JP2008505612A - エリスロポエチン受容体に対する抗体およびこの使用 - Google Patents

エリスロポエチン受容体に対する抗体およびこの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化する抗体またはこの抗原結合部分に関する。本発明はまた、このような抗体または抗原結合部分をコードするアミノ酸配列に関する。本発明はさらに、前記抗体または抗原結合部分を使用して、哺乳動物においてエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法、治療方法、ならびに前記抗体または抗原結合部分を含む薬剤組成物に関する。

Description

エリスロポエチン(「Epo」)は、赤血球産生の主要な調節物質である糖タンパク質である。具体的には、Epoは、成熟赤血球を生み出す赤血球前駆体の成長、分化および生存の促進に関与する。エリスロポエチンは、血中および組織内の酸素濃度の変化に対応して、未成熟赤芽球の増殖および分化の双方を活性化すると思われる。これはまた、赤血球破裂形成単位および赤血球コロニー形成単位などの赤血球前駆細胞の分裂活性を高める成長因子としても機能する。これはまた、赤血球コロニー形成単位の前赤芽球への変換を始動させる(Erslev,A.,New Eng.J.Med.,316巻、101〜103頁(1987年)参照)。
Epoは、約34,000ダルトンの分子量を有し、アルファ、ベータ、アシアロの3形態で存在しうる。妊娠の中〜後期には、Epoは、胎児の肝臓において合成される。その後、Epoは、腎臓で合成され、血漿中にあって循環され、尿中に排せつされる。
ヒトの尿中のEpoが、単離され、精製されている(Miyake et al.,J.Biol.Chem.,252巻、5558頁(1977年)参照)。加えて、Epoをコードした遺伝子を同定し、クローン化しおよび発現させる方法(米国特許第4703008号参照)、さらに組換えEpoを細胞培地から精製する方法(米国特許第4667016号参照)が当技術分野において知られている。
Epoの活性は、エリスロポエチン受容体(EpoR)と呼ばれる細胞表面受容体の結合および活性化によって媒介される。Epo受容体は、サイトカイン受容体スーパーファミリーに属し、少なくとも2つの特異なポリペプチド、55〜72kDa種および85〜100kDa種を含むと考えられている(米国特許第6319499号、Mayeux et al.,J.Biol.Chem,266巻、23380頁(1991年)、McCaffery et al.,J.Biol.6319499、Mayeux et al.,J.Biol.Chem,266巻、23380頁(1991年)、McCaffery et al.,J.Biol.Chem.,264巻、10507頁(1991年)参照)。他の研究は、Epo受容体の、110、130および145kDaなどの分子量を有する、他のポリペプチド複合体を明らかにしている(米国特許第6319499号参照)。
マウスおよびヒト双方のEpo受容体のクローンが作られ発現させられている(D’Andrea et al.,Cell,57巻、277頁(1989年)、Jones et al.,Blood,76巻、31頁(1990頁)、Winkelmann et al.,Blood,76巻、24頁(1990年)、国際公開90/08822/米国特許第5278065号参照)。完全長ヒトEpo受容体は483個のアミノ酸からなる膜貫通タンパク質であり、約25個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを有する(米国特許第6319499号参照)。このヒト受容体は、マウス受容体と約82%のアミノ酸配列相同性を示す。同文献。
リガンドが存在しない場合は、Epo受容体はあらかじめ形成された二量体で存在する。Epoがこの受容体に結合すると、この細胞質ドメインが近接近して置かれるように、立体構造の変化が引き起こされる。完全には分かっていないが、この「二量体化」は、受容体の活性化においてある役割を果たすと思われている。Epo受容体の活性化は、いくつかの生物学的な効果を生じる。これらの活性には、増殖の刺激、分化の刺激、アポトーシスの抑制などがある(米国特許第6319499号、Liboi et al.,PNAS USA,90巻、11351頁(1993年)、Koury,Science,248巻、378頁(1990年)参照)。
Epo受容体の二量体化と活性化のこの関係は、Epo以外の化合物で(1)Epo受容体を二量体化させる、および(2)受容体を活性化させることが可能なもの(すなわち抗体など)を同定するために使用することができる。これらの化合物は、貧血を患っている哺乳動物を治療することおよび機能不全のEpo受容体を有する哺乳動物を同定することにおいて有用である。
本発明は、ヒトのエリスロポエチン受容体(EpoR)に特異的に結合し、これを活性化させる抗体、またはこの抗原結合部分を提供する。本発明の抗体は、EpoRに対して低い親和性で結合し、ヒトのエリスロポエチン受容体(EpoR)から速い解離速度で解離することが特徴である。抗体またはこの抗原結合部分は、全長(すなわちIgG2)であってもよくまたは抗体結合部分(すなわちF(ab’))だけを含んでいてもよい。好ましい一実施形態において、本発明の抗体は、約7nM以上のKでEpoRに結合する。より好ましい一実施形態において、抗体またはこの抗原結合部分は、約8.5nM以上のKでEpoRに結合する。さらにより好ましい一実施形態において、抗体またはこの抗原結合部分は、約20nM、最もこのましくは約32nMのKでEpoRに結合する。
より好ましい一実施形態において、抗体またはこの抗原結合部分は、表面プラズモン共鳴によって測定して約1.3×10−3−1の速度定数Koffで、より好ましくは約1.4×10−3−1以上の速度定数Koffで、より好ましくは約1.9×10−3−1以上の速度定数Koffで、さらにより好ましくは約4.8×10−3−1の速度定数KoffでEpoRから解離する。
抗体またはこの抗原結合部分は、モノクロナール抗体であってもよい。好ましい一実施形態において、抗体またはこの抗原結合部分は、アイソタイプIgG2である。
他の一実施形態において、本発明は、式I:
Figure 2008505612
のアミノ酸配列を有する重鎖の可変領域(HCVR)を含み、哺乳動物中のヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を刺激する抗体またはこの抗原結合部分に関する
[式中、Xは、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)およびアラニン(A)からなる群から選択され、Xは、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)、アラニン(A)、グルタミン(E)およびアスパラギン酸(D)からなる群から選択され、Xは、独立に、セリン(S)、グリシン(G)、グルタミン(E)およびスレオニン(T)からなる群から選択され、ただしX−X−XはY−Y−S以外である。]。好ましい一実施形態において、抗体またはこの抗原結合部分は、式1(式中、XはGであり、XおよびXは上で定義した通りである。)のアミノ酸配列を有するHCVRを含む。他の好ましい実施形態において、抗体またはこの抗原結合部分は、式1(式中、XはGであり、XおよびXは上で定義した通りであるか、またはXはEであり、XおよびXは上記で定義した通りであるか、またはXはGであり、XはGであり、Xは上記で定義した通りであるか、またはXはGであり、XはEであり、Xは上記で定義した通りである。)のアミノ酸配列を有するHCVRを含む。特に好ましい実施形態において、抗体またはこの抗原結合部分は、式1(式中、XはGであり、XはGであり、XはEであるか、またはXはAであり、XはGであり、XはTである。)のアミノ酸配列を有するHCVRを含む。他の好ましい実施形態は、(a)YIGGEGSTNYNPSLKS(配列番号19);(b)YIAGTGSTNYNPSLKS(配列番号20);(c)YIGYSGSTNYNPSLKS(配列番号21);(d)YIYGSGSTNYNPSLKS(配列番号22);(e)YIYYEGSTNYNPSLKS(配列番号23);(f)YIGGSGSTNYNPSLKS(配列番号24);(g)YIYGEGSTNYNPSLKS(配列番号25);および(h)YIGYEGSTNYNPSLKS(配列番号26)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗体またはこの抗原結合部分を包含する。
本発明のもう1つの態様は、哺乳動物中のヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法であって、前記哺乳動物に、治療上有効な量の本発明の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む方法に関する。
もう1つの態様において、本発明は、形成不全を患っている哺乳動物を治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、治療上有効な量の本発明の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む方法に関する。
もう1つの態様において、本発明は、貧血を患っている哺乳動物を治療する方法であって、治療を必要としている哺乳動物に、治療上有効な量の本発明の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む方法に関する。
もう1つの態様において、本発明は、治療上有効な量の本発明の抗体またはこの抗原結合部分および薬剤として許容される賦形剤を含む薬剤組成物に関する。
もう1つの態様において、本発明は、式I:
Figure 2008505612
のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離または精製されたポリヌクレオチド配列に関する
[式中、Xは、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)およびアラニン(A)からなる群から選択され、Xは、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)、アラニン(A)、グルタミン(E)およびアスパラギン酸(D)からなる群から選択され、Xは、独立に、セリン(S)、グリシン(G)、グルタミン(E)およびスレオニン(T)からなる群から選択され、ただしX−X−XはY−Y−S以外である。]。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、式I(式中、XはGであり、XおよびXは上記で定義した通りである。)のアミノ酸配列(配列番号18)を含むポリペプチドをコードする。他の好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、式I(式中、XはGであり、XおよびXは上で定義した通りであるか、またはXはEであり、XおよびXは上記で定義した通りであるか、またはXはGであり、XはGであり、Xは上記で定義した通りであるか、またはXはGであり、XはEであり、Xは上記で定義した通りである。)のアミノ酸配列(配列番号18)を有するHCVRを含むポリペプチドをコードする。特に好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、式1(式中、XはGであり、XはGであり、XはEであるか、またはXはAであり、XはGであり、XはTである。)のアミノ酸配列(配列番号18)を有するHCVRを含むポリペプチドをコードする。他の好ましい実施形態は、(a)YIGGEGSTNYNPSLKS(配列番号19);(b)YIAGTGSTNYNPSLKS(配列番号20);(c)YIGYSGSTNYNPSLKS(配列番号21);(d)YIYGSGSTNYNPSLKS(配列番号22);(e)YIYYEGSTNYNPSLKS(配列番号23);(f)YIGGSGSTNYNPSLKS(配列番号24);(g)YIYGEGSTNYNPSLKS(配列番号25);および(h)YIGYEGSTNYNPSLKS(配列番号26)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを包含する。
もう1つの態様において、本発明は、本明細書で説明したポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターに関する。本発明はまた、組換え発現ベクターを含む宿主細胞にも関する。好ましくは、宿主細胞は、真核細胞、哺乳類細胞、酵母細胞または細菌細胞である。より好ましくは、宿主細胞は、CHO細胞、COS細胞、またはHEK−293細胞である。
別の態様において、本発明は、本明細書において説明する前記ポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列に関する。
別の態様において、本発明は、新規の連結配列に関する。好ましい一実施形態において、新規の連結配列は、第1のポリペプチド配列と第2のポリペプチド配列とを接続して一本のポリペプチド鎖を形成し、前記第1のポリペプチド配列はリガンドを結合させることができ、前記第2のポリペプチド配列はリガンドを結合させることができ、前記連結配列は、
Figure 2008505612
からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含む。
本発明は、低い親和性、速い解離速度およびEpoRに対する活性化または作動薬活性を伴ってヒトエリスロポエチンに結合する、単離されたヒトの抗体またはこの抗原結合部分に関する。本発明の種々の態様は、抗体および抗体断片、ならびにこれらの医薬組成物、さらにはかかる抗体および抗体断片を作成するための核酸、組換え発現ベクターおよび宿主細胞に関する。本発明の抗体を、体外または体内で、エリスロポエチンの活性を刺激するために使用する方法も本発明の範囲内に含まれる。本明細書において別途に規定のない限り、本発明に関して使用する科学技術用語は、当業者が普通に解釈する意味を持つものとする。さらに、文脈により異なる必要がない限り、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数を含むものとする。本出願においては、「または」という用語の使用は、別途に記載のない限り、「および/または」を意味する。さらに、「包含している(including)」という用語は、「包含する」および「包含した」などの他の形態と同様に、限定的ではない。また、「要素(element)」または「成分(component)」などの用語は、別途に明確な記載のない限りは、1つの単位を含む要素および成分ならびに1つを超える副次的単位を含む要素および成分をこの範囲内に含む。
一般に、本明細書に記載する細胞および組織の培地、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質および核酸の化学、交配に関して使用する術語およびこれらの技法は、当技術分野において周知されており普通に使用されているものである。本発明の方法および技法は、別途に指摘しない限りは、一般に、当技術分野において周知の従来の方法によって、また種々の一般的な参考文献および本明細書を通じて引用し考察したより詳細な参考文献に記載されているように実行される。酵素反応および酵素精製の技法は、製造者の指示に従って、当技術分野において普通に完遂されているようにまたは本明細書に記載したように実行される。本明細書で記載した分析化学、有機合成化学、薬化学および製薬化学に関する術語およびこれらの実験手順と技法は当技術分野において周知であり普通に使用されているものである。化学合成、化学分析、製薬、処方、およびデリバリー(送達)、患者の治療には標準的な手法を使用する。
本明細書において言及するすべての要約、参考文献、特許および公開された特許出願は参照により本明細書に組み入れる。
本発明がさらに理解しやすくなるように、まずいくつかの用語を定義する。
本明細書で使用する「抗体」(本明細書では短縮してAb)という用語は、4つのポリペプチド鎖(2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖がジスルフィド結合によって相互接続されている)からなる免疫グロブリン分子のことを言うものとする。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では短縮してHCVRまたはVH)および重鎖定常領域(本明細書では短縮してCH)からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、CH3からなる。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では短縮してLCVRまたはVL)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH領域とVL領域は、さらに、(フレームワーク領域(FR)と名づけられた、より保存される領域によって散在させられた)相補性決定領域(CDR)と名づけられた超可変性の領域に再分割することができる。各VHおよびVLは、それぞれ3つのCDRおよび4つのFRから構成され、これらは次の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと並べられている、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(「J」と呼ばれることがある)。
さらに、「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、具体的にはモノクロナール抗体(完全長モノクロナール抗体を含む)、ポリクロナール抗体、多特異的抗体(例えば、二特異的抗体)、および抗体断片(所望の生物学的活性を示す限り)をこの範囲内に含む。
本明細書で使用する、Abの「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、特異的に抗原(例えば、ヒトEpoR)に結合する能力を保持している抗体の1つまたは複数の断片を言う。Abの抗原結合機能は、全長Abの断片によって発揮されうることが示されている。Abの「抗原結合部分」という用語の範囲内に含まれる結合性断片の例は、(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1のドメインからなる1価の断片、(ii)F(ab’)断片、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む2価の断片、(iii)VHおよびCH1のドメインからなるFd断片、(iv)Abの1本の枝のVLおよびVHのドメインからなるFv断片、(v)dAb断片(Ward et al.,(1989年)Nature 341巻、544〜546頁)、これはVHドメインからなる、および(vi)単離されたCDRである。さらに、Fv断片の2つのドメインVLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、これらは、組換え方法を使用して(VLおよびVH領域が対になって1価の分子を形成する単一のタンパク質鎖にされることを可能にする)合成のリンカーによって連結されることができる((単一鎖Fv(scFv)として知られている)例えば、Bird et al.(1988年)Science 242巻、423〜426頁、およびHuston et al.(1988年)Proc.Natl.Acad.Sci.参照。かかる単一鎖Abは、Abの「抗原結合部分」という用語の範囲内に含まれるものとする。他の形態の単一鎖抗体、例えばdiabodiesもこの範囲内に含まれる。Diabodiesは、2価で、二特異性の抗体であり、VHおよびVLのドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現されているが、短すぎるリンカーを使用しているので、同じ鎖上の2つのドメインは対をなすことができず、そのためにドメインは他の鎖の補足的なドメインと対にならざるをえなくなり、2つの抗原結合性サイトを作る(例えば、Holliger,P.,et al.(1993年)、Proc.Natl.Aca.Sci.USA 90巻、6444〜6448頁、Poljak,R.J.,et al.(1994年)Structure 2巻、1121〜1123頁参照)。
さらに、抗体またはこの抗原結合部分は、抗体または抗体部分と1つまたは複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合または非共有結合によって形成されたより大きい免疫接着分子の部分でありうる。このような免疫接着分子の例は、4量体のscFv分子を作るためのストレプトアビジン中核領域の使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1995年)Human Antibody and Hybridomas 6巻、93〜101頁)、および2価のビオチン化scFv分子を作るためのシステイン残基、マーカーペプチドおよびC−末端ポリヒスチジンタグの使用を包含する(Kipriyanov,S.M.,et al.(1994年)Molecular Immunology 31巻、1047〜1058頁)。Fab断片およびF(ab’)断片などの抗体部分は、全抗体から全抗体のそれぞれパパイン消化またはペプシン消化などの従来の技法を使用して調製することができる。さらに、Ab、Ab部分および免疫接着分子は、本明細書に記載されているように標準的な組換えDNA技法を使用して得ることができる。
本明細書で使用する「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列から得た可変領域および定常領域を有する抗体を包含するものとする。本発明のヒト抗体はヒト生殖細胞免疫グロブリン配列(例えば、インビトロのランダムまたはサイト特異性の変異誘発によってまたはインビボの体細胞変異によって導入された変異)によってコードされていないアミノ酸残基を、例えば、CDR中におよび特にCDR2中に包含してもよい。ただし、本明細書で使用する「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの他の哺乳動物種の生殖細胞株から得たCDR配列がヒトのフレームワーク配列上にグラフトされた抗体を包含するものとはしない。
本明細書で使用する「組換え抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作成または単離されたすべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトした組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(下記のII節においてさらに説明する)、組換え体から単離された抗体、組合せヒト抗体ライブラリー(Hoogenboom H.R.,(1997年)TIB Tech.15巻、62〜70頁、Azzazy H.,and Highsmith W.E.,(2002年)Clin.Biochem.35巻、425〜445頁、Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.(2002年)BioTechniques 29巻、128〜145頁、Hoogenboom H.,and Chames P.(2000年)Immunology Today 21巻、371〜378頁)、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入した動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.,et al.(1992年)Nucl.Acids Res.20巻、6287〜6295頁、Kellermann S.A.,and Green L.L.(2002)Current Opinion in Biotechnology 13巻、593〜597頁、Little M.et al.(2000年)Immunology Today 21巻、364〜370頁参照)、または免疫グロブリン遺伝子を他のDNA配列に挿入することを伴うあらゆる他の方法によって調製、発現、作成または単離された抗体を包含するものとする。かかる組換え抗体は、ヒト生殖細胞株の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および/または定常領域を有する。しかし、ある実施形態において、このような組換え抗体はインビトロの変異(または、ヒトIg配列を導入した動物を使用する場合は、インビボの体細胞変異)を起こしやすく、したがって組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、生殖細胞株のVHおよびVL配列から誘導され、これらと関連してはいるが、自然にはインビボの生殖細胞系抗体のレパートリーの中には存在していない可能性のある配列である。
本明細書で使用する「単離された抗体」とは、抗体としての特異性が異なる他の抗体を実質的に含まない抗体を言うものとする(例えば、EpoRに特異的に結合する単離された抗体は、EpoR以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。)。しかし、EpoRに特異的に結合する単離された抗体は、他の種からのEpoRなどの他の抗原に対して交差反応性を有する可能性がある。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない可能性もある。
「活性化抗体または作動性抗体」または「活性化させる抗体」または「活性化能力または作動薬的能力」を有する抗体は、このEpoRへの結合の結果としてEpoRの生物学的作用の刺激または活性化に至る抗体のことを言わんとするものである。この生物学的作用は、EpoRの生物学的作用の1つまたは複数の指標(Epo応答性細胞系の抗体に誘発される増殖、網状赤血球数および/またはヘマトクリットのパーセントおよび/またはEpo受容体に結合している抗体のパーセントの抗体に誘発される変化などが含まれるが、これらだけには限定されない)を測定することによって評価することができる。これらのEpoRの生物学的作用の指標は、当業者には周知のいくつかの標準的なインビトロまたはインビボ分析の1つまたは複数によって評価することができる。
「キメラ抗体」という用語は、1つの種からの重鎖および軽鎖の可変領域配列および他の1つの種からの定常領域配列を含む抗体、例えば、ヒトの定常領域に連結したマウスの重鎖および軽鎖可変領域を有する抗体のことを言う。
「CDRグラフト抗体」は、1つの種からの重鎖および軽鎖の可変領域を含むが、この中でVHおよび/またはVLの1つまたは複数のCDR領域の配列が、他の1つの種のCDR配列で置き換えられた抗体、例えば、1つまたは複数のマウスCDR(例えば、CDR3)がヒトCDR配列で置き換えられているマウス重鎖および軽鎖の可変領域を有する抗体のことを言う。
「ヒト化抗体」という用語は、ヒト以外の種(例えば、マウス)からの重鎖および軽鎖の可変領域配列を含むが、この中でVHおよび/またはVL配列の少なくとも一部分が、より「ヒトに近い」、すなわちよりヒト生殖細胞系列の可変配列に似ているように変更されている抗体を言う。ヒト化抗体の1つの種類は、CDRでグラフトした抗体であり、この中でヒトCDR配列が、ヒト以外のVHおよびVLの配列中に導入されて対応するヒト以外のCDR配列に置き代わっているものである。キメラ抗体、CDRグラフト抗体およびヒト化抗体を作成する手段は、当業者には知られている(例えば、米国特許第4816567号および米国特許第5225539号参照)。ヒト抗体を作製する1つの方法は、遺伝子組換えマウスなどの遺伝子組換え動物を使用する。遺伝子組換え動物はかなりの部分のヒト抗体生産遺伝子が動物自身の遺伝子中に挿入され、動物自身の体内抗体生産は、抗体生産不足にされる。かかる遺伝子組換え動物を作製する方法は、当技術分野において知られている。かかる遺伝子組換え動物は、XenoMouse(登録商標)を使用して、または「ミニローカス(minilocus)」法を使用することによって作製することができる。Xenomice(商標)を作製する方法は、米国特許第6162963号、米国特許第6150584号、米国特許第6114598号および米国特許第6075181号に記載されている。「ミニローカス」法を使用して遺伝子組換え動物を作製する方法は、米国特許第5545807号、米国特許第5545806号および米国特許第5625825号に記載されている。国際公開93/12227号をも参照されたい。
本明細書で使用する「表面プラズモン共鳴」という用語は、リアルタイムの生体特異性相互作用の(バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を、例えば、BIAcore装置(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,New Jersey)を使用して、検出することによる)解析を可能にする光学現象を言う。さらなる説明については、実施例8およびJonsson,U.,et al.(1993年)Ann.Biol Clin.51巻、19〜26頁、Jonsson,U et al.(1991年)Biotechniques 11巻、620〜627頁、Johnsson,B.et al.(1995年)J.Mol.Recognit.8巻、125〜131頁、およびJohnsson,B.et al.(1991年)Anal.Biochem.198巻、268〜277頁を参照されたい。
本明細書で使用する「Koff」という用語は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離に関する解離速度定数を言う。
本明細書で使用する「Kon」という用語は、抗体の抗原に対する会合定数を言う。
本明細書で使用する「K」という用語は、特定の抗体−抗原相互作用の解離定数を言う。Kは、次の方程式によって得ることができる、K(M)=Koff(1/s)/Kon(1/M・s)。
本明細書で使用する「ポリペプチド」という用語は、すべてのアミノ酸重合体鎖を言う。
「ペプチド」と「タンパク質」はポリぺプチドという用語と交互に使用され、同じくアミノ酸重合体鎖を言う。「ポリペプチド」という用語は、天然または人工のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質配列のポリペプチド類似体をこの範囲内に含む。ポリペプチドは、単量体または重合体でありうる。
「単離されたタンパク質」または「単離されたポリペプチド」は、その起源または取得源の故に自然に得られた状態で同伴している天然に付随する成分を伴わないタンパク質またはポリペプチドであり、実質的に同じ種の他のタンパク質を含まず、異なる種からの細胞によって発現されるか、または自然界には存在しない。したがって、化学的に合成されたか、またはこれがそこから天然に発生する細胞とは異なる細胞系において合成されたポリペプチドは、この天然に付随している成分から「単離」されている。タンパク質は、当技術分野において周知のタンパク質精製技法を使用する単離によっても、実質的に天然に付随する成分を含まないようにすることができる。
本明細書で使用する「取り出し(recovering)」は、例えば当技術分野において周知のタンパク質精製技法を使用する単離によって、ポリペプチドなどの化学種を、天然に付随している化合物を含まないようにする工程を言う。
本明細書で使用する「EpoRの内因活性」という用語は、天然のリガンドが結合した結果として生じる、エリスロポエチン受容体のどれでもすべての固有の生物学的性質を言う。EpoRの生物学的性質は、造血細胞の生存、分化および増殖、赤血球産生の増加およびインビボヘマトクリットの増加を包含するが、これらだけには限定されない。
本明細書で使用する「特異的結合」または「特異的に結合すること」という用語は、抗体、タンパク質、またはペプチドと第2の化学種との相互作用に関して、この相互作用がこの化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基すなわちエピトープ)の存在に依存することを意味し、例えば、抗体は、たんぱく質全体ではなく、特定のたんぱく質構造を認識し、結合する。抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合は、標識「A」と抗体を含有している反応におけるエピトープA含有分子(または遊離の非標識A)の存在は、抗体に結合された標識Aの量を減少させる。
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体と特異的に結合する能力のあるポリペプチドをどれでも包含する。ある実施形態においては、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、またはスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面配置を包含し、また、ある実施形態においては、特定の3次元構造上の特徴および/または特定の電荷上の特徴を有することもある。エピトープは、抗体が結合する抗原の領域である。ある実施形態においては、抗体は、タンパク質および/または高分子の複雑な混合物中の自分の標的抗原を優先的に認識したときに抗原を特異的に拘束すると言われている。
本明細書で言う「ポリヌクレオチド」という用語は、2つ以上のヌクレオチドの重合体を意味し、ヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドあるいはこれらの種類のいずれかの改変形態である。この用語は、DNAの一本鎖および二重鎖の形態を包含するが、好ましくは二重鎖DNAである。
本明細書で使用する「単離されたポリヌクレオチド」という用語は、この起源の故に「単離されたヌクレオチド」が、自然界でこの「単離されたヌクレオチド」が伴って見出されるポリヌクレオチドの全体または部分を随伴していないポリヌクレオチド(例えば、ゲノムの、cDNAの、または合成起源のもの、またはこれらの何らかの組合せ)を意味するものとし、自然界では連結されていないポリヌクレオチドと動作可能に連結されており、または自然界ではより大きい配列の一部分としては存在しない。
本明細書で使用する「ベクター」という用語は、それまで自分に連結されていた他の1つの核酸を輸送する能力のある核酸分子を言うものとする。ベクターの1つの種類は「プラスミド」であり、これは付加的なDNA配列がこの中にライゲートされうる環状の二重鎖DNAループを言う。他の1種のベクターは、ウイルスベクターであり、これにおいては追加のDNAがウイルスゲノムの中にライゲートされていてもよい。ある種のベクターは、これがその中に導入された宿主細胞中で自己複製する能力がある(例えば、複製の細菌起源を有する細菌ベクターおよびエピソーム性哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳類ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムと一体化されることが可能であり、それによって宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、ある種のベクターは、これが動作可能に連結されている遺伝子の発現を指図する能力がある。本明細書では、かかるベクターは「組換え発現ベクター」(または、略して「発現ベクター」)と呼ぶ。一般に、組換えDNA技法で有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。プラスミドは最も一般的に使用されるベクターであるので、本明細書においては、「プラスミド」および「ベクター」は、互換的に(同じ意味で)使用してよい。しかし、本発明は、ウイルスベクター(例えば、複写欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)などの等価な機能を果たす他の形態の発現ベクターを包含することを意図している。
本明細書で使用する「組換え宿主細胞」(または短縮して「宿主細胞」)は、この中にベクター(例えば、プラスミド、組換え発現ベクター)が導入されている細胞を言うものとする。これらの用語は、特にこの対象細胞だけではなく、後継世代の子孫をも言うことを理解するべきである。変異または環境の影響のいずれかが原因で、かかる子孫は、実際には親細胞と同一ではないこともあるが、それでも本明細書で使用するときは、「宿主細胞」という用語の範囲内に包含される。
「リガンド」という用語は、ポリペプチドに結合する能力のある化学物質部分を言う。好ましくは、リガンドは抗体である。抗体は1つまたは複数のエピトープを持っていてもよい。第1のポリペプチド配列に対するリガンドと第2のポリペプチド配列に対するリガンドは同じであっても異なっていてもよい。
「連結配列」は、2つ以上のポリペプチド配列を接続するペプチド配列である。「接続する」という用語は、ポリペプチド配列をつなぎ合わせることを言う。ポリペプチド配列は、好ましくはペプチド結合によってつなぎ合わせる。
I.ヒトEpoRに結合する抗体
本発明は、ヒトEpoRに、低い親和性、速い脱離速度およびEpoRに対する活性化または作動薬能力を伴って結合する、単離された抗体またはこの抗原結合部分を提供する。好ましくは、本発明の抗体は、ヒト抗EpoR抗体を活性化する組換え体である。より好ましくは、抗体またはこの抗原結合部分はまた、ヒトEpoRに速い会合速度で結合する。さらにより好ましくは、抗体はEpoと類似のまたは同等の有効性を有する。本発明の抗体を活性化させる最も好ましい組換え体は、本明細書ではAb12.6と称する。すべてがEpoRの抗体を活性化するAb12.6およびAb12.6関連抗体の結合特性は、下記の実施例8にまとめられている。
抗EpoR抗体、および関連抗体は、いくつかのインビトロおよびインビボ分析によって評価して、EpoRの生物学的作用を活性化する強い能力を示す(実施例9〜13参照)。例えば、これらの抗体は、UT−7/Epo細胞中のEpoRを活性化して、EC50値を約0.34nM〜1.345nMの範囲内にする。Ab12.6は、UT−7/Epo細胞中のEpoRを活性化して、EC50値を0.58nMにする。さらに、本発明の抗体の活性化能力は、抗体がFab、F(ab’)またはscFv断片として発現されたときにも維持される。さらに、かかる抗体は、ヒトEpoRを発現している哺乳類のヘマトクリット%の増加を誘起する。
Ab12.6およびこの変異体の結合特異性に関して、この抗体は、ヒトEpoRに対して可溶性EpoRおよび膜貫通EpoRを包含する種々の形態で結合する。Ab12.6もこの変異体も他のサイトカイン受容体に対して特異的に結合することはない。
1つの態様において、本発明は、Ab12.6抗体および抗体部分、Ab12.6関連の抗体および抗体部分、および速い解離動力学を伴うEpoRに対する親和性の低い結合およびEpoRに対する活性化または作動薬作用などのAb12.6と同等の性質を有する他の抗体および抗体部分に関する。一実施形態において、本発明は、表面プラズモン共鳴によって決定しうる約1.3×10−3−1より大きいKoff速度定数でヒトEpoRから解離する、単離された抗体、またはこの抗原結合部分を提供する。当技術分野においては、機器の差異および実験の計画に基づいて、EC50、KoffおよびKon値の計算においてある程度の変動(例えば、±20%まで)が起こりうることは理解されている。通常、かかる測定は、変動を最小限に抑えるために、2つまたは3つの試料を使用して実行される。加えて、かかる抗体または抗原結合部分は、標準的なインビトロ増殖試験によって明らかにされているように、ヒトEpoRを活性化させるのに足る仕方で結合する。
より好ましくは、単離抗体、またはこの抗原結合部分は、約1.3×10−3−1以上の解離速度(Koff)で、好ましくは約1.4×10−3−1以上のKoffで、より好ましくは約1.5×10−3−1以上のKoffで、より好ましくは約1.6×10−3−1以上のKoffで、より好ましくは約1.7×10−3−1以上のKoffで、より好ましくは約1.8×10−3−1以上のKoffで、なおさら好ましくは約1.9×10−3−1以上のKoffで、ヒトEpoRから解離する。特に好ましい実施形態では、単離ヒト抗体またはこの抗原結合部分は、約4.8×10−3−1以上のKoffで、ヒトEpoRから解離する。なおさら好ましくは、単離ヒト抗体またはこの抗原結合部分は、少なくとも1.9×10−3−1または少なくとも4.8×10−3−1の解離速度で、ヒトEpoRから解離する。
他の1つの実施形態においては、かかる抗体またはこの抗体結合部分は、約7nM以上の速度定数Kで、より好ましくは7〜32nM(32を含む)の速度定数Kで、ヒトEpoRと会合する。より好ましくは、抗体またはこの抗体結合部分は、7nM〜32nM(32を含む)の速度定数Kで、ヒトEpoRと会合する。Kは、速度定数KoffおよびKonから計算することができ、これらの速度定数は表面プラズモン共鳴または当業者には周知の他の方法によって求めることができる。より好ましい一実施形態においては、抗体またはこの抗原結合部分は、約1.9×10−3−1のKoffおよび約20nMのKでヒトEpoRから解離する。好ましい一実施形態においては、抗体またはこの抗原結合部分は、約4.8×10−3−1のKoffおよび約32nMのKでヒトEpoRから解離する。最も好ましい実施形態においては、抗体またはこの抗原結合部分は、少なくとも1.9×10−3−1のKoffおよび少なくとも20nMのKでヒトEpoRから解離する。好ましい一実施形態においては、抗体またはこの抗原結合部分は、少なくとも4.8×10−3−1のKoffおよび少なくとも32nMのKでヒトEpoRから解離する。
より好ましくは、単離抗体またはこの抗原結合部分は、例えばF36EまたはUT−7/Epoなどのヒト赤白血病細胞株を使用する標準的なインビトロ増殖試験において、ヒトEpoRを活性化する。好ましい一実施形態においては、抗体は、単離ヒト組換え抗体、またはこの抗原結合部分である。
およびKoffを求めるための表面プラズモン共鳴分析は、当業者には周知であり、本明細書に記載されているように実行することができる(実施例8参照)。細胞増殖を求める標準的インビトロ試験は実施例9に記載されている。ヒト組換え抗体で、前述の動力学および活性化基準を満たすか、満たすと予測されているものの例は、以下の[VH/VL]対を有する抗体を含み、この配列は図7および8に示されている。配列番号15/配列番号17、配列番号7/配列番号17、配列番号8/配列番号17、配列番号9/配列番号17、配列番号10/配列番号17、配列番号11/配列番号17、配列番号12/配列番号17、配列番号13/配列番号17、および配列番号14/配列番号17。
他の1つの態様において、本発明は、式I:
Figure 2008505612
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むAb12.6およびAb12.6関連(すなわち変異体)抗体に関する
[式中、
は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)およびアラニン(A)からなる群から選択され、
は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)、アラニン(A)、グルタミン(E)およびアスパラギン酸(D)からなる群から選択され、
は、独立に、セリン(S)、グリシン(G)、グルタミン(E)およびスレオニン(T)からなる群から選択され、
ただし、X−X−XはY−Y−S以外である。]。好ましい一実施形態においては、Ab12.6およびAb12.6関連抗体は、図8に示した重鎖CDR2配列を含む。より好ましい一実施形態においては、Ab12.6およびAb12.6関連抗体は、図8に示したVH配列を含む。なおさら好ましい実施形態においては、Ab12.6およびAb12.6関連抗体は、さらに図9に示したVL配列を含む。
II.抗体の発現
本発明の抗体、または抗体部分は、宿主細胞中の免疫グロブリン軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子の組換え体発現によって調製することができる。組換えによって抗体を発現させるためには、宿主細胞に、抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNA断片を保持している組換え発現ベクターの1種または複数をトランスフェクトし、軽鎖および重鎖が宿主細胞中で発現し、好ましくは(宿主細胞が培養体である)倍地中へ分泌され、その培地から抗体が取り出せるようにする。標準的な組換えDNAの方法を使用して抗体の重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組み込み、このベクターを宿主細胞に導入する。例えばSambrook,Fritsch and Maniatis(eds),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,New Your,(1989年)、Ausubel,F.M.et al;(eds.))Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1989年)およびBossらの米国特許第4816397号に記載されているもの。
本発明の抗EpoR抗体を発現させるためには、まず重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNA断片を得る。このDNAは、生殖細胞株および重鎖可変配列を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用し本明細書に記載されているように、増幅し、改変することによって得ることができる。Ab12.6またはAb12.6関連抗体を発現させるためには、まず重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNA断片を得る。これらのDNAは、生殖細胞株および重鎖可変配列を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅し、改変することによって得ることができる。ヒト重差および軽鎖の改変領域遺伝子に対する生殖細胞系列のDNA配列は、当技術分野において知られている(以下の文献も参照されたい:Kabat,E.A.,et al.(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242、Tomlinson,I.M.et al.(1992年)「The Repertoire of Human Germline V Sequence Reveals about Fifty Groups of V body portion of the invention can be functionally linked(by Segments with Different Hypervariable Loops)」J.Mol.Biol.227巻、776〜798頁、およびCox,J.P.L.et al.(1994年)「A Directory of Human Germ−line V78 Segments Reveals a Strong Bias in their Usage」Eur.J.Immunol.24巻、827〜836頁、これらの内容を参照により明示的に本明細書に組み入れる。)。Ab12.6、またはAb12.6関連抗体の重鎖可変領域をコードしているDNA断片を得るためには、VH4−59ヒト生殖細胞株の配列を標準的PCRによって増幅する。加えて、Vк1ファミリーのA30生殖細胞株の配列を標準的PCRによって増幅する。Vк1ファミリーのVH4−59生殖細胞株の配列およびA30生殖細胞株の配列の増幅において使用するのに適当なPCRプライマーは、上記で引用した参考文献において開示されているヌクレオチド配列に基づいて、標準的な方法を使用して設計することができる。
あるいは、DNAは、Ab12を発現する細胞株から得て、Ab12.6およびAb12.6類似の抗体を産生するための、当技術分野において周知の方法(部位指定変異誘発など)によって改変することができる。Ab12抗体を発現する1つの細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Boulevard,Manassas,Virginia 20110、へブダペスト条約の条項に従って2003年9月30日に寄託され、受け入れ番号PTA−5554が与えられた。この寄託は、当業者の便宜のために提供するものであり、本発明を実行するためにかかる寄託が要求されるのでもなく、等価な実施形態が、本開示を考慮して、当技術分野の範囲内に入らないということでもない。この寄託が一般に利用可能であるということは、本発明または他のいかなる特許の下においても、この寄託材料の産生、使用または販売の許諾を供与するものではない。寄託された材料の核酸配列は、参照により本開示に組み入れられており、本明細書に記載されたいかなる配列に関してでも紛争がある場合にはこれを統制する。
生殖細胞株またはAb12 VHおよびVLの断片が得られたら、これらの配列を、本明細書で開示されたAb12.6またはAb12.6関連のアミノ酸配列をコードするために、変異させることができる。生殖細胞株またはAb12 VHおよびVL DNAの配列によってコードされたアミノ酸配列は、まずAb12.6またはAb12.6関連VHおよびVLのアミノ酸配列と比較してAb12.6またはAb12.6関連アミノ酸配列中の異なっているアミノ酸残基を同定する。生殖細胞株またはAb12 DNA配列の適切なヌクレオチドを変異させて(どのヌクレオチド変化を起こさせるかべきかを決めるために遺伝子コードを使用して)、変異した配列がAb12.6またはAb12.6関連のアミノ酸配列をコードするようにする。生殖細胞株またはAb12配列の変異誘発は、PCR媒介変異誘発(変異させたヌクレオチドをPCRプライマー中に配合してPCR産生物が変異を含むようにする)または部位指定変異誘発などの標準的な方法によって行う。
Ab12.6またはAb12.6関連のVHおよびVLセグメントをコードするDNA断片が得られたら(上で述べたようにVHおよびVL遺伝子の増幅および変異誘発によって)、これらのDNA断片を、さらに標準的な組換えDNA技法、例えば可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子に変換することによって操作してFab断片遺伝子またはscFv遺伝子にすることができる。これらの操作においては、VLまたはVHをコードするDNA断片が、抗体定常領域またはフレキシブルリンカーなどの他のタンパク質をコードする他のDNA断片に、動作可能に連結される。本明細書で使用する「動作可能に連結される」という用語は、2つのDNA断片が、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列が変わらないで残るように連結されることを意味するものとする。
代わりの方法においては、scFv遺伝子が、野生型のCDR領域(例えば、Ab12の)によって構成されていてもよく、それ故に下記の実施例3に記載した仕方で変異誘発される。
VH領域をコードする単離DNAは、VHをコードするDNAを重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする他の1つのDNA分子と動作可能に連結することによって、全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野において知られている(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242参照)。本発明はさらに、すべての知られているヒト重鎖定常領域を包含し、ヒト重鎖定常領域のすべての知られているアロタイプを包含するが、これらだけには限定されない。これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域でありうるが、最も好ましくはIgG2定常領域である。Fab断片重鎖については、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域だけをコードする他のDNA分子に、動作可能に連結することができる。
VL領域をコードする単離DNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域、CLをコードする他のDNA分子と動作可能に連結することによって、全長軽鎖遺伝子に変換することができる(Fab軽鎖遺伝子と同様に)。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当技術分野において知られている(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242参照)。本発明はすべての知られているヒト軽鎖定常領域を包含するが、すべての知られているヒト軽鎖定常領域のアロタイプだけには限定されない。これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、カッパー定常領域またはラムダ定常領域でありうるが、最も好ましくはカッパー定常領域である。
特定の重鎖または軽鎖可変領域内のFRおよびCDR領域の特定の記号は、慣習またはかかる領域を識別するための付番方式に応じて変化することを理解されたい(例えば、Chothia,Kabat,Oxford Molecular’s AbM modeling software、このすべては当業者には知られている。しかし、このような記号は本発明にとって特に重要ではない。
scFv遺伝子を創出するためには、VHおよびVLをコードするDNA断片を、フレキシブルリンカーをコードする(例えば、アミノ酸配列GENKVEYAPALMALS(配列番号2)をコードする)他の断片と動作可能に連結して、VHおよびVL配列が、隣接する一本鎖のタンパク質として発現され、VL領域とVH領域は、例えば、第2のフレキシブルリンカーGPAKELTPLKEAKVS(配列番号3)によって連結されるようにする。他のリンカーの配列については、例えば、Bird et al.(1988年)Science 242巻、423〜426頁、Huston et al.(1988年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85巻、5879〜5883頁およびMcCafferty et al.,Nature(1990年)348巻、552〜554頁も参照されたい。
本発明の抗体または抗体部分を発現させるためには、上記のように得られたDNAの、コードする(部分または全長の)軽鎖および重鎖を、遺伝子が動作可能に転写制御配列および翻訳制御配列に連結されるように、発現ベクターに挿入する。この文脈において、「動作可能に連結される」という用語は、抗体遺伝子は(ベクター内の転写制御配列および翻訳制御配列が、意図する抗体遺伝子の転写を調節する能力および翻訳を調節する能力を発揮するように)ベクター内にライゲーションされることを意味するものとする。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用する発現宿主細胞に適合するように選択する。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、別々のベクターに挿入することができるか、またはより通常には、双方の遺伝子を同じ発現ベクターに挿入する。抗体遺伝子は、標準的な方法によって(例えば、抗体遺伝子断片上の相補的な制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合は平滑末端ライゲーション)発現ベクター中へ挿入される。Ab12.6またはAb12.6関連の軽鎖配列または重鎖配列を挿入する前に、発現ベクターがすでに抗体定常領域配列を持っていることがある。例えば、Ab12.6またはAb12.6関連のVHおよびVL配列を全長抗体遺伝子に転化させる1つの方法は、これらを、すでに重鎖定常領域および軽鎖定常領域をそれぞれコードする発現ベクター中へ挿入して、VHセグメントが動作可能にベクター内のCL「セグメント」に連結され、VLセグメントは動作可能にベクター内のCLセグメントに連結されるようにすることである。さらにまたは代わりに、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進させるシグナルペプチドをコードすることができる。この抗体鎖遺伝子は、このシグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端の枠内に連結されるように、ベクター中へクローン化することができる。この単一のペプチドが、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種のシグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)でありうる。
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中の抗体鎖の発現を制御する調節配列を持っている。「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサーおよび抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御する他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。かかる調節配列は、例えば、Goeddel;Gene Expression Technology.Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990年)に記載されている。発現ベクターの設計は、調節配列の選択を含めて、転換させる宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存しうることを、当業者は正しく理解するであろう。哺乳類宿主細胞の発現のための好ましい調節配列は、サイトメガロウイルス(CMV)から得られるプロモーターおよび/またはエンハンサー(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、メジャーレートプロモーター(AdMLP))およびポリオーマなどの哺乳類細胞中において高いレベルのタンパク質発現を導くウイルス要素を包含する。ウイルス調節要素、およびこれらの配列に関するこれ以上の説明については、例えば、Stinskiによる米国特許第5168062号、Bellらによる米国特許第4510245号およびSchaffnerらによる米国特許第4968615号を参照されたい。
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中のベクター(例えば、複製起点)の複製を調節する配列などの、追加の配列および選択可能なマーカー遺伝子を持つこともある。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進する(すべてAxelらによる米国特許第4399216号、米国特許第4634665号および米国特許第5179017号参照)。例えば、通常、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞にG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなどの薬物に対する抵抗性を与える。好ましい選択可能なマーカー遺伝子は、G418選択のためのメトトレキサート選択/増幅遺伝子およびネオマイシン(neo)遺伝子を有するdhfr宿主細胞中で使用するための、ジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)遺伝子を包含する。
軽鎖および重鎖の発現のためには、軽鎖および重鎖をコードする発現ベクターを、標準的な技法によって宿主細胞中にトランスフェクトする。様々な形の「トランスフェクション」という用語は、外来DNAを原核宿主細胞または真格宿主細胞中に導入するために普通に使用される広い範囲の技法、例えば電気せん孔法、燐酸カルシウム沈殿法、DEAEデキストラン導入および類似の方法を包含するものとする。本発明の抗体を原核宿主細胞または真格宿主細胞のいすれにおいても発現させることが理論的には可能であるが、真核細胞中での抗体の発現、最も好ましくは哺乳類宿主細胞が(真核細胞、特に哺乳類細胞は、原核細胞よりも集合しやすく、また適切に折りたたまれて免疫学的に活性な抗体を分泌しやすいので)最も好ましい。抗体遺伝子の原核細胞での発現は、活性抗体を高収率で産生させるために有効ではないと報告されてきた(Boss,M.A.and Wood,C.R.(1985年)Immunology Today 6巻、12〜13頁)。
本発明の組換え抗体を発現させるのに好ましい哺乳類宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えば、R.J.Kaufman and P.A.Sharp(1982年)Mol.Biol.159巻、601〜621頁に記載のDHFR選択マーカーと共に使用される、Urlaub and Chasin,(1980年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77巻、4216〜4220頁に記載のdhfr−CHO細胞を包含する。)NSO骨髄腫細胞、COS細胞、HEK−293細胞、およびSF2細胞を包含する。抗体遺伝子をコードしている組換え発現ベクターを宿主細胞に導入すると、この宿主細胞を(抗体を宿主細胞中に発現させる、またはより好ましくは抗体を宿主細胞が増殖している培養培地中に分泌させるのに足る時間)培養することによって抗体が産生される。抗体は、標準的な精製方法によって培養培地から取り出すことができる。
宿主細胞は、Fab断片またはscFv分子などの無傷抗体の部分を産生するためにも使用することができる。上記の手順の変形形態は、本発明の範囲内であることは理解されよう。例えば、望ましくは、宿主細胞に本発明の抗体の軽鎖または重鎖(ただし両方ではない)を導入することができる。組換えDNA技術は、軽鎖および重鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAで、EpoRへの結合に必要でないものの一部または全部を取り除くために使用することもできる。このような切断DNA分子から発現された分子も本発明の抗体の範囲に包含される。
本発明の抗体またはこの抗原結合部分の組換え発現のために好ましい1つの系においては、抗体重鎖および抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介導入によってdhfr−CHO細胞に導入される。組換え発現ベクター内には、遺伝子の高度な転写を促進するために、抗体重鎖および軽鎖の遺伝子のそれぞれがCMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントに作動可能に連結されている。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサート選択/増幅を使用してベクターを導入されたCHO細胞の選択を可能にするDHFR遺伝子も持っている。選択される組換え体宿主細胞は、抗体重鎖および軽鎖の発現を可能にするための培養物であり、無傷抗体が培養培地から取り出される。組換え発現ベクターの調製、宿主細胞への導入、組換え体の選択、宿主細胞の培養および培養培地からの抗体の取り出しのためには、標準的な分子生物学技法を使用する。
前述の事柄を考慮して、本発明の他の1つの態様は、本発明の抗体および抗体部分の発現に使用することができる、核酸、ベクターおよび宿主細胞組成物に関する。Ab12.6の重鎖可変領域およびこの変異形をコードするヌクレオチド配列を、図9に示す。Ab12.6軽鎖可変領域をコードする核酸配列を、図10に示す。Ab12.6軽鎖可変領域のHCVRのCDR1領域は配列番号7の核酸26−35を包含し、CDR2領域は、配列番号7の核酸50〜65を包含し、CDR3領域は、配列番号7の核酸98〜105を包含する。Ab12.6関連抗体またはこれらの部分(例えば、CDR2領域などのCDR領域)をコードする核酸配列は、Ab12.6LCVRおよびHCVRをコードする核酸配列から、遺伝子コードおよび標準的な分子生物学技法を使用して得ることができる。
一実施形態において、本発明は、式I:
Figure 2008505612
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域をコードする単離核酸を提供する
[式中、
は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)およびアラニン(A)からなる群から選択され、
は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)およびアラニン(A)、グルタミン(E)およびアスパラギン酸(D)からなる群から選択され、
は、独立に、セリン(S)、グリシン(G)、グルタミン(E)およびスレオニン(T)からなる群から選択されるが、
ただしX−X−Xは、Y−Y−S以外である。]。
この核酸は、CDR2だけをまたはより好ましくは抗体重鎖可変領域(HCVR)全体をコードすることができる。例えば、核酸は、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインおよび26位から35位までに配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインおよび102位から109位までに配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有するHCVRをコードすることができる。
さらに他の一実施形態において、本発明は、例えば以下のものから選択されるアミノ酸配列を含むAb12.6関連CDR2ドメインをコードする単離核酸を提供する。
Figure 2008505612
他の一実施形態において、本発明は、配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域をコードする単離核酸を提供する。この核酸は、HCVRだけをコードすることができるか、またはLCVRに対して作動可能に連結された抗体軽鎖可変領域をもコードすることができる。一実施形態において、この核酸は、組換え発現ベクターである。当業者は、本発明の抗体をコードする核酸は、本明細書において具体的に記載したものには限定されず、遺伝子コードの縮重の故に、本明細書において記載したポリペプチドをコードするどのDNAをも包含することを十分に理解する。遺伝子コードの縮重は、当技術分野において十分に確立されている。(例えば、Bruce Alberts et al.(編),Molecular Biology of the Cell、第2版、1989年、Garland Publishing Inc.,New York and London参照)したがって、本発明のヌクレオチドは、ヌクレオチド配列中のあらゆる位置におけるあらゆる縮重コドンを、このようなコドンが本明細書に記載のアミノ酸配列をコードするなら包含する。
他の一実施形態において、本発明は、配列番号17(すなわち、Ab12.6 LCVRのアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域をコードする単離核酸を提供するが、当業者は、遺伝子コードの縮退の故に、他のヌクレオチド配列も配列番号17のアミノ酸配列をコードすることができることを十分に理解する。この核酸は、作動可能にHCVRに連結しているLCVRをコードすることができる。例えば、この核酸はIgG1、IgG2またはIgG4定常領域を含むことができる。好ましい一実施形態において、この核酸はIgG2定常領域を含む。他の一実施形態において、この核酸は組換え発現ベクター中にある。
本発明はまた、抗体重鎖および抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターをも提供する。例えば、一実施形態において、本発明は、
a)配列番号7(すなわち、Ab12.6 HCVR)のアミノ酸配列を含む可変領域を有する抗体重鎖、および
b)配列番号17(すなわち、Ab12.6 LCVR)のアミノ酸配列を含む可変領域を有する抗体重鎖
をコードする組換え発現ベクターを提供する。
本発明はまた、1つまたは複数の本発明の発現ベクターがその中に導入されている宿主細胞をも提供する。好ましくは、この宿主細胞は哺乳類宿主細胞であり、より好ましくはこの宿主細胞は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK−293細胞またはCOS細胞である。さらに、本発明は、本発明の宿主細胞を適当な培養培地中で、本発明の組換えヒト抗体が合成されるまで培養することによって、本発明の組換えヒト抗体を合成する方法を提供する。この方法は、さらに培養培地から組換えヒト抗体を単離することを含む。
III.組換え抗体の選択
本明細書で開示しているAb12.6またはAb12.6関連抗体に加えて本発明の組換え抗体は、組換え体コンビナトリアル抗体ライブラリー、好ましくは、キメラ、ヒト化またはヒト(例えば、Ab12)VLおよびVH cDNAを使用して調製した、scFv酵母ディスプレイライブラリーのスクリーニングによって単離することができ、かかるライブラリーを調製し、スクリーニングする方法は、当技術分野において知られている。酵母ディスプレイライブラリーを発生させるための市販のベクター(例えば、pYD1ベクター、Invitrogen,Carlsbad,California)に加えて、抗体ディスプレイライブラリーの生成およびスクリーニングにおける使用に適した方法および試薬の例は、例えば、Boder E.T、およびWittrup K.D.,Yeast surface display for direct evolution to protein expression,affinity,and stability, Methods Enzymol.,328巻、430〜44(2000年)およびWittrup K.D.,Yeast surface display for screening combinatorial poly peptide libraries,Nat Biotechnol.15(6):553〜7(1997年6月)で見出すことができる。
好ましい一実施形態においては、ヒトEpoRに対する低い親和性および速い解離速度を有するヒト抗体を単離するために、まずヒト作動性抗体(例えば、Ab12など)を使用して、scFvs として発現したヒト重鎖および軽鎖の配列を、酵母(好ましくは、サッカロミセスセレビジェ(Saccaromyces cerevisiae))表面上に生成させる。Ab12 scFvsを分析して、最も発現レベルの高いものを決定する。かかる構築体を、次に好ましくは可溶性の組換えヒトEpoRを使用してスクリーニングする。最も高度の可溶性組換えヒトEpoRの結合を有するscFv 構築体を、次のCDR変異ライブラリーを生成するための重鎖および軽鎖可変領域の変異誘発のために選定する。
EpoR結合に関する解離速度定数をさらに高めるために、好ましいVH/VL対のVHおよびVLセグメントを、好ましくはVHのCDR2領域内で、自然の免疫応答の間の抗体の親和性成熟に関与するインビボ体細胞変異と類似の過程において、ランダムに変異させることができる。このインビトロ親和性成熟は、それぞれのCDRの一部分を、標的としているCDR内の3つのアミノ酸をコードする縮重一本鎖オリゴヌクレオチドで置き換えることによって遂行することができる。それぞれのCDRの一部分を新しいランダム化された配列(8000までの可能性)で置き換えることは、酵母における相同的組換えによって遂行することができる(例えば、実施例3を参照)。これらのランダムに変異したVH配列は、EpoRへの結合に関してscFvとの関連で解析することができ、次に高められた蛍光および速い解離速度を示すscFvを単離してCDRの変異を配列決定によって同定することができる。
組換えscFvディスプレイライブラリーのスクリーニングに続いて、所望の特徴を有するクローンを、好ましくは免疫グロブリンガンマタイプ2/カッパー軽鎖(IgG2/K)抗体への転化のために選択する。選択した抗体をコードする核酸は、ディスプレイパッケージ(例えば、酵母発現ベクター)から取り出すことができ、標準的なDNA技法によって他の発現ベクター中にサブクローン化することができる。所望であれば、この核酸をさらに操作して、本発明の他の抗体形態(例えば、追加の定常領域などの追加の免疫グロブリンドメインをコードする核酸に連結している)を創り出すことができる。組換えライブラリーのスクリーニングによって単離された組換えヒト抗体を発現させるためには、抗体をコードしているDNAを組換え発現ベクター中にクローン化し、上記II節においてさらに詳細に記載したように哺乳類の宿主細胞に導入する。
IV.抗EpoR抗体の使用
本発明の抗体またはこの抗原結合部分は、数多くの用途を有する。一般に、抗体またはこの抗原結合部分は、エリスロポエチンまたはこの生物学的に活性な変形体または類似体によって治療可能などの状態を治療するためにも使用することができる。例えば、本発明の抗体またはこの抗原結合部分は、低い赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルの低下(例えば、貧血)を特徴とする障害を治療するのに有用である。加えて、かかる抗体またはこの抗原結合部分は、血液または組織中の酸素レベルが低下したかまたは正常レベルより低いことを特徴とする障害、例えば低酸素血症または慢性の組織低酸素症および/または不適切な血液循環または低下した血流を特徴とする障害を治療するために使用することができる。抗体またはこの抗原結合部分は、外傷の治癒の促進において、または脳および/または脊椎索条組織の損傷、打撃および類似のことに起因する神経細胞および/または組織の損傷に対する保護のためにも有用でありうる。本発明の抗体によって治療できる可能性のある状態の限定的ではない例には、化学療法によって誘起される貧血などの貧血、ガンに付随する貧血、慢性病の貧血、HIVに付随する貧血、骨髄移植に付随する貧血および類似のもの、心不全、虚血性心疾患および腎不全が含まれる。そのようなものとして、本発明は、哺乳類に治療上有効な量の前記抗体を投与するステップを含む、上記の疾患または状態のいずれかを治療する方法を包含する。好ましくは、哺乳類はヒトである。
本発明の抗体またはこの抗原結合部分は、機能不全のEPOを有する哺乳類を識別および診断するために使用することもできる。機能不全のEPOを有する哺乳類は、貧血のような障害を特徴とする。好ましくは識別され診断される哺乳類はヒトである。加えて、本発明の抗体は、赤血球形成不全を患っている哺乳類の貧血の治療に使用することができる。赤血球形成不全は、組換えエリスロポエチンによって治療中の患者における中和性の抗エリスロポエチン抗体の形成に起因する可能性がある(Casadevall,N.et al.n.Eng.J.Med.346巻、469頁(2002年))。本方法は、前記不全を患っており、治療を必要としている哺乳類に、治療上有効な量の本発明の抗体を投与するステップを包含する。
本発明の一実施形態において、EPO受容体抗体およびこの抗原結合部分は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または免疫組織化学などの従来の免疫測定法を使用してEPO受容体(例えば生体試料、組織試料など、無傷細胞、またはこれらの抽出物中の)を検出するために使用することもできる。本発明は、生体試料を本発明の抗体およびこの抗原結合部分と接触させて抗体(または抗体部分)のいずれかを検出し、それによって生体試料中のEPO受容体を検出することを含む、生体試料中のEPO受容体を検出する方法を提供する。抗体およびこの抗原結合部分は、結合または非結合の抗体または抗体断片の検出をしやすくするために、検出可能物質で直接または間接に標識した。免疫測定の種々の方式が実行可能であり(競合アッセイ、直接または間接サンドイッチ免疫分析および類似のもの)、当業者には周知である。
適当な検出可能物質は、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質および放射性物質を包含する。適当な酵素の例は、ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、B−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを包含し、適当な補欠分子団複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジジン/ビオチンを包含し、適当な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレッセイン、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン、ダンシルクロライド、またはフィコエリスリンを包含し、発光物質は、ルミノールを包含し、適当な放射性物質は、125I、131I、35S、またはHを包含する。本発明の抗EpoR抗体またはこれらの部分は、ヒトEpoRに結合する能力があるので、EpoRの作用を活性化または刺激するために使用することができる。抗体およびこれらの抗原結合部分は、好ましくはインビトロおよびインビボの両方でEpoRの作用を活性化する能力がある。したがって、かかる抗体およびこれらの抗体部分は(例えば、EpoRを含有する細胞培養物において、EpoRを有するヒト対象または哺乳類対象において)EpoRの作用を活性化するために使用することができ、本発明の抗体はこれらのEpoRと交差反応する。
他の一実施形態において、本発明は、哺乳類におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性作用を活性化する方法を提供し、この方法は、前記哺乳類に治療上有効な量の本発明の抗体または抗原結合部分を投与するステップを含む。好ましくは、哺乳類はヒト対象である。
本発明の抗体は、治療の目的でヒト対象に投与することができる。さらに、本発明の抗体は、ヒト以外の哺乳類に(抗体が獣医療目的のためにヒト以外の哺乳類と結合することができるか、またはヒトの疾患の動物モデルとして)投与することができる。後者に関して、かかる動物モデルは、本発明の抗体の治療上の有効性を評価するために有用なことがある(例えば、投与量および投与の時間経過の試験)。
他の態様において、本発明は、形成不全症を患っている哺乳類の治療のための方法を提供し、この方法は、治療を必要としている哺乳類に治療上有効な量の本発明の抗体または抗原結合部分を投与するステップを含む。加えて、本発明は、貧血を患っている哺乳類の治療のための方法を提供し、この方法は、治療を必要としている哺乳類に治療上有効な量の本発明の抗体または抗原結合部分を投与するステップを含む。
V.薬剤組成物および薬剤投与
本発明の抗体および抗体部分は、対象への投与に適当な薬剤組成物中に配合することができる。通常、薬剤組成物は、治療上有効な量の本発明の抗体および抗体部分を、薬剤として許容される担体および賦形剤と共に含む。本明細書で使用する「薬剤として許容される担体」または「薬剤として許容される賦形剤」は、生理学的に適合するあらゆる溶媒、分散媒体、被覆剤、殺菌剤および殺カビ剤、等張剤および吸収遅延剤、および類似のものを包含する。薬剤として許容される賦形剤の例は、水、生理食塩水、リン酸塩緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールおよび類似のものならびにこれらの組合せの1つまたは2つ以上を包含する。多くの場合、等張剤、例えば、砂糖、マンニトールなどのポリアルコール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に包含することが好ましい。抗体または抗体部分の貯蔵期間または有効性を高める、湿潤化剤または乳化剤、保存料または緩衝剤などの湿潤化物質または少量の補助物質などの薬剤として許容される物質も包含されてよい。場合によっては、架橋ポリビニルピロリドン、アガロース、アルギン酸、または(アルギン酸ナトリウムおよび類似のものなどの)これらの塩などの崩壊剤は、包含されることができる。薬剤組成物は、賦形剤に加えて、担体タンパク質、アルブミン、緩衝剤、結合剤、甘味料および他の香味料、着色料およびポリエチレングリコールの1つまたは2つ以上を包含することができる。
本発明の組成物は、様々な形態でよい。これらは、例えば、液体、半固体および固体の剤形でよく、例えば溶液(例えば、注射可能溶液および注入可能溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉体、リポソームおよび座薬が包含される。好ましい剤形は、意図された投与方法および治療用途による。通常の好ましい組成物は、注射可能溶液または注入可能溶液、例えば他の抗体を用いる受動免疫法のために使用されるものと類似の組成物である。好ましい投与方法は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。好ましい一実施形態においては、抗体は静脈内への注射または注入によって投与される。他の一実施形態においては、抗体または抗体断片は、筋肉内注射または皮下注射によって投与される。
治療用組成物は、通常、製造および貯蔵の条件下で無菌および安定でなければならない。本組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散剤、リポソーム、または他の高い薬剤濃度に適した秩序構造として製剤することができる。無菌の注射可能な溶液は、有効化合物(すなわち抗体または抗体断片)を、必要な量で、適切な溶媒中に、必要に応じて上記で列挙した成分の1つまたは組合せと共に配合し、続いてろ過殺菌することによって調製することができる。一般に、分散剤は、基本的な媒体および上記で列挙したものからの必要な他の成分を含有する無菌の媒体中に、有効化合物を配合することによって調製される。無菌の注射可能溶液を調製するための無菌粉末の場合は、好ましい調製方法は、有効成分に他の所望の成分を加えた粉末を、あらかじめ無菌ろ過したこれらの溶液から作る、真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆を使用することによって、分散剤の場合は必要な粒子サイズを維持することによって、また界面活性剤を使用することによって維持することができる。注射可能組成物の持続的な吸収は、組成物中に吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを包含させることによってもたらすことができる。
本発明の抗体および抗体部分は、当技術分野において知られている様々な方法によって投与することができるが、多くの治療用途のために好ましい投与の経路/方法は、静脈内への注射または注入である。当業者にはよく理解される通り、投与の経路および/または方法は、所望の結果によって変わる。ある実施形態においては、有効化合物は、化合物を急速な放出から保護する担体を用いて調製される(例えば、インプラントを包含する放出制御製剤、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化デリバリーシステム)。エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性ポリマー、生体適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤の調製のための多くの方法が特許され、または当業者に周知である。(例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978年参照)。
ある実施形態においては、本発明の抗体および抗体部分は、経口投与してもよい(例えば、不活性な希釈剤または同化可能な可食担体と共に)。この化合物(および所望であれば他の成分)は、硬殻または軟殻のゼラチンカプセル、圧縮錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、および類似のものに封入してもよい。本発明の抗体または抗体断片を非経口投与以外によって投与するためには、この化合物を被覆するか、またはこの不活性化を防止する物質と一緒に投与することが必要なこともある。
補完的な有効物質を組成物中に配合することもできる。ある実施形態においては、抗体または抗体部分を、1つまたは複数の追加の治療剤と一緒に製剤するおよび/または一緒に投与する。かかる組合せ治療は、投与される治療剤のより少ない投与量を好都合に使用して、それ故に単剤療法に付随する毒性または合併症の恐れが避けられるか、あるいは相乗作用的にまたは付加的に治療効果が高められることもある。
本明細書で使用する「治療上有効な量」または「薬剤として有効な量」という用語は、投与のときにおよび必要な時間にわたって所望の治療結果を達成するために有効な、抗体または抗体部分の量を意味する。当技術分野において知られているように、年齢、体重、性別、食事、投与時刻、薬剤の相互作用および状態の重篤さに基づく調節が必要なこともあり、また当業者による日常的な実験で確定可能である。治療上有効な量は、その量において治療上有益な効果が抗体または抗体断片のいかなる毒性または有害な効果をも上回る量でもある。「予防上有効な量」は、投与時および必要な時間にわたって所望の予防上の結果を達成するために有効な量を言う。通常、予防的な投与量は、病気になる前または病気の早い段階で対象に使用されるので、予防上有効な量は治療上有効な量よりも少ない。
投与計画は、最適の所望の反応が得られるように調節することができる(例えば、治療反応または予防反応)。例えば、1回のボーラス投与を行うか、数回に分けて時間を掛けて投与すれるかまたは投与量を治療状況の緊急性によって指示される通りに比例的に減少または増加させればよい。投与の容易さおよび投与量の均一性のためには非経口の組成物を投与単位の形態で製剤することが特に好都合である。本明細書で使用する投与単位形態は、被験哺乳類に対する単位投与に適当な、物理的に不連続な単位を言い、それぞれの単位は、必要な薬剤担体と共同して所望の治療効果を生じると計算された、あらかじめ決められた量の有効化合物を含有する。本発明の投与単位形態の仕様は、(a)有効化合物の特有の特徴および達成しようとする特定の治療または予防の効果、および(b)このような有効化合物を個人の敏感性の治療のために調合する技術に固有の制約に直接依存し、これらによって決定される。
本発明の抗体または抗体部分の、治療上または予防上有効な量に関する例となる限定的ではない範囲は、0.1〜20mg/kg、より好ましくは0.5〜10mg/kgである。投与量の値は、軽減しようとする状態の種類および重篤さと共に変わることに注意されたい。さらに、どの特定の対象についても詳細な投与計画を、個人の必要性および組成物を投与し投与を監督する人間の専門的な判断に従って、投与期間にわたって調節しなければならないこと、および本明細書で示した投与量範囲は例でしかなく、特許請求した組成物の範囲または実施を制限しようとするものではないことを理解されたい。
V.新規なリンカー配列
本発明は、第1のポリペプチド配列と第2のポリペプチド配列を接続して単一のポリペプチドを形成するための、新規なリンカー配列をも提供する。好ましい実施形態において、この新規な連結配列は、第1のポリペプチド配列と第2のポリペプチド配列を接続して単一のポリペプチド鎖を形成し、この中で第1のポリペプチド配列はリガンドを結合させることができ、またこの中で前記連結配列は、
Figure 2008505612
からなる群から選択される1つまたは2つ以上のアミノ酸配列を含む。
Ab12の一本鎖抗体断片への転化
本研究の当初の目的は、酵母ディスプレイ技術を使用してAb12 IgG2/Kの解離速度を低下させることであった。この目的を果たすために、Ab12 IgG2/Kを、リンカー配列を使用してSCFvに転化させた。Ab12 scFvの構成の間には、様々なリンカー配列を詳細に検討した(図1)。それぞれのリンカーの組合せを、酵母(サッカロミセスセルヴィジェ)表面上でのAb12 scFv発現の解析によって評価した。最高のAb12 scFv表面発現を生じたリンカーの組合せを、続くCDR領域の変異誘発および蛍光活性化細胞選別(FACS)のために使用する構築体として選定した。図1は、scFv構築体の略図であり、tetherリンカーおよびscFvリンカーの位置および利用可能な配列の選択を示している。リンカー配列は、最高の酵母表面上でのscFv発現を得るために種々の順序で組み合わせた。
Ab12をコードする一本鎖オリゴヌクレオチドを、pYD1(Invitrogen,Carlsbad,CA)から誘導された線状化「ギャップド(gapped)」ベクターと共に当業者に周知の技法によって酵母中へ同時形質転換させた。機能性細胞表面のタンパク質発現を、形質転換させた酵母を、可溶性EpoR(EposR)の濃度を上げながら37℃で培養することによって比較した(図2)。結合された抗原は、EpoRに対するモノクロナール抗体、R and D Systems(Mineapolis,MN)から市販されているMAB307に続いて抗マウスフィコクリスリン(phycocrithrin)(PE,Souther Biotech,Birmingham,AL)を使用して検出した。最高の発現を示したAb12 scFv構築体は、scFvリンカーとしてリンカー41(配列番号2)およびリンカー40(配列番号3)を使用した(以後、Ab12 41/40)。この構築体を、以下に記載するように、その後のすべてのFASC実験において使用した。
酵母上Ab12 scFvの解離速度解度
AB12 41/40 scFvの解離速度測定は、0.5μMのEposRを、0.1 O.D.の酵母(約1×10酵母細胞)と共に37℃で1.5時間培養することによって実施し、続いて、この細胞を氷上で冷却し、4℃で洗浄した。37℃に温めた10,000倍過剰のAb12 IgG1(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)を細胞に加え、個々の試料を種々の時点で取り出して氷冷し、その後Epics XL1 flow cytometer(Beckman Coulter,Fullerton,CA)上で読み取った。実験は、EpoRがAb12 scFvから解離すると、直ちにAb12 IgG1(飽和濃度で存在する)に結合し、もはや酵母の表面上では検出されないように組み立てた。残っている結合EposRは、MAB307の添加に続く抗マウスPEの添加によって検出した。図3は、Ab12 41/40 scFvの解離速度解析を示す。図3は、競合20分間までに大部分のEposRが解離してしまったことを示し、この要素は以下で考察するFASC解離速度で考慮に入れた。
Ab12 scFv CDR変異ライブラリーの作成
Ab12 41/40の6個のCDR(重鎖中に3個および軽鎖中に3個)は、ランダム化しやすく、それぞれ8000のメンバーからなるライブラリーが生成された。線状化「ギャップド」pYD1ベクター(Invitrogen)は、TEVプロテアーゼ部位を包含するように、またAb12 41/40 scFv配列(すなわち、pYD1 Tev−Ab12−41/42)を含有するように改変された。その後、それぞれのCDRの特定の領域が失われたギャップドpYD1−Tev−Ab12−41/40ベクターがPCRによって調製され、ギャップは標的とされるCDR内の3つのアミノ酸をコードする縮重一本鎖オリゴヌクレオチドによって置き換えられた。それぞれのCDRの一部分を新しいランダム化された配列(8000までの可能性)で置き換えることは、酵母内の相同組換えによって達成された。このライブラリー構築法の略図は図4に示されており、ギャップドベクターおよび一本鎖オリゴヌクレオチドが、酵母中へ同時形質転換されることを表している。
ギャップドベクターおよびオリゴヌクレオチドは、相同的組換えを受け、それによってランダム化されたCDRのライブラリーを生成する。この方法を使用して合計50のライブラリーが生成された。これらのライブラリーの略図を、図5および6に示す。
Ab12 41/40 scFvライブラリーのFACS
50のAb12 scFvライブラリーのすべておよび野生型Ab12 scFv酵母を、MoFlo high−speed cell sorter(Dako Cytomation California Inc.Carpinteria,CA)上でFACS分析した。形質転換された酵母細胞(0.6 OD)を、0.5μMのEposRと共に平衡に達するまで37℃で培養した(2時間)。次に細胞を氷冷し、洗浄して、あらかじめ37℃に温めた10,000倍モル過剰(5μg/mL)のAb12 IgG1を加えた。37℃で20分間培養後、細胞を再度氷冷し、洗浄して、これらが「1色」FACS用に調製されたか「2色」FACS用に調製されたかによって標識した。前者については、細胞をMAB307および抗マウスPEの混合物で標識した。後者については、細胞を、まずMAB307およびウサギ抗6−his抗体(Research Diagnostics,Flanders,NJ)の混合物で、続いて抗マウスPEおよびヤギ抗ウサギFITC(Southern Biotech,Birmingham,AL)の混合物で標識した。MoFlo補償を設定し、非特異性のバックグラウンド汚染がないことを確実にするために、個々の対照試料も調製した。
ラウンド1の解離速度FACSのためには、増加したFL2蛍光(および、したがって長い可能性のある解離速度)を有する細胞集団の証拠を求めてそれぞれのライブラリー試料をAb12 scFv酵母(WT対照)と比較した。それぞれの場合においてFL2中の細胞の最も光の強い1%をゲートして集め、媒体中で再培養する(ラウンド1の産出物)。ラウンド2の解離速度FACSのためには、一部のライブラリーに対するラウンド1ライブラリー産出物のそれぞれについて同一の培養手順を実施し、他のものに対しては、ラウンド2のFACSは表面発現を検出するための追加の試薬を必要とした。それぞれのラウンド2の解離速度FACS分析のためには、FL2軸中の細胞の上位約0.1%のゲートを引き出し、このゲートは、適切な場合は、ラウンド1のライブラリー産出物全部について重ね合わせた。WTゲートよりも高いFL2を有する細胞の集団を表示しているライブラリーをFACSのために選択し、参照ゲート内部に細胞のないものはこれより後の分析をしなかった。これらの選択されるライブラリーに関しては、FL2軸中の細胞の最も光の強い0.1%をゲートして集めた。分割した1部を酵母コロニーの単離のために、酵母のための選択的な媒体上にプレートし(SDすなわち「シングルドロップアウト」)、残りは今後の細胞分析のための液体培地として培養した。
解離速度選別に続く単離クローンの分析
選択される大部分のラウンド2産出物は、液体媒体中で培養し、解離速度解析を行った(データは示していない)。向上した解離速度曲線を示した産出物を、その後の分析のために選択した。これらの産出物からの個々のクローンは、選択した媒体上にプレートし、プラスミドDNAを単離した後に回収した。それぞれのクローンのscFV領域を増幅するためには、PCRを使用し、生成物はアミノ酸置換を同定するために配列を決定した。表1は、ラウンド2の各産出物から得た配列決定の結果を明らかにしている。すべての特異なクローンには名前を付け、これらが優勢となる頻度を書き留めた。
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親和性成熟からのどのクローンがIgG2/Kフォーマットに転換されるかを決定するために、それぞれのライブラリーからの産出物を分析し以下の要素に関して熟考した。単離の頻度、CDR中の共通の配列変化、大部分の産出物および個々の酵母クローンの全体的な蛍光シフト。代表的な共通のCDR中の配列変化を含有し、解離速度分析および平衡結合分析において最も高いFL2シグナルを有すると、より高い頻度で見られるクローンを、転換のために選択した。
クローン化および酵母ディスプレイの発現から得られる抗体
選択したscFvを、可変ドメインのPCR増幅によって、IgG2/K抗体に転換し、続いてこれらのドメインをベクターpBOS(Mizushima and Nagata,Nucleic Acids Research,Vol 18巻、5322頁、1990年)中に存在する無傷IgG2定常領域またはK領域に結紮させた。重鎖および軽鎖領域の両方をコードするpBOSプラスミドを、一時的にCOS細胞中へ導入し、細胞から得られた上澄みをタンパクAセファロースカラムによって精製した。精製した抗体を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中へ透析し、光学密度280(O.D.280)の分光光度測定値によって定量した。それぞれの抗体は、BIAcoreによる親和性測定を行い、+UT−7/EpoおよびF36E細胞増殖試験における被験物質として使用した。
酵母ディスプレイから得られた抗体のBIAcore分析
BIAcore分析を、BIAcore2000についてはBIAcontrolソフトウェアバージョン3.1.0を使用し、BIAcore 3000についてはBIAcontrolソフトウェアバージョン4.0.1を使用し(BIAcore,Uppsala,Sweden)、EposRを被験抗体として使用して行った。表2は、各変異Ab12 クローンの親和性パラメーターをAb12と比較して明らかにしている。
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表2が示すように、Ab12.6およびAb12.56は、Ab12と比較して、より速い解離速度およびより高いK値を示した。
Ab12.6の亜変異体の生成
Ab12.6配列中に存在するアミノ酸置換の寄与を決定するために、Ab12.6 IgG2/K DNAおよび適切な場所に置換を創るように設計された適当なPCRプライマーを使用して、亜変異体を合成した。亜変異体も上記のようなBIAcore分析を行った。表3は、それぞれの亜変異体クローンの親和性パラメーターを明らかにしている。
Figure 2008505612
抗体依存性ヒト細胞増殖試験
Ab12、Ab12.6およびAb12.6関連の変異体を、確立されているインビトロ細胞増殖試験法で試験した。ヒト赤白血病細胞株の保存培養、UT−7/Epo、またはF36E細胞を、DMEMまたはRPMI 1640媒体中に、それぞれ10%ウシ胎児血清および1単位/mLの組換えヒトエリスロポエチンと共に保持した。試験の前に細胞を、4.0〜5.0×10細胞/mLの密度で、Epoを含まない成長媒体中で培養した。細胞を取り出して洗浄し、再び1.0×10細胞/mLの密度で試験媒体(RPMI 1640またはDMEM+10%FBS)中に分散させ、50μLの細胞を96ウェルのマイクロタイタープレートのウェルに加えた。試験媒体中のAbまたはEpo標準品(組換えヒトEpo(rHuEpo))それぞれの50μLを25nm〜0.098nmの範囲の最終濃度でウェルに加え、プレートを加湿した培養器中、CO5%の雰囲気下、37℃で培養した。72時間後、20μLのPromega Cell Titer 96 Aqueous(登録商標)試薬(製造者の指示に従って調製して、Madison,Wisconin)をすべてのウェルに加えた。プレートを、CO5%の雰囲気下、37℃で4時間培養し、490nmにおける光学密度をSpectra Max 190プレートリーダーで測定した。
EC50およびEmax値(下の表4に示す)は、分光光度計データから生成したグラフから決定した。より高い親和性の抗体(Ab12.17、Ab12.25、Ab12.61およびAb12.76)は、ベル形の曲線を生成し、これからはEC50および/またはEmaxデータを得ることはできなかった。反対に、低い親和性の抗体(表4に示す)から生成した曲線はシグモイド曲線を生成する(天然のリガンドEpoのように)。さらに、表4および図11が示すように、Ab12.6およびAb12.6関連の変異体(Ab12.119という例外はある)は、意外にも細胞の増殖を刺激する程度がAb12よりも大きい。
Figure 2008505612
mEpoR −/−、hEpoR+遺伝子組換えマウスの構成
ヒトEpoR(hEpoR+、単一対立遺伝子)だけを生成し、内因性マウスEpoR(mEpoR −/−、二対立遺伝子変異)は生成しななかった遺伝子組換えマウスは、Lin,C.et al.,Journal of Biological Chemistry,272巻、32395頁(1997年)およびYu,X.,et al.,Blood,98(2)巻、475頁(2001年)に記載されているように生成した。エリスロポエチンのインビボ研究のためのマウスを生成するために、繁殖コロニーを確立した。
ヒト骨髄CFU−E試験
Cambrex Bio Science Walkersville,Inc.(Walkersville,MD)から得た新鮮なヒト骨髄から、当業者に周知の方法によって赤血球を除去してから、これをIMDM−2%FBS中に2.5×10細胞/mLで再懸濁させた。細胞(0.1mL)を、Methocult(StemCell Technologies,Vancouver,Canada)2.4mL、IMDM−2% FBS 0.6mL、幹細胞成長因子(Sigma,St.Louis,Missouri,1μg/mL)0.066mL、およびEpogen(商標)(Dik Drug Co.,Chicago,IL)、Aranesp(商標)(Dik Drug Co.)、Ab12、Ab12.6またはイソタイプ対照Abを指示された濃度で含有している17×100mm培養用チューブ(VWR,West Chester,PA)に加えた。攪拌後、Methocult懸濁液1.1mLを、35mmの組織培養処理を施していない無菌ペトリ皿に加え、CO 5%、37℃で2週間培養した。顕微鏡で同定されたコロニーは赤色であった。図12の結果は、Ab12.6が、ヒトCFU−Eコロニーの形成を支持することにおいてAb12よりも有効であったことを示している。
遺伝子組換えマウス骨髄CFU−E試験
mEpoR−/−,hEpoR+遺伝子組換えマウスの大腿から集めた新しく取り出した骨髄から、当業者に周知の方法によって赤血球を除去してから、これをIMDM−2%FBS中に2×10細胞/mLで再懸濁させた。細胞(0.1mL)を、Methocult(StemCell Technologies,Vancouver,Canada)3.0ml、幹細胞成長因子(Sigma,St.Louis,Missouri,1μg/mL)0.165mL、およびEpogen(商標)(Dik Drug Co.,Chicago,IL)、Aranesp(商標)(Dik Drug Co.)、Ab12、Ab12.6またはイソタイプ対照Abを指示された濃度で含有している17×100mm培養用チューブ(VWR,West Chester,PA)に加えた。攪拌後、Methocult懸濁液1.1mLを、35mmの組織培養処理を施していない無菌ペトリ皿に加え、CO 5%、37℃で2週間培養した。ベンジジン(Fibach,E.,1998年、Hemoglobin,22:5−6,445〜458頁、参照)で染色したコロニーを顕微鏡で同定した。図13の結果は、Ab12.6が、遺伝子組換えマウスCFU−Eコロニーの形成を支持することにおいて、ヒトCFU−E試験において観察された結果と同様に(上記の図12参照)、Ab12よりも有効であったことを示している。
mEpoR−/−,hEpoR+ 遺伝子組換えマウスにおけるヘマトクリット変化に対するAb−12.6投与の効果
Aranesp(商標)(Amgen,Thousand Oaks,CA)と比較した、赤血球生成に対するAb12.6単回投与の効果を判定するために実験を行った。遺伝子組換えマウス(図10に示した通りmEpoR−/−,hEpoR+)に、媒体(0.2%ウシ血清アルブミン[BSA]含有リン酸塩緩衝生理食塩水[PBS])0.2mL中のAb−12、Ab12.6またはアイソタイプの対照抗体0.8mg/kgを皮下に1回注射した。対照動物には同じ方法で3μg/kgのAranesp(商標)だけを注射し、2回目のAranesp(商標)投与量も14日目に投与した(ケアAranesp(商標)投与計画の標準は、2週間毎に〜3μg/kgである。)。当技術分野において周知の方法によってヘマトクリットを測定するための血液試料を、0、7、14、21および28日目に採った。図14に示したように、Ab12と比較して、Ab12.6は、ヘマトクリットレベルを高め、維持することにおいて向上した能力を28日間にわたって有した。また、0.8mg/kgのAb12.6は、7日目に測定されたAranesp(商標)3μg/kgの1回投与よりも速いヘマトクリット上昇速度をもたらした。加えて、Ab12.6の単回投与は、28日目に、Aranesp(商標)を0日目および14日目に2回投与するのと同じような、ヘマトクリットを上昇させる有効性が少なくとも見られた。
リンカーライブラリーの生成
長さが45ヌクレオチドの縮重オリゴヌクレオチドリンカーを、次の設計に従って生成した:5’GGA NHS NHS NHS NHS NHS NHS NHS NHS NHS NHS NHS NHS NHS AGT 3’(配列番号28)および5’GGA VNS VNS VNS VNS VNS VNS VNS VNS VNS VNS VNS VNS VNS AGT 3’(配列番号29)(式中、Nは、AまたはGまたはCまたはTであり、Vは、AまたはCまたはGであり、Hは、AまたはCまたはTであり、Sは、CまたはGである)。
第1のリンカー配列において、NHSコドンの使用は、この偏ったコドン選択におけるグリシンの可能な2つのコドンであるGGCおよびGGGの生成を妨げる。
加えて、NHSコドンは、TGC(可能なただ1つのシステインのコドン)、TGG(可能なただ1つのトリプトファンのコドン)、CGC、CGG、およびAGG(すべての可能なアルギニンのコドン)、およびAGC(可能な3つのセリンのコドンの1つ)の生成を妨げる。より短いリンカー配列においては、VNSコドンの使用は、3つの可能なセリンのコドンの2つであるTCCおよびTCGの生成を制限する。加えて、VNSコドンは、TTC(可能なただ1つのフェニルアラニンのコドン)、TAC(可能なただ1つのチロシンのコドン)、TGC(可能なただ1つのシステインのコドン)、TGG(可能なただ1つのトリプトファンのコドン)、TAG(可能なただ1つの終止コドン)、およびTTG(可能な3つのロイシンのコドンの1つ)の生成を妨げる。これらのリンカー配列は、(GS)リンカー配列を有する対照scFv DNA配列LT28−8Aの部分に対する補完要素をも含有する、より長い合成オリゴヌクレオチドの部分として合成された。LT28−8Aは、標準的な分子生物学技法を使用して、LT28のCDR3配列Ala−Ala−Trp−Asp−Asp−Ser−Leu−Ser−Gly−Pro−Val(国際公開第01/58956号、2001年8月16日公開に記載されており、参照により本明細書に組み入れる。)をAla−Ala−Gly−Asp−Asp−Phe−Leu−Val−Ser−Met−Leuで置き換えることによって生成された。リンカー配列(GS)は、米国特許第5258498号および米国特許第5482858号に記載されており、これらの特許を参照により本明細書に組み入れる。広範なリンカーライブラリーオリゴヌクレオチドが、PCRによってLT−28−8A scFvに組み入れられた。
NHS−およびVNS−リンカーPCR生成物が生成され、精製され、NHS−およびVNS−リンカーPCR生成物の5’および3’末端の両方に存在する相補DNA配列の相同領域を含有している制限消化酵母ディスプレイプラスミド(pYD−1)と混合された。LT28−8A scFv(NHSまたはVNSでコードされたリンカーを有する)全体をコードする、PCRで生成された生成物は、相同組換えによってガラクトース誘発性pYD−1ベクター中にこれらがインフレームとなるように挿入された。得られたNHS−およびVNS−リンカーライブラリーのタイターはコロニー数によって評価され、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)による分析のためにライブラリーが調製された。
ライブラリーの分析
実施例14からのNHS−およびVNS−リンカーLT28−8AscFvライブラリーのドットプロットを、全群からの誘導した酵母細胞をV5−FITCモノクローナル抗体(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)と共にインキュベートした場合のLT−28−8AscFvと比較した。V5エピトープタグはscFv内でコードされ、ポリペプチドの3’末端にあり、その結果、このエピトープの存在はscFvが完全に翻訳されたことを示し、抗体結合により生成したシグナルは酵母の表面上のscFvの発現レベルを表した。FITC:LT−28−8Aについて陽性に染色する細胞の割合は58%であり、NHS−ライブラリーは31%であり、VNS−ライブラリーは47%であった。
WO01/58956に記載の通りに調製したビオチン化IL−18、およびストレプトアビジンR−フィコエリトリン(RPE)(Jackson ImmunoResearch、ペンシルベニア州West Grove)およびV5−FITCを加えた後に、3つの試験群からの細胞のFACS分析を比較した。RPEの蛍光は酵母表面上のscFVへの抗原の結合を表し、V5エピトープの存在と共同して、完全長scFvを表し抗原を結合するクローンによって、2色のシグナルが生成される。この分析のために30nMビオチン化IL−18の濃度を選択した。なぜなら、LT−28−8A scFvは、酵母表面に30nMのKを有していたからである。FITCとRPE:LT−28−8Aの両方について陽性に染色する細胞の割合は55%であり、NHS−ライブラリーは25%であり、VNS−ライブラリーは36%であった。
対照と同一の蛍光を示したNHS−またはVNS−LT28−8A scFvライブラリーからの細胞を個々にゲートし、セルソーターを使用して収集した。これらの収集した集団(「アウトプット」と命名した)を液体培養液中で増幅し、培養液のアリコートを固体培地に平板培養して個々のコロニーを単離した。DNAを個々のコロニーから抽出し、リンカーヌクレオチド配列をDNA配列決定で決定した。
種々のリンカー配列を含有するscFvの比較
種々のアミノ酸を含有するリンカーが、in vitroまたはin vivoのscFvの挙動に任意の効果を有するかを決定するために、グリシンおよびセリンを1つだけ有するリンカーを含有する実施例15からの11個のランダムNHS−R1アウトプットscFvクローンを選択し、一連のアッセイで試験した。
酵母表面でのK測定
11個のNHS−R1アウトプットscFvクローンおよびLT−28−8A scFv((GS)リンカーを有する)の解離定数(K)を7点の滴定分析で測定した。これらには、NHS−R1アウトプットscFvクローン13、19、22、23、30、33、34、38、40、41および44が含まれていた。抗原の結合を実施例14で記載の通りにアッセイした。すべてのNHS−R1アウトプットscFvクローンおよび対照scFvは約22〜26nMのKを示した。
細菌中の可溶scFvの発現および精製
scFvをコードする発現構築物の構築後、10個のNHS−R1アウトプットクローン(10、13、19、30、33、34、38、40、41、44)およびLT−28−8A scFvのin vivo発現を分析した。10個すべてのLT28−8A scFv配列を、発現ベクター誘導可能なpUC19/pCANTAB(米国特許第5872215号)にライゲートし、TG−1細胞に形質転換した。制限された発現下での増殖に続いて、1mMのIPTGを加えることによってscFv誘導を開始し、可溶scFvを、誘導したTG−1細胞の細胞膜周辺調製物からアフィニティー精製した。クローン13、19および30の増殖は非常に乏しく、誘導されなかった。精製したscFvはBCAアッセイでタンパク質濃度についてアッセイした。
Figure 2008505612
バイオアッセイ中の可溶scFvの活性
NHS−R1アウトプットscFvクローン33、34、38、40、41および44によって生成した可溶scFvを、WO01/58956に記載の通り中和バイオアッセイで試験した。すべてのscFv調製物は1×10−7から2×10−7MのIC50値を示した。リンカー配列33は配列番号27であり、リンカー配列34は配列番号4であり、リンカー配列40は配列番号3であり、リンカー配列41は配列番号2である。
Ab12.6は高次構造依存エピトープを認識する
組換え発現したEpoR細胞外ドメインをCHO細胞発現を介して生成し、均一に精製した。1レーン当たり3マイクログラムのEpoR細胞外ドメインを4〜20%ポリ−アクリルアミドゲル上、変性条件(SDSバッファ内)または未変性条件(SDSバッファなし)のいずれかで電気泳動した。ウェスタンブロット分析では、ゲルをPVDF膜に移し、5%のドライミルクでブロックし、Ab12.6(10μg/ml)で1〜2時間室温でインキュベートした。膜を4回PBS/Tweenで洗浄し、HRPコンジュゲートヤギ抗ヒト抗体と共にインキュベートし(1:2500)、基質としての4−クロロ−1−ナフトールで展開した。図15が示す通り、AB12.6は組換えEpoR細胞外ドメインと未変性条件下でのみ相互作用し、変性条件下では相互作用せず、これは、AB12.6が高次構造依存エピトープを認識することを示している。
モノマーAb12.6FabはEpoRを活性化する
Ab12.6のモノマーFabおよび二価のF(ab’)断片を調製し、標準のパパインおよびペプシン条件(Pierce ImmunoPure FabおよびF(ab’) Preparation Kits;Pierce,Rockford IL)を使用して精製した。ヒト赤白血病細胞系、F36E細胞の保存培養液を、10%のウシ胎仔血清および1mL当たり1単位の組換えヒトエリスロポイエチンを含むRPMI1640培地に維持した。アッセイの前に、細胞を終夜、EPOを含有しない増殖培地に1mL当たり4.0から5.0×10細胞の濃度で培養した。細胞を回収し、洗浄し、アッセイ培地(RPMI1640+10%FBS)中1mL当たり1.0×10細胞の濃度で再懸濁し、細胞50uLを96ウェルマイクロタイタープレートに加えた。アッセイ培地中それぞれ50uLのAb12.6、Ab12.6Fab、Ab12.6F(ab’)またはEPO標準(組換えヒトEPO(rHuEPO))をウェルに加え、プレートを加湿したインキュベーター中、37℃、5%COの雰囲気下でインキュベートした。72時間後、20μLのPromega Cell Titer 96 Aqueous(登録商標)試薬(製造業者の指示に従って調製、ウィスコンシン州Madison)をすべてのウェルに加えた。プレートを37℃で5%COの雰囲気下で4時間インキュベートし、490nmでの光学濃度をマイクロプレートリーダー(Wallac Victor 1420 Multilabel Counter、Wallac Company、マサチューセッツ州Boston)を使用して測定した。図16が示す結果から、モノマーAb12.6FabはF36E細胞系の増殖を刺激した。
本発明を上述の説明および実施例により例示する。上述の説明は非限定的な例示を意図するものである。なぜなら、それを考慮すれば多くの変形が当業者には明らかであろうからである。本発明の概念および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した本発明の組成物、操作および方法の組合せに変更を加えることができる。
1つのscFv構成を、tetherリンカーおよびscFvリンカーを含めて示す略図である。 酵母細胞表面上で発現された、可溶性EpoRと種々のAb12 scFv構成の平衡結合を示すグラフである。図2において、−■−は、tether部位とscFvリンカー部位の双方にGly/Serリンカー(WT)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号1)を含むAb12 scFv構成を表し、−●−は、tether部位にリンカー41、GENKVEYAPALMALS(配列番号2)、およびscFvリンカー部位にGly/Serリンカー(WT)(配列番号1)を含むAb12 scFv構成を表し、−▲−は、tether部位にリンカー41(配列番号2)およびscFvリンカー部位にリンカー40、GPAKELTPLKEAKVS(配列番号3)を含むAb12 scFv構成を表し、−▼−は、tether部位にリンカー41(配列番号2)およびscFvリンカー部位にリンカー34、GHEAAAVMQVQYPAS(配列番号4)を含むAb12 scFv構成を表す。 Ab12 41/40 scFvの解離速度解析結果を表すグラフである。 酵母におけるCDR変異ライブラリー作成のための構成方法を表す略図である。 Ab12 scFv重鎖CDRの変異ライブラリーを示す略図である。ライブラリー名は、ランダム化しやすいアミノ酸3つの配列それぞれの左に示されている。Ab12 CDRの配列は、各CDRの下に示す。 Ab12 scFv 軽鎖CDRの変異ライブラリーを表す略図である。ライブラリー名は、ランダム化しやすいアミノ酸3つの配列それぞれの左に示されている。Ab12 CDRの配列は、各CDRの下に示されている。 重鎖可変領域のアミノ酸配列を示す図表である。Ab12.6およびAb12.6関連の抗体が誘導された生殖細胞系(配列番号5)、Ab12(配列番号6)、Ab12.6(配列番号7)、Ab12.56(配列番号8)、Ab12.118(配列番号9)、Ab12.119(配列番号10)、Ab12.120(配列番号11)、Ab12.121(配列番号12)、Ab12.122(配列番号13)、Ab12.123(配列番号14)および共通配列(配列番号15)を示す。 軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す図表である。Ab12.6およびAb12.6関連の抗体が誘導された生殖細胞系(配列番号16)、Ab12(配列番号17)、Ab12.6(配列番号17)およびAb12.56(配列番号17)、Ab12.118(配列番号17)、Ab12.119(配列番号17)、Ab12.120(配列番号17)、Ab12.121(配列番号17)、Ab12.122(配列番号17)、Ab12.123(配列番号17)を示す。 A〜Iは、Ab12抗体、Ab12.6抗体およびAb12.6関連抗体の重鎖可変領域の核酸配列を示す図表である。核酸配列によってコードされるアミノ酸を表す1文字記号が、上部に示されている。 A〜Iは、Ab12抗体、Ab12.6抗体およびAb12.6関連抗体の重鎖可変領域の核酸配列を示す図表である。核酸配列によってコードされるアミノ酸を表す1文字記号が、上部に示されている。 A〜Iは、Ab12抗体、Ab12.6抗体およびAb12.6関連抗体の重鎖可変領域の核酸配列を示す図表である。核酸配列によってコードされるアミノ酸を表す1文字記号が、上部に示されている。 A〜Iは、Ab12抗体、Ab12.6抗体およびAb12.6関連抗体の重鎖可変領域の核酸配列を示す図表である。核酸配列によってコードされるアミノ酸を表す1文字記号が、上部に示されている。 A〜Iは、Ab12抗体、Ab12.6抗体およびAb12.6関連抗体の重鎖可変領域の核酸配列を示す図表である。核酸配列によってコードされるアミノ酸を表す1文字記号が、上部に示されている。 Ab12抗体、Ab12.6抗体およびAb12.6関連抗体の軽鎖可変領域の核酸配列を示す図表である。核酸配列によってコードされるアミノ酸を表す1文字記号が、上部に示されている。 Ab12.6抗体およびAb12.6関連抗体のEC50値およびEmax値を示すグラフである。EC50値は、最大細胞増殖の50%が達成されるときの(シグモイド曲線の勾配の50%)抗体またはEpoの濃度を表す。Emax値は、このEC50が生成させる最大の細胞数を表す(吸収によって測定した値)。 Epogen、Ab12、Aranesp(商標)、Ab12.6およびアイソタイプ対照を用いた処理に応答して、ヒト骨髄から形成されるCFU−E(コロニー形成赤血球)を示すグラフである。 Epogen、Ab12、Aranesp(商標)、Ab12.6およびアイソタイプ対照を用いた処理に応答して、mEpoR−/−、hEpoR+遺伝子転換マウス骨髄由来細胞から形成されるCFU−E(コロニー形成赤血球)を示すグラフである。 mEpoR−/−、hEpoR+遺伝子組換えマウスに、Ab12.6を0日目に1回投与したものとAranesp(商標)を0日目と14日目に2回投与したものにおける、投与後28日間にわたるヘマトクリットの変化を示すグラフである。図14では、−◆−は、未処理を表し、−■−は、アイソタイプ対照を表し、−▲−は、Aranesp(商標)(3μg/kg、2×)を表し、−×−は、Ab12(0.8mg/kg)を表し、−|−は、Ab12.6(0.8mg/kg)を表す。 ウェスタンブロットのコンピュータスキャン図である。Ab12.6は、変性条件下ではなく自然条件下においてのみ、組換えEpoRの細胞外領域と相互作用することを示しており、Ab12.6が立体構造依存性のエピトープを認識することを示唆している。 Ab12.6に由来するモノマー状Fab断片が、EpoRを活性化し、ヒトF36e赤白血球細胞株の増殖を刺激することを示すグラフである。

Claims (61)

  1. ヒトエリスロポエチン受容体(EpoR)から約1.3×10−3−1を超える速度定数Koffで解離し、哺乳動物において前記ヒトEpoRの内因活性を活性化する、単離した抗体またはこの抗原結合部分。
  2. 前記速度定数Koffが約1.4×10−3−1以上である、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  3. 前記速度定数Koffが約1.9×10−3−1である、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  4. 前記速度定数Koffが約4.8×10−3−1である、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  5. 前記速度定数Koffが表面プラズモン共鳴によって測定される、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  6. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  7. 前記抗体がアイソタイプIgG2である、請求項6に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  8. ヒトEpoRに約7nM以上のKで結合する、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  9. 前記Kが約8.5nM以上である、請求項8に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  10. 前記Kが約20nMである、請求項8に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  11. 前記Kが約32nMである、請求項8に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  12. 前記Kが約7から32nM(7及び32を含む。)である、請求項8に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  13. ヒト抗体である、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  14. 式I:
    Figure 2008505612
    のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を含み、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する抗体またはこの抗原結合部分
    [式中、
    は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)およびアラニン(A)からなる群から選択され、
    は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)、アラニン(A)、グルタミン(E)およびアスパラギン酸(D)からなる群から選択され、
    は、独立に、セリン(S)、グリシン(G)、グルタミン(E)およびスレオニン(T)からなる群から選択され、
    ただし、X1−X2−X3は、Y−Y−S以外である。]。
  15. がGであり、XおよびXが請求項14で定義される通りである、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  16. がGであり、XおよびXが請求項14で定義される通りである、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  17. がEであり、XおよびXが請求項14で定義される通りである、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  18. がGであり、XがGであり、Xが請求項14で定義される通りである、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  19. が請求項14で定義される通りであり、XがGであり、XがEである、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  20. がGであり、XがGであり、XがEである、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  21. がAであり、XがGであり、XがTである、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分。
  22. Figure 2008505612
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、抗体またはこの抗原結合部分。
  23. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  24. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項2に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  25. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項3に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を調節する方法。
  26. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項4に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  27. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項6に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  28. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項7に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  29. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項8に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  30. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項10に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  31. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項11に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  32. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項13に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  33. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項14に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  34. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項15、16、17、18、19、20または21に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  35. 哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項22に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、前記哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因活性を活性化する方法。
  36. 治療を必要としている哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、形成不全を患っている哺乳動物を治療する方法。
  37. 治療を必要としている哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項13に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、形成不全を患っている哺乳動物を治療する方法。
  38. 治療を必要としている哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、貧血を患っている哺乳動物を治療する方法。
  39. 治療を必要としている哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項13に記載の抗体またはこの抗原結合部分を投与するステップを含む、貧血を患っている哺乳動物を治療する方法。
  40. 治療上有効な量の、請求項1に記載の抗体またはこの抗原結合部分および薬剤として許容される賦形剤を含む薬剤組成物。
  41. 治療上有効な量の、請求項13に記載の抗体またはこの抗原結合部分および薬剤として許容される賦形剤を含む薬剤組成物。
  42. 式Iのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離または精製されたポリヌクレオチド配列。
    Figure 2008505612
    [式中、
    は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)およびアラニン(A)からなる群から選択され、
    は、独立に、チロシン(Y)、グリシン(G)、アラニン(A)、グルタミン(E)およびアスパラギン酸(D)からなる群から選択され、
    は、独立に、セリン(S)、グリシン(G)、グルタミン(E)およびスレオニン(T)からなる群から選択され、
    ただし、X1−X2−X3は、Y−Y−S以外である。]。
  43. がGであり、XおよびXが請求項42で定義される通りである、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  44. がGであり、XおよびXが請求項42で定義される通りである、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  45. がEであり、XおよびXが請求項42で定義される通りである、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  46. がGであり、XがGであり、Xが請求項42で定義される通りである、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  47. が請求項42で定義される通りであり、XがGであり、XがEである、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  48. がGであり、XがGであり、XがEである、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  49. がAであり、XがGであり、XがTである、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  50. Figure 2008505612
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項42に記載のポリヌクレオチド。
  51. 請求項42に記載のポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター。
  52. 請求項51に記載の組換え発現ベクターを含む宿主細胞。
  53. 真核細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
  54. 哺乳動物細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
  55. 酵母細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
  56. 細菌細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
  57. CHO細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
  58. COS細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
  59. HEK−293細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
  60. 請求項42に記載の前記ポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列。
  61. 第1のポリペプチド配列、第2のポリペプチド、および連結配列を含み、
    前記第1のポリペプチド配列がリガンドを結合させることができ、
    前記第2のポリペプチド配列がリガンドを結合させることができ、
    前記連結配列が、前記第1のポリペプチド配列と前記第2のポリペプチド配列とを接続して一本のペプチド鎖を形成し、
    前記連結配列が、
    Figure 2008505612
    Figure 2008505612
    からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含むポリペプチド分子。
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