JP2008302936A - 運搬用容器 - Google Patents

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【課題】運搬用容器の耐油性を高め、油類が付着した物品を収納した際に油類が容器表面に付着しても、剛性の低下などの変質が起きないようにする。
【解決手段】容器1の底板11の上面に重なる大きさの皿形の薄肉な内容器2を、耐油性樹脂材料を用いて予め成形しておき、この内容器2を容器1の射出成形金型に装填し、インサート成形により容器1の底板11の上面に一体化させ、物品が載る底板11の上面に耐油性樹脂層21を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、合成樹脂を材料とした射出成形により形成される、上面を開口した運搬用容器に関する。
この種の運搬用容器は、部品を移送する通い箱や物流過程で物品を配送する容器などして利用され、重量物を収納して輸送したり、これを多段に積み重ねて保管したりした際に、大きな荷重がかかる容器底板が変形を来し易い。そのため、図4に示されるように、底板の下面に格子状にリブを設けて剛性を高め、底板の変形を防止するようにしている(例えば特許文献1、2参照)。
実開昭62−150323号公報 特開2000−226021号公報
底板の下面に格子状にリブを設けることにより、ある程度の重みのある物品でも、底板を変形させることなく、容器に収納して運搬することが可能である。
しかし、例えば運搬用容器を機械製造工場の通い箱として使用し、表面に油類が付着した機械部品、例えば防錆油やグリースなどが付着した部品の運搬に用いた場合に、部品に付着していた油類が底板の表面に染み込んでしまい、これにより底板が変質して、部品の重みで底板が部分的又は全体的に変形してしまうことがあった。
勿論、油類の染み込みがなくとも、重い部品を収納すると底板が全体的に撓むなどの変形を来すことはあるが、油類が染み込んだ状態では、染み込みがない状態に比べて底板の変形量が大きくなり、また、収納物である部品を底板上から取り除いた後の復元性も低下して、元の形状に戻らずに変形したままとなってしまうこともあった。
耐油性樹脂材料を用いて運搬用容器を成形すれば、容器を油類に漬しても変質することはなく容器の耐用性能は高まるものの、製造コストが嵩みすぎる。製造コストをかけずに、この種容器の耐油性を高める手段は従来ないのが実情である。
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、通い箱などに利用される運搬用容器の耐油性を高め、油類が付着した物品を収納した際に油類が容器表面に付着しても、剛性の低下などの変質が起きないようにすることを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、平面視方形の底板の周辺を適宜な高さの側板で囲ってなる合成樹脂製の運搬用容器において、底板の上面及びその周りの側板の内面に亘る部分の表層に耐油性樹脂層を設けた構成を有することを特徴とする。
これによれば、油類が付着した物品を収納した場合に、この物品が容器内で接する部位である、底板上面とその周囲の側板内面の表層に耐油性樹脂層を設けてあるので、油類は耐油性樹脂層で遮られて容器内部に染み込んだり浸透したりすることはなく、油類により容器の剛性が低下するなどの容器が変質を来すことを防止することができる。
耐油性樹脂層は、少なくとも底板の上面全体に設けてあれば、油類の付着や浸透による底板表面の変質や物性の劣化を有効に防止し、容器成形当初の剛性を維持することが可能である。また、高さのある物品を収納したり物品を適宜な高さに積み上げて収納したりする場合に、側板内面に物品が接して油類が付着することから、収納する物品の高さなど容器の利用用途に応じて、側板内面の底板上面から適宜な高さに亘る部分に耐油性樹脂層を設けることが好ましい。側板内面全体に耐油性樹脂層を設けてもよい。
容器の底板上面と側板内面の表層に耐油性樹脂層を設ける手段としては、容器成形後の加工により耐油性樹脂層を設ける場合は、例えば耐油性樹脂材料により成形したシートやフィルムを容器の前記各面に貼り合わせ、一体化することが挙げられる。また、図1に示されるように、容器1の底板11の上面全体と周囲側板12、13の内面の適宜な高さの部分とに重なる大きさの、皿形の薄肉な内容器2を耐油性樹脂材料を用いて成形し、この内容器2を容器1の内部に上方から押し込んで容器内面に重ね合わせ、接着剤などで付着固定して一体化することが挙げられる。
また、容器1の成形工程で、予め成形しておいた内容器2を、容器1の射出成形金型に装填しておき、インサート成形により、金型への溶融樹脂の充填とともに内容器2を容器1の底板上面に一体化させても、底板上面と周囲側板内面の表層を耐油性樹脂層とすることができる。
本発明の運搬用容器は、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂材料を用い、射出成形により一体に成形されるものに適用される。容器の形状及び成形寸法は、運搬する物品の種類、形状、大きさ、重量などに応じて適宜に設定される。底板の剛性を高めるために下面にリブを設けることは適宜に行われ、リブを設けない容器にも本発明は適用することができる。また、容器の開口面に別体の蓋が被さるようにしてもよい。耐油性樹脂材料としては、PET−Gやナイロン(登録商標)などを用いることができ、また、内容器は前記樹脂材料を用いて真空成形法などにより適宜な厚みに成形することができる。
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図2は本発明の一実施形態の運搬用容器の上面側の斜視図、図3は図2の容器の短手方向に沿った要部断面図である。
図2に示されるように、本発明の運搬用容器1は、底板11の周囲を側板12、13で囲った有底箱状をなし、底板11の上面及びその周りの側板12、13の内面に亘る部分の表層に耐油性樹脂層21を一体に設けて形成してある。
より詳しくは、底板11は平面視矩形を呈し、その周辺の短手側二辺に側板12、12、長手側二辺に側板13、13をそれぞれ連ねて、各側板を底板11の周辺から上方へ適宜な高さに立ち上げ、各側板の上部に外方へ張り出したフランジ14を設けてある。図示されないが、底板2の下面には格子状に配したリブを下方へ突設させてある。
耐油性樹脂層21は、耐油性樹脂材料を用いて予め成形された前記図1に示された皿状の薄肉な内容器2を、容器1の射出成形金型に装填し、金型への溶融樹脂の充填とともに内容器2を容器1の底板11の上面に一体化させることにより形成したものであり、図2及び図3に示されるように、底板11の上面全体と、側板12、13の内面の内、底板11からその上端までの高さの1/3程度の高さに亘る部分の表層に一体に設けてある。
このように本形態の容器1は、耐油性樹脂材料からなる内容器2をインサート成形によって底板11の上面に一体化させることにより、底板11の上面と側板12、13の内周面に亘る部分の表層に耐油性樹脂層21を形成したので、油類が付着した物品を収納した際に、油類が底板11の上面に垂れたり染み出たりしても、耐油性樹脂層21が油類を遮って容器内部に染み込んだり浸透したりすることを防止し、油類により容器1の剛性が低下するなどの変質を来すことはない。
なお、図示した容器1の形態は一例であり、本発明は図示した形態に限定されず、他の適宜な形態で構成可能である。耐油性樹脂層21を設ける手段としては、耐油性樹脂製の内容器2をインサート成形する他、耐油性樹脂製のシートやフィルムを容器1の内面にラミネートするなど適宜な手段を用いることができる。本発明は、蓋付きの容器や折り畳み自在な容器にも適用することが可能である。
本発明の運搬用容器の構成を本体容器と内容器を分離して示した斜視図である。 本発明の一実施形態の運搬用容器の上面側の斜視図である。 図2の容器の短手方向に沿った要部断面図である(リブの図示は省略してある)。 従来の運搬用容器の下面側斜視図である。
符号の説明
1 運搬用容器(容器)、11 底板、12 (短手)側板、13 (長手)側板、14 フランジ、2 内容器、21 耐油性樹脂層



Claims (3)

  1. 平面視方形の底板の周辺を適宜な高さの側板で囲ってなる合成樹脂製の運搬用容器において、
    底板の上面及びその周りの側板の内面に亘る部分の表層に耐油性樹脂層を設けた構成を有することを特徴とする運搬用容器。
  2. 耐油性樹脂材料からなる皿形の内容器を底板上面に付着固定して一体化させた請求項1に記載の運搬用容器。
  3. 内容器をインサート成形により底板上面に一体化させた請求項2に記載の運搬用容器。





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