JP2008298269A - インホイールモータ用吸振機 - Google Patents
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Abstract
【課題】微少入力時においても、ダイナミックダンパの効果を損なうことないダンパを備えたインホイールモータ用吸振機を提供する。
【解決手段】インホイールモータ用吸振機20のダンパーとして、誘導コイル31とこの誘導コイル31の両端31a,31bに接続される、並列接続された第1及び第2の共振回路32,33を備えた減衰部34と、上記誘導コイル31中を上下運動する棒状の磁石36とを備えた電磁式ダンパ装置30を用いるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】インホイールモータ用吸振機20のダンパーとして、誘導コイル31とこの誘導コイル31の両端31a,31bに接続される、並列接続された第1及び第2の共振回路32,33を備えた減衰部34と、上記誘導コイル31中を上下運動する棒状の磁石36とを備えた電磁式ダンパ装置30を用いるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、車輪を駆動するモータを車輌の足回り部品に対してフローティングマウントするためのインホイールモータ用吸振機に関するものである。
一般に、足回りにバネ等のサスペンション機構を備えた車輌においては、、ホイールやナックル、サスペンションアームといったバネ下に相当する部品の質量、いわゆるバネ下質量が大きい程、凹凸路を走行したときにタイヤの接地力が変動し、ロードホールディング性が悪化する。しかしながら、従来は、上記駆動用モータが車輌の足回りを構成する部品の一つである、アップライトまたはナックルと呼ばれる部品に接続されているため、インホイールモータの搭載によりバネ下質量が増加してしまいロードホールディング性が悪化してしまうといった問題点があった。
そこで、インホイールモータを、緩衝機構または緩衝部材を介して、車輌バネ下部に配置されるナックル等の足回り部品に対して弾性支持することにより、上記モータを車輌の足回り部品(車輌バネ下部)に対してフローティングマウントする構成のインホイールモータシステムが提案されている。これにより、上記インホイールモータの質量を車輌バネ下部から切り離してダイナミックダンパの質量として作用させることができるので、悪路走行時における接地性能、及び、乗り心地性能をともに大幅に向上させることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
そこで、インホイールモータを、緩衝機構または緩衝部材を介して、車輌バネ下部に配置されるナックル等の足回り部品に対して弾性支持することにより、上記モータを車輌の足回り部品(車輌バネ下部)に対してフローティングマウントする構成のインホイールモータシステムが提案されている。これにより、上記インホイールモータの質量を車輌バネ下部から切り離してダイナミックダンパの質量として作用させることができるので、悪路走行時における接地性能、及び、乗り心地性能をともに大幅に向上させることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記特許文献1〜3に用いられているインホイールモータは、径方向内側が開放された、モータロータが取付けられた回転側ケースと、このモータケースと同心円状に配置され、上記モータロータと所定の間隔を隔ててモータステータが取付けられた、径方向外側が開放された非回転側ケースとを軸受けを介して回転可能に連結した、中空形状のアウターロータ型の電気モータであるが、本出願人は、図7に示すような、インナーロータ型の電気モータ10を、インホイールモータ用吸振機20Aを用いて、車輌バネ下部品であるナックル5にフローティングマウントする構成のインホイールモータシステムについても提案している(特願2006−26385号)。
図8(a),(b)は、上記インナーロータ型の電気モータ(インホイールモータ)10を車輌バネ下部にフローティングマウントするための緩衝機構であるインホイールモータ用吸振機20Aの構成を示す図で、図9はこのインホイールモータ用吸振機20Aに用いられているバネ付き直動ガイド23の構成を示す図である。
このインホイールモータ用吸振機20Aは、インホイールモータ10のモータケース10aに取付けられるモータ側取付部材21と、車輪の非回転側の部材を支持するナックル5に取付けられるナックル側取付部材22と、直動ガイド23Aとバネ部材23Bとを備えたバネ付き直動ガイド23と、上記直動ガイド23Aのガイドシャフト23bの上端側と下端側とにそれぞれ連結される上下のガイド受け部材24,25と、上記上側のガイド受け部材24と上記モータケース10aの上面側とを連結する揺動防止部材26と、上記ガイドシャフト23bに平行に配置された、シリンダ27aと図示しないピストンとこのピストンに連結されたシリンダロット27bとを有するダンパ27とを備えている。
上記モータ側取付部材21は上記直動ガイド23Aのガイドシャフト23bの下端側を支持する固定板21aと、モータケース10aの断面の外形に沿った湾曲部を有する脚部21bと、この脚部21bに設けられて上記ダンパー27の可動部であるシリンダロット27bの端部を固定するためのダンパ取付部21dとを備えている。
一方、上記ナックル側取付部材22は、上記直動ガイド23Aのガイドベアリング23aを固定するガイド固定部材22aと、このガイド固定部材22aと一体に構成された、上記バネ付き直動ガイド23を支持するガイド固定部材22aをナックル5に取付けるためのたナックル取付部材22bと、上記ダンパ27の固定部であるシリンダ27aを固定するためのダンパ取付部22dとを備えている。
図8(a),(b)は、上記インナーロータ型の電気モータ(インホイールモータ)10を車輌バネ下部にフローティングマウントするための緩衝機構であるインホイールモータ用吸振機20Aの構成を示す図で、図9はこのインホイールモータ用吸振機20Aに用いられているバネ付き直動ガイド23の構成を示す図である。
このインホイールモータ用吸振機20Aは、インホイールモータ10のモータケース10aに取付けられるモータ側取付部材21と、車輪の非回転側の部材を支持するナックル5に取付けられるナックル側取付部材22と、直動ガイド23Aとバネ部材23Bとを備えたバネ付き直動ガイド23と、上記直動ガイド23Aのガイドシャフト23bの上端側と下端側とにそれぞれ連結される上下のガイド受け部材24,25と、上記上側のガイド受け部材24と上記モータケース10aの上面側とを連結する揺動防止部材26と、上記ガイドシャフト23bに平行に配置された、シリンダ27aと図示しないピストンとこのピストンに連結されたシリンダロット27bとを有するダンパ27とを備えている。
上記モータ側取付部材21は上記直動ガイド23Aのガイドシャフト23bの下端側を支持する固定板21aと、モータケース10aの断面の外形に沿った湾曲部を有する脚部21bと、この脚部21bに設けられて上記ダンパー27の可動部であるシリンダロット27bの端部を固定するためのダンパ取付部21dとを備えている。
一方、上記ナックル側取付部材22は、上記直動ガイド23Aのガイドベアリング23aを固定するガイド固定部材22aと、このガイド固定部材22aと一体に構成された、上記バネ付き直動ガイド23を支持するガイド固定部材22aをナックル5に取付けるためのたナックル取付部材22bと、上記ダンパ27の固定部であるシリンダ27aを固定するためのダンパ取付部22dとを備えている。
上記インホイールモータ用吸振機20Aを用いてインホイールモータ10を車輌バネ下部に弾性支持する際には、モータ側取付部材21、ナックル側取付部材22、直動ガイドユニット23、上下のガイド受け部材24,25、揺動防止部材26、及び、ダンパ27を一体に組上げてユニット化した後に、ナックル取付部材22bをナックル5の上部側に、モータ側取付部材21をモータケース10aの側面側に、揺動防止部材26を上記モータケース10aの上側面側にそれぞれ取付ける。これにより、図7に示すように、インホイールモータ10を車輌バネ下部品であるナックル5に容易にフローティングマウントできる。
なお、図7において、符号1はタイヤ、2はタイヤ1を装着するホイールで、上記インホイールモータ10の出力軸とホイール2とは図示しないフレキシブルカップリングにより連結されている。
WO 02/083446 A1
特開2005−126037号公報
特開2005−225486号公報
なお、図7において、符号1はタイヤ、2はタイヤ1を装着するホイールで、上記インホイールモータ10の出力軸とホイール2とは図示しないフレキシブルカップリングにより連結されている。
ところで、上記従来のインホイールモータ用吸振機20Aでは、ダンパ27として、オイルダンパが用いられている。オイルダンパは小型コンパクトで、エネルギー吸収量も大きくとれるだけでなく、減衰特性も、速度比例、速度2乗比例など様々に変化させることができるという利点を有するが、エネルギー吸収に液体(オイル)を使用しているため、シールが必須となっている。したがって、シールに起因する摩擦を完全になくすことができず、そのため、微少入力時にダイナミックダンパの効果が低下する恐れがあった。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、微少入力時においても、ダイナミックダンパの効果を損なうことないダンパを備えたインホイールモータ用吸振機を提供することを目的とする。
本願の請求項1に記載の発明は、車輪を駆動するモータを車輌バネ下部にフローティングマウントするための、弾性部材、ダンパ、及び、上記弾性部材とダンパの作動方向を案内する直動ガイドとを備えた吸振機において、上記ダンパを、コイルとこのコイルの両端に接続されるインピーダンス素子もしくは複数のインピーダンス素子から成る回路ユニットとを備えた減衰部と、上記コイルを貫く磁界を発生させる磁界発生手段とを備えた電磁式ダンパとしたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインホイールモータ用吸振機において、上記回路ユニットをインダクタンスとキャパシタンスとを備えたLC共振回路、もしくは、インダクタンスとキャパシタンスと抵抗とを備えたLCR共振回路としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインホイールモータ用吸振機において、上記コイルの両端に上記共振回路を複数個並列に接続したものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインホイールモータ用吸振機において、上記回路ユニットをインダクタンスとキャパシタンスとを備えたLC共振回路、もしくは、インダクタンスとキャパシタンスと抵抗とを備えたLCR共振回路としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインホイールモータ用吸振機において、上記コイルの両端に上記共振回路を複数個並列に接続したものである。
本発明によれば、車輪を駆動するモータを車輌バネ下部にフローティングマウントするためのインホイールモータ用吸振機に用いられるダンパとして、コイルとこのコイルの両端に接続されるインピーダンス素子もしくは複数のインピーダンス素子から成る回路ユニットとを備えた減衰部と、上記コイルを貫く磁界を発生させる磁界発生手段とを備えた電磁式ダンパを用いたので、微少入力時においてもこれを効果的に減衰させることがで、インホイールモータのダイナミックダンパ効果を更に安定して発揮させることができる。
このとき、上記コイルの両端に接続される回路ユニットをLC共振回路もしくはLCR共振回路とすれば、特定の周波数の振動を効率よく減衰させることができるので、バネ下の共振に起因する振動を確実に低減することができる。
また、上記コイルの両端に上記共振回路を複数個並列に接続するようにすれば、複数の周波数の振動を減衰させることができるので、広帯域で減衰効果のある電磁式ダンパを得ることができる。
このとき、上記コイルの両端に接続される回路ユニットをLC共振回路もしくはLCR共振回路とすれば、特定の周波数の振動を効率よく減衰させることができるので、バネ下の共振に起因する振動を確実に低減することができる。
また、上記コイルの両端に上記共振回路を複数個並列に接続するようにすれば、複数の周波数の振動を減衰させることができるので、広帯域で減衰効果のある電磁式ダンパを得ることができる。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
なお、以下の説明中、従来例と共通する部分については同一符号を用い、その詳細な説明を省略する。
図1は本最良の形態に係るインホイールモータシステムの緩衝装置として用いられるインホイールモータ用吸振機20の構成を示す図である。本例のインホイールモータ用吸振機20はモータ側取付部材21と、ガイド固定部材22aとナックル取付部材22b(図8(b)を参照)とを一体に構成したナックル側取付部材22と、直動ガイド23Aとバネ部材23Bとを備えたバネ付き直動ガイド23と、上下のガイド受け部材24,25と、揺動防止部材26と、電磁ダンパ装置30とを備えている。
電磁ダンパ装置30は、誘導コイル31とこの誘導コイル31の両端31a,31bに接続される第1及び第2の共振回路32,33とから成る減衰部34と、上記誘導コイル31及び減衰部34とを収納する円筒状のケース35と、磁界発生手段である磁石36とを備えている。
上記誘導コイル31は螺旋状に巻き上げられた導体で構成されており、その軸方向が上記円筒状のケース35の軸方向に一致するように上記円筒状のケース35の内壁側に収納されている。上記円筒状のケース35は、その上端部において、ナックル側取付部材22に設けられたダンパー取付部22dに、同図の矢印zで示す、上記直動ガイド23Aの案内方向に平行になるように固定されている。また、上記円筒状のケース35の下端側(上記モータ側取付部材21に設けられたダンパ取付部21d側)に設けられた底板35bには、後述する磁石36を挿入するための挿入孔35sを備えている。
一方、磁石36は、上記挿入孔35sから上記円筒状のケース35内に挿入される、同図の矢印zで示す方向に平行に延長する強磁性体から成る棒状の部材で、その一端はモータ側取付部材21に設けられたダンパ取付部21dに取付けられている。また、他端は、取り付け時には、上記誘導コイル31内の所定の位置(例えば、上記誘導コイル31の長さ方向の中心位置)まで挿入されている。
これにより、誘導コイル31と減衰部34とはナックル側に、磁石36はモータ側に取付けられるので、インホイールモータがナックルに対して上下方向に揺動した場合には、上記2つのダンパー取付部21d,22d間の距離が変化し、上記磁石36の誘導コイル31への挿入量が変化する。
なお、以下の説明中、従来例と共通する部分については同一符号を用い、その詳細な説明を省略する。
図1は本最良の形態に係るインホイールモータシステムの緩衝装置として用いられるインホイールモータ用吸振機20の構成を示す図である。本例のインホイールモータ用吸振機20はモータ側取付部材21と、ガイド固定部材22aとナックル取付部材22b(図8(b)を参照)とを一体に構成したナックル側取付部材22と、直動ガイド23Aとバネ部材23Bとを備えたバネ付き直動ガイド23と、上下のガイド受け部材24,25と、揺動防止部材26と、電磁ダンパ装置30とを備えている。
電磁ダンパ装置30は、誘導コイル31とこの誘導コイル31の両端31a,31bに接続される第1及び第2の共振回路32,33とから成る減衰部34と、上記誘導コイル31及び減衰部34とを収納する円筒状のケース35と、磁界発生手段である磁石36とを備えている。
上記誘導コイル31は螺旋状に巻き上げられた導体で構成されており、その軸方向が上記円筒状のケース35の軸方向に一致するように上記円筒状のケース35の内壁側に収納されている。上記円筒状のケース35は、その上端部において、ナックル側取付部材22に設けられたダンパー取付部22dに、同図の矢印zで示す、上記直動ガイド23Aの案内方向に平行になるように固定されている。また、上記円筒状のケース35の下端側(上記モータ側取付部材21に設けられたダンパ取付部21d側)に設けられた底板35bには、後述する磁石36を挿入するための挿入孔35sを備えている。
一方、磁石36は、上記挿入孔35sから上記円筒状のケース35内に挿入される、同図の矢印zで示す方向に平行に延長する強磁性体から成る棒状の部材で、その一端はモータ側取付部材21に設けられたダンパ取付部21dに取付けられている。また、他端は、取り付け時には、上記誘導コイル31内の所定の位置(例えば、上記誘導コイル31の長さ方向の中心位置)まで挿入されている。
これにより、誘導コイル31と減衰部34とはナックル側に、磁石36はモータ側に取付けられるので、インホイールモータがナックルに対して上下方向に揺動した場合には、上記2つのダンパー取付部21d,22d間の距離が変化し、上記磁石36の誘導コイル31への挿入量が変化する。
次に、本発明による電磁ダンパ30の動作について説明する。
インホイールモータがナックルに対して上下方向に振動すると、この振動に伴って、上記磁石36が上記誘導コイル31に対して上下に振動するので、上記磁石36の誘導コイル31への挿入量が変化する。したがって、上記誘導コイル31を貫く磁束の量が変化するので、上記誘導コイル31の両端31a,31bには、図2に示すように、上記磁束の変化に応じた誘導起電力eが発生する。上記誘導コイル31と減衰部34とは閉回路を構成しているので、この閉回路には上記誘導起電力eによる誘導電流が流れ、この誘導電流が減衰部34の抵抗R1,R2により熱エネルギーに変換される。これにより、上記振動のエネルギーが熱エネルギーに変換されて消費されるので、上記磁石36の振動エネルギーの一部が吸収されて、上記磁石36の振動が減衰される。
上記誘導起電力eの大きさは上記誘導コイル31の磁束変化、すなわち、上記磁石36の振動の速度に比例するので、本例の電磁ダンパ装置30は速度に比例する減衰特性を有するダンパであることがわかる。
本例では、減衰部34を互いに共振周波数の異なる2つの共振回路(第1及び第2の共振回路32,33)から構成しているので、以下の式(1),(2)に示す第1の共振回路32の共振周波数f1近傍の周波数の振動と第2の共振回路33の共振周波数f2近傍の周波数の振動を効率的に抑制することができる。なお、これらの共振周波数f1,f2としては、下記の式(3)に示す、モータ(質量;m3)とこのモータをフローティングマウントするバネ付き直動ガイド23のバネ部材23B(バネ定数;k3)の共振に起因するモータ共振周波数f近傍にそれぞれ設定することが望ましい。
インホイールモータがナックルに対して上下方向に振動すると、この振動に伴って、上記磁石36が上記誘導コイル31に対して上下に振動するので、上記磁石36の誘導コイル31への挿入量が変化する。したがって、上記誘導コイル31を貫く磁束の量が変化するので、上記誘導コイル31の両端31a,31bには、図2に示すように、上記磁束の変化に応じた誘導起電力eが発生する。上記誘導コイル31と減衰部34とは閉回路を構成しているので、この閉回路には上記誘導起電力eによる誘導電流が流れ、この誘導電流が減衰部34の抵抗R1,R2により熱エネルギーに変換される。これにより、上記振動のエネルギーが熱エネルギーに変換されて消費されるので、上記磁石36の振動エネルギーの一部が吸収されて、上記磁石36の振動が減衰される。
上記誘導起電力eの大きさは上記誘導コイル31の磁束変化、すなわち、上記磁石36の振動の速度に比例するので、本例の電磁ダンパ装置30は速度に比例する減衰特性を有するダンパであることがわかる。
本例では、減衰部34を互いに共振周波数の異なる2つの共振回路(第1及び第2の共振回路32,33)から構成しているので、以下の式(1),(2)に示す第1の共振回路32の共振周波数f1近傍の周波数の振動と第2の共振回路33の共振周波数f2近傍の周波数の振動を効率的に抑制することができる。なお、これらの共振周波数f1,f2としては、下記の式(3)に示す、モータ(質量;m3)とこのモータをフローティングマウントするバネ付き直動ガイド23のバネ部材23B(バネ定数;k3)の共振に起因するモータ共振周波数f近傍にそれぞれ設定することが望ましい。
図3は本発明による電磁ダンパ装置30を搭載したインホイールモータ用吸振機20を用いて、インホイールモータ10を車輌バネ下部材であるナックル5にフローティングマウントした図で、車輌の凹凸路走行時において、インホイールモータ10がナックル5に対して上下方向に揺動した場合、それに伴って、電磁ダンパ装置30の磁石36は誘導コイル31内を上下方向に移動する。この磁石36の運動エネルギーは、上記のように、減衰部34にて熱エネルギーに変換されて消費されて上記磁石36の上下運動が減衰される。その結果、上記磁石36の上下運動の振幅、すなわち、インホイールモータ10の揺動のストロークを小さくすることができる。
また、上記第1及び第2の共振回路32,33の共振周波数f1,f2を特定の周波数(ここでは、モータ共振周波数f)近傍に設定するようにすれば、上記特定の周波数の振動を効率的に減衰させることができる。
更に、上記電磁ダンパ装置30は、オイルダンパとは異なり、移動時の摩擦がないので、微少入力時においても、ダイナミックダンパの効果を損なうことがないので、インホイールモータのダイナミックダンパ効果を安定して発揮させることができる。
また、上記第1及び第2の共振回路32,33の共振周波数f1,f2を特定の周波数(ここでは、モータ共振周波数f)近傍に設定するようにすれば、上記特定の周波数の振動を効率的に減衰させることができる。
更に、上記電磁ダンパ装置30は、オイルダンパとは異なり、移動時の摩擦がないので、微少入力時においても、ダイナミックダンパの効果を損なうことがないので、インホイールモータのダイナミックダンパ効果を安定して発揮させることができる。
このように、本最良の形態によれば、インホイールモータ用吸振機20のダンパーとして、誘導コイル31とこの誘導コイル31の両端31a,31bに接続される、並列接続された第1及び第2の共振回路32,33を備えた減衰部34と、上記誘導コイル31中を上下運動する棒状の磁石36とを備えた電磁式ダンパ装置30を用いるようにしたので、微少入力時においても、インホイールモータのダイナミックダンパ効果を安定して発揮させることができる。
なお、上記最良の形態では、電磁式ダンパ装置30の減衰部34を第1及び第2の共振回路32,33の2個の並列共振回路により構成したが、1個であってもよい。あるいは、逆に、共振回路の数を更に増してもよい。共振回路の数を多くすれば、広い帯域において減衰効果のある電磁式ダンパ装置を得ることができる。
また、上記例では、誘導コイル31と減衰部34とをナックル側に、磁石36をモータ側に取付けたが、誘導コイル31と減衰部34とをモータ側に取付け、磁石36をナックル側に取付ける構成としてもよい。
なお、上記第1及び第2の共振回路32,33に代えて抵抗のみを接続してもある程度の減衰効果は得られるが、本例のように、並列共振回路を接続したほうが特定の周波数の振動を効率よく減衰させることができる。
[実施例]
なお、上記最良の形態では、電磁式ダンパ装置30の減衰部34を第1及び第2の共振回路32,33の2個の並列共振回路により構成したが、1個であってもよい。あるいは、逆に、共振回路の数を更に増してもよい。共振回路の数を多くすれば、広い帯域において減衰効果のある電磁式ダンパ装置を得ることができる。
また、上記例では、誘導コイル31と減衰部34とをナックル側に、磁石36をモータ側に取付けたが、誘導コイル31と減衰部34とをモータ側に取付け、磁石36をナックル側に取付ける構成としてもよい。
なお、上記第1及び第2の共振回路32,33に代えて抵抗のみを接続してもある程度の減衰効果は得られるが、本例のように、並列共振回路を接続したほうが特定の周波数の振動を効率よく減衰させることができる。
[実施例]
図4に示すような、インホイールモータの質量m3がブレーキやホイールなどの車輌バネ下部品に対して、バネ要素とダンパ要素とを備えたモータサスペンション(インホイールモータ用吸振機)によりフローティングマウントされた車輌振動モデルを用いて、車輌が悪路を走行する際にタイヤに生じる接地荷重変動と車体への入力振動とを解析した結果を図5(a),(b)に示す。
実施例は、本発明によるインホイールモータ用吸振機をモータサスペンションとして使用したインホイールモータ車で、図5(a),(b)では実線で示してある。
なお、その時使用したパラメータは以下の通りである。
バネ下質量(ブレーキ、ホイールなど);m1 40kg
バネ上質量(車体) ;m2 340kg
モータ質量 ;m3 26kg
タイヤのバネ定数 ;k1 300000N/m
サスペンションのバネ定数 ;k2 32000N/m
モータサスペンションのバネ定数 ;k3 41000N/m
タイヤの減衰定数 ;c1 50Ns/m
サスペンションの減衰定数 ;c2 1496Ns/m
なお、モータサスペンションの減衰定数c3は、誘導コイル中を上下する永久磁石の磁束密度と移動速度、及び、下記の共振回路の各定数により決定される。
第1の共振回路;L1=0.8H,R1=35Ω,C1=0.00060F
第2の共振回路;L2=0.9H,R2=50Ω,C2=0.00014F
また、図5(a),(b)で太い破線で示した従来例は、図6(a)の車輌振動モデルで表わされる、従来のモータを車体側に搭載した車載型の車輌である。
また、図5(a),(b)で細い破線で示した比較例は、図6(b)の車輌振動モデルで表わされる、従来のモータバネ下搭載のインホイールモータ車である。
本発明のインホイールモータ用吸振機を使用した場合には、タイヤ接地荷重変動については、13Hz近傍のピークが低減されており、車体への入力振動については、8〜17Hz付近の振動が更に低減されていることが分かる。
これにより、本発明による電磁ダンパと共振回路を組合わせたインホイールモータ用吸振機を用いることにより、接地圧変動の周波数特性を改善して、ダイナミックダンパ効果を更に高めることができることが確認された。
実施例は、本発明によるインホイールモータ用吸振機をモータサスペンションとして使用したインホイールモータ車で、図5(a),(b)では実線で示してある。
なお、その時使用したパラメータは以下の通りである。
バネ下質量(ブレーキ、ホイールなど);m1 40kg
バネ上質量(車体) ;m2 340kg
モータ質量 ;m3 26kg
タイヤのバネ定数 ;k1 300000N/m
サスペンションのバネ定数 ;k2 32000N/m
モータサスペンションのバネ定数 ;k3 41000N/m
タイヤの減衰定数 ;c1 50Ns/m
サスペンションの減衰定数 ;c2 1496Ns/m
なお、モータサスペンションの減衰定数c3は、誘導コイル中を上下する永久磁石の磁束密度と移動速度、及び、下記の共振回路の各定数により決定される。
第1の共振回路;L1=0.8H,R1=35Ω,C1=0.00060F
第2の共振回路;L2=0.9H,R2=50Ω,C2=0.00014F
また、図5(a),(b)で太い破線で示した従来例は、図6(a)の車輌振動モデルで表わされる、従来のモータを車体側に搭載した車載型の車輌である。
また、図5(a),(b)で細い破線で示した比較例は、図6(b)の車輌振動モデルで表わされる、従来のモータバネ下搭載のインホイールモータ車である。
本発明のインホイールモータ用吸振機を使用した場合には、タイヤ接地荷重変動については、13Hz近傍のピークが低減されており、車体への入力振動については、8〜17Hz付近の振動が更に低減されていることが分かる。
これにより、本発明による電磁ダンパと共振回路を組合わせたインホイールモータ用吸振機を用いることにより、接地圧変動の周波数特性を改善して、ダイナミックダンパ効果を更に高めることができることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、インホイールモータ用吸振機のダンパーとして電磁ダンパを用いたので、微少入力時においても、インホイールモータのダイナミックダンパ効果を更に安定して発揮させることができる。
20 インホイールモータ用吸振機、21 モータ側取付部材、
21d ダンパー取付部材、22 ナックル側取付部材、22a ガイド固定部材、
22b ナックル取付部材、22d ダンパー取付部材、23 バネ付き直動ガイド、
23A 直動ガイド、23B バネ部材、24,25 ガイド受け部材、
26 揺動防止部材、
30 磁気ダンパ装置、31 誘導コイル、31a,31b コイル端部、
32 第1の共振回路、33 第2の共振回路、34 減衰部、35 円筒状のケース、35s 挿入孔、36 磁石。
21d ダンパー取付部材、22 ナックル側取付部材、22a ガイド固定部材、
22b ナックル取付部材、22d ダンパー取付部材、23 バネ付き直動ガイド、
23A 直動ガイド、23B バネ部材、24,25 ガイド受け部材、
26 揺動防止部材、
30 磁気ダンパ装置、31 誘導コイル、31a,31b コイル端部、
32 第1の共振回路、33 第2の共振回路、34 減衰部、35 円筒状のケース、35s 挿入孔、36 磁石。
Claims (3)
- 車輪を駆動するモータを車輌バネ下部にフローティングマウントするための、弾性部材、ダンパ、及び、上記弾性部材とダンパの作動方向を案内する直動ガイドとを備えた吸振機において、上記ダンパを、コイルとこのコイルの両端に接続されるインピーダンス素子もしくは複数のインピーダンス素子から成る回路ユニットとを備えた減衰部と、上記コイルを貫く磁界を発生させる磁界発生手段とを備えた電磁式ダンパとしたことを特徴とするインホイールモータ用吸振機。
- 上記回路ユニットをインダクタンスとキャパシタンスとを備えたLC共振回路、もしくは、インダクタンスとキャパシタンスと抵抗とを備えたLCR共振回路としたことを特徴とする請求項1に記載のインホイールモータ用吸振機。
- 上記コイルの両端に上記共振回路を複数個並列に接続したことを特徴とする請求項2に記載のインホイールモータ用吸振機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007148342A JP2008298269A (ja) | 2007-06-04 | 2007-06-04 | インホイールモータ用吸振機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007148342A JP2008298269A (ja) | 2007-06-04 | 2007-06-04 | インホイールモータ用吸振機 |
Publications (1)
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JP2008298269A true JP2008298269A (ja) | 2008-12-11 |
Family
ID=40171962
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008298269A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013065561A1 (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-10 | Ntn株式会社 | インホイールモータ車両用サスペンションシステム |
CN110733333A (zh) * | 2019-10-25 | 2020-01-31 | 青岛科技大学 | 一种轮毂电机兼作动力吸振器质量的电动轮系统 |
CN111779790A (zh) * | 2020-07-24 | 2020-10-16 | 上海大学 | 一种减振装置 |
-
2007
- 2007-06-04 JP JP2007148342A patent/JP2008298269A/ja active Pending
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WO2013065561A1 (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-10 | Ntn株式会社 | インホイールモータ車両用サスペンションシステム |
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