JP2008293692A - Led照明装置及び該装置を用いた車両用灯具 - Google Patents

Led照明装置及び該装置を用いた車両用灯具 Download PDF

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Abstract

【課題】 放熱性に優れ、軽量・高精度にして設計の自由度が高く、効率的に製造することが可能なLED照明装置を提供する。
【解決手段】 熱可塑性の耐熱フィルムを所定の三次元的形状に成形した基板本体12と、基板本体12の所定位置に取り付けられた1又は複数個の表面実装型のLED14と、基板本体12の表面又は裏面の少なくとも一方に設けられ、LED14を外部回路に接続して点灯させる導電回路16とを備えたLED照明装置10であって、基板本体12の導電回路16と反対の面には、金属からなる放熱層18が形成されていることを特徴とする。かかる構成により、導電回路16と放熱層18を介してLED14の発する熱をLED照明装置10の表裏両面から効果的に放熱させることができ、LED素子の熱による劣化を防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、LED光源及び実装基板等を一体化したLED照明装置に関するものであり、特に作製を簡単に行なうことができると共に、LEDの発する熱を効果的に放熱することができるものに関する。
低消費電力、長寿命などの特性を有するLED(発光ダイオード)は、近年、その高輝度化によって照明器具の光源としての期待が高まってきており、この期待に応えるべく様々な技術が開発されている。
このような技術の一例として、複数のLEDが一方の面に配列された基板と、その基板を取り付ける底部を有する樹脂ケースとを有し、前記基板が底部に放熱固定板を介して取り付けられてなるLED照明装置であって、放熱固定板の前記基板が取り付けられた面と対向する面に樹脂ケースの底部との接触面積を増大させるように凹部を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
かかるLED照明装置によれば、LEDで発生した熱は、放熱固定板を介して樹脂ケースに伝達され、当該樹脂ケースの外表面から外気中へと放熱される。このため、発熱によるLED素子の劣化をある程度防止することができる。
特開2002−299700号公報
しかしながら、上述のLED照明装置では、樹脂ケースの形状に合うような複雑な形状の放熱固定板を別途作成して樹脂ケースに取り付けなければならず、部品管理や製造工程が煩雑となり、効率的にLED照明装置を製造するのが困難であると云う問題があった。
また、このLED照明装置では、放熱固定板を樹脂ケースの底部にしか装着できないので、LEDとして100mmA以上の電流を投入でき、高輝度の光を照射することができるものの、点灯時に最大で約150〜200℃程度の高い熱を発する所謂パワーLEDを用い、これを長時間点灯させた場合、時間の経過に伴ってLED素子の発する熱が樹脂ケースの底部にこもって上手く放熱できなくなり、LED素子を劣化させる虞があると云う問題もあった。
それゆえに、本発明の主たる課題は、放熱性に優れ、軽量・高精度にして設計の自由度が高く、効率的に製造することが可能なLED照明装置を提供することである。また、本発明の更なる課題は、このようなLED照明装置を利用した可変配光照明部材や車両用灯具を提供することである。
請求項1に記載した発明は、「熱可塑性の耐熱フィルムを所定の三次元的形状に成形した基板本体(12)と、基板本体(12)の所定位置に取り付けられた1又は複数個の表面実装型のLED(14)と、基板本体(12)の表面又は裏面のいずれか一方に設けられ、LED(14)を外部回路に接続して点灯させる導電回路(16)とを備えたLED照明装置(10)であって、基板本体(12)の導電回路(16)とは反対の面に、金属からなる放熱層(18)が形成されている」ことを特徴とするLED照明装置(10)である。
この発明では、基板本体(12)の導電回路(16)からの熱伝導による放熱に加えて、基板本体(12)の導電回路(16)とは反対の面(すなわち、基板本体(12)を介して導電回路(16)形成面に対向する面)に金属からなる放熱層(18)が形成されているので、かかる放熱層(18)を介してLED(14)の発する熱をLED照明装置(10)の表裏両面から効果的に放熱させることができ、LED素子の熱による劣化をより確実に防止することができる。加えて、金属からなる放熱層(18)は基板全体の剛性を向上させることができ、三次元的形状に成形したLED照明装置(10)に形状安定性を付与することができる。
また、請求項2に記載したように、導電回路(16)を構成する金属導線を広幅にて形成することによって、導電回路(16)からの放熱をより一層効果的に行うことができる。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載のLED照明装置(10)において、「耐熱フィルムが芳香族ポリイミドフィルムである」ことを特徴とするもので、これにより、ハンダ耐熱性に優れ、LED(14)の実装が容易で、且つ形状精度の高い軽量性に優れた基板本体(12)を得ることができると共に、LED照明装置(10)自体の耐熱性を向上させることができる。
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のLED照明装置(10)において、「導電回路(16)及び放熱層(18)が、金属のめっきにより形成されたものである」ことを特徴とするもので、両面めっきプロセスの適用により、基板本体(12)の表面又は裏面のいずれか一方に導電回路(16)を形成する一連の製造プロセスが完了した際に、導電回路(16)と放熱層(18)の両方を同時に完成させることができる。それゆえ、極めて効率的にLED照明装置(10)を製造することができる。
また、放熱層(18)が基板本体(12)に金属をめっきすることによって形成されるので、接着剤などを介して導電回路(16)や、放熱層(18)を形成する方法に比較して熱抵抗層の厚みを極小にすることができ、さらには放熱層(18)と基板本体(12)との界面に空隙が生じることを防止することができるため、放熱層(18)による放熱効果を極大化させることができる。
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のLED照明装置(10)において、「LED(14)と導電回路(16)とを非電導性の接着剤(21)を介して伝熱的に接続する外部伝熱部材(22)をさらに備える」ことを特徴とするもので、これにより、外部伝熱部材(22)を介してLED(14)の発する熱をより一層効果的に外部へと放熱させることができる。
請求項6に記載した発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のLED照明装置(10)において、「基板本体(12)の少なくとも一部にスリット(32a)や溝(32b)などの折り曲げ構造で構成された応力吸収部(32)を設けた」ことを特徴とするものである。
この発明では、基板本体(12)の少なくとも一部にスリット(32a)や溝(32b)などの折り曲げ構造からなる応力吸収部(32)が設けられているので、LED照明装置(10)に外部応力を与えて一次形状から所定の二次以降の形状へと変形制御する際に、当該LED照明装置(10)を歪みなく所定の形状へと変形させることができる。このため、二次以降の形状におけるLED照明装置(10)の配光精度を向上させることができる。
請求項7に記載した発明は、「ランプハウジング(52)内に1又は複数の電球による光源(54)をもち、光源(54)の発光面以外の部分がエクステンション(56)で覆われた車両用灯具において、エクステンション(56)の一部又は全部が請求項1乃至5のいずれかに記載のLED照明装置(10)で構成されている」ことを特徴とする車両用灯具(50)である。
近年、車両用灯具とりわけヘッドランプ用の灯具では、車両のデザイン性向上のため車両前方側面に沿うように傾斜のついた形状となる傾向があり、また、配光性能向上のため、優れた配光性能をもつプロジェクターランプを用いる傾向がある。このため、車両用灯具(すなわち、ヘッドランプユニット)において電球を光源とするランプユニット以外の部分(すなわち、光源の発光面以外の部分)の外観向上を主たる目的として設置するエクステンションの面積は増大し、形状も三次元的に複雑化する傾向がある。
そこで、本発明のように、エクステンション(56)の少なくとも一部を請求項1乃至5のいずれかに記載のLED照明装置(10)で構成することにより、部品点数を大幅に増加させることなく、また、車両用灯具(50)の重量を殆んど増加させることなく、エクステンション(56)の部分に新たな照明を付加することができる。その結果、車両用灯具(10)を設計する際における照明デザインの自由度を向上させることができる。また、このようにしてエクステンション(56)の少なくとも一部を構成するLED照明装置(10)は、ヘッドランプユニット内への装備が求められている所謂「デイランプ(Day Lamp)」(あるいはデイタイムランニングランプ(Day time running lamp))として好適である。
請求項1乃至4に記載の発明によれば、放熱性に優れ、軽量・高精度にして設計の自由度が高く、効率的に製造することが可能なLED照明装置を提供することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、配光精度に優れた可変配光照明部材を提供することができ、請求項6に記載の発明によれば、照明デザインの自由度が高く、低消費電力のデイランプを備えた車両用灯具を提供することができる。
本発明のLED照明装置の基本構成
以下、本発明を図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施例のLED照明装置(10)の要部を示す概略図である。この図が示すように、本発明のLED照明装置(10)は、大略、基板本体(12),表面実装型のLED(14),導電回路(16)及び放熱層(18)などで構成されている。
基板本体(12)は、熱可塑性を有する耐熱フィルムからなり、LED照明装置(10)の形態を保持すると共に、実装したLED(14)の発する光が所定の照射範囲に向けて照射されるよう所定の三次元的形状に成形された成形体である。
この基板本体(12)を構成する耐熱フィルムの材料としては、ポリイミド,ポリアミド,ポリフェニレンサルファイドおよび液晶ポリマなどを挙げることができるが、特に、ポリイミドのフィルムを用いることが好ましい。このように基板本体(12)として耐熱性に優れたポリイミドフィルムを用いることで、ハンダ耐熱性に優れLED(14)の実装が容易となり、形状精度の高い基板本体(12)を得ることができる。また、実装するLED(14)として、点灯時に最大で約150〜200℃程度の熱を発するパワーLEDを用いた場合であっても、LED(14)の発する熱で基板本体(12)が変形する心配はない。
さらに、照度効率を高めるための成形形状すなわち所定の三次元的形状を精度良く得るためには、熱可塑性の芳香族ポリイミドフィルムが好ましい。
芳香族ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸と脂肪族または芳香族ジアミンとの縮合物であり、代表的にはピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などの酸二無水物と、パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミンを縮重合してアミド酸を生成させ、これを熱または触媒で閉環硬化させて得られるものである。熱可塑性ポリイミドは、例えば次のような化合物を共重合させることによって得ることができる。
酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタール酸二無水物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’、3,3’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3ージカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、m−フェニレンビス(トリメリット酸)二無水物等を挙げることができる。
ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、3,3’−ジメチルペンタメチレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,1,6,6−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、m−アミノベンゾイル−p−アミノアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)]プロパン,4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’ージアミノゼンゾフェノン、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3ービス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン、4,4’−ジベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルエーテル、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジクロロ−1、1,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,12−ジアミノドデカン、1,13− ジアミノドデカン、ポリシロキサンジアミンなどが挙げられる。
上記化合物の中で、本発明において使用される熱可塑性ポリイミドとしては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(RODAと略称)、ピロメリット酸二無水物(PMDAと略称)及び4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)の共重合物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODAと略称)と3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDAと略称)との共重合物、およびODA,PMDAおよびBPDAとの共重合物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)及びPMDAと2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)]プロパン(BAPPと略称)との共重合物が特に好ましい。
熱可塑性ポリイミドは加熱することにより軟化するが、本発明においてはLED実装時のハンダ耐熱性の観点からガラス転移温度が200〜350℃のものが好ましく、より好ましくは210〜320℃であり、更に好ましくは250℃〜310℃である。また、熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度における破断伸度が100〜700%のものが好ましく、さらに好ましくは、150〜400%である。このような条件を満たす熱可塑性ポリイミドのフィルムとしては、東レ・デュポン(株)製“カプトン(登録商標)”SKJシリーズやJPシリーズなどが挙げられる。
以上のような材料で構成され、基板本体(12)に成形されるフィルムの厚みとしては、柔軟性、熱放散性の観点から好ましくは12.5〜175μm、より好ましくは25〜130μmである。また、フィルムの熱膨張係数は、成形後の配線が存在する箇所において5〜60ppm/℃であることが好ましい。
このような熱可塑性の耐熱フィルムを用いて基板本体(12)を成形する方法としては、真空成形法やプレス成形法が挙げられるが、亀裂やしわを生じない方法であれば特にこれらに限定されるものではない。
表面実装型のLED(14)は、LED照明装置(10)の光源であり、セラミックなどによって構成され表面中央に凹部が設けられた矩形のパッケージ部材(14a)と、当該パッケージ部材(14a)の凹部に収容されたLED素子(図示せず)と、LED素子に電気的に接続された一対のリードフレーム(14b)と有し、上部に凸状のレンズ(14c)と底部に放熱板(14d)を装備している。
なお、本発明のLED照明装置(10)に用いるLED(14)としては、このようなレンズ(14c)を有しない所謂フラットトップタイプのものであってもよい。
本実施例のLED照明装置(10)においては、導電回路(16)は基板本体(12)の裏面(照射面に対して逆側)に形成し、放熱層(18)は表面に形成する。所定の三次元的形状に成形された基板本体(12)の所定位置には、LED(14)の発光領域と略同等の大きさの開孔(12a)が実装するLED(14)の数と同数設けられており、この部分がLED(14)実装部分となり、LED(14)は裏面においてハンダを用いて実装、固定される。なお、LED(14)と導電回路(16)との接続はハンダの他、異方性導電膜などを利用することもできる。
LED(14)を裏面に実装し、開孔(12a)部を通して照射することは、前面からLED(14)のパッケージ全体と端子接続部が外部から見えないようにするための措置である。
ここで、本実施例のLED照明装置(10)では、このLED(14)が、耐熱性樹脂からなる高熱伝導性の接着剤(20)を介して、その表面側が基板本体(12)のLED(14)実装部分の裏面側に固定されている。この際、高熱伝導性の接着剤(20)によって形成される層の厚みは極力薄くするのが好ましい。また、接着剤(20)に白色の顔料や填料などを添加するのが好ましい。こうすることにより、LED(14)の発する光が接着剤(20)の層を介して基板本体(12)の裏面側へと漏れ出るのを防止することができる。
また、図1に示す例では、LED(14)の裏面に装着された放熱板(14d)の表面に、熱伝導性のよい材料(例えば、金属やセラミックなど)からなる断面略コ字状の外部熱伝導部材(22)が取り付けられており、この外部熱伝導部材(22)は高熱伝導性と絶縁性とを有する接着剤(21)を介して導電回路(16)と接着されており、LED(14)底部からの熱をより一層効率良く放熱することができる。
なお、本発明のLED照明装置(10)を室内の主照明や自動車用のライトなど高輝度の光を必要とする照明に用いる場合には、LED(14)として所謂パワーLEDを用いるのが好適である。
導電回路(16)は、基板本体(12)の表面又は裏面の少なくとも一方(図1に示す実施例の場合は裏面)に設けられ、LED(14)と図示しない外部回路とを接続してLED(14)を点灯させる回路である。この導電回路(16)は、基板本体(12)成形時の導体の酸化劣化、応力による亀裂の発生を防ぐために基板本体(12)を所定の三次元的形状に成形した後に形成されることが望ましいが、形状によっては平板フィルム状態で回路形成を行い、その後成形加工を施し、三次元回路とすることも可能である。
この導電回路(16)の作製方法としては、プリント回路板における回路パターン形成法として公知のサブトラクティブ法,セミアディティブ法及びフルアディティブ法などを用いることができる。導電回路(16)は熱伝導回路としての効能も有するため、回路巾は広く、回路面積は大きいほうが望ましい。導体の厚みは1〜60μm以下が望ましく、より望ましくは3〜36μmである。
なお、導電回路(16)を形成する導体金属としては、銅からなるものが好ましいが、電気抵抗、熱抵抗の観点から使用目的に合わせた性能を満足する金属であれば良い。また、実装工程の要求に応じて例えばハンダ,錫,金及びニッケルなどの異種金属や合金のめっきを施すことができることは言うまでもない。また、蒸着を利用する際に、基板本体(12)と金属の密着力を高めるため、あるいは酸化を防止するために、クロムや、ニッケルなどの金属を下地蒸着することができることは言うまでもない。
また、導電回路(16)の保護のため、当該回路(16)表面に防錆処理を施すことは望ましく、レジストインクを塗布することや、基板本体(12)と同形状に成形されたカバーフィルムを接着することは絶縁信頼性向上のため好ましい。カバーフィルムの材質は、製造工程の順序により耐熱性を要する場合には基板本体(12)と同種の熱可塑性を有する耐熱フィルム、例えばポリイミドフィルムなどであることが好ましいが、これに限定されるものではない。なお、図示しない外部回路と接続される導電回路(16)の端末の位置については限定されるものではない。
放熱層(18)は、基板本体(12)の導電回路(16)が形成された面の反対の面全体あるいは一部に形成された金属からなる厚さ数μm〜数十μm程度の薄層であり、導電回路(16)を構成する金属導線と同種の金属、同じ厚みであることが望ましいがこれに限定されない。この放熱層(18)を構成する金属として、銅,クロム,アルミニウム、ニッケル,錫,銀及び金などの単体或いは合金を例示することができる。なお、放熱層を構成する金属が、LED照明装置(10)の表面反射性能を、それ自身で十分満足する場合は後述の反射膜(24)が不要であることは言うまでもない。
この放熱層(18)は、導電回路(16)形成と同様な方法で作成できる。それぞれ別な工程で作成することもできるが、効率的な製造のためには、導電回路(16)と放熱層(18)を同じ方法で同時に形成するが望ましい。なお、放熱層(18)に回路を形成し、放熱層(18)兼導電回路(16)層として、導電回路(16)を上述の方法で形成し、LED(14)を実装し両面発光照明装置とすることや、LED(14)以外の電子部品を実装することもできる。また、表裏をスルーホール構造で電気的に接続して両面基板として利用することもできる。
以上述べた各部材のほかに、図1に示すLED照明装置(10)には、反射膜(24)や保護膜(26)が設けられている。
反射膜(24)は、LED(14)が発する光の反射効率を高めるため、基板本体(12)の照射側表面に反射材をコーティングすることによって形成された厚さ3000〜5000Å程度の膜である。この反射膜(24)を構成する反射材の組成およびその形成方法としては、アルミニウムやクロムなどの金属を蒸着やめっきによってコーティングするものや、誘電体を多層に蒸着するもの、或いは、反射、演色性に優れた樹脂や塗料をコーティングするものなどが挙げられる。つまり、照明目的にあわせて放熱層(18)を構成する金属よりも反射率が向上するものであれば反射膜(24)を構成する反射材の組成やその形成方法は特に限定されるものではない。反射材を金属の蒸着によって得る場合において、鏡面性の確保、密着力の向上を目的として、樹脂によるベースコートを施すこともできることは言うまでもない。
また、反射材をコーティングして反射膜(24)を設ける範囲は、照明目的に応じて基板本体(12)上を分割して2種類以上の異種コーティングを施すこともできる。また、照明効果に寄与しない部分で、商品デザイン上の目的によって生じる成形部位、取り付けや外部との電気接続上の形状要求によって生じる成形部位に対しては、反射を目的としないコーティングがされること、または逆にコーティングを施さないこともある。
保護膜(26)は、完成させたLED照明装置10の表面に吹き付けやディッピングなど公知の方法でフッ素系樹脂やエポキシ樹脂やウレタン樹脂などからなる透明樹脂溶液を塗布し、これを乾燥させて形成した樹脂薄膜である。このような保護膜(26)をつけることにより、放熱層(18)や反射膜(24)の酸化劣化や傷付きを防止することができ、また、導電回路(16)においては保護膜(26)がカバーレイフィルムとして機能することにより導電回路(16)の絶縁性および信頼性を向上できるのと同時に、LED照明装置(10)の表面全体に防汚性を付与することができる。
次に、本発明のLED照明装置(10)を製造する際には、まず、基板本体(12)に導電回路(16),放熱層(18)及び(必要に応じて)反射膜(24)を形成する。続いて、LED(14)表面側の周縁部に接着剤(20)を塗布する。この際、発光領域に接着剤(20)が付着しないように注意する。続いて、開孔(12a)にLED(14)のレンズ(14c)を挿入し、基板本体(12)の裏面に接着剤(20)を塗布したLED(14)の表面を押し付けて両者を固定する。そして、LED(14)の表面側(つまり放熱層(18)側)を向くように曲成したリードフレーム(14b)と導電回路(16)とをハンダ(28)などで電気的に接続することによって、本発明のLED照明装置(10)が完成する。なお、必要に応じて、熱伝導性の高い絶縁性の接着材(21)を用いて所定位置に外部伝熱部材(22)を固定し、上述のような保護膜(26)を形成する。
完成したLED照明装置(10)を使用する際には、電源を備えた外部回路(図示せず)と導電回路(16)とを接続すると共に、これらの回路を介してLED(14)に電力を供給し、LED(14)を点灯させる。なお、外部回路はフレキシブルプリント回路やフラットケーブルからなるものが望ましいがこれに限定するものではない。外部回路との接続はハンダ接続の他、異方性導電膜などを利用しても良く、コネクター部品を利用しても良い。コネクターを利用する場合はLED照明装置(10)上に設置しても良く、あるいは外部回路側に装着しても良い。
以上のように構成された本発明のLED照明装置(10)によれば、基板本体(12)の導電回路(16)による熱伝導に加えて、反対面に設けられた放熱層(18)により、LED(14)の発する熱をLED照明装置(10)の表裏両面から効果的に放熱させることができ、LED素子の熱による劣化をより確実に防止することができる。また、金属薄膜層の剛性により基板全体の剛性を向上させることができ、三次元的形状に成形したLED照明装置(10)に形状安定性を付与することができる。
なお、上述の実施例では、基板本体(12)に開孔(12a)を設けると共に、この開孔(12a)とLED(14)の発光領域とが一致するようにして基板本体(12)裏面側に表面実装型のLED(14)を取り付ける場合を示したが、図2に示すように、基板本体(12)の表面に導電回路(16)を設けるとともに、LED(14)を表面側に実装し、裏面は放熱層(18)とする構造にしてもよい。この構造は、例えば自動車の後部ランプのように、着色したレンズ,カバーあるいはリフレクター類によって、LED照明装置(10)の実装部分が外部から見えない構造の場合に有効である。なお、この場合はLED(14)の底部と導電回路(16)を絶縁性の高熱伝導接着剤(21)を介して接着する必要がある。また、この場合においても、図1で前述した通りに、放熱層(18)側にも回路を形成し、LED(14)を両面に実装し、両面照明装置とできることや、他の電子部品を実装できること、スルーホール構造の形成により両面基板としても使用できることは言うまでもない。
本発明のLED照明装置を用いた可変配光照明部材
図3は、本発明のLED照明装置(10)を利用した可変配光照明部材(10A)の一例を示す斜視図であり、図4は、図3におけるI−I断面図である。この可変配光照明部材(10A)において、上述したLED照明装置(10)の基本構成と異なる部分は、基板本体(12)の成形形状と、基板本体(12)の少なくとも一部にスリット(32a)(32d)や溝(32b)(32c)などの折り曲げ構造で構成された応力吸収部(32)を設けた点にある。なお、これら以外の部分は上述の基本構成と同じであるので、上記説明を援用して本実施例の説明に代える。
図3及び4に示した可変配光照明部材(10A)は、基板本体(12)が椀状或いは鉢状に形成されている。ここで、本発明のLED照明装置(10)を可変配光照明部材として利用する際の基板本体(12)の成形形状(三次元的形状)は、全体的には照明目的のために一次的な配光設計を反映した形状であり且つ配光変化時の二次以降の配光をも考慮したものであって、熱可塑性・耐熱性フィルムが成形加工時に破れなく追従する形状であれば、如何なる形状であってもよい。
また、椀状或いは鉢状に成形した基板本体(12)には、その実装部分同士が互いに略等間隔にて離間するようにして基板本体(12)全面にLED(14)が配設されている。こうすることで、基板本体(12)を当初の形状から変化させてLED(14)が発する光の配光を変えた際に、それぞれのLED(14)が各々対応する範囲を照射でき、単一光源の場合のように光の焦点がボケることがなく、配光変化時の照度低下を防止することができる。
そして、基板本体(12)には、その中心部からその外縁部(34)に向けて、LED(14)実装部分の配線を切らないように設計された一対のスリット(32a)と、該スリット(32a)の先端同士を連結する溝(32b)とを有する折り曲げ構造で構成された1乃至複数(図1及び2においては2カ所)の応力吸収部(32)が設けられており、基板本体(12)に対して外部から応力が与えられた際に一のLED(14)実装部分が他のLED(14)実装部分から独立して歪みなく変位するようになっている。ここで、スリット(32a)を設ける際、スリット(32a)形成部分に凹溝を形成し、然る後、凹溝の底部をスリット加工すれば、切り離された凹溝がフランジ(36)となり(図3の拡大部分参照)、スリット(32a)形成部分の形状保持に役立つこととなる。
なお、応力吸収部(32)は、基板本体(12)における一部のLED(14)実装部分が、外部から応力が与えられた際に他のLED(14)実装部分とは独立して歪みなく変位でき、基板本体(12)全体が歪みなく所定の形状へと変形できるものであれば、その形状や配設位置は如何なるものであってもよい。
また、このような応力吸収部(32)のほかに、基板本体(12)のLED(14)実装部分や辺縁部、及び外部との接続部などに、基板本体(12)を部分的に強度補強し、変位制御し易くするために別途用意した樹脂成形品や金属板などを取り付けるようにしてもよい。
また、上述した溝(32b)に替えて、応力吸収部(32)の折曲部分に対応する基板本体(12)外周面の位置に、当該折曲部分に沿って隣接する一対の補助板(図示せず)を取着するか、或いは折曲部分周囲の基板本体(12)を肉厚に形成して応力吸収部(32)を構成するようにしてもよい。こうすることで基板本体(12)における折曲部分周囲の剛性を向上させることができ、当該折曲部分のみをスムーズに揺動させることができる。
さらに、基板本体(12)の外縁部(34)には、可変配光照明部材(10A)を照明器具に取り付ける際に便利なように予めフランジや折り返しなどの形状を形成しておくことが好ましい。
以上のように構成された可変配光照明部材(10A)によれば、基板本体(12)の少なくとも一部にスリット(32a)や溝(32b)などの折り曲げ構造からなる応力吸収部(32)が設けられているので、可変配光照明部材(10A)、すなわちLED照明装置(10)に外部応力を与えて一次形状から所定の二次以降の形状へと変形制御する際に、当該可変配光照明部材(10A)を歪みなく所定の形状へと変形させることができる。このため、二次以降の形状における可変配光照明部材(10A)の配光精度をより向上させることができる。
本発明のLED照明装置を用いた車両用灯具
図5は、本発明のLED照明装置(10)を利用した車両用灯具(50)の一例を示す正面図であり、図6は、図5におけるII−II断面図である。これらの図が示すように、本実施例の車両用灯具(50)[具体的にはヘッドライトユニット] は、大略、ハウジング(52),プロジェクターランプ(54a)を含む複数(本実施例では計3つ)の光源(54),エクステンション(56)及び前面レンズ(58)などで構成されている。
ハウジング(52)は、前面が開口した樹脂成形容器で、その前面開口に、ポリカーボネート樹脂等からなる透明樹脂カバー(58)が取り付けられると共に、その内部空間に、照明目的に応じた複数のランプ(54)が取り付けられる。
プロジェクターランプ(54a)は、そのランプボディー(60)に内蔵された放電灯(62)の光を半球形の非球面レンズ(64)で増幅して前方を照射するランプである。このプロジェクターランプ(54a)は、広径のリフレクターを必要とせず、また、均一な照射と優れた配光特性とを有することから、近年、自動車用のヘッドランプ(とりわけロービーム用のもの)として注目されている。図5に示す車両用灯具(50)では、このプロジェクターランプ(54a)の他に、車幅灯として機能するサイドランプ(54b)及びハイビーム用ヘッドランプ(54c)の3つのランプ(54)がハウジング(52)内に取り付けられている。
なお、ハウジング(52)内に取り付ける光源(54)の種類及び数については、図5で示すものに限定されるものではない。
エクステンション(56)は、ハウジング(52)の内部空間における各光源(54)の発光面以外の部分を覆う樹脂成形部品である。
ここで、本発明の車両用灯具(50)では、このエクステンション(56)の一部、具体的には、プロジェクターランプ(54a)とサイドランプ(54b)との間の部分を上述のLED照明装置(10)で構成している。さらに、エクステンション(56)に一体的に形成されたLED照明装置(10)の裏面に設けられた導電回路(16)には給電用のフラットケーブル(66)の一端が接続されており、該コード(66)の他端は、ハウジング(52)に固定され外部の電源(バッテリーなど)より電気の供給を受けるコネクタ(68)に接続されている。
このように、エクステンション(56)の少なくとも一部をLED照明装置(10)で構成することにより、部品点数を大幅に増加させることなく、また、車両用灯具(50)の重量を殆んど増加させることなく、エクステンション(56)の部分に新たな照明を付加することができる。その結果、車両用灯具(50)を設計する際における照明デザインの自由度を向上させることができる。また、LED(14)は、プロジェクターランプ(54a)などに使用される放電灯に比べて消費電力が低いことから、このようにエクステンション(56)に一体的に取り付けたLED照明装置(10)は、所謂「デイランプ」をヘッドランプユニットに内蔵する場合に好適なものとなる。
本発明の一実施例のLED照明装置を示す概略図である。 本発明の他の実施例のLED照明装置を示す概略図である。 本発明のLED照明装置を利用した可変配光照明部材の一例を示す斜視図である。 図3におけるI−I断面図である。 本発明のLED照明装置を利用した車両用灯具の一例を示す正面図である。 図5におけるII−II断面図である。
符号の説明
(10)…LED照明装置
(12)…基板本体
(14)…LED
(14d)…放熱板
(16)…導電回路
(18)…放熱層
(20),(21)…接着剤
(22)…放熱板
(24)…反射膜
(26)…保護膜
(28)…ハンダ
(30)…外縁部
(32)…応力吸収部
(32a)…スリット
(32b)…溝
(34)…外縁部
(36)…フランジ
(50)…車両用灯具
(52)…ハウジング
(54)…ランプ
(54a)…プロジェクターランプ
(56)…エクステンション
(58)…透明樹脂カバー

Claims (7)

  1. 熱可塑性の耐熱フィルムを所定の三次元的形状に成形した基板本体と、前記基板本体の所定位置に取り付けられた1又は複数個の表面実装型のLEDと、前記基板本体の表面又は裏面のいずれか一方に設けられ、前記LEDを外部回路に接続して点灯させる導電回路とを備えたLED照明装置であって、
    基板本体の導電回路とは反対の面に、金属からなる放熱層が形成されていることを特徴とするLED照明装置。
  2. 前記導電回路を構成する金属導線が広幅にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
  3. 前記耐熱フィルムが芳香族ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明装置。
  4. 前記導電回路及び前記放熱層が、金属のめっきにより形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のLED照明装置。
  5. 前記LEDと前記導電回路とを非電導性の接着剤を介して伝熱的に接続する外部伝熱部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のLED照明装置。
  6. 前記基板本体の少なくとも一部にスリットや溝などの折り曲げ構造で構成された応力吸収部を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のLED照明装置。
  7. ランプハウジング内に1又は複数の電球による光源をもち、前記光源の発光面以外の部分がエクステンションで覆われた車両用灯具において、
    前記エクステンションの一部又は全部が請求項1乃至5のいずれかに記載のLED照明装置で構成されていることを特徴とする車両用灯具。
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