JP2008512638A - ヒートポンプの暖房能力を高める吐出し弁 - Google Patents

ヒートポンプの暖房能力を高める吐出し弁 Download PDF

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Abstract

ヒートポンプが吐出経路に吐出し弁を備える。暖房モードにあるとき、吐出経路から室内熱交換器へと流れる冷媒を調節もしくは脈動させるように吐出し弁を位置決めすることが可能である。このような制限を加えることによって冷媒の圧力および温度が上昇する。この上昇した温度が付加的な暖房能力を提供するとともに、供給される室内空気の温度を高めて「冷風」を最小限に抑え、エンドユーザに更なる快適さをもたらす。吐出し弁を脈動もしくは調節することにより供給される熱量が精密に制御されるため、吐出し弁の利用によってユニットのオン/オフサイクルを最小限に抑えるもしくは完全に排除することが可能となり、これによりユニットのサイクル損出が低減され、ユーザの快適性が向上し、信頼性が向上する。

Description

本発明は冷房モードおよび暖房モードの両方で運転可能なヒードポンプに関し、ヒートポンプの暖房能力を増加させ、これを調節するために吐出し弁が制御される。
空調されるべき各種室内環境において空気の温度および湿度を調節するために冷媒システムが用いられる。冷房モードで運転中の通常の冷媒システムにおいて、冷媒は圧縮機で圧縮されて、凝縮器(またはこの場合は室外熱交換器)に送られる。凝縮器において外界の環境空気と冷媒との間で熱が交換される。凝縮器から、冷媒は膨張装置に送られ、ここで冷媒が膨張して低圧、低温となって蒸発器(または室内熱交換器)に送られる。蒸発器において冷媒と室内空気との間で熱が交換され、室内の空気が調節される。冷媒システムの運転中には、蒸発器が室内環境に供給される空気を冷却する。
上述の説明は冷媒システムが冷房運転モードで用いられている場合である。暖房モードにおいては、システムを通る冷媒の流れが本質的に逆転する。室内熱交換器が凝縮器となって調節されるべき(この場合は暖房されるべき)環境に熱を放出し、室外熱交換機は蒸発器として働いて、比較的低温の室外空気と熱を交換する。ヒートポンプは、暖房モードと冷房モードとの両方で運転し得るように冷媒サイクルを通る冷媒流を逆転させることが可能なシステムとして知られている。これは通常、システム設計に四方逆転弁(または同等の装置)を組み込むことによって達成され、このバルブは圧縮機吐出ポートの下流に配置される。四方逆転弁は、それぞれ、システムが暖房または冷房運転モードにあるときに冷媒流を室内または室外熱交換器に選択的に送る。さらに、膨張装置が逆転された冷媒流を処理できない場合は、各々逆止弁を有する一対の膨張装置が代わりに用いられてもよい。
ヒートポンプは、単一のユニットが空調装置および暖房炉の両方の機能を備えることによって、暖房炉を代替するように意図されたものである。しかしながらヒートポンプは寒冷地においては広範に採用されていない。このように採用が遅れている主な理由は、ヒートポンプが寒冷地において十分な熱を提供できないこと、および/または、調節される環境に送られる暖房空気の温度が低温過ぎて(従って「冷風」と呼ばれる)エンドユーザにとって快適でないことが懸念されるからである。さらなる欠点は、暖房能力の不足を補うためにシステムが別の暖房装置に頼らざるを得ないことである。暖房装置が所定量の暖房能力を提供するため、システムは所望の室内温度に到達したときにサイクルを「オフ」にし、温度が所望の値以下に下がったときにサイクルを「オン」に戻さなくてはならない。ユニットのサイクルが非効率となり、信頼性が問題になりがちになり、空調空間の温度変化が大きくなり、エンドユーザに不快感をもたらす。
本発明の開示された実施例では、四方逆転弁が圧縮機の吐出口からの冷媒流を選択的に制御して、冷媒モードにおいては室外熱交換器、もしくは暖房モードにおいては室内熱交換器のいずれかに送る。上に説明したように、冷媒流はどちらのモードにおいても全てのサイクルを通過して圧縮機に戻る。圧縮機に戻る流れもまた四方弁を通過する。
ヒートポンプにできるだけ大きな暖房能力を発揮させるために、本発明は圧縮機の下流に制限を加え、制限の大きさを変化させることによって吐出経路内の圧縮冷媒を調節もしくは脈動させる。好ましくは、より大きな暖房能力が望まれるときに制限位置に動かすことができる制御可能なバルブによって制限が加えられる。吐出経路内の冷媒流を制限することによってこの冷媒の圧力、これにより温度が著しく上昇する。これにより、冷媒が室内熱交換器に達したときの冷媒の暖房能力はより高い。またバルブを調節もしくは脈動させることによって、システムをオン、オフで循環させる必要のあるぴったりな量の熱を追加することができる。この追加量の熱は、たとえば付加的なシステム暖房要素(多くの場合、電気ストリップヒーティングと呼ばれる)が作動する暖房段階の間の間隔を埋めるために加えられてもよい。また、バルブを調節もしくは脈動させることによって追加される余分な熱は、さらなる熱量が必要であるが、全ての電気ストリップヒータが作動している状態で、ヒートポンプの運転からいかに付加的な熱を供給することができるかという点でシステムがすでに「頭打ち」になっているときの最後の手段として用いられてもよい。このようにして、従来のヒートポンプがより低温な環境においても適切な暖房を提供するのに耐えうるものとなる。
一つの開示された実施例において、四方弁が、特別に構成されたプランジャを有する単一のチャンバを含み、これによって室内および室外熱交換器が圧縮機の吸入もしくは吐出経路のどちらかに選択的に連通される。上記のように画定される制限として別体のバルブが用いられてもよいが、一つの好ましい実施例では、この四方弁そのものが制限を加えるように用いられる。プランジャ要素を各通路に対して選択的に位置決めすることによって、本発明が圧縮機吐出経路から室内熱交換器への冷媒流を制限することを可能にし、この流れが脈動もしくは調節されて冷媒の圧力および温度が上昇される。
本発明のこれらの、およびその他の特徴は以下の明細書および図面から最もよく理解されるであろう。
図1Aはヒートポンプ冷媒システム20を示しており、このシステムは圧縮された冷媒を四方弁26に供給する吐出経路23を有する圧縮機22を含む。四方弁26は吐出経路23からの冷媒を、冷房モードにあるときは室外熱交換器24、もしくは暖房モードにあるときは室内熱交換器30のいずれかに選択的に連通する。図2A、図2B、および図3に示されるように、四方弁26のための制御装置が、弁26のプランジャ32を所望のように位置決めするように操作できる。いずれの場合も、冷媒は、圧縮機を出た後に最初に遭遇する第一の熱交換器から、主膨張装置28およびこれに関連する逆止弁29からなるアセンブリのうちの一方に向かう。主膨張装置から、冷媒は第二の熱交換器を通って四方弁26に戻る。四方弁26は冷媒を圧縮機22に戻る吸入経路31に送る。
これはヒートポンプシステムの非常に単純化された概要である。より複雑なシステムが可能であり、再加熱回路、エコノマイザ蒸気噴射回路、室外熱交換器24周りのバイパス、圧縮機の中間ステージから圧縮機吸入側に戻すようにアンロードするバイパス、等が組み込まれうることを理解されたい。本発明の教示が任意のより複雑なヒートポンプシステムに組み込まれうることを理解されたい。
図2Aは、ヒートポンプ20が冷房モードで運転しているときのバルブ26の詳細を示している。制御装置34がバルブチャンバ33内のバルブプランジャ要素32を動かす。図示されるように、バルブプランジャ要素32の溝36が、吐出経路23を室外熱交換器24に向かう経路と選択的に連通させるように位置決めされている。同時に、溝36は熱交換器30からの冷媒を吸入経路31に送る。このようにヒートポンプ20はバルブ26が図2Aに示される位置にあるときに冷房モードで運転している。
図2Bは暖房モードの位置に動かされたバルブ要素32を示している。図示されるように、吐出経路23からの冷媒は室内熱交換器30に向かう経路を通る。同時に室外熱交換器24からの冷媒は溝36を通って圧縮機22に戻る吸入経路31に流れる。
図1に示されるように、制限バルブ100が吐出経路23に配置されている。制限バルブは図1に示されるように四方弁の上流に配置されてもよく、また四方弁の下流の、四方弁と室内熱交換器との間に配置されてもよい。システムが暖房モードで運転しているときは、吐出経路23は、四方弁と室内熱交換器との間の経路のみならず圧縮機と四方弁との間の経路の一部を含むものと画定される。制限バルブは吐出経路23から室内熱交換器30への冷媒の流れを脈動もしくは調節するように、制御装置によって操作できる。このようにして吐出冷媒の圧力が増加される。圧力を増加させることによって温度もまた上昇し、冷媒が室内熱交換器に達したときに冷媒の暖房能力がより高くなる。
脈動モードにおいては制限の大きさが周期的に変えられる。変化の周期および開口部の制限量は図1Bに示されるように暖房所要量を満足させるように変化させてよい。通常、脈動モードにおいては、バルブ開口部は2段階―すなわち全開と一定量の制限との間で変動する。バルブが全開位置および制限位置にある経過時間は用途によって変化しうる。信頼性の観点から、バルブの変動はできるだけ低頻度であることが望ましいが、精密な室温制御を提供し、かつ暖房環境の温度が予測値を上回る場合に不測のユニット停止を避けるためには、エンドユーザの快適性にとっては短い周期のほうが望ましい場合がある。システム設計者は通常、このような周期変動速度の関係を十分に考慮する。脈動モードにおける最も一般的なバルブ操作が二位置、すなわち全開位置および制限位置を必要とする一方、3つ以上の開位置をもつ他の組み合わせもまた可能である。調節弁が用いられる、もしくは調節弁が脈動モードではなく調節モードで作動するように選択される場合、バルブの開口量は所要暖房量に一致するように正確に調節される。
もちろん、バルブの動作はシステム内に設けられた種々のセンサおよび変換器から得られる情報と結びつけることができる。たとえば、可変制限の最小量は圧縮機部品の圧力定格または圧縮機の最大圧縮比によって制限されることが可能であり、したがって予測もしくはバルブ上流に設けられた圧力変換器が、圧力が限界値に近付いていることを示す場合、制限開口部の大きさに制限が加えられる。同様な論理が温度の予測または測定にも用いられ、たとえば圧縮機吐出側の温度制限を超えないことが保証される。
図1Bはスロットリングされていない場合、および吐出チャンバが絞られている場合のさまざまな圧力における利用可能な標準的な熱量を示すグラフである。図からわかるように、図1Bの符号dHによって示される追加の熱量が利用できる。
図3は、四方弁26によってスロットリングが与えられる制御ステップを示している。図示されるように、バルブ制御装置34は、ヒートポンプ20が本質的に暖房モードで運転するようにバルブプランジャ要素32を位置決めしている。バルブ要素32は図2Bに示される位置から右に移動している。吐出経路23から室内熱交換器30に移動する冷媒が絞られている。
図4に示されるように、一つの実施例では、個別の弁によってではなく四方弁26によってスロットリングが加えられる。四方弁のバルブプランジャ32が、吐出経路23から室内熱交換器30への流れを阻止するか、もしくはこの流れを絞って圧力を上昇させるように少なくともこの流れを制限するか、のいずれかを行うように位置決めされるべくこの四方弁を配置することにより、図1Bに示されるように、本発明が付加的な加熱を達成することが可能となる。この制限を提供するように同じ四方弁26を用いることにより、本発明は個別の追加のバルブを必要とせず、これによりコストを最小限に抑える。もちろん、記載の四方弁は、圧縮機吐出経路に配置された個別のバルブについて上述したように脈動もしくは調節モードのいずれかで使用可能である。
また図4は上述の概念をエコノマイザサイクルに用いることを図示しており、ここで一例として、冷媒をエコノマイザ熱交換器112および主膨張装置114に送るように第二の四方弁110が設けられる。周知のようにエコノマイザサイクルは利益をもたらす。
図5に示されるように、制限弁100が経路用四方弁26の下流に位置してもよい。
本発明の好ましい実施例を開示したが、当業者は特定の修正が本発明の範囲内にあることを認識するであろう。このため本発明の真の範囲および内容を画定するには以下の請求の範囲が検討されるべきである。
本発明を取り入れたヒートポンプの概略図。 本発明の利点を説明するグラフ。 冷房モードにある四方弁を示す図。 暖房モードにある図2Aの四方弁を示す図。 吐出側の冷媒を絞るように位置決めされた四方弁を示す図。 別の実施例を示す図。 さらに別の実施例を示す図。

Claims (20)

  1. 圧縮された冷媒を吐出経路に供給するための圧縮機と、
    前記吐出経路からの冷媒を、冷房モードにあるときは室外熱交換器に、暖房モードにあるときは室内熱交換器に選択的に案内するためのルートバルブと、
    を備え、
    吐出流れ制限装置が前記吐出経路と前記室内熱交換器との間の流れを制限するように選択的に動作可能であるヒートポンプ。
  2. 前記流れ制限装置が、吐出し弁として用いられる前記ルートバルブの一部であることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  3. 前記ルートバルブが、冷媒の流れを制御するために可動する要素を含むことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  4. 前記要素がチャンバ内で可動し、前記チャンバが、前記吐出経路と圧縮機吸入経路とを流体で連通させるとともに、前記室内熱交換器および室外熱交換器の各々に案内する別々の経路を有し、前記要素は、前記ヒートポンプが冷房モードもしくは暖房モードのいずれにあるかに依存して、前記吐出経路を前記室内熱交換器および室外熱交換器のうちの一方に選択的に連通させ、かつ前記室内熱交換器および室外熱交換器のうちの他方を前記吸入経路に連通させるように位置決めされることを特徴とする請求項3記載のヒートポンプ。
  5. 前記要素が制限位置にあるときに、前記吐出経路から前記室内熱交換器へと流れる冷媒を選択的に制限するようにさらに位置決めされることを特徴とする請求項4記載のヒートポンプ。
  6. 前記流れ制限装置が、吐出経路に配置された独立した制限装置であることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  7. 前記流れ制限装置が、前記ルートバルブの下流に配置されることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  8. 前記流れ制限装置が、前記ルートバルブの上流に配置されることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  9. 前記流れ制限装置が、バルブであることを特徴とする請求項6記載のヒートポンプ。
  10. 前記バルブが、ソレノイドバルブであることを特徴とする請求項9記載のヒートポンプ。
  11. 前記流れ制限装置を通る開口部が、前記流れ制限装置を脈動させることによって調節可能であることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  12. 前記脈動が、少なくとも二つの位置の間で開口部を調節することによって達成されることを特徴とする請求項11記載のヒートポンプ。
  13. 前記少なくとも一つの位置が、全開位置であることを特徴とする請求項12記載のヒートポンプ。
  14. 前記少なくとも一つの位置が、流れ制限位置であることを特徴とする請求項12記載のヒートポンプ。
  15. 前記制限装置が前記位置の各々の状態にある継続時間が調節可能であることを特徴とする請求項12記載のヒートポンプ。
  16. 前記流れ制限装置の開口部が、制限装置の流れ領域を調節することによって調整可能であることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  17. 前記流れ制限装置の開口領域が連続的に調節可能であることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
  18. (1) 圧縮機を提供するステップであって、該圧縮機が吐出経路を備え、該吐出経路がルートバルブと連通して、前記吐出経路からの冷媒を、暖房モードにおいては室内熱交換器、もしくは冷房モードにおいては室外熱交換器のいずれかに選択的に送るとともに、暖房モードにおいては前記室内熱交換器の上流の前記吐出経路に配置された吐出流れ制限装置を備え、該吐出流れ制限装置は、追加の加熱が所望されるときに、前記吐出経路から前記室内熱交換器への冷媒の流れを制限するように選択的に動作可能であるところの圧縮機を提供するステップと、
    (2) 前記吐出経路からの冷媒を前記室内熱交換器および室外熱交換器のうちの一方に選択的に案内し、かつ前記室内熱交換器および室外熱交換器のうちの他方からの冷媒を前記圧縮機に戻すように案内させるために前記ルートバルブを作動させるステップと、
    (3) 追加の暖房能力が所望されるかを判定するステップと、
    (4) 前記暖房能力を増加させるために前記吐出経路から前記室内熱交換器への冷媒の流れを制限するように前記吐出流れ制限装置を位置決めするステップと、
    を備えることを特徴とするヒートポンプの運転方法。
  19. 単一のバルブが前記ルートバルブと前記吐出し弁の機能を備えることを特徴とする請求項18記載の運転方法。
  20. 前記流れ制限装置の大きさが、冷媒圧力および温度の測定値もしくは計算値に基づいて調節可能であることを特徴とする請求項19記載の運転方法。
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