JP2008290603A - 動力出力装置、それを備えたハイブリッド自動車、および動力出力装置の制御方法 - Google Patents

動力出力装置、それを備えたハイブリッド自動車、および動力出力装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸67に連結して、内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上させる。
【解決手段】ハイブリッド自動車20では、変速機60によりキャリア45と駆動軸67とが連結されているときに所定の同時係合実行条件が成立すると、モータMG1の回転数を変速機60のギヤ比と駆動軸67の回転数とに基づく目標回転数Nm1*に一致させる回転数調整処理と、変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によるサンギヤ41と駆動軸67との連結と、キャリア45とサンギヤ41とを駆動軸67に連結した状態でモータMG1およびMG2の双方が実質的にトルクを出力しなくなるようにモータMG1およびMG2の出力トルクを調整するトルク調整処理とが実行される。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動軸に動力を出力する動力出力装置、それを備えたハイブリッド自動車、および動力出力装置の制御方法に関する。
従来から、この種の動力出力装置として、内燃機関と、2体の電動機と、いわゆるラビニヨ型の遊星歯車機構と、それぞれ電動機に接続される遊星歯車機構の2つの出力要素を選択的に出力部材に連結可能な平行軸式変速機とを備えた動力出力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、従来から、内燃機関に接続される入力要素およびそれぞれ電動機に接続される2つの出力要素を含む遊星歯車機構と、当該遊星歯車機構の対応する出力要素にそれぞれ接続されると共に出力シャフトに連結される2本のカウンタシャフトを含む平行軸式変速機とを備えた動力出力装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。これらの動力出力装置では、平行軸式変速機により出力部材や出力シャフトに連結する遊星歯車機構の出力要素を切り替えることが可能である。更に、従来から、内燃機関に接続された入力要素と、第1モータ・ジェネレータに接続された反力要素と、第2モータ・ジェネレータに接続された出力要素とを含む動力分配機構と、出力部材としてのアクスル軸を動力分配機構の出力要素と反力要素とに選択的に接続させるための2つのクラッチとを備えたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−155891号公報 特開2003−106389号公報 特開2005−125876号公報
上述の従来の各動力出力装置は、出力軸等に連結する遊星歯車機構の2つの出力要素を同時に連結して内燃機関からの動力を効率よく出力軸等に伝達可能とするものであるが、上記各特許文献は、遊星歯車機構の2つの出力要素を出力軸等に連結する手順や遊星歯車機構の2つの出力要素を出力軸等に連結した状態で一方の出力要素と出力軸等との連結を解除する手順を何ら具体的に開示してはいない。
そこで、本発明は、動力分配統合機構の第1および第2要素を選択的に駆動軸に連結可能な動力出力装置において、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸に連結して、内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上させることを主目的とする。
本発明による動力出力装置、それを備えたハイブリッド自動車、および動力出力装置の制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明による動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
動力を入出力可能な第1電動機と、
動力を入出力可能な第2電動機と、
前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、
前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段と、
前記駆動軸に要求される動力である要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結条件が成立したときに、前記第1および第2要素の一方を前記駆動軸に連結したまま前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結する場合には、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結できるように該第1および第2要素の他方に対応した前記第1または第2電動機の回転数を調整する回転数調整処理と、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の他方と前記駆動軸との連結と、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機の双方が実質的にトルクを出力しなくなるように前記第1および第2電動機の出力トルクを調整するトルク調整処理とを伴って、前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機と前記変速伝達手段とを制御する制御手段と、
を備えるものである。
この動力出力装置は、動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方または双方を駆動軸に選択的に連結可能であると共に、第1要素からの動力と第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で駆動軸に伝達可能な変速伝達手段を備える。そして、この動力出力装置では、変速伝達手段により第1および第2要素の一方と駆動軸とが連結された状態で内燃機関が運転されると共に第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結条件が成立したときに、第1および第2要素の一方を駆動軸に連結したまま第1および第2要素の他方を駆動軸に連結する場合には、設定された要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるようにしながら、第1および第2要素の他方を駆動軸に連結できるように当該第1および第2要素の他方に対応した第1または第2電動機の回転数を調整する回転数調整処理を実行した上で変速伝達手段により第1および第2要素の他方と駆動軸とを連結する。更に、設定された要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるようにしながら、変速伝達手段により第1および第2要素の双方を駆動軸に連結した状態で第1および第2電動機の双方が実質的にトルクを出力しなくなるように第1および第2電動機の出力トルクを調整するトルク調整処理を実行する。このように、変速伝達手段により第1および第2要素の一方と駆動軸とが連結されているときに、上記回転数調整処理を実行した上で第1および第2要素の双方を駆動軸に連結し、更に上記トルク調整処理を実行すれば、駆動軸に出力される動力の変動に伴うショックの発生を抑制しつつ動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態から第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態へとより適正に切り替えることができる。そして、このように動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とを連結した状態で第1および第2電動機から実質的にトルクが出力されないようにすれば、内燃機関からの動力を固定変速比で駆動軸へと伝達することが可能となる。従って、この動力出力装置では、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸に連結して、内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上させることができる。
また、前記トルク調整処理は、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結される前の変速前状態にあるものとして所定のタイミングにおける要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて定まる前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを始点トルクとして設定すると共に、前記第1および第2電動機の何れか一方について値0を他方について所定のタイミングにおける要求動力と要求機関トルクとに基づく値0以上の値を終点トルクとして設定し、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する処理であってもよい。これにより、第1および第2電動機の双方が基本的にはトルクを出力しないようにするトルク調整処理をより適正なものとすることができる。
この場合、前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記始点トルクと前記終点トルクとを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。このように、トルク調整処理の実行中、要求動力が設定されるたびに第1および第2電動機の始点および終点トルクを逐一設定して第1および第2電動機により出力されるトルクをそれぞれ始点トルクから終点トルクへと徐々に変化させれば、駆動軸に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求動力の変動に対処しながら第1および第2電動機のトルクを調整することができる。また、要求動力が設定されるたびに始点および終点トルクを逐一設定しておけば、仮に動力分配統合機構の第1および第2要素の双方を駆動軸に連結する状態の続行を中断して所望の変速状態へと移行することになっても、トルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求動力の変動に対処しながら当該所望の変速状態へと移行することが可能となる。
また、前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行開始に際して前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方が前記駆動軸に連結される直前に設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて定まる前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを前記始点トルクとして設定し、前記トルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記終点トルクを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。このように、変速伝達手段により第1および第2要素の双方が駆動軸に連結される直前に設定された要求動力と該要求動力に基づく要求機関トルクとに基づいて始点トルクを設定し、要求動力が設定されるたびに第1および第2電動機の終点トルクを逐一設定して第1および第2電動機により出力されるトルクをそれぞれ始点トルクから終点トルクへと徐々に変化させても、駆動軸に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求動力の変動に対処しながら第1および第2電動機のトルクを調整することができる。また、このように始点トルクの設定をトルク調整処理の開始直後にのみ実行すれば、トルク調整処理に伴う演算負荷を軽減することが可能となる。
更に、前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行開始に際して前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方が前記駆動軸に連結される直前に設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記始点トルクと前記終点トルクとを設定し、前記要求動力が設定されるたびに前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。このように、始点トルクと終点トルクとの双方を変速伝達手段により第1および第2要素の双方が駆動軸に連結される直前に設定された要求動力と該要求動力に基づく要求機関トルクとに基づいて設定し、第1および第2電動機により出力されるトルクをそれぞれ始点トルクから終点トルクへと徐々に変化させれば、トルク調整処理に伴う演算負荷をより軽減すると共に駆動軸に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制しながら第1および第2電動機のトルクを調整することが可能となる。
また、前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行に際して、前記第1および第2電動機の何れか一方について値0を他方について前記設定された要求動力と前記要求機関トルクとに基づく値0以上の値をトルク指令として設定し、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機が前記トルク指令に基づくトルクを出力するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。これにより、第1および第2電動機の出力トルクの変動により多少のショックを発生させる可能性があるものの、動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態から第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態へと演算負荷をより一層軽減しつつ速やかに切り替えることが可能となる。
そして、前記制御手段は、前記トルク調整処理の完了後、前記内燃機関が前記設定された要求動力に基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機の双方が実質的にトルクを出力しないように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。これにより、内燃機関からの動力を固定変速比で駆動軸へと伝達することが可能となる。
また、前記制御手段は、前記トルク調整処理の完了後、前記内燃機関が前記設定された要求動力に基づくトルクを出力し、前記第1および第2電動機の何れか一方がトルクを出力せず、かつ前記第1および第2電動機の他方が前記要求動力に対する前記内燃機関による動力の不足分に基づくトルクを出力するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。これにより、内燃機関からの動力を固定変速比で駆動軸へと伝達すると共に、必要に応じて要求動力に対する内燃機関による動力の不足分に基づくトルクを第1および第2電動機の何れか一方に出力させることが可能となる。
更に、前記制御手段は、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結解除条件が成立したときに、前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結を解除する場合には、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機間で動力を移し換えて前記第1および第2電動機が前記第1および第2要素の他方のみを前記駆動軸に連結したときに出力すべき動力をそれぞれ出力するようにする第2のトルク調整処理と、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結の解除とを伴って、前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機と前記変速伝達手段とを制御するものであってもよい。このように、変速伝達手段により第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結されているときに、第2のトルク調整処理を実行した上で第1および第2要素の一方と駆動軸との連結を解除すれば、駆動軸に出力される動力の変動に伴うショックの発生を抑制しつつ動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態から第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態へとより適正に切り替えることができる。従って、この動力出力装置では、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸に連結して、内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上させることが可能となる。
また、前記第2のトルク調整処理は、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結される同時連結状態にあるものとして前記第1および第2電動機の何れか一方について値0を他方について所定のタイミングにおける要求動力と要求機関トルクとに基づく値0以上の値を始点トルクとして設定すると共に、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結が解除された後の変速後状態にあるものとして所定のタイミングにおける要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて定まる前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを終点トルクとして設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する処理であってもよい。これにより、第1および第2電動機のそれぞれに第1および第2要素の他方のみを駆動軸に連結したときに出力すべき動力を出力させるための第2のトルク調整処理をより適正なものとすることができる。
更に、前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記始点トルクと前記終点トルクとを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。これにより、駆動軸に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求動力の変動に対処しながら第1および第2電動機のそれぞれに第1および第2要素の他方のみを駆動軸に連結したときに出力すべき動力を出力させることが可能となる。また、要求動力が設定されるたびに始点および終点トルクを逐一設定しておけば、仮に変速後状態への移行が中断されてもトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求動力の変動に対処しながら同時連結状態へと戻すことができる。
また、前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行開始直前に設定された前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを前記始点トルクとして設定し、前記トルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記終点トルクを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。これにより、駆動軸に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求動力の変動に対処しながら第1および第2電動機のそれぞれに第1および第2要素の他方のみを駆動軸に連結したときに出力すべき動力を出力させることが可能となる。また、このように始点トルクの設定を第2のトルク調整処理の開始直後にのみ実行すれば、第2のトルク調整処理に伴う演算負荷を軽減することが可能となる。
更に、前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行開始直前に設定された前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを前記始点トルクとして設定すると共に、前記第2のトルク調整処理の実行開始に際して設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記終点トルクを設定し、前記要求動力が設定されるたびに、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。これにより、第2のトルク調整処理に伴う演算負荷をより軽減すると共に駆動軸に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制しながら第1および第2電動機のそれぞれに第1および第2要素の他方のみを駆動軸に連結したときに出力すべき動力を出力させることが可能となる。
また、前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行に際して、前記設定された要求動力と前記要求機関トルクと前記変速後状態のもとでの前記変速伝達手段による前記第1または第2要素と前記駆動軸との間の変速比とに基づいて前記第1および第2電動機に対するトルク指令を設定し、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機が前記トルク指令に基づくトルクを出力するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。これにより、第1および第2電動機の出力トルクの変動により多少のショックを発生させる可能性があるものの、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態から第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態へと演算負荷をより一層軽減しつつ速やかに切り替えることが可能となる。
更に、前記回転数調整処理は、前記第1および第2要素の他方に対応した前記第1または第2電動機の回転数を前記変速伝達手段による前記動力分配統合機構の前記第1要素と前記駆動軸との間の変速比および前記第2要素と前記駆動軸との間の変速比と前記駆動軸の回転数とに基づく目標回転数に一致させる処理であってもよい。これにより、それまで駆動軸に連結されていなかった第1および第2要素の他方を駆動軸にショックの発生を抑制しながらより適正に連結して、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態を実現することができる。
また、前記制御手段は、前記動力分配統合機構における機械損失と前記第1および第2電動機の駆動に伴う電気的損失との双方を考慮しながら前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御するものであってもよい。すなわち、上記動力出力装置においては、変速伝達手段により動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方が駆動軸に連結される際には、第1および第2電動機の何れか一方が電動機として機能すると共に他方が発電機として機能し、内燃機関からの動力が動力分配統合機構と第1および第2電動機とによりトルク変換されて駆動軸へと出力される。このため、動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方を駆動軸に連結している際には、動力分配統合機構における機械損失と第1および第2電動機の駆動に伴う電気的損失との双方が生じることになる。これに対して、変速伝達手段により動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とを連結する際には、第1および第2電動機が実質的にトルクを出力しないように駆動制御されることから、第1および第2電動機によるトルク変換の割合が小さくなり、それに伴って第1および第2電動機の駆動に伴う電気的損失が小さくなる。従って、動力分配統合機構における機械損失と第1および第2電動機の駆動に伴う電気的損失との双方を考慮しながら内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御すれば、動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態と第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態との切り替えに際して、機械損失と電気的損失の総和が変化することに起因した駆動軸に出力される動力の変動を抑制し、それに伴うショックを抑制することが可能となる。
更に、前記変速伝達手段は、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方を前記駆動軸に連結可能な少なくとも1組の平行軸式ギヤ列を有する第1変速機構と、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結可能な少なくとも1組の平行軸式ギヤ列を有する第2変速機構とを含む平行軸式変速機であってもよい。
また、前記変速伝達手段は、前記動力分配統合機構の前記第1要素を前記駆動軸に連結可能な第1遊星歯車機構と、前記動力分配統合機構の前記第2要素を前記駆動軸に連結可能な第2遊星歯車機構とを含む遊星歯車式変速機であってもよい。
更に、前記変速伝達手段は、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方を前記駆動軸に連結可能な遊星歯車機構と、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結可能な連結機構とを含む遊星歯車式変速機であってもよい。
本発明によるハイブリッド自動車は、上記何れかの動力出力装置を備え、前記駆動軸からの動力により駆動される駆動輪を含むものである。このハイブリッド自動車に備えられる動力出力装置は、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸に連結して内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上可能なものであるから、このハイブリッド自動車では燃費と走行性能とを良好に向上させることができる。
本発明による他の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
動力を入出力可能な第1電動機と、
動力を入出力可能な第2電動機と、
前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、
前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段と、
前記駆動軸に要求される動力である要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結解除条件が成立したときに、前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結を解除する場合には、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機間で動力を移し換えて前記第1および第2電動機が前記第1および第2要素の他方のみを前記駆動軸に連結したときに出力すべき動力をそれぞれ出力するようにするトルク調整処理と、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結の解除とを伴って、前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機と前記変速伝達手段とを制御する制御手段と、
を備えるものである。
この動力出力装置のように、変速伝達手段により第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結されているときに、第2のトルク調整処理を実行した上で第1および第2要素の一方と駆動軸との連結を解除すれば、駆動軸に出力される動力の変動に伴うショックの発生を抑制しつつ動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態から第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態へとより適正に切り替えることができる。従って、この動力出力装置では、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸に連結して、内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上させることが可能となる。
本発明による動力出力装置の制御方法は、
駆動軸と、内燃機関と、それぞれ動力を入出力可能な第1および第2電動機と、前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段とを備えた動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結条件が成立したときに、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結できるように該第1および第2要素の他方に対応した前記第1または第2電動機の回転数を調整するステップと、
(b)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の他方と前記駆動軸とを連結するステップと、
(c)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機の双方が実質的にトルクを出力しなくなるように前記第1および第2電動機の出力トルクを調整するステップと、
を含むものである。
この方法のように、変速伝達手段により第1および第2要素の一方と駆動軸とが連結されているときに、ステップ(a)の回転数調整処理を実行した上でステップ(b)にて第1および第2要素の双方を駆動軸に連結し、更にステップ(c)のトルク調整処理を実行すれば、駆動軸に出力される動力の変動に伴うショックの発生を抑制しつつ動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態から第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態へとより適正に切り替えることができる。そして、このように動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とを連結した状態で第1および第2電動機から実質的にトルクが出力されないようにすれば、内燃機関からの動力を固定変速比で駆動軸へと伝達することが可能となる。従って、この方法によれば、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸に連結して、内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上させることができる。また、この方法において、ステップ(a)〜(d)の実行中に、前記駆動軸に要求される要求動力に基づく動力が当該駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とに対するトルク指令を設定してもよい。
本発明による他の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸と、内燃機関と、それぞれ動力を入出力可能な第1および第2電動機と、前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段とを備えた動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結解除条件が成立したときに、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機間で動力を移し換えて前記第1および第2電動機が前記第1および第2要素の他方のみを前記駆動軸に連結したときに出力すべき動力をそれぞれ出力するようにするステップと、
(b)前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結を解除するステップと、
を含むものである。
この方法のように、変速伝達手段により第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結されているときに、ステップ(a)のトルク調整処理を実行した上でステップ(b)にて第1および第2要素の一方と駆動軸との連結を解除すれば、駆動軸に出力される動力の変動に伴うショックの発生を抑制しつつ動力分配統合機構の第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結される状態から第1および第2要素の何れか一方と駆動軸とが連結される状態へとより適正に切り替えることができる。従って、この方法によれば、動力分配統合機構の第1および第2要素の双方をより適正に駆動軸に連結して、内燃機関と駆動軸との間における動力の伝達効率をより向上させることが可能となる。また、この方法において、ステップ(a)および(b)の実行中に、前記駆動軸に要求される要求動力に基づく動力が当該駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とに対するトルク指令を設定してもよい。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るハイブリッド自動車20の概略構成図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、後輪駆動車両として構成されており、車両前部に配置されるエンジン22と、エンジン22のクランクシャフト(機関軸)26に接続された動力分配統合機構40と、動力分配統合機構40に接続された発電可能なモータMG1と、このモータMG1と同軸に配置されると共に動力分配統合機構40に接続された発電可能なモータMG2と、動力分配統合機構40からの動力を変速して駆動軸67に伝達可能な変速機60と、ハイブリッド自動車20の全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70等とを備えるものである。
エンジン22は、ガソリンや軽油といった炭化水素系燃料の供給を受けて動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24による燃料噴射量や点火時期、吸入空気量等の制御を受けている。エンジンECU24には、例えばクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサといったエンジン22に対して設けられて当該エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力される。そして、エンジンECU24は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号や上記センサからの信号等に基づいてエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
モータMG1およびモータMG2は、何れも発電機として作動すると共に電動機として作動可能な同一諸元の同期発電電動機であり、インバータ31,32を介して二次電池であるバッテリ35と電力のやり取りを行なう。インバータ31,32とバッテリ35とを接続する電力ライン39は、各インバータ31,32が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の何れか一方により発電される電力を他方のモータで消費できるようになっている。従って、バッテリ35は、モータMG1,MG2の何れかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになり、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば充放電されないことになる。モータMG1,MG2は、何れもモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)30により駆動制御される。モータECU30には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ33,34からの信号や、図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流等が入力されており、モータECU30からは、インバータ31,32へのスイッチング制御信号等が出力される。また、モータECU30は、回転位置検出センサ33,34から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンを実行し、モータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。更に、モータECU30は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号等に基づいてモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
バッテリ35は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)36によって管理されている。バッテリECU36には、バッテリ35を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ35の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ35の出力端子に接続された電力ライン39に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流、バッテリ35に取り付けられた温度センサ37からのバッテリ温度Tb等が入力されている。また、バッテリECU36は、必要に応じてバッテリ35の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70やエンジンECU24に出力する。そして、実施例のバッテリECU36は、バッテリ35を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量SOCを算出したり、当該残容量SOCに基づいてバッテリ35の充放電要求パワーPb*を算出したり、残容量SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ35の充電に許容される電力である充電許容電力としての入力制限Winとバッテリ35の放電に許容される電力である放電許容電力としての出力制限Woutとを算出したりする。なお、バッテリ35の入出力制限Win,Woutは、バッテリ温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定すると共に、バッテリ35の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定可能である。
動力分配統合機構40は、モータMG1,MG2、変速機60と共に図示しないトランスミッションケースに収容され、エンジン22から所定距離を隔ててクランクシャフト26と同軸に配置される。実施例の動力分配統合機構40は、外歯歯車のサンギヤ41と、このサンギヤ41と同心円上に配置される内歯歯車のリングギヤ42と、互いに噛合すると共に一方がサンギヤ41と他方がリングギヤ42と噛合する2つのピニオンギヤ43,44の組を自転かつ公転自在に少なくとも1組保持するキャリア45とを有するダブルピニオン式遊星歯車機構であり、サンギヤ41(第2要素)とリングギヤ42(第3要素)とキャリア45(第1要素)とは互いに差動回転可能である。また、実施例において、動力分配統合機構40は、そのギヤ比ρ(サンギヤ41の歯数をリングギヤ42の歯数で除した値)がρ=0.5となるように構成されている。これにより、サンギヤ41とキャリア45とでエンジン22からのトルクの分配比率が同一になることから、減速ギヤ機構等を用いることなくモータMG1およびMG2の諸元を同一のものとすることが可能となり、動力出力装置のコンパクト化、生産性の向上、低コスト化を図ることができる。ただし、動力分配統合機構40のギヤ比ρは、例えば値0.4〜0.6程度の範囲内から選択されてもよい。かかる動力分配統合機構40の第2要素であるサンギヤ41には、当該サンギヤ41からエンジン22とは反対側(車両後方)に延びる中空のサンギヤ軸41aおよび中空の第1モータ軸46を介して第2電動機としてのモータMG1(中空のロータ)が接続されている。また、第1要素であるキャリア45には、エンジン22に向けて延びる中空の第2モータ軸55を介して第1電動機としてのモータMG2(中空のロータ)が接続されている。更に、第3要素であるリングギヤ42には、第2モータ軸55およびモータMG2を通って延びるリングギヤ軸42aおよびダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
また、図1に示すように、サンギヤ軸41aと第1モータ軸46との間には、両者の接続(駆動源要素接続)および当該接続の解除を実行するクラッチC0(接続断接手段)が設けられている。実施例において、クラッチC0は、例えばサンギヤ軸41aに固定された係合部と第1モータ軸46に固定された係合部との双方と係合可能であると共に電磁式、電気式あるいは油圧式のアクチュエータ90によりサンギヤ軸41aや第1モータ軸46等の軸方向に進退移動させられる可動係合部材を含むドグクラッチとして構成されている。クラッチC0によりサンギヤ軸41aと第1モータ軸46との接続を解除した際には、第2電動機としてのモータMG1と動力分配統合機構40の第2要素であるサンギヤ41との接続が解除されることになり、動力分配統合機構40の機能によりエンジン22を実質的にモータMG1,MG2や変速機60から切り離すことが可能となる。そして、このように動力分配統合機構40のサンギヤ41にクラッチC0を介して連結され得る第1モータ軸46は、モータMG1からエンジン22とは反対側(車両後方)に更に延出され、変速機60に接続される。また、動力分配統合機構40のキャリア45からは、中空のサンギヤ軸41aや第1モータ軸46を通してエンジン22とは反対側(車両後方)にキャリア軸(連結軸)45aが延出されており、このキャリア軸45aも変速機60に接続される。これにより、実施例において、動力分配統合機構40は互いに同軸に配置されたモータMG1およびモータMG2の間に両モータMG1,MG2と同軸に配置され、エンジン22はモータMG2に同軸に並設されると共に動力分配統合機構40を挟んで変速機60と対向することになる。すなわち、実施例では、エンジン22、モータMG1,MG2、動力分配統合機構40および変速機60という動力出力装置の構成要素が、車両前方から、エンジン22、モータMG2、動力分配統合機構40、モータMG1、変速機60という順番で配置されることになる。これにより、動力出力装置をコンパクトで搭載性に優れて主に後輪を駆動して走行するハイブリッド自動車20に好適なものとすることができる。
変速機60は、複数段階に変速状態(変速比)を設定可能とする平行軸式自動変速機として構成されており、1速ギヤ列を構成する第1カウンタドライブギヤ61aおよび第1カウンタドリブンギヤ61b、2速ギヤ列を構成する第2カウンタドライブギヤ62aおよび第2カウンタドリブンギヤ62b、3速ギヤ列を構成する第3カウンタドライブギヤ63aおよび第3カウンタドリブンギヤ63b、4速ギヤ列を構成する第4カウンタドライブギヤ64aおよび第4カウンタドリブンギヤ64b、各カウンタドリブンギヤ61b〜64bおよびギヤ65bが固定されたカウンタシャフト65、クラッチC1,C2、駆動軸67に取り付けられたギヤ66a、更に図示しないリバースギヤ列等を含む(以下、適宜「1速から4速ギヤ列」を単に「ギヤ列」といい、「カウンタドライブギヤ」および「カウンタドリブンギヤ」を単に「ギヤ」という)。なお、実施例の変速機60において、1速ギヤ列のギヤ比G(1)が最も大きく、2速ギヤ列、3速ギヤ列、4速ギヤ列へと移行するにつれてギヤ比G(n)が小さくなる。
図1に示すように、1速ギヤ列の第1ギヤ61aは、動力分配統合機構40の第1要素であるキャリア45から延出されたキャリア軸45aに回転自在かつ軸方向に移動不能に保持されており、カウンタシャフト65に固定された第1ギヤ61bと常時噛合している。同様に、3速ギヤ列の第3ギヤ63aもキャリア軸45aに回転自在かつ軸方向に移動不能に保持されており、カウンタシャフト65に固定された第3ギヤ63bと常時噛合している。そして、実施例ではキャリア軸45a側(カウンタドライブギヤ側)に、第1ギヤ61a(1速ギヤ列)と第3ギヤ63a(3速ギヤ列)との何れか一方をキャリア軸45aに対して選択的に固定すると共に、第1ギヤ61aおよび第3ギヤ63aの双方をキャリア軸45aに対して回転自在に(解放)することができるクラッチC1が配置されている。実施例において、クラッチC1は、例えばキャリア軸45aに固定された係合部と第1ギヤ61aに固定された係合部および第3ギヤ63aに固定された係合部との何れか一方とを連結するように電磁式、電気式あるいは油圧式のアクチュエータ91によりサンギヤ軸41a等の軸方向に進退移動させられる可動係合部材を含むドグクラッチとして構成されている。これら1速ギヤ列のギヤ61a,61b、3速ギヤ列のギヤ63a,63bおよびクラッチC1は、変速機60の第1変速機構を構成する。また、2速ギヤ列の第2ギヤ62aは、動力分配統合機構40の第2要素であるサンギヤ41にクラッチC0を介して連結され得る第1モータ軸46に回転自在かつ軸方向に移動不能に保持されており、カウンタシャフト65に固定された第2ギヤ62bと常時噛合している。同様に、4速ギヤ列の第4ギヤ64aも第1モータ軸46に回転自在かつ軸方向に移動不能に保持されており、カウンタシャフト65に固定された第4ギヤ64bと常時噛合している。そして、実施例では第1モータ軸46側(カウンタドライブギヤ側)に、第2ギヤ62a(2速ギヤ列)と第4ギヤ64a(4速ギヤ列)との何れか一方を第1モータ軸46に対して選択的に固定すると共に、第2ギヤ62aおよび第4ギヤ64aの双方を第1モータ軸46に対して回転自在に(解放)することができるクラッチC2が配置されている。実施例において、クラッチC1は、例えば第1モータ軸46に固定された係合部と第2ギヤ62aに固定された係合部および第4ギヤ64aに固定された係合部との何れか一方とを連結するように電磁式、電気式あるいは油圧式のアクチュエータ92により第1モータ軸46等の軸方向に進退移動させられる可動係合部材を含むドグクラッチとして構成されている。これら2速ギヤ列のギヤ62a,62b、4速ギヤ列のギヤ64a,64bおよびクラッチC2は、変速機60の第2変速機構を構成する。
そして、キャリア軸45aまたは第1モータ軸46からカウンタシャフト65に伝達された動力は、ギヤ65b,66a(実施例では、ギヤ65aおよび66a間のギヤ比が1:1であるものとする。)を介して駆動軸67に伝達され、デファレンシャルギヤ68を介して最終的に駆動輪としての後輪69a,69bに出力されることになる。なお、実施例の変速機60のように、クラッチC1,C2をキャリア軸45a、第1モータ軸46側に設けることにより、クラッチC1,C2によりギヤ61a〜64aをキャリア軸45aまたは第1モータ軸46に固定する際の損失を低減することが可能となる。すなわち、各ギヤ列における歯数の比にもよるが、特に減速比が小さい4速ギヤ列を含む第2変速機構に関しては、クラッチC2により第1モータ軸46に固定される前に空転しているギヤ64aの回転数は、それぞれに対応するカウンタシャフト65側のギヤ64bの回転数よりも低くなるので、少なくともクラッチC2を第1モータ軸46側に設ければ、ギヤ64aのドグと第1モータ軸46のドグとをより少ない損失で係合させることが可能となる。なお、減速比が大きい1速ギヤ列を含む第1変速機構については、クラッチC1をカウンタシャフト65側に設けてもよい。
このように構成された変速機60によれば、クラッチC2を解放状態とすると共に、クラッチC1により第1ギヤ61a(1速ギヤ列)と第3ギヤ63a(3速ギヤ列)との何れか一方をキャリア軸45aに固定すれば、キャリア軸45aからの動力を第1ギヤ61a(1速ギヤ列)または第3ギヤ63a(3速ギヤ列)とカウンタシャフト65とを介して駆動軸67に伝達することができる。また、クラッチC0を繋ぐと共にクラッチC1を解放状態とし、クラッチC2により第2ギヤ62a(2速ギヤ列)と第4ギヤ64a(4速ギヤ列)との何れか一方を第1モータ軸46に固定すれば、第1モータ軸46からの動力を第2ギヤ62a(2速ギヤ列)または第4ギヤ64a(4速ギヤ列)とカウンタシャフト65とを介して駆動軸67に伝達することができる。以下、適宜、1速ギヤ列を用いて動力を伝達する状態を「第1変速状態(1速)」と、2速ギヤ列を用いて動力を伝達する状態を「第2変速状態(2速)」と、3速ギヤ列を用いて動力を伝達する状態を「第3変速状態(3速)」と、4速ギヤ列を用いて動力を伝達する状態を「第4変速状態(4速)」という。
そして、ハイブリッドECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に各種処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、計時指令に応じて計時処理を実行するタイマ78と、図示しない入出力ポートおよび通信ポート等とを備える。また、ハイブリッドECU70には、イグニッションスイッチ(スタートスイッチ)80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置であるシフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速Vが入力ポートを介して入力される。更に、ハイブリッドECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU30、バッテリECU36と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU30、バッテリECU36と各種制御信号やデータのやり取りを行なっている。また、クラッチC0や変速機60のクラッチC1,C2のアクチュエータ90〜92もハイブリッドECU70により制御される。
次に、図2から図11を参照しながら、上記ハイブリッド自動車20の動作の概要について説明する。なお、図2から図8において、S軸は動力分配統合機構40のサンギヤ41の回転数(モータMG1すなわち第1モータ軸46の回転数Nm1)を、R軸は動力分配統合機構40のリングギヤ42の回転数(エンジン22の回転数Ne)を、C軸は動力分配統合機構40のキャリア45(キャリア軸45a)の回転数をそれぞれ示す。また、61a軸〜64a軸,65軸および67軸は、変速機60の第1ギヤ61a〜第4ギヤ64a、カウンタシャフト65および駆動軸67の回転数をそれぞれ示す。
上述のハイブリッド自動車20では、クラッチC0の係合とエンジン22の運転とを伴う走行時に、クラッチC2を解放状態とすると共にクラッチC1により第1ギヤ61a(1速ギヤ列)をキャリア軸45aに固定すれば、図2に示すように、第1変速状態(1速)のもとでキャリア軸45aからの動力を1速ギヤ列(第1ギヤ61a,61b)のギヤ比G(1)に基づいて変速(減速)して駆動軸67へと出力することができる。また、第1変速状態のもとで、車速V(駆動軸67の回転数)の変化に応じて、第1モータ軸46(サンギヤ41)とカウンタシャフト65に固定された第2ギヤ62bと常時噛合している第2ギヤ62aとを回転同期させれば、図3に示すように、クラッチC1により第1ギヤ61a(1速ギヤ列)をキャリア軸45aに固定したまま、クラッチC2により第2ギヤ62a(2速ギヤ列)を第1モータ軸46に固定することが可能となる。以下、このように動力分配統合機構40の第1要素であるキャリア45を変速機60の1速ギヤ列により、第2要素であるサンギヤ41を変速機60の2速ギヤ列により駆動軸67に連結する状態(図3)を「1−2速同時係合状態」または「第1同時係合状態」という。かかる1−2速同時係合状態のもとで、モータMG1およびMG2に対するトルク指令を値0に設定すれば、エンジン22からの動力(トルク)を電気エネルギへの変換無しに1速ギヤ列のギヤ比G(1)と2速ギヤ列のギヤ比G(2)との間の値である第1固定変速比γ1(=(1−ρ)・G(1)+ρ・G(2))で機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することができる。また、かかる1−2速同時係合状態が実現されるときの動力分配統合機構40のサンギヤ41(モータMG1)、リングギヤ42(エンジン22)およびキャリア45(モータMG2)の回転数は、駆動軸67の回転数(車速V)ごとに、変速機60のギヤ比G(1),G(2)と動力分配統合機構40のギヤ比ρとに基づいて定まることになる。そして、図3に示す1−2速同時係合状態のもとでクラッチC1を解放状態とすれば、図4において二点鎖線で示すように、クラッチC2により第2ギヤ62a(2速ギヤ列)のみが第1モータ軸46(サンギヤ41)に固定されることになり、第2変速状態(2速)のもとで第1モータ軸46からの動力を2速ギヤ列(第2ギヤ62a,62b)のギヤ比G(2)に基づいて変速して駆動軸67へと出力することができる。
同様に、第2変速状態のもとで、車速Vの変化に応じて、キャリア軸45a(キャリア45)とカウンタシャフト65に固定された第3ギヤ63bと常時噛合している第3ギヤ63aとを回転同期させれば、図5に示すように、クラッチC2により第2ギヤ62a(2速ギヤ列)を第1モータ軸46に固定したまま、クラッチC1により第3ギヤ63a(3速ギヤ列)をキャリア軸45aに固定することが可能となる。以下、このように動力分配統合機構40の第2要素であるサンギヤ41を変速機60の2速ギヤ列により、第1要素であるキャリア45を変速機60の3速ギヤ列により駆動軸67に連結する状態(図5)を「2−3速同時係合状態」または「第2同時係合状態」という。かかる2−3速同時係合状態のもとでも、モータMG1およびMG2に対するトルク指令を値0に設定すれば、エンジン22からの動力(トルク)を電気エネルギへの変換無しに2速ギヤ列のギヤ比G(2)と2速ギヤ列のギヤ比G(3)との間の値である第2固定変速比γ2(=ρ・G(2)+(1−ρ)・G(3))で機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することができる。また、かかる2−3速同時係合状態が実現されるときの動力分配統合機構40のサンギヤ41(モータMG1)、リングギヤ42(エンジン22)およびキャリア45(モータMG2)の回転数は、駆動軸67の回転数(車速V)ごとに、変速機60のギヤ比G(2),G(3)と動力分配統合機構40のギヤ比ρとに基づいて定まることになる。そして、図5に示す2−3速同時係合状態のもとでクラッチC2を解放状態とすれば、図6において一点鎖線で示すように、クラッチC1により第3ギヤ63a(3速ギヤ列)のみがキャリア軸45a(キャリア45)に固定されることになり、第3変速状態(3速)のもとでキャリア軸45aからの動力を3速ギヤ列(第3ギヤ63a,63b)のギヤ比G(3)に基づいて変速して駆動軸67へと出力することができる。
更に、第3変速状態のもとで、車速Vの変化に応じて、第1モータ軸46(サンギヤ41)とカウンタシャフト65に固定された第4ギヤ64bと常時噛合している第4ギヤ64aとを回転同期させれば、図7に示すように、クラッチC1により第3ギヤ63a(3速ギヤ列)をキャリア軸45aに固定したまま、クラッチC2により第4ギヤ64a(4速ギヤ列)を第1モータ軸46に固定することが可能となる。以下、このように動力分配統合機構40の第1要素であるキャリア45を変速機60の3速ギヤ列により、第2要素であるサンギヤ41を変速機60の4速ギヤ列により駆動軸67に連結する状態(図7)を「3−4速同時係合状態」または「第3同時係合状態」という。かかる3−4速同時係合状態のもとでも、モータMG1およびMG2に対するトルク指令を値0に設定すれば、エンジン22からの動力(トルク)を電気エネルギへの変換無しに3速ギヤ列のギヤ比G(3)と4速ギヤ列のギヤ比G(4)との間の値である第3固定変速比γ3(=(1−ρ)・G(3)+ρ・G(4))で機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することができる。また、かかる3−4速同時係合状態が実現されるときの動力分配統合機構40のサンギヤ41(モータMG1)、リングギヤ42(エンジン22)およびキャリア45(モータMG2)の回転数は、駆動軸67の回転数(車速V)ごとに、変速機60のギヤ比G(3),G(4)と動力分配統合機構40のギヤ比ρとに基づいて定まることになる。そして、図7に示す3−4速同時係合状態のもとでクラッチC1を解放状態とすれば、図8において二点鎖線で示すように、クラッチC2により第4ギヤ64a(4速ギヤ列)のみが第1モータ軸46(サンギヤ41)に固定されることになり、第4変速状態(4速)のもとで第1モータ軸46からの動力を4速ギヤ列(第4ギヤ64a,64b)のギヤ比G(4)に基づいて変速して駆動軸67へと出力することができる。
上述のようにエンジン22の運転を伴いながらハイブリッド自動車20を走行させる際に、変速機60が第1または第3変速状態に設定されると、動力分配統合機構40のキャリア45が出力要素となって当該キャリア45に接続されたモータMG2が電動機として機能し、かつ反力要素となるサンギヤ41に接続されたモータMG1が発電機として機能するようにモータMG1,MG2を駆動制御することが可能となる。この際、動力分配統合機構40は、リングギヤ42を介して入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ41側とキャリア45側とにそのギヤ比ρに応じて分配すると共に、エンジン22からの動力と電動機として機能するモータMG2からの動力とを統合してキャリア45側に出力する。以下、モータMG1が発電機として機能すると共にモータMG2が電動機として機能するモードを「第1トルク変換モード」という。かかる第1トルク変換モードのもとでは、エンジン22からの動力が動力分配統合機構40とモータMG1およびMG2とによってトルク変換されてキャリア45に出力され、モータMG1の回転数を制御することにより、エンジン22の回転数Neと出力要素であるキャリア45の回転数との比を無段階かつ連続的に変化させることができる。図9に第1トルク変換モードにおける動力分配統合機構40の各要素における回転数やトルクの関係を表す共線図の一例を示す。図9においてS軸、R軸、C軸は、図2から図8と同様のものをそれぞれ示し、ρは動力分配統合機構40のギヤ比(サンギヤ41の歯数/リングギヤ42の歯数)を、各軸上の太線矢印は対応する要素に作用するトルクをそれぞれ示す。更に、図9において、S軸、R軸およびC軸における回転数は0軸(水平軸)よりも上側で正の値となると共に下側で負の値となるものとする。更に、図9において、太線矢印は、各要素に作用するトルクを示し、矢印が図中上向きである場合にはトルクの値が正であり、矢印が図中下向きである場合にはトルクの値が負であるものとする(図2から図8、図10および図11も同様)。
また、エンジン22の運転を伴いながらハイブリッド自動車20を走行させる際に、変速機60が第2または第4変速状態に設定されると、動力分配統合機構40のサンギヤ41が出力要素となって当該サンギヤ41に接続されたモータMG1が電動機として機能し、かつ反力要素となるキャリア45に接続されたモータMG2が発電機として機能するようにモータMG1,MG2を駆動制御することが可能となる。この際、動力分配統合機構40は、リングギヤ42を介して入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ41側とキャリア45側とにそのギヤ比ρに応じて分配すると共に、エンジン22からの動力と電動機として機能するモータMG1からの動力とを統合してサンギヤ41側に出力する。以下、モータMG2が発電機として機能すると共にモータMG1が電動機として機能するモードを「第2トルク変換モード」という。かかる第2トルク変換モードのもとでは、エンジン22からの動力が動力分配統合機構40とモータMG1およびMG2とによってトルク変換されてサンギヤ41に出力され、モータMG2の回転数を制御することにより、エンジン22の回転数Neと出力要素であるサンギヤ41の回転数との比を無段階かつ連続的に変化させることができる。図10に第2トルク変換モードにおける動力分配統合機構40の各要素における回転数やトルクの関係を表す共線図の一例を示す。
このように、実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60の変速状態(変速比)の変更に伴って第1トルク変換モードと第2トルク変換モードとが交互に切り替えられるので、特に電動機として機能するモータMG2またはMG1の回転数Nm2またはNm1が高まったときに、発電機として機能するモータMG1またはMG2の回転数Nm1またはNm2が負の値にならないようにすることができる。従って、ハイブリッド自動車20では、第1トルク変換モードのもとでモータMG1の回転数が負になることに伴いキャリア軸45aに出力される動力の一部を用いてモータMG2が発電すると共にモータMG2により発電された電力をモータMG1が消費して動力を出力するという動力循環や、第2トルク変換モードのもとでモータMG2の回転数が負になることに伴い第1モータ軸46に出力される動力の一部を用いてモータMG1が発電すると共にモータMG1により発電された電力をモータMG2が消費して動力を出力するという動力循環の発生を抑制することが可能となり、より広範な運転領域において動力の伝達効率を向上させることができる。また、このような動力循環の抑制に伴いモータMG1,MG2の最高回転数を抑えることができるので、それによりモータMG1,MG2を小型化することも可能となる。更に、ハイブリッド自動車20では、上述の1−2速同時係合状態、2−3速同時係合状態および3−4速同時係合状態のそれぞれに固有の変速比(固定変速比γ(1)〜γ(3))でエンジン22からの動力を機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することができるので、電気エネルギへの変換を伴うことなくエンジン22から駆動軸67に動力を機械的に出力する機会を増やして、より広範な運転領域において動力の伝達効率をより一層向上させることができる。一般に、エンジンと2体の電動機と遊星歯車機構のような差動回転機構とを用いた動力出力装置では、エンジンと駆動軸との間の減速比が比較的大きいときにエンジンの動力が電気エネルギにより多く変換されるので動力の伝達効率が悪化すると共にモータMG1,MG2の発熱を招く傾向にあることから、上述の同時係合モードは、特にエンジン22と駆動軸との間の減速比が比較的大きい場合に有利なものとなる。
続いて、図11等を参照しながら、エンジン22を停止させた状態でバッテリ35からの電力を用いてモータMG1やモータMG2に動力を出力させ、それによりハイブリッド自動車20を走行させるモータ走行モードの概要について説明する。実施例のハイブリッド自動車20において、モータ走行モードは、クラッチ係合1モータ走行モードと、クラッチ解放1モータ走行モードと、2モータ走行モードとに大別される。クラッチ係合1モータ走行モードを実行する際には、クラッチC0を繋いだ上で、変速機60の1速ギヤ列の第1ギヤ61aまたは3速ギヤ列の第3ギヤ63aをキャリア軸45aに固定してモータMG2のみに動力を出力させるか、変速機60の2速ギヤ列の第2ギヤ62aまたは4速ギヤ列の第4ギヤ64aを第1モータ軸46に固定してモータMG1のみ動力を出力させる。クラッチ係合1モータ走行モードのもとでは、クラッチC0により動力分配統合機構40のサンギヤ41と第1モータ軸46とが接続されることから、動力を出力していないモータMG1またはMG2は、動力を出力しているモータMG2またはMG1に連れ回されて空転する(図11における破線参照)。また、クラッチ解放1モータ走行モードを実行する際には、クラッチC0を解放状態とした上で、変速機60の1速ギヤ列の第1ギヤ61aまたは3速ギヤ列の第3ギヤ63aをキャリア軸45aに固定してモータMG2のみに動力を出力させるか、変速機60の2速ギヤ列の第2ギヤ62aまたは4速ギヤ列の第4ギヤ64aを第1モータ軸46に固定してモータMG1のみ動力を出力させる。クラッチ解放1モータ走行モードのもとでは、図11において一点鎖線および二点鎖線で示すように、クラッチC0が解放状態とされてサンギヤ41と第1モータ軸46との接続が解除されることから動力分配統合機構40の機能により停止されたエンジン22のクランクシャフト26の連れ回しが回避されると共に、クラッチC2またはC1が解放状態とされることにより停止しているモータMG1またはMG2の連れ回しが回避され、それにより動力の伝達効率の低下を抑制することができる。更に、2モータ走行モードを実行する際には、クラッチC0を解放状態とすると共にクラッチC1およびC2を用いて変速機60を上述の1−2速同時係合状態、2−3速同時係合状態あるいは3−4速同時係合状態に設定した上でモータMG1およびMG2の少なくとも何れか一方を駆動制御する。これにより、エンジン22の連れ回しを回避しながらモータMG1およびMG2の双方から動力を出力させ、モータ走行モードのもとで大きな動力を駆動軸67に伝達することが可能となるので、いわゆる坂道発進を良好に実行したり、モータ走行時におけるトーイング性能等を良好に確保したりすることができる。
そして、実施例のハイブリッド自動車20では、クラッチ解放1モータ走行モードが選択されると、動力が効率よく駆動軸67に伝達されるように変速機60の変速状態(変速比)を容易に変更することができる。例えば、クラッチ解放1モータ走行モードのもとで、変速機60の1速ギヤ列の第1ギヤ61aまたは3速ギヤ列の第3ギヤ63aをキャリア軸45aに固定すると共にモータMG2のみに動力を出力させているときに、停止していたモータMG1の回転数を2速ギヤ列の第2ギヤ62aあるいは4速ギヤ列の第4ギヤ64aの回転数に同期させると共に、クラッチC2により第2ギヤ62aあるいは第4ギヤ64aを第1モータ軸46に固定すれば、上述の1−2速同時係合状態、2−3速同時係合状態および3−4速同時係合状態の何れか、すなわち2モータ走行モードへと移行することができる。そして、この状態で変速機60のクラッチC1を解放状態とすると共にモータMG1のみに動力を出力させれば、モータMG1により出力される動力を変速機60の2速ギヤ列あるいは4速ギヤ列を介して駆動軸67に伝達することが可能となる。この結果、実施例のハイブリッド自動車20では、モータ走行モードのもとでも、変速機60を用いてキャリア軸45aや第1モータ軸46の回転数を変速してトルクを増幅等することができるので、モータMG1,MG2に要求される最大トルクを低下させることが可能となり、モータMG1,MG2の小型化を図ることができる。また、このようなモータ走行中における変速機60の変速比の変更に際しても、一旦変速機60の同時係合状態すなわち2モータ走行モードが実行されることから、変速比の変更時におけるいわゆるトルク抜けを生じることはなく、変速比の変更を極めてスムースかつショック無く実行することが可能となる。なお、これらのモータ走行モードのもとで要求動力が高まったり、バッテリ35の残容量SOCが低下したりしたような場合には、変速機60の変速比に応じて動力を出力しないことになるモータMG1またはMG2によるエンジン22のクランキングを実行し、それによりエンジン22を始動させる。
引き続き、図12から図17を参照しながら、クラッチC0の係合とエンジン22の運転とを伴いながらハイブリッド自動車20を走行させる際に変速機60の変速状態(変速比)を変更するときの動作について具体的に説明する。図12および図13は、クラッチC0の係合とエンジン22の運転とを伴いながらハイブリッド自動車20を走行させる際に、ハイブリッドECU70により所定時間ごとに(例えば、数msecごとに)実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図12および図13の駆動制御ルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70のCPU72は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ87からの車速V、エンジン22(クランクシャフト26)の回転数Ne、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、充放電要求パワーPb*、バッテリ35の入出力制限Win,Wout、変速機60の現変速段数n(ただし、実施例ではn=1,2,3および4の何れかである。)および目標変速段数n*(同様に、実施例ではn*=1,2,3および4の何れかである。)、同時係合実行フラグFsecの値といった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとし、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、モータECU30から通信により入力するものとした。また、充放電要求パワーPb*(実施例では、放電時に正の値となる)やバッテリ35の入力制限Winおよび出力制限Woutは、バッテリECU36から通信により入力するものとした。更に、現変速段数nは、変速機60の1速から4速ギヤ列のうちのキャリア軸45aや第1モータ軸46と駆動軸67との連結に供されているものを示すものであり、1速から4速ギヤ列の何れかを介してキャリア軸45aや第1モータ軸46と駆動軸67との連結がなされた時点でRAM76の所定領域に記憶されるものである。また、目標変速段数n*と同時係合実行フラグFsecとは、ハイブリッドECU70により別途実行される図示しない変速判定ルーチンを経て設定されるものである。変速判定ルーチンの実行に際して、ハイブリッドECU70は、例えばエンジン22と駆動軸67との間の伝達効率、モータMG1,MG2の性能や発熱状態、変速機60のギヤ比G(1)〜G(4)等を考慮して予め定められた車速V(駆動軸67の回転数)やアクセル開度Acc等に関連した所定の同時係合実行条件が成立すると、上述の第1〜第3同時係合状態の何れかのもとでハイブリッド自動車20を走行させないときに値0とされる同時係合実行フラグFsecを値1に設定すると共に、車速Vやアクセル開度Accの状態等に応じて、現変速段数nに値1を加算した値と現変速段数nから値1を減じた値との何れか一方を目標変速段数n*として設定する。また、ハイブリッドECU70は、ハイブリッド自動車20が上述の第1〜第3同時係合状態の何れかのもとで走行しているときに例えばエンジン22と駆動軸67との間の伝達効率、モータMG1,MG2の性能や発熱状態、変速機60のギヤ比G(1)〜G(4)等を考慮して予め定められた車速V(駆動軸67の回転数)やアクセル開度Acc等に関連した所定の同時係合解除条件が成立すると、上述の同時係合実行フラグFsecを値0に設定すると共に、車速Vやアクセル開度Accの状態等に応じて、キャリア45およびサンギヤ41と駆動軸67との連結に供されている変速機60の2つのギヤ列の一方に対応した段数を目標変速段数n*として設定すると共に他方を現変速段数nとして設定する。
ステップS100のデータ入力処理の後、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸67に出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に、エンジン22に要求される要求パワーPe*を設定する(ステップS110)。実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めた要求トルク設定用マップがROM74に記憶されており、要求トルクTr*としては、与えられたアクセル開度Accと車速Vとに対応したものが当該マップから導出・設定される。図14に要求トルク設定用マップの一例を示す。また、実施例において、要求パワーPe*は、ステップS110にて設定した要求トルクTr*と駆動軸67の回転数を示す車速Vに換算係数kを乗じた値との積と充放電要求パワーPb*と損失Ls(mc,el)との総和として計算される。ここで、損失Lsは、動力分配統合機構40における機械損失(添え字“mc”で示す。)とモータMG1,MG2の駆動に伴う電気的損失(添え字“el”で示す。)との和として求められるものであり、実施例では、例えば要求トルクTr*と変速機60の変速状態(第1および第3変速状態、第2および第4変速状態、並びに第1〜第3同時係合状態)と損失Ls(mc,el)との関係を予め定めた図示しない損失導出用マップがROM74に記憶されており、損失Ls(mc,el)としては、要求トルクTr*や変速機60の変速状態に対応したものが当該マップから導出されて要求パワーPe*の設定に供される。なお、駆動軸67に対してその回転数を検出する回転数センサを設け、要求パワーPe*の設定に際して、車速Vに換算係数kを乗じた値の代わりに実測される駆動軸67の回転数を用いてもよい。次いで、ステップS100にて入力した同時係合実行フラグFsecが値0であるか否かを判定する(ステップS120)。同時係合実行フラグFsecが値0であって変速機60の変速状態(変速比)を変更する必要がない場合(同時係合実行条件が成立していない場合)には、ステップS110にて設定された要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS130)。ここでは、エンジン22を効率よく動作させて燃費をより向上させることができるように予め定められた動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとした。図15にエンジン22の動作ラインとエンジン回転数NeとエンジントルクTeとの相関曲線(等パワーライン)とを例示する。同図に示すように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とは、動作ラインと要求パワーPe*(Ne×Te)が一定となることを示す相関曲線との交点として求めることができる。
こうして目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定したならば、ステップS100にて入力した現変速段数nが値1から4の何れか(1〜4速ギヤ列の何れか)であるかを判定する(ステップS140)。現変速段数nが値1または3である場合には、キャリア軸45aが変速機60により駆動軸67に連結されていることから、ステップS130にて設定した目標回転数Ne*とキャリア軸45a(キャリア45)の回転数(Nm2)と動力分配統合機構40のギヤ比ρとを用いて次式(1)に従いモータMG1の目標回転数Nm1*を計算した上で、計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づく式(2)の計算を実行してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS150)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構40の回転要素に対する力学的な関係式であり、図9の共線図から容易に導出することができる。そして、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k11」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k12」は積分項のゲインである。次いで、バッテリ35の入出力制限Win,Woutと、ステップS150にて設定したモータMG1のトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1との積として得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で除することによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算する(ステップS160)。更に、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)と動力分配統合機構40のギヤ比ρとを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(3)に従い計算する(ステップS170)。なお、式(3)は、図9の共線図から容易に導出することができる。そして、計算した仮モータトルクTm2tmpをステップS160にて計算したトルク制限Tmax,Tminで制限することによりモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS180)。このようにしてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、キャリア軸45aに出力するトルクをバッテリ35の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したならば、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信し(ステップS190)、再度ステップS100以降の処理を実行する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを得るための制御を実行する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU30は、トルク指令Tm1*に従ってモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*に従ってモータMG2が駆動されるようにインバータ31,32のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
Nm1* = 1/ρ・(Ne*-(1-ρ)・Nm2) …(1)
Tm1* = -ρ・Te* + k11・(Nm1*-Nm1) + k12・∫(Nm1*-Nm1)dt …(2)
Tm2tmp = Tr*/G(n)+(1-ρ)/ρ・Tm1* …(3)
また、現変速段数nが値2または4である場合には、第1モータ軸46が変速機60により駆動軸67に連結されていることから、ステップS130にて設定した目標回転数Ne*と第1モータ軸46(サンギヤ41)の回転数に一致するモータMG1の回転数Nm1と動力分配統合機構40のギヤ比ρとを用いて次式(4)に従いモータMG2の目標回転数Nm2*を計算した上で、計算した目標回転数Nm2*と現在の回転数Nm2とに基づく式(5)の計算を実行してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS200)。ここで、式(4)も動力分配統合機構40の回転要素に対する力学的な関係式であり、図10の共線図から容易に導出することができる。そして、式(5)は、モータMG2を目標回転数Nm2*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(5)中、右辺第2項の「k21」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k22」は積分項のゲインである。次いで、バッテリ35の入出力制限Win,Woutと、ステップS200にて設定したモータMG2のトルク指令Tm2*と現在のモータMG2の回転数Nm2との積として得られるモータMG2の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG1の回転数Nm1で除することによりモータMG1から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算する(ステップS210)。更に、要求トルクTr*とトルク指令Tm2*と現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)と動力分配統合機構40のギヤ比ρとを用いてモータMG1から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm1tmpを式(6)に従い計算する(ステップS220)。なお、式(6)は、図10の共線図から容易に導出することができる。そして、計算した仮モータトルクTm1tmpをステップS210にて計算したトルク制限Tmax,Tminで制限することによりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS230)。このようにしてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定することにより、第1モータ軸46に出力するトルクをバッテリ35の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したならば、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信し(ステップS190)、再度ステップS100以降の処理を実行する。
Nm2* = (Ne*-ρ・Nm1)/(1-ρ) …(4)
Tm2* = -(1-ρ)・Te* + k21・(Nm2*-Nm2) + k22・∫(Nm2*-Nm2)dt …(5)
Tm1tmp = Tr*/G(n)+ρ/(1-ρ)・Tm2* …(6)
一方、ステップS120にて同時係合実行フラグFsecが値1であって変速機60の変速状態を上述の第1〜第3同時係合状態の何れかに設定すべきと判断された場合(同時係合実行連結条件が成立した場合)には、図13に示すように、ステップS100にて入力した現変速段数nが値1から4の何れか(1〜4速ギヤ列の何れか)であるかを判定する(ステップS240)。現変速段数nが値1または3である場合には、所定のフラグFが値0であるか否かを判定し(ステップS250)、フラグFが値0であれば、フラグFを値1に設定した上で(ステップS260)、図示するように動力分配統合機構40のギヤ比ρと現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)と目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)とに基づいて第N固定変速比γ(N)を計算する(ステップS270)。ここで、値“N”は、実施例において現変速段数nと目標変速段数n*とから定まる値1〜3の何れかであり、例えばn=1,n*=2であれば、N=1となり、例えばn=4,n*=3であれば、N=3となる。なお、ステップS270にて第N固定変速比γ(N)が計算される場合、ステップS260にてフラグFが値1に設定されることから、本ルーチンの次回実行時以降は、ステップS250にて否定判断がなされてステップS260およびS270の処理がスキップされる。そして、ステップS270またはS250の処理の後、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS280)。ステップS280では、現変速段数nが値1または3であって変速機60によりモータMG2に対応したキャリア45(キャリア軸45)と駆動軸67とが連結されていることを踏まえて駆動軸67の回転数(車速V)に対応した第N同時係合状態のもとでのエンジン22の回転数を目標回転数Ne*として設定する。すなわち、ステップS280では、ステップS100にて入力したモータMG2の回転数を現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)で除した値(駆動軸67の回転数)とステップS270にて計算された第N固定変速比γ(N)との積値をエンジン22の目標回転数Ne*として設定する。更に、ステップS280では、ステップS110にて設定した要求パワーPe*を目標回転数Ne*で除した値と、エンジン22の定格トルクTemaxとの小さい方をエンジン22の目標トルクTe*として設定する。
次いで、駆動軸67の回転数(車速V)に対応した第N同時係合状態のもとでのモータMG1の回転数を目標回転数Nm1*として計算した上で、第1モータ軸46(サンギヤ41)と目標変速段数n*に対応した2速または4速ギヤ列の第2または第4ギヤ62aまたは64aとを回転同期させるべく、上記式(2)に従いモータMG1に対するトルク指令Tm1*を設定する(ステップS290)。なお、目標回転数Nm1*は、ステップS100にて入力したモータMG2の回転数Nm2を現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)で除した値(駆動軸67の回転数)に目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)を乗じることにより得ることができる。更に、上述のステップS160〜S180と同様の処理であるステップS300〜S320の処理を実行してモータMG2に対するトルク指令Tm2*を設定し、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信する(ステップS330)。そして、ステップS330のデータ送信処理を実行したならば、ステップS100にて入力したモータMG1の回転数Nm1と目標回転数Nm1*との偏差の絶対値が所定値α以下であるか否かを判定し(ステップS340)、当該偏差の絶対値が所定値αを上回っていれば、再度ステップS100以降の処理を実行する。これに対して、当該偏差の絶対値が所定値α以下であれば、第1モータ軸46(サンギヤ41)と目標変速段数n*に対応した2速または4速ギヤ列の第2または第4ギヤ62aまたは64aとが回転同期したとみなして、第2または第4ギヤ62aまたは64a(2速ギヤ列または4速ギヤ列)が第1モータ軸46に固定(係合)されるようにクラッチC2のアクチュエータ92に指令信号を送信すると共にフラグFを値0に設定し(ステップS350)、本ルーチンを終了させる。なお、所定値αは、回転数Nm1と目標回転数Nm1*とが実質的に一致したとみなせる程度に小さな値として予め定められる。
また、現変速段数nが値2または4である場合には、所定のフラグFが値0であるか否かを判定し(ステップS360)、フラグFが値0であれば、フラグFを値1に設定した上で(ステップS370)、図示するように動力分配統合機構40のギヤ比ρと現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)と目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)とに基づいて第N固定変速比γ(N)を計算する(ステップS380)。そして、ステップS360またはS380の処理の後、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS390)。ステップS390では、現変速段数nが値2または4であって変速機60によりモータMG1に対応したサンギヤ41(第1モータ軸46)と駆動軸67とが連結されていることを踏まえて駆動軸67の回転数(車速V)に対応した第N同時係合状態のもとでのエンジン22の回転数を目標回転数Ne*として設定する。すなわち、ステップS390では、ステップS100にて入力したモータMG1の回転数を現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)で除した値(駆動軸67の回転数)とステップS380にて計算された第N固定変速比γ(N)との積値をエンジン22の目標回転数Ne*として設定する。更に、ステップS390では、ステップS110にて設定した要求パワーPe*を目標回転数Ne*で除した値と、エンジン22の定格トルクTemaxとの小さい方をエンジン22の目標トルクTe*として設定する。
次いで、駆動軸67の回転数(車速V)に対応した第N同時係合状態のもとでのモータMG2の回転数を目標回転数Nm2*として計算した上で、キャリア軸45a(キャリア45)と目標変速段数n*に対応した1速または3速ギヤ列の第1または第3ギヤ61aまたは63aとを回転同期させるべく、上記式(5)に従いモータMG2に対するトルク指令Tm2*を設定する(ステップS400)。なお、目標回転数Nm2*は、ステップS100にて入力したモータMG1の回転数Nm1を現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)で除した値(駆動軸67の回転数)に目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)を乗じることにより得ることができる。更に、上述のステップS210〜S230と同様の処理であるステップS410〜S430の処理を実行してモータMG1に対するトルク指令Tm1*を設定し、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信する(ステップS440)。そして、ステップS440のデータ送信処理を実行したならば、ステップS100にて入力したモータMG2の回転数Nm2と目標回転数Nm2*との偏差の絶対値が所定値α以下であるか否かを判定し(ステップS450)、当該偏差の絶対値が所定値αを上回っていれば、再度ステップS100以降の処理を実行する。また、当該偏差の絶対値が所定値α以下であれば、キャリア軸45a(キャリア45)と目標変速段数n*に対応した1速または3速ギヤ列の第1または第3ギヤ61aまたは63aとが回転同期したとみなして、第1または第3ギヤ61aまたは63a(1速ギヤ列または3速ギヤ列)が第1モータ軸46に固定(係合)されるようにクラッチC1のアクチュエータ91に指令信号を送信すると共にフラグFを値0に設定し(ステップS350)、本ルーチンを終了させる。
上述のように、変速機60によりキャリア軸45aおよび第1モータ軸46の一方と駆動軸67とが連結された状態でエンジン22が運転されると共にモータMG1およびMG2が駆動制御されている最中に同時係合実行フラグFsecが値1に設定されたときには、それまで変速機60により駆動軸67に連結されていなかったサンギヤ41(第1モータ軸46)およびキャリア45(キャリア軸45a)の他方に対応したモータMG1またはMG2の回転数Nm1またはNm2を変速機60のギヤ比G(1)〜G(4)と駆動軸67の回転数(車速V)とに基づく目標回転数Nm1*またはNm2*に一致させる回転数調整処理(ステップS240〜S340,またはS240およびS360〜S450)が実行された上で、変速機60によるキャリア軸45aおよび第1モータ軸46の他方と駆動軸67との連結(ステップS350)が実行される。これにより、現変速段数nに対応したギヤ列によりキャリア軸45aまたは第1モータ軸46と駆動軸67とを連結したまま、目標変速段数n*に対応したギヤ列により第1モータ軸46またはキャリア軸45aと駆動軸67とをショックの発生を抑制しながらより適正に連結して、現変速段数nと目標変速段数n*とに対応した第N同時係合状態を実現することが可能となる。そして、ステップS350の処理を経て図12および図13の駆動制御ルーチンが終了した後には、図16に示すモータトルク調整ルーチンがハイブリッドECU70により実行されることになる
引き続き、図16のモータトルク調整ルーチンについて説明する。かかるモータトルク調整ルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70は、図12のステップS100と同様にして、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ87からの車速V、エンジン22の回転数Ne、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、現変速段数n、目標変速段数n*といった制御に必要なデータの入力処理を実行し(ステップS500)、図12のステップS110と概ね同様にして要求トルクTr*を設定した上で、設定した要求トルクTr*と駆動軸67の回転数を示す車速Vに換算係数kを乗じた値との積と損失Ls(mc,el)との和としてエンジン22に対する要求パワーPe*を設定する(ステップS510)。ここで、ハイブリッド自動車20を第1〜第3同時係合状態の何れかのもとで走行させる場合、上述のように基本的にモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*が値0とされることから、この場合には、モータMG1,MG2によるトルク変換の割合が小さくなる(ゼロとなる)。このため、ハイブリッド自動車20を第1〜第3同時係合状態の何れかのもとで走行させるための本ルーチンにおいては、ステップS510にてエンジン22に対する要求パワーPe*を設定する際に、モータMG1,MG2の駆動に伴う電気的損失がゼロであるものとして動力分配統合機構40における機械損失(図中“Ls(mc)”として示す)のみを考慮する。次いで、ステップS500にて入力したエンジン22の回転数Neをエンジン22の目標回転数Ne*として設定すると共に、ステップS510にて設定した要求パワーPe*を目標回転数Ne*(=Ne)で除した値と、エンジン22の定格トルクTemaxとの小さい方をエンジン22の目標トルクTe*として設定する(ステップS520)。更に、所定のフラグFxが値0であるか否かを判定し(ステップS530)、フラグFxが値0であれば、タイマ78をオンすると共にフラグFxを値1に設定する(ステップS540)。なお、ステップS540にてフラグFxが値1に設定されると、本ルーチンの次回実行時以降は、ステップS530にて否定判断がなされてステップS540の処理はスキップされる。
ステップS540またはS530の処理の後、ステップS500にて入力した目標変速段数n*が値1から4の何れか(1〜4速ギヤ列の何れか)であるかを判定する(ステップS550)。目標変速段数n*が値2または4である場合には、変速機60によりキャリア軸45aと第1モータ軸46の双方と駆動軸67とが連結される第N同時係合状態前の変速前状態すなわち現変速段数nに対応した1速ギヤ列または3速ギヤ列を介してキャリア軸45aのみが駆動軸67に連結された状態にあるものとして次式(7)に示すようにステップS520にて設定されたエンジン22の目標トルクTe*に基づいて定まるモータMG1に対する要求モータトルクを始点トルクTm1aとして計算すると共に、次式(8)に示すように当該始点トルクTm1a(目標トルクTe*)とステップS510にて設定された要求トルクTr*と現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)とに基づいて定まるモータMG2に対する要求モータトルクを始点トルクTm2aとして計算する(ステップS560)。更に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に電動機として機能していたモータMG2について値0を終点トルクTm2bとして設定すると共に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に発電機として機能していたモータMG1についての終点トルクTm1bを次式(9)に従い計算する(ステップS570)。ここで、式(9)は、現変速段数nと目標変速段数n*とに対応した第N同時係合状態のもとで要求トルクTr*に対するエンジン22により駆動軸67に出力されるトルク(Te*・γ(N))の不足分のトルクをモータMG1により賄うとしたときのモータMG1のトルク値であり(ただし、式(9)中、γ(N)=(1−ρ)・G(n)+ρ・G(n*)である)、これにより、終点トルクTm1bは、値0あるいは値0以上の比較的小さい正の値として得られることになる。
Tm1a = -ρ・Te* …(7)
Tm2a = Tr*/G(n)+(1-ρ)/ρ・Tm1a …(8)
Tm1b = Tr*γ(N)-Te* …(9)
また、目標変速段数n*が値1または3である場合には、変速機60によりキャリア軸45aと第1モータ軸46の双方と駆動軸67とが連結される第N同時係合状態前の変速前状態すなわち現変速段数nに対応した2速ギヤ列または4速ギヤ列を介して第1モータ軸46のみが駆動軸67に連結された状態にあるものとして次式(10)に示すようにステップS520にて設定されたエンジン22の目標トルクTe*に基づいて定まるモータMG2に対する要求モータトルクを始点トルクTm2aとして計算すると共に、次式(11)に示すように当該始点トルクTm2a(目標トルクTe*)とステップS510にて設定された要求トルクTr*と現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)とに基づいて定まるモータMG1に対する要求モータトルクを始点トルクTm1aとして計算する(ステップS580)。更に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に電動機として機能していたモータMG1について値0を終点トルクTm1bとして設定すると共に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に発電機として機能していたモータMG2についての終点トルクTm2bを次式(12)に従い計算する(ステップS590)。ここで、式(12)は、現変速段数nと目標変速段数n*とに対応した第N同時係合状態のもとで要求トルクTr*に対するエンジン22により駆動軸67に出力されるトルク(Te*・γ(N))の不足分のトルクをモータMG2により賄うとしたときのモータMG2のトルク値であり(ただし、式(12)中、γ(N)=ρ・G(n)+(1−ρ)・G(*n)である)、これにより、終点トルクTm2bは、値0あるいは値0以上の比較的小さい正の値として得られることになる。
Tm2a = -(1-ρ)・Te* …(10)
Tm1a = Tr*/G(n)+ρ/(1-ρ)・Tm2a …(11)
Tm2b =Tr*/γ(N)-Te* …(12)
こうして、ステップS560およびS570あるいはS580およびS590にて始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bを計算したならば、計算した始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bとタイマ78により計時される経過時間tと所定のトルク調整時間taとに基づく次式(13)および(14)の計算を実行してモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する(ステップS600)。かかるステップS600の処理は、トルク調整時間ta内にモータMG1,MG2により出力されるトルクがそれぞれ始点トルクから終点トルクへと徐々に変化するようにモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する処理である。なお、トルク調整時間taは、モータMG1,MG2の特性や駆動軸67におけるトルクショック等を考慮してできるだけ短い時間として予め定められる。トルク指令Tm1*,Tm2*を設定したならば、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信する(ステップS610)。更に、ステップS610のデータ送信処理を実行したならば、タイマ78により計時される経過時間tが所定のトルク調整時間ta未満であるか否かを判定する(ステップS620)。そして、経過時間tがトルク調整時間ta未満であれば、再度ステップS500以降の処理を実行する。このようにしてステップS500〜S620の処理が繰り返し実行されることにより、ステップS510にて要求トルクTr*等が設定されるたびに、モータMG1,MG2に対する変速前状態での要求モータトルクである始点トルクTm1a,Tm2aと、モータMG1,MG2に対する第N同時係合状態での要求モータトルクである終点トルクTm1b,Tm2bとが逐一計算され、実質的に本ルーチンの開始からトルク調整時間taが経過した段階でモータMG1およびMG2の双方が実質的にトルクを出力しなくなるようにモータMG1,MG2の出力トルクが調整されることになる。そして、ステップS620にて経過時間tがトルク調整時間ta以上であると判断された時点でタイマ78をオフすると共にフラグFxを値1に設定し(ステップS630)、本ルーチンを終了させる。
Tm1* = ((ta-t)・Tm1a + t・Tm1b)/ts …(13)
Tm2* = ((ta-t)・Tm2a + t・Tm2b)/ts …(14)
上述のモータトルク調整ルーチンが終了した後には、図17に示す同時係合時駆動制御ルーチンがハイブリッドECU70により実行される。同図に示す同時係合時駆動制御ルーチンについて説明すると、ハイブリッドECU70は、このルーチンを実行する際、図16のステップS500〜S520と同様にして制御に必要なデータの入力処理(ステップS800)と、要求トルクTr*および要求パワーPe*の設定(ステップS810)と、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*の設定(ステップS820)とを実行した上で、所定のフラグFyが値0であるか否かを判定し(ステップS830)、フラグFyが値0であれば、更にステップS800にて入力した同時係合実行フラグFsecが値1であるか否かを判定する(ステップS840)。そして、ステップS800にて入力した同時係合実行フラグFsecが値1であって第N同時係合状態を継続させる場合には、ステップS800にて入力した目標変速段数n*が値1から4の何れか(1〜4速ギヤ列の何れか)であるかを判定する(ステップS850)。目標変速段数n*が値2または4である場合には、目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで発電機として機能することになるモータMG2に対するトルク指令Tm2*を値0に設定すると共に目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで電動機として機能することになるモータMG1に対するトルク指令Tm1*を次式(15)に従い設定し(ステップS860)、図16のステップS610と同様のデータ送信処理(ステップS880)を実行した上で、再度ステップS800以降の処理を実行する。また、目標変速段数n*が値1または3である場合には、目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで発電機として機能することになるモータMG1に対するトルク指令Tm1*を値0に設定すると共に目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで電動機として機能することになるモータMG2に対するトルク指令Tm2*を次式(16)に従い設定し(ステップS870)、ステップS880のデータ送信処理を実行した上で、再度ステップS800以降の処理を実行する。このように、変速機60の現変速段数nに対応したギヤ列と目標変速段数n*に対応したギヤ列とによりキャリア45(キャリア軸45a)およびサンギヤ41(第1モータ軸46)の双方を駆動軸67に連結した状態(第N同時係合状態)でモータMG1およびMG2の双方が実質的にトルクを出力しなくなるようにモータMG1,MG2の出力トルクを調整する図16のモータトルク調整ルーチンが完了すると、エンジン22は目標トルクTe*に基づくトルクを出力するように制御され、モータMG1、MG2は実質的にトルクを出力しないように、すなわちモータMG1およびMG2の何れか一方が要求トルクTr*に対するエンジン22による出力トルクの不足分のトルクを出力すると共に他方がトルクを出力しないように制御されることになる。
Tm1* = Tr*/γ(N)-Te* …(15)
Tm2* = Tr*/γ(N)-Te* …(16)
一方、ステップS840にて同時係合実行フラグFsecが値0であると判断され、第N同時係合状態から変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45(キャリア軸45a)およびサンギヤ41(第1モータ軸46)の何れか一方のみを駆動軸67に連結すべき場合には、タイマ78をオンすると共に上記フラグFyを値1に設定した上で(ステップS890)、ステップS800にて入力した目標変速段数n*が値1から4の何れか(1〜4速ギヤ列の何れか)であるかを判定する(ステップS900)。目標変速段数n*が値2または4である場合には、それまでトルクを出力していなかったモータMG2について値0を始点トルクTm2aとして設定すると共にステップS810,S820にて設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*(要求機関トルク)とに基づいてモータMG1についての始点トルクTm1aを次式(17)に従い計算する(ステップS910)。更に、ステップS810,S820にて設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*(要求機関トルク)とに基づいて、第N同時係合状態が解除された後の目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで発電機として機能することになるモータMG2についての終点トルクTm2bを次式(18)に従い計算すると共に第N同時係合状態が解除された後の目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで電動機として機能することになるモータMG1についての終点トルクTm1bを次式(19)に従い計算する(ステップS920)。また、目標変速段数n*が値1または3である場合には、それまでトルクを出力していなかったモータMG1について値0を始点トルクTm1aとして設定すると共にステップS810,S820にて設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*(要求機関トルク)とに基づいてモータMG2についての始点トルクTm2aを次式(20)に従い計算する(ステップS930)。更に、ステップS810,S820にて設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*(要求機関トルク)とに基づいて、第N同時係合状態が解除された後の目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで発電機として機能することになるモータMG1についての終点トルクTm1bを次式(21)に従い計算すると共に第N同時係合状態が解除された後の目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで電動機として機能することになるモータMG2についての終点トルクTm2bを次式(22)に従い計算する(ステップS940)。なお、ステップS900の判定処理の直前に現変速段数nの値と目標変速段数n*の値とが反転した場合には、ステップS900にて目標変速段数n*が値2または4であると判断されたときにステップS910にてステップS930と同様の処理を実行し、ステップS900にて目標変速段数n*が値1または3であると判断されたときにステップS930にてステップS910と同様の処理を実行すればよい。
Tm1a = Tr*/γ(N)-Te* …(17)
Tm2b = -(1-ρ)・Te* …(18)
Tm1b = Tr*/G(n*)+ρ/(1-ρ)・Tm2b …(19)
Tm2a = Tr*/γ(N)-Te* …(20)
Tm1b = -ρ・Te* …(21)
Tm2b = Tr*/G(n*)+(1-ρ)/ρ・Tm1ba …(22)
こうして、ステップS910およびS920あるいはS930およびS940にて始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bを計算したならば、計算した始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bとタイマ78により計時される経過時間tと所定のトルク調整時間tbとに基づく上記式(13)および(14)と同様の計算を実行してモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する(ステップS950)。かかるステップS950の処理は、トルク調整時間tb内にモータMG1,MG2により出力されるトルクがそれぞれ始点トルクから終点トルクへと徐々に変化するようにモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する処理である。なお、トルク調整時間tbも、モータMG1,MG2の特性や駆動軸67におけるトルクショック等を考慮してできるだけ短い時間として予め定められる。トルク指令Tm1*,Tm2*を設定したならば、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信する(ステップS960)。更に、ステップS960のデータ送信処理を実行したならば、タイマ78により計時される経過時間tがトルク調整時間tb未満であるか否かを判定する(ステップS970)。そして、経過時間tがトルク調整時間tb未満であれば、再度ステップS800以降の処理を実行する。なお、ステップS890にて一旦フラグFyが値1に設定されると、本ルーチンの次回実行時以降は、ステップS830にて否定判断がなされ、ステップS890の処理がスキップされると共に、目標変速段数n*の値に応じてステップS910およびS920またはステップS930およびS940の処理が実行されることになる。このようにしてステップS800〜S830,S900〜S970等の処理が繰り返し実行されることにより、ステップS810にて要求トルクTr*等が設定されるたびに、モータMG1,MG2に対する第N同時係合状態での要求モータトルクである始点トルクTm1a,Tm2aと、変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の何れか一方を駆動軸67に連結した状態でのモータMG1,MG2に対する要求モータトルクである終点トルクTm1b,Tm2bとが逐一計算され、ステップS840にて否定判断がされてからトルク調整時間tbが経過した段階でモータMG1およびMG2の双方が変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の何れか一方を駆動軸67に連結したときに出力すべきトルクを出力するようにモータMG1,MG2の出力トルクが調整されることになる。そして、ステップS970にて経過時間tがトルク調整時間tb以上であると判断された時点で、現変速段数nに対応したギヤ列とキャリア軸45aまたは第1モータ軸46との固定(係合)が解除されるようにクラッチC1またはC2のアクチュエータ91または92に指令信号を送信すると共に、目標変速段数n*を現変速段数nとして設定し、更にタイマ78をオフすると共にフラグFyを値0に設定し(ステップS980)、本ルーチンを終了させる。なお、第N同時係合状態が解除された後には、再度図12および図13の駆動制御ルーチンが実行されることになる。
以上説明したように、上記実施例のハイブリッド自動車20は、動力分配統合機構40のキャリア(第1要素)およびサンギヤ41(第2要素)の何れか一方または双方を駆動軸67に選択的に連結可能であると共に、キャリア45からの動力とサンギヤ41からの動力とをそれぞれ所定のギヤ比G(1),G(3)またはG(2),G(3)で駆動軸67に伝達可能な変速機60を備えている。そして、ハイブリッド自動車20では、変速機60の現変速段数nに対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の一方と駆動軸67とが連結された状態でエンジン22が運転されると共にモータMG1,MG2が駆動制御されている最中に同時係合実行フラグFsecが値1に設定され(同時係合実行条件が成立し)、キャリア45およびサンギヤ41の一方と駆動軸67とを連結したまま変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の他方を駆動軸67に連結する場合には、要求トルクTr*に基づくトルクが駆動軸67に出力されるようにしながら、それまで変速機60により駆動軸67に連結されていなかったサンギヤ41(第1モータ軸46)およびキャリア45(キャリア軸45a)の他方に対応したモータMG1またはMG2の回転数Nm1またはNm2を変速機60のギヤ比G(1)〜G(4)と駆動軸67の回転数(車速V)とに基づく目標回転数Nm1*またはNm2*に一致させる回転数調整処理(図13のステップS240〜S340,またはS240およびS360〜S450等)を実行した上で変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の他方と駆動軸67とを連結する(図13のステップS350)。更に、要求トルクTr*に基づくトルクが駆動軸67に出力されるようにしながら、変速機60の現変速段数nに対応したギヤ列と目標変速段数n*に対応したギヤ列とによりキャリア45(キャリア軸45a)およびサンギヤ41(第1モータ軸46)の双方を駆動軸67に連結した状態(第N同時係合状態のもと)でモータMG1およびMG2が実質的にトルクを出力しなくなるようにモータMG1およびMG2の出力トルクを調整するモータトルク調整ルーチン(図16)を実行する。このように、変速機60により動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の一方と駆動軸67とが連結されているときに、上記回転数調整処理を実行すれば、それまで駆動軸67に連結されていなかったサンギヤ41(第1モータ軸46)およびキャリア45(キャリア軸45a)の他方を駆動軸67にショックの発生を抑制しながらより適正に連結してキャリア45およびサンギヤ41の双方が駆動軸67に連結される第N同時係合状態を実現することができる。そして、第N同時係合状態のもとで図16のモータトルク調整ルーチンを実行すれば、駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共にクラッチC1,C2に無理なトルクが加わらないようにしつつ動力分配統合機構40のキャリア45(キャリア軸45a)およびサンギヤ41(第1モータ軸46)の何れか一方と駆動軸67とが連結される状態からキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とが連結される状態へとより適正に切り替えることができる。
また、図16のモータトルク調整ルーチンは、変速機60によりキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とが連結される前の変速前状態にあるものとして要求トルクTr*が設定されたタイミングで当該要求トルクTr*と要求トルクTr*に基づくエンジン22の目標トルク(要求機関トルク)Te*とに基づいて定まるモータMG1,MG2に対する要求モータトルクを始点トルクTm1a,Tm2aとして設定すると共に(図16のステップS560またはS580)、モータMG1およびMG2の何れか一方について値0を他方について要求トルクTr*が設定されたタイミングで当該要求トルクTr*とエンジン22の目標トルク(要求機関トルク)Te*とに基づく値0以上の値を終点トルクTm1b,Tm2bとして設定し(ステップS570またはS590)、エンジン22が目標トルクTe*に基づくトルクを出力すると共にモータMG1,MG2により出力されるトルクがそれぞれ始点トルクTm1a,Tm2aから終点トルクTm1b,Tm2bへと変化するようにエンジン22とモータMG1およびMG2とを制御するものである。これにより、モータMG1およびMG2の双方が基本的にはトルクを出力しないようにするモータトルク調整ルーチンをより適正なものとすることができる。更に、図16のモータトルク調整ルーチンのように、要求トルクTr*が設定されるたびにモータMG1,MG2の始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bを逐一計算し、トルク調整時間ta内にモータMG1,MG2により出力されるトルクをそれぞれ始点トルクTm1a,Tm2aから終点トルクTm1b,Tm2bへと徐々に変化させれば、駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求トルクTr*の変動に対処しながらモータMG1,MG2間で動力を移換することができる。加えて、要求トルクTr*が設定されるたびに始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bを逐一設定しておけば、仮に第N同時係合状態の続行を中断して所望の変速状態へと移行することになっても、トルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求トルクTr*の変動に対処しながら当該所望の変速状態へと移行することが可能となる。
そして、モータトルク調整ルーチンの完了後に、図17の同時係合時駆動制御ルーチンを実行して、動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とを連結した状態でモータMG1およびMG2から実質的にトルクが出力されないようにすれば(図17のステップS800〜S880)、エンジン22からのトルクを現変速段数nと目標変速段数n*とに対応した第N同時係合状態における第N固定変速比γ(N)で駆動軸67へと伝達することが可能となる。従って、ハイブリッド自動車20では、動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の双方をより適正に駆動軸67に連結して、エンジン22と駆動軸67との間における動力の伝達効率をより向上させることができる。また、図17の同時係合時駆動制御ルーチン(ステップS800〜S880)の実行中に、エンジン22が要求トルクTr*に基づく目標トルクTe*を出力し、モータMG1およびMG2の何れか一方がトルクを出力せず、かつモータMG1およびMG2の他方が要求トルクTr*に対するエンジン22によるトルクの不足分に基づくトルクを出力するようにエンジン22とモータMG1およびMG2とを制御すれば(ステップS860またはS870)、必要に応じて要求トルクTr*に対するエンジン22によるトルクの不足分に基づくトルクをモータMG1およびMG2の何れか一方に出力させることが可能となる。
加えて、実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60によりキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とが連結される第N同時係合状態のもとでエンジン22が運転されると共にモータMG1およびMG2が駆動制御されている最中に同時係合実行フラグFsecが値0に設定され(同時係合解除条件が成立し)、変速機60の現変速段数nに対応したギヤ列によるキャリア45およびサンギヤ41の一方と駆動軸67との連結を解除する場合には、要求トルクTr*に基づくトルクが駆動軸67に出力されるようにしながら、変速機60によりキャリア45およびサンギヤ41の双方を駆動軸67に連結した第N同時係合状態のもとでモータMG1およびMG2間でトルクを移し換えてモータMG1およびMG2がキャリア45およびサンギヤ41の他方のみを駆動軸67に連結したときに出力すべきトルクをそれぞれ出力するようにするトルク調整処理(第2のトルク調整処理:図17のステップS800〜S830,S900〜S970等)を実行した上で、変速機60の現変速段数nに対応したギヤ列によるキャリア45およびサンギヤ41の他方と駆動軸67との連結を解除する(図17のステップS980)。このように、変速機60によりキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とが連結される第N同時係合状態のもとで、上記トルク調整処理を実行した上でキャリア45およびサンギヤ41の一方と駆動軸67との連結を解除すれば、駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共にクラッチC1,C2に無理なトルクが加わらないようにしつつ動力分配統合機構のキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とが連結される状態(第N同時係合状態)からキャリア45およびサンギヤ41の何れかと駆動軸67とが連結される状態へとより適正に切り替えることができる。
また、図17におけるトルク調整処理(ステップS800〜S830,S900〜S970等)は、変速機60によりキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とが連結される第N同時係合状態にあるものとしてモータMG1およびMG2の何れか一方について値0を他方について要求トルクTr*が設定されたタイミングで当該要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクT(要求機関トルク)Te*とに基づく値0以上の値を始点トルクTm1a,Tm2aとして設定すると共に(ステップS910またはS930)、変速機60の現変速段数nに対応したギヤ列によるキャリア45およびサンギヤ41の一方と駆動軸67との連結が解除された後の変速後状態にあるものとして要求トルクTr*が設定されたタイミングで当該要求トルクTr*とエンジン22の目標トルク(要求機関トルク)Te*とに基づいて定まるモータMG1,MG2に対する要求モータトルクを終点トルクTm1b,Tm2bとして設定し(ステップS920またはS940)、エンジン22が目標トルクTe*に基づくトルクを出力すると共にモータMG1,MG2により出力されるトルクがそれぞれ始点トルクTm1a,Tm2aから終点トルクTm1b,Tm2bへと変化するようにエンジン22とモータMG1およびMG2とを制御するものである。これにより、モータMG1およびMG2のそれぞれに変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の他方のみを駆動軸67に連結したときに出力すべきトルクを出力させるためのトルク調整処理をより適正なものとすることができる。
更に、図17に示すように、要求トルクTr*が設定されるたびにモータMG1,MG2の始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bを逐一計算し、トルク移換時間tb内にモータMG1,MG2により出力されるトルクをそれぞれ始点トルクTm1a,Tm2aから終点トルクTm1b,Tm2bへと徐々に変化させれば(ステップS800〜S830,S900〜S970等)、駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求トルクTr*の変動に対処しながらモータMG1およびMG2のそれぞれに変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の他方のみを駆動軸67に連結したときに出力すべきトルクを出力させることが可能となる。また、要求トルクTr*が設定されるたびに始点トルクTm1a,Tm2aおよび終点トルクTm1b,Tm2bを逐一計算しておけば、仮に変速後状態への移行が中断されても、トルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求トルクTr*の変動に対処しながら第N同時係合状態へと容易に戻すことが可能となる。
また、上記実施例のように、図17の同時係合時駆動制御ルーチン(ステップS800〜S880)の実行中、目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで発電機として機能することになるモータMG1またはMG2についてのトルク指令Tm1*,Tm2*を値0とすると共に、目標変速段数n*に対応した変速状態のもとで電動機として機能することになるモータMG1またはMG2についてのトルク指令Tm1*,Tm2*をエンジン22によるトルクの不足分が補填され得るように値0以上の値とすれば、車速Vの増加または減少に伴って変速機60が第N同時係合状態から目標変速段数n*側にアップシフトまたはダウンシフトされた後に電動機として機能することになるモータMG1またはMG2にトルクの不足分を補填するように動力を出力させることができるので、第N同時係合状態から目標変速段数n*側へのアップシフトまたはダウンシフトに伴うトルク調整処理(図17のステップS900〜S970)をよりスムースに実行することが可能となる。
更に、上記ハイブリッド自動車20では、変速機60により動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の何れか一方が駆動軸67に連結される際には、モータMG1よびMG2の何れか一方が電動機として機能すると共に他方が発電機として機能し、エンジン22からのトルクが動力分配統合機構40とモータMG1およびMG2とによりトルク変換されて駆動軸67へと出力される。このため、動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の何れか一方を駆動軸67に連結している際には、動力分配統合機構40における機械損失とモータMG1およびMG2の駆動に伴う電気的損失との双方が生じることになる。これに対して、変速機60により動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とを連結する際には、モータMG1およびMG2が実質的にトルクを出力しないように駆動制御されることから、モータMG1およびMG2によるトルク変換の割合が小さくなり(実質的にゼロとなり)、それに伴ってモータMG1およびMG2の駆動に伴う電気的損失が小さくなる。従って、動力分配統合機構40における機械損失とモータMG1およびMG2の駆動に伴う電気的損失との双方を考慮しながらエンジン22とモータMG1およびMG2とを制御すれば(図12のステップS110、図16のステップS510、図17のステップS810等)、動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の何れか一方と駆動軸67とが連結される状態とキャリア45およびサンギヤ41の双方と駆動軸67とが連結される状態(第N同時係合状態)との切り替えに際して、機械損失と電気的損失の総和が変化することに起因した駆動軸67に出力される動力の変動を抑制し、それに伴うショックを抑制することが可能となる。
なお、図13の駆動制御ルーチンでは、ステップS340またはS450にてモータMG1またはMG2の実際の回転数Nm1またはNm2と目標回転数Nm1*またはNm2*との偏差の絶対値が所定値α以下となったと判断された時点でステップS350の処理が実行されるが、これに限られるものではない。すなわち、ステップS340やS450の処理は、上記偏差の絶対値が所定範囲内に含まれる状態が所定時間継続したか否かを判定する処理とされてもよい。これにより、動力分配統合機構40のキャリア45(キャリア軸45a)またはサンギヤ41(第1モータ軸46)と、目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤとをより確実に回転同期させた上で、キャリア軸45aまたは第1モータ軸46と目標変速段数n*に対応したギヤ列とを固定させることが可能となる。
図18は、上述のハイブリッド自動車20において実行され得る他のモータトルク調整ルーチンを例示するフローチャートである。このルーチンも、図13のステップS350にて現変速段数nに対応したギヤ列によりキャリア軸45aまたは第1モータ軸46と駆動軸67とを連結したまま目標変速段数n*に対応したギヤ列により第1モータ軸46またはキャリア軸45aと駆動軸67とが連結されると、ハイブリッドECU70により実行されるものである。図18に示すモータトルク調整ルーチンは、図16のルーチンと同様に、ステップS500〜S540,S550,S570,S590,S600〜S630の処理を含むものであるが、図16のステップS560,S580の処理の代わりに、トルク指令Tm1*の前回値をモータMG1についての始点トルクTm1aとして保持すると共にトルク指令Tm2*の前回値をモータMG2についての始点トルクTm2aとして設定・保持するステップS545の処理をステップS540の後に含むものである。図18からわかるように、ステップS540にてフラグFxが値1に設定されると、本ルーチンの次回実行時以降は、ステップS530にて否定判断がなされてステップS540およびS545の処理はスキップされる。従って、ステップS545の処理は、本ルーチンの開始直後に1回だけ実行される。これにより、図18のモータトルク調整ルーチンが開始されると、ステップS500〜S540の処理を経た後、トルク指令Tm1*、Tm2*の前回値、すなわち変速機60によりキャリア45(キャリア軸45)およびサンギヤ41(第1モータ軸46)の双方が駆動軸67に連結される直前(第N同時係合状態が実現される直前)に設定された要求トルクTr*と当該要求トルクTr*に基づくエンジン22の目標トルク(要求機関トルク)Te*とに基づいて定まるモータMG1,MG2に対する要求モータトルクが始点トルクTm1a,Tm2aとして設定・保持される(ステップS545)。そして、モータMG1,MG2のトルク調整の実行中、すなわち本ルーチンが繰り返し実行される間、要求トルクTr*が設定されるたびに、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に電動機として機能していたモータMG2またはMG1について値0が終点トルクTm2bまたはTm1bとして設定されると共に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に発電機として機能していたモータMG1またはMG2についての終点トルクTm1bまたはTm2bが要求トルクTr*に対するエンジン22によるトルクの不足分のトルクとして計算され(ステップS570またはS590)、エンジン22がステップS520にて設定される目標トルクTe*に基づくトルクを出力すると共にモータMG1,MG2により出力されるトルクが本ルーチンの開始直後に1回だけ実行されるステップS545にて設定・保持された始点トルクTm1a,Tm2aから逐一計算される終点トルクTm1b,Tm2bへとトルク調整時間ta内に徐々に変化するようにエンジン22とモータMG1,MG2とが制御される(ステップS600〜S620)。このような図18のモータトルク調整ルーチンを採用しても、駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求トルクTr*の変動に対処しながらモータMG1,MG2のトルクを調整することができる。また、このように始点トルクTm1a,Tm2aの設定をモータトルク調整ルーチン(トルク調整処理)の開始直後にのみ実行すれば、モータMG1およびMG2のトルク調整に伴う演算負荷を軽減することが可能となる。
図19は、上述のハイブリッド自動車20において実行され得る更に他のモータトルク調整ルーチンを例示するフローチャートである。このルーチンも、図13のステップS350にて現変速段数nに対応したギヤ列によりキャリア軸45aまたは第1モータ軸46と駆動軸67とを連結したまま目標変速段数n*に対応したギヤ列により第1モータ軸46またはキャリア軸45aと駆動軸67とが連結されると、ハイブリッドECU70により実行されるものである。図19に示すモータトルク調整ルーチンは、図18のルーチンと同様に、ステップS500〜S545,S600〜S630の処理を含むものであるが、図18のステップS550,S570およびS590の処理の代わりに、目標変速段数n*の判別処理(ステップS546)と、ステップS545にて設定・保持した始点トルクTm1a,Tm2aと現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)および目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)とに基づいてモータMG1,MG2についての終点トルクTm1b,Tm2bを設定するステップS547,S548の処理とをステップS545とステップS600との間に含むものである。図19からわかるように、ステップS540にてフラグFxが値1に設定されると、本ルーチンの次回実行時以降は、ステップS530にて否定判断がなされてステップS540〜S547またはS548の処理はスキップされる。従って、ステップS545〜S547またはS548の処理は、本ルーチンの開始直後に1回だけ実行される。これにより、図19のモータトルク調整ルーチンが開始されると、ステップS500〜S540の処理を経た後、トルク指令Tm1*、Tm2*の前回値、すなわち変速機60によりキャリア45(キャリア軸45)およびサンギヤ41(第1モータ軸46)の双方が駆動軸67に連結される直前(第N同時係合状態が実現される直前)に設定された要求トルクTr*と当該要求トルクTr*に基づくエンジン22の目標トルク(要求機関トルク)Te*とに基づいて定まるモータMG1,MG2に対する要求モータトルクが始点トルクTm1a,Tm2aとして設定・保持される(ステップS545)。更に、目標変速段数n*の値に応じて、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に電動機として機能していたモータMG2またはMG1について値0が終点トルクTm2bまたはTm1bとして設定されると共に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に発電機として機能していたモータMG1またはMG2についての終点トルクTm1bまたはTm2bがステップS545にて設定された始点トルクTm1a,Tm2aと現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)と目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)とに基づいて次式(23)または(24)に従い設定される(ステップS547またはS548)。なお、式(23)および(24)は、第N同時係合状態のもとで要求トルクTr*と目標トルクTe*とが前回値であるとしたときに、要求トルクTr*に対するエンジン22の目標トルクTe*の不足分のトルクを示すものである。そして、モータMG1,MG2のトルク調整の実行中、すなわち本ルーチンが繰り返し実行される間、エンジン22がステップS520にて逐一設定される目標トルクTe*に基づくトルクを出力すると共にモータMG1,MG2により出力されるトルクが本ルーチンの開始直後に1回だけ実行されるステップS545およびS547またはS548にて設定・保持された始点トルクTm1a,Tm2aから終点トルクTm1b,Tm2bへとトルク調整時間ta内に徐々に変化するようにエンジン22とモータMG1,MG2とが制御される(ステップS600〜S620)。このような図19のモータトルク調整ルーチンを採用すれば、要求トルクTr*の変動への対処が若干悪くなるものの、モータMG1,MG2のトルク調整に伴う演算負荷をより軽減すると共に駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制しながらモータMG1およびMG2のトルクを調整することが可能となる。
Tm1b = Tm1a + G(n)/G(n*)・Tm2a …(23)
Tm2b = Tm2a + G(n)/G(n*)・Tm1a …(24)
図20は、上述のハイブリッド自動車20において実行され得る他のモータトルク調整ルーチンを例示するフローチャートである。このルーチンも、図13のステップS350にて現変速段数nに対応したギヤ列によりキャリア軸45aまたは第1モータ軸46と駆動軸67とを連結したまま目標変速段数n*に対応したギヤ列により第1モータ軸46またはキャリア軸45aと駆動軸67とが連結されると、ハイブリッドECU70により実行されるものである。図20に示すモータトルク調整ルーチンを実行する場合、ハイブリッドECU70のCPU72は、図16のステップS500〜S520と同様にして制御に必要なデータの入力処理(ステップS700)と、要求トルクTr*および要求パワーPe*の設定(ステップS710)と、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*の設定(ステップS720)とを実行した上で、図18のステップS545等と同様にしてモータMG1,MG2についての始点トルクTm1a,Tm2aを設定する(ステップS730)。次いで、ステップS700にて入力した目標変速段数n*が値1から4の何れかであるかを判定し(ステップS740)、目標変速段数n*が値2または4である場合には、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に電動機として機能していたモータMG2についてトルク指令Tm2*を値0に設定すると共に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に発電機として機能していたモータMG1について始点トルクTm1a,Tm2aと現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)および目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)とに基づいてトルク指令Tm1*を次式(25)に従い計算する(ステップS750)。なお、式(25)は、第N同時係合状態のもとで要求トルクTr*と目標トルクTe*とが前回値であるとしたときに、要求トルクTr*に対するエンジン22の目標トルクTe*の不足分のトルクを示すものである。また、目標変速段数n*が値1または3である場合には、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に電動機として機能していたモータMG1についてトルク指令Tm1*を値0に設定すると共に、変速機60により第N同時係合状態が実現される前に発電機として機能していたモータMG2について始点トルクTm1a,Tm2aと現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)および目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)とに基づいてトルク指令Tm2*を次式(26)に従い計算する(ステップS760)。なお、式(26)も、第N同時係合状態のもとで要求トルクTr*と目標トルクTe*とが前回値であるとしたときに、要求トルクTr*に対するエンジン22の目標トルクTe*の不足分のトルクを示すものである。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したならば、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信し(ステップS770)、本ルーチンを終了させる。このように、変速機60により第N同時係合状態が実現される直前に設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*とに基づく要求モータトルク(トルク指令Tm1*,Tm2*の前回値)を始点トルクTm1a,Tm2aとして設定すると共に、設定された始点トルクTm1a,Tm2aと現変速段数nに対応したギヤ列のギヤ比G(n)および目標変速段数n*に対応したギヤ列のギヤ比G(n*)とに基づいてモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*(終点トルク)を設定し、エンジン22が目標トルクTe*に基づくトルクを出力すると共にモータMG1,MG2がトルク指令(終点トルク)Tm1*,Tm2*に基づくトルクを出力するようにエンジン22とモータMG1,MG2とを制御してもよい。このような図20のモータトルク調整ルーチンを採用すれば、モータMG1,MG2の出力トルクの変動により多少のショックを発生させる可能性があるものの、動力分配統合機構40のキャリア45およびサンギヤ41の何れか一方と駆動軸67とが連結される状態からキャリア45およびサンギヤ41との双方と駆動軸67とが連結される状態へと演算負荷をより一層軽減しつつ速やかに切り替えることが可能となる。
Tm1* = Tm1a + G(n)/G(n*)・Tm2a …(25)
Tm2* = Tm2a + G(n*)/G(n)・Tm1a …(26)
図21は、上述のハイブリッド自動車20において実行され得る他の同時係合時駆動制御ルーチンを例示するフローチャートである。このルーチンも、図17のルーチンと同様に上記何れかのモータトルク調整ルーチンの完了後にハイブリッドECU70により実行される。図21に示す同時係合時駆動制御ルーチンは、図17のルーチンと同様に、ステップS800〜S890,S900,S920,S940,S950〜S980の処理を含むものであるが、図17のステップS910,S930の処理の代わりに、トルク指令Tm1*の前回値をモータMG1についての始点トルクTm1aとして保持すると共にトルク指令Tm2*の前回値をモータMG2についての始点トルクTm2aとして設定・保持するステップS895の処理をステップS890の後に含むものである。これにより、図21の同時係合時駆動制御ルーチンのもとでは、ステップS840にて同時係合実行フラグFsecが値0であると判断されると、その直前(トルク調整処理の開始直前)に設定されたモータMG1,MG2に対する要求モータトルクであるトルク指令Tm1*、Tm2*の前回値が始点トルクTm1a,Tm2aとして設定・保持される(ステップS895)。そして、トルク調整処理の実行中、すなわち本ルーチンが繰り返し実行される間、要求トルクTr*が設定されるたびに、当該要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*とに基づいてモータMG1,MG2の終点トルクが設定され(ステップS920またはS940)、エンジン22が目標トルクTe*に基づくトルクを出力すると共にモータMG1,MG2により出力されるトルクがステップS895にて設定された始点トルクTm1a,Tm2aから逐一計算される終点トルクTm1b,Tm2bへとトルク調整時間tb内に徐々に変化するようにエンジン22とモータMG1,MG2とが制御される(ステップS950,S960)。このような図21の同時係合時駆動制御ルーチンを採用しても、駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制すると共に要求トルクTr*の変動に対処しながらモータMG1およびMG2のそれぞれに変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の他方のみを駆動軸67に連結したときに出力すべきトルクを出力させることが可能となる。また、このように始点トルクTm1a,Tm2aの設定をトルク調整処理の開始直後にのみ実行すれば、トルク調整処理に伴う演算負荷を軽減することが可能となる。
図22は、上述のハイブリッド自動車20において実行され得る更に他の同時係合時駆動制御ルーチンを例示するフローチャートである。このルーチンも、上記何れかのモータトルク調整ルーチンの完了後にハイブリッドECU70により実行される。図22に示す同時係合時駆動制御ルーチンは、図21のルーチンと同様に、ステップS800〜S890,S895,S950〜S980の処理を含むものであるが、図21のステップS900,S910およびS930の処理の代わりに、目標変速段数n*の判別処理(ステップS896)と、モータMG1,MG2についての終点トルクTm1b,Tm2bを設定するステップS897,S898の処理とをステップS895とステップS950との間に含むものである。これにより、図22の同時係合時駆動制御ルーチンのもとでは、ステップS840にて同時係合実行フラグFsecが値0であると判断されると、その直前(トルク調整処理の開始直前)に設定されたモータMG1,MG2に対する要求モータトルクであるトルク指令Tm1*、Tm2*の前回値が始点トルクTm1a,Tm2aとして設定・保持される(ステップS895)。更に、目標変速段数n*の値に応じて、ステップS840にて同時係合実行フラグFsecが値0であると判断される直前に(トルク調整処理の実行開始に際して)ステップS810,S820にて設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*とに基づいてモータMG1,MG2の終点トルクが設定される(ステップS897またはS898)。そして、トルク調整処理の実行中、すなわち本ルーチンが繰り返し実行される間、要求トルクTr*が設定されるたびに、エンジン22が目標トルクTe*に基づくトルクを出力すると共にモータMG1,MG2により出力されるトルクがステップS840にて同時係合実行フラグFsecが値0であると判断された直後にそれぞれ1回だけ実行されるステップS895にて設定された始点トルクTm1a,Tm2aからステップS897またはS898にて設定された終点トルクTm1b,Tm2bへとトルク調整時間tb内に徐々に変化するようにエンジン22とモータMG1,MG2とが制御される(ステップS950,S960)。このような図22の同時係合時駆動制御ルーチンを採用しても、トルク調整処理に伴う演算負荷をより軽減すると共に駆動軸67に出力されるトルクの変動に伴うショックの発生を抑制しながらモータMG1およびMG2のそれぞれに変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の他方のみを駆動軸67に連結したときに出力すべきトルクを出力させることが可能となる。
図23は、上述のハイブリッド自動車20において実行され得る他の同時係合時駆動制御ルーチンを例示するフローチャートである。このルーチンも、上記何れかのモータトルク調整ルーチンの完了後にハイブリッドECU70により実行される。図23に示す同時係合時駆動制御ルーチンは、図21のルーチンと同様に、ステップS800〜S890,S960,S980の処理を含むものであるが、図21のステップS890〜S950の処理を実行する代わりに、ステップS840にて否定判断がなされた後に、目標変速段数n*の判別処理(ステップS896)と、モータMG1,MG2についてのトルク指令Tm1*,Tm2*(終点トルクTm1b,Tm2b)を設定するステップS951またはS952の処理とを実行するものである。これにより、図23の同時係合時駆動制御ルーチンのもとでは、ステップS840にて同時係合実行フラグFsecが値0であると判断されると、目標変速段数n*が値2または4である場合には、ステップS810,S820にて設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*(要求機関トルク)とに基づいてモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*が次式(27)および(28)に従い設定され(ステップS951)、目標変速段数n*が値1または3である場合には、ステップS810,S820にて設定された要求トルクTr*とエンジン22の目標トルクTe*(要求機関トルク)とに基づいてモータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*が次式(29)および(30)に従い設定される(ステップS952)。そして、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU30にそれぞれ送信し(ステップS960)、更に、現変速段数nに対応したギヤ列とキャリア軸45aまたは第1モータ軸46との固定(係合)が解除されるようにクラッチC1またはC2のアクチュエータ91または92に指令信号を送信すると共に、目標変速段数n*を現変速段数nとして設定し、更にタイマ78をオフすると共にフラグFyを値0に設定し(ステップS980)、本ルーチンを終了させる。このような図23の同時係合時駆動制御ルーチンを採用すれば、モータMG1およびMG2の出力トルクの変動により多少のショックを発生させる可能性があるものの、第N同時係合状態から変速機60の目標変速段数n*に対応したギヤ列によりキャリア45およびサンギヤ41の他方のみが駆動軸67に連結される状態へと演算負荷をより一層軽減しつつ速やかに切り替えることが可能となる。
Tm2* = -(1-ρ)・Te* …(27)
Tm1a = Tr*/G(n*)+ρ/(1-ρ)・Tm2* …(28)
Tm1* = -ρ・Te* …(29)
Tm2a = Tr*/G(n*)+(1-ρ)/ρ・Tm1* …(30)
なお、上述のハイブリッド自動車20は、ギヤ比ρが値0.5となるように構成された動力分配統合機構40を備えているが、これに限られるものではなく、動力分配統合機構は、ギヤ比ρが値0.5以外の値となるように構成されてもよい。図24に、ギヤ比ρが値0.5未満であるダブルピニオン式遊星歯車機構である動力分配統合機構40Aを備えたハイブリッド自動車20Aを示す。このハイブリッド自動車20Aは、動力分配統合機構40Aとエンジン22との間に配置される減速ギヤ機構50を備える。減速ギヤ機構50は、第2モータ軸55を介してモータMG2のロータに接続された外歯歯車のサンギヤ51と、サンギヤ51と同心円上に配置されると共に動力分配統合機構40Aのキャリア45に固定された内歯歯車のリングギヤ52と、サンギヤ51およびリングギヤ52の双方と噛合する複数のピニオンギヤ53と、複数のピニオンギヤ53を自転かつ公転自在に保持すると共にトランスミッションケースに対して固定されたキャリア54とを備えるシングルピニオン式遊星歯車機構として構成されている。このような減速ギヤ機構50の作用により、モータMG2からの動力が減速されて動力分配統合機構40Aのキャリア45に入力されると共に、キャリア45からの動力が増速されてモータMG2に入力されることになる。このように、ギヤ比ρが値0.5未満とされるダブルピニオン式遊星歯車機構である動力分配統合機構40Aを採用した場合、サンギヤ41に比べてキャリア45に対するエンジン22からのトルクの分配比率が大きくなる。従って、動力分配統合機構40Aのキャリア45とモータMG2との間に減速ギヤ機構50を配置することにより、モータMG2の小型化とその動力損失の低減化を図ることが可能となる。また、実施例のように、減速ギヤ機構50をモータMG2と動力分配統合機構40Aとの間に配置して動力分配統合機構40Aと一体化させれば、動力出力装置をより一層コンパクト化することができる。そして、図24の例において、動力分配統合機構40Aのギヤ比をρとしたときに、減速比(サンギヤ51の歯数/リングギヤ52の歯数)がρ/(1−ρ)近傍の値となるように減速ギヤ機構50を構成すれば、モータMG1およびMG2の諸元を同一のものとすることが可能となるので、ハイブリッド自動車20Aやそれに搭載される動力出力装置の生産性を向上させると共にコストの低減化を図ることができる。
更に、上述のハイブリッド自動車20,20Aは、動力分配統合機構40,40Aの代わりに、互いに異なる歯数をもった第1サンギヤおよび第2サンギヤと、第1サンギヤと噛合する第1ピニオンギヤと第2サンギヤと噛合する第2ピニオンギヤとを連結してなる段付ギヤを少なくとも1つ保持するキャリアとを含む遊星歯車機構として構成された動力分配統合機構を備えてもよい。また、上述のハイブリッド自動車20,20Aでは、クラッチC0が動力分配統合機構40,40Aの第2要素であるサンギヤ41と第2電動機としてのモータMG1との間に設けられて両者の接続およびその解除を実行するものとされたが、これに限られるものではない。すなわち、クラッチC0は、動力分配統合機構40,40Aの第1要素であるキャリア45と第1電動機としてのモータMG2との間に設けられて両者の接続およびその解除を実行するものであってもよく、動力分配統合機構40,40Aの第3要素であるリングギヤ42とエンジン22のクランクシャフト26との間に設けられて両者の接続およびその解除を実行するものであってもよい。
加えて、実施例の変速機60は、動力分配統合機構40の第1要素であるキャリア45を駆動軸67に連結可能な平行軸式ギヤ列である1速ギヤ列および3速ギヤ列を有する第1変速機構と、モータMG1の第1モータ軸46を駆動軸67に連結可能な平行軸式ギヤ列である2速ギヤ列および4速ギヤ列を有する第2変速機構とを含む平行軸式変速機であるが、実施例のハイブリッド自動車20において、平行軸式の変速機60の代わりに遊星歯車式の変速機が採用されてもよい。
図25は、上述のハイブリッド自動車20,20Aに対して適用可能な遊星歯車式の変速機100を示す概略構成図である。同図に示す変速機100も、複数段階に変速状態(変速比)を設定可能とするものであり、動力分配統合機構40の第1要素であるキャリア45(キャリア軸45a)を駆動軸67に連結可能な第1変速用遊星歯車機構110、モータMG1の第1モータ軸46(サンギヤ41)を駆動軸67に連結可能な第2変速用遊星歯車機構120、第1変速用遊星歯車機構110に対して設けられたブレーキB1(第1固定機構)、第2変速用遊星歯車機構120に対して設けられたブレーキB2(第2固定機構)、ブレーキB3(第3固定機構)およびクラッチC1(変速用接続断接機構)等を含む。第1変速用遊星歯車機構110とブレーキB1とは変速機100の第1変速機構を構成し、第2変速用遊星歯車機構120とブレーキB2とは変速機100の第2変速機構を構成する。図25に示すように、第1変速用遊星歯車機構110は、キャリア軸45aに接続されたサンギヤ(入力要素)111と、このサンギヤ111と同心円上に配置される内歯歯車のリングギヤ(固定可能要素)112と、サンギヤ111およびリングギヤ112の双方と噛合するピニオンギヤ113を複数保持すると共に駆動軸67に接続されたキャリア114(出力要素)とを有するシングルピニオン式遊星歯車機構である。また、第2変速用遊星歯車機構120は、第1モータ軸46に接続されたサンギヤ(入力要素)121と、このサンギヤ121と同心円上に配置される内歯歯車のリングギヤ(固定可能要素)122と、サンギヤ121およびリングギヤ122の双方と噛合するピニオンギヤ123を複数保持する第1変速用遊星歯車機構110と共通のキャリア(出力要素)114とを有するシングルピニオン式遊星歯車機構である。図25の例では、第2変速用遊星歯車機構120が、第1変速用遊星歯車機構110に対して同軸かつそれよりも車両前方に位置するように並設されており、第2変速用遊星歯車機構120のギヤ比ρ2(サンギヤ121の歯数/リングギヤ122の歯数)は、第1変速用遊星歯車機構110のギヤ比(サンギヤ111の歯数/リングギヤ112の歯数)ρ1よりも多少大きく設定されている。ブレーキB1は、第1変速用遊星歯車機構110のリングギヤ112をトランスミッションケースに対して回転不能に固定すると共に当該リングギヤ112を解放して回転自在にすることができるものである。また、ブレーキB2は、第2変速用遊星歯車機構120のリングギヤ122をトランスミッションケースに対して回転不能に固定すると共に当該リングギヤ122を解放して回転自在にすることができるものである。更に、ブレーキB3は、第1モータ軸46に固定された固定子130を介して第1モータ軸46すなわち動力分配統合機構40の第2要素であるサンギヤ41をトランスミッションケースに対して回転不能に固定すると共に固定子130を解放して第1モータ軸46を回転自在にすることができるものである。また、クラッチC1は、第1変速用遊星歯車機構110の出力要素であるキャリア114と固定可能要素であるリングギヤ112との接続および当該接続の解除を実行可能なものである。これらのブレーキB1,B2,B3およびクラッチC1は、それぞれ図示しない電磁式、電気式あるいは油圧式のアクチュエータにより駆動される。このように構成される変速機100は、平行軸式の変速機に比べて軸方向および径方向の寸法を小さくすることが可能なものである。また、第1変速用遊星歯車機構110および第2変速用遊星歯車機構120は、エンジン22、モータMG1,MG2および動力分配統合機構40の下流側にこれらと同軸に配置可能であるから、変速機100を用いれば、軸受を簡素化すると共に軸受の数を減らすことができる。
そして、この変速機100では、次のようにして変速状態(変速比)を複数段階に設定することができる。すなわち、ブレーキB1により第1変速用遊星歯車機構110のリングギヤ112をトランスミッションケースに対して回転不能に固定すれば、キャリア軸45aからの動力を第1変速用遊星歯車機構110のギヤ比ρ1に基づく変速比(ρ1/(1+ρ1))で変速して駆動軸67に伝達することができる(この状態を「第1変速状態(1速)」という)。また、ブレーキB2により第2変速用遊星歯車機構120のリングギヤ122をトランスミッションケースに対して回転不能に固定すれば、第1モータ軸46からの動力を第2変速用遊星歯車機構120のギヤ比ρ2に基づく変速比(ρ2/(1+ρ2))で変速して駆動軸67に伝達することができる(この状態を「第2変速状態(2速)」という)。更に、クラッチC1により第1変速用遊星歯車機構110のキャリア114とリングギヤ112とを接続すれば、第1変速用遊星歯車機構110を構成するサンギヤ111、リングギヤ112およびキャリア114が実質的にロックされて一体に回転することになるので、キャリア軸45aからの動力を変速比1で駆動軸67に伝達することができる(この状態を「第3変速状態(3速)」という)。加えて、変速機100では、上記第1変速状態のもとで、第2変速機構を構成するブレーキB2によりリングギヤ122を固定すれば、キャリア軸45aと第1モータ軸46との双方を駆動軸67に連結してエンジン22からの動力またはモータMG1およびMG2の少なくとも何れか一方からの動力を固定変速比(第1固定変速比)で機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することが可能となる(この状態を「1−2速同時係合状態」または「第1同時係合状態」という)。また、上記第2変速状態のもとでクラッチC1に対応した第1変速用遊星歯車機構110のキャリア114とリングギヤ112とをクラッチC1により接続しても、第1モータ軸46とキャリア45との双方を駆動軸67に連結可能となり、上記1−2速同時係合状態とは異なる固定変速比(第2固定変速比)でエンジン22からの動力またはモータMG1およびMG2の少なくとも何れか一方からの動力を機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することが可能となる(この状態を「2−3速同時係合状態」または「第2同時係合状態」という)。更に、上記第3変速状態のもとで、ブレーキB3により第1モータ軸46に固定された固定子130を介して第1モータ軸46すなわち動力分配統合機構40の第2要素であるサンギヤ41をトランスミッションケースに対して回転不能に固定すれば、上記1−2速同時係合状態や2−3速同時係合状態とは異なる値1未満の固定変速比(1/1−ρ)でエンジン22やモータMG2からの動力を増速して機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することが可能となる(この状態も、同時係合状態の一態様であり「3速OD(オーバードライブ)状態」という)。このように、遊星歯車式の変速機100を採用しても、平行軸式の変速機60を用いた場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、図26は、上述のハイブリッド自動車20,20Aに対して適用可能な他の遊星歯車式の変速機200を示す概略構成図である。同図に示す変速機200も、複数段階に変速状態(変速比)を設定可能とするものであり、変速用差動回転機構(減速手段)201、クラッチC11およびC12を含む。変速用差動回転機構201は、入力要素であるサンギヤ202と、トランスミッションケースに対して回転不能に固定されてサンギヤ202と同心円上に配置される固定要素であるリングギヤ203と、サンギヤ202およびリングギヤ203の双方と噛合するピニオンギヤ204を複数保持する出力要素であるキャリア205とを有するシングルピニオン式遊星歯車機構である。クラッチC11は、第1モータ軸46の先端に設けられた第1係合部211と、キャリア軸45aに設けられた第2係合部212と、変速用差動回転機構201のサンギヤ202に接続された中空のサンギヤ軸202aに設けられた第3係合部213と、第1係合部211と第3係合部213との双方と係合可能であると共に第1モータ軸46やキャリア軸45a等の軸方向に移動可能に配置される第1可動係合部材214と、第2係合部212と第3係合部213との双方と係合可能であると共に軸方向に移動可能に配置される第2可動係合部材215とを含む。第1可動係合部材214と第2可動係合部材215とは、それぞれ図示しない電磁式、電気式あるいは油圧式のアクチュエータにより駆動され、第1可動係合部材214と第2可動係合部材215とを適宜駆動することにより、第1モータ軸46とキャリア軸45aとの何れか一方または双方を変速用差動回転機構201のサンギヤ202に選択的に連結することが可能となる。また、クラッチC12は、変速用差動回転機構201の出力要素であるキャリア205に接続されて車両後方に向け延びる中空のキャリア軸205aの先端に設けられた第1係合部221と、サンギヤ軸202aやキャリア軸205aを通って延びるキャリア軸45aに設けられた第2係合部222と、駆動軸67に設けられた第3係合部223と、第1係合部221と第3係合部223との双方と係合可能であると共に第1モータ軸46やキャリア軸45a等の軸方向に移動可能に配置される第1可動係合部材224と、第2係合部222と第3係合部223との双方と係合可能であると共に軸方向に移動可能に配置される第2可動係合部材225とを含む。第1可動係合部材224と第2可動係合部材225とは、それぞれ図示しない電磁式、電気式あるいは油圧式のアクチュエータにより駆動され、第1可動係合部材224と第2可動係合部材225とを適宜駆動することにより、キャリア軸205aとキャリア軸45aとの何れか一方または双方を駆動軸67に選択的に連結することが可能となる。
そして、この変速機200では、次のようにして変速状態(変速比)を複数段階に設定することができる。すなわち、クラッチC11によりキャリア軸45aを変速用差動回転機構201のサンギヤ202に接続すると共にクラッチC12によりキャリア軸205aを駆動軸67に連結すれば、キャリア軸45aからの動力を変速用差動回転機構201のギヤ比に基づく変速比で変速して駆動軸67に伝達することができる(この状態を「第1変速状態(1速)」という)。また、クラッチC11により第1モータ軸46を変速用差動回転機構201のサンギヤ202に接続すると共に、クラッチC12によりキャリア軸205aを駆動軸67に連結すれば、第1モータ軸46からの動力を変速用差動回転機構201のギヤ比に基づく変速比で変速して駆動軸67に伝達することができる(この状態を「第2変速状態(2速)」という)。更に、キャリア軸45aと第1モータ軸46との何れもがサンギヤ軸202aに連結されないようにクラッチC11を解放状態としてクラッチC12によりキャリア軸45aを駆動軸67に連結すれば、キャリア軸45aからの動力を変速比1で駆動軸67に伝達することができる(この状態を「第3変速状態(3速)」という)。加えて、変速機200では、クラッチC11によりキャリア軸45aと第1モータ軸46との双方を駆動軸67に連結すると共にクラッチC12によりキャリア軸205aを駆動軸67に連結すれば、エンジン22からの動力またはモータMG1およびMG2の少なくとも何れか一方からの動力を固定変速比(第1固定変速比)で機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することが可能となる(この状態を「1−2速同時係合状態」または「第1同時係合状態」という)。また、クラッチC11によりキャリア軸45aと第1モータ軸46との双方を駆動軸67に連結すると共にクラッチC12によりキャリア軸45aを駆動軸67に連結すれば、上記1−2速同時係合状態とは異なる固定変速比(第2固定変速比)でエンジン22からの動力またはモータMG1およびMG2の少なくとも何れか一方からの動力を機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することが可能となる(この状態を「2−3速同時係合状態」または「第2同時係合状態」という)。更に、上記第3変速状態のもとで、図示しないブレーキにより第1モータ軸46すなわち動力分配統合機構40の第2要素であるサンギヤ41をトランスミッションケースに対して回転不能に固定すれば、上記1−2速同時係合状態や2−3速同時係合状態とは異なる固定変速比でエンジン22やモータMG2からの動力を機械的(直接)に駆動軸67へと伝達することが可能となる(この状態も、同時係合状態の一態様であり「3速固定状態」という)。このように、遊星歯車式の変速機200を採用しても、平行軸式の変速機60を用いた場合と同様の作用効果を得ることができる。
図27は、変形例のハイブリッド自動車20Bを示す概略構成図である。上述のハイブリッド自動車20,20Aが後輪駆動車両として構成されるのに対して、変形例のハイブリッド自動車20Bは前輪69c,69dを駆動する前輪駆動車両として構成されている。ハイブリッド自動車20Bは、図27に示すように、サンギヤ11と、このサンギヤ11と同心円上に配置されるリングギヤ12と、サンギヤ11およびリングギヤ12の双方と噛合するピニオンギヤ13を複数保持するキャリア14とを含むシングルピニオン式遊星歯車機構である動力分配統合機構10を備えている。この場合、エンジン22は横置きに配置され、エンジン22のクランクシャフト26が動力分配統合機構10の第3要素であるキャリア14に接続される。また、動力分配統合機構10の第1要素であるリングギヤ12には中空のリングギヤ軸12aが接続され、このリングギヤ軸12aには、平行軸式ギヤ列である減速ギヤ機構50Bおよび第1モータ軸46と平行に延びる第2モータ軸55を介してモータMG2が接続される。そして、リングギヤ軸12aには、クラッチC1により変速機60の第1変速機構を構成する1速ギヤ列(ギヤ61a)および3速ギヤ列(ギヤ63a)の何れか一方を選択的に固定することができる。更に、動力分配統合機構10の第2要素であるサンギヤ11にはサンギヤ軸11aが接続されており、このサンギヤ軸11aは、中空のリングギヤ軸12aを通してクラッチC0に接続されており、当該クラッチC0により第1モータ軸46すなわちモータMG1と接続され得る。そして、第1モータ軸46には、クラッチC2を用いて変速機60の第2変速機構を構成する2速ギヤ列(ギヤ62a)および4速ギヤ列(ギヤ64a)との何れか一方を選択的に固定することができる。このように、本発明によるハイブリッド自動車は、前輪駆動車両として構成されてもよい。
なお、図16および図18から図20のモータトルク調整御ルーチンや、図17および図21から図23の同時係合時駆動制御ルーチンを走行状態等に応じて使い分けし得ることはいうまでもない。また、図16および図18から図20のモータトルク調整御ルーチンと、図17および図21から図23の同時係合時駆動制御ルーチンとの組み合わせも任意とされ得ることはいうまでもない。更に、上記ハイブリッド自動車20,20A,20Bは、何れも後輪駆動ベースあるいは前輪駆動ベースの4輪駆動車両として構成されてもよい。そして、上記実施例や変形例においては、動力出力装置をハイブリッド自動車20,20A,20Bに搭載されるものとして説明したが、本発明による動力出力装置は、自動車以外の車両や船舶、航空機などの移動体に搭載されるものであってもよく、建設設備などの固定設備に組み込まれるものであってもよい。
ここで、上記実施例および変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明しておく。すなわち、上記実施例および変形例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、動力を入出力可能なモータMG2が「第1電動機」に相当し、動力を入出力可能なモータMG1が「第2電動機」に相当し、モータMG1,MG2と電力をやり取り可能なバッテリ35が「蓄電手段」に相当し、動力分配統合機構40,40A,10が「動力分配統合機構」に相当し、変速機60,100,200が「変速伝達手段」に相当し、図12のステップS110,図16、図18および図19のステップS510、図20のステップS710、図17および図21から図23のS810の処理を実行するハイブリッドECU70が「要求動力設定手段」に相当し、図12および図13の駆動制御ルーチンと図16および図18から図20の何れかのモータトルク調整ルーチンを実行するハイブリッドECU70と、ハイブリッドECU70からの指令に従ってエンジン22を制御するエンジンECU24と、ハイブリッドECU70からの指令に従ってモータMG1,MG2を制御するモータECU30との組み合わせが「制御手段」に相当する。また、図17および図21から図23の何れかの同時係合時駆動制御ルーチンを実行するハイブリッドECU70と、ハイブリッドECU70からの指令に従ってエンジン22を制御するエンジンECU24と、ハイブリッドECU70からの指令に従ってモータMG1,MG2を制御するモータECU30との組み合わせも「制御手段」に相当する。
ただし、「内燃機関」は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力するエンジン22に限られず、水素エンジンといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「第1電動機」および「第2電動機」は、モータMG1,MG2のような同期発電電動機に限られず、誘導電動機といったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「蓄電手段」は、バッテリ35のような二次電池に限られず、電力動力入出力手段や電動機と電力をやり取り可能なものであればキャパシタといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「動力分配統合機構」は、第1電動機の回転軸に接続される第1要素と第2電動機の回転軸に接続される第2要素と内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力するものであれば、他の如何なる形式のものであっても構わない。「変速伝達手段」は、動力分配統合機構の第1および第2要素の何れか一方または双方を駆動軸に選択的に連結可能であると共に、第1要素からの動力と第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で駆動軸に伝達可能なものであれば、他の如何なる形式のものであっても構わない。「要求動力設定手段」は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクT*を設定するものに限られず、運転者の駆動力要求操作に応じて要求動力を設定するものであれば、アクセル開度Accのみに基づいて要求トルクを設定するものといったような他の如何なる形式のものであっても構わない。「制御手段」は、変速伝達手段により第1および第2要素の一方と駆動軸とが連結された状態で内燃機関が運転されると共に第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結条件が成立したときに、回転数調整処理と、第1および第2要素の他方と駆動軸との連結と、トルク調整処理とを伴って、要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるように内燃機関と第1および第2電動機と変速伝達手段とを制御するものであれば、単一の電子制御ユニットのような他の如何なる形式のものであっても構わない。また、「制御手段」は、変速伝達手段により第1および第2要素の双方と駆動軸とが連結された状態で内燃機関が運転されると共に第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結解除条件が成立したときに、トルク調整処理と、変速伝達手段による第1および第2要素の一方と駆動軸との連結の解除とを伴って、要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるように内燃機関と第1および第2電動機と変速伝達手段とを制御するものであれば、単一の電子制御ユニットのような他の如何なる形式のものであっても構わない。何れにしても、これら実施例および変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明の実施例に係るハイブリッド自動車20の概略構成図である。 ハイブリッド自動車20をクラッチC0の係合とエンジン22の運転とを伴って走行させる場合に変速機60の変速状態を変化させていくときの動力分配統合機構40および変速機60の主たる要素の回転数やトルクの関係を例示する説明図である。 図2と同様の説明図である。 図2と同様の説明図である。 図2と同様の説明図である。 図2と同様の説明図である。 図2と同様の説明図である。 図2と同様の説明図である。 モータMG1が発電機として機能すると共にモータMG2が電動機として機能するときの動力分配統合機構40の各要素における回転数やトルクの関係を表す共線図の一例を示す説明図である。 モータMG2が発電機として機能すると共にモータMG1が電動機として機能するときの動力分配統合機構40の各要素における回転数やトルクの関係を表す共線図の一例を示す説明図である。 ハイブリッド自動車20におけるモータ走行モードを説明するための説明図である。 クラッチC0の係合とエンジン22の運転とを伴いながらハイブリッド自動車20を走行させる際に、ハイブリッドECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 クラッチC0の係合とエンジン22の運転とを伴いながらハイブリッド自動車20を走行させる際に、ハイブリッドECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインとエンジン回転数NeとエンジントルクTeとの相関曲線(等パワーライン)とを例示する説明図である。 ハイブリッドECU70により実行されるモータトルク調整ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ハイブリッドECU70により実行される同時係合時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータトルク調整ルーチンの他の例を示すフローチャートである。 モータトルク調整ルーチンの更に他の例を示すフローチャートである。 モータトルク調整ルーチンの他の例を示すフローチャートである。 同時係合時駆動制御ルーチンの他の例を示すフローチャートである。 同時係合時駆動制御ルーチンの他の更に例を示すフローチャートである。 同時係合時駆動制御ルーチンの他の例を示すフローチャートである。 変形例に係るハイブリッド自動車20Aの概略構成図である。 ハイブリッド自動車20等に適用可能な他の変速機100の概略構成図である。 ハイブリッド自動車20等に適用可能な他の変速機200の概略構成図である。 変形例に係るハイブリッド自動車20Bの概略構成図である。
符号の説明
20,20A,20B ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、31,32 インバータ、33,34 回転位置検出センサ、35 バッテリ、36 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、37 温度センサ、39 電力ライン、40,40A,10 動力分配統合機構、41,51,11,111,121,202 サンギヤ、41a,11a,202a サンギヤ軸、42,52,12,112,122,203 リングギヤ、42a,12a リングギヤ軸、43,44,53,13,113,123,204 ピニオンギヤ、45,54,14,114,205 キャリア、45a,205a キャリア軸、46 第1モータ軸、50,50B 減速ギヤ機構、55 第2モータ軸、60,100,200 変速機、61a,62a,63a,64a カウンタドライブギヤ、61b,62b,63b,64b カウンタドリブンギヤ、65 カウンタシャフト、65b,66a ギヤ、67 駆動軸、68 デファレンシャルギヤ、69a,69b 後輪、69c,69d 前輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)、72 CPU、74 ROM、76 RAM、78 タイマ、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、87 車速センサ、90,91,92 アクチュエータ、110 第1変速用遊星歯車機構、120 第2変速用遊星歯車機構、130 固定子、201 変速用差動回転機構、211,221 第1係合部、212,222 第2係合部、213,223 第3係合部、214,224 第1可動係合部材、215,225 第2可動係合部材、B1,B2,B3 ブレーキ、C0,C1,C2,C11,C12 クラッチ、MG1,MG2 モータ。

Claims (23)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    動力を入出力可能な第1電動機と、
    動力を入出力可能な第2電動機と、
    前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、
    前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、
    前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段と、
    前記駆動軸に要求される動力である要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結条件が成立したときに、前記第1および第2要素の一方を前記駆動軸に連結したまま前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結する場合には、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結できるように該第1および第2要素の他方に対応した前記第1または第2電動機の回転数を調整する回転数調整処理と、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の他方と前記駆動軸との連結と、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機の双方が実質的にトルクを出力しなくなるように前記第1および第2電動機の出力トルクを調整するトルク調整処理とを伴って、前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機と前記変速伝達手段とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 前記トルク調整処理は、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結される前の変速前状態にあるものとして所定のタイミングにおける要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて定まる前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを始点トルクとして設定すると共に、前記第1および第2電動機の何れか一方について値0を他方について所定のタイミングにおける要求動力と要求機関トルクとに基づく値0以上の値を終点トルクとして設定し、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する処理である請求項1に記載の動力出力装置。
  3. 前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記始点トルクと前記終点トルクとを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項2に記載の動力出力装置。
  4. 前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行開始に際して前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方が前記駆動軸に連結される直前に設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて定まる前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを前記始点トルクとして設定し、前記トルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記終点トルクを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項2に記載の動力出力装置。
  5. 前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行開始に際して前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方が前記駆動軸に連結される直前に設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記始点トルクと前記終点トルクとを設定し、前記要求動力が設定されるたびに前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項2に記載の動力出力装置。
  6. 前記制御手段は、前記トルク調整処理の実行に際して、前記第1および第2電動機の何れか一方について値0を他方について前記設定された要求動力と前記要求機関トルクとに基づく値0以上の値をトルク指令として設定し、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機が前記トルク指令に基づくトルクを出力するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項1に記載の動力出力装置。
  7. 前記制御手段は、前記トルク調整処理の完了後、前記内燃機関が前記設定された要求動力に基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機の双方が実質的にトルクを出力しないように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項1から6の何れかに記載の動力出力装置。
  8. 前記制御手段は、前記トルク調整処理の完了後、前記内燃機関が前記設定された要求動力に基づくトルクを出力し、前記第1および第2電動機の何れか一方がトルクを出力せず、かつ前記第1および第2電動機の他方が前記要求動力に対する前記内燃機関による動力の不足分に基づくトルクを出力するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項1から7の何れかに記載の動力出力装置。
  9. 前記制御手段は、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結解除条件が成立したときに、前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結を解除する場合には、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機間で動力を移し換えて前記第1および第2電動機が前記第1および第2要素の他方のみを前記駆動軸に連結したときに出力すべき動力をそれぞれ出力するようにする第2のトルク調整処理と、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結の解除とを伴って、前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機と前記変速伝達手段とを制御する請求項1から8の何れかに記載の動力出力装置。
  10. 前記第2のトルク調整処理は、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結される同時連結状態にあるものとして前記第1および第2電動機の何れか一方について値0を他方について所定のタイミングにおける要求動力と要求機関トルクとに基づく値0以上の値を始点トルクとして設定すると共に、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結が解除された後の変速後状態にあるものとして所定のタイミングにおける要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて定まる前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを終点トルクとして設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する処理である請求項9に記載の動力出力装置。
  11. 前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記始点トルクと前記終点トルクとを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項10に記載の動力出力装置。
  12. 前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行開始直前に設定された前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを前記始点トルクとして設定し、前記トルク調整処理の実行中、前記要求動力が設定されるたびに、該設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記終点トルクを設定すると共に、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項10に記載の動力出力装置。
  13. 前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行開始直前に設定された前記第1および第2電動機に対する要求電動機トルクを前記始点トルクとして設定すると共に、前記第2のトルク調整処理の実行開始に際して設定された要求動力と該要求動力に基づく前記内燃機関に対する要求機関トルクとに基づいて前記第1および第2電動機についての前記終点トルクを設定し、前記要求動力が設定されるたびに、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機により出力されるトルクがそれぞれ前記始点トルクから前記終点トルクへと徐々に変化するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項10に記載の動力出力装置。
  14. 前記制御手段は、前記第2のトルク調整処理の実行に際して、前記設定された要求動力と前記要求機関トルクと前記変速後状態のもとでの前記変速伝達手段による前記第1または第2要素と前記駆動軸との間の変速比とに基づいて前記第1および第2電動機に対するトルク指令を設定し、前記内燃機関が前記要求機関トルクに基づくトルクを出力すると共に前記第1および第2電動機が前記トルク指令に基づくトルクを出力するように前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項9に記載の動力出力装置。
  15. 前記回転数調整処理は、前記第1および第2要素の他方に対応した前記第1または第2電動機の回転数を前記変速伝達手段による前記動力分配統合機構の前記第1要素と前記駆動軸との間の変速比および前記第2要素と前記駆動軸との間の変速比と前記駆動軸の回転数とに基づく目標回転数に一致させる処理である請求項1から14の何れかに記載の動力出力装置。
  16. 前記制御手段は、前記動力分配統合機構における機械損失と前記第1および第2電動機の駆動に伴う電気的損失との双方を考慮しながら前記内燃機関と前記第1および第2電動機とを制御する請求項1から15の何れかに記載の動力出力装置。
  17. 前記変速伝達手段は、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方を前記駆動軸に連結可能な少なくとも1組の平行軸式ギヤ列を有する第1変速機構と、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結可能な少なくとも1組の平行軸式ギヤ列を有する第2変速機構とを含む平行軸式変速機である請求項1から16の何れかに記載の動力出力装置。
  18. 前記変速伝達手段は、前記動力分配統合機構の前記第1要素を前記駆動軸に連結可能な第1遊星歯車機構と、前記動力分配統合機構の前記第2要素を前記駆動軸に連結可能な第2遊星歯車機構とを含む遊星歯車式変速機である請求項1から16の何れかに記載の動力出力装置。
  19. 前記変速伝達手段は、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方を前記駆動軸に連結可能な遊星歯車機構と、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結可能な連結機構とを含む遊星歯車式変速機である請求項1から16の何れかに記載の動力出力装置。
  20. 請求項1から19の何れかに記載の動力出力装置を備え、前記駆動軸からの動力により駆動される駆動輪を含むハイブリッド自動車。
  21. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    動力を入出力可能な第1電動機と、
    動力を入出力可能な第2電動機と、
    前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、
    前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、
    前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段と、
    前記駆動軸に要求される動力である要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結解除条件が成立したときに、前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結を解除する場合には、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機間で動力を移し換えて前記第1および第2電動機が前記第1および第2要素の他方のみを前記駆動軸に連結したときに出力すべき動力をそれぞれ出力するようにするトルク調整処理と、前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結の解除とを伴って、前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記第1および第2電動機と前記変速伝達手段とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  22. 駆動軸と、内燃機関と、それぞれ動力を入出力可能な第1および第2電動機と、前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段とを備えた動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結条件が成立したときに、前記第1および第2要素の他方を前記駆動軸に連結できるように該第1および第2要素の他方に対応した前記第1または第2電動機の回転数を調整するステップと、
    (b)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の他方と前記駆動軸とを連結するステップと、
    (c)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機の双方が実質的にトルクを出力しなくなるように前記第1および第2電動機の出力トルクを調整するステップと、
    を含む動力出力装置の制御方法。
  23. 駆動軸と、内燃機関と、それぞれ動力を入出力可能な第1および第2電動機と、前記第1および第2電動機のそれぞれと電力をやり取り可能な蓄電手段と、前記第1電動機の回転軸に接続される第1要素と前記第2電動機の回転軸に接続される第2要素と前記内燃機関の機関軸に接続される第3要素とを有すると共にこれら3つの要素のうちの何れか2つに入出力される動力に基づく動力を残余の1つに入出力する動力分配統合機構と、前記動力分配統合機構の前記第1および第2要素の何れか一方または双方を前記駆動軸に選択的に連結可能であると共に、前記第1要素からの動力と前記第2要素からの動力とをそれぞれ所定の変速比で前記駆動軸に伝達可能な変速伝達手段とを備えた動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方と前記駆動軸とが連結された状態で前記内燃機関が運転されると共に前記第1および第2電動機が駆動制御されている最中に所定の同時連結解除条件が成立したときに、前記変速伝達手段により前記第1および第2要素の双方を前記駆動軸に連結した状態で前記第1および第2電動機間で動力を移し換えて前記第1および第2電動機が前記第1および第2要素の他方のみを前記駆動軸に連結したときに出力すべき動力をそれぞれ出力するようにするステップと、
    (b)前記変速伝達手段による前記第1および第2要素の一方と前記駆動軸との連結を解除するステップと、
    を含む動力出力装置の制御方法。
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