JP2008299256A - レジスト、多層光記録媒体用のスタンパの製造方法、及び多層光記録媒体の製造用のスタンパ - Google Patents

レジスト、多層光記録媒体用のスタンパの製造方法、及び多層光記録媒体の製造用のスタンパ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ポジ型の露光現像が可能で、且つUV光に対する透過率の高い遷移金属の不完全酸化物を用いたレジスト及び多層記録媒体用のスタンパを提供するものである
【解決手段】本発明は、無機材料から成るポジ型のレジストであって、
この無機材料には、遷移金属の不完全酸化物と該遷移金属の不完全酸化物よりもアルカリへの溶解性の高い金属添加物とを含んでいる。
また、透光性を有する基板上に、上記レジストが積層された多層記録媒体用のスタンパである。
【選択図】図1

Description

本発明は、レジスト、多層光記録媒体用のスタンパの製造方法、及び多層光記録媒体用のスタンパに関する。
音声信号をデジタル信号として記録する光記録媒体として開発されたコンパクトディスク(以下、CDと略す)は、音声信号以外のデジタル信号の記録媒体としても使用されている。デジタル信号を記録する媒体は、パーソナルコンピューターのバックアップ、画像記録等の要求により、記録密度の向上が求められ、デジタル多用途ディスク(Digital Versatile Disc:以下、DVDと略す)が開発された。
しかしながら、テレビの高精細化及びデジタル化に伴い、更なる、高密度化が要求されている。
一般に、光記録媒体の記録密度は、記録再生光学系のレーザ光の波長λ及び対物レンズの開口数NAに大きく依存する。即ち、信号再生可能な記録ピットの空間周波数は2NA/λ程度となる。そのため、短波長技術や高NA化技術を用いた高記録密度化の研究が盛んに行われている。例えば、CDでは記録再生用のレーザ光の波長が780nm、レンズの開口数が0.45で650〜700MBであったが、DVDではレーザ光の波長が650nm、レンズの開口数が0.6で4.7GBの容量となっている。
DVDの容量を更に拡大するため、記録再生光学系のレーザ波長を405nmに短波長化した、Blu−lay DISK(登録商標)(以下、BDと略す)及びHigh Definition DVD(以下、HD DVD(登録商標)と略す)の2通りの規格が決められている。
HD DVDは、開口数0.65のレンズを用い、BDでは開口数0.85のレンズが用いられている。開口数の大きなレンズを用いているBDの方が記録容量を大きく取れ、HD DVDの一層の記録容量が15GBであるのに対し、一層で25GB超の記録容量が得られている。
記録再生光学系のレーザ光の短波長化や高NA化による記録マークの微細化に伴い、トラックピッチが狭くなっていく。例えば、BDではトラックピッチがDVDの740nmから320nmまで狭くなっている。また、トラックの深さや、ピットの深さも、短波長化に伴い波長λに比例して浅くなっていく。BDでは溝深さが20nm〜30nmで、ピット深さが40〜70nmと非常に浅くなっている。
これら光記録媒体に用いられる基板は、一般的に樹脂材料の射出成型により作製され光記録媒体の低価格化が実現されている。射出成型は、基板にグルーブやピット等のパターンを転写させるために基板成型用原盤としてのスタンパが用いられる。
従来の、スタンパは、ガラス原盤上に塗布したフォトレジストに露光現像処理を施すことで凹凸パターンを形成し、そこに電鋳法によりニッケル等の金属を析出させ剥離することで作製されてきた。
このような感光剤によるフォトンモード記録を用いた場合、形成可能な最短ピット長やトラックピッチは使用する光源のレーザ波長と対物レンズの開口数NAにより決定されることとなる。そのため、より微細なパターンを形成するためには、レーザの短波長化と対物レンズの高NA化が必要となるが、DeepUVやEB露光等では、装置の複雑化や安定性面で問題があった。そこで現在では、無機レジスト、特にアモルファス無機レジストによるヒートモード記録を用いた露光現像が行われるようになってきている。
ヒートモード記録とは、露光による温度変化によって引き起こされる物質の状態変化を利用して所定のパターンを記録する方法をいう。ここで、物質の「状態変化」とは、物質の物理的及び/又は化学的性質が変化することをいう。ヒートモード記録を利用する場合には、同波長の光を用いてフォトンモード記録を実施する場合と比較して、凹凸の輪郭がより明瞭なパターンを得ることができる。これは、アモルファス無機レジストの最小構造単位が原子レベルのサイズであることに起因している。
ヒートモード型のレジストとして、特許文献1に開示されている遷移金属の不完全酸化物からなる無機レジストでは405nm程度の可視レーザによる露光によっても、熱記録の特性によりスポット径より小さいパターンの露光が可能であることが示されている。この技術は、Blu−ray Disc或いはそれ以上の高記録密度化に対応した光記録媒体のマスタリング技術に有用な技術として注目されている。この遷移金属の不完全酸化物からなる無機レジストは、ポジ型の露光現像が可能となっている。ここで、不完全酸化物とは、酸素の含有量が遷移金属のとりうる価数に応じた化学量論組成の酸素含有量より小さいことを意味している。
従来の光感光性の樹脂をレジストとして用いた場合、ガラス原盤をスタンパとして使用することは困難であり、ガラス原盤上に鍍金を行うことで得られるメタル板をスタンパとして使用していた。一方、特許文献1に開示された遷移金属の不完全酸化物を用いたレジストの場合、樹脂を用いたレジストとは異なり、ガラス原盤をスタンパとして使うことが可能である。
一方で、記録面を複数積層することで、大容量化を実現しようという研究も盛んに行われている。例えばDVDやBDでは記録面を二層積層することで二倍の記録容量を実現している。BDでは次世代への高集積化を目指した4層メディアの開発も進んでいる。
特許文献2には、2層以上の記録層をもった多層光記録媒体の製造方法が開示されている。特許文献2には、スタンパとして樹脂製の透明スタンパを用いることが開示されている。
特開2003−315988号公報 特開2002−260307号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている遷移金属の不完全酸化物からなる無機レジストは、ポジ型の露光現像が可能であるが、開示されている酸素含有量は60at%であるためレジストのUV光に対する透過率が低い。すなわち、これまでは遷移金属の不完全酸化物からなる無機レジストにおいて、ポジ型の露光現像が可能で、且つUV光に対する透過率の高いレジストは得られていなかった。
また、特許文献2に開示されている樹脂製の透明スタンパは、樹脂製であるため、繰り返しの使用によりUV光に対する透過率が低下していく。そのため、繰り返しの使用ができないという問題を抱えていた。
そのため本発明の目的は、ポジ型の露光現像が可能で、且つUV光に対する透過率の高い遷移金属の不完全酸化物を用いたレジストを得ることである。
また、UV光に対する劣化の少ないレジストを用いた多層光記録媒体用のスタンパの製造方法、及び多層光記録媒体用のポジ型のスタンパを得ることである。
上記課題を解決するために、以下を提供する。
無機材料から成るポジ型のレジストであって、
前記無機材料には、遷移金属の不完全酸化物と該遷移金属の不完全酸化物よりもアルカリへの溶解性の高い金属添加物とを含むポジ型のレジスト。
又、基板上に、請求項1に記載のポジ型のレジストからなるレジスト層を基板上に形成する工程と、前記レジスト層が状態変化を起こす波長の光を記録用信号パターンに対応させて選択的に露光を行う露光工程と、前記露光工程が終了後、アルカリ性の現像液を用いて現像を行う工程と、を有する多層光記録媒体用のスタンパの製造方法。
更に、多層光記録媒体の製造に用いられるスタンパにおいて、透光性を有する基板と、前記基板上には、遷移金属の不完全酸化物と、該遷移金属の不完全酸化物よりもアルカリへの溶解性の高い金属添加物を有する無機材料からなるポジ型レジストと、を有するスタンパ。
本発明によれば、遷移金属の不完全酸化物から成る無機レジストを用いて、UV光に対する透過率が高く、且つポジ型のレジストの提供が可能となる。また、このレジストを用いた繰り返し使用可能な多層光記録媒体用のスタンパの製造方法、及び多層光記録媒体用スタンパの提供が可能となる。
スタンパの場合、UV硬化樹脂を用いた凹凸パターン形成において、スタンパ側からUV光の照射が可能となる為、光記録媒体の多層化における各記録層間の樹脂層形成に好適なスタンパを提供できる。
本発明は、無機材料から成るポジ型のレジストであって、前記無機材料には、遷移金属の不完全酸化物と該遷移金属の不完全酸化物よりもアルカリへの溶解性の高い金属添加物とを含んだポジ型のレジストに関するものである。
更に、酸素含有量が72at%以上74at%以下である遷移金属の不完全酸化物からなる無機材料からなる無機レジストに、遷移金属の不完全酸化物よりもアルカリに溶解する速度が速い金属を添加するものである。無機レジスト層の厚みは300nmである。金属添加物としては、アンチモン(Sb)が好ましく、アンチモンの添加量は、2.5%以上20at%以下であることが好ましい。
また、酸素含有量が72at%以上74at%以下のため従来よりも酸素含有量が多く、UV光に対する透過率が高くなる。
この無機材料からなるレジストは、250nm以上400nm以下のUV光(紫外線)の最大透過率が19%以上25%以下である。
遷移金属としては、タングステン及びモリブデンの少なくとも一方を含むことが好ましい。
基板上に形成された上述のポジ型レジストに対し、レジスト層が状態変化を起こす波長の光を記録用信号パターンに対応させて選択的に露光を行う。その後、アルカリ性の現像液を用いて現像を行うことでポジ型レジストに記録用信号パターンに対応したパターンが形成される。
この記録用信号パターンに対応したパターンが形成された基板は、多層光記録媒体を製造する際の、透明なスタンパを起こすための多層光記録媒体用のスタンパの原盤、あるいは光を透過させることの可能なスタンパとして使用することができる。2P法を用いて、2P樹脂に記録用信号パターンを転写する多層光記録媒体用のスタンパとして使用する場合、基板として石英基板のような2P樹脂を硬化させる光(UV光)に対して透明な基板であることが好ましい。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による多層光記録媒体用のスタンパの製造方法の実施態様を示す模式的断面図である。
先ず、基板1001の上に、スパッタリング法により所定の無機系のレジスト材料からなるレジスト層1002を成膜する(図1(a))。基板1001は、アルカリ性の現像液に対して耐性のある基板を用いることが好ましい。基板に透明性を要求する場合は、250nm以上400nm以下の可視の領域の光に対し透過率が高い、石英ガラス等の透明基板を用いることが好ましい。透明基板としては、他にもガラス基板、透明セラミックス基板を用いても良い。厚さはパターン転写の際に充分な強度があれば良く、例えば、0.5mm〜20mm。透過率は90%以上が好ましい。
また、透明性を要求されない場合、単結晶シリコン基板を用いることもできる。
レジスト層1002は、遷移金属の不完全酸化物よりも現像液に対する溶解性の高い添加元素が含有された遷移金属の不完全酸化物である。遷移金属としては、タングステン又はモリブデンの少なくとも一方を含むことが好ましい。遷移金属としてモリブデン又はタングステンを用いた場合、遷移金属の不完全酸化物よりも現像液に対する溶解性の高い添加元素は、アンチモンが好ましい。アンチモンの含有率は、2.5at%以上20.0at%以下であることが好ましい。遷移金属中の酸素の含有率は、透明性を維持するためには、72〜74at%の範囲であることが好ましい。
上述したモリブデンあるいはタングステンの不完全酸化物は、405nm程度の波長の可視光に対して吸収を示し、可視光を照射されることでその化学的性質が変化する。この結果、無機レジストでありながら現像工程において露光部と未露光部とでエッチング速度に差が生じる、いわゆる選択比が得られる。また、モリブデンあるいはタングステンの不完全酸化物からなるレジスト材料は、膜材料の微粒子サイズが小さいために未露光部と露光部との境界部のパターンが明瞭なものとなり、分解能を高めることができる。
なお、上記レジスト層1002は、遷移金属の単体からなるスパッタターゲットを用いて、アルゴン及び酸素雰囲気中でスパッタリング法により成膜を行う方法が挙げられる。この場合には、真空雰囲気中の酸素ガス濃度を変えることにより、遷移金属の不完全酸化物の酸素含有量を制御できる。2種類以上の遷移金属を含む遷移金属の不完全酸化物をスパッタリング法により成膜する場合には、異なる種類のスパッタターゲットを多元同時スパッタすることで複数種類の遷移金属を混合させる。混合割合は、それぞれのスパッタ投入パワーを変えることにより制御する。金属ターゲットを用いた酸素雰囲気中のスパッタリング法の他にも次のような手法がある。予め所望量の酸素を含有する遷移金属の不完全酸化物からなるターゲットを用いて通常のアルゴン雰囲気中でスパッタリングを行うことによっても、遷移金属の不完全酸化物からなるレジスト層を同様に成膜できる。さらに、スパッタリング法の他、蒸着法によっても遷移金属の不完全酸化物からなるレジスト層を容易に成膜可能である。
また、レジスト層1002の露光感度を改善するために基板1001とレジスト層1002との間に所定の中間層を形成してもよい(図示せず)。中間層の材料としては、アモルファスシリコン、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、アルミナ(Al23)などが適しており、スパッタリング法やその他の蒸着法によって形成すればよい。
次いで、レジスト層1002の成膜が終了した基板を、露光装置を用いて微細凹凸の潜像、すなわち追記型あるいは書き換え型の記録用ディスクの場合はスパイラル状の案内溝を形成する。(図1(b))。次に、このようにしてパターン露光されたレジスト層1002を現像することにより、所定の露光パターンに応じたピット又は案内溝の微細凹凸が形成された多層光記録媒体用のスタンパとしても使用できるガラス原盤1003が得られる。(図1(c))。
露光装置は、基板を載置し、線速度一定の条件で基板が載置された台を回転する回転装置と、基板の中心を通過する線上を移動する光源とから成り立っている。
シリコン基板を用いることもできる。基板上に設けられたレジストに信号パターンが形成された基板を、光記録媒体用原盤と称する。
光記録媒体用原盤は、多層記録媒体用のスタンパとして使用しても、光記録媒体用原盤に金属鍍金を行い、金属スタンパを形成する原盤として使用しても良い。
現像処理としては、アルカリ溶液によるウェットプロセスによって選択比を得ることが可能である。現像液としては水酸化テトラメチルアンモニウム溶液、KOH、NaOH、Na2CO3等の無機アルカリ水溶液を用いることが好ましい。
そして、遷移金属の不完全酸化物よりも現像液に対する溶解性の高い添加元素であるアンチモンの作用により、本発明のレジストは、UV領域の可視光に対して透過率の高いポジ型のレジスト得ることができる。
この場合の露光現像メカニズムは解明されていないが、次のように考えられる。
図2(a)に示すように、基板2001上に設けられたアンチモンを含有する遷移金属の不完全酸化物から成るレジスト層2003に波長405nm程度のレーザ光で露光を行う。すると、レジストの露光領域が形状変形2004を起こす(図2(b))。露光領域は、レーザ光によるエネルギーで遷移金属の不完全酸化物の結晶化が行われ結晶粒が成長し、結晶粒界にアンチモンが析出していると考えられる。
ここで、アンチモンの添加量は、2.5at%以上20at%以下であることが好ましい。アンチモンの添加量が2.5at%以上であれば、露光部表層の結晶粒界に十分な量のアンチモンが析出し、現像液の侵入が促進する効果を得ることができると考えられる。又、アンチモンの添加量が20.0at%以下であれば、パターンの明瞭性やレジストの光学特性など無機レジスト性能が低下することを低減できる。
遷移金属の不完全酸化膜に添加されたアンチモンは、遷移金属の不完全酸化物よりも現像液と反応して溶解する速度が速いため、図2(c)に示すように露光部表層の結晶粒界間の亀裂に入り込む現像液と添加物2007が反応し添加物2007が溶け出していく。添加物が溶け出すことで露光領域の結晶粒界へ現像液の浸入が促進され、更に添加物が溶け出していくこととなると考えられる。この現象が繰り返し進行していくことで、図2(d)に示すようなスタンパ表面形状2008になると考えられる。
その結果として、本発明のレジストは、UV領域の可視光に対して透過率の高いポジ型のレジスト得ることができる。
以下に、具体的な実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明はその主旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
RF電源を有するマグネトロンスパッタ装置に、厚さ1mmの合成石英基板を基板ホルダーに固定した後、2×10-5Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をターボ分子ポンプで真空排気した。その後、真空排気したままプロセスガスをチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、Sb5at%含有のWOx(Xは3である)ターゲットをスパッタしてレジスト層の形成を行った。
まず、アルゴンガス50sccmと酸素ガス10sccmをチャンバー内に流しコンダクタンス調整により圧力を0.3Paとし、基板上に、レジスト層としてSb添加WOx膜を300nm成膜した。
ここで、Sbの含有率を5at%としている。
堆積したレジスト層をエネルギー分散型X線検出装置(Energy Dispersive X―ray spectrometer:EDX)にて解析したところ、酸素含有量は74at%であった。
また、UV光に対する透過率は、分光計を用いて測定を行った結果、波長250nmから400nmの範囲において最大値25%の透過率を有していることが分かった。370nmから400nmの透過率は、ほぼ同一で25%の透過率であり、波長が370nmよりも短波長になるに従って透過率は低くなった。
レジスト層の成膜が終了したレジスト基板を、市販の露光装置により、ランド・グルーブ・ウォブルを形成するための凹凸パターンに対応する露光を行った。露光した領域は、将来ランドなる領域である。
なお、露光波長は405nm、露光光学系の開口数NAを0.9とした。また、露光時の線速度を4.0m/sとし、照射パワーを5.0mWとした。凹凸の繰り返し幅(トラックピッチ)は、0.32μmとした。
次に、露光の終了したレジスト基板を、アルカリ現像液によるウェットプロセスにより現像した。この現像工程では、レジスト基板を現像液に浸したまま、エッチングの均一性を向上させるために超音波を加えた状態で現像を行った。現像終了後には純水及びイソプロピルアルコールにより充分に洗浄し、エアブロー等で乾燥させてプロセスを終了した。アルカリ現像液としてはテトラメチルアンモニウム水酸化溶液を用い、現像時間は30秒とした。
以上の工程を経て得られたスタンパの表面形状を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)にて観察した結果、溝部分が露光部に対応し、未露光部のレジスト層に対して凹となっているポジ型であることが分かった。また、遷移金属の不完全酸化物からなるレジスト層において、未露光部のエッチング速度は、露光部のエッチング速度に比較して遅いため、未露光部のレジスト層は成膜後の膜厚を現像後も殆ど維持していた。また、露光部において基板表面を露出させるか否かは使用目的により選択すれば良い。
次に、上述の透明なスタンパを用い、2P法(Photo−Polymerization法)により複数の記録層を有する多層光記録媒体を製造した。本実施例では、記録層が2層の多層光記録媒体を製造した。予めガラス基板上に1層の記録層が積層された上に、紫外線硬化樹脂を形成し、紫外線硬化樹脂の表面に上述の透明スタンパを押圧し、透明スタンパに形成された凹凸を紫外線硬化樹脂に転写した。この際、UV光の照射はスタンパ側から行った。このガラス2P基板上に既存の書換え型相変化膜の成膜、並びに保護層として、100μmの光透光性カバーシートの貼り付けを行うことで多層光記録媒体を作製した。この多層光記録媒体に対して、ジッタ特性の評価を行った。なお、上記スタンパから多層光記録媒体を得るまでの工程は従来公知の技術で製造している。なお、紫外線硬化樹脂は大日本インキ社製EX−8501を使用した。
評価は本実施例における多層光記録媒体に対して、保護層である光透過性カバーシート側から、照射光を対物レンズによって集光させて、保護層に近い記録層に対して、一般的な条件で記録情報の記録再生を行った。ここで、照射光の波長λは、405nmとした。対物レンズの開口数NAは、0.85、線速度は4.917m/s、記録信号は(1−7)RLL(Run−Length Limited coding)変調における最短ビット長111.75nmのランダム信号とした。その結果、レジストの露光面に対応する所謂On−Groove記録においてジッタ値(σ/T)で4.5%と実用上問題の無い良好な値が得られた。
<実施例2>
ターゲットにSbを5at%含有のMoOxターゲット(Xは3である)を用い、基板上にレジスト層としてSb添加MoOx膜を300nm成膜した以外は実施例1と同様にして本実施例のスタンパ及び多層光記録媒体の作製を行った。ここでXは3である。Sbの含有量は5at%である。
<実施例3>
ターゲットにSb5at%含有のWOx(Xは3である)ターゲット、及びSb5at%含有のMoOx(Xは3である。)ターゲットを用い、多元同時スパッタ法により基板上にレジスト層を形成した以外は、実施例1と同様にして本実施例におけるスタンパ及び多層光記録媒体の作製を行った。
<比較例1>
比較例1では、レジスト材料としてアンチモンを含有しない以外は実施例1と同様にして多層光記録媒体の製造用のスタンパの作製を行った。結果、ネガ型のレジストとなった。
<比較例2>
比較例2では、レジスト材料としてアンチモンを含有しない以外は実施例2と同様にして多層光記録媒体の製造用のスタンパの作製を行った。結果、ネガ型のレジストとなった。
<比較例3>
比較例3では、レジスト材料としてアンチモンを含有しない以外は実施例3と同様にして多層光記録媒体の製造用のスタンパの作製を行った。結果、ネガ型のレジストとなった。
以上、実施例2、実施例3、及び比較例1から3で作製したレジスト層、スタンパ、及び多層光記録媒体に関しても、実施例1と同様に様々な測定を行ったので、結果を表1にまとめて示す。
Figure 2008299256
露光現像のタイプは、実施例1から3におけるレジスト材料ではポジ型であり、比較例1から3ではネガティブタイプとなっていることが分かった。この際、各レジスト材料における酸素含有量は、72at%以上74at%以下であり、250nm以上400nm以下のUV光に対する透過率の最大値も19%以上25%以下であった。
実施例1から実施例3における多層光記録媒体のジッタ評価では、何れも4.5%程度と実用上問題の無い値が得られた。
これに対し、比較例では、ジッタ評価はできなかった。
以上のように、本発明に係るレジストでは、遷移金属の不完全酸化物に比較して現像液に対する溶解性が高い添加物を含有していることで、酸素含有量が72〜74at%と高い透過率を有するポジ型のレジストとするための露光現像が可能である。
また、本発明によれば、UV硬化樹脂を用いた凹凸パターン形成において、スタンパ側からUV光の照射が可能となる為、光記録媒体の多層化における各記録層間の樹脂層形成に好適なスタンパの提供が可能となる。
本発明のポジ型で波長250nm以上400nm以下の紫外線の透過率の最大値が19%以上25%以下のレジストが得られ、ガラス原盤を透明スタンパとすることが可能となった。この結果、本発明のポジ型のレジストと、比較例1〜3で作成されたネガ型のレジストとを組み合わせることで、多層光記録媒体の製造方法の自由度が大幅に改善される。
本発明による多層光記録媒体用のスタンパの製造方法の一実施態様を示す模式的断面図である。 本発明によるポジ型のレジスト材料の露光現像メカニズムを説明するための模式的断面図である。
符号の説明
1001 基板
1002 レジスト層
1003 スタンパ
1004 露光部
2001 基板
2003 本発明の遷移金属の不完全酸化物から成るレジスト
2004 露光部
2005 未露光部
2006 結晶粒
2007 添加物
2008 スタンパ表面

Claims (10)

  1. 無機材料から成るポジ型のレジストであって、
    前記無機材料には、遷移金属の不完全酸化物と該遷移金属の不完全酸化物よりもアルカリへの溶解性の高い金属添加物とを含むことを特徴とするポジ型のレジスト。
  2. 前記遷移金属がタングステンあるいはモリブデンの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジ型のレジスト。
  3. 前記金属添加物がアンチモンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ型のレジスト。
  4. 前記不完全酸化物の酸素含有量が72at%以上74at%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポジ型のレジスト。
  5. 基板上に、請求項1に記載のポジ型のレジストからなるレジスト層を基板上に形成する工程と、
    前記レジスト層が状態変化を起こす波長の光を記録用信号パターンに対応させて選択的に露光を行う露光工程と、
    前記露光工程が終了後、アルカリ性の現像液を用いて現像を行う工程と、を有することを特徴とする多層光記録媒体用のスタンパの製造方法。
  6. 前記基板が、石英基板であることを特徴とする請求項5に記載の多層光記録媒体用のスタンパの製造方法。
  7. 多層光記録媒体の製造に用いられるスタンパにおいて、
    透光性を有する基板と、
    前記基板上には、遷移金属の不完全酸化物と、該遷移金属の不完全酸化物よりもアルカリへの溶解性の高い金属添加物を有する無機材料からなるポジ型レジストと、を有することを特徴とするスタンパ。
  8. 前記遷移金属がタングステンあるいはモリブデンの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項7に記載のスタンパ。
  9. 前記金属添加物がアンチモンであることを特徴とする請求項7又は8に記載のスタンパ。
  10. 前記不完全酸化物の酸素含有量が72at%以上74at%以下であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のスタンパ。
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JP2013033290A (ja) * 2008-10-14 2013-02-14 Asahi Kasei Corp 熱反応型レジスト材料、それを用いた熱リソグラフィ用積層体及びそれらを用いたモールドの製造方法

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