JP2008510481A - アルツハイマー病に関する方法及び組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
一つ又は複数の候補化合物が、図3から6若しくは表7に示すタンパク質、又は図9に示すタンパク質の対応するヒトタンパク質の一つ又は複数の発現又はレベルを調節することができるかどうかを測定する工程;
を含む、アルツハイマー病の予防又は治療に潜在的に有用である化合物のスクリーニング方法を提供する。
(a)少なくとも一つのタンパク質が、アルツハイマー病を有する被検体又はアルツハイマー病になりやすい素因を有する被検体、及び正常な被検体から得た関連組織、又は上記被検体の代表的な関連組織において差異的に発現するというパラダイムを確立する工程;
(b)スクリーニングされる薬剤で処理された、アルツハイマー病を有する被検体から得た関連組織、又は上記被検体の代表的な関連組織のサンプルを得る工程;
(c)処理された被検体から得た組織、又は上記被検体の代表的な関連組織において差異的に発現するタンパク質の存在、不存在、又は発現の度合いを測定する工程;並びに
(d)アルツハイマー病を有する処理された被検体において差異的に発現したタンパク質の発現、活性又は量を、正常な被検体のものへと変化させる程度に従って、上記薬剤を選択又は拒絶する工程;
を含む、アルツハイマー病の治療における有用性を決定するための薬剤のスクリーニング方法を提供する。
パラダイムは、差異的に発現する少なくとも一つのタンパク質を確立する工程を含む。しかしながら、幾つかの実施態様として、パラダイムは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10又は20個の差異的に発現したタンパク質を使用することができる。
(a)野生型マウス及び上記したトランスジェニックマウス;並びに
(b)薬剤で処理されなかった上記したトランスジェニックマウス、及び薬剤で処理された上記したトランスジェニックマウス;
を含む。
(a)薬剤で処理された野生型マウス及び薬剤で処理されなかった野生型マウス;並びに
(b)薬剤で処理された上記したトランスジェニックマウス及び薬剤で処理されなかった上記したトランスジェニックマウス;
を含む。
(a)少なくとも一つのタンパク質が、アルツハイマー病を有する被検体及び正常な被検体から得た関連組織、又は上記被検体の代表的な関連組織において差異的に発現するというパラダイムを確立する工程;
(b)上記被検体から上記組織のサンプルを得る工程;
(c)上記サンプルにおける差異的に発現するタンパク質の存在、不存在又は発現の度合いを測定する工程;並びに
(d)上記測定値と臨床上の情報の間の従前の相関関係を参考にして、アルツハイマー病の発症について測定値を関連させる工程;
を含む、ヒト又は動物被検体におけるアルツハイマー病の性質又は度合いを測定する方法を提供する。
(a)3mm×180mmのアクリルアミドポリマーの非直線状固定化pH勾配(IPG)ストリップを準備する工程;
(b)尿素(8M)、3-[(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート(CHAPS、2%w/v)、ジチオエリスリトール(DTE、10mM)、pH3.5から10の酸及び塩基の混合物(2%w/v)、及び微量のBromophenol Blueの水溶液を25ml含むカセット中で、上記IPGストリップを再水和する工程;
(c)上記カセットから液体を除き、湿った電極芯、電極、及びサンプルカップを備えた電気泳動トレーに上記ストリップを移し、上記ストリップとカップを低粘度のパラフィン油で覆う工程;
(d)上記IPGストリップの陰極末端で、サンプルカップに、尿素(8M)、CHAPS(4%w/v)、Tris(40mM)、DTE(65mM)、SDS(0.05%w/v)、及び微量のBromophenol Blue中で、関連生体組織の乾燥粉末化した材料の水溶液の200マイクログラムを適用する工程;
(e)3時間で300から3500Vまで直線状に増加させ、その後さらに3時間3500Vとし、その後pI依存性最終地点に、上記ストリップ中で上記タンパク質が移動するのに十分な時間5000Vとした電圧で、ゲル上で等電点電気泳動を実施する工程;
(f)Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)及びDTE(2%w/v)を含む100mlの水溶液で12分間、トレー内で上記ストリップを平衡化する工程;
(g)5分間この溶液を、Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)、ヨードアセタミド(2.5%w/v)、及び微量のBromophenol Blueを含む100mlの水溶液によって置換する工程;
(h)リーディングバッファーとしてのTris-HCl(0.375M)pH8.8中のTEMED(0.5%w/v)、過硫酸アンモニウム(0.1%w/v)、及びチオ硫酸ナトリウム(5mM)の存在下で重合した、アクリルアミド/ピペラジン-ジアクリリル架橋剤(9-16%T/2.6%C)の160×200×1.5mmの縦勾配スラブゲルを準備する工程;
(i)約2時間sec-ブタノールで上記ゲルを浸し、この液を除去し、それを水と置換する工程;
(j)陽極末端から6mmと陰極末端から14mmを除去して、二次元電気泳動のために適したサイズにIPGゲルストリップを切断する工程;
(k)リーディングバッファーとしてのアガロース(0.5%w/v)及びTris-グリシン-SDS(25mM-198mM-0.1%w/v)の水溶液でスラブゲルを浸し、70℃に加熱し、この浸した溶液を通じてスラブゲル上に上記IPGゲルストリップを乗せる工程;
(l)8-12℃で5時間40mAの一定電流で、二次元電気泳動を実施する工程;並びに
(m)ゲルを洗浄する工程;
を含む、タンパク質を提供する。
a)図3から6、表7及び図9で示すタンパク質から、少なくとも一つの候補タンパク質を選択する工程;
b)狭い範囲の固定化pH勾配(IPG)を使用した二次元ゲル電気泳動を介して、他のタンパク質から、上記候補タンパク質が分離可能なpH範囲を選択する工程;
c)上記で選択したpH範囲のIPGを使用した二次元ゲル電気泳動によって、生物学的サンプル中の他のタンパク質から、上記候補タンパク質を分離する工程であって、上記サンプルが、それぞれ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びプレセニリン-1(PS-1)ダブルトランスジェニックマウス並びに野生型マウスから得られる工程;
d)トランスジェニックマウス及び野生型マウスから得られたゲルにおけるスポットの強度を比較する工程;
e)強度が2つのゲルの間で異なるスポットを選択する工程;並びに
f)上記スポットにおけるタンパク質を同定する工程;
を含む、アルツハイマー病の患者とアルツハイマー病ではない患者との間で発現のレベルが異なるタンパク質を同定する方法を提供する。
a)ゲル電気泳動により、生物学的サンプル中のタンパク質を分離する工程;
b)表3、4又は5で示すピークに対応する分子量に移動したタンパク質バンドを、ゲルから抽出する工程;及び
c)上記抽出物中のタンパク質を同定する工程;
を含む、アルツハイマー病の患者とアルツハイマー病ではない患者との間で発現のレベルが異なるタンパク質を同定する方法を提供する。
ここで使用される「差異的な発現」は、組織タンパク質発現における少なくとも一つの認識可能な差異を指す。それは、組織タンパク質発現における量的に測定可能な差異、半量的に見積もり可能な差異、又は質的に検出可能な差異であっても良い。かくして、差異的に発現するタンパク質(ここでDEPと称する)は、正常な状態における組織で強力に発現し、アルツハイマー病の状態の組織においてあまり強力に発現しない若しくは全く発現しないものでも良い。逆にそれは、疾患状態における組織において強力に発現し、正常な状態においてあまり強力に発現しない若しくは全く発現しないものでも良い。同様に差異的な発現は、非治療組織と治療組織との間の比較において各方向で見出される。さらに、発現は、タンパク質が比較の元で二つの状態の間で認識可能な変化を受けているのであれば、差異的であるとみなすことができる。
正常な状態での発現に対してアルツハイマー病の状態で差異的に発現する、及び/又は、アルツハイマー病に対する処置に応答して差異的に発現する「標的タンパク質」と称するタンパク質及び/又はフィンガープリントタンパク質を開示する。付加的に、脳機能に関与するタンパク質と相互作用する「パスウェイタンパク質」と称するタンパク質を開示する。上記フィンガープリント標的及びパスウェイタンパク質を同定する方法も開示する。
一つの実施態様として、本発明は、アルツハイマー病に関与するタンパク質の同定のための方法に関する。上記タンパク質は、正常状態における発現に対して、アルツハイマー病において差異的に発現するタンパク質を表しても良い。さらに上記タンパク質は、アルツハイマー病を治療することに対する処置に応答して、差異的に発現する又は調節されるタンパク質を表しても良い。上記差異的に発現するタンパク質は、「標的」又は「フィンガープリント」タンパク質を表しても良い。上記タンパク質の同定のための方法は、セクション1.1に記載する。上記差異的に発現するタンパク質のさらなる特徴付けのための方法、並びに、標的及び/又はフィンガープリントタンパク質としての同定のための方法を、以下のセクションに示す。
アルツハイマー病に関与するタンパク質の同定のために、各種の方法を使用できる。セクション1.1.1においては、上記タンパク質の同定のために使用できる被検体及びサンプルの産生に利用できるいくつかの実験的パラダイムを記載する。パラダイムコントロール及び実験被検体から得られた物質は、セクション1.1.2において以下に議論されるように、差異的に発現するタンパク質配列の存在について特徴付けされても良い。
アルツハイマー病に関与する差異的に発現するタンパク質の同定のために利用可能なパラダイムにおいては、正常な状態とアルツハイマー病の状態との間で、差異的に発現するタンパク質を分析するように、パラダイムをデザインする。
差異的に発現するタンパク質を同定するために、1.1.1で上述のようなパラダイムで利用する被検体から得た脳組織を得る。さらに、脳組織で差異的に発現するタンパク質は、循環中に放出されるであろうため、血液及び体液を分析しても良い。
パスウェイタンパク質の同定のための方法が、ここに記載される。ここで使用される「パスウェイタンパク質」は、アルツハイマー病に関与する差異的に発現するタンパク質と相互作用する能力を示すタンパク質を指す。パスウェイタンパク質は差異的に発現しても良く、それ故、標的タンパク質及び/又はフィンガープリントタンパク質の特徴を有しても良い。
セクション1.1における上述の方法により同定されるもののような差異的に発現するタンパク質、セクション1.2における上述の方法により同定されるもののようなパスウェイタンパク質、並びに代替的手段によって同定される遺伝子は、例えばここに記載されるものような方法を利用してさらに特徴付けされても良い。上記タンパク質は、「同定されたタンパク質」としてここで称されるであろう。
これらに制限するわけではないが、上述のセクション1.1に同定されたような差異的に発現するタンパク質、並びに上述のセクション1.2に同定されたもののようなパスウェイタンパク質を含む同定されたタンパク質が、ここに記載される。特に、上記同定されたタンパク質のアミノ酸配列を記載する。さらに、同定されたタンパク質に対する抗体、並びに、同定されたタンパク質をさらに特徴付けして利用する細胞及び動物ベースのモデルを、このセクションにおいて記載する。
本発明は、一つ又は複数の差異的に発現するタンパク質又はパスウェイタンパク質のエピトープを特異的に認識可能な抗体の生産のための方法にも関する。そのような抗体は、これらに制限するわけではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、ヒト化又はキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')2断片、Fab発現ライブラリーにより生産される断片、抗イディオタイプ(抗-Id)抗体、及び上記いずれかのエピトープ結合断片を含むことができる。そのような抗体は、アルツハイマー病治療法の一部として用いることができ、及び/又は、フィンガープリント、標的、若しくはパスウェイ遺伝子タンパク質の異常なレベル又は上記タンパク質の異常な形態の存在について被検体を試験することができる診断技術の一部として用いることができる。
アルツハイマー病のためのモデルとして機能する、細胞及び動物ベースのシステムがここに記載される。これらのシステムは、各種の応用で使用されても良い。例えば、動物ベースのモデルシステムは、上述のセクション1.1.1に記載されたパラダイムの一つを介して、差異的に発現するタンパク質を同定するのに使用できる。細胞及び動物ベースのモデルシステムは、上述のセクション1.3に記載されたように、差異的に発現するタンパク質及びパスウェイタンパク質をさらに特徴付けするのに使用しても良い。上記さらなる特徴付けは、例えば、差異的に発現するタンパク質が標的タンパク質であることを示しても良い。第二に、上記アッセイは、以下に記載されるアルツハイマー病の症状を改善可能である化合物を同定するようにデザインされたスクリーニングストラテジーの一部として使用されても良い。かくして動物及び細胞ベースのモデルは、アルツハイマー病の治療において有効である薬剤、医薬、治療薬及び介入を同定するのに使用しても良い。さらに、以下のセクション6に記載するように、上記動物モデルは、動物被検体におけるLD50及びED50を測定するのに使用しても良く、上記データは、潜在的なアルツハイマー病治療のin vivoの効力を測定するのに使用できる。
アルツハイマー病の動物をベースとしたモデルシステムは、これらに限定されないが、非遺伝子組換え動物及び遺伝子操作されたトランスジェニック動物を含んでも良い。
標的タンパクをコードする標的遺伝子配列を含み且つ発現し、そしてさらに、アルツハイマー病に関連する細胞表現形を示す細胞を、アルツハイマー病の症状を改善する能力を示す化合物を同定するために利用することができる。
以下のアッセイは、標的タンパク質に結合する化合物、標的タンパク質と相互作用する他の細胞タンパク質に結合する化合物、及び標的タンパク質と他の細胞タンパク質の相互作用を妨げる化合物を同定するためにデザインされる。上記化合物は、これらに制限するわけではないが、他の細胞タンパク質を含んでも良い。上記細胞タンパク質の同定のための方法は、セクション3.2で以下に記載する。
in vitroシステムは、本発明の標的タンパク質に結合できる化合物を同定するようにデザインすることができる。同定された化合物は、例えば野生型及び/又はミュータント標的タンパク質の活性を調節することにおいて有用であり得、標的タンパク質の生物学的機能を作り上げることにおいて有用であり得、正常な標的タンパク質の相互作用を乱す、又はそれ自身そのような相互作用を乱す可能性のある化合物を同定するためのスクリーニングにおいて用いられることができる。
タンパク質-タンパク質相互作用を検出するのに適した任意の方法を、新規の標的タンパク質-細胞性又は細胞外性タンパク質相互作用を同定するために使用することができる。これらの方法は、パスウェイタンパク質の同定のためのセクション1.2で上述したとおりであり、同定された標的タンパク質と相互作用するタンパク質の同定に関して、ここで利用できる。
本発明の標的タンパクは、in vivoにおいて、一つ又は複数の細胞性又は細胞外性高分子、例えばタンパク質と相互作用しうる。かかる高分子は、以下に限定されるものではないが、セクション3.2で上記のような方法を介して同定されるタンパク質及び核酸分子を含みうる。この議論のため、かかる細胞性及び細胞外性高分子を、「結合パートナー」と称する。かかる相互作用を乱す化合物は、標的タンパク質、特にミュータント標的タンパク質の活性を制御するのに使用できる。かかる化合物は、例えばセクション3.1に記載されるように、以下に限定されないが、抗体、ペプチド等の分子を含む。
これらに制限されないが、上述のアッセイシステムにおいて同定されるもののような化合物を含む任意の結合化合物は、アルツハイマー病の症状を予防又は改善する能力について試験しても良い。アルツハイマー病の症状を改善する上記能力を示す化合物の同定のための細胞ベース及び動物モデルベースのアッセイを、以下に記載する。
アルツハイマー病の症状を改善する方法及び組成物を、以下に記載する。アルツハイマー病は、少なくとも部分的には、標的タンパク質の異常なレベルによって、又は異常な活性を示す標的タンパク質の存在によって、発症するものである可能性が存する。上述のように、上記標的タンパク質のレベル及び/又は活性の減少は、アルツハイマー病様の症状の改善をもたらすであろう。標的遺伝子発現のレベル又は標的タンパク質活性のレベルの減少のための方法を、下記セクション4.1に記載する。
上述のように、アルツハイマー病に関与する標的タンパク質は、標的タンパク質活性の増大したレベルによって上記疾患を引き起こすであろう。各種の方法を、上記標的遺伝子及び/又はタンパク質の発現、合成、又は活性を阻害するために使用しても良い。
アルツハイマー病の症状を予防又は改善する能力を示す化合物の中では、アンチセンス、リボザイム及びトリプルへリックス分子が挙げられる。上記分子は、野生型、又は適切であればミュータント標的タンパク質遺伝子活性のいずれかを減少又は阻害するようにデザインされても良い。上記分子の生産及び使用のための方法は、当業者に周知である。
標的タンパク質に特異的であり、且つ、その活性を妨げる抗体を、標的タンパク質機能を阻害するために使用しても良い。所望する場合、上記ミュータント標的産物の活性を妨げるミュータント標的タンパク質に特異的な抗体を使用しても良い。上記抗体は、上記タンパク質自体に対して、又は上記タンパク質の一部に対応するペプチドに対して、上述のセクション2.3に記載された標準的な方法を使用して生産しても良い。上記抗体は、これらに制限するわけではないが、ポリクローナル、モノクローナル、Fab断片、一本鎖抗体、キメラ抗体等を含む。
アルツハイマー病を引き起こす標的タンパク質は、過小発現させても良い。別法として、アルツハイマー病の症状の進行を導く標的タンパク質の活性を減少させても良い。アルツハイマー病の症状を予防又は改善するレベルに、標的タンパク質のレベルを増大する方法を、このセクションに記載する。標的タンパク質の活性のレベルは、例えば、存在する標的タンパク質のレベルを増大することによって、又は、存在する活性な標的タンパク質のレベルを増大することのいずれかによって増大しても良い。
標的タンパク質の発現、合成、及び/又は活性に影響する同定された化合物、核酸分子、及び細胞は、アルツハイマー病を予防又は治療又は改善するための治療上の有効量で患者に投与することができる。治療上の有効量は、アルツハイマー病の症状の改善を導くのに十分な化合物の量を指し、又は、別法として、上記症状の改善を導くタンパク質の濃度を発現するのに十分な核酸分子の量を指す。
こうした化合物の毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物における標準的な製薬手法、例えばED50(集団の50%において治療上の有効な投与量)による決定について、及び、任意の副作用のED50(毒性-TD50)の測定により決定可能である。毒性と治療有効性との投薬量比は、治療係数であり、TD50/ED50なる比として表すことができる。大きな治療係数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を有する化合物を使用しても良い一方で、注入していない細胞への損害の可能性を最小限にし、副作用を低減するために、こうした化合物を患部組織の部位へと向かわせるデリバリーシステムを、注意して設計するべきである。
本発明に従った使用のための医薬組成物は、一つ又は複数の生理学的に許容可能なキャリアー又は賦形剤を使用して従来の方法において製剤化しても良い。
アルツハイマー病の診断、アルツハイマー病の素因のために、並びに、例えば、臨床試験の間に任意のアルツハイマー病化合物の有効性をモニターするために、及び、アルツハイマー病の治療のための臨床評価を受ける患者をモニターするために、種々の方法を用いることができる。フィンガープリントタンパク質は、また、アルツハイマー病の治療の同定及び/又は選択において補助するために、アルツハイマー病の性質を定義するのに使用することができる。
シングル(ミュータントAPP又はPS-1トランスジェニック)並びにダブル(ミュータントAPP及びPS1トランスジェニック)トランスジェニックマウスを、野生型と比較した。
<サンプル>
凍結したマウスサンプルの一群を、以下の遺伝子型に従ってグループ分けした:[1]PS-1及びAPP遺伝子についてのダブルトランスジェニック(「TT」とする)、[2]PS-1遺伝子についてのシングルトランスジェニック(「WT」とする)、[3]APP遺伝子についてのシングルトランスジェニック(「TW」とする)、並びに、[4]野生型コントロール(遺伝子の改変を行わない、「WW」とする)。4から10匹のマウスを、表1に示すように各群から複数用い、様々な脳領域(海馬、及び、海馬切開後の脳半球の残り)を分析した。
<タンパク質サンプル>
100mgの組織当たり1mlのリシスバッファー(9.5M 尿素、1% DTT、2% CHAPS、0.8% Pharmalyte pH3-10、1:10の濃度の「完全な」プロテアーゼ阻害剤混合物[Roche]を含む)の比率に従って、組織の質量に比例した容量のリシスバッファーで、脳組織を溶解した。400μgの総タンパク質を、micro-preparativeゲルへのローディングのために使用した。このゲルから、対象となる可能性のあるタンパク質スポットを、その後の質量分析のためにカットした。
DeStreak rehydration solution (Amersham Biosciences)を、固定化pH勾配(IPG)ストリップを再水和するために使用し、サンプルを陰極にロードした。2つの異なるpH範囲を使用した。pH範囲4-7及び6-9をカバーする18cmのIPG(リニア)ストリップを使用した。
フォーカシングしたIPGについて二次元目を行う前に、ストリップを、バッファー(1.5M、pH8.8、Tris[Genomic Solutions]、6M 尿素[Gibco]、30%グリセロール[BDH]、2% SDS[Genomic Solutions]、0.01%ブロモフェノールブルー[Sigma]、1% IAA[Sigma]を含む)内で15分間平衡化し、その後、4.8% IAA[Sigma] を含むバッファーで更に15分間平衡化する。DALTシステム[Amersham Biosciences]による12% T/2.6% C分離ゲルを用いて、SDS-PAGEを一晩(20mA/ゲル、10℃)かけて行った。アクリルゲルはBDHから供給され、SDS-PAGEランニングバッファーに用いる試薬(Tris、SDS、グリシン)は、Genomic Solutionsから供給された。使用した全ての水は、Elga Maxima Life Sciences water purification unitから供給された、18.2MΩcm-1であった。
二次元目の終了後は、ゲルを一晩固定した(50%メタノール、10%酢酸)。分析用ゲルを、市販の銀染色キット(「OWL」、Insight Biotechnology Ltd.)を用いて染色した。micro-preparativeゲルは、改変したプロトコール[1]による、質量分析に適した銀染色(「Plus-One」、Amersham Biosciences)を使用して染色した。使用した全ての水は、Elga Maxima Life Sciences water purification unitから供給された、18.2MΩcm-1であった。銀染色後、全てのゲルを、Molecular Dynamics Personal Densitometer SIを使用して、100μmの解像度でスキャンした。その後、染色した分析ゲルを、比較定量分析のために使用し、分析後に、対象となる可能性のあるタンパク質を、相当するmicro-preparativeゲルで特定し、このゲルからスポットをカットし、質量分析に供して、存在するタンパク質の同定を確立した。
ゲルイメージの分析を、Progenesis software, version 2003.2(NonLinear Dynamics)を使用して、幾つかの工程で実施した。自動イメージ調整(ゲルスポット検出、ゲルイメージマッチング並びに補正、バックグラウンド除去及び定量標準化)を、ソフトウェアにより自動で一晩実施し、その後、ゲルイメージの簡単な手動による編集を行い、マッチング精度を75%まで上げた。その後、マッチング精度を85%より上げるのに必要な細かい手動によるイメージ編集を行い、比較分析に続き、事前に行った分析により見出した対象となる可能性のある全てのタンパク質スポットの視覚による詳細な確認が可能となった。バックグラウンド除去及び総スポット容量への標準化後に、タンパク質スポットデータを、定量統計分析及び定量的な変化の比較のためにExcelに移行した。
<Studentのt検定>
独立した2つの群の比較を、Studentのt検定を使用して、95%の信頼区間で実施した。各トランスジェニック群を、野生型に対して比較した。統計分析に含まれるスポットについては、少なくとも60%のゲルで存在する必要があった。顕著な結果を証明するために、前記比較に含まれる遺伝子型の混じり合ったものを含む5つの群を、それぞれの比較のために、ランダムに作製した。2つの群の比較のためのStudentのt検定を、前記と同じ方法を使用して、これらの混じり合った群で実施した。
PCAは、全てのデータセットで行った。最初に、全ての群で分析し、その後に、ww及びtt群のみで分析した。変数として含まれるスポットは、いずれか一つの群から少なくとも60%のゲルに存在するスポットとした。
野生型と比較した場合に、1匹より多いトランスジェニック群において類似の発現の変化を示すことが見出されたスポットを、銀染色したmicro-preparativeゲルから切り出して、LC/MS/MSを使用して同定した。
野生型と比較した場合に、トランスジェニックモデルのいずれか一つに存在又は非存在のスポット。使用した方法は、各スポットが、少なくとも60%のゲルに存在しなければならないというものであった。
その後の質量分析の前に、in-gel還元、アルキル化及び分解(トリプシンを用いた)を実施した。システイン残基を、DTTで還元し、ヨードアセトアミドを用いた処理によって誘導体化して、安定なカルバミドメチル(CAM)誘導体を形成した。トリプシン分解は、最初の1時間を37℃でインキュベーションしてから、一晩室温で実施した。
必要ならば、分解したタンパク質サンプル(4μl)を、ZipTip C18マイクロチップ(Milipore)を使用して脱塩した。ペプチドを、4μlの50%アセトニトリル/0.1%トリフロオロ酢酸で溶出した。0.5μlを、その後、0.5μlのマトリクス(a-シアノ-4-ヒドロキシ-桂皮酸)とともにターゲットプレートにロードした。Voyager DE-PRO MALDI-TOF mass spectrometer(Applied Biosystems)を使用して、ペプチド質量フィンガープリントを得た。マススペクトルを、遅延引き出しの反射モードで得た。自己分解ペプチドの質量2163.0569Daを、その後に、内部基準物質として使用して、50ppmより良好な質量精度を達成した。
ゲル片から、アセトニトリルと水性液との連続した洗浄によって、ペプチドを抽出した。抽出物を最初の上清とともにプールし、凍結乾燥した。その後、各サンプルを7μlの50mM重炭酸アンモニウムで再懸濁し、LC/MS/MSによって分析した。クロマトグラフィーによる分離は、Ultimate LC system(Dionex, UK)を使用して実施した。75μmのC18 PepMapカラムを用いた逆相クロマトグラフィーにより、ペプチドを分離した。0.05%のギ酸を含むアセトニトリル勾配を用いて、流速200nl/分で、ペプチドを溶出した。Qtof-micro(Walters Corp, USA)にフィットさせたZ-spray源を使用したエレクトロスプレーイオン化により、ペプチドをイオン化した。装置をセットし、自動スイッチングモードで作動させ、衝突誘発断片化によるシークエンシングのために、その強度に基づいて前駆イオンを選択した。ペプチドのm/z及び電荷状態に基づいて選択した衝突エネルギープロファイルを使用して、MS/MS分析を行った。
質量スペクトルデータを、ペプチド質量リスト(MALDIデータ)及びピークリスト(MS/MSデータ)へと加工し、Swiss Prot Database version 43(2004年3月現在)に対して、Mascot software(Matrix Science, UK)を使用して検索した。カルバミドメチル(C)及び酸化(M)を、検索パラメーターにおけるvariable modificationとしてセットした。高いレベルの信頼性が、これらのタンパク質の同定にアサインすることができ、これは、その結果が、各タンパク質に由来する複数のペプチドについてのMS/MSデータの正確なマッチングに基づくからである。
<ゲルイメージ分析>
ゲルイメージを、87%の精度を有する複製イメージレベルで、お互いにマッチさせた(表1参照)。いわゆる平均的なゲルイメージ(複製群のそれぞれに由来)を、その後、90%の精度でマッチさせた(表2参照)。
<Studentのt検定>
海馬のpH6-9(ww vs tw)及びpH4-7(ww vs tt)のみが、偶然のみによって予期される(表2、濃い灰色で強調)よりも多くの数の有意な差異が生み出された。薄い灰色で強調した数(表2)は、明らかに真の有意差があるスポットを示す。
大部分のPCAスコアプロットの分析によっては、集団の帰属関係と相関する明確なクラスターが明らかにならなかった。この例外が、海馬4-7ゲルにおけるwwとttの比較であった(図2)。
野生型と比較して、一つより多いトランスジェニック群において存在する全体で19のスポットが、統計的に有意である(p≦0.05)ことが見出され、その発現において類似の倍数変化を示した(図7)。
3個のスポットが、質的変化を示した(すなわち、一つの群しか存在しなかった)。海馬4-7ゲルについては、2個の質的変化が存在した。これらのスポットのうちの一つは、野生型のみに存在し、他の3個の遺伝子型には存在しなかった。もう一つは、ダブルトランスジェニック群(tt)には存在しなかったが、他の3つの群には存在した。海馬6-9ゲルについては、一つのスポットが、野生型(ww)群のみに存在した。
アルツハイマー病においては、タンパク質発現の主要な変化は、学習及び記憶に関連する脳の領域で生じると思われる。この理由のために、タンパク質変化の分析は、海馬組織に集中している。pH4-7及び6-9のIPGによる一次元目条件を使用した2Dゲル電気泳動によるタンパク質分離により、この組織で発現するタンパク質の1000を超えるスポットの提示が可能となった。野生型とダブルトランスジェニック動物とのタンパク質発現を比較するための包括的なイメージ分析により、海馬及びROHについて、全体で47のタンパク質スポットが、2つの異なる勾配(pH4-7及びpH6-9)において、その発現の有意な変化を示すことが判明した:
3個の質的な変化が見出された(図3)。
28個のスポットが、海馬pH4-7で同定された(図4)。
7個のスポットが、海馬pH6-9で同定された(図5)。
5個のスポットが、ROH pH4-7で同定された(図6)。
<サンプル調製>
血液を、14週齢のトランスジェニックマウス及び野生型マウス(n=18)から採血し、血漿サンプルを、9.5M 尿素、2% CHAPS、1% DTTで希釈した。
血漿サンプルのプロファイリングを、eight spot strong anion exchange (Q10) protein chipを使用して実施した。全てのサンプルについて、2サンプルずつ、且つ、無作為の方法で実験した。Q10 chipを、100mM Tris HCl pH9.0で、4回平衡化した。5μlの希釈したサンプルを、各スポットにアプライして、chipを、保湿チャンバー内で45分間インキュベートした。サンプルを注意深く取り出し、100mM Tris HCl pH9.0で、chipを四回洗浄し、その後、18.2MΩ水で洗浄した。マトリクス溶液(シナピン酸-20mg/ml)を、50%アセトニトリルと0.5%トリフルオロ酢酸で調製し、二回、0.6μlで各スポットにアプライした。PBS-IIc reader(Ciphergen Biosystems)を使用して、データ獲得を行った。レーザー強度200、検出器感度8、及び、ファーカスマス(focus mass)25000を有するショットを合計155回使用して、スペクトルを得た。ベースライン除去及び総イオン数への標準化を、全てのスペクトルについて実施した。スペクトルの内部キャリブレーションは、各スペクトルにおける2つのピークの最小値を使用して実施した。
<データ移行及び予めの加工>
多変数分析については、未加工のスペクトルをコンマで区切った(csv)形式に移行し、インハウスのプログラム(SMSS_0_3)をそれぞれの未加工のスペクトル上で実施し、各スペクトルにおける対応するマスについて強度値をアライメントした。個々の加工したスペクトルデータを、SIMCA-P(Umetrics)へと移行するために、一つのExcel(Microsoft)表計算シートに編集した。m/z 0からm/z 100,000の質量電荷比に対応する変数を、平均値に集中させた。
PCAモデルを、SIMCA-Pを使用した内部ルールに従ってフィットするできるだけ多数の成分(A)を有するデータセットにフィットさせて、成分の有意性を求めた(Eriksson et al. 2001)。goodness of fit(R2)及びgoodnes of prediction(Q2)パラメーターを使用して、モデルにフィットさせたその後に続く成分のそれぞれの有用性を評価した。Q2パラメーターが増加する間は、自動的にフィットさせた成分を調査して、続けた。最終的に許容された成分についての累積R2パラメーターによって、モデルによって説明されるデータの全体的な分散比率が得られた。主要成分(a)のペアについてobservation score(t)及びvariable loading(p)を示すプロットを作成した。スコアプロットを調べて、その後の分類化の妨げになる恐れのあるシステマチックなバラツキ(systematic variation)及び範囲外の観察(outlying observation)のパターンを探した。特に、各チップ上で分析した観察の部位を丹念に調べ、通常ではないチップについてチェックした。二重サンプル分析の再現性も、スコアプロットを使用してチェックした。スコアプロットの楕円形は、95%でのHotellingのT2、信頼区間の多変数適応に対応する。多変数通常分布を有するデータセットについては、観察の95%が、楕円によって含まれる領域に存在すると予期され、それ故、楕円の外に遠く離れた観察は、調査し評価すべき問題を示しているかもしれない。スコアプロットの調査を介して発見された傾向は、対応するローディングプロットに見出された変数の調査を介して解釈された。極端なプロットでプロッティングされた個々のm/z値は、群の分離に最も影響を及ぼすと考えられる。興味深いことに、このようなプロットは、幾つかの連続したm/zデータポイントを示し、これらは、SELDIプロファイルそれ自身で観察された元のピークを効率的に表す。
PLS-DAモデルの成分(A)を、SIMCA-Pによって使用したクライテリアを満たす限り、データセットにフィットさせて、成分の有意性を求めた(Eriksson et al. 2001)。PCAモデリングについては、R2及びQ2パラメーターを調査し、どの成分が、モデルに含まれているかを求めた。PCAモデリングと異なり、PLS-DAモデルは、X(測定)変数及びY(クラス)変数の両方へのモデルのフィットを示すR2値を有する。PLS成分(a)のペアについて、observation score(t)及びvariable weight(w*c)を示すプロットが得られた。X及びYデータを両方近似させて、XとYデータとの相関関係を最大になるように、各PLS成分をフィットさせたので、データセットに少しの群が存在する場合には、実際には、最初の1つ又は2つの成分が、通常は、観察を分離する。PLS weightは、PCA loadingに相似しているので、PLSスコア及びweight plotの解釈は、PCAモデルを解釈するのに使用したのと類似している。HotellingのT2をコンピューターで計算し、全てのPLSスコアプロット上で示して、deviating observationの同定の助けとした。
(新規の)サンプルのクラスを正確に予期するために作成したPLS-DAモデルの能力を、2分割交差検定により求めた。交差分割は、データセットをトレーニングセット及びテストセットへと分割することによって実施した(奇数をトレーニングセットのために用い、偶数をテストセットのために用いた)。PLS-DAモデルを、データセットのトレーニング部分にフィットさせ、その後、データセットのテスト部分のクラスを予期するのに使用した。その後、トレーニング及びテストデータセットを、交代させ、この工程を繰り返した。両方のテストのラウンドに由来する正確な分類及び不正確な分類の数を記録し、予測の感度及び特異性を計算するのに使用した。
variable influence on projection(VIP)及びPLS-coefficient(COEFF)と称する2つのパラメーターを、どのm/z値が、モデルを定義するのに及び群を説明するのに最も重要かを求めるために使用した。特異的な閾値を実験的に求めて、閾値よりも低いVIP及びCOEFF値を有する変数を除外するのに使用した。前記交差検定方法を、選択した変数を含むデータセットにフィットしたPLS-DAモデルにアプライした。
自動ピーク検出及びマッチングを、全てのスペクトルで実施し、その後、このデータをMann-Whitney検定を使用した統計的有意差検定のためのBiomarker Wizard moduleに供した。p≦0.05のピークを視覚的に調査し、シングルピークに対応するか、ベースラインのノイズに対応しないかをチェックした。認められるピークを、手作業で印をつけ、これらのピークの物質質量及び強度データを、Excelに移し、各ピークについての倍数を計算した。マッチさせたピークの各セットの領域又は強度で見られた傾斜分布のために、分布の平均値及び中央値並びに標準偏差の計算に先立ち、データをlog10変換した。倍数及び効果量(Cohen’s D)を計算するために、分布のパラメーターを、その後、元のスケール上に戻した。効果量は、プールした標準偏差によって分割された2つの群の平均値間の差異として計算した。
対象とする第一の潜在的なマーカーとして考慮するためには、各バイオマーカー(ピーク)が、以下の3つの基準を満たさなければならない。ピークを、PLS-DAによるVIP及びCOEFFパラメーターに従って選択する。各群の平均ピーク強度間の差異は、Mann-Whitney検定によって統計的に有意(p≦0.05)である。群の平均及び中央ピーク強度間の差異が、≧1.5倍増加又は減少する。
2つのタイプの第二の潜在的なバイオマーカーのリストを、多変数又は一変数分析のいずれかに基づいて作成した。
各群の平均ピーク強度間の差異が、Mann-Whitney検定による統計的に有意(p≦0.05)である。
群の平均及び中央ピーク強度間の差異が、≧1.5倍増加又は減少する。
ダブルトランスジェニックマウスにおける第一の潜在的なバイオマーカーとして同定されたピークを、更なる分析に供して、そこに含まれるタンパク質を同定した。この実験は、SELDI proteinchipから血漿物質を抽出すること、及び、1-Dゲル上での成分タンパク質を分離することによって実施した。タンパク質を、MS-適合銀染色を使用して可視化し、対象とする幾つかのSELDIピークのm/z値と等価な分子量のゲルバンドを切除した。タンパク質を、in-gel分解手法及びLC/MS/MSを使用して同定した。タンパク質の同定後、MassLynx software suite内のBioLynx分析ツールを使用して、同定を合理化する試みを行った。この分析において、対象とするSELDIピーク内に、同定したタンパク質断片の存在を確認することができた。
血漿物質を、Q10 proteinchip(強アニオン交換クロマトグラフィー)から、5μlの加温したLaemmliバッファーのアップ/ダウンピペッティングを1分間行うことによって、抽出した。(サンプルを、対応する遺伝子型集団にプールした。)抽出後のスポットをSELDI機器で再び読み込んだところ、ピークが観察されなかったことから、この抽出方法が、proteinchipに結合した物質を取り出すのに非常に有効であることが判明した。
野生型(ww)及びダブルトランスジェニック(TT)のproteinchip抽出物を、NOVEX電気泳動装置(Invitrogen)で、1.5mmの厚さの16% tris-グリシン1-Dゲル(Invitrogen)を使用してSDS-PAGEによって分離した。16%ゲルを使用して、対象とするSELDIピークの大部分の分子量に対応する27kDa未満の領域におけるバンドの十分な物理的分離及び分解を達成した。ゲルを、上部のブロモフェノールブルー色素がゲルの底に達成するまで、1時間80Vで泳動し、その後、1時間30分120Vで泳動した。電気泳動後、デジタルイメージを得るために、ゲルを、銀染色に適合する質量分析(改変したPlus One kit[GE Healthcare])を使用して染色し、「Personal Densitometer SI」(Molecular Dynamics)を使用してスキャンした。
<酵素による分解>
対象とするSELDIピークのm/z値に対応する分子量のゲルバンドを、手動により切除した。質量分析によるその後の分析の前に、In-gel還元、アルキル化及び分解(トリプシンを用いた)を実施した。システイン残基をDTTで還元し、ヨードアセトアミドを用いた処理によって誘導体化し、安定なカルバミドメチル(CAM)誘導体を形成した。トリプシン分解物を、最初の1時間は37℃でインキュベートし、その後、一晩室温でインキュベートした。
ゲル片から、アセトニトリルと水性液との連続した洗浄によって、ペプチドを抽出した。抽出物を最初の上清とともにプールし、凍結乾燥した。その後、各サンプルを23μlの50mM重炭酸アンモニウムで再懸濁し、LC/MS/MSによって分析した。クロマトグラフィーによる分離は、Ultimate LC system(Dionex, UK)を使用して実施した。75μmのC18 PepMapカラムを用いた逆相クロマトグラフィーにより、ペプチドを分離した。0.05%のギ酸を含むアセトニトリル勾配を用いて、流速200nl/分で、ペプチドを溶出した。QTof-micro(Micromass, UK)にフィットさせたZ-spray源を使用したエレクトロスプレーイオン化により、ペプチドをイオン化した。装置をセットし、自動スイッチングモードで作動させ、衝突誘発断片化によるシークエンシングのために、その強度に基づいて前駆イオンを選択した。ペプチドのm/z及び電荷状態に基づいて選択した衝突エネルギープロファイルを使用して、MS/MS分析を行った。
質量スペクトルデータピークリスト(MS/MSデータ)を、Swiss Prot又はnon-redundant databaseに対して、Mascot software(Matrix Science, UK)を使用して検索した。特定のアミノ酸修飾パラメーター、すなわち、可変のシステインカルバミドメチル化修飾(還元及びアルキル化反応に由来する)及び可変のメチオニン酸化修飾を使用して、データを検索した。
MassLynx software suiteのBioLynx moduleを使用して、最初の対象であった7つのSELDIピークを分析した。対象とするSELDIピークの質量とマッチする、試験により産生したタンパク質の断片の可能性を予測するために、それぞれの同定したタンパク質について、アミノ酸配列を、BioLynxを使用して分析した。更にその上、それぞれの予測した断片についてのアミノ酸は配列を、Mascotで観察されたLC/MS/MS断片を用いてチェックした。原則的に、この方法でのBioLynxの使用により、対象とするSELDIピークの質量とマッチする質量のタンパク質の有望な断片の存在の確認が可能となる。断片が複数のピークにおいて表れるタンパク質は、潜在的に、バイオマーカーとして大いに興味深い。
SDS-PAGE上で、14kDa未満の領域における幾つかの十分に分離した薄い特定のバンドを可視化した。MS分析のための3-11kDa領域をカバーするTTゲルレーンから、22個のゲルバンドを手動で切除した。各バンドペア、例えばTT11及びTT27を、一つのエッペンドルフチューブに回収し、〜1mm立方体にカットした。このようにプールした後、8つのサンプルを、LC-MS/MSによって分析した。8つのサンプルの分析を包含する完全なデータセットを使用して、全体で65個のタンパク質を同定することが可能となった;しかしながら、これらの多くは、複数のゲルバンドに存在し、24個の特徴的なタンパク質のみが存在することが示された(表7)。これにより、複数のタンパク質断片化形態が存在することが示唆された。
Claims (44)
- 以下の工程:
(a)少なくとも一つのタンパク質が、アルツハイマー病を有する被検体又はアルツハイマー病になりやすい素因を有する被検体、及び正常な被検体から得た関連組織、又は上記被検体の代表的な関連組織において差異的に発現するというパラダイムを確立する工程;
(b)スクリーニングされる薬剤で処理された、アルツハイマー病を有する被検体から得た関連組織、又は上記被検体の代表的な関連組織のサンプルを得る工程;
(c)処理された被検体から得た組織、又は上記被検体の代表的な関連組織において差異的に発現するタンパク質の存在、不存在、又は発現の度合いを測定する工程;並びに
(d)アルツハイマー病を有する処理された被検体において差異的に発現したタンパク質の発現、活性又は量を、正常な被検体のものへと変化させる程度に従って、上記薬剤を選択又は拒絶する工程;
を含む、アルツハイマー病の治療における有用性を決定するための薬剤のスクリーニング方法。 - 上記薬剤が、タンパク質の発現を、正常な被検体のものに変換するのであれば、上記薬剤を選択する、請求項1記載の方法。
- 上記パラダイムが、アルツハイマー病の動物モデルである、請求項1又は2記載の方法。
- 上記動物モデルが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びプレセニリン-1(PS-1)ダブルトランスジェニックマウス及び野生型マウス、並びに/又はシングルトランスジェニックAPPマウス及び/若しくはシングルトランスジェニックPS-1マウスに基づく、請求項3記載の方法。
- 上記組織サンプルが、脳組織サンプルである、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
- 上記組織サンプルが、血液、血清又は脳脊髄液サンプルである、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
- タンパク質発現の差異的なレベルを有する被検体が、
(a)請求項9記載のトランスジェニックマウス及び野生型マウス;並びに
(b)上記薬剤で処理しなかった請求項4記載のトランスジェニックマウス、及び上記薬剤で処理した請求項4記載のトランスジェニックマウス
を含む、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。 - タンパク質発現の差異的なレベルを有する被検体が、
(a)上記薬剤で処理した野生型マウス、及び上記薬剤で処理しなかった野生型マウス;並びに
(b)上記薬剤で処理した請求項4記載のトランスジェニックマウス、及び上記薬剤で処理しなかった請求項4記載のトランスジェニックマウス
を含む、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。 - サンプルに存在するタンパク質が、上記関連組織又はそのタンパク質含有抽出物で実施される二次元ゲル電気泳動又はSELDI分析を使用して確立される、請求項1から8のいずれか一項記載の方法。
- 上記タンパク質を、上記タンパク質を分析するための質量分析及びデータベース検索を使用して、事後的に同定する、請求項9記載の方法。
- 上記方法で同定した差異的に発現するタンパク質を単離する工程を更に含む、請求項1から10のいずれか一項記載の方法。
- 上記単離したタンパク質を特徴付けする工程を更に含む、請求項11記載の方法。
- 上記差異的に発現するタンパク質が、図3から6又は表7で示すタンパク質の一つ又は複数を含む、請求項1から12のいずれか一項記載の方法。
- 上記タンパク質が、グアノシンジホスフェート解離阻害因子1、ジヒドロピリミジニアーゼ関連タンパク質2、プロテアソームサブユニットアルファタイプ6、アポリポタンパク質E、シナプシンII、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼアイソザイムL1、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、グルタチオンS-トランスフェラーゼmu 1、チューブリンベータ-4鎖、WWドメイン結合タンパク質2、真核生物翻訳開始因子4H、チューブリンベータ-3、神経タンパク質Np25、フルクトース-ビスホスフェートアルドラーゼA、フルクトース-ビスホスフェートアルドラーゼC、ヌクレオリシンTIA関連タンパク質、ペプチジルプロリルイソメラーゼD、電位依存性アニオン選択的チャンネルタンパク質1及びミトコンドリア アセチル-CoAアセチルトランスフェラーゼ前駆体の一つ又は複数を含む、請求項13記載の方法。
- 上記タンパク質の特異的な結合パートナーのためのアッセイにおいて、上記タンパク質を使用する工程を更に含む、請求項11又は12記載の方法。
- 上記タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニストのためのアッセイにおいて、上記タンパク質を使用する工程を更に含む、請求項11又は12記載の方法。
- 上記薬剤又はタンパク質が、ハイスループットスクリーニング方法を使用してスクリーニングされる、請求項1から16のいずれか一項記載の方法。
- 請求項1から17のいずれか一項記載の方法を使用して薬剤を同定する工程、更に、上記薬剤を製造する工程、上記薬剤を許容可能なキャリアーと調合して医薬組成物を提供する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
- アルツハイマー病の治療のための医薬の製造における、図3から6若しくは表7で示すタンパク質から選択されるタンパク質、又は、図9で示す対応するヒトタンパク質の使用。
- 上記タンパク質が、図3から6で示すスポット1341、1498、1976、1017、884、1023及び1823で表されるタンパク質、又は図9で示す対応するヒトタンパク質から選択される、請求項19記載の使用。
- アルツハイマー病の治療のための医薬の製造のための、請求項1から17のいずれか一項記載の方法によって同定された薬剤、結合パートナー、アゴニスト又はアンタゴニストの使用。
- 上記アゴニストが活性化抗体である、請求項21記載の使用。
- 上記アゴニストが、ブロッキング抗体、アンチセンス分子、siRNA、リボザイム又はトリプルヘリックス分子である、請求項21記載の使用。
- 請求項1から17のいずれか一項記載の方法によって同定した薬剤の治療上又は予防上の有効量を患者に投与する工程を含む、患者においてアルツハイマー病を治療する方法。
- 患者に由来するサンプル中の、図3から6若しくは表7で示すタンパク質、又は、図9で示す対応するヒトタンパク質の一つ又は複数の存在又は量を測定する工程を含む、患者におけるアルツハイマー病をin vitroで診断する方法。
- 上記サンプルが、血液、血清又は脳脊髄液サンプルである、請求項25記載の方法。
- 特異的な抗体を用いて上記タンパク質を検出する工程を含む、請求項25又は26記載の方法。
- 上記サンプルについて二次元ゲル電気泳動を実施する工程を含む、請求項25又は26記載の方法。
- 一つ又は複数の候補化合物が、図3から6若しくは表7で示すタンパク質、又は、図9で示す対応するヒトタンパク質の一つ又は複数の発現又はレベルを調節することができるかどうかを測定する工程
を含む、アルツハイマー病の予防又は治療に潜在的に有用な化合物のためのスクリーニング方法。 - in vitro方法である、請求項29記載の方法。
- アルツハイマー病の治療又は予防のための薬剤としての適合性について、候補化合物をスクリーニングするための、図3から6若しくは表7で示すタンパク質、又は、図9で示す対応するヒトタンパク質の使用。
- 以下の工程:
(a)少なくとも一つのタンパク質が、アルツハイマー病を有する被検体及び正常な被検体から得た関連組織、又は上記被検体の代表的な関連組織において差異的に発現するというパラダイムを確立する工程;
(b)上記被検体から上記組織のサンプルを得る工程;
(c)上記サンプルにおける差異的に発現するタンパク質の存在、不存在又は発現の度合いを測定する工程;並びに
(d)上記測定値と臨床上の情報の間の従前の相関関係を参考にして、アルツハイマー病の発症について測定値を関連させる工程;
を含む、ヒト又は動物被検体におけるアルツハイマー病の性質又は度合いを測定する方法。 - 上記組織サンプルが、血液、血清又は脳脊髄液である、請求項32記載の方法。
- 少なくとも4つのタンパク質が、上記パラダイムにおいて、差異的に発現する、請求項32又は33記載の方法。
- 上記差異的に発現するタンパク質が、図3から6又は表7で示すタンパク質の一つ又は複数を含む、請求項32から34のいずれか一項記載の方法。
- 上記タンパク質が、グアノシンジホスフェート解離阻害因子1、ジヒドロピリミジニアーゼ関連タンパク質2、プロテアソームサブユニットアルファタイプ6、アポリポタンパク質E、シナプシンII、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼアイソザイムL1、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、グルタチオンS-トランスフェラーゼmu 1、チューブリンベータ-4鎖、WWドメイン結合タンパク質2、真核生物翻訳開始因子4H、チューブリンベータ-3、神経タンパク質Np25、フルクトース-ビスホスフェートアルドラーゼA、フルクトース-ビスホスフェートアルドラーゼC、ヌクレオリシンTIA関連タンパク質、ペプチジルプロリルイソメラーゼD、電位依存性アニオン選択的チャンネルタンパク質1及びミトコンドリア アセチル-CoAアセチルトランスフェラーゼ前駆体の一つ又は複数を含む、請求項35記載の方法。
- アルツハイマー病を治療するための有効な治療法を決定する工程を更に含む、請求項32から36のいずれか一項記載の方法。
- アルツハイマー病を有する被検体及び正常な被検体から得た関連組織、又は上記被検体の代表的な関連組織において差異的に発現するタンパク質であり、上記の組織又はそのタンパク質含有抽出物で実施した二次元ゲル電気泳動方法によって入手可能であるタンパク質であって、上記方法が、以下の工程:
(a)3mm×180mmのアクリルアミドポリマーの非直線状固定化pH勾配(IPG)ストリップを準備する工程;
(b)尿素(8M)、3-[(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート(CHAPS、2%w/v)、ジチオエリスリトール(DTE、10mM)、pH3.5から10の酸及び塩基の混合物(2%w/v)、及び微量のBromophenol Blueの水溶液を25ml含むカセット中で、上記IPGストリップを再水和する工程;
(c)上記カセットから液体を除き、湿った電極芯、電極、及びサンプルカップを備えた電気泳動トレーに上記ストリップを移し、上記ストリップとカップを低粘度のパラフィン油で覆う工程;
(d)上記IPGストリップの陰極末端で、サンプルカップに、尿素(8M)、CHAPS(4%w/v)、Tris(40mM)、DTE(65mM)、SDS(0.05%w/v)、及び微量のBromophenol Blue中で、関連生体組織の乾燥粉末化した材料の水溶液の200マイクログラムを適用する工程;
(e)3時間で300から3500Vまで直線状に増加させ、その後さらに3時間3500Vとし、その後pI依存性最終地点に、上記ストリップ中で上記タンパク質が移動するのに十分な時間5000Vとした電圧で、ゲル上で等電点電気泳動を実施する工程;
(f)Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)及びDTE(2%w/v)を含む100mlの水溶液で12分間、トレー内で上記ストリップを平衡化する工程;
(g)5分間この溶液を、Tris-HCl(50mM)pH6.8、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)、ヨードアセタミド(2.5%w/v)、及び微量のBromophenol Blueを含む100mlの水溶液によって置換する工程;
(h)リーディングバッファーとしてのTris-HCl(0.375M)pH8.8中のTEMED(0.5%w/v)、過硫酸アンモニウム(0.1%w/v)、及びチオ硫酸ナトリウム(5mM)の存在下で重合した、アクリルアミド/ピペラジン-ジアクリリル架橋剤(9-16%T/2.6%C)の160×200×1.5mmの縦勾配スラブゲルを準備する工程;
(i)約2時間sec-ブタノールで上記ゲルを浸し、この液を除去し、それを水と置換する工程;
(j)陽極末端から6mmと陰極末端から14mmを除去して、二次元電気泳動のために適したサイズにIPGゲルストリップを切断する工程;
(k)リーディングバッファーとしてのアガロース(0.5%w/v)及びTris-グリシン-SDS(25mM-198mM-0.1%w/v)の水溶液でスラブゲルを浸し、70℃に加熱し、この浸した溶液を通じてスラブゲル上に上記IPGゲルストリップを乗せる工程;
(l)8-12℃で5時間40mAの一定電流で、二次元電気泳動を実施する工程;並びに
(m)ゲルを洗浄する工程;
を含む、タンパク質。 - 以下の工程:
a)図3から6又は表7で示すタンパク質から少なくとも一つの候補タンパク質を選択する工程;
b)狭い範囲の固定化pH勾配(IPG)を使用した二次元ゲル電気泳動を介して、組織サンプル中の他のタンパク質から、上記候補タンパク質が分離可能なpH範囲を選択する工程;
c)上記で選択したpH範囲のIPGを使用した二次元ゲル電気泳動によって、生物学的サンプル中の他のタンパク質から、上記候補タンパク質を分離する工程であって、上記サンプルが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びプレセニリン-1(PS-1)ダブルトランスジェニックマウス並びに野生型マウスから得られたものである工程;
d)トランスジェニックマウス及び野生型マウスから得られたゲルにおけるスポットの強度を比較する工程;
e)強度がゲルの間で異なるスポットを選択する工程;並びに
f)上記スポットにおけるタンパク質を同定する工程;
を含む、アルツハイマー病の患者とアルツハイマー病ではない患者との間で発現のレベルが異なるタンパク質を同定する方法。 - シングルトランスジェニックAPPマウス及び/又はシングルトランスジェニックPS-1マウスに由来するサンプルも比較する、請求項39記載の方法。
- 上記生物学的サンプルが脳組織である、請求項39又は40記載の方法。
- 上記生物学的サンプルが海馬又は脳半球組織である、請求項41記載の方法。
- 上記生物学的サンプルが、血液、血清又は脳脊髄液である、請求項39又は40記載の方法。
- 上記工程(f)が、質量分析を使用して上記タンパク質を分析する工程、及び、データベースを検索して上記タンパク質を同定する工程を含む、請求項39から43のいずれか一項記載の方法。
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