JP2008505895A - シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質を精製する方法 - Google Patents

シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質を精製する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、色素リガンドアフィニティークロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーに基づく、シスチンノットスーパーファミリーからのタンパク質を分離するための二段法に関する。有利なことに、本方法は比較的短時間に実行することができ、安価な試薬を用い、精製過程の前およびその最中にわずかな試料調製しか必要としない。シスチンノットタンパク質と目的とするタンパク質との間のタンパク質融合が、この目的とするタンパク質または同タンパク質を含む複合体の、開示される二段法を用いた単離のためにさらに提供される。

Description

序論
この発明は、米国立癌研究所が後援する研究(認可番号P30CA3627)の中でなされたものである。米国政府は、この発明に対してある種の権利を有し得る。
発明の背景
4つの別々の増殖因子ファミリーからの、神経成長因子、トランスフォーミング増殖因子−ベータ(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の結晶構造は、これらのタンパク質がスーパーファミリーとして構造的に関係があり、共通の全体的なトポロジーを共有することを明らかにした(McDonald and Hendrickson (1993) Cell 73:421- 424)。これらのタンパク質はほとんど配列相同性を持たないが、これらはすべて6個のシステインが結合して「シスチンノット」コンホメーションを形成する特異な配列を有する。これらのタンパク質におけるシステインフレームワークの1つの例は、8個のアミノ酸によって形成される環構造にとって重要な、Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Cys(配列番号1)およびCys-Xaa-Cysのシステイン間隔を有する4つのシステイン残基からなり。2つのさらなるシステインは環構造を貫通する第3のジスルフィド結合を形成し、このようにしてシスチンノットを形成する。8アミノ酸環構造の他のバリエーションは、14個および16個のアミノ酸が環状になったシスチンノットを含み、これらはそれでもなお、スーパーファミリーの同じ全体的なトポロジーを維持している。
これらのシスチンノットタンパク質の活性型はダイマーであり、ホモダイマーか、またはヘテロダイマーである(Sun and Davies (1995) Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 24:269- 291)。これは、その構造のため、ダイマーを形成するシスチンノットタンパク質に固有の必要条件であると考えられる。この必要以上のレベルの組織化は、この単純な構造モチーフの周囲に構築される構造の種類を増加させる(Isaacs (1995) Curr. Opin. Struct. Biol. 5:391- 395)。
シスチンノットタンパク質の糖タンパク質ホルモンサブグループは、以下の特徴によって区別される、4種のタンパク質(絨毛性性腺刺激ホルモン、CG;卵胞刺激ホルモン、FSH;黄体形成ホルモン、LH;および甲状腺刺激ホルモン、TSH)のファミリーであると従来から考えられている。このサブグループの全ての成員は、非共有結合的に会合したヘテロダイマーであり、共通の遺伝子の産物であるαサブユニットと、生物学的特異性を与える、相異なるβサブユニットとを含む(Pierce and Parsons (1981) Annu. Rev. Biochem. 50:465-95)。構造的に、糖タンパクホルモンのαおよびβサブユニットはいずれも、水素結合とシスチンノットによって安定化した3つのβシートからなり、これらのサブユニットは、頭−尾様式で整列しており、ヘテロダイマーはジスルフィド「シートベルト」で安定化している(Lapthorn, et al. (1994) Nature 369:455-61)。糖タンパク質ホルモンは、下垂体(FSH、LHおよびTSH)か、または胎盤(CG)から分泌される。ヒトの生殖でのそのそれぞれの役割のため、FSH、LHおよびCGは、集合的にゴナドトロピンと呼ばれる。
シスチンノットタンパク質の構造と生物学的機能を研究するために、これらのタンパク質は、いろいろな方法を用いて精製されてきた。
部分精製hCGが、出発材料として用いられ(Bahl (1969) J. Biol. Chem. 244:567-574、Birken, et al. (1988) Endocrinology 123:572-83、Canfield (1971) Recent Prog. Horm. Res. 27:121-64、Morgan, et al. (1974) Endocrinology 94:1601-6)、そして、比較的簡単ではあるが、ヒトの尿CGを精製するのに役に立つのみであった。尿または培養培地からのゴナドトロピンの精製はより一層複雑であり、有機または硫酸アンモニウム沈殿、および疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィー(Reisfeld and Hertz (1960) Biochem. Biophys. Acta 43:540-3、Gadkari, et al. (2003) Protein Expr. Purif. 32:175-84)、または抗血清(Jiang, et al. (2002) Mol. Hum. Reprod. 8:201-12、Manna, et al. (2002) Hum. Mol. Genet. 11:301-15)の使用を伴っていた。CGの別の精製スキームは、硫酸アンモニウム沈殿、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせを用いる(上記Gadkari, et al. (2003))。
KawateおよびMenon ((1994) J. Biol. Chem. 269:30651-58)、ZhangおよびMenon ((1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8294-8)およびMunshiら((2001) Eur. J. Biochem. 268:1631-1639)は、hCGがAFFI-GEL(登録商標)10ビーズに共有結合し、LH/hCGレセプターを単離するためのアフィニティーカラムにおけるリガンドとして用いることができることを教示している。
米国特許第6,414,123号は、pH約7.5未満の第1のバッファー中の試料を、色素リガンドを含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに適用し、pH約9.0未満の第2のバッファーでクロマトグラフィーマトリックスから混入物を洗い落とし、そして、約0.8M未満のNaClを含むpH5.0未満の第3のバッファーでFSHを溶出することによる、試料からFSHを精製する方法を開示している。疎水性固相クロマトグラフィー工程を含む、追加の精製処置が教示されている。
当該技術分野で必要とされているのは、シスチンノットスーパーファミリーの成員のタンパク質を、これらのタンパク質の共通の構造モチーフを利用して、実質的に精製するための一般的な方法である。本発明は、シスチンノットスーパーファミリーの成員を精製するための、迅速で効率的な二段法を提供することで、この要求を充足させるものである。
発明の概要
本発明は、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質の成員を精製するための二段法に関する。本方法は、以下の工程:(a)色素リガンドを含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスにシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質を含む試料を適用する工程、(b)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、(c)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスからシスチンノットタンパク質を溶出する工程、(d)溶出したシスチンノットタンパク質を逆相クロマトグラフィーマトリックスに適用する工程、(e)逆相クロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、および(f)逆相クロマトグラフィーマトリックスからシスチンノットタンパク質を溶出する工程、を含む。
1つの態様において、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質はダイマーである。
別の態様において、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質は、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子または胎盤増殖因子−1などの血小板由来増殖因子様タンパク質、トランスフォーミング増殖因子−ベータ、骨形成タンパク質または増殖分化因子などのトランスフォーミング増殖因子−ベータ、脳由来神経栄養因子/ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4またはベータ−神経成長因子などのニューロトロフィン、フォリトロピン、ルトロピン、チロトロピンまたは絨毛性性腺刺激ホルモンなどの糖タンパク質ホルモン、インターロイキン、コアグローゲン、ムチン−2、ムチン−5AC、ムチン−6およびフォンビルブラント因子などのムチン、nogginなどの骨形成タンパク質アンタゴニスト、またはslit様タンパク質である。
さらなる態様において、色素リガンドはCIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドなどのトリアジン色素である。
さらに別の態様において、試料は生理的pHであり、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程に生理的pHのバッファーを用いる。
さらなる別の態様において、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスからシスチンノットタンパク質を溶出させる工程は、生理的pHの、少なくとも300mMの塩濃度のバッファーを用いる。
さらに別の態様において、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質は、目的とする選択されたタンパク質に作動可能に連結したシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片から構成される融合タンパク質である。
本発明はまた、目的とする選択されたタンパク質を精製する方法に関する。本発明のこの方法は、以下の工程:(a)目的とする選択されたタンパク質に作動可能に連結したシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む融合タンパク質を含有する試料を得る工程、(b)該試料を、色素リガンドを含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに適用する工程、(c)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、(d)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから融合タンパク質を溶出する工程、(e)溶出した融合タンパク質を逆相クロマトグラフィーマトリックスに適用する工程、(g)逆相クロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、および(h)逆相クロマトグラフィーマトリックスから融合タンパク質を溶出する工程、を含む。
1つの態様において、目的とする選択されたタンパク質を精製する方法は、以下の前工程:(a)目的とする選択されたタンパク質に作動可能に連結したシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む融合タンパク質を調製する工程、(b)宿主細胞内で融合タンパク質を発現させる工程、および(c)融合タンパク質を含む前記宿主細胞から試料を調製する工程、をさらに含む。
別の態様において、目的とする選択されたタンパク質を精製する方法は、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片と目的とする選択されたタンパク質との間にプロテアーゼ切断部位を導入することをさらに含み、ここで、目的とする選択されたタンパク質は、その後の(i)シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を、目的とする選択されたタンパク質から切断する工程によって単離される。
さらに別の態様において、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスからシスチンノットタンパク質を溶出する工程は、生理的pHの、少なくとも300mMの塩濃度のバッファーを用いる。
本発明はまた、プロテアーゼ切断部位を介してシスチンノットタグに作動可能に連結した目的とする選択されたタンパク質を精製する方法に関する。本発明のこの方法は、以下の工程:(a)プロテアーゼ切断部位を介して目的とする選択されたタンパク質に作動可能に連結したシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む融合タンパク質を含有する第1の試料を得る工程、(b)該第1の試料を、色素リガンドを含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに適用する工程、(c)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、および(d)プロテアーゼ切断部位を特異的に切断するプロテアーゼを用いて、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから融合タンパク質を溶出する工程、を含む。
さらなる態様において、目的とする選択されたタンパク質を精製するための本発明の方法で用いられる色素リガンドは、CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドなどのトリアジン色素である。
目的とする選択されたタンパク質を精製する方法のさらに別の態様において、試料は生理的pHであり、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程は生理的pHのバッファーを用いる。
目的とする選択されたタンパク質を精製する方法の別の態様において、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質は、血小板由来増殖因子様タンパク質、トランスフォーミング増殖因子−ベータ、ニューロトロフィン、糖タンパク質ホルモン、インターロイキン、コアグローゲン、ムチンまたはslit様タンパク質である。
さらに別の態様において、限定されずに、1種または2種以上のタンパク質、核酸またはコファクターなどの分子を含む第2の試料が、結合した目的とする選択されたタンパク質を含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに適用され、該1種または2種以上のタンパク質、核酸またはコファクターが前記目的とするタンパク質と複合体を形成し、ここで、目的とするタンパク質の溶出が、複合体の溶出をもたらす。
目的とするタンパク質を単離するためのキットがさらに提供され、ここで、該キットは、シスチンノットタンパク質タグをコードする発現ベクターを含む。
発明の詳細な説明
本発明は、シスチンノットスーパーファミリーの成員を精製する簡便な方法である。本方法は、シスチンノットタンパク質の実質的に精製された調製物をもたらす2つのクロマトグラフィー精製工程を含む。有利なことに、本方法は比較的短時間で行うことができ、安価な試薬を伴い、精製過程前および精製過程中にわずかな試料調製しか必要としない。さらに、本発明の方法に従って精製されるシスチンノットタンパク質は、ダイマーの両方のサブユニットを含む。
本明細書中で用いる場合、用語「シスチンノットタンパク質」、「シスチンノットを含むタンパク質」および「シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質」は同じ意味で用いられ、シスチンノットコンホメーションを形成すべく結合した、当該技術分野で認められた特徴的な6個のシステインを含む構造のタンパク質群を指す。シスチンノットを含んでいるタンパク質は、古典的に定義されているシスチンノットスーパーファミリーの成員(例えば、神経成長因子、トランスフォーミング増殖因子−ベータ、血小板由来成長因子およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)だけでなく、C末端シスチンノットファミリーをも含むものとする。かかるタンパク質は、モノマーまたはダイマーとして精製することができるが、機能的なタンパク質が求められる場合は、シスチンノットタンパク質をダイマーとして精製することが一般的に望ましい。本発明の方法に従って精製されるモノマーは、モノマー特異的抗体を精製するのに用いることができるか、または他の精製されたモノマーと再構成実験に用いることができる。シスチンノットタンパク質の断片も、発明の方法に従って単離することができるが、但し該断片はシスチンノットコンホメーションに折り畳まれるのに必要な必須システイン(すなわち、環構造を形成するCys-Xaa-Xaa-Xaa-Cys(配列番号1)およびCys-Xaa-Cysのシステイン間隔を伴う4個のシステイン残基と、環構造を貫通する第3のジスルフィド結合を形成する2個のさらなるシステイン)、またはシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質の全体的なトポロジーを含む。該断片は、活性を有する必要もダイマーを形成可能である必要もないが、かかる特徴は、単離後の断片の意図された用途によっては望ましいものであり得る。
シスチンノットスーパーファミリーの古典的に定義された成員は、通常、血小板由来増殖因子様タンパク質、トランスフォーミング増殖因子−ベータタンパク質、ニューロトロピン、糖タンパク質ホルモン、インターロイキンおよびコアグローゲンのファミリーに分類される。例えば、http://hormone.stanford.edu/のシスチンノットタンパク質を参照。
血小板由来増殖因子様タンパク質は、限定されることなく、PDGF、血管内皮増殖因子(VEGF)、ファロテインおよび胎盤増殖因子−1(PLGF−1)を含む。
TGF−βタンパク質(例えば、TGF−β3、TGF−β2、TGF−β1)に加えて、骨形成タンパク質(BMP)および/または増殖分化因子(GDF)(Wozney (1992) Mol. Reprod. Dev. 32(2):160-7)が、トランスフォーミング増殖因子−ベータタンパク質ファミリーのサブグループを構成する。また、このファミリーには、インヒビンサブグループが存在する(Burger, et al. (1995) Reprod. Fertil. Dev. 7(5):997-1002)。このファミリーの具体的な成員は、限定されることなく、BMP2〜10、ミュラー管抑制因子、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、アクチビン、パーセフィン(persephin)、アルテミン、マクロファージ抑制サイトカイン-1(MIC−1)、ニュールツリン(neurturin)などを含む。TGFベータファミリーのタンパク質は、実質的にあらゆる細胞種に、任意の所定の種の発達段階を通して見出される(Sporn, et al. (1986) Science 233(4763):532-4)。
ニューロトロピンは、限定されることなく、脳由来神経栄養因子/ニューロトロフィン3ヘテロダイマー、ニューロトロピン4、ニューロトロピン3、およびβ−NGFを含む。
糖タンパク質ホルモンファミリーは、限定されることなく、FSH(すなわちフォリトロピン)、LH(すなわちルトロピン)、TSH(すなわちチロトロピン)およびCG(すなわち絨毛性性腺刺激ホルモン)を含む。
インターロイキンは、限定されることなく、インターロイキン17F(IL−17F)を含む。
コアグローゲン、限定されることなく、コアグローゲンタイプIおよびタイプII(例えば、カブトガニからのもの)を含む。
C末端シスチンノットファミリーの成員は、通常、ムチン様タンパク質およびslit様タンパク質のサブグループに分類される。
ムチンタンパク質(例えば、ムチン−2、ムチン−5AC、ムチン−6および舌下腺ムチン)に加えて、いくつかの追加のタンパク質が、シスチンノットモチーフにおける類似性から、ムチン様サブグループに含まれる。これらのタンパク質は、血小板の凝集と血管表面へのその付着を伝播することにより血液凝固剤として作用するするフォン・ヴィルブランド因子(vWF)(Katsumi, et al. (2000) J. Biol. Chem. 275(33):25585-94)、ノリエ病タンパク質(NDP)、および、シグナル伝達リガンドに結合することにより拮抗作用をもたらすBMP−アンタゴニストである、Cerberus、noggin、TSG、Chordin、USAG−1、SOST、Coco、Gremlin、PRDCおよびDan(Belo, et al. (2000) Genesis 26(4):265-70、Piccolo, et al. (1999) Nature 397(6721):707-10)を含む。
slit様ファミリーの成員のうち、slitタンパク質は、robo(roundabout)受容体のためのシグナル伝達リガンドとして作用し、正中での軸索の反発を導くことにより、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の軸索ガイダンスにおいて極めて重要な役割を果たす(Harris and Holt (1999) Nature 398(6727):462-3)。slitおよびroboの複数のホモログが脊椎動物で確認されており、神経成長において、そのハエ対応物と同様の役割を果たすと考えられている(Brose, et al (1999) Cell 96(6):795-806)。マウスのslitホモログはrobo1に結合し、中枢神経系、および発達中の腎臓などの他の発達中の組織で発現する(Yuan, et al. (1999) Dev. Biol. 212(2):290-306、Piper, et al. (2000) Mech. Dev. 94(1-2):213-7)。slit様タンパク質の例としては、限定されることなく、ヒトslit−1およびslit−2およびD. melanogaster slitが挙げられる。
シスチンノットタンパク質は、組換えまたは天然由来の試料(例えば、ヒト、ネズミ、マウス、ウシ、イヌ、ネコ、サルなどの哺乳類、Drosophila melanogasterなどの昆虫、Tachypleus tridentatusなどの甲殻類から得られる)から、本発明の方法に従って精製することができる。組換え由来のタンパク質は、細菌、酵母昆虫(例えば、バキュロウイルス)または哺乳類発現系における発現によるものであってもよい。
シスチンノットタンパク質を含む試料は、組織;血、尿、血漿などの体液;タンパク質が組換え系で分泌される場合には培地;またはタンパク質が分泌もしくは排出されない場合は細胞溶解物であってもよい。一般に、本発明の方法の第1のクロマトグラフィー工程より前の試料調製は、粒子状の細胞残屑がある場合は、それを取り除くための1つまたは2つ以上の遠心分離または濾過工程を含んでもよく、さらに、希釈、濃縮、pH調整または塩分の調整を含んでもよい。例えば、シスチンノットタンパク質が本精製法の第1のクロマトグラフィー工程において色素リガンドと結合するように、試料のpHを調節することが必要となり得る。本発明の方法によれば、試料のpHは、典型的にはpH3.0〜10.0のpH範囲にあるが、最も好適には6.0〜8.0の範囲にある。本発明の特定の態様では、試料は7.4といった生理的pHにある。クロマトグラフィー分離のためのタンパク質試料を調製する方法は、当業者によく知られている。例えば、Protein Purification: Principles and Practice, 3rd edition, Springer VerlagのScopes, et al. (January 1994)を参照。
本発明の方法の第1のクロマトグラフィー工程は、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスの使用を含む。シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質を含む試料は、色素リガンドを含む色素アフィニティーカラムマトリックスに適用される。色素リガンドは、通常は陰イオン性であり、この場合、本発明の方法において陰イオン交換体が最も適切であるが、ある態様では陽イオン性であり、この場合、陽イオン交換体が最も適切である。本発明の精製法の1つの態様において、色素リガンドは、トリアジン色素などのポリスルホン化芳香族リガンドである。本発明の特定の態様において、色素リガンドは、例えば、CIBACRON(登録商標)Blue(例えば3−GAまたはF3GA)、CIBACRON(登録商標)Brilliant Yellow3G−P、プロシオンブラウンMX−5BR、プロシオンレッドH−8BN、プロシオンイエローMX−Ag、プロシオンレッドHe−3B、プロシオングリーンH−4G、プロシオンブルーMX−4GD、プロシオンレッドH−3B、および、プロシオンブルーMX−R、CIBACRON(登録商標)ブリリアントレッド3B−Aである。他のトリアジン色素もまた好適であり、タンパク質生化学の当業者に一般的に知られている。一般的に、CIBACRON(登録商標)Blueと同様の電荷および構造を有する任意の色素リガンドが、本発明の方法に従ってシスチンノットタンパク質を単離するのに有用である。
色素リガンドのための支持マトリックスは決定的に重要というわけではないが、多糖類ベースの支持マトリックスが通常用いられる(例えばセファロース、セファデックスまたはアガロース)。カラムは、典型的には3.0〜10.0の範囲だが、最も好適には6.0〜8.0の範囲のpHのバッファーで平衡させる。本発明の特定の態様において、カラムは生理的pH(例えば7.4)に平衡させる。
試料は、色素リガンドとシスチンノットタンパク質との結合を可能にするのに適した塩濃度で、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに適用する。色素リガンドへのシスチンノットタンパク質の結合は、通常、試料のpHに依存しており、任意の適切なバッファーを用いることができる。しかしながら、活性タンパク質が必要な場合は、リン酸塩またはカリウムベースのバッファーが望ましいだろう。本発明の色素アフィニティークロマトグラフィー工程を実行するためのその他の好適な緩衝塩類とその濃度は、タンパク質精製技術において一般的に知られている。試料を色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに適用した後、混入物(すなわち色素リガンドと結合しないタンパク質などの分子)を、バッファー、例えば試料の調製で用いるバッファーでカラムマトリックスを洗浄することによって除去する。混入物の除去の後、シスチンノット含有タンパク質(シスチンノットタンパク質とも称する)を、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから溶出する。シスチンノットタンパク質を溶出するための塩(例えば塩化ナトリウム)の濃度は、通常、少なくとも300mMであり、色素リガンドに対するシスチンノットタンパク質の親和性に依存して、300mM〜3M以上の範囲であってもよい。例えば、LHは300mM、600mM、1500mMまたはこれを超えるNaClで色素リガンドから溶出することができ、FSHは、600mM、1200mM、1500mMまたはこれを超えるNaClで色素リガンドから溶出することができ、TSHは、300mM、900mM、1200mMまたはこれを超えるNaClで色素リガンドから溶出することができ、TGF−βは、1500mM、2700mMまたはこれを超えるNaClで、色素リガンドから溶出することができる。シスチンノットスーパーファミリーの選択されたタンパク質に関する例示的な溶出条件とそれによって得られる精製倍率を、表1に列挙する。
Figure 2008505895
aバイオアッセイにおける活性によって決定した精製倍率
bELISAによって決定した精製倍率
c半定量的酵素イムノアッセイによって決定した精製倍率
*vWFの異なる希釈液は、ELISAによる結果も様々であり、正確な値を付与することが困難であった。vWFの最高の精製は、1800〜2100mMのNaClで生じるようである。
表1は、シスチンノットスーパーファミリーのダイマーの溶出条件とそれによって得られる精製倍率を開示するが、シスチンノット含有ダイマーのモノマーサブユニットもまた、300〜900mMのNaClの範囲の塩濃度で結合し、溶出することが示された。
有利なことに、本発明の方法の第2のクロマトグラフィー工程は、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから溶出するタンパク質試料の塩濃度またはpHを操作することなく実行することができる。しかし、かかるパラメータが、第2のクロマトグラフィー工程で使用される逆相クロマトグラフィーマトリックスに応じて変更できることを理解すべきである。
発明の方法によれば、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから溶出したシスチンノットタンパク質試料(すなわちシスチンノットタンパク質を含む1つまたは2つ以上の画分)は、移動液相と固定液相との間の分割の原理に基づいてタンパク質を分離する逆相クロマトグラフィーマトリックスに適用する。該工程は、高性能液体クロマトグラフィーカラムか、または高速タンパク質液体クロマトグラフィーカラムによって実行することができる。
一般に、移動相は、クロマトグラフィー分離の経過にわたる勾配によって混合される2溶媒溶液、極性溶媒および無極性溶媒を含む。本明細書中で溶媒「A」と称する極性溶媒は、一般に水と塩類を含む。本明細書中で溶媒「B」と称する無極性溶媒は、一般に水、塩類および、約40〜80%の範囲の量の有機溶媒、例えばアセトニトリル、メタノール、イソプロパノールまたはプロパノールなどを含む。
シスチンノットタンパク質含有試料は、適切な勾配の移動相で予め平衡させた逆相クロマトグラフィーマトリックス上に注入する。好適な勾配は、溶媒「A」および「B」の性質、用いる塩およびカラムを含むいくつかの要因によって異なる。シスチンノットタンパク質の精製に好適な逆相マトリックスは、4〜18の炭素原子の範囲の長さ(すなわちC〜C18)のアルキル基を担時するシリカビーズを充填したカラムを含む。逆相クロマトグラフィーを行う方法は、当該技術分野で十分に確立されている。例えば、Protein Purification: Principles and Practice, 3rd edition, Springer VerlagのScopes, et al. (January 1994)を参照。
シスチンノットタンパク質を逆相クロマトグラフィーマトリックスに適用した後、混入物を除去し、シスチンノットタンパク質を溶出する。溶出は、異なる量の有機溶媒を含む1種または2種以上のバッファーの連続勾配を用いるか段階勾配を用いて行うことができる。
実例として、シスチンノットスーパーファミリーのいろいろなファミリーからのタンパク質を、本発明の方法に従って精製した。本発明の方法が、シスチンノットコンホメーションへの折畳みに必要な必須システインを有する任意のタンパク質を、均質な状態に単離するのに使用できることが見出された(表3)。
GPH−αおよびCG−βのよく知られた一連の変異体を用いて、シスチンノットタンパク質とトリアジン色素リガンドとの間の結合相互作用を分析した。293Tの細胞を、表2に列挙したGPH−αおよびCG−βをコードするプラスミドで一過性にトランスフェクトし、[35S]-システインで代謝的に標識した。放射性標識したサブユニットを、次に、標準的な方法による免疫沈降および逆相HPLC(Wilken and Bedows (2004) Biochemistry 43(17) 5109-5118)によって精製した。精製したサブユニットを、その後ULTRACULTURE(商標)と混合し、本明細書に開示されたとおりにAFFI-GEL(登録商標)Blue Gelカラムに適用した。サブユニットは、その後、増大する濃度のNaClで溶出した。表2に示すように、各サブユニットはCIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドに結合し、増大するNaClで溶出した。GPH−αまたはhCG−β単体もCIBACRON(登録商標)Blueに結合し、これは、インタクトなヘテロダイマーがCIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドと結合するのに必要でなかったことを示している。
Figure 2008505895
シスチンノットタンパク質と色素リガンドとの間の結合相互作用をさらに調査するために、αサブユニットシスチンノット形成に必要なシステイン残基を欠くα7−31/59−87と、シスチンノット形成に必要なシステイン残基以外のαサブユニットの全てのシステイン残基を欠くαknot(Darling, et al. (2001) Biochemistry 40:577-85)の、2種の遺伝子的に改変したGPH−α変異体を用いた。両変異体は、本発明の方法に従って精製されるそのそれぞれの能力について試験した。両変異体サブユニットがCIBACRON(登録商標)Blueと結合することが見出され、したがって、いずれのシステイン残基もCIBACRON(登録商標)Blueと結合に関して必要でも十分でもなかった。別のGPH−α変異体で、L2ループの代わりに連続する20個のグリシン残基を有するαLoop2Gly(上記Darling, et al. (2001))もまた、CIBACRON(登録商標)Blueと結合した。したがって、L2ループは、CIBACRON(登録商標)Blueへの結合において重要でないと考えられる。
糖タンパク質ホルモンのL1およびL3ループの間の疎水性界面がCIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドと結合に関与しているかを決定するために、放射性標識した野生形GPH−αおよびhCG−βをトリプシンで処理し、CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドへの結合を測定した。トリプシンによる処理は、GPH−αからL3ループを除去したが、hCG−βのL1とL3とを架橋するジスルフィド23-72の安定化作用により、hCG−βからL3を除去しなかった。トリプシン処理GPH−αはCIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドに結合しなかったが、トリプシン処理hCG−βは、CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドに結合し、これは、L1およびL3の界面がCIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドのための結合部位であることを示すものである。
本発明の方法は、商業、研究および製薬目的のために用いるシスチンノットタンパク質の精製に有用であると考えられる。さらに、本発明の方法は、目的とする選択されたタンパク質に作動可能に連結したシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片から構成される融合タンパク質の精製にも有用である。
本方法がもたらすシスチンノットタンパク質単離の容易性に鑑み、本発明はさらに、アフィニティ色素リガンドに結合するシスチンノットタンパク質またはその断片の、目的とする選択されたタンパク質の単離のためのタンパク質タグとしての使用に関する。シスチンノットタンパク質モノマーの全配列を、目的とするタンパク質に融合してもよいが、シスチンノットタンパク質の断片もまた、該断片がシスチンノットコンホメーションへの折畳みおよびアフィニティ色素リガンドとの結合に必要な必須システインを含有するという基準に適合する限りにおいて、用いることができる。したがって、以下で用いる場合、シスチンノットタンパク質タグは、全長シスチンノットタンパク質配列もその断片も含むことを意図する。
各種のシスチンノットタンパク質が様々な親和性で色素リガンドに結合することが証明されているため、目的とするタンパク質の所望の純度に応じた、選択されたシスチンノットタンパク質が有用であると考えられる。例えば、高レベルの純度が望まれるタンパク質の場合(例えば、治療用途のため)、色素リガンドに対して高い親和性を有する(すなわち、高い塩条件の下で色素リガンドから溶出する)シスチンノットタンパク質を用いることが有利である。あるいは、タンパク質複合体が望まれる場合には、複合体サブユニットの結合を乱さないように、タンパク質溶出のためにより低い塩濃度を用いることが有利である。前者の場合、TGF-βなどのシスチンノットタンパク質タグが有用であり、後者の場合、hCG−βなどのシスチンノットタンパク質タグが有用である。限定されずに、あらゆるタンパク質を、シスチンノットタンパク質タグを用いてタグ付けすることができると考えられる。
分子ツールおよび融合タンパク質の生成と発現のための方法は、当業者によく知られている。Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYまたはAusubel, et al. Short Protocols In Molecular Biology, 4th Edition, 1999, Wiley John and Sons, Incを参照。
一般的に、シスチンノットタンパク質は、転写および翻訳された場合に、シスチンノットタンパク質と目的とするタンパク質とが1つの連続したタンパク質配列となるように、目的とするタンパク質に、直接またはリンカー(例えばプロテアーゼ切断部位)を介して、作動可能に連結する。したがって、かかる融合タンパク質は、シスチンノットタンパク質タグをコードする核酸配列を、目的とするタンパク質をコードする核酸配列の5’または3’末端のいずれかにライゲートし(すなわち、それぞれ、N末端またはC末端融合物を生成し)、タグが目的とするタンパク質とインフレームに翻訳されるようにすることにより調製する。その後、融合タンパク質をコードするライゲートされた核酸配列を、宿主細胞における融合タンパク質の発現に適した形態で、組換え発現ベクターに組み込む。
発現のための好適な形態は、核酸のmRNAへの転写、およびmRNAの融合タンパク質への翻訳を可能にするように、融合タンパク質をコードする核酸に作動可能に連結した1個または2個以上の調節配列を含むこととする。調節配列は、プロモーター、エンハンサーおよびその他の発現調節要素(例えばポリアデニル化シグナル)を含んでもよい。かかる調節配列は当業者に知られており、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。発現ベクターの設計は、トランスフェクトされる宿主細胞の選択および/または要求される遺伝子発現レベルなどの要因に左右され得る。
シスチンノットタグをコードする核酸配列は、目的とするタンパク質をコードする核酸配列の容易な挿入のため、その前または後にマルチクローニング部位を伴って発現ベクターに組み込むことができると考えられる。上記融合タンパク質による形質転換およびその発現に適した多数の宿主細胞を選択することができ、これは特に望ましい哺乳類、昆虫、真菌、植物および細菌宿主細胞を含む。一般的に用いられる菌種は、エシェリヒア、クレブシェラ、エルウィニア、バシラス、ブドウ球菌およびサルモネラを含む。大腸菌TG−1または大腸菌BL−21は、タンパク質発現のためのよく知られた菌種である。Saccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces pombe、Pichia sp.、Neurospora、トランスジェニック植物(例えばタバコ、トウモロコシまたはジャガイモ)、昆虫細胞(例えばSf9およびSf21)および哺乳類細胞系などの真核細胞もまた用いることができ、良好な結果が得られる。
本発明の組換えDNAは、宿主細胞を形質転換するために、発現ベクターの形でまたはDNA単体として用いることができる。DNAを細胞に直接注入する方法は知られており、例えばエレクトロポレーション、バイオリスティック技法または形質転換によるものである。あるいは、DNAが組み込まれたベクターを、例えば、上記Sambrook, et al.に見られるように、バクテリオファージにin vitroでパッケージングすることにより調製することができる。細胞を、その後組換えファージに感染させ、播種し、適切な培地で増殖させる。
原核生物系で用いるベクターは、複製開始点、プロモーターおよび転写終結シグナル、および好ましくは選択マーカーを含む。プロモーターの例としては、tac、T7、trc、trpまたはPが挙げられる。PtacまたはPtrcなどのいくつかのプロモーターは、大腸菌宿主細胞中に存在する場合、lacレプレッサーによって抑制される。ベクターにコードされた組換えタンパク質の発現は、IPTGで誘発することができる。他の誘導性のプロモーターは、Pmalおよび上述のtrpおよびPを含む。所望のポリペチドの発現を誘導する前に培養中の細胞密度を増やすことができるため、この特徴は毒性タンパク質の発現に有用である。
真核細胞に関して、野生型または変異型の多数の真核生物発現ベクターを、シスチンノットタンパク質タグを組み込んだ融合タンパク質の発現のために利用できると考えられ、例えば、バキュロウイルスベース、グルタミン合成酵素ベース、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼまたはジヒドロ葉酸還元酵素ベースの系を用いることができる。PCNV−5などのPCNVシリーズの真核生物ベクターに代表される、複製開始点および有効な真核生物プロモーターを組み込んだプラスミドベクターも用いることができる。原核生物または真核生物発現系に用いられる他の好適なベクターは当該技術分野でよく知られており、多くは市販されている。
タンパク質発現のために、コード配列はプロモーターに隣接して、その制御下に配置される。コード配列をかかるプロモーターの制御下に置くために、融合タンパク質の転写解読枠が選択されたプロモーターの下流(すなわち、3’側)約1〜50ヌクレオチドの間に配置されることは、当該技術分野でよく理解されている。
真核生物系ではまた、典型的に、目的とするタンパク質またはシスチンノットタンパク質をコードする核酸配列に好適なアデニル化部位(例えば5’AATAAA−3’)が含まれない場合には、これを転写物の最も3’側の部分に組み入れることが望ましい。典型的には、ポリA付加部位は、タンパク質の終止部位の約30〜2000ヌクレオチド下流の、転写終結シグナルに隣接した位置に配置される。
一度融合タンパク質をコードする発現ベクターを生成したら、これをトランスフェクション、エレクトロポレーション、バイオリスティック形質転換、アグロバクテリウム媒介形質転換などの標準的な方法を用いて、適切な宿主細胞に導入することができる。融合タンパク質を発現するのに適切な時間宿主細胞を培養した後に、宿主細胞は通常、融合タンパク質を放出させるために溶解する。その後、融合タンパク質試料を、本明細書中に開示した二段階クロマトグラフィー法に従って単離する。
あるいは、融合タンパク質が培地に分泌されるように、シグナル配列を融合タンパク質に導入することができる。シグナル配列は、目的とするタンパク質に存在する内因性のシグナル配列であっても、またはベクターの構成要素であってもよく、宿主細胞によって認識され、プロセシングされる(すなわち、シグナルペプチターゼによって切断される)ものでなければならない。原核生物における産生のために、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、外膜リポタンパク質(lpp)または耐熱性エンテロトキシンIIリーダーからの原核生物シグナル配列を用いることができる。酵母による分泌のために、例えば、酵母インベルターゼ、アルファ因子または酸性ホスファターゼリーダー、Candida albicansグルコアミラーゼリーダー(EP 362,179)、またはこれらと同様のもの(例えば、WO 90/13646参照)を用いることができる。哺乳類細胞での発現では、同種または近縁種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列、ならびに、ウイルスの分泌リーダー、例えば単純ヘルペスウイルス糖タンパク質Dシグナルを用いることができる。したがって、融合タンパク質試料は、細胞残屑を除去し、本明細書中に開示した二段階クロマトグラフィー法を用いて培地から融合タンパク質を分離することによって得られる。
切断可能なリンカー配列またはプロテアーゼ切断部位、例えばXA因子、エンテロキナーゼ(INVITROGEN(商標), San Diego, CA)、uPA、トロンボスポンジンまたはマトリックスメタロプロテアーゼに特異的なものの、シスチンノットタンパク質タグと目的とするタンパク質との間への組み込みを、目的とするタンパク質の精製をさらに容易にするのに用いることができる。一態様では、融合タンパク質はシスチンノットタグと目的とするタンパク質との間に位置するプロテアーゼ切断部位を含み、該融合タンパク質は逆相マトリックスから溶出し、そして、次に、目的とするタンパク質を、プロテアーゼ切断部位を特異的に認識するプロテアーゼを用いてシスチンノットタグから単離する。
別の態様では、シスチンノットタグと目的とするタンパク質との間に位置するプロテアーゼ切断部位を含む融合タンパク質を色素アフィニティーマトリックスから溶出し、当該プロテアーゼ切断部位を特異的に認識するプロテアーゼで切断し、目的とするタンパク質を必要に応じてさらに精製する(例えば、逆相クロマトグラフィーによってプロテアーゼ、シスチンノットタグおよび塩類を除去する)。代替的な態様では、シスチンノットタグと目的とするタンパク質との間に位置するプロテアーゼ切断部位を含む融合タンパク質をアフィニティ色素リガンドマトリックスに適用し、カラムを洗浄して混入物を除去し、そして、目的とするタンパク質を、当該プロテアーゼ切断部位を特異的に認識するプロテアーゼを用いて前記マトリックスから直接溶出し、これにより目的とするタンパク質を、アフィニティ色素リガンドに結合したままであるシスチンノットタグから切り離す。
本発明はさらに、目的とするタンパク質にタグ付けするためのキットを提供する。本発明のキットは、シスチンノットタンパク質またはその断片をコードする核酸配列を有する発現ベクターを含有する第1の容器手段を含む。目的とするタンパク質をコードする核酸配列を容易に挿入するために、発現ベクターは、シスチンノットタンパク質タグをコードする核酸配列の5’側または3’側(すなわち、それぞれ、上流側または下流側)に位置するマルチクローニングサイト(すなわち、1種または2種以上の制限酵素によって特異的に認識され、切断される1つまたは2つ以上の配列を有する核酸配列)をさらに含むことができる。当業者が理解するとおり、目的とするタンパク質をコードする核酸配列の挿入は、目的とするタンパク質のN末端またはC末端において、目的とするタンパク質とシスチンノットタグのタンパク質との間でインフレーム融合をもたらす。さらに、発現ベクターは、目的とするタンパク質とシスチンノットタンパク質との間でインフレームに翻訳されるプロテアーゼ感受性リンカーをコードすることができる。
本キットはまた、目的とするタンパク質をコードする核酸配列を、キットの発現ベクターにクローニングするのに必要かまたは都合のよい他の液体を含むことができる。容器はガラス、プラスチックまたはホイル製であってもよく、また、バイアル、ボトル、ポーチ、チューブ、バッグなどであってもよい。本キットはまた、本発明を実施するための手順などの書面情報、または、第1の容器手段に含まれる試薬の量などの分析的情報を含んでもよい。容器は、書面情報とともに、別の容器、例えば箱またはバッグの中にあってもよい。
シスチンノットでタグ付したタンパク質と、これを単離するための方法は、例えば、新規なタンパク質−タンパク質複合体を同定するために用いることができる。この例では、機能が不明な新規なタンパク質(すなわち餌(bait)タンパク質)にプロテアーゼ感受性リンカーを介して作動可能に連結または融合したシスチンノットタグからなる融合タンパク質をコードする核酸配列を、発現ベクターにクローニングし、組換えタンパク質発現のために宿主細胞を形質転換する。分泌された組換え融合タンパク質を含む培養培地を採集して、アフィニティ色素リガンドマトリックスに適用し、非特異的相互作用を除くために低塩バッファーで洗浄する(すなわち、吸光度がベースラインに達するまで洗浄する)。その後、第2の試料(例えば、細胞溶解液、血液産物または他の体液)を、融合タンパク質を含む色素リガンドマトリックスに適用し、餌タンパク質と試料のタンパク質との間でタンパク質−タンパク質相互作用が起こるようにする。
非特異的因子は、色素リガンドマトリックスを洗浄することによって取り除く。次に、餌とシスチンノットタグとの間のプロテアーゼ感受性リンカーを特異的に切断するプロテアーゼを含むバッファーを色素リガンドマトリックスに適用し、餌タンパク質と試料タンパク質との間で形成された新しいタンパク質−タンパク質複合体を放出する。次に、プロテアーゼおよび、餌と1個または2個以上の追加のタンパク質を含む新しいタンパク質−タンパク質複合体を、マトリックスから溶出する。都合のよいことに、餌タンパク質は、アフィニティ色素リガンドマトリックスに適用される前に精製する必要はなく、この方法は、一連のタンパク質(例えば変異タンパク質のパネル)のタンパク質複合体の迅速なスクリーニングに用いることができる。
さらなる例として、シスチンノットタグは、転写因子−DNA複合体を同定するのに用いることができる。この例では、転写因子が、プロテアーゼ感受性リンカーを介してシスチンノットタグと融合する餌タンパク質である。得られた融合タンパク質を含む第1の試料を色素リガンドマトリックスに適用し、洗浄する。その後、核酸(例えば、切断されたゲノムDNA、クローニングされたプロモーターもしくはプロモーター断片、またはオリゴヌクレオチド)を含む第2の試料を、マトリックスに適用する。非特異的結合を取り除くためにさらに洗浄した後、核酸/転写因子複合体を、プロテアーゼ感受性リンカーを特異的に切断するプロテアーゼをマトリックスに適用することによって溶出する。
さらに、シスチンノットタグは、タンパク質コファクターを同定するのに用いることができる。この例では、シスチンノットタグを、事前に同定されていないコファクターを必要とする餌タンパク質に融合する。得られた融合タンパク質を含む第1の試料を色素リガンドマトリックスに適用し、次にコファクター(例えばNADH、イノシトールなど)のカクテルを含む第2の試料を適用して、コファクターと餌タンパク質との間の結合を許容し、そして、餌タンパク質/コファクター複合体を、餌タンパク質とシスチンノットタグとの間に位置するリンカーのプロテアーゼ消化によって放出する。
本発明の方法は、複合体を質量分析などの技術で同定するために多数の餌タンパク質および/または試料をスクリーニングする高スループット96穴フォーマットで用いることができると考えられる。タンパク質、核酸およびコファクターを本明細書中に具体的に開示したが、薬剤(例えば複素環化合物、環状ペプチドなど)、脂質、炭水化物などの任意の分子を目的とするタンパク質に結合させて複合体を形成し、本明細書中に開示した方法を用いて複合体として単離することができると考えられる。
発明を、以下の非限定例によって、より詳細に説明する。
例1:材料と方法
細胞培養
野生型糖タンパク質ホルモン-αと、ヒト(h)CG−βまたはマカク(h)CG−βのいずれかとを安定発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(上記Wilken and Bedows (2004))を、FALCON(商標)ローラーボトル内に播種し、ペニシリン/ストレプトマイシン(それぞれ、100単位/ml、および100μg/ml)(INVITROGEN(商標) Carlsbad, CA)と、hCG−βについては250μg/mLのG418(INVITROGEN(商標))およびmCG−βについては50μMのメチオニンスルホキシイミン(MSX、Sigma, St. Louis, MO)とが添加されたULTRACULTURE(商標)(BioWhittaker, Walkersville, MD)で維持した。ヒトLH/CGレセプターで安定的にトランスフェクトされたヒト胎児腎臓(HEK)細胞(HEK LH/CG−R細胞)は、上記のとおりのペニシリン/ストレプトマイシン、2mMのグルタミンおよび5%の熱不活化ウシ胎児血清(INVITROGEN(商標))を含有する、低グルコースダルベッコ最小必須培地(DMEM、INVITROGEN(商標))中で培養した。CGバイオアッセーのために、HEK LH/CG−R細胞は、0.5mg/mlのgeneticin(INVITROGEN(商標))を添加した上記培地中に播種した。293T細胞は、ペニシリン/ストレプトマイシンと10%のウシ胎児血清(Atlanta Biologicals, Inc., Norcross, GA)とを添加した高グルコースDMEM中で増殖させた。
アフィニティークロマトグラフィー
AFFI-GEL(登録商標)Blue Gelアガロース(CIBACRON(登録商標)Blue F3GA色素リガンド、BIO-RAD(登録商標), Hercules, CA)を、少なくともカラム容積の5倍の10mMのリン酸ナトリウム(pH7.4(バッファーA))で平衡化したカラムに充填した。分泌された糖タンパク質ホルモン類似物を含有する馴化培地をカラムに適用し、重力濾過によって溶出し、バッファーAにより種々の濃度のNaClで溶出した。試料を4mlまたは10mlの画分として採取し、タンパク質含量およびタンパク質ゴナドトロピン含量について、本明細書中に開示された適切な試験の1つによって分析した。
精製のための試料の調製
ULTRACULTURE(登録商標)中で維持しているCHO細胞から、所望のタンパク質を含む培地を、2000×gでの30分間の遠心分離によって清澄化した。Tris−HCl(2M、pH8.0))を滴加し、馴化培地をpH7.4に調整した。FSH(25IU、GONAL-F(登録商標), Serono, Rockland, MA、FOLLISTIM(登録商標), Organon, West Orange, NJ)を1mlのULTRACULTURE(登録商標)に加え、バッファーAで10mlに希釈した。両方ともヒト下垂体から単離したTSH(5μg、7IU/mg、Sigma)、LH(5μg、11000IU/mg、Sigma)、または20ngのTGF−βを、1mlのULTRACULTURE(登録商標)に溶解し、バッファーA、pH7.4で10mlに希釈した。
タンパク質含量の決定
試料画分(200μl)およびブランクを、UV対応(UV-permissive)96穴プレート(Costar)に通常どおり加え、280nmでの吸光度をSPECTRAMAX(登録商標)プレートリーダーで測定した。分析目的で、25μlの試料画分を、ビシンコニン酸法(BCA、Pierce, Rockland, IL)によって試験した。ウシ血清アルブミン溶液を標準として用いた。
CG濃度の測定
ヒトCGおよびマカクCGを、発光(luminescence)LH/CGバイオアッセイ(Jia, et al. (1993) Biol. Reprod. 49:1310-6)によって試験した。簡潔に述べると、LG/CGレセプターおよびcAMP反応性ルシフェラーゼレポーターを安定的にトランスフェクトされた不死化HEK細胞を、増殖培地を含む96穴プレートに播種した。実験試料または組換えhCG標準物質(Sigma)を、18時間インキュベートした。細胞は、製造者(PROMEGA(登録商標), Madison, WI)の指示に従い、100μlの溶解バッファーで溶解し、22℃で30分間、振盪しながらインキュベートした。溶解液のアリコート(25μl)を、100μlのルシフェラーゼ試験試薬(PROMEGA(登録商標))と混合し、化学発光をTOPCOUNT(登録商標)(Packard Instrument Co, Meriden, CT)で測定した。
LH、FSH、TSHおよびTGF−β濃度の測定
LH、FSHおよびTSH濃度は、ELISA(MP Biomedicals, Orangeburg, NY)で評価した。TGF-β濃度もまた、ELISA(BD PharMingen, San Diego, CA)で評価した。AFFI-GEL(登録商標)Blue Gelによって精製された全てのLH、FSH、TSHおよびTGF-β試料を、活性が線形的な範囲で評価することができるように、1:5または1:10の濃度で評価した。アセトニトリルは、試験した上記のいずれの分析試料にも支障を与えなかった。
逆相HPLC精製
CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドから溶出した画分を、90%のバッファーAと10%のバッファーB(50%のアセトニトリル/10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4)で平衡化したVYDAC(登録商標)300−ÅC逆相カラムに注入した。全ての画分の全容積を注入した後、タンパク質を、以下のアセトニトリル勾配を用いてカラムから溶出した:20分間のアイソクラチックな5%のアセトニトリルと、これに続く20分間の1%アセトニトリル/分および120分間の0.21%アセトニトリル/分。流速は、1ml/分であった。画分は4分間隔で採取し、生理活性およびタンパク質含量について分析した。
SDS−PAGE分析
試料を、2%のSDS、20%のグリセリンおよび40μg/mLのブロムフェノールブルーを含有する、等量の125mMのTris−HCl(pH6.8)で希釈した。試料を、ポリアクリルアミド勾配スラブゲル(5〜20%)に負荷し、タンパク質を標準的な方法(Laemmli (1970) Nature 227:680-5)で分離した。色素の最前部がゲルの底に達した後、ゲルをすすぎ、BIO-SAFE(商標)COOMASSIE(登録商標)(BIO-RAD(登録商標))で製造者の指示に従って染色した。
放射性標識CGサブユニットの調製と精製
293T細胞(2×10)を、60mmのプラスチックディッシュにプレーティングし、一晩、70〜80%コンフルエントに増殖させた。プラスミドDNAは、標準的な方法(Darling, et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:15413-21)を用いて沈降させた(precipitated)。均一な沈降を保証するために、1つの大量の調製物を、ディッシュに等しく分配した。細胞は、代謝標識の前に37℃で2日間インキュベートした。一過性にトランスフェクトした293T細胞を、30分間、システインを欠く無血清培地中、L−[35S]システイン(〜1100Ci/mmol、PerkinElmer Life Sciences, Boston, MA、50〜150μCi/ml)でパルスラベルした(Bedows, et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:11655-62)。パルスインキュベーションは、標準的な方法(上記Wilken and Bedows (2004))を用いて行い、細胞を完全培地で一晩チェイスした。チェイス培地は、CG−βの分泌されたサブユニットの分析のために保存した。hCG−βとmCG−βの免疫反応形態は、hCG−βの全ての既知のコンホメーションを認識するポリクローナル抗血清により沈降させた(Beebe, et al. (1990) J. Biol. Chem. 265:312-7)。免疫沈降は、暗中で一晩、4℃にて回転させながら行った。免疫複合体は、protein A-SEPHAROSE(登録商標)(Sigma)で沈降させ、十分に確立された方法を用いて調製した(Bedows, et al. (1992) J. Biol. Chem. 267:8880-6)。
例2:CGの精製
hCGまたはmCGを安定的に発現するCHO細胞をローラーボトルで培養した。分泌されたゴナドトロピンを含む培地のアリコートを、そのタンパク質含量については、BCA分析または280nmにおける吸光度により、生物活性については、本明細書中に開示したHEK−ルシフェラーゼバイオアッセイを用いて、通常どおり評価した。表3に、hCG(15IU/ml)およびmCG(32IU/ml)についての測定された培地試料の生物活性、および、IU/タンパク質1mgとして計算したhCGおよびmCG試料の比活性を示す。
Figure 2008505895
プールした溶出画分を評価した:a画分11〜40、b画分28〜36、c画分5および7〜12、およびd画分17〜21。
精製のために、馴化培地をバッファーAで10mlに希釈し、1mlのAFFI-GEL(登録商標)Blue Gelを含有するカラムに適用した。フロースルーをタンパク質含量およびhCG生物活性についてモニターしたところ、CGが検出できなかったことが判明した。これは、アルブミンやいくつかの他のタンパク質と同様に、hCGがカラムに結合したことを示している。次に、AFFI-GEL(登録商標)Blue Gelカラムを、カラム容積の10倍量の、増大する濃度のNaClを含有するバッファーAで洗浄した。各工程において、タンパク質含量およびCG生物活性を決定した。hCGの生物活性は、600mM NaClの洗浄物で最初に検出され、1200mM NaClの洗浄物で活性が最大となった。1200mMの画分はまた、最大の比活性(309IU/タンパク質1mg)を有し、これは約160倍の精製を意味する。
この精製法を、mCGを発現しているCHO細胞の馴化培地で繰り返した。hCGと同様に、mCGは、バッファーA中のAFFI-GEL(登録商標)Blue Gelに結合した。しかしながら、mCGの生物活性は、300mM NaClの洗浄物で最初に検出された。最大の生物活性は600mM NaClの洗浄物に見出されたが、900mM NaClの洗浄物が最大の比活性(23IU/タンパク質1mg)を有し、これは14倍の精製を意味する。
CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドのCG結合能を、以下の試験を用いて分析した。バッファーAで1:3に希釈した培地を、1mlのAFFI-GEL(登録商標)Blue樹脂で充填したカラムの中に流した。4mlの画分を採取し、本明細書に記載したとおりに、生物活性について評価した。hCGの生物活性は、画分20まで検出できず、これは、1mlのAFFI-GEL(登録商標)Blue Gelが、15IU/mlのhCGまたは〜285IUのhCGを含む19mlの培地のCGを結合できることを示すものである。これに対し、mCGの生物活性は画分4で検出され、これは、1mlのAFFI-GEL(登録商標)Blue Gelが、32IU/mlのmCGまたは〜96IUのmCGを含む3mlの培地のCGを結合できることを示すものである。このように、CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドは、結合能および分離に必要なイオン強度により測定したところでは、hCGに対してmCGよりも高い親和性を有した。
CIBACRON(登録商標)Blueリガンドは、140mM(生理的な)のイオン強度のNaClでhCGおよびmCGのいずれをも結合した。したがって、pH7.4に調整した培地を、AFFI-GEL(登録商標)Blue Gelカラムに直接適用した。6mlまたは20mlのAFFI-GEL(登録商標)Blue Gel樹脂を充填したカラムを、hCGおよびmCGをそれぞれ発現するCHO細胞の馴化培地からの、100mlのこれらのホルモンの大量精製のために調製した。カラムを200mMのNaClを含有する100mlのバッファーAで洗浄し、CGを、カラムに2MのNaClを含有する200mlのバッファーAを適用することによって溶出した。ヒトまたはサルのCGは2MのNaCl画分にのみ回収されたが、総タンパク質の大部分は、培地試料廃液および200mM NaClの洗浄物に回収された。
CIBACRON(登録商標)Blueリガンドは、hCGおよびmCGの両方の部分精製調製物を提供した。しかしながら、精製されたCGは、高NaCl濃度のかなり大きな容積で回収された。CGが、C逆相−HPLC(RP−HPLC)カラムから10mMのリン酸バッファー、pH7.4を含有する0〜50%のアセトニトリル勾配を用いて溶出できることに注目した。都合のよいことに、RP−HPLCによるCGのこのさらなる精製により、注入した試料が脱塩され、真空下での濃縮に適した、生理的pHの低いイオン強度のバッファー中に溶出する。したがって、CIBACRON(登録商標)Blueリガンドカラムから溶出したhCGまたはmCGを含有するプールした画分ををC逆相カラムに注入し、10mMのリン酸塩、pH7.4中のアセトニトリル勾配で溶出した。ヒトCGは40〜50%の間のアセトニトリルで回収されたが、マカクCGは30〜44%の間のアセトニトリルで回収された。ヒトCG画分28〜36およびマカクCG画分17〜21が最大の比活性を有しており、これらをプールし、真空下でそれぞれ1mlに濃縮した。プールした試料は、それぞれ、1233および7100IU/mgの比活性、培地試料に対して298および792倍の精製、およびCIBACRON(登録商標)Blueリガンドカラムから溶出したCGに対して29および103倍の精製を有した。
mCG純度を確認するため、馴化CHO細胞培養培地からのmCGのアリコート、CIBACRON(登録商標)Blueリガンド精製、およびRP−HPLC精製工程を、COOMASSIE(登録商標)ブルーで染色したSDS−PAGEによって分析した。マカクCGは、細胞培養培地では明瞭なバンドとして検出できなかったが、CIBACRON(登録商標)Blueリガンド精製画分では明らかに濃縮されていた。mCG−βサブユニット、mCGダイマーに対応するバンド、および、よりかすかなアルブミンバンドのみが、HPLC精製mCGを含有するレーンで明瞭に視認できた。
例3:他の糖タンパク質ホルモンの精製
共通のαサブユニットを共有する4種の天然に存在する糖タンパク質ホルモンがある。これらのうち、LHはCGと共通のレセプター、LH/CGレセプターを共有する。CGおよびFSHのX線構造が決定され(上記Lapthorn, et al. (1994)、Fox, et al. (2001) Mol. Endocrinol. 15:378-89)、このX線構造は、これらの2種のホルモンが、そのアミノ酸配列は大幅に異なっているが、共通の全体的な三次元構造を共有することを示す。したがって、各々の糖タンパク質ホルモンファミリーの成員を、hCGおよびmCGの精製に有効であることが示されたのと同じ方法論を用いて精製した。ヒトLH(5μg、Sigma)を1mlのULTRACULTURE(商標)に溶解し、イオン強度を低減するために10mlに希釈し、1mlのAFFI-GEL(登録商標)Blue Gelカラムに適用した。フロースルーを採取し、増大する濃度のNaClを含有するバッファーAを、本明細書に記載のとおりに、カラムに通した。流出液を、280nmでの吸光度およびLH ELISAによって各々分析した。LHは、300mM NaClで溶出し始め、最大活性は600mM NaClであり、最大比活性は1500mM NaClでの溶出で得られた(〜65倍の精製)。
FSHは、25IUのFSH(GONAL-F(商標), Serono、FOLLISTIM(登録商標), Organon)を用いて精製した。FSHは、600mM NaClで溶出し始め、最大活性は1200mM NaClであり、最大比活性は1500mM NaClでの溶出で得られた(〜40倍の精製)。
同様に、ヒトTSH(5μg)を精製した。TSHは、300mM NaClで溶出し始め、最大活性は900mM NaClであり、最大比活性は1200mM NaClでの溶出で得られた(〜10倍の精製)。
本発明の精製方法の第2の工程において、前記糖タンパク質ホルモンを、10mMのリン酸塩、pH7.4でのRP−HPLCにより、CIBACRON(登録商標)Blueリガンド精製ホルモンのホルモン活性が最も高い濃度(600mM NaClのLH画分、1200mM NaClのFSH画分、および900mM NaClのTSH画分、表1参照)の10mlの画分全体を用いて精製した。RP−HPLC画分のタンパク質濃度が極めて低いため、タンパク質の量を決定するのに、A280に加えてBCAタンパク質試験を用いた。対照実験では、BCA法により、BSAを〜1μg/mlの下限で検出することができた。したがって、BCA法による526nmでの吸光度が1μg/mlの検出限界より低い試料の場合、そのタンパク質濃度の上限を1μg/mLと定義した。LHは、画分14〜33(26〜44%のアセトニトリル)の間で、その大部分が溶出した。画分23が、最も高いLH濃度である105mIU/mlを有した。4mlから1mlに濃縮されたこの画分のタンパク質濃度は、BCA試験のための検出限界より低かったため、この画分のタンパク質濃度は約250ng/mlに設定した。したがって、画分23の比活性は、約420IU/mgであり、総精製倍率は>70倍であった。
FSHは、RP−HPLCの画分10および11(〜25%のアセトニトリル)に、その大部分が溶出した。画分10は、460mIU/mlのFSH濃度を有した。4mlから1mlに濃縮された画分10のタンパク質含量が、BCA試験のための検出限界1μg/mlより低かったため、タンパク質濃度は約250ng/mlに設定した。したがって、FSHの画分10の比活性は、約1.84IU/mgであり、総精製倍率は>1300倍であった。
TSHをRP−HPLCによって精製した場合、これは画分12〜27(26〜38%のアセトニトリル)の間で溶出した。画分15は、240μIU/mlの最も高いTSH濃度を有した。4mlから1mlに濃縮されたこの画分のタンパク質含量もまた、1μg/mlの検出限界より低かった。したがって、TSHのタンパク質濃度は250ng/mlに設定し、その比活性は約960IU/mgであり、総精製倍率は>320倍であった。
例4:TGF-βの精製
TGF-βは、各々のサブユニットがシスチンノットと3個のヘアピンβシートループとを含むダイマーであるという点で、糖タンパク質ホルモンファミリーの成員に類似した構造を有する(上記Lapthorn, (1994))。したがって、本発明の方法を、TGF-βの精製に用いた。TGF−β(20ng)を1mlのULTRACULTURE(商標)および9mlのバッファーAに希釈し、1mlのCIBACRON(登録商標)Blueリガンドに適用し、NaCl濃度を増大させながら段階的に溶出した。TGF-βが、CIBACRON(登録商標)Blueリガンドに対して非常に強い親和性を有することが見出された。TGF-βは、1500mM NaClの洗浄物まで検出されず、最大の精製は2700mM NaClにおいてであった。TGF−βは、本明細書中に開示した条件下では、C逆相カラムと有効に結合しなかったが、本発明の方法により、TGF-βについて、>100倍という全体的な精製倍率が得られた。
例5:他のシスチンノットタンパク質およびその融合タンパク質の精製
本明細書中に開示された方法を用いて、シスチンノットスーパーファミリーの他のファミリーの成員を精製した。VEGF(R&D Systems, Minneapolis, MN)およびvWF(EMD Biosciences, Darmstadt, Germany)の試料を、本明細書中に開示した二段法を用いて調製および単離した結果、>25倍というVEGFの全体的な精製倍率が得られた(表1参照)。
さらに、短いリンカードメインを介してヒトIgGのFc領域に融合した組換えマウスnogginタンパク質(Catalog No. 719-NG, R&D Systems, Inc., Minneapolis, MN)を、本明細書中に開示した方法を用いて670倍に精製した。さらに、nogginに関する高レベルの比活性を含む画分が、Fcに関する高レベルの比活性をも含んでいたことから、nogginとFcとが共精製されたことが証明された。これらのデータは、シスチンノットタグ(例えばnoggin)が目的とするのタンパク質(例えばヒトFc)の精製に使用できることを証明するものである。

Claims (34)

  1. シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質を精製する方法であって、以下の工程:
    (a)色素リガンドを含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質を含む試料を適用する工程、
    (b)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、
    (c)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスからシスチンノットタンパク質を溶出する工程、
    (d)逆相クロマトグラフィーマトリックスに、溶出したシスチンノットタンパク質を適用する工程、
    (e)逆相クロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、および
    (f)逆相クロマトグラフィーマトリックスから、シスチンノットタンパク質を溶出する工程、
    を含み、それによってシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質を実質的に精製する、前記方法。
  2. 実質的に精製されたシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質がダイマーである、請求項1に記載の方法。
  3. シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質が、血小板由来増殖因子様タンパク質、トランスフォーミング増殖因子−ベータ、ニューロトロフィン、糖タンパク質ホルモン、インターロイキン、コアグローゲン、ムチンまたはslit様タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 血小板由来増殖因子様タンパク質が、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子または胎盤増殖因子−1を含む、請求項3に記載の方法。
  5. トランスフォーミング増殖因子−ベータが、トランスフォーミング増殖因子−ベータ、骨形成タンパク質または増殖分化因子を含む、請求項3に記載の方法。
  6. ニューロトロフィンが、脳由来神経栄養因子/ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4またはベータ神経成長因子を含む、請求項3に記載の方法。
  7. 糖タンパク質ホルモンが、フォリトロピン、ルトロピン、チロトロピンまたは絨毛性性腺刺激ホルモンを含む、請求項3に記載の方法。
  8. ムチンが、骨形成タンパク質アンタゴニストである、請求項3に記載の方法。
  9. 色素リガンドが、トリアジン色素を含む、請求項1に記載の方法。
  10. トリアジン色素が、CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドである、請求項9に記載の方法。
  11. 試料が生理的pHである、請求項1に記載の方法。
  12. 色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程が、生理的pHのバッファーを含む、請求項1に記載の方法
  13. 色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスからシスチンノットタンパク質を溶出する工程が、生理的pHの、少なくとも300mMの塩濃度のバッファーを含む、請求項1に記載の方法
  14. シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質が、目的とする選択されたタンパク質と作動可能に連結した、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む融合タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 目的とする選択されたタンパク質を精製する方法であって、以下の工程:
    (a)目的とする選択されたタンパク質と作動可能に連結したシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む、融合タンパク質を含む試料を得る工程、
    (b)該試料を、色素リガンドを含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに適用する工程、
    (c)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、
    (d)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから融合タンパク質を溶出する工程、
    (e)溶出した融合タンパク質を、逆相クロマトグラフィーマトリックスに適用する工程、
    (g)逆相クロマトグラフィーマトリックスから、融合タンパク質を溶出する工程、
    を含み、それにより目的とする選択されたタンパク質を実質的に精製する、前記方法。
  16. 以下の前工程:
    (a)目的とする選択されたタンパク質と作動可能に連結したシスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む、融合タンパク質を調製する工程、
    (b)宿主細胞において前記融合タンパク質を発現させる工程、
    (c)融合タンパク質を含む前記宿主細胞から試料を調製する工程、
    をさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 融合タンパク質が、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片と、目的とする選択されたタンパク質との間に、プロテアーゼ切断部位をさらに含む、請求項15に記載の方法。
  18. (i)シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を、目的とする選択されたタンパク質から、プロテアーゼ切断部位を特異的に認識するプロテアーゼで切断する工程、
    をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  19. 色素リガンドがトリアジン色素を含む、請求項15に記載の方法。
  20. トリアジン色素が、CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドである、請求項19に記載の方法。
  21. 試料が生理的pHである、請求項15に記載の方法。
  22. 色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程が、生理的pHのバッファーを含む、請求項15に記載の方法
  23. 色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスからシスチンノットタンパク質を溶出する工程が、生理的pHの、少なくとも300mM NaClの塩濃度のバッファーを含む、請求項15に記載の方法。
  24. シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質が、血小板由来増殖因子様タンパク質、トランスフォーミング増殖因子−ベータ、ニューロトロフィン、糖タンパク質ホルモン、インターロイキン、コアグローゲン、ムチンまたはslit様タンパク質を含む、請求項15に記載の方法。
  25. 目的とする選択されたタンパク質を精製する方法であって、以下の工程:
    (a)目的とする選択されたタンパク質と、プロテアーゼ切断部位によって作動可能に連結した、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む融合タンパク質を含む、第1の試料を得る工程、
    (b)色素リガンドを含む色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに、前記第1の試料を適用する工程、
    (c)色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程、
    (d)目的とする選択されたタンパク質を、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから、プロテアーゼ切断部位を特異的に切断するプロテアーゼを適用することによって溶出する工程、
    を含み、それによって目的とする選択されたタンパク質を実質的に精製する、前記方法。
  26. 以下の前工程:
    (a)プロテアーゼ切断部位によって目的とする選択されたタンパク質と作動可能に連結した、シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質またはその断片を含む、融合タンパク質を調製する工程、
    (b)宿主細胞において前記融合タンパク質を発現させる工程、
    (c)融合タンパク質を含む前記宿主細胞から第1の試料を調製する工程、
    をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 色素リガンドがトリアジン色素を含む、請求項25に記載の方法。
  28. トリアジン色素が、CIBACRON(登録商標)Blue色素リガンドである、請求項27に記載の方法。
  29. 試料が生理的pHである、請求項25に記載の方法。
  30. 色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程が、生理的pHのバッファーを含む、請求項25に記載の方法
  31. シスチンノットスーパーファミリーのタンパク質が、血小板由来増殖因子様タンパク質、トランスフォーミング増殖因子−ベータ、ニューロトロフィン、糖タンパク質ホルモン、インターロイキン、コアグローゲン、ムチンまたはslit様タンパク質を含む、請求項25に記載の方法。
  32. 以下の工程:
    1種または2種以上のタンパク質、核酸、コファクターを含む第2の試料を、前記1種または2種以上のタンパク質、核酸、コファクター等が、目的とする選択されたタンパク質と相互作用して複合体を形成するように適用する工程、
    を、色素アフィニティークロマトグラフィーマトリックスから混入物を除去する工程の後にさらに含む、請求項25に記載の方法。
  33. 目的とする選択されたタンパク質が、1種または2種以上の追加のタンパク質、核酸、コファクターを含む複合体中にある、請求項32に記載の方法。
  34. シスチンノットタンパク質またはその断片をコードする核酸配列を含有する発現ベクターを含む、目的とするタンパク質にタグ付けするためのキット。
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