JP2008311290A - 圧電体素子、圧電体素子の製造方法、流体噴射ヘッド、流体噴射装置 - Google Patents

圧電体素子、圧電体素子の製造方法、流体噴射ヘッド、流体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】素子特性を向上させた圧電体素子を提供すること。
【解決手段】基体上に形成された圧電体層70と、圧電体層70上に形成された第1の電極60及び第2の電極80を備えた圧電体素子130において、第1の電極60及び第2の電極80の少なくとも一方が、圧電体層70の側端面に形成されていることを特徴とする圧電体素子130とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電体素子、圧電体素子の製造方法、流体噴射ヘッド、及び流体噴射装置に関する。
従来の圧電体素子は、下部電極上に圧電体層を形成し、圧電体層上に上部電極を形成することで作製されていた。(例えば、特許文献1を参照)
特開2004−6592号公報
ところが、良質な圧電体層を得るためには、形成された圧電体層を高温で加熱処理しなければならない。電極が形成された圧電体層に対してこのような加熱処理を行うと、下層側の下電極がダメージを受けて素子特性が劣化する。また、金属の下電極上に形成した圧電体層では、良好な結晶性が得られない。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、素子特性を向上させた圧電体素子とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を特徴とする圧電体素子、圧電体素子の製造方法、流体噴射ヘッド、流体噴射装置である。
基体上に形成された圧電体層と、前記圧電体層上に形成された第1の電極及び第2の電極を備えた圧電体素子において、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方が、前記圧電体層の側端面に形成されていることを特徴とする圧電体素子である。
このような構成を備えることで、前記電極に起因する制約を受けることなく、加熱処理を行うことができ、素子特性を向上させた圧電体素子とすることができる。
前記圧電体層の側端面は、前記基体の表面に対して傾斜した傾斜面であることが好ましい。
このような構成を備えることで、前記基体と反対側で前記電極間の距離が近くなり、電界が強くなるので、前記基体側での変位を大きくすることができる。
前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記圧電体層の前記側端面のうち対向する2つの前記側端面にそれぞれ形成されていることが好ましい。
このような構成を備えることで、前記圧電体層に対して均等な電場を与えることができるので、安定した素子特性を有する圧電体素子とすることができる。
前記圧電体層の前記基体と反対側の面に第3の電極が形成されており、前記第1の電極及び前記第2の電極には第1の信号が入力され、前記第3の電極には第2の信号が入力される構成としてもよい。
このような構成を備えることで、前記圧電体層の前記基体と反対側の部分において前記電極の間隔を狭くすることができ、この部分で強電界が前記圧電体層に印加される。これにより、前記基体側での変位量を大きくすることができる。
前記圧電体素子の前記基体と反対側の面に、第3の電極と、前記第3の電極と前記第2の電極との間に位置する第4の電極と、が設けられており、前記第1の電極及び前記第4の電極には第1の信号が入力され、前記第3の電極及び前記第2の電極には第2の信号が入力される構成としてもよい。
このような構成を備えることで、前記圧電体層の前記基体と反対側の部分において前記電極の間隔を狭くすることができ、この部分で強電界が前記圧電体層に印加される。これにより、前記基体側での変位量をより大きくすることができる。
前記第1の電極が前記圧電体層の前記側端面に形成され、前記第2の電極が前記圧電体層の前記基体と反対側の面に形成されている構成としてもよい。
このような構成を備えることで、前記圧電体層の前記基体と反対側の部分において前記電極の間隔を狭くすることができ、この部分で強電界が前記圧電体層に印加される。これにより、前記基体側での変位量を大きくすることができる。
前記圧電体層と前記基体との間に、酸化物からなる下地層が形成されていることが好ましい。
このような構造を備えることで、前記圧電体層と前記基体との間に設けられた前記下地層が、加熱処理時において前記基体成分が前記圧電体層に拡散するのを防ぐので、素子の劣化を防ぎつつ前記圧電体層とすることができる。
前記下地層は、ペロブスカイト構造を有する酸化膜からなることが好ましい。
このような構造を備えることで、前記下地層は前記圧電体層を構成する層と同一の結晶構造を持つので、配向性、結晶性に優れた前記圧電体層とすることができる。
基体上に形成された圧電体層と、前記圧電体層上に形成された第1の電極及び第2の電極を備えた圧電体素子を製造する方法であって、基体上に圧電体層を形成する工程と、前記圧電体層上に第1及び第2の電極とを形成する工程とを有し、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方を、前記圧電体層の側端面に形成することを特徴とする圧電体素子の製造方法である。
このような製造方法とすることで、前記圧電体層を形成した後に前記第1の電極及び前記第2の電極を形成することになるので、前記電極形成前に前記圧電体層を加熱処理することができる。よって、加熱処理時における前記電極のダメージを回避することができるので、素子特性を向上させた圧電体素子の製造方法とすることができる。
前記圧電体素子の側端面を前記基体の表面に対して傾斜した傾斜面にすることが好ましい。
このような製造方法とすることで、前記圧電体層の前記基体と反対側では、対向する前記側端面の間隔を狭く形成することになる。したがって、このような側端面に前記電極を形成すると、前記電極の間隔を狭くすることができるので、前記圧電体層の前記基体と反対側に強電界をかけることができる。これにより、前記基体側での変位量を大きくする製造方法とすることができる。
前記圧電体層を形成する工程の前に、前記基体上に酸化物からなる下地層を形成する工程を有し、前記下地層上に前記圧電体層を形成することが好ましい。
このような製造方法とすることで、前記圧電体層と前記基体との間に設けられた前記下地層が、加熱処理時において前記基体成分が前記圧電体層に拡散するのを防ぐので、素子の劣化を防ぐことができる。
前記下地層は、ペロブスカイト構造を有する酸化物からなることが好ましい。
このような製造方法とすることで、前記下地層は前記圧電体層を構成する層と同一の結晶構造を持つことができるので、配向性、結晶性に優れた前記圧電体層を形成することができる。
本発明の圧電体素子を備えた流体噴射ヘッドである。
このような素子特性に優れた圧電体素子を備えることで、前記圧電体素子を駆動することで流体に対して均一な圧力を加えることができるので、均一な量の流体を吐出する流体噴射ヘッドとすることができる。
本発明の圧電体素子を備えた流体噴射ヘッドを有する流体噴射装置である。
このような素子特性に優れた圧電体素子を備えた流体噴射ヘッドを採用することで、均一な量の流体を吐出することができるので、安定した印字品質を持った流体噴射装置とすることができる。
(第1の実施形態)
以下、図面を用いて本発明にかかる圧電体素子、この圧電体素子を備えた流体噴射ヘッド、流体噴射装置、及び圧電体素子の製造方法について説明する。
なお、本実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異ならせている。
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体噴射ヘッドの要部を分解して示す斜視図である。図2は、図1に対応する素子基板の平面図である。図3は、図2のA−A’線に沿う位置における流体噴射ヘッドの断面図である。
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
本実施形態の流体噴射ヘッド110は、インク(流体)を液滴状にしてノズルから吐出するものである。
図1から図3に示すように、流体噴射ヘッド110は、液滴が吐出されるノズル開口15を備えたノズル基板16と、ノズル基板16の上面(+Z側)に接続されてインク流路を形成する流路形成基板10と、流路形成基板10の上面に接続されて圧電体素子(駆動素子)130の駆動によって変位する振動板50と、振動板50の上面に接続されてリザーバ100を形成する対向基板20と、対向基板20の上面(流路形成基板10と反対側面)に接合されたコンプライアンス基板30と、を備えている。
本実施形態の流体噴射ヘッド110では、図1及び図3に示すように、対向基板20の圧電体素子130と反対側の面20aに、溝部47を挟んで駆動IC150が2つ配置されている。また、対向基板20上の駆動ICが配置された面の一辺端に沿った位置20bに、外部回路と駆動IC150とを電気的に接続する外部接続端子120が形成されている。流体噴射ヘッド110の動作は、外部接続端子120を介して駆動IC150に接続された図示略の制御装置によって制御される。
流路形成基板10には、複数の平面視略櫛歯状の開口領域が区画形成されており、これらの開口領域のうち、X軸方向に延びて形成された部分が、ノズル基板16と振動板50とにより囲まれて圧力発生室12を形成している。また、上記平面視略櫛歯状の開口領域のうち、図示Y軸方向に延びて形成された部分が、対向基板20と流路形成基板10とにより囲まれてリザーバ100を形成している。
流路形成基板10の図示下面側(−Z側)の開口領域を覆うようにノズル基板16が流路形成基板10の下面に、接着剤や熱溶着フィルムを介して接合されている。ノズル基板16には、液滴を吐出する複数のノズル開口15が設けられており、複数のノズル開口15は図示Y軸方向に配列されている。本実施形態の場合、Y軸方向に配列された一群のノズル開口15からなる2組のノズル開口群が、X軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
図1に示すように、流路形成基板10の内側には、その中央部からX軸方向に延びる複数の隔壁11が形成されている。本実施形態の場合、流路形成基板10はシリコンによって形成されており、複数の隔壁11は、流路形成基板10の母材である単結晶シリコン基板を異方性エッチングにより加工して形成されたものである。複数の隔壁11を有する流路形成基板10と、ノズル基板16と、振動板50とにより区画された複数の空間が圧力発生室12である。
圧力発生室12とノズル開口15とは、各々対応して設けられている。すなわち、圧力発生室12は、複数のノズル開口15に対応するようにY軸方向に複数並んで設けられており、図示Y軸方向に配列された一群の圧力発生室12からなる2組の圧力発生室群がX軸方向に並んで配置されている。
複数の圧力発生室12のX軸方向基板中央部側の端部は隔壁10Kによって閉塞されている。一方、圧力発生室12のX軸方向基板外縁部側の端部は互いに接続するように集合され、リザーバ100と接続されている。リザーバ100は、図2及び図3に示すインク導入口25と、ノズル開口15に連通する圧力発生室12との間でインクを一時的に保持するものである。リザーバ100は、対向基板20にY軸方向に延びる平面視矩形状に形成されたリザーバ部21と、流路形成基板10にY軸方向に延びる平面視矩形状に形成された連通部13とから構成されている。
リザーバ100の連通部13は、各々の圧力発生室12と供給路14を介して接続されており、一群の圧力発生室12を構成する複数の圧力発生室12の共通のインク室を形成している。図3に示すインクの経路をみると、ヘッド外端上面に開口するインク導入口25から導入されたインクはリザーバ100に流れ込み、さらに供給路14を通じて複数の圧力発生室12のそれぞれに供給されるようになっている。
流路形成基板10と対向基板20との間に配置された振動板50は、流路形成基板10側から順に第1の弾性膜51と第2の弾性膜52とを積層した構造を備えている。流路形成基板10側に配される第1の弾性膜51は、例えば酸化シリコン膜からなるものであり、第1の弾性膜51上に形成される第2の弾性膜52は、例えばジルコニア膜からなるものである。
圧電体素子130は、複数のノズル開口15及び圧力発生室12のそれぞれに対応するように複数設けられている。すなわち図2に示すように、Y軸方向に複数並んで設けられた一群の圧力発生室12に各々対応するようにして一群の圧電体素子130が形成されている。
図4は図3のB−B’断面図である。これらの図面を用いて圧電体素子130の構造とその周辺領域の配線構造について説明する。液滴吐出動作に際して振動板50を変形させる圧電体素子130は、図4に示すように、振動板50側から順に積層された下地層71と、圧電体層70と、圧電体層70の側端面70a、70bに形成された第1の電極60と、第2の電極80とを有する。圧電体層70の側端面70a、70bは、上面70cから下面70dに向かい広がった傾斜を有する傾斜面である。第1の電極60には、流路形成基板10の中央部10aへと延びる第1のリード配線61が接続されている。第2の電極80には、流路形成基板10の辺縁部10bに形成された共通電源配線層82へと延びる第2のリード配線81が接続されている。共通電源配線層82は、図2に示すように複数の圧電体素子130の共通の電源供給配線であり、圧電体素子130を取り囲むように引き回され、先端は流路形成基板10の中心部10aまで延びている。
流路形成基板10の中心部10aまで延在する第1のリード配線61は、溝部47に配置されたボンディングワイヤー151を介して駆動IC150と電気的に接続されている。また、共通電源配線層82は、同じく溝部47に配置されたボンディングワイヤー151を介して外部接続端子120と接続されている。
圧電体層70の下地層71は酸化物からなる層であり、結晶構造がペロブスカイト構造を有する酸化物を採用することが好ましい。例えば、ペロブスカイト構造を有する酸化物としては、チタン酸ストロンチウム(SrTiO;STO)を用いることができ、他の酸化物としてはジルコニア(ZrO)、イットリウム添加ジルコニア、二酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)などを挙げることができる。
圧電体層70としては、結晶構造がペロブスカイト構造を有する材質を採用することができる。例えば、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3;PZT)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3),マグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)などを挙げることができる。
第1の電極60及び第2の電極80は、圧電体層70の側端面70a、70bの略全面を覆って形成されている。第1の電極60、第2の電極80の材質としては、通常の電極に用いられる導電性材料であれば特に限定されるものではない。例えば、Pt、RuO2、Ir、IrO2等の単層膜、又はPt/Ti、Pt/Ti/TiN、Pt/TiN/Pt、Ti/Pt/Ti、TiN/Pt/TiN、Pt/Ti/TiN/Ti、RuO2/TiN、IrO2/Ir、IrO2/TiNなどの2層以上の積層膜であってもよい。
また、第1の電極60、第2の電極80は、スパッタ法、蒸着法などの通常用いられる薄膜形成法により形成することができる。
図1及び図3に示すように、圧電体素子130を含む振動板50上の領域を覆って、対向基板20が設けられている。対向基板20の圧電体素子130側には、流路形成基板10と接合したときに圧電体素子130を収容する凹部24が形成されている。凹部24は、圧電体素子130の運動を阻害しない程度の空間を確保でき、その空間を密封できるように形成されている。また、凹部24の外側に、Y軸方向(圧電体素子130の配列方向)に沿って延びるリザーバ部21が形成されている。
対向基板20は、流路形成基板10とともに流体噴射ヘッド110の基体を成す部材であるから剛体とすることが好ましく、対向基板20を形成する材料として流路形成基板10と略同一の熱膨張率を有する材料を用いることがより好ましい。本実施形態の場合、流路形成基板10が単結晶シリコン基板からなるものであるから、それと同一材料の単結晶シリコン基板が好適である。単結晶シリコン基板を用いた場合、異方性エッチングにより容易に高精度の加工を施すことが可能であるため、凹部24やリザーバ部21を容易に形成できるという利点が得られる。その他、ガラス、セラミック材料等を用いて対向基板20を作製することもできる。
対向基板20の上面(流路形成基板10と反対側面)には、封止膜31と固定板32とを積層した構造のコンプライアンス基板30が接合されている。コンプライアンス基板30において、内側(対向基板20側)に配される封止膜31は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さ6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルム)からなり、封止膜31によってリザーバ部21(リザーバ100)の上部が封止されている。他方、外側に配される固定板32は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さ30μm程度のステンレス鋼)からなる板状部材である。
固定板32には、リザーバ100に対応する平面領域を切り欠いてなる開口部33が形成されており、この構成によりリザーバ100の上部は、可撓性を有する封止膜31のみで封止され、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部22となっている。可撓部22はリザーバ100内を一定圧力に保持するために設けられたものである。つまり、圧電体素子130の駆動時のインクの流れや周囲の熱などによってリザーバ100内に生じる圧力変化を、可撓性の封止膜31のみよって封止された可撓部22を撓み変形させて吸収するようになっている。可撓部22以外の部分は固定板32によって十分な強度に保持されている。
対向基板20の溝部47近傍の辺端部20bには、外部接続端子120が形成されている。この外部接続端子120により、図示は省略の外部駆動装置と接続され、駆動IC150、共通電源配線層82に信号を供給できるようになっている。
そして、リザーバ100の外側のコンプライアンス基板30上には、リザーバ100に機能液を供給するためのインク導入口25が形成されており、対向基板20には、インク導入口25とリザーバ100の側壁とを連通する導入路26が設けられている。
上述した構成を有する流体噴射ヘッド110により機能液の液滴を吐出するには、流体噴射ヘッド110に接続された外部コントローラ(図示略)によってインク導入口25に接続された不図示のインク供給装置を駆動してリザーバ100にインクを供給する。リザーバ100に供給されたインクは、ノズル開口15に至るまでの流体噴射ヘッド110の内部流路を満たす。
また、前記外部コントローラは、外部接続端子120を介して接続された駆動IC150に、駆動電力や指令信号を送信する。指令信号等を受信した駆動IC150は、外部コントローラからの指令に基づく駆動信号を、ボンディングワイヤー151を介して導電接続された各々の圧電体素子130に送信する。
すると、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1の電極60と第2の電極80との間に電圧が印加される結果、圧電体層70の上面70c側で大きく縮むことで、下面70dに大きな変位を生じさせることができ、振動板50が振動する。この振動板50の変位に対応する圧力発生室12の容積変化により内部圧力が高まり、ノズル開口15より液滴が吐出される。
以上の構成を備えた圧電体素子130を採用することで、以下の効果を得ることができる。
まず、圧電体層70の側端面70a、70bを傾斜面にすることで、圧電体層70の形成後に第1の電極60、第2の電極80を形成できるようになったので、圧電体層70の製造工程で行われる加熱処理による圧電体層70の成分の拡散を防ぐことができる。これにより、第1の電極60、第2の電極80の劣化を防ぎ素子特性に優れた圧電体素子130とすることができる。
また、側端面70a、70bを傾斜面にすることで、上面70c側に向かって側端面70a、70bの間隔を狭くできるので、下面70d側と比較して上面70c側に強電界を印加することができる。これにより、上面70c側において、圧電体層70が大きく収縮するので、下面70dにおける変位量を大きくすることができる。
上面70c、下面70dに電極が形成された圧電体素子と比較して、弱い電界で圧電体層70を駆動することができるので、圧電体層70に対する機械的ストレスを低減でき、素子特性の劣化を抑えた圧電体素子とすることができる。
また、従来の圧電体素子において、スパッタ法などで上電極を形成するときに受ける圧電体層のダメージは、本発明に係る圧電体素子130の圧電体層70でも発生するが、第1の電極60、第2の電極80の間隔が広くすることで、圧電体層70に印加される電場が弱くなるので、このダメージが圧電体素子130の素子特性に与える影響を小さくすることができる。これにより、素子特性の劣化を抑えた圧電体素子130とすることができる。
圧電体層70の下面70dに電極が配置されないことで、圧電体層70と同じペロブスカイト構造を有する金属酸化膜、SiO(二酸化ケイ素)などを、圧電体層70の下地層71として採用することができるので、配向性、結晶性に優れた圧電体層70を作製することができる。また、このような圧電体層70を採用することで、素子特性に優れた圧電体素子130とすることができる。
また、圧電体層70の上面70c、下面70dにITOなどの金属以外の材質で形成された電極を用いると、圧電体素子の積層構造が複雑になっていたが、側端面70a、70bに第1の電極60、第2の電極80を形成することで、積層構造を単純化させることができる。これにより、各層の界面で発生する応力を大幅に低減し、クラックの発生を抑えることができる。したがって、素子特性の劣化を抑えることができる。
従来の圧電体素子のように、圧電体層の下面に下電極を形成する場合には、積層構造が複雑化するだけでなく、圧電体層の成膜条件に多くの制限があった。ところが、本発明の圧電体素子130では下電極を形成する必要がないので、圧電体層70の成膜条件に関する制限を減らすことができる。また、第1の電極60、第2の電極80として、圧電体層70と相性のよい材質を採用することができるので、従来の圧電体素子で用いられていたPt(白金)などの貴金属を用いる必要がないので、製造コストを大幅に低減できる圧電体素子130とすることができる。
(変形例)
図5は、本変形に係る流体噴射ヘッド110aの部分平面図であり、図6は、図5のC−C’断面図である。これらの図面を用いて本変形例について説明する。
本変形例における流体噴射ヘッド110aは、前述した流体噴射ヘッド110と比較すると、圧電体素子130aとその周辺の配線構造が異なっている。図4の圧電体素子130の側端面70bに配置されていた第2の電極80は、第2の電極80aとして圧電体層70の上面70cの側端面70b側に配置されている。これに伴い、第2のリード配線81aは、第2の電極80aの先端を共通電源配線層82まで延ばすようにして形成されている。
圧電体素子130aがこのような配線構造を有することで、第1の電極60、第2の電極80aの間隔を狭くできるので、圧電体層70の上面70c側に強電界をかけることができる。これにより圧電体層70の下面70dにおける変位量を大きくすることができる。
[圧電体素子130の製造方法]
図7、図8は本実施形態の圧電体素子130の製造方法の一部を示す断面工程図である。以下の説明では、圧電体素子130の製造工程と、各圧電体素子130に対応する圧力発生室12の製造工程について説明する。
始めは、振動板50を形成する工程である。図7(a)に示すように、単結晶シリコン基板10p上に第1の弾性膜51として二酸化ケイ素(SiO)の薄膜を形成する。第1の弾性膜51は、熱酸化法、CVD法などの成膜法により、およそ1μm程度とする。
次に、図7(b)に示すように、第1の弾性膜51上に第2の弾性膜52としてジルコニア(ZrO)を形成する。ジルコニア(ZrO)の成膜には、スパッタリング法などを用いる。
次は、下地層71を形成する工程である。図7(c)に示すように、第2の弾性層52上に下地層71を形成する。下地層71は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO;STO)、ジルコニア(ZrO)、イットリウム添加ジルコニア、二酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)などを採用することができるので、スパッタリング法、熱酸化法、CVD法、などの成膜法を用いて形成することができる。
続いて、圧電体層70を形成する工程である。図7(d)に示すように、下地層71上に圧電体層70を形成する。まず、種チタン膜にチタン、ジルコニウム、鉛、亜鉛などの金属化合物を有するゾルを塗布した後、加熱して溶媒を蒸発させて圧電体層形成膜70fを形成する。ゾルの塗布には、スピンコート法、スクリーン印刷法などを用い、ゾルの乾燥は、およそ150℃以上200℃以下でおよそ15分間行われる。乾燥させたゾルは、大気雰囲気で所定の脱脂温度にして脱脂する。次に、脱脂したゾルを焼成することで、圧電体層初期層70gを形成する。焼成温度は、およそ550℃以上750℃以下である。このようにして形成される圧電体層初期層70gの膜厚は、およそ100nm程度である。
さらに、圧電体層初期層70g上に所定のゾルを塗布し、同様に乾燥、脱脂、焼成を行うことで圧電体層後期層70hを形成する。この圧電体層後期層70hの焼成温度は、700℃以上900℃以下である。
このような工程で圧電体層70を形成すると、配向性、結晶性の高い圧電体層70を形成することができる。
次は、圧電体層70のエッチング工程である。図7(e)に示すように、形成された圧電体層70及び下地層71にエッチング処理を施すことで、圧電体層70及び下地層71を所定の形状にパターニングして、各圧力発生室12に対応した圧電体層70を形成する。エッチング処理により、下地層71及び圧電体層70の側端面70a、70bは斜面状に成形される。エッチング処理は、圧力発生室12が形成される位置に図示は省略のマスクを配置し、ドライエッチング法、イオンミリング法などで行う。
引き続いて、第1の電極60、第2の電極80を形成する工程である。図8(a)に示すように、エッチングされることで分割された圧電体層70の斜面状の側端面70a、70bに第1の電極60、第2の電極80を形成する。第1の電極60、第2の電極80は、スパッタリング法、蒸着法などの成膜法により導電膜を形成したあと、これをパターニングすることで形成される。これらの第1の電極60、第2の電極80は同一プロセスで行われるので、同時に形成される。
次に、圧力発生室の形成工程である。図8(b)に示すように、ウエットエッチング法、ドライエッチング法などにより、単結晶シリコン基板10pに対してエッチングを行うことで、圧力発生室12を形成する。同時に、リザーバ部21、連通部13が形成されて流路形成基板10となる。隣接する圧力発生室12間に残された部分が隔壁11となる。
最後に、ノズル基板16の貼り合わせ工程である。図8(c)に示すように、あらかじめ作製されたノズル基板16を流路形成基板10に貼り合わせる。ノズル基板16には、各圧力発生室12に合わせて、ノズル開口15が形成されている。これにより、圧電体素子130の変位により加圧された圧力発生室12では、ノズル開口15から流体が吐出されるようになる。
このような製造工程により圧電体素子130を形成すると、以下の効果を得ることができる。圧電体層70の形成には、圧電体層初期層70g、圧電体層後期層70hを形成したあと600℃〜800℃で加熱処理を行う必要がある。圧電体層70の下面70dに電極を形成した状態で加熱処理を行うと、この電極がダメージを受けやすかった。ところが本発明の圧電体素子130では、加熱処理を行ったあとに第1の電極60、第2の電極80を形成するので、加熱処理による第1の電極60、第2の電極80へのダメージを防ぐことができる。これにより、素子特性を向上させた備えた圧電体素子130の製造方法とすることができる。
振動板50と圧電体層70との間に下地層71を形成する工程を有することで、下地層71に圧電体層70と同じペロブスカイト構造を有する酸化物などを採用することができる。これにより、下面70dに金属等の電極上に形成された圧電体層と比較して、配向性、結晶性の高い圧電体層70を形成できる製造方法とすることができる。
従来の圧電体素子の製造工程では、下電極用の導電膜を形成する工程と、下電極上に圧電素子を形成する工程と、圧電素子と下電極とをパターニングする工程とを行ったあと、さらに上電極を形成する工程を行うため、製造工程が複雑化していた。これに対して、本発明の圧電体素子130の製造工程では、下電極を形成する工程が不要となり、圧電体層70を形成、パターニングする工程のあと、第1の電極60、第2の電極80を同一プロセスで形成することができるようになっている。これにより、製造工程を短縮した圧電体素子130の製造方法とすることができる。
また、圧電体層70の上面70c、下面70dにSrRuOなどの金属以外の材質で形成された電極を用いると、圧電体素子の積層構造が複雑になるが、側端面70a、70bに第1の電極60、第2の電極80を形成することで、積層構造を単純化させることができる。これにより、製造工程を短縮した圧電体素子130の製造方法とすることができる。
従来の圧電体素子のように、圧電体層の下面に下電極を形成する場合には、積層構造が複雑化するだけでなく、圧電体層の成膜条件に多くの制限があった。ところが、本発明の圧電体素子130では下電極を形成する必要がないので、圧電体層70において、特に圧電体層初期層70gの成膜条件の自由度を増すことができる。また、第1の電極60、第2の電極80として、圧電体層70と相性のよい材質を採用することができるので、従来の圧電体素子で用いられていたPt(白金)などの貴金属を用いる必要がないので、製造コストを大幅に低減できる圧電体素子130の製造方法とすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の流体噴射ヘッドの第2の実施形態について、図面を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る流体噴射ヘッド310の部分平面図である。図10は、図9におけるD−D’断面図である。なお、以下で参照する図面において、図1から図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
第1の実施形態では、圧電体層70の側端面70a、70bに第1の電極60、第2の電極80のみが形成されていたのに対して、本実施形態の圧電対素子330では、第1の電極60、第2の電極80と、圧電体層70の上面70cに第3の電極390とが形成されている。
図9及び図10に示すように、本実施形態の流体噴射ヘッド310は、液滴が吐出されるノズル開口15を備えたノズル基板16と、ノズル基板16の上面(+Z側)に接続されてインク流路を形成する流路形成基板10と、流路形成基板10の上面に接続されて圧電体素子(駆動素子)330の駆動によって変位する振動板50と、振動板50の上面に
形成された下地層71と、下地層71上に形成された圧電体素子330とを備えている。
圧電体素子330は、下地層71上に形成された圧電体層70と、圧電体層70の側端面70a、70bに形成された第1の電極60、第2の電極80と、圧電体層70の上面70cに形成された第3の電極390とを備えている。
第1の電極60及び第2の電極80からは、流路形成基板10の中心部10aに延びるようにして形成された第1のリード配線61、及び第2のリード配線381が延在している。これらの第1のリード配線61、及び第2のリード配線381が、ボンディングワイヤー151を介して駆動IC150と接続されることで、第1の電極60及び第2の電極80に電気的信号が入力されるようになっている。また、第3の電極390は、第3のリード配線391を介して共通電源配線層82と接続されており、外部接続端子120から電気信号が入力されるようになっている。
圧電体素子330の電極がこのような構成を備えることにより、圧電体層70の上面70c側において、第1の実施形態の圧電体素子130と比較して第1の電極60、第3の電極390の間隔、及び第3の電極390、第2の電極80の間隔をさらに縮小することができるので、圧電体層70に強電界を印加することができる。これにより、圧電体層70の下面70dにおける変位量を大きくすることができる。そして、第1の実施形態の圧電体素子130と同等の変位を発生させるための印加電圧小さくできるので、消費電力を抑えることができる。
また、第1の電極60、第2の電極80、第3の電極390を同一のプロセスで形成することができるので、圧電体素子330の配線が増えても製造工程を増やさずに圧電体素子330を形成することができる。
圧電体素子をデバイスとして使用する場合に、圧電体素子を形成した後、圧電体層に対してポーリングプロセスを行うと、圧電体素子の素子特性がより安定化する傾向がある。ポーリングプロセスとは、圧電体層70を構成する強誘電体物質の自発分極の方向を揃えることである。
ポーリングプロセスを行うためには、一般的に100kV/cm程度の電界を印加している。そのため、例えば、第1の実施形態の圧電体素子130の第1の電極60、第2の電極80の間隔が50μmとすると、第1の電極60、第2の電極80間に500Vを印加する必要がある。500Vの交流電流を用いると設備にへの負担が大きく、製造コストが増大する。
これに対して本実施形態では、圧電体層70の上面70cに第3の電極390を備えているのでポーリングプロセスを容易に行うことができ、ポーリングプロセスにかかるコストを削減できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の流体噴射ヘッドの第3の実施形態について、図面を参照して説明する。図11は、本実施形態に係る流体噴射ヘッド510の部分平面図である。図12は、図11におけるE−E’断面図である。
第2の実施形態では、圧電体層70の側端面70a、70bに第1の電極60、第2の電極80が形成され、上面70cには第3の電極390が形成されていたのに対して、本実施形態の圧電対素子530の圧電体層70では、第1の電極60、第2の電極80に加えて上面70cに第3の電極590及び第4の電極595が形成されている。
図11及び図12に示すように、本実施形態の流体噴射ヘッド510は、液滴が吐出されるノズル開口15を備えたノズル基板16と、ノズル基板16の上面(+Z側)に接続されてインク流路を形成する流路形成基板10と、流路形成基板10の上面に接続されて圧電体素子(駆動素子)530の駆動によって変位する振動板50と、振動板50の上面に形成された下地層71と、下地層71上に形成された圧電体素子530とを備えている。
圧電体素子530は、下地層71上に形成された圧電体層70と、圧電体層70の側端面70a、70bに形成された第1の電極60、第2の電極80と、圧電体層70の上面70cに形成された第3の電極590、第4の電極595とを備えている。
第3の電極590は、圧電体層70の上面70cにおいて、第1の電極60側に形成されており、第4の電極595は、第2の電極80側に配置されている。第1の電極60及び第4の電極595からは、流路形成基板10の中心部10aに延びるようにして形成された第1のリード配線61、及び第4のリード配線596が延在している。これらの第1のリード配線61、及び第4のリード配線596が、ボンディングワイヤー151を介して駆動IC150と接続されることで、第1の電極60及び第4の電極595に電気的信号が入力されるようになっている。また、第2の電極80及び第3の電極590は、第2のリード配線581及び第3のリード配線591を介して共通電源配線層82と接続されており、外部接続端子120から電気信号が入力されるようになっている。
圧電体素子530の電極がこのような構成を備えることにより、圧電体層70の上面70c側において、第2の実施形態の圧電体素子330と比較して、第1の電極60、第3の電極590の間隔、及び第2の電極80、第4の電極595の間隔をさらに小さくすることができるので、圧電体層70の上面70c側を大きく縮ませて、下面70dの変位を大きくすることができる。したがって、第2の実施形態の圧電体素子330と同等の圧電効果を得るための印加電圧を小さくできるので、消費電力を抑えることができる。
また、第1の電極60、第2の電極80、第3の電極590、第4の電極595を同一のプロセスで形成することができるので、圧電体素子530の配線が増えても製造工程を増やさずに圧電体素子530を形成することができる。
そして、圧電体層70の上面70cに第3の電極590、第4の電極595を備えているのでポーリングプロセスを容易に行うことができ、ポーリングプロセスにかかるコストを削減できる。
(流体噴射装置)
次に、流体噴射装置の一例として、第1の実施形態の流体噴射ヘッド110を備えたインクジェットプリンタについて説明する。図13は、流体噴射ヘッド110を備えた流体噴射装置の一実施形態であるインクジェットプリンタ(流体噴射装置)600を示す図である。
図13に示すように、インクジェットプリンタ600は、装置本体620と、記録用紙Pを設置するトレイ621と、記録用紙Pを排出する排出口622とを有し、装置本体620の上部面に操作パネル670を有している。操作パネル670は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成されたもので、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えたものである。装置本体620の内部には、主に、往復動するヘッドユニット630を備えた印刷装置640と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置640に送り込む給紙装置650と、印刷装置640および給紙装置650を制御する制御装置660とが設けられている。
制御装置660の制御により、給紙装置650は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りするようになっている。間欠送りされる記録用紙Pは、ヘッドユニット630の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット630が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動し、記録用紙Pへの印刷を行うようになっている。すなわち、ヘッドユニット630の往復動と、記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となり、インクジェット方式の印刷が行なわれるようになっている。
印刷装置640は、ヘッドユニット630と、ヘッドユニット630の駆動源となるキャリッジモータ641と、キャリッジモータ641の回転を受けて、ヘッドユニット630を往復動させる往復動機構642とを備えたものである。ヘッドユニット630は、その下部に、多数のノズル開口15を備える先の流体噴射ヘッド110と、この流体噴射ヘッド110にインクを供給するインクカートリッジ631と、流体噴射ヘッド110およびインクカートリッジ631を搭載したキャリッジ632とを有したものである。インクカートリッジ631として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。この場合、ヘッドユニット630には、各色にそれぞれ対応した流体噴射ヘッド110が設けられることになる。
往復動機構642は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸643と、キャリッジガイド軸643と平行に延在するタイミングベルト644とを有したものである。キャリッジ632は、キャリッジガイド軸643に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト644の一部に固定されたものである。キャリッジモータ641の作動により、プーリを介してタイミングベルト644を正逆走行させると、キャリッジガイド軸643に案内されて、ヘッドユニット630が往復動する。そして、この往復動の際に、流体噴射ヘッド110から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われるようになっている。
給紙装置650は、その駆動源となる給紙モータ651と、給紙モータ651の作動により回転する給紙ローラ652とを有したものである。給紙ローラ652は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ652aと、駆動ローラ652bとで構成されたものであり、駆動ローラ652bは、給紙モータ651に連結されたものである。このような構成によって給紙ローラ652は、トレイ621に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置640に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。
なお、トレイ621に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成としてもよい。
制御装置660は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置640や給紙装置650等を制御することにより印刷を行うものである。
なお、図13では、流体噴射装置の一例として、インクジェットプリンタを示したが、本発明はこれに限らず、流体噴射ヘッドを組み込むことによって実現されるプリンタユニットに適用することも可能である。このようなプリンタユニットは、例えば、テレビ等の表示デバイスやホワイトボード等の入力デバイスに装着され、該表示デバイス又は入力デバイスによって表示若しくは入力された画像を印刷するために使用される。
なお、インクジェットプリンタ600には、第1の実施形態の流体噴射ヘッド110に限らず、第2、第3の実施形態に係る流体噴射ヘッド310、510を採用することができる。
これらの流体噴射ヘッド110、310、510には、素子特性に優れた圧電体素子130、330、530を備えていることから、インク吐出時に圧力発生室12にかかる圧力を均一にすることが可能である。その結果、吐出されるインクの量を均一にすることができ、印字品質を向上させたインクジェットプリンタ600とすることができる。
流体噴射ヘッド110の要部を示す斜視図である。 流体噴射ヘッド110の部分平面図である。 流体噴射ヘッド110の部分断面図である。 流体噴射ヘッド110の部分断面図である。 流体噴射ヘッド110aの部分平面図である。 流体噴射ヘッド110aの部分断面図である。 圧電体素子130の製造方法の工程図である。 圧電体素子130の製造方法の工程図である。 流体噴射ヘッド310の部分平面図である。 流体噴射ヘッド310の部分断面図である。 流体噴射ヘッド510の部分平面図である。 流体噴射ヘッド510の部分断面図である。 インクジェットプリンタ600を示す斜視図である。
符号の説明
10…流路形成基板、12…圧力発生室、15…ノズル開口、16…ノズル基板、50…振動板、60…第1の電極、70…圧電体層、70a、70b…側端面、70g…圧電体層初期層、70h…圧電体層後期層、71…下地層、80…第2の電極、80a…第2の電極、81…第2のリード線、81a…第2のリード線、82…共通電源配線層、110…流体噴射ヘッド、130…圧電体素子、130a…圧電体素子、310…流体噴射ヘッド、330…圧電体素子、390…第3の電極、391…第3のリード線、510…流体噴射ヘッド、530…圧電体素子、581…第2のリード線、590…第3の電極、591…第3のリード線、595…第4の電極、596…第4のリード線、600…インクジェットプリンタ

Claims (14)

  1. 基体上に形成された圧電体層と、前記圧電体層上に形成された第1の電極及び第2の電極とを備えた圧電体素子において、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方が、前記圧電体層の側端面に形成されていることを特徴とする圧電体素子。
  2. 請求項1に記載の圧電体素子において、
    前記圧電体層の側端面は、前記基体の表面に対して傾斜した傾斜面であることを特徴とする圧電体素子。
  3. 請求項2に記載の圧電体素子において、
    前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記圧電体層の前記側端面のうち対向する2つの前記側端面にそれぞれ形成されていることを特徴とする圧電体素子。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の圧電体素子において、
    前記圧電体層の前記基体と反対側の面に第3の電極が形成されており、
    前記第1の電極及び前記第2の電極には第1の信号が入力され、前記第3の電極には第2の信号が入力されることを特徴とする圧電体素子。
  5. 請求項2又は請求項3に記載の圧電体素子において、
    前記圧電体素子の前記基体と反対側の面に、第3の電極と、前記第3の電極と前記第2の電極との間に位置する第4の電極と、が設けられており、
    前記第1の電極及び前記第4の電極には第1の信号が入力され、前記第3の電極及び前記第2の電極には第2の信号が入力されることを特徴とする圧電体素子。
  6. 請求項2に記載の圧電体素子において、
    前記第1の電極が前記圧電体層の前記側端面に形成され、前記第2の電極が前記圧電体層の前記基体と反対側の面に形成されていることを特徴とする圧電体素子。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の圧電体素子において、
    前記圧電体層と前記基体との間に、酸化物からなる下地層が形成されていることを特徴とする圧電体素子。
  8. 請求項7に記載の圧電体素子において、
    前記下地層は、ペロブスカイト構造を有する酸化物からなることを特徴とする圧電体素子。
  9. 基体上に形成された圧電体層と、前記圧電体層上に形成された第1の電極及び第2の電極を備えた圧電体素子を製造する方法であって、
    基体上に圧電体層を形成する工程と、前記圧電体層上に第1及び第2の電極とを形成する工程とを有し、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方を、前記圧電体層の側端面に形成することを特徴とする圧電体素子の製造方法。
  10. 請求項9に記載の圧電体素子の製造方法であって、
    前記圧電体素子の側端面を前記基体の表面に対して傾斜した傾斜面にすることを特徴とする圧電体素子の製造方法。
  11. 請求項9又は請求項10に記載の圧電体素子の製造方法であって、
    前記圧電体層を形成する工程の前に、前記基体上に酸化物からなる下地層を形成する工程を有し、前記下地層上に前記圧電体層を形成することを特徴とする圧電体素子の製造方法。
  12. 請求項11に記載の圧電体素子の製造方法であって、
    前記下地層は、ペロブスカイト構造を有する酸化物からなることを特徴とする圧電体素子の製造方法。
  13. 請求項1から請求項7の何れか1項に記載の圧電体素子を備えた流体噴射ヘッド。
  14. 請求項13に記載の流体噴射ヘッドを備えた流体噴射装置。
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