JP2008505116A - アミロイド沈着を伴う疾患の前駆形態の診断方法 - Google Patents

アミロイド沈着を伴う疾患の前駆形態の診断方法 Download PDF

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Abstract

イメージング技術によりアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として患者を同定する方法を提供する。加えて、イメージング技術により病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者におけるアミロイド沈着疾患を同定する方法を提供する。これらの方法は、無症候患者のアミロイド沈着を伴う疾患への進行を調べるためにまたは病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者におけるアミロイド沈着疾患を同定するために使用することができるイメージング及びデータ作成のために使用される物質を開示する。

Description

本発明は、一般的には認知症の臨床兆候を呈している患者の診断の分野に関する。特に、本出願は、診断前状態で軽度の認知障害(MCI)のような認知症の臨床兆候を呈している患者または病因が疑わしい認知症傾向障害におけるアミロイド沈着域をイメージングし、得られたデータを対照被験者の健常レベルと比較するための方法に関する。
A.アミロイド沈着を伴う疾患
アルツハイマー病(AD)に密接に関連している状態は単独の記憶障害または幾つかの認知ドメインの障害により特徴づけられるが、アルツハイマー病の診断基準を満たすほど重症でない。この状態は軽度の認知障害と呼ばれており、ADの前駆段階に相当し得る。軽度の認知障害は、正常な認知状態から認知症への中間乃至移行状態と定義されている。軽度の認知障害(MCI)を有している被験者は、通常年齢及び教育についての予測を超える記憶障害を有しているが、まだ認知症になっていない。
軽度の認知障害と診断された患者がADに進行することは幾つか指摘されている。軽度の認知障害が複雑な異質状態に相当し得、軽度の認知障害を有する一部の患者はADにも他の認知症傾向障害にもならないことも指摘されている。
認知症とADの境界を見分けることはかなり興味深い。興味の多くは、正常な老化と認知症、特にアルツハイマー病(AD)の間の境界乃至移行状態に向けられている。幾つかの研究の検討から、これらの被験者がADを発症するリスクは1年あたり1〜25%と高いことが判明した。前記%の変動はおそらく診断基準、測定装置及び小さいサンプルサイズの違いを反映している。Daweら,Int’l J.Geriatr.Psychiatry,7:473(1992)を参照されたい。
MCIと診断された患者に対する治療トライアルについても興味が増えつつある。アルツハイマー病研究グループの老化コンソーシアムの国家機関であるAlzheimer’s Disease Cooperative Studyは、MCI患者のADへの進行を抑えようとする薬剤の多施設トライアルに着手している。Grundmanら,Neurology,A403(1996)を参照されたい。
MCIの診断基準に関して疑問が生じていることがある。一部の研究者らは、軽度のMCIを有する患者の実質的にすべてが神経病理的にADを有しており、従ってこれが有用な区別でないことがあると確信している。Morrisら,Neurology,41:469(1991)を参照されたい。他の研究者らは、上記患者の多くがADに進行するが、すべてがそうなるわけではなく、両者を区別することは重要であると指摘している。Grundman,同上;Petersenら,JAMA,273:1274(1995);Petersenら,Ann.N.Y.Acad.Sci.,802:58(1996)を参照されたい。
ADは米国人のおよそ400万人、世界中では多分2000〜3000万人が罹患していると考えられている。ADは先進国における重大な公衆衛生問題であると認識されている。
ADは記憶喪失及び他の認知欠乏により特徴づけられる神経変性疾患である。McKhannら,Neurology,34:939(1984)。ADは米国での認知症の最も一般的な原因である。病気の存在が危険な脳生検をしないと調べることが困難であり、発症時期が不明であるので、40〜50歳くらいの若い人もADに襲われているおそれがある。ADの有病率は年齢と共に上昇し、患者数は85〜90歳までに40〜50%くらい高率になると推定される。Evansら,JAMA,262:2551(1989);Katzman,Neurology,43:13(1993)。
神経病理学的に、ADは他の諸所見と共に神経突起斑(NP)の存在、神経原線維濃縮体(NFT)及び神経細胞消失により特徴づけられる。Mann,Mech.Ageing Dev.,31:213(1985)。AD犠牲者の脳組織の死後切片は、ADに特徴的な神経突起斑のタンパク質細胞外コアの形態のアミロイドの存在を示している。神経突起斑のアミロイドコアは、主にβ−プリーツ・シート形状で配置されているβ−アミロイド(Aβ)と称されるタンパク質から構成されている。
B.アミロイド沈着物のイメージング
チオフラビン誘導体を用いるヒトのインビボでのアミロイドイメージングを報告するための最初の研究は、Englerら,Neurobiol.Aging,23(1S):S429(2002)により予備報告として提示された。Klunkら,Annals of Neurology,55:306(2004)はより詳細な報告を提出した。この研究では、PIB(Pittsburgh Compound−)と呼ぶアミロイド染料チオフラビン−Tの炭素11−標識ベンゾチアゾール誘導体を使用した。
上記したように、アルツハイマー病の神経病理はしばしばADを“トリプルアミロイド症”(Trojanowskiら,Neuromuscular Disorders,4:1(2003))とするアミロイド斑、神経原線維濃縮体(Mirraら,Neurology,41:479(1991))及びレービー小体または糸の形態のα−シヌクレイン沈着物を含んでいる。NFTとα−シヌクレインが同時沈着する可能性にてらしてAβアミロイド沈着物に対するPIBの相対特異性に向けた研究が実施された。
ヒト陽電子放射断層撮影(PET)研究において実現可能なナノモル濃度で、PIBおよび関連ベンゾチアゾール誘導体は斑−及び脳血管アミロイド−含有AD脳前頭皮質のホモジネートに対してアミロイド非含有の対照脳前頭皮質で観察されるバッグラウンド結合よりも10倍高いレベルで結合する。Klunら,J.Neurosci.,23:2086(2003)。
特定のベンゾチアゾール化合物は血液脳関門を横切ってアミロイド斑を標的とし、イメージング剤が臨床症状前にアミロイド沈着を伴う疾患を診断するために使用される可能性を示している。軽度の認知障害または病因が疑わしい別の認知症傾向障害を有すると臨床診断された患者で見られる基準に基づいてADを早期に診断し、ADを予測すらできれば、ADを罹っている高齢者のケア及び維持が改善されるであろう。しかしながら、無症候患者におけるアミロイド沈着疾患の発症を医師が正確に調べることができる決定的な基準は今までに確立されていない。
本発明の1実施形態は、患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する方法に関し、その方法は、
(A)認知症の臨床兆候または軽度の認知障害の臨床兆候を呈している患者に対して下記式:
Figure 2008505116
[式中、
(i)ZはS、NR’、OまたはC(R’)であり、ZがC(R’)のときにはヘテロ環式環の互変異性体はインドール:
Figure 2008505116
(式中、R’はHまたは低級アルキル基である)
を形成していてもよく;
(ii)YはNR、ORまたはSRであり;
(iii)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
(iv)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
(v)R〜R10は各々独立してH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)、トリアルキル錫、及びW−LまたはV−W−L{ここで、Vは−COO−、−CO−、−CHO−及び−CHNH−からなる群から選択され、Wは−(CH(ここで、nは0、1、2、3、4または5である)であり、Lは
Figure 2008505116
(ここで、MはTc及びReからなる群から選択される)
である}の形態の、キレート化金属基を含むか含まないキレート基からなる群から選択される]
を有し、置換基部分の少なくとも1つが検出可能な標識を含む化合物、並びにその放射標識誘導体及び製薬上許容される塩を投与し、
(B)前記患者をイメージングしてデータを得、
(C)前記データを分析して前記患者におけるアミロイドレベルを健常レベルを参照して確認し、それにより前記患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する
ことを含む。本発明の1態様では、患者は軽度の認知障害と診断されている。本発明の別の態様では、アミロイド疾患はアルツハイマー病である。
検出可能な標識には、当業者に公知のイメージング技術を用いて検出され得る原子または部分を含む。通常、検出可能な標識はH、131I、125I、123I、76Br、75Br、18F、CH−CH−X、O−CH−CH−X、CH−CH−CH−X、O−CH−CH−CH−X(ここで、X131I、123I、76Br、75Brまたは18Fである)、19F、125I;低級アルキル、(CHOR’、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、COOR’、CR’=CR’−Rph及びCR’−CR’−Rph(ここで、少なくとも1つの炭素は11C、13Cまたは14Cである)からなる群から選択される炭素含有置換基;及びW−LまたはV−W−L{ここで、Vは−COO−、−CO−、−CHO−及び−CHNH−からなる群から選択され、Wは−(CH(ここで、nは0、1、2、3、4または5であり、Lは:
Figure 2008505116
(ここで、M99mTcである)
である}の形態の、キレート化金属基を含むか含まないキレート基からなる群から選択される。好ましい実施形態において、検出可能な標識は放射標識である。
同じプロトコルを用いて、
病因が疑わしい認知症傾向障害をアミロイド沈着疾患に起因すると定めるために;
アルツハイマー病を前頭側頭認知症と区別するために;
アルツハイマー病の発症を調べるべく患者をモニターするために;
軽度の認知障害と臨床診断された患者においてアルツハイマー病を診断するために;
患者をアルツハイマー病の前駆として同定するために;
病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者をアミロイド沈着障害を伴う疾患を有すると同定するために;または
病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者をアルツハイマー病を有していると同定するために;
患者に適用したイメージング技術から得たデータを比較することができる。
1実施形態では、本発明のイメージング法はガンマ線イメージング、磁気共鳴イメージング及び磁気共鳴分光法からなる群から選択される。この実施形態の1態様では、イメージングはガンマ線イメージングによりなされ、ガンマ線イメージングはPETまたはSPECTである。
好ましい実施形態では、式(I)を有する化合物は
Figure 2008505116
である。
特に、上記化合物はC−11標識を含む。
本発明は、アミロイド沈着を伴う疾患の前駆として患者を同定するためまたは今までにADと確定診断されていない病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者を同定するための方法をも提供する。
好ましい実施形態では、アミロイド沈着障害はアミロイド斑沈着障害である。
本発明者らは、特定のチオフラビン化合物が病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者を含めたADの診断基準を満たしていない患者(例えば、認知症の臨床兆候を呈している患者及び軽度の認知障害を有している患者)の脳中のアミロイド沈着物をイメージングするために使用され得、患者のアミロイドイメージングからのデータは特定のアミロイド沈着物がADまたは別のアミロイド沈着障害の前兆症状であることを示していることを知見した。
本発明は、患者をアミロイド沈着疾患の標準臨床診断の前駆として同定する方法に関する。この方法は、患者から定量及び定性データを得るためにアミロイドイメージング剤を使用することを含む。本発明に従う定量的及び定性的アミロイドイメージングはアミロイド沈着疾患をより早く且つより正確に診断することを可能とし、抗アミロイド治療の発展を助けるだろう。この方法の対象となる患者は認知症の臨床兆候を呈している患者または軽度の認知障害の臨床兆候を呈している患者である。
当業者は、開業医が認知症の臨床兆候を調べるために各種基準を適用し得ることを認識している。前記基準にはDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第3版(DSM−III)、Alzheimer’s Disease Diagnostic and Treatment Center(ADDTC)、International Statistical Classification of Diseases,第10版(ICD−10)、National Institute of Neurological Disorders and Stroke−Association Internationale pour la Recherche et l’Enseignment en Neurosciences(NINDS−AIREN)及びDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版(DSM−IV)が含まれるが、これらに限定されない。Pohjasvaaraら,Stroke,31:2952−2957(2000)を参照されたい。
患者を軽度の認知障害として臨床的に特徴づけることは開業医の技量の範囲内である。前記状態を解明するための患者の検査には一連のメンタルテストの実施が含まれる。臨床診断方法は広く検討されており、例えばPetersenら,Arch.Neurol.,56:303−308(1999年3月)に記載されている。
臨床検査のみに基づいてMCIと同定された被験者は、ADの診断に変わるか(約10〜15%/年の割合)、MCIのままであるか、または“正常”との診断に戻る(10〜15%/年)ことがある。
S.Larrieu,L.Letenneur,J.M.Orgogozo,C.Fabrigoule,H.Amieva,C.Le,P.Barberger−Gateau,J.F.Dartigues,Incidence and outcome of mild cognitive impairment in a population−based prospective cohort,Neurology,59:1594−1599(1926)。
このように、臨床診断に関連した予後はかなり不確かである。MCIと臨床診断された被験者中の脳アミロイド沈着の存在または不在を同定できれば、ADへの変化の予後の正確さがかなり高まる可能性がある。
アミロイド沈着を伴う疾患のカテゴリーにはアルツハイマー病、ダウン症候群、2型糖尿病、遺伝性脳出血アミロイド症(オランダ)、アミロイドA(反応性)、続発性アミロイド症、家族性地中海熱、じんま疹及び難聴を伴う家族性アミロイド腎症(マックル・ウェルズ症候群)、アミロイドラムダL鎖またはアミロイドカッパL鎖(特発性、骨髄腫またはマクログロブリン血症関連)Aベータ2M(慢性血液透析)、ATTR(家族性アミロイド多発性神経障害(ポルトガル、日本、スウェーデン))、家族性アミロイド心筋症(オランダ)、孤立性(isolated)心臓アミロイド、全身性老人性アミロイド症、AIAPPまたはアミリンインスリノーマ、心房ナトリウム利尿性因子(孤立性心房アミロイド)、プロカルシトニン(髄様甲状腺癌)、ゲルゾリン(家族性アミロイド症(フィンランド))、シスタチンC(アミロイド症を伴う遺伝性脳出血(アイスランド))、AApo−A−I(家族性アミロイド性多発性神経障害(アイオワ))、AApo−A−II(マウスにおける急速老化)、フィブリノーゲン関連アミロイド、及びAsorまたはPr P−27(スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ病、Gertsmann−Straussler−Scheinker症候群、ウシ海綿状脳症)、またはアポリポタンパク質E4対立遺伝子に対してホモ接合性のヒトの場合にはアポリポタンパク質E4対立遺伝子に対するホモ接合性に関連する状態またはハンチントン病が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アミロイド沈着を伴う疾患はアミロイド斑沈着疾患である。好ましくは、アミロイド沈着を伴う疾患はADである。
本発明によれば、患者をアミロイド沈着疾患の前駆として同定するための基本的方法は、
(A)同定が必要な認知症の臨床兆候または軽度の認知障害の臨床兆候を呈している患者に対して下記式:
Figure 2008505116
[式中、
(i)ZはS、NR’、OまたはC(R’)であり、ZがC(R’)のときにはヘテロ環式環の互変異性体はインドール:
Figure 2008505116
(式中、R’はHまたは低級アルキル基である)
を形成していてもよく;
(ii)YはNR、ORまたはSRであり;
(iii)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
(iv)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
(v)RはH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
(vi)RはH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
(vii)RはH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
(viii)RはH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
(ix)RはH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
(x)RはH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
(xi)RはH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
(xii)R10はH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)及びトリアルキル錫からなる群から選択され;
或いは、R〜R10の1つはW−LまたはV−W−L{ここで、Vは−COO−、−CO−、−CHO−及び−CHNH−からなる群から選択され、Wは−(CH(ここで、nは0、1、2、3、4または5である)であり、Lは
Figure 2008505116
(ここで、MはTc及びReからなる群から選択される)
である}の形態の、キレート化金属基を含むか含まないキレート基であり得る]
を有し、置換基部分の少なくとも1つは検出可能な標識を含む化合物、並びにその放射標識誘導体及び製薬上許容される塩を有効量投与し、
(B)前記患者をイメージングしてデータを得、
(C)前記データを分析して前記患者におけるアミロイドレベルを健常レベルを参照して確認することを含む。
1実施形態は、病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者の診断方法に関する。この方法は、アミロイド沈着の所見に基づいて病因が疑わしい認知症を多分ADまたは別のアミロイド沈着障害かを調べることを含む。この方法は、患者に対して式(I)または(II)を有する化合物或いは構造1〜45の1つを投与し、前記患者をイメージングしてデータを得、アミロイド沈着の所見に基づいて病因が疑わしい認知症がADであるかを調べることを含む。
別の実施形態は、上記または下記する実施形態に記載されているように患者をアミロイド沈着疾患の前駆として同定するための薬剤の製造方法である。この方法は、式(I)または(II)或いは本明細書中に記載されている構造1〜45の1つに従う化合物を医薬用担体と混合して薬剤を形成することを含む。
更に別の実施形態は、上記または下記する実施形態に記載されているように病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者を診断するための薬剤の製造方法である。この方法は、式(I)または(II)或いは本明細書中に記載されている構造1〜45の1つに従う化合物を医薬用担体と混合して薬剤を形成することを含む。
用語「病因が疑わしい認知症傾向障害」は、(認知症傾向障害のヒトを診断する専門家が通常使用している神経学的、精神医学的、医学的及び神経心理学的評価から構成され得る)臨床評価を受け、臨床評価した後、評価者が(主観的記憶愁訴、正常な機能からずれているヒトを知っている情報提供者による記憶愁訴の説明、または当業者が一般的に使用している臨床検査の証拠に基づいて)若干の認知症傾向障害が存在するかもしれないという証拠を見出だすが、単一の臨床的に明確な認知症傾向障害(例えば、AD、前頭側頭認知症、レービー小体を含む認知症、血管性認知症、大うつ病が原因の偽認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病及び当業者に公知の他のもの)に関する十分な証拠を見つけることができないか、または1つ以上の単一の認知症傾向障害の証拠を2つ以上の認知症傾向障害の区別が疑わしい程度にしか見つけられないヒトの状態を指す。
本発明のこの態様ではアミロイドイメージング剤を使用し、このアミロイドイメージング剤はインビボでアミロイド沈着を定量するために非侵襲的ニューロイメージング技術、例えば磁気共鳴分光法(MRS)またはイメージング(MRI);ガンマ線イメージング法、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)と組み合わせて使用される。これらのイメージング技術により多くの脳領域のデータが得られる。「関心領域(ROI)」を描写することにより特定領域が定量される。
本発明によれば、患者から上記したイメージング技術の1つを用いて得たデータを健常患者からのデータと比較して、アミロイド沈着疾患の標準臨床診断の前駆として患者を区別する基準に基づいて結論が得られる。
同じプロトコルを用いて、
病因が疑わしい認知症傾向障害をアミロイド沈着疾患に起因すると定めるために;
アルツハイマー病を前頭側頭認知症と区別するために;
アルツハイマー病の発症を調べるべく患者をモニターするために;
軽度の認知障害と臨床診断された患者においてアルツハイマー病を診断するために;
患者をアルツハイマー病の前駆として同定するために;
病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者をアミロイド沈着障害を伴う疾患を有していると同定するために;または
病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している患者をアルツハイマー病を有していると同定するために;
患者に適用したイメージング技術から得たデータを比較することができる。
アミロイドイメージング剤
本発明のために適しているアミロイドイメージング剤は上記した式(I)を有する化合物である。
幾つかの実施形態では、アミロイドイメージング剤は式(II):
Figure 2008505116
(式中、
は水素、−OH、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシまたはハロであり;
RはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロであり;
は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり;
は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、ここで前記したアルキル、アルケニルまたはアルキニルは放射性炭素を含むか、またはRが水素もしくは非放射性ハロのときには放射性ハロで置換されており;
ただしRが水素または−OHであり、Rが水素であり、Rが−11CHのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、更にただしRが水素であり、Rが水素であり、Rが−(CH 18FのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである)
を有する化合物、或いは前記化合物の放射標識誘導体、製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグである。
1実施形態では、式(II)を有する化合物中のRは放射性ハロを含有する。よって、例えば、本明細書に記載されている実施形態と組み合わせて使用するための式(II)を有する1つの化合物は、2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾール−6−オール:
Figure 2008505116
である。
「アルキル」は、直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。その例にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。用語「低級アルキル」はC1−6アルキルを指す。
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む不飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。その例にはエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、tert−ブテニル、n−ペンテニル及びn−ヘキセニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む不飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。その例にはエチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、tert−ブチニル、ペンチニル及びヘキシニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルコキシ」は、酸素結合を介して結合しているアルキル基を指す。
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を指す。
「放射性ハロ」は、放射性ハロ、すなわち放射性フルオロ、放射性クロロ、放射性ブロモまたは放射性ヨードを指す。
別の実施形態において、式(I)を有するチオフラビン化合物は構造1〜45またはその放射標識誘導体からなる群から選択される。
Figure 2008505116
Figure 2008505116
Figure 2008505116
Figure 2008505116
化合物1〜45において、置換基部分の少なくとも1つは上記した検出可能標識を含む。
好ましい実施形態では、アミロイドイメージング剤は{N−メチル−11C}2−[4’−(メチルアミノ)フェニル]6−ヒドロキシベンゾチアゾール(“[11C]PIB”)または{N−メチル−H}2−[4’−(メチルアミノ)フェニル]6−ヒドロキシベンゾチアゾール(“[H]PIB”)である。
「有効量」は、所望の効果を生じさせるのに必要な量を指す。「有効量」の例には、インビボまたはインビトロでアミロイド沈着物を検出し、イメージングすることができ;医薬用に許容される程度の毒性及びバイオアベイラビリティーレベルを生じ;及び/またはフィブリル形成を伴う細胞変性及び毒性を予防する量が含まれる。
本明細書中で「チオフラビン化合物」、「チオフラビン誘導体」または「アミロイドイメージング剤」とも呼ばれる式(I)及び(II)または構造1〜45を有する化合物はそれぞれ(1)インビトロで合成Aβに特異的に結合し、(2)インビボで非妥協血液脳関門を横切ることができるという特徴を有している。
式(I)及び(II)並びに構造1〜45を有するチオフラビン化合物及びその放射標識誘導体は、インビボで血液脳関門を横切り、神経突起(拡散性ではない)斑中に沈着したAβ、脳血管アミロイド中に沈着したAβ、及びNFT中に沈着したタンパク質からなるアミロイドに結合する。本発明の化合物は、組織切片中のアミロイドを染色し、インビトロで合成Aβに結合することが公知のチオフラビンS及びTの非4級アミン誘導体である。J.Kelenyi,Histochem.Cytochem.,15:172(1967);Burnsら,J.Path.Bact.,94:337(1967);Gunternら,Experientia,48:8(1992);LeVine,Meth.Enzymol.,309:274(1999)。
本発明の方法は、患者の臓器または身体域、好ましくは脳中のアミロイド沈着物の存在及び位置を測定する。本発明の方法は、式(I)または(II)を有するアミロイドイメージング剤を検出可能量投与することを含む。幾つかの実施形態では、アミロイドイメージング剤は上記した構造1〜45から選択される。アミロイドイメージング剤は医薬組成物またはその製薬上許容される水溶性塩として患者に対して投与され得る。
「製薬上許容される塩」は、本発明の化合物の酸または塩基の塩であり、所望の薬理学的活性を有し且つ生物学的にも他の点でも望ましいものを指す。この塩は酸を用いて形成され得、この中には酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。塩基塩の例にはアンモニウム塩;アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩及びマグネシウム塩;有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩及びN−メチル−D−グルカミン;及びアミノ酸(例えば、アルギニン及びリシン)との塩が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、塩基性窒素含有基はハロゲン化低級アルキル、例えば塩化メチル,エチル,プロピル及びブチル、臭化メチル,エチル,プロピル及びブチル、及びヨウ化メチル,エチル,プロピル及びブチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル,ジエチル,ジブチル及びジアミル;長鎖ハロゲン化物、例えば塩化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル、臭化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル、塩化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル;及びハロゲン化アルアルキル、例えば臭化フェネチルのような物質を用いて4級化され得る。
通常、検出可能に標識されているチオフラビン誘導体の用量は、当業界の医師が調節するために考慮する患者の年齢、状態、性別及び病気の程度;もしあるならば配合禁忌、併用治療;及び他の変数のような要件に依存して変わる。用量は0.001〜10μg/kg、好ましくは0.01〜1.0μg/kgであり得る。
被験者に対して局所または全身に投与され得、静脈内、動脈内、鞘内(脊髄液を介して)等に投与され得る。検査しようとする身体部位に応じて皮内または腔内に投与してもよい。化合物がアミロイドと結合するのに十分な時間、例えば30分間〜48時間経過したら、検査しようとする被験者の領域をルーチンのイメージング技術(例えば、MRS/MRI、SPECT、平面シンチレーションイメージング、PET及び任意の新しいイメージング技術)により調べる。正確なプロトコルは必ず上記した患者に特有の因子及び検査しようとする身体部位、使用する標識の投与方法及び標識の種類に応じて異なり、特異的処置は当業者によりルーチンに決定される。脳イメージングのためには、本発明の結合した放射標識チオフラビン誘導体またはアナログの量(全結合または特異的結合)を測定し、患者の小脳に結合した標識チオフラビン誘導体の量と(比として)比較することが好ましい。次いで、この比を年齢を整合させた正常脳の同一比と比較する。
本発明のアミロイドイメージング剤を注射用組成物の形態で投与するのが有利であるが、公知のドラッグデリバリーシステム(例えば、経口、直腸内、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、槽内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤または滴剤)、または口腔または鼻内スプレーとして)に製剤化してもよい。前記目的のための典型的な組成物は製薬上許容される担体を含む。例えば、組成物は、NaCl含有リン酸バッファー1mlあたり約10mgのヒト血清アルブミン及び約0.5〜500μgの標識チオフラビン誘導体を含み得る。他の製薬上許容される担体には、例えば参照により本明細書に組み入れるREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,第15版,イーストンに所在のMack Publishing Co.,p.1405−1412及びp.1461−1487(1975年出版)及びTHE NATIONAL FORMULARY XIV.,第14版,ワシントンに所在のAmerican Pharmaceutical Association(1975年出版)に記載されているような水溶液、塩、保存剤、バッファー等を含めた非毒性賦形剤が含まれる。
本発明の特に好ましいアミロイドイメージング剤は、インビボでアミロイドに特異的に結合し且つ血液脳関門を横切ることができるだけでなく、適正な用量レベルで非毒性であり、十分な作用期間を有するものである。
本発明によれば、式(I)または(II)或いは構造1〜45を有するアミロイドイメージング剤を含む医薬組成物をアミロイドまたはアミロイドフィブリル形成が予測される被験者、例えばアルツハイマー病と臨床診断された患者に対して投与する。
非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。水性担体には水、アルコール性/水性溶液、食塩液、非経口ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム)、リンガーデキストロース等が含まれる。静脈内ビヒクルには流体及び栄養補液が含まれる。保存剤には抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤及び不活性ガスが含まれる。医薬組成物中の各種成分のpH及び正確な濃度は当業界のルーチンな技量に従って調節される。Goodman and Gilman’s THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS(第7版)を参照されたい。
イメージング
本発明はアミロイドイメージング剤を使用し、このアミロイドイメージング剤はインビボでアミロイド沈着を定量するために非侵襲的ニューロイメージング技術、例えば磁気共鳴分光法(MRS)またはイメージング(MRI);ガンマ線イメージング法、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)と組み合わせて使用される。これらのイメージング技術により多くの脳領域のデータが得られる。「関心領域(ROI)」を描写することにより特定領域が定量される。この方法はアミロイド沈着を確定するために患者をイメージングすることを含む。
用語「インビボイメージング」は、式(I)または(II)或いは構造1〜45の標識チオフラビン誘導体を検出できる方法を指す。ガンマ線イメージングの場合、検査しようとする臓器または領域から発せられる放射線を測定し、全結合としてまたは1つの組織中の全結合を同一のインビボイメージング処置中同一被験者の別の組織における全結合に対して(例えば、割ることにより)正規化した比として表示する。インビボの全結合は、同一量の標識化合物を大過剰の標識されていない以外は化学的に同一の化合物と共に第2注射することにより補正する必要なく、インビボイメージング技術により組織中で検出される全信号として定義される。「被験者」は哺乳動物、好ましくはヒト、最も好ましくはアミロイド沈着を伴う疾患(例えば、AD及び/または認知症)を有していると疑われるヒトである。用語「被験者」及び「患者」は本明細書中で互換可能に使用される。
インビボイメージングの目的で、利用可能な検出装置のタイプは所与の標識を選択する際の主要要因である。例えば、本発明の方法におけるインビボイメージングでは放射性同位元素及び18Fが非常に適している。使用する装置のタイプにより放射性核種または安定な同位元素が選択される。例えば、選択される放射性核種は所与のタイプの装置により検出可能なタイプの減衰を有するものでなければならない。更に、放射性核種の半減期を考慮する。半減期は、標的による最大摂取時に検出可能であるほど十分に長いが、宿主が有害な照射を受けないように十分に短くなければならない。本発明の放射標識化合物は、放射される適当な波長を有するガンマ線を検出するガンマ線イメージングを用いて検出され得る。ガンマ線イメージング方法にはSPECT及びPETが含まれるが、これらに限定されない。SPECT検出の場合、選択する放射標識が特定の放射を欠くが、140〜200keV範囲で多数の光子を生ずることが好ましい。PET検出の場合、放射標識は、対消磁してPETカメラにより検出される2つの511keVガンマ線を形成する陽電子放出放射性核種(例えば、19F)である。
本発明では、アミロイド沈着のインビボイメージング及び定量のために有用なアミロイド結合化合物を患者に投与する。前記化合物は、非侵襲的ニューロイメージング技術(例えば、 磁気共鳴分光法(MRS)またはイメージング(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)及び単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT))と一緒に使用される。本発明によれば、MRS/MRIのためにチオフラビン誘導体を当業界で公知の一般的な有機化学技術により19Fまたは13Cで標識してもよい。例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられるJ.March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY:REACTIONS,MECHANISMS,AND STRUCTURE,第3版(1985)を参照されたい。また、PETのためにチオフラビン誘導体を当業界で公知の技術により18F、11C、75Brまたは76Brで放射標識してもよく、その内容が参照により本明細書に組み入れられるJ.Fowler及びA.Wolf,POSITRON EMISSION TOMOGRAPHY AND AUTORADIOGRAPHY,M.Phelps,J.Mazziota及びH.Schelbert編,p.391−450,ニューヨークに所在のRaven Press(1986年)出版に記載されている。また、SPECTのためにチオフラビン誘導体を当業界で公知の幾つかの技術により123Iで放射標識してもよい。例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられるKulkarni,Int.J.Rad.Appl.& Inst.(Part B),18:647(1991)を参照されたい。加えて、チオフラビン誘導体を、ヨウ化ジアゾニウムを用いて直接ジアゾ化アミノ誘導体をヨード化することにより(F.Greenbaum,Am.J.Pharm.,108:17(1936)参照);不安定なジアゾ化アミンを安定なトリアゼンに変換することにより;または非放射性ハロゲン化前駆体を当業界で周知の幾つかの方法によりその後ヨード化合物に変換され得る安定なトリアルキル錫誘導体に変換することにより、適当な放射性ヨウ素同位元素で標識してもよい。前記放射性ヨウ素同位元素には131I、125Iまたは123Iが含まれるが、これらに限定されない。Satyamurthy及びBarrio,J.Org.Chem.,48:4394(1983);Goodmanら,J.Org.Chem.,49:2322(1984);Mathisら,J.Labell.Comp.and Radiopharm.,905(1994);Chumpraditら,J.Med.Chem.,34:877(1991);Zhuangら,J.Med.Chem.,37:1406(1994);Chumpraditら,J.Med.Chem.,37:4245(1994)を参照されたい。例えば、チオフラビンまたはそのアナログの安定なトリアゼンまたはトリアルキル錫誘導体を131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fまたは19Fを含有するハロゲン化剤と反応させる。チオフラビンまたはそのアナログの安定なトリアルキル錫誘導体は本発明の多くの放射標識化合物を合成するのに有用な新規前駆体である。よって、これらのトリアルキル錫誘導体も本発明の1実施形態である。
また、チオフラビン誘導体を公知の金属放射標識(例えば、テクネチウム−99m(99mTc))で放射標識してもよい。金属イオンを結合するリガンドを導入するために置換基は放射標識分野の当業者により過度の実験をすることなく修飾することができる。ここでは、アミロイド沈着物を検出するために金属放射標識チオフラビン誘導体が使用され得る。Tc99mの放射標識誘導体の製造は当業界で公知である。例えば、Zhuangら,“Neutral and stereospecific Tc−99m complexes:[99mTc]N−benzyl−3,4−di−(N−2−mercaptoethyl)−amino−pyrrolidines(P−BAT)”,Nuclear Medicine & Biology,26(2):217−24(1999);Oyaら,“Small and neutral Tc(v)O BAT, bisaminoethanethiol (N2S2) complexes for developing new brain imaging agents”,Nuclear Medicine & Biology,25(2):135−40(1998);及びHomら,“Technetium−99m−labeled receptor−specific small−molecule radiopharmaceuticals:recent developments and encouraging results”,Nuclear Medicine & Biology,24(6):485−98(1997)を参照されたい。
本発明の方法では、インビボイメージング及び分光法のために核磁気共鳴分光法により検出可能な同位元素を使用してもよい。磁気共鳴分光法において特に有用な元素には19F及び13Cが含まれる。
本発明の目的に適した放射性同位元素にはβ−放出体、γ−放出体、陽電子放出体及びX線放出体が含まれる。放射性同位元素には131I、123I、18F、11C、75Br及び76Brが含まれる。本発明に従って磁気共鳴イメージング(MRI)または分光法(MRS)に使用するのに適した安定な同位元素には19F及び13Cが含まれる。生検または死後組織のホモジネート中のアミロイドをインビトロ定量するのに適した放射性同位元素には125I、14C及びHが含まれる。好ましい放射性標識は、PETインビボイメージングに使用するためには11Cまたは18F、SPECTイメージングに使用するためには123I、MRS/MRIのためには19F、インビボ研究のためにはHまたは14Cである。しかしながら、イメージング剤を可視化するための慣用方法が本発明に従って使用され得る。
式(I)及び(II)または構造1〜45の化合物が神経原線維濃縮体よりもアミロイド斑に特異的に結合する能力は、PET放射性トレーサのインビボ濃度範囲を含めた10nM未満の濃度で特に確実である。こうした低濃度において、濃縮体のみを含有し、斑を含有しない脳組織のホモジネートでは斑も濃縮体も含有しない対照脳組織に比して有意な結合が生じない。しかしながら、主に斑を含有し、若干濃縮体を含有する脳組織のホモジネートを式(I)及び(II)または構造1〜45の放射標識化合物とインキュベートすると、斑も濃縮体も含有しない対照組織に比して結合は有意に増加する。このデータから、これらの化合物が10nM未満の濃度でAβ沈着物に対して特異的であるという作用効果が示唆される。この低濃度はPET研究で検出可能であり、Aβ沈着物に対して特異的な式(I)及び(II)または構造1〜45の放射標識化合物を用いるPET検出を可能とする。前記化合物を使用すると、斑及び脳血管アミロイド中に見られるようなAβ沈着物をPETで検出することができる。前頭皮質中の不溶性沈着Aβのレベルは濃縮体形成前に増加すると報告されているので、PETトレーサーとして使用される式(I)及び(II)または構造1〜45の放射標識化合物がAD皮質中の最も早期の変化に特異的であることが示唆される。Naslundら,JAMA,283:1571(2000)。
他の方法で明白に記載されていない限り、単数形の用語の定義は明細書中に記載されている複数形の対応用語に適用されると推定され得る。また、複数形の用語の定義は明細書中に記載されている単数形の対応用語に適用されると推定され得る。
本発明を説明するために下記実施例を提示する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に記載されている具体的条件または詳細に限定されないと理解されるべきである。明細書中を通して、米国特許明細書を含めて公開されている文献はすべて参照により本明細書に組み入れられる。
アミロイドイメージングのデータ分析
得られたデータは、標準化した集積値(Standardized Uptake Value, SUV)によって、または基準組織(例えば、小脳)に対するLogan分布容積比(distribution volume ratio, DVR)のような薬物動態モデリングパラメーターによって定量的に表され得る。SUVまたはDVRの典型的な対照値を超える標準偏差が1以上の被験者は検査で“陽性”であると見なされ、アミロイド沈着疾患(例えば、AD)の臨床診断の前駆であると見なされるであろう。具体的には、前頭、頭頂または後帯状皮質における40〜60分平均SUVが1.0を超えるならば、被験者は“陽性”と見なされるであろう。この値により、初期ヒト研究でAD患者と対照が明確に区別される(Klunkら,Ann.Neurol.,55(3):306−19(2004)(図2参照)。また、前頭、頭頂または後帯状皮質におけるLogan DVR値が1.5を超えているならば、被験者は“陽性”と見なされ得る(図3参照)。これらの脳領域及び正確なカットオフ値は単なる例であり、更なる実験で有用な追加脳領域を開示することができ、カットオフ値は更に検討され、他のモデリング技術(例えば、コンパートメントモデリング、グラフ分析、基準組織モデリングまたはスペクトル分析)をカットオフ値を決定するために適用してもよい。加えて、スキャンデータは、SUV、Logan DVRまたはPETスキャンを解釈する当業者がアミロイドの定量及び分布が臨床診断されたアミロイド沈着疾患の前駆相と一致していることを決定し得る他のパラメーターの領域脳分布を反映している図1に図示されているような画像から定量的に解釈され得る。
合成例
式(I)及び(II)並びに構造1〜45を有する化合物は当業界で公知の方法により製造され得る。例えば、全文を参照により本明細書に組み入れる国際特許出願公開第02/16333号及び2003年12月25日に公開された米国特許出願公開第2003/0236391号を参照されたい。
別段の記載がない限り、合成において使用した試薬はすべてAldrich Chemical Companyから購入し、更に精製することなく使用した。融点はMel−TEMP IIを用いて測定し、補正しなかった。全化合物のH NMRスペクトルは、内部基準としてTMSを用いてBruker 300で測定し、帰属構造と一致した。TLCは、EM Sciences製のSilica Gel 60 F254を用いて実施し、UVランプ下で検出した。フラッシュクロマトグラフィーは、Mallinckrodt Companyから購入したシリカゲル60(230〜400メッシュ)を用いて実施した。逆相TLCはWhiteman Companyから購入した。
式(I)を有する化合物を合成するための一般的方法
Figure 2008505116
(式中、
は水素、−OH、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシまたはハロであり、Rの原子の1個以上が放射標識原子であり得;
RはC−Cアルキルであり、炭素原子の1個以上が放射標識原子であり得る)
を以下の2つの手順の1つにより加水分解する。
加水分解による2−アミノチオフェノールの製造:
6−置換2−アミノベンゾチアゾール(172mmol)を(180gのKOHを180mlの水中に溶解させた)50% KOH及びエチレングリコール(40ml)中に懸濁させる。懸濁液を48時間還流加熱する。室温まで冷却したら、トルエン(300ml)を添加し、反応混合物を酢酸(180ml)で中和する。有機層を分離し、水性層を更にトルエン(200ml)で抽出する。トルエン層を合わせ、水で洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発させて、所望生成物を得る。
ヒドラジン分解による2−アミノチオフェノールの製造:
6−置換−ベンゾチアゾール(6.7mmol)を無水エタノール(11ml)中に懸濁し、ヒドラジン(2.4ml)を窒素雰囲気下室温で添加する。反応混合物を1時間還流加熱する。溶媒を蒸発させ、残渣を水(10ml)中に溶解し、酢酸を用いてpH5に調節する。沈殿を濾過により集め、水で洗浄して、所望生成物を得る。
生じた構造:
Figure 2008505116
の5−置換−2−アミノ−1−チオフェノールを下記方法により構造:
Figure 2008505116
(式中、Rは水素であり、R及びRは独立して水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである)
を有する安息香酸にカップリングさせる。
5−置換2−アミノチオフェノール(4.0mmol)、安息香酸(4.0mmol)及びポリリン酸(PPA)(10g)の混合物を220℃に4時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、10% 炭酸カリウム溶液(〜400ml)に注ぐ。沈殿を減圧下で濾過により集めて、所望生成物を得た。この生成物はフラッシュクロマトグラフィーまたは再結晶化により精製され得る。
水素は下記反応により非放射性ハロまたは放射性ハロで置換され得る。
密封バイアル中の6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(1mg)を酢酸(250μl)中に含む溶液に40μlの(28mgを500μlの酢酸中に溶解させた)クロラタミンT溶液及び27μl(約5mCi)の[125I]ヨウ化ナトリウム(比放射能2,175Ci/mmol)を添加する。反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、飽和硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチする。水(20ml)で希釈した後、反応混合物をC8 Plus SepPakに充填し、メタノール(2ml)で溶離させる。6位の置換基の種類に応じては保護基を使用しなければならないことがある。例えば、6−ヒドロキシ基はメタンスルホニル(メシルオキシ)誘導体として保護される。メタンスルホニル基を脱保護するためには、放射性ヨウ素化中間体の溶離溶液に1M NaOH(0.5ml)を添加する。混合物を50℃で2時間加熱する。1M 酢酸(500μl)でクエンチした後、反応混合物を水(40ml)で希釈し、C8 Plus SepPakに充填する。約3mCiの放射能を有する放射性ヨウ素化生成物をメタノール(2ml)を用いてSepPakから溶離させる。溶液を窒素流により300μlまで濃縮し、粗な生成物をMeCN/TEAバッファー(pH7.5)(35:65;流速は、4分までは0.5ml/分、4〜6分は1.0ml/分、6分からは2.0ml/分とする;保持時間23.6)を溶離液とし、Phenomenex ODSカラムを用いるHPLCにより精製する。集めた画分をC8 Plus SepPakに充填する。エタノール(1ml)で溶離して、約1mCiの最終放射性ヨウ素化生成物を得る。
及び/またはRが水素の場合、R及びRは以下の条件下でハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルキニルと反応させることによりC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルに変換され得る。
ジアルキル化のためには、6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(0.59mmol)を無水DMSO(2ml)中に含む溶液にハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルキニル(2.09mmol)及びKCO(500mg,3.75mmol)を添加する。反応混合物を140℃で16時間加熱する。室温まで冷却したら、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチル(3×10ml)で抽出する。有機層を合わせ、溶媒を蒸発させる。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の6−置換ジメチルアミノフェニル)−ベンゾチアゾールを得る。
モノアルキル化のためには、6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(0.013mmol)を無水DMSO(0.5ml)中に含む溶液にハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルキニル(0.027mmol)及び無水KCO(100mg,0.75mmol)を添加する。反応混合物を100℃で16時間加熱する。室温まで冷却したら、反応混合物を直接順相分取TLCにより精製して、所望の6−置換−2−(4’−メチルアミノフェニル)−ベンゾチアゾール誘導体を得る。
が水素または非放射性ハロであり、RがC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、前記したアルキル、アルケニルまたはアルキニルが放射性炭素を含んでいるかまたは放射性ハロで置換されている場合、化合物は以下のシーケンスの1つにより合成され得る。
放射性炭素の取り込み:
CTI/Siemens RDS 112陰イオンサイクロトロンを用い、1% 酸素ガスを含有する窒素ガス(14)ターゲットに11MeV 陽子の40μA ビーム電流を60分間照射することにより約1Ciの[11C]二酸化炭素を生じさせる。まず[11C]二酸化炭素を水素化アルミニウムリチウムをTHF中に含む飽和溶液と反応させた後還流温度でヨウ化水素酸を添加してヨウ化[11C]メチルを生成することにより、[11C]二酸化炭素をヨウ化[11C]メチルに変換する。ヨウ化[11C]メチルを放射標識のための前駆体を収容している反応バイアルに窒素ガス流で運ぶ。前駆体の6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(〜3.7μmoles)をDMSO(400μl)中に溶解する。乾燥KOH(10mg)を添加し、3ml容量のV型バイアルを5分間回転させる。キャリアを添加していないヨウ化[11C]メチルを室温において溶液中に30ml/分で通す。反応物を油浴を用いて95℃で5分間加熱する。反応生成物を60% アセトニトリル/40% トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)(流速は、0〜7分間は5ml/分、その後7〜30分間は15ml/分に上げた)を溶離液とし、Prodigy ODS−Prepカラムを用いる半分取HPLCにより精製する。[N−メチル−11C]6−置換2−(4’−メチルアミノフェニル)−ベンゾチアゾールを含有する画分を(約15分で)集め、水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させる。C18 SepPakを水(10ml)で洗浄し、生成物を滅菌バイアル中に無水エタノール(1ml)及び生理食塩液(14ml)を順次用いて溶離させた。65/35 アセトニトリル/トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)を溶離液とし、Prodigy ODS(3)分析カラムを用いる分析HPLCにより測定して(k’=4.4)、放射化学的純度及び化学的純度は>95%である。合成終了時、放射化学的収率はヨウ化[11C]メチルに基づいてEOSで平均17%であり、比放射能は平均約160GBq/μmol(4.3Ci/μmol)である。
放射性ハロゲンの取り込み:
Figure 2008505116
THF(8ml)中の6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(上記したように6−置換基の種類に応じて保護基が必要な場合がある)(0.22mmol)、NaH(4.2mmol)及び2−(−3−ブロモプロポキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(0.22mmol)の混合物を23時間還流加熱する。溶媒を蒸留により除去し、残渣を酢酸エチル及び水中に溶解し、有機層を分離し、水性層を酢酸エチル(10ml×6)で抽出する。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、蒸発乾固する。残渣をAcOH/THF/HO溶液(5ml,4/2/1)に添加し、100℃に4時間加熱する。溶媒を蒸発により除去し、残渣を酢酸エチル(〜10ml)中に溶解し、NaHCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固すると残渣が生ずる。この残渣を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル=60:40)により精製して、所望の6−置換2−(4’−(3”−ヒドロキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール(45%)を得る。
6−置換2−(4’−(3”−ヒドロキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール(0.052mmol)及びEtN(0.5ml)をアセトン(5ml)中に溶解して含む溶液に(Boc)O(50mg,0.22mmol)を添加する。反応混合物を室温で6時間撹拌した後、塩化トシル(20mg,0.11mmol)を添加する。反応混合物を室温で更に24時間撹拌する。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(10ml)中に溶解し、NaCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製して、所望の6−置換2−(4’−(3”−トルエンスルホノキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール(13%)を得る。その後、この6−置換2−(4’−(3”−トルエンスルホノキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾールを下記する一般的方法により放射性フッ素化する。
95% [O−18]濃縮水(0.35ml)を含有しているサイクロトロンターゲットに20μA ビーム電流で11MeV 陽子を60分間照射し、内容物をアセトニトリル(57μl)中Kryptofix 222(22.3mg)及びKCO(7.9mg)を収容している5ml容量の反応バイアルに移す。アセトニトリルを1mlずつ添加しながら、溶液をアルゴン流下110℃で3回蒸発乾固する。乾燥[F−18]フロリドにDMSO(1ml)中の6−置換2−(4’−(3”−トルエンスルホノキシプロピルアミン)−フェニル)−ベンゾチアゾール(3mg)を添加し、反応バイアルを密封し、85℃に30分間加熱する。反応バイアルにMeOH/濃HCl(2/1 v/v)(0.5ml)を添加し、バイアルを120℃で10分間加熱する。加熱した後、2M 酢酸ナトリウムバッファー(0.3ml)を反応溶液に添加し、次いで40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)(流速は、15分間は5ml/分、その後分離の残り時間は8ml/分に上げた)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS−prep C18カラム(10μm,250×10mm)を用いる半分取HPLCにより精製する。生成物の[F−18]6−置換2−(4’−(3”−フルオロプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾールは〜20分で約16mlの容量で溶離する。[F−18]6−置換2−(4’−(3”−フルオロプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾールを含有する画分を水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させる。次いで、SepPakカートリッジを水(10ml)で洗浄し、生成物を無水エタノール(1ml)を用いて滅菌バイアルに溶離させる。溶液を動物への静脈注射用滅菌生理食塩液(10ml)で希釈する。120分の放射合成(減衰を補正せず)の終了時、[F−18]6−置換2−(4’−(3”−フルオロプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール生成物が2〜12%の放射化学的収率、1500Ci/mmolの平均比放射能で得られる。
[N−メチル−11C]2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−6−メトキシ−ベンゾチアゾールはスキームIに従って合成した。
スキーム1
Figure 2008505116
CTI/Siemens RDS 112陰イオンサイクロトロンを用い、1% 酸素ガスを含有する窒素ガス(14)ターゲットに11MeV 陽子の40μA ビーム電流を60分間照射することにより約1Ciの[11C]二酸化炭素を生じさせた。まず[11C]二酸化炭素を水素化アルミニウムリチウムをTHF中に含む飽和溶液と反応させた後還流温度でヨウ化水素酸を添加してヨウ化[11C]メチルを生成することにより、[11C]二酸化炭素をヨウ化[11C]メチルに変換した。ヨウ化[11C]メチルを放射標識のための前駆体を収容している反応バイアルに窒素ガス流で運んだ。前駆体の6−CHO−BTA−1(1.0mg,3.7μmol)をDMSO(400μl)中に溶解した。乾燥KOH(10mg)を添加し、3ml容量のV型バイアルを5分間回転させた。キャリアを添加していないヨウ化[11C]メチルを室温において溶液中に30ml/分で通した。反応物を油浴を用いて95℃で5分間加熱した。反応生成物を60% アセトニトリル/40% トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)(流速は、0〜7分間は5ml/分、その後7〜30分間は15ml/分に上げた)を溶離液とし、Prodigy ODS−Prepカラムを用いる半分取HPLCにより精製した。[N−メチル−11C]2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−6−メトキシ−ベンゾチアゾールを含有する画分を(約15分で)集め、水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させた。C18 SepPakを水(10ml)で洗浄し、生成物を滅菌バイアル中に無水エタノール(1ml)及び生理食塩液(14ml)を順次用いて溶離させた。65/35 アセトニトリル/トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)を溶離液とし、Prodigy ODS(3)分析カラムを用いる分析HPLCにより測定して(k’=4.4)、放射化学的純度及び化学的純度は>95%であった。合成終了時、放射化学的収率はヨウ化[11C]メチルに基づいてEOSで平均17%であり、比放射能は平均約160GBq/μmol(4.3Ci/μmol)であった。
2−(3’−125I−ヨード−4’−アミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールはスキームIIに従った合成した。
スキームII
Figure 2008505116
密閉バイアル中の2−(4’−アミノフェニル)−6−メタンスルホノキシ−ベンゾチアゾール(1mg)を酢酸(250μl)中に含む溶液に40μlの(28mgを500μlの酢酸中に溶解させた)クロラミンT溶液び27μl(約5mCi)の[125I]ヨウ化ナトリウム(比放射能2,175Ci/mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で室温で2.5時間撹拌した後、飽和硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチした。水(20ml)で希釈した後、反応混合物をC8 Plus SepPakに充填し、メタノール(2ml)で溶離させた。メタンスルホニル基を脱保護するために、放射性ヨウ素化中間体の溶離溶液に1M NaOH(0.5ml)を添加した。混合物を50℃で2時間加熱した。1M 酢酸(500μl)でクエンチした後、反応混合物を水(40ml)で希釈し、C8 Plus SepPakに充填した。約3mCiの放射能を有する放射性ヨウ素化生成物をメタノール(2ml)を用いてSepPakから溶離させた。溶液を窒素流を用いて300μlまで濃縮し、粗な生成物をMeCN/TEAバッファー(pH7.5)(35:65;流速は、4分までは0.5ml/分、4〜6分間は1.0ml/分、6分からは2.0ml/分とした;保持時間23.6)を溶離液とし、Phenomenex ODSカラムを用いるHPLCにより精製した。集めた画分をC8 Plus SepPakに充填した。エタノール(1ml)で溶離して、約1mCiの最終放射性ヨウ素化生成物を得た。
123I放射性ヨウ素化誘導体の製造は上に概説した合成と同様に進める。例えば、合成方法において[125I]ヨウ化ナトリウムを[123I]ヨウ化ナトリウムに代えると123I放射性ヨウ素化化合物が得られる。1つの放射性ハロ原子を別のものに置換することは当業界で公知である。例えば、C.A.Mathis,S.E.Taylor,A.Biegon,J.D.Enas,[125I]5−Iodo−6−nitroquipazine:a potent and selective ligand for the 5−hydroxytryptamine uptake complex I.In vitro studies,Brain Research,619:229−235(1993);W.Jagust,J.L.Eberling,J.A.Roberts,K.M.Brennan,S.M.Hanrahan,H.VanBrocklin,A.Biegon,C.A.Mathis,In vivo imaging of the 5−hydroxytryptamine reuptake site in primate brain using SPECT and [123I]5−iodo−6−nitroquipazine,European Journal of Pharmacolgy,242:189−193(1993);W.J.Jagust,J.L.Eberling,A.Biegon,S.E.Taylor,H.VanBrocklin,S.Jordan,S.M.Hanrahan,J.A.Roberts,K.M.Brennan,C.A.Mathis,[Iodine−123]5−Iodo−6−Nitroquipazine:SPECT Radiotracer to Image the Serotonin Transporter,Journal of Nuclear Medicine,37:1207−1214(1996)を参照されたい。
2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールをスキームIIIに従って合成した。
スキームIII
Figure 2008505116
95% [O−18]濃縮水(0.35ml)を含有しているサイトロトロンターゲットに20μAのビーム電流で11MeV 光子を60分間照射し、内容物をアセトニトリル(57μL)中CsCO(2mg)を収容している5ml容量の反応バイアルに移した。アセトニトリルを1mlずつ用いて、溶液をアルゴン流下110℃で3回蒸発乾固した。乾燥[F−18]フロリドにDMSO(1ml)中6−MOMO−BT−3’−Cl−4’−NO(6mg)を添加し、反応バイアルを密封し、120℃に20分間加熱した。(この第1放射合成ステップでの放射性化学物質の取り込みは約20%の可溶化[F−18]フロリドであった)。粗な反応混合物に水(8ml)及びジエチルエーテル(6ml)を添加し、混合物を振とうし、分離した。エーテル相を除去し、アルゴン流下120℃で蒸発乾固した。乾燥サンプルに無水EtOH(0.5ml)を酢酸銅(II)(3mg)及びNaBH(8mg)と一緒に添加した。還元反応を室温で10分間実施した(還元ステップの粗収率は約40%であった)。反応混合物に水(8ml)及びジエチルエーテル(6ml)を添加し、混合物を振とうし、エーテル相を分離した。ジエチルエーテル相をアルゴン流下120℃で乾燥した。反応バイアルにCHI(30マイクロモル)及び乾燥KOH(20mg)を含有するDMSO(700ul)を添加した。反応バイアルを120℃で10分間加熱した。MeOH/濃HCl溶液(2:1,700ul)を添加し、120℃で15分間加熱した。加熱した後、反応溶液に2M 酢酸ナトリウムバッファー(1ml)を添加し、次いで35% アセトニトリル/65% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)(流速は、2分間は5ml/分、その後の分離の残り時間は15ml/分に上げた)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS−prep C18カラム(10μm,250×10mm)を用いる半分取HPLCにより精製した。生成物の2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールが〜15分で約16mlの容量で溶離した。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールを含有する画分を水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させた。次いで、SepPakカートリッジを水(10ml)で希釈し、生成物を無水エタノール(1ml)を用いて滅菌バイアル中に溶離させた。溶液を動物への静脈注射用滅菌生理食塩液(10ml)で希釈した。120分間の放射合成(減衰を補正せず)の終了時、2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オール生成物が0.5%(n=4)の放射化学的収率、1000Ci/mmolの平均比放射能で得られた。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールの放射化学的純度及び化学的純度を、40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS(3) C18カラム(5μm,250×4.6mm)を用い、350nmでUV検出する放射性−HPLCにより調べた。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールは、2ml/分の流速で〜11分間の保持時間を有していた(k’=5.5)。放射化学的純度は>99%、化学的純度は>90%であった。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールの放射化学的同一性を、真正(冷)標準物質を同時注射する最終放射性化学生成物の品質対照サンプルを用いる逆相ラジオHPLCにより確認した。
2−[4−(3−18F−フルオロ−プロピルアミノ)−フェニル]−ベンゾチアゾル−6−オールをスキームIVに従って合成した。
スキームIV
Figure 2008505116
95% [O−18]濃縮水(0.35ml)を含有しているサイクロトロンターゲットに20μA ビーム電流で11MeV 陽子を60分間照射し、内容物をアセトニトリル(57μL)中Kryptofix 222(22.3mg)及びKCO(7.9mg)を収容している5ml容量の反応バイアルに移した。アセトニトリルを1mlずつ添加して、溶液をアルゴン流下110℃で3回蒸発乾固した。乾燥[F−18]フロリドにDMSO(1ml)中6−MOMO−BTA−N−Pr−Ots(3mg)を添加し、反応バイアルを密封し、85℃に30分間加熱した。反応バイアルにMeOH/濃HCl(2/1 v/v)(0.5ml)を添加し、バイアルを120℃で10分間加熱した。加熱後、反応溶液に2M 酢酸ナトリウムバッファー(0.3ml)を添加し、次いで40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)(流速は、15分間は5ml/分、分離の残り時間は8ml/分に上げた)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS−prep C18カラム(10μm,250×10mm)を用いる半分取HPLCにより精製した。生成物の[F−18]6−HO−BTA−N−PrFが〜20分に約16mlの容量で溶離した。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFを含有する画分を水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させた。次いで、SepPakカートリッジを水(10ml)で洗浄し、生成物を無水エタノール(1ml)を用いて滅菌バイアルに溶離させた。溶液を動物への静脈注射用滅菌生理食塩液(10ml)で希釈した。120分の放射合成(減衰を補正せず)終了時、[F−18]6−HO−BTA−N−PrF生成物が8±4%(n=8)の放射化学的収率、1500Ci/mmolの平均比放射能で得られた。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFの放射化学的純度及び化学的純度を、40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS(3) C18カラム(5μm,250×4.6mm)を用い、350nmでUV検出するラジオHPLCにより評価した。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFは、2ml/分の流速で〜12分の保持時間を有していた(k’=6.1)。放射化学的純度は>99%、化学的純度は>90%であった。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFの放射化学的同一性を、最終放射化学生成物の品質対照サンプルを真正(冷)標準物質と同時注射して確認した。
2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの合成
Figure 2008505116
4−メトキシ−4’−ニトロベンズアニリドの製造
p−アニシジン(1.0g,8.1mmol)を無水ピリジン(15ml)中に溶解し、4−ニトロベンゾイルクロリド(1.5g,8.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間放置した。反応混合物を水に注ぎ、沈澱を真空下で濾液と一緒に集め、5% 炭酸水素ナトリウム(2×10ml)で洗浄した。生成物を更に精製することなく次ステップで使用した。HNMR(300MHz,DMSO−d) δ:10.46(s,1H,NH),8.37(d,J=5.5Hz,2H,H−3’,5’),8.17(d,J=6.3Hz,2H,H−2’,6’),7.48(d,J=6.6Hz,2H),6.97(d,J=6.5Hz,2H),3.75(s,3H,MeO)。
4−メトキシ−4’−ニトロチオベンズアニリドの製造
クロロベンゼン(15ml)中の4−メトキシ−4’−ニトロチオベンズアニリン(1.0g,3.7mmol)及びラヴェッソン試薬(0.89g,2.2mmol,0.6eq.)の混合物を4時間還流加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製して、生成物(820mg,77.4%)を橙色固体として得た。HNMR(300MHz,DMSO−d) δ:8.29(d,2H,H−3’,5’),8.00(d,J=8.5Hz,2H,H−2’,6’),7.76(d,2H),7.03(d,J=8.4Hz,2H),3.808.37(d,J=5.5Hz,2H,H−3’,5’),8.17(d,J=6.3Hz,2H,H−2’,6’),7.48(d,J=6.6Hz,2H),6.97(d,J=6.5Hz,2H),3.75(s,3H,MeO).(s,3H,MeO)。
6−メトキシ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾチアゾールの製造
4−メトキシ−4’−ニトロチオベンズアニリド(0.5g,1.74mmol)を少量(〜0.5ml)のエタノールで湿らせ、30% 水酸化ナトリウム水溶液(556mg,13.9mmol,8eq.)を添加した。混合物を水で希釈すると、10% 水性水酸化ナトリウムの最終溶液/懸濁液が生じた。この混合物のアリコートを、ヘキサシアノ鉄カリウム(2.29g,6.9mmol,4eq.)を水(5ml)中に含む撹拌溶液に80〜90℃で1分間隔で添加した。反応混合物を更に0.5時間加熱した後、放冷した。沈殿を真空下での濾過により集め、水で洗浄し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製して、生成物(130mg,26%)を得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ:8.45(m,4H),8.07(d,J=8.5Hz,1H,H−4),7.69(s,1H,H−7),7.22(d,J=9.0Hz,1H,H−5),3.90(s,3H,MeO)。
6−メトキシ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾチアゾールの製造
沸騰エタノール中の6−メトキシ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾチアゾール(22mg,0.077mmol)及び塩化錫(II)(132mg,0.45mmol)の混合物を窒素下で4時間撹拌した。エタノールを蒸発させ、残渣を酢酸エチル(10ml)中に溶解し1N 水酸化ナトリウム(2ml)及び水(5ml)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させて、生成物(19mg,97%)を黄色固体として得た。
2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾールの製造
雰囲気下で2−(4’−アミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(22mg,0.09mmol)を氷酢酸(2.0ml)中に含む溶液にCHCl中1M ヨードクロリド溶液(0.10ml,0.10mmol,1.2eq.)を注入した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。氷酢酸を減圧下で除去し、残渣をCHCl中に溶解した。溶液をNaHCOで中和した後、水性層を分離し、CHClで抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)により精製して、2−(4’−アミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(25mg,76%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):8.35(d,J=2.0Hz,1H),7.87(dd,J=2.0Hz,J=9.0Hz,1H),7.31(d,J=2.2Hz,1H),7.04(dd,J=2.2Hz,J=9.0Hz,1H),6.76(d,J=9.0Hz,1H),3.87(s,3H)。
2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−アミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(5)(8.0mg,0.02mmol)をCHCl(2.0ml)中に含む溶液にCHCl中1M BBr溶液(0.20ml,0.20mmol)をN雰囲気下で注入した。反応混合物を室温で18時間攪拌した。反応物を水でクエンチした後、混合物をNaHCOで中和した。水性層を酢酸エチル(3×3ml)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)により精製して、2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(4.5mg,58%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ (ppm):8.69(s,1H),8.34(d,J=2.0Hz,1H),7.77(dd,J=2.0Hz,J=8.4Hz,1H),7.76(d,J=8.8Hz,1H),7.40(d,J=2.4Hz,1H),7.02(dd,J=2.5Hz,J=8.8 Hz,1H),6.94(d,J=8.5Hz,1H),5.47(br.,2H)。HRMS m/z 367.9483(C13OSIについて計算したM 367.9480)。
2−(3’−ヨード−4’−メチルアミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの合成
Figure 2008505116
6−メトキシ−2−(4−メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾールの製造
4−メチルアミノ安息香酸(11.5g,76.2mmol)及び5−メトキシ−2−アミノチオフェノール(12.5g,80mmol)の混合物をN雰囲気下PPA(〜30g)中で170℃に1.5時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、10% KCO溶液に注いだ。沈澱を減圧下で濾過した。粗な生成物をアセトン/水及びTHF/水から2回再結晶化した後、活性炭で処理して、6−メトキシ−2−(4−メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(4.6g,21%)を黄色固体として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ:7.84(d,J=8.7Hz,2H,H−2’6’),7.78(dd,J=8.8Hz,J=1.3Hz,1H,H−4),7.52(d,J=2.4Hz,1H,H−7),7.05(dd,J=8.8Hz,J=2.4Hz,H−5),6.70(d,J=7.6Hz,2H,H−3’5’),5.62(s,1H,NH),3.88(s,3H,OCH),2.85(d,J=6.2Hz,3H,NCH)。
2−(3’−ヨード−4’−メチルアミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−メチルアミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(20mg,0.074mmol)を氷酢酸(2ml)中に溶解して含む溶液にN下でIcl(90μl,0.15mmol,1.2eq,CHCl中1M)を添加した。。反応物を室温で18時間攪拌した。次いで、氷酢酸を減圧下で除去した。残渣をCHCl中に溶解し、NaHCOで中和した。水性層をCHClで抽出し、有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を分取TLC(ヘキサン:EA=2:1)により精製して、2−(4’−メチルアミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(8mg,27%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):8.39(d,J=2.0Hz,1H),7.88(d,J=9.0Hz,1H),7.33(d,J=2.2Hz,1H),7.06(dd,J=2.2Hz,J=9.0Hz,1H),6.58(d,J=9.0Hz,1H),3.89(s,3H,OCH)。
2−(3’−ヨード−4’−メチルアミノ−フェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−メチルアミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(12mg,0.03mmol)をCHCl(4ml)中に溶解して含む溶液にN下でBBr(400μl,0.4mmol,CHCl中1M)を添加した。反応物を室温で18時間攪拌した。次いで、水を添加して反応をクエンチし、溶液をNaHCOで中和し、酢酸エチル(3×5ml)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を分取TLC(ヘキサン:EA=7:3)により精製して、2−(4’−メチルアミノ−3’−ヨードフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(5mg,43%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ:(ppm):8.37(d,H=2.0Hz,1H),7.88(dd,J=2.0Hz,J=8.4Hz,1H),7.83(d,J=8.8Hz,1H),7.28(d,J=2.4Hz,1H),6.96(dd,J=2.5Hz,J=8.8Hz,1H),6.58(d,J=8.5Hz,1H),2.96(s,3H,CH)。
125I]6−OH−BTA−0−3’−Iの放射合成
Figure 2008505116
2−(4’−ニトロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(400mg,1.5mmol)をCHCl(10ml)中に含む懸濁液にBBr(CHCl中1M,10ml,10mmol)を添加した。反応混合物を室温で24時間攪拌した。次いで、反応物を水でクエンチし、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製して、生成物を黄色固体(210mg,55%)として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ(ppm):9.02(s,OH),8.41(d,J=9.1Hz,1H),8.33(d,J=9.1Hz,1H),7.96(d,J=8.6Hz,1H),7.53(d,J=2.4Hz,1H),7.15(dd,J=8.6Hz,J=2.4Hz,1H)。
2−(4’−ニトロフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−ニトロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(50mg,0.18mmol)を無水アセトン(7ml)中に溶解して含む溶液に粉末状KCO(100mg,0.72mmol)及びMsCl(200ul)を添加した。2時間攪拌した後、反応混合物を濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製して、2−(4−ニトロフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾール(44mg,68%)を薄黄色固体として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ(ppm):8.50−8.40(m,4H),8.29(d,J=2.3Hz,1H),8.23(d,J=8.9Hz,1H),7.61(dd,J=2.3Hz,J=8.9Hz,1H)。
2−(4’−アミノフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−ニトロフェニル)−6−メチルスルヘキシベンゾチアゾール(35mg,0.10mmol)をエタノール(10ml)中に溶解して含む溶液にSnCl・2HO(50mg)を添加した。反応混合物を1.5時間還流加熱した。次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(10ml)中に溶解し、1N NaOH及び水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させて、2−(4’−アミノフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾール(21mg,65%)を薄褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):8.02(d,J=6.2Hz,1H),7.92(d,J=8.7Hz,2H),7.84(d,J=2.4Hz,1H),7.38(dd,J=2.4Hz,J=6.2Hz,1H),6.78(d,J=8.7Hz,2H),2.21(s,3H,CH)。
125I]6−OH−BTA−1−3’−Iの放射合成
Figure 2008505116
2−(4’−メチルアミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(300mg,1.17mmol)をCHCl(20mml)中に溶解して含む溶液にEtN(2ml)及びトリフルオロ酢酸(1.5ml)を添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル(30ml)中に溶解し、NaHCO溶液、ブライン及び水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣をKCOで予備乾燥したアセトン(20ml)中に溶解し、粉末状KCO(1.0g)及びMsCl(400mg,3.49mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で攪拌し、出発材料が消失するまでTLCでモニターした。次いで、残渣を濾過した。濾液を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル(30ml)中に溶解し、NaHCO溶液、ブライン及び水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣をEtOH中に溶解し、NaBHを添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水中に溶解し、酢酸エチル(20ml×3)で抽出し、抽出物を合わせ、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8:1)により精製して、生成物(184mg,47.0%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):7.94(d,J=8.8Hz,1H),7.87(d,J=8.7Hz,2H),7.77(d,J=2.3Hz,1H),7.30(dd,J=8.8Hz,J=2.3Hz,1H),6.63(d,J=8.7Hz,2H),3.16(s,CH),2.89(s,NCH)。
放射標識のための一般的方法:
密封バイアル中の2−(4’−アミノフェニル)−6−メタンスルホノキシベンゾチアゾールまたは2−(4’−メチルアミノフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾール(1mg)を酢酸(250μl)中に含む溶液に40μlの(28mgを500μlの酢酸中に溶解した)クロラタミンT溶液及び27μl(約5mCi)の[125I]ヨウ化ナトリウム(比放射能2,175Ci/mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、飽和硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチした。水(20ml)で希釈した後、反応混合物をC8 Plus SepPakに充填し、メタノール(2ml)で溶離させた。メタンスルホニル基を脱保護するために、放射性ヨウ素化中間体の溶離溶液に1M NaOH(0.5ml)を添加した。混合物を50℃に2時間加熱した。1M 酢酸(500μl)でクエンチした後、反応混合物を水(40ml)で希釈し、C8 Plus SepPakに充填した。約3mCiの放射能を有する放射性ヨウ素化生成物をメタノール(2ml)を用いてSepPakから溶離させた。溶液を窒素流により300μlに濃縮し、粗な生成物をPhenomenex ODSカラム(MeCN/TEAバッファー(pH7.5)(35:65;流速は、4分までは0.5ml/分、4〜6分は1.0ml/分、6分後からは2.0ml/分;保持時間23.6)を用いるHPLCにより精製した。集めた画分をC8 Plus SepPakに充填した。エタノール(1ml)で溶離して、1mCiの最終放射性ヨウ素化生成物を得た。
生物学的実施例
11 C]PIB PET研究編集
I. 動脈ベースの方法
(A) 研究関係者の情報
全部で21の[11C]PIB PET研究を16人の被験者で実施した。21研究のうち5つの研究は試験/再試験研究であった。表1には、年齢、ミニメンタルステート検査(小認知機能検査、MMSE)スコア及び性別を含めた被験者の特徴がリストされている。これらの被験者のうち3人は大家族性AD(FAD)家系(表1では灰色で強調されている;M+は突然変異キャリアを示し、S+は症候性認知症を示す)のヒトである。被験者を集め、経験を積んだ神経科医、精神科医、神経心理学者及び臨床医のコンセンサス会議において公開されている基準(Lopezら,Neurology,55:1854−1862(2000))に従って診断を受け、評価にかけられた。
5人の対照被験者のうち、C−4はM+S−FAD被験者に年齢整合している若い対照であり、C−5はAD−5 M+S+FAD患者のM−S−兄弟であった。5人のMCI被験者のうち、MCI−2及びMCI−5は認知上安定であり、他の人は[11C]PIB研究時に記憶のみがゆっくりに軽度であるが進行している認知低下を有していた。
すべての被験者が完全動的[11C]PIB(90分間)及び簡略化FDG(25分間)PETイメージング研究を受けた。処置は十分に耐性であり、すべての被験者が最後まで受けた。21日以内に再試験のために戻るように要請された5人の被験者は了承し、問題なく再び研究を終了した。[11C]PIB研究は、[11C]PIBをゆっくり(20秒間)ボーラス注射した後90分間にわたり実施した。PETスキャンは、Siemens/CTI HR+スキャナー(C.2.3.2節参照)を用いて実施した。
Figure 2008505116
(B) 血漿中の[11C]PIB放射能濃度を測定するための血液採取データ
21すべての研究で動脈血をうまくサンプリングした。代表的な対照、MCI及びAD被験者についての血漿中の平均[11C]PIB放射能濃度を図4に示す。[11C]PIBの濃度及び血漿中の非代謝[11C]PIB画分は被験者間で類似していた(図4)。血漿中の遊離[11C]PIBのレベル(f1)は対照(f1=0.132±0.009)及び患者(f1=0.134±0.004)において類似していた。これらのf1値は、通常0.06([11C]WAY−100635)(Parseyら,J.Cereb.Blood Flow Metab.,20:1111−1133(2000))〜0.30(ジプレノルフィン)(Sadzotら,J.Cereb.Blood Flow Metab.,11:204−219(1991))の範囲の値を有している神経受容体結合放射性トレーサーに関して中間である。
(C) ROIベースのSUV分析
前頭及び小脳領域についてのSUVデータに関する[11C]PIB時間−活性曲線の例を図5に示す。簡潔とするために、最初の3人の対照及び最初の2人のAD及びMCI被験者からのデータのみを示す(被験者すべてからのパラメトリックデータを図3に示す)。実施した最初の研究と同様に、このSUVデータは40〜60分で対照と比して2人のAD被験者の[11C]PIB滞留は約2倍以上であることを示した。(認知症傾向の)MCI−1被験者は中間であり、(認知上安定な)MCI−2被験者は2人の対照被験者(C−1及びC−3)と区別できなかった。最高齢の対照(C−2,76才)は1.1という40〜60分平均SUVを有しており、大量のアミロイド沈着の可能性が示唆された。被験者全体で小脳データは類似していた。
(D) 対照、AD及びMCI患者を区別するためのアミロイドイメージングデータの分析
今まで研究した5人の対照、5人のAD被験者、5人のMCI被験者及び1人のM+S−FAD被験者からの予備[11C]PIBデータを60分間及び90分間のデータについての幾つかの方法を用いて分析した(被験者はすべて90分間スキャンにかけた)。分析には、(血管容積を含めた)5−及び4−パラメーター,3−コンパートメントモデル、入力関数として動脈血データを用いるLoganグラフ法(Logan−ART)及び入力関数として小脳データを用いるLoganグラフ法(Logan−CER)を含めた。また、Patlak分析及び2コンパートメントモデルも適用したが、そのデータも適合度基準及び回帰係数に基づく3コンパートメントまたはLogan法も記載しなかった。従って、Logan法は以下に検討する分析で使用した。図6に示すLogan分布容積比(DVR)は小脳DV(基準としての小脳)に正規化した領域分布量(DV)である。領域データをルーチンに使用されているROIベースの方法を用いて萎縮について補正した。Meltzerら,J.Nucl.Med.,40:2053−2065(1999)。
最初の16人の被験者から(入力関数として動脈血または小脳データを用いた)Loganグラフ法を用いて得た初期結果の例を図6に示す。
図6に示すデータは以下のことを示している:
1)本薬物動態分析は上記したSUV分析と一致している。すなわち、AD被験者は、大量のアミロイド沈着を有するとして公知の皮質領域(例えば、前頭皮質及び後帯状皮質)において対照被験者に比して高いDVR値を明白に示している。更に、AD患者及び対照は神経突起斑を持たない領域(例えば、近心側頭皮質及び小脳)では同等である;及び
2)Logan−CER−60法は、60分及び90分動脈血入力方法に非常に類似している結果を与える。入力として小脳を用い、データの最初の60分のみ(Logan−CER−60)を用いて測定したDVR値は体系的に低いが、90分動脈入力データ(Logan−ART−90)との相関は非常に良好である(R=0.989;図3)。
5人の対照、5人のMCI、5人のAD被験者及び1人のM+S−eFAD被験者についてのLogan−CER−60 DVRデータを図3に示す。対照は1.0から〜1.5のかなり狭い範囲に入っている。これは、小脳に等しい[11C]PIB動態を示す1.0の値を超えている。より若い対照は常にほぼ1.0のDVR値を示し、最高齢の対照C−2は常に多くの皮質領域で無症候被験者におけるアミロイド沈着の真の測定値を指すほぼ1.5を示す。近心側頭皮質(アミロイド沈着が少ないとして公知の領域;Arnoldら,Cereb.Cortex,1:103−116(1991))を除くすべての皮質領域において、AD患者は通常1.5〜2.5のDVR値を有していた。最高の[11C]PIB Logan−CER−60 DVRを示した領域は後帯状皮質であり、この領域は対照DVRの2倍の平均DVRを有していた(p=0.00007)。AD及び対照は、近心側頭皮質、橋、皮質下白質及び小脳では区別できなかった。このデータは、これらの領域における[11C]PIB滞留は非特異的であったことを示している。M+S+FAD患者は多くの皮質領域においてかなり低い[11C]PIB滞留を有していたが、尾状後頭皮質ではかなり高い[11C]PIB滞留を有していた。同じFAD家族のM+S−被験者は[11C]PIB滞留の証拠を示さなかった。MCI被験者は多くの領域で対照とADの中間の平均DVR値を有していた。精査すると、MCI被験者は2群に分けられることが判明した。認知上安定な被験者(MCI−2及びMCI−5)はすべての脳領域で対照被験者と区別できない。他の3人のMCI被験者はすべての脳領域でAD患者と区別できない(図7)。このデータから、[11C]PIB PETを用いるイメージングによりアミロイド沈着を持つMCI被験者とアミロイド沈着を持たないMCI被験者を正確に区別できることが分かる。
(E) ボクセルをベースとする分析
11C]PIB SUV画像は、連合皮質における著しい[11C]PIB滞留及び小脳における少ない滞留を示している(図8)。加えて、[11C]PIB及びFDG画像データをそれぞれLoganグラフ法及びHutchins FDG法で動脈入力関数データを用いて分析した(一括定数=1.0;D2.3.5参照)。Loganら,J.Cereb.Blood Flow Metab.,16:834−840(1996);Loganら,J.Cereb.Blood Flow Metab.,10:740−747(1990);Hutchinsら,J.Cereb.Blood Flow Metab.,4:35−40(1984)。
これらの画像データは小脳萎縮について補正しなかったが、MCI−1(認知症傾向)及びC−1対照に比してAD被験者の皮質領域における[11C]PIB局在化が高いことを示している(図9)。FDG画像データはAD被験者の頭頂皮質における代謝低下の確立領域を示している(Smallら,2000;Mielkeら,1996)。MCI被験者はFDGスキャンでは異常を示さない。
(F) 再試験信頼性
Logan−ART−90分法及びLogan−CER−60分法の両方が試験/再試験研究において非常に安定であることが判明した。Logan−ART−90法は、研究したすべての領域で8.5±5.3%という平均試験/再試験変動を示し、Logan−CER−60法は5.1±4.5%というより良好な平均試験/再試験変動を示した(図10)。5人の被験者の後帯状皮質についての試験/再試験データを図11に示す。安定性は、アミロイド沈着(すなわち、[11C]PIB滞留)が存在するかに関わらず類似している。
II. 分析の簡略化非動脈ベースの方法
本節は、PIB PETイメージング研究のための簡略化手法、すなわち動脈血サンプリングを必要としない方法の評価を含めるために9人の追加被験者(n=24)を対象として上に要約した定量PIB研究を拡大するための試みを記載する。これらの例では、PIB PETに対する幾つかの手法簡略化の性能を、完全定量選択法の動脈入力及び90分放射データに基づくLoganグラフ法(本説では、Logan−ART−90分をART90と称する)の性能と比較した。この簡略化にはスキャン時間の短縮、動脈入力関数の代わりに画像から誘導した小脳または頸動脈時間−活性データ、及び小脳標準化集積値(SUV)に正規化した関心領域のSUVの比に基づくシングルスキャン法を含めた。これらの例は、PIB滞留指標(measure)の正確さ及び精度をうまく妥協しながらAD疾患スペクトルに対して簡単かつ高い信頼度で適用され得るPIB PET法を示す。
(A) ヒト被験者
PIB PETイメージングを24人の被験者に対して実施した。これらの被験者には健康な対照(3M,5F:65±16才)、MCI(8M,2F:72±9才)またはAD(6M:67±10才)と診断された被験者も含めた。下表2には、年齢、MMSEスコア及び性別を含めた被験者の特徴が記載されている。すべての被験者が処置に十分耐えられた。
Figure 2008505116
(B) イメージング
高い比放射能(SA)PIB PET研究を8人の健康な対照(用量:488.4±107.3MBq;SA:47.8±21.7GBq/μmol)、10人のMCI患者(用量:510.6±77.7MBq;SA:45.9±24.9GBq/μmol)及び6人のAD患者(用量:514.3±96.2MBq;SA:31.3±18.1GBq/μmol)において実施した。平均領域CSF係数を下表3に示す。個々の被験者のSPGR MRデータから求めた領域CSF補正係数は、FDR補正後片側ノンパラメトリックWilcoxonランク検定を用いて群比較に有意差がないことを示した。
Figure 2008505116
(C) 入力関数比較
手で抜いた動脈血サンプルを用いて測定した入力関数を頸動脈VOI装置から誘導したものと比較した。動脈血サンプリング及び頸動脈VOI装置により測定した代謝物補正入力関数を、比較のために集団平均入力関数(n=24)を得るために注射用量・ボディマス(%ID*kg/g)について補正した(図12)。動脈入力関数を、Loganグラフ分析のためにPET放射画像の枠中央時間に内挿した。こうして、頸動脈をベースとする入力関数と直接比較することができた。平均動脈入力関数は1.66±0.92%ID*kg/gの値でピークに達し、平均頸動脈入力関数は0.49±0.11%ID*kg/gでピークに達したことが判明した。いずれの場合もピーク値は第3の獲得フレーム内で生じた(中点:注入後36秒)。早い時間に(<5分)、頸動脈入力関数は動脈入力関数よりも平均で〜4倍くらい過小評価した。後には(>5分)、頸動脈入力関数は動脈入力関数の形状をよりぴったりと反映しており、後者の幾分集束して〜2という方法間の一定の比を維持している。
(D) データ分析
本説には、基本的PETデータ、すべての方法について観察した主な結果の要約、方法特異的性能の問題及び方法性能の評価が含まれている。平均PIB滞留指標の比較はADと対照被験者群間の差に向けられていた。なぜならば、10人のMCI被験者についてのPIB滞留は対照及びADレベルの範囲にあることが判明したからである。すなわち、MCI被験者は対照またはAD被験者と異なる同種群に相当しない。
組織データ
それぞれの脳領域についての組織:小脳放射能濃度比を計算した。AD被験者において最高のPIB滞留を示した領域の後帯状では、VOI:CER比は45分後に約2.5:1でよこばいに達し、対照被験者はすべての原発性アミロイド結合領域で約1:1の比を維持した(図13)。平均すると、組織:CER比は対照では約20分で、AD被験者では45〜50分でよこばいに達し始めた。
全体の結果
下表4は各方法についてのAD被験者及び対照被験者の11領域で測定した平均値を示す。すべての方法が、ADではアミロイドを含むとして公知の領域で対照に比してAD被験者で有意に高いDVR値またはSUVR値を生じた。最も有意な差(p<0.001,統計方法参照)は通常PCG、ACG、FRC、PAR、LTC、CAUで観察された(表4)。より小さな差(0.001<p<0.05)はOCC、SMC及びMTCで観察された。軽度乃至中程度のAD被験者ではアミロイド病理が実質的にないことが知られている領域、例えばSWM及びPON(p>0.20)においてはADと対照被験者間でPIB滞留の点で有意な差はなかった。いずれの方法も対照に比してAD患者について小脳DVまたはSUV値の点で有意な群差を生じさせなかった(p>0.25)。図14は、後帯状及び前頭領域;各種分析方法;及び被験者群についての各被験者のDVR値及びSUVR値の散布図を示す。
Figure 2008505116
MCI被験者のうち3人(M−2,5,9)は対照群と区別できないPIB滞留パターンを示した。5人のMCI被験者(M−1、3、4、7、8)はAD被験者群に特徴的な滞留パターンを示した。2人のMCI被験者(M−6、10)はPCGまたはFRCの点で対照よりも高い傾向を示した(図14)。
標準化集積値(SUV)
40〜60分(SUVR60)または40〜90分(SUVR90)で計算した1回の(合計)スキャン組織比はAD及び対照被験者群の両方で一致していることが判明した。対照の領域SUVR60比は1.11±0.13(CAU)〜1.80±0.13(PON)の範囲であったのに対して、SUVR90組織比は1.14±0.13(CAU)〜1.76±0.14(PON)の範囲であった。AD被験者の領域SUVR60値及びSUVR90値はそれぞれ1.38±0.19(MTC)〜2.80±0.28(PCG)及び1.40±0.20(MTC)〜2.88±0.30(PCG)の範囲であった。
Loganグラフ分析
Loganグラフ分析は、通常11領域中10領域において高い回帰相関関係(r>0.97)でDV値(動脈または頸動脈入力)及びDVR値(小脳入力)の推定値を与えた。これらの結果は、Logan分析が要求する線形条件を満足するデータと一致している。SWMの場合、相関関係は他の領域よりも通常低く(0.7<r<0.99)、データセットが60分に短縮されているときには特にそうである。
ART90分析及びCER90分析を用いて得たDVR指標のパラメトリック画像は、正常対照(C−4)、FRCアミロイド沈着の証拠がある対照(C−2)、有意なアミロイド沈着のないMCI被験者(M−2)、中間レベルのPIB滞留を有するMCI被験者(M−10)、PIB滞留の特徴的なADパターンを有するMCI−被験者(M−4)及び代表的なAD被験者(A−2)においてPIB滞留の類似パターン及びレベルを示す(図15)。
多重線形回帰
多重線形回帰分析(MA1)を、90分間にわたる高結合領域及び低結合領域(PCG及びMTC)について探索的に標準組織入力を用いて適用した。これらの領域におけるMA1 DVR推定値はCER90を用いて測定したものと本質的に同一であった。このことから、雑音に起因する偏りがPIB Logan DVRを測定するためのVOIレベルでの因子ではないことが示唆される。この優れた一致の結果として、実施例の残りはLogan分析結果のみに向けることにする。
簡略化標準組織分析
SRTMと60分のデータのみを使用すると、かなり変動する結果指標(outcome measures)、疑わしく過大評価される値及び領域順位の偏差を生じた。このために、典型的なSRTM結果は90分データを用いて得た。SRTM90は幾つかの皮質及び皮質下領域において対照とAD被験者間でDVR値の点で有意な差(p<0.001)が検出された(表4)。90分データセットに関して、対照被験者の平均R値は0.40±0.20(SWM)〜0.99±0.15(OCC)の範囲であった。AD被験者のR値は多くの領域で対照に匹敵し、0.35±0.08(SWM)〜0.97±0.09(OCC)の範囲であった。AD及び対照被験者では、MTC及びSWMのみが0.75より常に低いR値を示した。平均R値の点で最も顕著な群差はPAR(対照:0.86±0.06及びAD:0.74±0.08)で明らかであり、PCGはより類似していた(対照:0.91±0.06及びAD:0.85±0.10)。上記したR値は部分容積影響について補正しなかった。
(E) 評価基準
順位
6人のAD被験者について平均した結果指標の領域順位はすべての9つの簡略化方法で十分に保存された。PCGが最高のPIB滞留を有する領域として同定され、その後ACG、その他の皮質領域(PAR、FRC及びLTCを含む)の順であった(表5)。
Figure 2008505116
尾状におけるPIB結合はSMC、OCC及びMTCを超えていた。白質含有領域(例えば、PON及びSWM)はAD被験者では最低の領域順位であった。対照被験者では、白質含有領域(例えば、PON及びSWM)は最高ランクを占めた。
各被験者の順位は方法及び領域でうまく維持されていた。通常、CAR90は各被験者の順位の点でART90と最高に一致することを示した(図14A及び14B)。しかしながら、簡略化方法はすべてそれぞれの結果指標(DVRまたはSUVR)によりAD及び対照被験者を完全に分離し、いずれの方法も被験者を誤分類しなかった。また、すべての簡略化方法はFRC及びPCGの点で“AD様”MCI被験者(M−1、3、4、7及び8)と“対照様”MCI被験者(M−2、5及び9)を必ず区別した(図14A及び14B)。しかしながら、被験者順位の不一致はART90及び幾つかの簡略化方法において観察された。例えば、ART90及びCAR90は、被験者A−1を、PCG中のPIB滞留量が他のすべてのAD被験者で観察されるよりもはるかに高い、最高滞留量を有するAD被験者として同定した(図14A)。CER90、SRTM及びSUVR90法も差は小さいが、A−1をPCG中のPIB滞留量が最高であるとして示した。
データセットの60分への短縮を含む方法(ART60、CER60、CAR60、SUVR60)は他の被験者A−4またはA−2をA−1よりもPIB滞留量が多いAD被験者として同定した。対照被験者の中で、ART90 DVR値は、被験者C−1及びC−6がPCG中のPIB滞留量が他の対照に比して多いことを示し、被験者C−1及びC−2はFRC中のPIB滞留量が多いようである(図14A及び14B)。試験したすべての簡略化方法がC−1をPCG及びFRCの点で、C−2をFRCの点で他の対照と区別した。しかしながら、ART60のみがC−6の高い状態に関してART90と一致した。驚くことに、後に要約するPET画像の検査から、対照の中で被験者C−1及びC−2のみが早期ADを示唆する皮質PIB滞留の視覚的に認識できるパターンを有することを示した。これは、FRCに限定された(図15)。
試験−再試験変動度
簡略化PIB滞留指標の被験者内、すなわち試験−再試験変動度を最初のPIB PETスキャンの28日以内に再試験した8人の被験者について差%及びICC指標を用いて評価した(統計方法を参照)。表6に変動度を要約し、方法及びSWM(6.0〜23.8%)を除く領域で通常±10%以内にあった試験−再試験変動度の有利な差が観察されたことを示している。
Figure 2008505116
多くの領域で、CER60法及びCER90法はそれぞれ平均±4.4%及び平均±4.6%という最低の試験−再試験変動度を示した。興味深いことに、小脳をベースとするSRTM法は、すべての領域でCER60またはCER90よりも若干高い変動度を示し、平均±6.2%であった。SUVをベースとする方法も再現性があり、SUVR60及びSUVR90についてそれぞれ領域で平均±5.3%及び平均±5.0%であった。最大の試験−再試験変動度(10%以内)は動脈をベースとする方法で観察された。短いスキャン期間ではCAR60(±12.9%)及びART60(±9.2%)の場合のようにより大きい変動が観察され、90分法の場合には低かった。ART90及びCAR90も同様にうまく動作し、11領域での試験−再試験変動度はそれぞれ平均±6.9%及び平均±7.1%であった。
偏り及び相関関係
PIB滞留指標の偏りを低DVR群(ART90 PCG DVR<1.8,n=13)及び高DVR群(ART90 PCG DVR>1.8,n=11)で試験した(図14A参照)。PCGについての各指標及び平均偏り%指標のボックスプロットを図16Aに示す。低−及び高−DVRデータについての最低及び最高一様偏り%を動脈をベースとする方法で観察した。SUVR及びCER結果でより大きな偏り%が観察された。低DVR被験者(偏り%=0.11±3.44%)及び高DVR被験者(偏り%=0.19±1.86%)においてCAR90 PCG DVR指標がART90 PCG DVR指標と非常に密接に一致した。僅かに大きい偏り%及びこの偏り%の変動がART60法及びCAR60法の短いスキャン時間で観察され、低DVR被験者ではそれぞれ−1.79±5.20%及び−2.57±7.23%であり、高DVR被験者ではそれぞれ0.75±6.66%及び1.00±6.72%であった。CER法は、最大の負の偏り%を示し、より大きい負の偏り%が低DVR群よりも高DVR群で観察された。SUVR法は最大の正の偏り%を示したが、この偏り%は低DVR被験者及び高DVR被験者においてかなり類似していた。所与の方法に関して、低DVR群と高DVR群の間の偏り%の最大差はSRTM90(低:6.03±14.47%;高:−2.65±6.37%)で見られた。結果の類似パターンは他の皮質領域で観察された。
すべての患者(n=24)で、それぞれ簡略化方法を用いて測定したPCG値及びFRC DVR値はART90 DVR値とかなり相関していた(r=0.921−0.995)(図16C)。CAR90は、ART90(r=0.995;勾配=0.995;図17A)とほぼ完全な相関を生じた。試験した方法のうち、SUVR60結果はART90と殆ど相関せず(r=0.913;勾配=1.083;図16B及び16C)、CER60法は最低の勾配(r=0.938;勾配=0.800;図17B)を有し、SUVR90法は最高の勾配(r=0.962;勾配=1.116;図17B)を有していた。共有する“雑音”が動脈方法間で良好な相関関係をもたらし、他の方法とは低い相関関係をもたらすかどうかを調べるための試みにおいて、我々は2つの非動脈方法、すなわちCER90及びSUVR90を相互に比較した。動脈方法間で強い相関関係(r=0.995,図17A)が見られたが、この相関関係の勾配は比較的低く(勾配=0.773)、これらの方法間の高い偏りが示唆された。全体として、回帰勾配は0.80〜1.13の範囲であった(図16B)。小脳をベースとする方法は低い勾配(0.866〜0.800;図16B)を生ずる傾向にあり、SUVR法は高い値を生じた(1.073〜1.116;図16B)。SRTM90法を例外として、回帰勾配は偏り%と密接に一致した(図16A及び16Bを比較)。
エフェクトサイズ
エフェクトサイズ(effect size)指標は、被験者での所与指標の変動レベル(被験者間変動度)及び群平均PIB滞留値の分離を反映している。動脈をベースとする方法は小脳をベースとする方法よりも変動が大きい傾向にあり、60分データは90分データよりも変動が大きい傾向にあった。対照の場合、CER60は通常、ACG(14%)及びFRC(16%)を除くすべての領域で被験者についてのDVRの変動度が10%未満という最低を示した。ART60、CAR60及びSRTM90は、(小脳を除く)11領域のうち9領域で10%より大きいCV%値を示した(表3)。AD群では、より高いDVR変動係数がART90及びART60で最も頻繁に観察され、主な関心領域で約10〜20%の範囲であった。
すべての方法が対照群とAD群を必ず区別し、高いPIB滞留を有している領域では大きいCohenエフェクトサイズを生じた。最大のCohenエフェクトサイズ(d)がPCGで観察され、約6.9(SUV法)〜4.6(SRTM90)の範囲であった。エフェクトサイズの大きさは、対照とAD被験者間で平均PIB滞留値が明確に区別されることを反映している。表7はPCG、FRC、MTC及びPONにおけるエフェクトサイズの範囲を示している。
Figure 2008505116
PON領域は、AD及び対照被験者間で異なると予想されず、よって0の周りで変動するエフェクトサイズを有している。PIB滞留の点での有意な群差は、SWM及びPONを除くすべての領域についてAD及び対照群間で検出された。
(F) 検討
以下の検討において、4レベルの簡略化を調べる:
1)スキャン時間の90分から60分への短縮;
2)頸動脈上で規定される関心容積から誘導される動脈入力関数の動脈血漿をベースとする入力(CAR60/90)への置換;
3)動脈入力の画像誘導分析方法(例えば、非侵襲的Logan分析(CER60/90)及びSRTM90)での完全置換;及び
4)放射能分布の後期シングルスキャン指標の使用(SUVR60/90)。
各レベルの簡略化において、基準の定量方法ART90と比較した性能を4つの基準、すなわちa)領域順位の正確さ;b)試験−再試験変動度;c)偏り%及び相関関係;及びd)Cohenエフェクトサイズ;により評価した。PIB滞留の異なる指標を独立して比較することができる被験者中の真のアミロイド沈着の死後指標は現在ないので、ART90法は相対的なベンチマークであると認められている。
下記するSRTM60法を除いて、すべての他の簡略化方法は領域順位を非常にうまく維持していた。従って、順位については以下の節で個々に検討しない。試験−再試験変動度は(自然史研究において)アミロイド沈着または(抗アミロイド治療トライアルにおいて)アミロイドクリアランスの小さな経時的変化の検出能力に関連している。この研究における方法の偏りは、ART90値に正規化したART90結果指標に対する簡略化方法の結果指標の差として定義した。エフェクトサイズはアミロイド沈着の点で、小さいが、統計的に有意な群間の差を検出するための方法の能力の指標である。
短縮されたスキャン間隔
第1レベルの簡略化は、90分よりはむしろ60分という短時間でPIB PETスキャンを獲得する可能性を調べた。通常、使用する標記基準により判断して60分の放射データを用いた方法により有用なデータが得られたが、90分の放射データを用いた分析方法は若干よりうまく動作した。最も顕著な例外は60分データを用いるSRTMの応用であり、偽値、高い被験者間変動度及び領域順位のずれが生じた。ART60及びCAR60の場合短いスキャン時間と実質的に高い試験−再試験変動度が関係していたが(表6)、ART60ではこの指標は多くのPET放射性トレーサーに対して許容され得ると通常みなされる±10%の差内に依然としてあった(G.S.Smithら,Synapse,30(4): 380−92(1998);N.D.Volkowら,J.Nucl.Med.,34:609−13(1991))。このことは、PIB滞留の信頼できる反復指標を必要とすると縦断的研究に対する最大の関心事である。60分に短縮してもCAR60またはSUVR60では方法偏りレベルに有意な変化は生じなかったが、CER60はCER90に比してより大きな負の偏り%を示した(図16A)。被験者間変動度は、組織:血漿平衡に達することができないであろう脳領域のSWM中でのみART60及びCAR60データセットで実質的に高かった。通常、エフェクトサイズはデータセットを60分に短縮しても悪影響されなかった(表7)。
頸動脈VOI−誘導した動脈入力関数
次の簡略化レベルは、再構成PIB画像の初期フレームで頸動脈上に規定される関心容積から誘導される入力関数に有利な動脈ライン装置を不要とするべく求めた。この方法は個人ベースで血漿中のPIBの未変化画分の推定値を与えない点で限定されているが、集団平均代謝物補正の使用は個人データに対する満足な置換に相当した。試験したすべての試験のうち、90分の頸動脈ベースの方法(CAR90)は、ART90 DVR値を最も密接に反映し、低−及び高−DVR被験者の両者においてART90に比して最小に偏っているPIB DVR推定値を与えた(図16A及び17A)。CAR90結果は、試験−再試験変動度(6.9%及び7.1%,表6)及びエフェクトサイズ(5.1及び5.3,表7)の点でART90に非常に匹敵していた。比較的高い変動度は、変動し得る部分容積影響なしに少量の頸動脈ROIを正確に引き抜くことが困難なことに関連し得る。しかしながら、ART90の類似の変動度(6.9%)から、動脈データの変動度には固有のソースがあること、または小脳方法は最低の試験−再試験変動度を示し、幾つかの方法で真の変動度を鈍らせることが示唆される。ART90及びCAR90エフェクトサイズは本研究で研究した9つの方法のうちで(恐らくは、群平均の標準偏差が高いために)最小という事実があったが、これらの方法はAD被験者群と対照被験群を効果的に区別する非常に確固たる群差を生じた。2つの方法は動脈ベースの代謝物補正の使用により生ずる不正確さを共有する恐れがあるが、この不正確さの影響はCAR90法における集団平均代謝物補正を使用することにより最小にしなければならない。加えて、ART90法及びCAR90法は各被験者で異常な末梢代謝物により生ずる人為産物に対して感受性である(C−6については以下の検討を参照されたい)。ART90とCAR90が性能基準の点でかなり一致していることから、表4に示す小脳DV値及びすべての他の領域について計算したDV値(データ示さず)が示すように頸動脈をベースとする方法により計算したDV値を約2倍過大評価したにもかかわらず、母平均代謝物補正を含む頸動脈関心領域方法によりDVR指標を正確に推定することができる。
基準組織(reference tissue)ベースの入力関数
更なる簡略化は、放射性トレーサー特異的結合を欠く一致した組織領域(例えば、小脳)の同定に頼っている(J.Loganら,J.Cereb.Blood Flow Metab.,16(5):834−40(1996);A.A.Lammertsmaら,Neuroimage,4(3 Pt 1):153−8(1996))完全な画像誘導分析方法、例えば非侵襲的Logan分析(CER60、CER90)及びSRTMに有利に動脈入力関数の推定値を不要にするときに実現される。CER60法及びCER90法により、特に高結合被験者の場合ART90 DVR指標(図16)に対して負に偏ったDVR推定値が生じた。この偏りは、CER90 DVRを測定する際(データ示さず)kが母平均k
Figure 2008505116
に制約されたか否かわからないままであったので、組織流出定数に関連していないようである。上掲したLoganら(1996)が示唆しているように、非侵襲的Logan分析における
Figure 2008505116
の制約は、標的/基準組織放射能濃度の比(C(t)/C(t))が延長期間の間一定のままであるときにはDVR指標が有意にずれることなく省略することができることがある。PIBの場合、この条件は高DVR領域での45分後の安定な組織:小脳領域から明らかなように満足しているようである(図13)。高DVR被験者で小脳入力方法を用いて観察される負の偏りは、DVRの計算化のために領域結果指標を正規化するためにのみ小脳結果指標を使用する血漿ベースの方法に比して小脳薬物動態の影響が高いためであり得る。この影響は、アミロイド沈着レベルが低い被験者では余り重要でないようである。従来の完全定量PIB研究は、小脳データは1組織(2パラメータ)コンパートメントモデルでは十分に得られず、2組織コンパートメントが必要であることを示した。この事実によりPIBデータ分析のためのSRTMの適用に関する問題が生ずるが、SRTM DVR値は高結合被験者ではCER90に比して偏りが僅かに少なく、CER60に比べてかなり偏りが少なかった。
非侵襲的Logan法(CER60及びCER90)は試験した方法の中で最低の試験−再試験変動度を有し、それぞれすべての領域で平均±4.4%及び平均±4.6%であった。SRTM90は、CER60またはCER90よりも僅かに高い試験−再試験変動度を示し(領域について平均±6.2%)、この変動レベルはPETイメージング剤の満足な性能レベルを表すと考えられる。対照群における被験者間変動度はCER60またはCER90よりもSRTM90の場合実質的に高かったが、AD群では前記方法は匹敵していた。この事実は、SRTM90に比してCER60及びCER90で観察された高いエフェクトサイズを十分に説明している。
後期シングルスキャン指標
最高度の簡略化は、静的放射能分布の後期シングルスキャン指標(late single scan measure)に基づく方法、例えばSUVをベースとする方法(SUVR90及びSUVR60)を用いて実現される。この評価では、完全に動的な放射データセットまたは動脈入力関数データの補正は必要がない。むしろ、放射性トレーサーを注入後のやや遅れた時間間隔にわたる脳中の放射能の分布の領域の差のみに基づいており、放射性トレーサー注入後の放射性トレーサーの特異的結合が脳放射能濃度の主要成分であると予想される。簡略化されているために、SUV指標は、動的イメージングまたは入力関数測定を必要とする定量分析方法を使用することが実際的でない臨床研究において頻繁に使用されている。SUV測定における変動度の主因を解消するために、SUVパラメータを評価するための時間間隔はその間隔でのSUV値の変化がSUV値それ自体に比してかなり小さいように選択されなければならない(S.Beaulieuら,J.Nucl.Med.,44(7):1044−50(2003))。
インビボPET研究の場合、SUVRは測定した信号に対する特異的及び非特異的結合の相対寄与を反映し、従って領域DV推定値を小脳DV値を用いて正規化することにより非特異的結合について補正したDVR値により匹敵する。PIBデータの場合、(アミロイド含有)組織対小脳放射能の比はAD被験者及び対照被験者の両者において注射後40分を超えると比較的一定であり(図13)、従ってこの後のSUV比の測定と一致している。この比は、SUVの計算に悪影響を及ぼし得る体組成及び注入量(例えば、部分浸出)を決定する際の不正確さのような他の変動原因も排除する(J.A.Thie,J.Nucl.Med.,45(9):1431−4.(2004))。SUVR90及びSUVR60の両方はART90に比してPCGにおいて強い正の偏りを示し、低−及び高−DVR被験者で類似していた(図16A)。SUVR法の試験−再試験変動度は、試験した方法の中で最低であり、次はCER60法及びCER90法であった。被験者間変動度はSUVR60とSUVR90の間で匹敵し、CER90法及びCER60法で対照で観察された低変動に類似していた。AD被験者では、SUV法は他の方法と一致する変動レベルを示した。SUVをベースとする方法は試験したすべての方法の中で対照及びAD被験者間の最大の動的範囲及び平均差を示した。これを合理的に低い変動と組み合わせると、方法の最大エフェクトサイズが生じた(表7)。
選択法の選択
選択法の選択は特定用途の種類に依存する。本研究で調べたすべての簡略化方法によりART90法に十分に匹敵する結果が得られ、結局相似性は方法間の差よりも大きかった。しかしながら、各方法は特定目的のためにある利点及び欠点を有している。
スキャン時間:
一般的に、90分データを用いる方法はすべて最初の60分のみを用いる対応方法より常に優れていると見られる。CER90、CAR90、SRTM90の場合のデータ獲得には完全90分動的スキャンが必要であるが、SUVR90分析のために必要なデータはすべてちょうど40〜90分の時間枠の間被験者をスキャナーにかけることにより得られ得る。40〜60分枠を用いるSUVR60法の匹敵性能から、性能を落とすことなく40〜90分枠を最適化/短縮することが可能であり得ると示唆される。このことは、完全90分放射データを獲得するには耐えられないことがある重症のAD患者を研究するためには特に重要であり得る。スキャン時間の短縮に加えて、SUVR法の他の利点には適用の簡単さ(ルーチンの臨床研究により多く適用可能)、優れたPCGエフェクトサイズ(6.9)、非常に良好な試験−再試験再現度(5.0%)及び大きな動的範囲(正の偏り対ART90より明らか)が含まれる。SUVR法、CER法及びSRTM法が共有している欠点は、標準として使用する小脳データに起因する不正確さの影響が大きいことである。これは、小脳中に検出可能なアミロイド沈着がある場合に特に顕著である。
断面群間比較:
主な関心領域(例えば、PCG、FRC、PAR)で、すべての方法により群間の重複なしにAD被験者と対照被験者を区別することができることが立証された(図4)。予備的なエフェクトサイズ計算によりSUVベースの方法で最大d値が生じたが(PCGではd=6.9)、エフェクトサイズ>0.8が“大きい”と見なすCohenの定義(J.Cohen,Statistical power for the behavioral sciences,第2版,ニュージャージ州ヒルズデールに所在のErlbaum(1988年)出版)を考慮すると、SRTM90法を用いて観察される4.6という最低のPCGエフェクトサイズでも非常に大きな効果である。これを有意性のパラメトリック検定(両側t検定)を用いて別の角度で見ると、4.6という最低のPCGエフェクトサイズはADと対照群平均値の差がp値<0.0000001でかなり有意であることに相当する。エフェクトサイズはアミロイド沈着が少ない領域であるMTCにおいても計算され、これは通常PIB研究のための関心領域でないようであるが、高いアミロイド領域(例えば、PCG及びFRC)が非常な早い段階で挙動するかどうかの幾つかの指標を与え得る。MTC中のエフェクトサイズはART90(1.9)の場合最大であったが、CER90(1.8)、SUVR60(1.8)及びCAR90(1.6)も同様に動作した。
アミロイド量を他の変数と相関させる研究:
幾つかの目的のために、アミロイド沈着の大スペクトルについて被験者を区別し、多分アミロイド沈着を他の変数(例えば、神経心理学的指標、領域FDGまたはMRI指標、アミロイドの血液またはCSF指標)と相関させることが重要であり得る。偏っているが信頼できる方法により、偏りの均一性に応じて動的範囲に限定されているかまたは誤って分布されるDVR値を与えることができる。よって、PIB滞留指標と他の指標との統計的相関関係は、CER60法及びCER90法を用いる場合のように偏り程度が広範囲の期待値にわたり均一でないときには限定され得る。アミロイド沈着の指標に他の変数を関係づける際に生じるおそれがある追加の困難さは、正規分布されているデータがない、特にすべての被験者群を組み合わせたときにないことである。多くの相関関係の指標、最も顕著にはPearson及びSpearmanの相関関係が二変量正規分布の仮定に基づいているので、相関関係は通常正規分布していると見られる亜群内でのみ正確である。これは多分、PIB滞留の全範囲に及んでいる被験者の異質群であるが明らかな二項分布を有するMCI被験者を研究するための最高の関心事である。MCI被験者の研究は多分、アミロイド病態の進行の効果的な非侵襲的指標がないのでPIBのより興味深く、前途有望な適用の1つであろう。こうした状況で、より高い試験−再試験変動度を犠牲にするが、最低且つ最も均一な偏りを有する簡略化方法(例えば、CAR90)を適用することが有利である。
縦断的研究:
第3タイプの比較研究は、病気進行の自然史または抗アミロイド治療に対する応答を研究するために同一被験者においてPIB滞留の縦断的試験を実施するものである。この場合、一連の試験間におけるアミロイド沈着または再吸収の程度が潜在的に小さな変化であり得るものに対して感受性であるために可能な最も信頼できるリピート指標を有することが望ましい。このことは、一連の試験間のPIB滞留量の差が小さいと予想されるPIBを用いる縦断的研究;またはより小さい特異的結合信号が期待されるMCIまたは正常老化を焦点とする研究を計画するときに十分に考慮され得る。小脳方法のCER90及びCER60は最低の試験−再試験変動度を示したが、この方法の固有の偏りによりこの利点が相殺されるか否かも考慮しなければならない。しかしながら、低い試験−再試験変動により、CER90は、実験的抗アミロイド治療の小さな経時的影響を、特に最終的に前記治療の主標的でなければならないアミロイド沈着レベルが低い場合に検出するための魅力的方法となる。
要するに、動脈をベースとする入力データを得ることが可能でないかまたは望ましくない場合には、幾つかの簡略化方法が定量的な動脈をベースとする分析に対する有効な代替方法であり得る。SUVR90法は、計算が簡単なこと及びスキャン時間が短いことが最優先事項のときの選択方法であり得る。CAR90法は、広範囲のアミロイド沈着についての比較及び小脳由来の人為産物の最小化が最重要事項であるときの選択方法であり得る。CER90法は、短時間の変化の検出が優先されるとき自然史研究及び治療トライアルのための、特にアミロイド沈着レベルが低い被験者における選択方法であり得る。SUVR90は、アミロイド沈着が高い被験者の治療トライアルにおいてよりよく機能し得る。実際、これらの分析のすべてに必要なデータは90分動的PIBスキャン後入手可能であり、選択方法に関する決定は必ずしも前もってする必要がない。
本発明の他の実施形態は、本明細書中に開示されている細かい事項及び実施にてらして当業者に自明であろう。細かい事項は単なる例とみなされ、本発明の真の範囲及び趣旨は請求の範囲に明記されている。
明細書及び請求の範囲中に使用されている場合、“a”、“an”及び“one”のような単数形は単数形または複数形を指すと意図される。
対照患者、軽度の認知障害患者として臨床診断された2人の患者及びアルツハイマー病(AD)患者における平均標準化集積値(SUV)を用いた陽電子放射断層撮影(PET)脳スキャンを示す。 頭頂皮質PIB SUV値におけるrCMRglcとの相関関係のグラフを示す。 対照、AD及びMCI被験者において測定したLogan DVR値を示す。 PIB入力関数の例及び血漿中の非代謝PIBの割合を示す。 対照及び患者において測定したPIB時間−活性データを示す。 対照及びAD被験者におけるLogan DVR値の計算のモデル化方法の比較を示す。 対照、MCI及びADからのLogan DVR画像を示す。MCI−1被験者は進行性認知症を示したのに対して、MCI−2は非常に安定した軽度の記憶喪失を有していた。画像(Logan ART 90分)はMCI−2と対照の類似性及びMCI−1とAD被験者の類似性を示している。 AD−2被験者(左側)及びC−1被験者(右側)において冠状視点(上部)、体軸視点(中央)及び矢状視点(下部)で得たPIB SUV画像を示す。 対照被験者、MCI(MCI−1)被験者及びAD被験者において測定したLogan PIB DVR(ART 90)(上部)、MR画像(中間)及びグルコース代謝(下部)の画像マップを示す。対照に比してAD被験者及びMCI被験者の皮質中にPIBがより多く滞留されていることが明らかである。グルコース代謝のマップはAD被験者の頭頂代謝が低いことを示している。 5人の被験者における試験/再試験研究を示す。試験/再試験の変動度を21日以内の第1及び第2PIB研究間の差の絶対値の平均±SDとして表す。 小脳に対して小脳入力で測定したLogan DVR値の安定性を示す。5人の被験者は最初のスキャンの21日以内に再試験研究のために戻った。60分データ及び小脳入力を用いて測定した5つの後帯状皮質の試験/再試験DVR対を示す。 完全代謝物データを持つ16人の被験者において測定した血漿中のPIBの集団平均未変化画分を示す(A)。外側動脈サンプリング及び関心の頸動脈容積から誘導した注入量・ボディマス(%ID*kg/g)に対して正規化した平均(n=24)PIB入力関数(B)。集団平均PIB未変化画分を使用して代謝に関する頸動脈時間−活性曲線を補正し、個人データを総血漿放射能測定値に適用して動脈入力関数の代謝補正を実施した。 PIB注射後の注入量・ボディマス(%ID*kg/g)に対して正規化した平均(±1SD)脳放射能濃度を示す。AD被験者(n=6)及び対照被験者(n=8)についての後帯状回領域(A)及び小脳領域(B)、並びに後帯状回と小脳放射能濃度の比(C)を示す。 後帯状回(A)及び前頭皮質(B)に対するすべての分析方法での各AD被験者(n=6,赤)、MCI被験者(n=10,緑)及び対照被験者(n=8,青)についての結果指標を示す。すべての方法の結果指標は、SUVR90法及びSUVR60法を除いてDVRである。後者の方法については40〜60分または40〜90分にわたる組織:小脳比を示す。番号を付した円は被験者を表し(表2参照)、着色バーは群間の値の範囲を示す。重複値を有する被験者は隣同士に置く。 入力として動脈データ(ART90;上部)または小脳組織(CER90;下部)、90分の放射データを用いたLogan DVRのパラメトリック画像を示す。若い対照(C−4)、前頭皮質にアミロイドが検出可能に沈着している対照(C−2)、アミロイド陰性MCI被験者(M−2)、PIB滞留レベルが中間のMCI被験者(M−4)、ADに特徴的なPIB滞留レベルを有するアミロイド陽性MCI被験者(M−4)及び典型的なAD被験者(A−2)を示す。 ART90を用いる各種簡略化方法の偏り及び相関尺度を示す。(A)PCG中のART90に対する簡略化結果指標における偏り%を示すボックスプロット。方法偏りがすべての簡略化分析方法のPIB滞留のスペクトルで一致するか否かを調べるために被験者を高結合(ART90 PCG DVR >1.8)群及び低結合(ART90 PCG DVR <1.8)群に分けた。ボックスは四分位範囲(被験者の50%)及び中央値(実線)を示し、ボックスウィスカーは10th百分位数及び90th百分位数を示す。各被験者の値は白丸で示す。(B)ART90と簡略化方法間の直線相関関係の勾配。(C)ART90と簡略化方法間の相関関係についての測定係数(r)。 (A)ART90とCAR90の結果指標の相関関係の結果(白丸,実線)及びSUVR90とCER90の結果指標の相関関係(黒丸,実線)を示すグラフ;及び(B)ART90とCER60の結果指標の相関関係(黒四角,実線)及びART90とCER60の結果指標の相関関係(白四角,実線)を示すグラフを示す。各比較のために線形回帰を示す式をy=mx+b及び測定係数(r)の形で示す。両グラフ中の点線は単位元の線を示す。

Claims (23)

  1. 患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する方法であって、
    (A)認知症の臨床兆候または軽度の認知障害の臨床兆候を呈している患者に対して下記式:
    Figure 2008505116
    [式中、
    (i)ZはS、NR’、OまたはC(R’)であり、ZがC(R’)のときにはヘテロ環式環の互変異性体はインドール:
    Figure 2008505116
    (式中、R’はHまたは低級アルキル基である)
    を形成していてもよく;
    (ii)YはNR、ORまたはSRであり;
    (iii)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
    (iv)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
    (v)R〜R10は各々独立してH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)、トリアルキル錫、及びW−LまたはV−W−L{ここで、Vは−COO−、−CO−、−CHO−及び−CHNH−からなる群から選択され、Wは−(CH(ここで、nは0、1、2、3、4または5である)であり、Lは
    Figure 2008505116
    (ここで、MはTc及びReからなる群から選択される)
    である}の形態の、キレート化金属基を含むか含まないキレート基からなる群から選択される]
    を有し、置換基部分の少なくとも1つが検出可能な標識を含む化合物、またはその放射標識誘導体もしくは製薬上許容される塩を投与し、
    (B)前記患者をイメージングしてデータを得、
    (C)前記データを分析して前記患者におけるアミロイドレベルを健常レベルを参照して確認し、それにより前記患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する
    ことを含む前記方法。
  2. 患者が軽度の認知障害と診断されている請求項1に記載の方法。
  3. アミロイド疾患がアルツハイマー病である請求項1に記載の方法。
  4. イメージングがガンマ線イメージング、磁気共鳴イメージング及び磁気共鳴分光法からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  5. イメージングがガンマ線イメージングによりなされ、ガンマ線イメージングがPETまたは
    SPECTである請求項4に記載の方法。
  6. 式(I)を有する化合物が
    Figure 2008505116
    である請求項1に記載の方法。
  7. 式(I)を有する化合物がC−11標識を含む請求項1に記載の方法。
  8. データが病因が疑わしい認知症傾向障害をアミロイド沈着疾患に起因すると定める請求項1に記載の方法。
  9. アルツハイマー病を前頭側頭認知症と区別することを含む請求項8に記載の方法。
  10. 更に、アルツハイマー病の発症を調べるために患者をモニターすることを含む請求項2に記載の方法。
  11. 軽度の認知障害と臨床診断された患者においてアルツハイマー病を診断することを含む請求項1に記載の方法。
  12. アミロイド沈着を伴う疾患がアルツハイマー病である請求項1に記載の方法。
  13. 患者が病因が疑わしい認知症傾向障害を呈している請求項1に記載の方法。
  14. 患者が診断未確定のADを有している請求項13に記載の方法。
  15. 患者が診断未確定のADを有している請求項1に記載の方法。
  16. 患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として診断する際に使用するための診断薬剤を製造するための、下記式:
    Figure 2008505116
    [式中、
    (i)ZはS、NR’、OまたはC(R’)であり、ZがC(R’)のときにはヘテロ環式環の互変異性体はインドール:
    Figure 2008505116
    (式中、R’はHまたは低級アルキル基である)
    を形成していてもよく;
    (ii)YはNR、ORまたはSRであり;
    (iii)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
    (iv)RはH、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、(C=O)−R’、Rph及び(CHph(ここで、nは1、2、3または4であり、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について以下に定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され;
    (v)R〜R10は各々独立してH、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CHOR’(ここで、nは1、2または3である)、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、XはF、Cl、BrまたはIである)、CN、(C=O)−R’、N(R’)、NO、(C=O)N(R’)、O(CO)R’、OR’、SR’、COOR’、Rph、CR’=CR’−Rph、CR’−CR’−Rph(ここで、Rphは未置換であるかまたはR〜R10について定義する非フェニル置換基から選択される置換基で置換されているフェニル基を表し、R’はHまたは低級アルキルである)、トリアルキル錫、及びW−LまたはV−W−L{ここで、Vは−COO−、−CO−、−CHO−及び−CHNH−からなる群から選択され、Wは−(CH(ここで、nは0、1、2、3、4または5である)であり、Lは
    Figure 2008505116
    (ここで、MはTc及びReからなる群から選択される)
    である}の形態の、キレート化金属基を含むか含まないキレート基からなる群から選択される]
    を有し、置換基部分の少なくとも1つは検出可能な標識を含む化合物、またはその放射標識誘導体もしくは製薬上許容される塩。
  17. 患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として診断する方法であって、
    (A)認知症の臨床兆候または軽度の認知障害の臨床兆候を呈しており、請求項16に記載の化合物を投与した前記患者をイメージングしてデータを得、
    (B)前記データを分析して前記患者におけるアミロイドレベルを健常レベルを参照して確認し、それにより患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する
    ことを含む前記方法。
  18. 検出可能な標識が放射標識である請求項1に記載の方法。
  19. 患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する方法であって、
    (A)認知症の臨床兆候または軽度の認知障害の臨床兆候を呈している患者に対して式(II):
    Figure 2008505116
    (式中、
    は水素、−OH、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシまたはハロであり;
    RはC1−6アルキルであり;
    は水素またはハロであり;
    は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり;
    は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、ここで前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルは放射性炭素を含むか、またはRが水素もしくは非放射性ハロのときには放射性ハロで置換されており;
    ただしRが水素または−OHであり、Rが水素であり、Rが−11CHのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、
    更にただしRが水素であり、Rが水素であり、Rが−(CH 18FのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである)
    を有し、置換基部分の少なくとも1つは検出可能な標識を含むアミロイドイメージング剤、或いは前記化合物の放射標識誘導体、製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを投与し、
    (B)前記患者をイメージングしてデータを得、
    (C)前記データを分析して前記患者におけるアミロイドレベルを健常レベルを参照して確認し、それにより前記患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する
    ことを含む前記方法。
  20. 検出可能な標識が放射標識である請求項19に記載の方法。
  21. 式(I)を有するアミロイドイメージング剤が、構造1〜45:
    Figure 2008505116
    Figure 2008505116
    Figure 2008505116
    Figure 2008505116
    またはその放射標識誘導体からなる群から選択され、前記化合物が少なくとも1つの検出可能標識を含む請求項1に記載の方法。
  22. 患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として診断する際に使用するための診断薬剤を製造するための式(II):
    Figure 2008505116
    (式中、
    は水素、−OH、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシまたはハロであり;
    RはC1−6アルキルであり;
    は水素またはハロであり;
    は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり;
    は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり;
    前記したアルキル、アルケニルまたはアルキニルは放射性炭素を含むか、またはRが水素もしくは非放射性ハロのときには放射性ハロで置換されており;
    ただしRが水素または−OHであり、Rが水素であり、Rが−11CHのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、更にただしRが水素であり、Rが水素であり、Rが−(CH 18FのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである)
    を有し、置換基部分の少なくとも1つが検出可能な標識を含む化合物、或いは前記化合物の放射標識誘導体、製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグ。
  23. 構造1〜45:
    Figure 2008505116
    Figure 2008505116
    Figure 2008505116
    Figure 2008505116
    の1つを有する化合物である請求項16に記載の化合物。
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