JP2008309251A - ウォームギヤ装置 - Google Patents

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亮 大坪
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Abstract

【課題】ウォームホイールの型成形を可能とするとともに、歯部の厚さを厚くすることなく歯部の強度を向上させる。
【解決手段】ウォームホイールに代えてハス歯歯車2を用い、歯部21の厚さ(T)はウォーム1の外径(L)以下(T≦L)であり、歯底23に、軸方向一側でウォーム2と干渉しない部位に歯底23の両側の単歯22を連結する凸部24を形成した。
凸部24によって隣接する単歯22どうしが連結されているので、単歯22の強度が向上し歯部21の強度が向上する。また凸部24は歯底23を底上げするように形成されているので、歯部21の厚さ(T)がウォーム2の外径(L)以下(T≦L)となり、余分なスペースを確保する必要がない。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置の減速機構などに用いられるウォームギヤ構造に関する。
自動車の電動パワーステアリング装置は、運転者によるステアリングホイールの操舵トルクを検出するトルクセンサと、操舵補助用の電動モータと、電動モータの回転を減速して操舵軸に伝達する減速機構と、を備え、トルクセンサの検出信号に基づいて電動モータの駆動を制御することで、操舵をアシストするものである。
上記減速機構としては、電動モータの回転軸に連結された駆動ギヤとしてのウォームと、操舵軸に嵌着された従動ギヤとしてのウォームホイールとからなるものが広く用いられ、この減速機構では、ウォームとウォームホイールとの噛合により電動モータの回転を減速して操舵軸に伝達している。
ところで車体の軽量化の観点から、用いられている各種歯車類は金属製から樹脂製に変更される傾向にある。上記した減速機構も例外ではなく、ウォーム及びウォームホイールの樹脂化が進められている。しかしながらウォームホイールは、歯底がウォームの外周形状に沿う円弧形状であるために、アンダーカットとなって成形型からの離型が困難である。そのため成形後に機械加工によって歯部を形成することが行われているが、工数が多大となるという問題があった。
そこで、ウォームホイールに代えてハス歯歯車を用いることが考えられる。ハス歯歯車は、歯底がハス歯歯車の軸方向と平行な平面となるので、アンダーカットとなることがなく型成形で容易に製造することができ工数を低減することが可能となる。
ところがハス歯歯車とした場合には、各単歯とウォームとの接触が点接触となるため、その接触点に荷重が集中する。したがってその荷重に耐え得るように、単歯の強度を十分なものとする必要がある。
そこで特開2006−290019号公報には、ハス歯歯車を用いるとともに、周方向に隣り合う単歯が軸方向片側において外径側に突出する連結部を介して連結されたハス歯歯車とすることが提案されている。このハス歯歯車によれば、単歯が連結部によって補強されているため、ウォームとの接触点に集中する荷重に十分に耐えることができる。
しかし上記公報に記載のウォームギヤ構造では、ウォームとの干渉を防ぐために連結部をウォームの外周より外側に形成する必要がある。そのために、ハス歯歯車の軸方向における歯部の厚さが厚くなり、その分のスペースを確保する必要がある。ところが近年では、車両搭載部品がきわめて高密度化され、そのようなスペースを確保するのもままならないという現状がある。
また実開平04−049254号公報にも、アンダーカットを防止して型成形可能としたウォームホイールが記載されている。しかしこの技術は、ハス歯歯車を用いるものではなく、ウォームホイールがウォームと線接触する構造であるので、歯部の強度を向上させる必要がない。
特開2006−290019号公報 実開平04−049254号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ウォームホイールに代えてハス歯歯車を用いることで型成形を可能とするとともに、ハス歯歯車の軸方向における歯部の厚さを厚くすることなく歯部の強度を向上させることを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明のウォームギヤ装置の特徴は、ウォームと、少なくとも外周部が樹脂製でウォームと噛合する樹脂製のハス歯歯車と、からなるウォームギヤ装置であって、
ハス歯歯車の軸方向における歯部の厚さ(T)はウォームの外径(L)以下(T≦L)であり、歯部の歯底には、ハス歯歯車の軸方向一側でウォームと干渉しない部位に歯底の両側の単歯を連結する凸部が形成されていることにある。
凸部は、歯底の一端面側から歯底の中央へ向かって徐々に高さが低くなるテーパ形状とすることが好ましい。この場合のテーパ表面は、ウォームの外周形状に対応する断面円弧形状の曲面であることが特に好ましい。
本発明のウォームギヤ構造によれば、凸部によって隣接する単歯どうしが連結されているので、その単歯の強度が向上し歯部の強度が向上する。したがって単歯の撓みなどによる噛合異常が防止され、異音の発生などの不具合を未然に防止することができる。
また凸部は歯底を底上げするように形成されているので、ハス歯歯車の軸方向における歯部の厚さ(T)がウォームの外径(L)以下(T≦L)となり、余分なスペースを確保する必要がない。そして凸部はハス歯歯車の軸方向一側に形成されているので、アンダーカットとならず型成形が可能となる。
本発明に用いられるウォームは、従来用いられているものを用いることができる。金属製のものでもよいし、樹脂製、繊維強化樹脂製、などのものを用いてもよい。
本発明に用いられるハス歯歯車は、ウォームと噛合してウォームの回転の軸方向と交差する方向に回転軸を変換する。これによってハス歯歯車の回転は、ウォームの回転より減速されたものとなる。このハス歯歯車は、樹脂から型成形によって製造することができる。繊維強化樹脂を用いることが望ましい。
ウォームホイールを用いたウォームギヤ装置においては、ウォームとウォームホイールとは線接触となるが、ウォームホイールに代えてハス歯歯車を用いた場合には、ウォームとハス歯歯車との接触は点接触となる。そのため、ハス歯歯車の隣接する一対の単歯の間には、ウォームホイールを用いた場合に比べてウォームと干渉しない空間が多く存在する。本発明は、この空間を利用し、歯底の両側の単歯を連結する凸部を形成している。
一方、本発明では、ハス歯歯車の軸方向における歯部の厚さ(T)は、ウォームの外径(L)以下(T≦L)とされている。T>Lとなると、ハス歯歯車の厚さが不要に大きくなり搭載スペース面で不具合が発生するからである。本発明は、T≦Lという制約の中で、上記したウォームと干渉しない空間を最大に活用している。
凸部は、歯底におけるウォームと干渉しない部位で、ハス歯歯車の軸方向一側に設けられる。軸方向両側に設けたのでは、アンダーカットとなって型成形が困難となるからである。凸部は、複数の歯底の一部に設けるのみでも補強効果は得られるが、全ての歯底に形成することが最も望ましい。また凸部は、ハス歯歯車の全周にわたって軸方向一側のみに形成してもよいし、一部の凸部を軸方向他側に形成することもできる。
凸部の形状は、例えば歯底の両側の単歯を連結する橋状とすることができる。しかしウォームと干渉しない空間を最大に利用することが望ましいので、歯底の一端面側から歯底の中央へ向かって徐々に高さが低くなるテーパ形状とすることが好ましい。また、この場合のテーパ表面は、ウォームの外周形状に対応する断面円弧形状の曲面であることが望ましい。このような形状の凸部とすることで、凸部の体積を最大限とすることができ、歯部の補強効果が最大に発現される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本発明の一実施例のウォームギヤ装置を示す。このウォームギヤ装置は、ウォーム1と、ウォーム1と噛合するハス歯歯車2と、から構成されている。ウォーム1及びハス歯歯車2の歯部21は、共にガラス繊維強化樹脂から型成形によって製造された。
ハス歯歯車2は、孔あき円板形状をなす金属製の嵌着部材20と、嵌着部材20の外周周縁部に一体に形成された歯部21と、からなる。このハス歯歯車2は、嵌着部材20を金型内に配置した状態で歯部21を成形するインサート成形によって製造されている。
図2及び図3に断面図を示すように、ハス歯歯車2の軸方向における歯部21の厚さ(T)は、ウォーム1の外径(L)と等しく(T=L)されている。
ハス歯歯車2の歯部21には、軸方向に対して傾斜し周方向に等間隔で列設する複数の単歯22が形成され、互いに隣接する単歯22どうしの間には軸方向と平行な平面からなる歯底23が形成されている。
そしてそれぞれの歯底23には、その両側の単歯22を連結する凸部24が形成されている。この凸部24は、軸方向一側に歯底23の一端から中央部に向かって高さが低くなる円弧状表面を有し、その円弧形状はウォーム1の外径Lに対応する円より若干大きな径をもつ同心円形状に形成されている。したがってウォーム1と凸部24とが干渉することはない。また凸部24の軸方向一側の端部では、その高さが歯底23の深さより小さくされ、その先端には歯底23と平行な平面部25が形成されている。したがって凸部24の先端がエッジ形状とはならず、破損が防止されている。
このハス歯歯車2を型成形する際には、型割面(PL)を凸部24の一部を含む位置とすることで、凸部24がアンダーカットになるのが防止される。
したがって本実施例のウォームギヤ装置によれば、凸部24によって隣接する単歯22どうしが連結されているので、単歯22の強度が向上し歯部21の強度が向上する。したがって単歯22の撓みなどによる噛合異常が防止され、異音の発生などの不具合を未然に防止することができる。
また凸部24は歯底23を底上げするように形成されているので、歯部21の厚さ(T)を不要に厚くする必要がなく、余分なスペースを確保する必要がない。そして全ての凸部24がハス歯歯車2の軸方向一側に形成されているので、アンダーカットとならず型成形にて容易に製造することができる。
(実施例2)
図4に、本実施例に用いたハス歯歯車2を示す。このハス歯歯車2は、実施例1と同一形状の凸部24が、周方向に列設された歯底23に軸方向一側と軸方向他側となるように交互に形成されている。この場合でも、凸部24がアンダーカットとなることなく歯部21を型成形で製造することができる。
またこのハス歯歯車2においては、軸方向一側と軸方向他側とで質量が同等である。したがって本実施例のウォームギヤ装置によれば、実施例1のウォームギヤ装置に比べて回転がさらに安定する。
(実施例の他の態様)
上記した実施例では、凸部24の表面を断面円弧状との曲面としたが、図5に示すように角柱形状の凸部24としてもよい。また図6に示すように軸方向一側端面から軸方向他側へ僅かに入り込んだ位置に形成してもよい。
本発明のウォームギヤ装置は、ハス歯歯車の厚さを薄くできるため、自動車のパワーステアリング装置における減速機構など、狭い搭載スペースに配置されるものに好適に用いられる。
本発明の一実施例のウォームギヤ装置の斜視図である。 本発明の一実施例のウォームギヤ装置の断面図である。 本発明の一実施例のウォームギヤ装置に用いたハス歯歯車の要部拡大断面図である。 本発明の第2の実施例のウォームギヤ装置に用いたハス歯歯車の斜視図である。 実施例の他の態様を示し、ハス歯歯車の要部拡大断面図である。 実施例の他の態様を示し、ハス歯歯車の要部拡大断面図である。
符号の説明
1:ウォーム 2:ハス歯歯車 21:歯部
22:単歯 23:歯底 24:凸部

Claims (3)

  1. ウォームと、少なくとも外周部が樹脂製で該ウォームと噛合する樹脂製のハス歯歯車と、からなるウォームギヤ装置であって、
    該ハス歯歯車の軸方向における該歯部の厚さ(T)は該ウォームの外径(L)以下(T≦L)であり、
    該歯部の歯底には、該ハス歯歯車の軸方向一側で該ウォームと干渉しない部位に該歯底の両側の単歯を連結する凸部が形成されていることを特徴とするウォームギヤ装置。
  2. 前記凸部は、前記歯底の一端面側から前記歯底の中央へ向かって徐々に高さが低くなるテーパ表面をもつ請求項1に記載のウォームギヤ装置。
  3. 前記テーパ表面は前記ウォームの外周形状に対応する断面円弧形状の曲面である請求項2に記載のウォームギヤ装置。
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