JP2008299990A - ピックアップレンズホルダ、ピックアップレンズホルダの製造方法、及び、ピックアップレンズホルダの保護膜の形成方法 - Google Patents

ピックアップレンズホルダ、ピックアップレンズホルダの製造方法、及び、ピックアップレンズホルダの保護膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光記録媒体に接触したとしても光記録媒体に与える損傷を抑えつつ、書込光及び読取光を、光記録媒体上の所望の位置に常に正確に合焦させることができ、これにより、大容量の光記録媒体に対応可能なピックアップレンズホルダを提供する。
【解決手段】 光記録媒体の情報記録面に信号を書き込むための書込光、及び、情報記録面に記録された信号を読み取るための読取光、を情報記録面に合焦させるピックアップレンズを保持するとともに、少なくとも光記録媒体側の部分に保護膜を備えるピックアップレンズホルダであって、保護膜は、活性化手段によって活性化された樹脂層と、樹脂層上に形成された衝撃吸収層と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、光記録媒体への書き込み及び読み取りに用いるピックアップレンズを保持するピックアップレンズホルダ、並びに、ピックアップレンズホルダの製造方法、及び、ピックアップレンズホルダの保護膜の形成方法に関する。
近年、光記録媒体の容量を増大させるべく、さまざまな記録方式の光記録媒体が実用化されている。大容量の信号を光記録媒体に記録する場合は、環境の変化に影響されずに書き込み/読み取りを行うことのできる性能が、従来の容量の光記録媒体よりも高いレベルで求められる。このため、光記録媒体のみならず、光記録媒体への信号の書き込み、及び、光記録媒体に記録された情報の読み取りを行うピックアップレンズ、及び、これを保持するピックアップレンズホルダにも、温度及び湿度に対する高い耐性が求められる。また、ピックアップレンズホルダについては、環境変化に対する高い耐性に加えて、低吸湿性、寸法安定性、及び高い硬度を備えることが要求されており、このような要求を高いレベルで満たす材料として液晶ポリマーが検討されつつある。
一方、光記録媒体においては、大容量化実現のために記録密度の増大が図られており、高い密度での信号の書き込み/読み取りを行うには、ピックアップレンズと光記録媒体との距離を短くする必要がある。しかし、ピックアップレンズと光記録媒体との距離が短くなると、振動などによって、ピックアップレンズ又はピックアップレンズを保持するピックアップレンズホルダが、光記録媒体に接触するおそれがある。このため、ピックアップレンズホルダが振動して光記録媒体に接触してしまったとしても、光記録媒体の損傷を防止することができるように、保護層や保護部材をピックアップレンズホルダに設けることが検討されている(特許文献1〜4)。
特開2001−319355号公報 特開2002−222535号公報 特開2002−269790号公報 特開2003−272206号公報
しかしながら、液晶ポリマーは上述の特性のほかに高い耐薬品性も備えていることから、保護層形成のために溶剤(例えば有機溶剤)に溶かした保護層用材料を塗布しても、表面を溶融させることができないため、液晶ポリマーと保護層との密着性を確保することができなかった。したがって、ピックアップレンズホルダに液晶ポリマーを用いた場合には、実質的に、光記録媒体の損傷を防止するための保護層や保護部材を儲けることができないため、大容量の光記録媒体に対応したピックアップレンズホルダを提供することが困難であった。
そこで本発明は、環境の変化に対する高い耐性を備えた材料で形成しつつ、光記録媒体に接触したとしても光記録媒体に損傷を与えないような保護層を備えたピックアップレンズホルダを提供することを目的とする。さらに、書込光及び読取光を、光記録媒体上の所望の位置に常に正確に合焦することができるとともに、光記録媒体に近接配置することができ、大容量の光記録媒体に対応可能なピックアップレンズホルダを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のピックアップレンズホルダは、光記録媒体の情報記録面に信号を書き込むための書込光、及び、情報記録面に 記録された信号を読み取るための読取光、を情報記録面に合焦させるピックアップレンズを保持するとともに、少なくとも光記録媒体側の部分に保護膜を備えるピックアップレンズホルダであって、保護膜は、活性化手段によって活性化された樹脂層と、樹脂層上に形成された衝撃吸収層と、を備えることを特徴としている。
本発明のピックアップレンズホルダにおいて、樹脂は熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
本発明のピックアップレンズホルダにおいて、樹脂は液晶ポリマーであることを特徴とする。
本発明のピックアップレンズホルダにおいて、活性化手段はレーザー光の照射であることを特徴とする。
本発明のピックアップレンズホルダにおいて、レーザー光は近赤外領域光を樹脂層に照射することを特徴とする。
本発明のピックアップレンズホルダにおいて、活性化手段は放射線の照射であることを特徴とする。
本発明のピックアップレンズホルダにおいて、活性化手段は樹脂層をプラズマ状態とすることであることを特徴とする。
本発明のピックアップレンズホルダにおいて、衝撃吸収層は衝撃吸収性を備えた樹脂を塗布することによって形成することを特徴とする。
本発明のピックアップレンズホルダの製造方法は、光記録媒体の情報記録面に信号を書き込むための書込光、及び、情報記録面に記録された信号を読み取るための読取光、を情報記録面に合焦させるピックアップレンズを保持するピックアップレンズホルダの製造方法であって、ピックアップレンズホルダの外形形状を形成する外形形成工程と、活性化手段により、ピックアップレンズホルダのうちの少なくとも光記録媒体側部分を活性化させる活性化工程と、活性化工程において活性化された部分上に衝撃吸収層を形成する衝撃吸収層形成工程と、を備えることを特徴としている。
本発明のピックアップレンズホルダの保護膜の形成方法は、光記録媒体の情報記録面に信号を書き込むための書込光、及び、情報記録面に記録された信号を読み取るための読取光、を情報記録面に合焦させるピックアップレンズを保持するピックアップレンズホルダのうちの少なくとも光記録媒体側の部分に保護膜を形成する方法であって、活性化手段により、ピックアップレンズホルダのうちの少なくとも光記録媒体側部分を活性化させる活性化工程と活性化工程において活性化された部分上に衝撃吸収層を形成する衝撃吸収層形成工程と、を備えることを特徴としている。
本発明のピックアップレンズホルダにおいては、少なくとも光記録媒体側の部分に保護膜を備え、この保護膜が、活性化手段によって活性化された樹脂層と、樹脂上に形成された衝撃吸収層と、を備える構成であるため、光記録媒体に接触したとしても保護層の衝撃吸収性により光記録媒体に与える損傷を抑えることができ、これにより、光記録媒体に近接配置することができる。さらに、環境の変化に対する高い耐性を備える樹脂を用いることにより、書込光及び読取光を、光記録媒体上の所望の位置に常に正確に合焦することができる。以上により、大容量の光記録媒体に対応可能なピックアップレンズホルダを提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係るピックアップレンズホルダ10について図1から図3を参照しつつ詳しく説明する。ここで、図1から図3は、本実施形態に係るピックアップレンズホルダ10の構成を示す斜視図であって、図1は、保護膜を形成する前の状態を示す斜視図、図2は、樹脂層を活性化した状態を示す斜視図、図3は、衝撃吸収層を形成した後の状態を示す斜視図である。図1から図3は、本発明を明確にするために、ピックアップレンズホルダ10及び保持されるピックアップレンズ20の形状及び配置を単純化して示しているが、本発明はこれらの図に示す形態に限定されない。
本実施形態に係るピックアップレンズホルダ10は中空の略円筒形状をなし、その内部には、中心軸が光軸と一致するようにピックアップレンズ20を保持する。ピックアップレンズ20は、駆動装置(不図示)の動作により、光記録媒体の情報記録面のうちの所定位置に合焦可能である。書き込み動作においては、光源(不図示)から入射した光が前記所定位置に書込光として出射され、照射箇所に信号が書き込まれる。読み取り動作においては、情報記録面の読み取り位置に記録された信号を、ピックアップレンズ20を介して読取部(不図示)で読み取る。
ここで、本実施形態に係るピックアップレンズ20が書き込み及び読み取りを行う光記録媒体としては、例えばコンパクトディスク(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc)、HD DVD(High−Definition Digital Versatile Disc)、HVD(Holographic Versatile Disc)を挙げることができる。なお、ピックアップレンズホルダ10は、光記録媒体以外の記録媒体(例えば光磁気記録媒体)にも適用することができる。
ピックアップレンズホルダ10は、熱可塑性樹脂(例えば、液晶ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)で成形されている。この熱可塑性樹脂としては、環境変化(例えば温度、湿度の変化)に対する高い耐性、低吸湿性、高い寸法安定性、及び高い高度を考慮すると、溶融時に液晶状態となる熱可塑性樹脂である液晶ポリマーが好ましい。液晶ポリマーとしては、例えば、芳香族ポリアミドや、芳香族ポリエステル、エーテル結合、イミド結合を含むものを用いることができる。なお、液晶ポリマーを用いる場合であっても、ピックアップレンズホルダ10全体を液晶ポリマーで形成せずに、光記録媒体側の端面12のみ、又は、端面12とその周辺のみを液晶ポリマーとすることもできる。
端面12は、活性化手段によって、その表面層(樹脂層)13が活性化処理される。活性化処理は、例えば、端面12へのレーザー光の照射、端面12への放射線(例えば、X線その他の電磁放射線、α線その他の粒子線)の照射、及び、端面12のプラズマ状態化を挙げることができる。活性化条件は、光記録媒体の種類、ピックアップレンズホルダ10及びピックアップレンズ20と光記録媒体の距離、記録速度などに応じて任意に定めることができる。
レーザー光の照射の場合では、例えば、ルビー、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット液晶)その他の固体レーザー、炭酸、ヘリウム・ネオンその他のガスレーザー、半導体レーザー、色素その他の液体レーザー、自由電子レーザーを用いることができる。波長領域については、近赤外線、赤外線、可視光、紫外線の波長域のレーザーを用いることができる。液晶ポリマーの活性化処理の観点からは、近赤外域の波長(1064nm)の光を出すYVO(イットリウム・バナジウム・オキサイド)レーザーが好ましい。活性化処理を施された表面層13は、外部の分子と結合しやすい状態であるとともに粗面化されているため、外部物質との接着性が高まる(アンカー効果の発現)(図2)。
図5に、以下の条件でレーザー光を照射した後の表面層13の様子を示す。図5と、レーザー光照射前の端面12の状態を示す図4を比較すると、粗面化の状態を確認することができる。ここで、図4は、レーザー光照射前のピックアップレンズホルダ10の端面12の状態を示す写真であり、図5は、レーザー光照射により活性化された表面層13の状態を示す写真である。これらの写真は、800倍に拡大した光学顕微鏡写真である。
<照射条件>
発振装置 株式会社キーエンス製 MD−V9600YVO
出射光波長 1064nm
出力 40〜70%
照射スピード 4000〜6000m/分
1秒あたりの照射のON・OFFの回数 160〜200Hz/秒
つづいて、表面層13上に衝撃吸収層14を積層形成する(図3)。液晶ポリマーは耐薬品性が高いため、通常は衝撃吸収剤を積層しても定着させることは困難であるが、上述のように活性化処理を施してアンカー効果を発現させた表面層13には容易に定着させることができる。積層は、衝撃吸収剤の性状に応じて、例えば、液状体を塗布、気体状として噴霧、又は、蒸着することによって行う。また、衝撃吸収剤としては、例えば、サンエス潤滑株式会社のサンコート#GR305VL(商品名)を用いる。このサンコート#GR305VLは、アクリルポリオールとイソシアネートを含む液状のウレタン樹脂にウレタンビーズを分散したものである。
以上の工程により、ピックアップレンズホルダ10の光記録媒体側の部分には、活性化手段により活性化された樹脂層13と、この樹脂層上に形成された衝撃吸収層14と、からなる保護層が形成される。
以上の構成の保護層を設けたピックアップレンズホルダ10、及び、活性化処理を行わずに表面層13に衝撃吸収層14を塗布した比較用ピックアップレンズホルダについて、表面層13と衝撃吸収層14との密着性の試験を行った。その結果、比較用ピックアップレンズホルダでは、衝撃吸収層14が表面層13に密着しておらず、10個のサンプルすべてについて密着不良であった。これに対して本実施形態に係るピックアップレンズホルダ10では、10個のサンプルすべてについて、衝撃吸収層14が表面層13にしっかりと密着していた。密着性の判断は、汎用のガムテープを衝撃吸収層14に貼り付けて、一定の力で引き剥がしたときに密着が維持されるか否かで判断した。密着状態が維持された場合は、密着状態が良好と判断し、剥がれた場合は密着不良と判断した。
また、本実施形態に係るピックアップレンズホルダ10を、以下の条件の高温高湿条件下に置いた後の密着性を試験したところ、10個のサンプルすべてについて密着性の低下は見られなかった。なお、密着性の判断は上述の方法で行った。
<実験条件>
温度 60°C
湿度 95%
時間 96時間
さらに、本実施形態に係るピックアップレンズホルダ10について、活性化処理として上述の照射条件で表面層13にレーザー光を照射した場合のピックアップレンズホルダ10の形状変化を計測したところ、10個のサンプルすべてについて、規格の範囲内に収まっていることが分かった。
以上のように、表面層13上に衝撃吸収層14を積層した保護層を形成したことにより、ピックアップレンズホルダ10又はピックアップレンズ20が光記録媒体に接触することがあっても、接触による衝撃を吸収することができるため、光記録媒体の損傷を防止することができる。したがって、ピックアップレンズホルダ10及びピックアップレンズ20と光記録媒体との距離を短くすることができる。また、環境の変化に対する耐性のほか、低吸湿性、寸法安定性、及び高い硬度を備える熱可塑性樹脂(例えば液晶ポリマー)を用いるため、書込光及び読取光を記録媒体の情報記録面上の所望の位置に、常に、高精度かつ確実に合焦させることができる。したがって、光記録媒体の大容量化、高密度化に対応したピックアップレンズホルダ10を、簡便な構成で安価に提供することができる。
本発明の実施形態に係るピックアップレンズホルダの保護膜を形成する前の状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るピックアップレンズホルダにおいて、樹脂層を活性化した状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るピックアップレンズホルダにおいて、衝撃吸収層を形成した後の状態を示す斜視図である。 レーザー光を照射する前の本発明の実施形態に係るピックアップレンズホルダの端面の状態を示す写真である。 レーザー光を照射した後の本発明の実施形態に係るピックアップレンズホルダの表面層の状態を示す写真である。
符号の説明
10 ピックアップレンズホルダ
12 端面
13 表面層(樹脂層)
14 衝撃吸収層
20 ピックアップレンズ

Claims (10)

  1. 光記録媒体の情報記録面に信号を書き込むための書込光、及び、前記情報記録面に記録された信号を読み取るための読取光、を前記情報記録面に合焦させるピックアップレンズを保持するとともに、少なくとも前記光記録媒体側の部分に保護膜を備えるピックアップレンズホルダであって、
    前記保護膜は、活性化手段によって活性化された樹脂層と、前記樹脂層上に形成された衝撃吸収層と、を備えることを特徴とするピックアップレンズホルダ。
  2. 前記樹脂は熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のピックアップレンズホルダ。
  3. 前記樹脂は液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピックアップレンズホルダ。
  4. 前記活性化手段はレーザー光の照射であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載のピックアップレンズホルダ。
  5. 前記レーザー光は近赤外領域光を前記樹脂層に照射することを特徴とする請求項4に記載のピックアップレンズホルダ。
  6. 前記活性化手段は放射線の照射であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載のピックアップレンズホルダ。
  7. 前記活性化手段は前記樹脂層をプラズマ状態とすることであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載のピックアップレンズホルダ。
  8. 前記衝撃吸収層は衝撃吸収性を備えた樹脂を塗布することによって形成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち、いずれか1に記載のピックアップレンズホルダ。
  9. 光記録媒体の情報記録面に信号を書き込むための書込光、及び、前記情報記録面に記録された信号を読み取るための読取光、を前記情報記録面に合焦させるピックアップレンズを保持するピックアップレンズホルダの製造方法であって、
    前記ピックアップレンズホルダの外形形状を形成する前記外形形成工程と、
    活性化手段により、前記ピックアップレンズホルダのうちの少なくとも前記光記録媒体側部分を活性化させる活性化工程と、
    前記活性化工程において活性化された部分上に衝撃吸収層を形成する衝撃吸収層形成工程と、
    を備えることを特徴とするピックアップレンズホルダの製造方法。
  10. 光記録媒体の情報記録面に信号を書き込むための書込光、及び、前記情報記録面に記録された信号を読み取るための読取光、を前記情報記録面に合焦させるピックアップレンズを保持するピックアップレンズホルダのうちの少なくとも前記光記録媒体側の部分に保護膜を形成する方法であって、
    活性化手段により、前記ピックアップレンズホルダのうちの少なくとも前記光記録媒体側部分を活性化させる活性化工程と、
    前記活性化工程において活性化された部分上に衝撃吸収層を形成する衝撃吸収層形成工程と、
    を備えることを特徴とするピックアップレンズホルダの保護膜の形成方法。
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JP2009032301A (ja) * 2007-07-24 2009-02-12 Pioneer Electronic Corp アクチュエータ装置および光ピックアップ装置

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