JP2008291614A - 排水トラップ - Google Patents
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Abstract
【課題】外部電源を備えずに、排水トラップの大型化や危険性を回避しつつ、ヌメリ発生の防止を図り得る排水トラップを提供する。
【解決手段】排水を溜めた封水Aによって排水経路2を封止させる排水トラップ1である。封水A中に酸化還元電位が水素より低い金属を用いて形成した電極3を配置すると共に、この電極3の一端を封水Aに浸からせずに大気に露出させる。
【選択図】図1
【解決手段】排水を溜めた封水Aによって排水経路2を封止させる排水トラップ1である。封水A中に酸化還元電位が水素より低い金属を用いて形成した電極3を配置すると共に、この電極3の一端を封水Aに浸からせずに大気に露出させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、排水トラップに関するものである。
従来より、流し台、浴室、洗面所、ランドリースペース、洗車場などのいわゆる生活排水の排水経路2には、排水管6の臭気の逆流を防止するために排水トラップ1を配置することが行われている。排水トラップ1は、たとえば図2(a)のように、排水を溜める排水溜め部5を有し、排水口4から至る防臭筒7の下端部を排水溜め部5に溜まる排水に浸水させて構成したものがあり、この排水トラップ1では、防臭筒7から排水溜め部5を経て排水管6に至る排水経路2を、上記排水溜め部5に溜まる排水(以下封水Aという)で封止することで、臭気が排水管6から排水口4に逆流するのを防止している。
しかしながら、このような排水トラップ1では、排水溜め部5や防臭筒7が直接封水Aに晒されているため、定期的に掃除をしないと、表面にいわゆる「ヌメリ」(バイオフィルムともいう)が発生する。このヌメリの発生は以下の原因で発生することが知られている。
すなわち、かかる生活排水には有機廃棄物が多く含まれており、このような排水に含まれた有機廃棄物は種々の汚れと混在して防臭筒7の内外周面に付着する。すると、かかる有機廃棄物を栄養分とする雑菌が繁殖し、繁殖した雑菌に由来する二次代謝物等が、いわゆるヌメリを形成し、また、不快なにおいの原因ともなる。そして、これをそのまま放置しておくと、防臭筒7と排水溜め部5との間の隙間が徐々に狭くなったりして、排水に時間がかかるようになって最終的に詰まりを起こしてしまうといったように、排水トラップ1の通水性が悪化するという問題があった。
そこで、従来より、ヌメリの発生を防止するために種々の方策が採られている。
たとえば特許文献1では、排水トラップ1の上部に薬剤を置いておき、排水を流したときに殺菌剤等の薬剤を溶出せしめ、排水トラップ1内部に流しこみ、雑菌の繁殖を抑制するという方法が提案されている。しかしながら、この薬剤による殺菌方法では、排水管6の下流に配置される可能性のある汚泥処理装置の微生物に影響を与える可能性があるばかりではなく、薬剤の化学的性質によれば放流排水の水環境に影響を与える可能性もある。
また、たとえば特許文献2や3では、図2(b)のように、排水トラップ1の封水Aに一対の電極30を浸漬させて配置し、この一対の電極30間に外部電源31から電圧をかけて通電することで、電気的に封水A中の雑菌を死滅させるという方法も提案されている。すなわち、封水A中の雑菌はマイナスに帯電する傾向があることが知られており、封水A中で通電を施せば、マイナスに帯電した雑菌は正極の電極30側に誘引されて集積する。雑菌の集積環境下では、表面電荷の放出によって細胞壁が破壊されたり、雑菌密度の高さから酸素や栄養摂取が出来なくなるなどで、増殖能を失い不活化し、最終的には死滅させることができるのである。しかしながら、このような排水トラップ1では、電極30に通電させる外部電源31を備えねばならず、排水トラップ1の構成が複雑となって大型化したり、外部電源からの漏電などの危険性も有する、という問題があった。
特開2002−286401号公報
特開2005−238191号公報
特開2005−232919号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外部電源を備えずに、排水トラップの大型化や危険性を回避しつつ、ヌメリ発生の防止を図り得る排水トラップを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために請求項1に係る排水トラップにあっては、排水を溜めた封水Aによって排水経路2を封止させる排水トラップ1であって、上記封水A中に酸化還元電位が水素より低い金属を用いて形成した電極3を配置すると共に、この電極3の一部を封水Aに浸からせずに大気に露出させて成ることを特徴とする。
これによると、酸化還元電位が水素より低い金属を用いて形成した電極3を一部を封水Aに浸からせずに大気に露出させた状態で封水A中に配置したことにより、外部電源による電圧印加をしないでも、この一部が大気に露出して他部が封水A中に浸漬する電極3は空気電池として機能して電流が流れることとなり、封水A中のマイナスに帯電した雑菌を電極3の正極に引き寄せて集積させることができる。この雑菌の集積環境下では、表面電荷の放出によって細胞壁が破壊されたり、雑菌密度の高さから酸素や栄養摂取が出来なくなるなどで、雑菌は増殖能を失い不活化し、最終的には雑菌を死滅させることができ、その結果、ぬめり発生を防止できる。すなわち、外部電源を備えることなく電気的にぬめり発生の防止を図ることができ、外部電源を備えたことによる排水トラップ1の大型化や漏電の危険性を回避することができるのである。
また、請求項2に係る排水トラップにあっては、請求項1において、上記電極3を構成する金属が亜鉛を使用して成ることを特徴とする。
これによると、電極3が、排水トラップ1内の水分による急速な酸化反応進行の恐れもなく且つ表面酸化層が不導態化することもなくすることができ、封水A中の雑菌をきわめて効率的に排除、死滅させることができてぬめり防止効果を長期に亙り持続することができる。
本発明にあっては、排水トラップに外部電源を備えずに済み、排水トラップの大型化や危険性を回避しつつ、ヌメリ発生の防止を図ることができる、という利点を有する。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本例の排水トラップ1は、たとえば浴室洗い場の排水口4に配設するものであり、図1のように排水を溜める容器状の排水溜め部5を排水口4の縁部にパッキン9aを介して接続し、上記排水口4に上端を位置させた防臭筒7の下端部を排水溜め部5に溜まる排水に浸水させている。詳しくは、排水溜め部5はその側壁に排水管6が開口されており、排水溜め部5には排水管6の開口下端位置にまで排水が溜まるようになっている。また、防臭筒7は排水管6の開口下端位置よりも低位置に位置する下端部が排水溜め部5に溜まる排水に浸水されている。つまり、この排水トラップ1では、防臭筒7から排水溜め部5を経て排水管6に至る排水経路2が、上記排水溜め部5に溜まる排水(以下封水Aという)で防臭筒7の下端部を封止したことで、臭気が排水管6から排水口4に逆流するのが防止されている。
更に、本例の排水トラップ1は封水A中の雑菌を排除、死滅させる除菌部材8が備えられている。除菌部材8は、封水A中に酸化還元電位が水素より低い金属を用いて形成した電極3を配置すると共に、この電極3の一端を封水Aに浸からせずに大気に露出させて構成される。
除菌部材8の電極3を構成し得る金属としては、いわゆる空気電池を形成し得る金属であればよく、酸化還元電位が水素より低い金属で、かつ、水分による急速な酸化反応進行の恐れがなく、また、表面酸化層が不導態化し難い金属であれば特に限定されないが、たとえば亜鉛またはその合金類が好適に使用可能である。
防臭筒7は、直径90mm、1mm厚みのABS樹脂製の筒体で、排水口4に気密性を保つべくパッキン部材9bにより排水溜め部5に係留されている。図1の10は排水口4に配置されて浴室から流れ込む排水中に含まれる髪の毛などの夾雑物を濾し取るメッシュ部材で、そこには防臭筒7の中心部に配置される除菌部材8が係留されている。
除菌部材8はメッシュ部材10に固定されているが、メッシュ部材10は排水溜め部5とはスクリュー係留構造(バヨネット結合)で結合されているため、メッシュ部材10と共にすこしねじるだけで容易に排水溜め部5から着脱可能でその表面の付着物除去などの清掃作業を容易にできる構造となっている。
本例の除菌部材8は電極3となる亜鉛合金製板で、防臭筒7の内部に配設できる30mm直径の円筒状構造であり、封水Aに浸漬する水浸部11の長さは防臭筒7のそれとほぼ同じ長さになるように設計されている。
なお、上記使用した亜鉛合金は、亜鉛に銅0.35%、チタン0.07%、アルミニウム0.03%等を添加したものが好適であり、その酸化還元電位は純亜鉛とほぼ同じで、純亜鉛に比較して、耐食性が向上しているため、長期の水浸環境下での使用に対して機械的強度の持続性向上が図られている。
この除菌部材8の動作原理は以下のとおりである。
電極3の喫水部12では電極3が空気酸化を受けるために、喫水部12と水浸部11との間で電池(いわゆる、空気電池の1類型に属するもの)を形成し、この起電力に起因する電位差を生じる。なお、電池として機能する電極3の正極ではO2+2H2O+4e−→4OH−という化学反応が生じ、負極ではZn+4OH−→Zn(OH)4→ZnO+H2O+2OH−+4e−という化学反応が生じている。すなわち、ここで形成される電池は、水中に浸漬あるいは湿潤させて利用する水中浸漬部材(除菌部材8)に、一面を水中浸漬部材に係留されて水中浸漬され、かつ他面を水に接液する位置に設置された電位的に水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する材料からなるイオン化部材(電極3)を有し、前記イオン化部材の一部分が上記水中に浸漬している際、常に他の一部分が空気と浸漬されている水との界面に設置されていることで、形成されるものである。
一方、微生物は、その細胞組織構造上、封水A中では負に帯電するのであり、空気電池として機能する上記電極3の正極(電極3の喫水部12)に集積する。この集積環境下の雑菌は、表面電荷の放出によって細胞壁が破壊されたり、雑菌密度の高さから酸素や栄養摂取が出来なくなるなどで、増殖能を失い不活化し、最終的には死滅することとなる。その結果、雑菌の産生物たるヌメリ(バイオフィルム)の根絶が可能となるのである。
なお、亜鉛製の電極3は、排水トラップ1の使用に従って、亜鉛イオンが溶出すると共に、電極3の表面に炭素亜鉛あるいは水酸化亜鉛・酸化亜鉛を析出することとなる。更に言うと、電極3の表面には浴室より流れ込む排水中に含まれる洗剤などの含有物中の陰イオン成分も析出する。この析出化合物は、除菌部材8が固定されたメッシュ部材10を通して排水口4の外部から目視確認できることから、使用者に除菌部材8のメンテナンス時期を容易に認識させ得るようになっている。
このように本例の排水トラップ1では、電極3の表面に微生物を誘引し、排水中の雑菌等の微生物を電気的に死滅、除菌する効果を発揮することとなるため、外部電源を要せず、また対向電極も必要で無く、封水A中の雑菌の産生物たるヌメリ(バイオフィルム)の根絶が可能となっている。つまり、本例の排水トラップ1では、外部電源を備えることなく電気的にヌメリ発生の防止を図ることができたものであり、外部電源を備えたことによる排水トラップ1の大型化や漏電の危険性を回避し、簡易且つ安全にしかも清潔にヌメリ付着防止効果を長期に亘って持続させて、排水トラップ1に良好な通水性を長期に亘って確保できたのである。なお、上記実施形態では電極3は平面視で防臭筒7の内部中央位置に設置した一本の除菌部材8で構成しているが、電極3としては多数本の除菌部材8で構成させてもよい。
1 排水トラップ
2 排水経路
3 電極
4 排水口
5 排水溜め部
6 排水管
7 防臭筒
8 除菌部材
11 水浸部
12 喫水部
A 封水
2 排水経路
3 電極
4 排水口
5 排水溜め部
6 排水管
7 防臭筒
8 除菌部材
11 水浸部
12 喫水部
A 封水
Claims (2)
- 排水を溜めた封水によって排水経路を封止させる排水トラップであって、上記封水中に酸化還元電位が水素より低い金属を用いて形成した電極を配置すると共に、この電極の一部を封水に浸からせずに大気に露出させて成ることを特徴とする排水トラップ。
- 上記電極を構成する金属が亜鉛を使用して成ることを特徴とする請求項1記載の排水トラップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007141109A JP2008291614A (ja) | 2007-05-28 | 2007-05-28 | 排水トラップ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007141109A JP2008291614A (ja) | 2007-05-28 | 2007-05-28 | 排水トラップ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008291614A true JP2008291614A (ja) | 2008-12-04 |
Family
ID=40166624
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007141109A Withdrawn JP2008291614A (ja) | 2007-05-28 | 2007-05-28 | 排水トラップ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2008291614A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012046895A (ja) * | 2010-08-24 | 2012-03-08 | Yamaha Livingtec Corp | 排水装置 |
-
2007
- 2007-05-28 JP JP2007141109A patent/JP2008291614A/ja not_active Withdrawn
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