JP2008299316A - 粘着剤層付光学フィルムおよびその製造方法、粘着剤層付光学フィルムを備える液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents

粘着剤層付光学フィルムおよびその製造方法、粘着剤層付光学フィルムを備える液晶パネルおよび液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】粘着剤層付光学フィルムを剥がす際に層間剥離が生じず、リワーク時に光学フィルムを構成するフィルムの一部が液晶セルに残存することがない粘着剤層付光学フィルムを提供する。
【解決手段】位相差フィルム40の一方面に、アンカー剤を塗工する。その結果位相差フィルム40の一方面にアンカー剤層30が積層される。その後、偏光板10の一方の表面に積層された第1の粘着剤層21と位相差フィルム40の一方面に積層されたアンカー剤層30とを貼り合わせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤層付光学フィルムに係り、詳しくはリワーク性能を向上させた粘着剤層付光学フィルムに関する。また、粘着剤層付光学フィルムの製造方法および粘着剤層付光学フィルムを備える液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
近年、テレビ受像機やコンピュータ用のディスプレイとして、液晶ディスプレイが広く用いられている。この液晶ディスプレイは、透明電極を内側に形成した2枚のガラス基板の間に液晶を挟んで形成された液晶セルの両面に、共に偏光子を含む2枚の光学フィルムをそれぞれ貼り付けたものが主として使用される。光学フィルムに含まれる偏光子によって、液晶セルはディスプレイとして使用するための偏光特性を得ることができる。この光学フィルムとしては、各種特性を有するフィルムを粘着剤層を介して複数積層した積層フィルムであるとともに、液晶セルに貼り付けるための粘着剤層を更に付した粘着剤層付光学フィルムであり、かつ偏光子を含むものが用いられる。
ここで、粘着剤層付光学フィルムを液晶セルに貼り付ける際、液晶セルとの間に気泡や異物が混入することがある。この場合、一旦製造した液晶ディスプレイから、貼り付けた光学フィルムを剥がし、新たな光学フィルムを貼り付けて液晶ディスプレイを再度製造するリワークを行なう。貼り付けた粘着剤層付光学フィルムを剥がす際に、光学フィルムの粘着剤層の一部が液晶セルのガラス基板上に残留し、リワークの障害となることがある。この対策として、特許文献1には、リワークの際に粘着剤層が残留することを防止する技術が示されている。
特開2006−201337号公報
ところが、上記粘着剤層付光学フィルムを剥がす際に、液晶セルと光学フィルム間ではなく、積層した光学フィルムの層間が剥離し、光学フィルムを構成するフィルムの一部が液晶セルに残存するため、リワークの障害となることがある。粘着剤層付光学フィルムの構成部材が残存すると、新たな粘着剤層付光学フィルムを貼り付けて液晶ディスプレイを製造することが困難となり問題である。ノルボルネン系樹脂を含有する位相差フィルムを含んだ粘着剤層付光学フィルムにおいて、リワーク時の層間剥離が特に多く生じ、問題である。特許文献1の技術を用いても、この問題は解決しない。
本発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、粘着剤層付光学フィルムを剥がす際に層間剥離が生じず、リワーク時に光学フィルムを構成するフィルムの一部が液晶セルに残存することがない粘着剤層付光学フィルムを提供することにある。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムは、ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムと、該位相差フィルムの一方の表面に積層される水性ポリマーを主成分とするアンカー剤層と、該アンカー剤層の表面に第1の粘着剤層を介して積層される偏光板と、該位相差フィルムの他方の側に積層される第2の粘着剤とを備える。
本発明によると、位相差フィルムの一方の表面に水性ポリマーを主成分とするアンカー剤層が積層され、アンカー剤層の表面に、第1の粘着剤層を介して偏光板が積層される。位相差フィルムとアンカー剤、およびアンカー剤と第1の粘着剤層は、共に強く接着されるため、位相差フィルムと第1の粘着剤層との間のいずれの層の界面においてもリワーク時に層間剥離が生じることを防止できる。
また、アンカー剤層は水性ポリマーを主成分とするため有機溶媒に溶解させる必要がなく、ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムに積層しても、当該フィルムを有機溶媒によって溶解することがない。なお、水性ポリマーとは水系溶媒に溶解又は分散し得るポリマーを言う。
前記水性ポリマーがエチレンイミン系ポリマーおよびチオフェニン系ポリマーの少なくとも一方であることが好ましい。
この構成によると、エチレンイミン系ポリマーおよびチオフェニン系ポリマーはいずれもノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムとの接着性が良いため、アンカー剤層と位相差フィルムとが剥離することを一層防止できる。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムは、第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する接着強度が、前記第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度よりも大きい。
第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する粘着強度が、前記第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度よりも大きいため、貼り付けた粘着剤層付光学フィルムをガラス板から引き剥がした場合に、第1の粘着剤層とアンカー剤層との接着面において層間剥離が生じず、第2の粘着剤層とガラス板との接着面が引き離される。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムは、第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する接着強度と、第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度との差が、JIS K 6854−1に準ずる剥離接着強さにおいて7N/25mm以上であることが好ましい。
第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する接着強度と、第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度との差が、JIS K 6854−1に準ずる剥離接着強さにおいて7N/25mm以上であり、接着強度に有意な差があるため、貼り付けた粘着剤層付光学フィルムをガラス板から引き剥がした場合に、第1の粘着剤層とアンカー剤層との接着面において層間剥離が生じず、第2の粘着剤層とガラス板との接着面が引き離される。
なお、ここで剥離接着強度はそれぞれ次のように測定した。
まず、第1の粘着剤層の23℃におけるアンカー剤層に対する接着強度は、ステンレス板に強粘着両面テープで25mm幅のサンプルを固定し、同サンプルの第1の粘着剤層とアンカー剤層との間を90°方向に300mm/分で引き剥がし、このときの接着強度をJIS K 6854−1に準じて測定する。
次に、第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度は、ガラス板に25mm幅のサンプルを2kgローラーで1往復圧着し、23℃で1時間放置後、同サンプルを90°方向に300mm/分で引き剥がし、このときの接着強度をJIS K 6854−1に準じて測定する。
前記第2の粘着剤層が、アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーの少なくとも一方の重合体と、過酸化物を主成分とする架橋剤とを含む組成物を架橋して得られる粘着剤を主成分とすることが好ましい。
アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーの少なくとも一方の重合体は、各モノマーが有するアルキル基の炭素数を調整することにより、架橋剤との反応性を調整することができ、架橋の程度を調整できる。その結果、得られる粘着剤の接着強度も調整できるため、必要とする接着強度を得やすい。従って、第1の粘着剤層のアンカー剤層に対する接着強度と、第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度との差を大きくすることが可能となる。
前記位相差フィルムの屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足することが好ましい。
屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する位相差フィルムは(以下Zフィルムとする)、構造的に脆く、割れやすい。よって、従来のZフィルムを含む粘着剤層付光学フィルムは引き剥がす際に位相差フィルム層内に割れを生じるため、特に層間剥離が生じやすい。本発明はかかるZフィルムを含む粘着剤層付光学フィルムに有効に適用できる。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムは位相差フィルムの遅相軸方向と、偏光板の吸収軸方向とが略平行である場合にも、位相差フィルムの遅相軸方向と、前記偏光板の吸収軸方向とが略直交する場合にも有効に適用できる。ここで「略平行」とは、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が0°±2°を包含する。「略直交」とは、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が90°±2°を包含する。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムは液晶パネルに好適に用いることができる。
また、本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムは、電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む液晶層を備える液晶パネルに好適に用いることができる。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルム用いた液晶パネルは液晶表示装置に好適に用いることができる。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムの製造方法は、一方の表面に第2の粘着剤層が積層され、ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムの他方の表面に、水性ポリマーを主成分とするアンカー剤を塗工してアンカー剤層を積層する工程と、該アンカー剤層と、偏光板の一方の表面に積層された第1の粘着剤層とを貼り合わせる工程とを少なくとも含む。
かかる製造方法によると、位相差フィルムの表面にアンカー剤層が積層され、更に偏光板の一方の表面に積層された第1の粘着剤層と同アンカー剤層とを貼り合わせるため、アンカー剤層を介して第1の粘着剤層と位相差フィルムとが強く接着される。従って、位相差フィルムと粘着剤層との間のいずれの層においても層間剥離が抑制された粘着剤層付光学フィルムを製造できる。
また、アンカー剤は水性ポリマーを主成分とするので、ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムに塗工しても、位相差フィルムを侵すことがない。また、アンカー剤を位相差フィルムに塗工することにより容易に、均一なアンカー剤層を積層できる。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムの製造方法において、アンカー剤層を積層する面に電気的表面処理を施すことが好ましい。
電気的表面処理を施すことにより、第1の粘着剤層のアンカー剤層に対する接着強度が増加し、アンカー剤層を介して第1の粘着剤層と位相差フィルムとが一層強く接着される。従って、位相差フィルムと粘着剤層との間のいずれの層においても層間剥離が一層抑制された粘着剤層付光学フィルムを製造できる。
前記電気的表面処理が、プラズマ処理であることが好ましい。
プラズマ処理を施すことにより、第1の粘着剤層のアンカー剤層に対する接着強度が増加し、アンカー剤層を介して第1の粘着剤層と位相差フィルムとが一層強く接着される。従って、位相差フィルムと粘着剤層との間のいずれの層においても層間剥離が一層抑制された粘着剤層付光学フィルムを製造できる。
本発明によれば、ノルボルネン系樹脂を含有する位相差フィルムを含んだ光学フィルムのリワーク時の層間剥離を防止することができる。
以下、本発明を具体化した粘着剤層付光学フィルムおよびその製造方法、粘着剤層付光学フィルムを備える液晶パネルおよび液晶表示装置の一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。まず、粘着剤層付光学フィルムに使用する部材を順に説明する。
(1)粘着剤層付光学フィルム
図1に示すように、本実施形態の粘着剤層付光学フィルム100は、位相差フィルム40と、位相差フィルム40の一方の表面に積層されたアンカー剤層30と、アンカー剤層30の表面に第1の粘着剤層21を介して積層された偏光板10と、位相差フィルム40の他方の側に積層された第2の粘着剤22とを備える。いいかえれば、粘着剤層付光学フィルム100は、偏光板10、第1の粘着剤層21、アンカー剤層30、位相差フィルム40、及び第2の粘着剤層22をこの順に積層した構造を有する。
アンカー剤層は、位相差フィルムの少なくとも一方の表面に積層される。粘着剤層付光学フィルム100において、偏光板10の第1の粘着剤層21を備える側とは反対側には、任意の光学部材(例えば、表面処理層や、表面保護シート)が配置され得る。また、第2の粘着剤層22の位相差フィルム40を備える側とは反対側には、液晶セルなどの任意の光学部材や易剥離シート等が配置され得る。
以下、各構成要素を更に詳説する。
(2)偏光板
本実施形態にかかる偏光板10は、偏光子の両面または片面に保護フィルムを設けることにより作製される。ここで偏光子の両面に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系接着剤、水系ポリウレタン系接着剤、水系ポリエステル系接着剤等を例示できる。また、市販の偏光板としては、日東電工社製 商品名「NPF・SEG1224DU」等を用いることができる。
本実施形態にかかる偏光板10に用いられる偏光子は特に限定されず、各種のものが使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよい。またヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができる他に、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよい。また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
本実施形態にかかる偏光板10に用いられる保護フィルムは特に限定されないが、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れたものが好ましい。例えば、ポリエチレンフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエチレン系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン重合体(AS)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有する、エチレン・プロピレン重合体の如きポリオレフィン系のポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
保護フィルムの厚さは適宜に決定し得るが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より1〜500μm程度であり、特に5〜200μmが好ましい。
また保護フィルムはできるだけ色付がないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(但し、nxはフィルム平面内の遅層軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルムの厚みである)で表せるフィルム厚み方向の位相差が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する着色(光学的着色)はほぼ解消することができる。厚み方向位相差(Rth)は、更に好ましくは−80nm〜+60nm、特に好ましくは−70nm〜+45nmである。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性等の点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。
(3)第1の粘着剤層
本実施形態に用いられる第1の粘着剤層は、好ましくは、アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーの少なくとも一方の重合体と、イソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤と、シランカップリング剤とを少なくとも配合した組成物を架橋して得られるものである。本実施形態において「粘着剤」とは、加圧接触で感知し得る接着力を常温で示す粘弾性物質をいう。また、本明細書において「架橋させる」とは、ポリマーを化学的に橋かけされて、3次元的な網目構造を形成することをいう。
上記第1の粘着剤層の厚みは、好ましくは2μm〜50μmである。上記第1の粘着剤層の波長590nm光における透過率は、好ましくは90%以上である。上記第1の粘着剤層の波長590nm光におけるRe及びRthは、好ましくは2nm未満である。なお、ReはRe=(nx−ny)・d(但し、nxはフィルム平面内の遅層軸方向の屈折率、nyはフィルム平面内の進相軸方向の屈折率、dはフィルムの厚みである)で示される値である。
上記第1の粘着剤層の23℃におけるアンカー剤層に対する接着強度(F1R)は、好ましくは13N/25mm以上であり、さらに好ましくは17N/25mm〜30N/25mmである。ここで剥離接着強さは次のように測定した。ステンレス板に強粘着両面テープで25mm幅のサンプルを固定し、同サンプルの第1の粘着剤層とアンカー剤層との間を90°方向に300mm/分で引き剥がし、このときの接着強度をJIS K 6854−1に準じて測定する。
上記第1の粘着剤層は、さらに任意の適切な添加物を含でいてもよい。上記添加物は、例えば、金属粉、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、充填剤等が挙げられる。また、上記第1の粘着剤層は、隣接する層からの移行物質(例えば、残留溶剤、添加剤、オリゴマーなど)を含んでいてもよい。上記添加物の含有量(重量比)は、好ましくは、上記第1の粘着剤層の全固形分100に対し、0を超え10以下である。また、上記移行物質の含有量(重量比)は、好ましくは、上記第1の粘着剤層の全固形分100に対し、0を超え5以下である。
アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーの少なくとも一方の重合体には、以下のものが含まれる。アクリレート系モノマーまたはメタクリレート系モノマーのホモポリマーとしては、アクリレート系ポリマーまたはメタクリレート系ポリマー。2種以上のアクリレート系モノマーの共重合体ポリマーであるアクリルレート系コポリマー、2種以上のメタクリレート系モノマーの共重合体ポリマーであるメタクリレート系コポリマー。および、1種以上のアクリレート系モノマーと1種以上のメタクリレート系モノマーとから合成されるコポリマーである。またこれらの重合方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法等が挙げられる。
更に詳しくは、上記重合体は以下の原料の共重合体である。一方は、炭素数1〜8の直鎖または分枝アルキル基を有するアクリレート系モノマーまたはメタクリレート系モノマーである。他方は、同じく炭素数1〜8の直鎖または分枝アルキル基であって、少なくとも1つの水素原子が水酸基で置換されたアルキル基を有するアクリレート系モノマーまたはメタクリレート系モノマーである。このような共重合体は、架橋剤との反応性に優れるため、架橋剤により架橋させることにより優れた粘着特性を有する粘着剤が得られる。
上記水酸基で置換されていないアルキル基を有するアクリレート系モノマーまたはメタクリレート系モノマーの、アルキル基の炭素数Cは、好ましくは2〜8である。他方、少なくとも1つの水素原子が水酸基で置換されたアルキル基を有するアクリレート系モノマーまたはメタクリレート系モノマーの、アルキル基の炭素数Cは、上記Cと同じか上記Cよりも多いことが好ましい。さらに好ましくは2〜8であり、特に好ましくは4〜6である。アクリレート系モノマーまたはメタクリレート系モノマーの有するアルキル基の炭素数C1、によって、重合体と架橋剤との反応性が異なるため、炭素数C、Cを調整することにより架橋の程度を調整できる。その結果得られる粘着剤の粘着性も調整できる。
上述の少なくとも1つの水素原子が水酸基で置換されたアルキル基を有するアクリレート系モノマーまたはメタクリレート系モノマーの由来物を、上記共重合体は0.1モル%〜10.0モル%含むことが好ましい。0.2モル%〜5.0モル%含むことがさらに好ましく、0.3モル%〜1.1モル%含むことが特に好ましい。
上記重合体の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した値が、好ましくは、100万〜300万である。
上記第1の粘着剤層に用いられる架橋剤は、イソシアネート基を有する化合物を主成分とするものである。イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレジンイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンイソシアネート、テトラメチレンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、トリメチロールプロパンキシレンジイソシアネート等が挙げられる。あるいは、これらのイソシアネート基を有する化合物を使ったアダクト系イソシアネート化合物、イソシアヌレート化物、ビウレット型化合物等が挙げられる。
上記架橋剤の配合量(重量比)は、上記重合体100に対して、好ましくは0.15〜1.0であり、さらに好ましくは0.30〜0.90である。上記架橋剤の配合量を上記の範囲とすることによって、より一層過酷な高温,多湿の環境下でも、第1の粘着剤層と位相差フィルムとの界面が剥がれにくい粘着剤層付光学フィルムを得ることができる。
上記シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。好ましくは、エポキシ基を有するシランカップリング剤であり、さらに好ましくはγ−グリドキシプロピルトリメトキシシランである。
上記シランカップリング剤の配合量(重量比)は、上記重合体100に対して、好ましくは0.01〜0.20であり、さらに好ましくは0.037〜0.113である。上記シランカップリング剤の配合量を上記の範囲とすることによって、より一層過酷な高温,多湿の環境下でも、剥がれや気泡が発生しない粘着剤層付光学フィルムを得ることができる。
第1の粘着剤層は、代表的には、以下の工程を経て製造される。
[1]上述の重合体と、架橋剤を少なくとも配合してポリマー溶液を調製する工程。
[2]工程[1]で得られるポリマー溶液を離型フィルムである基材に塗工する工程。
[3]工程[2]で得られる塗工物を50℃〜200℃で乾燥し、基材の表面に粘着剤層を形成する工程。
[4]工程[3]で得られる基材の表面に形成された粘着剤層を、偏光板に転写して、積層物を得る工程。
[5]工程[4]で得られる積層物を少なくとも3日間保存する工程。
上記の方法によって得られる第1の粘着剤層を形成する粘着剤は以下の物理的および化学的性質を有することが好ましい。
上記粘着剤のゲル分率は、好ましくは60%〜96%であり、さらに好ましくは70%〜94%である。ゲル分率を上記の範囲とすることによって、位相差フィルム対しては、強固な接着性を有し、且つ、液晶セルの基板(ガラス板)に対しては、粘着特性に優れた粘着剤層を得ることができる。ここでゲル分率とは次のように測定した値である。まずゲル分率測定用の粘着剤サンプルの重量を測定する(この重量をWaとする)。次に同サンプルを酢酸エチル中につけ23℃で7日間放置した後、サンプルを溶剤中から取り出し重量を測定する(この重量をWbとする)。このとき(Wb/Wa×100)がゲル分率[%]である。
上記粘着剤のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−42℃〜−14℃であり、さらに好ましくは−37℃〜−18℃である。ガラス転移温度を上記の範囲とすることによって、良好な粘着特性を有する粘着剤層が得られ得る。
上記粘着剤の水分率は、好ましくは0.01%以上1.0%以下であり、さらに好ましくは0.01%以上0.8%以下である。水分率を上記の範囲とすることによって、高温環境下でも、発泡の生じにくい粘着剤層を得ることができる。なお、上記水分率は、粘着剤層を空気循環式恒温オーブンによって150℃で1時間加熱した前後の重量差より、算出する。
別の実施形態においては、第1の粘着剤層は、後述する第2の粘着剤層の構成が採用され得る。
(4)アンカー剤層
本実施形態のアンカー剤層は、位相差フィルムと第1の粘着剤層との間に設けられる。アンカー剤層を設けることにより、位相差フィルムと第1の粘着剤層との界面の接着強度を強化し、リワーク時に生じる、位相差フィルムと第1の粘着剤層との界面剥離を防止し得る。より具体的には、位相差フィルムと第1の粘着剤層との間の接着強度F1Rを、液晶セル表面のガラス板と第2の粘着剤層との間の接着強度F2Gよりも大きくし得る。両接着強度の差、即ちΔF=F1R−F2Gは、大きい方がより層間剥離を起こしにくく、好ましくは7N/25mm以上であり、特に好ましくは10N/25mm以上である。
上記アンカー剤層の厚さは特に限定されないが、薄すぎると十分に接着強度を強化できないおそれがあり、厚すぎると積層膜全体の厚みが増加するため、好ましくは5nm〜1000nmであり、さらに好ましくは10nm〜500nmである。
アンカー剤層は、好ましくは水性ポリマーを含む。本明細書において「水性ポリマー」とは、水系溶媒に溶解又は分散するものをいう。上記水系溶媒とは、例えば、水、低級アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、セロソルブ類(例えば、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル)又はそれらの混合溶媒である。
水分散型ポリマーとしては、ポリウレタンやポリエステル等の各種の樹脂を、乳化剤を用いてエマルジョン化したものや、前記樹脂中に、水分散性のアニオン基、カチオン基またはノニオン基を導入して自己乳化したもの等が挙げられる。水分散型材料は有機溶媒に溶解させる必要がなく、位相差フィルムとして用いられるノルボルネン系樹脂を含む延伸フィルムを有機溶媒によって溶解することがない。従って、直接塗布しても、ノルボルネン系樹脂を含む延伸フィルムの配向を乱さず、延伸時の光学特性を良好に維持できる。そのため直接塗布することにより、厚みの均一なアンカー剤層を形成することができる。
上記アンカー剤層は、好ましくはエチレンイミン系ポリマーおよびチオフェン系ポリマーの少なくともいずれか一方を含む。これらポリマーはいずれか一方を用いてもよく、また、両者を混合して用いてもよい。
ポリエチレンイミンとは、−[−CH−CH−NH]−で表される線状高分子であり、本明細書におけるエチレンイミン系ポリマーとは、ポリエチレンイミン由来の−CH−NH−CH−結合を有する樹脂をいう。エチレンイミン系ポリマーは、例えば、エチレンイミンを重合したポリマーや、任意のアクリル系ポリマーにエチレンイミン及びポリエチレンイミンの少なくともいずれか一方を付加したもの(アクリル系ポリマーのエチレンイミン付加物及びアクリル系ポリマーのポリエチレンイミン付加物の少なくともいずれか一方)が挙げられる。エチレンイミン系ポリマーは樹脂中のアミノ基の割合が多く、アンカー剤層と粘着剤層との界面およびその近傍で、ポリエチレンイミンのアミン基と粘着剤中の官能基が反応して、アンカー剤層と粘着剤層とを強固に密着させる。
上記エチレンイミン系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは100〜100万である。上記エチレンイミン系ポリマーは、例えば、日本触媒社から入手できる。ポリエチレンイミンの市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のエポミンSPシリーズ(SP−003、SP−006、SP−012、SP−018、SP−103、SP−110、SP−200等)、エポミンP−1000等が挙げられる。
チオフェン系ポリマーとしては、下記一般式(1)及び/又は(2)の構造を含むものが好ましい。下記一般式(1)において、R及びRは、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。このようなチオフェン系ポリマーは、ノルボルネン系樹脂を含有する延伸フィルムとの密着性に優れ、且つ、粘着剤層付光学フィルムに導電性を付与することができる。
Figure 2008299316
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上記一般式(1)又は(2)のチオフェン系ポリマーは、3,4−ジアルコキシチオフェンの酸化重合によって得ることができる。
チオフェン系ポリマーを用いた水系アンカー剤としてはナガセケムテックス株式会社製のデナトロンシリーズが挙げられる。
なお、上記アンカー剤層は、任意の添加剤を含んでいてもよい。
(5)位相差フィルム
本実施形態に用いられる位相差フィルムは、ノルボルネン系樹脂を含有する延伸フィルムである。かかる位相差フィルムは第1の粘着剤層との接着性が悪く、リワークする際、粘着剤層付光学フィルムにおいて、位相差フィルム層と第1の粘着剤層との間の層間剥離が生じやすい。本実施形態においてはこの位相差フィルム層に上述のアンカー剤層を更に積層し、アンカー剤層と第1の粘着剤層とを接着することにより層間剥離を防止する。
本明細書において「ノルボルネン系樹脂」とは、出発原料(モノマー)の一部又は全部に、ノルボルネン環を有するノルボルネン系モノマーを用いて得られる(共)重合体をいう。上記「(共)重合体」は、ホモポリマー又は共重合体(コポリマー)を表す。
上記ノルボルネン系樹脂は、出発原料としてノルボルネン環(ノルボルナン環に二重結合を有するもの)を有するノルボルネン系モノマーが用いられる。上記ノルボルネン系樹脂は、(共)重合体の状態では、構成単位にノルボルナン環を有していても、有していなくてもよい。(共)重合体の状態では、構成単位にノルボルナン環を有するノルボルネン系樹脂は、例えば、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]デカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]デカ−3−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]デカ−3−エン等が挙げられる。(共)重合体の状態で構成単位にノルボルナン環を有さないノルボルネン系樹脂は、例えば、開裂により5員環となるモノマーを用いて得られる(共)重合体である。上記開裂により5員環となるモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−フェニルノルボルネン等やそれらの誘導体等が挙げられる。上記ノルボルネン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は、特に制限はなく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
上記ノルボルネン系樹脂としては、例えば、(A)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を水素添加した樹脂、(B)ノルボルネン系モノマーを付加(共)重合させた樹脂などが挙げられる。上記ノルボルネン系モノマーの開環共重合体は、1種以上のノルボルネン系モノマーと、α−オレフィン類、シクロアルケン類および非共役ジエン類からなる群より選ばれる少なくとも一種との開環共重合体を水素添加した樹脂を包含する。上記ノルボルネン系モノマーを付加共重合させた樹脂は、1種以上のノルボルネン系モノマーと、α−オレフィン類、シクロアルケン類および非共役ジエン類からなる群より選ばれる少なくとも一種との付加型共重合させた樹脂を包含する。
上記ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を水素添加した樹脂は、ノルボルネン系モノマー等をメタセシス反応させて、開環(共)重合体を得、さらに、当該開環(共)重合体を水素添加して得ることができる。具体的には、例えば、特開平11−116780号公報の段落[0059]〜[0060]に記載の方法、特開2001−350017号公報の段落[0035]〜[0037]に記載の方法等が挙げられる。上記ノルボルネン系モノマーを付加(共)重合させた樹脂は、例えば、特開昭61−292601号公報の実施例1に記載の方法により得ることができる。
上記ノルボルネン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(ポリスチレン標準)で測定した値が、好ましくは、20,000〜500,000である。上記ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120℃〜170℃である。上記の樹脂であれば、優れた熱安定性を有し、延伸性に優れたフィルムが得られ得る。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じたDSC法により算出される値である。
上記ノルボルネン系樹脂を含む位相差フィルムは、任意の適切な成形加工法によって得ることができる。好ましくは、上記ノルボルネン系樹脂を含む位相差フィルムは、ソルベントキャスティング法又は溶融押出法によって、シート状に成形された高分子フィルムを、横一軸延伸法、縦横同時二軸延伸法、又は縦横逐次二軸延伸法により、延伸して作製される。上記高分子フィルムを延伸する温度(延伸温度)は、好ましくは120℃〜200℃である。また、上記高分子フィルムを延伸する倍率(延伸倍率)は、好ましくは1を超え3倍以下である。
ノルボルネン系樹脂を含む位相差フィルムには、フィルム面に垂直な方向の屈折率nzがフィルム面内の遅相軸方向の屈折率nxより小さく、かつ、進相軸方向の屈折率nyより大きい光学特性を有する位相差フィルム、即ち、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足するフィルム(Zフィルム)が含まれる。Zフィルムの製造方法は、例えば、特開2000−072309号公報に示されている。Zフィルムは、構造的に脆く、割れやすい。そのため、従来のZフィルムを含む粘着剤層付光学フィルムは引き剥がす際に位相差フィルム層内に割れを生じるため、特に層間剥離が生じやすい。本実施形態はかかるZフィルムを含む粘着剤層付光学フィルムに有効に適用できる。
上記位相差フィルムは、その遅相軸方向が、上記偏光板の吸収軸方向と、略平行又は略直交するように配置される。なお、本明細書において「略平行」とは、例えば、上記の場合は、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が0°±2°を包含する。「略直交」とは、例えば、上記の場合は、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が90°±2°を包含する。このような配置状態の粘着剤層付光学フィルムは、リワークの際、偏光板に短冊状のわれが生じやすいため、層間剥離が生じやすいが、本実施形態の構成であれば、かかる構成であっても層間剥離を防ぐことができる。
(6)第2の粘着剤層
本実施形態に用いられる第2の粘着剤層は、好ましくは、アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーの少なくとも一方の重合体と、過酸化物を主成分とする架橋剤とを含む組成物を架橋して得られる粘着剤を主成分とする。
上記第2の粘着剤層の厚みは、好ましくは2μm〜50μmである。上記第2の粘着剤層の波長590nm光の透過率は、好ましくは90%以上である。第2の粘着剤層の波長590nm光のRe及びRthは、好ましくはそれぞれ2nm未満である。
上記第2の粘着剤層の23℃におけるガラス板に対する接着強度(F2G)は、好ましくは10N/25mm以下であり、さらに好ましくは7N/25mm以下である。なお、第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度(F2G)は、ガラス板に25mm幅のサンプルを2kgローラーで1往復圧着し、23℃で1時間放置後、同サンプルを90°方向に300mm/分で引き剥がし、このときの接着強度をJIS K 6854−1に準じて測定する。
上記第2の粘着剤層は、さらに任意の適切な添加物を含でいてもよい。上記添加物は、例えば、金属粉、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、充填剤等が挙げられる。また、上記第2の粘着剤層は、隣接する層からの移行物質(例えば、残留溶剤、添加剤、オリゴマーなど)を含んでいてもよい。上記添加物の含有量(重量比)は、好ましくは、上記第2の粘着剤層の全固形分100に対し、0を超え10以下である。また、上記移行物質の含有量(重量比)は、好ましくは、上記第2の粘着剤層の全固形分100に対し、0を超え5以下である。
アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーの少なくとも一方の重合体については上述した第1の接着剤層と同様であるため、その説明を省略する。
上記第2の粘着剤層に用いられる架橋剤としては、加熱分解によりラジカルを発生させて上記重合体を架橋させる過酸化物を主成分とする試薬が、好ましく用いられる。上記過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類等が挙げられる。上記架橋剤は、ジアシルパーオキサイド類の過酸化物を含むことが好ましく、ジベンゾイルパーオキサイドおよびベンゾイルm−メチルベンゾイルパーオキサイドの少なくともいずれか一方を含むことが更に好ましい。このような過酸化物は、半減期が一分間になるときの温度が90℃〜140℃であり、保存安定性に優れている。また、架橋反応を高精度に制御することが可能である。上記過酸化物を含む架橋剤としては、日本油脂社製のパーロイルシリーズ、ナイパーシリーズ等が挙げられる。なお、第2の粘着剤層に用いられる架橋剤としては、上記イソシアネート基を有する化合物も用いられ得る。
上記架橋剤の配合量(重量比)は、上記重合体100に対して、好ましくは0.01〜1.0であり、さらに好ましくは0.05〜0.8である。架橋剤の配合量を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有し、且つ、水分率が小さい粘着剤層を得ることができ、結果として、接着性と軽剥離性に優れた粘着剤層付光学フィルムを得ることができる。
第2の粘着剤層は、代表的には、以下の工程を経て製造される。
[1]上記重合体と、過酸化物を主成分とする架橋剤を少なくとも配合してポリマー溶液を調製する工程、
[2]工程[1]で得られるポリマー溶液を基材(離型フィルム)に塗工する工程、
[3]工程[2]で得られる塗工物を50℃〜200℃で乾燥し、基材の表面に粘着剤層を形成する工程、
[4]工程[3]で得られる基材の表面に形成された粘着剤層を、位相差フィルムに転写して、積層物を得る工程、
[5]工程[4]で得られる積層物を少なくとも3日間保存する工程。
上記の方法によって得られる第2の粘着剤層を形成する粘着剤は以下の物理的および化学的性質を有することが好ましい。
上記粘着剤のゲル分率は、好ましくは40%〜90%であり、さらに好ましくは50%〜90%である。ゲル分率を上記の範囲とすることによって、良好な粘着特性を有する粘着剤層が得られ得る。ここでゲル分率とは次のように測定した値である。まずゲル分率測定用の粘着剤サンプルの重量を測定する(この重量をWaとする)。次に同サンプルを酢酸エチル中につけ23℃で7日間放置した後、サンプルを溶剤中から取り出し重量を測定する(この重量をWbとする)。このとき(Wb/Wa×100)がゲル分率[%]である。
上記粘着剤のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70℃〜−10℃であり、さらに好ましくは−60℃〜−20℃である。ガラス転移温度を上記の範囲とすることによって、位相差フィルム対しては、強固な接着性を有し、且つ、液晶セルの基板(ガラス板)に対しては、適度な接着性を有し、軽剥離性に優れる粘着剤層を得ることができる。
上記粘着剤の水分率は、好ましくは0.01%以上1.0%以下であり、さらに好ましくは0.01%以上0.8%以下である。水分率を上記の範囲とすることによって、高温環境下でも、発泡の生じにくい粘着剤層を得ることができる。なお、上記水分率は、粘着剤層を空気循環式恒温オーブンよって150℃で1時間加熱した前後の重量差より、算出する。
別の実施形態においては、第2の粘着剤層は、上述の第1の粘着剤層の構成が採用され得る。
(7)液晶パネル
図2を参照して、本実施形態の液晶パネルは、粘着剤層付光学フィルム100と、液晶セル50とを備える。粘着剤層付光学フィルム100は、第2の粘着剤層22が液晶セル50側となるように、液晶セル50の片側に配置されている。具体的には、2枚のガラス板52及び53の間に液晶層51を挟み込んで構成される液晶セル50の一方のガラス板52の表面に、粘着剤層付光学フィルム100の第2の粘着剤層22を貼り付けることにより液晶パネル200は構成されている。
上記液晶層は、好ましくは、電界が存在しない状態で、ホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む。このような液晶層を備える液晶セルに、本実施形態の粘着剤層付光学フィルムを配置することで、広い視野角が得られるからである。ここで、「ホモジニアス配列」とは、上記液晶分子の配向ベクトルが、基板平面に対し、平行且つ一様に配向した状態のものをいう。なお、本明細書において、上記ホモジニアス配列は、液晶分子がガラス板平面に対し、わずかに傾いている場合、すなわち、液晶分子がプレチルト角を持つ場合も包含する。
また、一方のガラス板(アクティブマトリクス基板)には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的には、TFT)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線及びソース信号を与える信号線とが設けられる。他方のガラス板(カラーフィルター基板)には、カラーフィルターが設けられる。上記カラーフィルターは、上記アクティブマトリクス基板に設けてもよい。あるいは、液晶表示装置の照明手段にRGB3色光源が用いられる場合は、上記カラーフィルターは省略され得る。2つのガラス板の間隔は、スペーサーによって制御される。各ガラス板の液晶層と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜が設けられる。
(8)液晶表示装置
図3は、本実施形態の液晶表示装置の概略断面図である。なお、見やすくするために、図3の各構成部材の縦、横および厚みの比率は、実際とは異なっていることに留意されたい。この液晶表示装置300は、液晶パネル200と、液晶パネル200の一方の側に配置されたバックライトユニット80とを少なくとも備える。なお、図示例では、バックライトユニットとして、直下方式が採用された場合を示しているが、これは例えば、サイドライト方式のものであってもよい。
直下方式が採用される場合、上記バックライトユニット80は、好ましくは、光源81と、反射フィルム82と、拡散板83と、プリズムシート84と、輝度向上フィルム85とを少なくとも備える。サイドライト方式が採用される場合、好ましくは、バックライトユニットは、上記の構成に加え、さらに導光板と、ライトリフレクターとを少なくとも備える。なお、図3に例示した光学部材は、本実施形態の効果が奏する限りにおいて、液晶表示装置の照明方式や液晶セルの駆動モードなど、用途に応じてその一部が省略され得るか、または、他の光学部材に代替され得る。
上記液晶表示装置は、液晶パネルの背面から光を照射して画面を見る透過型であっても良いし、液晶パネルの視認側から光を照射して画面を見る反射型であっても良い。あるいは、上記液晶表示装置は、透過型と反射型の両方の性質を併せ持つ、半透過型であっても良い。
(9)粘着剤層付光学フィルムの製造方法
本実施形態に係る粘着剤層付光学フィルムは、好ましくは、以下の工程を経て製造される。
[1]離型シートに第1の粘着剤層を形成し、同第1の粘着剤層を、偏光板の一方面に転写する。その結果、偏光板の一方面に第1の粘着剤層が積層される。
[2]離型シートに第2の粘着剤層を形成し、同第2の粘着剤層を、ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムの一方面に転写する。その結果、位相差フィルムの一方面に第2の粘着剤層が積層される。
[3]位相差フィルムの他方面、即ち第2の粘着剤層が積層されていない面に電気的表面処理を施す。
[4]位相差フィルムの他方面(電気的表面処理を施す場合、電気的表面処理が施された面)に、水性ポリマーの溶液を塗工する。その結果、位相差フィルムの他方面にアンカー剤層が積層される。
[5]偏光板の一方の表面に積層された第1の粘着剤層と、位相差フィルムの他方面に積層されたアンカー剤層とを貼り合わせる。
ただし、[3]に示した電気的表面処理は必須ではない。
この電気的表面処理を施すことにより、位相差フィルム表面へのアンカー剤層の塗工性を改善することができる。電気的表面処理としては、代表的には、プラズマ処理およびコロナ処理が挙げられる。
ここで、プラズマ処理とは、代表的には、低圧の不活性ガスや酸素、ハロゲンガスなどの無機気体の雰囲気下で、グロー放電を生じさせて気体分子の一部がイオン化して発生する低温プラズマ内へ、フィルムを通過させることによってフィルム表面を処理するものを言う。
一方、コロナ処理とは、代表的には、設置された誘電体ロールと絶縁された電極との間に、高周波、高電圧を印加することにより、電極間の空気が絶縁破壊してイオン化し発生するコロナ放電内へ、フィルムを通過させることによってフィルム表面を処理するものを言う。
プラズマ処理を行なった後にアンカー剤層を積層した場合の方が、コロナ処理を行なった後にアンカー剤層を積層した場合に比べ、第1の粘着剤層とアンカー剤層との接着性が大きく、より好ましい。ここで、プラズマ処理を行なった位相差フィルム表面には窒素由来の置換基や二重結合等の活性基が導入されると考えられている。一方、コロナ処理を行なった位相差フィルム表面にはC=O基が導入されると考えられている。これらフィルム表面に導入される基の違いが、第1の粘着剤層とアンカー剤層との接着性に影響を与えていると推察される。
図1に示す構成の粘着剤層付光学フィルムを、以下に記載の部材と製造方法によって作製した。
<偏光板>
市販の偏光板「日東電工社製 NPF・SEG1224DU」を用いた。
<第1の粘着剤層>
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、ブチルアクリレート100重量部と、アクリル酸5重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.075重量部と、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部と、酢酸エチルとを加え、溶液を調製した。次に、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら攪拌して、60℃で4時間重合反応を行い、重量平均分子量220万のブチルアクリレートとアクリル酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートのアクリレート系コポリマーを得た。
このアクリレート系コポリマーに、さらに酢酸エチルを加えて希釈し、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.6重量部のイソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤[日本ポリウレタン(株) 商品名「コロネートL」]と、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.075重量部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[信越化学工業(株)製 商品名「KBM−403」]とをこの順に配合して、ポリマー溶液を調製した。
このポリマー溶液を、離型シート(シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)の表面に、ファウンテンコータで均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで70秒間乾燥し、離型シートの表面に第1の粘着剤層を形成した。次に、離型シートの表面に形成された第1の粘着剤層を、偏光板に転写して積層体Aを得た。
<アンカー剤層>
以下に示すエチレンイミン系ポリマーを使用した。
エチレンイミン系ポリマーを含む溶液[日本触媒社製 商品名「エポミンP1000」]を、水とイソプロピルアルコールの混合溶液で希釈し、固形分濃度3重量%となるように調製した。調製後の溶液をマイヤーバー#5を用いて、下記の位相差フィルムの一方の側に塗布乾燥し、厚み50nmのアンカー剤層を形成した。上記エチレンイミン系ポリマーは、ポリアクリル酸エステルのエチレンイミン付加物を含む。
<位相差フィルム>
厚み100μmのノルボルネン系樹脂を含有する高分子フィルム[オプテス社製 商品名「ゼオノアZF−14−100」の両側に、厚み60μmの収縮性フィルム[東レ社製 商品名「トレファンBO2873」]をアクリル系粘着剤層(厚み15μm)を介して貼り合わせた。その後、ロール延伸機でフィルム長手方向を保持して、146℃の空気循環式オーブン内で1.38倍に延伸し、延伸後、上記収縮性フィルムを上記アクリル系粘着剤層と共に剥離して、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する位相差フィルムを作製した。
<第2の粘着剤層>
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、ブチルアクリレート99重量部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0重量部と、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部、酢酸エチルを加え、溶液を調製した。次に、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら攪拌して、60℃で4時間重合反応を行い、重量平均分子量165万のブチルアクリレートと4−ヒドロキシブチルアクリレートのアクリレート系コポリマーを得た。
このアクリレート系コポリマーに、さらに酢酸エチルを加えて希釈し、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.2重量部のジベンゾイルパーオキシドを含む架橋剤[日本油脂(株)製 商品名「ナイパーBMT(SV)」]と、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.02重量部のトリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート[三井化学ポリウレタン(株)製 商品名「タケネートD110N」]と、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.2重量部のアセトアセチル基を含むシランカップリング剤[総研化学(株)製 商品名「A−100」]とをこの順に配合して、ポリマー溶液を調製した。
このポリマー溶液を、離型シート(シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)の表面に、ファウンテンコータで均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで70秒間乾燥し、離型シートの表面に第2の粘着剤層を形成した。次に、離型シートの表面に形成された第2の粘着剤層を、位相差フィルムのアンカー剤層を備える側とは反対側に積層して積層体Bを得た。
<粘着剤層付光学フィルムの製造>
積層体Aの第1の粘着剤層と積層体Bのアンカー剤層とを貼り合わせて、図1に示す構成の粘着剤層付光学フィルムを作製した。
実施例1と同様、図1に示す構成の粘着剤層付光学フィルムを作製した。なお、実施例2は実施例1の第1の粘着剤層を構成する部材と、第2の粘着剤層を構成する部材とを入れ替えた構成であるので、各部材の説明および製造方法の説明を省略する。
[比較例1]
図4に示す構成の粘着剤層付光学フィルムを作製した。なお、各部材については実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
<粘着剤層付光学フィルムの製造>
具体的には、位相差フィルムの一方面にアンカー剤層を形成した後、アンカー剤層の表面に第2の粘着剤層を積層して積層体Cを得た。積層体Cの第2の粘着剤層が形成されていない面に、実施例1の積層体Aの第1の粘着剤層を貼り合わせて、粘着剤層付光学フィルムを作製した。
[比較例2]
比較例1と同様、図4に示す構成の粘着剤層付光学フィルムを作製した。なお、比較例2は比較例1の第1の粘着剤層を構成する部材と、第2の粘着剤層を構成する部材とを入れ替えた構成であるので、各部材の説明および製造方法の説明を省略する。
<評価方法とその結果>
上述の実施例1、実施例2、比較例1および比較例2にかかる粘着剤層付光学フィルムをそれぞれガラス板[コーニング社製 商品名「1737」]に、第2の粘着剤層によって貼着した。次に50℃,5気圧で15分間オートクレーブ処理を施し、密着させた後、更に1時間放置した。こうして作製した各サンプルを人の手によって剥離し、層間剥離が生じるかどうかを調べた。その結果を表1に示す。なお、表中「イソシアネート」と表記したのは粘着剤に用いる架橋剤としてイソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤[日本ポリウレタン(株) 商品名「コロネートL」]と、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.075重量部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[信越化学工業(株)製 商品名「KBM−403」]とを使用したことを示す。同様に表中「過酸化物」と表記したのは粘着剤に用いる架橋剤としてジベンゾイルパーオキシドを含む架橋剤[日本油脂(株)製 商品名「ナイパーBMT(SV)」、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.02重量部のトリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート[三井化学ポリウレタン(株)製 商品名「タケネートD110N」]と、上記アクリレート系コポリマー100重量部に対して0.2重量部のアセトアセチル基を含むシランカップリング剤[総研化学(株)製 商品名「A−100」]とを使用したことを示す。
Figure 2008299316
表1より、ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムの少なくとも一方の表面に水性ポリマーを主成分とするアンカー剤層が積層され、前記アンカー剤層の表面に、第1の粘着剤層を介して偏光板が積層され、前記位相差フィルムの他方の表面に、第2の粘着剤層が積層された粘着剤層付光学フィルムであれば、第1、第2の粘着剤層として上記いずれの粘着剤を使用した場合においても、層間剥離を防止することができることが判る。
電気的表面処理としてプラズマ処理を行なったこと以外は実施例1と同じであるので各部材の説明は省略する。製造方法は、位相差フィルムのプラズマ処理を施し、この処理面にアンカー剤層を形成したこと以外は実施例と同様にして粘着剤層付光学フィルムを作製した。
チオフェン系ポリマーを主成分とするアンカー剤層を形成したこと以外は実施例3と同様にして粘着剤層付光学フィルムを作製した。各部材については、チオフェン系ポリマーを主成分とするアンカー剤層のみ説明し、その他の部材および製造方法の説明を省略する。
<アンカー剤層>
以下に示すチオフェン系ポリマーを使用した。
チオフェン系ポリマーを含む溶液[ナガセケムテックス社製 商品名「デナトロンP521−AC」]を水とイソプロピルアルコールの混合溶液で希釈し、固形分濃度が0.6重量%となるように調製した。調製後の溶液をマイヤーバー#5を用いて、位相差フィルムの一方の側に塗布乾燥し、厚み120nmのアンカー剤層を形成した。
電気的表面処理としてコロナ処理を行なったこと以外は実施例3と同様にして粘着剤層付光学フィルムを作製したので各部材および製造方法の説明を省略する。
電気的表面処理としてコロナ処理を行なったこと以外は実施例4と同様にして粘着剤層付光学フィルムを作製したので各部材および製造方法の説明を省略する。
[比較例3]
アンカー剤層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層付光学フィルムを作製したので各部材および製造方法の説明を省略する。電気的表面処理も行なっていない。
[比較例4]
アンカー剤層を形成しなかったこと以外は実施例3と同様にして粘着剤層付光学フィルムを作製したので各部材および製造方法の説明を省略する。
[比較例5]
アンカー剤層を形成しなかったこと以外は実施例5と同様にして粘着剤層付光学フィルムを作製したので各部材および製造方法の説明を省略する。
<評価方法とその結果>
上述の実施例3〜6および比較例3〜5にかかる粘着剤層付光学フィルムをそれぞれガラス板[コーニング社製 商品名「1737」]に、第2の粘着剤層によって貼着した。次に50℃,5気圧で15分間オートクレーブ処理を施し、密着させた後、更に1時間放置した。
・第1の粘着剤層の前記アンカー剤層(アンカー剤層がない場合は位相差フィルム)に対する接着強度(F1R)および前記第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度(F2G)の測定
第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する接着強度(F1R)は以下のように測定する。
ステンレス板に強粘着両面テープで25mm幅のサンプルを固定し、同サンプルの第1の粘着剤層とアンカー剤層(アンカー剤層がない場合は位相差フィルム)との間を90°方向に300mm/分で引き剥がし、このときの接着強度をJIS K 6854−1に準じて測定する。
第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度(F2G)は以下のように測定した。ガラス板に25mm幅のサンプルを2kgローラーで1往復圧着し、23℃で1時間放置後、同サンプルを90°方向に300mm/分で引き剥がし、このときの接着強度をJIS K 6854−1に準じて測定する。
また両者の差(ΔF)は以下の式により求めた。
[数1]
ΔF=F1R−F2G (単位:N/25mm)
・層間剥離試験
各サンプルを人の手によって剥離し、層間剥離が生じるかどうかを調べた。
上記結果を表2に示す。
Figure 2008299316
(1)実施例3〜実施例6と比較例3〜比較例5との第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する接着強度(F1R)を比較すると、アンカー剤層を積層すると積層しない場合よりF1Rが大きくなることとが判る。F2Gは一定(6.0)であるので、ΔFもアンカー剤層を積層すると大きくなる。
(2)ΔFが7.3以上であればサンプルを剥離す際に層間剥離が発生せず、6.5以下であれば層間剥離が発生している。従って第1の粘着剤層のアンカー剤層に対する接着強度と、前記第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度との差が、JIS K 6854−1に準じた剥離接着強さにおいて7N/25mm以上であれば粘着剤層付光学フィルムを剥離す際に層間剥離が起きないことが推定される。
(3)実施例3と実施例5、および実施例4と実施例6をそれぞれ比較すると、F1Rはアンカー剤層の形成材にかかわらず、プラズマ処理の方が大きい。よって電気的表面処理はプラズマ処理であることが好ましい。
(4)実施例3と実施例4、および実施例5と実施例6をそれぞれ比較すると、F1Rは電気的表面処理の方法にかかわらず、エチレンイミン系ポリマーを主成分としたアンカー剤層を用いた実施例の方が大きい。よってエチレンイミン系ポリマーを主成分としたアンカー剤層を用いることがより好ましい。
本実施形態の粘着剤層付光学フィルム及び液晶パネルは、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機などのOA機器、携帯電話,時計,デジタルカメラ,携帯情報端末(PDA),携帯ゲーム機などの携帯機器、ビデオカメラ,テレビ,電子レンジなどの家庭用電気機器、バックモニター,カーナビゲーションシステム用モニター,カーオーディオなどの車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器、監視用モニターなどの警備機器、介護用モニター,医療用モニターなどの介護・医療機器等である。
本発明にかかる粘着剤層付光学フィルムの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明にかかる液晶パネルの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明にかかる液晶表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 比較例にかかる粘着剤層付光学フィルムの一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
10 偏光板
21 第1の粘着剤層
22 第2の粘着剤層
30 アンカー剤層
40 位相差フィルム
50 液晶セル
51 液晶層
52,53 ガラス板
80 バックライトユニット
81 光源
82 反射フィルム
83 拡散板
84 プリズムシート
85 輝度向上フィルム
100 粘着剤層付光学フィルム
200 液晶パネル
300 液晶表示装置

Claims (14)

  1. ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムと、
    該位相差フィルムの一方の表面に積層される水性ポリマーを主成分とするアンカー剤層と、
    該アンカー剤層の表面に第1の粘着剤層を介して積層される偏光板と、
    該位相差フィルムの他方の側に積層される第2の粘着剤とを備える、粘着剤層付光学フィルム。
  2. 前記水性ポリマーがエチレンイミン系ポリマーおよびチオフェニン系ポリマーの少なくとも一方である、請求項1に記載の粘着剤層付光学フィルム。
  3. 前記第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する接着強度が、前記第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度よりも大きい、請求項1または2に記載の粘着剤層付光学フィルム。
  4. 前記第1の粘着剤層の前記アンカー剤層に対する接着強度と、前記第2の粘着剤層のガラス板に対する接着強度との差が、JIS K 6854−1に準ずる剥離接着強さにおいて7N/25mm以上である、請求項3に記載の粘着剤層付光学フィルム。
  5. 前記第2の粘着剤層が、アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーの少なくとも一方の重合体と、過酸化物を主成分とする架橋剤とを含む組成物を架橋して得られる粘着剤を主成分とする、請求項1から4のいずれかに記載の粘着剤層付光学フィルム。
  6. 前記位相差フィルムの屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する、請求項1から5のいずれかに記載の粘着剤層付光学フィルム。
  7. 前記位相差フィルムの遅相軸方向と、前記偏光板の吸収軸方向とが、略平行である、請求項1から6のいずれかに記載の粘着剤層付光学フィルム。
  8. 前記位相差フィルムの遅相軸方向と、前記偏光板の吸収軸方向とが、略直交する、請求項1から6のいずれかに記載の粘着剤層付光学フィルム。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の粘着剤層付光学フィルムを備える、液晶パネル。
  10. 電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む液晶層を備える、請求項9に記載の液晶パネル。
  11. 請求項9または10に記載の液晶パネルを備える、液晶表示装置。
  12. 一方の表面に第2の粘着剤層が積層され、ノルボルネン系樹脂を主成分とする延伸フィルムである位相差フィルムの他方の表面に、水性ポリマーを主成分とするアンカー剤を塗工してアンカー剤層を積層する工程と、
    該アンカー剤層と、偏光板の一方の表面に積層された第1の粘着剤層とを貼り合わせる工程とを少なくとも含む、粘着剤層付光学フィルムの製造方法。
  13. 前記位相差フィルムの前記アンカー剤層を積層する面に、電気的表面処理を施す、請求項12に記載の粘着剤層付光学フィルムの製造方法。
  14. 前記電気的表面処理が、プラズマ処理である、請求項13に記載の粘着剤層付光学フィルムの製造方法。
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