JP2008297769A - バックドア開閉装置 - Google Patents

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滋之 鈴木
Yukio Isomura
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Abstract

【課題】バックドア本体のロックと昇降パネルの開放との効果的な連係動作を実現させるバックドア開閉装置を提供する。
【解決手段】車体1の後部に揺動可能に設けたバックドア本体20を車体1にロックするロック部81と、バックドア本体20の自由端20aから出没可能に設けられた昇降パネル30とからなるバックドア2を備え、ロック部81のロック解除と昇降パネル30の前記自由端への退避を同時に行うスイッチ14を備えるバックドア開閉装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、車体の後部に揺動可能に設けたバックドア本体を前記車体にロックするロック部と、該バックドア本体の自由端側に、前記バックドア本体の閉鎖姿勢において車体の内部と連通する開口部を形成するように退避可能に設けられた昇降パネルとからなるバックドアを備えるバックドア開閉装置に関する。
従来のバックドア(テールゲート)として、車体本体の後方上部に設けられたバックドアヒンジを支点として上方に跳ね上げ可能な開閉体(バックドア本体)と、上昇時に上記開閉体に収納される昇降可能な昇降体パネル(昇降パネル)から構成されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このテールゲートの開閉体が閉じ姿勢であっても、昇降体パネルを上昇させることで車体内部へ通じる開口を作り出すことができ、そこから荷物の出し入れが可能である。このテールゲートでは、バックドアヒンジを支点として開閉体を開放する第1の開放動作と、昇降体パネルをスライド上昇変位させる第2の開放動作との切替えを回動自在なアウトドアハンドルによって行っている。つまり、このアウトドアハンドルの回転角度を検知する検知手段からの検知情報に基づいて、第1の開放動作及び第2の開放動作の切換が行なわれる。
実開平06−008033号公報(5−8頁、図2、図5)
上述した従来技術では、テールゲートのロックを解除し開放可能にするスイッチ操作と昇降体パネルを上昇させるスイッチ操作とが連動していないので、操作が煩雑である。また、昇降体パネルを上昇完了させてから、テールゲートを開放するため、テールゲートの開放と昇降体パネルの上昇とを共に行う場合、作動に時間を要する。
上記実状に鑑み、本発明の目的は、バックドア本体のロックと昇降パネルの開放との効果的な連係動作を実現させるバックドア開閉装置を提供することである。
車体の後部に揺動可能に設けたバックドア本体を前記車体にロックするロック部と、前記バックドア本体の自由端から出没可能に設けられた昇降パネルと、からなるバックドアを備えるバックドア開閉装置において、上記課題を解決するため、本発明では、前記ロック部のロック解除と前記昇降パネルの前記自由端への退避を同時に行うスイッチを備えている。
この構成では、前記ロック部のロック解除と前記昇降パネルの退避がスイッチの操作により自動的に行われることになり、1回の操作でロック解除及び昇降パネルの退避を行うことができ、操作を容易にできる。
さらに、簡単な操作を実現するためには、前記スイッチの操作により、前記昇降パネルが退避し、退避後に前記ロック部がロック解除し、前記バックドア本体を開放可能にするように構成するとよい。この構成を採用すれば、誤操作により、昇降パネルが退避されずに、バックドアを開放することを制御的に防止できる。
また、前記バックドア本体の開放位置を検出する検出部を有し、前記検出部による前記バックドア本体の開放位置の検出により、前記昇降パネルの退避作動を制御することも可能である。この構成を採用すれば、昇降パネルの退避作動と、バックドアの開放作動を同時に行うことができる。
本発明の別な特徴として、前記バックドア本体が前記車体に対して水平姿勢時に、前記昇降パネルが退避完了するように制御を行うことにより、車体後方の距離を最短にして車体を駐車することができるという利点も得られる。
本発明のさらに別な特徴として、前記車体に前記昇降パネルの先端部が嵌る凹部が設けられ、前記昇降パネルの先端部が前記凹部に係合する構成を採用することができる。この構成により、バックドアを車体に強固に固定でき、かつバックドアと車体との密封性を確保することができると共に、凹部が車体側に設けられるために、例えばバックドアに凹部が形成されたフレームを設けなくてもよく、その結果、揺動可能なバックドアを軽量化できる。
本発明のさらに別な特徴として、前記昇降パネルが前記凹部から離脱して前記自由端への退避を完了するまでの退避完了時間を算出し、前記バックドア本体が閉鎖姿勢から水平姿勢になるまでの水平姿勢到達時間を算出して、前記退避完了時間が前記水平姿勢到達時間より短い場合、前記ロック部をロック開錠する制御装置を備える構成を採用することができる。この構成では、前記凹部から離脱して前記自由端に退避完了するまでの退避完了時間が前記水平姿勢到達時間より短い場合には、制御装置が前記ロック部をロック開錠するので、バックドアが水平姿勢において、車体後方と干渉することが防止される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるバックドア開閉装置を採用した自動車を斜め後方からみた斜視図である。この自動車は、バックドア2と、前ドア3と、後ドア4とを車体1に備えた5ドアタイプである。バックドア2は、後部ピラー5とルーフ後端部6とフロア後端部7とによって規定される開口部9を閉鎖するものであり、この開口部9を開放することにより車体1の内部に対する荷物の搬入・搬出が自在となる。
図2と図3から理解できるように、バックドア2は、バックドア本体20と、バックドア本体20の自由端20aからの進出及び自由端20aへの退避が可能な昇降パネル30を有する。バックドア本体20は、リヤウインドウ21を備え、ルーフ後端部6に設けられた横軸ヒンジ8によって閉鎖姿勢から開放姿勢まで開閉揺動可能に車体1に取り付けられている。なお、バックドア本体20の開閉揺動動作は、図2に示されているようなダンパ54のみにより行われる場合と、図3に示されているようなバックドア開閉駆動機構50によって自動的に行われる場合とがある。バックドア開閉駆動機構50は、バックドア駆動モータとしての第2モータ51と、第2モータ51によって揺動動作するアーム52と、このアーム52の自由端とバックドア本体20とを連結しているロッド53を備えている。さらに、バックドア本体20の開閉揺動に対するダンパ54も配置されている。
バックドア本体20の自由端20aに配置されている昇降パネル30の進退スライド動作は、バックドア本体20のインナーパネル22とアウターパネル23との間の空間に配置されたパネル昇降機構60によって自動的に行われる。パネル昇降機構60の第1実施例は、図2に示されているように、往復移動ワイヤ方式であり、パネル駆動モータとしての第1モータ61はワイヤ駆動モータとして機能する。従って、この往復移動ワイヤ方式のパネル昇降機構60は、第1モータ61と、この第1モータ61の正逆転により、一方又は他方に巻き取られるワイヤ62と、ワイヤ62に固定されてワイヤ62の一方又は他方への巻き取られにより上下移動するコマ体63と、コマ体63の上下移動を案内するガイドレール64とを備えている。昇降パネル30は、コマ体63に連結されており、コマ体63の移動に伴って昇降する。
パネル昇降機構60の第2実施例は、図3に示されているように、送りねじ方式であり、パネル駆動モータとしての第1モータ61は送りねじ駆動モータとして機能する。従って、この送りねじ方式のパネル昇降機構60は、と、第1モータ61と、この第1モータ61によって回転させられる送りねじ65と、昇降パネル30に連結しているとともに送りねじ65に螺合しているコマ体66と、コマ体66の上下移動にともなう昇降パネル30の移動を案内するガイドレール64とを備えている。
バックドア本体20の閉鎖姿勢の保持のため、バックドア本体20のロック部としてのドアロック装置81がバックドア20のインナーパネル22に配置され、このドアロック装置81と係合可能なストライカ82が車体1のボデーパネルに設けられている。ドアロック装置81の開錠と施錠はコントロール70によって制御可能となっている。つまり、開放スイッチ11の操作により、このドアロック装置81は開錠され、ドア本体20を開放姿勢に揺動することを許す。また、ドアロック装置81が開錠された時、及び施錠された時を検知するスイッチがドアロック装置81内に設けられており、そのスイッチの検知信号はコントロール70に送られる。
バックドア本体20のアウターパネル23の一部は操作パネル23aとして形成されている。操作パネル23aには、バックドア本体20を閉鎖姿勢から開放姿勢に揺動させる開放スイッチ11と、昇降パネル30を閉鎖位置である伸張位置からバックドア本体20内に格納される退避位置まで移動させる退避スイッチ13と、昇降パネル30を退避位置から伸張位置まで移動させる伸張スイッチ14とが設けられている。バックドア本体20を開放姿勢から閉鎖姿勢に揺動させる閉鎖スイッチ12は、フロア後端部7、バックドア本体20、運転席パネルに設けられている。
この実施の形態では、昇降パネル30とフロア後端部7との間の密封性を良くするため、フロア後端部7に昇降パネル30の先端部30aを受ける凹部7aが形成されている。このような構造の場合、前記バックドア2を閉鎖姿勢から開放揺動させる際に、昇降パネル30を先に動作させ、昇降パネル30の先端部30aが凹部7aから離脱した後、ドアロック装置81が開錠され、バックドア本体20が揺動動作される。また、開放姿勢から閉鎖姿勢への揺動時には、昇降パネル30の先端部30aが凹部7aをかわせる位置に維持した状態でバックドア本体20を閉鎖位置まで揺動し、その後昇降パネル30の先端部30aを凹部7aに突入させる動作となる。
昇降パネル30はバックドア本体20の自由端20aの全幅にわたって延びており、バックドア本体20の自由端20aから進出した状態において昇降パネル30がバックドア2の下半分を作り出すことになるが、バックドア本体20の内部に退避した状態ではバックドア2の外観は実質的にバックドア本体20だけの形態となる。このため、バックドア2の先端揺動軌跡は、図2に示されるように、昇降パネル30の退避姿勢ではバックドア本体20の長さ:Laがバックドア2の揺動半径となり、昇降パネル30が最大に進出した姿勢ではバックドア本体20の長さ:Laに昇降パネル30の最大伸張長さ:Lbmaxを加えた長さ:Lmaxがバックドア2の揺動半径となる。
本発明によるバックドア開閉装置では、昇降パネル30を伸張位置から退避位置に移動させながらバックドア本体20を開放揺動する制御モードが実装されているので、バックドア2の先端揺動半径:Lは、バックドア本体20の長さ:Laに昇降パネル30の順次縮小されていく伸張長さ:Lbを加えた値となり、その揺動軌跡は円弧ではない。自動車の後方に直立した障害物がある場合、このバックドア2の開放揺動に必要な最小スペース(水平長さ)はバックドア本体20の長さ:Laである。バックドア本体20と昇降パネル30とを同時に動作させながら、この最小スペース内でバックドア2を揺動させるためには、昇降パネル30の先端とバックドア本体20の揺動点との水平距離である車体後方離間距離:LhがLaを上回らないようにバックドア本体20と昇降パネル30の動作を制御する必要がある。いずれにしても, 狭い場所でバックドア2を開放揺動するには、バックドア本体20が水平姿勢となる開放位置に達する前には、昇降パネル30の完全な退避が終了しておくと好都合であり、このような制御をここでは牽制制御モードと称している。また、この牽制制御モードの上位の制御モードとして、ドアロック装置81が開錠された後にバックドア本体20を開放可能とし、第1モータ61による昇降パネル30の退避動作を可能とする基本制御モードがある。この基本制御モードはバックドア本体20を手動により揺動させる際にも機能可能である。
上述のように構成されたバックドア2の動作制御は、車体1内に搭載されたコントロールユニット70によって行われる。図4に示されているように、このコントロールユニット70には、入力デバイスとして、前述した開放スイッチ11、閉鎖スイッチ12、退避スイッチ13、伸張スイッチ14が接続されていることに加え、基本制御モードや牽制制御モードでのバックドア本体20と昇降パネル30の動作を正確に行うために、バックドア本体20の開放位置(揺動位置)を検出する検出部としてのバックドア位置センサ16とパネル位置センサ17とが接続されている。バックドア位置センサ16は、ヒンジ8付近又は第2モータ51内に設けられ、バックドア本体20の揺動位置を検出する。パネル位置センサ17は、バックドア本体20のインナーパネル22とアウターパネル23との間の空間内又は第1モータ61内に設けられ、昇降パネル30の進退(昇降)移動量を検出する。さらにこの実施形態では、バックドア本体20の開閉揺動速度を調整することが可能であり、その速度調整のためのマニュアル設定式の速度調節器18も接続されている。さらに、コントロールユニット70には、出力デバイスとして、バックドア本体20を開閉揺動させる第2モータ51や昇降パネル30を進退移動させる第1モータ61、さらにドアロック装置81が接続されている。
さらに、自動車から少し離れた場所からバックドア2の開閉操作ができるように、開放スイッチ11、閉鎖スイッチ12、退避スイッチ13、伸張スイッチ14、速度調節器18の各スイッチ機能を有するリモコン送信機19aが用意されている。このリモコン送信機19aからの信号に応答して、各種スイッチの入力信号と同等な信号を生成するリモコン受信機19bがコントロールユニット70に接続されている。
コントロールユニット70は、実質的にはマイコンで構成されており、種々の機能がプログラム又はハードウエアあるいはその両方で作り出される。本発明に特に関係する機能としては、バックドア位置センサ16からの入力信号に基づいてバックドア本体20の揺動位置を算出するバックドア位置算出部71、パネル位置センサ17からの入力信号に基づいて昇降パネル30の出退(出没)位置を算出するパネル位置算出部72、バックドア本体20と昇降パネル30の連係した動作を実現するための制御管理部73、第1モータ61への駆動信号を生成する制御部としての第1モータ制御部74、第2モータ51への駆動信号を生成する制御部としての第2モータ制御部75などが挙げられる。
制御管理部73は、後で詳しく説明されるが、開放スイッチ11、閉鎖スイッチ12、退避スイッチ13、伸張スイッチ14、速度調節器18からの入力信号状態と、バックドア本体20や昇降パネル30の位置に基づいて、予め決められたアルゴリズムに従ってバックドア本体20と昇降パネル30が動作するように、第1モータ制御部74と第1モータ制御部75に制御コマンド(制御量)を与える。
上述したバックドア開閉装置では、バックドア開閉駆動機構50とパネル昇降機構60が独立して動作可能なので、バックドア本体20の揺動位置と昇降パネル30の移動位置に応じてバックドア2は種々の状態となる。この状態を分類して表にしたのが図5であり、分類された各状態の模式図にしたのが図6である。この分類では、バックドア本体20は、閉鎖位置に揺動された姿勢(閉)、完全開放位置に揺動された姿勢(開)、そのいずれでもない姿勢(半開)に分けられる。昇降パネル30は、昇降パネル30の先端が凹部7a内に入るまで伸張された位置(閉)、完全に退避位置まで移動した位置(開)、そのいずれでもない位置(半開)に分けられている。そして、バックドア本体20の姿勢が「閉」において、昇降パネル30の位置が「閉」の時をA状態(図6の(a)参照))、昇降パネル30の位置が「半開」の時をB状態(図6の(b)参照))、昇降パネル30の位置が「開」の時をC状態と称する(図6の(c)参照))。さらに、バックドア本体20の姿勢が「半開」において、昇降パネル30の位置が「半開」の時をD状態(図6の(d)参照))、昇降パネル30の位置が「開」の時をE状態と称する(図6の(e)参照))。また、バックドア本体20の姿勢と昇降パネル30の位置の両方が「開」の時をF状態と称する(図6の(f)参照))。なお、この実施形態では、昇降パネル30が「閉」の位置のままバックドア本体20を揺動させることはないので、昇降パネル30の位置が「閉」で、バックドア本体20の姿勢が「半開」や「開」という状態は存在しない。同様に、バックドア本体20を「開」姿勢まで揺動する前に昇降パネル30を退避させるので、バックドア本体20の姿勢が「開」で、昇降パネル30の位置が「半開」という状態も存在しない。
開放スイッチ11や閉鎖スイッチ12を操作することでバックドア本体20が揺動動作し、退避スイッチ13や伸張スイッチ14を操作することで昇降パネル30が移動動作する。ただし、そのスイッチ動作前のバックドア本体20と昇降パネル30の上述した状態によってその制御手順が異なる。以下、各スイッチを操作した際の制御の流れを説明する。
退避スイッチ13がON操作された際の制御手順を図7を用いて説明する。退避スイッチ13がON操作されると、制御管理部73が各種センサからの入力信号に基づいて現時点の状態(前述した状態A〜F)を検出する(#10)。状態C、E、Fでは、既に昇降パネル30は完全に退避されているので、何も動作は行わずにこのルーチンを終える。状態A、B、Dでは、昇降パネル30は少なくともいくらかは退避位置から伸張しているので、第1モータ61を正転駆動して、昇降パネル30を退避方向に移動(上昇)させる(#11)。さらに、ドアロック装置81が開錠されることで、バックドア本体20と車体1との間のロックが解除される。つまり、退避スイッチ13のON操作に伴い、バックドア本体20と車体1との間のロック部としてのドアロック装置81のロック解除と昇降パネル30の退避が自動的に行われることになる。昇降パネル30が退避終端位置まで移動したかどうかがチェックされ、退避終端位置に達すると(#13Yes分岐)、第1モータ61を停止して(#14)、このルーチンを終える。なお、この実施の形態の説明では、昇降パネル30を退避方向に移動し始める(#11)とドアロック装置81が開錠されるような制御手順となっていたが、これに代え、昇降パネル30が退避終端位置まで移動してから(#13Yes分岐)ドアロック装置81が開錠されるような制御手順を採用してもよい。これにより、昇降パネル30が退避されないまま、バックドア2を開放するといったことが制御的に防止することできる。いずれにせよ、昇降パネル30が退避終端位置に達していない限り、さらに退避スイッチ13がOFF操作されたがどうかがチェックされる。退避スイッチ13がまだOFF操作されていない場合(#15No分岐)、ステップ#13に戻り、昇降パネル30の上昇を続行させる。退避スイッチ13がOFF操作されていると(#15Yes分岐)、ステップ#13に戻り、第1モータ61を停止して(#14)、昇降パネル30の移動を止める。特に、状態Aにおいて、退避スイッチ13を操作することにより、バックドア本体20を開けることなしに、バックドア2の下方領域を任意の高さだけ開放して、車体1に対する部分的な開口部9を作り出すことができ、小さな荷物や小動物の車内への出し入れが可能となる。
伸張スイッチ14がON操作された際の制御手順を図8を用いて説明する。伸張スイッチ14がON操作されると、ここでも現時点の状態が検出される(#20)。状態Aでは、既に昇降パネル30は完全に伸張されて伸張限界位置にあるので、何も動作は行わずにこのルーチンを終える。状態B、D、E、F、Cでは、昇降パネル30は少なくともいくらかは伸張限界位置から退避しているので、第1モータ61を逆転駆動して、昇降パネル30を伸張する方向に移動(下降)させる(#21)。昇降パネル30が伸張終端位置まで移動したかどうかがチェックされ、伸張終端位置に達すると(#22Yes分岐)、第1モータ61を停止して(#23)、このルーチンを終える。昇降パネル30が伸張終端位置に達していない限り、さらに伸張スイッチ14がOFF操作されたかどうかがチェックされる。伸張スイッチ14がまだOFF操作されていない場合(#24No分岐)、ステップ#22に戻ることで第1モータ61の逆転駆動を続行させ、昇降パネル30の下降を続行させる。伸張スイッチ14がOFF操作されていると(#24Yes分岐)、第1モータ61を停止して(#23)、昇降パネル30の移動を止める。
開放スイッチ11がON操作された際の制御手順を図9を用いて説明する。開放スイッチ11がON操作されると、制御管理部73が各種センサからの入力信号に基づいて現時点の状態(前述した状態A〜F)を検出する(#30)。
状態Aでは、バックドア2が完全に閉鎖した状態であるので、まず昇降パネル30を凹部7aから離脱させるために、第1モータ61を正転駆動する(#31)。開放スイッチ11がOFF操作されていると(#32Yes分岐)、第1モータ61を停止して(#33)、このルーチンを終える。開放スイッチ11がOFF操作されない限り(#32No分岐)、昇降パネル30が凹部7aから離脱するまで、第1モータ61の正転駆動が続行される(#34No分岐)。制御管理部73は、昇降パネル30の出退位置、或いは第1モータ61の駆動時間又は駆動位置により、昇降パネル30が凹部7aから離脱したかを判定し、ドアロック装置81を開錠する(#34a)。昇降パネル30が凹部7aから離脱すると(#34Yes分岐)、制御管理部73は、バックドア本体20が水平姿勢となる開放位置に達する前に昇降パネル30の完全な退避を終了させてバックドア本体20だけの揺動に必要なスペースで昇降パネル30も含めたバックドア2の開放揺動が可能なように上述した牽制制御モードを選択する。これにより、制御管理部73は牽制制御モードでのバックドア本体20と昇降パネル30との連係動作を実現するために必要な制御信号を第1モータ制御部74と第2モータ制御部75に送る。第1モータ制御部74からの駆動信号に基づいて第1モータ61は牽制制御モードで正転駆動を行う(#35)。同様に、第2モータ制御部75からの駆動信号に基づいて第2モータ51は牽制制御モードで正転駆動を行う(#36)。
次に、昇降パネル30が退避終端位置まで移動したかどうかがチェックされる。昇降パネル30が退避終端位置に達していない場合(#37No分岐)、さらに開放スイッチ11がOFF操作されていないかどうかがチェックされる。開放スイッチ11がまだOFF操作されていない場合(#39No分岐)、ステップ#37に戻り、バックドア本体20の開放揺動と昇降パネル30の上昇移動を続行させる。開放スイッチ11がOFF操作されると(#39Yes分岐)、第2モータ51と第1モータ61とを停止して(#40)、バックドア2の開放動作を止め、このルーチンを終える。ステップ#37のチェックで昇降パネル30が退避終端位置に達している場合(#37Yes分岐)、第1モータ61を停止する(#38)。次に、バックドア本体20が開放終端位置まで揺動したかどうかがチェックされ、バックドア本体20が開放終端位置に達していると(#41Yes分岐)、第2モータ51を停止して(#40)、このルーチンを終える。バックドア本体20が開放終端位置に達していなければ(#41No分岐)、さらに開放スイッチ11がOFF操作されていないかどうかがチェックされる。開放スイッチ11がまだOFF操作されていない場合(#43No分岐)、ステップ#41に戻り、バックドア本体20の開放揺動を続行させる。開放スイッチ11がOFF操作されると(#43Yes分岐)、第2モータ51を停止して、バックドア本体2の開放動作を止め(#42)、このルーチンを終える。
状態検出ステップ(#30)で、B状態が検出された場合、これらの状態では、昇降パネル30は既に「半開」の位置であることから、上記ステップ#31から#34の処理は省略され、ロック開錠後(#34a)、牽制制御モードのもとでの第1モータ61の正転駆動(#35)と第2モータ51との正転駆動(#36)が開始される。状態検出ステップ(#30)で、D,E状態が検出された場合、バックドア本体20は「半開」の位置であることから、ロック開錠が行われており、牽制制御モードのもとでの第1モータ61の正転駆動(#35)と第2モータ51との正転駆動(#36)が開始される。
状態検出ステップ(#30)で、C状態が検出された場合、この状態では、昇降パネル30は既に「開」の位置(完全退避位置)であることから、上記ステップ#31から#34の処理、及び牽制制御モードのもとでの第1モータ61の正転駆動(#35)は省略され、ロック開錠後(#34a)、牽制制御モードのもとでの第2モータ51との正転駆動(#36)が開始される。
状態検出ステップ(#30)で、F状態が検出された場合、この状態では、昇降パネル30とバックドア本体20は既に「開」の位置であるので、何も動作は行わずにこのルーチンを終える。
以上のように、開放スイッチ11を適切に操作することで、バックドア本体20だけの揺動に必要なスペースで昇降パネル30も含めたバックドア2を任意の角度まで開放揺動して止めることができる。
次に閉鎖スイッチ12がON操作された際の制御手順を図10を用いて説明する。閉鎖スイッチ12がON操作されると、ここでもまず現時点の状態(前述した状態A〜F)を検出する(#50)。状態A、B、Cが検出された場合、バックドア本体20が「閉」の位置にあるので、何も動作は行わずにこのルーチンを終える。
状態検出ステップ(#50)で、D、E、F状態が検出された場合、これらの状態では、昇降パネル30とバックドア本体20の両方共、「半開」又は「開」の位置であることから、第2モータ51が逆転駆動する(#51)。バックドア本体20を閉鎖終端位置まで下方揺動するまで第2モータ51の駆動は続行させる。その際、閉鎖スイッチ12がOFF操作されたかどうかがチェックされ、閉鎖スイッチ12がOFF操作されると(#57Yes分岐)、第2モータ51を停止して(#58)、このルーチンを終える。閉鎖スイッチ12がOFF操作されない限り(#57No分岐)、バックドア本体20の揺動位置がチェックされる。バックドア本体20が閉鎖終端位置に達すると(#59Yes分岐)、第2モータ51を停止して、バックドア本体20の動作を止める(#60)。これで、バックドア本体20と昇降パネル30はC状態となる。続いて、第1モータ61を基本制御モードで逆転し、昇降パネル30の先端を凹部7aに完全に突入させて、バックドア2が完全に閉鎖した状態を作り出すため、第1モータ61を再び駆動する(#61)。ここでも、閉鎖スイッチ12がOFF操作されたかどうかがチェックされ、閉鎖スイッチ12がOFF操作されると(#62Yes分岐)、第1モータ61を停止してこのルーチンを終える。閉鎖スイッチ12がOFF操作されない限り(#62No分岐)、昇降パネル30の伸張(下降)は続行させる。昇降パネル30の先端が完全に凹部7aに突入して伸張終端位置に達すると(#63Yes分岐)、第1モータ61が停止され(#61)、このルーチンを終える。これにより、バックドア2は車体1に対して完全な閉鎖状態となる。
なお、この実施形態では、速度調節器18の操作によってバックドア本体20の揺動速度を自由に変更することができる。この速度調節器18からの入力信号に応じて制御管理部73は、バックドア本体20の揺動位置と昇降パネル30の移動をパラメータとして第1モータ制御部74と第2モータ制御部75とに与える制御値を読み出すテーブルバンクを切り換える。このテーブルバンクは、前述した牽制制御モードでバックドア本体20と昇降パネル30を動作させる制御値がバックドア本体20の揺動速度に応じて記録されている。
上記実施の形態では、昇降パネル30の先端部30aが嵌る凹部7aがフロア後端部7bに設けられており、バックドア本体20の揺動動作においては、昇降パネル30の先端部30aと凹部7aとの干渉を避ける動作が必要であった。しかしながら、このような凹部7aを設けない構造を採用した場合、バックドア本体20の動作はより簡単になる。例えば、開放スイッチをON操作した場合の動作ルーチンでは、図9における凹部7aから昇降パネル30の先端部30aを離脱させるステップ、#31〜#34を省略することができる。また、閉鎖スイッチをON操作した場合の動作ルーチンは、図11で示されているように、昇降パネル30を一旦パネル干渉限界位置まで伸張させた状態で昇降パネル30の先端部30aを凹部7aの真上に位置させるような動作は不必要となる。そのため、図11から理解できるように、牽制制御モードで第2モータ51と第1モータ61とを逆転駆動させ(#51、#52)、その後は、閉鎖スイッチがOFF操作されたかどうか(#57)、バックドア本体20が閉鎖終端位置に達したかどうか(#59)、昇降パネル30が伸張終端位置に達したかどうか(#63)をチェックする。閉鎖スイッチがOFF操作されると(#57Yes分岐)、第2モータ51と第1モータ61が停止され(#58)、このルーチンを終える。バックドア本体20が閉鎖終端位置に達すると(#59Yes分岐)、第2モータ51が停止され(#60),フラグ1#flagに「1」が代入される(#60a)。昇降パネル30が伸張終端位置に達すると(#63Yes分岐)、第1モータ61が停止され(#64),フラグ2#flagに「1」が代入される(#64a)。フラグ1# flagとフラグ2#flagの両者が「1」であることを判定するステップ#60bと#64bは、第2モータ51と第1モータ61との両方が停止した場合つまりバックドア2が完全に閉鎖した場合、このルーチンを終えるために挿入されている。
なお、図2に示すようにダンパ54のみによりバックドア2を開閉するバックドア開閉装置においては、昇降パネル30を退避する第1モータ61の回転速度の速さによって、バックドア本体20が水平位置に到達するまでに昇降パネル30がバックドア本体2の自由端20aに退避完了しない場合がある。例えば、第1モータ61の駆動電圧の低下が、第1モータ61の回転速度の低下を導くことがある。そのような理由などで第1モータ61の回転速度が低下した場合、バックドア2が水平姿勢において、車体後方と干渉する問題が起こる恐れがある。この問題を解決するため、図12に示すようなフローにより、バックドア2の開放操作を行う。
つまり、開放スイッチ11のON後、第1モータ61は正転して(#71)、昇降パネル30の先端部30aは凹部7aから離脱する(#72)。第1モータ61の回転速度を検出し、回転速度に基づいて昇降パネル30が凹部7aから離脱して自由端20aに退避完了するまでの時間(退避完了時間:Ta)を算出する(#73)。さらに、バックドア2の閉鎖姿勢から水平姿勢になるまでの時間(水平姿勢到達時間:Tb)、を算出し、Ta≧Tbの場合は、離脱時ロック部81の開錠は行わず、第1モータ61を正転して昇降パネル30を移動させる(#74)。一定のタイミングで昇降パネル30の位置とその位置での新たな退避完了時間を算出する。新たな退避完了時間がバックドア2の閉鎖姿勢から水平姿勢までの水平姿勢到達時間に対して短い場合はロック部81の開錠を行う(#75)。その後、バックドア本体20はダンパ54により開放作動し、昇降パネル30が退避完了したかどうかをチェックし(#76)、退避完了するまでは第1モータ61の正転を続行し(#77)、昇降パネル30が退避完了すると、第1モータ61は停止し(#78)、このルーチンを終える。
このバックドア開閉装置においてバックドア2を閉鎖する操作は、手動によりダンパ54の伸展力に対抗してバックドア本体20を閉塞し、図13のフローに示すようなロック操作を行う。つまり、ロック操作により、第1モータ61が逆転し(#101)、この逆転駆動は昇降パネル30が伸張終端位置に達しない限り(#102No分岐)続行し、昇降パネル30が伸張終端位置となると(#102Yes分岐)、第1モータ61は停止され(#103)、このルーチンを終える。
さらに、上記実施の形態の説明では、本発明のバックドア開閉装置の対象として乗用車のバックドアを取りあげたが、それ以外、トラックなどの多段式揺動開閉ドアユニットや、車両以外の多段式揺動開閉ドアユニットに本発明を適用してもよい。
本発明によるバックドア開閉装置を採用した自動車の斜視図 第1実施例の昇降機構を有するバックドアの概略構成を示すとともに牽制制御モードでのバックドア本体と昇降パネルの動作軌跡を示す側面図 第2実施例の昇降機構を有するバックドアの概略構成を示すとともに牽制制御モードでのバックドア本体と昇降パネルの動作軌跡を示す側面図 バックドア開閉装置のためのコントローラユニットにおける機能ブロック図 バックドア本体と昇降パネルの姿勢状態を示す図 バックドア本体と昇降パネルの各姿勢状態を図示する模式図 退避スイッチ操作時の制御を示すフローチャート 伸張スイッチ操作時の制御を示すフローチャート 開放スイッチ操作時の制御を示すフローチャート 閉鎖スイッチ操作時の制御を示すフローチャート 別実施形態での閉鎖スイッチ操作時の制御を示すフローチャート 開閉スイッチ操作時の制御を示すフローチャート ロック操作時の制御を示すフローチャート
符号の説明
1:車体
2:バックドア
9:開口部
11:開放スイッチ
12:閉鎖スイッチ
13:退避スイッチ
14:伸張スイッチ(スイッチ)
16:バックドア位置センサ(検出部)
17:パネル位置センサ
18:速度調節器
20:バックドア本体
20a:自由端
30:昇降パネル
30a:先端部
61:第1モータ
51:第2モータ
73:制御管理部
74:第1モータ制御部(制御部)
75:第2モータ制御部(制御部)
81:ドアロック装置(ロック部)
82:ストライカ

Claims (6)

  1. 車体の後部に揺動可能に設けたバックドア本体を前記車体にロックするロック部と、前記バックドア本体の自由端から出没可能に設けられた昇降パネルと、からなるバックドアを備えるバックドア開閉装置において、
    前記ロック部のロック解除と前記昇降パネルの前記自由端への退避を同時に行うスイッチを備えるバックドア開閉装置。
  2. 前記スイッチの操作により、前記昇降パネルが退避し、退避後に前記ロック部がロック解除し、前記バックドア本体を開放可能にする請求項1に記載のバックドア開閉装置。
  3. 前記バックドア本体の開放位置を検出する検出部を有し、前記検出部による前記バックドア本体の開放位置の検出により、前記昇降パネルの退避作動を制御する請求項1又は2に記載のバックドア開閉装置。
  4. 前記バックドア本体が前記車体に対して水平姿勢時に、前記昇降パネルが退避完了している請求項1ないし4のいずれか一項に記載のバックドア開閉装置。
  5. 前記車体に前記昇降パネルの先端部が嵌る凹部が設けられ、前記昇降パネルの先端部が前記凹部に係合する請求項1ないし4のいずれか一項に記載のバックドア開閉装置。
  6. 前記昇降パネルが前記凹部から離脱して前記自由端への退避を完了するまでの退避完了時間を算出し、前記バックドア本体が閉鎖姿勢から水平姿勢になるまでの水平姿勢到達時間を算出して、前記退避完了時間が前記水平姿勢到達時間より短い場合、前記ロック部をロック開錠する制御装置を備える請求項5に記載のバックドア開閉装置。
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