JP2008302882A - 自動車用制振防音材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、軽量で且つ低周波数帯において優れた制振性を発揮する自動車用制振防音材を提供する。
【解決手段】 本発明の自動車用制振防音材は、tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂を含有してなる樹脂組成物を発泡させてなる発泡シートと、少なくとも一の繊維シートを有してなる繊維基材とが積層一体化されてなることを特徴とする。そして、上記繊維基材は、通孔を有してなる支持シートが繊維シートの両面に積層一体化されてなるものであることが好ましく、更に、上記支持シートの開孔率が5%以上であることがより好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の自動車用制振防音材は、tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂を含有してなる樹脂組成物を発泡させてなる発泡シートと、少なくとも一の繊維シートを有してなる繊維基材とが積層一体化されてなることを特徴とする。そして、上記繊維基材は、通孔を有してなる支持シートが繊維シートの両面に積層一体化されてなるものであることが好ましく、更に、上記支持シートの開孔率が5%以上であることがより好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、1000Hz以下の周波数帯において優れた制振性を発揮する自動車用制振防音材に関する。
近年、家電、建築物、自動車などの分野において、快適性の観点から制振性や防音性に多くの注意が払われるようになっている。このような分野の振動や騒音としては、例えば、家電分野ではモーターなどの駆動装置の振動、建築分野では折板屋根における雨音、自動車分野では走行中の振動により屋根や扉が微振動して発生する振動音やエンジンなどの駆動系の振動などが挙げられ、このような振動及び騒音を低減させる目的で制振防音材が使用されている。
従来から、上記制振防音材としては、高分子材料からなる制振防音材が多く用いられている。このような高分子材料からなる制振防音材は、一般的に、振動波の周波数が高くなるほど振動減衰効果が高くなる特性があるため、高周波数領域においては、高い制振性を有し、優れた防音性を発揮するものの、低周波数領域においては、制振性が十分でなく、防音性にも劣っていた。
ここで、自動車分野の制振防音材としては、自動車走行時の振動が主に1000Hz以下の周波数帯(以下、「低周波数帯という」)の振動波によるものであることから、低周波数帯における制振性に優れたものが求められている。そのため、従来の高分子材料からなる制振防音材を自動車用制振防音材として用いた場合、自動車走行時における振動を十分に抑えることができず、又、振動によって騒音が発生するので、自動車走行時の快適性が損なわれるという問題が生じた。
そこで、低周波数帯において優れた制振性を有する制振防音材として、特許文献1に、熱可塑性樹脂、ゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれた一種又は二種以上の樹脂成分並びに無機充填材からなり且つ一面が振動部材に貼着される貼着面に形成された基材シートと、この基材シートの他面に積層一体化された金属シートとからなることを特徴とする制振材が提案されている。
しかしながら、上記制振材は、無機充填材や金属シートを含有してなるため、軽量性に欠けるという問題点があった。
又、低周波数帯において優れた制振性を有する制振防音材として、特許文献2に、通気量が異なる高密度と低密度の繊維集合体を含む、少なくとも二層以上の繊維集合体よりなる低周波数用吸音材が提案されている。この低周波数用吸音材は、高密度の繊維集合体層が重量付加部、低密度の繊維集合体層がバネ部の役割を担う、所謂、動吸振器を構成しているため、特に、低周波数帯の振動に対する制振性に優れている。
しかしながら、上記低周波数用吸音材は、充分な制振性を得るためには厚みが必要であり、厚みを厚くした場合、軽量性が損なわれること、設置スペースが大きくなること、製造コストが嵩んでしまうことなどの問題が生じるため、自動車用制振防音材としての使用に適していなかった。
本発明は、軽量で且つ低周波数帯において優れた制振性を発揮する自動車用制振防音材を提供する。
本発明の自動車用制振防音材は、tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂を発泡させてなる発泡シートと、少なくとも一の繊維シートを有してなる繊維基材とが積層一体化されてなることを特徴とする。
上記合成樹脂としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)などの芳香族ビニルモノマーとイソプレンとの共重合体、SEBSなどの水素添加ジエン系ブロック共重合体又はランダム共重合体、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−ジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレブロック共重合体、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどのゴム状重合体;アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを重合又は共重合させてなるアクリル系樹脂;高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体などのエチレン系樹脂や、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などのプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂などが挙げられ、これらの中でも、1000Hz以下の周波数帯(以下、「低周波数帯」という)における制振性に優れた発泡シートが得られる点から、芳香族ビニルモノマーとイソプレンとの共重合体、アクリル系樹脂が好ましい。なお、これらの合成樹脂は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
そして、上記合成樹脂のtanδのピーク温度は−20〜40℃に限定され、0〜30℃が好ましい。これは、上記合成樹脂のtanδのピーク温度が−20〜40℃の範囲外であると、得られる自動車用制振防音材が、自動車用制振防音材の通常の使用温度領域における制振性能に劣ったものとなるからである。
又、上記合成樹脂のtanδのピーク温度を−20〜40℃の範囲に調整する方法としては、例えば、上述の合成樹脂にフタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、エポキシ化大豆油、テルペン樹脂などのtanδピーク温度調整剤を添加する方法が挙げられる。
なお、上記合成樹脂に対するtanδピーク温度調整剤の添加量は、多いと、合成樹脂の発泡性が損なわれることがあるので、合成樹脂100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、5〜20重量部がより好ましい。
ここで、上記合成樹脂のtanδのピーク温度とは、合成樹脂及び必要に応じて添加したtanδピーク温度調整剤のみからなる試験シート(幅5mm×長さ24mm×厚み0.3mm)を作製し、この試験シートの動的粘弾性を、歪み量0.1%、周波数10Hzの条件で測定することにより得られた温度をいう。なお、上記動的粘弾性の測定装置としては、レオメトリックス社から商品名「RSA」で市販されているものなどが挙げられる。
そして、上記発泡シートの発泡倍率は、小さいと、発泡シートの重量が重くなって自動車用制振防音材の軽量性が低下したり、発泡シートの柔軟性が低下して自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性が低下することがある一方、大きいと、発泡シートを安定的に得るのが困難になったり、発泡シートを構成する合成樹脂の量が少なくなって自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性が低下することがあるので、2〜50倍が好ましく、5〜30倍がより好ましい。なお、上記発泡シートの発泡倍率は、JIS K6767に準拠して測定した値をいう。
又、上記発泡シートの厚みは、薄いと、得られる自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性が低下することがある一方、厚いと、自動車用制振防音材の軽量性が低下したり、自動車用制振防音材の設置スペースが大きくなってしまうことがあるので、0.5〜
8.0mmが好ましい。
8.0mmが好ましい。
そして、上記発泡シートの製造方法としては、例えば、先ず、tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂、発泡剤及び必要に応じて添加される架橋剤を含有する樹脂組成物を押出機、コンベアベルトキャスティング、プラストミルなどを用いて連続的に混練した後、混練された樹脂組成物をシート状又はロッド状に成形し、加熱又は電離性放射線の照射によって架橋させる。そして、得られた架橋され且つ未発泡の樹脂組成物を、発泡炉に供給して加熱、発泡させて発泡シート又は発泡体を作製し、必要に応じて発泡シート又は発泡体を裁断加工する方法が挙げられる。
又、上記発泡シートの別の製造方法としては、上記樹脂組成物をミキシングロールなどで混練した後、混練された樹脂組成物を型内に供給し、型内で架橋、発泡させるバッチ式の方法も挙げられる。
そして、上記樹脂組成物に含有される発泡剤としては、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
又、上記樹脂組成物中における発泡剤の含有量は、少ないと、発泡シートが十分に発泡しないことがある一方、多いと、発泡により形成される気泡が安定せず、発泡体の気泡構造が不均一になることがあるので、tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。
更に、上記架橋剤としては、特に限定されないが、化学架橋を施して発泡シートを製造する場合には、ジクミルパーオキサイドなどの公知の有機過酸化物などが用いられ、硫黄架橋を施して発泡シートを製造する場合には、硫黄や硫黄化合物類などが用いられる。
そして、上記樹脂組成物中における架橋剤の含有量は、少ないと、樹脂組成物を十分に架橋できないことがある一方、多いと、樹脂組成物は架橋が進行しすぎて伸長粘度が上昇し、発泡しにくくなることがあるので、tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂100重量部に対して0.1〜3.0重量部が好ましい。
なお、上記樹脂組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、発泡助剤、架橋助剤、酸化防止剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤などの従来公知の添加剤が添加されていてもよい。
又、上記樹脂組成物はエマルジョン状であってもよく、このようなエマルジョン状の樹脂組成物を作るための合成樹脂エマルジョンとしては、特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンなどが挙げられ、これらの中でも低周波数帯における制振性に優れた発泡シートを得られる点からアクリル系樹脂エマルジョンが好ましい。これらエマルジョン状の合成樹脂は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
そして、上記樹脂組成物がエマルジョン状である場合には、泡立て器などを用いて樹脂組成物中に空気を混合させることにより発泡エマルジョンを作製し、この発泡エマルジョンを離型フィルムの離型処理面上に塗布した後、発泡エマルジョン中の水分を蒸発、除去することにより、離型フィルムの離型処理面上に発泡シートを形成させる方法が挙げられる。
本発明の自動車用制振防音材を構成する繊維基材は、上述の発泡シートを拘束することにより、自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性を向上させると共に、自動車用制振防音材に防音性を付与する目的で設けられる。上記繊維基材は、少なくとも一の繊維シートを有してなり、この繊維シートと音波との間の空気粘性によって音波のエネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音されるため、自動車用制振防音材は防音性を発揮する。
又、上記繊維シートを構成する繊維としては、特に限定されず、例えば、銅繊維、鉄繊維、ステンレス繊維などの金属繊維;ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;プロピレン系樹脂繊維などのオレフィン系繊維、アクリル繊維、エステル繊維、アミド繊維、セルロース系繊維などの合成繊維;ケナフ繊維、竹繊維、サイザル繊維などの天然繊維などが挙げられ、これらは単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。そして、これらの繊維の中でも、ガラス繊維、プロピレン系樹脂繊維が好ましく、剛性、吸音性及びコストの面で優れていることから、ガラス繊維とプロピレン系樹脂繊維との混合繊維がより好ましい。そして、繊維シートの形態としては、特に限定されず、不織布、織布、編布などが挙げられ、不織布が好ましい。
更に、上記繊維基材は、少なくとも一の繊維シートを有していれば、その構成は特に限定されず、一の繊維シートのみからなるもの、複数の繊維シートの積層体、繊維シートと他の材料からなるシートとの積層体などの形態が挙げられるが、繊維基材の剛性を向上させる目的で、両面間に亘って貫通する通孔を有してなる支持シート(以下、単に「支持シート」ということもある)が繊維シートの両面に積層一体化されてなるものが好ましい。
これは、上記支持シートによって繊維基材の剛性を向上させることにより、繊維基材が発泡シートをより強固に拘束するため、自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性を向上させることができるからである。
又、上記支持シートは通孔を有してなることから、支持シートが繊維シートの両面に積層一体化されてなる繊維基材は、支持シートの通孔を通して音波を取り込み、防音性を発揮する。
上記支持シートとしては、特に限定されず、例えば、エチレン系樹脂シート、プロピレン系樹脂シートなどのオレフィン系樹脂シート、ナイロンシート、ポリエチレンテレフタレートシートなどが挙げられ、これらの中でも剛性に優れたプロピレン系樹脂シート、ナイロンシート、ポリエチレンテレフタレートシートが好ましく、プロピレン系樹脂シートがより好ましい。なお、上記支持シートは、単層で用いられても、二以上のシートを積層したものであってもよい。
又、上記支持シートの開孔率は、低いと、音波が繊維基材中に取り込まれにくくなって、自動車用制振防音材の防音性が低下することがあるので、5%以上が好ましいが、高過ぎると、繊維基材の剛性が低下して自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性が低下することがあるので、5〜30%がより好ましい。なお、上記支持シートの開孔率とは、支持シートにおける通孔部分が占める面積の割合をいい、下記式(1)で算出される。
支持シートの開孔率(%)=100×(S2/S1) ・・・式(1)
(S1:支持シートの面積、S2:通孔部分の面積)
支持シートの開孔率(%)=100×(S2/S1) ・・・式(1)
(S1:支持シートの面積、S2:通孔部分の面積)
そして、上記支持シートが繊維シートの両面に積層一体化されてなる繊維基材の製造方法としては、繊維シートの両面に支持シートを重ね合わせた後、熱ラミネーションする方法や、ホットメルト接着剤を介して繊維シートと支持シートとを一体化させる方法などが挙げられる。
又、上記繊維基材の厚みは、薄いと、繊維基材の剛性が低下して自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性が低下したり、自動車用制振防音材の防音性が低下することがある一方、厚いと、自動車用制振防音材の軽量性が低下したり、自動車用制振防音材の設置スペースが大きくなってしまうことがあるので、0.5〜8.0mmが好ましい。
更に、本発明の自動車用制振防音材の厚みは、厚いと、自動車用制振防音材の軽量性が低下し、或いは、自動車用制振防音材の設置スペースが大きくなることがあるので、10mm以下が好ましいが、薄過ぎると、自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性や防音性が不十分になることがあるので、0.5〜8.0mmがより好ましい。
そして、上記自動車用制振防音材の製造方法としては、上述の発泡シートと繊維基材とを両面粘着テープを介して積層一体化させる方法などが挙げられる。この自動車用制振防音材は、自動車のボディを構成している鋼板などの振動体の裏面に発泡シートを振動体に対向させた状態にして両面粘着テープなどを用いて貼着一体化されて用いられる。
本発明の自動車用制振防音材は、tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂を発泡させてなる発泡シートと、少なくとも一の繊維シートを有してなる繊維基材とが積層一体化されてなり、上記発泡シートが柔軟性を有し且つ上記繊維基材が上記発泡シートを拘束しているので、自動車走行時に発生する1000Hz以下の周波数帯の振動に対する制振性に優れている。
そして、上記繊維基材は、少なくとも一の繊維シートを有してなり、この繊維シートと音波との間の空気粘性によって音波のエネルギーを熱エネルギーに変換させて吸音することができるので、得られる自動車用制振防音材は防音性に優れている。
又、上記繊維基材が、通孔を有してなる支持シートが繊維シートの両面に積層一体化されてなるものである場合、上記繊維基材は支持シートによって剛性が付加されて、発泡シートをより強固に拘束するため、自動車用制振防音材の低周波数帯における制振性が向上される。
そして、上記通孔を有してなる支持シートの開孔率が5%以上である場合、音波は支持シートの通孔を通して繊維基材中に取り込まれて吸音されるので、得られる自動車用制振防音材は充分に防音性を発揮する。
又、上記発泡シートの発泡倍率が2〜50倍である場合、発泡シートが軽量性及び柔軟性に優れたものとなるので、得られる自動車用制振防音材は軽量で且つ低周波数帯における制振性に優れたものとなる。
そして、本発明の自動車用制振防音材の厚みが10mm以下である場合、自動車用制振防音材は、その設置スペースが小さくなり、自動車の車内空間を広く形成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS;クラレ社製 商品名「ハイブラー5127」、tanδのピーク温度:28℃)100重量部、フタル酸−2−エチルヘキシル(Wako Chemical社製)13重量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製 商品名「パークミルD」)0.7重量部及びアゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−20」)13重量部からなる樹脂組成物を、プラストミルにて120℃で溶融混練した後、170℃で12分間プレス処理することにより、架橋され且つ未発泡のシート(以下、「発泡性シート」という)を得た。ここで、上記発泡性シートの厚みは1.4mmであった。
スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS;クラレ社製 商品名「ハイブラー5127」、tanδのピーク温度:28℃)100重量部、フタル酸−2−エチルヘキシル(Wako Chemical社製)13重量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製 商品名「パークミルD」)0.7重量部及びアゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−20」)13重量部からなる樹脂組成物を、プラストミルにて120℃で溶融混練した後、170℃で12分間プレス処理することにより、架橋され且つ未発泡のシート(以下、「発泡性シート」という)を得た。ここで、上記発泡性シートの厚みは1.4mmであった。
続いて、上記発泡性シートを発泡炉中に供給して、230℃で加熱することにより、厚みが3.0mm、発泡倍率が14倍の発泡シートを得た。
なお、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS;クラレ社製 商品名「ハイブラー5127」)100重量部及びフタル酸−2−エチルヘキシル(Wako Chemical社製)13重量部のみからなる試験シートを作製し、この試験シートを用いて上記発泡性シートを構成する合成樹脂のtanδのピーク温度を測定したところ15℃であった。
一方、ガラス繊維とプロピレン系樹脂繊維との混合繊維の不織布からなる繊維シート(厚み:4.0mm)を用意し、この繊維シートの両面に、支持シートとして、両面間に亘って貫通する通孔を有するプロピレン系樹脂シート(開孔率:5%、厚み:0.2mm)を重ね合わせて積層シートを作製した。次に、この積層シートを200℃で加熱して、積層シートの厚み方向に圧力を加えることにより、通孔を有するプロピレン系樹脂シートが繊維シートの両面に積層一体化されてなる、厚み4.0mmの繊維基材を作製した。
なお、上記両面間に亘って貫通する通孔を有するプロピレン系樹脂シートは、孔径2mmの真円形の通孔が縦16mm、横8mm間隔の碁盤目状に貫設され且つ互いに隣接している通孔の中心同士を結んで形成される長方形の対角線の交点部分に孔径2mmの真円形の通孔が貫設されてなるものである。
そして、上記のようにして得られた発泡シートの一面に両面粘着テープ(積水化学工業社製 商品名「セキスイテープ#5761」)を介して繊維基材を積層一体化させることにより、厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
(実施例2)
支持シートを、孔径2mmの真円形の通孔が縦8mm、横4mm間隔の碁盤目状に貫設され且つ互いに隣接している通孔の中心同士を結んで形成される長方形の対角線の交点部分に孔径2mmの真円形の通孔が貫設されてなるプロピレン系樹脂シート(開孔率:20%、厚み:0.2mm)としたこと以外は実施例1と同様の要領で、厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
支持シートを、孔径2mmの真円形の通孔が縦8mm、横4mm間隔の碁盤目状に貫設され且つ互いに隣接している通孔の中心同士を結んで形成される長方形の対角線の交点部分に孔径2mmの真円形の通孔が貫設されてなるプロピレン系樹脂シート(開孔率:20%、厚み:0.2mm)としたこと以外は実施例1と同様の要領で、厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
(実施例3)
水−アクリル系樹脂エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコート350」、アクリル系樹脂成分:50重量%)90重量部、水−ウレタン系樹脂エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ハイドランHW−930」、ウレタン系樹脂成分:60重量%)10重量部、エポキシ系架橋剤(大日本インキ化学社製 商品名「CR−5L」)3重量部、塩化アンモニウム系気泡剤(大日本インキ化学社製 商品名「F−1」)5重量部、シリコーン系整泡剤(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコートNBA−1」)0.5重量部及びカルボキシメチルセルロース水溶液(ダイセル化学工業社製、カルボキシメチルセルロース濃度:4重量%)6重量部を均一に混合した後、濾過することにより発泡性エマルジョンを作製した。そして、得られた発泡性エマルジョンに泡立て器を用いて空気を混合して発泡させることにより発泡エマルジョンを得た。
水−アクリル系樹脂エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコート350」、アクリル系樹脂成分:50重量%)90重量部、水−ウレタン系樹脂エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ハイドランHW−930」、ウレタン系樹脂成分:60重量%)10重量部、エポキシ系架橋剤(大日本インキ化学社製 商品名「CR−5L」)3重量部、塩化アンモニウム系気泡剤(大日本インキ化学社製 商品名「F−1」)5重量部、シリコーン系整泡剤(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコートNBA−1」)0.5重量部及びカルボキシメチルセルロース水溶液(ダイセル化学工業社製、カルボキシメチルセルロース濃度:4重量%)6重量部を均一に混合した後、濾過することにより発泡性エマルジョンを作製した。そして、得られた発泡性エマルジョンに泡立て器を用いて空気を混合して発泡させることにより発泡エマルジョンを得た。
続いて、一面が離型処理面とされたポリエチレンテルフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)を用意し、このPETフィルムの離型処理面に上記発泡エマルジョンを均一な厚みになるように塗布した後、発泡エマルジョンの水分を蒸発、除去することにより、PETフィルム上に厚み3.0mmの発泡シートが剥離可能に積層一体化されてなる発泡積層体を得た。ここで、上記発泡シートの発泡倍率は5.0倍であった。
なお、水−アクリル系樹脂エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコート350」、アクリル系樹脂成分:50重量%)90重量部及び水−ウレタン系樹脂エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ハイドランHW−930」、ウレタン系樹脂成分:60重量%)10重量部からなる混合エマルジョンを用意し、この混合エマルジョン中の水分を乾燥、除去して合成樹脂混合物を得た後、この合成樹脂混合物のみからなる試験シートを作製し、この試験シートを用いて上記発泡性シートを構成する合成樹脂混合物のtanδのピーク温度を測定したところ14℃であった。
次に、上記発泡積層体の発泡シート上に、実施例1で用いた繊維基材を両面粘着テープ(積水化学工業社製 商品名「セキスイテープ#5761」)を介して積層一体化させた後、上記発泡積層体のPETフィルムを発泡シートから剥離、除去することにより、発泡シートと繊維基材とが積層一体化されてなる厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
(実施例4)
繊維基材として、両面に支持シートが積層一体化されていない、ガラス繊維とプロピレン系樹脂繊維との混合繊維の不織布からなる繊維シート(厚み:4.0mm)を用いたこと以外は実施例1と同様の要領で、厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
繊維基材として、両面に支持シートが積層一体化されていない、ガラス繊維とプロピレン系樹脂繊維との混合繊維の不織布からなる繊維シート(厚み:4.0mm)を用いたこと以外は実施例1と同様の要領で、厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
(実施例5)
支持シートとして、通孔を有するプロピレン系樹脂シートの代わりに、通孔を有していないプロピレン系樹脂シートを用いたこと以外は実施例1と同様の要領で厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
支持シートとして、通孔を有するプロピレン系樹脂シートの代わりに、通孔を有していないプロピレン系樹脂シートを用いたこと以外は実施例1と同様の要領で厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
(比較例1)
実施例1で得られた厚み3.0mmの発泡シートを自動車用制振防音材とした。
実施例1で得られた厚み3.0mmの発泡シートを自動車用制振防音材とした。
(比較例2)
実施例1と同様の要領で発泡性シートを作製し、この発泡性シートを発泡シートの代わりに用いたこと以外は実施例1と同様の要領で厚み5.4mmの自動車用制振防音材を得た。
実施例1と同様の要領で発泡性シートを作製し、この発泡性シートを発泡シートの代わりに用いたこと以外は実施例1と同様の要領で厚み5.4mmの自動車用制振防音材を得た。
(比較例3)
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR;JSR社製 商品名「N222L」、tanδのピーク温度:−62℃)100重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−L」)15重量部及びフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名「IRGANOX 1010」)0.1重量部からなる樹脂組成物を押出機に供給し、溶融混練して押出すことにより、厚みが1.4mmである未架橋で且つ未発泡の発泡性シートを得た。
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR;JSR社製 商品名「N222L」、tanδのピーク温度:−62℃)100重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−L」)15重量部及びフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名「IRGANOX 1010」)0.1重量部からなる樹脂組成物を押出機に供給し、溶融混練して押出すことにより、厚みが1.4mmである未架橋で且つ未発泡の発泡性シートを得た。
次に、上記未架橋で且つ未発泡の発泡性シートに加速電圧500keVの電離性放射線を2.0Mrad照射することによって、発泡性シートを架橋した。この発泡性シートを発泡炉中に供給して230℃で加熱することにより、厚みが3.0mm、発泡倍率が20倍の発泡シートを得た。
そして、上記のようにして得られた発泡シート上に、実施例1で用いた繊維基材を両面粘着テープ(積水化学工業社製 商品名「セキスイテープ#5761」)を介して積層一体化させることにより、厚み7.0mmの自動車用制振防音材を得た。
(比較例4)
繊維基材の代わりに、厚み0.4mmのアルミニウムシートからなる基材を用いたこと以外は実施例1と同様の要領で、厚み3.4mmの自動車用制振防音材を得た。
繊維基材の代わりに、厚み0.4mmのアルミニウムシートからなる基材を用いたこと以外は実施例1と同様の要領で、厚み3.4mmの自動車用制振防音材を得た。
次に、上記のようにして得られた自動車用制振防音材の制振性及び防音性について下記の要領で評価を行い、その結果を表1に示した。なお、表1中において、「AC/U」は、「アクリル系樹脂とウレタン系樹脂との合成樹脂混合物」を、「ガラス/PP繊維」は、「ガラス繊維とプロピレン系樹脂繊維との混合繊維」を、「PPシート」は、「プロピレン系樹脂シート」を意味する。
(制振性)
中央加振法により、自動車用制振防音材の500Hz及び1000Hzにおける損失係数を測定し、この値を制振性の評価の指標とした。ここで、損失係数の測定機器としてはリオン社製の「SA−84」を使用し、測定温度は20℃とした。
中央加振法により、自動車用制振防音材の500Hz及び1000Hzにおける損失係数を測定し、この値を制振性の評価の指標とした。ここで、損失係数の測定機器としてはリオン社製の「SA−84」を使用し、測定温度は20℃とした。
(防音性)
JIS A1405に準拠して、自動車用制振防音材の1000Hz、2000Hz及び4000Hzにおける吸音率(%)を測定した。
JIS A1405に準拠して、自動車用制振防音材の1000Hz、2000Hz及び4000Hzにおける吸音率(%)を測定した。
Claims (7)
- tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂を発泡させてなる発泡シートと、少なくとも一の繊維シートを有してなる繊維基材とが積層一体化されてなることを特徴とする自動車用制振防音材。
- 繊維基材は、通孔を有してなる支持シートが繊維シートの両面に積層一体化されてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の自動車用制振防音材。
- 通孔を有してなる支持シートの開孔率が5%以上であることを特徴とする請求項2に記載の自動車用制振防音材。
- 発泡シートの発泡倍率が2〜50倍であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の自動車用制振防音材。
- 厚みが10mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の自動車用制振防音材。
- tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂が、芳香族ビニルモノマーとイソプレンとの共重合体を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の自動車用制振防音材。
- tanδのピーク温度が−20〜40℃である合成樹脂が、アクリル系樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の自動車用制振防音材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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---|---|---|---|---|
JP2011116951A (ja) * | 2009-10-26 | 2011-06-16 | Sanyo Chem Ind Ltd | 多孔質樹脂の製造方法 |
JP2013119169A (ja) * | 2011-12-06 | 2013-06-17 | Nagoya Oil Chem Co Ltd | 吸音材 |
-
2007
- 2007-06-11 JP JP2007153779A patent/JP2008302882A/ja active Pending
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