記録可能なDVDは、ビデオおよび他のタイプのデータを格納するための一般的なフォーマットとなりつつある。これらの記録可能なDVDは、記録可能なDVD(DVD/R)および書き換え可能なDVD(DVD/RW)を含む、1つ以上のタイプで提供され得る。前者は、概して1度だけ記録することが可能であるが、後者は、何度も書き換えることが可能である。これらの2つのタイプはいずれも、+VRフォーマット(例、DVD+RおよびDVD+RW)、−VRフォーマット(例、DVD−RおよびDVD−RW)、およびDVDビデオのような他の顧客のフォーマットを含む、1つ以上のフォーマットで提供され得る。DVDの再生および記録装置の製造業者に対する課題は、継ぎ目なく顧客に対して透明な形で、すべてのフォーマットを扱うシステムを提供することである。
+VRフォーマットは、Philips Electronics社(Koninklijke Philips Electronics N.V)によって開発されたものであり、先行する書き込み不可能なDVD類に類似した多くの機能を有する。データは、ナビゲーション情報のヘッダーファイルが先行する、連続するブロックにMPEGで符号化されたビデオのストリームとしてDVD上に記録され得る。このアプリケーションに対して、これらのフォーマットをDVD+RおよびDVD+RWフォーマットと称する。−VRフォーマットは、元々のDVD規格に関連する企業の共同企業体によって開発されたが、後者のフォーマットは、先行するDVDフォーマットとの共通点がほとんどない。このアプリケーションに対して、これらのフォーマットをDVD−RおよびDVD−RW、または集合的にDVD−VRフォーマットと称する。データは、−VRフォーマットにおいては、不連続のデータブロック、および再生のためにデータブロックの場所を見つけるために使用されるファイルシステムとして記録され得る。製造業者は、+VRフォーマットおよび−VRフォーマットDVDの両者を共に、他のフォーマットと共に、記録および再生が可能なシステムを提供するというかなり困難な課題に直面している。
この課題には、消費者の誤用に対する影響をあまり受けることのない、堅牢な製品を提供するという、消費市場のニーズが加わる。消費製品は、PCまたはコンピュータ製品と異なり、その機能が単純でユーザーフレンドリーであることが求められる環境で動作する。装置の動作は、堅牢で、単純で、かつユーザーに透明であることが必要とされる。家庭でDVDを記録する際の1つの懸念は、プロセスが終了する前に、例えば停電などで、記録プロセスが中断された場合に何が起こりうるかということである。上述のように、+VRおよび−VRフォーマットのシステムは、どちらもビデオデータを最初に記録し、その後にナビゲーションデータ(またはファイルシステムデータ)を記録する。このナビゲーションまたはファイルシステムデータがなければ、DVDは再生することが、不可能とはならなくても、困難になりうる。
この問題は、ユーザーは何時間ものビデオを記録することがあるので、特に懸念材料となりうる。また、プロセスが中断された場合に、すべてではないにせよ、ビデオデータのほとんどが利用できなくなる。例えば、停電などは、DVD/RWの記録を中断しうるので、記録の完了を妨げることになる。ビデオデータはディスク上に存在するが、しかしナビゲーションまたはファイルシステムのデータの更新がなければ、そのビデオデータを従来技術のDVDプレーヤによって読み込むことは不可能である。同様に、DVD/RWカムコーダーのような携帯アプリケーションでは、撮影途中にバッテリーを完全に消耗する場合があり、その結果、ユーザーはビデオデータを利用できなくなる。消費者は、特にビデオカセットレコーダ(VCR)のような先行技術のデバイスと性能を比較する場合に、このような性能特性を受け入れることができない。VCRへの電力が失われた場合、その機器に記録された最後のデータは、おそらくはビデオの最後の数秒をのぞいて、概して消費者が利用できるものである。しかしながら、従来技術のDVDレコーダに関しては、書き込み機能が完了していなければ、数時間ではないにせよ、数分のビデオが失われる可能性がある。
図1は、DVDレコーダにおけるストリーム情報130とナビゲーション情報120との関係を示す該略図である。図1を参照し、DVDの記録は、ストリーム情報130およびナビゲーション情報120の2つのタイプの情報をディスクへ記録することを含む。ストリーム情報130は、MPEGデータ、実際のビデオデータ自体を含むことが可能である。ナビゲーション情報120は、IFOと呼ばれる構造およびファイルシステムを含む記述情報を含むことが可能であり、それによって、再生デバイスは、適切にディスク上のストリーム情報130の場所を見つけることが可能になる。
光媒体へのリアルタイムの記録中に、ストリーム情報130をそれが入力されるときにリアルタイムでデバイスに記録することが、一般的な方法である。ストリームデータ130全体がディスクに完全に書き込まれた後に、次いでナビゲーション情報120が生成されディスクに書き込まれ得る。ナビゲーション情報120は、ストリーム情報130全体がなければ生成することができないので、ナビゲーションデータ120の書き込みは据え置かれる。さらに、ビデオの記録プロセス中に、書き込みのためにディスク上の異なる場所を探すことは、アクセスタイムの観点から、極めて高価である。
その結果、DVDレコーダの電源が予想外に切れた場合には、図2に示されるように、ナビゲーション情報120は、適切にディスクにフラッシュされることはないので、進行中の記録が失われることが多い。図2では、停電のようなある事象によって中断され、ビデオデータ230の部分的な記録が行われている。この場合には、相当な量のビデオデータ230が記録されているが、ナビゲーション情報220は存在しない。その結果、従来技術のDVDプレーヤは、ナビゲーション情報220が存在しないので、部分的に記録されたビデオデータ230を読み込むことができない。ナビゲーションデータを生成することができれば、部分的に記録されたビデオデータ230を復元することが可能である。
図1および2は、DVDレコーダに対する停電または記録の中断の問題の一般的な性質を示す。しかし、問題の具体的性質は、DVDレコーダのタイプ(例、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、など)によって様々である。以下の例は、、種々の異なるDVDレコーダのフォーマットに対して、記録の中断の事象が起こる場合に生じる問題の、具体的性質を示す。
図3は、DVD+RWにどのように複数のチャプタまたはタイトルを記録することが可能であるか、次いでDVD+RWにどのようにナビゲーション情報が書き込まれるのかを示す、別の該略図である。この例では、各タイトルは、別々に記録されたプログラムセグメントまたはビデオセグメントを表し得る。この例では、T1〜T4の4つのチャプタまたはタイトルが存在する。各タイトルがDVD+RW上に記録された後に、ビデオデータ130内の個々のタイトルの場所を記述する情報を含むように、ナビゲーションデータ120が更新され得る。ナビゲーションデータ120はまた、DVD+RWを再生したときにユーザーに示され得る種々のメニュー、種々のチャプタのためのポインタ、およびDVD+RW上にビデオデータをアドレスするために使用される任意の他の情報を含むことも可能である。さらに、ナビゲーションデータ120は、DVDプレーヤが使用するために、またはDVD+RWをデータディスクなどとして使用する場合にコンピュータが使用するために、DVD+RW上における種々のファイルの場所を見つけるために使用され得るファイルシステムのデータを含むことが可能である。
図4は、停電または他の中断がどのようにDVD+RWに影響を及ぼし得るかを示す該略図である。図4の例では、位置240でのタイトル4の記録中に、停電などによると思われる、ビデオデータの記録が中断されたことを示す。その結果、ビデオデータは完全には記録されていない。さらに、ナビゲーションデータ120を更新することが不可能であり(それは通常、記録サイクルの終わりに生じる)、その結果、タイトル4へのポインタが存在しない。したがって、タイトル4に対するビデオデータは、DVD−RW上に少なくとも部分的に存在し得るが、ナビゲーションデータ120にはポインタデータが挿入されておらず、したがって、タイトル4に対するビデオデータを利用することができない。タイトル1〜3の利用は依然として可能であるが、停電または他の中断の間に記録されたタイトルの利用は拒絶される場合がある。
特定の追記型媒体では、電源オフの前に記録された不完全な情報により、ディスクの以前の状態を再ロードすることが困難になるので、以前の記録も失われる場合がある。その名の通り、追記型媒体(例、DVD/R)は、1度しか書き込むことができない。書き込みおよび複数回の上書きができるDVD/RWと異なり、追記型媒体は、1度しか書き込むことができない。
一部の場合においては、DVD/Rは、1つの単一セッションで書き込むことが必要である。当該のDVD/Rが書き込みプロセス中に中断された場合には、DVD/Rを再生装置で再生可能にするための方法での、喪失したビデオデータの再生は、新しいナビゲーションデータをDVD/Rに書き込むことができないので、不可能である。
他のタイプのDVD/Rのディスクでは、データはディスクに1度しか書き込むことができないが、複数の独立したセッションで書き込むことが可能である。図5は、ビデオおよびナビゲーションデータが、どのように複数のセッションにおいて追記型媒体に書き込まれ得るかを示す該略図である。図5に示されるように、追記型媒体は、限られた数の「トラック」に分割することが可能であり、この場合には、Track1およびTrack2の少なくとも2つのトラックがある。Track1は、ナビゲーションデータのために予約され得る。このナビゲーションデータは、1つ以上のセッションにおいてディスクにすべてのビデオデータが記録されるまで、ディスクに書き込まれない。ディスクがいっぱいになるか、または完了すると、ユーザーは、そのディスクを「完成」させることが可能であり、その場合には、ナビゲーション情報が作成され、図に示されるように、ディスクのTrack1に書き込まれる。
ナビゲーション情報は、各ビデオセグメントに関連する個々のナビデータから作成することが可能である。図5の例では、Video1、Video2、およびVideo3の、3つのビデオセグメントが記録されている。各ビデオセグメントが記録された後に、Nav1、Nav2、およびNav3の関連するナビデータが、ディスクの対応するビデオセグメントの後ろに書き込まれる。ディスクが完成したときに、ナビデータがアセンブルされ、図5に示されるように、Track1上のナビゲーションファイルに記録される。連続するナビデータのそれぞれは、すべての以前のセグメントからのナビデータを含み得る。したがって、Nav2のデータは、Video1およびVideo2に対するナビゲーションデータを含み得、一方で、Nav3は、Video1、Video2、およびVideo3に対するナビゲーションデータを含み得る。ディスクを完成させたときに、従来技術のDVDレコーダは、全ての以前のビデオセグメントに対する累積的なポインタおよび他のデータを含むように、最後のNavデータセグメントからのナビゲーションデータを作成し得る。
図6は、停電が生じた場合、またはDVD+Rレコーダへの書き込みサイクルを中断させる他の何らかの事象が生じた場合に、何が起きるのかを示す。図6に示されるように、ビデオセグメントVideo3の書き込み中に、おそらくは停電などにより、書き込みサイクルが中断されている。その結果、ナビセグメントNav3は作成されない。さらに、DVDレコーダは、最後のナビセグメントNav3が作成されることはないので、そのディスクを完成させることができない。その結果、通常のDVDプレーヤはそのDVDを読み取ることができず、そのディスク上のすべてのビデオデータはユーザーによって利用され得ない。消費者グレードの電子機器に対して、この状況は許容可能な状態でない。
この問題に対する1つの従来技術のソリューションは、状態情報を記録するために、DVDレコーダに1個の不揮発性メモリを備えることである。不揮発性メモリは、デバイスから電源が切り離された場合であっても情報を保持する。電源が回復すると、DVDレコーダは不揮発性メモリのコンテンツを調査して、停電前の記録の状態を再構成することができ、その後ナビゲーションデータを再構成してDVDに書き込むことができる。
このソリューションの主たる不利点はコストである。不揮発性メモリデバイスは、DVDレコーダに高いコストを強いる。別の不利点は、不揮発性メモリの中の情報が、1つ(または場合により複数)の特定のDVDディスクの部分的な記録と密接に結びついていることである。例えば、ディスクAの記録中に停電した場合、そのデバイスは不揮発性メモリにディスクAに関する情報を格納する。次いでディスクBが挿入され、ディスクAのコンテンツを復元する前に、ディスクBに記録された情報がビデオである場合には、レコーダはその後のディスクAに対するデータを復元する能力を失うことになる。
ブルートフォースサーチも、データ復元のための可能な技術である。このブルートフォース手法は、電源オフの前のディスクの状態を再構成するための試みの中で、DVD上のすべてのアドレス指定可能な場所を検索することを要求する。しかし、ほとんどのDVDは一般に4ギガバイト以上のデータを保有するので、この技術の不利点は、それが極端に遅いということである。DVDレコーダは、喪失したビデオを再構成するために、DVD上の4ギガバイトのデータのすべてを読み込もうとするために、比較的長い時間(例えば、半時間)を費やすので、ユーザーがいらいらを感じるようになる。消費者は、デバイスがロックしたと考える場合も有り、消費者が当該のブルートフォース回復モードの途中で電源をオフにすることによって、さらなる障害を発生させる場合がある。
従来技術のDVD/RWレコーダは、図3および4に関連して上述したように、一般に、予想外の停電の場合に、以前に記録したデータを読み込むことしかできず、停電時に記録されつつあったビデオデータは読み込むことができない。従来技術のDVD/Rレコーダは、記録が中断された場合には、追記型媒体上のすべてのデータを失う場合もある。消費者は、中断した時点までのすべてのビデオデータを復元できることを期待する。さらに、消費者は、ほとんどのDVDフォーマットを扱う最新のDVDプレーヤ/レコーダを期待するので、1つのDVDフォーマットだけに対するソリューションを提供することは、多くのアプリケーションにおいて不十分である。したがって、効率的かつ費用効果に優れた方法で、喪失したビデオデータを迅速に復元することができるDVDレコーダを提供するということが、従来技術における要件として残されている。
本発明のシステムおよび方法は、記録サイクルの完了前に記録が中断されたDVDなどからのデータ復元を可能にする、複数のサブルーチンのアルゴリズムを備える。異なる機能を実行し、上述の異なるデータフォーマットおよび規格に対応するために、複数の異なるサブルーチンが提供される。第1のアルゴリズムは、DVDからデータを復元するために、ストリームトラバースのための方法を備える。以降のアルゴリズムは、異なるDVDフォーマットに対してデータを復元するために、このストリームトラーバス技術を使用し得る。
ストリームトラバースは、予め記録されたストリーム情報を再構成するために使用されるアルゴリズムである。DVDおよびDVDのような記録規格に準拠するストリームは、VOBU(ビデオオブジェクトユニット)と呼ばれる単位で、ビデオ情報を格納する。各VOBUは一般に0.4秒〜1.0秒の短い固定期間のビデオを符号化し、複数のMPEG−2フレームを備える。VOBUは、記録可能なDVD上に線形に配置される。ストリームに対応するナビゲーション情報を生成するために、すべてのVOBUの場所の正確な測定が必要である。この情報は約数百キロバイトを占有する。この情報は一般に記録中に取得されるが、しかし予想外の電源オフの後に喪失される。ストリームトラバースは、VOBU内に格納されたナビゲーションパックを活用する。
図7は、DVD上のデータの配置を示す図である。図1において一般的に示されたように、ビデオストリームのデータ130は、ナビゲーションデータ120とは別に記録され得、その後者のデータは、ビデオストリームのデータ130が完了した後に記録される。ビデオストリームデータは、図7に示されるように、複数のVOBU720を備え得る。各VOBU720は、当該分野で公知のように、0.4秒〜1秒のビデオデータを備え得る。図7に示されるように、各VOBU720は、それぞれ約2キロバイトの複数のMPEG−2フレームを備え得る。MPEG−2フレームは、当該分野で公知のようにビデオフレーム(V)740、および当該分野で公知のように「navpack」(N)730および750を備え得る。ビデオフレームおよびnavpackフレームの実際の配置および数は、コンテンツおよび符号化によって変化し得、それ故に図7は単なる例示にすぎない。各navpackは、データストリームをナビゲートするために使用され得る内部ナビゲーションデータを含む。図7の例では、navpack730は、データストリームの次のnavpack750を示すポインタ760を有する。
ナビゲーションパック730および750は、各VOBUの一番最初に位置するストリームの特別な部分であり、それらのフォーマットは、DVDの規格によって定義される。ナビゲーションパック730に格納される情報の1つのキーとなる部分は、次のナビゲーションパック750の場所を示すポインタ760である。本発明では、DVDレコーダは、第1のナビゲーションパックで開始し、有効なナビゲーションパックがそれ以上見つからなくなるまで、ナビゲーションパックのチェーンを追跡することによって、すべてのVOBUに関する情報を復元することができる。ストリームをトラバースするために、DVDレコーダは予想外の停電の場合であっても第1のナビゲーションパックの場所を保持する必要がある。ストリームトラバースが行われると、特定の喪失したセグメントに対するすべてのビデオデータを復元するために、1つ以上の次に続くアルゴリズムとともに使用され得るナビゲーションデータが利用可能となる。
ストリームトラバース技術単独では、ビデオデータのセグメントの復元およびDVDプレーヤによるDVDの読み取りを可能にするためには不十分な場合がある。ビデオデータを完全に復元するためには、異なるDVDのタイプに対して、異なるアルゴリズムが必要である。第2のアルゴリズムでは、書き換え可能な媒体(例、DVD+RW)に対して電源オフ時のデータ復元が提供される。
図3および4に関連して上述したように、ナビゲーション情報は一般に書き換え可能なDVD+RW媒体の先頭付近に格納される。ナビゲーション情報はしばしばディスクの先頭の固定位置に配置される。一般に、この情報は、各記録の終了時に更新される。例えば4つの記録、すなわち「タイトル」を備えるディスクは、図3に示されるように、(ナビゲーション情報)(タイトル1)(タイトル2)(タイトル3)(タイトル4)を備え得る。
図4に示されるように、予想外の電源オフまたは他の中断状態が生じたときには、最後の部分的に記録されたタイトル(タイトル4)に対するナビゲーション情報、すなわち「状態」情報が喪失される。例えば、図4に示されるように、タイトル4の書き込み中に電源オフが生じた場合には、ディスクは、(タイトル1および2および3の状態)(タイトル1)(タイトル2)(タイトル3)(部分的なタイトル4...)のようになる。
従来技術のDVDレコーダは、書き換え可能な媒体の場合には、通常通り動作しディスク上の適切な場所を読み込むことによって、以前の記録(タイトル1〜タイトル3)に対する状態情報を容易に復元することができる。しかし、従来技術のDVDプレーヤは、部分的に記録されたタイトル4には気づかない。部分的に記録されたタイトル4を復元するために、ディスク上に部分的な記録が存在することを示すための、本発明による追加フラグがディスク上に格納される。DVDレコーダは、記録の開始前にフラグの値を1に設定し、記録が完全に終了した後にフラグを0に戻す。記録中に電源オフの状態が生じた場合には、引き続いて値1を含んでいるフラグが発見される。
1つの記録サイクルの例は、図8のフローチャートに示されるステップを包含し得る。ステップ1で、記録の前に、記録フラグは0に設定され得、記録アクティビティが進行していないことを示す。この例では、図3および4の例を受けて、3つの既存のタイトル(タイトル1)(タイトル2)(タイトル3)がディスク上に存在し、これらのタイトルに対するナビゲーションデータは、すでにディスクに書き込まれている。ステップ2で、記録が始まり、フラグが1に設定され、記録イベントが生じていることを示す。この時点で停電するか、または他の中断が生じた場合には、フラグは1のままであり、次にディスクが読み込まれるときに、当該の中断が生じたことをDVDレコーダ/プレーヤに示す。この段階で、ナビゲーションデータは、タイトル1〜タイトル3に対するデータのみを含み、タイトル4のデータは記録されつつある。ステップ3で、記録が停止し、タイトル1、2、3、および4に対するナビゲーションデータファイルにおいて、状態情報が更新される。フラグは依然として1に設定され、すべての4つのタイトル(タイトル1)(タイトル2)(タイトル3)(タイトル4)がディスクに記録されている。ステップ4で、フラグがクリアされ(0に設定され)、記録プロセスが完了する。
本発明のDVDレコーダがディスクをロードしフラグの値が0であることを見いだすときには、故にDVDは完全な状態であることを確認する。フラグが1の場合(上述のステップ2のように)には、故にレコーダには予想外の停電または他のタイプの中断が生じていることが示されている。レコーダがフラグと一緒に新しい記録に関する情報の重要な部分を格納している場合には、部分的に記録されたタイトルを復元するために、この情報を活用してストリームトラバースすることができる。情報の重要な部分とは、後に再構成することが困難な、記録の開始時に決定された情報の部分である。これらのアイテムは、しばしば、新しいタイトルの開始場所、テキスト名、記録時間、およびストリームの生成に使用される特定のハードウェアの設定のような、記録される新しいタイトルに関する記述情報を含む。
この情報は、フラグと一緒に書き換え可能な媒体上に容易に格納され得、部分的な記録を復元するために、ストリームトラバースで活用され得る。ナビゲーションデータ120には、種々のDVD規格によって定義されているように、このようなフラグおよび関連するデータを格納するために使用することが可能な、多数の未定義のデータフィールドが存在する。あるいは、ファイル名がDVDのファイルシステムでまだ使用されていないものである場合には、フラグはディスク上のファイルに格納され得る。本発明の一実施形態においては、このデータは、sonata.ifoのネームの下でvideo_rmディレクトリに格納され得る。
上述のアルゴリズムは、最終のアルゴリズムへさらに1ステップ精緻化され得る。停電または他の中断が生じてディスクの状態を損ないうるときには、ステップ3で小さな時間窓が存在する。このステップの間、レコーダは、新しい記録を反映するために、ナビゲーション情報を更新する過程にある。このステップが中断された場合には、ステップは実際に完了しているが、一方ではナビゲーションデータは完成されていないときに、フラグは記録が不完全であることを示すように設定されているので、ディスクの状態には矛盾が生じる。
この問題は、状態情報のバックアップコピー、およびフラグの変数が設定され得るもう一つの値を使用することによって、解決することができる。レコーダは、従って、状態情報が更新される直前、および状態情報が1度成功裏に書き込まれた後に、フラグの値を変更し得る。
図9は、ナビゲーションデータとともにビデオデータが完成しているかどうかを示すための、複数の状態を有する高度な指示フラグを示すフローチャートである。図9のプロセスは、以下のステップを備える。この例においてもまた、3つのタイトルがすでにディスク上に記録されており、この例は、第4のタイトルが追加された場合に何が起こるのかを示す。最初のステップでは、記録の前に、図9のステップ1に示されるように、ナビゲーションデータはタイトル1、2、および3の状態情報を含む。記録フラグは0に設定され、記録が行われていないことを示す。ステップ2で、記録が始まり、記録フラグが1に設定され、ビデオデータの記録が行われていることを示す。プレストリーム情報およびt1、t2、およびt3に対する状態情報のバックアップコピーは、フラグファイルまたはナビゲーションデータに記録され得、タイトル4に対するビデオデータはディスクに記録され得る。ステップ3で、ビデオデータの記録が停止するが、ナビゲーションデータはまだ更新されていない。したがって、記録フラグは第3の値(例、2)に設定され、ビデオデータは記録されたがナビゲーションデータはまだ更新されていないことを示す。ステップ4で、タイトルt1〜タイトルt4に対する状態情報が更新され、記録フラグは2のままである。ステップ5で、ナビゲーションデータが完全に更新されたときには、記録フラグは0に戻され、記録が完了したことを示す。ビデオデータおよびナビゲーションデータが完成し、大部分のDVDプレーヤでそのDVDを読み込むことが可能である。
しかし、停電または他の事象が生じて記録が中断された場合には、フラグの状態は、当該の中断が発生したこと、さらには中断がビデオデータの記録中かまたはナビゲーションデータの記録中かに生じたことを示す。DVDレコーダがディスクをロードし、フラグの値が2であることを見いだした場合には、レコーダには、例えばステップ3またはステップ4で、状態情報の更新中に電源オフの状態が生じたことが示される。DVDプレーヤには、状態情報に矛盾があり信頼できない、という事実が示される。この状態を説明するために、DVDプレーヤは、記録の前のディスクの状態を復元するために、フォールバックしてその状態のバックアップコピーを読み込む。DVDプレーヤは、次いで、新しく記録したタイトルを復元してナビゲーション情報を更新するためにプレストリーム情報およびストリームトラバースを使用し、その後DVDを適切に読み込むことが可能となる。記録フラグが1に設定されている場合には、DVDプレーヤには、ビデオデータの書き込み中に記録の中断が発生したことが示され、上述のように、ナビゲーションデータを更新することによってディスク上のビデオデータを読み取り可能にするために、ストリームトラバースのような適切な技術が使用され得る。
上述の第2のアルゴリズムは、複数回書き換え可能なDVD+RWディスクでの使用に好適である。DVD+RWディスク上のナビゲーションデータは、記録が中断されたときに導入されるエラーを修正するために、上書きされ得る。しかし、DVD+Rディスクには、データを1度しか書き込むことができない。したがって、本発明のDVDプレーヤは、追記型媒体における電源オフ時の復元を提供するために、さらに第3のアルゴリズムを提供する。
追記型ディスクへのビデオの記録は、ナビゲーション情報をディスクの先頭に繰り返して更新できないという点で、書き換え可能な媒体への記録とは異なる。使用される共通の技術は、新しいタイトルのそれぞれの後ろにナビゲーション状態情報の最新のコピーを記録することを伴う。図5および6に示されるように、「トラック」をサポートする媒体は、新しいタイトルのそれぞれを1つ以上のデータのトラックに区切る、という更なる利点を有する。トラックはデータの連続的なサブセットである。図5および6は2つのデータのトラックを有するディスクを示すが、他の数のトラック(例、3、4、またはそれ以上)を使用することが可能である。
一般に、第1のトラックTrack1は、今後の使用に対して予約される。すべてのタイトル(図5の例におけるVideo1〜Video3)が記録された後にTrack1に最終的なナビゲーション状態情報をコピーするために、「完成」ステップが使用され、それによって、大部分のDVDプレーヤで読み込むことが可能である有効なDVDを作成する。図5は、当該の追記型ディスクの一例を示す。図5の例では、各ビデオセグメント(Video1、Video2、Video3)が記録された後、対応するナビゲーションまたはNavセグメント(Nav1、Nav2、Nav3)が記録される。各ビデオセグメントは、記録されている異なる「タイトル」を示し得るが、しかしnavセグメントは、対応するビデオセグメント、および各先行ビデオセグメントに対するナビゲーション状態情報を含むことが可能である。
したがって、例えば、ナビゲーション状態セグメントNav1は、第1のタイトルのVideo1に対する状態情報を含むことが可能である。ナビゲーションセグメントNav2は、第1および第2のタイトルのVideo1およびVideo2に対する状態情報を含むことが可能である。ナビゲーションセグメントNav3は、第1、第2、および第3のタイトルのVdeo1、Video2、およびVideo3に対する状態情報を含むことが可能である。各ナビゲーションセグメントは、対応するビデオタイトルの開始を示すポインタ情報、および対応するおよび先行するビデオタイトルの場所を見つけて再生するために必要な他のナビゲーション情報を含むことが可能である。
すべてのビデオタイトルが記録された後に、ディスクを「完成」することが可能であり、ナビゲーションファイルがTrack1に作成される。このナビゲーションファイルが作成されると、大部分のDVDプレーヤは、このディスクを読み込むことができるようになる。大部分の通常のDVDプレーヤは、ナビゲーションファイルがマスターナビゲーションファイルに完成された後は、暫定的なnavファイルNav1、Nav2、およびNav3を無視する。
本発明では、追記型媒体の記録における停電または他の中断からのデータの復元は、以下の第3のアルゴリズムを使用することによって達成される。DVDレコーダは、末尾にナビゲーション状態情報の有効なコピーを有する最後のトラックを見つける。この状態は、予想外の電源オフより前の状態を反映する。図6は、書き込みプロセスにおいて中断が生じた、追記型ディスクの一例を示す。この例では、ナビゲーション状態情報ファイルNav2が、ナビゲーション状態情報の最後の有効なコピーである。ナビゲーション状態情報ファイルNav2は、ナビゲーション状態のファイルに使用されるデータの特定のパターンのような、ナビゲーション状態情報のファイルの一意の特性を探すことによって、その場所を見つけることができる。
最後の有効なNavファイルの場所が見つけられると、DVDレコーダは、上述のように、任意の部分的に記録されたタイトルの復元を試みるために、任意の以降のトラックにストリームトラバースアルゴリズムを使用することができる。図6の例では、この部分的に記録されたタイトルは、Video3である。タイトル名のような他のプレストリームデータおよび記録時間は、記録の開始前にトラックの先頭に記録され得る。ナビゲーションデータがTrack1に記録されると、ディスクは大部分のDVDプレーヤで読み取ることが可能となり、すべてのビデオタイトル(この例における)Video1およびVideo2の全体を読み込むことができる。中断されたビデオタイトルVideo3もまた、実質的に記録が中断した地点まで読み込むことができる。第4のアルゴリズムは、トラックのない追記型媒体に対するデータ復元を提供するために、本発明において提供される。一部のタイプの追記型媒体のみが、少数のトラックをサポートする。これは、異なるタイトルの記録を同じトラックにすべて生じさせることになる。これは、停電の場合に個々のタイトルをアドレスすることを妨げるので、不利点となる。図10は、トラックのない当該のディスクが、3つのタイトルの完全な記録の後にどのように見えるのかを示す。図11は、トラックのない追記型ディスクが、2つのタイトルの完全な記録および第3のタイトルの不完全な記録の後にどのように見えるのかを示す。
不都合にも、トラックのない追記型媒体では、停電時の状態情報の場所を見つけることは、トラックの不足により、処理時間に関して極めて高価になる。次いで、状態情報の最後の有効なコピー(図11の例の、Nav2)の場所を見つけるために、ディスクの後方から前方への線形検索の実行が必要である。この場合、検索は、部分的に記録されたタイトルVideo3の長さに一次従属する。逆ストリームトラバースは、Video3の最後の有効なVOBUを見つけた後に実行され得る。しかし、このステップは時間がかかり、DVDの状態をロードすることが必要とされる。
上述のすべての例では、本明細書に示されるアルゴリズムを使用して、中断された部分の場所を絞り込むことができるので、ディスクの状態を迅速にロードすることができる。ストリームトラバースは、状態情報を検索するためにではなく、部分的に記録されたタイトルを復元するためだけに使用される。最後の記録の復元は時間のかかるプロセスであるので、1つのソリューションは、エンドユーザーに対する一オプションとして、最後の記録を復元するための能力を提供する、DVDレコーダを作成することである。図11に示されるように、以前の記録のNav情報は影響を受けていないので、最低でも以前の記録は迅速に復元することができる。ユーザーは、時間のかかるプロセスとなる、その最後の記録の復元を見合わせることができる。トラックのない追記型媒体の場合では、ストリームトラバースは、以前の記録を復元するために必要であり、この復元方法は、1つのディスクから最後のビデオトラックの情報データを復元するために15分〜30分かかる場合があるので、ユーザーの観点から受け入れられるものではない。
この問題に対するソリューションは、ストリーム自身の内部の特定の未使用の場所に、ストリームの開始場所のような、プレストリーム情報を格納することである。その一例は、ナビゲーションパックの最後の471バイトのような、ナビゲーションパック自身の未使用領域に、この情報を格納することである。再度図7を参照すると、ナビゲーションとビデオデータとの関係、VOBU、およびnavpackが一般的に示されている。本発明の本実施態様では、状態情報の最後の有効なコピーの場所、および、場合によりストリームの開始場所は、1つ以上のnavpackに埋め込まれる。状態情報およびストリームの開始場所は、一般にそれぞれ4バイトの長さであり、navpackの未使用および未指定のスペースに容易に適合することができる。
この第4のアルゴリズムまたは技術は、ビデオストリームの長さに比例する一次式の時間量とは対照的に、検索時間を一回の検索あたり一定の時間量に減じる。navpackに一つのVOBUにつき情報が1度格納される場合には、DVDレコーダは、多くても最大の可能なVOBUサイズの長さを検索することになる。navpackに情報を配置することの1つの欠点は、多くのDVD標準または規格のうちの1つを侵害せずに、ストリーム内の情報を格納するための都合の良い場所を見つけることがしばしば困難なことである。しかし、実際には、プレーヤは有用な情報を含まないデータの未指定または未定義の未使用バイトを無視するようにしばしばデザインされているので、これらの未使用部分を活用することは、記録されたDVDを再生するときに再生の問題をもたらさない。
第5のアルゴリズムは、−VRフォーマット(例、DVD−RおよびDVD−RWフォーマット)での記録におけるデータの復元の場合に適用するために、本発明において提供される。「背景技術」で述べたように、−VR規格を作成した共同企業体が、元の(読み取り専用)DVD標準を作成したものと同じであっても、−VRフォーマットは元の(読み取り専用)DVDフォーマットとは実質的に異なる。DVD−VRは、各タイトルに対するビデオが連続的なブロックであるように制限されないという点において、読み取り専用DVDとは異なる。その代わりに、ビデオはファイルシステムによって記述される複数の部分に配置され得る。この局面においては、DVD−VRフォーマットは、ディスクからデータを読み込むために異なるファイルセグメントまたは部分のランダムアクセスが必要なので、いくつかの点でハードディスクドライブ格納技術に類似する。図12は、1つのタイトルが記録された後の、DVD−VRディスクの一例を示す。図12に示されるように、ディスクの第1の部分は、ファイルシステムを含むことが可能であり、個々のタイトルに対するだけでなく、個々のタイトルセグメントにも対するポインタを含む。ディスク上の異なる場所に、複数の部分またはセグメント(この例では、Part1〜Part3)として、単一のタイトルが格納され得る。
図13は、DVD−VRディスクへの記録中の、停電または他の中断の影響を示す。図13に示されるように、Title1は、この例ではPart1からPart3の、複数のセグメントに分割され得る。例えば、Part3の記録中に停電が生じた場合には、Title1の任意のまたはすべての部分に対するナビゲーション情報の一部またはすべてによる、ファイルシステムの更新が不可能であるので、タイトル全体を読み取ることができない場合がある。
各タイトルをいくつかの部分にセグメント化する場合があり、ディスク上の次のVOBUの正確な場所をストリームの生成時間で正確に予測することが困難または不可能であるので、DVD−VRディスクにおけるストリームトラバースアルゴリズムの使用が妨げられる。その結果、任意の2つのVOBUがそれらの間に空のスペースのいくつかのセグメントを有する場合があるので、ストリームトラバースの実行は、困難および/または極めて時間がかかるようになる。
本発明は、レコーダの中にフリースペースを割り当てるために、決定論的なアルゴリズムを使用することによって、このソリューションを解決する。図14は、本発明の決定論的なアルゴリズムを使用した、DVD−VRディスク上のデータの配置を示す図である。図14に示される例では、記録される新しいタイトルに対して、3つのセグメントのフリースペースFREE1、FREE2、およびFREE3がディスクに割り当てられ得る。Title1の3つのセグメントがディスクに記録されると、データは図15に示されるように表され得、ここでは、3つの割り当てられたフリースペースは、Title1、Part1、Title1、Part2、およびTitle1、Part3に置き換えられる。
システムがフリースペースを決定論的に割り当てる場合には、理想的な場合にはストリームトラバースアルゴリズムを使用して新しい記録を再構成することが可能である。1つの可能な決定論的なアルゴリズムは、以下の通りである。第1に、4メガバイトなどの好適な最小のサイズを含む第1の連続的なブロックに対して、フリースペースが最初から最後まで走査される。このブロックは、使用される第1のブロックとなる。第2に、そのブロックを消費したときに、システムは、4メガバイトのサイズの次のブロックに対して、以前に使用されたブロックから最後までそのフリースペースを走査する。この第2のステップは、4メガバイトのブロックが全て使い果たされるまで繰り返される。タイトルセグメントのVOBU内のnavpackのポインタ情報は、チェーンの次のタイトルセグメントを指すことが可能であるので、タイトルがセグメントに分割されていても、ビデオデータは再構成され得る。予想外の電源オフの検出は、第2のアルゴリズムに関連して上述したフラグを使用する。
不都合にも、DVD−VRの記録に、理想的ではない場合が存在する。例えば、システムは、ディスク上に不良場所がある場合には記録時間中に、ビデオのセグメントを分割する場合がある。ハードディスクドライブが磁気ディスク上の不良セクタを区別するのと同じ方法で、DVD−VRシステムは、DVD−VR上の不良セクタを区別し、これらのセグメントの周辺に記録することが可能である。図16は、どのようにDVD−VR上の不良が区別されるのか、およびその不良の周辺に記録されるタイトルのセグメントを示す。
例えば、通常は図1に示されるように記録されるタイトルは、ディスクに不良170が検出された場合には、図16に示されるように記録され得る。図16に示されるように、不良170の場所が示され、ビデオデータはその不良の周辺に記録される。他のDVDフォーマットでは、ナビゲーションデータは、冗長的に記録されていることが多い。例えば、DVD+Rフォーマットでは、navファイルは、累積的なナビゲーションデータを含む。1つのナビゲーションファイルが不良セグメントに記録されている場合には、ナビゲーションデータを再構成するために、他のナビゲーションファイルが使用され得る。欠落したフレームは、以前のフレームを繰り返すか、または2つの隣接したフレームの間を補間することによって再構成され得るので、MPEG−2フォーマットのビデオデータは本質的に冗長性を有する。
しかし、DVD−VRの実施形態においては、フラグメント化されたデータファイルおよび潜在的なファイルシステムの使用により冗長性が減ずるので、DVD−VRの環境においては不良セグメントを検出することおよび示すことがより重要となる。DVD−VR手法の1つの欠点は、その場所に最初に書き込んでそれが不良であることを判断する以外に、不良の場所を判断することが不可能なことである。これらの不良の場所はストリームトラバースを実行中には未知であり、ストリームトラバースの間に検出することは困難であり得る。
本発明において、この問題に対するソリューションは、ストリームトラバースが予想される場所でのVOBUの発見に失敗したときには、線形探索技術に戻ることである。不良が希有であれば、この検索プロセスは、ストリームの復元にごくわずかなコストしか加えない。さらに、システムは、データの複数の以前のセグメントの境界を記録するために、特別な「セグメント」パックを使用することができる。この手法は、「セグメント」パックが配置されると、データの最後のセグメントの正確な場所および不良の正確な場所を、ストリームトラバース手法に対して識別する。
図17は、どのように記録の中の不良場所が示されるのか、および本発明において挿入されるセグメントパックを示す。動作に際して、title1の最後のVOBUの場所を見つけるために、ストリームトラバース技術が使用される。しかし、通常のストリームトラバースは、不良により、セグメントNの最後のVOBUで機能しなくなる。本発明では、システムはセグメントパックに遭遇するまで線形探索を実行する。セグメントパックは、セグメントNの境界と不良の境界、および場合により、セグメントN+1の先頭を明確に定義する。ストリームトラバースは通常通りに継続することができ、データは復元され得る。ファイルシステムはタイトルの新しい場所およびタイトルセグメントを含むように更新され得、DVD−VRディスクは復元可能になされ得る。
これまでに示されているように、1組のアルゴリズムがシステムを作成するために使用され得、そのシステムによって、DVDレコーダが喪失したビデオデータを復元し、ナビゲーション情報を更新し、また、結果として生じるディスクを標準的なDVDプレーヤ上で読み取り可能にすることができる。各DVD記録フォーマット(DVD+R、DVD+RW、DVD−R、およびDVD−RW)は、わずかに異なる方法でビデオおよびナビゲーションデータを格納するので、喪失したビデオデータの場所を見つけディスクを復元可能にするために、複数の異なる補完的なアルゴリズムが単独でまたは組み合わせて使用され得る。
例えば、ストリームトラバースアルゴリズムは、全てのディスクタイプに適用され得る。同様に、記録フラグの使用は、記録の失敗がいつ生じたのかを示すために、様々なディスクのタイプに適用され得る。
本発明の好適な実施形態および種々の代替の実施形態が、本明細書において開示され詳述されてきたが、その精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。
例えば、本発明は、通常のDVDプレーヤによるDVDの読み取りを可能にするために使用されるものとして開示されているが、本発明の技術は、(例えば、法廷弁論目的のために)データを再構成できるように、損傷した、または部分的に記録されたDVD、あるいは他のタイプの記憶媒体からデータを復元するためにも使用され得る。このような一実施形態においては、復元された元の損傷したまたは部分的に記録された媒体からのすべての喪失したデータを有する、新しいDVDまたは他の媒体が作成され得る。したがって、例えば、ユーザーが損傷したまたは部分的に記録されたDVD、DVD−RまたはDVD−RW(あるいは、CD、CD−ROM、CD−R、CR−RW、など)を有する場合には、ユーザーは本発明のDVDレコーダにその損傷した媒体を挿入することができる。DVDレコーダは、次いでディスク上のデータを復元し、ユーザーのために新しいディスクを作成することが可能である。代替案としては、レビューまたは使用のために、当該のデータは復元され、コンピュータまたは他の装置にダウンロードされ得る。
また、多くのDVDの記録技術、特に−VR標準の技術は、ハードディスクドライブ(HDD)、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)、テープドライブ、および他の磁気媒体、ならびに他の記憶媒体のための記録技術と類似しているので、本発明の技術は、このような装置から部分的に記録されたまたは喪失したデータを復元するために適切に適合され得る、ということも重視されたい。
このようなデータ復元技術は、損傷した媒体上のデータを復元するために使用され得るが、エンドユーザーに対して透明な方法でデータを復元するための動的な方法においても使用され得る。