JP2008505857A - 粘膜ワクチン接種のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、粘膜投与のために調合されたIRM化合物と粘膜投与のために調合された抗原とを含む医薬品の組み合わせを提供する。さらに本発明は、対象を免疫化する方法を提供する。概して本方法は、抗原をIRM化合物との組み合わせで対象の粘膜表面に有効量で投与して抗原に対する免疫応答を発生させるステップと、IRM化合物を抗原との組み合わせで対象の粘膜表面に有効量で投与して抗原に対する免疫応答を発生させるステップとを含む。
Description
例えば皮下、筋肉内、および静脈内などの古典的な注射ワクチン接種経路は、主として全身性免疫(血液血清抗体およびT細胞)の誘導に関わる。このアプローチは、刺されたまたは損傷した皮膚を通じて身体への全身的アクセスを得る感染性因子(例えば破傷風)によって引き起こされる疾患に対して適切であるかもしれないが、ほとんどの病原体は、例えば口腔、鼻、または泌尿生殖器粘膜などの粘膜経路を通じて宿主に自然に感染する。
注射可能なワクチンは、概して典型的にIgAと、様々な腺組織の分泌物と共に腸管、気道、および尿道腔内に分泌されることが多い分泌IgA(s−IgA)との産生および分泌を通じて媒介される免疫を粘膜表面に誘発するのには、無効である。これらの分泌においてs−IgAは病原体と結合でき、それによって病原体が宿主の細胞に感染し始める前に、免疫細胞が病原体を排除するのを可能にする。したがって粘膜ワクチン接種は、病原体が宿主細胞に感染する(すなわち細胞感染)可能性を実質的に低下でき、場合によっては、病原体が宿主細胞に感染するのを防止することさえできる。対照的に注射されたワクチンは、病原体による宿主細胞感染の結果(例えば感染細胞の溶解)として放出された抗原に反応することが多い。したがって粘膜ワクチン接種と注射ワクチン接種との1つの重要な相違は、粘膜ワクチン接種が宿主の防御を刺激して細胞感染を制限または防止すらできるのに対し、注射されたワクチン接種は、願わくは感染症が発生する前に細胞感染の結果に反応する。
粘膜ワクチンは、s−IgA応答を誘発するそれらの能力のために、粘膜感染を防止または制限するのにより効果的である可能性が高い。さらに粘膜ワクチンは注射可能なワクチンと比較して、その他のいくつかの利点を提供する。これらの利点としては、より容易な投与、副作用の低下、投与が非侵襲性であること(例えば注射針を要さない)、および訓練された人材を必要としないほとんど無制限の頻度の追加免疫の可能性が挙げられる。これらの利点は経費を低下させ、ワクチン接種の安全性を増大し、発展途上世界において特に重要な課題であるコンプライアンスを改善できる。さらに新しい粘膜ワクチン接種システムのデザインにおける改善は、現在、制御が不十分である疾患に対するワクチンの開発を可能にするかもしれない。
さらに1つの粘膜部位における粘膜免疫応答の誘導は、離れた粘膜部位における免疫応答をもたらすかもしれない。例えば鼻または口腔粘膜ワクチン接種は、膣粘膜からのs−IgAおよびIgGの分泌を発生させることができる。
粘膜経路を通じた免疫化の重要な利点にもかかわらず、粘膜免疫化の成功は、例えば抗原の分解、粘膜部位における限定的吸着および非特異的宿主因子との相互作用、安全かつ効果的なアジュバントの欠如、および不適切な送達システムの使用をはじめとする多くの要因のために限定されている。粘膜ワクチンの有用性および有効性を拡大するかなりの継続的必要性がある。
粘膜送達に適した組み合わせ医薬品の構成要素として、特定の小型分子免疫応答調節物質(IRM)が有用でありえることが分かった。
したがって本発明は、粘膜投与のために製剤されたIRM化合物と粘膜投与のために製剤された抗原とを含む組み合わせ医薬品を提供する。いくつかの実施形態ではIRM化合物および抗原が単一製剤中で提供されてもよく、他方、その他の実施形態では、IRM化合物および抗原が別々の製剤中で提供されてもよい。
別の態様では、本発明はまた、対象を免疫化する方法も提供する。概してこの方法は、抗原をIRM化合物と組み合わせて対象の粘膜表面に有効量で投与して抗原に対する免疫応答を発生させるステップと、IRM化合物を抗原と組み合わせて対象の粘膜表面に有効量で投与して抗原に対する免疫応答を発生させるステップを含む。
いくつかの実施形態では、方法は1つ以上の初回抗原刺激用量の抗原、1つ以上の追加免疫用量の抗原またはIRM化合物、または双方をさらに含んでもよい。
本発明の様々なその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲、および添付の図面を参照すれば容易に明らかになるであろう。本願明細書全体を通じて数カ所で、実施例を通じて指針が与えられる。各例で、列記された一覧は代表的な群としてのみ役立ち、排他的一覧として解釈すべきではないものとする。
免疫応答調節物質(IRM)は、強力な免疫調節活性を有することができる化合物である。IRMはToll様受容体(TLR)として知られている基礎免疫系機序を通じて作用し、選択的にサイトカイン生合成を調節するようである。例えば特定のIRM化合物は、例えばタイプIインターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、および/またはMCP−1などの特定のサイトカインの産生および分泌を誘発する。別の例としては、特定のIRM化合物は、IL−4およびIL−5などの特定のTH2サイトカインの産生および分泌を阻害できる。さらにいくつかのIRM化合物は、IL−1およびTNFを抑制するとされる(米国特許第6,518,265号明細書)。特定のIRMは、例えば特定のウィルス性疾患(例えばヒト乳頭腫ウィルス、肝炎、ヘルペス)、特定の新生物形成(例えば基底細胞ガン、扁平細胞ガン、光線性角化症、メラノーマ)、および特定のTH2−媒介疾患(例えば喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)などの多種多様な疾患および病状を処置するのに有用かもしれない。
本発明は、粘膜ワクチンとして使用するのに効果的であることができる組み合わせ医薬品、およびこのような組み合わせを粘膜表面に投与するステップを含む方法に関する。概して本発明に従った医薬組成物は、それぞれ粘膜送達に適した様式で製剤されて、それぞれ他方との組み合わせで抗原に対する免疫応答を産生させることができる量でIRM化合物および抗原を含む。粘膜ワクチン接種の利点は多数ある。本発明の組成物および方法は、以下の1つ以上を提供してもよい。
1)組成物は注射針の必要なしに容易に投与されてもよく、
2)注射されたワクチンが概して全身性応答のみを誘発するのに対し、粘膜ワクチン接種は粘膜および全身性免疫応答の双方を発生できる。ほとんどの病原体は粘膜表面で宿主に感染するので、粘膜ワクチン接種は病原体侵入部位で免疫応答を誘発し、
3)粘膜ワクチン接種は、ワクチン接種部位以外の粘膜部位で免疫応答を誘発できる。
1)組成物は注射針の必要なしに容易に投与されてもよく、
2)注射されたワクチンが概して全身性応答のみを誘発するのに対し、粘膜ワクチン接種は粘膜および全身性免疫応答の双方を発生できる。ほとんどの病原体は粘膜表面で宿主に感染するので、粘膜ワクチン接種は病原体侵入部位で免疫応答を誘発し、
3)粘膜ワクチン接種は、ワクチン接種部位以外の粘膜部位で免疫応答を誘発できる。
このような組み合わせ医薬品の構成要素は、構成要素が、少なくとも別の構成要素が細胞に接触するまで、1つの構成要素が細胞に接触する生物学的効果を保持するのを可能にするあらゆる様式で提供される場合、互いに「組み合わせて」送達されると言ってもよい。したがって構成要素は、それらが別々の製剤中で提供され、異なる投与経路を通じて送達され、および/または異なる時間に投与されても、互いに組み合わせて送達される。
例えばIRM化合物および抗原は、構成要素が単一製剤中で提供されるか、または抗原が1つの製剤中で投与されてIRM化合物が第2の製剤中で投与されるがどうかにかかわらず、組み合わせ医薬品と見なされてもよい。異なる製剤中で投与される場合、構成要素は、所望ならば異なる時間に投与されてもよいが、発生する免疫応答が、抗原またはIRM化合物のどちらかが単独で投与される場合に発生する免疫応答を超えるように投与される。
いくつかの実施形態では、組み合わせ医薬品は、その中で少なくとも1つのIRM部分が抗原に共有結合的に付着するIRM/抗原抱合体を含んでもよい。かかるIRM/抗原抱合体を調製する方法は、例えば米国特許出願公開第2004/0091491号明細書で述べられる。
粘膜ワクチンによって誘発される免疫応答を測定する一方法は、抗原によるチャレンジに答えた抗原特異的CD8+T細胞の増大を測定することである。これは実施例1に示される。抗原特異的CD8+T細胞を蛍光標識して、同質遺伝子マウスに養子導入した。マウスをIRM−抗原抱合体でチャレンジした。4日後、様々な部位(鼻関連リンパ組織(NALT)、頸部リンパ節(CL)、および脾臓)からのリンパ様組織を摘出して、抗原特異的CD8+T細胞の増大を測定した。各部位からの組織において、CD8+T細胞の増大は、IRM−抗原抱合体での静脈内免疫化、または抗原またはIRM(図2A−2C)のいずれかでの鼻腔内免疫化の結果としてよりも、鼻腔内免疫化の結果としての方が大きかった。同様にIRM−抗原抱合体での鼻腔内免疫化の7日後に、鼻粘膜中に、IRM−抗原抱合体での静脈内免疫化、または抗原またはIRMいずれかでの鼻腔内免疫化のいずれかに続いて観察されたのよりも大きな抗原特異的CD8+T細胞の百分率が観察された(図2D)。同様の結果が、非抱合体IRMおよび抗原を使用して見られた(図3A)。
粘膜ワクチン接種によって誘発された免疫応答を測定する別の方法は、例えば鼻関連リンパ様組織などのリンパ様組織中の抗原特異的CD4+T細胞の増大を測定することである。活性化された抗原特異的CD4+T細胞は、次にB細胞を刺激して抗原に対する抗体(例えばs−IgA)誘導を生じる。実施例2では、抗原特異的T細胞を宿主マウスに養子導入した。マウスをIRM化合物および免疫原性抗原ペプチドの組み合わせでチャレンジした。3日後、リンパ様組織をマウスから摘出して、抗原特異的CD4+T細胞の増大を分析した。結果を図3Bに示す。CD4+T細胞の増大は、抗原単独で免疫化されたマウスよりもIRMおよび抗原で免疫化されたマウスでより大きかった。
したがってワクチン接種(例えば鼻腔内)の粘膜経路は、該当組織部位(鼻関連リンパ様組織(NALT)および鼻粘膜)において、非粘膜経路送達(静脈内)、または抗原単独またはIRM単独いずれかの粘膜送達のどちらと比較してもより多数の抗原特異的CD8+T細胞および/またはCD4+T細胞を提供できる。粘膜部位における抗原特異的T細胞集団の増大は、これらの位置における免疫細胞の活性化、および感染防止ができる免疫応答の発生を示唆する。抗原特異的CD8+T細胞および抗原特異的CD4+T細胞の双方が活性化される場合、抗原特異的細胞媒介免疫応答および抗原特異的抗体免疫応答の双方が発生してもよい。
抗原は、粘膜免疫応答を生じさせるあらゆる材料を含むことができる。適切な抗原性材料としては、タンパク質と、ペプチドと、ポリペプチドと、脂質と、糖脂質と、多糖類と、炭水化物と、ポリヌクレオチドと、プリオンと、生または不活性化細菌と、ウィルスまたは真菌と、細菌性、ウィルス性、真菌性、原生動物性、腫瘍由来、または生物体由来の免疫原、毒素または類毒素とが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらにここでの用法では、抗原はそれ自体が粘膜免疫応答を必ずしも生じないが、宿主細胞中で発現して抗原性タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを産生できるオリゴヌクレオチド配列を含んでもよい。かかるオリゴヌクレオチドは、例えばDNAワクチンで有用である。いくつかの実施形態では、抗原は2つ以上の抗原性材料の組み合わせを含んでもよい。
それぞれ粘膜投与のために製剤されたIRMおよび抗原を含む組成物が有用かもしれない病状としては、以下が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(a)例えばアデノウィルス、ヘルペスウィルス(例えばHSV−I、HSV−II、CMV、またはVZV)、ポックスウィルス(例えば痘瘡またはワクシニア、または伝染性軟属腫などのオルトポックスウィルス)、ピコルナウィルス(例えばライノウィルスまたはエンテロウィルス)、オルトミクソウィルス(例えばインフルエンザウィルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウィルス、おたふく風邪ウィルス、はしかウィルス、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウィルス(例えばSARS)、パポバウィルス(例えば生殖器疣、尋常性肬贅、または足底疣贅を引き起こすものなどの乳頭腫ウィルス)、ヘパドナウィルス(例えば肝炎Bウィルス)、フラビウイルス(例えば肝炎Cウィルスまたはデングウィルス)、またはレトロウィルス(例えばHIVなどのレンチウイルス)の感染によって生ずる疾患などのウィルス性疾患、
(b)例えばエシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、赤痢菌(Shigella)、リステリア(Listeria)、アエロバクター(Aerobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、連鎖球菌(Streptococcus)、クラミジア(chlamydia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ナイセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、バシラス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオ(Vibrio)、セラチア(Serratia)、プロビデンシア(Providencia)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、ヘモフィルス(Haemophilus)、またはボルデテラ(Bordetella)属などの細菌の感染によって生ずる疾患などの細菌性疾患、
(c)クラミジア、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎を含むが、これらに限定されるものではない真菌疾患、またはマラリア、ニューモシスティスカリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染を含むが、これらに限定されるものではない寄生虫性疾患などのその他の感染症、および
(d)アトピー性皮膚炎または湿疹などのTH2−媒介アトピー性疾患、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、およびオーメン症候群。
(a)例えばアデノウィルス、ヘルペスウィルス(例えばHSV−I、HSV−II、CMV、またはVZV)、ポックスウィルス(例えば痘瘡またはワクシニア、または伝染性軟属腫などのオルトポックスウィルス)、ピコルナウィルス(例えばライノウィルスまたはエンテロウィルス)、オルトミクソウィルス(例えばインフルエンザウィルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウィルス、おたふく風邪ウィルス、はしかウィルス、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウィルス(例えばSARS)、パポバウィルス(例えば生殖器疣、尋常性肬贅、または足底疣贅を引き起こすものなどの乳頭腫ウィルス)、ヘパドナウィルス(例えば肝炎Bウィルス)、フラビウイルス(例えば肝炎Cウィルスまたはデングウィルス)、またはレトロウィルス(例えばHIVなどのレンチウイルス)の感染によって生ずる疾患などのウィルス性疾患、
(b)例えばエシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、赤痢菌(Shigella)、リステリア(Listeria)、アエロバクター(Aerobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、連鎖球菌(Streptococcus)、クラミジア(chlamydia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ナイセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、バシラス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオ(Vibrio)、セラチア(Serratia)、プロビデンシア(Providencia)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、ヘモフィルス(Haemophilus)、またはボルデテラ(Bordetella)属などの細菌の感染によって生ずる疾患などの細菌性疾患、
(c)クラミジア、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎を含むが、これらに限定されるものではない真菌疾患、またはマラリア、ニューモシスティスカリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染を含むが、これらに限定されるものではない寄生虫性疾患などのその他の感染症、および
(d)アトピー性皮膚炎または湿疹などのTH2−媒介アトピー性疾患、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、およびオーメン症候群。
例えば粘膜性に投与される組成物は、例えばBCG、コレラ、ペスト、腸チフス、肝炎A、肝炎B、肝炎C、インフルエンザA、インフルエンザB、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、はしか、おたふく風邪、風疹、黄熱病、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルスインフルエンザb、結核、髄膜炎菌性および肺炎球菌ワクチン、アデノウィルス、HIV、水痘、サイトメガロウィルス、デング、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV−1およびHSV−2、豚コレラ、日本脳炎、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、乳頭腫ウィルス、およびアルツハイマー疾患に対する予防的なまたは治療的な保護のために使用してもよい。
場合によっては、粘膜ワクチン接種は、粘膜表面を越える感染の可能性を低下させるのに、またはさらに防止するのに有用かもしれない。その他の場合では、粘膜ワクチンは血清抗体応答を刺激するのに有用かもしれない。場合によっては、粘膜ワクチンは粘膜感染に対する保護と血清抗体応答の双方を提供するかもしれない。したがって粘膜ワクチン接種は、典型的に粘膜表面を越えて感染するのではない病原体に対するワクチン接種のために有用かもしれない。
いくつかの実施形態では、抗原−IRM組み合わせの投与に先だって、抗原が1つ以上の別々の「初回抗原刺激」用量で投与されてもよい。このようなやり方での初回抗原刺激は、抗原−IRM組み合わせの投与時に増大する免疫応答を提供するかもしれない。
その他の実施形態では、抗原−IRM組み合わせの投与後、抗原が1つ以上の別々の「追加免疫」用量で投与されてもよい。このようなやり方での追加免疫は、CD8+メモリT細胞、CD4+メモリT細胞、または双方を活性化することで、少なくとも部分的に消散した免疫応答を再活性化するかもしれない。
さらに別の実施形態では、抗原−IRM組み合わせの投与後、IRM化合物が1つ以上の別々の追加免疫用量で投与されてもよい。追加免疫用量で提供されるIRM化合物は、抗原−IRM組み合わせ中で提供されるIRM化合物と同一または異なってもよく、あらゆるその他の追加免疫用量で提供されるIRM化合物と同一または異なってもよい。さらに抗原−IRM組み合わせのIRM構成要素として、または追加免疫としてであるかに関わらず、IRM化合物のあらゆる組み合わせを使用してもよい。
IRM化合物の多くは小型の有機分子イミダゾキノリンアミン誘導体(例えば米国特許第4,689,338号明細書を参照されたい)であるが、いくつかのその他の化合物クラスもまた知られており(例えば米国特許第5,446,153号明細書、米国特許第6,194,425号明細書、および米国特許第6,110,929号明細書を参照されたい)、さらに多くが発見されている。CpGを含むオリゴヌクレオチドなどのその他のIRMは、より高い分子量を有する(例えば米国特許第6,194,388号明細書を参照されたい)。
特定のIRMは、例えば以下で開示されるものなどの小型の有機分子(タンパク質、ペプチドなどの大型生体分子とは対照的に、例えば分子量約1000ダルトン未満、好ましくは約500ダルトン未満)である。米国特許第4,689,338号明細書、米国特許第4,929,624号明細書、米国特許第5,266,575号明細書、米国特許第5,268,376号明細書、米国特許第5,346,905号明細書、米国特許第5,352,784号明細書、米国特許第5,389,640号明細書、米国特許第5,446,153号明細書、米国特許第5,482,936号明細書、米国特許第5,756,747号明細書、米国特許第6,110,929号明細書、米国特許第6,194,425号明細書、米国特許第6,331,539号明細書、米国特許第6,376,669号明細書、米国特許第6,451,810号明細書、米国特許第6,525,064号明細書、米国特許第6,541,485号明細書、米国特許第6,545,016号明細書、米国特許第6,545,017号明細書、米国特許第6,573,273号明細書、米国特許第6,656,938号明細書、米国特許第6,660,735号明細書、米国特許第6,660,747号明細書、米国特許第6,664,260号明細書、米国特許第6,664,264号明細書、米国特許第6,664,265号明細書、米国特許第6,667,312号明細書、米国特許第6,670,372号明細書、米国特許第6,677,347号明細書、米国特許第6,677,348号明細書、米国特許第6,677,349号明細書、米国特許第6,683,088号明細書、米国特許第6,756,382号明細書、米国特許第6,797,718号明細書、および米国特許第6,818,650明細書、米国特許出願公開第2004/0091491号明細書、米国特許出願公開第2004/0147543号明細書、および米国特許出願公開第2004/0176367号明細書、および国際公開第2005/18551号パンフレット、国際公開第2005/18556号パンフレット、および国際公開第2005/20999号パンフレット。
小型分子IRMの追加的な例としては、特定のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、および米国特許第6,028,076号明細書で述べられるものなど)、特定のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号明細書で述べられるものなど)、特定のイミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号明細書で述べられるものなど)、特定のベンゾイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号明細書で述べられるものなど)、五員環窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンの特定の誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、米国特許第6,028,076号明細書、および米国特許第6,329,381号明細書、および国際公開第02/08905号パンフレットで述べられるアデニン誘導体など)、および特定の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン誘導体(米国特許出願公開第2003/0199461号明細書で述べられるものなど)が挙げられる。
その他のIRMとしては、オリゴヌクレオチド配列などの大型生体分子が挙げられる。いくつかのIRMオリゴヌクレオチド配列はシトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、例えば米国特許第6,194,388号明細書、米国特許第6,207,646号明細書、米国特許第6,239,116号明細書、米国特許第6,339,068号明細書、および米国特許第6,406,705号明細書で述べられる。いくつかのCpG含有オリゴヌクレオチドは、例えば米国特許第6,426,334号明細書および米国特許第6,476,000号明細書で述べられるものなどの合成免疫調節構造モチーフを含むことができる。その他のIRMヌクレオチド配列はCpG配列を欠いており、例えば国際公開第00/75304号パンフレットで述べられる。
その他のIRMとしては、アミノアルキルグルコサミニドリン酸塩(AGP)などの生体分子が挙げられ、例えば米国特許第6,113,918号明細書、米国特許第6,303,347号明細書、米国特許第6,525,028号明細書、および米国特許第6,649,172号明細書で述べられる。
本発明での使用に適したIRM化合物としては、五員環窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば以下が挙げられる。例えばアミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換イミダゾキノリンアミン、オキシム置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、または9−アリール、ヘテロアリール、アリールオキシまたはアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミン、およびイミダゾキノリンジアミンなどの置換イミダゾキノリンアミンを含むが、これらに限定されるものではないイミダゾキノリンアミンと、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、オキシム置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、およびテトラヒドロイミダゾキノリンジアミンを含むが、これらに限定されるものではないテトラヒドロイミダゾキノリンアミンと、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、およびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンを含むが、これらに限定されるものではないイミダゾピリジンアミンと、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンと、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンと、イミダゾナフチリジンアミンと、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンと、オキサゾロキノリンアミンと、チアゾロキノリンアミンと、オキサゾロピリジンアミンと、チアゾロピリジンアミンと、オキサゾロナフチリジンアミンと、チアゾロナフチリジンアミンと、ピラゾロピリジンアミンと、ピラゾロキノリンアミンと、テトラヒドロピラゾロキノリンアミンと、ピラゾロナフチリジンアミンと、テトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンと、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体。
特定の実施形態では、IRM化合物は、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、またはテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンであってもよい。
特定の実施形態では、IRM化合物は、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、またはテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンであってもよい。
ここでの用法では、置換イミダゾキノリンアミンとは、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換イミダゾキノリンアミン、オキシム置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、または9−アリール、ヘテロアリール、アリールオキシまたはアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミン、またはイミダゾキノリンジアミンを指す。ここでの用法では、置換イミダゾキノリンアミンは、1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンおよび4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールを具体的かつ明示的に除外する。
適切なIRM化合物としてはまた、上述のプリン誘導体、イミダゾキノリンアミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アデニン誘導体、アミノアルキルグルコサミニドリン酸塩、およびオリゴヌクレオチド配列も挙げられる。
特定の実施形態では、IRM化合物は、例えば1−(2−アミノ−2−メチルプロピル)−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンまたはN−[6−({2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]−4−アジド−2−ヒドロキシベンズアミドなどのアミド置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えば2−ブチルチアゾロ[4,5−c]キノリン−4−アミンなどのチアゾロキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えば4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールなどのイミダゾキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えばN−{3−[4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−7−イルオキシ]プロピル}ニコチンアミドなどのアミド置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えば3−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−N,2,2−トリメチルプロパン−1−スルホンアミドなどのスルホンアミド置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えば2−ブチル−1−{2−メチル−2−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]プロピル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンなどのチオエーテル置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えば2−ブチル−1−[2−(プロピルスルホニル)エチル]−2H−ピラゾロ[3,4−c]キノリン−4−アミンなどのピラゾロキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えば1−{4−アミノ−2−エトキシメチル−7−[3−(ピリジン−3−イル)プロポキシ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル}−2−メチルプロパン−2−オールなどのアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えばN−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−N’−シクロヘキシル尿素などの尿素置換イミダゾピリジンアミンであってもよい。
その他の実施形態では、IRM化合物は、例えばN−[2−(4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−1,1−ジメチルエチル]メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
さらに別の実施形態では、IRM化合物は、例えばN−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}シクロヘキサンカルボキサミドなどのアミド置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
特に断りのない限り、化合物への言及は、あらゆる異性体(例えばジアステレオマーまたは鏡像異性体)、塩、溶媒和化合物、多形体などをはじめとするあらゆる薬剤的に許容可能な形態の化合物を含むことができる。特に化合物が光学活性の場合、化合物への言及は、化合物の各鏡像異性体、ならびに鏡像異性体のラセミ混合物を含むことができる。
本発明のいくつかの実施形態では、IRM化合物は、少なくとも1つのTLRの作動体、好ましくはTLR6、TLR7、またはTLR8の作動体であってもよい。特定の実施形態では、IRM化合物は、TLR8−選択的作動体であってもよい。その他の実施形態では、IRM化合物はTLR7−選択的作動体であってもよい。ここでの用法では、「TLR8−選択的作動体」という用語は、TLR8の作動体として作用するが、TLR7の作動体として作用しないあらゆる化合物を指す。「TLR7−選択的作動体」という用語は、TLR7の作動体として作用するが、TLR8の作動体として作用しない化合物を指す。「TLR7/8作動体」とは、TLR7およびTLR8双方の作動体として作用する化合物を指す。
TLR8−選択的作動体またはTLR7−選択的作動体は、指示されたTLR、およびTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR9、またはTLR10の1つ以上の作動体として作用してもよい。したがって「TLR8−選択的作動体」とは、TLR8だけで他のTLRの作動体としては作用しない化合物を指してもよい一方で、それは代案としてはTLR8、および例えばTLR6の作動体として作用する化合物を指してもよい。同様に「TLR7−選択的作動体」とは、TLR7だけで他のTLRの作動体としては作用しない化合物を指してもよいが、それは代案としてはTLR7、および例えばTLR6の作動体として作用する化合物を指してもよい。
特定の化合物に対するTLR作動性は、あらゆる適切な様式で評価してもよい。例えば試験化合物のTLR作動性を検出するためのアッセイについては、例えば米国特許出願公開第2004/0132079号明細書で述べられ、そのようなアッセイでの使用に適したリコンビナント細胞系については、例えば国際公開第04/053057号パンフレットで述べられる。
用いられる特定のアッセイにかかわらず、化合物でアッセイを実施することが、特定のTLRによって媒介されるいくつかの生物学的活性増大の少なくとも閾値をもたらせば、化合物は特定のTLRの作動体として同定できる。反対に化合物を使用して、生物学的活性を検出するために策定されたアッセイを実施することが、特定のTLRによって媒介される生物学的活性増大の閾値を惹起できなければ、化合物は特定TLRの作動体として作用しないと同定されてもよい。特に断りのない限り生物学的活性の増大は、適切な対照中で観察されたものと比べた同一生物学的活性の増大を指す。アッセイは、適切な対照との組み合わせで実施されてもされなくてもよい。経験を積むことで当業者は、特定のアッセイ(例えば特定のアッセイ条件下、適切な対照で観察された値の範囲)を十分に熟知するようになるかもしれず、特定のアッセイにおける化合物のTLR作動性を判定するために対照を実施することは、必ずしも必要でないかもしれない。
特定のアッセイにおいて、特定の化合物が特定のTLRの作動体であるか否かを判定するためのTLR−媒介生物学的活性増大の閾値は、アッセイ終点として観察される生物学的活性、アッセイ終点を測定または検出するのに使用される方法、アッセイの信号対雑音比、アッセイ精度、および双方のTLRに対する化合物の作動性を判定するのに同一アッセイが使用されるかどうかを含むが、これらに限定されるものではない、技術分野で知られている因子に従って変動する。したがって全ての可能なアッセイについて、化合物が特定のTLRの作動体または非作動体であるかを同定するのに必要なTLR−媒介生物学的活性増大の閾値を普遍的に記述するのは実用的でない。しかし当業者はこのような因子を正当に考慮の上、適切な閾値を容易に判定できる。
発現性TLR構造遺伝子で形質移入されたHEK293細胞を用いるアッセイは、細胞に形質移入されたTLRの作動体として化合物を同定するために、例えば約1μM〜約10μMの濃度で化合物が提供される場合、例えばTLR−媒介生物学的活性(例えばNFκB活性化)における少なくとも3倍の増大の閾値を使用してもよい。しかし特定の状況では、異なる閾値および/または異なる濃度範囲が適切かもしれない。また異なる閾値は、異なるアッセイに適するかもしれない。
抗原−IRM組み合わせの構成要素、ならびに初回抗原刺激用量または追加免疫用量で提供される抗原またはIRMは、対象への粘膜投与に適したあらゆる製剤中で提供されてもよい。適切なタイプの製剤については、例えば米国特許第5,939,090号明細書、米国特許第6,365,166号明細書、米国特許第6,245,776号明細書、および米国特許第6,486,168号明細書で述べられる。化合物は、抗原またはIRM化合物であるかにかかわらず、溶液、懸濁液、エマルジョンを含むが、これらに限定されるものではないあらゆる適切な形態、またはあらゆる形態の混合物中で提供されてもよい。化合物は、あらゆる薬剤的に許容可能な賦形剤、キャリア、またはビヒクルとの製剤中で送達されてもよい。さらに抗原−IRM組み合わせのIRM構成要素および抗原構成要素は、単一製剤中で共に提供されてもよく、または別々の製剤中で提供されてもよい。製剤は、例えばクリーム、軟膏、煙霧剤調合物、非煙霧剤スプレー、ゲル、ローションなどのあらゆる適切な剤形で送達されてもよい。製剤は、アジュバント、浸透促進剤、着色剤、香料、香味料、保湿剤、増粘剤などを含むが、これらに限定されるものではない、1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
製剤は、例えば口腔、鼻、または泌尿生殖器粘膜などの対象のあらゆる適切な粘膜表面に投与されてもよい。
粘膜ワクチン接種に適した製剤の組成物は、構成要素(すなわちIRM化合物および/または抗原)の物理的および化学的性質、キャリアの性質、意図される投与計画、対象の免疫系の状態(例えば抑制された、損なわれた、刺激された)、構成要素を投与する方法、および製剤が投与される生物種を含むが、これらに限定されるものではない技術分野で知られている因子に従って変動する。したがって全ての可能な用途について、粘膜ワクチン接種に効果的な製剤の組成物を普遍的に記述するのは実用的でない。しかし当業者はこのような因子を正当に考慮の上、適切な製剤を容易に判定できる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、例えば約0.0001%〜約10%(特に断りのない限り、本願明細書中で提供される全ての百分率は、全製剤に対する重量/重量である)の製剤中で、IRMを対象に投与するステップを含むが、いくつかの実施形態ではこの範囲外の濃度でIRM化合物を提供する製剤を使用して、IRM化合物を投与してもよい。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも約0.01%のIRM化合物、少なくとも約0.03%のIRM化合物、または少なくとも約0.1%のIRM化合物を含む製剤を対象に投与するステップを含む。その他の実施形態では、本方法は、約5%までのIRM化合物、約1%までのIRM化合物、または約0.5%までのIRM化合物を含む製剤を対象に投与するステップを含む。特定の一実施形態では、本方法は、少なくとも約0.1%のIRM化合物から約5%までのIRM化合物を含む製剤中でIRM化合物を投与するステップを含む。
いくつかの実施形態では、特定の病原体による感染の典型的なまたは予期される部位である粘膜表面に、製剤を投与してもよい。例えば呼吸病原体(例えばインフルエンザウィルス)に対して予防接種するために、粘膜ワクチン、または粘膜ワクチン構成要素を鼻粘膜に投与してもよい。代案としては、離れた粘膜部位で免疫応答を誘発するために、製剤を1つの粘膜表面に投与してもよい。例えば膣粘膜(例えばヘルペスウィルス)を通じて感染できる病原体に対して予防接種するために、製剤を鼻粘膜または口腔粘膜に投与してもよい。
粘膜ワクチン接種に有効なIRM化合物の量は、IRM化合物なしで抗原を投与することで生じる免疫応答と比べて、組み合わせ中の抗原に対する免疫応答を増大させるのに十分な量である。粘膜ワクチン中で投与されるIRM化合物の正確な量は、IRM化合物の物理的および化学的性質、キャリアの性質、意図される投与計画、対象の免疫系の状態(例えば抑制された、損なわれた、刺激された)、IRM化合物を投与する方法、および粘膜ワクチンが投与される生物種を含むが、これらに限定されるものではない技術分野で知られている因子に従って変動する。したがって全ての可能な用途について、粘膜ワクチン接種に有効なIRM化合物の量を成す量を普遍的に記述するのは実用的でない。しかし当業者はこのような因子を正当に考慮の上、適切な量を容易に判定できる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、十分なIRM化合物を投与して、例えば約100ng/kg〜約50mg/kgの用量を対象に提供するステップを含むが、いくつかの実施形態では、本方法は、IRM化合物をこの範囲外の用量で投与して実施されてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は十分なIRM化合物を投与して、例えば約3.75mg/kgの用量である、約10μg/kg〜約5mg/kgの用量を対象に提供するステップを含む。
投与計画は、IRM化合物の物理的および化学的性質、キャリアの性質、投与されるIRMの量、意図される投与計画、対象の免疫系の状態(例えば抑制された、損なわれた、刺激された)、IRM化合物を投与する方法、および粘膜ワクチンが投与される生物種を含むが、これらに限定されるものではない技術分野で知られている多くの因子に少なくともある程度左右される。したがって全ての可能な用途について、粘膜ワクチン接種に有効な投与計画を普遍的に記述するのは実用的でない。しかし当業者はこのような因子を正当に考慮の上、適切な投与計画を容易に判定できる。
いくつかの実施形態では、IRM化合物を例えば一定期間内(例えば毎日、毎週など)で単回から複数回投与で投与してもよい。特定の実施形態では、IRM化合物を単一回投与してもよい。その他の実施形態では、IRMを10年毎に約1回から、毎日複数回投与してもよい。例えばIRM化合物を少なくとも10年に1回、少なくとも5年に1回、または少なくとも2年に1回投与してもよい。その他の実施形態では、IRM化合物を例えば少なくとも毎年1回、少なくとも6ヶ月に1回、少なくとも毎月1回、少なくとも毎週1回、または少なくとも毎日1回投与してもよい。特定の一実施形態では、IRM化合物を毎月約1回から毎年約1回投与する。
本発明の方法はあらゆる適切な対象において実施されてもよい。適切な対象としては、これに限定されるものではない、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、またはウシなどの動物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
以下の実施例は、特徴、利点、およびその他の本発明の詳細をさらに詳しく例示するためにのみ選択されている。しかし実施例はこの目的を果たしながら、特定の材料および使用量ならびにその他の条件および詳細は、本発明の範囲を不当に制限しないものと明示的に理解される。
実施例で使用したIRM化合物を表1に示す。
実施例1
卵白アルブミン−IRM1抱合体を次のようにして調製した。IRM1をジメチルスルホキシド(DMSO)に10mg/mlに懸濁した。卵白アルブミンをリン酸緩衝食塩水(PBS)に10mg/mlに懸濁して、NaOHの添加によってpHを>10.0に調節した。12−ウェル組織培養プレートの単一ウェル内で、500μLの卵白アルブミン溶液(5mg卵白アルブミン)と100μLのIRM1溶液(1mg IRM1)とを混合した。プレートを氷の上にのせ、IRM1/卵白アルブミン混合物を含有するウェルにできるだけ近くなるように、長波長UV光源をプレートの上に直接にのせた。混合物を15分間照射した。得られた抱合体をウェルから取り出して、5mg/mLの卵白アルブミン、0.5mg/mLのIRM1の最終濃度でPBSに再懸濁し、PBS中で透析してあらゆる非抱合IRMを除去した。
卵白アルブミン−IRM1抱合体を次のようにして調製した。IRM1をジメチルスルホキシド(DMSO)に10mg/mlに懸濁した。卵白アルブミンをリン酸緩衝食塩水(PBS)に10mg/mlに懸濁して、NaOHの添加によってpHを>10.0に調節した。12−ウェル組織培養プレートの単一ウェル内で、500μLの卵白アルブミン溶液(5mg卵白アルブミン)と100μLのIRM1溶液(1mg IRM1)とを混合した。プレートを氷の上にのせ、IRM1/卵白アルブミン混合物を含有するウェルにできるだけ近くなるように、長波長UV光源をプレートの上に直接にのせた。混合物を15分間照射した。得られた抱合体をウェルから取り出して、5mg/mLの卵白アルブミン、0.5mg/mLのIRM1の最終濃度でPBSに再懸濁し、PBS中で透析してあらゆる非抱合IRMを除去した。
オレゴン州ユージーンのモレキュラー・プローブズ(Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR))からの細胞を安定様式で染色する蛍光性染料、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で、メイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリーズ(The Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME))からの鶏卵白アルブミン特異的CD8+T細胞(OT−I)を標識し、次にマサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からの同質遺伝子C57BL/6マウス中に養子導入した。次に0日目に、受容体マウスを鼻腔内(IN)または静脈内(IV)のいずれかで100μgの卵白アルブミン−IRM1抱合体で免疫化した。4日目にマウスを屠殺し、鼻関連リンパ様組織(NALT)、鼠径リンパ節(ILN)、頸部リンパ節(CLN)、および脾臓(Spl)を摘出した。マウスから採取した各組織をマサチューセッツ州ベッドフォードのBDバイオサイエンシズ(BD Biosciences(Bedford,MA))からの100μmナイロンスクリーンに通過させ、遠心分離してメインランド州ロックビルのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Inc.(Rockville,MD))からのフローサイトメトリー染色緩衝液に再懸濁した。次に細胞をカリフォルニア州サンディエゴのBDファーミンジェン(BD PharMingen(San Diego,CA))からのCD8−サイクロ(登録商標)ーム(cychrome)およびカリフォルニア州フラートンのベックマン・コールター(Beckman Coulter,Inc.(Fullerton,CA)からのSIINFEKL/Kb四量体−フィコエリセリン抗体で標識した。次に細胞をカリフォルニア州サンノゼのベクトン・ディッキンソン社(Becton,Dickinson,and Co.(San Jose,CA))からのファックスキャリバー(FACSCalibur)に通過させ、CD8+SIINFEKL/Kb四量体+T細胞をCFSE発現について分析した。
結果を次のように図1に示す。図1AにNALT、図1BにILN、図1CにCLN、および図1Dに脾臓。IRMと一緒の抗原の鼻腔内送達は、CFSEの進行性損失によって示されるように、全位置で細胞傷害性Tリンパ球の効果的な活性化をもたらす。
7日目に、OT−I細胞総数を鼻関連リンパ様組織(NALT)、頸部リンパ節(CLN)、および脾臓(Spl)で別々に計測した。OT−I細胞数は、全リンパ球(トリパンブルー排除)を計測し、OT−I+CD8+(フローサイトメトリー分析)の百分率を掛けて求めた。さらに7日目に、鼻粘膜中のOT−I細胞の百分率を求めた。結果を次のように図2に示す。図2AにNALT、図2BにCLN、図2Cに脾臓、および図2Dに鼻粘膜。
抗原にIRM1を加えた鼻腔内送達は、調べた全リンパ様組織において7日目に、静脈内送達よりも多くのOT−I細胞総数を発生させた。IRM1に抗原を加えた鼻腔内送達はまた、7日目に抗原単独よりも多くのOT−I細胞総数も発生させ、この経路を通じた抗原特異的T細胞活性化増強におけるIRMの劇的効果が示唆された。さらにワクチン接種の鼻腔内経路は、該当組織部位(鼻関連リンパ様組織(NALT)および鼻粘膜)により多数のOT−I細胞をもたらす。
実施例2
メイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリーズ(The Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME))からのOT−IマウスからのCD8+T細胞をマサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのC57BL/6マウスに養子導入した。メイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリーズ(The Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME))からのDO.11TCRマウスからのCD4+T細胞をマサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのBalb/cマウスに養子導入した。次に0日目にマウスを次のように経鼻腔的に免疫化した。IRM2あり(IRM2+Ag、75μgのIRM2/マウス)、またはIRM2なし(Ag単独)のいずれかで、1匹あたり100μgの全鶏卵白アルブミンでOT−I−導入C57BL/6マウスを免疫化した。IRM2あり(IRM2+Ag、75μgIRM2/マウス)またはIRM2なし(Ag単独)のいずれかで、1匹あたり100μgのOVAペプチド(ISQAVHAAHAEINEAGR)でDO.11−導入Balb/cマウスを免疫化した。
メイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリーズ(The Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME))からのOT−IマウスからのCD8+T細胞をマサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのC57BL/6マウスに養子導入した。メイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリーズ(The Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME))からのDO.11TCRマウスからのCD4+T細胞をマサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのBalb/cマウスに養子導入した。次に0日目にマウスを次のように経鼻腔的に免疫化した。IRM2あり(IRM2+Ag、75μgのIRM2/マウス)、またはIRM2なし(Ag単独)のいずれかで、1匹あたり100μgの全鶏卵白アルブミンでOT−I−導入C57BL/6マウスを免疫化した。IRM2あり(IRM2+Ag、75μgIRM2/マウス)またはIRM2なし(Ag単独)のいずれかで、1匹あたり100μgのOVAペプチド(ISQAVHAAHAEINEAGR)でDO.11−導入Balb/cマウスを免疫化した。
3日目に鼻関連リンパ様組織を摘出し、PBS単独と比べた各細胞数の増加倍数を判定した。SIINFEKL/Kb四量体を使用してCD8+OT−I細胞を検出し、カリフォルニア州バーリンゲームのカルタグ・ラボラトリーズ(Caltag Laboratories(Burlingame,CA))からのクロノタイプ抗体を使用してCD4+DO.11細胞を検出し、カリフォルニア州サンノゼのベクトン・ディッキンソン社(Becton,Dickinson,and Co.(San Jose,CA))からのファックスキャリバー(FACSCalibur)を使用して分析した。
結果を次のように図3に示す。図3AにCD8+OT−I増大、図3BにCD4+DO.11増大を示す。IRM/抗原組み合わせの鼻腔内免疫化は、抗原単独での鼻腔内免疫化よりも大きなCD8+T細胞およびCD4+T細胞双方の増大を誘発する。
実施例3
マサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのBalb/cマウスをミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(St.Louis,MO))からの50μgの全鶏卵白アルブミン(OVA)タンパク質と50μgのリン酸緩衝食塩水(PBS)中のIRM4によって、様々な経路で処置した。カリフォルニア州ハーキュリーズのバイオラッド・ラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratories,Inc.(Hercules,CA))からのバイオ−ビーズ(Bio−Beads)(カタログ番号152−3920)でOVAを洗浄し、内毒素を除去して、次にリン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁し、清浄な卵白アルブミンタンパク質を調製した。皮下(SC)注射、静脈内(IV)注射、筋肉内(IM)注射、皮内(ID)注射、鼻腔内点滴注入(IN)、皮内OVA注射と、OVA注射部位直上の10μLのIRM4クリームの局所的投与(ID+Top.)とによって、マウスをOVAおよびIRM4で処置し、または未処置のままにした(なし)。
マサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのBalb/cマウスをミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich(St.Louis,MO))からの50μgの全鶏卵白アルブミン(OVA)タンパク質と50μgのリン酸緩衝食塩水(PBS)中のIRM4によって、様々な経路で処置した。カリフォルニア州ハーキュリーズのバイオラッド・ラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratories,Inc.(Hercules,CA))からのバイオ−ビーズ(Bio−Beads)(カタログ番号152−3920)でOVAを洗浄し、内毒素を除去して、次にリン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁し、清浄な卵白アルブミンタンパク質を調製した。皮下(SC)注射、静脈内(IV)注射、筋肉内(IM)注射、皮内(ID)注射、鼻腔内点滴注入(IN)、皮内OVA注射と、OVA注射部位直上の10μLのIRM4クリームの局所的投与(ID+Top.)とによって、マウスをOVAおよびIRM4で処置し、または未処置のままにした(なし)。
21日目にマウスを屠殺し、1mL PBSの気管投与によって肺および鼻洗浄を実施し、心臓穿刺と細胞を除去する遠心分離によって血清を得た。血清を分析のために採取した。洗浄サンプルをOVA特異的IgAについてELISAで測定した。血清サンプルをOVA特異的IgG2aについてELISAで測定した。
ニューヨーク州コーニングのコーニング(Corning,Inc.(Corning,NY))からのコスター(Costar)EIR/RIA96ウェルプレート(カタログ番号3590)をPBS中20μg/mLの卵白アルブミン溶液によって100μL/ウェルでコーティングし、37℃で1〜2時間、または4℃で一晩インキュベートして、OVA特異的抗体ELISAを実施した。次にプレートをPBS溶液(洗浄緩衝液)中0.5%のトウィーン20で1回洗浄した。PBS溶液中1%のBSAを200μL/ウェルでウェルに入れて、37℃で1〜2時間、または4℃で一晩インキュベートした。次にプレートを洗浄緩衝液で2回洗浄した。PBS(希釈緩衝液)中0.2%のBSA、0.05%のトウィーン20中で、プレートを横切って未希釈洗浄サンプルから開始した3倍連続希釈、または1:10希釈血清サンプルから開始した20倍連続希釈を作成し、一晩4℃でインキュベートした。次にプレートを洗浄緩衝液で4回洗浄した。希釈緩衝液中1:2000希釈のアラバマ州バーミングハムのサザン・バイオテクノロジー・アソシエーツ(Southern Biotechnology Associates,Inc.(Birmingham,AL))からのヤギ抗−マウスIgG2aまたはサザン・バイオテクノロジー・アソシエーツ(Southern Biotechnology Associates,Inc.)からのヤギ抗−マウスIgAを100μL/ウェルでウェルに入れ、室温で1時間インキュベートした。次にプレートを洗浄緩衝液で4回洗浄し、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International(Camarillo,CA))からの安定化クロマジェン(chromagen)(カタログ番号SB02)を100μL/ウェルで充填して5分未満インキュベートし、次にバイオソース・インターナショナル(Biosource International)からの停止液(カタログ番号SS02)を50μL/ウェルで添加した。プレートをOD490で分光光度計によって読み取る。
結果を図4に示す。IRM/抗原組み合わせの鼻腔内投与のみが、肺粘膜(図4A)および鼻粘膜(図4B)において強力なIgA応答を生じさせた。鼻腔内をはじめとする全ての投与経路は、血液中に強力な強力なIgG2a応答を生じさせた(図4C)。
実施例4
0日目および7日目に、35μgのOVA単独で、またはPBS中の14μgのIRM3、IRM4、IRM5、IRM6、IRM7、IRM8、IRM9、IRM10、IRM11、またはIRM12との組み合わせで、チャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)からのBalb/cマウスを鼻腔内免疫化した。14日目にマウスを屠殺し、実施例3で述べられるようにして肺洗浄および血清採取を実施した。実施例3で述べられるようにして、サザン・バイオテクノロジー・アソシエーツ(Southern Biotechnology Associates,Inc.)からのOVA特異的IgAおよびIgG2bについて、肺洗浄および血清サンプルをそれぞれ分析した。
0日目および7日目に、35μgのOVA単独で、またはPBS中の14μgのIRM3、IRM4、IRM5、IRM6、IRM7、IRM8、IRM9、IRM10、IRM11、またはIRM12との組み合わせで、チャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)からのBalb/cマウスを鼻腔内免疫化した。14日目にマウスを屠殺し、実施例3で述べられるようにして肺洗浄および血清採取を実施した。実施例3で述べられるようにして、サザン・バイオテクノロジー・アソシエーツ(Southern Biotechnology Associates,Inc.)からのOVA特異的IgAおよびIgG2bについて、肺洗浄および血清サンプルをそれぞれ分析した。
結果を図5に示す。試験された全てのIRM化合物のIRM/抗原組み合わせは、抗原単独よりも大きなIgA(図5A)およびIgG2b(図5B)応答を提供した。
実施例5
GFP+/OT−I+C57BL6マウスのリンパ節からのリンパ球をC57BL6マウスに養子導入した。養子導入の1日後、35μgの卵白アルブミン単独、またはクエン酸緩衝食塩水(CBS)中14μgのIRM3、IRM4、IRM5、IRM6、IRM7、IRM8、IRM9、IRM10、IRM11、またはIRM12との組み合わせで、マウスを経鼻的に免疫化した。4日後マウスを屠殺し、流入領域リンパ節(DLN)および脾臓を摘出した。カリフォルニア州ヘイワードのグァバ・テクノロジー(Guava Technologies,Inc.(Hayward,CA))からのグアヴァ(Guava)PCA96を使用して、DLNリンパ球および脾細胞の総数を求めた。DLNリンパ球および脾細胞をプロピジウムヨウ素(PI)およびカリフォルニア州サンディエゴのBDファーミンジェン(BD PharMingen(San Diego,CA))からのマウス抗−CD8抗体で染色し、OT−I+/GFP+リンパ球の百分率をPI-CD8+/GFP+リンパ球でゲーティングしたフローサイトメトリーによって求めた。脾細胞総数をPI-OT−I+/GFP+リンパ球百分率で乗じて、OT−I+/GFP+リンパ球総数を求めた。
GFP+/OT−I+C57BL6マウスのリンパ節からのリンパ球をC57BL6マウスに養子導入した。養子導入の1日後、35μgの卵白アルブミン単独、またはクエン酸緩衝食塩水(CBS)中14μgのIRM3、IRM4、IRM5、IRM6、IRM7、IRM8、IRM9、IRM10、IRM11、またはIRM12との組み合わせで、マウスを経鼻的に免疫化した。4日後マウスを屠殺し、流入領域リンパ節(DLN)および脾臓を摘出した。カリフォルニア州ヘイワードのグァバ・テクノロジー(Guava Technologies,Inc.(Hayward,CA))からのグアヴァ(Guava)PCA96を使用して、DLNリンパ球および脾細胞の総数を求めた。DLNリンパ球および脾細胞をプロピジウムヨウ素(PI)およびカリフォルニア州サンディエゴのBDファーミンジェン(BD PharMingen(San Diego,CA))からのマウス抗−CD8抗体で染色し、OT−I+/GFP+リンパ球の百分率をPI-CD8+/GFP+リンパ球でゲーティングしたフローサイトメトリーによって求めた。脾細胞総数をPI-OT−I+/GFP+リンパ球百分率で乗じて、OT−I+/GFP+リンパ球総数を求めた。
結果を図6に示す。多くの異なるIRM化合物を用いるIRM/抗原組み合わせの鼻腔内投与は、DLN(図6A)および脾臓中に、抗原単独投与よりも多数の抗原特異的T細胞を提供した(図6B)。
実施例6
メイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリーズ(The Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME))からのOT−Iマウスからのリンパ球をマサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのC57BL/6マウスに養子導入した。実施例3で述べられるようにして、卵白アルブミンを洗浄した。養子導入の1日後、PBS単独の鼻腔内、または50μgの卵白アルブミンと50μgのPBS中IRM4の鼻腔内(IN)、静脈内(IV)、または皮下(SC)で、マウスを免疫化した。5ヶ月後、マウスを以前免疫化したのと同一様式で再度免疫化し、または再度免疫化しなかった。5ヶ月の免疫化の4日後にマウスを屠殺し、流入領域リンパ節(DLN)および鼻関連リンパ様組織(NALT)を採取した。
メイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリーズ(The Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME))からのOT−Iマウスからのリンパ球をマサチューセッツ州ウィルミントンのチャ−ルス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories(Wilmington,MA))からのC57BL/6マウスに養子導入した。実施例3で述べられるようにして、卵白アルブミンを洗浄した。養子導入の1日後、PBS単独の鼻腔内、または50μgの卵白アルブミンと50μgのPBS中IRM4の鼻腔内(IN)、静脈内(IV)、または皮下(SC)で、マウスを免疫化した。5ヶ月後、マウスを以前免疫化したのと同一様式で再度免疫化し、または再度免疫化しなかった。5ヶ月の免疫化の4日後にマウスを屠殺し、流入領域リンパ節(DLN)および鼻関連リンパ様組織(NALT)を採取した。
カリフォルニア州ヘイワードのグァバ・テクノロジー(Guava Technologies,Inc.(Hayward,CA))からのグアヴァ(Guava)PCA96を使用して、DLNリンパ球およびNALTリンパ球の総数を求めた。DLNリンパ球およびNALTリンパ球をプロピジウムヨウ素(PI)およびカリフォルニア州サンディエゴのBDファーミンジェン(BD PharMingen(San Diego,CA))からのマウス抗−CD8抗体で染色し、OT−I+/GFP+リンパ球の百分率をPI-CD8+/GFP+リンパ球でゲーティングしたフローサイトメトリーによって求めた。DLNリンパ球またはNALTリンパ球をDLNまたはNALT PI-OT−I+/GFP+リンパ球百分率で乗じて、OT−I+/GFP+リンパ球総数を求めた。
結果を次のように図7に示す。図7AにDLN。図7BにNALT。鼻腔内をはじめとする免疫化の全経路は、再免疫化時にDLN中にOT−I細胞数増大を引き起こした。さらに鼻腔内免疫化は再免疫化時にNALT中にOT−I細胞数増大を引き起こした。
特許、その中で引用される特許文献および公報の完全な開示は、参照によってその内容全体を個々に本願明細書に引用したものとする。矛盾がある場合、定義を含めて本願明細書が優先するものとする。
本発明の範囲と精神を逸脱することなく本発明の様々な修正と変更ができることは、当業者には明らかである。例示的な実施形態および実施例は例としてのみ提供され、本発明の範囲を限定することは意図されない。本発明の範囲は、以下に記述される特許請求の範囲によってのみ限定される。
Claims (21)
- 粘膜投与のために製剤されたIRM化合物、および
粘膜投与のために製剤された抗原
を含んでなる組み合わせ医薬品。 - 前記IRM化合物および前記抗原を含んでなる単一製剤を含んでなる、請求項1に記載の組み合わせ医薬品。
- 前記IRM化合物を含んでなる第1の製剤、および
前記抗原を含んでなる第2の製剤
を含んでなる、請求項1に記載の組み合わせ医薬品。 - 抗原をIRM化合物と組み合わせて対象の粘膜表面に有効量で投与して前記抗原に対する免疫応答を発生させるステップと、
IRM化合物を前記抗原と組み合わせて対象の粘膜表面に有効量で投与して抗原に対する免疫応答を発生させるステップと
を含んでなる前記対象を免疫化する方法。 - 抗原およびIRMが1つの製剤中で投与される、請求項4に記載の方法。
- 前記抗原が第1の製剤中で投与され、前記IRM化合物が第2の製剤中で投与される、請求項4に記載の方法。
- 前記抗原および前記IRM化合物が異なる部位に投与される、請求項6に記載の方法。
- 少なくとも1つの部位が鼻粘膜を含んでなる、請求項7に記載の方法。
- 少なくとも1つの部位が口腔粘膜を含んでなる、請求項7に記載の方法。
- 少なくとも1つの部位が胃腸粘膜を含んでなる、請求項7に記載の方法。
- 少なくとも1つの部位が泌尿生殖器粘膜を含んでなる、請求項7に記載の方法。
- 前記異なる部位が異なる粘膜表面である、請求項7に記載の方法。
- 前記IRM化合物が、前記抗原が投与される前に投与される、請求項6に記載の方法。
- 前記IRM化合物が、前記抗原が投与された後に投与される、請求項6に記載の方法。
- 前記抗原がタンパク質、ペプチド、生または不活性化細菌、生または不活性化ウィルス、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでなる、請求項4に記載の方法。
- 前記IRM化合物が五員環窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを含んでなる、請求項4に記載の方法。
- 少なくとも1回の前記抗原の追加的投与をさらに含んでなる、請求項4に記載の方法。
- 少なくとも1回の前記IRM化合物の追加的投与をさらに含んでなる、請求項4に記載の方法。
- IRM化合物の第1回の投与のIRM化合物が、IRM化合物の第2回の投与のIRM化合物と異なる、請求項18に記載の方法。
- 前記抗原に対する免疫応答がIgAの分泌を含んでなる、請求項4に記載の方法。
- 前記抗原に対する免疫応答が、粘膜組織中の抗原特異的T細胞の数または百分率が増大することを含んでなる、請求項4に記載の方法。
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