JP2008307926A - 車両用ステアリング装置 - Google Patents

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万有美 加茂下
Shigeru Hoshino
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Abstract

【課題】 上下に非グリップ空間を有する左右グリップ式ハンドルを備えたステアリング装置において、エアバッグ装置60による乗員保護性能を向上する。
【解決手段】 左スポーク23Lの先端に左グリップ24Lを備えた左ハンドル部材21Lと、右スポーク23Rの先端に右グリップ24Rを備えた右ハンドル部材21Rとを揺動可能に連結部材30に連結して、カム装置40により両ハンドル部材21L,21Rをロックする。このロック位置を調整可能にしてグリップ位置調整機構を構成する。車両衝突時には、エアバッグ袋体62の背面62aからグリップ24L,24Rに車両前方方向に力が働き、グリップ24L,24Rをステアリングシャフト11に対して車両前方側に移動させる。これにより、グリップ24L,24Rでエアバッグ袋体62を受け止めないようにしてエアバッグの乗員拘束性能を安定化できる。
【選択図】 図11

Description

本発明は、左右にグリップを備え上下の少なくとも一方に非グリップ空間を有するステアリングハンドルを使って操舵操作が行われる車両用ステアリング装置に関する。
従来から一般的な環状リムを有する円形ハンドルに代えて、上下にリムの存在しない左右一対のグリップを用いたステアリング装置が知られている。こうした左右グリップ式のステアリング装置においては、左右のグリップの間にエアバッグ装置を備えている。従って、エアバッグ袋体の展開時においては、エアバッグ袋体の背面の上部および下部を支持するリム部が存在しないため、衝突慣性で前進する運転者の荷重でエアバッグ袋体の上部および下部が前方に移動して十分な乗員拘束力を発揮できなくなるおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に提案された装置においては、エアバッグ袋体を収納するケーシングをエアバッグ袋体の展開時に上下方向に分割して開放するように構成し、この開放したケーシングと左右のグリップとでエアバッグ袋体の背面を支持するようにしている。
特開平11−342819号
しかしながら、特許文献1のものでは、ケーシングが剛性の高い部材から構成されるため、エアバッグ袋体の展開時に乗員と衝突するおそれがあり、他の対応が望まれる。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、左右にグリップを備え上下の少なくとも一方に非グリップ空間を有するステアリングハンドルを使った車両用ステアリング装置において、エアバッグ装置による乗員保護性能を向上することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、回動操作可能で中立操舵位置にて左右にグリップを備え上下の少なくとも一方に非グリップ空間を有するステアリングハンドルと、上記ステアリングハンドルに連結されるステアリングシャフトを備え上記ステアリングシャフトを回転可能に車体に保持するステアリングコラムと、上記ステアリングハンドルに設けられ車両衝突時に上記ステアリングハンドルと乗員間にてエアバッグ袋体を膨張展開させるエアバッグ装置とを備えた車両用ステアリング装置において、上記ステアリングハンドルにおける上記グリップを上記ステアリングコラムに対して車両前後方向に位置調整可能で調整位置に保持するグリップ位置調整機構を備え、車両衝突時に、膨張展開状態にある上記エアバッグ袋体の背面から上記グリップに所定の車両前方方向の力が働いたとき、上記グリップを上記グリップ位置調整機構を介して上記ステアリングコラムに対して車両前方側に移動させることにある。
この発明においては、中立操舵位置(車両が直進状態となるときの操舵位置)にて左右にグリップを有し上下の少なくとも一方に非グリップ空間(グリップの存在しない部分)を有するステアリングハンドルを備える。ステアリングハンドルは、ステアリングコラムに備わったステアリングシャフトに連結されて回転可能に車体に保持される。運転者は、この左右のグリップを握って操舵操作する。このステアリングハンドルの回動により、ステアリングシャフトが回転して車輪が転舵される。また、ステアリングハンドルには、車両衝突時にエアバッグ袋体を膨張展開させるエアバッグ装置が設けられる。更に、この発明においてはグリップ位置調整機構を備える。このグリップ位置調整機構は、ステアリングハンドルにおけるグリップをステアリングコラムに対して車両前後方向に位置調整可能で、その調整した位置(例えば、運転者の調整した任意の位置)にて保持できるようになっており、いわゆるテレスコピック機構としての機能を有する。
車両が衝突すると、エアバッグ装置が作動してステアリングハンドルと乗員(運転者)とのあいだにてエアバッグ袋体が膨張展開する。このとき、エアバッグ袋体は、慣性による乗員の車両前方方向への移動により同方向に押される。これにより、膨張展開したエアバッグ袋体の背面がグリップを車両前方方向に押す。この場合、グリップがエアバッグ袋体を支持することになるが、エアバッグ袋体の背面からグリップに所定の車両前方方向の押力が働くと、この押力がグリップ位置調整機構によるグリップの保持力を上回って、グリップがステアリングコラムに対して車両前方側に移動する。つまり、エアバッグ袋体の背面がグリップを押す力が所定の力以上となると、グリップの保持が外れてグリップがステアリングコラムに対して車両前方側に相対移動する。これにより、グリップがエアバッグ装置から車両前方側に退避し、グリップによるエアバッグ袋体の支持反力を低下させることができる。
上下の少なくとも一方に非グリップ空間を有するステアリングハンドルを使用したステアリング装置の場合、環状リムを備えた円形ハンドルと違ってグリップが全周に存在するのではなく途中で欠落している形状であるため、ハンドル操舵角によってエアバッグ袋体を受け止める性能、換言すれば乗員の衝撃を受け止める性能が変化してしまう。そこで、この発明においては、車両衝突時にグリップを車両前方方向に移動させることで、エアバッグ袋体をステアリングハンドル中央部で受け止め、グリップではできるだけ受け止めないようにすることができる。従って、エアバッグ袋体による乗員の拘束性能を安定化させることができる。また、グリップが車両前方方向に退避するため、乗員がグリップに当たることをも抑制することができる。更に、グリップ位置調整機構を利用してグリップの移動を行うためコストメリットも得られる。
本発明の他の特徴は、上記グリップ位置調整機構は、上記エアバッグ袋体の背面から上記グリップに所定の車両前方方向の力が働いたとき、上記グリップが上記ステアリングコラムに対して車両前方側に移動するように上記グリップの保持力が設定されていることにある。
この発明によれば、グリップを調整位置に保持するグリップ位置調整機構の保持力を設定することで、車両衝突時に確実にグリップをエアバッグ装置から車両前方方向に退避させることができる。
本発明の他の特徴は、上記ステアリングハンドルは、右スポークの先端に右グリップを設けた右ハンドル部材と、左スポークの先端に左グリップを設けた左ハンドル部材と、上記右ハンドル部材の基端部と上記左ハンドル部材の基端部とを揺動可能に支持してステアリングシャフトに連結する連結部材とを備え、上記グリップ位置調整機構は、上記右ハンドル部材と上記左ハンドル部材とを上記連結部材に固定保持するロック状態と、上記固定保持を解除して上記右ハンドル部材の右スポークと上記左ハンドル部材の左スポークの車両前後方向の向きを調整可能状態にする非ロック状態とに切替自在のロック手段を備えたことにある。
この発明においては、ステアリングハンドルが、右ハンドル部材と、左ハンドル部材と、両ハンドル部材の基端部を支持してステアリングシャフトに連結する連結部材とを備えて構成される。左右のハンドル部材は、それぞれスポークの先端にグリップを設けて構成され、その基端部(スポークの基端部となる)が連結部材に揺動可能に支持される。従って、ハンドル部材を車両前後方向に揺動させることでスポークの向きが変更されグリップの位置調整が可能となる。これにより、グリップのステアリングシャフトに対する車両前後方向の相対位置の調整が可能となる。
更に、この発明においては、グリップ位置調整機構が、右ハンドル部材と左ハンドル部材とを連結部材に固定保持するロック手段を備えて構成される。このロック手段は、右ハンドル部材と左ハンドル部材とを連結部材に固定保持するロック状態と、その固定保持を解除して右ハンドル部材の右スポークと左ハンドル部材の左スポークの車両前後方向の向きを調整可能状態にする非ロック状態とに切替自在に構成される。車両走行中においては、左右のハンドル部材が連結部材に固定保持されるため、ハンドル部材の先端に設けられたグリップが所定位置(調整位置)にて保持されることとなる。このロック状態においては、乗員のハンドル操作により左右のグリップが一体的に回動する。また、グリップの前後方向位置を調整したい場合には、ロック手段を非ロック状態に切り替えることで両ハンドル部材の固定保持が解除され、各ハンドル部材が連結部材に揺動可能に支持された状態となる。従って、非ロック状態において、グリップのステアリングシャフトに対する車両前後方向の相対位置の調整が可能となる。
車両が衝突すると、エアバッグ装置が作動してステアリングハンドルと乗員とのあいだにてエアバッグ袋体が膨張展開する。そして、乗員の慣性移動によりエアバッグ袋体の背面がグリップを車両前方方向に押す。この場合、ロック手段はロック状態を維持するものの、エアバッグ袋体の背面からグリップに所定の車両前方方向の押力が働くと、この押力がロック手段の固定保持力を上回って、左右のハンドル部材を揺動させてグリップをステアリングシャフトに対して車両前方側に移動させる。これにより、グリップがエアバッグ装置から車両前方側に退避し、グリップによるエアバッグ袋体の支持反力を低下させることができる。つまり、エアバッグ袋体をステアリングハンドル中央部で受け止め、グリップではできるだけ受け止めないようにすることができる。この結果、エアバッグ袋体による乗員の拘束性能がハンドル操舵角に影響されにくく安定する。
本発明の他の特徴は、上記ロック手段は、上記右ハンドル部材の基端部と上記左ハンドル部材の基端部とを上記連結部材に重ねて挟圧することで上記右ハンドル部材と上記左ハンドル部材とを上記連結部材に固定保持し、上記挟圧を解除することで上記右ハンドル部材の右スポークと上記左ハンドル部材の左スポークの車両前後方向の向きを調整可能状態にすることにある。
この発明においては、右ハンドル部材の基端部と左ハンドル部材の基端部とを連結部材に重ねて挟圧することにより、その摩擦力により両ハンドル部材を連結部材に固定保持する(ロック状態)。また、挟圧を解除することにより、左右のハンドル部材に働く摩擦力が低下して両ハンドル部材が連結部材に揺動可能に支持された状態となる(非ロック状態)。従って、右ハンドル部材の右スポークと左ハンドル部材の左スポークの車両前後方向の向きが調整可能状態となる。
ロック状態において車両が衝突してエアバッグ袋体の背面からグリップに所定の車両前方方向の押力が働くと、この押力がロック手段の挟圧による摩擦抵抗を上回って、左右のハンドル部材を揺動させてグリップをステアリングシャフトに対して車両前方側に移動させる。これにより、グリップがエアバッグ装置から車両前方側に退避し、グリップによるエアバッグ袋体の支持反力を低下させることができる。従って、この発明においては、ロック手段の挟圧による摩擦抵抗の設定によりグリップの保持力の設定を行うことができる。
尚、本発明における車両前後方向とは、車両前後方向の方向成分を有すればよく、水平にする必要はない。例えば、ステアリングシャフトを車両前方ほど下方となるように傾斜して構成した場合、グリップ位置調整機構においては、グリップをステアリングシャフトの軸線方向に沿って車両前後方向に位置調整可能に設け、車両衝突時にエアバッグ袋体の背面からグリップに所定の車両前方方向の力が働いたとき、グリップをステアリングシャフトの軸線方向に沿って車両前方側に移動させるとよい。
以下、本発明の車両用ステアリング装置に係る実施形態について説明する。
図1、図2は車両用ステアリング装置の概略を表し、図1は側面図、図2は運転席側から視た正面図である。
本実施形態の車両用ステアリング装置は、ステアリングシャフト11に回転可能に連結されるステアリングハンドル20と、ステアリングハンドル20の正面(運転席側)に装着固定されるエアバッグ装置60と、ステアリングハンドル20のグリップ位置を変更するグリップ位置調整機構50とを備える。
ステアリングハンドル20は、中立操舵状態において上下にグリップを備えない左右グリップ式ハンドルであり、右ハンドル部材21Rと、左ハンドル部材21Lと、両ハンドル部材21R,21Lをグリップ位置調整機構50を介してステアリングシャフト11に連結する連結部材30とを備える。
図3は、図2におけるB−B線で切断した断面図であり、図4は、図1におけるA−A線で切断した断面図である。連結部材30は、図3に示すように、ステアリングシャフト11との連結部となるボス部31と、ボス部31から径方向に拡がった円盤板状体のエアバッグ支持部32と、ボス部31から下方向に延びL字状に曲折形成されたアーム部33と、アーム部33の先端でコ字状に形成される挟圧部34とから構成される。連結部材30は、その構成要素となるボス部31、エアバッグ支持部32、アーム部33、挟圧部34を一体加工形成したものであってもよいし、別部品を連結して一体的に形成したものであってもよい。
ボス部31は、図3に示すように、略円柱状をなし、その中心軸に沿って貫通孔31aが形成されている。この貫通孔31aは、運転席側(図3において右側)に向かうにつれて径が小さくなるテーパー孔31a1と、テーパー孔31a1の最小径部につながるセレーション孔31a2とから形成されており、この貫通孔31aにステアリングシャフト11が挿通されている。ステアリングシャフト11には、先細りに形成されたテーパー部11aと、テーパー部11aの最小径部から先端側に延びるセレーション部11bと、最先端部となる雄ネジ部11cとが形成されている。ステアリングシャフト11は、その先端をボス部31の貫通孔31aに挿通し、雄ネジ部11cにナット11dを螺合することによりボス部31と連結される。この構成においては、テーパー部11aとテーパー孔31a1との連結により互いに同心状に位置決めされ、セレーション孔31a2とセレーション部11bとのセレーション嵌合によりにステアリングシャフト11とボス部31とが一体的に回転できるようになっている。
ステアリングシャフト11は、車体に固定されたコラムチューブ12により外周が覆われ、車体に対して車両前方側ほど下方となるように傾斜させた状態で車両前後方向に向けて回転可能に保持される。このステアリングシャフト11とコラムチューブ12とにより、ステアリングハンドルを車体に対して回転可能に保持するステアリングコラム10が構成される。ステアリングコラム10の外側には、コラムカバー13が設けられる。尚、ステアリングコラム10においては、ステアリングシャフト11とコラムチューブ12との軸方向における相対位置は変化しないように固定されている。
ステアリングシャフト11の下方端は、図示しないVGRSユニット、電動パワーステアリングユニットに接続され、さらに、インターミディエイトシャフトなどを介してピニオンギヤに連結している。ピニオンギヤは、両端がタイロッドに接続されたラックシャフトに嵌合している。従って、ステアリングシャフト11が回転すると、その回転がインターミディエイトシャフトを介してピニオンギヤに伝わり、更にピニオンギヤからラックシャフトに伝達されて回転運動が直進運動に変換される。この直進運動はタイロッドに作用し、タイロッドがナックルアームを介してナックルを左右に振ることにより、転舵輪が転舵される。
エアバッグ支持部32は、ボス部31から径方向に拡がった円盤板状体であって、その表面(運転席側面)にエアバッグ装置60が図示しないボルト等の固定部材により固定される。尚、この実施形態の説明中、径方向および軸方向とは、特に指定のない限りステアリングシャフト11における径方向および軸方向を意味する。また、ステアリングハンドル20に関する説明における上下、左右、水平、垂直、縦横等の方向については、特に指定のない限りステアリングハンドル20が中立操舵位置(転舵輪が直進方向に向けられている状態)にあるときの方向をいう。
アーム部33は、ボス部31から下方に延設される棒状体で、その途中で車両前方側に向けてL字状に曲折形成される。従って、アーム部33の先端側は、ステアリングシャフト11の軸線と平行に向けられることになる。
挟圧部34は、板状体をコの字状に折り曲げて形成したもので、アーム部33の先端に一体的に連設される。挟圧部34は、アーム部先端に連結する第1挟圧板部34aと、第1挟圧板部34aと所定間隔をあけて向かい合う第2挟圧板部34bと、両挟圧板部34a,34bを向かい合わせて両者を連結保持する保持板部34cとから構成される。第1挟圧板部34aおよび第2挟圧板部34bには、それぞれ互いに向かい合う貫通穴34hが穿設されている。
この挟圧部34は、ステアリングハンドル20の一部を構成するだけでなく、グリップ位置調整機構50の一部をも構成するものである。向かい合う第1挟圧板部34aと第2挟圧板部34bとの間には、左ハンドル部材21L、右ハンドル部材21R、カラー51とが配設され、それらにロックボルト52を遊挿することにより、左右のハンドル部材21L,21Rが連結部材30に支持される。
左ハンドル部材21Lは、ロックボルト52が挿通されて連結部材30に支持される左基端部22Lと、左基端部22Lから径方向外側に延びた棒状の左スポーク23Lと、左スポーク23Lの先端に設けられる左グリップ24Lとから一体構成される。左基端部22Lは、板状体をコの字状に折り曲げて形成したもので、第1挟圧板部34aの上面に重ねられる第1左基端板22aLと、第1左基端板22aLに向かい合い第2挟圧板部34bの下面に重ねられる第2左基端板22bLと、第1左基端板22aLと第2左基端板22bLとを向かい合わせて連結する左基端連結板22cLとから構成される。第1左基端板22aLおよび第2左基端板22bLには、それぞれ互いに向かい合う貫通穴22hLが穿設されている。この2つの貫通穴22hLにロックボルト52を遊挿することで、左ハンドル部材21Lが連結部材30にロックボルト52を揺動軸として車両前後方向に揺動可能に支持される。
右ハンドル部材21Rは、ロックボルト52が挿通されて連結部材30に支持される右基端部22Rと、右基端部22Rから径方向外側に延びた棒状の右スポーク23Rと、右スポーク23Rの先端に設けられる右グリップ24Rとから一体構成される。右基端部22Rは、板状体をコの字状に折り曲げて形成したもので、第1左基端板22aLの上面に重ねられる第1右基端板22aRと、第1右基端板22aRに向かい合い第2左基端板22bLの下面に重ねられる第2右基端板22bRと、第1右基端板22aRと第2右基端板22bRとを向かい合わせて連結する右基端連結板22cRとから構成される。第1右基端板22aRおよび第2右基端板22bRには、それぞれ互いに向かい合う貫通穴22hRが穿設されている。この2つの貫通穴22hRにロックボルト52を遊挿することで、右ハンドル部材21Rが連結部材30にロックボルト52を揺動軸として車両前後方向に揺動可能に支持される。
第1右基端板22aRと第2右基端板22bRとの間には、ロックボルト52の外周にカラー51が設けられる。カラー51は、ロックボルト52と同軸上に設けられる円筒体であって、挟圧力を受けて支える第1受圧部51aと第2受圧部51bとを備える。第1受圧部51aは、第1右基端板22aRの上面に向かい合い、第2受圧部51bは、第2右基端板22bRの下面に向かい合う。各受圧部51a,51bのリング状端面は平坦に形成される。
挟圧部34の第1挟圧板部34aと第2挟圧板部34b、左ハンドル部材21Lの第1左基端板22aLと第2左基端板22bL、右ハンドル部材21Rの第1右基端板22aRと第2右基端板22bRは、それぞれ向かい合う部材と面接触するように上下面が平坦に形成される。
ロックボルト52は、その先端側に雄ネジが形成されており、雄ネジ形成部52aが挟圧部34の第2挟圧板部34bを貫通した状態でナット53が螺合される。また、ロックボルト52の基端側には、ボルトヘッド52bと挟圧部34の第1挟圧板部34aとのあいだに、カム装置40および操作レバー49が設けられる。カム装置40は、操作レバー49の回転をロックボルト52の軸方向ストロークに変換して、左右のハンドル部材21L,21Rを挟圧部34の間で上下方向に挟圧して固定保持するロック状態と、挟圧を解除して非ロック状態とに切替可能となっており、グリップ位置調整機構50の構成要素となるものである。このグリップ位置調整機構50については後述する。
左スポーク23Lは、左基端連結板22cLの側面から外側に延びた棒状体で斜め下方向に向けて設けられる。左スポーク23Lの先端には、運転者が左手で握って操舵操作する左グリップ24Lが連接される。同様に、右スポーク23Rは、右基端連結板22cRの側面から外側に延びた棒状体で斜め下方向に向けて設けられる。右スポーク23Rの先端には、運転者が右手で握って操舵操作する右グリップ24Rが連接される。左右のスポーク23L,23Rおよびグリップ24L,24Rは、互いに左右対称に設けられる点を除けば同一構成である。以下、左右のハンドル部材21L,21Rに関して、左右を特定して説明する必要がない場合には、単に、ハンドル部材21、スポーク23、グリップ24と総称する。また、左右のハンドル部材21に設けられる細部の構成についても、図面には左右を特定する符号末尾記号(右:R,左:L)を付け、説明文中においては必要でない限り左右を特定せず符号末尾記号(R,L)も省略する。
スポーク23とグリップ24とは一連につながっているが、ステアリングシャフト11の軸中心を円弧中心として略円弧状に形成される部分が運転者の回動操作するグリップ24となり、グリップ位置調整機構50から径方向に延びた部分がスポーク23となる。こうしたスポーク23とグリップ24とは、基端連結板22cに一体加工あるいは溶接等により連結される金属製の芯金25と、芯金25を覆う合成樹脂からなる弾性カバー26とからなる。尚、スポーク23とグリップ24とは一体加工形成されるが、別体部品を連結するように構成してもよい。また、グリップ24は、握りやすいように弾性カバー26に適宜くぼみ等を形成するとよい。
左右のグリップ24は、中立操舵位置においてステアリングシャフト11の中心軸を通る鉛直面を対称面として左右対称に配置される。このように配置される左右のグリップ24は、従来の丸形ハンドルのような環状リムを備えず、上部および下部が欠けた非グリップ空間を有するものとなっている。
次に、グリップ位置調整機構50について説明する。グリップ位置調整機構50は、グリップ24の車両前後方向位置を調整し、その調整した位置にてグリップ24を保持するもので、いわゆるテレスコピック装置としての機能を有する。グリップ位置調整機構50は、左右のハンドル部材21L,21Rを連結部材30に固定するとともに、その固定位置を調整することによりグリップ24L,24Rのステアリングシャフト11に対する車両前後方向の位置調整(ステアリングコラム10に対する車両前後方向の位置調整ともいえる)を行うものである。このグリップ位置調整機構50は、上述した挟圧部34によりハンドル部材21L,21Rを上下方向に挟圧するためのカム装置40と、このカム装置40の作動(ロック状態/非ロック状態)を切り替える回転操作式の操作レバー49を備える。カム装置40および操作レバー49は、本発明のロック手段に相当する。
カム装置40は、操作レバー49の回転をロックボルト52の軸方向ストロークに変換する機能を有しており、第1カム部材41と第2カム部材42とを向かい合わせて備える。第1カム部材41は、そのカム面を上方に向けて操作レバー49とともにロックボルト52の基部に挿通されて固定される。つまり、ロックボルト52の基部には、操作レバー49と第1カム部材41とが相対回転不能に一体的に固定される。従って、操作レバー49を回転操作することにより、ロックボルト52と第1カム41とが一体となって回転するように構成される。第2カム部材42は、そのカム面を下方に向けてロックボルト52に挿通され、挟圧部34の第1挟圧板部34a下面に固定される。この場合、第2カム部材42は、ロックボルト52に対しては相対回転可能に設けられる。
第1カム部材41と第2カム部材42とは同一形状である。図6は、カム部材41(42)の平面図、図7は、図6におけるC−C線で切断した断面図である。図示するように、カム部材41,42は、円盤状に形成され、その片側面がカム面となっている。カム面には、4個のストッパ突起43が外周部に周方向に等間隔に設けられるとともに、ストッパ突起43に対して内側となる位置に4個のカム突起44が設けられる。このカム突起44は、ストッパ突起43に対して所定量周方向に変位した位置で周方向に等間隔に設けられる。
ストッパ突起43は、ロックボルト52の回転量を規制してロック位置と非ロック位置とを規定するものである。ストッパ突起43は、第1カム部材41と第2カム部材42とが所定位置に対向配置されたとき、ボルト軸方向に互いに向かい合わず、その側面の当接により回転規制を行うようになっている。
4個のカム突起44は、中央のリング状平坦面となる谷部45から所定の高さ突出した平面視扇状の突起で、山部44aと、山部44aと谷部45とを連続的に接続する傾斜部44bとから構成される。図8(A)に示すように、操作レバー49の回転位置がロック位置にあるときには、対向する第1カム部材41、第2カム部材42の各山部44aが互いに向かい合うようになっている。また、図8(B)に示すように、操作レバー49の回転位置が非ロック位置にあるときには、対向する第1カム部材41、第2カム部材42の山部44aと谷部45が向かい合うようになっている。
操作レバー49をロック位置にまで回転操作(例えば、反時計方向回転操作)すると、ロックボルト52と第1カム部材41とが所定位置にまで回転する。これによりロックボルト52とナット53が締め付けられる。同時に、第1カム部材41と第2カム部材42の各カム突起44の山部44aが互いに向かい合って当接することにより上下のカム部材41,42の間隔が拡がる。これにより挟圧部34が、カム装置40とナット53との間で上下方向(ボルト軸方向)に挟圧される。従って、挟圧部34内に揺動可能に設けられた左ハンドル部材21Lの左基端部22L(第1左基端板22aLと第2左基端板22bL)および右ハンドル部材21Rの右基端部22R(第1右基端板22aRと第2右基端板22bR)は、所定の面摩擦力で係合する。つまり、左ハンドル部材21Lの第1左基端板22aLと右ハンドル部材21Rの第1右基端板22aRとが、挟圧部34の第1挟圧板部34aとカラー51の第1受圧部51aとの間に所定の力で挟圧され、左ハンドル部材21Lの第2左基端板22bLと右ハンドル部材21Rの第2右基端板22bRとが、挟圧部34の第2挟圧板部34bとカラー51の第2受圧部51bとの間に所定の力で挟圧される。こうして、左右のハンドル部材21L,21Rは、所定の面摩擦力が働いて挟圧部34に対して揺動しないように固定保持される(ロック状態)。従って、ロック状態においては、左右のグリップ24L,24Rがステアリングシャフト11に対して固定保持されるため、運転者は違和感なくハンドル操作をすることができる。
一方、操作レバー49を非ロック位置にまで回転操作(例えば、時計方向回転操作)した場合には、ロックボルト52と第1カム部材41が所定位置にまで回転する。これによりロックボルト52に締め付けられていたナット53が緩められる。同時に、第1カム部材41と第2カム部材42との相対位置変化により、カム突起44の当接状態が変化する。つまり、山部44a同志が向かい合って当接していた状態から、山部44aと谷部45とが向かい合う状態に変化する。このため、カム装置40は、軸方向寸法が縮小可能状態となる。
これにより、挟圧部34内に固定保持されていた左右のハンドル部材21L,21Rは、カム装置40による挟圧が解除される(非ロック状態)。従って、左右のハンドル部材21L,21Rは、その基端部における面摩擦力が低下して、ロックボルト52を回転軸として連結部材30に対して揺動可能に支持された状態となる。運転者は、この状態において、グリップ24L,24Rの車両前後方向(ステアリングシャフト11の軸線方向に沿った車両前後方向)の位置を左右独立して調整することができる。この場合、ハンドル部材21L,21Rの基端部22L,22Rの位置は変わらないものの、スポーク23L,23Rの向きを車両前後方向に調整することでグリップ24L,24Rが任意の位置に調整される。
この非ロック状態においては、左右のハンドル部材21L,21Rは、図9,10に示すように、所定の角度範囲内で揺動可能になっている。例えば、図示しないストッパを挟圧部34に設け、左右のハンドル部材21L,21Rが所定角度位置に達したときにストッパがハンドル部材21L,21Rの基端部22L,22Rに当接して、ハンドル部材21L,21Rのそれ以上の揺動を規制するように構成する。本実施形態においては、図10に示すように、スポーク23L,23Rが挟圧部34からステアリングシャフト11の軸に直交する面と平行に向けられた位置をニュートラル位置とし(図10において実線にて示す)、スポーク23L,23Rがニュートラル位置よりも所定角度だけ車両前方に傾いた位置をショート位置(図10において破線にて示す)、スポーク23L,23Rがニュートラル位置よりも所定角度だけ車両後方に傾いた位置をロング位置とし(図10において一点鎖線にて示す)、ショート位置からロング位置にまでスポーク23L,23Rの向きが調整可能となっている。従って、グリップ24L,24Rの位置もスポーク23L,23Rの向きにあわせて調整される。
運転者は、操作レバー49を回転操作して非ロック位置にすることにより、ハンドル部材21L,21Rの固定保持状態を解き、グリップ24L,24Rを好みの位置(車両前後方向位置)に調整し、調整が終わったところで操作レバー49を再度ロック位置に戻す。こうして、以降、グリップ24L,24Rは運転者の好みの位置(調整位置)に固定保持される。グリップ24L,24Rを保持固定する力は、左右のハンドル部材21L,21Rをカム装置40にて挟圧する力に応じて変化する。そこで、カム装置40の回転により変換されるロックボルト52の軸方向ストローク量およびロックボルト52の締め付け量を調整することで、ロック状態において通常の運転操作ではハンドル部材21L,21Rが揺動しないような挟圧力が設定されている。従って、グリップ24L,24Rの保持力の設定を精度よく簡単に行うことができる。
次に、エアバッグ装置60について説明する。エアバッグ装置60は、図3に示すように、ハウジング61と、エアバッグ袋体62と、エアバッグ袋体62の開口部に接続されるインフレータ63と、カバー64等を含んで構成されている。ハウジング61は、リング状の上面61aと底面61bを有する円筒状に形成され、その底面61bがボス部31から径方向に拡がった円盤板状体のエアバッグ支持部32に固定される。ハウジング61の上面61aには、中央にインフレータ63が取り付けられるとともに、周囲がエアバッグ袋体62の収納部を形成する。
インフレータ63は、内部にイグナイタ、着火剤、ガス発生剤等を収納して構成されるとともに、図示しない衝突センサに接続される。インフレータ63は、車両衝突時に衝突センサから出力される衝突検知信号によってイグナイタを作動させて着火剤に点火し、ガス発生剤を燃焼して瞬時に多量のガスを発生するようになっている。
エアバッグ袋体62は、インフレータ63のガス噴出口63aが内側に位置するように、その開口周縁部がインフレータ63に固定されるとともに、所定の形状に折りたたんだ状態でハウジング61の上面61a上に装着される。エアバッグ袋体62は、インフレータ63が作動したときガスが供給されて所定の形状に膨張展開する。カバー64は、エアバッグ袋体62をハウジング61の上面61a上に折りたたんだ状態で正面から覆うもので、エアバッグ袋体62の膨張展開時には簡単に破断するようになっている。
エアバッグ装置60は、樹脂製のパッドカバー70により運転席側から覆われる。このパッドカバー70は、エアバッグ装置60だけでなく、連結部材30およびグリップ位置調整機構50が運転席側から見えないようにステアリングハンドル20の正面中央部を覆うもので、ステアリングハンドル20と一体回転するようにエアバッグ装置60等に連結される。パッドカバー70には、適宜箇所に破断予定部が設けられ、エアバッグ袋体62の展開時にはパッドカバー70が破断するようになっている。
次に、車両用ステアリング装置の作動について説明する。
<車両が衝突していない通常時>
通常時においては、グリップ位置調整機構50がカム装置40によってロック状態におかれる。従って、左右のグリップ24L,24Rは、ステアリングシャフト11に対して固定保持され、中立操舵位置において、ステアリングシャフト11の中心軸を通る鉛直面を対称面として左右対称となるように配置される。また、左右のグリップ24L,24Rのあいだとなるハンドル中心位置には、エアバッグ装置60が配置される。本実施形態における左右のグリップ24L,24Rは、略円弧状をなし、その円弧が略同一円周上に配置されるようになっているが、直線状の棒状体であってもよい。運転者は、左グリップ24L、右グリップ24Rをそれぞれ左手、右手で握って回動操作する。このハンドル操作により、ステアリングシャフト11が軸線周りに回転して左右前輪が転舵される。こうした左右グリップ式のステアリングハンドル20においては、上部および下部が欠けた非グリップ空間を有するものであるため、メータ類や警告灯の視認性が改善されるとともに、乗降時やペダル踏み換え時にグリップ24L,24Rが膝や大腿部に接触しにくい。
本実施形態においては、運転者が左右のグリップ24L,24Rを持ち替えなくてもよいように、例えば、ハンドル操舵角が120°程度で最大転舵角が得られるように転舵制御される。この転舵制御は、図示しないVGRSユニットにて行われる。VGRS(Variable Gear Ratio System)ユニットは、ステアリングギヤ比を可変する機構(例えば、ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構)を備え、電動モータの回転速度を変更することにより、入力軸と出力軸との回転比を任意に変更するものである。
左右のグリップ24L,24Rの前後方向位置を調整したい場合には、上述したように操作レバー49を非ロック位置に回転させることにより、ハンドル部材21L,21Rの固定保持状態を解く。そして、グリップ24L,24Rを好みの位置(車両前後方向位置)に調整し、操作レバー49を再度ロック位置に戻すことにより、その位置でハンドル部材21L,21Rが固定保持されグリップ位置調整が終了する。
<車両衝突時>
車両が衝突すると、衝突センサ(図示略)から衝突検知信号がエアバッグ装置60に出力される。エアバッグ装置60は、この衝突検知信号によりインフレータ63を作動させてエアバッグ袋体62内に多量のガスを供給する。これによりエアバッグ袋体62は、図11に示すように、ステアリングハンドル20と運転者とのあいだで前後方向および径方向に膨張展開する。このとき、運転者は、衝突時の慣性移動によりエアバッグ袋体62を車両前方方向に押す。従って、膨張展開したエアバッグ袋体62の背面62aがグリップ24L,24Rを車両前方方向に押す。
この場合、グリップ位置調整機構50により固定保持されたグリップ24L,24Rがエアバッグ袋体62を支持することになるが、エアバッグ袋体62の背面62aからグリップ24L,24Rに所定の車両前方方向の押力が働くと、この押力がグリップ位置調整機構50によるグリップ24L,24Rの保持力を上回って、グリップ24L,24Rがステアリングシャフト11に対して車両前方側に移動する。つまり、エアバッグ袋体62の背面62aがグリップ24L,24Rを押す力が所定の力以上となると、その押力がカム装置40の挟圧によるハンドル部材21L,21Rの摩擦抵抗を上回って左右のハンドル部材21L,21Rを揺動させグリップ24L,24Rをステアリングシャフト11に対して車両前方側に移動させる。これにより、グリップ24L,24Rがエアバッグ装置60から車両前方側に退避する。
エアバッグ装置60は、連結部材30に固定されることからステアリングシャフト11に対して車両前後方向の相対位置が固定されている。一方、グリップ24L,24Rは、ハンドル部材21L,21Rが揺動することで、ステアリングシャフト11に対して車両前後方向の相対位置が変化する。従って、エアバッグ袋体62の背面62aがグリップ24L,24Rを押す力が所定の力以上となると、グリップ24L,24Rは、エアバッグ装置60に対してステアリングシャフト11の軸方向に沿って車両前方方向に相対移動する。これにより、グリップ24L,24Rによるエアバッグ袋体62の支持反力を低下させることができる。
一般的な環状リムを備えた丸形ハンドルにおいては、この環状リム全周によりエアバッグ袋体の背面を支持する。ところが、本実施形態のように環状リムを備えない左右グリップ式ハンドルの場合には、ハンドル操舵角によってエアバッグ袋体62を受け止める性能が変化してしまう。
例えば、直進状態で衝突した場合、上下部分においてはエアバッグ袋体62を受け止める部分が無いためグリップ24L,24Rのある左右部分に比べて支持反力が小さくなる。この場合、運転者頭部を受け止める力が小さくなるため、エアバッグ袋体62の内圧を高く設定すると良いが、例えば、ステアリングハンドル20を90°転舵した状態で衝突した場合には、上下部分にグリップ24L,24Rが存在するため、逆に、支持反力が大きくなり運転者頭部を受け止める力が大きくなりすぎてしまう。
そこで、本実施形態の車両用ステアリング装置においては、グリップ24L,24Rの位置をステアリングシャフト11に対して車両前方方向に移動させることで(ステアリングコラム10に対して車両前方方向に移動させるともいえる)、エアバッグ袋体62をステアリングハンドル20の中央部で受け止め、グリップ24L,24Rではできるだけ受け止めないようにする。従って、エアバッグ袋体62による乗員の拘束性能を安定化させることができる。また、車両衝突時に乗員がグリップ24L,24Rに当たることをも抑制することができる。
以上、本実施形態の車両用ステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、ステアリングシャフト11に左右前輪が機械的に連結されたステアリング装置について説明したが、ステアリングシャフトと左右前輪との機械的な連結を無くし、ステアリングハンドル(ステアリングシャフト)の回転角に応じて電動アクチュエータにより左右前輪を転舵するようにしたステアバイワイヤ方式の車両のステアリング装置にも適用できるものである。
また、本実施形態においては、左右分離したグリップ24L,24Rを有するステアリングハンドルを採用しているが、下方あるいは上方において連結した左右グリップを有するステアリングハンドルであってもよい。また、本実施形態においては、カム装置40によりグリップ位置を固定する構成を採用しているが、なんらカム装置に限るものではない。また、本実施形態においては、ショート位置からロング位置までの範囲で連続的にグリップ位置調整が可能であるが、2段階、3段階といった複数段階にて位置調整するものであってもよい。
実施形態に係る車両用ステアリング装置の概略側面図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置の概略正面図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置の要部側面断面図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるグリップ位置調整機構の正面断面図(ロック時)である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるグリップ位置調整機構の正面断面図(非ロック時)である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるカム部材の平面図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるカム部材の断面図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるカム部材の動作説明図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるグリップ位置調整機構の動作説明図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるグリップ位置調整機構の動作説明図である。 実施形態に係る車両用ステアリング装置に用いられるグリップ位置調整機構の衝突時における動作説明図である。
符号の説明
10…ステアリングコラム、11…ステアリングシャフト、12…コラムチューブ、20…ステアリングハンドル、21R…右ハンドル部材、21L…左ハンドル部材、22R…右基端部、22L…左基端部、23R…右スポーク、23L…左スポーク、24R…右グリップ、24L…左グリップ、30…連結部材、31…ボス部、32…エアバッグ支持部、33…アーム部、34…挟圧部、40…カム装置、41,42…カム部材、43…ストッパ突起、44…カム突起、44b…傾斜部、44a…山部、45…谷部、49…操作レバー、50…グリップ位置調整機構、51…カラー、52…ロックボルト、53…ナット、60…エアバッグ装置、61…ハウジング、62…エアバッグ袋体、62a…背面、63…インフレータ、70…パッドカバー。

Claims (4)

  1. 回動操作可能で中立操舵位置にて左右にグリップを備え、上下の少なくとも一方に非グリップ空間を有するステアリングハンドルと、
    上記ステアリングハンドルに連結されるステアリングシャフトを備え、上記ステアリングシャフトを回転可能に車体に保持するステアリングコラムと、
    上記ステアリングハンドルに設けられ、車両衝突時に上記ステアリングハンドルと乗員間にてエアバッグ袋体を膨張展開させるエアバッグ装置と
    を備えた車両用ステアリング装置において、
    上記ステアリングハンドルにおける上記グリップを上記ステアリングコラムに対して車両前後方向に位置調整可能で調整位置に保持するグリップ位置調整機構を備え、
    車両衝突時に、膨張展開状態にある上記エアバッグ袋体の背面から上記グリップに所定の車両前方方向の力が働いたとき、上記グリップを上記グリップ位置調整機構を介して上記ステアリングコラムに対して車両前方側に移動させることを特徴とする車両用ステアリング装置。
  2. 上記グリップ位置調整機構は、
    上記エアバッグ袋体の背面から上記グリップに所定の車両前方方向の力が働いたとき、上記グリップが上記ステアリングコラムに対して車両前方側に移動するように上記グリップの保持力が設定されていることを特徴とする請求項1記載の車両用ステアリング装置。
  3. 上記ステアリングハンドルは、
    右スポークの先端に右グリップを設けた右ハンドル部材と、
    左スポークの先端に左グリップを設けた左ハンドル部材と、
    上記右ハンドル部材の基端部と上記左ハンドル部材の基端部とを揺動可能に支持して上記ステアリングシャフトに連結する連結部材とを備え、
    上記グリップ位置調整機構は、
    上記右ハンドル部材と上記左ハンドル部材とを上記連結部材に固定保持するロック状態と、上記固定保持を解除して上記右ハンドル部材の右スポークと上記左ハンドル部材の左スポークの車両前後方向の向きを調整可能状態にする非ロック状態とに切替自在のロック手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の車両用ステアリング装置。
  4. 上記ロック手段は、上記右ハンドル部材の基端部と上記左ハンドル部材の基端部とを上記連結部材に重ねて挟圧することで上記右ハンドル部材と上記左ハンドル部材とを上記連結部材に固定保持し、上記挟圧を解除することで上記右ハンドル部材の右スポークと上記左ハンドル部材の左スポークの車両前後方向の向きを調整可能状態にすることを特徴とする請求項3記載の車両用ステアリング装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009190700A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Honda Motor Co Ltd 操舵装置
FR3066988A1 (fr) * 2017-05-31 2018-12-07 Peugeot Citroen Automobiles Sa Volant de direction pour vehicule automobile comportant deux branches laterales pivotantes
CN115366981A (zh) * 2022-08-29 2022-11-22 浙江联控技术有限公司 方向盘和交通工具

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