JP2008304014A - トラクションドライブおよびその表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トラクションドライブ1は、太陽ローラ5の外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラ7と、これら遊星ローラ7に隣接し、これら遊星ローラ7のそれぞれを押圧しつつ内包する弾性リング9とを備え、弾性リング9は、遊星ローラ7と接する転走面11、および、転走面11から半径方向外側に延びる両側面13に、ショットピーニング加工が施された後にキャビテーションショットレスピーニング加工が施されている。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、遊星ローラ式トラクションドライブにおいて、ショットピーニング加工を施すことにより、遊星ローラの耐久性を向上させる技術が開示されている。
また、内周側に凸とされたU字状の横断面を有する弾性リングを採用する場合、転走面となる内周面から半径方向外側に延びる両側面を幅方向内側に押しつけて転走面を内周側に突出するようにクラウニング変形させることにより、遊星ローラへの押し付け力を発生させるようになっている。このような場合、転走面には遊星ローラが通過するたびに繰返し応力が発生してクラックが進展し、剥離に到る問題がある。
すなわち、本発明に係るトラクションドライブは、太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラと、これら遊星ローラに隣接し、これら遊星ローラのそれぞれを押圧しつつ内包する弾性リングとを備え、該弾性リングは、前記遊星ローラと接する転走面、および、該転走面から半径方向外側に延びる両側面に、ショットピーニング加工が施された後にキャビテーションショットレスピーニング加工が施されていることを特徴とする。
なお、ショットピーニングとは、例えば、部材の表面に0.5〜2.0mm程度の高速の粒子を圧縮空気とともに衝突させることにより部材表面を加工する方法をいう。
また、キャビテーションショットレスピーニングとは、キャビテーション気泡の崩壊時に生じる衝撃力により、ショットピーニングのごとく、部材表面を加工する方法をいう。
本実施形態に係るトラクションドライブ1は、図1に示すように、動力伝達機構3を備え、該動力伝達機構3が、太陽ローラ5と、該太陽ローラ5の外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラ7と、前記太陽ローラ5と同一軸線を有するとともに複数の前記遊星ローラ7に隣接し、これら遊星ローラ7のそれぞれを押圧しつつ内包する弾性リング9とを備えている。
なお、転がりトランクション力Utは、Ut=Ct×Pにより算出される。ここで、Ctは転がりトランクション係数を示す。
ここで、ショットピーニング加工は、表面が荒れ易い性質がある。また、図7に示すように、キャビテーションショットレスピーニング加工(図中、符号A)は、ショットピーニング加工(図中、符号B)に比べて表面からの深さ方向に対する圧縮残留応力が入りにくい性質がある。
図7において、縦軸は表面からの深さを、横軸は圧縮残留応力を示している。したがって、横軸の圧縮残留応力は、負の絶対値が大きいほど(図において左にいくほど)大きくなる。なお、同図おける符号Cは、表面処理なしの状態を示している。
なお、キャビテーションショットレスピーニング加工の施工条件として、例えば、噴射圧力:30MPa,ノズル直径:1mm,サンプルとの距離:60mm,時間:1分とすることができる。
1つ目は、図4(a)に示すような、水中キャビテーション噴流(水中水噴流)による加工方法である。水中キャビテーション噴流は、水中において、第1のノズル15からサンプル19に対して高速水噴流17が噴射される。この場合、サンプル19は、高速水噴流17の衝突により、図4(b)に示すような壊食状態となる。
2つ目は、図5(a)に示すような、気中キャビテーション噴流による加工方法である。気中キャビテーション噴流は、大気中において、第1のノズル15および第2のノズル21から、サンプル19に対して高速水噴流17および低速水噴流23が噴射される。具体的には、第2のノズル21からサンプル19に対して低速水噴流23が噴射され、その中心に第1のノズル15からサンプル19に対して高速水噴流17が噴射される。この場合、サンプル19は、高速水噴流17および低速水噴流23の衝突により、図5(b)に示すような壊食状態となる。
3つ目は、図6(a)に示すような、ウォータジェット(気中水噴流)による加工方法である。ウォータジェットは、大気中において、サンプル19に対して第1のノズル15から高速水噴流17が噴射される。この場合、サンプル19は、高速水噴流17の衝突により、図6(b)に示すような壊食状態となる。
太陽ローラ5の外周面と弾性リング9の内周面との間に、ローラ押付け力Pによって圧接状態で介在される複数の遊星ローラ7は、太陽ローラ5と遊星ローラ7との間、および、遊星ローラ7と弾性リング9との間に形成された潤滑油膜により、公転および自転しながら、太陽ローラ5の外周面および弾性リング9の内周面をすべり接触される。そして、遊星ローラ7を円周方向に等間隔に支持するキャリア軸(図示せず)の駆動力が、遊星ローラ7の公転および自転により太陽ローラ5に伝達され、または、太陽ローラ5の駆動力が、遊星ローラ7の公転および自転によって前記キャリア軸に伝達される。
これにより、弾性リング9の転走面11およびその両側面13の深部から表面付近にわたり圧縮残留応力を付加することができ、弾性リング9の疲労強度を効果的に向上させることができる。
なお、参考例として、弾性リングの疲労強度を向上させるトラクションドライブの表面処理方法には、本実施形態の表面処理方法の他に、例えば、弾性リングの転走面およびその両側面に、ショットピーニング加工のみを施すことや、キャビテーションショットレスピーニング加工のみを施す方法がある。
また、例えば、浸炭処理により、弾性リングの表面付近に炭素含有量の多い薄膜を形成させ、焼き入れと焼き戻しにより、その薄膜を硬化させて、弾性リングの耐摩耗性を増大させるとともに、疲労強度を増加させる方法がある。
5 太陽ローラ
7 遊星ローラ
9 弾性リング
11 転走面
13 両側面
Claims (2)
- 太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラと、
これら遊星ローラに隣接し、これら遊星ローラのそれぞれを押圧しつつ内包する弾性リングとを備え、
該弾性リングは、前記遊星ローラと接する転走面、および、該転走面から半径方向外側に延びる両側面に、ショットピーニング加工が施された後にキャビテーションショットレスピーニング加工が施されているトラクションドライブ。 - 太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラと、これら遊星ローラに隣接し、これら遊星ローラのそれぞれを押圧しつつ内包する弾性リングとを備えるトラクションドライブの表面処理方法であって、
前記遊星ローラと接する前記弾性リングの転走面、および、該転走面から半径方向外側に延びる両側面に、ショットピーニング加工を施した後にキャビテーションショットレスピーニング加工を施すトラクションドライブの表面処理方法。
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