JP2008509072A - 改良型ワクチン用のポリペプチド‐アジュバント複合体 - Google Patents

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Abstract

免疫原性の強いポリペプチドを免疫原性の弱いポリペプチドに結合させることにより、CpGアジュバントを沈殿かつ集中させて、in vivoにおける細胞傷害性T細胞(CTL)の応答のプライミングを増強し、よって前記免疫原性の弱いポリペプチドの免疫原性を増強することができる。従って、本明細書では二分型の免疫原性ポリペプチドを含む組成物が提供される。この二分型ポリペプチドは、CTL活性化アミノ酸配列に融合したCpG相互作用性アミノ酸配列を含みうるものであり、該CTL活性化アミノ酸配列はCpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一(ヘテロ)でもよい。CpG相互作用性アミノ酸配列および二分型の免疫原性ポリペプチドを特定および使用する方法も提供される。

Description

本発明は概して免疫療法の分野に関し、より具体的には増強された免疫原性ポリペプチドに関する。
(関連出願)
本願は2004年2月6日に出願された米国仮特許出願第60/542,371号の優先権を主張する。
(政府の支援)
本明細書に記載の研究は、少なくとも一部については、米国国立衛生研究所の助成番号AI−16052として米国政府より受けた基金を用いて実施されたものである。
(背景)
腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)は、腫瘍細胞特異的な細胞溶解に優れており一般の細胞への被害が少ないことから、免疫療法に関して主要な関心を集めてきた。そのような免疫療法の目的は、腫瘍特異的なポリペプチドに対して特異的なCTLの増殖の開始刺激を与えること(プライミング)である。
主要組織適合性複合体(MHC)にマッピングされる遺伝子にコードされているタンパク質は、細胞傷害性T細胞およびヘルパーT細胞に対して短いポリペプチドを提示する。これらの短いポリペプチドは、特異的なT細胞の活性化および増殖を刺激する。ワクチン投与により感染性因子や腫瘍から個体を保護するために、これらの免疫原性ポリペプチドを用いることが、これまでの主たる関心の対象となっていた。主に注目されてきたのは、MHCクラスI分子が細胞傷害性T細胞(CTL)に対して提示するポリペプチドであった。ヒトのがんの場合、通常これらのポリペプチドはサイトカインやアジュバントとともに油中エマルジョンとして注射される。重要なことは、使用されるポリペプチドが一般にMHCクラスI分子に最適に結合する長さであることである。
本発明の目的は、改良型ワクチン用のポリペプチド‐アジュバント複合体を提供することである。また本発明の目的は、増強された免疫原性ポリペプチドを提供することである。
本発明は、少なくとも部分的には、免疫原性の比較的弱いポリペプチドに結合した免疫原性の強い短いポリペプチドが、CpGアジュバントを補完してin vivoにおける細胞傷害性T細胞(CTL)の応答の開始刺激(プライミング)を増強し、その結果免疫原性の比較的弱いポリペプチドの免疫原性を増強するという発見に基づいている。免疫原性の強いポリペプチド(本明細書では「CpG相互作用性アミノ酸配列」と称する)は、少なくとも1つのシステイン(Cys)残基と、任意選択で少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含みうる。さらにCpG分子は、ホスホロチオエートジエステル結合に含まれるような少なくとも1つの硫黄原子を含みうる。従って、本発明は、CTL活性化アミノ酸配列に融合したCpG相互作用性アミノ酸配列を含む二分型(bipartite)免疫原性ポリペプチドであって、該CTL活性化アミノ酸配列はCpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一(ヘテロ)でもよいことを特徴とする免疫原性ポリペプチド
を含む組成物に関する。また、例えば免疫原性を増強するために、CpG相互作用性アミノ酸配列および二分型免疫原性ポリペプチドを特定しこれを用いる方法も提供される。
一態様では、ポリペプチドとCpG分子とを含む組成物が提供される。該ポリペプチドは、(1)細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化しうるアミノ酸配列(本明細書では「CTL活性化配列」と称する)、および(2)CTL活性化配列に対して不均一であるCpG相互作用性アミノ酸配列を含みうる。CpG相互作用性アミノ酸配列は、少なくとも1つのシステイン残基と、任意選択で、少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含むことができ、CpG分子は少なくとも1つの硫黄原子を含みうる。CpG相互作用性アミノ酸配列は15個以下(例えば12、10、8、または6個)のアミノ酸残基を含むことが可能であり、かつ、B−XもしくはX−B配列またはB−X−B配列(Bは正に荷電したアミノ酸残基、Xは任意のアミノ酸残基)を含みうる。B残基は、例えばアルギニンまたはリジンである。一実施形態では、CpG相互作用性アミノ酸配列は、B−X−B−X−B、B−X−X−B−X−B、B−X−X−B−X−X−Bなどであってよい。さらに、該アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基および少なくとも1つの(例えば2、3、4個またはそれ以上の)正に荷電したアミノ酸残基を含みうる。例えば、正に荷電したアミノ酸残基がCys残基に隣接していてもよい。一実施形態では、CpG相互作用性アミノ酸配列は配列KCSRNR(配列番号1)を含む。
一部の実施形態では、CpG相互作用性ポリペプチドは、システイン残基を含み正に荷電したアミノ酸残基は含んでいなくてもよい。システイン残基はCpG分子との相互作用を促進して免疫原性の高い複合体を創出することができる。従ってCpG相互作用性アミノ酸配列は配列XCX(Cはシステイン、Xは任意のアミノ酸)を含みうる。例えば、一実施形態では、CpG相互作用性アミノ酸配列は配列ACSANA(配列番号2)を含む。
一実施形態では、CTL活性化アミノ酸配列は約50アミノ酸残基以下の長さであり(例えば、約25、20、15、10アミノ酸またはさらに少数のアミノ酸)、別の実施形態ではポリペプチド全体(CTL活性化配列+CpG相互作用性アミノ酸配列)が50アミノ酸残基以下(例えば、約40、35、30、25、20アミノ酸またはさらに少数のアミノ酸)の長さである。
一実施形態では、組成物のCpG分子はホスホロチオエート骨格を有する。
また本明細書では、免疫原性の高い組成物を製造する方法も提供される。例示的な1つの方法には、(a)CTL活性化配列とCpG相互作用性アミノ酸配列とを有するポリペプチドを得る工程と、(b)該ポリペプチドを、硫黄原子を含むCpG分子と接触させる工程とを含む。CTL活性化アミノ酸配列はCpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一でもよく、CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基と、任意選択で少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含みうる。
沈殿物を含む、水溶液などの溶液も提供される。本明細書で用いられるように、「沈殿物」とは肉眼または光学顕微鏡で見ることのできる固体物質である。溶液の沈殿物にはポリペプチドとCpG分子とが含まれ得る。上述のように、該ポリペプチドはCTL活性化配列とCpG相互作用性アミノ酸配列とを含みうる。CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基と、任意選択で少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含むことが可能であり、CpG分子は硫黄原子を含みうる。
本明細書において提供される方法には溶液を作成する方法も含まれる。そのような方法の1つは、CTL活性化配列とCpG相互作用性アミノ酸配列とを有するポリペプチドを得る工程と、該ポリペプチドを、少なくとも1つの硫黄原子を含むCpG分子と接触させ
る工程とを含む。接触工程は、水溶液などの溶液中や、ポリペプチドとCpG分子との沈殿物の形成に好適な条件の下で実施可能である。CTL活性化配列はCpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一であってもよく、CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基と、少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含みうる。
細胞傷害性T細胞を活性化する方法も提供される。例えば、哺乳動物において細胞傷害性T細胞を活性化する1つの方法は、ポリペプチドとCpG分子とを有する組成物を哺乳動物に投与することを含む。上述のように、該ポリペプチドは、CTL活性化配列と、CTL活性化配列に対して不均一であるCpG相互作用性アミノ酸配列とを含みうる。CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基と、任意選択で少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含むことが可能であり、CpG分子は少なくとも1つの硫黄原子を含みうる。
スクリーニング方法も提供される。そのようなスクリーニング方法の1つは、細胞傷害性T細胞を活性化するポリペプチドを特定する手段を含む。該方法は、(a)試験ポリペプチドをCpG分子と組み合わせて混合物を形成する工程と、(b)この混合物をマウスやラットなどの哺乳動物に投与する工程と、(c)哺乳動物から、例えば該動物の脾臓またはリンパ節などから細胞傷害性T細胞を採取する工程と、(d)該哺乳動物におけるCD8細胞傷害性T細胞のレベルが工程(b)より前の該動物におけるCD8細胞傷害性T細胞のレベルに比べて上昇しているかどうかを判定する工程とを含む。CD8細胞傷害性T細胞のレベルの上昇は、その試験ポリペプチドが細胞傷害性T細胞を活性化しうることを示す。
別のスクリーニング方法を使用してCpG相互作用性アミノ酸配列を特定することも可能である。そのような方法の1つによれば、試験アミノ酸配列をCpG分子と(例えば溶液中で)接触させ、試験アミノ酸配列およびCpG分子が沈殿物を形成しうるかどうかを判定する。沈殿物の形成は、その試験アミノ酸配列がCpG相互作用性アミノ酸配列であることを示す。判定工程は、例えば、溶液中の沈殿物の形成を見て確認するなどして直接視覚化することにより実施可能である。判定工程はまた、接触工程前後の溶液の吸光度を比較するなどして溶液の吸光度を測定することによっても実施可能である。CpG分子とともに沈殿物を形成するポリペプチドは、細胞傷害性T細胞の活性化能についてさらに試験可能な候補ポリペプチドである。しかしながら、CpG分子を沈殿させないポリペプチドでも、特にシステインを含む場合は、必ずしも細胞傷害性T細胞を活性化できないとは限らない。
CpG相互作用性の候補アミノ酸配列を特定する方法も提供される。一実施形態では、該方法は、(a)ポリペプチド/CpG分子混合物を哺乳動物に投与する工程と、(b)該混合物が前記哺乳動物由来のCTLを、対照のポリペプチド/CpG分子混合物を投与された対照の哺乳動物における活性化レベルよりも高いレベルで活性化するかどうかを判定する工程とを含む。ポリペプチド/CpG分子混合物のポリペプチドは、CTL活性化配列と試験アミノ酸配列とを含みうるものであり、対照のポリペプチド/CpG分子混合物のポリペプチドは、試験アミノ酸配列を欠くことになる。CTL活性化のレベルが試験アミノ酸配列の存在下でより大きいと判定されることは、該配列がCpG相互作用性アミノ酸配列であるかもしれないことを示唆するものである。判定工程には、ELISAアッセイまたはELISPOTアッセイなどの免疫組織化学的技法も含まれ得る。
本発明の1つの特徴は、CpG分子と、連続した約100アミノ酸の配列の中に約4つ以上のシステイン(および約2つ以上のジスルフィド結合)を含むポリペプチドとを含んでなる組成物である。該ポリペプチドは、合成または天然の抗原性ポリペプチドなどの抗原性ポリペプチドであってよい。本明細書において使用されるように、「天然のポリペプ
チド」とは、哺乳動物(例えばヒト)などでin vivoで見出されるアミノ酸配列を含む。
ポリペプチド(例えばCpG相互作用性アミノ酸配列とCTL活性化配列とを有するポリペプチド)およびCpG分子を、治療用処方として、または治療用ワクチンとして一緒に送達することには多くの利点がある。これら2種の分子を1つの免疫治療用組成物に含めて送達することはワクチン接種を簡略化し、さらに各成分を分解から保護して細胞への該成分の輸送を容易にすることもできる。本明細書に記載のワクチンの製造は比較的簡単であるため、ワクチン開発に要する時間を数ヶ月または数週間または数日にまで低減することができる。また、ワクチン製造が比較的簡単であることにより、個々の腫瘍の種類または特定の病原性疾患について、適時に施用できるように特注設計とすることが容易にもなる。
CpG分子を複合体中に含めておくことにより、遊離型合成CpG分子を投与した場合によくみられる、有害な全身性の応答を抑制することもできる。理論に拘泥することは望むものではないが、本発明の複合体により、抗原とCpGとから構成される小ユニットの「遅延放出」がもたらされる可能性がある。
別の利点としては、複合体化するという事象を用いて、遺伝子治療への応用など、小分子を細胞内へ送達するために標的化することも可能である。
多種多様なヒトのがんに対する有効なポリペプチド系ワクチンを開発することは、それらのがんにおいて特定のポリペプチドが選択的に発現するという利点を活かすために模索されてきた。これらの試みは原則として、エフェクターT細胞に直接提示されるのに適した長さのポリペプチドの使用に重点が置かれていた。本明細書に記載のワクチンポリペプチドを含む本明細書の組成物は、本来の(professional)抗原提示細胞(APC)によるポリペプチドのエフェクターT細胞への提示を制御する機構を考慮して、in vivoでのプライミング用に特に最適化することもできる。
別途定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有するものである。本明細書に記載されるのと同様または等価な方法および材料は、本発明の実施または試行において使用することが可能であり、有用な方法および材料については以降に記載されている。材料、方法、および実施例は単なる例示であり、限定を意図するものではない。本発明のその他の特徴および利点については、添付の図面および説明、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。本願全体を通して引用される全ての参照文献、係属中の特許文献および公開特許文献は、参照により本願に援用される。矛盾が生じる場合は、定義を含めた本明細書に従うものとする。
本発明は、少なくとも部分的には、免疫原性の弱いポリペプチド(本明細書では「CTL活性化」ポリペプチドと称する)に結合した免疫原性の強い短いポリペプチドが、CpGアジュバントを補完してin vivoにおける細胞傷害性T細胞(CTL)の応答の開始刺激(プライミング)を増強する、という発見に基づいている。免疫原性の強いポリペプチド(本明細書ではCpG相互作用性ポリペプチドと称する)は、少なくとも1つのシステイン(Cys)残基と、任意選択で少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基を含む。さらに、CpG分子は少なくとも1つの硫黄原子を含む。免疫原性の強いCpG相互作用性ポリペプチドとCTL活性化ポリペプチドとの融合により、本発明において特徴付けられる二分型ポリペプチドが提供されうる。CTL活性化ポリペプチドのアミノ酸配列は、CpG相互作用性ポリペプチドのアミノ酸配列に対して不均一であってよい。得られる二分型の免疫原性ポリペプチドは「プライモトープ(primotope)」とも呼
ばれる。
二分型の免疫原性ポリペプチドのCTL活性化アミノ酸配列は、MHCクラスI分子に結合するポリペプチドであってよい。従って、本発明の二分型免疫原性ポリペプチドは開始刺激(プライミング)能力が増強されたCTL活性化ポリペプチド、またはプライミング能力が増強されたMHCクラスI結合性ポリペプチドとしても理解されうる。プライミング能力の増強は、MHCクラスI分子に結合する該ポリペプチドに融合された短いCpG相互作用性アミノ酸配列に由来する。この短いアミノ酸配列は少なくとも1つのCys残基と、任意選択で少なくとも1つの(例えば2、3個またはそれ以上の)正に荷電したアミノ酸とを含む。CpG相互作用性アミノ酸配列の少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸は、Arg、Lys、またはHisでありうる。CpG相互作用性アミノ酸配列の全長は約20アミノ酸長よりも短くてよい(例えば約15、12、10、8、または6アミノ酸長よりも短くてよい)。
CpG相互作用性アミノ酸配列を、対象の抗原の免疫原性を増強するために該抗原に付加することが可能である。CpG相互作用性ポリペプチド(および同ポリペプチドが結合している抗原)のシステイン残基は、CpG分子と相互作用、例えば共有結合することができる。CpG分子は、細胞仲介性の強力な免疫応答を誘発する免疫系刺激剤である。これらのCpG分子は日常的にワクチン探索においてアジュバントとして使用され、使用時には遊離型で提供される(CpG分子は通常、本開示に記載されるような他のいかなる分子とも結合していない)。しかしながら、CpG分子は全身投与すると有害なショック反応を誘発するため(このことは本開示が克服する課題の1つである)、現在はヒトでの使用は承認されていない。アジュバントとして用いられるCpG分子の大部分は、該オリゴヌクレオチドの安定性を高め、かつヌクレアーゼ感受性を低減するためにホスホロチオエート骨格を用いて合成される。CpGオリゴヌクレオチドのホスホロチオエート骨格の硫黄基が存在すると、CpG相互作用性アミノ酸配列に含まれるシステインの硫黄基とのジスルフィド結合の形成が可能となる。CpG相互作用性アミノ酸配列とCpGオリゴヌクレオチドとの間のこのジスルフィド共有結合は、抗原の免疫原性の増強を促進する助けとなる。
いくつかのポリペプチド−CpG分子化合物の凝集により沈殿が形成されて抗原の免疫原性の増大が実証されうる。CpG相互作用性アミノ酸配列の、正に荷電したアミノ酸は、CpGオリゴヌクレオチドの負に荷電した骨格と相互作用して凝集物を形成することができる。生じた沈殿物は2つの機能を示しうる。すなわち、(1)抗原提示細胞による凝集物(抗原)の取り込み(抗原に対する免疫応答の第1段階)を増大させうること、ならびに(2)CpG分子を局在化させて全身への循環(およびそれゆえの有害なショック)を防止すること、である。CpG相互作用性アミノ酸配列は正に荷電したアミノ酸について周期性を有していてもよい。1または複数のCpG分子がらせん形の性質を有するので、負の荷電はある一定の方向を向いている。CpG相互作用性アミノ酸配列について、正に荷電したアミノ酸を、CpG分子の負の荷電と最も結合しやすい構造に配置するには、スペーサーとして単一または複数のアミノ酸を使用することができる。一般的な配置は、B−XもしくはX−B、またはB−X−Bであってよく、ここでBは正に荷電したアミノ酸残基で、Xはアミノ酸残基である。B残基は、例えば、アルギニンまたはリジンまたはヒスチジンであってよい。一実施形態では、CpG相互作用性アミノ酸配列は、B−X−B−X−B、B−X−X−B−X−B、B−X−X−B−X−X−Bなどであってよい。
一部の場合においては、CpG相互作用性ポリペプチドはシステイン残基を含み、正に荷電したアミノ酸残基は含んでいなくてもよい。システイン残基は、免疫原性が増強された複合体を創出するためのCpG分子との相互作用を促進しうる。従って、CpG相互作用性アミノ酸配列は、配列XCX(ここでCはシステインでXは任意のアミノ酸である)
を含むことができる。
免疫療法の開発は、化学療法および放射線療法を含む標準的な治療法に抵抗性のヒトの腫瘍に対する代替療法を提供しうる。腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)は、腫瘍細胞特異的な細胞溶解に優れており一般の細胞への被害が少ないことから、免疫療法に関して主要な関心を集めてきた。そのような免疫療法の目的は、主要組織適合性複合体のクラスI遺伝子の産物により提示される腫瘍特異的なポリペプチドに対して特異的なCTLの増殖の開始刺激を与えること(プライミング)である。
正に荷電した複数アミノ酸と少なくとも1つのシステイン残基とを含むクラスI結合性ポリペプチドは、CpG分子と複合体を形成して同分子を沈殿させる能力を示し、これらのアミノ酸が免疫原性の弱いポリペプチドに付加されると、免疫化のためにCpG分子と組み合わせたときの免疫原性が増大する。このような免疫原性の増大と同時にCpG分子による全身性の作用は低減され、このことから、共沈したポリペプチドとCpG分子とにより、免疫原性と半減期が増大しアジュバント仲介性の毒性は低減されたワクチン開発の基盤が提供されることが示唆される。2つの構成成分を同時に送達することから、ワクチン投与が簡便となり、各構成成分が分解から保護されることも期待される。これらのワクチンの製造は比較的簡単であることから、個々の腫瘍の種類について適時に投与するためのワクチンの特注設計が可能となりうる。
二分型免疫原性ポリペプチド
本発明の二分型免疫原性ポリペプチドは、CpG相互作用性アミノ酸配列(例えば、CpG相互作用性アミノ酸の「尾部」)と、CpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一でありうるCTL活性化配列とから構成されうる。CpG相互作用性アミノ酸配列は、本発明の二分型免疫原性ポリペプチド中の任意の部位に配置可能であり、例えばN末端もしくはC末端またはその近傍にあってもよいし、該ポリペプチドの中ほどにあってもよい。CTL活性化配列はMHCクラスI結合性ポリペプチドであってよい。本発明の免疫原性ポリペプチドは、in vivoで、クラスI分子が結合したAPCによって効率よくプロセシングかつ提示され、特異的CTLによって認識されうる最短のポリペプチドである。本発明の二分型免疫原性ポリペプチドの全長は約100アミノ酸長よりも短く、好ましくは約50アミノ酸長よりも短い(例えば、約40、35、30、25、20、もしくは15アミノ酸長である)とよい。
完全にプロセシングされたポリペプチドは、MHC分子に最適に結合してエフェクターT細胞により認識されるポリペプチドである。理論に拘泥することを望むものではないが、正に荷電したCpG相互作用性アミノ酸配列により、本発明の免疫原性ポリペプチドがAPCにより取り込まれるのを可能にする必須の特徴が付与される可能性がある。
CpG相互作用性アミノ酸配列
CpG相互作用性アミノ酸配列は、局在化したAPCを活性化させるために、CpGモチーフと複合体を形成しCpGモチーフのアジュバント活性を集中させることができる。
CpG相互作用性アミノ酸配列は、0、1、2、3またはそれ以上の正に荷電したアミノ酸を含むことができる。正に荷電したアミノ酸が過剰であると、短期的な筋書きとしてはT細胞の活性化および増殖を阻止しうるが、長期的には(例えば30、40、50、75、100または150日またはさらに長期にわたって)T細胞の活性化の刺激に有効となりうる。上記阻害は、CpGが濃縮され沈殿してポリペプチドとCpGのいずれをも不活性な複合体の中に押さえ込んでしまうことに起因する可能性がある。Cysおよび正に荷電したアミノ酸はCpG相互作用性アミノ酸配列の中の任意の部位にあってよく、その他のアミノ酸は任意のアミノ酸であってよいが、好ましくは正に荷電したアミノ酸は配列
全体にわたって規則的な間隔となっているとよい。例えば、正に荷電したアミノ酸が1つおき、2つおき、または3つおきのアミノ酸部位に配置されてもよい。正に荷電したアミノ酸残基の配置は完全に周期的である必要はない。例えば、CpG相互作用性アミノ酸配列は、本明細書に記載の任意のCpG相互作用性アミノ酸配列であってよい。CpG相互作用性アミノ酸配列は、例えば、KCSRNRまたはACSANAであってよい。
理論に拘泥することは望むものではないが、CpG相互作用性アミノ酸配列のシステイン残基は、例えば、CpG相互作用性アミノ酸配列(および同様に該配列が結合しているCTL活性化アミノ酸配列)をCpG分子と相互作用(例えば共有結合)させることができる。
CTL活性化アミノ酸配列
「CTL活性化」ポリペプチドは、CTL活性化アミノ酸配列として定義される。ポリペプチドは、マウスもしくはヒトなどの哺乳動物に投与されると活性化CTLレベルの上昇をもたらす場合、CTL活性化ポリペプチドとして分類することができる。活性化CTLのレベルは、ELISAアッセイやELISPOTアッセイなどを含むがそれらに限定はされない、当技術分野において周知の種々の方法により測定することができる。
ジスルフィド結合に富むポリペプチド(IgGなど)は、不均一なCpG相互作用性配列を必要としない場合もあり、その代わりにそれ自体が十分にCpG分子に結合して強力な免疫応答を誘発することができる。このような抗原性の高いポリペプチドは、連続した100個のアミノ酸あたり少なくとも4つのシステイン残基(例えば5、10、15、20、25または30個のシステイン)を有しうる。該ポリペプチドはジスルフィド結合も豊富でありうる。例えば、該ポリペプチドは本来の状態に折りたたまれたときに少なくとも2つのジスルフィド結合(例えば3、4、5、6、7、8、9、10または15個のジスルフィド結合)を含みうる。該抗原性ポリペプチドは、変性剤、例えば尿素、塩化グアニジン、チオシアン酸グアニジンGdmSCN、または熱およびβメルカプトエタノールなどによって処理してジスルフィド結合を切断し、次いで変性ポリペプチドをCpG分子と混合して沈殿を形成させることができる。得られた混合物を、本明細書に記載のような免疫療法用製剤として使用することもできる。
CpG分子
本明細書に記載のように、CpG分子は、少なくとも1つの非メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。CpG分子は約15〜25ヌクレオチド長で、好ましくは約18〜20ヌクレオチド長であるとよい。該オリゴヌクレオチドは少なくとも1つのCpGコンセンサスモチーフRRCpGYY(RはプリンでYはピリミジン)を含みうる。CpG分子は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む骨格を備えうるが、好ましくはCpG分子全体の骨格がホスホロチオエート結合で構成されているとよい。ホスホロチオエート骨格の側鎖は酸素の代わりに少なくとも1つまたは複数の硫黄原子を含み、そしてホスホロチオエート骨格によって、硫黄原子を含まないオリゴヌクレオチド骨格に比べて半減期が延び、活性レベルが上昇し、かつ活性の特異性の変化はごくわずかとなりうる(クレイグ(Kreig)、Annu.Rev.Immunol.第20巻、p.709、2002年)。理論に拘泥することは望むものではないが、ホスホロチオエート骨格の硫黄原子は、免疫性の応答を増強しうるCpG相互作用性アミノ酸配列のCys残基とともにジスルフィド結合を形成する可能性がある。
任意のCpG分子、またはジスルフィド結合を介して結合するためのホスホロチオエート結合を有する任意のDNA分子を、本明細書に記載の組成物および方法において用いることができる。例えば、マウスのTLRに特異的なCpG分子1826(5’‐TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT‐3’)(デービス(Davis)ら、
J.Immunol.第160巻、p.870、1998年)を記載されるように使用することができる。例えばリングナウ(Lingnau)らの文献(Vaccine、第20巻、p.3498−3508、2002年)に記載のCpG分子も参照されたい。
免疫療法用製剤
本明細書に記載の組成物および方法を、がんなどの疾患または障害を治療または予防するために、ワクチン接種の形態で使用することができる。免疫療法用の例示的組成物は、二分型免疫原性ポリペプチドおよびCpG分子を不完全フロイントアジュバントなどの油中乳剤の状態で含む。任意選択で、免疫療法用組成物にMPL−AF(ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と混合したモノホスホリルリピドAアジュバント(MPL))を含めてもよい。
本明細書に記載の免疫療法用組成物は、二分型免疫原性ポリペプチドの不均一な(ヘテロの)混合物を含みうる。例えば、該混合物は相異なるCTL活性化配列およびCpG相互作用性アミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでもよいし、ある1種類のCTL活性化配列が種々の異なるCpG相互作用性アミノ酸配列に結合されてもよい。種々のCpG相互作用性アミノ酸配列を使用することによって、様々な安定性および様々なCTL活性化能を備えた二分型免疫原性ポリペプチドの集団が提供されうる。例えば、また理論に拘泥することを望むものではないが、数個または1つのシステイン残基を含む短いCpG相互作用性アミノ酸配列が、短い期間でCTLを活性化して即時的なプライミング作用を示す一方、多数のシステイン残基または多数の正に荷電したアミノ酸を含む長いCpG相互作用性アミノ酸配列は、長期のプライミング活性を示す可能性がある。
本明細書で用いられるように、ワクチンとは、ウイルス感染、がんもしくはその他の障害からの保護、またはウイルス感染、がんもしくはその他の障害の治療を施す組成物である。ウイルス感染、がんもしくはその他の障害からの保護により、感染または腫瘍またはその他の障害が完全に予防されるか、あるいは、その後感染、腫瘍またはその他の障害を被った場合でも、感染や障害の重篤度または期間が低減されることになる。治療は、1つまたは複数の症状を軽減したり、重篤度または期間を低減したりすることになる。本明細書における目的に関しては、ワクチンは、本明細書に記載の二分型免疫原性ポリペプチドおよびCpG分子を投与することによってもたらされる。本明細書において用いられるように、特定の組成物の投与による特定の障害の症状の軽減を、恒久的であれ一時的であれ、該組成物の投与に起因または関連して永続的であれ一過性であれ、何らかの緩和と称する。
本明細書に記載の免疫療法用組成物の投与によりランゲルハンス細胞および抗原提示細胞(APC)が活性化されるが、これらの細胞はそれぞれ抗原性ポリペプチドをCTLに提示することによってCTLを活性化することができる。本発明の免疫療法用組成物は、第2の治療剤または投薬計画とともに投与することもできる。例えば、免疫療法剤を、例えばがんに対する化学療法または放射線療法も受けている患者に投与することもできる。
本明細書に記載の免疫療法用組成物は、滅菌水または緩衝液に含めるなど溶液として提供されてもよいし、組成物が凍結乾燥形態として包装されてもよい。該組成物を含むキットは、滅菌水もしくは緩衝液などの溶解剤、および/または目的の用途に応じて調製するべく溶液を希釈する、および/またはそれ以外には溶液の特性を調節するための試薬を含みうる。キットはまた情報提供資料を備えてもよい。情報提供資料には、本明細書に記載の方法および/または本明細書に記載の方法のための免疫療法用組成物の使用に関する説明書、指示書、販売用資料またはその他の資料が挙げられる。
キットの情報提供資料の形態に制限はない。多くの場合、情報提供資料は、印刷された
文書、図面、および/または写真などの印刷物として提供される。指示書はラベルや印刷されたシートの形態であってもよい。しかしながら、情報提供資料は、点字、コンピュータで読み取り可能な資料、録画ビデオ、または録音などの他の形態で提供されてもよい。情報提供資料は、実際の住所、電子メールアドレス、ウェブサイト、または電話番号など、キットの使用者が免疫療法用組成物および/または本明細書に記載の方法における該組成物の使用について実質的な情報を得られる連絡先を含んでいてもよい。当然ながら、情報提供資料は形式を任意に組み合わせた状態で提供されてもよい。
本発明の組成物は種々の適切な容器に入れて包装可能である。例えば、組成物を、ガラスまたはプラスチックなどの材料で構成されたボトル、バイアル、またはシリンジに入れてもよい。任意選択で、組成物を、アンプル、シリンジ、またはブリスターパックなどに入れて単回投与形態として包装してもよい。容器は気密性および/または耐水性としてもよいし、ワクチン用、またはCTL応答を刺激するため、あるいはがんを治療するためなどの用途をラベルしてもよい。
有効用量
本明細書に記載の組成物は、複数回として様々な濃度で投与することができる。
本明細書に開示された組成物(例えば、免疫療法用組成物)の毒性および治療的有効性は、LD50(集団のうち50%が死亡する用量)およびED50(集団のうち50%において治療上有効な用量)を決定するための培養細胞または実験動物のいずれかを使用した標準的な薬学的手段を用いて測定可能である。毒性と治療的有効性との用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。治療指数が大きいポリペプチドまたは他の化合物が好ましい。
細胞培養アッセイおよびさらなる動物実験から得られたデータを用いてヒト用の用量範囲を決定することができる。そのような化合物の用量は、毒性をほとんどまたは全く伴わずにED50を含む血中濃度範囲内にあることが好ましい。用量は、この範囲内で、使用した投与形態および投与経路に応じて変更可能である。本明細書に記載の方法において使用される全ての組成物に関して、治療的有効用量はまず細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養で測定したようにして、IC50(すなわち、最大限の半分だけ症状の抑制(例えば腫瘍の治療および/またはCTL活性化)を達成する免疫原性ポリペプチドおよびCpG分子(遊離型および複合体型)の濃度)を含む循環血漿中の濃度範囲を達成するための用量を動物モデルで決定することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することが可能である。ワクチン投与形態における二分型免疫原性ポリペプチドおよびCpG分子の量は、ワクチンの被接種者において重大かつ有害な副作用を伴わずに免疫保護反応を誘導する量として選択される。そのような量は、標的(例えば腫瘍または全身用ワクチン接種処置)に応じて変更可能である。一般に、各用量は、二分型免疫原性ポリペプチドおよびCpG分子全体で約500μg未満(例えば、約400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、20、10、5または1μg未満)ずつを含むことになろうと予想される。用量は、任意選択で2つの構成成分を等モル比で含むこともできる。あるワクチンに最適の量は、被接種者におけるCTLの応答、抗体価、およびその他の反応を観察することを含む標準的な検討により確定することが可能である。
最初のワクチン接種に続いて、被接種者は約4週間内に追加接種を受けてもよい。投与用製剤および投与経路は、治療しようとする特定の障害や治療を受ける特定の人によって調整可能である。例えば、その人が白血病などのがんである場合もあるし、胸部、大腸、前立腺、膵臓または肺の腫瘍などの腫瘍を有している場合もある。
一般に、免疫療法剤の投与は、毒性、炎症またはアレルギー反応などの望ましくない副
作用を伴わずに予防および治療のいずれの目的も促進する。個別に必要とされることは様々であるが、製剤の有効量の最適な範囲の決定は当技術分野の範囲内にある。ヒトでの用量は動物実験から容易に外挿することができる(カトクス(Katocs)ら、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18版、ジェンナロ(Gennaro)編、米国ぺンシルバニア州イーストン所在のマックパブリシング社(Mack Publishing Co.)、1990年の第27章)。一般に、有効な量の製剤を提供するために必要な用量は、被投与者の年齢、健康状態、生理学的状態、体重、疾患または障害の種類および程度や、治療の頻度や、必要であれば併用する治療法の性質や、所望の効果の性質および範囲などのいくつかの要因に応じて変化することになる(ニース(Nies)ら、「Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics」第9版、ハードマン(Hardman)ら編、米国ニューヨーク州ニューヨーク所在のマグロウヒル社(McGraw−Hill)、1996年の第3章)。
スクリーニング法
本明細書において様々なスクリーニング法も提供される。そのようなスクリーニング法の1つを用いて、細胞傷害性T細胞を活性化するポリペプチドを特定することができる。このCTL活性化ポリペプチドを、本明細書に記載の二分型免疫原性物質の製造に使用することができる。該方法は、例えば、試験ポリペプチドをCpG分子と組み合わせることと、該混合物をマウスまたはラットなどの哺乳動物に投与することと、該哺乳動物から細胞傷害性T細胞を採取することと、該哺乳動物における細胞傷害性T細胞(例えばCD8CTL)のレベルが上昇したかどうか測定することとを含みうる。
その他のスクリーニング方法には、二分型免疫原性ポリペプチド中に使用するためのものなどCpG相互作用性アミノ酸配列を特定するための手法が挙げられる。例えば、試験アミノ酸配列をCpG分子と接触させて、該混合物を沈殿形成について観察する。沈殿の形成は、その試験アミノ酸配列がCpG相互作用性アミノ酸配列であることを示唆する。本発明の方法はさらに、特定されたCpG相互作用性アミノ酸配列を含む二分型免疫原性ポリペプチドを投与することを含みうる。該ポリペプチドは、CpG分子を含む製剤中に含めて哺乳動物に投与することができる。このポリペプチド/CpG分子組成物が哺乳動物においてCTLを活性化しうるかどうかを判定することにより、試験対象のCpG相互作用性アミノ酸配列がin vivoで有効な免疫療法剤の一部として機能しうることを判定することができる。
CTL活性化配列またはCpG相互作用性アミノ酸配列として特定された配列は、印刷物または機器で読み取り可能な形態に記録することができる。さらに、特定された配列を含むポリペプチドをさらにヒトにおいて試験し、免疫反応についてアッセイすることも可能である。
本発明について以下の実施例によりさらに説明するが、実施例はさらに限定を加えるものとみなすべきではない。
免疫原性ポリペプチドはCpGを沈殿させ、CTLの活性化を増強する
本発明者らの研究室における初期の実験は、マウスにおいて非主要組織適合性抗原(MiHA)ポリペプチドに対するT細胞の応答を増大させるための方法に焦点を当てていた。過去10年にわたり、本発明者らはMiHAポリペプチドに特異的なCTLを作製するマウスの能力が低下し続けることを観察してきた。このような低下は、マウス室における飼育手法が厳格さを増し、マウスの免疫系がホメオスタシスを維持する以外に何もする理由がなくなるまで病原体への曝露が低減されたことに起因する可能性がある。刺激の際に
IFNγを産生するCTLを定量するために第一次ELISPOTへと変更して以来、本発明者らは、バックグラウンドのスポットが本発明者らのマウスにおいては事実上存在しないことを見出した。このことは、バックグラウンド活性が依然存在しているヒトCTLを用いた第一次ELISPOTと直接の対比をなしている。これらの観察結果は、CTLの応答を有効に生じさせるために克服しなければならない免疫活性の全体的低下と一致している。
問題点が病原体への曝露の制限にあるらしいことが見出されたので、本発明者らは、薬理学的方法、例えば抗体を介した同時刺激などの使用よりもむしろ、細菌アジュバントを用いてCTLのMiHAに対する応答を増大させることについて検討した。CTLの応答を増強する能力について報告のある、それぞれTLR−4およびTLR−9に結合するリピドAおよびCpG分子を使用することとした。リピドAは、MPL−AF(界面活性剤様のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と混合したMPLアジュバント(モノホスホリルリピドA))の形態でコリキサ・コーポレイション(Corixa Corporation)(米国ワシントン州シアトル所在)より供給された。使用したCpG分子は、マウスのTLR−9に特異的な1826オリゴヌクレオチド(TCCA TGAC GTTC CTGA CGTT)であり(デービス(Davis)ら、J.Immunol.第160巻、p.870、1998年);このCpGオリゴヌクレオチドは、マヨ・クリニック・モレキュラー・バイオロジー・コア(Mayo Clinic Molecular Biology Core)によりホスホロチオエート骨格を用いて合成された(別途指定のない限り、本発明者が用語CpGを用いるときはこの合成型を指している)。CpGで繰り返し処理されたマウスにおいて以前観察された強力な全身性の炎症を回避する努力の中で、本発明者らは単回の投与で使用するためにCpG、MPL、および抗原を混合した。10μgのMPL−AF+100μgのCpGをMiHA不適合の脾細胞または合成MiHAポリペプチド(100μg)のいずれかと混合して、尾の基部への皮下(s.c.)注射用に用いて予備的実験を実施した。
IFNγを分泌するMiHA特異的CTLの出現頻度を、第一次ELISPOTアッセイの使用により概算したが、同アッセイではMACS(登録商標)CD8ネガティブ選択キット(米国カリフォルニア州オーバーン所在のミルテニーバイオテク(Miltenyi Biotec)を用いた他のリンパ球集団のネガティブ選択により富化されたCD8の応答細胞を用いた。
WMHHNMDLIペプチド(HY1)およびKCSRNRQYLペプチド(HY2)は、ネズミのY連鎖遺伝子にコードされるタンパク質由来のものであり、H2D分子によりCTLに提示される(キング(King)ら、Genomics 第24巻、p.159−168、1994年;グリーンフィールド(Greenfield)ら、Nat.Genetics 第14巻、p.474−478、1996年)。これら2種のペプチドおよびMPL−AFとCpGアジュバントとの組み合わせの混合物について、CTLの応答をプライミングする能力を試験した。上記2種のペプチドについては、in vivoでのプライミング効率について、免疫的に優勢なH60ペプチド(LTFNYRNL)(マラルカナン(Malarkannan)ら、J.Immunol.第161巻、p. 3501−3509、1998年)とも比較した。B6のメスをs.c.でプライミングし、免疫化10日後に脾臓を採取した。CD8CTLをネガティブ選択により富化し、IFNγを分泌するCTLの出現頻度を概算するために、第一次ELISPOTアッセイにおいて(1)同系のメスの脾細胞、(2)同系のオスの脾細胞、(3)抗H60 CTLについて同種異系(BALB.B)の脾細胞、および(4)ペプチドでパルスしたRMA/S細胞で刺激した。第一次ELISPOTアッセイは、100μgのポリペプチド+100μgのCpGおよび10μgのMPL−AFを用いて単回免疫されたネズミ由来のCD8+脾細胞の応答細胞を用いて実施した。RMA/S細胞は、濃度10nMのそれぞ
れの標的ポリペプチドでパルスした。応答細胞(responder)および抗原細胞(stimulator)を、抗IFNγ捕捉抗体でコーティングしたELISPOTプレートで48時間培養し、その後ビオチン化した抗IFNγ検出抗体を、次いでストレプトアビジンと結合したHRPおよびAEC基質を添加した。最初にウェルのデジタル画像を得ることにより(C.T.L.アナライザーズ社(C.T.L.Analyzers)、米国オハイオ州クリーブランド所在により実施)、スポットを計数し、次いでC.T.L.アナライザーズ社から入手したImmunospot(登録商標)ソフトウェアを用いてこれらの画像を分析した。応答細胞のCTLの出現頻度に基づくと、HY2ポリペプチドが最も効率良くCTLをプライミングし、H60ポリペプチドは最も効率が悪かった(図1Aおよび1B)。米国仮特許出願第60/542,371号も参照されたい。
HY2ポリペプチドは、MPL+CpGと混合すると沈殿を形成するという点において他の試験ポリペプチド(HY1、H60その他数種)とは異なっていた。沈殿に必要なのはHY2およびCpGのみであった(MPLは必要なかった)。免疫原性の増大およびCpG分子との複合体形成を促進しうる特徴について、HY2のアミノ酸配列を調べた。一部はCpGを添加しても沈殿を生じない、一連のポリペプチドについて試験したところ、正に荷電したアミノ酸をこれらの沈殿を生じないポリペプチドに添加すると、CpGとともに沈殿を形成するようになることが見出された。
本発明者らは、仮説として(1)沈殿の形成はHY2の正に荷電した残基とCpG分子の負の電荷との間のイオン結合による、(2)この沈殿形成によりCTLの刺激が増強される、とした。これらの仮説について検証するために、アミノ末端にKCSRNR配列およびRKKRRQ配列が付加された2つのHY1バリアントを合成した。KCSRNR配列はHY2由来であり、RKKRRQ配列は活性型のHIV TATポリペプチド(CpG相互作用性アミノ酸配列の長さを6アミノ酸に維持)(バイブス(Vives)ら、J.Biol.Chem.第272巻、p.16010、1997年)由来であった。2つの二分型ポリペプチドはCpGを沈殿させ(天然型HY1では沈殿しない)、第1の仮説が支持された。混合してCpG+MPLとともに注射したところ、KCSRNRアミノ酸配列と融合させたHY1ポリペプチドはHY1特異的CTLの出現頻度を著しく高めた(図2を参照)。
RKKRRQを含むポリペプチドについても、トロイの構築物(ルー(Lu)ら、J.Immunol.第166巻、p.7063、2001年)に用いられた完全長の活性型HIV TATポリペプチドにより、注射が困難な程度にまで強力にCpGが沈殿し、短期の機能アッセイではCpGの初期のアジュバント活性が阻害されることが観察された。正の電荷が多すぎるとT細胞の活性および増殖が阻害される可能性がある。このことは、ポリArg(60残基)によりCpGが急速に沈殿しうるという観察(リングナウ(Lingnau)ら、Vaccine 第20巻、p.3498、2002年)と一致する;そのような沈殿物は組織内に堆積してin vivoで非常に長期間存在する可能性があり、その証拠として、該沈殿物は関連する免疫原性ポリペプチドとともに少なくも372日間はプライミングを続けることができる(リングナウ(Lingnau)ら、Vaccine 第20巻、p.3498、2002年)。免疫原性ポリペプチドおよびCpGを選択的かつ強力に沈殿させることができれば、長期間かつ恒久的なCTL応答を刺激する手段が提供される。
二分型ポリペプチドのCTLプライミング能力を試験するために、B6のメスを、CpGアジュバントとHY1、KCSRNR−HY1、RKKRRQ−HY1、およびHY2との混合物を用いてプライミングした。10日後に脾臓を採取してCD8CTLを富化し、抗原細胞としてペプチドでパルスしたRMA/S細胞を用いてIFNγの第一次ELISPOTアッセイを実施した(図2)。図1Aおよび1Bに示した結果と一致して、試
験した全てのペプチド濃度についてHY2はHY1よりも高頻度でCTLをプライミングした。HY1標的ペプチドにKCSRNRの尾部を連結した結果、HY2について得られた結果に匹敵するHY1特異的なCTL出現頻度が得られた。RKKRRQの尾部では、HY1とKCSRNR−HY1との比較に対して中間レベルのプライミング効率まで上昇した。HY2、KCSRNR−HY1、およびRKKRRQ−HY1ペプチドはいずれもCpGオリゴヌクレオチドを沈殿させた。KCSRNR−HY1におけるプライミング効率の上昇から、正に荷電した残基を3つ有しているこの6アミノ酸配列を付加することにより、HY1特異的なプライミングが高まったことが示唆された。しかしながら、正に荷電した残基を5つ備えたRKKRRQ−HY1ペプチドでは中間的な効率であったことから、正に荷電したアミノ酸の数の増大とさらなるプライミングの増強とは関連がないことが示唆された。
システイン残基は免疫原性の増大に重要である
HY1二分型ポリペプチドのCpG相互作用性アミノ酸配列KCSRNRのArg/Lys残基の役割を調べるために、3つの正に荷電した残基をAla残基で置換した。この改変型の二分型ポリペプチドをそれぞれCpGと混合してメスのB6マウスをプライミングした。10日目に脾細胞を採取して、第一次および第二次のIFNγ ELISPOTアッセイのためにCD8CTLを富化した。先述の実験において、KCSRNR−HY1によるプライミングでは、第一次ELISPOTアッセイにおいて、完全にプロセシングされたHY1ペプチドでプライミングした場合よりも高いHY1特異的なCTL出現頻度が得られた(図3Aおよび3B)。この順位は、同系のオス(図3A)およびHY1でパルスした同系メス脾細胞の抗原細胞(図3B)のいずれにおいても観察された。驚いたことに、Arg/Lys残基を全てAlaに置換したACSANA−HY1ポリペプチドについて、CpGを沈殿させる能力が失われたにもかかわらずプライミング効力は失われなかった。実際に、ポリペプチドでパルスしたメスの細胞の刺激により、KCSRNR−HY1でプライミングしたマウスよりもACSANA−HY1でプライミングしたマウスからより高い出現頻度でHY1特異的CTLが得られた(図3B)。第一次MLCにおいて同系オスの脾細胞を用いた刺激によって増殖させたCTLの第二次ELISPOTアッセイで確認結果を得た(図4)。応答細胞CTLがKCSRNR−HY1およびACSANA−HY1でプライミングしたマウス由来である場合、同系オスの脾細胞およびペプチドでパルスした脾細胞の刺激により、同程度のHY1特異的CTL出現頻度が得られた。
合成CpGオリゴヌクレオチドは一般にin vivoでのヌクレアーゼ感受性を低減するためにホスホロチオエート結合で合成される(スタイン(Stein)ら、Nucl.Acids Res.第16巻、p.3209−3221、1988年)。in vivoでのプライミングの促進におけるCysの傑出した役割に関する1つの説明は、Cysを含むHY1プライモトープと合成CpGオリゴヌクレオチドとの間のジスルフィド結合の形成である。KCSRNR−HY1およびACSANA−HY1プライモトープを用いたin vivoでのプライミングにおけるCysの重要性は、Ala置換を加えることにより確認された。KASRNR−HY1プライモトープ(Cys>Ala)は、第一次および第二次のELISPOTいずれにおいても検証されたように事実上プライミング能を示さなかった(図3Aおよび3B、ならびに図4)。しかしながら、KASRNR−HY1ポリペプチドは視認できる程度にCpGを沈殿させる能力を依然として維持していた。AASANA−HY1ポリペプチドはin vivoでのプライミング能を失っている点でKASRNR−HY1と同じであった。これらの結果は、おそらくは合成CpGオリゴヌクレオチドのホスホロチオエート結合とのジスルフィド結合の形成を介する、最適なHY1特異的プライミングには、1つのCys残基が必要であるという仮説を支持するものであった。本発明者らは、該ペプチドにCysを追加すると複数のCpG分子と架橋できるため免疫原性が増大するという可能性について調べた。アミノ末端およびカルボキ
シ末端に1つずつCys残基を備えたHY1ポリペプチド、ACSANA−HY1−ANASCAを合成した。このポリペプチドをCpGと組み合わせてB6のメスをプライミングし、第一次および第二次ELISPOTアッセイでHY1特異的CTLの出現頻度を概算した。第一次ELISPOTアッセイにおける同系オスの抗原細胞に応答したHY1特異的CTLの出現頻度から、ACSANA−HY1ポリペプチドによるプライミングに比べて顕著なプライミング効率の増大が認められた(図3A)。さらに、Cys残基を備えた尾部、ACSANA、KCSRNR、および二重のACSANA尾部を有する3種いずれのポリペプチドでプライミングしたマウス由来のCD8CTLの第二次ELISPOTアッセイにおいても、同程度のHY1特異的CTL出現頻度が認められた(図4)。
プライミング効率の増大は濃度依存的である
ACSANA−HY1によるプライミング効率の増大が、二分型ポリペプチドおよびCpGの用量を低減しても観察可能であるかどうかについて調べた。B6のメスを、CpG+HY1およびACSANA−HY1の混合物を用いて、これら2種の構成成分それぞれについて100、40、および10μgの用量としてプライミングした。10日後に脾臓を採取してCD8CTLを富化し、同系のオスおよびメスの脾細胞の抗原細胞を用いて第一次および第二次ELISPOTアッセイを実施したが、同系メスの脾細胞については未処理のものとHY1でパルス処理したものとを使用した。第一次ELISPOTアッセイにおいて(図5Aおよび5B)、プライミング効率は、同系オスの抗原細胞(図5A)および10nMのHY1ペプチドでパルスしたメスの抗原細胞(図5B)で試験した場合、40μg用量のACSANA−HY1ペプチドでは維持されていたが、完全にプロセシングされたHY1ペプチドでは維持されていなかった。10μgではACSANA−HY1またはHY1のいずれを用いた第一次ELISPOTにおいてもプライミングは検出できなかった。同系オスの抗原細胞およびHY1でパルスした同系メスの抗原細胞を用いた第二次ELISPOTアッセイにおいても同程度の結果が認められた。すなわち、HY1でパルスした抗原細胞の場合、いずれの用量のACSANA−HY1でプライミングされたCTLの出現頻度も、対応する用量のHY1でプライミングされたCTLの出現頻度より顕著に高かった。
二分型ポリペプチドによるプライミング効率は時間とともに変化する
本発明者らはHY1プライモトープの尾部にArg/Lys残基が存在するとCpGの沈殿が促進されることを観察したが、他の研究者らは、ポリArgがCpGオリゴヌクレオチドを沈殿させ、該オリゴヌクレオチドが長期にわたり注射部位に堆積した状態になりCTLのプライミング期間の延長を伴うことを観察している(リングナウ(Lingnau)ら、Vaccine 第20巻、p.3498−3508、2002年)。このような長期の堆積は、KCSRNR−HY1においても生じると考えられ、したがってKCSRNR−HY1は、CpGオリゴヌクレオチドを沈殿させないが強力にCTLの初期応答をプライミングするACSANA−HY1よりも長い期間プライミングすることになるであろうとの仮説が立てられた。B6のメスを、CpGとKCSRNR−HY1またはACSANA−HY1とでプライミングし、脾臓および流入領域リンパ節を15、29、50日目に採取して、ペプチドでパルスした同系メスの抗原細胞を用いて第一次ELISPOTアッセイを行った(図6Aおよび6B)。これらの結果から、ACSANA−HY1は、HY1ペプチド10nM(図6A)および1μM(図6B)でパルスした抗原細胞では、15日目に採取された脾臓および流入領域リンパ節のいずれにおいても最も良くCTLをプライミングすることが示された。しかしながら、この差異は29日目には消失し、KCSRNR−HY1およびACSANA−HY1のプライミングによりリンパ節および脾臓のいずれにおいても同様のHY1特異的CTLの出現頻度であった。このKCSRNR−HY1およびACSANA−HY1の間の、同程度のプライミングレベルを伴う類似性
は、50日目まで持続した。50日目の試験では、脾臓よりも流入領域リンパ節において高いHY1特異的CTLの出現頻度への変化がみられ、このことからこの時点までの注射部位における2種のポリペプチドの保持状態にはACSANA−HY1およびKCSRNR−HY1の間で一貫した差異がないことが示唆された。
免疫原性ポリペプチドによる免疫原性の増大にMPL−AFは必要ではない
CpGを効率よく沈殿させることのできるMiHAポリペプチドについて、MPL−AFを使用しなくてもよいかどうかを調べた。KCSRNR−HY1免疫原性ポリペプチド+CpG(本発明者らが用いる標準的濃度)を用いて、MPL−AFを使用または未使用としてメスのB6マウスをプライミングした。IFNγ分泌CTLについてのELISPOTアッセイの結果から、プライミング用混合物にMPL−AFを含めてもHY1特異的CTLの刺激の効率は増大せず、KCSRNR−HY1を用いたプライミングにはCpGで十分であることが実証された(図7)。実際、MPL−AFを除外するとKCSRNR−HY1およびCpGのみを用いたプライミングの効率は増大したようである。
免疫原性ポリペプチドはメラノーマポリペプチドの免疫原性を増大させた
KCSRNRアミノ酸配列の付加によりHY1およびH60以外のポリペプチドの免疫原性を増大させることができるかどうかを調べるため、KCSRNRアミノ酸配列を含む一連のHLA−A2結合ポリペプチドを合成した。該ポリペプチド群には、メラニン細胞およびメラノーマ細胞で特異的に発現されるチロシナーゼgp100およびメランAタンパク質由来の5つのポリペプチドが含まれる。これらのタンパク質はマウスおよびヒトで正常に発現されるので、CTLをプライミングするためにはトレランスを打破しなければならない。本発明者らはまた、マウスおよびヒトにとって外来タンパク質である免疫優勢のインフルエンザポリペプチド(GILGFVFTL)も含めた。これらの二分型ポリペプチドはいずれもCpGを沈殿させたが、原型のポリペプチドはいずれもCpGを沈殿させなかった。レシピエントのマウスは、B6をバックグラウンドとして選択されたHLA−A2トランスジェニックマウスとした(リ(Le)ら、J.Immunol.第142巻、p.1366、1989年)。これらのマウスでは細胞表面上にH2Db分子に匹敵する密度でHLA−A2分子が発現されたが、HLA−A2拘束性のインフルエンザ特異的CTLの出現頻度は、H2Db拘束性のインフルエンザ特異的CTLの出現頻度に比べて著しく低かった(リ(Le)ら、J.Immunol.第142巻、p.1366、1989年)。さらに、HLA−A2拘束性のCTLの免疫原性ポリペプチドに対する応答はこれらのトランスジェニック体では低いことが示されており(エンゲルハート(Engelhard)ら、J.Immunol.第146巻、p.1226、1991年)、これはおそらくはマウスのb2MおよびCD8に対するHLA−A2分子の結合の低下によると思われる。ジャクソン・ラボラトリー(Jackson Laboratory)から入手したこれらのマウスは、HLA−A2拘束性のポリペプチドに対する応答性が低下していた。HLA−A2トランスジェニック体を、100μgのCpGと(1)100μgの原型ポリペプチドおよび(2)CpG:ペプチド比が等モルとなる量のKCSRNR含有ポリペプチドとの混合物でs.c.によりプライミングした。免疫10日後に脾臓を採取し、CD8CTLをCD8ネガティブ選択キット(米国カリフォルニア州オーバーン所在のミルテニーバイオテク(Miltenyi Biotec)で精製して第一次IFNγELISPOTアッセイに使用した。抗原細胞(Stimulator)には、濃度を漸増させた原型メラノーマポリペプチドでパルスしたT2細胞を含めた。パルスしていないT2細胞はIFNγ産生を刺激しなかった。このアッセイの結果から、KCSRNRアミノ酸配列の付加により、インフルエンザポリペプチドならびに2種のメラノーマ特異的ポリペプチド、メランA由来のAAGIGILTVおよびgp100由来のKTWGQYWQVについてのプライミングが増大されることが実証された(図8)。KCSR
NR含有ポリペプチドの応答はそれぞれの原型ポリペプチドの応答より6〜10倍高かった。従って、プライミング技法を全く変更せずに、CTLの応答に劣るレシピエントのマウスについて、HLA−A2により提示されたポリペプチドに対する応答を高めることができた。
免疫原性の二分型HY1ポリペプチドはCpGを沈殿させた
沈殿物中にCpGが存在することを確認するために、HY1および一連の免疫原性二分型HY1ポリペプチドを100μgのCpGとモル比がおよそ7:1となるように混合した。室温で15分間インキュベートした後、混合物を1000×gで15秒間遠心分離した。遠心分離後に、上清の希釈物の光学密度(260/280nm)を測定してCpGの沈殿率を概算した(図9)。これらの結果から、KCSRNR−HY1ポリペプチドおよびKASRNR−HY1ポリペプチドが溶液中のほぼ全てのCpGを沈殿させ、天然のHY1ポリペプチドは〜30%のCpGを沈殿させたことが確認された。これらの結果は、CpGの沈殿には正に荷電したアミノ酸が重要であるという仮説を支持し、かつ、上記濃度の二分型ポリペプチドおよびCpGが実際に遊離CpGを沈殿CpGへと完全に変換させることを示している。
CpGをHY1尾部付きポリペプチドと混合した場合に生じる沈殿についてさらに調べるために、ポリペプチド尾部のArg/LysおよびCys残基の役割について調べる実験を計画した。KASRNR、ACSANA、およびAASANAの各尾部を含むHY1二分型ポリペプチドを分析に用いた。CpGオリゴヌクレオチド(6nmol)とHY1二分型ポリペプチド(20nmol)とを、3連として室温で15分間混合した。沈殿物を10,000gでペレット化し、上清を1/100に希釈して260nmで分光分析した。図10に示すように、KASRNR−HY1は可溶性CpGの約90%を沈殿させ、ACSANA−HY1およびAASANA−HY1はCpG濃度に顕著な作用を示さなかった。これらの結果は、最初に観察された粒子状の沈殿が、極性の高い核酸とプライモトープ尾部の荷電したArg/Lysアミノ酸との間の相互作用によるものであるという議論を支持している。
ペプチド+CpGの混合物中に存在する遊離ペプチドを、逆相HPLCで定量したが、この分析方法ではCpGオリゴヌクレオチドおよび結合した可能性のあるペプチドを検出するのは不可能であった。2種類のCpGオリゴヌクレオチドをこれらの実験に用いた。すなわち、(1)ホスホジエステル結合を有する天然型CpGおよび(2)ヌクレオチドの4番目と5番目の間に1つのホスホロチオエート結合を有するCpG(S1−CpG)である。S1−CpGを使用することにより、多数の結合が形成されて複雑化する可能性を排除した。AASANA−HY1とS1−CpGとの混合物ではRP−HPLCにより単一ピークとしてペプチドが検出された(図11A)。同様に、ACSANA−HY1と天然型CpGとの混合物ではACSANA−HY1のシグナルが検出可能であった(図11B)が、ACSANA−HY1とS1−CpGとの混合物では検出できなかった(図11C)。ACSANA−HY1と天然型CpGの試料における2組のピークは、モノマーおよびダイマーを表すものと推定された。これらの結果から、1個のCys残基によりACSANA−HY1二分型ポリペプチドのS1−CpGへの結合は促進されるが天然型CpGへの結合は促進されないことが示唆された。この結合がCysを含むペプチドとS1−CpGとの間のジスルフィド結合の形成によるものとすれば、このペプチド:CpG混合物の還元およびこれら構成成分のいずれかのアルキル化により結合が除かれるはずである。ACSANA−HY1とS1−CpGとを混合し、RP−HPLCで直接分析するか、あるいは50mMジチオスレイトールで還元してから分析した。図11Dに示すように、ジチオスレイトールで還元することによりACSANA−HY1プライモトープが放出され、未処理のS1−CpGとの混合物の場合(図11F)には見られないACSANA
−HY1プライモトープの検出が認められた。この還元条件では、モノマーのペプチドについて予想される単一ピークの溶出が認められた(図11D)。さらに、ヨードアセトアミドでS1−CpGをアルキル化してからACSANA−HY1と混合した結果、モノマーおよびダイマーのACSANA−HY1プライモトープと推定される検出で示されるように、結合がなくなった(図11E)。これらの結果は、硫黄を含むCpGオリゴヌクレオチドとCysを含むポリペプチドとが、アルキル化やジチオスレイトールによる還元で防止可能なジスルフィド結合を形成しうるという強力な証拠を成すものである。
免疫原性ポリペプチドおよびCpGによりランゲルハンス細胞によるポリペプチドの吸収効率が上昇した
本明細書に記載の方法は、二分型で免疫原性のクラスI結合ポリペプチドによるCpGの直接的な沈殿をもたらしうるものである。両分子が直接沈殿することから、両者がin
vivoにおいて沈殿および堆積の際に存在するであろうことが確実である。該沈殿物を取り込む抗原提示細胞(APC)も、CpGを受け取って活性化し、クラスI結合ポリペプチドを受け取ってCTLに提示しCTLによって認識される。APCによる沈殿物の取り込みを試験するために、KCSRNR−HY1およびHY1ポリペプチドを、アミン反応色素のAlexa(R)488を用いて製造業者のプロトコール(米国オレゴン州ユージーン所在のモレキュラー・プローブス(Molecular Probes)に従って染色した。CpG分子は、T4ポリヌクレオチドキナーゼを利用する5’EndTag
Nucleic Acid Labeling System(商品名:米国カリフォルニア州バーリンゲイム所在のベクター・ラボラトリー(Vector Laboratories))を用いてTexas Red(登録商標)マレイミドで染色した。B10マウスの耳にAlexa488−ポリペプチド(耳1つあたり10μg)とTexas Red−CpG(耳1つあたり10μg)との混合物を注射した。耳に注射したのは、(A)KCSRNR−HY1+CpG、または(B)HY1+CpGとした。12時間目に耳を採取したが、この時点ではCpGの局所注射によりランゲルハンス細胞(LC)が活性化されていることが示されている(ヤコブ(Jakob)ら、J.Immunol.第161巻、p.3042、1998年)。耳を分割し、Versene(商品名)中0.25%のトリプシンで穏やかに処理してLCを抽出した。LC集団を、FITC(Alexa488)およびTRITC(red)用のトリプルパスフィルタを用いてオリンパスBX51型蛍光顕微鏡で観察した。
細胞像から、HY1+CpGを注射した耳ではLCが12時間以内にHY1ポリペプチドおよびCpG分子の両方を吸収するが、これらの分子はLC内の別個のコンパートメント内に集中するようであることが明らかとなった。KCSRNR−HY1+CpGを注射した耳では、該ポリペプチドおよびオリゴヌクレオチドは共に一部のLCの全体にわたって分散した。その他のLCは限られたコンパートメント内に集中したCpGならびに細胞表面上に分散したポリペプチドを示した。従って、CpGおよびKCSRNR−HY1の沈殿物が共にLCによって取り込まれた後、ポリペプチドが(HY1に比べて)効率よくかつ迅速に細胞表面に移送される可能性がある。
尾部付きHY1ペプチド内のArg/Lys残基およびCys残基の、クラスI結合ペプチドをCTLに提示することができるランゲルハンス細胞(LC)のin vivoにおける遊走に対する作用についても調べた。LCなどの樹状細胞(DC)のCpGによる活性化にはTLR9の発現が必要であり、活性化の結果サイトカインおよび共刺激分子の発現、ならびに流入領域リンパ節への遊走が増大する。LCの遊走に対する二分型ポリペプチドの効果を調べるため、B6マウスのメス(一群当たり3匹)の後肢足蹠に、Alexa488を結合させたHY1、KCSRNR−HY1、ACSANA−HY1と混合したTexas Red染色したCpGを注射した。24時間後に流入領域膝窩リンパ節を
採取してリンパ球様細胞を分離し、二重に染色された細胞の出現頻度を蛍光顕微鏡で概算した。結果を図12に示すが、同図には、尾部KCSRNRおよびACSANAを付加することにより、二重に染色される細胞の出現頻度が、HY1ペプチド+CpGで刺激した場合の出現頻度に比べておよそ2.5倍高くなったことが示されている。
二分型ポリペプチドによりCpGのマクロファージへの取り込み効率が上昇した
RAW−264マクロファージによるCpGの取り込み機構に対する二分型ポリペプチドの作用についても調べた。CpGの末端をTexas Redで標識し、次の二分型ポリペプチド、すなわちAASANA−HY1、ACSANA−HY1、KASRNR−HY1、およびKCSRNR−HY1と混合した。Texas Red−CpGをプライモトープと混合し(5μg+5μg)、混合物を増殖培地で希釈して、LSM510型レーザー走査共焦点顕微鏡(独国オベルコッヘン(Oberkochen)所在のカール・ツァイス社(Carl Zeiss,Inc.))に搭載されたPOC−R細胞培養システム(独国スタイヒ(Staig)所在のラコン(LaCon)社)のカバースリップ上のRAW細胞に加えた。POC−Rチャンバを37℃に加熱し、加湿システムで5%CO/空気混合物を送達した。試料を543nmのHeNeレーザーで励起し、63×/1.2N.A.のC−アポクロマート水浸対物レンズで観察した。エアリユニット(airy
unit)が1になるようにピンホールを設定して560−615nmのバンドパスフィルタでエピ蛍光を集光した。取り込みは5秒間隔でデータを取得して5分間測定した。微分干渉コントラスト(DIC)画像を透過光検出器で集めた。512×512の画像を解像度8ビットで集め、データを、Windows(R)XPのPCでLSM画像ブラウザ(LSM Image Browser)(カール・ツァイス)を利用し、かつMacintosh(R)コンピュータでImageJ(米国立精神健康研究所(National Institute of Mental Health))を用いて分析した。
二分型ポリペプチドはCpGの取り込みに対する作用が明確に異なっていた。AASANA−HY1+CpGで観察された取り込みが最も遅く、CpGは取り込まれて細胞全体に分布した。CpGの取り込みが最も速かったのはKASRNR−HY1によるものであった。KASRNR+CpGを添加すると、細胞は即座に膨潤して気泡を形成した後にCpGを取り込み、取り込みは5分間の観察時間中、継続的に増大した。ACSANA−HY1およびKCSRNR−HY1と混合したCpGを用いて処理した結果、CpGの取り込みはAASANA−HY1よりも速く、細胞内の個別の位置に集中した。このような集中的取り込みに続いて顕著な細胞の運動が認められたが、これは上記のCysを含むプライモトープ+CpGの場合にのみ認められた。KCSRNR−HY1にCysが追加されることにより、正に荷電したこのプライモトープの急速かつ明らかに有害な作用が減弱されたことは明らかであった。重要なことは、Cysを含むプライモトープについて観察されたCpGの集中的取り込みは、CTL増殖の増大を促進する能力と関連していたことである。
既知抗原は免疫原性ポリペプチドの特徴を有している
HY2ポリペプチドすなわちKCSRNRQYLは、CTLによって認識され、H2Db分子への結合を制御し、CpGへの結合を仲介し(Cys)、CpGを沈殿させる(ArgおよびLys)アミノ酸を含んでいる。これらの特徴が組み合わさって、CpGとともに投与した場合のHY2の免疫原性が比較的高くなっている可能性がある。さらに、二分型のHY1その他のポリペプチドに最初の6アミノ酸(KCSRNR)を使用することにより、CpGと組み合わせた場合の免疫原性が増大する。これらの観察結果から、種々の免疫原性ポリペプチドを含むタンパク質のアミノ酸配列を調べ、認識ポリペプチドのみならずCpGに結合可能なCysおよび正に荷電した残基を備えた隣接配列をも含む「天
然型免疫原性ポリペプチド」の存在を探索した。既知の腫瘍抗原、ウイルス抗原、非主要組織適合性抗原について先に調べたところ、クラスI結合ポリペプチドではArg残基およびLys残基のうち少なくともいずれか一方が複数隣接しているという顕著な傾向が明らかとなった。表1は、そのような関連について、腫瘍関連タンパク質3種およびウイルスにコードされたタンパク質1種の一部分において例示している(クラスI結合ポリペプチドは太字で示されている)。
Figure 2008509072
Argは、選択的かつわずかしかタンパク質には用いられていない(ダイア(Dyer)ら、J.Biol.Education、第5巻、p.15、1971年;キング(King)およびジュークス(Jukes)、Science、第164巻、p.788、1969年)。このことは、クラスI結合ポリペプチドの隣接領域におけるArgの存在が偶発的なものではないであろうことを示している。観察対象とした正に荷電したアミノ酸領域は、該ポリペプチド自体の一部であるか、あるいは該ポリペプチドから最大40アミノ酸離れて位置する傾向にあるかのいずれかである。本発明者らは、免疫原性ポリペプチドを備えた上記の正に荷電した領域と、機能がArg残基の機能に依存する遺伝子との間に明らかな関連を認めた。Arg残基に機能上依存しているタンパク質、例えば核膜を横切ってDNAおよび疎水性ABC輸送体ファミリーの輸送体に結合しなければならないDNA結合タンパク質は、特に抗原供給源として示されるものである。既知抗原を継続的に分析することにより、正に荷電したアミノ酸領域との繋がりを共有するクラスタ内に複数の免疫原性ポリペプチドが見出されうることがさらに判明した。従って、1つの比較的大きな領域の膜輸送体は、複数のエピトープを同時に与える可能性を有している。
(その他の実施形態)
本発明のいくつかの実施形態について述べてきた。しかしながら、本発明の思想および範囲から逸脱することなく種々の変更形態が可能であることは理解されよう。従って、その他の実施形態は特許請求の範囲の範囲内にある。
3種の非主要H抗原ペプチドH60、HY1、HY2に特異的なIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。抗原細胞(stimulator)には同系および異系の脾細胞を含めた。 3種の非主要H抗原ペプチドH60、HY1、HY2に特異的なIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。抗原細胞にはそれぞれの標的ペプチド10nMでパルスしたRMA/S細胞を含めた。 CpGと混合した異なる濃度の記載の抗原ポリペプチド(HY2、HY1、KCSRNR−HY1、およびRKKRRQ−HY1)に応答したIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。 IFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。HY1および記載のHY1ポリペプチドと混合したCpGを用いてマウスをプライミングした。CD8+CTLを、第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、同系のオスおよびメスの脾細胞の抗原細胞と混合した。 IFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。HY1および記載のHY1ポリペプチドと混合したCpGを用いてメスのB6マウスをプライミングした。Cysを含むアミノ末端部およびカルボキシ末端部(尾部)を備えたポリペプチドを含めた。CD8CTLを、第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、未処理または1μMのHY1ペプチドでパルスしたB6メスの脾細胞と混合した。 図3Bに記載のB6メスの応答細胞(responder)由来の脾細胞を、第一次MLCにおいてB6オスの抗原細胞(stimulator cell)で再刺激した場合のIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。CD8+CTLを、第二次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、B6オスの脾細胞、未処理のB6メスの脾細胞、および1μMのHY1ペプチドでパルスしたB6メスの脾細胞と混合した。 第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて検出されたIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。CpG+漸減量のペプチド(各成分を100、40、10μg)を用いてメスのB6マウスをプライミングし、10日後に脾細胞を採取してCD8+CTLを富化した。CTLを、第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、B6のオスおよびメスの抗原細胞と混合した。 第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて検出されたIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。CpG+漸減量のペプチド(各成分を100、40、10μg)を用いてメスのB6マウスをプライミングし、10日後に脾細胞を採取してCD8+CTLを富化した。CTLを、第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、未処理または10nMのHY1ペプチドでパルスしたB6メスの抗原細胞と混合した。 第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて検出されたIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。CpG+KCSRNR−HY1およびACSANA−HY1を用いてメスのB6マウスをプライミングし、15日目(15d)、29日目(29d)、50日目(50d)に脾臓および流入領域リンパ節を採取した。CD8CTLを富化し、第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、未処理のB6メスの脾細胞または10nMのペプチドでパルスしたB6メスの抗原細胞と混合した。塗りつぶした棒グラフおよび白抜きの棒グラフはそれぞれ流入領域リンパ節および脾臓に対応する。未処理のB6メスの抗原細胞に応答するCTLの出現頻度を差し引いて、グラフに示した特異的な出現頻度を求めてある。 第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて検出されたIFNγ分泌CTLの出現頻度を示すグラフ。CpG+KCSRNR−HY1およびACSANA−HY1を用いてメスのB6マウスをプライミングし、15日目(15d)、29日目(29d)、50日目(50d)に脾臓および流入領域リンパ節を採取した。CD8CTLを富化し、第一次IFNγ ELISPOTアッセイにおいて、未処理のB6メスの脾細胞または1μMのHY1ペプチドでパルスしたB6メスの細胞と混合した。塗りつぶした棒グラフおよび白抜きの棒グラフはそれぞれ流入領域リンパ節および脾臓に対応する。未処理のB6メスの抗原細胞に応答するCTLの出現頻度を差し引いて、グラフに示した特異的な出現頻度を求めてある。 第一次ELISPOTアッセイ結果の例を示す図。KCSRNR−HY1とCpGとを組み合わせたプライミングからMPL−AFアジュバントを除くことにより、プライミング効率が増大したように見える。図に示したウェルには、応答細胞として2.5×10個のCD8CTLと、HY1ポリペプチドでパルスしたRMA−S抗原細胞が含まれている。グラフは、ポリペプチド刺激に応答して活性化されたCD8T細胞の出現頻度を示している。 第一次ELISPOTアッセイ結果の例を示す図。CpG相互作用性アミノ酸配列KCSRNRを、2種のメラノーマのCTL活性化ポリペプチド(AAGIGILTV(メランA)およびKTWQYWQV(gp100))および免疫優勢のインフルエンザポリペプチド(GILGFVFT)に連結した結果、それぞれの天然型ポリペプチドに比べて、CpG+MPL−AFと混合したときのHLA−A2トランスジェニック体のプライミングが増大した。図に示したウェルには、応答細胞として3×10個のCD8CTLと、ポリペプチドでパルスしたT2抗原細胞が含まれている。グラフは、ポリペプチド刺激に応答して活性化されたCD8T細胞の出現頻度を示している。 吸光度のデータを示すグラフ。沈殿が形成されると吸光度は低下する。データは、HY1のCpG相互作用性アミノ酸配列内の正に荷電した残基が、in vivoプライミングにおいて用いられた濃度のCpGのほぼ完全な沈殿を仲介することを示している。 HY1−尾部付き二分型ポリペプチドを含む溶液からCpGを沈殿させた後の上清について吸光度の値を示すグラフ。沈殿物を上清から除き、次いで1/100に希釈して260nmで分光分析を実施した。 RP−HPLCトレースを示す図。(A)混合物AASANA−HY1+S1−CpGのRP−HPLCトレース。S1−CpGはホスホロチオエート基を1つ含んでいる。0.1%トリフルオロ酢酸中75分間の0−95%アセトニトリル勾配を用いたRP−HPLCにより混合物を分離した。(B)混合物ACSANA−HY1+天然型CpGのRP−HPLCトレース。図10Aに記載したようにしてRP−HPLCにより混合物を分離した。(C)混合物ACSANA−HY1+S1−CpG(図10A参照)のRP−HPLCトレース。図10Aに記載したようにしてRP−HPLCにより混合物を分離した。(D)混合物ACSANA−HY1+S1−CpG(図10A参照)のRP−HPLCトレース。該混合物はRP−HPLCで分離する直前に0.05MのDTTで還元された。図10Aに記載したようにしてRP−HPLCにより混合物を分離した。(E)混合物ACSANA−HY1+S1−CpG(図10A参照)のRP−HPLCトレース。S1−CpGは混合前に10mMのヨードアセトアミドでアルキル化済みである。図10Aに記載したようにしてRP−HPLCにより混合物を分離した。(F)混合物ACSANA−HY1+S1−CpG(図10A参照)のRP−HPLCトレース。図10Aに記載したようにしてRP−HPLCにより混合物を分離した。 二重染色されたランゲルハンス細胞の割合(%)を示すグラフ。メスのB6マウス(一群あたり3匹)を麻酔し、Texas Redを結合させたCpGと、Alexa488を結合させてあるHY1、KCSRNR−HY1、ACSANA−HY1ペプチドとを足蹠に注射した。注射したマウスを24時間後に屠殺し、膝窩リンパ節を切除した。二重に染色された細胞の出現頻度を蛍光顕微鏡で概算した。

Claims (37)

  1. ポリペプチドとCpG分子とを含んでなる組成物であって、前記ポリペプチドは細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列とCpG相互作用性アミノ酸配列とを含んでなり、前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は前記CpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一であり、前記CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基を含み、前記CpG分子は少なくとも1つの硫黄原子を含むことを特徴とする組成物。
  2. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が15個以下のアミノ酸残基からなる、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が10個以下のアミノ酸残基からなる、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が本質的に6アミノ酸残基で構成されている、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列がB−X、X−B、またはB−X−B配列を含み、前記配列においてBは正に荷電したアミノ酸残基でありXはアミノ酸残基であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列がB−X−B−X−B配列を含み、前記配列においてBは正に荷電したアミノ酸残基でありXはアミノ酸残基であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が少なくとも2つのシステイン残基を含む、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が少なくとも4つの正に荷電したアミノ酸残基を含む、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列の少なくとも1つのシステイン残基のうち少なくとも1つが、正に荷電したアミノ酸残基に隣接している、請求項1に記載の組成物。
  11. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が配列番号1に記載の配列(KCSRNR)を含む、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が配列番号1に記載の配列(KCSRNR)で本質的に構成されている、請求項1に記載の組成物。
  13. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が配列番号2に記載の配列(ACSANA)で本質的に構成されている、請求項1に記載の組成物。
  14. 前記少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基がアルギニンである、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基がリジンである、請求項13に記載の組成物。
  16. 前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は50個以下のアミノ酸残基からなる、請求項1に記載の組成物。
  17. 前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は25個以下のアミノ酸残基からなる、請求項1に記載の組成物。
  18. 前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は20個以下のアミノ酸残基からなる、請求項1に記載の組成物。
  19. 前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は10個以下のアミノ酸残基からなる、請求項1に記載の組成物。
  20. 前記ポリペプチドは50アミノ酸残基未満の長さである、請求項1に記載の組成物。
  21. 前記ポリペプチドは40アミノ酸残基未満の長さである、請求項1に記載の組成物。
  22. 前記ポリペプチドは30アミノ酸残基未満の長さである、請求項1に記載の組成物。
  23. 前記ポリペプチドは20アミノ酸残基未満の長さである、請求項1に記載の組成物。
  24. 前記CpG分子はホスホロチオエート結合を含む、請求項1に記載の組成物。
  25. 前記CpG分子はホスホロチオエート骨格を含む、請求項1に記載の組成物。
  26. 免疫原性が増強された組成物を製造する方法であって、
    (a)細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列とCpG相互作用性アミノ酸配列とを有するポリペプチドを得る工程であって、前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は前記CpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一であり、前記CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基を含むことを特徴とする工程と、
    (b)前記ポリペプチドを、硫黄原子を含むCpG分子と接触させて、前記組成物を形成する工程と
    からなる方法。
  27. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸をさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 沈殿物を含んでなる溶液であって、前記沈殿物はポリペプチドとCpG分子とを含んでなり、前記ポリペプチドは細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列とCpG相互作用性アミノ酸配列とを含み、前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は前記CpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一であり、前記CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基と少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含み、前記CpG分子は硫黄原子を含むことを特徴とする溶液。
  29. 前記溶液は水溶液である、請求項28に記載の溶液。
  30. 沈殿物を含んでなる溶液を製造する方法であって、
    (a)細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列とCpG相互作用性アミノ酸配列と
    を有するポリペプチドを得る工程であって、前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は前記CpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一であり、前記CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基と少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基とを含むことを特徴とする工程と、
    (b)前記ポリペプチドを、硫黄原子を含むCpG分子と接触させる工程であって、溶液中で実施され、かつ前記ポリペプチドと前記CpG分子とが沈殿を形成する条件下で実施されることによって、前記沈殿物を含んでなる溶液が形成されることを特徴とする工程と
    からなる方法。
  31. 哺乳動物において細胞傷害性T細胞を活性化する方法であって、ポリペプチドとCpG分子とを含んでなる組成物を前記哺乳動物に投与することからなり、前記ポリペプチドは細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列とCpG相互作用性アミノ酸配列とを含み、前記細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列は前記CpG相互作用性アミノ酸配列に対して不均一であり、前記CpG相互作用性アミノ酸配列は少なくとも1つのシステイン残基を含み、前記CpG分子は硫黄原子を含むことを特徴とする方法。
  32. 前記CpG相互作用性アミノ酸配列が少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸をさらに含む、請求項31に記載の方法。
  33. 細胞傷害性T細胞を活性化するポリペプチドを特定する方法であって、
    (a)試験ポリペプチドをCpG分子と組み合わせて混合物を形成する工程と、
    (b)前記混合物を哺乳動物に投与する工程と、
    (c)前記哺乳動物から細胞傷害性T細胞を採取する工程と、
    (d)前記哺乳動物におけるCD8細胞傷害性T細胞のレベルが、工程(b)の前の前記哺乳動物におけるCD8細胞傷害性T細胞のレベルに比べて上昇しているかどうかを判定する工程であって、上昇が、前記試験ポリペプチドが細胞傷害性T細胞を活性化するポリペプチドであることを示すことを特徴とする工程と
    からなる方法。
  34. 前記細胞傷害性T細胞が前記哺乳動物の脾臓から採取されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
  35. 前記哺乳動物はマウスである、請求項33に記載の方法。
  36. CpG相互作用性アミノ酸配列を特定する方法であって、
    (a)試験アミノ酸配列をCpG分子と接触させる工程であって、溶液中で実施されることを特徴とする工程と、
    (b)前記試験アミノ酸配列と前記CpG分子とが沈殿物を形成するかどうかを判定する工程であって、沈殿物の形成が、前記試験アミノ酸配列がCpG相互作用性アミノ酸配列であることを示すことを特徴とする工程と
    からなる方法。
  37. CpG相互作用性アミノ酸配列を特定する方法であって、
    (a)ポリペプチド/CpG分子混合物を哺乳動物に投与する工程であって、前記ポリペプチドが細胞傷害性T細胞を活性化するアミノ酸配列と試験アミノ酸配列とを含むことを特徴とする工程と、
    (b)前記混合物が、前記哺乳動物の細胞傷害性T細胞を、対照のポリペプチド/CpG分子混合物を投与された対照の哺乳動物において生じる活性化レベルよりも高いレベルに活性化するかどうかを判定する工程であって、前記対照のポリペプチド/CpG分子混
    合物のポリペプチドは前記試験アミノ酸配列を欠いており、前記高いレベルの細胞傷害性T細胞の活性化は前記試験アミノ酸配列がCpG相互作用性アミノ酸配列であることを示すことを特徴とする工程と
    からなる方法。
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