無線移動通信ネットワークの通信量に対する要求が増大し、サービスの有効範囲が拡大され、新たなシステムが展開されるのに伴い、ネットワークは継続的に展開され、改善されている。セルラ型通信システムは、より広いサービス・エリアの有効範囲を実現するために、一般にセルと称される1つのセクタまたはエリアを各々が扱う複数のアンテナ・システムが使用されることから、その名前が付いている。集合セルは、特定の無線通信ネットワークに対する総括的なサービス・エリアを構成する。
各セルを扱うのは、アンテナ・アレイと、それに付随する、セルを通信ネットワーク全体に接続するスイッチである。一般的には、アンテナ・アレイは2つのセクタに分割され、各アンテナが個々のセクタを扱う。例えば、アンテナ・システムの3つのアンテナが、約120°の有効範囲をそれぞれ有する3つのセクタを扱ってもよい。これらのアンテナは、一般に垂直に偏波され、ある角度の下方チルトを有しているので、アンテナの放射パターンは、顧客が使用する携帯送受器に向かって僅かに下方に向けられる。この所望の下方チルトは、地形および他の地勢によって決まる場合が多い。しかし、下方チルトの最適値は、必ずしも、実際に実装して試験を行う前に予測できるわけではない。したがって、実際のアンテナを実装する際に、各アンテナの下方チルトを特別に設定する必要が常にある。一般的には、大容量のセルラ型システムは、24時間の期間内に再度最適化することが必要な場合がある。さらに、顧客は、所与の寸法での最大の利得が得られ、相互変調(IM)がほとんどないアンテナを求めている。したがって、顧客が、所与のネットワーク実装に対してどのアンテナが最良であるかを決める場合がある。
本発明のさらなる1つの目的は、指向性が改善され、かつセクタ分離が改善されて、セクタ電力比(SPR)[Sector Power Ratio]の改善を実現する二重偏波アンテナを提供することである。
本発明の1つの目的は、最適な水平面放射パターンを有する二重偏波アンテナ・アレイを提供することである。1つの目的は、少なくとも20dBの水平ビーム前方側方比(F/S比)[horizontal beam front−to−side ratio]および少なくとも40dBの水平ビーム前方後方比(F/B比)[horizontal beam front−to−back ratio]を有し、ロールオフが改善された放射パターンを提供することである。
本発明の別の目的は、120°の水平セクタにおいてco−pol対cross−pol比を最小限の10dBに抑え、交差偏波特性が最適化されたアンテナ・アレイを提供することである。
本発明の別の目的は、水平パターンのビーム幅が50°〜75°のアンテナ・アレイを提供することである。
本発明の別の目的は、相互変調が最小化されたアンテナ・アレイを提供することである。
本発明の1つの目的は、拡張された周波数範囲にわたって動作可能な二重偏波アンテナ・アレイを提供することである。
本発明のさらなる1つの目的は、調節可能な垂直面放射パターンを生成できる二重偏波アンテナ・アレイを提供することである。
本発明の別の目的は、少なくとも30dBにポート間分離が向上したアンテナを提供することである。
本発明のさらなる目的は、安価なアンテナを提供することである。
本発明のこれらおよび他の目的は、+45°および−45°の直線偏波を有する電磁波を送受信するための改善されたアンテナ・アレイによって提供される。
図1を参照すると、最適な水平放射パターンおよび可変の垂直ビーム・チルトを有する広帯域二重偏波基地局アンテナ全体が、10で示される。アンテナ10は、双極子対16の状態で配置された広帯域の傾斜45°(slant 45)クロス・ダイポール(x−ダイポール)放射素子14がその上に設けられた、複数の素子トレイ12を含んでいることが分かる。素子トレイ12はそれぞれ、傾けられて「倒れたドミノ牌」の配列で配置され、一対のトレイ支持体20で支持されている。一体化された素子トレイ12およびトレイ支持体20は、外部トレイ22の上かつその中で固定されており、図1および図2に示すように、トレイ支持体20とトレイ22の側壁との間に横方向に画定された側部に隙間がある。各トレイ素子12は、図に示すように、個々の双極子対16の接地面を規定する上面を有し、また、その上に間隔を空けて設けられ、双極子対16のダイポール放射素子14それぞれに給電する空気誘電性のマイクロストリップ線路30をそれぞれ有する。複数の導電性のアーチ型ストラップ26は、トレイ22の側壁の間で固定されて、アンテナ10に剛性をもたらすと共に、ダイポール放射素子14間の分離を改善する。
図に示すように、一対のケーブル支持体32が各トレイ素子12の上方に延びている。支持体32は、図4を参照しながら、より詳細に手短かに検討するように、ケーブル76から空気誘電性のマイクロストリップ線路30まで、また下に接着されたプリント回路基板50上で規定されるマイクロストリップ給電ネットワークまでの、個々の低IM RF接続ケーブル34を支持する。
次に図2を参照すると、1つのトレイ支持体20およびトレイ22の側壁を部分的に破断して、「倒れたドミノ牌」の配列で構成された傾けられたトレイ素子12が見えるようにした、素子トレイ12の斜視図が示される。各トレイ素子12は、この「倒れたドミノ牌」の配列で配置されているので、個々のダイポール放射素子14のパターン照準を、例えばアレイの調整可能なチルト範囲の中間点とすることができる所定のダウンチルトで方向付けることができる。この例におけるアンテナ10の所望の最大ビーム・スキント・レベルは、素子トレイ12の傾きがない場合のように機械照準から約8°ずれるのではなく、一貫して機械照準から約4°下方に傾いている。本発明によれば、従来のやり方に対して、最大水平ビーム・スキント・レベルが約5°まで低減されており、これは、アンテナの広い動作帯域とチルト範囲とを考慮して十分に受容可能である。
やはり図2を参照すると、間にあるRFチョーク36を規定する細長い間隙によって、トレイ支持体20が隣接するトレイ22の側壁それぞれから分離されていることが示される。物理的な幾何学的形状によって作られるこのチョーク36は、外部トレイ22の背面上を流れるRF電流を有利に低減する。外部トレイ22の背面上の誘導電流が低減されることで、後方への放射が直接低減される。放射F/B比を最大限にすることに関わるこのRFチョーク36の重要な設計基準には、外部トレイ22の折り畳まれた側壁38の高さ、トレイ支持体20の高さ、およびトレイ支持体20とトレイ22の側壁の縁38との間のRFチョーク36などがある。RFチョーク36は、放射素子14の中心周波数のλ/4であることが好ましく、また、RFチョーク36は、空気誘電体内で内部反射が消去されるため、周波数によって決まる狭帯域を有し、チョークの帯域は中心周波数の約22%である。
本発明のさらなる一実施形態によれば、RF吸収体39をRFチョーク36内に追加して、RFチョークの周波数依存をより少なくし、それによってより広帯域のRFチョークを作成してもよい。RF吸収体39は、RF反射波があればそれを遅らせかつ放散して、クロス・ダイポール・アンテナ12によって生成される主ビーム放射に影響しないようにする炭素を、高い割合で含有するのが好ましい。傾斜45°クロス・ダイポール・アンテナ14は、図に示すように、ビームそれぞれが水平成分と垂直成分とを有する交差偏波した主ビーム放射を±45°の配向で生成する。交差偏波は、それらの成分の大きさが360°にわたって均一かつ均等な場合に適当である。線状に配置されたクロス・ダイポール14を備える、図1に示すパネル・アンテナ10では、各ビーム配向の水平成分は、垂直成分よりも早くロールオフする。これは、各ビーム配向において垂直ビーム幅が水平ビーム幅よりも広く、また水平成分よりも垂直成分の方が各トレイ12の縁部に沿って移動することを意味する。薄い金属のトレイ12は表面積が限定されているため、その上の表面電流は、水平成分を主ビーム放射に反射し返しにくい。一方、個々のトレイ12の縁部に沿って、階段状のバフル35は多くの垂直成分ベクトル電流を含有しなければならない。有利には、RF吸収体39をRFチョーク36内に追加することによって、各ビーム配向の垂直成分は、クロス・ダイポール14の主ビーム放射に反射し返すことによって最小限に抑えられる。このように、クロス・ダイポール14は、その後方にリフレクタを有さない。
素子トレイ12は、はんだ付け性のため、真ちゅう合金で作製し、すずめっき仕上げで処理するのが好ましい。素子トレイの主な働きは、図に示すように、放射素子14を特定の配向で支持することである。この配向により、アンテナ10の両方のポートに対して、より最適に均衡が取られた垂直および水平ビーム・パターンが提供される。さらに、この配向により、各ポート間の分離が改善される。また、素子トレイ12は、同軸ケーブルとエアストリップの境界面でRF接地点を提供する。
トレイ支持体は、アルミ合金で作製するのが好ましい。トレイ支持体の主な働きは、5つの素子トレイ12を、水平パターンのビーム・スキントを最小限に抑える特定の配向で支持することである。
外部トレイ22は、素子トレイ12よりも厚いアルミ合金のシート材で作製するのが好ましく、また、外部環境条件による腐食を防ぐためにアロジン・コーティングで処理するのが好ましい。外部トレイ22の主な働きは、内部アレイ構成要素を支持することである。第2の働きは、後方に向かう放射を最小限に抑えることで、放射されたRF電力をアンテナ10の前方セクタに向けて集中させ、それによって、上述したように、放射パターンのF/B比を最大にすることである。
次に図3を参照すると、図に示すように、放射素子14の上方に設けられ、エアストリップ給電ネットワーク30によって給電される、横方向に延びる寄生広帯域クロス・ダイポール導波器40をN個有する1つの放射素子14が示される。Nは、1、2、3、4…であり、この実施形態ではNは4に等しいものとして示す。寄生広帯域クロス・ダイポール導波器40の上側の横方向に延びる部材は、好ましくは互いに均等に間隔が空けられ、帯域幅を広げるため、図に示すように上側の部材の長さがより短いことが好ましい。導波器40の下側の部材は、放射素子14により近接して間隔が空けられているので、有効なインピーダンスの適合を維持しながらパターンを拡張する形で、RFエネルギーを導波器に適切に結合することができ、リフレクタとそれぞれ利得を生成する離間した素子とを有する八木・宇田アンテナとは異なり、導波器40による利得はほとんど認められない。有利には、利得が認められるのではなく、ビーム幅3dBの放射パターンを越えて改善されたパターンのロールオフが達成されると共に、同様のビーム幅3dBが維持される。好ましくは、導波器40の上側の素子は互いに約0.033λ(中心周波数)離間し、導波器の下側の素子は、非励振部材(parasitic)42によって放射素子14から約0.025λ(λは放射素子14の設計における中心周波数の波長)離れている。
次に図4を参照すると、全体が52で示されるマイクロストリップ容量性移相器システムが上に設けられた、1つの低損失プリント回路基板(PCB)50が示される。低損失PCB50は、個々の素子トレイ12の背面に固定される。マイクロストリップ容量性移相器システム52は、個々のケーブル34を介して対向する一対の放射素子14それぞれに結合され、それに給電する。
図4に示すように、各マイクロストリップ移相器システム52は、個々のシフタ・ロッド60によって回転軸58の周りで円弧方向に調整可能な誘電体部材54が下に固定された、移相器ワイパー・アーム56を備える。シフタ・ロッド60は、リモート・ハンドル(図示せず)によって長手方向に調整可能なので、移相器ワイパー・アーム56および個々の誘電体54を、一対の円弧状の給電路部分62および64にわたって選択的に位置決めして、そこを介して伝わる位相速度を調整することができる。シフタ・ロッド60は、一対の非導電性スタンドオフ66によって、PCB50から上方に間隔を空けてそれに固定される。低損失同軸ケーブル34が、移相器システム52と放射素子14の間に電気接続を提供する主な伝送媒体として用いられる。利得性能は、アンテナ10の放射素子14にわたって位相と振幅の分布を緊密に制御することで最適化される。図4に示す非常に安定な移相器の設計により、この制御が達成される。
次に図5を参照すると、マイクロストリップ移相器システム52それぞれが他の偏波アンテナ14の1つに給電する、ケーブル給電ネットワークを示すアンテナ10の背面が示される。入力端72はポートIと称され、−45°偏波した傾斜用の入力端であり、入力端74は、+45°偏波した傾斜用のポートII入力端である。ケーブル76は、図4に示すように、移相器システム52のそれぞれ1つに結合された給電路である。出力端1〜5として図示される移相器システム52の出力端は、移相器52システムの各出力端によって給電される双極子対16を指す。
次に図6を参照すると、素子トレイ12それぞれの下に置かれたRF吸収体78をさらに含むアンテナ10が示され、RF吸収体78は、アンテナ10の後方で、移相器マイクロストリップ線路からの後方へのRF放射があればそれを放散し、RF電流が移相器システム52間で結合するのを防ぐように働く。
次に図7を参照すると、69で示されるダイポール放射パターンを有する標準的な65°パネル・アンテナに比べて、高いロールオフとF/B比を有する、本発明によるアンテナ10によって達成される放射パターン全体が68で示される。この高ロールオフの放射パターン68は、一般的なダイポール放射パターン69に対して大幅に改善されている。水平ビーム幅は、依然3dBポイントで約65°を保持している。
さらに、導波器40を有する放射素子14の設計によって、図7でF/Sレベルが23dBとして示されるアンテナの水平ビーム放射パターンが大幅に改善される。従来、クロス・ダイポール放射素子は、図7に示すように、約17dBのF/S比の水平ビーム放射パターンを生成する。本発明によれば、放射素子14の上方で一体化された広帯域寄生導波器40は、有利には、アンテナのF/S比を最大10dB改善し、それは図7の例において6dBΔとして示される。この改善されたF/S比の効果は、「高ロールオフ」設計と称される。この実施形態では、放射素子14およびクロス・ダイポール導波器40は、有利には、より多くの利得を獲得し、それによって水平ビーム幅を低減するためにより多数の導波器を有する、従来のあらゆる八木・宇田アンテナと異なり、アンテナの3dBポイントで約65°の水平ビーム幅を維持する。
やはり図7を参照すると、アンテナ10の良好なF/B比が示される。図に示すように、パネル・アンテナ10は、後方ローブが大幅に低減され、したがって約40dBのF/B比を達成している。さらに、アンテナ10は、標準的な65°パネル・アンテナの26dBと比べて、約40dBの隣接セクタ・アンテナ間分離を有する。やはり図7から分かるように、後方ローブが大幅に低減されたことで、本発明において「無放射円錐」と称される120°のセクタ非干渉区域が放射ローブの後に設けられる。
次に図8Aおよび8Bを参照すると、3セクタ・サイト(three sector site)で用いられた場合の本発明のいくつかの利点が示される。図8Aは、3セクタ・サイトで使用される標準的な65°フラット・パネル・アンテナを示し、図8Bは、3セクタ・サイトで使用される標準的な90°パネル・アンテナを示す。これらのアンテナの放射パターンは大幅に重なり合っているため、セクタ分割が不完全になり、これは、ハンドオフがよりソフトになり、信号が干渉され、通話が切断され、容量が低減される機会が増大することを示す。
次に図9Aおよび9Bを参照すると、3セクタ・サイトで用いられる、それぞれ本発明による65°パネル・アンテナおよび90°パネル・アンテナを使用する本発明の技術的利点が示される。図9Aに関して、アンテナの放射ローブの重なりが大幅に低減され、それによってはるかに小さいハンドオフ・エリアが実現していることが示される。これにより、通話の質が劇的に改善され、さらに、サイト容量が5〜10%向上する。
再び図7を参照すると、120°の放射セクタを越えて延びる望ましくないローブが、図8A〜8Bおよび図9A〜9Bに示すように、隣接するアンテナ放射パターンとの重なりを作り出す。120°の前方セクタの縁部外側にあるローブに供給される望ましくない電力と、この120°のセクタ内に供給される望ましい電力との比較により、セクタ電力比(SPR)と称される比が規定される。有利には、本発明は2%未満のSPRを達成し、この際SPRは次式によって定義される。
このSPRは、標準的なパネル・アンテナに対して大幅に改善されており、本発明の技術的利点を表す1つの基準である。導波器40は、90Ωでインピーダンスがマイクロストリップ線路30に一致するが、このインピーダンスに対する制限は示されていない。放射素子14およびクロス・ダイポール導波器40は、90Ωでのソース・インピーダンスおよび適合するネットワークのソース電圧で発生する共通の瞬間電磁結合を有する。他の多くのシステム・レベルでの性能上の利点は、セクタ間拒絶が向上したことによって、ソフト・ハンドオフ機能が改善され、同一サイト(co−site)チャンネル干渉が低減され、基地局システムの容量が向上した、この高ロールオフ・アンテナ設計を組み込むことによって得られる。
次に図10を参照すると、1つの傾斜45°クロス・ダイポール放射素子14と、図11を参照して簡単に後述される、前記ダイポールを取り囲む傾斜45°マイクロストリップ環状リング(MAR)放射器94とを含む、帯域二重極アンテナ(band,dualpol antenna)80を備える、本発明の別の好ましい実施形態が示される。この実施形態では、アンテナ80は、放射素子14の上方に設けられたN個の環状(リング様)導波器82を含み、この際、Nは1、2、3、4…である。N個の導波器82は、同心のリングとして示される、垂直方向に離間した平行な多角形状の部材として構成されるが、導波器82のこの幾何学的形状に対する制限は示されていない。図13に示すように、導波器の他の幾何学的形状が使用されてもよい。
リング導波器82は、対応するダイポール放射素子14と作用して、改善されたロールオフと共にアンテナ10のF/S比を向上させる。リング導波器82は、好ましくは、対応するx−ダイポール放射素子14の上方で均一に間隔が空けられ、上にあるリング導波器82ほど円周が徐々に小さくなっている。リング導波器82は、互いに比較的近接した間隔を維持して、非導電性のスペーサ(図示せず)によって分離され、間隔は好ましくは0.15λ未満である(λはアンテナ設計の中心周波数の波長)。さらに、リング導波器82一式は、最下位にある導波器82と対応するダイポール放射素子14の頂部との間で、好ましくは0.15λ未満の比較的近接した間隔を維持する。成型品および電気絶縁クリップなど、一組の平坦な導波器82を構築する様々な方法がある。
一組の積み重ねられたリング導波器82は、均等な円周のリングから成ると共に、改善されたロールオフの同様の性能を維持してもよく、これは、上述したシステムの利点と共に改善されたSPRをもたらすと同時に、同様のビーム幅3dBを維持する。
次に図11を参照すると、積み重ねられたマイクロストリップ環状リング(MAR)放射器94の上方に設けられた一組の導波器リング92を含む、二重帯域アンテナが90で示される。この図では、対になって配置された、MAR放射器94の二重直交偏波を給電する4つの給電プローブ96(2つの平衡した給電ペア)がある。本発明のこの実施形態の導波器92は、図に示すように、個々のMAR放射器94の上方に積み重ねられた薄いリングである。有利には、この二重帯域アンテナ90もまた、ビーム幅3dBを越えて素子パターンのロールオフを改善しているので、同等のビーム幅3dBを維持しながらSPRを向上させる。
次に図12を参照すると、リング導波器82および92を有する二重帯域アンテナ100が示される。MAR放射器94の上方のリング導波器92も、x−ダイポール放射素子14と相互作用し、x−ダイポール放射素子のビーム整形をある程度助けるが、それには、ビーム幅3dBの外側の主ビームのロールオフを改善し、またF/B放射を改善することが含まれ、それが、同様のビーム幅3dBを維持しながら上述したSPRの改善とシステムの利点をもたらす。
MAR放射素子94とx−ダイポール放射素子14はどちらも、その上方にリング導波器をそれぞれ有する。x−ダイポール放射素子14のリング導波器82も、MAR放射器94のリング導波器92に対して同心である。導波器について上述したのと同様の利点が、この場合も周波数帯域ごとに当てはまる(すなわち、ビーム幅3dBを越えるロールオフの改善およびSPRの改善につながるF/B比。
次に図13を参照すると、導波器82および92の他の適切な幾何学的形状が示されるが、円形のリング様の導波器に対する制限は示されていない。円形は、無限の側面を持つ多角形と見なされ、多角形という用語が添付の特許請求の範囲で使用される。
次に図14を参照すると、放射素子14を越えて延びる十字形の導波器40を有する二重帯域アンテナ80、および関連付けられた環状の導波器を有さないMAR放射器94の拡大図が示される。
次に図15を参照すると、放射素子14のアレイを有するパネル・アンテナ110が示され、それぞれ十字形の導波器40を有し、MAR放射器94を交互に備え、それぞれが共通の接地面112上に設けられている。この設計の利点としては、二重帯域トポロジーにおけるより高い周波数の放射素子に対して、H面パターンが改善されることが挙げられる。H面パターンが改善されることにより、ビーム幅3dBを越えてロールオフが改善され、F/B比が改善される。ロールオフが改善されることで、さらに、組み込まれた導波器の数によって、側方および後方の放射レベルが低くなるので、放射器がわずかにデカップリングされる。
特定の好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、多数の変更および修正が、本願を読むことで当業者には明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、従来技術に照らして可能な限り広範囲に解釈され、そのような変更および修正をすべて含むものとする。