JP2008505896A - 自然太陽光安定性の組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、紫外線(「UVR」)から保護する光安定性の組成物に関するものである。特に、本発明は、日焼け止め剤のトリプレット(triplet combination)を形成するアボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンといった日焼け止め剤に関するものである。一般に本発明の組成物には、実質的に他の多量の日焼け止め剤は含まれない。意外にも、トリプレットにより、UVR露光時間全体にわたり日焼け止め剤組成物の初期のSPF値を提供し、実質的にそれが維持される。本発明の組成物は、光安定性であり、トリプレットにおけるそれぞれの日焼け止め剤有効成分は、認め得るほどは光分解しない。本発明により、自然太陽光において実際に提供されるUVR光保護の量が正確に表示され、光分解の副産物として形成される潜在的に有害なフリーラジカルの量が最小限に抑えられる。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明の技術分野は、紫外線(「UVR」)から保護する光安定性の組成物に関するものである。特に、この発明は、日焼け止め剤のトリプレットを形成するアボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンといった日焼け止め剤に関するものである。
紫外線(「UVR」)にさらされるとさまざまな健康への悪影響を招く可能性があることは、十分に立証されている。UVB光(290〜320 nm)へ過度に露光することにより、短期的かつ長期的な影響をもたらしうる。保護すること無くUVBに露光することによる直接かつ主要な症状は、紅斑および日焼けである。小児期における長期的な日焼けと、その後の人生における黒色腫とはすでに関連付けられている。UVA光(320〜400 nm)は、UVBよりも深く浸透し、表皮と真皮の両方に達する。比較的短い波長のUVA II光(約340 nmよりも短い)および比較的長い波長のUVA I光(約340 nmよりも長い)に反復的に露光することは、細かい線やしわの形成、不規則な皮膚色素沈着、皮膚の免疫系の弱体化、および皮膚癌と関連がある。UVRに過剰に露光することと関連性があるその他の皮膚疾患には、黒色腫以外の皮膚癌(すなわち、基底細胞癌や扁平上皮癌)、光線性角化症および皮膚の早期老化などがある。
日焼け止め剤製品は、特定のスペクトルに対して一定割合の光を吸収し、これにより潜在的に有害な紅斑性UVRが皮膚へ到達し、損傷を与えることを阻止する。日焼け止め剤製品に記載されている太陽光線保護指数(「SPF」)は、この光の吸収の割合に関連があり、紅斑性UVRの減衰量を表示するためのものである。さらに詳しくいえば、SPF値は理論的に日焼け止め剤なしの場合よりもX倍の保護が得られることをその使用者に表示するものであり、ここでXはラベルに表記されたSPF値である。例えば、SPF が33の製品であれば、理論的に紅斑性UVRの97%を吸収し、3%の減衰されていない光が皮膚まで到達しうることになる。このようなSPFが33の製品を使用する者は、日焼け止め剤がない場合よりも33倍長く太陽の下にいられるものと考えられる。ところが、たいていの日焼け止め剤は光安定性ではないため、ラベルに表示されたSPFは実際の光に対する保護を示すものではなく、その日焼け止め剤が保護できる時間よりも長い時間にわたって太陽の下で安全にいられるものと消費者に間違った考えをさせてしまう。従って、本発明の目的の一つは、消費者にそのラベルが表示する実際のUVR保護の度合いを正確に伝える光安定性の日焼け止め剤を開発することである。本発明の別の目的は、一般的な消費者が露光する時間全体にわたりそのSPFの数値が実質的に維持される日焼け止め剤組成物を提供することである。
本発明者が確認した現時点で市販されている日焼け止め剤製品の欠点の一つは、SPFの数値が太陽光シミュレーターが発生した人工光スペクトルへ日焼け止め剤製品を露光させることにより導き出したものであるということである。SPF方式は、化学者にとって製剤を試験するには便利であるが、実際の使用条件下でどう機能するかについての正確な値としては不十分である。この欠点は、理論に束縛されることはないが、自然太陽光には人工スペクトルには含まれていない波長が存在するか、あるいはその波長が自然太陽光に含まれる量と比較して非常に少量しか存在しないことが、数多くの日焼け止め剤における劣化反応の(少なくとも部分的な)原因であると考えられている。これらの劣化反応により、露光時間とともに有効なSPFが低下するために、露光時間全体にわたり存在する有効な日焼け止め剤の量が減少する。また、これらの劣化反応により、健康に有害であるフリーラジカルも生成される。
最も一般的に使用されているシミュレーターは、WG320フィルター、UG11フィルター、およびダイクロイックミラーを備えたキセノンアーク太陽光シミュレーターである。こうしたシミュレーターは、ヨーロッパ化粧品トイレタリー香水協会(European Cosmetic Toiletry and Perfumery Association)(「COLIPA」)の定めたSPF試験規格を満たす光のスペクトルを発生でき、SPF試験用の基準スペクトルとして米国内で日常的に使用されている。同一の太陽光シミュレーターで異なるフィルターを使用したものは、日本化粧品工業連合会(「JCIA」)試験スペクトルを発生でき、これが下記に説明する持続型即時黒化(「PPD」)のインビボUVA保護試験に使用されている。図1は、標準太陽光スペクトル(以降「SSS」とする)として一般に世界的に認められているものを用いて、COLIPAスペクトルとJCIAスペクトルを比較したものであり、これは6月20日の正午、北緯40°での平均測定値をもとにしている。
SSSとは対照的に、太陽光シミュレーターで発生されるCOLIPAスペクトルやJCIAスペクトルは、赤外線だけでなく可視光も除去されている。図1で見られるように、キセノンアーク太陽光シミュレーターでは、約380 nmで放射線がカットされるが、これは赤外線も可視光線も放出されないことを意味する。さらに、太陽光シミュレーターで使用されているフィルターにより、約290 nmよりも短い波長は放出されない。Sayreらは、太陽光シミュレーターで試験したSPF値は実際の太陽光で試験した値よりも著しく高いことを示している。これらの理由から、太陽光シミュレーターをもとに計算した情報としてのSPF値には疑問の余地がある。図1のSSS曲線には、赤外線から可視光線、紫外線にいたる光のスペクトルが含まれてはいるが、これは年間を通して変化する平均スペクトルであることに注意すべきである。この変化に寄与する要因には、異なる緯度・高度で、一日の異なる時間帯で、またさまざまな大気条件下(雲量など)での太陽の近接性や角度などがある。
UVRに対する保護を正確に評価するものとして、SPFの値は、科学論文でも疑問視されている。光生物学の分野で国際的に認められているある権威者は、論文に「Has SPF had its day?(SPFは全盛期は過ぎ去ったのか?)」という適した題名を付けた。複数の研究では、日焼けは、日焼け止め剤を全く使用していない者と比較して、SPFの高い製品の使用者でも同様に発生する可能性があることが示されている。実際、一部の研究者は、日焼け止め剤製品の使用により、悪性黒色腫の発症のリスクが事実上高まると示唆している。このため、露光の時間全体にわたり、実際の使用条件下での光に対する保護の度合いを正確に表示する日焼け止め剤製剤には、長い間望まれながらも未だ果たされていないニーズが存在する。このニーズは本発明により満たされる。
日焼け止め剤による光に対する保護の度合いを示すものとして、SPF以外の測定基準が利用できる。UVAに対する保護に関して、最も一般的な二つの試験方法は、インビトロのBoots Star SystemとインビボのPPD試験である。Boots Star Systemは、分光光度計からの瞬間的な読み取り値をもとにしたもので、UVBのエネルギーに対するUVAのエネルギーの平均吸収度の比を示す。星一つはUVA/UVB比0.2〜0.4に該当する。星2つと星3つはUVA/UVB比がそれぞれ0.4〜0.6と0.6〜0.8の製品に該当する。星4つはUVA/UVB比が0.8を超える製品に該当する。PPDは、UVRへの露光後2〜4時間経過した後の皮膚の黒化を測定する。JCIAで定義されるスペクトルを発生する太陽光シミュレーターが、PPD試験に使用される。ところが、光源が人工的なことにより、実際の使用条件下では、PPDの示す光に対する保護の度合いは制限を受ける。
広域スペクトルの日焼け止め剤は、UVAとUVBの両方のエネルギーを吸収するために開発されたものである。UVAスペクトルとUVBスペクトルをカバーするために、吸収される波長の範囲と、その他の特性(すなわち、耐水性、低アレルゲン性)の両方に基づき、複数の日焼け止め剤が選択される。日焼け止め剤製剤において、これまで優勢を占めていたパラダイム(基本的考え方)は、「多いほど有効である」であった。多くのものが、高いSPF値やBootsの星数の多さは、多くの日焼け止め剤を高い濃度で含有させることで最も有効に達成しうるというアプローチに従っている。これまで数多くの日焼け止め剤は、自然光にさらされたときにその性能特性が低下したため(SPF値の低下)、このような製剤を支持する者は、ある一定のSPFを達成するために理論的に必要とされる量よりも多量の日焼け止め剤有効成分を加えている。そうすることで、実験室環境で発生した劣化を補正するのである。ところが、この考えには欠点があった。自然太陽光中での光分解の量が著しく高くなり、消費者が実感する実際のSPFは低くなる。
また「多いほど有効である」という考え方では、光感受性日焼け止め剤の劣化生成物には、DNAやその他の細胞分子への損傷の原因となる可能性のあるフリーラジカルが含まれているという事実が見過ごされている。長期にわたって、フリーラジカルによる損傷を受けると、やがて回復不能となり、癌などの病気につながることがある。その上、日焼け止め剤が人工光(JCIA、COLIPAなど)下で光感受性である範囲において、自然の条件下において、UVRだけでなく赤外線や可視光にもさらされると、その同じ組成物であっても、より多くの光分解が起こり、より大量のフリーラジカルが生成することもある。従って、本発明の第三の目標は、自然光の下で照射した後にも、それぞれの日焼け止め剤有効成分が光安定性であり、それによって潜在的に有害なフリーラジカルの形成が最小限に抑えられる日焼け止め剤組成物の組み合わせを特定することである。
UVA IとUVA IIの両方を吸収するアボベンゾンは、一般的に多用されるようになってきたUVA日焼け止め剤の一つで、複数の市販製品において他の日焼け止め剤と組み合わせて使用されてきた。例えば、Bullfrog日焼け止め剤SPF 15 Amphibious Formula(水陸両用製剤)は1980年代に市販され、アボベンゾン2%(重量比)、オクトクリレン10%(重量比)、および第三の日焼け止め剤であるアミノ安息香酸ジヒドロキシプロピルエチルを含有している。Schering Plough製Shade UVAGuardは米国で1993年に販売され、アボベンゾン3%(重量比)、オキシベンゾン3%(重量比)、および第三の日焼け止め剤であるオクチルメトキシケイ皮酸7.5%(重量比)を含有している。カナダで販売されたOmbrelle SPF 30は、アボベンゾン3%(重量比)、オクトクリレン10%(重量比)のほか、2種の日焼け止め剤であるオキシベンゾン6%(重量比)およびオクチサレート5%(重量比)を含有している。ところが、これまでアボベンゾンは、本発明で示したような日焼け止め剤製剤としての組み合わせはなされていない(すなわち、オクトクリレン、オキシベンゾンとの組み合わせであり、それ以外には実質的に多量の光分解性日焼け止め剤は加えておらず、実質的にそれ以外の日焼け止め剤が全く加えていないことが好ましい)。
広域なスペクトルをカバーすることの重要性が認識されてからは、日焼け止め剤の研究では、保護の効果と効率に焦点が当てられ始めた。浮上してきた特に重要なパラメーターの一つが、光安定性である。国内および国際的な化粧品化学協会で公開された論文や会議において研究者らは、最大限の安全性のためには、太陽光にさらされる全時間において、広域スペクトルの保護が有効な状態で維持される必要があることを述べてきた。光安定性についての数多くの試験が提案されてきた。それらの大部分は人工光源(COLIPA、JCIAなど)を用いて実施するものである。SPFとUVA保護の試験について上記で考察した理由から、人工光を使用することにより試験結果に大きな混乱を招く可能性がある。
Diffeyらによる「日焼け止め剤製品の光安定性:より現実的なインビトロ効力評価のための重要なパラメーター(Sunscreen Product Photostability: A Key Parameter for a More Realistic In Vitro Efficacy Evaluation)」(Eur. J. Dermatol. 7: 226-228 (1997))には、日焼け止め剤製品の薄膜を走査する光安定性試験が提案されている。UVAおよびUVBの吸収度が照射の前後でプロットされ、曲線下の面積の変化が相対的な光安定性を表す。Diffeyの方式にはいくつかの制限がある。まず、ほとんどの計器で走査の対象となるサンプル領域は非常に狭く、照射の前後において同一の領域が走査されたかどうかの確証をとるのが困難である。照射前後の走査が正確に同じ領域でなされなかった場合には、膜の厚みの違いによって結果に誤りが生じる。その上、組成物に複数の日焼け止め剤が含まれている場合には、どれか一つの日焼け止め剤についての変化の度合いを判断することは不可能である。この点は、光感受性日焼け止め剤では、Diffey試験で検出されない可能性のあるフリーラジカルまたは化学物質(またはその両方)が著しく変化することがあるため重要である。
公開された米国特許出願第2004/0047818号および第2004/0047817号において、Bondaらは、光安定性が特定の波長における吸収度をもとに判断されることを除き、Diffeyと非常に類似した試験プロトコルを説明している。このプロトコルにはDiffeyと同じ制限がある。さらに、試験スペクトルを特定の波長での人工光に限定するために、Bondaの提案した方法では、Diffeyの方法よりもさらに光安定性の予測ができなくなる恐れがある。
Bersetらによる「光安定性を決定するためのプロトコル パート1:化粧品用UVフィルター(Proposed Protocol for Determination of Photostability Part 1: Cosmetic UV Filters.)」(Intl. J. Cosmet. Sci., 18(4): 167-177 (1996))には、照射の前後において、溶液中の各日焼け止め剤有効成分のUVR吸収の比較をもとにした光安定性のプロトコルが教示されている。上記で説明したとおり、市販の広域スペクトル日焼け止め剤には、複数の日焼け止め剤有効成分だけでなくその他の成分も含まれており、それらの相互作用により組成物が不安定になることがあるかもしれない。Bersetの方法では、これらの相互作用が考慮されていないため、光安定性の予測には不十分である。
フリーラジカル中間体の形成を含む光分解を定量化する、さらに精度の高いアプローチは、照射の前後において最終の市販製品に含まれる各日焼け止め剤有効成分の含有量を分析することである。Cambonらによる「日焼け止め剤におけるUVフィルターの光安定性を評価するインビボの方法(An In-Vivo Method to Assess the Photostability of UV filters in a Sunscreen)」(J. Cosmet. Sci., 52: 1-11 (2001))には、ヒト被験者の皮膚に直接塗布した日焼け止め剤製品の光分解を測定する方法が記述されている。人工光(すなわち、太陽光シミュレーター)による照射の後、残留物をテープで剥がし、HPLCを用いて測定する。HPLCを使用することで、試験対象の波長に露光した日焼け止め剤の光分解を正しく評価できる。Cambon方式で使用される光源は、太陽光シミュレーターである(つまり、自然光ではない)ため、その光安定性の予測には限度がある。その上、ヒトの皮膚へ日焼け止め剤製剤を均一の厚みに塗布する能力には本質的に限度があり、異なる組成物での異なる製剤成分の吸収度は、日焼け止め剤有効成分および各種の賦形剤の両方に関して被験者ごとに異なることが考えられ、異なる被験者に対して、異なる時期に、または異なる製剤でなされた試験間での比較には混乱が生じる。
上記で考察したとおり、アボベンゾンは、UVA IスペクトルとUVA IIスペクトルを広域にカバーしているため、好ましい日焼け止め剤である。ところが、アボベンゾンは、光感受性であり、著しい光分解を起こすものとして広く認識されている。例えば、下記の表7および表8に示すとおり、米国で販売されSPF30のラベル表示である、人気の市販日焼け止め剤製品を、自然太陽光に晒すと、かなりの割合でアボベンゾンが失われた。光安定性の広域スペクトル日焼け止め剤を求めて、研究者らはアボベンゾンに他の日焼け止め剤を組み合わせる試みを行ってきた。米国特許第5,576,354号(L’Orealに譲渡)では、オクトクリレン(UVBの吸収体)をアボベンゾン1%〜5%(重量比)を含有する日焼け止め剤に添加して、少なくとも濃度1%のオクトクリレン(日焼け止め剤組成物を基にした重量比)とすることで、280〜380 nmの間の波長のUV放射線に対して、アボベンゾンを安定化させる方法が特許請求されている。USPN第5,776,439号には、1%〜10%(重量比)のアボベンゾンおよび0.5%〜10%のオキシベンゾン(UVB吸収体)を含む光安定性の組成物が記載されている。公開された米国特許出願第2004/0047818号(Bondaら)には、アボベンゾン、オクトクリレン1%未満(重量比)、およびナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルを含む日焼け止め剤組成物が開示されている。Bondaの第2004/0047818号出願には、オキシベンゾンとのそれ以外の組み合わせとしてさらに3種の日焼け止め剤が教示されている。ところが、安定であると推定される、これら従来技術の組成物のうちどれ一つとして、実質的に他に多量には光分解性の日焼け止め剤有効成分が含まれていないか、実質的に他に日焼け止め剤の有効成分が全く存在しない、アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンのみを組み合わせた日焼け止め剤について教示したものがない。米国特許第5,576,354号および第5,776,439号ならびに公開された米国特許出願第2004/0047817号および第2004/0047818号を参照し本書に組み込む。
US 2004/0047818
US 2004/0047817
US 5,576,354
US 5,776,439
US 4,015,009
US 4,024,106
US 4,455,295
US 4,613,499
US 4,710,373
US 4,863,963
US 5,160,731
US 5,338,539
US 5,426,210
US 5,783,173
US 5,917,088
Eur. J. Dermatol. 7: 226-228 (1997)
Intl. J. Cosmet. Sci., 18(4): 167-177 (1996)
J. Cosmet. Sci., 52: 1-11 (2001)
本発明は、(i) 3つの日焼け止め剤有効成分(すなわち、アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾン)の光安定性のトリプレット(triplet combination)、ならびに、(ii) 場合により、その個々に光安定性であり、トリプレットの日焼け止め剤の光安定性に対して実質的にマイナスの影響をもたらさない、一つまたは複数の日焼け止め剤から成る群から選択された第四の日焼け止め剤成分を含む日焼け止め剤製品の組み合せ、すなわち (iii) 実質的にそれ以外の多量の日焼け止め剤が含まれていないか、実質的にそれ以外の日焼け止め剤(特に、オクチサレート、オクチノキセートおよびホモサラート)が含まれないもの、を特定することにより、 (i) 実際に提供されるUVR保護の量を正確に表示し、(ii) 光分解の副産物として形成される潜在的に有害なフリーラジカルの量を最小限に抑えるという、長い間望まれながらも未だ果たされていない2つのニーズを満たすものである。
本発明は、3種の日焼け止め剤(アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾン)を組み合わせたトリプレットを含み、皮膚およびその他の基質や製品を紫外線から保護する新規な光安定性の組成物である。本発明の組成物は、SPFがXで、自然光によるY SED(ここでYはXの約半分)のUVRへの露光後にも、必須の3つの日焼け止め剤有効成分のどれ一つとして光分解により濃度がZ未満となることがなく、ここでZは、初期濃度の70%であるが、75%であることが好ましく、80%であることがさらに好ましい。場合により、本発明の組成物には、トリプレットの日焼け止め剤の光安定性に実質的にマイナスの影響を及ぼすことのない、一つまたは複数の光安定性の日焼け止め剤(上記定義の濃度Z未満には劣化しないその他の日焼け止め剤)が含まれうる。本発明の組成物には、実質的に他に、特にオクチノキセート、オクチサレートおよびホモサラートといった多量の光分解性日焼け止め剤が含まれておらず、また他に光分解性日焼け止め剤が実質的に含まれていないことが好ましく、さらに他に光分解性日焼け止め剤が全く含まれていないことがさらに好ましい。本発明の組成物には、実質的に他のいかなる日焼け止め剤も多量には含まれていないことがさらに好ましく、他のいかなる日焼け止め剤が実質的に含まれていないことがさらになお好ましく、他のいかなる日焼け止め剤も全く含まれていないことが一層好ましい。
本発明は、自然太陽光への露光時間全体において、好ましいSPF値Xが実質的に維持され、3つの日焼け止め剤有効成分(アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾン)を組み合わせたトリプレットを含む、新規な光安定性の日焼け止め剤組成物に関するものである。必須の3つの日焼け止め剤有効成分のそれぞれは、自然太陽光によるY SED(ここでYはXの約半分)のUVRへの露光後に初濃度の70%未満の濃度に光分解されることはなく、75%未満でないことが好ましく、また80%未満でないことがさらに好ましい。
場合により、本発明の組成物には、(i) 個々に光安定性であり(つまり、自然太陽光によるY SED(ここでYはXの約半分)のUVRへの露光後に、初濃度の70%未満の濃度に光分解されることはなく、75%未満でないことが好ましく、また80%未満でないことがさらに好ましい)、(ii) トリプレットの日焼け止め剤の光安定性に実質的にマイナスの影響を及ぼさないような一つまたは複数の日焼け止め剤から成る群から選択される第四の日焼け止め剤成分を含みうる。本発明の意図として、「実質的なマイナスの影響」とは、アボベンゾン、オキシベンゾンまたはオクトクリレンのいずれかの残留率をQ未満に低下させることを意味し、ここでQは特定の日焼け止め剤成分の初濃度の70%で、75%であることが好ましく、80%であることがより好ましく、85%であることがさらになお好ましく、90%であることが一層好ましく、95%であることが最も好ましい。さらに好ましい本発明の一実施例において、「実質的なマイナスの影響」とは、トリプレットのいずれかの成分の残留率が、各成分の元の濃度を基準にして、5%よりも多く減少することを意味する。残留率はHPLCにより決定する。
本発明の組成物には、他に多量の光分解性日焼け止め剤が実質的には含まれておらず、また光分解性日焼け止め剤が実質的に含まれていないことが好ましく、さらに他にいかなる日焼け止め剤も実質的には多量には含まれていないことがより好ましく、また他にいかなる日焼け止め剤も全く含まれていないことが最も好ましい。本発明の意図として、「実質的に含まれていない」とは、その他の日焼け止め剤有効成分が5%未満であることを意味するが、約4.5%未満であることが好ましく、約3%未満であることがさらに好ましく、また全く含まれていないことが最も好ましい。本発明の意図として、「光分解性の日焼け止め剤」には、これに限定はされないが、アミノ安息香酸、シノキサート、ホモサラート、アントラニル酸メンチル、メトキシケイ皮酸オクチル、オクチサレート、パジマートO、およびトロールアミンサリチル酸塩から成る群から選択される日焼け止め剤有効成分が含まれる。上記に定義した光分解性ではないが、一般に酸化亜鉛や二酸化チタンといった顔料を本発明の組成物に含めることは好ましくない。酸化亜鉛や二酸化チタンは、本発明で許容される成分という点では光分解性日焼け止め剤に分類される(つまり、「多量の…が実質的に含まれない」あるいは「…が全く含まれない」)。
本発明の日焼け止め剤組成物は、自然太陽光に晒された際に、高度、季節、時刻、サンプルに対する太陽の角度、大気条件(雲量など)に関係なく、あるSPFの値Xが全露光時間を通して実質的に維持され、光安定性であることが予想外にも発見された。本発明のトリプレットのそれぞれの日焼け止め剤有効成分は、自然太陽光によるY SED(ここでYはXの約半分)のUVRへの照射後に、光分解されてその初期の(つまり、自然のUV光を照射する前)濃度の約70%未満となることはなく、約75%未満とならないことが好ましく、約80%未満とならないことがさらに好ましい。本発明の意図として、「自然のUV太陽光の照射前」とは、実験室試験または実際の消費者の使用における(つまり、自然環境)自然太陽光を受ける直前の組成物を意味する。この組成物の製造およびパッケージ過程での偶発的なUV露光は無視される。
アボベンゾン:オキシベンゾン:オクトクリレンの比率(重量比)は、a : b : cの範囲内であることが好ましく、ここでaは0.5〜5.0、bは0.5〜10、cは0.5〜10であり、aは1〜3、bは1〜6、cは1〜10であることが好ましい。適切な比率を選択したら、当業者に承知の標準的な製剤技法を用いて、目的のSPFを実現するために十分な量の日焼け止め剤有効成分を混合できる。
アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタンの米国一般名)は、Parsol 1789、Parsol、Eusolex 9020、Neo Heliopan 357、Photoplex、Uvinul BMBMなどさまざまな商品名で販売されている。アボベンゾンのその他の化学名には、1-(4-メトキシフェニル)-3-(4-tert-ブチルフェニル) プロパン-1,3-ジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル) プロパン-1,3-ジオン、4-(1,1-ジメチルエチル)-4’-メトキシジベンゾイルメタン、4-メトキシ-4’-tert-ブチルジベンゾイルメタン、および4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンなどがある。
オキシベンゾン(別名、ベンゾフェノン-3)は、Aduvex 24、Advastab 45、Anuvex、ASL 24、Chimassorb 90、Cyasorb UV 9 Light Absorber、Cyasorb UV 9、Escalol 567、Neo Heliopan BB、NSC 7778、Ongrostab HMB、Onzone、Seesorb 101、Spectra-Sorb UV 9、Sumisorb 110、Syntase 62、Tinosorb B 3、Uvasorb Met/C、Uvinul M 40、Uvinul 3040、Uvinul 9、Uvistat 24、およびViosorb 110などさまざまな商品名で販売されている。オキシベンゾンのその他の化学名には、(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル) フェニルメタノン、2-ベンゾイル-5-メトキシフェノール、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、および4-メトキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノンなどがある。
オクトクリレンは、Agent AT 539、Eusolex OCR、Neo Heliopan 303、Sanduvor 3039、Uvinul N 539、Uvinul N 539SG、Uvinul N 539T、Uvinul 3039、Viosorb 930などさまざまな商品名で販売されている。オクトクリレンのその他の化学名には、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸 2-エチルヘキシル エステル 2-エチルヘキシル α-シアノ-β-フェニルケイ皮酸塩、2-エチルヘキシル α-シアノ-β、β’-ジフェニルアクリラート; 2-エチルヘキシル 2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペン酸塩、2-エチルヘキシル 2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート; 2’-エチルヘキシル 2-シアノ-3-フェニルケイ皮酸塩などがある。
上記のとおり、SPF Xの日焼け止め剤組成物は、Y SEDの自然太陽光(ここでYはXの約半分)へ露光した後、組成物の各日焼け止め剤有効成分の少なくとも70%が残存するときに「光安定性」であると考えられ、この値は、少なくとも75%であることが好ましく、少なくとも80%であることがさらに好ましい。「光安定性」は、(i) 日焼け止め剤組成物中に存在する各日焼け止め剤有効成分のUVR露光前の濃度を高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)により測定し、(ii) 濃度2 mg/cm2(SPF試験で使用される標準的な濃度)の日焼け止め剤組成物のサンプルをコーティングされていない顕微鏡用スライドまたは類似の非反応性の表面(硝子板または水晶板)に塗布し、(iii) 表1で説明する投与方式に従い、サンプルに自然太陽光を照射し、(iv) UVR露光後の各日焼け止め剤有効成分の濃度を測定することにより評価される。
さらに具体的に言えば、所定のUVRを露光させた後、各スライドには太陽光が当たらないようにし、密閉されたBlue MaxTMポリプロピレンの円錐管(Becton Dickinson)または類似の容器内に置き、さらに自然太陽光が当たらない場所に保管する。一連の照射が完了したら、各日焼け止め剤有効成分の残留量を、Perkin Elmer Model 200(785 UV/V検出器、およびC18カラムを装備)などのHPLCにより決定する。検出器の波長は310 nm、溶出液は85/15リン酸溶液を使用しうる。日焼け止め剤組成物を、イソプロパノールまたはその他の適した溶剤でスライドから抽出し、少なくとも10分間にわたり超音波処理して日焼け止め剤有効成分を完全に溶解する。次に、溶液を0.45 um GHP13 mmシリンジフィルターでろ過する。上記の分析処置は、当業者にとって明らかな方法に変更してもよい。
上記の分析方法をもとに、意外にも、人工の太陽光源(COLIPAスペクトル、JCIAスペクトルなど)を用いた臨床検査をもとに光安定性であると報告された数多くの日焼け止め剤有効成分が、実際には自然太陽光に晒されたときに光分解性であることが発見された。
本発明の日焼け止め剤組成物は光安定性であるため、SPFを確保するために必要な日焼け止め剤有効成分の量は少なくなる。本発明の意図として、「日焼け止め剤効率」は、SPF/(日焼け止め剤有効成分の合計)の比%(重量比)で表現される。本発明の日焼け止め剤組成物は、2を超える日焼け止め剤効率であるが、少なくとも約3であることが好ましく、少なくとも約4であることがさらに好ましい。表2は、市販の製品と本発明の製品についての日焼け止め剤効率を比較したものである。本発明のSPF70製品は、市販のSPF70製品に比べて2.5倍を超える高い日焼け止め剤効率である。
製剤の効率は別として、本発明の組成物の光安定性には、潜在的に有害なフリーラジカルの形成(つまり、光分解生成物)が最小限に抑えられるという別の利点がある。まず、各日焼け止め剤有効成分は、より少ない量で使用されるため、フリーラジカルの形成に使用される光反応性の日焼け止め剤の量は少なくなる。関連して、その光安定性の結果として、本発明の組成物を塗布する頻度が少なくなる可能性があり、これによっても潜在的なフリーラジカル形成が最小限に抑えられる。
本発明の光保護の組成物は、美容や製薬の技術分野における当業者に一般に知られている原理や技法により調製される。オクトクリレンおよびオキシベンゾンは、化粧品として許容可能な媒体に加熱しながら加え、均一になるまで混合する。次にこの混合物にアボベンゾンを加える。本発明の組成物の調製に有用な化粧品として許容しうる媒体は、当業者にとっては周知であり、ローション、クリーム、噴霧剤、ゲル、ワックスタイプのスティック、オイル、乳液およびムースなどがある。こうした媒体は、油中水型、水中油型またはシリコン中水型の乳濁液とすることができる。この媒体には、当業者によく知られた一つまたは複数の希釈剤が含まれており、これには、レオロジー調整剤、乳化剤、pH調整剤、保湿剤(アロエ抽出物など)、湿潤剤、軟化剤(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど)、構成薬剤(蜜蝋、カンデリラ蝋、パラフィンなど)、安定剤、潤滑剤、芳香剤、防腐剤(プロピルパラベンなど)、有色顔料または着色剤などがあるが、これらに限定されない。一般的な組成物の媒体や賦形剤は、限定はされないが、米国特許第4,015,009号、第4,024,106号、第4,455,295号、第4,613,499号、第4,710,373号、第4,863,963号、第5,160,731号、第5,338,539号、第5,426,210号、第5,783,173号、および第5,917,088号にも記載されており、それぞれを参照によりその全文を本明細書に組み込む。
以下の実施例は、本発明をさらに具体的に説明するものである。構成要素および具体的な成分は一般的なものとして提示しているので、発明の範囲内で上記に開示した内容に照らし、様々に変更する。
アボベンゾンを除いて、相Aの成分を混合し、均一になるまで混ぜる。アボベンゾンを加える。均一な液体混合物が得られるまで約75℃で混ぜ続ける。攪拌しながら冷ます。約50℃で相Bの成分を加える。混ぜ続けて約40℃まで冷ます。
製剤1と製剤2の光安定性を比較するために、複数の顕微鏡用スライド上に日焼け止め剤製品の2 mg/cm2の均一な膜を配置した。スライドを、Solar Light PMA 2100 検出器で測定した1、2、4、8、および16のSEDに相当する時間だけ直射日光に晒した。(別途表示しない限り、すべての太陽光への露光はフロリダ州オーモンドビーチでのものである)。所定通り露光した後は、スライドに太陽光が当たらないようにし、Blue MaxTMポリプロピレンの円錐管内に保管した。一連の試験が完了した時点で、サンプルを適切な溶剤に溶かし、超音波処理した後、HPLCを用いて測定した。アボベンゾンの残留量は、UVR露光後に残存した日焼け止め剤のパーセンテージとして記録され、表3に示す。別途表示のない限り、すべての評価法は内部標準としてオキシベンゾン(存在する場合)を用いて、HPLCで実施した。
製剤2におけるアボベンゾン、オクチノキセート、およびオクチサレートの残留濃度を、サンプルをさまざまな時刻や時期での自然太陽光、また人工スペクトルにも晒すことでさらに調査した。結果を表4、表5および表6に示す。
日焼け止め剤の比較
本発明の3つの日焼け止め剤(オクトクリレン、オキシベンゾンおよびアボベンゾン)を、オクトクリレン10%、オキシベンゾン6%、アボベンゾン3%およびオクチサレート5%の重量比で従来技術の日焼け止め剤製剤に混合した。本発明の3つの日焼け止め剤(製剤4)および従来技術の4つの日焼け止め剤(製剤5)の2種の製剤を下記で説明する手順に従い調製した。
本発明の3つの日焼け止め剤(オクトクリレン、オキシベンゾンおよびアボベンゾン)を、オクトクリレン10%、オキシベンゾン6%、アボベンゾン3%およびオクチサレート5%の重量比で従来技術の日焼け止め剤製剤に混合した。本発明の3つの日焼け止め剤(製剤4)および従来技術の4つの日焼け止め剤(製剤5)の2種の製剤を下記で説明する手順に従い調製した。
均一になるまで相Aを約75℃で混合、加熱する。相A-1を加えて混ぜる。別途、相Bを75℃で加熱、混合する。相B-1を相Bに加えて混ぜる。相B、相B-1を相A、相A-1に加える。混ぜながら約50℃に冷まし、相Cを加えて混ぜる。混ぜながら約35℃まで冷ます。
製剤4と製剤5を、SPFとUVA/UVB比について表8で比較する。さらに具体的に言えば、2つの製剤を比較するインビトロでの分析は、2 mg/ccの製品をVitro-Skin(登録商標)(IMS Inc. 、コネティカット州ミルフォード)に用いて行った。UVRの露光後、プレートをOptimetrics SPF 290で分析した。
紅斑エネルギーの吸収度がそれぞれ99.26%と99.35%を表すSPF136とSPF153には有意な差はない。この2つのSPFは、実験での誤差の範囲内にあり、同一とみなされる。このため、オクチサレートを加えることにより光保護を増加させるという点でのメリットはない。ところが、表9に示したとおり、実施例1と同様に自然太陽光にさらされたとき、オクチサレートは光感受性である。オクチサレートでは、著しい光分解が起こり、それによってフリーラジカル形成のリスクが高まる。
米国特許出願第2004/0047817号および第2004/0047818号には、アボベンゾン誘導体は、低レベルおよび極低レベルのオクトクリレンの存在下で、1種または複数のナフタレンジカルボン酸(「DNDA」)のジエステルおよびポリエステルにより安定化しうることが教示されている。DNDAは、Hall StarからCorapan TQという商品名で市販されている。意外にも、本発明者は、DNDAのほかにオクトクリレンおよびオキシベンゾンを有意な量で含む日焼け止め剤組成物を自然太陽光(つまり、実際の使用条件)に晒したとき、DNDAによりアボベンゾンの光安定性が増大しないことを発見した。表10は、DNDAが含まれる製剤と含まれない製剤とでの、16 SEDの自然太陽光を照射した後の残留アボベンゾンを示す。各サンプルの製剤に含まれる成分を、重量%で列挙した。従って、本発明の日焼け止め剤組成物には、実質的にDNDAは含まれていない。
米国特許第5,776,439号には、オキシベンゾンによるアボベンゾンの光安定化について教示されている。これは、(i) UVR源としての太陽光シミュレーターの使用、および (ii) 照射後、2時間および4時間で測定した最大波長での吸収度をもとにしたものである。上記で考察した理由から、人工光での光安定性の試験は、自然太陽光からの放射線の全スペクトル下での光安定性を示すものではない。意外にも、表11で説明するとおり、本発明者は、オキシベンゾンまたはオクトクリレン単独の場合よりも、オキシベンゾンおよびオクトクリレンを組み合わせることによって、アボベンゾンが安定化することを発見した。さらに意外なことには、本発明者は、アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンを含む組成物は、自然太陽光において最大16 SEDまで光安定性であることを発見した。
本発明の具体的な実施例を、詳細に説明してきたが、当業者が、本発明の精神および範囲から外れることなく、本発明を様々に変更することができることは明らかであり、また容易であるということを理解するだろう。従って、特許請求の範囲は、上記の実施例や説明に限定されることは意図しておらず、むしろ、請求項には本発明の特許性のある新規性に関するすべての特徴が含まれると解釈し、これには、当業者がその特徴と同等なものとみなす、全ての特徴が含まれる。
Claims (36)
- 紫外線から保護するための光安定性の組成物であって、
(a) アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンから成るトリプレット(triplet combination)の日焼け止め剤、ならびに
(b) 場合により、以下に該当する一つまたは複数の日焼け止め剤から成る群から選択される第四の日焼け止め剤成分、
(i) 個々に光安定性であり、かつ
(ii)トリプレットの各日焼け止め剤の光安定性に実質的にマイナスの影響を及ぼさない、
を含んでなり、
(c) ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルが存在しない、かつ、
(d) 実質的に多量の光分解性の日焼け止め剤を含まない、
上記組成物。 - 実質的に光分解性の日焼け止め剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
- 前記トリプレットの日焼け止め剤を含み、実質的にそれ以外の日焼け止め剤を多量に含まない、請求項1に記載の組成物。
- 前記トリプレットの日焼け止め剤を含み、それ以外の日焼け止め剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
- 本質的に、アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンのトリプレット、および場合により、光安定性で、トリプレットの各日焼け止め剤の光安定性に実質的にマイナスの影響を及ぼさない一つまたは複数の日焼け止め剤から成る群から選択される第四の日焼け止め剤成分から成る、請求項1に記載の組成物。
- 日焼け止め剤として、アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンから成る日焼け止め剤成分のみを含む、請求項1に記載の組成物。
- アボベンゾン:オキシベンゾン:オクトクリレンの比がa : b : cの範囲内であり、ここでaが0.5〜5、bが0.5〜10、およびcが0.5〜10である、請求項1に記載の組成物。
- アボベンゾン:オキシベンゾン:オクトクリレンの比がa : b : cの範囲内であり、ここでaが1〜3、bが1〜6、およびcが1〜10である、請求項1に記載の組成物。
- さらに、レオロジー調整剤、乳化剤、pH調整剤、保湿剤、湿潤剤、軟化剤、安定剤、潤滑剤、芳香剤、防腐剤、有色顔料および着色剤の群から選択される一つまたは複数の希釈剤を含む、請求項1に記載の組成物。
- 組成物の形態がローション、クリーム、噴霧剤、ゲル、ワックスタイプのスティック、オイル、乳液もしくはムースである、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1に記載の製剤を皮膚に塗布することを含む、紫外線を原因とする損傷から皮膚を保護する方法。
- オクトクリレンおよびオキシベンゾンを含む組成物にアボベンゾンを加えることにより、請求項1に記載の製剤を製造する方法。
- 組成物にオクトクリレン、オキシベンゾンおよびアボベンゾンを加えることを含む、紫外線への露光時に日焼け止め剤組成物におけるフリーラジカル形成を最小限に抑える方法。
- 前記組成物がさらに、
(a) 場合により、以下に該当する一つまたは複数の日焼け止め剤から成る群から選択される第四の日焼け止め剤成分
(i) 個々に光安定性であり、かつ
(ii) トリプレットの各日焼け止め剤の光安定性に実質的にマイナスの影響を及ぼさない、
を含み、
(b) ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルが存在しない、かつ
(c) 実質的に多量の光分解性日焼け止め剤を含まない、
請求項13に記載の方法。 - 紫外線源が自然太陽光である、請求項13に記載の方法。
- 請求項1に記載の組成物を調製することでSPFを最大にする方法。
- 請求項1に記載の組成物を、それを必要とする表面に塗布することにより目的のSPFを維持する方法。
- 請求項1に記載の組成物を皮膚に塗布することを含む、それを必要とする消費者における日焼け止め剤の使用量を低減する方法。
- 請求項1に記載の組成物を製品に加えることを含む、光安定性のSPFを化粧品、ヘアケア製品またはパーソナルケア製品に提供するための組成物。
- 請求項1に記載の組成物を基材に加えることを含む、紫外線に対する光安定性の保護を基材に付与する方法。
- アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンを製品に加えることを含む、紫外線に対する光安定性の保護を製品に付与する方法。
- 実質的に多量の光分解性の日焼け止め剤を含まない、請求項20に記載の方法。
- 自然太陽光およびCOLIPAスペクトルに晒されたときに実質的に同一のSPFを有する光安定性の日焼け止め剤組成物。
- 請求項1に記載の組成物を製品に加えることを含む、光安定性のSPFを化粧品、ヘアケア製品またはパーソナルケア製品に提供するための方法。
- SPF効率が2よりも大きい、請求項1に記載の組成物。
- SPF効率が少なくとも約3である、請求項1に記載の組成物。
- SPF効率が少なくとも約4である、請求項1に記載の組成物。
- 紫外線への露光時間全体を通して実質的に同一のSPFを有する、請求項1に記載の組成物。
- SPFが少なくとも約2である請求項1に記載の組成物。
- SPFが少なくとも約15である請求項1に記載の組成物。
- SPFが少なくとも約30である請求項1に記載の組成物。
- SPFが少なくとも約40である請求項1に記載の組成物。
- SPFが少なくとも約50である請求項1に記載の組成物。
- SPFが少なくとも約60である請求項1に記載の組成物。
- SPFが少なくとも約70である請求項1に記載の組成物。
- 紫外線から保護するための光安定性の組成物であって、日焼け止め剤成分として、
(a) アボベンゾン、オクトクリレンおよびオキシベンゾンから成るトリプレットの日焼け止め剤、ならびに
(b) 場合により、以下に該当する一つまたは複数の日焼け止め剤から成る群から選択される第四の日焼け止め剤成分
(i) 個々に光安定性であり、かつ
(ii)トリプレットの個々の日焼け止め剤の光安定性に実質的にマイナスの影響を及ぼさない、
のみを含んでなり、
(c) ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルが存在しない、かつ
(d) 実質的に多量の光分解性の日焼け止め剤を含まない、
上記組成物。
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