JP2008303325A - ビードエイペックス用ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ビードエイペックス用ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】石油資源由来の原料の使用量を低減し、高剛性、低発熱性で、調製時の加工性にも優れるビードエイペックス用ゴム組成物、およびこれを用いた、操縦安定性および燃費に優れる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分と、シリカおよびクレーを少なくとも含む無機フィラーと、を含有し、ゴム成分は、天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分を含み、クレーの配合量は、ゴム成分100質量部に対して5〜40質量部の範囲内であり、シリカとクレーとの配合量の合計は、ゴム成分100質量部に対して65質量部以上である、ビードエイペックス用ゴム組成物、およびこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ビードエイペックス用ゴム組成物および該ビードエイペックス用ゴム組成物からなるビードエイペックスゴムを備える空気入りタイヤに関する。
近年、自動車性能の向上に伴い、タイヤにおいても高い操縦安定性が要求されるようになってきている。高い操縦安定性を有するタイヤを得るためには、ビードエイペックスゴムの剛性を向上させる必要がある。従来、ビードエイペックスゴムの剛性を向上させるために、ビードエイペックス用のゴム組成物に多量のカーボンブラックを配合させることが行なわれてきた。
多量のカーボンブラックを添加することは、ビードエイペックスの高剛性化には有効であるが、タイヤ走行中に発熱し易くなるという問題を誘発する。発熱が生じると、タイヤの耐疲労性が低下して耐久性が損なわれるとともに、ゴムの損失正接(tanδ)の増大によりタイヤの転がり抵抗が増大して燃費が上昇してしまう。
一方、近年環境問題が重視されるようになり、CO2排出の規制が強化されている。また石油資源は有限であり、将来的には、カーボンブラックなどの石油資源由来の原料の供給が困難になる可能性があるとともに、供給量が年々減少していることことによる石油価格の高騰が予測される。よって、石油資源由来の原料を石油外資源由来の原料に置換していくことが求められている。
現在一般的に市販されているタイヤは、全重量の半分以上が石油資源である原料から構成されている。たとえば、一般的な乗用車用タイヤは、合成ゴム約20質量%、カーボンブラック約20質量%、軟化剤、合成繊維などを含んでいるため、タイヤ全体の約50質量%以上が石油資源の原料から構成されている。そこで、石油資源由来の原料を用いる場合と同様ないしそれ以上の要求特性を満足する、天然資源由来の原料を用いたタイヤ用ゴムの開発が望まれている。
また、石油資源由来の原料の使用量を低減するとともに走行時の発熱を抑制する目的で、充填剤の配合をカーボンブラックの多量添加からシリカの配合に置換えることも提案されている。シリカの配合によっても、耐久性が比較的良好なゴムを与えるゴム組成物を得ることができるが、シリカを配合すると、ゴム組成物の調製時に粘度上昇による加工性の低下という問題が生じ易くなる傾向がある。
特許文献1には、転がり抵抗を低減する目的で、ジエン系ゴム100質量部に対し、無機充填剤5〜150重量部、シランカップリング剤0〜30重量部、および、ヨウ素価が130以下である植物油脂5〜100重量部を含有するゴム組成物が提案されている。
特許文献2には、タイヤの耐摩耗性および転がり抵抗特性を低下させることなく、ウェットグリップ性能を大幅に改善できるトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤを提供する目的で、(A)ジエン系ゴムまたはジエン系ゴムと天然ゴムとの混合物からなり、かつスチレン−ブタジエンゴムを少なくとも20重量%含有するゴム成分100重量部、(B)クレー5〜50重量部、(C)チッ素吸着比表面積が100〜300m2/gであるシリカ5重量部以上および(D)チッ素吸着比表面積が70〜300m2/gであるカーボンブラック1重量部以上を含有し、(B)クレーと(C)シリカとの合計量が30重量部以上、(B)クレーと(C)シリカと(D)カーボンブラックとの合計量が100重量部以下であることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物が提案されている。
特許文献3には、自動車走行における低燃費化を可能にするベーストレッド用ゴム組成物、およびそれを用いたタイヤの提供を目的として、天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、澱粉および可塑剤からなる複合材1〜20重量部を含有するベーストレッド用ゴム組成物が提案されている。
特許文献4には、自動車走行における低燃費化を可能にするサイドウォール用ゴム組成物、およびそれを用いたタイヤの提供を目的として、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴム、ならびにブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、澱粉および可塑剤からなる複合材1〜20重量部を含有するサイドウォール用ゴム組成物が提案されている。
特許文献5には、耐空気透過性、耐亀裂成長性能および硬度のようなタイヤ部材として必要な性能を維持し、さらに加工性を向上させたタイヤ用ゴム組成物およびそれにより得られたタイヤを提供することを目的として、天然ゴムおよび/またはその変性物からなるゴム成分100重量部に対して、シリカを30重量部以上、炭酸カルシウムを5〜15重量部、およびカーボンブラックを5重量部以下含有するタイヤ用ゴム組成物が提案されている。
特許文献6には、剛性、接着性、湿熱接着性、伸び性能等のバランスに優れたブレーカー用ゴム組成物、および、該ゴム組成物をブレーカー層またはベルト層に用いた空気入りタイヤを提供することを目的として、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを主成分とするゴム成分100重量部に対し、55〜65重量部のカーボンブラック、5〜15重量部のシリカ、3.5〜4.5重量部の硫黄、0.08重量部以上のコバルト、レゾルシン系樹脂およびメチレン供与体を含むブレーカー用ゴム組成物が提案されている。
しかし、従来の技術では、石油資源由来の原料の使用量を低減し、高剛性、低発熱性で、調製時の加工性にも優れるビードエイペックス用ゴム組成物、およびこれを用いた空気入りタイヤは得られていない。
特開2003−64222号公報 特開2002−105245号公報 特開2005−2287号公報 特開2005−53944号公報 特開2006−89526号公報 特開2002−338734号公報
本発明は上記の課題を解決し、石油資源由来の原料の使用量を低減し、高剛性、低発熱性で、調製時の加工性にも優れるビードエイペックス用ゴム組成物、およびこれを用いた、操縦安定性および燃費に優れる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、シリカおよびクレーを少なくとも含む無機フィラーと、を含有し、ゴム成分は、天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分を含み、クレーの配合量は、ゴム成分100質量部に対して5〜40質量部の範囲内であり、シリカとクレーとの配合量の合計は、ゴム成分100質量部に対して65質量部以上である、ビードエイペックス用ゴム組成物を提供する。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物において、無機フィラーはカーボンブラックをさらに含み、該カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して5質量部以下であることができる。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物において、無機フィラーの配合量は、ゴム成分100質量部に対して70質量部以上であることが好ましい。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物においては、ゴム成分が上記天然ゴム成分からなることが好ましい。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物においては、デュロメータ硬さが70〜95の範囲内であることが好ましい。
本発明はまた、上述のいずれかのビードエイペックス用ゴム組成物からなるビードエイペックスゴムを備える空気入りタイヤを提供する。
本発明によれば、石油資源由来の原料の使用量を低減し、高剛性、低発熱性で、調製時の加工性にも優れるビードエイペックス用ゴム組成物、およびこれを用いた、操縦安定性および燃費に優れる空気入りタイヤを提供することが可能となる。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物は、ゴム成分と、シリカおよびクレーを少なくとも含む無機フィラーとを含有する。すなわち、石油外資源由来であるシリカおよびクレーを無機フィラーとして少なくとも用いることにより、石油資源由来の原料の使用量を低減できる。また、シリカおよびクレーが配合されたビードエイペックス用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤは、たとえばカーボンブラックを多量に配合したビードエイペックス用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤのように発熱を生じさせるおそれが少ない。さらに、本発明においては、クレーを配合することにより、ゴム組成物の調製時の加工性を低下させることなく機械強度に優れるゴムを得ることができる。
<ゴム成分>
本発明において用いられるゴム成分は、天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分を含む。
天然ゴム(NR)としては、ゴム工業において従来用いられているものを使用することができ、たとえば、RSS#3、TSRなどのグレードの天然ゴムを挙げることができる。
エポキシ化天然ゴム(ENR)は、天然ゴムの不飽和二重結合がエポキシ化された変性天然ゴムの一種であり、極性基であるエポキシ基により分子凝集力が増大する。そのため、天然ゴムよりもガラス転移温度(Tg)が高く、かつ機械的強度や耐磨耗性、耐空気透過性に優れる。特に、本発明においてはゴム組成物中にシリカを配合するため、シリカ表面のシラノール基とエポキシ化天然ゴムのエポキシ基との反応に起因して、カーボンブラックをゴム組成物中に配合する場合と同程度の機械的強度や耐磨耗性を得ることができる。
エポキシ化天然ゴム(ENR)としては、市販のものを用いてもよいし、天然ゴム(NR)をエポキシ化したものを用いてもよい。天然ゴム(NR)をエポキシ化する方法としては、特に限定されるものではなく、たとえばクロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などを挙げることができる。過酸法としては、たとえば天然ゴムのエマルジョンに過酢酸や過蟻酸などの有機過酸をエポキシ化剤として反応させる方法を挙げることができる。
エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましい。ここで、エポキシ化率とは、エポキシ化前の天然ゴム中の二重結合の全数のうちエポキシ化された数の割合を意味し、たとえば滴定分析や核磁気共鳴(NMR)分析等により求められる。エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率が10モル%未満の場合、エポキシ化天然ゴム(ENR)のガラス転移温度が低いために、ビードエイペックス用ゴム組成物のゴム硬度が低く、該ビードエイペックス用ゴム組成物をビードエイペックスゴムとして用いた空気入りタイヤの耐久性および耐疲労性が低下する傾向がある。また、エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率が70モル%を超える場合、ビードエイペックス用ゴム組成物が硬くなることによって機械強度が低下する傾向がある。
エポキシ化天然ゴム(ENR)として、より典型的には、エポキシ化率25モル%のエポキシ化天然ゴムや、エポキシ化率50モル%のエポキシ化天然ゴムなどを例示できる。
本発明において、ゴム成分中の天然ゴム成分の含有率は70質量%以上とされることが好ましい。該含有率が70質量%未満である場合、石油資源由来の原料の使用量の低減効果が低くなる傾向がある。天然ゴム成分の該含有率は、80質量%以上、さらに90質量%以上であることがより好ましい。石油資源由来の原料の使用量の低減効果が良好である点で、ゴム成分中の天然ゴム成分の含有率が100質量%、すなわちゴム成分が天然ゴム成分からなることが最も好ましい。しかし、所望のタイヤ特性に応じて、たとえばゴム成分中の天然ゴム成分の含有率を90質量%以下、さらに80質量%以下とし、ゴム成分中の残部として天然ゴム成分以外のゴムを配合してもよい。
本発明のゴム成分は、前述のように定義される天然ゴム成分以外にも、石油外資源由来のゴムとして、たとえば水素化天然ゴムなどの変性天然ゴムなどを含有することができる。
また、ゴム成分は、本発明の効果を損なわない範囲で石油資源由来のゴムを含有してもよい。石油資源由来のゴムとしては、たとえば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、イソブチレンとp−メチルスチレンとの共重合体のハロゲン化物などを例示できる。中でも、ビードエイペックス用ゴム組成物の硬度を高くでき、空気入りタイヤに対して特に良好な耐久性および耐疲労性を付与できる点で、SBR、BR、IRが好ましい。
ゴム成分中の天然ゴム(NR)の含有率は、70質量%以上であることが好ましい。天然ゴム(NR)の該含有率が70質量%未満の場合、石油資源由来の原料の使用量の低減効果が小さくなる傾向がある。天然ゴム(NR)の該含有率は、80質量%以上、さらに90質量%以上であることがより好ましい。また、ゴム成分中の天然ゴム(NR)の含有率は、100質量%でもよいが、所望のタイヤ特性に応じて、たとえば90質量%以下、さらに80質量%以下とし、残部に、エポキシ化天然ゴム、その他の変性天然ゴム、合成ゴム等を用いることができる。
ゴム成分中のエポキシ化天然ゴム(ENR)の含有率は、5質量%以上であることが好ましい。エポキシ化天然ゴム(ENR)の該含有率が5質量%未満の場合、ビードエイペックス用ゴム組成物の剛性が低くなる傾向がある。エポキシ化天然ゴム(ENR)の該含有率は、10質量%以上、さらに15質量%以上であることがより好ましい。また、ゴム成分中のエポキシ化天然ゴム(ENR)の含有率は、80質量%以下であることが好ましい。エポキシ化天然ゴム(ENR)の含有率が80質量%を超える場合、ゴム硬度および剛性が大きくなり過ぎるためにビードエイペックス用ゴム組成物の機械強度がかえって低くなる傾向がある。エポキシ化天然ゴム(ENR)の該含有率は、70質量%以下、さらに60質量%以下であることがより好ましい。
<クレー>
本発明において、クレー(すなわち粘土)とは、岩石または鉱物の風化、変成作用によって生成した微細な粒子の集合体を総称し、より典型的には、粒径10μm以下の、粘土鉱物を主成分とする粒子を意味する。ここで粘土鉱物とは、典型的には層状ケイ酸塩を主成分とする結晶質または非晶質を意味する。
クレーの具体例としては、湿式カオリン(未焼成カオリン)、焼成カオリン、湿式および乾式のろう石クレー等を例示できる。中でも、車両走行時のタイヤの低発熱性を付与する効果が高い点で、焼成カオリンが好ましい。
ゴム成分100質量部に対するクレーの配合量は、5〜40質量部の範囲内とされる。クレーの該配合量が5質量部未満である場合、補強効果および加工性の改善効果が十分得られず、40質量部を超える場合、ビードエイペックス用ゴム組成物の機械強度が低くなってビードエイペックスゴムの耐久性が低下する傾向がある。クレーの該配合量は、5質量部以上、さらに10質量部以上であることがより好ましく、また、40質量部以下、さらに30質量部以下であることがより好ましい。
クレーの平均粒径は、0.3〜5μmの範囲内であることが好ましい。クレーの平均粒径が0.3μm未満である場合、加工性が低くなる傾向があり、5μmを超える場合、ビードエイペックス用ゴム組成物の硬度が低くなって機械強度が小さくなる傾向がある。クレーの平均粒径は、0.4μm以上、さらに0.5μm以上であることがより好ましく、また、4μm以下、さらに3μm以下であることがより好ましい。
クレーの好ましい市販品としては、たとえば、竹原化学工業(株)製の「ユニオンクレーRC−1」「グロマックスLL」「NNカオリンクレー」「5号クレー」、ティエル(THIELE)社製の「KAOKAL」、J.M.Huber社製の「Huber35(B)」等を例示できる。
<シリカ>
シリカは、シリカとクレーとの配合量の合計がゴム成分100質量部に対して65質量部以上となるように配合される。シリカとクレーとの配合量の該合計が65質量部未満であると、補強効果が十分得られない。シリカとクレーとの配合量の該合計は、70質量部以上であることがより好ましい。補強効果を良好に得る点では、シリカとクレーとの配合量の合計が多い方が好ましいが、該合計が多すぎるとビードエイペックス用ゴム組成物が硬くなって機械強度が低下する傾向があるため、シリカとクレーとの配合量の合計は、ゴム成分100質量部に対して100質量部以下、さらに90質量部以下、さらに85質量部以下であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対するシリカの配合量は、20〜70質量部の範囲内とされることが好ましい。シリカの該配合量が20質量部未満である場合、シリカを配合することによる補強効果が小さくなる傾向があり、70質量部を超えるとビードエイペックス用ゴム組成物が硬くなり機械強度が低下する傾向がある。シリカの該配合量は、25質量部以上、さらに30質量部以上であることがより好ましく、また65質量部以下、さらに60質量部以下であることがより好ましい。
シリカのBET比表面積は、100〜300m2/gの範囲内とされることが好ましい。シリカのBET比表面積が100m2/g未満である場合、ビードエイペックス用ゴム組成物の硬度が低くなって機械強度が低下する傾向があり、300m2/gを超える場合、加工性が低下する傾向がある。シリカのBET比表面積は、110m2/g以上、さらに120m2/g以上であることがより好ましく、また、280m2/g以下、さらに260m2/g以下であることがより好ましい。
なお、BET比表面積は、たとえばASTM−D−4820−93に準拠した方法にて測定することができる。
シリカは、湿式法により調製されたものであってもよく、乾式法により調製されたものであってもよい。また、好ましい市販品としては、たとえば、デグッサ製の「ウルトラジルVN2」(BET比表面積125m2/g)および「ウルトラジルVN3」(BET比表面積210m2/g)などを例示できる。
<カーボンブラック>
本発明において配合される無機フィラーは、カーボンブラックをさらに含んでもよい。この場合、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの配合量は5質量部以下とされることが好ましい。カーボンブラックの該配合量が5質量部を超える場合、石油資源由来の原料の使用量低減効果が小さくなる傾向があるとともに、低発熱性を得難くなる傾向がある。石油資源由来の原料の使用量を低減する点で、カーボンブラックの該配合量は、4.5質量部以下、さらに4質量部以下であることがより好ましい。一方、ビードエイペックス用ゴム組成物に対する補強効果が向上する点で、カーボンブラックの該配合量は、1質量部以上、さらに2質量部以上、さらに2.5質量部以上であってもよい。
カーボンブラックのBET比表面積は、40〜300m2/gの範囲内であることが好ましい。カーボンブラックのBET比表面積が40m2/g未満である場合、ビードエイペックス用ゴム組成物の機械強度が低下する傾向がある。カーボンブラックのBET比表面積は、50m2/g以上、さらに60m2/g以上であることがより好ましい。一方、カーボンブラックのBET比表面積が300m2/gを超える場合、ビードエイペックス用ゴム組成物の調製時の加工性が低下する傾向がある。カーボンブラックのBET比表面積は、280m2/g以下、さらに260m2/g以下であることがより好ましい。
カーボンブラックの好ましい市販品としては、たとえば、キャボネットジャパン製の「ショウブラックN330」「ショウブラックN220」「ショウブラックN110」等を例示できる。
<シランカップリング剤>
本発明においてはシリカが配合される。よって、シランカップリング剤を組合せて用いる場合、ビードエイペックス用ゴム組成物に対して優れた補強効果が付与され好ましい。シランカップリング剤の配合量は、シリカの配合量を100質量%としたときの量で2〜12質量%の範囲内とすることが好ましい。シランカップリング剤の該配合量が2質量%未満である場合、補強効果が低くなる傾向があり、12質量%を超える場合、量を増やしても補強効果の顕著な改善は期待できない一方コストが上昇するため経済的でなくなる傾向がある。シランカップリング剤の該配合量は、3質量%以上、さらに4質量%以上であることがより好ましく、また、11質量%以下、さらに10質量%以下であることがより好ましい。
シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、加工性が良好であるという理由から、デグッサ社製Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)、Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)などが好ましく用いられる。
<その他の無機フィラー>
無機フィラーは、前述のクレー、シリカ、カーボンブラックの他に、たとえば、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク等を含んでもよい。しかし、より典型的には、クレーとシリカとからなる無機フィラー、または、クレーとシリカとカーボンブラックとからなる無機フィラーが配合される。
無機フィラーの配合量は、ゴム成分100質量部に対して60質量部以上であることが好ましい。無機フィラーの該配合量が60質量部未満である場合、補強効果が低下する傾向がある。無機フィラーの該配合量は、65質量部以上、さらに70質量部以上であることが好ましい。一方、ビードエイペックス用ゴム組成物の剛性が過度に高くなることによる機械強度の低下を防止できる点、およびビードエイペックス用ゴム組成物の調製時の加工性を良好に維持できる点で、無機フィラーの配合量は、ゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下、さらに80質量部以下であることがより好ましい。
<その他の配合剤>
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物には、上記した成分以外にも、従来ゴム工業で使用される他の配合剤、たとえば加硫剤、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫促進助剤、オイル、硬化性レジン、ワックス、老化防止剤などを配合してもよい。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用することが可能であり、有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレートなどを使用することができる。これらの中で、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼンおよびジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。これらの加硫剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、硫黄はオイル処理されたものであってもよい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物などを使用することができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物などを使用することができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系化合物を使用することができる。チオウレア系としては、たとえばチアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などを使用することができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレートなどのグアニジン系化合物を使用することができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウムなどのジチオカルバミン酸系化合物などを使用することができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物などのアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物などを使用することができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物などを使用することができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物などを使用することができる。これらの加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進助剤としては、たとえば酸化亜鉛等を例示できる。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩などを適宜選択して使用することができる。
オイルとしては、プロセスオイル、植物油脂、またはこれらの混合物、などを例示できる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどを例示できる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油、などを例示できる。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物の、架橋後においてJIS K6253に準じて測定されるゴム硬度であるデュロメータ硬さは、70〜95の範囲内であることが好ましい。該デュロメータ硬さが70未満である場合、ビードエイペックス用ゴム組成物の剛性が低く空気入りタイヤの耐久性が低下する傾向がある。また該デュロメータ硬さが95を超える場合、ビードエイペックス用ゴム組成物が硬くなり機械強度が低下する傾向がある。該デュロメータ硬さは、78以上、さらに80以上であることがより好ましく、また、92以下、さらに90以下であることがより好ましい。
なお、上記デュロメータ硬さの測定においては、タイプAデュロメータ硬さの測定範囲を10〜90とし、タイプAデュロメータ硬さが90を超えるときは、タイプDデュロメータで測定し、タイプDデュロメータ硬さが20未満の時は、タイプAデュロメータで測定するものとする。
本発明の空気入りタイヤは、上記本発明のビードエイペックス用ゴム組成物からなるビードエイペックスゴムを備える空気入りタイヤである。以下、図1を参照して本発明の空気入りタイヤを説明する。図1は、本発明に係る空気入りタイヤの左半分を例示した断面図である。空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、その両端からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを備える。またビード部4,4間にはカーカス6が架け渡されるとともに、このカーカス6の外側かつトレッド部2内にはタガ効果を有してトレッド部2を補強するベルト層7が配される。
上記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば70〜90°の角度で配列する1枚以上のカーカスプライから形成され、このカーカスプライは、上記トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返されて係止される。
上記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば40°以下の角度で配列した2枚以上のベルトプライからなり、各ベルトコードがプライ間で交差するよう向きを違えて重置している。なお、必要に応じてベルト層7の両端部のリフティングを防止するためのバンド層(図示しない)を、ベルト層7の少なくとも外側に設けてもよく、このときバンド層は、低モジュラスの有機繊維コードを、タイヤ赤道COとほぼ平行に螺旋巻きした連続プライで形成する。
またビード部4には、上記ビードコア5から半径方向外方に延びるビードエイペックスゴム8が配されるとともに、カーカス6の内側には、タイヤ内腔面をなすインナーライナゴム9が隣設され、カーカス6の外側は、クリンチゴム4Gおよびサイドウォールゴム3Gで保護される。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物は、上記ビード部4のビードエイペックスゴム8に使用されるものである。
本発明の空気入りタイヤは、上記本発明のビードエイペックス用ゴム組成物を用いて、従来公知の方法により製造される。すなわち、上記した必須成分、および必要に応じて配合されるその他の添加剤を含有するビードエイペックス用ゴム組成物を混練りし、未加硫の段階でタイヤのビードエイペックスの形状に合わせて押出し加工し、タイヤの他の部材とともに、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明のタイヤを得ることができる。
かかる本発明の空気入りタイヤにおいては、特にビードエイペックスゴムに対する石油資源由来の原料の使用量が低減されることによって省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、操縦安定性および燃費に優れ、さらに製造時の加工性にも優れる。よって本発明が提供する空気入りタイヤは、地球環境に優しい「エコタイヤ」として、たとえば乗用車用、トラック用、バス用、重車両用など、種々の用途に対して好適に適用され得る。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜5および比較例1〜5>
(未加硫ゴムシートの作製)
表1および表2に示す配合処方に従い、神戸製鋼所製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く配合成分を150℃で5分間混練して混練り物を得た。これに硫黄および加硫促進剤を表1および表2に示す配合処方で加えて、2軸オープンロールを用い、80℃で5分間さらに練り込んで未加硫ゴム組成物を調製し、さらにこれを所定厚みに押出して、所定形状の未加硫ゴムシートおよび未加硫ゴム片を得た。
(試験用ゴムシートの作製)
上記で得た所定形状の未加硫ゴムシートおよび未加硫ゴム片を170℃で15分間加硫し、試験用ゴムシートおよび試験用ゴム片を得た。
(試験用タイヤの作製)
上記の方法で得た厚み10mmの未加硫ゴムシートをビードエイペックス形状に押出し、タイヤの他の部材とともに、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成した。この未加硫タイヤを加硫機中で、175℃で10分間加熱加圧することにより、図1に示す構造を有するサイズ195/60R15の空気入りタイヤを試験用タイヤとして作製した。
(ムーニー粘度指数)
上記の未加硫ゴム組成物につき、JIS K6300に準じて、130℃でムーニー粘度を測定し、比較例1のムーニー粘度を100として、下記の計算式、
ムーニー粘度指数=(各実施例および各比較例のムーニー粘度)÷(比較例1のムーニー粘度)×100
により指数表示した。指数が小さいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(ゴム硬度)
上記の方法で得た150mm×150mm×2.0mmの試験用ゴムシートを3枚重ねたサンプルにつき、JIS K6253に準じてゴム硬度を測定した。
(ガーベダイ押出し性)
上記の未加硫ゴム組成物につき、ラボプラストミルにガーベダイをセットして押出し性を評価した。評価はASTM D2230のB法に準じ、押出し物の表面はだをA〜Eで採点することにより行なった。
(押出し加工性)
ASTM D2230のB法に準じた方法で押出し加工性を評価し、押出し物のエッジが1〜10点の採点で6点以上であり、表面はだがA〜Eの採点でAまたはBである場合をA、上記以外の場合をBとして示した。
(複素弾性率(E*),損失正接(tanδ))
上記の方法で得た4.0mm×2.0mm×40mmの試験用ゴム片につき、イワモト製の粘弾性スペクトロメータを用い、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件で、E*およびtanδを測定した。
(引張強度(TB),破断伸び(EB))
上記の方法で得た3号ダンベルの試験用ゴムシートにつき、JIS K6251に準じて引張強度(TB)および破断伸び(EB)を測定した。
(操縦安定性)
上記で得た試験用タイヤをトヨタカローラに装着し、タイヤテストコースにて実車の操縦安定性試験を行なった。応答性が許容できる場合をA、応答性が許容できない場合をBとして、操縦安定性を評価した。
(耐久性)
上記で得た試験用タイヤを、台上評価にて30000km走行させた後、解体して、ビードエイペックスの損傷状況を目視で観察した。ビードエイペックスに損傷が見られなかったものをA、損傷が見られたものをBとして評価した。
Figure 2008303325
Figure 2008303325
注1:天然ゴムは、TSRである。
注2:エポキシ化天然ゴムは、Mu−ang Mai GuthriePublic Company Limited(タイ)製の「EPOXYPRENE25」(エポキシ化率25%)である。
注3:カーボンブラックは、キャボネットジャパン製の「ショウブラックN330」(BET比表面積:79m2/g)である。
注4:シリカは、デグッサ製の「VN2」(BET比表面積:125m2/g)である。
注5:クレーは、竹原化学工業(株)製の「サテントンW」である。
注6:シランカップリング剤は、デグッサ製の「Si69」である。
注7:硬化性レジンは、住友デュレズ(株)製の「スミライトレジンPR12686」である。
注8:植物油は、日進化成(株)製の「なたね油」である。
注9:ステアリン酸は、日本油脂製の「ステアリン酸」である。
注10:酸化亜鉛は、三井金属鉱業製の「亜鉛華1号」である。
注11:硫黄は、鶴見化学工業製の「粉末硫黄」である。
注12:加硫促進剤は、大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーNS」である。
表1および表2に示すように、無機フィラーとしてカーボンブラックのみを配合した比較例1ではtanδが高く、無機フィラーとしてカーボンブラックとシリカとのみを配合した比較例2,3では、比較例1と比べてtanδは低減されるもののムーニー粘度が高く加工性が良好でなかった。また、クレーの配合量が少ない比較例4では加工性が良好でなくE*が低い傾向であり、クレーの配合量が多い比較例5では耐久性が良好でなかった。一方、比較例2のシリカの配合量と同量となるようにシリカとクレーとを組合せて配合した、本発明例である実施例1〜5においては、ゴム物性、タイヤ操縦安定性、タイヤ耐久性が良好な傾向にあり、かつ比較例2と比べてtanδが低減されていた。また実施例1〜5においては、比較例2と比べてムーニー粘度が低減されており、ガーベダイ押出し性および押出し加工性で評価される加工性が良好な傾向であった。よって、本発明によれば、高剛性、低発熱性で、調製時の加工性にも優れるビードエイペックス用ゴム組成物が得られることが分かる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のビードエイペックス用ゴム組成物は、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用等の各種用途の空気入りタイヤのビードエイペックスゴムに好適に適用され、本発明の空気入りタイヤは、上記各種用途に好適に適用され得る。
本発明に係る空気入りタイヤの左半分を例示した断面図である。
符号の説明
1 タイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカス、7 ベルト層、8 ビードエイペックスゴム、9 インナーライナゴム、3G サイドウォールゴム、4G クリンチゴム。

Claims (6)

  1. ゴム成分と、シリカおよびクレーを少なくとも含む無機フィラーと、を含有し、
    前記ゴム成分は、天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分を含み、
    前記クレーの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して5〜40質量部の範囲内であり、
    前記シリカと前記クレーとの配合量の合計は、前記ゴム成分100質量部に対して65質量部以上である、ビードエイペックス用ゴム組成物。
  2. 前記無機フィラーはカーボンブラックをさらに含み、
    前記カーボンブラックの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以下である、請求項1に記載のビードエイペックス用ゴム組成物。
  3. 前記無機フィラーの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して70質量部以上である、請求項1または2に記載のビードエイペックス用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分が前記天然ゴム成分からなる、請求項1〜3のいずれかに記載のビードエイペックス用ゴム組成物。
  5. デュロメータ硬さが70〜95の範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載のビードエイペックス用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のビードエイペックス用ゴム組成物からなるビードエイペックスゴムを備える空気入りタイヤ。
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