JP2008297451A - 多孔質脱硫剤及びこれを用いた脱硫方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガス状炭化水素及び/又は液状炭化水素に含まれる硫黄化合物を除去するための脱硫剤であって、多孔質脱硫剤中の亜鉛化合物に対する塩基性炭酸亜鉛の割合が30%以上であることを特徴とする多孔質脱硫剤、及び硫黄化合物を0.1質量ppm以上含有する炭化水素を、前記多孔質脱硫剤と50〜350℃の温度で接触させる炭化水素の脱硫方法。
【選択図】なし
Description
上述したように、炭化水素に含まれる硫黄化合物を1質量ppm以下、特には0.1質量ppm以下、さらには0.01質量ppm以下まで安定にかつ経済的に脱硫する方法は、未だ確立されていない。
(1)常温常圧においてガス状炭化水素及び/又は液状炭化水素に含まれる硫黄化合物を除去するための多孔質脱硫剤であって、多孔質脱硫剤中の亜鉛化合物に対する塩基性炭酸亜鉛の割合が30%以上であることを特徴とする多孔質脱硫剤である。
(2)硫黄化合物を0.1質量ppm以上含有する炭化水素を、前記(1)記載の脱硫剤と、50〜350℃の温度で接触させることを特徴とする炭化水素の脱硫方法である。
本発明の脱硫剤は、多孔質脱硫剤中の亜鉛化合物に対する塩基性炭酸亜鉛の割合は30%以上であり、好ましくは50〜100%であり、特に好ましくは80〜100%である。多孔質脱硫剤中の亜鉛化合物に対する塩基性炭酸亜鉛の割合が30%未満の場合、脱硫剤の寿命が短くなるため好ましくない。
なお、多孔質脱硫剤中の亜鉛化合物に対する塩基性炭酸亜鉛の割合とは、XRD測定において2θが10〜15度である塩基性炭酸亜鉛のピークの強度Xと、全範囲における亜鉛化合物の最大のピークの強度Yから 100×(X/Y)1/2 で算出される値をいう。複数の塩基性炭酸亜鉛のピークが検出される場合は、前記式で算出した値の積算値を多孔質脱硫剤中の亜鉛化合物に対する塩基性炭酸亜鉛の割合とする。
本発明による脱硫方法の対象となる炭化水素は、硫黄分を含んでいれば、常温常圧においてガス状であっても液状であってもよく特に限定されない。なお、常温常圧とは大気圧近傍の圧力及び0〜50℃程度の温度をいう。硫黄分の含有量は0.1質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1,000質量ppm、より一層好ましくは0.1〜100質量ppm、特に好ましくは0.1〜40質量ppm含むものである。硫黄分が1,000質量ppmを超えると、脱硫剤の寿命が短くなり好ましくない。
前記LPG留分は、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレンなどであるが、通常は、加圧下の球状タンクに液相の状態で貯蔵されるか、大気圧近傍の低温下にて液相の状態で貯蔵されるものである。前記ガソリン留分は、一般に炭素数4〜11の炭化水素を主体とし、密度(15℃)が0.783g/cm3以下、10%留出温度が24℃以上、90%留出温度が180℃以下の炭化水素混合物である。前記ナフサ留分は、ガソリン留分の構成成分(ホールナフサ、軽質ナフサ、重質ナフサ、又はそれらの水素化脱硫ナフサ)あるいはガソリン基材を製造する接触改質の原料(脱硫重質ナフサ)となる成分などの総称であり、沸点範囲がガソリン留分と殆ど同じ範囲か、ガソリン留分の沸点範囲に包含されるものである。したがって、ガソリン留分と同じ意味で用いられることも多い。前記灯油留分は、一般に沸点範囲150〜280℃の炭化水素混合物である。前記軽油留分は、一般に沸点範囲190〜350℃の炭化水素混合物である。
本願発明は、前記炭化水素と、前述の多孔質脱硫剤と接触させることにより硫黄分を除去するものであるが、脱硫条件としては反応温度は50〜350℃が好ましく、より好ましくは100〜250℃であり、特には100〜200℃が好ましい。反応温度が50℃未満であると、脱硫速度が低下し、効率的に脱硫ができず好ましくない。また、反応温度が350℃を超えると、塩基性炭酸亜鉛が分解し、酸化亜鉛となり脱硫性能が低下するので好ましくない。なお、反応温度が100℃以上であれば、脱硫速度が十分に高く、効率的に脱硫を行うことができる。
炭酸ナトリウム104gを水に溶かした溶液を60℃に加温し、これに硝酸亜鉛六水和物238gを300gの水に加えた硝酸亜鉛水溶液を滴下した。得られた沈殿物をろ過した後、水で洗浄した。その後、120℃で16時間乾燥して脱硫剤Aを得た。この脱硫剤における亜鉛化合物種を特定するためにX線回折(XRD)測定を行った。なお、元素含有量はアルカリ融解ICP法で測定し、細孔容積は窒素吸脱着法によるBJH法で測定し、比表面積は窒素吸脱着法によるBET法で測定した。脱硫剤Aの性状を表1に示す。
脱硫剤Aを350℃で3時間焼成して脱硫剤Bを得た。この脱硫剤Bを用いた以外は実施例1と全く同様にして炭化水素油の脱硫試験を実施した。脱硫剤Bの性状及び脱硫試験の結果を表1に示す。なお、脱硫剤A及びBはフレッシュな状態では硫黄分を全く含んでいない。
Claims (2)
- 常温常圧においてガス状炭化水素及び/又は液状炭化水素に含まれる硫黄化合物を除去するための多孔質脱硫剤であって、多孔質脱硫剤中の亜鉛化合物に対する塩基性炭酸亜鉛の割合が30%以上であることを特徴とする多孔質脱硫剤。
- 硫黄化合物を0.1質量ppm以上含有する炭化水素を、請求項1記載の多孔質脱硫剤と、50〜350℃の温度で接触させることを特徴とする炭化水素の脱硫方法。
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