg)。
実施例2:インスリンを対象者に経口投与するための、輸送送達系の製造
エタノール10mlに溶解したシトステロール10gに、200UIインスリン(Umuline長時間作用型)を含有する精製水2ml、次いでPeceol(登録商標)28mlを加えた。
混合物の超音波処理を、温度を35℃未満にモニターすることにより、2回(3分づつ)行った。
得られた生成物は、インスリンを含有する安定な逆ナノミセルの均質な混合物より成っていた。それをカプセルに導入したが、それぞれ得られた生成物1gを含んでいた(カプセルあたり、5UIの速効性インスリン)。その後、インスリンが必要な人に投与することができた。その人は、その口腔内でカプセルを破り、それから得られた液体をその口腔内で約1分間保持した(混合物中のシトステロールが、口腔の粘膜に付着して、速い吸収を可能にするために)。
実施例3:エリスロポイエチンを対象者に経口投与するための、輸送送達系の製造
エタノール10mlに溶解したシトステロール10g、80,000UIのエリスロポイエチン(EPREX 40,000UI/ml)を含有する水溶液2ml、次いでPeceol(登録商標)28mlを混合した。
混合物を、温度を35℃未満にモニターすることにより、ホットプレート撹拌器で1200r/分で撹拌した。
得られた生成物は、エリスロポイエチンを含有する安定な逆ナノミセルの均質な混合物より成っていた。それをカプセルに導入したが、それぞれ得られた生成物1gを含んでいた(カプセルあたり、1000UIのエリスロポイエチン)。その後、エリスロポイエチンが必要な人に投与することができた。その人は、その口腔内でカプセルを破り、それから得られた液体をその口腔内で約1分間保持した(混合物中のシトステロールが、口腔の粘膜に付着して、速い吸収を可能にするために)。
実施例4:エリスロポイエチンを含有する逆ミセルの製造
エタノール4.5mlに溶解したシトステロール3gに、2000UIのEPOを含有するEPREX(登録商標)1mlおよびPeceol(登録商標)72mlを加えた。
混合物を、35℃に加熱しながら15分間、磁気撹拌器で撹拌した。
W比は、0.04であった。
その後、経直腸経路により、2ml/kgで、ラットに投与することができた(50UI/kg)。
実施例5:エリスロポイエチンを含有する逆ミセルの製造
エタノール4.5mlに溶解したシトステロール3gに、4000UIのEPOを含有するEPREX(登録商標)2mlおよびPeceol(登録商標)72mlを加えた。
混合物を、35℃に加熱しながら15分間、磁気撹拌器で撹拌した。
W比は、0.08であった。
その後、経直腸経路により、2ml/kgで、ラットに投与することができた(100UI/kg)。
実施例6:プラスミドを含有する逆ミセルの直腸内投与するための、輸送送達系の製造および投与
エタノール200μlに溶解したシトステロール125μg、プラスミドpEGFP-N13mgを含有する水溶液250μl、次いでPeceol(登録商標)4.75mlを混合した。
混合物を、温度を35℃未満にモニターすることにより、ホットプレート撹拌器で1200r/分で撹拌した。
得られた生成物は、プラスミドを含有する安定な逆ナノミセルの均質な混合物であった。
投与された生成物
pEGFP-N1を含有する逆ミセルは、上記のようにして製造した。pEGFP-N1(Clontechから購入)、向上した緑色蛍光タンパク質用の哺乳動物発現ベクター(eGFP)を、コンピテントな大腸菌Top10細胞(Invitrogen)に形質転換し、製造者の指示に従って、Qiagen LtdからのEndoFree Plasmid Mega Kitを使用して精製した後に、使用した。
方法
8匹のラット(ウイスター、250〜300g)に、経直腸経路で、生成物500μlを注入した。
注入ののち、1、2、4および8分後に、抗凝固剤含有チューブに血液試料を採取した(各回2匹)。1500rpmで25分間遠心分離した後、血漿をトランスフェクション研究に使用した。
HepG2(ヒト肝臓癌細胞系)およびCV1(サル腎臓線維芽細胞系)を、10%牛胎児血清(Invitrogen, Carlsbad, CA)を補足したダルベッコ修飾イーグル培地中で維持し、トランスフェクション研究の24時間前に、24ウエルプレート中で、5x10細胞/ウエルの密度で接種した。
トランスフェクションには、培養培地を除去し、プラスミドpEGFP-N1を含有する逆ミセルを含むラット血漿200μlを、室温で異なる皿に20分間加えた。新鮮な培地500μlを加えた後、細胞を48時間培養し、その後、蛍光細胞の百分率を決定することにより、蛍光顕微鏡下に、遺伝子発現を測定した。
陰性対照血漿は、プラスミドpEGFP-N1を含有する逆ミセルを注入していないラットの試料に対応する。FuGENE(登録商標)6(Roche)を、製造者の指示したとおりに、トランスフェクションの陽性対照として使用した。
結果
得られたトランスフェクションの%(蛍光細胞の%)
Figure 2008519025
実施例7:薬理試験:エリスロポイエチン生物活性
エリスロポイエチン(EPO)は、ヒト赤血球産生の主要な調節剤である。EPOの分子量は30〜34kDaである。
組換え体EPOは、チャイニーズハムスター卵巣の真核細胞株におけるEPO cDNAクローンの発現により商業的に製造されている。
rhEPOの効力の初期決定は、いくつかのパラメーター、例えばヘマトクリット、赤血球量および網状赤血球数の増加を追跡することにより、正常なラットおよびマウスで行った。最近の調査によれば、循環中の網状赤血球数は、赤血球産生の機能状態の初期の指標であると推定され、末梢血中の網状赤血球の百分率の推定は、EPOの生物活性の評価に使用されている。
生成物
EPREX、JANSSEN-CILAG研究所で製造、2000UI/ml
バッチA:EPO50UI/kg:皮下的に単回投与
バッチB:EPO100UI/kg:皮下的に単回投与
バッチC:EPO50UI/kg:経直腸経路で単回投与(実施例4)
バッチD:EPO100UI/kg:経直腸経路で単回投与(実施例5)
プロトコル
8週齢の正常赤血球のマウスは、生成物の単回投与を受け、続いて、96時間後に血液を採取した。実験は、1バッチあたり3匹のラットで行った。
網状赤血球数の計測は、自動フローサイトメトリーを用いることにより行った。
結果
Figure 2008519025
結論
生成物CおよびD(エリスロポイエチンを含有する逆ミセル)は、皮下的に投与されたEPOと同等に、赤血球産生に有意な効果を与えた。
実施例8:インビボアッセイ:糖尿病性STZラットモデル−長時間作用型インスリン
使用した生成物は、実施例1に従って製造されたものである。
研究の目的:皮下的に投与された場合の長時間作用型インスリンの血糖低下活性を、経直腸経路で投与された、本発明に係る逆ミセルに加えた同用量のインスリンと比較する。
投与経路についてのコメント:
脂質ナノ粒子を含有する生成物は、胃および十二指腸で、特にリパーゼにより分解される。対象への投与は、好ましくは、粘膜吸収を介して口腔の部位に行われる。この投与方法は、ラットには利用できないので、経口投与と同じ効率で粘膜吸収が可能である経直腸経路を選択した。経直腸経路で吸収された物質は、経口的に投与された物質と同様に肝臓を通過せずに、粘膜組織を介して血流中に送達される。
投与経路:
バッチ2:皮下
バッチ3:経直腸
投与された生成物:
バッチ2:Umulin zinc 5UI/kg
バッチ3:NP X: ミセル状ベクター中のUmulin zinc 5UI/kg(実施例1)
投与された量:直腸プローブを介して2ml/kg/日
方法:
雄性ウイスターラット(体重:250〜300g)に、50mg/kgの投与量でストレプトゾトシン(STZ)を静脈内投与すると、インスリン依存性糖尿病とインスリン非依存性糖尿病(1型と2型)の中間的糖尿病をもたらした。投与の3日後、血糖は、20〜30mmol/lであり、次の7日間の間、ほぼ安定していた。
物質を7日間毎日投与し、血糖の生物学的アッセイを、処理を始めてからD0、72時間、および7日目に採取した血液試料において行った。
結果:
Figure 2008519025
結論
−一日用量5UI/kgで皮下的に投与したインスリンZn(バッチ2)は、血糖を正常値に戻した。
−生成物NP X(ナノ粒子インスリンZn、バッチ3)は、有意に、血糖に影響を与えた:処置開始後72時間で、6匹のうち4匹が、皮下的に投与されたインスリンと同等に、正常血糖に回復した。その動物についてのインスリンの生物学的利用効率は、注入で投与されたインスリンの生物学的利用効率と同様であった。
2匹についての注入型インスリンでの結果とのわずかな相違は、動物への直腸投与で通常遭遇する困難の故である。人間への経口投与は、そのような困難を回避させる。
実施例9:
インビボアッセイ:糖尿病性STZラットモデル−即効型インスリン
研究の目的:皮下的に投与された場合の即効型インスリンの血糖低下活性と生物学的利用効率を、経直腸経路で投与された、本発明に係る逆ミセルに加えた同用量のインスリンと比較する。
プロトコル
糖尿病を、ストレプトゾトシン(60mg/kg)のIV注入により、ウイスター雄性ラット(体重150〜200g)に誘起させた。4日後、処理されたラットは、インスリン依存性糖尿病を示し、数日後にはインスリン耐性を伴った。実験は、バッチあたり3匹について行った。
対照生成物については、皮下的に、また、試験ミセル(Mc)生成物については経直腸的に、ただ一回の投与を行った。
インスリン投与量は、対照生成物と試験Mc生成物とで同量:5UI/kgであった。
処理群
−対照群 非処理STZ
−即効型インスリン群(即効型UMULINE)皮下経路
−即効型インスリン群(即効型UMULINE)経直腸経路
−即効型インスリン群McUMULINE 経直腸経路
−インスリンなしのMc製剤群 経直腸経路による
血糖および血中インスリンアッセイは、7つの時点:15分、30分、60分、120分、180分、360分および24時間で行った。
結果
Figure 2008519025
結論
経直腸経路によるMc吸収の動力学は、即効型インスリンについて皮下経路によるものに匹敵した:Tmax=2〜3時間。
排泄動力学は同等であった。
皮下経路と比較したMc製剤の相対的な生物学的利用効率は、AUCに基づいて、55%であった。
実施例10:水の添加量の最適化
プロトコル
上記の実施例で示されたpeceol、シトステロールおよびエタノールの相対量を含有する試料を、タンパク質が溶解された水の量を変えて調製した。希釈スケールは、水の量を0.3%の増分で増加させることにより作製した。
試料を、上記のように、35℃で撹拌することにより均質化した。
逆ミセル系の安定性に対する水の量の影響は、視覚的に(濁度)および小角X線回折により調べた。
結果
組成物中で水6.9%(すなわち、Wは約0.175)からおよびそれ以上で、ミクロエマルジョンは、次第に濁りはじめ、水の量が増えると、2相が現れた。水の百分率は、合計の水の重量:組成物の総重量で表した。

Claims (18)

  1. 少なくとも1種の水溶性の治療上活性な成分、フィトステロール、アシルグリセロールおよび水を含む逆ミセル系。
  2. ミセルが100nm以下の水性コアを呈する、請求項1に記載の逆ミセル系。
  3. 以下の方法:
    (a)(i)フィトステロール、(ii)アシルグリセロール、(iii)水、および(iv)少なくとも1種の水溶性の治療上活性な成分を接触させ、
    (b)工程(a)で得られた混合物を40℃以下で、逆ミセルが生成するのに十分な時間撹拌し、その撹拌を約1000〜約5000r/分の速度で機械的にまたは超音波処理により行うこと、
    により得られる、請求項1または2に記載の逆ミセル系。
  4. 比W=(水)/(アシルグリセロール)が、好ましくは約2.5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  5. 重量比フィトステロール/アシルグリセロールが、0.01〜1の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  6. 重量比フィトステロール/アシルグリセロールが、0.1以上、より好ましくは0.1〜0.2である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  7. 工程(b)の撹拌が、30℃〜38℃の範囲の温度で行われる、請求項3〜6のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  8. 比W=(水)/(アシルグリセロール)が、約1以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  9. アシルグリセロールが、以下の式(I):
    Figure 2008519025

    (式中、
    −Rは、14〜24個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分枝状の、飽和もしくは不飽和脂肪酸のアシル残基、水素原子、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ガラクトースもしくはグルコースであり;
    −Rは、2〜18個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和脂肪酸のアシル残基であり;
    −Rは、14〜24個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分枝状の、飽和もしくは不飽和脂肪酸のアシル残基、または水素原子である)
    を表す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  10. およびRの少なくとも一つ、好ましくはRおよびRのただ一つが、オレイン酸(C18:1[シス]−9)のアシル残基を表す、請求項9に記載の逆ミセル系。
  11. が、オレイン酸残基(オレオイル基)、二重結合(シス−6,7,9,11および13)に関するその位置異性体の一つまたはそのイソ分枝異性体の一つである、請求項9および10のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  12. がアセチル基を表す、請求項9および10の一項に記載の逆ミセル系。
  13. が水素原子を表す、請求項9〜12のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  14. アシルグリセロールが、1,2−ジオレインおよび1−オレオイル−2−アセチルグリセロールよりなる群の中で選択される、請求項9〜13のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  15. フィトステロールがシトステロールである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  16. 水溶性の治療剤が、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸[DNAもしくはRNA(より好ましくはRNAi)またはそのフラグメント]または水性医薬組成物である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の逆ミセル系。
  17. 水溶性の治療剤が、インスリン、エリスロポイエチン、レプチン、成長因子、成長ホルモン放出ホルモン、コロニー刺激因子、水溶性ホルモン(副甲状腺ホルモンまたはそのフラクションもしくは類縁体、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)またはその類縁体(例えば、ナファレリン、ブセレリン、ゴセレリン)、インターフェロン、サイトカイン、多糖類(例えば、ヘパリン)、ヘパリン様化合物、DNA、RNAフラグメントもしくはプラスミド、RNA干渉、ならびに免疫原および/またはワクチン剤である、請求項16に記載の逆ミセル系。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の逆ミセルおよび薬学的に許容しうる支持体を含む、医薬組成物。
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