JP2008297850A - 屋根用除雪装置、およびそれを利用した屋根の除雪方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ブロワーやコンプレッサーなどといった強制的除雪装置を一切必要とせず、自動的な屋根上の除雪を実現可能とすることができる上、危険な高所作業を行わずに、効率的に撤収および再設置作業を行うことができる新たな雪下ろし技術を提供する。
【解決手段】 建造物屋根8の片流れとなる屋根葺き材面81上に棟から軒先に至る平行な案内レール2,2,……を固着し、軟質シート4の適所に取着した各移動駒3,3,……を、対応する各案内レール2,2,……に脱落不能、上下動操作可能に組み込み、昇降索71に連携状となすと共に、昇降駆動機構7の昇降出力部75に連動するようにする一方、軟質シート4上端縁固着部を含む棟付近から軒先方向所定巾範囲上を、襞状に折り畳み、上昇させてしまった当該軟質シート4保護用の格納用屋根部6に形成してなる屋根用除雪装置1である。
【選択図】 図9

Description

この発明は、建築物屋根上の除雪に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであり、高所の雪下ろし作業を不要とする除雪装置に関する分野は勿論のこと、その製造および設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
降雪量の多い地域の一般的住宅は、落雪事故を防止し、且つ雪下ろし作業の安全性を高めるため、急勾配屋根の設置が避けられ、複数適所に雪留め金具が取り付けられた切り妻、招き、片流れ、腰折、下屋付きなど、緩やかな勾配に設定された様々な屋根が設けられており、耐久積雪量の目安を超えると、作業者が梯子を用いるなどして屋根上に登り、雪下ろしを行なわなければならないが、深く降り積もった新雪は足下を不安定にし、また、日中の日差しで弛んだ積雪は非常に滑り易く、毎年のように多くの落下事故が発生しており、雪下ろしを行うときには、出来るだけ二人以上による作業が奨励され、特に高齢化が進む地域では、専門の業者による雪下ろしが望まれるが、除雪が度重なると多大な経費が嵩み、耐え難い経済的負担を被ることとなってしまうことから、足腰が弱り、危険性が高まっているにも拘わらず、自ら屋根に登り、雪下ろしをしなければならない高齢者が増えているという切実な問題を抱えている。
(従来の技術)
そうした中にも、その打開策となるようなものとして、例えば特開2006−312857号公報「積雪防止シート」発明として提案されているもののように、雪が付着し難い素材であって低温下にも柔軟性を有し、屋根全体を、軒先を超えて覆うことができるシートを有し、該シート裏面に、ゴム状弾性材料の膜、またはゴム状弾性材料と織布材料とを積層した膜などからなり、伸縮性を有した袋体を設け、当該シートを、屋根上の棟から各軒を超えるよう装着し、周囲端縁の複数箇所から延伸させた各ロープを、軒下より遠く離れた箇所に結着するよう張設し、ブロワー、コンプレッサー、送風機、水中ポンプ、水道水の圧力等を用いて該袋体を伸縮、膨張、振動し、屋根を覆うシートを強制的に起伏させる事により、該シート上に積もった雪の滑落を促し、軒下より外側となる適所に落雪、堆積可能としたものや、特開平9−189146号公報に開示された「仮設屋根の除雪方法とその除雪装置」発明のように、支持部材を介して建築物の上部全体を覆う仮設屋根を設け、その屋根部分の棟と軒との夫々に軸着された回転輪間に無端状のシートを巻き掛け、該シートを回動させる駆動装置を設けたものとし、該駆動装置を起動させて無端状シート上面を棟から軒先に向けて移動するよう回転駆動することにより、屋根上の積雪を強制的に落下、除雪可能としたもの等が散見される。
しかし、前者の「積雪防止シート」発明は、屋根上に張設されたシート裏面の袋体を、強制的に伸縮、膨張、振動させるため、その起動装置と成り得るブロワー、コンプレッサー、送風機、水中ポンプ、水道水の圧力等を用いる必要があり、何れを用いるにせよ、継続的に除雪を行うには多大な経費を要するという欠点を有するものとなっており、また、後者の「仮設屋根の除雪方法とその除雪装置」発明も、無端状のシートを回転駆動させるための駆動モータ、減速装置およびプーリー間に掛け渡したベルトなどを要し、継続的または断続的に駆動させなければならず、やはり経済的負担が大きなものとなってしまう上、それら両者とも春から秋までの期間には、多大な労力と高所作業の危険を冒してシートを一旦撤去、収納してしまうか、または、そのまま屋根上に設置されたままにして置くかの何れかとなるが、そのまま設置して置くと夏の強い日差しや風雨に曝されて耐久寿命を大幅に短縮させてしまい、早期に老朽化してしまい、経済的負担を一段と増加させてしまうという欠点を残すものであった。
(1)特開2006−312857号公報 (2)特開平9−189146号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある「積雪防止シート」や「仮設屋根の除雪方法とその除雪装置」などに代表される従来技術では、何れも屋根上の除雪を行うにあたってシートを強制的に伸縮、膨張、振動させるため、ブロワー、コンプレッサー、送風機、水中ポンプ、水道水の圧力等を利用した起動装置、または、無端状のシートを回転駆動させるための駆動モータ、減速装置およびプーリー間に掛け渡したベルトなどを必要とするものであり、しかもそれらを除雪中、連続的または断続的に駆動させなければならないために経済的な負担が大きく、また、冬期間以外は、多大な労力と危険とを伴う撤去や再設置の作業が必要となり、それらの作業を省いて撤去、収納せずにそのまま放置するようにしてしまうと、夏季の強い日差しや風雨にシートを曝すこととなって著しく劣化が進み、早期の中に柔軟性を失って破れて交換時期を早めてしまうという欠点があり、一般住宅に設置するには経済的負担が大き過ぎることになって採用を控えてしまう傾向があった。
(発明の目的)
そこで、この発明は、ブロワーやコンプレッサーなどの起動装置や駆動モータなどの強制的駆動装置を一切必要とせず、自動的な屋根上の除雪を実現可能とすることができる上、危険な高所作業を行わずに、効率的に撤収および再設置作業を行うことができる新たな雪下ろし技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の屋根用除雪装置、およびそれを利用した新規な屋根の除雪方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の屋根用除雪装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上で、その棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に、所定間隔置きとなる互いに平行な配置として棟から軒先に至る案内レールを、当該屋根葺き材面上に固着したものとする一方、それら全ての案内レール上を覆えるだけの大きさを有し、その裏面には、当該案内レールに対応する位置を経線とし、棟から軒先間を30ないし90cm間隔で等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に移動駒を取着してなる軟質シートが、それら同一緯線位置に配されている全ての移動駒は、その緯線に対応する案内レールに対して脱落不能且つ上下動操作可能となる構造、配置に組み込まれるようにし、且つその上端縁は棟に沿う位置に固着した状態で、前記した全ての案内レール上を覆い切ることが可能で、且つ、その状態から、前記同一緯線位置に配されている全ての移動駒を横一列として折り畳み状に上昇させ得るよう配設すると共に、軟質シート上端縁固着部を含む棟付近から軒先方向所定巾範囲上を、襞状に折り畳み、上昇させてしまった当該軟質シート保護用の格納用屋根部に形成してなるものとした構成を要旨とする屋根用除雪装置である。
この基本的な構成からなる屋根用除雪装置を、より具体的なものとして示すと、建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上で、その棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に、所定間隔置きとなる互いに平行な配置として棟から軒先に至る案内レールを、当該屋根葺き材面上に固着したものとする一方、それら全ての案内レール上を覆えるだけの大きさを有し、その裏面には、当該案内レールに対応する位置を経線とし、棟から軒先間を30ないし90cm間隔で等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に移動駒を取着してなる軟質シートが、それら同一緯線位置に配されている全ての移動駒は、その緯線に対応する案内レールに対して脱落不能且つ上下動操作可能となる構造、配置に組み込まれるようにし、且つその上端縁は棟に沿う位置に固着した状態で、前記した全ての案内レール上を覆い切って屋根葺き材面上との間に軒がわに開口する通風空間を確保可能で、且つ、その状態から、前記同一緯線位置に配されている全ての移動駒を横一列として折り畳み状に上昇させ得るよう、同一案内レール上に配した移動駒相互を昇降索に連携状となすと共に、全ての昇降索は、夫々の案内レール上を同距離ずつ上下動させる昇降駆動機構の昇降出力部に連動するようにする一方、軟質シート上端縁固着部を含む棟付近から軒先方向所定巾範囲上を、襞状に折り畳み、上昇させてしまった当該軟質シート保護用の格納用屋根部に形成してなる屋根用除雪装置となる。
(関連する発明)
上記した屋根用除雪装置に関連し、この発明には、それを使用した屋根の除雪方法も包含しており、その基本的構成は即ち、降雪期には、各案内レールに沿って各移動駒を降下移動させ、棟に続く建造物屋根の屋根葺き材面上の略全体を軟質シートによって覆い、該軟質シート下に形成される通風空間に吹き込む風によって波打つように激しく振動する同軟質シート自体の振動を利用し、同軟質シート上に降り積もる雪を強制且つ自動的に振るい落とし、滑落させて除去するものとし、降雪期間が終われば、当該軟質シートを、各移動駒諸共に緞帳の如く各案内レールに沿って上昇移動して襞状に折り畳み、上昇させて格納用屋根部内まで誘導し、次の降雪期まで保管、待機状となるようにし、軟質シートの劣化を防止するようにした、この発明の基本をなす上記屋根用除雪装置を利用した屋根の除雪方法である。
以上のとおり、この発明の屋根用除雪装置によれば、軟質シートを、建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上の全体に亘って円滑且つ軽快に展開させることが可能となり、屋根葺き材面上に張設された軟質シートは、各移動駒間に架け渡し状に展開され、各案内レール間に張設された、シート面に落雪を疎外する要素を設けず、その上面に積雪した場合にも、雪の自重によって滑落状に排雪してしまうものとし、また、当該屋根、屋根葺き材面と該軟質シートとの間の通風空間に吹き込む季節風や強風によって波打つよう振動し、滑落状に除雪してしまい、屋根上に登っての危険な雪降ろし作業や、振動発生用の駆動源などを一切必要とせず、効率的に軒先下に除雪、落雪させることができ、しかも各案内レールが軒先まで延伸された構造によって雨樋や外壁への落雪の接触を確実に防止することができるという秀れた利点を得ることができ、降雪期が過ぎて除雪の必要がなくなると、軟質シート全体を格納用屋根部内にまとめて収容でき、夏季の強い紫外線や台風、雹などによる軟質シートそれ自体の早期の劣化や破損および損失を確実に防止し、経済的負担を格段に軽減することができるという秀れた特徴が得られるものである。
加えて、同一案内レール上に配し隣接する移動駒同士間の展開距離を30ないし90cmに設定して、移動駒の過剰数設置による装置荷重の増加を軽減して屋根への負担を削減すると共に、軽快な滑走動作を確保可能とすることができる上、積雪や強風の吹き付けなどを受けた軟質シートからの入力を十分に分散吸収することができるようになり、耐久強度を高めて破損や脱落などのトラブルを未然に防ぐことができ、また、同一案内レール上に配した移動駒相互を昇降索に連携状とし、全ての昇降索が、夫々の案内レール上を同距離ずつ上下動させる昇降駆動機構の昇降出力部に連動するものとしてあり、危険を冒して屋根上に登ることなく、地上または屋内などの安全な場所から、軟質シートの展開および収納の遠隔操作を迅速且つ軽快に行うことができ、除雪作業の経済的負担を大幅に削減することができると共に、雪下ろし作業の滑落事故を防止できるという効果を奏するものとなる。
そして、各案内レールは、その要所要所を、屋根葺き形式によって、例えば瓦棒葺き屋根であれば、その瓦棒ハゼ巻き構造部を定着支持部分とし、既存の瓦葺き用雪止め金具か、それを利用、改造した金具、またはその他の特注金具などによって屋根葺き材面上所定高さ位置に強固に固定するようにするものであり、従来型の瓦棒葺き屋根の構造を有効に利用し、瓦棒上面の夫々に直接、各案内レールをタッピングネジで固定するか、あるいは、後述する実施例でも取り上げているとおり、瓦棒に跨がり、両側面を挟着状とするようにした形成した特注金具を介在するか、それ以外の結合構造によって瓦棒自体に強固に固定したものとするだけで、屋根葺き材面上に展開してある軟質シート下の通風空間を確保し、軟質シートに不規則な振動を起こし、積もろうとする雪の付着を強制的に回避することができるものになることから、非常に合理的且つ経済的な設置を実現化することが可能となる。
また、屋根葺き形式が一文字葺き屋根の場合には、それら各案内レールを、屋根葺き板相互のハゼ巻き構造部を定着支持部分とし、既存の一文字葺き用雪止め金具か、それを利用、改造した金具、またはその他の特注金具などによって、その要所要所が屋根葺き材面上所定高さ位置に強固に固定するようにし、瓦棒が存在しない一文字葺きの屋根に対しても支障なく通風空間を確保し、上記瓦棒葺き屋根におけると同様にした軟質シートの張設を実現して積雪防止効果を期待することができることになり、その他、スレート葺き、和瓦葺き、洋瓦葺きなどといった屋根葺き形式に合わせた同様の技術を用いることによっり、各種形式の屋根にも簡単に設置することが可能となり、一段と実用性の高い屋根用除雪装置として市場に提供することができるという秀れた特徴が得られるものとなる。
そして、昇降駆動機構が、各案内レールの棟がわ端に臨むようにして棟方向に軸心を向け、回転自在に設置した捲回軸の中途で各案内レールに対応する各所夫々に、最も軒先がわとなる各移動駒から延びる昇降索の基端がわを、緞帳型の巻き取りならびに展開自在となるような構造として連結する一方、該捲回軸の適所には、人力またはその他の駆動力を伝達可能とする回転操作部が設けられてなるようにしたものでは、昇降索の巻き取り、展開によって最も軒がわの各移動駒が次々に隣接する移動駒を連動したり解放状としたりして軟質シートの全体を収納、展開操作可能とする作用を発揮するものであり、昇降駆動機構そのものの構造を簡素化、軽量化して屋根への荷重負担を軽減できると共に、人力による操作または駆動モータへの負担も大幅に軽減化することとなって特に経済性に秀れたものということができる。
格納用屋根部を、棟上付近となる天面の中央および/または均衡する複数適所に、通風空間に通じる適宜形状の通風口が形成されてなるものとした場合には、強風の吹き込みによる格納屋根部内の異常な圧力上昇を解消し、耐久強度を高めることができると共に、スムーズな換気によって内部に収容した軟質シートの乾燥を促進して黴や苔の発生を抑える効果が期待でき、軟質シートの保管環境を良好な状態に調節することができるという効果を発揮することになる。
軟質シートを、各移動駒に対応する箇所付近の夫々に、整備用開口部とそれを開閉可能にする蓋幕部とを設け、それら各整備用開口部の周縁部、およびそれに対応する蓋幕部の周縁部に、密閉操作可能なファスナーが添設されてなるものでは、各移動駒や案内レール、またはそれらの取り付け金具類のメンテナンスや不具合が発生したときに、軟質シートを取り外さずに蓋幕部を簡便に開放し、整備用開口部を通じて作業することができ、しかも作業中は軟質シート下の風を逃がし、シートのばたつきを軽減して正確な作業を実現可能とすることができ、作業終了後にファスナーを閉じてしまえば、密閉状の軟質シートとしての機能を速やかに回復させ得るという利点があり、さらに、面ファスナーを採用したものでは、過大な風圧を受けたときでも、自動的にその箇所を開放して軟質シート下に設けた通風空間を減圧し、シートの破れや部品の破損を未然に防ぐことが可能になるという効果が期待できる。
そして、この発明の屋根用除雪装置を利用した屋根の除雪方法によれば、降雪期を迎えるに当たっては、各案内レールに沿って各移動駒を降下移動させ、棟に続く建造物屋根の屋根葺き材面上の略全体に軟質シートを展開し、該軟質シート下に軒先から棟に掛けて通風空間を形成したものとなし、それら通風空間に吹き込む風によって波打つように不規則に振動する同軟質シート自体の振動を利用し、同軟質シート上に降り積もろうとする雪を強制且つ自動的に滑落させて除去し、雪下ろし作業なしで冬期間を済ますことができるものとし、降雪期間が終わった段階で、当該軟質シートを、各移動駒諸共に緞帳の如く各案内レールに沿って上昇移動して襞状に折り畳みながら上昇させて格納用屋根部内まで誘導し、次の降雪期まで保管、待機状となるようにし、軟質シートの劣化を防止し得るようにしたことから、建造物屋根上に登らずに軟質シートを屋根葺き材面上に亘って張設することができ、屋根上の積雪を、自然の季節風や強風の吹き付けによる軟質シートの波打ちや振動によって自動的に落雪させることが可能となり、危険な屋根上に登っての除雪作業を一切不要とすることができる上、春、夏、秋の降雪のない期間には、軟質シートを格納用屋根部内に収容、保管するようにし、太陽熱や紫外線、塵埃の付着、台風や雨、雹などに曝されることによる軟質シートの劣化や破損を防止し、耐用寿命を延ばして経済的な利用を実現化するという秀れた効果を発揮できる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
案内レールは、複数個の各移動駒を、建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上で、その棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に、所定間隔置きとなる互いに平行な状態で、棟から軒先に至る経線上に沿って脱落不能に案内可能とする機能を果たし、当該建造物屋根の片流れとなる屋根葺き材面上の適所に強固に固着され、棟方向に直交または所定角度をもって交叉する直線状および/または曲線状の軌道に形成されてなり、軟質シートから各移動駒を介して伝達される強風の吹き付けや積雪などによる荷重に十分に耐える強度を持つものとしなければならず、棟がわから軒先、雨樋上を越えて延伸させたものとすべきであって、アルミニウムやステンレス鋼、防錆処理の施された鉄鋼などの耐摩耗性および耐食性に秀れた金属製とするのが望ましく、または同等以上の強度を確保でき、しかも軽量なガラス繊維強化樹脂や炭素繊維強化樹脂などの複合素材製とすることが可能であり、案内方向断面形をC字型、E字型、F字型、G字型、I字型、K字型、P字型、R字型、S字型、T字型、V字型、W字型、X字型、Y字型、Z字型、工字型など離脱不能に案内可能な様々な断面形状のものとすることが可能であり、各下端の夫々に移動駒用のストッパを設けたものとするのが望ましく、後述する実施例に示すように、軒先まで延伸した各案内レール下端間を、軒に平行状に架け渡されて移動駒用のストッパを形成するようにすると共に、各レール木口を隠蔽して個々のレールを横方向に連結して補強可能とするストッパ枠となるようにする。
また、案内レールは、瓦棒葺き屋根の各瓦棒ハゼ巻き構造部に離脱不能に固着されたものとすることが可能である外、後述する実施例に示すように、瓦棒を両側から挟み、ボルト・ナットを用いた緊締によって固着可能な複数個の既存の瓦葺き用雪止め金具か、それを利用、改造した金具、またはその他特注金具などを介して各瓦棒上に着脱可能に装着したものとすることができ、また、一文字葺き屋根における屋根葺き板面上の棟方向に所定間隔置き毎であって、棟から軒に至る直線状配置となる複数箇所夫々に対応する葺き板相互のハゼ巻き構造部を定着支持部分として食い込み、固定するようにした既存の一文字葺き用雪止め金具か、それを利用、改造した金具、またはその他の特注金具などの各金具上に、棟から軒先に至るよう装着したものとすることができる。
移動駒は、案内レールに沿って滑動自在に案内されることとなり、その結果、それら移動駒を点在状とした軟質シートは、その軌道に沿って建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上の棟から軒先に至る範囲に円滑に誘導、展開可能とし、当該軟質シートから伝わる強風による煽りや積雪などによる様々な外力に耐えて案内レールへの装着を安全に維持可能とする機能を果たすものであり、案内レールに対して十分な強度をもって縦列状、脱落不能、且つ滑動自在に装着されるようにし、建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上で、その棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に展開されたときの軟質シートの、当該案内レールに対応する位置を経線とし、棟から軒先間を30ないし90cm間隔で等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に取着したものとしなければならず、案内レールに対して低摩擦部分を介して摺動自在に装着するか、または、車輪の転動などによって円滑に滑動自在に装着するかの何れかとするのが望ましく、後述する実施例に示す如く、不用意に脱落しないよう案内方向断面が工字型の案内レールの左右凹溝内に一対の車輪を配するよう装着したものなどとすることができる。
軟質シートを展開させた場合の、棟から軒方向に隣接する移動駒同士の同一案内レール上における間隔は、その寸法を30cm未満にすると、移動駒の数が増大して屋根への荷重負担が大きく、しかも収納したときの治まり寸法が増大して格納用屋根部が大掛かりなものとなってしまうという欠点を生じ、また、その寸法が90cmを超えると、積雪や強風の吹き付けなどを受けた軟質シートから各移動駒に過大な荷重を受けることとなり、耐久強度が大幅に低下してしまうという欠点を生じるものとなってしまうことから、同一案内レール上の隣接する移動駒同士の同間隔寸法を、30ないし90cmとするのが望ましいといえる。
軟質シートは、各案内レールに沿って移動可能な各移動駒の対応箇所夫々に一体化され、建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上に直接積雪しないよう屋根の片流れとなる屋根葺き材面の全域を被覆するよう展開可能であり、屋根葺き材面との間に通風空間を形成するよう展開され、該通風空間に吹き込む強風によって自動的に波打つよう振動し、該シート上の積雪を滑落状に落下、除雪可能とするものであり、しかも棟寄りの箇所に形成された格納用屋根部内に収納、保管可能となる機能を有し、強風の吹き付けや積雪にも破れない程度の十分な強度を有し、少なくとも上面を、積雪が付着し難く、僅かな振動によっても積雪が分離、滑落してしまう程度の低摩擦抵抗のものとすべきであり、例えば、合成樹脂シート、合成繊維製シート、天然繊維製シートをそのままか、または、それらに低摩擦処理、防水処理、紫外線カット処理などを施したシートなどとすることもでき、各移動駒との結合箇所の近傍適所夫々に、整備用開口部と、それを開閉可能な蓋幕部とを設け、それら各整備用開口部の周縁部、およびそれに対応する蓋幕部の周縁部に、開閉操作可能なファスナーが添設されてなるものとすることが可能である。
整備用開口部は、移動駒および案内レールの取付け用金具類などのメンテナンスや交換といった各種作業を、軟質シート全体を外さずに行うことができるようにする機能を果たすものであって、全体的な規模との兼ね合いその他の条件によって必要に応じて採用するようにするものであり、不要な応力の集中によって破れないよう、開口縁部の強度を軟質シートの他の部分より高めたものとしなければならず、軟質シートと同一素材か、または、それより強靱な繊維や板などからなる蓋幕部を設け、ファスナーや面ファスナー、複数の鳩目孔に紐を通したもの、または複数のボタン孔とボタンとの組み合わせたものなどにより、開閉可能に閉鎖したものとすべきである。
通風空間は、建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面と、それを覆うよう展開された軟質シートとの間に強風が吹き込み、その強風によって軟質シートが自動的に波打ち振動するのを促す機能を果たし、案内レール、およびそれに装着した移動駒の合計高さ、または、瓦棒葺き屋根に設置した場合には瓦棒への取り付け高さや、さらに、一文字葺き用の取付け金具類の高さなどを加えた高さ寸法となり、騒音の発生を最小に留めるためにも、振動する軟質シートが弛んでも屋根葺き材面を叩かない程度の高さになるよう設定する必要がある。
昇降駆動機構は、軟質シートを、その張着の対象となる建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上に亘って展開し、且つその展開状態を維持可能とすると共に、格納用屋根部内まで上昇移動させて収納し、さらに、その収納状態を維持可能とするよう、危険な高所に登らずに遠隔的に操作可能とする機能を果たすものであり、ベルト、ギア、チェーン、シャフト、ワイヤー、ロープ、梃子その外、様々な動力伝達機構を利用することができ、人手操作によるものや、モータやエンジンなどの駆動源によって駆動するものとすることができ、より具体的には、各案内レールの棟がわ端に臨むようにして棟方向に軸心を向け、回転自在に設置した捲回軸の中途各所に、最も軒先がわとなる各移動駒を繋着した昇降索の基端がわを、緞帳型の巻き取りならびに展開自在となるよう連結する一方、該捲回軸の適所には、人力またはその他の駆動力を伝達可能とする回転操作部が設けられてなるものとする。
格納用屋根部は、各案内レールに沿って棟がわに上昇、集合させた各移動駒および軟質シートを、雨や雹、日光などに曝さぬよう、少なくともそれらの天面を隠蔽状に包囲可能とする機能を果たすものであり、各移動駒を密に集合させた縦列長さと、それに追従し襞状に折り畳み、上昇させた軟質シートとを収容可能な巾寸法(棟から軒に向かう方向の寸法)に設定したものとし、積雪や台風、雹、大雨などに耐える十分な強度を有し、直射日光による熱や紫外線を十分に遮蔽可能なものとしなければならず、屋根片流れの両妻がわに、各通風空間側端部を隠蔽可能な破風を有するものとすることができる外、棟上付近となる天面の中央および/または均衡する複数適所に、通風空間に通じる適宜形状の通風口を形成したものとすることが可能である。
捲回軸は、各移動駒および/または軟質シートの適所に、軟質シートの全体を格納用屋根部内に収容可能、ならびに当該建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面の全体に亘って展開可能とするよう、先端を結着したワイヤー、チェーン、ロープなどの昇降索の基端を、軒がわから棟がわに向けて緞帳型の巻き取り、ならびに棟がわから軒がわに向けて展開自在とするよう操作可能とする機能を果たし、軟質シートを円滑に展開可能とするに十分な軸強度、および軸着強度を有するものとしなければならず、棟寄りの箇所に、少なくとも棟方向の両端に配された案内レール間に亘り、棟方向に軸心を向けた状態に設置され、回転自在に支持されたものとし、ワイヤー、チェーン、ロープなどの各昇降索、巻き取り部分には、夫々巻き取り用のプーリーを設けるか、またはそれに代わる同心環状溝を形成するか、の何れか一方とするのが望ましい。
回転操作部は、屋根上の危険な箇所から離れた地上付近、または屋内などの適所から棟付近に設けられた捲回軸を、昇降索の巻き取り方向、および展開方向の夫々に回転駆動可能とする機能を果たすものであり、より具体的には、捲回軸に巻き掛けられたベルト、ワイヤー、ロープ、チェーンなどが巻き掛けられたプーリー、スプロケット、または歯車機構の入力軸を、地上もしくは屋内から人力によって回転操作可能とする入力用ハンドルとすることが可能である外、捲回軸付近に設置され、その出力軸を、減速機構を介して捲回軸に機械的に接続された駆動用モータの起動、停止および正逆転操作を可能とするよう屋内もしくは屋外地上付近に設けられた操作用スイッチということができる。
当該屋根用除雪装置の設置対象となる屋根は、平行な複数本の案内レールを設置可能な建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面(切り妻のような場合には両方の片流れとなる屋根葺き材面に夫々設置可能)であればよく、さらに具体的に示すと、切り妻、招き、片流れ、腰折、下屋付き、越などに設置するのが望ましく、むくり、反り(照り)、尖りアーチや蒲鉾の屋根にも案内レールの形状を合わせることによって設置可能であり、寄せ棟、方形(宝形)、しころ、入母屋、マンサード、八角、尖頭、ドーム、蝶形などの屋根の設置可能な一部範囲にも設置することができ、表現を変えると、金属板葺きによる一文字葺きや瓦棒葺きの屋根、または、和、洋瓦葺き、スレート葺き、セラミック瓦葺きなど様々な屋根に設置することが可能である。
この発明の屋根の除雪方法は、降雪期間に亘って軟質シートを展開させ、それ以外の期間には、軟質シートを格納用屋根部内に収容、保管するよう制御するものとしているが、例えば、降雪期間における雹や落雷、突風などの軟質シートに被害が及びそうな荒天のときや、荒天が予想されるときにも、軟質シートを格納用屋根部内に収容してしまうことが可能であり、また、春期の杉花粉、黄砂などが舞う季節や、秋期の落ち葉の季節などにも軟質シートを展開させて、屋根上に砂埃や落ち葉などの塵埃が堆積してしまうのを防止するのに用いることができるのは言うまでもないことである。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図1の住宅屋根に設置された屋根用除雪装置の斜視図、図2の屋根用除雪装置の一部を拡大した斜視図、図3の屋根用除雪装置を設置した屋根の平面図、図4の棟方向に隣り合う移動駒の正面図、図5の案内レールに装着された移動駒の正面図、図6の案内レールに装着された移動駒の側面図、図7の軟質シート整備用開口部の平面図、図8の断面化した格納用屋根部下に収容された移動駒の側面図、図9の軟質シートの展開、収納状態を断面化した側面図、図10の切り妻屋根に設置した屋根用除雪装置を断面化した側面図、および、図11の軒先まで展開された軟質シートを断面化した側面図に示される事例は、建造物屋根8の棟に続く屋根葺き材面81上で、その棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に、所定間隔置きとなる互いに平行な配置として棟から軒先に至る案内レール2,2,……を、当該屋根葺き材面81上に固着したものとする一方、それら全ての案内レール2,2,……上を覆えるだけの大きさを有し、その裏面には、当該案内レール2,2,……に対応する位置を経線とし、棟から軒先間を30ないし90cm間隔Aで等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に移動駒3,3,……を取着してなる軟質シート4が、それら同一緯線位置に配されている全ての移動駒3,3,……は、その緯線に対応する案内レール2,2,……に対して脱落不能且つ上下動操作可能となる構造、配置に組み込まれるようにし、且つその上端縁は棟に沿う位置に固着した状態で、前記した全ての案内レール2,2,……上を覆い切って屋根葺き材面81上との間に軒がわに開口する通風空間5を確保可能で、且つ、その状態から、前記同一緯線位置に配されている全ての移動駒3,3,……を横一列として折り畳み状に上昇させ得るよう、同一案内レール2上に配した移動駒3,3,……相互を昇降索71に連携状となすと共に、全ての昇降索71は、夫々の案内レール2,2,……上を同距離ずつ上下動させる昇降駆動機構7の昇降出力部75に連動するようにする一方、軟質シート4上端縁固着部を含む棟付近から軒先方向所定巾範囲上を、襞状に折り畳み、上昇させてしまった当該軟質シート4保護用の格納用屋根部6に形成してなる、この発明の屋根用除雪装置における代表的な一実施例を示すものである。
当該屋根用除雪装置1は、瓦棒葺き住宅屋根8の片流れとなる屋根葺き材面81,81毎に対し、図1ないし図11中に示すように設置されたものとし、切り妻屋根8両流れの屋根葺き材面81,81の夫々に対して棟を挟み対象、配置となるよう設置され、その両者が一個の格納用屋根部6を共有するようにしたものであり、以下には、切り妻屋根8の図1中、後方がわの片流れとなる屋根葺き材面81に設置したものの説明を省略し、これとは反対がわとなる同図1中、前方がわの片流れとなる屋根葺き材面81に設置したものについてのみ説明することとする。
所定勾配の屋根8の片流れとなる屋根葺き材面81上に棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に、所定間隔置きとなる互いに平行な配置として形成した各瓦棒82,82,……上部ハゼ巻き構造部(定着支持部分)83には、夫々の棟から軒に向かう方向であって、適宜寸法置き毎の複数箇所に、図4ないし図6中に示すよう、夫々上方から装着し、棟方向両側から挟着可能な特注金具である各固定金具21,21,……、左右握着片22,22を、それら握着片22,22の瓦棒82より上がわに配置した部分に、棟方向から(肉厚方向に)貫通させた一本または複数本のボルト・ナット23,23によって着脱可能に緊締、固着し、それら同一の瓦棒82に沿って配列、仮固定した各固定金具21,21,……天面上に、長さ方向(棟から軒に向かう方向)断面形が工字型に形成され、棟寄りの箇所から雨樋84を超えて軒先に達するよう延伸した案内レール2が、複数のネジ・ナット24,24,……によって一体に固定してある。
案内レール2は、全ての瓦棒82,82,……上に夫々一本ずつ設けたものとするのが望ましいが、一本置き毎や複数本置き毎の瓦棒82,82,……上に取り付けることも可能であり、各案内レール2,2,……の軒先に突出した下端がわ下部には、図2中に示すように、基端を屋根8軒に結合した支持アーム25を結合し、補強されたものとすることができ、また、各固定金具21,21,……の中、瓦棒82に取り付けられた雪止め金具85と同一箇所に固定されるものは、雪止め金具85と一体形成したものとすることが可能であり、さらにまた、全ての固定金具21,21,……に雪止め金具85が一体化されたものとすることも可能である。
各瓦棒82,82,……上に固着した各案内レール2,2,……には、図4ないし図6中に示すように、工字型断面形の上部T字型断面部分に、概略反転U字型または概略冂字型断面形をなした複数の移動駒3,3,……が遊嵌状に装着され、それら移動駒3,3,……の当該案内レール2に対峙する下向き左右片部分には、同案内レール2工字型断面形の棟方向双方の矩形溝部内に配し、接地するようにした左右夫々一個ずつ合計二個の車輪31,31が水平軸によって軸着され、各移動駒3,3,……を、夫々の案内レール2に沿って縦列状滑走自在、且つ脱落不能に装着されたものとしている。
各移動駒3,3,……は、夫々の天面中央に、軟質シート4の対応箇所に取り付けるためのナット32を、その雌ネジ軸心が、天面に対して垂直となる姿勢に熔接され、さらに、該ナット32の上端には、ナット32よりも大きな直径の円板状であって、中央にナット32の雌ネジを露出状とする貫通孔が穿孔され、上面に摩擦を高める天然ゴム層を被覆した挟着用円板33を同心状に熔接したものである。
各案内レール2,2,……の軒先端間に、図1ないし図3中に示すように、棟方向全長域に渡るストッパ枠26を、図示しないボルト・ナットまたは熔接などによって一体に連結して軒先端がわの剛性を確保するものとし、該ストッパ枠26の最も軒がわの移動駒3,3,……が対峙状となる各部には、スプリングまたは天然ゴム、その外の弾性素材製の、図示しない緩衝材部が装着されたものとする一方、図1、図3、図8ないし図10中に示すように、同案内レール2,2,……の棟がわ端に対峙する箇所には、棟方向に軸心を向け、各案内レール2,2,……間の中央に対応する部分夫々に環状の巻取り溝73,73,……を刻設した一本の捲回軸72を、棟方向全長域に渡って横架、軸着したものとする。
軟質シート4は、図3中の斜線に示すように、屋根8の棟に続く屋根葺き材81面上(図3中には、両方の片流れとなる屋根葺き材面81上の夫々に合計2枚展開されている。)を覆う矩形状であって、上面に、積雪の滑落を促すよう摩擦抵抗を低減可能な低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレンなどの軟質合成樹脂製シートを用い、その下面に補強用のテント用繊維生地や天然ゴム層などを密着、一体化し、全外周縁部を折重ねて縫合するか、補強用テープを縫着するかなどして縁取り補強したものからなり、案内レール2,2,……に沿って棟から軒先間を30ないし90cm間隔Aで等分した位置に配され、平均的に分散配置させた各移動駒3,3,……の挟着用円板33,33,……に対応する箇所夫々に、裏面がわから図示しない矩形板状または円板状の補強布が張着され、その中央に各ナット32の雌ネジに対応する挟着孔41を穿孔した上、鳩目金具が装着されたものとし、さらに、各移動駒3,3,……の左右何れか適切な一方がわに隣接する箇所には、図4ないし図7中に示すよう、夫々棟がわの辺を除く略正方形状U字型に切開し、これらを開閉自在に閉鎖する蓋幕部43,43,……を有する整備用開口部42,42,……を設け、それら整備用開口部42,42,……開口縁上面、および、蓋幕部43,43,……開口縁下面の夫々に、互いに着脱自在となる雄雌面ファスナー44を一体化し、必要に応じて自由に開閉可能なものとしている。
さらに、該軟質シート4は、その棟方向全長域に渡る上端縁を、各案内レール2,2,……の上端がわであって格納用屋根部6内となる適所に固着すると共に、全ての案内レール2,2,……上を覆うよう展開した場合の各挟着孔41,41,……を、各案内レール2,2,……に対応する位置を経線とし、棟から軒先間を30ないし90cm間隔Aで等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に配置された各移動駒3,3,……の上部ナット32,32,……上に対応させた上、各ナット32,32,……に対し、中央に貫通孔を穿孔した円板状であって下面に摩擦を高める天然ゴム層を被覆した挟着用円板35を貫通状に装着してなるボルト34を、該軟質シート4上方から貫通するよう螺着して強固に締め付け一体化し、各移動駒3,3,……が円滑に走行できるよう張設されたものとしており、且つ、図4ないし図6に示すように、各瓦棒82,82,……、各固定金具21,21,……、各案内レール2,2,……および各移動駒3,3,……によって建造物屋根8の棟に続く屋根葺き材81面上と軟質シート4下面との間には、軒がわに向けて開口する通風空間5が軒がわに向けて開口するよう形成したものとなっている。
昇降駆動機構7は、図1中に示すように、当該捲回軸72の各巻取り溝73,73,……に、柔軟性を有するステンレスワイヤ製の昇降索71,71,……の基端を夫々連結し、それら各昇降索71,71,……の先端を、図2中に波線で示すよう、最も軒がわに配置した各移動駒3,3,……の中央適所に、他の移動駒3,3,……に緩衝しないよう取り付け、捲回軸72の正逆転操作によって軟質シート4の軒先方向所定巾範囲上を、襞状に折り畳み、緞帳型の展開ならびに収納移動可能としたものとし、該捲回軸72の棟方向の一方端には、図1中に示すように、軒先に配したストッパ枠26と建築物の外壁面適所とに軸着させたプーリー74,74,……を経由して、同建築物外壁の地上付近に設けられた回転操作部76との間に昇降出力部としての無端状伝動ワイヤー75を巻き掛け、該回転操作部76の入力用ハンドル77を時計回りか反時計回りかの何れか一方に回転操作して、捲回軸72が軟質シート4を降下移動展開させる方向に回転駆動され、何れか他方に回転操作して、捲回軸72が軟質シート4を上昇移動収納する方向に回転駆動されるものとし、必要に応じて回転操作部76内の無端状伝動ワイヤー75の移動を仮固定し、捲回軸72の回転を停止させることができる仮止めレバー78を設けたものとする。
各案内レール2,2,……の棟がわ、および、捲回軸72が配された当該屋根8棟上には、上昇移動させて密に集合した全ての移動駒3,3,……および軟質シート4を、図8中に示すよう収容可能とする如く、棟から軒方向の幅寸法を設定した格納用屋根部6を、図1中に示すように、建造物屋根8棟上に鞍跨り状に立設し、その両端、妻がわには、通風空間5の両側端部に添ってこれを閉塞可能な高さ寸法とした破風61,61を立設して一体形成すると共に、同格納用屋根部6の中央上部には、越屋根型の小屋根62を形成し、その天面に通風空間5と外部とを繋ぐ複数の通風口63,63,……を、上下(小屋根62肉厚方向に)貫通、形成したものとしている。
図12の一文字葺き屋根に装着した案内レールを断面化した正面図、および、図13の一文字葺き屋根に装着した案内レールの側面図に示す事例は、各案内レール2,2,……を、一文字葺き屋根8における屋根葺き板81相互のハゼ巻き構造部83を定着支持部分とし、既存の一文字葺き用雪止め金具85か、それを利用、改造した金具、またはその他の特注金具などにより、その要所要所が屋根葺き材81面上所定高さ位置に強固に固定した、この発明の屋根用除雪装置における他の実施例を示すものであり、当該屋根用除雪装置1は、その主要な構造部分が、前記実施例1に示したものと基本的に共通し、同一構成部分には、同一の符号を付して説明を省略し、構造の異なる一文字葺き用の支持金具27,27,……と、それによって支持された案内レール2とについてだけ、以下に詳述することとする。
該支持金具27は、図13中に示すように、側断面概略L字型に形成され、その底部先端が、一文字葺きの図示しない葺き板81のハゼ巻き構造部(定着支持部分)83に装着され、その底部先端の基端寄りとなる箇所に立設されたボルト部に挟着片を貫通、装着し、葺き板ハゼ巻き構造部83に挟着可能とするよう、露出するボルト部先端にナットを螺着して定着機構28を形成し、通風空間5を形成可能とする所定高さ位置に屋根8片流れとなる屋根葺き材面81に平行な姿勢の平面状連結板29を一体化形成し、同一構造の複数個の支持金具27,27,……を、同屋根8片流れとなる屋根葺き材面81上の棟方向に所定間隔置き毎となり、棟から軒に至る平行直線状の配置となる複数箇所夫々に対応する屋根葺き材81ハゼ巻き構造部83,83,……間に固着、立設し、棟から軒に直線状に縦列配置した支持金具27,27,……の連結板29,29,……上に、案内レール2,2,……を、夫々複数本のネジ・ナット24,24,……か、図示しない複数のリベットか、または、熔接かの何れかによって一体に結合したものとする。
また、当該屋根8片流れとなる屋根葺き材面81上に立設した全ての支持金具27,27,……か、または、屋根8片流れとなる屋根葺き材面81上に適宜点在状に配した雪止め金具85,85,……に一致するよう配置するようにした支持金具27,27,……かの何れか一方には、図12中に示すように、雪止め金具85が一体化されたものとすることが可能である。
(実施例の作用)
以上のとおりの構成からなる実施例1の屋根用除雪装置1は、既存の住宅または新築の何れにも簡単に設置することが可能であり、図4ないし図6中に示すように、瓦棒葺き屋根8の各瓦棒82,82,……に沿って複数の固定金具21,21,……を介して各案内レール2,2,……を設置したものとし、当該屋根用除雪装置1を交換または撤去するときに、各ボルト・ナット23,23,……を緩めることによって夫々の握着片22,22を緩めて、各固定金具21,21,……および各案内レール2,2,……を簡単に取り外すことが可能であり、また、各固定金具21,21,……に、図1および図2中に示すような雪止め金具85,85,……を一体化したものは、その周辺に別途雪止め金具85,85,……を設置する必要がなく、夫々を個別に設置する場合より、屋根8への重量負担を軽減するものとなる。
当該実施例1の屋根用除雪装置1は、それを利用することによってこの発明に包含される屋根の除雪方法を実施可能とするものであり、以下ではその屋根の除雪方法による作業手順に従い、得られる作用について示して行くこととする。
予め、図8中に示すように、格納用屋根部6内に軟質シート4が襞状に折り畳まれて密に集合させた状態で収容されたまま降雪期を迎えたとき、利用者は屋外地上から、図1中の昇降駆動機構7回転操作部76の仮止めレバー78によるブレーキを解除し、入力用ハンドル77を時計回り方向か、または反時計回り方向かの、何れか展開操作となる一方に回転操作し、無端状伝動ワイヤー(昇降出力部)75を経由して捲回軸72を回転駆動させると、図8中の最も軒がわに配された移動駒3,3,……に繋着された昇降索71,71,……が繰り出され、それに従い各移動駒3,3,……は、各案内レール2,2,……に沿って、図9中の白抜き矢印に示すとおり、下向き方向に降下移動され、当該格納用屋根部6内に収容していた軟質シート4を、建造物屋根8の片流れとなる屋根葺き材81面上の棟がわから軒がわに向け、順次緞帳のように展開させることが可能である。
図4および図5中に示すように、各案内レール2,2,……の工字型断面形の上部T字型断面部分に、概略反転U字型または概略冂字型断面形の各移動駒3,3,……を遊嵌状に装着し、それら移動駒3,3,……の当該案内レール2に対峙する下向き左右片部分に、同案内レール2工字型断面形の棟方向双方の矩形溝部内に配され、接地する左右夫々一個ずつ合計二個の車輪31,31を、水平軸を介して軸着してあり、軟質シート4に強風を受けた場合にも、各移動駒3,3,……が案内レール2から脱落せず、しかも案内レール2に沿って縦列状に円滑に走行自在に誘導される。
該入力用ハンドル77による展開操作を、図10および図11中に示すように、各移動駒3,3,……がストッパ枠26に達するまで実施し、軟質シート4は、棟がわの格納用屋根部6内から、図3中に斜線範囲で示すような過程を経て、図11のように、雨樋84上を超えた軒先まで展開し、建造物屋根8の棟に続く屋根葺き材81面上との間に通風空間5が形成され、利用者は、図1に示す入力用ハンドル77の操作を停止し、仮止めレバー78によるブレーキを作動させ、各昇降索71,71,……の展開操作を停止することによって該軟質シート4の展開作業を完了する。
このとき、最も軒がわに配された各移動駒3,3,……がストッパ枠26に勢いよく衝突しても、それら移動駒3,3,……が、対峙状となる各部に装着してある、図示しないスプリングまたは天然ゴム、その他の弾性素材製の緩衝材部によって衝突の衝撃を吸収し、過大な騒音や振動の発生を防止するものとなる。
同様の展開作業を、図1中に示す、屋根8の棟を挟む両片流れとなる屋根葺き材面81,81について行うと、各片流れとなる屋根葺き材面81,81上に張設した軟質シート5,5は、各各片流れとなる屋根葺き材面81,81上に経線状に配してある各案内レール2,2,……上に、棟から軒先間を30ないし90cm間隔(図3中に寸法Aで示す)で等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に分散配置した各移動駒3,3,……に強固に定着されたものとなり、しかもその柔軟性と、軒がわに開放する通風空間5とによって季節風や強風を孕み易くなり、該軟質シート4,4上に積雪があっても、風力を受けて波打ち、振動することによって格納用屋根部6より軒がわの積雪を、低摩擦に形成した上面から自動的に滑落させ、雨樋84上を超えた軒先がわまで円滑に誘導落雪させることとなり、降雪期間に亘って屋根8の両片流れとなる屋根葺き材面81,81上に降り積もる雪を、悉く自動的に落雪させてしまう。
当該軟質シート4の各移動駒3,3,……への固着部分は、その取付け部分を補強布によって十分に強化すると共に、挟着孔41を鳩目金具によって補強した上、挟着面を天然ゴムで被覆し、軟質シート4を傷めるよう角部分を排除した一対の挟着用円板33,35によって上下から密着するよう強固に挟着し、高い摩擦力を得るようにしてある。
また、図1中に示す、格納用屋根部6の各破風61,61,……は、棟方向最外側に位置する通風空間5の棟方向両側端部を隠蔽状として風雨雪の進入するのを阻止し、通風空間5の軒端がわだけを開口させてあり、同通風空間5内に両側方から吹き込む強風の攪乱によって減衰してしまうのを防止して、軒先がわからの風力を効率的に軟質シート4の波打ち運動に変換可能とするようにし、当該格納用屋根部6の小屋根62に形成した複数の通風口63,63,……が、通風空間5内に吹き込む風圧を外部に逃がし、格納用屋根部6の内圧が異常に上昇してしまうのを阻止することが可能である。
各移動駒3,3,……、固定金具21,21,……、案内レール2,2,……などをメンテナンスするときには、図4ないし図7中に示す軟質シート4の各整備用開口部42,42,……を利用し、作業箇所に相当する雄雌面ファスナー44を外して蓋幕部43を開放し、給油や部品交換、その他のメンテナンス作業を行った後、再度蓋幕部43を閉鎖して雄雌面ファスナー44を閉じ合わせて作業を完了するものである外、異常な強風が吹き付けた場合などには、各雄雌面ファスナー44が自動的に離脱するようにして蓋幕部43を開放させてしまい、安全弁のように通風空間5内の異常な高圧化を阻止するようなものにすることも可能である。
降雪期が過ぎて積雪のない春を迎えたときには、図1中に示す昇降駆動機構7の回転操作部76、仮止めレバー78によるブレーキを再び解除し、入力用ハンドル77を展開操作のときとは反対方向に回転操作し、無端状伝動ワイヤー(昇降出力部)75を経由して捲回軸72を逆転駆動させ、図2および図11中に示す最も軒がわに配された移動駒3,3,……に繋着してある昇降索71,71,……を巻き取り、それに従って最も軒がわの各移動駒3,3,……から順次各案内レール2,2,……に沿って、図9中に示す白抜き矢印の棟方向に襞状に折り畳み、上昇させて緞帳のように繰り上げて行き、最終的に図8中に示すよう各移動駒3,3,……および軟質シート4が格納用屋根部6内まで誘導され、隠蔽状に格納されたところで仮止めレバー78を操作して昇降駆動機構7を仮固定し、次回の展開作業まで格納状態を維持するようにする。
このように、格納用屋根部6内に隠蔽状に収容した軟質シート4は、春、夏、秋に亘って太陽光の紫外線や熱線、および台風などの荒天に曝されるなどして早期に劣化してしまうのを防止し、また、格納用屋根部6小屋根62の各通風口63,63,……を通じて内外の円滑な通気が促され、苔や黴の発生を防止することが可能となり、降雪期に入ると、前述のように、再び軟質シート4を展開、張設させるよう制御することになる。
図12および図13中に示した実施例2の屋根用除雪装置1は、一文字葺きの屋根8の片流れとなる屋根葺き材81面上にも、実施例1と同様に軟質シート4を、棟上に配した図示しない格納用屋根部6内に集合状に収納、保管することが可能であり、また、図示しない昇降駆動機構7により、片流れとなる屋根葺き材81面の略全体に渡って展開状に張設することが可能であって、一文字葺き屋根8の屋根葺き材81ハゼ巻き構造部(定着支持部分)83に固着、立設した各支持金具27,27,……は、当該屋根用除雪装置1を交換や撤去するとき、定着機構28のボルト部に螺着したナットを緩めることによって挟着片の緊締状態を解き、屋根葺き材81ハゼ巻き構造部(定着支持部分)83から簡単に取り外すことができ、効率的に案内レール2,2,……を取り外せる。
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例1の屋根用除雪装置1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1中に示したように、昇降駆動機構7回転操作部76の入力用ハンドル77と捲回軸72とを、無端状伝動ワイヤー(昇降出力部)75を介して機械的に接続し、地上の利用者が手動によって簡単に操作して軟質シート4の繰り上げ収納、または展開を実現化することができ、電動モータなどの駆動源を必一切要とせず、経済的な設置、利用が可能になると共に、装置重量を軽減して建築物の屋根8に過大な重量負担を掛けずに利用することができるという利点が得られる。
また、昇降駆動機構7の回転操作部76に仮止めレバー78を設けてあり、軟質シート4を、屋根8の片流れとなる屋根葺き材面81上の全体に展開させたときや、格納用屋根部6に収納したとき、あるいは、展開または収納の途中状態のときなど、任意の何れの状態のときにも、仮止めレバー78によるブレーキ操作によって軟質シート4の展開位置もしくは収納位置を仮停止させ、そのままの状態を維持することができ、しかも仮止めレバー78によるブレーキ状態を解除すれば、再び入力用ハンドル77による軟質シート4の繰り上げまたは展開操作を行うことができ、屋根8上に登るような危険な高所作業を必要とせず、より安全且つ確実に軟質シート4を操作するという効果を奏するものとなる。
そして、図4および図5中に示すように、各案内レール2,2,……の上部T字型断面部分に、概略反転U字型または概略冂字型断面形の各移動駒3,3,……を遊嵌状に装着し、一対の車輪31,31を、同案内レール2工字型断面形の棟方向の各矩形溝部内に配し、接地させたものでは、一個の車輪を設けたものに比較して各移動駒3,3,……の案内レール2への装着強度を格段に高めて耐久強度を大幅に増強し、昇降動作の信頼性と耐久寿命とを更に向上させる利点が得られる。
また、図1および図2中に示した、ストッパ枠26の最も軒先がわの移動駒3,3,……に対応する箇所夫々に弾性素材製の緩衝材部(図示せず)を設けたものとしてあり、軟質シート4を展開させたときに、各移動駒3,3,……がストッパ枠26に接触しても衝撃的騒音や振動を大幅に減衰させ、より静かで安定した作動操作を実現化することができ、また、各案内レール2,2,……の軒先に突出した下端がわ下部に、図2中に示したように、基端を屋根8軒に結合した支持アーム25を結合、補強したものとし、万が一各案内レール2,2,……の軒先端がわに積雪や氷柱による過大な荷重が加わったとしても、十分な強度を確保して各案内レール2,2,……が変形、破損してしまうのを、確実に防止可能となるという効果を発揮する。
図4ないし図7中に示すように、当該軟質シート4の各移動駒3,3,……への固着部分を補強布によって十分に強化すると共に、上下から接合面に天然ゴムによって被覆して軟質シート4を傷めるような角部分を排除した一対の挟着用円板33,35で挟着するようにしたものでは、高い摩擦力を得て固着部分の強度を高めたものとすることができ、軟質シート4の結合部分に応力が集中してしまうのを防止して応力を分散させることが可能となり、展開や収納操作の際、あるいは積雪、風圧による振動などに起因した軟質シート4の変形や破れなどを防止し、耐久性を大巾に高めることができる。
実施例2に示した支持金具27は、その底部先端の基端寄りとなる箇所に立設したボルト部に挟着片を貫通、装着し、屋根葺き材81ハゼ巻き構造部(定着支持部分)83に挟着可能とするよう、露出するボルト部先端にナットを螺着してなる定着機構28を設けたものとなし、一文字葺き屋根8への取り付けおよび取り外し作業を、ナットの開閉操作によって簡便に行うことが可能となり、屋根用除雪装置1の取り付け工数の相当な短縮化を可能とし、より一層経済的な設置、利用が図られるという効果を期待できるものとなっている。
(結 び)
叙述の如く、この発明の屋根用除雪装置、およびそれを利用した屋根の除雪方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造ならびに設置も容易で、自然の風力を利用して自動的な落雪を実現化したことにより、従前からのシートを伸縮、膨張、振動させる起動装置が必要な積雪防止シートや、シートを回動させる駆動装置を必要とする仮設屋根の除雪方法とその除雪装置などに比較して大幅に軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、降雪期以外には、遠隔操作によって安全に収納、保管することができ、季節毎の危険で負担の大きな設置や撤収の作業性を大幅に改善し得るものとなることから、毎年のように危険な雪下ろし作業に追われる降雪地域の住民は勿論のこと、より安全な除雪技術の実現化を目指す建築業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
図面は、この発明の屋根用除雪装置、およびそれを利用した屋根の除雪方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
切り妻屋根に装着した屋根用除雪装置を示す斜視図である。 屋根用除雪装置の一部を拡大して示す斜視図である。 軟質シートを展開した屋根用除雪装置を示す平面図である。 軟質シートによって連結された移動駒を示す正面図である。 固定金具の取り付け構造を一部断面化して示す正面図である。 固定金具によって取り付けられた案内レールを示す側面図である。 軟質シートの整備用開口部を拡大して示す平面図である。 格納用屋根部内に収容された軟質シートを断面化して示す側面図である。 展開または収納される軟質シートを縦断面化して示す側面図である。 展開された軟質シートを縦断面化して示す側面図である。 展開した軟質シートの軒付近を断面化して示す側面図である。 一文字葺き用の支持金具を示す正面図である。 一文字葺き用の支持金具を示す側面図である。
符号の説明
1 屋根用除雪装置
2 案内レール
21 同 固定金具
22 同 握着片
23 同 ボルト・ナット
24 同 ネジ・ナット
25 同 支持アーム
26 同 ストッパ枠
27 同 支持金具
28 同 定着機構
29 同 連結板
3 移動駒
31 同 車輪
32 同 ナット
33 同 挟着用円板
34 同 ボルト
35 同 挟着用円板
A 同 同一案内レール上の移動駒配置間隔
4 軟質シート
41 同 挟着孔
42 同 整備用開口部
43 同 蓋幕部
44 同 雄雌面ファスナー
5 通風空間
6 格納用屋根部
61 同 破風
62 同 小屋根
63 同 通風口
7 昇降駆動機構
71 同 昇降索
72 同 捲回軸
73 同 巻取り溝
74 同 プーリー
75 同 無端状伝動ワイヤー(昇降出力部)
76 同 回転操作部
77 同 入力用ハンドル
78 同 仮止めレバー
8 建造物屋根
81 同 屋根葺き材
82 同 瓦棒
83 同 ハゼ巻き構造部(定着支持部分)
84 同 雨樋
85 同 雪止め金具

Claims (8)

  1. 建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上で、その棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に、所定間隔置きとなる互いに平行な配置として棟から軒先に至る案内レールを、当該屋根葺き材面上に固着したものとする一方、それら全ての案内レール上を覆えるだけの大きさを有し、その裏面には、当該案内レールに対応する位置を経線とし、棟から軒先間を30ないし90cm間隔で等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に移動駒を取着してなる軟質シートが、それら同一緯線位置に配されている全ての移動駒は、その緯線に対応する案内レールに対して脱落不能且つ上下動操作可能となる構造、配置に組み込まれるようにし、且つその上端縁は棟に沿う位置に固着した状態で、前記した全ての案内レール上を覆い切ることが可能で、且つ、その状態から、前記同一緯線位置に配されている全ての移動駒を横一列として折り畳み状に上昇させ得るよう配設すると共に、軟質シート上端縁固着部を含む棟付近から軒先方向所定巾範囲上を、襞状に折り畳み、上昇させてしまった当該軟質シート保護用の格納用屋根部に形成してなるものとしたことを特徴とする屋根用除雪装置。
  2. 建造物屋根の棟に続く屋根葺き材面上で、その棟方向全長域か所要巾域かの何れかに渡る範囲に、所定間隔置きとなる互いに平行な配置として棟から軒先に至る案内レールを、当該屋根葺き材面上に固着したものとする一方、それら全ての案内レール上を覆えるだけの大きさを有し、その裏面には、当該案内レールに対応する位置を経線とし、棟から軒先間を30ないし90cm間隔で等分した位置を緯線とした仮想碁盤目の交差点箇所夫々に移動駒を取着してなる軟質シートが、それら同一緯線位置に配されている全ての移動駒は、その緯線に対応する案内レールに対して脱落不能且つ上下動操作可能となる構造、配置に組み込まれるようにし、且つその上端縁は棟に沿う位置に固着した状態で、前記した全ての案内レール上を覆い切って屋根葺き材面上との間に軒がわに開口する通風空間を確保可能で、且つ、その状態から、前記同一緯線位置に配されている全ての移動駒を横一列として折り畳み状に上昇させ得るよう、同一案内レール上に配した移動駒相互を昇降索に連携状となすと共に、全ての昇降索は、夫々の案内レール上を同距離ずつ上下動させる昇降駆動機構の昇降出力部に連動するようにする一方、軟質シート上端縁固着部を含む棟付近から軒先方向所定巾範囲上を、襞状に折り畳み、上昇させてしまった当該軟質シート保護用の格納用屋根部に形成してなるものとしたことを特徴とする屋根用除雪装置。
  3. 各案内レールは、瓦棒葺き屋根の瓦棒ハゼ巻き構造部を定着支持部分とし、既存の瓦葺き用雪止め金具か、それを利用、改造した金具、またはその他の特注金具などにより、その要所要所が屋根葺き材面上所定高さ位置に強固に固定されてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の屋根用除雪装置。
  4. 各案内レールは、一文字葺き屋根における屋根葺き板相互のハゼ巻き構造部を定着支持部分とし、既存の一文字葺き用雪止め金具か、それを利用、改造した金具、またはその他の特注金具などにより、その要所要所が屋根葺き材面上所定高さ位置に強固に固定されてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の屋根用除雪装置。
  5. 昇降駆動機構は、各案内レールの棟がわ端に臨むよう棟方向に軸心を向け、回転自在に設置された捲回軸の中途各所に、最も軒先がわとなる各移動駒を繋着した昇降索の基端を、緞帳型の巻き取りならびに展開自在となるよう連結する一方、該捲回軸の適所には、人力またはその他の駆動力を伝達可能とする回転操作部が設けられてなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の屋根用除雪装置。
  6. 格納用屋根部は、棟上付近となる天面の中央および/または均衡する複数適所に、通風空間に通じる適宜形状の通風口が形成されてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の屋根用除雪装置。
  7. 軟質シートは、各移動駒に対応する箇所付近の夫々に、整備用開口部とそれを開閉可能にする蓋幕部とを設け、それら各整備用開口部の周縁部、およびそれに対応する蓋幕部の周縁部に、密閉操作可能なファスナーが添設されてなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載の屋根用除雪装置。
  8. 降雪期には、各案内レールに沿って各移動駒を降下移動させ、棟に続く建造物屋根の屋根葺き材面上の略全体を軟質シートによって覆い、該軟質シート下に形成される通風空間に吹き込む風によって波打つように激しく振動する同軟質シート自体の振動を利用し、同軟質シート上に降り積もる雪を強制且つ自動的に振るい落とし、滑落させて除去するものとし、降雪期間が終われば、当該軟質シートを、各移動駒諸共に緞帳の如く各案内レールに沿って上昇移動して襞状に折り畳み、上昇させて格納用屋根部内まで誘導し、次の降雪期まで保管、待機状となるようにし、軟質シートの劣化を防止するようにした、請求項1ないし7何れか一項記載の屋根用除雪装置を利用した屋根の除雪方法。
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