JP2008303300A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光照射などの手段により分解速度の速い樹脂組成物、樹脂組成物中に光触媒粒子である二酸化チタンが凝集を伴うことなく分散した状態にある樹脂組成物の提供。
【解決手段】アナターゼ型酸化チタン又はルチル型酸化チタンから選ばれる光触媒性粒子を含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の破断面において、2次粒子径100nm以上の光触媒性粒子が1μmあたり2個以下で高度に分散していることを特徴とする樹脂組成物及びこれから形成されている構造体。
【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂組成物およびその用途に関する。本発明により得られる樹脂組成物は太陽光等の光照射によって分解することができるため、樹脂を廃棄物として処理する際に、自然に崩壊させることができ、処理コストの低減や処理時間の短縮を可能とするものである。
近年、プラスチック材料の廃棄物問題が顕在化し、深刻な状況にある。本来安定で劣化の少ない材料として登場したプラスチック材料は、本来の特性が安定性は有することにある。使用中は材料としての機能を十分に発揮する有効な材料として用いられる。使用後において回収されることなく環境中に放置されたり、処理と称して環境中に廃棄放置されると、自然環境中に長期間残存する結果となる。焼却処理や改質処理を行う場合には、分別回収が困難であり、プラスチック材料は比重が低いため、廃棄物の中における容積占有率が高く、廃棄物処理場の確保の点でも大きな問題を抱えている。
このようなことを考慮して、生分解性機能を付与したプラスチックの利用が検討され、既にその利用が行われている。生分解性プラスチックは通常の使用状況下では一般のプラスチックと同様に使え、使用後は自然界に生息する微生物などの働きによって分解され、自然に還る材料として期待されている。
生分解性プラスチックを速やかに分解するためには、微生物が多く存在する環境が必要となる。例えば、生ごみなどからなるコンポスト(堆肥)とともに処理するシステムが提案されている。こうした処理には処理に必要な面積を有する施設の建設が必要となる。一般的な土壌、農地、生活廃水、産業排水中で直接微生物と接触処理するだけでは、十分な分解速度を得ることができない。
環境汚染対策や抗菌性を付与するために光触媒機能を有する酸化チタンが用いられ、社会環境の向上に役立っている(特許文献1、特許文献2)。
この光触媒機能を有するアナターゼ型微粉末酸化チタンなどの酸化チタン微粒子(超微粒子(1〜100nm))を生分解性プラスチックに添加して生分解性プラスチックの分解速度を速めることが行われる(特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
これら二酸化チタンの混合方法は、機械的な溶融混練、例えば一軸および二軸押出機、バンバリーミキサー、各種ニーダー、ローダーなどを用いて、直接製品とするか、又は一旦ペレット化するなどの方法により行われている。しかしながら、これらの溶融混練手段を用いたのでは、樹脂組成物中に二酸化チタン微粒子を、十分に均一分散を図ることができないとされている。
二酸化チタンは光触媒能をもち、有害な薬品などを使用せずに太陽光の光エネルギーを利用するだけで分解されにくい種々の有機物を二酸化炭素と水などに分解する作用を有している。またそれ自体安全無害な物質であり、廃棄されても二次公害の危険性もなく、利用に際しては良好な特性を有している。超微粒子とは一般的に粒径が1〜100nmのものであり、粒径100nm以上の粒子などに比べ表面積が著しく大きくなるため、粒子一個の光触媒能も非常に高いものとなる。一方、逆に表面積が大きくなるに伴い粒子同士の凝集が起こりやすくなる。水中における強酸性領域では表面にH+が吸着して耐電することから分散体を得ることが出来るものの、中性付近や有機溶媒中においては超微粒子としての安定性を確保するのが非常に難しい。
その対策として生分解性ポリマーに、表面が酸性基単独、または、酸性基と塩基性基の両方で修飾された二酸化チタン超微粒子を複合化しているものが用いられる(特許文献6)。しかしながら、表面が酸性基単独、または、酸性基と塩基性基の両方で修飾された二酸化チタン超微粒子を用いる場合には、化学的な処理であり、又煩雑な処理であり、基本的な解決を示唆していない。
前記の熱可塑性ポリエステル樹脂中に、二酸化チタンなどの無機系紫外線吸収剤および有機系分散剤を配合した樹脂組成物において、無機系紫外線吸収剤の添加量が熱可塑性ポリエステル系樹脂100重量部に対し0.01〜50重量部であり、かつ有機系分散剤の添加量と無機系紫外線吸収剤の添加量の比(R=有機系分散剤添加量/無機系紫外線吸収剤添加量)が0.1≦R≦5であるとするポリエステル系樹脂組成物の発明(特許文献7)が知られている。通常1次粒子が凝集した2次粒子の状態でプラスチックに添加され、溶融混練されている。また、プラスチックを可塑化・混練時に無機化合物微粒子を添加すると、混練中に粒子間の相互作用でプラスチック中での無機化合物粒子の分散性が低下し、1次粒子もしくは2次粒子の凝集が起き、分散粒子径が数μmから数十μmオーダーの2次粒子が生成する問題点を解消しようとしている。この場合でも有機系分散剤の処理であり、プラスチックそのものを希釈するなどの点で問題解決となっていない。
前記の樹脂組成物中に二酸化チタンによる凝集を伴うことなく分散する問題が解決できないために、前記のようにプラスチックにおいて、依然として分解速度の速い樹脂組成物を得られていないという結論に達した。
特開平11−349423号公報 特開2002−113053号公報 特開2004−99739号公報 特開平8―1806号公報 特開平9−194692号公報 特許第3880373号明細書、特開2003−138153号公報 特開2001−200144号公報
本発明が解決しようとする課題は、光照射などの手段により分解速度の速い樹脂組成物を得ること、具体的には、樹脂組成物中に二酸化チタンによる凝集を伴うことなく分散した状態にある樹脂組成物を得ることを提供するものである。
(ア)本発明者らは、従来技術を詳細に分析し、光触媒性粒子の存在下に光照射などを行ったときに光量が十分に吸収されており、光の量は十分に存在しているにもかかわらず、分解は十分でない理由は光触媒粒子凝集などを起し、分散状態が均一でなく、その結果、光の存在が不均一となり、期待する分解速度が得られないのではないかと考えられる。したがって、光触媒性粒子をできるだけ凝集していない状態で均一に分散させれば期待する結果が得られることができる。
(イ)従来の問題点は、光触媒性粒子を樹脂や生分解性プラスチック中に均一に分散させることができていないという点にあるという結論に達した。
(ウ)既に本発明者らは前記公知例に見られる、リアクティブプロセッシングの限界があることを痛感していた。樹脂の溶融混練に際し、高剪断成形加工方法を開発して、これを用いることによる世界で始めての非相溶性高分子ブレンド系においてナノ分散構造の形成に成功した(Poryfile 2007.2号 p26から29頁)。
(エ)このときに培った技術を適用することにより課題を解決できるのではないかと考え、以下の方法を試みて前記の課題を解決することができた。
(オ)本発明によれば、樹脂中に凝集しておらず、高度に均一に分散している状態の光触媒性微粒子を含む樹脂組成物をえることができ、光吸収性を有する樹脂組成物であり、前記樹脂として生分解性樹脂を用いた場合には、光吸収性を有する他に生分解性を有する樹脂組成物を得ることができる。前記樹脂組成物の破断面において、2次粒子径100nm以上の光触媒性粒子が1μmあたり2個以下で高度に分散している。好ましくは、前記2次粒子径が100nm以下である。2次粒子径は樹脂組成物の破断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果より確認できるものである。
(カ)具体的には、以下の条件のもとに行われる溶融混練処理による樹脂組成物により得ることができる。光触媒性粒子と樹脂による溶融混練に際し、スクリューの回転数をあげると共に、高いせん断速度を維持するようにすれば、樹脂組成物中に凝集しておらず、高度に均一に分散している状態の光触媒性微粒子を含む状態とすることができる。
シリンダー中で、スクリューを回転させる処理装置により、スクリューの回転数が200rpm〜3000rpm、せん断速度が300〜4500sec−1の条件下に処理を行い、前記溶融混練した前記光触媒性粒子と樹脂をスクリューの後端から先端に送り前記スクリューの先端の間隙に閉じ込めた後、該間隙から前記スクリューの後端に戻す循環を行って前記充填剤と樹脂の溶融混練を行う。
(キ)更に、前記溶融混練部にシール部分を備え、前記スクリューの先端面と該先端面の間にシール部分を設け、対向したシール部の間隔が0.5mm〜5mmであって、前記スクリューの孔内径が1mm〜5mm、好ましくは2mm〜3mmであって、被溶融混練樹脂温度が室温より50℃高い温度の条件下で前記光触媒性粒子と樹脂の溶融混錬を行うことによって製造する樹脂組成物を得ることができる。
(ク)光照射などの手段により分解速度の速い樹脂組成物を得ることができることとは以下の条件下に実験を行い、前記条件下に溶融混練して得られる光触媒性微粒子と樹脂からなる樹脂組成物を、紫外線強度1.0mW/cmの光照射を15日間行った後、樹脂組成物の単位面積あたりの重量減少量が0.2mg/cm以上である樹脂組成物を得ることができることにより確認することができた。
(ケ)そして、前記光触媒性粒子としてはアナターゼ型酸化チタン又はルチル型酸化チタンの少なくとも一つであること。前記光触媒性粒子の1次粒子径が5nm〜30nmであって、より好ましくは5nm〜10nmであること。光触媒性粒子は前記樹脂に対して、10重量%以下であること。樹脂には、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性プラスチックのいずれかを含むこと。前記樹脂は生分解性のプラスチックであること。これらによる構造体を成形加工により得ることができること。前記構造体としてはフィルム状であることが期待できる。
本発明によれば、光照射などの手段により分解速度の速い樹脂組成物を得ること、凝集していない高度に分散している状態で光触媒性微粒子を含む樹脂組成物を得ることができる。この樹脂組成物は特定の条件下に樹脂と光触媒性微粒子を溶融混練することにより得ることができる。得られた樹脂組成物は効率よく太陽光を吸収することができるので、樹脂組成物を分解することができる。樹脂として生分解性樹脂を使用した場合、生分解性に優れる特性に加え、光照射により光吸収性を有することから分解速度を更に促進することができる。本発明によれば、農業用フィルム等、様々なプラスチック製品に応用することができる。
本発明は、光照射などの手段により分解速度の速い樹脂組成物、樹脂中に凝集していない高度に分散している状態で光触媒性微粒子を含む樹脂組成物を得ることができる。樹脂中に凝集していない高度に分散している状態で光触媒性微粒子を含んだ状態の樹脂組成物については、従来は知られていない。本発明の樹脂組成物の破断面において、2次粒子径100nm以上の光触媒性粒子が1μmあたり2個以下で高度に分散している。より好ましくは、前記2次粒子径が100nm以下である。この樹脂組成物は微構造観察により確認することができる(実施例参照)。具体的には、試料を液体窒素中で凍結・破断し、破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することにより可能となる。以上の樹脂組成物は光照射などの手段により分解速度の速い樹脂組成物としての特性を示す。
前記光触媒性微粒子の1次粒子径は、大きさは5nm〜30nmである。これよりもサイズが大きいと表面積が小さくなるため、反応活性点が少なくなり、これよりもサイズが小さいと結晶性が悪くなる。より好ましくは、前記光触媒性微粒子の1次粒子径の大きさは5nm〜10nmである。一次粒子径はX線回折ピークの半値幅から以下のScherrerの式を用いて算出することができる。
[式1]
r=0.9λ/Bcosθ (r=粒子径、λ=X線の波長、B=半値幅、θ=回折角度)
光触媒性微粒子としては、酸化チタン(TiO)が用いられる。この内のアナターゼ型酸化チタン又はルチル型酸化チタンが用いられる。酸化チタンは化学的に安定で優れた光触媒特性を持ち、無毒、無害のため自然界に還した場合の環境汚染等のない材料である。
二酸化チタン超微粒子は、公知の方法により得られる。
二酸化チタン超微粒子はチタンアルコキシドの加水分解やJapanese. Journal of Applied Physics、第37巻、P4603−4608(1998年)に記載されている二酸化チタン超微粒子合成方法が採用できる。後者の場合、まず四塩化チタン(TiCl4)溶液を加水分解し、これより得られる塩酸含有のチタンオキシクロライド(TiOCl)水溶液あるいは、水とエタノールなどのアルコールとの混合溶媒に溶解させた溶液を加水分解させ、二酸化チタンを生成させる。この時、エタノールなどの一価アルコールあるいはエチレングリコールなどの多価アルコールを添加しておくと反応が促進され、最終的に1〜100nmの二酸化チタン超微粒子を得ることが出来るので好ましい。これは生成過程にある二酸化チタン超微粒子表面にアルコール分子が吸着活性化し、また被覆により凝集による粒子径の増大が抑止されているものと考えられる。生成した二酸化チタン溶液は遠心分離などの方法で二酸化チタンを分離し、酢酸エチルなどの適当な溶媒で繰り返し洗浄する。
本発明の樹脂組成物の光触媒分解を促進するため、前記アナターゼ型酸化チタンないしルチル型酸化チタンに窒素、リン、硫黄、炭素、ホウ素、フッ素からなる群より選択される少なくとも一つのアニオンをドープしても構わない。また、可視光を吸収することのできる白金錯体や硫化カドミウム、色素を複合しても構わない。また、本発明に係る酸化チタン微粒子の電荷分離を促進させるため、前記酸化チタン微粒子にPt, Pd, Ag, Cu, Au, Ni, Ru, Pbからなる郡から選択される少なくとも一つの金属を担持してもよい。前記金属を担持することによって光励起した電子正孔対が効率的に分離し、光触媒活性が増大する。また、特にAgやCuを担持した場合、抗菌性や防藻性も発揮する。また、本発明の樹脂組成物には光触媒活性や光誘起親水化反応が発現するため、防曇、防汚、セルフクリーニング部材として利用することもできる。
本発明の樹脂組成物の紫外線吸収能を促進するため、ドープする金属(イオン)としては、酸化チタン微粒子と異なる金属を用いることが好ましい。このような金属としては、遷移金属元素、あるいはLi、Mg、Al、Ga、In、Sn、Sbのうち、少なくとも一種を用いることが好ましく、特に好ましくは、遷移金属元素のCr、V、Fe、Coである。
金属をドープする場合、ゾル−ゲル法やイオン交換法等の化学的な手法では、金属化合物以外の新しい吸収帯が可視光領域に現れるものの、可視光照射下での光活性は低く、紫外線照射下での活性も大きく減じてしまう。これは、ドープした金属が再結合中心になってしまうためと推測される。一方、イオン注入法のような物理的手法で金属をドープすると、吸収帯全体が長波長側にシフトするため、金属のドーピング方法としては、イオン注入法が好ましく用いられる。また、吸収帯の高波長域へのシフトはドープ量に比例するが、400nm以上に吸収を持つ場合には透明性には優れても着色が避けられなくなるため、内容物の耐光性等要求品質に合わせて吸収帯およびそれに対応する金属ドープ量を決定することが好ましい。ただし、内容物が食品などで可視光を遮断することが要求される場合には、金属ドープ量を増やすことが好ましく行われる。
本発明の光触媒性微粒子の樹脂中での分散性を高めるために、粒子の表面に、更に、アルミニウム、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン、亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種の水酸化物、ないし、酸化物が被覆されていても良い。また、カルボン酸、アミン、ポリオール、シロキサン、シランカップリング剤等の酸性基修飾、塩基性基修飾や有機化合物による修飾することも行なわれる。更に、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等の有機物で表面処理しても構わない。表面修飾物は物理的に接触していても化学的に結合していても構わない。また、鉄などの遷移金属をドーピングしても構わない。
超微粒子表面の酸性基修飾は以下の通りである。
酢酸エチルで洗浄した後、二酸化チタンを酸性基で表面修飾を行う。この過程で酸性基修飾が進むにつれて有機溶媒への分散性がよくなって行く。
酸性基とは、水中でH+を放出し酸性を示す基であり、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基等があげられるが好ましくはカルボキシル基であり、カルボキシ基を有する有機化合物としては飽和あるいは不飽和カルボン酸である。例示すれば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヘキシル酸、オクタン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸などが挙げられる。傾向として、メチレン基の数が増えるに従って極性の低い溶媒に分散しやすくなる。このようにして合成された表面修飾した二酸化チタン超微粒子はまずエタノール、1-ブタノールなどのアルコールに分散させる。加熱還流あるいは超音波化学処理した後、溶媒の極性を変化させるためにトルエンなどの低極性溶媒を同量加える。これに所望のポリマーを溶解させ、二酸化チタン超微粒子・ポリマー組成物を形成することは可能である。
超微粒子表面の塩基性基修飾は以下の通りである。
酸性基で修飾した二酸化チタン超微粒子は活性なサイトを多く残しているため、選択するポリマーとの組み合わせによっては黄色ないし赤色着色という問題を引き起こす場合もある。それを防止するために表面を塩基性基で修飾を行う。塩基性基とは水中でH+を受け取り塩基性を示す基であり、主にアミノ基(アミン)があげられ、例えば二酸化チタン超微粒子のトルエン・1ブタノール溶液にアミンを加えて塩基性修飾を行う。
樹脂又は樹脂と同様に用いられる高分子化合物は、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂中のポリエステル系樹脂の中から選ばれる。これらの分子量は格別断らない限り、数平均分子量であり30000から100000の範囲のものが用いられる。
本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、その酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンー2,6ージカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、サクシン酸、セバシン酸の少なくとも1種以上、ジオール成分が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、あるいはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類の少なくとも1種以上が重合されることにより構成される。
この他の酸成分としてジフェニルスルホンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、アゼライン酸などが選択が可能であり、ジオール成分もネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,2−ビス(4−βーヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(βーヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
さらに、熱可塑性ポリエステル系樹脂は、オキシ酸の重合体、あるいはオキシ酸の共重合体からなるポリエステル樹脂組成物でも構わなく、そのオキシ酸として乳酸、εーカプロラクトン、p−オキシ安息香酸、p−βーヒドロキシエトキシ安息香酸など様々に選択することができる。
熱可塑性ポリエステル系樹脂の代表的な例として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PET)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート樹脂、ポリブチレンテレフタレートアジペート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂(以下PEN)などの芳香族ポリエステル樹脂や、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂(PES)、ポリエチレンセバケート樹脂などの脂肪族ポリエステル樹脂や、あるいは芳香族ポリエステルにポリオキシアルキレングリコールを共重合させたポリエステルエラストマーでも使用が可能であり、これらの2種以上のブレンドを用いることも行われるが、機械的性質、耐薬品性、耐熱性等に優れ、延伸や熱固定により剛性や寸法安定性等も向上させうることなどから、特にPETが好ましく用いられる。
次に本発明で用いる生分解性樹脂とは、生分解性を持つポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミノ酸樹脂などがある。微生物による生分解特性を有すると共に、紫外線などの光照射によって分解を促進することができる。
生分解性のポリエステル樹脂としては、前記従来公知のもの、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシヘキサノエートサクシネート、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリジグリコール酸ブチレン、ポリカプロラクトン(PCL)及びこのようなオキシ酸の重合体、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート(PBS)及びアジペート共重合体、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリエチレンセバケート、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられ、生分解性のポリカーボネートとしてはポリエチレンカーボネート(PEC)、生分解性のポリアミドとしては、ナイロン4、ナイロン2/ナイロン6共重合体、生分解性のポリアミノ酸ではポリアスパラギン酸などを用いることができる。さらにそれら2種類以上の混合物などの他、エステル化澱粉、酢酸セルロース等やこれらを含む樹脂を使用することができる。
触媒性粒子は前記樹脂に対して、0を超えて10重量%以下の割合で含有していることが必要である。
本発明の樹脂中に凝集していない高度に分散している状態で光触媒性微粒子を含む樹脂組成物は、前記の特定物質を特定の割合で溶融混練をおこなうことにより得られる。
図1により説明する。
シリンダー内にスクリューが設置されており、シリンダーは加熱部を有しており、温度は熱伝対により測定され、検出結果に応じて加熱温度の制御が行なわれる。
光触媒性粒子と樹脂は特定の供給割合で試料投入部からシリンダーの内部に供給される。
光触媒性粒子と樹脂は、融混練操作温度に加熱保持されたシリンダー内において、スクリューの回転数は200rpm〜3000rpm、せん断速度は300〜4500sec−1の各々の範囲の条件下に、溶融混練処理が施される。前記シリンダー内にシール部を備え、シール部のうち樹脂組成物と接触する面(シール面)がスクリューの軸と垂直に配置されている。
融混練操作の際、光触媒性粒子と樹脂はスクリューの後端からスクリューとシリンダーの間を通って先端に送り、前記スクリューの先端とシール面との間隙に閉じ込めた後、該間隙からスクリューの内孔を通ってスクリューの後端に戻す循環を行って、溶融混練を継続して行って製造される。
このような高せん断流動場を利用して、樹脂中に光触媒性微粒子がナノレベルで均一分散される。
スクリューの回転数が200rpmに満たない場合には十分な混合を行うことができない。逆に3000rpmを超える条件の場合、樹脂自体が高せん断場により分解してしまうため、この範囲内の値が採用される。
せん断速度は300sec−1未満の場合には、十分な混合を行うことができない。逆に、4500sec−1を超える条件の場合、樹脂自体が高せん断場により分解してしまうため、この範囲内の値が採用される。
前記スクリューの先端面と該先端面に対向したシール面との間隔が0.5mm〜5mmであって、前記スクリューの孔内径が1mm〜5mm、好ましくは2mm〜3mmであり、溶融混練温度が室温より50℃高い温度条件下に前記光触媒性粒子と樹脂の溶融混錬を行う。
樹脂には、各種の添加剤を用いることができる。
成形時、目的(例えば成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性等の向上)に応じ各種添加剤(可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、天然物)等を添加することができる。フィルム、シートのブロッキング防止やすべり性を改良するために、無機添加剤や滑剤(脂肪族カルボン酸アミド類)を添加することもできる。
無機添加剤には、特に制限はなく、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、カオリナイト、酸化亜鉛等が挙げられる。これ等は一種又は二種以上の混合物として用いる事もできる。又、有機添加剤としては、デンプン及びその誘導体、セルロース及びその誘導体、パルプ及びその誘導体等が挙げられる。
成形体及びその製造法
本発明の樹脂組成物を用いて各種の成形体である構造体を得ることができる。例えばフィルム及びシート、モノフィラメント、射出成形体、ブロー成形体、積層体、発泡体、真空成形体などの熱成形体等が挙げられる。
生分解性樹脂組成物による成形体の成形方法としては、射出成形法、ブロー成形法(射出延伸ブロー、押出し延伸ブロー、ダイレクトブロー)、バルーン法、インフレーション成形、共押出法、カレンダー法、ホットプレス法、溶媒キャスティング法、(延伸)押出し成形,紙やアルミとの押出しラミネーション法、異形押出し成形、真空(圧空)成形などの熱成形、溶融紡糸(モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンボンド法、メルトブローン法、解繊糸法など)、発泡成形法、圧縮成形法等が挙げられ、何れの方法にも適応できる。特に、押出し成形、溶融紡糸などの延伸配向結晶化させる工程を取り得る成形法の場合、得られる成形体の強度、耐熱性、耐衝撃性、透明性等の実用強度や外観を改良させる事ができ、より好ましく用いられる。本発明に係わる光・生分解性組成物から得られる成形体は、例えば、公知・公用の成形法で得られる成形体を包含し、その形状、形態、大きさ、厚み等に関して何ら制限はない。
用途の具体例
本発明に係る光・生分解性ポリマー組成物を上記成形方法から得られる、ボトル、フィルム又はシート、中空管、積層体、真空(圧空)成形容器、(モノ、マルチ)フィラメント、不織布、発泡体、ショッピングバッグ、紙袋、シュリンクフィルム、ゴミ袋、コンポストバッグ、弁当箱、惣菜用容器、食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、化粧品・香粧品用ラップフィルム、おむつ、生理用ナプキン、医薬品用ラップフィルム、製薬用ラップフィルム,肩こりや捻挫等に適用される外科用貼付薬用ラップフィルム、農業用・園芸用フィルム、農薬品用ラップフィルム、温室用フィルム、肥料用袋、包装用バンド、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、フレキシブルディスク(FD)包装用フィルム、製版用フィルム、粘着テープ、テープ、ヤーン、育苗ポット、防水シート、土嚢用袋、建築用フィルム、雑草防止シート、植生ネット、など食品、電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用フィルム、農業・土木・水産分野で用いられる資材等の広範囲における材料として好適に使用し得る。
本発明の樹脂組成物の中には光触媒性微粒子が高度に分散しているため、太陽光などの前記光触媒性微粒子を励起しうる光照射によって高度に分解する。本発明の樹脂組成物に紫外線強度1.0mW/cmの光照射を15日間行った後、樹脂組成物の単位面積あたりの重量減少量が0.2mg/cm以上である。本発明のより好ましい態様では、紫外線強度1.0mW/cmの光照射を15日間行った後、樹脂組成物の単位面積あたりの重量減少量が0.5mg/cm以上である。前記紫外線強度は、例えば、トプコン社製の紫外線強度計(UVR−2)等を用いて測定することができる。本発明に係る光触媒性微粒子を励起するための光源として、太陽光以外にも、例えば、ブラックライト、殺菌ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LED(白色、青、緑、赤)、レーザー光等も使用できる。
本発明の樹脂組成物や該樹脂組成物からなる構造体は、使用後の廃棄において、太陽光の当たる場所に設置しておけば、徐々に分解して無機化する。また、前記樹脂として生分解性プラスチックを使用した場合、太陽光の当たる土壌の上に設置しておけば、通常の生分解と光触媒分解とを併せた効果が得られる。また、コンポスト処理において光照射装置を併用して、前記樹脂組成物を分解しても構わない。また、太陽光や人工光源のあたる農業廃水や生活廃水中に設置しても構わない。本発明の樹脂組成物は自然エネルギーである太陽光によって安全な無機材料に分解するため、生態系を壊すことなく、廃棄物処理コスト低減や処理時間の短縮につながる画期的な材料である。
1.樹脂組成物を製造するための装置について
シリンダー内にスクリューが設置されており、シリンダーは加熱部を有しており、温度は熱電対により測定され、検出結果に応じて加熱温度の制御が行なわれる。
光触媒性粒子と樹脂は特定の供給割合で試料投入部からシリンダーの内部に供給される。
光触媒性粒子と樹脂は、融混練操作温度に加熱保持されたシリンダー内において、スクリューの回転数は200rpm〜3000rpm、せん断速度は300〜4500sec−1の各々の範囲の条件下に、溶融混練処理が施される。前記シリンダー内にシール部を備え、シール部の樹脂組成物と接触する面(シール面)がスクリューの軸と垂直に配置されている。
融混練操作の際、光触媒性粒子と樹脂はスクリューの後端からスクリューとシリンダーの間を通って先端に送り、前記スクリューの先端とシール面との間隙に閉じ込めた後、該間隙からスクリューの内孔を通ってスクリューの後端に戻す循環を行って、溶融混練を継続して行って製造される。
このような高せん断流動場を利用して、樹脂中に光触媒性微粒子がナノレベルで均一分散される。
スクリューの回転数が200rpmに満たない場合には十分な混合を行うことができない。逆に3000rpmを超える条件の場合、樹脂自体が高せん断場により分解してしまう。
せん断速度は300sec−1未満の場合には、十分な混合を行うことができない。逆に、4500sec−1を超える条件の場合、樹脂自体が高せん断場により分解してしまう。
前記スクリューの先端面と該先端面に対向したシール面との間隔が0.5mm〜5mmであって、前記スクリューの孔内径が1mm〜5mm、好ましくは2mm〜3mmであり、溶融混練温度が室温より50℃高い温度条件下に前記光触媒性粒子と樹脂の溶融混錬を行う。
樹脂組成物の合成、フィルム状構造体の成形方法
光触媒性微粒子として酸化チタンの粉末を2種類使用した(製品名:P-25、ST-01)。Degussa社製のP-25はルチル型とアナターゼ型の結晶構造が混在し、石原産業社製のST-01はアナターゼ型酸化チタンである。X線回折で測定した粒子の一次粒径は、P-25が30nm、ST-01が7nmである。
樹脂として、ポリブチレンサクシネート(PBS:昭和高分子社製、ビオノーレ#3001)とポリ乳酸(PLA:ユニチカ製、TP4000)を使用した。いずれの樹脂も混練に先立って、80℃(真空下)で、少なくとも12時間乾燥した。
光触媒性微粒子と樹脂を、表1に基づく条件で井元製作所製の高せん断成形加工機(HSE3000mini)に投入し、2分間溶融混練した。この時の、スクリューの先端面と該先端面に対向したシール面との間隔は0.5mm、スクリューの孔内径を2.5mmとした。比較例として、光触媒性微粒子を添加しないものも用意した。
得られた樹脂組成物を粉砕した後、ホットプレス成形して、膜厚が50μm〜100μmのシートを得た。ホットプレスの際の温度は、樹脂としてPBSを使用している場合は150℃、PLAを使用している場合は200℃とした。
樹脂組成物の微構造観察について
#5〜#9試料、#15試料を液体窒素中で凍結・破断し、破断面を走査型電子顕微鏡(SEM:日立製作所(株)、S-4800)で観察した結果を図2に示す。この結果、高速のせん断速度で加工したものの方が、光触媒性微粒子の凝集が抑制され、高度に分散していることがわかった。回転速度50rpm(#5)、100rpm(#6)には2次粒子径として100nm以上の粒子が複数観測された(図中に矢印で図示)。#7〜#9、#15試料においては、2次粒子径100nm以上の光触媒性粒子は1μmあたり2個以下で高度に分散していた。
紫外線照射による分解
前記フィルムを2cm×5cmの大きさに切断し、紫外線照射時の重量変化を測定した。紫外線の照射は10Wのブラックライト(東芝製)を用い、紫外線照度は紫外線照度計(トプコン製、UVR-2)による計測値で、1.0mW/cm2となるように設定した。フィルムの単位面積あたりの重量変化について、樹脂としてPBS、光触媒性粒子としてST-01を用いた試料の結果を図3に、樹脂としてPLA、光触媒性粒子としてP-25を用いた試料の結果を図4に示す。この結果、光触媒性粒子が含まれる試料は、紫外線の照射に応じて重量が減少した。いずれもの試料も、紫外線強度1.0mW/cmの光照射を15日間行った後、樹脂組成物の単位面積あたりの重量減少量が0.2mg/cm以上であった。
次に、紫外線強度1.0mW/cmの光照射を15日間行った後の重量変化に対する加工時のスクリュー回転速度依存性を図5に示す。この結果、回転速度が200rpm以上において、紫外線照射下で高度に分解することが明らかになった。
次に、光触媒性粒子の粒径依存性を調べるため、1次粒子径が7nmであるST-01を用いた#9試料と、1次粒子径30nmのP-25を用いた#15試料に対し、紫外線強度1.0mW/cmの光照射を15日間行った後の重量変化を測定した。#9試料と#15試料は光触媒性粒子の粒径以外の合成条件は同一である。結果を図5に示したが、粒径の小さいST-01を用いた#9試料の方が分解速度は速かった。
次に、光照射前と26日間光照射をおこなった試料の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM:日立製作所(株)、S-4800)で観察した。#9試料の結果を図7、#15試料の結果を図8、#21試料の結果を図9に示す。この結果、樹脂としてPBS、PLAを問わず、いずれの樹脂組成物も紫外線照射によって分解し、疎な構造になっている様子が観察できた。また、#9と#21試料の紫外線照射前後の赤外吸収スペクトルをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR:Bio-Rad社、FTS6000ec Series)を用いて測定した。測定には顕微ATRユニット(Bio-Rad社、UMA600)を用い、吸光度を測定した。結果を図10に示したが、#9、#21試料とも紫外線照射によって樹脂由来のC=O伸縮振動(1739cm-1)が減少する一方、3000cm-1以上に酸化チタン由来の-OHないし樹脂が分解した際に生じる-COOH伸縮振動が観測された。これらの結果から、光触媒性微粒子を含む試料は紫外線の照射によって樹脂が分解し、OH基ないしCOOH基が生成することがわかった。
酵素反応による分解と紫外線による分解の併用
本発明の樹脂組成物に対し、生分解特性と紫外線照射による分解の併用効果を調べた。生分解特性として、フィルム状の樹脂組成物をエステラーゼ酵素(リパーゼPSアマノSD、和光純薬工業)の水溶液中に浸漬した際の重量変化を測定した。エステラーゼ酵素の濃度は0.1重量%とし、溶媒としてpH=7の中性リン酸緩衝液を用いた。また、紫外線の照射は前記と同様に、10Wのブラックライト(東芝製)を用い、紫外線照度は紫外線照度計(トプコン製、UVR-2)による計測値で、1.0mW/cm2となるように設定した。フィルム状の比較例1と#9試料に対し、紫外線の照射のみ、エステラーゼ酵素への浸漬のみ、紫外線照射とエステラーゼ酵素への浸漬をおこなった場合の、3日後における重量変化を測定した。結果を図11に示したが、#9試料において、酵素分解のみ、ないし、紫外線照射のみの場合に比べて、酵素分解と紫外線照射を併用したものの分解速度が優れていた。
機械的強度の測定
実施例2で得たフィルム状構造体に対し引っ張り試験を行い、弾性率を測定した。試料幅は2.96mmとした。各試料とも3サンプルずつ測定し、その平均値をとった。結果を表2に示すが、光触媒性粒子を加えることで弾性率が向上した。
本発明は、光照射による分解速度の速い樹脂組成物を提供することができる。本発明では、樹脂中に光触媒性粒子を高度に分散させることで、光照射時に樹脂が迅速に分解、無機化する。このため、本発明の樹脂組成物は地球環境に悪影響を与えることなく自然界に戻すことが可能である。該樹脂組成物は身の回りのプラスチック製品、フィルム、シート、ボトル、農業用フィルム、ごみ袋、食品包装フィルム、カード、工業用フィルム、繊維等、様々な用途に使用することが可能である。
本発明の樹脂組成物を製造するための装置の概略図。 本発明の樹脂組成物のSEM像。 本発明の樹脂組成物の重量変化を示す図。 本発明の樹脂組成物の重量変化を示す図。 本発明の樹脂組成物の光照射15日後の重量変化とスクリュー回転速度の関係を示す図。 本発明の樹脂組成物の光照射15日後の重量変化を示す図。 本発明の樹脂組成物(#9)のSEM像。 本発明の樹脂組成物(#15)のSEM像。 本発明の樹脂組成物(#21)のSEM像。 本発明の樹脂組成物のフーリエ変換赤外吸収スペクトル。 本発明の樹脂組成物の3日後の重量変化を示す図。

Claims (14)

  1. 光触媒性粒子を含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の破断面において、2次粒子径100nm以上の光触媒性粒子が1μmあたり2個以下で高度に分散していることを特徴とする樹脂組成物
  2. 前記2次粒子径が100nm以下であることを特徴とする樹脂組成物
  3. 前記光触媒性粒子を含む樹脂組成物は、樹脂と光触媒性微粒子を、スクリューを有し、溶融混練操作温度に加熱保持されたシリンダー内において、スクリューの回転数が200rpm〜3000rpm、せん断速度が300〜4500sec−1の条件下に、溶融混練を行った後に、スクリューの後端から先端に送り、前記スクリューの先端の間隙に閉じ込めた後、前記間隙から前記スクリューの後端に戻す循環を行い、溶融混練を継続して行って製造されることを特徴とする請求項1ないし2記載の樹脂組成物。
  4. 前記シリンダー内のスクリューの間にシールを備え、前記スクリューの先端面と該先端面に対向したシール面の間隔が0.5mm〜5mmであって、前記スクリューの孔内径が1mm〜5mmであり、溶融混練温度が室温より50℃高い温度条件下に前記光触媒性粒子と樹脂の溶融混錬を行うことを特徴とする請求項1〜3記載の樹脂組成物。
  5. 前記スクリューの孔内径が2mm〜3mmであることを特徴とする請求項1〜3記載の樹脂組成物。
  6. 前記光触媒性粒子の1次粒子径が5nm〜30nmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物。
  7. 前記1次粒子径が5nm〜10nmであることを特徴とする請求項1〜5記載の樹脂組成物。
  8. 前記光触媒性粒子がアナターゼ型酸化チタン又はルチル型酸化チタンから選ばれることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂が、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性プラスチックから選ばれることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の樹脂組成物。
  10. 前記樹脂が生分解性のプラスチックであることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の樹脂組成物。
  11. 前記光触媒性粒子は前記樹脂に対して、0を超えて10重量%以下の割合で含有していることを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の樹脂組成物。
  12. 前記樹脂組成物は、紫外線強度1.0mW/cmの光照射を15日間行った後、樹脂組成物の単位面積あたりの重量減少量が0.2mg/cm以上である崩壊されやすい特性を有することを特徴とする請求項1〜11いずれか記載の樹脂組成物。
  13. 前記1〜12いずれか記載の樹脂組成物から形成されていることを特徴とする構造体。
  14. 前記構造体がフィルム状であることを特徴とする請求項13記載の構造体。
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