JP2008515975A - 抗癌化合物および方法 - Google Patents
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Abstract
フィブロネクチン枯渇基質を使用するアッセイにおける、転移が可能なヒト腫瘍を含む腫瘍細胞の試験が記載される。生検ヒト細胞を含む細胞のエクスビボ誘導は浸潤誘導剤を用いて行われる。さらに、抗癌化学療法薬が記載される。具体的には、抗転移および抗成長特性を有する化学療法剤が記載され、これは非ペプチド組成物を含む。
Description
発明の分野
本発明は、癌の処置、組織に浸潤しかつ転移を引き起こす癌細胞の能力についての試験、ならびに腫瘍浸潤および成長を阻害するための薬物の同定および使用に関する。
本発明は、癌の処置、組織に浸潤しかつ転移を引き起こす癌細胞の能力についての試験、ならびに腫瘍浸潤および成長を阻害するための薬物の同定および使用に関する。
背景
「化学療法」という語は、単に化学物質での疾患の処置を意味する。化学療法の父、Paul Ehrlichは、「特効薬」として完全な化学療法薬を想像した;そのような化合物は、宿主を害することなく侵入生物体を殺すと思われる。この標的特異性は、抗癌剤を含むすべての型の化学療法薬において求められる。
「化学療法」という語は、単に化学物質での疾患の処置を意味する。化学療法の父、Paul Ehrlichは、「特効薬」として完全な化学療法薬を想像した;そのような化合物は、宿主を害することなく侵入生物体を殺すと思われる。この標的特異性は、抗癌剤を含むすべての型の化学療法薬において求められる。
しかしながら、特異性は、抗癌剤にともなう主要な問題である。抗癌剤の場合、薬物は、癌性である宿主細胞と癌性ではない宿主細胞とを識別する必要がある。大部分の抗癌薬は、このレベルにおいて無差別である。典型的には、抗癌剤は、陰性血液学的効果(例えば、骨髄およびリンパ組織における有糸分裂の停止および形成要素の崩壊)、および免疫抑制作用(例えば、細胞数低下)、ならびに上皮組織(例えば、腸粘膜)、生殖組織(例えば、精子形成の障害)、および神経系に対する重度の影響を有する。P. Calabresi and B.A. Chabner, In: Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (Pergamon Press, 8th Edition) (pp. 1209-1216)(非特許文献1)。
抗癌剤としての化学療法薬での成功は、広範な構造的に無関係の細胞毒性抗癌化合物に対する耐性である多剤耐性の現象によっても妨げられている。Gerlach et al., Cancer Surveys, 5:25-46 (1986)(非特許文献2)。進行性薬物耐性の基礎をなす原因は、診断時における腫瘍内の薬物耐性細胞(例えば、突然変異体細胞)の小集団による可能性がある。Goldie et al., Cancer Research, 44:3643-3653 (1984)(非特許文献3)。最初に単一の薬物でそのような腫瘍を処置することは、寛解を引き起こし、腫瘍は、優勢な薬物感受性細胞の死滅の結果として、サイズが小さくなる。薬物感受性細胞がなくなると、残った薬物耐性細胞は繁殖し続け、最終的には腫瘍の細胞集団を支配する。
最後に、癌の処置は、癌の一つの型内でさえかなりの異質性があるという事実によって妨げられている。例えば、いくつかの癌は、組織を浸潤する能力を有し、かつ転移によって特徴付けられる成長の急速な経過を示す。これらの腫瘍は、概して、患者に対する芳しくない帰結に関連する。さらに、そのような腫瘍を同定しかつそのような腫瘍を非浸潤性癌から識別する手段なしでは、医師は、どのように治療を変えかつ/または最適化するのか困惑する。
必要とされるのは、多種多様な腫瘍型に対して信頼性があり、かつ特に浸潤性腫瘍に適した特異的な抗癌アプローチである。重要なこととして、処置は、最小の宿主毒性で効果的でなければならない。
P. Calabresi and B.A. Chabner, In: Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (Pergamon Press, 8th Edition) (pp. 1209-1216)
Gerlach et al., Cancer Surveys, 5:25-46 (1986)
Goldie et al., Cancer Research, 44:3643-3653 (1984)
発明の概要
本発明は、癌の処置、組織に浸潤しかつ転移を引き起こす癌細胞の能力についての試験、ならびに腫瘍浸潤および成長を阻害するための薬物の同定および使用に関する。
本発明は、癌の処置、組織に浸潤しかつ転移を引き起こす癌細胞の能力についての試験、ならびに腫瘍浸潤および成長を阻害するための薬物の同定および使用に関する。
一つの態様において、本発明は、デンドリマーと該デンドリマーに付着したアミノ酸配列PHSCNを含む少なくとも一つのペプチドとを含む組成物を意図し、デンドリマーは分岐を含む。一つの態様において、デンドリマーはポリリジンを含む。1つの態様において、組成物は、デンドリマーに付着した化学療法剤をさらに含む。一つの態様において、化学療法剤はメトトレキサートを含む。別の態様において、化学療法剤はボロンを含む。別の態様において、化学療法剤は抗体を含む。別の態様において、化学療法剤は受容体を含む。別の態様において、化学療法剤はゲムシタビンを含む。別の態様において、化学療法剤は5-フルオロウラシルを含む。別の態様において、化学療法剤はCDK阻害剤を含む。別の態様において、化学療法剤はマトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む。別の態様において、化学療法剤はシスプラチンを含む。別の態様において、化学療法剤はドキソルビシンを含む。別の態様において、化学療法剤はエストラムスチンを含む。別の態様において、化学療法剤はエトポシドを含む。別の態様において、化学療法剤はドセタキセルを含む。別の態様において、化学療法剤はパクリタキセルを含む。別の態様において、化学療法剤はタモキシフェンを含む。別の態様において、化学療法剤はビンクリスチンを含む。別の態様において、組成物は腫瘍細胞に付着する。一つの態様において、腫瘍細胞はα5β1インテグリンをさらに含む。別の態様において、腫瘍細胞は血管に関連する。
一つの態様において、本発明は、a)i)複数の腫瘍細胞を含む患者;およびii)デンドリマーと該デンドリマーに付着したアミノ酸配列PHSCNを含む少なくとも一つのペプチドとを含み、アポトーシスを誘導することが可能であるかまたはコラゲナーゼー依存性および/もしくはマトリクスメタロプロテイナーゼ依存性浸潤を阻害することが可能である組成物を提供する段階;ならびにb)該腫瘍細胞の少なくとも一部が、アポトーシスを受けるまたは浸潤しないようにする条件下で、該組成物を該患者に投与する段階を含む方法を意図する。一つの態様において、腫瘍細胞は前立腺腫瘍細胞を含む。一つの態様において、患者は腫瘍関連血管細胞をさらに含む。別の態様において、患者は腫瘍関連リンパ管をさらに含む。一つの態様において、血管細胞は内皮細胞を含む。別の態様において、リンパ管細胞は内皮細胞を含む。一つの態様において、組成物は該内皮細胞におけるアポトーシスを誘導するか、または腫瘍の浸潤(血管新生)を防ぐ。一つの態様において、デンドリマーは化学療法剤をさらに含み、その薬剤はデンドリマーに付着する。一つの態様において、化学療法剤は、メトトレキサート、ボロン、シスプラチン、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、タモキシフェン、ビンクリスチン、抗体、および受容体からなる群より選択される。一つの態様において、アポトーシスは焦点接着キナーゼ阻害によって引き起こされる。一つの態様において、アポトーシスはタンパク質キナーゼB阻害によって引き起こされる。別の態様において、浸潤阻害は、血管またはリンパ管の腫瘍細胞または宿主内皮細胞によるマトリクスメタロプロテイナーゼ活性および/または発現の阻害によって引き起こされる。
一つの態様において、本発明は、a)i)複数の転移性腫瘍細胞を含む患者;およびii)デンドリマーと該デンドリマーに付着したアミノ酸配列PHSCNを含む少なくとも一つのペプチドとを含み、転移活性を阻害することが可能である組成物を提供する段階;ならびにb)該腫瘍細胞による転移活性が阻害されるような条件下で、該組成物を該患者に投与する段階を含む方法を意図する。一つの態様において、腫瘍細胞は前立腺腫瘍細胞を含む。一つの態様において、腫瘍細胞は膵臓腫瘍細胞を含む。一つの態様において、患者は腫瘍関連血管細胞をさらに含む。一つの態様において、血管細胞は内皮細胞を含む。一つの態様において、組成物は該内皮細胞の腫瘍細胞浸潤を阻害する。一つの態様において、デンドリマーは化学療法剤をさらに含み、その薬剤はデンドリマーに付着する。一つの態様において、化学療法剤は、メトトレキサート、ボロン、抗体、および受容体からなる群より選択される。
本発明は、A)癌細胞を試験しかつ浸潤潜在性を評価するためのインビトロモデル;B)腫瘍浸潤を阻害する薬物を同定するためのスクリーニングアッセイ;およびC)癌を処置するための化学療法薬も提供する。
癌細胞の浸潤潜在性を試験するための様々なアッセイ形式が意図される。一つの態様において、患者の腫瘍の一部が得られ(例えば、生検によって)、フィブロネクチンを含まない基質上の組織培養中に置かれる。その後、フィブロネクチンまたはフィブロネクチン由来ペプチドに対する腫瘍細胞の応答が評価される。フィブロネクチンが膜の浸潤を誘導する場合、腫瘍は転移潜在性を有するとみなすことができる。膜の有意な浸潤がない場合、腫瘍は(その時点では)非転移性であるとみなすことができる。
一つの態様において、本発明は、a)i)ヒト癌患者、ii)フィブロネクチン不含基質、およびiii)一つまたは複数の浸潤誘導剤を提供する段階;b)該患者から癌細胞を得る段階;c)該細胞を該フィブロネクチン不含基質および一つまたは複数の浸潤誘導剤とエクスビボで接触させる段階;ならびにd)該基質の癌細胞浸潤を検出する段階を含む、ヒト癌を評価する方法を意図する。好ましくは、癌細胞は、複雑な因子の導入を本質的に避けるように、無血清培養培地において培養される。一つの態様において、浸潤誘導剤はペプチドであり、該ペプチドは配列PHSRN(SEQ ID NO:1)を含む。好ましい態様において、浸潤誘導剤は、無傷フィブロネクチンである。
任意のメカニズムに限定されないが、この様式で浸潤誘導剤に曝露された細胞は、潜在的に基質に浸潤することが可能になると考えられている。実際、本発明は、上皮(ケラチノサイト、乳房および前立腺上皮)、結合組織(線維芽細胞)、および筋(筋芽細胞)細胞を含むがそれらに限定されない体の全細胞による浸潤の刺激を意図する。重ねて任意のメカニズムに限定されないが、配列PHSRN(SEQ ID NO:1)を含む浸潤誘導剤は、癌細胞上のα5β1受容体に結合し、それによって基質の浸潤を誘導すると考えられている。この点に関して、本発明は、a)i)ヒト癌患者、ii)フィブロネクチン不含基質、およびiii)一つまたは複数の浸潤誘導剤を提供する段階;b)該患者からα5β1インテグリンフィブロネクチン受容体発現癌細胞を得る段階;c)該浸潤誘導剤の存在下で、該基質上の無血清培養培地において該細胞を培養する段階;ならびにd)該基質の癌細胞浸潤を検出する段階を含む、ヒト癌を試験する方法を提供する。
上で指摘したように、本発明は、腫瘍浸潤を阻害する薬物を同定するためのスクリーニングアッセイも意図する。本発明は、フィブロネクチン由来ペプチドの結合活性を利用するスクリーニングアッセイを意図する。一つの態様において、誘導可能な腫瘍細胞系統は、フィブロネクチン不含基質上の組織培養に置かれる。その後、誘導可能な腫瘍細胞系統として、腫瘍は、フィブロネクチンまたはフィブロネクチン由来ペプチドによって(普通の条件下で)基質に浸潤するように誘導されるであろう。しかしながら、この薬物スクリーニングアッセイにおいては、候補となる薬物阻害剤が組織培養に添加される(これは、個々にまたは混合物においてなされ得る)。誘導可能な腫瘍細胞が基質に浸潤するのを阻害されることが見出される場合、薬物阻害剤が示される。
本発明が、本発明のスクリーニングアッセイにおいてスクリーニングされる薬物の性質によって限定されることは企図されない。ペプチドを含む様々な薬物が意図される。
最後に、本発明は、浸潤性腫瘍を処置するための化学療法薬を意図する。具体的には、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドの浸潤促進活性を遮断するために、様々な抗浸潤化学療法剤が意図される。好ましい態様において、抗浸潤剤は、アミノ酸配列PHSCN(SEQ ID NO:86)を有するペプチドである。別の態様において、抗浸潤剤は、CHSRN(SEQ ID NO:87)、PCSRN(SEQ ID NO:88)、PHCRN(SEQ ID NO:89)、およびPHSRC(SEQ ID NO:90)からなる群より選択される配列を含むアミノ酸配列を有するペプチドである。別の態様において、抗浸潤剤は、PHSXN(SEQ ID NO:91)を含むアミノ酸配列を有するペプチドであり、Xは、ホモ-システイン、システインのD-異性体、ヒスチジン、またはペニシラミンからなる群より選択されるアミノ酸である。
本発明は、アミノ酸配列X1HSX2N(SEQ ID NO:92)を含む抗浸潤剤も意図し、X1は、プロリン、ヒスチジン、またはアミノ酸以外のいずれかであり、X2は、システインのL-異性体、システインのD-異性体、ホモ-システイン、ヒスチジン、またはペニシラミンからなる群より選択されるアミノ酸である。別の態様において、本発明は、アミノ酸配列X1X2X3X4X5(SEQ ID NO:93)を含む抗浸潤剤を意図し、X1は、プロリン、グリシン、バリン、ヒスチジン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X2は、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、フェニルアラニン、およびトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X3は、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ロイシン、ヒスチジン、アスパラギン、およびグルタミンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X4は、システイン、ホモ-システイン、ペニシラミン、ヒスチジン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、およびメチオニンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X5は、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、およびチロシンからなる群より選択されるアミノ酸である。好ましい態様において、ペプチドは、PHSCN(SEQ ID NO:86)であり、システインは、L-異性体である。
上で指定される抗浸潤剤が、指定されたアミノ酸配列ならびにアミノ末端、カルボキシル末端、またはアミノおよびカルボキシル末端の両方に付加される付加的なアミノ酸を含むことがさらに意図される。一つの態様において、抗浸潤剤は、長さが500アミノ酸までである。いくつかの態様において、上で指定される抗浸潤剤が、例えばアセチル化などのエキソペプチダーゼによる消化を防ぐための標準的な方法によってブロックされるアミノ末端;および例えばアミド化などのエキソペプチダーゼによる消化を防ぐための標準的な方法によってブロックされるカルボキシル末端を有するペプチドを含むことも意図される。
この点に関して、本発明は、a)i)癌を有する被験体、およびii)血漿フィブロネクチンのPHSRN(SEQ ID NO:1)配列の腫瘍浸潤促進活性を阻害するペプチドを含む組成物を提供する段階;ならびにb)該組成物を該被験体に投与する段階を含む、癌を処置する方法を提供する。本発明は、原発性腫瘍の外科的除去前および/または後にアンタゴニストを使用することをさらに意図する。一つの態様において、方法は、付加的な化学療法薬とともに補助的治療としてPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを投与することを含む。
任意のメカニズムに限定されないが、これらの抗浸潤化学療法剤は、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列の(例えば、フィブロネクチンの)浸潤促進活性を、腫瘍細胞上のその受容体へのこの配列の結合をブロックすることによって、遮断すると考えられている。重ねて任意のメカニズムに限定されないが、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列は、転移性腫瘍細胞上のα5β1受容体における二価カチオン(Mg+2、Ca+2、またはMn+)を外すように作用することによって浸潤を促進することがあり、上で指定される化学療法抗浸潤剤は、これらの二価カチオンの一つまたは複数をキレートすることによってこの浸潤を阻害するように作用し得ると考えられている。
別の態様において、本発明は、構造ICVAV(SEQ ID NO:94)を含むペプチドおよび対応するペプチド模倣剤を含むがそれらに限定されない、ラミニンのIKVAV(SEQ ID NO:2)配列に対する抗浸潤アンタゴニストを意図する。
定義
本明細書において使用される「薬物」という語は、ヒトまたはその他の動物において使用される任意の薬用物質を指す。この定義内に包含されるのは、化合物類似体、自然発生的、合成、および組換え調合薬、ホルモン、抗菌剤、神経伝達物質などである。
本明細書において使用される「薬物」という語は、ヒトまたはその他の動物において使用される任意の薬用物質を指す。この定義内に包含されるのは、化合物類似体、自然発生的、合成、および組換え調合薬、ホルモン、抗菌剤、神経伝達物質などである。
「誘導剤」という語は、基質における細胞の浸潤を引き起こす(直接的または間接的に)ことが可能である任意の化合物または分子を指す。「誘導剤」は、PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドおよび関連ペプチド(以下を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。
「受容体」という語は、細胞によって発現され、かつ結合分子(例えば、リガンド)を認識する構造体を指す。
「アンタゴニスト」という語は、「天然」または「自然」化合物(フィブロネクチンなど)の作用を阻害する分子または化合物を指す。アンタゴニストは、立体構造、電荷、またはその他の特徴に関して、これらの自然化合物と相同であってもよく、または相同でなくてもよい。したがって、アンタゴニストは、自然化合物によって認識される同じまたは異なる受容体によって認識され得る。「アンタゴニスト」は、PHSCN含有(SEQ ID NO:86)ペプチドおよび関連ペプチド(以下を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。
「宿主細胞」または「細胞」という語は、本発明のスクリーニングアッセイの任意において使用される任意の細胞を指す。「宿主細胞」または「細胞」は、対象となる特定の受容体を本来発現する、またはこれらの正常もしくは突然変異受容体を産生するように遺伝的に変更される任意の細胞も指す。
「化学療法剤」という語は、腫瘍の成長または転移を阻害する分子または化合物を指す。「化学療法薬」は、PHSCN含有(SEQ ID NO:86)ペプチドおよび関連ペプチド(以下を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。
上で指摘されるように、本発明は、一括して「C」として識別されるシステインのDおよびL異性体の両方を意図する。
本発明は、「hC」として識別される、ホモ-システインも意図する。
本明細書において使用されるように、「デンドリマー」という語は、分岐上分岐(branches-upon-branches)構造モチーフに由来する任意のマクロ分子を指す。デンドリマーは、コアとしての単純な有機分子から放射状に広がる、良く定義された高度に分岐したマクロ分子であり、理論的に単分子および単分散の産物をもたらす各々の生成に対する完全なシェルを保証する段階的な繰り返し反応順序を介して合成され得る。繰り返し分子ポリマー鎖の分岐は、置換基(すなわち、例えば、ペプチド、化学療法剤、または薬学的化合物)を付着するための機能的部位を提供する。一つのそのようなデンドリマーは、繰り返しポリリジン分子を含むが、しかしながらスチレンまたはアミドアミンに基づくその他の繰り返し分子は、等しく有用である。
本明細書において使用されるように、「分岐」または「分岐している」という語は、デンドリマーの縦軸角を変更する任意の繰り返し分子鎖を指す(すなわち、例えば、図23におけるレベル1〜3)。
本明細書において使用されるように、「ペプチド」という語は、少なくとも二つのアミノ酸を含む任意のアミノ酸配列を指す。
本明細書において使用されるように、「置換される」という語は、少なくとも一つの化学的部分が、異なる化学的部分で置換されている任意の化合物を指す。例えば、少なくとも一つの水素を含むアミン基は、ペプチド(すなわち、例えば、PHSCN含有ペプチド)で置換され得る。具体的には、ポリリジンデンドリマーは、付着ペプチドを含んでいてもよく、それによってペプチド置換デンドリマーを作り出す。
本明細書において使用されるように、「付着する」、「付着」、「付着した」、または「付着している」という語は、安定複合体の形成を引き起こす分子間の任意の物理的関係を指す。その関係は、イオン性引力、水素結合、共有結合、ファンデルワールス力、または疎水性引力を含むがそれらに限定されない物理化学的相互作用によって媒介され得る。
本明細書において使用されるように、「受容体」という語は、結合分子(例えば、リガンド)を認識する任意の構造体を指す。例えば、受容体は、神経伝達物質を認識する細胞表面上に存在し得る。
本明細書において使用されるように、「タンパク質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」という語は、ペプチド結合を介して接合されるアミノ酸を含む任意の化合物を指し、ほとんど同じ意味で使用される。「タンパク質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」アミノ酸配列は、翻訳後修飾を含んでもよい。
本明細書において使用されるように、「アミノ酸配列」という語は、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドの一次(すなわち、直鎖状)構造を指す。
本明細書において使用されるように、「抗体」という語は、特異的抗原と反応する任意の免疫グロブリン分子を指す。その語が、任意の源(例えば、ヒト、げっ歯類、非ヒト霊長類、ヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなど)から得られる任意の免疫グロブリン(例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDなど)を包含することが企図される。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。抗体は、宿主免疫付与、ペプチド組み合わせ化学、または細胞培養におけるベクター媒介タンパク質発現などであるがそれらに限定されない、当技術分野において公知の多くの方法によって生成される。
本明細書において使用されるように、「血管」という語は、静脈、または動脈、または毛細血管を含む任意の心臓血管組織を指す。いくつかの血管が、腫瘍に関連する様々な細胞(すなわち、例えば、内皮細胞)を含むことが公知である。そのような「腫瘍関連血管」は、栄養、酸素、ならびに腫瘍細胞成長および維持を支持するためのその他の必要とされる化合物を提供すると考えられている。
本明細書において使用されるように、「リンパ管」という語は、リンパ液を運ぶために特殊化した管を含む任意の脈管組織を指す。
本明細書において使用されるように、「内皮細胞」という語は、管腔を含む体器官(すなわち、例えば、血管、腸、リンパ管または本管など)に対する内層を提供する任意の細胞を指す。通常、内皮細胞は、物理的および化学的保護ならびに栄養またはその他の代謝活性化合物の選択的吸収を提供する。
本明細書において使用されるように、「腫瘍細胞」という語は、無制御成長パターンを示す任意の細胞塊を指す。腫瘍細胞は、生物体内の任意の組織に由来し得る(すなわち、例えば、前立腺腫瘍細胞)。
本明細書において使用されるように、「アポトーシス」という語は、生化学経路(すなわち、例えば、焦点接着キナーゼ(FAK)/PI3'K/タンパク質キナーゼB(Akt)生化学経路)(図35を参照されたい)によって媒介されるプログラム細胞死を指す。
本明細書において使用されるように、「浸潤」という語は、血液またはリンパ液循環に入るまたは出る際の、組織を介する腫瘍細胞の移動を指す。
本明細書において使用されるように、「患者」という語は、本明細書において意図される組成物の投与から利益を得ることができる任意の生きた生物体、好ましくは哺乳類(すなわち、例えば、ヒトまたは非ヒト)を指す。患者は、成体または幼体(すなわち、例えば、子供)のいずれかを含み得る。
本明細書において使用されるように、「ネクローシス」という語は、細胞の群または体構造もしくは器官の部分に影響を及ぼし得るような様式で、細胞死を示しかつ酵素の進行性分解作用によって引き起こされる、任意の細胞内または細胞外形態変化を指す。細胞ネクローシス特徴は、急速な膜脂質過酸化、ブレブ形成、および膜破壊を含み得るが、それらに限定されない。
発明の説明
本発明は、概して、癌の処置、より具体的には、組織に浸潤しかつ転移を引き起こす癌細胞の能力についての試験、ならびに腫瘍浸潤および成長を阻害するための薬物の同定および使用に関する。転移の前兆として、癌細胞は、上皮の基礎をなす基底膜または血管およびリンパ管の内皮内層をタンパク質分解的に変更し、タンパク質分解によって作り出される欠損部を介して浸潤し、かつ遠くの部位に定着するために循環またはリンパ系に入ると考えられている。このプロセスの間、タンパク質分解酵素の分泌は、細胞運動性増加および接着の変更と連結する。遠くの部位のそれらの定着の後、転移腫瘍細胞は、転移性小結節を確立するために増殖する。
本発明は、概して、癌の処置、より具体的には、組織に浸潤しかつ転移を引き起こす癌細胞の能力についての試験、ならびに腫瘍浸潤および成長を阻害するための薬物の同定および使用に関する。転移の前兆として、癌細胞は、上皮の基礎をなす基底膜または血管およびリンパ管の内皮内層をタンパク質分解的に変更し、タンパク質分解によって作り出される欠損部を介して浸潤し、かつ遠くの部位に定着するために循環またはリンパ系に入ると考えられている。このプロセスの間、タンパク質分解酵素の分泌は、細胞運動性増加および接着の変更と連結する。遠くの部位のそれらの定着の後、転移腫瘍細胞は、転移性小結節を確立するために増殖する。
上で指摘したように、化学療法剤は、腫瘍の外科的除去に先行して(新アジュバント治療)または手術後(アジュバント治療)のいずれかに、癌細胞の無制限成長を軽減するために現在採用されている。しかしながら、これらの方法のいずれも、転移が一度生じると、治癒的ではないことが証明されている。無制限浸潤性挙動は、転移性腫瘍細胞の特質でもあるので、腫瘍細胞浸潤および転移を直接的に阻害するための方法が必要である。
A. 腫瘍浸潤を試験するためのアッセイ
腫瘍細胞の浸潤性挙動をどのように阻害して転移カスケードに干渉するかを発見するために最初に必要なのは、インビトロで腫瘍細胞浸潤を試験するアッセイ法の開発である。二つのアッセイ系が、腫瘍細胞浸潤を試験するための本発明の方法における使用に対して意図される。
腫瘍細胞の浸潤性挙動をどのように阻害して転移カスケードに干渉するかを発見するために最初に必要なのは、インビトロで腫瘍細胞浸潤を試験するアッセイ法の開発である。二つのアッセイ系が、腫瘍細胞浸潤を試験するための本発明の方法における使用に対して意図される。
1. フィブロネクチン枯渇基質
一つのアッセイ系において、本発明は、フィブロネクチン枯渇基質を使用することを意図する。これらは、フィブロネクチンを除去するための本発明の方法(以下を参照されたい)に従って処置される、元来フィブロネクチンを含む基質である。本発明が、元の基質の性質によって限定されることは企図されない;処置および枯渇に適したそのようなフィブロネクチン含有基質は、以下を含む:i)様々な細胞外タンパク質を含む複雑な基質、およびii)一つまたは二つのその他のタンパク質(例えば、コラーゲン、ラミニンなど)とともにフィブロネクチンを含むより複雑でない基質。
一つのアッセイ系において、本発明は、フィブロネクチン枯渇基質を使用することを意図する。これらは、フィブロネクチンを除去するための本発明の方法(以下を参照されたい)に従って処置される、元来フィブロネクチンを含む基質である。本発明が、元の基質の性質によって限定されることは企図されない;処置および枯渇に適したそのようなフィブロネクチン含有基質は、以下を含む:i)様々な細胞外タンパク質を含む複雑な基質、およびii)一つまたは二つのその他のタンパク質(例えば、コラーゲン、ラミニンなど)とともにフィブロネクチンを含むより複雑でない基質。
本発明が、基質が処置された後に残るフィブロネクチンの正確な量によって限定されることも企図されない。言い換えると、本発明の方法がフィブロネクチンを除去する一方で、いくつかの態様においては、実質的にすべてのフィブロネクチンを除去する一方で、少量のフィブロネクチンが基質に残っていることは、「フィブロネクチン枯渇」基質という語の意味内である。
一つの態様において、本発明は、市販されている細胞外マトリクスを使用することを意図する。例えば、本発明は、マウス肉腫からのマトリクスであるECM GEL(Sigma, St. Louis, Moから市販されている)などの基底膜マトリクスを処置することを意図する。しかしながら、本発明が、特定のフィブロネクチン含有基質によって限定されることは企図されない。例えば、一般的に使用される基質マトリゲル(Becton Dickinson Labware, カタログ#40234から入手できる)などのその他の市販されている基質が意図される;マトリゲルは、それを「フィブロネクチン枯渇」にするために、本発明の方法に従って適切に処置され得る(以下を参照されたい)。非処置マトリゲル(および類似の基質)は、多くの腫瘍の浸潤および転移におけるプロテアーゼおよび運動性因子の重要性を実証するために使用されている。しかしながら、これらの浸潤基質は、無血清基質として利用できない;したがって、血漿フィブロネクチンなどの血清構成要素による腫瘍細胞浸潤性挙動の調節は、非処置マトリゲルにともなう複雑な因子である。
その結果として、本発明は、フィブロネクチン不含基質を意図する。この態様において、マトリゲルは、それが実質的にフィブロネクチンを含まないように処置される。フィブロネクチン不含マトリゲルの調製は、ゼラチン上でマトリゲル基質を「パニングすること」ならびに抗フィブロネクチン抗体(Promega Corporation, Madison, Wisconsinの抗体など、抗ヒトフィブロネクチンIgGが市販されている)上で基質を「パニングすること」に関与する。
2. 自然発生的フィブロネクチン不含基質
別の態様において、本発明は、本来フィブロネクチンを含まない基質を意図する;例えば、そのような源は、正常に浸潤する細胞の型を選択するために透過性である基底膜を提供し、そのような膜は、本来無血清である。一つの態様において、本発明は、そのような膜の源としてウニを意図する。この点に関して、ウニ胚の外胚葉は、一細胞厚であり、哺乳類のそれと非常に類似の基礎をなす基底膜を分泌する(図1を参照されたい)。これらの胚は、循環またはリンパ系を含まない;かつ、したがって、それらの基底膜は、無血清である。胚において、外胚葉下(subectodermal)基底膜は、いくつかの特定の間葉細胞型に対して、移動基質として同時に機能するが、それは、その他に対して、浸潤基質として機能する。ウニ胚基底膜(SU-ECM)は、軽度の界面活性剤処置によって調製され得る。Livant et al., Cancer Research 55:5085 (1995)。そのような手順は、以下の実験セクションにおいて記載される。
別の態様において、本発明は、本来フィブロネクチンを含まない基質を意図する;例えば、そのような源は、正常に浸潤する細胞の型を選択するために透過性である基底膜を提供し、そのような膜は、本来無血清である。一つの態様において、本発明は、そのような膜の源としてウニを意図する。この点に関して、ウニ胚の外胚葉は、一細胞厚であり、哺乳類のそれと非常に類似の基礎をなす基底膜を分泌する(図1を参照されたい)。これらの胚は、循環またはリンパ系を含まない;かつ、したがって、それらの基底膜は、無血清である。胚において、外胚葉下(subectodermal)基底膜は、いくつかの特定の間葉細胞型に対して、移動基質として同時に機能するが、それは、その他に対して、浸潤基質として機能する。ウニ胚基底膜(SU-ECM)は、軽度の界面活性剤処置によって調製され得る。Livant et al., Cancer Research 55:5085 (1995)。そのような手順は、以下の実験セクションにおいて記載される。
基質の二つの型のどちらが採用されるかに関わらず、本発明の浸潤基質は、調製しやすく、かつ以下を含む様々な細胞と迅速で高度に一貫性のある結果を与える:a)i)原発性および転移性腫瘍、およびii)正常上皮組織からの細胞系統;ならびにb)両方の腫瘍の原発性組織試料、それらの周囲正常組織からの細胞、ならびに割礼組織からの新生児メラノサイト、線維芽細胞、およびケラチノサイト。
一つの態様において、本発明は、a)i)ヒト癌患者(乳癌または前立腺癌を有する患者など)、ii)フィブロネクチン不含基質(例えば、フィブロネクチン枯渇基質)、およびiii)一つまたは複数の浸潤誘導剤(以下で議論される)を提供する段階;b)該患者から(生検からなど)癌細胞を得る段階;c)該細胞を該フィブロネクチン不含基質および該一つまたは複数の浸潤誘導剤とエクスビボで(すなわち、体の外で)接触させる段階;ならびにd)該基質の癌細胞浸潤の程度を測定する段階を含む、ヒト癌を評価する方法を意図する。好ましくは、癌細胞は、複雑な因子を導入することを避けるために、無血清培養培地において培養される。
3. 誘導剤
本発明が、細胞が本発明のフィブロネクチン不含基質に浸潤することを引き起こすまたは誘導する薬剤の性質によって限定されることは企図されない。そのような薬剤は、単にそれらを細胞培養に添加し、浸潤の程度を測定することによって、機能的に同定され得る。
本発明が、細胞が本発明のフィブロネクチン不含基質に浸潤することを引き起こすまたは誘導する薬剤の性質によって限定されることは企図されない。そのような薬剤は、単にそれらを細胞培養に添加し、浸潤の程度を測定することによって、機能的に同定され得る。
一つの態様において、浸潤誘導剤は、フィブロネクチンに由来するペプチドを含む。好ましい態様において、浸潤誘導剤は、無傷フィブロネクチンである。
任意のメカニズムに限定されないが、この様式において浸潤誘導剤に曝露された細胞は、潜在的に基質に浸潤することが可能になると考えられている。重ねて任意のメカニズムに限定されないが、配列PHSRN(SEQ ID NO:1)を含む浸潤誘導剤は、癌細胞上のα5β1受容体に結合し、それによって基質の浸潤を誘導すると考えられている。この点に関して、本発明は、a)i)α5β1受容体を発現する細胞、ii)フィブロネクチン不含基質、およびiii)一つまたは複数の浸潤誘導剤を提供する段階;b)該浸潤誘導剤の存在下で、該基質上の無血清培養培地において該細胞を培養する段階;ならびにd)該基質の細胞浸潤の程度を測定する段階を含む、細胞を処置する方法を提供する。一つの態様において、細胞は正常上皮細胞または線維芽細胞である。別の態様において、細胞はヒト癌細胞である。
B. 薬物スクリーニングアッセイ
本発明は、腫瘍浸潤を阻害する薬物を同定するためのスクリーニングアッセイも意図する。本発明は、フィブロネクチン由来ペプチドの結合活性を利用するスクリーニングアッセイ(血清の存在下および非存在下)を意図する。一つの態様において、誘導可能な腫瘍細胞系統は、フィブロネクチン不含基質上の組織培養に置かれる。腫瘍細胞は、フィブロネクチン由来ペプチドによって、基質に浸潤するように誘導される(普通の条件下で)であろう。
本発明は、腫瘍浸潤を阻害する薬物を同定するためのスクリーニングアッセイも意図する。本発明は、フィブロネクチン由来ペプチドの結合活性を利用するスクリーニングアッセイ(血清の存在下および非存在下)を意図する。一つの態様において、誘導可能な腫瘍細胞系統は、フィブロネクチン不含基質上の組織培養に置かれる。腫瘍細胞は、フィブロネクチン由来ペプチドによって、基質に浸潤するように誘導される(普通の条件下で)であろう。
一つの態様において、浸潤誘導剤は、フィブロネクチンに由来するペプチドを含む。好ましい態様において、該ペプチドは、配列PHSRN(SEQ ID NO:1)を含む。もちろん、ペプチドは、5アミノ酸よりも大きなものであり得る;実際、フィブロネクチンのペプチドフラグメントは、数100の付加的な残基(例えば、500アミノ酸)を含み得る。一つのそのようなより大きなペプチドは、米国特許第5,492,890号(参照により本明細書に組み入れられる)に規定される。一つの態様において、PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドは、長さが100アミノ酸よりも小さく、フィブロネクチンのRGD(SEQ ID NO:81)配列特徴を欠く。配列
を含むペプチドを含む(しかしそれらに限定されない)、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドそれ自身および付加的なアミノ酸がカルボキシル末端に付加される関連ペプチドを含む様々なPHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドが意図される。または、配列
を含むペプチドを含む(しかしそれらに限定されない)、アミノ酸がアミノ末端に付加されるPHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドが意図される。最後に、本発明は、配列PEHFSGRPREDRVPHSRNSITLTNLTPG(SEQ ID NO:26)を含むペプチドならびにPHSRN含有(SEQ ID NO:1)配列PEHFSGRPREDRVPHSRNSITLTNLTPG(SEQ ID NO:26)の部分またはフラグメントを含むペプチドを含むがそれらに限定されない、アミノ酸がアミノおよびカルボキシル末端の両方に付加されるPHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドを意図する。
を含むペプチドを含む(しかしそれらに限定されない)、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドそれ自身および付加的なアミノ酸がカルボキシル末端に付加される関連ペプチドを含む様々なPHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドが意図される。または、配列
を含むペプチドを含む(しかしそれらに限定されない)、アミノ酸がアミノ末端に付加されるPHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドが意図される。最後に、本発明は、配列PEHFSGRPREDRVPHSRNSITLTNLTPG(SEQ ID NO:26)を含むペプチドならびにPHSRN含有(SEQ ID NO:1)配列PEHFSGRPREDRVPHSRNSITLTNLTPG(SEQ ID NO:26)の部分またはフラグメントを含むペプチドを含むがそれらに限定されない、アミノ酸がアミノおよびカルボキシル末端の両方に付加されるPHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドを意図する。
PHSRN(SEQ ID NO:1)モチーフ上に変異を含むペプチドが意図される。例えば、本発明は、上で指定されるアッセイにおける使用に対するPPSRN含有(SEQ ID NO:27)ペプチドも意図する。そのようなペプチドは、PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドについて上で記載した様式で長さが変化し得る。または、PPSRN(SEQ ID NO:27)は、5アミノ酸のペプチドとして使用され得る。
同様に、配列
を含むペプチドが、本発明によって意図される。そのようなペプチドは、5アミノ酸ペプチドとして使用され得る、または(PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドについて上で規定した様式で)より長いペプチドの一部であり得る。
を含むペプチドが、本発明によって意図される。そのようなペプチドは、5アミノ酸ペプチドとして使用され得る、または(PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドについて上で規定した様式で)より長いペプチドの一部であり得る。
別の態様において、本発明は、アミノ酸配列X1X2X3X4X5(SEQ ID NO:93)を含む誘導剤を意図し、X1は、プロリン、グリシン、バリン、ヒスチジン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X2は、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、フェニルアラニン、およびトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X3は、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ロイシン、ヒスチジン、アスパラギン、およびグルタミンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X4は、アルギニン、リジン、およびヒスチジンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X5は、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、およびチロシンからなる群より選択されるアミノ酸である。
この薬物スクリーニングアッセイにおいて、候補となる薬物阻害剤は、組織培養に添加される(これは、個々にまたは混合物においてなされ得る)。誘導可能な腫瘍細胞が基質に浸潤するのを阻害されることが見出される場合、薬物阻害剤が示される(PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを使用した以下の実施例セクションを参照されたい)。
本発明が、本発明のスクリーニングアッセイにおいてスクリーニングされる薬物の性質によって限定されることは企図されない。ペプチドおよび非ペプチド模倣剤を含む様々な薬物が意図される。
本発明が、薬物試験に対して使用される特定の腫瘍細胞によって限定されることも企図されない。様々な腫瘍細胞(陽性および陰性対照の両方に対する)が意図される(以下の表1に規定される細胞を含むがそれらに限定されない)。
C. 浸潤誘導剤およびアンタゴニスト
転移性癌に関与するメカニズムの理解は、本発明の成功した実践に必要ではないが、基底膜の腫瘍細胞浸潤は、以下の転移カスケードにおけるいくつかのポイントで生じると考えられている:(1)上皮腫瘍細胞(乳癌および前立腺癌のものなど)が、上皮を出て間質に入る時、(2)腫瘍細胞が、循環またはリンパ系に入る時、および(3)腫瘍細胞が、遠くの部位に浸潤するために循環またはリンパ系を出る時。したがって、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドなどのPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを、この配列に対する腫瘍細胞受容体をブロックするために使用することによる腫瘍細胞浸潤性の誘導への干渉は、転移の率を減少させるための方法として意図される。
転移性癌に関与するメカニズムの理解は、本発明の成功した実践に必要ではないが、基底膜の腫瘍細胞浸潤は、以下の転移カスケードにおけるいくつかのポイントで生じると考えられている:(1)上皮腫瘍細胞(乳癌および前立腺癌のものなど)が、上皮を出て間質に入る時、(2)腫瘍細胞が、循環またはリンパ系に入る時、および(3)腫瘍細胞が、遠くの部位に浸潤するために循環またはリンパ系を出る時。したがって、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドなどのPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを、この配列に対する腫瘍細胞受容体をブロックするために使用することによる腫瘍細胞浸潤性の誘導への干渉は、転移の率を減少させるための方法として意図される。
この戦略の一つの利点は、白血球がそれらの機能を実行するために組織に浸潤することが公知である唯一の正常細胞であり、所与の時間において浸潤性である白血球は比較的少ない。したがって、受容体へのPHSRN(SEQ ID NO:1)の結合をブロックする抗浸潤アンタゴニストの必要とされる用量は比較的少ない。また、ある免疫抑制以外に、浸潤の誘導をブロックするようにデザインされた化合物を使用した抗転移処置に関連する副作用は比較的少ない。抗浸潤治療から予測される衰弱性副作用の欠如は、抗増殖剤との組み合わせにおいてそれを使用することが、複雑ではないことを意味し、それが、腫瘍細胞浸潤および転移をブロックするために手術に先行してまたは予防的にさえ使用され得ることを意味する。
細胞外マトリクスの一般的な不溶性タンパク質であるラミニンのIKVAV(SEQ ID NO:2)配列は、無胸腺マウスにおける転移性ヒト結腸癌細胞による肝臓定着を刺激することが公知である。Bresalier et al., Cancer Research 55:2476 (1995)。PHSRN(SEQ ID NO:1)などのIKVAV(SEQ ID NO:2)は、その正電荷によりそのインテグリン受容体から二価カチオンを外しかつ浸潤を刺激するようにも機能し得る塩基性アミノ酸(K)を含むので、本発明は、ラミニンのIKVAV(SEQ ID NO:2)配列に抗浸潤アンタゴニストを開発する戦略を適用することを意図する。
(表1)ヒト細胞系統および株1の名称および起源
1SW1116、HT-29、SW480、Rajiリンパ芽球様細胞、および膵臓系統は、American Type Culture Collectionから得られる。
1SW1116、HT-29、SW480、Rajiリンパ芽球様細胞、および膵臓系統は、American Type Culture Collectionから得られる。
1. アンタゴニスト
本発明が、腫瘍浸潤性を阻害する薬剤の性質によって限定されることは企図されない。様々な抗浸潤化学療法薬が、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列の浸潤促進活性を遮断するために意図される。
本発明が、腫瘍浸潤性を阻害する薬剤の性質によって限定されることは企図されない。様々な抗浸潤化学療法薬が、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列の浸潤促進活性を遮断するために意図される。
好ましい態様において、抗浸潤剤は、アミノ酸配列PHSCN(SEQ ID NO:86)を有するペプチドである。別の態様において、抗浸潤剤は、CHSRN(SEQ ID NO:87)、PCSRN(SEQ ID NO:88)、PHCRN(SEQ ID NO:89)、およびPHSRC(SEQ ID NO:90)からなる群より選択される配列を含むアミノ酸配列を有するペプチドである。別の態様において、抗浸潤剤は、PHSXN(SEQ ID NO:91)を含むアミノ酸配列を有するペプチドであり、Xは、ホモ-システイン、システインのD-異性体、ヒスチジン、またはペニシラミンからなる群より選択されるアミノ酸である。
本発明は、アミノ酸配列X1HSX2N(SEQ ID NO:92)を含む抗浸潤剤も意図し、X1は、プロリン、ヒスチジン、またはアミノ酸以外のいずれかであり、X2は、システインのL-異性体、システインのD-異性体、ホモ-システイン、ヒスチジン、またはペニシラミンからなる群より選択されるアミノ酸である。別の態様において、本発明は、アミノ酸配列X1X2X3X4X5(SEQ ID NO:93)を含む抗浸潤剤を意図し、X1は、プロリン、グリシン、バリン、ヒスチジン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X2は、ヒスチジン、プロリン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、フェニルアラニン、およびトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X3は、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ロイシン、ヒスチジン、アスパラギン、およびグルタミンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X4は、システイン、ホモ-システイン、ペニシラミン、ヒスチジン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、およびメチオニンからなる群より選択されるアミノ酸であり、X5は、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、およびチロシンからなる群より選択されるアミノ酸である。好ましい態様において、ペプチドは、PHSCN(SEQ ID NO:86)であり、システインは、L-異性体である。
いくつかの態様において、上で指定される抗浸潤剤が、例えばPHSRNSIT(SEQ ID NO:5)などのペプチドを含むPHSRN(SEQ ID NO:1)に対して上で規定される様式におけるように、指定されたアミノ酸配列ならびにアミノ末端、カルボキシル末端、またはアミノおよびカルボキシル末端の両方に付加される付加的なアミノ酸を含むことがさらに意図される。一つの態様において、抗浸潤剤は、長さが500アミノ酸までである。いくつかの態様において、上で指定される抗浸潤剤が、例えばアセチル化などのエキソペプチダーゼによる消化を防ぐための標準的な方法によってブロックされるアミノ末端;および例えばアミド化などのエキソペプチダーゼによる消化を防ぐための標準的な方法によってブロックされるカルボキシル末端を有するペプチドを含むことも意図される。
この点に関して、本発明は、a)i)癌を有する被験体、およびii)アミノ酸配列PHSRN(SEQ ID NO:1)を含むペプチドの腫瘍浸潤促進活性を阻害するペプチド、ペプチド誘導体、またはペプチド模倣剤を含む組成物を提供する段階、ならびにb)該組成物を該被験体に投与する段階を含む、癌を処置する方法を提供する。本発明は、原発性腫瘍の外科的除去前および/または後にアンタゴニストを使用することをさらに意図する。一つの態様において、方法は、付加的な化学療法薬とともに補助的治療としてPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを投与することを含む。
任意のメカニズムに限定されないが、これらの抗浸潤化学療法剤は、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列(例えば、フィブロネクチンの)の浸潤促進活性を、腫瘍細胞上のその受容体へのこの配列の結合をブロックすることによって、遮断すると考えられている。重ねて任意のメカニズムに限定されないが、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列は、転移性腫瘍細胞上のα5β1受容体における二価カチオン(Mg+2、Ca+2、またはMn+)を外すように作用することによって浸潤を促進することがあり、上で指定される化学療法抗浸潤剤は、これらの二価カチオンの一つまたは複数をキレートすることによってこの浸潤を阻害するように作用し得ると考えられている。
別の態様において、本発明は、ラミニンのIKVAV(SEQ ID NO:2)配列に対する抗浸潤アンタゴニストを意図する。
2. 模倣剤デザイン
認識に対して必要な立体構造を模倣し、本発明のペプチドに結合する受容体にドッキングする化合物は、本発明の範囲内として意図される。例えば、PHSRN(SEQ ID NO:1)の模倣剤およびPHSRNアンタゴニスト(SEQ ID NO:1)が意図される。そのような模倣剤に対する様々なデザインが可能である。例えば、結合に対して必要な立体構造が、非ペプチドによって安定化される、サイクリックPHSRN(SEQ ID NO:1)およびPHSCN(SEQ ID NO:86)含有ペプチドが、具体的に意図される。Lobl, et al.の米国特許第5,192,746号、Burke, Jr., et al.の米国特許第5,169,862号、Bischoff, et al.の米国特許第5,539,085号、Aversa, et al.の米国特許第5,576,423号、Shashouaの米国特許第5,051,448号、およびGaeta, et al.の米国特許第5,559,103号(すべて参照により本明細書に組み入れられる)は、そのような化合物を作り出すための複数の方法を記載する。
認識に対して必要な立体構造を模倣し、本発明のペプチドに結合する受容体にドッキングする化合物は、本発明の範囲内として意図される。例えば、PHSRN(SEQ ID NO:1)の模倣剤およびPHSRNアンタゴニスト(SEQ ID NO:1)が意図される。そのような模倣剤に対する様々なデザインが可能である。例えば、結合に対して必要な立体構造が、非ペプチドによって安定化される、サイクリックPHSRN(SEQ ID NO:1)およびPHSCN(SEQ ID NO:86)含有ペプチドが、具体的に意図される。Lobl, et al.の米国特許第5,192,746号、Burke, Jr., et al.の米国特許第5,169,862号、Bischoff, et al.の米国特許第5,539,085号、Aversa, et al.の米国特許第5,576,423号、Shashouaの米国特許第5,051,448号、およびGaeta, et al.の米国特許第5,559,103号(すべて参照により本明細書に組み入れられる)は、そのような化合物を作り出すための複数の方法を記載する。
Arg-Gly-Asp配列を模倣する非ペプチドアンタゴニストなどの、ペプチド配列を模倣する非ペプチド化合物の合成も、当技術分野において公知である。Eldred et al., J. Med. Chem. 37:3882 (1994)。そのような化合物のシリーズの合成のさらなる説明も記載される。Ku et al., J. Med. Chem. 38:9 (1995)。PHSRN(SEQ ID NO:1)を模倣するそのような非ペプチド化合物およびPHSRNアンタゴニスト(SEQ ID NO:1)は、本発明によって具体的に意図される。
本発明は、関連ペプチド配列を繰り返す多量体化合物である合成模倣化合物も意図する。本発明の一つの態様において、関連ペプチド配列は、Pro-His-Ser-Arg-Asn(SEQ ID NO:1)であることが意図される;別の態様において、関連ペプチド配列は、Pro-His-Ser-Cys-Asn(SEQ ID NO:86)である;別の態様において、関連ペプチド配列は、Ile-Lys-Val-Ala-Val(SEQ ID NO:2)である。当技術分野において公知のように、ペプチドは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカップリング剤との反応によって活性化されているカルボキシル基へのアミノ基の連結によって合成され得る。活性化型カルボキシル上の遊離アミノ基の攻撃は、ペプチド結合の形成およびジシクロヘキシルウレアの放出をもたらす。それは、反応することを企図されるアミノおよびカルボキシル基以外の反応基を潜在的に保護するために必要であり得る。例えば、活性化型カルボキシル基を含む構成要素のα-アミノ基は、tertブチルオキシカルボニル基でブロックされ得る。この保護基は、その後ペプチドを希酸に曝露することによって除去でき、ペプチド結合を無傷のままにする。この方法によって、ペプチドは、ポリスチレンビーズなどの不溶性マトリクスへ連結される成長ペプチド鎖へ段階的にアミノ酸を付加することによる固相法によって容易に合成され得る。望ましいペプチド配列のカルボキシル末端アミノ酸(アミノ保護基を有する)は、最初にポリスチレンビーズに固定される。次いで、アミノ酸の保護基が除去される。次のアミノ酸(保護基を有する)は、カップリング剤を用いて付加される。これは、洗浄サイクルが後に続く。サイクルは、必要なだけ繰り返される。
一つの態様において、本発明の模倣剤は、上述のPHSRN(SEQ ID NO:1)配列に対する配列相同性を有するペプチドおよびPHSRNアンタゴニスト(SEQ ID NO:1)である。配列相同性、およびより重要なこととして統計的に有意な類似性を評価するための一つの一般的な方法論は、Z値を得るためのLipmanおよびPearsonによって書かれたアルゴリズムを使用するMonte Carlo分析を使用することである。この分析に従って、6よりも大きなZ値は、起こり得る有意性を示し、10よりも大きなZ値は、統計的に有意であると考えられる。W.R. Pearson and D.J. Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 85:2444-2448 (1988);およびD.J. Lipman and W.R. Pearson, Science, 227:1435-1441 (1985)。本発明において、腫瘍治療においておよび浸潤をブロックすることにおいて有用である合成ポリペプチドは、統計的に有意な配列相同性および類似性(6を超えるMonte Carlo分析におけるLipmanおよびPearsonアルゴリズムのZ値)を有するペプチドである。
3. 抗体阻害剤
本発明は、アッセイにおけるおよび治療的使用に対する使用のための腫瘍浸潤の阻害剤のすべての型を意図する。一つの態様において、本発明は、抗体阻害剤を意図する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得るが、ポリクローナル抗体は、しばしばより効果的な阻害剤である。上で議論される一次抗体に向けられた任意の二次抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)を含むことは、本発明の範囲内である。一次および二次抗体の両方は、検出アッセイにおいて使用され得る、または一次抗体は、市販されている抗免疫グロブリン抗体とともに使用され得る。本明細書において意図されるような抗体は、腫瘍細胞浸潤の誘導に関与するペプチドの任意の領域に特異的な任意の抗体を含む。例えば、本発明は、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチド(ならびに上に規定される関連ペプチド)と反応性のある抗体を意図する。
本発明は、アッセイにおけるおよび治療的使用に対する使用のための腫瘍浸潤の阻害剤のすべての型を意図する。一つの態様において、本発明は、抗体阻害剤を意図する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得るが、ポリクローナル抗体は、しばしばより効果的な阻害剤である。上で議論される一次抗体に向けられた任意の二次抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)を含むことは、本発明の範囲内である。一次および二次抗体の両方は、検出アッセイにおいて使用され得る、または一次抗体は、市販されている抗免疫グロブリン抗体とともに使用され得る。本明細書において意図されるような抗体は、腫瘍細胞浸潤の誘導に関与するペプチドの任意の領域に特異的な任意の抗体を含む。例えば、本発明は、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチド(ならびに上に規定される関連ペプチド)と反応性のある抗体を意図する。
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方は、ペプチドならびに酵素またはタンパク質での免疫付与によって得ることが可能であり、すべての型は、免疫アッセイに対して利用可能である。血清の両方の型を得る方法は、当技術分野において周知である。ポリクローナル血清は、あまり好ましくないが、精製酵素もしくはタンパク質、またはその抗原性部分の有効量での適した研究室動物の注射、動物から血清を収集すること、および公知の免疫吸着技術の任意によって特異的血清を単離することによって比較的簡単に調製される。この方法によって産生される抗体は、免疫アッセイの事実上任意の型において利用可能であるが、それらは、概して、産物の潜在的異質性により、あまり好まれない。
免疫アッセイにおけるモノクローナル抗体の使用は、それらを大量に産生する能力および産物の均質性により、特に好ましい。不死化細胞系統と免疫原性調製に対して感作されたリンパ球を融合することによって得られるモノクローナル抗体産生に対するハイブリドーマ細胞系統の調製は、当業者にとって周知である技術によってなされ得る。例えば、Douillard and Hoffman, Basic Facts About Hybridomas, in Compendium of Immunology Vol II, ed. by Schwartz, 1981;およびKohler et al., Nature 256: 495-499, (1975);またはEuropean Journal of Immunology 6:511-519 (1976)を参照されたい。
ポリクローナル血清の調製と異なり、動物の選択は、リンパ球と融合することが可能な適切な不死化系統の利用可能性に依存する。マウスおよびラットは、ハイブリドーマテクノロジーにおける最適な動物であり、好ましく使用される。ヒトは、適切な不死化ヒト(または非ヒト)細胞系統が利用できる場合、感作リンパ球に対する源として利用されてもよい。本発明の目的に対して、最適な動物は、例えば、約0.1 mg〜約20 mgの酵素もしくはタンパク質またはその抗原性部分などの抗原性量で注射され得る。通常、注射物質は、完全フロインドアジュバントにおいて乳化される。追加免疫注射も必要とされ得る。抗体産生の検出は、適切に標識された抗原で抗血清を試験することによって実行され得る。リンパ球は、滅菌方式で感作動物のリンパ節の脾臓を除去し、かつ融合を実行することによって得ることができる。または、リンパ球は、インビトロで刺激または免疫付与され得る。Reading et al., Journal of Immunological Methods 53: 261-291 (1982)。
融合に適した多くの細胞系統が開発されており、ハイブリダイゼーションプロトコールに対する任意の特定の系統の選択は、速度、成長特徴の均一性、成長培地の構成要素に対するその代謝の欠損症、および良い融合頻度に対する潜在性などの多くの基準のいずれか一つによって方向付けられる。
特に株などの間の種内ハイブリッドは、種間融合よりもより良く機能する。ミエローマ免疫グロブリンを分泌する能力の欠損に対して選択される突然変異体を含むいくつかの細胞系統が利用できる。
細胞融合は、エプスタイン-バー(Epstein-Barr)またはセンダイ(Sendai)ウィルスなどのウィルス、またはポリエチレングリコールのいずれかによって誘導され得る。ポリエチレングリコール(PEG)は、哺乳類体細胞の融合に対する最も有効な薬剤である。PEGそれ自身は、細胞に対して毒性であることがあり、様々な濃度が、融合を試みる前に生存率に対する効果に対して試験されるべきである。PEGの分子量範囲は、1000〜6000に変化し得る。それは、生理食塩水または無血清培地に約20%〜約70%(w/w)に希釈される場合、最良の結果を与える。約30秒間37℃でのPEGへの曝露は、マウス細胞を利用するこの場合において好ましい。極端な温度(すなわち、約45℃)は避けられ、融合に先行する37℃での融合系の各々の構成要素のプレインキュベーションは、有用であり得る。リンパ球と悪性細胞の比は、脾細胞間の細胞融合を避けるために最適化され、約1:1〜約1:10の範囲が、一般的に使用される。
首尾よく融合された細胞は、当技術分野で公知の任意の技術によってミエローマ系統から分離され得る。最も一般的で好ましい方法は、概して一般的にHAT培地として公知のヒポキサンチン1×10-4M、アミノプテリン1×10-5M、およびチミジン3×10-5Mから成る、ハイブリッドの成長のみを可能にするために使用されるアミノプテリン含有培地において成長しない、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損である悪性系統を選ぶことである。融合混合物は、24時間後、融合の直後にHAT含有培養培地において成長させることができる。給餌スケジュールは、2週間HAT培地における維持を通常必要とし、次いで、正規の培養培地またはヒポキサンチン、チミジン含有培地のいずれかで給餌する。
次いで、成長するコロニーは、抗原性調製を認識する抗体の存在に対して試験される。ハイブリドーマ抗体の検出は、抗原が固体支持体に結合しかつ推定抗体を含むハイブリドーマ上清に反応することを可能にされるアッセイを使用して行われ得る。抗体の存在は、様々な指標を使用する「サンドイッチ」技術によって検出され得る。一般的な方法のほとんどは、ハイブリッド成長の間に分泌される抗体濃度の範囲における使用に対して十分に感度が良い。
ハイブリッドのクローニングは、選択された培地における細胞成長の21〜23日後に実行され得る。クローニングは、液相における細胞限界希釈または半固体アガロースにおいて成長する単一細胞を直接的に選択することによって行われ得る。限界希釈に対して、細胞懸濁液は、連続的に希釈され、ウェルあたり一細胞のみを有する統計確率を産出する。アガロース技術に対して、ハイブリッドは、給餌細胞を含む下層上の半固体上層に播種される。上層からのコロニーは取り上げられ、最終的にはウェルに移される。
抗体分泌ハイブリッドは、様々な組織培養フラスコにおいて成長させることができ、様々な濃度の抗体を有する上清が得られる。より高い濃度を得るために、ハイブリッドは、炎症性腹水を得るために動物に移してもよい。抗体含有腹水は、腹腔内注射の8〜12日後に採取され得る。腹水は、より高い濃度の抗体を含むが、炎症性腹水からのモノクローナルおよび免疫グロブリンの両方を含む。次いで、抗体精製は、例えば親和性クロマトグラフィーによって達成され得る。
参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,016,043号;第4,424,279号、および第4,018,653号の参照によって見られ得るように、広範な免疫アッセイ技術は、本発明の抗体を評価することに対して利用できる。もちろん、これは、非競合型のシングルサイト(single-site)およびツーサイト(two-site)、または「サンドイッチ」アッセイならびに従来の競合的結合アッセイの両方を含む。
4. 化学療法薬投与
本発明のアンタゴニストが、局所進行または転移性癌を有する癌患者における腫瘍細胞浸潤を阻害するために、全身的にまたは局所的に投与されることが意図される。それらは、静脈内に、髄腔内に、腹腔内に、ならびに経口で投与され得る。PHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニスト(例えば、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド)は、手術に先行して患者における転移性負荷を軽減するために、単独でまたはネオアジュバントセッティングにおける抗増殖薬との組み合わせにおいて投与され得る;またはそれらは、手術後に投与され得る。PHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストは、創傷治癒を低下させ得るので(PHSRN(SEQ ID NO:1)配列は、以下に記載されるように線維芽細胞浸潤も引き起こすので)、腫瘍を除去するための手術後の何時かにPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを使用する必要があり得る。
本発明のアンタゴニストが、局所進行または転移性癌を有する癌患者における腫瘍細胞浸潤を阻害するために、全身的にまたは局所的に投与されることが意図される。それらは、静脈内に、髄腔内に、腹腔内に、ならびに経口で投与され得る。PHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニスト(例えば、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド)は、手術に先行して患者における転移性負荷を軽減するために、単独でまたはネオアジュバントセッティングにおける抗増殖薬との組み合わせにおいて投与され得る;またはそれらは、手術後に投与され得る。PHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストは、創傷治癒を低下させ得るので(PHSRN(SEQ ID NO:1)配列は、以下に記載されるように線維芽細胞浸潤も引き起こすので)、腫瘍を除去するための手術後の何時かにPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを使用する必要があり得る。
体内のほとんどの細胞が、機能するために浸潤しないはずなので、全身的に投与されるPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストは、細胞毒性化学療法剤の衰弱性副作用を引き起こす可能性は低い。しかしながら、それらは、浸潤を抑制するので、それらは、ある免疫抑制を引き起こす可能性が高い。そうだとしても、適切な投薬量において、PHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストは、予防的に投与され得る。任意の場合において、それらが、細胞毒性薬剤との組み合わせにおいて投与され得ることが意図される。転移性細胞の2つの致死的特性、無制限増殖および浸潤に対する同時選択は、非常に力強い治療的戦略として意図される。
組み合わせが意図される場合、本発明が、組み合わせの特定の性質によって限定されることは企図されない。本発明は、単純な混合物としての組み合わせならびに化学的ハイブリッドを意図する。後者の例は、アンタゴニストが、標的担体または活性調合薬に共有結合される場合である。共有結合は、多くの市販されている架橋化合物の任意の一つによって遂行され得る。
本発明が、治療的調製の特定の性質によって限定されることは企図されない。例えば、そのような化合物は、生理学的に許される液体、ゲルまたは固体担体、希釈剤、アジュバント、および賦形剤と一緒に提供され得る。
これらの治療的調製は、その他の治療的薬剤と同様の様式で、家畜動物などの獣医学的使用に対して、およびヒトにおける臨床的使用に対して、哺乳類に投与され得る。概して、治療的効能に対して必要とされる投薬量は、使用の型および投与のモード、ならびに個々の宿主の詳細な必要条件に従って変化するであろう。
そのような組成物は、典型的には、液体溶液もしくは懸濁液として、または固体形式で調製される。癌に対する経口製剤は、通常、例えばマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、および同様のものの薬学的グレードとして、結合剤、充填剤、担体、保存剤、安定化剤、乳化剤、バッファーおよび賦形剤などのそのような普通に採用される添加剤を含むであろう。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、徐放製剤、または粉末の形式を取り、典型的には1%〜95%、好ましくは2%〜70%の活性成分を含む。
組成物は、注射物質として、液体溶液または懸濁液のいずれかとしても調製される;注射に先行して液体における溶液または懸濁液に適した固体形式が調製されてもよい。
本発明のアンタゴニストは、生理学的に許されかつ適合性のある希釈剤または賦形剤としばしば混合される。適した希釈剤および賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、または同様のもの、およびそれらの組み合わせである。加えて、望ましい場合は、組成物は、湿潤または乳化剤、安定化またはpH緩衝剤などの補助物質の少量を含み得る。
局所投与などの投与のその他のモードに適している付加的な製剤は、軟膏、チンキ剤、クリーム、ローション、およびいくつかの場合、座薬を含む。軟膏およびクリームに対して、従来の結合剤、担体、および賦形剤は、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含み得る。
5. 抗血栓剤投与
抗浸潤化学療法薬として上に記載されるPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを使用することに加えて、これらのアンタゴニストが、抗血栓剤として使用されることも意図される。上に記載されるPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストのこの使用は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド処置血液が、インビボで非常にゆっくりと凝固するように見えるという発見に基づく。
抗浸潤化学療法薬として上に記載されるPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストを使用することに加えて、これらのアンタゴニストが、抗血栓剤として使用されることも意図される。上に記載されるPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストのこの使用は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド処置血液が、インビボで非常にゆっくりと凝固するように見えるという発見に基づく。
血小板インテグリンがフィブリノーゲンまたはフィブロネクチンに結合することを防ぐことによって凝血塊形成を阻害する多くの抗血栓剤が、現在公知である。しかしながら、これらの抗血栓剤は、血小板インテグリンがフィブリノーゲンまたはフィブロネクチンに結合することを防ぐために競合阻害に頼る。この様式において、大用量のこれらの薬剤が、望ましい抗血栓影響を達成するために必要とされる。
本発明は、PHSCN(SEQ ID NO:86)などのPHSRNアンタゴニスト(SEQ ID NO:1)を使用するより効果的なアプローチを意図する。本発明を実践するために正確なメカニズムは公知である必要はないが、血小板インテグリン、αIIbβ3も、血漿フィブロネクチンのPHSRN(SEQ ID NO:1)配列に結合することが示されている。したがって、競合阻害を利用する代わりに、PHSRNアンタゴニスト(SEQ ID NO:1)は、血小板インテグリンがフィブロネクチンに結合しかつ凝集することから直接的に阻害し得る。具体的には、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド、またはその他のPHSRNアンタゴニスト(SEQ ID NO:1)は、血小板上のαIIbβ3受容体に結合することによって、凝血塊形成における早期ステージを直接的に阻害し得る。これは、血小板インテグリンが、血小板凝集の必要な部分であるフィブロネクチンに結合することを防ぎ、したがって、血液凝固カスケードにおける不可欠な段階を阻害する。この様式において、比較的少ない用量のPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド、またはその他のPHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストが、効果的な抗血栓剤として意図される。
6. 創傷治癒剤投与
上で指摘されるように、PHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストが、創傷治癒を低下させ得ることが意図される。この予測は、PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドが、創傷治癒を促進するという発見に基づく。
上で指摘されるように、PHSRN(SEQ ID NO:1)アンタゴニストが、創傷治癒を低下させ得ることが意図される。この予測は、PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドが、創傷治癒を促進するという発見に基づく。
この点に関して、創傷、特に疾患によって治癒することが難しくなっているものの治療は、様々な精製成長因子またはサイトカインで試みられているが、これらの分子が、細胞増殖を誘導し得る、または創傷における細胞の運動性を増加させ得るからであるということが留意されるべきである。したがって、適切な時間に正しい形式および場所で提示される場合、成長因子は、新しい組織の成長を刺激することによって創傷の治癒を大いに加速または強化し得る。創傷の複雑性および臨床的変動性を考えると、単独または組み合わせにおける創傷組織への特異的な精製成長因子またはサイトカインの適用にともなう明白な難題は、創傷におけるそれらの形式または特異的分布が、それらの正常な活性を支持し得ないということである。代わりに、創傷組織の治癒を促進することにおける成長因子およびサイトカインの有効性は、線維芽細胞またはマクロファージによるそれらの分泌に依存し得る。
本発明は、より効果的なアプローチを意図する;このアプローチは、創傷修復を刺激することにおいて活性のある成長因子およびサイトカインを合成する細胞、特に単球、マクロファージ、および線維芽細胞をによる、創傷の浸潤を刺激する方法に関与する。この戦略は、細胞がそれらの正常なインビボセッティングにおいて活性因子を分泌することを可能にする。このアプローチは、多くの利点を有する:(1)因子の時間的および空間的分布は、正常に活性のある細胞が正しいセッティングにおいて因子を分泌しているので、最適である可能性が高い;(2)すべての適切な因子は、同定されているまたはクローニングされているかどうかに関わらず、活性型で存在する可能性が高い;(3)創傷部位に対する治癒プロセスに関与する細胞のその後の波を補強することにおける因子の逐次効果が、創傷のより初期の細胞の存在によって強化される可能性が高い。
本発明は、純粋なPHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドまたはそれを含みかつIIICS領域におけるα4β1インテグリン結合部位を欠く精製血漿フィブロネクチンフラグメントが、血清の存在下でまたは無血清条件下でインビトロで基底膜の線維芽細胞浸潤を刺激するのに十分であるが、無傷血漿フィブロネクチンは、線維芽細胞浸潤を刺激できないという発見に基づく。純粋なPHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドは、無血清SU-ECMのケラチノサイト浸潤を刺激することも示されている。創傷再上皮化の間、ケラチノサイトは、仮マトリクスの結合組織ならびに隣接間質を介して創傷の「ウォールオフ(wall off)」部分に移動するので、それらが、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列によってSU-ECM浸潤基質のマトリクスを介して移動するように刺激されても驚くことではない。これは、このペプチド、またはそれのプロテイナーゼ耐性形式が、インビボで線維芽細胞、ケラチノサイト、および単球/マクロファージに対する類似の効果を有し得ることを示唆する。様々な近隣細胞に対する傍分泌調節効果が創傷治癒の早期ステージに対して必要とされる、線維芽細胞または単球/マクロファージの補強は、これらの細胞が、それらの最適な活性を確実にするために正しい時間的順序および空間的場所において活性因子またはサイトカインを分泌するので、創傷治癒に関与する調節相互作用のカスケードを刺激するのに高度に効率的でかつ効果的な方途として意図される。それは、インビトロで細胞外マトリクスを介するケラチノサイト移動を効率的に誘導するので、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドは、創傷再上皮化を直接的に刺激する可能性も高い。本発明に従うPHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドまたは構造関連分子の使用は、侵入する細胞自身が、創傷治癒を誘導または増強することにおいて活性がある因子およびサイトカインを分泌するように、線維芽細胞および単球/マクロファージなどの細胞の創傷の仮マトリクスへの進入を刺激することである。PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドまたは構造関連分子の使用は、細胞外マトリクスを介するケラチノサイト移動を誘導することによって創傷再上皮化を直接的に刺激することも企図される。
D. 癌治療におけるペプチド-デンドリマー
1. PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド
癌治療における共通の目標は、正常細胞および組織に危害を加えずに腫瘍選択的細胞死を誘導することである。例えば、一つのアプローチは、腫瘍細胞死機構(すなわち、例えば、アポトーシス経路)を特異的に活性化することに関与し得る。発明のメカニズムを理解する必要はないが、一つの態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCN-NH2)は、活性化型腫瘍細胞α5β11インテグリン受容体と特異的に相互作用し、かつ腫瘍形成を軽減し、転移および腫瘍再発を予防することによって前臨床癌モデル(すなわち、例えば、前立腺癌)において抗腫瘍形成および抗転移効果を提供すると考えられている。例えば、ビオチン化PHSCN(SEQ ID NO:86)誘導体ペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCNGGK(ビオチン)-NH2(SEQ ID NO:105))を担癌マウスに静脈内に注射した後、標準的な免疫組織化学検査は、このペプチドが、DU145前立腺癌細胞およびそれらの関連血管に迅速にかつ選択的に結合することを示す。この相互作用が、有害な結果をともなわずに、時間の延長された期間、転移、微小転移、および腫瘍再発の予防を引き起こすとさらに考えられている。van Golen et al.,「Suppression Of Tumor Recurrence And Metastasis By A Combination Of The PHSCN Sequence And The Antiangiogenic Compound Tetrathiomolybdate In Prostate Carcinoma」 Neoplasia, 4:373-379 (2002)。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、処置患者における任意の重度の処置関連有害事象をともなわずにフェーズI臨床試行をほぼ完了した。このフェーズI臨床試行は、0.1〜16.0 mg/kgの範囲の用量において静脈内PHSCNペプチドで週3回処置された23人の患者を含んだ。各々の処置サイクルは、1ヶ月(4週)の全身PHSCN処置であると定義された。23人のPHSCN処置患者の7人の間で、全部で11の処置中に発生した重大な有害事象があった。重大な有害事象のほとんどは、進行性疾患または疾患の合併症による入院であった。このフェーズI臨床試行の間、23人のPHSCN処置患者の9人は、時間の拡張された期間、安定疾患を維持した:2〜4の処置サイクル(全部で2〜4ヶ月)に対して4人の患者;および4を超える(4ヶ月よりも長い)処置サイクルに対して5人の患者。したがって、このフェーズI臨床試行の間、転移性疾患は、少用量で全身治療を受けた癌患者の38%において何ヶ月間も進行が妨げられた。表2は、試行の完了に近い患者傾向を概説する。
1. PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド
癌治療における共通の目標は、正常細胞および組織に危害を加えずに腫瘍選択的細胞死を誘導することである。例えば、一つのアプローチは、腫瘍細胞死機構(すなわち、例えば、アポトーシス経路)を特異的に活性化することに関与し得る。発明のメカニズムを理解する必要はないが、一つの態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCN-NH2)は、活性化型腫瘍細胞α5β11インテグリン受容体と特異的に相互作用し、かつ腫瘍形成を軽減し、転移および腫瘍再発を予防することによって前臨床癌モデル(すなわち、例えば、前立腺癌)において抗腫瘍形成および抗転移効果を提供すると考えられている。例えば、ビオチン化PHSCN(SEQ ID NO:86)誘導体ペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCNGGK(ビオチン)-NH2(SEQ ID NO:105))を担癌マウスに静脈内に注射した後、標準的な免疫組織化学検査は、このペプチドが、DU145前立腺癌細胞およびそれらの関連血管に迅速にかつ選択的に結合することを示す。この相互作用が、有害な結果をともなわずに、時間の延長された期間、転移、微小転移、および腫瘍再発の予防を引き起こすとさらに考えられている。van Golen et al.,「Suppression Of Tumor Recurrence And Metastasis By A Combination Of The PHSCN Sequence And The Antiangiogenic Compound Tetrathiomolybdate In Prostate Carcinoma」 Neoplasia, 4:373-379 (2002)。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、処置患者における任意の重度の処置関連有害事象をともなわずにフェーズI臨床試行をほぼ完了した。このフェーズI臨床試行は、0.1〜16.0 mg/kgの範囲の用量において静脈内PHSCNペプチドで週3回処置された23人の患者を含んだ。各々の処置サイクルは、1ヶ月(4週)の全身PHSCN処置であると定義された。23人のPHSCN処置患者の7人の間で、全部で11の処置中に発生した重大な有害事象があった。重大な有害事象のほとんどは、進行性疾患または疾患の合併症による入院であった。このフェーズI臨床試行の間、23人のPHSCN処置患者の9人は、時間の拡張された期間、安定疾患を維持した:2〜4の処置サイクル(全部で2〜4ヶ月)に対して4人の患者;および4を超える(4ヶ月よりも長い)処置サイクルに対して5人の患者。したがって、このフェーズI臨床試行の間、転移性疾患は、少用量で全身治療を受けた癌患者の38%において何ヶ月間も進行が妨げられた。表2は、試行の完了に近い患者傾向を概説する。
その他の研究は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCN-NH2)が、MATLyLu前立腺癌に対する強力な抗腫瘍形成および抗転移剤であることも示した。Livant et al.,「The PHSCN Sequence As An Anti-Invasive For Human Prostate Carcinoma Cells And As An Anti-Tumorigenic And Anti-Metastatic Agent For Rat Prostate Cancer」 Cancer Research 60:309-320 (2000)。これらの研究は、一つの態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)が、腫瘍細胞浸潤をブロックし得ることを示唆する。しかしながら、別の態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、アポトーシスも誘導し得る。さらに、週3回のPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド静脈内用量(0.1〜0.5 mg/kg)は、6〜10ヶ月の期間にわたって、フェーズI臨床試行における転移性卵巣癌および転移性前立腺癌患者における癌進行を防ぐ。
発明のメカニズムを理解する必要はないが、PHSCN(SEQ ID NO:86)が、焦点接着キナーゼ/ホスファチジル-イノシトール3-キナーゼ/タンパク質キナーゼB(FAK/PI3'K/Akt)生存経路を抑圧し、かつアポトーシスを誘導する(すなわち、例えば、培養DU145細胞において)ために、β?インテグリンサブユニットのN末端調節ドメインと相互作用し得ると考えられている。一つの態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、272 nM Kdを示す固定化α5β1インテグリンに結合する(すなわち、例えば、付着する)(図11を参照されたい)。別の態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、β1サブユニットN末端調節ドメインと相互作用する(すなわち、例えば、付着する)(図12を参照されたい)。発明のメカニズムを理解する必要はないが、PHSCN(SEQ ID NO:86)事前結合が、MAb 2252抗β1モノクローナル抗体結合を軽減することが観測されたので(図12を参照されたい)、PHSCN(SEQ ID NO:86)は、β1サブユニットN末端調節ドメインに結合すると考えられている。さらに、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド結合エピトープは、アミノ酸15〜54位を含みかつ7システイン残基を含むと現在考えられている。Ni et al.,「Integrin Activation By Dithiothreitol Or Mn2+ Induces A Ligand-Occupied Conformation And Exposure Of A Novel NH2-Terminal Regulatory Site On The β1 Integrin Chain」J. Biol. Chem. 273:7981-7987 (1998)。ビオチン化PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドのDU145細胞との相互作用は、1 mM MnCl2の存在によって大いに増加し、活性化型インテグリンへの選択的結合を示唆するとさらに考えられている(図13を参照されたい)。
一つの態様において、本発明は、可溶性Ac-PHSCN-NH2を含むアポトーシスを誘導するための方法を意図する。一つの態様において、Ac-PHSCN-NH2は、接着DU145ヒト前立腺癌細胞アポトーシスを誘導する。別の態様において、Ac-PHSCN-NH2誘導アポトーシスは、BadおよびBaxタンパク質遺伝子発現の上方調節を含む。(図14を参照されたい)。または、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、接着DU145細胞においてカスパーゼ9、3、および6を切断しかつ活性化することによってアポトーシスを誘導してもよい(図15、16、および17を参照されたい)。それ故に、一つの態様において、可溶性PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCN-NH2)への曝露は、固有経路を介してアポトーシスを誘導するように見える。α5β1インテグリンとの相互作用に続くPHSCN(SEQ ID NO:86)誘導アポトーシスは、免疫ペルオキシダーゼ置換二次抗体でDU145細胞において可視化されたサイトケラチン18エピトープの出現によって確認された(図18を参照されたい)。サイトケラチン18エピトープは、細胞骨格のカスパーゼ依存性切断に起因し、アポトーシス細胞に特異的であることが公知である。Leers et al,「An Immunohistochemical Study Of The Clearance Of Apoptotic Cellular Fragments」Cell Mol Life Sci. 59:1358-1365 (2002)。
別の態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、チロシン397(Y397)での血清誘導FAKリン酸化を下方調節する(すなわち、阻害する)。Y397リン酸化は、FAK活性化に必要であると考えられている。例えば、免疫ブロッティングは、血清の存在下で、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド(1μg/ml/20,000細胞の濃度で)での一晩の接着血清飢餓DU145細胞の処置が、FAK-リン酸化の下方調節を引き起こすことを示す(図19を参照されたい)。同様に、別の態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)処置は、リン酸化がAkt活性化に必要とされる部位である接着DU145細胞におけるセリン473(S473)での血清誘導Aktリン酸化を下方調節する(図20を参照されたい)。
発明のメカニズムを理解する必要はないが、接着DU145細胞のPHSCN(SEQ ID NO:86)処置は、PI3'-キナーゼp85調節サブユニットのFAKとの関連を減少させもすると考えられている(データは示されない)。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、細胞アポトーシスを誘導するためにFAK/PI3'K/Akt経路を下方調節するα5β1インテグリンと相互作用するように見えるとさらに考えられている。
一つの態様において、本発明は、腫瘍細胞および腫瘍細胞関連血管に対する選択性を有するアポトーシス誘導剤としてPHSCN(SEQ ID NO:86)-ペプチドを提供する段階を含む方法を意図する。一つの態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCNGGK(ビオチン)-NH2などのビオチン化PHSCN関連ペプチド)は、被験体(すなわち、例えば、担癌ヌードマウス)へ静脈内に注射される。別の態様において、ビオチン化PHSCN関連ペプチドは、迅速に循環を出て、腫瘍細胞および関連血管細胞に蓄積するが、非腫瘍(すなわち、宿主)細胞には蓄積しない(図21および22を参照されたい)。一つの態様において、PHSCN関連ペプチドは、Ac-PHSCNGGK(ビオチン)-NH2(SEQ ID NO:105)およびAc-PHSCN-NH2ペプチドを含む群より選択される。
一つの態様において、本発明は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを提供する癌を処置する方法を意図し、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、アポトーシスおよび腫瘍選択的死が誘導され、それによって腫瘍細胞浸潤を防ぐような条件下で、少なくとも一つの活性化型腫瘍細胞インテグリンおよび/または腫瘍関連血管インテグリンと特異的に相互作用する。しかしながら、当技術分野は、最大数の腫瘍細胞における細胞死を誘導するための方法をまだ同定していない。
本発明は、アポトーシスによって腫瘍選択的死を誘導することに限定されない。発明のメカニズムを理解する必要はないが、本発明のいくつかの態様において、腫瘍選択的死が、ネクローシスまたは自食作用によって生じると考えられている(実施例19を参照されたい)。その結果として、本明細書において記載される態様は、アポトーシス、自食作用、またはネクローシスのいずれかを含む腫瘍選択的死を意図する。
しかしながら、アポトーシス、自食作用、およびネクローシスは、密接に関係していることが公知である。最近の調査は、アポトーシス、自食作用、およびネクローシスなどの細胞死の様々な形式の正確な区別に対する必要性を実証した。いくつかの形式において、アポトーシスは、アポトーシス体への最終的な細胞解体をともなう、細胞縮小、クロマチンの凝縮および縁取り、ならびに原形質膜の波打ち(すなわち、例えば、ブレブ)によって同定される。自食作用は、一重または二重膜によって囲まれる自食小胞への細胞質および細胞質小器官のバルク部分の含有によって特徴付けられる。これらの膜結合小胞体は、分解のための細胞のリソソーム系に送達される。いくつかの悪性細胞は、自食作用を誘因することによって化学療法剤に応答すると考えられている;したがって、自食作用の誘導は、大いに治療的に実用的であり得る。Gozuacik et al.,「Autophagy as a cell death and tumor suppressor mechanism」Oncogene 23:2891-2906 (2004)。しかしながら、ネクローシスは、通常、細胞死の間に出現する形態変更を指す。当業者は、アポトーシスは、死前プロセスであるが、ネクローシスは、死後状態であると考えている。Van Cruchten et al.,「Morphological And Biochemical Aspects Of Apoptosis, Oncosis And Necrosis」Anat Histol Embryol. 31(4):214-23 (2002)。しかしながら、本発明は、これらの3つのプロセスが、死前または死後状態のいずれかであり得ることを考慮する。具体的には、アポトーシスおよびネクローシスは、細胞死を引き起こす代替メカニズムであり得る。細胞死を引き起こす自食作用は、普通は、腫瘍抑制メカニズムとして機能し得る;故に、その治療的強化は、非常に望ましいものであり得る。
アポトーシスは、通常、生理学的および病理学的刺激に関与し、完全発現は、カスパーゼ活性化が中心的な役割を果たすシグナル伝達カスケードを誘因する。アポトーシスを制御するメカニズムの起こり得る機能階層を指し示す、コアアポトーシスカスケードを構成するタンパク質をコードする主な遺伝子を欠くノックアウトマウスが公知である。カスパーゼ依存性アポトーシスを制御する遺伝子を排除することは、インビトロおよびインビボの両方で、アポトーシス表現型をネクローシス表現型に変換し得る。これは、ネクローシスおよびアポトーシスが、カスパーゼ依存性メカニズムならびにカテプシンBおよびアポトーシス誘導因子などのカスパーゼ非依存性エフェクターの両方を介する共有生化学ネットワークの形態発現を示すことを示唆する。Zeiss C.J.,「The Apoptosis-Necrosis Continuum: Insights From Genetically Altered Mice」Vet Pathol. 40(5):481-95 (2003)。
本発明は、アポトーシスとネクローシスとの間の差が、免疫学に基づき得ることを示唆する。例えば、コペンハーゲンラットと無胸腺ヌードマウスとの間に実質的な免疫学的差がある。コペンハーゲンラットは、正常な細胞免疫システムを有する。しかしながら、無胸腺ヌードマウスは、細胞免疫システムを有しない。この免疫学的差は、本明細書において記載されるアポトーシスおよびネクローシス態様を記載するデータにおけるいくつかの差を説明し得る。
DU145細胞が、無胸腺ヌードマウスに注射される場合、Ac-PHSCN-NH2は、坑転移効果のみを有する(すなわち、坑腫瘍形成効果をともなわない)。微小細胞分析は、坑転移効果が、アポトーシスの結果であったことを示す。アポトーシスに続く細胞分解は、細胞膜が破壊しないので、マクロファージ消化を必要とし、細胞免疫系には関与しない。
しかしながら、対照的に、DU145細胞がコペンハーゲンラットに注射された場合、Ac-PHSCN-NH2は、腫瘍形成をブロックすることにおいて効果的であり、かつ坑転移効果を有した。微小細胞分析は、コペンハーゲンラットにおける坑腫瘍形成/坑転移効果が、細胞ネクローシスの結果であったことを示す。細胞ネクローシスに続く細胞分解は、細胞膜が破壊するので、活性細胞免疫系応答を必要とする。
その結果として、活性細胞免疫系を有するヒトにおいて、PHSCN処置が、腫瘍特異的抗原に対する細胞免疫系を活性化し得るネクローシス破壊によって腫瘍細胞死を誘導し得ると考えられている。当業者は、この結果が、腫瘍細胞に対して特異的な相乗的免疫応答を提供することを認識するであろう。細胞ネクローシスは、アポトーシスの正常な終了ポイントであるが、特定の状況下では、細胞ネクローシスは、直接的に誘導されることがあり、それによってアポトーシスを迂回する。
この仮説は、細胞内マクロ分子が、死につつある腫瘍細胞から血流に放出されるという観測によって支持される。血液への細胞内マクロ分子放出は、アポトーシス腫瘍細胞死を示すことが予測される。例えば、サイトケラチン-18(CK18)は、アポトーシスの間にカスパーゼによって切断される。しかしながら、患者血清におけるCK18測定は、腫瘍アポトーシスが、必ずしもインビボで多くの腫瘍における優勢死モードではあり得ないことを示唆する。Linder et al.,「Determining tumor Apoptosis And Necrosis In Patient Serum Using Cytokeratin 18 As A Biomarker」Cancer Lett. 214(1):1-9 (2004)。
2. デンドリマー
分岐ポリリジンコアデンドリマーならびにペプチド置換ポリリジンデンドリマーは、広範なpH範囲にわたって溶液において安定であることが公知である。Tam, J.P.,「Recent Advances In Multiple Antigen Peptides」J. Immunol. Meth. 196:17-32 (1996)。さらに、これらの分岐ポリリジンコアデンドリマーは、いくつかの代替数の付着ペプチドを提供する様々な分岐レベルを有することが公知である。Sadler et al.,「Peptide Dendrimers: Applications And Synthesis」Rev. Mol. Biotechnol. 90:195-229 (2002)。
分岐ポリリジンコアデンドリマーならびにペプチド置換ポリリジンデンドリマーは、広範なpH範囲にわたって溶液において安定であることが公知である。Tam, J.P.,「Recent Advances In Multiple Antigen Peptides」J. Immunol. Meth. 196:17-32 (1996)。さらに、これらの分岐ポリリジンコアデンドリマーは、いくつかの代替数の付着ペプチドを提供する様々な分岐レベルを有することが公知である。Sadler et al.,「Peptide Dendrimers: Applications And Synthesis」Rev. Mol. Biotechnol. 90:195-229 (2002)。
可溶性ペプチド単量体と異なり、デンドリマーは、複数の受容体/リガンド相互作用が、非常に小さな空間で生じることを可能にし、それによって、リガンドクラスターを産生する。一つの態様において、複数の受容体/リガンド相互作用(すなわち、例えば、リガンドクラスターによって産生されるもの)は、例えば、分岐ポリリジンデンドリマーに付着しているペプチド結合親和性を大いに増加させる。さらに、別の態様において、リガンドクラスターは、細胞表面受容体との相互作用を改善し、受容体活性化の生物学的効果が増幅される。
本発明の一つの態様において利用される分岐ポリリジンデンドリマーコアが、免疫応答を誘導することは公知ではない。Posnett et al.,「A Novel Method For Producing Anti-Peptide Antibodies. Production Of Site-Specific Antibodies To The T Cell Antigen Receptor Beta-Chain」J. Biol. Chem. 263:1710-1725 (1988);およびDel Giudice et al.,「A Multiple Antigen Peptide From The Repetitive Sequence Of The Plasmodium malariae Circumsporozoite Protein Induces A Specific Antibody Response In Mice Of Various H-2 Haplotypes」Eur. J. Immunol. 20:1619-1622 (1990)。反対に、免疫応答は、ペプチドデンドリマーに基づく治療に影響を及ぼすことは現在公知ではない。Nomizu et al.,「Multimeric Forms Of Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg (YIGSR) Peptide Enhance The Inhibition Of Tumor Growth And Metastasis」Cancer Res. 53:3459-3461 (1993)。延長されたデンドリマー治療の間に生じ得る任意の潜在的な免疫原性は、非免疫原性物質(すなわち、例えば、ポリスチレン、ポリ(アミドアミン)、またはその他の非タンパク性コア)を使用することによって避けられ得る。例えば、ポリスチレンデンドリマーならびにポリ(アミドアミン)デンドリマーは、化学療法薬およびその他の薬剤を封入するために利用されている。Khopade et al.,「Stepwise Self-Assembled Poly(amido amine) Dendrimer And Poly(styrene sulfonate) Microcapsules As Sustained Delivery Vehicles」Biomacromolec. 3:1154-1162 (2002)。
従来的な単量体薬物治療に対するデンドリマー媒介薬物治療の主要な利点は、複数の付着部位を与え、したがって化学療法剤が腫瘍細胞を特異的に標的にすることを可能にし、治療効能を最大にするが非腫瘍細胞に対する毒性曝露を最小にする。一つの態様において、本発明は、リガンドおよび化学療法剤が付着したデンドリマーコアを意図し、リガンドは、腫瘍細胞に特異的に結合し、化学療法剤は、腫瘍細胞増殖を阻害する。一つの態様において、デンドリマーコアは、腫瘍細胞への化学療法剤の標的送達を提供する。一つの態様において、リガンドは、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを含む。
一つの態様において、本発明は、中性子捕獲治療を含む癌を処置する方法を意図する。一つの態様において、中性子捕獲治療は、以下を含む;i)熱中性子に対する高親和性を有する化学的同位体を含む化学療法剤を投与する段階;ii)熱中性子に患者を曝露し、熱中性子の少なくとも一部が、化学療法剤によって捕獲され、それによって局在性生物学的破壊的核反応を誘導する段階。1つの態様において、化学療法剤はメトトレキサートを含み、腫瘍細胞は葉酸受容体を過剰発現すると考えられている。別の態様において、化学療法剤はボロンを含む。別の態様において、化学療法剤は、DNA合成、DNA鎖分離、または娘染色体の分裂細胞の反対側領域への隔離の様々な局面を阻害することによって、癌細胞増殖をブロックするように機能する、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、エストラムスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、またはその他の薬剤を含む。故に、PHSCNリガンドは、デンドリマー連結化学療法剤を腫瘍細胞およびそれらの関連血管に特異的に局在させる効果を有し、したがってその治療効能を最大にするが、それは非腫瘍細胞への有害効果を最小にする。別の態様において、化学療法剤は、マトリクスメタロプロテイナーゼの阻害剤を含む。ここで、PHSCNリガンドは、その浸潤阻害効力を最大にするために、デンドリマー連結MMP阻害剤を腫瘍細胞およびそれらの関連血管に局在させる効果を有する。一つの態様において、中性子捕獲治療は、抗体または受容体置換ポリ(アミドアミン)デンドリマーを含み、腫瘍細胞は、内皮成長因子受容体を過剰発現すると考えられている。別の態様において、デンドリマーは、分岐β-アラニンの同心シェルを含む。Quintana et al.,「Design And Function Of A Dendrimer-Based Therapeutic Nanodevice Targeted To Tumor Cells Through The Folate Receptor」Pharm. Res. 19:1310-1316 (2002); Wu et al.,「Site-Specific Conjugation Of Boron-Containing Dendrimers To Anti-EGF Receptor Monoclonal Antibody Cetuximab (IMC-C225) And Its Evaluation As A Potential Delivery Agent For Neutron Capture Therapy」Bioconjug. Chem. 15:185-194 (2004)。Kojima et al.,「Synthesis Of Polyamidoamine Dendrimers Having Poly(ethylene glycol) Grafts And Their Ability To Encapsulate Anticancer Drugs」Bioconjugate Chem. 11:910-917 (2000);およびTomalia et al.,「Starburst Dendrimers: Molecular-Level Control Of Size, Shape, Surface Chemistry, Topology, And Flexibility From Atoms To Macroscopic Matter」Angew. Chem. Int. Ed. 29:138-175 (1990)。
本発明の一つの利点は、一つの態様において、複雑な従来の合成化学プロトコールが、不要な副反応を作り出すデンドリマーへのペプチドまたはタンパク質の付着に対して避けられることである。一つの態様において、本発明は、前形成PHSCN関連ペプチドを市販されている分岐ポリリジンデンドリマーコア(すなわち、例えば、Nova Biochem/EMD Biosciences, San Diego CA;またはVivaGel(登録商標), Starpharma, Melbourne, Australia)に付着させる標準的なペプチド合成手順(すなわち、例えば、Fmocプロトコール)を意図する。さらに、University of MichiganのCORE施設は、デザインをカスタマイズしかつデンドリマーを合成する能力を有する。発明のメカニズムを理解する必要はないが、これらのFmoc反応は、非常に完全であり、副反応は最小化されると考えられている。
一つの態様において、本発明は、デンドリマーを含む組成物を意図し、およそ2(2)〜30(30)、好ましくは4(4)〜20(20)だが、より好ましくは8(8)〜16(16)のPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド誘導体が付着し、それによってPHSCN置換デンドリマーを作り出す。一つの態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド誘導体を含むこれらのデンドリマーは、様々な効力でインビトロおよびインビボの両方で、ヒト前立腺癌細胞におけるアポトーシスを誘導する。別の態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)を含むこれらのデンドリマーは、インビトロおよびインビボの両方で、ヒト前立腺癌細胞における浸潤を阻害する。別の態様において、PHSCN(SEQ ID NO:86)デンドリマーは、PHSCN(SEQ ID NO:86)-デンドリマー化学療法薬複合体を作り出すための置換化学療法剤をさらに含む。発明のメカニズムを理解する必要はないが、PHSCN(SEQ ID NO:86)-デンドリマー化学療法薬複合体は、癌(すなわち、例えば、前立腺癌)に対して正確に標的にされる組み合わせ治療を提供するために腫瘍細胞へ送達され得ると考えられている。
別の態様において、ペプチドデンドリマーは、スクランブル対照ペプチドを含む。一つの態様において、スクランブル対照ペプチドは、HSPNCアミノ酸配列(SEQ ID NO:107)を含む。別の態様において、スクランブル対照ペプチドは、坑腫瘍形成および坑転移活性に対して試験される。発明のメカニズムを理解する必要はないが、HSPNCペプチド-デンドリマーは、それらがα5β1インテグリン分子と相互作用しないので、坑腫瘍形成および坑転移活性に欠けている。
E. 膵臓癌
膵臓癌は、毎年28,000人のアメリカ人を死亡させ、アメリカ合衆国における癌死の第4番目の原因である。Niederhuber et al.,「The National Cancer Data Base Report On Pancreatic Cancer」Cancer 76:1671-1677 (1995); Washaw et al.,「Pancreatic Carcinoma」N. Engl. J. Med. 326: 455-465 (1992)。概して、癌予後診断は、診断の時における腫瘍ステージに依存することが公知である。しかしながら、膵臓癌は、局部組織、ならびにリンパ、静脈、腹膜、および神経周囲部位に非常に早期に転移する。これは、早期診断さえも、芳しくない予後診断をもたらし得る、またはもたらす残念な事態を作り出す。例えば、臨床研究は、所属リンパ節転移が、非常に小さな原発性膵臓腫瘍を有する患者の30%において見出され、T1原発性癌を有する患者の64%は、リンパ節病変を有することを示した。Hermanek et al.,「Early-Stage Pancreatic Ductal Adenocarcinoma Surgery」Int. J. Pancreatol. 16:302-304 (1994)。さらに、その他の研究は、膵臓癌転移が、以下に関与することを実証する:i)リンパ管(89%);ii)リンパ節(77%);iii)膵臓内神経浸潤(92%);およびiv)極端に痛い膵臓外神経叢浸潤(45%)。Nagakawa et al.,「A Clinicopathologic Study On Neural Invasion In Cancer Of The Pancreatic Head」Cancer 69:930-935 (1992);およびCubilla et al.,「Morphological Lesions Associated With Human Primary Invasive Nonendocrine Pancreas Cancer」Cancer Res 36:2690-2698 (1976)。剖検研究において、膵臓癌播殖は、以下において観測された:i)腹膜腔(40%);ii)肺(35%);iii)副腎(20%);およびiv)卵巣(9%)。Cubilla et al.,「Morphological Lesions Associated With Human Primary Invasive Nonendocrine Pancreas Cancer」Cancer Res 36:2690-2698 (1976); Watanapa et al.,「Surgical Palliation For Pancreatic Cancer: Developments During The Past Two Decades」Br. J. Surg. 79:8-20 (1992); Lee et al.,「Carcinoma Of The Pancreas And Periampullary Structures. Pattern Of Metastases At Autopsy」 Arch. Pathol. Lab. Med. 108:584-587 (1984)。原発性膵臓腫瘍が、手術的に完全に除去するのに十分に小さく、転移が著しく明白ではない場合でさえも、早期微小転移は、回復の可能性を限定することは明らかである。最近の研究は、リンパ節転移および/または血管浸潤を有する膵臓癌患者が、原発性腫瘍が完全に除去される場合でさえも、芳しくない予後診断を有することを示す。Cameron et al.,「Factors Influencing Survival After Pancreaticoduodenectomy For Pancreatic Cancer」Am. J. Surg. 161:120-125 (1991); Ishikawa et al., (1988)「Practical Usefulness Of Lymphatic And Connective Tissue Clearance For The Carcinoma Of The Pancreas Head」Ann Surg. 208:215-220 (1988); Geer et al.,「Prognostic Indicators For Survival After Resection Of Pancreatic Adenocarcinoma」Am. J. Surg. 165:68-73 (1993)。事実上、膵臓頭部における腺癌(普通は、膵臓尾部腺癌よりも良い予後診断を有する)は、膵臓除去後の28%生存率を有するのみである(61人の患者)。Trede, M.,「The Surgical Options」In: Surgery Of the Pancreas, Trede, M., Carter, D.C., Edinburgh: Churchill Livingstone (1993)。
膵臓癌は、毎年28,000人のアメリカ人を死亡させ、アメリカ合衆国における癌死の第4番目の原因である。Niederhuber et al.,「The National Cancer Data Base Report On Pancreatic Cancer」Cancer 76:1671-1677 (1995); Washaw et al.,「Pancreatic Carcinoma」N. Engl. J. Med. 326: 455-465 (1992)。概して、癌予後診断は、診断の時における腫瘍ステージに依存することが公知である。しかしながら、膵臓癌は、局部組織、ならびにリンパ、静脈、腹膜、および神経周囲部位に非常に早期に転移する。これは、早期診断さえも、芳しくない予後診断をもたらし得る、またはもたらす残念な事態を作り出す。例えば、臨床研究は、所属リンパ節転移が、非常に小さな原発性膵臓腫瘍を有する患者の30%において見出され、T1原発性癌を有する患者の64%は、リンパ節病変を有することを示した。Hermanek et al.,「Early-Stage Pancreatic Ductal Adenocarcinoma Surgery」Int. J. Pancreatol. 16:302-304 (1994)。さらに、その他の研究は、膵臓癌転移が、以下に関与することを実証する:i)リンパ管(89%);ii)リンパ節(77%);iii)膵臓内神経浸潤(92%);およびiv)極端に痛い膵臓外神経叢浸潤(45%)。Nagakawa et al.,「A Clinicopathologic Study On Neural Invasion In Cancer Of The Pancreatic Head」Cancer 69:930-935 (1992);およびCubilla et al.,「Morphological Lesions Associated With Human Primary Invasive Nonendocrine Pancreas Cancer」Cancer Res 36:2690-2698 (1976)。剖検研究において、膵臓癌播殖は、以下において観測された:i)腹膜腔(40%);ii)肺(35%);iii)副腎(20%);およびiv)卵巣(9%)。Cubilla et al.,「Morphological Lesions Associated With Human Primary Invasive Nonendocrine Pancreas Cancer」Cancer Res 36:2690-2698 (1976); Watanapa et al.,「Surgical Palliation For Pancreatic Cancer: Developments During The Past Two Decades」Br. J. Surg. 79:8-20 (1992); Lee et al.,「Carcinoma Of The Pancreas And Periampullary Structures. Pattern Of Metastases At Autopsy」 Arch. Pathol. Lab. Med. 108:584-587 (1984)。原発性膵臓腫瘍が、手術的に完全に除去するのに十分に小さく、転移が著しく明白ではない場合でさえも、早期微小転移は、回復の可能性を限定することは明らかである。最近の研究は、リンパ節転移および/または血管浸潤を有する膵臓癌患者が、原発性腫瘍が完全に除去される場合でさえも、芳しくない予後診断を有することを示す。Cameron et al.,「Factors Influencing Survival After Pancreaticoduodenectomy For Pancreatic Cancer」Am. J. Surg. 161:120-125 (1991); Ishikawa et al., (1988)「Practical Usefulness Of Lymphatic And Connective Tissue Clearance For The Carcinoma Of The Pancreas Head」Ann Surg. 208:215-220 (1988); Geer et al.,「Prognostic Indicators For Survival After Resection Of Pancreatic Adenocarcinoma」Am. J. Surg. 165:68-73 (1993)。事実上、膵臓頭部における腺癌(普通は、膵臓尾部腺癌よりも良い予後診断を有する)は、膵臓除去後の28%生存率を有するのみである(61人の患者)。Trede, M.,「The Surgical Options」In: Surgery Of the Pancreas, Trede, M., Carter, D.C., Edinburgh: Churchill Livingstone (1993)。
したがって、膵臓癌における転移進行を防ぐための、良好な耐容性を示す、長期の、全身治療の緊急の必要性がある。一つの態様において、本発明は、膵臓癌転移進行を処置するためのPHSCN置換デンドリマーを含む方法を意図する。一つの態様において、転移は、血行性である。別の態様において、転移は、リンパ性である。Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドは、前立腺癌を処置することにおいて効果的である。例えば、80匹のヌードマウスが、大きな非処置DU145ヒト前立腺癌原発性腫瘍の外科的切除後に、Ac-PHSCN-NH2ペプチドの週3回用量(50 mg/kg)を与えられた。Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチド投与は、処置マウス(40)の100%において転移進行を防いだが、すべての非処置マウス(40)は、転移のために急速に死んだ。8ヵ月後、処置マウスは、治癒における明白な活力の欠損または困難を示さなかった。van Golen et al.,「Suppression Of Tumor Recurrence And Metastasis By A Combination Of The PHSCN Sequence And The Antiangiogenic Compound Tetrathiomolybdate In Prostate Carcinoma」Neoplasia 4(5):373-379 (2002)。さらに、MATLyLuラット前立腺癌を処置するための全身PHSCN治療による強力な坑腫瘍形成および坑転移効果も実証されている。Livant et al.,「The PHSCN Sequence As An Anti-Invasive For Human Prostate Carcinoma Cells, And As An Anti-Tumorigenic And Anti-Metastatic Agent For Rat Prostate Cancer」Cancer Research 60:309-320 (2000)。一つの態様において、PHSCNを含むペプチド置換デンドリマーはヒトに投与され、該デンドリマーは耐容性良好である。
発明のメカニズムを理解する必要はないが、可溶性ペプチド単量体と異なり、ペプチド置換デンドリマーは、複数の受容体/リガンド相互作用が非常に小さな空間(すなわち、例えば、リガンドクラスター)で生じることを可能にすると考えられている。さらに、相互作用のこの多様性が、分岐ポリリジンデンドリマーに付着したペプチドの大いに増加した結合親和性、ならびに受容体相互作用の細胞効果を増幅するための細胞表面上の多くの相互作用受容体のクラスタリングをもたらすと考えられている。Sadler et al.,「Peptide Dendrimers: Applications And Synthesis」Rev. Mol. Biotechnol. 90:195-229 (2002)。
本発明の一つの態様は、α5β1インテグリンを有する悪性癌(すなわち、例えば、膵臓癌)を含む組成物および方法に関係する。一つの態様において、本発明は、α5β1インテグリンが治療標的である悪性癌を処置する方法を意図する。一つの態様において、PHSCNペプチド(すなわち、例えば、Ac-PHSCN-NH2またはPHSCN含有デンドリマー)は、悪性癌α5β1インテグリンに結合し、それによって浸潤をブロックし、かつFAK/PI3'K/Akt経路を抑圧することによって腫瘍細胞死を誘導する。発明のメカニズムを理解する必要はないが、担癌マウスへのビオチン化PHSCNの静脈内注射および切除腫瘍の免疫組織化学検査によって示されるように、PHSCNは、膵臓腫瘍細胞および関連血管に選択的に結合すると考えられている。有望な治療的薬剤として、PHSCN、PHSCN置換デンドリマー、およびその誘導体は、最も侵襲性のある癌を効果的に標的にし得る標準的な化学療法薬処方計画よりも増加した効力を有するとさらに考えられている。
侵襲性癌の一つの例は、膵臓癌である。膵臓癌の転移する傾向のために、膵管腺癌は、2年生存率20%を有する。Real F.X.,「A 'Catastrophic Hypothesis' For Pancreas Cancer Progression」Gastroenterol. 124:1958-1964 (2003)。効果的な膵臓癌処置を開発するために、本発明の一つの態様は、インビトロおよびインビボの両方で、PHSCN置換デンドリマーを合成すること、坑腫瘍形成および坑転移活性に関してPHSCN置換デンドリマーを評価すること、ならびにアポトーシスを誘導しかつ細胞浸潤を阻害するためにPHSCN置換デンドリマーをヒト膵臓癌細胞に投与することを意図する。具体的には、一つの態様は、ヒト膵臓癌細胞において浸潤をブロックしかつ生存を軽減する、異なるサイズの分岐ポリリジンデンドリマーに付着したPHSCNペプチドを含む。
BxPC-3、AsPC-1、CAPAN-1、およびCAPAN-2を含む多くの転移性ヒト膵臓癌細胞系統は、α5β1インテグリンを発現するが、α4β1インテグリンフィブロネクチン受容体を発現しないことが公知である。Lohr et al.,「Expression And Function Of Receptors For Extracellular Matrix Proteins In Human Ductal Adenocarcinomas Of The Pancreas」Pancreas 12:248-259 (1996)。発明のメカニズムを理解する必要はないが、α5β1陽性、α4β1陰性乳癌および前立腺癌細胞の浸潤性質は血漿フィブロネクチン依存性なので、浸潤性膵臓癌細胞も血漿フィブロネクチン依存性である可能性が高いと考えられている。Livant et al.,「The PHSCN Sequence As An Anti-Invasive For Human Prostate Carcinoma Cells, And As An Anti-Tumorigenic And Anti-Metastatic Agent For Rat Prostate Cancer」Cancer Research 60:309-320 (2000); Jia et al.,「Integrin Fibronectin Receptors In MMP-1 Dependent Invasion By Breast Cancer And Mammary Epithelial Cells」Cancer Research, in press (2004); Ignatoski et al.,「p38 MAPK Induces Cell Surface α4 Integrin Down-Regulation to Facilitate erbB-2 Mediated Invasion」Neoplasia 5(2): 128-134 (2003);およびRoklin et al.,「Expression Of Cellular Adhesion Molecules On Human Prostate Tumor Lines」Prostate 26:205-212 (1995)。その結果として、一つの態様において、患者への全身PHSCNペプチド(すなわち、Ac-PHSCN-NH2またはPHSCN置換デンドリマー)投与は、腫瘍形成を軽減し、転移を阻害し、かつ膵臓癌腫瘍におけるアポトーシスを誘導する。一つの態様において、PHSCNデンドリマーが投与され、デンドリマーは、単量体Ac-PHSCN-NH2ペプチドと比較して、転移を阻害するかつ/または防ぐことに対して増加した効能を有する。
一つの態様において、本発明は、i)商業的に得られる分岐ポリリジンデンドリマーコア(すなわち、例えば、ペプチド付着に対する4、8、または16部位を有する)を提供する段階;ii)不活性ポリスチレンポリマーにコアを共有結合させる段階、およびiii)固相ペプチド合成を使用して、かつF-moc化学における現在の方法を採用して、PHSCN、PHSCNGG、PHSCNGGK、またはHSPNCペプチドを含む群より選択されるタンパク質をデンドリマーコア上に付着させる段階を含む、PHSCNを含むデンドリマーを合成するための方法を意図する。Ambulos, N.「Analysis Of Synthetic Peptides」In: Solid Phase Synthesis, Kates, S.A., Albericio, F., eds. Marcell Dekker, Inc., New York., pp. 782-805 (2000)。合成の後、ペプチドは、HPLC-MS(高圧液体クロマトグラフィー-質量分析)によって分析でき、望ましい産物は、HPLCによって単離され得る。アミノ酸シークエンシングを使用する付加的な分析(すなわち、例えば、Edman分解)は、ペプチド-デンドリマー組成物を検証するために行われ得る。
要約すると、本発明は、分岐デンドリマーに付着した少なくとも一つのPHSCNペプチドを含む組成物を意図する。さらに、本発明は、増殖性疾患を処置する方法を意図し、そのような処置を必要とする患者に、分岐デンドリマーに付着した少なくとも一つのPHSCNペプチドの有効量を投与することを含む。または、本発明は、そのような処置を必要とする患者に、分岐デンドリマーに付着した少なくとも一つのPHSCNペプチドの有効量を投与することを含む、腫瘍転移を防ぐまたは細胞の増殖を阻害する方法を意図する。
実験
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および局面を例証する役目を果たし、その範囲を限定するようには解釈されない。
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および局面を例証する役目を果たし、その範囲を限定するようには解釈されない。
以下に続く実験開示において、以下の略語を適用する:eq(当量);M(モル濃度);μM(マイクロモル濃度);mM(ミリモル濃度);N(規定濃度);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);L(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏温度);mAb(モノクローナル抗体);MW(分子量);PBS(リン酸緩衝生理食塩水);U(単位);d(日)。
実施例1
フィブロネクチン不含基質の産生
この実施例は、基質(マトリゲル)からの血漿フィブロネクチン(および/または細胞フィブロネクチン)の除去に対する精製アプローチを記載する。この実施例において、除去は、ゼラチン-セファロース上の親和性クロマトグラフィー(ウシ胎仔血清から血漿フィブロネクチンを除去するために使用され得る技術)によって試みられた。
フィブロネクチン不含基質の産生
この実施例は、基質(マトリゲル)からの血漿フィブロネクチン(および/または細胞フィブロネクチン)の除去に対する精製アプローチを記載する。この実施例において、除去は、ゼラチン-セファロース上の親和性クロマトグラフィー(ウシ胎仔血清から血漿フィブロネクチンを除去するために使用され得る技術)によって試みられた。
ゼラチン-セファロースビーズは、Pharmaciaから得た(カタログ番号17-0956-01)。マトリゲルのゲル化を防ぐために、2つのKontesカラムを、4℃で約2 mlのゼラチン-セファロースビーズでセットアップした。次いで、ビーズから保存剤を除去するために、カラムを約10カラム体積のPBSでリンスした。カラムは、ビーズの上端まで排水した;次いで、マトリゲルをカラムに慎重に添加した。マトリゲルがカラムに入ったら、PBSをカラムの上端まで添加した。第一カラムに通したマトリゲルを収集し、第二カラムに通した。第二カラムから収集したフィブロネクチン枯渇マトリゲルを、48ウェルプレート上にプレーティングし(150μl/ウェル)、10分間UV光下で滅菌し、37℃で一晩インキュベートした。この様式で処置したマトリゲルは、37℃でゲルを形成できなかった。
実施例2
フィブロネクチン不含基質の産生
この実施例は、基質(マトリゲル)からの血漿フィブロネクチン(および/または細胞フィブロネクチン)の除去に対する精製アプローチを記載する。この実施例において、ゼラチン上の連続パニングによって除去を試みた。24ウェルプレートの8ウェルを、2%ゼラチン溶液でコーティングした(ゼラチンは、Becton Dickinson Labwareから得た、カタログ番号11868)。ウェルを、50℃まで加熱したゼラチン溶液で満たし、3分間インキュベートした。次いで、溶液を除去し、ウェルを風乾した。乾燥に続いて、ウェルを、ddH2Oで徹底的にリンスし、その後PBSでの2回リンスした。プレートを、再度乾燥した;その後、それらを、使用まで-20℃で保存した。マトリゲルを氷上で解凍し、次いで、ゼラチンコーティングプレートのウェルの一つに添加した(800μl〜1 mlのマトリゲルを、24ウェルプレートのウェルに添加した)。プレートを、オービタルシェーカー上の4℃室における氷のバケツに置き、マトリゲルは(一晩のインキュベーションが使用され得るが)2時間、ウェル中でインキュベートした。インキュベーションに続いて、マトリゲルを、第一ウェルから第二ウェルに移し、次いで、同じ条件下で2時間インキュベートした。このプロセスは、マトリゲルがゼラチンコーティングプレートのすべての8ウェル上でインキュベートされるまで、繰り返した。
フィブロネクチン不含基質の産生
この実施例は、基質(マトリゲル)からの血漿フィブロネクチン(および/または細胞フィブロネクチン)の除去に対する精製アプローチを記載する。この実施例において、ゼラチン上の連続パニングによって除去を試みた。24ウェルプレートの8ウェルを、2%ゼラチン溶液でコーティングした(ゼラチンは、Becton Dickinson Labwareから得た、カタログ番号11868)。ウェルを、50℃まで加熱したゼラチン溶液で満たし、3分間インキュベートした。次いで、溶液を除去し、ウェルを風乾した。乾燥に続いて、ウェルを、ddH2Oで徹底的にリンスし、その後PBSでの2回リンスした。プレートを、再度乾燥した;その後、それらを、使用まで-20℃で保存した。マトリゲルを氷上で解凍し、次いで、ゼラチンコーティングプレートのウェルの一つに添加した(800μl〜1 mlのマトリゲルを、24ウェルプレートのウェルに添加した)。プレートを、オービタルシェーカー上の4℃室における氷のバケツに置き、マトリゲルは(一晩のインキュベーションが使用され得るが)2時間、ウェル中でインキュベートした。インキュベーションに続いて、マトリゲルを、第一ウェルから第二ウェルに移し、次いで、同じ条件下で2時間インキュベートした。このプロセスは、マトリゲルがゼラチンコーティングプレートのすべての8ウェル上でインキュベートされるまで、繰り返した。
マトリゲルの枯渇に続いて、それを、Eppendorfチューブに収集した。次いで、それを、48ウェルプレート上にプレーティングし(150μl/ウェル)、10分間UV光下で滅菌し、37℃で一晩インキュベートした。マトリゲルはゲルを形成し、翌日、細胞を各々のウェルに添加した。
実施例3
フィブロネクチン不含基質の産生
この実施例は、基質(マトリゲル)からの血漿フィブロネクチン(および/または細胞フィブロネクチン)の除去に対する精製アプローチを記載する。この実施例においては、抗体パニングの前のゼラチンパニングによって除去を試みた。
フィブロネクチン不含基質の産生
この実施例は、基質(マトリゲル)からの血漿フィブロネクチン(および/または細胞フィブロネクチン)の除去に対する精製アプローチを記載する。この実施例においては、抗体パニングの前のゼラチンパニングによって除去を試みた。
抗フィブロネクチン抗体コーティングウェル:24ウェルプレートのウェルを、抗フィブロネクチン抗体でコーティングした。ヒトフィブロネクチンに対するマウスモノクローナル抗体は、Oncogene Scienceから得た(カタログ番号CP13)。各々のウェルを、室温で2時間30μl/mlの濃度で1 mlの抗体とともにインキュベートした。次いで、各々のウェルを、室温で2時間PBSにおける3%BSAの溶液とともにインキュベートした。2つのインキュベーション期間に続いて、ウェルを、PBSで徹底的に洗浄し、使用まで-20℃で保存した。
フィブロネクチンの枯渇マトリゲル:ほとんどのフィブロネクチンおよびそのフラグメントを除去するために、マトリゲルを8つのゼラチンコーティングウェル上でパニングした(上で実施例2において記載されるように)。その後、細胞結合ドメインを含むがゼラチン結合ドメインを含まないフィブロネクチンの任意の残存フラグメントを除去するために、マトリゲルを抗体コーティングウェルに置いた。マトリゲルを、2時間4℃でオービタルシェーカー上の氷バケツにおいてインキュベートした。マトリゲルが枯渇したら、それを、Eppendorfチューブに収集した。フィブロネクチン枯渇マトリゲルを、48ウェルプレート上にプレーティングし(150μl/ウェル)、10分間UV光下で滅菌し、37℃で一晩インキュベートした。マトリゲルはゲルを形成し、翌日、細胞を各々のウェルに添加した。
実施例4
腫瘍細胞の浸潤性挙動の誘導
この実施例において、転移性乳癌および前立腺癌細胞の浸潤性挙動を誘導することにおける血漿フィブロネクチンの役割が実証される。ヒト乳癌細胞系統SUM 52 PEおよびSUM 44 PEは、元来、転移性乳癌を有する患者の胸水から培養された;かつSUM 102は、原発性微小浸潤性乳癌から培養された。Ethier et al.,「Differential Isolation Of Normal Luminal Mammary Epithelial Cells And Breast Cancer Cells From Primary And Metastatic Sites Using Selective Media」Cancer Research 53: 627-635 (1993)。DU145転移性ヒト前立腺癌細胞系統は、元来、脳転移から培養された。Stone et al.,「Isolation Of A Human Prostate Carcinoma Cell Line (DU145)」Int. J. Cancer 21: 274-281 (1978)。これらの細胞は、血漿Fnの結合セグメントを結合する際に、メタロプロテイナーゼ転写を抑圧することが示されている、α3β1を発現する。これらの細胞系統は、すべて、無血清条件下で培養され得る;したがって、それらは、SU-ECM上の無血清浸潤アッセイにおける使用に対して理想的である。
腫瘍細胞の浸潤性挙動の誘導
この実施例において、転移性乳癌および前立腺癌細胞の浸潤性挙動を誘導することにおける血漿フィブロネクチンの役割が実証される。ヒト乳癌細胞系統SUM 52 PEおよびSUM 44 PEは、元来、転移性乳癌を有する患者の胸水から培養された;かつSUM 102は、原発性微小浸潤性乳癌から培養された。Ethier et al.,「Differential Isolation Of Normal Luminal Mammary Epithelial Cells And Breast Cancer Cells From Primary And Metastatic Sites Using Selective Media」Cancer Research 53: 627-635 (1993)。DU145転移性ヒト前立腺癌細胞系統は、元来、脳転移から培養された。Stone et al.,「Isolation Of A Human Prostate Carcinoma Cell Line (DU145)」Int. J. Cancer 21: 274-281 (1978)。これらの細胞は、血漿Fnの結合セグメントを結合する際に、メタロプロテイナーゼ転写を抑圧することが示されている、α3β1を発現する。これらの細胞系統は、すべて、無血清条件下で培養され得る;したがって、それらは、SU-ECM上の無血清浸潤アッセイにおける使用に対して理想的である。
ムラサキウニ(Strongylocentrotus purpuratus)の成体ウニは、Pacific BioMarineから入手し、それらの胚を、15℃で人工海水において初期プルテウスステージまで培養した。SU-ECMを、非イオン性界面活性剤での処置によってそれらから調製し、適切な培地における希釈によって滅菌した。
細胞を、Hanks平衡塩溶液においてリンスすることによって採取し、その後0.25%トリプシン、0.02%EDTAでの簡単な処置、ならびに1mlあたり約50,000細胞の密度における5%FCSを有するまたは有しない適切な培地におけるペレッティングおよび再懸濁を続けた。適切な場合、精製ウシ血漿フィブロネクチン(Sigma)、精製120 kDaキモトリプシンフラグメント(Gibco BRL)、PHSRN(SEQ ID NO:1)もしくはPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド(University of MichiganのBiomedical Research Core Facilitiesで合成された)、またはGRGDSP(SEQ ID NO:83)もしくはGRGESP(SEQ ID NO:84)ペプチド(Gibco BRL)を、SU-ECM上の細胞の配置に先行して、再懸濁細胞に添加した。浸潤アッセイに対して使用するプレートの各々のウェルにおいて、SU-ECMを、0.5 mlの適切な培地に置き、0.5 mlの再懸濁細胞を、それらの外表面上に滴下した。浸潤アッセイは、アッセイ前に1〜16時間インキュベートした。いくつかの状況の場合、浸潤アッセイは、室温で5分間2%ホルムアルデヒドを有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)において固定し、次いでPBSにてリンスした。
浸潤アッセイを、200よび400倍倍率における位相差顕微鏡下での顕微鏡検査によって盲検的にコード化しかつスコア化した。SU-ECMと接触している各々の細胞を、外面または内面に対する位置についてスコア化した。細胞がSU-ECMの上面を通って焦点面下方の内面に位置した場合、浸潤したと判断したが、SU-ECMの下面を通って焦点面上方の場合は浸潤したとは判断しなかった。各々のアッセイにおける細胞の最小生存率は、スコア化した各々のウェルの底面上の伸展接着細胞の画分を決定することによって、アッセイ時には常に確認した。
浸潤頻度は、アッセイ時に内部に位置した、基底膜と接触している細胞の画分として定義する。したがって、浸潤頻度1は、基底膜と接触している細胞の100%が浸潤していることを示す。浸潤頻度は、アッセイする各々の細胞型に対して複数回決定した。アッセイする細胞の各々の型に対して、浸潤頻度の平均および標準偏差を計算した。
血漿フィブロネクチンの浸潤誘導配列は、転移性乳癌および前立腺癌細胞の両方について、5アミノ酸長ペプチド配列、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドへマッピングした。PHSRN(SEQ ID NO:1)配列は、血清の有意な構成要素である血漿フィブロネクチンに存在するので、この配列の調節性の役割を引き起こすことは、無血清インビトロ浸潤基質の利用可能性により、唯一可能であった。新生児ヒト線維芽細胞も、無血清SU-ECMに浸潤するように、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドで誘導されることが留意されるべきである。線維芽細胞は、血清の存在下でSU-ECMを浸潤しないが、PHSRN(SEQ ID NO:1)配列を含む血漿フィブロネクチンの120 kDaフラグメントは、血清の存在下またはその非存在下で等しく良好に線維芽細胞浸潤を誘導し得る。
総合すると、血漿フィブロネクチンのPHSRN(SEQ ID NO:1)配列が、転移性乳癌および前立腺癌細胞の両方の浸潤性挙動ならびに正常な線維芽細胞の浸潤性挙動を誘導することを示す実験の結果は、腫瘍細胞転移に関連する浸潤性挙動が、創傷治癒に関連する正常な浸潤性挙動の調節の欠損に起因し得るという興味深い可能性を示唆する。
実施例5
フィブロネクチン枯渇基質上での腫瘍細胞の試験
この実施例は、浸潤誘導剤を有するおよび有しない基質上でインビトロで癌細胞を試験するためのアプローチを記載する。マトリゲルの枯渇調製(上記の実施例2を参照されたい)および非処置マトリゲルは、DU-145転移性前立腺癌細胞を試験するために使用した。枯渇培地上にプレーティングした場合、癌細胞は、マトリクスを浸潤できなかった(図2を参照されたい)。実際、マトリゲル表面がわずかに傾いているので、これらの細胞が、枯渇マトリゲルの表面上にいることは明白であった:これは、DU-145細胞の単層に対する焦点面における徐々に進行する均一な変化として、顕微鏡を介して可視であった。
フィブロネクチン枯渇基質上での腫瘍細胞の試験
この実施例は、浸潤誘導剤を有するおよび有しない基質上でインビトロで癌細胞を試験するためのアプローチを記載する。マトリゲルの枯渇調製(上記の実施例2を参照されたい)および非処置マトリゲルは、DU-145転移性前立腺癌細胞を試験するために使用した。枯渇培地上にプレーティングした場合、癌細胞は、マトリクスを浸潤できなかった(図2を参照されたい)。実際、マトリゲル表面がわずかに傾いているので、これらの細胞が、枯渇マトリゲルの表面上にいることは明白であった:これは、DU-145細胞の単層に対する焦点面における徐々に進行する均一な変化として、顕微鏡を介して可視であった。
枯渇マトリゲルへの0.5μl/mlのPHSRN(SEQ ID NO:1)の添加は、完全なDU-145浸潤性を復活させるのに十分であった(図3を参照されたい)。明らかに、ゼラチンパニングは、癌細胞が浸潤できないように、フィブロネクチンを除去する。溶液におけるPHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドの添加は、DU-145浸潤性表現型を完全に回復させるので、PHSRN(SEQ ID NO:1)の効果をブロックすることは、腫瘍細胞浸潤および転移における治療的診療に対する効果的な戦略である。
実施例6
線維芽細胞浸潤性によって測定されるようなゼラチン枯渇の改善
この実施例において、正常な新生児線維芽細胞は、上記の実施例3に従って調製した枯渇マトリゲル物質(すなわち、抗体枯渇)上で試験した。図4において示されるように、ゼラチン枯渇後の抗体でのパニングは、線維芽細胞の浸潤性減少によって測定されるように、除去方法を改善した。一方で、線維芽細胞の浸潤性は、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドの添加によって誘導され得る。
線維芽細胞浸潤性によって測定されるようなゼラチン枯渇の改善
この実施例において、正常な新生児線維芽細胞は、上記の実施例3に従って調製した枯渇マトリゲル物質(すなわち、抗体枯渇)上で試験した。図4において示されるように、ゼラチン枯渇後の抗体でのパニングは、線維芽細胞の浸潤性減少によって測定されるように、除去方法を改善した。一方で、線維芽細胞の浸潤性は、PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドの添加によって誘導され得る。
抗体パニングの成功は、抗体パニング法によりその他の構成要素を除去するのが実現可能であることを示唆する。適切な(市販されている)抗体によりトロンボスポンジン、成長因子、およびサイトカインなどのその他の血清構成要素を除去することは、本発明によって意図される。
実施例7
PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドのコンジュゲーション
この実施例において、ペプチドコンジュゲートの調製を記載する。合成ペプチドNH2-PHSRNC(SEQ ID NO:82)は、商業的に調製され得る(例えば、Multiple Peptide Systems, San Diego, CA)。システインは、その他のタンパク質へのコンジュゲーションを促進するために添加する。
PHSRN含有(SEQ ID NO:1)ペプチドのコンジュゲーション
この実施例において、ペプチドコンジュゲートの調製を記載する。合成ペプチドNH2-PHSRNC(SEQ ID NO:82)は、商業的に調製され得る(例えば、Multiple Peptide Systems, San Diego, CA)。システインは、その他のタンパク質へのコンジュゲーションを促進するために添加する。
コンジュゲーションに対するタンパク質(例えば、BSA)を調製するために、それを、およそ20 mg/mlの最終濃度までバッファー(例えば、0.01 M NaPO4、pH 7.0)に溶解する。同時に、n-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Pierceから入手できる「MBS」)を、5 mg/mlの濃度までN,N-ジメチルホルムアミドに溶解する。MBS溶液、0.51 mlを、3.25 mlのタンパク質溶液に添加し、5分おきに攪拌しながら室温で30分間インキュベートする。次いで、MBS活性化型タンパク質を、50 mM NaPO4、pH 7.0バッファーで平衡化したBio-Gel P-10カラム(Bio-Rad;40 mlベッド体積)上のクロマトグラフィーによって精製する。ピーク画分は、プールする(6.0 ml)。
上に記載されるシステイン修飾ペプチド(20 mg)を、活性化型タンパク質混合物に添加し、ペプチドが溶解するまで攪拌し、室温で3時間インキュベートする。20分以内に、反応混合物は混濁し、沈殿物が形成する。3時間後、反応混合物を、10分間10,000×gで遠心し、上清を、タンパク質内容物に対して分析する。コンジュゲート沈殿物を、PBSで3回洗浄し、4℃で保存する。
上記より、本発明が、多種多様な腫瘍型を試験する方法、特に浸潤性腫瘍を同定する方法を提供することが明らかであるはずである。そのような腫瘍(本発明によってここで提供される)を同定する、および非浸潤性癌からそのような腫瘍を識別する手段を用いて、医師は、治療を変えかつ/または最適化できる。重要なこととして、本発明のアンタゴニスト(および本発明のスクリーニングアッセイの使用によって開発されるその他の薬物)は、浸潤性細胞に向けられた(かつそれ故に最小の宿主毒性に関連する)処置を提供する。
実施例8
ヒト乳癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、転移性乳癌細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)の役割を実証する。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度の添加をともなう、実施例4の方法を採用する。
ヒト乳癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、転移性乳癌細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)の役割を実証する。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度の添加をともなう、実施例4の方法を採用する。
実施例4は、SUM-52細胞(5%ウシ胎仔血清を有する培地における)が、血清フィブロネクチンまたは単にフィブロネクチンのPHSRN(SEQ ID NO:1)配列の存在下でSU-ECM基質に浸潤するように誘導されることを示す。したがって、実施例4における手順は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの存在下での細胞浸潤の数をPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの非存在下での細胞浸潤の数と比較することによって、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの阻害潜在性を決定するための方法を提供する。
PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度を血清誘導転移性SUM-52乳癌細胞に添加した結果は、図5Aにおいて提示される。1mlあたりのngでのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの対数を、X軸上にプロットする。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの非存在下での浸潤百分率に対する浸潤SUM 52 PE細胞の百分率は、Y軸上にプロットする。平均浸潤百分率を第一標準偏差とともに示す。明らかに、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、比較的低い濃度でさえも、これらの細胞に対する実質的な阻害影響を示す。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの阻害影響は、比較的高い濃度が完全な阻害を引き起こすという事実によってさらに実証される。
PHSRN誘導(SEQ ID NO:1)転移性SUM-52 PE乳癌細胞(無血清培地において)および正常ヒト乳房上皮細胞(10%FCSにおいて)にPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度を添加した結果は、図5Bにおいて提示される。すべての浸潤アッセイは、浸潤を誘導するために、1mlあたり100 ngのPHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドにおいて実行した。再度、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、低濃度で両方の細胞系統に対する実質的な阻害影響およびより高い濃度でほぼ完全な阻害を示す。
この実施例は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、ヒト乳癌細胞浸潤の効果的な阻害剤であることを実証する。この様式において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド、または関連配列は、腫瘍細胞転移の致命的な影響を防ぐことによって、ヒト乳癌に対する効果的な治療を提供する可能性が高い。
実施例9
ヒト前立腺癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、転移性前立腺癌細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度の添加をともなう、実施例4の方法を採用する。
ヒト前立腺癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、転移性前立腺癌細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度の添加をともなう、実施例4の方法を採用する。
実施例4は、DU-145細胞が、血清フィブロネクチンまたは単にフィブロネクチンのPHSRN(SEQ ID NO:1)配列の存在下でSU-ECM基質に浸潤するように誘導されることを示す。したがって、実施例4における手順は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの存在下での細胞浸潤の数をPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの非存在下での細胞浸潤の数と比較することによって、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの阻害潜在性を決定するための方法を提供する。
PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度を転移性DU-145前立腺癌細胞(10%血清において)の血清誘導浸潤に添加した結果は、図6Aにおいて提示される。PHSCN(SEQ ID NO:86)濃度の対数を、X軸上にプロットする。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの非存在下での浸潤百分率に対する浸潤DU-145細胞の百分率は、Y軸上にプロットする。平均浸潤百分率を第一標準偏差とともに示す。明らかに、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、比較的低い濃度でさえも、これらの細胞に対する実質的な阻害影響を示す。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの阻害影響は、比較的高い濃度が完全な阻害を引き起こすという事実によってさらに実証される。
PHSRN誘導(SEQ ID NO:1)転移性DU-145前立腺癌細胞(無血清培地において)および正常ヒト前立腺上皮細胞(10%FCSにおいて)にPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度を添加した結果は、図6Bにおいて提示される。すべての浸潤アッセイは、浸潤を誘導するために、1mlあたり100 ngのPHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドにおいて実行した。再度、結果は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、低濃度で両方の細胞系統に対する実質的な阻害影響およびより高い濃度でほぼ完全な阻害を示すことを示す。
この実施例は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、ヒト前立腺癌細胞浸潤の効果的な阻害剤であることを実証する。この様式において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、腫瘍細胞転移の致命的な影響を防ぐことによって、ヒト前立腺癌に対する効果的な治療を提供し得る。
実施例10
ラット前立腺癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、ラット転移性前立腺癌MatLyLu(MLL)細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する(採用する一般的な手順については実施例4を参照されたい)。血清誘導MLL細胞に1mlあたり1マイクログラムのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを添加した結果は、浸潤の完全な阻害を引き起こす(図7Aを参照されたい)。
ラット前立腺癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、ラット転移性前立腺癌MatLyLu(MLL)細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する(採用する一般的な手順については実施例4を参照されたい)。血清誘導MLL細胞に1mlあたり1マイクログラムのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを添加した結果は、浸潤の完全な阻害を引き起こす(図7Aを参照されたい)。
無血清培地にけるPHSRN誘導(SEQ ID NO:1)MLL細胞にPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの様々な濃度を添加した結果は、図7Bにおいて示され、浸潤を誘導するために、1mlあたり100 ngのPHSRN(SEQ ID NO:1)を使用した。図7Bは、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、低い濃度でさえも実質的な阻害影響、およびより高い濃度でほぼ完全な阻害を示すことを示す。この実施例は、ラット前立腺癌細胞の浸潤が、ヒト乳癌細胞(実施例8を参照されたい)およびヒト前立腺癌細胞(実施例9を参照されたい)と同じ様式で阻害されることを実証する。
実施例11
ラット前立腺癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、ラット転移性前立腺癌MatLyLu(MLL)細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるホモ-システイン含有ペプチド(すなわち、PHS(hC)N)(SEQ ID NO:85)の役割を実証する。実施例10において記載される手順を、10%FCSにおけるSU-ECM基質およびPHSCN(SEQ ID NO:86)の代わりにPHS(hC)N(SEQ ID NO:85)を使用して採用した。血清誘導MLL細胞にPHS(hC)N(SEQ ID NO:85)ペプチドの様々な濃度を添加した結果は、このペプチドも、細胞浸潤に対する阻害影響を有することを示す(図8を参照されたい)。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドと同様に、PHS(hC)N(SEQ ID NO:85)ペプチドは、より低い濃度で浸潤を実質的に阻害し、より高い濃度で浸潤を完全に阻害する。この実施例は、PHS(hC)N(SEQ ID NO:85)ペプチドが、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドと同様の阻害影響を有することを実証する。
ラット前立腺癌細胞の浸潤の阻害
この実施例において、ラット転移性前立腺癌MatLyLu(MLL)細胞の浸潤性挙動を阻害することにおけるホモ-システイン含有ペプチド(すなわち、PHS(hC)N)(SEQ ID NO:85)の役割を実証する。実施例10において記載される手順を、10%FCSにおけるSU-ECM基質およびPHSCN(SEQ ID NO:86)の代わりにPHS(hC)N(SEQ ID NO:85)を使用して採用した。血清誘導MLL細胞にPHS(hC)N(SEQ ID NO:85)ペプチドの様々な濃度を添加した結果は、このペプチドも、細胞浸潤に対する阻害影響を有することを示す(図8を参照されたい)。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドと同様に、PHS(hC)N(SEQ ID NO:85)ペプチドは、より低い濃度で浸潤を実質的に阻害し、より高い濃度で浸潤を完全に阻害する。この実施例は、PHS(hC)N(SEQ ID NO:85)ペプチドが、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドと同様の阻害影響を有することを実証する。
実施例12
インビボでの前立腺癌腫瘍の成長および転移の阻害
この実施例において、インビボで前立腺癌腫瘍の成長および転移を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する。この実施例の第1パートにおいて、4匹のコペンハーゲンラットに、大腿部の皮下へ500,000 MatLyLu(MLL)細胞を注射した。これらのラットのうち2匹は、注射したMLL細胞とともに1 mgのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドも与え、その後2週間、週に3回、1 mgのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを尾静脈に注射した。その他の2匹の注射したラットは、非処置のままにした。腫瘍サイズは、14日目にキャリパーで測定し、非処置ラットにおける腫瘍を除去した。図9Aにおいて示される結果は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、ラットにおいて注射したMLL腫瘍の成長を有意に遅らせることを明らかに実証する。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの腫瘍成長を遅らせる能力は、正常な内皮細胞による腫瘍浸潤の阻害、抗血管新生効果による可能性がある。
インビボでの前立腺癌腫瘍の成長および転移の阻害
この実施例において、インビボで前立腺癌腫瘍の成長および転移を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する。この実施例の第1パートにおいて、4匹のコペンハーゲンラットに、大腿部の皮下へ500,000 MatLyLu(MLL)細胞を注射した。これらのラットのうち2匹は、注射したMLL細胞とともに1 mgのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドも与え、その後2週間、週に3回、1 mgのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを尾静脈に注射した。その他の2匹の注射したラットは、非処置のままにした。腫瘍サイズは、14日目にキャリパーで測定し、非処置ラットにおける腫瘍を除去した。図9Aにおいて示される結果は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、ラットにおいて注射したMLL腫瘍の成長を有意に遅らせることを明らかに実証する。PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの腫瘍成長を遅らせる能力は、正常な内皮細胞による腫瘍浸潤の阻害、抗血管新生効果による可能性がある。
腫瘍のサイズを測定した2週間後、ラットを屠殺し、10倍倍率で肺転移の平均数を決定した。非処置マウス(MLLのみ)における肺転移の平均数は、初期前立腺腫瘍がサイズを測定する際に除去されていたという事実にもかかわらず、35近くであった。処置マウス(MLL+PHSCN(SEQ ID NO:86))における肺転移の平均数は、初期前立腺癌はとても小さかったので決して除去しなかったのだが、5よりも少なかった。図9Bにおいて示される転移の平均数におけるこの著しい差は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、ラットにおける腫瘍細胞転移を有意に阻害することを示す。この様式において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、腫瘍細胞成長および転移の致命的な効果を防ぐことによって癌に対する効果的なインビボ治療を提供する。
実施例13
インビボでの前立腺癌の成長および転移の阻害
この実施例において、実施例12におけるように、インビボで前立腺癌腫瘍の成長および転移を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する。この実施例の第1パートにおいて、20匹のコペンハーゲンラットに、大腿部の皮下へ500,000 MatLyLu(MLL)を注射した。現実の臨床事態により密接に近づけるために、これらのラットの10匹のPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド処置は、即座にではなく24時間後に開始した。10匹の処置ラット(MLL/PHSCN:SEQ ID NO:86)は、2週間にわたって尾静脈を介して、全部で1 mgのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの5回静脈内注射を受けた。腫瘍サイズは、14日目にキャリパーで測定し、非処置ラットにおける腫瘍を除去した。MLL/PHSCN(SEQ ID NO:86)ラットにおける注射した腫瘍はまだ小さかったので、最後のPHSCN(SEQ ID NO:86)注射の後さらに7〜9日間ラットに保持された。この時点で腫瘍サイズはすべて2 cmよりも大きく、それらも除去した。図10Aにおいて示されるこの実施例の第1パートの結果は、腫瘍細胞が「播種された」後にPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを投与する場合でさえも、ラット前立腺癌腫瘍の成長を実質的に遅らせることを明らかに示す。
インビボでの前立腺癌の成長および転移の阻害
この実施例において、実施例12におけるように、インビボで前立腺癌腫瘍の成長および転移を阻害することにおけるPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの役割を実証する。この実施例の第1パートにおいて、20匹のコペンハーゲンラットに、大腿部の皮下へ500,000 MatLyLu(MLL)を注射した。現実の臨床事態により密接に近づけるために、これらのラットの10匹のPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド処置は、即座にではなく24時間後に開始した。10匹の処置ラット(MLL/PHSCN:SEQ ID NO:86)は、2週間にわたって尾静脈を介して、全部で1 mgのPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの5回静脈内注射を受けた。腫瘍サイズは、14日目にキャリパーで測定し、非処置ラットにおける腫瘍を除去した。MLL/PHSCN(SEQ ID NO:86)ラットにおける注射した腫瘍はまだ小さかったので、最後のPHSCN(SEQ ID NO:86)注射の後さらに7〜9日間ラットに保持された。この時点で腫瘍サイズはすべて2 cmよりも大きく、それらも除去した。図10Aにおいて示されるこの実施例の第1パートの結果は、腫瘍細胞が「播種された」後にPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを投与する場合でさえも、ラット前立腺癌腫瘍の成長を実質的に遅らせることを明らかに示す。
MLL腫瘍に対するPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの劇的な成長阻害効果は、腫瘍への宿主内皮細胞の浸潤の阻害によるものであり得る。宿主内皮細胞浸潤は、腫瘍からの大量のプロテイナーゼの分泌、および宿主血漿フィブロネクチンの結果として生じたフラグメンテーションによって誘導され得る。フィブロネクチンフラグメントは、正常な間葉および内皮細胞の移動/浸潤性挙動を刺激することが示されている。この血管新生プロセスは、正常な創傷治癒の間に生じると考えられている。したがって、プロテイナーゼを発現しかつ浸潤するように無傷血漿フィブロネクチンによって構成的に誘導される転移性細胞の能力は、腫瘍細胞浸潤および腫瘍成長の両方において中心的な役割を果たし得る。この様式において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、インビボで腫瘍の成長を防ぐための効果的な化学療法薬である。
ほとんどの腫瘍は、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(μPA)を過剰発現もする。発明のメカニズムを理解する必要はないが、μPAは、プラスミンを形成するためにプラスミノーゲンを活性化し、したがって凝血塊溶解を達成し;および細胞結合ドメインの浸潤誘導フラグメントを生成するためのフィブロネクチンの切断を達成するなどの、普通は創傷治癒に関与するセリンプロテアーゼであると考えられている。これらのフィブロネクチンフラグメントが、腫瘍から周囲結合組織へ拡散し、それらが、腫瘍血管新生を引き起こすように近くの微小血管系による浸潤を刺激するとさらに考えられている。
この実施例の第2パートにおいて、MLL/PHSCN(SEQ ID NO:86)ラットは、屠殺に先行して、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドのさらに2回の静脈内用量を受けた。注射した原発性腫瘍のサイズを決定した10日後に、2つの群(MLLのみおよびMLL/PHSCN(SEQ ID NO:86))におけるすべてのラットを屠殺し、肺転移の数を7.5倍倍率で決定した。図10Bにおいて見られ得るように、非処置ラットと比較して、PHSCN(SEQ ID NO:86)処置を受けたラットにおける肺転移の平均数における有意な軽減がある。
この実施例のパート1および2において記載される20匹のラットは、リンパ系における転移性組織に対しても検査した。これらの転移のすべては、解剖しかつ秤量した。図10Cは、10匹のラットの2群に対する腹腔内転移(グラム)の平均質量をプロットする。明らかに実証されるように、非処置ラットと比較して、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチド処置を受けたラットにおけるリンパ転移の平均質量における有意な軽減がある。これは、この実施例のパート1において記載されるように、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの抗血管新生効果によるものであり得る。この様式において、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、癌の処置における使用に対する効果的な抗転移性成長阻害化学療法剤であり得る。
上記から、本発明が、多種多様な腫瘍型に対して信頼性があり、かつ特に浸潤性腫瘍に適した抗癌アプローチを提供することは明らかであるはずである。重要なこととして、処置は、最小の宿主毒性で効果的である。
実施例14
PHSCN(SEQ ID NO:86)-ポリリジンデンドリマーの合成
この実施例は、様々なペプチドデンドリマーを作り出すための合成経路の一つの態様を記載する。具体的には、異なるサイズの分岐ポリリジンデンドリマーに置換されたPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが合成される。
PHSCN(SEQ ID NO:86)-ポリリジンデンドリマーの合成
この実施例は、様々なペプチドデンドリマーを作り出すための合成経路の一つの態様を記載する。具体的には、異なるサイズの分岐ポリリジンデンドリマーに置換されたPHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが合成される。
分岐ポリリジンコアは、各々がペプチド付着に対する4、8、または16部位を有し、商業的に得られる(すなわち、例えば、Novabiochem/EMD Biosciences, San Diego CA;もしくはVivaGel(登録商標)、Starpharma, Melbourne, Australia、またはUniversity of MichiganのCORE施設から得られる)。次いで、上に記載されるPHSCN(SEQ ID NO:86)、PHSCNGG(SEQ ID NO:108)、PHSCNGGK(SEQ ID NO:105)、またはHSPNC(SEQ ID NO:107)ペプチドは、従来の固相ペプチド合成を使用して、かつF-moc化学(前記)に関する当技術分野において公知の現在の方法を採用して、デンドリマーコアに共有結合される。Ambulos, N. Analysis Of Synthetic Peptides. In: Solid Phase Synthesis, Kates, S.A., Albericio, F., eds. Marcell Dekker, Inc., New York., pp. 782-805 (2002)。
デンドリマー-ペプチド合成の後、ペプチドを、当技術分野において公知の従来の方法を使用して高圧液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS)によって分析する。具体的には、デンドリマー-ペプチドは、HPLCによって単離し、次いでMSによって同定する。アミノ酸配列分析(すなわち、例えばEdman分解を使用して)により、正しいペプチド-デンドリマー組成物を確認した。
実施例15
様々なPHSCNデンドリマーに関するFAK/PI3'K/Akt阻害効力比較
この実施例は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの数が増加した分岐ポリリジンデンドリマーシリーズの様々な生化学経路上での効能を比較する。この実験は、FAK/PI3'K/Akt経路阻害に対するより多くの数の付着PHSCN関連ペプチドを有するPHSCN置換デンドリマーの相対効能を調べる。具体的には、この実験は、より多くの数の付着PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを有するPHSCN(SEQ ID NO:86)置換デンドリマーが、培養DU145細胞におけるアポトーシスを誘導することにおいてより有効であり得るかどうかを調べる。
様々なPHSCNデンドリマーに関するFAK/PI3'K/Akt阻害効力比較
この実施例は、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドの数が増加した分岐ポリリジンデンドリマーシリーズの様々な生化学経路上での効能を比較する。この実験は、FAK/PI3'K/Akt経路阻害に対するより多くの数の付着PHSCN関連ペプチドを有するPHSCN置換デンドリマーの相対効能を調べる。具体的には、この実験は、より多くの数の付着PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドを有するPHSCN(SEQ ID NO:86)置換デンドリマーが、培養DU145細胞におけるアポトーシスを誘導することにおいてより有効であり得るかどうかを調べる。
第一に、いくつかのAc-PHSCN置換分岐ポリリジンデンドリマーの効力が、一連の濃度において可溶性Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドと比較される。これらのAc-PHSCN-デンドリマーは、付着PHSCNペプチドの数に関して体系的に変化する。分岐ポリリジンデンドリマーコアは、4、8、または16の付着Ac-PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドのいずれかを含んで使用される。第二に、Ac-HSPNC置換(SEQ ID NO:107)デンドリマーは、陰性対照(すなわち、例えば、スクランブル対照ペプチド)として利用される。
ペプチド-デンドリマーは、血清含有培地における接着DU145細胞培養においてインキュベートする。その後、PHSCN-デンドリマーとPHSCN単量体との効力を比較する用量応答データは、以下の技術を使用して生成される:i)免疫ブロッティング;ii)免疫共沈降;iii)位相差顕微鏡による細胞計数;およびiv)免疫組織化学。
データは、PHSCN-デンドリマーが、i)FAK/PI3'K/Akt経路における特定の段階を阻害する;ii)接着DU145細胞数を減少させる;かつiii)細胞アポトーシスを誘導することを示すことが予測される。発明のメカニズムを理解する必要はないが、PHSCN-デンドリマーは、以下の方途の少なくとも一つにおいてそれらの効果を引き起こすと考えられている:
a)Y397における血清誘導FAKリン酸化を阻害する;
b)FAKとのPI3'-キナーゼp85調節サブユニットの血清誘導関連を阻害する;
c)S473における血清誘導Aktリン酸化を阻害する;
d)血清の存在下で、接着DU145細胞の成長を低下させる;
e)全または分画細胞溶解物におけるBadおよびBaxタンパク質発現を上方調節する;
f)カスパーゼ活性化、特にカスパーゼ9、カスパーゼ3、およびカスパーゼ6を誘導する;または
g)固定、接着細胞において免疫組織化学によるサイトケラチン18エピトープを誘導する。
a)Y397における血清誘導FAKリン酸化を阻害する;
b)FAKとのPI3'-キナーゼp85調節サブユニットの血清誘導関連を阻害する;
c)S473における血清誘導Aktリン酸化を阻害する;
d)血清の存在下で、接着DU145細胞の成長を低下させる;
e)全または分画細胞溶解物におけるBadおよびBaxタンパク質発現を上方調節する;
f)カスパーゼ活性化、特にカスパーゼ9、カスパーゼ3、およびカスパーゼ6を誘導する;または
g)固定、接着細胞において免疫組織化学によるサイトケラチン18エピトープを誘導する。
実施例16
最適分岐PHSCNデンドリマーのFAK/PI3'K/Akt阻害効力比較
この実施例は、Ac-PHSCN(SEQ ID NO:86)-、Ac-PHSCN GG-(SEQ ID NO:108)、Ac-PHSCNGGK-(SEQ ID NO:105)、Ac-PHSCN-GGK(ビオチン)、およびAc-PHSCNGGK(フルオレセイン)置換デンドリマー間の効力を、それらの最も有効なポリリジン分岐数において比較する。
最適分岐PHSCNデンドリマーのFAK/PI3'K/Akt阻害効力比較
この実施例は、Ac-PHSCN(SEQ ID NO:86)-、Ac-PHSCN GG-(SEQ ID NO:108)、Ac-PHSCNGGK-(SEQ ID NO:105)、Ac-PHSCN-GGK(ビオチン)、およびAc-PHSCNGGK(フルオレセイン)置換デンドリマー間の効力を、それらの最も有効なポリリジン分岐数において比較する。
PHSCN(SEQ ID NO:86)-ペプチドに置換されるポリリジンデンドリマーの最適分岐数は、実施例15に従って選択する。これらの5つのペプチド-デンドリマーの効能は、実施例15において記載されるのと同じ技術を使用して、個々の用量応答曲線を構築することによって比較する。
実施例17
癌細胞浸潤を阻害するためのPHSCN-デンドリマーの効力比較
この実施例は、10%血清(すなわち、SEQ ID NO:1を含むフィブロネクチンを含む)によって誘導されるインビトロDU145前立腺癌細胞浸潤を阻害するために8-置換Ac-PHSCNデンドリマーで置換されたデンドリマーに対する用量応答曲線を構築する。データは、以前に報告された可溶性Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドの阻害効力と比較する。Livant et al.,「The PHSCN Sequence As An Anti-Invasive For Human Prostate Carcinoma Cells, And As Anti-Tumorigenic And Anti-Metastatic Agent For Rat Prostate Cancer」Cancer Research 60:309-320 (2000);およびLivant et al.,「The PHSRN Sequence Induces Extracellular Matrix Invasion And Accelerates Wound Healing In Obese Diabetic Mice」J. Clin. Invest. 105:1537-1545 (2000)。
癌細胞浸潤を阻害するためのPHSCN-デンドリマーの効力比較
この実施例は、10%血清(すなわち、SEQ ID NO:1を含むフィブロネクチンを含む)によって誘導されるインビトロDU145前立腺癌細胞浸潤を阻害するために8-置換Ac-PHSCNデンドリマーで置換されたデンドリマーに対する用量応答曲線を構築する。データは、以前に報告された可溶性Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドの阻害効力と比較する。Livant et al.,「The PHSCN Sequence As An Anti-Invasive For Human Prostate Carcinoma Cells, And As Anti-Tumorigenic And Anti-Metastatic Agent For Rat Prostate Cancer」Cancer Research 60:309-320 (2000);およびLivant et al.,「The PHSRN Sequence Induces Extracellular Matrix Invasion And Accelerates Wound Healing In Obese Diabetic Mice」J. Clin. Invest. 105:1537-1545 (2000)。
この実験において、アセチル化PHSCNペプチド(Ac-PHSCN)は、ポリリジンデンドリマーに付着し、それによってPHSCN置換デンドリマーを作り出した。発明のメカニズムを理解する必要はないが、ポリリジンデンドリマーは、リジンN末端のNH2基を利用すると考えられている。さらに、利用できるリジン側鎖は、次いで、その他のリジンのC末端に付着する。結果は、アミドリンケージによって接合されるリジンを含む「分岐木」を形成する。この実施例において、デンドリマーは、PHSCN付着に対して(4つのリジン残基上で)利用できる8つのNH2基を有した。図23を参照されたい。したがって、PHSCNデンドリマーにおいて、各々のAc-PHSCNペプチドのC末端は、アミドリンケージを介してリジンNH2基に付着した。各々の付着したAc-PHSCNペプチドのN末端はアセチル化した。
本来無血清の選択的透過性であるウニ胚基底膜は、海水で72時間培養したウニ胚の界面活性剤(Triton(登録商標))処置によって調製した。妊娠成体ウニを含む常設塩水水槽は、基底膜が常に利用できるように維持した。ウニ胚基底膜を使用するインビトロ浸潤アッセイは、以前に報告されるように行った。Livant et al.,「Methods And Compositions For Wound Healing」米国特許第6,576,440(2003)(参照により本明細書に組み入れられる);およびLivant et al.,「Invasion of Selectively Permeable Sea Urchin Embryo Basement Membranes by Metastatic Tumor Cells, But Not By Their Normal Counterparts」Cancer Research 55, 5085-5093 (1995)。
結果は、8-置換Ac-PHSCNデンドリマーが、DU145転移性ヒト前立腺癌細胞による血清誘導浸潤を阻害することにおいて、Ac-PHSCN-NH2単量体よりも少なくとも10倍強力であったことを示す。図24を参照されたい。各々のポイントは、3回決定し、第一標準偏差とともに示した。浸潤百分率は、Ac-PHSCNデンドリマーの非存在下またはPHSCN-デンドリマースクランブルペプチド対照(すなわち、例えば、Ac-HSPNC)の存在下で浸潤したDU145細胞の百分率に対して表した。
発明のメカニズムを理解する必要はないが、以前のデータは、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドが、浸潤および生存の両方を阻害するためにα5β1のインテグリンβ1サブユニットと相互作用し得ることを示した。本データは、PHSCN置換デンドリマーが、同じメカニズムで作用する本質的に強力な浸潤阻害剤でもあり得ることを示唆するとさらに考えられる。
実施例18
ヌードマウスにおけるインビボ抗腫瘍形成
この実施例は、無胸腺ヌードマウスにおいてインビボでヒト腫瘍形成および転移を軽減するPHSCN(SEQ ID NO:86)-デンドリマーの能力を実証する。これらの実験は、PHSCN-デンドリマー治療が、Ac-PHSCN-NH2ペプチド単量体または対応するHSPNC-デンドリマー陰性対照による治療に対して、DU145腫瘍においてアポトーシス細胞数の増加を引き起こすかどうかを決定する。これらのプロトコールは、University of Michigan Institutional Animal Care And Use Committee (Approval # 8630, Renewal # 7608)によって承認されている。
ヌードマウスにおけるインビボ抗腫瘍形成
この実施例は、無胸腺ヌードマウスにおいてインビボでヒト腫瘍形成および転移を軽減するPHSCN(SEQ ID NO:86)-デンドリマーの能力を実証する。これらの実験は、PHSCN-デンドリマー治療が、Ac-PHSCN-NH2ペプチド単量体または対応するHSPNC-デンドリマー陰性対照による治療に対して、DU145腫瘍においてアポトーシス細胞数の増加を引き起こすかどうかを決定する。これらのプロトコールは、University of Michigan Institutional Animal Care And Use Committee (Approval # 8630, Renewal # 7608)によって承認されている。
ヌードマウスは、週3回Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチド(0.1〜10 mg/kg)の静脈内注射により全身的に処置する。Ac-PHSCNGGK(ビオチン)-(SEQ ID NO:105)またはAc-PHSCNGGK(フルオレセイン)(SEQ ID NO:108)置換デンドリマーも、腫瘍細胞および関連血管系におけるそれらの局在を決定するために、これらのマウスにおいて試験する。これらの研究は、蛍光二次抗体(ビオチン置換デンドリマー)を使用する、または蛍光顕微鏡法(フルオレセイン置換デンドリマー)による、従来の免疫組織化学技術に関与する。本発明を理解する必要はないが、PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドは、最も効果的なインビボ投薬量が、最も効果的な単量体PHSCN-ペプチド投薬量(すなわち、例えば、5 mg/kg)よりも多い可能性はあまりなく、実質的には低くできるように、デンドリマー分子量の大部分を占めると考えられる。
DU145原発性腫瘍の成長における様々なステージでのアポトーシス細胞の検出は、以下の手順によって生じる:i)組織固定;ii)パラフィン包埋;iii)組織スライス切片化;およびiv)腫瘍細胞および周囲非腫瘍組織の染色。本発明者らは、固定組織におけるDNA切断を検出するための市販されているアポトーシス検出キット(すなわち、例えば、DNA Laddering Kits, R&D Systems, Minneapolis, MN)ならびにBax上方調節を検出するための市販されている免疫組織化学キット(すなわち、例えば、Mouse Bax MAb (Clone YTH5B7); #2280-MC-100; R&D Systems, Minneapolis, MN)を利用する。免疫組織化学染色は、M30サイトケラチン18エピトープの存在を検出するためにも行われる。Leers et al.,「An Immunohistochemical Study Of The Clearance Of Apototic Cellular Fragments」Cell Mol. Life Sci. 59:1358-1365 (2000)。
データは、PHSCN置換デンドリマーが、可溶性単量体PHSCN(SEQ ID NO:86)ペプチドまたはHSPNC-デンドリマー陰性対照(SEQ ID NO:107)よりも、DU145腫瘍を持つヌードマウスにおいてより強力な抗腫瘍形成および抗転移性治療的薬剤であることを示す。これらのデータは、PHSCN(SEQ ID NO:86)置換デンドリマーの阻害効力が、インビトロ生化学経路(実施例15および16)に対しておよびα5β1媒介インビトロ腫瘍細胞浸潤(実施例17)に対して上で決定されるものと対等であることも示すはずである。
実施例19
前立腺癌細胞生存率
この実施例は、PHSCN-デンドリマーの存在下でのDU145前立腺癌細胞生存率を示すデータを提示する。
前立腺癌細胞生存率
この実施例は、PHSCN-デンドリマーの存在下でのDU145前立腺癌細胞生存率を示すデータを提示する。
DU145細胞を、実施例17において記載される方法に従って培養において成長させた。8-PHSCNデンドリマー(60μg/ml/20,000細胞)との24時間インキュベーションの後、およそ50%の接着DU145細胞が死滅した。非処置DU145細胞は、図25(200倍倍率)および図26(630倍倍率)において示す。これらの非処置DU145細胞は、無傷細胞膜を有してうまく伸展し、細胞の外側に細胞内残骸は観測されなかった。処置DU145は、図27および図28(両方とも200倍倍率)および図29および図30(両方とも630倍倍率)において示す。これらのPHSCN-デンドリマー処置DU145細胞は、細胞の外側に漏れた多くの細胞質顆粒を有する。これらの細胞質顆粒は、リボソームであることもあり、またはネクローシスに入る際に細胞から噴出し自食作用の間に生成される、膜に囲まれた小胞であることもある。さらに、全般的な細胞外観は、ネクローシスによる死を受けている細胞の特徴である。具体的には、PHSCN-デンドリマー処置細胞は、膨張し、異常な突出を有し、かつ損傷細胞膜を有した。死細胞は、細胞外残骸フィールド間にも存在した。これらの特性も、ネクローシスを受けている細胞の特徴である。
実施例20
コペンハーゲンラットにおけるインビボ抗腫瘍形成
この実施例は、コペンハーゲンラットにおけるMATLyLuラット前立腺癌腫瘍形成に対する静脈内投与PHSCNペプチド(Ac-PHSCN-NH2)の効果を8-置換Ac-PHSCNデンドリマーと比較する。
コペンハーゲンラットにおけるインビボ抗腫瘍形成
この実施例は、コペンハーゲンラットにおけるMATLyLuラット前立腺癌腫瘍形成に対する静脈内投与PHSCNペプチド(Ac-PHSCN-NH2)の効果を8-置換Ac-PHSCNデンドリマーと比較する。
32(32)匹のラットに、100,000 MATLyLu細胞を注射した(筋肉内、右側腹)。腫瘍細胞注射の24時間後から、PHSCN含有ペプチドの尾静脈注射(ラットあたり100μl正常生理食塩水における1 mg)を、以下の実験デザインに従って、2週間、週あたり3回行った:i)Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチド(10匹のラット);ii)8-置換Ac-PHSCNデンドリマー(10);およびiii)正常生理食塩水対照(12)。
2週間の処置期間の後、ラットは安楽死させ、腫瘍直径をミリメートルにおいて測定した。データは、8-置換Ac-PHSCNデンドリマーが、生理食塩水注射対照と比較した場合、腫瘍直径をほぼ10倍軽減したことを示す。さらに、8-置換Ac-PHSCNデンドリマーは、Ac-PHSCN-NH2ペプチド単量体の同一の投薬量/投薬量スケジュールよりも腫瘍直径を3〜4倍上回って軽減した(図33を参照されたい)。
実施例21
DU145前立腺癌細胞成長の阻害
この実施例は、8-置換PHSCNデンドリマーが、Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドよりもより大きな効力でDU145癌細胞成長を阻害することを実証する。
DU145前立腺癌細胞成長の阻害
この実施例は、8-置換PHSCNデンドリマーが、Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドよりもより大きな効力でDU145癌細胞成長を阻害することを実証する。
DU145細胞を、実施例17において記載される方法に従って10%血清培養において成長させた。図25において示されるデータは、8-置換PHSCNデンドリマーが、3日インキュベーション期間後に、Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドの3倍の効力でDU145細胞成長を阻害することを明らかに実証する。8-置換PHSCNデンドリマーに対する用量応答関係は、図26において提示される。5日の期間にわたって、60μg/mlの8-置換PHSCNデンドリマーによる相対阻害百分率は、非処置対照に対しておよそ200%まで増加した。また、図26において明白なのは、6、20および60μg/mlの8-置換PHSCNデンドリマー濃度間での相対阻害百分率の増加である。
実施例22
膵臓癌細胞培養モデルを使用したSU-ECM浸潤阻害
この実施例は、BxPC-3を膵臓癌細胞系統として使用した場合に、PHSCN-デンドリマーが、可溶性PHSCN単量体よりもインビトロ浸潤を阻害することにおいて強力であることを実証する。
膵臓癌細胞培養モデルを使用したSU-ECM浸潤阻害
この実施例は、BxPC-3を膵臓癌細胞系統として使用した場合に、PHSCN-デンドリマーが、可溶性PHSCN単量体よりもインビトロ浸潤を阻害することにおいて強力であることを実証する。
この実施例は、BxPC-3膵臓癌細胞がDU145前立腺癌細胞に対して置き換えられたこと以外は、実施例17に従って行った。図34において示されるように、8-置換PHSCN-デンドリマーは、Ac-PHSCN-NH2単量体よりも10%血清誘導浸潤に対して少なくとも20倍強力な浸潤阻害剤である(図34を参照されたい)。これらのデータは、8-置換Ac-PHSCNデンドリマーが、Ac-PHSCN-NH2ペプチド単量体よりも大きな接着BxPC-3細胞死を有意に誘導することを実証する。
実施例23
膵臓癌モデルを使用したSU-ECM浸潤阻害
この実施例は、PANC-1膵臓癌細胞系統を使用して、可溶性Ac-PHSCN-NH2ペプチドを有するが、デンドリマー上の付着PHSCNペプチドの数を体系的に変える、Ac-PHSCN置換分岐ポリリジンデンドリマーの浸潤阻害効力を比較するためにSU-ECM基底膜を利用する。さらに、免疫ブロッティングおよび酵素活性のアッセイにより、MMP-1発現に対するPHSCN-デンドリマーおよび単量体Ac-PHSCN-NH2ペプチドの相対効力を調べる。
膵臓癌モデルを使用したSU-ECM浸潤阻害
この実施例は、PANC-1膵臓癌細胞系統を使用して、可溶性Ac-PHSCN-NH2ペプチドを有するが、デンドリマー上の付着PHSCNペプチドの数を体系的に変える、Ac-PHSCN置換分岐ポリリジンデンドリマーの浸潤阻害効力を比較するためにSU-ECM基底膜を利用する。さらに、免疫ブロッティングおよび酵素活性のアッセイにより、MMP-1発現に対するPHSCN-デンドリマーおよび単量体Ac-PHSCN-NH2ペプチドの相対効力を調べる。
具体的には、PANC-1細胞は、Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチドを有するAc-PHSCN-デンドリマーと適切なHSPNCスクランブルペプチド陰性対照との浸潤阻害効力を比較するために、実施例17に従ってSU-ECM基底膜の表面上で浮遊させる。4、8、および16のPHSCNリガンドの変化の多様性を有する分岐PHSCN-デンドリマーを比較する。さらに、腸コラゲナーゼMMP-1が転移性ヒト乳癌細胞系統による血清誘導浸潤に対して決定的であることが公知であるので、MMP-1発現は、免疫ブロッティング、免疫共沈降、および市販されている定量的MMP-1アッセイによって調べる。Jia et al.,「Integrin Fibronectin Receptors In MMP-1 Dependent Invasion By Breast Cancer And Mammary Epithelial Cells」Cancer Research, in press (2004)。
実施例24
膵臓癌モデルにおけるFAK/PI3'K/Akt経路阻害
この実施例は、PHSCN置換デンドリマーが、Ac-PHSCN-NH2単量体よりもFAK/PI3'K/Akt経路の強力な阻害剤であるかどうかを調べる。培養BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1細胞は、乳癌および前立腺癌細胞系統のように、α4β1ではなくα5β1インテグリンフィブロネクチン受容体を発現することが公知である。Livant et al.,「The PHSCN Sequence As An Anti-Invasive For Human Prostate Carcinoma Cells, And As An Anti-Tumorigenic And Anti-Metastatic Agent For Rat Prostate Cancer」Cancer Research 60:309-320 (2000); Ignatoski et al.,「p38 MAPK Induces Cell Surface α4 Integrin Down-Regulation to Facilitate erbB-2 Mediated Invasion」Neoplasia 5(2):128-134 (2003);およびLohr et al.,「Expression And Function Of Receptors For Extracellular Matrix Proteins In Human Ductal Adenocarcinomas Of The Pancreas」Pancreas 12:248-259 (1996)。その結果として、この実施例は、PHSCN含有ペプチドによる血清誘導浸潤阻害およびアポトーシス誘導を比較するためのモデルシステムとしてこれらの細胞を利用する。
膵臓癌モデルにおけるFAK/PI3'K/Akt経路阻害
この実施例は、PHSCN置換デンドリマーが、Ac-PHSCN-NH2単量体よりもFAK/PI3'K/Akt経路の強力な阻害剤であるかどうかを調べる。培養BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1細胞は、乳癌および前立腺癌細胞系統のように、α4β1ではなくα5β1インテグリンフィブロネクチン受容体を発現することが公知である。Livant et al.,「The PHSCN Sequence As An Anti-Invasive For Human Prostate Carcinoma Cells, And As An Anti-Tumorigenic And Anti-Metastatic Agent For Rat Prostate Cancer」Cancer Research 60:309-320 (2000); Ignatoski et al.,「p38 MAPK Induces Cell Surface α4 Integrin Down-Regulation to Facilitate erbB-2 Mediated Invasion」Neoplasia 5(2):128-134 (2003);およびLohr et al.,「Expression And Function Of Receptors For Extracellular Matrix Proteins In Human Ductal Adenocarcinomas Of The Pancreas」Pancreas 12:248-259 (1996)。その結果として、この実施例は、PHSCN含有ペプチドによる血清誘導浸潤阻害およびアポトーシス誘導を比較するためのモデルシステムとしてこれらの細胞を利用する。
したがって、可溶性Ac-PHSCN-NH2ペプチドに対するAc-PHSCN置換分岐ポリリジンデンドリマーのアポトーシス誘導効力は、血清含有培地における接着BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1細胞の培養を利用することによって比較される。さらに、様々なPHSCNデンドリマーペプチドの相対効力は、デンドリマー上の付着PHSCNペプチドの数を体系的に変化させることによって比較される。スクランブルペプチド(すなわち、例えば、Ac-HSPNC置換デンドリマー)は、陰性対照としての役目を果たす。免疫ブロッティング、免疫共沈降、位相差顕微鏡法を用いた細胞計数、フローサイトメトリー、免疫組織化学、およびDNAフラグメンテーションに対する酵素アッセイの技術は、接着BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1細胞の数を減少させかつアポトーシスを誘導するFAK/PI3'-キナーゼ/Akt経路における特定の段階を阻害することに対するPHSCN-デンドリマーおよびPHSCN単量体の用量応答を比較するために使用される。
実施例25
膵臓腺癌腫瘍形成のインビボ阻害
この実施例は、PHSCN置換デンドリマーが、単量体Ac-PHSCN-NH2ペプチドよりも同所性BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1腫瘍を持つ無胸腺ヌードマウスにおける強力な抗転移剤であることを実証する。実施例24に従って決定した最も強力なPHSCN置換デンドリマーは、HSPNC-デンドリマー(すなわち、陰性対照)およびAc-PHSCN-NH2単量体ペプチドに対して試験する。
膵臓腺癌腫瘍形成のインビボ阻害
この実施例は、PHSCN置換デンドリマーが、単量体Ac-PHSCN-NH2ペプチドよりも同所性BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1腫瘍を持つ無胸腺ヌードマウスにおける強力な抗転移剤であることを実証する。実施例24に従って決定した最も強力なPHSCN置換デンドリマーは、HSPNC-デンドリマー(すなわち、陰性対照)およびAc-PHSCN-NH2単量体ペプチドに対して試験する。
ヒトBxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1ヒト膵臓腺癌細胞は、外科的に、同所的に移植し、原発性膵臓腫瘍へと成長させる。次いで、PHSCNペプチドは、無胸腺ヌードマウスへの週3回の静脈内注射によりPHSCN含有ペプチドとして全身的に投与する。次いで、原発性膵臓転移の阻害を、PHSCN含有ペプチドの抗アポトーシス効果によって評価する。
比較は、5および50 mgを含むいくつかのPHSCN-ペプチド投薬量レベルで行う。標準的な免疫組織化学技術、酵素技術、および市販されているキットは、BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1原発性腫瘍の成長における様々なステージでアポトーシス細胞を検出するために採用される。Leers et al.,「An Immunohistochemical Study Of The Clearance Of Apoptotic Cellular Fragments」Cell. Mol. Life Sci. 59:1358-1365 (2002)。デンドリマー上のPHSCNペプチド付着に対する多くの部位のために、PHSCNペプチドは、デンドリマー分子量の大部分を占める;したがって、インビボで効果的である可能性が高いデンドリマーの投薬量は、5 mgの効果的な単量体PHSCNペプチド投薬量よりも多い可能性はあまりなく、実質的に低くなり得る。
膵臓癌転移に対する全身PHSCNペプチドおよびPHSCN-デンドリマーの効果を比較するために、インビボで蛍光である緑蛍光タンパク質遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子を含むBxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1細胞の変異体を注射する。Bouvet et al.,「Real-Time Optical Imaging Of Primary Tumor Growth And Multiple Metastatic Events In A Pancreatic Cancer Orthotopic Model」Cancer Res. 62:1534-1540 (2002)。蛍光Ac-PHSCN-NH2、Ac-HSPNC-NH2、Ac-PHSCN-デンドリマー、またはAc-HSPNC-デンドリマーで全身的に処置したヌードマウスは、BxPC-3およびPANC-1転移のレベルを定量するためにスキャンされる。
標準的な免疫組織化学技術、酵素技術、および市販されているキットは、BxPC-3、AsPC-1、またはCapan-1原発性腫瘍の成長における様々なステージでアポトーシス細胞を検出するために採用される。様々な成長ステージでアポトーシス細胞を検出するために、原発性腫瘍および周囲宿主組織を、固定し、パラフィン包埋し、切片化し、かつ染色する。市販されているアポトーシス検出キットならびにBAX上方調節を検出するための市販されている抗体を用いた標準的な免疫組織化学法は、固定組織におけるDNA切断を検出する。
免疫組織化学染色は、M30サイトケラチン18エピトープの存在を検出するためにも行う。Livant et al.,「Invasion Of Selectively Permeable Sea Urchin Embryo Basement Membranes By Metastatic Tumor Cells, But Not By Their Normal Counterparts」Cancer Research 55:5085-5093 (1995)。
実施例26
処置DU145細胞のプロテオーム分析
この実験は、Ac-PHSCNデンドリマー、Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチド、または非処置対照のいずれかで処置したDU145細胞の発現タンパク質パターンを比較する。
処置DU145細胞のプロテオーム分析
この実験は、Ac-PHSCNデンドリマー、Ac-PHSCN-NH2単量体ペプチド、または非処置対照のいずれかで処置したDU145細胞の発現タンパク質パターンを比較する。
DU145細胞を、実施例17において記載される方法に従って培養において成長させた。適切なペプチドとのインキュベーションに続いて、細胞を溶解し、タンパク質を抽出し、高解像度2Dゲル電気泳動システム上に置く。細胞の各々の処置群によって発現された2000(2,000)の最も有力なタンパク質を評価する。
実施例27
創傷治癒におけるPHSRN-デンドリマー処置
この実施例は、創傷を治癒するためのPHSRNペプチドを含むデンドリマーに対する例証的な方法を提供する。
創傷治癒におけるPHSRN-デンドリマー処置
この実施例は、創傷を治癒するためのPHSRNペプチドを含むデンドリマーに対する例証的な方法を提供する。
本明細書において記載されるように、PHSRNペプチドを含むデンドリマーは、PHSRNペプチドの可溶性単量体形式よりもより大きな程度で、血清の存在下でまたは無血清条件下でインビトロで基底膜の線維芽細胞浸潤を刺激する。さらに、PHSRN-デンドリマーは、可溶性単量体PHSRN(SEQ ID NO:1)ペプチドよりも大きな程度で仮マトリクスの結合組織を介する創傷再上皮化の間のケラチノサイト移動を誘導する。
その結果として、これらの効果は、可溶性単量体PHSRNペプチドに対してPHSRN-デンドリマーを投与する場合、改善された創傷治癒をもたらす。投与のPHSRN-デンドリマー経路は、局所、筋内、非経口、経口、直腸、膣、および/または任意の形式での注射を含み得るが、それらに限定されない。
Claims (18)
- 分岐を含むデンドリマーと該デンドリマーに付着したアミノ酸配列PHSCNを含む少なくとも一つのペプチドとを含む組成物。
- デンドリマーがポリリジンを含む、請求項1記載の組成物。
- デンドリマーに付着した化学療法剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
- 化学療法剤がメトトレキサートを含む、請求項3記載の組成物。
- 化学療法剤がボロンを含む、請求項3記載の組成物。
- 化学療法剤が抗体を含む、請求項3記載の組成物。
- 化学療法剤が、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、CDK阻害剤、マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ドセタキセル、パクリタキセル、タモキシフェン、およびビンクリスチンからなる群より選択される、請求項3記載の組成物。
- a)i)複数の腫瘍細胞を含む患者;および
ii)デンドリマーと該デンドリマーに付着したアミノ酸配列PHSCNを含む少なくとも一つのペプチドとを含む組成物
を提供する段階;ならびに
b)該腫瘍細胞の少なくとも一部がアポトーシスを受けるような条件下で該組成物を該患者に投与する段階
を含む方法。 - 腫瘍細胞が前立腺腫瘍細胞を含む、請求項8記載の方法。
- 患者が腫瘍関連血管をさらに含む、請求項8記載の方法。
- 血管が内皮細胞を含む、請求項10記載の方法。
- デンドリマーが、該デンドリマーに付着した化学療法剤をさらに含む、請求項8記載の方法。
- 化学療法剤が、メトトレキサート、ボロン、抗体、および受容体からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
- a)i)複数の転移性腫瘍細胞を含む患者;および
ii)デンドリマーと該デンドリマーに付着したアミノ酸配列PHSCNを含む少なくとも一つのペプチドとを含む組成物
を提供する段階;ならびに
b)該腫瘍細胞による転移活性が阻害されるような条件下で該組成物を該患者に投与する段階
を含む方法。 - 腫瘍細胞が前立腺腫瘍細胞を含む、請求項14記載の方法。
- デンドリマーが、該デンドリマーに付着した化学療法剤をさらに含む、請求項14記載の方法。
- 化学療法剤が、メトトレキサート、ボロン、抗体、および受容体からなる群より選択される、請求項16記載の方法。
- 化学療法剤が、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、CDK阻害剤、マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ドセタキセル、パクリタキセル、タモキシフェン、およびビンクリスチンからなる群より選択される、請求項16記載の組成物。
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