JP2008503535A - オキシトシンアンタゴニストとしての置換ジケトピペラジン - Google Patents

オキシトシンアンタゴニストとしての置換ジケトピペラジン Download PDF

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Abstract

式(IA):[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは1−メチル−インダゾール−5−イルであり、Rはメチルを表し、Rは水素またはメチルを意味する]で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体、その製法、該化合物を含有する医薬組成物および医療における使用、特にオキシトシンアンタゴニストとしての使用が記載されている。

Description

本発明は、オキシトシン受容体にて強力かつ選択的なアンタゴニスト作用を有する新規なジケトピペラジン誘導体に、その製法に、該化合物を含有する医薬組成物に、およびその医学における使用に関する。
オキシトシンホルモンは子宮の強力な収縮剤であり、陣痛の誘発または増幅に使用される。また、子宮オキシトシン受容体の密度は妊娠の間に100倍より大きく有意に増加し、陣痛(早期および満期)にてピークに達する。
早産/早期陣痛(24週と37週の間)は約60%の乳児の死亡/死亡率を生じさせる。かくしてオキシトシンの子宮作用を阻害する化合物、例えばオキシトシンアンタゴニストは、早期陣痛の防止または制御に有用であるはずである。
国際特許出願WO99/47549は、フルクトース1,6−ビスホスフェート(FBPase)の阻害剤としての3−ベンジル−2,5−ジケトピペラジン誘導体を含むジケトピペラジン誘導体を記載する。
国際特許出願WO03/053443は、オキシトシン受容体にて選択的なアンタゴニストとして特に有用なレベルの活性を示す一連のジケトピペラジン誘導体を記載する。そこに記載の一連の好ましい化合物は、式(A):
Figure 2008503535
で示される。
かかる化合物は、とりわけ、Rが2−インダニルであり、RがC3−4アルキルであり、Rが所望により置換されていてもよい6,5−縮合二環式環、例えば、環中の炭素原子を介して分子の残基に結合した1H−インダゾール−5−イルであり、RがNR基(RおよびRは、各々、アルキル、例えばメチルであるか、またはRおよびRはその結合する窒素原子と一緒になって3−ないし7−員の飽和複素環式環を形成し、その複素環は酸素より選択される付加的なヘテロ原子を含有してもよい)を表すところの、化合物を包含する。
国際特許出願WO2005/000840は、式(B):
Figure 2008503535
[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イルであり、RおよびRはその結合する窒素原子と一緒になってモルホリノを表す]
で示されるジケトピペラジン誘導体を記載する。
この度、本発明者らは、特に有利な薬物動態プロファイルを示す、一群の新規な選択的オキシトシン受容体アンタゴニストを見出した。
本発明は、かくして、式(I):
Figure 2008503535
[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは1−メチル−インダゾール−5−イルであり、Rはメチルを表し、Rは水素を意味する]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1つの化学物質を提供する。
あるいはまた、本発明は、式(IA):
Figure 2008503535
[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは1−メチル−インダゾール−5−イルであり、Rはメチルを表し、Rは水素またはメチルを意味する]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1個の化学物質を提供する。
式(I)の化合物および式(IA)の化合物は、R、RおよびR基を有する不斉炭素原子が、すなわち、これらの位置での空間的配置が常に(R)であるように示される、絶対立体化学を有することが分かるであろう。それでも、かかる化合物は実質的にはR、RおよびRの各々で(S)−エピマーを含まないが、各エピマーは少量にて存在しうること、例えば、1%以下の(S)−エピマーが存在してもよいことも認識すべきである。
基が不斉炭素原子を含有し、本発明がその(R)−および(S)−エピマーの両方を含むことも理解されよう。
本発明の一の実施形態においては、Rは(1S)−1−メチルプロピルである。本発明のもう一つ別の実施形態においては、Rは(1R)−1−メチルプロピルである。
本発明の一の実施形態においては、Rは水素を表す。本発明のもう一つ別の実施形態においては、Rはメチルを表す。
本発明の一の実施形態は、実施例1に具体的に記載される化合物を調製することにある。本発明のもう一つ別の実施形態は、実施例1および2に具体的に記載される化合物を調製することにある。
一の態様において、本発明にて有用な化学物質は:
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−メチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド、および
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N,N−ジメチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド,
ならびにその医薬上許容される誘導体
より選択される少なくとも1つの化学物質であってもよい。
本明細書にて用いる場合、「医薬上許容される」なる語は、医薬用途に適する化合物を意味する。医薬用途に適する本発明の化合物の塩および溶媒和物は、そのカウンターイオンまたは結合溶媒が医薬上許容されるものである。しかし、医薬上許容されないカウンターイオンまたは結合溶媒を有する塩および溶媒和物も、例えば、本発明の他の化合物ならびにその医薬上許容される塩および溶媒和物の調製における中間体として用いるため、本発明の範囲内にある。
本明細書にて用いる場合、「医薬上許容される誘導体」なる語は、被験者に投与されると、本発明の化合物あるいはその活性代謝物または残基の提供能を(直接的または間接的に)有する、本発明の化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ、例えばエステルのいずれをも意味する。かかる誘導体は、当業者であれば過度の実験を行うことなく理解しうる。とは言っても、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5 th Edition, Vol 1: Principles and Practiceの教示に言及するものであり、かかる誘導体に対する教示を出典を明示することでその内容を本明細書の一部とする。一の態様において、医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物、エステル、カルバメートおよびホスフェートエステルである。もう一つ別の態様において、医薬上許容される誘導体は塩、溶媒和物およびエステルである。一の態様において、医薬上許容される誘導体は生理学的に許容される塩である。さらなる態様において、医薬上許容される誘導体は溶媒和物およびエステルである。もう一つ別の態様において、医薬上許容される誘導体は溶媒和物である。
本発明の化合物の適当な生理学的に許容される塩として、生理学的に許容される無機酸または有機酸とで形成される酸付加塩が挙げられる。かかる酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸およびマレイン酸が挙げられる。
本発明はまた、式(I)または式(IA)の化合物の溶媒和物、例えば、水和物、または、限定されるものではないが、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、アセトン、エーテル、エステル、例えば酢酸エチルを含む、医薬上許容される溶媒との溶媒和物に関する。
本発明の化合物はまた、他の治療薬と組み合わせて用いてもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体をさらなる治療薬と一緒に含む組み合わせを提供する。
本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を、同じ病態に対して活性である第二治療薬と組み合わせて用いる場合、各化合物の用量は、その化合物を単独で用いる用量とは異なるかもしれない。当業者であれば、適量を容易に認識するであろう。治療に用いるのに必要な本発明の化合物の量は、治療される状態の性質、患者の年齢および状態で変化するであろうし、最終的には顧問医または獣医の判断であろう。本発明の化合物は子宮収縮阻害薬または予防薬と組み合わせて用いてもよい。これらは、限定されるものではないが、テルブタリンまたはリトドリンなどのベータ−アゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、例えばニフェデピン、非ステロイド系抗炎症薬、例えばインドメタシン、マグネシウムの塩、例えば硫酸マグネシウム、他のオキシトシンアンタゴニスト、例えばアトシバン、およびプロゲステロンアゴニストおよび処方を包含する。加えて、本発明の化合物はベータメタゾンおよびデキサメタゾンを含む出生前ステロイド、妊婦用ビタミン、特に葉酸補充剤、抗生物質、限定されるものではないが、アンピシリン、アモキシリン/クラブラン酸塩、メトロニダゾール、クリンダマイシンおよび不安解消薬と組み合わせて用いられてもよい。
一の態様において、上記の組み合わせは医薬処方の形態における使用のために供されてもよく、上記した組み合わせと医薬上許容される担体または賦形剤とを含む医薬処方は本発明のさらなる態様を形成する。かかる組み合わせの個々の成分は、都合のよい経路により、連続的に、あるいは同時に、別々のまたは組み合わせた医薬処方のいずれで投与されてもよい。
連続的に投与する場合、本発明の化合物または第二治療薬のいずれが最初であってもよい。同時に投与する場合、その組み合わせは同じまたは異なる医薬組成物のいずれで投与されてもよい。
同じ処方中に組み合わせる場合、2種の化合物は安定しており、相互におよび処方の他の成分と混和性でなければならない。別々に処方される場合、それらは都合よくは当該分野にてかかる化合物に対して公知の方法にて、いずれか都合のよい処方にて提供されてもよい。
式(I)および式(IA)の化合物はラットおよびヒトの子宮上のオキシトシン受容体に対して強いアフィニティを有しており、このことは一般的手段を用いて測定され得る。例えば、ラットの子宮上のオキシトシン受容体に対するアフィニティは、Pettiboneら、Drug Development Research 30. 129-142(1993)の操作により測定され得る。本発明の化合物はまた、CHO細胞のヒト組換えオキシトシン受容体で高いアフィニティを示し、このことは、都合よくは、Wyattら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2001(11)1301-1305頁に記載の操作を用いて測定され得る。
本発明の化合物は、良好な生体利用能および固有の低クリアランスを含め、有利な薬物動態プロファイルを示す。一の態様にて、本発明の化合物は良好な効能および固有の低クリアランスを示す。もう一つ別の態様において、本発明の化合物は固有の低クリアランスを示す。
本発明の化合物は、したがって、オキシトシンの作用を介して媒介される疾患および/または症状の治療または予防にて有用である。かかる疾患および/または症状の例として、早期陣痛、月経困難症、子宮内膜症および良性前立腺過形成が挙げられる。
該化合物はまた、選択しうる帝王切開または患者を三次医療センターに移す前に、性的機能不全(男性および女性)、特に早漏、肥満、食事障害、鬱血性心不全、動脈性高血圧、肝硬変、腎臓性高血圧または高眼圧症、強迫障害および神経精神障害の治療の前に、陣痛を遅らせるのに有用でもある。本発明の化合物はまた、動物、例えば家畜の出産率を改良するのにも有用である。
したがって、本発明は、治療にて用いるための、特にヒトまたは家畜の治療にて用いるための、とりわけオキシトシンのオキシトシン受容体に対する作用を拮抗するための医薬として用いるための、式(I)または式(IA)の化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1種の化学物質を提供する。
本発明はまた、オキシトシンのオキシトシン受容体に対する作用を拮抗するための医薬の製造における、式(I)または式(IA)の化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1種の化学物質の使用を提供する。
さらなる態様によれば、本発明はまた、オキシトシンのオキシトシン受容体に対する作用を拮抗する方法であって、その必要とする患者に、拮抗量の少なくとも一つの式(I)および式(IA)の化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される化学物質を投与することを含む、方法を提供する。
本明細書の治療に対する言及は予防ならびに確立された疾患または徴候の治療にまで及ぶことは当業者に明らかであろう。
さらには、治療にて用いるのに必要とされる本発明の化合物の量は、治療される症状の特性、投与形路および患者の年齢および状態で変化し、最終的には顧問医の判断であろう。一般に、成人の治療に利用される用量は、典型的には、投与形路に応じて、2ないし1000mg/日の範囲にあるであろう。
かくして、非経口投与の場合、一日の用量は、典型的には、2ないし50mg、一の態様にて5ないし25mg/日の範囲にあるであろう。経口投与の場合、一日の用量は、典型的には、10ないし1000mg、例えば50ないし500mg/日の範囲内にあるであろう。
望ましい用量は、単回用量にて、あるいは適当な間隔で投与される分割された用量として、例えば一日に付き2回、3回、4回またはそれ以上の細分用量として提供されてもよい。
治療にて用いる場合、本発明の化合物は原料として投与されることも可能であるが、医薬処方の活性成分として投与されることが好ましい。
かくして、本発明は、さらには、式(I)または式(IA)の化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1個の化学物質と、1個または複数の医薬上許容される担体と、所望により他の治療および/または予防成分とを一緒に含む医薬処方を提供する。担体は、処方の他の成分と適合しうるという意味で「許容される」ものでなければならず、その受容者に有害であってはならない。
本発明の組成物は、経口、バッカル、非経口、吸入または注入、インプラント、膣または直腸投与用に特に処方された形態のものを包含する。
経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、澱粉粘液またはポリビニルピロリドン;充填剤、例えばラクトース、ショ糖、微結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウムまたはソルビトール;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えばイモ澱粉または澱粉グリコール酸ナトリウム、またはラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤等の慣用的な賦形剤を含有してもよい。錠剤は当該分野にて周知の方法によりコーティングされていてもよい。経口用液体製剤は、例えば水性または油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、あるいは使用前に水または他の適当なビヒクルで復元される乾燥生成物として与えられてもよい。かかる液体製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/ショ糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは硬化食用脂;乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシア;非水性ビヒクル(食用油を含んでいてよい)、例えばアーモンド油、分別ココヤシ油、油性エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;界面活性剤、例えばポリソルベートまたはシクロデキストリンなどの可溶化剤;および保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルあるいはアスコルビン酸などの慣用的な添加剤を含有してもよい。該組成物はまた、例えばカカオ脂または他のグリセリドなどの慣用的な坐剤用基剤を含有する坐剤として処方されてもよい。
バッカル投与の場合、該組成物は慣用的操作にて処方された錠剤またはロゼンジの形態を取ることができる。
本発明の組成物は注射または点滴による非経口投与用に処方されてもよい。注射用の処方は、単回投与のアンプルの形態にて、あるいは保存剤を加えた複数回投与用の容器にて与えられてもよい。該組成物は、かかる形態を油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンとして取ってもよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤を含有してもよい。また、活性成分は、使用前に適当なビヒクル、例えば滅菌した発熱物質不含水で復元する粉末形態であってもよい。
本発明の組成物は、0.1−99%の活性成分、都合よくは錠剤およびカプセルの場合に1−50%の活性成分、液体製剤の場合に3−50%の活性成分を含有してもよい。
本発明の化合物の有利な薬物動態プロファイルは、生物学的に活性な化合物の薬物動態特性を測定する通常の操作を用いて容易に測定される。
本発明の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、本発明のさらなる態様を構成する、以下に記載の操作により調製される。以下の記載において、基は、特記しない限り、本発明の化合物について上記したとおりである。
かくして、式(I)および式(IA)の化合物は、カルボン酸(II):
Figure 2008503535
(ここで、R、RおよびRは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、Rのキラリティは(R)または(S)あるいはその混合物である)またはその活性化誘導体を、アミン HNR(ここで、RおよびRは式(I)および式(IA)の記載と同意義である)と、カルボン酸またはその活性化誘導体とアミンとからアミドを調製する標準条件下で、反応させて調製することができる。
上記の反応より得られる式(I)および式(IA)の化合物のジアステレオマーの混合物は、当該分野にて周知の標準的分割技法、例えばカラムクロマトグラフィーを用いて分離することができる。
かくして、式(I)または式(IA)のアミドは、式(II)のカルボン酸を、BOP(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘテロフルオロリン酸塩)、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロホウ酸塩)、BOP−Cl(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド)、塩化オキサリルまたは1,1’−カルボニルジイミダゾールなどの活性化剤と、トリエチルアミンなどの非プロトン性溶媒中、所望によりトリエチルアミンなどの第三アミンの存在下で処理し、その後、こうして形成された生成物、すなわち式(II)の化合物の活性化誘導体を、アミン HNRと反応させることで調製され得る。
別法として、式(I)または式(IA)のアミドは、カルボン酸(II)から誘導される混合無水物をアミン HNRとテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で反応させることで調製することができる。都合よくは、該反応は低温、例えば25℃ないし−90℃、より都合よくは約−78℃で実施される。
混合無水物は、都合よくは、カルボン酸(II)を、適当な酸塩化物、例えば塩化ピバロリルと、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンなどの第三有機塩基の存在下、低温、例えば25℃ないし−90℃、都合よくは約−78℃で、酢酸エチルなどの非プロトン性溶媒中で反応させることで調製される。
式(I)または式(IA)の化合物はまた、式(III):
Figure 2008503535
[式中、R、RおよびRは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、Rは2−ヒドロキシフェニルを意味する]
で示される化合物を、1,1'−カルボニルジイミダゾールまたは1,1'−チオカルボニルジイミダゾールと、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で反応させ、その後、このように形成された生成物をアミン HNRと反応させることで調製され得る。
式(II)の化合物は、式(III)の化合物(式中、Rは2−ヒドロキシフェニルである)を、1,1'−カルボニルジイミダゾールまたは1,1−チオカルボニルジイミダゾールと、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で反応させ、その後、こうして形成された生成物を水性アセトンと反応させることで調製され得る。
式(III)の化合物(式中、Rは2−ヒドロキシフェニルである)は、対応する式(III)の化合物(式中、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である)を水素およびパラジウム触媒を用いて水素添加分解することで調製され得る。
式(III)の化合物(式中、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である)は、式(IV):
Figure 2008503535
[式中、R、RおよびRは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、Rは2−ベンジルオキシフェニルであり、Rはt−ブチルオキシカルボニルであり、RはC1−6アルキルを意味する]
で示される化合物を、ジオキサンなどの溶媒中、塩化水素と反応させ、つづいてメタノール中、トリエチルアミンなどの塩基で処理することにより調製され得る。
式(IV)の化合物は、アミノエステル塩酸塩(V):
Figure 2008503535
[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、RはC1−6アルキルである]
を、アルデヒド:RCHO(VI)[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義である]と、トリエチルアミンの存在下、トリフルオロエタノールなどの溶媒中で反応させ、ついで得られた生成物を、化合物(VII):
Figure 2008503535
[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、Rはt−ブチルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニル基である]
およびイソシアニド:CNR(VIII)[ここで、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である]と、トリフルオロエタノールなどの溶媒中で反応させることにより調製され得る。
式(III)の化合物[式中、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である]は、式(IV)の化合物[式中、R、RおよびRは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、Rは2−ベンジルオキシフェニルであり、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]を、塩化水素と、ジオキサン中で反応させ、つづいてトリエチルアミンとジクロロメタンなどの溶媒中で反応させることにより調製され得る。
式(IV)の化合物[式中、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]は、式(VII)の化合物[式中、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]を用い、上記した反応経路により調製され得る。
置換基は1−メチルプロピル基であり、式(I)および式(IA)の化合物[式中、Rは(S)または(R)配置の1−メチルプロピル基である]は、アミノエステル塩酸塩(V)[ここで、R基は必要とされる(S)または(R)配置である]を用いて開始することで調製され得る。
アミノエステル塩酸塩(V)[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、RはC1−6アルキルである]は、Schmidt, U;Kroner, M;Griesser, H. Synthesis(1989)、(11)、832-5の方法により、その対応する市販のアミノ酸、D−アロイソロイシンまたはD−イソロイシンより調製され得る。
アルデヒド:RCHO(VI)[ここで、Rは式(I)または式(IA)の記載と同意義である]は、市販のブロモ化合物 RBr[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義である]より、V. Auwers;Lange;Chem. Ber.;55;1922;1141, 1157の方法に従って調製され得る。別法として、アルデヒド:RCHO(VI)は市販のニトリル化合物 RCN[ここで、Rは式(I)または式(IA)の記載と同意義である]より、Halley, Frank;Sava, Xavier Synthesis of 5-cyanoindazole and 1-methyl and 1-aryl-5-cyanoindazoles. Synthetic Communications(1997)、27(7)、1199-1207の方法に従って調製され得る。
アミノ酸誘導体(VII)[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]は商業的に入手可能であり;アミノ酸誘導体(VII)[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義であり、Rはベンジルオキシカルボニルである]は、対応する市販のアミノ酸:(R)−RCH(NH)COH(IX)[ここで、Rは式(I)および式(IA)の記載と同意義である]をN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミドおよびトリエチルアミンと水中ジオキサンなどの溶媒中で処理することで調製され得る。
イソシアニドCNR(VIII)は文献記載の方法に従って調製することができる(Obrecht, Roland;Herrmann, Rudolf;Ugi, Ivar、Synthesis、1985、4、400-402)。
式(I)および式(IA)の化合物の酸付加塩は、慣用的手段、例えば、該化合物のジクロロメタンまたはアセトンなどの適当な溶媒中溶液を、適当な無機または有機酸の適当な溶液で処理することにより調製することができる。
以下の実施例は例示であり、本発明の実施形態を限定するものではない。
実験
略語
DIBAL:塩化ジイソブチルアルミニウム
命名法
中間体および実施例のすべては、イジスドロー(ISISDraw)のACD Name Pro6.02を用いて命名した。
一般的精製および分析方法
分析用HPLCは、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3cmx4.6mmID)上で、水中0.1%HCOHおよび0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)、およびアセトニトリル中0.05%HCOHおよび5%水(溶媒B)で、溶出勾配1:0−0.7分の0%B、0.7−4.2分の0%−100%B、4.2−5.3分の100%B、5.3−5.5分の0%Bあるいは溶出勾配2:0−0.7分の0%B、0.7−4.2分の0%−100%B、4.2−4.6分の100%B、4.6−4.8分の0%Bを3ml/分の流速を用いて溶出して行われた。保持時間(Rt)は分で示される。マススペクトル(MS)は、エレクトロスプレーポジティブ[MH+およびM(NH4)+分子イオンを得るのにES+ve]モードまたはエレクトロスプレーネガティブ[(M−H)−分子イオンを得るのにES−ve]モードを用いてWaters ZQ 2000マススペクトロメーターに記録された。H NMRスペクトルは、外部標体としてテトラメチルシランを用い、Bruker DPX 400MHzを利用して記録された。
シリカカートリッジを用いる精製は、Presearchより供給されるRedisep(登録商標)カートリッジでのCombiflash(登録商標)CompanionTMを用いて行われるクロマトグラフィーをいう。疎水性フリットはWhatmanより販売されている濾過チューブをいう。SPE(固相抽出法)はInternational Sorbent Technology Ltdより販売されているカートリッジの使用をいう。TLC(薄層クロマトグラフィー)はシリカゲル60F254でコーティングされたMerckより販売されているTLCプレートの使用をいう。
中間体1(方法A)
1−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド
塩化n−ブチルマグネシウムのテトラヒドロフラン(3.05ml)中2.0M溶液を窒素下でトルエン(20ml)に加え、−10℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウムのヘキサン(7.63ml)中1.6M溶液を添加し、1時間後に該反応混合物を−30℃に冷却した。これに、5−ブロモ−1−メチル−1H−インダゾール(2.35g)のテトラヒドロフラン(10ml)中溶液を添加し、その反応混合物を−10℃に加温した。1時間後、ジメチルホルムアミド(5ml)を添加し、該反応混合物を−10℃で1時間攪拌した。該反応物を2N塩酸(20ml)を用いてクエンチし、該反応物を室温にまで加温させた。30分後、該反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で塩基性にし、ついで酢酸エチル(2x80ml)を用いて抽出した。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液(2x100ml)で、ついで水中10%塩化リチウム(2x100ml)で、つづいてブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をシリカRedisep(登録商標)カートリッジ(120g)に充填し、シクロヘキサン中10−30%酢酸エチルで溶出した。必要とされるフラクションを合し、真空下で蒸発させ、1−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(1.43g、80%)を白色固体として得た。
HPLC Rt=2.2分(勾配1);m/z[M+H]=161(勾配1)
中間体1(方法B)
1−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド
Figure 2008503535
1−メチル−1H−インダゾール−5−カルボニトリル(7g)の無水トルエン(300ml)中溶液に、窒素下、−70℃にて、DIBALのトルエン(59.4ml)中1.5M溶液を約20分間にわたって滴下した。該反応混合物を−60℃に加温し、その温度で4時間攪拌し、冷却浴を取り外し、ついで酢酸(30ml)を滴下することでクエンチさせた(気体発生に注意)。水(240ml)を添加し、該混合物を30分間激しく攪拌し、ついで酢酸エチル(200ml)で抽出した。有機相を水(100ml)で、ついでブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して1−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(6.8g、95%)を淡黄色固体として得た。それは上記で得られた5−ブロモ−1−メチル−1H−インダゾールの特性とあらゆる点で一致するものであった。
中間体2
Figure 2008503535
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−N−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アセトアミド
1−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(中間体1)(1.66g)およびD−アロイソロイシン酸メチル塩酸塩(1.88g)を2,2,2−トリフルオロエタノール(30ml)およびメタノール(30ml)に溶かした。これに、トリエチルアミン(1.44ml)を加え、該反応混合物をN下、室温で3.5時間攪拌した。(2R)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)エタン酸(3.01g)および2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニルイソシアニド(2.16g)を該反応混合物に添加し、該溶液を室温で3日間放置した。溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンに溶かし、真空下で蒸発させた。残渣をジオキサン中4N塩化水素(20ml)に溶かし、該反応混合物を1時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、メタノールと一緒に蒸発させた(x3)。残渣をメタノール(70ml)に溶かした。フラスコをドライアイス上に置いたまま、この溶液に、トリエチルアミン(6ml)を添加した。反応混合物を室温で20時間放置した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をメタノール(x1)およびジクロロメタン(x1)から濃縮した。残渣を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液の間に分離させた。有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液、水、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカカートリッジ(120g)に充填した。これをシクロヘキサン中30−70%酢酸エチルで溶出した。必要とされるフラクションを合し、真空下で蒸発させ、2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−N−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アセトアミド(4.15g、62%)を黄色固体として得た。
HPLC Rt=3.62、3.66分(勾配1);m/z[M+H]=656。
中間体3(方法A)
Figure 2008503535
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1− ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アセトアミド
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1− ピペラジニル}−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−N−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アセトアミド(中間体2)(0.20g)をエタノール(20ml)に溶かし、パラジウム/チャコール(10重量%Pd、50mg)上で20時間水素添加した。濾過で触媒を除去し、エタノール/ジクロロメタン(1:1 v/v)で洗浄した。合した洗浄液および濾液を真空下で蒸発させて2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アセトアミド(0.19g、100%)を白色固体として得た。
中間体3(方法A)
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1− ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アセトアミド
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−N−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アセトアミド(3.5g)をエタノール(200ml)に溶かし、パラジウム/チャコール(10重量%Pd、350mg)上で5時間水素添加した。濾過で触媒を除去して洗浄し、その濾液を真空下で濃縮した。この残渣をRedisep(登録商標)シリカカラム(120g)上でシクロヘキサン中50−90%酢酸エチルで溶出して精製し、2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アセトアミド(1.54g)を白色固体として得た。
HPLC Rt=3.3分(勾配1);m/z[M+H]=566。
中間体3(方法B)
Figure 2008503535
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1− ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アセトアミド
N−[(2R)−2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]−カルボニル}アミノ)アセチル]−N−[1−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−2−オキソ−2−({2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アミノ)エチル]−D−アロイソロイシン酸メチル(中間体4)(22.6g、27.5ミリモル)をエタノール(750mL)および酢酸(70mL)に溶かし、該混合物を室温で1気圧のH下、炭素上10%パラジウム(デグサ型)(水と1:1(w:w)で湿った状態の7.75g)上で3.5時間水素添加した。該反応混合物を濾過し、ついで減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(400ml)の間に分配させ、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(400ml、COに注意すること)で処理した。有機相を疎水性フリットで分離し、減圧下で蒸発させて標記化合物を一対のジアステレオマー(15g)として得た。
HPLC Rt=3.27分(勾配2);m/z[M+H]=566
中間体4
Figure 2008503535
N−[(2R)−2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)アセチル]−N−[1−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−2−オキソ−2−({2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アミノ)エチル]−D−アロイソロイシン酸メチル
1−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(5.78g、34ミリモル))および(D)−アロイソロイシンメチルエステル塩酸塩(6.17g、34ミリモル)の2,2,2−トリフルオロエタノール(100mL)中混合物をトリエチルアミン(4.74mL、34ミリモル)で処理し、該混合物を窒素下、室温で18時間放置した。(2R)−[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ](2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)エタン酸(11.05g、34ミリモル)および2−ベンジルオキシフェニルイソニトリル(7.52g、36ミリモル)を添加し、該混合物を窒素下、室温で3日間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、ついで酢酸エチル(750mL)と水(500mL)の間に分配した。水相を酢酸エチル(250mL)で逆抽出し、合した有機抽出液を飽和塩化ナトリウム(250mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて粗生成物(29.6g)を得た。これをRedisep(登録商標)シリカカラム(330g)上でシクロヘキサン中10−50%酢酸エチルで溶出して精製し、22.6gの標記化合物を一対のジアステレオマーとして得た。
HPLC Rt=4.13分(勾配2);m/z[M+H]=822.6
実施例1
Figure 2008503535
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−メチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アセトアミド(中間体3)(0.5g)および1,1'−カルボニルジイミダゾール(0.23g)を乾燥ジクロロメタン(10ml)に溶かし、N下、室温で3時間放置した。メチルアミンのテトラヒドロフラン(2.2ml)中2.0M溶液を添加し、該反応混合物を3時間放置した。該反応混合物を真空下で蒸発させた。残渣をシリカカートリッジ(35g)に充填し、酢酸エチルから酢酸エチル中10%メタノールまでの勾配の溶出液で溶出した。必要とされるフラクションを真空下で蒸発させ、その残渣をさらにSCX SPEカートリッジ(5g)を用いて精製し、メタノールで洗浄し、そのメタノール液を濃縮して(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−メチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミドを白色固体として得た。
HPLC Rt=2.9分(勾配1);m/z[M+H]=488。
H NMR(CDCl)δ7.99(s,1H)、7.79(s,1H)、7.47(dd,1H)、7.42(d,1H)、7.25−7.12(m,4H)、6.55(d,1H)、6.12(q,1H)、5.04(s,1H)、4.10(s,3H)、4.06(dd,1H)、3.96(d,1H)、3.22−3.05(m,3H)、2.97(m,1H)、2.85(d,3H)、2.76(dd,1H)、1.99(m,1H)、1.79(m,1H)、1.15(m,1H)、1.08(d,3H)、0.93(t,3H)。
実施例1
2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1− ピペラジニル}−N−メチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アセトアミド(15g)および1,1'−カルボニルジイミダゾール(6.88g)を窒素下で乾燥ジクロロメタン(300mL)に溶かし、室温で4時間攪拌した。メチルアミンのテトラヒドロフラン(66.3mL)中2.0M溶液を10分間にわたって加え、ついで該反応混合物を30分間攪拌し、該反応混合物を18時間放置した。その反応混合物をジクロロメタン(200mL)で希釈し、0.1M HCl(400mL)で洗浄した。有機抽出液を疎水性フリットで分離し、水性抽出液をさらにジクロロメタン(200ml)で洗浄した。合した有機抽出液を真空下で濃縮し、残渣をredisep(登録商標)シリカカートリッジ(339g)に充填し、酢酸エチルから酢酸エチル10%メタノールまでの勾配の溶出液で溶出した。必要とされるフラクションを真空下で蒸発させ、残渣をさらに、カートリッジをメタノールでコンディショニングし、ついで負荷を行い、化合物をメタノールで溶出する、SCX-2 SPEカートリッジ(50g)を用いて精製した。関連するフラクションを濃縮して、これにより(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−メチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド(4.1g、32%)を白色固体として得た。
HPLC Rt=2.9分(勾配1);m/z[M+H]=488。
実施例2
Figure 2008503535
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N,N−ジメチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド
標記化合物を中間体33およびジメチルアミンより同様にして調製した。
HPLC Rt=3.0分;m/z[M+H]=502
H NMR(CDCl)δ8.02(s,1H)、7.82(s,1H)、7.53−7.44(m,2H)、7.30−7.15(m,4H)、6.45(s,1H)、6.20(d,1H)、4.16−4.10(m,5H)、3.19−3.11(m,3H)、2.99−2.85(m,1H)、2.96(s,3H)、2.87(s,3H)、2.75(dd,1H)、1.50(m,1H)、1.05(m,1H)、0.78(m,1H)、0.60(t,3H)、0.39(d,3H)。
参考文献:
1:V. Auwers;Lange;Chem.Ber.;55;1922;1141、1157
2:Halley, Frank;Sava, Xavier. Synthesis of 5-cyanoindazole and 1-aryl-5-cyanoindazoles. Synthetic Communications (1997)、27(7)、1199-1207.
生物学的活性
本発明の実施例1および2を以下に記載のあらゆるアッセイにて試験した。各化合物の結果を以下の表1に示す。該表はまた比較のための2種の化合物XおよびYを包含する。
アッセイ1
FLIPRを用いるヒトオキシトシン−1受容体でのアンタゴニストアフィニティの測定
細胞培養
組換えヒトオキシトシン1(hOT)受容体を安定して発現する接着チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、10%熱不活化ウシ胎仔血清(Gibco/Invitrogen、カタログ番号01000−147)、2mM L−グルタミン(Gibco/Invitrogen、カタログ番号25030−024)および0.2mg/ml G418(Gibco/Invitrogen、カタログ番号10131−027)を補足したDMEM:F12培地(Sigma、カタログ番号D6421)の培養液に維持した。細胞を、95%:5%の空気:COの下、37℃で単層として増殖させ、TrypLE(登録商標)Express(Gibco/Invitrogen、カタログ番号12604−013)を用いて3−4日毎に継代させた。
FLIPRTMを用いる[Ca2+の測定
CHO−hOT細胞を、ウェル当たり10000細胞の密度で上記した培地中のブラックウォールクレアベースの384−ウェルのプレート(Nunc)に播種し、(95%:5%の空気:CO、37℃)を一夜維持した。培地を除去した後、細胞を37℃で1時間、プロベネシド(0.7mg/ml)、細胞質カルシウム指示薬であるFluo−4(4μM;Teflabs、USA)および消光剤であるブリリアントブラック(Brilliant Black)(250μM;Molecular Devices、UK)含有のTyroad培地(NaCl、145mM;KCl、2.5mM;HEPES、10mM;Glucose、10mM;MgCl2、1.2mM;CaCl2、1.5mM)にてインキュベートした。ついで、細胞を37℃でさらに30分間、バッファーだけか、OTアンタゴニスト含有のバッファーと一緒にインキュベートし、FLIPRTM(Molecular Devices、UK)に置き、最大下濃度のオキシトシン(EC80)を添加する前後での細胞蛍光(λex=488nm、λEM=540nm)をモニター観察した。
データ解析
FLIPRを用いる機能応答をActivity Base Version5.0.10を用いて解析した。
アッセイ2
オキシトシン結合アッセイ
調製
ヒト組換えオキシトシン受容体を発現するCHO細胞より膜を調製した。該膜調製物を使用まで−70℃でアリコートにて凍結させた。
膜調製物は使用されるまで−70℃でアリコートにて凍結された。
結合アッセイプロトコル
1μMの標識されていないオキシトシンの存在しない(全結合)または存在する(非特異結合)状態にて約2.4nMの[3H]−オキシトシンと、増加する濃度の実施例1および2の化合物あるいは比較化合物とを含有する200μlのアッセイバッファー(50mM トリス、10mM MgClおよび0.1%のウシ血清アルブミン、pH7.5)中で膜(約50μg)をインキュベートした。インキュベーションを室温で60分間行った。反応を3mlの氷冷バッファーで停止させ、0.3%ポリエチレンイミンに予浸させた、Whatman GF/Cフィルターペーパーを介して濾過した。該フィルターをBrandel細胞ハーベスターを用いて3mlのバッファーで4回洗浄した。フィルターを3mlのReady Safeシンチレーション流体(Beckman)中で計数した。
特異結合は全結合の約90%を示した。
データ解析
非線形回帰分析(GraphPad)を用いて競合結合実験よりIC50値を測定し、ChengおよびPrusoff、1974の方法を用いてKiに変換した。データは平均値で報告されている。
アッセイ3
ミクロソームにおけるインビトロ固有クリアランスの測定
インキュベーションに用いるためのNADP再生バッファーをアッセイの日に新たに調製した。それは、2%炭酸水素ナトリウム1mLに付き、7.8mgのグルコース−6−ホスフェート(一ナトリウム塩)、1.7mgのNADPおよび6ユニットのグルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナーゼを含有した。ミクロソーム(ヒト、女性;カニクイザル、雌;イヌ、雌;ラット、雌)をpH7.4のリン酸バッファー中にて調製し、それは1mL当たり0.625mgの蛋白を含有した。特記しない限り、その後のすべての工程はTecan Genesis 150/8 RSPで行われた。1.25mMの該化合物のストック溶液をアセトニトリル/水(1:1)中に調製した。25μlの1.25mMのストック溶液を600μlのアセトニトリル/水(1:1)に加え、50μMの溶液を得た。その50μMの溶液(10μL)をマイクロプレート(Porvair、96個の深底ウェル、四角型)にある各種のミクロソーム(790μL)に添加した。
該化合物を含有する400μLのミクロソーム溶液をマイクロプレート(Porvair、96個の深底ウェル、丸型)に移し、インキュベーションを開始する前に37℃で5分間予め加温した。インキュベーションはすべて100μLのNADP再生システムを予め加温したミクロソームに添加することで開始された。Techne加熱ブロックにて該混合物を37℃でインキュベートした。インキュベーションを0、3、6、12および30分行った後、20μLのアリコートを取り、内部標体含有の100μLのアセトニトリルに添加した。
代謝率を測定するために、インキュベーションを0.5μMの化合物の濃度および0.5mg/mLの蛋白の濃度で行った。該インキュベーションにおける溶媒の濃度は0.5%であった。
試験化合物の濃度をLC/MS/MSで測定した;結果は分析物:内部標体のピーク面積割合として報告された。
喪失速度は指数関数的減衰(single exponential decay)をエクセルを用いて濃度−時間曲線に適合させることで算定され、固有クリアランスは以下の式を用いて算定された:
Figure 2008503535
結果
本発明の実施例1および2およびまた2種の比較化合物[比較化合物X=(2R)−2−[(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−イソブチル−2,5−ジオキソピペラジン−1−イル]−2−(1H−インダゾール−5−イル)−N,N−ジメチルエタンアミド(WO 03/053443の実施例172)および比較化合物Y=(2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−[(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−イソブチル−2,5−ジオキソピペラジン−1−イル]−N,N−ジメチルエタンアミド(WO 03/053443の実施例8)]を上記アッセイにて試験した。ただし、比較化合物Xはアッセイ1および2にて試験しなかった。
しかし、比較化合物Yはアッセイ1および2にて試験され、本発明の化合物1および2が示す効能と同様の効能を示した。実際、これらの化合物は、各々、8.5と8.7の間のfpKi(アッセイ1)および9.9と10.4の間のpKi(アッセイ2)を示した。
しかし、本発明の化合物は、比較化合物XおよびYの両方と比較した場合、ミクロソームにおけるインビトロ固有クリアランス(アッセイ3)にて意外な改善を示した。
Figure 2008503535
表1の符号
+ 1−8ml/分/mgに相当する
++ 9−15ml/分/mgに相当する
+++ 16−20ml/分/mgに相当する
++++ 21−30ml/分/mgに相当する
+++++ >31ml/分/mgに相当する

Claims (13)

  1. 式(IA):
    Figure 2008503535
    [式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは1−メチル−インダゾール−5−イルであり、Rはメチルを表し、Rは水素またはメチルを表す]
    で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される、少なくとも1つの化学物質。
  2. 式(IA):
    Figure 2008503535
    [式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは1−メチル−インダゾール−5−イルであり、Rはメチルを表し、Rは水素またはメチルを表す]
    で示される化合物の塩および溶媒和物より選択される、少なくとも1つの化学物質。
  3. 式(I):
    Figure 2008503535
    [式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは1−メチル−インダゾール−5−イルであり、Rはメチルを表し、Rは水素を表す]
    で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される、少なくとも1つの化学物質。
  4. が(1S)−1−メチルプロピルである、請求項1または請求項3記載の少なくとも1つの化学物質。
  5. (2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−メチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド、またはその医薬上許容される誘導体より選択される、請求項1、3または4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
  6. (2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−メチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド、および
    (2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N,N−ジメチル−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)エタンアミド、ならびにその医薬上許容される誘導体より選択される、請求項1または請求項4記載の少なくとも1つの化学物質。
  7. 請求項1または3ないし6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質と、1個または複数の医薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
  8. 療法にて用いるための請求項1または請求項3ないし6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
  9. オキシトシンのオキシトシン受容体に対する効果に拮抗作用を及ぼすための医薬の製造における請求項1または請求項3ないし6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質の使用。
  10. 早期陣痛、月経困難症、子宮内膜症および良性前立腺過形成より選択される1種または複数の疾患または症状を治療するための医薬の製造における請求項1および請求項3ないし6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質の使用。
  11. オキシトシンの作用を媒介する疾患または症状を治療あるいは予防する方法であって、それを必要とする哺乳動物に有効量の請求項1および請求項3ないし6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質を投与することを含む、方法。
  12. 疾患または症状が早期陣痛、月経困難症、子宮内膜症または良性前立腺過形成より選択される、請求項11記載の方法。
  13. 請求項1または請求項3の各々に記載の式(I)または式(IA)の化合物の調製方法であって、
    (a)式(II):
    Figure 2008503535
    [式中、R、RおよびRは請求項1または請求項3の記載と同意義であり、RのキラリティーはRまたはSあるいはその混合のいずれかである]
    で示される化合物またはその活性化誘導体を、アミン:HNR(RおよびRは請求項1または請求項3の記載と同意義である)と、カルボン酸またはその活性化誘導体とアミンとからアミドを調製するための標準的な条件下で反応させるか、または
    (b)式(III):
    Figure 2008503535
    [式中、R、RおよびRは請求項1または請求項3の記載と同意義であり、Rは2−ヒドロキシフェニルを意味する]
    で示される化合物を、1,1'−カルボニルジイミダゾールまたは1,1'−チオカルボニルジイミダゾールと、適当な溶媒中で反応させ、その後、こうして形成された生成物をアミン:HNR(RおよびRは請求項1または請求項3の記載と同意義である)と反応させることを含む、方法。
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