JP2008507306A - 頸椎体を加工するための器具セット及びその加工方法 - Google Patents
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Abstract
椎間腔内(1)において人工椎間関節(11)のアバットメント表面(13)を受容するように頸椎体(2)を加工するための器具セット及びその加工方法は、椎間腔(1)に挿入されるガイド要素(3)と、少なくとも1つの椎体を加工する器具(10)とが、相互に作用するガイド表面(5、9a)を有していることを特徴とする。加工用器具の加工領域は、ガイド表面(5、9a)によって制限されている。
Description
本発明は、椎間腔内において人工椎間関節を受容するように頸椎体を加工するための器具セット及びその加工方法に関する。
椎間板用の置換物である人工椎間関節を取り付けるときに、手術をする外科医は手術の現場で働いており、椎間板は見えにくく、重要な神経路や血管に近接している。特に、これは頸椎領域に当てはまるが、なぜなら、その領域では、加工する椎骨部分と敏感な隣接領域との間に、極めて僅かな間隔しか存在しないからである。そのため、損傷を引き起こす特別な可能性を有する器具、又は特別な正確さで挿入されるべき器具に関しては、適切な器具を用いて、それらの動作の自由度を必要な範囲に制限しようとしている。
人工椎間関節を受容するように椎関腔を準備するための器具セットは既に知られており、加工用器具の動作の自由度は、固定用及びガイド用の装置のガイド表面によって制限されている(国際特許公開WO03/075774A1)。椎体の間に挿入される調整用器具の助けにより、固定用及びガイド用の装置は、脊椎に対して相対的に規定された位置に運ばれ、脊椎にしっかりとねじ止めされる。
調整用器具を除去した後には、椎間腔は、固定用及びガイド用の装置によって規定された範囲内で加工可能になる。この器具セットの不利な点は、器具セットが椎間腔を加工可能になる前に、かなりの数の予備工程を必要とすることである。さらに、記載された器具セットは、椎体の脊椎領域を加工するのに適していない。それは、脊椎に固定された固定用及びガイド用の器具が接近を妨げるからである。
本発明の目的は、頸椎体を加工するための器具セット及びその加工方法を提供することである。
本発明による解決方法は、特許請求の範囲の特徴部分にある。本発明の方法の基本的な考え方では、ガイド要素が椎間腔に位置すると共にガイド表面を有し、そして椎体が加工用器具によって加工され、ここで後者は、ガイド表面によりガイドされる。器具セットは、椎間腔に挿入されるガイド要素と、少なくとも1つの椎体を加工するための加工用器具とを備えており、これらは相互に作用するガイド表面を有している。
人工椎間関節を挿入するには、第一に、関係する脊椎は腹部側から接近されて、椎間腔は椎間板から開放される。本発明のガイド要素は、これにより形成された自由空間の中に挿入される。ガイド要素は、挿入された状態では、椎間腔と隣接した椎体表面とさまざまな場所で接触している。この接触の長所によって、ガイド要素は、椎間腔の内部の規定された位置を自動的にとる。椎体表面に位置するガイド要素の領域は、位置決め表面としての役割を果たす。
このように、ガイド要素は、関係する脊椎の両方に対して規定された位置に据えられ、そして椎体を加工する加工用器具をガイドするための固定位置として使用される。ガイド要素は、加工用器具のガイド表面と協働し且つ加工用器具が加工中にガイドされるガイド表面を備えている。
健康な状態における脊椎の互いの位置関係は、椎間板と靱帯との相互作用によって決定される。脊椎を分離状態に保持していた椎間板を除去した後には、靱帯が脊椎を互いに引き寄せる。それらの張力が、2つの脊椎間に位置するガイド要素を締付けによって確実に固定する。ガイド要素の厚さは、この締付けをもたらすのに必要な厚さにする。
人工関節を受容するために、この椎間腔は人工関節の外形に適合するように準備される。有利な実施の形態では、本発明の器具セットは、椎間腔が準備された後に使用状態におかれ、ガイド要素と人工関節との両方とも椎間腔内に挿入できるように、ガイド要素は人工関節に対応する外形を有している。ガイド要素は、通常はフランジの後方に位置する人工関節部分の深さ以下の腹部−背部深さを有している。ガイド要素を椎間腔に挿入した後、ガイド表面は椎間腔の深部に位置している。この適合した形状と、それゆえ脊椎に対して規定されたガイド要素の状態とにより、ガイド要素の助けで行われる椎体のさらなる加工は、次の人工関節の状態に正確に適応可能である。椎間腔内部のガイド要素の外形が人工関節と完全に一致することは、絶対不可欠ではない。むしろ、ガイド要素の位置決め表面が人工関節の表面形状の一部に相当するように、部分的に一致すれば十分である。
有利な実施の形態において、加工用器具のガイド表面は、ガイド要素のガイド表面に対して、横方向に動作可能である。そして、加工用器具は、頭蓋−尾骨方向における位置だけが固定されている。加工用器具は、頭蓋−尾骨方向と直交する方向には自由に動かすことができる。加工中には、器具は、加工によって形成された表面に平行なガイド表面によってガイドされている。
加工用器具のガイド表面は、好ましくはガイドマンドレル(guide mandrel)である。また、加工用器具は筒状のフライス(milling cutter)であるのが好ましく、そして、ガイドマンドレルはガイド要素のガイド表面に対して回転可能である。筒状フライスの加工範囲は、筒状フライスの直径によって、ガイド要素のガイド表面の両面上に規定される。この直径は、5〜10mmが好ましい。
他の有利な実施の形態では、加工用器具は、例えばキュレット又はヤスリ等の工具(hand tool)である。
ガイド要素のガイド表面は、有利には、椎体間の中央に配置される。このように、ガイド要素の上側及び下側の椎体は一度の処理で同時に加工することができる。しかしながら、加工用器具がガイド表面から片側だけに伸びているならば、又はガイド表面が偏心的に配置されているならば、片側だけを加工することもできる。
手術の位置を観察するのが困難であってもガイド要素の安全な挿入を可能にするために、器具セットは、ガイド要素をうまく取り扱うためにしっかり掴むことのできる挿入要素を備えるのが好ましい。挿入要素は、挿入前にガイド要素と接続され、挿入後に再びガイド要素から除去されるのが好ましい。
椎間腔内におけるガイド要素のしっかりした保持は、有利には、位置決め表面の構造によって支持される。この目的を達成するために、位置決め表面に、椎体の表面と機械的に結合するための突起を備えることができる。それらの突起は、加工中に、加工用器具によってガイド要素に力がかけられたとしても、椎体に対してガイド要素が移動するのを防止する。例えば、突起は、先端が椎体の表面に向かって突出した歯状の構造にすることができ、又は規則的に又は不規則に分散させた小さい突起によって表面粗さを形成することができる。
本発明は、添付の図面を参照しながら、図示した有利な実施の形態に基づいて以下に説明される。
図1に図示した人工椎間関節11は、エンドプレート12と人工コア14とから成り、椎間板と置換するための関節を形成している。各エンドプレート12、又は少なくとも1つのエンドプレート12は、腹部側の縁にフランジ13を有しており、このフランジ13は、エンドプレート12の表面の上方向に突出した棚のように伸びて、椎体と接続している。図2の断面図に示すように、人工椎間関節は、椎体2の間の椎間腔1に挿入することを目的としている。人工椎間関節11の腹部側に突出した部分によって周囲の臓器が炎症を起こすのを防止するために、フランジ13は椎体2に埋め込まれる。この目的のために、フランジ13が完全に又は殆どの部分を受容されて、元来の輪郭を越えて腹部方向に突出しないように又はごくわずかだけ突出するように、人工椎間関節11を挿入する前に椎体2から物質が除去される。本発明の器具セットは、この埋込に必要なように、椎体2を加工するのに向いている。
図1に図示した人工椎間関節11は、エンドプレート12と人工コア14とから成り、椎間板と置換するための関節を形成している。各エンドプレート12、又は少なくとも1つのエンドプレート12は、腹部側の縁にフランジ13を有しており、このフランジ13は、エンドプレート12の表面の上方向に突出した棚のように伸びて、椎体と接続している。図2の断面図に示すように、人工椎間関節は、椎体2の間の椎間腔1に挿入することを目的としている。人工椎間関節11の腹部側に突出した部分によって周囲の臓器が炎症を起こすのを防止するために、フランジ13は椎体2に埋め込まれる。この目的のために、フランジ13が完全に又は殆どの部分を受容されて、元来の輪郭を越えて腹部方向に突出しないように又はごくわずかだけ突出するように、人工椎間関節11を挿入する前に椎体2から物質が除去される。本発明の器具セットは、この埋込に必要なように、椎体2を加工するのに向いている。
本発明の器具セットが嵌め込まれる前に、椎間板が除去される。絶対に必要なわけではないが、通常は、人工椎間関節11を受容するために椎体の表面を準備する。この目的のために、椎間腔1の方向に向いている椎体2の表面は、椎間腔1が人工椎間関節11にできるだけ適合した形状になるように加工される。よって、フランジ13を受容するために、椎体の腹部側の縁部はさらに加工される。この加工は、椎間腔1に挿入されたガイド要素3の助けによりなされる。加工中、複数の椎体2を、人工椎間関節の挿入後に予想される互いの位置に正確に位置決めするのを確実にするために、ガイド要素3は、それが椎間腔1で椎体2と接触する程度において、人工椎間関節11と対応する形状を有している。ガイド要素3の形状は、人工椎間関節11の形状と完全に対応することが絶対不可欠ではない。むしろ、ガイド要素3の表面を形成している位置決め表面が、人工椎間関節11の対応部分に相当するか、又はそれらに対応すれば十分である。
ガイド要素3を椎間腔1に挿入するために、挿入要素4が適切な手段(図示せず)で接続される。挿入要素4のグリップ部6は、挿入要素4に接続されたガイド要素3を取り扱うために把握される。2つの椎体2は、椎間腔1がガイド要素3を受容するのに十分な大きさになるように、靱帯の張力に逆らって引き離される(その手段は図示せず)。しかしながら、ガイド要素3は、それ自体が椎体2をそれぞれに引き離すように、椎間腔1に押し入れることもできる。椎間腔1にガイド要素3を挿入した後、靱帯が、締付けによってガイド要素3を固定する。ガイド要素3の確実な保持は、椎間腔1に隣接した椎体2表面に結合するガイド要素の表面の突起7によって支持される。突起7は、様々な方法で構成することができる。例えば、突起7は歯状にすることもでき、また、表面粗さの形成に小さい突起を使用することもできる。挿入要素4は、締付け位置に固定されたガイド要素3から取り外される。
ガイド要素3は、図4に図示されているように椎間腔1に位置している。ガイド表面5を形成している溝を備えた前面8だけは、手術する外科医が未だに接近可能である。
図5に示すように、筒状のフライス10のガイド表面9aが、ガイド要素3のガイド表面5と協働する。ここで、筒状のフライス10のガイド表面9aは、ガイドマンドレル9の外側表面である。筒状のフライス10に代わって、加工用器具は、対応するガイドマンドレル9を備えたヤスリ又はキュレット等の工具にすることもできる。
筒状のフライス10は、目的に合わせて5〜10mmの直径を有し、ガイドマンドレル9と共に回転し、その際に椎体2から物質が除去される。ガイド要素3のガイド表面5は、両方の椎体2が同時に加工されるように、椎体2間の中央に配置される。筒状のフライス10は、ガイド表面5の内部を横方向に動作可能であり、頭蓋−尾骨方向における筒状のフライス10の位置は、ガイド表面5によって規定されている。同じ方向における筒状のフライス10の加工深さは、その直径によって規定される。それは、少なくとも人工椎間関節のフランジの位置における頭蓋−尾骨方向の寸法と等しい。また、ガイド表面5は、腹部−背部方向における椎体2内部へのフライスの侵入深さを規定する。ガイドマンドレル9がガイド表面5の底部に突き当たったときに、又はフライスがガイド要素3の前面8を圧迫したときに、最大侵入深さに到達する。
椎体2の加工が完了した時点で、ガイド要素3は、椎間腔1から再び除去される。そのために、ガイド要素3は、挿入要素4に接続されて、椎間腔1から引き抜かれる。そして、人工椎間関節11を挿入することができる。
Claims (18)
- 椎間腔内において人工椎間関節を受容するように頸椎体を加工するための器具セットであって、
椎間腔(1)に挿入されるガイド要素(3)と、少なくとも1つの椎体を加工する器具(10)とが、相互に作用するガイド表面(5、9a)を有していることを特徴とする器具セット。 - ガイド要素(3)は、椎間腔(1)に隣接した椎体表面と相互に作用する位置決め表面を有していることを特徴とする請求項1に記載の器具セット。
- ガイド要素(3)の位置決め表面が、人工椎間関節(11)の表面形状又はその一部に相当することを特徴とする請求項2に記載の器具セット。
- ガイド要素(3)の厚さは、椎体(2)間の締付けを確実にするのに必要な厚さであることを特徴とする請求項1に記載の器具セット。
- ガイド要素(3)のガイド表面(5)は、横方向に延びていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の器具セット。
- ガイド要素(3)のガイド表面(5)が溝であり、
加工用器具(10)のガイド表面(9a)は、溝の幅に適合したガイドマンドレル(9)から形成されていることを特徴とする請求項5に記載の器具セット。 - 加工用器具は筒状のフライス(10)であり、
ガイドマンドレル(9)はガイド要素(3)のガイド表面(5)に対して回転可能であることを特徴とする請求項6に記載の器具セット - 加工用器具(10)は、例えばキュレット又はヤスリ等の工具であることを特徴とする請求項5に記載の器具セット。
- ガイド要素(3)のガイド表面(5)は、両方の椎体(2)を同時に加工するために、椎体(2)間の中央に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の器具セット。
- ガイド要素(3)を挿入するための挿入要素(4)を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の器具セット。
- 挿入要素(4)は、解除可能な手段によりガイド要素(3)と接続されていることを特徴とする請求項10に記載の器具セット。
- 椎体表面と機械的に結合するための突起(7)が、位置決め表面に配置されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の器具セット。
- 椎間腔内において人工椎間関節を受容するように頸椎体を加工する方法であって、
ガイド要素は、椎間腔内に位置決めされ、及び前記椎間腔の内部によこたわるガイド表面を備え、
椎体は、加工用器具によって加工され、ここで後者は、ガイド表面によりガイドされることを特徴とする頸椎体の加工方法。 - ガイド要素は、椎体間の締付けによって固定されることを特徴とする請求項13に記載の頸椎体の加工方法。
- 加工用器具が、加工によって生じた形成された表面に平行なガイド表面によってガイドされることを特徴とする請求項13又は14に記載の頸椎体の加工方法。
- 加工用器具として筒状のフライスが使用されることを特徴とする請求項13又は14に記載の頸椎体の加工方法。
- 2つの椎体が同時に加工されることを特徴とする請求項16に記載の頸椎体の加工方法。
- 椎体腔内にガイド要素を挿入するために、挿入要素が解除可能な手段によりガイド要素と接続されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の頸椎体の加工方法。
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